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田中(美)
委員 これはさっそくにこの文章を直していただきたいわけですけれ
ども、第一、ここに書いてあるのが男性を当てにしたのか女性を当てにしたのか人間を当てにしているのかわからないような書き方で、伺えば、それは女性でしょう、こういうふうなことでは
——実際に
職安ではここを男性のときには抜かしているようです、いろいろ私、現場へ行ってみますと。ですから
職安の現場の人に聞くと、これは大体女性ですと言うんです。それならちゃんとここに女性の場合はと、こう書くべきですよね。第一、家業を手伝わなければならないというのなら、あなたのおっしゃる常識で言った場合に、家業を手伝うといえば一種の
自分の親なり兄弟なりの家業に
就職するという感じですから。でも家事を手伝わなければならないといいますと、これは男だって家事は手伝っているんだし
——まああなた方は手伝いはなさらないでしょうけれ
ども、われわれの夫はみんな家事を手伝っているし、私も家事を手伝っているんですね。ですから、正直な女性というのはこれを見ますと、うちの
仕事をしていたら
失業保険もらえないんだろうかというふうな誤解をするわけです。ですからここのところしっかりと
——例にとること自体が私はおかしいと思うのです。しっかり書いたらおかしくなるから書いてないのです。結婚して家庭に入っても働く意思のない人、そういう人が
職安に来るはずはないのですよね。働く意思がないんです。まあ皆さん
たちはそれを不正受給というふうにお考えになってこういうふうに書かれたのかもしれませんけれ
ども、もうちょっとはっきりと
——遠藤さんは個人としては、
自分はイエス、ノーはっきりしているんだ、さぱっとしているんだ。応対聞いていてもそういうふうな人柄に感じられますけれ
ども、これは一体だれが書いたのか、どこでつくったのか。
遠藤さん、さっそくに直していただきたいと思うのです、はっきりと女だけを対象にするんなら女だけ。そうすれば矛盾がはっきり出てくるわけですよ。そうしてはっきりと、家庭に入ったということばをどうとるか、こういうことですよね。そういうことや、看病をするということを、どこまでが物理的に働けなくなる看病なのか、それとも働きながら看病できる
状態なのか、そういうことをはっきりわかるようにしていただきたい。現状は、婦人というのはいま非常に迷っているんですよ。社会の動きに沿って迷っているんです。
私
たちの年代というのは男に養われるべきだというふうに教育されてきたんです、私自身は。ですけれ
ども、実際に学校を卒業してみましたら戦争たけなわ。とても男と結婚はできない、相手がいないということで。しかたがないから働く。それで戦争が終わって、いい男性が帰ってくると思って楽しみにしていたら、ほとんど死んだのですからね。そうしたら養ってくれる男はいない。やむなく私
たち女性というのは働いてきたわけですよ。それが、結婚したり何かいろいろする中で、結婚していても、今度夫の賃金が低くてとても子供にピアノを習わせられない、塾には行かせられない。それで婦人が働かざるを得なくなってきた。もし夫の賃金だけで十分な
——十分とは言いませんけれ
ども、婦人はどちらかといえばぜいたくをしようとは思ってないわけです。つつましいけれ
ども、人並みの生活をしたい、つつましくてもいい、人並みの生活をしたいと思っている。この人並みの生活が男の賃金だけではできなくなっているというところが、婦人
労働者がどんどんふえている一番大きな原因だと思うのです。そういう中で婦人は、家庭から
職場へ出ていこうとするときに非常に迷うわけですね。そしてこういう病人が出て、夫の賃金でやっている間はおじいちゃん、おばあちゃんの看病を妻がしてやっているわけですけれ
ども、とても子供にも金がかかる、それから年寄りにも金がかかるということで、足らない。そのために働こうという
気持ちになるとき、お金が入ったら人を雇っておばあちゃんのめんどうを見てもらおう、こう思うわけです。しかし
職安に行けば
——金が入るまでは人を雇えないわけですから、雇ってから
仕事をさがすのならばこういう形で
給付制限を受けずに済むわけですけれ
ども、雇えないから、
職業を得ようとする。この金が入ったらパートでも人を雇えるし、何とか少しは家計の足しになるし、おばあちゃんも見てもらえる。そういうとき女は宙に浮くわけです。それから乳幼児の保育の場合でもそうです。どこかに頼むといいますと、保育所に入れるか、それともだれか保育を頼む。おばあちゃんなり近所の人に頼む。そういうときに、働いていないと保育所は入れてもらえないのです。保育に欠ける子供という条項がついていますから、働いていないと保育所に入れてくれない。それで
安定所では
失業保険の対象にはならない。これはおかあさんが子供を保育所に入れないでうちにいるわけですから。そういう婦人というのは宙に浮いてしまうのですね。そういう
状態というものが現状には非常に女には多いわけなんです。そして、いまの社会からすればまだやむを得ない面、過渡期だと私は思いますけれ
ども、うちに不幸があった、だれかがけがをした、交通事故を起こした、病気になった、だれかが
失業をした、いろいろなことが全部主婦にかかってきているということは大体いま言えるのじゃないかと思うのです。そのたんびに婦人は社会的に働く
能力がないというふうに言われてしまうわけですね。
そうした宙に浮いた例というのはあっちこっちにあるのですけれ
ども、これな
ども簡単な例ですけれ
ども、看護婦さんなんです。この看護婦さんが日直、夜勤というのが非常に多いものですから、とてもこれでは
自分の家庭は手伝ってもらえる人がいないからと思って、働いていてやめたわけです。そうしたら、子供がいるから働く意思がないのだという形で
失業保険をもらえないわけなんです。
自分としてはもうちょっと夜勤が少ないところならばつとまるわけです。でもいまは、これは労災
病院なんですけれ
ども、夜勤が十日以上もあるわけです。ですからせめて夜勤が二・八が守られているとかまたは五日か六日ぐらいの夜勤で済むところにかわりたい。からだがくたくたになったので、やめてそういうところに移ろうとした。そうしますと、
職業安定所でだめだと言われたわけです。子供がいるからだめだと言われたのです。それではどうしてもしょうがないから、職をさがしてもらうためにもこれは子供を何とかしなければならないというので、保育所に行ったわけです。そうしたら、あなたはやめているのだから保育に欠ける子供ではないのだ、それで保育所には入れられない、こういうふうに言われたのです。その期間、婦人は一体どうしたらいいのか、これは
大臣にもお聞きしたいわけです。こういう婦人がいるというのは、これは
特例じゃないのです。それをどういうふうにお考えになりますか。