○寺前
委員 心身障害者
対策基本法の第十五条「国及び地方公共
団体は、心身障害者の雇用を促進するため、心身障害者に適した職種又は職域について心身障害者の優先雇用の施策を講じ、及び心身障害者が雇用されるのに伴い必要となる施設又は設備の整備等の助成その他必要な施策を講じなければならない。」心の障害者といわれることばの使い方についてはいろいろ異論がありますが、
法律にこういうふうに
指摘をして
おります。ですから国並びに地方公共
団体がこの雇用の対象として施策を講じなければならないことは、基本法で明確にしてあるわけです。ところが現実には身体障害者雇用促進法というのですか、という
法律が存在しているだけなんです。ですから精神薄弱者の取り扱いのほうの
法律は、現実には存在していないわけです。そのことを
局長さんは検討中だということでおっしゃったのだろう。内部のいろいろなことはむずかしい面があるということをおっしゃったのだろうと思うのです。
〔大野(明)
委員長代理退席、斉藤(滋)
委員長代理着席〕
私も決してそう簡単につくり上げるということにはならないと思いますが、だけれ
ども、この分野について基本法で
指摘している
立場に立って、
責任をもって追及をしていただきたいということを心の底から思うわけなんです。
私のところにもいろいろな手紙が来て
おります。たとえばこういう手紙が来ているのです。「私は脳性麻痺の障害者です。年は三十二歳で
東京に出てきてから一年半になります。現在は
生活保護を受けて生活しています。
東京に出てきたときは、
新聞の拡張員として働きましたが、ノルマに追われ、また給料も歩合制で八カ月ほどでやめました。からだもこわしましたし、それで今度の
仕事は無理のない
仕事ということで車の免許をとりました。それで職安に行き
仕事をさがしてもらい、その会社に行きましたが、しばらくすると不採用の通知が来ました。会社名はKK・アークで、不採用理由は、身体障害者が必ずしも不可でありませんが、両手に商品を持って運び、納品する場合もかなりありますので、この方には気の毒でありますが採用できませんということでした。
そこで今度は蛇の目ミシン工業につとめました。集金係は保証金五万円を積まなければならないということでセールスに回りました。ところがここでもノルマに追われ、それについていけなくて断わられました。今度は光国商事というところに行きました。ここでも不採用。理由は肉体的に少々無理。今度は人の紹介である金属会社の一般事務に行きましたが、人が足りないということで七時ごろまで毎日残業をやらされ、しかも事務のほかに、金属をみがいたり運んだりということで、無理がたたりやめさせてもらいました。一年の間に四回も五回も不採用になったり、やめざるを得なくなったり、一体どうしたらよいのでしょう。しかも
賃金も安く、最高五万円、何がしか差っ引かれて四万数千円。これでは夫婦二人で民間のアパートに入り生活することはできません。障害者には働く権利がないのでしょうか。どうか人間として働くことを保障してください。」
こういう手紙が来ています。
ほんとうに年じゅう次から次へと歩いておられます。まだ歩く分野の人もありますが、歩けない分野の人
たちもまだたくさんある。この分野の人
たちに対する
対策上のむずかしさもあると言われることは私もわかります。だけれ
ども、むずかしければむずかしいほどよけい集中的に
仕事をしてあげなければその責務を果たすことはできないと私は思います。政治というのは、ほっといてもいいところにあえて手を出さなくても、極端に手を差し伸べなければならないところにこそ政治は存在する、行政もそれに従属して存在するという
立場に立たなければならないと私は思います。
そこで、いま文部省では、
昭和五十四年に向かって教育の面において、いままではこういう分野の子供は、うちの子はこういう子だからひとつ義務教育を免除してくれという届け出をしたら、よろしい、かんにんしてやりましょうということでほかされておったわけです。それではいけない。そこにこそよけい手はかかっても
仕事をしなければいかぬということになって、養護学校の義務化というのが、
昭和五十四年までに準備しましょうということで義務化の準備がいま
全国的になされて
おります。私はこれは大きな光を与えていると思います。しかし、この義務化が同時に、学校に行ったら必ず次には社会に出なければならない歴史の過程にあるわけです。また、現に出ているわけです。そういう人
たちに対して、片一方教育の面は義務的に設置の方向は進んだ。それじゃ雇用のほうもそれにふさわしい義務的な
仕事を、国のほうがやはりそれまでにおくれないように準備する必要があると私は思う。文部省のほうが五十四年までにそういう対応の義務教育を
全国的に実施するのだといわれるのだったら、
労働省のほうも、この分野に対する雇用について
責任を持った体制をいつまでに立てるかという基本を検討する必要があるのじゃないかと私は思うのですが、この基本的な態度についての
大臣の
姿勢を聞きたいと思います。