○石母田
委員 ぜひそのために
努力していただきたいと思いますが、
大臣はさっきは、五カ年
計画が遂行できてないじゃないかと言うと、ちゃんとできるんだ、ちゃんと
計画を立ててやっているんだ、こう言う。ところが今度は、閣議決定したらいいじゃないかというふうになると、いや、不確定
要素がたくさんあって、
福祉だけできない。そんなことを言ったら、道路だって住宅だってみんな不確定
要素があるのですよ。インフレや
物価値上がりはみんな共通するんだから。そんなことは理由にならないのです。いままでの国の
施策がいかに
社会福祉が重点にないかという、何よりも私は証拠だと思うのです、はっきり言うと。ですから、むしろあなた
たちや
厚生大臣が、いわゆる概算要求で削られたなんていうだけじゃなくて、はっきりそういう必要な五カ年
計画を立てて、そしてきちんとやる。この点について、私
どもは、いまの
行政のやり方については非常に感心しているんです。ですから、政権交代して私
どもが与党になった場合も、この五カ年
計画について年度的にやるということは、非常にいまの
政府のやり方から学んでいるのです、
内容は別として。ですから、そういう点はぜひ自民党の
政府の皆さんでも取り入れていただいて、ぜひ閣議決定にするように
努力していただきたい、こう要望したいと思います。
さて、私はこの視察の結果問題点がだんだん明らかになってきた。そういう中で、一番社会施設に働く人々や経営をやっている
方々が共通して言っていることは、この働く職員の待遇
改善と養成をどのようにするか、どのように確保するかという問題が非常に深刻な問題になっているわけです。この問題についてはけさほどからかなり討議されております。
はっきり申しますと、秋津というところの療育園の
理事長はこう言っています。もう人手不足の問題についてはお手あげの状態だ、出口もなく、入り口もふさがったというのがいまの
状況だ。「昔は金が欲しかった。いまは何よりも人が欲しい。人手の問題は私
たちの力だけでは、どうにもならない。三十歳近い重症児の行き先もなく、新しい入所者を迎えることもままならない。」このことを秋津の療育園の草野熊吉という
理事長さんが私
どもに訴えておりました。
ここは新聞にも出ましたように、秋田おばこの、いわゆる天使といわれた
人たちが秋田県からかなり来たということもあったそうですけれ
ども、次第に数が減って、昨年は一人も来なかったそうです。こういう中で、
昭和三十三年以来ほんとうに身を削られるような
気持ちでこれまで盛り上げてきたこの施設、自分はもう率直に言って逃げたい
気持ちだ。だから、十五年目の記念集会に出たときも、自分はお葬式に参列するあいさつをする、こう言って私
たちに涙ながらの訴えをされているわけであります。
私は、この社会施設に働く人の手不足という深刻な問題、この問題は、先ほどから答弁にあるようにケース・バイ・ケース、個々の問題だ、具体的な問題だという一つ一つの問題だけで解決つくものであるかどうか、むしろこれは国としての
施策、国として全国的な問題として解決しなければならない問題が含まれているのではないか、こういうふうに考えるわけです。
たとえば厚生省
社会局の施設課が調べた一九七二年の
調査によりますと、民間の
社会福祉施設が八千五百五十三カ所、職員数が約十万ですけれ
ども、この平均勤続年数は、四十七年が三・八年、これが四十八年になりますと、去年になりますと、二・八年になっております。二年以下が五八・四%、約六割近い人々が二年以下でやめてしまう。三年以下になりますと六六・四%。これがいまのこうした
社会福祉施設に働く職員の人々です。これは意識がないとか、あるいはボランティア精神がないとか、こういうものじゃない。私
どもも行って、なるほどうちでとても扱えない人々があそこに入ってくる。それが三十キロ、四十キロ。障害者の施設がないから、十八歳と言ったってもう二十歳以上の方がたくさんいる。そういう重いからだを入浴させたり、一日六千八百枚のおむつを洗ったりたたんだり、こういうことをやれば、もう職員が腰痛症で倒れるまでとにかくいまの施設をやらなければならない。すべて職員の犠牲にかかっているということをはっきりと経営者自身が言っているのです。
こういう実態の中で、この社会施設に働く職員が、厚生白書によりますと約三十万人おられるそうであります。この問題について、国として、
政府として真剣に
施策を考えなければもうこれはどんどんじり貧になる。これはもう、自民党の議員の方も私
たちと一緒に行った方がこの中にもおられますけれ
ども、その方も言っているのです。こういう問題について、この待遇
改善並びにこの腰痛症といわれる職業病、これをなくすためにはいろいろ職場の環境を変えなければなりません。現にあそこは、
フジホームでしたか、あの入浴場を改良した。百万円ほどかけだそうです。それからあの自動式に動くギャッジ・ベッド、そういうことでやはり腰痛症の
方々がかなりなくなったといって
報告されております。そういうもの、あるいは一番皆さんが共通して訴えていたことは養成なんですね。つまり、こういう
社会福祉の事業に働くというためにはそれなりのやはり精神的な教育が必要であります。また同時に技術的なやはりいろいろな教育も必要なんです。そういう養成が全国的にはいまのところないそうですけれ
ども、こういう問題について
政府として、国として考えてくれないか、これはもうみんな共通の希望であり、私
どもももう、それは自民党であろうと共産党であろうと、みんな行きましたけれ
ども、みんながそうだということになっておるのですけれ
ども、そういう問題について、
厚生大臣としてぜひこの
社会福祉施設に働く職員の待遇
改善、職場環境の根本的な
改善、そして何よりも養成していくという、こういう問題について独自的に特別に私は対策を
政府の立場から、全国的な立場から考えていただきたい。そうしないとたいへんなことになるということで、私は、ぜひ
厚生大臣の所見をお伺いしたいというふうに思います。