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福岡委員 実態についてあらましをお伺いしたのですが、相当使用量がありますのに、十分な体制がまだ整っていない。いま問題が
発生をして、ようやく各省庁取り組んでおられるというふうに聞くのでありますが、今日までこの種の問題を放置されておったといえば言い過ぎかもしれませんが、十分な体制ができていなかったことにつきまして、一言苦言を呈したいと思うのであります。
そこで私は、この具体的な事例をここに持ってきておるのでありますが、これは電電公社が、
先ほどお話がありましたように、
工事の過程で使用して
発生した事例であります。相当の被害が出まして、市が仲に立ちまして、当面の応急
措置あるいは補償
関係については片づいたようでありますが、
汚染された井戸水の回復はまだなされていない。
〔島本
委員長代理退席、
委員長着席〕
また、地下水を
飲料水にしておる地域も全国に相当あるわけでありますから、この種の事故というのは今後相当
発生する可能性があるというように思うのでありますが、まず具体的に、この事例を申し上げたいのでありますが、ここに現物を持ってきました。有毒性の
関係からいきますと、これはいわゆる安定剤を注入いたしまして、しばらく時間の経過したものをとってきまして水に溶かしたわけであります。そうすると、まだ完全に化学反応していないのです。つまり、ホルマリンなり硫酸がこの中に相当流出しておることが証明されておるわけであります。またこっちのほうは、酸化鉄その他が、薬液注入によりまして
土壌の中の鉄分が溶解したりなどしまして、これも現地の水をとってきたのですが、鉄分が肉眼で見ましても相当の量が目に見えるわけであります。こういうような状態になっておる。
それを、どの
程度の有害性があるかということにつきまして、実は広島大学に化学分析なり
調査をしてもらったわけであります。それを若干かけ足で申し上げてみますと、全部を続むわけにいかぬのですが、「1、分析依頼をうけた六つの試料(井戸水)中にホルムアルデヒド、鉄ならびに尿素が含まれているか否か。
2、
工事現場付近の湧き水中にホルムアルデヒドが含まれているか否か。
3、
工事現場にあった樹脂片からホルムアルデヒドが水中へ溶け出すか否か。
4、
工事に使用された薬剤により土中あるいは鉄管の鉄分が水中へ溶け出す可能性があるか否か。」
この四つの
調査依頼をしましたのですが、「上記1〜4の
調査結果と、井戸水
汚染の
発生時期と
工事時期が一致していることから判断して、井戸水
汚染がエスロック−UNによるものであることは確実であるといえる。」内容はいろいろここに持ってきておりますが、
結論として、こういうことになっておるわけであります。
さらに、同じく広大の別の
調査でありますが、要
所要所だけ続んでみますと、「汚濁井戸の
状況」、おととし
昭和四十七年の八月のことなんですが、
「八月三十一日〜九月二十二日の水質試験結果では七十ヶ所のうちで二十一ヶ所が〇・三PPMを越えていた。濃度は
工事現場付近に特に高濃度のところが認められる。(中間
報告参照)」と、別の資料が出ております。「十月三十日の分析結果では十五ヶ所中〇・三PPMを越えたのは六ヶ所、前回〇・三PPMを越えた十三ヶ所のうちいまでも〇・三PPM以上に鉄分が存在するのは五ヶ所である。」表がありまして、また「十月三十日現在、高濃度に存在する所は
工事現場の付近のほかはF、C地区に散在している。」
「濁り(鉄分)の
原因」でありますとか「鉄分の将来予測」でありますとか「臭気水の
状況」、においのする水ですね、あるいは「臭気
発生の
原因」等々いろいろ
調査の結果が出ておりまして、これは完全に有毒なものである、有害なものであるという結果が出ておるところであります。
それからホルマリンの毒性につきましては、もう私がいまさら申し上げるまでもないことでありまして、この水の中からホルマリンが相当検出されておるという事実も明らかになっておるわけであります。
それから当時、中国新聞がこの問題を取り上げまして、どういう記事を書いておるかといいますと、これは電電公社の例の
工事に関してですが、一二次地区におけるエスロック−UN(積水化学)の薬剤注入により地下水汚濁した水を二カ月飲んだが、その間地区内の人の中に下痢
患者が相当出た、中でも体質によっては数カ月
影響を受けて困った人もいる、また目が悪くなり医者にかかった人も数名ある、こういう新聞の記事も出ておるところであります。
もう一つ最近のあれでありますが、同じく広大の横畑助教授の
報告でありますが、「理想的な実験室で理想的な配合で実験しても完全反応するものではなく、固結部分からも未反応分子が溶出する」ということが証明された、こう出ておるわけです。
こうなってまいりますと、他のものは具体的なデータを持っておらぬのでありますが、エスロック−UNに関する限り相当の被害を出しておるし、有害であるということが、この資料から証明できるわけであります。電電公社の場合は一度だけしか例がなかったとおっしゃるのですが、問題になったのは一度だけでありましても、厳密に調べてみれば相当あると思われるわけであります。そういうものを今日まで別段の
基準もなしに
工事に使ってこられた
関係個所、これは許せないと思うのでありますが、この事実に対して一体どうお
考えになるのですか。