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1974-05-17 第72回国会 衆議院 公害対策並びに環境保全特別委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年五月十七日(金曜日)    午前十時四十三分開議  出席委員   委員長 角屋堅次郎君    理事 坂本三十次君 理事 登坂重次郎君    理事 林  義郎君 理事 島本 虎三君    理事 土井たか子君 理事 木下 元二君       田中  覚君    戸井田三郎君       岩垂寿喜男君    小林 信一君       神門至馬夫君    佐野 憲治君       米原  昶君    岡本 富夫君       坂口  力君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 三木 武夫君  出席政府委員         環境政務次官  藤本 孝雄君         環境庁長官官房         審議官     橋本 道夫君         環境庁企画調整         局長      城戸 謙次君         環境庁自然保護         局長      江間 時彦君         環境庁大気保全         局長      春日  斉君         環境庁水質保全         局長      森  整治君         通商産業大臣官         房審議官    江口 裕通君         通商産業省立地         公害局長    林 信太郎君  委員外出席者         参議院議員   矢山 有作君         農林大臣官房審         議官      須賀  博君         運輸省自動車局         整備部長    田付 健次君         運輸省航空局飛         行場部長    隅  健二君         労働省労働基準         局補償課長   山口  全君         自治省税務局市         町村税課長   中野  晟君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ————————————— 委員の異動 五月十七日  辞任         補欠選任   佐野 憲治君     神門至馬夫君 同日  辞任         補欠選任   神門至馬夫君     佐野 憲治君     ————————————— 五月十七日  大気汚染防止法の一部を改正する法律案内閣  提出第八五号)(参議院送付) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  大気汚染防止法の一部を改正する法律案内閣  提出第八五号)(参議院送付)  公害対策並びに環境保全に関する件(大気汚染  及び水質汚濁対策等)      ————◇—————
  2. 角屋堅次郎

    角屋委員長 これより会議を開きます。  公害対策並びに環境保全に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岩垂寿喜男君。
  3. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 最初に、大臣がお見えですから、有名な五十一年規制の問題について、この機会に伺ってみたいと思うのであります。  先般の、公害健康被害補償法律が成立したときにも、満場一致で五十一年規制の確定を目ざすところの決議附帯決議として成立いたしております。それは本院の意思であるだけでなくて、文字どおり国民の要求している課題だと思うのでありますが、その五十一年規制について、さまざまなキャンペーンが行なわれていることは、大臣御存じのとおりであります。大手メーカーがほとんど例外なく、たとえばトヨタについていえば、暫定的に中間値を三、四年は延期してほしいという提案をしております。日産技術的に不可能であるという態度を示そうとしています。そして特に問題なのは、いま来日しておりますルノーの公団のピエール・ドレフュス総裁との会見において、日産の社長は排ガス規制国際統一基準という考え方を示しているわけであります。これは言うまでもないことでありますけれども日本のような非常に狭い国土で、しかも自動車台数がものすごく多い、そういう条件のもとで国際的な統一基準が何を意味するかということも、これまたきわめて明白であるといわなければなりません。そうした意味政府としては、従来の五十年、五十一年それぞれの規制一つプログラムとしてお進めをいただいていると思うし、そのことについて変化はないと思いますが、特に最近各企業メーカー技術的な問題を含めてこの困難性を強調していることについて、大臣はどのようにお考えになっているか、最初に承っておきたいと思います。
  4. 三木武夫

    三木国務大臣 窒素酸化物低減目標にした五十一年度の規制は、変更はいたしておらぬわけです。この方針は示してあるわけですが、まあ正直に申しますと、五十年度の規制の場合は本田とか東洋工業とか、そういう技術開発自体は、やっぱりメーカーがあったわけですね。だから日産からも、あるいはまたトヨタからも相当な強い陳情を受けたのですが、これはもう問題にならぬ、現にあるではないか、開発している。大メーカーができぬわけはないということで、非常にこちらとしても、そういう人たちにも言いやすい立場にあったわけです。  今度はまだ、だれも技術開発ができてない。したがって、六月に、技術開発を促進する意味もあってヒヤリングを開くわけです。そうしてわれわれとすれば、あるいはある時期が来たら、政治目標を設定して技術開発を促進するという方法もありますよ。しかし、一応の見通しを立てなければなりませんから、いまやっておるのは技術開発を促進する立場をとって、六月に開くのもそういう意味もあるわけですが、今後極力技術開発を促進して、五十一年度の規制が実行できるように最善を尽くしたいと考えておりますと答える以上に、私は現在の段階ではお答えはできないという事情を御了察を願いたいのでございます。
  5. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 私は指摘をしておきたいのですけれどもマスキー値が実はアメリカと全く同じなんですね。しかもマイルキロに直しただけなんであります。それはどういう理由かといえば、そのことについていえば、一平方キロメートル当たり東京だけの場合でいえば一万二千台。一万二千台というのは、アメリカ全体の平均で七十倍自動車台数が多いわけであります。この狭い国土で、アメリカと比べて七十倍の自動車が実はあるわけであります。そのときに、アメリカと同じ基準をきめるというときに問題にされた議論は、技術的な限界のぎりぎりだ、これならば技術的にやれるのだ。それはアメリカに対する輸出が困難になるからという事情ではなくて、技術的な意味でぎりぎりなのだ、こうきたわけであります。だから今日まで政府はいろいろの形でその技術開発を援助してきたはずであります。その意味では、これまでの投資の金額あるいは技術開発努力、そういうものについて政府としての一定の見解をお持ちだろうと思うのであります。  それとあわせて、率直にいって、企業がいまあちこちでアドバルーンを、しかも聴聞会を前にして上げているという現実について、私はやはり不見識だと思うのであります。しかも国際的なキャンペーンまで含めて、日本業界日本政府方針に対してものを言おうという姿勢はきわめて不見識だと思うのですが、この点について大臣並びに関係局長の御答弁をいただきたいと思います。
  6. 春日斉

    春日政府委員 先生の御指摘ございましたように、アメリカ大気清浄法、いわゆるマスキー法に示された値と、マイルキロに直しただけでほとんど同じではないかという御指摘があったわけでございますが、これは「自動車排出ガス許容限度長期設定方策について」という四十七年十月三日の中間答申にも明らかに書いておるわけでございますがその中で、「わが国における自動車排出ガスによる大気汚染問題の実態にかんがみ、現在の世界における最もきびしい規制基準、すなわち米国の一九七〇年大気清浄法改正法等が予定している規制と少なくとも同程度の規制目標として許容限度を設定し、自動車排出ガス排出総量低減することが必要であるとの結論に達した。」というこの答申に基づいておるわけでございますから、これはある意味では一致するのが当然であったろうと思うわけでございます。  そこで、五十一年度の到達につきまして、各メーカーが不可能であるというようなキャンペーンをしているということでございますけれども、これは正式には私ども六月六日からのヒヤリングで、各社がキャンペーンをしている問題を含めまして十二分に検討し、反論をし、真意をただしてまいるつもりでございます。
  7. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 そうしますと、大臣、五十一年規制に対する政府方針は変わってない、さまざまな困難はあるにせよ、それを実行するために政府としては努力をする、そして、メーカーがいろいろなデータを示してやるのに対して、現実政府としての態度は、今日までの努力技術的な開発のレベル、それらについて反論をして、そしてできるだけ国民期待にこたえるように努力をする、こういう考え方政府考え方だというふうに理解してようございますか。
  8. 三木武夫

    三木国務大臣 そのとおりでございます。
  9. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 それならば伺いたいと思うのですけれども、実は業界のことばにはさまって、環境庁の内部にも事実上不可能だという見解が述べられているというコメントがいろいろな形で載っているわけであります。そして、それは決して私は取材した新聞記者の責任ではないと思うのであります。やはり、環境庁の中にも、そういう業界態度に対して非常に甘いといいましょうか、それに対して同調するような見解が示されていることを私はたいへん遺憾に思うのですが、その点についてもぜひ大臣は、そういう不用意な発言に対して注意をいただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  10. 三木武夫

    三木国務大臣 五十一年度規制が不可能だという発言をするような者があれば、これから厳重に注意をいたしまして、われわれは方針は変えてないので、何とかして国民期待にこたえることはできないかということで技術開発を促進しておるわけですから、この段階でもう五十一年の規制はだめだという発言は私の方針にそむくものでありますから、今後注意をいたします。
  11. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 大臣の御答弁で、私はそのことを期待をしたいと思うのですが、少なくとも燃料資源の不足というようなことを最近また口実にし始める要素も出てきていますので、そういうことは絶対にない、純粋に国民の健康あるいはわれわれの生きている社会を、もっときれいなものにしていくという立場で取り組んでいるというふうに理解をしてようございますか。
  12. 三木武夫

    三木国務大臣 五十年度規制の場合にも、これによってガソリン消費量が非常にふえる、一〇%とか一五%とかいいますが、私はもしふえても、これだけ光化学スモッグとかいろいろな問題を起こしておるわけですから、ガソリン消費量がふえるならば、できるだけガソリンを使うのを消費節約をするということで、これがガソリン消費量がふえるから、人間の健康は害してもいいんだという、そういう考え方には私はくみしないのです。だから、いわゆるエネルギー資源の問題があるからということで、この方針を変えるという考え方は、私はとらない。  ただ、しかし問題は、技術開発ができないのにやれということは、これはやはりある見通しを立てて、目標を立てて、できるだけそれを促進していくという方法はあっても、見通しも何も立たないのに方針だけきめて、そして五十一年度からはやるんだというようなことは少し乱暴に過ぎると思いますから、したがって、エネルギーの問題と関連をして、こういう規制を延ばすことはしないが、技術開発段階というものは、これはわれわれとしても促進をしながら、関心をもって見守らなければならぬということでございます。
  13. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 技術的な問題というのを私は否定するものじゃございません。しかし、技術的な問題というのは今日まで国も、それからもちろん企業もでしょう、みんなで努力をしてきた経過があるわけであります。そして現実には、それぞれの成果があがってきているということを、私どもは私どもなりにいろいろ聞いております。問題は、それがたとえば本田であるとか東洋であるとかという、例の五十年規制のときのそういう企業との関係トヨタ日産との関係などということを含めて、幾つかの牽制し合っている姿が実は現実にあるように思われるわけでありますが、本田東洋の〇・二五グラム・キロメートルの到達可能性について、技術的にどんなふうに政府としては理解をしているか、そのことを教えていただきたいと思います。
  14. 春日斉

    春日政府委員 先生の御質問の問題こそ、実は六月六日からのヒヤリングでわれわれが確認をいたしたいと存じておるところでございまして、現在その可能性あるいは不可能だというような推定、これについて申し上げる段階ではないと思っております。しかしながら、五十年度規制到達した努力に比べますと、はるかにきびしい努力が要請されるであろう、かように考えております。
  15. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 では、五十一年規制の問題は、こういうキャンペーンが行なわれて、しかも国際的なキャンペーンが行なわれて、しかも日本企業がある意味でそれにこたえて、そしていわば資本の論理をこの中で生かしていこうという努力に対しては、政府としては、き然とした態度で臨むということを私としては期待をしたいと思うのであります。  それに関連をして、実はディーゼル車規制の問題、これはこの前も私実は申し上げたわけでありますが、ディーゼル車には御存じのとおりに黒煙規制だけでありまして、マスキー法的な基準というものは設定されておりません。そして、この影響というものは決して少なくはないと思うのであります。その黒煙の問題にしても、実はほとんど取り締まっていない。取り締まれないという状況、そういう状況があるわけでありますが、ディーゼル車規制について、どんなお考えを持っていらっしゃるのか。基準を作成をするということを考慮していらっしゃるのかどうか。聞くところによれば、その作業がかなり煮詰まっているというように承っておりますが、その点について見解を承りたい。
  16. 春日斉

    春日政府委員 ディーゼル車につきましては、実は新車規制と、ディーゼル車過程車規制、この二つ考えておるわけでございます。  御指摘のように、従来ディーゼル車につきましては、ディーゼル黒煙についてのみ規制をいたしてまいっておりますが、それに加えまして、新車の場合は一酸化炭素炭化水素及び窒素酸化物についても新たに規制を加えることといたしたいと思っております。これに関する自動車排出ガスの量の許容限度改正いたしまして、近く告示いたしたいと考えておるわけでございます。今度の改正窒素酸化物に重点を置いて実施することといたしておりますが、これにりまして、現状車に比べますと、約二〇%の低減がはかられる見込みでございます。また、使用過程車につきましてもディーゼル黒煙許容限度を近く告示することといたしております。もちろん長期的な設定方策につきましては、中央公害対策審議会答申を待って規制の強化をはかってまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  17. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 それはいつ告示なさるのでしょうかということが一つと、それから、内容はやはり濃度規制ですか、あるいは量でいくのですか、その点を伺いたいと思うのであります。これらの点については、いま国会で議論をしており、私たちも来週から議論をする総量規制の中でも^いわば濃度規制ではなくて、量で規制をするというやり方を実は採用しているわけでありますから、そういう考え方が生かされているかどうか、伺いたいと思います。
  18. 春日斉

    春日政府委員 改正告示の時点でございますが、来週早々を考えておるわけでございます。  それから、濃度規制でございます。しかし、濃度規制と申しましても、これは先生の御発言にもございましたように、従来の反省のもとに十分濃度規制を行なってまいりたいと思っております。
  19. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 こまかいことですけれども、私は専門家じゃないのでよくわからないのですが、このディーゼルにはダイレクトあるいはプレチャンバーという二つのあれがありまして、ダイレクトのほうがかなり多いというふうに承っておりまして、このプレチャンバーのところで一本に統一をしていくというような考え方をとらないと抜けるのじゃないかという見解もあるわけですが、規制のたてまえは二本ですか、一本ですか。
  20. 春日斉

    春日政府委員 先生が非常によく御存じなので、私、お答え申し上げにくいわけでございますが、許容限度をきめますときに、窒素酸化物については、エンジン構造排出濃度に差があるわけでございます。そして、直接噴射式と副室式二つが確かにございましたので、これは区別するつもりでございます。なぜかならば、直接噴射式は確かに構造NOX排出が多いということがございます。しかしながら、燃料が少なくて済むということで、大型車は直接噴射式に変わりつつあるという現状もございます。しかし、全体のディーゼル車の動向から見れば、現在のところ、やはり副室式のほうが多いわけでございまして、これはNOx排出量が比較的少ないという特徴がございます。したがいまして、二つに分けて示したい、かように考えております。
  21. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 それはもう時間がありませんので……。やはり規制はできるだけ一本にするように、統一するように努力なさることが、将来の計画として重要ではないか。  それから毒、もう少し、やはり濃度ではなくて量で規制するというプログラムは、やはりあらかじめ示していただくことが重要ではなかろうかと私は思うわけであります。  さて、話が飛び飛びになって恐縮なんでありますが、実は私の県、神奈川でも、きのうは三度目の光化学スモッグ注意報が出まして、被害者が二百十人にのぼっております。遠く横須賀のほうにまで実は生徒の被害があるわけでありますが、この光化学スモッグをなくしていくためにということを含めて、これはそれだけじゃございませんけれども、例のマイカーの点火調整触媒、それらの問題について、いままで政府として指導をしてまいりました。  これらの経過の中で、これは東京都の資料でありますが、点火調整触媒作用——触媒というものを併用することによって両方の弱点といいましょうか、というものを、かばい合って、長所を生かす形で措置することができる。その意味で、併用というものを義務化するつもりはないのかということを、きょうまで国に対して要請をしてきたつもりでございます。それについては、こまかいデータがございます。これはここで発表を申し上げる時間も実はございませんので、もうおわかりだろうと思うのです。歴然として、この併用をすればプラスであるということが明らかになっております。しかも、あらためて東京都がいま公害研調査をしておりまして、こまかい資料をおそらくきょうあたり発表になるのかもしれませんけれども、私、拝見をさせていただいたところによっても、昨年の調査よりも、もっと安全性の面でもその他いろいろな面で、その効果歴然としているということが明らかにされているように承りました。  したがって、これは特に運輸省、それから環境庁にも、両方に伺いたいと思うのですが、いま光化学スモッグの時期を迎えて、基本的な対策というものがきわめて不十分である、しかも移動発生源の問題について手当てはしてきたけれども、その措置は必ずしも十分ではないというわけでありますから、少しでもベターにする意味で、触媒点火調整との併用というものを義務化するお考えはないか。それから、それらについて、もし弊害があるとすれば、その弊害を承りたいと思います。
  22. 角屋堅次郎

    角屋委員長 岩垂君に申し上げます。  答弁の前に、参議院の本会議が少しおくれておりまして、そういう関係で、理事会で御相談を申し上げました状況のうちで、岩垂委員質問に次いで米原委員質問を引き続き行なう、いずれ米原委員が参ると思いますから、それまでの間、質疑を続行していただいてけっこうです。
  23. 田付健次

    田付説明員 いま先生指摘の、併用することが効果があるので義務づけはできないかというお話しでございますが、実は技術的にはかなり問題がございまして、先生お話しのような研究も、もちろんしておられることも承知しております。私どものほうも実はこの件については関心を持っておりますので、研究はいたしております。ただ、現在までのところで、実は技術的な問題点と申しますのは、やはり熱の問題がどうしても出てくるということと、結果として耐久性の問題がまだ解明できていないという二点が実は残っております。  それで冒頭にお話しのありました、早急に光化学対策としてどうするかということにつきまして、運輸省といたしましては、できるだけ早く対象乗用車等をつかまえまして、装置をつけて、とにかく下げるということを急ごうではないかということに実は踏み切ったわけでございます。その対象となる自動車が約二千万台近くございます。そのうち古いのは、どうしてもなりませんので、一応装置をつけると性能がよくなるというものをねらいますと、約一千万台近くございます。いままで作業を進めてまいりまして、その作業を進める過程で、いまお話し触媒と、それから点火時期制御装置二つをどうするかという議論を、私どもだけでは不十分でございますので、先生御承知かと思いますが、運輸技術審議会で練っていただきまして、結論としては、とにかく容易につけられて、しかも取り扱いも簡単で耐久性のあるということを、やはり踏まえなければいけないという御答申をいただきまして、選定をいたしました結果、現在のところは、その二つが出てまいったわけです。  したがいまして問題点は、残った一千万台のうち、大体いままで三百万台くらいついたわけですが、まだ残り七、八百万台くらいは実は装置がついてない状態で残っております。これは使用者の方がつけなくて残っているのではないのでありまして、段階を踏みながらつけるように時期を示してありますから、その時期がまだ来ていないというだけのことでございまして、その時期が来るまでに使用者の方がつけるわけでございますが、いずれにいたしましても、かなりの台数がまだ残っております。  したがいまして、先ほどの併用の点については、残りました問題点を私ども研究をいたしますが、かなり技術的な問題としてむずかしさはございますので、現在のところでは、残った車に装置をつけることを急ぎたいと思いますので、併用を義務化するということについては考えていないわけでございます。
  24. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 これはすぐお答えをいただきたいと思うのですが、点火時期制御装置というものがどんな効果をもたらしているかということを、やはりもっと正確に国民の前に示してほしいと思うのです。たとえばNOxについては、かなり効果があがるということもあるわけですが、HCだとかCOについての減少率というのは、ほとんどないというふうに見られるデータもあるわけであります。そういうことを踏まえて、効果のないものを全部つけていく——効果がないと言っては、ことはが過ぎるかもしれませんけれども、不十分なものを普及していくということと相まって、完全な道をさがし求めて、いち早くそのことを、もし解決をする道筋があるならば、やはり併用でも何でも生かしていくということが、私は国民に対して誠実なやり方じゃないかと思うのであります。  そこで、いま申し上げたように、制御装置のいわば効果、それとあわせて運輸省型式認定をいたしました触媒式——これは運輸省やっておりますね。それの効果についてこの際、数字を示していただきたい。
  25. 田付健次

    田付説明員 まず点火時期制御装置効果でございますが、わかりやすく申しますと、実は点火時期を調整することによりまして、エンジン燃焼室の中で発生するガスの割合を変えようというねらいの装置でございます。問題は、どこにポイントがありますかといいますと、ガスが燃えますときの最高温度、これを少し下げよう、これが高いものですから一どうしてもNOxが出るということですので、最高温度になる点を調整して、そのかわり入れました燃料はよく燃やしませんと、これまた不完全ガスが出てまいります。HCとかCOが出てまいりますので、その結果、点火時期を少しずらすということによって最高温度を下げてNOxを減らし、なおかつゆっくり燃やすことによってHC、CO等を減らすというのがねらいでございます。  私どものほうで聞いております効果の数字といたしましては、したがいまして、点火時期制御装置によりますと、従来のものに比べてNOxが二三%、それから炭化水素が一〇%は減らせる。触媒につきましては、先生もこれは御承知のとおりでございますが、現在のところ、酸化触媒しかございません。したがいまして、これはNOxが取れませんので、どうしてもHCしか取れない。したがって現在の触媒につきましては、HCについて一二〇%減少することができるという効果であるというふうに聞いております。  なお、先ほどのお話にも関連をいたしますが、もの自体を現在使っている車を対象につけてもらうということになりますと、コストの面も多少は考えないといけません。実はコストは、この触媒は非常に高うございまして、制御装置の約十倍の値段でございます。  それから、現在つけてあります触媒についてのデータはどうかというお話でございますが、私どものほうで試験をいたしました結果、現在まで型式指定をいたしましたものについては所要の性能が出ているということがわかっております。
  26. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 一長一短があるということを説明をなさる、それから同時に値段が高いからできないのだということをおっしゃるわけですが、それで問題を始末してはいけないと思うのです。やはり研究の成果を——それが東京都とか地方自治体がやったからどうのこうのというのではなくて、やはり調査調査としての結果を謙虚にお互いが交流し合う、この態度が、やはり技術とか科学とかいうものを開発していくところでは必要なのであります。  その意味で、都としてはそれだけの数字をもとにして、国に対して併用装置をつけることを義務づけてほしいと求めているわけであります。したがって、私はその意味では、いまそれぞれの違いを強調するだけではなくて、どうやって共通の基盤で問題を解決していくか、そこのことが緊急な課題であると同時に、国民にとって重要な問題だろうと思うわけでありますが、将来ぜひ——将来というか、すぐということを申し上げているつもりはありませんけれども、やはり併用というのは効果があるという結論が出ているわけですから、その効果があるということ、それから安全性の問題や熱の問題を含めて、あるいは燃料の問題を含めて、解決をしていくべき道筋というものはできているという一つの検討結果もあるわけでありますから、それについて近い将来にその検討を始めていただきたい、このことを要求をいたしておきたいと思うのですが、その点について見解をいただきたいと思います。
  27. 田付健次

    田付説明員 先生のおっしゃるとおり、組み合わせをした後においても、何らの弊害もなく障害もなく、うまく使えるという見通しが立ちますれば問題はないわけでございます。いまのところ、先ほど申し上げましたが、触媒自体もかなり熱を持つ道具でございますので、やはり技術的に相当慎重に検討しないといけないと思います。したがいまして、東京都のほうのいろんな研究の内容なり、私ども研究所の内容なり、それぞれつき合わせまして、そういう点については、これからも検討してまいりたい、こういうふうに思っております。
  28. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 それでは、以上で終わります。
  29. 角屋堅次郎

    角屋委員長 米原昶君。
  30. 米原昶

    米原委員 私は、一昨日、けさの新聞にも出ておりますが、富山県のカドミウム汚染米の問題について、分析化学研究所の問題が、ついに公害分析にまで波及した、非常に重要な問題なので、この点について質問したいと思います。  イタイイタイ病の発生地である富山県が、カドミウム汚染米を分析化学研究所へ送って、高い分析値が出た場合には、分析研からの連絡によって県が新たなサンプルを送り直して再分析をさせ、低いものと差しかえていたということが、朝日新聞でも次々と報道されております。この問題について、環境庁見解最初に聞きたいわけであります。
  31. 森整治

    ○森(整)政府委員 お答え申し上げます。  今回の富山県で起きましたカドミの問題、われわれがただいままで聞いておりますところでは——環境庁か直接委託なり補助をしました事業ではございませんけれども公害関係全般の調査問題でございますので、私からお答えいたしますが、いままでのところでは、分析研がどうした、こういうことよりも、やはり県自身が、従来の検体、予備検体を送り直して別の数値を分析をしまして、その結果を公表しておる、こういうふうに理解をしておるわけでございます。
  32. 米原昶

    米原委員 確かに富山県のほうがこの問題、主としてやっておるわけですけれども、分析研のほうがそういうことに関連して、いわば共犯的な役割りを演じているわけでございます。  分析研の問題は、今度の国会の初めにわが党の不破議員が追及しまして放射能測定のデータの捏造が暴露されてから、公害分析についても不正があったのじゃないかという疑いが各方面から持たれたわけであります。その疑惑に答える意味環境庁が検討委員会をつくって検討した、こういうこともあったわけであります。ところが三月十四日に発表された検討委員会の中間報告によると、公害分析については作為はなかったということだったわけであります。ところが、今度の事件がたまたまわかることによって、やはり作為があったということが暴露されたわけであります。私は、この点について環境庁見解を聞きたいわけなんです。
  33. 森整治

    ○森(整)政府委員 御指摘のように先般、水銀の人間の健康に影響がある分を先にやりたいということで、水銀関係につきまして取りまとめをいたしまして中間発表をいたしました。その後も引き続きカドミ、PCB等について調査を続行しておりますが、私どもが直接間接に委託なり補助金を出しましてやった事業を、私どもの検討委員会で検討をいたしましたということでございまして、実は今回のカドミの事件につきましては、われわれの調べました範囲外でございまして、それでいいということではございませんが、そういう関係で、従来私ども調査しました限りでは、少なくとも水銀については、ああいうことであった、それから現在までも、実はカドミ、PCBにつきまして、私どもの関知した限りでは、そういう特別の問題にすべき事実というのはまだ明るみに出て、われわれは承知しておらないということでございます。
  34. 米原昶

    米原委員 公害関係データは、先日、私が本委員会質問したときにも申しましたが、放射能と比べると作為をやるにもやりやすいわけであります。そういう意味でも、今度の場合、富山県がそういうやり方をやったということで、分析そのものよりも、作為的に低いものをきめさせたということになるわけでありますが、いろいろ問題がまだ含まれているのじゃないかと、疑惑はますます私たちにとっても深まる一方であります。そういう意味でも、これは徹底的にやってもらいたい、不徹底な部分はやり直してもやってもらいたいと思うわけでありますが、その点どうでしょうか。
  35. 森整治

    ○森(整)政府委員 御指摘を待つまでもなく、公害関係の分析、その結果、それをもとにして行政が行なわれておるわけでございます。そのもとを気にくわないからといっていじられたのでは、われわれの行政は何をやっているかわからないということになることは御指摘のとおりでございます。したがいまして、今回私どもが聞いている限りでは、十一検体につきまして、前の数値とあとの数値についても詳細一応電話では承知をしております。しかし、その扱い等につきまして、どういう考え方であるにせよ、この扱いは全く誤りだと私は思っております。もちろん必要な問題につきまして、再調査等すでに指示をしておるわけでございます。
  36. 米原昶

    米原委員 それでは、長官がいられる時間が短いというので、長官に一言お聞きしたいと思います。  今度の問題は、先日世間を驚かせました東邦亜鉛の公害隠蔽事件、あれに劣らない重大問題だと思います。しかも、今度は一つ企業がやったというのではなくて、地方自治体と民間の分析機関が合作して虚偽の報告をやったといっていいと思うのです。問題は、その点では東邦亜鉛一企業がやった公害隠し以上に重要である。この点で長官はどう考えられますか。
  37. 三木武夫

    三木国務大臣 公害対策を進めていくのには、やはり調査をしたデータが基礎になるわけですから、その調査の結果がどういう結果が出ようとも、それはやはり正直に公表しなければいかぬ。公害に関しての調査というものは、これは公開の原則を持たなければいかぬと思っておるわけであります。したがって、どういうことが行なわれたかということに対しては、いま十分調査をいたしておりますが、もしそういう作為的なことが行なわれたとするならば、再調査もいたさなければならぬ、国民から見ていいかげんなことをしておるというようなことでは、これはもう公害対策はできませんから、そういう点は十分に国民の安心のいくような方法をとりたいと考えておる次第でございます。
  38. 米原昶

    米原委員 こういうものは公開の原則、これをぜひ実行させるようにしていただきたいと思いますが、一つの問題は、この民間の——分析化学研究所の場合も民間の財団法人という形をとりましたが、こういう民間の分析機関というものが、最近では非常にたくさんできております。二年前にはそういうものが五十社ほどでありましたが、現在では約四百もこの分析機関というものがあらわれて、雨後のタケノコのようにあらわれておるわけであります。今度の国会で計量法の一部改正で、一応事業登録制となったわけでありますが、この登録をしただけでは問題じゃないか。これに対しては、どういうようなやり方でやっているか、これは環境庁のほうでも相当検討される必要がある。中には相当いかがわしいものがあるのじゃないかと私たちは思うのでありますが、この点についてどういう見解を持たれるか。単なる事業登録とか今度計量法できまった程度のことで、はたして間違いなくやっていけるかどうかという点、非常に心配なんです。この点について見解を聞きたい。
  39. 森整治

    ○森(整)政府委員 今度の計量法の改正によりまして措置されましたことは、ただいまよりは前進だと思います。しかし、われわれそれで満足をしておるわけでは決してございません。考え方といたしまして、今後ますます、やはり公害の分析基礎となります、いろいろ判断の基準になります、そういう分析につきましての事業というのは、まだまだ相当多数にのぼってくるのではないかというふうに考えております。したがいまして、やはり民間に委託をせざるを得ない場合も相当あろうかと思います。そういう場合、われわれも含めまして、都道府県も市町村も含めまして、やはり過去に持っております実績、それからやはり機器の整備状況、そういうものなどを当然今後厳重にチェックをした上で委託をするということが、まず基本であろうかと思います。  それから、分析の委託をする場合に加えまして、やはりクロスチェックを徹底させる。同じ検体につきまして、別の分析機関に同じものを分析をしてもらう、そこで一致した数値というものは——現在の分析技術というものは非常にむずかしい問題を持っておりますが、必ず一致しないはずでございます。一致しないが、全体から見た場合に、それは相当の相関度の高いものということでなければならない。そういうことから逆に、実際にやってみた結果から、またその分析機関の能力というものが、おのずから判定されてくるのではなかろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。
  40. 米原昶

    米原委員 いま言われた点、確かに重大だと思うのです。問題は、機器の整備、それから人員の整備、そういうのは計量法である程度まで、そういう点きまっておるわけですが、たとえかなりの資金をもって相当な機器を備えている、それだけでは問題なんですよ。つまり、あくまで設備なんか十分なものはない、しかし、最近起こった公害反対の運動、住民運動を背景にしてつくられたきわめて良心的な、住民の意向によってつくられたような分析機関もあるようであります。そういうものと、会社がやはりこの分析の仕事を営利事業としてやっている、こういうものもあるわけであって、このあたりが非常に驚くような問題があるのです。その点で私は心配しているのです。  たとえば、いままで住民に公害で非常な被害を与えた、で問題になっているような企業が、私調べたところでは、むしろそういう企業が中心になってつくった分析センターというものもかなりたくさんできているので、驚くわけなんです。もちろんそういうものが全部、だからインチキだという判断を下すのはできないわけですけれども、しかし、一般の国民からしましても、まさかそんなものは信用できないじゃないかというふうになるのじゃないか。  具体的な話を言いますと、たとえば今度公害隠しで問題になった東邦亜鉛の子会社で中国環境分析センター、こういうのは東邦亜鉛が実際につくっているのです。これは中国地方にあるわけですが、これが環境分析だというので方々の自治体の仕事を引き受けてやっています。親会社のほうは公害隠しをやっているのです。その子会社がそういうものをつくってやっている。これ、中国環境分析センターというのは、まさか東邦亜鉛の子会社だとはだれも知りませんから、信用してやっているわけですが、これはそうだとわかったらだめでしょうね、信用がた落ちです。そのあたり、ちょっと調べていただきたいのです。  あるいは水俣病で有名なチッソグループ、これも環境科学センター。あるいは第三水俣病と疑われているものの発生源といわれた日本合成化学の大阪環境技術センター、それから同じく三井東圧化学の湘南分析センター、むしろ公害で問題になったような会社が続々と、その子会社の環境分析センターなるものをつくっているわけです。いや、それは公害を防ぐためにある程度努力しなくちゃならなくて、ある意味じゃ、そういう会社は公害の分析の技術を蓄積されているのかもしれない。しかし、これがほんとうに良心的に分析をやってくれるのだろうかということ、だれしも疑問を持たざるを得ないのです。そういう会社がむしろ、いままでの罪を償うために良心的に公害防止の仕事をやるんだという趣旨なら趣旨で、何もそれはけしからぬとはいえませんけれども、しかし、ほんとうに良心的にこれをやるのかどうかという点、相当点検する必要がある。そういう点で簡単に自治体に、そういうところに分析を頼みなさいなんていえないわけなんですよ。  ところが実際は、一般の自治体じゃ知らないものですから、いま申しました東邦亜鉛の子会社の中国環境分析センターなどというところは、広島県のほとんどの市町村がここに環境分析を委託したりしている。それでそこは東邦亜鉛の子会社だよといって私ちょっと知らせたら、びっくりしていまして、それじゃちょっと信用てきない——もちろんそれだから信用できないというのも早まった考え方かもしれない。ですから、必ずもう一つ別なところでもやらせて、クロスチェックするということが基本なんだと、これをむしろ徹底さしてもらいたいのです。そうでないと、これは解決しないのです。この点について、もう一度見解を聞きたいと思います。
  41. 三木武夫

    三木国務大臣 そういうところは技術者のいいのを持っておることも事実ですね、公害問題というものに対して研究をしておるわけですから。しかし米原委員の前提には、企業は悪いことをするものたというふうに——そういうふうには私は考えないので、これからの企業というものは、公害防止ということに徹底をしていかなければ、企業の存立というものはない時代が来ておると私は思うのです。  いままでは非常にけしからぬようなことが多かったものですから、どの企業も何か企業というと、そういう公害に対してごまかすような傾向があるようにとることは酷だと思うのです。一ぺんそういう問題が起こったら、現にチッソの場合だって、これはやはりチッソというものが、今日においてどれだけの懲罰を受けておるかということは、おわかりのとおりですから、そういうことですから、一がいにそれはそういうものは一切やっちゃいけぬとはいえないとは思いますが、要はやはりそういうような関係で非常に公害問題を起こしやすい企業というものは、分析の仕事をするにしても、一そうなお慎重な態度でやってもらいたいという指導を私どもはしなければならぬと考えております。
  42. 米原昶

    米原委員 この問題で、さらにもう一つの問題は、地方自治体自身が公害分析能力を持つという問題です。今回の富山県の問題でも、自治体自身が一定の分析機関を持ち、クロスチェックをしておれば、このような問題は起こらなかったはずです。それをやっていれば、こうした営利本位の分析機関と自治体との合作による公害隠しは不可能だと思いますが、自治体のそういう分析機関を持たせる方向、この問題どう考えられましょうか。
  43. 森整治

    ○森(整)政府委員 御指摘のとおり、やはり公的機関の、特に自治体の分析機関の体制を整備拡充をしていくということは最も必要なことだというふうに考えております。したがいまして、従来から機器整備につきまして助成を行なってきておりますけれども、四十八年度から大気と水と両方、両局に機器を整備する予算を計上いたしました。四十九年度もその増額につとめてきておるわけでございます。今後やはり人と機器整備という問題の充実ということは、非常に重要な問題だというふうにわれわれも判断をしておるわけでございます。
  44. 米原昶

    米原委員 その点、私、二月二十日の本委員会で、国の分析機関を設置すると同時に、公害分析の場合は、地方自治体の公害分析能力を充実させることが非常に重要であると主張したわけです。今回の事件によって、ますますこの必要は明確だと思います。この点で、長官は前回の場合の答弁も、この点を認められまして、補助金をふやしていく旨の答弁がありました。具体的には、どのような程度の措置がとられているか聞きたいと思います。
  45. 森整治

    ○森(整)政府委員 四十六年度はわずかでございますが、四十七年度が一億五百万、四十八年度が二億五千七百万、四十九年度が二億六千九百万ということでございます。
  46. 米原昶

    米原委員 二億六千九百万ですね。分析機器の整備補助金を出されたことはけっこうなんですが、御存じのように公害の分析機器は一台が一千万円以上というのも珍しくないくらい非常に高価なものであります。一台当たり一千万円とすれば、これでもうわずか二十七台しか買えない金額であります。これでは非常に、むしろやはりまだ少ない、自治体の分析能力の整備などは、これではおぼつかないのじゃないかという感じがするわけであります。もちろん機械だけあればよいというわけではありません。土地、建物、付属人員その他膨大な金がかかります。機器に対する補助金でなく、もっと自治体がほんとうに自前で分析がやれるように、環境庁は積極的に対策を講じていただきたい。この点について最終的に、長官の決意をお聞きしたい。
  47. 三木武夫

    三木国務大臣 私は、やはり地方自治体が分析機能というものを備えていくということがいいと思うのです。そのことが、何といっても地方の住民に対して一番責任を直接負うているのは自治体ですから、だからその責任を負うというものの基礎になるデータは、いろんな分析をした結果によって環境行政というものも、それが方向づけられるわけですから、だからいま言われるとおり、あの金額というものは少額に過ぎます。それは機器の問題ばかりではないにしても、どうしたってやはり機器を整備しなければ、人間の見当でできるわけじゃないのですから、そういう点でこれはさらにこういう予算は相当思い切ってふやして、そして地方自治体の分析機能を強化するように努力をいたします。
  48. 米原昶

    米原委員 では、いまの質問はこれで終わります。
  49. 角屋堅次郎

    角屋委員長 島本虎三君。
  50. 島本虎三

    ○島本委員 この機会に、環境庁が発足いたしまして、いままでのような日本公害列島にしないために環境を優先する、そして環境とまさに並列の意味で地域開発を認め、どうしても公害防除ができない場合はストップする、このはっきりした条件を確立して、いま発足して動いているわけです。そのためには、やはり現在までのようないろいろな公害の状態を繰り返さないためにも、アセスメントというものが一番必要である。これなしには、やはりいままでと同じようなあと追いになってしまう。このことをかねて申し上げてまいりました。そしていろいろ答弁の中にも、われわれもそれを伺ってまいりました。  それで長官に直接伺いたいのは、今後やはり新しい法律によっていろいろな日本の土地整備も行なわれることになろうと思います。工業の開発も当然いままでの例によって位置づけられる場所もあろうと思います。また道路やその他いろいろあろうかと思いますが、道路にしろ何にしても、これをやる場合には、ちゃんと環境アセスメントを確立して、そしてやる費用は、それぞれの各省についているわけです。しかし、各省でこれを行なっているから、まちまちになっているわけです。予算があっても、今度は不完全なアセスメントでやっているということは、環境庁として、この点を指摘しなければならない問題じゃないかと思うのです。  したがって、環境庁が遠山の金さんのように、自分の力だけでやるには限度がある。したがって、環境アセスメントについては各国の例にならって、これは法制化すべきであるという意見も答弁の中に出ておりました。私どもはそれを心から期待しておったのでありますけれども、長官として各国を回ってこられた、また公害事情調査してこられたようでありますが、これに対してはっきりしためどをお立て願いたい。法制化するのか、現行どおりの行政措置でやるのか、法制化するとするならば、いつをめどにしてやるのか、これをはっきりこの際、長官にお伺いしておきたい。
  51. 三木武夫

    三木国務大臣 国会中お許しを得まして、しばらくイギリスを中心として、環境あるいは公害問題等について視察もいたしたのでありますが、根本的に違うことは、やはり空間が諸外国においては広いということと、そしてイギリスなどの場合は、下水からちゃんと整備されて、何か環境保全というものを基本から積み上げておるという点が、わが国と条件が違うわけです。そういうことを見るにつけても、わが国の場合は狭い国土の中に、これだけの工業生産力あるいは人口というものを擁しておるわけでありますから、環境保全公害防止というものに対しては、諸外国よりもこれは一段と気を配っていかなければ、たいへんなことになるという感を深くしたわけでございます。  アセスメントの問題、言われるとおり私も全くそうだと思うのです。これが十分に行なわれなければ、環境行政は全くあと追い行政ということになるわけでありますから、今後このアセスメントに対しての手法といいますか一これはもう環境庁として全力をあげて、そしてこの問題と取り組んでまいる所存でありまして、将来は島本委員の言われるように、法制化の必要も起こると思います。そういうことで、それもひっくるめてアセスメントの問題というものは、環境庁の一番重要な課題として取り組みたいと考えておる次第でございます。
  52. 島本虎三

    ○島本委員 これは行政的に手続は進んでおりますかどうか。
  53. 城戸謙次

    ○城戸政府委員 ただいまの問題でございますが、私どもとしましては、この七月に環境審査室を発足させる予定にいたしております。その段階までに間に合うように、現在防止計画部会を中心にいろいろ技術的な問題を詰めておるわけであります。どういう点をチェックしていくか、いかなる調査をするか、どういう段階ごとにアセスメントをしていくか、基本の問題も含めまして専門的な部会を設けて、さらに掘り下げた上でまとめたいと思っております。  ただいま大臣からお話がございました、非常に大きな意味での手続問題等を含めました法律の問題につきましては、その当面のまとめが終わりましたあとで検討に入っていこう、こう考えておるわけでございます。
  54. 島本虎三

    ○島本委員 その時期は次期国会と見てよろしゅうございますか。
  55. 城戸謙次

    ○城戸政府委員 いまのような大きな意味での立法でございますが、これについではいろいろ問題点がございます。特にアメリカにおきますようなやり方がいいかどうか。これはイギリスで聞いたところでございますが、やはりイギリスはイギリスなりのやり方を持っております。したがって、私どもとしましては、いろいろなそういうことを取り入れました上におきまして、日本で十分地についたものをつくり上げていくということでございますから、時期的には、やはりある程度時間をかけねばできないのじゃないかと思っております。もちろんできるだけ急いでやることでございますけれども、その点、実態を十分把握しまして、しかも諸外国におきます実施状況等も見ました上で方向づけをしていくことが必要ではないか、こう思っております。
  56. 島本虎三

    ○島本委員 次期国会というのは……。
  57. 城戸謙次

    ○城戸政府委員 したがって私は、次期国会ということは無理じゃないかと思っております。もっと時間をかけてやるべきだというのが、私どものいまの事務的な見解であります。
  58. 島本虎三

    ○島本委員 これは三月八日でありますけれども、やはりこの問題でいま第一号としていわれております苫小牧東部の環境影響評価報告書、この問題で三回詰めました。やはりこの問題できちっとしておかないといけないと思いますので、ひとつこれは長官を含めて、はっきりした意見を聞いておきたいのです。  いままで指摘したところによると、環境庁のほうへは所定の手続を経ないで、いわば行政的には、それは黙認できるような状態であっても、当然経なければならない手続を経ないで、いわば地元には、知事と市長の諮問機関として設置されている公害対策審議会がある、道と市にも、それぞれの議会や議会の公害対策委員会があるわけでありますけれども、そこを経ない報告書、こういうようなものがきているわけです。  ところが、環境庁の城戸調整局長のほうでも、これに対して誤解があっては困るから、この点をひとつ聞いておくのです。「ただ手順としましてはいろいろな場合がありまして、逆にそれが隠れみのに使われているという指摘をいただいているところもあるわけでございますから、一応私ども審査はいたしますが、それだけにとらわれるような立場はとっていないということでございます。」この答弁があるのです。これは三月八日午前十時五十一分からの議事録の中にあるのです。これを逆に解釈されるおそれもあるから、この際聞いておきたい。  役所が審議会を隠れみのにして使う傾向、これは国にも自治体にもあることは、われわれ常識としてはっきりつかんでおります。しかし、この答弁だけを聞いていると、北海道や苫小牧市の審議会は御用審議会だというようにも聞き取れるのであります。したがって、環境庁がそれは参考にはするけれども、それにとらわれない、こういうような意味にもとられるのであります。これはどちらにもとられるようなことがあっては困るのでありますから、この際、はっきりとしておきたい、こう思いますので、三月八日の議事録、この答弁を基調にして、もう一回伺いたい。
  59. 城戸謙次

    ○城戸政府委員 ただいまの審議会でございますが、私ども将来住民参加ということを中心にしまして、手続をきめていきます場合には、当然審議会か、あるいは公聴会か、あるいはもっと専門家の意見を何か聞く形をとるか、これを十分詰めなければいかぬと思っております。現在では公害対策審議会が都道府県の段階にあるだけでございまして、市町村は任意設置、したがって、その辺がある程度ばらばらになっているわけでございます。それで、私どもそういう意味で申し上げているわけでございまして、もちろん先生いまおっしゃったように、道なりあるいは市の審議会がそういう御用的なものであるということを申しているわけではございませんで、一般的に申し上げでいるわけでございます。  これは議会の同意ということも同じようないろいろの問題点があるわけでございまして、たとえば日弁連の調査報告書等におきましても、単に地元の自主性あるいは地元の意向というのが議会の決定でしかないということは問題であるということを言っているわけでございまして、私どもそういう手続につきましては、議会との関係を含めまして、またいまおっしゃいました審議会あるいは公聴会、こういう問題も含めまして、住民がそういういろいろな開発行為に対しますアセスメント、評価に参画していく方法につきまして今後十分検討していきたい、こう思っておるわけでございます。
  60. 島本虎三

    ○島本委員 それじゃ進めます。  私は、きのう苫小牧の現地へ行ってきたのです。きょうおくれて来たのは、飛行機の関係で、一便に乗りましたけれども、着いた時間はいまの時間だった。この点は迷惑をかけたことを委員長にもおわびしておきますが、そのかわりに貴重な資料を得てまいりました。  苫小牧の東部開発が始まる前の、現在の苫小牧の臨海工業地帯の環境汚染の状態、これを特に見てきたのです。これはひどいなと私は痛感してきたのです。少し波はあります。しかし、防波堤の上に立って十分観察してまいりました。海域と河川の水質汚濁の現状をよく見てまいりました。  現在の苫小牧の臨海工業地帯、これは現苫と普通言っているのですが、王子製紙や山陽国策パルプの紙パルプの二社、そのほかに日軽金、年産十三万トンです。そして苫小牧の共同開発、北海道電力の火力開発、これは出力百万キロワットです。出光興産と石油精製、日産七万バーレル、こういう工場がもうすでに立地して操業しているわけであります。水質汚濁の点では、紙パルプ二社の水質負荷量がけた違いに大きいわけです。     〔委員長退席、坂本(三)委員長代理着席〕 海域は、私の見た目でよごしほうだいであります。苫小牧には現に黒い海があるのです。飛行機に乗って見たら、よく見えるのです。そして苫小牧川の王子の放水口、それを見てまいりましたが、かつてはサケが浮上して、そこへさおを立てても、そのさおが倒れない、それほどまで産卵のためにサケが上がった。いまは無菌状態で、大腸菌さえもいない、こういうような状態です。そういうようにしてやっているのが、この苫小牧道費河川ですが、苫小牧の王子の放水口になっているわけです。これは茶褐色の排水です。それから、苫小牧の河口周辺の海に黒い波が立っているのです。そして防波堤、これは内側のほうがよごれているけれども、この王子の廃液が流れてくる、そのほうがなおよごれて、よごれた水よりも外側のほうのきれいなはずの水のほうがよごれている。これが現況であります。  環境庁は、この苫小牧周辺の海域の汚濁現況、東部開発を言いながらも、隣合わしている現苫のこの水質の汚濁状況、これをどのように考えているのですか。全国のほかの臨海コンビナートの前面海域の汚濁状況と比較して、どのような現状だというように、これは位置づけて把握してございますか。これはまことに私は奇々怪々だと思いますので、この点をはっきりさしておきたいと思いますので、御答弁を伺います。
  61. 森整治

    ○森(整)政府委員 先生指摘のように、現苫で問題なのは、私どももやはりパルプ排水であろうかというふうに思っております。これはもう私が申し上げるまでもなく、従来から王子、山パルの問題につきまして、この報告書にもございますように、従来八〇〇PPMというような相当なものが出ておったということは御指摘のとおりでございまして、それが漸次改善されておることも私ども事実だと思っております。  たとえて申し上げますと、先般瀬戸内海で、岩国にございます山陽国策パルプで出ております濃度が、やはり六〇〇PPMということで、これも逐次五十一年を目ざしまして一二〇PPMまで落としていくということで、瀬戸内海の法律で定められておる手順に従ってやっておるわけでございます。苫小牧につきましても、同様な考え方規制を強化をしていく、こういうふうに考えておるわけでございます。
  62. 島本虎三

    ○島本委員 全然なっていないじゃありませんか。通産省が四十七年十二月に発表したコンビナートの総点検の調査結果によると、現苫の化学的酸素要求量の排出総量、つまりCOD、この汚濁負荷量、日量で四十五年には二百五十五トンでしょう。それから四十六年に二百七十二トンでしょう。四十七年二百二十二トン。千葉、四日市、大分、堺の泉北それから水島鹿島、公害の原点といわれている、こういうような地域、いずれもこれは三十六トン以下なんです。けた違いじゃありませんか。ほかのコンビナートに比べて七倍以上も、もうすでにとてつもないCODの負荷量が排出されている。現在の苫小牧地域は、もう深刻な汚濁状態であるということ。そして四十八年の浮遊物質量、これはSSの負荷量ですが、日量約六十トン、でかいものじゃありませんか。この苫小牧の海域には黒い海が広がっているのです。それは山陽国策パルプ、王子製紙、この両社、そのほかに大昭和製紙だ。世界最大の苫小牧東部の計画、これがすぐ東側に隣接してつくられるわけです。もうそれをつくってもいいという引き金を、長官、あなたは引かせたわけです。したがって、環境庁は昨年の十二月十日に、苫小牧の東部の環境影響評価報告書、これを承認して、この承認を前提として運輸省が港湾計画をもうきめてしまった。この報告書そのものは、現苫の水質汚濁の負荷量については一言も触れていないじゃありませんか。なぜ落としたのですか。その落とした理由を伺いたい。
  63. 森整治

    ○森(整)政府委員 われわれ東部の開発の審査にあたりまして、現苫の影響の問題につきましては、山パルの排水がどこまで影響をするかという調査は一応いたしました。  先般も御指摘ございましたように、考え方といたしまして、山パル以外の現苫の影響というのは、従来の知見からは関係がなかろうという判断の上でアセスメントが行なわれております。これも事実でございます。     〔坂本(三)委員長代理退席、委員長着席〕  ただ、先生先般御指摘のございました、海流が東から西へ流れておりまして、東部の開発によります防波堤の設置に伴う海流の変化という問題につきまして、ただいま模型実験等によりまして調査を行なっておりますが、考え方といたしましては一応関係はなかろうということでやったわけでございます。  ただ、現在御指摘もございますように、現苫の海域が非常によごれておるということも、全く先生おっしゃるとおりでございまして、これにつきましては、先ほどから申し上げておりますようにパルプそのものを相当規制している、また、すでにその方針は出されておる、それらを含めまして、現苫の規制というものをさらに強化をしていく、こういうことで判断をしたわけでございます。
  64. 島本虎三

    ○島本委員 これは調査しなくてもよかろう、この判断の基準は何に置いたのですか。瀬戸内海を見なさい。あの水質の汚濁の状態、変化がはっきり出て一番ひどいのは瀬戸内海、三番目が東京湾、その他ずっとやられているでしょう。この海底ヘドロ、これは何も差しつかえなかろう、こんなばかな基準を何で出したのですか。はっきり言ってください。差しつかえないというのは、なぜ差しつかえないのですか。よごさないですか。とんでもないことです。現苫のこの現在の深刻な汚染実態。全国一の水質汚濁負荷量。その東部計画に水をさすかもしれないという判断をしたから、こういうようなことを入れない、こういうようなことをしたのじゃないですか。これは当時の人にこの点を十分確かめないとだめです。将来これが見本になるのですから。こんなことをさせてはとんでもない。日本の国の元凶になります。したがって、公害を未然に防止できますという報告書を出すことが、これでは、ほんとうにいまのような状態を考えたなら、当時はできなかった、そうするためにはこれを抜いた、こう思わざるを得ないじゃありませんか。  口で言ってもわからない。私は、きのう行って、直接現地で、長官、苫小牧の臨海工業地帯、この写真を一応見てきた。市役所からこんなのをもらえるのです。これをちょっと見てください。この水の色なんですが、いけ図々しくもこういうふうにして出しているのです。これも苫小牧の臨海工業地帯の説明書の中の表紙です。この防波堤のところが色は紫になっていましょう。これがいわゆる廃液なんです。そして、これはもう茶色です。こういうのに苫小牧市が何の注意を払っておるのか。これはどういうようなことですか。この煙を上のほうに上げているのが国策パルプなんです。そういうふうにして見ると、全くこの航空写真、上から見てもこういうのははっきり見えるのです。汚濁状況、こういうようなものがはっきりわかるのです。苫小牧東部のこういうような巨大開発の計画の概要を紹介したこのパンフレットの表紙にして、こういうようにして出しているのです。皮肉じゃありませんか、これは。それとも皆さんのほうで、われわれをばかにしてこういうようなものを出させるのですか。  この航空写真、これは苫小牧東部の巨大開発の計画概要を紹介したパンフレットの表紙だということが、どうも私としては皮肉だと思っているのです。西防波堤、この辺までくっきりと黒い海が写っているのです。王子製紙のこれは全部廃液です。西隣の白老町の海、ここにも大昭和製紙があって、その廃液が、きょうも飛行機からはっきり見えるのです。やや同じようになって出ているのです。環境庁は、北海道のような海ならよごしてもいいのだ、こう暴言するつもりはない、こう思うのでありますけれども、苫東の環境アセスメント、この報告書の中では、現苫の汚濁負荷量、これに触れていないばかりか、汚濁実態を正しく紹介しようとしておらない。これではくさいものにふたをしよう、こういうような考えと同じ旧態依然たる開発優先の姿だ、環境無視のアセスメントだ、こう批判されても何の答弁もできないでしょう。こういうような状態です。  昨年の十二月の報告書案を承認する一−環境庁は承認したのです。その段階で、道の生活環境部は、苫小牧海域の汚濁状況を写真に写したところの航空カラー写真、こういうようなものを添付してきていたのですか。経年変化、季節変化、海流との関係、こういうふうなものの判断の資料として当然必要だと思いますが、これには載っているのですが、こういう資料をつけてきたのですか。
  65. 森整治

    ○森(整)政府委員 そういう事実はなかったようでございます。
  66. 島本虎三

    ○島本委員 なぜ出せというような指導をしなかったのですか。
  67. 森整治

    ○森(整)政府委員 弁解をするわけではございませんけれども、パルプ廃液の問題につきましては、どこでも非常に問題を起こしておるわけでございます。なるがゆえに、五十一年には一二〇PPMまで規制をするということで、その段階的な削減をはかっておるわけでございまして、色の問題につきましては、まだ手当てができておりませんけれども、ともかくCODの濃度を下げるということで、これはわれわれとして一歩も譲れないという考え方を持って規制を進めておるわけでございます。したがいまして、現苫であろうとどこであろうと、確かに御指摘のように、現状はなはだ申しわけない状態であることは私も率直に認めます。しかし現在のパルプの廃液というのは、全国的に見て、そういう段階であるということも否定できない事実でございまして、今後のわれわれの指導、業界のあり方ということで、ひとつその点は御理解をいただきたい、こういうふうに思うわけであります。
  68. 島本虎三

    ○島本委員 業界のあり方に対して指導する——では現在はどういうふうな状態ですか。この五月十五日、おとといでしょう。この王子製紙の会社の七十メートルの煙突の風下に黒い雨が隆っているのです。午前八時三十分ころから午前十一時過ぎまでです。そうして会社は、これは平常の操作と変わったところはない、こういうふうに言っているのです。そうして線路の上も白く斑点がついているのです。そうして市役所では、王子の煙突の下に沿うているから、これは王子の構内であるから関係はない、こういうふうに言っているのです。市の公害部では、そういうふうに言っているのです。  大気汚染、こういうふうな状態で何かにあらわれているかというと、これをちゃんと受けて調査するテレメーター、このテレメーターは王子製紙に全部委任してやらしているのです。そうして黒い雨が降ったその時点では、インクがなくなったから、これは欠になっておるわけです。インクが切れてテレメーターに出ていないから、これは欠ということになっておるのです。この欠の間に黒い雨が降っているのです。その結果、長官、こういうような状態が線路の上に発生しているのです。これはもう見てください。——こういうような黒い雨を降らしておるのです。この状態。現苫をこのままにしておいて、あらためて東部開発を強化するような引き金を引かした。一体現苫については、これはきちっといま指導しているといいながらも、十五日の午前八時半から十一時過ぎまで、その間のはかるテレメーターは故障になってしまっているというのです。そのテレメーター自身は王子製紙に委託してやらしているというのです。  これでは企業の言うなりじゃありませんか。こういうようなことで、はたして指導しているとい、えるのですか。これは王子製紙と王子製紙のチップヤードの間の横百メートル、縦二百メートルにわたって黒いタール状の液体、いわゆる黒い雨、これがレールや草の上、ちょっとのすき間もなく全部降ってきたのです。その草というのがイタドリ。イタドリの葉の上に落ちたのがその状態。線路も同じ状態になっているけれども、そのそばにあるトタン、これを借りてきたのがいまのそのトタンです。これがまともな状態なんですか。これは前にも酸性の雨を降らして国鉄職員から訴えられた。提訴された。そうしてそれを直した。提訴というと、司法裁判所ではございませんけれども、訴えられて、それを直したといって、また十五日にも同じようなことをやっている。  いまのような状態にしておいて、長官、いかに新しい東部開発、こういうようなことばかりやれやれといっても何にもならないのです。水に境ありますか。空に境ありますか。当然こういうようなものは、その辺まき散らされておるのが現況です。一体、こういうような状態だったということを環境庁知っていたのですか。
  69. 春日斉

    春日政府委員 先生の御指摘になりました国鉄苫小牧構内のタール状物質降下事故——事故と申しますか事件でございますが、実は昨夜私どもにも報告が入っておりまして、それによりますと、五月十五日の十三時五十五分ごろ王子製紙苫小牧工場構内から国鉄苫小牧機関区構内に黒いタール状の物質が降下している、こういう連絡を苫小牧公害防止センターが受けた由でございます。  苫小牧公害防止センターといたしましては、直ちに立ち入り検査をいたしました結果、七十五メートル集合煙突から先生の御指摘のように、北側に百メートルの程度にわたって地表面に幅二十五度の扇状の黒いしみができた、発見されたということでございまして、この物質を採取して目下分析を行なっている段階でございます。  構内のボイラーは、定期補修中の十号ボイラーを除きますと、正常に運転されつつあるといわれておりますが、調査の結果、タール状の物質は八号ボイラー、これは神奈川県工業試験所式の全量排脱を有しておるものでございますから、これから排出されたものと一応考えられておりまして、十七日の朝から八号ボイラーを停止して、中に入って点検を行なうことにいたしておるわけでございます。  確かに昨年六月、ほぼ同様な事故がございました。これは排脱の事故ということであったようでございます。道といたしましては、すみやかに原因を究明して適切な指導をするよう厳重に申し伝えてございます。  ただ、やはり先生が御指摘になりましたような大気の測定の問題でございます。測定記録の問題ですが、当日、道が設定いたしております測定点は、いずれも特に異常な高濃度を記録したというような事実はないようでございますが、工場の西側一キロ、白金というところに移動測定点を設けておりますが、これは確かに午前三時から午後一時が欠測となっている。その理由はインクの出が悪くなったという、まことに維持管理の不徹底の状態が指摘されます。  それからもう一つ問題か——この問題を先生かおっしゃっておるのかと思うのでございますが、王子製紙の苫小牧工場のチップヤード内に北旺測定局というのが、これは王子製紙そのものが設けておるわけでございますが、十時四十五分から二十分間程度の間、測定値が判読できない。ノイズを起こしておる。これが先生の御指摘になった問題なのかとも思うわけでございますが、いずれにしても、北旺の測定局あるいは白金の測定点、これに遺憾な点があったことは事実でございます。  以上であります。
  70. 島本虎三

    ○島本委員 これはちょっともう一回、それを確かめてください。住民の話によると、午前八時三十分過ぎから午前十一時過ぎまでタール状の黒い雨が降ったという。いまの話では午後一時からということです。これは時間が食い違っておりますから、この点調べてもらいたい。それといま言った白金の測定点。これは十時から十三時まで欠になっております。一回じゃありません。ずっと十時、十一、十二、十三、十四時からまたあらわれておる。おさまってから、また活動しているのです。そうしてこれは王子に委託してデータをつくらしている。この委託してやらせているというこの態度はどうなんですか。大気汚染、当然あらわれなければならないのに、この時間も違っている。北旺の場合には、これは時間もまた違っている。これは欠脱したのは十一時ですよ。これははっきりしたデータです。同じデータを二枚も別なのを出すのですか。それは違っていますよ。  こういうようなことを企業に委託してやっている。住民の迷惑、最大なものじゃありませんか。それだけじゃないのです。ヘドロの問題等含めて、私はまだまだやらなければならないのでありますが、どうですか、これは大事なんですけれども、時間の点、委員長から言ってきたものがあるのですけれども……。
  71. 角屋堅次郎

    角屋委員長 島本さんに申し上げますが、きょうの理事会でもおはかりしましたように、大臣参議院の本会議大気汚染防止法の一部改正のときには出なければならぬわけです。参議院の本会議は、ずれてまいりましたので、若干質疑を、それぞれ前後いたしましたが、二十分には、大臣にはそちらのほうに回ってもらわなければならぬということになっているわけです。岩垂さんが四十分、それから島本さんが四十分、それから米原さんが二十分ということで理事会でもお話ししまして、二十分の時間が参りましたので、残余の質疑については、大臣御出席ではございませんけれども、時間をあけることにしておりますので、そういうことで御了承を願いたい、こう思っております。
  72. 島本虎三

    ○島本委員 じゃ答弁を承ります。
  73. 春日斉

    春日政府委員 私の申し上げました五月十五日十三時五十五分ごろというのは、これは苫小牧公害防止センターが報告を受けたという時間でございますので、御了承いただきたいと思います。  それから白金の測定点の欠測は、午前三時から午後一時というふうに私ども聞いておるわけでございまして、おそらく……。
  74. 島本虎三

    ○島本委員 この資料見てください。それも違っている。
  75. 春日斉

    春日政府委員 それから白金及び北旺の測定局、これはいずれも企業の測定局でございます。
  76. 島本虎三

    ○島本委員 これはもう留保して、次に——これで終わったのじゃありません。この次に、またこの続きをやりますから……。
  77. 角屋堅次郎

    角屋委員長 岡本富夫君。
  78. 岡本富夫

    ○岡本委員 航空局の方見えておりますね。  私は、公共飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律の一部改正、これは運輸委員会で審議されて、すでに可決されたものでありますけれども、この運営について若干質問を行ないたいと思います。  その前に、これは第三セクターといいますか、大阪国際空港周辺の整備計画、これに基づいて、この法案が出されたわけでありますけれども、兵庫県の坂井知事から伊丹の伏見市長に対して「大阪国際空港周辺整備計画の事前協議について」という文書が出ておるわけでありますが、この中に「大阪国際空港整備計画については、現空港の移転廃止を基本として策定することとし、大阪府及び国と協議を重ねておりほぼ合意を得ております。」こういうようにこの公文書に出ておるわけでありますが、そうしますと、この大阪国際空港は移転廃止、これをはっきりと国のほうで明示をしたのかどうか。これについて、ひとつお聞きしておきます。
  79. 春日斉

    春日政府委員 関西地方におきます国際空港の必要性を簡単には否定できないのは御承知のとおりでございますが、他方、騒音問題の解決は環境保全上のもちろん重要な課題でございまして、このために将来新国際空港が建設された時点におきましても、なおかつ大阪国際空港における環境基準が達成されないというような状態が招来されたようなときには、大阪国際空港の廃止をも含めて根本的に検討する必要があると環境庁としては考えておるわけでございまして、大阪国際空港の取り扱いについては、このような見地から関係省庁及び地元において総合的に検討さるべきものである、かように考えておる次第でございます。
  80. 隅健二

    ○隅説明員 お答えいたします。  現大阪国際空港の取り扱いにつきましてのお尋ねでございますが、この前、今国会におきまして御成立をお願いいたしました航空機騒音防止法の成立に伴いまして、いろいろの諸手続をいたしました。これに基づきまして、やはり一番大きなものは、大阪府知事と兵庫県知事の大阪国際空港周辺整備計画というものを御提出いただくことになっておりまして、この点につきまして、事前に兵庫県知事が伊丹の伏見市長に事前協議をしたときのお話だと思いますが、この大阪国際空港周辺整備計画の中に、先生御存じのように大阪国際空港の騒音、「これを抜本的に解決するためには、住民生活に障害を及ぼさない関西新国際空港が必要であるが、この建設にあたっては、大阪国際空港の撤去を基本として検討し、計画を策定する必要がある。」という点が序文の(目的)のところに書かれてございます。  われわれといたしましては、今度の騒音防止法の審議にあたりまして、いろいろこの大阪国際空港の取り扱いについて御質問が出てまいりましたが、これにつきまして運輸大臣は昨年の七月九日に、航空局長の名前をもちまして、大阪国際空港騒音対策協議会の会長である伏見さんに公文書を出しました。これは「大阪国際空港の将来のあり方について」というのでございまして、その第二項目に「現大阪国際空港の将来のあり方については、新関西国際空港との関連において十分検討を要するものであるが、その開港時点にこれを撤去することをも含めて可及的速やかに検討するものとし、その検討に際しては地元公共団体の意志を十分尊重するものとする。」ということで、運輸省といたしましては、関西新空港の建設についての位置と希望を諮問しておりますけれども、何といたしましても、関西新空港の建設には相当の長期間が必要でございますので、現大阪国際空港の騒音対策を抜本的に行ない、徹底的に行なう必要があるということで周辺整備機構をも設立してやっておるわけでございます。  この騒音対策がどのようにできてまいりますか、また昨年の十二月二十七日に、環境庁が告示なさいました航空機の騒音に係る環境基準がもし万一達成できないような暁には、われわれとしては重大決意をせざるを得ないということを運輸大臣も再々申しております。われわれといたしましても、そういうような観点で騒音対策に取り組んでいきたい。そして、そのときになって、やはり地元の地方公共団体の皆さまに十分御相談を申し上げまして、大阪国際空港の撤去も含めて検討をしたいというのが現状でございます。
  81. 岡本富夫

    ○岡本委員 そこで、この文面を見ますと、「大阪国際空港整備計画については、現空港の移転廃止を基本として策定することとし、大阪府及び国と協議を重ねておりほぼ合意を得ております。」こういう知事から、市長にあてての事前協議の内容を知らせておるわけですが、いま環境庁のほうでは、環境基準が達せられないとき、こういう答弁があった。これにはそういうように環境基準を達せられないときは、移転廃止を基本とするということにはなっていない。省略されている。省略せんとしたのか、あるいはどうしたのかわからないのですけれども、まず、これについて、もう一ぺんはっきりしておいてもらいたいと思うのです。
  82. 隅健二

    ○隅説明員 ただいま先生のお示しになりました文書は、兵庫県知事から伏見伊丹市長に出された事前協議の文書だと存じます。  われわれといたしましては、大阪府及び兵庫県から、改正法の成立後府県が策定し、国と協議する大阪空港周辺の整備計画の案について、事前に相談がございました。このときにわれわれといたしましては、序文において関西新空港の建設についての府県の考え方を表明なされることにつきましては、われわれはこれを云々するものではございませんし、また、われわれとしてはさっき申しましたような七月九日に十一市協の会長である伏見市長に対して、撤去をも含めて検討するという——いままでわれわれといたしましては、関西新空港の建設にあたって伊丹空港の併用を原則として検討していたのを、撤去をも含めてというような見解を示しました。この点につきまして、われわれは相当の決意を持って検討をする、いままでの態度をそこで変えたわけでございます。やはり地方公共団体と、これからも十分に御相談をいたしまして、また一方では、環境基準を達成するために最善の騒音対策をやっていきたいというふうに考えております。
  83. 岡本富夫

    ○岡本委員 ここのところが、ちょっとことばのあやと申しますか、伏見市長は、空港撤去を前提とした基本計画案を運輸省が認可したのだから、国は撤去を前提とした暫定的騒音対策である、だから私は賛成をするんだという意思表示をしている。確かに国と兵庫県、あるいは大阪府との事前協議の文書を見ますと、「現空港の移転廃止を基本として策定することとし、」これをほぼ合意を得ておる、こういうふうに出ているわけです。  いま環境庁の六気保全局長からは環境基準を達しないときは、こういうことですね。この環境基準についても、ほんとうは問題があるのです。これは暫定基準でありますから、もう一度人体への影響やいろいろなものを調査して、はっきりしたものを出すというように考えていないのか、その点、もう一ぺんお聞きしたい。
  84. 春日斉

    春日政府委員 航空機騒音に関する環境基準でございますが、これは暫定基準ではございませんで、しっかりした環境基準なんでございます。環境基準と申しますものは、そのときその時代と申しますか、一番新しい科学的な根拠に基づいて改正することが原則でございますから、そういう意味では、先生がおっしゃったように、改正するという立場から見れば、暫定というおことばが出るかとも思いますが、正式のものでございます。  それは、ことばのニュアンスの違いだけのことで、問題ではございませんが、要するに私どもは、関西新空港ができましたときに、現在の国際空港の環境基準到達して、何ら周辺に御迷惑をかけていないという状態ならば、これはまた必ずしも撤去させる必要もないことではなかろうか、こういうふうにも考えるわけです。しかし、いや、そうは言っても、あくまでも撤去をさせるんだというお考えの方もございましょうし、そういったことを含めまして考えましょう、新しい空港ができましたときに検討しましょう、こういう意味でございます。
  85. 岡本富夫

    ○岡本委員 この点については、あなたのほうは環境基準をきめるほうですから、撤去するとかあるいは撤去しないとか、こういうことについてのくちばしは、ほんとうのところをいいますと、必要ないことです。だから、あなたのほうはもっと強腰にいってもらわなければいかぬということは、現在の環境基準で人体調査やすべての調査がまだ終わっていないわけです。ですから、一応いまのところではこうきめているけれども、これは先ほど話があったように暫定だ。  まあ、それはそれとしまして、この文面から見ると、現空港の移転廃止を基本として策定するということをほぼ合意した、事前協議でそうなったから賛成するんだというような——兵庫県も大阪府も幾らかこの整備機構に対して出資しているわけですからね。その点をもう一度、現在の環境基準に合ったからといって、住民が毎日毎日非常に被害を受けている。環境基準はもうオールマイティーじゃないわけですよ、先ほど大気保全局長からも話がありましたようにね。したがって、そういう時点において新しく空港ができたという場合、併用せずにこの空港撤去を前提とした基本計画だというように伏見市長はとって賛成している、こういうことなんです。先ほどの答弁を聞きますと、どうもそこのところが、もう一つ歯切れがはっきりしないように私は思うのですが、あらためてもう一ぺん御答弁いただきたい。
  86. 隅健二

    ○隅説明員 この点につきましては、去る五月十日に、伊丹市議会の議長さん、空港対策部会長さんたち十名近い方がお見えになりまして、私、一時間半、二時間近くこの問題についてお話をいたしました。  われわれといたしましては、空港の撤去をも含めて慎重に、また真剣に検討します、しかし現在の段階で、関西新空港ができた暁に現伊丹空港を撤去するということについては、この航空局長が出しました文書の内容のように、さらに地方公共団体とは十分にお話をしながら、環境基準の達成につとめたい、そのときにSTOL、あるいは着陸、離陸もそれほど長い距離を必要としない、あるいは進入方式において安全かつ騒音をまかないで静かな離着陸ができる飛行機の出現ということも考えられますし、そういう点をも含め、撤去を含めてという点を地方公共団体とお話をしていきたい、ことに伊丹、豊中、川西、池田という現実に騒音で御迷惑をかけております地方公共団体といろいろの点において御検討を申し上げたいということをお話しいたしまして、昨年七月の文書というものは、大阪の騒音対策にとって画期的な文書であるということを確認してお別れしたわけでございます。  われわれといたしましても、あらゆる点から大阪空港のあり方を今後真剣に検討していきたいというふうに存じております。
  87. 岡本富夫

    ○岡本委員 これから検討するということですが、この文書との相違というものが若干考えられるわけです。したがって、ただ環境基準、環境基準ということでなくして、実際に住民の皆さんが受けている被害ということを考えると、新空港をつくる際は、やはり撤去を前提としていくということを、もう一度再検討していただくように要請しておきます。  次にコンターですが、一種地域、二種地域、三種地域の運輸省のほうの地域と、それから実際に十一市協ではかった地域との差というものが、運輸省よりも大体四倍ぐらいの大きさになっている。したがって、立ちのきを要求したり、あるいはまた、いろいろ移転の補助をしたりするのが大体四倍になると思います。これの調整については、私、あれは昨年の三月の予算委員会におきまして当時の新谷運輸大臣に対して、これは調整するのかどうかということをただしましたところが、地方自治体とよく相談をして、その御意向に沿うようにいたしますということであったわけですが、じゃ、その予算措置というものがどうなっておるのか、これをひとつお聞きしたい。
  88. 隅健二

    ○隅説明員 運輸省が昨年の三月から五月にかけまして実測をいたしまして騒音コンターを作成いたしまして、これをすでに十一市協のほうにお示しをいたしました。これにつきまして、地元の十一市協が作成しております騒音コンターと相違があることは、先生のお示しのとおりでございまして、運輸省は十分それを承知いたしております。それで大阪府、兵庫県、それから関係市と合同でこの騒音の測定を実施し、早急に検討するということで、この前も伊丹市からお見えになりましたときに、もう伊丹市としては十分用意を整えて待っているんだけれども運輸省のほうがさっぱりやってくれないではないかというお話もございました。  われわれといたしましては、調査費を組んでおりまして、相当の金額になると思います。金額はいまちょっと手元にございませんけれども、大蔵省財政当局とも、この支出方について協議をいたしておりますし、それから大阪府、兵庫県の関係者の方に測定の方法について御相談をいたしております。調査費のほうは十分確保してございますので、先生のおっしゃいますように、できるだけ早くこのコンターを再調整いたしまして、そしてその結果に基づきまして、ただいま先生のおっしゃいました一種、二種、三種の区域の訂正と申しますか調整をするつもりでございます。
  89. 岡本富夫

    ○岡本委員 次に、第三種区域内にあるところの土地について、これは一番騒音のひどいところですが、これを全部緑地帯としてしまう、またその土地を都市公園等に整備する、周辺地方公共団体に貸し付ける、こういうようにありますけれども、二種、一種については、そういった緑地帯というものを考えていないのか。  このなにを見ますと、現在の民家を移転したあとを倉庫あるいはまた野外自動車置き場、こういうものに売却するというようになっておるわけでありますが、御承知のように飛行機の排気ガスあるいはそういうようなものが非常に多いわけですから、これは全部売却してしまわずに、やはり相当な緑地帯をとれるような予算措置にしなければならないんではないかと私は思うのですが、この点について、ひとつ確めておきたいのです。
  90. 隅健二

    ○隅説明員 あと地の利用につきましては、先生いまお話しのように、われわれといたしましては、両府県がつくりました大阪国際空港周辺整備計画の計画書の中できめたものを大阪周辺整備機構が実施をするわけでございまして、その中に「第三種区域を除く第一種区域は、防災上の施設も含め、必要に応じて航空機の騒音によりその機能が害されるおそれの少ない施設を計画的に配置するよう努める。」というふうに書かれております。  われわれは法案の審査にあたりまして申しましたのは、周辺整備機構が一種または二種の土地を購入し、またはこれを転売する、そのときに騒音に強い倉庫であるとか流通センターのようなものを建設したらどうであろうかという御説明はいたしましたが、これはやはり両知事のおきめになる周辺整備計画に基づいて行なわれるものでございまして、騒音を出す工場を誘致すると申しましても、地元の住民の方々がはたしてこれに同意するとどうか。あるいは両知事さんにおきまして、やはり運動場であるとか、あるいは防災的な設備のほうがよりいいのではないかというような点で、また御計画をお立てになりますでしょうし、この整備機構には評議員会というものがございまして、この事業の内容を相談することになっております。その評議員には両知事とそれから関係の六市をお願いしてございます。そういう点で、このあと地利用につきましては、やはり地元の皆さま方の声が十分に生かせるものというふうに運輸省としては考えております。
  91. 岡本富夫

    ○岡本委員 次に、この騒音地域の土地利用規則といいますが、こういうようなものが必要になってくるのではないかと私は思うのです。なぜかと申しますと、非常に飛行機の騒音がうるさい、そういうところにどんどん家が建ってきている。あとから来た者が悪いのだというような答弁がよくあったわけでありますけれども、これは外国の例を見ますと、去る三月十三日から供用が始まったパリ新空港の場合でも空港周辺を、A地区は住宅の新築完全禁止、B地区は病院、学校を除く公共施設の建築だけを、C地区は地方首長の許可をしたものだけの建築、こういうような三段階に分けた規制をしているわけです。こういう特別立法がやはり必要になってくるのではないかと考えるのですが、その点についてひとつ……。
  92. 隅健二

    ○隅説明員 空港周辺の土地の立地規制と申しますか、これにつきましては、今次の騒音防止法の改正につきましても一応はいろいろ検討いたしましたが、諸般の事情でこれを盛り込むことができなかったのは事実でございます。ただいまわれわれが検討いたしておりますのは、昭和五十年度を初年度といたします空港整備五カ年計画、第三次計画をただいま策定中でございますし、航空審議会にも諮問を申し上げました。その中の重要な点は空港と地域社会との調和、周辺の整備をどのようにするかということが最大の眼目でございます。その中で立地規制というものは非常にむずかしい問題を含んでおることは事実でございますが、フランスあたりでは相当きびしい立地規制をしてございますし、現在の新東京国際空港、成田につきましても、相当の土地を空港公団あるいは千葉県にお願いをして取得いたしましたけれども、まだまだ民間の所有にかかわる土地がたくさんあいてございます。この点について千葉県知事からも、立地規制の必要性に基づいて立法を何とかすべきではないかというお話がございます。  われわれといたしまして非常に困難な問題でございますが、航空審議会におきましても小委員会を設けてこの点を検討いたしますし、建設省、また環境庁等、関係官庁にもいろいろお願いいたしまして、いろいろな問題点を解明し、できるだけ規制ができるように考えたいと思っております。
  93. 岡本富夫

    ○岡本委員 それは検討するということにして了承しておきます。ということは、それをしていないものですから、幾らでもそういうものが建っていって、それでまた移転補償する、国費もたまったものじゃないということが現状であります。  次に、昨日の午前十時十五分ごろと午後二時四十五分ごろ、二回にわたって、西宮の苦楽園というのですが、この辺のところに航空機の汚物と申しますか、こういうものが相当多量に落ちている。これは少し前だったですが、黄色い粉を落としたとかいうふうなこともありましたが、西宮保健所で大腸菌検査をするといっておるのです。そこに住んでいる小西初男さんという方は、飛行機の汚物ではないか、非常にけしからぬ話だというような談話を出しておるわけです。変な話ですけれども、航空機のそういった汚物がこういうふうに多量に、大体五十メートル四方に二回にわたって落ちてきているということですが、この点については、あなたのほうでは聞いておりませんか、いかがですか。
  94. 隅健二

    ○隅説明員 航空機からの汚物と申しますか、私が承知いたしておりますのは、空から氷塊が降ってきた。その氷のかたまりを分析をしたところが、アンモニアか何かが含まれておったというような事実は存じております。これにつきまして、さっそく大阪航空局大阪空港事務所に、当時飛びました飛行機の種類を全部チェックいたしまして、調査をいたしておりますけれども、ジェット機でありました場合には、全部減圧装置がついておりますので、汚物が外に漏れるということになれば、飛行機の機体自体に相当の損傷なり大きな事故につながるあれがございますので、この点について、当時飛行記録をいたしましたデータに基づきまして、各航空会社に厳重に点検するように申し入れてございます。  それから、いまの先生の御指摘で、五十メートル四方に飛んだというのは、私これを承知いたしておりませんので、さっそく帰りまして大阪航空局大阪空港事務所に対して、その時間、それから飛んだときの飛行機がどのくらいあったかという点について至急調査をいたします。
  95. 岡本富夫

    ○岡本委員 これは報道によりますと、現実にこういう状態を私のほうに連絡があったわけですけれども、大体二回こういうことがあった。その二回とも航空機が通ったあとに、そういうことがあったというわけですね。一ぺんぐらいだったら、どうかと思ったんだけれども、またあった。そのときも、やはり航空機が飛んだあとだったという。正体については、そういうことですから、上のほうを飛んでおるわけですから、つかまえておりませんけれども、ちょうどここは航空機の航路になっておるわけです。ですから、ひとつ至急に一ぺん調査をして、こういうことの再び起こらないようにしていただきたい、こういうふうに思います。次に、テレビの減免区域の拡大、これは宝塚市付近では、まだ減免区域がはっきりしてないところや、非常に被害を受けているところがある。  これは要請しておきまして、次に、自治省に、航空機燃料譲与税、これを私、四十二年だったですか、やかましく言うて、いままで燃料税を取ってなかった、それを取って、迷惑をかけているところの住民のほうに使ったらどうだということを申し上げたことがありまして、やっとこれは実現したわけでありますけれども、この配分あるいはまた総額について、自治省からひとつお聞きしておきたいと思うのです。
  96. 中野晟

    ○中野説明員 航空機燃料譲与税につきまして、お答え申し上げます。  まず、総額でございますが、昭和四十八年度におきまして約十九億六千万円でございます。  それから、配分の方法でございますが、これは航空機燃料税法の規定によります航空機燃料税の収入額の十三分の二が譲与税としてまいるわけであります。この総額の三分の一につきまして、空港の所在する市町村へ配分する。残りの三分の二につきまして、これを政令できめております空港、ジェット機が発着する空港でございますが、この空港の関係の市町村に配分するということになっております。  配分の方法でございますが、まず、先ほど申し上げました全体の三分の一につきましては、その空港に飛行機が着陸する場合の着陸料の収入額によりまして案分をいたします。それから、騒音関係の市町村に配分いたします三分の二につきましては、これは騒音が特に著しい地区として定めます地区内の世帯数、この場合に騒音の著しいというのは、WECPNLで七十五以上ということでございますが、その地区内の世帯数で三分の二を案分するという仕組みでございます。  なお、あらましを申し上げたわけでございますが、着陸料の収入額につきましては、空港の管理の態容等を参酌いたしまして補正を行なっております。それから、航空機の騒音によって生じます障害の程度等も参酌いたしまして、騒音関係につきましては、これも補正を行なっております。  概略は、以上でございます。
  97. 岡本富夫

    ○岡本委員 約束の時間もありますから……。  もう一度自治省のほうで、まだ四十九年度の分も出てくるだろうと思いますが、四十八年度、四十七年度、一応出してもらって、もう少し増額をして、少なくとも、過去十年間あるいは現在もそうでrが、相当被害を受けている皆さん方に、迷惑料というのはおかしいのですけれども、手当てをしてあげる、あるいはまたそうして補償も少ししていくというような——いま聞くと、十三分の二だけがこっちに回っているということでしょう。これはあまりに少ない。私どもが航空機の燃料税を取れと言うたのは、これは全部こっちへ回せということを言った。たしか四十三年ごろだったですが、あの時分で計算して約二百九十九億ほどあったはずですよ。そのほんの一部しかこれは回ってない。それまではもう航空機の燃料は無料だった。いま見ますと、これは四十八年度で十九億、約二十億ですね。おそらくこれは三百億、もっと取っているのじゃないですか。この委員会でも要求もし、せっかく取ったものを、ほかへ使ってもらったのでは、これは話にならない。  自治省、ひとつ、しっかりして、もっと要求をして、そして毎日被害を受けている人たちに対して、少しでもこたえていくというようにしなければ、これは話にならないと私は思うのです。ですから、これはひとつ資料要求しておきます。  最後に航空局に、現地の皆さんの要求として、整備機構によって追い出されるといったら、おかしいけれども、移転したい、移転しなければならないわけですが、そういう代替地の確保、それから今度行った先の買い入れ土地の価格と、それから移転する土地の価格の格差、この問題、それから租税特別措置法の控除額の過少、非常に少ない。これは何べんも言っておりますが、この問題、それから借地人、借家人の取り扱いについて、指定区域内の新築家屋の抑制、これは先ほどお話ししましたが、空港周辺におけるところの生活環境基準、これはいろいろあると思うのですが、航空機の騒音もありますけれども、要するにいままで長い間迷惑をかけた、一日も早く静穏にしてもらいたい、ですから、いろいろな面で生活環境の、何といいますか、環境をよくしていくという策定ですね、これについてもひとつ地方自治体のほうからいろいろ話があろうと思いますけれども、この要求にひとつこたえて、いろいろと検討をしていただきたい。  これをひとつ要求しておきまして、きょうは終わりたいと思います。
  98. 角屋堅次郎

    角屋委員長 委員各位に申し上げます。  参議院から、大気汚染防止法の一部を改正する法律案が間もなく参ることになっておりますが、御承知のように参議院の本会議の開会がおくれたりいたしておりまして、いまのところ一時五分と言っておりますが、大臣が間もなくお見えになると思いますし、修正の提案者も参ると思いますので、このままの姿で暫時お待ちを願いたいと思います。恐縮でございますが、よろしく御了解願います。  速記をとめて。     〔速記中止〕
  99. 角屋堅次郎

    角屋委員長 速記を始めて。      ————◇—————
  100. 角屋堅次郎

    角屋委員長 この際、ただいま本委員会に付託になりました内閣提出参議院送付大気汚染防止法の一部を改正する法律案を議題といたします。     —————————————
  101. 角屋堅次郎

    角屋委員長 まず、提案理由の説明を聴取いたします。三木環境庁長官
  102. 三木武夫

    三木国務大臣 ただいま議題となりました大気汚染防止法の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容を御説明申し上げます。  わが国の大気の汚染の状況は、逐次改善の傾向にあるものの、現在なお深刻な状況にあり、今後さらにその改善をはかることは、わが国の環境政策に課せられた緊急な課題であります。  政府といたしましては、公害対策基本法に基づき人の健康を保護する上で維持されることが望ましいものとして定められている環境基準を確保するため、大気汚染防止法による排出規制を中心に努力してまいったところでありますが、現行の規制方式は、汚染物質の排出濃度による規制または排出口の高さに応じた規制であって、地域の排出総量を押えるには必ずしも十分でなく、一部の地域においては、このような規制のみによっては環境基準の確保が困難な状況に立ち至っている実情にあります。  このような現行方式の不十分な点を補い、硫黄酸化物による大気の汚染の状況の改善をはかるため、一定範囲の地域における大気汚染物質の排出総量許容限度を科学的に算定し、これ以下に排出総量を押えるよう個別発生源の規制を行なういわゆる総量規制方式を、国民の健康を保護する観点から早急に導入すべきであると考え、今回この法律案提出することとした次第であります。  以下、この法律案の内容を御説明申し上げます。  第一に、工場または事業場が集合している地域で、現行の規制方式のみによっては環境基準の確保が困難であると認められる地域として、硫黄酸化物その他の政令で定めるばい煙ごとに政令で指定する地域について、都道府県知事は、当該地域における事業活動その他の人の活動に伴って排出されるばい煙の総量を、環境基準に照らし算定される総量までに削減させることを目途とした指定ばい煙総量削減計画を作成することとしております。  第二に、都道府県知事は、その計画に基づき、ばい煙を排出している一定規模以上の工場または事業場が遵守すべき総量規制基準を定めなければならないこととしております。  第三に、都道府県知事は、指定地域において硫黄酸化物を排出している一定規模以下の工場または事業場が遵守すべき燃料使用基準を定めることとしております。  このほか、この制度の実効性を担保するため、総量規制基準の遵守義務、改善命令等の規定を設けることとしております。  なお、この法律は、公布の日から起算して六月をこえない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。  以上が、この法律案の提案の理由及びその内容であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  103. 角屋堅次郎

    角屋委員長 以上で提案理由の説明聴取は終わりました。  なお、本法律案は、参議院の修正を経た議案でありますので、修正案の提出参議院議員矢山有作君より、その修正の趣旨について説明を求めます。矢山有作君。
  104. 矢山有作

    ○矢山参議院議員 大気汚染防止法の一部を改正する法律案に対する参議院における修正部分について、その趣旨を御説明申し上げます。  総量規制を導入することに改正される今回の改正案におきましては、この総量規制の遵守を担保する義務づけと罰則が、現行排出基準いわゆる濃度規制の場合より、ゆるやかになっているのであります。  すなわち、濃度規制基準については、これをこえて汚染物質を排出してはならないと定め、その違反に対して罰則が付せられているのに反し、総量規制基準については、単にこれを遵守しなければならないと定めているのみで、その基準に違反して汚染物質を排出した場合において、直ちに罰則を科することなく、なお、引き続き総量規制基準が守られずに人の健康を害するおそれを生じた場合に、改善命令を出すこととし、その改善命令に従わなかったときに至って初めて罰則をもって担保することになっているのであります。  これでは、濃度規制だけでは足らないということで、せっかく総量規制に踏み切った趣旨が貫徹されません。そこで、濃度規制における遵守の担保方法にあわせて、総量規制についても、特定工場等の設置者は、総量規制基準に適合しない汚染物質たる指定ばい煙を排出してはならないという義務づけを明確にするとともに、その義務に違反して汚染物質が排出された場合にも、濃度規制の違反の場合と同じ罰則を科することに改めるのが修正の趣旨であります。  何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。
  105. 角屋堅次郎

    角屋委員長 以上で参議院における修正部分の説明は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ります。  この際、暫時休憩いたします。    午後一時二十五分休憩      ————◇—————    午後四時二分開議
  106. 角屋堅次郎

    角屋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  内閣提出大気汚染防止法の一部を改正する法律案審査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  107. 角屋堅次郎

    角屋委員長 御異議なしと認め、よって、さよう決しました。  なお、参考人の人選、出頭日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  108. 角屋堅次郎

    角屋委員長 御異議なしと認め、よって、さよう決しました。      ————◇—————
  109. 角屋堅次郎

    角屋委員長 公害対策並びに環境保全に関する件について質疑を続行いたします。島本虎三君。
  110. 島本虎三

    ○島本委員 アセスメントの重要性について午前中時間が十分でなく、途中で切れました。その午前の質問でも、苫小牧の水質汚濁状況を写したカラー写真が添付されてないということが明らかになったわけです。関連して、今度は自然保護について同様にひとつ聞いてみたいと思います。  赤外のカラー航空写真、開発予定地周辺の植物の活性度、こういうようなものを判断して、自然の環境影響評価をする上で大切な資料のはずだと思うのです。苫小牧東部すなわち、あの巨大開発の環境アセスメント報告書は、植生保護の点で赤外カラー写真を添付していましたか。
  111. 江間時彦

    ○江間政府委員 先生がただいま御指摘になりました赤外線写真、そのほか、われわれのほうといたしましてはスペクトルの違ういろいろなものについての写真、そのほか白黒写真、いろいろな手法がございますが、それらのものにつきましての資料は今回のものには添付されておりませんでした。ただ、この際、申し上げておきますが、これらにつきましては……。
  112. 島本虎三

    ○島本委員 よけいなことはいいですよ。この苫小牧の王子製紙周辺の海域と河川、これは王子一社の排出によってひどくよごれているという実態を午前中言ったわけです。その汚濁状況は環境影響評価報告書、これにもきちっと出ておる。このことは以前から言っていました。これに出ておるのです。  たとえば一一ページを見てください。苫小牧下流の磯香橋の四十七年八月二十三日のBODは幾らになっていますか、八八〇PPMでしょう。環境基準どころか常識的に考えられないような数値じゃありませんか。四十八年五月二十一日の測定値、これはBODが四四〇と四一八PPMです。報告書一一ページにあるでしょう。一方海域のほうはどうですか。苫小牧河口周辺の海域の測定値はCOD九二・四九PPM、五八・七五PPM、六一二・二四PPM、これも文句なしに高い数値なんです。これは一三ページにあるはずです。この苫小牧の海域と河川、これは現在ものすごい汚濁度を持っているはずです。その数値によっても明らかなんです。環境庁は苫小牧の水質汚濁の現状について、どう考えておりますか。
  113. 森整治

    ○森(整)政府委員 最近のわれわれの調査によりますと、いま先生のお読みになりました磯香橋のところの四十八年は、王子製紙が操業をちょっとやめておりまして、数値がございません。それでわれわれの調査ですと、二十二回調査いたしまして、最高は四五四、平均で三六七PPMという四十八年の数字になっております。そういうようなことで、これは施設の改善が、たしか昨年のこの休んでいるころ行なわれておるわけでありまして、(島本委員「いつの調査ですか」と呼ぶ)四十八年でございます。一島本委員「これも四十八年の調査ですよ」と呼ぶ)私が申し上げましたのは、先生がお読みになりました磯香橋の四十八年七月二十七日は、王子製紙が操業をしておりませんで四〇・七となっております。これは休んでいるからきれいなのでございまして、これも含めました四十八年の二十二回の調査の平均が三六七ということでございます。  これは左から右のほうへいま私が申し上げましたように、直ちに比較できないかもしれませんけれども、一応そういう数値になっておりまして、いずれにせよ、さっき午前中ですか私申し上げましたように、ともかく王子の排水規制を強化をしていくということによりまして、河川のBOD、それから海域のCODも相当程度削減できるのではないかというふうに考えておるわけであります。
  114. 島本虎三

    ○島本委員 苫小牧の港内のデータがまことによく出ておりますが、苫小牧港内ではなくて、前面海域の調査結果、これについてちょっと伺いたいのですが、環境影響評価報告書の一二ページから一五ページに、前面海域二十九地点の四十七年、四十八年の水質調査結果が出ているはずです。ところが、これを見ると、調査はいずれも六月二十九日から十月十六日にかけて行なっているわけです。年間のうちわずか四カ月弱、夏から秋にかけての測定値だけしか出していない。残る八カ月間、つまり冬から春にかけての調査結果は一つも出ておらない。冬と春のこの測定データはあったのですか、なかったのですか。もしあったとすると、なぜ報告書へ入れなかったのですか。
  115. 森整治

    ○森(整)政府委員 データはなかったそうでございます。
  116. 島本虎三

    ○島本委員 そうなんです。苫小牧の海、これは夏と秋だけよごれていて、冬と春になると、こつ然とその汚濁が消え去ってきれいになってしまう。こういうようなものじゃないでしょう。こんなばかげたことは考えられない。入れなくてもいいのですか。入れなければならないのですか。どうして入れないで、こういうそそっかしいようなデータを出さなければならなかったのですか。海域の汚濁は、季節と海流の変化による汚濁の変わりぐあいが重要な判断条件じゃありませんか。なぜ、年間十二カ月、そのうち六月の末から十月の中旬までわずか四カ月足らずの測定データで世界一でかい、一万三千ヘクタールにわたるような、この苫小牧東部計画の報告書を認めてしまったのですか。
  117. 森整治

    ○森(整)政府委員 データとしては、あったほうがいいと思いますが、私が聞いておりますところでは、冬場は海が非常に荒れまして、技術的に非常に採水がしにくいという問題はあるそうでございます。データはあったほうがいいと思います。
  118. 島本虎三

    ○島本委員 冬場はしけばかりで、なぎた日はないのですか。
  119. 森整治

    ○森(整)政府委員 実は別の問題もございます。別の問題というのは、全然とれないということではないと私は思います。採水が非常にむずかしいという状況があるというふうに申し上げたわけでございます。
  120. 島本虎三

    ○島本委員 むずかしくても何でも、これは環境庁があって、アセスメントを完全なものにして環境庁の使命が達せられるのです。不完全なものにしてやったら、いままでと同じやり方だといわれてしまうじゃありませんか。同じやり方でいいのですか、環境庁ができて。  大規模工業開発の環境影響評価、アセスメントです。現状の環境汚染度と、汚濁負荷量の正確な把握が出発点で、大原則でしょう。冬場は荒れているから、ないだ日もあるのにやらなくてもいい、こういう不完全な考え方を持っているのですか。まさに世界の笑われ者になるじゃありませんか。この苫小牧東部の環境アセスメント、現苫の深刻な汚濁実態を正しくつかまえた上でやらなければいけないのです。不備で、しかも不満足な測定データ、しかも苫小牧地区の水質汚濁の現状は全国の臨海コンビナートに例がないほどよごれている。もうすでにだれしもが認めている。環境庁は認めないのですか、認めなくてもいいと考えているのですか。
  121. 森整治

    ○森(整)政府委員 御指摘のように、この報告書にもございますように、周辺の排水口近くは非常によごれておるという数値が出ておるわけでございます。私ども、よごれておるという現実につきましては、それを踏まえて、そういうことをなくしていく対策をとるべきだというふうに考えております。
  122. 島本虎三

    ○島本委員 それはアセスメントをつくるときにそういう対策を十分考えてやるというのが絶対要件なんです。苫小牧東部のこの港湾計画、これはもうすでにみな御存じでしょう。世界に類例のないような延長十キロメートル以上の防波堤、これを張りめぐらす予定です。日本のどこにもこういうようなでかい防波堤の例はない。長大防波堤。特に東防波堤は沖合いに陸から約四キロ離れたところまで突き出るのです。以前も、この点はちょっと指摘しましたけれども、巨大な防波堤が建設されますと、通常は襟裳の東のほうから西に向かって海流が流れる、この海流に変化が当然生じてくる。沿岸流は今度は西から東のほうへ逆流する。現苫のいまよごれている、こういう水が東港のほうに今度は逆に流れていく、 こういうように当然予測されるじゃありませんか。  今度のアセスメントには、防波堤建築による海流の変化と海域の汚濁の関係について、どのような評価をしましたか。
  123. 森整治

    ○森(整)政府委員 午前中にもお答えいたしましたけれども、一応現苫と東部の新しい計画との間に相互の影響がないという前提でアセスメントをしておるわけでございます。ただ、相互に影響がないと申しましたのは、山陽国策パルプの影響は判断をしてみたわけです。しかし、現苫それ自身の海域の汚染が、ただいま先生指摘の沿岸流によりまして、こちらへ運ばれるかという問題につきましては、ただいま模型実験によりまして、その結果を究明しているわけでございます。
  124. 島本虎三

    ○島本委員 当然これは模型実験をして、それを確かめてから、アセスメントに対して、これはきちっとその中に組み込むのが要件なんです。指摘されてからこれを調べて、あとから模型実験による……。後手後手じゃありませんか。公害は先取りでないと対策にならない。原則でしょう。肝心のそのためのアセスメント、これも後手になる。いまからこの模型実験をするんだ。これじゃ全然話になりませんぞ。ということは、環境庁が去年の十二月に報告書案を認めました。環境庁がこの欠陥品といわれるアセスメントを認めてしまった。したがって、現苫側から東部に対して海流の変化による水質汚濁の重合影響がないという前提を置いていた。認めたんですから、こういうようなことになるのです。まことにうかつじゃありませんか。仮定の条件を設定して大胆に答えを導き出していた。この点ははっきりしますね。一体どうなんですか。
  125. 森整治

    ○森(整)政府委員 一応影響がないという判断でアセスメントをやっておりますが、ただいまやっております模型実験で、かりに影響があるということになりますれば、現苫の現在の排出規制につきまして相当これを強化して、影響がないという状態まで規制を強化するという考え方で処置してまいりたい、こういうふうに思っているわけでございます。
  126. 島本虎三

    ○島本委員 いまのその考え方、答え方、それは現在でそういうふうに答えられる。私の言っているのは、苫小牧東部の環境影響アセスメント、これをつくる段階で、防波堤を建設した場合の海流の変化、海域の汚濁問題について、これには一言一句載っていますかね。ないのですよ。ないような環境保全計画を認めてしまったのだ。ですから、広大なあの防波堤を築くようになったのです。そうやって五三年から六〇年段階でもうやられている。鉄鋼であるとかソーダ会社であるとか、全部それに殺到している。委員長、これだって問題なんです。これにないでしょう。一言一句でもこれに説明していますかね。念のために……。
  127. 森整治

    ○森(整)政府委員 報告書には載っておりません。
  128. 島本虎三

    ○島本委員 四十七年の八月当時のこの苫小牧前面の海域、ここに厚さ三十センチから五十センチのヘドロが堆積していたのです。四十七年八月当時です。これは北海道の函館水産試験場が潜水夫を入れて調査して、海底の底質を調べた結果なんです。この調査によりますと、現苫小牧港の西防波堤の西側、水深十五メートルから三十五メートルの二・五キロ、横幅十キロ、この広範囲にわたってヘドロ、腐泥が堆積しているという、こういう報告書があるのです。知っていますか。漁業環境としては適さない、そして漁場の拡大は期待できない、こういうふうにまとまった報告書が出ているでしょう。そうして昨年十二月に環境庁が承認した苫小牧東部のアセスメント、この報告書には、苫小牧海域の底質、つまりヘドロについては触れていますかね。
  129. 森整治

    ○森(整)政府委員 現苫の先ほど御指摘のございました水産試験場の調査につきましては、いま先生が御指摘になったのはどの個所ですか、ちょっといま判断いたしかねますけれども、ヘドロと申しますか、若干個所に一部水産に影響のあるものがあるということは承知をいたしております。  それから東部開発につきましては、東部開発の港内にたまるSSの問題についてのアセスメントはいたしましたけれども、その他の底質についてのデータは載っておりません。
  130. 島本虎三

    ○島本委員 それは載ってないのです。しかし、きちっとそういうようなデータが出ているのです。それは四月二十四日に、苫小牧の漁業協同組合で臨時総会が開かれまして、苫小牧東港建設反対の方針を今度変えたのです。その対策委員会を設けたのです一漁業補償の交渉に臨む方針をきめたのです。ところが、その前日の四月二十三日に、北海道の同じ函館水産試験場は、三月の末に実施した漁場調査の結果を出しました。この調査結果がまことに奇々怪々なんです。堆積している懸濁物、すなわちヘドロがないという報告書になっているのです。二年前の四十七年八月のときには、厚さ三十センチから五十センチのヘドロ、それがずっと帯状になって流れている。これがこつ然と消えてなくなってしまっているわけです。その報告書はこれです。ごらんなさい。世にもふしぎな物語じゃありませんか。漁業補償の直前になると、いままであったヘドロが消えてなくなってしまう。環境庁は、なぜこのヘドロが消えたのかおわかりですか。
  131. 森整治

    ○森(整)政府委員 私ども道庁から報告を受けております資料は、四十七年の八月に漁場調査をした、それにつきまして、先生のおっしゃるように若干アクアラングを使って調査したものでございますから、それにつきましてヘドロの問題があるという中間報告を承知しております。その後なくなったといわれますものにつきましては、たいへん申しわけないのですが、私ども寡聞にして知りませんでした。
  132. 島本虎三

    ○島本委員 あとから赴任されてきた森局長ですから、当時のその模様は知らないだろうし、そのデータも十分目を通していないだろう、この点は私はわからないわけではない。しかし、環境アセスメントは重要だ。わからないで済まされないほど重要だという意味質問をしているわけです。四十七年八月の調査の際には、ヘドロがあった。今度の本年の三月二十六日から二十八日までの三日間の現地調査では、夏にあったヘドロが、春になるとなくなってしまう。八月になれば再びこのヘドロが出てくる、こういうことになるでしょうか。それとも海流が変わってしまったのだろうか。環境庁としても、苫小牧東部という大規模な工業関発を認めた以上、ヘドロ問題を解明すべきではありませんか。一言もヘドロに触れていないアセスメント報告書で水質汚濁のアセスメントをした、こんなことが言えますか。しなくてもいいのですか、アセスメントを。重要じゃありませんか。まず、これで水質汚濁のアセスメントをした、こう言えるかどうか、ちょっと意地悪いけれども
  133. 森整治

    ○森(整)政府委員 環境庁態度を決するかどうかという前に、そういうことをしたかどうかという御質問であれば、四十五年に若干の調査がございまして、それにつきましては資料は見ておりますけれども、それではたいした問題が出ておらない資科になっております。いま御指摘の問題につきましては——先ほど御指摘ありました四十七年の調査は、精度はたしか三十点程度の調査だったと思います。その後の、これも一キロから四キロにわたる幅の水産の漁場としての調査でございまして、なお、排出口というか、港内、港外を含めて早急に底質の調査をいたすように指示をしておるわけでございます。しかし先ほど申しましたように、ちょうどたまたま海の状況等から若干おくれておるということでございまして、われわれとしても調査をしまして、ともかく実態を把握することにつとめたいというふうに思っております。
  134. 島本虎三

    ○島本委員 そういうようなあんばいで、ちゃんと調査したときには、潜水夫を入れてまで調査をして、海底の底質をきちっと調べたら、りっぱにあるわけです。西防波堤の西側水深十五メートルから三十五メートルの二・五キロ、横幅十キロという広範囲にわたってヘドロ状の腐泥が堆積している。これもはっきり調べてある。しかしながら、また漁業補償をする直前になったら、それがなくなっている。こういうような調査、まことにでたらめです。環境影響評価というものは、本来できる限り測定データを集めて、科学的に評価しなければならないはずのものです。簡単にやっておいて、そしてあとから補完するという、こんな性質のものではありません。  一たん報告書を確認してしまえば、港湾計画は決定されてしまいます。いまのように模型実験をするとか測定データをとるとか、また補完調査をするとか、もうすでにおそいじゃありませんか。ゴーのサインが出てしまって、そのあとを追っかけて補完調査をしている。模型実験をしている。測定データーをとっている。どだい補完調査といえば、聞こえはちょっといいようですけれども、要するにあと追い公害行政をしているということになるじゃありませんか。不備な報告書だったら、その傷をあとから補ってやる、こういうようなやり方じゃありませんか。  こんなずさんな環境影響評価、これが世界に前例のない大臨海コンビーナートづくりを認めてしまう引き金になってしまう。勇払のSO2データ、これを隠蔽した大気汚染データもずさんである、前に指摘しました。しかし、水質汚濁関係もずさん以外の何ものでもない。環境庁が報告書を認めて港湾計画の決定に同意をしてしまったために、運輸大臣は、今度は苫小牧東港の港湾計画を承認してしまった、一連の関係が出てくるのです。北海道開発庁、それから北海道、あるいは漁業補償さえ解決すれば港湾建設に着工できる、こういうように考えているのかもしれませんし、そういうようなやり方をとったのかもしらない。しかし環境庁は、そうであってははならないのです。  これは大臣に聞かなければならないわけですが、政務次官、こういうようにして出された欠陥アセスメントです。環境庁として初めて手がけた大規模工業開発環境アセスメント第一号、取り返しのつかないミスをおかした、こういうようなことになってしまうじゃありませんか。ミスをおかしたら、あとは補完していけばいい、補完データを集めればいい、こういうあと追い行政ばかりしてはだめだ、これが環境庁ができたときの一つの鉄則であったはずです。対策の先取りをやらなければならない、これが鉄則だったはずです。  ところが、依然としていままで通産省、経済企画庁、これらが行なったと同じようなあと追い行政をやるなら、何のために環境庁ができたのですか。そういわれても差しつかえないでしょう。私はどうしてもこれは承服できないのです。環境保全の任務を帯びる環境庁のために、これは承服できない。環境庁として、環境行政の良心にかけて、運輸省へ出したこの同意を取り消すべきなんです。そうでしょう。それが国の環境行政に携わる者の責任だと思うのです。これは大臣いないので気の毒ですが、まああなたも副大臣ですから、この点もはっきり答えてください。
  135. 藤本孝雄

    ○藤本政府委員 公害防止を行なうためには、その公害が起こってから、その対策考えるというあと追い行政ではなくて、公害が起こらないように未然に防止をする、そのことがきわめて大事であるという島本先生の御意見には同感でございます。そういう意味で、私どもといたしましては、公害が発生しないように未然に防止をするということに力を入れてまいるという、一つの根拠といいますか、考え方として、今後環境アセスメントに対しましては非常に力を入れてまいるという考え方でございます。  開発につきましては、先生も御承知のように、その開発が行なわれるその当該地域の環境に悪影響が及ばないという範囲内でしかその開発を認めないという考え方環境庁考え方であることも御承知のとおりであろうと思うわけでございます。  先生指摘のこの問題につきましては、御承知のように五十三年の開発規模を想定して、環境アセスメントを北海道庁が行ない、その内容について私どもが審査したわけでございまして、今後の具体的な開発の計画が出てまいれば、その時点で私どもといたしましては十分に環境アセスメントを行ないまして、先ほど申し上げましたように、その開発が認められる場合には、当該開発が周辺の環境に対して悪影響が及ばないという範囲の中でしか認められないわけでございまして、今後環境アセスメントにつきましては、先ほど来からの島本先生の御意見を十分に考慮に入れまして、十分な環境アセスメントを行なってまいりたい、かように考えております。
  136. 島本虎三

    ○島本委員 最後に、空は国境も区切りもありません。海の水も関所がありません。両方ともつながっている。隣合わせている現苫と苫小牧東部、もうすでに現苫といわれる現在のコンビナートでは、王子製紙からの七十メートルの煙突から油ようの黒い雨さえ降ってくる。その結果、こういうような被害を受けたというのは先ほど見せた。それが雨になれば、そのまま地下に浸透するか、そのまま海に流れ出る。しかし、東部のほうだけはりっぱにします。現苫のほうは、このようによごれている。空にも関所がない。海にも関所がない。しかし海流は流れる。流れるものは一つになってよごしている。この実態もわきまえないで、そしてこんな不完全な苫小牧東港地区港湾計画資料として環境保全計画を出した、不完全なものを承認した、これは重大なことであります。私は、まことに遺憾であるという、このことだけは二度、三度皆さんに申し上げまして、環境庁の品位を高めるために、もう一度皆さんの奮起を要望し、もう一度こういうようなものは洗い直すくらいの決意をもって今後望むように。  あくまでも大事なのは自然です。あくまでも守らなければならないのは環境です。環境庁はそういうような意味に立って、今後どしどしとやらなければならないし、このアセスメントを認めたことは未来永劫に私は残念である、環境庁一つの失点である、このことを申し上げまして、私の質問を終わります。
  137. 角屋堅次郎

    角屋委員長 米原昶君。
  138. 米原昶

    米原委員 午前中に引き続いて、富山県のカドミウム汚染米の問題について、農林省と環境庁のほうに質問したいと思うのです。     〔委員長退席、島本委員長代理着席〕  けさほど最初質問しましたときに、分析研の問題に関連して波及したという問題で尋ねましたところが、今度の場合は分析研というよりも、富山県が問題なんだという御答弁がありました。確かに事件のいわば主犯は富山県で、これに分析研が加担したというような形になっておりますが、私は、そこで思い出したことがあります。  分析研の問題が起こった当時、富山県当局が、すぐそれに反応して、分析研のデータはばらつきが多いと、これは当時の新聞にも出ております。私自身が、二月二十日のこの委員会で、新聞に当時出ていたこの富山県の発言を明らかにして環境庁見解をただしたこともあるのです。つまり、当時から、おそらく富山県はこの分析研とある意味でぐるになって、お互いにそういうふうにデータを、発表にあたって不当な操作をやって、正当でないやり方で事実を隠蔽しているわけですね。こういう手口。分析研がいろいろな面でそれをやっていることを富山県自身はとうから知っている。これとぐるになってやっていたということが、はしなくも今度の事件ではっきりわかると思うのであります。  そういう意味では、いままでは分析研という一つの財団法人がいろいろな欺瞞的な手口でデータの偽造までやったという問題だったわけですが、今度は自治体がからんで、しかもこれとぐるになって、そういうふうに公害の重要なデータを不法なやり方発表している。偽造したというわけにはいかぬと思いますが、客観的には偽造とあまり違わないような発表やり方をやっているという点で、この問題は環境庁としても厳粛な態度で臨んでいただきたい。これは非常な重大問題だと思います。  けさほどの新聞を見ますと、四十八年度産米の十一検体についてデータの操作があったというような記事が出ております。     〔島本委員長代理退席、委員長着席〕 これについて、富山県当局のほうもそれを認めたというのでありますが、この事実問題の点について農林省、それから環境庁はどういうふうに確認されているのか、あるいはその事実はまだ全然確認してないのか、そのあたりを最初に聞きたいと思います。
  139. 須賀博

    ○須賀説明員 私ども、この問題につきまして、さっそく富山県庁に連絡いたして報告を受けたわけでございますが、やはり新聞報道のとおり、十一検体につきまして再分析を依頼し、その数値が、たまたまその前に出ました数値よりも濃度が低かったということで、その数値が公表されたというふうに報告を受けております。
  140. 米原昶

    米原委員 そうしますと、当然農林省としても、そういうやり方をやったということは報告を受けているのですから、それは率直に認められるわけですね。
  141. 須賀博

    ○須賀説明員 私ども、さっそくこの事実関係を詳細に調べる必要があると思いまして、本日担当官を富山県に派遣いたしまして、その事実関係の究明に当たらして、その上でいろいろな対策考えてまいりたいというふうに考えております。
  142. 米原昶

    米原委員 この十一検体の地点ですね、場所はいずれも従来汚染地区とはなっていなかった、そういうところだというふうに新聞にも出ておりますし、聞いておりますが、この点はどうでしょうか。
  143. 須賀博

    ○須賀説明員 県庁の担当官が再分析を依頼したということは、やはり先生おっしゃったように、検体の最終値を考えてみた場合、それが神通川の水を使用してないたんぼであったとか、あるいはその立地条件から見て、汚染が常識的に見て考えられなかったところから出たということで、その実態に合わないじゃないかという疑いもありまして、再分析を依頼したということでございます。
  144. 米原昶

    米原委員 そうだとしますと、データを操作して〇・四PPM以下だということにされているわけですが、そして、いままでの地勢上の経過から見ても汚染していないだろう、神通川の水も入っていないというような地域とされていたとすれば、これらの地域でとれた米は汚染米ではないということになって、すでに消費者の手に、これらの地域でとれた米が渡っていると思うのです。渡っているとすれば、どのくらいの量が渡ったことになっているのか。私は当面出回っているものは直ちに当然回収して、これからのものは出荷停止の措置をとらなければならぬのじゃないかと思いますが、その点はどうなっておりますか。
  145. 須賀博

    ○須賀説明員 米の配給につきましては、食糧庁のほうの所管でございまして、私どもの農蚕園芸局の所管ではございませんから、私からお答えするのは差し控えたいと思います。
  146. 米原昶

    米原委員 そうすると、食糧庁がいないとわからないのですか。ただ問題は、原則として、いままでは〇・四PPM以下だというので、消費者の手に渡っていると考えるのは当然なんですが、渡っているのだろうと思う。そうすると、何らかの措置をとらなければならぬということは当然出てくるんじゃないですか。この点、どうなんでしょう。
  147. 須賀博

    ○須賀説明員 私から御答弁するのはどうかと思いますが、当然食糧庁のほうは、そういうことを考えまして、食糧事務所を通じまして、その配給先の追跡調査をやっているというふうに理解いたしております。
  148. 米原昶

    米原委員 そうすると、この十一検体についてデータの不当な操作があったということでありますが、当然いまもおっしゃったように再調査をやらなければならぬし、あるいはその他の部分についても、少なくともこれだけの疑いがかかっている以上は、全面的な調査のやり直しということが必要じゃないか。そうでないと、一体こんなやり方をやっている富山県のやり方は信頼できるかどうかということを、ほとんどの人が感じていると思います。その点について環境庁見解を聞きたいのです。  こういう事態が起こった場合に、当然再調査をやって国民に安心感を持たせるべきだと思います。一部ですから、それだけでたいへんな事態が起こるなどという性質の問題ではありません。そのことははっきりしているのです。しかし、当然な措置をとって、今後こういうことが起こらないようにするだけの措置はとらなければならない、そう思いますが、この点について環境庁と農林省の見解を聞きたいと思います。
  149. 森整治

    ○森(整)政府委員 私どもとしましては、先ほど先生お答えしたつもりでございますが、動機はともあれ、非常にマイナスなことをしてもらったものだということを率直に申し上げたいと思います。したがいまして、ともかく不信感と申しますか、いままでのことにつきましても、そういう疑いが持たれるということになるわけでございます。当然、問題のところにつきましては、いろいろ技術的な問題はあろうかと思います。しかし、再調査をすべきだということで大臣からも申し渡され、私は部長にそういうことを至急伝えて、その善後措置を指示しておるところでございます。
  150. 須賀博

    ○須賀説明員 先ほどもお答えいたしましたように、本日担当官を至急現地に派遣いたしまして、事実関係を詳細に調査することにいたしております。その調査を待ちまして、再分析なり再調査、そういうものについての必要な措置をとりたいというふうに考えております。
  151. 米原昶

    米原委員 この事件が起こったために、新聞にもいろいろな関係者の談話やその他が出ておりますが、その中で見のがせないのがイタイイタイ病患者の問題です。私も富山県に行ったときに、これと同じような問題を何回も聞いているのです。  つまり、カドミの分析をやってほしいとか、いろいろな要求がありまして、あの問題が起こった四、五年前から、いろいろな民間の人あるいは学者とか研究者に頼んで分析をやってもらう、そうすると、かなり高度なカドミが含まれているという結果が出る、そうすると、その同じ土を持っていって、そして富山県に頼むと、それよりもぐっと低いというようなことで、県のやっている分析というのは、もう信用できないというのが、当時から運動をやっている人たちの共通の感じ方だったのです。それだけに今度これが暴露されて、それ見たことかというような感じを持たれているんじゃないかと私は思います。  そういう意味で信頼を取り戻すためにも、そしてこれは根本的には国民の健康にかかわる問題でありますから、全面的な再調査に必ず踏み切っていただきたい、このことを強く要望するものであります。  さらに操作のあったといわれる十一地点についてですが、これらの地点の中には、イタイイタイ病の神通川流域のものがかなりある。ただし、これは水は神通川から来ていないから、さっきおっしゃったような話なんでありますが、もう一つ日本鉱業の三日市製錬所付近のものもあるというようなこともちょっと聞きますが、これは間違いでしょうか。問題になったところは、どのあたりのものなんでしょうか、わかりましたら聞きたいと思います。
  152. 須賀博

    ○須賀説明員 十一検体の所在地でございますが、十一検体のうち六検体が神通川流域の左岸にございます婦中町でございます。それから一検体が富山市にございます。それからあと四検体が中新川郡の上市町、それから富山市、新湊市、高岡市というふうになっております。
  153. 米原昶

    米原委員 そうしますと、三日市製錬所の近所は若干違うようでありますが、神通川流域もあるわけです。全体として富山県では、この神通川流域とそれから三日市製錬所の付近、カドミウム汚染地区が大体いままでの測定の結果できめられて、そして土壌改良など行なったりしてきているわけですね。今回のこの事件で汚染地区というのが、いままでやっているところだけで、はたして済むだろうか、土壌改良をやるとすれば、もっと広い地域をとらなければならないのではないかというようなことは当然起こってくると思うのです。そういう点で再調査をやって、汚染地域の見直しといいますか、その点かなり正確にやらないと、住民の不安を解消できないのじゃないかと思います。この点いかがでしょうか。
  154. 森整治

    ○森(整)政府委員 従来から神通川につきましては、約千三百ヘクタールの地域につきまして細密調査をいろいろ行なってきたわけでございます。その周辺の調査に今回の問題があったというふうに承知をしております。これはもちろん県単でやられた事業でございますけれども先生が御指摘のように、私どもももう一回県の実情をもう少し調査をいたしまして、いままでのデータでいいのかどうか。もちろんその対策地域の指定にあたりましては、当然私どもとしてその点を特に留意して指定をやりたいと思います。指定がおくれるということによりまして、また反対の効果もございますから、ともかくいままでのデータでできるところは指定をしていただいたほうがいいのではなかろうか。もし問題のあるような点につきましては、さらに調査をいたしまして、そこを追加していく。いま私確定的なことは申し上げられませんけれども、そういうようなやり方で、ともかく対策を進めていく必要があろう、こういうふうに考えておるわけでございます。
  155. 米原昶

    米原委員 当然事実の調査を早急に行なって、そして住民に不安感を持たせないように、汚染地区の見直しというような点も相当力を入れて解決していただきたいと思います。事件はいずれにしても、まだ事実が十分究明されてない段階であります。ただ、午前中にも指摘しましたように、これはかなり重大な内容を持っているんじゃないか。私先ほど申しましたように、分析研と一緒になってやっているわけですが、分析研がいろいろな偽造をやっていた。これの手口を実際は富山県も知っていて、そうしてぐるになってやっているという疑いが非常に濃厚なんです。そうだとすると、これはたいへんな問題でありますし、いままでやっていた連中だから、そういう意味じゃ私はあまり信頼できないのです。  そういう点で、真相の究明、問題が今後起こらないようにする措置、補償問題全面的な対策をひとつとっていただきたいのです。この点について最終的な決意をひとつ農林省と環境庁に聞きまして、私の質問を終わります。
  156. 藤本孝雄

    ○藤本政府委員 午前中の委員会におきましても、大臣から御答弁がございましたが、私ども大臣から御答弁申し上げましたような考え方で今後進めてまいるわけでございますが、御承知のように、事実関係がまだ現在十分わかっておりませんので、この事実関係につきまして現在究明中でございます。この事情が明らかになり次第、県に対しましては再分析をするなどの指示をいたしますし、また今後の公害関係調査につきましては、このような事態を繰り返すことのないように強力に指導をしてまいりたい、かように考えております。
  157. 須賀博

    ○須賀説明員 私どもといたしましても、早急にこの事実関係を究明いたしまして、その結果により必要な措置をとってまいりたいというふうに考えております。
  158. 米原昶

    米原委員 じゃ、終わります。
  159. 角屋堅次郎

    角屋委員長 木下元二君。
  160. 木下元二

    ○木下委員 運輸省のほうに伺いたいと思いますが、先般航空機騒音による障害防止等に関する法律の一部改正が行なわれました。これに基づきまして、本年の三月二十八日に、政令により大阪国際空港は周辺整備空港として指定をされました。さらに兵庫県並びに大阪府両知事によりまして大阪国際空港周辺整備計画というのが策定されました。これは同法の九条の三、二項によりまして、運輸大臣との協議に基づいて行なわれたものであります。  ところで、この周辺整備計画の冒頭「1 序」というのがありまして「計画の意義」が述べられております。ここで「大阪国際空港においては、昭和三十九年ジェット機が就航して以来、」航空機騒音が「重大かつ深刻な社会問題となっている。」という趣旨が述べられておりまして、そのあと次のように書かれております。「これを抜本的に解決するためには、住民生活に障害を及ぼさない関西新国際空港が必要であるが、この建設にあたっては、大阪国際空港の撤去を基本として検討し、計画を策定する必要がある。」こういうふうに述べられておりますが、これは運輸省との協議によって盛り込まれたものかどうかということをまず聞きたいのであります。つまり運輸省考えでこれが加えられたものかどうかということを伺いたいのです。
  161. 隅健二

    ○隅説明員 お答えいたします。  いま先生がおっしゃいましたように、法律に基づきまして大阪国際空港周辺整備計画を大阪府知事、兵庫県知事から、共同でおつくりになったものを運輸大臣のほうに提出されまして、これを協議をしたわけでございます。この点につきましての「関西新国際空港が必要であるが、この建設にあたっては、大阪国際空港の撤去を基本として検討し、計画を策定する必要がある。」ということにつきましては、事前に私の運輸省のほうに協議があったわけではございませんけれども、われわれといたしましては、先生御存じのように、大阪府、兵庫県知事からの大阪空港の取り扱いについての要請に対し、昨年七月九日に、大阪国際空港騒音対策協議会の会長あてに「大阪国際空港の将来のあり方について」という回答をいたしまして、航空局長名をもちまして「現大阪国際空港の将来のあり方については、新関西国際空港との関連において十分検討を要するものであるが、その開発時点にこれを撤去することも含めて可及的速やかに検討するものとし、その検討に際しては地元公共団体の意志を十分尊重するものとする。」という文書を出しております。  こういうことでございますので、われわれといたしましては、大阪空港の撤去も含めて地元と十分御相談をいたしまして、この点を検討し、きめたいと思っております。そういうことから大阪府と兵庫県では、この計画をお立てになるときに、冒頭に申しました関西新空港について、大阪国際空港の撤去を基本として云々というふうに序文にお書きになったというふうに伺っております。
  162. 木下元二

    ○木下委員 そうしますと、私の質問だけに簡明に答えてもらいたいのですが、冒頭に私が引用しました点については、特に運輸省のほうで指導して、これが加えられたということではないということですか。
  163. 隅健二

    ○隅説明員 おっしゃるとおりでございます。
  164. 木下元二

    ○木下委員 こういうふうに伺いましたのは、この空港周辺整備計画がつくられますのに先立って、兵庫県知事と関係自治体の長との間に事前協議が行なわれておりまして、その協議の中では、先ほど申しました計画書の冒頭にありますような、関西新国際空港の建設にあたって大阪国際空港の撤去を基本として検討するという構想については述べられていないのです。  そこで、もう少し具体的に伺いますが、兵庫県知事の伊丹市長あて三月二十三日付公文書というのがあります。「大阪国際空港周辺整備計画の事前協議について」と題する文書であります。つまりこれは、空港周辺整備計画というのが三月二十八日につくられておりますが、その直前に出された公文書であります。  その中を見ますと、こう書いてあるのです。「大阪国際空港整備計画については、現空港の移転廃止を基本として策定することとし、大阪府及び国と協議を重ねておりほぼ合意を得ております。」というふうになっております。「大阪国際空港整備計画」とありますが、これは「周辺」というのが落ちているんですね。だから、どうもわかりにくい点があるわけでありますが、この現大阪国際空港の整備計画——それには観念的には減便であるとか、あるいは縮小といったことが考えられますが、その整備計画についで「現空港の移転廃止を基本として策定する」という方向づけがなされておると解されるのでありますが、この点いかがでしょうか。この文書、余分にありますので、ちょっと見てもらいたいと思います。
  165. 隅健二

    ○隅説明員 まず、兵庫県知事から伊丹市長の伏見さんにお出しになりました文書については、運輸省は事前に相談にあずかっておりません。  それで中段に書いてあります「大阪府及び国と協議を重ねておりほぼ合意を得ております。」というところは、われわれといたしましては、最初に申し上げました「大阪国際空港の将来のあり方について」というところで、大阪府、兵庫県とも、この点については相当突っ込んだ話し合いをいたしておりますので、兵庫県の知事がお述べになったのは、この「将来のあり方について」の文書について、国がこういうことを出しましたので、それをお察しになっておるものだと考えております。
  166. 木下元二

    ○木下委員 これは確かに運輸省が関与してつくられた文書ではありませんけれども、念のために運輸省の解釈として、どうお読みになるかを伺っているのですが、いま引用しましたように「大阪国際空港整備計画については、」とありますね。周辺整備計画と「周辺」がありませんね。これは偶然、ついうっかり落としたのかどうかわかりませんけれども、これを文字どおり読みますと、この大阪国際空港整備計画というのは現にある大阪国際空港、これの整備計画だ、だからそれには観念的には増便もあるだろうし、あるいは減便もあるだろうし、閉鎖もあるだろう、いろいろあるけれども、その「計画については、現空港の移転廃止を基本として策定することとし、」こうあるのですね、そういうふうにこれは読まざるを得ないと私は思うのです。その点はいかがでしょうか。
  167. 隅健二

    ○隅説明員 これは、この文書の件名が「大阪国際空港周辺整備計画の事前協議」ということで、中にも「周辺整備計画」とございますので、ここだけ特に「大阪国際空港整備計画」というのが、われわれとしては別にこういう具体的な計画をお話ししたことはございませんので、たぶん大阪国際空港周辺整備計画ということではないかというふうに考えます。しかし、これはまだ兵庫県のほうで確かめておりませんので、非常に近い機会にまた兵庫県の担当の方ともお話をいたしますので、この点はさらに確かめたいと思います。
  168. 木下元二

    ○木下委員 初めに私が援用しました周辺整備計画の内容と、それからこの事前協議についての文書の表現とではギャップがあるのです。だから伺っているのです。この整備計画のほうでは関西新国際空港問題とからめて、その建設にあたっては撤去を基本として検討と書かれているのです。ところが、この事前協議の文書においては、その新空港問題のからみが出ていないのです。そうでしょう。この食い違いを一体運輸省はどう解釈されるのでしょう。これはもちろん、さっきも言われたように、この事前協議についての文書は、あなた方がおつくりになったのでないので、決してこの点をあなた方に対して追及して伺っているのじゃないのです。あなた方のほうの解釈として、この事前協議についての文書の内容は一体どうお読みになるか。それと、あなた方もタッチしてつくられたこの計画にはギャップがある。どうしてでしょう。
  169. 隅健二

    ○隅説明員 私、この文書をただいま初めて見ましたので、先生の御質問に対して的確な御答弁ができないのでありますが、私はやはり関西新空港のくだり、あるいは周辺整備計画ということを念頭に置かれてこの文書をお出しになる、そのときの念頭というのは、やはり「大阪国際空港の将来のあり方について」という「撤去することをも含めて」という内村文書、これを兵庫県はお考えになったのではないか。これは四月でございますか、請願の問題になっていくと思いますけれども、この点につきましては、なぜ兵庫県がこのようにお書きになったのか、何ともわかりかねる次第でございます。
  170. 木下元二

    ○木下委員 この事前協議についての文書では、結局のところ、新空港建設は別の問題として、現空港の移転、廃止を考えていくという表現になっているのですね。新空港問題というのは全く出ていないでしょう。運輸省と一緒につくったこの周辺整備計画の中では、新空港問題とのかかわりが出ておって、その新空港建設にあたって空港撤去を考えていくのだという方向が出ておるのです。それが出ていないのです。だから新空港問題は別の問題として、現空港の移転、廃止を考えていくという考え方が、この伊丹市長に対する文書では出ておるのです。しかも、この点について、この事前協議についての文書によると、国と大阪府の合意をほぼ得ているとあるのです。一体運輸省は合意したのでしょうか。「ほぼ合意」とあります。ほぼ合意したのでしょうか。
  171. 隅健二

    ○隅説明員 この点につきましては、こういう実際の問題について兵庫県と具体的に話をしたあれはございませんし、もちろん打ち合わせは相当の回数をいたしました。それから航空機騒音防止法の改正のときに、三木環境庁長官あるいは徳永運輸大臣は、大阪国際空港の将来のあり方については撤去をも含めて検討する、それから環境基準を守るということが一番大切なことなんだ、それで騒音対策は強力にこれを進めていくという御答弁に終始しておりますので、われわれといたしましては、撤去も含めて検討をし、まず第一に大阪国際空港の現在の騒音に対して、どのような対策を強力に打つかということを大阪府、兵庫県ともお話をしております。
  172. 木下元二

    ○木下委員 私がいま質問しましたのは、新国際空港の建設問題とは別に、現空港の移転廃止といったことについて計画を策定する、そのことについて大阪府と国との間に条件はほぼ合意を得ておる、こういっているんですよ。だから、そういう事実があるのかと聞いているのです。運輸省の新空港問題等についての見解なりあるいは考え方、これはわかっております。そうでなくて、新空港問題は別として、とにかく現空港を撤去、移転していく、そういうことで計画を策定していくという、そういう方向づけがここに出ておるわけでしょう。そのことについて、兵庫県と一体合意をしておるのか、こう聞いているのです。
  173. 隅健二

    ○隅説明員 この点だけについてはっきり申し上げるならば、「ほぼ合意を得ております。」というこの「大阪国際空港整備計画」なるものが私どもにはわかりませんので、この点について「大阪府及び国と協議を重ねて」ということについて、運輸省は合意したという事実を、いまここで、そのとおりであるというお答えをするわけにはまいりませんので、もう少し、兵庫県のこの文書は何をお考えになったかを確かめたいと思っております。
  174. 木下元二

    ○木下委員 「大阪国際空港整備計画」という表現は、これはわかりませんと言われますが、この表現どおり読んで解釈をして、一体こういうふうな内容について合意があったのかどうかということを聞いているのです。この「大阪国際空港整備計画」というものを文字どおり解釈しますと、私、さっき言いましたけれども、現在ある大阪空港をこれからどう持っていくか、どうするか、そういう計画の問題として考えて、いろいろあるけれども、そのうちで特に移転廃止を基本として策定するという、そういう方向づけをしておるわけでしょう。そのことについて合意があったとこういっているんです。一体そういう合意があったのかどうか、運輸省は了解をしておるのか、こういうことなんです。しておりますか、してないでしょう。
  175. 隅健二

    ○隅説明員 この点だけに限って申しますならば、「合意を得ております。」という「大阪国際空港整備計画」なるものがよくわかりませんので、合意をしていないと申さざるを得ないと思います。
  176. 木下元二

    ○木下委員 伊丹市長の態度なんですが、当初現空港の撤去を前提とした整備計画を策定するものでなければ、この整備機構の発起人には加わらない、そういう態度をとっておったのです。これは伊丹の市議会、それから伊丹市自治会連合会とともに、伊丹の市におきまして空港撤去都市宣言というものを行なった市長としては、当然の立場だと思うのです。ところが、伊丹市長は突如として態度を変えまして、周辺整備機構の発起人として名前を連ねるということになったのであります。これに対しまして市議会、それから住民は一斉に反発をしまして、伊丹市あげて大きな問題になっております。市議会と住民は、四月十六日から連日のように中学校区ごとに住民懇談会を開きまして、市長の政治姿勢と真意をただしております。この中で伊丹市長は、態度を変えた理由としてどう言っておるか。この兵庫県知事の文書を示しまして——いま私が示しましたこの文書であります。この文書を住民に示しまして、現空港撤去を前提にした整備計画をつくることに国も大阪府も合意をしておる、また、整備機構に反対すると防音工事や移転補償などをしてもらえなくなる、こう弁明しておるのです。そういう経過があるものですから、私はいまのことを伺ったのです。  つまり、新空港建設の問題とのからみではなくて、それとは全然別にして、現空港を撤去する、そういう前提でもって、あるいはそれを基本として整備計画をつくっていくということに国も大阪府も合意をしておる、こういうふうなことを伊丹市長は住民に対して言っておるのですが、そういうことがあるのでしょうか。まあ、ここでお尋ねするのは国のことですが、運輸省がそういうことを合意しておりますか。
  177. 隅健二

    ○隅説明員 この点につきましては、五月の十日に伊丹市議会の先生方、議長をはじめとして十人ぐらいが私のところにお見えになりまして、この問題について先生のおっしゃるようなお話を伺いました。そして、運輸省はどうかというお話でございます。  われわれといたしましては、国会の審議を通じて運輸大臣または環境庁長官がおっしゃいましたこと、それから内村書簡を申し上げまして、この撤去も含めて可及的すみやかに検討するということです。ですから、将来のあれとして、環境基準が守られない、あるいは地元地方公共団体がどうしても撤去をしてくれという強い意見ならば、この点については、そういう結論になるかもしれぬけれども、やはり現在では、撤去を含めて検討をするということの線を出ておりませんということを詳しくお話し申し上げましたところ、運輸省としてはそういうことだということで、御了解いただけましたかどうか、お別れしたわけでございます。その点、いま木下先生がおっしゃいましたようなことを、私も市会議員の皆さま方から伺いました。運輸省態度はどうだということもございました。
  178. 木下元二

    ○木下委員 住民に対してあなた方が説明したというような経過はけっこうなんですよ。私が聞いておるのは、兵庫県知事と運輸省との間で、空港撤去についてどういう合意があるのかですね。合意が、完全とはいえなくても、ほぼ合意があるというふうに書いてあるのですけれども、空港撤去についてどういう合意がありますか。そのことだけを言ってください。
  179. 隅健二

    ○隅説明員 兵庫県知事の御意見はたびたび伺いましたけれども、現在合意があると申しますならば、昨年の七月九日の書簡の範囲での合意でございます。
  180. 木下元二

    ○木下委員 そうしますと、昨年の、運輸省がお示しになった、さっきも援用されました考え方、それについて合意をしておる、こういうことですか。
  181. 隅健二

    ○隅説明員 この文書は十一市協の会長ばかりでなく、大阪府知事、兵庫県知事にも、航空局の回答といたしまして御返事を申し上げております。
  182. 木下元二

    ○木下委員 そうすると、昨年夏の運輸省考え方というのは、新関西国際空港を建設をするということが前提にあって、それとの関連で空港撤去を検討していくということが書かれておる。私がいま示しました、国と知事との間に合意があったといっておる、その知事の伊丹市長に対する文書の内容というのは、さっきから言っているように、そうではないのですよ。新空港建設といったことについては全く触れていない。これも何回も援用するのをやめますが、とにかく、現空港の移転廃止を基本として考えていく、計画を策定していくということ、このことについて国との間に合意があるんだと書かれておるのです。  そうすると、この文書はその点ではうそになりますね。ギャップがあるでしょう。運輸省の示しておる昨年来の考え方方針、その内容において合意があるんだと、あなたはいま言われましたけれども、かりにそうだとすれば、兵庫県知事が市長に対して示したこの文書の内容は食い違っておりますから、少なくとも、その食い違っておるという点では事実に反する、こういうことになりますか。
  183. 隅健二

    ○隅説明員 これは兵庫県知事といろいろまたお話をいたさなければ何とも申し上げかねますけれども、私はやはり、運輸省の昨年の文書を一応兵庫県知事も十分御存じでございます、それを念頭に置いてのこういう表現ではないかというふうに考えます。
  184. 木下元二

    ○木下委員 それを念頭に置いておるかどうか知りませんけれども、そういうふうになっていないから、ここで聞いているのですよ。結局この文書というのは、兵庫県知事が伊丹市長をペテンにかけたのか、それとも知事と伊丹市長が相通じて住民にうそを言っておるのか、このどっちかですよ。これはそういうことにならざるを得ないでしょう。いずれにいたしましても、この伊丹市長は住民に対しては、事実でないことを言っておる。客観的事実に反することを、知ってか知らずかはともかくとしまして、住民に言っておるということになる。これでは住民はたいへん迷惑をすると思うのです。こういう混乱は、ひとつすっきりすべきだと思いますが、この点について運輸省、どう思われますか。
  185. 隅健二

    ○隅説明員 やはり運輸省といたしましては、撤去も含めて検討するという線をいまだに変えておりませんので、それ以上のことをいまここで申し上げるわけにはまいりませんけれども、航空審議会関西国際空港部会におきましては、この公文書を踏まえまして、現在の審議では、やはりその伊丹空港の取り扱いについて、どうしても検討を加える必要があるということを、ただいま審議をしております。
  186. 木下元二

    ○木下委員 まあ、運輸省が住民のほうに対して違ったことを言っておるという問題ではないので、ここで私はあなた方を追及するというふうな考えは毛頭ないのですよ。ただ、運輸省方針なり考え方一つある、これは私は、よくわかっているのですよ。それと、知事あるいは伊丹市長が住民のほうに対して述べておる内容と違っているのですよね。そこで、私は問題にして聞いている。  そういうふうなことを一体運輸省としても放置をしておってよいとお考えですか。違っておる内容というのはわかりますね。運輸省は新空港建設を進めていく、それとの関連で撤去を検討する、こう言っているのでしょう。住民に対しては、そうではなくて、新空港建設ということは何も一言も言わないで、とにかくこの空港周辺整備計画を進めていくのは、これは現空港撤去を基本として進めていくのだ、このことだけしか言っていないのですよね。新空港建設とのからみを出していない。だから伊丹市長は、現空港撤去を基本として進めるということだから、この空港整備機構の発起人となって、これに賛成するんだ、こういう態度を住民に表明しているわけです。そこに運輸省考え方と、それから自治体の考え方との間に非常にギャップがあるんですよ。これを私はひとつ調整をするといいますか、すっきりしたものにするように、運輸省としても働きかけてもらいたいと思うのです。いかがですか。
  187. 隅健二

    ○隅説明員 この点につきまして兵庫県の御真意と、それから伊丹市長のお考え方を十分承りまして、われわれといたしましても地元の皆さま方に対して、この問題については、これからも何回も繰り返してお話しをしなければいけないと思いますので、さっそく、伊丹市長も近いうちに上京されるそうでございます、あるいはこちらから出向くことも考えられます。兵庫県と伊丹市と、この文書の内容について十分真意を伺いまして、運輸省考え方と了解に早く達する必要があるというふうに考えます。
  188. 木下元二

    ○木下委員 もう一つだけ、時間がありませんので聞いておきますけれども、伊丹市長は、整備機構の発起人に加わらなければ、防音工事やあるいは移転補償などについて何もしてもらえなくなるというふうに住民に説明をしておるのです。これは法制度的には、そんなはずはないわけでありますが、一体これは運輸省方針なんでしょうか。
  189. 隅健二

    ○隅説明員 伊丹市長が住民の皆さんにそういうことを言ったかどうか、私、つまびらかにいたしません。運輸省といたしましては、伊丹市長が発起人になられない、あるいは評議員になられないということで伊丹市を差別扱いをすると申しますか、そこには防音工事もしない、あるいは補償もしないということは絶対ございません。法の規定するところに厳正に執行してまいります。
  190. 木下元二

    ○木下委員 それから、この整備計画の実施、これを進めていく場合の起こってくる問題としまして、あと地利用の問題があります。住民を移転させまして、工場をつくり、あるいは倉庫をつくるという利用、これには非常に問題があるようであります。第一に、これは公害源をふやす結果になりかねないという問題がある。しかも、またいま撤去ということが大きな問題になっておりますが、かりに将来撤去ということになれば、これは工場や倉庫などを持ってきて、また一体それをどうするかという問題が起こってくることになるのであって、社会経済的に見ましても、大きなロスが起こる可能性がある。住民の立場といたしましても、こうしたことにこぞって反対をいたしております、この工場、倉庫が入ってくることに。もともとここは住宅地なんですから、ですからこの住民等が移転をしたあと地は、これは緑地帯にするべきだ、こういうふうに思うのですけれども、この点、住民の意向を十分にくんで、そういう方向で進めてもらいたいと思うのです。いかがでしょう。
  191. 隅健二

    ○隅説明員 この大阪国際空港周辺整備計画の中で、「第三種区域を除く第一種区域は、防災上の施設も含め、必要に応じて航空機の騒音によりその機能が害されるおそれの少ない施設を計画的に配置するよう努める。」と書いてございます。やはりこの整備計画をおつくりになるのは地元知事さんでございますし、これを機構が実際に行ないますときには、毎年の事業計画あるいは予算によって決定されると思います。それにつきましては、地元市長さんがお入りになっている評議員会で、これをはかることになっております。やはり地元の皆さまの御意向を無視して周辺整備機構がそういう工事をどんどん進めていくということはないと思います。  ただ、私たちが法案の審議の過程で、第三種以外の区域をどうするのかというときに、たとえばその騒音について強い倉庫であるとかそういうものをということを申したことは事実でございますが、やはり運動場なり防災施設等を伴った地元の意見を十分にくみ入れた計画になるべきだと考えます。
  192. 木下元二

    ○木下委員 それから、もう時間がありませんが、もう一つだけ聞いておきます。  この周辺整備計画の区域指定の問題であります。現在この航空機騒音対策十一市協、十一市の協議会が測定をいたしました騒音コンターというものと、それから運輸省が航空機騒音防止協会に委託をしてつくったコンターとの間に大きな食い違いがあります。たとえばこの第二種及び第三種区域に指定をされておりますWECPNL九十以上をとってみますと、運輸省のコンターは十一市協のものと比較いたしますと、面積で三五%、世帯数で四〇%、人口で四四%というように極端に縮小をされております。十一市協のほうでは、この運輸省のコンターは理解できないと言っておるのです。この食い違いを調整するために、本年四月中に打ち合わせを済ませ、五月中に調整を終えるようにという意見書を運輸省提出をしておるというふうに聞いております。ところが運輸省は、しこの衆議院運輸委員会における答弁で、環境庁にも入ってもらって早急に調整をすると言っておきながら、今日に至っても、これが行なわれておりません。  そこで伺いたいのでありますが、運輸省としては、もう直ちに調整作業に入るべきであると考えるのでありますが、一体いつまでに調整を終えるつもりでしょうか。
  193. 隅健二

    ○隅説明員 お答えいたします。  この点につきましては、先生おっしゃるとおりでございまして、私も当委員会でもはっきりお答えいたしましたし、いま兵庫県、大阪府に対しまして調整のしかたを変えた原案をお示ししております。ただいまおくれておりますのは、一つは、この調整をいたしますのに相当大がかりな調査をいたさなければなりません。その調査費がこれは予算的に認められておりますので、これの支出方について財政当局とも詰めておりますが、間もなくこの調整も終わりますので、終わり次第、この調査を開始いたします。もうすでに方法につきましては、その原案ができております。
  194. 木下元二

    ○木下委員 地元のほうでは、この運輸省が高知空港と同じような事態が発覚するのをおそれて、時間をできるだけかせいで、現在進めている減便計画が相当進んだころに動き出そうとしておるのではないかというようなことがささやれておるのです。いまのお話だと、何か抽象的で、いつごろということがわかりにくいんでありますが、きちっとした期日まではけっこうとしましても、おおよそいつごろに、これができるのかということを明確にしてもらいたいと思います。
  195. 隅健二

    ○隅説明員 ただいま技術的な問題点、これは調査地点、それから調査方法、これについての詰めを行ないました。われわれといたしましては、この騒音調査というのは、技術的にもうほぼ確立された手法がございますし、それから地方公共団体の公害担当の職員の方も相当ベテランになっておられますので、技術的な点の調査地点その他の細部の調整を終わり次第、騒音の測定をいたしまして、そしてWECPNLにかけますには、やはり一定の式がございます。この式を電子計算機に入れますので、入れます入力のデータを全部確認をして、そしてWECPNLの騒音コンターをつくりまして……(木下委員「いつごろですか」と呼ぶ)目下調整に入っておりますので、実際の騒音調査を、できれば今月の末から六月中には何とか行ないたいというふうに考えております。
  196. 木下元二

    ○木下委員 もちろんこの調整というのは測定をするということでありまして、十一市協の関係の地元市と一緒にやるということになると思います。これは運輸省のほうでは、一体だれの手によってやるのかという問題が残っておると思うのです。  もう私は質問の時間がありませんので、一言だけ私のほうから要望を申しておきます。この公害の測定においては、決定的に大事なことは、それが何よりも厳正に行なわれるということであります。その担保は、第一にこの測定を行なう主体自身の構成ですね。これが公正でなければならない。これはこれまでやっておりました例の騒音防止協会、これは前にわが党の山原議員が追及をしまして明らかになりましたけれども、きわめて問題であります。この測定をする主体の構成を再検討するということが必要であります。  それから、もう一つの問題は、その測定の方法が科学に立脚をして正確に行なわれるということであります。この点に関しまして、ひとつこの問題の重大性をあらためて認識をしていただいて、今度の測定をやり直しするということでありますので、十分に配慮をして進めていただきたい、このことを要望いたしておきます。よろしいですか。
  197. 隅健二

    ○隅説明員 実施主体を含めまして十分地元地方公共団体との理解に達し、厳正にこの調査を行ないたいと思っております。
  198. 木下元二

    ○木下委員 終わります。
  199. 角屋堅次郎

  200. 神門至馬夫

    ○神門委員 私は、島根県の津和野町における笹ケ谷鉱山の砒素公害、それとあわせまして、同じ島根県の東出雲町にあります宝満山鉱山のカドミウムと銅公害、これに関連して質問をいたします。  たいへん時間がおくれましたし、たいへんな問題を含んでおりますので、ひとつ答弁のほうは要点を確実にお願い申し上げたいと存じます。  去る五月四日に、環境庁長官の諮問機関、砒素による健康被害検討委員会が、旧笹ケ谷鉱山周辺地域を国の公害病指定地域にすべきである、こういう結論を出しまして、三木長官に答申をいたしましたことは、すでに御承知であります。慢性砒素中毒症による地域指定は、さきに宮崎県の土呂久地区、これが去年の二月に行なわれまして、今回が第二号というところでありますし、さらに公害健康被害者救済特別措置法の公害病の中に、四番目に慢性砒素中毒症が認定をされた、こういう内容のものであります。  そこで、核心に入る前に、ひとつ環境庁のほうにお尋ねしますが、環境庁が島根県と相談をいたしまして、この特別措置法の施行令を改めて、地域指定にする。県のほうはこれを待って、六月の定例県議会で県条例を制定いたしまして、公害健康被害者認定をこれから進めていこう、こういう審査会を設置する、こういう運びにしております。  そこで、この地域指定の時期、これはもう環境庁のほうにおいて決定をされておることと当然考えます。この機会に明らかにしていただきたい。時期の問題であります。
  201. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 いま御質問のございました地域指定の時期でございますが、現在県といろいろ打ち合わせをいたしておりまして、状況を調べ、また関係各省と調整をいたしておるところでございまして、六月末から七月中ぐらいには何とかできるのではないかというようなところでいたしておる最中でございます。
  202. 神門至馬夫

    ○神門委員 これは当然県議会等の問題がございますから、それらの問題を配慮をして、これを早く、七月にずれ込むことのないように、それに間に合うように線引きをする、地域指定をする、こういうようなことについては、現地島根県との相談の上で、どのようにお考えになっておりますか。いわゆる議会があるとき、こういうことが非常にこのポイントになると思います。
  203. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 いま先生の御指摘のありましたように、私どももできるだけ早くいたしたいということで努力中でございます。
  204. 神門至馬夫

    ○神門委員 そうしますと、そういう議会等の期間、それに焦点を合わして指定を急ぐ、こういうことで確認をしてよろしゅうございますね。
  205. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 できるだけ早くやれますように最善の努力をしたいと思います。
  206. 神門至馬夫

    ○神門委員 その場合、同じ砒素中毒公害がある宮崎県の土呂久におきましての地域指定が、今日なおかつ、その指定範囲が狭い、こういうことで御承知のように問題が起きております。新聞紙上等におきましては、公害源、鉱山本体から五キロ周辺にその線引きを行なうというようなことが出ておりますが、これも土呂久の二の舞いをしないように、それら公害病の今日発生しておる地域を十分包括をして、狭いという不満が起きないように現地島根県と相談の上で行なう、この辺は確認してよろしゅうございますか。
  207. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 おのおのの地域でどのような線で指定地域をするかという点につきましては、やはりそこの地域ごとの地形があり、条件がありまして、いま先生のおっしゃった五キロと申します数字がどういうところで出きてきたか、私ちょっとつまびらかにいたしませんが、機械的には考えておりません。従来は県が非常に広範に調査をいたしておりますので、地元と相談をして地域に即してやりたい、こういう考えが原則でございます。
  208. 神門至馬夫

    ○神門委員 ところで、この笹ケ谷鉱山にかかわる砒素中毒公害、これは全く新しい課題を発生をしておる、この点は御承知のとおりであります。それはすでに鉱業権、採鉱権等が消滅をしておりまして、今日現在では原因者が不在なのであります。こういうことから必然的に生まれますのは、今日まで公害病なり公害指定地域を指定するという政府なりの作業、それは一段階として、皆さんも一生懸命やったのでしょうけれども、地元ではおそきに失するという不満がある。しかしこの目的が、公害を拡散しない、根絶をして、その被害をとめるというところにあるわけですが、しかし、すべての今日の法体系を見ますと、救済そのものが原因者負担主義になっております。  ところが、その原因者が存在しないところに実は初めてのケースが出てくるわけなんです。これをいろいろ事務的に尋ねてみましても、それに対する締め詰めの手だてというものが、今日画然としてない、こういうふうに私、判断をいたしました。九月から法改正によりまして、公害健康被害者が補償を受けるような制度が新たにつくられ、移行することになる。しかし、その場合におきましても、この補償そのものの負担は原因者が行なう、こういうたてまえになっております。  ところが、その笹ケ谷鉱山の場合、約七百年前に開坑して、鉱業権者は明治以来でもどんどんかわって、十三回もかわっております。四十六年の十月に、最後の吉岡鉱業が経営権を放棄して今日に至っておる。こういう場合に、この公害健康被害者の補償を行なうというこの制度の改正、それは当然主管は環境庁において行なわなければならぬと思いますが、このようなときに原因者をどうやって把握をしていこうとするのか、これが実は大切な問題であります。まず、一つずつ質問しましょう。
  209. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 いま先生の御質問のとおり、現在の時点で鉱業法としてこの責任を問われる原因者は不存在ではないかという御質問でございますが、まず、現行の救済特別措置法におきましては、直接原因者から金を取るわけではございませんので、財団で金をプールして持っております、それで出てまいりますから、現行の救済特別措置法では、原因者から直接金を取るという制度が行政上は生じてまいりません。  それから次の、公害健康被害補償法でございますが、公害健康被害補償法におきましては、これは六十二条にございます特定賦課金の問題となりまして、特定賦課金の場合には、大気汚染防止法及び水質汚濁防止法に指定している施設を設置しておって、その問題となった汚染物質を排出した量、その他の条件に応じてかけるということになっておりますので、その条件にはまるものがいるかどうかということでございますので、鉱業法にいう問題と、公害健康被害補償法にいう法律のとらえ方とには若干相違がございますが、やはり鉱業法としての実態は、どこまでのものがつかまえられるかということは、きわめて重要なことと思いますので、その点につきましては、通産省のほうに現在お願いをして究明をしていただいておる、こういう実情でございます。
  210. 神門至馬夫

    ○神門委員 その場合には今度の改正法については、大気汚染を中心として、それぞれの条文がつくってある、こういうことですが、この笹ケ谷に行ってまいりますと、砒素による汚染田の土壌を改良しなければならない面積が二百ヘクタールあります。十五センチから下は赤茶けた、いわゆる金焼け田といっておりますが、そういうようなものがずっと張っておりまして、通常の半分から三分の一ぐらいの収量しかない。     〔委員長退席、土井委員長代理着席〕 それで、客土による土壌改良をしなければならないが、その場合十五センチないし二十センチの客土を必要とする。必然的に用排水路の全面的な改修が必要になって、約十億円も要る。こういうときに、この土壌汚染防止法による特定有害物質として砒素を指定されることはもう時間の問題だろう、こういうふうに県も見ておりますし、私たちもそう見ております。  この指定されたときに、土壌汚染防止法に基づいて汚染田の改良工事を行なうとすれば、公害防止事業費事業者負担法によって県知事が基本計画をつくる、それによって事業者負担の費用をそれぞれきめなければならない、こういうことになります。その土壌汚染防止法によるところの事業費の事業者負担、この場合その原因者をたずねるのは、いわゆる確定するのは知事であるのか環境庁であるのか、お尋ねします。
  211. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 いま先生指摘公害防止事業費事業者負担法による費用負担の割合をきめるという問題につきましては、各都道府県に設けられる公害審議会にはかってきめるということになりますので、これは都道府県知事がきめるということになります。     〔土井委員長代理退席、委員長着席〕 もちろんその最中に、いろいろ国の各役所に連絡協力を求めるということは当然ございますし、私どもも協力をいたしますが、事業者を特定し、割合をきめるのは、知事がきめる仕事になるということでございます。
  212. 神門至馬夫

    ○神門委員 その場合問題が出てくるのは、この法律上の指定、いわゆる原因者の確定を行なう。いまのように原因者がいないという場合、あるいは八百年もたって、その原因者がそのつどかわって今日にきている。それを地方の一知事が原因者を確定するということは、今日の状況では、まず不可能なことだと考えるわけです。それで、その場合に関係各省と相談をして知事がきめるのだ、こういうふうにいま答弁がありましたが、当然これには環境問題の主務官庁である環境庁が一はだ脱いで、積極的にその原因者をさがしていく責任がある、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。
  213. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 いま先生の御質問の原因者ということばが、おのおのの法律でどのように用いられるかという問題がございまして、民事上の原因者ということになりますと、これはまた非常にむずかしい裁判上の問題がございましょうし、また鉱業法の原因者の確定ということになりますと、当然にこれは通産省の所管の問題としてやることになりましょうし、公害防止事業の事業者費用負担法にいう原因者につきましては、特に民事上の責任云々というような特定の規定はございません。あの法律に定められました範囲内の原因者が、もとにさかのぼって、どこまでさがせるかという問題でございますし、公害健康被害補償法におきます原因者は、民事の責任の確定を待たずということでございまして、おのおののとらえ方があるということでございます。  そういう点におきまして非常なむずかしい問題があろうかと思いますが、従来の経緯等につきましては、これは鉱山のことでございますから通産省が、どのような人が、あるいはどのような事業者が、どれほどの鉱業生産をやり、どのような施設を持っておったのかということについて、最も詳しく知っておられると存じますので、私どもは決して逃げる気はございませんが、通産省と十分連絡をとって県のバックアップをいたしたい、そういうぐあいに考えております。
  214. 神門至馬夫

    ○神門委員 公害関連救済のその法律法律によって原因者の性格もおのずから変わってくる、こういうことは一応うなずけますが、私はこの笹ケ谷鉱山の問題に関する限り、そう変わらないと見ております。一般論ではなしに、この笹ケ谷鉱山のいわゆる原因者という場合には、あなたがおっしゃるように、そう多様な原因者論は出てこない。そこで、いまおっしゃっているように、法律上は土壌汚染防止法によって施行者である県知事がやるのだけれども、一番よく知っているのは鉱業権の監督者である通産省だ、逃げる意味じゃないが、通産省のほうでおやりになるのが至当であろう、こういうことでございました。  そこで、通産省のほうにお尋ねします。この土壌汚染防止法にいう原因者を確定する義務が、法律上云々でなしに、行政上の責任が環境庁でなしに通産省にあるのだ、こういう先ほどの答弁ですが、それでよろしゅうございますか。
  215. 江口裕通

    ○江口政府委員 お答え申し上げます。  土壌汚染防止法によりまして有害物質指定というものが行なわれ、それからさらに地域指定の要件が、同じく政令で指定されるわけでございます。それに基づきまして、第三条で現実には地域指定が行なわれるわけでございますが、この際、都道府県知事は都道府県公害対策審議会あるいは関係市町村の御意見を聞くことになっております。通常の場合、この都道府県公害対策審議会には通産省の通産局長ないしは商工部長が委員として入っておりますので、そこで密接に御連絡して取り進めていく、こういうふうになろうかと考えます。
  216. 神門至馬夫

    ○神門委員 そうしますと、いま環境庁のほうから答弁がありましたように、この土壌汚染防止法にいうところの事業費事業者負担、この原因者である事業主の確定は、地元施行者である知事と一緒になって通産省が行なうものだ、こういうふうに確認してよろしいですね。
  217. 江口裕通

    ○江口政府委員 先ほどの環境庁からの御説明にもございましたように、この関係の全体の運行につきましては、一応環境庁のほうでおやりいただくというふうに私どものほうでは了解いたしております。これはもちろん責任をそちらのほうに移すという意味ではございませんで、全体のバランスをとって運営されるのは環境庁でやっていただく。それから私どもの通産省のほうといたしましては、それぞれの地域あるいはその鉱業の特性に応じまして、その汚染源の特性に応じまして、それぞれの観点から御協力を申し上げていく、こういうふうに考えております。
  218. 神門至馬夫

    ○神門委員 そうすると、言い回しはいろいろやっておいでになるけれども環境庁と通産省で答弁の食い違いがありはしませんか。問題は、現地において混乱しているのはそこなんですね。通産省は、資料提供義務があるけれども、その責任主体は環境庁だと言うし、環境庁は、鉱山権にかかわることだから通産省だと言う。これが、一応地域指定なり公害病の認定になったとしても、このような救済措置が進まない根源になっておる。  この際、政務次官、環境庁の責任であるということを明確にされるのか、環境庁の責任でないと明確にされるのか、明確にしてもらいたい。
  219. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 政務次官がお答えになります前に、事務的に少し御説明申し上げます。  いま私がお答えいたしましたことと、通産省のお答えいたしましたことは、お互いに乖離があるというぐあいには決して受け取っておりません。環境庁としては公害防止事業の事業者負担法の主管省庁としての責任は当然にございます。また一公害健康被害補償法の主管省庁としての責任は、環境庁としては当然にございます。その意味におきまして、そのおのおのの法律の主管する範囲内において私どもはその責任をとるということでございまして、その基礎となる実体的な資料をどこからいただくかと申しますと、これは鉱山を主管しておられる通産省から得る以外には手がないということでございます。また、都道府県知事にあっても、鉱山を主管しておる通産省から得る以外には的確な道はなかろうということは事実でございます。  法律の上から見ますと、公害防止事業の事業者負担をきめるのは、施行者がきめるということになりまして、そこの土壌汚染防止法の事業をする施行者がきめるという形になりますので、これは土壌汚染防止法の体系のほうから私、いまここでお答えするわけにまいりませんので、水質保全局長のほうからお答えをいただきたいと思います。
  220. 神門至馬夫

    ○神門委員 そういうふうな言い回しでなしに、ずばり言ってもらえばよろしいわけですよ。問題は、資料は通産省にあるのはわかり切っておるわけなんです。通産省は、環境庁に取りに来い、こう言っておるわけだ。環境庁のほうは、法律的なそういう主務官庁であることは認めるけれども、具体的には知事だ、こう言う。また、さっきの答弁に戻ったわけでしょう。施行者である知事にそういうような計画上の責任があるということはわかるけれども、最終的には一地方知事に、それの一切の責任があるとするのは、これはできないことなんですよ、政府がこれに関係してこなかったら。  そうすると、だれが一体政府の中で確定までの実際の責任をもって前に出て進むのか、この辺を明確にしてくれということなんです。それは資料はどこから取ってこられてもよろしい。環境庁が施行者である知事と相談しながら、最後まで、確定まで、どのように困難な、むずかしい問題であってもやらなければならないと考える、やるべきである、こういうふうにするのかしないのかということで、簡単でよろしいから答弁してもらいたい。
  221. 森整治

    ○森(整)政府委員 私ども別にむづかしい答弁をしておるつもりはございませんで、ただいま知事さんに過去の鉱山活動の調査をお願いをしておるわけでございます。四十六年から、この問題が起こるということで、砒素の状況につきまして調査をしておるわけでございまして、私ども先ほど申しましたように、砒素の有害物質の指定があれば、直ちにその濃度等につきまして調査をいたしまして、事業を早くやりたいということで対処してまいる。その場合に、最終的にだれが責任を持つかといえば知事さんですけれども環境庁としていろいろ御相談を受けて、その指導について努力してまいることについては一向変わりがございません。
  222. 神門至馬夫

    ○神門委員 そういう長い答弁でなくて、環境庁が知事と相談しながら、最後まで指導しながらやっていきます、これでよろしゅうございますか。簡単に、簡単に、複雑にしなくていい。
  223. 森整治

    ○森(整)政府委員 おっしゃるとおりにいたします。
  224. 神門至馬夫

    ○神門委員 その辺が実は非常に問題になっておる点であって、今日、環境庁であるということが明確になりましたから、ひとつ逃げないように。せっかく公害病の地域指定になった、こういうことでありますから、これは知事のほうから環境庁のほうにお伺いすれば、環境庁が指導して、最終的な結論を出すようにやるということでございますね。ですから、そういうふうにしていただくことをここで確認をしておきます。  それから、やはり原因者の問題にかかることなんですが、十八人が公害病に指定されております。ところが、この公害病の中で十人がいわゆる笹ケ谷鉱山の従業歴を持ちます。八名が一般の住民です。先ほどお話のありましたような今日の救済補償、その全体が原因者負担主義に貫かれておるという点もございまして、一般住民に対しては確かにその法の適用によって救済の道があるけれども、従業員に対しては、その救済を労災なり企業負担において行なうべきだということで放置されて、非常に差別が出ておる。この問題について、環境庁のほうでその点は前から御承知でありますから、差別のないように、また原因者が確定されないまでの不平等的な取り扱いをどういうふうに救済していこうとするのか、それから労働省からおいでになっておると思いますが、二名の労災の適用は、どういう根拠で適用されたのか、ひとつ簡潔に御答弁願いたい。
  225. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 いま先生の御指摘があった問題でございますが、この点につきましては、すでに県が昨年発表いたしました中にも触れておりますが、二十二年九月以降の従業歴のある者については、労災保険法による保険給付が受けられるよう、関係機関と十分協議をして行なうこととしたいということを申しております。  これは一つの基本の原則でございます。おそらく御指摘の問題は、労災の給付を受けられないとした患者がいた場合に、それが漏れるのではないかという問題であろうかと存じますが、救済法にいたしましても、公害健康被害補償法にいたしましても、労災法の調整は当然にございます。そういうことで、本人の従業歴は十分私ども調べますが、また、それを労災適用の場合には、向こうで処理をしていただくということになるのが当然でございますが、向こうの場合に適用にならない。しかも、そこに居住歴があって暴露歴もあるということの場合には、向こうで適用にならなくて、わがほうで救済をするということは当然……(神門委員「従業歴だけでは」と呼ぶ一従業歴だけで、遠くから通っておったという場合には、これは無理でございます。そういう形になっております。
  226. 山口全

    ○山口説明員 先生指摘のとおり、十名の健康異常者、またその疑いのある者があることを承知しております。そのうち一名は死亡されておりますので九名、九名のうち、ただいまお答えがありましたように、労災保険法の適用のある者は一名でございます。残り八名については、つまり昭和二十二年八月三十一日以前の就業歴しかないということで、現行の救済法あるいは県条例によって救済するか、あるいは当時の使用者がいれば、当該使用者に対して行政指導をするというたてまえをとっております。それでなお、救済の道がない場合には、労災保険による保険施設で医療給付と医療手当を支給するということで、特別援護の措置を講じております。  それから、先生お尋ねの二名の労災認定の問題でございますが、これは県が行なった検診とは別個に、二名の被災労働者から労災給付の申請がございまして、それについて認定をいたしまして、労災の業務上として認定をし、所要の給付をしたところでございます。
  227. 神門至馬夫

    ○神門委員 いまの環境庁のほうからの御答弁では、いわゆる雇用歴しかなくて、その線引きの中に住んでいない、住所歴のない者はどうしようもない、こういうお話が環境庁のほうからあった。労働省のほうからの御答弁では、それら労災の適用外の者については、特別の援護措置をとっている、こういうお話でしたが、そういう特別な援護措置がとられてないところに町をあげて問題にしておるわけですね。あなたがどういうふうに援護措置をとっておいでになるのか、時間がないから、ここで求めるわけにいきませんが、その辺の差別が今日一番大きな問題になっていることは、労働省としては御承知でしょうね。
  228. 山口全

    ○山口説明員 特別援護措置につきましては、すでに宮崎県の松尾、土呂久の同様の問題について、昨年八月十五日から実施しているところでございまして、その意味合いですでに実施していると申し上げたわけでございますが、いま御質疑されておりまする笹ケ谷につきましては、この適用をどうするかという問題が残っていることは事実でございます。これにつきましては、現行の健康被害の救済措置がどう適用になるかということと見合って考えようということで、若干おくれているわけでございますが、その面で救済されれば、そのほうの適用を受けるし、もし万一その適用がないという場合については、当然援護措置の適用をするということを考えております。
  229. 神門至馬夫

    ○神門委員 いま環境庁のほうから、いわゆる補償法の適用はむずかしい、はっきりこういうお話があったわけですね。ですから、その辺の問題は今後措置していただかなければならぬと思いますが、しかし、一般住民公害被災者と差別のつかないように労働省としては何らかの措置をとるということは、ここで確言できますか。
  230. 山口全

    ○山口説明員 環境庁とも十分協議いたしまして、環境庁の措置あるいはその措置で満たないものがあれば、労災保険法上可能な限りにおいて、当然の給付はもとより、特別援護措置の道が講ぜられるものについては、積極的にその措置を講じていくということを考えております。
  231. 神門至馬夫

    ○神門委員 これは大きな問題ですから、環境庁のほうにもう一ぺん尋ねておきますが、同じ地域で同じように公害病で苦しんでいる。その中で二十二年の三月を境にして、あなたは企業に、あなたは労災にという、こういうことと、一般住民としての救済、この辺の差別がないように、環境庁としては関係の労働者なり、あるいは公共団体と相談して、差別がないように救済措置をしますと、こういうことを環境庁のほうでも答弁していただきたいと思いますが、いかがですか。
  232. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 いま先生の御指摘になりました問題の一部は、併給の調整という問題になりまして、当然に公害健康被害補償法と労災関係法律上の調整ということで考慮いたさなければなりません。  また、先生の御指摘の問題は、この住居歴が全然ないという問題どうなるかという点でございますが、私どもは極力住居歴、職業歴ということにつきまして、まだ全部非常に詳細に明らかになっているとは申し切れないところがございますので、よく調べて、できるだけ救うということができるように努力はいたしたいと思いますが、法律の原則は原則としてくずせないということだけは申し上げておきます。
  233. 神門至馬夫

    ○神門委員 次官、そういうことだから安心できないわけですね。問題は、そこで十八人おるでしょう。十八人おる中で、住所歴があるかないかによって、その住所歴のない従業歴のある者だけは事実上はほったらかされるのですね。ですから、そういうことはほんのわずかな人間ですし、その悲惨な現地の状態というのは、皆さん想像できないと思いますけれども、そのような非人間的なことをするんだったら、公害病の認定なり地域指定をすることによって、むしろ不治の砒素中毒患者ということで、結婚も破れてしまう。その家には嫁も来ないというような被害だけを残して、何ら救済の道が講ぜられぬわけでしょう。ですから、人数もたいしたことがないそのような者について、環境庁としても当然——法律論そのものはわかるけれども、運用として、私がさっき申しますように、地元公共団体等と関連しながらやっていけば方法があると思うわけです。ですから、その点明確に差別のないように救済の道を講じますということを、ひとつぜひとも答弁をしてもらわぬと、私はこの質問を終わることができませんがね。次官、どうですか。
  234. 藤本孝雄

    ○藤本政府委員 政府委員から御説明申し上げましたわけでございますけれども、詳細はいま調べ中ということでもございまして、いまここではっきり差別はしないということは、この段階ではなかなか申し上げにくいと思うわけでございますが、先生のお考えにつきましては、私も同感の点もございますので、今後早急に調査並びに検討をいたしまして、なるべく趣旨が生かされるように努力をいたしたいと考えております。
  235. 神門至馬夫

    ○神門委員 次官、そういうことですから、環境庁はかっこういいことばかりやって、あとほったらかしているので、関係各省から評判が悪いのですよ。ですから、それだけはっきりとした地域指定なり公害病の認定をしたら、その中でいまのような差別が起こって、さらに認定をする以前の状態よりか深刻な状態で、あるいは放置をするということは——調査をされなくても住所歴があるかないかによって、それだけの差が出るということをいま審議官答弁したでしょう、それははっきりしているのですから。それを何らかの方法によって差別がないように措置をするということは、環境庁として当然の責任じゃないのですか。いわゆる公害病に指定する、認定するまでが環境庁としての責任ですか。やはり今後それらの差別がないような救済の方法——補償まては言いませんよ。補償の問題までは言いません。現存する法律上差別がないように措置をしていく、救済をしていく、これは当然政治の責任じゃないのですか。
  236. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 いまの私の申し上げましたのは、仮説的にこの法律立場を申し上げたのでございまして、法律の適用をする場合には、この法律にございますように、島根県が組織をいたします認定委員会におきまして、いろいろ地元の実情等も考えながら、きめられるということによってやられることであると考えております。私ども決して冷たく扱うという気持ちでは全然ございません。そういう気持ちでございますが、どの程度住居歴との関係というものをできるかということで、できるだけ先生お話しのような形に沿うような努力をいたしたいということをお答えいたしておるわけであります。
  237. 神門至馬夫

    ○神門委員 最終的には、県がそういう審議会を設けてやるのですが、ここに当該津和野町の町長公印を押した文書を私、もらっておるのです。その中でも明確に従業歴と住所歴のものがあるのですね。だから、あなた方の法の適用を厳正にやる、厳正にやれば差別が出てくるのです。差別が出てくる大きな悲劇が出るから、それがわかり切っているから、そのような場合には何とかそこに差別ができないようにする。たとえば、国から県のほうに指導して、県が条例の中でその差別部分を補てんをしていくとかいう方法が、法律論の問題でなしに、行政上の問題としてあるのじゃないかということを、先ほどから私はにおわせているでしょう。そういうようなものもあわせて差別をなくするということを、環境庁のほうは答弁を当然されるものですが、されないとすれば、これは重大な問題ですよ。人権上の問題でしょう。これは資料がなかったら、ありますからごらんいただきたい。あなたのほうは、これは実際わかり切っておるのでしょう、そこにもうすでに行っておるはずなんだから。
  238. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 いま先生指摘いただいた書類につきましては、私、まだ承知いたしておりませんので、それを一度拝見させていただきます。  それから、先ほど申し上げましたのは、厳正に行なうということだけを強調したのではございませんで、できるだけ住居歴が拾い上げられないかということで努力をしてみるということを申し上げた点は、誤解のないように——拾い上げられるように持っていきたいということを努力したい、ということを申し上げたわけでございます。  これは残っておる部分をどうするかということにつきましては、これは現在地方自治体で、条例で、法律でどうにもならない場合に、これは補償はできませんが、ある程度の救済措置をしているものが中にございます。そういうことはどうかということは、私ども地方自治体とお話しはいたして指導はいたしたいと思いますが、これは地方自治体自身が決定することでございまして、私どものほうから……(神門委員「そんなことは要らないことだ、指導する意識があるかどうかということだ」と呼ぶ)指導するという意識はございます。が、条例でございますので、地方自治体として当然に決断を下すべきことだと思います。
  239. 神門至馬夫

    ○神門委員 えらい警戒して答弁されますけれども、当然そういうような法律上の適用がむずかしいとするならば、それを埋めなくちゃならぬ至上命令、至上課題が環境庁としてあるのですから、当然それを補う公共団体に、これは何とかならぬだろうかということを、環境庁としては指導なり要請をするということが答弁であって、あとは自治体の自主性だなんということはわかり切ったことでしょう。次官、どうですか。その辺はもう一ぺん答弁していただきたいと思います。
  240. 藤本孝雄

    ○藤本政府委員 御趣旨が生かされるような方向で指導してまいります。
  241. 神門至馬夫

    ○神門委員 それではひとつ、ぜひとも趣旨を生かしていただくように、ここで確認をしておきます。  それから、いま労働省のほうで二人の労災適用を確認されましたが、二人の適用を確認したということは、使用者の存在を認めたということになりますね。
  242. 山口全

    ○山口説明員 業務上の疾病であることを確認したわけでございますので、当該従事者に対する元使用者の存在というものを確認しておるわけでございます。昭和二十二年九月一日以降、使用した使用者ですね、それを把握しておるということでございます。
  243. 角屋堅次郎

    角屋委員長 時間の関係もありますので、質問を要約してお願いいたします。
  244. 神門至馬夫

    ○神門委員 環境庁のほうで先ほど、その原因者の追跡、そうして確定まで環境庁が責任もってやるということが答弁なされました。いまおっしゃるように、労働省が労災の適用をやったことは、そのときに雇用主がおったということを確認する、業務上の疾病であるということである。そうしますと、はっきり通産省のほうに、この解雇以来、いわゆる鉱業権が設定されて以来の経営者というものは綿密なデータがあるのですね。それによって、あそこに、地元にあります堀家が経営していた時代がある、あるいは日本鉱業が相当長期にわたって経営していた、あるいは三菱金属鉱業が経営していたという、二十二年以降でなしに、以前のそういう事実があるということは、環境庁のほうで今日把握しておいでになりますか。
  245. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 環境庁のほうで把握いたしております。施設の実態につきましては、まだ詳細をつかまえておりません。
  246. 神門至馬夫

    ○神門委員 もう一ぺんお尋ねいたしますが、通産省はそれの経営歴のデータ等は、いま御承知いただいておるようでありますから、通産省の資料をもって確認はされている、こういうことだと思いますね。それで、そうなってまいりますと、当然その原因者の中には、この地元の堀家だとか、日本鉱業、三菱金属鉱業という、いつも新聞に出ておるような、企業者が原因者であるということ、その原因者の一人であるということには間違いございませんね。
  247. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 汚染の原因者であろうと私ども考えております。ただこの場合、先ほど申し上げました特定賦課金の場合には、特定施設の態様というものがございますので、その点についての事実関係を確かめなければ、この法律上の強制賦課ができないということだけを申し上げておるわけであります。
  248. 神門至馬夫

    ○神門委員 原因者として、それらは当然経営歴を持っておるわけですから、原因者の一つであろう、こういうことは認めるということなんですが、実は通産省のほうにはそういうきちっとした資料がありますから、早目にそういう原因者を把握していただくように、それがきわめてこの問題については、今後の措置として大事なことでありますので、確認しておきます。  それから、それらとあわせていま一つは、農用地の土壌の汚染防止等に関する法律施行令第一条における(特定有害物質)に砒素か加えられる、これは先ほど申しますように、当然のことだろうと思いますが、これが整えられれば農林省のほうでは、あるいは地元県のほうでは、もうすべてこの調査が終わり、受け入れ体制が万全なんですね。これはいつごろそういう指定をされるのか、これも緊急の問題なんですね。農林省のほうから、その指定があれば、すぐ対応体制があるかどうか、この辺をひとつ答弁をお願いします。
  249. 須賀博

    ○須賀説明員 砒素が特定有害物質として指定されますと、環境庁による土壌汚染対策地域という指定がございます。その指定がありまして、土壌汚染対策計画が今度は知事の手によって策定されるわけでございます。その際に、農林省といたしましては必要な指導を行なう、計画が策定されましたあとに必要な土地改良事業等が行なわれるわけでございますが、それらに対しましては、農林省といたしまして必要な助成をいたしてまいりたいというふうに考えております。
  250. 神門至馬夫

    ○神門委員 環境庁のほうでそういう特定物質の中に指定をして、それらの地域指定をして、いまのように受け入れ体制ができて待っている、こういう状況なんですが、それらの作業はどのような状態ですか。
  251. 森整治

    ○森(整)政府委員 先ほど申しましたように、約百九十六ヘクタール、汚染の推定の把握をしておりまして、指定がございますと、要するに濃度基準がございます。そうすると、その濃度の土壌が、はたしていま百九十六ヘクタール全部かどうか細密調査を至急やりたいと思います。そこで区域を限りまして、農林省に至急対策事業を講じていただく、こういうことに取り計らいたいと思っております。
  252. 神門至馬夫

    ○神門委員 特定物質に指定する時期は、いつごろですか。
  253. 森整治

    ○森(整)政府委員 できるだけ近く……。
  254. 神門至馬夫

    ○神門委員 できるだけ近くって、いつごろですか。
  255. 森整治

    ○森(整)政府委員 できるだけ早くと思っておりまして、大体取りまとめがすぐできますので、審議会にかけまして指定をする手続がございますが、二、三カ月内には完了したいと思います。
  256. 神門至馬夫

    ○神門委員 時間がありませんので終わりますが、委員長、最後にもう一つほどお願いしますが、鉱害源の問題です。  これは去年、私が通産省のほうに質問をいたしまして、四十八年から着工の運びになりました。四十八年からかかって四十九年度に相当大幅なものがなされておりますが、鉱滓が約六十四万トン、そして雨なり洪水とともに鉱毒なり鉱滓が流出している。こういうことで、いまのようにいろいろ地域指定なり公害病の指定、それらの救済措置がなされていたとしましても、鉱滓そのものの処理をどうするかということが問題なんです。  そこで、その経過を簡単に、大要と日程的に何年に終わるかということをお示しいただきたいことと、いま一つは、あそこに日本鉱業が経営していた当時に四つのダムをつくっております。四つのダムをつくって、それがゲートが取れてしまったり、あるいは下のほうが水漏れしてダムの効用を果たさない、こういうことで、地元の人たちは二、三百万もあれば、それを詰めることができると言っています。ですから、その膨大な十三ヘクタールにも及ぶ鉱滓の放置場所、それを一つずつ処置をする鉱害源対策とあわせて、そのダムの処理をここで急いでくれないか、こういうふうに言っておるのですが、そういうような処置について通産省のほうはどういうふうにお考えになっておるのか、答弁を願いたい。
  257. 江口裕通

    ○江口政府委員 お答え申し上げます。  鉱害防止対策につきましては、ごく簡単に申し上げますと、現在最終の鉱業権者でございます吉岡鉱業に対しましては、すでにたびたび監督をいたしまして検査をいたしました結果、指示をいたしております。それによりまして、坑口の禁さくあるいは鉱害の原因になります堆積場の整備、それから、その堆積場によりますところの堤の強化あるいは覆土植生でございます。そういったようなことをいたしておりまして、これは完了いたしております。  それから、先ほども指摘がありましたように、鉱業権のなかなかはっきりしないものがございます。不存在あるいは無資力等がございますので、そういった場所につきましては、休廃止鉱山の鉱害防止工事費補助金によりまして、島根県が中心となっていただいて、いま工事を実施しております。実施の完了時期は現在四十九年度末という予定でございますが、四十八年度工事がややずれておりますので、若干のズレは生じるかもしれません。その際に、ただいま御指摘の鉱滓等につきましては、箱詰めにいたしまして地中に埋めるということをいたしますと同時に、これは特に砒素が残っております分でございますが、地中に埋めますと同時に、鉱滓のかたまり等につきましては、やはり覆土植生をいたしまして、なるべく放出しないようにつとめるという予定でございます。それから、その次に御指摘になりました砂防ダムの問題でございますが、当該砂防ダムは昭和二十五年から砂防工事の一環といたしまして県営ダムということで行なわれておるようでございます。現在四カ所にダムの設置がされておるわけでございますが、確かに御指摘のように、ダムのゲートの鉄の金具がこわれておるとかいうようなお話を聞いております。過去において、昭和二十八年に、日本鉱業がダム工事の地元負担金の一部補てんをやった事実はあるようでございます。現状といたしましては、必ずしも狭義の鉱害防止ということではないと思いますけれども、県のほうにも、地元の依頼によりまして現地調査をいたしまして、それからその修理等を考えたいというようなお気持ちもあるようでございます。したがいまして、私のほうも県のほうと十分連絡をいたしまして、その方向で進めてまいりたいと考えております。
  258. 神門至馬夫

    ○神門委員 いまの地元の気持ちとしては、四つのダムを生かせ、わずかな金で生きるのだからということで非常に強うございますから、地元県と相談の上でやっていただきたいことと、もう一つは、四十九年度末で大体この鉱害防止工事が完了するようでありますが、それで終わったということでなしに、非常に広範なものでありますから、今後もひとつ鉱害流出のそのような追跡調査をしてもらう、こういうことを条件として最後に確認しておきたいと思いますが、その点よろしゅうございますか。
  259. 江口裕通

    ○江口政府委員 先ほどちょっと私間違えて申しまして、四十九年度ではございませんで、一応島根県の計画によりますと、五十年度末ということでございます。その点訂正させていただきます。それからなお、工事完了後の施設につきまして、こわれたり、いわゆる維持管理を必要とすることが考えられますので、この点につきまして本年度の予算以降、補助金の中に維持管理費補助というものを盛り込んでおりますので、御要望があれば、その線に沿ってやらしていただきたいと思います。
  260. 神門至馬夫

    ○神門委員 それでは委員長、どうもありがとうございました。  先ほどの宝満山の質問は全然残りましたし、また他にも残りますから、委員長にお願いして、次の機会に質問させていただきます。  以上をもって終わります。ありがとうございました。
  261. 角屋堅次郎

    角屋委員長 次回は、来たる五月二十一日火曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時三十八分散会