○田邊
委員 原則的な話ですからそれはそれで必要なことですが、まあひとつ検討をされた成果を踏まえてやはり具体的な
制度化を、行政
指導だけでなくて
制度化の
方向にだんだんといかないと問題の解決にならぬわけですから、
大臣、いま婦人
局長からの説明で現状はおわかりのとおりですけれども、婦人問題、いま私が申し上げた妊娠、育児をまたいでといいましょうか、通じて、継続して就業できるようなこういう条件づくりが一番必要だ、私はこういうふうに思っておりますので、これはやはり行政的な面だけでない、
制度化のための
努力をぜひひとつしてもらいたいというふうに思っております。あとはひとつ、いろいろな数字をお示しいただきたい。勤労婦人
福祉法ができましたけれども、どうも一向に実効があがっていないじゃないかという話がありますので非常に私心配しておりますので、ぜひひとつそれが具体的な成果があがるような状態をつくってもらいたいということを希望しておきます。
時間がございませんから、最後に、
雇用面でもって、安定
局長からもお話がありましたいわゆる構造上の問題について、ひとつ具体的な例をちょっとだけ申し上げまして解明を願いたいわけですが、大
企業の中においても本採用の職員よりも臨時の職員なり臨時工、こういうものが非常にふえてきているというのが、私はこれは着目しなければならぬと思う。それからもう
一つは、大
企業が仕事を請け負っても、特に建設業等の場合、下請に非常に出す。その下請が本採用の職員なりというものよりも臨時工がまた非常に多い。それだけでもまかない切れないから、季節的な
労働者をまた採用してやる。こういうところに実は御
承知のとおり二重構造といわれる不安定な
雇用状態があるわけですね。しかも、いわゆる大
企業というか、もとの
企業と、その第一次の下請、第二次の下請、こういったものが最近は
一つの職場でもって混在をして働いている、こういう状態が見受けられるのですね。その図式というものがいわば
日本の
労働の職場というものをいろいろな面で実は非常に混迷におとしいれているその大きな原因をつくっているということは、これは御
承知のとおりだと思うのですね。そういった面で取り締まらなければならぬのは、これは職安法においてこの供給の事業に対する明確な規定があるわけでありまするが、随所でもってこれが実は非常に抜け穴になって破られているということをわれわれは察知をしておるわけでありまして、これに対するところの
労働省の厳重な監督なり
指導がやはり必要であろうと思うのです。
私は、さきに川崎の造船の問題やら佐世保の造船の問題等取り上げたことがございましたけれども、この造船業界においてもそういったことが非常に多いということを実は見てとるのでありまするが、きょうちょっと具体的にお話を申し上げるのは、静岡県にあります金指という造船会社であります。これはほんとうにいわば一族でもってつくられている造船会社でありまして、どのぐらいの規模であるかということはおわかりだろうと思うのですけれども、この造船会社は下請
企業も同じ職場でもって働いているのが非常に多い。この下請というものがまた非常にいわば何というか、同族会社でございます。
〔田邊
委員、資料を示す〕
この金指造船所内でもって働いている関連会社を見ますと、たとえば金和船舶というのでしょうか、これは金指造船が五万四千株持っている。室田という人が、これは近親者でありますが、五千六百、金指利明という人が四百、これは長男であります。それからこの金寿船舶工業株式会社でありますが、この株は二万六千のうち二万二千三百が金指造船である。それから金指吉昭というのでしょうか、これは社長であります。二千五百株。それから清寿建物株式会社が千二百株持っておるから、これだけは別かと思って見ますと、この清寿建物も社長と長男と次男が全部株を占めておる、こういう会社ですね。ですから下請といってもほとんど一族会社。この中でもって実は私が警戒をしなければならぬと思ったのは、この下請がいろいろな労務提供をいたしておりますけれども、これが実は職安法に抵触するんじゃないかということでもって
労働省に調べてもらいました。ところが
労働省においては、貸し工についてはどうも職安法違反の疑いがある、したがってこれは善処するということでもって
改善命令を出して、これは
改善をされたということだというのでありますけれども、実際には職安法の施行規則第四条第一項第四号によりますと、請負契約であっても、企画または専門的な技術、専門的な経験を必要とする作業で、単純な労務提供でなければよろしい、こういうふうになっておるのですね。ところがこの場合は、これは実は
労働省からそういったことについていろいろと検討されているということだけれども、実際にはこの施行規則四条の四号規定というのは前段と後段と一緒に読むのだということでもって、私どもはちょっと解釈の違うところがありますけれども、いずれにいたしましても、単純労務でなければよろしいという形ですね。それでいまのところは専門的な技術者を差し込んであるのだからこれは違反じゃない、こういう解釈をとったおるのですね。ところが残念ながら、その後私が調べましたところが、いま私が例示として申し上げた下請の金和船舶という会社において、作業日誌を記入しているのですけれども、この記入の要領について実はこういう作為の行動が行なわれていることが発見をされました。いわゆる貸し工と見られるような表現は日報上から一切抹消する。しかし本社に対して報告をする場合は、それでは一体これが常用であるのかあるいは常用でないのか、いわゆる単純な労務提供であるのかわからぬから、その点は一番最後のとこるに書いてありますようにチェックをする。チェックをするけれども、これが外部にわかっちゃならぬから、注意として、前記のチェックをするのは必ず鉛筆をもって行なう、ゴムで消した場合、あとがつかない程度に記入する、こういう形でもって、常用を提供しているように見せかけながら実際にはそうでない単純労務を提供する、こういう形をとっているのでして、これは明らかに職安法違反です。そういう
立場をとっておるのでありまして、言えばこの種のことが日常茶飯事で行なわれているところに現在の、建設業界もそうですし造船業界もそうですけれども、非常に乱雑な
雇用関係が横行している。これがいわば足を引っぱりながら賃金引き上げを抑制するという
立場をとっている、形をとっているのですね。これはどうでしょうか。私がいま
指摘をいたしましたこういう行為が一体許されていいんでしょうか。こういう中で、裏でもっていわば職安法違反が公然と行なわれている、こういう事実
関係というものに対して
労働省は目をつぶっていていいのでしょうか。