○遠藤(政)
政府委員 確かに
審議会等におきましてもいろいろな問題点の御指摘を受けたわけでございます。先ほどもお答え申し上げましたように、
審議会におきまして、特にこの季節出かせぎ受給者の問題につきましては、極端な急激な変化を来たさないようにという御指摘がございました。私ども、その後も出かせぎの
関係の
団体の
責任者の
方々等とも数回お会いいたしまして、いろいろ御
意見を承っております。
審議会における
審議の過程で負担の問題、あるいは給付の問題等についていろいろ御
意見がございましたので、私どもは
答申を受けますと同時に、その過程でお出しいただきました
意見をもとにしまして、本来原案におきましては千分の四十三、
労働者の負担は千分の二十という予定になっておりましたのを千分の七・五に引き下げて原案を作成いたしました。そのほかでもいろいろ手直しいたしておるわけでございますが、もともとこの出かせぎ受給者の問題につきましては、従来から被保険者の数にしまして全体の約三%、
保険料の負担は二%でございます。その二%の
保険料負担をしている全体の三%の
人たちが
失業保険受給全体の約三分の一強、三五%程度の給付を受けております。しかも、これが本来的な偶発的な
失業でなくて、もともと就業と不就業を繰り返す予定された
失業といった性格のものに対して、こういう状態の給付が行なわれることについては本質的に問題がある、従来からこういう各界からの御指摘を受けておったわけでございます。したがいまして、昭和四十二年と四十四年に当
委員会で御
審議いただきました
失業保険の改正におきましては、こういった季節出かせぎ受給者の給付と負担のアンバランスを引き締めるという方向で修正なり
検討が行なわれたわけでございます。しかしながら、今回の
雇用保険法案におきましては、先ほど先生の御指摘になりましたように、冒頭から
お話がございました出かせぎ
労働者の実態というものを十分踏まえて、今後のあるべき姿というものを考えながら、予定された
失業、不就業というものに対して給付が行なわれるということは、本来の
失業保険制度からいえばたいへん問題のあるところでございます。この問題のある季節出かせぎ受給者の給付の問題を、従来と態度を全く改めまして、これを
制度の中に組み込んでいく。出かせぎ受給者の
方々が過去十年にわたって
失業保険金の支給を受けることによって、その保険金が
生活実態の中に組み込まれている。そういう実態を受けとめまして、これを
制度の中に定着させるという方向で今回の法案を作成いたしたわけでございます。
しかも、
保険料の負担につきましても、現在考えられております給付を行なうとしますと、大体千分の百程度の
保険料を納めていただかないと給付と負担の均衡がとれないということでございますけれども、社会保険であります以上、給付と
保険料の負担とをパラレルにしなければならないという性格のものではございませんが、しかしながら、こういった予定された不就業に対する給付を、そのまま一般の
失業給付と同じように考えるわけにはまいりませんし、同時に、これは
ILO条約にも認められておることでございますので、何がしかの
保険料の負担増をごしんぼういただくというたてまえを通しまして、千分の七・五という、月当たり約二百五十円程度の負担増をお願いすることにいたしたわけでございます。
また給付につきましても、これは出かせぎ
労働者に対してあまりにも酷ではないかという御指摘でございますけれども、従来の出かせぎの
方々の保険金の受給の実績というものを十分考えまして、ほぼそれに近い線を一時金という形で支給して差し上げる。そうすれば、一時金をもらうことによって、あとはそれぞれの
立場に応じて働かれることも、郷里に帰られてそこで働かれることも、あるいは農業や水
産業に従事されることもそれは御本人の自由である。こういう
制度に改めることによりまして、いままでよりはより実態に即した合理的な
制度に改めることにいたしたわけでございます。その間のいきさつは先生前々からの経緯を十分御
承知でございますので、御
理解いただけるのではないかと考えておるわけでございます。