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1973-12-11 第72回国会 衆議院 商工委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年十二月十一日(火曜日)    午前十時三十五分開議  出席委員   委員長 濱野 清吾君   理事 稻村左近四郎君 理事 左藤  恵君    理事 塩川正十郎君 理事 田中 六助君    理事 武藤 嘉文君 理事 板川 正吾君    理事 中村 重光君 理事 神崎 敏雄君       天野 公義君    浦野 幸男君       小川 平二君    越智 伊平君       越智 通雄君    小泉純一郎君       小林 正巳君    小山 省二君       塩崎  潤君    田中 榮一君       田中  覚君    八田 貞義君       松永  光君    宮崎 茂一君       保岡 興治君    岡田 哲児君       加藤 清政君    加藤 清二君       上坂  昇君    佐野  進君       渡辺 三郎君    木下 元二君       米原  昶君    近江巳記夫君       松尾 信人君    玉置 一徳君       宮田 早苗君  出席政府委員         通商産業政務次         官       森下 元晴君         資源エネルギー         庁次長     北村 昌敏君  委員外出席者         参  考  人         (日本鉄鋼連盟         専務理事)   奥村 虎雄君         参  考  人         (法政大学教         授)      力石 定一君         参  考  人         (石油化学工業         協会会長)   鳥居 保治君         参  考  人         (全国消費者団         体連絡会代表幹         事)      春野 鶴子君         参  考  人         (電気事業連合         会石油電力緊         急総合対策副本         部長      水野 久男君         参  考  人         (全国地域婦人         団体連絡協議会         事務局長)   田中 里子君         参  考  人         (大日本水産会         会長)     藤田  巖君         参  考  人         (東洋大学教         授)      御園生 等君         参  考  人         (アラビア石油         株式会社副社         長)      宮内 俊之君         参  考  人         (全日本トラッ         ク協会専務理         事)      武藤 儀一君         参  考  人         (日本化学繊維         協会会長)   安居 喜造君         参  考  人         (日本船主協会         会長)     山下 三郎君         参  考  人         (東京都個人タ         クシー協会会         長)      若月  勇君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  石油需給適正化法案内閣提出第四号)      ————◇—————
  2. 濱野清吾

    濱野委員長 これより会議を開きます。  内閣提出石油需給適正化法案を議題といたします。  本日は、参考人として日本鉄鋼連盟専務理事奥村虎雄君、法政大学教授力石定一君、石油化学工業協会会長鳥居保治君、全国消費者団体連絡会代表幹事春野鶴子君、電気事業連合会石油電力緊急総合対策本部長水野久男君、以上五名の方々に御出席を願っております。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  参考人各位には、御多用中のところ本委員会に御出席をいただき、まことにありがとう存じます。  本日は、本法案についてそれぞれのお立場から忌憚のない御意見をいただき、今後の審査の参考にいたしたいと存じます。  なお、議事の順序でございますが、初めに御意見をそれぞれ約八分程度に取りまとめてお述べいただき、次に委員の質疑に対しお答えいただきたいと存じます。  まず、奥村参考人にお願いいたします。
  3. 奥村虎雄

    奥村参考人 今回の中東戦争を契機といたしまして始まりました石油生産制限、それがわが国に対します石油供給削減措置、これによりまして、諸物資供給減少、あるいは物価騰貴を招来いたしまして、産業界はもちろんのこと、国民生活全般に対しましても深刻な危機を招くおそれがあると憂慮いたしておる次第でございます。  鉄鋼業といたしましては、限られました石油エネルギー及び電力を効率的に使用するよう全力を傾注しておりまして、少しでも鉄鋼生産減少を少なくするために懸命の努力をいたしておる次第でございます。しかしながら、現在行なわれております行政指導によります石油電力の一〇%の削減措置の実態を見てみますと、各産業間の削減率にかなりのばらつきがございまして、石油危機の克服のために国をあげて公平に努力しているというふうには必ずしも思われないのでございます。  さて、本法案必要性について考えてみたいと思うのでございますが、今日のように経済の仕組みが巨大化し、また複雑多岐にわたる現状におきましては、今回のような緊急事態における石油節減を、行政指導あるいは業界自主調整だけで実施するということではしばしば困難な事態が予想される次第でございます。また、石油供給の将来の見通しにつきましてだれにもはっきりと見通しがつけにくいという現段階におきましては、いたずらに騒ぎ立てることだけでは何らの解決にならないと考えるわけでございます。  したがいまして、わが鉄鋼業界といたしましては、石油不足深刻化がさらに予想せられます以上、当面の一〇%の削減につきましての行政指導には全面的に協力いたしておるのでございますが、今後におきましても、その方針に沿いまして協力を続けていくというのにやぶさかではございません。  しかしながら、政府におかれましても、今回のような不測の事態が続いていくということに対処するために、伝家の宝刀として法律を立案、制定をしまして人心の安定をはかるということもまた必要ではなかろうかと考える次第でございます。  このような考え方に基づきまして、今回の石油需給適正化法案を検討いたしました結果、本法早期制定は真にやむを得ないものであるというふうに考えまして、賛成をいたしたいと存じます。  ただ、政省令あるいは法の運用等につきましては、需要家の意向も十分に勘案をして実施をしていただきたいということを念願いたしておる次第でございます。  なお、この際鉄鋼業界として二、三希望を申し述べさしていただきたいと思うわけでございます。  まず第一は、法の目的とその運用についてでございます。  石油供給削減下におきまして、国民生活の安定と国民経済の円滑な運営をどう調和さしていくかということが本法の基本的な課題であろうかと思います。したがいまして、ここで特に強調しておきたいと思いますのは、石油需給調整が単に特定の大口産業への石油供給を重点的に削減するということで行なうべきではないということでございます。大口産業のみを対象といたします削減措置は、方法論の上でも、また削減実効をあげる面でも容易なことではありますが、石油危機への対応は、すべての国民がこの深刻な事態を踏まえ、公平にこれを負担するということが必要でございまして、そういう意識の高揚がなければ実効はあがらないというふうに存じます。  かりに一月以降石油事情が一そう悪化するようでありますれば、緊急措置として用途別業種別石油供給優先順位をつけるということもやむを得ないと思うのでございますが、この石油使用制限割り当て等があくまで一時的な手段であって、一日も早くこのような措置が不要になるように供給事情の改善に政府石油業界も懸命に努力をしていただきたいと念願してやまない次第でございます。  第二は、石油供給目標早期発表についででございます。  石油供給見通しが具体的に示されず、いたずらに目先まっ暗という感じを与えていることが需給両者間に不信感を生んでいる最大の原因かと思われます。したがいまして、相互不信を一刻も早く取り除くためには、石油輸入生産、販売、在庫の見通しを発表すると同時に、これに基づく公平にしてかつバランスのとれた使用削減を徹底させていただくよう関係当局石油業界と密接な連絡をとり指導をしていただきたいと存ずる次第でございます。  第三には、低硫黄燃料供給増加についてでございます。  公害対策に伴います低硫黄燃料需要は逐月増加しておりまして、これに対応いたしまして各工場におきましても使用設備の新設及び改良を実施しているのでございます。しかし、低硫黄燃料不足から、環境基準に合致した燃料を確保することが一段とむずかしくなっております。また、LPGあるいはナフサ供給前提としました設備を増強いたしておりますために、これらの燃料不足によりまして工場生産活動が不可能となる事態も起こりかねないのが実情でございます。  当鉄鋼業界におきましては、低硫黄燃料供給力拡大のためには、鉄鋼業自体といたしましても、資金面あるいは技術面及びその燃料の引き取りにつきまして積極的に協力する覚悟をきめておるわけでございますが、政府におかれましても、新直接脱硫あるいは重質油ガス化分解など新脱硫方式実用化に対しまして、資金面での強力な指導助成をお願いいたしたい次第でございます。  脱硫燃料によりますLS——ローサルファ燃料供給あるいはその増量というものは、単に低硫黄燃料の高価格への牽制ということだけではなくて、主として民需に使われておりますLPGあるいは灯油、軽油等節減策にもつながってくることでございます。  最後に、石油等使用削減鉄鋼業界にどのような影響を与えているかということについて付言さしていただきます。  石油等供給削減によります鉄鋼業への影響は、企業ごとに相当のばらつきが出ると思われますけれども、これを総合いたしまして鉄鋼業界全体としてみますと、一〇%の石油削減はおおむね一二%の鉄鋼生産減、もしかりにこれが二〇%の石油削減ということになりますと約三〇%の鉄鋼生産減ということになると想定いたしております。  なお、鉄鋼業は原燃料輸入あるいは製品輸送のために非常に多くの船腹を必要といたしておりますので、船舶及びトラック用燃料油供給削減に伴いまして輸送力の減退が起こりまして、これは非常に大きな影響鉄鋼業界としても受けることになりかねないのでございます。この点につきまして、鉄鋼業界としましては非常な関心を寄せておるということを申し上げまして、諸先生方の絶大な御協力をお願いする次第でございます。
  4. 濱野清吾

    濱野委員長 次に、力石参考人にお願いいたします。
  5. 力石定一

    力石参考人 石油エネルギー危機は、中近東問題が早期に解決されるかどうかというのはこれは不確定でありますし、長く続くかもしれません。また、かりに解決いたしましても、エネルギー問題というのは資源供給だけではなくて、公害問題で、たとえば発電所をつくることができないというような形で関西電力がことし非常に困りましたが、そういうふうな状況にぶつかってこざるを得ないわけでありますから、本格的にやはりエネルギー問題は、いままでのように自由に幾らでも入るということが前提として経済成長できないところへきたというふうに思います。つまり経済成長天井にぶつかってきた。この天井を考慮した形のエネルギー配分をしなければいけないことは確かであります。  その場合に、この配分をどのような形で優先順位をつけるかということが問題になるわけでありますが、優先順位をつける手法といたしましては幾つもございます。たとえばアメリカエネルギー問題についての政策手段についての論争が行なわれておりましたが、プライスメカニズム税制でもって、とにかく高くなることによって需要をカットする、それから税制で押えるというふうなプライスメカニズムを中心とする自由経済的な配分やり方と、それから日本が今度これに提起しましたような物動計画的な優先順位をつけた配給及び価格規制、こういうふうなやり方と、二つがあるわけであります。  私は、そのどちらをとるのがほんとうに効率的であるかどうかについて根本的な検討を日本でやったかどうかということについてたいへん疑いを持っております。私は、現在の状況のもとでこういう勤勉計画的なやり方をとる必要があるかどうかについてたいへん疑問を持っております。  といいますのは、これほど石油ほんとうに要るのだろうかということについて考えてみたいからであります。価格メカニズム税制ともう一つ手段があるわけでありまして、それはオーソドックスな物動計画的な統制ではなくて、いわゆる公害規制であります。つくるときの公害規制だけではなくて、使うときの公害規制がございます。使ってならない石油物資を相当使っておるわけであります。かえって生活を悪化させているような消費財石油製品には非常に多いわけでありまして、そういう分野についての公害規制をきびしくするとかいろいろな手段を用いることによって、統制なしにでもわれわれの基本的な生活は維持できるのではないかという感じを私は持っております。  そこで、幾つ考え方を述べてみたいと思いますが、三つの柱があります。  石油を非常にがぶ飲みにしております第一は自動車利用であります。自動車利用によって物や人を運ぶというやり方と、鉄道やあるいはバスを使って、公共輸送を使って移動するというやり方二つ選択があるわけでありますが、もしわれわれが鉄道をもってかなり代替したといたしますと、かなりエネルギーは節約できるわけであります。  たとえば一トンのものを一キロ運ぶのに必要なエネルギーは、鉄道に対して自動車は大体六倍であります。人を運ぶエネルギーは大体八倍ぐらいエネルギーを要するわけです。つまり六分の一、八分の一に縮小することが可能になります。それから建設エネルギーを見ますと、鉄道線路を建設するエネルギーに対して自動車ハイウェー建設エネルギーは大体四倍であります。セメントや鉄をつくるのに必要なエネルギーに換算いたしますと四倍であります。スペースももちろん四倍要ります。それからこの鉄道周辺部生活様式自動車道路周辺部での生活様式エネルギー依存度は全然違います。鉄道周辺部では、排気ガスはないし、騒音も断続的でありますから、比較的密閉生活は必要としない。自動車道路の横では全部密閉生活で、そしてアルミサッシのようなものすごく電力を使ったものを入れて、その上エアコンを春夏秋冬やらなければいけないわけでありまして、すごいエアコン需要であります。こういうふうなエネルギー依存度が非常に高いということであります。  それから、もちろんこれはエネルギー問題だけではなくて交通公害が非常に大きいわけであります。一億人キロ当たりの移動に要する事故発生率は、自動車の場合は五百倍であります。こういうふうなことをいろいろ考えますと、自動車というのは非常に大きな公害型の輸送形態であって、ほんとう鉄道を選ぶほうがいいにきまっているわけであります。この選択を、この際エネルギー危機といういわば予行演習だと思って切りかえの政策をとるべきではないかというふうに思います。そうしてハイウエー建設計画を一切ストップする。自動車に対するガソリン税は、取り上げたガソリン税目的税として道路に投入するのではなくて、鉄道に投入する。それから保有税を禁止的な水準に引き上げる。こういうことによって自動車台数を二千五百万台から五百万台くらいにずっと下げていく。そして鉄道のほうは複線化率を非常に濃密に進め、高くする。いま二八%の複線化率ですが、イギリスは七五%複線化しています。ドイツは六五%です。日本は二八%。こんなことではトラック輸送は吸収できないわけでありますから、鉄道体系にもっと力を入れて、たとえば中長距離トラック日本ドイツと比べてどのくらい税金を払っているか調べてみますと、ドイツは大体六倍の保有税軽油税は四倍であります。こんなに高い税金、つまり社会的費用を支払わされますというと、トラックを使えないからみんな中長距離鉄道を使って、短距離だけコンテナのトラックで運ぶ、こういう形になるわけであります。そういうふうな選択があり得るわけであります。  それから短距離トラック輸送につきましても、マイトラックのほうは税金を高くして、短距離トラック運送会社税金を安くする。そして二台目のマイトラックを持ちたいという欲求を運輸会社のほうで吸収するというふうにしますと、トラック使用台数もかなり押えられます。マイカーについても税金を高くして保有税を強化して押えていく。こうやって自動車をつくるために必要なプラスチック鉄鋼需要も大幅にカットされますし、ハイウエー計画エネルギー需要も大幅にカットされるというふうにして、エネルギーをあまり使わない輸送形態にかえることだけで相当大きな変化が起こるでしょう。  輸送エネルギーに大体石油の二割くらいを使っているわけであります。その他密閉生活のために必要なエネルギーだとか、自動車に関連するいろいろなエネルギー全体を考えますと、大体エネルギーの、まあ四割まではいきませんが、三割くらいはここで食っていると思うのです。これを数分の一に縮小するという長期的な計画に基づいて対処しなければ、今回の危機が去れば何とかなるというものではないということを前提にして考えていただきたいということが第一点であります。  第二の問題は、合成物質深追いであります。これについては税制でなくて規制で対処できると思います。たとえば洗剤を使っておりますが、これは赤潮原因になるわけでありますから、環境庁はこれの使用を禁止すべきであります。アメリカの湖に近い州はみな禁止してきておるのです。これを禁止することによって粉石けんに返るべきであります。脂肪酸系ヤシ油を使った合成物質、これは葉緑素が行なう光合成物質でありまして、太陽熱を取り込んだ非常に神秘な生物学的合成でありまして、これのほうが高級なわけであります。こういうものに依存すれば赤潮は少なくて済むし、からだも悪くならないし、非常にいいわけですが、私的費用で見ると、洗剤のほうが安いものだからやたら洗剤を使っているわけですが、社会全体では高いものについている。魚はとれなくなってくるからどんどん高くなってくる。そういうことで安もの買いの銭失いみたいになっているわけですから、洗剤を禁止する。  こういうふうな石油合成から光合成への転換というのは幾つもございます。たとえば合成繊維で燃えたときに青酸ガスを出すものは禁止したらいい。これは天然繊維に返る。それからプラスチックの建材をいっぱい使っておりますが、ここにも張ってありますけれども、これは建築基準法違反じゃないでしょうか。大体床張りは、いまは認めておりますけれども、上のほうは建築基準法上、燃えたときに塩素ガスが出て死傷者がふえるので違反になっているはずです。にもかかわらず、ざる法でみなこういうふうに、国会すら使っているわけでありますけれども、これはたいへん問題でありまして、建築基準法をきびしくして、固定資産税調査のとき、プラスチックを使っているものはあぶないからといってどんどん摘発すればこの使用はぐっと落ちます。  それからもう一つプラスチックの乱用は、可塑剤を加えてやたら誘導品をいろいろつくっておりますけれども、フタル酸エステルという可塑剤がございます。これはゴムホースとかゴムの手袋だとかいろんなところに加工するのに使って、シートなんかにも加工用に使っておりますが、これはだんだんしみ出してきまして環境に入ります。これが口に入りますとどういうことが起こるか。アメリカではこれを鶏実験をやりましたら鶏のサリドマイドが出ているわけです。ですからこういうふうなものは化学物質規制法というのがわれわれ国会で通ったわけですから、これを適用して直ちにこれを禁止する。そうすると、可塑剤を加えないとプラスチック利用というのは非常に縮小せざるを得ないということになるわけでありまして、いままであまりにも戦線を拡大し過ぎているわけですから、公害規制によってかなり撤退をさせることができます。  われわれはインスタント食品をたくさんとっていますが、これは合成物質食品添加物を入れているわけです。三百三十点認めていますが、戦前はこれは三十点しか認めていなかった。これを催奇形性発ガン性、染色体異常について十分テストがあるという確信のあるもの以外は全部凍結する。凍結するとインスタント食品はほとんど消滅いたします。あれを使わないとできませんから。そうすると、一緒にプラスチックの包装、これはインスタント食品に非常に使っておりますが、これががくっと減ります。ごみの中に占めるプラスチックの量がイギリスは一%、日本は一〇%であります。いかにこの添加物を乱用しているか、インスタント食品深追いしているかということがわかります。これを押えますと家庭料理に返るわけであります。こういうふうにして自然のものにもつと返らなければいけない分野が多い。  農業につきましても、化学肥料をたくさん使って、これはナフサからつくっているわけでありますが、これをあまり使うので土壌がやせております。それから害虫に弱いような品種をたくさん化学肥料をかけてつくるわけでありますが、こういうやり方をするから農薬をやたら使うということになります。みなこの合成物質にかかってくるわけです。したがってもっと有機肥料を使う。有機物質肥料をつくったたとえば都市のふん尿であるとか、あるいは畜産のふん尿とか、そういうものを有機肥料にして、これを農家に使わした場合には農家補助金を出してもいいと思うのです。つまりわれわれは、処理して有機肥料にしないで水に捨てております。二次処理では水はどうしても汚染するわけです。赤潮原因になります。したがってそれをさらに三次処理しようと思うと非常にコストが高くなる。そのコストのことを考えると、その分は補助金をあげるからとにかく農家で使ってくれというふうにすれば、肥料への依存度は相当減ってくるわけであります。  こういうふうなことで、環境をずっときれいにするという目標に基づいて、合成物質深追いを押えて、天然物質に、光合成に返るということです。これによって石油依存度は相当減るはずです。大体産業用石油の二割がこの化学工業で使っております。電力の二割をここで使っております。この深追いした戦線を縮小するような規制手段を全面的に行使する。環境庁や厚生省や建設省や警察やそういうようなもので全面的に撤退作戦をやっていく。これによって石油依存度は相当減ってくるはずです。  それから第三のわれわれが石油がぶ飲みにしておりますのは使い捨て経済であります。耐久消費財をどんどん使い捨てております。部品を残さないものですから修理して使えないわけです。部品保存期間を調べてみますと、通産省で指導しておりますのは大体冷蔵庫やテレビなんかでも七、八年しか部品を残さない。こういうかっこうになっています。外国は調べてみたら二十年残しています。二十年ぐらい修理に応じているわけです。小ものの場合は日本は三年くらいです。外国は小ものでも十年くらいの部品を残して修理に応じています。こうやって猛烈な大型家具使い捨てをやりますが、これがプラスチック鉄鋼の猛烈な需要を呼び起こします。ここをもっと法的にチェックする方法はないかということです。  もう一つ考え方税制を使います。もちの悪いぺらぺらのすぐ流行を追ったようなものについては物品税を禁止的な水準に上げる。そしてもちのいい長く使うようなものについては物品税を安くする。つまり償却税という考えです。償却期間に応じて物品税を操作する。物品の耐用年数というのは仕様書を見ればすぐわかるわけですから、それをもとにして税金をかけていく。材質は耐用年数どのくらいもつようなものを使っているか、構造はどうなっているかということを見て、そして年数に応じて物品税を操作する。そうしますと、ぺらぺらなもの、流行を追ったものをつくると物品税が高いから消費者は買わない、メーカーもこれは売れないからつくらない、もちのいいものをつくるという形で、いまの特に耐久消費財の売れて売れてしょうがないような状態は大きくブレーキがかかるはずであります。こういうふうにして押える。  あと紙の使い捨てが非常に起こっていますが、これはリサイクルをはかっていくようにするとか、かんのリサイクルですね。たとえばかんをぽんぽん捨てていますが、これは精神に非常に影響を与えますから、こういうものは自動販売機で売るときに必ずかんの汚染料をとる。そして持ってきたら汚染料を返す。まじめな人には返す。自動販売機には必ず自動回収機というのを義務づけて、口があいていて、そこへ入れますと中でぺちゃんとつぶして三十円ぽろっと返してくれる。こういう自動回収機をつけなければ自動販売機の設置を認めない。こういうふうなシステムでリサイクルをはかっていく。この場合はまじめな人は返しにきますし、かりに捨てましても、これはバタヤさんが集めればバタヤさんは成長産業に変わるわけであります。こういう意味でリサイクル経済の方向に切りかえなければいかぬ。  私はこの三つの大ものを、使い捨て経済とそれから交通戦争経済、それから生物化学戦争経済に当たるようなこの合成物質の乱用、この三つを押えますと、大きく軌道修正になるんじゃないか。石油というのは相当浮いてくる。そうすると、民需品については、普通の石油製品については十分に潤沢に供給できますし、それほど統制は要らないかもしれないということが考えられます。  つまり、われわれの経済というものを考えてみますと、どうも日中戦争のときに似てきているわけです。日中戦争は零戦だとか、タンクをどんどんつくって使い捨てをやっておりまして、それでもってボトルネックに入りまして、資源の制約に入ったので統制をやらなければいかぬ。マル公が要る。そしてみんなが買いだめをやり出すと、それは非国民だといって押えなければいかぬ。そして経済警察が要るというふうな統制経済にずり込んでいったわけですが、どうもいまの日本経済、工業国全体がそこに入りつつあるような感じです。だから労働力につきましても、賃金統制だ何だといろいろやることが出てきましたけれども、いまも非常にそっくりであります。  エネルギー不足するので、いまの石油文明の軌道をまっすぐ使い捨て文明を進めていけば、それは物資不足する。そこで統制をやらなければいかぬ。マル公が要る。それから買いだめは、これはばかなことをやっているといってお説教もしなければならぬ。あるいはいろいろ統制も必要だというふうなことになってくるわけでありまして、ここでの解決策は、石油文明の軌道を放棄するということだろうと思うのです。たとえば、日中戦争のとき、幾ら統制を綿密にやりましても、国民生活の安定を期待することはできないし、インフレを抑制することも非常にむずかしかった。こう薬ばりをいろいろやってもだめなわけでありまして、結局あのときの解決策は、日中戦争という目標を放棄する以外になかった。戦争経済の軌道をはずしてしまう。そうすれば自由経済に返れたわけであります。  現在でも同じような状況があるのではないでしょうか。つまり交通戦争経済、生物化学戦争経済、ごみ戦争経済の中にまっしぐらに進んでおりますが、この軌道を放棄するということによって石油は最も大きく余裕を見出すことができるのではないか。そうすればそんなに配給だ統制だと騒がぬでもいいのじゃないか。  またもう一つ、所得政策という名の賃金統制が登場しつつありますが、これもおそらく必要がなくなるでしょう。といいますのは、電機産業やペトロケミカルやあるいは自動車産業において大量の失業が発生いたします。いまのような急ブレーキをかけますと大量失業が出てくる。いわば部分不況であります。不況が起こって出てきた失業者を、他のいわゆる生活にもっと密着した分野において労働力がどんどん不足して、足りなくて物価が上がっているわけですが、そこに復員させる。いわば軍需産業に動員されている労働力を平時産業に復員させるのと同じ機能が働くわけでありまして、いまはあまりにも超完全雇用のためにインフレが激化しております。したがってこれを完全雇用の水準に返すのだと思って、こういう石油がぶ飲みする産業の部分不況を転回する、そして財政やその他の面ではむしろ拡大政策をとってこれを吸収する、こういうふうな戦時経済から平時経済への転換期における波状再調整のプランを持つ必要があるのではないか。そういう経済モデルに向かって経済政策を行使する必要があるのではないか、こういうふうな感じがいたします。  私は、それの類似点を、たとえばアメリカについて見ましょう。アメリカは朝鮮戦争が始まろうとするとわっと恐怖購買が起き出す。いまもまた恐怖購買が起こっておりますが、この恐怖購買は、結局第三次大戦にしない、マッカーサーを首にしちゃう、ということを通じて恐怖購買はおさまるわけであります。これが政治のリーダーシップというものでありまして、買い手がばかだ何だといって説教することではない。大戦にしないということ、いままで言えば石油文明の軌道を放棄する、これしかないと思います。  それからその次に問題になりますのは、アイゼンハワーは、朝鮮戦争が終わりますと軍事支出が削られる、そこで大きな不況が起こります。そのときに直ちに住宅産業を興すことによって、その失業者をそちらに吸収して、波状再調整という形で一年間で不況を突破いたしました。  こういうふうな計画されたリセッションを展開するか、あるいはこう薬ばり的な統制をやって、そして結局、業界のいろいろな力関係がありますから、力関係どおりにまんべんに配分せざるを得ない。それから財政や金融の面では、どんどん総需要調整と称してデフレをかけざるを得ない。そうしますと、不況と公害とそしてインフレーション、あまり有効に統制が働かないのでインフレーションが進む。三つの悪をわれわれは続けることになり、不況がかえって全般化してしまうわけです。そういう形にしないで、部分不況という形にして、むしろ上げるべきものは上げて労働力を吸収し、エネルギーをそちらのほうで十分潤沢に供給していくというふうな再調整方法があるわけであります。そういうふうな経済計画について考えをめぐらして、その上でこの問題を討議すべきではないかという感じがいたします。  アメリカでも、先ほど言いましたように、価格  メカニズムと税制で何とかならぬかというのでいろいろ努力しておりますが、われわれとしては、それに加うるに公害規制という三つの手段を用いることによって、優先順位をこういうはしの上げおろしまで規制するような統制手段をとらない方法があり得るのではないか。自由経済の軌道を進みながら、同時に石油を潤沢に供給するという方法、それはいわば再生産の軌道を全面的に切りかえるということです。つまり石油文明から訣別する、そういうふうな体系を持ち出していかなければ、もう工業国全体は成長できないところに来ているのではないか。つまり、使い捨てでない、物がたまっていくような成長、ストックがたまっていく成長に入っていく。いままでは足踏みしているわけです。フローは成長度が高いけれども、どんどん使い捨てるわけですから、実際にはあまり成長してはいないのです。そういうのはいまや断念するのだ、そういう気持ちをみんな持ってくれないかということを国民に呼びかけるのがこの際の政治の課題ではないかという感じがいたします。  自由民主党は自由経済の党であるというふうに名乗っておりながら、すぐこういう統制経済を出してくるというのは、体質上の訓練が不足しているのではないかという感じさえするわけであります。アメリカ共和党においては、そういう問題について十分な討議を経ていろいろ模索しております。日本もまたその模索の時期であります。  私のいま言いました経済政策は、いわば自動車保有税の強化だとか償却税であるとかあるいは公害規制であるとか、オーソドックスな自由経済と両立し得る政策手段でありまして、それを使うことによってもっと伸び伸びと生活していく。この提案は、すでにローマクラブの報告をもとにして、オランダのマンスホルトがかつて提案していた提案を参考にしながらいま申し上げたのでございますが、オランダは一番石油で締め上げられている。おそらくオランダはそういう問題について新しい方針を出すでありましょう。あそこの経済学者ティンバーゲンもそういう問題をローマクラブの委嘱によって調査し、研究しております。そういう経済政策路線が出てこなければいけない。そういうふうに出てくることによって、こういう法律は不必要にしてしまうということが現在の政府の課題ではないかというふうに思います。どうもありがとうございました。(拍手)
  6. 濱野清吾

    濱野委員長 次に、鳥居参考人にお願いいたします。
  7. 鳥居保治

    鳥居参考人 私、石油を原料にしております石油化学工業協会の会長をしております。いま力石先生のお話で、どうもたいへん申し上げにくいのですけれども、先生のお考えはごもっともでございまして、だんだんそっちのほうにいくということでございまして、とりあえず私は石油化学工業協会の現状について申し上げたいと思います。  たいへん恐縮でございますけれども、一言石油化学産業というものについて説明をさしていただきたいと思います。  石油化学工業と申しますのはナフサ、つまり粗製ガソリンを原料といたしておりまして、これを熱分解してエチレン、プロピレン、ブタジエンその他いろいろの留分を取り出しまして、これを原料といたしまして、さらにそれを加工いたしまして多数の化学工業製品生産する産業でございます。ナフサを熱分解いたしましたエチレンというガスを生産の出発点といたしまして、その下流のほうには、ポリエチレンだとかポリプロピレンだとか塩化ビニールであるとかポリスチレンであるとかいうような合成樹脂並びにナイロン、ポリエステル、アクリル繊維などの合成繊維の原料、その他合成ゴムあるいは各種のアルコール類というような製品がございます。しかもそのまた下流には、さらにそれを加工いたします合成樹脂加工業あるいは合成繊維産業のいろいろな加工段階、あるいは自動車タイヤをはじめといたしますゴムの加工業あるいは合成洗剤につながる原料の加工、その他いろいろなペイント類だとか非常にすそ野が広いわけでございます。  次に、中心になるエチレンの製造会社はただいまのところ十五社ございまして、十七工場ございます。四十七年の生産実績は三百八十五万トンでございまして、通産省の統計に載っております石油化学製品は約五十一種類ございます。そういたしまして、それに関係しておる会社数は約百二十四社ございます。四十七年の生産金額は一兆三千二百四十億円でございました。  そこで石油電力削減という問題が起こってまいりまして、四十八年度のエチレンの生産予定量は、本年八月の調査によりますと、これは非常に物が足らぬという声が起こってまいりましたので再調査をしたわけでございますが、そのときの当業界におきますエチレンの生産量は四百三十六万トンという予定を立てたのでございます。四月から十一月までの生産実績は二百七十二万トンの生産でございまして、十二月の生産は約三十九万トンを予定しておったわけでございます。四百三十六万トンから十一月までの実績の二百七十二万トンを引きますと百六十四万トンになります。したがいまして、十二月から来年の三月までの四カ月間で百六十四万トンの生産を予定しておったわけでございます。  今回の石油電力削減によりまして石油化学業界が、十二月分として現実に入手できる見込みのある石油電力をベースにいたしまして生産をいま推定いたしておりますが、四十万トンぐらいの生産を予定しておったのが約三十四万トンぐらいじゃないかというふうに見ておりますが、これも実際入手いたします石油類によりましてさらにこれを割るのではないかというふうに見ております。それから来年の一−三月につきましては、さらに状況が悪くなってまいりますので、いまのところ全くわれわれとしては予想が立たない状況でございます。  それから、石油化学工業はほかの産業と違いまして、石油ナフサをそのまま原料にいたしておりますし、さらにその原料を加工するために燃料が必要でございます。その燃料の重油も削減をされておりますし、さらに、加工いたしますエネルギーとしての電力削減を受けておりますので、三方面から削減が迫ってくるわけでございまして、たいへんきびしい影響が出てくるんじゃないかというふうに思っております。  それから、石油化学製品は原料・資材として非常に広い範囲に使われておりますので、いろいろの分野石油化学製品供給不足ということが起こってくるんじゃないかと思ってたいへん心配しております。  そこで各社は、対策といたしまして、削減されました石油電力でできるだけ効率のよい生産をし、需要業界に御迷惑をかけないよう努力するつもりでございます。と申しますのは、たとえば不急不要部門の石油電力使用を非常にカットいたしまして、必要度の高いものに生産を集中しなければならないというふうに思っております。需要業界におかれましても、私たちが供給いたします素材を効率よく使用していただくよう御協力をお願いいたしたいと思っております。  最後に要望でございますが、石油電力削減されてまいりますので、われわれとしてはこれ々十分有効に使っていくように経営にくふうをこらしていきたいと思っておりますが、ただこの削減率が非常にひどくなってまいりますと、先ほど申し上げましたように、原料そのものだけではなくて、それを加工する燃料も必要でございまして、さらにエネルギーも必要だ、こういうことになりますので、そのバランス上、原料があっても工場が動かせないというような状況が起こってくるんじゃないかということをたいへん心配しており言すので、あまりひどい削減率は避けていただくようにお願いいたしたいと思います。  そこで、われわれとして希望いたしますのは、これはたいへん失礼なんですけれども、われわれはなけなしの石油生活必需品の原料に少しでも生産していきたいと思いますので、いま他の業界ナフサをなまだきするということが起こっておりますが、それはひとつできるだけ原料としてわれわれのほうに回していただきたい。国際的にも世界各国でたいておりませんので、その辺はひとつ何とか考えていただきたい。  それからもう一つ、われわれの原料がガソリンと同じでございますので、どうぞひとつレジャー用などのガソリンはできるだけしぼっていただきまして、産業用のほうに回していただきたい、そういうふうにお願いする次第でございます。  なお、われわれ業界といたしましては、この石油二法が成立いたしますのができるだけ早いことをお願い申し上げます。またこれにはわれわれとしては十分御協力申し上げていきたいという覚悟でございます。われわれの産業がすそ野広く各業界に関係いたしておりますので、その辺、十分御理解いただき、御連絡していただいて、この削減協力していきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  8. 濱野清吾

    濱野委員長 次に、春野参考人にお願いいたします。
  9. 春野鶴子

    春野参考人 消団連の代表幹事、春野でございます。  高い物価が十一年間続きまして、ことしは十二年目に入っております。少しは終息するかと期待したのですけれども、過去十一年間よりもさらにものすごい高物価、その上にことしは二月に輸入大豆の騒ぎがございまして、五−六月には大手企業の買占め騒ぎ、過剰流動性の何とか。お札はたいへんにあり余って、日本国じゅうをかけめぐっている。十月、十一月に入りますと、灯油、トイレットペーパーあるいは洗剤、砂糖、みそ、しょうゆに至るまで、物不足資源不足、そういったものが一度におそいかかってまいりまして、生活のすべてが、いま力石先生がお述べくださいましたように、石油を主軸にした商品、冷暖房、そういったものに切りかわってしまっております。長い間、たくさん物をつくりなさい、売りなさい、買って使い捨て、つまり浪費過剰の上にGNP拡大を世界に誇り、国民は豊かな暮らしをしているのだ、そういった誤った中にわれわれも巻き込まれております。これに一そう列島改造等のこともありまして、先へ先へ拡大して進んでいく。経済拡大をあくまでやるのだというふうな姿勢が、石油輸入制限、こういう外国からの、私ども自身がどうさか立ちしても手が及ばない制圧が加わってきたのは、まさに神の警告であろうかというくらいに私どもはきびしく受けとめております。  力石先生がいまるるお述べになりましたが、これは今回の石油不足を眼前にして急に先生がおまとめになったものではなくて、数年も前からああいったふうな基本的な構想をお述べになっていたもので、私ども消費者といたしましても、非常に傾倒し、全面的に賛成している所論でございます。願わくば、ああいったふうな、三木先生がニンジンを持って中近東にはるばると旅をなさる、心中お察しいたしますが、何が何でもそれがなければわれわれは生きていけないんだ、経済がどうにもならないんだという、卑しいあるいは悲しい、絶体絶命のそういう境地には二度と立ちたくない、そういう気持ちでおります。  ところで、今度の、どろなわ式といえばたいへん語弊がございましょうが、石油法案、それから関連して生活安定法案、この二つがいま眼前にあるわけで、私どもも非常に戸惑っております。ずいぶん以前からこの日あることを心配いたしまして、あるいは過剰浪費に挑戦しよう、もっと物を大切に、不要な物はもうつくらない、あるいは買わない、そういったふうな引き締めできたのですけれども、むしろそういう消費態度は経済をどこかで阻害する。大いに買って大いに使って、つまり、浪費の上に企業経済の発展があるということに抵抗を示してき、自分たちなりの消費規制をしてきたつもりなんです。急にここのところに至りまして、こういう資源を使っての日本の発展であるというような教育もPRもあるいは歯どめも、そういったこともなしに国民を大いにおだててここまで引っぱってきていて、が然どうにもならない厚い壁の前に立たされた。その対策があわててここでつくられようとしている。これで一体いいのだろうかという戸惑いなんです。力石方式はやがて日本の将来に出てくるとしましても、とりあえずは石油需給適正化法というようなものはあるいは臨時措置としてやむを得ないかもしれません。急に制限でございますから、制限される少量のものをどう公平に分配するか、消費を抑制していくか。このきびしさの前に私どもは対応しなければならない。その意味で、恒久法でなくて臨時措置で済んでほしいと思います。  ところで、その内容なんですが、内容に入る前に、相当よさそうな法律がかりにできたとしても、一体まんべんなくその法律の目的のように公平にいけるだろうかという心配が早くもあるわけでございます。いつも正直者がばかを見る、いやな昔を思い出して、ずるい者が得をする、やみが横行する、特権意識がはびこる、そういうようないやなことが先に連想されるのです。  不信感を持ちます近い原因は、この問うちのトイレットペーパー騒ぎ、あるいは近くLPガス、あるいは灯油等の騒ぎ、こういう混乱に私どもも巻き込まれました。方々の、同じ消費者でございますが、電話は鳴りづめ、私どもほかの仕事ができないくらいに悲鳴をあげたのです。その場合に通産省に連絡をいたします。こうこういう売惜しみがある、トイレットペーパーが倉庫にたくさんあるのに売っていない、どこどこ番地のどこどこお店です、あるいはスーパーです、こうあれしましても、一人や二人でその監督、取り締まり、警告、そういうことができますか。かえってしかられる始末です。  田中総理は、いろんな不満あるいは高い値段で売るような場合には、私書箱第一号があるから、これは通産省の目玉行政ですが、そこに言いなさい。言ったって何カ月日に返事が返ってきますか。直ちにそれが即日見られて、すぐにも権限のある人がぱっと飛んでいって、そういう不当、不公正な行為はおやめなさいと言うことができますか。この法律が動き出すことによって消費者が一番望んでいる、いつでもそうあわてなくて、また二倍も三倍も買わなくてもその店に行けばいつでも買える、しかし私ども自身も消費をできるだけ切り詰めていこう、そういう安心感が現実に出てくるかどうか、これが非常に心配なのです。  現に通産大臣は、トイレットペーパーも灯油もLPガスも、物はあるとおっしゃる。あって、店にはないのです。ようやくどおっと出てきますと、高い値段でどっと出てきている。それが現実。それはもとの値段に戻っておりません。また戻そうともしていない。灯油の三百八十円、店頭売りですが、これすらも五百円以上でなければありませんですよ、現に。われわれも始終消費者からの電話があって通産省に連絡をとるのですけれど、ありますよとおっしゃるのですね、一人、二人の係官の方が。三百八十円で売っているところがありますよとけんか腰なんです。どこですか。ようやく一軒だけ教えてくださる。一軒だけ。教えろというから一軒だけ教えたんだ、こういうようなけんか腰なんです。  昨日の国会と思いますが、ニュースによりますと、来年の四月ごろになれば三百八十円ぐらいであくまで売らせる、それが実現するだろうということをぬけぬけと高位の人が御返事になっておりますが、四月ごろといったら灯油暖房もそろそろ要らなくなる。こういうようなことが現にこの数カ月で体験済みなんですね。ある。しかし店にはない。どっと出てくる。それは高い。個人タクシーのLPガスにしてもそうでございます。そういったふうなことではなはだいまから心配でございます。  法案について二、三、これでいいのだろうかという点を大急ぎで申し上げますが、第一には石油。しばらくの間見通しがつくまでいっそびしっとした完全統制でいくかともいったほうがいいのじゃないかという声もあるくらいです。いまの原案ですと、石油業界は大体独禁法違反の常習犯なんですね。通産省と非常に密着していらっしゃいます。通産省、通産大臣は、これからべったりをやめて生活優先の通産行政をやりますから見ていてくださいとついこの間おっしゃったばかりなんですが、まだその実績は見られません。そういう業界なんです。そこを頭に置いていきませんとすべて狂ってくるんじゃないか。  第二点は、この法律は価格が抜いてございますね。これが行政指導だけで、量が制限されますから、かえって売り手市場になりまして、業界も弱そうに見えて実は非常に強腰、あるものもあるいは半分ぐらいしかないとおっしゃるかもしれぬ。そういうようなことで高い価格のカルテルへ追い込むのではないか。また、それを認めざるを得ないというふうになりはしませんか、心配です。そうであるならば、いっそ独禁法を強化して公取がこれをしっかりにらむ、この権限をゆるめてはいけないと思います。  第三点は、第五条に生産計画とともに販売計画も含まれておりますが、従来、大体安全法ということもございまして、メーカーからずっと末端まで系列化ができておるようです。だから、おそらくそのプランは都合のいい配分になるんじゃないか。生活協同組合とか団地自治協あるいは婦人団体などでも共同購入をしたいという場合に、これがものすごく無視されはしないか。大臣はこの変更を指示することができると言われますけれども、はたして業界べったりの通産省が、消費者利益、生活優先ということを中心にてきぱきとしたそういう指示ができるかどうか。また、配分とか価格構成、これは輸入価格から何からすっかりわかるわけですから、いっそ価格配分等については学者、消費者、そういうものを加えた審議会、これはもう活発に開かれてけっこうですから、一切がわかって一切が公開される、そうして量の少ないものを公平、明朗に、何の暗さもなく、一般国民が納得の上、このきびしさに明るい気持ちで対応したいということはどうだろうか。  それから第十六条ですが、通産大臣が主務大臣に違いありませんけれども、生協や何かは厚生大臣が主務になると思います。それから団体の自治協あるいは婦人団体等、こういう場合は経企庁なのでしょうか。やはり主務大臣といわれるならば、通産大臣がオールマイティーにならないように、ここも明確にされるべきでございましょう。同時に、こういったバランスをとっていきますのに、消費者協同組織に対して、共同購入に対して具体的には現実に販売者が販売を拒否するのです。そういうことをしてはいけないというようなことも明記しておく必要がありましょう。  それから、先日大手十三社でしょうか、石油十三社にカルテル等の違反があるというので公取が立ち入りいたしましたが、警告あるいは明らかに違法だ、こういうことを言っただけで、従前の価格に戻しなさいと言う権限はないのですね。そういうあいまいなことでこの強烈な、きびしい、しかも、うかと間違うととんでもないデメリットな、不愉快な状態がたくさん出てくるおそれのある法律がいままさにつくられようとしている。非常に慎重に考えていただきたいと思います。  最後に、さっき申しましたような中央官庁だけの机上プラン、計画はよろしい、おっしゃることもいい、大臣はあるという、しかし店にはないという、値段はこうです。その倍ぐらいの価格でないと手に入らない、こういうことを一々私書箱とか電話を直にあれして右左に動くということはとても不可能だと思うのです。この際、非常事態を切り抜けるためにも、地方自治体も総動員して、そしてみんなでこの事に当たる、そして明朗に処理していく。いやしくもやみ、ずるさ、不公平、特権、そういうふうなことはしてはいけないし、させもしないというふうな対応姿勢から、地方自治体の方々も腕を撫しておられると思うのです。  先日金沢に参りましたら、市長はじめ生活安定本部というふうなものまで設けて、何とかして民心に貢献したい、物資の安定をはかりたい、しかし石油やその他については何の権限もありません、こういうことも言っておられました。非常時といわれるならば、その非常時を切り抜けるために地方自治体も大いに動員されて、いつでもわれわれはどこへでもかけ込んでいく、どこへでも情報を提供する、情報によってすぐ動いていただくというふうなことを、苦い経験からことばを添えたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
  10. 濱野清吾

    濱野委員長 次に、水野参考人にお願いいたします。
  11. 水野久男

    水野参考人 水野でございます。  私は電気事業連合会の石油電力緊急総合対策本部の副本部長として意見を述べさしていただきます。  緊迫した最近の事態を勘案いたしますと、石油需給安定化法案の趣旨に全面的に賛成であります。一日も早い成立を希望いたす次第でございます。  以下、その理由を申し述べたいと存じます。  まず電気事業の最近の実情について説明させていただきますが、現在、九電力会社の供給電力量の約七五%は石油による火力発電に依存いたしております。昭和四十八年度の下期について見ますと、当初計画した石油の消費量は、重油に換算いたしまして約二千八百万キロリットルでございまして、これはわが国石油消費量の約二五%を占めております。したがいまして、今回の石油危機は電気の供給にきわめて深刻な影響を与えております。  また、電気の特性からいたしまして、全体の需要供給のバランスが大きくくずれますと、自動的に広範な地域にわたって無差別に停電することになりまして、社会的にきわめて憂慮すべき事態を惹起するおそれがございます。  このような事態を事前に防止し、不足の中にも最低限の電力需給秩序を維持するため、政府におかれましては節電に関する強い行政指導を進めておられますが、電気事業としても、極力石油の確保をお願いするとともに、自発的に電力需要節減につとめております。しかしながら、十一月の需要節減の実績を見ますと、いまだ十分に節減が徹底されておりません関係もありまして、九電力全体で三%程度の減少にとどまりました。  一方、供給のほうについて見ますと、本年はあいにくと記録的な渇水もございまして、現状程度の需要節減の効果を織り込みましても、十二月の必要石油量は約五百五十万キロリットルに達するのでございますが、このうち現在までに確保のめどがついておるのは約四百五十万キロリットルでありまして、約一八%、おおむね百万キロリットル程度の調達の見込みが立っておりません。これは電力需要全体に対しまして約一四%の供給不足に相なります。したがいまして、十二月だけにつきましても、現在以上の節電と燃料の追加調達がぜひとも必要となっておる状況であります。  また、一月以降につきましては、各方面の情報を総合いたしますと、さらに事態が悪化することは避けられないと思われますので、電力需要節減石油確保の両面で抜本的な対策が必要となっております。  このような緊急事態に直面いたしまして、電気事業といたしましては、石油需給の逼迫を十分に考慮し、極力電力需要節減をお願いいたしますと同時に、電気の持つ社会的特性上、必要最小限度の石油の確保を強くお願いいたしまして、この難局に処する電気事業の責務を果たしたいと念願するものでございます。  電気の需要節減につきましては、ここ一カ月の実績を顧みましても、行政指導とかわれわれ事業者の要請による需要家の自発的協力だけではおのずから限度がございますので、現在、電気事業法第二十七条に基づく法的な電気使用制限早期挙動をお願いいたしております。通産御当局にお弐ましても、鋭意準備を進めておられると承っております。近々のうちには法令の警備、告示が行なわれまして実施に移されることになると思われますが、電気事業といたしましても、さらに需要家の御理解と御協力を得まして需要節減の実をあげていきたいと考えておる次第でございます。  しかしながら、電気は、先ほど申しましたとおり、生活産業の全般にわたって欠くことのできない基般エネルギーでございます。一般需要につきましてあまりに大幅な制限といいますか、カットを行ないますと、たとえば病院であるとか交通信号機あるいは地下商店街などの機能が麻痺し、はかり知れない社会生活の混乱を招く懸念がございます。また、大口産業需要節減に主として期待するとした場合、これがかなりの期間続きました場合には、基礎資材の不足あるいは価格の高騰を通じまして、国民生活の破綻を来たすおそれがございます。このため電力需要節減にはおのずから限界がございます。こういったカットできない最低限必要な電気を供給するための石油は、ぜひとも確保しなければならないのでございます。  今回の石油危機に伴います緊急措置として、ただいま御審議中の石油需給適正化法案につきましては、これが成立し、実効ある運用がなされれば、国民生活の安定と国民経済の円滑な運営をはかる観点から、秩序ある石油供給が可能となり、したがって、生活経済の最低限度を維持する電力のための石油は優先的に御配慮いただけるものと存じております。すなわち、法案第九条第二項の「公共の利益の確保のために不可欠な事業」というこの「事業」の中には、ぜひ電気事業を包含していただけるよう御配慮をお願いしたいと存じます。もとよりわれわれも、石油業界と自主的な話し合いを継続してまいる所存でありますが、電気事業法による法的規制と本法案が両々相まって、石油危機によってもたらされるであろう混乱を最小限にとどめるものと期待しております。  以上、電気事業の率直な実情について御説明をし、石油需給適正化法案の一日も早い成立と実効ある運用を希望いたしまして、私の陳述を終わります。ありがとうございました。
  12. 濱野清吾

    濱野委員長 以上で各参考人の御意見の開陳は終わりました。     —————————————
  13. 濱野清吾

    濱野委員長 これより参考人に対する質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。  質疑の際は、まず参考人の氏名をお示し願いたいと存じます。  なお、念のため参考人に申し上げますが、発言をされる際は委員長の許可を得て、しかも質疑に対する要領を得た御発言をぜひお願いしたいと存じます。  板川正吾君。
  14. 板川正吾

    ○板川委員 力石先生にお伺いいたしたいと思います。  先生からたいへん貴重な御意見を開陳いただきまして、初めて私どもほんとう参考人らしい意見を伺ったわけであります。先生の考え方で、石油がぶ飲み産業構造というのは徹底的に追放しなくちゃならぬ、こういう御意見でございまして、これは私どもは、長期的な展望としては当然こういう方向に向いていかなくちゃならぬと思います。たとえば交通関係の先ほどの御意見でも、この狭い日本が広いアメリカのまねをして、平地面積当たりにいたしますと石油の消費が九倍にも達しておる、こういうようなこともわれわれは考えなくちゃいけないし、また鉄道自動車の関係にいたしましても、四十五メートルの高速道路を狭い日本につくる、そうしてこれの一日の輸送力というのが、大体人間にいたしまして六、七万から最高が十万人であります。しかし、鉄道は複線十五メートルで三分の一、そしてこれは一時間で十万人から十二万人、一時間で自動車の一日以上の輸送力を持てるはずです。にもかかわらずいままでの政府政策というのは、鉄道をほうりっぱなしにして自動車優先の政策をとってきた。これは大きな間違いだと私ども痛感いたしております。  ただ、先生の公害追放型の産業構造への転換ということですが、私は一つこういう点がさらにあってしかるべきじゃなかったかと思うのです。それはいまの電力料金の体系なんです。いまの電力料金は産業育成型、生産第一型にできておりまして、大口電力については三円七十銭、それから家庭電力については十二円で、しかも税金をかけておる。全くさかさまな料金体系ですね。で、先生の公害追放型の産業構造転換というのはやや時間がかかるというか、それは急にいかないんじゃないかと思うのであります。もちろんその方向を向きますが、このさかさまな電力料金を、民生にはうんと安くしてエネルギー多消費型は高くする、こういう政策をとればエネルギー多消費型の産業から移行するのがさらに早いんじゃないか、私はこういう感じがいたしますが、その点に対する先生の見解が第一点であります。  次は、確かに私ども、電力料金とか、あるいは公害追放型の産業政策をとりましても、当面、石油の緊急対策というのにどうも目をつぶるわけにいかないんじゃないだろうか。だから私どもも、最小限度これに対してある種の統制を加えて取り組むことも、当面の対策として政治の場においていたし方がない、こう思うわけであります。  そこでこの統制のあり方ですが、先生がおっしゃっていましたように、一つアメリカ流の価格メカニズム税制を通じてやります。しかしこれは、物価がどんどん上がると、アメリカなんかでもガソリンなどは一年前の一・八倍ぐらいになっております。こういうことになりますと、どうしても金持ちだけに物が入るという傾向になるだろうと思います。それから次に、きょうは鉄鋼の稲山さんおいでになりませんが、稲山さんが多年主張されております産業カルテル、産業界の自主的なカルテルで統制していこう、こういう考え方一つあります。しかしこれまた独占に産業支配を明け渡すことになりますから、これは民主的な経済の発展になりません。そうしますと、何か他に適当な方法というとやはり国家による統制しかないんじゃないだろうか。で、国家による統制という場合に、無条件でやっておりますとどうしても官民癒着になります。そして国民の立場を忘れた官僚と産業界の癒着になるという弊害があります。そこで、やり得るとすればやはり国家統制であるが、それを国民の面からチェックしていく民主的な国家統制というほかにないんじゃないだろうかという感じがいたしますが、この当面の対策、統制というものに対する先生の御意見を承りたいと思います。それが第二点であります。  それから第三点は、これは石油法に関連した問題でありますが、先生の専門ですからお伺いをいたしますが、生活安定法の中に標準価格というのがございます。標準価格といいますと、おそらくこれはコストに適正な利潤というものを加味しておるだろう、こう思うのであります。その場合に、ある種の基幹的な産業の場合にはあるいは可能性がありますが、あらゆる物資不足してきた場合、コストプラス適正利潤というもので標準価格制度というのはおそらくとり得ないんじゃないだろうか。そして物価がこのように急速に値上がりする段階となれば、私は、物統令による一時凍結、こういうことにならざるを得ないんじゃないかと思うのでありますが、この点に対する先生の御見解を承りたいと思います。
  15. 力石定一

    力石参考人 電力料金の問題につきましてはおっしゃるとおりでありまして、コストの面から見まして、いまほど産業用と消費者用、家庭用との間に差があるというのは、ほんとうコストを反映しているかどうかあやしいと思います。といいますのは、家庭用はいろいろ配電のコストがかかるから若干の差があってしかるべきだとは思いますけれども、イギリスのあの国有電力会社がとっている料金の差を見ますと、大体二割から三割ぐらい産業用が安い程度であります。日本の場合はとにかく家庭用の三分の一ぐらいの安い値段で大口電力供給しておりますが、これはあまりにもいままでこの点についての反省が足りなかったというふうに思いまして、これは当然そういう形に変わっていくべきものだろう、公益料金政策の面から見てそういう点がやはり考慮されてしかるべきだというふうに思います。いまのは原価でやっているようにいっていますけれども、実はいまのが非常に大きな政策料金であるというふうに考えたほうがいいと思います。原価を反映する程度だと二、三割の差ぐらいだというふうに、イギリス電力料金の文献なんかを見ましても書いておりますが、私はそうだろうと思います。  それから第二点の問題でありますが、経済統制を民主化するということが正当化されるような条件にいまあるのかどうかということであります。私は、経済統制を民主化するという形でいくのが最適だと思われた条件があったのは、第二次大戦後の経済崩壊期、あのときにはいろいろな価格制度をとってそれを民主化していくということはやらざるを得ないと思います。あれは過小生産危機でありますから、あの時期にはやらざるを得ない。それから第二次大戦中における反枢軸国は、戦争目的は一応正義でありますから、こういう国々においては、その戦時統制経済に対して民主的に参加して、これを民主的にコントロールするということは、これはジャスティファイできると思います。しかしながら、現在の状況のもとで、エネルギー危機というものがそういうジャスティファイできるような戦争経済でもないし、それから過小生産危機というふうな状況でもないわけでありまして、したがって、いまの段階において経済統制を、いわば物動計画的な価格に対するコントロール、割り当て、そういうふうなものを一応支持してそれを民主化するというやり方は、前提であるその統制システムそのものが有効に働かないですから、おそらくそれに巻き込まれて民主的な人たちも汚職に関係してくるかもしれないというおそれを私は持ちます。したがって、むしろいまでは、いわば日中戦争のときに戦争経済の軌道を放棄して自由経済に返る、そしてその自由経済の中で社会的なコントロールをだんだん強めていくということが必要であったのと同じように、現在の局面においては、まず、先ほど言いました三つの戦争経済の軌道を放棄する、そうして大きく石油に余裕をつくり出して自由経済のワク内で混合経済化を進めていく。つまり混合経済ということといわゆる物動計画の指令経済とは違うわけです。指令経済というのは、いろいろ複雑なやつを一々口出しをするものですから、非常に非効率になりますし、また大体社会的正義を貫くというのは非常にむずかしいわけであります。したがって、できるだけプライスメカニズムに沿いながら、そのプライスメカニズムが持っているマイナスの効果、つまり、社会コストを無視するとか、あるいは所得の再分配をゆがめるとか、そういうふうなものを、税制手段であるとか、あるいは公害規制であるとか、そういうふうなオーソドックスな手段を通じて是正していくという形の混合経済の前進、これが経済の民主化だろうと思うのです。それをいまのような状況でいきなり統制経済を持ち込んでそれを民主化するというやり方は、おそらく成功しないだろう、失敗するおそれがある、そういうことを私は考えます。  いま私の案は長期的な課題だとおっしゃいました。私が話をしますと、たいていの方はそうおっしゃいます。長期的には確かにそうだ、しかし当面、現実的にはこういう統制をやらざるを得ない、こういうふうに言うわけですが、日中戦争のときも大体そうでした。日中戦争をやめなければいかぬということは、長期的にはそうである、しかし当面は何とかしなければならぬからいろいろこうやるんだ。結局こう薬ばりをしてずるずる事態が進んでいくわけです。ですから、私の意見に対していまの御意見は、いわば総論賛成で各論的にはかなり反対なさっているわけですが、私はいまの総論は、これをやらなければ実は現実的ではないんではないか。私の言いました償却税であるとか自動車保有税の強化、こういうふうなものをやるのか、あるいはガソリンを統制するのか、いずれかの選択なんですから、いまこの選択は現実的な選択なんですね。ですから、それをやるかどうかということは、長期的な課題ではなくて、そういう実際の償却税という法律をここへ出してき、あるいは保有税を数倍に上げる、ドイツ並みに上げるという税法をここへ出してくる、こういうふうな具体的な行動。あるいは、厚生省や環境庁公害規制についていまの非常にふざけたやり方をしているものを、実際にまじめにやるというふうなことをここで強制するというふうなことは、きわめて長期的な課題ではなくて、目下の緊急の課題だろうというふうに思うわけです。ですから、これをたな上げにしてこういうもので一応この手当てをしていくということをやりますと、実際にはこう薬ばりになってしまって、問題を解決しないし、全般的な不況になってしまいます。いまの状態でありますと、エネルギー供給できなければもう物をつくれないわけですから、全般化してしまうわけですね。そうしますと、たとえば総需要調整というようなものも使っておりますが、これでもって社会保障や教育や生活基盤投資も全部カットする、石油にあまり関係のないところもみんな押えなければいかぬということになって、全面的な不況に入っちゃうわけです。ですから、それを避けるということがいま当面の目標なんでありますから、まず石油がぶ飲みしているところをとにかく不況にして、そうでないところはむしろ拡大するというふうな政策が必要なんで、いまの総需要調整の考え方を古典的なデフレ政策と見るとしますと、私の考え方はエコロジー的引き締め政策、エコロジカルな引き締め政策といいます。  これは経済政策のいままでの古典的な政策手段の中にあんまり考えられていなかったわけですが、こういう要素を政策手段として積極的に駆使しなければ、現在の工業先進国の危機は救われないところに来ている。そういうふうな政策手段の、経済政策思想といわば転換期にいまあるわけです。いままでは何でも金融政策でとにかくだぶつき資金を締めればいい、財政の伸び率を押えればいい、あるいは設備投資を押えればいい、そういうケインズのマクロ的なモデルに従って政策手段をとってきました。そういうやり方ではいまの問題は処理できないわけです。石油文明の軌道を進んでいるこの経済そのものの構造がおかしくなっているわけですから、その構造にメスを入れるような政策手段を直ちに行使するということがいまの問題の解決策であって、そうすればこういうものは必要でなくなるわけです。だから、長期的な課題という形で祭り上げて、そうしてお互いにたとえば演説なんかでは、使い捨て経済いけなかったとかなんとかというふうにおっしゃってこの問題をそらしてしまうことは非常に危険ではないか。むしろ実際には、そういう償却税みたいなものを議会を通すために一生懸命努力することが、いま必要なんではないかと考えるわけです。  それから第三の問題でありますが、標準価格の問題はいまの考え方の中へ含まれると思いますけれども、いま指令的な価格をコントロールするというのは、平時経済のもとでは、公益料金、それから公共料金、こういうものに対しては公益事業管理という観点で料金を指令的にやることはできます。しかし製造工業の分野について、価格メカニズムを一々こうやれ、こうやれと言ったって、これは需要供給の関係で非常に微妙に動くわけですから、これが最適なところはどこにあるかというごとは非常にむずかしい。共産主義国は全部それをやっているわけです。それをやることによって動脈硬化を起こしてかえって失敗しているわけでありまして、そういうむずかしい手段をいきなり手をつけようとしないで、やり得るやさしい手段で、しかも効果のある公害規制みたいなものを使いなさい、こういうふうに私は言っているわけであります。むずかしいところへ、迷路に入り込んで泥沼へ引きずり込まれちゃうわけです、そこへいきますと。非常にむずかしくなります。それよりも、とにかく石油についてがぶ飲みが終われは潤沢に供給されますから、むしろ一般的な灯油やプロパンなんかは供給超過基調にしておけばいいわけです。供給超過基調にすることができれば、何も価格をいじることはないわけでありますから、そういうふうな需要のコントロール政策というものを持ち込むのが一番現実的であると思います。その現実的な手段をたな上げしていまの小手先を弄しますと、これはおそらく失敗するだろう。経済というのはそういうものなんじゃないかと思います。いまおっしゃるようなやり方がジャスティファイできるのは、戦後の過小生産危機のような時期にジャスティファイできるのであって、現在のような時期にはまだまだジャスティファイできる条件がないというふうに見たほうがいいのじゃないかと思いますけれども。
  16. 板川正吾

    ○板川委員 たいへんありがとうございました。ただどうも私ども、総論も賛成で各論も賛成にいきたいんですが、しかし、いまわれわれは、こういう法律がまないたの上にすでに乗っかっておるんですね。どう料理しなくちゃならないかということなんです。先生の各論のいろいろな政策というのは、これから次に池からつり上げてきて料理はしていきたいと思うのですけれども、いま当面この問題が法律の審議の爼上にあがっているものですから、そういう意味で当面の考え方としてという気持ちで伺ったわけであります。時間がございませんから失礼させていただきます。  春野消団連代表幹事にお伺いをいたしたいと思います。  時限法にすべきだ、こういう御意見でありまして、実は私どもも、こういった法律をどうしてもやるならば時限法にすべきだ、こういうふうに考えておるわけであります。特に独禁法についてたいへん御心配をされておるわけです。今度の例の公取と通産省、公取と経企庁の覚書等によりましても、これは公取が名をとって実質的には産業官庁が実をとった、カルテルを容認されたものというふうに理解している、こういう点が実はこの法案運用上重要な問題になっておりまして、私どもも独禁法の基本というものをこの審議の過程で明らかにしながら貫いていきたい、こう思っております。これについては御意見は要りません。時間の関係もございますから失礼いたします。あと五、六分ですから。  次に水野参考人にお伺いをいたします。  電力は非常に便利なエネルギーであります。しかしある意味ではたいへんぜいたくなエネルギーだと思うのであります。熱効率が非常に低い。石油一〇〇に対してこの発電効率が四〇%だ。四〇%しか熱が使えない。しかもそれが輸送の段階で五%ばかり落ちるということになりますから、約三分の一ちょいしか熱効率がないということ。それだけ便利なエネルギーであります。で、私は、業界としてこの熱効率を引き上げるような努力、これをどういうふうにされておるかということを伺いたいと思います。  それから、これからエネルギー石油もたいへん窮屈になってまいりますが、石炭政策に対する希望といいますか、石炭政策に対する御意見がありましたならばこの際承りたいということと、それから地熱発電あるいは揚水発電、こういう多角的なエネルギーの開発というのが必要であろうと私は思いますが、電気事業連合としてこういうものに対してどのような取り組みをしておるか伺っておきたいと思います。
  17. 水野久男

    水野参考人 お答え申し上げます。  第一の点は器具の効率のよいものをつくれというお話でございますね。私ども効率という点はもともと非常に考えておりまして、これはメーカーさんその他とも打ち合わせいたしまして、非常に効率のいいものをつくっていただく。それから最近は、こういう例をあげてみますと、あまり効率効率といって電熱器を推奨されるということはなるべく差し控えていただくようにお願いしております。まあ技術開発部というのもございますし、いろいろ効率のいいものその他を各界あげて協力して開発していきたいというのが私どもの姿勢でございます。  それから石炭政策に対する御希望でございますが、石炭は実はただいまのところ公害の関係であまり使用いたしておりません。だんだん少なくなってまいります。現に東京電力におきましては石炭はただいまのところ一かけらもございません。北海道電力さんは石炭はお使いになっておりますが、それで、石炭を燃料とする火力発電所というものを、今回のこういう石油問題にかんがみまして、いろいろ調査いたしましたところ、なお百万トン程度は九電力において消化できるような数字が出ております。ただし、これもいろいろ問題がございまして、石炭を運搬いたしますとかいろいろ施設が要りますが、そういう設備を取りつけましたり、あるいは公害の問題で石炭にかわるほかの燃料を使いますので、いろいろな施設を取りはずしてしまっておりますので、そういう施設をまた再取りつけとかいろいろな考慮が必要でございます。そういう点で、いまのところ、取り調べましたところ、百万トン程度はまだ石炭政策協力できるのではないかという見込みが立っております。  それから地熱発電、揚水発電でございますが、地熱発電は、いまのところ、調査いたしまして三百万から五百万キロワットぐらいの地点は見つかっておりますが、何しろこれが国立公園地帯であるとかいろいろな地帯の中にしかございませんので、公害環境問題とかね合いが非常にございます。それをどういうふうに話し合いを進めていくかということが非常に問題になっております。  それから揚水地点も同様でございますが、これも最近は、非常に環境整備の問題で、あまり山をくずすなとか、がけに手を入れるなとか、いろいろな支障がございますけれども、電気事業といたしましては、いろいろの石油その他にかわっていきます新しい熱源と申しますか、これらは、もうすでにある、いままでやっておりました問題でありますので、そういうものの再検討という点につきまして、各九社、あるいは電発さんを入れまして検討を進めておりまして、決してないがしろにしてはおりませんけれども、いろいろそういう問題のありますことをひとつ御承知おき願いたいと思います。
  18. 板川正吾

    ○板川委員 それじゃもう一問水野さんに伺いますが、先ほど力石先生からもお話がありましたが、電力料金体系ですね。産業用と家庭用との比率が、日本は家庭用一〇〇に対して産業用が四一、イギリスは一〇〇に対して八八で、比較的産業用と家庭用の差がない。アメリカでは六五ぐらいだろうと思いますが、とにかく日本みたいに五〇を割っているような国はないのですね。これは、イギリスみたいに電力が少なくなってきますと、産業用と家庭用というのがそう料金が違わなくなってきておるようです。もちろん全体としては日本は若干高いのでありますが、それはそれといたしまして、電力料金のあり方が、いままで電力が十分あるというときに、あるいは生産第一主義という産業政策のときに立てられた料金体系じゃないだろうか。今度のように、もう石油が従来のように豊富に来るということはないし、しかも社会電力に対する要求は強いということになりますと、どうしてもこの電力料金体系というのに根本的にメスを入れなくちゃならないと思うのでありますが、これは電気事業連合会としてどういうふうに御理解をしておられますか。
  19. 水野久男

    水野参考人 電気料金につきましては、あくまでも現在の原価主義が一番公正妥当なものではないか、私どもこう思っております。御承知のとおり電気料金には、どういうふうにしてその根拠をつくっていくか、算定していくかという法律、そういうのもございます。しかも認可料金でございます。そういうときに問題になるかと思いますが、われわれ事業者といたしましては、あくまでも原価主義が一番公正妥当ではなかろうか、こう存じております。
  20. 板川正吾

    ○板川委員 原価方式というのは、国鉄の場合には、たとえばローカル線と東海道線は個別原価方式をとって料金が違うということをやっていないし、同じ原価方式でも、これはそのときの社会的な、政治的な影響を受けた料金計算体系になるはずでありますから、こういう社会の要請というのもひとつ念頭に置いていただきたいということを要望いたしまして、私の質問、時間となりましたので終わります。ありがとうございました。
  21. 濱野清吾

    濱野委員長 中村重光君。
  22. 中村重光

    ○中村(重)委員 力石先生にお尋ねをいたしたいのですが、先ほどの御意見は、日本産業政策はどうあるべきかという点から、まことに傾聴に値する御意見であると拝聴したわけです。ですが、現在石油に依存をしているというこの現実は否定をすることはできない。してみますと、急激な混乱を避けていくという点から、私どもといたしましては、いま政府が提案をいたしております法律案を修正いたしまして、これを成立させなければいけないのではないかという考え方の上に立っているわけであります。  その点からいたしまして、この法律案は前段と後段の二つに分かれている。前段は、現在行なっておる行政措置という域を出ない。問題は、法案の第十一条の「割当て又は配給」というこの条文によって運営しなければ効果を発揮することはできないのではないか。ところが、この法案の十一条はほとんど政令にゆだねているという点であります。この点を問題視するわけでありますが、石油需給調整審議会をつくって、この十一条に規定をいたします使用制限であるとか、割り当て及び供給側の計画の変更、あるいは先ほどお話がございました優先順位の問題等々は、これに諮問をするということが適当ではないかと思います。この点に対する御意見をまず一点お伺いいたしたい。  それから次は石油公団法の問題でございます。いわゆる産油国に対しましても、日本石油を掘ってただ持ってくる、その石油ほしさの経済協力という形に反発がありますことも事実であります。石油公団がありますが、この公団は、御承知のとおり、現在、融資のあっせんをする、あるいは保証業務というのに限られている。これだけではなくて、公団自体が鉱区の取得をやる、あるいは開発輸入、備蓄、これらの業務を行なうことが適当ではないかというように考えます。この点に対して先生のお考え方はいかがであろうか。  それからなお、この法律案を見てみますと、政府の責任が明確でないということであります。政府の責務ということを規定をいたしまして、その中身に対しましては私どもの考え方もありますけれども、時間の関係もありますから省略をさせていただきますが、お目通しをいただいていることだと思いますので、これらの三点に対しまして先生のお考え方はいかがであるか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  23. 力石定一

    力石参考人 私、石油というのをいわば電力と同じような形で公益事業体というものにしていくということが将来的な展望ではないかと思います。公益事業体にしてしまえば、石油価格については公益事業料金と同じような考え方に基づいてどんどんコントロールできるわけです。ところが、それを一ぺんにやれないということは、いまメジャーの石油系の会社がたくさんございまして、これを一つにまとめて公益事業体にするということは非常にむずかしい。国際的にも非常に圧力がかかってむずかしいだろうと思います。力関係からむずかしいと思います。したがってそのもう一つ以前の段階における公益事業体の形成というのが一つ政策手段ではないか。それは、いまおっしゃる石油開発公団、これの役割りをもっともっと大きくして、大体開発から配給まで全面的にこれをコントロールするという形、つまり石油開発公団に民族系の石油会社を一本にして統合してしまう、これが一つ政策手段になろうかと思います。イタリアのENIという会社があります。これは石油価格から何からみんなやっておりますけれども、国策会社でございます。ドイツはデミネックスというのを持っております。フランスはフランス石油を持っています。これがメジャーに対抗する対抗力として、国策会社としてコントロールできる武器であります。この武器を日本政府が持ってないということ、つまり、民族系がちょろちょろして抜けがらの開発はやっておりますけれども、全体の統合した力を持って、リスクを克服して産地直結のルートをつくり、そして自主開発、輸入のルートをつくり上げることができなかった。これがいままでの石油政策の根本的な間違いであったと思います。  メジャーに対抗するために、民族系の会社をいわば国策会社として統合する。共同石油みたいな形で小さく私的会社で統合するのではなくて、もう開発公団に全部民族系は一緒にしてしまう、出光さんも全部一緒になってもらう、そして配給ルートもそういう国策会社を通じて大きなルートを持つ、こういうふうにやりますと、メジャー系の会社に対する大きな対抗力を持ちますし、それから配給の価格の形成につきましても、その会社については国策会社でありますから、政府の方針に基づいて、優先順位に基づいて石油を流し込む、配給することも可能になるでしょうし、それから統合された資本力を用いて、政府のバックアップのもとに石油開発国との協力関係、たとえば、向こうの現地の人たちが日本の、先進工業国の内部にその配給会社まで持ちたいというふうな要求があれば、それについても、合弁会社その他を通じてやってもけっこうだというふうな考え方もできるでしょうし、メジャーがやれないような大幅な行動をとれるような国策会社をつくり上げること、これが必要ではないか。つまり、あとの結果をこちょこちょやるのではなくて、その政策主体というものを大きくつくり上げて、これのある程度の自由裁量のもとで国家的な目標が実現できるようにする。これをプレイヤーとしての国家といいます。プレイヤーとしての国家というのは、そういう競争的な公企業をつくり出すことによって、これが動くことを通じて政府及び国家の目標がある程度実現してくる。メジャーが非常に高い価格をつけるのに、こちらは非常にいい価格をつけておる、やはりこちらのほうがいいでというふうなことがはっきりわかるような競争的公企業をつくり出す。これが過渡期的な手段としてあり得ると思います。  これをやりますと、企業体に弾力的にそれをまかせるわけでありまして、その総裁は、いまおっしゃいますような石油審議会から総裁を出すというように、国民の中立的な代表者が総裁になってもよろしいと思います。そういうふうなことを要求されれば私は具体的になると思いますけれども、いまのこちょこちょしたやつをあとで価格をコントロールすることはとてもできないと思います。ですから、やるとすればそういうふうなソーシャリゼーションをやったほうがいいというふうに思います。これが一つです。  それからもう一つは、石油開発国との協調の問題でございますが、石油に加工を加え、石油化学工業その他のプラントをわれわれが輸出する、そして南の国々との協力関係を強化する、これは私も当然だろうと思いますけれども、しかし、そればかりに傾くということは非常に問題があると思います。  現在の通産省の知識集約型産業への移行というスローガンは、非常に問題があると思います。といいますのは、それは具体的には素材部門、コンビナートを南の国に全部追い出すということです。といいますと、コンビナートというのは非常に公害集約型でございまして、この公害集約型鉄鋼石油部門をどんどん南の国に出しますと、そこでたれ流しを猛烈にやるわけです。南北問題が非常に激化いたします。そこで私、先ほど言いましたように、洗剤よりも粉石けんを、合成繊維よりも天然繊維を、それから合成ゴムよりも天然ゴムをと、そういう天然の製品を加工するプラントを南の国に技術援助をする。そういうものはわりあいとクリーンでございます。こちらのほうは伝統的なものでございますから、合成過程における公害は出ません。むしろ、太陽エネルギーと炭酸ガスを吸収して酸素を供給しながらつくるわけでありますから、そういう光合成物質のプラントを石油開発国以外の国々にずっと援助していく。つまりそれは石油への依存度を太陽エネルギーへの依存度にいますぐ変えられるということです。  そういう意味で、石油開発国に対しては合成化学工業その他の援助をするのもけっこうでございましょうけれども、その他の国、インドネシアとかマレーシアとかフィリピンだとか、そういう国々に対して、そういう伝統的な在来品に高度に加工するプラントを輸出して、その加工品をわれわれが買っていく。そのプラント工場の技術をわれわれが輸出する、その加工品をわれわれが買う、こういう貿易関係になるべきではないか。そうしますと、そういう天然物質というのは循環性物質でございますから、枯渇する可能性がない。むちゃくちゃに使い捨てさえしなければ、栽培していけばふえてくるわけでありますから、栽培の量のワク内で使っていく限り無限に供給できるわけです。そういうふうなものに基礎を置くことができるし、公害輸出だという南北問題の激化につながらないということ。  それからまた、南の国々がそういう天然物質をどんどん日本に輸出できるようになりまして、合成物質のかわりにそういうのをわれわれが使うようになると、われわれの国内における公害が除去できるだけではなくて、南の国における人口爆発がおさまってまいります。というのは、輸出所得がふえてまいりますから、これによりまして所得水準が非常に上がります。国際収支の天井が上がりますから、経済成長率がいま四、五%ですが、これが七、八%ぐらいに上がるでありましょう。そうしますと、所得水準がいま百ドルぐらいを低迷しておりますが、これが三百ドル、五百ドルぐらいまで上がりますと人口爆発がおさまる。といいますのは、現在のように経済成長を押えておりますと成長率が低い。所得が上がらないと、これは貧乏人の子たくさんの法則というのが働きまして、大体自分のおやじの労働で食えないから、やたら子供を生むわけです。それから、ほかに楽しみがないということがあってやたら生むとか、それから所得水準が低いと老後保障ができません。そうすると、やはり子供がたよりでありますから、たくさん生んでおけばいいのが当たるだろうというわけでやたら生むというふうな形で、貧乏人の子たくさん法則が働いているわけです。その法則から突破できるのは、大体三百ドルから五百ドルへ上がると突破できる。そうすると人口増加率は、キプロス、台湾、シンガポール、香港、イスラエル、この国々は三百ドルから五百ドル水準へ来て人口爆発が半減しております。大体一%から〇・五%にずっと近づいている、こういう形になるわけです。そこまでいきますと、食糧の需給の安定につながっていきます。いまのような爆発では、食糧の絶対量は一%ぐらいしかふえませんから、人口爆発に食糧が全然追いつかないから、飢餓がどっとくる。飢餓が進んできますと、アメリカ、カナダの過剰農産物で援助するだけで精一ぱいです。こういう形になるわけであります。  したがいまして、われわれが合成物質深追いを押えることは、南の国の天然物質の加工製品の輸出を強化し、そして人口爆発を押え食糧の安定につながっているわけでありまして、われわれの合成物質深追いを押えることは、風が吹けばおけ屋がもうけるような関係で、世界の食糧危機に対処し、その面からもインフレ抑制効果があるわけです。だからわれわれは、日常生活において合成物質深追いを押えるということを通じて世界の食糧に寄与する。またそれは南北問題に対処することになり、南の石油開発国以外の国に大きなプラスを与えることになるだろう。こういうふうな展望を、これはおそらく国連環境会議第二回会議の課題だろうと思いますけれども、そういう問題を含めて現在のわれわれの産業政策をとらなければいかぬ。つまり知識集約化でコンビナートを外へ出せばいいというふうな国際分業ではなくて、エコロジカルな国際分業に変わらないといけないのではないかという感じがしておりまして、南への援助というものを石油開発国に限定しない、そういう形に拡大して考えるべきではないかというふうに思います。  いま全部答えたでしょうか。あと残っておりませんか。
  24. 中村重光

    ○中村(重)委員 割り当てまたは配給、これ以外には実効はあがらないだろう。そうなってくると、石油需給調節審議会をつくってこれにはかるということが適当ではないかということに対してのお答えは……。
  25. 力石定一

    力石参考人 ですから、そういう企業体をしっかりつくって、競争的公企業としての、メジャーに対抗できるような産地直結ルートを、大きなパイプをつくり上げて、それが国内のマーケットにも大きな影響力を持てる、そういう機動的な、ファンクショナルな公的企業体というものを持つことを通じてコントロールするという政策手段があれば、その審議会は意味を持つと思います。ですから、そういうふうな形でその審議会が政策を行使される分には、私は反対ではございません。
  26. 中村重光

    ○中村(重)委員 時間の関係がありますから簡潔にお尋ねをいたしまして、またお答えもよろしくお願いいたしたいと思います。  春野参考人にお尋ねをいたします。  この法律案を制定するにあたって、独禁法の問題が実は相当議論になりましたことは御承知のとおりであります。この業界政府の施策に対する協力、これは独禁法違反ではないという考え方の上に実は立っている。ところが、石油業界は諸悪の根源であるということを通産省の高官が言ったということでだいぶ問題になった。きのうも石油業界の関係の方々に実は参考人に来ていただきましていろいろと御意見を伺ったわけで、その姿勢に私は問題があるというように考えているわけであります。また、そうした業界と通産省の癒着ということが問題視されていることも事実であり、結局これは独禁法違反になる、独禁法を骨抜きにするということになるのではないか。いわゆる批判されている業界と通産省の癒着ということが公然と今後もまかり通っていくということにつながっていくのではなかろうか。協力するということは、これは耳ざわりはいいのですけれども、実際は石油業界のカルテルを認める、こういうことになっていくのではないかと思いますが、そういうむずかしい問題は別として、どうあるべきかという点から、独禁法の外に、業界のそうした政府に対する協力という名目であろうとも、実質的に業界のカルテルを認めるようなことをやってはいけないのではないかと思いますが、その点に対するお考え方はいかがでございましょうか、端的にひとつお伺いをしたい。  それから、時間の関係がありますから水野参考人にお尋ねをいたしますが、電気事業法二十七条の発動を期待をしていらっしゃるかどうか。それからなお、本法の対象の拡大の必要性をお感じになっていらっしゃるかどうかという点について、水野参考人から御意見を伺いたいと思います。
  27. 春野鶴子

    春野参考人 何ぶんにも非常時でございますから、消費者も業界政府も、この乗り切りに対して道義的な行動をし、それから信じ合いたい、これは大前提です。ですから、申し上げた不信感、これはこれを機会に払拭されることを第一に望みます。しかし、法律の上においてでは、道義的であればあるほど堂々とお書きになれると思いますので、外為法に六十五条がございますね、公取の私的独占云々、あのようなものをやはりこの法律にも明記しておく必要がある、そのように思っています。
  28. 水野久男

    水野参考人 二十七条の発効を期待するかどうかというお話でございますが、私どもはこれをなるべく早く発効していただきたいと希望するものでございます。これは御承知のとおり日一日と差し迫った問題でございますので、一日も早い発効を私どもは希望いたしております。  それから、今度審議されます法律の対象の拡大と申しますのは……。
  29. 中村重光

    ○中村(重)委員 電気事業法二十七条の対象の拡大です。
  30. 水野久男

    水野参考人 対象と申しますと………。
  31. 中村重光

    ○中村(重)委員 現在、電気事業法の二十七条には項目があるわけです。これは無制限でないわけですね。ですから、もっと対象の範囲を広げていく。そして二十七条の対象としてこれを……。
  32. 水野久男

    水野参考人 適用の範囲をですか。
  33. 中村重光

    ○中村(重)委員 そうです。使用を制限していくという必要をお認めになるかどうか。
  34. 水野久男

    水野参考人 ただいまのところはそういうことは考えておりません。ただ内容を、ただいまのところ、三千キロワット以上というのを五百キロワット以上にしていただきたいとか、あるいは週休二日制をあるいは三日にしていただくとか、週休もなるべく土曜、日曜をはずしていただきたいという希望は持っておりますが、これはお役所との今後の折衝にまかせたいと思っております。
  35. 濱野清吾

    濱野委員長 木下元二君。
  36. 木下元二

    ○木下委員 まず鳥居参考人に伺いたいと思います。     〔委員長退席、田中(六)委員長代理着席〕  先ほどエチレンの生産見通しの悪化について述べられましたが、石油化学工業全体の問題といたしまして、ナフサ供給量が減っておると思いますが、これが現状一体どのようになっておるのか、どの程度削減をされておるのかということをまず第一点として伺いたいと思います。  第二点としまして、ナフサの値上げ、これはことしになりまして春秋二回値上げがされておりますが、さらにこの十二月から大幅な値上がりになっておるということを聞いております。このナフサの値上げに対しましてどのように対処をしておられるかということを伺いたいと思います。  第三点としまして、エチレンあるいは塩ビをはじめとする石油化学製品の原価に占める原料であるナフサあるいはまた燃料費は、どの程度の割合になっておるのかということを伺いたいと思います。  第四点としまして、塩ビなど石油化学製品の便乗値上げはないということが断言できるかどうか伺いたいと思います。
  37. 鳥居保治

    鳥居参考人 一番最初は、生産予定をしておったナフサがどのぐらい切られておるかという御質問だと思いますが、先ほど私が申し上げましたように、今年に入りましてから非常に物が足らぬという声が強くなってまいりましたので、業界といたしましては、その声を反映いたしまして八月に生産見通しをしたわけでございます。それで、四百三十六万トンのエチレンをつくろう、こういうことをきめたわけでございます。十一月までの実績ではそれが二百七十二万トンあった。したがって計画に対して百六十四万トンばかり未達である、こういうことでございますが、実を申し上げますと、十一月までは原料のナフサ削減はなかったわけでございます。そこで十二月から、電力、それからナフサ並びに燃料の重油を一〇%カットしなさい、それ以上買い入れてはいけませんよ、こういう行政指導を受けましたので、われわれはそれで計画したのでございますけれども、そういたしますと大体三十七、八万トン、四十万トンくらいつくらなければいかぬのでございますが、三十七、八万トンのエチレンはできるというふうに思ったのでございますけれども、それは買い入れ限度量を一〇%の指示を受けただけでございまして、実際各社がぶら下がっております精製会社がみな違いますので、そこといろいろ折衝を各社がやった結果、とても一〇%の削減ではいけそうもないということで、私が先ほど申し上げましたように、十二月はエチレンは三十四万トンくらいの生産になりそうだということでございまして、業界が予定しておりましたものよりも一五%くらい生産が減るのじゃないか、こういうことでございます。  それから第二点は何でございましたか。
  38. 木下元二

    ○木下委員 ナフサの値上げに対してどのように対処していくか。
  39. 鳥居保治

    鳥居参考人 ナフサの値上げ問題は、昨年に比べまして本年は、すでに九月までに約七百円の値上げが済んでおりました。ところが、九月終わりから十月の初めにかけまして約千円の値上げが、十、十一、十二と石油会社のほうから各社に申し込みがございまして、それはこういう状況を予期しないで、千円の値上げはやむを得ないだろうということで各社承認したと思います。それから、その後十月終わりになりまして、さらに十二月からまた値上げをしてくれないかという申し入れがあっております。しかし、これに対しましてはいま各社折衝中でございまして、きまったところもございましょうし、まだ交渉中のところもございましょうし、これはぶら下がっております精製会社が違いますので、その辺は各社いまばらばらにやっておるわけでございます。どういうふうにセッツルしたか、まだ私は聞いておりません。
  40. 木下元二

    ○木下委員 そうしますと、いまの問題は、十二月から一キロリットル約四千円値上げの通告があるように私、聞いておりますが、これに対しましては、目下交渉中で大半はきまっていない、こういうことですか。
  41. 鳥居保治

    鳥居参考人 おきめになったところもあるかとは思いますけれども、まだおきめになっていないところ、あるいは交渉中のところ、いろいろあると思います。
  42. 木下元二

    ○木下委員 第三の問題は、エチレン、塩ビ等々の石油化学製品の原価に占めるナフサの割合あるいは燃料費の割合、こういうものを伺いたいと思うのです。
  43. 鳥居保治

    鳥居参考人 いろいろ副原料もございますので……。ただ、いまエチレンの中に占めるナフサの原料費の割合という御質問でございますが、大体これは六五ないし六六%でございます。
  44. 木下元二

    ○木下委員 この石油化学製品の便乗値上げの問題なんですが、これは便乗値上げはないというふうに伺ってよろしいですか。
  45. 鳥居保治

    鳥居参考人 石油化学工業協会はいろいろな会社がございまして、原料から一貫して基礎製品までやっておる会社もございますしあるいはエチレン、プロピレンを受けて次の工程にいっておる会社もございますし、あるいは原料だけを売っておる会社もございまして、ばらばらでございますので、その値上げの問題につきましては、協会としては全然ノータッチでございますので、よくわかりません。
  46. 木下元二

    ○木下委員 そうしますと、原料費の値上げがありまして、それに対して原料が上がったから値上げをするということになるわけですが、原料値上げを口実にどんどん大幅に引き上げをしていくというふうな、そういう事態は起こっているかもわからぬし、また今後も起こるかもわからぬと、こういうことですか。そういうことでは困ると思うのですけれども。
  47. 鳥居保治

    鳥居参考人 いまの御質問でございますけれども、これは協会としてはそういうことをやっておりません。したがいまして、各社各社で、ナフサの値上げをのんだところ、あるいはのまざるを得ないというところは、先ほど申し上げましたように、エチレンの価格の中に占めるナフサの割合というものが六五ないし六六ございますので、そういうことを踏まえまして、十二月からの荷渡しについてはその分を値段を上げさしていただきたいという交渉はしておると思います。
  48. 木下元二

    ○木下委員 そうしますと、原料が上がる、その原料値上げの限度において製品の値上げの交渉などをしておるということで、したがって、私が聞いておりますような便上値上げはしない、そういうふうに伺っていいわけですね。
  49. 鳥居保治

    鳥居参考人 各社各社でやっておりますので、その辺は私は協会として申し上げるわけにいきませんけれども、いま先生のおっしゃったように、ナフサの値の上がった分に対しては製品を上げていただきたいという話し合いを、いま需要業界としておると思います。
  50. 木下元二

    ○木下委員 けっこうです。  それから、鳥居参考人奥村参考人に伺いたいと思いますが、石油化学関係の問題と鉄鋼関係であります。  第一に、設備投資の削減計画は、この石油危機の問題が起こってきましてつくられているのかどうかということ。  第二点としまして、この石油供給削減がどの程度になれば操業ダウンといった措置をとることになるのか、これを伺いたいと思います。
  51. 鳥居保治

    鳥居参考人 設備投資の面は、ただいま非常に地方問題もなかなか困難な状況でございますので、設備投資の問題は、公害防止という点から公害防止設備に限って、いま基準を守るために投資が行なわれておると思いますが、生産設備のほうについては、いまのところ私はないと思います。
  52. 木下元二

    ○木下委員 鉄鋼のほう……。
  53. 奥村虎雄

    奥村参考人 設備投資の削減問題についての鉄鋼業界の関係でございますが、産業構造審議会の資金部会におきまして、昭和四十八年度の設備資金の総額をいま検討しておるところでございますが、鉄鋼関係は四十七年度対四十八年度の伸び率が二・七%でございます。通産所管の全業種の伸びが三割前後だと思いますが、これに対比いたしまして非常に少ない業種の代表になっております。と申しますのは、この一両年鉄鋼関係は新しい高炉の新設を手控えておるということもございまして、全般としてほかの業種と比べまして非常に少ないのでございますが、その中では、公害防止のための設備投資、あるいは設備のリプレースのための投資、あるいは継続工事というのが中心でございまして、それをいま通産省といろいろお話し合いをいたしまして、全体としては極力設備の圧縮をしてほしいという要請もございますので、鉄鋼業界としてもできるだけ協力いたしましょうということで、現在、原局と話し合いをしておるところでございます。金額はまだきまっておりません。
  54. 木下元二

    ○木下委員 第二点目の質問にはお答えがないのですが、石油供給削減がどの程度になれば操業ダウンといった措置をとらねばならないのかということですが……。
  55. 鳥居保治

    鳥居参考人 私が先ほど申し上げましたように、現在われわれが計画しておりましたものに対しまして、一〇%でいけば八五%ぐらいに下がるであろう。と申しますのは、原料だけではございませんので、その原料をまた料理する燃料が必要でございますので、そのバランス上、一〇%削減されますと大体一五%ダウンになります。それで、さらに削減がひどくなってまいりますと、五割操業をやれといった場合に、原料があってもエネルギーがないということで装置が動かない、こういった事態が起こってくると思います。その限度は、私まだ業界として調べておりませんが、三割以上になったらそういうことになるんじゃないか、こういうふうな気がします。
  56. 奥村虎雄

    奥村参考人 鉄鋼業界に関連いたしましては、先ほども私、述べましたけれども、石油電力等の場合には一二%ぐらいの影響が総体としてございますというお話を申し上げました。もしかりにこれが二〇%になったらということでございますが、これは比例でいかないで、むしろこの率は大きくなりまして、二〇%の場合には三割ぐらいの生産減になる可能性がある、こう申し上げたわけでございます。と申しますのは、今度の削減がございましても、たとえば保安関係のほうには電力とか石油はフルに回さなければいかぬというような関係もございますので、削減生産のほうの分を削らざるを得ないということになりますので、そういう比率が出てくるわけでございます。  なお、直接の削減影響のほかに、たとえば原材料の輸入の関係がございまして、いまの鉄鉱石、原料炭を大半外国から専用船でもって入れておるわけでございますが、これの油が十分に参りませんので、この関係で原材料の在庫がいま現に非常に減っております。こういう関係からくる生産減もまた無視できないというのが現状でございます。
  57. 木下元二

    ○木下委員 その石油供給削減によりまして操業ダウンなどが起こりますと、労働者、あるいはまた中小企業が大きな影響を受けるということが予測されるわけであります。労働者や関連中小企業が大きなショックを受けますと、経済的、社会的にも大混乱を巻き起こします。したがいまして、これは最大限度労働者あるいは関連中小企業に対して犠牲を転嫁しない、このことが大事だと思うのですけれども、そのことについつ、鳥居参考人、あるいはまた奥村参考人、いかがでしょうか。その点について、ひとつ最大限そのような労働者、中小企業に対する犠牲の転嫁はしないというお約束をいただきたいと思うのですけれども。
  58. 鳥居保治

    鳥居参考人 いまはそういう世の中ではございませんので、先生のおっしゃいましたように、そういう転嫁はできません。われわれは断然がんばります。
  59. 奥村虎雄

    奥村参考人 鉄鋼業界といたしましても、生産減がある程度ございましても、現在働いておられる労働者の方々には、たとえば建設関係の維持、補修であるとか、あるいは職場の配置転換であるとかいうことによりまして、そういうことの影響のないように対処できると思っております。
  60. 木下元二

    ○木下委員 けっこうでございます。  それからもう一つ鳥居参考人にお願いしたいと思います。  石油化学工業協調懇談会というのがありますが、これは最近いつ開かれて何を協議されたでしょうか。特に伺いたいのは、いま問題になっております法案の作成について、通産省のほうからどのような相談があったのでしょうか、伺います。
  61. 鳥居保治

    鳥居参考人 この法案に関しての相談は全然ございません。協調懇談会と申しますのは、通産省と業界と、それから第三者委員といたしまして学識経験者と、その三グループからなる協調懇談会が開かれておるわけでございます。やることは、エチレン設備の増設問題をやるのでございますけれども、ことしの七月開かれました。そして長期展望に立って、将来五十一年ごろから五十二年ごろにかけてやはりエチレンの増設が必要になろう、それには秩序ある増設をやろうじゃないかということで、過剰設備にならぬようにということをきめましたけれども、それについてまだ具体的に、こういう油の問題も起こってまいりましたので、全然進んでおりません。
  62. 木下元二

    ○木下委員 この懇談会が通産省と業界とのいわば政策決定の場になっておるというふうな話も聞いておりますので伺ったわけですけれども、そういう相談がないと言われるならけっこうでございます。  それから最後に、もう時間がありませんので春野参考人に伺いますが、先ほど石油需給適正化法案につきまして貴重な意見を伺いました。一体この法案で公平にいけるものかどうか、やみが横行しないかどうか、正直者がばかをしないかどうか。もっともな不安だと私も思います。だれでもいつでも自由に安心してガソリンや灯油、石油製品が買えるということは、私は当然なことであり、またこれはぜひとも実現しなければならないと思います。そのために、まず大企業やあるいは不要不急部門への供給を押えるという法律上の根拠が必要ではないかと思うのです。それからまた、それとともに、家庭用であるとか、あるいは教育、医療、あるいは公共交通機関、あるいは中小企業、あるいは言論出版に関する事業など、言うならば国民生活に重大な影響を及ぼす分野でありますが、こうしたところに供給を優先的に確保する、価格も安定させる、これはまさに政府の責務だと思います。これをはっきり条文化すべきだと思いますけれども、参考人意見を最後に伺いたいと思います。
  63. 春野鶴子

    春野参考人 そのくだりが第十条にございますのですよね。この十条のこういう、言うならば一般的表現でだいじょうぶだろうかという心配が先立っているわけなんです。運用でいければいけるだろうが、非常に不安が強ければ、先生がおっしゃるような明文化、それも必要だと思うのですが、そこら辺の感度は国会先生方の御賢明な裁定にまちたいと思うのです。しかし精神としては、何をおいても、しばらくは非常時でございましょうので、これを乗り切るについて、従来あと回しにされつつございました福祉優先、生活第一主義、民生をとにかく欠乏させない。われわれも過分なものは要求はいたしません。その精神でやっていただきたい、その念願を持っております。
  64. 木下元二

    ○木下委員 ありがとうございます。  終わります。
  65. 田中六助

    田中(六)委員長代理 近江巳記夫君。
  66. 近江巳記夫

    ○近江委員 水野参考人にお伺いしたいと思います。  このように石油危機というものが非常に大きな影響を与えてきておるわけでございますが、先ほど新エネルギーの話もあったわけです。いま一番現実の問題として原子力の問題があるわけですが、政府計画では、昭和六十年に六千万キロワット、当初の計画では今年四十八年度は大体三百万キロワットぐらいの予定であったようでありますが、現実には百八十二万キロワット。この六千万キロワットをさらに伸ばして一億キロワットぐらいにしようじゃないかという話もあるように聞いておるわけです。しかし、いまのこういう開発の状況を見ておりまして、安全性を無視して開発ばかりを急いでおる、こういうペースでやっていっていいかどうかという問題があるわけです。政府としても、今後は安全性に重点を置くということを言っておりますが、皆さん方の電気事業連合会として、この問題について一体どうお考えになっていらっしゃるのか、この点ひとつお伺いしたいと思うのです。時間の関係で簡潔に要点をお願いしたいと思います。
  67. 水野久男

    水野参考人 お答えいたします。  電気事業連合会といたしましては、原子力の問題に鋭意取り組んでおります。現に原子力部という一つの職制をつくっておりまして、各社、それから各界の権威を集めまして、鋭意この原子力問題に取り組んでおりますが、もちろん安全性の問題は最優先として一番大事だと思います。原子力委員会その他の方々とも連絡をとりまして、今後とも、もう将来やはり原子力が優先するであろうと思うことは皆さま方も御異存のないところであろうと思いますので、よく推進していきたいと連合会としては考えております。
  68. 近江巳記夫

    ○近江委員 いまのようなやり方であれば異存があるから申し上げているわけです。ですから全然取っ組んでないとは言っておらないわけです。皆さま方も体制はとっておられるわけですが、いままでのような姿勢であればこれはストップをかけざるを得ない。幾らエネルギー危機であるといっても、いままでのような姿勢であっては許すことはできない、このことを申し上げておるわけです。ですから、そういう問題に対して本腰を入れて取っ組んでおられるかどうかということをお聞きしておるわけです。
  69. 水野久男

    水野参考人 もちろん本腰を入れて真剣に取り組んでおります。これを御報告申し上げます。
  70. 近江巳記夫

    ○近江委員 きょうはどういうように取っ組んでおられるかという具体論まで持っておられないと思いますので、これでその点は終わりますが、いずれにしてもその点につきましては力を入れていただかなければなかなか進まないということははっきり言えることであります。  それから鉄鋼奥村さんにお伺いしたいと思いますが、先ほどそうした削減に伴う生産減少についてお聞きしたわけでありますけれども、この鉄鋼の問題につきましては、基礎資材として発展途上国等に対しても輸出もされておられるわけです。そうしますと、これは日本だけの問題ではない、他の国にも大きな影響を及ぼしていくわけです。そういう点におきまして、この輸出につきましてはどういうお考えでおられるわけですか。
  71. 奥村虎雄

    奥村参考人 鉄鋼関係では、現在のところ、大体粗鋼ベースで三千万トンぐらいの輸出をいたしております。現在生産全体で一億一千万トンぐらいになっていると思いますが、この中で三千万トンが輸出に向けられている。かなり大きなシェアでございます。ただ、輸出の内容を見てみますと、従来はアメリカに向けたのが多かったのでございますが、最近ではだんだんと中国あるいは東南アジア関係が非常にウェートを高めてきておるということでございます。なお、東南アジア等につきましては、経済協力の一環としての輸出、向こうの建設に必要な鋼材を輸出するという関連が非常に多いわけでございますので、できるだけ日本としては先方の需要に間に合うようにという姿勢で臨んできております。大体輸出の九割ぐらいがそういう従来からのひもつきになっておりますので、スポットの輸出というのは非常に少ない。したがいまして、これを切ろうと思いましてもなかなか切り得ないという実情もございますが、ただ、これから全体の生産が二割とか三割とか生産減というような事態を迎えました場合には、国内はもちろんでございますけれども、輸出につきましても、その中の何とか間に合うものは少しずつ遠慮してもらうという事態も起こりかねないと思います。現在までのところ、極力継続的な輸出ということに心がけております。従来、ややもすれば国内の需要が減退したときに輸出ドライブをかけるということも昔はあったのでございますが、現在ではそのような考え方は全然とっておりません。
  72. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから鳥居参考人にお伺いしたいと思いますが、ナフサのそうしたカットということで非常に大きな影響も出てきておりますし、加工という問題からも業界全体に非常に大きな影響が出ておるわけであります。そこで、やはり量の問題と価格の問題があるわけですが、先ほども他の委員からそういう質疑があったわけでございますけれども、現実にこういう便乗値上げということはやはり行なわれておるわけですね。そういう値上げの状態を見ましても、もう倍、三倍に上がっておるようなものが幾らでもあるわけです。そういう価格という問題がある。これは今日、石油製品がわれわれの消費生活になくてはならぬあらゆる点にまで食い込んでおるわけですが、そういう点で非常に製品にそれがまた転嫁されていく。これは異常な物価高を押し上げることになるわけであります。こういう点におきまして、業界としてあまりその辺の事情についてはわからないというが、社会的な責任という立場において、そういう安易な、わからないというような立場だけでいいかという問題があるわけです。そういう点につきまして、社会的な責任についてはどのようにお考えでございますか。
  73. 鳥居保治

    鳥居参考人 私は便乗値上げなんかやっておらないと思います。社会的責任という点では、安易に値上げをどんどんお願いするというのではなくて、企業も努力してそれをしょっていくという態度でやるべきだと私は考えております。
  74. 近江巳記夫

    ○近江委員 そういうようにお考えであれば、もちろんその企業において、生産性とか、合理化の問題であるとか、いろいろそれは中身は違うと思うのですね。ですから、そういう若干の理由は考えるとしても、それでは、社会的な責任という第一義的な問題におきまして、業界において、そうした安易に価格に転嫁しないということについて真剣な御討議をされておるわけですか。それはあなたの個人的な見解ですか。
  75. 鳥居保治

    鳥居参考人 石油化学工業協会というのは、先ほども申し上げましたように、五十何種類の品目が通産統計にございますので、協会としては、そのわれわれが出しました素原料について先の先まで関与しておりません。したがいまして、われわれとして協会でやっておりますものは、エチレン、いわゆるナフサ分解を主体にしました基礎原料についてどういうふうにしていこうかということをやっておりまして、その先の先の誘導品は関係しておる各社でおやりになっておりますので、それで私は、その辺はわからないと、こういうことを申し上げたのでございますが、いまのような社会的責任問題で、安易に企業努力もしないでどんどん合成樹脂なら合成樹脂の原料におっかぶせていくことは慎もうということは、いつも毎月開かれておりますエチレンセンターの社長会の席上でもそういうことは論議して、慎むように、企業もしょっていこうというようなことでやっております。
  76. 近江巳記夫

    ○近江委員 特に最近は、そういう材料不足ということが中小企業、雰細企業等におきましても非常に問題になってきておるわけですが、現実には、大きいところには材料が回るけれども中小、零細には回ってこない、そういうことで倒産の状態になっておるところもたくさん出てきておるわけですね。ですから、工業協会として当然タッチできる範囲ということはわれわれもわかるわけですけれども、しかし、あくまでもそれは幹から枝になっておる分野であるわけですから、当然全然関連がなく話もできないという立場でもないと私は思うのです。その辺は、会長の立場におられるわけでありますし、枝、根っこに至るまでやはり何らかの関係があるわけですから、そういう便乗値上げ問題につきましては、極力これを社会的な責任のもとにおいて押えていただくように努力していただきたいと思うのです。その点は強く要望しておきます。  それから春野さんにお伺いしたいと思いますが、この間から国会におきましても、インフレと認めるかどうかという問題について、政府は憂慮すべき問題であるとか、また国民協力を求めなければいかぬ、国民協力が非常ににぶいじゃないかというような、そういうニュアンスの答弁もあったわけです。現実に目の前に品物がない。たとえば灯油の問題でも、三百八十円といっても現実にないというような問題、あるいはちり紙や石けんが消えていくという問題からいきますと、非常に心理状態においてもあおられるということもよくわかるわけです。そこにおきまして、政府みずからが姿勢を改める、そうしてほんとうに消費者の立場に立ってやっていくという、そういう姿勢があって初めて消費者の皆さんの協力も求められると思うわけでありますが、この生活防衛のための買い急ぎと今後の消費者運動の進め方について、どういうようにお考えになっておられるでしょうか。
  77. 春野鶴子

    春野参考人 一番の苦慮し苦心している点でございます。物の欠乏そのものを何もかも政府の責任であると、政府を責めておけばそれでいいとは決して思いません。責むべきは責め、また自分たちの消費態度も、田中さんが節約を呼びかけられたからどうこうではなくて、もう節約中の節約をしていて、なおかつ家計はやり切れないという家庭もたくさんあるわけですよね。そういう意味で、政府にどうしてもこれは要望しなければいけないもの、それから自分たち自身が、いままではお金を出せば商品が買える、そして巧みなコマーシャルに乗っかっちゃって過剰消費的なものも相当買い込んだかもしれぬ。まず家庭を見回すところから、不急不要のものを買い控えしよう。それで、いろいろおのがじしくふういたしまして、ここもと自分たちの消費態度の堅実な引き締め確立、それを正しつつ要望することは要望しよう。企業あるいは販売についても、不正ではないだろうか、不当ではないだろうか、そういうことには勇気ある発言をしよう。     〔田中(六)委員長代理退席、委員長着席〕 また情報をばんばん、私書箱にしろ、通産省にしろ、経企庁にしろ、黙っていないでぶつけてその解決に当たらせる。  それから、今度の大騒ぎのときに、消費者がぱっと行列をつくって買い急ぎ、買いだめをした。これについては私どもも、真犯人は一体だれだったろうということで、たくさんの団体が集まりまして、官庁にも業界にも来ていただいてやったんですけれども、結局、真犯人は星の数ほどばらまかれていてめっからない。そういうことも追及しつつ、いま自分たちの姿勢、企業、政府等に要望すること、それから正しい情報とは一体何だろう。今度のは店先で、いまのうち買っときなさい、次にお買いになるときは上がりますよ、どうも品不足で卸が持ってこないんですよというささやきが相当人々を踊らした。また踊ったほうも悪いかもしれませんけれども。いままでのそれにこりて、普通の生活を普通にやっていれば欠乏することないから、その情報に踊るな、もしその情報をキャッチしたら、消費者団体とそれぞれ連絡し合って、そして確かめ、かつ調べ、落ちついた行動をしよう、そういうようなことを寄り寄りくふうを練っているところなんです。  同時に、ついこの間、真犯人追及というのを五団体でやりましたときに、トップに置きましたのは、田中改造内閣は列島改造計画、インフレ政策を根本的に改め、すみやかに国民の立場に立った物価の安定対策をとれ、これが前提に立たないと自分たちはどれもこれも信頼ができなくなりますよというきびしいことを、十数項目をあげておりますのですけれども、それはそのように声明のトップにあげているわけなんです。  ここもと非常にあわただしくおおいかぶさってきたことに、平家の水鳥じゃないけれども、まず私らが浮き足立っちゃいけない、落ちつこう、そのかわり政府も正しい情報を出しなさい。さっき申し上げましたように、さあ追及されると大臣や高級官吏の方は、ありますとおっしゃる。どこかにあります。騒げば出てくる。出てくれば高い。あるとおっしゃっても店頭にないから、みんながよけい不信感におちいり、お店が悪いのかな、卸が悪いのか、政治不信へとうとうもっていかれる。そういうことをもうこれ以上繰り返したくないのです。物が多少不足することは覚悟していますよ。ただ、それを見越して、非常に聡明な悪魔が、代表の悪魔が、この機にかすり取ろう、この機に出しては行列させ値上げする、ちょびっと出してはまた値上げする、そういうことも実に悪質で、それは許せない気持ちでございます。いま苦心しているまつ最中でございます。
  78. 近江巳記夫

    ○近江委員 時間がないから終わります。
  79. 濱野清吾

    濱野委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとう存じます。厚くお礼を申し上げます。  この際、十分間休憩いたします。     午後一時十二分休憩      ————◇—————     午後一時二十五分開議
  80. 濱野清吾

    濱野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出石油需給適正化法案を議題といたします。  午後からの参考人として、全国地域婦人団体連絡協議会事務局長田中里子君、大日本水産会会長藤田巖君、東洋大学教授御園生等君、アラビア石油株式会社副社長宮内俊之君、全日本トラック協会専務理武藤儀一君、日本化学繊維協会会長安居喜造君、日本船主協会会長山下三郎君、東京都個人タクシー協会会長若月勇君、以上八名の方々に御出席を願っておりますが、若月参考人は所用のため午後二時過ぎに出席の予定となっております。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  参考人各位には、御多用中のところ本委員会に御出席をいただき、まことにありがとう存じます。  本日は、本法案についてそれぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、今後の審査の参考にいたしたいと存じます。  なお、議事の順序でございますが、初めに御意見をそれぞれ十分以内に取りまとめてお述べいただき、次に委員の質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。  まず、田中参考人にお願いいたします。
  81. 田中里子

    田中参考人 田中でございます。  まず初めに申し上げたいことは、最近の物価というものは、高騰というよりは、むしろ狂うという字の狂騰というのにひとしい時期でございます。そういうときに、この二つの、きょうは石油需給適正化法案でございますが、同じく生活安定法案と並んで二つ法案というものが、非常に国民生活を安定させるというような形で出されてきておりますことに、これだけで安定するわけはおよそございませんし、インフレ対策、総需要の抑制というような大きな問題をないがしろにしては、とうてい私どもの希望する社会は回ってこないわけですから、その点を特に御配慮いただきたいと思います。  それで、きょう御審議の石油需給適正化法案についてでございますが、この法案については、私ども、もうここまで石油というものが、いろいろ世界的な情勢においても不足を来たしている時期に、これは必要やむを得ないものだというふうに考えております。それで、政府案につきまして幾つか問題点を申し上げたいと思います。  第一点としては、やはり政府の責任を明確にしてほしいという点でございます。灯油、LPガスについては、特に家庭用というものを最優先にしてほしい。いろいろ優先の順位はおありでございましょうが、家庭用の確保というものがないと非常な社会不安におちいりますので、ぜひ家庭用の優先を義務づけてほしいと思います。それから輸入生産、在庫、流通についての正確な情報を政府の責任において出すということ、国民に公表することは非常に必要だと思います。  第二点目は価格の問題でございます。政府案については、価格はこの中に入っておりませんで、生活安定法案の中に入っておりますが、ここでぜひ申し上げたいと思います。それは、一つ政府案については標準価格、特定標準価格というような二段がまえになっておりますが、それは私ども、標準価格の問題についてはどうしても業界に依存せざるを得ない状態でありまして、価格カルテルということを導入しやすい要素になっておりますので、こういう設定のしかたではなく、やはり指示価格という形一本でいっていただきたいと思います。  これについては、指示価格というのはもちろん最高価格ですから、上限をきめていくということになると思います。その場合でも元売り価格とやはり卸価格——卸売りの段階は非常に複雑だからきめにくいという意見もありますけれども、やはり卸の段階もきめていく必要がある。それから小売り段階の価格をやはり指示していく。それは、指示価格については原価計算に基づき、きちっとした資料によって作成していくということです。  それでこれを守らせていくということですが、一つ例にとりますと、たとえば灯油の場合は、現状は末端の店頭売り渡し価格として三百八十円という通産省からの価格指示があります。その三百八十円というのは、いまの状態ですと、ともすると三百八十円までは上げてもいいということと、それからもう三百八十円以上になっているケースもずいぶんあります。こういう指示価格をきめますと、どうしてもそこに高く安定しやすいけれども、これは上限価格であるということをはっきり認識させていくということが価格設定の場合には必要だと思います。  たとえばLPGの場合は、昨日の参考人の小売り商の組合の方の御意見によりますと、非常に複雑であって、価格を凍結するということはむずかしいというような御意見を新聞で拝見しましたが、そのLPGの場合には、いま非常に不当な値上げが行なわれているという実態がございます。十一月で十キロボンベが、千円であったものがいま千五百円はあたりまえのようになり、ひどいものになれば千六百円、千八百円というのが東京の周辺にもあらわれてきているという実態から見ますと、LPGの場合に、小売り価格の凍結というのをしないで事が運ぶとはとうてい思えないわけでございます。小売り価格というのは、ただ私が考えますのには、配達料金というのがあのLPGにはつきものでございまして、まして零細な業者が非常に多いときに、配達料金のことについて家庭に届ける価格で凍結ということが行なわれると高値安定になりやすいもので、これは小売りの店頭における価格ということにプラス配達料ということで、この問題は解決できるのではないかというふうに考えます。  それから第三点目ですが、それにしてもその価格の問題について、それからそのほか全部にわたりまして、主務大臣だけのことで事足りるか、政府にまかせていいのか。官僚独走の歯どめということはやはり必要だと思います。これには第三者機関の設置ということでこれの独走の歯どめにしたいと思います。  第三者機関の設置につきましては、もちろんこれは各層にわたりまして出していただくわけですが、構成メンバーについては、国民優先の姿勢が生かされるように特に御配慮いただきたいと思います。すべてにわたり、国民生活優先といいながらなかなか優先が守られないのは、審議会を最高の機関とするようなところであっても、構成メンバーに問題があると意見が非常に出にくいということがあります。米価審議会等を見ましても、消費者の意見の反映しにくい点を御考慮いただきたいと思います。この第三者機関では、使用制限、指示価格の設定とか割り当て、そのほか運用に関する事項について全部審議できるようにしていただきたいと思います。  第四番目には、地方権限の委譲は政府案にも盛られておりますが、これは当然でありまして、中央官庁のいかに人手のなさということは私ども痛感しております。LPGを担当していらっしゃる通産省の係官がたった二人で、しかも私存じ上げているそのお二人のうちの一人が、もうすでに倒れる寸前というようなことでは、問題が解決できないのは火を見るより明らかでございます。  そういうことでぜひ地方に権限委譲が必要だと思います。立ち入り調査権等につきましても これは売り惜しみ買い占め法についても考えられることでございますが、立ち入り調査権等はぜひ地方に委譲が必要ですし、その他の権限においても、地方委譲が適当と認められるものについてはぜひお願いしたい。地方に格差があるという意見は当然ございますが、地方の格差是正については、私どものような団体も住民運動をしております団体も一役買いまして、おくれております地方の突き上げ等は勇ましくやりたいと思っております。  それから第五番目ですが、課徴金、罰則等の規定は非常にゆるいもので、私どもこれは強化すべきだというふうに考えております。  それから六番目ですが、監視体制が必要だということは、これはたいへん重要な問題で、末端の価格がどういうふうになっているか、価格ばかりでなく、購入状況がどうなっているかということは、ぜひ監視する必要があるわけですが、これは役所の方ばかりにはまかせておかれませんので、私たちもその監視員の一人になって大いに監視していきたい。現状で問題になっておりますのは、すでにもう系列店以外には削減の幅がひどいというメーカーからの削減率が、末端の零細小売り店に達しますと五〇%も削減されているというような事実があります。  それから一つ、これは所沢市のあるLPGの業者ですが、刷りものが回ってまいりまして、その中にはちゃんと、監督官庁及び各メーカーより使用及び納入量の二〇ないし三〇%減を要請されつつありますと書いてありますが、通産省はおよそ家庭用のことについて量の削減の問題は出ておりませんときに、こうやって監督官庁からも指示をされているというような文書が、末端のわれわれ消費者のところには回ってくるという実情でございますし、それからここの業者は六〇%の値上げを十二月から言っていまして、千円のものがいま千六百円ということになっております。そういう実情。それから共同購入をしております灯油の場合に、共同購入しておりますところはもう品物は回せないということだとか、新規はお断わり、特にお得意さんでなければ売りませんという、これは続出しております。  現にまた、こういうのも出ておりますが、牛乳屋さんやお米屋さんなどで灯油を扱っているところは、とらないと売りませんという。私けさ電話をかけましたら、ちょうど私の灯油をとっておりますところは牛乳屋さんでしたから、電話口でそこのあるじが、牛乳をとる店にだけ売りたいと思いますと言いますから、そういうことはいけないんじゃありませんかと言いましたら、しかたがないからそれじゃ持っていこうということで、そういうクチコミの作戦はもう方々にとられております。抱き合わせ販売ということですから、それを監視するのは民間のわれわれでなければ監視ができないのではないか。それで通報をして、その体制をよくしていくということが必要だと思います。  七番目には、例の覚書のことですが、公正取引委員会と通産省の間に覚書がかわされている。私たちの消費者運動というのは、価格協定とかそういうものに対して、非常にそれはわれわれにとって高値安定につながるということで、再販をはじめ運動をずっと続けておりましたのに、全くその運動と逆行するような形がしばしばとられつつあるわけです。覚書等について高橋委員長は絶対にカルテルではないということを言っていられますが、業界協力措置を要望するということについては、これは業界同士の話し合いというものがどうしても出てこざるを得ない。これは、いつまでもこれがまた尾を引くことになりますし、特に石油業界はメーカーといい卸といい小売りといい、たいへん価格協定がお好きなところで、昔からこの価格協定問題では問題が問題を呼んで、公取も、もう私どもが告発しましても手入れができないようなお粗末な公取の内容とあわせまして、これを退化させるような覚書には絶対反対をいたしたいと思います。撤回していただきたいということでございます。むしろ私は、外国為替管理法の六十五条に、「公正取引委員会の権限」としてはっきりこれには公正取引委員会の権限をうたった条項がありますが、これをむしろ導入して、法文の中に加えられることが適当だと思っているわけで、いまのこういうときこそ独禁法の評価ということが何よりも大切なときに、それを逆に退かせるようなことがあっては絶対にならないと思いますし、悔いを千載に残すことだと思います。  それから最後でございますが、第八番目にこの法律は時限立法にしていただきたいと思います。諸外国の例等も聞き及びますと、時限立法ということを聞いております。非常に緊急を要するときに、これはある意味で悪くいえば非常にどろなわ式のやり方でつくられている法律でございます。生活安定法案ともども非常に問題が大きいと思います。ですから時限立法にしまして、これをその期間でよくわれわれもその運用等について監視し、問題があるときにこれをやめるなり手直しする必要は当然起きてくると思いますし、非常にこれがよく運用されて的確ならば延期をすればいいと思いますので、ぜひ恒久立法でなく時限立法にしていただきたいと思います。  以上でございますが、実は先ほどの価格の点ですが、四党修正案を拝見しますと、指定価格として織り込むようになっております。政府案は織り込んでおりませんが、石油のところに織り込むようになっております。これは当然私は織り込まれてもいいと思うのですが、一つ懸念いたしますことは、通産大臣が主務大臣でございますので、価格の問題等についてはワンクッション置いた経済企画庁が担当されるということが一つ方法かとも思いますし、その点はもしこれに織り込まれる場合にあっても、その点の配慮ということが、まあある意味では第三者機関がそれに当たればということですが、やはり経済企画庁等にその中の権限をひとつお考えいただくほうがより私どもの意向に沿うかと思いますので、この点はまだはっきり私も勉強しておりませんので、先生方でひとつよく御討議いただきまして、よりよい法案にされまして通過されますようにお願いいたしたいと思います。  失礼しました。(拍手)
  82. 濱野清吾

    濱野委員長 次に、安居参考人にお願いいたします。
  83. 安居喜造

    ○安居参考人 私、日本化学繊維協会会長の安居でございます。本日この問題につきまして参考人としての意見を開陳する機会をお与えいただきましたことを、まずもってお礼を申し上げる次第でございます。  まず第一に、このたびの石油緊急対策におきまして、当化合繊業界は、電力、重油等の燃料面と石油製品あるいはバルブを主体とした原料面と両方から大きな影響を受けるわけでございます。  まず燃料面につきましては、十二月から当業界石油については一〇%、電力につきましては季節変動要因もございますので一四・五%の使用制限を指示されておるのでございますが、業界といたしましてもこれに全面的に協力をいたしておるのでございます。  ところが実際問題といたしまして、石油についてはそれじゃ残りの九〇%が確保されるかということでございますが、これは別に政府で保証されておるわけではございませんので、現在われわれの業界が十二月分の重油の購入可能量を合計いたしますと、大体平均八四%程度でございます。現実に使用可能量に対しまして一六%の購入減になるわけでございます。現在われわれは石油各社と個別に購入の交渉をしておりますので、ある会社によりましては二〇%あるいは三〇%のカットを要求されておるところもあるわけでございます。  皆さん御承知のとおり、われわれの合繊の工場と申しますと、一定の化学反応を継続的にする必要がございますので、従来から買電が三五%で自家発電が六五%と、きわめて自家発電の比率が高いのでございますが、このために重油の購入難というものはそのまま生産活動に大きな支障を与えるのでございます。  こういう現状でございますので、現在化合繊の生産計画というものはまことに不安定でございますが、一応業界で試算をいたしますと、大体電力石油が一〇%削減されますと一五%の生産減になるわけでございます。二〇%削減されますと三〇%の生産減になる、こういうことに相なるわけでございます。  十二月につきましてはいろいろとくふうをいたしまして、何とか供給面で大きな支障を起こさないように努力をいたしておるのでございますが、明年の一月以降については全く予測が困難であるというのが実態でございます。一部の報道によりますと、石油電力使用削減率は明年の一−三月ではあるいは最低一五%あるいは二〇%以上になるというようなことが伝えられておりますが、もしそのようになりますと、ただいま申し上げましたように一〇%の削減で一五%の生産減ということになりますので、三〇%の削減になりますと四五%の大きな生産減になるということになるわけでございます。  ことに化合繊につきましては、燃料問題のみならず、原料がほとんど石油製品でございますので、この原料の石油製品が、それに応じた供給がされるかどうかということも非常に大きな問題なのでございます。このようなことを考えますと、明年に年が明けますと、どうしてもわれわれの生産は三〇%あるいは四〇%の減産が予想されるのでございます。  申すまでもございませんが、化合繊は衣料の原料といたしまして生活関連物資の最たるものでございます。さらに、われわれはファイバーメーカーでございまして、原糸と原綿を生産しておるのでございますが、これを加工して製品化する工程は非常に長い。たとえば紡績であるとか撚糸であるとか織布あるいはニット、編みものでございますが、染色、縫製等関連企業というものはずいぶん長い流れを通って初めて製品になるわけでございますが、これらの関連企業のほとんどが中小の企業でございます。したがって、化合繊つまりわれわれのファイバーメーカーの生産が三割減りますと、これらの中小企業の三割の減産になるということになりまして、これは非常に大きな社会問題に発展するおそれがあるのでございます。このような中小企業の減産をできるだけ防ぐためになるべく輸出をカットしたらどうかという問題もございますが、これは後に述べますように、大きな国際問題に発展する可能性がございますので、要は化合繊の生産を最大限にどうして維持していくかというのが、われわれのいま最も苦しんでおるところでございます。そのために、日本石油製品供給にあたりましては、本法律でいろいろ規定がございますが、化合繊というものが国民生活の必需物資であるということ、さらにまた、そのユーザーというものが中小の零細企業が非常に多いということにかんがみまして、もしこの法律によりまして、将来石油製品あるいは電力等を傾斜的に配給するというようなお考えがあるようでございましたら、化合繊産業には高い優先順位が与えられるように強く要望いたしたいのでございます。  現在日本の化合繊は、繊維の消費のうちで大供五〇%を占めております。もしこれが三〇%にのぼるような減産を余儀なくされますと、国民生活に非常に大きな支障を来たします。さらに消費者には非常な不安感を与える懸念があるのでございます。できるだけ内需を優先いたしまして輸出を押えたいというようなこともわれわれは考えるのカルテルではないということを言っていられますが、業界協力措置を要望するということについては、これは業界同士の話し合いというものがどうしても出てこざるを得ない。これは、いつまでもこれがまた尾を引くことになりますし、特に石油業界はメーカーといい卸といい小売りといい、たいへん価格協定がお好きなところで、昔からこの価格協定問題では問題が問題を呼んで、公取も、もう私どもが告発しましても手入れができないようなお粗末な公取の内容とあわせまして、これを退化させるような覚書には絶対反対をいたしたいと思います。撤回していただきたいということでございます。むしろ私は、外国為替管理法の六十五条に、「公正取引委員会の権限」としてはっきりこれには公正取引委員会の権限をうたった条項がありますが、これをむしろ導入して、法文の中に加えられることが適当だと思っているわけで、いまのこういうときこそ独禁法の評価ということが何よりも大切なときに、それを逆に退かせるようなことがあっては絶対にならないと思いますし、悔いを千載に残すことだと思います。  それから最後でございますが、第八番目にこの法律は時限立法にしていただきたいと思います。諸外国の例等も聞き及びますと、時限立法ということを聞いております。非常に緊急を要するときに、これはある意味で悪くいえば非常にどろなわ式のやり方でつくられている法律でございます。生活安定法案ともども非常に問題が大きいと思います。ですから時限立法にしまして、これをその期間でよくわれわれもその運用等について監視し、問題があるときにこれをやめるなり手直しする必要は当然起きてくると思いますし、非常にこれがよく運用されて的確ならば延期をすればいいと思いますので、ぜひ恒久立法でなく時限立法にしていただきたいと思います。  以上でございますが、実は先ほどの価格の点ですが、四党修正案を拝見しますと、指定価格として織り込むようになっております。政府案は織り込んでおりませんが、石油のところに織り込むようになっております。これは当然私は織り込まれてもいいと思うのですが、一つ懸念いたしますことは、通産大臣が主務大臣でございますので、価格の問題等についてはワンクッション置いた経済企画庁が担当されるということが一つ方法かとも思いますし、その点はもしこれに織り込まれる場合にあっても、その点の配慮ということが、まあある意味では第三者機関がそれに当たればということですが、やはり経済企画庁等にその中の権限をひとつお考えいただくほうがより私どもの意向に沿うかと思いますので、この点はまだはっきり私も勉強しておりませんので、先生方でひとつよく御討議いただきまして、よりよい法案にされまして通過されますようにお願いいたしたいと思います。  失礼しました。(拍手)
  84. 濱野清吾

    濱野委員長 次に、安居参考人にお願いいたします。
  85. 安居喜造

    ○安居参考人 私、日本化学繊維協会会長の安居でございます。本日この問題につきまして参考人としての意見を開陳する機会をお与えいただきましたことを、まずもってお礼を申し上げる次第でございます。  まず第一に、このたびの石油緊急対策におきまして、当化合繊業界は、電力、重油等の燃料面と石油製品あるいはバルブを主体とした原料面と両方から大きな影響を受けるわけでございます。  まず燃料面につきましては、十二月から当業界石油については一〇%、電力につきましては季節変動要因もございますので一四・五%の使用制限を指示されておるのでございますが、業界といたしましてもこれに全面的に協力をいたしておるのでございます。  ところが実際問題といたしまして、石油についてはそれじゃ残りの九〇%が確保されるかということでございますが、これは別に政府で保証されておるわけではございませんので、現在われわれの業界が十二月分の重油の購入可能量を合計いたしますと、大体平均八四%程度でございます。現実に使用可能量に対しまして一六%の購入減になるわけでございます。現在われわれは石油各社と個別に購入の交渉をしておりますので、ある会社によりましては二〇%あるいは三〇%のカットを要求されておるところもあるわけでございます。  皆さん御承知のとおり、われわれの合繊の工場と申しますと、一定の化学反応を継続的にする必要がございますので、従来から買電が三五%で自家発電が六五%と、きわめて自家発電の比率が高いのでございますが、このために重油の購入難というものはそのまま生産活動に大きな支障を与えるのでございます。  こういう現状でございますので、現在化合繊の生産計画というものはまことに不安定でございますが、一応業界で試算をいたしますと、大体電力石油が一〇%削減されますと一五%の生産減になるわけでございます。二〇%削減されますと三〇%の生産減になる、こういうことに相なるわけでございます。  十二月につきましてはいろいろとくふうをいたしまして、何とか供給面で大きな支障を起こさないように努力をいたしておるのでございますが、明年の一月以降については全く予測が困難であるというのが実態でございます。一部の報道によりますと、石油電力使用削減率は明年の一−三月ではあるいは最低一五%あるいは二〇%以上になるというようなことが伝えられておりますが、もしそのようになりますと、ただいま申し上げましたように一〇%の削減で一五%の生産減ということになりますので、三〇%の削減になりますと四五%の大きな生産減になるということになるわけでございます。  ことに化合繊につきましては、燃料問題のみならず、原料がほとんど石油製品でございますので、この原料の石油製品が、それに応じた供給がされるかどうかということも非常に大きな問題なのでございます。このようなことを考えますと、明年に年が明けますと、どうしてもわれわれの生産は三〇%あるいは四〇%の減産が予想されるのでございます。  申すまでもございませんが、化合繊は衣料の原料といたしまして生活関連物資の最たるものでございます。さらに、われわれはファイバーメーカーでございまして、原糸と原綿を生産しておるのでございますが、これを加工して製品化する工程は非常に長い。たとえば紡績であるとか撚糸であるとか織布あるいはニット、編みものでございますが、染色、縫製等関連企業というものはずいぶん長い流れを通って初めて製品になるわけでございますが、これらの関連企業のほとんどが中小の企業でございます。したがって、化合繊つまりわれわれのファイバーメーカーの生産が三割減りますと、これらの中小企業の三割の減産になるということになりまして、これは非常に大きな社会問題に発展するおそれがあるのでございます。このような中小企業の減産をできるだけ防ぐためになるべく輸出をカットしたらどうかという問題もございますが、これは後に述べますように、大きな国際問題に発展する可能性がございますので、要は化合繊の生産を最大限にどうして維持していくかというのが、われわれのいま最も苦しんでおるところでございます。そのために、日本石油製品供給にあたりましては、本法律でいろいろ規定がございますが、化合繊というものが国民生活の必需物資であるということ、さらにまた、そのユーザーというものが中小の零細企業が非常に多いということにかんがみまして、もしこの法律によりまして、将来石油製品あるいは電力等を傾斜的に配給するというようなお考えがあるようでございましたら、化合繊産業には高い優先順位が与えられるように強く要望いたしたいのでございます。  現在日本の化合繊は、繊維の消費のうちで大供五〇%を占めております。もしこれが三〇%にのぼるような減産を余儀なくされますと、国民生活に非常に大きな支障を来たします。さらに消費者には非常な不安感を与える懸念があるのでございます。できるだけ内需を優先いたしまして輸出を押えたいというようなこともわれわれは考えるのかない。帰る油もないということで立ち往生をしております。また、遠洋のトロール漁業におきましては、約九十隻の漁船が、豪州基地を除くその他の北米、中南米、アフリカ、アジアの各基地において、これまた供給不能もしくは非常に配給が困難であるという事態になっております。さらに、ニュージーランド沖を漁場とするイカ釣り漁船の約百六十隻というものは、全く補給のめどがつかないために全船が出漁できない、出漁をやめているというふうな状態でございます。  以上、水産業界に対する現在の石油配給の一例を申し述べたのでございますが、御承知のとおり、この漁業に対する石油の確保というものは、海況、漁況に対応いたしまして必要な時期に必要な場所で必要な量を確保するということができなければ、漁業は成立いたしません。配給が名実ともに現物の裏づけをもって保証せられるためには、この漁業の特殊事情というものを十分御理解いただきまして、さらに一段ときめこまかい施策を特にお願いする次第でございます。  次に、要望の第二点は、水産用石油価格の安定の問題でございます。これも関連して国民生活法案の問題でございましょうが、この機会に申し上げておきたいと思います。  私どもは、漁業生産を確保するための所要量の確保と同時に、漁業経営の立場から考えまして、その購入価格におのずから採算上限度がございます。高くっても幾らでも買えるというものではございません。したがって、漁業者にとって購入可能なものとして価格を安定していただきたい。特に漁業者にとって必要な石油、数量的にも大きいものはA重油でございますが、このA重油について特に御配慮をいただくことを要望いたしたいと思います。  現在漁船が使用いたしますA重油は、全体の消費量の約三〇%を占めております。そして陸上の産業部門においてその他の七〇%を占めておられる。こういうことでございますが、私どもの不安の一つは、石油不足状況がだんだんとひどくなるにつれまして、このA重油の全体の生産量が減少をすることになりますと、各部門間の取り合いがひどくなります。しかもその価格が上がれば上がるだけ、水産用としてこれを取ることが非常にむずかしくなってくる。この七〇%を占める陸上・産業部門のほうが水産業に比べてはるかに牽引力が強く、また魅力がございますので、その方面に流れていく、いわゆる所要量が食われていく、そういうことが起こるんではなかろうかということを、われわれ水産業界は心配をしております。したがいまして、石油価格が現実の取引において採算割れをするような程度にまで高くなりますと、もう漁業経営は成り立っていくことができない。したがって、生産減少を招くことは必至でございます。私がこの際あえて申し上げておきたいと思うことは、万一水産用石油不足生産減少につながる、ひいては大切な食糧不足を招来するというふうなことになりはしないだろうか。食糧問題は、国民の生存の基本条件でございます。万一食糧の不足が生じ、これによって生ずる社会的な混乱というものは、石油不足以上に深刻なものになるであろうということでございます。どうぞこのような事態にならないように、十分な御配慮をお願いいたしたいと存ずるのでございます。  以上申し上げましたのが水産業界の基本的な要望でございますが、これに基づきまして、この要望に沿うようにいろいろ実現をしていくために、本法案に関する省政令の制定及び運用に関しまして、またこれに関連をいたしました国の施策としてぜひ御配慮いただきたいという点を、簡単に具体的に申し上げたいと思います。  第一点は、法律案の第四条に規定しております石油供給目標を定めることに関係いたしまして、水産用石油の所要量の確保、特に水産用石油消費の大宗をなしておるA重油の供給量を供給目標において安定的に確保するようにやっていただきたいこと。またこれに関連して、特にいわゆる得率の問題に関連いたしまして、その維持、向上につきましても格段の御配慮をお願いいたしたいということでございます。  第二点は、法律案の第十条において、農林漁業者等に対する石油の円滑な供給を確保いたしますために、通産大臣が必要と認めるときには石油販売業者の団体に対して石油供給のあっせんの指導を行なうことができる、こういうふうなことを規定いたしておりますが、漁業者をはじめとする水産関係者の供給確保について、これは末端にいき、また沿岸の零細な漁民にいきますればなおさらそういうふうな問題が出てくるわけでございますが、そういう漁民の人たちの供給確保についての苦情が完全かつ円滑に処理されるように供給あっせんの体制を整えていただいて、そうして末端の漁業者にも、現実に保障せられておる現物が行き渡るような施策を考えていただきたいということでございます。  それから最後に、この機会にぜひ国の施策として実施していただきたいことがございます。  まず第一点といたしまして、海外漁業基地における石油確保の問題でございます。先ほど来申し上げましたとおり、わが国の海外基地根拠のカツオ・マグロ漁業、遠洋トロール漁業などは、いまや石油不足の面から重大な危機に直面しております。もし必要とする石油が確保することができなければ、これらの漁業は著しく全面的に後退をしなければならないということになるのでございます。一方、皆さまも御承知のとおり、現在国連では、海洋法会議というものが行なわれておりまして、その中には、沿岸国の領海を越えて領海の外に二百海里にわたる沿岸国の優先的な、あるいは管理権を持っておる経済水域を設定するというような主張が会議の大勢を占むるような状態になってきております。これは日本としては、重要な遠洋漁業を持つ国といたしまして非常に困った問題でございますが、大勢はますます日本にとって不利な立場に追い込まれておるのでございまして、したがいまして今後ともわれわれは、海外漁場の確保の必要性、重要性についてきわめて重要視をしておるのでございます。したがってこの意味から、現在危機にあるこれらの漁業が何とか後退しないで、撤退しないで守っていけるために、早急に外交ルートによりまして現地における石油確保体制を何とか確立していただけないだろうか。さらに、この確保体制、外交ルートの交渉というものは相当時間を要しますが、現実には立ち往生をしておる船がたくさんございます。緊急を要しますので、その間の緊急措置といたしまして洋上補給船を派遣する。内地から油を持っていく、洋上補給船を派遣するに必要な石油をどうか国内で確保できるような措置について特別の御配慮をお願いできないかということを強く要請する次第でございます。  それからなお、第二点は、国の内外において生産されました漁獲物の国内における処理加工、それから水揚げ地から消費地までの輸送に必要な石油、これはやはり生産用の石油と同様にこれを確保していただきたいということでございます。これはくどくど御説明申し上げますまでもございませんが、鮮魚の形で処理されるものは全体の三割でございます。いわゆる処理加工されるものが全体の七割でございまして、そうしてそれを産地から消費地に完全に持ってくるということができなければ、われわれは、この石油によって水産の生産をあげた効果が国民の食生活に役立たないということになるということを非常に憂えるのでございますからして、ぜひともこういう問題についても特段の御配慮をお願いいたしたいと思います。  以上をもちまして私の陳述を終わりますが、どうぞよろしくお願いいたします。
  86. 濱野清吾

    濱野委員長 次に、御園生参考人にお願いいたします。
  87. 御園生等

    ○御園生参考人 御園生でございます。  いままで各業界を代表いたしまして石油事情がきわめて緊急を要し、また重要であるというような御意見が陳述されました。私、伺っておりまして、現在の石油問題がわれわれにとりましてきわめて重要な問題であるという感を一そう深くした次第でございます。そういう点につきまして、中かない。帰る油もないということで立ち往生をしております。また、遠洋のトロール漁業におきましては、約九十隻の漁船が、豪州基地を除くその他の北米、中南米、アフリカ、アジアの各基地において、これまた供給不能もしくは非常に配給が困難であるという事態になっております。さらに、ニュージーランド沖を漁場とするイカ釣り漁船の約百六十隻というものは、全く補給のめどがつかないために全船が出漁できない、出漁をやめているというふうな状態でございます。  以上、水産業界に対する現在の石油配給の一例を申し述べたのでございますが、御承知のとおり、この漁業に対する石油の確保というものは、海況、漁況に対応いたしまして必要な時期に必要な場所で必要な量を確保するということができなければ、漁業は成立いたしません。配給が名実ともに現物の裏づけをもって保証せられるためには、この漁業の特殊事情というものを十分御理解いただきまして、さらに一段ときめこまかい施策を特にお願いする次第でございます。  次に、要望の第二点は、水産用石油価格の安定の問題でございます。これも関連して国民生活法案の問題でございましょうが、この機会に申し上げておきたいと思います。  私どもは、漁業生産を確保するための所要量の確保と同時に、漁業経営の立場から考えまして、その購入価格におのずから採算上限度がございます。高くっても幾らでも買えるというものではございません。したがって、漁業者にとって購入可能なものとして価格を安定していただきたい。特に漁業者にとって必要な石油、数量的にも大きいものはA重油でございますが、このA重油について特に御配慮をいただくことを要望いたしたいと思います。  現在漁船が使用いたしますA重油は、全体の消費量の約三〇%を占めております。そして陸上の産業部門においてその他の七〇%を占めておられる。こういうことでございますが、私どもの不安の一つは、石油不足状況がだんだんとひどくなるにつれまして、このA重油の全体の生産量が減少をすることになりますと、各部門間の取り合いがひどくなります。しかもその価格が上がれば上がるだけ、水産用としてこれを取ることが非常にむずかしくなってくる。この七〇%を占める陸上・産業部門のほうが水産業に比べてはるかに牽引力が強く、また魅力がございますので、その方面に流れていく、いわゆる所要量が食われていく、そういうことが起こるんではなかろうかということを、われわれ水産業界は心配をしております。したがいまして、石油価格が現実の取引において採算割れをするような程度にまで高くなりますと、もう漁業経営は成り立っていくことができない。したがって、生産減少を招くことは必至でございます。私がこの際あえて申し上げておきたいと思うことは、万一水産用石油不足生産減少につながる、ひいては大切な食糧不足を招来するというふうなことになりはしないだろうか。食糧問題は、国民の生存の基本条件でございます。万一食糧の不足が生じ、これによって生ずる社会的な混乱というものは、石油不足以上に深刻なものになるであろうということでございます。どうぞこのような事態にならないように、十分な御配慮をお願いいたしたいと存ずるのでございます。  以上申し上げましたのが水産業界の基本的な要望でございますが、これに基づきまして、この要望に沿うようにいろいろ実現をしていくために、本法案に関する省政令の制定及び運用に関しまして、またこれに関連をいたしました国の施策としてぜひ御配慮いただきたいという点を、簡単に具体的に申し上げたいと思います。  第一点は、法律案の第四条に規定しております石油供給目標を定めることに関係いたしまして、水産用石油の所要量の確保、特に水産用石油消費の大宗をなしておるA重油の供給量を供給目標において安定的に確保するようにやっていただきたいこと。またこれに関連して、特にいわゆる得率の問題に関連いたしまして、その維持、向上につきましても格段の御配慮をお願いいたしたいということでございます。  第二点は、法律案の第十条において、農林漁業者等に対する石油の円滑な供給を確保いたしますために、通産大臣が必要と認めるときには石油販売業者の団体に対して石油供給のあっせんの指導を行なうことができる、こういうふうなことを規定いたしておりますが、漁業者をはじめとする水産関係者の供給確保について、これは末端にいき、また沿岸の零細な漁民にいきますればなおさらそういうふうな問題が出てくるわけでございますが、そういう漁民の人たちの供給確保についての苦情が完全かつ円滑に処理されるように供給あっせんの体制を整えていただいて、そうして末端の漁業者にも、現実に保障せられておる現物が行き渡るような施策を考えていただきたいということでございます。  それから最後に、この機会にぜひ国の施策として実施していただきたいことがございます。  まず第一点といたしまして、海外漁業基地における石油確保の問題でございます。先ほど来申し上げましたとおり、わが国の海外基地根拠のカツオ・マグロ漁業、遠洋トロール漁業などは、いまや石油不足の面から重大な危機に直面しております。もし必要とする石油が確保することができなければ、これらの漁業は著しく全面的に後退をしなければならないということになるのでございます。一方、皆さまも御承知のとおり、現在国連では、海洋法会議というものが行なわれておりまして、その中には、沿岸国の領海を越えて領海の外に二百海里にわたる沿岸国の優先的な、あるいは管理権を持っておる経済水域を設定するというような主張が会議の大勢を占むるような状態になってきております。これは日本としては、重要な遠洋漁業を持つ国といたしまして非常に困った問題でございますが、大勢はますます日本にとって不利な立場に追い込まれておるのでございまして、したがいまして今後ともわれわれは、海外漁場の確保の必要性、重要性についてきわめて重要視をしておるのでございます。したがってこの意味から、現在危機にあるこれらの漁業が何とか後退しないで、撤退しないで守っていけるために、早急に外交ルートによりまして現地における石油確保体制を何とか確立していただけないだろうか。さらに、この確保体制、外交ルートの交渉というものは相当時間を要しますが、現実には立ち往生をしておる船がたくさんございます。緊急を要しますので、その間の緊急措置といたしまして洋上補給船を派遣する。内地から油を持っていく、洋上補給船を派遣するに必要な石油をどうか国内で確保できるような措置について特別の御配慮をお願いできないかということを強く要請する次第でございます。  それからなお、第二点は、国の内外において生産されました漁獲物の国内における処理加工、それから水揚げ地から消費地までの輸送に必要な石油、これはやはり生産用の石油と同様にこれを確保していただきたいということでございます。これはくどくど御説明申し上げますまでもございませんが、鮮魚の形で処理されるものは全体の三割でございます。いわゆる処理加工されるものが全体の七割でございまして、そうしてそれを産地から消費地に完全に持ってくるということができなければ、われわれは、この石油によって水産の生産をあげた効果が国民の食生活に役立たないということになるということを非常に憂えるのでございますからして、ぜひともこういう問題についても特段の御配慮をお願いいたしたいと思います。  以上をもちまして私の陳述を終わりますが、どうぞよろしくお願いいたします。
  88. 濱野清吾

    濱野委員長 次に、御園生参考人にお願いいたします。
  89. 御園生等

    ○御園生参考人 御園生でございます。  いままで各業界を代表いたしまして石油事情がきわめて緊急を要し、また重要であるというような御意見が陳述されました。私、伺っておりまして、現在の石油問題がわれわれにとりましてきわめて重要な問題であるという感を一そう深くした次第でございます。そういう点につきまして、中いうような悪名をほしいままにして、安定カルテルと実質をもって思考されているという事実をわれわれは指摘しなければならないだろうと思います。いわゆる勧告操短は実質的なカルテルである。公正取引委員会はこれをカルテル類似行為と言っておりますけれども、これが実質的なカルテルであることは周知の事実でございます。そのような勧告操短をはじめとする行政指導に基づくカルテルがいかに今日まで各業界において資源配分の適正化をそこない、また価格を高位安定に導いたか。われわれはその点を考えますと、安定のためのカルテルを許した公正取引委員会と通産省との包括的な覚書交換がいかに大きな影響を今後に及ぼすかということに思いをいたさないわけにはまいらないわけでございます。もし必要となれば、独占禁止法あるいはこの法案そのものに要件を厳密に規定して適用除外を設けるべきであって、そのような限定のない、運用による安定カルテルの許容は、きわめて悪例を今後に及ぼすものと断ぜざるを得ません。また、かつそれは先ほど申し上げましたように、公正取引委員会意見公表を禁止している独占禁止法第三十八条に違反するものであると私は考えざるを得ないと思います。  今後法案の審議の過程において、このような弊害、悪例を残す包括的な覚書交換による安定カルテルの許容をぜひやめていただくように私としては申し上げざるを得ない次第でございます。  以上をもって私の意見陳述といたします。(拍手)
  90. 濱野清吾

    濱野委員長 次に、宮内参考人にお願いいたします。なるたけ十分以内にお願いします。
  91. 宮内俊之

    ○宮内参考人 私、アラビア石油の宮内でございます。  ただいままでの各参考人意見を承っておりますと、当然のことながら需要者側でそれぞれの立場から要望という形でいろいろ意見が述べられているように感じますが、私の会社は、御承知のようにアラビア湾で石油を掘さくしておりますので、この本日の石油需給適正化法案の、言うならば供給者側に立ちます。供給者側の立場からひとつ皆さんの御参考になることを申し述べたいと、こういうふうに思います。  問題を整理する意味で、私は石油の問題を考える場合に経済面と政治面、この二つに分けて申し上げたいと思います。  経済面のほうを先に申し上げますと、御承知のように、石油生産国というのは非常に限られております。それで、一九六〇年代に入りまして非常に石油の値段が下がった。これは五〇年代には予見されたことでありましたので、いわゆるOPECという国際機構をつくりまして、生産者側の共通の立場を擁護する活動を一九六〇年から始めております。このOPECの活動を十年間私は見てまいりました。で、そこに供給者側としてのプリンシプルが非常にあるということを痛感しておる次第でございます。  政治面のほうは、これは最近特にイスラエルとの紛争ということでアラブ諸国が非常に強く押し出してきた問題でございまして、このほうはアラブ諸国だけの国際機構でございますOAPECというものが、一九六八年だと思いましたが形成されておりますので、この二つの機構の活動を通じて供給者側の動向あるいは今後の見通しをするための参考に供したい、こういうふうに考えておるわけであります。  まずOPECの側のほうでございますが、これには特に値段とそれから量と二つの面がございます。値段の問題につきましては、設立当初は、御承知のように産油国の国庫収入は八〇%から九〇%が利権収入に依存しておりましたので、これの安定と増大ということが第一目標で採油会社と対抗してきたわけでございます。ところがだんだん国際情勢の変化、それからそれに加盟国の政治理念といいますかそういうものの相違ということで、だんだん活動の中心も収入の増大とか安定とかということを出まして、さらには石油産業の支配というところへ進んできたわけでございます。支配の問題はあとにいたしまして、価格動向の中で、十分という制約がございますのでプリンシプルだけ申しますと、このOPECが標榜しており、また実行しておりますプリンシプルは二つあるのでございます。一つは、石油価格は工業生産品との比価を維持するという非常ににしきの御旗が一つございます。それからもう一つは、最近特に強く打ち出してきたのでございますが、石油製品の販売価格と産油国が課税をする基準価格との間には一定の比率を維持する。ということは、これは裏から申しますと、石油製品の値段が上がって精製会社あるいは石油生産会社が不当利得をとるということは許されぬ、むしろ政府の収入も増加すべきだ。したがって政府の収入は課税という形でまいりますので、その課果価格製品価格に一定の比率をもって上昇さしていく、こういうことになりますので、その間産油国政府の収入と採油会社の利益とがある一定の比率を保っていく、こういうことでございます。  この二つのプリンシプルがございまして、それが一つのメカニズム的に組み入れられてもおります。そういうことですから、あるいは需給関係で人為的に値段を上げたり下げたりやりますと、それがすべてに響いてまいります。特に日本のような工業生産品を輸出して石油を買うという場合には、当然彼らはその間の比価ということを問題にいたします。それから同時に、それに関連しまして当然のことながら為替つまり通貨価値という問題が、彼らにとってはその油を売った金で食糧あるいは工業生産品を輸入するのでございますから、通貨問題がもちろんその中に入ってくることは当然でございます。  それで量のほうは、イスラエルとアラブの紛争が起きるまでは、御承知のように一九六〇年代は生産過剰の状況を呈しておりましたので、産油国側としては一時は各産油国間での生産制限を協定してそれで守ろうとした時代もありましたが、これは失敗に終わりました。しかし、だんだん産油国が外貨の蓄積ができますと、何も急いで油を売る必要はないんじゃないか、むしろコンサーベーション、資源保存という方向に非常に傾いております。現に、紛争の起こる前からでも、アラブの数カ号国は国全体の生産規制し始めておったところもあるほどでございます。そういうわけで、価格のほうは、これはもう上がることは間違いないといいますか、当然でございます。  参考までに、私の会社で調べた製品価格あるいは政府のいわゆる課税基準価格というものを大ざっぱに見てみますと、一九七〇年に比較してことしは大体三倍になっております。それから昨年に比較して大体倍になっております。これはもちろん運賃というものを度外視した積み出し港積みの値段でございますので、運賃の上昇が加われば当然それに運賃が加算される、こういうことでございますので、諸物価、農産品その他の工業生産品の値段が上がれば石油は上がるんだ、こういう認識をひとつぜひ持っていただきたいと思います。  それからもう一つ、政治面でございますが、OPECのほうは主として経済的な問題をずっと追ってきたのでありますが、途中から、一九六〇年の半ばごろからメンバーがだいぶふえまして、そのメンバーの中には、先ほど申しました政治理念で、いわば急進的な考えを持つものがだいぶふえてきました。そういうことで、穏健的な行き方で行こうというアラブの中の数カ国が一九六八年にOAPECというものをつくったわけでございます。当初は、共同事業とかあるいは共同運送というようなことを考えておったのでございますが、その後、次第に政治に巻き込まれまして、輸出しないアラブの石油の産出国までが全部このOAPECのメンバーになって、これがいわば政治面での政策決定のアラブ全体の原動力になっているように、皆さんも御存じのとおりでございます、  それで、私つい最近まで、十一月の半ばまで向こうにおったのでありますけれども、彼らの考えている政治的な問題といいますのは、従来は急進派が主導権を握って、国有化とか生産制限とか禁輸とかいろいろなことをやっておりましたけれども、今回の第四次アラブ・イスラエルの紛争を契機といたしまして、穏健派が主導権を完全に握っております。穏健派が握っておるというその頂点に立っているのがサウジアラビアでございまして、私の会社もサウジアラビアから利権を半分もらっておるわけでありますけれども、その要人たちといろいろざっくばらんに話してみますと、イスラエルとアラブとの紛争は今回限りでどうしてもおしまいにしたいんだ、この熱意が非常にございます。それで今回、いままで石油は武器に使わないと言っておった中外の声明を全部ひっくり返しまして、いわばサウジアラビアが最も強硬にといいますか、強く武器に使うことを主導しておるわけでございますが、これには、これは私の現地での感触でございますが、サウジアラビアとしてはイスラム教の盟主でもございますので、この宗教の盟主と、それからいまの経済上、アラブとイスラエルの紛争解決というものを結びつけて、やはりアラブの盟主はわれわれである、つまりサウジアラビアである、こういう非常に突き詰めたといいますか、いままで急進派に主導権をとられていたイスラエルとの関係もこの際われわれの手でひとつ解決したい、こういう気持ちで一ぱいのようでございます。そのために、次々に打ち出されてくる石油を武器とする生産制限の問題も、もちろんイスラエルとの問題解決ということを主眼にしておりますが、同時に、急進派の人たちをも納得させ得るような動きをしないと、やはり穏健派の主導権の維持ができない、こういうふうに私は見ておりますので、相当強く主張している根拠も十分そういうことで理解ができるわけでございます。  それなら、今後油の供給はどうなるのだ、こういうところへくるわけでございますけれども、先ほど各業界からいろいろ要望が出て、たいへん御苦労されておりますが、問題の中心は、何といっても今回の石油供給削減というのは経済的な理由は全然ない、これは一にかかって政治的理由であるという御認識をまずいただいておくことがよかろうかと思うのです。しかもそれはアラブとイスラエルの紛争解決というところに焦点があるものですから、問題はそれがどういうふうに、どういうタイミングで、あるいはどういう速度で解決されていくか、これにすべてがかかっていると思います。そういうことを十分御認識の上で、特にアラブ側の主張、要求というものは天下周知の事実でございます。そういう要求を一応頭に入れて、政府政策をいろいろと検討していただいたら幸いか、こういうふうに思う次第でございます。  どうも御清聴ありがとうございました。
  92. 濱野清吾

    濱野委員長 次に、武藤参考人にお願いいたします。
  93. 武藤儀一

    武藤参考人 全日本トラック協会の専務理事武藤でございます。トラック関係の問題につきまして簡単に公述さしていただきます。  全日本トラック協会という私どもの団体は、営業トラック事業者の組織しておる団体でございまして、トラックにはナンバーが白のと、それから緑色のナンバープレートをつけて走っている車とございまして、その青色のナンバープレートをつけて走っているトラックが営業トラックでございます。  最初に、営業トラック事業の概要を簡単に申し上げさしていただきます。  営業トラック事業者は、現在四十八年三月、ことしの三月末で二万六千業者ございまして、このうちの九八%が中小事業者でございます。営業トラックの全部の台数が、同じく四十八年三月で四十六万台でございます。これらの営業トラックが運んでおります年間の輸送トン数が、四十七年三月の数字でございますが、四十六年度一年間に十一億九千万トン運んでおります。国鉄が同じ年に二億五千万トン運んでおりますが、こういう国鉄、内航海運、トラック、それから営業トラックのほかに自家用トラック、こういうものが全部で運んでおりますトン数が五十三億六千五百万トンございまして、この総輸送量の二三%を営業トラックが運んでおるわけでございます。それで、自動車の中に営業車と白いナンバープレートの自家用車があるわけでございますが、営業車のほうでは、四十七億九千六百万トンの総輸送量の二七%を運んでおるわけでございます。自動車全部の二七%を運んでおるわけでございます。トン数では営業車と自家用車はそういう形になりますが、輸送トンキロという形で比較いたしますと、営業車と自家用車は大体五〇対五〇ぐらいの数字になっております。トンキロと申しますのは、こういう関係、あたり御関係のない方々は御存じないかもわかりませんが、たとえば五トンの荷物を百キロ運びますと五百トンキロ、五トンの荷物を十キロ運ぶと五十トンキロというような計算のしかたでございます。トンキロで比較いたしますと、大体営業車と自家用車、五〇、五〇というような数字になっているわけでございます。  一日当たりの営業車の輸送トン数は四百三十五万トンでございまして、十一億九千万トンのその輸送品目のおもな内容は、食料品、たとえば穀物だとか野菜、水産、畜産品等、これらが一二%、それから日用品、薪炭、石油類というのが七%、木材が四・四%、それからセメント、石材、砂、砂利、こういうものが一四%、紙・パルプ、繊維工業品が四%、おもな物資はこういうようなものでございまして、日常生活に、国民生活に欠くことのできない物資輸送に当たっておるわけでございます。  次に、営業トラック燃料の需給状況の問題でございますが、営業トラックはほとんど軽油を使って走っておるわけでございます。軽油を使って走っておる自動車には、バスそれからわれわれの営業トラック、自家用トラックの普通車等が軽油を使って走っておるわけでございまして、営業トラックの中には一割程度ガソリンを使って走っておる車もございます。また、非常に少ない数でございますが、LPGを使って走っておる車もございます。  そこで、燃料の需給状況でございますが、自家タンク購入分が、十月実績に対しまして大体二〇%削減されております。それから一般スタンドで購入しておりますのが、十月の実績に対しまして、県内のスタンドでは大体三〇%削減されております。県外のスタンドでは五〇%から七〇%、あるいはひどいところでは七五%程度の供給削減を受けております。したがいまして、県外へ出ますと、一般のスタンドで過去の実績の五〇%か七〇%ぐらい削減されてトラックに給油されるわけでございまして、したがいまして、トラック事業者は長距離の御注文がございますと、帰りの燃料を心配いたしまして、しばしば契約の引き受けをごかんべんを願っておるような状況に立ち至っております。出ていきましても、出ていくときは満タンにして出ますが、帰るになかなか帰ってこれないという問題がございまして、県外に輸送するということは非常に苦しい状況になっております。  次に、供給削減の一般状況はただいま申し上げましたようでございますが、燃料価格の値上がり状況でございますが、トラック事業者で自家タンクを持っております事業者につきましては、四月を一〇〇といたしまして、十二月では平均一四〇%になっております。四〇%程度の値上がりを示しております。一般スタンドで購入いたします場合は、四月を一〇〇といたしまして、十二月は平均一六%、六割程度の値上げとなっております、四月の平均価格が軽油一リッター三十円から三十二円でございましたが、十二月の平均価格は四十五円から五十円というような形になっております。かなり大幅な値上げを四月から、二回あるいは三回にわたって受けておるわけでございます。  それから燃料費の支払い状況でございますが、十月では、一般スタンドでは全額現金払い、それから特約のスタンドでは三十日据え置きで現金で払う、それから自家タンクがございましてタンク購入しました場合には六十日あるいは九十日の手形で決済をいたしておりました。ところが十二円に入りましてほとんど全部が現金で支払う、もう手形はだめという形になっております。     〔委員長退席、稻村(左)委員長代理着席〕 ほとんど全部即金で払う。一部には十日払い、十日まとめて十日たってから現金で払う。あるいは十五日、二十日程度が大体据え置きの長いほうでございまして、そのときにまとめて現金で払うというような形になっておりまして、大体におきまして現金でお買いするという形になっております。  そこで各県の状況でございますが、北のほうから、青森では大体県内では二〇%から三〇%を削減されております。県外へ出ますと六〇%削減されております。十二月の購入価格の値上がり状況は、四月と比較いたしまして大体一四〇ないし一五〇というような値上がりの形になっております。先ほど申し上げましたように、県外へ出ますとなかなか入れてもらえないということで、東京行きの鮮魚輸送トラック、これは帰りの燃料が心配、非常に供給されないので出渋っております。それから十五日ごろからリンゴ輸送が始まりますが、これはおもに東京方面に向かうリンゴ輸送でございますが、これも先ほど申し上げましたように二割ないし三割の供給削減を受けておりますので、リンゴ輸送が完全にできるかどうか、非常に疑問になってきておるわけでございます。  宮城県では、県内では二〇%ないし四〇%、県外へ出ますと大体七五%程度の削減を受けております。価格のほうは一四〇%から一七〇%というような、四割ないし七割の値上げを受けております。宮城県につきましては、冷凍食品やかん詰めの輸送が困難になりつつあります。大阪方面以西の長距離輸送は、先ほど申し上げましたように、帰りの燃料の補給ができないというようなことで、長距離輸送はできないというような形になっております。  山形県では、県内では二〇%ないし五〇%、県外へ出ますと七五%。  それから茨城県では、三〇%ないし五〇%県内では供給削減を受けておるわけでございます。したがいまして、京浜方面へ送る生鮮食料品等の食糧の輸送トラックは、大体六割程度ぐらいしか輸送できないだろう、こう申しております。  埼玉県では、県内では二〇%ないし三〇%の供給削減を受けております。ただ値段のほうが四割ないし八割高ということになっておりまして、この埼玉県でも、同じように帰りの燃料の関係から長距離輸送ができなくなっております。  東京では、二割ないし三割の量の削減を受けております。外へ出ますと、大体七割ぐらい削減。値段のほうは四割ないし六割の、四月に比較いたしまして一四〇%ないし一六〇%というような値上げの状況になっております。  都民の生活物資の集配拠点でございますところの京浜ターミナルあるいは板橋ターミナルにおきましては、スタンドへの供給が二〇%削減されまして、そこへ入っておるトラック事業者に整理券を渡して、その整理券で燃料配給を行なっておるということでございます。  新潟も、同じく県外へ出ますと七五%ぐらいの供給削減を受けまして、長距離輸送はできなくなっております。  静岡では、県内では三〇%ないし五〇%の削減を受けております。外へ出ますと七五%ぐらい。値段のほうは四月に比較いたしまして四割ないし八割の上昇を見ております。  愛知県も、同じく県内では二〇%ないし五〇%の供給量の削減を受けておりまして、外へ出た場合には七〇%ないし八〇%の供給削減を受けております。値段のほうは大体四割から八割、四月に比較いたしまして一四〇ないし一八〇%の値上げとなっております。  それから和歌山では、県内では二〇%ないし三〇%でございますが、和歌山県外へ出ますと七〇%程度の供給削減を受けます。したがいまして、和歌山のミカンの輸送に支障を来たしておるわけでございます。  九州の福岡へまいりますと、県内では三〇%ないし五〇%、福岡県外へ出ますと五〇%ないし八〇%の供給削減を受けておるわけでございます。値段のほうは四月に比較いたしまして一四〇%、一七〇%というような値段の上昇を見ております。カーフェリーを利用いたしたいと思うのですが、カーフェリーの便数の削減がございまして、乗船実績のない車はフェリー乗船ができないというような形になっております。  佐賀県は、県内では二〇%ないし三〇%の削減を受け、県の外へ出ますと七〇%ないし八〇%の供給削減を受けております。値段のほうは一四〇ないし一六〇、四割ないし六割の値上げを見ております。佐賀県外に出まして一般スタンドで入れてもらおうと思いますと、いままで行っておったお店でも七割ないし八割を供給削減されますので、県外や本土行きトラックはほとんど給油してもらえないというような形になりまして、二十リットルから三十リットル、トラックでいいますと大体五、六十キロ程度走る量しか入れてもらえないというような形になっておるわけでございます。  それで、トラック業界といたしましては、先ほど申し上げましたように、自動車のうちで軽油を使いますのはわれわれ営業トラック、それから自家用トラックの大型、それからバス、それから通運用の車が半分くらいございます。そういうものが軽油を燃料として走っておるわけでございまして、この軽油の量の安定的な確保をぜひお願いしたいと思います。一つの事業者で五〇%も削減されますと、車の半分しか動けないという形でございまして、中には、たとえば東京等でお聞きしますと一割程度の削減で事が済んでおるところもあるようでありますが、五〇%程度の削減を受けているトラック事業者も各地にあるわけでございまして、量の安定確保、それからもう一つは値段が非常に大きく値上がりしておるわけでございまして、四月から二回ないし三回にわたって値上げの話がございまして、その値段じゃ高過ぎるといえば供給量のほうで手かげんをされるというような形がございまして、もう値段のほうは、石油ディーラーのほうのおっしゃるとおりの値段で買わなければたくさん入れてもらえないというような形が出ておるわけでございまして、量の確保と値段の安定化をぜひお願いしたいと思います。  それからもう一つトラック輸送というのは夜間輸送がかなり多いわけでございまして、中曽根通産大臣がスタンドは夜間営業はしない、それから休日は営業しないという方針を出されまして、各スタンドともそういう方針になっておるわけでございますが、トラック輸送の特性からいいまして、全部のスタンドとは申しませんが、一部のスタンドにおきまして夜間営業あるいは深夜営業あるいは休日営業というものを認めていただきたいと思っておるわけでございます。この点につきましては、運輸省並びに通産省のほうへいろいろお願いしておるわけでございますが、走っておってトラックが途中で軽油が足りなくなってもう走れない、あるいは国鉄輸送がかなり麻痺しておるわけでございまして、十二月は各輸送機関とも手一ぱいの仕事をしておるわけでございまして、これをトラック事業者の窓口で、そんな遠いところには行けませんといって国鉄のほうへ待っていきたさいと申しましても、国鉄のほうも手一ぱいの状況でございまして、さらに小口の貨物につきましては、郵便局のほうは、大体いまのところでは小包は受け付けてもらえない、国鉄の小口のほうも、中の輸送事情から近距離のものしか受けてもらえないというようなことでございまして、私どもトラック業者としては何とかお客さんの御要請に沿って運びたいと思っておるわけでございますが、スタンドの営業の問題それから量の問題、こういう面に制約を受けてたいへん御迷惑をかけるような事態になっておるわけでございます。トラックの営業は、先ほどトン数で申しましたように国内輸送の主流をなしておるわけでございまして、これが国民生活あるいは生産活動に与える影響は非常に大きなものがあるわけでございまして、たとえばお正月にミカンの輸送が十分にできないというようなところから、ミカンの値段が二倍、三倍に上がるというようなこともなきにしもあらずでございまして、国民生活物資輸送を懸命にやっておるわけでございまして、この面につきまして特段に量が安定的に供給されますように、また値段が、この値段をのまなければ契約量を削減するというような形にならないように私どもはお願いするわけでございます。  以上でございます。
  94. 稻村佐近四郎

    ○稻村(左)委員長代理 次に、山下参考人にお願いいたします。
  95. 山下三郎

    ○山下参考人 私、日本船主協会の山下三郎でございます。  本日、石油需給適正化法案を御審議されますにあたりまして、われわれ業界意見を述べさせていただく機会を与えていただきましたことをありがたく、厚く御礼を申し上げます。  今日の石油危機を最も強く身近に感じました海運業界といたしまして、関係方面に対しあらゆる方法をもって打開方を推進いたしておりますけれども、なかなかうまくまいりません。国民生活ないし国民経済に直結する重要な貿易物資の強い輸送要請と、石油供給側のきびしい立場という現実の間に立ちまして、きわめて深刻な事態を迎えております。したがいまして、国民生活の安定と国民経済の円滑な運営のため、石油の適正な供給の確保をはかることを目的とする本法の成立には賛成でございます。われわれ何を骨身を削って苦労したかと申し上げますと、御承知のとおり船舶用燃料カットの問題でございます。これについて述べさせていただきます。  このたびの中東産油国の石油生産削減影響は、海運界におきましても深刻に反映し、特に貿易物資輸送を行なっているわが国外航船においては、すでに十一月中旬以降、内外地における船舶燃料油の補給に支障を来たし、そのため停船する事態が内外諸港において発生しております。頻発しておりますといったほうがいいと思います。十一月中の配船は、このような状態にありながらも、海運業者はあらゆる手段を尽くして何とか必要な配船を維持してまいりました。しかしながら、船舶燃料油の確保は日を追って内外地とも困難になり、出港が二、三日という間近に迫っていながら必要燃料の確保ができないという船舶は逐次ふえてまいりまして、従来行なってきました秩序ある配船が困難になることが憂慮されております。  ちなみに輸出入貨物の輸送に必要な十二月の邦船社の運航予定船は、タンカーを含み千六百隻、五千二百四十八万重量トンであり、これに必要とされる船舶燃料油は約百三十四万ロングトンが見込まれております。  この必要量の確保については、政府の御指導もありまして石油業界と話し合いを行ない、海運業界といたしましては、邦船のスピードダウン、配船調整等あらゆる手段を講じ、燃料油節減につとめ、十二月の輸送量に関しましては何とか最低の必要量を維持できる状態に相なりましたが、なおこの状況はまことに流動的でございまして、予断を許しません。  なおその際、石油業界からは一月の供給については何らの見通しすら得られず、われわれといたしましては、一月以降の配船について全くの見通しが得られない状況でございます。  国民生活に必要不可欠な物資のほとんどは海上輸送にゆだねられている実情は、諸先生方十分御承知でございます。輸送力の低下は、必然的に国民生活に必要な物資産業界への原材料の供給減少につながり、日本経済に及ぼす支障は甚大なものがあることは申すまでもございません。来年一月以降の見通しを見ましても、石油産油国の輸出規制は緩和される見込みもなく、ますますきびしい方向に、しかも長期にわたるものと推測されております。当然に内外地の燃料事情も一段ときびしくなるものと判断されますが、これにより海上輸送が一そう低下し、日本経済に重大な支障を及ぼすことも懸念されますので、各産業界に対し船舶燃料油の優先的確保につき協力方を要望いたしております。  われわれ海運業界といたしましては、石油の適正な供給確保のための本法案早期成立を望むとともに、本法の適切な運営によりまして、海上輸送に必要な船舶燃料油が優先的に全面確保できますことを期待しております。  なお、以上に関連いたしまして、特に二、三意見を述べさしていただきます。  まず第一に、石油需給適正化法案第十条に、「一般消費者、中小企業者及び農林漁業者並びに鉄道事業、通信事業、医療事業その他の公益性の強い事業」とありますが、海運は外航、内航を問わず国民生活に密接な関係を有するところから、海運事業は当然本条にいう公益性の強い事業に該当するものであると了解をいたしておりますが、この点特に念を押さしていただきたいと思います。  第二に、船舶用燃料油供給事態が緊迫しており、影響するところ重大でありますので、法案成立に先立って強力な行政指導が直ちに行なわれますことを要請をいたします。  第三に、内航海運につきまして、関係官庁の御指導にもかかわりませず、内航海運の十二月運航に必要な燃料油五十万キロリットルの確保がいまだ石油業界との間でなされておりません。内航海運におきましては、このたびの石油問題の影響を受けて、鋼材、石炭などの緊急輸送のほか長距離トラック輸送の内航海運への転嫁などにより、逆に輸送需要の増大を来たしております。かかる状況から、内航海運用燃料の確保につきまして特段の御配慮をお願い申し上げます。  最後に、本邦への外国船に対しては邦船に準じて取り扱っていただきたいと存じます。その理由といたしましては、外国船といえどわが国への貿易物資輸送に従事しており、また邦船の外地補油の状況から見ましても、外国で差別的取り扱いを受ける原因となるようなことは絶対に行なうべきでないと考えるからであります。  以上、お願いや御報告を終わります。ありがとうございました。
  96. 稻村佐近四郎

    ○稻村(左)委員長代理 次に、若月参考人にお願いいたします。
  97. 若月勇

    ○若月参考人 私は、全国の個人タクシー並びに東京都の個人タクシーの協会長をやっております若月でございます。しかし、純然たる若月タクシーでございまして、業者でございます。  ただいま、本日こちらに参りまして御意見を申し上げるならば、この需給の適正化法案の成立につきましては基本的には賛成でございます。しかし、簡単に中を見さしていただきますと、この自由経済のもとで非常に苦しい配慮をされてつくられているようにお伺いしておりますけれども、はたしてこれで現下の最悪の状態を乗り切る適正な運営ができるか、非常に疑わしいものがあります。なぜならば、従来もうすでに石油というものは単なる物として金にかえて考えられるものでない重要な資材にもかかわらず、今回この法案の中ではたしてどこで押えることができるか。これは行政ベースと業者の指導ということで罰則規定が一つもない。しかも輸入から製造、流通機構、末端の消費に至るまで、何らわれわれがガラス張りにのぞくことのできないシステムになっています。これでは、法案をつくりましても全く仏つくって魂が入らないような形にまたなりませんか。従来からたびたび指摘されておりますいわゆる行政サイドにおける、何ら全く変わらない事態がやはり起こる憂いがすると思います。その点、われわれの意見としましては、必ずしも私らの業界から出していただきたいなどとは毛頭考えておりませんが、消費者のしかるべき方々が、考え方として、コミッションなんという形で、末端のところにまでこの乏しい重大な資源が有効適切に使われているかどうか、監視体制の中にわれわれ消費者の代表を入れていただくということが非常に必要でなかろうかと思います。  さらに、罰則の問題につきましては、容易なら心問題でございますけれども、営業停止あるいは輸入停止というようなきつい問題までが考えられなければならぬ。実際問題として、いまちまたに起きております灯油にしましても、あるといわれて、しかも三百八十円といわれておりますけれども、三百八十円だったらば配給していただきたいとわれわれ消費者の国民は声を大にして叫ぶでございましょう。これなどは、やはりこの法案の中で一つの大きなセクションとしてそのような監視体制が持たれなければ事実ざる法といわなければなりません。  ちなみに、個人タクシーは現在、全国九十八都市、三万八千にやや近い数字で免許されておりまして、中でも東京は、現在の実態は一万六千七百台の多きになっております。しかし、ごく少数の都市以外はすべてが代用燃料でございますLPGを使っているわけでございます。LPG石油と一緒に考えておられるこの行政の考え方については大いに憤りを感じるのでございますが、このLPGは、燃料といいながらも石油にかわるべき、ガソリンにかわるべき少なくとも代用燃料でございまして、合成酒でございます。したがいまして、われわれがこれを選んだゆえんというものは、運賃、料金において左右されている、運賃は公共性でなかなか上がらない、したがって都民の足と利用されているわれわれの立場から考えまして、できるだけ経費を節減して、運賃値上げによる国民の足としてのはね返りを押えるため、苦労に苦労を重ねて、言いかえれば開発した代用燃料であることは間違いもございません。しかも、車の購入については、そのような設備を施してもらって買っておるものでございまして、これを急速にほかの燃料にかえることは不可能でございます。  そういう客観情勢のもとでLPGを使っているわけでございますが、昨今の中東戦争のあおりを食いましてのことは、われわれ個人タクシーも国民の一員としてきびしさを身に感じて承っております。しかしながら、現在の需給の状況になりますと、悲しいかな個人タクシーは零細でございますから、スタンドを持つ、あるいは仲買い、あるいは特約店がやる機能は全くございません。ミクロのような個人タクシーで、からだだけ資本で、皆さま方に愛されてここまで育ってきたわけでございますが、このような過渡期になりますと、すべて消費者の末端である個人タクシーの零細なところへひずみが出てまいりまして、最近に至りましては全く言語道断、動こうにも全くガスがない。もうすでに東京におきましては延々長蛇のごとく個人タクシーが並んでおりまして、もらえるかどうかわからないものが、ちょうど暮れの上野駅の家郷に帰るときの切符の予約券のごとき状態を呈しております。途中で奥さんがかわり、番をとっている、あるいは車の中でこの寒さにふるえながら、毛布をかぶり、ふとんをかぶって、個人タクシーが幾らくれるかということで期待し、おののいておりますが、さて、二十リットルしかくれない。この二十リットルは事業に使用しますと四時間でございます。四時間の二十リットルをもらうのに延々と十何時間もそこに定着しなければもらえない。全くこのひずみが個人タクシー、タクシー業界に来ております。  しかも、燃料危機だといわれておりましても、それぞれカットされたといいながらも、スタンドを持っております大きな業者には流れております。スタンドの数はおおよそ百でございまして、  この百のうち、三十あるいは三十五が自家用でございまして、これはタクシー会社が自分のところ  の車に入れるために設置しておりまして、営業用と自家用の分かれば、タンクの容量あるいは保安基準の問題で、これは売ってはいけないという施設で認可されておりますから、事業用という区分けをしております。残りの六十ないし五十七、これが営業用でございまして、これがタクシー会社の大企業のすべて系列でございます。ここにわれわれが出かけていって、入れてもらうということで、これもまたスタンドを持っている大企業はすべて仲買いであり、あるいは特約店でございます。したがって、一応メーカーからのルートはそれぞれ直結して持っております。しかし、いまのような絶対量のない時期に至りますと、わがままなことは言いませんが、しかし、削減されたなりにスタンドに供給されていることは事実でございます。なぜなら、皆さん御存じのように、法人のタクシーは削減されたといいましても動いております。個人タクシーは全く動けない状態が出ております。これというのも、そのガスを金額が何ら規制されていないので、燃料としてスタンドが買ったということでございます。商売でございますから、自分の会社の車をとめて、個人タクシーに分けてやろうなどというのはナンセンスでございます。したがいまして、そのあおりを食いまして、現実いま三分の一が入れかわりに交代で毎日休んでいる。しかも土曜、日曜をはさみますと二日も連続して休む、その次の日にようやく十五リットル、二十リットルちょうだいしているということで、大体個人タクシーの従来の使用量は三十五から四十リットルというのがたてまえでございます。地方の小型におきましては、エンジンの馬力が小そうございますから、大体東京を三十五としますと、二十五ないし三十の間でダウンしている、これは車の性能上しかたありませんけれども、そういう実態であるわけでございます。  それで、実は本日、通産省に対して、先行きに全然われわれは希望を持てない、来年はどうするのかということより、きょうあしたをどうするかというようなことが全然明示されていない、こういう不安のもとで、われわれとしては運輸省を通じていろいろな意見を具申し、あるいはこれからの数量につきましても相談を受けておりますけれども、しかし、これは通産省業務でございます。そういう意味におきまして、どうせ休んでいるからということで、きょうは三千人を動員しまして、そして通産省を取り巻いて、いまでもデモをやっております。代表が通産次官と会って、それぞれ御相談しておりますけれども、まず個人タクシーは、全く日が当たらない政治の中で困っているのが実情でございます。  そしてなおかつ、決してここにお話し申し上げるのが本音ではございませんけれども、最悪の事態が参りまして、東京の個人タクシー業者が、ガスの見通しがない、小さい幼子を三人かかえている、車の借金も返さなければならぬということで、きのうのお昼の二時ごろとうとう首つり自殺をしてしまった。こういう最悪の事態についても、運輸省はもちろんのこと、通産省はちっともそういう点については見通してくれない。こういう個人タクシーが出てしまっている。昨日もあるいはその後も第二、第三の高橋さんが出にしないかということで、対策は立てておりますけれども、何せ燃料がなければ、タクシーは血の一滴がなければ動くに動くことができない、このような最悪の事態にさらされております。したがいまして、総合的に申し上げるならば、この法律をおつくりになって、せっかくつくったものがざる法にならないように、国民の一員としてぜひお願いしたい。  それから、不正が行なわれないように罰則規定をきつくしてこれをやっていただかなければ、またまた末端が迷惑します。  それから、個人タクシーの立場は法人と違いまして、法人業界は、百台ございますとしますと、燃料が一割カットになれば、車を一割カットすれば、あとの残りは同じでございます。これはかってな言い分でございますけれども、そのような企業の合理化ができる潜在台数を持っておる。個人タクシーは百八十ないし二百の中で、その絶対量が一滴でも欠けたら全く生活ができない。法人業界に聞こえたら非常にぐあいが悪いのですけれども、これがほんとうでございます。合理化ができない。問題は、一〇%減らされれば一食を削れ、二〇%減らされれば二食を削らなければならない、このような最悪の事態に来ておりますので、その点、ひとつ諸先生方よくお調べの上で、適切な御援助をしていただきたい、かように申し上げる次第でございます。
  98. 稻村佐近四郎

    ○稻村(左)委員長代理 以上で各参考人の御意見の開陳は終わりました。     —————————————
  99. 稻村佐近四郎

    ○稻村(左)委員長代理 これより参考人に対する質疑を行ないます。  この際、質疑者に申し上げます。田中参考人及び安居参考人は、所用のため退席いたしました。  それでは、質疑の申し出がありますので、順次これを許します。  質疑の際は、まず参考人の氏名をお示し願います。  なお、念のため参考人に申し上げます。発言をされる際は、委員長の許可を得て御発言を願います。  それでは加藤清二君。
  100. 加藤清二

    加藤(清二)委員 それぞれ専門の立場にいらっしゃいます参考人の皆さまから、貴重な御意見を承りまして、たいへんどうもありがとうございました。二法を審議して、民生の安定と日本経済の発展をはかろうとしております私どもにとりましては、ほんとうにいい勉強になりました。ありがとうございました。  しかし、ただいまも身につまされるお話がございました。すでに首つりが行なわれているということなんです。きのうもここで私は業界の皆さんに訴えました。私の知人の中にも、やみで買いだめしている連中のところへは、自分一人でもいいから突っ込んでいって爆発をさせてやる、それでもいいですか、こういう訴えが個人タクシーからございました。まさにパニック前夜でございます。これを鎮静させるための二法であります。ところが、それがいまの参考人の方からもありましたように、とかくざる法になりがちでございます。ざる法にならないきめ手は一体何かといえば、それはいま御園生先生がいみじくも指摘なさいました。大体この経済取り締まりの憲法である独禁法、これに違反とまで疑われるような行為をしてまでもなぜ通産省と妥協しなければならないだろうか。私も御園生先生と同意見でございます。  そこでお尋ねいたします。適用除外を明記してあとは全部にひっかけるべきである、こういう御意見は当然のことだと思います。終戦直後、あの物のなかったときにできました物統令、これでも第八条に除外例をつくり、そうしてあとは全部に  ひっかけているわけでございます。それでもなお、やみが行なわれたのです。人間の本能と心理に合わない点があったからなのです。  そこでお尋ねするのです。適用除外を明記するとするならば、何をどう考えて行なったらよろしいでしょうか。もし時間がなければ、ぜひ先生に、あとで、ここでこういう論文を書いているからこれを読めとか、ここにこういう本があるからこれを読め、こうおっしゃっていただいてもけっこうでございます。
  101. 御園生等

    ○御園生参考人 本来独禁法は、独禁法を適用すべからざる事態が生じた場合には適用除外によってこれを許すという原則が正しいと思います。そういうことで、いままでさまざまな適用除外法令が出ているわけでございます。御承知のとおり物統令をはじめとし、中小企業等協同組合法あるいは輸出入取引法、いろいろ法律がございます。私は、適用除外法令がきわめて多くなるということは必ずしも歓迎すべき事態ではないと思いますが、しかし必要とされる事態が起これば、これは法律上明記して適用除外によって許すべきであるという原則は、今日においても堅持すべきであるというふうに思っております。この点について参考になるのは、独禁法の二十四条の三以下の規定、通常不況カルテル並びに合理化カルテルという規定がございます。これらのカルテルを必要やむを得ない場合に許す場合にきびしい要件が規定されております。不況カルテル、合理化カルテルの要件をそのまま今後の予定されております石油需給調整法案に基づく業界協力行為に適用することは必ずしも適切ではないと思われますが、一般的にいえば、業界協力行為、政府の行なう統制についての協力行為について必要最小限度であるということ、それからそれを利用して価格の協定、物資生産調整についてカルテル的な行為を行なう場合には、直ちにその行為を排除する、あるいは取り消す、こういう要件はぜひ必要だろうと思います。  要するに、法律上どのような要件をもって適用除外すべきであるということは、これはかなり技術的な問題になりますから、現在すぐにお答えするだけの用意はございませんけれども、その範囲並びに時期、方法についてきびしく範囲を限定するということを一般的に申し上げたいと思います。  なお、これに関連いたしまして単に横のカルテル、つまりメーカーならメーカー、あるいは元売り業者なら元売り業者が相互に価格について、あるいは生産数量について協定するだけではなくて、覚書には、いわゆる再販行為をも認めております。つまりこの点については政府が末端価格についてみずから十分に取り締まり、かつまた監視を行なうだけの能力がないために、これをも業者の自主的な行為にまかせるということにしているわけです。つまり横の協定を保全するために今度は縦の再販行為ですね。末端価格においては個々の事業者が末端小売り価格を幾らにしろ、幾らにしなければ今後取引を停止する、これが再販契約ですね。そういうことをもって、たとえばいわばカルテルをもって今度の石油関係二法案に基づく統制行為を行なおうということですから、したがって業者が——大体企業というのは利潤を目的として運営されております。したがって、その利潤原則に基づいてこれらの協力行為を行なうということは火を見るよりも当然である。また、従来の勧告操短その他の安定カルテルに類似した行為を見ますと、結局はたとえば原価計算、生産数量についての原案は業界から提出しているということになっております。今度の安定カルテルも同じく、その価格並びに需給計画について結局は業界自身に自主的にプランを立てさせ、それに基づいて、多少の手心は加えるでしょうけれども、政府がこれをさらに業者によろしいということでゆだねることになるだろうと思います。こういうことを考えますと、適用除外規定をはっきりと設けて、その要件について厳密に規定することがぜひ必要だと私は考えております。
  102. 加藤清二

    加藤(清二)委員 私どもが参考人の皆さんの御意見を承っておりますと、賛成とおっしゃる方と修正しろとおっしゃるお方がございます。賛成と最初におっしゃる方は、たいてい企業側の方でございます。ところが、修正しろとか反対とかおっしゃるお方は、大体油を消費する側、しかも末端に近いほど反対が多いようでございます。それはいま御園生先生がおっしゃられましたように、通産省に原案がないものですから、あるいはあってもそれが機動的に動かないものですから、ほとんど原案を大きな業界にゆだねて骨子をおつくりになる。この結果は、かつて公害法のときに、公害十四法はできたけれども、大どろぼうをのがしてこそどろだけつかまえる法律になったと新聞の皆さんからたいへん批判を受けたことを覚えております。今後そうなってはならぬと思います。首つりをしなければならぬ人やら、ひび、あかぎれで苦しむ人やら、灯油がないために急性肺炎が重うなって、それでいま死んでいかなければならぬという人をまず救わなければならぬと思います。そうあってしかるべきです。それでこそほんとうの民生安定だと存じます。  そこで、民生安定を条文にはうたってありまするけれども、それが欠けてはならないというようなきめ手を法案の中へ盛り込むこつがありましたらお教え願いたい。
  103. 御園生等

    ○御園生参考人 そのきめ手はたいへんむずかしいんですけれども、要するに、政府自体が責任をもって行なうということが一つ肝要だろうと思います。  それからもう一つは、先ほどの適用除外関係の御質問に関連いたしますけれども、公正取引委員会は独占禁止法の施行官庁として業界のカルテルを取り締まる、こういう役割りを持っております。したがって、今後の統制行為について、それが業界寄りにならないかどうかということ、少なくともカルテル行為として業界寄りの価格引き上げ、需給調整にならないということを保障するためには、公正取引委員会をぜひ一枚今後の法律の運営について加えていくということが一つ考えられます。  それからもう一つは、やはり一般消費者の立場を勘案して、審議会等を通じてこれらの一般消費者並びに中小零細業者の意見をこの法律の発動について全面的に反映するということを保障することがやはり一つ方法だろうと思います。
  104. 加藤清二

    加藤(清二)委員 それでは次にアラビア石油の宮内さんにお尋ねしたいと思います。  山下太郎さんとそれから佐藤総理のむすこさんが国会へ来られまして、あそこから権利を買い取られますときに、ここの国会で審議したことを覚えております。あれはもう二十年ほど前の話ですね。確かに石油資源開発法というのが昭和二十七年にできたのです。しかし、それから十年たって石油業法、五年たって開発公団法、それからまた五年たってパイプライン法、一年たってことし、今度は需給のための統制法ということになってきているわけです。事ここに至った原因をよく調べて、それを除去していかなければならないと存じます。法律をどれだけつくってみたって、制限する側では民生の安定も経済の発展もほど遠いと思います。より多く資源を求めるということ、いま制限されようとしている、いや、されているこの資源を何とかしてもとに復する、資源を獲得するということのほうが大切だと存じます。その意味において、二十年近い間、外地でたいへんお働きになっていらっしゃるあなたさんや、その会社の皆さんに心から敬意を表したいと思います。  そこで、私がこの二十年来の日本石油事情をながめてみまするに、諸外国と比べてたいへんな、きわだって珍しい特徴があると思います。  その第一は、日本には国産が一つもないといっていいほど、九九%外国だよりであるということなんです。  第二は、あなたのところは別でございますが、それ以外のところは、産地に対して鉱区権、鉱業権、採掘、試掘の権利を持っているのがほとんどない、こういうことでございます。  次に、イギリスドイツもフランスも、オランダのような小さい国でさえも、あれだけたくさんのタンクを自分の港に持っているところでさえも、なお国策会社を持っている。日本には国策会社と称せられるものは、内地の精製販売にはあるけれども、外地に権利を獲得しているものはない。  それからもう一つは、石油製品の特徴としましては、製品を個別的に原価計算をするところの計算理論、計算原則がほとんど打ち立てられていない。ないないづくしで、あるものは何かといったら、この必需品の油に税金をひっかけようという、税金だけは世界一多くあるようでございます。これが実態だと私は基本的に認識しておりますが、私の認識にあやまちがありましたら御指摘願いたいと存じます。
  105. 宮内俊之

    ○宮内参考人 たいへん日本石油確保についていろいろ御研究され、御勉強されていることにまず敬意を表したいと思います。  会社が利権を取った当時の状況を私よく存じておりません。しかし、先ほど利権を持っている会社は、アラビア石油を除いては日本の会社はほとんどないというお話がございましたけれども、私の理解では、ただいま石油鉱業連盟というのがございます。これはたしか二十二、三社メンバーがあると思いますが、石油が出ている、出ていないというのは別にしまして、この石油鉱業連盟に参加しておる会社はほとんど全部利権は持っていると私は理解しております。ただ、利権を取って掘るという形につきましてはもう古い。と申しますのは、最近産油国政府が、御承知のように、企業参加とか国有化というようなことを次々と打ち出して実行しております。そういうことでこれからの石油の確保につきましては、やはり産油国とのジョイントベンチャーという形で行くのが私は本筋だろうと思います。  原油の価格につきましては、先ほど申し上げましたように、一つのルールが産油国側では確立されております。製品価格と原油価格との間とか、あるいは工業生産品と原油価格との間という形でこれはルールがもうでき上がっております。今後おそらくこのルールに即して原油価格というものは動いていくと私は予測しております。ただ、先ほど御指摘の国内製品価格にはっきりしたルールがない、そういうような御趣旨のようでございますけれども、私は実は原油を掘って精製会社に売っておる会社でございまして、それから先のことはあまり勉強しておりませんので、遺憾ながら十分な御回答ができません。あしからず御了承いただきたいと思います。
  106. 加藤清二

    加藤(清二)委員 それでは主として外地のことについてお教えを願いたいと存じます。  お説のとおりでして、権利はある程度持っている。しかし、九州石油は十何本掘ったけれども一本も当たらない。せっかく当てた岡田君のところは、岡田君が、せっかくミナスで当てておきながら、ついこの間死んでしまった。ということで、外地において資源を開発するということは非常に難渋することであるということは存じておりまするし、ジョイントベンチャー方式は、発展途上国が非常にナショナリズムで自国意識を旺盛にしてきている現状においては、あなたの意見に賛成しますが、私はいま過去の原因を探究しているところです。  それではこれから、これからの問題についてお尋ねします。  アラブが日本に対して、アメリカに対して、オランダに対して削減を要求したのが今度のきっかけだと存じます。ところで、そのアラブがこれを武器として使うということは、実はきのうきょうの問題ではない。私も実はイランの方々やクウェートの方々と何度も会っております。国内で会ったり外地で会ったりして、何度も何度も会っております。おっしゃることは、正当防衛である。正当防衛の武器としてこれを使うんだ、こういう考え方の基本に立っているようでございます。目的は何かといったら、二つあるようです。それはパレスチナの利権を回復してくれ、イスラエル軍を完全に撤退してくれ、これが基本のようでございます。イスラエル軍を完全撤退させろということは、パレスチナの自決権を尊重しろという安保理事会の一九六七年十一月二十二日の決議を日本も忠実に守ってくれ、こういうところにあると思いますが、いかがでございますか。
  107. 宮内俊之

    ○宮内参考人 アラブ諸国が石油を政治的武器に使うということは、一部では今度のイスラエルとの紛争が起こる前にいわれたこともあります。しかしながら、それは全体としては支持を得なかったと私は理解しております。  それから、ただいまイランの例を引かれましたけれども、イランはやはり政治的武器に油を使うべきでないという立場をとっております。ただ、先ほど私が参考意見として申し上げましたように、このたび石油を政治的武器として使うということを強硬に打ち出したのはやはりサウジアラビアだと私は理解しております。ということは、このイスラエルとの紛争を今回限りで結着をつけたいのだ、そのためには戦闘行為を長く継続してもベトナムのようになかなか結着がつかないから、戦闘行為というものはある時点までで中止して、そのあとで政治折衝だ、こういうふうに彼らは戦略を考えて、それでサウジアラビア自体は軍隊を全然動かしておりません。それにもかかわらず、エジプトとシリアのあと押しをする意味で、政治的武器に使うということを宣言したわけです。これはすでにことしの四、五月ごろから七月にかけまして、アメリカに向かって相当に根回しをしておったと私は感じております。  そういうわけでして、今度の紛争解決のために使うのだ。その紛争解決のアラブの要求というものは、ただいま御指摘のように大体三つ大きくございます。これはもう天下周知の事実でございます。それに対して日本がどれだけ国際的な政治舞台で支持してくれるか、これが答えだろうと思うのです。ですから私たちは、十一月の半ばにそういう現地の非常に緊迫した情勢を感知しまして、それで帰ってきてからそれぞれ政府の要路の方々あるいは財界の方々に事態は非常にきびしいぞ、日本としても、これは相当な決意を持って当たらないとえらいことになるぞという警告を発したわけでございます。その効果があったかどうか知りませんけれども、幸いにして十一月二十二日の政府声明ということになりまして、一応彼らが予定していた十二月二五%にさらに五%上のせするということだけは一応見送ろうということになったわけでありますが、八日の日の先ほど申したOAPEC会議では、一月からはさらに五%を上のせするかもしれない、あるいはするという一応決議だけはしたようでございます。まだ会社にははっきりと両国政府から書いたものでその通達は受け取っておりませんけれども、そういうことでございまして、この問題の解決というのは一に国際政治の問題だ、こういうふうに私は理解しております。
  108. 加藤清二

    加藤(清二)委員 同感でございます。  もう一つの問題があるように思われます。それはOPECもOAPECも共通した原理——まあイランはちょっと別でございまするけれども、資源には限りがある。買い手市場の言うなりになっていたらわれわれは早死にをしなければならぬ。クウェートのごとき最も埋蔵量の多いと目されるところでもいまの調子で六十年、イランのごときは三十年あるなし、平均三十五、六年という埋蔵量の推定のようでございます。したがって、私はクウェートの方々とも懇談をいたしました。OPECその他の国の方々とも懇談をいたしましたが、口をそろえておっしゃることは何かといったら、いま現在はいいというのです。われらの子供や子孫をどうしてくれるか、こう言うのですね。その場合にもとのもくあみの砂漠に帰ったときにわれわれの子孫を日本は受け取ってくれるのか、受け取らないであろう。戦争中酷使した日本のすぐ隣の国の一あえて名前を控えますが、おっぽり出して帰そうとしておるではないか。戦争中使ったユダヤ人をアメリカはいまやパレスチナをおっぼり出して、あそこへ送り出そうとしているではないか。三十年たってもくあみになったときに、われわれの子孫をどうしてくれるのか、こういうことです。これもやはり経済ベースや商業ベースで解決できる問題ではないと思います。あくまで政治ベースで事を運ばなければならぬと思います。それにつきまして、政府の中にもあれこれ計画はあるようでございます。たとえば砂漠を緑化するとか、あれこれあります。  私は提案をしてみたのです。経験がありまするから申し上げます。わが国は繊維王国でございます。すでにインドもパキスタンもアラブOPECの一国であるエジプトにも、日本の繊維工業を英知と技術をもって差し上げました。それを差し上げましょう。特にその材料は自国産のコットンもあれば、糸へんの材料といえば合成繊維がほとんどでございます。その合成繊維のもとはあなたのほうの油です。あなたのほうの油をいただいて糸にして、そして今度糸から加工する紡績から先のことはあなたのほうへ持っていって、またそれを差し上げましょう。そうしてイスラエルからパンティーストッキングを買うようなことはやめましょう。こういう提案をやりましたら、それはいい案だ、ぜひそれをさせてもらいたい、こういう意見がございましたが、要は三十年のものをあるいは六十年のものを、日本のように二億から三億へ、三億から今度日本列島改造論でいけば七億五千万キロも一年にほしいとこういう。それはやがてあちらの価値年限をますます縮めることになる。縮めようとするならば、その前に何か為替を組まなければ、量をふやすということ、ことしの九月以前の数量に戻す、それをまたふやして、日本経済の発展ベースに合わせるなどということは、それは砂上楼閣であり、砂漠の上に立った蜃気楼的日本計画であると私は思うのですが、これは間違いでしょうか。
  109. 宮内俊之

    ○宮内参考人 アラブ産油国——イランはアラブでございませんのでアラブに限りませんが、産油国一般に油がなくなった時代を想定して、いろいろと心配もし、計画も立てているのは事実でございます。私たちも油の利権をいただいて掘っているのでございますが、やはりそういう議論には常に一緒になって話をしております。油がなくなった時代のことを想定して、どういう計画を各国が立てているかということは、アラブと一口に言いましても国によっていろいろと事情が違います。したがいまして、各国はそれぞれの国の実情に応じた計画を持っておりますが、一口にして言えば工業化ということでございます。その工業化の出発点を何に考えるかということでございますが、これも国によって相違があります。しかし、たとえばイランのように、これはアラブではありませんけれども、人的資源もあり水もあるという国は、あらゆる産業をとにかくこの際開発すべきだという計画をもって進んでいると思います。しかし、サウジアラビア、クウェートのように水もなし、それから人的資源も、まだ十分に教育問題についてもできておりませんので用意はできておりません。  そういうために、彼らがいま最も考えていることは、やはり石油に関連した工業を自分の国で発展させたい、これが工業化の第一段階でございます。もちろんこれは大規模な工業化ということでございますが、それに並行して小規模の、いわゆる日本でいう中小企業程度の繊維工業とかあるいはポーセレンとか、いろいろ考えております。そういった、各国ともそれぞれ工業化のプランがございます。  そういうわけですから、われわれが単に油を買って、日本でそれを繊維に加工するにしても、あるいはその他の石油製品に加工するにしましても、それをさらに売るという考え方で進んでおると非常な間違いが来るのじゃないかと思います。やはり彼らは自分の油の命のある間に自分の国の工業化をやって、そしてその工業で国の生計を立てていこう、こういう基本的な考えでございます。油の産出の制限も、その国の工業化に必要な資金を確保するだけ生産していけば十分じゃないか、それ以上生産したのでは通貨の不安もございますし、何のために、それこそ他人のためにそんなにわれわれが犠牲にならなければならないのか、こういうことを彼ら自身が口にしますので、そういう点も十分御留意願いたい、こういうふうに存じております。
  110. 加藤清二

    加藤(清二)委員 ありがとうございます。あなたのおっしゃることばと、私ども社会党が調査いたしました結果と完全に一致しておるようでございます。それはそうでしょう。相手国は、人によってうそを言いませんからね。人によって区別して別なことを言うというようなことをしませんから、一致している。  さてそこで、お説のとおり、同じOPECないしはOAPECと申しましても、イランは少し国情が違うようです。それから工業化につきましても、イランとエジプトはやや進んでいると申しましょうか、すでに繊維工業には着手して、日本の技術をも材料をも導入しておるようでございます。  そこで、いま教えていただきたいことは、ほとんどが経済ベースとか商業ベースではなくて政治ベースである。その場合に、いまちょうど三木さんが行っておられます。わが党からも代表が行っております。わが党の代表は押しかけではありません。向こうからぜひ来てくれと言われて、招待を受けて行っているわけでございます。そういう行き方もよろしいですが、でき得るならば、ほんとうに共存共栄を願い、世界の平和を願う議員どもがかの地に渡りまして、よく現地人と話をし、現地をつぶさに見て、そうして彼らの意見もよく取り入れて、日本で取り入れられるだけ取り入れて、そうして共存共栄の実を結ぶということが、やがて友好の基であると同時に、日本石油がほしいという要望をも兼ね満たしていただける原因ではないかと思っております。  そこで、あなたの会社は、ずっと十何年も向こうにいらっしゃるので、向こうの状況がよくわかるでしょうが、どうでしょう。社会党へは招待が来ている、国会議員がそれぞれ向こうに行って、そういう勉強会をする、友好の実をあげる、こういうことをするということは、業界の皆さんにとっては迷惑千万な話でしょうか。それとも、そういうことはおれらにまかしておけ、君らは国内だけのことをやればよろしい、こういうことでございましょうか。いかがですか。
  111. 宮内俊之

    ○宮内参考人 どうも話が企業の経営そのものに入っていくような感じになるのでございますけれども、ちょっと私いまお話を承っていて気になりますのは、政治ベース、商業ベースという二つのことばが出たわけでございますが、アラブの連中と企業を経営する際に、私たちが十年やっておりまして、特にサウジアラビアでございますが、非常に感じますことは、採算ベース、いわゆる商業ベースということを非常に強くわれわれに要請してまいります。ただ、今後新しい企業を起こして、それを経営していく場合に、御承知のように、国内の私企業の資本蓄積といいますか、個人の資本蓄積というのは非常に少ない国が多いわけです。したがって、仕事を始めるときにはやはり国の資本をどうしても導入してやっていくということが考えられておるようでございます。     〔稻村(左)委員長代理退席、委員長着席〕 そういった関係で、企業が全部政治ベースで運ばれるんだというふうに、私はそこまでは考えません。非常な商業ベースを基盤にしまして、それでいずれは彼ら自身も——国によってこれは違うと思います。たとえばリビアとかあるいはサウジアラビア、クウェートと、それぞれ事情が違いますので、そういうアラブの諸国を一口にこうだというわけにはまいらぬと思いますけれども、基本的にはやはり国の資本を利用する、それから国が先導的な役割を果たすという考えは根底にあると思います。ただ、彼らが口で言うことは、いつの日か、それは私企業にとにかく移管するんだ、こういうことでサウジアラビア、クウェートあたりも進めております。
  112. 加藤清二

    加藤(清二)委員 与えられた時間がもうあと迫ってまいりましたので、一つだけお尋ねして終わりとします。  日本への輸入油が削減されているのは、必ずしもOPECやOAPECの関係だけではないと思います。一番問題はメジャーである。メジャーが、アメリカやオランダという国に削減された分を日本に上のせしてきている、こういう例がたくさんございまして、OAPECだけであれば、かりに三割削減されたとしても、日本の油としては、全体の四割ですから一割二分になるわけです。しかし、それをあるものは二割も三割もと、こう言ってきているのは、流通機構を握り、資本を握り、精製を握っているのはメジャーなんです。したがって、メジャーが、アメリカ削減され、オランダが削減される分を日本その他の国へひっかけてきている。アメリカをゼロにするわけにはまいりませんからね。そういう問題がある。これについては時間がかかりますから、そういう問題があるかないか、これだけでけっこうでございます。
  113. 宮内俊之

    ○宮内参考人 それぞれの会社がどういうふうに自分のお得意さんを取り扱っているかということは別問題にしまして、少なくとも産油国の指令というものは、そういった自分の手かげんをする余裕はないようにできていると私は思います。たとえば私の会社の例を申しますと、全体で二五%カットだ、まずこれが会社ごとに全部来るわけです。十一月の実績から十二月はさらに二五%カットだ、こう来ます。そうしますと、そのカットした七五%の中からまず友好国へ、一月−九月の実績または九月のいずれか高いほう、その実績までを優先的にやれということです。積み出せということです。そうしますと、必然的にそれ以外の国の分け前というものは減らざるを得ない。しかも、それは一月−九月の実績でプロラタでやれ、こういうことでございますから、国別のワクがきまってきてしまいます。そういうことで、日本に割り当てられるべきプロラタで出ている実績をうんと減らして、それをそれじゃドイツへ持っていく、そういうことは私はできないと思います。私の、うちの指令をたてに、ベースにして考えますと、そう思います。
  114. 加藤清二

    加藤(清二)委員 けっこうです。メジャーのアメリカ五社はそういうことをやっている事実をもうつかんでおりますけれども、本日はこの程度で終わります。
  115. 濱野清吾

    濱野委員長 佐野進君。
  116. 佐野進

    ○佐野(進)委員 参考人の皆さんにはたいへん長時間にわたって御苦労さまで、お忙しいところを特に帰らないで質問に答えていただくことについて、忙しい方もいるのに心から感謝します。  そこで、私、きのうも実は参考人の皆さんに御質問をしたんですが、この法律が現在の緊急事態に対して何か特効薬のような感じをお持ちになられて、この法律さえ通れば石油問題がほとんど解決するんじゃないかと錯覚しておられるんじゃないかと思うほど実はきのうの参考人の大部分の人たちが非常に賛成である、早期に通していただきたい、こういうことを強調されましたので、私ちょっとかちんときましたものですから、たいへんいろんな点で心配ございますよ、こういうような質問を申し上げたのでございますが、そういうことを前提にしながらきょうのお話を聞いておりましたところ、やはり同じような印象を受けているわけなんでございます。  と申し上げますことは、特にいま加藤先生がおっしゃいましたけれども、いわゆる輸入元、元請、大企業関係、こういう方々は、もろ手をあげて賛成を主張しておられるような感じがいたします。消費サイドに密着している消費者、それから消費サイドに密着しておられる方々は、若干の危惧を残しながら賛成をしているように見受けられます。そこで、そういう点から御園生先生以下、逐次ひとつ御質問をしていきたいと思いますので、おつき合いを願いたいと思います。  まず私、先生が現下の情勢からするならば、ある程度の統制はやむを得ない、したがって、この法律については一応賛成である、こういうようなニュアンスで私は受け取ったわけでございます。独禁法上の問題は別といたしまして。そこで私、この法律案をいろいろ検討をいたしてまいりますと、結果的に第四条、第十条、第十一条に集約的に当面する事態に対処するための条文が提起せられておりまして、ここを中心にいたしましていろいろの問題が条文として出されておるわけであります。特にこの条文の内容は、現行法律である昭和三十七年に制定されました石油業法と相関連する条項がたくさんあるわけなんです。ある中におきまして、特に緊急事態であるといって需給適正化法案を出しているわけですが、そこで私が一番心配したいのは、いま先生が先ほど独禁法上の問題として提起されましたけれども、結局価格安定法案と裏表の関係になっているわけです。したがって、この法案が出されますと、一定の需給量について適正なものはこれだといって第四条できめまして、具体的な配慮で十条、十一条でそれぞれきめていくわけでございますけれども、もしこの法律で需給量が決定されると、皆さんは必ず価格は上がる、こう言っているのです。価格が上がることを法律で押えるわけでございます。押えるということになりますと、一定の条件下におきまして必然的にすべてのものに対して一定の価格制限が波及していく。とすれば、その企業ないしその産業界全体に対して所得政策的なものが導入されざるを得なくなってくる。いわゆる所得政策がここに関連して発動されてくるのではないかという懸念がこの二法案の発生と同時に考えられてくるわけです。特にそのことが先ほど申し上げました第四条、第十条、第十一条に関連して、私どもは非常に大きく懸念するわけですが、いわゆる統制はやむを得ないというお考えに基づいて、必要悪としてのやむを得ないということであるのか、いわゆる将来計画の展望に立った場合やむを得ないという、石油という一つの時点に立った場合にやむを得ないというお考えであるのか、この点ひとつお聞かせを願いたいと思うのです。
  117. 御園生等

    ○御園生参考人 たいへんむずかしい問題ですので、はたして適切なお答えになるかどうか自信はございませんけれども、元来統制は、一部局にその必要が発生した場合でも関連産業を通じて波及するという性格を持っております。今度の問題が石油に端を発しましてどの程度の広がりを持つかということが、経済分析として必要になるわけでございますが、そういう前提につきましてお話ししたのでは時間がございませんので省略させていただきますけれども、あくまでも、石油に名をかりてその他の物資に至るまで統制行為を行なうということは、これは現在の自由競争を基調とする資本主義経済において避けるべきことである。これは特に消費者の立場だけではなくて産業界の立場からいいましても、いわゆる官僚統制は自由競争機能をそこない、結果としては経済の自由な発展をそこなうということになるわけでございますから、そういう意味におきまして統制は必要最小限度ということを特にこの法律の運用について保証する必要があろうかと思います。したがって、石油不足を口実にしてその他の物資についても、たとえば値上げを行なうとか、あるいは業界寄りの統制行為を行なうとかいうことがいけないわけですから、もちろん現在の程度においてそれが賃金にまで波及するということは絶対に避けなければならないだろうと思います。いわゆる所得政策の必要につきましては、これは別個の立場からその必要であるか必要でないかという問題を考えるべきものであって、現在の石油問題に名をかりて賃金に対して所要の限定を加えるということはあくまでも避けなければならないだろうと私は確信しております。
  118. 佐野進

    ○佐野(進)委員 田中総理が予算委員会の答弁の中でもそれに関連したような発言をいたしておりますので、われわれはこの法案を審議する際、特に慎重なる配慮をもって対処しなければならないと考えておりますので、あえてお伺いをしたわけであります。  そこで私、この法律案をそれぞれ検討いたしまして、学問的な立場からいろいろ先生も御検討なさっておると思いますのでお伺いしておきたい、と思うのですが、結局この法律に対する歯どめというのが何もないのですね。いわゆる条文をつくって、緊急の事態に対処して適正に配給をするんだということが精神でありますが、それじゃだれがやるのかというと、通産大臣であり、主務大臣であり、一部権限を地方行政機関の長ないし地方公共団体に移譲する、こういう形でございますけれども、しかしこれを歯どめがないということになれば、官僚統制がいい悪いにかかわらず、結局通産行政ないし各省の行政機関の中において処理される、こういうことになってくるわけです。それでは、どういう形の中でその民意が反映されなければならないのかということが私ども、たいへん問題になってくると思うのであります。  そこで、第四条の条項を閣議決定すれば、これが発動するわけです。十条は、通産大臣は石油のあっせん指導等をするという形の中で閣議決定に基づくところの措置をすればいいわけです。第十一条については、それに基づいてさらに割り当て、配給を行なえばいいということになるわけです。それを行なうのは通産大臣のもとにおける官僚である、役人である、そういうことになりますから、先ほど地婦連の方ないし若月さんのほうからいろいろな御意見が出されておるわけでございますが、これは御園生先生と若月さんに御質問したいと思うのですが、いわゆるチェック機関として何が必要であるかということであります。たとえば、第四条におきまして、国会の機能ないし、それぞれの行政機関の機能というものに対してのチェック機関というものが、いま石油業法におきましても第三章第十六条に審議会が設置されておりますが、いわゆる隠れみの的な形式を持っておるわけでございます。したがって、これに対して審議会をつくる、監視機関をつくるといってみても、結局それが先ほど田中さんが御発言になったような形の中で運営されてしまえば何にもならぬわけであります。したがって、チェック機関を法律的に設置するという必要があるとするならばどのようなことがいいのか、そういうことについて御園生先生に一言お伺いし、現実の面において先ほど若月さんのほうから、その面については強い御意見の表明がありましたので、具体的にどのようなことをやったならば、あなた方がこの法律の施行の際、受けるべき被害を最小限にとどめることができるのかという点についてのお考えがあればお示しを願いたいと思います。
  119. 御園生等

    ○御園生参考人 チェックの方法といたしましては、まず第一に、やはり先ほどの田中里子さんの御意見にありましたように、消費者がこの法律運用について何らかの形で参画するということが必要だろうと思います。これは二つあります。  一つは、事前に発動すべき事態であるかどうか、また発動を迅速に行なうべきであるかどうかということの判断を消費者あるいは中小企業の立場から反映できるような、そういう仕組みをつくる。簡単に言いますと、審議会ということになると思います。ただ、従来の審議会は、いまのお話にもありましたとおり、何ら権限のない審議会ですから、閣議決定と並んで審議会の議を経なければならないというような法律上の要件も規定する必要があろうかと思います。  もう一つは、事後監視の問題です。末端価格において、これらの統制価格が守られているかどうか、また需給について不当な方法による割り当てがないかどうか、これを監視することも、もう一つ必要だと思います。これは、かなり広範な消費者の立場からの申し立てが可能であるような仕組みをこの法律に盛り込むということが一つの案かと思います。法律体系上それがはたして可能であるかどうかは研究してみなければなりませんけれども、独禁法は、たしか四十五条だと思いましたけれども、何人も、この法律に違反すると思料される事実があるときは、公正取引委員会に対して、その旨を申し立てることができる。また、その申し立てがあったときには、公正取引委員会は所要の調査をしなければならない、こういう規定がございますが、あたかもそれに対応するような規定をこの法案に盛り込むということも、もう一つ方法だろうと思います。それから、そのような消費者、中小企業、つまり弱い者の立場を何らかの形で反映させるということとともに、やはり官庁間のチェック・アンド・バランスと申しますか、公正取引委員会に何らかの形でチェックの機能を持たせるということが必要であろうと思います。そういう点につきまして、先ほど私の意見陳述の中で、覚書が包括的な安定カルテルの許容を行なっているということを再考すべきであると申し上げた次第でございます。  以上でございます。
  120. 若月勇

    ○若月参考人 私のほうで、いまの問題につきまして申し上げますと、このような緊急の事態ができたときに本法を適用するのだというような形になっておりまして、言いかえれば、解説の中では、中東戦争の起こらない前に戻ったならば、この法律は適用しないのだということで表現されています。これは重大な問題があるわけでございまして、御承知のように、日本石油業界は、ほとんど一部を除いて外資が入っております。はなはだしいものは、株まで持って、しかも重役まで入れている。これとメジャーとの直結があるわけでございます。日本の資本、いわゆる石油産業は、過大に表現するならば、ほとんど外国の息のかかっているものであるということでございます。まして、輸入するときに、国民がどういうものをどのように必要かという、かつて通産においての資料もないままに石油会社の設備あるいは販売方法によって、最もメリットのあるものを輸入していたことがございます。したがいまして、現在のような状態になるわけでございます。しかも、すでにこの中東戦争で肝心なことは忘れられておりますが、公害という問題を一つとらえましても、公害は、起こるべくして起こっているわけでございます。このように国民の欲する最小限度の必要なものが、適切に何かのチェック機関によって適切に輸入されて、製造させるというようなことが今回の案の中に盛られておりまして、この緊急事態がなくなったらばもとに戻すということになると、また公害のたれ流しに戻るという国民にとって重大な問題を提起しております。そのように書いてございます。ここに問題があるのが一つであります。  それから、そのような状態で適切に配分されて、なお、価格ももっともだということで、消費者でございますわれわれ国民が受け取る側でございますので、したがいまして、その中に出ております条文の中で、協会という一つの、何のためにあるのかわからない存在の協会というものが中のセクションに入っています。協会の目的は、それぞれありましょうが、たいがい社団法人というような形で、その協会を通じて公益に資するとなっています。公益に資する相手は国民でございます。ところが、個人タクシーの側におきまして、現在スタンド協会というえたいの知れない怪物がおりますけれども、ここがメーカーと直結しまして、そうして個人タクシーに安く売ることを妨害して、正式な、正当な取引をしているこのスタンドに個人タクシーの取引をやめるような強権を発動して、われわれの実際の需給に迷惑をかけておる。こういういままでの実態のものがこの監視体制の中に組まれておるということになりますと、ますますこれは一つ統制と同じもので、規制でございます。考え方は同じでございます。この規制の中で、このような何ら国民の真意を反映しない業者サイドだけの代表によって監視体制がつくられるということについては、われわれとしては納得できない。したがいまして、先ほども御意見がございましたように、われわれを当然そのいわゆる機構の中に入れていただいて、そして輸入から製造から、そして末端の消費に至るまでの問題について事後に見せていただくでなくて、事前に監視する体制の中に一枚加えていただかなければ、これはまことに業者サイドの手盛りでできる大きな内容を内蔵しております。そのように受け取っています。
  121. 佐野進

    ○佐野(進)委員 実はきのう元売りの参考人にお聞きしたのですが、政府行政指導によって百五トンの緊急放出を行なって、年内タクシー業界関係については騒ぎは鎮静するであろう、こういうようなきわめて楽観的なお話があったわけです。事実そのようなことが量的な面からすれば確保されたということになるのですが、きょういまあなたのお話を聞くと、三千人の人たちが通産省へ陳情している、あるいはすでに自殺者まで出した、こういうことになりますると、ここで法律の条文上において一定の機関をもって量的に確保されても、さてそれが配給の末端に行ったときに、異なった形の中であらわれてくるということを、私どもはこの緊急という名のもとにこの法律を通した際、結局法律を通したことによってむしろ悪い面が出てくるのじゃないかということにならざるを得ないじゃないかという危険性を実はひしひしと感じておるわけです。したがって、いま御質問申し上げておるわけですが、この具体的な監視機関の中にあなた方の代表が入るという形の中でその機能を十分果たし得ることができるか、あるいはまたいわゆる末端配給機関をきめるとき、いわゆる第四条の段階、あるいは第十条の段階、あるいは第十一条の段階等々のそれぞれの段階に処したところのあなた方のいわゆる主張というものが生かされる方法——条文の中には生かされておるわけですが、さて具体的になりますると、実際生かされてこないというのがいままでの例でございますので、それらについての御見解があれば、これをお示し願いたい。——ちょっとお待ちください。時間がございませんので、トラック協会にも同じような御質問を申し上げます。  トラック協会の武藤さんですか、あなたから、先ほどたいへん具体的な御説明があったわけです。私ども、トラック業界の人たちにはたいへんたくさん知り合いがございますので、その実情にはいささか知識を持っておるつもりでございますが、いまお話のございましたような、具体的に東京都なら東京都の業者が東京都内なら二〇%カットないし三〇%、それから東京都内を出た場合においては五〇%ないし七〇%カットによって、事実上長距離輸送が行なわれ得ない状況の中に置かれている。こういうような実態であることも私どもはよく知っておるわけですが、実は午前中、力石先生から、日本経済の現況の中で石油関連産業というものの位置づけというものについていろいろお話がございまして、今日の状況下において、トラック産業の果たすべき役割りは、いわゆる長距離輸送から中距離以下の輸送に転換すべきではないか、このような示唆が実はあったわけです。  そこでお尋ねいたしたいことは、あなたがいま御説明になられた際に、業者二万六千人、九八%が中小企業である、このような御説明がございましたが、この九八%の中小企業の大部分の方々がどのような状態においてお仕事をなさっておるか。いわゆる長距離輸送を担当される部面がどの程度おありになるのか。この質問を申し上げることは、われわれが必要量を確保するという強力な運動を展開する際、いわゆる大手と称するものと中小と称するもので必然的に力関係において差が出てくる可能性を持ちますので、その可能性の中でそういう必要があるのかないのかということをいまお聞きしておきたいということで御質問申し上げるわけです。  若月さんと武藤さんに御質問申し上げます。
  122. 若月勇

    ○若月参考人 時間がないようですから簡単に申し上げますけれども、いま御指摘になりましたように、十二月のいわゆる自動車用の供給としまして、十一月分の実績から一〇%カットいたしまして、自動車用という形で十一万五千トンが十二月の供給という形で、通産、運輸でいろいろ検討した結果はじき出された数字でございます。しかし、これは自動車用でございまして、タクシー用ではございません。常時、タクシー用としましてはこれをオーバーするだけの絶対量を使っておったわけでございますが、絶対量がない今日はやむを得ないとしまして、約五%が、いわゆるバキュームカーあるいはごみを運ぶ運搬車、その他トラックが占める数量がカットされます。大体五%です。したがいまして、十一万五千トンの中で、五千トンがタクシー以外の自動車の持ち分になるわけでございます。この十一万トンをわれわれとして法人業界個人タクシーとして分けていくわけでございまして、これは業者サイドまかされましたので、基本的には、走行キロが大体二が法人で、個人が一でございますので、二対一という形で、万やむを得ない形でこれは業者サイドで分けていく。このように円満に事が運んで、この分け方について、乏しいことについて業者サイドで仲よく分けることができます。  ところが、たまたま御指摘になりましたように、個人タクシーは現在、従来の六〇%減でございます。全くどうにもならない。延々長蛇のごとく並んでいる。休んでいる。自殺騒ぎも出ている。こういうことで通産省が特別重点的にそれを解消するために約千五百トンを緊急的に放出して、この悩める個人タクシーを中心として延々長蛇を解消するということで、われわれはクリスマスプレゼントだと受け取っております。ところが、これを事もあろうに、運輸省にも業者にも相談しないで、えたいの知れないスタンド協会の幹部を呼びまして、これの割りつけをきめた。これによりまして、新聞に出ましたように、会長から副会長、ほとんどが役員、一カ所だけが役員でございませんが、これを称して、ものわかりのいい方だと協会ではいっておりますが、この人たちに分けてしまった。七トンずつやりましたから、日躍に百五トンという配給をします。また月躍にも三十か五十が出ておるようでございますが、この地域は、何ら緊急という形の対象地ではございません。しかも緊急ということで、まあアンラとかあるいはララの救出物資のごときとうとい資源でございます。まして、目的があって、乏しい中から緊急的に通産省にやっていただいた。これが一部いわゆる協会屋、これのために、実質的に困っている人たちのところへ向かないで、とんでもない方向へ行ってしまって、主として法人業界のいわゆるタンクに入ってしまった。個人タクシーは若干の恩恵はございましたけれども、実質的に絶対数がありませんので、みんなにうまいぐあいにいかないことは事実でございます。しかし、その問題が起きて、緊急になろうというこの問題が起きたところに配給されるならば、少ないといいましても絶対量を仲よく法人と分けますと、法人が八〇、個人が四〇にしますと、これが一日半に該当します。個人タクシーだけで四〇を分けますと、三日に該当する。個人タクシーだけもらいたいとは必ずしも言えないのですけれども、個人タクシーがかわいそうだということから出てきたこの大事のものを、  一部の業界がこのような分け方をしてしまって、肝心の解消をしない。われわれはもう全く休業している。こういう実態は、申し上げたとおり何らここに消費者の声が届かない。どこかでパイプが切れている。いや曲がっている。このようなことが行なわれている。したがいまして、そういう先入観にこだわるのは何ともあれかもしれませんが、この法案の中にも、そのようなえたいの知れない過去の罪悪をやっているこういう連中が、消費者の声を代表するかどうか。これは業界の代表、全く上から下まですべて業界の代表である。こういうことでは、せっかく緊急のために、苦しい中で——ずうぶん言いわけなさっている。統制じゃないのだ、規制だ。規制という名前の統制です。その中でやる真意が曲げられてしまう。したがって、われわれの末端の消費者は、この中に入って、そして納得いくような形でやっていきたい、これをお願いしたいわけでございます。
  123. 武藤儀一

    武藤参考人 全日本トラック協会の武藤でございます。  トラック輸送は、主体は中距離あるいは近距離輸送が主体でございます。ただ、現在のところ国鉄のほうがそれほどの輸送力がございませんので、それにかわりましてかなり長距離を動いておるわけでございます。もう一つ、荷物の性質やらあるいはいたむのをいやがって、トラックを使うというようなケースがございまして、総体としましては三・三四%でございます。  その中で、大業者、中業者という問題がございますが、私のほうでいいますと、路線業者、区域業者ということで、路線というのは小口の貨物を積み合わせて長距離運行していく、途中で積みおろしをやっていくというようなケースがございます。それから区域のほうでは、たとえば銚子の魚を東京へ持っていく、これは中距離でございますが、宮城の石巻だとかあるいは青森県の八戸、あそこで水揚げされた魚を東京へ持ってくるというようなケースもございまして、それがたとえば青森の八戸から持ってくるのは、国鉄の輸送力が十分ならそれで運ばれるはずなんでございますが、現実の問題としましては、市場との関係がございまして、東京の市場へあした着けなければいかぬというような問題がございまして、トラックがかなり使用されておるわけでございます。リンゴやミカン等につきましても同じでございまして、ことしの四月、国鉄の輸送力が非常に逼迫しましたときに、高知や愛媛県から大阪あるいは東京の市場へミカンを運んだというような、これは輸送命令によって運んだわけでございますが、そういうようなケースもございまして、一がいに、トラック長距離を運ばないというきめつけも無理かと思います。
  124. 佐野進

    ○佐野(進)委員 トラック協会のいまのお話、私も事情はわかっておりまするから、そうであろうと思っておるわけですが、ただ、一般的な概念から申し上げますると、いわゆる大手と中小、特に中小といいましても一台持ってやっているトラック業者の方もおりますし、平均三台、四台という零細な方が多いわけですから、それが今日の状況の中で油の配給がとだえ、非常に苦労しておる面があるわけですから、そういう面が全体的な印象の中で埋没してしまって、結局トラック輸送は一種の罪悪であるといわれるような印象を与えないように、トラック業界の方々もこの際大いに、零細業者の立場がこの法律審議の中に生かされるような適切な説明というか、表現といいますか、そういうものが必要ではないか、このようなことを感じましたので質問を申し上げたわけです。  そこで、時間もたいへんたちましたので、宮内さんに若干御質問をしてみたいと思うわけです。  先ほど来いろいろ御質問がありましたが、結果的に供給量がどれだけ確保されるのかということが、問題解決の基本的なものになってくるわけであります。供給量が確保され得ないで、いわゆる石油の大もとの供給量が来ないで、需要だけを抑制しようとしても、これはなかなかたいへんだということになるわけでございますので、先ほど来いろいろ御説明があり、私どもたいへん参考になりましたが、いわゆる経済面と政治面と両面に分かれて、この問題の処理が当然はかられてこなければならないということもよくわかるわけでございますが、結局、先ほど加藤委員の御質問等もございましたけれども、私どもとしては、いわゆるOAPECの供給というものとメジャーの供給というものがどの程度からみ合って、そのことによって実際上、たとえば一五%の削減だと言われても、われわれがあらゆる書物を読む中において、三五%になっているとか四五%になっているんじゃないかとかいわれるような説明があって、実情についてわれわれは混乱するわけですね。一体どれが本質かといっても、行ってみなければわからぬし、行ってみても、現実の問題としてその機構、仕組みの中に入り込んで、えぐり出して調べてみても、われわれの知識をもってしてもなかなか理解でき得ない面があると思うのでございます。  そこで、端的に御質問申し上げたいのでございますが、あなたのさっきの最後の御説明で大体了解はできるわけでございますけれども、いわゆるアラブ寄りの政策をとればアメリカ側の反発を招く、メジャー側の反発を招くということは一種の常識的なことになっているわけでございますが、それらの点についてどの程度の限界性があるのか。いわゆるアラブ側の理解を得ることによって供給削減が一〇%に下がったという形になるならば、一気にこの問題は解決するという形の中において処理されるのか、あるいはメジャーが存在する限りそれは不可能なのか、そこの点をひとつ端的に御説明願いたいと思います。
  125. 宮内俊之

    ○宮内参考人 日本全体の立場からの供給量の問題ということになりますと、OAPECとそれからそれ以外の諸国から、日本にどういう割合で供給されているかというのが第一に問題になると思うのです。それで、昨年の実績によりますと、OAPECは日本全体の四〇%、ですから六〇%はOAPEC以外の国から供給されている。したがって、OAPECがどれだけ削減されるかという問題と、それからもう一つは、OAPEC以外の国は全然削減という問題を提起しておりませんので、それらの国から油を取得している会社の自由裁量が相当にきくわけでございます。それのいい例はイランだと思います。ですから、イランのコンソーシアムのメンバーにメジャーがたいへん入っております。ですから、その油を日本あるいは日本以外にどう配分するかという問題は全然規制がありませんから、それの会社の自由裁量であります。私の会社のように、OPEC諸国の、しかも一番規制を厳格にやっておりますサウジアラビアとクウェートの例をとってみますと、まず現在二五%の削減でございますが、この二五%の削減というのは、アメリカ糸であろうがイギリス系であろうが日本系であろうが、全部採油会社には一律に適用されます。  それから友好国、つまりイギリス、フランス、それからブラジル、スペインですか、こういう国に、ことしの一−九月の実績または九月のいずれか高いほうを限度として、向こうの要求があればそれまで供給すべし、こういうのがあるわけです。したがって、われわれの契約でもそうですが、ほとんどの国はそれを限度一ぱいとります。そうなりますと、それ以外の禁輸国は別でございますが、それ以外の国に対する供給というものは当然二五%以上の削減率になるわけでございます。しかも、それをそれ以外の国で採油会社が適当に配分できるかというと、そうではありませんで、それ以外の国の一−九月の実績を限度としてプロラタで配分しろということなのでございます。ですから、その限りにおいては、産油会社としては、少なくともOPECの分は、そんなに自由裁量で日本の分を減らすとか、そういうことはなし得ないというふうに私は了解しております。
  126. 佐野進

    ○佐野(進)委員 そこで、きのう石油連盟会長の密田さんのほうからいろいろお話があったわけでございますけれども、この状況の中で先ほど来御説明がありましたけれども、長期的な見通しはともかくとして、短期的に来年の状況を予測した場合、この法律が制定された場合は至急発動すべき状況下に立ち至るとお思いになりますかどうか、あなたのお考えだけでけっこうでございます。簡単にその状況についての分析をお示し願いたいと思います。
  127. 宮内俊之

    ○宮内参考人 私は特に十一月中旬にアラブの国を回っておりますので、私の感じとしては、自分ではわりあいに新しいことだと思いますが、その当時アラブのそういう主要国の要人ともいろいろ話をざっくばらんにやってみました。その結果は、いまのアラブの要求が実現されるまで、少なくともタイムテーブルができるまではこの生産削減はやめない、こう言っております。  そこで、問題は、すべてイスラエルとアラブの和平交渉がどういうテンポで進渉するかということにかかっていると思いますが、私の感じでは、そうここ一、二カ月の間にこの問題に結論が出るとは思いません。ただ、最近になりまして、それは十一月の半ばの感じでございますが、アラブの中の足並みが必ずしも一致していないという形は見えておりますが、だからといって、アラブ側の要求がそうすぐ緩和されるという見通しは全然持っておりません。これは交渉事で、しかもアラブとイスラエルといえば、これは世界に名だたるいわゆるバーゲニングの典型的な人種でございます。
  128. 佐野進

    ○佐野(進)委員 ですから、この法律が直ちに適用、発動する、そういう緊急事態に立ち至っておるかどうかということについて、一言だけ感じを言ってください。
  129. 宮内俊之

    ○宮内参考人 私は緊急事態だと感じております。
  130. 佐野進

    ○佐野(進)委員 山下さんにも御質問を申し上げたいと思っておりましたが、時間がなくなりましたので、省略いたしたいと思います。  いずれにいたしましても、この法律案につきましては、われわれも慎重にあしたから審議をいたしたいと思うのでありますが、内容等についてもわれわれとしてはいろいろ心配しなければならぬ面がたくさんあるわけでございますが、先ほど来御質問申し上げて参考になりましたことをお礼申し上げて、質問を終わりたいと思います。
  131. 濱野清吾

    濱野委員長 板川正吾君。
  132. 板川正吾

    ○板川委員 御園生先生にお伺いいたしたいと思います。  この石油法案は、私が申し上げるまでもないのですが、石油不足してたいへん困るという事態が来た場合に、政府がそれの緊急事態といいますか、それを宣言をする、そうして通産大臣は石油供給目標を示す、生産計画を作成する、そして行政指導によって需給の適正化をはかる、こういう前段の内容であります。しかし、それでもうまくいかなかった場合には割り当て、配給制をとろう、これは十一条にございます。割り当て、配給制をとるにいたしましても、あるいは前段の行政指導にいたしましても、やはり業界協力ということが背後にあるわけであります。  問題は、この法案が成立をして運用をされてまいりますと、結局、業界主導型のカルテル体制、しかもそれが定着をしてまいりますと、独禁法が示す自由な価格メカニズムを通じて適正な配分をするという原則に重大な穴があく、こういうことになるわけでありまして、この法案を通じて私どもが非常に心配する点はその点であります。  公取と通産に伺いますと、例の覚書の解釈について、どうもたてまえと本音があるようであります。公取は、先生もお話があったように、いわばたてまえ、名をとって、通産は実をとった、こういうふうに世間一般も実は見ておるわけであります。いろいろ聞きますと、政府一つの指示をした、それに業者なり業界が個々に従うということであるからカルテルではない、しかし、政府が指示したことについて業界が横の協定をして守ろう、こういうことになりますと、これは独禁法違反になるぞ、こういうような解釈を公取ではしておるわけであります。そして、たとえばこれは標準価格で説明してもいいのですが、標準価格を小売り百円とした場合に、百十円で売ろうという人に百円で売らせよう、こういうことになる場合には、これは独禁法違反にはならない、しかし、九十五円なり九十円で売ってもいいという人にこの標準価格を守らせようという押しつけは、これは独禁法違反になります、このような解釈を実はしておるようでありますが、先生の趣旨はこういうのですね。政府の指示に業者が協力するということはカルテルでないと目をつむって、そして非常に幅の広い実質的なカルテルを容認するのじゃないか、そうであるならば、堂々と、たとえば不況カルテルのごとく、あるいは他の法律で独禁法適用除外の法律があるがごとく、法文で明確にしたほうがよろしい、こういうふうに先生が主張されておるわけであります。実はこの覚書がすでに事務次官と公取事務局長との間に取りかわされております。われわれがここで考えるのは、この覚書は確かに先生の言われているような危険性がありますから、何とか覚書を消していかなくちゃなるまいという感じがするわけであります。  そこで、先ほど田中里子参考人も言いましたように、外為法六十五条あるいは証券取引法の何条かにあるそうでありますが、同じ趣旨だそうですが、外為法六十五条には、「この法律のいかなる条項も、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の適用又は同法に基き公正取引委員会がいかなる立場において行使する権限をも排除し、変更し、又はこれらに影響を及ぼすものと解釈してはならない。」という規定がありまして、外国為替を通じて業界のカルテル的なものを容認はするけれども、これは独禁法の適用除外されたものではないぞ、こういうふうな規定があるわけでありますね。私は、この覚書が取りかわされておる実態の上に立って考えますと、この外為法や証券取引法の中にうたわれているような独禁法の精神を曲げたものでない、こういうことを明白にしておけば、先ほどの心配はなくなるのではないだろうか、こう思うのでありますが、先生の見解はいかがでしょう。
  133. 御園生等

    ○御園生参考人 お答えいたします。  私は、もし独禁法の適用すべからざる事態が起こった場合には、その法律の明文をもって適用除外をすべきである、また、そのことによって十分な内容を取り締まることが可能であるということを申し上げたわけでございます。しかるにもかかわらず、公正取引委員会は通産省並びに企画庁との間に覚書をかわし、今後この種の協力行為については、つまり安定カルテルについては独禁法に抵触しないという意見の取りかわしを行なった、これが覚書でございます。  この法律的な効果からいいますと、先ほど言いましたように、独禁法第三十八条には、委員長及び委員、職員は、事件についての意見を公表してはならないということになっております。これは事件についての予断をあらかじめ持つということを防ぐ意味だと思います。したがって、そのこと自体かなり問題ではありますけれども、おそらく公正取引委員会では、三十八条のただし書きに、ただし、この法律に規定された場合及び研究の結果を発表する場合はこの限りではないといっておりますので、おそらく研究の結果であるというふうに答えるだろうと思います。しかし、研究の結果なら、何もあらかじめ発表しなくてもいいわけで、初めからそれはわかり切ったことであって、それをわざわざ覚書という形で交換するということは、やはり何らかの形で少なくともモラリッシュに公正取引委員会を縛るということになり、これは独禁法の重大な穴あけになると考えざるを得ないわけです。したがって、いま板川先生のおっしゃいましたような、少なくとも、この法律は公正取引委員会の活動を制約するものではないという外為法の第六十五条の規定がございますが、そういう規定を設ければ、公正取引委員長の研究の結果であるという意思がおそらく貫かれて、今後独禁法の運用についてはそれほど大きな支障は生じないかとも思います。ただし、これは公正取引委員会があくまでも厳正に独禁法を守ろうという意思があって初めて可能であるということを申し添えたいと思います。
  134. 板川正吾

    ○板川委員 これは先生もあるいは御存じと思いますが、昭和二十五年に野田醤油外四名にかかわる公正取引委員会の審決がございますね。これは審決の内容を読んだほうがわかりやすいかと思いますが、野田醤油外四名の業者が、政府の指示に従って協定した行為をやった。しかし、それは独禁法に抵触するという審決でありますが、一応読んでみますと、「被審人協会の意図がその弁解するごとく政府機関のなす施策に協力する意図に出でたものであり右陳情書の提出についても物価庁側のしょうようがあった事実は認められるのである・が政府機関の施策に協力する場合においても適法な範囲でこれを行わなければならぬものであるから、このような事情があってもそれが事業者団体法の許容活動の範囲内の行為であると認めることはできず、」——当時事業者団体法がありまして、共同行為を禁止した規定がございますが、この独禁法の基本的な考え方、たとえば政府の指示であったといたしましても法律で明確にそれが除外規定がない限り、これは独禁法の法域を侵すものではない、独禁法は運用上これに何らの影響を受けない、こういう独禁法上の解釈が今日も存在しておると思いますが、いかがでしょう。
  135. 御園生等

    ○御園生参考人 そのとおりだと思います。ただし、公正取引委員会運用方針がその当時と多少変わっているやに私は印象を受けております。私は、公正取引委員会委員ではございませんからはっきりと申し上げることはできませんけれども、その当時は、公共の利益という条項が独禁法の各所にございます。つまり、公共の利益に反して一定の取引分野において競争の制限を行なう行為、これが独禁法違反になる。たとえばカルテル、トラスト等でございます。従来、その当時の公取の解釈は、公共の利益に反するということは、要するに、競争制限行為を行なう、つまりカルテルそのものが公共の利益に反するのであって、公共の利益に反しないカルテルと反するカルテルとがあるという意味ではないというのが当初の公取委の解釈だったように私は記憶しております。しかし、現在におきましては、たとえば勧告操短あるいは今度の安定カルテルもそうだと思いますけれども、公共の利益、つまり官庁の行なう行為は公共の利益に基づいた行為であるからそれに従うための共同行為は違反ではない、こういう解釈に傾いているような印象を少なくとも私は受けております。そういう点からいいますと、これは法律上の問題ではありますけれども、今度の法律の運用につきましても、たとえば個々に対して行政庁が指示し、またそれを順守する、こういう行為は独禁法違反ではないといわれるのはそのとおりでございますが、たとえば指示価格について、あるいは需給計画について業界協力を求める場合に、個々の業者に一々個別に指示を与えるということはとうてい考えられません。当然一堂に会した場合に、通産省なりあるいはその他の官庁の役人が指示し、協力行為を要請するということになるわけですから、したがって、これはどうしても安定カルテル的な共同行為に導きやすいという感じを受けざるを得ないと思います。  なお、二十五年の野田醤油事件につきましては、当時事業者団体法という法律がございました。これは独禁法の三条後段の特別法として規定されたものであって、きわめてきびしい予防規定が含まれておりましたので、現在にそのままその審決を適用することができるかどうか、審決の内容を十分検討いたしませんと、いますぐにはお答えできませんけれども、精神は現在まで生きているというふうに私は信じております。
  136. 板川正吾

    ○板川委員 われわれも、政府が指示したことであっても、それが独禁法の法域を侵した場合にはいかぬ、こういうふうな運用を公取にひとつ貫いてもらいたい、こう思っておるわけであります。  次に、田中参考人は退席しておられませんが、記録に残す意味でひとつ私のほうからの意見を申し上げておきます。  田中里子参考人が時限法にすべきである、こういう主張をされております。私どもも実はこの意見に賛成であります。それは、とにかくどろ繩のように法律をつくり、そしてすべて政令にまかせてほしい、こういうような立法のあり方については、私どもどうしても賛成できないのであります。しかし、目下の緊急な事態に対処するためには、やむを得ない場合には最低の時限法にすべきだ、こう考えておるわけであります。  それから、実は新聞に報道されております野党の修正案という中に、指定価格というものを石油法の中に入れようという意見がございます。実はこれは法律として定まった意見ではないのでありますが、政府石油需給法は石油の需給関係をうたっておりまして、価格の点については生活安定法にまかせるというたてまえになっておるのでありますが、石油だけはこの石油法の中に入れたらどうかという修正なんです。そうしますと、通産大臣が需給をきめ、価格もきめ得るということになるわけであります。これが政府の原案のほうは、経済企画庁長官が安定法の主務大臣でありますから、その安定法によって価格を主務大臣がきめるということになりますと、石油については通産大臣が経済企画庁長官と合議してきめるという形になるわけであります。この修正案のほうになりますと、これは石油需給適正化法ですから通産大臣だけがきめられる。こうしますと、実は一番心配されておるのは、官僚と産業界の癒着につながっていくのであって、この点は石油法の中には価格を入れないほうが、価格の決定は主務大臣としての経済企画庁のほうにまかせるという形のほうがいいのじゃないかと私は思いますが、その点の感触といいますか、感じはいかがでしょうか。
  137. 御園生等

    ○御園生参考人 お答えいたします。  私の感触からしますと、どっちにしても似たようなものですね。大体政府がかなり財界寄りですから、そういう点からいいますと、通産省と企画庁とどっちがいいかというのはたいへん難問ですけれども、どちらかといえばやはり企画庁のほうが適当かと考えます。
  138. 板川正吾

    ○板川委員 二つの法でやったほうが、私は癒着率が少ないだろうという感じがするわけであります。  時間の関係がございますから、アラビア石油の宮内参考人に伺います。  われわれは前々から、エネルギー政策として自主的なエネルギーを持てということで石油業法を制定し、たびたびの調査団が行きました際にも、常にメジャーに左右されない自主的なエネルギーを持つべきだということで、民族系石油というものの育成にわれわれは力を入れてきたわけであります。特にアラビア石油に期待されることは、そうした場合に安定した供給が得られるだろうかというのが実はアラビア石油に対するわれわれの大きな期待であったわけです。ところが、今度の石油削減によりますと、メジャー系のほうが二割五分なりあるいは二割七分なり十二月の実績として行なわれておる。アラビア石油ではそれが五〇%に達しておる、こういう説があります。これはメジャー系としては、どうだ、あれほど民族系として育成されておるアラビア石油だって五〇%もカットされておるじゃないか、われわれのほうがまだ良心的だといわぬばかりの話もあるわけでありますが、なぜアラビア石油が大きく削減をされ、他がそうでないのか、また、その間の事情がわれわれはわからない。それを説明していただきたいと思います。
  139. 宮内俊之

    ○宮内参考人 確かに板川先生のおっしゃるような新聞記事を私自身も拝見しておりますし、それから、事実パーセンテージは違いますけれども、どうも二五%カットというのだけれども、メジャーよりもおまえのほうがひどいじゃないかという話も実際に伺います。その原因は、自主開発とかなんとか、そういうことではありませんで、先ほどちょっと申し上げましたけれども、今度石油生産削減をしたのはアラブ諸国でございます。それでアラブ諸国の取り扱いについては、会社別の差異は全然つけておりません。したがって、その会社によってどうこうという余地はないはずでございます。ただ、現実に起きますことは、メジャーの場合で考えられると、たとえばイランを持っていた、イランを持っておれば、イランは削減ということを全然やっておりませんので、片っ方で二五%削減されて、そして優先国へやった残りをプロラタで配分しても、そのイランの分をくっつけて日本へ持ってくれば配分率をそんなに下げなくてもいいということが可能でございます。  アラビア石油の場合、内情を申し上げますと、実は公害問題に関連しまして、うちの軽油が硫黄分が高いということで、昨年まで実施されておりましたプロラタによる引き取り制度というものがことしから廃止されました。したがって、ことしの国内での引き取りというものは、各社の自由ということに原則はなりました。そこで、一応昨年程度の実績の各社別の契約はいたしましたけれども、実際の引き取り問題になりますと、公害問題が非常にやかましくなるにつれて、契約はあっても実際の引き取りが非常におくれてずんずん繰り越されてきたわけでございます。会社といたしましては、それが年末に一ぺんに引き取りを要求されてもできるものではなし、引き取らない会社に対しては、きのう、ことしのある月の段階で打ち切り、未引き取り分は打ち切りということを実はお願いした向きもございます。したがって、その際に、会社としては、全体の操業率を維持するために外国向けにどんどんそれを売りさばいたわけです。外国では、日本のように公害問題あるいは硫黄分というものを問題にしません。それの結果、産油国が削減を規定しましたときに、その一−九の実績という問題になったものですから、日本の引き取りの量が非常に少なかったわけです。したがって、外国に相当売ってしまった。しかも、その規制方法が、一律二五%削減だけれども、優先国に渡し、それからその残りを一−九の実績をベーシスにしてプロラタで売れ、その振りかえは許さぬぞ、こういうことになったものですから、うちの会社の日本国内の持ち込みは、おそらく十二月では四〇%以上のカットになると思います。そういう事情がございましたということをひとつ御了承願いたい、こう思っております。
  140. 板川正吾

    ○板川委員 時間がもう二、三分ですから、最後に、これまた宮内参考人に伺います。  OPECは、自分たちの買うものは十年間に二倍になってきておる、しかし、自分たちが売る原油は逆に半分になっておる、こういうことで大きな不満を持っておったと思うのです。それと、最近増産意欲を失ったということは、先ほど説明がありましたように、資金的に余裕ができたということもありましょうが、世界に安定した通貨がなくなった、たとえば資源を地下に眠らせておいたら利子は生みません。しかし、掘し出して金にしておけば利子を生むということで、従来は安定した通貨をたよりに増産体制をとってきた。しかし、今日では安定した通貨があい。そこで掘って売るよりも地下に貯蔵しておき、必要な分だけ掘ったほうがいい、こういう気持ちになったんじゃないかという感じがするんですが、それに対しての御意見はいかがでしょうか。
  141. 宮内俊之

    ○宮内参考人 確かに通貨の減価ということが一つ原因であることは、そのとおりだと思います。しかし、一方、利子を生むということよりも、油がもっと高くていいはずなんだ、金にかえて利子をかせぐよりも、ほかの物資との比価を、パリティを考えるならば油はもっと高くてもいいんだという、根本にその思想もあります。だから、通貨がかりに安定しておっても待って売ったほうが油は高く売れるんだという期待感があります。  それからもう一つは、やはりその通貨との面で、金の運用ということについて、金の減価という面のほかに、もっとわれわれ自身でうまく運用できないだろうか、つまりキャピタルリターンをも一つと多くする方法はないだろうかということも、彼らとしては非常に研究しています。そのためには、国内でインベストして、国内を工業化して、そしてキャピタルリターンをもっと多くする、こういうのも考えの中に入っております。  それから、資源がなくなったときの状態を想定して工業化をやって、それで次の時代をまかなっていこう、こういう考えもあるように思います。
  142. 板川正吾

    ○板川委員 時間となりましたので、以上で終わります。ありがとうございました。
  143. 濱野清吾

    濱野委員長 米原昶君。
  144. 米原昶

    ○米原委員 時間もありませんし、もう私が質問しようと考えておる参考人も帰られたので、ごく簡単に一、二点質問したいと思います。  一つは、御園生参考人に繰り返してお聞きしたいんですが、参考人がおっしゃいました点は、今度の法案審議でも非常に重要な点なんで、あとで委員会でも問題になると思うので、見解をさらに確かめたいと思うのです。  問題の、通産省やあるいは経済企画庁が公取委員会と結んだ覚書が、独禁法の三十八条違反だということをおっしゃったわけです。覚書で、政府の指示監督に基づく業界協力措置はカルテルではないという確認、そういう確認をされたということが独禁法三十八条違反であるということを言われましたが、同時に、このこと自体が実質上カルテルを認めるものであるから、その点でも独禁法違反という趣旨であるかどうかという点が大体さっきからの質問でわかったようなんですが、まだはっきり——その点、実質上のカルテル行為だという点でも違反であるというふうに考えられるのかどうかという点です。
  145. 御園生等

    ○御園生参考人 簡単にお答えいたします。  御質問のとおり、私は、覚書そのものが三十八条に違反すると考えられると同時に、その覚書交換によって今後認めようとしておりますいわゆる安定カルテルそのものが独禁法に違反するというふうに考えております。つまり、初めに申しましたように、独禁法はそのカルテルが適切な価格を維持し、また需給を維持するかどうかという判断なく、カルテル行為そのものをいわゆるプライスメカニズムに対する侵害行為として違反としているという趣旨だと考えます。したがって、いかなる名分があるといえども、法律によらない共同行為はすべて違反であるというふうに考えます。
  146. 米原昶

    ○米原委員 そうしますと、その点で、政府の説明によると、いままでもずっと議論になりましたが、政府のほうは、あくまで政府の指示監督に基づく協力だからカルテルではないというような言い方をしているわけですが、それでもカルテルに当たると、この点をもう一回明確に説明していただきたいと思います。
  147. 御園生等

    ○御園生参考人 たとえばこの点について参考になりますのは、いわゆる勧告操短です。先ほども申し上げましたとおり、勧告操短は事前において業界が原案を作成いたします。また、それを一たん通産省なり、その他の行政官庁に持っていきまして、それを今度は勧告として指示する。その場合、その勧告が出たら守るという予定行為が当然共同行為としてあるわけです。したがって、勧告に基づく操業率あるいは今後この法律に基づいて行なわれます統制価格、それが適正な水準であるかどうかということの判断なく、その共同行為そのものが私は独禁法に違反しているというふうに考えるわけでございます。この点は、公取も従来の解釈ですとそのとおりであるというふうに考えているはずですけれども、実は官庁間のいろいろな折衝に基づいて事実上安定のためのカルテルである操業短縮カルテル、勧告カルテルをいままで認めてきたわけです。しかし、これは一般からの批判もたいへん強いために、中途においてこの方針を変更いたしまして、今後は勧告操短方式によらずに、すべて不況カルテル、合理化カルテルという独禁法の規定に基づいた認可を受けたカルテルによるべしという方針に変わったはずなんです。そういう点を見ましても、勧告カルテルなる、いわゆる安定のためのカルテルが実質的に独禁法に違反するカルテルであるということを証拠立てているように思います。
  148. 米原昶

    ○米原委員 見解は非常に明快にわかりました。その点、非常に今後の委員会の討議でも参考になると思います。感謝いたします。実際われわれ感じるところでは、政府側の指示に業界協力する、こういうことを言うけれども、実際は業界の協定してきめる行動方針、標準価格政府協力するんで、そういう点で全く政府業界の癒着ということになるので、これは非常に問題だと感じているわけであります。  次に、同じような質問になるかもしれませんが、私も実情を聞きたいので、ナラビア石油の宮内さんにさらに若干お尋ねします。  需給の問題については、いまも板川さんから質問がありまして、非常によくわかりました。  価格の問題ですが、この委員会にアラビア石油を特に呼びましたのは、民族資本系の会社の見解というものが、またメジャーに影響される他の会社とは違うのだろうという点もあるので呼んだと思いますので、特にその価格の問題を聞きたいわけです。つまり国際石油資本のメジャーを経過してきた場合と比べて、たとえばアラビア石油の場合にFOB価格に相当するものはどのくらいで、それが他のメジャーを経た場合と、価格の点ではどんなに違うのだろうかどうかという点です。それを一つ聞きたいのです。
  149. 宮内俊之

    ○宮内参考人 FOB価格に関する限りは、もし品質が同一であるならば、国際価格というものはやはりコンペティティブということが原則でございますので、そんなに差異がないはずでございます。この点は産油国も、その値段の維持ということを一九六〇年代を通じて非常に強く要求しておりましたので、そうめちゃくちゃな値段でFOB価格を売り出すというわけにはまいりません。——それでよろしゅうございましょうか。
  150. 米原昶

    ○米原委員 その点はわかりました。  それで、今度は輸入した石油の国内販売価格ですが、この点では他の会社と違うのか、大体同じなのか、その点も聞いておきたいのです。
  151. 宮内俊之

    ○宮内参考人 先ほども申し上げましたように、私の会社は、採油しました油は全部FOBで、民族、外資問わず、日本の全精製会社に同一値段で引き取っていただいております。したがいまして、それが日本国内に持ち込まれた場合、運賃の差というものが各精製会社であるかどうか、それからその後の精製段階でコストに差があるかどうか、そういうことは私の会社のコントロール外でございますので、何とも御回答できかねるので、ひとつ御了承いただきたいと思います。
  152. 米原昶

    ○米原委員 私、こんなことを聞きましたのは、実は大部分の石油会社がメジャーの支配下に置かれているような状態のもとで、民族系の会社があるということがどういう意義を持っているかという点をそういう点でも知りたかったからなのです。と申しますのは、たとえばフランスなんかの場合は国営会社がありますね。そうしてメジャーを介入させないで直接産油国と提携してやっているために、メジャーのマージン抜きで安い石油が入っているというようなことを——これはいろいろな雑誌にも出ておりますが、そういう点で、そういう点の利点が一体あるのかないのかというような点なのです。そういう点を聞きたくて質問したわけです。それはどうでしょうか。
  153. 宮内俊之

    ○宮内参考人 これは各会社の営業方針といいますか、そういうことでございますので非常にわかりにくいポイントでございますが、ただ、私たちが経験しておりますことは、これは別にメジャーを擁護するわけでもありませんけれども、彼らは精製段階にも株を持って、そしてその利益の配分も得る仕組みになっております。そのために原油を精製会社に渡す段階では、むしろわれわれが直接精製に売るよりも、あるいはわれわれよりも高く売るような場合もあり得る。それが非常に安く売るということをやっても、やはり国際価格という、これは非常に広いようで狭い、すぐわかってしまうわけなんですね。ですから、はっきりした証拠、情報はつかんでおりませんので、確信を持って申し上げるわけにいきませんけれども、そういう懸念はあまりないのじゃないか、こういうふうに考えます。
  154. 米原昶

    ○米原委員 そうしますと、アラビア石油の場合、精製、販売はやはり外資系の会社によってかなり支配されているのであるということになりますと、民族資本としての基盤が何だか非常に弱いように思いますが、今後は精製、販売部門も民族資本でやるというようなことは考えられておるのでありますか。
  155. 宮内俊之

    ○宮内参考人 石油の国際的なパターンといいますのは、原油の掘さくから輸送から精製、販売と全部、いわゆる一貫作業という形でやるのが典型的な形になっております。われわれも、その形にできるだけ早く移行しようという考えも持っておりましたし、努力もしたのであります。  しかしながら、日本石油業法の問題あるいは産油国との利権協定の取りきめの条件、それから国内での元売り制度というものとか、そういういろいろな障害がありまして、今日まで実現はしませんでした。ただ将来、そういうことをいつまでも同じパターンを追うのがいいのかどうかという問題については、石油生産段階が産油国政府に支配される時代はそう遠くない、もうむしろ支配されてきているということになりますと、原油の供給確保という観点では、むしろ産油国も引き入れた、言うなれば一方交通、買うのは買うだけじゃなくて、そのジョイントベンチャー形式というのが私は今後進むべき方向じゃないかな、こういうふうに考えております。ですから、民族系の場合に、いまフリーかどうかという問題でございますけれども、産油国が生産段階で支配権を確立してしまいますと、これはメジャーも民族系も、私はそんなに差異がないのじゃないか、こういうふうに考えます。
  156. 米原昶

    ○米原委員 もう一つこの際聞いておきたいのですが、先ほどもいろいろありましたが、政府が十一月の終わりに例の親アラブ政策というか、そういうものを発表しました。この内容を見ますと、六七年の国連安保理事会の決議にうたったことを支持するという内容なわけですね。それだけのことなら、これは実際問題として、単にこういう問題は油がほしいというだけできめるというのはちょっとおかしいと思っておるので、もっと根本的に考えて、アラブとイスラエルの問題、それで実際に国連決議にもその点出ているわけですが、アラブのほうが侵略されている、イスラエルが侵略者であるという実態ですね。その点から考えて、侵略されている側が当然の権利を回復することを支持するということでなくちゃならぬと思うわけです。それが単にアラブ問題だけでなく、日本の外交政策の基本であってほしいと思うのであります。そういうことであの声明は当然のことを書いただけにすぎないような感じを受けるわけです。というのは、国連の安保理事会の決議というものがほんとうに実行されているなら、とっくにあの問題は解決しているわけです。それが六年間も実行されなかったからこそ今度の問題が起こったのであって、そういう実態の上に立つと、ただあれを支持するというだけでは問題はまだ解決の糸口さえ与えられていないように思うのです。そういう点で、イスラエルという国自身がいわば国連がつくった国ですから、国連の総会で、国連がつくり出した国家だと言ってもいいと思う。それだけにまあその国が国連の決議に違反しているということ自体が非常に問題だし、それを国連が解決しなくちゃならぬという筋になってくると思うのですね。そういうことになりますと、国連憲章の中にいろいろな条項がありますけれども、それに従っても、こういう場合にどういう措置をとったらいいかもちゃんと国連憲章の中に書いてあるはずなんです。何もすぐ武力制裁をやれとかそういうことじゃないのですがね。そういうことを明確にしないと、あれだけでは、アラブ諸国もこれでよかった、十分だったというふうには受け取ってないように私は思うのですがね。  そういう点で、アラブの要人たちともしばしば会っておられるわけでありますから、アラブ側の感触というものを持っておられるのでしたら、どういうふうな手をいま打つのがこの問題を根本的に解決するためにいいのか、単にこれは石油だけの問題じゃないと思うのですが、そういう点で宮内さんの見解を聞きたいのであります。
  157. 宮内俊之

    ○宮内参考人 いまのお話、基本的にはやはりアラブとの友好あるいはイスラエルとの友好というものを考えまして、それで国連の決議に沿って方針を打ち出すということだろうと思います。しかしながら、われわれが十一月の半ばに向こうの人たちと会った時点でわれわれが得た感触というものは、必ずしもあの政府声明の線以上に、いますぐ日本にこういう別のことを要求するというところまではいっておりませんでした。従来の日本の態度に対しては不満を非常に打ち明けておりました。もう少しアラブの立場を理解した声明を国際政治の場ではっきりして、しかも、それを行動に移してほしい、まあこういう言い回しでわれわれは話を聞いてきたわけなんですが、まあそれは率直にそれぞれの日本側の要路の方々にはお伝えしたわけでございます。それ以上になりますと、アラブが要求しているのをそのまますぐ実行に移すべしだとか、あるいはいまのままでしばらく様子を見るべしだとか、こういうことはやはりイスラエルとアラブとの関係がどういうふうに和平協定が進んでいくかということとにらみ合わせて進むよりほかに方法がないのじゃないかというふうに私考えます。  基本的には、先生のおっしゃるように、やはり石油がほしいからということじゃなくて、もっと大きい大所高所からものごとの判断があってしかるべきだとは思いますけれども、たまたま戦争が起きて油がこういうふうになったものですから、とりあえずはそれをやはり片づけなければいけないという状況だろうと思います。
  158. 米原昶

    ○米原委員 では、私はこれで終わります。
  159. 濱野清吾

    濱野委員長 松尾信人君。
  160. 松尾信人

    ○松尾委員 ずいぶん長い間の質疑応答で御苦労さまでございます。大体もう私で最後になるであろうと思いますので、最後の一ふんばりをお願いします。  最初にアラビア石油の宮内さんにお聞きしたいと思うのでありますけれども、この石油の精製、それから石油化学工業のいろいろの活動、そういうものを外国の産油国のほうへ日本から移したらどうか、海外立地の問題でありますけれども、なかなかこれにも私は問題はあるかと思いますが、長らくそういうところに、いらっしゃる宮内参考人の感触、そういうものは喜んで受け入れられるものであるか、または日本公害というものを自分のほうへ持ってこようとするというような感触で、いろいろまた将来に大きな問題を残すようなことになるのであろうか、そういう点をひとつ一応聞いておきたい、このように思うのですが、よろしくお願いします。
  161. 宮内俊之

    ○宮内参考人 アラブの諸国は、先ほども申し上げましたように、油は有限である、油がなくなったあとに一体われわれはどうすべきかということを実はいまから真剣に考えておるわけでございます。ところが、この産油国の自然条件をずっと見まして、何ができるんだ、彼ら自体が何がその次の時代を考えた場合になし得るんだということにつきましては、現在ではやはりわれわれが一われわれがというのは、産油国が持っております石油資源というものをやはり有効に使う産業を持つのがまず第一歩じゃないか、これはほぼ各産油国は一致しておると私は思います。したがって、その第一段階としては、精製会社ですね、工場をわれわれのところへ持ってきてくれ、原油のままで持っていかないで、われわれの土地で精製をしてくれ、われわれのところでは公害問題というものは問題にしないからというのが第一歩でございます。  それからもう一つは、油と一緒に出てまいりますガスの利用ということで、これはいま燃やして捨てておりますが、これを利用して、肥料をはじめとするガス化学、これもひとつぜひわれわれのところでやりたい、しかも、肥料需要というものは、近隣諸国にマーケットはあるんだということで、これに対する熱意も非常に強うございます。さらには、石油化学全体でございますね、石油製品からいろいろ誘導されるというところまでやりますが、ここまできますと、結局製品のマーケットの問題が問題になります。したがって、現在彼らが出しておるいろいろな提案というものは、つくったものを全部さばいてくれ、そのさばく労はひとつ君のほうでとってくれ、こういう形で進んでいるのが大部分でございます。しかしながら、長い目で見た場合に、輸送問題も含めて、やはり彼らにも工業化をするときの手をわれわれが差し伸べてやるのは必要だ。また、これは率先してやるべきだ。これが経済協力という大きい名前でいわれておりますけれども、やはり現在産油国では金も相当あります。期待しているものはやはりノーハウです。それから市場です。製品を売りさばくマーケットですね。こういうことで、そういう点にやはり一つ一つ彼らに手を差し伸べて、そして援助することがわれわれの必要とする原油を安定的に確保する道だ、こういうふうに考えております。
  162. 松尾信人

    ○松尾委員 御意見はよくわかりました。宮内参考人もずいぶんもう長い時間でありますので、私は、宮内参考人にはこれ以上質疑はありません。どうぞ御自由に御退席ください。私はけっこうです。  次に、最後まで残して申しわけありませんけれども、お二方でありますけれども、いろいろ御意見を聞いておりまして、消費者団体の方、または全国の主婦の団体の方、またはいろいろ運送業界等の問題で、わずか一〇%の削減でもこのように大きなトラブルが起こっております。それで苦情処理の問題と、それからいろいろの妙なできごとというものを監視していくという体制の問題これを何としてもがっちり固めていかないといけない。特に消費者なり、または弱い業界ですね、そういう人々に対してはそのようなことが要望もされております。自分たちもその中に入ってしっかりがんばっていきたい、このような御意見でありました。この苦情処理の問題と監視体制というものは表と裏の関係にあるのではないか、やはり表裏一体となってこのような法案または生活安定法という、このようなものの実現、また、現在のような社会の混乱状態というものをやはりきちっと解決していかなくちゃいけないと思うのです。この苦情処理の問題の一つといたしまして、通産側はことしの四月から物価の目安箱といわれるものをつくっておるわけですね。日本消費者協会にこの業務を委託しておりましたけれども、田中首相が十一月の二十四日から、いろいろテレビなんかに出まして、そしてこれを通産省の産業政策局消費経済課で直接処理するようになった、こういうことであります。初めは苦情処理を日本消費者協会に委託しておった。ところが、それがだんだんと、田中首相のテレビ等の発言によりまして非常にこの苦情処理の件数がふえてきた。一日で二百九十通も殺到しておる。十日間で千二百八十通と、このような件数になりまして、せっかく通産でやろうと思ったんだけれども、係官も少ないし、そしていろいろの課へ苦情の内容によって分かれてきますね。それで少ない係官で、もうくたびれてしまっている。こういう状態で、私は、この苦情の目安箱というのはてんでいま機能は喪失しておる、こう思います。そうしますと、そのような苦情の処理というものが、みんなが一生懸命になってよくしてもらいたいと出しながら、ほんとうにそれを取り上げてやってくれる者はいない。監視体制というものをどうとかしてやりたいと思うけれども、そういうものをどういうふうなかっこうでつくったらよかろうかという、まだあいまいもこたるところですね。こういうところにひとつ先生の御意見を聞きたい。何とかしてそこへびちっとしたものをつくり上げるためにはどうしていったらよかろうか、こういうことで先生にお願いをしておるわけですが、御園生先生にその点を質疑いたします。
  163. 御園生等

    ○御園生参考人 お答えいたします。  実は、先ごろのいわゆるトイレットペーパーパニック等に際しまして、私も二、三見聞したところによりますと、たとえば私書箱第一号に苦情についての投書を求める、一般消費者が直接出会いました違反事実あるいは値上げ等の事実についてそれを投書をするということは、それほど困難ではございません。問題は、その受け取った投書をどのように処理するかという問題です。所要の調査を加えて、もしそういう事実があれば適当な措置をとる、これが現在の通産省あるいは通産局を含めた体制ではたいへん不十分だと思います。御承知のとおり、通産省は東京にございますし、通産局を含めましても、大きな地方に一カ所くらいあるだけですから、これはとうてい全国にそのような苦情の処理をするだけの能力はないわけで、多くは机の上にためたまま、ほとんど処理できずに終わったというのは先生のおっしゃるとおりだと思います。  そこで、今後の問題といたしましては、通産省が急激に終戦直後のような状況で物価並びに需給についての監視官をふやすということは事実上不可能だと考えられますので、先ほど田中里子さんの御意見にありましたとおり、この法律には地方自治体にその権限を委譲するという規定がございますが、これを全面的に活用することによって、ある程度そのような適切な処置、つまり苦情処理についての措置が可能ではないかというふうに私は思います。事実上、いろいろ聞きましたところによりますと、先日の物資不足の場合には、何ら権限がないために、せっかくいろいろな消費者からの苦情があったり投書があったりしても、各地方自治体では十分な処理ができなかったということを聞いておりますので、この法律に基づいた権限委譲をかなり広範に地方自治体に与えることによって、そのような事後監視、苦情処理についての措置がある程度可能であるというふうに私は思います。
  164. 松尾信人

    ○松尾委員 監視体制のほうはいかがでしょう。
  165. 御園生等

    ○御園生参考人 監視体制につきましても同じように地方自治体でかなりカバーできる面があると思いますけれども、これは一般消費者あるいは弱い立場にある中小零細業界からの何らかの形の参画によってカバーすることもできるんではないかというふうに思います。
  166. 松尾信人

    ○松尾委員 何らかの形の参画ということでありますけれども、地方都道府県にある程度権限を委譲すると、そこにはある程度監視官みたいなそういう動きが出てくる、そういうところに付帯的にくっつけていくわけですか。そうすると、苦情処理も受けながらいろいろと話をしておる。それが末端で価格等の問題が守られているかどうか、いろいろ条件なんか煮詰まってきたやつがそのまま守られておるかどうかということもあわせて、そこに消費者等を入れて、そうして価格監視のほうお苦情処理のほうお監視体制をあわせて全部そういうものでやっていったらいい、こういうようにお考えでしょうか。
  167. 御園生等

    ○御園生参考人 そこのところをいま御即答するだけの確信が実はございませんけれども、抽象的に言いますと、単に中央官庁だけが行うのではなくて、一般の声をなるたけ反映するということですので、それには一つには地方自治体が住民と密着しておりますから、そういう地方自治体を活用するということと、それからその物資需給調整価格等につきましては、一ころと違いまして、御承知のとおり、いわゆる消費者運動がかなり活発でございますから、これらの実績を踏まえて消費者あるいは中小企業者の参画を求めれば、ある程度可能であるんではないかというふうに思います。その具体的な方法につきましては、いろいろ今後研究の余地があると思います。
  168. 松尾信人

    ○松尾委員 わかりました。  先ほどトラック協会なり、また個人タクシー協会からも非常に切実なお話が出ておりました。あるところでは、もう整理券みたいなものが発行されておる。それから十時間も並んでも、わずか四時間走ればなくなってしまうというような油の量しか入ってこない。このようなことは、現実にはきびしい配給制というものが行なわれておるのだというような認識を私は持つのであります。実際上はそのようなきびしい状況、そして生活に困るという実態が起こっておる。行政指導できめた数一量なんかはてんで問題にならない。こういうことは、今後ともに、この法案が成立いたしましょうとも、よくよく考えていかなければなりませんし、そのようなことは急にはなくなっていかぬのじゃないか、このような感じを持つものであります。  また、複雑な流通機構でございますので、流通機構をうまく変えていくというようなことも早急にはできがたいであろう、こう思うのですけれども、そういう中でこの法案が成立する。そして現在のような混乱をなくするためにはどうしていったらいいかというようなことは、このトラック協会でも何か考えがあればお聞かせ願いたい。大いに参考にしたいし、また御園生先生にも、そういうことで現実はそうなんだ、すると、これはどのようにやっていって、所要量というものを確保するかという面で、また先生のお考えがあれば承りたいし、トラック協会のほうは、あなたのほうの希望なり、そういうものがあれば聞きたい、こう思うのであります。
  169. 武藤儀一

    武藤参考人 トラック協会の武藤でございます。現状は先ほど公述いたしましたような状況でございまして、量の確保につきましても、一割削減から五割削減と非常に困難しておるわけでございますし、また値段のほうも、ことしの四月から比較いたしますと、多いところでは八割程度アップしているというような形でございまして、私どもとしましては、乏しいながらもみな同じように油を使って仕事ができる、あるいは油が足りないことを理由に極端に高い値段で買わなければいかぬというような事態が早くなくなるようにしていただきたい、こう思っております。  それで、私どもまだ検討段階でございますが、トラック事業者は二万六千ございます。各県にしますと、東京あたりは四千、小さい県でも二百くらいございますが、事業者ごとに割り当て制をとって、総量がございますので、総量の問題は石油連盟と話し合いをして総量をきめて、それを各業者に平等に渡るようにしたい、こう思っておりますけれども、ただ、たとえば、割り当て帳をつくりましても、それが実際にスタンドで現物化されなくては意味がないわけでございまして、総量のワクの確保と、それから各スタンドへ適正な量が元請のほうから配給されるというような仕組みを考えなければいかぬということで、ただいま検討中でございます。そういうようなことによって、零細といわず、大手といわず、平等に耐えていくというような形に持っていきたいと思っております。
  170. 御園生等

    ○御園生参考人 御質問に対して適切に答えるだけの用意がいまございませんけれども、私考えますのに、統制を行なう必要が一方においてあった場合に、それをきわめてゆるやかな形から、次第にこれを強化していくという、段階を追った統制強化の方法は一考を要するのではないかというふうに思います。つまり、非常にゆるやかな形で統制を行ないますと、結局は業界の自主的な安定カルテルにまかせざるを得なかったり、あるいはそのために特に配分について恣意がまじったりするおそれが非常にあるわけです。不公平にわたったりする場合があり得るわけですから、もし統制をやる必要があるのならば、私はかなり強度の統制を一挙に行なうことがむしろ配分価格について正しい結果を導くのではないかという感じがいたします。ただし、もう少しこれは研究してみませんと確信は持てません。
  171. 松尾信人

    ○松尾委員 以上で終わります。  長らくほんとうにありがとうございました。
  172. 濱野清吾

    濱野委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。  次回は、明十二日午後五時から理事会、午後五時三十分から委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時二分散会