○
田中(美)
委員 すらっと読んですらっと御理解してたら、ひどい目にあうから言っているんですよ。よく勘ぐる勘ぐるっておっしゃいますけれ
ども、ずぼしをさされているからそういうふうにおっしゃるんだと思うのです。これは私が勘ぐっているだけでなくて、
日本家族計画連盟でもこうした「
優生保護法の一部改正に反対する」というものを出しているわけですね。こんな大きな字で出されているわけです。この中にこう書いてあります。「さらに法制
審議会が、近く刑法改正にあたり堕胎罪の存続実施を
政府に建言しようとしている事実を、本法改正と併せ
考えるならば、国民生活をして戦前の警察国家に戻す意図と断ぜざるをえない。」疑っていますというだけでなくて、
家族計画連盟は「断ぜざるをえない」といっているんです。私は、まだ、あなたがおっしゃるように勘ぐる言い方をしているんです。私も確信しているんですよ。自分の言っていることを。そうだと思うから、死にもの狂いでこの質問はしていますし、そして国民にこれを訴えているわけです。だから時間を制限してはならない。質問を徹底的にしてこの過程を国民の皆さんに聞いてもらうんだ、各党がそれをやる。その上で国民の意思を十分に聞いて、そうしてこういうものは慎重にやらなければいけないと確信しているわけですけれ
ども、あなたは勘ぐるとおっしゃる。
日本家族計画連盟では「断ぜざるをえない」ということを言っているわけですね。こういう大きな問題、
世界的な問題になっている、国際的な問題になっている。実際に
受胎調節をやっている
人たちが、これを、非常に縮めるものだ、中絶を規制するものだということを言っている。そういうふうに受け取っている。そうして賛成をしている方たちは当然、ある宗教団体を
中心にした方たちも、これは規制するものであるというふうにとっておるということを見れば、
厚生大臣だけが口で幾ら、これは規制するものでもなければ広げるものでもなければ、結果を全く予測もしていないで出しているんだなんて言ったって、すらっと読んですらっとすなおに理解するなんという問題ではないわけですよね。
これはやはり
日本母性保護医協会の会長森山さんの論文ですけれ
ども、これには、いまの
人工中絶に対する世論の変化というものをよく
政府は
考えて、そして法案を
考えていかなければならない。世論の動きというものは大きくいま変わっている。それはどういうふうに変わっているかというと、妊娠中絶を制限していたものを緩和するという方向にいままであったけれ
ども、現在の
世界の方向というものは撤廃の方向にいっているんだと、こう言っているのですね。こういう方向に行っているのだ。これは非合法の堕胎による
母体の障害が初めはおもな理由であったけれ
ども、最近では、産む産まないは婦人の権利という思想の大きな変化によって、撤廃という方向に動いているんだ。そういう時期にこういうものを通してしまえば、近い将来再び法改正を行なわざるを得なくなる。そうして、いたずらに混乱を招くのみであり、これは避けるべきであるという論文を書いていられるわけですね。
〔
委員長退席、
大野(明)
委員長代理着席〕
これは産婦人科の医者であり、東大の教授を長くなさり、東芝病院の院長もなさって、いまは
母性保護医協会の——もちろん
厚生省は御存じですね、顔もすべて御存じの方ですけど、この方がこう言っているのですね。こういうものをそれこそ
大臣が私にすなおにすらっと法案を読めと言うなら、
大臣こそ、こうした国民の声をすなおにすらっと受け入れるべきです。こういう法案は出すことがもう誤っている。これは全く撤回しなければならない問題だと思います。
全く時間がなくて、私は時間の要求をしておりますからまだやりますけれ
ども、きょうはもうあと五分しかありませんので五分だけやります。あと次回にまだ質問をいたしますので、きょうは十四条の四ですね。「胎児が重度の精神又は身体の障害」と、こういうふうなところ。これはいまそちらでは修正案を出す、これを削除するというようなことを言ってこられているわけですね。これは私は、削除するということに対して反対しようとは思っていません。
もともと、この法案を出すことは絶対反対ですからね。ですから、削除したからといって、それでこの法案の本質が変わるものではない。しかし、ここで一言言っておかなければならないことは、削除したから障害者の差別意識というものがあなた方の頭の中からなくなったということはいえないと思う。障害者に対する年金だって少ないし、何の保障があるか、ほんのわずかずついま出かかっているところですけれ
ども、第一、教育だってまともに受けられない。一体、では障害者がこの
日本でどのように生きていくかという福祉的なものがどれだけできているか。これだけおくれている、これはどうしてそういう
状態になっているのかということ。こういうものを出す頭があるからですよ。結局、大資本に奉仕して金もうけに役に立つ人間は産みたくなくてもどんどん産ませるけれ
ども、からだが弱かったり障害がある者はできるだけ早く抹殺してしまえという思想です。そういう思想では——ほんとうに人間を愛する思想がなかったら政治なんかできませんよ。自民党の政治は、大企業に奉仕する人間だけが能力があって、そうでない者は能力がないと見ている。それは劣性であるから抹殺せよという思想がここに出ているわけです。だから、これを削除したからといって、あなた方の頭の中からその思想がなくなったとは思いません。しかし、これを出したということであなた方の頭の中が国民に見えた。これに対する反撃を受けたというのでお驚きになってあわてて引っ込んだでしょう。差別をしているということさえ自覚していなかったということは、まさにおそろしいことだと思います。いい
勉強になったと思うのです。(「人間を大事にしてもらいたい」と呼ぶ者あり)いまやじを飛ばしていらっしゃるように、もっと人間を大事にする、そういうふうな
観点からこれを出していただきたい。きのう申しましたように、日経連や労働省や経企庁などが一緒になってつくった
労働力政策の中に
優生保護法の改正があるということを見ましても、まさにすべてつながっているというふうにいわざるを得ないと思います。
それから、時間がありませんので、簡単に返答していただきたいのですけれ
ども、IUDのことです。IUDはなぜ公認しないのでしょうか。