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齋藤国務大臣 最近の
社会保険事務所の
職員には、ほんとうにお気の毒なほどたくさんの新しい
仕事をお願いをしておるわけでございます。先般成立いたしました法律によりましても、健保によって高額医療の問題、さらに
年金におきましては、
〔
委員長退席、大野(明)
委員長代理着席〕
御
承知のような
谷間にある
方々、六十七歳、八歳、九歳、これは
全国で百万人、こういう
方々が来年の一月から適用になるわけでございますから、社会
保険の
仕事に従事されておられる
方々、ほんとうにお気の毒なほどお忙しくさせておるわけでございまして、私はほんとうに心からこうした
方々の御労苦に敬意を表しております。
そうした
関係上、来年度におきましては、その
仕事の量に見合った定員増をはかる、これが実は来年度の
厚生省の
予算の非常に大きな重点に置いている問題でございます。しかし、御
承知のような総定員抑制といったふうな国の大きな方針もございますので、なかなか思うとおりの
職員を確保するということは私はたいへんなことだと思います。しかし、現在非常に御
苦労を願っておる
職員の労苦というものを思えば、何としてでもこれは最重点を置いて
努力をしていかなければならぬ問題だと考えております。そういう
意味において、来年度の
予算においては最大の
努力をいたしたいと考えておりますし、そしてまた、正式の定員が十分でない場合の
賃金などというものにつきましても、いまお述べになりましたように、千円から千五百円、なるほどそれではりっぱな方をかりに臨時の
職員として
賃金でかかえる、これは私は困難だと思います。最近におきます派出婦の
賃金を見ましても、三千円、三千五百円、そういう中で、非常に大事な
仕事をお願いしなければならぬ
方々の
賃金職員が千円、千五百円、これではなかなか私、確保することができないと思います。おっしゃるとおりです。でございますから、正式の定員の増加のためには
全力を尽くしますと同時に、それがうまくいかないとき、というのはおかしい話ですが、万一の場合に備えて、
賃金職員についてもその待過の改善に
全力を尽くす
決意でございます。
なお、それと関連いたしまして、
地方事務官の地方移譲という問題があるわけでございます。私は、るる詳しく申し上げる必要もないと思いますが、御
承知のように、労働組合は、同じ県庁の中にあって地方公務員と俸給の差が非常に違うじゃないか、何とか地方公務員並みにしてくれというところから労働組合の
要望が強く出てきておるわけでございます。しかし、また一面考えてみますと、厚生
年金なり健康
保険なりの
仕事というものは地方自治になじむかという
事務の性質、責任ということからいうと、これは地方自治に、私ははっきり申し上げますが、なじまないものであります。厚生
年金等におきましては、長いこと零細な
保険料を納めていただいて、これを蓄積して将来の
給付に充てなければならぬ、こういう非常に大事な資金を集めるという
事務、それから
給付を払っていくという
事務、これはやっぱり地方自治の
事務ではない、特別会計として国が責任を持って行なっていかなければならぬという性質のものでございます。すなわち、従事しておる
職員の
要望する
処遇ということと、行なっておる
事務というものの性質、これをどう調整するか、これが非常にむずかしい問題でございます。
ですから、私は先般の
国会においてもお答え申し上げましたように、国と地方の
事務の配分の問題、それから
事務の責任の問題、こういうことを考え、さらに
職員の待遇という三つの問題を考えて、それを調整しながら、どうすればいいかということを考えていかなければなりません。
そこで、私も実は思い悩んでおるのです。国の
仕事と国の責任ということからいえば、はっきりと地方自治から分離して国の機関をつくる、これが
一つの
方向でございます。
一つの
方向だと思います。しかし、そうなると、今度は
職員のほうでは待遇改善という問題で地方差をどうしてくれるのだ、こういう問題が起こる。非常にむずかしい問題でございます。
私も先般お答え申し上げましたように、もうそろそろ、だいぶ古いことでありますから、この辺で決着をつけなければならぬということで、先般も行管長官あるいは自治
大臣、それから私、それから労働もありますから労働
大臣、こういうふうなことで相談をしたのでございますが、あちら立てればこちら立たずということで、非常にこれはむずかしい問題でございます。熱意は持っております。何とか決着をつけたい。しかし、その決着をつけるということは地方公務員に落とす、移すということを私は端的に申し上げておるわけではありません。すなわち労働組合の
要望、国のその従事しておる
仕事の性質、それから国の責任、この三つをどう調整していくか、非常にむずかしい問題で、実はまだ思い悩んでおるところでございます。一方の説を通せば片方が反対する、片方だけ言えば国の責任をどうするのだ、こういう問題が起こるわけでございまして、この点についてはなかなか思い悩んでおりまして、これは今後
皆さん方の御
意見も十分お聞かせいただきたい、こういうふうに現在思い悩んでおります。しかし、何とかしなければならぬという気持ちは
一つも変わりありません。どうか
皆さん方にもいいお知恵をおかしいただいて、この問題を円満に解決することができるならば、私はしあわせだ、かように考えておるような次第でございます。