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1974-04-23 第72回国会 衆議院 社会労働委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年四月二十三日(火曜日)     午後一時十四分開議  出席委員    委員長 野原 正勝君    理事 大野  明君 理事 斉藤滋与史君    理事 葉梨 信行君 理事 山下 徳夫君    理事 枝村 要作君 理事 川俣健二郎君    理事 石母田 達君       加藤 紘一君    瓦   力君       住  栄作君    田中  覚君       高橋 千寿君    戸井田三郎君       橋本龍太郎君    粟山 ひで君       阿部 昭吾君    大原  亨君       金子 みつ君    田邊  誠君       村山 富市君    森井 忠良君       八木 一男君    山本 政弘君       田中美智子君    寺前  巖君       大橋 敏雄君    坂口  力君       小宮 武喜君    和田 耕作君  出席国務大臣         労 働 大 臣 長谷川 峻君  出席政府委員         厚生省医務局次         長       宮嶋  剛君         労働省労働基準         局長      渡邊 健二君         労働省婦人少年         局長      高橋 展子君         労働省職業安定         局長      遠藤 政夫君         労働省職業訓練         局長      久野木行美君  委員外の出席者         労働大臣官房労         働保険徴収課長 田中 清定君         労働省職業安定         局失業保険課長 関  英夫君         建設省計画局技         術調査官    浅間  隆君         社会労働委員会         調査室長    濱中雄太郎君     ————————————— 委員の異動 四月十七日  辞任         補欠選任   瓦   力君     床次 徳二君   小林 正巳君     楢橋  進君   高橋 千寿君     久野 忠治君 同日  辞任         補欠選任   久野 忠治君     高橋 千寿君   床次 徳二君     瓦   力君   楢橋  進君     小林 正巳君 同月十九日  辞任         補欠選任   小林 正巳君     河野 洋平君   高橋 千寿君     楢橋  進君 同日  辞任         補欠選任   河野 洋平君     小林 正巳君   楢橋  進君     高橋 千寿君 同月二十三日  辞任         補欠選任   大原  亨君     阿部 昭吾君   山本 政弘君     八木 一男君 同日  辞任         補欠選任   阿部 昭吾君     大原  亨君   八木 一男君     山本 政弘君     ————————————— 四月十六日  失業対策事業就労者に年度末手当支給に関する  請願(阿部昭吾君紹介)(第四三〇九号)  同(枝村要作君紹介)(第四三一〇号)  同(上坂昇君紹介)(第四三一一号)  同(佐藤観樹君紹介)(第四三一二号)  同(平林剛君紹介)(第四三一三号)  同(平田藤吉君紹介)(第四三一四号)  同(福岡義登君紹介)(第四三一五号)  同外二件(伏木和雄君紹介)(第四三一六号)  同(堀昌雄君紹介)(第四三一七号)  同(石橋政嗣君紹介)(第四四一一号)  同(岡田春夫君紹介)(第四四一二号)  同(川俣健二郎君紹介)(第四四一三号)  同(兒玉末男君紹介)(第四四一四号)  同(佐藤敬治君紹介)(第四四一五号)  同(佐野憲治君紹介)(第四四一六号)  同(鈴切康雄君紹介)(第四四一七号)  同(土井たか子君紹介)(第四四一八号)  同(野坂浩賢君紹介)(第四四一九号)  同(原茂君紹介)(第四四二〇号)  同(芳賀貢君紹介)(第四四二一号)  同(伏木和雄君紹介)(第四四二二号)  同(森井忠良君紹介)(第四四二三号)  同(八木一男君紹介)(第四四二四号)  同(八木昇君紹介)(第四四二五号)  療術の制度化に関する請願(越智伊平君紹介)  (第四三一八号)  同(土井たか子君紹介)(第四三一九号)  建設国民健康保険組合に対する国庫補助増額に  関する請願(福岡義登君紹介)(第四三二〇  号)  同(板川正吾君紹介)(第四四二六号)  同外一件(鬼木勝利君紹介)(第四四二七号)  同(鈴切康雄君紹介)(第四四二八号)  戦時災害援護法制定に関する請願(坂口力君紹  介)(第四三二一号)  全国全産業一律最低賃金制の確立に関する請願  外一件(土井たか子君紹介)(第四三二二号)  同(堀昌雄君紹介)(第四四一〇号)  失業保険制度改悪反対に関する請願(坂口力  君紹介)(第四三二三号)  失業保険制度改悪反対に関する請願(坂口力君  紹介)(第四三二四号)  失業保険制度の改善に関する請願(坂口力君紹  介)(第四三二五号)  生活保護基準及び失業対策事業賃金の引上げに  関する請願(小川省吾君紹介)(第四三二六  号)  同(上坂昇君紹介)(第四三二七号)  同(佐藤観樹君紹介)(第四三二八号)  同(土井たか子君紹介)(第四三二九号)  同(平林剛君紹介)(第四三三〇号)  同外一件(伏木和雄君紹介)(第四三三一号)  同(堀昌雄君紹介)(第四三三二号)  同(松浦利尚君紹介)(第四三三三号)  同(石橋政嗣君紹介)(第四四三一号)  同(大野潔君紹介)(第四四三二号)  同外一件(金子みつ君紹介)(第四四三三号)  同(川俣健二郎君紹介)(第四四三四号)  同(坂本恭一君紹介)(第四四三五号)  同(佐藤敬治君紹介)(第四四三六号)  同(佐野憲治君紹介)(第四四三七号)  同(多田光雄君紹介)(第四四三八号)  同(芳賀貢君紹介)(第四四三九号)  同(原茂君紹介)(第四四四〇号)  同(伏木和雄君紹介)(第四四四一号)  同(不破哲三君紹介)(第四四四二号)  同(細谷治嘉君紹介)(第四四四三号)  同(森井忠良君紹介)(第四四四四号)  同(八木一男君紹介)(第四四四五号)  同(八木昇君紹介)(第四四四六号)  同(山本幸一君紹介)(第四四四七号)  同(米内山義一郎君紹介)(第四四四八号)  同(諫山博君紹介)(第四四四九号)  雇用保険法案反対等に関する請願(多田光雄君  紹介)(第四三三四号)  国民生活を守るための福祉政策推進に関する請  願(土井たか子君紹介)(第四四二九号)  原爆被爆者援護法制定に関する請願(鬼木勝利  君紹介)(第四四三〇号) 同月十七日  生活保護基準及び失業対策事業賃金の引上げに  関する請願(石田幸四郎君紹介)(第四五三四  号)  同(諫山博君紹介)(第四五九〇号)  同(小沢貞孝君紹介)(第四五九一号)  同(金子満広君紹介)(第四五九二号)  同(神崎敏雄君紹介)(第四五九三号)  同(久保田鶴松君紹介)(第四五九四号)  同(土橋一吉君紹介)(第四五九五号)  同(東中光雄君紹介)(第四五九六号)  同(岩垂寿喜男君紹介)(第四六七二号)  同(金子満広君紹介)(第四六七三号)  同(佐藤観樹君紹介)(第四六七四号)  同(金子満広君紹介)(第四七二五号)  身体障害者生活保障等に関する請願(石田幸  四郎君紹介)(第四五三五号)  同(小川新一郎君紹介)(第四七二三号)  社会福祉施設労働者労働条件改善等に関する  請願(石田幸四郎君紹介)(第四五三六号)  同(小川新一郎君紹介)(第四七二四号)  療術の制度化に関する請願(粕谷茂君紹介)(  第四五三七号)  同(戸井田三郎君紹介)(第四五八六号)  同外三件(増岡博之君紹介)(第四五八七号)  同外十二件(安倍晋太郎君紹介)(第四六六七  号)  同(越智伊平君紹介)(第四六六八号)  同外五件(鈴木善幸君紹介)(第四六六九号)  同(土井たか子君紹介)(第四六七〇号)  同外十五件(根本龍太郎君紹介)(第四六七一  号)  消費生活協同組合の育成等に関する請願(石田  幸四郎君紹介)(第四五三八号)  同(石田幸四郎君紹介)(第四五八九号)  失業対策事業就労者に年度末手当支給に関する  請願(諫山博君紹介)(第四五三九号)  同(青柳盛雄君紹介)(第四五七五号)  同(諫山博君紹介)(第四五七六号)  同(金子満広君紹介)(第四五七七号)  同(神崎敏雄君紹介)(第四五七八号)  同(久保田鶴松君紹介)(第四五七九号)  同(竹村幸雄君紹介)(第四五八〇号)  同(中島武敏君紹介)(第四五八一号)  同(東中光雄君紹介)(第四五八二号)  同(細谷治嘉君紹介)(第四五八三号)  同(松浦利尚君紹介)(第四五八四号)  同(美濃政市君紹介)(第四五八五号)  同(土井たか子君紹介)(第四六六五号)  失業保険制度改悪反対に関する請願(多田光  雄君紹介)(第四五四〇号)  建設国民健康保険組合に対する国庫補助増額に  関する請願(石田幸四郎君紹介)(第四五四一  号)  同(北側義一君紹介)(第四五四二号)  同(土橋一吉君紹介)(第四六六三号)  同(松本善明君紹介)(第四六六四号)  同(小川新一郎君紹介)(第四七二六号)  同(坂口力君紹介)(第四七二七号)  同(鈴切康雄君紹介)(第四七二八号)  腎臓病患者の医療改善に関する請願(木村武千  代君紹介)(第四五八八号)  雇用保険法案反対等に関する請願(横路孝弘君  紹介)(第四六六六号) 同月十九日  戦時災害援護法制定に関する請願(柴田健治君  紹介)(第四七六四号)  同(斉藤正男君紹介)(第四九九二号)  全国一律最低賃金制の確立等に関する請願(正  森成二君紹介)(第四七六五号)  失業対策事業就労者に対する年度末手当の制度  化に関する請願(岩垂寿喜男君紹介)(第四七  六六号)  同(大柴滋夫君紹介)(第四七六七号)  同(佐野憲治君紹介)(第四七六八号)  同(津金佑近君紹介)(第四七六九号)  同外三件(長谷川正三君紹介)(第四七七〇  号)  同(太田一夫君紹介)(第四八四三号)  同(石野久男君紹介)(第四八四四号)  同(久保三郎君紹介)(第四八四五号)  同(小林政子君紹介)(第四八四六号)  同(島田琢郎君紹介)(第四八四七号)  同外三件(島本虎三君紹介)(第四八四八号)  同(楯兼次郎君紹介)(第四八四九号)  同(塚田庄平君紹介)(第四八五〇号)  同外一件(中村重光君紹介)(第四八五一号)  同外一件(長谷川正三君紹介)(第四八五二  号)  同(広瀬秀吉君紹介)(第四八五三号)  同(古川喜一君紹介)(第四八五四号)  同(美濃政市君紹介)(第四八五五号)  同(堂森芳夫君紹介)(第四九七五号)  同(嶋崎譲君紹介)(第四九七六号)  建設国民健康保険組合に対する国庫補助増額に  関する請願(青柳盛雄君紹介)(第四七七一  号)  同(津金佑近君紹介)(第四七七二号)  同(安宅常彦君紹介)(第四八三八号)  同(石野久男君紹介)(第四八三九号)  同(枝村要作君紹介)(第四八四〇号)  同(大野潔君紹介)(第四八四一号)  同(川俣健二郎君紹介)(第四九七七号)  同外二件(清水徳松君紹介)(第四九七八号)  同外一件(島本虎三君紹介)(第四九七九号)  同(田邊誠君紹介)(第四九八〇号)  同(長谷川正三君紹介)(第四九八一号)  同(原茂君紹介)(第四九八二号)  同(村山富市君紹介)(第四九八三号)  クリーニング業法の一部改正反対に関する請願  外四件(木部佳昭君紹介)(第四七七三号)  同(佐藤孝行君紹介)(第四七七四号)  同外一件(高見三郎君紹介)(第四七七五号)  同外一件(森下元晴君紹介)(第四七七六号)  雇用保険法案反対等に関する請願(芳賀貢君紹  介)(第四七七七号)  電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法  の規制に関する法律撤廃に関する請願(八木昇  君紹介)(第四七七八号)  同(石橋政嗣君紹介)(第四八七二号)  同(中村重光君紹介)(第四八七三号)  同(村山富市君紹介)(第四八七四号)  同外二件(八木昇君紹介)(第四八七五号)  同外二件(八木昇君紹介)(第四九七三号)  農林水産業雇用者等失業保険制度に関する請  願外五件(阿部昭吾君紹介)(第四八四二号)  雇用保険法案の一部修正に関する請願外一件  (渡辺三郎君紹介)(第四八五六号)  療術の制度化に関する請願外八件(谷川和穗君  紹介)(第四八五七号)  同(足立篤郎君紹介)(第四九九三号)  同(石原慎太郎君紹介)(第四九九四号)  同(宇都宮徳馬君紹介)(第四九九五号)  同(臼井莊一君紹介)(第四九九六号)  同外十件(江藤隆美君紹介)(第四九九七号)  同外一件(越智伊平君紹介)(第四九九八号)  同(大石千八君紹介)(第四九九九号)  同(大野明君紹介)(第五〇〇〇号)  同(奥田敬和君紹介)(第五〇〇一号)  同(片岡清一君紹介)(第五〇〇二号)  同外三件(河上民雄君紹介)(第五〇〇三号)  同(栗原祐幸君紹介)(第五〇〇四号)  同(小平久雄君紹介)(第五〇〇五号)  同(小宮山重四郎君紹介)(第五〇〇六号)  同(小山省二君紹介)(第五〇〇七号)  同(志賀節君紹介)(第五〇〇八号)  同(住栄作君紹介)(第五〇〇九号)  同(園田直君紹介)(第五〇一〇号)  同(田中榮一君紹介)(第五〇一一号)  同(高見三郎君紹介)(第五〇一二号)  同(竹内黎一君紹介)(第五〇一三号)  同(地崎宇三郎君紹介)(第五〇一四号)  同(中川一郎君紹介)(第五〇一五号)  同(土井たか子君紹介)(第五〇一六号)  同(長谷川四郎君紹介)(第五〇一七号)  同(八田貞義君紹介)(第五〇一八号)  同(浜田幸一君紹介)(第五〇一九号)  同(林大幹君紹介)(第五〇二〇号)  同(早川崇君紹介)(第五〇二一号)  同(原健三郎君紹介)(第五〇二二号)  同(福永健司君紹介)(第五〇二三号)  同(船田中君紹介)(第五〇二四号)  同(本名武君紹介)(第五〇二五号)  同(松岡松平君紹介)(第五〇二六号)  同(松永光君紹介)(第五〇二七号)  同(村上勇君紹介)(第五〇二八号)  同(森山欽司君紹介)(第五〇二九号)  同(安田貴六君紹介)(第五〇三〇号)  同外一件(山口敏夫君紹介)(第五〇三一号)  同(山崎拓君紹介)(第五〇三二号)  同(山田久就君紹介)(第五〇三三号)  同外一件(横山利秋君紹介)(第五〇三四号)  同(綿貫民輔君紹介)(第五〇三五号)  同(渡辺美智雄君紹介)(第五〇三六号)  同外一件(和田貞夫君紹介)(第五〇三七号)  全国全産業一律最低賃金制の確立に関する請願  (土井たか子君紹介)(第四八五八号)  同外二件(土井たか子君紹介)(第四九八四  号)  生活保護基準及び失業対策事業賃金の引上げに  関する請願(石野久男君紹介)(第四八五九  号)  同(久保三郎君紹介)(第四八六〇号)  同(兒玉末男君紹介)(第四八六一号)  同(佐野進君紹介)(第四八六二号)  同(島田琢郎君紹介)(第四八六三号)  同外一件(島本虎三君紹介)(第四八六四号)  同(嶋崎譲君紹介)(第四八六五号)  同(土橋一吉君紹介)(第四八六六号)  同外一件(中村重光君紹介)(第四八六七号)  同(馬場昇君紹介)(第四八六八号)  同(広瀬秀吉君紹介)(第四八六九号)  同(古川喜一君紹介)(第四八七〇号)  同(八木一男君紹介)(第四八七一号)  同(川崎寛治君紹介)(第四九八九号)  同(堂森芳夫君紹介)(第四九九〇号)  同(和田貞夫君紹介)(第四九九一号)  失業対策事業就労者賃金引上げ等に関する請  願(村山喜一君紹介)(第四九六六号)  原爆被爆者援護法制定に関する請願外一件(岩  垂寿喜男君紹介)(第四九六七号)  同(岡田哲児君紹介)(第四九六八号)  同(江田三郎君紹介)(第四九六九号)  同(枝村要作君紹介)(第四九七〇号)  同(加藤清二君紹介)(第四九七一号)  同(小林信一君紹介)(第四九七二号)  身体障害者生活保障等に関する請願(横路孝  弘君紹介)(第四九八六号)  国民生活を守るための福祉政策推進に関する請  願外一件(土井たか子君紹介)(第四九八七  号)  雇用・失業保障制度の確立に関する請願(嶋崎  譲君紹介)(第四九八八号) 同月二十日  失業対策事業就労者に対する年度末手当の制度  化に関する請願(阿部助哉君紹介)(第五〇九  一号)  同(大原亨君紹介)(第五〇九二号)  同(紺野与次郎君紹介)(第五一九六号)  同(三浦久君紹介)(第五一九七号)  同外一件(田中美智子君紹介)(第五三三二  号)  同(松本善明君紹介)(第五三三三号)  同(田中美智子君紹介)(第五四二六号)  同(林百郎君紹介)(第五四二七号)  失業保険制度改悪反対に関する請願(多田光  雄君紹介)(第五〇九三号)  同(多田光雄君紹介)(第五一九五号)  同(田中美智子君紹介)(第五三三一号)  建設国民健康保険組合に対する国庫補助増額に  関する請願(津金佑近君紹介)(第五〇九四  号)  同(伏木和雄君紹介)(第五〇九五号)  同(松本忠助君紹介)(第五〇九六号)  同(米原昶君紹介)(第五〇九七号)  同(有島重武君紹介)(第五一八六号)  同(紺野与次郎君紹介)(第五一八七号)  同(瀬長亀次郎君紹介)(第五一八八号)  同(津金佑近君紹介)(第五一八九号)  同(米原昶君紹介)(第五一九〇号)  同(安里積千代君紹介)(第五三一八号)  同外一件(金子満広君紹介)(第五三一九号)  同(柴田睦夫君紹介)(第五三二〇号)  同外六件(田中美智子君紹介)(第五三二一  号)  同外二件(津金佑近君紹介)(第五三二二号)  同外一件(不破哲三君紹介)(第五三二三号)  同外六件(松本善明君紹介)(第五三二四号)  同外三件(和田耕作君紹介)(第五三二五号)  同外四件(大野潔君紹介)(第五四二八号)  同外一件(近江巳記夫君紹介)(第五四二九  号)  同(沖本泰幸君紹介)(第五四三〇号)  同外一件(紺野与次郎君紹介)(第五四三一  号)  同(土橋一吉君紹介)(第五四三二号)  同(中川利三郎君紹介)(第五四三三号)  同外一件(中路雅弘君紹介)(第五四三四号)  同(林百郎君紹介)(第五四三五号)  同(伏木和雄君紹介)(第五四三六号)  同外二件(正森成二君紹介)(第五四三七号)  同外一件(三浦久君紹介)(第五四三八号)  同(山原健二郎君紹介)(第五四三九号)  同外二件(米原昶君紹介)(第五四四〇号)  同(有島重武君紹介)(第五五三七号)  同(春日一幸君紹介)(第五五三八号)  同(坂口力君紹介)(第五五三九号)  同(竹本孫一君紹介)(第五五四〇号)  同(伏木和雄君紹介)(第五五四一号)  同(松本忠助君紹介)(第五五四二号)  全国全産業一律最低賃金制の確立に関する請願  (土井たか子君紹介)(第五〇九八号)  同外一件(土井たか子君紹介)(第五三三〇  号)  同(米原昶君紹介)(第五四二一号)  療術の制度化に関する請願(井上普方君紹介)  (第五〇九九号)  同(稲葉誠一君紹介)(第五一〇〇号)  同(大柴滋夫君紹介)(第五一〇一号)  同(岡田春夫君紹介)(第五一〇二号)  同(勝澤芳雄君紹介)(第五一〇三号)  同(勝間田清一君紹介)(第五一〇四号)  同(金瀬俊雄君紹介)(第五一〇五号)  同(木原実君紹介)(第五一〇六号)  同(佐野憲治君紹介)(第五一〇七号)  同(多賀谷真稔君紹介)(第五一〇八号)  同(堂森芳夫君紹介)(第五一〇九号)  同(長谷川正三君紹介)(第五一一〇号)  同(広瀬秀吉君紹介)(第五一一一号)  同(細谷治嘉君紹介)(第五一一二号)  同(古川喜一君紹介)(第五一一三号)  同(武藤山治君紹介)(第五一一四号)  同(山田耻目君紹介)(第五一一五号)  同(吉田法晴君紹介)(第五一一六号)  同(足立篤郎君紹介)(第五一九八号)  同(石原慎太郎君紹介)(第五一九九号)  同外五件(井出一太郎君紹介)(第五二〇〇  号)  同(宇都宮徳馬君紹介)(第五二〇一号)  同(植木庚子郎君紹介)(第五二〇二号)  同(臼井莊一君紹介)(第五二〇三号)  同(大石千八君紹介)(第五二〇四号)  同(大野明君紹介)(第五二〇五号)  同(奥田敬和君紹介)(第五二〇六号)  同(片岡清一君紹介)(第五二〇七号)  同外一件(鴨田宗一君紹介)(第五二〇八号)  同(木部佳昭君紹介)(第五二〇九号)  同(栗原祐幸君紹介)(第五二一〇号)  同(小平久雄君紹介)(第五二一一号)  同(小宮山重四郎君紹介)(第五二一二号)  同(小山省二君紹介)(第五二一三号)  同(斉藤滋与史君紹介)(第五二一四号)  同(志賀節君紹介)(第五二一五号)  同(塩谷一夫君紹介)(第五二一六号)  同(住栄作君紹介)(第五二一七号)  同(園田直君紹介)(第五二一八号)  同(田中榮一君紹介)(第五二一九号)  同(高見三郎君紹介)(第五二二〇号)  同(竹内黎一君紹介)(第五二二一号)  同(地崎宇三郎君紹介)(第五二二二号)  同外一件(坪川信三君紹介)(第五二二三号)  同(中川一郎君紹介)(第五二二四号)  同外四件(羽田孜君紹介)(第五二二五号)  同(橋本龍太郎君紹介)(第五二二六号)  同(長谷川四郎君紹介)(第五二二七号)  同(八田貞義君紹介)(第五二二八号)  同(浜田幸一君紹介)(第五二二九号)  同(早川崇君紹介)(第五二三〇号)  同(林大幹君紹介)(第五二三一号)  同(福田一君紹介)(第五二三二号)  同(福永健司君紹介)(第五二三三号)  同(船田中君紹介)(第五二三四号)  同(本名武君紹介)(第五二三五号)  同(松岡松平君紹介)(第五二三六号)  同(松永光君紹介)(第五二三七号)  同(村上勇君紹介)(第五二三八号)  同(森山欽司君紹介)(第五二三九号)  同(安田貴六君紹介)(第五二四〇号)  同(山口敏夫君紹介)(第五二四一号)  同(山崎拓君紹介)(第五二四二号)  同(山田久就君紹介)(第五二四三号)  同(山村新治郎君紹介)(第五二四四号)  同(綿貫民輔君紹介)(第五二四五号)  同(渡辺美智雄君紹介)(第五二四六号)  同(足立篤郎君紹介)(第五四四一号)  同(稲村利幸君紹介)(第五四四二号)  同(石原慎太郎君紹介)(第五四四三号)  同(宇都宮徳馬君紹介)(第五四四四号)  同(臼井莊一君紹介)(第五四四五号)  同(奥田敬和君紹介)(第五四四六号)  同(大石千八君紹介)(第五四四七号)  同(加藤紘一君紹介)(第五四四八号)  同(片岡清一君紹介)(第五四四九号)  同(鴨田宗一君紹介)(第五四五〇号)  同(鯨岡兵輔君紹介)(第五四五一号)  同(栗原祐幸君紹介)(第五四五二号)  同(小宮山重四郎君紹介)(第五四五三号)  同(小山省二君紹介)(第五四五四号)  同(佐々木秀世君紹介)(第五四五五号)  同(三枝三郎君紹介)(第五四五六号)  同(志賀節君紹介)(第五四五七号)  同(住栄作君紹介)(第五四五八号)  同(園田直君紹介)(第五四五九号)  同(田中榮一君紹介)(第五四六〇号)  同(高見三郎君紹介)(第五四六一号)  同(竹内黎一君紹介)(第五四六二号)  同(地崎宇三郎君紹介)(第五四六三号)  同(坪川信三君紹介)(第五四六四号)  同(中川一郎君紹介)(第五四六五号)  同(永山忠則君紹介)(第五四六六号)  同(長谷川四郎君紹介)(第五四六七号)  同(林大幹君紹介)(第五四六八号)  同(早川崇君紹介)(第五四六九号)  同(福永健司君紹介)(第五四七〇号)  同(藤尾正行君紹介)(第五四七一号)  同(船田中君紹介)(第五四七二号)  同(本名武君紹介)(第五四七三号)  同(松浦周太郎君紹介)(第五四七四号)  同(松岡松平君紹介)(第五四七五号)  同(松永光君紹介)(第五四七六号)  同(村上勇君紹介)(第五四七七号)  同(森山欽司君紹介)(第五四七八号)  同(安田貴六君紹介)(第五四七九号)  同(山口敏夫君紹介)(第五四八〇号)  同(山崎拓君紹介)(第五四八一号)  同(綿貫民輔君紹介)(第五四八二号)  同(渡辺美智雄君紹介)(第五四八三号)  同外六件(鯨岡兵輔君紹介)(第五五一一号)  同外一件(受田新吉君紹介)(第五五三三号)  同(神田大作君紹介)(第五五三四号)  同外七件(田村良平君紹介)(第五五三五号)  生活保護基準及び失業対策事業賃金の引上げに  関する請願(鬼木勝利君紹介)(第五一九一  号)  同(三浦久君紹介)(第五一九二号)  同(美濃政市君紹介)(第五一九三号)  同(八木昇君紹介)(第五一九四号)  同外一件(田中美智子君紹介)(第五三二八  号)  同(松本善明君紹介)(第五三二九号)  同(田中美智子君紹介)(第五四二二号)  同(林百郎君紹介)(第五四二三号)  同(米原昶君紹介)(第五四二四号)  同(塚本三郎君紹介)(第五五三六号)  国民健康保険事業の改善に関する請願(天野光  晴君紹介)(第五三一六号)  農林水産業雇用者等失業保険制度に関する請  願(天野光晴君紹介)(第五三一七号)  医療保険制度の改善に関する請願(林義郎君紹  介)(第五三二六号)  同外九件(小澤太郎君紹介)(第五四二五号)  雇用保険法案反対等に関する請願(田中美智子  君紹介)(第五三二七号) 同月二十二日  クリーニング業法の一部改正反対に関する請願  (灘尾弘吉君紹介)(第五六一九号)  建設国民健康保険組合に対する国庫補助増額に  関する請願(青柳盛雄君紹介)(第五六二〇  号)  同(荒木宏君紹介)(第五六二一号)  同(諫山博君紹介)(第五六二二号)  同(石母田達君紹介)(第五六二三号)  同外一件(梅田勝君紹介)(第五六二四号)  同(浦井洋君紹介)(第五六二五号)  同(神崎敏雄君紹介)(第五六二六号)  同(木下元二君紹介)(第五六二七号)  同(栗田翠君紹介)(第五六二八号)  同(小林政子君紹介)(第五六二九号)  同(紺野与次郎君紹介)(第五六三〇号)  同(庄司幸助君紹介)(第五六三一号)  同(瀬崎博義君紹介)(第五六三二号)  同(瀬長亀次郎君紹介)(第五六三三号)  同(田代文久君紹介)(第五六三四号)  同(田中美智子君紹介)(第五六三五号)  同(多田光雄君紹介)(第五六三六号)  同外一件(谷口善太郎君紹介)(第五六三七  号)  同(津金佑近君紹介)(第五六三八号)  同(津川武一君紹介)(第五六三九号)  同(寺前巖君紹介)(第五六四〇号)  同(土橋一吉君紹介)(第五六四一号)  同(中川利三郎君紹介)(第五六四二号)  同(中路雅弘君紹介)(第五六四三号)  同(中島武敏君紹介)(第五六四四号)  同(野間友一君紹介)(第五六四五号)  同(林百郎君紹介)(第五六四六号)  同外一件(東中光雄君紹介)(第五六四七号)  同(平田藤吉君紹介)(第五六四八号)  同(不破哲三君紹介)(第五六四九号)  同(正森成二君紹介)(第五六五〇号)  同(増本一彦君紹介)(第五六五一号)  同(三谷秀治君紹介)(第五六五二号)  同(村上弘君紹介)(第五六五三号)  同(阿部助哉君紹介)(第五七七五号)  同外一件(青柳盛雄君紹介)(第五七七六号)  同(板川正吾君紹介)(第五七七七号)  同(浦井洋君紹介)(第五七七八号)  同外一件(江田三郎君紹介)(第五七七九号)  同(小川省吾君紹介)(第五七八〇号)  同(小沢貞孝君紹介)(第五七八一号)  同外二件(大柴滋夫君紹介)(第五七八二号)  同外一件(加藤清政君紹介)(第五七八三号)  同外三件(角屋堅次郎君紹介)(第五七八四  号)  同(川俣健二郎君紹介)(第五七八五号)  同外三件(久保三郎君紹介)(第五七八六号)  同(久保田鶴松君紹介)(第五七八七号)  同外二件(紺野与次郎君紹介)(第五七八八  号)  同(佐々木更三君紹介)(第五七八九号)  同(佐々木良作君紹介)(第五七九〇号)  同(佐野憲治君紹介)(第五七九一号)  同(阪上安太郎君紹介)(第五七九二号)  同外二件(清水徳松君紹介)(第五七九三号)  同(下平正一君紹介)(第五七九四号)  同(庄司幸助君紹介)(第五七九五号)  同(瀬長亀次郎君紹介)(第五七九六号)  同外二件(田中美智子君紹介)(第五七九七  号)  同外一件(田中武夫君紹介)(第五七九八号)  同(塚田庄平君紹介)(第五七九九号)  同外二件(津金佑近君紹介)(第五八〇〇号)  同外二件(土井たか子君紹介)(第五八〇一  号)  同(中島武敏君紹介)(第五八〇二号)  同(永末英一君紹介)(第五八〇三号)  同(芳賀貢君紹介)(第五八〇四号)  同(平林剛君紹介)(第五八〇五号)  同外一件(堀昌雄君紹介)(第五八〇六号)  同外二件(松本善明君紹介)(第五八〇七号)  同(三宅正一君紹介)(第五八〇八号)  同(三谷秀治君紹介)(第五八〇九号)  同(武藤山治君紹介)(第五八一〇号)  同(森井忠良君紹介)(第五八一一号)  同外一件(安井吉典君紹介)(第五八一二号)  同外一件(米内山義一郎君紹介)(第五八一三  号)  同外二件(米原昶君紹介)(第五八一四号)  同(青柳盛雄君紹介)(第五九六四号)  同外一件(津金佑近君紹介)(第五九六五号)  同(不破哲三君紹介)(第五九六六号)  同(村上弘君紹介)(第五九六七号)  同外四件(安宅常彦君紹介)(第六一五三号)  同(浦井洋君紹介)(第六一五四号)  同外二件(大原亨君紹介)(第六一五五号)  同外一件(大柴滋夫君紹介)(第六一五六号)  同(枝村要作君紹介)(第六一五七号)  同(加藤清政君紹介)(第六一五八号)  同(金子みつ君紹介)(第六一五九号)  同外一件(久保等君紹介)(第六一六〇号)  同(清水徳松君紹介)(第六一六一号)  同(島田琢郎君紹介)(第六一六二号)  同外一件(島本虎三君紹介)(第六一六三号)  同外一件(田中昭二君紹介)(第六一六四号)  同外三件(高沢寅男君紹介)(第六一六五号)  同外三件(津川武一君紹介)(第六一六六号)  同(塚本三郎君紹介)(第六一六七号)  同(土橋一吉君紹介)(第六一六八号)  同(野坂浩賢君紹介)(第六一六九号)  同外一件(長谷川正三君紹介)(第六一七〇  号)  同(芳賀貢君紹介)(第六一七一号)  同(広瀬秀吉君紹介)(第六一七二号)  同(細谷治嘉君紹介)(第六一七三号)  同(堀昌雄君紹介)(第六一七四号)  同外一件(八木一男君紹介)(第六一七五号)  同(湯山勇君紹介)(第六一七六号)  同(山崎始男君紹介)(第六一七七号)  同(山本幸一君紹介)(第六一七八号)  同外一件(山本政弘君紹介)(第六一七九号)  同外一件(渡辺三郎君紹介)(第六一八〇号)  同(渡辺惣蔵君紹介)(第六一八一号)  同(和田貞夫君紹介)(第六一八二号)  療術の制度化に関する請願外二件(足立篤郎君  紹介)(第五六五四号)  同外二件(石原慎太郎君紹介)(第五六五五  号)  同外一件(稲村利幸君紹介)(第五六五六号)  同外二件(宇都宮徳馬君紹介)(第五六五七  号)  同(植木庚子郎君紹介)(第五六五八号)  同外二件(臼井莊一君紹介)(第五六五九号)  同外一件(越智伊平君紹介)(第五六六〇号)  同外二件(大石千八君紹介)(第五六六一号)  同(大野明君紹介)(第五六六二号)  同外二件(奥田敬和君紹介)(第五六六三号)  同(加藤紘一君紹介)(第五六六四号)  同外二件(片岡清一君紹介)(第五六六五号)  同外二件(鴨田宗一君紹介)(第五六六六号)  同外二件(鯨岡兵輔君紹介)(第五六六七号)  同外二件(栗原祐幸君紹介)(第五六六八号)  同(小坂善太郎君紹介)(第五六六九号)  同(小平久雄君紹介)(第五六七〇号)  同外二件(小宮山重四郎君紹介)(第五六七一  号)  同外二件(小山省二君紹介)(第五六七二号)  同(佐々木秀世君紹介)(第五六七三号)  同外一件(三枝三郎君紹介)(第五六七四号)  同外二件(志賀節君紹介)(第五六七五号)  同外二件(住栄作君紹介)(第五六七六号)  同外二件(園田直君紹介)(第五六七七号)  同外二件(田中榮一君紹介)(第五六七八号)  同(田中六助君紹介)(第五六七九号)  同外二件(高見三郎君紹介)(第五六八〇号)  同外二件(竹内黎一君紹介)(第五六八一号)  同外二件(地崎宇三郎君紹介)(第五六八二  号)  同外二件(坪川信三君紹介)(第五六八三号)  同外二件(中川一郎君紹介)(第五六八四号)  同外一件(永山忠則君紹介)(第五六八五号)  同(楢橋進君紹介)(第五六八六号)  同(丹羽喬四郎君紹介)(第五六八七号)  同外二件(長谷川四郎君紹介)(第五六八八  号)  同(八田貞義君紹介)(第五六八九号)  同(浜田幸一君紹介)(第五六九〇号)  同外一件(早川崇君紹介)(第五六九一号)  同外二件(林大幹君紹介)(第五六九二号)  同外一件(原健三郎君紹介)(第五六九三号)  同(福田一君紹介)(第五六九四号)  同外三件(福永健司君紹介)(第五六九五号)  同外一件(藤尾正行君紹介)(第五六九六号)  同外二件(船田中君紹介)(第五六九七号)  同外二件(本名武君紹介)(第五六九八号)  同外一件(松浦周太郎君紹介)(第五六九九  号)  同外二件(松岡松平君紹介)(第五七〇〇号)  同外二件(松永光君紹介)(第五七〇一号)  同外二件(村上勇君紹介)(第五七〇二号)  同外二件(森山欽司君紹介)(第五七〇三号)  同外二件(安田貴六君紹介)(第五七〇四号)  同(保岡興治君紹介)(第五七〇五号)  同外二件(山口敏夫君紹介)(第五七〇六号)  同外二件(山崎拓君紹介)(第五七〇七号)  同外二件(山田久就君紹介)(第五七〇八号)  同外二件(綿貫民輔君紹介)(第五七〇九号)  同外二件(渡辺美智雄君紹介)(第五七一〇  号)  同外二件(足立篤郎君紹介)(第五八一七号)  同外二件(石原慎太郎君紹介)(第五八一八  号)  同(宇都宮徳馬君紹介)(第五八一九号)  同外二件(臼井莊一君紹介)(第五八二〇号)  同(大野明君紹介)(第五八二一号)  同(奥田敬和君紹介)(第五八二二号)  同(片岡清一君紹介)(第五八二三号)  同外一件(鴨田宗一君紹介)(第五八二四号)  同外二件(小山省二君紹介)(第五八二五号)  同(鯨岡兵輔君紹介)(第五八二六号)  同(栗原祐幸君紹介)(第五八二七号)  同外二件(小宮山重四郎君紹介)(第五八二八  号)  同(三枝三郎君紹介)(第五八二九号)  同外二件(志賀節君紹介)(第五八三〇号)  同外一件(篠田弘作君紹介)(第五八三一号)  同外二件(住栄作君紹介)(第五八三二号)  同外二件(園田直君紹介)(第五八三三号)  同外二件(田中榮一君紹介)(第五八三四号)  同(田中武夫君紹介)(第五八三五号)  同外一件(高見三郎君紹介)(第五八三六号)  同外一件(地崎宇三郎君紹介)(第五八三七  号)  同(坪川信三君紹介)(第五八三八号)  同(永山忠則君紹介)(第五八三九号)  同外二件(中川一郎君紹介)(第五八四〇号)  同外一件(羽田孜君紹介)(第五八四一号)  同(長谷川四郎君紹介)(第五八四二号)  同外二件(早川崇君紹介)(第五八四三号)  同外一件(林大幹君紹介)(第五八四四号)  同外二件(福永健司君紹介)(第五八四五号)  同外二件(船田中君紹介)(第五八四六号)  同外二件(本名武君紹介)(第五八四七号)  同(松浦周太郎君紹介)(第五八四八号)  同外二件(松岡松平君紹介(第五八四九号)  同外二件(松永光君紹介)(第五八五〇号)  同(村上勇君紹介)(第五八五一号)  同(原健三郎君紹介)(第五八五二号)  同外二件(森山欽司君紹介)(第五八五三号)  同外二件(安田貴六君紹介)(第五八五四号)  同外二件(山口敏夫君紹介)(第五八五五号)  同(山崎拓君紹介)(第五八五六号)  同外一件(山田久就君紹介)(第五八五七号)  同(米田東吾君紹介)(第五八五八号)  同(綿貫民輔君紹介)(第五八五九号)  同外二件(渡辺美智雄君紹介)(第五八六〇  号)  同外一件(足立篤郎君紹介)(第五九七三号)  同外一件(石原慎太郎君紹介)(第五九七四  号)  同外一件(宇都宮徳馬君紹介)(第五九七五  号)  同(植木庚子郎君紹介)(第五九七六号)  同外一件(臼井莊一君紹介)(第五九七七号)  同外一件(大石千八君紹介)(第五九七八号)  同(大野明君紹介)(第五九七九号)  同(奥田敬和君紹介)(第五九八〇号)  同外一件(片岡清一君紹介)(第五九八一号)  同外一件(鴨田宗一君紹介)(第五九八二号)  同外三件(木部佳昭君紹介)(第五九八三号)  同(鯨岡兵輔君紹介)(第五九八四号)  同(栗原祐幸君紹介)(第五九八五号)  同外一件(小山省二君紹介)(第五九八六号)  同外一件(志賀節君紹介)(第五九八七号)  同外一件(住栄作君紹介)(第五九八八号)  同外一件(園田直君紹介)(第五九八九号)  同外一件(田中榮一君紹介)(第五九九〇号)  同外十件(田中正巳君紹介)(第五九九一号)  同(竹内黎一君紹介)(第五九九二号)  同外一件(高見三郎君紹介)(第五九九三号)  同外一件(地崎宇三郎君紹介)(第五九九四  号)  同外一件(坪川信三君紹介)(第五九九五号)  同外一件(中川一郎君紹介)(第五九九六号)  同(永山忠則君紹介)(第五九九七号)  同(羽田孜君紹介)(第五九九八号)  同外一件(長谷川四郎君紹介)(第五九九九  号)  同外一件(林大幹君紹介)(第六〇〇〇号)  同(原健三郎君紹介)(第六〇〇一号)  同外一件(福永健司君紹介)(第六〇〇二号)  同外一件(船田中君紹介)(第六〇〇三号)  同外一件(本名武君紹介)(第六〇〇四号)  同外一件(松岡松平君紹介)(第六〇〇五号)  同外十一件(松野幸泰君紹介)(第六〇〇六  号)  同(松永光君紹介)(第六〇〇七号)  同外一件(水野清君紹介)(第六〇〇八号)  同(村上勇君紹介)(第六〇〇九号)  同外一件(森山欽司君紹介)(第六〇一〇号)  同外一件(安田貴六君紹介)(第六〇一一号)  同外一件(山口敏夫君紹介)(第六〇一二号)  同(山崎拓君紹介)(第六〇一三号)  同外一件(山田久就君紹介)(第六〇一四号)  同外一件(綿貫民輔君紹介)(第六〇一五号)  同外二十二件(渡辺栄一君紹介)(第六〇一六  号)  同外一件(渡辺美智雄君紹介)(第六〇一七  号)  同外一件(小宮山重四郎君紹介)(第六〇一八  号)  同(足立篤郎君紹介)(第六一八五号)  同(石原慎太郎君紹介)(第六一八六号)  同(池田禎治君紹介)(第六一八七号)  同(稲葉誠一君紹介)(第六一八八号)  同(稲村利幸君紹介)(第六一八九号)  同(稲富稜人君紹介)(第六一九〇号)  同(臼井莊一君紹介)(第六一九一号)  同(宇都宮徳馬君紹介)(第六一九二号)  同(大石千八君紹介)(第六一九三号)  同外一件(大柴滋夫君紹介)(第六一九四号)  同(加藤紘一君紹介)(第六一九五号)  同外一件(勝澤芳雄君紹介)(第六一九六号)  同外一件(金瀬俊雄君紹介)(第六一九七号)  同(勝間田清一君紹介)(第六一九八号)  同(片岡清一君紹介)(第六一九九号)  同(鴨田宗一君紹介)(第六二〇〇号)  同外二件(神田大作君紹介)(第六二〇一号)  同(木原実君紹介)(第六二〇二号)  同(木村俊夫君紹介)(第六二〇三号)  同(鯨岡兵輔君紹介)(第六二〇四号)  同(小山省二君紹介)(第六二〇五号)  同(小宮山重四郎君紹介)(第六二〇六号)  同(佐々木秀世君紹介)(第六二〇七号)  同(三枝三郎君紹介)(第六二〇八号)  同(佐野憲治君紹介)(第六二〇九号)  同(志賀節君紹介)(第六二一〇号)  同(住栄作君紹介)(第六二一一号)  同(園田直君紹介)(第六二一二号)  同(田中榮一君紹介)(第六二一三号)  同(田中六助君紹介)(第六二一四号)  同(高見三郎君紹介)(第六二一五号)  同(地崎宇三郎君紹介)(第六二一六号)  同(坪川信三君紹介)(第六二一七号)  同(堂森芳夫君紹介)(第六二一八号)  同(中川一郎君紹介)(第六二一九号)  同(永山忠則君紹介)(第六二二〇号)  同(楢橋進君紹介)(第六二二一号)  同(丹羽喬四郎君紹介)(第六二二二号)  同(長谷川四郎君紹介)(第六二二三号)  同(長谷川正三君紹介)(第六二二四号)  同(林大幹君紹介)(第六二二五号)  同(広瀬秀吉君紹介)(第六二二六号)  同(福永健司君紹介)(第六二二七号)  同(藤尾正行君紹介)(第六二二八号)  同(船田中君紹介)(第六二二九号)  同(古川喜一君紹介)(第六二三〇号)  同(本名武君紹介)(第六二三一号)  同(松浦周太郎君紹介)(第六二三二号)  同(松岡松平君紹介)(第六二三三号)  同(松永光君紹介)(第六二三四号)  同(宮澤喜一君紹介)(第六二三五号)  同(箕輪登君紹介)(六二三六号)  同(村上勇君紹介)(第六二三七号)  同(森山欽司君紹介)(第六二三八号)  同(安田貴六君紹介)(第六二三九号)  同(山崎拓君紹介)(第六二四〇号)  同(山田耻目君紹介)(第六二四一号)  同(山田久就君紹介)(第六二四二号)  同(綿貫民輔君紹介)(第六二四三号)  同(渡辺美智雄君紹介)(第六二四四号)  総合健康保険組合の事務費等国庫補助に関する  請願(野原正勝君外二名紹介)(第五七一一  号)  生活保護基準及び失業対策事業賃金の引上げに  関する請願(阿部助哉君紹介)(第五七七三  号)  同(八木昇君紹介)(第五七七四号)  同(伏木和雄君紹介)(第五九六八号)  同(坂口力君紹介)(第五九六九号)  同(大原亨君紹介)(第六二五五号)  同(田中昭二君紹介)(第六二五六号)  同(福岡義登君紹介)(第六二五七号)  同(武藤山治君紹介)(第六二五八号)  同(八木昇君紹介)(第六二五九号)  看護婦の確保等に関する請願(田中美智子君紹  介)(第五八一五号)  同(田中美智子君紹介)(第五九七〇号)  雇用保険法案反対等に関する請願(塚田庄平君  紹介)(第五八一六号)  低所得者、生活困難者等の援護に関する請願(  灘尾弘吉君紹介)(第五九六一号)  同外六件(灘尾弘吉君紹介)(第六二四五号)  戦犯容疑者の拘置期間中の損害補償に関する請  願(染谷誠君紹介)(第五九六二号)  歯科技工士の免許に関する請願(斉藤滋与史君  紹介)(第五九六三号)  失業対策事業就労者に対する年度末手当の制度  化に関する請願(鬼木勝利君紹介)(第五九七  一号)  同(松尾信人君紹介)(第五九七二号)  同(田中昭二君紹介)(第六二四六号)  戦時災害援護法制定に関する請願(山本政弘君  紹介)(第六一八三号)  中国東北地区に墓参団派遣に関する請願(山崎  拓君紹介)(第六一八四号)  全国全産業一律最低賃金制の確立に関する請願  外一件(上原康助君紹介)(第六二四七号)  同(土井たか子君紹介)(第六二四八号)  失業保険制度改悪反対に関する請願(津川武  一君紹介)(第六二四九号)  電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法  の規制に関する法律撤廃に関する請願外二件  (八木昇君紹介)(第六二五〇号)  原爆被爆者援護法制定に関する請願外一件(上  原康助君紹介)(第六二五一号)  同(岡田春夫君紹介)(第六二五二号)  同(田中昭二君紹介)(第六二五三号)  同(田邊誠君紹介)(第六二五四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  雇用保険法案(内閣提出第四二号)  雇用保険法の施行に伴う関係法律の整備等に関  する法律案(内閣提出第六四号)  国有林労働者の雇用の安定に関する法律案(川  俣健二郎君外九名提出、衆法第一五号)  失業保険法及び労働保険の保険料の徴収等に関  する法律の一部を改正する法律案(森井忠良君  外九名提出、衆法第一六号)      ————◇—————
  2. 野原正勝

    ○野原委員長 これより会議を開きます。  雇用保険法案雇用保険法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案、国有林労働者の雇用の安定に関する法律案並びに失業保険法及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部を改正する法律案の各案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので順次これを許します。加藤紘一君。
  3. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 今回の雇用保険法案についてはいままで何回かにわたる審議が行なわれ、同僚議員からも総括的な御議論があったわけですけれども、私はその第二陣として、いままでの質疑の中で浮き彫りにされてきた幾つかの問題点について具体的に、より詳細に現実の問題をお聞きしてまいりたいと思います。  もちろん私は、今回のこの雇用保険法案がいわゆる失業保険制度研究会の学者の各先生それから行政官の方たちがより公正な、より公平な運営をという観点からいろいろ御議論されてきたというその動機と、それからその筋道というものには賛同するものであります。しかし、現実にこれを出かせぎ地域の実情に合わせるとか、中小企業の各零細企業に適用しだすといろいろな問題が出てくるのではないか、そういうような観点で問題になりそうなところを浮き彫りにしてみたいと思うわけであります。ですから、この法案の基本的な筋道というものについてはかなり賛意を表するわけでありますけれども、そういう観点から質問するということを御理解いただきたいと思います。  それで、まずそれに先立ちましてちょっと職安局長にお伺いしたいのですけれども、いわゆる失業保険制度というものを根本的に考えますと、その目的は何かということなのであります。今回第一条の目的がかなり改正されて、そして言うならば就業促進的な意味合いがかなり強くなってきたというあたりが議論されて、十分にその議論が詰まってないように思うのですけれども、まずその失業保険の根本的な目的というのは、本来は失業しているときの生活の安定ということだと思うのですね。言うならば、失業しておったならばその期間中給付日数の制限なんかを設けないで本来ずっとやるのが保険の筋である。また、逆に八〇%とか七〇%に、また六〇%に給付率をカットしてやるのじゃなくて、失業したって生活は生活であるわけですから、六〇じゃなくて一〇〇%にすべきだというような議論があると思うのですが、これをなぜ六〇で切ったりそれから給付日数を制限したりするか。これは実は今回の法案の改正点の基本に大きく触れる問題だと思うのですが、その辺はいかがでございますか。
  4. 遠藤政夫

    ○遠藤(政)政府委員 現行失業保険法におきましても、失業保険の目的は、労働者が失業した場合に失業期間中の生活の安定をはかると同時に一日も早く再就職をさせる、そのためのいろいろな事業、施設が行なわれる、これが現行の失業保険法の目的でございます。その点は今回御審議いただいております雇用保険法におきましても全く本質は変わっておりません。失業期間中の生活の安定、その再就職の促進、それにさらに加えて積極的に失業を予防するという制度をこの新しい法案の中に盛り込んで、おるわけでございまして、本質的には全く変わりがございません。  そこで、御質問にございます失業期間中の生活安定ということであれば期限をつけるということはおかしいじゃないか、まさに御説のとおりでございまして、理想的な考え方からいたしますと、それが半年であろうと一年であろうと、失業している限りにおいては再就職の日まで生活の安定をはかるための対策をとっていくということが理想かと思います。しかしながら、あくまでこれは保険制度でございますので、その意味におきまして保険としての限界がある。と同時に、失業者が再就職するまでの期間がどれくらいあるのか、どれくらい保険制度で見るべきであるか、これは過去のいろいろな実績あるいは諸外国の制度等、そういったものから勘案いたしまして、現実に失業期間中の生活を安定するために一体どれだけの期間を保障すればいいのか、再就職するまでの期間をどれだけを考えればいいのか、おのずから結論が出てまいると思います。私どもは、過去の失業保険法によります実績を勘案いたしまして必要な期間というものを定めておるわけでございます。  同時にまた、給付の内容にいたしましても、一方は働いてその働いた対価として賃金が与えられる。それに反しまして失業中は働かない。働けない状態にある。したがって、その期間の保障については一応生活を安定させるために必要な限度というものがあろうかと思います。働いて、労働して、労働に対して与えられる対価と、失業期間中の生活安定のための保障措置というものはおのずから別個であるべきである。それが幾らであるべきか。六割が妥当なのか、七割が妥当であるのか、これはいろいろ考え方はあると思いますが、これもILO条約等に定められております水準あるいは諸外国の例、過去におきます失業保険で二十数年実施いたしてまいりました実績等から勘案いたしまして、今回の雇用保険法案のような内容を私どもは設定いたしたわけでございます。
  5. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 いままでの失業保険制度といいますと、被保険者期間の長短によって給付日数が変わる。今回の場合にはいわゆる年齢で違ってくるわけですね、基本的には。そして、これは年齢によって就職の難易度が違うんだというのが基本的な発想だと思うのですけれども、いわゆる難易度というものでその給付の日数をやるのはわかるんですが、難易度というものを、年齢以外にほかの基準があるんじゃないかというようなところまで、いろいろ立法論の段階でお考えになったことはございませんでしょうか。
  6. 遠藤政夫

    ○遠藤(政)政府委員 給付日数を年齢によってきめておるわけではございませんで、実はいま申し上げましたように、失業して失業者が再就職するまでの期間を保障する、その保障する期間がどれくらいが妥当かということにつきまして、従来の被保険者期間の長短によるという考え方は、本来の保険原理からいいますと必ずしも適当でございません。これはもう先生御承知のとおりでございます。そこで、本来の保険原理、必要な保障措置をどう考えるべきかということを検討いたしました結果、就職の比較的困難な人にはそれだけ必要な期間を見る、きわめて容易な人にはその容易なものに必要なだけの保障措置を考えればいいんじゃないか、そういうことで、就職の困難であるかどうかということに給付日数決定の基準を求めたわけでございます。その就職難易度の基準の一つとして年齢というものが用いられる、あるいは身体に障害がある者とか、あるいは社会的にいろいろ就職に困難な事情にある者とか、そういったいろいろな要素を加味いたしておるわけでございます。
  7. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 かなり理屈っぽい抽象的なことをお伺いしましたけれども、これは、原案には給付日数に若干問題があるんじゃないかということの関連でお聞きしたわけで、またあとでお聞きしたいと思います。  次に幾つかの問題があるんで、時間もかなり制限されておりますから、ぱっぱとお聞きいたしますので、簡単にお答え願えればありがたいと思います。  まず最初に、今回の改正で大きく前進したのが全面適用の問題だと思うのです。いままでの失業保険制度の対象にされていなかった零細商業、サービス業、床屋さんやレストラン、こういうものが入ってくるように思うのですけれども、こういうところでは具体的に、その失業保険の、今回雇用保険ですが、これをいろいろ届け出るにしても、事務をやるにしても、専業の事務屋さんがいるわけではない。現実に全面適用といわれましても、大体その失業保険というのはどこの事務所に届け出ればいいのかということさえわからない。これは皆さんだったらすぐ職安とかいろいろあるのでしょうけれども、それがわからないのがほとんどだと思うのですね。それで、この事務処理能力が乏しいこういうような人たちのために、具体的にいままでどういう手当てを行なってこられたか、そしてまた、今回の改正でどういう手を打たれようとなさっているか、局長のほうから御答弁願います。
  8. 遠藤政夫

    ○遠藤(政)政府委員 今回の雇用保険法におきまして全面適用ということになりますと、小零細商業、サービス業、それから農林水産業、こういった業種が相当多数入ってまいります。こういう業種は御指摘のように一人とか二人を雇っておるような企業でございますので、事務能力がきわめて乏しいと考えざるを得ません。したがいまして、私どもは従来からも事務の合理化、簡素化をはかってまいりましたが、今後一そうそういう努力をいたしますと同時に、こういった零細企業につきましては、商工会とか同業組合とかそういった団体を活用いたしまして、事務組合方式によってこの事務処理を行なっていきたい。同時に、この事務組合に対します事務処理のための費用の助成というような措置を強化してまいりたい。こうすることによりまして、こういった新しく適用されます小零細企業が事務的な負担あるいは経費の負担が過大にならないように十分配慮してまいる考えでございます。
  9. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 労働保険事務組合というものの実態をちょっとお伺いしたいのですけれども、たとえば、あるいなか町で商店がお菓子屋さんを労働者二人か三人ぐらいでやっている、そういうのが何軒かあって、そういうものがまとまって労働保険事務組合をつくるわけですね。それで具体的に言いますと、大体平均的な姿というのは、一つの事務組合にいくつぐらいの事業所が入っているという感じでございますか。
  10. 田中清定

    田中説明員 四十七年度末の実績で申し上げますと、事務組合の数として一万六百二十五組合ございます。これに失業保険の適用事業所のうち十六万三千七百五十二事業所が加入しているような状況でございます。したがいまして、失業保険の適用事業所が四十七年度末で大体七十八万九千でございますので、その約二割ぐらいが事務組合に入っておる、こういう状況でございます。
  11. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 そうしますと、感じとしては一つの事務組合が十六とか十七ぐらいの事業所を管轄しているという感じですね。
  12. 田中清定

    田中説明員 大体先生のおっしゃるような状況でございますが、一つの団体の中でも事務処理を事務組合に委託するものもあり委託しないものもありということで、今後の努力いかんでは、さらに事務組合の規模の拡大も考えられるというふうに考えます。
  13. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 そういう事務組合に事務を委託した場合の経費として報奨金が出ているというお話ですが、一つの事務組合に大体どれくらいの報奨金を月額で出しておりますか。
  14. 田中清定

    田中説明員 これも四十七年度の保険料に対して四十八年度に交付しました実績で申し上げますと、総額として十二億五千百万ほど報奨金を交付しております。これの対象になりました事務組合は、先ほど申し上げました一万六百二十五のうち九千六十四組合が交付対象になっております。したがいまして、一事務組合当たり年に約十四万円ぐらいということでございます。月にいたしますと一万円強ということに相なっております。
  15. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 一つの事務組合で何人ぐらいの被保険者を扱っているか、ちょっとデータ——それはけっこうですけれども、かなりの数にのぼると思うのですね。それを集めて帳簿をつけて、一人一人やって、そしてあるときには離職票も書かなければならぬ。まあ書くのか、その手伝いを少なくともしなければならぬということになりまして、その事務をやる人が一人年間十四万であるとすれば、一カ月一万円、ちょっと少なくはございませんか。
  16. 田中清定

    田中説明員 ただいま御指摘のように、いろいろ事務組合が処理すべき事務がございますけれども、事務の一番重なりますのが三月、四月、五月という年度がわりの時期、この時期に保険料の取りまとめをやり、申告をするという事務を代行するわけでございます。この三月間が大体事務組合の事務のピークをなしておりますので、その三月間の事務の処理のためにアルバイトを雇うという程度の金額には相なっておるわけでございます。
  17. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 確かにアルバイト程度にはなるかもしれませんが、それを完ぺきにペイするだけの金額であるかといったら、これは完全にそうではないと思うのです。現実にこれから雇用保険法を適用する、全面適用でいい保険法案でございますというのであるならば、その実効を担保するためにも、もうちょっといろいろなこまかい手を事務組合に打たれるということが必要であるし、またそれが法案に魂を入れるようになると思うのですけれども、大臣、もうちょっと……。
  18. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 いま答弁がありましたように、一組合十四万、まさにアルバイト料としても金額が少ないと思います。この法案が通過した暁においては、そういうことで事務を円滑に処理するように助成あるいは奨励策というものを格段の措置を明年度予算には考えてみたい、こう思っています。
  19. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 格段の助成策をとっていただくということで銘記しまして、次の質問に移らせていただきたいと思います。  次に、これは私の出身地とも関係のあるいわゆる短期被保険者、いわゆる出かせぎ労働者等の問題について、若干の時間を、若干というよりかなりの時間をさいてお伺いしたいと思います。  もちろん、今回の季節的受給者に対する措置というものについては、いままで同僚議員の方からいろいろ議論されておったわけです。そして、その中で政府側が一貫しておっしゃっていたことは、保険原理にこれはなじまないんだという議論ですね。それで、確かに保険原理ということからいえば、なじまないといわれればそうかもしれません。しかし、政治ベースで考えると、ただそれだけではなかなか論じ切れない問題がここに出てくると思うのです。もちろん、私もこの社労委員会でも過去何年間るるとしてやられた出かせぎの悲劇というような問題を、センチメンタルにただここで論じようとは思いません。また、そういうことを論じただけで特に大きな進展があるものだとも思いません。また、いわゆる出かせぎということを続けることによって、農村社会がみずからある意味での崩壊を来たしていく、またある意味では出かせぎというものが一つのぬるま湯みたいな存在なものですから、いかぬいかぬとは思いつつも、いつまでもこれにすがっているんだ、それを何とか直さなければならないと思っている農業専従者、また特に若い農業専従者がいるということも、私は事実だと思うのです。  ことし、大臣も御承知のように、東北はたいへんな雪であったわけです。それで、いまさらながらその雪のたいへんさをわれわれは身にしみて感じさせられたわけですが、そのときに、いままでここ数年雪の問題というのはわれわれ忘れていたな、あんまり論じてなかったな、かつては積雪寒冷対策とかその手当とかいって大きな政治問題になったんだけれども、最近はいわれなかった、これはなぜかというようなことをちらっと言いましたら、ある年老いた農家の人が、おまえらは若いからわからぬけれども、出かせぎによって雪の問題を回避していたんだというようなことを言われたのですが、はっとすることばだったと思うのです。ほんとうに出かせぎに負けないで村を守れというような精神は、その地域の人間としても持たなければいかぬし、またその地域から出ている政治をやる人間として考え続けていきたいと思うのですけれども、しかし何といっても現実にはかなりの根強いもの、特に経済的なインタレストというものが結びついているということは否定できないと思うのです。  それで私は、この問題、いわゆる三十日の一時金の問題について質問に入る前に、基本的な私の感じから言いますと、一時金制度というものを私は評価します。それは、ある意味で非常にいま陰惨な感じの村における失業保険というものに一つの活路を見出すことになると思うのです。御承知のように職安には、うちの部落の何とかさんは働いているのに失業保険金をもらっている、おれは心臓が弱いからなかなかそういうことできないけれどもというような投書があったりする。これは、部落の人たちがお互いに密告し合うということは、非常に悲惨な姿だと思います。また、翌日から働いていいんだ、待期期間七日あるわけですが、これも非常にいい制度だというふうに私は評価します。しかし、ただ三十日ということになりますと、どうも首をかしげざるを得ないということであります。出かせぎに伴ういわゆる収入というものがいかに東北の農村経済の中に組み込まれているかといいますと、たとえば青森県の五所川原地区というのですか、ここではお米の収入が四十五億にリンゴが十二億、それで出かせぎが三十一億で失保金が五億、これはネットですからたいへんな収入になるわけです。山形県の金山町というところは、一人当たり七十六万くらい年間の収入が出かせぎ及び失保金である。人口八千四百のところで千三百人も出ているわけですから、これはたいへんな実入りで、そう簡単に保険制度になじまないから三十日でというわけにもいかぬということになると思うのです。  そこで、東北の知事会とかそれから各種の制度審の中でも、大きな変革はあまり与えないようにしてやれ、またしてほしいという決議が出ておるので、今回の三十日が大きな変化かどうかということについて、ちょっと数字をあげてこまかくいやな質問をさせていただきたいと思います。  それで現在、季節的受給者が一カ月に平均幾らもらっておりますか。それを四十七年、四十八年でお答えいただきたいと思います。
  20. 関英夫

    ○関説明員 季節的受給者の一人当たりの平均の受給額でございますが、一カ月当たりという数字がうまく出ませんので、一年間といいますか、ある年の総受給額一人平均で申し上げますと、四十七年の実績で、全国で一人平均給付受給額が十二万六千円になっております。  で、四十八年でどうかということになりますと、これはまだ実績が出ておりません。四十八年、もし過去の伸び率で伸ばしてみたならば十四万二千くらいになるのじゃなかろうか、こういうふうに思われます。
  21. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 そこで問題なのは、今度の新しい制度で幾らになるかということですが、いま四十七年度で十二万六千円、四十八年度で十四万二千円ですね。新しい制度では三十日として幾らになりますか。
  22. 関英夫

    ○関説明員 新しい制度の場合は昭和五十年度になりますので、そのときの出かせぎ先の賃金額というものによって給付額がきまってくるという形になります。賃金額をどの程度どういうふうにアップするかということが、五十年度を想定することは非常にむずかしゅうございますが、現在の雇用保険法案の成立後の賃金日額、これを、出かせぎ者は非常に賃金日額は高いほうでございますので、一日たとえば六千円くらいと想定いたしますと、保険金日額が三千六百円、したがって三十日分では十万八千円、一番高いところで保険金日額三千七百五十円のところで十一万三千円、こういうようなことになるかと思います。
  23. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 それは五十年四月の段階の数字ですね。そうすると、問題は、現行でいきますと五十年四月では幾らくらいになっておりますでしょうか。つまり同じ時点で五十年四月なら五十年四月、四十八年現在の四月なら四月、同じ時点で両制度というものを比べてみなければ大きな変化かどうかというのはわからないと思うのですが、五十年四月の時点で考えればどうでしょうか。
  24. 関英夫

    ○関説明員 五十年四月で現在の保険金日額表がそのままで、かつそれの三十日分、こういう計算を御質問になっておると思いますが、もしそういうことだとすれば、たとえば最高日額二千八百六十円の三十倍ですと八万六千円になります。
  25. 遠藤政夫

    ○遠藤(政)政府委員 ただいま課長からお答えいたしました四十七年度の実績が一人当たり十二万六千円、それを、四十八年度の見込みを出しますと、大体十四万ちょっとになります。それが五十年の四月の時点でどうなるかというお尋ねかと思いますが、四十八年の見込みももちろん推計でございますけれども、五十年四月の時点になりますと、おそらく十五万ちょっとこえる程度になるのではなかろうかというふうに考えております。したがいまして、ただいま申し上げました三十日分の一時金が、新制度によりますと、大体十一方前後になりますので、約三、四万の差が出ることになるかと思います。
  26. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 それはちょっと違うのじゃないかと思うのです。つまり年間の給与がどの程度上がるか、それに伴って支給日額の最高限度も二千八百六十円からおそらくだんだん上がっていくと思うのです。それで、かりに一三%ぐらいのアップという非常に低目に見て、先ほどの御計算のように四十七年度が十二万六千円ならば四十八年度は十四万ちょっと、これが四十九年度となりますと、それを延ばしていきますと十六万、そういうような計算になりますね。それでいきますと、五十年四月は幾らですか。
  27. 関英夫

    ○関説明員 五十年四月というお話でございますが、五十年四月は大体四十九年度末、四十九年度の冬のことでございますから、過去の伸び率で見ていきますと、十二万六千円が四十八年度末で十四万二千円、四十九年度末で十六万という数字になるかと思います。
  28. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 こまかい議論になって非常に恐縮なんですけれども、これは大切な問題ですからちょっと言わしていただけば、最高限度額というのは、昭和四十七年三月三日に二千二百八十円になったんですね。それから四十八年十月、つまり去年、最高限度が二千八百六十円になった。約一年七カ月で二四・五%アップしているわけです。これがたまたま五十年四月まで一年半あるんですね。前回の改正から。大体同じように二四・五%アップになると仮定しますと、私の計算では大体十八万円になるんです。これはことしのたいへんな春闘ベアは計算しないで、年間一三%などというゆるやかな伸びで仮定しているんで、これがほんとうにいまの勢いで現在の失業保険制度でいきますと、おそらく五十年四月は現行制度では二十万円ぐらいになっているのではないか。ほぼ十九万から二十万の額になっていると思うのです。最高限度額というのは毎勤統計かなんかで修正されていくわけですね。ですから、これはオートマチックにされるから、どうしても上がっていく。だから、現行制度で言えば二十万なんだけれども、三十日の一時金、新制度では最高額の三千七百五十円の三十日分とっても十一万二千五百円、これを見て東北の知事会は何と言うかというと、大きな変化じゃございませんかと言うと思うのですけれども、いかがでしょうか、局長
  29. 遠藤政夫

    ○遠藤(政)政府委員 確かにことしのベースアップはかなり高額になりますので、私どもが当初予想したよりは実績としても伸び率は高くなるだろうと思います。もしそういう結果になりますと、確かに十一万三千円が十八、九万あるいは二十万近くになるかもしれないということになりますれば、たいへんな変化になるかと思います。
  30. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 私は、いわゆる出かせぎが本来の姿だとも思いません。やはりいろいろな議論もあるでしょうけれども、出かせぎというのは本来失業保険制度になじまないものだという議論は十分に説得力があると思います。だから、こういう観点からいろいろ責めるのも非常に残念ですけれども、ただ一つ、東北の農民の立場に立ってみれば、別に出かせぎに行きたくないのだという心情が非常に強いと思うのです。それで大体五十とか六十の農家のおやじさんが東京に来て、地下鉄の工事をするわけです。金は確かに入る。しかし子供の教育はめちゃくちゃになる。農家のおとうさんなんというのは、昔からのイメージから言えば、いろりのそばでいばっていて、むすこなんかいてもぶんなぐったり、こら、おまえ外に出て遊んでこいと言うのが本来なんだけれども、最近の出かせぎ家庭の農家のおやじさんというのは、東京から帰ってくると一ぱいおみやげを持ってくるわけです。テレビのコマーシャルに出てくるようなおもちゃを一ぱいむすこに買ってきまして、そして、おまえさびしかったかどうだ、おもちゃ買ってきたぞというようなせりふを言う。私は、どうもむすこにしても何となくさびしいことだと思うのですよ、おやじからおまえ孤独だったかなんて言われるのは。やはり出かせぎは本来やるべきではない。しかしどうしても東京の賃金が高いし、行かないと食えないという問題があるわけです。  そこで、きょう建設省の方に来ていただいておるのですが、一つお伺いしたいのは、よく言われるせりふに、われわれは東京に行きたくない。せめて地元に仕事があればいいのだけれども、地元は安い。しかしせめて国の仕事だけでも東京と山形と同じような値段でやってくれたならば、国道の維持、修理、建設をそうしたならば、われわれは行かないのだ。しかし東京に行って国道をやると一日何千円、地元へ行くとその六割の幾らということを言うのです。なぜこうなのか、なぜ同じ国の仕事なのに、地域によって違うのかという質問をしょっちゅう受けるわけですが、これは公共工事の労務費の単価というものを三省で決定されておるからだと思うのです。ちなみに、いま一般のいわゆる土工で、東北では一日幾らの見積もりをなさっておりますか、お答えいただきたい。
  31. 浅間隆

    ○浅間説明員 御質問の公共工事の執行の場合の労務単価でございますが、これにつきましては、先生いまお話がありました建設、運輸、農林の三省で決定しておるわけでございまして、その単価は、建設の工事現場、事業所におきまして、そこに備えつけております。法定の賃金台帳がございます。その賃金台帳を都府県別に、かつ大きな工事並びにたくさんの種類の工事がございますが、それを分けまして、たとえば三十数職種を集計いたしまして、毎年度当初の設定をしておるわけでございまして、その結果、三月上旬に決定いたしまして、各都道府県並びに地方建設局に発送済みでございます。  この単価を見ますと、大体八職種で昨年とことしでは約三〇%上昇をしておるわけでございますが、昨年とことしの特徴は、いわゆる労働供給圏の、いまお話がありましたような東北とそれから大都市圏との格差が相当縮まっております。これは、ただいま東北におきましては大きな建設工事が出ております。その関係で賃金が上昇の傾向にあるということは言えるわけでございますが、労働賃金といいますのは、いわゆる建設工事の需給関係によって支配されるものでございますので、そういう意味で格差は縮まっておるということが言えるのではないかと思います。それで賃金が幾らかということにつきましては、実は公共工事の設定の単価の基本になる問題でございますので、幾らということは公表しないのが原則になっておるわけでございます。
  32. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 だんだんの御説明よくわかりましたけれども、しかし全員が知っておるわけですね、この単価というのは。公表なさらないというたてまえでありますけれども、いわゆる土建関係の仕事に携わっている方で、この建設省の表を御存じない方はいないのじゃないですか。日本は機密は守られない国で、どこかの国との交渉中のできごとでさえも抜けているような国ですから、建設省が各県にばらっとばらまかれた単価というのは抜けておるわけですよ。それで東北の一般土工ぐらいどうですか、幾らでしょう。
  33. 浅間隆

    ○浅間説明員 いままで国会の御審議などにおきましても、公表しないのを原則としておりまして、それをずっと踏襲しておりますので、この場で私から幾らということは発表できないと思います。
  34. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 これはもう全員が知っていることでありまして、それはたてまえの問題はあっても、私調べようと思ったらすぐ調べられるわけです。どうですか、おっしゃっても——これ全員が知っていることであって、何も秘密にすることはないと思うのです。それで現実に、これが多くの東北の人間の間で議論になっているところでして、そして多くの関心を持っていることなんです。これを機会にひとつはっきりしたっていいことだと思うのですよ、どうですか。
  35. 浅間隆

    ○浅間説明員 お答えいたしますが、私の職責の立場上は発表いたしません。
  36. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 それじゃちょっとお伺いしますが、いま失業保険の一日の最高額というのは二千八百六十円です。これよりも高いですか、低いですか。
  37. 浅間隆

    ○浅間説明員 東北六県の賃金は、それよりも高うございます。
  38. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 高いと聞いて非常に安心しましたけれども、かつてこれは低かった時期もありますし、それから大体失業保険に、現実に土方なんかに出てきますと、いまでも失業保険の最高額のほうが高いのですね。だから、おそらく設定単価二千九百円とか三千円近くということ、三千五百円とかそうおきめになっても、現実にはそれよりも安くなっているということなんで、どうしても三省のきめ方自体が失業保険をもらって遊んでいたほうが働きに行くよりもいいという額になりつつあるのじゃないでしょうか。私は、同じ東北出身の労働大臣にぜひここでひとつはっきりした答弁をいただきたいと思うのですけれども、建設省の、政府がきめる単価自体も、大体いま二千八百六十円よりは高いとおっしゃっていましたけれども、現実には支払われているのはそれよりも安いのが現状だと思います。また、きょうは農林省の方、来られておりませんが、農業政策のいろいろな意味での貧困というものが、出かせぎというものを生んでおるわけですから、ここでひとつさっきの二十万と十一万何千円、これだけの格差が現行と改正案では現実に生じるのですから、ひとつここで腹蔵なく、何とか出かせぎに三十日じゃなくて、現行の平均給付日額に近いような線を出すように、同じ東北の先生として一言お願いしたい、はっきり言っていただけませんか。
  39. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 加藤委員がこの一時金を出すことについても、非常に理解といいますか、現場に即した理解のあるお考えで、私も敬意を払うものであります。一方、いまの単価の問題にいたしましても、われわれ東北の地方は、ときに三省に対して設定料の値上げというものをお願いなどもしているわけであります。そういう立場をとっている者からしますと 御審議いただいておりますこの三十日分が、知事会あるいは町村の中において急激なる変化をもたらしてもらっては困る、こういう気持ちも私はわかるのでありまして、だから御指摘のあった平均的な受給実績を十分考慮すべしという御趣旨を十分理解いたします。国会の御意思が御指摘のようなものでありとしますれば、政府といたしましても御趣旨に沿うて対処していきたい、こう思っておるわけであります。
  40. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 ありがとうございました。それは非常に前向きの答弁として、国会の意思がそうであるならば、審議の過程を通じて得た結論によって、それでは修正ということあり得べしというふうに私は受け取ります。よろしくそのように政府としても対処方をお願いしたいというふうに申し上げておきたいと思います。  さて、そうなりますと、これは非常にありがたいとはいっても、おっとそうは許さないというのが受給資格の問題であります。いわゆる短期受給者の場合、いままで四カ月二十二日で、はっきりいえばぎりぎりいけたということになっておりますが、今度の改正案では、いわゆる特例一時金を受けるためには、最低何日被保険者期間が必要ですか。
  41. 遠藤政夫

    ○遠藤(政)政府委員 現行の失業保険法で定められております規定を、今回の雇用保険法でそのまま踏襲いたしておりますので、これが成立いたしますと五十年四月から、満六カ月間の期間が必要になるわけでございます。
  42. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 満六カ月ということだと思うのです。これは実は一時金制度に変わって、それが三十日に減るか減らないかというよりももっと重要な問題だと私は思うのであります、もともと受給資格がなくなるわけですから。いままで四カ月二十二日で、十一月の下旬から出かせぎに来て、四月の中旬に帰る。大体、きのう、きょう上野の駅に行きますと切符買えません。いまがその出かせぎ四月分の十一日か十二、三日分を終わって帰る時期なもんですから、切符が買えないらしいのですけれども、今度六カ月となると、これはかなりの問題だと思うのです。これほど重大な改正点なんですけれども、一つ残念なことは、これが今回の雇用保険法案、いろんなPRされる段階で、ごくごく少数の人にしか知られていなかったということなんですね。この委員会には川俣委員のように非常にこまかく研究なさっていて、川俣先生の関係の秋田の出かせぎの人は、さすがに社労のわれわれがこの間視察に行ったときには御存じでした。しかしほとんど知らない。たとえばここに新潟県農協中央会というものが「失業保険制度改正対策資料」というのを二月の段階で出しているのがありますけれども、これには一言も書いてない、最大の問題なのに。それからここに四月二日付——四月二日というと、この雇用保険法案か最初審議に入った日ですね。労働省にとっては記念すべき日だと思うのですが、その日に全国農業会議所、全国農協中央会、森林組合連合会、全国漁業協同組合連合会これが出したことばの中にも、六カ月になったという問題は出ていない。またちょうど審議に入った四月二日に、ぼくは県の農協中央会の人から、この委員会にいたのをちょっと質問があるからというので引き出されまして、六十日なんですか、四カ月二十二日なんですか、五カ月十四日なんですかと聞かれたわけです。事ほどさように、これだけ重大な問題をPRされていなかったというのはちょっと問題なのではないか。ちなみに、四カ月二十二日でいいのだというのは、四十四年改正の附則、法の三条の二とかというのに出ていますね。おそらくこれを読んで意味のわかる人というのは、労働省の職業安定局の中にも数少ないのじゃないかと思うのです。実に複雑で、これ、いまだ私何度読んでもすらっとわからない。そういう若干の、全国にもう指折り数えて何人かという超エキスパート以外わからぬような規定、それがなおかつ一般にPRされていなくて、実際にそれがたなからおりてみれば六カ月であったというのは、かなり問題だと思うのです。それで、この点についてちょっとたいへんな問題だと思うのですけれども、具体的に大きな影響があると思われませんか。局長、お願いします。
  43. 遠藤政夫

    ○遠藤(政)政府委員 ただいま加藤先生御指摘になりました受給資格期間の問題でございますが、今回の雇用保険法に定めております受給資格要件の期間は、現行失業保険法の本法の規定と全く同一でございます。それが四十四年の法律改正の際に国会で修正されまして、向こう六年間、五十一年一月末まで凍結されまして、それまでの間は、四十四年の改正前の四カ月二十二日の資格期間で十分だ、こういうことに定められたわけでございます。四十四年の改正におきまして満六カ月という規定が新しく制定されましたのは、通常の労働者に要求されます失業保険の給付に必要な資格期間として六カ月、これが妥当であるという御結論でございますけれども、短期、いわゆる出かせぎ受給者につきましては、従来の農繁期と出かせぎとの関係、そういったことから、従来の措置をそのまま踏襲して、五十一年一月末に農林水産業への適用が具体的に措置されるという時点までそれを凍結する。農林水産業につきましても全面適用がはかられた時点で、本来の制度がそのまま動くようにしよう、こういう御趣旨で修正が行なわれたわけでございます。したがいまして、今回の雇用保険におきましては、この考え方を私どもはそのまま国会の御意思を受けとめまして、五十一年一月末の農林水産業全面適用を五十年四月に繰り上げて実施いたします。その時点で、現行法と同じ形で五十年四月から受給資格期間も本法の規定に戻す、こういう措置をとったわけでございます。したがいまして、確かに四カ月二十二日で従来資格がついたものが、今回は六カ月になる。その点では差がございますけれども、当時、四十四年の改正によりまして、農林水産業で受給資格がつけられる。そういたしますと、かりに出かせぎで四カ月二十二日しか、四カ月半ないし五カ月しか期間がない。その残りの期間は地元に帰って農林水産業への適用がはかられますことによってその不足分が補完される、こういう考え方で修正が行なわれた。その考え方をそのまま受けておるわけでございまして、その六年間の間に農林水産業関係の適用についての施策も若干なりとも進んでまいっております。同時に、全面適用になることによってその考え方が十分受けとめ切れるのじゃないか、こういう考え方をとったわけでございます。
  44. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 きょう、たまたま農林省は来ていらっしゃいませんが、農業施策も若干なりとも促進があった、前進があったといわれておりますけれども、私、そう大きな促進が、前進があったようにはあんまり思えない。なおかつ、四十四年のときの暫定措置をする前提に、農林水産業も含めて全面適用ということがございましたね。ところが、今回の場合には、普通農林水産業に適用になるとはいっても、かなり限度があるわけですね。ですから、四十四年の改正のときに前提とした条件がまだできてないということではないでしょうか。つまり農林水に適用はなったかならないかといえば、どっちかといえばならないという答えのほうが多いとぼくは思うのです。たとえば東京で四カ月、五カ月働いた、いなかに帰っていく、農林水で失保の適用になるようなところというのはそう簡単にあるとは思えない。何々農業株式会社があるわけではない。農業法人も数が少ない。なおかつ、ほんとうに四カ月以内で失職するということが明らかな場合には適用しないのだという規定もございますね。だから通算といっても、いなかに帰った分が通算されるといっても、ほとんど実行不可能なんじゃないでしょうか。その辺いかがですか。
  45. 遠藤政夫

    ○遠藤(政)政府委員 これは法律の規定上は、農林水産業への適用についての具体的措置を講ずる、その時点で効力を発する、こういうことでございますが、私どもは単に農林水産業だけでなくて、商業、サービス、そういった零細企業に全面適用いたしますと同時に、農林水産業への適用については、御指摘のとおり任意適用の範囲が残っておりますけれども、これも任意適用という措置で適用にはなるわけでございます。そういったもろもろのものによりまして一カ月程度の補完措置は十分可能である、私どもはかように考えておるわけでございます。
  46. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 ここにたまたま昭和四十四年、これが改正された時期ですけれども、参議院社労における原健三郎労働大臣の答弁があるのですが、例の暫定措置の問題について、「万一御指摘のような全面適用がなされない場合には、被保険者期間の改正規定の施行については、これを延期するなど、御趣旨が実現するよう対処してまいりたい」というようなことがあるわけです。私はこれは必ずしも全面適用ではないと思います。  大臣、ちょっとお伺いしますが、わら焼き公害ということばがぼくのいなかの東北にあるのですけれども、御存じですか。これは大体十月の下旬、十一月の初めになりますと、もう東北の国道なんというのはスピード三十キロぐらいでしか動きません。なぜかというと、コンバインか何かでいろいろ脱穀しまして、たんぼでわらを焼いてしまうのです。昔はたんぼから持っていって堆肥にしたけれども、いまはそういうひまはない。早く出かせぎに行かなければ、四カ月二十二日がつかない。わらをたんぼに置いておけば、雪が降って翌年にそのわらが固まったところが発酵してきて、どぼどぼのたんぼになってしまう。だからそれを散りばめておけばいいのだけれども、それをやるのじゃ四カ月二十二日に間に合わないというので、わらを焼くわけです。これが土地をやせさせます。   〔委員長退席、大野(明)委員長代理着席〕 ですから、四十七年、四十八年、東北ではかなりの上作になるはずだった。そういう天候であったのに、意外に収穫があがらなかったのはこのわら焼き公害が原因であったのではないかということがほぼ通説になりかけている。これほどつまり、ちょっとした第三条の、付則ですけれども、労働総覧の何ページかにちょっと載っていること、これが日本の農業の中の土壌まで変えてしまう性格があるという、ちょっと大げさですけれども、そういう点も含めて四カ月二十二日というのは、これは絶対に困るのです。大臣から少しこの点も含めて四カ月二十二日は絶対に——農業がほんとうにある一つの形に落ちつくまで、現在の暫定措置を続けていただかなければこれは絶対いかぬと思うのですけれども、大臣の御所見をお伺いしたい。
  47. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 加藤委員と私のほうは、裏と表の関係で東北でもいささか豪雪の問題では違うわけであります。雪害研究所が先輩政治家によってつくられた、そういうおたくの地方でもあります。私はいまの御質問、ほんとうに私たちの大事な問題について啓蒙されたという感じさえ持つのでありまして、法案の考え方につきましては政府委員がお答えしたとおりでありますけれども、農家出身の出かせぎ労働者に酷な結果が生ずるという点についての加藤委員の御指摘は理解できるところであります。いずれにいたしましても、この委員会において十分ひとつ御審議をお願いしたい、こう思う次第であります。
  48. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 これはほんとうに委員会において深刻に受けとめて論議しなければいけない点だと思いますし、三十日、何日というような問題の以前の大きな問題ですから、よろしく委員長も含めて御審議のほどをお願いしたいと思います。  さて、次に局長にひとつお伺いをしたいのですが、出かせぎには夏型と冬型がありまして、今回の改正によって非常に大きく影響を受けるのが冬型の受給のスタイルだと思うのです。夏型ですと離職後八日目一時金支給、その後働きなさい、若干給付日数が減っても、その分だけ大手を振って働けるじゃないですかという議論になりますね。しかし、特に青森県のような場合、働こうと思っても働く場所がないということが現実だと思うのです。この冬型受給が受ける影響というものについてどうお考えなのか。特にそういう地域に広域延長給付等をお考えになる可能性はないか、その辺をちょっとお伺いしたいと思います。
  49. 遠藤政夫

    ○遠藤(政)政府委員 御指摘の給付延長の措置は、一般の再就職のために必要な期間が設定されております。その期間を過ぎてなおかつ全国的に不況あるいは失業情勢が悪化している、こういうことによって一律延長を考えております。あるいはまた就職困難な高齢者とかあるいは身障者とか、こういった者についての個人別延長も考えておりますけれども、そもそもこの短期の出かせぎ受給者につきましては、先ほど御指摘がございましたように、いわゆる予定された就業と不就業を毎年繰り返す、こういうことで本来の失業保障の制度の中にはなかなか入り込みにくい実態を持っております。それをあえて従来の考え方から一歩前進しまして、これを新しい雇用保険、いわゆる失業保障の制度の中に組み込んでしまおう、こういう考え方をとったわけでございます。予定された不就業に対して一時金を支給する、こういうことで本来の失業期間中に対する生活保障とは違った考え方をとっております。そういう考え方からいたしまして、そういう冬型の受給者につきまして給付の延長という考え方は私どもは考えておりません。
  50. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 特に青森の場合、これは基本的には先ほど申しましたように地域開発の問題であり、保険制度の問題ではないのですけれども、そういう多くの基本的な問題があることをお考えの上、制度の運用でいろいろと配慮をお願いしたいと思います。  次に、時間も迫ってきましたので一つだけ関課長さんに確かめておきたいのですが、いわゆる一時金をもらう場合には離職票を提出して七日失業の期間がなければならないということですね。この七日間の間に、あなた、就職しなさい、こういういい職があるけれども就職しないのは、就業の意思がないのだとしつこくやられますと、全然今度の一時金制度の意味はないのですが、そういうことはありませんということを御確認願いたい。
  51. 関英夫

    ○関説明員 従来は、普通の一般の給付の中でこの季節的給付も行なっておりましたけれども、今度の雇用保険法の考え方は、そういうものと毎年受給を繰り返す人たちとの制度を別制度にいたしまして、それで短期特例被保険者というものに対する一時金制度というものをつくったわけでございますが、やはり雇用保険法といいましても給付は失業に対して給付するのだというたてまえは守らなければなりませんので、そこで七日間の待期、待期を明けたあとの一時金給付ということにいたした次第でございますので、法案の上では、そういう七日間の待期期間と支給日の失業認定ということが必要になってまいりますが、そもそもこの制度をつくった理由をよく考えてみますと、一年のうちある一定期間は働き、ある一定期間は働かないという人のための制度でございます。その間に先生のおっしゃるような、あまりにもぎすぎすしたしゃくし定木な運営をするということは、この考え方にも反するかと思いますので、その点は私ども実際の運用にあたって十分留意していきたいというふうに考えております。
  52. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 次に、給付日数問題についてお伺いいたします。  先ほど私が冒頭にお伺いしましたように、給付日数というものは就職の難易度というものに基づいてきめるのが大体の思想であるということを局長はおっしゃいましたね。そうすると、現在の案ですと三十歳未満は六十日とかいろいろあるわけですけれども、六十日の次は百八十日、その次二百十日の三百日と年齢に従って出ているわけです。それで各階層から、三十歳未満の六十日というのはあまりにも大きな変化ではないかといわれます。しかし若い人は就職が比較的たやすいのだからという議論もある。そうすると、ここから先はもうバナナのたたき売りみたいな日数のきめ方になってしまうと思うのですけれども、しかしそれではどうもおかしいので、やはりどの年齢の人がどの程度の就職難易度を持っておるかということをある程度何かの基準で求めなければいけないと思うのです。  たまたま最近の「ジュリスト」にこの雇用保険法の特集がありまして、座談会が載っています。この座談会、どうも何か意味のわからない発言が多い座談会で論旨が明確でないところが多いのですが、その中で特に私、おもしろいと思ったのは、年齢階層別の失業保険の平均受給日数を現在統計で調べてみる。そうすると大体のカーブが描かれてくるという話なんです。たとえば三十歳未満ですと、いま大体男子で四十六日、女子七十日ぐらいで就職ができている。そうなれば、これが平均だから二倍のフレをとれば大体九十日くらいに持っていくというのがおもしろい線ではないかという議論で、これは非常に傾聴に値する議論ではないかと思うのです。そういう観点からいきますと、三十代、四十代、五十代、そして五十五歳以上ですか、大体何日ぐらいの平均受給日数になっているか、データがありましたらお答えいただきたいと思います。
  53. 関英夫

    ○関説明員 年齢別の失業保険の平均受給日数でございますが、昭和四十六年の調査がございます。男女別は先生のおっしゃったとおりですが、平均いたしまして三十歳未満が六十三日、三十から四十五歳が七十七日、四十五歳から五十五歳が九十七日、五十五歳以上が百四十七日、こういうことになっております。
  54. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 六十三日、七十七日、九十七日ですか。そうすると、この点から見まして三十歳以下の人の六十日というのはちょっとバランスを失して少な過ぎませんか。現行では九十日なわけですが、また一年以上になりますと百八十日、この辺のバランスから見てちょっと大きな変化になり過ぎると思うのですけれども、若年層の場合、企業でもいろいろ問題があると思うので、これを若干手直しなさるお考えはございませんか、局長
  55. 遠藤政夫

    ○遠藤(政)政府委員 ただいまの実績の数字もございますし、それと同時に現在までの労働市場の状況、求人求職、それから就職の状況を年齢階層別に見てまいりますと、先ほど御説明のございました三十歳未満は男子の場合四十五日、女子の場合は七十数日、という数字が出ております。御承知のとおりでございます。こういったことを考えますと、実際の求人倍率から考えましても若年ほど求人倍率が高く就職率も高くなっております。そういう実績からいたしまして私どもは大体こういう程度で十分ではないか、こういうふうに考えまして給付日数を定めたわけでございます。
  56. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 確かにそうなんですけれども、しかし表から見ましても三十歳未満は六十三日、それから五十五歳以上は百四十七日といいますと、大体二・三倍ぐらいの倍数になっていますね。ところが、原案では六十日対三百日、つまり五倍以上になっているというわけで、若年者には確かに就職の可能性も大きいわけですけれども、しかし逆にいえば、若いだけにみずからの適職を求めての移動も激しいということなんで、ここで労働大臣の御見解をひとつ。事務的にはそうでしょうけれども。
  57. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 法案にあります三十歳未満の者の所定給付日数六十日は、現行制度における最低九十日をかなり下回っていることは事実でありまして、その点についてはひとつ十分御審議を願いたい、こう思っております。
  58. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 あと四十五歳から五十五歳以上のバランスもちょっと問題だと思うのですが、それも含めて現実の就職の難易度というものを正確に反映できるように、またこの委員会の審議を進めていただきたいと思います。  時間も残り少なくなったので、最後に二、三点お伺いします。  例の特例保険料の問題ですが、今回は特例一時金受給者は保険料が上がるわけですね。
  59. 関英夫

    ○関説明員 雇用保険法案におきましては、特例被保険者を多数雇用する建設業、農林水産業、清酒製造業、こういった産業につきましては保険料率を千分の十八、それで事業主のみの負担の千分の三を別にいたしますと、千分の十五を折半負担ということですから、労使それぞれ千分の七・五の負担、こういうことに相なります。現行制度は千分の十三の折半でございますから六・五ずつの負担、そのほかに特別の保険料というのを事業主に納めていただきますが、そういうことに相なっております。
  60. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 いわゆる一般建設業なんかに多く適用されると思うのですけれども、特例料率というものは、ほかはほとんど全部保険料率が千分の六・五から五まで下がっている。これだけ上がっている。いわゆる保険料と保険給付のバランスということは十分わかるのですけれども、ひところ原案では保険料は三倍で給付は三分の一といわれたのを若干イメージチェンジするためにも——下げろとは言いません、せめて現行の料率程度の六・五ぐらいまでにする検討の余地はございませんか、大臣。
  61. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 月収十万円の方で現状より百円上がるかっこうになる、こういうことで関係の労働者の方々にも御納得いただけるんじゃなかろうかと思っているのでありますが、しかし、御指摘の御趣旨も理解できる点が非常に多うございますので、それをどう生かすかということにつきましては、過度の不均衡是正というたてまえの範囲内において、できる限り御趣旨に沿うように検討してみたい、こう思っております。
  62. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 それに関連して事務的にお伺いしますが、たとえば一つの大きな建設会社を考えたとしますと、いわゆる出かせぎに来たりして現場で働く人も、いまの案ですと千分の七・五、それから内部でお茶をくんだりする女の子にしても、秘書さんにしてもそれから事務をやっている男の人でも千分の七・五です。そうすると一般に同じ事務職をやって丸ビルにつとめているのに、名前が何とか建設株式会社というだけで毎月取られる保険料が違う。これはOLの間でもかなり問題になりませんか。その辺どうでしょうか。
  63. 遠藤政夫

    ○遠藤(政)政府委員 御指摘の点ごもっともでございまして、同じ建設業あるいは農林水産業あるいは清酒製造業、この場合、三つの業種を予定いたしておりますが、その業種の中で、いわゆる事務部門、本社というような形で独立して現場部門と明確に区分できるものは別途の適用をいたす予定にいたしております。したがいまして、そういうものにつきましては、一般産業労使と同じような保険料の負担になっております。これが区別できないような状態にあるものにつきましては、やむを得ないので一括適用、こういうふうになると思います。
  64. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 それは現在の法案がそうなっているということではなくて、今後手直しなざるということですか、そこをひとつはっきり……。
  65. 遠藤政夫

    ○遠藤(政)政府委員 これは適用のしかたの問題でございますので、ただいま提出しております法案の施行によりましてそういうことが可能でございます。
  66. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 実はもっともっとお伺いしたいことがあるし、特に失保の勘定の問題多くの論じ詰めなければならない問題があるように思うのですが、あと時間が五分ほどになってしまいましたので、それを一、二点お伺いします。  いわゆる三事業の問題ですけれども、資本家側が今度千分の一・五よけい出すことになった。ところが実態的に受けるのは千分の三ではないかという議論がよく行なわれています。そこでお伺いしたいのですけれども、昭和五十会計年度で考えた場合、大体失保会計の一般保険料はどれくらいの規模になる御予定ですか。
  67. 遠藤政夫

    ○遠藤(政)政府委員 五十年度になりますと賃金がどれくらいに上がってまいりますか、あるいは経済の好、不況にもよりますので正確なことは申し上げかねますけれども、おおよそ六千七百億程度の保険料収入が見込めるのではないか。保険の収支でございます。
  68. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 と申しますのは、それは一般の千分の十の部分で六千七百億ということですか、それとも千分の十三まで考えてのことですか。
  69. 遠藤政夫

    ○遠藤(政)政府委員 千分の十三全体でございます。
  70. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 そうしますと、千分の三という部分で約一千三百億、四百億ぐらいになるという見当ですか。
  71. 遠藤政夫

    ○遠藤(政)政府委員 約千二百ないし千二百五十億程度かと思います。
  72. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 そうしますと、これは私「ジュリスト」のいろいろな座談会を見ても感じたのですけれども、千分の三というものは大体千二百億、千三百億になるのだ、そしていわゆる三事業に予定されておるのが、労働省がある制度審に出された資料によりますと、大体千二百四十九億ほどですね。ですから、今回三事業を誤解を避けるために全然別個にして、別に千分の三を取りまして、雇用安定基金だとか何とかという名前にして新しく発足して、つまり来国会かなんかにやったほうが、この委員会で何か中途はんぱに要らざる議論しているよりもいいんじゃないかと思うのです。いろいろ弁解するよりいっそすぱっとここであきらめて、そして千分の三は別個にやってもこうなりますということをはっきりしたほうが、労使ともにすっきりし、なおかつつきものから離れられたような感じになると思うのですけれども、いかがですか。
  73. 遠藤政夫

    ○遠藤(政)政府委員 確かに「ジュリスト」の座談会等のあるいはその他いろいろな論文が発表されまして、あたかも今回の雇用保険法で一般の給付費を削減して、それを使用者側に対するもろもろの三事業で、いままでの倍以上のものをそれに充当して還元するというような印象を与える論旨が横行しておりますけれども、実は現行の失業保険法におきまして、労使の負担する保険料の中から福祉施設とかあるいは雇用のための助成策が行なわれております。それを今回は改めて、外国の例等にもありますような雇用賦課金とかあるいは訓練税とか、そういったたぐいの制度を取り込みまして雇用改善なり職業訓練なりあるいは雇用労働者のための福祉施設なり、こういったものに充てるための使用者全額負担の保険料を創設したわけでございます。したがいまして、従来よりは——そういった事業に従来使っておりましたものが、今回から全額使用者の負担に切りかえられる、しかも千分の一・五だけは使用者の負担増になる。その負担増になる千分の一・五を合わせて千分の三が、労働者を雇うために労働者に必要なもろもろの経費、あるいは労働者の福祉のために必要な経費、あるいは労働者が訓練を受けるために必要な手当とか施設費、こういったものに充当されるわけでございまして、直接あるいは間接的に労働者に還元される金であるということを私どもは申し上げてまいりましたけれども、それがあたかも、保険料でこういった使用者のための施設をやるかのような誤解を招いておりますことは、きわめて私ども残念でございます。  御説のように、この三事業を全く切り離して、新しい雇用基金とか、あるいは職業訓練基金というような制度をつくることも、理論的には可能でございます。しかしながら、当初私どもが御説明  いたしましたように、こういった三事業は、あくまで失業を予防するための積極的な雇用政策であり、福祉対策である、あるいは技能開発のための施策である、こういうことを考えますと、理論的には、この雇用保険の中の一つの、いわゆる付帯的な事業という考え方をとることも可能であると私どもは考えております。私ども技術的に考えますと、別個の制度として創設するよりは、この雇用保険の付帯的な事業として取り組むほうが、より現実的に可能である、こういうふうに考えた次第でございます。将来の問題としては、これを切り離して独立させるということも、十分考える余地はあるかと考えております。
  74. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 私は、誤解を避けるため、来国会にやったほうがまだいいと思うのですが、これはこの程度にいたします。  ただ三事業の中に、特に注意していただきたいのは、やはり同じ料率で中小企業もお金を出すわけです。そしてたとえば訓練にしても、能力開発にしても、とかくそういう小さな中小企業の集合体の中では、そういう機関、またはいろいろな講習会なんかをやる可能性というものは非常に少ないわけなんで、できるだけそれに見合った、中小企業にもメリットのあるような三事業を考えていただきたいと思います。
  75. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 中小企業に対するメリットは、十分私たちは考えなければならぬかと思います。そういう意味で、格段の検討を加えて努力してまいりたい、こう思っております。
  76. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 この雇用改善事業の中で行なうこととしている中で、いわゆる雇用調整措置というのがありますね。これは最近の石油ショックに伴ういろいろな経済情勢、それからその後の不景気——これからたいぶ倒産なんかも出てくると思うのですけれども、そういうような最近の経済情勢から考えて、できれば五十年四月以前に、早目に適用するようなことが技術的に可能かどうかということをよくあちらこちらで耳にしますし、中央職業安定審議会ですか、たしかそのような趣旨の答申があったように思われるのですけれども、その辺の可能性はないものでしょうか。
  77. 遠藤政夫

    ○遠藤(政)政府委員 確かに審議会の審議の過程におきましても、国際的な情勢、経済情勢の悪化、こういったことから、雇用情勢が今後悪化することも予想される。そういう際に、せっかくこういう雇用調整措置というものが立法化されるのであれば、それに間に合うように繰り上げるべきじゃないか、こういう御意見もございまして、私ども事務的に検討いたしてまいりましたけれども、技術的に考えますと、これはこの分だけを繰り上げて実施するということはきわめてむずかしい問題でございます。検討はいたしておりますけれども、事務的にははなはだ困難な状態にあるということを……。
  78. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 事務的といいますと、具体的に言うと、どういうことですか。
  79. 遠藤政夫

    ○遠藤(政)政府委員 一つは、この雇用調整措置の財源が千分の三のいわゆる使用者の全額負担によるということ、その使用者の全額負担の保険料を四十九年度中に繰り上げて徴収することが可能かどうかという点になりますと、きわめて困難でございます。そういう措置をとることは、実際上不可能に近いことではないか、と同時に、技術的  に言いますと、いろいろこれを繰り上げて施行するについては、準備その他がございますので、事務的には、たいへんむずかしいということを申し上げます。
  80. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 ただ、この雇用保険法案は、研究会の答申でもありますように、最近の石油事情云々というようなこともあって、こういうように急いでつくろうとしたわけですし、それから確かに三事業のためのお金がまだ集まり始めてないという議論もわかりますが、しかし御承知のように、失保会計には、何千億という貯金があるわけなんです。そこは、大臣、ちょっとうんとふんばれば、何とかなる筋合いのものじゃないでしょうか。
  81. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 石油危機から来るところの経済変動に対しての御憂慮、全く私も同感でございます。そういうときにこそ、行政が受けざらを持たなければいかぬ。私は、今度の法案が事務的に局長が申されたように、非常にむずかしいこともわかりますけれども、こういう国会の場での御議論、さらにはまた各新聞社の社説等々も、早い機会にこういうものを受けざらとしてやるべきだ、こういうことがありますので、政治的にはそういう前向きの姿勢で検討してまいりたい、こう思っております。
  82. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 どうもありがとうございました。  まだ、就職支度金とか日雇いの問題、いろいろお聞きしたいことがありますが、時間をちょっと早目に繰り上げろということですので、この程度でやめますが、ただ、今回のこの雇用保険法案をじっといろいろこまかく見てみますと、確かに行政的、学者的な良心、また公正感、公平感からいったら、なるほどこれが筋だと思われるものが非常に多いわけであります。しかし現実には、なかなか、それを適用すると困る。それで、言うなれば、雇用保険法案、また失業保険法というものが、種々の地域開発のおくれ、農業施策のおくれを背負って、ひょろひょろ動いている。たまたま保険勘定が黒字で、健康な状態を示しているからいいようなものですけれども、この保険がすべてを背負うというのは、私は筋ではないと思うので、これは単に労働省だけじゃなくて、きょう御出席いただいた建設省はじめ特に農林省、いろんな総合的な施策から、あまりこれに荷物がかからないように、政府の施策を進めていただきたいし、またそれが完ぺきにできるまでは、法の運用に当たって、また施行規則その他いろんな面で現実にマッチするような方策を考えていただきたいということを大臣に御要望申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
  83. 大野明

    大野(明)委員長代理 村山富市君。
  84. 村山富市

    村山(富)委員 私は、まずお尋ねをしたいのですが、どうも、さっき話がありましたけれども、法律がむずかしくて、なかなか解釈するのが難解ですね。これは一人一人の労働者に関係する問題ですし、特に失業保険というのは、安定所の窓口で認定を受ける場合に。ちょっとしたものの言い方で非常に困るということもあり得るわけですよ。それだけに一人一人の労働者に正しく理解してもらうということが必要なんだけれども、これはちょっと専門家でもわからぬような、一つの条文の中にも、カッコの中にまたカッコがあったり何かしてわかりにくいという点をまず冒頭に指摘をしておきたいと思うのです。何とかもっとくふうして、大多数の大衆によく納得がいき、理解ができるような、そういう条文にならぬものかということをまず申し上げたいと思うのです。  この条文の中で用語の変わったのがありますね。たとえば三十四条、三十五条を見ますと、いままでは「詐欺」ということばを使ったわけです。それを今度は「偽り」という表現に変えたわけですね。この「詐欺」という用語はこれは刑事用語で、ことばの構成要件というものがきわめて厳密に厳格につくられているわけです。ところが「偽り」という表現になりますと、これはそういう構成要件が不明確だし、同時に範囲が広がるし、さらに言うならばことばの表現の中に倫理観が入ってくる、こういう要素もあるのではないかというようなことが懸念されるのですが、この「詐欺」という表現を「偽り」という表現に変えた理由は何ですか。
  85. 関英夫

    ○関説明員 これは内容といいますか、不正受給に該当する要件を変えようという意図は全くございません。私ども法制局の審査を受けます場合には、これを変えるというようなことは考えておらなかったわけでございますが、法文全体を新しくする際は最近の用語例にならうべきであるという見解がございまして、たとえば港湾労働法とか児童手当法とか、最近の用語例がみな同じような場合に偽りと用いているので、そう直されたというのが全くの実情でございます。したがいましてこの辺の要件につきまして全く従来と変える意図はございません。
  86. 遠藤政夫

    ○遠藤(政)政府委員 ただいまの冒頭に御指摘になりました国民に、特に失業して生活に困られる人たちに、一番密接な関係のある法律がわかりにくいということは確かにごもっともでございます。実は昭和二十二年に失業保険が初めてできますときに、私どもそのことを痛感いたしました。御承知のように税法と社会保険法というのが法律の中では一番しろうとにわかりにくいきわめて複雑、難解な法律になっておることは御承知のとおりでございます。そこで失業保険法の際も、当初制定の当時も、できるだけわかりやすい条文にしようということで私ども精一ぱい——実は当時私が担当しておりまして努力いたしたわけです。今回も確かにカッコ書きがあったりただし書きがあったり、一般の方々にはわかりにくい点はございますけれども、その範囲の中でできるだけ正確に法律関係を確定いたしますと同時に、理解しやすいような法律にしたいということで努力はしたつもりでございますが、その点御理解いただきたいと思います。
  87. 村山富市

    村山(富)委員 いや、ぼくは実はこの条文を読み上げてここで大臣に解釈を聞こうと思ったのですよ。大臣は閣議で印鑑を押しているわけだから。それくらいこの法案は実際言ってむずかしいのです。その点は今後十分留意してもらいたいと思うのです。  そこでその次の質問に移りますが、現行制度の最高日額は二千八百六十円ですね。実際の給付水準はおそらくいまの生活保護基準よりも下回る部面があるのではないかというように思われるのですけれども、四十八年度の平均給付月額は何ぼですか。
  88. 関英夫

    ○関説明員 四十八年度はまだ実は数字が、実績が出ておりませんで、四十七年度しか現実には実績はまだ出ておりません。  四十七年度で月額三万二千九百四十七円になっております。
  89. 村山富市

    村山(富)委員 四十八年度が出ていなければ四十七年度生活保護基準ですが、標準四人世帯の場合に一級地から四級地で何ぼになっているかわかりますか。
  90. 遠藤政夫

    ○遠藤(政)政府委員 いまここの手元に四十七年度生活保護基準を持ち合わせておりませんけれども、失業保険法によります失業保険給付は、前職賃金の六割ということで給付が行なわれることになっております。したがいまして当時の賃金水準に対する六割の給付でございますので、生活保護基準と直接の比較はできませんけれども、私は、従来よく失対賃金と生活保護基準が比較されますけれども、失業保険給付の場合はそういったものよりはさらに高い水準になっていることは確かではなかったかというふうに記憶いたしております。
  91. 村山富市

    村山(富)委員 いや、私がいろいろ計算をして調べたところによりますと低くなる部面もあるわけですよ。ですからそれはまたあとで調べていただけばわかりますから。ここでいま言いましたのは、予算単価でなくて実績ですね。——一応確認しておきますから、それでいいですね。  それから次に移りますが、現行の賃金日額の二千八百六十円、これが今度五十年にはさらに三千七百五十円になるわけですね。言うならば、昨年の、現行の二千八百六十円というものは昨年の十月に改定されておる。とじますと昨年は春闘で賃金が上がって、四月に賃金改定がなされているわけですね。したがって十月としますともう六カ月くらいあと追いになっている。この五十年から実施される三千七百五十円にしましても、やはり同じようにあと追いになるわけですね。もうことし春闘があってこれで上がるわけですから。そうすると五十年からですから、やはりあと追いになる。少なくともこれはいまの賃金実態に照らして考えた場合に、この賃金日額というものは若干のズレがある。言うならば低いのではないかということがいえるのではないかと思うのです。   〔大野(明)委員長代理退席、斉藤(滋)委員長代理着席〕  そこでまずお尋ねしたいのですけれども、この保険金日額の基準は一体何を根拠にしてきめておるのですか。
  92. 関英夫

    ○関説明員 御質問の趣旨を取り違えておったのをまた御訂正させていただきたいと思うのですが、雇用保険法案の七千五百円という賃金日額、これを考えた根拠というようなことであろうかと思いますが、七千五百円といたしましたにつきましては、一つは月額に直しますと二十万円をこえる賃金月額、ほかの社会保険や何かのことも考え、かつ、失業者に対する給付として最高のところがその辺まで考えてあれば十分ではなかろうかというふうなことから日額として七千五百円、そこを最高の給付日額というふうに考えたわけでございます。
  93. 村山富市

    村山(富)委員 そうしますと、ほかのいろいろなもろもろの均衡等も考え、いまの生活実態から考えて、この程度の失業給付をすることが一番妥当であるというような計算で割り出されたので、別にこれこれを根拠にしたという根拠はないわけですね。
  94. 遠藤政夫

    ○遠藤(政)政府委員 もちろんこういった賃金の最高限といいますか、保険給付の上での最高限を設定するにあたりましては、他の事例も参考にはいたしますけれども、それとの均衡というようなことを考えたわけでは決してございません。いま申し上げましたように、月額にいたしますと最高が二十二万五千円、通常ことしの春闘前の状態で賃金月額が十万円というのが毎勤の平均の大体の水準ではないかと思います。それの二倍以上ということであれば、保険給付の限度額としては適当なところ、社会的な水準として適当ではなかろうか。と同時に問題は下のほうでございます。今回の雇用保険で最低日額を千五百円ということは月額四万五千円でございます。いままでよりも約六割くらいのアップをしておると考えております。できるだけ下のほうに厚くしようということで、最下限をできるだけ切り上げて、それ以下のものはそういうふうにみなして給付するという考え方をとったところをひとつ御理解いただきたいと思います。
  95. 村山富市

    村山(富)委員 これは保険料をみなかけておるわけでしょう。保険をかけておるということが一つと、これは単なる私的保険ではなくて、社会保障を基礎にした社会保険、そういう性格のものですね。そういう性格から考えて、この失業保険給付の水準の根拠といいますか基準といいますか、それをどこに求めることが一番妥当であるというふうにいまお考えですか。
  96. 遠藤政夫

    ○遠藤(政)政府委員 もちろん社会保険でありますし、強制保険であります。失業に対する給付ということを考えました場合に、ILO条約等に定められております給付の水準といったものが一つの参考になりますし、諸外国の例ももちろん参照しなければなりませんが、一応失業前の賃金の六割程度というのが一般的に社会通念上も妥当である、こういうふうに考えられておるわけでございます。その点、従来二十数年間現行失業保険法で定められております給付水準を、あえて今回の雇用保険におきまして最低限度を引き上げますと同時に、給付率そのものも、比較的賃金日額の低い層については六割から七割に引き上げようという考え方で、できるだけ社会的に公平な見地に立って給付をきめていこう。こういう考え方をとったわけでございます。
  97. 村山富市

    村山(富)委員 いまちょっと考え方の確認だけをしているわけですが、そうしますと、いままでが標準六割給付、今度の改正案もそうですけれども、六割給付をあくまでも堅持してきたその根拠は何ですか。
  98. 遠藤政夫

    ○遠藤(政)政府委員 ただいま申し上げましたように、一応世界各国の例、ILO条約等におきまして示された基準からも、六割という標準が妥当な線ではないかと私は受け取っておるわけでございます。なおかつその場合に、六割と申しましても、他の社会保険の六割と非常に大きな差がございますのは、たとえば健康保険、厚生年金保険等におきます標準報酬に対する六割と、失業保険の賃金月額に対する六割とでは、実質的にかなり大きな差がございます。これを標準報酬の六割に引き直しますと、実質的には、平均的に見て約八割近い線になっております。賃金の低い層につきましては税金とかいろいろな関係がありまして、十割近い額に実際上はなっております。と申しますのは、他の社会保険と違って、失業保険の場合は、通常年間二回支給されるボーナスが全部含まれておりますし、その他の臨時の諸手当等も日額算定の基礎に入っております。したがって、その点が他の社会保険と大きく異なっておるわけでございまして、実質的にはかなり高率の給付率になっておるわけでございます。
  99. 村山富市

    村山(富)委員 次に移りますが、さっき申し上げましたように、掛け金をかけて、そして失業保険を給付される、これはあくまでも私的保険でなくて社会保険だというふうな考え方に立って考えた場合に——今度の法案では、所定給付日数は就職の難易度を基準にしてきめてある。いままでの制度を見ますと、最初は一律だったわけですね。それから被用者期間によって日数を変える。今度は就職の難易度。こういうふうに変わってきているわけですけれども、前提に申し上げました失業保険は社会保険であるというたてまえからいった場合に、いま申した三つの方法の中でどこに基準を置くことが一番最善であるというふうに考えておりますか。考え方をひとつ聞きたい。
  100. 遠藤政夫

    ○遠藤(政)政府委員 保険という考え方、一般的にいいますといろいろな考え方があると思います。ただ、失業した人たちに対して、再就職するまでの期間、その失業中の生活の安定を得させ、一日も早く就職させる、そのための給付を行なうという考え方からいたしますと、そのときそのときの実態に応じて、就職に必要な期間というものを給付の対象にすることが一番理想の姿であろうと私は思います。そういたしますと、保険の限度、保険のワク内で考えます場合に、その基準として求められるものは、就職のむずかしい人やさしい人、その難易度によって給付日数をきめるというのが理論的にも一番正しいし、現実に妥当な線であろう、私どもかように考えております。
  101. 村山富市

    村山(富)委員 この現行失業保険法の第一条に目的が明確に書いてありますね。就職の難易度とかなんとかいうことでなくて、「被保険者が失業した場合に、失業保険金を支給して、その生活の安定を図ることを目的とする。」目的は明確なんですね。そうしますと、いま局長が説明した説明とは若干違うのですよね。そうでしょう。就職の難易度とかなんとかいうのじゃなくて、この失業保険法は、失業した人の失業期間中の生活を安定させるということが目的なんです。明確でしょう。どうですか、その点。
  102. 遠藤政夫

    ○遠藤(政)政府委員 まさしくそのとおりでございます。私が御説明申し上げましたことも全く違っておりません。現行失業保険法で定められております失業というのは、離職をして、就職の意思と能力があって、求職申し込みをしてなおかつ就職できないということが出そろって初めて失業であって、それに対して給付が行なわれるということでございますので、再就職するまでの期間、再就職を促進するということも失業保険法の目的の中に当然入っておるわけでございます。単に職がないということだけでは失業ということではございませんし、給付の対象にならないことは、もう現行法で明らかになっておるわけでございます。
  103. 村山富市

    村山(富)委員 いやいや、現行失業保険法から解釈しますと、就職の意思と能力がある、にもかかわらず失業しておるという者の生活を安定させるためにこの法律はつくられておる、その制度である、これは明確ですね。ですから、いま言われますような就職を促進するとかなんとかいうようなものは少なくともこの目的の中には入っていないのですよ。それは要件としてあるかもしれませんよ。しかしこの失業保険法の目的からすれば、これは明確ですよ。単純明確にきちっと書いてありますよ。  そこで、今度の雇用保険法案を見ますと、失業保険法に書いてある第一条の目的に、言うなれば三事業がくっついた。これは失業保険の性質、原則を大きく変質させるものではないかというふうに思われるのですけれども、そこいらはどうですか。
  104. 遠藤政夫

    ○遠藤(政)政府委員 いま失業保険法の目的について御説明いただいたわけでございますが、離職をして、就職の意思と能力があれば就職しなくてもいいということではなくて、失業保険の大目的はやはり就職を促進させることにある。就職するまでの期間保険給付を行なってその間をつないでいく、そして本人の希望する新しい職についてもらう、これが失業保険法の目的でございます。従来、現行失業保険法におきましても、失業者の生活安定あるいは再就職あるいは失業者を含めた労働者のための福祉対策、こういった事業を付帯的に行なっております。失業保険の施設として行なっておるわけでございます。今回、そういった現行失業保険法の中で行なわれておりましたものを、先ほど申し上げましたように、その費用を全額使用者の負担に求めることにいたしましてその事業内容を拡充いたしまして、積極的に失業を予防する、失業した人につきましては、能力の開発なり技能を付与するなり、あるいは福祉施設を整備充実するといったようなことによって、より積極的に失業を予防し、失業した人たちの再就職を求め、かつ失業給付の内容を改善していくというふうな制度にいたしたわけでございまして、従来の目的と全く本質的に変わるものではございません。
  105. 村山富市

    村山(富)委員 それは、無理に結論的に変わるものじゃないといえばなんですけれども、この法律をすなおに解釈すれば、これは明らかに違ってくるでしょうが。ですから今度の雇用保険法は、失業中の失業者の生活安定のために保険金を給付するということとあわせて、三事業がくっついて、むしろその三事業のほうに重点が移っておる。さっき局長からもいみじくも答弁がありましたように、労働者は何も失業したくてしているわけじゃないし、失業を歓迎しているわけじゃないのですよ。しかし、いまのような社会からすると必然的に失業というものは起こってくるわけですよ。その防止し得ない、必然的に生まれてくるであろう失業に、社会保障的な考え方から保険給付をして、生活の安定をはかってやろうというのが失業保険の最大の目的ですね。そうでしょう。それを就職させることが目的だというふうに言われれば、これはもう質的に大きく変わってくるわけでしょう。
  106. 遠藤政夫

    ○遠藤(政)政府委員 私どもは、失業ということは当然再就職が予定されているのであって、再就職を予定していない失業というものはあり得ないと思います。それは不就業であって、失業という概念とは全く異質なものだと思っております。
  107. 村山富市

    村山(富)委員 そこらは見解の違いも若干あるかもしれませんので、あまり時間をといってもなんですから、あとに譲りますが、一応考え方だけはっきりさせていただきたかったわけです。  この提案説明の中でもありますけれども、失業中の失業者の生活を保障するという現行法のたてまえを若干改善をして、上薄下厚とかあるいは就職の難易度だとかいうことをものさしにして給付額やら給付率やら給付日数を変えていく、こういう考え方ですけれども、しかし現行法には扶養手当制度があるわけですね。ところが今度の改正案ではないわけです。この扶養手当制度を廃止した理由は一体何ですか。
  108. 遠藤政夫

    ○遠藤(政)政府委員 従来から、先ほど六割給付についての御意見がございましたけれども、給付内容を改善すべきであるという関係者の方々からの御意見、あるいは国会におきましても再三そういう御意見がございました。保険給付の最高限度につきましては、これは社会的な一般的公平という観点からおのずから限度がございます。しかしながら比較的低額の賃金階層につきましてはできるだけ給付内容をよくしていこう、こういう考え方で、本来的には扶養手当的なものは賃金の中に含まれておるわけでございます。日本の賃金慣行からいいまして、扶養家族手当といったような制度が行なわれておりまして、それは当然保険給付であります失業保険金算定の基礎になります賃金の中に含まれておるわけでございます。言ってみれば、給付改善の一つの手段としてそういうものを利用して、比較的低い賃金階層の人たちに対して、六割の給付であっても実質的に給付内容がよくなるようにという考え方で扶養加算という制度が設けられたわけでございます。しかしながら今回、先ほどから申し上げておりますように、標準六割でございましても、標準より低いほうの賃金階層につきましては給付率を七割に引き上げよう、こういう考え方を法定いたしますことにつきまして、そういった扶養加算によりまして実質的に給付内容を、六割を上回るような措置をとろうという制度と今回の給付率を引き上げる措置によりまして、この制度をもとの線に、当然給付率をよくするという線に戻したわけでございます。
  109. 村山富市

    村山(富)委員 これはまたあとで触れますから、一応理由だけ聞いておきます。  次に、その扶養手当の問題と関連をして、外国の場合と比較してみたいと思うのですけれども、外国の場合、この失業保険制度の中で扶養手当というものはどういうふうに位置づけられておるか。特に西ドイツとイギリス、その二つの国について聞きたいと思うのですが、基本給付率とそれから扶養手当、この合計した給付水準が賃金に対して何%ぐらい占めておるか。
  110. 関英夫

    ○関説明員 外国の制度のお尋ねでございますが、賃金との率がどうかという計算は非常にむずかしいわけでございます。西ドイツの例で申しますと、配偶者及び子供一人につき週百二十マルクを支給というようなことがございます。ただし基本額との合計額は、これは賃金階層によって異なりますが、前職賃金の六〇・二から七八%を限度とする、こういうようなことになっております。ただ諸外国におきましては多くの国でこういう制度がありますけれども、これは扶養家族に対する手当を賃金の一部として支払っているわが国とだいぶ事情が違いまして、そういう意味でわが国のように賃金の中に扶養手当というものが含まれている場合、外国の制度と一がいに比較することができないのじゃないかというふうに考えております。
  111. 村山富市

    村山(富)委員 それは構成要件が違いますから、ですから一がいに比較をしてどうのこうのと言うことはできないと思います。しかしいま私が聞きましたのは、西ドイツ、イギリスでは基本給付率とそれから扶養手当を含めたもの、合計したものが賃金に対して何%ぐらい占めておるかという計算は出るでしょうから、それだけお答えいただければいいです。
  112. 関英夫

    ○関説明員 西ドイツは最低の所得のところで扶養加算をいたしまして七八%、賃金が高くなるにつれまして下がりまして、最高のところでは六〇・二%を限度としております。それからイギリスにおきましては、これは定額給付に対しましてさらに定額を積んでいくわけでございますので、賃金に対しての率を計算するということが非常にむずかしいわけでございますが、基本の給付が定額給付になっておるわけでございます。そういう意味で賃金額に対して何%かというのは、ちょっと計算がしにくいわけでございます。御了承いただきたいと思います。
  113. 村山富市

    村山(富)委員 いま西ドイツだけ報告がありましたけれども、これは最低が七八%、最高が六〇・二%、いずれにしても、いろいろな要件が違うにしても、日本の場合よりも高いわけですね。それだけ一応確認をしておきます。  そこで具体的な内容の問題についての質問に入りたいと思うのですが、今度の改正案を見ますと、給付日数をきめるのに主として就職の難易度または制度の乱用防止、こういう観点から年齢によって給付日数をきめる、こういうことになっていると思うのです。先ほども加藤委員から指摘がありましたが、この内容を見ますと、一年未満の短期被用者については三十歳未満は六十日、あとは一律九十日ですね。そうしますと現行の十カ月以上百八十日と比べて大幅に引き下げになりますね。二のことは認めますか。
  114. 遠藤政夫

    ○遠藤(政)政府委員 確かに給付を受け得る最高日数といいますか最高限度日数という点では、現行よりも日数が少なくなることは事実でございます。しかし給付内容が切り下げになるかどうかということにつきましては、失業して、その失業期間中の給付を受けた人たちの再就職までの日数、そういった実績を比較いたしますと、私は切り下げということばは当てはまらないのではないか、こういうふうに感じております。実際に必要なものに対して必要な給付をするという考え方に立ちますと、私どもは就職の難易度によって、今回定めております給付日数によって十分妥当し得るのではないか、こういうふうに考えております。
  115. 村山富市

    村山(富)委員 これは法律できめるわけですから、きめられたものは、言うならば、きついことばで言えば、給付を受けられる権利が保障されているわけでしょう。これが削られていくわけですから、これはあくまでも大幅な切り下げになる。実際に何日分もらっているか、もらうかということは別にして、法律できめるわけですから、したがって、これは大幅な切り下げになることは明確です。さらに、これは三十歳未満の場合には、被保険者期間の長短にかかわらず一律六十日ですね。これを現行から比べた場合、たとえば十八歳で高等学校を卒業して就職します。そして十年以上勤務をして二十九歳になった者は、現行でいいますと二百七十日分保険料をもらう権利があるわけです。もらうことができるわけですね。二百七十日が一律六十日ですから、六十日に切り下げられるのですよ。もうたいへんな切り下げですね。このことは認めますか。
  116. 遠藤政夫

    ○遠藤(政)政府委員 先ほど先生お話しになりましたように、だれしも好んで失業したいというわけではございません。現実に実社会に出て就職をした人たちで、定年になるまで失業しない人もたくさんいるわけでございます。不幸にして失業された方が再び希望される職業につかれるまでの間、失業保険法によって失業保険給付が行なわれる、今回の新しい雇用保険法におきまして失業給付が行なわれるということでございます。先ほど来社会保険の性格について御議論ございましたけれども、いわゆる積み立て保険ではございません。学校を卒業して二十九歳まで働いて、約十年間保険料を積み立てたから二百七十日もらえるということではなくて、これは短期保険でございますから、その年その年に全体の労働者の中で失業した人たちのための保険給付の原資として、全労働者が使用者と折半負担をして保険料を積み立てる、それによってその年に失業した人に対する給付が行なわれる、こういう保険のたてまえでございます。したがいまして、十年たったから、あるいは二十年つとめて保険料をかけたから、それに対する反対給付として何日分の保険給付が行なわれるということではございませんので、その点は御理解の上でお話しいただいていると思いますが、新しい今回の雇用保険法によります給付制度のほうがより現実に妥当するものであるし、また、これからの雇用、失業の情勢で、御承知のとおり、高齢化が進んでまいりますと、現実に五十五歳以上の人は、従来も二十年以上つとめますと三百日でございますから、五十五歳で定年退職する人は当然いまの制度でも三百日じゃないか、こういう御議論があるかと思いますけれども、現実に五十五歳以上の人で三百日の給付日数の資格を持っている人は、全体の半数以下でございまして、約四割。そういう人たちに対して、今回は、被保険者期間の長短にかかわらず、就職の難易度というものさしで、五十五歳以上であれば一律に三百日の期間を保障して再就職に努力していただく、こういう制度にいたしたわけでございます。また三十歳未満につきましては、現在の労働市場の求人倍率、就職率等から見まして、この六十日という給付日数は現実にきわめて妥当なものだ、私どもはこう考えておるわけでございます。
  117. 村山富市

    村山(富)委員 これはある意味からしますと——私はある組合に行って、そして主観的な考え方をまじえずにこの法律を説明したわけですよ、説明のじょうずへたは別にして。そうして一番最初に出た質問が、やはり三十歳未満の問題です。これは、失業した人が再就職をする場合に、できるだけ労働環境のよい、賃金も高いところに就職をしたいという希望はだれでもあるでしょう。それで、かりに失業保険をもらえる期間が百八十日ある、そうしますと、まあ苦しいけれども失業保険をもらえるから、その間に十分選択をしてどこかに就職しよう、こういうお気持ちになるのはこれは自然です。それが六十日で切られてしまいますと、やはり失業保険ももうなくなるし、不安だからという気持ちになれば、選択の自由というものが非常にはばまれる。だから、ある意味からしますと、就職を間接的には強要するような作用をする、こういう役割りを果たすのではないか、こういう質問が端的にぽっと出ましたよ。これは私はやはり、労働者がすなおに考えて受ける感覚だと思うのですね。そのことは私はもう否定できないと思うのです。  それから、先ほど局長から説明がありましたけれども、これは短期保険で、しかも失業しなければかけ捨てになるわけですね、そういう性質のものです。ですから、長い間かけたから長い期間もらえるという考え方は間違いであると言われましたね。そういう考え方にしてきたのは、現在の失業保険がそうしたんです、言うならば。そうでしょう。現在の失業保険は、被保険者期間、かけた期間によって給付日数が違うんです。だから、長くかけておれば長い給付日数もらえる、こういう制度になっている。だから、必然的に受ける被保険者のほうも、やはりおれは長くかけているから長くもらえる、こういう考え方になってきておるんです。これはむしろあなた方のほうがそういう考え方をつくった。その考え方は間違いだと否定するのなら、いままでの失業保険の給付日数のきめ方が基本的に間違っておったということになるんですが、この点認めますか。
  118. 遠藤政夫

    ○遠藤(政)政府委員 確かに、純粋に保険理論から申しますと、被保険者期間の長短によって、それだけで給付日数がきめられるということにつきましては問題があると思います。しかしながら、当初百八十日という一律の給付日数が定められておりましたのに対して、被保険者期間の長短によって給付日数が定められるという改正が行なわれて現在に至っております。その経緯につきましても先生御承知のとおりだと思いますが、ある意味では、長年失業しないで保険に寄与してこられた方に対する報償といいますか、寄与度に対する反対給付的なものを若干加味しながら、この保険制度というものを考えていこうという考え方があったことは事実でございます。単にそれはそのまま掛け金に対する比例的な反対給付ということでなくて、長年労働者として働いてこられる、その年齢が高くなるに従って、やはり失業の期間というものについて相当な考慮を払う必要があるのじゃないか、こういう考え方があったことも事実でございまして、その両方の意味で、こういう制度が現在まで行なわれてきたわけでございますが、最近の労働市場の状況、失業の情勢等から勘案いたしますと、そういった考え方が必ずしも適当でなくて、就職の難易度、失業の期間というものを現実に考えますと、一つは年齢によるはっきりした失業期間というものの差が出てまいりました。と同時に、就職率を見ましても、就職の難易度がはっきり明確に出てきておる。そういうものに対応する制度にいたしますためには、ただいま御提案申し上げているような法定給付日数を定めることが最も現実的であり、合理的である、妥当であるというふうに考えたわけでございます。
  119. 村山富市

    村山(富)委員 さっき私が冒頭に申し上げましたように、就職の難易度あるいは制度が乱用される、こういう二つの面は、研究会でも指摘されておるわけですよ。その前提に立って今度の改正案が出されたということも間違いないわけですね。そうしますと、この乱用なんていう問題は、いまの失業保険がそういう考え方をつくり上げてきているのですよ。いろいろ説明がありましたけれども、実際には現行法は、被保険者期間が長ければ、言うならば財政に対する貢献度が高いから給付日数も長くする、こういう関係になっているのでしょうが。だから、必然的に、基本的には保険金をかけている人がたくさん失業給付をもらえるんだ、こういう仕組みに考え方がなっているのですよ。だからいま労働者はそう思っていますよ。当然自分たちがかけた金だから、失業保険をもらうのはあたりまえじゃないか、窓口規制がきびし過ぎる、こういう非難だってあるじゃないですか。そういう考え方に立っているのですよ。その考え方というものは、いまの失業保険制度がつくり出したものなんですよ。そうじゃないですか。  それを今度は、それだけでもやはり無理があるようだから、むしろ観点を変えて、就職の難易度といったものにものさしを変えたんです。ですから、乱用しているといって責めるのは私は当たらないと思うんだ。むしろ乱用するような考え方、仕組みに法律そのものを変えているわけですから、その点は私は明確に指摘をしておきたいと思うのです。  それからもう一つは、五十五歳以上の場合には、これは就職の難易度から考えて、被保険者期間のいかんにかかわらず三百日、こういうふうになっておるわけですね。これは一見非常に改善をされたように見えますけれども、実際には五十五歳以上になりますと、これはほとんど定年退職ですね。そうしますと、現行法で二十年以上かけて三百日保障されておるものとダブるわけですよ。ですから、実際には五十五歳以上は期間のいかんにかかわらず三百日出すということも実情と照らし合わせてみますと、対象者がそれほど多くはないのじゃないか。どうですか、それはどのくらい見ておりますか。
  120. 遠藤政夫

    ○遠藤(政)政府委員 定年退職された方がそのときまで二十年以上引き続いて勤続してこられたということであれば、当然、御指摘のように、現行法でも三百日ということになっております。今度の雇用保険法で三百日をことさら定めなくても当然のことである、こういう御指摘だと思いますが、しかし現実には必ずしもそうなっておりませんので、一見何のプラスにもならないように見えますけれども、いままでの実績をごらんいただきますとおわかりいただけると思いますが、五十五歳以上の人で三百日の所定給付日数の資格を持っておられる方は、全体の半数以下でございまして、約四割程度だと思います。過半数の人が二百七十日なり二百十日なり百八十日の資格しか持っておられないというのが現実でございます。したがって、今後こういった定年退職者を中心に、四十五歳以上あるいは五十五歳以上の高齢者が一そうふえてまいりますと同時に、こういう人たちの就職が今後なお非常にむずかしくなってくる、こういう今後の動向にかんがみまして、被保険者期間の長短ということでなくて、高齢者の失業期間に対して十分なささえをし、そうして一日も早く再就職をしていただく、こういう制度に改めることにいたしたわけでございます。このことによって、現在の制度よりははるかに高齢者に対するきめこまかな施策に十分役立つ、私どもはこう考えております。
  121. 村上勇

    ○村上(勇)委員 時間がないから深追いしませんけれども、次にまたお尋ねしますが、就職の難易度からいえば、五十五歳以上で定年退職をした者は、言うならば第二の就職ですから、若干賃金が低くてもがまんするということで、比較的就職はしやすい面もあるのですよ。ところが就職の難易度という観点からいえば、四十五歳から五十五歳ぐらいまでの人が一番むずかしいのではないか。生活費もたくさんかかるし、子供が高校か大学に行っておるというようなことで、あまり低い賃金では働けない。そうしますと、再就職の場が非常に限定されます。したがって、就職の難易度からいえば、この年齢の層の人が一番むずかしいのではないかというふうに考えられるのですね。ところが、この層の人は、若干給付日数が落ちている部面もあるわけですね。そうしますと、就職の難易度は非常に高い、しかも給付日数は落ちる、こうなってまいりますと、この層に対する考え方というものはやはり少し過酷に過ぎるのではないかというように思うのです。これはどういうように思いますか。
  122. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 ただいま村山委員のおっしゃったところは、私たちにも思い当たる節がありますので、十分考えていきたい、こう思います。
  123. 村山富市

    村山(富)委員 それではひとつ十分検討も加えていただいて、これはやはり改善をする余地があるのではないかというように思いますから、その点はひとつよろしくお願いします。  そこで、いままでいろいろ給付日数の問題でお話し申し上げましたけれども、言うならば就職の難易度というものを考えて、中高年の雇用促進法もありますし、雇対法もありますし、今度は雇用保険法の中に、保険給付の面についても若干の、そういう意味では重きを置いた、しかも三事業がくっついた、こういうことになってまいりますと、この中高年の雇用促進法や雇対法等との関連と区別というものが私は不明確になるのではないかと思うのです。だから、失業保険はあくまでも失業中の給付に重点を置く、就職促進は中高年齢雇用促進法あるいは雇対法等をもっと改善、充実して進めていくということが本来のたてまえでなくちゃならぬと思うのですね。ここらの区別はどういうふうに考えますか。
  124. 遠藤政夫

    ○遠藤(政)政府委員 中高年の雇用促進特別措置法あるいは雇用対策法、今回の雇用保険法、それぞれ中高年齢者なりあるいは一般の再就職のために求職申し込みをし、就職をしようとする人たちに対する雇用安定、職業安定の施策として、それぞれ意義を持っているわけでございます。と同時に、雇用保険法につきましては、失業期間中に対する失業給付を中心にして、同時に、新しい事業として、失業の予防のための積極的な施策、あるいは能力開発のための職業訓練、こういったものも盛り込んでおります。中高年の雇用促進特別措置は、いわゆる安定所に求職申し込みをする中高年齢失業者の人たちに特にきめこまかな就職指導、促進措置を講ずるということで、それぞれその分野を受け持っておるわけでございます。こういう三つの法律がそれぞれ相補完し合って、職業の安定、雇用の促進をはかっていく、こういうたてまえになっております。その分が相互にふくそうして、相互に混乱を起こすということはあり得ない、私どもはかように考えております。
  125. 村山富市

    村山(富)委員 それはあり得るかあり得ないかわかりませんけれども、考え方として、そういうたてまえをとることが妥当ではないか、こう思いますから、その点はひとつそれだけ指摘をしておきます。  時間がないものですからあまり申し上げられないのだけれども、以上、給付日数の問題については、いろいろ申し上げましたが、やっぱり単純に就職の難易度ということだけで年齢区分をして給付日数をきめたというところに無理があるのではないか。これはさっき大臣からもお話がございましたし、特に加藤委員からの質問に対して、三十歳未満の一律六十日という問題についても十分御審議を願いたいということでありますから、そういう方向で政府のほうもひとつ御努力を願いたいと思うのです。  そこで、次に給付率の問題について若干お尋ねしたいのですが、今度の給付率のきめ方は上薄下厚という考え方ですね。低いほうは七割、標準が六割、高いところは五割、そして逓減法をとって計算をしていく、こういう式のものですね。そこで、考えてみますと、そういうものにした一つの前提に、給付と負担のアンバランスがあるということもありましたね。たとえば季節労働者あるいは女子、若年者の場合、これは結婚して就職する意思がないのに意思がありますといってもらっておる。あるいは季節労働者の場合には、負担が非常に低いのに給付が高いというアンバランス、こういうことからいろいろ改善されてきたわけですね。そうしますと、今度の改正案を見ましても、就職の難易度ということによって年齢で区分をしておる。そうしますと、年齢のアンバランスが当然生まれてくるのではないか。これはバランスをこわすことにならないのか。どうなんですか。
  126. 遠藤政夫

    ○遠藤(政)政府委員 現行の失業保険制度につきまして、いろいろと職業安定審議会の失業保険部会あるいは研究会等で検討されました際に、給付と負担のアンバランスということがしばしば指摘されたことは、御説のとおりでございます。その中の一つとして、季節出かせぎ受給者の問題が大きく取り上げられております。この点につきましては、今回の雇用保険法につきましても、給付と負担のアンバランスということが是正されたと言い切ることは、私はむずかしいと思います。また私どもは、給付と負担のバランスをとるということを実は考えておりません。こういったものを本来の失業保障のための制度の中で一般と同じような扱いをすることに問題があるのではないかということで、特例の別の制度として、新しい雇用保険体系の中に組み込もうということで、御理解いただけると思いますが、女子、若年の問題につきましても、給付と負担のアンバランスということで、今回の措置も決して給付と負担を均衡させるという措置は講じておりません。  現実に二十二年に制定されました失業保険法が、社会の実態が大きく変化をし、雇用失業情勢が変わってまいりまして、現実の社会、経済の実態に妥当しなくなってきている、失業保障機能が機能しなくなってきている、そういう部分を現実に即応した体制をとり得るように改正することが、私どもは法律を生かす道である、本来の失業保障という機能を強化するゆえんのものである、こういうふうに考えまして、現実に最も妥当した制度に改めるために、今回の雇用保険法を提案いたしたわけでございます。  その内容は、問題としては取り上げられたにいたしましても、決して給付と負担のアンバランスというものを、それをバランスをとるような形で今回の改正案が提案されているわけでないことは、内容をごらんいただけば、十分おわかりいただけるはずでございます。そういった点で、たとえば三十歳以下の給付日数を六十日にしたことが給付のアンバランスを是正するためにとった措置ではないか、あるいは出かせぎの短期受給者の一時金三十日分が負担と給付のアンバランスを是正するための措置ではないか、こういう御指摘かと思いますけれども、現実に計算いたしますとたいへんなアンバランスがそのまま残っております。単に給付に必要なものを負担していただくという観点から見ますと、アンバランスの是正にはなっておりません。私どもは、この問題を、社会保険といたしまして本来必要な給付を行ない、それに必要な原資を保険料でまかなうという考え方に立って、本来必要な給付であれば、それは当然新しい雇用保険の中でも給付として正確に盛り込まれるべきでありますし、それに必要な原資は一般産業の労使の負担によってまかなわれる。それがどこに片寄ろうと、それが本来の給付であるならば何ら差しつかえないのではないか、私どもはこういうふうに認識をしているわけでございます。したがいまして、今回の給付率の改定、給付日数の決定の方法あるいは出かせぎの短期受給者の特例制度、そういったものをそれぞれ社会の実態に応じて制度的に定着化させようという私どもの意図が今回の雇用保険の新しい体系になっておるわけでございます。その点を御理解いただきたいと思います。
  127. 村山富市

    村山(富)委員 おたくのほうからもらったいろいろな資料を見ましても、こういう問題が指摘をされていることは間違いがないわけですね。しかし、少なくともこの法改正に当たった当局の考え方の中には、給付と負担のアンバランスのものは全然ないというふうに確認していいですか。いいですね。  そこで、上薄下厚の中身をちょっと分析してみますと、たとえば七割給付になっている厚くしたという層を考えてみた場合に、ことしの春闘で妥結したのは、全繊関係は高卒初任給が大体五万三千円ですよ。電機の場合にはおそらく五万五千五百円くらいになる。そうした相場をずっと見てまいりますと、大体全国的に初任給は五万円をこすのじゃないかということが想定されます。そうしますと、かりに全繊の場合を例にとりますと、これを三十日で割って、日額が千七百六十六円になるのです。そうしますと、千七百六十六円というのは基本給ですからね。これにたとえば時間外を働いたとか、あるいは年二回の手当がつくというようなものを加算しますと、もっと多くなります。そうすると、現実に七割の率をもらえる対象になる労働者は実在しなくなるのではないか、あるいはかりに実在しても、その数はきわめて少ないものになるのではないかというように思いますが、その点はどうですか。
  128. 関英夫

    ○関説明員 過去の各階層別の受給率でなくて、この雇用保険法案の成立後の、五十年の各階層の受給者構成というものを推計することは非常にむずかしくて、容易ではないわけでございますが、一応私どもとしては、千五百円以下、それから千五百円から三千円、三千円から六千円、六千円から七千五百円というような区分にいたしております。これらの区分で千五百円以下の最低の階層、あるいは六千円以上の最高の階層その辺が大体比率がとれるように、そして千五百円から三千円、三千円から六千円がまたちょうど半々くらいになるように一応考えてみたわけでございますが、これは推計でございますから、現実は先ほど先生の御指摘のとおり、春闘もあり、しかしまだ中小企業等の賃金がどうなるかということはこれからでございますし、いろいろございまして、五十年でどうなるかということを正確に申し上げることは、いまの時点では困難でございます。
  129. 村山富市

    村山(富)委員 正確に出すことは非常に困難かもしれぬけれども、推定をしますと、ことしの春闘で大まかなところはそういう線できまっているわけなんですよ。これから中小企業が入ってまいりますが、最近の情勢を見ますと、中小企業の場合には労働力不足があるだけに初任給は非常に高くなっているのです。そうでなければもう来ませんからね。  そこで、少なくとも初任給は大体もう平準化しつつあるというのは否定し得ない事実です。これが一つですね。  もう一つは、ことしの春闘でこう上がったのですよ。最低が千五百円のものは五十年から実施ですよ。そうしますと、五十年の四月にはまた春闘があります。また上がります。だからこのきめ方は実際には非常にそぐわないものである、実態に合わないものであるということが一つ言えると思うのです。  そういう観点から考えてみましても、いわゆる下に厚くしたという七割の給付を受ける層は、実際にはもう来年にはなくなってしまうのではないか。どういう層があると思いますか。
  130. 関英夫

    ○関説明員 ことしの春闘の前に、私どもいろいろ考えてこの賃金の区分をきめたわけでございますが、その場合には、賃金構造基本調査から五十年を過去の趨勢から推計いたしまして、賃金分布の第四・四分位と第三・四分位の賃金額を求めて、それぞれ三千円、六千円というものを出したわけでございます。ですから、その推計からいきますと、賃金日額が三千円未満で二五%入る、それから六千円未満で七五%入る、こういうふうに一応考えたわけでございます。ただ、この推計どおりになるかどうかは問題でございますが、五十年四月にこの賃金区分が発足いたしましても、毎月勤労統計の定期給与のアップによって自動スライドがさらに行なわれていくわけでございますから、非常なアップがあればまた上げていくということがあるわけでございまして、これを五十年以降ずっと固定するわけではございません。法律の条文には千五百円とか六千円とか、そういう数字は残っても、具体的な賃金日額表は自動スライドで動かしていくわけでございます。  そういうことも含めて考えていただきますと、上薄下厚の給付率という考え方そのものは、スライドされながら、残っていく、こういうことでございますので、御理解いただきたいと思います。
  131. 村山富市

    村山(富)委員 それはスライドするといったって、そう次から次に変えるわけにいかぬでしょうからね。それなら約束しますか。たとえば、これは五十年からだけれども、来年四月の春闘でさらに初任給が上がった、そして最低の基準が引き上げられたという場合には、その実態に合うように直ちに改定しますか、もしたいへんな差ができれば。
  132. 遠藤政夫

    ○遠藤(政)政府委員 これは現行失業保険法もそうでございますし、今回の雇用保険法の中にも条文がありまして、かりに来年の四月に、この千五百円——七千五百円という数字か法定されまして発足いたします。その後において、いま御指摘のように、春闘で二〇%以上上がれば当然改定されまして、千五百円が千八百円になる、七千五百円の上限も上がっていく、自動スライドすることになります。その点は間違いございません。
  133. 村山富市

    村山(富)委員 さらに考えてまいりますと、いかにも上に薄く下に厚くしたように見える。いま指摘されたものも一つありますね。最低が上がっている。しかし実情に合わないということが一つですね。  それからもう一つは、この給付日数を就職の難易度で五十五歳以上に三百日で厚くした。それから給付率のほうは収入の低い人に対して厚くした。この両方を改善をしたという層を突き合わせてみますと、少なくともこの改正で一番よくなる層は五十五歳以上の老齢者で、しかもきわめて賃金が低いという人は、日数も長くなるし給付率も高くなる、両面から恩恵を受けるということになるわけです。  しかし、五十五歳以上の人が、家族をかかえて、そういう低賃金で存在しているということが一つ問題ですし、同時に、かりに三百日間あったにしても、賃金は低いのですから、失業中の生活が保障されるなんという額にならない。だからこれはもう必然的に働きに出る以外にないというので、三百日に延ばしたって全く意味のないものになるのです。実際考えてみますと。そうならぬですか、どうですか。
  134. 遠藤政夫

    ○遠藤(政)政府委員 私どもは、高齢者についてはできるだけこれから、実態の数字をごらんいただきましてもおわかりいただけますように、求人倍率から見ましても、五十五歳までは求人倍率が一をこえておりますけれども、五十五歳以上になりますと、求人倍率は幾何級数的に落ちてまいります。非常に就職は困難でございます。全体としては労働力需給が逼迫しておりますけれども、なおかつ高齢者になるほど就職はむずかしい。そういう実態を踏まえて、五十五歳以上の高齢者について三百日、その上なおかつ個人延長ということで給付日数を延長する措置を講じておるのでございます。そういう人たちか、賃金がきわめて低いという場合には、確かに六割をこえる七割の給付になるかもわかりませんけれども、給付は前職賃金の実態に応じて、その七割なり、賃金の高い層は五割ということでございます。実際問題としまして、先ほど申し上げましたように、月収に対しましては、七割というのは実は十割近くなる数字がはっきり出てまいります。そういうことで、もとの賃金が低いか高いかということをこの雇用保険法の内容としてお考えいただくことは実は私どもに対してはたいへん酷でございまして、私どもは賃金の七割を最高限にして、できるだけ給付率を改善していこう、その実収から見ますと七割は十割に近くになるということも私どもは踏まえた上で、この給付率というものを考えているわけでございます。給付日数、給付率それぞれの面で必要なものにより、手厚くしようという考え方をおくみ取りいただきたいと思うわけでございます。
  135. 村山富市

    村山(富)委員 私は、この改善の趣旨なりねらいをすなおに考えているのですよ。すなおに考えて、なるほどごく少数の者は七割給付だけれども、七割以上になる者もあるかもしれませんよ。しかし平均的に実情と照らし合わせて考えた場合、いま申し上げましたように一番改善されたと称されるのは高齢者。五十五歳以上は被保険期間にかかわらず三百日。だから日数も延びている、優遇された。給付率は、収入の低い人が七割給付で厚くされた。この両面をよくされたというほうを照らし合わせてみた場合に、実際に即して合わせてみた場合、言うならば五十五歳以上で低賃金の人は両面から優遇される、そういうことに実際にはなるでしょう。そうしますと、五十五歳以上の人もかりに三百日間給付日数があっても、失業保険給付の額では生活ができぬから、やはり早く働かなければいかぬといって就職が促進される、こういう側面が生まれてくることは否定し得ない事実だと思うのです。ですから三十歳未満の場合を例にとってみても、あるいは四十五歳から五十五歳までの層を例にとってみても、五十五歳以上の層を例にとってみても、今度の雇用保険法は、表面的な理由説明はどうあれ、これはやはりどれだけ就職を促進させて、しりをたたいて、そして半強制的に低賃金職場に追いやっていく、こういうねらいがあるのではないか。これは日経連のものの考え方にも適合しておるということを考えた場合に、給付日数、給付率両面から考えて、こういう考え方には私は賛成ができぬわけです。私は反対の意思を明確にしておきます。  だんだん時間もなくなってまいりましたから、次に扶養手当の問題について重ねて若干聞きたいと思うのです。  この扶養手当を廃止した理由は、先ほど説明がありましたから繰り返して申し上げませんが、ただ扶養手当制度がつくられた経過をずっと見てみますと、こういっているわけですよ。昭和三十八年扶養加算を新設した当時、労働省の担当課長がこういう説明をしておるわけです。給付率を下に厚くするだけでは、肝心の家族をかかえた生活の苦しい家族持ちの失業者にとっては、六割給付の原則さえ下回ることになり、六割を維持できなくなるから扶養手当を設けた、こう説明をしているのですよ。同時に、当時の中央職業安定審議会あるいは雇用審議会等の答申も、加算額をよりよくし、両親も加算対象にすべきだ、こういう答申が出ているわけです。そして四十四年に扶養加算を扶養手当としたわけですね。ですからいままでの経緯を考えてみますと、一貫をして扶養手当あるいは扶養加算についてはできるだけ広げて厚くしていく、こういうものの考え方できているのです。こういういままでの考え方、経緯から考えて、今度切ったということとの関連はどういうふうに理解すればよいのですか。
  136. 遠藤政夫

    ○遠藤(政)政府委員 先ほどもちょっと御説明申し上げましたように、扶養加算の制度をそもそもつくりました最大の理由は、六割給付という水準を維持しながら、比較的賃金の低い層につきまして扶養加算という制度をとる、手段を取り入れることによって実質的に給付内容を改善していきたい、こういう趣旨でございます。したがいまして、その扶養加算の額につきましては、いろいろな方法を講じてできるだけふやしていこう、こういう措置が従来講じられてきたこともいま御指摘のとおりでございます。  しかしながら、本来的に申しますと、そういったいろいろな方策を講ずることによって、給付内容を改善するというよりも、給付率そのものを引き上げるということのほうがより実態に即する、こういうふうに考えまして、今回給付率を低所得層につきまして七割まで引き上げる、こういうことによりまして本来の制度に戻して、内容の改善をしていきたい、こういう考えに出たものでございます。
  137. 村山富市

    村山(富)委員 内容の改善になっておらないということは先ほど来私は指摘をして申し上げておるとおりですが、ILOの所得保障の勧告を見ましてもこういうふうにいわれていますね。「所得喪失のために支払われるすべての給付には、最初の二人の子女の各々に対する補充的給付を附加しなければならない。」こういう勧告もありますね。ですからILOの勧告から見ましても、いままでの失業保険法を改正した経緯から見ましても、私はむしろ扶養手当については厚くすべきだ、こういうふうに考えるのが自然な姿ではないかというふうに思うのです。特にあなた方はいままでずっと一貫して六割給付にこだわっているわけです。これはたとえば労災補償とかいろいろな制度があって、その制度の均衡上六割という線はなかなか破れない、しかし六割だけではやはり不十分だ、だからこういう制度をつくることによってできるだけ総計給付額、給付率、給付水準を高めていく、こういう努力をしていくのが当然じゃないかと思うのです。ですから、そういう意味からしますと、今度切った理由は私はやはり納得できないわけです。なるほど、保険給付する中にもとが入っているのだから、もう計算をしてありますというかもしらないけれども、しかしやはり家族持ちには家族持ちの悩みと苦しみと重荷があるわけです。そういう面を考慮して、いままでは家族手当がつくられてきているわけです。そういう一貫したものの考え方から判断をしてみましても、今度ここで直ちに切ったということは、先ほどの理由ではどうも納得ができないのです。
  138. 遠藤政夫

    ○遠藤(政)政府委員 いまILOの勧告を御指摘になりましたけれども、賃金制度そのものにおきまして、わが国の場合とこのILOの勧告に指摘されております諸外国の場合とは根本から違っておるわけでございます。賃金がいわゆる年功序列、しかもその中に家族給付というものが賃金慣行上、日本の場合は当然織り込まれている。そういう前提に立って考えまして、この扶養加算という制度をとるのがいいのか、あるいは扶養家族のあるなしにかかわらず、比較的賃金の低い層について給付率を上げるという措置をとるほうがより現実的ではないか、こういう観点から今回の改正を行なったわけでございます。  それでILOの例にもありますが、確かにそういう実態が諸外国で行なわれております。その場合も、先ほど御説明申し上げましたように、日本に一番実情が近いと思われます西ドイツの場合も、扶養加算を加えてなおかつ賃金の高い層については六〇・二%を最高限度とする、賃金の低い層については扶養加算を含めて七八%ですか、これを最高限度とする、そこまでで打ち切られる、こういうことになっております。したがいまして、ちょうどこの考え方は今回の私どもの給付率を最高七割にするという考え方にほぼ近いのではないか。しかもその際、重ねて申し上げたいわけでございますが、実質給付率は七割給付にいたしますとほぼ月収の十割に近い線になっております。高い層につきましても、五割給付が実質には七割給付程度になるということをお考え合わせいただきますと、実質的な内容、給付の改善としては、私は私どもとして最善を尽くした案であるということを申し上げたいと思います。
  139. 村山富市

    村山(富)委員 いや、十割給付とか七割給付になるなんという計算が私にわからぬのです。先ほどから申し上げておりますように、現実の労働者がもらっておる収入、これはもういまの日本の労働者の場合には基本給と臨時給があるわけでしょう。その臨時給がやはり実際に生活の中に入っているのですよ。それは皆さんと同じでしょう。そうしますと、現在の基本日額が実情とそぐわない面がある。あと追いである。あと追いは事実でしょう。四月に春闘かあって上がって——現行のものは改正されたのは昨年の十月ですよ。あと追いでしょう。ことしの春闘で上がっているのですよ。いま説明のあったのは五十年からでしょう。そうしますとやはりあと追いでしょう。ですから実際にもうあと追いになっている。しかも、基本給が上がるだけでなくていろいろな臨時給も上がっていきますよ。そうすると、いずれにしても全体として収入はふくらんでいくのですよ。そうしますと、やはりこの給付率では実情にそぐわない面が出てくるということは、当然言えると思うのです。そういうものも含めて加味して、できるだけ給付率を高めていこう、そのためにはやはり家族手当も加える必要があろうというので加えられてきたのがさつき説明しましたようないままでの経緯でしょう。ですから、あなた方が六〇%にこだわらずに、この六〇%を七〇%に上げるというふうな考え方でやっていくのならいいですよ。だけれども、やはりさっきから何回も説明があっておりますように、六〇%という標準線は動かす意思はないのだ。そうしますと、失業保険制度そのものを改善をしていく一つの方法として、やはりそういうものを加えて、総体的に失業中の給付が上がっていくというふうに努力をしていくのが当然であるし、自然なものの考え方ではないか、私はそう思うのですが、どうですか大臣。
  140. 遠藤政夫

    ○遠藤(政)政府委員 法文上標準六割ということで比較的低い層を七割まで引き上げる、こういうシステムをとっておりますが、それは全体として給付率の改善にならないという御指摘でございますけれども、現実に現行の最高額二千八百六十円、これを賃金日額に引き直しまして新しい制度と比較していただきますと、そこはそれ以上のところで六割の線が出てきておるわけです。現行の制度と新しい制度との賃金日額と保険給付の日額との比較をしていただきますと、明らかに給付率の引き上げになっていることは御理解いただけるはずでございます。私どもは決して給付を引き下げようとかあるいは給付率の改善をしたくないということではございません。できるだけ給付率を引き上げていこうということで、一律六割という原則をあえて今回七割まで引き上げよう、実質的な給付の改善措置をとるためにこういう措置を思い切ってとったわけでございます。しかも、最高額を七千五百円まで引き上げて、六千円から七千五百円の二つの区分についてだけ六割から五割に逓減をするという考え方は、明らかに六割を上回る全体の給付率ということが予定されておるわけでございまして、その点をひとつ御理解いただきたいと思います。  長谷川国務大臣 先ほどからだんだん御意見を承りましたが、絶対悪いものでどうもこうもならぬ、反対だというお話がありましたが、その辺もう少し御理解いただきたいと私は思うのです。従来の保険給付及び福祉施設の事業内容を充実させる、それから体系化させるということで、まず一つは給付日数を年齢等により、就職の難易度に応じて決定したこと、あるいは全国の失業水準が悪化した場合には給付日数を一律に延長すること、三つには雇用改善事業として一時支給に対する援助を行なう等、こういう失業保障機能の強化や失業予防をはかることとしておりまして、若年、老年いずれもこれを低賃金に追いやるというふうな気持ちは万々ないことを御理解いただきたいと思います。
  141. 村山富市

    村山(富)委員 もう時間がなくなりましたから総括的に申し上げますが、いま大臣からお話がありましたように就職の難易度というものを、一律に単純に年齢だけで区分をするということには問題があると思うのです。むしろ就職の難易度からいえば四十五歳から五十五歳くらいの人が一番むずかしいと思うのです。しかも、さっきから私が説明しておりますが、給付日数の延長あるいは給付率を七割と五割にした、こういう観点から突きまぜて、実際に労働者がもらう場合にどうなるだろうかということを考えて計算をしてみても、実際いっていまよりも悪くなる層のほうが多いのです。しかも、それは実際にもらっておる賃金の趨勢から考えた場合に、収入の趨勢から考えた場合に、実情にそぐわない面がある、こういう点から判断をしてみますと、私は改善をされたなんということは妥当な表現ではないと思うのです。そういう意味で幾つかの問題を指摘しましたけれども、その指摘された問題については十分ひとつ検討していただいて、改善するものは改善する、そういう気持ちになっていただくことを強く要望して私の質問を終わります。(拍手)
  142. 斉藤滋与史

    ○斉藤(滋)委員長代理 阿部昭吾君。
  143. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 今回のこの雇用保険制度というもののねらいは一体何か。一つには農村の皆さん、これをこの制度から徹底的に圧迫をするというねらいが一つ。それから女子を圧迫する。それから青年労働者をこの制度から圧迫をする。そうしてそのむちの半面、高齢者にちょっぴりあめをしゃぶらす。これが大体今回のこの改定の根幹だとこう見ますがどうですか。
  144. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 いろいろ御意見はあろうかと思いますが、そういうつもりは万々ありません。何といりても敗戦直後、日本に就職の機会がなくして失業者が大ぜい出た、そしてまた、そういう中からお互いの経済環境がすっかり変わった今日 なおかつ石油危機のときでも失業率が一%に定着をしているという姿、すなわち人生で悲しいものは失業でございます。自分の意思にあらずして事業所から離れることです。そういうものがない姿にだんだんなってきたときに、一方また、お互いの年齢は御婦人ですと七十五歳、男子ですと七十歳というのが最近の統計と思われます。そうしますと働く長い年月がありますから、それに対応するところの、それに技能を合わせるとか、健康を合わせるとか、あるいはまた職場を拡張していくとか、こういうふうに時代の推移に応じたお互いの研究がこのたびの雇用保険制度——出かせぎの問題に対して阿部委員はじゃま者扱いだ、前回予算委員会で、わが東北の出かせぎ者をまず追い出して、組織労働者であるところの総評が、自分たちが生き残りするためにこういうものをつくられたという御質問がありましたが、それは私はそうは考えておりません。そういうことからしますと、実損を与えないという意味の話も、私自体もあなたが出かせぎ者のことを心配する以上に私もまた負けないくらい心配しております。でありますから、先ほどからだんだん政府委員からも答弁さしておりますように、給付の内容を改善するとかいろいろなことなどしながら、今日の三十日というものは、一時金でもらうことによってメリットもあるという御意見もございます。さらにまた、その内容については国会の御審議にお願いいたします、こういうふうな形において、ここの国会の場において、この雇用保険制度というものをぜひひとつ御審議、御通過願いたい、こういう気持ちであります。
  145. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 いまの大臣の御答弁、私が予算委員会で論議をしたのとちょっと違うのです。私はいまの政府の見方、日本を締めくくっておる財界や、そういう皆さんの基本的な考え方は、不況あるいは倒産、こういうので相当な失業者が出る、あるいは合理化をもっと徹底しなければこの不況期を乗り切ることはできない。そうすると、いままでの定着労働者を相当失業という状態に追いやることになる。そのためには、毎年毎年、さっきから言われる季節循環的に短期に失業する——局長のことばはしゃくにさわってしようがないのだけれども、そういう季節出かせぎ者の、この制度になじまぬ諸君をこの際排除しておかなければ、定着労働者か不況合理化や倒産——最近倒産の件数も上がってきました。この状態で失業者が出てくる。そしてこの難局を乗り切るためには、もっと合理化を徹底しなければいけない。そこで排除される皆さん、失業状態に置かれる皆さんのために受けざらをつくらなければいけない。そのためには毎年毎年季節循環的に失業という状態を繰り返しておる農村の季節出かせぎ者、こういう皆さんを圧迫しなければいけない。受けざらをつくろう。こういうねらいがある、こういう指摘をしたんです。これは私と大臣との間では残念ながら見解の相違になるようでありますが、私は、財界や政府が大体そこをねらっておるであろうということをこの際明瞭に指摘をしておきたいと思います。局長、どうですか。
  146. 遠藤政夫

    ○遠藤(政)政府委員 私が先ほど来お答え申し上げましたことに対して、たいへんお怒りをいただいたようでございます。決して私は、そういう意図は持ち合わせておりませんので、先生のもし誤解でございますならば、誤解を解いていただきたいと思うわけでございます。  今回の雇用保険におきまして、あたかも出かせぎ受給者の人たちが締めつけられる、あるいはまず第一段階としてこれを排除するのじゃないかという御懸念を御披瀝になりましたけれども、実は今回の雇用保険で、この出かせぎ受給者の問題をどう取り扱うかというのが一つの大きな問題であったことは事実でございます。先生御承知のように、昭和四十二年、四十四年に失業保険法の改正が行なわれました。その際、先生からもいろいろと御意見を承っております。ざっくばらんに申し上げまして、そのときの失業保険改正に盛られましたこの出かせぎ短期受給者の問題の処理のしかたは、先ほど私の申し上げたことばで先生から御指摘ございましたが、いわば予定された就業と不就業を毎年毎年繰り返す、現行失業保険法でいいましても、失業保険法にいう失業とは違った概念で律せられるべき季節出かせぎの短期受給者の問題を、一般の労働者の失業という問題に対する処理のしかたと同じ扱い方をすることに問題がある、こういう考え方を私どもは持っておるわけでございます。にもかかわらず、四十四年の改正におきましても、そういうものが一般の失業保険制度の中で大きなウエートを占めてきておる。これが今後ますますふえる。これに対する何らかの規制措置が必要であるという考え方があったように私は記憶いたしております。  そのことにつきまして、四十四年の改正でいろいろと国会で修正が行なわれまして、現行の制度に至っておりますけれども、これを今回雇用保険の中で処理をいたしますにつきまして、私どもは根本からこの考え方を一掃いたしまして、本来、失業保険という制度になじまない予定された不就業に対して失業給付が行なわれる、こういうものにつきまして、本来は別制度であるべきである。ILOの指摘にもありますように、こういった予定された季節的な短期受給者については、別の制度をつくることができるという考え方がございまして、本来の失業に対する給付の制度と、こういった予定された不就業、広い意味での失業かもわかりませんけれども、これに対する制度とは本来は別なものであるべきである。しかも、先般来私、関係の団体の方にも申し上げておりますが、出かせぎという労働形態がはたして望ましいものであるかどうかということにつきまして、再三質問を受けました。私は決して好ましい形であるとは考えておりません。しかしながら、現実にいろいろな社会情勢なりあるいは農業の実態なりあるいは日本の労働の実態から見まして、この出かせぎ労働という形態が望ましいことではないけれども、出かせぎに出る労働者の人たちにとっても、これはやむを得ず出ざるを得ないのが実態でございます。と同時に、これを受け入れるほうの側も、いまこれがなくなればたちまち困るような実態もございます。私どもは労働行政として、あるいは職業安定行政としまして、できるだけこういう人たちが地元で常用雇用につけるような体制をとっていくことが、通年雇用化することが望ましいことであり、行政の目的であると考えております。  しかし、一朝一夕にしてこれを実現することはむずかしいという実態判断に立ち、なおかつ、こういう人たちが出かせぎによって半年働いて半年郷里に帰って、そこで現行失業保険法による保険金の給付を受けて、それが生活の中に組み込まれておるという実情も十分踏まえて、その実態を新しい雇用保険制度の中で一つの特定の制度として組み込もう、定着化させよう、こういう考え方をとって新しい特例制度をつくったのが実は今回の私どもの出かせぎ労働に対する考え方でございます。  いま先生御指摘のように、これを一時金にして押し込めて、いずれはなしくずしになくそうというのとは全く正反対に、これを実態を実態として受けとめて、新しい雇用保険制度の中の一つの特例制度として定着化させようという考え方でございますので、その点を御理解いただきたいと思うわけでございます。
  147. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 私の地域で、これはある保守党の著名なる政治家であります。その人が、失業保険制度などというのはデカンショ保険制度だ、惰民政策もいいところだ、こう言ってなかなか所説を展開しておった政治家がおりました。この人はいまや政界の第一線から消え去ってしまいました。私は政府のねらい、日本を締めくくっておる財界のねらいは、何といっても定着労働者、この本体がいまや不況、倒産、この難局を乗り切るために合理化を加えなければいけない、失業状態は定着労働者の中で大いに広がってくる、こういう考え方をいま政府や財界指導者はやっぱり持っておると思うのです。そのためには、いままで四千数百億の蓄積のある失業保険の特別会計ではあるけれども、ここから農村の季節出かせぎ者あるいは青年労働者を圧迫する、女子労働者を圧迫する、こういうやり方の中で定着労働者本体をいまの不況、合理化の中で失業状態に追いやる、追いやった場合の受けざらをつくらなければならぬというところに、今回この制度、何だかんだいろいろな抗弁しようとも、そこに基本的なねらいがある。この私の判断はいずれ歴史が証明するだろうと思います。このことの議論はいま私はさらに展開しようとは思いません。  そこで、六年間の凍結という問題が四十四年改正のときにありました。今回のこの雇用保険の場合でもさっき、私と同じ選挙区ですが、加藤紘一君が言いましたように、一時金にせよ何にせよ、百八十日間雇用ということになる。私たちはいま出かせぎ先の現場をずいぶんと回りました。われわれの村では、いま農村で農業政策を語ろうと思っても、冬場はおらぬのです。ともにわれわれの郷土をどうつくるかということを議論するに足るような人材が冬期間は農村にとどまり得ないのです。全部都市周辺に出てきておる。この皆さんのあの苛烈なる飯場の生活や何かを私どもはずっと長年にわたって、むしろ帰ってからの村づくりをどうするかという問題も、あの飯場の中へ行って議論しなければどうにもならぬという状況になっている。その中でわれわれがいわば事業主に対して、雇用者に対して、どういう問題を一番最初に提起しなければならぬかということになると、出かせぎに来る、みんな働かなければならぬのです。働いて少しでも多くの賃金を得なければ農機具の代金も払えない、基盤整備をやった銭も払うことができない、農村の何とか水準程度の生活を維持することもてきないと言ってみんな——飯場の生活を局長は知っていますか。苛烈なものなんですよ。私も十五、十六、十七の時代に海軍の航空隊の生活をした。いまその飯場の集団生活というのはもっともっと苛烈なものなんです。この苛烈な生活に耐えて働きに来ておる皆さん、この皆さんが、今度のこの一時金、これだって同じでしょう、百八十日間、今度のいまの六カ月凍結解除されたときの百八十日、同じでしょう。私たちがこの雇用主に何を一番最初問題にするか。雨が降ったら働くことができない、出かせぎに来ておって。みんなそれで食いぶちは取られるのですよ、食費は払わなければならぬ、ふとん代は払わなければならぬ。そこで何とか天気が上がってもらいたいということが、出かせぎに来ておる皆さんが飯場の中でたいへんにたいへんに苦しむ問題なんです。そこで私たちは、雨が降った場合でもやっぱり何らかの労働に従事し得るような条件を保障しなさい。したがって、一カ月三十日間の間に、少なくとも二十五日以上は就労を保障するのでなければいけませんよということを事業主との間に長年の間に談判をしてきた。そこで正味六カ月間ということは、先ほど加藤君も言いましたように、私と同じ選挙区であります、そこで田植えか稲刈りかどっちかを放棄しなければなりません。そうしなければ一時金もへったくれもなくなるのです。  それからもう一つ起こってくる問題は、正味六カ月とおっしゃるのですが、いろいろな場合が起こり得ます。たとえば特に農繁期に入ってくる、しりのほうは。四月に入れば農繁期に入る。しかし農業経営のリーダー諸君はみなこっちへ来ておるのです。そうすると、相当の皆さんは無理をすれば十一月一日から出てくることができる。われわれは御案内のように長年、もうあれから十年以上経過いたしましたが、農業の生産共同化だとか利用組合とかいろいろなことをやってきた。これも、私は農林水産業は二分の一適用事業だと思っていたら、雇用の関係が明確にならなければいかぬとかなんとかということをあのころ労働省は盛んに言って、結局農業法人、共同経営体に対しては四分の一の適用という非常に苛烈な条件を皆さんは押しつけたのです。だから従来の労働省のやり方は、農村をいかにして圧迫してきたかということの歴史なんですよ、差別をしてきたかということの歴史なんですよ。そこで、いまのたとえば雇用契約期間というものは六カ月あるいはそれ以上あります。しかし私どもは何といっても一カ月二十五日間の就労を保障しなさいということを事業主と激しくやり合った。賃金基準の問題もさることながら、就労日数を保障せよということを事業主と私どもは長年にわたって渡り合ってきました。しかし雇用期間はあるけれども、たとえばいなかのほうで不幸がありました。そのうち仲間の皆さんはもう全部六カ月の契約期限を満了して帰ってきました。自分だけ一人また東京へ戻っていっても仕事にならぬ。現場というものは御案内だと思いますけれども、段取りがあるのです。チームでみな出かせぎの仕事というものはやっておるのです。そうすると、雇用期間はあったが、最後のほうの一週間ぐらいおれませんでしたなんていう例もあり得るのですよ。従来四カ月二十二日のときは何といっても一カ月十一日——最初と最後の月は十一日以上なければいけませんから、解職をされるのは契約を終わって、これであとはあなたとの労使関係は終わりですといわれるのはこの日になるけれども、その関係のちょっと前にいろいろな事情で帰ってきたという場合でも、さっき加藤さんがおっしゃったとおり百八十日というのはきびしいですよ、どっちかそういう条件を満たさなければ全くだめなんですから。この辺のところはどうだということです。いわゆる雇用契約の期間ということと、実際の就労はいままでの内容でいえば、私ども月のうちの二十五日間は就労を保障せいといってやったが、なかなかそうならずに——雨なと降ると一カ月二十三日、二十二日しか就労できなかった。場合によっては二十日しかできなかったという例さえあるのです。そういう例からいった場合、いまの加藤さんがさっきおっしゃった議論、これはどうなんですか。
  148. 遠藤政夫

    ○遠藤(政)政府委員 今回の雇用保険法案に盛られております受給資格の考え方は、ただいま先生御指摘の四十四年の改正で、当時従来の四カ月二十二日を百八十日に直すという改正案でございました。この改正案が施行されますと、いま御指摘のように、農閑期に出かせぎに出る人たちにとっては農繁期のいずれか、両方のうちの初めか終わりかどちらかを犠牲にしなければ受給資格はつかない、こういう御指摘がございました。国会の修正で六年間凍結して、六年後に農林水産業の適用を具体的に措置をする時点で凍結を解除する、こういう現行法の規定になっておるわけでございます。私ども今回この出かせぎにつきまして、先ほど申し上げましたように、新しい雇用保険制度の中で、実態を踏まえてこれを組み込んで定着化させようというのと同時に、農林水産業適用にも全面的に踏み切ったわけでございます。したがいまして五十一年の一月三十一日に予定されております凍結解除と農林水産業の適用とを来年の四月一日に実施するという考え方で、現行法の考え方と内容的には全く変わってないわけでございます。ただその際に、六年前に六年後にはこういう事態が実際問題として解決されるのではないかという想定の上で、そういう予想の上で修正が行なわれたわけでございますけれども、国会の意思がこういう制度になってあらわれたわけでございますが、現実には先ほど加藤先生の御指摘のように、またいま阿部先生御指摘のように、四年たった今日でも事態は変わっていない。したがって四カ月二十二日が百八十日になることによって、やはり四月の時点かあるいは十一月の時点が犠牲にされなければ受給資格はつかない、こういう問題が起こり得るという御指摘でございます。私どもは、その点は確かにその面だけ考えればそうなるかと思いますけれども、出かせぎから帰って農繁期で農業の合い間に——あるいは地元の商業、サービス業の零細企業の全面適用も実現いたしますので、そういったところで、農業の合い間に受給資格の足りない一カ月なりそういったものを補完すれば、受給資格がつくようになる。こういうことによりまして、四十四年に予定された六年後の凍結解除が円滑に行なわれるのではないか、私どもかように考えておるわけでございます。しかしながら、先ほど来加藤先生の御指摘、ただいま阿部先生の御指摘もあるような問題もございます。それに対しまして先ほど大臣もお答えいたしましたように、実態を十分わきまえて検討いたしますと同時に、国会でもこの点について十分な御審議をいただきたい、こういうことでございましたので、私どももその線に沿って十分検討させていただきたいと思うわけでございます。
  149. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 関課長、あなたが一番しぶとい男だ、こう承知していますから。  そこで、いま私が申し上げました、たとえば六カ月間の雇用期間があるのです。あるいは七カ月間の雇用期間があるのです。ところが仕事というのはチームでやっておる。グループでやるのです。あなたは、出かせぎ常習地帯の村の女は眠れないという詩をごらんになりましたか。局長もごらんになったですか。大臣はどうですか。どうにも奥さんたちでは春の作業はできぬものがある。たとえばいまのように機械田植えをやる、その育苗をどうするかというようなことを御主人方が出かせぎに行っておって、家庭のくくりやいろいろなことがたいへんで夜も眠れない村の奥さんたち、この奥さんたちがどうにもならない仕事が一ぱいある。そうすると、グループの中の何名かがわずか前の期間で帰った。二日、三日どうしてもこれをやってこなければならぬ。そうこうしているうちにこっちのグループは仕事の段取りが全部終わってしまった。二十名もいるうちの三名、四名が先に帰っておった。この皆さんは契約期限があるからもう一ぺん東京に戻らなければならぬ。ところが帰ってもグループがみんな六カ月以上の契約期限が満了して帰ってきてしまった。自分だけ行ってもどうにも仕事のらちがあかぬというようなことで、事業主のほうではみんな残るならまた何とか考えるけれども、二人、三人また来られても話にならぬというので、そこではという問題が起こる。したがって、この皆さんが職場を離脱したという問題がありますがこれは深刻ですね。離脱せざるを得なかった。しかし契約そのものが解除されるのは、かりにそのグループの皆さんと一緒であったという場合、いまの雇用保険法でいう百八十日とどういうかかわりを持ちますか。
  150. 関英夫

    ○関説明員 お話の場合は、当初の契約の予定期間がたとえば百八十日であった。ところがその契約の予定期間の最後の時期に、何人かの者が早く帰郷し、そしてそのままなった場合に、その帰郷した人間について、被保険者として雇用された期間が何日になるかという趣旨の御質問だと思います。その場合は当初の契約予定期間は百八十日であったかもしれませんが、帰郷された人については、その帰郷した日までの契約雇用期間になったというふうに見ざるを得ないと考えます。
  151. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 そこで、契約期限がありましたので帰っていったらほとんど仕事がありませんでした、途中どうしても抜けなければならなくて、最後は一日や二日しか働くことができませんでした、中がずっと抜けていましたという場合はどうなりますか。
  152. 関英夫

    ○関説明員 その場合には契約期間が百八十日、最後まであったというふうに見られる場合が多いと思いますが、いずれにいたしましても、当初の契約、それから帰ったときの扱い、その後の扱い、そういうものを見て実態に即して判断するよりしようがないと思います。
  153. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 そこで局長、今度の凍結が解除されれば、一カ月の間に十四日なければならぬのです。それなら明快に割り切って、四カ月二十八日に割り切ったらどうですか。私どもは一カ月の間に少なくとも二十五日以上の就労を保障しなさいといって、事業主と至るところでわんわんと渡り合うのですよ。雨降ってだめ、現場の段取り悪くてだめで、しょっちゅう休まされて、食いぶち引かれて、ふとん代引かれて賃金もらうことができないという状況が、出かせぎ期間中の出かせぎ労働者の最大の問題なんです。今度の法律改正で凍結条項が解除されますと、一カ月、三十日の間に十四日以上の就労日がなければならぬのでしょう。かりに一歩譲るとしても百八十日、そんなしゃくし定木なこと言っていたって、結局は、大臣、一時金もやれません、こういうことなんですよ。農村の皆さんが正味六カ月ということになれば、稲刈り捨てちゃうか、田植えやめちゃうかどっちかしなきゃ六カ月にならぬのです。どんなことしたって。そうなるのですよ。特に大臣のほうの宮城県などは田植え早いですよ。あそこの大崎平野あたりの田植えは非常に早い。稲刈りよすか、田植え捨てるか、どっちかしなきゃ六カ月にならぬのです。それをさっきの農業のほうも全面適用でやると、そんなことに私ども乗りません。そんな手続簡単にいくものじゃありません。だから明らかに一歩譲るとしても四カ月二十八日にしたらどうですか。
  154. 遠藤政夫

    ○遠藤(政)政府委員 先生の御指摘のとおりでございますが、先ほど御説明申し上げましたように、現行法の四十四年の改正の際に、国会の御意思で御修正になりましたその内容そのまま今回の雇用保険に織り込んで農林水産業も適用いたします、中小零細の商業、サービス業その他の企業も全面的に適用する、こういう措置を講じたわけでございまして、私ども今回この法案を提出いたしますにつきまして、主として出かせぎ関係の団体の方々から再三再四お話を承っております。この法案が成立すると資格がつかなくなるじゃないか、こういう心配をみんな持っている。しかし、私どもは内容としましては、まだ実際に施行になっておりません現行法律がそうなっております。と同時に、それは国会の御意思でその時点では十分円滑に資格がつき得るようになるであろうという、そういう趣旨で改正が行なわれたわけでございます。私どももそうなることを期待しておりますということを申し上げておるわけでございます。  したがいまして、この問題が、もし先ほど来御指摘のように、現実にはなかなかむずかしい問題がある、私どもはそうならないように現実に即してできるだけ受給資格がつくように措置をしてまいりたい、こういう考え方で今回出したわけでございますけれども、確かに承りますと、そういった問題があることも事実のようでございます。そういうことから、先ほど大臣からも御答弁がございましたわけでございます。今後とも私どもは事務的に十分検討してみたいと思っております。
  155. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 単作地帯の農民の悲劇でもあります。  私も東京におりますと、地下鉄の飯場で働いておる諸君、酒の一升もさげていって激励します。でありますから、あなたがいろいろな諸君を激励しながら、ときには交渉しているその熱意もわかることであります。いま事務当局からも話もありましたし、さらにまた深刻な先生方のお話もございますので、十分に私のほうでも考えてみたい、こう思っております。
  156. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 そこで、そうしますと、さっきのあれは前へ戻るのですよ。いまの考え方は、百八十日というのは雇用契約期間ですね。その間に雨降って働けなかった。たとえばいなかのほうで病人が出てどうにもならぬ、不幸が起こったというようなことで、途中何日間か抜けるということがあっても、その月に十四日以上の就労日があれば、それはこの条件は現行の状況でも満たしておるということですね。
  157. 遠藤政夫

    ○遠藤(政)政府委員 雇用期間——雇用契約じゃなくて雇用の期間でございます。雇用期間がたとえば四月一日から、四、五、六、七、八、九、十、十月三十一日まであって、その間にたとえば家族の病気で帰郷した。しかし雇用は続いております。しかも各月に十四日以上あれば、この現行法の凍結解除後の資格を満たすわけでございます。  ただ、再三問題になりますのは、たとえば四月の十五日に出ていって十一月の十五日に帰る。それでその前後が月に十四日あるけれども、百八十日に満たない場合に、雇用契約が名目的に期間があって、たとえばその郷里から東京へ出かせぎに出ていく前に雇用契約を締結しているから、それは雇用期間に入るのか、こういうお話でございますが、それは入らない。たとえば十一月一日に契約を結んで、実際には十五日間しか出ていかないのだ、十五日が含まれるのか、それは含まれない、こういうことにならざるを得ないと思います。したがって名目的な雇用契約と雇用の期間とはやはり区別せざるを得ないだろう、そういうことであります。
  158. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 そうしますと、現行の一時金というやつも農村みんな百八十日ということは、実際上は排除するということになるのです。農林水産業全面適用やりますと、そこでジョイントしますということでしょう。だけれども、そのジョイントはそう簡単にいくものじゃない。私たち長い間労働省の出先にいいかげんいじめられてきましたから、そう簡単にいくものじゃない。  そこで大臣は、私の予算委員会の質問に対して、実損を与えないようにするということをきわめて明快に御答弁なさったわけです。私はそこで大臣の御答弁をいただく前に、きょう建設省おいでいただいております、さっきも申し上げましたように、出かせぎというのは村の女は眠れない状態の中でみんな出てくるのです。非常に苛烈なものなんです。非常に苛烈なんです。しかし出かせぎ以外に道がないのです。残っておるのはその道だけですから、そこへ行くしかないのです。これは政治の責任ですね。  そこで建設省、日本の都市には確かにホワイトカラーが多いですよ。しかし、地下鉄の現場にしても、下水道工事の現場にしても、環境整備の現場にしても、あるいは都市建設再開発事業の現場にしても、汗水流してどろんこで働いているのは全部農村の季節労働力によって今日の都市は私は進んでおるし、日本の建設それ自体が全部農村の皆さんの労働力によってささえられておると言って決して過言じゃないと思う。私は、この農村の季節労働力というものがどれほど日本の建設に対して貢献をしたか、痛感しております。建設省はこの季節出かせぎ労働力というものは、日本の建設に対して貢献した度合いをどういうふうに認識されておるか。
  159. 浅間隆

    ○浅間説明員 お答えいたします。  先生御指摘のとおり、大都市地域におきまする建設工事の労働力のにない手といたしまして、季節労働者の方々が大きな役割りを持っているものと思います。これは事実でございます。   〔斉藤(滋)委員長代理退席、山下(徳)委員長代理着席〕
  160. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 私も建設省が認識をされておるのと同じか、あるいはそれ以上に、この苛烈な条件に耐えて働いておるこの出かせぎ労働というものをとうといものだと思っておる。そこで、大臣は私に対して実損を与えないというふうに言った。したがって、地下鉄の現場やあるいは橋梁工事や下水道の工事、ああいう工事に来ておる出かせぎ者の皆さんは、もうみんな十年とか十五年のキャリアを持つ出かせぎ者なんです。この皆さんは、いま失業保険を何ぼもらっておるかということになると、少なくとも二千八百六十円かける九十日間、ほとんどまるまるいただいております。トータルいたしますと二十五万七千四百円という失業保険をまるまるちょうだいしている。この間も私、鳴子へ行きまして、あそこの出かせぎの皆さんと座談会をしてきました。玉造郡ですね。やはりもう七、八年も十年も来ておる皆さんは、こっちの建設業者の皆さんにとってもとらの子なんですよ。この皆さんは、最高の二千八百六十円かける九十日間全部ちょうだいしておるのがずらっといました。私の地域にもたくさんいます。この皆さんが今度の一時金になると何ぼになるのか、十万千四十円か。二十五万と十万ちょっとというのじゃ、実損を与えませんなどと言ったってこれは実損なんです。長いキャリアを持つ出かせぎ地帯で、使命感を持って出かせぎをしておる皆さんもいるのです。この皆さんに実損を与えないと大臣が言った。だけれども実損じゃありませんか。二十五万と十万ちょっとじゃこれは実損なんです。さっきいろいろ平均するとどうのこうの、平均のことじゃなくて、こういう苛烈な労働に従事して働いて、そして最高のものをいただく人は二十五万もいただいておる。これが十万ちょっとじゃやはり実損じゃありませんか。大臣、どう思いますか。私どもの頭脳じゃそういうのを実損だというのです。
  161. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 私もあなたと同じように出かせぎ地帯でありまして、ここで出かせぎ地帯でない議員さんから、まああなたは私たちと同じですけれども、出かせぎの問題についていろいろ御配慮をもらうのも、ときにはほんとうにありがたく、ときには恥ずかしい感じさえすることもあるのです。なぜかと申しますと、一番大事なことは、失業というものは自分の意思でなくして事業所を離れることなんですね。自分の意思でなくして。それが繰り返されて離職をされる。そして先ほどもお話がありましたが、お帰りになれば、その失業している間は次の就職をするまで生活のために六〇%、今度は七〇%まで何とかしよう、こういうことなんですね。ところが、私たちの地帯は、中には次の就職をするためでなくして教育費になるとか、お話があったようにある場合には機械購入とか、そういうものが失業保険金であるかというふうな御非難もいただくわけです。そこに給付と掛け金の不均衡も出ているのじゃないかということを、今度はほかの地帯の方々から私は言われるときがある。ほんとうにそういうときにはわが地方のために恥ずかしい、反省もしなければならぬ、こういう感じさえ持っておることも私の気持ちです。そこでやっぱり一人一人はみんな生きているもので、みんな違うのです。それは私なんかは漁村地帯もありますから、漁村の諸君などは遠洋漁業に出ますと、先日もそうでしたが、交通事故が三人あった。船へ乗り込んで二日目、帰るわけにもいかぬ。そして戻ってきたのは百八十日ぶり。そういう人もおるわけですね。ですから、一人一人は、二十万取る人もあるだろう、三十万取る人もある場合にはあるかもしらぬが、お互いで議論する場合には、現行制度による実績を十分ひとつ勘案しながら、制度としてこれを平均的に、やっぱり実損を生じないように処置する。いまは三十日という一時金であるが、そういうものを国会の御審議においていろいろ御審議いただきながら、そういう意味のものをぜひお願いしたい、出てくるだろうということさえも実は御期待申し上げている。一人一人がみんなケースが違うと思うのです一そういうことで御理解いただきます。
  162. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 大臣、それは私に対する答弁にならぬのです。この間も、大臣のところの玉造郡の鬼首の近所の村でした、そこで座談会を私やったのです。大臣の足元のところはどういうふうになっておるのであろうか。私の選挙区の並びですから、やっぱりずっと長い長いキャリアを持つ出かせぎ者が多い。この皆さんはやっぱりみんな二十何万ともらっておるのです。この皆さんがいま十万ちょっとになれば、実損でないなどとどんなに説明しても実損なんです。なじまないとかなじむとかと言ったって、もうずっとこうやってきておるのですよ。なじまないのは役所のほうでなじまないと言っておるだけで、国民のほうはなじんじゃっているのです。なじまないのは局長と関課長とこういうしぶといところがなじまないのであって、国民は全部なじんでおるのです。しかも財政はたいへん黒字なんです。なじまないなどという議論をしておるのは局長と課長くらいなものなんですよ。全部よくなじんでおるのです。したがって、大臣、これはやっぱり実損なんです。実損を与えないと言ったら、ほんとにこの苛烈な条件に耐えてやっておる皆さんのこのあれを私はやっぱり生かすべきだと思うのです。  そこで、昭和三十年の改正のときは、それまでずっと給付日数が一律百八十日だったのです。それを全国平均するとこれはたしか百十日くらいだった、こう労働省は言っておるようです。したがって、被保険者日数とかなんとかいろんな理屈をつけて九十日に押えたのですよ。百十日平均くらいだから平均的には九十日でもあんまり実損はありません、こういって押えたのです。今度の短期労働者は給付日数平均何日ぐらいですか。
  163. 遠藤政夫

    ○遠藤(政)政府委員 平均受給日数で五十二、三日と承知しております。実額で、四十七年度の実績でございますが、先ほどお答えいたしましたように十二万六千円という数字が出ております。
  164. 山下徳夫

    ○山下(徳)委員長代理 速記をちょっととめて。   〔速記中止〕
  165. 山下徳夫

    ○山下(徳)委員長代理 速記をつけてください。  ただいま阿部君の御発言の被保険者期間の問題につきましては、理事会で検討の上、さらに内容を明らかにしたいと存じますので、先に質問をお進め願います。
  166. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 そこでいま、大体五十数日間の平均受給だ、こういうお話でありますが、私が言うのは、平均のことが問題なんじゃないと思うのです。いままでとにかく九十日間という、百八十日から圧迫をされて九十日になった既得権があったわけです。九十日以前の段階で再就職ができれば、それもまたいいわけなんですよ、いままでの制度は。再就職ができなかったという場合には、従来、九十日間というものは保障されておったのです。この既得権を、いまそこなおうとしているのです。その論理的根拠は何かということになると、なじまない、とこういう言い方。なじまぬのは皆さんのほうだけなんであって、国民は全部なじんでおるのです。  大臣、私の調査した私の郷里の地域でもそうですが、大臣のところもやはり同じでした。村へ参りますと、米収入と出かせぎ収入がとんとんなどという村がたくさんあります。それから、米の所得と失業保険の給付金がとんとんという村がたくさんあるのです。ここで、いま一人最高二十何万ももらっておるものを、十万ちょっとにして、大臣が国会で答弁された少なくとも実損を与えないなどということは、現地末端では、全然実損じゃないか、大臣、うそを言ったんじゃないか、こうなるのです。  農村で、従来自民党政治の下部機構をささえてきたのは、この層なんですよ。この皆さんなんです。それがいま、実損を与えないと言っておったから、新聞にも書かれたし、今度の改正もうまいこといくんじゃないか、こうみんな思っているのです。これが実施をされましたら、二十何万もらっておった人が、いまのままの計算でいくとすれば、十万ちょっとしかもらえない。これをどう思いますか。やはり、実損ですよ。したがって、いままで与えられておった権利、これをがくんとやるということは、これはやはり実損なんです。なじまぬというのは、局長と課長クラスの段階で、おそらく大臣もなじまぬなどと思っていないんです。国民はよくなじんでいるんです。したがって、こういうがくんと実損を与えられる皆さんに対して、やはり既得権を擁護してやるというのが政治のたてまえじゃないでしょうか。どうでしょう、大臣。
  167. 遠藤政夫

    ○遠藤(政)政府委員 出かせぎの受給者に対する給付の実態の問題でございますが、確かに先生おっしゃいますように、九十日という期間満ぱいで給付を受けておる人も事実ございます。(阿部(昭)委員「多いんですよ、私どもの市じゃ」と呼ぶ)しかし実績を申し上げますと、平均受給日数は、大体東北、北海道の出かせぎ地帯で五十二日ないし五十三日というのが実態でございます。それぞれの地域について見ますと、九十日近い八十数日もらっている人も、三分の一ぐらいいる地域もありますし、少ない地域もございます。それから十日、二十日という人もございます。制度的に平均実績を出しますと、五十二、三日ということになりますし、平均受給実績が十二万六千円、まあ各県によって若干相違ございますが、十一万ぐらいから十三万ぐらいまでの間に分布しております。私どもは、個々人につきまして一人一人を当たってみますと、確かに満額二十五万という人もあるでございましょうし、また逆に、十二万六千円の実績に入っておりませんけれども、全然給付を受けてない人もございます。一〇%ぐらいの人もございます。そういう人を全部ひっくるめて、実績を法律論、制度論として考えます場合に、現行制度による実績というものを十分踏まえて、それに激変を与えないように、それにできるだけ近づけるような努力をしていきたい、私どもかように考えておるわけでございます。  そういう意味で、先般の大臣の御答弁も、私どもはそういう趣旨と受け取っておるわけでございます。御了解いただきたいと思います。
  168. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 大臣どうですか、これは実損ですよ。
  169. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 私は、こういうところでずっと質疑応答される間に、出かせぎに行っている諸君、中に三ヘクタール、二ヘクタールやっている人もいるんです。そして時間があくから、農業が機械化になったから、多少時間的余裕が昔よりできた、こういうことで働きに行く者がある。それが帰ってきて地方の職業安定所で失業給付をもらう。それを今度は、全然もらっていない人が見ている。そしてときにはそれが、やましい気持ち、心の何かやましいようなことがある場合には、農村でありますと、ときにはお話もありましたが、密告とかいろいろな問題がある。でありますから、私は、すぱっと一時金をもらって、やめて帰ったあと一週間日か八日目に一時金をもらって、あとは何してもよろしい。その地方でも、やはりときには人手がほしいことがあります。そういうときに、失業保険よりも何か地元の賃金が安いというふうなことで働かないというふうなこともありますし、ですから私は、受給のあとも働くこともできる、それも収入になるということからしますと、制度として一時金で、あとはほんとうに自由にやってもいいということのほうに一つ今度のメリットがあるのじゃなかろうか。その場合といえども、いま平均のいろいろな数字が出ましたけれども、今度は一つの制度としてそれが定着するところに今度のメリットがあるのじゃなかろうかということを感じ、その問題についてはさらにまた国会で御審議いただきたい、私はこう思っているわけであります。
  170. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 大臣、ちょっと違うのは、密告したとかなんとかというのは、それは昔の話です。いまはそれはどのぐらいの件数出ていますか。  これは一昨年、昭和四十七年度、私のところに、県の失業保険課長と職安課長がわびに来た問題であります。労働省の末端にどういう命令をあなた方が出しておったか。たとえば、地方にたくさんの事業主がおります。この皆さんに、求人申し込みをしなさいと呼びかけるんです。間もなく出かせぎ者が大ぜい帰ってきますから、その皆さんの就職を安定所は慫慂しなきゃいけない、そのときのために求人申し込みをしてくれといって、ずっと安定所が集めたり回ったりするんです。  そこで、失業保険法の精神からいえば、やはり本人が希望する職場へ行きたいんです。特に若年労働者ほど、やはり農業がこの状態ですから、安定したいい職場を求める人がうんと多いんです。たとえばいま農村で、私ども共同化運動などを長いことやってきた。農業をその共同体に委託をして、自分はいい職場が地方にあるならばそこで働きたいという人がうんといます。そういう希望を出しましても、なかなか労働省の現地の安定所が、そういう若年労働者、青年の希望にこたえるような職場を紹介することはできないんです、そんな職場はそうざらにありませんから。そこで、この皆さんを全部労働省の末端では、どこかのいなかの土建現場なり何かにどんどん押し込まなければいけない。その地方の土建業者なら土建業者という人に、申し込みなさい。うちのほうでは大体二十人ぐらいほしい。そんなこと言わずに七十人も申し込めといって申し込ませるんです。そこへどんどん慫慂されて出かけていく。行くと、いや、わがほうはそんなに要らぬのですといって断わられてくるという事態がたくさん起こりました。  遠藤局長、これはどうなんですか、求人申し込みをすべき事業所で二十人しか要らぬというものを、三十人も四十人も、ひどいものは七十人も、三倍以上も申し込ませて、そこへ出かせぎから帰ってきた皆さんをぎゅうぎゅう押し込んだところ、そこはそんなに要らぬのですから、要りません。だってあなたのほうで求人申し込みをしたでしょう。——私が調べたんですよ。いや、実は二十人でおれはいいと言ったのに、安定所ではどうしても七十人申し込めと言うから、しようがない、まあよかろうといって職安の言うとおりになった。そこへ七十人もの人が押し込まれてきましたから、全然仕事がないんですよ。こういう無理なことまでやって、なじむとかなじまぬとか、不正とか不正でないとか、こういう議論をいままで労働省は繰り返してきたんです。私は長い間そういうことを知ってきました。今回のことも明らかに、なじむとかなじまぬとかという議論は、農村のほうはちゃんとみんななじんでおります。出かせぎ四カ月二十二日間行ってくれば、安定所から言われたとおり何日間かは外へ働きに出なければなりませんが、しかし権利としては九十日間われわれはいただくことができるんだ、こういうことでみんななじんできちゃっているのです、定着してきちゃっているのです。これをいま激変を与えようとしているのですよ。そうじゃありませんか。
  171. 遠藤政夫

    ○遠藤(政)政府委員 出かせぎの人たちの失業保険金の受給につきましては、いま先生御指摘のように、いろいろと問題があった、トラブルも起こっておる、これは実態だと思います。と申しますのは、私は、なじむなじまないという議論よりも、失業保険という現行の制度は、本来、失業をして離職をして、なおかつ、再就職をして職につきたいという希望を持って就職できない場合に、失業保険金は給付される、これが現行の失業保険法のたてまえであり、今回の雇用保険もそうでございます。  そこで、この出かせぎの受給者の人たちは、本来のこういった失業とは違って、予定された不就業ということばを私申し上げましておしかりを受けたようでございますけれども、本来、農繁期に農業に従事するために、出かせぎから帰ってきて農業に従事される、これは失業じゃないわけです。そこで、それをめぐって失業であるのかないのか、再就職の意思があるのかないのか、そういったことでトラブルが起こってきたというのが事実だと思います。  今回の雇用保険では、そういった問題を本来の出かせぎの保険受給という実態をそのままを受けとめまして、そういった不就業を失業という擬装と申しますか、適当なことばがあれでございますが、そういった形で擬制をすることによって、保険金を受給するという実態からもう一歩突っ込んで、これをもう明らかに出かせぎに対して、出かせぎから帰ってきた人については受給資格がある者は特別な制度として一時金で——働けばもらえない、働かないで遊んでいれば保険金をもらえるというような制度でなくて、出かせぎから帰ってきて資格がつけば特例制度として一時金が支給されるという制度にすることによって、そういう擬制的な制度をこの際改めたいというのが趣旨でございます。そうすることによって制度の中に定着化させようというわけでございます。  安定所でそういった求人の水増しをしたという実態をいま御指摘になりました。私は、さようなことはあり得べからざることだと思います。思いますが、安定所はできるだけ求職者があれば求人を確保したいということで、二十人採りたいというのを、あなたのところは二十五人採れるのじゃないのか、採ってもらいたいということはあり得ると思います。しかし企業の側で、ほんとうに必要がなければ求職者が来ても、私のほうは二十人しか要らないんだ。あえて要らないものを賃金を払ってまで雇ってくれるところはないと思います。そういうことが保険の給付を規制する材料になるとは私どもは考えられません。それをもし求人側から断わられても、給付を制限する理由になりません。いまちょっと御指摘になりましたように、そういうことによって給付制限を実施した事例というのはきわめて少数でございます。これは出かせぎ受給だけではなくて、全国的に全失業保険受給の中で、就職拒否による給付制限というのはきわめて少数でございます。したがいまして、いま先生の御指摘のような、求人を確保したいというあまりに二十人のものを三十人にしてくれ、もっと雇ってくれという慫慂をしたケースはあるかもわかりませんけれども、給付を規制するための措置として、そういう水増し求人をやって無理やりに賃金を払わせて雇わすということは、ちょっと私どもうなづけないと思います。まあかりにそういうことが一部であるにいたしましても、今後そういうトラブルを起こすような事態にならないように、この特例制度というもので定着化させたい、これが私どもの念願でございます。その点を御理解いただきたいと思うわけでございます。
  172. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 私が問題にするのは、これにはずっと長い歴史があるわけです。その歴史の過程の中で、いまみたいなことで、とにかく出かせぎ者を痛めつけてきたのですよ、労働省は。いまの私が言いました具体的例は、一昨年七月十日、私のところに県庁の失業保険課長と職業安定課長が、申しわけありませんといってわびに来たのです。それが出かせぎ者の中で大問題になった。慫慂されて行ったのですから、みんな就職できると思ったら、要らぬと、こう言うのです。少なくとも求人申し込みをしておるわけですから要らぬという手はないだろうというので、その事業主のところに行ってみたら、いや、実は安定所に私どもは二十人しか要らぬと言ったところ、七十人申し込め、申し込まなければおまえのところの監査をやるぞとかなんとかいっておどかされた、しようがない、申し込んだんです、そんなに人をよけい入れたんじゃこの現場はやっていけません、こういうのでトラブルが起きて、これ私の県内で一件や二件じゃないのですよ。そういうことまでやって、なじまぬとかなじむとか、不正があるとか何があるとか、こういうことを言ってきたのですよ、いままで。  今回のあれも、私は大臣、また元に戻りますけれども、二十何万もらっておった人が十万しかもらえないということは、実損であるということは明瞭なんです。この人々おそらく、長谷川労働大臣の時代にかようなことをもしやられるとすれば、一生涯恨むでしょうね。村の女眠れないどころの話じゃなくて、長谷川労働大臣の顔をいつでも夢見ながらぼくは恨むだろうと思うのです。  そこで、私は時間がだんだん迫ってまいりましたから申し上げますけれども、全国の市町村議会といっても全国全部から来てませんね。北海道、東北、特に出かせぎの非常に集中しておる地帯の自治体あるいはその議会、農業委員会農協あるいは商工会などからも来ています。それから、私ども回った範囲では、出かせぎ者受入れ側の建設業者など、その皆さんのほうからも困った困ったという訴えを私どもは受けております。この制度は、出かせぎ者のためにだけある制度じゃないのです。雇い主側にとってもたいへんに、この制度は今日の日本のある種の平衡を保って定着してきた制度なんです。もしこの季節出かせぎという状況がなかったとすれば、期末手当もつけなきゃいけない、もっといろいろな高い水準のほんとうの意味の春闘の対象になるような、春闘を戦わなければならぬような定着労働者は、もっともっと、少なくともいまの出かせぎ者の数の、季節労働者の数の三分の二ぐらいの労働力を準備しなければ、企業は運営できないのですよ。幸いにもこの季節出かせぎというものがあり、この皆さんのほうの苛烈な労働に対して、比較的条件のきびしい、賃金も必ずしもよくないものうんとあります。その中でしんぼうするのは、やはりこの失業保険という制度があるから、事業主の側もうんとやりやすくなっておるわけです。これはひとり労働者の側だけにある制度でなくて、事業主をたいへんに救済しておる制度なんです、実情は。  私は、そういう意味で、いまこの日本の、特にわれわれの東北農村、北海道、この地帯の農村がどういう状況にこの問題にいま注目をしておるかという認識の面で、そんないまの局長や関課長の言うような、なじまないとかなんとか、そんなことを言っておったら噴飯ものですわ。たいへんな深刻な状況になっておるのです。その認識を大臣はどのようになさっているか。
  173. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 いまの都市のいろいろな問題の中に、出かせぎ者約六十万といわれていますが、この諸君が果たしてきた功績は非常に大きいと思います。また、阿部さんおっしゃるように、それが事業主にも非常に有効であるという御認識などいただきますれば、前段の、今度私たちがこういう日経連の御批判でこういうふうにやるというふうな話も、これが一部氷解されると私は思うのです。そういうことからしますと、やはり私たちの農村においては、その土地において出かせぎしないで済むようなやはり制度というものを、そういう施設というものを、ある場合にはいろいろな事業、そういうものを一方考えながら、とにかく女房子供と離れないで暮らしていけるような、そういう方向に私たちはますますがんばらなければ、こう思っているわけです。
  174. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 私は、従来道正さんが局長時代でした。いまのようなむちゃなことを労働省幹部は言ってなかったのです。問題は、農林水産業全般の問題をどうするかということは、四十四年改定の際の大きな課題としてすでに土俵はつくられておった。これに前向きに対応する、取り組む、これが少なくとも道正さん局長就任当初の、私どもは何度も何度もいろいろな接触をした当時の話し合いでした。今度はがらっと変わって、とにかく出かせぎ農民に対して大きな打撃を与える。私は、権利はやはり高く保障して、その中のことは実態論でいろいろ違うというのがあれだと思うのです。一時金三十日というものは明らかに従来持っておった九十日の権利を、ちょうど昭和三十年度改定のときに、一律百八十日というやつを九十日に落とした思想と何にも変わっていないのです。私は大臣、この問題は、基本的に昭和四十四年のあの改定もたいへんにもめたのです。私はそういう意味で、法律そのものはやはり四十四年の改定の趣旨の不備な点は直す、特にいま言った四カ月二十二日を六カ月にするということは事実上農村を排除することと同じですから……。しかしその場合に、農林水産業全体を全面適用にするということになれば、これは四カ月二十二日が百八十日になってもジョイントされていくわけです。ジョイントされますね。そうして権利としては九十日保障するというのがこれが当然だと思う。その権利を押えていくというやつは、実損を与えないとどんなに抗弁しても、農村で一番エネルギーを持っておる層が、やはり二十五万とか何ぼとか限度額一ぱいいただいておる一番馬力の強い農村のエネルギーの部分なんですよ。この層をがくんとたたいて、長谷川労働大臣ごりっぱでしたなんということは絶対なりません。ここはやはり大臣も幸い東北農村のあの状況、しかもあの出かせぎ飯場の苛烈なる状況、これをほんとうに踏まえて、政治家として長い長いキャリアを持つ大臣であります。私は、今回の改正はこの際断念して、農林水産業を長い長い不遇に圧迫してきたこの問題をどうするのか、こういうふうに割り切って、出直すべきである、こう思います。大臣どうでしょう。
  175. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 雇用保険法案について、当初だいぶ地方議会あるいは地方からもいろいろ撤回などの御要望もありました。また、私などもそういうことからしますと、よく理解してもらうために、農村団体、漁村団体、そういう方々にも接触をし御説明なども申しておりました。幸いに国会に提案され、こういう熱心な御審議を得ている間に問題がいろいろわかってくるところに私は議会政治のよさがある、こう思っております。もちろん私自身も東北農村出身で、あなたから御心配いただきますことを非常にありがたく思いますが、そうした意味においての御審議というものをこの際ずっとお願いしているわけであります。
  176. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 以上できょうの段階の私の質問は終わりにいたします。  なお、さっき問題になった問題、私は、あれは正直言うと仮定の問題であります。経過の中の仮定の問題、したがって、あの問題が本題ではありませんが、労働省の見解は不明確でございましたので、これはなお次の機会にお願いしたい。
  177. 山下徳夫

    ○山下(徳)委員長代理 八木一男君。
  178. 八木一男

    八木(一)委員 労働大臣にまずお伺いします。  きょうは、雇用保険法案と現行の失業保険法の関係で質問申し上げるわけでございますが、その前に、労働大臣の基本的な考えをひとつ伺っておきたい。  労働大臣あるいは労働省の任務というものは、労働者の賃金その他の労働条件を向上させて、また労働省の関係の社会保障を充実をする。そういう任務を一番持っておられると思うのですが、それについて労働大臣の決意のほどを伺っておきたい。
  179. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 おっしゃるとおり、労働省に私参りまして、まさにいま日本で一番大事なものは、金も必要でしょうけれども、人間でございます。組織労働者千三百万と称され、そしてまた未組織労働者三千六百万、こういう方々が私は日本の一番大事な諸君だと思いまして、   〔山下(徳)委員長代理退席、葉梨委員長代理着席〕 法の前にこういう方々を守りもし、あるいは災害から守りもし、そして福祉の向上、こういうところに一生懸命つとめてまいりたい、こう思っております。
  180. 八木一男

    八木(一)委員 その中で雇用の問題が大事だと思いますが、雇用について、ただ大ぜいの人が就職しているだけではなしに、その人が当然その働きに見合う、そしてまた国民として生活するに十分な賃金を得る、あるいはまたその他の危険な職場で働かないで、それから疲れが増して寿命を縮めるような条件じゃなしに、休息、休日やそういうものをちゃんと整備をされて、そのような後顧の憂いなしに労働者がその仕事に邁進できる、そういう労働条件をつくるのが労働省の任務であろうと思いますが、いかがでございますか。
  181. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 八木先生御存じのように、私などは何といっても一番大事なことは、働く場所をしっかり持って、そこに近代的に伸びるいろいろな技術、かれこれに自分が即応しながら、いい生活、そしてまた長くつとめられる、そういう形をもっていくのが責任だ、こう思っております。
  182. 八木一男

    八木(一)委員 大体けっこうですけれども、もう一回……。その人が十分な賃金を得て、それからその職場も危険な職場じゃない、労働条件も疲れが増すような条件ではない、健康で後顧の憂いなしに労働ができる、そういう条件をつくらるべきだと思いますが、それについてひとつ……。
  183. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 まさにそのとおりでございます。
  184. 八木一男

    八木(一)委員 そこで、現行の失業保険法あるいはいま提出をしておられる雇用保険法の関係で申し上げるのですが、失業保険というものをほんとうに完全にするということでなければ、労働の安売りが行なわれるわけです。賃金が少ない、あるいはその職場が危険である、その職場の労働条件が非常に過酷である、自分のからだには耐え得ないということがあっても、失業保険が十分でない、金額も十分でなければ、給付期間も十分でないということであれば、しかたがなしに悪い条件のところにでも働かなければならないことになる。労働省のほうは、労働者の賃金をりっぱな賃金にするようにする任務を持っておられる。それから職場の環境もりっぱにする任務を持っておられる。そうなれば、失業保険というものを完全にして労働の安売り、そういうものが起こらないようにするのが、労働省の当然な任務ではないかと思うわけです。それについてのひとつ明快な御答弁を願いたい。
  185. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 従来は、日本の経済成長に伴ってパイをイージーに受けてもらった関係があります。そしてまた、それが今日失業率一%という、学者に言わせれば超完全雇用というふうな形になっておりますし、また先日以来の公務員のベースアップの問題などにいたしましても、前年同比にあらずして、それよりプラスアルファが出るという形をとりながら、やはり給料の面でそういう手配などをし、そしてまた、国全体が勤労者政策に目を向けてもらいたいという形においていささか努力をしているかっこうでございます。
  186. 八木一男

    八木(一)委員 そういう御姿勢ならば、失業保険というものを、これは長らく改正がありませんでした。労働省が出されるというので、私はこんな法律が出てくるとは思わなかった。もっと抜本的な、いいのが出てくると思った。雇用保険法なんて名前を変えて、何とか、くしゃくしゃ、わけのわからぬようなことをいっているけれども、根本の大事なことは失業保険制度、その失業保険制度を完全にするということの考え方がここに一つもない。大体失業保険というのは、再就職するまで失業保険給付が行なわれるのが当然である。どうしてそういう改正案を出されなかった……。
  187. 遠藤政夫

    ○遠藤(政)政府委員 失業という事態に対する社会保険の制度といたしまして、失業期間中再就職までの期間に給付を行なうということは、これは当然でございます。その失業期間がいかに長くてもという先生の御理想でございますけれども、理想としては確かに先生のおっしゃるとおりで、私ども同感でございます。やはり保険という限界の中でこれを処理する以上は、一定の社会的な実態に即して、必要な限度でやはりとどめるべきではないか、こういう考え方でございます。どういたしましてもやはりそこに実際に就職するまでの必要な期間というものがある程度実績として出てまいります。あるいは経済情勢なりあるいは雇用、失業の情勢によりまして変化は出てまいりますが、その実態に応じて、保険制度のワクの中で、できるだけ、最大限に手厚い、きめこまかな措置をとるべきであろう、私どもかように考えております。
  188. 八木一男

    八木(一)委員 前段については、理想としてという前段がついているのはいけないけれども、趣旨は同感であるというのはいいのですが、あとがよくない。保険だといっても、たとえば厚生年金保険、これは保険ですよ。厚生年金保険をもらわれる人は、一生涯、なくなるまで給付があるわけです。健康保険は、結局病気がなおるまで給付がある。同じ社会保険であって、失業保険だけどうして途中で切るのですか。再就職するまで給付があっても当然じゃないですか。どう思いますか。
  189. 遠藤政夫

    ○遠藤(政)政府委員 それぞれの社会保険の中で、厚生年金保険あるいは健康保険、失業保険、労災保険、それぞれ特別な制度でございます。その制度特有の性格、本質がございます。したがって、ただいまお答えいたしましたように、理想としては、失業して再就職するまで、その間の生活の安定のために給付を行なうというたてまえが理想でございますけれども、保険の限界の中でこれを最大限に処理するというのが、私どもの目標としているところでございます。
  190. 八木一男

    八木(一)委員 今度は大臣、御答弁願います。  私は、全く労働省のほうが進んでいる点もあると思う。ILOの問題も、労働省をずいぶんほめたことがあります。厚生省がなまけていると言ったけれども、この点では労働省のほうがはるかになまけていますね。同じ政府だけれども、同じようにいいところをとって、ほかの省がいいところがあったら、それに負けないようによくしてもらわぬと困る。厚生省ずいぶんたるいところがありますけれども、厚生省にはめちゃくちゃにきつく言っているけれども、こんな再就職まで給付がないというような失業保険なら、そんなもの失業保険にならぬですよ。理想としては賛成だと遠藤局長が言われた。理想に邁進するのが政府の責任じゃないですか。どうしてそれをしない。理想で保険だからと言われる。保険でも——私は社会保障でなければいけないと思うけれども、厚生年金や健康保険でも保険制度になっている。それでも、片方の厚生年金保険は、たとえば百五十まで生きたって給付はあるのでしょう。たとえば、健康保険のほうは、病気がずっと長くなって、何年かかったって、全治まで給付があるわけです。あなた方は、こんなに雇用のほうをしっかりやっているから失業者が少ないと言っておられる。だれも、りっぱな職業について、一生懸命働いて、有意義な仕事をして、生活を確保したい。だれもある。だから、そんな期間が長くなるはずないです。そんな短い期間、完全に失業保険を給付をするというようなことは、保険だって、やろうと思ったらすぐできる。いまここで考え直して、そういうふうに給付を再就職までできるようにひとつ大臣してください。
  191. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 時代の推移によりまして、失業というものの形態も変わって、終戦後から見ると、いまは、先ほど申し上げるとおり一%。そしてまた、いろいろな経営なり技術が変わりますから、それにマッチしていく。それから、最近はみな悪い就職というふうな形ばかりでありませんで、若年労働者は三年に半分ぐらいはみんな、多様化されておりますので、いろいろ転職していくこともあります。理想とすれば先生のおっしゃるとおりでございましょうが、現段階において、私たちはそういう考えを踏まえながら、いろんなことをやっていることを御理解いただきたいと思います。
  192. 八木一男

    八木(一)委員 大事な質問がたくさんありますので、先に進みますけれども、これは質疑応答だと思って聞いてくださいよ。  いま局長、保険だからと言われたけれども、大体保険という考え方は捨てなければいかぬ。社会保障という考え方でものを持っていかなければいけない。あなた方は保険だと言われるけれども、社会保険関係費というのは、政府の予算では社会保障の予算のワク内に十何年入れているわけです。予算書を見てもわかる。社会保障関係費の中に社会保険関係費、実にずるいのですよね。社会保障をしっかりやるようなかっこうをして、中は社会保険で逃げている。だけれども、社会保障はやりますと総理大臣も何回も言っておる。だから社会保障の考え方でやらなければいかぬです。それはひとつ頭にきちっと置いて、これからやっていただきたい。  それから、保険でもこんなものはすぐできるのです。大体失業保険会計はものすごい黒でしょうが。これはとにかく四十七年度の数字しか入らなかったからあれだけれども、四十七年度は、保険料が三千五十八億、国庫負担が五百九十三億、これは一般失業保険です。それで三千六百五十一億ですね。それで給付は二千三百六十九億しかないわけです。千三百億を、労働省が当然一般会計で出さなければならないようなものに支出しておる。それを支出してもまだ余っておる。保険だからできないなんということは一つもないのです。給付期間を完全に再就職までにする。いまの給付を、これでしたら五割増しは簡単にできますよ。六割平均の失業保険給付でしょう。五割増しで九割、そのくらいのことをするのは当然ですよ。日本の賃金は欧米諸国よりも低い。欧米諸国に比較して、向こうが六割だから、六割ぐらいで失業の間とか健康保険の傷病手当金はそんなものでいい。厚生年金もいい。六割まだいっていないところもあるけれども、六割というのは何だか神様がきめたものみたいに役所で思っているし、御用社会保険学者がそれを動かせないもののように言っている。大体そんな学者にものを聞くものじゃないですよ。それは賃金が欧米諸国と同じならまだましです。そうじゃないのですからね。失業したらほんとうに苦しいわけです。賃金が少ないから蓄積はない。もともと少ない賃金を六割にされたら生活できないですよ。ですから、当然十割でいいわけだけれども、そこは政府の慣例があるから少し遠慮してあげても、六割を九割ぐらいにしたらいい。この保険会計を見たら、できるわけです。入ってくるものは三千六百五十一億で、二千三百六十九億円しか出していない。全くインチキじゃないか。いろんな施設に出していますというが、これは一般会計から取るべきことです。労働省はりっぱな大臣も局長も課長もおられる。なお大蔵大臣あるいはまた主計局長に、主計局次長に、取っ組み合いしてでも出させるのがあたりまえでしょう。国の生産に邁進している労働者のいろんな施設について、一般会計から出さないで、労働者の負担する保険の保険料から出す。そんなばかな話がどこにあるのですか。一般会計から出す。そうしたらこれは猛烈に余る。いまの給付、みんなが六割平均だから、それを五割増すと九割だ、そういうふうにやってもらわなければならない。失業保険の抜本改正というのはそういうことです。給付期間は再就職までやる、給付の水準はこのくらいにする、それが当然の道です。そういうことを一つもやっていないのはほんとうに残念です。  ぼくは抜本改正とかなんとかいううわさが聞こえたから、九割でなくてもせめて八割ぐらいにはしてくれるだろう、それから、再就職までじゃなくても、幾ら何ぼ何だっていまの三百日が最高限じゃなしに、せめて最高を二年間ぐらいにしてくるのではないかと期待をしておった。ところがちっともそれはしていない。中のところでいじくって、それで、年寄りがどうの、再就職が困難な人はどうの、そういう内容です。だから、こんなもの、ほんとうに考え直してください。金は一ぱいあるのです。金があって、保険だからできないというのは、保険だったら金があるのだから、できる。そういう点で、ひとつ考え直してください。しっかり考え直すと労働大臣から言ってください。——いや、時間がないから局長の答弁は要らないです。弁解は要らないです。それじゃ次に移ります。
  193. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 お答えします。  考え直すというところまでいきませんが、いまから考えるというところで御理解いただきたいと思います。
  194. 八木一男

    八木(一)委員 急速に、猛烈に、しっかり考えてください。  それで、そういうふうにほんとうにたるいのです。たるい中で、社会保障制度審議会の答申が——社会保障制度審議会というのは最高権威ですけれども、社会保障をよくするために熱心に言う人もいますけれども、中には資本家の代表もおられる。中には政府の事務次官もおられる。そんなに強烈なものを出したら政府が困るだろうという配慮も、私入っていますから、まざまざと見ている。口にはそうおっしゃいませんけれどもね。だから、社会保障制度審議会の答申というのは、まことに政府にとっては楽な答申ですよ。事務次官が全部いるし、それから各省の提出法案から事務局長のところにも何とかこれを通してくれと言っておられるし、やっぱり政府に遠慮をされる人もかなりいるし、ですから、一番楽な答申なんです。その一番楽な答申が一つも守られてない。とんでもないことです。今度の答申、御承知ですね。答申の中に、この間島本さんの御質問のときに、答申の中で何々をやったという返事がありましたから、そこのところはけっこうです。ぼくも聞いていますから、時間の関係上……。答申の中で一番大事なところ数点が実施されていないわけです。  答申の中で「今回の諮問の中で最も問題となっている一つは、季節的受給者の扱いである。これについては、基本的には出稼労働者の生活基盤をささえる農業政策等のおくれや建設業等における通年雇用を阻む諸事情がある。しかも失業保険金は出稼労働者にとってすでに現在の生活に組み込まれた収入であるから、再考を要する。」とあるわけです。そのあとの「また」のほうはちょっといじくられたけれども、一番最初の一番重要な点について、一つも変えてこられない。あのとき七時ごろ答申が出て、翌日閣議に出すということで、ひまがなかったといえば、それでは社会保障制度審議会は全く初めから無視をしようとしておったということ、これは重大な反省をして、この「再考を要する」ということは、九十日の出かせぎ労働者の失業保険金を三十日にすることは、してはならぬということ——その前に、ならぬということをはっきりしておきますと、その前に社会保障制度審議会の事務局が最終討論をするときに、こういう文言を書いた。いまの前段は同じように書いてありまして「しかも失業保険金は出稼労働者にとってすでに現在の生活に組み込まれた収入であるから、これを一挙に三十日分としてしまうことはあまりにも急激な変更であり、この点配慮すべきである。」ということをたたき台に出したわけです。そうしたら、その平均的な政府寄りな各委員が、こんなものではいけない、こんな答申は出せぬと徹底的にたたいて、さっき読んだ答申になった。「これを一挙に三十日分としてしまうことはあまりにも急激な変更であり」という事務局の試案というのは、三十日ならいけないけれども、七十日ではよいというふうに読まれるおそれがある。昭和五十年では早いけれども、五十一年ならかまわないというように逆用されるおそれがある。だからこれではいかぬ。断じて九十日を減らしてならぬ、断じてそういうものを五十年としてはならぬ、そういう意思をここに表示した、経過はそうであります。私は委員として参画をして討議をしておる。まことに政府寄りの、遠慮しすぎる結論がこうである。そして出かせぎ労働者の方々や、その関係の府県の知事や関係の府県の実情を知っている委員たちの追及を受けておられる。ですからこの点はなくす。いまのままに置いておく。そして職安に帰らない、三十日がいい、三十日で職安に帰らないようにしたほうが実際にいいというならそれは入れてもよろしい。職安には一回しか行かなくてよいようにして、その給付金額は九十日にする、九十日を一日も減らすことはまかりならぬというのがこの制度審議会の意見であります。それをほんとうにかみしめてもらわなければならない。出かせぎの方々と同様に林業の方々もこれにリンクをして猛烈に給付が少なくなる。国有林の方々にもそういうおそれがある。その両方を兼ねて言っているわけだ。断じて九十日と、給付期間を下げてはならぬ。肝に銘じておいていただきたいと思う。熱心なほかの委員がおられますから 肝に銘じた返事は次の川俣さんが枝村さんかわが党の委員のときに、肝に銘じて考えましたからこの法案を撤回して出し直します、そういうひとつ答弁をしてください。(長谷川国務大臣「いまですか。」と呼ぶ)ほかの委員でいいです。  それから次に、ですから労働大臣、こういう法案を直すというほかに、さっき言ったことも忘れないようにしてください。さっき言った給付が非常に少ないのですから、よくしていかなければならない。  次にスライドの問題ですが、スライドは二〇%で上げることになっているけれども、こんな恥ずかしいものじゃいかぬでしょう。なまけ者の厚生省が、スライド規定がなかったところの厚生省が、厚生年金や国民年金で五%自動スライドにしたことは、前は労働省のほうが進んでいたけれども、いまは労働省がおくれている。絶対に追いついて追い越さなければいかぬ。少なくとも賃金五%上げたら直ちにスライドをする、そういうことをすべきだ。労働大臣の積極的な決断を持った御答弁を願いたい。
  195. 遠藤政夫

    ○遠藤(政)政府委員 確かに八木先生御指摘のように、保険給付についてのスライド条項は、昭和二十二年の失業保険法制定当時から実施いたしております。確かに最近におきまして年金の物価スライド制が採用されまして、物価が五%上がればそれにスライドする、私のほうの失業保険の現行法あるいは今回の雇用保険法も同様に踏襲しておりますが、賃金についてスライドをすることにいたしております。この点が物価スライドと違っておりまして、物価が五%も一〇%も上がっていいということじゃないはずでございまして、上がった場合にはということで、賃金につきましては即時即応スライドをさせていく、しかも年金積み立て保険と違いまして、前職賃金でございますので、離職の直前の賃金がそのまま給付に反映される仕組みになっております。したがいまして、長期の給付を内容とする保険と違って、そういう小刻みな改定というものは必要ない。現実に給付の中にそのままその時点におきます賃金が反映されている、こういう制度になっておりますので、その点が若干違うのではないか。もちろん今後とも積極的に検討はしてまいりたいと思います。
  196. 八木一男

    八木(一)委員 時間がないので残念ですけれども、他の委員が詰めると思いますが、そんな弁解要らぬですよ。スライドということはしなければいけないということは申すまでもないことです。厚生省が五%で、それで賃金だからいいなんということを言わなくて、厚生省は五%なら労働省は二%上下してもすぐにスライドをするという姿勢でなければいけません。賃金の五%でスライドする、そいつを断じてやってもらわなければならない。それにスライドする要件の幅を短縮をすることを必ずやるという御答弁を労働大臣からずばり、ぱしり言っていただきたい。
  197. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 社会保障の権威者である八木先生のお話でございますから、拳々服膺して前向きの姿勢で私も勉強してまいりたい、こう思っております。
  198. 八木一男

    八木(一)委員 次に、社会保障制度審議会の答申の中にいろいろあるわけですが、時間がないから残念だけれども少し省略して、たとえば「平仄」ということばが出ていますね。これは大臣も局長も御存じですから、「日雇労働者健康保険と異なっており、その給付も一般の給付改正と平仄を合せるべきである。」という点、これは島本さんがお触れになりましたけれども、その中三つ、四つそれに関係したことを申し上げます。  まず第一に日雇い労働者の失業保険、これは片方で年寄りや再就職の困難な人やそういう方について少し一般失業保険で厚味をかけるということをやっていられる。当然全体がそういう該当者である日雇い失業保険についてそのような配慮をすべきだ。たとえば六割平均の給付を日雇い失業保険については、私どもは八割と思うけれども、労働省のペースでも七割平均の水準に上げるべきであるということ、それから次に、日雇い健康保険の中で、実は健康保険の給付要件が二カ月二十八日、六カ月七十八日ということになっています。日雇い失業保険は二カ月二十八日、六カ月八十四日であります。これがずばり指摘をされているわけです。私は当然このような人たちに対しては、六カ月の要件は少なくとも七十二日になるべきだ。日雇い健康保険のとき私担当していますので、改進党の方も一緒になって七十二日にしようというときに、ちょっとそごがあって七十八日になった。当然七十二日にしようというのが国会の多数の実際の意見であった。六カ月七十二日にするということをぜひやっていただきたいと思うのです。これは大臣、ぜひひとつ積極的に御答弁を願いたい。
  199. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 日雇い失保の財政状況から見てもなかなか困難な問題でございます。しかし先生の御指摘でもございますから、御指摘があった機会に今後の課題として検討、努力してまいりたいと思っております。
  200. 八木一男

    八木(一)委員 今後課題ということじゃなしに、すぐにやっていただきたい。厚生省が七十八日ですから、そんなもの恥ずかしくてしようがないですよ。すぐにどんなことかあっても——これは政府提案していられるから困るけれども、この法案が廃案になるかあるいはまたどうなるかわかりませんけれども、何らかの時期に、この法案が廃案になってもいまの失業保険法は残っているのですから、そういうことでとにかく七十二日にする、そうして少なくともことしからは七十八日に断じてするということを、これは理解のある委員たちにもお話しになって、それが実現するようにしていただきたい。少なくともことしは七十八日、来年は七十二日になるようにしていただくように、労働大臣の職務をかけたと言うといけませんけれども、とにかく全力をあげて必ずやるという御答弁をいただきたいと思います。
  201. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 言われてすぐやるのもなにですけれども、とにかく一生懸命努力します。
  202. 八木一男

    八木(一)委員 次に、日雇い健康保険は、実はいま保険料は五段階なんです。今度改正案ができて八段階にしよう、日雇い失業保険は二段階を今度三段階にする、まことにおかしな話です。そのことで社会保障制度審議会はこういう答申をしているわけです。少なくとも島本さんのおっしゃったように五段階にすべきである。日雇い健康保険のほうは厚生省に詰めますけれども、これは八段階は多過ぎるから五段階につづめるべきだ、労働省と厚生省が、一つの内閣でありまして同じ対象者の保険料のとり方を二つとは——片方は三段階、片方は八段階、そんなばかな話はありません。中をとって労働省は断じて五段階にする、厚生省のほうはわれわれは追及しますよ、これは五段階にすると。そういうふうにしていただく。労働省としてはひとつ、五段階にするという御答弁を願いたい。
  203. 遠藤政夫

    ○遠藤(政)政府委員 私ども、従来から日雇いの賃金実態に合わせて日雇い失業保険の給付内容を改善するようにという御意見を承っております。今回、私どもはその実態に応じて三段階制をとることにいたしたわけであります。さらに、審議会等におきましても、今後の課題として四段階制を採用するように十分努力しろという御指示を受けておりますので、私とも十分——実務的にいろいろと問題がございますので、そういった問題点を克服いたしまして、そういう方向で努力していきたいと思っております。
  204. 八木一男

    八木(一)委員 とにかく、局長も努力すると言っておられるけれども、労働大臣はもっとハッパをかけてくださいよ。五段階にするという御答弁を願いたいと思います。
  205. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 三段階から今度四段階、中央審議会がそう言うてきておるから、それをやっておいて、すぐ五段階にいくようにがんばります。
  206. 八木一男

    八木(一)委員 ぼくも不満だけれども、今度は断じて五段階にするし、もう半年ほどたったら五段階の法案を出す、そういうくらいの答弁でなければ話になりませんよ。そのくらいのことはやられるでしょう。
  207. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 だんだんにやりますが、一発になかなかいかぬものですから、御理解いただきます。
  208. 八木一男

    八木(一)委員 こんなものは何でもないのですよ。事務が何とかとおっしゃるけれども、有能な労働省の職員です、そんなもの、十分こなせます。それで足りなかったら人員を増大したらいいのです。  あと、その問題よりも、この段階ではほんとうのところ、失業期間中の生活が守られないわけです。厚生省のほうは八千円も九千円ものところを考えている。こちらはそれを六千円、五千円の人も二千円ぐらいにして、それで失業保険を算定しておる。しかも六割、そんなものでは失業保険中の生活は守られない。だから、せめて五段階にする目標でことしは四段階にして、来年は必ず五段階にします、そのくらいのことはやってもらわなければ。長谷川さんは熱心な大臣だし、金のことなんか一切心配要りませんからね。金は余りかえっているんです。そういう点で、それをやるという御答弁をひとついただきたいと思います。
  209. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 私も、あなたのお話でありますから、財政のことやらいろいろ勉強して、ほかの省に負けないような姿勢で勉強してまいりたい、こう思います。
  210. 八木一男

    八木(一)委員 勉強じゃなくて、そんなもの、明快な頭の人だからわかっているでしょう。勉強じゃなくて、善処しますという御答弁をいただきたい。勉強では困る。善処しますと……。
  211. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 おっしゃるとおり、善処しましょう。
  212. 八木一男

    八木(一)委員 それから次に、実は具体的な問題で一つ伺います。これは政府委員からの御答弁でもけっこうです。  労働組合の供給にかかわります日雇い林業労働者に対する日雇い特別給付の取り扱いの問題ですが、いわゆる奈良方式については、その取り扱いの細目も含めて、現行失業保険法の場合ではもちろんでございますが、かりに雇用保険法案が成立した場合でも、引き続いて実施していく必要があると思いますが、それについて、ひとつ御答弁を願います。
  213. 関英夫

    ○関説明員 御質問の、いわゆる奈良方式と申しますのは、林業における日雇い失業保険の特別給付に関するものだと存じますが、今回の法案におきましては、先生御承知のように、日雇い失業保険については、給付日額を現行の二段階制から三段階制に変更するほかは、現行の制度をそのまま受け継いでおるわけでございます。したがいまして、いわゆる奈良方式についても、現行失業保険制度の場合はもちろんでございますが、雇用保険制度に変わったといたしました場合におきましても、取り扱いの細目を含めて、全く現在と変更はございません。
  214. 八木一男

    八木(一)委員 最後に一つだけ。お年寄りの問題について保険料の免除という制度を、一般失業保険でされました。これは当然日雇い失業保険にもこれを適用すべきであると思います。あれの場合に、この前島本さんの質問に対して局長の御答弁では、再就職とかいろいろなことを言って、だからそういうふうな案にいまなっていないという御説明がありました。再就職も何もあったものじゃありません。失業保険法は、そしてまた雇用保険法も、失業期間中の生活を保障することが第一義的なものであります。生活の問題ですから、年寄りの場合に保険料の負担が苦しい、そういう問題で再就職とかなんとかという、ほかの理屈ではなしに、一般失業保険で年寄りに対して保険料の免除をしたならば、日雇い失業保険についても六十歳以上の老人について保険料の免除をすべきだ、そういうことについてひとつ、局長は首をかしげたので、局長の答弁ではなしに大臣が——日雇い失業保険の被保険者というのは貧しい労働者です。それで過酷な労働をしている。その年寄りが、一般失業保険のほうで保険料が免除になっているなら当然免除を受けるべきである。彼は、長いこと片方掛け金をかけたからと言っている。日雇い失業保険のほうも長いことかけた。再就職のためにと言っているけれども、これは生活が根源です。そういう意味で、彼の島本さんに対する答弁は全くこれは牽強付会であります。生活を守るという点で日雇い失業保険の六十歳の老人にも免除を適用する、そうすべきであるということについて、明快な、積極的な御答弁を、労働大臣からいただきたい。
  215. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 何さまこれは初めての質問で、私、いまからほんとうに勉強さしてもらいます。いま突然言われまして、内容そのものがまだ理解できませんから、どうぞ御容赦願います。
  216. 八木一男

    八木(一)委員 最後に申し上げますが、保険会計は黒ですよ。黒で、ほかのほうに回している分があっても黒です。それを取り返せば五割アップも完全な給付もできる。それから大体国庫負担が前に三分の一だった。それを労働省がぼやぼやして四分の一に下げられた。国庫負担が社会保険で減率になるという歴史はほとんどありませんよ。労働省はよほどぼやぼやしていた、その時代は。だから三分の一に復元をしなければならない。復元をするには失業保険給付をぐんぐん出して、そうして失業保険給付のバランスがとれなくなったときには三分の一の復元をするという復元の規定がいま残っているわけです。ですから、労働大臣は局長以下を叱吃激励して、八木一男やほかの熱心な委員のおっしゃるように、給付期間は完全にやる、そうしてもう一つは金額を上げる、それで諸条件をみんなよくする、そうしていまの出かせぎ労働者の打ち切りなどということはやらないで、お年寄りを優遇するという、社会保険の思想を貫くならば、片方がかけた保険料よりもらう保険金が多いというような社会思想を、こっちのほうの一般失業保険のほうでは社会保障思想を出し、こっちでは社会保険の思想を出す、こんな矛盾撞着はありませんよ。社会保障をやるのですから、掛け金とそれとのバランスが合わないというのは問題ではありませんか。ドイツやフランスでは失業手当制度という無拠出の失業手当制度があるわけです。それをいままで失業保険でそれと同じようにカバーしてきた、これは善政ですよ。労働者がごじゃごじゃ言うということをおっしゃいましたが、そんなことは労働者は一切言いません。先ほどやじがあったが、御用学者がそういうことを言う。御用学者などは失業の苦しみを知らない。半失業の苦しみを知りません。金はうんとある。もっと出せば国庫負担が出る。社会保障の理念でいえば、それと別に全額国庫負担の失業給付をやってもいいわけだ。いままでやってきたこのやや善政を後退させるというようなことは、とんでもない。九十日を断じて値切ってはいかぬ。そういう心持ちで労働省のほうから委員各位にお願いになって、これは九十日を断じて削らない。そうして職安に何回も行かなくて済むようなことは、あなた方は考えられたのですから、そのまま九十日を給付する、それからいま申し上げたことを全部実現するように労働省のほうから各委員に要請をされて、各委員も協力をされるでしょう。そういうふうにしていただきたいと思うのです。それについてひとつ総括的な、積極的な御答弁をいただいて終わります。
  217. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 だんだんの熱情あふれる御教示、ありがとうございました。そういう前向きの姿勢で何でも勉強してまいりたい、こう思っております。
  218. 葉梨信行

    ○葉梨委員長代理 川俣君。
  219. 川俣健二郎

    ○川俣委員 ちょっと野党の理事を代表して。  これは政府でなく委員長なんですが、この状態の委員会で、特にこういう重要な法案だということで、これはしかも議員立法じゃない、政府提案の法案でもあるし、だとすれば、法案を出した政府の与党があるはずなんだ。ところがきょうは、自民、社会三人、共産一人というように論議も非常に集中してきたこの段階で、先ほどはおられたようでしたけれども、いまこれから論議を続けるということは問題だと思うのです。あしたの正式理事会では、そういうような与党が自信のない法案ならもう一ぺん出し直すかという論議まで発展せざるを得ないのだが、これ、ちょっとどうなんです。委員部も含めて委員長に問いたいのだが…
  220. 葉梨信行

    ○葉梨委員長代理 この際、休憩いたします。    午後五時五十二分休憩      ————◇—————    午後六時六分開議
  221. 葉梨信行

    ○葉梨委員長代理 これより再開いたします。  休憩前に引き続き質疑を続けます。田中美智子君。
  222. 田中美智子

    田中(美)委員 会期末のときに、今度の七十二国会で最も大きい法案といわれている雇用保険法というものに対しての審議がこういうことで中断されたりするのは非常に残念だというふうに思うわけです。自民党がこれに対して熱心でないのではないかというふうに私自身は疑うわけです。  きょうは二時間ということでありますので、いまから六時半に終わるということには協力いたしますけれども、あと残された一時間四十分という時間はこの次の質問のときにさせていただくということを確認して質問に入りたいと思います。  私は、失業保険制度というものがなくなって雇用保険法になる、こういう中をずっと見てみますと、特に帰人労働者にとって非常にたいへんな問題であるというふうに思うわけです。その一番大きな点というのは、満三十歳未満の労働者がこれからは一年以上働いて六十日しかもらえない、これは高校を出て十八歳、十年間働きますと、いまのままの制度ですと二百七十日失業保険がもらえるのにこれが六十日になってしまう。簡単にいえばこういう大きな削減をされるという状態なものですから、これに対して非常に不満に思うわけです。  まず、婦人労働者が大体千百万くらいいるといわれているわけですけれども、その中で三十歳未満の婦人労働者というのは何人ぐらいいるのでしょうか。
  223. 高橋展子

    高橋(展)政府委員 婦人労働者の年齢構成につきましては年々高年化する傾向が進んでおりまして、現在では三十歳未満の者と三十歳以上の者がほぼ相半ばしておる、こう理解しております。
  224. 田中美智子

    田中(美)委員 そうしますと、千百万か千二百万いるわけですから大体その半分が三十歳未満と見ますと、大ざっぱにいって六百万という婦人労働者が非常に大きく削減されるということになっているわけですね。これについて、私はこれから大きく四つばかりの点についてお話ししたいわけですけれども、きょうはその一つを時間内に大急ぎでやりたいと思います。  婦人の失業というものが一体どうであるか、どういう点を婦人の失業なんだときめるかということはいろいろな意見があるわけですので、この論議はこの次にするといたしまして、何はともあれ婦人をどんどん働けない状態にしている。本人は働きたいのだけれども働けない状態に締め出しておいて、そしてこれが失業者になる。そして働こうとしても今度はなかなか採用してもらえない。失業保険はたとえば二百七十日もらえるものをこれが六十日に切られるということでは踏んだりけったりだというふうに思うわけです。たくさんあるわけですけれども、その中でまず差別定年制の問題ですね。婦人の差別定年制というもので、男子は五十五歳まで働けるのに女子はその前にどんどん切られてしまうということがあるわけです。特に三十歳定年制というものがまだ生き残っているということです。  これは七十一国会で労働省のお力もかりまして、名古屋放送の問題というのはほぼ解決に近づいたように聞いておりますけれども、清水、大木さんがその後完全に職場に復帰したかどうか、その点をちょっと簡単にお聞きしたいと思います。
  225. 高橋展子

    高橋(展)政府委員 ただいまのお尋ねの点につきましては、名古屋放送の労使間の話し合いで就業規則を改正し、若年定年制は廃止するという線が打ち出され、それに伴いまして、ただいまおあげになりましたその婦人労働者が職場に復帰したように私どもは伺っております。
  226. 田中美智子

    田中(美)委員 いまその話が進んでいるというだけであって、清水、大木さんが職場に復帰したということは私まだ聞いておりませんけれども、その点を確実にしていただきたい。どのように御指導していらっしゃるか。
  227. 高橋展子

    高橋(展)政府委員 私どもの指導の基本的な姿勢といたしましては、就業規則で制度的に三十歳の定年というようなことを女子にのみ課するということが不合理であるということで、一般的に事業所に対しては指導いたしておりますが、特にいま御指摘の名古屋放送につきましては、かねてからのいきさつもございまして、かなり綿密に御指導申し上げてきたわけでございます。しかし、本来労使間でおきめになる点が多いわけでございますので、私どもといたしましては、使用者に対してしばしば勧告的なことはいたしておりますが、そのあとは労使の話し合いで順調に進んでいる、そのように伺っております。ただその個別の方につきましては、私どもは個別の方の問題にはまたいろいろな問題がからんでいることも考えられますので、ここには深くは介入いたしておりません。ただ情報として、私の理解では職場復帰されたように伺っておりましたのでございます。
  228. 田中美智子

    田中(美)委員 私は組合に確認いたしましたところ、まだ職場には復帰していない。しかしいずれ復帰させるというふうな話し合いがなされたというところまでいっている。これは労働省のお力もあったと思いますけれども、ほぼ九〇%くらいの解決にきていると思うのです。わずか三人の婦人労働者が三十歳で首を切られるという状態が、昨年の七十一国会からいままで約一年かかっております。労働大臣が率先してこれを指導すると言ったにもかかわらず一年たってもまだ一〇〇%できない、こういうむずかしい状態があるわけです。こういう点を長谷川労働大臣は御存じだと思いますけれども、わずか三人の労働者の問題でさえ一〇〇%指導がいくのに一年以上もかかるのだという状態の中で、まだまだあちこちにこの三十歳定年制が残っているわけですね。これはいまどれくらい残っているか、つかんでいるのを時間がありませんので簡単に言ってください。
  229. 高橋展子

    高橋(展)政府委員 女子の定年を三十歳以下と取りきめを行なっております企業は、全事業場について見ますと〇・八%というような数字が出てまいっております。
  230. 田中美智子

    田中(美)委員 この〇・八%の企業は、はっきりと三十歳定年制という形でやっているわけですね。——それでは、その企業がどういう企業であるかということを、あとでけっこうですけれども資料をいただきたいというふうに思います。よろしいですか。
  231. 高橋展子

    高橋(展)政府委員 把握し得る資料につきましては御提出できるかと思いますが、ただこれらの若年定年制を設けております企業におきまして、その定年制の取りきめが労働協約によっているというものが相当あるということで、私どもも指導の上で非常に困難を感じておることが多いわけでございます。
  232. 田中美智子

    田中(美)委員 それではそれは把握できる範囲で、〇・八%の企業がどのようになっているかという状態をあとから資料でいただきたいと思います。  私がいま知っております一つの例をあげたいと思うのですけれども、熊本テレビでございます。ここでは大体労働者が七十四名くらいいるうちで十三名が女子の労働者になっているわけです。この女子が三十歳でいま一人首を切られております。これは次々と三十歳になっていくと切られるという状態がある。昨年の名古屋放送の問題から、ここの組合で労働基準局に話しまして、ここでは就業規則自体が第四条と第三十三条に違反しているという——労基法四条に違反しているとまでいかないかもしれないけれども、これは女子の差別である、そういうことで若年定年制は時代の趨勢からいっても当然してはならないのだという指導をしているわけですね。それに対して熊本テレビはがんとしてそれを拒否しているわけですね。基準局がそういう指導をしているにもかかわらずこれを拒否しているわけですね。これにもいろいろな隘路があるというふうにいま高橋さんもおっしゃったわけですけれども、基準局は、それはそうなんだから、これはやめなさいと言っているにかかわらず言うことを聞いていないということが現在あるわけですね。これをどのようにそちらのほうでは御存じなのか、それから御存じならば、これをどういうふうに指導していただけるのか、お答えいただきたいと思います。
  233. 高橋展子

    高橋(展)政府委員 男女の差別的な定年制度は、それ自体違法であるということを裏づける法律的なものはないことは先生もよく御存じのことと思います。そういう意味合いでこれを強制的にやめさせるということは非常にむずかしい。権力をもってやめさせるということはむずかしいので、私どもの行政ではこれを行政指導という線でおすすめしているわけでございます。でございますから、いわゆるきめ手を欠いた指導でございますので、非常に歯がゆいという点は確かにあるのでございますが、私どもといたしましては、従来から根気よく労使双方の歩み寄りを求めて、そしてまた啓発を行なって、あるいは世論の啓発を行なうというようなことで根気よく進めてまいったわけでございますが、しかしこのような種類の問題が非常に多くなってまいってきているということにかんがみまして、今年度はこれらの差別問題についての苦情処理の方策というものを新たに研究すべきではないか、このようなことでその研究のための準備をいたしておるのでございます。
  234. 田中美智子

    田中(美)委員 労働省ではこの熊本テレビのことは御存じでしたか、一言でお答え願います。
  235. 高橋展子

    高橋(展)政府委員 私は個別的ないまの事案についてはつまびらかにいたしませんが、テレビの分野でそのような事例の多いということは承知しております。
  236. 田中美智子

    田中(美)委員 それではさっそく調査をしていただきたいと思うわけです。  ここではどうなっておるかといいますと、就業規則の四条というのが管理職、一般職、補助職というふうにきめてあるわけなんですね。そしてそこのすべての婦人労働者は全部補助職になっておるわけですね。ですから三十歳定年制で首を切るのだというふうになっておりませんけれども、婦人を全部補助職にしている。これに対して男性は補助職というのは一人もいないわけです。一般職のほうにいるわけです。こういう形になっていて、就業規則の第三十三条では、この補助職を三十歳で首を切る、こういっておるわけですね。女は切るとは書いてません。こうした抜け道を、補助職は切るという形で——補助職は女しかいない。これが一人ずつ切られていって、いま一人切られて嘱託になっているわけですね。こういう状態を放置したままで失業保険を改悪していくということは、これは婦人を踏んだりけったりという、感じです。働きたいと言っている者を首を切って、そうして失業者なんだから、家に子供がいるからとか、やれ何だからという形で失業保険ももらえない、そして三百日近くもらえるものが今度は六十日しかもらえない、こういうふうな形になっているわけです。これに対してさっそくに調査をしていただきたいというふうに思うわけですけれども、まず補助職とか、それから補助職は切るということについては、大臣はどうお考えでございますか。
  237. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 いまの話は、私報告を受けておりませんので、初めて聞いたものですから、だんだん役所でわかった模様を聞いてみたいと思っております。
  238. 田中美智子

    田中(美)委員 これはまだ聞いていらっしゃらなくて、私から聞いたわけですからね。すべての労働者の中の女だけは全員一人残らず補助職になっていて、そして補助職は三十歳で首を切るということになっていることを確認しなければ正しくないとお思いになったとしても、これがもし正しかったら大臣はどう思われますか。男女差別と思われますか。
  239. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 いま婦人労働者が非常に多いわけです。そしてまた職場もたくさんありますし、また要求もされておるわけでありますから、私たちは、宗教とかそういうことやらで差別されないようにという姿勢で臨んでいるわけであります。
  240. 田中美智子

    田中(美)委員 臨んでいるのではなくて、いまこういうことを言っているのに対してどういうふうに思われるか、妥当であるか、それともやはり労働監督署が言っていることが正しいと大臣は思うかどうか。会社側は男女差別じゃないと言うわけですからね。
  241. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 何さま突然の話ですから、どういうふうないきさつがあるか、それによって、お答えすることがときに御満足いかない問題もあるかと思いますので、ちょっと研究さしてみてください。
  242. 田中美智子

    田中(美)委員 こんな単純なことが研究してみなければわからないという頭でないと思うのですけれども、常に大臣はいい頭を悪いほうにお使いになるのじゃないかというふうに私は思うのです。これはだれが考えたって、客観的に見て男女差別だというふうに思うし、基準局もこれは男女差別であるということを言っているわけですね。ただ高橋さんがいまおっしゃったように、法でもって取り締まることができないということであるならば、これはやるまで、昨年の名古屋放送をやっていただいたように、これを調査し、そして指導も何べんも繰り返していただきたいと思うのです。一ぺんこうしなさいと言って、言うことを聞かない、これじゃどうしようもないんだというお手あげではなくて、繰り返し繰り返しこの努力をしていただきたいと思う。そうしなければ、三十で女の首を切っていって、それで失業したからといって失業保険を大幅に切るなんということは、これはもうどうしても納得できないことだし——今度のこの雇用保険法案というのはまた十分に知られていません。そういうことで、これが知られると同時に、婦人はたいへんな大きな騒ぎになるというふうに思うわけです。そういう意味で、そんなおかしげな法案をつくるよりも、まずこういうことをやるほうが先だと思うのです。この指導さえできないでいて、どうしてこんな法案をつくるのか。全部差別は撤廃します、婦人はちゃんと子供を生みながら働けるようにします、そうした上で失業したときにはこうだというならば、その時点では論争になります。しかしこんな状態に置いておいて、こういう婦人を徹底的にたたくような法案を出してくるということは、もう論争以前の問題だというふうに私は思うわけです。そういう意味で、この熊本テレビの問題を早急に調査し、そしてどのような指導をなさったかということの御報告をいただきたいというふうに思うわけです。  それともう一つは、指導した結果、向こうが全く労働省をばかにして言うことを聞きませんということなのか、それとも、向こうがどのようにその指導を受けて立っているのかということの御報告も受けたいと思いますけれども、高橋さんと労働大臣と両方からはっきりとお返事をいただきたいと思います。
  243. 高橋展子

    高橋(展)政府委員 いま御指摘の熊本テレビにつきましては、さっそくに実態把握につとめまして、その上善処いたしたいと思います。
  244. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 局長がお答えしたと同じようなことになりますけれども、こういう御質問を通じて、そういう事件のあったことがよくわかりますし、御婦人の地位の問題に関することでありますから、私はあなたにおこたえいたしましょう。
  245. 田中美智子

    田中(美)委員 ちょうど時間になりましたので、これで——あと一時間四十分残っておりますので、もう一度確認いたしまして質問を終わります。
  246. 葉梨信行

    ○葉梨委員長代理 次回は明二十四日水曜日正午理事会、一時より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時二十九分散会