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力石参考人 石油、
エネルギー危機は、中近東問題が
早期に解決されるかどうかというのはこれは不確定でありますし、長く続くかもしれません。また、かりに解決いたしましても、
エネルギー問題というのは
資源の
供給だけではなくて、
公害問題で、たとえば
発電所をつくることができないというような形で関西
電力がことし非常に困りましたが、そういうふうな
状況にぶつかってこざるを得ないわけでありますから、本格的にやはり
エネルギー問題は、いままでのように自由に幾らでも入るということが
前提として
経済成長できないところへきたというふうに思います。つまり
経済成長の
天井にぶつかってきた。この
天井を考慮した形の
エネルギーの
配分をしなければいけないことは確かであります。
その場合に、この
配分をどのような形で
優先順位をつけるかということが問題になるわけでありますが、
優先順位をつける手法といたしましては
幾つもございます。たとえば
アメリカの
エネルギー問題についての
政策手段についての論争が行なわれておりましたが、
プライスメカニズムと
税制でもって、とにかく高くなることによって
需要をカットする、それから
税制で押えるというふうな
プライスメカニズムを中心とする自由
経済的な
配分の
やり方と、それから
日本が今度これに提起しましたような物動
計画的な
優先順位をつけた配給及び
価格規制、こういうふうな
やり方と、
二つがあるわけであります。
私は、そのどちらをとるのが
ほんとうに効率的であるかどうかについて根本的な検討を
日本でやったかどうかということについてたいへん疑いを持っております。私は、現在の
状況のもとでこういう勤勉
計画的な
やり方をとる必要があるかどうかについてたいへん疑問を持っております。
といいますのは、これほど
石油が
ほんとうに要るのだろうかということについて考えてみたいからであります。
価格メカニズムと
税制ともう
一つの
手段があるわけでありまして、それはオーソドックスな物動
計画的な
統制ではなくて、いわゆる
公害規制であります。つくるときの
公害規制だけではなくて、使うときの
公害規制がございます。使ってならない
石油物資を相当使っておるわけであります。かえって
生活を悪化させているような
消費財が
石油製品には非常に多いわけでありまして、そういう
分野についての
公害規制をきびしくするとかいろいろな
手段を用いることによって、
統制なしにでもわれわれの基本的な
生活は維持できるのではないかという
感じを私は持っております。
そこで、
幾つか
考え方を述べてみたいと思いますが、三つの柱があります。
石油を非常に
がぶ飲みにしております第一は
自動車利用であります。
自動車利用によって物や人を運ぶという
やり方と、
鉄道やあるいはバスを使って、
公共輸送を使って移動するという
やり方と
二つの
選択があるわけでありますが、もしわれわれが
鉄道をもってかなり代替したといたしますと、かなり
エネルギーは節約できるわけであります。
たとえば一トンのものを一キロ運ぶのに必要な
エネルギーは、
鉄道に対して
自動車は大体六倍であります。人を運ぶ
エネルギーは大体八倍ぐらい
エネルギーを要するわけです。つまり六分の一、八分の一に縮小することが可能になります。それから
建設エネルギーを見ますと、
鉄道線路を建設する
エネルギーに対して
自動車の
ハイウェー建設エネルギーは大体四倍であります。セメントや鉄をつくるのに必要な
エネルギーに換算いたしますと四倍であります。スペースももちろん四倍要ります。それからこの
鉄道の
周辺部の
生活様式と
自動車道路の
周辺部での
生活様式の
エネルギー依存度は全然違います。
鉄道の
周辺部では、
排気ガスはないし、騒音も断続的でありますから、比較的
密閉生活は必要としない。
自動車道路の横では全部
密閉生活で、そして
アルミサッシのようなものすごく
電力を使ったものを入れて、その上
エアコンを春夏秋冬やらなければいけないわけでありまして、すごい
エアコン需要であります。こういうふうな
エネルギーの
依存度が非常に高いということであります。
それから、もちろんこれは
エネルギー問題だけではなくて
交通公害が非常に大きいわけであります。一億人
キロ当たりの移動に要する
事故発生率は、
自動車の場合は五百倍であります。こういうふうなことをいろいろ考えますと、
自動車というのは非常に大きな
公害型の
輸送形態であって、
ほんとうは
鉄道を選ぶほうがいいにきまっているわけであります。この
選択を、この際
エネルギー危機といういわば
予行演習だと思って切りかえの
政策をとるべきではないかというふうに思います。そうして
ハイウエーの
建設計画を一切ストップする。
自動車に対する
ガソリン税は、取り上げた
ガソリン税を
目的税として
道路に投入するのではなくて、
鉄道に投入する。それから
保有税を禁止的な水準に引き上げる。こういうことによって
自動車の
台数を二千五百万台から五百万台くらいにずっと下げていく。そして
鉄道のほうは
複線化率を非常に濃密に進め、高くする。いま二八%の
複線化率ですが、
イギリスは七五%複線化しています。
ドイツは六五%です。
日本は二八%。こんなことでは
トラック輸送は吸収できないわけでありますから、
鉄道体系にもっと力を入れて、たとえば中
長距離の
トラックは
日本と
ドイツと比べてどのくらい
税金を払っているか調べてみますと、
ドイツは大体六倍の
保有税、
軽油税は四倍であります。こんなに高い
税金、つまり
社会的費用を支払わされますというと、
トラックを使えないからみんな中
長距離は
鉄道を使って、
短距離だけコンテナの
トラックで運ぶ、こういう形になるわけであります。そういうふうな
選択があり得るわけであります。
それから
短距離トラック輸送につきましても、
マイトラックのほうは
税金を高くして、
短距離トラック運送会社の
税金を安くする。そして二台目の
マイトラックを持ちたいという欲求を
運輸会社のほうで吸収するというふうにしますと、
トラックの
使用台数もかなり押えられます。マイカーについても
税金を高くして
保有税を強化して押えていく。こうやって
自動車をつくるために必要な
プラスチックや
鉄鋼の
需要も大幅にカットされますし、
ハイウエー計画の
エネルギー需要も大幅にカットされるというふうにして、
エネルギーをあまり使わない
輸送形態にかえることだけで相当大きな変化が起こるでしょう。
輸送エネルギーに大体
石油の二割くらいを使っているわけであります。その他
密閉生活のために必要な
エネルギーだとか、
自動車に関連するいろいろな
エネルギー全体を考えますと、大体
エネルギーの、まあ四割まではいきませんが、三割くらいはここで食っていると思うのです。これを数分の一に縮小するという長期的な
計画に基づいて対処しなければ、今回の
危機が去れば何とかなるというものではないということを
前提にして考えていただきたいということが第一点であります。
第二の問題は、
合成物質の
深追いであります。これについては
税制でなくて
規制で対処できると思います。たとえば
洗剤を使っておりますが、これは
赤潮の
原因になるわけでありますから、
環境庁はこれの
使用を禁止すべきであります。
アメリカの湖に近い州はみな禁止してきておるのです。これを禁止することによって
粉石けんに返るべきであります。
脂肪酸系の
ヤシ油を使った
合成物質、これは葉緑素が行なう
光合成物質でありまして、太陽熱を取り込んだ非常に神秘な
生物学的合成でありまして、これのほうが高級なわけであります。こういうものに依存すれば
赤潮は少なくて済むし、からだも悪くならないし、非常にいいわけですが、
私的費用で見ると、
洗剤のほうが安いものだからやたら
洗剤を使っているわけですが、
社会全体では高いものについている。魚はとれなくなってくるからどんどん高くなってくる。そういうことで安もの買いの銭失いみたいになっているわけですから、
洗剤を禁止する。
こういうふうな
石油合成から
光合成への転換というのは
幾つもございます。たとえば
合成繊維で燃えたときに
青酸ガスを出すものは禁止したらいい。これは
天然繊維に返る。それから
プラスチックの建材をいっぱい使っておりますが、ここにも張ってありますけれども、これは
建築基準法違反じゃないでしょうか。大体
床張りは、いまは認めておりますけれども、上のほうは
建築基準法上、燃えたときに
塩素ガスが出て
死傷者がふえるので
違反になっているはずです。にもかかわらず、
ざる法でみなこういうふうに、
国会すら使っているわけでありますけれども、これはたいへん問題でありまして、
建築基準法をきびしくして、
固定資産税調査のとき、
プラスチックを使っているものはあぶないからといってどんどん摘発すればこの
使用はぐっと落ちます。
それからもう
一つの
プラスチックの乱用は、
可塑剤を加えてやたら
誘導品をいろいろつくっておりますけれども、
フタル酸エステルという
可塑剤がございます。これは
ゴムホースとか
ゴムの手袋だとかいろんなところに加工するのに使って、シートなんかにも
加工用に使っておりますが、これはだんだんしみ出してきまして
環境に入ります。これが口に入りますとどういうことが起こるか。
アメリカではこれを
鶏実験をやりましたら鶏のサリドマイドが出ているわけです。ですからこういうふうなものは
化学物質規制法というのがわれわれ
国会で通ったわけですから、これを適用して直ちにこれを禁止する。そうすると、
可塑剤を加えないと
プラスチックの
利用というのは非常に縮小せざるを得ないということになるわけでありまして、いままであまりにも
戦線を拡大し過ぎているわけですから、
公害規制によってかなり
撤退をさせることができます。
われわれは
インスタント食品をたくさんとっていますが、これは
合成物質の
食品添加物を入れているわけです。三百三十点認めていますが、戦前はこれは三十点しか認めていなかった。これを
催奇形性、
発ガン性、染色体異常について
十分テストがあるという確信のあるもの以外は全部凍結する。凍結すると
インスタント食品はほとんど消滅いたします。あれを使わないとできませんから。そうすると、一緒に
プラスチックの包装、これは
インスタント食品に非常に使っておりますが、これががくっと減ります。ごみの中に占める
プラスチックの量が
イギリスは一%、
日本は一〇%であります。いかにこの
添加物を乱用しているか、
インスタント食品を
深追いしているかということがわかります。これを押えますと
家庭料理に返るわけであります。こういうふうにして自然のものにもつと返らなければいけない
分野が多い。
農業につきましても、
化学肥料をたくさん使って、これは
ナフサからつくっているわけでありますが、これをあまり使うので土壌がやせております。それから害虫に弱いような品種をたくさん
化学肥料をかけてつくるわけでありますが、こういう
やり方をするから農薬をやたら使うということになります。みなこの
合成物質にかかってくるわけです。したがってもっと
有機肥料を使う。
有機物質の
肥料をつくったたとえば都市の
ふん尿であるとか、あるいは畜産の
ふん尿とか、そういうものを
有機肥料にして、これを
農家に使わした場合には
農家に
補助金を出してもいいと思うのです。つまりわれわれは、処理して
有機肥料にしないで水に捨てております。二次処理では水はどうしても汚染するわけです。
赤潮の
原因になります。したがってそれをさらに三次処理しようと思うと非常に
コストが高くなる。その
コストのことを考えると、その分は
補助金をあげるからとにかく
農家で使ってくれというふうにすれば、
肥料への
依存度は相当減ってくるわけであります。
こういうふうなことで、
環境をずっときれいにするという
目標に基づいて、
合成物質の
深追いを押えて、
天然物質に、
光合成に返るということです。これによって
石油依存度は相当減るはずです。大体
産業用石油の二割がこの
化学工業で使っております。
電力の二割をここで使っております。この
深追いした
戦線を縮小するような
規制手段を全面的に行使する。
環境庁や厚生省や建設省や警察やそういうようなもので全面的に
撤退作戦をやっていく。これによって
石油依存度は相当減ってくるはずです。
それから第三のわれわれが
石油を
がぶ飲みにしておりますのは
使い捨て経済であります。
耐久消費財をどんどん
使い捨てております。
部品を残さないものですから
修理して使えないわけです。
部品の
保存期間を調べてみますと、通産省で
指導しておりますのは大体冷蔵庫やテレビなんかでも七、八年しか
部品を残さない。こういうかっこうになっています。
外国は調べてみたら二十年残しています。二十年ぐらい
修理に応じているわけです。小ものの場合は
日本は三年くらいです。
外国は小ものでも十年くらいの
部品を残して
修理に応じています。こうやって猛烈な
大型家具の
使い捨てをやりますが、これが
プラスチックや
鉄鋼の猛烈な
需要を呼び起こします。ここをもっと法的にチェックする
方法はないかということです。
もう
一つの
考え方は
税制を使います。もちの悪いぺらぺらのすぐ流行を追ったようなものについては物品税を禁止的な水準に上げる。そしてもちのいい長く使うようなものについては物品税を安くする。つまり償却税という考えです。償却期間に応じて物品税を操作する。物品の耐用年数というのは仕様書を見ればすぐわかるわけですから、それをもとにして
税金をかけていく。材質は耐用年数どのくらいもつようなものを使っているか、構造はどうなっているかということを見て、そして年数に応じて物品税を操作する。そうしますと、ぺらぺらなもの、流行を追ったものをつくると物品税が高いから消費者は買わない、メーカーもこれは売れないからつくらない、もちのいいものをつくるという形で、いまの特に
耐久消費財の売れて売れてしょうがないような状態は大きくブレーキがかかるはずであります。こういうふうにして押える。
あと紙の
使い捨てが非常に起こっていますが、これはリサイクルをはかっていくようにするとか、かんのリサイクルですね。たとえばかんをぽんぽん捨てていますが、これは精神に非常に
影響を与えますから、こういうものは自動販売機で売るときに必ずかんの汚染料をとる。そして持ってきたら汚染料を返す。まじめな人には返す。自動販売機には必ず自動回収機というのを義務づけて、口があいていて、そこへ入れますと中でぺちゃんとつぶして三十円ぽろっと返してくれる。こういう自動回収機をつけなければ自動販売機の設置を認めない。こういうふうなシステムでリサイクルをはかっていく。この場合はまじめな人は返しにきますし、かりに捨てましても、これはバタヤさんが集めればバタヤさんは成長
産業に変わるわけであります。こういう意味でリサイクル
経済の方向に切りかえなければいかぬ。
私はこの三つの大ものを、
使い捨て経済とそれから交通戦争
経済、それから生物化学戦争
経済に当たるようなこの
合成物質の乱用、この三つを押えますと、大きく軌道修正になるんじゃないか。
石油というのは相当浮いてくる。そうすると、民需品については、普通の
石油製品については十分に潤沢に
供給できますし、それほど
統制は要らないかもしれないということが考えられます。
つまり、われわれの
経済というものを考えてみますと、どうも日中戦争のときに似てきているわけです。日中戦争は零戦だとか、タンクをどんどんつくって
使い捨てをやっておりまして、それでもってボトルネックに入りまして、
資源の制約に入ったので
統制をやらなければいかぬ。マル公が要る。そしてみんなが買いだめをやり出すと、それは非
国民だといって押えなければいかぬ。そして
経済警察が要るというふうな
統制経済にずり込んでいったわけですが、どうもいまの
日本経済、工業国全体がそこに入りつつあるような
感じです。だから労働力につきましても、賃金
統制だ何だといろいろやることが出てきましたけれども、いまも非常にそっくりであります。
エネルギーが
不足するので、いまの
石油文明の軌道をまっすぐ
使い捨て文明を進めていけば、それは
物資が
不足する。そこで
統制をやらなければいかぬ。マル公が要る。それから買いだめは、これはばかなことをやっているといってお説教もしなければならぬ。あるいはいろいろ
統制も必要だというふうなことになってくるわけでありまして、ここでの解決策は、
石油文明の軌道を放棄するということだろうと思うのです。たとえば、日中戦争のとき、幾ら
統制を綿密にやりましても、
国民に
生活の安定を期待することはできないし、インフレを抑制することも非常にむずかしかった。こう薬ばりをいろいろやってもだめなわけでありまして、結局あのときの解決策は、日中戦争という
目標を放棄する以外になかった。戦争
経済の軌道をはずしてしまう。そうすれば自由
経済に返れたわけであります。
現在でも同じような
状況があるのではないでしょうか。つまり交通戦争
経済、生物化学戦争
経済、ごみ戦争
経済の中にまっしぐらに進んでおりますが、この軌道を放棄するということによって
石油は最も大きく余裕を見出すことができるのではないか。そうすればそんなに配給だ
統制だと騒がぬでもいいのじゃないか。
またもう
一つ、所得
政策という名の賃金
統制が登場しつつありますが、これもおそらく必要がなくなるでしょう。といいますのは、電機
産業やペトロケミカルやあるいは
自動車産業において大量の失業が発生いたします。いまのような急ブレーキをかけますと大量失業が出てくる。いわば部分不況であります。不況が起こって出てきた失業者を、他のいわゆる
生活にもっと密着した
分野において労働力がどんどん
不足して、足りなくて物価が上がっているわけですが、そこに復員させる。いわば軍需
産業に動員されている労働力を平時
産業に復員させるのと同じ機能が働くわけでありまして、いまはあまりにも超完全雇用のためにインフレが激化しております。したがってこれを完全雇用の水準に返すのだと思って、こういう
石油を
がぶ飲みする
産業の部分不況を転回する、そして財政やその他の面ではむしろ拡大
政策をとってこれを吸収する、こういうふうな戦時
経済から平時
経済への転換期における波状再調整のプランを持つ必要があるのではないか。そういう
経済モデルに向かって
経済政策を行使する必要があるのではないか、こういうふうな
感じがいたします。
私は、それの類似点を、たとえば
アメリカについて見ましょう。
アメリカは朝鮮戦争が始まろうとするとわっと恐怖購買が起き出す。いまもまた恐怖購買が起こっておりますが、この恐怖購買は、結局第三次大戦にしない、マッカーサーを首にしちゃう、ということを通じて恐怖購買はおさまるわけであります。これが政治のリーダーシップというものでありまして、買い手がばかだ何だといって説教することではない。大戦にしないということ、いままで言えば
石油文明の軌道を放棄する、これしかないと思います。
それからその次に問題になりますのは、アイゼンハワーは、朝鮮戦争が終わりますと軍事支出が削られる、そこで大きな不況が起こります。そのときに直ちに住宅
産業を興すことによって、その失業者をそちらに吸収して、波状再調整という形で一年間で不況を突破いたしました。
こういうふうな
計画されたリセッションを展開するか、あるいはこう薬ばり的な
統制をやって、そして結局、
業界のいろいろな力関係がありますから、力関係どおりにまんべんに
配分せざるを得ない。それから財政や金融の面では、どんどん総
需要調整と称してデフレをかけざるを得ない。そうしますと、不況と
公害とそしてインフレーション、あまり有効に
統制が働かないのでインフレーションが進む。三つの悪をわれわれは続けることになり、不況がかえって全般化してしまうわけです。そういう形にしないで、部分不況という形にして、むしろ上げるべきものは上げて労働力を吸収し、
エネルギーをそちらのほうで十分潤沢に
供給していくというふうな再調整
方法があるわけであります。そういうふうな
経済計画について考えをめぐらして、その上でこの問題を討議すべきではないかという
感じがいたします。
アメリカでも、先ほど言いましたように、
価格
メカニズムと
税制で何とかならぬかというのでいろいろ
努力しておりますが、われわれとしては、それに加うるに
公害規制という三つの
手段を用いることによって、
優先順位をこういうはしの上げおろしまで
規制するような
統制手段をとらない
方法があり得るのではないか。自由
経済の軌道を進みながら、同時に
石油を潤沢に
供給するという
方法、それはいわば再
生産の軌道を全面的に切りかえるということです。つまり
石油文明から訣別する、そういうふうな体系を持ち出していかなければ、もう工業国全体は成長できないところに来ているのではないか。つまり、
使い捨てでない、物がたまっていくような成長、ストックがたまっていく成長に入っていく。いままでは足踏みしているわけです。フローは成長度が高いけれども、どんどん
使い捨てるわけですから、実際にはあまり成長してはいないのです。そういうのはいまや断念するのだ、そういう気持ちをみんな持ってくれないかということを
国民に呼びかけるのがこの際の政治の課題ではないかという
感じがいたします。
自由民主党は自由
経済の党であるというふうに名乗っておりながら、すぐこういう
統制経済を出してくるというのは、体質上の訓練が
不足しているのではないかという
感じさえするわけであります。
アメリカ共和党においては、そういう問題について十分な討議を経ていろいろ模索しております。
日本もまたその模索の時期であります。
私のいま言いました
経済政策は、いわば
自動車保有税の強化だとか償却税であるとかあるいは
公害規制であるとか、オーソドックスな自由
経済と両立し得る
政策手段でありまして、それを使うことによってもっと伸び伸びと
生活していく。この提案は、すでにローマクラブの報告をもとにして、オランダのマンスホルトがかつて提案していた提案を
参考にしながらいま申し上げたのでございますが、オランダは一番
石油で締め上げられている。おそらくオランダはそういう問題について新しい方針を出すでありましょう。あそこの
経済学者ティンバーゲンもそういう問題をローマクラブの委嘱によって調査し、研究しております。そういう
経済政策路線が出てこなければいけない。そういうふうに出てくることによって、こういう法律は不必要にしてしまうということが現在の
政府の課題ではないかというふうに思います。どうもありがとうございました。(拍手)