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1974-03-14 第72回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月十四日(木曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 阪上安太郎君    理事 宇田 國榮君 理事 小沢 一郎君    理事 高鳥  修君 理事 金丸 徳重君    理事 諫山  博君       越智 伊平君    志賀  節君       竹中 修一君    萩原 幸雄君       旗野 進一君    細田 吉藏君       村岡 兼造君    阿部未喜男君       金瀬 俊雄君    川俣健二郎君       柴田 健治君    柴田 睦夫君       中川利三郎君    有島 重武君       高橋  繁君    宮田 早苗君  出席政府委員         総理府総務副長         官       小渕 恵三君         大蔵政務次官  中川 一郎君         気象庁次長   石原  明君         建設省都市局参         事官      國塚 武平君         建設省河川局長 松村 賢吉君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房参事官    杉岡  浩君         大蔵省主計局主         計官      藤仲 貞一君         大蔵省主税局税         制第一課長   伊豫田敏雄君         国税庁直税部所         得税課長    水口  昭君         文部省大学学術         局学術課長   七田 基弘君         通商産業省立地         公害局保安課長 鎌田 吉郎君         気象庁予報部長         期予報管理官  藤範 晃雄君         気象庁観測部地         震課長     末広 重二君         建設省道路局地         方道課長    高木 澄清君         建設省住宅局市         街地建築課長  救仁郷 斉君         自治大臣官房参         事官      栗田 幸雄君         消防庁消防課長 辻  誠二君         消防庁予防課長 永瀬  章君         消防庁防災課長 藤江 弘一君     ————————————— 委員の異動 三月八日  辞任         補欠選任   山崎  拓君     渡辺 紘三君 同月十四日  辞任         補欠選任   津川 武一君     中川利三郎君   広沢 直樹君     有島 重武君 同日  辞任         補欠選任   中川利三郎君     津川 武一君   有島 重武君     広沢 直樹君     ————————————— 本日の会議に付した案件  災害対策に関する件      ————◇—————
  2. 阪上安太郎

    ○阪上委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高鳥修君。
  3. 高鳥修

    高鳥委員 先般二月の十三日に、本委員会ではいわゆる江東デルタ地帯防災拠点事業などについて視察をいたしたわけでありますが、その視察の過程において、東京都側からも防災対策などについての説明も聴取をさせていただきました。その視察の上に立って、私は若干の問題について政府側の御見解を承りたい、こう思うわけであります。  まず第一に、地震対策についてでありますが、地震対策全般については、責任官庁と言いますか所管は一体だれなのであるか、もちろんこれは各省にまたがっておると思います。たとえば構造物などの問題については建設省所管でありましょうし、用地などについては気象庁あるいは文部省等関係があるでありましょうし、それからまた発生した場合の対策については自治省、消防庁等、それぞれ所管であると思いますが、日本は世界一の地震国であるといわれておりますし、またいわゆる河角博士の六十九年周期説というものによれば、やがて関東大震災級震災が起こる可能性は十分にあるというふうにいわれておるわけでありまして、地震対策についてはやはり最終的な総括所管官庁というものが当然明確になっていかなければならないと思うわけであります。この点について、一体どこが最終的な所管責任者であるかということを明確にしていただきたい、こう思うわけであります。
  4. 小渕恵三

    小渕政府委員 お答えいたします。  御指摘にありましたように、地震対策に関しましては各省庁にまたがることがたいへん多いわけでございますが、一応中央防災会議におきまして、そうした諸官庁の行ないまする対策等につきまして調整推進いたしておるものと理解しております。
  5. 高鳥修

    高鳥委員 中央防災会議において調整推進しているものと理解をしておるということでありますが、理解をしておるという程度では非常に心もとないのでありまして、もっと前向きな姿勢をもって対処をしていただくことが私は必要であると思いますので、重ねてもう一度御見解を承りたいと思います。
  6. 杉岡浩

    杉岡説明員 お答えいたします。  災害対策につきましては、関係省庁それぞれその所管所掌事務に基づきましてそれぞれ責任及び権限を持ってやっておるわけでございますが、風水害にしろあるいは地震、雪害、災害対策はいろいろな各省にわたる事項が多うございます。したがいまして、それを調整し推進するというのが総理府仕事でございますが、たとえば地震対策につきましては、関係省庁合議体でございまして、われわれが事務局をやっております中央防災会議におきまして昭和四十六年に大震災推進要綱、こういったものをまとめまして、そうしてそれに基づきまして地震予知あるいは都市防災あるいは訓練、広報あるいは火災対策、そういったもろもろの関係省庁にわたる事項につきまして相互連絡をとりまして、それを具体化を進めておる次第でございます。特に地震対策等につきましても、非常に専門的なこともございます。たとえば地震予知等につきましては、非常に技術的、専門的な事項にわたります。こういったものは科学技術庁及び文部省等が中心になってそれを進める、あるいは都市防災、こういったものは建設省あるいは消防庁等において進めてもらうというようなふうに、それぞれ専門的な事項につきまして、その中央防災会議の各メンバーが集まりましてやっておる次第でございます。われわれといたしましては、関係省庁のその仕事がスムーズに行なわれるよう絶えず連絡をとる、そうして地震対策推進が円滑に行なわれるようにしておるわけでございます。
  7. 高鳥修

    高鳥委員 最終的な責任といいますか、連絡調整担当中央防災会議にありということでありますが、そういたしますと、この中央防災会議では、河角博士の六十九年周期説というものをどのように評価をしておられるか。この評価のしようによっては、私は、おのずから対応姿勢が違ってくると思うのであります。先般、本委員会において、参考人として地震予知関係専門家、あるいはまた避難対策等についてのそれぞれの担当者に出席していただいて、いろいろと質疑がかわされたわけでありますが、その中で東北大学の鈴木教授は、関東周辺において関東大震災級地震が当面起こるという徴候はないというような御見解を述べておられましたが、しかし六十九年周期説そのもの評価をされたわけではありませんが、関東地方において、大震災級のものが発生する可能性は十分にある、これはいつということは言えないけれども、発生する可能性は十分にあるということを申し述べておられるわけであります。  そこで、六十九年周期説なり、あるいはこの六十九年周期説そのものをそのまま評価をしないにしても、大震災が近い将来に起こり得るという前提に立って対応するのか、それともそういうことは当分ないのだ、しかし、とりあえずそういう説もあるので、心配だからやっておくのだという評価をするのか。その評価のしようによっては、対応姿勢というものがおのずから違ってくると思うわけであります。そこで、中央防災会議としては、一体どのようにお考えになっておられるかということを承りたいと思います。
  8. 杉岡浩

    杉岡説明員 お答えいたします。  河角先生南関東における地震の六十九年周期説、私も地震学等につきましては専門家じゃございませんので、その評価につきましては、とかくここでは言えませんけれども、現在六十九年周期昭和五十三年ごろから危機に入るという説でございますが、こういったものを一つの学説としまして、現在地震予知連絡会等におきまして、南関東を含めまして、全国に九カ所の観測地域を設けて、かつて大地震があったけれども、そういったものが比較的、現在起こっていない、それから地殻等が変動があるというようなところを観測しておるわけでございます。南関東につきましては、観測強化地域といたしまして、国土地理院あるいは気象庁関係研究機関等において地震予知研究推進しておるわけでございます。五十三年から危機に入るかどうかということは別にいたしましても、現在、東京都の防災会議におきましては、昨年の暮れでございますが、東京都の地域防災計画地震編というのをつくりまして、そのころをめどにいたしまして、各種震災対策を進めるということにいたしておるわけでございます。われわれ総理府をはじめといたしまして、関係省庁におきましては、そういった都の防災計画地震対策の円滑な推進というものをはかるように、公共団体とともに、そういった震災対策がスムーズに行なわれて、早く地震に強い都市、あるいは地震が起こった場合にすぐに対処できるような防災体制というものを進めておる次第でございます。
  9. 高鳥修

    高鳥委員 ただいまの御答弁を伺っておりますと、日本は世界一の地震国である、あるいはまた関東大震災級震災が少なくとも東京周辺を襲う可能性も十分にある。それらの事態に対処する防災会議姿勢としては、どうももう一つ突っ込みが足らないような感じがしてならないのであります。総元締めの防災会議がそういうことでありますから、いまお話がありました東京都の地域防災計画、これもその進捗状況は、どうもはかばかしくない、著しくおくれているというような感じがするわけであります。  そこで、主としていわゆる江東ゼロメートル地域、これの防災計画についてお伺いをいたしたいわけでありますが、計画によりますと、江東地区に六地区防災拠点をつくるのだ、そしてその防災拠点には、大体徒歩で三十分ぐらいで到達できる、そういう計画になっておる。一カ所当たりは、大体五十ヘクタールから百ヘクタールぐらいのものを考え中央には避難緑地等を設けて安全を期するのだ、こういうふうな計画になっておるようでありますが、現実的には、計画はできたけれども、全然仕事が進んでいないという感じであります。昭和四十六年度に調査費をつけて、四十四年から四十六年までに鐘紡その他の用地を買収する、あるいは道路を買収するというようなことで、都市開発資金をお使いになっているようでありますし、四十七年には三億、四十八年には十億の予算を計上して進めておられるようでありますが、われわれが視察をした段階においては、現実緑地帯もできていなければ、いわゆる防災対策としての拠点づくりが目の前にあらわれておるという感じは全然しなかったわけであります。その点、計画がどのように推進されておるかということを、これは建設省都市局になると思いますが、お伺いをいたしたいと思います。
  10. 國塚武平

    國塚政府委員 ただいま江東防災拠点事業実施お話があったわけでございます。私どもといたしましては、先ほど先生、お触れになりましたように、河角博士関東大震災六十九年周期という御言説もございますし、私どもは、この考え方も十分に考慮に入れまして、早期に対策を進めることが最も必要だという考え方でございます。  そこで、白鬚東地区につきましては、昭和五十三年を目途に、事業を完成せしめる予定事業推進し、また事業にすでに着手をしております大島、小松川地区事業促進をする、さらに調査の進んでおります白鬚東白鬚西地区事業着手をする、また他の拠点についても、調査計画を進めて、逐次事業化していくという考え方でございます。  問題は、先生、御指摘のように、すでに用地の手当てもできておって、早く事業が進まないかという御指摘でございます。私どもは、できるだけ早く市街地開発事業促進していくという考え方でございまして、このために、関係法律改正も実は用意しておるようなことでございまして、決して、事業が遅延をしておる、進まないということではございませんで、積極的な姿勢事業推進をはかる考え方でございます。
  11. 高鳥修

    高鳥委員 まあ積極的な姿勢推進をはかるというふうに御答弁がありますが、現実には、非常に難航しておるようであります。特にいわゆる白鬚地区でありますが、四十七年の九月に都市計画の決定を見て、以来今日まですでに一年半ほど経過をいたしておるわけでありますが、まだいわゆる権利返還の問題、家賃の問題、移転補償費の問題、融資措置の問題等々、いろいろな条件が整っておらないということで難航をしておるやに聞いておるわけであります。私もあの地域へ行ってみまして感じましたことは、現在、あそこの地域は工場の移転等で非常に人口が少なくなってきておる。現在住んでいらっしゃる方は、たしか二千人程度になったんじゃないかと思うのですが、それがいま計画によりますと、あそこに人口二万人程度のいわゆる避難拠点をつくるという御計画のようでありまして、この二千四百人ほどしかない人口を二万人の人口にする、その二万人は同じ江東デルタ地帯の中で整理をして避難拠点をつくりながら入れるんだ、こういうふうな御説明であるわけでありますが、私、率直に感じますことは、せっかく二千四百人の人口になったものをまた二万人にするということ自体が少しおかしいんじゃないだろうか。江東墨田デルタ地帯というのは、全体で約六十二、三万の人が住んでおる。二十一万世帯ほどの人口があるということでありますが、この地域関東大震災級地震が起こった場合に、最悪の事態では三%しか生存する人がないではないか、あるいは少なくとも半分ぐらいの人が死ぬのではないかという予測をされておる。そういうふうな説もあるという中で、せっかく二千四百人の人口になったものをまた二万人にするというのは、どうも基本的に少し考え方が違っているのではなかろうか。もし二千四百人の人口をその場所整理をして、そこにもっと大きな、東京自体は緑が必要である、空間が必要であるといわれておるわけでありますから、そこに大きな空間地帯緑地帯森林公園等をつくる。そして江東のさらに悪いところはそれなりにまた防災対策を進めるということのほうが、せっかくできたそういう空間を埋めてしまうよりいいのじゃないか、そういう感じが私ども局外者にはしてならないのであります。基本的にどうも少しおかしいなという感じがするわけですが、その点について、一体担当者のほうではどのようにお考えになっておられるか、承りたいと思います。
  12. 國塚武平

    國塚政府委員 ただいまの御質問にお答えいたします前に、江東防災関係事業促進の答えをいたしましたわけでございますが、若干ことばが足らなかったので、補足して御説明を申し上げます。  先生ただいま御指摘になりましたように、江東防災事業を進めていきますためには、市街地開発事業をはじめとする各種総合事業でございますので、これに伴います事業推進をはかるための制度あるいは予算の充実ということが最も必要でございます。したがいまして、先ほど関係法律と申し上げておりますのは、実は今国会に市街地都市開発法の一部改正をお願いいたしまして、権利返還手続による市街地開発事業のほかに新しく土地の買収方式による再開発事業の創設ということを御提案申しておりますのも、江東防災地区のようなかなり広範囲にわたる事業推進につきましては、権利返還計画による手続よりも買収方式によって逐次実施をしていくほうが推進がはかられるということから、それを頭に置いた改正でございますし、また借家人あるいは権利者の保護につきましても、床面積確保でございますとか、あるいは融資措置改善あるいは税制等各般にわたります措置を充実いたす必要がございますので、それらの点の改善も四十九年度予算あるいはただいま申し上げました法律改正によりまして、できるだけの措置をいたしたつもりでございます。したがいまして、準備のほうはかなり進んでおりますので、できるだけ早く事業計画を確立いたしまして推進するということを申し上げた次第でございます。  それから、ただいまの白鬚東地区人口あるいはその計画にかかわるお尋ねでございますが、ただいまお話がございましたように、白鬚東地区東京都が現在すでに用地の七五%程度を取得いたしておりますので、残っております用地に約二千人居住しておられるわけでございます。これが、防災拠点が完成をいたしますと約二万人程度人口となる見込みでございます。これは先生指摘のように、中央部に約八・六ヘクタールの公園をとりまして、その周辺部のみに共同住宅を配置するわけでございまして、したがってその地区は環境もよく、過密市街地の形にはならないわけでございます。ただ、住宅戸数がそれによってふえ、これによりまして人口の数もふえるわけでございますが、これにつきましては、現在の密集市街地方々をこの安全な住居に移しかえをする、あるいはこれから逐次進めてまいります再発開予定地方々に入居していただくというような方法によりまして、できるだけ外部からの流入人口の増加ということは避けてまいるべきだと考えております。これによりまして、江東地区開発事業促進効果を持たせるように十分配慮いたしたいと考えております。
  13. 高鳥修

    高鳥委員 いまの都市計画という守備範囲内で地震対策考えるとそういう結論しか出ないのじゃないか。これは無理からぬことだと思いますし、これはむしろ内閣総理大臣なり東京都知事なりが一つ方針として打ち出すべきものだと思いますが、私は東京都の特に先般視察をいたしました京島地区など、超過密状態になっておるところがあるわけでありますけれども東京都の人口をどこまで減らすかという問題、それからさらに特にこの江東デルタ地帯からどれだけの人を減らすかということが、非常に大きな政治的な課題だろうと私は思うのであります。そのためには、働く場所をこれ以上東京にふやさない、あるいは住居をつくらない、そういうことによって東京都の人口が一千万から八百万人、七百万人とむしろ減るような政策を、特にこの危険地帯においてはとるべきものだと私は思います。ところがこの防災計画によれば、六十二万の人口はほぼそのままに——これは都側希望あるいは江東区、墨田区の希望もあるようでありますが、ほぼそのままにそこにいるものという前提に立って計画をお立てになっておるようでありますが、そういう点については私は非常に大きな問題があるのではないかというように思います。  それから、いわゆる六地区防災拠点をつくる、そこに避難をさせるのだということでありますが、人口が約六十二万として、その人たちがかりに六地区——それ以外にも避難場所があるでありましょうけれども、六地区に集中的に避難をするということになりますと、一カ所当たり十万前後の人が集まるというような、膨大な数字が出てくるわけであります。そして周辺が一面火になったというような状態を想定いたしますと、高さが三十メートルですか何かの建物を建てれば輻射熱は防げるのだというようなことで安全だという御説明をなさっておられますが、いわゆる大火のときには模型実験では想定のできないような状態が当然起こってくる、上昇気流もあれば酸欠状態も起こるというようなことで、そこで集中的に何万人かの人が死ぬというようなこともあり得るのではないだろうか、そうだとするならば、私はこの防災計画というのはかなり何といいますか、問題があるのではないか、このように思いますが、その辺については十分な自信をお持ちになっておられるかどうかということをあえてお伺いをしたいと思います。
  14. 國塚武平

    國塚政府委員 ただいま江東防災拠点計画につきまして十分な安全性確保され得るかというお尋ねでございます。  この防災拠点計画安全性につきましては、まことに重要な問題でございますので、慎重の上にも慎重を期して安全性確保に遺憾なきを期するというのは御指摘のとおりだと思います。  建設省といたしましては、建設大臣諮問機関でございます江東防災総合委員会から昭和四十六年に答申を受けまして、これを基本的な方針といたしまして六カ所の防災拠点及び避難路の整備をする方針を決定いたしたわけでございます。この防災拠点先生の御指摘のように中央部避難緑地を取り囲む高層建築群安全性確保するという方式をとっておるものでございまして、これにつきましては消防建築都市計画等々数多くの専門家調査研究の結果に基づきまして計画を立案いたしておりますので、現在の技術水準から見ました場合に、この計画に対する信頼性はきわめて高いというふうに考えておりますが、今後ともなお慎重に、慎重の上にも十分検討も重ね、慎重な態度で対処すべきものだというふうに考えております。
  15. 高鳥修

    高鳥委員 先般の視察をいたしましたところによれば、特に地域住民からは等床交換ということについて非常に強い要望が出ておったようであります。これに対して現在の法律のたてまえからいえば非常にむずかしいということもよくわかるわけでありますし、そういう点については都知事から特別立法をしてほしいという要望も出ておるようであります。  これに対応して、先ほどお話がありましたが、都市開発法改正あるいはまた防災性強化のための対策費として国が積極的に取り組むという姿勢を今年度予算においても計上をされておるようでありますが、なお国においても一そう積極的な姿勢をもって取り組んでいただいて、いつまでたっても計画が進まないというようなことのないようにしていただきたいし、いわゆる等床交換ということも地域現実に住んでおる人の立場からするならば、私どもとしては十分に理解しなければならない、率直な要望だと思います。そういう点についてもなお積極的な話し合いをされて計画推進されるよう、これは本来都の仕事でありましょうけれども建設省としても十分な対策を講ぜられることを希望をいたします。  時間の関係もございますので、同じく江東デルタ地域河川の問題について若干お伺いをいたしたいと思います。この河川計画によりますと内部河川埋め立てをするというような計画があるようでありまして、これにはばく大な費用と日数を要するので、財政面でも万全の対策を講ぜられたいというのが江東議会議長からの要望として内閣総理大臣あてに出ておる文書にもございます。私はこのいわゆる江東デルタ地帯内部河川を埋めるということ自体について非常に何といいますか、あまり適当な方法でないんじゃないかという疑いを持っておるわけであります。河川は本来その地域に必要なるがゆえに発生をしておるものでありまして、これを埋めるということは非常な、はかり知れざる影響をもたらすものであります。たまたまこの地域は、いわゆる運河的な形で掘られたものもあるようでありますけれども河川埋め立てについては十分慎重に配慮しなければならないと思いますし、さらに埋め立てをした結果が、いわゆる暗渠というような形になりました場合には、この地域地盤が非常に悪い、その地盤の非常に悪いところで暗渠排水をやった場合には、一たん地震が起きるとその暗渠はみな崩壊をしてしまうということが十分想像されるわけであります。でありますから、本来河川整理は当然やるとしても、埋め立て暗渠等方法はとるべきではない、このように私は感じますが、その点どのようにお考えになっておりますか。
  16. 松村賢吉

    松村政府委員 江東三角地域河川の問題でございますが、ただいま先生から御指摘ございましたように、この地区内部河川の耐震対策ということで、実はこれを東と西に分けまして、片っ方、東側のほうはいわゆる内水低下方式と申しますか、ゼロ点よりマイナス三メートルまで常時の水位を下げておこうということで処置をしたいというふうに考えておりますし、また西側におきましては、現在の河川の堤防、これを補強して完全なものにしていこうという方式をとっているわけでございます。こういうような方式をとるにつきまして、現在あります河川を全部整理統合したいというようなことで、この河川の中で必要な部分は残し、また整理すべきものは整理するということで、現実には現在ある河川の相当部分を整理するということになると思うわけです。こういう基本的な耐震対策昭和四十六年からかかっているわけでございますけれども、この整理をする上におきまして、ただいま先生が申されましたように、これを排水方法につきましては暗渠で残すとか、いろいろ方法はあると思います。この方法は内部の下水の整備等とも関連してやることでございまして、これにつきまして特に地盤等を考慮いたしまして、耐震的な問題にも十分注意してやっていくということでございます。この整理統合等につきましては十分先生の御注意等も参照いたしまして計画を進めていく所存でございます。
  17. 高鳥修

    高鳥委員 都の災害対策の主眼は地震が起きれば関東大震災のときと同じような火災が起きるということを非常に大きなウエートを置いて考えておるようでありますが、最近の燃料事情の変化等で運がよければ私は火災ということについては比較的深刻な事態にならないで済む可能性はある、それよりも私自身が非常に心配をいたしますことは、この地域がいわゆるゼロメートル地域であり、資料によりますと、隅田川、荒川、それぞれのいわゆる高潮時においてはAPプラス五・一〇メートルというような非常に低い地域にある。したがって地震が起きた場合に、しかも東京都の建設局の河川部の江東内部河川の現況によれば、地盤沈下に伴うたび重なる護岸のかさ上げによる弱体化が目立つということを言っておるわけであります。私自身新潟地震の際に激震地におりまして経験をいたしましたが、非常な軟弱地盤のところでは護岸が全部倒壊する。それから盛り土が全部くずれる。そうしてそこから一斉に地下水が地下水の変動があって一斉にふき出してくるという状態であります。大地がちょうどおとうふを切って水の中に浮かべたような感じにゆれ動くのであります。おそらく江東デルタ地帯においても同様な状況になるのではなかろうか。したがって、あっという間に江東デルタ地帯は最悪の場合高潮時には三メートルから四メートルの水の中に水没をするということも私は十分考えられると思うのであります。でありますから、いま排水機場をつくって排水機で水を排水すればだいじょうぶだというような御計画になっておるようでありますが、その排水機場に行く水というのは時間雨量で五十ミリですかの雨が降った場合にだいじょうぶということであって、荒川なりあるいは隅田川なりが破堤をしてどんどん浸水をしてくるというような状態を想定したものでないことは明らかであります。そういうことになりますと、その辺の対策というのは非常に甘いのではないかという感じが私はいたしますが、その点についてもう一度お答えを願って、時間でありますので私の質問を終わります。
  18. 松村賢吉

    松村政府委員 江東デルタ地帯河川の耐震対策の問題でございますけれども、確かに江東デルタ地帯地盤沈下によりましてほとんどの区域が満潮位以下というような低い地帯になっておるわけでございます。したがいまして、満潮の場合に地震が来たときの脅威というのは先生指摘のとおり非常に危険なものでございます。この対策といたしまして、まず外郭堤防、荒川の右岸堤、それから隅田川の左岸堤、それからこれに付随する水門、これにつきましては、伊勢湾台風級の高潮、また関東大震災級の大地震、こういうものにも構造的には安全な程度にしましてこれは完成しておるわけでございます。したがいまして、これが問題は一応技術的にまずわれわれとしても安全と見ておるわけでございますが、問題は内部河川の問題でございます。この内部河川の問題につきましては、先ほど簡単に御説明しましたように、東西二つに分けまして、片方は水位を低下するということで地震時におきましてのはんらんをないようにしよう、また高いほうの部分につきましては、これは耐震護岸というような形でもって非常に基礎等にくい打ち等をやりまして強固な護岸をつくっていこうという、二本立てで進めているわけでございます。  それでこれらのものの安全性についてもう少しふえんいたしますと、外郭堤であります荒川の右岸堤、これは土の堤防でございますけれども、堤防敷幅におきまして約五十五メートルというような相当安全性の高いものであります。したがいまして、地震の際にこれが一挙に崩壊しましてはんらんするというおそれはまずないものと考えております。また、隅田川の左岸堤防につきましては、既設護岸の前面に木ぐいあるいは鋼ぐい、こういうものを打ちまして、これは堅固なる地盤まで届いているわけでございますが、この上に鉄筋コンクリート擁壁をつくっております。しかし、この鉄筋コンクリートだけでは地震程度等においては安全性にさらに問題があるというようなことで、その背後に築堤、盛り土をしているわけでございます。約五メートルないし二十メートル幅の盛り土をして押えておる。こういう二重構造にしておりまして、関東大震災級の大地震が発生した場合に、あるいは亀裂等のこういうような発生等は起こると思いますが、これが一挙に崩壊するというようなおそれはないように措置をしておるということでございます。また、水門とか閘門、こういうようなものにつきましても、十分その基礎につきましては、ニューマチックケーソンとかあるいは鋼管ぐい、こういうものでかたい基礎盤まで打ち込んでおりまして、基礎の耐震構造は十分考慮しております。また、これの排水機場等の地震時における電気がとまって動かないというようなことにつきましては、排水機場の動力というものは実は全部ディーゼルエンジンにしておりまして、モーターを使っておりません。また、水門等の開閉、これにつきましても、動力はモーターでございますが、自家発電装置等も併用して安全を期しておるというような状況で、われわれといたしまして現在の地震に対します対策については十分考慮している予定でございますが、まださらにこれについて一そう検討を加え完全なものにしていきたいというふうに考えております。
  19. 阪上安太郎

    ○阪上委員長 川俣健二郎君。
  20. 川俣健二郎

    ○川俣委員 三月の中日だというのに雪国ではまた冬の再来じゃないかというので二、三日前から皆さんに見てもらった地区はどこの県とも問わずふぶきの状態の再来でありますが、まず国の助成策としておかげさんで早くも特交の上乗せで自治体の除雪費として各自治体に流していただいて、これは非常に一助になったわけです。そこで私は前回の質問に続いて、自治体じゃなくて雪国のだれしもがやらなければならない除雪費、雪おろし費、これは十万ないし二十万一世帯かかっているということがこの前の委員会で私の発言で大体確認の雰囲気でしたが、当然そこに出てくるのは税務の問題です。時間がありませんからさっそく国税庁に聞きますが、雑損控除。単なる雪じゃなくて豪雪である。総務長官の今回の豪雪は災害であるという話からこの前の委員会がなされたわけですが、そこで国税庁に念を押して頼んでおきましたが、雑損控除を認める者にはちゅうちょしないで税務指導、申告指導をやってくれると思うのだが、その際に、いろいろの付属資料、書類、領収書とかなんとかいろんなことを言わないで指導の円滑化をはかってほしいというお願いをしておいたのだが、そういうのを下部に流しておるかどうか、一応確認しておきたいのです。
  21. 水口昭

    ○水口説明員 今回の雪害に伴って現地の税務署が被害を受けられた方の立場に立っていろいろ配慮をしなければならないことは当然でございますが、その点につきましては本委員会におきましていろいろ御指摘もありましたので、さっそく地元の仙台国税局に連絡をいたしまして、国税局のほうから税務署に対して遺憾のないように通達をもうすでにいたしております。
  22. 川俣健二郎

    ○川俣委員 けっこうです。それでさらに念を押しておきますが、いま申告時で窓口でいろいろとその問題をめぐる混乱があるようでございますから、特にあした申告切れのやつは、十二月末までの問題ですから、そう問題はないと思うのだが、現在、一、二、三月にいろいろかけた経費の領収書等が来年になるわけですから、特に、さらに円滑な窓口指導ができるように要望しておきますから、お願いします。  それから大蔵省に伺いますが、前回の論争からまだ検討中ということだけで弱るのですが、雑損控除については、これはよかろうということで、いまの返事のとおりですが、問題は、雪おろし費用が雪国に住んでいる人の必要経費ではなかろうか、この考え方ですが、大蔵省、この考え方にどう反論しますか。特に三十九年の雪の審議会で、あのように強く、具体的に答申が出ておるのが、いまだに税制調査会にかけているとかなんとかということぐらいじゃ、ちょっと困るので、ひとつ姿勢を示してもらいたいと思います。医者の七二%の必要経費なんという問題じゃなくて、雪おろしの費用は、だれしもかけなければならない必要経費だと思うから、あえてここで聞いておきたいと思います。
  23. 伊豫田敏雄

    ○伊豫田説明員 三十九年の審議会の答申にあのように書かれておりまして、よく承知しております。その後、政府の税制調査会等においても、何べんか議論をいたしておりますのですが、結果的に申し上げますと、ただいま国税庁の所得税課長が申し上げましたように、特別の災害に基づく損失であれば、これは雑損と見るし、あるいはまた雪おろし費用であっても、営業に関係のあるものであれば、営業の費用として見ることは可能でございますが、これを一般に、積雪寒冷地に住んでいる皆さんについて、積雪寒冷地控除、雪おろし控除というふうな形でこれを実現いたしますことにつきましては、税制上いろいろな問題がございまして、たとえば例として適当かどうかはわかりませんが、多雨地帯あるいは都市近郊の非常に物価の高いところあるいは離島に住んでいる人についての交通費、こういうふうな普通の生活費と見られるもので、しかし特殊な地域に住んでいられる方の生活費が他より余分にかかるという問題について、一たび控除を認めますと、非常に問題が波及するところが多く、税制上特別に生計費についてしんしゃくするにも、おのずから限度があろうということで、非常にわれわれとしては、いつも消極的に考えざるを得ないのでございます。もちろん検討はさせていただきますが、そういう意味で、非常に困難なことではないかと考えております。
  24. 川俣健二郎

    ○川俣委員 結論は、消極的に考えるというのはどういうことか知らぬけれども都市は物価が高い、僻地は不便だということは、これはいろいろな対策があるわけです。雪の場合は、今回の豪雪のような場合は、だれしもおろさなければつぶれるということをみんなが言っているわけです。何で消極的にならなければならぬのかということなんです。  雑損控除という考え方が確認されたのは、今回は豪雪がたいへんだったという考え方があるから、雑損控除が認められたわけでしょう。だとすれば、雑損控除なんというのを認めたところで、ちょっと所得金額が多いだとかそういうものにひっかかって、雑損控除だけではさっぱり恩典を受けない。したがって、雪国で暮らすためには——公務員でも同じだ。東北、北陸に転勤になるか南に転勤になるかによって、ずばり雪おろし費用が加算されるわけだよ。燃料費とか雪囲い費とか、その他言いたいですよ。しかし、これは人事院の総裁ともやったんだけれども、一応寒冷地手当というところで見ておる。平均七万からそんなものだ。だけど、プラス今回の豪雪の場合は、そう何回もないんだよ、気象庁始まって以来の雪だというんだから。だから、三十九年の一月から三月までにおける除雪費用については来年度の申告になるわけだが、必要経費として見るという積極的な姿勢を示して、何でちゅうちょせにゃならぬのだ。もう一ぺん、課長聞かしてくれよ。時間がないから、もう一ぺんだ。
  25. 伊豫田敏雄

    ○伊豫田説明員 異常災害というものについて、それを経費として見ていくということは、私は現在の税制上すでに組み込まれていると考えておりまして、そういう意味で国税庁がただいま御答弁申し上げましたように、雑損控除として見るべきものは経費として算入して考えていくということでございます。  ただ、異常な災害の見方につきましては、物理的な問題と同時に、やはりその人の所得とのバランスにおいて考えるべき問題があろうかと思います。そういう意味におきまして、雑損控除という制度がありながら所得基準等で、ただいまちょっとおっしゃいましたように非常に所得の多い方についてこれが適用にならない場合が生じても、これはその所得とのバランスにおいて災害の程度を判定するという考え方に現行税法が立っておりますので、やむを得ないものかと考えております。
  26. 川俣健二郎

    ○川俣委員 それじゃまあ、どうせ来年のことだから、前に能代の水害の問題もあったし、どうも雑損控除だけではほとんど免税措置を受ける対象は少ないと私は計算したものだから、さらに今後のほかの委員会課長、この問題を詰めていきたいと思うから、この問題はこれで終わります。  それから気象庁伺いますが、この間一年間ぐらいの長期予報というのを聞かしてくれた。これはたいへんだ、今度は水攻め、火攻めのところもあるんだがね、いま。それはあとで質問するんだが、一番心配なのは農業を営んでいる食糧基地の人方だと思うんだが、ちょっと長期予報というものを簡単に聞かしていただけませんか。
  27. 藤範晃雄

    藤範説明員 三月十一日に発表しました暖候期予報の概要を御説明申し上げます。  春の四月から五月にかけては全般に温暖な天気なんですが、五月に西日本を中心に曇雨天の続く期間がありそうです。また、北日本では比較的天気のいい日が多い見込みですけれども、五月上旬あるいは中旬等に内陸部で晩霜のおそれがあります。  つゆ入りのほうは、大体平年並みか、西のほうではやや早いほうですが、梅雨期の前半は気温が低く、雨量は少ないというふうに予想しております。しかし、後半には前線の活動が活発になりまして、大雨が降りやすい状態になるというふうに考えております。  つゆ明けは、西日本では平年より早いというふうに見込んでおりますが、他の地方では平年並みかおそいほうで、北日本ではやや長引くかもしれないと考えております。  つゆ明けごろは夏らしい天気が続きますけれども、西日本では少雨傾向が懸念されます。  それから北陸や北日本では、夏の期間もときどき低温があらわれて、局地的な大雨というふうな不安定な天気になる期間が予想されておりますが、夏全体の気温としましては、いまのところ平年並み、またはそれよりやや低い気温というふうな予想であります。  それから初秋にかけましては、気温が低くなりまして、秋の訪れが早い気候というふうに予想しております。  台風はほぼ平年並みの二十八個前後が発生して、そのうち二、三個が本土に襲来するおそれがありそうです。  以上のように、農業災害に影響しそうなものとしましては、麦の刈り入れ期に関連します五月の西日本の曇雨天、それから北日本の晩霜、それから夏の西日本の少雨傾向、北日本の特に日本海側ではやや梅雨が長引いて日照不足のおそれがある。それから初秋は、北日本の秋の訪れが早くて気温が低いというふうなことが影響しそうに思われます。  現在の時点では、大体この程度でありますけれども、近年の天候の変動を考えますと、かなり大きな変動がございまして、それから特に本年は、太陽活動の極小期に近いということにも注意する必要があると考えております。太陽活動の極小期に近い時期には北極方面の冷たい空気の勢力が強いことが多く、北日本の冷夏だとかあるいは西日本の干ばつだとか、わりあい極端な天候が起こりやすいという事実もございます。ですが、本年は、ただいまのところそういう極端なことは予想しておりませんけれども、今後の推移を見まして、今後の三カ月予報あるいは一カ月予報でもしこういう点が明らかになりますと、予報を修正したり、あるいはより明確化したい、そういうふうに考えております。
  28. 川俣健二郎

    ○川俣委員 そこで、次長が見えておるようだから伺いますが、さすが気象変化の複雑な国日本、特にことしは麦どころの西、米どころの北、開花期の問題等がかなりあると思うのだが、この前の論争で、米どころは非常に予報官に期待しておる。たよっておる。電話で聞く。ところがその予報官が山をおりる。ネオンの下におりていく。雪の調査で、雪見るといったって雪の深さをはかる人がいないんだから、こういう嘆きの陳情がどこからも出た。そうしたら、機械化して中央に集めて、中央に集めるデータ、プログラミングをつくるのはだれからだ、電話で部落民から聞く、こういう体制なんです。そんなのはできないというのだ。  そこで私が聞きたいのは、一体予報官のおった通報所というのが最高何人くらいおって、いま何人くらいになったものなのか、聞きたいのです。
  29. 石原明

    ○石原政府委員 通報所は大体二人ないし三人でございます。当初の定員の査定では三人、その後逐次二人になりまして、その後におきましていろいろな削減等の関係がございまして、現在では大体の通報所はすべて二人になっております。ただ、東北地方の若干の通報所とそれから福知山等の他の管区の一部のところにつきまして三人というふうな情勢になっております。
  30. 川俣健二郎

    ○川俣委員 全員の数はどうですか。マキシムは何人くらいおって、通報所にいる人員ですよ、それがいまどのくらいになっておるか。
  31. 石原明

    ○石原政府委員 当初の人員からいいますと、二百十九名でございましたけれども、その後逐次減員をいたしまして、現在百三十七名でございます。
  32. 川俣健二郎

    ○川俣委員 最後にゼロにするつもりか知らぬが、只見の場合は三名が二人になり、横手の場合はやはり三名が二人になり、仙台関係で八名減らす。それで例のAMeDASというものを買う、AMeDASという器械を買うためには五十人減らす、そうすると採算が合うんだ、これじゃ天気予報の気象庁はどうなっているんだろうかと案ずるわけです。この問題はまた労務問題として社労においで願って少しやりたいと思うから、お願いしたいと思うのです。  そこで、三月一日にふき出した鳥海山、百五十年ぶりでびっくりしたろうが、気象庁もびっくりしたんだろうと思う。あれは活火山だったんだろうか、いろいろとある。ところが、見つけたのは全日空、見に行ったのは山岳部、観測しているのは秋田大学。気象庁は何をやっているんだ、こういうことになる。人手が足りない、本格的な観測体制をつくる、こういうことでいまやりつつある。そこで、鳥海山の模様と観測体制と、きわめて幼稚なというか端的に聞くようだが、一体あれは安心できるのかどうか。あとで避難の助成策を聞きたいところだが、まず一応気象庁から聞きたいのです。
  33. 末広重二

    ○末広説明員 お答え申し上げます。  最初の発見者は、確かに全日空でございました。あのときは曇天でございまして、山頂がたまたま雲の上に出ておりましたので、飛行機が一番早く見つけていただけたわけでございます。  それから、鳥海山は私どもは活火山の一つとして登録と申しますか、リストにあげておりました。ただ、常時器械観測はしてなかったことは事実でございます。ただ、日本には火山ではあるけれども、こういった現在活動してないという山が多々ございますために、そういう山が一たん活動期に入りました場合には直ちに対応策がとれますように、私どもは火山機動班というものを持っております。ただいま先生のお手元にお配りしました資料をごらんいただければおわかりかと存じますが、直ちに私どもは東北大学その他と連絡をいたしまして、猿倉、それから火口よりわずか四キロメートル——これは、火山に伴う振動観測はなるべく火口に近いほうが有力な情報が得られるわけでございまして、私どもは猿倉と、いま申し上げました祓川というところにとにかく臨時の観測点を設立いたしました。  この際、御承知と思いますが、現在鳥海山はまだ積雪六メートル、なお厳冬下の気候にありまして、この四キロメートルのところに観測点を設置するにあたっては地元のなみなみならぬ御協力をいただいたわけで、私ども非常に感謝している次第でございます。それに加えまして、飛行機観測、それから酒田が一応鳥海山の遠望観測を役目としている官署でございますので、酒田測候所からの遠望観測その他を総合して、ただいま厳重な監視体制を敷いているわけでございまして、先ほども申し上げました、たいへん深い積雪にあるということ、また現在も冬であるということを考えますと、現時点では一応これで十分な観測体制、これ以上はちょっと望みがたいのではないかと考えております。
  34. 川俣健二郎

    ○川俣委員 その機動班というのは猿倉は何名で、祓川は何名で、大体しろうとわかりするように、どのぐらいの設備なのか聞かしてください。
  35. 末広重二

    ○末広説明員 猿倉には常時二名の者がただいま常駐しておりまして、目で見まして約三千倍の記録、倍率の地震計をつけまして、常時二名常駐しております。それから祓川でございますが、これはあすこに無人のヒュッテがございまして、そこまで雪上車で強引に突っ込みまして、雪を掘って二階から中へ入っていたような場所でございまして、ちょっと人間を常駐させることはできませんので、特別な長期巻きの磁気テープを使った地震計を設置して無人で観測しております。ただこれは記録を戻しませんと意味がございませんので、昨日またもう一ぺん現地へ雪上車で突撃いたしまして、そのテープを回収してまた新しいのをつけてまいりました。きょう、今晩おそくかあしたじゅうには、このテープを東京で解析するつもりでございます。
  36. 川俣健二郎

    ○川俣委員 その無人ヒュッテですが、祓川のほうはそうすると一人でやらしているの、交代で……。
  37. 末広重二

    ○末広説明員 祓川は申し上げましたとおり無人でございます。それで猿倉を基地として、猿倉に常駐しております二名が天候のぐあいと、それから地元の方の御都合を伺った上で、往復約六時間かけて取りかえに行っている次第でございます。
  38. 川俣健二郎

    ○川俣委員 そうすると、山の噴火したことによって気象庁の職員は二人ふえただけですね。
  39. 末広重二

    ○末広説明員 現地へ張りつけましたのは二人でございますが、あと秋田と山形がこの鳥海山に近い大きな府県区でございまして、ここがやはり一名ないし二名、これは臨時でございますが、機械を取りつけるとかそれから労力を要するときには応援を出してくれております。それから一方、県庁との連絡、地元の方への情報の提供等は秋田地方気象台、山形地方気象台がただいま応援しておりますから、その人間も合わせますと相当の労力がつぎ込まれているとお考えいただきたいと思います。
  40. 川俣健二郎

    ○川俣委員 私は肉体労働より、問題は気象庁のたよりになりそうな人をほしいのだ。予報官というのはそれなんだ。二名だね、あとの一、二名というのは人件費じゃなくて雑費でおろせるものだろう、肩書きのない……。
  41. 末広重二

    ○末広説明員 これは、現地はやはり二名おりませんと、山の交代、その他危険が伴いますので、二名張りつけておりますが、これは観測点に常に張りつけられておりますので、県庁へ、地方の自治体あるいは地元の皆さまに山の状況を御説明する役は、地方気象台の防災業務課が受け持っておりまして、これは相当防災その他の知識を要しますので、そういった点では専門家が応援しているとお考えいただきたいと存じます。
  42. 川俣健二郎

    ○川俣委員 これじゃやっぱり私ら災害委員として、全く心細い観測体制ですね。いろいろと地元の新聞では書いておりますが、何もない観測体制、これも少し言い過ぎじゃないかな、この新聞は。しかし聞いてみたら、調べてみたらやっぱりそうだ。次長、一体予算はどのくらいあるのです、こういう場合は。
  43. 石原明

    ○石原政府委員 火山の監視につきましては、大体Aクラス、Bクラス、Cクラス、こういうふうに三つに分けて監視体制をとっておるわけでございまして、いわゆるAクラスは、これは相当の活動度が高くて非常に危険であるというところでございまして、現在四つございまして、浅間山と大島——三原山でございます。それから阿蘇と桜島ということでございまして、その次に、やや観測の程度はAクラスに落ちますけれども、一応常時監視体制をとっておるのは、そのほかに十二ございます。  そういうことで、十六火山については常時監視体制をとっておりますけれども、その他の数十の火山に対しましては、そういうふうな常時監視体制をとっておりませんので、本庁に機動観測班というものを設けておりまして、今回の鳥海山のような場合には、すぐにそういう機動観測班が行って手当てをする、こういう監視体制をとる、こういうふうな仕組みにしてございまして、そのための旅費だけで申し上げますと、年間三百万円程度でございます。
  44. 川俣健二郎

    ○川俣委員 その三百万というのは、鳥海山だけの分ですか。
  45. 石原明

    ○石原政府委員 全体についてでございます。したがいまして、もし鳥海山が足りないような場合には、何とか費用をやりくりして手当てするということになります。したがって、年度当初におきまして、全国の、いつ起きるかわかりません火山に対しての、そういうふうな出動をするための費用として三百万円というのは計上されておる、こういうことでございます。
  46. 川俣健二郎

    ○川俣委員 大蔵省、予算委員会で大臣も来てないのだけれども、ルバング、小野田、あれ何ぼかけたの、一人に。  それで、やっぱり四カ町村がおののいておるのだよ。そうだろう。もう安心だと思ったら、二日目か三日目にまた出てきたという。溶岩が流れてきたのではないかと今度はまた騒いだら、まあだいじょうぶだろう。また騒ぎだした。やっぱり観測体制。だとすれば、私は、時間がないから、最低限度ここで約束したいのは、ABCのランクがあることはわかっているが、常時観測体制にこの鳥海山を位置づけていいかどうか。そのためには予算の予備費をつけるにわれわれ委員として奔走しますがね。次長はどう思います。やっぱりこれは片手間にときどき見ればいいという趣旨なのかどうかですよ。
  47. 石原明

    ○石原政府委員 現在、鳥海山につきましては、活動状況が当初予想いたしましたよりやや穏やかだということだろうと思います。ただ、先ほど震課長が申し上げましたように、現在の観測点で猿倉のほうは十一キロ離れております。したがって、そこでは、よほど大きな火山性の震動がないと捕捉できない。その猿倉の地点で観測されました火山性地震は数回でございまして、しかしながら、ああいう火山では、そういう遠いところ、十一キロ程度も離れておりますと、火山性地震が起きておりましても、的確にそれを捕捉するという点では、よほど大きいものでない限りはやや不十分であろうかと思います。そういう点で祓川のほうに無人の観測装置を置いております。先ほど申し上げましたように、この無人観測点につきましては、いわゆる長期巻きということで自動記録になっておりますので、それを持ってきて解析しませんと、よくわからないということでございまして、現在その記録を撤収して東京へ持ってきて解析しようというところでございます。したがいまして、これから鳥海山の現在の活動状況についても、火山性地震の起こり方というような観点からいたしますと、まだ十分に把握してないというのが現状でございます。したがいまして、現状の把握自体がそうでございますので、将来どうなるかということについても、いろいろ見方がございますけれども、まだ的確に申し上げるような段階ではないかと思います。したがいまして、ただいま御指摘がございましたように、常時監視体制をとるべきであるというふうな観点につきましては、そういうふうな鳥海山の現在までの活動状況及び今後の活動状況というものを検討いたしまして、それに応ずるような措置をとる。したがいまして、もし相当程度の活動が継続する可能性があるというふうなことでありまするならば、そういうふうなB級というような常時監視体制をとることも検討しなければいけないかと思いますが、それは今後のそういうふうな活動状況をよく点検して、検討してからでございまして、もっとも、こういうふうにB級にするといいましても、予備費かなにかというような手もあるかもしれませんけれども、一応そういうふうなことになりますと予算要求をしてやるということになります。それまでは地元の方も御心配のないように、これで火山の活動状況は大体休止したものと考えていいというような時点までは、私どもとしては先ほど申し上げましたような予算で計上されておりますけれども、さらにその他の費用、場合によりましては必要な予備費というようなこともお願いするというか、そういういろいろな手を打ちまして、御心配のないように常時必要の間の監視は継続するようにするというふうなことで対処したいと思っております。
  48. 川俣健二郎

    ○川俣委員 御心配がないようにと言ったって、心配しているんで困るんだよな。やはり次長おっしゃるように、経常予算じゃ無理だと思うよ。百五十年ぶりでぼかっと出てきたんだから、小野田さん以上にびっくりしただろう。だからあなた自身がよほど大きな体制がない限りはと言うことは、そういうことでもほしいということも言っているわけだよ。気持ちの中では。だけれども予算もないし、定員削減でやられるし、二人で十一キロ離れたところをかわるがわる雪を越えながら行ってこいという体制、そういうことなんだよ、あなたの話をずっと聞いていると。それじゃ労務問題も出てくるし、十何人ぐらい行ってやれというんなら別だけれども、十一キロの猿倉に二人置いて、それじゃだめだと思うんだな。御心配ないと言ったって御心配しちゃって避難させているんだよね。こういうところを考えると、いろいろと経費がかかるんだが、杉岡事官、何かこういう助成策、緊急対策——恒久対策はいろいろと営農その他あるんだろうが、そういったような助成策を考えてほしいと思うんだが、ちょっと御意見を伺いたい。
  49. 杉岡浩

    杉岡説明員 お答え申し上げます。  三月一日に鳥海山の噴火がございまして、われわれといたしましてもそれを憂慮いたしまして、消防、建設、警察、地元の県及び気象庁それから電電、こういった省庁寄り集まりまして鳥海山の対策につきまして急遽協議をいたしたわけでございます。それで地元等から御報告いただきまして、いろいろと地図を見ながらやったわけでございますが、その一番近い部落、たとえば山形県のほうで言いますと八幡町の大台野、あるいは秋田県の象潟の観音森、あるいは鳥海村の百宅といったような、八キロないし十二キロ程度のところに集落があるわけでございます。こういったものが、泥流等の情報が当時ございまして、その泥流等によっていざというときにどういうふうに退避するかという問題があるわけでございます。したがいまして、われわれといたしましてもまず避難場所を明らかにする、それでたとえば少し高台にあります公民館あるいは学校等にどこどこの人は行く、それから情報連絡は絶えずできるようにする。幸いその集落につきましては電話は全部完備いたしておるようでございまして、電話でそれを知る。さらに除雪でありますが、一旦緩急あったときは車で避難するというためには除雪が必要でございます。それでとりあえず除雪等につきまして県といろいろお話ししたわけでございますが、いま言いました山形県の大台野等につきましてはある程度除雪が進んでおります。それから秋田県の観音森等も進んでおります。百宅等につきましてはまだいま除雪中でございますが、こういったもろもろの避難対策を地元等におきましていろいろとおやりになっておるわけでございます。その会議のときにも話したのですが、いざ大きな噴火等があった場合、いろいろな住民を避難させるためには必要があれば災害救助法等も発動するというようなこともわれわれは考えておるわけでございます。  なお今後の問題といたしましては、昨年に法律をきめていただきました、例の活動火山周辺地域避難設備の法律がございます。ああいったものを今後鳥海山の噴火の状況等を勘案いたしまして、どのような恒久的な避難対策ができるか等を地元と十分検討してまいりたい、こう考えております。
  50. 川俣健二郎

    ○川俣委員 割り当て時間はあと一分なので、最後に委員長にお願いしたいのは、さっきの雪害の問題ですが、一番問題は農業災害、見てもらったのは果樹園の枝折れじゃなくて樹体が二つに割れているのを見てもらったのだけれども、ぜひ融雪期に再度見ていただきたいことをお願いして、理事会で御検討願いたいということを提案したいと思いますが、よろしくお願いしたいのです。
  51. 阪上安太郎

    ○阪上委員長 この問題につきましては、過般の調査をいたしました際にも地元と約束をいたしております。したがいまして、理事会にはかり、善処いたしたいと存じます。
  52. 川俣健二郎

    ○川俣委員 終わります。
  53. 阪上安太郎

    ○阪上委員長 この際、午後一時三十分まで休憩いたします。    午前十一時五十六分休憩      ————◇—————    午後一時三十一分開議
  54. 阪上安太郎

    ○阪上委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。柴田健治君。
  55. 柴田健治

    柴田(健)委員 関係各省お尋ねを申し上げたいのですが、先般本委員会で、東京都の江東区の防火拠点整備、新しい都市の再開発ということで、それを兼ねてのあの地域を見せていただいた。専門的にいろいろ自信のある説明をされたわけでありますが、私たち長年の経験から申し上げると、十分とはいえないという気がするわけであります。しかし、東京都一千百万のこの人口密度の多い、濃密度の高い都市で、ああいう規模の、そしてああいう考え方都市の再開発をするとするならば、およそ何年ぐらいかかるのかということを、まず聞いておきたいのであります。
  56. 小渕恵三

    小渕政府委員 お答えいたします。  江東地区におきまして現在一番進捗いたしております白鬚防災拠点につきましては、計画年度といたしましては、五十三年をめどといたしまして現在遂行中でございます。
  57. 柴田健治

    柴田(健)委員 あの地域だけが五十三年までかかる。ところが東京都全体は、順次ああいう計画で進めていかなければならぬ非常に危険性の高い地域がたくさんあるわけですが、そういうところの計画実施すると、それはもう想像がつかないほど年数がかかるのではなかろうか、こういう気がいたします。それではほんとうの防災対策というものを本気でやっておるとはいえない。要するに地方公共団体にほとんど義務づけて、そして地方公共団体がやるんだというそういう考え方があまりにも大き過ぎるのではなかろうか。国が財政援助なり技術援助なり、もっと思い切って援助方針というものを打ち出していかないと、これはなかなかはかどらない、こういう気持ちを持つわけですが、もっと思い切って財政援助はやる、それに関連する関係法規の改正、制度改正というものをする必要があると思うのですが、そういう考えはありませんか。
  58. 國塚武平

    國塚政府委員 江東地区防災拠点その他の関係事業推進についての御意見でございますが、私どもは四十七年九月に当該地域におきます都市計画決定をいたしまして、四十八年の三月には建設省及び東京都の間に事業執行についての促進方の打ち合わせをいたしたわけでございます。すなわち、住宅等の早期着工でございますとかあるいは防災センターの着工促進、あるいは工場アパート群関係の問題の計画の策定というものを早急に行なうという打ち合わせも行ない、かつまたこれに伴います事業についての打ち合わせを進めて、これから鋭意促進するわけでございます。  お話しのように、これは単に東京都あるいは江東地区の住民の負担というわけにはもちろんいかぬわけでありまして、国といたしましても積極的な姿勢関係事業の助成をいたすほか、融資の面におきましても税制の面におきましても、御要望にできるだけ即応できる体制をとるということについて努力をいたしておるわけでございます。  権利変換計画に基づく事業実施という点につきましても、これに検討を加えると申しますか、さらに一歩進めて事業促進をはかるために、権利変換方式によらない用地買収方式による再開発事業ということも興すべきではないかということから、今国会に都市開発法改正を御提案申し上げておるような次第でございますし、またその中には、いわゆる増し床取得に対します金融措置強化でございますとか、あるいは固定資産税の軽減の問題とかも含めました法律改正をいたしておりますし、また予算面につきましても、防災性強化費に対する助成あるいはその他の再開発関係の負担軽減をはかるための一般会計からの助成の強化等、格段の予算措置を講じておるつもりでございまして、今後とも、国といたしましても積極的な姿勢で対処する考えでございます。
  59. 柴田健治

    柴田(健)委員 いずれこの問題は掘り下げて論戦しなければならぬと思う。都市の再開発について、現在ある店舗を改造するというものを含めて、いろいろと可燃性から不燃性化に建築構造を変えていく。その中で、いまの建築単価が高い、それで入居者がそれらの平素の所得から見て、償還という財政的な負担というものが非常に重い。それから都市の再開発をどう進めても、前に行かないというのが実態なんです。どこの都市でもそれがいまガンになっているわけです。計画は立てるが、しかしそれの再開発については個人負担が非常に多い。それは要するに建築単価が高いということです。そういう面から、非常に困難な問題があろうかと思うので、国がもう一ぺんこの点についてはメスを入れる必要がある。ただ助言、指導、財政的なささやかな援助というだけではいけないので、抜本的に考える必要があると思うのです。  次に私は、時間がございませんから申し上げますが、いま日本で石油コンビナート、工業都市だとか新産都市だとかいうことで、いろいろな産業優先の都市開発、工場都市づくりをやってきた。この経過から見て、いまや工場の建設はでき上がった、まだまだむつ小川原だとか苫小牧だとか鹿児島だとか、鹿島だとか、これから開発するところがあるようでありますけれども、住民がなぜ反対するかということをお互いに為政者は考えてみなければならぬと思う。しかし今日、工業基地をつくったいまの段階で、これからの展望を見て災害というものを考えなければならぬ。いつ災害が起きるか。日本の場合は非常に災害の多い国、これは気象条件からくる日本列島の姿であるし、同時にまた人災といわれるいろいろな形の災害が起きる。たとえて申し上げますと、岡山県に水島工業基地がある、石油コンビナート基地がある。全国でもたくさんの石油コンビナート基地があるわけです。それが昨年一カ年にどれだけ事故を起こしておるか。消防庁で統計的には調べておられると思うのですが、通産省でもよろしいが、昨年一年間にそういう危険性の高い石油コンビナート基地、工業基地でどれだけ災害が起きておるか、数字を述べてもらいたいと思う。
  60. 永瀬章

    ○永瀬説明員 消防庁のほうで取りまとめておりますものは、石油化学コンビナートの中で死傷者を伴った事故というものを集計いたしてみますと、昨年で約十一件ございます。この中には高圧ガス施設とからんでいるものもございまして、徳山の出光石油化学だとかあるいは市原のチッソ石油化学、それから直江津近郊の信越化学の事故も含んで、十一件死傷者を伴ったものとして把握いたしております。
  61. 柴田健治

    柴田(健)委員 四十八年度で消防庁が統計的にまとめた火災の発生件数約七万四千件、被害額九百六十億円、それには小火災まで含めて死傷者が千八百五十人、これは国際的に見ても自慢のできない災害率であります。これは近代国家としては非常に恥じなければならない。この点について小渕副長官はどういう認識を持っておられるのか、見解を聞いておきたいと思う。
  62. 小渕恵三

    小渕政府委員 御指摘のように、お示しをされておられます数字につきましてはまことに遺憾でございまして、われわれとしても、都市防災を含めまして火災発生をまず押えますとともに、不幸にして発生をいたしましても、その被害を最小限に食いとどめるように努力をいたしておるつもりでございます。
  63. 柴田健治

    柴田(健)委員 日本の場合は火災保険制度があって、この火災保険制度をあまりにもたより過ぎる。これは日本関係機関も火災保険のほうに力点を置いて加入しなさいという運動のほうが強かった。その結果、今日防災対策というものが非常におくれてきた。この点はお互いに反省しなければならぬと私は思う。いま国、市町村を含めて消防予算の総額は毎年相当の額を投下している。それにもかかわらず被害額が下がらないし、件数も下がらない。かえってふえる。死傷者もふえるというところに今日の社会、経済の実態があまりにもわれわれの予測よりかけ離れておる。そういう点をもっと認識しなければならぬと私は思う。  具体的に一つの例を申し上げますが、石油コンビナートをつくって、現行制度で消防庁が持っておる任務、消防法から危険物取り締まり規則、この問題。それから通産省は高圧ガスという取り締まりの法律からいろいろと保安基準を示してやっておる。総理府災害対策基本法という基本方針災害対策の憲法といわれるこの基本法を機軸にして行政指導、関係各省との連絡調整ということをやっておるわけです。いろいろと各省はそれぞれの制度の中で防災業務に携わっておるわけであります。しかし、現状はどうかというと非常に危険性が高くなっている。岡山県の水島の石油コンビナートには七十四の工場がある。設立当時は非常に優秀な機械であったと思うのですが、年々年を追うごとに生産第一主義、人間もあまり使い過ぎるとくたびれが出るようなもので、機械もほとほとくたびれておる。もう耐用年数も終わりを告げようとする。そういうものがたくさん出ておる。そういう場合にもっと厳密に調査、要するに立ち入り検査、そしてそれらに対応するための一朝有事の場合の防備体制、現行制度で常設消防、非常勤消防団、企業における、会社の企業防衛という立場から特設防護団、警備団、海上消防署、それの持っておる消防艇、いろいろ装備全体、人員と装備を考えて、たとえば水島に七十四社の会社がある。労働者が三万九千七百八十、約四万の労働者が働いておる。あの危険性が高い。一方では公害問題が出ておる。グリーンベルト地帯をつくる、緩衝地帯をつくる、そういう構想を立てても、県なり市町村財政の実態から見てあまりにも任務が重過ぎる。国は口は出すが、金を出さないというのが今日の実態であります。  消防庁にお尋ねしますが、いまの現状で、たとえば水島のあの石油コンビナートの基地周辺の市町村が持っておる消防現有勢力、それとにらみ合わして、事故が絶対に起きないか、起きたときに万全の対策がとれるか、責任が持てるかどうか、ひとつ所見を述べてもらいたいと思います。
  64. 藤江弘一

    ○藤江説明員 コンビナートの防災体制につきましては都道府県、市町村、それから企業、さらに申しますれば、海上保安官署等がそれぞれ機能分担をいたしまして、必要に応じまして協議会等を構成の上、万全を期すような体制になっておるわけでございます。
  65. 柴田健治

    柴田(健)委員 それでは答えにならぬじゃないですか。あなたのは答弁にならぬです。いまの防備体制で事故が発生した場合にだいじょうぶですかと尋ねておる。お答え願いたい。
  66. 藤江弘一

    ○藤江説明員 国といたしましては、必要な資機材等につきまして都道府県に対しまして助成をいたします一方、市町村の体制等についてもできるだけ整備を進めるように、その促進方について指導いたしております。ただこれにつきまして十分であるかどうかという点につきましては、御指摘のような問題もございますので、来年度予算におきまして、私どもとしましては防災診断というふうなことで、コンビナート地帯の防災体制につきまして十分に検討を加えたいというふうに考えておるわけでございます。これは、従来の保安点検等が主として施設単体に対するものでありますのに対しまして、このコンビナート防災診断は、地帯としての危険度の判定とかあるいはそれに対する対策についての検討というふうなものを含めました、総合的なものとしてとらえたいというふうに考えているわけでございまして、その結論を待ちまして十分な対策をさらに強化してまいりたいというふうに考えております。
  67. 柴田健治

    柴田(健)委員 自信のない答弁なんですが、水島の七十四の工場の中で、危険性の高い工場がほとんどだ、石油関連ですから。この地帯を守るためにどれだけの消防施設があるかということを消防庁は知っておられると思う。あそこに石油タンクがある。たとえば八階建てくらいな相当大きな、そこの総理府のような建物ががさっと入るタンクが約千五百ある。一方ではエチレンの生産工場が三工場ある。徳山の出光は、十五万トンの生産能力を持つエチレン工場が昨年七月七日に爆発した。水島は七十五万トンの生産能力を三工場で持っている。これが並んでおりますから、一ぺん爆発したらみんないかれてしまう。これらの危険性の高い地域消防体制を申し上げると、五つの消防署がある。ポンプが四十五台です。会社が持っておる消防車、これが二十八台、海上から守る消防艇、これが二隻、化学消火剤は二百キロしか備蓄しておりません。二百キロでたった三時間しかもたない。それから消防車の射程距離が二十五メートルというのが三台ほどある。これはプラントが三十、三十五メートルの高さがある、射程距離が二十五メートルしかない、こんな常識のない装備をさしてどうするのだろうか。こういう装備の実態、現有勢力からいうて、七十四社の中の六割は非常に危険性の高い会社だ。生産第一主義で、もう耐用年数が過ぎた機械を無理をして使っておる。通産省が年に一回か二回検査に行く、ペンキを塗ってごまかす、防腐剤を塗ってごまかす。いま任務を持っておるそれぞれの地域消防の職員が立ち入り検査に行ったって、しろうとばかりでようわからない。ああいう化学工場を検査する、指導する、調査をするというような専門的な知識を持った職員というものがおらない。おそらく通産省でも消防庁でも、総理府でも建設省でも、そういう専門的な者が日本の国に何人おるのだろうか、関係各庁に何人おるのだろうか。大学の先生を少し委嘱をして研究してもらう、調査をしてもらうというようなことがいまの実態であります。こういう実態で災害が起きたらどうなるのか。いまの災害対策基本法は、副長官、あなたは法律をよく読んで知ってもらわなければいけないのだが、とにかくこういう体制をつくりなさいよというのが災害対策基本法の大筋、災害が起きたらその体制をもって処置しなさいよというのが災害対策基本法の一貫した流れです。災害対策基本法は、起きない前の予防というところに力点を置いてない。国がやらなければならぬ責任は明確になっている、にもかかわらず、いまの防災会議の本部の事務局の人員、実態、恥ずかしいと思われませんかという気がするのですが、副長官どうですか。いまの中央防災会議事務局の陣容、そういうものを見た時分に、本気で日本災害対策をやっておるとは思えない。本気でやっておるか、災害が起きてでなしに、予防措置について自信が持てるかどうか、副長官どうですか、お答え願いたい。
  68. 小渕恵三

    小渕政府委員 中央防災会議に関しまして御指摘がありました。満足すべき体制を整えておるかということでございますが、基本法に示されておりますように、中央防災会議は総理を会長といたしまして、各般の基本的課題に対して考え方を取りまとめておるわけでございます。直接の防災の実施はそれぞれ担当官庁が行なっておるわけでございますので、防災会議といたしましては、そうした役所間の調整とかあるいは執行上の問題点があるとすれば、そういうものについての指摘をする立場でございますので、現段階におきましては、中央防災会議といたしましては全力をあげて対処いたしておる、こう御答弁申し上げたいと存じます。
  69. 柴田健治

    柴田(健)委員 つらい答弁だろうと思います。実際本気でやってないという陣容、機構、ただコントロール、各省との連絡調整をやるのみがいまの中央防災会議の任務のように思われる、これではいけない。ほんとうはもう一ぺん災害対策基本法を改正して、もう一条任務を加えるという、法の検討をひとつしてもらいたいと思うのです。これが第一点。  それから消防庁に聞きたいのですが、エチレンは何で危険物として取り扱わないのか。これは通産省が認めないのか、話をしてないのか、まだ合議をしてないのか、ひとつ通産省と消防庁の見解を聞きたいのです。
  70. 永瀬章

    ○永瀬説明員 消防法の別表に定めております危険物、これは法制定当時から、主として液体、固体の火災危険性のあるものあるいは火災の勢いを増すような酸化剤のようなもの、こういうものを規定しておりまして、可燃性のガス類は法律の最初から規定いたしておりません。しかしながら、その面につきましては、高圧ガスについては通産省でおやりになっておりまして、その両省の連絡ということで、災害防止の面も消防が多少タッチしながら、連絡協調をはかりながら行なっている、こういう状態でございます。
  71. 鎌田吉郎

    ○鎌田説明員 お答え申し上げます。  エチレンにつきましては、高圧ガスという観点から高圧ガス取締法に基づきまして、事故の未然防止のために種々の規制を行なっている次第でございます。
  72. 柴田健治

    柴田(健)委員 高圧ガス取締法は通産省の関係、危険物取り締まりのほうは消防庁。消防庁の権限を見ると、この危険物の貯蔵の関係に重きを置いておる。生産、流通にはあまり重きを置いてない。工場爆発というものは生産過程ですよ。生産過程、生産、流通です。消防庁のほうは基準があって、タンクはこういうときにはこういう規則がありますよ、こういう基準がありますよ、地上高さ何メートルですよとこういう基準を示して、貯蔵が大体主たる取り締まりの対象になっておる。生産のほうは何もやれないのが消防庁の姿であります。問題は、生産過程は全部通産省の管轄だから、高圧ガス取締法を守っていくとするならば、生産の段階ではもっと通産省が責任を持たなければならぬ。それが、通産省は消防関係者には何も連絡しない。通産省の出先があるのに何にも連絡をしない。県には地域防災会議がある。県には防災課がある。市町村にはそれぞれ常設消防がある。通産省の保安官が一回でもそういう方々会議を持ったことがあるか。かってにやっているだけです。連絡一つもしないのです。こういうことで連絡調整をうまくやっていると言われるということははなはだ遺憾だと私は思う。副長官、どうですか。こういう問題は具体的に起きているのです。そういう時分には連絡調整、コントロールしてうまくやります、こうあなたは言われたのだが、現実にやってない。この点どうですか。
  73. 小渕恵三

    小渕政府委員 先生いま御指摘の点につきましては、これは通産省並びに消防庁二省間で調整をし、対処すべきものだろうと考えております。なお、防災会議といたしましては、この省庁間において十二分な調整ができなかったり、またそれぞれの役所が御指摘にありましたような十二分な監督あるいは処置が講ぜられておらないときにおきまして、調整の任務を果たしていくという立場であろうと存じます。
  74. 柴田健治

    柴田(健)委員 消防予算を何とかしてくれというと、何やら財政基準はどうだこうだと大蔵省はやかましく言うのですが、何としても財政的な面を市町村に任務を持たせる。防災任務は地方公共団体にあるのだ。法律からいえばそうかもわかりません。けれども財政的な面はもう少し中央防災会議でこの問題には力を入れなければならぬと私は思う。ただ水島をこしらえる時分に、当時私は県会議員だったのですが、相当地方公共団体が投資をして建設をやりました。そのときは県と市が七割の投資をしたわけです。七〇%の投資をした。国は約三〇%の投資。でき上がって生産が開始されて、いよいよ所得があがる。それに税金を取る。税収を見ると、あまりにも国は冷た過ぎる。建設の段階では金を出さないが、利益があがりだしたら国は思い切って取る。数字を申し上げます。昭和三十五年から四十七年、十二カ年で、倉敷市、これは水島の石油コンビナートがあるわけですが、この総税収が四千百六十三億九千三百万円。そのうち国税が、国が取り上げたのが三千六百七十一億八千万円、県税は百六十七億三百万円、市税は三百二十五億一千万円です。これを比率に直しますと、国が八八・一%取っておる。県は四・一%であります。市のほうは七・八%であります。そして国が地方公共団体に返した交付税、この還付率が七・五%であります。こういう税の分配率を見ると、国が八八・一%も取っておきながら、工場基地をつくるときには地方公共団体に七〇%も負担をかけて、あとの防災は、市と県とで守りなさいよというのは、どう考えても納得ができない。任務を持たせる限り、もっと思い切って財政的な裏づけもしていかなければならぬ。  私はこの際、中央消防庁にぜひ防災指導官制度をつくってもらいたい。防災指導官制度をつくって、災害対策基本法には災害時における職員の派遣要項があるが、災害時だけでなしに平時職員の派遣制度をつくるべきだ。場合によったら防災対策指導所を国の出先機関としてつくってもいいじゃないですか。それができなければ防災指導官として、危険性の高い石油コンビナート基地については市町村に常時専門官を派遣していく。消防庁、通産省、建設省関係各省は協力し合ってそういう制度をつくることこそ中央防災会議の任務ではなかろうか、こう思うのですが、副長官どうですか。
  75. 小渕恵三

    小渕政府委員 コンビナート等の大規模な工場群、特に石油化学関係の工場におきましては、一たん火災等発生いたしました場合には、予想されることは、たいへんな被害が考えられるわけでございますが、そういった意味で災害を引き起こさない。そのために、防災の面から考えまして、直接立ち入り調査し、あるいは点検指導できるようなそういう者を養成し派遣すべきであるという先生の御指摘につきましては、全くそのとおりであると考えております。現在通産省及び消防庁におきまして、それぞれ担当者に対しましてこうした研修等をつとめておるようでございますが、そうした者が十二分にそれぞれの技術を修得し、かつ今後に備えていくことの体制を整えていくことにつきましては、中央防災会議事務局といたしましても大いに検討いたしてまいりたいと存じております。
  76. 柴田健治

    柴田(健)委員 時間がまいりましたから終わります。いずれまたこの問題はもっともっと掘り下げて論戦を深めてまいりたい、こう思いますから、きょうはやめます。
  77. 阪上安太郎

    ○阪上委員長 柴田睦夫君。
  78. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 江東防災拠点の問題についてお尋ねしますが、まず、この江東防災事業が緊急に進められなければならないということはもうみんな異論がないことだと思います。江東地区の住民ももちろんこの事業の重要性を認識して、積極的な推進を望んでいるわけです。そしてこの事業を進めるためには何といっても地元民の理解と協力が得られなければならないわけでありますが、そのためにはこの事業によって住民の生活権やあるいは営業権を侵害しないような措置をとることは、これはもう当然だと思います。いま東京都においては防災拠点づくり計画され、特に白鬚東地区におきましては実施の段階に入っております。そしてその中で関係者は、住民の生活と経営を守る、そういう施策を厳重に要求しておりますし、東京都はこれに対して積極的にまた合理的に対応する計画を立てているわけです。白鬚東地区防災拠点地域に住む人々が防災拠点内につくられる新しい住宅に移転するにつきましては、その人たちに住むに値する住居が保障されなければなりません。都市開発法では等価交換というのが原則になっております。  こういう前提のもとで、まず弱い立場にある人々がどうなるかという問題ですが、建物を間借りし、あるいは賃借りしている人たち、こういう人たち住居につきまして、都営住宅をつくって、ここに東京都では優先的に入居させるという計画があります。この関係者の間で都営住宅に入居を希望する人々に対して、一つは優先的に入居させるということ、一つは一般的な収入による資格制限をなくするということ、もう一つは原価算定主義というようなことを離れて住宅の家賃などの負担を特別に軽減しなければならないということ、これらが住民の間の要求になっておりますし、東京都ではこれに対して対応する対策を検討しているわけですけれども建設省のほうではいまの問題についてどういうお考えであるか、お聞きしたいと思います。
  79. 救仁郷斉

    ○救仁郷説明員 お答えいたします。  具体的には東京都が公的な賃貸住宅を供給するということに相なります。公的な賃貸住宅の中にいろいろな制度がございますが、まず一般的な公営住宅それから住宅地区改良法に基づきます改良住宅、それから四十九年度から実施予定しております再開発住宅というような制度がございます。それぞれいろいろな特徴がございますが、白鬚東の場合には改良住宅というような形のほうが最も住民に有利かと存じます。そういう方法で準備しておりますが、これは土地費それから上物の費用、これの三分の二を国庫補助という形で出すことにしております。したがいまして、家賃も一番安くなるのではないかというように考えております。
  80. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 優先的に入居できるという問題それから収入による資格制限がなくされるという問題、また原価算定主義による負担の問題、これらの問題が現実の問題として解決されていかなければ、こうした借家人などについては当然、この計画に賛同し積極的に協力する、こういう姿勢にはならない。こう思うわけです。ですから、それらの問題は当然都が主体でありましょうけれども国のほうもそういう前提考えなければならないと思います。またこの等価交換の原則によりますと、小土地所有者や土地を賃借りしている人の場合、新しい建物の中で権利として確保できる面積が従来よりも小さくなるということが明らかであるわけです。それで間に合う人はいいかもしれませんけれども、現在の建物の中で家族数など精一ぱいである、こういう人たちに対してはやはりいまの建物と同じような床面積を保証しなければならないということになると思います。都市開発法では、権利以上の床面積確保するということになりますと、精算ということになって新しい出費をしなければならない。新しい出費をしなければならないということになりますと、それでは新しい建物のほうに移転できないという人も当然出てくるわけです。負担をなくして、必要最小限の面積を実際に保証することが必要である。そしてまたこれは住民の要求であるわけですけれども、この対策、このことについてどう考えるかということをお尋ねします。   〔委員長退席、金丸(徳)委員長代理着席〕
  81. 國塚武平

    國塚政府委員 ただいまお話がございましたように、現在の市街地開発事業権利変換方式でございまして、従前の土地建物の資産評価額に対応いたしまして、新しく建築されます施設建築物の床を従前の資産にかえて与えるという手法をとっておりまして、等価交換と呼ばれておるものでございます。したがいまして、この場合に、先ほど先生が御指摘になりましたような従前の権利が零細でありましたり、あるいは土地価格の低い住宅であったりいたします場合には、等価交換のみによりましては、適正規模の店舗あるいは住宅等が得られないということに相なるわけでございます。したがいまして、私どもはできるだけこの差を埋めまして、できる限り従前と同じ床面積との交換あるいは適正規模の住宅への入居をはかってまいるということが、非常に大事なことだと考えるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、床当たりの単価の軽減をはかっていくということから、国の助成をその面で強化をしていく。ひいてはそれによって公共団体の負担に、もちろん国費も含めてなるわけでございますが、公共負担を増加することによってその差を埋めてまいるという考え方をとっておるわけでございまして、昭和四十九年度の予算措置といたしましても、できるだけそういうふうな見地から、これに要します経費の軽減策をとったところでございます。すなわち調査設計計画費、土地整備費、共同施設整備費に補助をする。また、土地整備費、共同施設整備費の補助内容を拡充をしてまいる。さらには、江東地区市街地開発事業に限りまして、防災制度の強化費の補助制度を新設するというような新規の補助対象を創設することによりまして、ただいま申し上げましたような目的に近づけていくという努力をいたしたいと考えておるわけでございます。
  82. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 補助内容の拡充ということを言われましたけれども、それは現行法のワク内での拡充ですか。それとも法規の改正、補助金の負担についての割合を、法律改正するということまで検討されているのか、お伺いします。
  83. 國塚武平

    國塚政府委員 法律措置といたしましては、新しく都市開発法改正考えまして、今国会に都市開発法の一部を改正する法律案を御提案申し上げる運びにいたしておるわけでございますが、ただいま申し上げました内容に直接結びつくものではございませんが、江東防災地区のような大規模な、しかも緊急を要する事業促進をはかりますために、現行の権利返還方式によらない土地買収方式による事業を、新しく第二種市街地開発事業として公共団体が施行するような道を開きたいという改正をいたしておるわけでございます。  それからただいま申し上げました補助関係は、予算に基づきます補助でございます。  それからただいま申し上げましたこととはちょっと離れておりますが、都市開発法改正におきまして、住宅金融公庫の融資の問題でございますとか、税制の改善につきましても措置をいたしておるわけでございます。
  84. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 いま国の助成を強化していくことによって、弱小権利者権利を守っていく、これが一つの方向であろうか、こう思うわけです。さらに自分たちの権利は処分する、そしてそれによって金を取得した上で公営の住宅に入りたいという人も出てくるわけですけれども、こういう人たちに対して、権利返還ということによらないで権利は買う。しかし公営住宅に優先的に入居させる、こういうことが必要になってくると思うのですけれども、これについての対策はあるわけですか。
  85. 救仁郷斉

    ○救仁郷説明員 お答えいたします。  白鬚東の場合には、先ほどもちょっと御説明いたしましたが、再開発事業と並行いたしまして、住宅地区改良事業というものを合併施行的に施行いたしたい。したがいまして、そういった事業によりまして住宅を失うあるいは賃貸住宅に入居する必要のみる方々、こういう方々は、収入にかかわらず、改良住宅に全部入っていただくというようなことに相なるかというように考えております。
  86. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 それから過小宅地の人でなくても、等価交換というのが原則になりますと、従来の建物よりもどうしても非常に狭い床面積しか保障されない。そうなりますとなかなか協力できない、こういうことになるのはまた当然だと思うのです。等価交換の原則を破って、事実上等床交換という方向に進まなければならない。そのためには国や都が事業に必要な資金を必要なだけ注ぎ込んでいく。そしてその分については住民たちにかぶせないようにやるということで、事実上等床交換の方向に近づけることができると思うわけです。そしてなおこの江東地区におきましては町工場が非常に多い、また家内工業も非常に多いわけです。こういう人たちの営業を保障するためには工場団地をつくらなければならないし、また作業場つきの併用住宅をつくることも必要であると考えます。この作業場つきの住宅、こういうものは現在可能であるかどうか、お伺いします。
  87. 救仁郷斉

    ○救仁郷説明員 仰せのとおり、こういった事業につきましては家内工業的な方々に対しまして、作業場を付設するということが非常に必要でございます。従来も住宅地区改良事業におきましては、そういった作業場つきの住宅の建設ということをいたしておりますので、今回の場合も御要望があればそういうような建設をいたすつもりでございます。
  88. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 新しくつくられる建物に入るという人だけではなくて、今度はそこでは生活がしにくい、営業がやりにくいということから、ほかに転居を希望するという人も当然出てくると思います。また建物に入りたいと思っても、その営業所、運送業などがそれに該当するかと思いますけれども、そういう人たちは新しい建物には不向きである。不向きな営業もあると思うわけです。こういう人たちでこの機会に立ち去らなければならないという人々のためには代替地を提供するとか、そういうことも必要になってまいりますし、また、新しいところに転居するにあたっては営業あるいは生活の資金というものが必要になってくる、そういう融資の問題についての対策はあるかどうかお伺いします。
  89. 國塚武平

    國塚政府委員 再開発事業によります施設、建築物に入居されない方に対する手当ての問題でございますが、地区外に転出されます方に対します措置につきましても、東京都と地元との間でできるだけのことを措置するという相談が行なわれておりまして、地区外転出者に対する関係措置といたしまして代替地のあっせんを極力都のほうで行なう。また、これに関する営業保障等の面におきましても十分な配慮をするというふうに東京都側では考慮いたしておるわけでございます。
  90. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 建物をめぐっても非常に負担がかかるという問題があります。特に耐震耐火用の防災建物ということになりますと、そのつくる費用が普通の建物よりも、試算によりますと一・八倍になる、こういわれておるわけです。そして、この入居者に過重な負担をかけないようにしながら、その入居者に必要な床面積を保障するとか、都営住宅を保障するとか、耐震耐火強化用の建物をつくらなければならないということ、また建物に入らない人々にとっても工場団地をつくったり、あるいはその生活面での保障をするという問題があるわけです。この現在の都市開発法のこれも非常に問題があるわけですけれども、この再開発法方式による保留床の売却によって資金を基本的にまかなう、こういうやり方ではこの防災事業には間に合わない、このように考えております。そして、この防災拠点づくりというのは、単に地区関係者だけの利益のためではなくて、周辺の多くの人々の避難場として利用されるものであって、いわば全体の利益のために計画されるものであるわけです。全体の利益のために行なわれる行為のために関係地区の一部の人々が特別の犠牲を強いられるということも、これは理屈に合わない話だと思います。こういう場合においては、通常の再開発あるいは一般の都営住宅への転居という場合とは、やはり根本的に明らかに変わっていると思うわけです。関係住民に特別の犠牲を強いるのではなくて、また大事業であることから考えてみましても、ただでさえたくさんの公の事業をかかえております。この東京都だけに防災事業に関する犠牲をかけられるものではないということも、これはもちろんだと思います。そういうことから考えてみました場合に、国が、災害対策の根本的事業であるということを受けとめて、やはり特別な資金援助やあるいは補助金の増額をはかるということが、みんな言われるように当然必要であると思いますけれども、この点についての見解をお伺いします。
  91. 國塚武平

    國塚政府委員 御指摘ございましたように、本事業はきわめて重要な事業でございます。またいわゆる住民の方々理解と協力を得るという意味からいたしましても、十全の努力をすべきものだと考えるわけでございまして、そういう考え方から、先ほど来申し上げておりますように、国庫補助を充実いたすことによります建築物の床の価格の引き下げ、これによって権利者が取得する床面積を増加していく、等価原則は変えませんけれども先生おっしゃったように、できるだけの措置をとることによって、社会公平の原理に反しない範囲で、ひとつ等床交換に近づけていく努力をするということで補助の充実もはかっておるわけでございます。特に江東防災地区建築いたします建築物につきましては、いわゆる防災性強化という観点からする費用の増加もございますので、この点につきましても、特に費用の割り増しを要する地盤対策としての特殊基礎工事費及び防火設備としてのドレンチャー設備工事に関します割り増し工事費につきましては、特に江東地区に限りまして助成の道を開いたということもあるわけでございます。再開発住宅等の公的住宅の建設という問題も力を入れてまいっているわけでございまして、あらゆる方途を通じてできるだけ国の助成を強化して努力をしてまいりたいと考えております。
  92. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 この事業というのは、いま言いましたような建物だけの問題ではないわけです。建物の問題を解決するにしても、いま申し上げましたような点が解決されなければならない。そのほかにもこの事業を完成するためには避難道路確保、その対策あるいは道路周辺を不燃化するという問題、消防設備など、これは資金的にも膨大な資金を要する仕事であることは明らかです。住民の同意や協力を得るためにも、住民の生活と経営がほんとうに資金の面から保障されている、自分たちの生活や経営が法律や政策の上できちんと保障されているということを確信した場合に、初めて住民はこれに納得し、協力をするということになることは言うまでもないわけです。この事業をほんとうにすみやかに実現するためには、国が積極的に推進するということについてはっきりした態度を示さなければなりませんし、そのために法律改正を必要とする分についてはこれも検討しなければならない。またはっきりと、いまは実施の段階に入ったときにおいてほんとうに資金面で国が保障するという態度が必要であろうと思うわけです。そういう面について国が積極的にこの問題に取り組むかどうか、この点について最後に、総理府の副長官の御見解を承りたいと思います。
  93. 小渕恵三

    小渕政府委員 防災の観点からそうした地区の諸プランニングを一日も早く完成していくことは心から期待しているところでございます。その点に関しまして、計画がいろんな角度から支障を来たしておるような問題がありますれば、それに政府として対処していくことは当然でございます。現在におきましては、新たなる法律をつくる以前の問題といたしまして、現行法、たとえば都市開発法改正等の法律改正考え、かつまた、その他先ほど来政府委員が御答弁いたしておりますように、それぞれの役所におきまして行政的にとれる処置のすべてを傾けて、この進捗のために努力をいたしておるところでございます。
  94. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 終わります。
  95. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員長代理 有島重武君。
  96. 有島重武

    有島委員 私は、まさに東京江東に住んでおりまして、先般も本特別委員会でもって江東デルタ地帯の御指察をなさいました。ただいま白鬚地区にわたってのたいへんきめのこまかい論議がかわされておったようでございますけれども、私もこの江東防災に限って、またこれを中心としてしばらく時間をいただきたいと思います。  初めに建設省伺いたいわけでございますけれども建設省は、きょうは四人の方が来ていらっしゃるようでございますが、実は、この前予算委員会の分科会におきまして、亀岡建設大臣といろいろこのお話について意見をかわしたといいますか、亀岡大臣の御覚悟のほどを聞いたわけでございます。その結論といたしまして、すでに学者によってさまざまな予見がなされておる、それを一つの準拠としていま国が努力をしておる、そういう中で、万が一にも災害があって、そうしてそれの被害というものが非常に膨大なことになるならば、これは天災であるという概念よりもむしろ人災である、これだけいろいろと警告をされておったにもかかわらず、その対処がおくれたということになりますれば、これは大きな災害であったのだからしかたがないというよりも、むしろ政府がその責を問われるであろうという事態になっておるのじゃないですかと私伺いましたところ、亀岡建設大臣は、まさにそうである、そういう意識でもって取り組んでまいりたい、そういうふうに言われておりました。  そこで私、防災拠点につきましては、これは、白鬚はだいぶその中でも進んでいるのでありまして、他の防災拠点についてはまだまだほとんどその緒についていないといっても過言ではないくらいであります。これはたいへんな立ちおくれであろうかと思います。これが一つです。  それからもう一つは、内部河川の問題がございます。内部河川についての工事というのも非常に立ちおくれております。それから道路の整備をどのようにするのかということ、この構想もあまりさだかではないようであります。それから最後にもう一つは橋梁の問題ですけれども江東デルタの内部河川にかかっている小さな橋もございますけれども江東デルタ地帯をはさんで流れております隅田川、荒川にかかっている大きな橋、この大きな橋が耐震性を欠いている、かけかえをしなければならない、そういうような事態もあるようであります。  こうした防災拠点内部河川道路の整備、それから橋梁、この四つのことについて詳しくはもう少しあとでもってもう一ぺんお話ししたいと思いますけれども、これが一体どうしてこんなにおくれておるのか。極力急いでやっていらっしゃるには違いないと思うのですけれども、こんなに立ちおくれているのは一体どういうわけなのか、このことをまず建設省のほうから御釈明いただきたいと思います。
  97. 國塚武平

    國塚政府委員 江東防災計画推進の問題でございますが、先生お触れになりましたように、河角博士等一部の学者の方から指摘されておりますように、関東地方南部におきます大地震の発生の統計的な周期からまいりますと、昭和五十三年から大地震発生の危機に入るということに相なるわけでございまして、私どもはこの考え方を十分考慮に入れた上で事業推進をはかっていく必要があると考えております。この地区計画につきましては、御承知のとおり市街地開発事業を中心といたします総合事業でございまして、私ども建設省といたしましては、東京都と十分密接な連絡をとって事業を進めていくというのが第一だと心得まして、四十八年三月には、建設省の首脳部及び東京都の首脳部の間で事業推進方についての打ち合わせもいたしたところでございます。すなわち、一部住宅等を早期着工いたしますこと、防災センター等の着工に入ること、工場アパート群の整備についての方針を策定すること等々打ち合わせを了したところでございまして、できるだけ早く事業に入るという方針は確認をいたしております。したがいまして、最終目標といたしましては、白鬚東地区につきましては昭和五十三年を目途に事業を完成せしめる考えでございます。なお事業着手いたしております大島小松川地区事業促進、あるいは調査が進んでおります白鬚西地区事業着手をはかります一方、他の拠点につきましても鋭意調査計画を進めまして、できるだけ早期に事業着手する考えであります。
  98. 有島重武

    有島委員 私が伺っておりますのは、どうしてこんなにおくれているんだというその理由をいま伺いたいと思っているんです。いまおっしゃったことは、東京都との連携ということばが出てまいりました。それでもってその連携を密にしようと思っている。その裏を返せば、この間もちょっと新聞の報道にございましたけれども東京都がもたもたしているからであるとおっしゃるのかもしれない。そうでないんならそうでないと言ってください。それから白鬚地区は五十三年度を目途としておる。これはわかっております。ほかの拠点はどうなっておるのか。内部河川等がおくれているのはどういうわけか。橋梁はほんとうにかけかえようと思っているのか。そう思っているとすれば、大きな一級河川にかかっているほうの橋などは——新大橋は一部工事を始めたようでありますけれども、実はこの立ちおくれは一体何事であるか、これが地元の偽らざる声なんです。どういうわけでおくれているのか、それを伺いたいんです。
  99. 國塚武平

    國塚政府委員 江東防災の特に白鬚でございますが、先生指摘のとおり都市開発資金等の活用によりまして、用地の相当部分がすでに買収ができておるではないか。そこで、それに引き続く事業が立ち上がらない、おくれている理由ということだと存じます。  御承知のとおり、再開発事業権利関係の変動を伴います事業でございまして、これに関連いたします各種の詰めを、実は東京都が中心になりまして関係区及び地元の再開発協議会等といろんな条件等の打ち合わせをやっておりまして、その地固めがまずまずできた。地固めという表現は適当でないかもしれませんが、そういう共通の認識を得るまでに実は時間がかかったというのが理由でございます。  河川につきましては後ほどまた御答弁あろうかと思いますが、道路計画につきましても指定を急いでおるわけでございまして、また事業につきましては、関連事業として一部実施を進めております。
  100. 有島重武

    有島委員 急いでいらっしゃるということはわかるのですよ。みんな急いでいるわけなんです。どうしておくれておるのか。いまのお話一つわかったのは、再開発という手法を交えておる。これがたいへん時間のかかる仕事である。これが一つわかりましたよ。私が聞いていることはまだたくさんあるわけなんです。どういうわけでおくれておるのか、それを聞いているのです。
  101. 國塚武平

    國塚政府委員 白鬚のみならず江東防災六カ所の拠点の開発、それから避難通路その他の関連事業ということでございます。他の地域も含めて促進するわけでございますが、白鬚地区がこの事業のスタートでございまして、この事業の成否は白鬚地区がうまくいくかどうかという点にかかっているような考えでございます。したがいまして、ただいま申し上げましたような、地元との折衝について時間を要したということが理由でございます。
  102. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員長代理 河川局長からいいですか。
  103. 有島重武

    有島委員 河川の問題もあるし、道路もあるし、だから私は広く建設省と言ったわけです。
  104. 松村賢吉

    松村政府委員 河川関係について、私からちょっと一言お答え申し上げます。  江東デルタ地帯、これの防災計画といたしましての外郭の堤防、これは先生御承知のようにもうすでに大部分完成いたしまして、ほぼ効用を発揮する段階まで至っております。すなわち荒川及び隈田川の堤防関係並びにこれに付帯する水門関係については、ほぼ完成しております。  問題になりますのは内部河川計画でございますけれども内部河川につきましては四十六年に着工しているわけでございます。それで、これは総事業費五百億円、大体十カ年計画を目標にしてやっておるということで、ことし第三年度になるわけでございますけれども、全体の予算面からいきますと、確かにおくれておることは間違いないと思います。五百億に対する約四十億余りという事業費になっております。しかし内容におきましては、これを前期と後期と実は二つに分けておる。それで、前期は大体六年を目標にしてやっておるわけでございますけれども、これにつきまして現在水門並びにポンプ場、閘門、これは木下川のポンプ場関係、それから扇橋の閘門、こういうものにかかっておるわけで、こういうものが大体五十年ぐらいに竣工する予定で行っております。こういうことにおきまして、私のほうといたしましては、計画についてできるだけこれを完成するように努力しておる次第で、完全におくれて不可能という段階ではないと思います。今後もさらに極力努力して進めていくということでございます。   〔金丸(徳)委員長代理退席、委員長着席〕
  105. 國塚武平

    國塚政府委員 道路関係でございますが、関係震災対策緊急計画といたしまして、路線といたしましては環状四号線、高速道路九号線関連街路、補助百十一号、百二十号、百十六号及び仙台堀歩行者専用道路計画関係計画でございます。このうち環状四号線につきましては四十九年度に完了する予定でございますし、また補助百十一号につきましては四十八年度に完了いたす見込みでございます。その他の路線につきましても鋭意事業を進めておりますが、このうち補助百二十号線及び仙台堀歩行者専用道路につきましては、四十八年度に予算措置をいたしましたが、事業実施できなかったという事情で、現在のところ四十九年度以降に延びておるという状況でございます。
  106. 有島重武

    有島委員 どうしておくれているんだということについて、あまりお答えは出てこないようであります。  そこで、中央防災会議と大蔵省のほうに、どのようなかまえでいらっしゃるのか。たいへん熱心にやっていらっしゃることは大体わかるのですけれども、その基礎的認識というものが、おそらく一つには関東大震災級の災害があったならばという一つの想定を持っていらっしゃるんじゃないかと思います。それからもう一つは、河角広博士の六十九年説というものを一つの準処にしていらっしゃるのではないかと思うのですけれども、そしてもう一つは、災害があった場合の被害がどのくらいであるかということについても、この前の関東大震災の場合には死者が九万九千人、現在の人口はその四倍である。四倍だから四倍の被害であるというわけにはいかない。おそらく死者は一千万人になるであろう。あるいは家屋焼失あるいは全壊、半壊、こうしたことについても大震災の三倍ないし十倍。あるいは車なんというものは四千倍にもなっておる。それに対して消防車が少ない。こうした副次的な災害に連なって、さらに東京というものの一つの特殊性といいますか、すべて中央集権的にさまざまな機能が集中しておる。  こういうことの御認識の上に立って、いま対策を進めていらっしゃるんだと私は思うわけでございますけれども、その基礎認識についての中央防災会議として、私いま三つばかり申しましたけれども、どのような基礎認識をもって東京の防災ないしは江東デルタ地帯の防災に対していらっしゃるか、そのことをまず中央防災会議伺いたいと思います。
  107. 杉岡浩

    杉岡説明員 お答え申し上げます。  東京にマグニチュード七・九程度地震があった場合の被害はどうなるかというようなところから震災対策は始まるかとは思います。昭和四十三年だったか、消防庁の消防審議会が、南関東関東大震災クラスの地震があった場合にどの程度の被害があるかという諮問をいたしまして、その答申が出ておるわけでございますが、これは人に対する被害じゃございませんで、火事等でございますが、相当の件数がありまして、そのうち延焼が、十時間後には大体五十平方キロ程度の火災があるというような答申をいたしております。現在東京都の防災会議におきまして、地域防災計画東京都の震災編をつくって、昨年決定いたしておるわけでございます。これに関しましては国も協議を受けておるわけでございますが、いま物的被害あるいは人的被害等につきましては、なおさらに検討を進めて、さらにこれを再検討するというようなことで、被害想定等についてはございません。そういった、昭和五十三年に河角先生の学説にもございますように、あぶない時期に入ってまいります。これをタイムリミットといたしまして、もろもろの、都市防災のみならず、防災体制強化、こういったものも進めておるわけでございまして、われわれも昭和四十六年に大都市震災対策要綱というのを決定いたしまして、関係省庁とも訓練をすでに三回やっておりますけれども、非常災害対策本部等の設置訓練あるいは避難訓練あるいは広報、それから地震によります二次災害というものが非常に大事でございまして、防火関係消防庁等における予算の拡充、あるいは関係省庁のもろもろの対策を進めまして、震災対策に万全を期すというふうにしておるわけでございます。  なお、さらに、地震の予知というものもこういった防災体制強化のほかに重要な事項でございまして、これは昭和四十九年度からさらに第三次の地震予知という計画に入りまして、関係省庁に昨年に賠増する地震予知関係研究費をつけて、なお一そう地震予知が実現化ならんことを推進しておる次第でございます。
  108. 有島重武

    有島委員 中央防災会議としては、四十三年の消防庁の報告、この被害想定、これをさらに詰めて考えておる。それから五十三年を一つのタイムリミットと考えておる。それで、なお予知については予知技術、これを進めておる。そして何か万全を期すというようなことを言われました。そのとおりですね。それはそのとおりに私は受け取りたいと思います。あとでまた詰めます。  それで、これは国税庁から伺ったお話なんですけれども、四十六年度の所得税と法人税だけ聞いてみたわけなんです。全国の計が、所得税が四兆三百六十三億、法人税が三兆二千百八十八億、合計七兆二千五百五十一億円ということになっています。この中で、東京都の分といいますと、東京都は大体人口にすれば一割程度でございますから、税金もそうかと思いましたけれども、そうではありませんで、東京都だけ考えますと、所得税が一兆一千七百六十五億、法人税が一兆二千八百十八億、計二兆四千五百八十三億、約三四、五%、これが東京から納めている法人税、所得税でございますね。それで、東京都全体といっても二十三区内がこの九割以上を占めております。  もし関東大震災級のものがあったときに、いろいろな被害のあれはあると思いますけれども、免税というような処置を行なわなければならないとなったときに、一応昭和四十六年度、予算全部でもって九兆六千億であったときです。このときに、少なくとも二兆四千億以上の、これは国としてこれだけの犠牲を払うというか、減収を余儀なくされる。いま四十九年、四兆円くらいの減収になることは目に見えておると申せると思うんですね。  それから、私、ある保険会社の方に聞いてみました。生命保険、それから火災保険、その他の保険でもって、大体東京都が全滅ないしはそれに近い状態になったときに、一体それはまともに払うとなったらどのくらいかかりますかと言ったら、十三兆円ぐらいかかりますと言っておりました。大蔵省のほうでそういったような被害の試算ということをなさっておるかどうか、この間予算委員会の分科会でちょっと聞いてみたのですけれども、そういった計算はいままであまりやっていなかったというお話だったので、ひとつやってみてください、そうお願いしておいたのですけれども、政務次官にはあとで話していただくことにして、国税庁ないし大蔵省の方でもって、私、きのうもそういうようにお願いしておいたのですけれども、何か、大体、こういった角度からいえばこのぐらいの損害になるであろうというような一つのデータを教えてもらいたいのであります。
  109. 藤仲貞一

    藤仲説明員 所管課長が来ておりませんので、便宜私からお答え申し上げます。  私が知っております限りにおきましては、先生指摘のような試算というのは、いろいろな問題もございまして、現在私どものほうではやっておらない、こういう状況でございます。
  110. 有島重武

    有島委員 この間やっていないということを伺ったのですよ。だから、やってみてくださいと言ってそれで話が切れましたから、時間が足りなかったのかもしれないけれども、そういった視点をひとつお考えいただきたいということですよ。  それで、政務次官にお忙しいところを来ていただいたわけでありますけれども、人が死んでしまってから、あるいは災害が起こってめちゃめちゃになっちゃってから、こうした事態が来る——いまの中央防災会議の想定からすれば、そういうことは当然起こってくるということですね。となると、いま言ったのもこれは内輪に見積もった金額だと思うのですよ。そういったような損害を、すべてが終わってめちゃめちゃになってから、どうしてもそれは払わなければならぬということよりも、私はそうした覚悟でもって大蔵省のほうももう少し何といいますか、真剣に、ああこんなことだったらば先にやっとけばよかったななんということは言わないようなひとつ決断をしていただかなければならぬのじゃないか、こう思うわけでございますけれども、政務次官いかがですか。
  111. 中川一郎

    中川政府委員 確かに災害の多い日本でございますから、災害については十分の配慮あるいは予見をしていろいろな対策を講じなければならないと思います。特に東京の全域、中でも江東がたいへんだということは十分承知をいたしておりまして、関係省庁とも連絡をとり、今日までもできるだけのことはやってきたつもりでございますが、今後ともそういった点について十分配慮して、あとであのときにというようなことのないように配慮しなければならないことは当然でございます。  ただ、東京で災害が起きた場合、どれだけの人的な、あるいは建物の災害ということを想定してみろ、計算してみろといわれましても、想定によっては非常に大きくも出れば、たとえば災害の起きる時間にもよりましょうし、あるいは天候にもよるでしょうし、まあ予知が何らかの形で知れわたっている場合、あるいは全くほんとうに突如として起きた場合等々想像する条件が非常に違いますので、それをこの程度のことを想定してこれだということもなかなか実際問題としてむずかしい。ただたいへんなことにならないようにできるだけのことをしなければなりませんし、ただ災害というのは、これは東京だけに来るものじゃありません、災害の多い日本ですから、日本の各地でも水が出ての災害あるいは山がくずれる等のことがありますので、江東ばかり全部やるわけにはまいりませんが、江東が特にたいへんだという観点で今後ともいろいろな御指導をいただいて万全を期するように最善を尽くしてまいりたいと存じます。
  112. 有島重武

    有島委員 確かに日本の国は災害が多いわけですけれども東京の特殊性ということは、これはたとえばアメリカでニューヨークが全滅した、あるいはワシントンが一つ全滅したという場合と、日本でもって東京、横浜方面が一つ壊滅したということとはまるっきり状態が違うんじゃないでしょうかね。国土の広さということ、それからいろいろな機能がそこに集中してしまっているという点。でございますから、いまの中川政務次官がおっしゃいましたように、東京に限ってこれはやはり詰めてひとつ考えていかなければならないんじゃないかと思うわけであります。  それからもう一つは、確かに想定によって出てくる損害金額というものはこれは違うわけでありまして、大きくも低くもとれるわけでございますけれども先ほど四兆円で済むなんということを言っているのじゃなくて、この分野においてこうしたことであればこれだけ、こうした分野においてこういった想定ならばこれだけというようなことですね。それはやはり計算してみていただきたいと思うのですよ。ひとつやってみていただけませんか、お願いいたしますが。
  113. 中川一郎

    中川政府委員 これからできるだけやってみたいと思いますが、想像すれば、たとえばもう政治機能が壊滅してしまったときの日本全体に与える影響なんということも出てくるでしょうし、あるいは教育も東京に集中しておりますから、教育もたいへんなことになる。あらゆることをやはり想定してみないといけないと思いますが、どんな形のものになりますか、できるだけやってみますが、非常に困難な問題も多い条件がずいぶんありますから、条件によって被害の程度も変わってくることでして、そのためにいま防災会議のほうで人的、物的なことについても鋭意研究しておりますが、大蔵省の影響を受ける範囲内というのは、先ほど指摘ありましたように税金がどれだけ取れなくなる、あるいは保険金が幾ら払わなければいかぬ、そのことによる混乱はどうじゃろうかということであるならば、それはやってやれないことはありませんから、大蔵省の守備範囲のことについての検討はしてみたいと思います。
  114. 有島重武

    有島委員 ひとつぜひお願いしたいと思うのです。  それで、中川政務次官はお忙しいようだから先に帰っていただいてけっこうですけれども、政務次官としてはこのタイムリミットということについてはどのようなお考えを持っていらっしゃるのか、先に聞いておきたいと思うのです。出しおくれというようなことであると、金融なんか非常にやかましいわけでして、三時をおくれたならば絶対受け取ってくれぬというようなこともございます。災害の場合は、これはどうなるかわからぬ話なんですがね。わからぬ話だけれども、一応のタイムリミットをいま想定しておるわけですね。それまでにはこれだけの金はかけなければならぬのじゃないかというようなことをもう一ぺん考え直さなければいかぬのじゃないかと思うのですけれども、そのタイムリミットということについての、何かタイムリミットをほんとうにがっちり一ぺんかまえてみなければいかぬのじゃないかと私は思うわけだけれども、その御意見を中川政務次官、いかがですか。
  115. 中川一郎

    中川政府委員 タイムリミットは先ほど防災会議の方も申しておったようですし、あるいは建設大臣も河角さんの学説が頭の中に十分入っていらっしゃるようでございます。したがって、担当省庁がそのような中で予算要求もされておりますので、これを否定するものでもありません。われわれもそういった学説がせっかくあることですから、十分これを考えて、五十三年程度からはあやしくなるくらいの、これはあっちゃならないことで、ないことを願うわけでありますが、そういったこともタイムリミットとして配慮しつつできるだけのことをしてまいりたい、こういうふうに考えるわけでございます。
  116. 有島重武

    有島委員 じゃあ、大蔵省のほうはそれでけっこうでございます。  そこでさっき、建設の話にちょっと戻りますが、内部河川の問題少し詰めてみたいのですけれども、この前もちょっとお話ししましたけれども内部河川は、いろいろな施策の中でもう防災拠点が必要な問題です。これとは別にして内部河川のはんらんということは非常にネガチブなことになりまして、これはどうにか食いとめなければならない。食いとめるためには一つの方策がきまっておる。しかもこれは土地の買収とか再開発法なんという手法とは関係がない、進めようとすればどんなにでも進められる、こうしたことについてこれはまっ先にどんどん進んでいっていい問題だと私は思いますけれども、これが先ほど説明があったように十年計画五百億円、去年どんなふうにやっていたかといいますと、東京都のほうでもって二十三億の事業をやりたい、そうしたらば国のほうでは十六億三千万ということにしてしまった、こういうことになっております。どうしてこうなったのですか。これはどんどん進めたいとおっしゃっているわけです。どうしてこういうことになったのか。タイムリミットというのは一つある、何もかけがいがなく仕事は進めていかなければならぬと、そう言っていらっしゃるわけです。にもかかわらず、都がこれだけのことをやりたい、それを目減りさしているといいますか、どうしてそういうことをするのですか。
  117. 松村賢吉

    松村政府委員 お答え申し上げます。  補助事業予算関係でございますが、一般的に申しますと、補助事業の各府県からの要望額といいますのは、国の予算と申しますか、これをきめる前にあるわけでございますけれども、相当大幅な要求があるのが普通でございます。それに対しまして補助額決定につきましては、国の予算の全体等をにらみ合わせまして最終的にきめるので、この間において差異のあるのは普通の状態でございまして、これは単に東京都のみならずほかの県におきましても、この決定によりまして各府県の予算の修正を行なうなりするのが実態でございます。また、国の予算の足らない部分につきましては都独自の予算、これは後年度の補助事業、いわゆる施越し工事というような事実もございます。そういうようなことでこの予算が決定したものでございますが、ただし、私のほうといたしましてもいまのタイムリミットといいますか、五十三年度目標、私のほうでは前期六カ年ということになりますけれども、これの目標は達成できるようにこの予算の範囲内でやろうということで、全体の計画も加味してきめたわけでございます。ただし、これを促進することは非常に好ましいことで、われわれといたしましても極力進めていきたいというふうに考えております。
  118. 有島重武

    有島委員 時間が来たという話ですが、非常に不十分なんですけれども、もう少し時間をいただきます。  小渕副長官、いまの話、一つの例しかありませんけれども、まだほかにもあるわけなんですが、さっき申しました大きな川にかかっている橋、これは全然手がついておりません。きょう御説明をいただければわかると思うのです。それじゃ内部河川じゃない、大きな橋の話だけちょっと伺いましょう。どんな状態なのか。
  119. 高木澄清

    ○高木説明員 江東地区の隅田川、新川にかかっております橋梁のうち、特に耐震的に問題になる橋につきましてお答え申し上げます。  国道十四号線につきましては、すでに小松川橋がかけかえが完了いたしておりますので、他の橋も含めまして耐震的に問題のある橋はございません。それから都道につきましては、一応現在実施いたしております新大橋、これは四十八年度で仮橋が完了しますので、現橋を取りはずしまして、五十一年までに整備を完了いたす予定でございます。それからやはり隅田川にかかっております厩橋と白鬚橋につきましては、必要な補修工事を実施いたしまして、白鬚橋につきましては四十八年度で補修工事は終わります。厩橋はすでに耐震的な対策としての補修工事は終わっております。他にいろいろ大きな橋がかかっておりますが、東京都で現在までに調査しておりますところでは、耐震的に特に問題はございません。  以上でございます。
  120. 有島重武

    有島委員 いまのお答え、今度資料をきちんといただきたいと思います。  内部河川の問題、橋梁の問題、それから道路の問題、こうした基礎的なことがありませんと、いざとなったときに総合施策が何もできないわけです。消防も動けないわけです。そういうことでもって五十三年というリミットがもしあるならば、これを速急にやっていかなければならない。にもかかわらず、一番最初から少し時間をかけ過ぎたように思うのですけれども、あのせいでできない、このせいでできないという話ばかりなんですよ。それで小渕副長官、これは去年の七月の中央防災会議の申し合わせによりますと、関係諸機関は人命尊重を第一とするのだ、そういうことですね。いまのお話だと人命第一主義ではなくて、やはり予算関係第一主義でいるようですね。それから(4)のところにそちらの考え方が書いてあるわけでございますけれども、「災害が発生した場合において、関係諸機関は、その実態を早急には握し、緊急に対策を要する箇所については、直ちに必要な措置を講じ、災害の拡大防止に努めるものとする。」何となくたいへんありがたいことなんだけれども、当然のことをいっておるようなありさまで、ほんとうに人命を救うということでもって動いていらっしゃるのかどうか、これは非常にたよりないというのが実感でございます。  そこで、災害対策基本法の中にも非常災害、災害緊急事態、そういうふうに段を分けていらっしゃるようですけれども、緊急事態というのは、まさに災害が起こってしまってどうにもしようかないというような事態で初めて発動されるものでございますね。ほぼ戒厳令と同じような状態になるわけじゃないかと思うのです。ところで、それまではずっと災害予防という意識でいまやっておられるのか、あるいはタイムリミットというものを目がけて、あともう四年しかない、あと二年しかない、あと一年しかないというふうに、これはもっと差し迫ったといいますか準緊急事態といいますか、こういうような意識をお持ちになるという御用意があるのか。あるまでは何となくじわじわお金の関係でやっていくのだ、できてしまったらそこで緊急事態だというふうな、広く言ってしまえば締まりのない状態、これは非常に困ると思いますけれども、せっかく五十三年というタイムリミットがあるとおっしゃっておるのですから、一つの準緊急事態というようなものをお定めになる用意があるかどうか、このことを伺いたいと思います。
  121. 杉岡浩

    杉岡説明員 お答えいたします。  現在地震予知につきまして相当突っ込んだ研究をしておりますけれども地震につきましてはいつごろあるいはどこでどの程度のというような研究、いろいろとその要素があるわけでございますが、現在それの実現化を進めておるわけでございますけれども、いつ地震があるというのは非常にむずかしいことは先生すでに御承知のとおりだと思うわけでございます。東京都の防災計画先ほども申しましたように河角先生の御研究を中心にした計画になっておるわけでございます。その緊急事態というのは、たとえば強制疎開のようなああいった緊急事態ということではないと思いますけれども一つの目安としまして、防災体制を固めるわけじゃございませんで、むしろ現在でも地震はいつ起こるかわからないということがあるわけでございます。そのためにも、すでにいろいろと訓練もいたし、関係省庁におきましても必要なその対策をいろいろと進めておるわけでございます。現在の防災体制の諸般の対策を進めておるわけでございますが、なおこれをさらに強化していくということでございます。都市防災等につきましても、いろいろと事業が複雑でございますが、そういったものもさっき申しましたようになるべく早く完成していくというようなことが必要であろうか。われわれは絶えず、東京だけじゃございませんが、地震が起こることに対しましてその必要な体制固めというのは、関係省庁と絶えず連絡をとって進めておる次第でございます。
  122. 阪上安太郎

    ○阪上委員長 有島君に申し上げます。  理事会で協議いたしましたお約束の時間がだいぶ経過いたしておりますので、結論をひとつお願いいたします。
  123. 有島重武

    有島委員 じゃ、最後に小渕副長官にお答えをいただきたいのでございますけれども、いまの杉岡さんがおっしゃったようなふうな、できるだけのことをやっていくんだ、いつ起こるかわからないんだというような意識をひとつ脱皮しなければならないんじゃないかということを私は特に申し上げたいわけなんですよ。それて——それはお役人さんとしては無理なんです、そういうことは。定められたこと以上のことはできないわけであります。それで、各省庁とももっとやらなければならないとまあ意識的には思っているけれども、その一番それじゃ腹をきめるといいますか、旗を振るといいますか、ここを目がけてそれじゃやろうということをしっかり意思決定をなさるのは中央防災会議であろうと思いますので、ですから災害対策の応急対策というところには、「災害が発生し、又は発生するおそれがある場合に災害の発生を防禦し、又は応急的救助を行なう」こういうこともございますけれども「発生し」というほうじゃなくて「発生するおそれがある場合」この中に、関東大震災級のものが六十九年説によればこうだということも想定していらっしゃるというお話だから、これが入ってこなければならないんじゃないか。やや飛躍があると思いますけれども、副長官として、こうした準緊急事態とかあるいは準非常災害とかいうような一つのタイムリミットをぜひこれは検討課題にしていただきたい。  それからもう一つ、そういうようなはっきりしたものを定める、定めないということはこれからの検討課題におなりになると思いますけれども、少なくともいま建設省や何かのお話がありました。何とも、いろいろおくれていても、結局ああせいこうせいというだけでもって、そのタイムリミットならタイムリミットに向かってどうしても進めるんだということをやるためには、むしろ都なら都が定めてきたそれを繰り上げて促進していくくらいな、たとえば内部河川なんかについても十年計画を繰り上げて五、六年計画にしていかなければならないというような、国のほうがむしろそれを推進していく、その促進の一番の中枢となり一番のささえとなるそういう中央防災会議になっていただきたいと私は申し上げたいわけですけれども小渕副長官からの御所見を最後に承りたいと思います。
  124. 小渕恵三

    小渕政府委員 御指摘のように、関東大震災に匹敵するような大地震が発生をいたしますれば、その被害は予想にかたくない甚大なものであろうかと存じております。したがいまして、法的に緊急事態あるいは応急処理等の解釈はともかくといたしまして、御指摘ありましたように、一日も早くあらゆる施策を講じておく努力をしていくことは当然なことだろうと思っております。  ただ先ほど河角博士のいろいろ御所見もあります。私ども、そうした科学者のいろいろなお考えも出ておることでもございますが、防災の立場から考えますと、そうした所見の出る、出ないにかかわらず、重大な災害の発生を常に予見しながらそれに対処していくことは当然でございますので、準であるか緊急であるかはともかくといたしましても、先ほど来いろいろ建設省のとるべき施策についても御指摘ありましたが、他の省庁にもとるべき手段は十分それに対処いたしまするように、防災会議といたしましては適切な指導と調整をはかってまいりたいとお約束をいたします。
  125. 阪上安太郎

    ○阪上委員長 関連いたしまして高橋繁君。
  126. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 二、三関連して質問させていただきます。  東京湾が観測強化地域に指定をされまして観測をしておると思いますが、始めてから、異常を確かめる地域ということで観測を強化されてきているわけでありますが、異常が確かめられつつありますのか、その辺の状況について簡単にお答えを願いたいと思います。
  127. 末広重二

    ○末広説明員 お答え申し上げます。  南関東観測強化地域になりましてから私どもたいへん多量の観測資料が入手できまして、その結果、現在では五十年前に起こりましたあの関東地震と同様な地震が近い将来に起こるという危険はそう大きくない。むしろわれわれとしては、東京直下の直撃型の地震がこわい。これは東京にとりましてはどちらでも被害は同じなんでありますから、こわいことは同じなんでありますが、地震学的に申しますと、南関東観測強化地域にしたことによりまして、むしろ関東地震以後、われわれの期待する順調な変化を遂げているのであって、急にここで異常の変化が起こっていないという結果が得られたわけでございます。
  128. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 異常な変化は認められないけれども、その予想もある、こういう認識でよろしいのですか。
  129. 末広重二

    ○末広説明員 もう一ぺん、大事なことでございますので繰り返させていただきますと、関東地震以後、最近の学説で期待されるような変化は徐々に起こっております。これは地震を起こすエネルギーがいまたまりつつある状態だと思います。ただし、非常に近い将来に、あの五十年前の関東地震を起こすようなほどエネルギーはまだたまっていないのではないか。ただし東京にとりましては、たとえ遠くで大きな地震が起こっても、あるいはやや小さな地震であっても非常に近くで起こりますと非常な災害をもたらしますので、これはあくまで気をつけなければならないということでございます。
  130. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 いまの段階で、観測集中地域東京湾を指定するまでは少し早いのですか、あるいはそういう状況にありますか。
  131. 末広重二

    ○末広説明員 これは先ほど申し上げましたように、むしろわれわれはもっと東京に近い地震を気をつけなければならないということで、私からお答え申し上げるのもいかがかとは存じますが、すでに国土地理院と科学技術庁の防災科学センターが中心になりまして、東京に非常に近いところで地震活動がどうなっているかあるいは地殻変動がどうなっているかという特別観測をお始めになっております。
  132. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 その特別観測というのは、いわゆる東海地方をさしていうのか、その辺……。
  133. 末広重二

    ○末広説明員 東海地方とは別でございます。東京で現在申し上げました二つの機関が行なっておりますのは、岩槻、これは大宮の近くでございますが、そこへ二千メートルの非常に深い井戸を掘りまして、東京付近の普通ではわからない小さな地震をつかまえる。また、東京付近の地面が伸びているのか縮んでいるのか、われわれはぜひ知りたいわけでございますが、これは非常な高層建築があるために普通の方法ではできませんので、ビルの頭越しに土地の伸縮をはかるということを国土地理院がお始めになっていらっしゃいます。
  134. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 ちょっとついでに、今回、二月二十八日に予知連絡会が東海地方を観測強化地域に指定するということで指定をいたしましたね。そこで、いまわかる程度でよろしゅうございますから、この地域に指定された理由というものは、P波、S波、いわゆる地震の波速度ですか、に異常があった、あるいは隆起という上下変動があった、あるいは水平運動が継続しておる、そういうような異常が発見をされた、それについて、観測強化地域日本で二番目に指定をされたわけですね。その辺、簡単でけっこうですから、どのような異常があるのか、お答えをお願いいたします。
  135. 末広重二

    ○末広説明員 お答え申し上げます。  私どものとっております根本的な考え方は、大地震は同じ場所で繰り返すということが過去の事実から、また最近の学説から証明できまして、私どもはこれを一番の根本にしております。ただ問題は、いつということでございますが、これはまだ現在の技術ではわかりません。ただし、遠州灘は過去、一八五四年以来百二十年間大きな地震が起こっておりません。それから、気象庁の観測によりますと、地震の起こってない穴、空白地帯というものが存在している。それからまた、国土地理院の測量によりますと、ある種の伸縮が観測できるといったようなことから、特にわれわれ現在持っている資料では緊急に危険が迫っているということは何ら言うことはできないけれども、非常に大事な場所であるから、ここへ観測を集中して強化しようというわけでありまして、先ほども申し上げましたとおり、われわれの観測の結果、実はそう差し迫ってないんだという答えが出るかもしれませんし、そこのところは観測の結果によると思います。
  136. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 観測地域に指定をされて、今後気象庁として一体どういう施設でどういう観測をしていくのか、あるいは予算的に見て、これぐらいな予算で今後やっていくんだということがわかりましたらお答え願いたいと思います。
  137. 末広重二

    ○末広説明員 私どもはまず、この東海地方が観測強化地域になったことを受けまして、東海地方の海、遠州灘を囲みます八丈、三宅、大島、浜松、静岡、尾鷲等の地震観測所の資料を普通以上の解析、普通やっておりません特別な研究的な解析を行なって、現在、先生もおっしゃいました地震波の速度変化があるかないかといったようなことを特別に調べておりますし、すでに四十八年度、今年度、科学技術庁の特別研究促進調整費をいただきまして、御前崎に二百メートルの井戸を掘りまして、井戸の底ですと地震観測がよくできますもので、そこへ特別高倍率の地震計と傾斜計を埋めまして新しい観測、つまり御前崎沖の小さな地震をつかまえることを目下設備中でございます。  また、これは四十九年度からの計画でございますが、日本の大地震は海底に起こりますために、海底地震計を開発したいということで、その第一号は五十一年度にこの観測強化地域である遠州灘へ敷設したいと計画しております。  また、私どもだけではなく、国土地理院、名古屋大学の宇津教授の一統の方々あるいは東京大学浅田教授及びその一統の方々がそれぞれこの東海地方周辺で観測を強化なさって、もうすでに始まって、またこれが四十九年度にはさらに強化されると伺っております。
  138. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 四十九年度の予算は大体わかりませんか。
  139. 末広重二

    ○末広説明員 私どもが科技庁の特調費をいただきましたのは約三千万でございます。それからさっき申し上げました特別な処理というのは、これは私ども現在の人員がそれだけがんばればできるので、特別な予算はいただいておりません。ただし、海底地震計は第一年度で約九千万の予算をいただきまして、開発に着手する予定でございます。
  140. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 以上で終わりますが、異常が認められるということで東海地方はある程度住民が不安を持っておりますので、どうかひとつ正確な調査と住民に対する不安解消のための特段の努力をひとつお願いします。
  141. 阪上安太郎

    ○阪上委員長 村岡兼造君。
  142. 村岡兼造

    ○村岡委員 三月一日に起こりました鳥海山の噴火について質問をいたします。  過去十数回火山活動があって、しかし百五十三年前あったきりなかった鳥海山でございます。三月一日と三月五日に噴煙活動が開始されておる。ちょうどたまたま今冬の豪雪でございまして、地元のこの鳥海山の山はすっぽり雲に包まれておりまして、私もそこから選出されておる議員でございますけれども、実情は二十キロ程度離れたところでも何も見えない。したがって、ここで火山活動が行なわれておるということで、地元の住民は非常に不安な状況に置かれておるわけでございます。  まず最初に気象庁のほうにお伺いをいたしますけれども、地元では、何か予算関係気象庁の観測班は二十三日ごろで引き揚げるのではなかろうか、こういううわさが流れております。三月一日に噴煙活動を開始したばかりで、いままだ十四日。二十三日には予算関係か何かわからぬけれども観測班が引き揚げるというようなうわさがあるわけでございますが、これはどうなっておるのでございましょうか、ひとつお伺いいたします。
  143. 末広重二

    ○末広説明員 お答え申し上げます。  今回の鳥海山の火山活動に対します大体の観測体制は、お手元に差し上げました書きもので御承知かと思いますが、ただいまの御質問は御指摘のとおりでありまして、山が直接見えないときは、山の状態を監視するのは、火山性の地震を観測するのが一番有力な手段でございまして、しかもこれはなるべく火口に近いところへ近づくのがそれだけ有力な情報が得られるわけでございます。そのために、私ども四キロのところまで無理をして観測点を築いたわけでございますが、実はまだ第一回目の解析を、無人式の目に見えない磁気テープであるために、まだいたしてございません。おそらく今晩か明朝早くいたす予定でありますが、まだそのテープの情報もよく解析してない状態でございますので、現時点で二十三日で打ち切るというようなことは決してきめておりません。おそらくある期間で観測員を交代させておりまして、二十三日にも確かに交代させることを予定しておりますので、その辺からあるいはそういうお気づかいが出たかと存じますが、まだわれわれは現時点ではいつ観測をやめていいというようなことをとても申し上げられない。あくまで山の状態をいま正確に把握しつつある状態でありますから、観測は続行することを前提としております。
  144. 村岡兼造

    ○村岡委員 観測は続行する、こういうことでございますが、現在この地域は観光地帯でございまして、山に全面立ち入り禁止、こういう措置がなされておるわけでございますが、この命令は地方自治体で出すのでございましょうが、やはり出す判断は気象庁からのこの山に対してのいわば観測状況からこういう命令が出されておるのだ、こう感じております。同時にこの付近は四町村にわたって、十五キロ以内でございますが、一万人の人間が住んでおります。これから春になりますと、春山スキーその他いろいろございますので、この現在の状況で、教授その他の発表によりますと、鳥海火山の噴火はこの程度でおさまるのではなかろうかというようなことも大学教授その他が言っておるように聞いておりますけれども気象庁としては現時点でどのような判断をしておるのかどうか、この点をお伺いしたい。
  145. 末広重二

    ○末広説明員 お答え申し上げます。  現在火山予知技術というものはまだ開発途上と申しますか、一生懸命勉強中でございまして、残念ながらしかとした見通しを申し上げることは非常に技術的に困難でございます。しかし気象庁といたしましては、各大学の、現在私どもの観測も含めまして、また協力していただいております各機関の、現在までの観測結果を総合いたしますと、今回の活動は水蒸気爆発がおもであって、新しい溶岩が外部へ出たりまた飛行機観測で火口の中に認められているということはございません。それから現在まで、これは一番近い点の解析がまだしてございませんが、東北大の二点、気象庁の一点、これは大体十キロぐらい離れたところでございますが、そこでの地震観測の結果では、非常に火山性地震も少なく、また七日以降は一応静穏な状態を続けております。これを総合いたしますと、一番危険であるという新しい岩漿、これは溶岩のもとになるものでありますが、それが多量に上昇したとは考えがたい、非常に考えにくいと存じます。それからまた過去の記録、これは千年以上さかのぼっていろいろな古文書に出ておりますが、その記録でも小噴火で活動を中止した例は幾つかございます。でございますから、それを考えますと、いままで静かなのが、もうほんとうに一日かそこらで急に大活動に入るという公算は少ない。もしそうであっても、相当事前にその活動が高まってくる前駆段階がある、こう考えているわけでございます。ただわれわれは、この山は百五十年間の休止状態の後初めて噴火したわけでありまして、科学的観測がございませんので、完全に活動が停止したということが判断される時点まで、これは総合的に各研究機関とも御相談するつもりでございますが、その時点までは監視体制は継続するということを考えております。
  146. 村岡兼造

    ○村岡委員 「六日朝には北側斜面に長さ一−一・五キロメートル、幅数十メートルの黒い帯状の流出物が認められた。」こういうように報告に書いてありますけれども、これは秋田大学の加納教授がこれを採取したところでは溶岩ではなかった。これは二次泥流の一種だ、こういうふうに書かれておりますけれども、現在御承知のとおり気象庁もこの観測には雪のためあるいは気流が変わるということで近づけないというような状況で、困難な状況であることは私どもも察しておりますが、この二次泥流が雪の上へ積もっておる。一部住んでおるところにも火山灰が降ってきた。地元の住民は雪解けにこの泥流というのが押し寄せてくるのでなかろうか、こういうような不安があるのですが、この泥流は、雪解けになっても地元のふもとにあるような村にはさして影響がないものかどうか、この点はどう判断せられましょうか。
  147. 末広重二

    ○末広説明員 お答え申し上げます。  多量の二次泥流を生じますためには、相当多量の灰が降りませんと起こらないと思います。これは普通ですと、雪は解けるに従ってどんどん流れてしまいますが、灰が多量にありますと、それが水を保持しておりますために、水がそこへたまりまして耐え切れなくなって一どきに流れ出すということでございますので、今回は確かに一部降灰は認められましたが、とても二次泥流を起こすほどの量ではないので、この点は現段階では御心配ないのではないかと思います。ただし雪解け水を使っていろいろな農作物のかんがい等をしていらっしゃるところに対しまして、有毒な成分が水の中にまじるかもしれないということは、今後の灰の降る量によってはあるいは懸念しなければならないことかと存じます。
  148. 村岡兼造

    ○村岡委員 火山の機動観測官が行っておるわけでございますが、いままでの百五十年間こういう火山活動をしていなかった、この三月に入って急に活動してきた、いわば鳥海山というのは全く観測の対象になっていなかったのではないか。いわばC級の観測のあれで常時観測体制というものはとっておられなかった。聞くところによりますと、A、B、Cというようにランクづけまして観測体制というものがあるそうでございますが、地元では常時の観測体制をしいていただきたい、同時に秋田県には、秋田駒とか八幡平、寒風山、いろいろ噴火したところもありますので、火山担当官一名を秋田気象台に常置をしてくれないか、また東北大学地震観測所に依頼している、現在三カ所で行なっている観測の継続と火山情報の提供、いわば常時観測体制について要望されておりますけれども、この点についてはどうお考えになりますか。
  149. 末広重二

    ○末広説明員 お答え申し上げます。  御指摘のように確かに日本には六十幾つ、非常に多く火山がございます。活動中のものと現在活動してないものとございますけれども、これをA、B、Cというふうに一応分けてございますが、決して恒久的あるいは法律できめるといったような性質のものではございませんで、いろいろ地元に御納得いただいたりわれわれの将来計画を立てる上でこういったような便宜上の区別をしたわけでございます。ただし幾らC級であっても今度の鳥海山のように噴火活動を開始し、もしこれが相当長年月にわたって続くということになりますれば、これはもはや臨時観測ということではまかない切れないわけでございますので、これに対して常時監視体制をしくということも検討する時期が場合によってはもちろん来るし、私どもはその検討をするつもりでございます。
  150. 村岡兼造

    ○村岡委員 無人でいた四キロ地点に置かれました磁気テープをきょう東京に持ち帰って解析する。そしてまたさらには、二十日にその解析を行なう予定である、こう書かれておりますが、これらの結果をすみやかに地元に知らせるということと同時に、かりそめにも予算関係でもう気象観測班は帰るのだというような、地元に不安をさせないように、私どもも十分あの山の状況を、地元でございますから、とても近寄れないというようなことも存じあげておりますが、今後雪解けが始まってまいります。観測員の安全の問題もあろうかと思いますけれども、これであと噴火がおさまったのだからというようなことでなしに、雪が解けましてから本格的な観測体制というものをとって、ひとつ地元に不安がないようにやっていただきたい。地元では一時避難体制をいたしましてこれはあとからまた建設省関係お話ししますが、天井の上に荷物をあげたとか避難体制を敷いている、こういうような状況でありますので、その点を要望しておきたい、こう思っております。
  151. 末広重二

    ○末広説明員 お答え申し上げます。  確かにそのような予算がないからできないというようなことではいけないのでありまして、私どもはすでにたまたま年末、年度末を控えておりますが、今月一ぱい、来年度になりますと、来年のお金を使うわけでありますが、今年度は、現在の体制で観測が続行できるだけの予算上の措置はすでに講じてございます。その後も地元の皆さま、諸先生の御鞭撻をいただきまして、皆さまに御安心のいただけるように、十分な監視体制なり研究なりをいたしたいと考えておる次第でございます。
  152. 村岡兼造

    ○村岡委員 気象庁に、最後でございますが、ここは観光地帯でございます。したがって、これもなかなか予測はできないのでございますけれども、いま先ほども言いましたとおりに全面入山禁止、こういうことになっております。いろいろな磁気テープ、そういうもの、あるいは近づいてこの火山の動向を見まして、こういう体制もすみやかにとっていただけるように要望いたしたい、こう思います。要望して気象庁への質問を終わりたいと思います。  次に、建設省のほうへ質問を申し上げますが、先ほども申しましたが、ことしは有数の豪雪でございました。加えて鳥海山の噴火がきた。この中に、鳥海村の中に百宅という部落がございます。戸数は百戸近くでございますが、住民は約六百名近く住んでおります。鳥海山のちょうどふもとで、標高は高いけれども盆地になっております。そこに村道でございますか町道でございますか、そこには現在自動車は行けない。道路は四メートルあるいは五メートルの積雪になっておりまして、すべて学校の給食その他人肩で運搬をしておる。町村と県がいま一生懸命になって除雪を行なっておりますけれども、八日から始めても大体今月一ぱい、わずか三キロか四キロのところでございますが、今月一ぱいぐらいかかるのではなかろうか、こういうようなところでございます。毎年ここは、昨年、一昨年でも積雪の多いところでございまして、全部が多かったのですが、ことしはまた特に多い。しかもここで噴火が始まって、いま気象庁ではそうたいして心配はなかろう、こういうような観測をなされておるわけでございますが、これとてもわからない。そのときにその部落にいる人方が逃げられない。あの四メートルも六メートルものところを歩いて逃げるわけにはいかない、こういうようなことで特に私が要望するわけでございますが、豪雪地帯でもあります。そこで特豪の代行道路といううまい制度がつくられたわけでございます。聞くところによりますと、昭和五十年度からこの特豪の代行道路というものを着手する予定である、こういうふうに聞いておりますが、今回は豪雪としかもなお人命という問題、噴火活動はある程度はやんでおりますけれども、まだまだわからない。したがってここに住んでおります五百人の方々が一様に、この特豪代行道路というものをやっていただきたい、いろいろな予算であるわけですが、この村は秋田県でも最も代表的な出かせぎの町村でございまして、町村財政はきわめて乏しい。二千戸近くうちがあるのですが、大体出かせぎ者は二千人近く出ておる。あるうちは家をからっぽにして東京へ夫婦ともども出かせぎに来ておるという地帯でございまして、町村の財政というものは非常に貧弱でございます。  建設省の地方道課長さんにお伺いするわけでございますが、五十年度からやると予定されておるこの特豪代行道路、いろいろ事情もあろうかと思いますが、この噴火という問題と、不安をおさめるあるいは人命ということでこの道路にかかっても一年でできる道路ではなかろうかと思います。これを四十九年度から調査あるいは着手という方法を願えないものかどうか質問いたします。
  153. 高木澄清

    ○高木説明員 お答えいたします。  御質問の道路は、秋田県の鳥海村の村道の百宅−山崎間の上直根−百宅線ではなかろうかと存じます。この道路につきましては、当初秋田県当局では、昭和五十年度以降に計画をもっていたようでございますが、県のほうでも、こういった持殊な状況下に置かれておりますので、ぜひ四十九年度から特別豪雪の県代行で実施いたしたいという意向を持っておるようでございます。建設省といたしましても、できるだけその線に沿いまして四十九年度から実施できるように努力してまいりたいと思います。
  154. 村岡兼造

    ○村岡委員 いま地方道課長から、この道路については前向きで検討するという答弁がありました。地元としてはたいへんな喜びでございますので、ぜひその実現を要望しておきたい、こう思っております。  次に、自治省にお尋ねをいたしますが、先般は豪雪で特交というものの配分をお願いして、県でもたいへんこれの配分について喜んでおるところでございますが、今回さらにこの鳥海村あるいは象潟町、こういうところではこの火山活動に対していろいろな費用がかかる。すでに特交の配分は終わったわけでございますが、来年度ひとつこの特交というものの御配慮を願えるものかどうか、ひとつ質問いたしたい。
  155. 栗田幸雄

    ○栗田説明員 お答えいたします。  四十八年度の特別交付税につきましてはただいま御指摘のとおりすでに交付を終わっておりますが、災害等に要した経費につきましては歴年で原則として考えておりますので、四十九年中の、今回の場合で申しますと、噴火に関連いたしました諸経費でございますが、こういったものを四十九年度の特別交付税の交付の段階でそれぞれの市町村の財政状況を見ながら考慮していくということに考えているわけでございます。
  156. 村岡兼造

    ○村岡委員 きょうは経済企画庁の方が来ておりませんが、いろいろ災害に関しまして自治省とかあるいは建設省とかあるいは総理府にも関係があろうかと思います。  今回の地震で、地震というか、火山の噴火でたまたま出てきたわけでございますが、特豪で雪上車というものを国から受けまして、配分を受けておった。ところがその雪上車は外国製で、ちょっと故障してもなかなか直らない。東京へ来ても、部品を持っていっても直らない。やっと持って帰るとまたそれが合わないということで、十二月からいままで鳥海村の雪上車は動かない、こういうような状況、これらも今後急場の場合には何も間に合わない、こういうことも御考慮を願いたい。  同時にもう一つは、今度は来年度から建設省のほうにこの雪上車のほうは移ると聞いておりますけれども、この火山の噴火の町村に象潟という町がございます。この象潟は一応海岸でございまして雪がないということで雪上車というものが配分になっておりません。ところが鳥海山のすぐふもとでございますので、海岸のほうはあまり雪は降らないけれども、山のほうは鳥海村同様に四メートル五メートルの積雪があるところで、もちろん部落もございます。したがって今回の気象庁の観測機械を運ぶのに、雪上車で運ぶにいたしましても運べなかった。他の町村から雪上車を借りまして観測地点に運んでいった、こういうようなこともございます。したがいましてこの町村に対する雪上車の問題、あるいはせっかく雪上車を出しておっても動かれないような状況、これらもひとつ今後十分お考えになっていただくことを要望いたしまして私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
  157. 阪上安太郎

    ○阪上委員長 中川利三郎君。
  158. 中川利三郎

    中川(利)委員 今回の鳥海山の噴火の問題でお聞きするわけでありますが、きょうはもう前の方が二人ばかりやったのでありまして、多少ダブることがあるかと思いますが、ひとつよろしくお願いしたいと思うのです。  最初にお聞きしたいのは、今回の鳥海山の爆発が皆さんの観測所なり地震計がとらえたのではなくて、全日空のパイロットがとらえた、それが発端だといわれているわけでありますが、何か気象庁ともあろうものが全日空が発見するまでわからなかったというようなことはいささか心もとない感じもするわけでありますが、ひとつお答えいただきたいと思うわけであります。
  159. 末広重二

    ○末広説明員 お答え申し上げます。  確かに御指摘のとおり一日は雲がかぶっておりまして、下からの遠望観測では山頂を見ることができませんでした。たまたま上空を通った飛行機が、雲の上にぽこっと頭を出しておりました鳥海山から噴煙が上がっていたのを見つけたわけでございまして、その点は、下から見えなかったということはありながら、気象庁が本来見つけるべき責任にあると存じますが、他からの御協力によらなければならなかったという点は、その点非常に反省している次第でございます。  これは、日本には六十八火山がございまして、もちろん理想的には全部に常時監視体制をつけるのが理想とは存じますが、中には何百年黙っている、全く活動していない山もございますし、一応私どもはわれわれの世代において活動度の高い山、それから活動度の中程度の山というのに常時監視体制を引き、それから一応過去に噴火した経験があるという山に対しましてはもよりの気象官署が遠望観測で観測し、かつ地元の皆さまからの情報は常にいただくように平素からもお願いしているといったような体制にあるわけでございます。
  160. 中川利三郎

    中川(利)委員 気象庁が発見すべき筋合いだけれども発見できなかったから遺憾だ、こういう気象庁の体制全体の問題にこれはかかると思いますが、たとえば本荘に東北大学の地震の観測所みたいなものがあるはずであります。あるいはすぐそばに酒田にも何かあるだろうと思うのですが、それらはすべてキャッチできなかった、こういうことでありますか。
  161. 末広重二

    ○末広説明員 東北大の本荘の観測所までは三十キロ以上ございました。それから私ども気象庁地震観測網のうち一番近い点は酒田の観測所でございまして、これも二十七キロという距離がございました。  この火山に関します地震は、火山の下が非常にざくざくしておりまして、近づきませんとわからない。少し遠くへ参りますとすぐその地震の勢力が弱まってしまうという顕著な性質がございますために、どうしても火山性地震をとらえるためには、そばに行っていなければならなかったわけでありまして、そういう意味で今回は東北大、気象庁とも常設の観測所では初めのうちの地震はキャッチできなかったわけであります。
  162. 中川利三郎

    中川(利)委員 初めのうちはキャッチできなかったとおっしゃいますが、鳥海山に異変が起こったということは、四十七年に社会的な一つの問題になっておったのですね。たとえばあそこの何合目かにモズやカラスが大量に住んでおる。これはもう何か異変じゃないかということでだいぶ社会問題として騒がれておった、そのことと今回関係があるのではないかということもあらためていわれているわけでありますね。あるいはそのほかに、二年前に本荘中学校の安藤という先生が、これはもう鳥海山のベテランであるわけでありますが、強い硫気ガスを体験して百五十メートル四方にわたって極端に吐き気を催すほどでとても耐えられない状態であった、こういうものが前々からいわれているわけですね。そういうふうにいわれておって、地震というものはいつ爆発するかわからない、そういうものですが、社会的にそういう問題が幾らか論議されているならば皆さんの立場として当然、C級だからしようがないんだということではなくて、何らかの、その時点において積極的な機動班なんかを走らせて調べるべきであったと思うのですね。こういうことについてはどうですか。
  163. 末広重二

    ○末広説明員 お答え申し上げます。  確かに私どもの手元にはそういった動物の生態が急に変わったとか山の木が枯れたとかというような情報が入ってくることが間々ございます。そのたびにまず一時的に地元の一番近い気象官署から人間を地元に派遣しまして、よくその情報をお伺いして、どの程度の規模のものであるかといったようなことを調べまして、場合によっては機動班がそのために出動したこともございます。これは岩木山の何年か前の例がそうでございますが、たまたま鳥海山の場合は、おそらく機動班が出動するまでには至らないという判断をして出なかったのだろうと思いますが、今回のことをいい教訓といたしまして、最近は必ずしも機動班でなくても、上空を特別な赤外線で地表の温度をはかる装置をつけた飛行機を飛ばすことによりまして非常に短時日に広範囲を偵察するような技術も開発されておりますので、今後はそういった情報にはもっとまめに対処いたして地元の御不安を取り除くように努力していきたいと存じております。
  164. 中川利三郎

    中川(利)委員 ことしの一月三日に関東学院大学の学生さんのパーティが異常を報告しておるわけですね。皆さんのところはいまお話がありましたように、機動班というので、そういうチームを編成していらっしゃるわけですね。いろんな徴候が前々から指摘され、一月にはそういう学生さんのパーティもそういう問題を出しているわけだね。しかし機動班が出る必要がなかっただろうと思ったから出なかったということでは答弁にならないですね。つまりこれらを勘案していきますと、皆さんは縦の系列は持っているけれども横の結合、つまり住民との協力だとかいろんな情報に対する——今度地震の予知の連絡会だか何か、そんな学者と皆さんのつながりは何か団体ができるそうですけれども、そういう火山の周辺のいろんな団体だとか登山の団体だとか、何かそういう住民の協力——そういう問題か起こっても地震が起こらなければ地震じゃないのだというような考え方がやはりあるような感じがしますし、そういう反省の中から何かそういう地元の連絡会議といいますかそういう地元の協力体制を一つの組織化するようなそういうものの必要をお感じになりませんか。
  165. 末広重二

    ○末広説明員 お答え申し上げます。  これは各府県の自治体の消防防災課というのがございまして、そこと地元の担当の気象官署あるいはその他いろいろ治安関係あるいは防災に関係するところがみんなお集まりいただきまして、県単位でそういった防災の連合会みたいなのができておるわけでございまして、そういう場で情報を交換いたしております。またそうでなくても、直接いま御指摘のようなことがたまたまうまいルートに乗れば、たとえ個人的な団体がごらんになったことであっても、私どもにうまく情報が入りますれば、もちろん直ちに検討いたしますし、それから新聞記事等は常に地方気象台の防災業務課がたんねんに気をつけておりまして、少しでもわれわれの分野に関係のあることは逐一現在でも中央並びに管区気象台に報告しているわけでございますが、なお今回のことを十分にいい機会といたしまして、将来もっとこちらから積極的に情報が入るような何らかの姿勢を示していきたいと存じております。
  166. 中川利三郎

    中川(利)委員 いろんな情報に対して日ごろからたんねんに気をつけているんだ、それにしては今回のようなことはやはりたんねんに気をつけたことにならないわけですね。そういう反省を含めていまおっしゃったからいいわけですけれども、せっかく機動班というものがおりながら機動しておらないということは、その判定だとかどこへ行けとかあそこへ行けとかいうようなことは、何かそういう命令、規則みたいな、そういうことにいろんな制約があるのですか。そこら辺はどうなっているのですか。いつでも機動的に行けるような状態になっているのですか。そこら辺をひとつ御説明してください。
  167. 末広重二

    ○末広説明員 お答え申し上げます。  機動観測班はやはり一定の基準によって現地へ派遣することになっておりまして、これは一応私ども気象庁内部の内規のようなものでございますが、たとえば火山活動の場合は噴煙の高さが何メートル上がった場合であるとかあるいは噴石がどのくらいの距離まで飛んだとかいったような一定の基準が設けてございまして、火山の活動は東京にすわっていてはわからないわけでございまして、何といっても現地の担当の官署が一番よくわかるわけでありますから、そこが現地の地方自治体の方等と御相談していただきまして、これはどうしても機動班に来てもらおうというときには中央にその旨要請してもらって私どもから機動班を派遣するような一応の手だてになっておりますが、これは一応の手続上でございまして、中央でこれはどうしても行かなければいかぬという判断をした場合にはこちらからその旨積極的に、要請を待たずして出動したこともございます。
  168. 中川利三郎

    中川(利)委員 鳥海山の場合はたんねんに情報に気を配っておった、あるいは前々からそういう問題があるにもかかわらず、実際そういう徴候が起こっているんだ。そういうことを指摘されておるのです。しかしそういう機動班の規則の中でまだそういう判定ができなかったということだ、結果的にいえば今回は。そういう制約があるから、何ぼたんねんに情報を集めたところで、そういう制約の中では必ずしもそこへ走っていくとは限らないわけだね。これはひとつ問題になるような感じも私するわけでありますが、ひとつこの点を指摘して、何とか善処していただきたいと思うのです。  あわせて縦の関係はどういうふうになっているかということをちょっと見ますと、たとえばいまの問題は、おたくが機動班を持った、あるいは情報収集しておる、いろんなものとの連絡を密にしておる、こう言いますけれども、鳥海山については前々から長期的な観測体制についての指摘を学界その他から受けておったのじゃないかということ、この点はどうですか。
  169. 末広重二

    ○末広説明員 お答え申し上げます。  鳥海山につきましては、学問的には、私の存じておる範囲では、そう研究の対象にはいままでならなかったようでございます。ただし、先ほども申し上げましたとおり、日本の火山の歴史というのは、たとえ現在活動してなくても、一山一山、できる限り過去にさかのぼって資料を集めてございますので、その点は注意を払っていたわけでございますが、何ぶん最近静かであったために、二、三の徴候は御指摘でありますが、特に日本の火山学界一般の注目を引いていたとは思えない次第でございます。
  170. 中川利三郎

    中川(利)委員 これは私の調査の誤りならおわびしますけれども昭和四十五年の二月に地震予知連絡会、会長は萩原尊礼という方です。その方から、秋田、山形両県の西部地区が特定観測地域指摘されている。つまり全国の地震学者から大地震発生の要注意地区としてマークされておるということです。これが事実かどうか。  もう一つは、あそこに、本庄に東北大学のそういう観測所がございますが、この観測所に、例のアメリカのショルツ博士が言いました大地震の前徴と見られる地震波の速度変化の徴候が記録としてキャッチされておるということですね。つまりショルツ理論というのは今日の世界の地震学の中では一応権威のあるものとされているわけでありますが、そういう地震波の速度変化が記録としてキャッチされておるということ、こういう事態がはっきりしておるわけですね。このことも誤りですか。
  171. 末広重二

    ○末広説明員 御指摘のとおり、あの地方には過去において陸の大きな地震が起こったことがございますし、現に一八〇四年には象潟大地震というのが起こって、それ以来同地方が静かなために確かに特定地域にしてございまして、いまおっしゃいました本荘の地震観測所もそのためにつくられたわけでございます。ただ、いまの先生の御指摘の特定地域は、あの地方の火山とは一応関係ないと考えております地震について特定地域として注目されていたのでございまして、鳥海山の噴火、火山と地震との関係というのは不明でございますが、私どもが注目しておりましたのはいわゆる地震のほうでございまして、またそのショルツ理論が一部実証されたということも、これは地震のほうについてであると存じております。
  172. 中川利三郎

    中川(利)委員 地震と火山と関係がない、しかしこれは学術的に証明されておらないわけですね。まず、いまあなたのお話のとおりですね。私たちは、やはりそういう噴火する地域の人間として、これは要注意地区だということであれば、当然地震についてもやはり要注意というようなものの考え方をするわけでありますが、これはしろうとの浅い考え方だ、そういうことになりかねないわけでありますね。やはりそういう状況で、地震波の地底の中の速度が変化するということは、私たちとすればしろうとだからということよりも、あなたのほうでは全くこれは切り離してものを考えているということで、火山と関係ないんだ、噴火と関係ないんだというようなことをもっと理論的にも明らかにしていただかない限り、やはり私は特定地域は特定地域のそういう観測をする体制があるべきだ、こういうふうに思いますが、これはどうでしょうか。
  173. 末広重二

    ○末広説明員 お答え申し上げます。  そのために東北大学におきましては、本荘一点だけではなくて、角を何本か出した衛星点をお持ちでございまして、今回もその衛星点の一部を鳥海山の観測にも役立つように移動されたと聞き及んでおりますが、いまの御指摘の火山、つまり地震、過去に地震の経歴があったのだからそれで特定地域になっておるから火山も気をつけるべきであったということはもちろんおっしゃるとおりでございまして、ただ何ぶんにも学問的に、たとえば火山現象のあるところはかえって地震がないんだ、つまりお互いに地震のあるところには逆にいいますと火山がないといったようなこともございますし、それでは隣合った地区で火山が噴火した場合に地震が起こるかといったようなことも目下研究途上にあることでございまして、まあそういった研究の進歩につれまして私どもも業務としてそういったことが反映するように、それは今後努力していくつもりでございます。
  174. 中川利三郎

    中川(利)委員 日本の火山学というのは世界の第一流レベルだ、こういうことを聞いておりますが、これは事実ですか。
  175. 末広重二

    ○末広説明員 日本は世界有数の火山国でございますし、決して十分とは思いませんが、ほかの、他の外国に比べますと火山学者の数も日本は多いわけでございまして、私は、その水準は世界の最高級であるかどうかは別にいたしまして、第一流であると思っております。
  176. 中川利三郎

    中川(利)委員 火山学が世界の一流、火山対策は世界の何流だと思っていますか。
  177. 末広重二

    ○末広説明員 これは確かに日本は非常に多く火山がございますので、どういった基準で対策の一流であるかないかということはなかなかむずかしいと存じますが、他の火山国であるインドネシアとかあるいはイタリアであるとかあるいはソ連のカムチャッカであるとかいったところに比べますと、日本気象庁及び大学の持っております観測所の数は文字どおり世界一でございまして、そういった意味では私は一流かと存じますが、これは火山の監視体制に限らしていただくわけでありますが、何ぶん火山の数はこれまた非常に多いわけでございますので、そういった日本の火山の数から考えますと、必ずしも私は理想的な状態にあるとは思わないわけでありまして、幸い火山観測体制の五カ年計画の第一年目をほとんどお認めいただけましたので、今後未整備の山にも常時観測体制をしいていくようにその整備を進めていきたいと思っております。
  178. 中川利三郎

    中川(利)委員 火山学も火山対策も世界第一級だといいながら、今回少しやっぱりぶざまですね。その点はやはり率直にひとつ反省していただきたいと思いますね。  特にそれに関連して申し上げたいのは、四十五年に秋田の駒ケ岳が噴火しましたが、今日あそこの駒ケ岳のふもとに駒草荘というところに東北大学の地震計だか何だか測定器が置いてあるわけですね。これはほとんど役に立たないといっておるのだね。昼はすぐそばにスキー場がありまして、があがあとスキーリフトが年じゅう動いているのですね。そうすると地震計が全く機能しない。夜だけが何とか機能する、こういう弱体な状態なことはまさに一流の国の対策としては非常に遺憾だと私は思いますが、あなたはどう思います。
  179. 末広重二

    ○末広説明員 ただいままさに先生の御指摘のごとく、山の目に見えない内部でどうなっているかということを診断するためには私どもはぜひ小さな地震まで測定しなければならない、またぜひしたいわけでありまして、そのためにはどうしても機械を置く場所が静かでないといけないわけでございます。ところが、これは一秋田駒に限らず、草津白根、阿蘇、桜島その他、地域開発と地域観光と申しますか、非常に自動車、人間がふえまして、私どもはそういったことによって生じます地面の雑振動と呼んでおりますが、それからいかにしてのがれるかということに実は非常に奔命されておる次第でございまして、井戸を掘ってそこへ埋めるとか、あるいはまだ開発されてない静かな場所地震計を移すとかいうことに追いまくられている状態でございまして、そういった点からもぜひ私どもの防災に役立つ火山の監視体制というものができますように、これは私個人の見解が入るかも存じませんが、諸先生の御尽力をお願いする次第でございます。
  180. 中川利三郎

    中川(利)委員 御尽力、御助力については労をいとうものではありません。ただ、それほどに静かな環境を選ばなければならない、地表の微妙な動きさえもとらえなければならない、そういう地震計の役割りが、先般大爆発した駒ケ岳、この中ではそういう一ぱい大衆が集まる、公衆の集まる旅館というか、駒草荘という宿屋、国民宿舎ですね、ここにあって、しかもそのそばにスキーリフトが年じゅう動いている、こういうことについて全く無神経、放任しているということはやはり無神経とはいえないかと思うのですね。これは東北大学がやっているので東北大学を責めているのではなくて、気象庁、皆さん方の行政指導というか、もう少し世界一流であれば、また確かな微妙な情報、たんねんに情報を集めている人にしてみれば、やりようがどうもおろそかじゃないかなと思いますが、こういう体制が全体にあらわれてきた、こういうことに理解されないとも限らないのですね。もう一回お答えいただきます。
  181. 末広重二

    ○末広説明員 お答え申し上げます。  確かに先ほど説明したような苦しい、ある意味では苦しい状況にあるわけでございますが、今後ともいまの先生の御発言に力を得まして、地元の防災協議会あるいはその他の機会をとらえまして、火山監視が防災上いかに役立つかということを強くいま以上に訴えまして、私どもあるいは大学を含めての研究が十分に行なえるように外部に向かって強くお願いし、かつ働きかけるつもりでございます。
  182. 中川利三郎

    中川(利)委員 そういうことをひとつよろしくお願いしたいし、あわせて機械の精度も少しいいものを入れてもらわなければ困りますな。C級だからといってすぐそばで爆発しても全然反応しないような機械では困る。やはりそういうところであればあるほど上等な機械を備えつけていただくぐらいの御配慮をいただきたいと思いますね。  先ほど村岡議員のほうから今日鳥海の問題で観測しているわけで、観測機器を祓川その他に設置していますね。私は駒ケ岳の爆発と鳥海の爆発というものは場所がそんなに離れていないわけですね。それだけに非常に何か関係があるのじゃないだろうか、そういう究明なんかは今後の課題としなければならないのじゃないかと思うのですね。そういうことからすれば、単なる鳥海の爆発は、水蒸気だけがぽっと出たからあとは終わりだろうなんというようなものでいいのか。その近所にある駒ケ岳、あれだけはなばなしい爆発をしたわけですから、そのつながりについて学術的に究明をしていくような、そういう把握がなされているかどうか、ちょっとお伺いしたいと思うわけです。
  183. 七田基弘

    ○七田説明員 お答え申し上げます。  ただいま御質問がございました件につきましては、大学と気象庁のほうの役割り分担がそれぞれあるわけでございます。現在までのところどういう役割り分担をしてまいったかといいますと、大体これは地震に関しましては大、中、小の地震の観測はこれは気象庁がやりました。大学サイドにおきましては微小の地震の観測をやってきたということでございます。それから火山の研究につきましても大学サイドといいますものは常にその火山あるいはその地震がどういうように起こるのか、それの理論的な解明といいますか、それがどういうように、いつ、どのような範囲において起こり、どのような時期においてそれが終息するのかということを、それの理論的な裏づけを与えるということになっておるわけでございます。そういう意味で、まだ先ほど先生から御指摘がございましたように、火山噴火の問題とあるいは地震予知の問題とが場合によっては関係があるわけだろうと思いますが、その関係がまだ解明されておらない。現在特に火山噴火予知につきましては、地底にございます岩漿か次第に上がってまいりまして、そしてそれが火山を通じまして外にふき出す。それが一体全体いつどのようなときに起こるのかということを研究する。  それから地震のほうはどちらかといいますと、もっと非常に広域でございまして、そういうような広域の地帯においていつ地震が起こるのかというようなことを研究していく、そういうことで実は地震予知と火山噴火予知とを両面から現在押えておるというのが実情でございます。  さらにこれに関連して申し上げまするならば、実はこれは国際的な計画でございますけれども、異常ダイナミックス計画、地球内部ダイナミックス計画というのがございまして、これはいわゆる海底がだんだん拡大してまいりまして、大陸の下に入り込むというような一つの仮説であります。現在のところ仮説だと思いますが、そういうものを解明する、そういうようないろいろな方面から多様に攻めてまいりたいというのが学術上の現在の立場でございます。
  184. 中川利三郎

    中川(利)委員 だからそういう状況を踏まえるならば、ひとつ今回の鳥海の噴火を契機といたしまして、一つ先ほど村岡さんも言われたように、今度の観測を今月一ぱいぐらいはぎりぎり延ばしてあげるのだというような、そういう地元の受け取りなんです。しかしあなたはもう少しはっきりするまで置いてあげる、先ほどそういう答弁をしておりましたね。だからもう少しはっきりするまで置いてあげるのではなくて、やはりそういうつながりも考えて、いろいろな状況の中から何か常設のそういうものをつくってもらえないだろうか。あわせてC級だという、いままで百五十三年居眠りをしておったというから、そういう状況でありますけれども、この際日本の火山をただC級だというランクの中でそれこそ居眠りさせないで、もう一回あらためて見直す。場合によれば、鳥海山もB級に格上げする、それくらいの新しい洗い直しをする御意思があるのかどうか、ぜひ私はやってもらいたいと思いますが、ひとつ御所見を承りたいと思います。
  185. 末広重二

    ○末広説明員 お答え申し上げます。  ただいま文部省の学術課長もお答えになりましたように、この四十九年度から火山噴火予知連絡会というのが発足いたしまして、気象庁事務局をお引き受けするわけでございますが、私どもはさっそくこの鳥海山の問題を第一回の討議の対象といたしまして十分に論議を尽くしまして、たとえ現在C級であろうとも、今後もし必要と認められる場合においては、これに常時監視体制をしくということも検討するつもりでございます。
  186. 中川利三郎

    中川(利)委員 今回の鳥海火山の爆発についていろいろな学者、研究者が相当協力したと思うのです。私の知り合いの学者さんもこれに協力したけれども、手弁当でやったと言っているのだな。これは国立大学の先生ですけれども研究費について見ますと、文部省の災害のための特別費用は二月の末で配分を終わって残額はないのだ。東北大学の研究費が何ぼかあったのをそれを使って観測に充てた、こういう非常に乏しいさいふの中で、ある場合には自分の自腹を切ってやっている。ここら辺にやはり問題があるような感じが私はするわけであります。したがって、たとえば私の地元に秋田大学という大学がございます。この中に参加した学者もいるわけでありますが、やはり東北大学センターだから東北大にまかせておけば全部解決するのだということじゃなしに、やはりそれなりの手当てを、火山を持っておる地元の大学にその研究を全体としてより発展させるという立場から、そういう点の予算措置を少し考え直すべきじゃないかと思いますが、どうですか。
  187. 七田基弘

    ○七田説明員 お答えいたします。  ただいま先生から御指摘のございました点でございますが、実は現在火山噴火予知研究と申しますか、大学サイドにおきますこの研究につきましては、一応各ブロックごとにそれぞれのセンターと申しますか、そういう大学をきめておるわけでございます。実は火山噴火にいたしましても、あるいは地震予知研究にいたしましても、地球物理あるいは地球科学、それから地質その他の、先ほど先生からもございましたが、これまではやっておりませんが、場合によってはたとえば生物学というようなものも入ってくるかもしれない。そういうような意味で、これは非常に広範ないろいろな各分野の研究者が総合してやらなければならない問題であるわけであります。そういうようなことからまいりますと、実は従来からかなりそれについての経験の多いところにそういうセンターをお願いいたしまして、同時に地元のそういう方々の御協力というものはそれぞれのときに応じてお受けいたす、あるいはむしろそちらのほうに実際上は強力にやっていただくというような措置もとってきたわけでございまして、今回も、いま先生から御指摘がございました私どものほうの予算も、年度末に近くなりまして実は非常に少なかったわけでございますが、五十万円ほどの科学研究費の予備費をそちらのほうに回すということにいたしたわけでございます。これで完全に手弁当が解消できるかどうかということはわかりませんが、私どもとして一応やったわけでございまして、さらにまた必要な経費その他が大学等から上がってくるというようなことがあれば、私どもとしてそれについてまたいろいろと相談をしたいという態度は常に持っておるわけでございます。  それで、今度の鳥海山のあれにつきましても、東北大学の先生方がかなり中心にはなっておられますが、同時に秋田大学の先生の御参加も願って、まだ今後引き続きこれを進めていくという体制は整っておるというように聞いております。
  188. 中川利三郎

    中川(利)委員 時間もないからあまり長くやりませんが、一流の火山学、一流の対策で一流の大学の先生——そっちのほうの大学の先生はかわいそうですね。何かほんとにみみっちい。これは日本のいまの政府の問題にもなろうかと思いますけれども、秋田大学を見ましても、地球物理学の先生もいますし、地震学、火山学の先生もいるわけですから、ひとつこれは指摘をするにとどめて、ひとつ今後よろしくいろいろ御配慮いただきたいと思うのですね。  この前、七十一国会で、活動火山周辺地域における避難施設等の整備法とかなんとかいう法律が通ったわけでございますが、これが活動火山になるのかならないのか。この法律の該当からいえば一体どうなるのか。この鳥海山の場合、ひとつ御例示いただきたいと思います。
  189. 杉岡浩

    杉岡説明員 お答えいたします。  昨年、先生の御指摘になりました活動火山周辺地域における避難施設等の整備等に関する法律がつくられたわけでございます。これにつきましては、この法律の趣旨でございますけれども、火山活動たとえば爆発等によりまして火山弾あるいは溶岩、こういったものが降ってくる場合に、住民の生命身体を守るという趣旨から、そこに避難道路あるいは桜島の例でいいますと避難のための港湾あるいは避難壕、退避舎といったような諸施設をつくる法律でございます。これを計画的にそれを行なうということでございますが、現在この地域につきましては、桜島を指定いたしておるわけでございます。それに基づきまして、急遽いま計画をつくっておるわけでございます。鳥海山につきましては、現在はいろいろと観測をされておるわけでございますが、こういった観測、今後その避難計画とどういうふうにからんでいくか、その避難計画によりまして必要な避難施設等が必要になってくるということになりますと、この法律等の適用ということになってこようかと思いますが、現在のこの観測それから地元でつくられる避難計画、こういったものを今後参考にいたしまして地元とよく協議をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  190. 中川利三郎

    中川(利)委員 避難するほどならばいいけれども、いまたとえば鳥海山ろくの百宅、先ほど自民党の先生が言ったあそこら辺にいけば過疎、人がおらないのです。農業地帯、出かせぎ地帯、豪雪地帯そういう逆現象が起こって、いなかに残っているのはおばあちゃんとネコか犬かどっちかしかいないという、こういう悲惨な状況なんだ。そうすると、そこでどういう問題が起こっても男手はない。あるいは豪雪地帯ですからいろいろな面で不便がある。さっと避難できるほうはしあわせなんだ。だから、この法律をつくるときも何だかんだいろいろそういう御意見があったと思いますが、そういう実態を踏まえたかっこうでもう一回見直ししてもらわなければ困るということですね。ああいうところで事故があった場合、だれも逃げることができないのですよ。豪雪ですよ。逃げることができないのですよ。しかも男手もいない。そういうところに対する対応が、何か政府の中で考えられていますか。
  191. 杉岡浩

    杉岡説明員 お答えいたします。  ただいまの鳥海山のお話につきましては、その後われわれも三月一日の噴火以後、その関係省庁集まりまして、さらに地元の秋田県及び山形県等にも来ていただきまして住民の避難体制、たとえば避難場所あるいは避難方法あるいは避難のための除雪、こういった応急対策といたしまして避難体制を固めておるわけでございますが、さらにこういった今後地元でつくられる避難計画、これが避難施設とどういうふうにからんでくるかを十分地元と協議してまいりたい、こういうふうに考えております。
  192. 中川利三郎

    中川(利)委員 先ほども話がありましたが、雪上車の問題だとか道路の除雪だとか、通信連絡だとか救助のヘリコプターだとかいろいろな問題があるわけですね。そういうことについて、気象庁担当したらいいかどうか知りませんが、そういうものを万一に備えて何か対策を立てる。そのたびに自衛隊にお願いするなんといってもちょっとかっこうもおかしいし、国民感情からしておかしいと思うのですよ。あるいは地方自治体が、象潟町だとか矢島町に相当の人がどっと来て、この前の話では、象潟町は情報連絡の電話賃だけでも三十万円かかったそうですよ。そうすると、そういう金をどこから出すかというと自分のふところから出さなければならない。もちろん県も何か措置するかもしれませんけれども、そういう場合のかかった費用に対して国が何らかの援助をする、あるいは特別交付金で何ぼか見るということは制度的に十分検討に値すると思いますが、これは先ほど答弁があったかどうかわかりませんが、もう一回お聞きしておきたいと思うのです。
  193. 栗田幸雄

    ○栗田説明員 お答えいたします。  先ほどの村岡委員の御質問にもお答えいたしましたが、災害に要した経費につきましては暦年で考えておりますので、四十九年中の災害に要した経費につきましては、四十九年度の特別交付税の際に市町村の財政状況等を見ながら措置をしてまいりたい、このように考えております。
  194. 中川利三郎

    中川(利)委員 最後でありますが、今回の鳥海山の噴火はたいしたことがないと一般的にいわれて、われわれも非常に安心しているわけですが、しかし火山のことですからどうなるかわからないわけであります。火山の場合、安心できるかどうかということは、そこにそういう保障があるかどうかということ、つまり観測がやられているかどうかということと関連してくるわけですね。全くの無医村、村でいえば過疎地帯の無医村、こういう状態に置かれますといつも住民の不安はなくならないわけですね。特に火山は、地震と違いましてどこで爆発するかはっきりしておる。地震はどこで起こるかわからないけれども、火山ははっきりしているだけに、いつも聴診器を当てていただく。そういうことをしていただくならば、日本は学問的にもあらゆる面で世界的な水準を持っておりますから、私は十分不慮の事故を防げるだろうと思うのですね。そういうことにつきまして最後に、当局がそういう全体的にいままでのいろんな問題を反省して今度こそはというようなことを、いま私の申し上げたことも含めてひとつ決意を御表明いただければありがたいと思います。
  195. 石原明

    ○石原政府委員 先ほど来、直接鳥海山の観測について中止するような話があるかというようなことを御指摘いただきましたし、さらには全体として火山の監視体制についていろいろ御議論ございました。こういった問題に対処する場合に、私どもとして一番注意しなければいけませんのは、現在はA級なりB級なりC級というふうな分け方をいたしまして火山監視体制を続けておるわけでございますけれども、そういった場合に、どうしても噴火の度数が多いとかその大きさがどうだとかというようなことになりがちでございます。しかしながら見方によりましては、この百五十年もなかったのが急に爆発するというようなことのほうが、地元の方々の心配というものはそういったところよりもかえって大きいというようなことも一面にあろうかと思います。私ども先ほどから、たとえば観測について中断をするような話があるがどうだというふうな御質問をいただいたわけでございますけれども、そういうようなことを考えます場合に、ただ私どもの立場なり内部事情だけで考えてやるのはおかしいわけでありまして、やはりこういうふうな監視体制なり何なりいたします場合には、いろいろ科学的に見ましても、たとえばこういう火山のようなところでございますと火口から近いほうがいいわけでございまして、十キロも十一キロも離れますと実際に監視するにいたしましてもどの程度実効があがるかというようなことが技術的に問題があるということも確かでございます。しかしながら、そういうような問題がありましても、やはりそういう火山の爆発、噴火ということによって起きます地元の方々の心配といいますか不安といいますか、そういったものも十分考えながら、そういった御心配にこたえながら必要な監視体制を続けるということが、私どもとしてやるべきことであろうかと思います。そういう点で、現在の体制あるいはまた最近の鳥海山におきます直接の監視体制につきましても御心配をいただいたような点がございますけれども、私どもといたしましてはそういうふうなことではいけませんので、そういう地元の方がたいへん心配しておられる、地元の方々の不安を体して、十分におこたえできるような体制をとるということをしなければいかぬということを、あらためてただいまの御質問等によりまして痛感いたしたわけでございまして、今後そういう考え方姿勢でもって鳥海山なりあるいは全体の火山の監視体制について整備していきたい、こう考えております。
  196. 中川利三郎

    中川(利)委員 終わります。
  197. 阪上安太郎

    ○阪上委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時一分散会