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1974-04-10 第72回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年四月十日(水曜日)     午後一時十分開議  出席委員    委員長代理 理事 金丸 徳重君    理事 宇田 國榮君 理事 小沢 一郎君    理事 高鳥  修君 理事 諫山  博君       越智 伊平君    瓦   力君       志賀  節君    島田 安夫君       竹中 修一君    中尾  宏君       萩原 幸雄君    旗野 進一君       村岡 兼造君    森  美秀君       綿貫 民輔君    渡部 恒三君       阿部未喜男君    柴田 健治君       柴田 睦夫君    津川 武一君       高橋  繁君    宮田 早苗君  出席政府委員         総理府総務副長         官       小渕 恵三君         農林大臣官房技         術審議官    遠藤 寛二君         気象庁長官   毛利圭太郎君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房参事官    杉岡  浩君         文部省管理局教         育施設部指導課         長       大井 久弘君         農林水産技術会         議事務局研究総         務官      鈴木 章生君         水産庁研究開発         部長      松下 友成君         気象庁予報部予         報課長     藤範 晃雄君         建設省河川局次         長       境  徳吾君     ————————————— 本日の会議に付した案件  委員派遣承認申請に関する件  災害対策に関する件(近年における世界異常  気象実態調査とその長期見通し等)      ————◇—————
  2. 金丸徳重

    金丸(徳)委員長代理 これより会議を開きます。  阪上委員長所用につき、委員長の指名で私が委員長の職務を行ないます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  この際、おはかりいたします。  先ほど理事会で協議いたしましたとおり、豪雪による被害状況調査のため、秋田県に委員派遣することとし、議長に対し委員派遣承認申請をいたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 金丸徳重

    金丸(徳)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  つきましては、派遣期間、期日、派遣委員の人数及びその人選並びに議長に対する承認手続等に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 金丸徳重

    金丸(徳)委員長代理 御異議なしと認めます。  よって、さよう決定いたしました。      ————◇—————   〔金丸(徳)委員長代理退席高鳥委員長代理着   席〕
  5. 高鳥修

    高鳥委員長代理 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。金丸徳重君。
  6. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 私は前回の委員会において気象庁より「近年における世界異常気象実態調査とその長期見通しについて」に関しての御報告を受けました。異常気象その他について世間異常なる関心をもってまいっておるときに、このような広くかつ長い観測を基本にいたしましての調査報告をなさいましたことにつきましては、御労苦に対して深く敬意を払いますとともに、これに関しましてさらにもう少しお伺いをいたして、今後の対策について、私どものとる措置などについての万全を期したいと思うのでありますが、つきましては、質問を申し上げるまでに、この基礎になりました諸要素状況などについて、自分なりに深く勉強をいたしましての上のことと思っておりました。ところが、いろいろつかえもありまして、それまでに至っておりません。したがって、お尋ね申すことについても、浅い勉強の上での全くのしろうとじみた、あまりにしろうとじみたことになることをおそれるのでありまして、ある場合には間の抜けたようなお尋ねになるかもしれません。しかし世間には、そんな心配なりそうしたことについて関心を払いながら、また今後の気象庁長官をはじめ関係各位の御努力によって大きな成果をもたらすことを念願いたしておる者も多かろうと思います。さような意味において、あるいは間の抜けたお尋ねにつきましても、啓蒙の意味においての御答弁を願えればありがたい。冒頭ひとつ御了解を得ておきたいと思います。  そこで、この調査報告は、世界を大きな形において見て、そして大体の傾向としての御報告のように承りました。私どもはそれを参考にいたしまして、さらに、それでは日本列島においての傾向というものがどういうふうにあらわれておるのかについて、この御報告が出ただけに最初関心を持つのであります。日本列島に限って見てみますと、たとえば九州北海道と比べてみると、ここにあらわれておるように、高緯度のほうにおいては低温傾向が強まってくるとか、そうでない低緯度については寒冷もしくは乾燥化傾向になってくるというようなことであるが、この両地域においてどういうような現象がこのところ認められましょうか。さらにもっとこまかく言ってみますと、気象庁各地気象観測所を持っておられますが、それらを細分的なものに見てみますと、各地気象台その他においてはどういう傾向を数字的にあらわしておるのでありましょうか。平均気温において、あるいは気圧において、どんなふうになっておるのでありましうか。大体においてのお話でよろしいのでございますが、お聞かせをいただければありがたいのであります。
  7. 毛利圭太郎

    毛利政府委員 ただいま先生からお話のございました、気象庁が最近発表いたしました異常気象実態調査、その長期見通しに関連いたしまして、この調査でも、世界的と申しますか、高緯度寒冷化が始まっております。日本につきましては、高緯度寒冷化に伴いまして、いままで空気全体が東西流傾向がございましたものが、南北流傾向になることがやや多くなると認められますので、その影響が日本に及んでまいりました場合に、いままでよりもやや異常と思われますたとえば低温と高温、大雨と少雨などの、地域的にコントラストの大きい天気があらわれるということでございます。  ただいま先生指摘になりました各地状況に関しましては、数字の問題もございますので、予報課長が参っておりますので、そちらにお願いさせていただきたいと存じます。
  8. 藤範晃雄

    藤範説明員 日本傾向についてお答え申し上げます。  最近、特に日本北部方面におきましては、夏に低温傾向が目立ってきております。最近十年間で北海道では五回低温がございました。その前の傾向としましては四年に一度ぐらいでございましたが、最近は平均して年に一度程度低温が起こっております。それから西日本につきましては、夏季は干ばつ、少雨傾向かなり目立っております。そういう意味におきまして、西日本気温はまだ高い傾向が続いております。それから、全体的な気温傾向でございますが、大都市を除きました日本全国気象官署八カ所ばかりを平均しますと、一九六〇年ごろから平均気温が徐々に下がっております。これは北半球全体の傾向は一九四〇年ごろから気温が低下したのでありますが、日本平均気温としましては、二十年ばかりおくれて一九六〇年ごろから低下傾向を示しております。ただし、それを詳細に見ますと、日本北部が主体でありまして、西部、南部というのはあまり大きな低下傾向は現在ございません。  以上であります。
  9. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 その低下傾向あるいは乾燥傾向といいますか、そういうものは同じ緯度で比べてみますと、世界全体の傾向と全く相同じような足取りといいますか、傾向を見せておるのでありますか。それとも日本の特殊な何かの事情のために特殊な波なり傾向なりを見せておるということですか。それをどうごらんになっておりますか。
  10. 藤範晃雄

    藤範説明員 日本緯度におきましては、地域的な差がございまして、全般的に申しますと、日本北部を除いたアジア地区ではまだ気温はそんなに下がっておりません。しかしながら、アメリカ西部とかヨーロッパでは気温低下傾向が認められまして、これは地域的な特徴によっていろんな傾向の差があらわれております。
  11. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 その傾向をもたらす主たる原因というのは、日本が全く島嶼的といいますか、海洋国家といいますか、大陸的でないような地況の中にあるからということと見てよろしいのでありましょうか。
  12. 藤範晃雄

    藤範説明員 先生の御指摘のように、日本大陸のちょうど東側にありまして、東側が広大な海洋、西側には大陸と同時に、ヒマラヤ山系の非常に大きな山脈がありまして、こういうふうな特殊な地形が日本特徴に影響しているものと思います。
  13. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 そういう問題のあることを前提といたしまして、いま日本気象観測施設といいますか、観測網とでもいいましょうか、そういうものは、理想の域に達しておるのであるか、それともまだ理想にはよほどかけ離れておるのか。私どもそれを心配するのでございますが、どうでありましょう。世界と同じような足取りでいくならばいいけれども世界的ないろいろな資料を集めてもいいが、そうでないいろいろな事情からいって、日本独自の気象を呈しておるとするならば、この列島の中に相当精緻な、きめこまかな観測施設を持ち、観測充実しておきませんと、国民の信頼にこたえられないのではないかと思うのであります。この点を心配いたします。
  14. 毛利圭太郎

    毛利政府委員 ただいまの先生の御指摘の点でございますが、われわれといたしまして必ずしも十分とは申せませんけれども、一応の施設、定員などの体制もできております。われわれといたしましては、これらを十分活用いたしまして仕事をやっていきたいと存じております。
  15. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 国民としては、最近世相がいろいろな意味においてきびしくなってまいりました。不安の度が高まっておる。それに引きかえて、これも私のひいき目で見るからかもしれませんけれども、最近気象庁のお出しになる天気予報など、この両三日の様子から見ましても、よく当たってくれると思うのですね。それで、せめてそういうことについてのいままでの不安が幾らかずつでも減っていくことに対して、非常に希望を持っておるのではないかと思うのです。いまのような世相の上に、さらに不安あるいは心配の種が重なってきてはたまらぬという切実なる感じがあるからにほかならないと思うのでありますが、それにつきましても、気象観測などによって不安が除けるものならば、あるいはあらかじめ準備を整える時間でもあるようにしてくださるならば、私は国民としては相当の税金を納めてもいいのだ、高くなってもいいのだという気持ちを持つと思うのであります。いままでとかく当たらないのが天気予報だなんといわれておりましたために、あるいはおそれるのでありますが、気象庁長官など、国民大衆に御遠慮があってはならないと思うのでありますが、いかがでございましょうか。もしこうしてくれるならば、さらにこうも進めることができるのだ、こう思うのであります。  そこで、その話を進める前にお尋ねしておきたいのでありますが、的中率というものは最近どの程度に進んでおるのでありましょうか。それからひとつ承りたい。
  16. 藤範晃雄

    藤範説明員 的中率は、たとえばきょう、今晩というふうな短い期間のもの、それから、あす、あさってというふうなやや長い期間のもので多少異なりますが、大体平均しまして八〇%前後というところだと思っております。
  17. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 最近は八〇%というのですが、十年なり二十年前と比較してどのような傾向といいますか、向上度を示しておるのでしょうか。それをちょっとお聞かせいただきたい。
  18. 藤範晃雄

    藤範説明員 十年前、二十年前との比較は、実は気象庁におきまして天気予報を採点する場合の基準が変わりましたので、ちょっと困難でありますが、その基準の変わりましたことを考慮の外に置きますと、今明日の天気予報においては、まず一〇%近く向上しているのではないかというふうに考えております。
  19. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 その向上率は、いま八〇%になっているとしますれば、さらにまた一〇%なり一五%なり増すということは、近く可能ですか。それがもし可能でないとするならば、どうしたら可能になるのでありますか。
  20. 藤範晃雄

    藤範説明員 近く可能であるかどうかということについては、確信は持てませんが、私どもがただいま電子計算機あるいは気象衛星というようなものを利用して予報を近代化いたしまして、情報の質を向上させるように努力いたしております。  そういう意味におきまして、徐々にではありますが、将来におきましてはかなり向上が見込まれると考えております。
  21. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 気象衛星あるいは通信設備整備計算機整備などによって、いままでの観測データ整備からだけでもかなりの確度が、精度が進められるとしろうとながら私も思うのであります。しかし、それ以上にさらに観測施設をもう少しきめこまかに置くというようなことはどうでありましょうか。たとえば雨量計にいたしましても気圧計にいたしましても、いまの状態で十分だとは思えないように思うのです。これをさらにどの程度に増して、その他のものについて、あるいは日本だけの観測ではいけませんので、周辺各国からの協力も得なければならないとしまするならば、その周辺各国に対するいろいろな要請なり、もしくはこちらから施設の援助なりをするとか、あるいは海洋国家ですから、海の中になかなかいい観測基地を置くわけにはいかないとしますならば、船の用意などはどうであろうかとも心配されるのであります。そういう点についてはどういうふうにお考えになって、今後に処しようと思われるのですか。
  22. 毛利圭太郎

    毛利政府委員 天気予報向上いたしましてその質を向上いたしますのに、先生指摘のように観測施設充実というのは重要なことでございますが、気象庁といたしまして近年地域観測網充実計画計画してまいりまして、本年度からその一部が実施になります。この計画によりますと、現地観測いたしましたもの、最初雨量だけでございますが、現地観測いたしました雨量が即時的に中枢報告されるような自動的な通報組織でございまして、こういう装置をいたしまして、本年度から五十年、五十一年にかけて計画をいたしまして、この三年間の計画が終了いたしますと、雨の観測だけを行ないます地点が約千三百、なお雨のほかに気温とか気圧とかそういう四つの要素報告いたします自動観測所が約八百四十、日本じゅう配置されるのでございます。これらの地点から非常に早く現地状況中枢に入ってきまして、またこれを現地に送り返すことができるようになります。  なお陸上だけでなくて、海のことに関しましても、気象庁観測船がございますが、また先ほど申し上げましたように現在衛星写真を使っておりまして、この衛星写真などを十分活用いたしまして、十分な資料がとれない海上などの状況の把握に努力している現状でございます。
  23. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 だいぶきめこまかな計画が進んでおるようでございますが、これがフルに動き出すのはいつごろになりましょうか。気象衛星はまだまだ時間がかかるようでありますが、これも急がなければなるまいと思うのですが、気象庁としては、気象庁の立場からどういうふうな促進措置なり何なりをおとりになるおつもりでしょうか。
  24. 毛利圭太郎

    毛利政府委員 地域観測網計画試験実施を本年度梅雨期、六月から、本運用を十一月から予定いたしておりますが、四十九年度といたしまして約百カ所の雨の観測所計画してございます。  なお、静止気象衛星は五十一年度末打ち上げの予定でございます。
  25. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 いろいろ御尽力になっておるようですけれども気象衛星にいたしましても、あるいはその他の観測施設の十分なる配置といたしましても、もう一刻も早ければ早いほど仕事は楽になるのじゃないでしょうか。それから正確になるのだろうと思います。これは急ぐべきであり、われわれも大いにまたそれについては御協力も申し上げたいと思うのであります。  そこで、最近は八〇%の的中率ということでありますが、かつては六〇であったかもしれない、もっと、当たったほうが珍しいなんて悪口を言われたぐらいのときもありました。そこでそういうものについて、なぜ違ってきたか、予報と違った現実の気象があらわれたかについて、追跡するといいますか、振り返ってその原因を詳細に調べ上げて、データを修正しておくという措置は十分におとりになっておられるのでありましょうか。手がないものだから、過去のことはとにかくとして、来たるべき気象状況変化にのみ精力を集中せざるを得ないというような今日までの状況ではなかったとも心配されるものですから、この点をお尋ねいたすのでありますが、その点はどうでありましょうか。違った場合に、どこが違ったか、なぜ違ったか、どうしたらばいいかについての、過去のものについての反省なり補足なり修正なりを十分しておかるべきであったと思うのですが、その点についての御所見を承りたい。
  26. 藤範晃雄

    藤範説明員 お答えをいたします。  私どもは、天気予報を間違えた場合には、担当をきめましてその調査をしております。それから、毎年技術検討会を開きまして、全国から予報官を東京に集めまして、予報のはずれた原因、あるいはどうすればそれを向上させ得るかというふうな検討会を開いて対処しております。たとえば、そういう意味検討用資料としまして、地上天気図あるいは高層天気図というようなものを印刷資料として各所に配付して、その検討の便をはかるなどして、全国的にそういう問題についての検討努力しております。
  27. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 それはしかし十分に手がありましたか。私はそれを非常に心配するのです。一年に一度とか三月に一度反省会を開くとか調査研究会を開くということであってはならないのであって、いまこの天気がきのうの夕方の観測とは違ってきたという場合に、なぜ違ったか、どこで違ったかを調べ上げて、すぐにそれを修正しておくということがこれから大切であり、それはまた可能ではないか。可能というよりもむしろ今後の資料として非常に重要になるのではないかと思うからなのであります。といいますのは、先ほど長官のおことばの中にもございましたけれども通報施設あるいは計算施設その他についても、十年、二十年前とは格段の違いの電気機器もできておるわけなんですから、データに教え込むというような場合においても、間違ったデータを教え込んでいてもしようがない。修正して正しいものとして教え込んでおく。次に同じような条件が出てきたときにはボタン一つで結果があらわれてきて確かなものになるのだというようなことにしておくことが可能である。そこまでいってほしいように思うからでありますが、その点について、人員的にも機器的にもどうなんでしょうか。
  28. 毛利圭太郎

    毛利政府委員 予報に関します資料検討とその技術向上に関しましては先ほども申し上げましたように努力しておりますけれども、これを毎年また各地でやりまして蓄積をいたしております。これを蓄積いたしまして、また各地各所に配付したりなどいたしまして、もちろん先ほどと同じでございますけれども、十分な人手でないかもしれませんけれども、現在の技術者を一応活用いたしましてできるだけの努力をして、また今後もこのような技術蓄積の上にさらに質の向上をはかっていきたいと存じております。
  29. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 この点について私はもう少し詳しくお尋ねいたしたいのでありますが、時間の関係もありますから進めさせていただきます。  あと一点だけになるのですが、いままでの気象庁のお持ちになっておる各地地方気象台でありますとか、あるいは昔はよく測候所と言ったのですが、そうしたものが通常行政区画の中に影響されまして、ほんとうの気象観測基地としてはあまりといいますか、一〇〇%適地でないところに置いた場合もあるのではないかと思います。これを通常行政区画とは全くかけ離れて、気象観測上同一気象圏中心に置くとかあるいはまた同じような、あるいは違ったいろいろな材料を集めるのに都合のいいようなところへも考えて置くとかいうふうに見直す必要があるように思うのでありますが、いかがでございましょうか。今後における電子計算機でありますとかその他の通報施設データ通信などを十分御利用なさるという意味においての心がまえからして、その点についても考えを新たにしてかかるべきではなかろうかと思うのですが、どういうふうにお考えになっておりますか。
  30. 毛利圭太郎

    毛利政府委員 気象官署配置状況につきましては先生指摘のように、気象的に見ました気候区と、行政的に見ました県とが多少食い違っているところがあるやに存じますけれども気象庁は各県の県庁などとの防災上の連絡を非常に密接にし、情報連絡を密接にする関係から申しまして、行政的に常に県や自治体と密接な連絡をとる必要がございますので、気象官署は一応行政的な各都道府県にございます。ただし先ほど先生の御指摘のように、気候の違いましたところをどうするかという問題は技術的にございますが、九州はたとえば福岡のように、ある代表的なところに管区気象台がございまして、ここにおきましていろいろ全体的なところを見まして、資料も集めまして、また統計調査などを行ないまして、多少気候状態が違いますと技術的に考えられます地点につきまして調べまして、ほかの地点との比較調査検討を行ないまして、この代表性につきまして技術的な検討を詰めております。この地点代表性ということから考えますと、現在一応全国的に展開されております行政区画気象台技術的にはできる状況にございます。
  31. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 それではこれはあとでまた御研究になることと思いましてお願いするのでありますが、いまの気象圏といいますか気象区というような考えを取り入れられるとしますと、電話などについて、いまの天気状況、ダイヤルを回すとすぐ教えてくれるような設備が進められておって、これはだんだん全国的に各地区にまで及ばれるのだと思います。これは気象庁のほうで材料を提供しますれば、電電公社のほうでも十分それに沿うて協力なさるだろうと思うのであります。そうなりますと、先ほどお話の中に出てまいりました自動観測機器整備、これをこまかに設置されて、そしてそこからも即時気圧変化雨量変化あるいは風速まで要るかどうかは別にいたしまして、そういうものが入ってくる。それを気象区の中心において上からすっかりながめて、これはこうなるであろうと、わりあいに正確なものが出てくるとしますれば、いまのこの天候は一時間後にはこうなるであろうということを国民の皆さんに知らせることができる。聞く人には電話によって教えてやることができると思います。そういう設備、仕組みにでもなると、いま私ども生活というものはどれだけその点についての安心感、その点についての便宜感、あるいはさらに進んで明るい気持ちが進んでくるかわからないと思うのであります。こういうことについては相当の経費を投じてやってほしいところだと私は思うのです。気象庁のほうとしてはそういう要望にこたえるためのいまの気象区の考え方なり、それから観測施設のきめこまかなる配置、それの集約とそのデータをもって過去のいろいろの経験に基づいて判断を下す陣容とがありますと、いまのような電話通信施設が即時化されたことでありますから、全国的にその利用は高まってぐると思います。いまより札幌に旅行するんだが、札幌における夕方の天候がどうなるんだということを羽田の飛行場で出発前に知ることができるという時代を迎えることができるということは、どれだけ国民生活の上に安心感と明るさ、気持ちよさが進めてこられるかわからないと私は思うのですが、気象庁においではどういうふうなお考えでありましょう。
  32. 毛利圭太郎

    毛利政府委員 データのことに関しましては、自動気象観測網整備されますと地方気象台のみならず中枢の管区、中央のところに即刻集まってまいりまして、そこから即刻各地に知らされる、問い合わせに対しまして直ちに応答できるような状況になります。また先生指摘天気予報電話でございますが、われわれ一七七と申しておりますけれども、おもな都市には一七七の状況整備されてございまして、そこの局番の次に一七七をかけますと非常に遠いところからでも現在応答されるようになっております。どことどこにそれが全部完備されておるかという数字につきましては、申しわけございませんけれどもまた後ほど調べさせていただきたいと思います。
  33. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 じゃ時間が来ましたからこれで終わります。私はただ、いま頭に浮かんだことをまるでとりとめもなくお尋ねしたような結果になりましたけれども、ねらうところは気象庁においてもいろいろな点について万全の努力を払っていただいて、いま異常気象世界傾向の中に置かれておる、またその影響を特によけいに受けそうな日本列島の中に住むわれわれといたしましては、せめては材料の正確さによって、必要であるならばあらかじめの準備が遂げられるように、またよけいな心配もしなくて済むような状況に置いてもらいたい、こう思うものだからであります。  きょうのお尋ねはこの程度にさせていただきます。また後日に補足させていただきます。ありがとうございました。
  34. 高鳥修

    高鳥委員長代理 次に、高橋繁君。
  35. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 最初に豪雪の問題で、昭和三十八年にかなりの豪雪があったわけです。そのときに気象研究所が中心になって五カ年計画でその研究が行なわれて、その結果昭和三十八年のときにはきわめて上空に冷たい低気圧が来て、寒冷化というのですか、コールドボルテックス、これが大雪の原因であった、このように研究成果が出ておりますが、昨年暮れから本年一月、二月にかけてのそれにまさる豪雪の原因は、これと同じような現象から大雪が降ったのであるかどうか、この辺お聞きをいたしたいと思います。
  36. 藤範晃雄

    藤範説明員 非常に広い意味で申し上げますと、ほぼ共通した原因で、ただいま先生が御指摘なさいました上層の寒気の流れによって起こったことは共通しております。ただしその寒気の流れの経路が昭和三十八年とこの冬とでは違いまして、そのために豪雪の起こった場所あるいは日本付近での全体的な天気分布は多少異なっておりましたが、広い意味では共通した原因でございます。
  37. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 広い意味で同じような原因であるということになると、そこから——今度気象庁が「近年における世界異常気象実態調査とその長期見通しについて」という発表をされました。昨年の四月には「近年の世界天候について」ということで発表になりました。その中を見ますと、今後十数年というものはこの寒冷化傾向が続きそうである。ただし、これは年々必ず気温が下がるということではなく、すべての地域で必ず下がるということでもない。いわゆる寒冷化という傾向世界のこれにも当分続くおそれがあるというふうに出ておりますが、それとこの豪雪のいわゆるコールドボルテックスのよってきたところの原因と、何か関連性がございますか、私はしろうとでわかりませんが。
  38. 藤範晃雄

    藤範説明員 私どもはやはり非常に広い意味で関連性はあると考えております。ただし気象庁寒冷化と申し上げましたのは、五年あるいはそれ以上の長い平均値をもとにした気候変動でありまして、しかも北半球全体の傾向ともいうべき非常に広い範囲の長期的な傾向でございます。そういうことをバックグラウンドにしてしますと、中緯度あるいは日本を含めた中緯度では、異常気象の起きやすい気圧配置がより多く出やすいという傾向がございます。そういう意味におきまして今度の冬に出ました豪雪も、バックグラウンドとして北半球の寒冷化のもとに起こったものというふうに考えておりますが、直接その気候変動そのものがいきなり影響したということでなしに、まずそういうことを起こすための一つの基本的条件というふうに考えております。
  39. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 そうしますと、地球上でそうした寒波あるいは大雨、大雪、そういう現象が今後起こりつつあるというふうにも書いてありますが、そのようにいわゆるコントラストの強い天気の部分が今後あらわれやすくなってくると、また今後再び起こってくることはたしかであろうと思うが、この三十八年にまさる本年度の豪雪、またそれにまさる豪雪というものが近い将来起きるということを一応予想づけられますか。
  40. 藤範晃雄

    藤範説明員 豪雪の起こる条件は単に寒冷化だけでなく、いろんな意味気圧配置が複合した結果として起こりますので、近い将来すぐ起こるかどうか私どもも予想が困難でありますけれどもかなり長い将来を含めて考えるならばそういうことを起こす条件は持っておる、そういうふうに考えております。
  41. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 せっかく長期見通しについてということで出されたのでありますから、ある程度のそうした、一〇〇%確実ということはいえないでしょうけれども、そういうような状態にあるということは、これから研究を進めていくでしょうが、豪雪があるということはいえるんじゃないかと思いますが、その辺どうなんですか。将来の研究成果にまつのか……。
  42. 藤範晃雄

    藤範説明員 ちょっと質問の意味を取り違えたかもしれませんが、現在もその豪雪の原因につきましては、先ほど御説明いたしましたように、たとえばコールドボルテックスだとか冬型気圧配置だとか主として大陸からの寒気の流れの状況、それを左右する大きな気圧配置によってその豪雪が起こるわけでございます。このことについては先ほど先生が申されました研究所の研究もございますが、さらに、私どものほうではレーダーだとか気象衛星だとか、そういうものを使いまして、今後さらに研究すべき問題が存在しておるというふうに考えております。
  43. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 私は、ただ単に豪雪ばかりじゃなくて、せっかく長期見通しという、今後、基本的なことであろうと思うのですが、将来「北日本、東日本中心とする冷夏、西日本中心とする干ばつが起こりやすく、また各地で集中豪雨が起こりやすい傾向があるので警戒を要する。」というように世界天候のほうでは書かれておる。また長期見通しのこれによりますと、「当時には存在しなかった社会環境の下では、農業のみならず、多くの分野において違った影響が表われる」ということが書かれておりますし、「その対策を考慮しておく必要があろう。」こういうように締めているわけですね。そうしますと、将来豪雪があるとか、あるいは集中豪雨があるとかというものが、せっかく見通しというものが立てられるならば、ある程度の、そうした長期にわたっての見通しというものも立ててもいいのではないか。また立てなくてはならないじゃないかと思うのですが、その辺についてお伺いします。
  44. 藤範晃雄

    藤範説明員 私どもが今回調査しましたことは、先ほど申し上げましたように、長い平均的な意味傾向について調査して、その傾向の予想を行なったわけでございます。豪雪とか、異常気象とか、そういうのは、主として、期間にしますと二週間とか一カ月とか、そういう範囲のたぐいの問題でありますので、その予想自身を現在から長期的に立てるということは困難でございます。ただ、私どもとしましては、毎日の予報なり、あるいは一週間先の週間予報なり、長期予報におきまして、できるだけそういう問題を予測できるように努力したいというふうに考えております。
  45. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 そういう長期予報を予測したいということで、「今後の気象変動の推移には十分関、心を持ち、その対策を考慮しておく必要があろう。」ということ、また前の長官の書かれた本の中には、「気象変化が社会生活に大きな影響を及ぼすようになることは単なる杞憂であろうか。もしこれに対し適当な対策をしておかなければ気候の変動が大きな社会問題を起こす可能性が大きいように思えてならないのである。」こうおっしゃっておる。ということになりますと、せっかくやっているのですから、ある程度の長期的な見通しを立てて、それを各省に意見具申をして、将来の国土の計画なり、あるいは住宅の建設なり、あるいは今後の開発等についても、そういう長期的な見通しが立てられるならば、そこの辺の計画まで、これは大いに気象状況を参考にして、今後の開発をしなければならないと私は思うわけです、このように、社会生活に大きく社会問題を起こす可能性が大きいように思えてならないというのであるならば。私は、そういうふうに感ずるわけですが、今後、気象庁としても、その長期的な見通しに立って、「対策を考慮しておく必要があろう。」と締めくくってありますから、当然、気象庁としても、いろんな情報の収集であるとか、あるいは研究機関の整備であるとか、されると思いますが、将来にわたってそういうことを考えると、やはり見通しというものをある程度立てなくちゃならないし、これまで成果が出たのですから、その辺の見通しを、長官、どうなんですか。
  46. 毛利圭太郎

    毛利政府委員 先生がおっしゃいましたように、ここにございますように「多くの分野において違った影響が表われることが考えられる。」とわれわれは書いておるのでございますが、ずっと昔にはなかったように、最近は陸上、海上の問題、雪の問題、また別に電力の問題などございますが、こういう方面に気象がどのように影響いたしますかは、その分野の御専門の方に考えていただきたいと存じまして、われわれは、皆さんのお役に立ちます、りっぱな情報を作成してお伝えしたいと存じております。  具体的に申しますと、約半年前に、夏の終わりにその冬の大体の予想を出します。冬の終わりに夏の予想を大体申します。その次には、三カ月の予報を出し、また、それをさらに一カ月の予報にしぼります。さらに近づいてまいりますと、一週間の予報を出しまして、その後、毎日の天気予報を出しております。こういう多くの情報を、極力、質をよくして、各方面に提供する努力を今後も続けたいと存じております。
  47. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 それでは、気象庁としては、そういう情報を今後長期的な見通しに立って提供をしたい、こういうことで確認してよろしいですか。
  48. 毛利圭太郎

    毛利政府委員 先生のおっしゃるとおりでございます。
  49. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 その長期的な見通しを立てる上で、気象庁としては、今後いろいろな研究所の整備であるとか、あるいは気象庁庁内の情報収集のためのいろんな整備というものについては、いまお考え、あるいは計画をされておりますか。
  50. 毛利圭太郎

    毛利政府委員 気象庁の体制の整備に関してでございますが、研究調査に関しましては、四十九年度から、いままでは長期予報管理官と申しておりましたところが長期予報課になりまして、予報官等の人員を四名増強いたしました。今後長期予報業務の整備を行なう予定でございます。
  51. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 関連でありますので、終わりますが、最後に、この「近年における世界異常気象実態調査とその長期見通しについて」というパンフレットは、これだけで終わるのか、あるいはこのパンフレットに基づいて、さらに具体化されていくのかどうか。その辺をお伺いします。質問、わかりますか。
  52. 藤範晃雄

    藤範説明員 ただいまのパンフレットは、経済企画庁、農林省に報告する本文の要約でございまして、そして本文については、近く報告することになっております。  それから、その後の問題としましては、ただいま長官から説明がありましたように、長期予報課に異常天候監視という業務が付加されまして、世界異常天候を監視し、それからそれについて調査して、必要な方面に情報を提供するという業務を行なうつもりであります。
  53. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 それは「近く」と言いますが、具体的にはいつごろできますか。
  54. 藤範晃雄

    藤範説明員 間もなく発足できると思っております。
  55. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 以上で終わります。
  56. 高鳥修

    高鳥委員長代理 次に、津川武一君。
  57. 津川武一

    ○津川委員 気象庁お尋ねしますが、昨年四月、皆さんが「近年の世界天候について」という見解を発表されましたが、それはかなり大きな問題を含んでおり、私たちも国会でそのことを何回か論議さしていただきました。   〔高鳥委員長代理退席、金丸一徳一委員長代理着席〕 そして今度さらに「世界の食料需給の構造変化とその見通しに関する調査」というのを農林省と共同で行なって、今回、ここにあるパンフレット「近年における世界異常気象実態調査とその長期見通しについて 昭和四十九年三月 気象庁」というのを発表されましたが、ほんとうにこれは私たちたいへん大きなことを教えていただき、警告していただいて、いまさらここで指摘されるような冷温や少雨などを起こしてはいけない、このためにつとめなければならないと同時に、こういう状態が起きたらその被害を最小限度にするようにつとめなければならないというふうな覚悟と大きな教訓をいただいたわけです。  そこで、この報告書の内容について若干お尋ねいたします。  その一つは、報告書の一ページにありますが、「正規の観測が始まってから約百年間一度もなかったような現象が最近目立っている。」その一つの例として、昨年の台風一号が七月に初めて発生した、それから、昨年からことしにかけての冬に東京で七十一日も雨が降らなかった日が続いた、こういうふうに申しておりますが、今度の東北の豪雪、昭和四十六年の北海道の冷害、こうしたものが一連の現象として出ているんだ、こういうふうに私たち理解してよろしいかどうか、まず答えていただきます。
  58. 藤範晃雄

    藤範説明員 お答え申し上げます。  一連の現象というその意味でございますが、異常気象というのは毎年起こっておりますので、全部が一連の現象であるかどうかということは私ども証明できないと思っております。しかしながら、現在は北極を中心気候寒冷化が起こっているというのが事実でありまして、これをバックグラウンドにしまして、そうした現象が起こりやすい状態にある。そういう意味で、一連と申しますか、背景は一つであるというふうに考えております。
  59. 津川武一

    ○津川委員 よくわかりました。一つの背景のもとにいろいろな現象が起きてくる。そこで、四十八年四月に皆さんが「近年の世界天候について」という見解を発表されて、さらに四十八年度の政策推進調査調整費で今度の調査をされた。そこで、一連の、いま説明していただいた状況でわかると思うのですが、見解を発表されたり、特別調査しなければならないような気象上の特徴というのは何だったのでございましょうか。意味、わかりましたか。——何らか見解を発表したり、特別調査するとすれば、それなりに理由があったと思うのです。私は医者ですが、医学的に何かあれば——皆さんは気象を担当しているから、気象上の何かあればやらなければならないと思うのです。これをおやりになった、見解を発表されたりこの調査をやられたりする気象学上の根拠は何だったのでございましょう。
  60. 藤範晃雄

    藤範説明員 これは長期間における気候変動の問題として、現在北極を中心気温低下傾向にある。しかしながら、中緯度以南ではそれほど変化していないというふうな、根本的にはその気候変動の実態が原因で、それに伴う異常気象との関連が気象学的に問題になったというふうに考えております。
  61. 津川武一

    ○津川委員 そこで、三ページのまん中あたりの「世界の約百五十地点の月平均気温と月降水量」、そこいらあたりについて平均からの片寄りを見られたというふうにいっておりますが、皆さんのお仕事というのは、一つの学問に裏づけられなければならないし、そうであるし、そうでなければ国民を納得せしめないし、また資料ともならないと思うのですが、調査された方法論、どんな形でどういうことを調査されたか、その方法論について少しお聞かせ願いたいのです。
  62. 藤範晃雄

    藤範説明員 いま先生が申されました世界の百五十地点については、これは気温と降水量の資料を約九十年ないし百年分を検討しまして、その資料がもともと不正確なものもございまして、そういうのを全部吟味いたしまして、そしてそれを電子計算機にかけまして、長年の統計をやったり、それから平均から非常にはずれた値をピックアップしたりというふうな作業をいたしました。そのほかに、この全体の調査としましては、各種の文献、それから外国での実態調査というふうなものも併用して、そういう形で全体を総合したものでございます。
  63. 津川武一

    ○津川委員 そこで、百五十の地点で、ソ連の地点がどれくらいあったのか、わかったらひとつ教えていただきたい。中国の地点がどのくらいあったのか、インドシナ諸国がどのくらいあったのか、インドネシアがどのくらいあったのか、いわゆる南北朝鮮がどのくらいあったのか、これがわかっていたら教えていただきたい。方法論として、一定の地域に特別に百五十のうち密度があるまたはもう一度検討し直していただかなければならぬことも出てまいります。  それからいま、はしなくも予報課長が言われた、材料に精密なのと粗略なのがある、当てになるものと当てにならないものがある、そこいらあたりの取捨選択、これは必要です。  そこで、ソ連や中国、もう一つアメリカも加えていただきたい。アメリカなどというものとインドネシア、それからインドシナあたりの密度から文献のあり方なんか、これをひとつ明らかにしていただきたい。  私の言っていることは、インドネシアやインドシナというものの、こういう観測点、文献をこちらからも援助して聞き出して精密にしないと、せっかくのお仕事が片寄ったものになって、私たち、皆さんが学問的な立場で言われたものから間違った結論を出したりするといけないからここのところを尋ねておって、方法論と言ったのもそういう意味で、ここいらあたり少し明らかにしていただければと思います。
  64. 藤範晃雄

    藤範説明員 その資料の総数は私ちょっと失念いたしましたが、その数はやや不確かですが、世界の約六百地点の中から使えそうなものを選びまして、世界じゅうから百五十地点をピックアップしたわけでございます。ソ連につきましては大体三十地点近くピックアップしてあると思います。それから、中国、日本を含めまして、アジア地区では十数地点、それから東南アジア等では、ピックアップのしかたは二、三地点になっておるかと思います。  私どもがソ連とか中緯度以北に重点を置きましたのは、低緯度では気温などの変動が小さいものですから、比較的変動の大きいところに重点を置いたという考え方がございました。
  65. 津川武一

    ○津川委員 今度の調査の一つの背景が、皆さんがおっしゃられた北極の寒冷、これは日本に対する影響が非常に大きいからそこに重点を置いたことは、私はよくわかります。しかし、国際的な食糧の不足が非常に問題になってきて、昨年度の皆さんの四月の発表がその一つの議論のきっかけになったわけです。こういう立場からいうならば、私は、ソ連の三十カ所、中国の十数カ所、東南アジアの二、三カ所ということにけちをつけるつもりはないのですが、もっと信用度のあるものとしていただかなければなるまいなという感じなんです。  そこで、いま詳しい地点をお持ちでないそうですから、後刻、調査に直接担当された方を私のところに差し出していただいて、私もとくとその点をお尋ねして、必要なものはまた皆さんにおねだりしたり、要求したりする機会をつくってみたいと思います。その資料委員長にもお願いしていただいて、この場でまたもう一回その話をさしていただきたい、このように委員長からもひとつ取り計らいをいただきたいと思います。  そこで質問を進めていきます。五ページのまん中ごろ「一九六一年から一九七二年の間に(ア)異常低温の出現度数は異常高温の二倍以上になっている。(イ)異常少雨の出現度数は異常多雨の出現度数の約一・六倍である。」そうすると、これからの予想されるものは、気温が下がる、雨が少なくなる、こういうふうに単純に理解してよろしゅうございますか。いろいろ波もあるでしょうけれども、大きな方向としてそのように理解してよろしゅうございましょうか。
  66. 藤範晃雄

    藤範説明員 大きな意味ではそのとおりだと存じます。ただし、異常少雨異常多雨の関係は、その比率が約一・六倍で、全体の異常値の総数はあまり変わっておりません。ところが、異常低温のほうは、異常値の総数そのものがふえているというのが多少違うところでございますが、大体においては先生のおっしゃるとおりでございます。
  67. 津川武一

    ○津川委員 そこで、また重ねてお尋ねしますが、一一ページの「気象データによる調査」、世界の「約三分の二の地点では、今後十数年間は平年より低い気温が続くが、残りの約三分の一の地点では、今後十数年間平年より高い気温が続く。」こう書かれてあります。それから一三ページの「結び」の二番目、「一九四〇年ごろから北半球では、極を中心寒冷化傾向が続いており、世界全体として、低温異常値がかなり増えている。」この前の、世界の三分の二の地点の中に日本が含まれておるのか、この一三ページの「結び」の二項目に日本が含まれておるのか、まずこの点を聞かしていただきたいと思います。
  68. 藤範晃雄

    藤範説明員 この資料で扱いました日本地点については根室と宮崎でございまして、根室についてはまだ今後気温が下がりそうだという結果が出ました。それから宮崎についてはあまり変わらないというふうな結果が出ました。含まれておりますが、実はごく一部でございます。
  69. 津川武一

    ○津川委員 重ねてお尋ねしますが、この冷温、低温、それから雨の少ない状態がこれから日本にも心配になる、こういう結論になるのでございましょうか。
  70. 藤範晃雄

    藤範説明員 このパンフレットにも書いてございますように、日本は中緯度に当たっておりますので、場合によっては異常高温ということも出ますが、特に北日本中心に、毎年毎年ではございませんが、気温は下がっていく傾向にあるというふうに私ども考えております。
  71. 津川武一

    ○津川委員 それから、最後の一四ページに、先ほど委員も問題にしていたようですが「当時には存在しなかった社会環境の下では、農業のみならず、多くの分野において違った影響が表われることが考えられる。」皆さんは「多くの分野」といわれましたが、この「多くの分野」とはどんなものを考えておられたのでございましょうか。
  72. 藤範晃雄

    藤範説明員 ここでは、十九世紀以前と比較してございまして、当時存在しなかった交通機関だとか、それに影響する雪や凍結の問題あるいは電力の問題あるいはいろんな諸産業の問題というような形でいろんな方面に影響するだろうと予測されるわけでございますが、その詳細については、私どもも専門家でございませんので、各方面で検討されるというふうに思っております。
  73. 津川武一

    ○津川委員 文句を言うわけじゃありませんけれども、専門家でなくとも、皆さんがこれは権威を持っておるわけです。そこで多くの分野というからには、他人に預けておいててまえがってに多くの分野ということでは済まされないと思うのです。これは検討されて書いたのか未検討で書いたのか、そういう点もう一回答えていただきたいと思うのです。決して責めるつもりはございませんけれども、何らか議論された、たとえば水産、魚なんかどうなるのだろう。いま電力が出ました。これは水が少なくなると出ましたし、いろんなところがあると思うのですが、もう少し責任ある返事を願いたいわけです。
  74. 藤範晃雄

    藤範説明員 たとえば水産あるいは農業におきましても、これはごく常識的な立場からでございますが、いろんな農業の方法論とかそれから技術的な面で非常に違っているわけでございます。そういう意味での非常に一般的なディスカッションを私どもはいたしまして、そして従来こういうふうな気候寒冷化した状態、過去における状態と現在あるいは将来技術的にあるいは文化的に非常に異なった状態では相当違うということについてかなり一般的なディスカッションをいたしました。
  75. 津川武一

    ○津川委員 長期的には日本の北半分を中心気温が下がっていく、しかしそれは一がいにいえない。ここにも書いてあるとおり、南北流型とか東西流型なんかあって、ジグザグがかなり出てくる、これは発表されました。したがって、私たちもこれは非常に重要視していますので、今後長期だけでなく、この変化南北流型か東西流型かでいろいろな現象が出てくるのを責任をもって追求する必要があると思うし、しなければならないと思いますが、ここらあたりはいかがでございます。
  76. 藤範晃雄

    藤範説明員 私どももそのように考えておりまして、今後長期予報課におきまして、世界異常天候に関する資料を収集しまして、それを解析調査して、情報を必要な方面に提供したいというふうに考えております。
  77. 津川武一

    ○津川委員 昨年の四月、皆さんが見解を発表し、今度こういう結果を発表された。そうすると昨年の四月に見解を発表されなかったならば、今度これを発表されなかったならばの気象庁の体制と、昨年見解を発表して、今度これを発表された気象庁の体制、かなり私は、見解を発表されてこの調査を発表されたから、取っ組まなければならないと思うわけです。そこで心配なのは、このための人員、施設、予算、費用、いま物価が上がっているのでよけい予算が要る。そういう点でだいじょうぶでございましょうか。私たち全力をあげて皆さんの体制、追求を支持したいと思うので、心配のあまりこれを聞いているわけなんですが、この点はいかがでございます。
  78. 毛利圭太郎

    毛利政府委員 調査研究の体制に関しましては、四十九年度に、従来の長期予報管理官室が長期予報課になりまして、予報官等約四名を増強いたしまして、長期予報業務の整備を行なう予定でございます。  なお、人員、施設、必ずしも十分と申せないかもしれませんけれども、現在一応の体制が整っております。これからも機材、定員の十分なる活用をはかりまして、今後こういうことに関しまして十分努力をしたいと存じております。
  79. 津川武一

    ○津川委員 長官がだいじょうぶだというなら私はおまかせするよりほかにしかたありませんが、しかし長官、外国の事情を聞くだけで、一人ではだめです。外国の文献を見るだけ、一人だけではだめです。私も学者です。自分でも研究した覚えがありますので、この点はだいじょうぶかということをもう一回念を押したい。公的な場所だからいろいろなことが言えないかもわかりませんが、後刻じっくりどなたかと、私も交えてこの点を検討してみたいと思うのです。したがってそれは答弁を求めないで進みます。  そこで、何回も繰り返しますけれども、これを学会に発表されますか。先ほどは一つのもっと大きなものの、予報みたいなかっこうで、概略だというふうなことでありましたが、どのくらいの報告書になるのか。それをどんな形で発表するのか。学会に発表されるのか。この点が一つ。二つ目に、すでに私たちがこれを議論している。新聞に出た。この間テレビで、私は皆さんの東西流型と南北流型なんか非常に教えられるところがあって見た。そうすれば、内閣に対してどんな報告をしているか。この影響を受ける農林省に対してどんな報告をしているか。もう一つは水産庁あたりにどんな報告をしているか。報告してないと私はたいへんだと思うのですが、もし報告してないとすればあらためて報告されたほうがよろしいと思う。私もこれを災害対策特別委員会報告されたのを見て、きのう皆さんの専門家から直接説明を聞いたら、説明を聞いたほうが何倍もの内容、含蓄のあるものを持っているのです。ですからこの点は、直接政府に責任を持って皆さんのほうから、文書で報告するだけではなく、説明に行って問題を指摘する必要があると思うのです。この点が二つ目。この二点をひとつお答え願います。
  80. 藤範晃雄

    藤範説明員 学会に発表する問題については、このままでは学会に発表する予定はございません。ただし、本報告の中には各担当者の調査研究がございまして、その担当者の意思によって発表する部分はございます。  それから、この調査は経済企画庁あるいは農林省などと協議して行なったものでございますから、当然その方面には報告しております。それから関係各省庁についても一応の御説明をした部分はあります。
  81. 津川武一

    ○津川委員 予報課長、私これを見て大事な学問だと思ったのです。非常に苦労されて、学問が学問として、大手を振って通用して、だれをも納得せしめていく、まして国政に影響するもの、そうなってくると、テストされなければならぬ、追試されなければならぬ、チェックされなければならぬ。この態度をとらなければ、私はだいじょうぶだと思って言っているが、反対論が出たらどうします。したがって、このチェック体制、追認の、追試の形を受けるためには、ぜひそういう形で学会に発表しなければならぬ。これをあらためて、長官でもいい、どなたでもいい、もう一度御答弁いただきたい。  それから、発表した連絡したところもあると言ったが、内閣に、田中総理に、総理府にどのようにこのことを説明されたか、ここのところは私非常に大事だと思うので、もう一回、この二点答えていただきます。
  82. 毛利圭太郎

    毛利政府委員 先生の御指摘の学会の部分でございますが、これは気象庁の中で気候変動調査研究会というものを昨年の夏からつくっておりまして、部外の委員も入りましてまとめたものでございまして、その担当された分につきましては、担当者の御意思によりまして学会で発表があると思います。  なお報告でございますが、先ほど予報課長が申し上げましたように、経済企画庁、農林省には報告してございまして、一部他の関係官庁にも説明してございますが、ごく最近のことで、そのほかのところはまだこれからでございます。
  83. 津川武一

    ○津川委員 多くの方面に影響があるといって、こう書かれているのだから、皆さんがこう思ったところへぜひ連絡して説明していただきたい、これはお願いです。  それから長官、皆さんのところの気象関係のグループがあるでしょう。これは皆さん同じで、あるいは私たちも研究グループがある、これでの討論じゃだめなので、やはり追試していただく、チェックするとなれば、正式に議論ができるような形で発表、これは学会に発表です。こういう形でぜひおやりになっていただくことを、ここでは答弁を求めないけれどもお願いいたしまして、気象庁の皆さんに対する質問を終わります。ほんとうに御苦労さまでした。お引き取りになっていただいてけっこうです。  次に、農林省にお尋ねいたします。  皆さんがこの調査と合同しまして、世界の食糧の実態なんか調査されて、その報告書もいただきましたが、その皆さんの調査でなく、この気象庁が発表されたこれをどのように受け取って、どうしておられるか、まず答えていただきます。
  84. 遠藤寛二

    ○遠藤(寛)政府委員 お答え申し上げます。  先ほど気象庁のほうからお話がございましたとおり、これは一つの調査をお互いに分担をしてやりまして、気象庁気象プロパーのことをやり、私どものほうが食糧需給のほうの物の動きの問題と、それから気象の変動と作物のできの関係の解析、そういう分担をいたしまして調査をいたしましたので、結果につきましては、先ほども御説明がございましたが、私どもも十分承っております。  それからまた、この結果につきまして、私どもの行ないました調査及び気象庁の行なわれましたものの発表は最近でございますが、概要につきましてはあらかじめ承っておりましたので、その点につきまして、農政審議会、財政制度審議会等で概要を私から報告をいたしております。農政審議会は御承知のように総理大臣の諮問機関でございます。そういうところへ報告をいたしておりまして、その結果は、日本気象庁の実力というものは世界的に見ましても高いもので、特に長期予報につきましての実力というのは非常に高いということを承っておりますので、私どもはこれを非常に重要視しております。それで、四十九年度のいろいろな農林施策にもそれはかなり意見として反映させたつもりでございます。たとえば開発輸入と申しますか、輸入先の多元化の問題でございますとか、備蓄の問題でございますとか、食糧自給度の見直しの問題、あるいは生産目標、生産分担等の見直しをあらためてまたやっておりますが、それに対しましての資料として、かなり影響を与えたものと私ども思っております。  それから先ほどお話の中でありましたが、一がいに急激に寒くなるというお話ではなくて、起伏を繰り返しつついく。そして、北のほうは寒冷化傾向、南のほうといいますか、中低緯度のほうは乱れやすい気候になる、こういうお話でございますが、ただひたすらにその寒冷化の注意ばかりを私どもいたすわけにもまいりませんので、そのつどそのつど、先ほどお話のありました暖候期予報、三カ月予報等を注目いたしまして、気象庁の御意見を承って、いろいろ農業事情を勘案いたしまして指導していく。ことしも三月の暖候期予報に伴いまして、私どものほうも三月の末に春夏作の指導を行ないました。たとえば一例をあげますと、稲の問題なんかにつきましては、品種の分散の問題等かなり強く打ち出して指導いたしております。気象庁の御見解というものは私非常に尊重すべきものだと思っておりますので、今後とも連絡をしたいと思っております。  また現に、この調査の前後からずっと、私どもの行ないます気象問題の検討につきまして、常に気象庁の係官の御参加も願いまして、一つの研究会をつくっておりまして、私どもからこの調査報告を出したのでございますが、そのあとにつきましても、気象と農作物の因果関係、それから趨勢等につきましての解析は気象庁からデータをいただいて、気象庁の方にも参加していただいて、今後とも検討を続ける、こういうことにしております。先ほどここにおいでになりました藤範課長にはいままでメンバーに加わっていただいて検討しておりましたが、今後ともやりたいと思います。
  85. 津川武一

    ○津川委員 そこで、技術審議官、これは農林大臣をはじめいわゆる農林省の省議で問題にしたことがございましたか。
  86. 遠藤寛二

    ○遠藤(寛)政府委員 この問題のためだけで省議を開きましたことはございませんけれども、省議の席上そういう問題を食糧需給問題とあわせまして、私から御報告をいたしました。
  87. 津川武一

    ○津川委員 その省議に気象庁の人は参加していただきましたか。
  88. 遠藤寛二

    ○遠藤(寛)政府委員 農林省の省議でございますから、気象庁の方はお見えになっておりませんでした。
  89. 津川武一

    ○津川委員 まとまったものをまとまった形で形式的に、また逐条に従って説明される。大臣も理解能力を持っておると思います。だが、それでは実態がなかなかつかめないので、ぜひ一度あなたと気象庁の人が入って大臣に講義してほしい。きょうあたり、私が質問するからというので質問とりに来ていたから、当然やってくださったのかと思っていましたが、これをひとつやってみてくださいませんか。いかがです。
  90. 遠藤寛二

    ○遠藤(寛)政府委員 実は気象庁の方は入りませんでしたが、私から大臣には直接かなり詳しいレクチュアをやりました。先生のおっしゃる気象庁とやったことと申しますのは、さっき先生おっしゃいました去年の四月の発表がありましたあとの米価審議会の際には、直接気象庁の方に来ていただいて御説明をしていただいたことがございます。それ以後は私から申し上げておるにとどまっておりますが、いろいろなこともございますけれども検討してみたいと思います。
  91. 津川武一

    ○津川委員 ちょうど総理府副長官おいでになりましたので、実は気象庁と農林省が経済企画庁の試みとして「近年における世界異常気象実態調査とその長期見通しについて」調査されて、いま気象庁からずいぶん内容をお尋ねしたわけです。非常に大事な内容を含んでおる。これはいまも農林省で言っているとおり、ジグザグを描きながら日本の北半分が寒冷になっていく、こうなってくると農業上の問題、漁業上の問題、電力の問題、水も不足になってくるところもあるというし、ひっくるめて国政上のかなり重要な問題じゃないかと思うわけです。  そこで、総理府として、内閣として、政府としてこれを正式に報告聞いておるかどうか、聞いて、対策考えなければならない重要な事項だと私は思っておるわけですが、その一点を聞きたいばかりにあなたの御出席を求めたわけです。
  92. 小渕恵三

    ○小渕政府委員 先生御質問のありました「近年における世界異常気象実態調査とその長期見通しについて」の気象庁のかねての御勉強につきましては、成規の手続を経てしかるべきところに報告がされておるわけでございますが、私ども災害に関して責任を持つ立場のところに対しましても当報告が参っておりまして、この報告を内部的に勉強いたしておるところでございます。
  93. 津川武一

    ○津川委員 副長官、この報告ではだめなのです。膨大な報告書になるのです。きのう私聞いたのです。聞いてみるとこの報告以外にたくさんの含蓄があるのであります。だから、災害予防、防止だけでなく、農政の問題として、これから北半分が少しずつ寒冷化されていくと、福祉施設の構造の問題にまで影響していく重要な問題なので、すみやかに総理府として気象庁から報告を聞いて、これはすでにテレビでも流されて、新聞にも出ておる、国民の一部は知っておる。そのときに、一番大事な国政の本元の内閣が具体的なものを知ってないということになると、この報告などというものはただ表に出た一つのあれにすぎない。この点はいかがです。聞いていなければ聞いてなくてもいい。それならやっていただかなければならぬ。このどちらを答えていただいてもよろしいです。
  94. 小渕恵三

    ○小渕政府委員 私の立場は災害対策に関しての中央防災会議の事務局長という立場でございまして、私どもがこの報告に基づいて勉強いたしますのは、おもに災害防止という観点からこの報告書を受けるわけでございます。しかし、内閣全体の問題として考えるべき問題を含んでおる、こういう御指摘だと思いますので、この問題につきましては内閣のほうにも十二分に先生の御趣旨のほどをお伝え申し上げて、内閣全体の問題として勉強していただくように私のほうからも申し上げていきたいと思います。
  95. 津川武一

    ○津川委員 副長官、御苦労さんでした。もうけっこうです。  そこで、農林省に続けてお尋ねしますが、はしなくもいまお米の話が審議官から出たわけですが、問題のお米なんです。四十五年度までは多収穫試験研究、試験研究体制です。あなたのまさに担当されているところ。この多収穫の中に耐冷性の研究かなり入っておった。四十五年以降米の生産調整に入ってお米が余り過ぎた。そこで農林省は方向転換して、試験研究もお米の多収穫、耐冷性から良質米、うまい米へと移っていったわけです。だが、北海道の旭川の近くの上川の試験研究所の人、ぼくも行ってみました、青森県の農事試験場の人たちに話してみました。命をかけて多収穫、耐冷性の研究を続けてきたので手は抜きたくないと言っている。ところが、このごろになってきて稲の試験研究をやると、本省に行くと罪人扱いされる。悪いことをしているみたいに扱われる。どこへ行っても稲の研究をやっているということを胸を張って言えなくなった。予算もふやしてくれない、物価は上がる、研究人員は減らされる、こういう情勢なんです。日本の農作物の主なるものは依然として米だし、農民が生活をささえている一番大きな作物は米。したがって、これはいかなる場合でも多収穫、耐冷性、病虫害に強い、そして良質米になるような試験研究は続けなければならない。現地の米の試験研究室の人は、本省に行くと罪人に扱われるみたいだ、とてもいられないと言う。そのことばをもっと表現していくと、非常におもしろい表現になってきているのです。稲作の研究をしていると罪人扱いにされる、これはあなたたちの態度、御自分のほうは悪いことをしている、肩身が狭い、こういうことになるわけです。まあこれは一部の表現かもしらない。そこへ今度東北から北海道にかけて、いまあなたの言われたようにジグザグな波を描きながら冷たくなっていく心配があるとすれば、耐冷性の、耐寒性の試験研究は、ここは一回転換しなければならぬ、こう思うのですが、いかがでございます。
  96. 鈴木章生

    ○鈴木説明員 お答え申し上げます。  水稲の育種につきましては、国の研究機関といたしまして西ヶ原にございます農業技術研究所を中心といたしまして、農事試験場並びに各地にございます農林省の農業試験場、俗称地域農業試験場と申しておりますが、六カ所ございます、並びに七カ所の全国都道府県の指定試験地という組織をもちまして水稲育種の試験研究実施しておるところでございます。  現在、耐冷性の問題につきましては寒地、特に東北並びに北海道におきまして耐冷性品種の育成ということにつとめておるわけでございます。耐冷性品種の育成ということで青森県の藤坂支場に昭和二十八年から、それ以前から実施しておりましたところの耐冷性研究の強化ということで育種の指定試験を置きまして、四十一年には人工気象装置の設置等をいたしまして耐冷性育種の基礎を固め、現在優良遺伝種を軸といたしました計画的な育種を軌道に乗せつつあるところでございます。現在までにはフジミノリ、レイメイ、ムツニシキ、ムツホナミというような耐冷性の優良品種を育成してまいっておりますし、現在ねらっておりますのは耐令性強のいわゆる在来稲の染め分けというのがございますが、これの耐冷性強程度の素質を備えた多収、良質品種の育成ということについて鋭意研究をしているところでございます。  それから北海道におきましては、国の地域の農業試験場がございますが、そのほかに水稲の北限地域にございます上川の農業試験場には昭和三十九年の冷害対策ということといたしまして、四十  一年からいわゆる超わせ品種というものの育成を担当いたします指定試験を置いてございます。そこにおきましても四十二年に人工気象装置を整備いたしまして研究の強化ということを実施しておるわけでございます。ここにおきましては現在までにイシカリ等の品種のほかに、現在道北一一号、一二号というような有望系統を育成中でございます。また国の北海道農業試験場におきましてもこれらの指定試験と連絡をとりまして同じく耐冷性品種の育成を分担して実施いたしております。したがいまして、特に耐冷性の品種育成ということについての研究を私たちは弱体化してはおらないというふうに考えております。
  97. 津川武一

    ○津川委員 それは信じましょう。そこで藤坂、皆さんも御存じのとおり、田中稔前々場長が冷水かけ流しかんがい法でやっていますね。反別三十アール、地下からわいてくる冷たい水をかけてずっとやっていく。あれが人工気象室と並んでそれ以上に自然の条件のもとにおいて一番いい試験研究をやっている。三十アール、これには百種類ぐらいしかやれない。土地が足りない、人手が足りない、予算がない。皆さんが割ってよこした、組んでよこした予算だけで、あそこで指定試験をやっているわけです。それをあなたたちはやっているというのだな。やれないのだよ。  もう一つ、その藤坂支場の人工気象室、あれは皆さん四十一年にやって、二十チャンバーなんです。更新しなければ使えなくなっている。四十九年度予算で皆さんに三千四百五十八万円要求しておる。ばさっと切られちゃった。しかたなく青森県知事たちがみんなでやっていって二千三百万復活した。ところが、皆さんのほうからいわれている気象室をかえろといったって、いまの物価高では六つがやっとなんだ。メーカーはそれでもあぶないといっている。そしてこの指定試験研究の人員、八人から二人減らして六人。あなたの言うことはそのとおり承る。だが、現実はこうだ。かてて加えて、皆さんが気象庁のあの冷温化していくことを検討したという。検討したあげくがこうなんです。これでいいかということです。これをどうなさるのか、私はここになったら——あの藤坂の人工気象室、いいものだ。あれで一つやると五百くらいやれる。それがいま三百やれない。こういう体制であの調査の教訓を受け取ったというなら、いただけない。上川もそう言っていますよ。そこで藤坂支場のこの二つの耐冷試験研究、一つは冷水のかけ流しの田中稔先生のおやりになったもの、すみやかに人員を補給すべきだと思う。いま答えられなかったら、現地調査をされてまた報告してくださってもいい。  それから、二十あるチャンバーのうち六つか七つ、皆さんが十やらしたつもりなんだけれども、こういう体制で予算が削られている。この現状をどう改善するか。ひとつ答弁願いたいと思うのです。
  98. 鈴木章生

    ○鈴木説明員 ただいまの人工気象装置につきましては、先生指摘のとおりに、全部の二十基を更新するというわけにはまいりませんで、六基分として四十九年度一応予算要求中でございます。したがいまして、私どものほうといたしましてはこれらを年次をかけて早急にかえるということで今後予算折衝をしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。  それから人員の問題につきましては、指定試験事業という一つの事業の中で実施しておるものでございまして、これには稲ばかりでなく、他の作物の育種、さらには土壌、肥料、畜産、園芸というような部門もございます。こういう全体の中におきます定員問題につきましては、国家行政機構改革の一環といたしまして現在行なわれております第二次定員削減という関連から、これらの指定試験の定数におきましても削減が行なわれておる。そういう点から、事情によりましては定員を削減いたさなければならないという事情にあるわけでございますが、その場合には御負担いただけるところの県に十分お話を申し上げまして御協力をいただくということで、一応人件費の補助というものの該当からはずされましても、研究のほうには御従事願うというようなお願いをして、御協力を得てやっておるところでございます。
  99. 津川武一

    ○津川委員 いよいよもってだめ。いま寒冷化が進みそうだって心配して、ぼくは内閣で問題にするように頼んだときに、土壌だとかほかのものをして——これ専念にやらなければならぬ、耐冷性も。冷えていきそうなんだよ。冷えてきてからもう耐冷性をつくると間に合わない。ここに国政があるわけだ。そして、八人を六人に減らして、それを耐冷性の試験研究だけでなく土壌だとかほかのものをやらせるとは、ますますいけない。いま私はあなたに答弁を求めても、おそらく答弁できないだろうから、これは事務局長と相談されて、官房長と相談されて、大臣と相談されて、もう一回農水か災害でお尋ねします。これ、いま議論しても何にもならないでしょう。だめだ。ますますだめになるよ。やらなきゃならない、八人を六人に減らして、そしてそこに耐冷性研究ばかりやらせるかと思ったら、ほかのものもやらせるというんだ。何か答えがあったら聞いて、その点はあとでまた質問を別な機会に続けることだけにして、何か言いわけがあったらばひとつ……。
  100. 鈴木章生

    ○鈴木説明員 ただいま土壌、肥料等のということを申し上げましたが、指定試験事業の中にはそういう課題がございまして、土壌、肥料のほうに回すという意味を申し上げたのではございません。全体といたしましてそれぞれに定員削減という問題がございますので、現状の研究人員というようなものに照らしまして、ただいま申し上げましたように、その課題についての削減をお願いいたしたということでございます。特に土壌、肥料のほうに振り向けるというようなことでなく、全体の人員についての削減があるわけでございます。
  101. 津川武一

    ○津川委員 そこで、遠藤さん、ひとつ皆さんの共同研究気象庁の今度の発表、またかなり大きな膨大なものになりますので、検討して、やはり稲の耐冷性の試験研究はこの際強化しなければならぬと思いますので、もしそれを強化するという私の主張をいれてくれるならば、ひとつ検討していただいて、どういうふうに強化するかをあらためて別な機会にお伺いするとして、農林省、御苦労さまでした、きょうこれでよろしいです。  そこで水産庁、水産庁はこの気象庁報告をどんなふうに受け取って庁議にかけているか、そこらあたりまず明らかにしていただきます。
  102. 松下友成

    ○松下説明員 お答え申し上げます。  気象庁から発表されました世界異常気象の実態と長期的見通しでございますが、この問題につきましては、かねて気象審議会等におきまして気象庁の見解をお聞きしているところでございます。わが国の漁業は、御案内のように太平洋、インド洋、大西洋あるいは南氷洋、世界じゅうの至るところの海域で操業しているわけでございまして、こういったそれぞれの海域におきます海況、海の状況というものはもともとかなり変動がございます。今後、気象の長期的な変化が進むといたしましても、漁業に対する総体的な影響というものは、農業その他に比べましてそれほど大きいものではないのではないかというふうに考えるわけでございます。しかし、浅海の養殖といったような部門につきましては、局地的に影響が出てまいりますことも予想されますので、特にわが国周辺の気象、海象の長期的動向につきましては、十分注意してまいる必要があるというふうなことを考えておるわけでございまして、おりに触れて庁議等でもこういった問題、実は検討されている次第でございます。
  103. 津川武一

    ○津川委員 私は稲作ほど準備してなかったので表面的な質問になって、お願いになるかもわかりませんが、私たち小さいとき、私たちの北の青森県でニシンがたくさんとれた。イワシがたくさんとれた。いなくなっちゃったのですよ。ところが最近、今度またイワシがたくさん出てきて、これはびっくりしているわけですが、もっとも八戸で出たイワシはあのとおり油でよごれちゃって食べられなかったのですが、こういうことは、何かこういう寒冷化とか気象の、こういうことに関係があるのでございましょうか。
  104. 松下友成

    ○松下説明員 気象寒冷化というものが水産の資源にどのような影響を与えますかということに関しまして予測をすることは、非常にむずかしいわけでございますけれども、きわめて一般的に申しますと、それぞれの魚の種類によりまして持っております生物学的な特性、特別な性質でございますが、これが環境に対しまして非常にいろいろ適応して変わってくるということが言われているわけでございます。御案内のように、わが国は温帯域に所属しているわけでございますが、日本の周辺には寒流と暖流、この両方が流れておるわけでございます。したがいまして、北のほうの北方の低温系の魚種と南方の高温系の魚種とがそれぞれ分布、回遊しておるわけでございますが、気象寒冷化に伴いまして海象が寒冷化しますというと、北方の低温系の魚種が優勢になってくるであろうというふうに考えられるわけでございます。  北方の低温系の魚種といたしましては、ただいま先生指摘のございましたニシンですとかマイワシ、それからサンマ、サバ、そういった魚が考えられるわけでございますが、今後わが国の周辺ではマイワシ、サンマこの二つの魚、特にマイワシの資源が全般的な低温傾向によりまして増大するであろうというふうに予測されているわけでございまして、これはまた現にマイワシの産卵量が近年増加しております。それからまた、漁獲量も増大傾向にございます。そういったことから、そういった推測がなされているわけでございます。
  105. 津川武一

    ○津川委員 そこで、イワシが出てきたことなど、こういう気象、海流の動き、特に北のほうからのあれがこの間三陸沿岸にも出てきていましたが、こういうことを専門に試験、研究されておる漁業試験場、そういうものは皆さんのところ、施設、人、体制、予算、こういうものがおありになっているでしょうか、いかがでございますか。
  106. 松下友成

    ○松下説明員 こういった気象、海況の変動によりまして魚の資源がどういったように変化するであろうかということは、私ども水産に関係するものとしましては非常に基本的に重要な点でございます。ただいま申し上げましたようなマイワシですとかサンマ、サバ、そういった重要な、これは北方系の冷水系の魚もございますし、南方の温水系の魚もございますが、そういった重要な魚種を対象といたしまして、国と都道府県の水産研究機関が共同いたしまして多年にわたって調査研究をいたしているわけでございます。今後もこういった調査研究充実をはかりまして、漁況、海況の予測の精度、技術向上をはかってまいりたいというふうに思っておるわけでございます。  特に浅海域におきます魚介類の増養殖の問題でございますが、やはりわが国が寒流域あるいは暖流域の増養殖技術各地で発達しているわけでございますが、それぞれに適した技術の開発に努力をしているわけでございます。今後わが国の沿岸海域で寒冷化等が進みます場合には各海区の水産研究所、それから都道府県の水産試験場等の技術の交流そのものをさらに促進してまいりまして、また同時に、各地に改良普及員というのがおりますが、そういったものを通じまして、適切な技術の普及といったようなものもはかってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  107. 津川武一

    ○津川委員 私も研究に幾らか従事したものですが、一般的に観測されることは絶対必要です。だけれども、こいつは流されるときがある。したがって、寒冷に対する海流、魚の動きを、専門的に人をきめて、予算をきめて、場所をきめないと、系統的に見られないこと、これは百も皆さん御承知のとおりだと思う。こういう体制が、今度の気象庁のあれを見て、水産行政でぜひ必要と思うのですが、ここいらあたりの見解はいかがでございますか。
  108. 松下友成

    ○松下説明員 先生の御指摘まことにごもっともでございます。私どもも、現在の可能な体制、可能な予算の範囲内で、できるだけそういった寒冷化あるいは気候変化に対応する資源の変動というものを、特に北のほうの北海道水研あるいは東北水研といったものと協力しながら、また関係の試験場等の協力もいただきながら、今後一そう努力してまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
  109. 津川武一

    ○津川委員 いまの答弁、ひとつそのことをプロパーに、専門的にやる体制を何かの形でつくってみたいというふうに解釈してよろしゅうございますか。
  110. 松下友成

    ○松下説明員 特にこの問題だけということではございませんで、やはり一般的に、たとえば北海道水研あるいは東北水研ということで、こういう北のほうのいわゆる寒冷化の影響を受けるであろうと思われるような魚種の研究をやっておりますので、そういった研究とあわせながら、こういった問題もさらに研究を進めてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
  111. 津川武一

    ○津川委員 気象庁研究を見ると、数十年くらいにわたっていくという。そうなってくると、水産庁の研究所の中に、あの人を見たなら寒冷という顔をする、こういう体制が一つなければ、これは恒常的になっていかないので、その点の再検討を——これは答弁を聞いたので、私はそう思いますが、また後刻、これもまたもう一回皆さんに尋ねてみる機会もあるかと思いますが、このことを要求して、水産庁に対する質問を終わります。御苦労さんでした。  そこで、時間が来てしまったので、建設省にまとめて、今度は項目を並べて申します。  一つは、今回の豪雪で心配されている融雪時の被害、これはこれから本格的になるが、十分な対策をしておかなければならないと思うのです。そろそろわれわれも二十日の日に調査に行きますけれども各地で融雪が始まり、被害が出始めている。  現に青森県のところで出ております。一つは、四月の「五日午前、黒石市南中野黒森で杉山が崩れ落ち、真下の農業小川良悦さん方が土砂に埋没、居間で寝ていた小川さんが死亡した。」「同日午前十一時ごろ、黒石市内から約十三キロ離れた黒森部落の入り口で、県道七戸−黒石線北側の杉山が約百本の杉をつけたまま崩れ落ちた。杉山の下は十メートルほどの水田となっており、大部分の杉はここに埋まったが、土砂はそのまま県道を乗り越えて小川さん方になだれ落ちた。」こういう状況なんです。  そこで融雪が始まった、皆さんの国のほうでも、豪雪地帯対策の特別法に従って、国土保全だとか、いろいろしなければならないわけなんですが、ここいらあたりの点検が、下準備が、パトロールが、すみやかに行なわれるべきだと思うのです。黒石市もやるつもりでおったときにこうなってしまった。やってしまえば、これはしかたない。ちょうどこれから融雪が始まりますので、こういう点をすみやかに危険個所を防止するためにおいて、建設省だ、農林省だと争っておれないので、やる必要があると思うのです。これが一つ。  第二番目は、これも弘前市。これは秋田の横手から新潟、長野、これから始まると思うのですが、津軽が始まってしまったわけです。「弘前市の笹館地区で水田約百ヘクタールが水没、幹線道路も不通で部落が半ば孤立するという騒ぎが起きている。部落付近の土淵堰水門を閉ざしているため水がせき止められ、近くのため池からあふれた水も加わっての「水害」「問題の水門は西津軽土改区が」これはかなり大規模なのです。四千ヘクタールもある。「管理しているが、下流のため池も満水で、放水したら危険であることや下流で水田の基盤整備工事が行われていることなどかち、水門全開というわけにもゆかない。」というのです。この原因は、四千ヘクタールばかりの土地基盤整備をやっておる、排水路、用水路がつぶされてしまって、ない。そこへ融雪時の水がどっと乗り越えてきた。これで困ってしまった。ため池の水をやるわけにいかない。やってもいくところがない。こういうことがあるので、これはひとつ土地改良事業でなく、川の流れに、水の動きに問題が起きるような大工事は、あらかじめ災害防止の対策を立てておいて工事すべきだと思う。ここいらの工事のあり方、つくり方の問題を建設省で検討していただきたい。この点で、あとで農林省に直接、質問でなく、話をしてやらなければならないと思っていますが、この点が二つです。  三つ目の問題は、「大雪に見舞われた今年は、特に融雪による被害が多いと予想され、すでに一日には下北郡川内町の八木沢橋県道で融雪水のため道路が決壊して全面交通止め」これがかなり出ています。これはいま道路をやられている。通過できるようにはなりましたが、問題は中小河川。そこで、融雪水で増水、はんらん、決壊のおそれのある河川は、岩木川をはじめ青森県内でかなりあります。県河川砂防課の調べでは、青森工事事務所で四十二カ所、それから鯵ヶ沢土木事務所で二十九所、弘前五十九カ所。そこで、これはすみやかに点検しないといけない。そこで、まわりの水ためはどうなっておるのか、これを流していく排水路がどうなっているのか、こういう決壊を防止するための施設や用具、道具がどうなっておるのか、これに対する警戒、警告、パトロール、地域でのPRやそんなものがどうなっているのか、こういう点三つお尋ねしたいわけです。時間がないので一括にしましたが、ひとつ……。
  112. 境徳吾

    ○境説明員 三点についてお答え申し上げます。  第一点は、がけくずれによる被害のことでございますが、一般的には実は四十七年に大災害がございまして、四十七年の八月に、がけの総点検をいたしました。がけの高さ、危険度、そして急傾斜地の法律によります傾斜等は三十度以上について法律の対象になっているわけでございますけれども、それを、対象になるものを人家五戸以上として総点検をいたしましたところ、全国的に約六万カ所あるということが判明しておるわけでございまして、その結果、まず警戒避難体制とか有害行為の規制というような問題が出てこようかと思いますが、それと同時に、非常に緊急度の高いものから逐次防止工事をやるということで、これも進めてきておるわけでございます。問題は、先生指摘の黒石市の崩壊個所でございますが、これにつきましては、実は一般的にわれわれ総点検の場合に、がけの高さの最大限二倍ないし三倍程度のところの被害、そこに人家があるあるいは学校があるというようなことを点検の一つの対象にしておるわけでございますけれども、問題の個所につきましては、実はそのがけの下が水田でございまして、約四、五十メートルございますか、さらにその下に道路があって、その道路の下に人家があって大災害を受けたというような、かなりわれわれとしましては特異なケースだろうと思うのでございます。したがいまして、そういうものにつきましては、実は今回の調査の対象にはしておらなかったわけでございます。ただ、この復旧につきましては、それぞれの農地なりあるいは道路の復旧なり、それぞれの面で検討しておるというふうに聞いております。  それから、第二点の岩木川の土地基盤整備事業に関連する溢水の問題でございますけれども、河川工事につきましては、整備事業の上流と申しますか、大蜂川の放水路工事というのを昭和四十七年度から直轄で実施をいたしております。  それからさらにその上流部分につきましては、県の中小河川の補助事業でもって、これは昭和四十年からでございますが改修を進めておりまして、この両方の大蜂川の改修工事におきまして、この地区の水害の被害は解消されるであろうというふうに考えております。もちろん農業水路の操作の問題もあったようでございますけれども、全般の問題といたしましては、その河川の改修によって災害の大幅軽減をするように努力しておるわけでございます。  それから第三点の問題でございますが、中小河川の危険個所が非常に多いことは先生指摘のとおりでございまして、私どもといたしましても、従来から治水対策の重点事項といたしまして中小河川対策を進めてきておるわけでございますが、御承知のように中小河川の流域における台風とか前線に伴う集中豪雨等によって、中小河川流域の被害が頻発しているということで、これは今後とも改修の促進につとめていきたいと考えております。  なお、豪雨の場合でございますが、これは豪雨によって、結局融雪による出水がはんらんを起こすということでございますので、豪雨につきましてはわれわれとしてはいわゆる集中豪雨に対する対策と同じような考え方をもって対処してきておるわけでございます。特に今回非常に豪雪が多くて、融雪による災害が頻発しておることは御指摘のとおりでございますが、これにつきましては、実はことしの三月の六日でございますけれども、建設事務次官から都道府県知事及び地方建設局長にあてまして、がけも含めまして融雪に関する危険個所の点検、補修、それから水防情報連絡の強化等々につきまして万全の対策を立てるように指示をいたしておりまして、今後ともそれに基づきましてさらに対策を進めていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  113. 津川武一

    ○津川委員 時間がないので、簡単にこの質問を終わらせていただきます。次長に伺いますが、一日に皆さん通達を出して、六日にこんな事件が起きておる。
  114. 境徳吾

    ○境説明員 いや、三月でございます。
  115. 津川武一

    ○津川委員 そこで問題は、集中豪雨はある程度まで予測できない。いまは、これから長野、新潟、山形、秋田、これは予想できることなんです。ことしは東北始まって以来の豪雪なんです。そこで津軽が早く、あそこは雪のわりあいに少ないところで、春になってくると全部水びたしになってしまう。それがいまばっと来ている。そこですみやかにこの予防体制、それからその体制における地方自治体の体制、それから補修、それから予防用具、こういったものを点検しなければならぬ。まさに皆さん手柄を立てる一番いいときなんです。来るのはさまっているわけです。ぼくらは今度二十日に見に行くけれども、こういう体制なので、このことを要求して、答えは要らないですが、まあ答えていただきましょうか。
  116. 境徳吾

    ○境説明員 先生の御指摘につきましては、われわれとしましてもさらに再度十分に指示をいたしまして、万全の策をとりたいと思います。
  117. 津川武一

    ○津川委員 建設省それでよろしいです。  文部省おいでになっていますね。この間この災害対策特別委員会で、気象庁に今度の豪雪の等級を聞いたわけです。そうしたら、東北始まって以来の豪雪だ、東の横綱級の豪雪だ。それに対して皆さんの学校に公共施設除雪法を適用されないという。いま適用されなかったら、いつ適用されるかということです。そこで適用の道がないのか。とすれば適用条項を改正してやらなければならぬ。やっぱり適用すべきだと思うのですが、この点伺って終わります。
  118. 大井久弘

    ○大井説明員 今冬の積雪量は、先生も御承知のとおり、例年に比べて異常に大きいという状況にあることは私ども十分承知しております。この公共施設の除雪の事業に要する費用の補助に関する法律の中では、一応政令で指定する豪雪に際して補助をいたすというたてまえになっておるわけでございます。したがいまして、補助の要件といたしましては、まずこの政令で豪雪であることを指定する必要があるわけでございますが、この政令の指定にあたりましては、一応基準がございます。その基準には、今冬の豪雪がどうなるかということでございますが、四十カ所について観測点を設けまして、そのうちの八カ所について平年の平均最大積雪深の一・五倍をこえる観測所の数が八カ所以上になった場合は指定するというたてまえになっておるわけでございますが、今冬の状況は、七カ所がこえておりまして、一カ所がイコールの状況でございます。したがいまして、その要件に該当しないということは当たらないというふうに考えられますので、この点につきましては弾力的に考え措置してまいりたいというふうに考えておるところでございます。したがいまして、現在各県におきまして、除雪費用の額の各市町村のものにつきまして調査をいたしまして、その費用の額の把握につとめておりますので、その結果を待ちまして、この政令指定につきましては具体的な手続をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  119. 津川武一

    ○津川委員 いま豪雪に当てはまらないと、公共施設除雪法は要らない法律になるんだね。そこで青森県でも観測地点がおかしいのじゃないかといっている。四十カ所の中で八カ所、観測地点も変えなければならぬという動きも起きているのですが、政令を変えてすみやかに今度の豪雪に補助を適用すべきだと思うのですが、これの見通しはいまありますか。
  120. 大井久弘

    ○大井説明員 ただいま御説明申し上げましたとおり、該当しないということも考えられませんので、指定につきましては具体的に手続をするようにしてまいりたいというふうに考えております。
  121. 津川武一

    ○津川委員 終わります。
  122. 金丸徳重

    金丸(徳)委員長代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時三十一分散会