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1974-05-08 第72回国会 衆議院 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年五月八日(水曜日)     午前十時二十四分開議  出席委員    委員長 福永 健司君    理事 小山 省二君 理事 笹山茂太郎君    理事 大柴 滋夫君 理事 佐藤 観樹君    理事 津金 佑近君       赤澤 正道君    石井  一君       小泉純一郎君    白浜 仁吉君       山田 芳治君    山本 幸一君       林  孝矩君    小沢 貞孝君  出席国務大臣         自 治 大 臣 町村 金五君  出席政府委員         自治省行政局選         挙部長     土屋 佳照君  委員外出席者         議     員 林  孝矩君     ————————————— 委員の異動 五月八日  辞任         補欠選任   永山 忠則君     石井  一君     ————————————— 五月一日  政治資金規正法の一部を改正する法律案浅井  美幸君外一名提出衆法第三八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  政治資金規正法の一部を改正する法律案浅井  美幸君外一名提出衆法第三八号)  公職選挙法の一部を改正する法律案内閣提出  第九〇号)      ————◇—————
  2. 福永健司

    福永委員長 これより会議を開きます。  浅井美幸君外一名提出政治資金規正法の一部を改正する法律案議題とし、趣旨説明を求めます。林孝矩君。
  3. 林孝矩

    ○林(孝)議員 ただいま議題となりました政治資金規正法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  現行政治資金規正法のもとで会社その他の団体政治活動に関する寄付が、政治の腐敗に結びついてきたことは、国民の周知するところであります。  わが党は、従来から、政治の姿勢を正し、国民に信頼される政治を推進するため、政治資金の規制を強化することこそ、まつ先に実現すべきことを政党の責務であるとの観点から、政治資金規正法改正を強く政府に要求してきたのであります。  しかるに政府、自民党は、みずから求めた第五次選挙制度審議会の答申すら骨抜きにした政府案提出して、みずから改正を阻止したのであります。以来、今日まで、わが党はじめ野党各党の再三の要求にかかわらず、改正案提出を怠ってきていることは、まことに遺憾であります。  特に最近の会社団体等による政治献金は増加の一途をたどり、公開原則を死文化した現行法の中で政治資金透明度はますます悪化して、財界と政界の癒着に対する国民不信感を高めております。  したがって、会社その他の団体政治活動に関する寄付を禁止し、あわせて政治資金公開趣旨を徹底させることと、収入及び支出に関する報告等合理化をはかる必要があります。  以上がこの法律案提出する理由であります。  次に、この法律案要旨について御説明申し上げます。  第一に、政党活動に関し、寄付ができる者は、政党のほかは、個人に限るものといたしました。  第二に、個人政治活動に関してする寄付についても、一人年間五十万円を限度としました。なお、党費または会費名儀当該制限額を潜脱することを防ぐため、法人が納める党費または会費はその全額を、また個人が納める党費または会費は、その年中の合計額のうち三万円をこえる部分を、それぞれ寄付とみなすことといたしました。  第三に、政党協会その他の団体収支に関する報告書は、その代表者等を届け出るにあたって、党則、規約等、その団体がいかなる団体であるかを示す文書を提出させ、これを告示することといたしました。  第四に、政党協会その他の団体会計帳簿に記載すべき事項及び選挙管理委員会への収支にかかる報告書に記載すべき事項は、すべての収入支出にわたって行なうこととし、(現行法では、協会その他の団体寄付以外の収入は除外されている)また、寄付以外の収入は、その基因となった事実についても報告させることとしました。さらに当該報告書等には、会計帳簿等についての公認会計士監査意見を記載した書面を添付させることといたしました。  第五に、政党協会その他の団体が引き続き二回、その収支にかかる報告書提出を怠ったときは、以後の寄付の収受、支出を禁ずることといたしました。  第六に、選挙管理委員会報告を要する寄付支出等の一件金額限度を、一万円をこえる金額に引き上げることといたしました。  その他、これらの改正に伴う所要の規定の整備をいたしました。  以上が、この法律案を提案いたしました理由及びその要旨であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。
  4. 福永健司

    福永委員長 これにて、本案に対する趣旨説明は終了いたしました。      ————◇—————
  5. 福永健司

    福永委員長 次に、内閣提出公職選挙法の一部を改正する法律案議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤観樹君。
  6. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 私は、きょう本法案に入る前に、御存じのように四月の二十五日には、前回参議院選挙投票についてあまりにも定数アンバランスだったのじゃないか、あるいは四月の三十日には、前回衆議院選挙にもやはり同じようアンバランスがあったのじゃないかということについて判決が出ているわけであります。これは、民主主義の基礎に関する非常に重要な問題だと思いますので、その点について、まずお伺いをしていきたいと思うわけであります。  くどくど説明する必要ないと思いますけれども参議院選挙の場合には、東京地方区鳥取地方区を比べてみた場合に、その一票の価値ということからいいますと一対五・〇八、こういった比率、つまり東京の人の一票の価値というのは鳥取の人の五分の一の価値にしかなってない、こういったよう現状でいまの定数が行なわれている選挙というものは、はたしてほんとうに妥当なものだろうか、こういう疑問をだれしも持つところであると思うのであります。  それでまず大臣にお伺いをしたいわけでありますけれども、これは違憲であるかないか、これは裁判所独自の判断ということになるかと思いますが、少なくとも政治的にはあるいは立法府と行政府という立場からいっても、これはこのまま放置できる問題ではないと思うわけであります。  まず第一にお伺いをしたいのは、この判決では、まだこれは違憲というよう状況にになっていないのだという判決になっているわけでありますが、まず全般的な御感想を大臣にお伺いをしたいわけであります。
  7. 町村金五

    町村国務大臣 先ごろの四月の二十五日における最高裁判決についてですが、これは最高裁が関知いたしておりまするように、法律的にと申しましょうか、言うならば、確かに最高裁判断というようなことになるのではないか、かように私ども考えるのでございます。ただ、いま御指摘もございましたが、しからば東京都と鳥取県というものを対比して見ましたときに、一対五の割合であるということが政治的に考えて一体はたして妥当であるかというふうに考えてみますると、私もこれについてはかなりの疑問を持つものでございます。もちろん選挙人と被選挙者との数がきわめて正確に公平に行なわれるということが一番望ましいことは、これは言うまでもないことであります。しかし、現実の問題としてはそう簡単に理屈どおりにはいきかねる諸般の事情のあることは申し上げるまでもございませんけれども、しかし、大局的に考えてみました場合に、一対五というよう割合が妥当であるかどうかということになりますれば、政治的に判断をいたしてみますると、これは妥当だというふうに私もどうも考えるわけにはまいらないという感じを持っておるわけでございます。
  8. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 昨年の七月の東京高等裁判所では、いまの議員定数というのはやはり「明らかに不均衡で、違憲疑いがある」こういう判決高裁では出ていたわけであります。それが、今度の最高裁判所に行きましたら、しかもこれは小法廷で行なわれたというのは非常に問題だと思うのでありますけれども、その辺のところに、現在のこの最高裁判事の構成ということまでさかのぼってくるわけでありますが、結局いまの結論は、最高裁の小法廷結論は、三十九年の二月に出た高等裁判所判決、この判決に逆戻りをした、こう見ざるを得ないと思うのですね。しかも、三十九年の二月の最高裁判決のときには、この訴えの場合は、東京鳥取の場合はまだこの比率が一対四だったわけですね。今度の問題は、さらにその格差アンバランスが拡大をして、約一対五とさらに広がっているということ、それをなおかつ、これは裁判ということで、また別の観点だということに置いておいていいのかどうか、これはまた別個の問題だと思うのでありますが、もう一度重ねてお伺いをしたいわけでありますけれども、昨年の高等裁判所判決では、この現状ような「議員定数は明らかに不均衡で、違憲疑いがある」そうしてその前提として「選挙区ごとの議員定数を規定した公選法の「別表二」について「この一事のみをもってしても、違憲疑いがある」」という考え方が昨年の高裁には出ているのですね。それで、われわれの責任もあるわけですが、「「国会において近い将来、現情勢に即して不均衡を除去するため、何らかの決定が行われることを期待せざるを得ない」とまでいい切っていた。」わけですから、大臣立場から違憲ということはなかなかこれは言いにくいかと思いますが、いまの大臣の御答弁をお伺いをしますと、昨年の七月の高等裁判所判決、大体これを支持なさるというふうに理解してよろしゅうございますか。
  9. 町村金五

    町村国務大臣 昨年の東京高等裁判所判決と、このたびの最高裁判決とでは多少感じが違うわけであります。御承知ように、昨年の高等裁判所判決におきましても、最終的には違憲ではない、大体こういう判決を下しておるというふうに私ども承知をいたしておるわけでございます。ただ、その判決を出すに際しましての経過においての判決の中で、いま佐藤議員が御指摘になりましたよう部分があったというふうに私も承知をいたしておるわけでございます。  そこで、現在の定数の不均衡違憲であるかどうかということについては、やはり裁判所が最終的な判断を下すものであることは言うまでもございません。したがって、この判決判決として受け取らなければならぬ、かように私ども考えております。ただ政治的にあるいは常識的に考えてみました場合に、いまのような一対五というよう比率がきわめて妥当なものかどうかということになってまいりますれば、やはり必ずしもこれは妥当だとは言えないのではないか。したがって、こういう妥当でないという状況をいつまでも放置しておくということは適当ではないということは言うまでもないと思います。  ただ御承知のとおり、こういった問題を改革をするというのには、選挙法全体の中におきましていろいろやらなければならない問題の一つとしてこれは取り上ぐべき筋合いのものであろう、こう思うのでございまして、政府としても、さきに御承知よう選挙制度審議会にこれらの問題をも含めての検討をお願いをして、報告をいただいておることは申し上げるまでもございませんが、これをいよいよ具体化してまいるということには多くの困難がございまして今日に至っておるということはあらためて申し上げるまでもないところでございます。
  10. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 もう一歩質問を進めまして、今度の参議院選挙に対する判決、つまり最高裁判所の小法廷判決の中では、「現行公選法別表第二が選挙人人口数比例して改定されないため、有権者らが主張するような不均衡を生んだとしても、その程度ではいまだ極端な不平等には当たらず、違憲問題を生ずるとまでは認められない」こういうことが出ているのですね。一昨年の衆議院選挙に対する訴訟に対しての判決の中では、「定数立法府裁量投票価値不平等は、まだ、国民正義公平観念に照らし容認出来ない程度に至っていない」こういうことになっているわけですね。いままさに大臣のお考えは、これを具体化するにはなかなかむずかしい。これもわれわれの立法府責任もあると思いますが、むずかしいことはわかりますが、その一対五というのは、これはどう見ても判決にあるように、いまだに国民正義公平観念に照らし容認できない程度ではないという最高裁判事方々あるいは東京高裁判事方々数字観念というのは私は非常に疑問を持つわけなんですね。悪いことでいえば、法律の勉強ばかりして少し数字をやらなかったんじゃないかという気がするわけですね。私なんか国会の中で経済ばかりやっていると、十年で倍にするために、よく平均成長率七%ずつというので、やっと十年で倍になるわけですね。それを五倍まで、いまだにこういった感覚というのは、どうもその判決について非常に常識を疑わざるを得ないわけでありますが、そこで問題になってくるのは、一体どのあたりまで容認できるんだろうか。これは大臣に対してはきわめて過酷な質問になるかもしれませんが、私は二倍というのでもやはりちょっと問題があるのじゃないかと思うのですね。東京の人の二人と鳥取の人の一票とが一緒、等価値政治制度上なってくる。二倍でも私はまだやはり問題があると思うわけでありますが、いまなかなか過酷な質問になるかもしれませんが、大臣は一体、じゃ、どこまでくれば、この裁判を離れて、どの辺までくれば常識的に現状の中で容認できるとお考えになっていらっしゃいますか。
  11. 町村金五

    町村国務大臣 たいへんこれはお答えのしにくい御質問でございますが、一体どの程度までいけば容認できるか、どの程度までをこえれば容認すべきものではないかということについては、これはやはり私は人おのおの見るところによってかなり意見の違うところだろうと思います。今日のような、御承知ようにわが国の府県制というものを土台といたしまして、ことに参議院の場合におきましては御承知ように百二十六人でございますが、これを各府県に、いわゆる県というものを単位として定数というものをつくっておるわけでございますから、おのずからかりに鳥取県というものが人口が現在七十万ぐらいございましょうか、おそらくその倍ございましても一名しか割り当てることができないというようなことが、現在のようにこの定数をつくった後にかなり激しい移動が行なわれておりましても、なおかつそういった問題が現実には存在せざるを得ない。人口がわずか六、七十万の県と、それから一千万あるいは五百万をこえておる県というようなものが存在をいたしておるわけでございますから、そういった現在の府県の区画の中において百二十五人の地方区定数を分けていくということになりますと、私はそこにかなりの不均衡ができ、いかに公平にやろうと思いましても、相当な不均衡が出ることは、これはどうも避けがたいところではないかという感じがいたします。したがって、二倍まではよろしいか、それをこえれば容認すべからざるものだと、なかなかそう簡単には言い切れない点があるよう考えるのでございまして、きわめて常識的には一対五というようなことはどうも必ずしも適当でないというふうに私いわざるを得ないのではないか。ただいま私申し上げました地方区議員定数、百五十二人で、二十六人ではございませんから、これは訂正をいたしておきますが、いずれにいたしましても、なかなかこの問題、非常にむずかしい問題ではないか、さように存じます。
  12. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 私の質問、過酷かもしれませんが、原則はやはり一対一になるというのが、これは民主主義のルールの根本だと思うのですね。  そこで、それに関連をしてちょっと、さらに進んでお伺いしたいのですが、判決の中で、これは衆議院選挙に対する判決東京高等裁判所判決の中にこういうことがあるんですね。「過疎地帯特殊性国会審議に反映することが国民全体の利益に合致するといったような場合、過密地帯より定数が多くても合理的といえる場合もあり得る」として「人口との比率の不均衡一事をもって立法府裁量行為合理的範囲を逸脱するとはいえない」と判断を出しているわけですね。これは私はきわめて問題な判決だと思うのですね。判決責任自治大臣に押しつけるわけではありませんけれども、少なくもこの定数というのはやはり国民一人一人の意見がそのまま比例的に国会に反映をするというのが大原則だと思うのですね。ここに出されているように、過疎の問題も大事だから、したがって過密地帯から出てくる議員の数よりも過疎が比較的多くても問題ではないんだという判断ということになりますと、これは定数というものを設けた意味というのは私は全然なくなってしまうと思うのですね。もちろん過疎問題というのはそれはそれなりに大切なんでありまして、そのことは立法なり行政の中で政治の中で具体的に解決しなければいかぬことは事実でありますが、それが定数問題と一緒くたになって、政策論議一緒くたになって出てくるというのは、これは全くいまのいわゆる比例というもの、民意を反映する比例手段としてのいまの選挙あり方定数あり方、これからいってきわめて私は問題のあることだと思うのです。このことについて、何も判決責任大臣に押しつけるわけではありませんが、こういった考えがあっては定数是正というものが正しい方向に私は行ってこないと思うのですね。このことについては大臣どういうふうにお考えになりますか。
  13. 町村金五

    町村国務大臣 実は私もまだいま御指摘になりました東京高裁判決を全部しさいに点検をいたしたわけではございませんので、確たることを、お答えを申し上げかねるのでございますが、いま御指摘になりましたこの判決の中にはやはり定数という問題を人口だけという判断でやることが必ずしも合理的ではない、こういう考え基本にあるようでございまして、やはり人口の比較的まばらで、しかも面積の非常に広いというよう地域に対して、ただ人口比率だけでもって定数の配分を行なうことがはたして妥当かどうかということについて、若干のこれは疑問を投げかけておる判決の内容の一節であろう、私はこう見ておるのでございます。しかし、こういう考え方もございますけれども、かつて私、これはちょっと余談になるようでございますけれども衆議院の場合に定数考えるときに、その県を代表するという意味において、まず一県に一人ずつ定数を与えて、さらに残余の定数については人口比率でやるんだというようなことを考えられた場合も、私はかつてあったのじゃないかというように記憶をいたしておるわけでございます。おそらくいまのこの判決は、そういったよう立法政策がとられたこともかつてあるというようなことを、私は多少それも合理的な理由があるんだという意味もここに特に述べられた一節ではないかというよう判断をいたすのでございます。この点は立法政策上の一つ問題点にはなるところではないかというように私は考えておるところであります。
  14. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 いま大臣の言われた末端の部分だけをとれば、ある意味では参議院というのは、そういった意味では、アメリカの上院ではありませんけれども地方のそういったよう地域性代表という意味を若干なりとも持っているというふうに思うわけですね。ただ、それがいま多党化していく中、あるいは衆議院と一体どういうふうに違うのだろうかという政治制度論としての問題点は多々出てきているわけですね。それは確かにそのこと自体は必要だろうと思いますけれども、その問題といまの定数の問題とをからましてくると、非常に問題になってくるだろうし、むしろ、大臣のほうの御専門の地方自治ということならば、各知事を集めての会議もあるわけでありますから、そういうところで地方自治のことならばやはりやるべきことだろうし、非常に問題は深いわけで、話は簡単ではありませんけれども、私は、地方代表的な意味——まあわれわれの仕事の中には当然それはあるわけでありますけれども、そのことと定数の不均衡という問題とは必ずしもマッチしない問題だと思うわけであります。  もう一つ伺いをしておきたいことは、これは新聞記事土屋部長の名前で出ているわけでありますけれども参議院選挙訴訟に対しての最高裁判決について、新聞の小さな記事でありますから、私は必ずしも正確に伝えているとは思わないわけでありますが、たとえば読売新聞でありますと、「定数均衡違憲でないとの判断は当然と思う。しかし、格差があまり開くのは問題であり、選挙制度審議会でも、定数是正が常に大きな議論になっている。自治省としては、きわめて重大な問題なので、時間がかかっても慎重に対処しようというのが基本的な態度だ」ということ。それからもう一つ日経のは、「妥当な結論であろうと考える。定数是正問題は選挙制度抜本的解決策の中で解決するというのが政府考え方だ。極端な定数の不均衡は是正すべきだというのが第七次選挙制度審議会の大勢であった。衆参両院選挙制度をどうするかという基本的制度検討の中で、この問題が今後取り扱われていくことになろう。」 こういうことをいわれているわけであります。もし若干ニュアンスが違っていましたらまたお話をしていただけばいいわけでありますが、またいまも大臣も、全体的な選挙制度の見直しの中でこの定数是正考えていかなければいけないということを言われているわけですね。  そこで、私は必ずしもそうは思わないのですね。現在の選挙制度はいろいろ問題があるし、それから現にいま選挙制度を変えるというか、公職選挙法を変える審議をしているわけでありますけれども、小選挙区がいいか、中選挙区がいいか、大選挙区がいいか、あるいはそのほかのいろいろな選挙制度がいいかどうかは別として、とにかく現状のワクの中で、定数の不均衡というのはやはり直していくものではないか。必ずしも抜本的な解決策の中でこの定数を是正しなければならぬというものではないと思うのですね。この問題、定数アンバランスというものだけを分離をして、現状制度の中で解決をしていく。それが少なくも政治不信をぬぐっていく一つ手段になろうと私は思うわけでありますけれども、その辺を土屋部長でもけっこうですし、大臣でもけっこうでありますが、お答えを願いたいと思うのであります。
  15. 町村金五

    町村国務大臣 いまお尋ねの件について、先ほど私は、こういった定数の問題というのは、選挙制度全体の改革の中でやはり取り上げてまいるのが至当であろうというふうに申し上げたのでございます。確かに、いま佐藤議員が御指摘になりましたように、定数の問題だけを切り離して改正をするということは、必ずしも不可能なことだとは私は考えません。やろうと思えばできないことはございませんけれども、しかし、選挙制度全体にいろいろ不合理な点が次第に出てまいってきておるのでございまして、そういった問題を改正をしなければならぬという意味においての選挙制度審議会の御報告等もあるわけでございますので、やはりこういった重大な問題に手をつけるときには、われわれとしてはそれだけを分離して取り上げるということよりは、全体を取り上げることとし、その一環としてこの問題を取り上げるというのが、私はやはり適切な政治的な措置ではないかというよう考えて、さように申し上げたわけでございます。
  16. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 私も議員の一人でありますから、選挙区というのは非常に大事なんですね。これは議員である限り非常に自分自身にとってみても大切なことであると思いますが、大臣がいま言われたように、一切がっさい定数も含めて、あらゆる制度全部の改革を一挙にしていこうと思いますと、これは大改革になりますから、たいへんな政治的問題でもありますし、たいへんな抵抗の部分もありますし、なかなかこれは容易なことじゃないと私は思うのですね。それを待っているうちに東京あるいは神奈川の票はだんだんと重みがなくなってしまって、五分の一だ、いまに六分の一だ、七分の一だとなってしまう。そして何とか投票率を上げようと思って、やれ時間を長くする、かねや大鼓をたたいてやるといっても、現実に過密の問題というのは一向に解決をしていかない。これではますます政治不信というのは増す一方だと私は思うのですね。そういった意味で、何も定数是正だけの問題が重要なんではありませんが、少なくもこの民主主義基本である定数の問題というのは非常に大きなウエートを占めておると私は思うのです。  そこで、この問題の最後に大臣にお伺いをしておきたいのは、このままではほんとうにますます投票率も下がっていくでありましょうし、何も制度だけの問題じゃなく、いまの政策あるいは自民党のやっている政策にも問題があると私は思いますが、このままではますます政治不信というのが助長されていく。それは端的に投票率にもあらわれていくだろうし、政治的には左右に分極化していく、こういうふうになっていくだろうと思うのです。その意味で、選挙制度、特に定数是正の問題というのは非常に大きな問題であると思うわけでありますが、大臣の認識として、定数是正の問題と現在の政治不信の問題、投票率の下がってくる問題、この辺のところはどういうふうに関連づけて考えていらっしゃるか、御意見をお伺いしたいと思います。
  17. 町村金五

    町村国務大臣 私どももこの定数問題というのは実は非常に重大な問題だと考えておるのでございます。ことに、私が申し上げますまでもなく、最近衆議院参議院というものが全く同じような状態になってしまっておる。二院制度の根本精神から考えてみましても、一体現在のよう参議院であっていいのかどうか。しかし、この問題を基本的に改正をするということになりますれば、当然憲法改正の問題に触れてくるわけでございます。したがって、現行憲法下の中にあって、一体、参議院の独自の性格なり立場というものがもっと鮮明になるよう定数の是正ということもあり得ないのであろうかどうであろうかといったようなことも実は論議をされておることはあらためて申し上げるまでもございません。  先ほど佐藤議員は、特にアメリカの上院のよう考え方地方区というものを考えることができないのかどうかという、ちょっとそれに触れての御示唆があったように私は思うのでございますが、そういった考えも確かにございます。私どもはそういった意味から申しますると、確かにいまの現状のままで特に定数の是正を考えるという行き方もございますし、現行憲法下の中においてさらにもう少し一歩進んだ考え方といいましょうか、もっと違った角度からの改正ということもすでに一部からは提起されておるというようなことも私ども承知をいたしておるわけでございます。したがって、一たび改正をいたしますからには、そういった諸般の国民的な判断、要請というものを十分踏まえながらこれに対処していかなければならぬということは言うまでもございません。そこで、確かに現状では投票率というものが次第に低下をするということは御指摘のとおりでございます。しかし、投票率の低下ということがはたしてこの選挙区制のみに関連をする問題かどうかということになりますれば、これは必ずしもそうばかりは言えないいろいろな事情が交錯いたしまして、投票率の低下というものを引き起こしておるという点があることは、これもまた言うまでもないところでございます。一番激しい極端な例をお引きになりますれば東京都と鳥取という関係でございます。その中間のところに実はいろいろなケースがあることもこれまた申し上げるまでもございません。いずれにいたしましても、最高裁判決は、おそらく最高裁としてはああいう判決を下すのがやむを得ないことであったんじゃないかというように私は思うのでございますけれども、われわれ定数の問題を考えます場合には、それはそれとしておきまして、やはり国民の納得の得られるよう改正の方向を目ざして、今後努力をしてまいるというのが当然われわれのとるべき態度であろう、私はかよう考えておるのでございます。ただ、先ほど来たびたび申し上げておりますように、事は口で言うことは容易でありますけれども現実問題としてこれを取り上げてまいるということになりますると、多くの問題点をかかえておることは申し上げるまでもございませんので、こういった判決等のございました機会を契機として、さらにこのことにはひとつもっと真剣に取り組んでまいらなければならない重大な問題だ、かよう承知をいたしておるわけでございます。
  18. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 この定数是正の問題は必ずしも行政府だけに責任をおっかぶせるというのはいろんな意味で間違いもあろうかと思います。われわれ自身の立法府のほうも当然考えていかなきゃいかぬことだろうし、これは単に党利党略だけじゃなくて、全体的な国民的なコンセンサスが得られる方法というのを今後さらに模索をしていかなければならぬ問題だと思うのです。その意味で、半分か四分の一かの責任立法府にもあると思います。ただ、大臣が言われたように、何でも定数の問題以外に一切がっさい選挙制度一緒くたでなきゃ改正できないという問題ではないと思うのです。ある意味ではもっと公平にできるならば、自動的な定数是正というようなことも、イギリスにはそういうようなものがあるそうでありますけれども考えられるだろうと思うわけです。  いつまでやっていてもこれはなかなか論議が尽きませんので、この問題はこれだけにしておきたいと思います。  あと本法について二、三質問しておきたいと思うのです。  まず公選法の四十九条でありますが、いわゆる在宅投票制度の資格の問題で、法文上は「選挙人で身体に重度の障害があるもの」こういうことになっているわけでありますけれども、この重度の障害というのは、いわゆる身体障害者福祉法あるいは戦傷病者特別援護法にいうところの重度という意味なのか、あるいは、あとのほうで「政令で定める」となっておりますので、さらにそれは拡大をされているものなのか、いわゆるこの二法のどの何級までを重度というふうにいっているのか、そのあたりをまずお伺いしたいのです。
  19. 土屋佳照

    土屋政府委員 対象者の範囲については一応政令で定めるということにいたしておりますが、いま御指摘の範囲につきましては、身体障害者手帳に身体上の障害の程度が下肢または体幹の障害にありましては一級または二級、それから心臓または呼吸器の障害にありましては一級または三級に該当するものとして記載されておるものを対象にしたいというふうに考えておるわけでございます。それから戦傷病者手帳に記載された身体上の障害の程度は、大体ただいま申し上げました身体障害者手帳上での各クラスに相当するもの、それを想定をいたして政令で規定したいというふうに考えております。
  20. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 ということは、戦傷病者特別援護法の場合には第二項症ぐらいまでを考えているということですか。
  21. 土屋佳照

    土屋政府委員 大体いまおっしゃったように特項症から第二項症程度でございますが、症状のいかんによっては若干第三項症にかかるものも出てくるかもしれません。そこはなお専門的な方々の御意見も聞いて最終的に決定をいたしたいと思っております。
  22. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 身体障害者福祉法の三級というのは「一下肢を大腿の二分の一以上で欠くもの」それから「一下肢の機能を全廃したもの」つまりほとんど片足になられたような状態まで三級になっているわけですね。それから戦傷病者特別援護法は、いま一応大体第二項症ということまでいわれていますが、第三項症は「膝関節以上ニテ一下肢ヲ失ヒタルモノ」それから第四項症は「足関節以上ニテ一下肢ヲ失ヒタルモノ」こういうところまで第四項症までは入っているわけですね。私は、やっぱりそのあたりまで入れるべきではないか、いろいろ全部ずっと読んでみたのですけれども、このあたりまで、つまり片足御不自由な方くらいまでは入れるべきではないだろうか、こう思うのでありますが、いかがでございますか。
  23. 土屋佳照

    土屋政府委員 身体障害者の場合は、第三級になりますと、大体一下肢の機能がなくてそれで歩行困難と申しますか、一下肢についての障害というものが主体でございます。そういったことで、身体障害者については下肢、体幹については一、二級ということでいたしておるわけでございます。  もう一つの戦傷病者に関連いたしましては、御指摘ように戦傷病者につきましても第三項症については下肢の部分は一下肢というのが主体でございますけれども、ただ呼吸器機能とか心臓の機能とかいったようなものは第三項症でも身体障害者の一級、三級に該当するというものがございますので、そういったものは第三項症でやっても対応するものとしてこれに含めていきたいというふうに考えております。
  24. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 それから、時間がないものですからはしょりますけれども、この第四十九条の二項ですね、「政令で定めるところにより、」云々とあって「これを郵送する方法により行わせることができる。」ということなんですけれども、これは具体的に、その重度の障害のある方々におそらく証明書か何か発行して、投票券をその方々が請求をして、そして郵送をして投票するということになると思うのですけれども、その簡単な手続と告示の期間というのは、一体それはどういう状態で選挙の告示になるのか。そのあたりの概略をちょっと教えてもらいたい。みんなこれ、政令ということになっているので、どうもこの法案ではイメージがわかないわけですね。
  25. 土屋佳照

    土屋政府委員 不在者投票制度に関します政令については、まだ確定的な成案は得てないわけでございますが、大体予定しております事項は、先ほど申し上げました対象者の範囲というものをどうするかということと、それから御指摘ように、投票に至るまでの一連の手続に関することを想定しておるわけでございまして、範囲がきまりますと、次に郵便によります投票のための証明書の交付に関する事項を規定をいたしたいと思っております。該当者につきましては、あらかじめ選挙の便のために身体障害者手帳等を市町村選挙管理委員会に提示をしていただきまして、そして有効期間はまだ定めておりませんが、一定の有効期間を有します証明書の交付をいたしたい。そういったことを規定する。  それから次は、投票用紙等の請求と交付の方法について規定をいたしたい。それはただいまの証明書の交付を受けました選挙人が、一定の期日までに市町村選挙管理委員会委員長に郵便によって投票用紙等の交付を請求するという手続。そしてその際には、先ほどの証明書を添付して請求をするということにいたしました。請求を受けた選挙管理委員会委員長が、郵便によって投票用紙等を選挙人に交付をするという一連の手続。  それから最後に、投票の方法につきまして、投票用紙等の交付を受けた選挙人は、現在その場所で投票用紙にみずから候補者一人の氏名を記載をする。自書主義でございますが、氏名を記載をいたしまして、投票用封筒、まあ内封筒でございます、それに入れて封をして、そしてこれを他の投票用封筒、いわゆる外封筒でございますが、それに入れて封をして、これに宣誓のための署名その他必要な事項を記載いたしまして、これを送付用封筒に入れて、郵便をもって市町村選挙管理委員会委員長に送付をするという、一連の手続を考えておる次第でございます。  ちょっと言い忘れました。それから最後のお尋ねは、たぶん施行する時期、この規定を適用する時期の政令はいつになるかということでございましょうか。
  26. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 いいえ、そうじゃなくて、選挙の告示の期間があるでしょう。告示、つまり選挙運動をやっていいというスタートの時期がありますね。投票権を請求するのは選挙に入ってからやるのか、その前にやるのか、その辺の時間的な問題なんです。
  27. 土屋佳照

    土屋政府委員 どうも意味を取り違えまして失礼をいたしました。本人が投票用紙の請求をいたします場合については、まだ最終的な決定をいたしてないわけでございますけれども、現在の出かせぎ者の方でも、選挙の公示、告示がある前に請求ができるというような取り扱いもいたしております。そういったこと等から見て、取り扱いとしては、選挙がある程度確定するという見込みがつきますれば、そういった請求もしておくということも一つの方法として考えられるでございましょう。  ただ、それをいつまでにやるかということになりますと、投票に十分間に合う時間的な余裕ということも考える必要がございますので、それは一定の期日までに請求をするというようなかっこうにしてはどうであろうかというふうに考えて、詰めをいたしておるところでございます。
  28. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 それからもう二点だけ聞いて、私の質問を終わるのですが、一つは施行期日が、いわゆる在宅投票制度については「公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。」ということになっておりますけれども、とにかく五月、六月に通ると、それから一年以内ということでありますから、御存じのように来年の三月、四月には統一地方選挙があるわけですね。一体これは自治省としては、統一地方選挙に間に合わせよう、あるいはそのときには実際に在宅投票制度が実施できるようにしようというつもりなのか、つもりじゃないのか。われわれは考えたところでは、わが党案も出ておるわけでありますけれども、何とかこの参議院選挙に間に合わせたいと思ったわけでありますが、事務的にはなかなかむずかしいということでありますので遺憾でありますけれども、しかしとにかくこの施行期日というのは統一地方選挙に間に合わせるつもりなのかどうなのか、これが一点。  もう一点は、いわゆる選挙公報の配布の問題でありますけれども、この法案上は、つまり新聞折り込み等の方法を使う場合には、「特別の事情があるとき」ということになっておりますね。「市町村選挙管理委員会は、」「都道府県選挙管理委員会の承認を得て、」ということになっているわけでありますけれども、「特別の事情」というのは一体どういうときなのか。そうして「承認を得て」というからには、承認されない場合がおそらくあるんだと思うんですね。それは一体どういう場合は承認がされないのか。  それからもう一点は、「新聞折込みその他これに準ずる方法による配布を行うことによって、」という条文がありますが、「これに準ずる方法」というのは、一体どういうことを考えていらっしゃるのか、これだけお伺いしたいのです。
  29. 土屋佳照

    土屋政府委員 いま御指摘ように、この在宅投票制度をいつから適用するかということでございますけれども、私どもとしてはPR期間も必要でございますし、また先ほど申し上げましたような証明書の申請、交付、そういった手続等も必要でございますので、一応法律上は一年以内で政令で定める日から施行するということにいたしておりますが、できるだけ私どもとしてはそういった準備は急ぎまして、明年予想されます統一地方選挙にはこれを間に合わせたいという基本的な態度で、作業を進めていきたいというふうに考えております。  それから第二は、選挙公報についての御質問でございますが、この特例規定が適用さるべき「特別の事情」というものはどういうことかということでございます。御承知ように現在の公報というのは、一応各戸に職員なりあるいは自治会なり行政協力員などの自治組織の協力を得て配布するというような仕組みになっておるわけでございますけれども、それが最近におきましては、大都市あるいはその周辺部のよう地域では、非常に急激に人口も増加いたしております、人口流動も激化をいたしておりますし、居住態様も非常に複雑化しておるわけでございますので、次第に従来のような配布方法をとることが困難となっておるわけでございます。そういった事情から、やむを得ず宅配業者等に委託してやっておる例もあるわけでございますけれども、有権者世帯の把握の困難性といったようなこと、あるいは配達員のふなれといったこと等から、なかなか配布漏れということも避けがたい、そういったような事情も出ておるわけでございます。したがいまして「特別の事情」と申しますのは、そういった特別な地域等で市町村の職員による配布とか、あるいは自治会、行政協力員等の自治組織の協力による配布が現実問題として非常に困難である、その他の方法によっても配布漏れの防止を期しがたい、そういった状態にあるために、今回の改正法案にございますような「新聞折込みその他これに準ずる方法」をとることによって、かえって効率的な配布が可能となる、結果的には有権者の選挙公報の入手の便宜を期し得るといったような事情があるということを考えておるわけでございまして、そういった特別な事情がある場合に府県の選管の承認を得てやるということにいたしておるわけでございます。  それから、府県の選管の承認というものは、ただいま申し上げたような事情を十分検討いたしまして、そういった特別な事情があるかどうか、あるいはまた特例規定によって市町村選挙管理委員会がとろうとしておる配布方法というものが適当かどうか、そういったことを十分検討していただいて、その適正を期するということにしたいと思っておるわけでございます。  それから、これに準ずる方法というものがございますが、どういった方法が考えられるかということでございます。従来の配布の特例というのは、市町村選挙管理委員会がその職員に分担して配布をさせるとか、先ほど申しましたように、自治会とか行政協力員などの組織の協力を得て配布いたしますとか、その他それに準じた配布方法によりまして各世帯に配布をするということをやっておりましたが、それがなかなか困難な場合に今回の特例をやるわけでございます。  そこで、一般的に申しますと、これに準ずる方法といいますと、有権者の各世帯に完全に配布するということは必ずしもできないけれども現実にとり得る配布方法のうちで、できるだけ多くの有権者の世帯に選挙公報を届け得るような効率的な方法をさすものであるというふうに考えられるわけでございます。現在考えられる具体的な方法といたしましては、新聞折り込みに準ずると申しますと、たとえば新聞販売店はいろいろな新聞を配っておりますが、新聞に折り込まないで、配っております配達世帯ごとに一部ずつ配布をするといったようなことも、折り込みではないけれども、それにかわる一つの方法であろう。そうなる場合は重複ということが避けられるといったような利便もあろうかと思いますが、ただ配達業者から見れば、あるいはやっかいな配布の方法になるかもしれません。準ずるという場合、直ちにほかに有効なものは考えられませんが、似たような方法でいまのようなやり方をするということが想定されるわけでございます。
  30. 福永健司

    福永委員長 山田芳治君。
  31. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 ちょっと関連をして質問をさせていただきます。  先般の京都府の参議院の補欠選挙にあたって、知事選挙参議院選挙、約二週間以上ダブル選挙をやっているわけですね。これに関する法律公職選挙法第三十四条による選挙期日の特例、すなわち補欠選挙はその行なうべき理由が生じた日から四十日以内に行なうということとともに、その手続として、百十一条第一項、すなわち「衆議院議員及び参議院地方選出)議員については、国会法第百十条の規定によりその欠員を生じた旨の通知があった日から五日以内に、内閣総理大臣自治大臣に通知し、自治大臣は都道府県知事を経て都道府県選挙管理委員会に」通知をする、こういうふうになっているわけでありますが、従来からの例を見ると、たとえば現在行なわれている高知県の参議院選挙を見ましても、その欠員の生じた理由が起こってから通知に至る間は、できるだけ選挙の事務手続というものを十分配慮する形で、一週間以上、二週間の間を置いて通知をされるという形になっているのであります。京都府の参議院の補欠選挙の場合は、十三日に欠員が生じたら直ちに翌十四日には通知がいっている。選管の立場からいえば、事務手続が非常に困る。具体的に一つ言うならば、たとえば現在大都会においてはポスターの掲示場といったようなものの場所をさがすのに四苦八苦している。それにもかかわらず、知事選挙が施行されているところへまた同じように掲示板を立てていかなければならないということで、非常に苦労をしている。これは非常に政治的であるというふうにいわれておりますが、私は政治的な問題についてここで論じようとは必ずしも思わないけれども、地元の人たちはすべて、これは非常に政治的なやり方であるということを言っております。ここに朝日新聞があります。朝日新聞が正しいかどうかは別として、そのことについても論評をしております。「府選管が自治大臣から「議席に欠員が生じた」との通知を受け取るのは、通例、その後一、二週間たってからだ。ところが、今回、府選管は翌十四日に自治省から「通知を送った」との連絡を受けている。電光石火だ。「混乱を避けるため、知事選後に参院補選告示」を考えていた府選管は、意外な表情である。」と書いてあるわけですね。私の調べたところでは、こういった補欠事由が生じた場合の通知というものが地元選管に到達するのは、いま新聞に書いてあるとおり、私も自治省選挙局におってよく知っておりますが、一週間以上、二週間ぐらいは地元の選管と話し合って、いつごろが適当であるということをきめていくというのが、こういった選挙の執行上の配慮であることは当然であるわけでありますが、今回、このように電光石火のごとくやって、知事選挙参議院補欠選挙がタブっている期間が十数日、二週間以上にも及ぶということは一体どういうことであるかということについて、いま言いましたように、地元では非常に疑問を持っておるということ、特に政党関係者は選挙をあれもこれもやらなければならない。しかも知事選挙と同時に国会議員の補欠選挙が行なわれるというように、選管自身としてもたいへんな手数であるし、政党関係者も多くの選挙をかかえてたいへんな選挙をやらされたというわけでありますが、もう少しそういう点の配慮というものがどうして行なわれなかったか。ということは、逆に言えば、非常に政治的であったという批判が生まれるのが当然である、こういうふうに思うのですが、これはどういうことでしょうか。
  32. 町村金五

    町村国務大臣 先般の京都府におきまして行なわれました補欠選挙の場合、自治大臣から府の選挙管理委員会に対する通知がたいへんに電光石火的に早く行なわれて、そのために地元の選挙管理委員会もたいへん困難な多忙な目にあわされた。まことに政治的な判断で行なわれたのではないか、こういうお尋ねのように伺ったのでございますが、実はいままでも、かなり早く通知をされた場合、かなりゆっくりされた場合等、いろいろの例がございます。これは御承知ように、ちょうどこの期間に、四十日の期間以内にゴールデンウイークというものにひっかかるおそれがあるというふうに私ども考えられましたので、できるならば通常の日曜日を投票日とするということが適当であろう。そうなりますれば、いま申し上げましたように、どうしてもできるだけ早く選管に御通知を申し上げることが適当であろうという判断に基づいて御通知をいたしたというわけでございまして、これは政治的に特別な配慮をいたしたというわけではないということをひとつ御承知をいただきたいのでございます。
  33. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 それならば地元の選管と十分に話し合って、連休その他があるが、投票率の問題を言われているだろうと思うのでありますが、もう少し打ち合わせをした上でおやりをいただくというのがしかるべき処置であったと思う。管理課長おられますか。選挙部長でもけっこうですが、そういう措置をとられましたか。
  34. 土屋佳照

    土屋政府委員 御承知ように、補欠選挙の場合は、当該都道府県の選管のほうで告示をするということでございます。したがいまして、選管関係の方もお見えになりましたし、私ども知事選挙と重なった場合のいろいろな事務的なことなども話を聞いております。いろいろとそういったことも勘案して検討したわけでございますけれども、どうも通知があまりおくれますと、ただいま大臣からお話し申し上げましたように、ゴールデンウイークにかかる。そうなると、従来から見て非常にぐあいが悪かろうといったようなこともございましたし、それにある程度選挙においては二週間程度は準備が必要だ、最低それくらいは必要だというようなことも勘案しまして通知をいたしたわけでございまして、いろいろそこらの事情は聞いた上で、こういった形でやむを得ないだろうということでいたしたわけでございます。
  35. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 そうすると、ここに書いている朝日新聞の報道の「「混乱を避けるため、知事選後に参院補選告示」を考えていた府選管は、意外な表情である。」というのは、これは朝日新聞が適当に書いたのであって、十分地元の選管と打ち合わせをされ、選管も納得した上でやられているというふうに理解をしてよろしいわけですね。
  36. 土屋佳照

    土屋政府委員 先ほども申し上げましたように、選管といたしましては、たとえば宇治市のごときはかなり選挙が重なるといったようなこともございまして、そういった事務的な面での困難性ということも話がございました。そういった意味では選管としてはある程度おくらしてもらったらというような意向もあったことは事実でございます。しかしながら、そういった事務的なこともやれないということでもないだろうし、全体として通常常識的に考えてやりにくい時期に選挙をやるということもどうであろうか、といってあまりにも、それが済むまでおくらすということもちょっと問題であるしというようなことで、大体そういった線でやらざるを得ないということで通知をいたしたわけでございます。
  37. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 それは非常に不親切なんでして、政党のサイドからいっても候補者をどうやって選ぶかというのには相当の期間それぞれ要るわけですよ。急の欠員ですからね。だから、やはり選挙を管理する人たちもそういうふうに言っているんだし、しかも政党からいっても候補者の選定というのはそう簡単にできるものではないわけでありますから、やはりある程度の余裕を持ってやっていく。しかもこの公職選挙法の三十四条等のそれぞれの期間というのは訓示的規定であって強行規定でないということははっきりしているわけですから、やはりみんながスムーズに行なえるような期間を十分に置いて配慮していくべきだ。それが何よりの証拠にはそれ以外の補欠選挙はすべて私の知る限りにおいては一週間以上二週間たって通知をされているという実態が——ここでこまかく例を言いませんけれども、そういうことが現在まで行なわれている自治省の地元選管との話し合いにおけるやり方である。いまの話を聞いていると、どうもやはり地元の選管としては延ばしてほしいといったけれども、そういうことを考えて押しつけたというふうにとられるわけであって、こういうやり方はまさに政治的だといわれる非難を招くゆえんになる。大臣がいかに政治的でないといわれても、政党サイドからいえばもう少し余裕を持ってやるべきであるというふうに私は考えるし、地元の人たちはいまの答弁で納得はしないということだけは申し上げておいて、あと法律案の関連事項一つ、二つ質問さしていただきたいと思います。  在宅投票制度として巡回投票制度を採用すべきではなかったか。なぜかというと、選挙の公正の確保について、やはり投票管理人なり監視という立場において巡回投票制度のほうがすぐれている。これは非常に手数はたいへんだけれども、数はきまっておるわけでありますし、しかも不在者投票制度、今度の身障者の対象者を、一定限度の狭い範囲に限定しているのでありますから、巡回投票制度を採用すべきであったのではないかというのが一点。それからその次に、新聞折り込みを行なう場合の新聞というのは一体どういう基準で採択されるか。たとえば政党の機関紙「赤旗」、まことに失礼ですけれども、ああいう日刊紙に入れてくれともしいわれた場合に、折り込まれることになり得るのかどうか。政治的な意味でなしに法律的にですよ。そういうことも起こり得るのか。新聞折り込みと書いてあるその新聞趣旨ですね。これは一体どういうふうに考えるかということを聞きたいのと、適当な場所に置くということがありますが、適当な場所というのはどういう場所をいわれるかというこの二点をひとつお伺いしたいと思います。
  38. 土屋佳照

    土屋政府委員 在宅投票制度考えました場合に、私どもといたしましても、公正を確保するという見地からいろいろな方法を考えたわけでございます。社会党案にもございますように、巡回投票制度ということも一つ考え方ではございましょう。選挙の公正確保という点ではすぐれた面もあると思うわけでございます。いろいろそういった点も考慮したわけでございますけれども、その点につきましては短い選挙の期間でございますので、その間に非常に事務が集中して、多忙な選挙管理委員会の職員できわめて多数の該当者を対象に巡回投票制度というものを実施するということは、非常に困難であるということが一つでございます。またその場合にそれでは他部局の職員の応援を求めたらどうだ、あるいはまた民間人を起用したらどうであろうかといったよう意見も出るだろうと思うわけでございますけれども、他部局の職員を非常にたくさん応援を求めるということも、他の日常業務に支障を来たすということも懸念があるわけでございますし、そういった点からなかなかたくさんの応援を求めることはむずかしい。そしてまた選挙事務の性格上、複雑でまた厳正な手続に十分習熟していなければならないといったことが要請されるわけでございます。それとまた民間人を起用するというようなことを考えましても、非常に公正中立の立場でなければならないということもこれまた要請されるところであろうかと思うのでございます。そういった点から見て、なかなかこういった時期に多くの人を集めることもむずかしいという点がございます。特に多数の対象者を有します大都市、たとえばいつも例に出るわけでございますけれども人口七十万をこえておりますような世田谷区とか大田区といったようなところでは、身体障害者だけでも八百人ぐらいおる、あるいはまた寝たきり老人等加えれば二千人ぐらいおるというようなことでございまして、こういった都会では、管理者と立ち会い人を最低三人以上のチームで編成をいたしましても、一日に回れる数が非常に限定される状況でございまして、これは世田谷区の担当者あたりからも聞いたことでございますけれども、一日十五軒以上は回れないといったようなこと等も言っております。そういったことになりますと、非常に多くのそういった管理者あるいは立ち会い人をお願いしなければならないということになるわけでございますが、それがただいま申し上げましたような手続的に非常に選挙事務に習熟しておることとか、あるいは公正中立な人でなければならないといったような点等から考えまして、なかなか容易でないというふうに私ども判断をいたしたわけでございます。そのほかに、こまかい点でございますけれども、たとえば私ども鹿児島県の大島郡あたりの離島とかそういった事情等もいろいろ調べてみたわけでございますが、非常にこの制度をとることはむずかしいといったよう感じを受けたわけでございます。それからまた巡回いたします場合に、たとえばその途中でいろいろな事故等があった場合一体どうするんだろうか、巡回できないときは一体だれがほんとうにできなかったと判定するのかどうかといったような問題もございますし、また交通渋滞等で回れなかったとか運転手等の過失があったといったような事故が起こったら一体どうするのか、いろいろなこと等を考えてまいりますと、なかなかこの制度を直ちに採用することがいいというふうにも断定しかねたわけでございまして、外国の制度等も調べてみたのでございますけれども、外国は外国なりでやはり選挙人の居宅へ入るというようなことが問題があるのかどうか、そういったこと等からそういった制度をとっているところもございませんし、確かに社会党提案の巡回制度が公正確保という点ではすぐれた面がございますが、私ども実際上管理していくという立場から考えて、直ちにこれをとるということにはちょっと踏み切れなかった次第でございます。
  39. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 公正確保はだいじょうぶかという点。
  40. 土屋佳照

    土屋政府委員 公正確保という点につきましては、郵便投票制度ならそれでは十分それができるのかといったようなことになってくるわけでございますけれども、私どもとしては、先ほども申し上げましたけれども、対象者の範囲というものを公正を期することによりまして一つの不正というものは除かれる。先ほども申し上げたことでございますが、対象者を身体の障害等が公的にかつ客観的に証明され得る者に限定する、そういった点で過去見られたような不正は防げるんじゃないかというよう考えを持っておるわけでございます。そしてまた事前に証明書、いわゆる選挙証みたいなものでございますが、それを選挙人に交付をいたしまして、一定期間、選挙の際の投票用紙の請求度に添付をさせる、そういった公的な証明書というものもある。それから、かつて不正がございました同居の親族による代理請求とか代理提出ということは、これはもう認めないで、本人がみずから請求をし、そして本人に直接送って、直接本人が投票をする。投票をする際は本人が自書で行なうということで、代理記載ということも、これはまあ不正の原因になりますので、それも認めないというようなことを考え、それからまた、投票用紙の提出の段階で署名を求め、あるいは宣誓をさせるといったようなことを考えまして、不正投票を罰則によって担保する場合の証拠となるようなこともひとつ考えていくというようなことを考えております。  そのほかに、これは罰則をあまり言うのはおかしいのでありますが、罰則による担保というものもある程度厳正にしたいということを考えておりまして、それでもって、しからばもう絶対にそういう、他人がそれに介入することはないかと言われますと、その点はなかなか、絶対ないとは私自身言い切れませんけれども、そういったいろいろな方法を講ずることによりまして、私ども考えております郵便投票制度でもかなり公正に執行できるものというふうに確信をいたしておるわけでございます。  それから第二点は、選挙公報についての新聞折り込みの対象とする新聞というものは一体どういうものを考えておるのか、機関紙等も含まれるのかといったような御質問でございましたが、新聞折り込みをする場合にどういった新聞を対象とするかということは、これは最終的にはその地域の実情に一番明るい市町村選挙管理委員会が実情に応じて選択をする。そして都道府県選挙管理委員会が承認をしたところによってきまるということになるわけでございますが、一般的に申し上げますと、主として時事に関する報道を行なって国民各層に広く購読されておるよう新聞でございまして、その新聞が当該地域の有権者の世帯に対して相当数の個別配布がなされておる、そういったものが対象となるというふうに一応の目安を考えておるわけでございます。たとえば東京都その他の地方公共団体の広報紙あたりで新聞折り込み等をやっておるところがございますが、そういう点も調べてみますと、大体この時事に関する一般紙六紙を東京あたりでは採用しておるといったよう状況でございまして、それが大体九五%ぐらい世帯をカバーしておるというふうにも聞いております。そういったことでございますので、大体先ほど申し上げたような一般的な新聞考えております。  政党が発行する機関紙についてのお尋ねでございましたけれども、機関紙というのは、その性格上、当然のこととして、政治的な立場とかあるいはまた特定の候補者に対する支持関係ということを明らかにいたしまして報道、評論を掲載するということが、これはまあ通常であるわけでございます。したがいまして、各候補者を公平に取り扱うということを旨としておりますこの選挙公報の配布のための媒体としては必ずしも適当ではないんじゃないかというふうに考えておりまして、有権者に混乱を招くおそれもないわけではございませんので、選挙公報を折りたたむ新聞として採用すべきではないというふうに私ども考え、そのように指導をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。  それから補完措置としてはどういうものが考えられるかということで、特に配布をする場合にどういったところに置いておくかということでございますが、私どもとしては、いろいろな方法をあわせて補完措置を考えるわけでございますけれども、配布の例といたしましては、公衆の利用することが多い施設、たとえば市役所、市町村役場、あるいはその支所、出張所というところもございましょうし、それから公民館とかあるいは保健所等でもよろしいかと思いますが、そういった有権者が日常出入りするような、そして身辺なところにあるような、そういった場所を考えておりまして、そういうところに置いて、持っていってもらうというふうに考えております。
  41. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 そうすると、その新聞の基準ですね。いま東京都の場合は六紙と言われたわけですが、まあ選管にまかしてあるんだといえばそれまでですが、やはり自治省として法案を提案をしている以上、一定の基準なり、たとえば六紙は全部やるというふうに考えていくということであるのかどうか、そういう点の基準ですね。そういうものについての指導なりあるいは考え方というものを通牒、通達等やその他で指示されるかどうか、そういう点はどういうふうに考えておりますか。
  42. 土屋佳照

    土屋政府委員 せっかくできた制度が無用に混乱を招いても困りますので、ただいまもお話がございましたように、私どもとしては一応の基準というものを考えて、それをもとにして指導をいたしていきたいというふうに考えております。ただ、六紙に限るとかどうとかということは、これはそれぞれの地元によりまして、地方紙で有力なカバレージを持ったものもございましょうし、いろいろなこともございますので、その点特定の新聞名を一々あげるというわけにもまいりますまいけれども考え方としてはさっき申し上げたようなことでございます。
  43. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 場所的な基準をぼくはちょっと言うているんです。たとえば市区町村でしょうから、区なら全部、何々区というのは全部その新聞折り込みでいくというふうにいくのか、その区の中の何々町のその部分というふうな基準を出すのか、そういう市区町村単位なのか、そこらあたりの基準を……。
  44. 土屋佳照

    土屋政府委員 これはもう当然当該市町村の全体について単位として考えておるわけでございます。
  45. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 そうなると、新聞をとっていない家庭等はいまの補完措置だということだろうと思うのですが、非常にこれは問題が出てくるだろうと思うので、その点の運用その他十分に、欠落、問題点のないように、公報の配布が十分でないということによって選挙無効等のおそれがないように、十分これは配慮をしていただく。まだ法案の段階でありますけれども、成立をした段階で十分討議をし、地方の選管の意見も聞きながら万遺憾なきを期してもらうということを前提として質問を終わります。どうもありがとうございました。
  46. 福永健司

    福永委員長 津金佑近君。
  47. 津金佑近

    ○津金委員 今回政府から提案をされました公選法の一部改正案一つの重要な柱は、在宅投票制度の問題だと思うわけであります。この在宅投票制度を復活せよという問題は、わが党としても一貫して主張してきた問題でありまして、おそきに失したとはいえ、これが今度具体化される方向に向かって進んだということは一歩前進であるというふうに考えております。しかし現在出されておる政府案の中には、やはり幾つか解明をしなければならない問題点が含まれておるように思います。  この政府の案を見てみますると、先ほどの説明もありましたように、その対象者を主として身体に重度の障害を有する者というところにかなり限定をしておられるわけでありますが、現在のまず政府のこの方針でいきますと、現実に郵便による不在者投票の対象になり得る人員はどのくらいだというふうに推定されておられますか、まずそれからお伺いします。
  48. 土屋佳照

    土屋政府委員 身体障害者手帳に記載されておる障害の程度が、先ほども申し上げましたように下肢、体幹の障害では一、二級、あるいは心臓、呼吸器の機能障害にあっては一、三級というふうに限定をいたしますと、それに対応する数は約十万というふうに推定をいたしております。そのほかに戦傷病者手帳に記載されておる者でこれに対応するような方がおられるわけでございますが、これは重複もあろうかと思いますけれども、大体三千名程度であろうというふうに、これも推定をいたしておるわけでございます。
  49. 津金佑近

    ○津金委員 現在この対象者をどう認定するかという問題は一つの重要な問題だと思います。いま政府の答弁では、約十万ということでありますが、現在身障者全体が約百三十万といわれ、その中には歩ける人ももちろんおるわけでありますが、現実に歩行が困難な状況という人は決してそこにとどまらないというふうに、私は現実としてはそうだと思うのです。私はやはりこの選挙投票権というものは、これはもう言うまでもなく憲法によって保障された国民基本的な権利であり、主権者である国民が国政に参加する最大の機会でありますから、私はこの投票権を可能な限り保障するというのが議会制民主主義基本的な考え方だと思うのです。また憲法でいう法のもとでの平等という精神からいっても、私はやはりこの在宅投票の適用の範囲というものをもっと拡大する方向で考えなければならない、こういうふうに思うわけでありますが、今度いま選挙部長説明をされたようなものに限定した主たる根拠はどこに置いたわけですか。
  50. 土屋佳照

    土屋政府委員 選挙権を有しながら現実投票ができないという方ができるだけ投票ができるようにこれを拡充していくということは、基本的に私どもとしても考えておるところでございます。しかしながらこの制度は御承知ように昭和二十六年における統一選挙で非常に混乱を生じたことがあるわけでございますので、今後在宅投票制度を復活と申しますか、また設けるにいたしましても、そういった不正の起こらないように、公正の確保ということに非常に私どもとしては重点を置いて考えていこうということにいたしたわけでございます。安易に従来のような形でやって再び失敗でもするといったようなことでございますと、この制度自体についてのいろいろな評価というものがきまってくるというようなこともございまして、私どもこれは前進する以上は非常に確実に公正を確保できるといった点から前進をしていきたいというふうに考えた次第でございまして、そういった意味では従来の不正の行なわれた原因をいろいろ調べてみますと、医者の証明段階での不正とか、あるいはその投票用紙の請求段階での不正とか、あるいは投票を記載し投票する段階での不正とかいろいろ分かれておるわけでございますが、そういった全体の不正の状況を見まして、今回はやはりそれがある程度公正にと申しますか、公正にその認定ができるというところに限って出発することがいいのではないかと考えたわけでございます。そういったことから、確かにいまお話しのように、身体障害者だけではなくて一時的な歩行困難者という人も確かにこれは多いわけでございます。また寝たきり老人というような方もおられるわけでございます。そういったことも含めて私どもとしては慎重に検討したわけでございますけれども、傷病等によります一時的な歩行困難者を対象者といたしますと非常に多くの対象者となり、その認定は結果的にはこれは医師の認定、医師の診断等によらざるを得ないということになるわけでございますが、一時的歩行困難ということについての明確な基準というものもございませんし、また過去の経緯にかんがみまして、なかなか選挙の公正の確保ということについて自信が持ちにくいといったようなこと等もございました。また長期的歩行困難者のうちの寝たきり老人というもの、これも三十五万三千ぐらいということでございますけれども、これについては現行法令上あるいは制度上明確な統一的な基準がないし、また実態も十分握把されていないというよう状況でございます。そういったことで、公正な認定というものが期し得ないのじゃないかといったような心配も持っておるわけでございます。したがって、公正を確保するといった意味で、身体障害者手帳等、専門的な機関によって客観的に判定をされて公的に証明をされたものによって対象者を認定することが適当であるという判断をしたわけでございまして、先ほど申しましたような点から出発をいたしたいというふうに判断をいたしたわけでございます。もちろん寝たきり老人等でございましても、内臓疾患等では身体障害者手帳の交付を受けられるという人もおられるわけでございまして、そういう方とその面での救済はされるわけでございますけれども、全般的に一時的疾病とかあるいは寝たきり老人全般とかいったようなところまでは、今回は公正の確保という面から、検討はいたしましたけれども幅を広げなかった次第でございます。
  51. 津金佑近

    ○津金委員 確かに昭和二十五、六年の段階にいろいろな問題があったということはわれわれも承知しております。しかし、それからすでに二十数年の月日がたち、日本の議会制民主主義も紆余曲折を経ながらも国民の自覚もやはり高まってきている。そういう歴史的な経過というものを踏まえて、自治省も今度この在宅投票の復活に踏み切られたのだというふうに思うわけでありますが、私はやはり先ほど選挙部長説明されたいろいろな手続論、これを見ても非常にやや煩瑣過ぎるのではないかという感を率直にいって持つわけであります。現在の不在者投票制度、これはもちろん性格も違いますが、現在の不在者投票制度の実例から見ても非常にこれは簡素化の方向に行っているわけですね。必ずしも、出張するといっても、その出張する証明書のようなものは提示がなくとも、宣誓書の記載によって投票させるというふうに全体として簡素化の方向へ向かって進んでいると思うのです。そういう中で私は身障者という、しかも特に歩行困難というような困難のある人がこの選挙投票のために努力するというこの積極的な姿勢ですね、これをやはりわれわれとしては評価して、したがって身障者に、結果的には身障者だけにこういうきびしい条件が課せられていくのはやや平等を欠くのではないかという懸念を持つわけであります。もちろん選挙の公正を守るということは、これはもちろん重要でありまして、しかし現在の段階ではさらにこれに上回る選挙の公正を侵すさまざまの違反というのは選挙のたびに出てくるわけで、われわれはその問題を重視することはけっこうでありますが、そのことを、しかも二十六年前の問題を一面的に取り上げて、そうしてそのことによって国民投票権という基本的な権利を制限するというふうにいくのは私はやっぱりむしろ本末転倒ではないかという感じがするわけであります。   〔委員長退席、小山(省)委員長代理着席〕 そういう意味で私はやはり、いまあなたがいろいろ言われましたが、たとえば、疾病、負傷、妊娠その他、一時的な条件によって投票が困難である、しかし本人は投票を行なうという十分な意思を持っておるという、しかも本人の明確な宣誓ですね、そして先ほど医師の証明について前にいろいろ問題があったという点がありましたが、私はやはりそういった問題を含め最低限度の保障を確保した上でそういう人たちに対してもこの在宅投票の機会を与えるという方向に、この際さらにもう一歩進むべきではないかというふうに考えるわけでありますが、その点についてもう一度ちょっと基本的な御見解を承っておきたいと思います。
  52. 土屋佳照

    土屋政府委員 基本的な考えといたしましては私どもも、選挙権を有しておりながら投票ができないという方が多くあるということは、これはできるだけ解消していくという方向であるべきであるというふうに考えておるわけでございます。ただ、もちろん昭和二十六年でございますから、かなり過去のことではございますけれども、なかなかこの選挙となりますと選挙戦がはなやかでございまして、いろいろ選挙の公正を期するという点では私どもとしても神経を使って考えていかなければならないと思うわけでございまして、そういった意味でなるべく多くの方を対象に含むようにといういまの御指摘でございましたけれども、傷病等による一時的な歩行困難者を対象者とすることになりますと、なかなか認定ということが困難である。それは一々本人が医者の診断書をとって持ってくればいいじゃないかということにもなろうかと思いますけれども、一時的な歩行困難ということについていろいろな形態があるわけでございますから、明確な基準がないということもございますし、非常に多くの対象者ということになりますと、そこにはおのずからいろいろな事象も出てまいります。選挙の公正の確保ということについてこれという確信も持てないというようなこともございます。そういったこと等を考えまして、私どもとしては、まずその公正の確保をできる点から一歩前進をしたいというふうに考えておるわけでございまして、こういった制度の実施の状況等も見ながら、この制度自体をどうするかということは、将来とも十分検討すべき問題であろうというふうに考えておる次第でございます。   〔小山(省)委員長代理退席、委員長着席〕
  53. 津金佑近

    ○津金委員 選挙公報の配布に際して新聞折り込みという機会を特別の事情の場合は認めるということでありますが、この点について、この制度を採用した場合、現在行なわれている状況に比べてどのくらい実質的な改善が見込まれるのか。たとえば東京都なら東京都の場合、要するにいままででは配り残しがあるからこの方法を採用することによってカバーしよう、こういう趣旨でしょう。それは現実に特に大都市なんかの場合にこういった問題が起こりがちでありますが、そのとき、この新聞折り込みという方法を採用することによって、現実選挙公報の配布率というものはどのくらい改善されるか、どういう見通しを持っておられますか。
  54. 土屋佳照

    土屋政府委員 今回の特例を設けましたのは、先ほどもちょっと私お答えしたわけでございますけれども、大都市あるいはその周辺部のような非常に急激な人口増加とか、人口流動の激化とか、あるいは居住態様が非常に複雑になっておるといったようなそういった状況のところにおきましては、従来のような配布方法をとることが非常に困難となっておる。いままでの現行法では、各世帯に配布しなければならないのだというふうな解釈になっておるわけでございまして、そういった意味で厳密に解釈をいたしますならば、そういったただいま申し上げたよう地域で配布がむずかしくなってきたということになりますと、若干それは瑕疵があるのだということになってくるわけでございまして、そういった状況が現在、たとえば東京都の例でどの程度現在の状況で配布されておるかということは、私ども正確な数はつかんでおりませんが、九〇%はこえておるだろうというふうに考えておるわけでございます。  今回改正をお願いいたしております特例によりますとどうなるかということでございますけれども、通常東京都あたりで公報紙を新聞に折り込んでやっておる場合に使っております一般の六紙あたりで、大体九五%はそれでカバーしておるというようなことでございます。それに加えまして、先ほど御説明申し上げましたように、いろいろな住民が常に出入りできる身近なところに公報を置いておいて、そして自由に持っていっていただくというような方法とか、あるいは、まあその市町村によってやり方が違うでございましょうけれども新聞をとっていないような家庭にはあらかじめ職員で配布をするとか、あるいは申し出があれば配ってやるとかいったようなこと等、いろいろ組み合わせてやっていきますと、それを上回るということになりますので、そういった点では従来よりはいろいろな点でメリットが出てくるであろうというふうに私どもとしては考えておるわけでございます。
  55. 津金佑近

    ○津金委員 新聞折り込みによって従来の点がある程度補強されるということは私どもも理解できるわけでありますが、やはりこの問題の一番大きな点は、新聞を採用した場合に、御承知ように、東京でいえばいわゆる六紙というふうなものを対象として考えたときに、一部の人たちは、われわれもそうでありますけれども新聞をたくさん読んでいる人間に対しては何枚も入ってくる、しかし、新聞を読んでない者には一枚も来ない。あるところでは三枚も四枚も入ってきて、あるところでは入ってこない、こういうことが起こるのですね。これはやはり非常に——たくさん来てはいけないという規則はないから、三枚いったから違反だということはないと思うけれども、結果的には一部のところには重複していき、そしてある人に対しては新聞をとっていないという理由だけで来ない、こういうところに一つの大きな問題があると思うのですね。  そこであなたのおっしゃる補助処置という問題が出るわけなんすが、これも新聞をとっていないところには配るといってもなかなかいろいろ技術的にむずかしい問題も出てくると思う。そこで、いま言ったいろいろな機関に、たとえば区の出張所その他に置いておくという処置をとられることをあなた方は言っておられるわけですが、これはかなり思い切って手広くそういう処置をとるということをやりませんと、いま言った点から見て非常に問題が起こるように私は思います。先ほどあなたは世田谷の例をあげてほかの問題について説明をされましたけれども、世田谷の場合は区の出先機関だけでは約四十六カ所なんですね。ところが世田谷は広いですから、八十八カ所投票所がある。投票所の半分しか区の出先機関がないということになりますと、相当やったようでも、結果としてはかなり限られたものになってしまって、しかも相当歩かなければとりに行けないというようなことにもなりますから、たとえばいわゆる地方自治体の出先機関だけではなくて、その他の公的機関、たとえば郵便局のようなものが適当かどうか、いろいろあると思いますが、そういうことについてかなり思い切った処置をおとりになることがこの際必要だというふうに思いますが、その点についてどういう方向でそれを検討されておるか、その点だけちょっとお伺いしておきたい。
  56. 土屋佳照

    土屋政府委員 この補完制度というのは、もちろんただいま御指摘よう新聞をとっていないところになるべくそれがカバーできるようにということで、わざわざ法律で規定しておるわけでございますので、できるだけこれは行き渡るようなことを頭に置いて措置していかなければならないというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、先ほどの単に出先とかそういうところに置いておくだけではなくて、生活保護世帯とかあるいは指定病院とかそういうようなところには配布するといったようなこととか、そういったことをいろいろと組み合わせてやるわけでございますけれども、私どもこの点については、東京都あたりがやりたいという希望もあるわけでございまして、かなりいろいろと詳しくそういったやり方については相談もし聞いておるわけでございます。自治体のみならず他の国あたりの公的機関ということも御指摘がございましたけれども、そういったこと等も含めていろいろ検討されておるようでございますけれども東京都としては大体私ども考えておるような方法でまずかなりいけるのじゃないかというよう考えをとっておられるようでございます。だから、実態をよく知っておるところでございますから、よく区と都との間で相談もしてもらい、また私どもも相談に乗って十分検討していきたい。と申しますのは、私どもこの特例をつくりましても、これは非常に特定のところでございまして、一般的に各世帯に従来の方法で配布できるところは、当然それがまんべんなく行き渡るという一つの組織を持っておるわけでございますから、それはそれでやってもらうということでございまして、東京みたいなあるいはまたその他の大都市地域がこういうところは多いと思います。そういった点は、ただいまの御趣旨はごもっともでございます。そういった点で、実態に応じたやり方を十分検討していきたいというふうに考えております。
  57. 津金佑近

    ○津金委員 なおこの機会に、これは前回政府にも強く要望しておった点でありますが、この際在宅投票制度基本的に復活の方向に向かっていく、そういう中で、前回委員会においても政府考えをただしたわけでありますが、私は、やはりこの際もう一歩足を踏み出して、前から関係者から強い要望が提出されております、特に視力障害者の要望である点字公報の発行の問題です。これは前回政府も前向きに検討されるという趣旨の答弁をされたわけでありますが、これに対する要望もますます強くなってきておるわけでありまして、そういう意味ではこの際決断をもってこの点字公報の発行に向かってやはり踏み切られるべきではなかろうかというふうに思います。いろいろ困難もありますが、私は、そう基本的障害はないのではないか、この際自治省側でこの問題に関する積極的な姿勢を貫くことによってこれは可能だと思うわけでありますが、この点についてもう一歩自治省としての突っ込んだ所信あるいは見通しがあればお伺いいたしたい、こういうふうに思います。
  58. 土屋佳照

    土屋政府委員 点字公報についての御要望がいろいろあることは私も承知しておるわけでございますが、現在公報については点字のものは法律制度上認められていないわけでございまして、そのために一応点字につきましては、たとえば従来でございますと「点字毎日」といったようなこと等で経歴、氏名、そういったことを載せておるものがございます。それをお配りをする、あるいはそれを見てもらうというふうになっておるわけでございます。しかしながら、点字公報という制度化するということになりますと、これはかなりな技術というものも要します。少しあやまちがあっても非常に問題を起こすものでございますから、これは非常に慎重でなければならないと思っておるわけでございます。こういったものが全国一律に制度化した場合にうまくいくのかどうか、いろいろなむずかしい問題がございますので、御要望の筋は私関係団体からも聞いておるわけでございますけれども、いまここで直ちにそれじゃそういう制度にいつどうするということはなかなか申し上げかねるわけでございまして、なおそういった全般的な事情というものをひとつ検討さしていただきたいと思っておるわけでございます。
  59. 津金佑近

    ○津金委員 その問題についてはぜひ政府が関係者の強い要望にこたえて積極的な努力をされることを強く要望しておきたいというふうに思います。  なお、時間の関係がありますから、私はこの際この問題に関連して、前回委員会において問題になりました言論文書による選挙活動の自由化あるいはそのあり方をめぐって、政党機関紙の問題について町村自治大臣政府としての考え方を述べておられるわけでありますが、その問題について若干質問をしておきたいというよう考えるわけであります。  一般的にいって、これはもう言うまでもないことでありますが、言論出版の自由さらに政治活動の自由というのは議会制民主主義の根幹をなすものでありまして、政党の機関紙などによる政治宣伝の自由というものを完全に保障する、これは当然なことであります。そういう中で今日言論文書などによる選挙活動の自由化という方向がいまやはり一つの大きな時代の大勢になりつつあるというふうに私は考えるわけでありますが、まずこうした点についての政府としての基本的な認識、この問題をまず最初にお伺いをしておきたいと思うのです。
  60. 町村金五

    町村国務大臣 言論出版の自由が確保されなければならぬということは民主主義基本をなすものであることは言うまでもございません。したがって、選挙に際しましても言論出版の自由というものが保障されなければならぬということは、私ども基本的には全く異存のないところでございます。
  61. 津金佑近

    ○津金委員 その問題と関連をいたしまして、自治省は昭和四十六年三月十七日に、自治省通達で各都道府県選挙管理委員会あてに、自治省選挙課長通知というもので機関紙の通常の方法での配布の形態について指示を出しておられるわけでありますが、基本的にどういう内容のものか、もう一度ちょっと確認をしておきたいと思います。
  62. 土屋佳照

    土屋政府委員 ただいま御指摘ように、四十六年に機関紙の頒布について通常の方法で頒布するということについて通知をいたしておるわけでございますけれども、これはいろいろな方法が考えられるが、一つは無差別に新聞折り込みの方法で頒布することはどうかということでございますが、その点については「社会通念上機関紙の通常の頒布方法とは認められない。」それから郵送による頒布とか各戸別に頒布をするとか街頭で通行人に頒布をするということにつきましては「当該機関紙が従来から行なっている頒布方法である場合には、従来の頒布の限度で頒布することができる。」といったような形で指示をしておるわけでございます。ただ、ここに示されておりますことの趣旨は、御承知ように社会通念上新聞あるいは機関紙というものは基本的にいわゆる有償性、それが直接対価をとって売るとかどうとかということのみならず、党費を納めておる党員に対して配るといったようなこと等もさすわけでございますが、そういった有償性を有するということがその新聞なり機関紙を存続させていく上から要請をされておるものと考えられるわけでございます。したがって、有償性が確保されていない、全く度外視されておる程度までに無差別に無償頒布されるということを常態とすることは通常あり得ないのではないかと考えられるわけでございまして、ここに、無差別に新聞に折り込んで頒布するということはそもそも有償性それ自体を否定するような形のものでございますから、それはどうも社会通念上通常の頒布方法とは考えられない、そういった形での機関紙の頒布の方法は考えられない、こう答えておるわけでございます。  それ以外の方法というものは、そういった有償性ということを頭に置いた上で、配布の方法として、各戸別にそういった購読者のうちに配るとか、あるいは街頭で頒布をするといったようなこと等も含めて、そういう形のものはあり得るであろうということで、従来から行なっておる頒布方法である場合には従来の頒布の限度で頒布することができるのだ、こういうふうに答えておるわけでございます。  そうであるからといって、それじゃ無償の場合は一切だめかということになるわけでございますが、必ずしもそうとは誓えないわけでございまして、有償性を確保しながら、たまたまPR用に新聞折り込みの頒布とかあるいは各戸配布とか街頭配布ということがなされるということでございますと、それは有償性のたてまえが確保されるような通常の新聞の頒布形態を前提として許容されるというふうに考えられるという趣旨でこういった回答を出しておるわけでございます。
  63. 津金佑近

    ○津金委員 機関紙が基本的に有償性のたてまえをとるということはあたりまえのことなんです。慈善事業でやっているわけじゃないのですから。しかし、同時に、それをたてまえにしながら、機関紙が場合によっては無償の配布を行ない、ある意味ではそういう不特定多数を対象とする宣伝活動をやるということは、それは機関紙の多面的な活動として当然あり得ることで、これはどこもやっているわけです。そういう中で、そういうものの一つ考え方として、この通達では、郵送配布あるいは各戸配布、街頭配布という問題については当該機関紙が従来行なっている頒布方法である場合には、従来の限度でこれはやることができるのだということを問い答えの中ではっきり書かれているわけですね。ですからこの点については私はやはりきわめてはっきりここにあなた方の考え方が述べられているというふうに思うわけであります。  ところが、三月二十七日の本委員会において町村自治大臣は、政党機関紙あるいは号外の配布について各党とも通常の頒布を越えているのではないかという質問に対して、十分それは私どもも認めているところだ、こういう趣旨の答弁をしているわけでありますけれども、どういう事実に基づいて、各党と言っておられますが、どこの党のことをこれは言っておられるのですか、お伺いいたします。
  64. 町村金五

    町村国務大臣 先般私この公選法の特別委員会の某議員の御質問に対してお答えを申し上げたことについてのただいま御指摘でございます。先ほど来選挙部長からお答えを申し上げておるとおりでございますが、最近の選挙の場合、特にきわめて激しい選挙の場合におきましては、政党の機関紙が、社会通念的と申しましょうか、常識的に見まして、通常の発行あるいは通常の配布というものを越えた、かなり過度にわたってそういった活動が行なわれておる面があるということを私はお答え申し上げたつもりなのでございます。
  65. 津金佑近

    ○津金委員 何か非常にはっきりしない答弁でありますが、この問題については、先ほど私が言いましたように、また議事録を見ても、十分認めるところだ、あなたはこういうことを言い、そして将来こういうものを規制する方向でいろいろ検討中であるというふうにとれる答弁をしているわけでありますが、私が先ほど申し上げた政党政治活動の自由というものは、今日議会制民主主義の根幹にかかわる基本問題であり、これを守るということの重要性をあなたも認識され、同時にこういう問題の一つ自治省としての考え方として、従来行なっている頒布方法であれば、その限度でこれを行なうことは差しつかえないという通知を自治省として出しているわけでありますから、やはりそうした問題についてはもっと具体的事実をよく調べて発言をされるべきだと思うわけであります。いまの答弁は、一般論として言われただけであって、特にそういう具体的事実を調査された上で言われたのではない、こういう意味ですか。
  66. 町村金五

    町村国務大臣 私は特に自治省として具体的にいろいろな問題を調査した結果についてお答えを申し上げたわけではございません。ただ、先ほどもちょっと申し上げましたが、最近のきわめて激しい選挙の場合におきましては、いわゆる政党機関紙としては、常識的に考えてみまして、通常の頒布の方法というものをかなり越えており、著しく過度にわたっておるというようなものが現実に存在した場合もあり得た。この問題をこのままにしておくべきではないといったような一部の強い御意見もあるということは私十分承知しておるところでございまして、自治省通達に基づきました常識的な線で行なわれておる限りにおきましては、私どもはこれにあえて特別な措置を講ずるというよう考えはございませんけれども、さらにこれが過度になり、一般的な常識の範囲を非常に逸脱するという場合におきまして、このままに放置しておいていいのかどうかということについては十分検討の必要があるのではないかというよう考えておるところでございます。
  67. 津金佑近

    ○津金委員 各党が選挙にあたってどのような宣伝活動を行なうかということは、それはそれぞれ各党の自由にかかわる問題ですから、私はあえて他党の問題についてとやかく申そうという気はさらさらないわけであります。しかし少なくとも私どもの党の機関紙である赤旗及びその赤旗の号外について申し上げるならば、われわれは、こういう街頭における配布あるいは通称全戸配布というような呼び名で呼んでおりますが、各戸別の配布ということについては、私たちの場合は従来からこういう配布方法というものを採用して、そして日常的な党の宣伝活動を行なっておるということは、かなり広く知られている事実だというふうに私は思います。私どももそのことを常に主張してきているわけであります。そういう意味で言えば、先ほどの自治省通達、これは私ども必ずしもいいというふうに思っておりませんが、先ほどの自治省通達の線に照らしてみても、私ども選挙に際して行なっている政党号外の配布については、従来から行なっている配布方法の継続という形態でこれを進めておるわけでございます。  時間がありませんから、一々ここで申し上げかねますが、御疑問とあれば、私は昨年の二月より昨年の八月までの六カ月間にわたってわが党が相当広範な国民を対象として配った赤旗号外のとじ込みを持っておる。半年間にわれわれはその種のものを十二種にわたって出しておるわけだ。日常的にやっておるのであって、選挙のときになって突如としてそういうものがあらわれてくるというのではないのであります。そういう事実をあなたはよく調査された上で——あたかもすべての党がそういう常識を逸するようなことをやっておるということを十分認め、しかもあなたは表現はたいへん慎重な答弁をされておることは認めますけれども、最終的には規制する方向で検討するという趣旨の答弁をされているのは、やはり認識において事実と異なっておるし、またあなたがお出しになった自治省通達の内容から見ても、それは事実に反するものだというふうに思うので、ひとつこれは訂正していただきたい、こういうふうに私は思います。いかがでしょうか。そうでないと言うならば、もっと明快な事実に基づく調査の上で責任ある発言をしていただきたい。
  68. 町村金五

    町村国務大臣 先ほど来お答えを申し上げたところでございまして、私どもは、自治省通達の方針と申しましょうか、これに著しく常識的に逸脱をするというようなものでなければ、あえてこれを取り締まろうというよう考えはございません。ただ、こういった私どものいわゆる自治省通達というものの考え方に著しく逸脱をしておるというようなものが、今日選挙の公正を確保していく上において許されるかどうかという問題があり得るわけでございます。したがって、そういった点を私は念頭に置いてお答えを申し上げたのでございまして、今後この問題につきましてはさらにひとつ十分検討をいたしていきたい、こう考えておるところでございます。
  69. 津金佑近

    ○津金委員 大臣も、自治省通達の範囲を著しく逸脱していないものについて、これを押える気持ちはないということをいま言っておられましたが、私も抽象的な議論をあなたとしてもしかたがないので、私どもは私どもの過去の具体的な事実に即して、必要な資料もここに持ってあなたの認識を問うておるわけですから、私どもは、他党の問題はいざ知らず、少なくとも赤旗が行なっているこの号外の配布については、以上申し上げたような認識と事実に基づいて行なっているのだということをこの際ひとつはっきりあなたも御認識いただきたいというふうに思うわけであります。しかもこの種のことは、さっき申したように、選挙の自由という民主主義基本にかかわる問題ですから、こういうものを軽々に誤解を招くような発言を行なわれるということは、やはり軽率のそしりを免れないというふうに思うわけであります。ましてや前回の答弁の中で、大臣は、ビラ公害だというよう意見が一部にあり、相当な規制を講ずべきだという意見があるが、全体としてはこの方向で検討しつつあるよう趣旨にもとれる発言をしておられるわけで、そういう点については事実に即した態度で対処されることを強く要求しておきたいというふうに私は考えるわけであります。  そしてなおこの問題と関連して、さらに一言申し上げておきますが、こうした政党機関紙による号外の配布というものが、選挙に際して、あなたは盛んに公正を欠くのではないかということのきらいを述べておるわけでありますが、少なくとも現在まで行なわれてきた選挙の実績というものを見た場合、たとえば昭和四十八年の七月に行なわれました東京都議会選挙の結果について、東京選挙管理委員会選挙管理委員会として第三者の立場でこれに対する世論調査を行ない、一つの調査結果を発表しておるわけでありますが、その中に、候補者の政策あるいは名前その他を知るのに役立ったものがあったらそれにしるしをつけろという調査を行ない、その結果を見てみると、政党の機関紙、ビラ、パンフレットというものが非常に多数第一位の結果を示しているわけであります。これが全体の二九%を占め、次いで第二に候補者のポスターが二二%、公営ポスター掲示の一六%、新聞広告一五%、こういうふうな数字が出ておるわけであります。これは、選挙管理委員会が選管の立場として行なった、一応第三者の立場に立った調査でありますが、その結果から見ても、こういう政党本来の政策宣伝活動というものが、主権者である国民の選択の判断に大きな貢献をしているということが、この調査の結果からも明からに出ておるわけであります。  さらにまた、多くを語りませんが、昭和四十五年六月の京都の府知事選挙に際して、参議院の公選特別委員会の実情調査報告というものが発表されておりますが、それを見ても、当時もこの京都の選挙をめぐってさまざまな議論があったわけでありますが、この超党派の立場で行なわれた公選特別委員会の調査結果を見ても、「今回の選挙においては、その性格が開放的で、買収、供応などは一件もなく、有権者の自覚を高め、政治意識を向上させた点も事実」であったということもその報告書は述べておるわけであります。やはりそういう事実というものに照らしてみても、今日この問題をビラ公害だというふうな一面的な判断によって規制するということは、先ほど申した選挙基本的なあり方からいって、私は大きな問題を含むものだというふうに考えるわけでありますが、そういう点に立ってこの問題を検討されるおつもりがあるかどうか、重ねて大事な問題ですからお伺いしておきたいと思います。
  70. 町村金五

    町村国務大臣 先ほど来たびたびお答えを申し上げておるとおりでありまして、私としては、やはり選挙において最も重要なことは、言論の自由が完全に守られなければならぬ、そういう立場に立ち、一面選挙の公正も確保されなければならないという立場に立って、そういった基本立場に立って、ひとつこれらの問題には対処してまいるべきだという基本的な考えで進んでまいりたいと考えております。
  71. 津金佑近

    ○津金委員 ではそのことと関連をして、私は各党が選挙に際してどのような方法で、また何を訴えて自分の党に対する支持を得るかということは、それは各党の考え方に即して法律の範囲内でやるべき問題だと思います。したがって、こういう政党政治活動の自由にかかわる基本的な問題を、それぞれの党に有利か不利かという観点からだけで見るということは、私は本末転倒の議論ではなかろうかというふうに考えるわけです。  そういう意味で、言論、文書による選挙活動の自由を完全に保障する、そして正々堂々たる政策論争を通じて国民判断を得る、こういう方向こそが政党政治の正しい発展に通ずるというふうに私は確信するわけでありますけれども、この点についての御所見を一応お伺いしておきたいと思います。
  72. 町村金五

    町村国務大臣 その点については、私も全く同様の所見でございます。
  73. 津金佑近

    ○津金委員 それでは、時間もありませんので最後に、現在選挙の公正を欠くということの一つ理由にこの問題が取り上げられたわけでありますけれども、私は、現在選挙の公正を侵している最大の問題は、選挙のたびごとに行なわれるいわゆる買収事犯による選挙違反、これがその最たるものだというふうに思うわけであります。  しかも、これは江崎前自治大臣のときにも申し上げたことでありますけれども、昭和四十七年十二月に行なわれました衆議院選挙においては、この買収事犯がその前の選挙に比して四割も激増するという結果が生じておるわけであります。近く行なわれる参議院選挙において、また今後の選挙において、こうした傾向が助長するということは、これこそまさに政党政治の正しい発展、選挙の公正という点からも最も憂えるべきであって、私どもはまず何よりもこういう問題を規制するために政府が全力をあげるのが筋道だというふうに考えるわけでありますが、こうした憂慮すべき状況前回衆議院選挙を機にふえているという事態の中で、やはり参議院選挙を前にして、こういうものをまっ先に規制すべきであり、そのために政府自治省としてはどのような対策をいま考えておられるか、この点をあわせてお伺いしておきたいと思います。
  74. 町村金五

    町村国務大臣 選挙の公正が確保されなければならぬということは、私は選挙の厳正な施行の上において一番大事なことだ、かよう考えておるところでございます。  ただいま御指摘のございました選挙における買収ということは、選挙の公正を乱るものであることは言うまでもございません。したがって、警察当局といたしましては、すでに選挙の近づいてまいりました今日でありますので、特にその関係者を招致いたしまして、買収事犯等についてはひとつ厳正な態度をもって臨むように指示をいたしておるところでございます。この方針を今後とも貫いて願いりたいと考えております。
  75. 津金佑近

    ○津金委員 以上で終わります。
  76. 福永健司

    福永委員長 小沢貞孝君。
  77. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 簡単に質問をいたしたいと思います。  郵便による不在者投票制度が新しくできたのですが、従来の公選法四十八条には、文盲や字の書けない人を代理で書かせる代理投票制度があるわけであります。したがって、新しい制度によって、郵便で投票する道を開いたことは私はけっこうなことだと思いますが、そういう中には、四十八条で規定するような代理投票をやってもらわなければならないような人がいるのではないかと思います。これはたいへん事務的にややこしいことになるのですが、どういうようにやるのでしょう。
  78. 土屋佳照

    土屋政府委員 現在ございます不在者投票の中での代理投票は、これは不在者投票管理者がおるところ、あるいはまた一般の投票所におきまして代理投票をやります場合も、管理者がおるもとで、二人の立ち会い人のもとに、一人がかわりに書いて一人がこれを監視するという形で、厳重な管理のもとで行なわれるわけでございます。  今回のいわゆる在宅投票、郵便投票制度を持ち込みました場合に、家庭内で書かれるわけでございますから、そういった場合には、そういった代理投票を認めるということになりますと、なかなかむずかしい問題を生ずる。はたして本人の正式の意思に基づいて代理をして書いたのか、あるいはかってに他人が書いたのか、そこらに非常にむずかしい問題がございますので、今回の在宅投票制度の場合は、自書主義ということを私どもとしては前提にしておる次第でございます。
  79. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 そうすると、せっかく十万人もの道を開いても、今度の制度は家庭だか家屋を投票所とみなすような形で郵便投票をやるようなものですが、代理投票制度を認められないということになると救済できない人がだいぶ出てくるんじゃないか、こう思います。がしかし、これは管理のことがたいへんむずかしいからいまのような方法よりしかたがないかとも思いますが、できるならばせっかく道を開いたんだから、四十八条の代理投票制度の道を開くことが望ましいのじゃないか、こういうようにこれは要望だけしておきたいと思います。  次に、たとえば宿泊費が今度二千円が四千円になる、弁当料が二百円が三百円になる、こういうように今度の改正で行なわれるわけですが、そうなった場合に、百九十四条でいうむずかしい計算によって、参議院全国区は一人当たり何百万になる——これはストレートできめるわけかな。衆議院の場合には一人当たり法定選挙費用はどのくらいになる、こういうように政令ですか何ですか、計算をし直してきめるわけですが、それはいつどういうようにきまるわけでしょう。
  80. 土屋佳照

    土屋政府委員 ただいまお話がございましたように、選挙運動の支出制限額ということは政令できめることになっておるわけでございます。しかし、その根拠になります非常に大きな部分でございます選挙運動員及び労務者に対して支給することができる実費弁償の額あるいは報酬の基準額の引き上げをいたしておるわけでございます。宿泊料とか弁当料とかということを引き上げるということにされておるわけでございます。そういうことをいたしますと、必然的に選挙運動の支出制限額というものも改定をしなければならないと思っておりますので、この法律が施行されると同じ時期に間に合うように政令の整備をいたしたいというふうに考えております。
  81. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 従来全国区は八百五十万、今度はこれでやると一体幾らになるでしょう、それが一つ衆議院のほうは、八円かける定数分の有権者プラス何とかと、こう計算になっておったが、大体の見当としてどういうようなことになるでしょうか。その二つ。
  82. 土屋佳照

    土屋政府委員 まだ最終的に成案を得ていないわけでございますけれども、私どもいままでの積算の大体の見込みを申し上げますと、参議院の全国区については現在八百五十万ということになっておりますが、これが倍をちょっとこえまして千八百万程度になるというふうに見込んでおります。それから衆議院議員参議院地方区につきましては、ぴったりした数は申し上げにくいわけでございますが、それぞれの選挙区によって違うわけでございますけれども、おおむね現在の二倍程度になる、二倍前後であるというふうに御認識をいただいたらと考えております。
  83. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 それでは、若干この改正とは違いますけれども、先ほど佐藤議員質問にもありましたが、私はやはり定数はすみやかに是正をしなければならない、こう思います。今度の最高裁判決等は、たとえば鳥取と神奈川が一対五・〇九の開きがある、しかしこれは立法府でやることだ、こういうように逃げているようでありますが、いまも自治省からその後の人口の動きを調べてもらったところ、神奈川はさらに人口がふえているわけであります。昭和四十五年のときの国勢調査によれば、神奈川が五百四十七万二千人、いまそこでお聞きしたわけですが、四十八年三月三十一日の住民基本台帳に載っかっておる神奈川の人口は五百九十三万八千人、もう一年たったから、今日においてはおそらく六百万をこえていると思います。だから、六百万を今日においてすでにこえているということになれば、五年前のときに一対五・〇九、こういう開きであったものはすでにもう一対六ぐらいにまで拡大しておるのではなかろうか、こういうふうに想像できるわけであります。六百万をこえていると思います。そういうことになると、これはすみやかに立法府で何とかしなければならない段階にもはや来ていると思う。定数是正については、前回質問の終わりごろ私若干申し上げたが、衆参一体でなければならないし、参議院定数をふやしていく、こういうようなことについてはどの党派といえども異議のあろうはずがなかろう、こういうよう考えるわけです。これだけ拡大していくものをこれは政府もほっておくわけにいかぬ、こういうよう考えますが、どうでしょうか。衆議院のほうはあとで質問するとして、参議院はすみやかにこういう事態を是正するように今度の選挙から始めていかなければならない。またそうでなければ、神奈川だとか東京都の住民からおそらく訴訟が出てくるのではないか、こう思います。大臣どうでしょう。
  84. 町村金五

    町村国務大臣 先ほどもお答えを申し上げたとおりでございますが、最近大都市を中心として人口の急激な集中が依然として続いておる。最近東京は今度は人口が少しずつ減るというような傾向が出ているそうでございますけれども、神奈川県あるいは埼玉県、千葉県というようなところはかなり人口の集中化がなお進んでおるということは御指摘のとおりでございます。したがって当初、現在の定数別表ができたときに比べてみますると、かなり大きな人口の違いが出てきておるのでありまして、御指摘のございました鳥取県と対比した場合におきましてはそこに非常な不均衡が出てきておるということは、これはまさに御指摘のとおりでございます。したがって、これをこのままに放置しておくということは適当でないということは、もうあらためて申し上げるまでもないところでございます。  ただ、しかし、先ほどもお答えを申し上げたのでありますが、これはどういうふうに是正をしていくか。先ほど参議院定数だけをまずこの際是正したらどうかという御指摘も確かに私は有力な御意見だというふうに伺っておるわけではございますけれども、しかし何と申しましてもこういった問題は、衆参両院を通じてその合理化をはかるということがこれは当然私はやらなければならぬことだと思うのでございまして、したがって今日の場合、ことしの参議院選挙に間に合わせるために、参議院定数をこの際改定を加えるということは、実際問題としては私はとうてい時間的にも間に合うようなものではない、かよう考えるのでございまして、しかしいま申し上げたように、このままに放置しておいてよろしいというふうには私も考えておりません。ぜひこれは今後なるべく早い機会に改正されるようにできるだけの努力をしてまいるということは当然だ、かよう考えておるところでございます。
  85. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 私は一ぺんに大改革をやれということは不可能だと思うのです。第七次選挙制度審議会のあれは、答申でなくて報告だったか、その前のときだったと思いますが、昭和四十五年の国勢調査をもとにした地方区議員定数をバランスをとるために制度審議会においていろいろ検討したその資料の一つに、一億四百幾らの人口参議院地方区の百五十二人で割ってみると、一人当たり六十八万八千人、こういうことになっているわけです。これは人口別だけで選挙区の定数をきめるということについては、私も若干疑問を持つわけです。過疎地帯においては山あり災害あり、人口過密地帯については面積が少ないからというようないろいろのバランスがあるが、もし一億幾らの人口を百五十二人の地方区定数で割ってみると、六十八万八千人、これを東京都なり神奈川に当てはめてみるということになれば、東京都においては十六・五人にしなければいけない。神奈川においては七・九人、約八人にしなければならない、人口だけで単純に割ってみれば。これは制度審議会の中で百五十二人で割ってみたわけであります。配当基数をつくってみたわけであります。そういうことにすると、東京都はいま定員八名だから倍にしなければ、人口割でいえばいけない。神奈川は定員がいま四名ですから、八名にしなければならない、こういうことになるわけです。だから、これを放置しておいて——定数をふやすことは、各党そんなにむずかしいことではないと思う。それを、十六・五だから十七人だ、十六人だと一気にふやすことはたいへんだから、そこは妥当ないろいろな判断があって、いや東京都は十四名ふやしておけ。あるいは、私の私案によれば十二名ぐらいにふやしておけ、こう考えました。神奈川においても四名ですから、八名なのを中間をとって六名とか、そういう妥協はいろいろあろうと思いますが、ふやしていくことについて各党反対する理由はそうあるはずはない、こう思うわけです。これだけの開きをほうって今度の選挙を越していくことは、現自治大臣の重大な責任になろうかと思う。また裁判が起こってくる、こう思うわけです。どうでしょう。  その前に大臣、今度の選挙はいつ投票ですか。これはまだ政府が公にしてないような、七月七日七夕と日本じゅうみんな承知していますけれども、いつ一体投票日ですか。したがって、告示はいつになりますか。この機会にまずそれから聞かしていただきたいと思うのです。
  86. 町村金五

    町村国務大臣 いろいろいわれておるところでございますけれども政府としてはまだ日を明確にきめてはおりません。
  87. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 それで、まだ選挙がいつだかわからない、こういうことでまだ時間が十分ありそうですから、いま申し上げた、東京都は十六人ぐらいが妥当、神奈川は八人が妥当、こういう数字が出ております。これは全部ふやせとはいいません。これは大臣がやろうとすればできることであります。
  88. 町村金五

    町村国務大臣 先ほど私、明確にきめていないと申し上げたのでありますが、御承知よう国会が三十五日延長をされたわけでございます。そこで、現在の法のたてまえから申しますと、どうしても選挙は七月四日から七月八日までの間に行なわなければならぬということだけは明瞭になっておるわけでございます。したがって、その間にいつの日をきめるかということがこれからの問題であります。  そこで、投票日の大かたの見当はそれでおつきになるわけでございますが、御承知のとおり、かりに七月七日ということになりますれば、告示は六月の十四日ということになるだろう。そうなりますれば、いま小沢委員によりますれば、まだ十分目があるではないか、こう言われますけれども、実際問題として、私今度はそういう段取りにしてまいることはほとんど不可能ではないかと考えます。
  89. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 不可能だという理由も私はよく理解ができないわけです。ふえていくことについて、しかも大ぜいふえていくことなんだから、どこの党といえどもそう反対する向きはないと思いますから、これはさらに御検討いただくとして、定数をふやしたり減らしたりすることについては大臣の権限でできるのか。何か区割り委員会とか、あるいは制度審議会の答申とか、どうしてもそういうものの議を経なければならないのか。法律的には一体どうなっているか。私は、定数をふやすことは国会において議決さえすればできるのではないか、こう思いますが、手続としては何かむずかしいことが、どうしても経なければならないことがありますか。
  90. 土屋佳照

    土屋政府委員 定数法律できめられておるわけでございますから、国会法律改正するということがあれば、それはできるわけでございます。ただ従来から、こういった非常に基本的な問題でございますし、どういった形でやるかということにつきましては、選挙制度審議会等の意見も十分聞いた上でやっておるということでございまして、選挙制度審議会設置法をごらんいただきましても、「国会議員選挙区及び各選挙区において選挙すべき議員の数を定める基準及び具体案の作成に関する事項」について、内閣総理大臣の諮問に応じて調査審議するといったこともございますし、いろいろむずかしい問題でございますから、客観的に判断をしていただく第三者的な機関の御意見を聞くということが一つの例であると思います。しかし、それでなければならないということはないわけでございます。
  91. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 衆議院定数過密地帯において是正しなければならないと、この前のときに私は申し上げたわけです。その際にいろいろ質問して、中選挙区で三名から五名ということで長い習慣になっている、これは習慣だけで別にどうという根拠はない、こういう御答弁があったような気がします。そこで私は、ぜひ六名区を設けてはどうか、こういう提案をしたわけであります。  したがって、一つ質問は、この六名区をつくることについても、いまの部長の答弁によれば、やはり制度審議会なり何なりの答申があったほうが好ましいのか、その点をお尋ねしたいと思います。
  92. 土屋佳照

    土屋政府委員 現在、衆議院の各選挙区ごとの定数というのは別表第一できめられておるわけでございます。三人ないし五人という範囲になっておるわけでございますが、これは別表であって本法には書いてないではないかという御意見であろうかと思うのでございますけれども別表でございましても、これはやはり法律の一部でございまして、三人、五人というのは長い間日本的な中選挙区制として定着しておるわけでございまして、たとえば昭和三十九年に十九人の増員をいたしておるわけでございますけれども、そのときの各党の共同修正案の趣旨説明を見ましても、中選挙区制につきましては大体三人ないし五人がこの中選挙区制の原則であるということを確認しておるような次第でございます。  そういったことで、三人、五人というもとを変える、六人区を設けるということになりますと、私どもとしては、基本的に選挙区制の変革になるだろうと考えるわけでございまして、それは先ほど申しました定数と同じようなことで、法律ですから法律を変えればいいんだということにはなりましょうけれども、やはり事柄が選挙区制の基本に触れる問題でございます。そういった点については、過去選挙制度審議会等においても長年にわたっていろいろ検討されておる経緯もございますので、政府といたしましては、たぶん——これは私個人意見になりますが、あるいは大臣からお話しいただいたほうがいいかとも思うのでございますけれども、やはり選挙制度審議会等の過去の意見も勘案しながら、どのような方向に持っていくかということを検討せざるを得ないのではなかろうかと考えておる次第でございます。
  93. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 第六次だったか第五次かよくわかりませんが、私の私案でも、土屋委員の三十七名増、こういうものを考えて、その中で定数がふえていく選挙区が、大阪三区は四人が八人になり、千葉は一区が四人が八人になり、東京七区は五人が十人になり、神奈川一区は五人が九人になる。埼玉一区は四人が七人になる。そこまでは分割せざるを得ないと思いますが、六名区となるのが神奈川二区と東京十区と神奈川三区と兵庫二区と北海道一区、この五つは、五名から六名になるところ、四名から六名になるところ、いずれにしても、六名区になるわけです。  そこで、さらにその中をしさいに調べてみると、たとえば、例をあげます。神奈川県の第二区は、人口約百五十万であります。ところが、川崎市だけで百万、他の郡、市を幾つも合わせて五十万、こういうことになります、百五十万の区が。そういうことになると、どうしても三名区に割れということになると、川崎市を分割してよその郡、市とくっつけたり、片方はまた川崎市を分割してよその郡、市とくっつけたり、こういうことをしなければならないわけです。だから、これは市がちょうど形よろしい、その他の郡、市合わせてよろしい、こういうことになれば、四人と二人に分けなければいけないわけです。だから、こういう問題のあるところが、これからもう随所に出てくる。町村合併も進む、随所に出てくる、こう思うわけです。たとえば、北海道一区を取り上げてみます。これも約百五十万です。札幌市が百一万であります。小樽やそこらの小さい市を幾つも合わせたり郡を合わせると、五十万であります。片方は百万、あと残りを全部合わせて五十万、こういうことになると、北海道一区も、六名にふえたはいいが、うまく割るなら、四対二に割ればいいが、二という選挙区はこれはちょっとまずいということになれば、市を割っておいて隣の郡、市にくっつけなければいけない、こういうことが出てくるわけです。こういうところも、六名のままにしておけば、従来の形どおりスムーズにいくんではないか、こう思います。東京第十区、これは奇妙にも人口が三区みんな同じである。江戸川区が五十万、足立区が五十万、葛飾区五十万。三、五、百五十万であります。これは、どこかの区を半分に割るか、めちゃくちゃに割ったりくっつけたりしなければならないみたいなことになっていくわけであります。そういうようにするならば、大臣、これは約五つあるわけですが、そのうち一つぐらいは、まあ何とか割れば割れそうです、私が町村別に割ってみたら。あとの四つはだめです。これはどうしても市を割ったりくっつけたりしなければいけない不自然なことになるわけです。  だから、この人口の激動の新しい時代に沿うては、六名区というものを設けることが、やはり時代に沿うて正しいのではないか。流動化が激しい時代であります。そしてその六名区をつくることによって、ちっとも不自然は起こらない、こういうよう考えるので、定数増のときには六名区をつくれば、分割というむずかしい問題を避けて通ってこの人口急増地帯の定数をふやすという国民の要望にこたえられるんではないか、こう思います。これは唐突な大臣への質問ですが、私いろいろ考えてみて、それが一番やりやすいことだと思うのです。どうでしょうかね。
  94. 町村金五

    町村国務大臣 この前、土屋正三審議委員から、六名区をつくったらどうかという御意見のあったことは、私も聞いておるわけでございます。ただいま小沢議員も、現在の大都市、すなわち百万程度の都市がだいぶ最近はできてまいりまして、これらを少なくとも五名以下の定員にするということになれば、その市の中で、一部を他の近接する市町村等をくっつけなければならぬというようなことに相なるのであって、そのことが非常にむずかしい問題を引き起こすことになる、したがって六人区をつくりさえすれば、そういった問題はことごとく解消できるではないかという意味でのお尋ねであったのでございますが、これは先ほども挙部長からもお答えを申し上げておりまするとおり、現在の衆議院定数というものが御承知ような中選挙区制——まあ中選挙区というものは六名あってはいけないということには必ずしもならないとは思いますけれども、少なくとも今日までわが国の中選挙制度というのは三名ないし五名、こういうことになっておるわけでございますので、そこで、いま御指摘のございましたような六名区をつくるということになりますれば、これはいままでの中選挙制度というものに対して根本的な変革を加えるということにならざるを得ないのでございまして、はたして一体、わが国として、そういった現在の区制をさらに大きくしていくというようなことがよろしいのかどうか、むしろ比例代表選挙区制をとるべきだという意見が御承知のとおり有力に指摘され、これに対する賛成の方もずいぶんあるというような状態でございますので、いま選挙区制の問題を取り上げるということになりますれば、当然いまのような大選挙区に近づくようなやり方にするのが適当なのか、それとも思い切った小選挙区制にすべきかという問題に当然当面せざるを得ないというように私は思うのでございます。したがって、当面六人区をつくって、特に人口の過密になっております区域の定数是正をやるということに直ちに踏み切ることができるかどうか、これは審議会等の御意見もあり、また各党間にもそれぞれ、この問題についてはそうにわかに御意見が一致を見るとも実は私は考えられませんので、そういった点はさらにひとつ各界の御意見を今後集約をしてまいるということによって、これらの問題の解決に当たってまいるべきではないか、かように私は考えておるところでございます。
  95. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 この問題はいろいろ論議してもあれですから、まあそういうことを現実的にやっていくことが当面の改正になる。この前のように小選挙比例代表制というところまで発展していけば、それじゃ先ほど提案にあったよう政治資金規正法もどうだということで、これはたいへん根本的な問題になっていって、この当面のアンバランスの是正すらまた不可能になっていく、こういうようになっていくであろう、こういうよう考えます。これはきょうのところは要望だけにしておきたいと思います。  去る四月十三日の新聞に、「自民党は十二日の総務会で第八次選挙制度審議会(首相の諮問機関)を発足させるよう政府に要請することを決めた。これを受けて政府は近く田中首相と町村自治相が協議にはいるが、早ければ五月中にも委員の人選が進む見通しである。」こういうよう新聞記事が出ておるわけであります。これは第八次選挙制度審議会を発足させることに腹がきまっているわけですか。要するに、新聞記事は正しいわけでしょうか。
  96. 町村金五

    町村国務大臣 さよう新聞記事が出たことは私も承知をいたしておるのでございますが、実はまだ、政府部内におきまして、第八次審議会を発足させるということにつきましては、政府部内の意見の一致を見ておるというところまでは至っておりません。御承知ように、第七次の選挙制度審議会選挙を含む選挙制度の根本的改善策というものが、御承知のとおりかなり御熱心に二年間にわたって審議が行なわれたわけでございます。政府に対しましてもその審議の内容が生かされることを希望するという表明のあったことは御承知のとおりでございます。したがって、これをいまどうするかという問題を解決いたしませんで直ちに第八次選挙制度審議会を発足をさせるということは必ずしも適当ではない、私はかよう考えておるところでございます。したがって、今日、いま直ちに第八次の審議会を発足させるというところには至っていないというふうにお答えを申し上げておきます。
  97. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 大臣から明確な答弁がありましたので、私もこれにつけ加えたいとは思いませんが、ただ、この前のときは根本的な改革に取り組んで、しかも結論は出なんで、あれは中間報告程度だったと思います。それから去年のような小選挙区制の論議で大政治問題になってしまったといういきさつがあるので、私は、この小選挙区制を含めての大問題にまたもう一回取り組めといっても、おいそれとそれは世論も許さないと思います。だがしかし、これは自民党内にも問題が出ていると思いますが、先ほどから社会党の方の質問もあるが、当面する衆議院参議院のアンバラ是正ということに限定をして、やはりどうしても何らかの諮問機関の議を必要だとするならば、そういう目標を明確にしてすみやかに発足をして答申を出させる、こういうように明確に目的を規定してやる、それが一つ。  もう一つは、人は、この前やった人はもう一回はいやだ、われわれが答申しても田中総理の一言でどうにでもなってしまうから、そのときには審議会には入りませんという人もたぶん出てくるに違いないと思いますから、今度は人心を一新して、そしてこれは三カ月か四カ月やれば結論の出ることですから、そういうふうに規模、目標を限定する、人を一新する。そして当面のこととしては衆参のアンバランス是正、こういうようなことで発足させて、すみやかに世論の納得を得たほうがいいんではないか、こういうふうにも私は考えるわけです。どうでしょうか。そのことを私は大臣からきょうお聞きしたいわけであります。そのときに、これはまあつけ加えなくてもいいようなことですが、いま私たちは議運をやっていて、人の名前を具体的にあげることもおかしいんだけれども、昨今の新聞に出て物議をかもしている人が電電公社の経営委員、これはうんと極端にいうと何々土建会社の経営者を任命するがごときような人を持ってきてデッドロックに乗り上げている。きのう、きょうの新聞にもまたどこかの会社の乗っ取りみたいなことがでかく出ておるのだが、そういうような人でなくて、やはり納得させるような人を新たな観点から任命し、くどいようですが、目的を限定し、期限を限定して早く取り組んだほうがいいんじゃないか、こう思います。どうでしょう。
  98. 町村金五

    町村国務大臣 もしこの際第八次審議会を発足させるということでございますれば、いま小沢議員も御指摘になりましたように、たとえば区制の問題に限局をするというようなことにいたさなければならないと思うのでございまして、前回ように全般的なものでございますならば、確かに報告ではございますけれどもかなり精密な検討の加えられた答申、報告があるわけでございますので、したがっていま申し上げたように、もし八次を発足させるとするならば、いま御指摘ようなことで私は進めていかなければならぬのではないか、かよう考えます。また人選等のことにつきましても、たいへん貴重な御意見伺いましたので、これらを十分ひとつ念頭に置いて対処すべきもの、かように心得ております。
  99. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 大臣の積極的な答弁もあったし、私も大体その方向ならいいじゃないか、こう思いますから、質問の大部分はこれで終わったわけですが、事務的なことで、これはくどいようですが要望だけしておきます。  この前の選挙のときに在外公館や商社等で長期出張している者の選挙権というものは与えられていないわけです。これが自治省から資料をいただいたら約十万人近くいるわけでございます。これは大臣ぜひ考えていただきたいが、今度選挙法改正で不在者投票の項を改正して郵便で寝たきりの人や何かに投票させるということで救える人が約十万人だとさっき御答弁がありました。在外公館や商社、新聞社その他で外国に行っている人が約十万人であります。これはぜひ何らかの方法で——公職選挙法九条の初めには日本国民で二十歳以上の者は衆議院参議院選挙権を有する、こういうようにありますから、何らかの方法を講ずれば、この十万人は救われるのではないか。特にこの前申し上げたように、国際化時代の中ですから、外国に行って日本を見る、こういう人の意見というものは非常に大事な時代に入っている、私はこういうよう考えるわけです。これはぜひ道を開くようにお願いをいたしたいと思います。その場合に困難な問題は地方選挙との関係だというように、私はこの前の答弁か何かでちょっと聞きかじったわけですが、地方の首長、議員地方選については第二項に引き続いて三カ月以上居住する者はその所属する地方公共団体議員や首長の選挙権を有する、こうありますから、これは制度を漸進的にやらせるためには、地方議員の問題はこれはおかしな話ですが、ネグっていって、国政には少なくとも海外にいる者が参加できるように、このことをぜひひとつ要望しておきたいと思います。  それからいま一つは、これは自治省で前にも提案したそうですが、この間も非公式に話していると各党とも意見が一致していますが、国会選挙等の供託金、いま三十万ですが、これを五十万に上げよう——何年か前自治省が提案したら、それはまずいじゃないかといわれたそうだが、こんなに物価が上がったのだから、泡沫候補整理のために供託金五十万、これはひとつぜひ検討をすべきことではなかろうか。これが第二であります。  もう一つは、さっきの質問を聞いていて私は思うわけですが、選挙の場合に販路拡張の宣伝カーが来るわけであります。これは何々新聞の宣伝カーと称するものが来るわけであります。そのうちに花王石鹸やライオン歯磨の宣伝カーまで来てこれは営業活動でなくて選挙活動だとか、何とか活動までやるように幾らでも発展する可能性を持っていると思いますから、ああいう宣伝、販売というものは選挙期間中にはやらせぬ、そういう道をやはり開くべきだ、こういうよう考えます。もう時間もおそくなりましたから、その三つを要望だけして、私の質問を終わりたいと思います。
  100. 福永健司

    福永委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時十七分散会