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阿部(昭)
委員 いま御説明の
ように、林野庁の
対策は現地でも確かに目に見えるのであります。通産省が現地に出かけられた
——これはあの今回の山くずれを起こしましたこの山に亜炭鉱の廃坑が掘られておるのであります。したがって、この廃坑が今回のこの
災害にどういうかかわりを持ったかということで仙台通産局の鉱山保安部がいち早く乗り込まれたのだと思います。しかし、林野庁は早々と現地
対策を進めるいろいろな矢つぎばやの方針を出しておられるときに、通産省のほうは鉱山の廃坑は今回の
災害とかかわりなしということをきわめてスピーディーに発表されました。私ははたしてそうなんであろうかという疑問を持っておるのであります。やはりもっと慎重に、はたしてあの廃坑が今回の
災害にかかわりがなかったのかどうかということはもっと科学的に、もっと厳密な
調査というものが要るんじゃなかろうかという気がするのでありますが、とにかくスピーディーに、かかわりなし、こういう発表をされました。現地では、そうあっさりと結論が出るものかどうか、こういう疑問を若干持っておる。そこで、この現在くずれました山、この山にまだくずれておらぬところがあるのであります。これが同じ
ようにくずれるんじゃないかというので、現地
災害対策本部におきましては
避難命令を発しておるわけであります。したがって、これに対してはいち早く警報機を
設置するあるいは水抜きなり、さらにこの崩壊を防止するための手だてをいろいろに講じておられる、しかし、まだ現地の
災害対策本部としては
避難命令解除というわけにはなかなか簡単にまいらない、こういう
状況にあります。これは大蔵村赤松地区の
災害対策本部のみならず、同じ山形県内の平田町小林地区の地すべり、これは地すべりがずっと続いてきたのでありますけれ
ども、幸いに人畜に
被害がない間に
状況を掌握して、これにも水抜きとか警報機とか、いろいろな応急
対策が講ぜられて、そして根本的な地すべりを防止するという
対策が進められつつあります。ところで、問題はここでもやはり現地の町当局、
災害対策本部としては
避難命令を発しておる。しかし
避難命令を発しっぱなしで、いつこの
避難命令を解除できるかということについてはなかなか確信が持てない。もし
避難命令を解除して、さらに崩壊が始まったりあるいは地すべりが起こったということになるとえらいことになるというので、たとえば小林地区の地すべり
対策については
避難命令を発しっぱなしでなかなか身動きがつかぬという
ような
状況にあるのであります。そういう
状況は赤松地区の場合も小林地区の場合も同じことでありますが、特に赤松地区の
ような場合になりますと、とにかく十七名のとうとい人命が失なわれた。さらに大ぜいの皆さんが現在病院に入院して負傷を治療しておる。家屋の損壊等もずっとある。それから耕地やなんかの埋没等々もある。
水道の
施設やその他もやられておるということでありますから、ここから一体どうするかということにつきましては、防災のための集団移転の国の補助、国の援助、この法律に基づく現地の対応を、現地
災害対策本部としてはいま精力的に
指導しておる、こういう
状況にあるわけであります。
そこで問題は、たとえば山の崩壊を食いとめるためのいろいろな
工事はやられるわけですね。しかし、赤松地区でいえば、現地の報告によりますと、私が
調査にまいりましたときでも、すでに二十万立米に近い土砂が家屋を埋め尽くし、倒壊させ、あるいは耕地を全部埋没さしておるのであります。したがって、いま応急のことは仮住宅をつくるとか、十七名の皆さんの遺体を五日間か六日間かかって掘り出しました。
水道を応急的に
復旧するとか、いろいろな応急的なことはやられておるのです。しかし根本的なことになると、さてどうするかということについて、山の崩落をさらに起こらぬ
ように防止するということは、すでに林野庁を
中心にいち早い
対策が講ぜられつつありますけれ
ども、この
地域の皆さんの更生をどうするか、自立更生をどうするかということにつきましては、なかなかそう快刀乱麻を絶つ
ようなわけにはいかぬ、こういう
状況にあるのであります。
そこで、国の
災害対策基本法によりますれば、なかなか法律というのはうまくできておるのでありまして、三条では国の責務、これをきわめて明快にしておるわけであります。「国土並びに国民の生命、身体及び財産を
災害から保護する使命を有することにかんがみ、組織及び機能のすべてをあげて防災に関し万全の措置を講ずる責務を有する。」、しかしだんだんに読んでみると、都道府県もこういう
責任を負い、市町村もこういう
責任を負う、こうなってくるわけであります。そこで一般的な
災害復旧のルールというか、そういうものがちゃんとでき上がっておる
部分と、なかなかそれが十分なわけにいかぬという
部分が
——何といっても、個人の、
災害によって失っておるものここからどう立ち上がるかということに対する政策的な観点は、まだまだ非常に弱いということを痛感しないわけにはまいりません。
したがって、まず問題を一つしぼって申しますと、住宅を失いました、十七名の死んだ皆さんの命は返ってまいりません。しかし二十戸ほどの住宅を失った皆さんが立ち上がっていくためには、住宅を何とかしなければならぬのです。このことは、簡潔に言うと、一体どういう手だてをすることが最もいいというふうに政府のほうではお考えになっていらっしゃるのか。このことをきわめて簡潔にひとつ、こういう
やり方で
——住宅を失って、とにかく住むことができないということは何ともならぬことでありますから、住の問題からまず解決しなければならぬ。これの最もいい方法は皆さんに、この方法でこうすればこうなるのだということをひとつ明快に教えていただきたい、こう思うのです。