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1974-04-25 第72回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年四月二十五日(木曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長代理 理事 金丸 徳重君    理事 宇田 國榮君 理事 高鳥  修君    理事 安田 貴六君 理事 米田 東吾君    理事 諫山  博君       越智 伊平君    笹山茂太郎君       志賀  節君    島田 安夫君       竹中 修一君    旗野 進一君       細田 吉藏君    村岡 兼造君       綿貫 民輔君    阿部未喜男君       金瀬 俊雄君    川俣健二郎君       柴田 健治君    中川利三郎君       高橋  繁君  出席政府委員         農林大臣官房審         議官      松本 作衛君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房参事官    杉岡  浩君         農林省農林経済         局金融課長   植木 建雄君         農林省農林経済         局保険業務課長 山村弥五郎君         農林省構造改善         局農政部農地業         務課長     黒瀬 彰義君         農林省構造改善         局建設部長   福澤 達一君         農林省構造改善         局建設部防災課         長       棚橋 正治君         農林省農蚕園芸         局総務課稲作対         策室長     松山 光治君         農林省農蚕園芸         局農産課長   工藤 健一君         農林省農蚕園芸         局植物防疫課長 福田 秀夫君         農林省農蚕園芸         局果樹花き課長 北野 茂夫君         農林省食品流通         局野菜計画課長 戸田 博愛君         気象庁観測部地         震課長     末広 重二君         建設省道路局企         画課長     浅井新一郎君         日本国有鉄道施         設局長     篠原 良男君     ――――――――――――― 委員の異動 四月二十五日  辞任         補欠選任   田澤 吉郎君     笹山茂太郎君   柴田 睦夫君     中川利三郎君 同日  辞任         補欠選任   笹山茂太郎君     田澤 吉郎君   中川利三郎君     柴田 睦夫君     ――――――――――――― 四月十九日  新潟県粟島浦村の風浪害復旧対策に関する請願  (小沢辰男君紹介)(第四九八五号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月二十三日  国鉄飯山線雪害対策強化促進に関する陳情書  (第五四三  号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  災害対策に関する件(豪雪地帯における雪害対  策)  派遣委員からの報告聴取      ――――◇―――――
  2. 金丸徳重

    金丸(徳)委員長代理 これより会議を開きます。  阪上委員長所用につき、委員長の指名で私が委員長の職務を行ないます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  去る二十日、二十一日の両日にわたり、秋田県に、豪雪による被害状況調査のため委員派遣を行ないましたので、現地に派遣された委員から報告を聴取いたしたいと存じます。竹中修一君。
  3. 竹中修一

    竹中委員 秋田県における豪雪による被害状況、特に果樹等被害実情につきまして、去る二十日及び二十一日の両日にわたり、天野理事金丸理事津川委員高橋委員及び私竹中と、それに現地から村岡委員川俣委員笹山議員根本議員中川議員の御参加を得て、調査を行なってまいりました。  本日は、時間の関係で、要望事項等の詳細につきましては、本委員会議録末尾参照として掲載していただくこととし、以下調査の概要を御報告申し上げます。  今冬は、異常気象の影響もあってか、北日本の各地に豪雪をもたらし、人的、物的に相当の被害を与えましたことは、すでに御承知のとおりであります。  先般、視察いたしました新潟、福島、秋田、青森各県など、信越、東北地方における雪害対策実情につきましては、当委員会におきまして御報告申し上げたとおりであります。  特に、秋田県の横手市など県南部は、観測所開設以来の豪雪により、交通の途絶を来たし、住民の生活経済活動に著しい支障を与えておりました。  先般の災害視察の際には、リンゴ樹等果樹は、雪に埋まっており、被害が明らかでありませんでしたが、相当な被害が予想され、その対策が急務でありましたので、融雪期を待って、再度、実情調査いたした次第であります。  まず、秋田県庁におきまして、同県における豪雪被害状況対策につきまして、県当局から説明を聴取いたしました。  知事の説明によりますと、同県における消雪の状況は、今冬は記録的な積雪であったが、四月に入り消雪の速度が速まり、中央部以北平坦部はほとんど消雪を見たが、県南部で三十センチから五十センチ、山間部で一メートル以上の積雪がある。これは、平年の消雪期に比較すると八日から十五日程度のおくれとなっている。県内の各河川は現在のところ、若干水位が上がっている程度であるが、これから本格的な融雪水が予想されるので、なお警戒を要する。  次に、豪雪による被害であるが、人的被害としては、なだれ雪おろし建物崩壊等による死者十四名、負傷者三十名、また物的被害リンゴブドウナシ等果樹をはじめ、園芸用ハウスなどの施設を含めた農業関係食用鯉などの水産関係造林木などの林業関係、その他民生関係教育関係等総額九十三億円にも達している。  このため県独自の対策として、被災者に対する見舞い金の給付、秋田農業関係豪雪被害対策資金の創設及び秋田稲作異常気象対策本部設置するなどの措置を講じて、鋭意、救済、援護につとめておる旨の説明がありました。  次に、県からの要望事項を申し上げます。第一に、天災融資法発動に伴う特別被害地域指定、第二に、自作農維持資金等制度資金貸し付けワク大幅増額、第三に、既借り入れ各種制度資金償還期間延長するとともに、繰り延べ期間中の支払い利息全額助成、第四に、農業用施設園芸施設並びに水稲育苗施設復旧に対する特段の助成措置、第五として、果樹に転作した農家被害に対する助成措置などであります。  また、関係市町村からは、被災果樹農家に対し、経営及び生活維持のため、資金を五年間にわたり継続貸し付けができるような特別措置及び果樹農家の窮状を救うため、国において特別に高率補助樹園地農道整備事業を興し、果樹農家労働力に対する収入確保をはかられたい等の要望がありました。  次に、視察の順序に従いまして、被害状況を御報告いたします。  最初視察いたしました横手大沢ブドウ園は、豪雪によりまして太い支柱が倒され、そのためブドウだなはくずれておりました。加えて、野鼠により樹皮が食い荒らされ、裸同然になった幹が天日にさらされ変色して、一見サルスベリの木と見まごうばかりの状態でありました。  同ブドウ園は総面積が三十五ヘクタールでありまして、被害額は、樹体年収穫量ブドウだなのそれぞれについて、六割から八割に及ぶとのことであります。楢沢地区果樹園は、山の中腹の南側に面したリンゴ畑でありますが、樹園地は薄よごれた雪がいまだ五十センチも残ってリンゴの木の根元をおおっておりました。  園主はかつて天皇杯を受賞するほどの優秀なリンゴ生産した篤農家と聞いておりますが、今年は収穫さえおぼつかないとのことであります。  増田町下町地区果樹畑は、十四ヘクタールにも及ぶ水田転換果樹園として、数年後の収穫に大きな期待が持たれておりましたが、野鼠によりまして、全長約一メートルのリンゴ若木根元が完全に食い荒らされ、根はまる坊主となり、枯れ木に変わった木々は、容易に手で抜くことができる状態で、こうしたことから全滅も予想されております。  稲川町東福寺地区では、雪の重みで幹が裂け、ボルトやかすがいで応急の措置を施した樹齢二十年を越すリンゴの木のそばで、町当局から説明を聞いたわけでありますが、それによりますと、今回の被害は平年の収入額の五割、約二億円にも達しており、全体の九割について改植を必要とするもので、少くとも五年間は収穫が皆無となります。これがため出かせぎ等転職を希望する者が多数にのぼっており、同町のリンゴ生産は壊滅のおそれもあるとのことでありました。  最後視察いたしました大曲市大川西根共同苗しろは、四百二十ヘクタールに及ぶ水稲育苗をいたしておりますが、今冬はこの地区で三月二十日現在、百五十センチ以上の残雪を見ております。苗しろは急を要するので、除雪を精力的に行なったとのことでありますが、いまだに残雪が見られる状況でありました。なお、除雪に要した費用は、五日間で約二十万円にのぼったとのことであります。この苗しろは圃場整備事業として鋭意作業を進め、五月二日ころには作付を完了する予定でありますが、現在のところ、それも憂慮される実情にあるとのことでありました。  最後に、視察団の所感を申し述べたいと存じます。  まず、果樹被害についてであります。  豪雪により、その重量をささえ切れないリンゴ樹体は主枝の裂開や枝折れが、また、ブドウ園については、ブドウだなの崩壊が随所に見られました。  さらに、今回の視察を通じまして顕著になりましたことは、野鼠による被害であります。今冬は、初雪が根雪になったため、野鼠対策が十分でなかったことと、異常な積雪により、野鼠は餌に不足を来たし、手当り次第にブドウリンゴ樹の根を食したものであります。特に野鼠若木を好み、根元樹皮が一まわり食されると枯れ木となるとのことであります。  これが果樹対策といたしましては、第一に、早急に天災融資法発動特別被害地域指定を行なうとともに、あわせて激甚災害指定をもなすべきであります。  第二に、リンゴ優性化栽培の問題であります。育成期間が短いとか収穫作業が省力化されるなどすぐれた技術ではありますが、今冬の被害実態にかんがみ、地域実情に即した技術指導を行なうべきであります。  第三に、野鼠対策といたしましては、野鼠剤をまくとかあるいは幹に忌避剤を塗るなどの指導がなされておると聞いておりますが、年間を通じて効果的な防除策を講ずるよう、周知徹底すべきであります。  第四に、ブドウ畑復旧等に要する資材については、物価高騰品不足のおりから、円滑な供給をはかるよう配慮すべきであります。  第五に、樹体被害に伴う改植及び補植のための苗木については、被害の態様、程度等を勘案して特段の助成措置を講ずべきであります。  第六に、改植しても成木になるまでは五年を要すると聞いておりますが、その間の収入減に対するこれら被害農家救済措置としては、自作農維持資金の活用をはかるなど何らかの措置が講ぜられるべきであります。  第七に、果樹共済はすでに被害のはなはだしい地域については、必要に応じて共済金の仮渡しを行なうよう指導されたと聞いておりますが、東北各県は加入率が低いので、加入促進をはかるとともに、若木についても加入対象とするよう検討すべきであります。  次に、苗しろ対策についてであります。豪雪地域における苗しろ設置は遅延が予想されておりますので、地域実情に応じ、共同苗しろ、委託苗しろ等必要なかかり増し経費について助成措置を講ずべきであります。今冬の豪雪による果樹被害並びに苗しろにつきましては、今回視察いたしました秋田県だけではなく、豪雪地帯共通の問題であります。  なお、懸念されました融雪に伴うなだれ洪水等による大きな被害は、幸い今日まで発生しておりませんが、今後とも厳重な注意が肝要であります。  前後二回にわたる視察を通じまして感じましたことは、東北人特有の粘り強さをもって農産園芸に従事している方々に対して、関係政府においては、これら生産農民期待にこたえるためにも、今年度予算を有効に活用して、緊急に諸対策を講ずべきであります。再び、来年も本年同様の豪雪に見舞われないとは保証できません。今日ただいまから国、県及び市町村は一体となって所要の施策を推進し、これら対策に万全の措置を講ずるべきであります。  終わりに、今回の調査に御協力いただきました秋田県はじめ関係市町村に対し、厚く御礼申し上げ、派遣団報告といたします。
  4. 金丸徳重

    金丸(徳)委員長代理 これにて派遣委員からの報告は終わりました。  派遣委員各位には、まことに御苦労さまでございました。     —————————————
  5. 金丸徳重

    金丸(徳)委員長代理 なお、ただいま報告にございました詳細の要望事項につきましては、これを会議録末尾参照として掲載いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 金丸徳重

    金丸(徳)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     —————————————
  7. 金丸徳重

    金丸(徳)委員長代理 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。村岡兼造君。
  8. 村岡兼造

    村岡委員 今回の秋田県の豪雪に対する視察円報告がありましたが、その前に、先般秋田県における鳥海山噴火がございましたが、昨日の朝また五十日ぶり噴火噴煙があったということで、新聞等でしか私知っておりませんが、南側斜面に相当な降灰があってまっ黒になっておる。また泥流もいままで以上に認められておるといたような状況。また、いままで噴煙がとまっておりましたので、ちょうど今度この地帯観光シーズンになっておりまして、したがって近く入山禁止規制を緩和するというように聞いておりましたけれども、再び噴煙を見たというようなことで、この観測体制やら状況を、ひとつ知っている範囲において気象庁でお知らせを願いたいと思います。
  9. 末広重二

    末広説明員 お答え申し上げます。  御承知のとおり三月一日に鳥海山が長い眠りからさめて噴火活動を、おもに噴煙でございますが、噴煙活動を始めまして、これは約一週間でおさまりまして、その後は約五十日間白色の噴気活動、これは程度が低い活動であります。それを続けておりましたところ、御指摘のとおり四月二十四日の未明に新山西側の割れ目にある従来白い蒸気だけしか出してなかったところから、降灰を伴う黒色の噴煙が数百メートルの高さに吹き上げたわけでございます。これで山頂付近から百宅という御指摘の側の斜面でありますが、そこにかけましてかなりの量の灰が降りました。その後直ちに飛行機による観測をいたしましたところ、この噴煙は約二百メートルの高さまで吹き上げておりました。  なお、ちょうど時期を同じくいたしまして西側斜面に二次泥流と思われるものが、ちょうどこの外輪山の沢になったところに沿いまして鳥越川の上流まで約火口から三キロの長さにわたって認められました。これは上のほうは数百メートルございますが、下のほうはだんだん細りましてほんの数メートルの幅になって、どうも一部は鳥越川上流に流れ込んでいるように見えるわけでございます。  私どもは直ちに第一回の三月の噴火活動直後から東北大学と緊密な連係のもとに、表面にあらわれない火山に伴う地震現象観測を始めまして、現在もこれは続行中でございます。ただいまこの二十四日前後の記録を大学方面と照らし合わせて解析中でございますが、私どもの猿倉に置いてあります観測点に関する限りでは、二十四日以前あるいはこの二十四日以後も地震の数が特にふえているようには思えないのでございます。  こういう状態でございまして、確かに五十日ぶり噴煙は上がりましたが、すぐその午後には噴気活動のほうにどうも戻ったようでございます。今朝はまだ連絡がないところを見ますと、残念ながら雲におおわれて観測ができないかと存じますが、そう大きな大活動期に入ったとは思われません。  それから御質問の、一体どの程度入山規制をしたらばよいかということでございますが、これは最後的な御判断地元の地方自治体がなさることでございまして、気象庁といたしましてはその御判断にお役に立つような有効な情報を差し上げるということでありますが、現在の活動状況から見ますと、灰をかぶるということはあるかもしれませんが、必ずしも、全山立ち入り禁止というほどのことをしなくても、ほんとうに危険なのは火口からおそらく四キロとか五キロとか離れた範囲のあたりはほんとうに危険である。それ以外のところは、特に泥流の心配のある沢などにお入りにならない限り、いま申し上げたとおり降灰を頭に浴びるということはあるといたしましても、そう危険なことはないと判断しております。
  10. 村岡兼造

    村岡委員 ただいま御説明を受けましたが、百五十年ぶり鳥海山噴煙噴火でありますので、ひとつ今後とも十分監視体制をとられることを要望いたしまして、気象庁のほうは終わりたいと思います。  次に、今回、二十日にこの委員会で異例の二度の視察を行なっていただきました。地元として委員会あるいは関係各位に対してたいへん感謝をいたしておるところでございます。二度も来ていただきたいということは、ただいまの報告のとおり今冬の豪雪は異常な豪雪でありました。視察に行った際、農業方々は国に対する要望その他期待をもって陳情をされておったわけでございますが、いろいろな法律施策があるわけでございますが、これをいかに駆使したといたしましても、今冬の豪雪の償いが全部できるというわけではございません。したがって、この対策としてあの農業方々あるいはまた交通においても今後どのような対策をしていかなければいけないか、また働く意欲を失わしめない、起こさせるというような方向で対策を練っていかなければならぬだろう、根本的にはそう考えるわけでございます。したがって、御答弁方々もそういうような意を体しまして、時間の関係上簡潔に御答弁を願いたい、こう思っておるわけでございます。  第一番に天災融資法適用特別被災地域指定あるいは激甚災害としての指定ということは地元から強く要望されておりましたけれども、この点に関してどうなっておるかお尋ねをいたしたい。
  11. 植木建雄

    植木説明員 お答え申し上げます。  ただいまお尋ねをいただきました天災融資法適用の問題につきましては、かねて当委員会でも御説明申し上げていたところでございますが、今回の豪雪につきましてはその被害が非常に甚大であるということが判明をいたしてまいりましたことにかんがみまして、直ちに天災融資法並びに激甚災害法適用につきまして検討いたしました結果、同法を発動するということで現在鋭意事務処理を進めております。  私ども事務処理から申しますと、明日の閣議に付議をいたしまして、これは政令を発動いたすことに相なりますので手続をいたしております。したがって、閣議に付議されました暁におきましては、直ちにその実際の段取りが行なわれるということになるかと思っております。
  12. 村岡兼造

    村岡委員 天災融資法発動適用ということについては明日ということでお話がございましたけれども、次に、今回の被害農家に対する助成措置についてこれから質問をしたいわけでございますが、自作農維持資金制度資金貸し付けワクを大幅に増額さしていただきたい。それからまたすでに借り入れがございました各種制度資金についての償還期間延長、それからまた繰り延べ期間中の支払い利息助成されたい、こういう要望が強く被害農家から出ておるわけでございますが、これらの点に関しまして御答弁を願いたいと思います。
  13. 植木建雄

    植木説明員 お尋ねをいただきましたうちで、借り入れ金償還に関します延長猶予の問題につきまして、先にお答えをさせていただきます。  既借り入れを行なっております各種制度資金につきましては、当然のことながら、この災害に伴いまして償還期間延長するとかあるいは中間据え置きを設定する等の各種猶予措置が必要であると考えております。したがいまして、私どもといたしましては、すでに四月十八日付をもちまして、農林経済局長名をもちまして関係融資機関に対して、「昭和四十九年一−二月の降雪による被害農林漁業者に対する既貸付金条件緩和」という通達を指示をいたしております。災害に対する各種金融機関の扱いにつきましては、これを受けまして、それぞれ、すでに借り入れている資金につきまして各種条件緩和が行なわれることに相なっております。個々の経営実情に即して適切な措置をとるようすでに依頼をいたしておるわけでございます。  それから繰り延べをいたしました間の利子の問題でございますが、これは元本につきまして繰り延べをいたすということと、その間の利子につきましての助成という問題かと思います。利子につきましては、繰り延べをいたしましても、やはり原則としては、たてまえとしては払っていただくということに相なるのでございますが、特に農業近代化資金等につきましては、そういうような事態も含めまして農業信用基金協会保証制度というのを実はつくっておるわけでございます。これによりまして、利子すら払えないというような場合には、代位弁済ということが発生をいたしまして、そういうことによりまして肩がわりが行なわれるということで救済をされる仕組みになっております。この制度につきましても十分活用いたすよう指示をいたしておるわけでございます。  なお自作農維持資金につきましては担当課長からお答えいたします。
  14. 黒瀬彰義

    黒瀬説明員 自作農維持資金のことについてお答え申し上げます。  今回の豪雪につきまして自作農維持資金需要がございますが、その需要実態を十分に踏まえまして、それに必要なだけの資金ワクは確保するように努力してまいりたいというふうに思っております。
  15. 村岡兼造

    村岡委員 次に、農業用施設園芸施設並びに水稲育苗施設の普及に対しての助成措置関係はどうなっているか、また、視察もいたしましたが、苗しろのおくれについての対策はどうとっておるか、この二点についてお伺いいたしたいと思います。
  16. 工藤健一

    工藤説明員 最初お尋ね施設復旧関係でございますが、農業用施設につきましては、御存じのように農協とか農協連合会共同利用の場合には農林水産業施設復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律というのがございます。それに基づきまして、その復旧に対しまして助成することになっております。これは一カ所の工事が十万円以上で補助率が十分の二になっております。このほか暫定法対象にならない個人所有施設復旧につきましては、農林漁業金融公庫から自作農維持資金等の融通の道が開かれております。  それから第二番目の御質問の苗しろの対策でございますが、われわれといたしましては、三つの方途を考えまして、財政当局と現在詰めておる段階でございます。  第一番目は、共同苗しろの設置事業でございます。これは雪が深くて苗しろがなかなかできがたいという場合に、同じ市町村内で、共同で苗しろ用地を借り上げまして、そこに共同苗しろを設置するという事業でございまして、これに対しまして、苗しろに要します保温資材とか、それから用地借り上げ費とか、融雪促進費機械除雪費等助成を現在検討いたしております。  それから二番目が、委託苗しろでございます。これは比較的雪の少ないところがあります場合に、そういうところに苗づくりを委託をする事業でございまして、この場合には、同様に保温資材とか、苗しろ用地借り上げ費、それから苗の輸送費等助成を現在検討いたしております。  それから三番目は、最近は、いわゆる田植えの機械移植が盛んになってきております。その場合の苗づくりは苗しろではなくて、ハウス箱育苗をいたします。その場合の保温資材費とか、あるいはハウス用地借り上げ費、それからハウス用地融雪促進機械除雪助成、それから遠距離の場合は稲苗の輸送費等助成措置を講ずるように、現在市町村別に対象面積がどういうことになるか、県のほうに連絡をしまして、調査いたしている段階でございます。
  17. 村岡兼造

    村岡委員 今回、それぞれの業種において非常な被害があったわけですが、最も被害の多かったのは果樹農家で、農業災害のおそらく九五%も果樹農家が受けておるというような状況でございます。したがって、生産調整で稲作転換をやる、二、三年しまして、先ほどの報告にもありましたけれども若木がネズミに食われて全滅というような状況があった。また転換しない農家でも、もともとの農家であっても、この果樹が、あのように大木が割れておる、この復旧には、少なくとも三年から、あるいは数年かかる、こういうような状況を踏まえまして、第一点は、この改植等に対する助成措置の点はどうか。  それからまた、水田を転換して果樹園にした場合、米の生産調整は年限があって、打ち切られるわけでございますけれども、これを継続できるのかどうか。もしできないとするならば、これらの点に関しまして、何らかの方法でこれを救えるのかどうか。この二点をひとつお伺いいたしたいと思います。
  18. 北野茂夫

    ○北野説明員 災害を受けました果樹の場合に、改植または補植を必要とする場合には、過去におきましても、このような災害において苗木の共同育苗事業を実施した例もございますので、今回の災害につきましても、このような前例に準じまして措置する考えでございまして、現在のところ、被害状況あるいは程度等を勘案して作業を進めておるところでございます。  なお、苗木の育成とか植栽等に対する融資につきましては、農林漁業金融公庫果樹植栽資金あるいは農業近代化資金の貸し付けの道が開かれておりまして、さらにすでに借り入れました制度資金等の償還延期等の問題につきましては、先ほど金融課長が答えましたような措置を検討しているところでございます。  なお、水田転換関係に関しましては、稲作対策室長のほうからお答えいたします。
  19. 松山光治

    ○松山説明員 お答え申し上げます。  まず第一点の稲作転換の奨励補助金の延長の可能性の問題でございますけれども、御承知のとおり、稲作転換対策は、米の需給問題に対処いたしまして、稲から作物への転換を進めていくということを基本といたしまして、閣議了解に基づいて、昭和四十六年度から昭和五十年度までの計画ということで実施しておるわけでございます。五十一年度以降の扱いにつきましては、これまでの施策の成果を踏まえながら、米の需給事情でございますとか、農業生産の再編成の問題、さらには米の管理のあり方の問題、こういった諸問題を含みます農業政策の今後の方向づけというふうな大問題とからめながら、今後慎重に検討していくべき問題だというふうにわれわれとしては考えておりまして、そういう全体的な取り扱いの問題ということになりますので、御質問の点につきましては、いまのところ何ともちょっと判断しかねると申しますか、はっきりしたお答えができない事情にございます点を御了承をいただきたい、こういうように考えるわけでございます。  第二点の何らかの特別措置を講ずべきではないかということでございますけれども、先ほど来、各関係のところから御答弁がございましたように、今回の災害に対しまして、私どもとしましても、非常にお気の毒であるというふうに考えておるわけでございますけれども、いろんな関係災害関係施策が行なわれる、さらに、幸いと申しますか、稲作転換奨励補助金につきましても、なお、ことし改植されますれば、ことしと来年度の二年間は一応出るわけでございますので、その辺のところを御活用いただきまして、何とか早く復帰といいますか、立ち戻っていただきたいということをお願いするわけでございまして、事柄の性格上、何らかの特別措置を講ずるということは、やはり困難ではないかというふうに考えております。
  20. 村岡兼造

    村岡委員 それから果樹収穫がことしは大幅に激減をするような状況でございますが、冷蔵庫、選果場その他に入ってくるものが少なくなって、遊休化してくる。返済計画があるわけでございますが、借り入れ資金の返済が不可能となってくる。同時に、またこれらの返済資金繰り延べ利子補給というような点についてはどう考えておりますか、御答弁を願いたい。
  21. 北野茂夫

    ○北野説明員 冷蔵庫、選果場等のいろいろの施設が、生産物が減ったために利用度が少なくなりまして、運営困難になり、制度資金等の返済が十分に行なわれないというようなおそれに対しましては、やむを得ない事情で制度資金償還等が困難になった場合には、融資機関の判断償還条件の変更を行なったり、あるいは近代化資金の場合は、とりあえず、先ほど金融課長がお答え申し上げましたように、保証機関が代位弁済を行なう方法等もありますけれども、具体的な取り扱いについては、現地で個別の実情に応じた処理をするように県を指導してまいりたい、そのように考えております。
  22. 村岡兼造

    村岡委員 今回の視察で、これは根本的には豪雪ということから起こってきた原因であろうかと思いますが、現地の人も、初めて野鼠被害が非常に大きい、私どももこのネズミの被害でびっくりしたわけでございますけれども、こういうような豪雪のときの病害虫の発生あるいはこの野鼠対策むしろ果樹園によっては野ネズミの被害のほうが多いというようなところもございました。これらの病害虫の防除に対する助成とかあるいは野鼠対策について今後どうしていくか、御答弁を願いたいと思います。
  23. 福田秀夫

    ○福田説明員 病害虫の防除を適切にやります場合には、何よりもまず病害虫の発生の実態をいち早くつかみ、その被害の少ないうちに手を打つことが緊要でございますので、かねてから国及び県に助成いたしまして、発生予察事業を実施いたしております。今回のような場合も、この発生予察事業の適切な運用によりまして、その被害を早期に把握するということにまずつとめてまいりたいと考えておりますし、またその結果として病害虫の防除を適切にやるためには、末端の防除組織というものの整備も必要でございますので、病害虫防除組織整備事業というような補助事業、これの事業の中で各種の補助を行なっておりますが、そういったものの充実と、適切な運用によりまして防除が可能であるというような体制の整備をはかってまいりたいと考えております。また、こういった災害によりまして農作物に対する病害虫の異常発生と申しますか、そういったことが懸念されるような場合には、すでに病害虫の異常発生対策としまして、都道府県のほうに高性能の防除器具の補助を行なっておりますので、こういった防除器具の適切な運用によって対処してまいりたいと考えております。  また野鼠につきましては、野鼠の生態等からこの発生の予測ということがなかなかむずかしゅうございますので、いま野鼠の発生を予察する野鼠発生予察実験事業というものを実施いたしておりまして、密度の調査方法等の調査研究を進めておるところでございます。実際に野鼠被害が出てしまったあとの対策につきましては、果樹に関しまして果樹課長のほうからお答えいたしたいと思います。
  24. 北野茂夫

    ○北野説明員 今回の豪雪によります果樹野鼠、野兎による被害は、まさに相当の激甚なものでございまして、その原因につきましては、先ほどの調査報告にもございましたように、例年行なっております殺鼠剤の散布等による防除をやることをやらないうちに免疫になってしまったというようなことで、まことにやむを得ない事情があったわけでございますけれども被害の甚大な様相にかんがみまして、私たちのほうからは、林業試験場の東北支場から鳥獣の専門家である研究室長を派遣しまして、現地のいろいろな実情調査、あるいはそれに基づきまして今後の防除の方法等について十分なる調査をしていただきました。  その一つとしましては、野鼠が生息しやすいような環境になっている果樹園が多いというようなことも一つの原因になっておりまして、それは果樹園の地力を増強するために牧草あるいは飼料作物等を園地において栽培したためにそれが野鼠の絶好の住みかになっている、あるいはそういう牧草等を食べるために周辺のネズミがその果樹園に集まった、そういうようなこともございまして、特に水田転換で周囲が水田の中にある果樹園被害等が多いわけでございますけれども、そういう場所につきましては、今後果樹園を清掃するといいますか、きれいにしておくということと、免疫にならない前に事前に殺鼠剤、忌避剤等を使用することはもちろんでございますけれども、ネズミ等につきましては非常に数が多いし、繁殖力も旺盛なものでございますから、たくさん被害があったということであわてて対策を講じてもなかなか効果は期待できませんので、今後は周年、年間を通じて、しかも共同で広範囲に一斉に防除するということを継続的に実施していく必要があるということで、そういう面に関しましては今後私たちのほうから十分な指導をしていきたいと思っております。  なお、野ウサギ等につきましては、ただいまネズミについて申し上げましたようなことを行なうと同時に、狩猟期間等を延長するというようなことによりまして、ハンターによる捕獲ということも積極的にやっていきたい、そのように考えております。
  25. 村岡兼造

    村岡委員 時間の関係上、またこの農業関係については地元委員の方からもあとから御質問があろうかと思いますので、農業関係についてはこれで打ち切りまして、次に国鉄関係のほうに御質問申し上げるわけでございます。  従来は、冬季の積雪時におきまして、足の確保で最もたよりになるのが国鉄であるということで県民は思っておったわけでございますが、三十八年を上回る今冬の雪はたいへんな雪でございました。したがって、相当運休あるいはもう相当な日数が動かないというようなことで、県民の生活あるいは経済、こういうものに対する影響が非常に大きなものがあったわけでございます。  この回復のため国鉄といたしましても最善の努力はされておったけれども、やはりそういうように相当な運休が出た。したがって、県民としては、何とかひとつこの積雪時の場合に国鉄の対策というもの、豪雪に対する国鉄の今後の備え、対策はどうか。  同時にまた、ことしは秋田県の幹線であります奥羽本線あるいは羽越本線、相当運休をいたしました。これらの線には複線電化の整備計画があるわけでございますけれども、なかなか進んでおらない。これらの整備計画の見通しと、一日も早く達成をしていただきたい、そういうようなことでひとつ国鉄当局のお考えを伺いたいと思います。
  26. 篠原良男

    ○篠原説明員 先生御指摘のとおり、今冬の豪雪で、奥羽本線、南線のほうは四日、羽越線が二日間、田沢湖線、角館線が五日間というように列車をとめまして、非常に御迷惑をかけたことは事実でございまして、私たちとしましても今冬の雪を契機に雪害対策を見直したい、かように考えております。  従来雪は、三十八年の豪雪以来上越あるいは北陸のほうがやられましたので、そちらに対する対策が非常に強くて、秋田の管理局管内の雪に対する対策が、新潟あるいは金沢よりは弱かったということは率直に認めまして、見直したいと思っております。御承知のとおり、実は私のほうで昭和の初期からずっと過去の豪雪の統計をとっておりますが、今冬の豪雪は、秋田は三十年確率を約五割くらい上回る、四十五年に一回くらいの豪雪でございました。横手の最大積雪及び最大降雪、両方とも三十年確率を越す豪雪でございまして、従来の設備ではもたなかったというのが実情でございます。  現在国鉄が考えております雪害対策といいますものは、三十年に一回くらい降る大雪に対して、四次規制くらいで運転を確保していきたいというので設備投資をやってまいりましたのですが、秋田の管理局につきましてはそれを上回る豪雪であったために、近く技師長を委員長とする雪害対策専門委員会で見直すようにお願いしております。したがいまして、たとえば除雪従事員が過去五年間で約六万人くらいが一年の平均でございましたが、今冬は二十五万人、約四倍くらいの除雪従事員を使っておりますし、除雪車が約三倍、モーターカー、ラッセルあるいはロータリーなどが三倍くらい動いております。また、雪捨て列車も従来五カ年平均の六倍動いたというのが実情でございます。こういうようなデータをもとにいたしまして、雪害対策専門委員会で奥羽南線あるいは北線及び羽越線の雪害対策を考えていきたい、かように考えております。  それから御質問の第二番目の、奥羽及び羽越本線の線増、電化計画でございますが、私所管が施設局でございますので、電化についてはちょっとつまびらかでございませんが、線増について私が調べました範囲でお答え申し上げます。  奥羽北線につきましては、秋田−川部間は運輸大臣の承認済みで現在着手しておりまして、六〇%が完了しております。川部−青森間は現在その線増の検討中でございます。それから大曲−秋田間は、大臣の認可を得まして、現在峰吉川−秋田間が施行中で、大曲−峰吉川間はまだ着工いたしておりませんが、現在調査しております。それから大曲以遠、羽前千歳までは、線路容量の少ない区間から優先して大臣認可をとって部分線増しておるというのが実情でございます。それから福良−羽前千歳間は現在五〇%くらい完了しております。それから羽越線につきましては、新潟秋田間は大臣認可を得ておりまして、現在鋭意着工中でございまして、新潟−新発田間につきましては、現在大臣認可を申請中でございます。  従来の線増は輸送力が詰まっておる、あるいは都市が非常に開発されてきて、複線化をすべきであるというような観点からやってまいりましたが、先般当委員会でも御指摘を受けましたが、雪捨て列車の回数あるいはラッセルの回数が非常にふえてくる今回の豪雪を考えますと、そういう見地からも線路容量が足らない、したがって線増すべきではないかというようなことが当然考えられると思いますので、雪害対策専門委員会を通しまして雪に対する線路容量というものも加味して検討していただくようにお願いいたしまして、現在雪害対策専門委員会で雪に対する観点からも、従来の線増の考えに加えて検討していただくようになっておるというのが実情でございます。
  27. 村岡兼造

    村岡委員 いま鉄道のほうで質問を申し上げましたが、これも相当な被害でございましたが、それよりも広範囲にわたりまして被害があったのは、雪があれだけ積もりましたので、除雪をいたしましても投げる場所がない、こういうようなことで、現地としては非常に困った実情がございました。したがって、こういう場合に備えまして除雪できるような専用の広場の設置とか、こういうものを今後いろいろな問題にあたって考慮する余地はないか。  同時にもう一点は、建設省で毎年冬季交通については努力をされておりますけれども、ことしの雪については一カ月もあるいは二カ月も全然交通不能というようなところがたくさんございました。私ども実情を見てみますのに、国道でも標高の高いところは、機械力をもってしてもどうにもならないのですが、普通の個所で、標高の低いところの国道あるいは県道、こういうところになだれ防止の設備をもう少し配慮するとかあるいは機械力を投入するとか、冬季交通の道路の区間延長をしていただきたい。全く経済活動がとまってしまう。これらは何も今回の豪雪でなくても、普通の年でもとまっておるところがたくさんあるわけでございます。したがって、冬季交通の確保、こういう問題点についてお伺いをいたしたい、こう思います。
  28. 浅井新一郎

    ○浅井説明員 お答えいたします。  四十八年度の除雪計画路線は当初四万一千キロ全国で予定いたしておりまして、この除雪にかかる前に、十二月の時点で、万一豪雪に見舞われた場合の緊急措置といたしまして緊急措置要領を流しておりまして、その際の緊急確保路線としましては四万一千キロのうち約三万キロを確保するというような目標を立てまして、これに対する体制を各地建、各県に備えていただいたわけでございます。そういう形で、ことしの異常な豪雪に対しておかげさまで緊急確保路線三万キロにつきましては、ふぶきの場合あるいはなだれが起きた場合の一時的な途絶を除きまして、ほぼ計画目標どおり除雪できたわけでございます。  先生御指摘のとおり、県境付近の非常に高いところ、それからかなり低いところでも、非常に大きななだれが予想される危険な場所等につきまして、これは緊急確保路線以外でございますが、一部長い間通れなかったという実態がございます。秋田付近では御承知の百七号線の湯田付近でそういう事態がございましたし、岐阜、富山あるいは石川の県境付近で百五十六号、百五十七号の各国道でそういう事態もございました。そういうことで、新年度の雪寒事業におきましては、これらの路線に対する防雪工の整備の大幅な拡大というようなことを考えておりまして、十分重点を置いてやっていくつもりでございます。  それから除雪体制につきましても、四万一千キロを四十八年度は予定したわけでございますが、現在の雪寒五カ年計画でも、毎年目標としては約千九百キロずつ除雪延長を延ばしていきたい。これも除雪機械力の増強と見合って実力をつけながら、徐々に除雪延長を延ばしていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  29. 村岡兼造

    村岡委員 予定の時間になりましたので、いまの冬季交通の、具体的にいいますと国道で豪雪地帯に一〇五号、一〇七号、一〇八号という路線があるわけでございますが、一〇八号はこれはもう標高が高いのでちょっと無理かと思いますが、一〇五号、大曲−本荘間あるいは一〇七号の横手—本荘間、これは標高も少ないし、あるいはまたなだれの、実際に私ども通っておりますが、なだれの危険もあるにはあるのですが、これの防除、なだれ防除の対策をすれば、この区間は通行できるのではないか。秋田回りをしなければ、相当回らなければ行けない、一二号線一本しか通れない、こういうようなことを何とかひとつ来年度御検討願いまして、以上広範にわたって質問をいたしましたけれども、この被害対策として万全の処置をとっていただくことをお願いをいたしまして、質問を終わります。
  30. 金丸徳重

    金丸(徳)委員長代理 次に、川俣健二郎君。
  31. 川俣健二郎

    川俣委員 村岡先生が異例的な二度にわたる委員会視察にお礼申し上げていただきましたので、私も委員会への正式な提案者としてお礼申し上げたいと思いますが、この災害委員会も北陸、東北豪雪で一冬暮らしたわけです。そして雪の悲惨な状態を見てもらったわけですが、おかげさんで、ちょうど私たちが現地調査しているその日に、農林大臣が時局講演会と銘打って現地に来ておられました。天災融資法、激甚助成その他一切六項目を約束されましたので、あえてここで私はそれを確認いたしません。きょうは常任委員会等がありまして政府委員はいませんから、ただ私は今回の豪雪騒ぎを経験して、いまの制度では無理だということをここではっきりして、この災害委員会ももうぼつぼつ豪雪に対しては終わるだろうと思いますので、というのは、いまの制度では救済策はない、新たに立法措置を講ずるしかないんだということが積み残しに出てきたようでありますので、それを四つ、五つ確認して私の質問を終わりますから、そのつもりでお答え願いたいと思います。  まずその第一点目は、米が余っているというので減反騒ぎが続いたわけですが一単なる単純休耕じゃなくて水田転換ということで構造改善局が中心になって指導したその一つが、見ていただいた六千本の苗木を植えた果樹が全滅だということであった。その場合、組合員が十四人で十四ヘクタールですから、約平均一ヘクタールずつ出し合ってつくったのを見てもらった。なるほど根からすぐとれるような惨たんたる状態を見た。これが約四千万かけたわけですね。四千万のうち五〇%は国庫補助ですから、これは水田転換のモデルだというのでせっかく映画化もされまして、全国にこれが転換であり、構造改善のモデルでありますということで、もちろん地元でもそれを楽しみにしてリンゴのなるのを待つのが来年ごろだった、ことしもぼつぼつというのが始まりだった。そこをやられたわけなんです。まず一応全滅と見ていいのだろうと思います。  ところが、その四千万の五〇%は国庫補助ですから、これは実らなかったで皆さん方は通ると思いますが、これは天災ですからしようがないと用います。ところが、三〇%は農林漁業金融公庫から借りておる。十年据え置き二十五年償還でしたか、それからあとの二〇%は県補助だ。県補助のことをここでとやかく言ったってしようがないのですが、問題は三〇%金融公庫から借りるもの、先ほど、四月何日かの通達で償還を緩和するべく通達を出した。どうしても返さなければならぬだろうかということになるわけです。この場合は五年ですから、したがってぼつぼつ実りが出てきて返せる段階で全滅になった。またもとからやらなければならぬ。これをまたもとの水田に戻すか、また、やはり木を植え直してやるかというのは、これは農林大臣のこれからの農業政策の指導いんに関係するだろうと思いますが、米が足りな、なったからもう一ぺん田に戻せ、こういうことにあるいはなるかもしれません。  そこで事務当局に伺いますが、これはいまの制度では、やはり金融公庫には何らかの形で返さざるを得ない。特別措置を議員方がつくっていただく以外はどうにもならないということで確認せざるを得ないですか。その辺、まずひとつ答弁願いたいと思います。
  32. 植木建雄

    植木説明員 ただいまの具体的内容に基づきまして御質問でございますが、案件は、農林漁業金融公庫の貸し付け債権債務ということになっております。農林漁業金融公庫の債権債務の取り扱いにつきましては、そういう特殊な事情等によりまして、債務者の返済能力につきまして変更せざるを得ないような事態になりました場合には、融資業務規程という根拠規程、こまかいことで恐縮でございますが、申し上げますが、「貸付条件の変更」ということを債務者につきまして行なうことを明記をいたしております。  「貸付金の償還期限、償還方法、担保」等につきまして「変更の申出があった場合には、債務者の業況、償還能力その他必要な事項を調査し、やむを得ない事情があると認めたときは、その申出を承認し、または、妥当な条件に補正して承認することができる。」こういうことがございます。  そこで、これは実際の取り扱いの問題は、各公庫の、金融機関の支店の扱いになるわけでございますが、当該債務者の状況を十分御相談をいたしまして償還を延期をいたしましたり、あるいは中間据え置きということをいっておりますが、そういう中間据え置きを設定をいたしまして、そういう償還が可能な条件になるまで待ったりあるいは延期をしたりする、こういう制度を活用いたすことになろうかと思います。
  33. 川俣健二郎

    川俣委員 それで二つ目ですが、それに関連していますが、転作したんだから奨励金の問題がこれにからむわけですね。四十八年の三月で切れる単純休耕奨励金が、転作ですから五十年で二年間延長するということでこの措置を受けているわけだ。いまのこの例ですよ。それは四十五年から始めたから五十年ごろからぼつぼつこれが実るという前提の緊急措置だった。ところが五十年で減反奨励金を打ち切られると、これから植え直してもまだ三年ばかり足りないということになるから、いまからまた五年ぐらい減反奨励金の継続を願いたい、こういうことが当然出てくる。ところが、この前五年間転換した場合は緊急措置としてこういう場合に充てるという、四十八年が本来の単純休耕の場合の奨励金打ち切りだが、五十年まで延ばすということにきめた際に、こういうものもさらに行政措置として延長することができるというように皆さんは解釈しているか、それともやはり新たに立法措置を議員方にきめてもらわないとできないということにあなた方解釈しているのか、どうですかね。
  34. 松山光治

    ○松山説明員 お答え申し上げます。  いまの稲作転換奨励補助金のお尋ねでございますけれども、先ほどもちょっと村岡先生にお答え申し上げましたように、現在の稲作転換対策は四十六年の閣議了解に基づきまして四十六年から五十年度までの事業といいますか、対策としてやられておるわけでございます。で、先生の御質問の中に休耕奨励補助金は三年で、それを二年延長して五十年、こういうふうなお話がございましたけれども、私どもとしましては稲作転換対策は稲作転換を中心といたしまして進めていく対策である、ただ米の生産調整というふうな観点から休耕という形態も認める、それは三年間だけ休耕奨励補助金を出す、こういうふうなことでやってきているというふうに理解しておるわけでございます。そういうわけでございますので、もともと果樹園に転換していただいた方につきましては、たとえば四十六年に果樹園に転換していただいた方については五年間、それは五十年まで対策が行なわれるということで転作の奨励金をお出ししておった、こういうことになるんだろうと思うのでございます。  そこでお尋ねの五十年、五十一年以降の扱いでございますけれども、先ほどもちょっとお答え申し上げましたように、いわば今後の農業政策の基本的な方向と関係づけながらどういうふうにやっていくかということをこれから慎重に検討しなければいかぬ話でございまして、閣議了解ではとにかく五十年度までの計画だということになっておる、そういうことでございますので、いまの増田町の話にいたしましても、個別事例をつかまえまして、それをいまここでどうするということはなかなか判断しにくい、こういう事情にあるということを御了承いただきたいと思います。
  35. 川俣健二郎

    川俣委員 それじゃ三つ目は、このサンプルじゃなく一般的なことですが、この間ずっと何カ所か代表で見てもらったのですが、大体七割やられた。先ほど御報告してもらったのでは六割ないし八割となっていたのですが、大体平均七割ということは各委員さん方が、議員がこの目で確認してきたわけですが、問題は三割の収入で少なくとも五年生活しなければならぬわけです、果樹の従事者は。そこでさしあたって被災農家に対する経営資金とそれから生活資金と両方あるわけだ。経営資金は私はいろいろな法規を見ると何らか抜け道というかあるような気がしますが、生活維持のための資金を五年間見ろというのは現在のところなかなか容易でないと思うのですが、どうですか。これどなたでもいいのですが……。
  36. 松本作衛

    ○松本(作)政府委員 ただいまの被災農家につきましての経営資金とは別に生活資金を見たらどうかということにつきましては、一般的には自創資金の中で災害農家に対しての資金というものは生活資金も含めて考えておるわけでございますけれども、特別にその地域全体を含めました生活資金を五年間見るということは現在の制度のもとではむずかしいであろうというふうに考えております。
  37. 川俣健二郎

    川俣委員 それから四つ目ですが、これはいま私のほうの社労で失業保険法改め雇用保険法、いわゆる出かせぎ労働者がいま九十日の失業保険をもらっているものを三分の一の三十日にちょん切るという法案ですが、この問題でも論議がこの間出ましたけれども、米作に従事しておる農民はいわゆる出かせぎするのに可能なんですが、果樹に従事する農民というのはなかなか出かせぎは思うようにいかぬ。特に失業保険をもらうほど長期間は出られない。それはなぜかというと、それほど手がかかるものですね。そこでこの前に私は宿題的に、いまの共済制度というのは一年やっとなったわけですが、幸いあの辺は私らも呼びかけて八割前後の加入率を見た。全国平均だとまだ二割に達しないのだが、あの辺は八割ぐらいなんだ。ところがこれは八割ぐらいのあれが加入しておるので幸いだということなんですが、問題は出かせぎにも行かないで終始雪との戦いをやったほうがまだ被害が六割ぐらいで終わった。ところがあきらめてどこかへ出かせぎに行ったり何かする者は全部やられたものだからこれは十割被害ということになる。そこで私はこの前にどうやらいまの共済制度はなかなかむずかしいだろうが精農よりも惰農のほうに恩典があるような共済制度のきらいがある、これをやはり検討する方向でやるべきでないかということを私は提案した。どうですか、共済課長来ていますか。そういう方向で検討できますか。
  38. 山村弥五郎

    ○山村説明員 現在の共済制度につきましては、通常なすべき肥培管理のもとに自分の農作物とか果樹等を肥培管理していくというような義務を与えておるのでございますが、この辺の仕分けというものが非常に困難でございます。惰農、精農といっても、今回のように雪の災害をできるだけ除去させるというような精農もおりますけれども、一方そういうことをさせるということは雪が非常に深い場合は危険も伴いますので、危険を伴ってまでもそういう肥培管理をさせる、損害防止をさせるということも非常に困難ではないかと考えておるのでございます。したがいまして現在のところ、精農的な肥培管理のしかたあるいは惰農といってはおかしいのでございますが、非常に危険が伴って雪の損害を少なくするような損害防止をしたということにつきまして、共済金の支払いの面で仕分けをするということはこの制度といたしまして非常に困難ではないかと考えておるのでございます。しかしながら、このようなことはたいへん望ましいことでございますので、共済の中で将来の問題といたしまして検討さしていただきたいと考えておる次第でございます。
  39. 川俣健二郎

    川俣委員 五つ目はそれに関連しますが、果樹農業を行政する皆さん方の立場で——さっき申し上げましたように、米作と違って半年もうちをあけられないという状態なんです。たばこ耕作の場合はもうほとんどあけられないと同じように、果樹の場合もまず半年もうちをあけるということは不可能なんです。そこで、私はこれは現在の制度でできると思うのですが、どうでしょう。実りを期待したんだがこのとおりだめだから、やっぱり働き場をさがして現地で仕事をさがすという状態になる。これは特別失対事業ですからあるいは社労委員会かもしれぬが、樹園地農道整備事業があるのですが、これに特別な事業をこの機会に計画を立てることはいまの制度でできると思うんだが、これはどうでしょうかね。
  40. 棚橋正治

    ○棚橋説明員 お答えいたします。  樹園地農道網整備事業は、昭和四十七年度から果樹地域農業利用上の理想的な農道網を整備いたしまして、樹園地の集団化それから経営の協業化、作業機械化を促進してシステム化、省力化をはかる目的で制度化されたものでございます。そしてこの事業は幹線から末端作業道まで一貫して実施できることになっておりまして、豪雪地帯におきましては一般の地域よりも補助率を五%アップいたしまして事業を実施することになっております。  それで、この事業におきます、先ほど先生御指摘のございました地元の人の就労の機会でございますが、樹園地農道網整備事業にかかわりませず一般の土地改良事業におきましても、できるだけ地元方々に就労の機会を与えるようにいたしたい、そういうふうに県それから市町村指導してまいりたいというふうに存じております。
  41. 川俣健二郎

    川俣委員 それでは最後ですが、今回、私だけじゃなくて地元の議員はもちろんなんですが、災害委員会がこれに手だてを加えようという非常な努力をしていただいて感謝しております。ただ、新潟、福島、秋田と見て、はっきりいって雪の量は新潟よりはるかに少ないのですよ、ここに新潟の先生もおられますが。ところが災害に結びついたのはやはり融雪道路だとかそれに対処する——豪雪になれていないのですね。そこでひとつ秋田あたりにもモデル都市をどこかあの辺に、中心につくる。まず流雪溝なんというのは秋田じゃ見られない。新潟はどういう部落、町でもつくっておった。したがって、道路に雪があるかないかが悲惨度を非常に濃淡を決定づけておる。そこでひとつモデル地区を、これは建設省ですか経済企画庁ですか、そういう方向でやるべきだと指導して、これが豪雪に耐える都市だ、こういうようにやる。地元からの陳情もあったと私記憶するのですが、いかがでしょうか。これが私の最後質問です。
  42. 浅井新一郎

    ○浅井説明員 お答えいたします。  モデル都市の問題につきましては建設省でも都市局が所管で、四十七年ごろまでに三年ばかり豪雪都市建設計画調査ということで継続調査を実施して、二、三の都市につきましては一応青写真みたいなものはかいておるわけでございます。ただ何にいたしましても本格的に雪に強い都市をつくるということになりますと家並みを広げることから始めなければいけないということもございまして、なかなか一挙にはいかないわけでございますが、それにいたしましても街路等でいわゆる流雪溝だとか消雪パイプとかあるいは雪捨て場の問題とか、比較的対応しやすい種類の事業もございますので、条件の許すところから逐次できる限り事業を進めていきたいというのがわれわれ道路サイドの姿勢でございます。そういうことでございますので、ちょっと所管が別で具体的なモデル都市の名前は失念いたしましたが、モデル都市構想も逐次広げていく必要があろうかと考えております。
  43. 川俣健二郎

    川俣委員 いまの問題、杉岡参事官どうです。どうせその辺が中心になってやらにゃならぬと思う。ある程度現地でも約束されてきたような感じを受けたのだけれども、どうですか、そういう方向でやっていますか。
  44. 杉岡浩

    ○杉岡説明員 お答えします。  防雪のモデル都市につきましては、経企庁の経費でもって建設省で調査をいたしておりますのは、ただいま建設省の道路局の課長から御答弁があったとおりでございますが、雪対策につきましては、いわゆる雪が降ったときにその対策を立てるということではなくて、やはり雪のないときにも基本的に雪に強い都市をつくるということが大切かと思います。したがいまして、その建設省等の調査をわれわれも検討いたし、それから豪雪地帯の振興ということで常時検討されております経済企画庁等とも十分相談いたしまして、そういった雪に強い都市ができるようわれわれも努力してまいりたい、こう考えております。
  45. 川俣健二郎

    川俣委員 終わります。
  46. 金丸徳重

    金丸(徳)委員長代理 次いで、中川利三郎君。
  47. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 まず果樹被害についてでありますが、昭和四十九年四月二十日、社団法人秋田果樹協会会長平野兵吉さんが衆議院にあてました陳情書がありますが、それには「有史以来の豪雪により、秋田農業は約五十四億円の大被害を受けましたが、そのうち果樹被害は四十九億円余で全体の九〇%を占めると云う大惨害を受けました。特に県南地方の果樹は枝の大半が折れ、幹まで裂け、今後の収穫は七割から九割減となり、その復旧に五年から十年の長年月を要し、当分の間生活が困難な状態となりました。」こう書いてあるわけです。政府は今回天災融資法だとか特別被害地域指定することだとか、あるいは激甚災害も検討しておる、こういうことでそれなりに評価できるわけでありますけれども地元果樹農家の受けた災害の深さ、広さ、深刻さ、こういうものについて今回の政府の措置救済という面から見てどれほど効果が及ぶものか、こういう点の位置づけといいますか評価はどうでしょうか。
  48. 松本作衛

    ○松本(作)政府委員 私どものほうで調べましたところによりますと、今回の豪雪によります被害の総額は百四十六億九千四百万ほどになると考えておりますが、その中におきまして被害の最も大きいものが、ただいま御指摘ございました果樹被害でございまして、果樹につきましては樹体被害が七十三億円。それから、作物としての果実の被害が四十八億円というふうに非常に大きいと考えております。  この対策につきましては、私どものほうといたしましては、天災融資法発動いたしまして、また特に天災融資法にかかります激甚災の発動をし、特別災害指定地域指定ということで、既存の融資面につきましての制度措置をとりますとともに、なお災害を受けました農家につきましては、自作農資金の活用も考えていきたいと思っております。果樹農家につきましては、果樹農家が特に被害を受けました場合に、農作物の共済でこれを救済していく。また、新しく改植を必要とする場合には、農林漁業金融公庫改植資金果樹植栽資金を活用していただく。また、特に苗木を新しく育成する必要があるという場合には、苗木の育苗についての助成も考えていきたいということで、一応助成措置を考えておりますとともに、技術指導その他につきましては、今後とも関係現地機関と共同いたしまして、災害後の被害をできるだけ少なくするための技術指導の万全々期していきたいと考えておるわけでございまして、私どもといたしましては、現在の制度でできます範囲は努力をいたしておるつもりでございます。
  49. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 だから、私が聞いたことは、いまおたくではあれこれいろいろやった。それは評価するけれども、そのことで今回の被害の深さ、広さ、深刻さ、こういうものをまかない切れるとお考えかどうかということを聞いているのです。
  50. 松本作衛

    ○松本(作)政府委員 現在のところ、被害は相当深いという認識のもとに、私どもはいままでのような措置を講じた次第でございます。
  51. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 農民があれだけ被害を受けましたね。その被害の中でも、再生産のために歯を食いしばっていま立ち上がろうとしておる。そういうものに見合うような措置であるとお考えなのかどうか。いま政府がいろいろおやりになっておることで十分救済される、こういうふうにお考えかどうかということを聞いているのですから、はっきり答えてください。
  52. 松本作衛

    ○松本(作)政府委員 私どもといたしましては、被害を受けました農家救済をはかるために全力を尽くしておる次第でございまして、できるだけのことをやっておるつもりでございます。
  53. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 先ほども川俣さんからお話がありましたが、今回の壊滅的被害あるいは収穫の減、復旧、復元、なおかつその間五年ないし七年間、長期にわたって生きていかなければならない。そういうことを含めて可能な措置としてお考えかどうかということを聞いているので、あなたとして可能と思っているなら思っているでいいのですよ。思わなければ思わないで、そこをはっきりしてくださいと言っているのです。
  54. 松本作衛

    ○松本(作)政府委員 果樹農家被害救済するためにできるだけのことをやっておるつもりでございますけれども実態によりまして、制度なり助成措置として許す限りの努力をしたと申し上げるほかないと思います。
  55. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 だから、私が言いたいのは、いまの制度範囲内でお考えになっていたならば、農民は救われない。いまのいろいろな制度を前向きに適用したことは評価すると前段でお断わりしてあるわけですけれども、たとえば、せんだって地元視察に参りましたら、こういう意見がありました。  一つは、果樹被害の特徴として、今回ただ台風だとか大あらしが吹いたというだけでなくて、何年間か続くわけでありますから、その間復旧もしなければならないし、あるいは生きてもいかなければならない。したがって、そのための措置として、はなはだ虫がいいけれども何か特別立法を考えてもらえないだろうか。いまの政府の制度資金だとかいろんなことをやっても、そういう長年続く不満に対して具体的にこたえていかれないわけです。あるいはもう一つは、さっきもお話あったようでありますけれども、いろんな公共事業地元に興して、その中で働かして、立ち直るまでの間何とか食いつなぎさせ、生きつなぎさせていただけないか、こういう要求があったわけです。  この二つに対して、先ほどどなたか御答弁あったようでありますが、何か私はよくわからなかったので、もう一回はっきりお答えいただきたいと思います。
  56. 松本作衛

    ○松本(作)政府委員 災害対策につきましては、従来から、各地域におけるいろんな災害の体験に基づいて、現在までの制度なり助成措置が仕組まれてきておるというふうに理解しておりますので、現在とっております措置は、従来の災害において各地域にとってまいりました措置との均衡をはかった上での制度化、それに基づいて私ども事業を執行するというふうに考えておるわけでございまして、その意味で、先ほどから申しましたように、許される限りの努力をしたというふうに申し上げておるわけでございます。
  57. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 じゃ具体的に聞きますけれども、いまの仕組まれた制度範囲内であなたは最大の努力をしているということ、この点は評価すると言っている。しかし、それではどうにもならないということが地元の意見にもありましょうし、あるいはいろんな陳情書の中にも出ているわけです。だから、いまの制度の中で最大以上の問題だというふうに位置づけない限り、ほんとうのあたたかい手、つまり農民が再生産に意欲を燃やす、あるいは今後の展望に対して希望を持てる、こういう状況だとあなたは考えているかどうかと前段に聞けば、いまの制度の中で最大のことはしている。  私、だから端的に聞きたいのは、ここでたとえば特別立法を検討するかどうか。その値打ちがあると私は思うけれども、これはひとつ検討する課題として、あなたのほうで考えるという答弁なら、何ぼか前向きだと思いますけれども、そういうことは一考の値もないものか。  それから後段の、救農土木というか、そういうものをやらない限り、果樹被害という特殊性から見まして、いまだけで済まないわけですから、その間の手だてがなければ、制度範囲内で最大やったといっても農民は救われないでしょう。だから制度そのものは、農民の実態なり国民のそういう実態の中で制度を改廃していくとか変更していくとか、これが制度の存在意義だと私は思うんだが、そういった点を含めてものを聞いているのですから、それに見合うようにお答えいただきたい、こうお願いしているのです。
  58. 松本作衛

    ○松本(作)政府委員 特別立法を必要とするかどうかということにつきましては、私どものほうといたしまして、従来からの制度の再大限の適用によって、現実には対応可能であると考えておるわけでございますが、特に果樹農家は一般の農家とは別ではないかという点につきましては、たとえば天災融資法の中におきましても、果樹農家の融資限度は他の農家と非常に大きな差をつけておる。それから果樹の共済等の制度もあるということでございますし、また融資措置等につきましては先ほど申しましたが、公庫の果樹植栽資金というものを考え、ないしは果樹育苗施設等についての助成も考えていきたいということで、果樹農家につきましても、それに対応する措置を考えておるつもりでございます。
  59. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 現在の制度の中で対応可能だ。地元から、それでは何ともならないから、ひとつ特別立法なり特別な手だてをしてほしい、こういう要求が来ているということは、いわば単なる無用の論議みたいなもので、こういうことに対しては考える余地というものはない、こういうことですね。したがって、特別立法なんということは、もう検討させる値もないものだ、こういうことですね。確認しておきます。
  60. 松本作衛

    ○松本(作)政府委員 立法の必要性につきましては、私どもここでその必要があるかないかというようなことを断言する立場にはございませんので、差し控えたいと思いますけれども地元民の御要望というものも十分聞きました上で、できるだけのことをしたということを申し上げるほかないと思います。
  61. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 何も地元民の要望を十分聞いたというけれども地元民はそういう要望を基本的には持っているのだ。私も地元の人間ですから、それを聞いた上で考える余地がないという結論にならざるを得ないでしょう、あなたの答弁だと。これはおかしいじゃないですか。答弁自体として矛盾しているのじゃないですか。
  62. 松本作衛

    ○松本(作)政府委員 特別立法の必要性があるかどうかというようなことにつきましては、むしろ実態といたしまして、どの点が特に問題になるかというような問題もあろうかと思いますけれども生活資金等につきましては、自作農維持資金等をもって対応するというふうな道もございますし、現在の制度の中でできるだけの対応が可能なのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  63. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 じゃあなたにひとつお聞きしたいのは、七割から九割の減収だ。果樹を専業にしている農家は、それ以外にめしを食う手段がないのだ。自作農維持資金は前にもたっぷり借りているわけだ。五十万円限度、今度新たに借りても、また百万円までだともう五十万円以下あるいはそのまた別ワクで借りるから百万円借りられるかもわかりません。それがあったところでそれだけで一体七年間なり五年間生きていけますか。あなたの答弁は、逆にいえば生きていけるということなんだ。どうして生きていくか、その道筋をひとつお知らせください。
  64. 松本作衛

    ○松本(作)政府委員 自作農維持資金につきましては、限度を百万円に引き上げまして、その範囲内で対処するという仕組みになっておるわけでございまして、その限度ワクの拡大というものを失効に活用してまいりたいというふうに考えております。
  65. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 聞いているのは、今後五年間なり七年間生活もしなければならない。しかし、収入は三割から二割、一割ぐらいだ。これに対して、あなたはいまの制度で十分生きることは可能だとおっしゃっているのだから、自作農創設資金百万円でどういうふうに今後の生活をつないで生きていけるかということの具体的な道筋を明らかにしてこそ、あなたの御答弁が生きてくることになるわけですから、その道筋を具体的にここに明らかに提示していただきたいということを私は言うているわけであります。
  66. 松本作衛

    ○松本(作)政府委員 被害を受けました農家の自作農資金によります場合には、災害によって償還が非常に困難になるとか、それによって農地を売らなければ経営が維持できないというような場合に対して自作農維持資金適用されることになっております。この自作農維持資金を借りることによって、その分についての債務の負担ということが軽減されるというように考えておるわけでございますが、自作農維持資金だけですべてが解決するということはなかなか問題だろうと思います。
  67. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 それでは答弁にならないのだ。ほかのものをみんな合わせても、いまの制度資金の中で、この方々が再生産の意欲を燃やしても、どういう点から見たってやっていけない。その点を突いているのですが、同じところで時間を費やしてもなにですから……。  先ほど私が聞いた特別な事業を興す、これはいまの制度でも可能じゃないかと先ほどの質問者の話にもあったわけです。樹園地造成の道路の事業だとかという話もありました、あるいはほかにやれるわけですから。ところが先ほどの御答弁では、一般的なお答えとして、政府としては土木事業、公共事業を政府で考えているというけれども、この際は特別な場合ですから、特別にそういうことを興す必要がないかということを質問しているわけですから、これに対するお答えをいただきたいと思うのです。
  68. 棚橋正治

    ○棚橋説明員 お答えいたします。  先ほども申し上げましたように樹園地農道の整備事業をはじめ、農林省関係でも相当の公共事業をやっております。したがいまして、そういう公共事業地元の被災をされた方々の就労の機会を与えることによりましていろいろの資金をまかなうようにするということを、県及び市町村指導してまいりたいというふうに考えております。
  69. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 それは指導してまいりたいということで、特別にそういうふうに措置するという予算も、そのために特別に新しい仕事を興すんだ——県に指導するといっても、国の態度がはっきりそのための予算措置を一定の額考えるとか裏づけがなければ、県はやったって金かかるばかりでてめえのふところが痛むだけですから、そこら辺を含めての御答弁をいただきたいと言っているのです。
  70. 福澤達一

    ○福澤説明員 お答えいたします。  今回の豪雪に伴いました果樹地帯のいろいろの被害をもとにいたしまして、問題がいろいろ出てきておるということを、私のほうも把握しております。したがいまして、こういう果樹地帯に対しましては、もうすでに防災課長のほうからお答えしたかもしれませんけれども、四十七年度以来、樹園地地域に対しましては、特別の一般農道とは違った体系の事業を採択しまして、それに基づきましてその樹園地地帯の振興をはかるような制度を取り上げております。また私どもの仕事の中では、特にそういう豪雪地帯の中に特別の高率補助適用しておるのも、こういう樹園地農道関係の仕事のみでございます。したがいまして、そういう制度の中にありまして、積極的にその地域促進をはかるような事業の方向づけを、行政的にいろいろ指導しておるわけでございます。また、今回の豪雪に伴いまして、いろいろ農業所得の面におきまして減少するような事態も考えられますので、たまたまこういう道路事業というのは、比較的そういう農家方々にも就労の機会を与えやすい仕事でございます。したがいまして、そういう意味で農家所得をそういう面でできるだけ補うような形の行政的な指導も可能であるし、私のほうは積極的にそういうことも進めてまいりたいと思っております。
  71. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 何かやはり局長の答弁らしくて、わかったようなわからないような答弁にお伺いしたわけでありますが、確かにおたくとしてもそういう点に力を入れるということはわかるけれども、今回のこの問題として特定に位置づけて特別に予算措置も講ずる、特別に県なり市町村なりにそういう位置づけの中での指導もする、こういういまの御答弁だと理解してよろしいかどうか、もう一回確認します。
  72. 福澤達一

    ○福澤説明員 内容を十分理解しないままお答えいたしたきらいがございますので、あらためてお答えを申し上げたいと思いますが、樹園地地帯におきます事業の中で農業用施設そのものが、もうすでに今回の豪雪によりましていろいろな被害が出ておりますと、これに対しましては農林水産施設関係災害復旧の対応するいわゆる暫定法というものがございまして、これに基づきまして処置をいたすつもりでございますし、また新しくそういう事業要望する向きにつきましては、四十九年度の予算はすでに第一回の割り当てが済んでおりますけれども、たまたまそういうような異常事態に対するために多少の保留は持っております。したがいまして、もし県のほうから積極的にそういうものを早急にやらなければならないというような要請がございますれば、私のほうもそれに対する対応は考えておりますので、御了承願いたいと思います。
  73. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 では、その点をはっきりと確認させていただいたということにいたします。  そこで私二、三回ってみますと、被害農家の方方が融資の問題で一番言っていることは、さっきの質問にもあったかもわかりませんが、一番困っておるのは特にこの一、二年間で返済しなければならない短期の借り入れ金、これが非常に肩に重くのしかかっておる。一〇%の農協資金なんかはしかもすぐ返さなければならない。これをひとつ低利長期のものに振りかえてもらえないかということをどの農家からも言われるのです。同時に、各種制度資金をはじめとするすでに借り入れた金の償還繰り延べあるいは償還条件の緩和ということも言われますね。あるいは新規にこれから借りる資金がございますが、これについても利子補給をひとつ何とかしてもらえないだろうか、こういう三つぐらいが最大公約数といいますか、どこへ行っても言われておりますので、前に御答弁があったとすればお許しいただきたいと思いますが、もう一回確認の意味でも御答弁いただきたいと思うのです。
  74. 植木建雄

    植木説明員 先ほどお答え申し上げておるところでございますが、あらためて整理をして申し上げますと、第一点の各種制度資金、既存の制度資金につきましての借りかえ等の問題でございます。既存の制度資金につきましては、まず、災害等やむを得ない事由が起こりました場合には、その返済につきまして若干の変更が必要になることは当然であると考えております。したがいまして、制度資金等につきましては、去る七月十八日付をもちまして条件緩和の通達を各金融機関に私どもから発送をいたしております。これに基づきまして各融資機関におきまして条件緩和、すなわち償還期間延長でありますとかあるいは中間据え置きというようなものを設定いたしますとか、そういう各種条件緩和を個々具体的に行なう手はずになっております。  それから第二の短期資金につきましては、たとえば農協の一般の短期資金等につきましてすでに借り入れがある、そういうものが長期低利に切りかえられないか、こういう問題でございます。これにつきましては、先ほどからお話が出ておりますが、自作農維持資金と申しますものは、災害の場合限度百万ということで設定をいたしておりますが、同時に他の金融機関、政府関係以外の金融機関から借りましたただいまの農協資金等につきましては負債整理的にこれを活用する道も開かれておりますし、三十万を六十万というふうに限度を上げておりますが、そのような一種の借りかえ措置、長期低利に借りかえるということも可能でございますし、そのような指導を行っておるわけでございます。  それから今後の資金につきましては、まさに天災融資法発動いたしたわけでございまして、特に激甚指定の行なわれます場合におきましては、限度額アップでありますと同時に、金利につきましても利子補給措置を厚くいたしまして、三分というふうにいたしております。この御質問の場合、特に果樹につきましては、運用上三年程度の据え置きも設定し得るように運用に気をつけてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  以上、まとめてお答えをいたしました。
  75. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 私しろうとですからちょっとお伺いしますが、自作農維持資金の特別ワクを新たに設けたということがありますね。この関係はどうなるのですか。限度が五十万円でしたか四十万円でしたかわかりませんが、まあその辺ですね。百万円に限度を新しく拡大したと言うけれども、前に五十万円なり四十万円なり自作農維持資金を借りた人はそれとは関係なく限度一ぱいに借りられるのか、あるいは今度その部分を差し引かれた残りの部分で貸し付けするのか、これによって政府の、りっぱだ、前向きだということが内容的に農民の中でいろいろウエートが変わってくるわけでありますので、この点、私しろうとでありますので、ちょっとお聞かせいただきたいと思うのであります。
  76. 植木建雄

    植木説明員 お答え申し上げます。  自作農維持資金の限度を災害の場合は五十万、それを百万といたしたわけでございますが、その扱いにつきましては、金融方式といたしましては通算限度方式というものをとっております。したがって、過去たとえば二十万というのがありますと百万との差八十万、三十万であればその差七十万、こういうことに通算限度で行なうことになっておるわけでございます。
  77. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 いまの果樹農家も、まああとでいろいろ質問しますけれども、政府のたとえばいろんなモデル事業としてやったものもありますし、おしなべてたいへんな借金を持っているわけですね。自創資金なんかもう限度一ぱいたいがい借りているわけですね。お調べになればわかると思うのですが、そういう状況の中で五十万なら五十万借りている人が自創資金のこうだといったところで残りの五十万しか運用できない、いまの御答弁の中で拝察しますとこういうことなわけですね。そうすると、先ほど来えらい方がおっしゃっているように、一番いまの中でうまみのあるのは自創資金ですね。その中で今後受けていくなんということは先ほどのあれよりもまだまさにおぼつかないということがいよいよ具体化してきたように私は考えるわけであります。この点なんかは、そういう通算制度、そういう制度ができたからこの制度をどうせいということじゃなしに、やっぱりそこら辺も実態から見ると似合わないものである、こう考えるわけです。制度上しようがないからしようがないといえばそれまでですけれども、どうですか、そこら辺の考え方は。
  78. 松本作衛

    ○松本(作)政府委員 お話がございましたように、確かに金融の考え方といたしまして同一債務者に対する債権でございますから別々というわけにはいかないわけでございますけれども、実はこの災害資金につきましてはできるだけワクを多くしていきたいということで私どもも努力をしてまいったわけでございまして、従来五十万であったやつを百万にした、これで十分であるかどうかという点は問題が残っておると思いますけれども、やっと最近におきましてこの四月一日から限度のアップをしたというような段階でございますので、できるだけこれの範囲内で対処していくほかはないのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  79. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 つまりあなたの御答弁は先ほど来制度があるからその範囲内でがんばっているというので、何かその制度を突き破って、農民の被害の深さ、広さ、深刻さ、先ほど来何回も繰り返していますが、そういうものに見合ったものをやっていかないとやっぱりたいへんなことになる、こう私は思うのですね。どういうふうにたいへんなのかというと、たとえばいま手元に秋田県の横手の平鹿の増田町の例があるわけであります。これは災害の皆さん方も御視察いただいたところでありますが、新聞の記事にも書いておるのです。四月の二十日の新聞ですが、「横手・平鹿地方の果樹栽培農家は、記録的な豪雪で大きな被害を受けた。特に深刻なのは、米の生産調整に伴って、水田をリンゴに転換した農家」だ。さっきも稲転の農家の話が出ていましたね。国が段取りして国がこれをやれといってやったところが特に深刻な被害を受けているという問題は国としても当然考えなければいかぬ。一般的な制度資金というのは国の責任にかかわるものでないものに対して言うことですが、この場合国も相当責任があるわけだ。特に増田町はリンゴの産地として知られているところですが、ここでは水田転作のリンゴ組合が七つあるけれども、一番大規模なのが金麓園水田転換果樹組合というものでありますが、この組合の人方は「早く収穫すると、将来の生長に影響するので、五十年から収穫開始しようと、調整して楽しみにしていた。これまでに二千万円をつぎ込み、農林省でも、永久水田転換のモデル地区として、映画化し、全国に紹介するという話が出るほど、期待されていた。それが春の訪れとともに、豪雪が次第に解け始めると、リンゴは、野ネズミに樹皮を食い荒らされ、丸裸となっていた。」こう書いてあるのだね。つまりこういう政府の施策、それを最も忠実にやった人が最もいま全滅的な、壊滅的な打撃を受けたという状況なわけですね。このほかに、いまの秋田県の果樹協会、社団法人ですね。さっき前段に読みましたが、この陳情書にもこう書いてある。「特に稲作転換の果樹園野鼠の好む若齢樹であるため、全滅に近い被害を受け、全面改植を要する状態となっている。稲作転換果樹園は若齢樹のため果樹共済への加入資格もなく、今後五カ年間転換奨励補助金がなければ経営が成立ぬ事態となったので、特別の措置をお願いする。」こう書いてある。だから、こういうものに対して皆さん特別の措置をお願いすると言っているのだけれども、これらについて何かお考えはないのかどうか、お伺いしたいと思うのです。
  80. 松本作衛

    ○松本(作)政府委員 確かに、稲転によりまして水田から果樹園に転換した農家が転換したやさきに被害にあったということは非常に問題である、お困りであるということであろうと思います。稲転事業につきましては、あと二年間、五十年まで稲転事業がございますから、その期間の間に稲転といたしまして果樹園を続けるというような場合には当然に稲作転換奨励金の対象になるわけでございます。  果樹改植につきましては、先ほども申しましたように公庫の果樹植栽資金がございまして、それの活用をしていただきたいというふうに考えておるわけでございます。その場合に苗木については特別に助成をいたしまして、苗木の手当てについての助成措置を講じていきたいというふうに考えておるわけでございます。  果樹農家がその育成するまでの間問題があるというような点につきましては、先ほど来申し上げましたように自創資金等を活用する。さらにはまた、資材等も含めまして天災資金を活用していただくというような幾つかの措置を組み合わせて考えてまいりたいというふうに思っておるわけでざざいます。
  81. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 まさにそのことが問題なわけで、あなたは五年間の稲転の補助金、奨励金があるからいいじゃないか、もう二年残っておるんじゃないかと。しかし、皆さん方は政府の方針に沿って、永久水田転換をしてリンゴづくりを始めかわけです。しかも、農民の意思によらないところの豪雪なり、そういうことで他動的要因だな。この豪雪だって、われわれから考えれば完全に政始災です。ほかの外国だってもっと雪深いところがあるけれども、ふだんの段取りがちゃんとしていればこういうことにならないわけです。そういう点で、政府の施策を、最も言うことをきいた人方がこういう被害を受けて、しかも特別な被害を受けたわけですね。それに対しては、既定方針どおりのあと残り二年間はいくけれども、あとのほうは知らない、こういうことでは、いま新しくやり直さなければいかぬですね、つまり改植なり新植なり済まして。そうするとまたそれが一人前になるのに五年から七年かかるのですから、ここで政治のうま味というか、政治というのはほんとうに農民のものか、それとも単なる制度か、何かそのことが大事で、農民の実態なんかはどうでもいいものなのかどうか、それが問われる一番の勘どころだと思うのです。これに対してあなたはそれを断言できる資格があるかどうか知りませんけれども、たぶんここへ出てきている以上それだけの権限を持って出てきたと私は思います。いま、ここがあなた方農林省が農民のためになるかどうかということを問われる勘どころなわけでありますので、十分検討に値するものだ、あるいは全くそんなことは考える必要がないものだ、こういうことなのか、はっきり納得のできる答弁をいただきたいと思うのです。
  82. 松本作衛

    ○松本(作)政府委員 転作につきましては、四十六年に閣議決定をいたしました際に、五年間というふうな期限が切られて発足した施策でございます。したがいまして、いろいろな事情によりまして、転作を始める時期が果樹につきましても必ずしも初年度からではなくて二年度、三年度から始めるというふうな農家につきましても、五年間で打ち切るというふうな考え方で進んでおるわけでございまして、豪雪を受けました農家につきましては、天災による影響であるということは御指摘のとおりでございますけれども、この対策範囲内で考えますならば、やはり五年間ということにならざるを得ないと思うわけでございます。  ただ、今後五年過ぎてからあと転作したものをどうするのかというような問題につきましては、全体といたしまして検討をしなければならない問題であるわけでございますので、五年間で打ち切ると申しましても、五十一年以降の対策を考えていくという際に、諸般の情勢というものを考えていかなければならぬと思いますから、その際に、ただいま御指摘のような点も当然考慮の中に入れていかなければならぬというふうに思います。
  83. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 あなたの御答弁は、稲転の一般的な趨勢についてのお話なんだな。五十一年になればそれで終わるんだから、あらためて考えなければならぬのは当然の話ですよ。いま私が出しているのは、こういうふうに政府の施策を忠実にやってきたけれども、本人の農家の意思によらないでこういう被害を受けた。これに対して政府はそれなりに対応した特別の手だてを尽くすかどうか。だって、現実問題としてこの人方は何として生きていくか。あなたはそういうことで生きていけるという先ほどの前段のお答えがありましたから、それでは血も涙もないというか、全く農林省が何のためにあるのかわからないというようなものにならざるを得ないじゃないかと私は思うのです。  いま参考までに言いますと、秋田県では水田を果樹園に転換した総面積が百六十三・九ヘクタールあるんです。ところで百六十三・九ヘクタールの中で豪雪地帯がどれだけあるかというと百二十五ヘクタールあるわけです。それだけ大きい面積を占めているわけですから、今後あなた方が果樹園に転換しなさいとかなんとか、いろいろな転換があったって、政府というものは信用ならないものだ。われわれ一たんこういうようになったときには何にもやってくれないじゃないか。ただ、一般的な制度の中で云々なんて言って、自分の意思によらないこういうものに対しても全く既定方針どおりの処置しかできないというんだったら、何ら実もない、農民の再生産の希望をかき立てるという面から見ても実体のないものだということにならざるを得ないと思いますが、この点どうですか。
  84. 松本作衛

    ○松本(作)政府委員 ただいまも申しましたように、稲作転換対策につきましては、四十六年の方針がきめられておりますので、いまこの段階で私からここで延長できるというふうに申し上げることは困難であるというふうに思います。
  85. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 これは実はいまが必要なんです。農民の不安というものは、いまのあなたのような答弁だとそれまで消えないわけですよ。いまどうするかという見通しについて、政府が一定の方針なり一定の見解を示すということこそ、農民にとって切実な期待なんです。そのときにならなければわからないというのは、これは農林省がばくちをやっているようなもので、これはたいへんなことなんです。だから、それはあなたがいま権限がないから言われないのか、農林省の方針として、いまの問題についてその点を明らかにすることができないのか、どっちなんですか。
  86. 松本作衛

    ○松本(作)政府委員 現在、五十一年度以降の対策につきましては今後の検討課題になっておりますので、ここで五十一年度以降の転作対策について申し上げるということは困難であるというふうに申し上げているわけでございます。
  87. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 だから何回も言っているように、一般的なことはわかったと言っているのです、私は農林水産委員ですからね。五十一年になれば全体的に打ち切りになることはわかっているのです、あなたのお話は。いま、こういう特別な自分の意思によらない被害を受けた農家がいるわけです。しかも、ここに新植なり改植をしなければならないという状況があるわけです。これに対して、その時点でこの問題を考えるなら考えるでけっこうですよ。そのときにならなければてんでわからないというようなことでしょう、あなたのあれは。いま一定の目安なり希望を農民に与えなければならないということ、まさにこれが政治だと私は思うのです。したがって、あなたは大臣なり何なりに相談して、あらためて検討してみるというような御答弁が出るかどうか知りませんけれども、そこはどっちなんですか。どっちでもない、とにかく一般的に五十一年になるから、そのときになれば当然論議の種になるだろうということでは答弁にならないということですね。農民の負託にこたえる、農民の希望をかなえるものではなくて、むしろその芽をつむものだというふうに私は思うのです。そういう立場から質問しているのですから、ひとつあらためて検討してみるのかどうか。この問題として何か特別に位置づけるような、たとえば奨励金でなければ別のかっこうでもけっこうです、検討に値するものかどうか、この点についてのあなたの御答弁をお願いしたいと思うわけです。
  88. 松本作衛

    ○松本(作)政府委員 被害を受けました果樹農家につきましては、先ほど来申しておりますように、私どもできる限りのことをしておるつもりでおりますけれども、稲転農家果樹を植えた農家につきましても、果樹自体を新植した農家につきましても同様な問題であろうと思いますので、果樹農家に対する措置として先ほど来申しておりますような新植ないしは今後の改植等につきましての助成、融資措置等を考えていきたいというふうに思っておりまして、稲転農家だけの問題として特に稲転奨励金を出すかどうか、しかも五十一年以降出すかどうかということは、この段階では決定できない問題であろうというふうに申し上げておるわけでございます。
  89. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 くどいようだけれども、結局この部分については何もやってくれないということだな。せっかくいままでもらいながら五年間のあれでやろうとしてきたのに、三年目でだめになっちゃった。新しくやり直さなければならない。政府の方針がそういうふうにできているものだから、この部分について言えば何ともならない結果しか出てこないということは、非常に残念です。ここであなたとこれ以上言い合うつもりは一つもありませんからやめますけれども、同じような例がまだあるのですよ。  同じ平鹿郡で沢口水田転換果樹組合というのがありますけれども、ここではやはり同じようなかっこうでやっているのですが、カドミウムの汚染でみんな準汚染米が出るわけですね。そこでリンゴに転換したんだな。ところが、それが豪雪にやられたんだ。全部他動的要因によるものだ。つまり鉱山の排水だな、たれ流しだな。そういうものをみんな農民がなぜ自分の負担であるいは自分の苦しみの中で解決しなければならないのですか。農民が自分は何にも悪いことをしていないのですよ。それなのにその苦しみを自分だけがなめなければならないという理由は何か。日本の政治にそれに対して救うあれはないのですか。これはあなたの権限を飛び越えたようなお話で失礼ですけれども、私、そこら辺は根本的な問題だと思いますので、あなたも審議官だか参事官だか、そういう職ですから、何らかのお答えだけはいただかないといけないと思います。
  90. 松本作衛

    ○松本(作)政府委員 鉱害対策につきましては、原因者のわかっておるものは原因者が補償するというふうな原則に立っておりますので、原因者がわかっておる場合には原因者に負担をさせるということになろうかと思いますが、ただいま御指摘のような場合には、原因者が必ずしも明確でないというような場合についてのお話であろうかと思います。食糧庁の買い入れは一定の許容基準内だけを買っておりますので、食糧庁が買えない部分につきまして問題が起こっておることは私ども承知しております。それらにつきましては、都道府県におきましてその米を買い上げるというようなことで現実に対応しておるわけでございますけれども、今後こういう問題が長期化する場合には、環境庁その他においても一緒に検討していくべき問題であろうというふうに思っております。
  91. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 そういう事務的なことを聞くのではない。そんなことはわかっていますよ。だから問題なのは、なぜ農民がそういうもののしわ寄せを、苦しみを一手に引き受けなければならないかというのが結論です。しかし、あなたの権限を飛び越えているからやめます。  そこで、たとえばまだ一つの例があるわけですが、私のところの仙北郡の千畑村というところですね、これは三十九年に農業構造改善パイロット地区として五十ヘクタールばかり新造成したところで、この十年間といいますか、育成の段階で多額の投資をして一生懸命やってきたわけですね。ここの報告書というか陳情書みたいなものがありますけれども、何とも一かんとも今回の豪雪で——千畑村という村ですから財政力は何にもないのですよ。それにもかかわらずそこから五百万円余りの助成をいま段取りをしているわけでありますが、とにかく「国、県の総合的な援助によるほかなく、実状の厳しさをご理解くだされ特段のご配慮をおねがいいたします。」というような血の出るような叫びをあげているわけでありますね。ここは農業構造改善事業パイロット地区だ。ところが国がそういうふうにすすめ、県がすすめ、たとえばリンゴにしても、ここには全部ゴールデンという一括した品種で、これをやればもうかるというけれども、いまゴールデンは一番安いわけだ。そういうことも含めて最も手痛い打撃を受けているわけですが、そうした国がやったことについて、こういう事情になれば特別の手だてなりを国の責任においてやることが必要ではないだろうか、私はこういうふうに考えるわけですけれども、ここら辺はどうでしょうか。
  92. 福澤達一

    ○福澤説明員 豪雪だけではございませんけれども、天然現象に基づくこういう災害につきましては、私どもはそういうものの施設関係には非常に手厚い方法をもちましてできるだけのことをするというような制度を持っておりますし、それに対応するためのいろいろの自創資金あるいは非常に大きい場合には天災融資法発動あるいは各種制度資金、そういうものを充当いたしまして、基盤関係施設以外のものに対する措置も考えております。そういう意味で、たまたま自然現象に基づいて突発的に起こりました異常事態に対応する措置といたしましては、各種制度をもちましていろいろ対応しておるわけでございます。
  93. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 いや、各種制度をもって対応した中でこういうものが新たに起こっているのが実態なんだな。しかもこの人方がもとどおりになるのは、昭和五十三年になればやっととんとんだ、五十四年になれば何とかもとに復するだろう。現在手持ちの借金が一戸あたり大体三百万円です。そういうことに対して手だては何もしない。構造改善というものは国の施策としてやった。かつて構造改善は地獄行きのバスじゃないかというようなことをいわれたことがあります。いやそうじゃないんだ、構造改善をやればもうかるんだということでいろいろな議論がありましたが、やはり構造改善は地獄行きのバスだったなと農民は言い出すのじゃないでしょうかな。同時に規模拡大でなくてこれは借金拡大の道じゃないかということにもなると思うんだな、結果的に見ると。まさにこういうことに対して手だてをしないと、あとだれも協力しませんよ。そういう政治的な判断を含めてひとつもう一回御答弁を、これはひとつ考えてみなければならないんだという程度で何かないのかな。
  94. 福澤達一

    ○福澤説明員 構造改善事業、それから農業基盤関係で実施したもの、あるいは農地、そういうものにつきましては、私どもは一般の補助率六五%でございますけれども、一戸当たりの事業費あるいは二戸当たりの負担、そういうものの額が多くなるに従いまして増高の方法をとりまして、一戸当たりの事業費が十五万円をこす場合におきましては、特に施設については一〇〇%国で補助をいたしておりますし、もしこれがかりに激甚法の適用になった場合におきましては、またそれに対しましての個人負担に対する増高の措置がございます。そういうような各種助成措置をもちまして不幸な被災農家方々に対応する制度をもって対応しておるわけでございます。
  95. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 部長さん、専門家だかしりませんが、ばかに歯切れが悪いな。いまの問題に見合う何か特別な手だてですね。何回も私は言っているわけで、無理だかわかりませんけれども。  つまり構造改善を当初やらせたときは、これをやればよくなるとがりむり何も経験のない人方に——がりむりというのは秋田のことばで無理やりということですよ。押しつけて、地域の農民に聞いてみますと、あとは何も指導もなかった。やらせっぱなしなんですよ、実態は。そうして今回こういう被害を受けたという状況の中で、やはり復旧なんかは国が出張っていって何か特別に見てやるとか、県に特別にそういう指導をさせるとか、それでないと国も県もメンツがなくなるんじゃないか。政治論の部分も相当あるわけですけれども、問題はただ技術論をやれば解決するわけじゃないでしょう。農民の心が傷つくのですからね。これが一番こわいのですからね。農民に励ましを与えるという側面を絶えずあなた方は考えなければならない立場の人でしょうから、いまのような答弁で、それでいいのでしょうか。
  96. 福澤達一

    ○福澤説明員 私どもは天然現象に伴いまして起こりました異常の災害ということに対しましては、その災害を受けました方々に対しては非常にお気の毒だと思っております。したがいまして、前回も御答弁申し上げましたように、いろいろの制度をもちましてそういう人たちに意欲のなくなるようなことのないようにと思って対応しておるわけでございますので、御了承願いたいと思うわけでございます。
  97. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 これでやり合っても切りがありませんから、次へ進みますけれども、たとえばいま改植ですか、「枝折れ、野ネズミ、野ウサギの被害補植、植え替えの必要な果樹地帯には苗大購入を補助する。」こういうことを大曲で倉石さんが発表しておるわけでありますが、そうすると苗木の購入を補助するというわけですけれども、どういう基準なのか。  たとえば必要な苗木、買った苗木全部に補助をするとか、部分的に補助するとかあるわけですね。それから苗木自体がそんなに一度に、ばっと豪雪がきてばっとやられたものですから間に合うものかどうか。ただ補助することはわかるけれども、実際農民の側になれば、すぐぽんと手に入るものかどうか、私は非常に心もとないと思っているのですが、ここら辺の見通しその他についてのお話もお答えいただきたいと思うのです。
  98. 北野茂夫

    ○北野説明員 今回の被害が非常に大きいものでございますから、目下被害面積並びに改植補植を要する苗木の本数等を調査しているわけでございますけれども、その補助の方法といたしましては、改植補植に要する本数を出しまして、その費用の三分の一を助成するということで検討を進めておりますが、ただいまお話のように被害が広域でございますので、既製の苗木というものが市場等にないおそれがあるわけでございます。  そういうことで従来から災害の場合の苗木の助成というのは市場にあるものでは需要がまかなえないという点がございますので、苗そのものの購入費の補助ということではなくて苗の育苗、苗をつくる事業という形でやっておるわけでございます。これは既製の苗だけではとうてい足りませんので、みずから苗をつくる。そのためにたとえば実生のもの等がたくさんございますので、そういうものに改植すべき品種のものをつぎ木して、それを育てる、そういうことで共同育苗事業という形でそのもと木を購入する代金あるいは管理に要する費用、そういうもの等を総合いたしまして所要経費の三分の一程度助成する、そういうことになっております。
  99. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 そうすると、いまの御答弁を聞きますと、「道遠し」ということばがありますけれども、いまは、いまですぐ植えかえても五年から七年かかるとかやっているけれども、これから苗を育ててそれからやっていかなければならないというようなことは、この実態はたいへんなことなんだな。いま初めて聞いてあらためてびっくりしたし、しかもそれがいまこういうふうに一度に地域的に全滅したということであればやはり間に合わないということなんですか、特別これはなんとか間に合わせるように——育苗もそれは当然でありますけれども、なんと日暮れて道遠しなんということでは、やはり施策としては私は少し問題があろうかと思いますが、その点はその点でわかりますけれども、特に政府も格段の力を入れて、そうしていただきたいということですね。  ついでに聞いておきますと、たとえばブドウだななんかの支柱について原木の安い払い下げといいますか、こういうものがいま相当更新しなければならないだろうと思いますし、あわせてひとつ特段の御配慮をいただけるものかどうか、お答えいただきたいと思うのです。
  100. 北野茂夫

    ○北野説明員 果樹だなにつきましては、所要材料といたしましてコンクリートの支柱あるいは丸太その他針金等が必要なわけでございますけれども、そういうものの確保並びに流通につきましては最近の資材問題等ともあわせ、十分に農家に支障を来たさないように配慮、指導するつもりでおります。
  101. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 そうすると、それはそういうことで、ひとつ地元から要請があれば特別それにこたえる、こういうこととして理解していいですね。この点、ひとつ確認ですが、あとでまとめてというか、そういうことですね。そこで首を振ればいいですが、そういうことですね。  それで、時間もそろそろきましたのではしょって御質問しますが、苗しろ対策ですね。苗しろ対策にしても共同や委託育苗その他についてはかかる経費は補助する、こういうことでありましたが、たとえば私のほうでは雄勝平野というところに雄勝土地改良事業という県営の土地改良があるわけですね。それで四十八年度分で十六ヘクタールやっているわけでありますが、この消雪だけで反当二十五万円かかって合計して四千万円の経費がかかっておるのですよ。まだ十分に雪が消えなくて非常に難渋している、こういう状態でありまして、土地改良事業費の単価のかさ上げをやってもらわないと、これはもうたいへんだ、こういうこともいっているわけですね。そういった点はひとつ土地改良事業の単価のかさ上げというようなことはひとつ考えてやっていいじゃないだろうかと思うのですが、そこら辺はどうでしょうか。
  102. 福澤達一

    ○福澤説明員 諸物価の高騰あるいは労務賃金の高騰によりましてそれが事業費にはね返ってくる場合は、私どもはそれを事業費の増額の中に繰り込まして対応するように指導しております。
  103. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 そうすると、この場合はそういうことでひとつお考えになるということですね。
  104. 福澤達一

    ○福澤説明員 そのとおりでございます。
  105. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 わかりました。  それで園芸のハウス被害も相当出ているわけでありますが、ひとつお聞きしたいことは、この復旧費は共同の場合は国の助成なんかあるようですけれども園芸施設なんというものは国がどんどん奨励しているものですから個人でもたくさんやっているわけですね。こういうものに対しては、個人は出ない、共同なら出る、そういうことではなくて、やはりこういうのは補助できないものかどうか。  それからもう一つついでに聞きますと、ハウスの設計ですね。農林省はモデルの標準設計なんかをしょっちゅう発表しておりますが、これが全国一律で、私のほうの雪の深いところでも東京のハウスと同じようなつくりなんです。だから、垂直加重には強いけれども、辺加重というか、横の加重に対しては鉄棒がねじれてだめなんですね。これは、北のほうの小学校の体育館なんかも同じなんです。この辺で、ああいうハウス設計そのものを、農林省はもう少し雪国に合ったように検討し直すべきではないかと思いますが、この点についてはどうですか。
  106. 戸田博愛

    ○戸田説明員 お答えします。  施設復旧につきましては、農林漁業金融公庫の主務大臣指定災害復旧資金等活用いたしまして、復旧するように県を指導いたしております。  なお、ハウスの設計でございますけれども、今回の雪の災害でかなり被害を受けましたのは、個人用の簡易パイプハウスでございます。先ほど御質問ございましたような、鉄骨の大型のハウスにつきましては設計基準を設けております。これは耐用年数と安全度ということで、その地域の過去のたとえば二十年なら二十年のうちでの最大積雪量に耐えるような設計にするとか、そういうことで設計基準を設けてやっておりますので、全国一律ではございませんで、それぞれの地域積雪量というものを前提にして設計をいたしております。ただ、今回のように被害を受けました簡易パイプハウスの場合には、一応われわれといたしましては、過去八年の最大積雪量に耐えるようにという指導をいたしておりますけれども、これはあくまで個人の施設でございますので、施設園芸の収益性との関連もございますし、豪雪の場合は多少の支柱によって耐えられるということもありますので、現在までのところ個人施設についてはそれほど厳格な設計基準を申しておらなかったわけでございます。しかし、今回の東北地方豪雪という経験にかんがみまして、さらに一そう設計基準を完全なものにするように、専門家の意見等徴しながら現在検討を進めておるところでございます。
  107. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 それから、ついででたいへん失礼ですが、もう一つ聞くことは、春あらし、せんだって四月二十一日全国にあらしが吹いて、だいぶ被害を与えたわけです。新聞を見ますと、死亡行くえ不明十七人、国鉄乱れると書いてあるわけですが、この四月二十一日の春あらしの被害、特に農業施設等への対策としては、何をどうお考えになっておるか、ひとつお答えいただきたいと思うのであります。
  108. 松本作衛

    ○松本(作)政府委員 四月二十一日の春のあらしの被害でございますが、実はいま調査中でございまして、大体二十億ぐらいの被害があろうか、こういう報告を受けておりますけれども、まだ詳細は把握できておりません。詳細の被害がわかり次第、必要な対策をとる必要があれば検討してまいりたいと思います。
  109. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 これはあまり詰めるということは必要ないと思うのですが、実は私がお聞きしたところでは、農業施設等の対策として共同利用施設に対して国庫補助二割から九割を適用する。あるいは畑作共済による救済をする。農林漁業金融公庫の融資六分二厘をやるというふうに聞いておるわけでありますが、大体そういうことでいいのかどうかということが一つ。  それから、これは石川県の松任という市のことでございますが、ここでビニールハウスが損壊して死んだ方も出しているわけであります。ここでもほとんど個人がやっておる。農協も一緒にやっておるところもありますけれども、トマトやキュウリなど施設園芸が非常に盛んなところでありますが、そこだけの被害が二億円をこえるといっております。  そこでお聞きしたいのは、個人に対する救済もついでに考えていただかなければならないのではないかということ、特に施設の場合はずっと個人がふえていますので、その点はどうか。ひとつ念を押しておきたいと思います。
  110. 松本作衛

    ○松本(作)政府委員 個人がビニールハウス等の災害を受けた場合には、ただいま御説明ございましたように、主務大臣指定施設の中で六分二厘の資金が融資されることになっておりますので、必要に応じて融資措置を講じてまいりたいと思っております。
  111. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 最後であります。  いろいろ、いままでずっと御質問申し上げたわけでありますが、秋田県ではかつてないような大きい被害を受けたわけで、その個々の事例については申し上げる時間がございませんから言いませんが、秋田県でも、今回の豪雪被害について秋田農業関係豪雪被害対策資金というものをつくりました。これは四億四千万余りの金でありますが、総合的な対策をこれでとるようがんばってやっているわけでありますが、全体この額からいえばやはり焼け石に水の感があるわけであります。だから、農民は政府の救済対策最後の願いを託している、こういう状態でありますが、先ほど来繰り返し述べてきましたように、政府がこの際制度の中身でこだわっている限り、ほんとうに農民が再生産できる意欲を持つことはできない、こう思いますが、この際抜本的に特別立法を含めて対策を講じなければならない、私の見る限りそういう事態であるということを申し上げたいと思うわけです。  そういう点で、きょういらっしゃるどなたが担当か知りませんけれども、先ほど来、いまの制度の中で最大を尽くしているというけれども、特別立法であるか何であるかは別にして、もう一歩壁を破らなければならない。そこら辺を最後にもう一回強調したいわけでありますが、念のために、それに対して考慮の余地があるものかどうか、責任ある決意なりお答えを得たいと思うのです。
  112. 松本作衛

    ○松本(作)政府委員 先ほど来申しておりますように、特別立法につきましてはここでお答えしかねるわけでございますが、先ほど来いろいろと御指摘ありましたようなことを十分私どもとしても承知をいたしまして、対策の万全を期していきたいと思っております。
  113. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 終わります。
  114. 金丸徳重

    金丸(徳)委員長代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後一時八分散会