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1974-05-07 第72回国会 衆議院 公害対策並びに環境保全特別委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年五月七日(火曜日)    午前十時三十六分開議  出席委員   委員長 角屋堅次郎君    理事 坂本三十次君 理事 登坂重次郎君    理事 林  義郎君 理事 森  喜朗君    理事 渡部 恒三君 理事 島本 虎三君    理事 土井たか子君 理事 木下 元二君       八田 貞義君    岩垂寿喜男君       金丸 徳重君    小林 信一君       佐野 憲治君    岡本 富夫君       坂口  力君    高橋  繁君       折小野良一君  出席政府委員         防衛政務次官  木野 晴夫君         防衛施設庁次長 鶴崎  敏君         環境政務次官  藤本 孝雄君         環境庁長官官房         長       信澤  清君         環境庁自然保護         局長      江間 時彦君  委員外出席者         防衛庁防衛局運         用課長     伊藤 参午君         建設省河川局砂         防部砂防課長  松林 正義君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ————————————— 委員の異動 五月七日  辞任         補欠選任   佐野 憲治君     金丸 徳重君   岡本 富夫君     高橋  繁君 同日  辞任         補欠選任   金丸 徳重君     佐野 憲治君   高橋  繁君     岡本 富夫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  富士地域環境保全整備特別措置法案内閣提  出、第七十一回国会閣法第一一五号)      ————◇—————
  2. 角屋堅次郎

    ○角屋委員長 これより会議を開きます。  内閣提出富士地域環境保全整備特別措置法案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岩垂寿喜男君。
  3. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 私は最初に、この法案北富士演習場の問題との関連について若干質問をしなければならないと思います。あと金丸委員が基地問題を中心にして質問をすることになっておりますから、私は、その経過について簡単に御質問をしたいと思うのですが、この法律案はいつごろから準備されてきたものか、環境庁に伺いたいと思います。
  4. 江間時彦

    江間政府委員 一昨年の秋ごろから準備がなされたものでございます。
  5. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 一昨年の秋というのは、昭和四十七年の秋ということですね。
  6. 江間時彦

    江間政府委員 さようでございます。
  7. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 政府はかねてから、この法律北富士演習場との関連性はないんだ、この法律をあらかじめ準備をしてきたやさきに、その問題が起こったんだというふうに、前後関係をかなりあいまいにして答弁をしておられるようでありますが、私は、いまの法律準備経過と、民法六百四条で北富士演習場県有地使用が不能になったあと経過との関係で、どうしてもこれは質問というよりも、述べておかなければならない事実の経過があるわけでありますが、その点について以下意見を述べながら質問をしてみたいと思うのであります。  御承知のとおり、民法六百四条に基づく県有地の返還という問題に関連をして、自衛隊北富士演習場使用という問題が課題になったのは、言うまでもなく昭和四十七年八月一日であります。その四十七年八月一日、使用不能になった以降、政府は引き続いて北富士演習場使用したいという立場をとっておられました。そして、四十七年八月一日に、首相官邸官房長官が「本日、総理、防衛庁長官外務大臣大蔵大臣建設大臣官房長官が協議の結果、政府考え方として、次のことが決定された。1、北富士演習場を従来どおり使用したい。但し、防衛庁さきに示した二一%は返還する。2、富士保全法のごとき立法をすると共に、地元の民生安定のため、諸施策を講ずる。3、以上によって速かに暫定使用契約をせられたい。なお、暫定使用契約についてはなるべく早くお願いしたい。」ということを山梨県知事に申し入れたことは御存じでございますか。
  8. 江間時彦

    江間政府委員 先生のおっしゃったとおりに了解いたしております。
  9. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 実は、富士保全法というものが名前を明らかにしてきたのは、ここからなんであります。そして、ただいま申し上げました八月の一日の官房長官の申し入れに対する知事回答の要旨、これは少し日がおくれたわけですが、たしか八月の三日でありますが、これによれば、一は、国有地開放をもう一ぺん考えてほしい。八%の開放では不十分であるという意味と、二番目に、富士保全法内容について、できるだけ明確に示されたいということ。三番目に、地元民生安定対策内容を明確にされたいということを実は質問をしているわけであります。  この質問関連をいたしまして、山梨県が、この法律案内容としてほしい山梨県の案を、「富士保全法案要綱要望案)」という形で出されたわけでありますが、この富士保全法要綱を出していく段階で、環境庁山梨県と、どんなかかわり合いを持っていらしたか、その点について承りたいと思います。
  10. 江間時彦

    江間政府委員 確かに山梨県と政府との話し合いが、そのように行なわれたことは承知いたしておりますが、その段階では環境庁はまだ関与しておらなかったと理解しております。
  11. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 それでは伺いますが、この法律をつくっていく環境庁作業の中で、どういう経過をたどって、この政府山梨県知事との覚書といいましょうか、話し合いといわれるものが環境庁のところにかかわってきたかの経過をちょっとお教えいただきたい。
  12. 江間時彦

    江間政府委員 環境庁官房長官から連絡を受けましたのは、たしか八月の二十五日でございます。それ以降、われわれは山梨県のほうの考え方を聞く作業を始めまして、逐次成案を得ていったというような経過でございます。
  13. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 いま環境庁は二十五日と言われましたが、山梨県知事が、北富士演習場移管について政府の言うことを聞いて、それを受け入れて、そして演習場として県有地を使うことを了承したのは、実は八月の二十三日なんであります。その八月の二十三日の談話の中に、前文がいろいろあるわけですけれども、富士を守るという見地から、富士保全法の制定と所要経費を計上するから、早急に暫定協定を結んでほしいと要請されました。したがって、私としては、それを受け入れざるを得なかったというふうに言っているわけであります。  つまり、この法律がつくられてくる過程というものは、率直に申し上げて、この法律と、北富士演習場移管の問題とは無関係であるということは、事実の関係において言えなくなっている。つまり、基地を使うという目的のために山梨県側の意向を受けたのかもしれませんけれども、それはそれとして、政府富士保全法という法律をつくっていくという態度を明らかにした経過が、この一連の経過の中にきわめて明確に示されていると思うのであります。  とりわけ北富士演習場暫定使用に関する覚書の中でも、これに関連をして富士地域環境保全整備特別措置法に関する覚書も実は出された。そして、山梨県知事内閣官房長官二階堂進氏がここに調印をするという形になるわけであります。そういう意味では、いままで政府答弁をしてこられたように、あるいは山梨県知事が明らかにされてきたように、この法律北富士演習場問題は無関係だという論理は、必ずしも正確ではないというふうに申し上げてよろしゅうございますか。
  14. 江間時彦

    江間政府委員 富士地域につきましては、この地域の自然が非常に憂慮すべき状態にあるということは、早くからわれわれ意識として持っておりまして、これについて何らかの策を講じなければならないという検討は、ずっとやってきておったわけでございます。先生がおっしゃいますように、全く無関係という言い回しはきわめて困難かと思いますが、われわれのほうにとっていいますと、少なくとも、かねてから富士地域自然保護について何らかの検討をしなければならないということが、いまおっしゃいましたことの契機となって現在の姿になったというふうに、私のほうは理解いたしております。
  15. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 いま御答弁をいただいたように、日を追って詰めてみますと、当時、この法律北富士演習場暫定使用するということのいわば条件として準備され、つくられてきたという経過が、きわめて明らかなんでありますので、この点は今後この法律を審議していく過程の中で、どうしても明らかにしておかなければならぬ問題点だったんだろうと私は思うのであります。  なぜならば、この北富士演習場という問題を抜かしておいて、そのほかの地域保全ということに、この法律は一つの使命を持とうとしているわけであります。しかも大切なことは、アメリカが、そして自衛隊が使っていくための、いわばあめとして、特に山梨県に対して政府が約束した法律であるということを私は強調しておきたいと思うのであります。  この法律をつくっていく過程の中で、山梨県側の意見あるいは要望といわれるものがどんな形で裏づけられてきたのか。この辺について若干詳細に、これはおそらく江間さんがその窓口になってこられたと思いますから——違いますか。それはともかくとして、経過をぜひお教えいただきたい。
  16. 江間時彦

    江間政府委員 私、着任いたしましたのは昨年の八月からでございまして、その当時のことは必ずしもつまびらかにしないわけでございますが、私が知る限りにおきましては、確かに山梨県側から非常に数多くのいろんな要望が出されました。しかしながら、成案を得る段階では、むしろ環境庁のほうが主体的に中身をつくっていって作業を進めたというふうに私は理解いたしております。(「自然保護だから、あたりまえだ」と呼ぶ者あり)
  17. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 自然保護だからあたりまえだとおっしゃるのですけれども、いまの事実の経過を見れば、日米共同使用演習場として、半永久的に北富士演習場を確保する、そして自衛隊への使用転換という、いわばタブーへの道を知事が選ぶための取引の条件として、この法律があるということだけは、環境庁も、言い回しのしかたはともかくとして、認めていらっしゃると思うのであります。私は、この法律がそれだから云々ということではないわけですけれども、この前提条件というものを、この法律を審議する場合に明らかにしなければならない。その事実を経過に基づいて明らかにしたわけであります。この辺は、後ほどまた金丸委員が追及をいただくと思いますから、この辺でやめておきたいと思います。  この富士保全法の審議の過程において、御承知のとおりに最高裁判所が、富士山の八合目以上の土地四百万平方メートルのうち、三万八千余平方メートルの土地を除いて、それは浅間神社のものであるという立場を明らかにし、二審の名古屋高裁判決を支持して国側の上告を棄却したという二十六年ぶりの判決が行なわれたわけでありますが、これについて環境庁はどんなお考えを持っていらっしゃるか。
  18. 江間時彦

    江間政府委員 わが国の自然公園、なかんずく国立公園国定公園、こういうふうなものは、基本的な考え方として、いわゆる地域性公園という形をとっておりまして、所有者がだれであろうと同様の規制に服してもらうというたてまえをとっておりますので、所有者がだれになったということは、われわれ自然保護上直ちにどうこうということはないというふうに考えております。
  19. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 直ちに考えてはいないにしても、国として、これは環境庁じゃないのですけれども、その所有をめぐって争ったことのいわば論告の中には、環境保全していく、国民の富士山をいわば保全をしていくという立場があったことだけは事実であります。そういう観点から見て、それが国有地であるか、あるいは民有地であるかということで、私はにわかにどっちがいいかということを言うつもりはございませんけれども、なぜならば、国有地であるところを、けっこういろいろな形で荒らしているわけですから、どっちがいいかということはわかりませんけれども、しかし、一般通念からいけば、争った意味の中に、その国側の願いが込められていたような感じがするわけであります。  そうした意味考えたときに、富士山の頂上が特定の宗教活動の必要なものということにきめられて、いわば法律的な結論を得て、そしてこれからそういう条件が続いていくわけでありますけれれども、この地域保全をするというふうなことを含めて、もっと正確に言えば、自然公園としての管理のしかたをこれからどう考えていくかという観点から、たとえば特別立法みたいなことの考え方はないのかあるのか。聞くところによれば、環境庁なりあるいは国の側で、そんな意見があったやに承っておりますが、その点はどのようにお考えですか。
  20. 江間時彦

    江間政府委員 確かに過去におきましては、あの所有権に決着をつけるための特別立法をしたらという話もあったというふうに聞いておりますが、しかしながら、環境庁といたしまして、そのような考え方を持ったことはございません。  そこで、先生の御質問の、あの地域をさらに一そうりつば保全するために何か考える手はないかということでございますが、われわれ現在の期待といたしましては、あれがりっぱな信仰の対象であるということからして、あれの新しい所有主が特別な乱開発をなさるということは考えておりませんし、想像もできないわけでございます。したがいまして、現行のわれわれが運用しております法令の範囲内で適正な管理ができるとは思いますが、しかしながら、確かに特殊な地域でありますので、これをどうするかにつきまして一そうよく検討してまいりたいと思っております。
  21. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 環境白書といいましょうか、「公害状況に関する年次報告」によれば、これは三一〇ページに書いてあるわけですが、国立公園特別保護地区、第一種特別地域民有地のうち、特に保護することが必要なものは買い上げ方針である、そして都道府県の発行する交付公債に対する金利負担など含めて六十億のワクの中で処置をするということを経過的にも書いてあるわけでありますが、これらの考え方をこの富士山のてっぺんのところの広範な土地に対して考える余地はないのかどうか、この辺を承っておきたい。
  22. 江間時彦

    江間政府委員 確かに自然保護上必要な地域につきまして、われわれ予算を計上いたしまして、土地買い上げを実行いたしております。先生が御指摘になりましたようなことにつきまして、現在の段階では、まだわれわれ考慮いたしておりませんけれども、先生の御意見もあわせまして、よく検討してまいりたいと思います。
  23. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 浅間神社のいわば良識といいましょうか、それを信ずる、それでけっこうだと思うのですけれども、それにもかかわらず、いろいろな状況がこういうふうに変わっているときでありますから、これを保全していくという立場環境庁がそれなりの対応を、むろんそれは買い上げというような問題をも含めて検討なさることを、私としては期待をしておきたいと思うのであります。  そうして同時に、続いて入っていくわけですが、これはアメリカのケネディあるいはジョンソン政権内務長官のスチュアート・ユードル氏がこういうふうに言っておるのですね。これは新聞で拝見をしたのですが、「国立公園自然公園であって自動車でひやかしに来る人のためのものではない。野生の生活を賞味し、肉体的努力を惜しまずに自然の秘密にわけ入ろうとする人々のためにこそある」という、たいへんどうも名言だと思うのであります。そしていま、アメリカ国立公園は自然に帰るという立場原則にしながら、たとえばキャンプ場や、ホテルや、売店や、ガソリンスタンドや、あるいは従業員の宿舎や、博物館や、  モーターボートや、あるいは自動車をも徐々に取り払っていく、それから上空の飛行さえ禁止すべきではないかというような専門家のコンセンサスがアメリカの中に広がっているということを、ついせんだっての毎日新聞でありますが報道をしております。  私は、この考え方、つまりこの基本にあるものは、過剰利用を防止していく、そして必要に応じて入園制限もしながら自然を残していくということが、いまの状況のもとで非常に必要だということを示したことばだと思うのでありますが、そういう立場から考えて、国立公園内の観光道路について、やはり指摘をせざるを得ないのであります。  それは言うまでもなく、スバルラインの問題であります。当委員会が、このスバルラインを通って五合目までバスで行きました。その道路の途中大きな木が立ち枯れになっております。芝生も幾ら植えても、それはつかない、そういう条件があるわけであります。そういう意味で、これは表富士有料道路を含めて、いうところの観光道路自然破壊の原因となっている事実を否定することはできないと思うのでありますが、そういう立場から、もうぼつぼつ自動車乗り入れ規制する。これはマイカー族がどんどん上がっていっているわけです、そしてあの豊かな自然を破壊をしているということは否定することはできないと思うのであります。そういう措置環境庁として、公害白書の中にも、これは富士ではございませんけれども、上高地など含めてとった措置があげられているわけであります。それが十分であるとはいいませんけれども、それらの措置をお考えになっているかどうか承っておきたいと思います。
  24. 江間時彦

    江間政府委員 私も、先生が御指摘になりましたように、山にはできるだけ、車ではなしに人間の足で登るということを理想としたいという考えの持ち主でございまして、先生もおっしゃいましたように、つい先日、六カ所ばかりマイカー乗り入れ規制をするということもきめたわけでございまして、さらに今後この措置の様子を見まして、その対象を広げていくということも、われわれの検討対象にいたしております。  先生が、ただいま御指摘になりましたスバルラインでございますが、あの道路は確かに山岳道路の中でもいわゆる失敗の例に属するきわめて痛ましい道路だというふうに私も認識いたしております。あの道路を今後どうしていくかということにつきましても、われわれいろいろ考えておるわけでございまして、今後十分検討さしていただきた  いと思っております。
  25. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 検討している間にもっと被害が拡大してしまうわけであります。と申しますのは、皆さんのほうで発行している、私はたいへんりっぱな雑誌だと思って、いつも拝見をさしていただいているのですが、「青と緑」、これは四十七年ですから、一昨年の十一月号でありますが、この中にも明らかに一これは編集部見解でありますから、にわかにそれを環境庁のそれというふうに申し上げるつもりはありませんけれども、「道路建設自体によって自然の地形植生などに変化が起り、破壊される。とくに、高山・亜高山地帯地形が急峻な地域等のいわゆる「弱い自然」の場合、沿線の立木が相当広範囲にわたって枯死するなど破壊の程度が著しいばかりでなく、年とともに破壊が進行し、その復元は困難である。」それに該当するものとしてスバルラインの例があがって、こういう写真が——たいへん痛ましい、まさに環境破壊の元凶としての自動車公害なんでありますけれども、載っているわけであります。  こういう状態というものについて、もう一ぺん環境庁検討を続けていくというには、もう時間がおそ過ぎるわけでありますが、一体どんなプログラムを持っていらっしゃるのか、その点について承っておきたいと思います。
  26. 江間時彦

    江間政府委員 スバルラインの現状につきましては、先生のいま御指摘になったとおりでございまして、われわれといたしましては、できるだけ植生復元につとめるということを県と一緒にやっております。それから、あの上の交通量でございますけれども、確かにある時期におきましては非常に大きな交通量がある。われわれも、そういう必要性というものはよく検討いたしております。したがいまして、いましばらく時間をかしていただきたいと思うわけでございます。
  27. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 いましばらくというのは一体——その過剰利用を防止するということを原則にして、たとえば乗り入れ規制するという方向環境庁は御議論をなさっていらっしゃるのかどうか、その点を聞いておきたいと思うのであります。
  28. 江間時彦

    江間政府委員 私といたしましては、その方向検討いたしたいと考えております。
  29. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 それに関連をいたしまして、これは去年でありますが、山梨県知事スバルラインを延長して富士山の五合目を一周する観光道路をつくりたい——これはスバルライン表富士有料道路とをドッキングするための道路、通称はち巻き道路といわれているのでありますけれども、これはもうスバルラインだけでたいへんなんです。そういう状況のもとで、もしこういう計画山梨県のほうから——静岡から出ることはないと思うのですけれども、そういう計画が出てきたときに、環境庁としては、これをどう考えていくのか。これは本法案関係なしに見解を承っておきたい。  それに関連して、二合目付近サイクリングロードをつくるというようなことまで打ち上げているわけであります。事もなげに、道路道路を結ぶんだ、富士山の五合目がこんでいるから、おりられるようにバイパスをつくるんだということを実は語っているわけでありますが、こういう態度がやはり問題だろうと思うのであります。  こういう態度を自分でとっておきながら、片方で保全法をつくってほしいなどと言うのは、まさにおこがましい発言だろうと思うのでありますが、そこまで言っていいかどうかは別として、そういう態度についてどうお考えになるか、道路のことをどうお考えになるか、サイクリングロードをどうお考えになるか、それからそういう考え方環境庁としては、どのように受け取っておられるか、承っておきたい。
  30. 江間時彦

    江間政府委員 最近の方針といたしましては、自然公園の中に道路というものはできるだけつくりたくない、まして、ただ観光だけを目的としたような道路につきましては、原則として、われわれは考えたくないというのが現在の方向でございます。  先生が、いまおっしゃいました二つの道路につきましては、いずれもまだ正式な形でわれわれのほうに相談が参っておりませんので、何とも申しかねますが、もし相談が参りましたならば、当妹われわれは否定的な見解でお答えするということになると思います。
  31. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 これは江間さんにお伺いするのもたいへん酷なんですが、双子山リフトの問題、それから青木ケ原の別荘開発の問題、これは現地をごらんになっていると思うので、地元がどんな気持ちで——地元といっても、御殿場市の計画に対して、地元自然保護を求める団体、あるいはサークルが反対をしているわけであります。これは言うまでもなく自然の破壊行為である、だから、計画を中止してほしいということを具体的な例示を伴って申し入れているわけであります。  これはもう私からこまかく言う必要はないのかもしれませんけれども、たとえば植物的にどうであるとか、地質の上でどうであるとか、あるいは動物的にどうであるとか、鳥類を保存していく上でどうであるとかという、例の御殿場双子山学術調査、静岡大学の理学部教授上野先生委員長とする調査報告がありました。第一次報告と第二次報告に分かれているわけですが、第二次報告はことし出されたのでありますけれども、自然保護というのは、問題になっている地域学術的価値からのみ考えられるのではなくて、いろいろな立場からの検討が必要だ、それは富士山という特別な意味を持つ自然景観の一部としての価値というものが高く評価されなければいけないという意味報告書ごらんになっておられますね。  これは環境庁としてどういうかかわりを持つかという限度はあると思いますけれども、いまそういう地元での要求があるわけでありますので、この双子山開発について、二次開発を含めてですが、環境庁はどんなお考えを持っていらっしゃるか。これは率直に言ってほしいと思うのです。そうでないと、あそこでリフトが実はこの六月からまた仕事が始まるおそれがありますので、承っておきたいと思います。
  32. 江間時彦

    江間政府委員 双子山リフトの件につきましては、昨年来その話があったということも記憶いたしております。私、昨年その話が出ましてよく調べてみましたところ、非常に残念ながら自然公園地域をそれるような場所でやっていらっしゃる。私、できるだけそういうものは差し控えていただきたいということを申し上げたのですが、昨年着工になったことも事実のようであります。しかしながら私は、途中の段階でそれをおやめになった、あれはもう済んだ話だと思っておったのでございますが、またことしもそれをなさるということを聞きました。  それから、先生がおっしゃいましたいわゆる学術調査報告も、私自身読ませていただきました。たいへんりっぱな報告だと思いました。そこで私は、御殿場市長に対しまして、直接、できるだけやめていただきたい、あのようなりっぱな市長に対する学術報告がありながら、それを押しておやりになるというのは、たいへんな失政になると思いますよということを、強いことばで申し上げたばかりのところでございます。大体二週間ぐらい前のことかと思いますが、それにつきましては大体そんなふうなのが現状でございます。  その問題と離れまして、あの地域はやはり自然の上で非常に貴重な国民の資源でございまして、自然公園地域であろうとなかろうと、ともかく守っていかなければならない地域だと思っております。その意味で、われわれも法令上の根拠があろうとなかろうと、ともかくできるだけ強い説得をしてまいりたいと思っておるところでございます。
  33. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 つい二週間前ということで、江間さんがおっしゃったことには敬意を表したいのですけれども、これは個人的におっしゃらないで、できればマスコミなどを含めて、ある意味で市民の世論にしていくことがやはり大事だと思うのです。というのは、片方にとにかくお客さんを呼ぼうという要求があるわけですね。と同時に、片方で自然を守ろうという要求が実はあるわけです。そういうときに、市長の姿勢を変えていくためにも、反省を求めていくためにも、やはり公式なといいましょうか、あるいは政府の正式な見解をここで明らかにしてもらいたい、こう私は思っておりますので、これはぜひもう一ぺんでもけっこうでありますから、しかるべきチャンスをとらえて、このことの態度を明らかにしていただきたいと思います。  この辺は政務次官にもぜひ、局長はいいと言っていますから、そういう点で御理解を願っておきたいと思うのであります。
  34. 藤本孝雄

    ○藤本政府委員 よく検討いたしまして善処いたしたいと思っております。
  35. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 かえっておかしくなっちゃうのです。検討いたしまして善処じゃないんですよ。いま局長からそうする、してきたという実績を私は承って、それをむしろオープンになさってくださいと言っているわけですから、検討して善処じゃ、二つぐらいうしろへ下がっちゃうんで、局長の言うとおりにひとつ処置をしていただきたいと思います。
  36. 藤本孝雄

    ○藤本政府委員 ことば足らずでございますので、再度申し上げます。  局長の方針を進める線で努力をいたします。
  37. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 道路のことばかり聞いて悪いのですけれども、つまりこの法律をつくろうという片っ端から政府が、つまり同じ主体が、実は道路をあちこちつくろうとしているわけですね。そこでもう一つくどく聞きたいと思うのですけれども、東富士道路、一般国道百三十八号線、これはもう日本道路公団から建設省に申請が出ておりますか。
  38. 江間時彦

    江間政府委員 現在まだ申請が出されておりません。おそらく路線の選定段階にあるというふうに、われわれはうわさとして聞いております。具体的な路線につきまして、もし相談がありましたならば、すでにお答えいたしておりますが、自然保護立場から十分チェックをして慎重に検討してまいりたいと思うわけでございます。
  39. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 環境庁はまだ承っていないというふうな答えでありますが、道路公団の計画概要というのは私、持っているのです。設計図までちゃんと入っているのです。これは一般国道百三十八号線で供用開始予定年度が昭和五十四年であります。概算事業費三百三十億円。これはこの計画によると特別名勝指定地域の近くを通るんですね、あるいは江間さん御存じないかもしれませんけれども。あるいは諏訪ノ森の国有林と隣接して計画の筋が引かれているわけです。それから北富士演習場と東富士演習場の一部を中を通っていくという仕組みなんであります。  このバイパスが必要だという意見があちこちから出されていることは、私も承知しています。しかし少なくとも、この道路が着工していく段階の中では、いまのような、つまり自然保護の問題、それから忍草入会組合の入り会い慣習の補償、あるいはこれは自衛隊の基地の中を通るわけでありますが、そういう問題について、防衛庁はどんなお考えになっているかということを、政務次官手持ちぶさたにしておられますから、せっかくおこしをいただいているわけでありますので、意見をお伺いしたいと思います。
  40. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 ただいま先生からお話のありました東名高速道路と中央高速道路を結ぶ道路の路線の問題でございますが、これにつきましては、現在地元関係者といろいろ道路公団のほうで調整中でございます。私どものほうにも内々のお話はございまして、特にこの北富士関係について路線をどうするかということについて御相談ございますが、まだ最終的な結論を得るに至っておりません。それから東富士関係については、まだ正式にわがほうに御相談はございませんで、まだ地元との調整段階であるというふうに理解しております。  ただ、この路線が必要であるということについては、われわれも十分これを認めておるわけですが、(島本委員「基地の中を通る」と呼ぶ)何といいましても、演習場使用と両立する方向でこれは調整せざるを得ない、このように考えておりますので、今後ともその調整に努力をいたしたい、このように考えております。
  41. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 いま島本先生がおっしゃったのですけれども、演習場の中を通すことには反対だという立場をおとりになってはいらっしゃらないのですね。
  42. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 ただいま申し上げましたように、演習の機能と両立する範囲内で調整をいたしたいということで、演習場の端っこをちょっと通ることまで絶対反対であるとか、そういう極端な考え方は持っておりません。
  43. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 環境庁のほう……。
  44. 江間時彦

    江間政府委員 あの道路につきましては、私のほうはまだ正式な相談を受けておりませんけれども、しかしともかく、あの地域が自然を守る上で非常に重要な地域であるということから考えまして、きわめて慎重な方向で、できるだけあの道路ができないほうがよろしいという方向考えております。
  45. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 環境庁、だんだん前向きな姿勢にのめってきたのですけれども、ほんとうにこれはそうしてほしいと思うのであります。というのは、この法律かなければ、そういう規制ができないというようなことを次々にいろいろ言っているきらいがありますので、この富士保全法がなくたって、こういうふうに規制ができるのだということをひとつ天下に明らかにしてもらう。(「できないのだ」と呼ぶ者あり)できると、いま言っているじゃないですか。その点を明らかにしておいていただきたいと思います。  それから、防衛庁のほうも演習場の機能というものをどういうふうにお考えになっていらっしゃるか。防衛庁の側で言えば、演習場の機能というものを最優先させるという立場にお立ちになるのかもしれませんけれども、その意味は、この道路が持っている性格と、それから自然保護という二つの条件があるわけでありますから、十分その点のかね合いを考えて、それらについて対応していただきたい、このことを申し上げて、またあとから御質問をいたしたいと思います。  それから江間さんにお尋ねをいたしますが、国立公園のその区域の拡張というのを富士山地域については全然考えていないのですか。つまりこの法律に全部まかせようとしていらっしゃるのか、その点を一ぺん聞いておきたいと思います。
  46. 江間時彦

    江間政府委員 現在確かに、われわれ日本を全体的に国立公園の見直し作業というのをいたしております。いま先生がおっしゃいました地域につきましては、実を言うと優先順序といたしましては、すでに国立公園に指定されている地域の中の地種区分をもう少し明瞭にしませんと、規制上思わしくないと思われる点がございますので、むしろ先に地種区分を明確化していくという方向で現在作業を進めておりまして、それが済んだところで、先生のおっしゃいましたような地域の拡張問題も検討してまいりたい、そういうふうな考えでおります。
  47. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 はっきり申し上げますと、富士山頂を中心とする半径二十キロ圏を国立公園に指定したら、この法律自然保護という観点は実は要らなくなってしまうのですよ。そっちのほうがしっかりしているのですよ。環境庁、そういうふうに比較してお考えになったことがあるかどうか。その点を私、いろいろ法律を照らし合わせてみたら、こっちのほうがしっかりしているのですよ、自然保護という観点から言うと。つまり江間さんのお仕事の面から言うと。その点をぜひ比較してお答えをいただきたい。
  48. 江間時彦

    江間政府委員 確かに富士山頂から半径二十キロの地域というのは、非常に重要な地域が多うございまして、そのような考え方もあり得るかと思います。ただ御承知のように、あの地域にはかなり人の大ぜい住んでおる場所もございますし、全部をそのような形で現行法に照らしてというわけにもまいらぬかと思います。現在の段階では、われわれは富士保全法の成立に期待いたしておるというところでございまして、現在の作業の手順その他は大体そういうふうなところでございます。
  49. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 私、あとでこの法律内容を条文的に指摘をしていきたいと思っているのですけれども、ほんとうはこの形が環境行政の上では大事なんですよ。このほうが適切なんです。なぜかといえば、この富士保全法というのは保護じゃなくて利用だけが前に出てきているのです、率直に申し上げて。これはあとで申し上げます。そういう点からいくと、ほんとうに自然を保護していくという立場に立つならば、私は国立公園に、この二十キロ圏を指定していくというやり方のほうが、法律的にも一貫性があるし、行政の対応から見ても単純明快である、このように思うので、これは意見でありますから申し上げておきたいと思うのです。  次に、北富士や東富士演習場というのは、何で国立公園地域に入らないのですか。
  50. 江間時彦

    江間政府委員 主として歴史的な理由によるものだと思われます。すなわち、あの公園が指定されました時点におきまして、演習場であったために除外されたというふうに、われわれは理解いたしております。
  51. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 つまり、国立公園に指定するというのは、必要があるからするのですよ。それで、すぐ演習場の近くまでが指定になっているわけでしょう。そこがすっぽり抜けて、演習場でございますというなら、これこそ環境行政の一貫性がそこなわれているというふうに、いわなければならぬわけですよ。  だから私は、演習場国立公園に指定していくぐらいの立場でなければ、ほんとうに生態系を確保していく、守っていく、あるいは自然を確保していく、そういう環境保全させていくという立場から見るならば、こま切れもいいところだ。こういうことが随所に出てくるから、この法律が何かどこかへ向いているというふうにとられても、しかたがないのであります。  その点については、ぜひ——これはこれ以上答えをいただいてもしかたがありませんので……。防衛庁政務次官は、その点については、どのようにお考えですか。
  52. 木野晴夫

    ○木野政府委員 ただいま先生の言われましたとおり、防衛庁では北富士演習場、東富士演習場があるわけでございます。それにつきましては、山梨県と関係市町村その他の間で使用協定を結びまして、そして、ただいまおっしゃったような点は十分に配意してやる、こういうふうに考えておる次第でございます。  なお、富士保全法につきましては、関係官庁といたしまして環境庁と十分に御連絡をとりまして、先生のおっしゃったような点は配意していくっもりでおります。
  53. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 山梨県と関係市町村と何を協定していくのですか。
  54. 木野晴夫

    ○木野政府委員 北富士演習場使用につきまして、四十八年の四月三日に、北富士演習場使用協定というのがございまして、それによりまして行なっているわけであります。それにつきましては、先ほど申しました防衛庁といたしましては演習場に必要でございますので、そういった要請がございます。また市町村といたしましては、いろいろ環境保全その他につきましても要請もございます。そこで両方で信義に基づいて誠実に行なうということで、その使用協定に基づいて運営しているわけでございます。
  55. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 それは山梨県と国との使用協定なんですよ。関係市町村じゃないのです。その点はお間違いのないようにお願いをいたしたいと思います。  それから、これは政務次官せっかくお立ちになったから、お願いをしたいのですが、演習場というのは、自然環境破壊しませんか。
  56. 木野晴夫

    ○木野政府委員 国と山梨県だけではなしに、関係市町村も入っておるわけでございます。それは四月三日の使用協定書がございますから、それに出ております「甲」といいますのは、山梨県知事富士吉田市長、山中湖村長、忍野村村長その他保護組合の堀内組合長、それから北富士演習場対策協議会会長、それと防衛庁長官となっておりまして、立ち会い人は関係の市町村の議長さんその他の方がなっておられます。そのことを申し上げておきます。  なお、演習につきまして、演習したら、すぐそれじゃ環境破壊するのかという点でございますが、実はそういったことのないように、できるだけ配意していきたいと思っておるわけでございます。
  57. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 それはあなたの立場からいえば必要悪か何か知りませんけれども、環境破壊することは事実ですね。そのことはお認めになりますね。
  58. 木野晴夫

    ○木野政府委員 車が通ったから、それで環境破壊をするかどうかという、そういったいろいろ問題はございますが、それにつきまして、いろいろ御意見もあるかと思います。私たちのほうは、環境破壊をしないようにやっていきたい、この調整をとっていきたい、こう思っているわけでございます。
  59. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 車が通って環境破壊されるなどというものではないことは、あなた一番御存じだと思うのです。現実に東富士には原子砲であるところの百五十五ミリあるいは二百三ミリのりゅう弾砲が持ち込まれて、砲弾訓練が行なわれているわけですよ。この事情は北富士も同じです。実弾射撃をして、しかもベトナム、ラオス協定以後もアメリカは、特にこれは東富士の場合でありますけれども、その頻度は決して減っていないわけであります。こういう形で東富士演習場を確保し、さらに北富士演習場を含めて確保していくというやり方について、私たちは、むろん平和の問題という観点もありますが、環境保全という立場から見て、問題なんだということを言っているわけであります。  だから、それは、あなた、そういうことのないように努力をしますというなら、演習をやめたらいいのですよ。だから、そういうことではなくて、まあ破壊することもあり得るということは、あなた方としては認めながら、しかしと言って、そのしかしの以下を強調したいと思うのでありますが、私は、少なくても、この演習場というものが、富士地域環境保全整備特別法という法律をつくる過程の中ですっぽり抜けて、それが現実に環境破壊しているということを否定することはできないと思うのです。その点について、私は誠実な答弁を求めたいと思う。
  60. 木野晴夫

    ○木野政府委員 ただいま先生指摘されました、北富士で演習するということは、環境破壊につながるのではないか、防衛庁のほうで防衛の必要上演習をやるということはそれとして、その演習をやること自体が、しかもそこで実弾射撃をやるというようなことはどうかという御視点でございますが、私のほうでは、そのものずばりそれでは環境破壊とは考えてはおらないのでありますが、ただいまのような御指摘の点は十分に頭に入れて考えていきたいと思っております。(登坂委員環境破壊することが目的ではないということなんですよ」と呼ぶ)
  61. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 その辺は、しっかりしておいてほしいのです。政治的じゃなくて、やはり常識的に答えてもらいたいと思うのです。いま登坂先生がおっしゃったとおりですよ。その点は環境破壊することはあり得るわけです。いや、私は、むしろ明確な環境破壊が行なわれていると言っています。その間に、立場上、若干の距離があるのかもしれません。しかし、それにしても、環境破壊をしないように努力をします、だから環境破壊はありませんと言わぬばかりの答弁では、私は満足しません。その点は明確にしてください。     〔発言する者あり〕
  62. 角屋堅次郎

    ○角屋委員長 質問者と答弁者以外の方は、なるべく発言を慎んでいただきます。
  63. 木野晴夫

    ○木野政府委員 ただいまお話し申し上げましたとおり、実弾射撃をすること、そのこと自体が大いなる環境破壊じゃないかという御意見でございますが、私は、実弾射撃をいたしておりますが、そのこと、すなわち環境破壊というふうに解釈いたしておりません。
  64. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 大砲を撃って樹木を棄損したり、原野を穴掘ったりすることは、環境破壊じゃないですか。
  65. 木野晴夫

    ○木野政府委員 自衛隊が演習いたします場合に、森林のどまん中にぶち込むというようなことはいたしておりませんし、そういったことがないようにいたしております。大きな原野の中で、たまが炸裂いたしますと、なるほど穴ができますが、そのことで、すなわち環境破壊だ、こうは私は理解しておらないわけであります。そうして、富士山の自然を保護するという点につきましては、私たちも全く同意見でございまして、関係の市町村とも十分にそういった点は使用協定において盛り込みまして、誠意をもって当たっておるわけでございます。
  66. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 あまり問答していてもしようがないと思うのですけれども、しかし、そういう論弁を言ってはいかぬと思うのです。現実に、砲撃をしたり、あるいはタンクであれしたりすれば、自然が破壊されることは当然なんですよ。そのことはすなおに認めた上で、しかしということばを、あなたからお出しになるなら、それはまた話は別ですよ、立場の問題というのはそこからあるわけですから。しかし、そういう詭弁を弄してはいかぬと思うのです。  環境庁に伺いますけれども、アメリカには国立公園の中に演習場がありますか。
  67. 江間時彦

    江間政府委員 アメリカ国立公園は、わが国と違いまして、いわゆる営造物公園といいますか、全部公園の目的国有地の中にできた国立公園でございますから、そこら辺から考えまして、そういうものはあり得ないというふうに私は考えております。
  68. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 アメリカにはそういう演習場なんていうのはないというのは、何もアメリカが特異じゃなくて常識だと思うのであります。そういうことを考えたときに、日本のあの広大な東富士あるいは北富士が、演習場に依然として接収されているという状況が、いかに不自然であるかということは、もはや明確だと思うのであります。ここで議論すべきことではないのかもしれませんけれども、やはり北富士、東富士というのが、アメリカ自衛隊の基地の共同使用あるいは共同作戦体制のモデルとして、アジアにおけるいわば作戦の拠点になっている、演習の拠点になっている。そのことは事実なのであります。私は、やはりこの点について、防衛庁が、この法律がこういう形で審議されている経過について耳を傾けるべきではないか、こんなふうに思っております。  それから、ついでですから承っておきますけれども、東富士の中に二4(b)と二4(a)の別々の措置がありますね。これは、たとえば二4(a)を二4(b)に移すとかという考慮というのは、いまのところは考えていませんか。これは東富士です。
  69. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 東富士演習場は、全体としては、現在自衛隊管理、管轄する演習場になっております。ただ、その一部に米軍の廠舎地区がございまして、これは地位協定でいいます二1(a)の米軍の専用の施設という形で残っておりますが、ここには建物等がございまして、使用転換の際も、専用地区として除外をされたわけでございます。これについて、地元から、他の部分と同様に二4(b)に切りかえてもらいたいという要望がございますけれども、使用の実態からして、これは二4(b)には切りかえることが、なかなかできないというようなことで地元に御説明をしておる、こういう状況でございます。
  70. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 私は、二4(b)に直せと言っていることよりも、むしろ地元の人たちが、あるいは国民が、この地域の全面返還ということを強く求めている。そして、俗に言えば、この周辺整備法などのワクを広げて、実際には周辺整備法のワク組みの中に入らない補助対象までさがし出して、そして援助しているというような経過があるわけであります。お金を出しているという経過があるわけであります。それをさらに、今度はいま内閣委員会で議論をしていますけれども、防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律という形で一そう基地を固定化させていこうという政策が露骨になっているわけであります。このやり方と、そして環境保全のために必要なんだ——これはまさに羊頭狗肉ですけれども、それはそれとして、この法律を二つに出してくる神経というところに、私はわからぬところがあるわけです。それは議論の問題になりますから、意見として申し上げておきたいと思うのであります。  続いて環境庁のほうに伺いたいと思いますが、富士箱根公園に資格を持ったレンジャーといいますか、国立公園管理員というのは何人いますか。
  71. 江間時彦

    江間政府委員 現在八名おるというふうに理解いたします。
  72. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 どことどことどこに常駐していらっしゃるか、あとで承りたいと思うのです。
  73. 江間時彦

    江間政府委員 後ほど調査してお答えいたします。
  74. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 この広い富士箱根公園全域に、八人しか資格を持った国立公園管理員というのがいないのですね。これでやっていけるのですか。
  75. 江間時彦

    江間政府委員 確かにおっしゃるように、あれだけの広大な、あれだけの貴重な資源があるというところに八名というのは、必ずしも多くないというふうにわれわれも考えております。
  76. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 考えておりますというのじゃだめなんですよ。あんな広いところを、八人で自然を守っていこうという考え方自身も問題があるが、それじゃ片方でこの法律をつくったら、すべてよくなるというような考え方、そういう考え方も私はわからぬのであります。現実にたとえば、、これをどういう形で補強し、どういう形で対応していこうとしていらっしゃるか。それから、このレンジャーのおもなるお仕事は一体どういうものであるか、この点について承りたい。
  77. 江間時彦

    江間政府委員 まず人員をお答えいたしますと、事務所に四名、それから下田に一人、沼津に一人、船津に二人、このうち一人は委託技師でございます。  それからレンジャーの仕事でございますが、これは利用者の指導、それから具体的には開発当事者から、いろいろな相談を受ける相談事業、その他いろいろございますが、現状は必ずしも人数が多くないために、現場の見回りだけでも非常に忙殺されているというところでございます。
  78. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 これは江間さん、増員計画の見込みというか、方針を持っていらっしゃいますか。これでいけないということが明らかなんですから。
  79. 江間時彦

    江間政府委員 われわれも、この人員をふやすために毎年努力をいたしておりますが、毎年新たに増員になるのは、日本全体で大体十名足らずぐらいが最近の通例になっています。
  80. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 それは予算上ですか。あるいは希望者が少ないという意味ですか。
  81. 江間時彦

    江間政府委員 いま申し上げたのは、いわゆる予算定員の話でございまして、希望者は十分得られると思います。
  82. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 これはぜひもっと抜本的にふやしていく措置を望みたいと思うのであります。  引き続いて、原生林の乱伐の問題について少し承りたいと思うのであります。御承知のとおりに、かつて富士山は標高八百メートルないしは千六百メートルのところは、ブナやミズナラなどの落葉樹原生林が中心であり、千六百メートル以上二千五百メートルの辺はシラビソなどの針葉樹の原生林であったということは御指摘のとおりでありますが、一九七三年に環境庁が自然環境調査を行なわれました。これは営林署の資料によるものだそうでありますけれども、それによれば、一九六七年に横浜国大の宮脇先生などが調査をしたときと全く植生図の状況が変わっているということが、実は地元自然保護団体の調査で明らかになっているわけであります。言うまでもありませんが、宮脇教授が、富士山の自然については現存する天然林を保護することが出発点であるということばを、これはまあ指摘をされておられるわけでありますけれども、まさに私はそうだろうと思うのであります。  特にその意味で大沢付近の原生林、これは学術的にも最も、まあ原形として残っているだけではなくて、学術上も自然保護が望まれる地区だというふうに実はいわれているわけでありますが、そこで実はたいへんな乱伐が行なわれているのであります。これは実は、おそらく百数十年たっているウラジロモミの木のところに、「毎度お買い上げをいただきありがとうございました」というプレートがついている。静岡営林局名ですよ。これはウラジロモミほか一件で二百五本、一万八千百六十立米、こういう実は乱伐が行なわれて、それを営林署がやっている。そして売っているわけですね。  そのほかに、ここに写真がありますけれども、樹齢数百年といわれるような木が営林署によって切られて、そして毎度お買い上げありがとうございますといって、これは売られているのです。これは去年ですよ。こんなことを片一方で認めて、そして乱伐をさせながら、片一方で自然保護でございますといったって、それは世の中が信用しないと思うのですよ、ぼくは。これは環境庁で調査したことありますか。
  83. 江間時彦

    江間政府委員 大体富士の近くの森林は国有林が多うございまして、いま先生がおっしゃったようなこともその一部のことかと思います。現在われわれ、いま先生の御指摘になった地区は、おそらく三種地域になっておりまして、法律上はかなり伐採ができる地域になっております。確かに、おっしゃいましたように非常に貴重な森林でございますし、先ほど申し上げましたように、地種区分をもう少し考え直すということを林野庁当局と相談してまいりたいと思っておるところでございます。
  84. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 片一方でこんな乱伐が行なわれて、片方でもっともらしく富士環境保全しなければなりませんからといって、そしてその法律を用意しているというそのやり方というものも、これはきわめて無神経どころか、こんなことなら、何のために法律があるのだと言いたくなるのですよ。いまでもこういう措置を防ごうと思えばできるわけであります。なぜならば、御存じのとおりに、こういう自然林が切られて、あとから、たとえばカラマツを一斉に植えて、そして単純林にしていくわけですね。これじゃほんとうの意味環境保全じゃないと思うのです。そういう造成地が、実は私ここに地図を持っておりますけれども、これはあとでお見せしたいと思いますけれども、ものすごく造林のほうが面積が多くなっちゃって、自然林、原生林がほとんど占領されてきているという状況なんであります。しかも、年々それがふえてきている。こういうことはやはり環境庁として、きちんとした態度を示さないと、これはどうにもならぬと思うのであります。  政務次官、この辺で一ぺんお答えをいただきたいと思うのですが、どういう態度でこういう措置規制なさるか、その点について御見解を承りたいと思います。
  85. 藤本孝雄

    ○藤本政府委員 局長が御答弁申し上げましたように、当該地域がどういう地域であるかということが一つの大きな問題だと思いますので、林野庁とよく相談をいたしまして善処いたしたいと思っておりますが、ただ、先生指摘のように、やはりちぐはぐだという印象を与えることはよくないわけでございますから、そういう点を中心として十分に相談をして、善処してまいりたい、かように思っております。
  86. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 地域の指定はともかくとしても、国立公園というのは、言うまでもないわけですけれども、釈迦に説法でありますが、日本の代表的な自然あるいは景観地を保護するとともに、国民の休養のために利用していく、あるいはまた学術のために自然を保護していくというたてまえで、その区域がきめられているわけであります。その立場に立ったときに、いまみたいな乱伐が——これは一つの例ですよ。私は幾つかの資料を持っています。これはここで申し上げる時間もないけれども。  こういうやり方を認めておいて、何が環境保全かと言いたくなるのであります。これは環境庁として、私は重大な反省を求めなければならぬだろうと思う。とりわけ、それは林野庁に対しても、きちんとした言い方をしていかなければならぬだろうというふうに思うのであります。いま政務次官から御答弁をいただきましたけれども、この辺についても、やはり環境庁はこれからどういうプログラムでこの問題を、いまどんどんやっているんですから、ストップをさせていかれるかどうか、くどいようですが、承っておきたいと思います。
  87. 江間時彦

    江間政府委員 林野庁と協議いたしまして、地種区分を、伐採がより制限された方向で直していくということを進めたいと思うわけであります。
  88. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 それに関連をしまして、例の大沢くずれの砂防工事の道路を亜高山地域を通すという計画があるようなんです。これは建設省の計画ですが、あわせて森林開発もやろうなどという考え方もあるようですから、これは一切ないというふうに、そういうことは認めない、環境庁としては困るということを、はっきり言うかどうか、その点を承っておきたいと思います。
  89. 江間時彦

    江間政府委員 大沢くずれに関連した将来の計画につきましては、まだ建設省当局から十分話を聞いておりません。非常にいろいろむずかしい問題を含んでおりますが、いずれにせよ自然を破壊しない方向検討してまいりたいと思うわけでございます。
  90. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 亜高山地帯を通すということはやめる、やめたい、そうでないと森林が全部伐採されるわけですから。これはおわかりですね。そういう点はやりたくないというお立場を、はっきりさせていただきたいと思うのであります。
  91. 江間時彦

    江間政府委員 先ほど来申し上げておりますように、ああいう地域道路というものは、できるだけ設けない方向でものごとを検討いたしたいと思っています。
  92. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 砂防工事というものが必要だということは私も否定しません。しかし、いま建設省が、ちょっとうわさによれば、あの亜高山地帯を横断して道路をつくっていきたい、ちょうどそれは森林開発にも役に立つというふうな考え方があるようでありますが、国立公園の中でそういうことがないように、これははっきりした答弁をいただきたいと思うのであります。建設省からそういうことを環境庁に申し入れがあれば、連絡があれば、それは困るということを、はっきりおっしゃいますか。
  93. 江間時彦

    江間政府委員 先ほど来申し上げているように、消極的な方針で臨むつもりでございます。
  94. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 それじゃ消極的な方針で臨むというんじゃ、これは積極的か消極的かの判断でありまして、そういうことは困るということを環境庁がおっしゃるということではないですね。やはりそれは困るということを、はっきり言ってくださいよ。自然を破壊することが明らかなんです。
  95. 江間時彦

    江間政府委員 要するに、砂防工事の必要性ということも、場合によっては人命にかかわる問題があるかもしれませんし、自然をそのままにしておかなければならないという要請も、われわれのほうにあるわけでございまして、そこら辺のかね合いを十分検討してまいりたい。いずれにせよ、積極的に自然を破壊するというような方向にはいくことがない、そういうふうなことでございます。
  96. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 その次は、この地域のゴルフ場のことを、この前、委員で御質問を違う角度からなさった方がおられるわけですが、それはそれとして、既設のゴルフ場が幾つあり、それから新規にどのくらいの計画が出されているか、この辺について承っておきたいと思います。
  97. 江間時彦

    江間政府委員 既設のゴルフ場幾つあるか、現在ちょっと手元に資料ございませんので、後ほど調べまして御報告いたしますが、現在ゴルフ場につきましては行政措置といたしまして、国立公園の特別地域の中には新規のゴルフ場は一切認めないという方針はかたく堅持いたしております。それから既設のものにつきましても、大きな手を加えない、あるいはホールの数をふやさない、そういうふうな方針は堅持いたしております。ましてや新規のゴルフ場を特別地域の中に設けるということは、一切許可しないという方針は貫いておるつもりでございます。
  98. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 実は、この間まで静岡県は世論のことを考えたのでしょう、ゴルフ場の新規許可というものを一年間凍結してきたことは御存じですね。今度、知事選挙に関係があるのかどうか知りませんけれども、ことしの四月の上旬に、この方針を凍結を解除したわけであります。つまり新規許可を再開しているわけであります。片一方でゴルフ場の新規許可を認めたために、規制をしておりましたたとえば富士宮とか富士とか沼津などは、県のこういう凍結解除の方針に対して大きな困難を、あるいは当惑をしているというのが状況だと思うのです。  環境庁として、県に指導をするということは、なかなかできないのかもしれませんけれども、しかし、この地域のゴルフ場というのはたいへんな数にのぼります。私が調べた新規の申請を見ただけでも三十近くある。これは一つの自然保護団体の諸君がつくったそれでありますけれども、こういう状態です、ゴルフ場は。この黒いのが既存です。白いのがこれから予定をされているやつです。富士山ろくは文字どおりゴルフ場で埋まっちゃうわけです、これは。こんな状態を認めておいて、これもまたこの法律関係があるわけですけれども、片一方でじゃんじゃんゴルフ場をつくる。そして片一方では、これを取り締まるみたいなことを言ってみても、これは私どもこういうふうにまゆにつばをつけざるを得ないのであります。しかもこれは国立公園の中ですよ、御理解のとおり。こういう状態をやはり変えていかなければならぬと思うのであります。  言うまでもありませんけれども、ゴルフ場というのは、それをつくっていく過程自然破壊が行なわれます。そして自然の体系がくずれるだけではなくて、いわば土地をローラーで固めて、その上に芝をまいて、その上にまたローラーで固めていくわけであります。ある人はこのことを緑のコンクリートと言いました。そういう形でできたところへ雨がばっと降ってくれば、必ずこれは鉄砲水になります。片一方では富士の自然の中にコンクリートの道路ができている。コンクリートの道路というのは、まさに川であります。鉄砲水がまさに人が住んでいる地域を侵していくという状況が目の前に見えているわけであります。こういう状況、つまり乱開発の最たるものとして、私はゴルフ場やあるいは別荘地の問題を指摘せざるを得ません。  環境庁にお願いをしたいことは、この際、あの地域保全をしていくということをお考えになっていらっしゃるならば、気象や地質や生態や土木や社会や経済などなどの専門家に集まってもらって、ゴルフ場が、別荘地が、あの地域で一体どんな環境破壊をもたらしているかという実態調査を、白書を明らかにすることのほうが、この法律をゴリ押しにしていくことよりももっと賢明な措置ではないか、もっと賢明な世論に対するアピールになるのではないだろうか、こんなふうに思いますが、その点について御見解を承っておきたいと思います。
  99. 江間時彦

    江間政府委員 ゴルフ場につきましては、国立、国定公園の範囲内のことでございますと、県から相談が参りますし、われわれ極力消極的な方向で事を進めておるわけでございます。その地域から、はずれますところにつきましては、県の方針としまして条例その他でいろいろなことをやっていらっしゃいまして、静岡県につきましても、最近まではかなり強い規制をやっておられたというふうに承知いたしております。県のほうとよく相談いたしまして、ゴルフ場による乱開発が行なわれないように十分指導してまいりたいと思っているわけでございます。  それから、自然の状況についてでございますけれども、これにつきましてはこの春、やっと集計が完了いたしますが、かなり大規模な全国の緑の調査というものを実施いたしまして、これによりまして、われわれ少なくとも現状については、かなり詳細な形で把握ができると思います。これからの経時的な変化も逐次把握してまいれますし、そういうふうなものも活用しながら学識経験者といろいろ相談いたしまして、個別的なゴルフ場であるとか、あるいは別荘による乱開発の自然に及ぼす影響というふうなものも、学術的な見地から検討してまいりたいと思っておるわけでございます。
  100. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 これは環境庁よりも、建設省がいませんので、知っている範囲でけっこうですが、大沢くずれに対する対応というものが最近どんなふうに行なわれているか、もしわかっていましたら、わかっている範囲でけっこうでございますから、お教えいただきたい。
  101. 江間時彦

    江間政府委員 これにつきましては、まだわれわれのほうに連絡が参っておりませんので、十分なお答えができないわけでございます。あれにつきましては、いわゆる自然をどのように考えていくかというきわめてむずかしい問題を含んでおると思います。  すなわち、富士山の一部がくずれておるというのも自然現象の一つでございますし、それをそのまま放置するかどうかという問題もあろうかと思います。片っ方では、いや富士山のあの山容をそのまま保持したいという希望もあるかもしれませんし、あるいはまた、あのくずれというものが人命その他資源に及ぼす非常に大きな被害ということとつながるかもしれませんし、そこら辺の問題はきわめて総合的な角度から、少なくとも乱開発につながるというようなことでない形で解決してまいりたいと思っております。
  102. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 法律内容に入ろうと思ったわけですが、少し時間がずれてしまいましたので、それはまた理事先生相談して、そのやり方はあれいたしますが、最後に一つだけ質問をいたしたいと思うのです。  昨年の九月に、富士山の自然を守る全国大会が開かれました。江間さんが、これに御出席になったことを承っております。そしてあの討論、あれは全国自然保護連合、静岡県自然保護協会、日本自然保護協会富士山麓の会、山梨の自然を守る会、富士山の自然を守る会などの、いわば自主的な団体が集まって集会を開いたわけであります。そして、この会でいろいろな討論が行なわれました。まさに政府の援助とか地方自治体の援助とかいうことでなくて、身銭を切ってお互いが自然環境を守っていこうという努力をなさっているこれらのグループに対して、私どもは心から敬意を表したいと思うわけであります。  と同時に、これらの方々が言っていることばの重さというものを、私たちは責任を感じなければならぬと思います。その中で、御存じのとおりに、大会決議が採択をされております。同時に、それに関連していろいろな議論が提起されていることも、もう江間さん御存じのとおりであります。願わくば一番最初から行っていただいて、討論を聞いていただきたかったわけですが、それはそれとして、この自然保護を求める諸団体が、この富士保全法に対して、これはむしろ自然保護じゃなくて開発利用、こういうポイントを合理化するための法律じゃないかというように言っているわけですが、これは一つ一つあの人たちの御意見を承ってみれば、全くそういう弱点といいましょうか、問題点といいましょうか、欠点とでもいいましょうか、いやもっと積極的にこの法律を悪用するしかけが、あるいはその法律自身の中に、乱開発の危険性というものが含まれている、むしろこれよりも、この法律などということではなくて、いままでの法律であるところの自然公園法、自然環境保全法、こういうものを富士地帯に広げていくという考え方のほうがすなおだという意見があるわけであります。これは非常に重たい発言、だと私は思います。  そういう意味で、江間さんに、この集会に参加された感想をまず伺っておきたいと思います。
  103. 江間時彦

    江間政府委員 昨年、私があの大会に出席いたしましたときにも出た質問でございますが、富士保全法というのは、ほんとうの目的開発にあるのではないかという質問が出た記憶をいたしております。それに対しまして私は、いや、そうではない、現在われわれがもろもろの法令を持っておりますが、それは従来どおり依然としてあの富士地域にかかっておるし、富士保全法ができたならば、それもさらに上のせの規制としてかかるのであるから、少なくとも現状よりも規制がその分だけ強化されるということは事実です、決してわれわれは開発を意図してあのようなものを考えているわけではないというふうにお答えいたしましたが、私は現在でもそれと同じような考え方を持っております。もっとも先生のおっしゃるように、いや富士保全法などというものは要らなくて、現行法をさらに強く動かせば、それでいいではないかという議論も、私は議論としてはあり得るかと思います。しかし、依然として現行法令にプラス富士保全法というものが上のせになるということだけは事実だと思います。
  104. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 最後に承りたいと思いますが、それは、法律出したほうですから、そのほうがどうもよくないのかななどということをお認めになるはずはないわけでありますが、法文を拝見をしていきますと、これは実はあの諸君とディスカッションをしたわけですけれども、一ぱい抜け穴があるのですよ。これは抜け穴どころじゃないのです。どうしたって保護ということよりも、利用開発というところに一つ一つことばがくっついているのですよ。それがプラスアルファになっているのです。いや、プラスアルファじゃなくて、そっちが主体になっているのです。そういうふうに受け取られてもやむを得ない性格を持っているわけであります。確かに基地とのかかわり、北富士演習場使用転換にかかわる取引という問題点も一つの重要な要素でありましょう。そして私たちはそのことを強調したいと思います。しかし、問題はそれだけではなくて、自然保護という観点から見ても、この法律が多くの問題点を持っているということを指摘をせざるを得ないのであります。  もう時間が参ってしまいましたので、私は法文にかかわる一つ一つの問題点については、お願いができれば質問を留保させていただいて、またの機会にすることにいたしまして、とりあえずいまの質問で、私の質問を終わらしていただきたいと思います。
  105. 角屋堅次郎

    ○角屋委員長 金丸徳重君。
  106. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 私は時間の関係もありますので、端的に実は地元の者としての立場からお伺いをいたしたかったのでありますが、いま岩垂委員のお尋ねに対する環境庁あるいは防衛庁からの御返事を承っておりまして、その前にお伺いをしておかなければならないことが出てまいりました。  といいますのは、この富士地域環境保全整備特別措置法にうたわれておりますところの自然環境とは、どういうふうなものであるのでありましょうか。この大事な法律の第一条には「富士山が、わが国のすぐれた自然の象徴であり、かつ、世界に誇る国民的資産として、その恵沢を国民がひとしく享受し、後代の国民に継承すべきものであることにかんがみ、」と、たいへん高い立場からものを申しておられるのでありますが、そしてそれゆえに「その自然環境にふさわしい利用環境を確保する」ため云々と、こう書いてある。その大事な自然環境とはどういうふうに認識され、どういうふうに定義されて、これからこの法律を運用なさろうとするのでありましょうか。それからひとつ承ってまいります。
  107. 江間時彦

    江間政府委員 この法律案に書かれております自然環境と申しますのは、富士山を中心として、一体的にとらえられる富士地域に固有の自然環境というものでございまして、自然公園法で規定されているすぐれた自然の風致景観はもちろんのことでございますが、自然環境保全法に基づく、すぐれた自然の特質及びわが国のすぐれた自然の象徴として認識されている富士地域に独特の風土的環境なども包含しておるものでございます。したがいまして、その概念は、これらの自然的な諸要素を総合的にとらえたものだというふうに言えると思います。
  108. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 したがいまして、富士山には特別にあそこで守られなければならない自然環境条件というものがあると思うのですね。先ほどのお答えの中にもありましたが、あの辺は広いものですから、あるいは都市あり道路あり湖水あり、いろんな地域を含んでおるのでありましょうが、そういう中において守らるべき自然環境、理想の自然環境というのは、どういうふうに認識されておられましょうか。
  109. 江間時彦

    江間政府委員 われわれが考えております富士地域というのは、おおむね富士山を基点といたしまして半径二十キロの範囲内でございます。その中には原生の自然もございますし、あるいは大ぜい人が住んでおられる場所もございまして、自然といいましても、かなり千差万別でございますが、要するにわが国の象徴としての富士山を一体的にとらえた、そういう特性に基づく自然環境であろうかと思っております。
  110. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 したがいまして、先ほどの岩垂委員の御質問の中にも出てまいりましたように、たとえばゴルフ場などは、現代の世の中においては、ある種のレジャー施設であり、スポーツ施設であり、場所によっては、これが認められていいのにもかかわらず、これはあまり好ましくない施設、環境だといわれておるのであります。そういう意味において、他の地域においては許さるべきものであっても、あの地域においては許されてはならないようなものがあると思うのであります。  こういうことについては、どうでありましょうか。  もう一つ、いまは許されても、将来においては好ましくないという自然もあろうではないかと思う。そういうものについては、どういうふうに考えるのか、現在の自然を守れば、それでいいというのか。現在すでに破壊されておる、現在すでに理想の環境でないとするならば、将来に向かって、それは改善されたる自然を守るということが、たてまえでなければならないとも思うのですが、これについては、どういうふうにお考えですか。
  111. 江間時彦

    江間政府委員 先生がおっしゃいましたように、他の地域におきましては、けっこうであっても、あの富士地域には、そぐわないというものがあろうかと思います。確かにその意味におきまして、われわれはあの地域を独特に考えていくべきだというふうに考えております。それからすでに破壊されたものにつきましては、やはりできるだけ昔の姿に復元をしていくという努力は重ねるべきであろう、特に富士地域については、そのように強く考えるわけであります。
  112. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 そこで先ほどゴルフ場なりについての例になってまいったのでありますが、これから私のお伺いする端的なる問題に入るのでありますが、あそこに広大なる演習場が、かなりの地域、また大事な地域を占拠してこられておる。これは環境庁考えておられるところの、あの地域での守らるべき自然の環境とお考えでありましょうか、もしくはそうでないと考えておられるのでしょうか。
  113. 江間時彦

    江間政府委員 この委員会で、すでに三木長官もお答えなさいましたけれども、自然環境立場からいいましたならば、演習場が存在するということは好ましくないということがいえると思いますが、われわれは、現状与えられた条件として、いろいろな要素から考えますと、やむを得ないのではないかというふうにも考えるわけでございます。
  114. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 歯切れが悪いお答えで残念です。しかし、それはあとといたしまして、いま決して理想の使用状況ではないというお答えがありましたが、防衛庁関係からしますとどういうお考えですか。またどういうお考えで、この富士地域環境保全法に御賛成なさっておられるのですか、承っておきます。
  115. 木野晴夫

    ○木野政府委員 防衛庁富士地区に北富士演習場、東富士演習場という二つの広大な演習場を持っております。これは先生も御承知のとおり、北海道、東北、富士、岡山の日本原、九州の日出生台と実は五つあるわけでございますが、自衛隊と  しましては、中部方面でどうしても演習場が要りまして、実はこれが唯一の演習場でございます。そういった意味で、これを演習場として使用いたしております。ただいまそれでは、それは理想的なものかといわれまして、環境庁のほうから御答弁がございましたが、実はその点につきましては、自衛隊のほうでは唯一の、しかも必要である、こういった事情を申し上げて御了承願いたいと思うわけでございます。  なお、環境の整備につきまして、現在富士保全法が出ておりますが、それに対しましては、防衛庁といたしましても環境庁とよく連絡をとりまして、富士保全につきましては十二分に努力していきたい、このように思っておる次第でございます。
  116. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 演習場に使わなければならない必要性がある。しかしながら、それが破壊されることについては、環境保全のために心配されることについては、心配のないように十全の努力を払う、こういうお答えと承りました。  そこで、あそこの演習場、特に北富士について私は詰めて伺いたいのでありますが、あそこでは、しからばどういう演習をどの程度にいままでやってこられたのか。それから、これからどういうふうに演習をなさろうという御計画にあるのか、できればひとっこまかに承りたい。
  117. 木野晴夫

    ○木野政府委員 ただいま先生のお話に、自衛隊防衛庁で使っておること自体が環境破壊、こういう関連のお話がございました。実は私、先般の質問にもお答えいたしましたが、自衛隊の演習即環境破壊とは考えておらないのでございまして、ただ、ただいま、富士山ろくにおきまして自衛隊が使っているということは理想的ななにではない、こういうことにつきましては環境庁からもお話しございましたし、私としましては、しかしながら必要であるということを申し上げた次第でございます。  それから、もちろん環境破壊につきましては、これを防止するために、われわれとしても十二分の努力をいたすわけでございまして、四十八年の四月三日の地元防衛庁との使用協定書、それにおきましても、そういったことのないように誠心誠意をもって当たるようにという協定書がございます。それに基づいて先生のおっしゃられた点を十二分に配意いたしましてやっておるわけでございまして、その詳細につきましては、担当の者から説明申し上げます。
  118. 伊藤参午

    ○伊藤説明員 北富士演習場における訓練内容ということでございましたので、それにお答えいたします。  北富士演習場におきましては、先ほど政務次官からも御答弁ございましたように、わが国における大演習場の一つとして、非常に広範囲な訓練に使用しております。内容としましては、一般的な部隊訓練を行なう一般訓練と、それから火砲等を用いております射撃訓練に分類してございます。  なお、使用実績でございますが、昨年の四月から本年の二月までの自衛隊による実射訓練は延べ十二日でございます。なお、一般訓練は、原則として日曜祭日を除いて毎日実施しております。  なお、この期間における米軍の訓練でございますが、米軍には、日米安保条約に基づく地位協定の二条四項(b)の規定により一時使用する区域となっておりますが、一般訓練延べ五十八日、射撃訓練延べ三十九日というものを実施しております。  なお今後とも、演習場使用態様につきましては、先ほどから申し上げておりますように、大演習場として、必要な演習、訓練等を実施してまいりたいと考えております。
  119. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 関東地区に、あるいは中部地区における唯一の大演習場としてと、こう承りますと、その使用頻度なり使用の態様というものは、ますますひどくなってくるように思われるのでありますが、いままでと比較して、これからはどういうふうなお見込みでしょうか。
  120. 伊藤参午

    ○伊藤説明員 お答えいたします。  陸上自衛隊の部隊の規模ないしは訓練内容につきましては、現在ほぼ一定水準を保っておりますので、今後富士演習場地区におきまして訓練が急増するといったようなことは、ちょっと考えられません。ただ北富士演習場は、米軍演習場からの使用転換を受けておりますので、四十八年度の使用実績は、必ずしも自衛隊にとって平年水準ということは申し上げられないかもしれません。米軍につきましては、米軍の訓練事情でございますので、ちょっと私どもの口から将来についてどうこうということは申し上げにくいと思いますが、それほどさしたる変化はないものと判断いたしております。
  121. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 そこで、いままでの演習実績からいきましても、政務次官は環境破壊はしないというお答えでしたけれども、ずいぶん環境破壊されておるのです。  あらためて申し上げるまでもないのですけれども、あそこは非常に地味豊か、草木茂る条件がある。お百姓さんが入って農業を営めるだけの条件も備えておるのです。そして、かつてはあそこに大きな木が茂っており、これはもう明治の陸軍が使う前は最もそうだった。陸軍が使うようになってからも、あの地域にはずいぶんりっぱな樹木が茂っておりました。それこそがあそこの自然であり、それが守らるべき自然環境だとぼくは思うのです。  その後アメリカが入ってきて、大きな火砲を持ち込んだり、重戦車がじゅうりんしたりしまして、環境は非常に破壊されておるのです。だから、それを環境破壊ではないと言うことは、強弁もはなはだしいとぼくは思うのだが、もしもそういうふうな強弁をこれからも続けられるとするならば、私はもうお尋ねいたしても、せんないことになるんです。事実をどうお認めになり、どうお考えになっておるのですか。
  122. 木野晴夫

    ○木野政府委員 環境破壊の点につきまして、自衛隊といたしましても、環境破壊につきましては、そういったことにならないように十二分の配意をしていきたい、こう思っている次第であります。具体的には、使用協定書がございまして、その使用協定書、さらに、それに基づきまして、使用条件というのがあるわけでございます。  私たちのほうでは、たまを撃つ場合にも、着弾地域を限定いたしましてやっております。その地域は、ただいま先生から御指摘ございまして、現在は樹木のないところでございますが、昔はどうだったという話をいまお聞きしましたわけでございますが、現在撃っていますところは、地域を限定いたしまして、樹木のないところを撃っているわけであります。それから、爆弾の大きさも五百キロ以内というふうにいたしておりまして、そういった点につきましては、地元とも十分に話し合いをしておるわけでございます。また、空からの爆撃、これは一切いたしておりません。  なおまた、そういった荒廃にならないように、砂防工事その他は十二分に行なうということにいたしておりますし、植林等につきましても、地元とよく相談して、環境破壊にならないように、われわれといたしましても、できるだけの努力をいたしておるのでございます。  先生から御指摘ございまして、いろいろありますが、実は、私らとしましては、そういったことにならないように努力いたしておるということを申し上げたいと思う次第でございます。
  123. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 自然公園法その他があるのにかかわらず、富士地域について特別に法律をつくるというのには、それだけの理由があるからなんですね。それだけの理由があればこそ、この特別立法をもって何かしなければならないということであって、したがって、いま政務次官がお読みになりました使用協定があるからとか、いや条件の申し合わせがあるからということで、この場合その問題を解決するわけにはいかないと思うのです。そういうものを乗り越えて、さらに、あそこなればこそ、必要であるところの策をとるというのが、現段階におけるこの法律を出した真意でなければならないと思います。  そこで、私はあらためて、これは政務次官よくわかっておられるから、申し上げるのも遠慮したいくらいなんですけれども、あそこは、上に何メートルもの積雪をかかえておる、三千七百メートルの頂上をかかえておる、下流には数十万の生命、財産を持っている、言うなれば中流地帯なんですね。一たび雪解けの水の処置を誤るというと、たいへんな損害を下流の何十万の人々に及ぼすところなんです。  さっきのお話によりますというと、日本国じゅう五カ所に大演習場があるといわれておりますが、その残り四つの演習場というものは、そういうような悪条件の中で、なおかつ使われておるのでありましょうか。上には雪解けの水の心配があり、かつまた、あの地帯においては集中豪雨などがたびたび起きて、すでにあまり離れないところで百数十名の命を失っておるような集中豪雨が起こっているところなんです。そういう心配があるところにおいて、一木一草といえども保護して、それに対応していかなければならない地域において、あるいは戦車を動かし、あるいは巨砲を撃って荒らすということが、はたして環境破壊にならないのかどうか、理想の環境保護に最善を尽くしたと言えるのでありますか、ほんとうの腹の中を聞かしてください。
  124. 木野晴夫

    ○木野政府委員 自衛隊の演習につきましては、地元とも十分に連絡をとりまして、そういったことにならないように、先ほど私が列記的に申し上げましたが、そのように配意いたしておるところでございます。実弾射撃にいたしましても、場所を限定いたしまして、そうして砂防工事その他も十分にいたしましてやっておるわけでございまして、先ほど申しました、富士山ろく保全の点からいきますと、自衛隊の演習は理想的なものではないという話がございましたが、ただいま現状では自衛隊の演習に唯一のものでございますので、そういった両方の利害をば調整いたしましてやっておる、これが現状でございます。  先生の御意見また御指摘の点は、私たちも十分に配意いたしますが、日本のいまのところで、それにかわるべきものがないというふうな状態でございまして、そういった段階におきましては、地元と十分に連絡をとりまして、使用条件使用協定を誠心誠意これを守っていくということでいきたいと思っている次第でございます。
  125. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 事務当局から、ほかのところの状況をお知らせください。
  126. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 先ほど伊藤運用課長から御説明ありましたように、富士演習場以外にも、北海道で矢日別の演習場とか北海道大演習場、それから宮城県の王城寺原の演習場、岡山県の日本原、大分県の日出生台、こういう演習場がございます。こういったところにつきましても、富士演習場でやっておりますと同様に、毎年相当の経費をかけて災害の起こらないように河川工事その他で防災工事を実施いたしております。これまでこの防災工事の結果、自然災害による人命の損傷とかそういったような事態はない、こういうふうに理解しております。
  127. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 私がお尋ねしておるのは、ほかの演習場で、やはりああいうふうに中流地帯で、上にも心配の種をかかえ、下にはもっと心配の種をかかえておるような演習場状況なのかどうか、仙台においてはどうなんだ、あるいは北海道における演習場はどうなんだ、ひとつ詳しく教えてください。私の心配するのは、あれほど演習場として適当でない場所というものは、日本国じゅうどこを訪ねてもないのじゃないかと思うから、少しくどいようですけれども、お伺いしているのです。どうなんですか。
  128. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 ただいま申し上げました他の演習場富士演習場と比較してどうであるかということでございますが、もちろん富士山のような高い山はございません。しかしながら、やはりかなりの丘陵地帯であるという点は同じかと思います。そこで、そうい、つた立地条件が必ずしも全く同じではないということは認めざるを得ないと思いますけれども、防災工事その他によって人命の損傷その他の災害の起こらないように、十分これまでも処置してきているという点については同様でございます。
  129. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 これまでも努力されてきた。のにもかかわらず、あそこで森林火災が何だびか起きているのですね。それからして、あそこへ行ってごらんになればわかるように、あの広い地帯において水が自然に流れ流れて、あの表土を押し流しておるのです。あそこを歩いた者は全くぞっとする感じを持たざるを得ない。といいますのは、普通の雨であればこそ、この程度で済んだであろう。もしかこれから、さみだれの季節に入りますと、上の雪解けの水がどっと来るかもしれない。そのさみだれの季節において、例の梅雨前線とかなんとかいう集中豪雨でも来たときのことを心配しなければならないから、いまあなたのほうでおやりになっているところの砂防施設なり何なりというのは、通常の水の場合においては、それはあるいは可能でありましょう。防災的にいって可能でありましょう。そうでない、非常な水のことを心配せざるを得ない。といいますのは、一たびそういう事故が起きたときには、あそこはもう取り返しのつかない結果をもたらすから、先ほどお尋ねがありましたような大沢くずれのようなことにならないとも限らないことを心配するからなんです。  私は、かつて県でお役人をいたしておりました。二十年余も前でありますが、あそこになだれが起きました。幾つかのパーティーから十数人の犠牲者を出したことを知っております。それからその後また集中豪雨によって、あの演習場よりも少し西地区ではありましたけれども、洪水を起こしまして、下流の人々がたいへんな心配をしたことを覚えております。そしてそのために、ばく大な金をかけて一応の砂防施設は講じておる。自来あの地帯に幸いにして、そういう事故は起こらないのでありましょうけれども、かつて起きたことは、また、これからも起こらないとも限らない。ですから、地域全体において防災的な考えを前面に押し出し、それを基礎としてかからなければ、ほんとうの自然環境の保護などということはできないはずなんです。たまを撃ち込まれても、戦車にじゅうりんされても、なおかつ災害の心配はないのだ、それに対する防災の施設はしておるのだと言い切れるのかどうか。もし言い切れるとするならば、私はその言い切れる証拠というものを、裏づけというものを、ここでお示し願いたいのです。  私も現地をよく知っております。防災施設をやっておることもよく知っておりますけれども、あれは普通のものであるということを強く申し上げざるを得ないのです。もう一度お答えを願いたい。
  130. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 北富士の防災工事につきましては、過去、二十数億円の経費を投下しまして砂防ダム、河川の護岸工事等を実施してきております。その際、われわれとしては、この演習場の現実の状況等から見て、一たん降雨があった際に、それがどの程度流出するかというようなことを、流出面積とかあるいは流出の計数等で、具体的なデータをもっていろいろ計画的な工事を、これまで実施してきておるわけです。これまでの工事の結果、かなり効果をあげておるというふうに、われわれとしては確信をいたしております。富士山全体としてはいろいろ天然災害的なものがございましょうけれども、直接この演習場関連して非常な災害が起こったということはないように、私としては理解をいたしております。
  131. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 直接演習のために災害を起こすようなことは避けなければいけない、そのための努力をしておる、これは私はそうでなければならぬ、当然のことだと思います。そこで問題は、上に心配の種があるということなんです。そして下にはもっと心配をしておる人がたくさんおるということを考えてもらわなければいけない。しかし、これはもう押し問答になりますから、時間の関係上、これぐらいにいたします。  そこで、ついでですから、お伺いするのですが、あそこは演習場ですから、当然砂漠みたいな形にならざるを得ないのですね。なるほど行ってみますれば、アラビアの砂漠やサハラの砂漠やと  いうほど砂っ原ではありません。草もはえております。若干自然にはえてくる松の苗などもありますけれども、しかし全体としては、もう砂漠地帯のような不毛の地帯になっておる。これが私は富士の自然、理想の自然環境と言い得るかどうか。もう一度次官から、くどいのですけれども、この問題を解決する大きなかぎになると思うからなんです。どうなんでしょう。
  132. 木野晴夫

    ○木野政府委員 金丸先生からいろいろ御指摘ございまして、私たちといたしましても富士保全につきましては、できるだけの努力をしなければならぬ、こう思っている次第でございます。そういった意味から、砂防工事につきましては一般の砂防工事でなくして、そういった点を踏まえて考えていかないといけないと思いますとともに、植林その他につきましても地元とよく相談いたしまして、環境保全につながりますようにいろいろ考えていきたい、こう思っている次第であります。
  133. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 環境保全のために植林するとおっしゃるのですけれども、それじゃひとつ具体的に、これからどういうふうに植林なさっていこうとするのか。先ほどの法第一条の自然環境という定義にも触れてくるわけですから、どういうふうな計画を持っておられるのか。
  134. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 昨年の四月に、北富士演習場使用転換について地元その他関係機関と合意いたしました際の条件としまして、北富士演習場の一部返還ということをお約束をしまして、すでにこれは実行いたしました。その中で、例の国道沿いの二百十ヘクタールにつきましては、これは閣議決定にもございますように、林業整備事業の用に供するという目的のために返還をいたしております。それから山頂部に近いほうの千三百ヘクタールの国有地につきましても返還をいたして、こういった地域につきましては、やはり自然環境の保護という意味合いから林業の整備をしていただく、こういう意味合いで返還をいたした、こういうことでございまして、この使用転換の際に、防衛庁としましても自然環境の保護という意味合いからそういった措置をとった次第であります。
  135. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 植林計画も入っているのだというから、具体的にあの六千ヘクタールに及ぶところの地域のどの程度に植林をなさるのか。私も植林が非常に大切だと思うのです。もしあそこを何かはかの、やむを得ない理由によって何かに使うという場合においても、まず考えなければならないのは、あそこに植林計画が先行して安全なる水源涵養ができ、緑の保全ができ、国土の保護ができるという前提に立っての植林計画が十全に進められるとするならば、その上では若干のゴルフ場もよかろうではないか、その他の若干の使用関係もよろしいではないか、しかし常に、いかなる使用をするにいたしても、国土の保護のために、緑の涵養のために、あるいは下流における水源の酒養のために、同時にさらには富士という特殊な、ここに触れておるような世界の人々から憧憬されるような環境をつくるということが、まず前提でなければならない。ところが、いまお答えの節々から受け取れますことは、演習場が先行してしまって、演習に差しつかえない程度で地域も限りましょうということであっては、全く逆なんですよ。この点はどうなんですか。この法律をつくるという、いまの国民的新しい段階を迎えたときに、どうお考えになりますか。これは政務次官からひとつ。
  136. 木野晴夫

    ○木野政府委員 富士につきまして、先生指摘のとおり自衛隊としましては、演習場として使っているわけであります。今般また富士保全法ができるわけでありますが、この調和をどうするかということでありまして、先生のほうからは、むしろ富士保全のほうを重点的に考えていくべきじゃないかという御意見でございますが、先ほど申しましたとおり、自衛隊としましては演習場としまして、ここは唯一の演習場であるわけでございまして、自衛隊として、現状ではどうしてもこれを使っていきたい、使わしていただきたい、こう思っておるわけであります。しかしながら、今回法案ができますが、環境庁ともよく連絡をとりまして十二分に努力していきたい、こう思っている次第でございます。
  137. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 そこで、さっきやむを得ず使うんだ、こういうことであります。いまもまた、他に地域がないからというようなお答えのようであります。ほんとうにそうなんですか。あそこは、私は先ほども申しましたけれども、演習場としては一番不適当なる条件を備えたところだと思うのです。日本狭しといえども、あれくらい演習場として不適当な場所というものが、他にないなどとはどうしても考えられないのですが、どういう前提の中で、他にはないんだといわれるのか。  問題は、繰り返すようですけれども、千百メートルもしくは千三百メートルの高い中流地帯、上に山がある、下にずっとたくさんの住民を控えておる、たくさんの生産施設を備えておる、その中間において荒らさなければならないような条件の行動をとるということは、決していいことではない。ただ、やむを得ない、ほかにないからとおっしゃるけれども、ほんとうにほかにないのか。他におさがしになって、あれだけの犠牲を払って、あれだけの心配をかけるような地域というものは、私は幾ら狭しといえども日本国じゅう、いや関東、中部地帯においてたくさん見つかるんじゃないかと思いますが、どうですか。
  138. 伊藤参午

    ○伊藤説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生演習場の適地ということで御指摘ございましたので、私どもの考えております大演習場と申しますのは、火器による適当な射撃間隔のとれるものであること、それから普通科部隊の各級部隊、まあ師団から連隊、大隊、中隊等の各級部隊のそれぞれの訓練規模に応じた、あるいは教育内容に応じたものであること、それから機甲科、これは戦車でございますが、戦車部隊の訓練演習等に有効な面積と地形を持っているということが必要条件でございます。  それで、具体的な地勢の条件から申し上げますと、あまり高峻な山岳地帯でも、単一目的のために使います射撃等で適当な目標を得られないとか、あるいは戦車訓練に適当しないような地形になってしまう。しかし逆に、今度はあまり平たん地帯でございますと、これは普通科とか機甲科とかいうものが自然の日本の地形、地状に応じて訓練演習等を行なうのにも適しない。その意味では一定の起伏を持った比較的なだらかな丘陵地帯というものが演習場にとって自然条件として必要な条件であります。そのほかに気象条件でございますとか、そういった周辺自然の条件等ございますが、そういった目で現在の富士演習場を見ますと、本州の東部方面隊、中部方面隊等の地域におきまして、現在あの程度の面積と、それだけの自然条件というものを兼ね備えた演習場というものは、ちょっと他に見当たらないのではないかというように私ども考えております。
  139. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 他の犠牲を顧みなければということがあなたの答弁の前提になっているのですね。他に多くの犠牲を払うことに目をふさいでいるならば、そうであるかもしれません。けれども、たくさんの犠牲を払っている、常ふだんにあそこで演習をやられる、あの地帯が荒らされていることについて、下流何十万の人々が心配をしておる。知らないから、あるいは知っておっても、もうしかたがないからとあきらめているのかもしれませんけれども、実情を見た人たちは、あぶなくてしょうがない。草屋根の上でもって火遊びをする子供がおる。下でのんびりしておるのは、上で何がされておるか知らぬからであった。しかし、上で火遊びをされておったら、たまったものではないと私は思うからなんです。  そこで、いまあそこはなだらかなる起伏があるからということでありました。そういうことは確かにあそこにはあるかもしれません。しかし、いま日本の自衛隊が一番先に言いつけられておりますことは、国内における外的侵入に対する備えじゃないですか。こんなことばかりやっていると、時間がたってしまうから困るのですけれども、海岸において水ぎわで追い落とすとか、あるいは上から侵入する空挺部隊に備えるとかということであろうかと思うのです。  そうしますと、あそこはただ実弾射撃をするとか戦車を縦横に引っぱり回すということについては、演習場の利用価値があるかもしれませんけれども、実際において侵入するところの空挺部隊に備えたり、実際において海から上陸するところの敵軍に備えるとするならば、あそこは決して適当なるところではないと思うのです。もっともっと全国的に散らばって、この山におりてきたら、この方面からこう撃つんだというようなことこそが、私は平素におけるあなたのほうの訓練の目標でなければならないと思うのですが、そういう意味においては、私は地況的にも一番不適当であると同時に、実際の実戦の訓練をするという、そういうことは私はないほうがむろんいいと思うのですけれども、かりにあなた方のお考えを承認するとして、そういう必要があるとしても、あそこはほんとうの意味における実戦の訓練には役立たないと思うのですよ。さればこそ、今日まであそこで実弾射撃をやった、戦車を若干動かした、私も現地で知っております、決して全部の部隊があそこでまんべんなく演習しているとは思わないのですが、どうですか。
  140. 伊藤参午

    ○伊藤説明員 お答えいたします。  私どもの防衛力の運用の態様というもの、これはもちろん千差万別だと思います。空から来る場合もありますし、海から来る場合もある、不幸にして陸上において戦闘が行なわれる場合もある。陸海空自衛隊は、それぞれの戦闘様相というものを想定しまして自衛のための必要な編成を行ない、装備を持ち、その装備品等、あるいはその各級部隊指揮官の練度等の演練というものを、それぞれの形で行なっております。  富士演習場につきましては、先ほどからお答え申し上げておりますように、いわゆる大演習場という機能としまして、わが国に五つあるものの一つ、本州、中部地区における唯一のものというように考えてございますが、先生いろいろ御指摘質問態様につきましては、そのほかにも十四、五ほどある中演習場あるいは各地方に幾つかございます小演習場であるとか、あるいは駐とん地に所属している射撃場とか、それぞれ訓練態様に応じて必要な施設を持っておるわけでございます。  富士演習場につきましては、従来からの経緯もございますが、比較的広大な面積を持ち、長射程の射撃も行なえる、あるいは他の中小の演習場では行ない得ない大部隊規模、連隊以上の規模なんかの対抗演習等も実施できるということで、こういったものは、なかなか他に求めがたい。特に新たに求めるということになりますと、また新たな問題も惹起するということもあろうかと思いますので、環境保全の問題、特に触れられないという御指摘ございましたが、その点につきましては、別途政務次官以下いろいろ御答弁になっておりますので、演習場の運用という面でお答え申し上げておきます。
  141. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 他に演習場がないから、しかるべく進めておるんだ、こういうことでありますが、そうなりますというと、それでは東富士演習場との関係はどういうことになるのでしょうか。東富士北富士演習場よりも広大な地域を持っておるんです。それからあそこの地況、地質、その他からいきまして、北富士演習場ほどに自然環境は、これは自然のままを考えても、それほど植林ができるところとも思えない、保水力のないような地域でありますから。そこに九千ヘクタールもの広大なる地域を持っておるとしまするというと、これからもいままでのような実績程度であるとするならば、両者一つにして、大は小を兼ねるという考えもあるべきだと思うのであります。この点についてはどういうふうに検討されておるのでありますか。  私は端的に申しますけれども、両方演習場が、これでも足りないのだというほどにフルに使われている過去を知りません。しろうとの考えでありますけれども、うまく使えば一つで間に合うのじゃないかとも思うのですけれども、これは今後どういうふうに対処なさるつもりでありましょうか。
  142. 伊藤参午

    ○伊藤説明員 お答えします。  現在自衛隊使用しております大演習場、五つございますが、このうちで一番大きゅうございますのが矢日別演習場の一億七千万平米でございます。それで富士演習場は、北富士が約五千万平米、東富士が約九千万平米、両者合しまして一億四千万平米弱ということで、矢田別演習場に次ぐ演習場でございます。その他の演習場は、これより比較的規模は小そうございまして、大演習場といっても、半分ないしはそれ以下といったような規模になっております。  それで、北富士演習場と東富士演習場いずれか一つというお話でございますが、いま申し上げましたように、一つは、両者相接しまして二つの演習場といいますか一本の富士演習場として、比較的、特に大規模の部隊等の対抗演習等では非常に有効に使用しております。  それからもう一つは、先ほどから毎々申し上げておりますように、東部、中部地区における唯一の演習場ということでございまして、陸上自衛隊の主力である東部方面隊、中部方面隊、そのほかに普通科、特科、機甲科というものの中級幹部、初級幹部等あるいは相当の教育、訓練を行なっています富士学校といったものも非常にひんぱんに利用しております。それから当然のことでございますが、日米安保条約に基づきます米軍に提供する演習場として、またその米軍の使用頻度というのも非常に多うございますので、そういった点から北富士、東富士一体のものとして、きわめて有効に活用させていただいておるということになっております。
  143. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 だんだん時間が迫りましたので、私はこれ以上お尋ねを申し上げることを、この場合は遠慮——遠慮というとおかしいのですけれども、控えたいと思います。といいますのは、問題を新しくいたしますと、また時間が足りなくなります。  ただ、私はいまのお答えを承りながら、あらためて思ったことですけれども、なるほど他にはもっと広い、二つを合わせたよりももっと広いほどの地域を持った演習場があるかもしれません。しかし、あの地帯というものは、繰り返し申し上げますように、特殊地帯なんです。ことに京浜あるいは広く関東平野などの中心地帯として非常に大事な大事な、理想的に守らるべき自然環境の地帯であるべきなんですね。だから、よそではそういうふうなぜいたくな、と言っては失礼かもしれませんが、十分なる演習上の使用地域使用方法があるにいたしましても、あの地帯においては、いろいろなことを考えながら、できるだけつましく——演習場なんかないほうが、私の考えには合うのです。かりに必要だとしましても、その演習場というものは、きわめてつましく、きわめて犠牲の少ないような、一般に心配の起こらないような使用方法、使用計画使用体制でなければならないと思うのです。  いま国民の一番大事な関心は、この狭い国土をどうみんなで分けて使うかということなんです。いま政治の最大の課題だといわれている。そのときに、もう少しつましく演習をするとするならば、二つを一つにしてもいいのじゃないかという使用計画が成り立たないものかどうか。そこまで真剣に考えて国民に訴えて、初めてこれは環境保全上、自然環境を保持する上において、決して理想ではないけれども、やむを得ざるに出た措置でありますからという国民への訴えになると思うのです。その誠意なり、その努力なりが、今日までやられておるのでありましょうか。それはアメリカさんから言われているのだから、やむを得ないと言われれば、それまでなんです。それまでなんですけれども、それをもなおかつ押して、アメリカさんにも理解を得、自衛隊の皆さんにも納得してもらって、この地帯のこの状況の中だから、不便ではあろうけれども、この程度の施設でやってくれよという努力が続けられてこそ、私は国民が納得すると思うのです。  そして、いまの段階においてほんとうに国土防衛の責任をとるとするならば、国民の納得と協力なくして自衛隊の責任は果たせるものではありません。そうじゃないですか。国民の不満を買うことを承知の上で国民に心配をかけるような中で演習をしても、その演習は私は国民からの協力を得る戦力にはならぬと思うのです。この点はどうでありましょうか。いま地元は納得しているかのように言われましたけれども、この問題は、地元の一部の人たちが、ある種の条件の中で納得したからどうということで解決さるべき問題じゃないと思いますよ。この法律にも言われておりますように、日本の象徴として、あるいは全世界の人々の憧憬の的として守らなければならないと第一条にうたってある。これほどとうといものなんです。だから、それに非常な災害の種をまき散らしたり、国民からしますれば、自衛隊さん、少しいまの段階においてぜいたくではありませんかなどという使用体制の中では、ほんとうの意味の国土の防衛の責任を果たせる力は出てこないと思う。この点、どうなんでしょう。  もう時間が参りましたから、お尋ねを締めるにつきまして、政務次官、私は、きょうは長官においでいただいて、長官のほんとうの高い立場からのお返事をいただきたかったのでありますが、これは後日にまた譲らせていただきます。これを補佐なさっておる政務次官として、ほんとうの腹の中から、自衛隊のためにも、国民のためにもなる措置を、この法律制定のこの段階において私は言明していただきたいと思います。どうぞそういう意味において、ごまかしでなくて、言いわけでなくて、おれもこう思うのだという心底からの御答弁をちょうだいいたしたいのであります。
  144. 木野晴夫

    ○木野政府委員 自衛隊は国民の信頼を受けるということが何よりも大事であると私も思っております。  ただいま富士保全法関連いたしまして、北富士それから東富士演習場でございますが、そういった線を出すために、どっちか一つにしたらどうだという御意見でございますが、実は非常に大きな問題であると思うのでございます。私もここで全く同感だ、そのとおりだと、ちょっと判断つきませんのですが、ただいま先生のおっしゃいました富士は国民の資産である、これを大事にしていくという法案が審議されておるときでございますが、先生の御意見を私、十分大臣に伝えまして、申し上げておきたいと思います。  私たちといたしましても、現段階におきまして、できるだけのことはいたしておるのでございますが、まだ努力が足らない、たとえば砂防にいたしましても、一般の砂防じゃないか、もっと考えなければならぬ点が技術的にもある、さらにもっと富士山について考えなければいかぬ点がある、これがまた、この法案に出た点だという点から、さらに考えろという御指摘がございますが、私もそういったことにつきましては、さらにさらに努力をいたしたい、すべきである、このように考えております。ただいま御指摘の点は、大臣にもよく伝えまして、御報告することを申し上げておきます。
  145. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 ありがとうございました。
  146. 角屋堅次郎

    ○角屋委員長 委員の各位に申し上げます。  本会議が、委員部を通じてお聞きしたところでは、予定どおり二時というように委員長はお伺いしておりますが、本会議後の審議の関係も考慮いたしまして、引き続き坂口力君の質疑が約二十分程度とお聞きしておりますが、その後に休憩をいたすというふうにいたしたいと存じております。  坂口力君。
  147. 坂口力

    ○坂口委員 前回の質問のときに、富士地域環境保全よりも利用環境に、この法案が重きが置かれているのではないかということを質問をさせていただきました。その一部を私、残しておりましたので、きょう続きまして質問させていただきたいと思います。  きょうお聞きしたいのは、いままでに自然公園法及び自然環境保全法がすでにあるわけでありますが、この法律がすでにありまして運用されているわけでありますが、今回新しく富士保全法案が出てきたわけであります。いままでの自然公園法及び自然環境保全法の運用で何が一体足りなかったのか、今回新しいこの富士保全という特別の法案が出てきたわけであります。出る以上は、それなりの、いままでの法律では足りなかったものがあると思うのです。それは一体何であったかということをまずお聞きをしたい。
  148. 江間時彦

    江間政府委員 この法案の御質問の中にもしばしば現行法だけで十分ではないか、富士保全法は要らないという御意見が非常に多いわけでございまして、そういうことについて総合的にここでまとめて申し上げようと思うわけでございます。  まず第一点といたしまして、富士保全法というものは、現行の法令によりますと、公園の地域内だけの規制ということしかできない。それに対しまして、今度は富士保全法対象にいたします地域、すなわち従来の公園区域外まで規制を及ぼすことができるという実益がございます。  それから第二点といたしまして、従来の法体系でございますと、他の地方庁が行ないます事業を一体的に一緒になって考えるということがむずかしいわけでございますが、この法律によりますと、他の省庁の事業もあわせまして全体として計画を立てる、すなわち総合的な計画を立てることが可能になるというのが第二点としていえると思います。  それから第三点といたしまして、先ほど先生もおっしゃいました、いわゆる利用地域の問題でございますが、これは従来の自然公園その他の体系にはなかった考え方でございまして、利用目的に合致しない施設は設置を認めないという新しい考え方でございます。用語はたまたま「利用地域」ということばになっておりまして、若干誤解を受けまして、利用を促進するために、そういう地域が設けられるというふうに理解される場合が多いのでございますが、私らの考えといたしましては、これはそれぞれ利用地域というものを設けまして、その利用目的に合致しないものはっくらせないというふうな規制としての働きを持っているというふうに考えるわけでございます。  以上、この三つは従来の法体系になかった実益であろうかと思うわけでございます。
  149. 坂口力

    ○坂口委員 いま三つの点をあげられました。一つは、公園の地域外までこの適用を広げることができる。それから二番目には、総合的な計画を立てることができる。しかしながら、この二つは、いままでの法律の運用の強化によってまかなうことのできるものではないかと私は思うわけであります。この自然環境保全法目的のところにも、それからまた自然公園法の第一条の目的にも述べられておりますとおり、今回のこの法案の主たる目的のところは、この二者の中に含まれていると考えていいと私は思うわけです。  ただ、今回のこの法案の中で特に違うのは、先ほども三番目に言われました利用環境ということではないかと思います。いままでの自然公園法及び自然環境保全法の中には、この利用環境ということばはございませんでした。前回の質問のときにも、この利用環境とは何かということをかなり突っ込んでこまかくお聞きをしたわけでありますけれども、利用環境という表現であります以上、いろいろ皆さん方からの御説明はありましたけれども、しかしどうしても、この利用ということが中心になる可能性が強いと思うのです。利用ということと、それから環境保全とは全く逆のベクトルだと思うわけです。  たとえば八条に「徒歩利用地域」というのがありますけれども、これを見ましても、最後のほうに「利用にふさわしい環境を確保するための地域とする。」こうありますね。利用にふさわしい環境を確保するための地域、これは私は逆だと思うのですね。やはり環境にふさわしい利用施設を確保するというのであって初めて意味があるので、利用にふさわしい環境を確保するための地域というのは、これは本末転倒もはなはだしいと思うわけです。こういうふうな考え方で利用環境というものが、この中で述べられているとしたら、これは私はたいへんなことになる、利用だ利用だといいながら、だんだんこれが広められていく可能性がある、そう思うのですが、その点もう一度お願いします。
  150. 江間時彦

    江間政府委員 確かに先生の御指摘になるように、いわゆる自由と不自由といううらはらの関係がございまして、用語の使い方として非常にむずかしい点がございまして、確かにそういう誤解を受けておる面が多いわけでございますが、われわれの考えておりますことは、利用を促進するということではなしに、この地域においては利用を規制する、これだけの利用しか許されないというふうな、いわゆる利用地域といいましても、利用規制地域というふうに御理解いただくと、わりあいにすんなりと御理解いただけるのではないかというふうに思うわけでございます。
  151. 坂口力

    ○坂口委員 そういうふうに読みかえると、すんなり理解できるのかもしれませんけれども、この文字からいたしますと、そうすんなりといかないわけであります。それで質問させていただいておるわけでありますが、もう少しすんなりと理解ができるように法案をつくっていただいたら、問題はなかったわけであります。この辺を皆さんは、そういうことはないというふうにおっしゃいますが、しかし行政の場にある人が、いつまでも同じ場にお見えになるわけじゃありませんし、代々これはかわっていかれるわけです。その場合に、ここにこう書いてあるから、いいじゃないかということで、次々と利用されるというようなことになりましては、せっかくでき上がりましたこの法案が、これは逆に富士山を切り刻むための法案になりかねない、こう私思うわけです。  その問題が一つありますので、これは抽象的な議論でございますから、何べん言いましても、なかなか決着のつきにくい問題かと思いますが、政務次官からも一言御意見を賜わっておきたいと思います。
  152. 藤本孝雄

    ○藤本政府委員 局長からの御答弁で十分御理解いただけておると思うわけでございますが、法文にもはっきり利用を規制するということが書かれておりますし、先生御心配のないように十分に配慮してまいりたいと考えております。
  153. 坂口力

    ○坂口委員 それからもう一点は、先日も質問のときに、これはちょっと落としましたので、もう一つお聞きをしたいと思いますが、富士演習場と、それから第七条にあります特別地域及び利用地域、これとはどう重複するのか、線引きの構想がありましたら、ひとつ述べていただきたい。
  154. 江間時彦

    江間政府委員 演習場は、この法律によります富士地域に入ることはもちろんでございますが、公園地域からも排除されておりますし、それからわれわれが考えております、いわゆる利用地域の中にも入れる考えはございません。
  155. 坂口力

    ○坂口委員 そういたしますと、米軍施設等ももう絶対入らないわけですか。
  156. 江間時彦

    江間政府委員 米軍の施設につきましては、国内法の適用がございませんので、いわゆるそういう対象にはならないと思いますが、防衛庁の施設につきましては、この法律の適用を受けるというふうに考えております。
  157. 坂口力

    ○坂口委員 第二条にあります「富士地域」ということばで表現されておりますが、この地域は政令で定めることになっておるわけですね。この政令は大体いつごろ皆さん方としてはやられる、またその政令の内容につきまして、現在、こういうふうにするつもりだというようなものがありましたら、ひとつお教えをいただきたい。
  158. 江間時彦

    江間政府委員 これにつきましては、やはり地元意見もよく聞かなければなりませんし、できるだけ早く考えたいとは思っておりますが、おおむね半径二十キロの範囲内の地域ということになります。
  159. 坂口力

    ○坂口委員 この特別地域及び先ほどお聞きいたしました利用地域、こういったものにつきましても、地元意見を尊重して、これをおきめになりますか。
  160. 江間時彦

    江間政府委員 特別地域につきましては、公園計画におきまして、すでにきまっております。したがいまして、地元意見を聞きますのは、利用地域のほうであろうかと思います。
  161. 坂口力

    ○坂口委員 地元の皆さんから、この演習場等の問題で、どうしても利用地域との関係で困るという御意見が出ましたら、その場合は皆さん方としては、どうされますか。
  162. 江間時彦

    江間政府委員 先生の御質問を必ずしも正確にとらえておるかどうかわかりませんが、利用地域というものを、われわれ演習場を指定するつもりはないわけでございまして、それとの競合関係は出てこないかと思うわけでございます。
  163. 坂口力

    ○坂口委員 この問題もなかなか結論の出ない問題かと思いますが、きょうは大臣もお見えになりませんので、きょうはこれだけにさせていただきます。
  164. 角屋堅次郎

    ○角屋委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後一時十八分休憩      ————◇—————     午後三時七分開議
  165. 角屋堅次郎

    ○角屋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。高橋繁君。
  166. 高橋繁

    高橋(繁)委員 私、この委員会では初めて質問いたしますので、かねて質問された中で重複の点があるかもしれませんが、いま提出になっております富士地域環境保全整備特別措置法案について若干質問を進めていきたいと思います。  まず、基本的な考えでありますが、この法案の「総則」の中に(趣旨)として、「富士山が、わが国のすぐれた自然の象徴であり、かつ、世界に誇る国民的資産として、その恵沢を国民がひとしく享受し、後代の国民に継承すべきものであるこにかんがみ、富士地域の自然環境自然公園法及び自然環境保全法と相まって適正に保護し、」ということがありますが、この自然の保護に対するいわゆる植物生態学者の一般的な考え方としては、自然というものは保護しながら利用するものである、利用しながら保護するという考え方は、自然破壊に通ずるものであると指摘をいたしております。  従来、わが国においても、自然そのものを保護というよりも利用ということがその大前提になって、優先されてきた。そこで、自然環境破壊ということが問題にしばしばされてきたのでありますが、まず、この法案の(趣旨)にもありますように、「適正に保護し、その自然環境にふさわしい利用環境を確保するとともに、」こういう文面にはなっておりますが、そうした基本的な考え方について、まず質問をいたしたいと思います。どのようにお考えになっておりますか。
  167. 江間時彦

    江間政府委員 自然公園関係についての法令についても同様でございますが、やはり基本的な側面として、自然を保護するという側面と、それから自然を利用する、あるいは活用するという側面と、二つございまして、その両者の比重というものは、歴史的に見ましても、必ずしも一貫していなかったわけでございます。過去におきましては、かなり利用に重点のかかった時期もあるかと思います。最近におきましては、自然公園関係の法令の考え方なり運用のしかたにおきましても、保護というものに圧倒的な比重をかけております。このたび御審議をお願いしております富士保全法におきましても、主たる目的は自然の保護でありまして、付随的に利用ということばも見えておりますが、その中身といたしましても、具体的には、むしろ利用を規制するというふうな考え方に立脚しておるのでございます。
  168. 高橋繁

    高橋(繁)委員 いまの答弁によりますと、すなおに受け取れば、確かに自然の保護ということが重点に置かれている。また、この法の条文をすなおに解釈をしてまいりますと、富士山そのものの自然保護が最優先で、利用環境のための整備はその次というようになっておるわけであります。  この富士山という山は、歴史的にも、あるいは植物学的にも、動物学的にも、たいへんに多種多様なふしぎな山である、このように思うわけです。そうしますと、富士山そのものが一体どういう状態に置かれているのか、あるいは富士山の、端的にいえば、実態というものを踏まえて、この法案というものが出てきたものであるか、その辺の見解はどうなんでしょうか。
  169. 江間時彦

    江間政府委員 富士山がわが国の霊峰としての象徴的な存在であるということは、だれも疑わないところでございます。そういうためにも、また最近、この地域が首都に非常に近い、人口の多い地域に近いという関係もございまして、かなりいろいろな開発の脅威にさらされておるということも事実でありますが、ここら辺から考えまして、やはり規制ということにかなり重点を置いた富士保全法を制定する必要があるというふうにわれわれは考えたわけでございます。
  170. 高橋繁

    高橋(繁)委員 ですから、富士の自然をほんとうの意味で保護するためには、富士山の自然の実態というものをつかまなければ富士山の保護ということはできない。いわゆる人間の干渉に対する許容限度が一体どうなのか、あるいは地下水の状態は一体どうなのか、植物はどういうところにどういう植物が繁殖をしているのか、あるいは鳥類や動物はどういうような状態であるのかということの実態を一応調査し、科学的な調査のもとに自然保護ということが出てこなければ、せっかく日本一の富士山を守るということにはならないんではないか、こういうように私は考えるのですが、この辺はどういうふうにお考えでしょうか。
  171. 江間時彦

    江間政府委員 過去におきまして自然の実態を把握するための調査というものは必ずしも十分でなかったと思います。ただ、その欠陥を意識いたしまして、一昨年来、日本全国にわたりまして自然の状態を詳細に把握するための調査をいたしました。この春やっと全国的な把握がほぼ終わったというような段階でございまして、これはこの六、七月ごろには完全な姿で公表できると思いますが、これがまとまりますと、日本の自然の状態につきまして、かなり詳細な実態が把握できると思うわけでございます。これを基礎にいたしまして、数年に一ぺんの経時的な変化を調査するための実態調査も行ないますし、また別の手法によりましていろいろな面から角度を変えて調査もいたしますし、この方面からの実態解明もかなり進んでまいるというふうにわれわれは考えております。
  172. 高橋繁

    高橋(繁)委員 全国の自然の調査というものは進められておる。ところが、富士山環境なり、今度いわゆる地域に指定しようとする面なり、富士山そのものについて、そういう実態あるいは自然の状態というものを、ほんとうに詳細にわたって調査をしたことがありますかと私は聞いているのです。日本の自然の状態というものは、いま答弁のとおりですからね。
  173. 江間時彦

    江間政府委員 国としまして富士地域の総合的な実態調査をしたことは過去においてないようでございます。ただ、最近いろいろな方面でりっぱな調査資料もございますので、そういう面も活用させていただきたいと思いますし、また将来必要があるならば、そういう面についてもできるだけの努力はしてみたいと思っております。
  174. 高橋繁

    高橋(繁)委員 私は、普通の山とは違う性格を持っておる山であると思うのです。だから、最初に申し上げましたように、まず自然保護ということを考えて、保護しながら利用するという方向にいかなければ自然破壊につながる。その自然の利用については、富士山という山は一体どういう性格のものであるか、どういう土質の状態であるとか生物の状態、あるいはものを調査しなければ、ほんとうに自然を保護しながら利用するという計画は的確なものができないんじゃないか。富士山あっての富士周辺地域である。富士山がなければ何にもならない。そういう面で私は、富士山の事態調査というものは、そんなにこまかくはできないにしても、ある程度そうした状態をつかんだ上で周辺の地域の発展ということを考えなければ何の効果もないし、意味もないんじゃないかということを申し上げたい。この点どうなんですか。
  175. 江間時彦

    江間政府委員 先生が御指摘になっているような点、まことに私のほうも同感でございまして、今後さらに一そう富士地域を中心とした調査に枢力をしてまいりたいと思っております。
  176. 高橋繁

    高橋(繁)委員 そういうことでなければ今後この富士地域環境保全整備法というものは生きてこない、このように私は考えるわけです。だから、富士山の周辺というものは安直な気持ちで開発をすべきでないし、また地域もそう簡単に指定をすべきでない、このように感ずるので、いま答弁があったとおり、それを踏まえてお願いいたしたいと思うのです。  それから、この富士山を代表すべきおもなものは、一つは地下水であると思うのです。この地下水の利用をある程度法的に規制をし、あるいはその面を考慮しなければ、富士山の周辺地域の発展というものは、大いに水と関連してくるので、非常にむずかしい問題が出てくると思うのです。そのほか、周囲周辺に住んでおる五十万から七十万の市民、町民、村民の飲料水にもなっておる、あるいは工業用水等にもなっておる。そういう点で地下水の問題が、この法案の中に一つも盛られていないように感じますが、この辺はどのようにお考えになっていますか。
  177. 江間時彦

    江間政府委員 富士山の自然というのは、きわめて微妙な生態系を形成しておりまして、その一つの要素に地下水があるということは、われわれも承知いたしております。しかも、その地下水というものが、最近いろいろな面で関心の的になっていることも承知いたしております。この法案で明瞭に地下水という表現は使ってございませんけれども、この問題を取り上げるという段階になりましたならば、取り上げられる状態にあるというふうに考えております。
  178. 高橋繁

    高橋(繁)委員 じゃあ、どこで、どのように取り上げられるようになりますか、具体的に……。
  179. 江間時彦

    江間政府委員 たとえて申しますと、第五条の三号でございますか「治山治水又は砂防のための施設の整備に関する事業」、このような表現もございますが、おっしゃったようなことは、大体こういう条文に照らして包含できるんじゃないかというふうに考えております。
  180. 高橋繁

    高橋(繁)委員 三号のイの「治山治水又は砂防のための」ということは、それは事業でしょう。治山治水のための事業。したがって、地下水を規制するとか、あるいは地下水を守るとかいう点では、私は、ここのところでは——それは一体、事業の中に入りますか。
  181. 江間時彦

    江間政府委員 地下水の状態というものは広い意味での自然の一環であろうと思いますし、また富士保全法は、地下水そのものを規制するための立法でもございませんので、地下水という表現は出てまいりませんが、広い意味の自然の一環で、その自然を保護し、保全するという一環の中に十分入り得ると、われわれは考えております。
  182. 高橋繁

    高橋(繁)委員 それは従来も、そういうことはいえるのであって、ほんとうに周辺地域を整備するためには——やはり富士山の地下水というものも限度があると思うのですよ。地下水というものは無尽蔵にあるわけじゃない。それをいまのままで放置していけば、何の規制もなくどんどん掘られていき、やがてその周辺の地域住民に対しても、水資源の枯渇ということになることを考えると、整備をするための一つの方策として、地下水を守っていかなければ周辺地域の整備はできない。そこに水の問題が将来影響してくると思うのです。もちろん、自然を守ると口では言いますけれども、実際、現在、それはもうどんどん業者によって掘られておるわけですからね。これをそのまま放置しておけば、ここでいう富士周辺地域のりっぱな利用計画というものが全くおじゃんになるおそれもある。  こういうふうに考えると、地下水の問題も、富士山については、やはりある程度そうした規制方向考えなければ、せっかくの富士周辺地域保全整備はおろそかになるし、またできない場面に直面するかもしれない。また整備されたことによって地下水が乱掘りをされれば、富士山を取り巻く地域住民、多くの市民、県民がたいへん迷惑をこうむることになるんじゃないかと私は心配して、それで申し上げておるので、ひとつもう一度その辺についての見解をお聞きいたしたいと思います。
  183. 江間時彦

    江間政府委員 富士地域の地下水といえども、地下水をくみ上げること自身は一般的な規制のもとに服さなければならないということになっておりますし、それから自然公園関係地域内での行為でございましたならば、ボーリングをしたり地下水をくみ上げたりするということについての規制も加わるわけでございますし、現存のもろもろの法令を駆使する形で相当規制の強化はできるというふうに私は考えておるわけでございます。
  184. 高橋繁

    高橋(繁)委員 私はできないと思うのです、実際問題として。周辺地域がそういうふうに整備されていけば、その水というものは地下水にたよる以外にない。実際問題として、どこからも持ってこれない。この水の使用という問題は、たいへんな問題になってきておる。現に御存じのように、そうした地下水の変化というものは、あらわれているのですからね。  三島市というのは、大体水の都として有名だったのが、現在三島の楽寿園に行きますと、池には一滴も水はありません。なくなっているのです。それから富士市のあの工業地帯においては、地下水のくみ上げ等によって、かえって塩水が逆流をしてきている。あの山ろく地帯で、いま掘れば塩水が出てくる状態なんです。工場の設置の問題とかそうしたことによって、すでに枯渇の状態があらわれ、山ろく地帯で、あの山と平野との間ですでに塩水が出ているわけですから、そういうことを考えると、この富士山の地下水というものも、もう限度一ぱいにきているという感じが私はするわけです。  ですから、せっかくこうした法案をつくるならば、やはり明確に地下水の規制なりなんなりを、法律でできなければ省令なり何かの形である程度やっていかないと、非常に大きな問題になるということを私は申し上げたいのです。ほかの自然公園法とか何かで規制するということですけれども、そういう形で指導的に、あるいは省令等で考える御意思はありませんか。
  185. 江間時彦

    江間政府委員 地下水だけについて言いますと、率直に言いまして、私は別の法体系に属するのではないかと思いますが、ただ、富士地域をめぐって各省が行ないます計画を総合的に、一緒になってやっていくということになっておりますので、そのワク内でいろいろ検討する余地はあろうかと思います。
  186. 高橋繁

    高橋(繁)委員 まだ地下水の問題でこまかい問題はたくさんありますが、要するに、そうした意味で地下水の規制なり守るということで、ひとつ特段の努力を考えていただきたいと思うのです。  それから、この富士山地域の自然環境、先ほど言いました第五条の三号ですか、「自然環境の保護及び利用環境の確保に必要な施設の整備のための事業で次に掲げるものの概要」というイの「治山治水又は砂防のための施設の整備に関する事業」この中で、もうすでに質問もあったかと思いますが、あの大沢くずれ、これはいろいろな学者がいま研究をされておりますが、非常に大沢くずれが速度を増して、いまくずれつつあります。あと二百年たつと富士山の形が変わるであろうということまで極言をしておる学者もおります。  そういうことを考えますと、先ほどから申し上げておりますように、富士山あっての周辺であり、富士山あってのそうした周辺の地域というものが保全され、整備されていく、これがなければ何にもならないということを考えますと、この大沢くずれという問題が、この「総則」の第一条にありますように、ほんとうに富士山を守る、国民がひとしく享受して、後代の国民に継承すべきものであるということを考えると、この大沢くずれにかなりの研究をし、この災害、大沢くずれの防止をしなければ富士山の保護あるいは自然の保護、周辺の地域の利用ということもたいへんな問題になってくると思うのです。また、それに伴っての災害、まあ建設省の努力で潤井川に今度災害のための星山放水路をつくっていただいて、つい最近それが開通をいたしました。それで富士市の地域の皆さんの一応の心配はなくなりましたが、こうしたことを考えると、この「治山治水又は砂防のための施設の整備に関する事業」というものは非常に大きなウェートを持ってきますが、環境庁並びに建設省が主体の事業になると思いますが、環境庁として、こうした大沢くずれに対する認識というかお考えは、どのようにお持ちになっておりますか。
  187. 江間時彦

    江間政府委員 大沢くずれという、山がくずれる現象も自然現象の一つでございますから、自然を保護するとか、あるいは自然を保全するということだけについて言いましたならば、やはりくずれを防止するということについてもいろいろな議論があろうかと思います。また、その片方で確かに非常に大きな災害をもたらす要因でございますから、自然というものについての理解をどのようにするかは別としまして、現実にいろいろなことをやらなければならないことも事実かと思います。  そこで、具体的に大沢くずれをどうするかということでございますが、現時点におきまして、大沢くずれの防止工事というものを保全法の事業として取り上げるかどうか、この点につきましては、まだ建設省と最終的な形で検討をしておりません。ただ、明瞭に言えますことは、この富士保全法の事業として取り入れるだけの余地はあるということでございます。
  188. 高橋繁

    高橋(繁)委員 大沢くずれをごらんになったことはありますか。
  189. 江間時彦

    江間政府委員 下のほうから双眼鏡で拝見した程度でございます。
  190. 高橋繁

    高橋(繁)委員 この法案が出る以上は、大沢くずれを環境庁としても一度ひとつ見ておいていただきたいと思うのです。これはそばに行って見れば、その偉大さというものは、ほんとうに富士さんの形が変わってしまうという認識を深くすると思うのです。周辺の開発どころではなくて、その開発された地域が、利用された地域が、この大沢くずれによって一瞬になくなるという可能性もないでもないというように私は思うのです。  ですから、これは委員長にお取り計らい願いたいと思うのですが、ぜひとも委員会で大沢くずれの視察をよろしくお願いいたしたい。これはまた理事会でよろしくお願いします。
  191. 角屋堅次郎

    ○角屋委員長 法案審議の関係もありますから、御要請として承っておきます。
  192. 高橋繁

    高橋(繁)委員 建設省も来ているので、大沢くずれについて若干質問いたしたいと思いますが、従来かなりの防災工事をやっていただきましたが、その防災工事も一昨年の大沢くずれで簡単にこわれてしまっておるわけで、たびたび私質問しておりますが、大沢くずれについてのいわゆる防災という面から、どのように研究をなされ、あるいはどのように対策を講じられているか、お願いいたします。
  193. 松林正義

    ○松林説明員 大沢くずれの研究と、それから現在やっております工事の内容でございますけれども、大沢くずれは源頭部の崩壊の部分と、それから扇状地の堆積地帯の二つに大きく分けられます。  源頭部につきましては、現在研究しておりますのは、ここに工事をやることがはたして可能であろうかどうか。いわゆる直接に崩壊をとめると申しますか、拡大を防止するというふうなことが可能であろうかどうかということを、土木研究所を中心にして研究をいたしております。何ぶん水がございませんし、それから資材を運搬する道路もないというふうなところでございますので、そういう面を考慮しながら、はたしてとめるような工法が見出されるであろうかということを研究いたしております。  それから下流の扇状地でございますけれども、これは下流の人家、耕地等に直接災害の危険を及ぼす個所でございますので、これについては昭和四十三年から引き続いて砂防工事を流路工でやっております。これが現在までに三十五億一千余万円の事業をやっておりまして、成果としては相当効果をあげておるわけでございます。
  194. 高橋繁

    高橋(繁)委員 いわゆる大沢くずれの防災のための研究は、現状はどのようにされていますか。土木研究所か、あるいはその他で研究をなされていると思いますが……。
  195. 松林正義

    ○松林説明員 防災といいますのは、上流の崩壊をとめるということではなしに、下流の流路工から出る土砂、これがさらにその下流の芝川へ入るとか、あるいはさらに富士宮市の住民、民家等に被害を及ぼすということであろうかと思いますので、そういうことで答弁さしていただきますと……。
  196. 高橋繁

    高橋(繁)委員 大沢くずれそのものも……。
  197. 松林正義

    ○松林説明員 大沢くずれの拡大を防止するということは、先ほど申し上げましたように、現在の砂防の技術では、いままで経験のない分野でございます。標高が非常に高いということと、それから常に落石の危険のあるところで作業をしなければならぬというふうなことがございますので、そういうことが可能であるかどうかということでやっておるわけでございます。  現在、たとえば高分子系の物質を使いまして、ある程度表面を固めるというふうなことの研究もやっておりますが、まだ実用段階として、これを実施できるという段階までの成果は得られておりません。それから、その下の扇状地域におきまして、ここに上から出ました土砂が堆積いたします。ほうっておきますと、出水ごとにこれが下流の潤井川の下流に流れてまいりますので、そうしますと下流に災害が起こります。この災害を防止できるように、この扇状地内ですべて処理をしたいということを考えておるわけでございます。  そこで、この研究といたしましては、森林地帯による土石流の勢力の減少というふうなことも新たな課題でございます。これも、いままでの砂防事業の中では行なったことがございませんので、そういう面につきましても土木研究所で現在研究中でございます。これにつきましては相当の成果が得られるであろうという段階にまで参っております。
  198. 高橋繁

    高橋(繁)委員 要するに、この大沢くずれというのは、たいへんなくずれであります。したがって、せっかくの富士山を守ろうということであるならば、この大沢くずれをある程度解決しなければ、私は富士山を守るということは言えないと思うのです。ですから、どうかひとつ環境庁もよく認識してもらって、建設省とあるいは両々相まって、大沢く、ずれの防止に万全を期してもらいたい、こう思います。大沢くずれの問題、災害等で質問いたしますのは、これくらいにしておきます。  それから、ホの「その他政令で定める事業」これは渡部委員質問をしておりまして、その答えの中では、ごみ処理施設あるいは屎尿処理施設の整備などについての事業などをきめることを予定いたしております、このように理解してよろしいですね。
  199. 江間時彦

    江間政府委員 そのような御理解でけっこうかと思います。
  200. 高橋繁

    高橋(繁)委員 それから第十五条でありますが、この十五条を見ますと、「第七条第一項各号に掲げる地域においては、何人も、みだりに次に掲げる行為をしてはならない。」 「ごみその他の汚物又は廃棄物を捨て、又は放置すること。」こうありますが、第七条第一項、いわゆる徒歩利用地域、自然探勝利用地域、野外施設利用地域、休泊利用地域、この四つに指定をされるわけでありますが、その地域の中には、ごみその他の汚物盲たは廃棄物を捨て、放置することはいけない。ところが、この地域に指定されない場所は、それじゃいいのかということなんです。その点、どうだんです。
  201. 江間時彦

    江間政府委員 その他の地域におきましても、自然公園法の規制によりまして、ほぼ同様のことが禁止されておるということでございます。
  202. 高橋繁

    高橋(繁)委員 自然公園法によって規制をする、こうおっしゃいますが、現在それが自然公園法によって規制をされておりますか、どうですか。
  203. 江間時彦

    江間政府委員 確かにこの面につきましては、法律上の規制が行なわれているにもかかわらず、現実にはなかなかうまくいってないという面があることも事実でございます。これにつきましては、基本的に国立公園過剰利用であるとか、そのほかいろいろな理由がございます。これにつきましては、格段の努力をしてまいりたいということであります。
  204. 高橋繁

    高橋(繁)委員 これもひとつ認識をしてほしいと思うのですが、これはもう新聞紙上で出ておりますけれども、いま製紙スラッジ、製紙かすです。いままでは岳南排水路によって一切が海へ流されてきた、これがいわゆる環境基準法の規制によりまして、SSが規制をされてきた。そうしますと、いままで海に流されたものが陸へ上がってきた。その陸へ上がってきたスラッジが、今度は反対に山に登っていくという、いま現状にあるのですよ。その捨て場所が富士山ろくなんです。いいですか。あの製紙かすの中にはPCBも含まれていることは、これは事実であります。  してみると、私が先ほどから申し上げておりますように、その地下水の保護にしても、富士山をほんとうに守るという点からいっても、このごみその他汚物または廃棄物を捨て、放置することということにはなっておりますが、その指定された地域外は自然公園法で守るというが、現在それが守られておらない。その投棄個所は総面積は二十四万一千平米に当たっております。実質的にはもっと少ないですけれども、かなりのスラッジが、いま富士山ろくに投棄をされておる現状です。住民等が運動を起こしまして反対をいたしておりますが、なかなかこれはとまらない。  こういうことを考えると、やはりせっかく保全法ができても、そうした穴が出てき、いままでの自然公園法では、なかなか規制ができないというところに私はこれからも大きな問題があると思う。そうしたいわゆるスラッジの廃棄物、その辺の規制については、いまの自然公園法で守っていくというのでありますが、私はいまの状態では守られないと思うのです。この辺についての、もう少し強力な指導といいますか見解というものはお持ちになれませんか。
  205. 江間時彦

    江間政府委員 先生がただいま御指摘になった地域は、おそらく自然公園地域外のことであろうかと思うわけでございます。確かに一般の行楽客によるごみの廃棄というふうないろいろな問題はあるにいたしましても、産業廃棄物のようなたぐいのものにつきましては、やはり別の法体系におきまして厳重な規制をする必要もあるのではないかというふうに思います。
  206. 高橋繁

    高橋(繁)委員 自然公園法の地域の以外のところではないですかとおっしゃるのですが、これはひとつあとで調べていただきたいと思うのです、私、きょうちょっと調べる余裕がありませんでしたので。たとえば大渕の丸火の東であるとか、あるいはそれにしても、そういう場所があるのじゃないかと私は判断いたします。そこで、今度はいわゆる富士山のてっぺんを中心にして円形を描いて、その地域ということに大体の指定をしますと、ほとんどその中に入ってくるという可能性は私は出てくると思うのですね。その辺について、実際そうなった場合にどういうふうにお考えですか。
  207. 江間時彦

    江間政府委員 でございますので、いまあそこに列挙してございますような規制をまずかけるということが先ではないか。確かに過去におきまして、法律の運用のまずさその他によりまして不十分な面もございましたけれども、少なくとも、やはり法的な手当てをして規制をすることが可能になるということは必要じゃないかと思います。
  208. 高橋繁

    高橋(繁)委員 その地域がさっき第七条で示された地域であって、それ以外のところは、じゃそういう、極端なことをいえば、その他の地域はごみ捨て場ということになるのじゃないかというような感じがするわけです。ですから、示されたあの範囲内の中は、円形で描かれた中は、そういうごみその他の産業廃棄物を捨ててはならないというように強力に私は設けるべきじゃないかと思うのですが、その点どうなんですか。
  209. 江間時彦

    江間政府委員 富士山を中心として半径二十キロの範囲というのは、かなり広範な地域でございますが、その範囲内一切廃棄物を捨ててはならぬというような規制も現実にはむずかしいと思いますし、そこら辺はかね合いの問題もございますが、できるだけあの地域が清浄なりっぱな地域になりますように、いろいろくふうしてまいりたいと思います。
  210. 高橋繁

    高橋(繁)委員 その半径二十キロですか以内については、私はせめて産業廃棄物だけは捨ててはならない、このように強力に進めるべきであると思うのです。それでないと、やがてそれが地下水の汚染につながってくるし、周辺地域住民の健康もそこなわれてくる、こういうことを私、懸念をするので申し上げているわけで、そこまで規制できないというようにおっしゃるということは、私は環境庁としてはまずいんじゃないか、このように思うのです。その辺どうなんですか。
  211. 江間時彦

    江間政府委員 先生のおっしゃる趣旨もよくわかります。おそらくこの辺の問題は、一般産業廃棄物の処理の問題として行政上、事実上かなり強力な措置をとらなければならぬのじゃないかと思うわけであります。
  212. 高橋繁

    高橋(繁)委員 あなたは自然保護局長でしょう。だから、ほんとうに富士保全をするという意味なら、私は産業廃棄物は断じて捨ててはならない。ましてやPCBが含まれている製紙かすについては、私は即座に中止をさすべきが本来の環境庁としての役割りじゃないか。それをそのままなかなか規制できないというような答弁では、せっかくの法律がむだになるし、何のための法律かということがわからなくなってくるが、この辺どうなんですか。
  213. 江間時彦

    江間政府委員 やはり富士地域といえども具体的には産業も存在するわけでございます。また産業活動もあるわけであります。また、その地域におきまして産業廃棄物も出てくると思うわけであります。もし富士地域以外に一切そういうものを捨てなければならないということになると、現実の問題としては、なかなかむずかしい問題を含んでいると思います。そこら辺は単に法令上の問題を越えて、現実にいろいろな調整を必要とする問題でもございます。よく検討してまいりたいと思います。
  214. 高橋繁

    高橋(繁)委員 その、はっきり毒性を持っておる製紙かすについては、もちろん産業の発展、地場産業の育成ということも考えて、そこら辺も考慮しなければならない、こう言いたいところなんですけれども、それはそれとして、やはりいまはそういうものはやかましく言わないから、結局自分の工場のまわりに置くのをやめて、山へどんどん簡単に捨てておるのです。そういうことを工場側に対して黙って見過ごしていいかどうかということは、やはり自然環境を守るという面からいけば非常にまずいことじゃないか。ですから、せめて産業廃棄物だけは、この半径二十キロの指定された地域内の中には捨ててはならない、こういうような条文で見ますと、その地域の指定された以外のところへは捨ててはならないとありますから、指定されないところにはいいんだという考え方が成り立つわけですね。かえって逆用されるおそれがあると私は思うのです。だから半径二十キロ以内の周辺地域保全ということについては、そこまで私は考えてやるべきじゃないかということを一つ強く申し上げたいのです。よくひとつ検討していただきたいと思うのです。  それから地域の二十キロの指定の中でこの問題は出たかと思いますが、愛鷹山は非常に富士山関連を持つ山でありますし、あの二十キロの線で引きますと、愛鷹山の半分くらいは入るのじゃないか、こう思います。その辺の弾力性というものは、指定する場合考慮はいたしますかどうですか。
  215. 江間時彦

    江間政府委員 半径二十キロと申しますのはおおむねの目安でございまして、愛鷹山などはおそらく半分ぐらいかかるというような感じでございましょうか。そこら辺の弾力性は十分持って検討いたしたいと思います。
  216. 高橋繁

    高橋(繁)委員 そうしますと、愛鷹山もある程度、愛鷹山の山ろくのほうまで含まれるというように理解してよろしいですか。
  217. 江間時彦

    江間政府委員 今後具体的に検討いたしますが、余地としては十分あるというふうに御理解になっていいと思います。
  218. 高橋繁

    高橋(繁)委員 第十六条、これも審議の中で問題になったと思いますが、「関係県の知事は、毎年度、その年度の開始前に、富士地域保護利用整備計画に基づく当該年度の各事業」云々ということがございますが、この関係知事は、関係市町村と協議をして定めるという方向にしてほしいという希望も出されておりますが、その辺のお考えはどうなんですか。実施計画決定について。
  219. 江間時彦

    江間政府委員 計画段階におきましては、知事関係市町村の意見を聞くことになっておりまして、市町村の意見を取り入れる余地は十分あろうかと思います。
  220. 高橋繁

    高橋(繁)委員 当該年度の各事業を実施するにあたってもですか。
  221. 江間時彦

    江間政府委員 当初のグローブな計画段階においてでございまして、毎年の実施計画についてではございません。
  222. 高橋繁

    高橋(繁)委員 その毎年の年度の事業についても市町村の意見を聞くということで、たいへんな強い要望が市町村にあります。ですから、年度初めにあるいは年度終わりに、そうした方向で県に指導をすべきであると私は思うのですが、その辺は考えておりませんか。
  223. 江間時彦

    江間政府委員 一般的にこの種の法律のスタイルはこうなっておりましたので、このような条文になっておりますが、先生のおっしゃるとおり各年度の実施計画につきましても、県知事関係市町村の意見を聞くべきだと思います。そのような指導をしてまいりたいと思っております。
  224. 高橋繁

    高橋(繁)委員 時間ももうあれですけれども、せっかくのこうした法案が出されておりますので、最後にひとつまとめてみたいと思いますが、要するに富士山の保護をする、あるいはこの趣旨に基づいた富士地域の自然環境を保護するということからいきますと、先ほど申し上げました大沢くずれ、それから地下水の保全、あるいはその地下水を保全するための半径二十キロ地内におけるところの廃棄物の処理の問題、この三つの点について、いま質問をいたしたわけでありますが、そういう意味を含めて私は強力に今後指導もし、あるいは規則、省令等も含めた上で、その的確な措置を要求いたしたいと思いますが、最後にまとめてその決意なり御意見を聞かせていただきたいと思うのです。
  225. 江間時彦

    江間政府委員 先生が御指摘になりました三つの点は、いずれも富士の自然を守る上で非常に重要な点でございまして、今後いろいろな施策を進めていきます上で十分検討して善処してまいりたいと思うわけでございます。
  226. 高橋繁

    高橋(繁)委員 せっかく政務次官もいらっしゃっておりますので、いま質問をされました事柄について、政務次官の考えをひとつお聞きいたしたいと思います。
  227. 藤本孝雄

    ○藤本政府委員 先ほど来から先生の御意見を承っておりまして、特に三点の内容につきましては、全く私も同感でございます。これらの諸点、十分に強力に推進ができますように検討もいたしますし、またくふうもいたしてまいりたいと考えております。
  228. 高橋繁

    高橋(繁)委員 以上で終わります。
  229. 角屋堅次郎

    ○角屋委員長 折小野良一君。
  230. 折小野良一

    ○折小野委員 富士地域環境保全整備特別措置法案につきまして、若干の御質問を申し上げたいと思います。  第一に、この法律をつくろうとされたその趣旨でございますが、大臣の趣旨説明の中にもございますし、また、この法律の第一条に、抽象的なその趣旨というものは書いてございます。しかし、私ども考えまして、あの富士地域がここに書かれておるような地域であるということは十分了解ができます。といたしますならば、これはやはり自然の環境保全をするということが一番大切なことじゃなかろうか。そういう点からいたしますと、従来の自然公園法の指定を広げる、これは先ほどの質問にもございました。そういうことが、より一そう効果的な方法じゃなかろうかというふうに考えるわけでございます。しかし、ここに新たに富士地域について特別法を定めようというふうにされる、ほんとうの意図あるいは具体的なメリット、そういうものはどこにあるということで、この法律を立案されておるのか、お伺いいたしたいと思います。
  231. 江間時彦

    江間政府委員 富士の自然を守っていくというためには、先生のおっしゃいましたように、自然公園の区域を広げていくというのも一つでございます。また今回審議をお願いいたしております富士保全法におきまして、従来の法体系にない独特のメリットが三つばかりあるということを御説明申し上げておるわけでございますが、一つには、やはりすべての地域自然公園法の地域に指定するわけにまいりません。かなり人口の多い地域もございますし、いろいろな地域もございます。したがいまして、自然公園法から漏れている地域にまで規制を及ぼすことができるようになるというのが一つのメリットでございます。  それから第二点といたしましては、各省のいろいろな行政がございますけれども、そういう行政を富士地域につきましては、一体的に総合調整できるようになるというのが第二点のメリットでございます。  それから第三点といたしましては、この条文にもございますが、いわゆる利用の規制を意図いたしまして、地域ごとに利用地域というものをきめております。これは利用地域といいますと、いかにも何か開発を意図しておるかのごとき印象をお受けになる方もあるかと思いますが、要するに地域の実態に沿って利用を規制してまいろうという、これは従来の自然公園法の体系にはなかった新しい考え方でございまして、そういう三つのメリットがあるわけでございます。
  232. 折小野良一

    ○折小野委員 現在、私どもが承知いたしております富士山のいろいろな問題の中において、乱開発その他によって富士の自然環境がそこなわれる、これを憂慮しておる国民の声というのは非常に大きいと思います。そしてまた、そういう状態からいたしますと、ここに新たな規制を設けてでも、さらに一そう富士の自然環境を何とか保全する措置をとってまいりたい、こういうのが本来、富士地域に対する考え方でなければならない、私どもはそういうふうに考えるわけなんです。  そういう点からいたしまして、どうも、この法律見せていただいておるわけでございますが、そういう点に重点があるというのではなしに、むしろ利用の促進と申しますか、そういう面に重点があるような感じがいたすわけなんです。これは法律の規定のしかた、そういう面にもいろいろあろうと思うのでございますが、ただ、政府の趣旨としましては、やはり環境を守る、こういう点により一そう重点を置こうとしておられるのかどうか、その気持ちですね、その点をまずお伺いをしておきたいと思います。
  233. 江間時彦

    江間政府委員 その点につきましては、われわれ、純粋に富士山の自然の保護をはかっていくということに主眼点を置いているわけでございます。まあ利用地域とかいう表現も一般に誤解を与えておりますけれども、要するに国民が利用なさる場合にも、利用のしかたについて一定の規制を加えませんと、その自然が守れないというふうな意味で利用地域を設けておるということなのでございまして、決して開発を促進するとか、そういうふうな趣旨は毛頭ないということを申し上げたいと思います。
  234. 折小野良一

    ○折小野委員 ところで、今回、この法律によりまして、いわゆる富士地域というものが政令で指定されるということになっております。大臣の御説明によりますと、おおむね富士山頂から半径二十キロの圏内について指定をする、こういうことでございますが、現行の自然公園法によって指定をされておる区域と、それから新たにこれによって指定される区域ですね、すなわち、ある意味における規制が広がる、こういう区域と、その比率と申しますか、あるいはどれくらいの面積、新たに加わるのかという点について、ちょっと数字的に御説明願いたいと思います。
  235. 江間時彦

    江間政府委員 富士山頂を中心といたしまして半径二十キロ地域の面積は、大ざっぱに言いますと、大体十二万五千六百ヘクタールということになりますが、このうち、公園になっております地域は六万一千七百二十六ヘクタールでございます。おおよそ二十キロ地域の中に公園が大体半分ほどある、あとの半分は、その外であるということでございます。
  236. 折小野良一

    ○折小野委員 一つ念のためにお尋ねしておきますが、この数字の中に、いろいろ問題になっております演習場ですね、北富士、東、この演習場の面積は、このどちらに入るのでしょうか。除外されているのですか。
  237. 江間時彦

    江間政府委員 いま申し上げました十二万五千六百ヘクタールの中に演習場は入っておりまして、公園地域の中には入っておりません。
  238. 折小野良一

    ○折小野委員 この法律によりまして、結局自然環境保全と利用環境の確保をはかる、こういうことでございますが、ただいまも私申し上げておりますように、この法律の趣旨が、むしろ自然環境保全というよりは利用環境の確保という面に重点があるように見られる。こういう面のいろいろな規定は、この中にたくさん掲げられておるわけでございますが、このような規定によりまして利用の拡大がはかられようとしておるのじゃなかろうか、こういうような懸念があるわけでございます。  実はこの間、関係者の意見を私どもいろいろ聞かしていただいたわけでございますが、その中には、本来賛成の立場の方々もおられる。しかし、そういうような方々の中におきましても、今後利用の拡大というものに対する危惧と申しますか、そういうような意見を発表しておられる方もございました。それから、本来このような立法をすることにおそらく反対であろうという人たち、こういうような人たちの考え方の中心にも、やはり利用の拡大ということが一番懸念されるんだというような意見の開陳があったわけでございます。  いずれにいたしましても、利用の拡大がこの法律によってはかられるのじゃなかろうか、そして、それが環境破壊に通じていくのじゃなかろうか、今日富士地域で一番問題になっております環境破壊というのが一そう促進されるのじゃなかろうか、こういうような懸念が非常に多いわけでございます。そういう点については、絶対にその懸念はないというふうに政府としてはお考えになっておるのかどうか、あるいはそういうふうにはっきりおっしゃることができるのかどうか、お伺いしておきたいと思います。
  239. 江間時彦

    江間政府委員 率直にいいまして、現在富士山の登山客あるいは利用者というものは非常に激増いたしておりまして、もう飽和状態に達しております。過剰利用になっておるというふうな認識を持っておりまして、この法律によりまして、さらに利用を促進しようという気持ちはわれわれは毛頭ございません。むしろ、これからの方向といたしましては、より正しい方向で利用がなされるように規制をしてまいりたいというふうに考えております。
  240. 折小野良一

    ○折小野委員 現在非常にたくさんの登山客あるいは観光客がある。それによって富士の自然が破壊されようとしておる。こういう現状から見まして、新たに利用整備計画をつくり、あるいは利用整備事業というものをいろいろやっていこうということでございますが、確かにことばでは、いまおっしゃるようなこと、これは理解できないことございませんが、しかし現在の状態から見て、このような計画を立て、このような事業を進めていくということが一そう登山客を多くし、あるいは観光客を多くする、こういうことにならないでしょうか。ならないという保証があるのでしょうか。
  241. 江間時彦

    江間政府委員 われわれの意図いたしておりますことは、利用をふやすということよりも、利用者の利用状況をもう少し整理をいたしまして、正しい利用が行なわれ、自然がそこなわれないようにということが眼目でございます。
  242. 折小野良一

    ○折小野委員 ただいまおっしゃるような考え方ならば、新しい利用計画をつくるとか新しい利用整備事業をやっていくことの必要というのは、ほとんどないんじゃありませんか。質問者の中から具体的な問題等がいろいろと出されておりますが、たとえばゴルフ場、これも今日非常にたくさんできてきておって、むしろ多過ぎるくらいという状況だと思います。といたしますならば、むしろ、それを規制するといいますか一それは一ぺん認可をしたものを、いまここで取り消すというようなことは、なかなかできませんでしょう。いまやっておるものをやめさすということは、なかなかできないでしょうが、少なくも利用を規制するというならば、それを今後はやらないということ以外にはないのじゃなかろうかというふうに考えます。  その他のいろいろな施設等におきましても、現在すでにあまりにも多過ぎる。こういうような状態になっておるところに、今後自然環境を保護していこう、いまのような状態を改めていこうということでありますならば、少なくもまず第一に、今後そういうものを認めないという方針以外にはないのじゃなかろうか、私どもはそう思うのですが、どうでしょうか。
  243. 江間時彦

    江間政府委員 現在最も大きな問題は、非常に多くの人がいろいろ乱雑な利用のしかたをしておるというところに、やはり問題があろうかと思います。富士山のような山というのは、やはりできるだけ人間の足で自然を楽しみながら、そして自然をこわさないで、つつましく富士の自然に接してもらうということにあるわけでございまして、そういうふうな整理された形の利用に持っていく、そのためには必要最小限度のものは施設として整備しなければならない、そのかわり、逆にいいますと、その目的に沿わないものは一切認めない、そういう方向だろうと思います。先生がおっしゃいましたゴルフ場のことなどにつきましても、われわれはあれ以上ゴルフ場は要らないというふうに考えておりまして、この一年間ぐらいの間におきます行政方針におきましては、そのような形で事を進めておる次第でございます。
  244. 折小野良一

    ○折小野委員 いまいろいろ申し上げておるのですけれども、しかし現在の状態でさえ、非常に過度に利用され過ぎておる、しかも乱雑に利用され過ぎておる。ということは、現在あるそのような施設が、あるいは利用が多過ぎる、あるいは乱雑であるということでありまして、今後ふやさないのはもちろんのことなんですが、むしろ、いままでのものを何とか規制をするという方向に持っていかなければ、今後決してよくならないのじゃなかろうかというふうに考えます。それは今後やられようとしておるものにつきまして十分秩序のある利用の方法を考えるというようなことにつきましては、確かに間違いなかろうと思います。しかし、それをやることは、やはりプラスということになるのじゃないでしょうか。いままでのような状態をそのままにしておいて、新たにプラスしたからといって、全体の環境保全というものが、今後少しでもよくなるということには、どうもなってこないように考えるのですが、どうですか。
  245. 江間時彦

    江間政府委員 先生が御指摘になっておりますように、基本的には過剰利用という問題がございまして、これについてはやはり十分対処しなければならないと思っておりますし、それから過去におきまして、すでに認められておったもの、また従来からの慣行として行なわれておったもの、すべてが漫然とけっこうというわけにはまいらないだろうと私は思います。
  246. 折小野良一

    ○折小野委員 いままでのものが、すべてけっこうというわけにまいらないということになりますと、これに対して何らかの措置が必要だということになるのですが、それはこの法律でできるのですか、あるいは何らか方法を考えておられるのですか。
  247. 江間時彦

    江間政府委員 過去におきまして既得権を持っておる者に対しまして、その権利を剥奪するということは、きわめてむずかしいことでございますけれども、基本的には利用者の数をできるだけ減らす方向で、そして強力な行政指導をもって、富士地域を乱雑なものからできるだけ整理したものに持っていくというようなことは、行政方針次第ではやれるとわれわれは考えております。
  248. 折小野良一

    ○折小野委員 いずれにいたしましても、いろいろと努力をしなければならないことは、これはもう申し上げるまでもないことだと思います。  そういう立場で二、三この法案内容について疑問の点があるわけでございますが、その一つといたしまして、法案の六条によりまして、富士地域の保護利用整備計画関係知事が立案をすることになっております。その際に、公聴会を開催するということでございます。いわゆる公聴会というのは、住民の意思を聞くということで、きわめて民主的な制度だというふうにされておるわけでございますが、はたしてこの公聴会の意見が正しく計画の立案に反映されるのかどうか。  それからその次には、さらに決定にあたりまして、総理大臣が審議会の意見を聞くということになっております。これもまた、いわゆる行政民主化の一つの方法であるということになっておるわけでございますが、その審議会の正しい意見がはたして十分聞かれるのであるかどうか、こういう点、非常に問題だと思います。  それぞれの手続を経ていけば、それでものごとは決するということになるわけでございますが、その手続の中で、この公聴会とかあるいは審議会の意見、こういうものが正しく取り入れられる、十分に反映をする、こういう面の保証がはたしてあるのかということでございます。少なくもこの法律案で見る限りにおきましては、ただ、そういう手続を踏むというだけのことでございます。そういう点については、どういうふうにお考えになっておりますか。
  249. 江間時彦

    江間政府委員 公聴会に出ました意見をどのような形で反映させるか、あるいは審議会で行なわれました審議の成果をどのように生かすかということは、この条文には何ら保証めいたものは書いてございませんけれども、これを生かすための十分な行政運営を考えていきましたならば、私らはこれらの意見というものが十分生かし得るというふうに考えております。
  250. 折小野良一

    ○折小野委員 これらの意見が、この法律の趣旨といたしております富士のすぐれた自然環境保全する、こういう第一の大きな趣旨からいたしまして、それに適合しておる意見であるかどうかということの判断、これは非常にむずかしいと思います。それぞれの立場の人は、それぞれの立場においていろいろな利害を持っておるわけでございますから、そういうような意見がいろいろと出てくるであろうと思います。したがって、そういう面の意見の取り上げ方といいますか、こういう問題は実際上非常に困難な問題がございますし、こういう手続を経たんだから、それでやむを得ないんだ、こういうような結果になりまして、結局、法が目的といたしておりますその趣旨に合致しない、そういうような結果が出てこないとも限らないわけでございます。そういうような懸念をする人もあるわけでございますが、そういう点についてはどういうふうにお考えになっておりますか。また、そういうような問題に対して、ほんとうに法の趣旨に沿った結果が出るように何らかの方法を講ずる、こういうようなお考えはございますかどうか。
  251. 江間時彦

    江間政府委員 最近におきましては、自然保護についての一般的な世論というものが非常に高まっておりまして、私、若干楽観的かと思われますけれども、たとえば自然環境保全審議会には、いろいろな面からの方が加わっていらっしゃるわけでございますが、最終的には、常に自然を手厚く保護する方向で議が進められ、審議が行なわれておるというのが実情でございまして、この種のものが民主主義に反して片寄ったものになるというふうなことは、私は考えておりません。しかしながら、御指摘のような点は、審議会の構成その他におきまして十分配慮しながら、自然保護を手厚くする方向検討してまいりたいと思うわけでございます。
  252. 折小野良一

    ○折小野委員 いずれにいたしましても、このような規定はございますが、結局法の運用は人にありということになってくるのじゃなかろうかというふうに考えます。こういう点につきましては、お互い一定の制度があるから、あるいは一定の法の規制があるからということだけで安心しておっていい問題では必ずしもないように思われます。いずれにいたしましても、具体的にこの法律が施行されるということになった場合において最も大切なのは、そのような法の運用というところに一番の問題があるのじゃなかろうかというふうに考えます。  ところで、この法案の十一条ですが、これの第五項に、経過的ないろいろな行為について「第一項及び第二項の規定は、適用しない。」こういうのがあるわけなんです。この中で「軽易な行為」とか、あるいは「保護利用整備事業の執行として行なう行為」とか、非常災害の応急措置というのは一応わかるわけなんですが、この区域が指定される場合に、すでに着手していた行為、これについては「第一項及び第二項の規定は、適用しない。」こういうことになっております。  一応普通の場合ですと、それはそれでいいと思います。既得権を侵害してはならない、こういうことになるわけでありますから。しかし、この法律の趣旨からいたしますと、これは先ほど来いろいろお話がございますように、あくまでも富士のすぐれた自然環境というものを守っていきたい、しかも今日非常に乱雑に利用され過ぎておる、これを何とか規制をしていきたい、こういうような趣旨があるわけでございます。といたしますならば、いままですでに一定の手続を経て認可をされ、あるいはそれによって着手をされておる行為でありましても、場合によってこの際、それを考え直してもらう、こういうことはあっていいのじゃなかろうか、こういうふうに思うのですが、そういうことの見直し等は一切される御意思はないのですか。
  253. 江間時彦

    江間政府委員 先生がただいま御指摘になりました点は、規制が強化されます立法の際にとられる一般的なやり方でございまして、それに従ったのでございますが、先生のおっしゃるような趣旨もございますので、具体的な行政措置といたしましては、十分厳重な方向検討していくように努力してまいりたいと思います。
  254. 折小野良一

    ○折小野委員 努力していこうというお気持ちはわかるのです。しかしながら、法律がこういうふうになっておりますと、幾ら環境庁のほうで御指導になっても、法律がこうなっておるじゃないかというふうに言われますと、それ以上はもう何ともならないのじゃなかろうかと思うのです。たとえば、さっきも申し上げましたゴルフ場の問題ですね、また今後、ところによっては認可されて着工するかもしれません。そういうときに多小の工事が進んでおった。しかし、ここでこの法律が施行になって、この際、やはりこれは何とかしていいんじゃないか、こういうような面につきましていろいろ指導するといいましても、相手はこの法律を知っておる、こういうことで別に法律にないじゃないかということになりますと、幾ら気持ちは気持ちでも、実際の効果というものはあがっていかないのじゃなかろうかと思うのです。そういうものを、やはり経過的には何とかするものが現実にあるのじゃなかろうかということも予想されますし、そういうものを予想して、やはり何とかするような規定のしかたをするということは、大切なことなんじゃないでしょうか。
  255. 江間時彦

    江間政府委員 われわれ具体的な権限のない事柄につきましても、かなりいろんな面で行政指導で押えているものもございます。いま先生が御指摘になったゴルフ場のようなものは、必ずしも法令上の根拠が十分でなくても、事実上われわれ押えている面がかなりございます。したがいまして、法律に明確な根拠がないと何にもやれないというわけではないと、われわれは思います。その点、御趣旨を十分体しまして努力をしてまいりたいと思います。
  256. 折小野良一

    ○折小野委員 問題は、いろいろの段階において出てくるわけでございます。これをやらしてくれとか、これを認可してくれという場合に、それはできませんよということで事前に押えるということは、もう皆さん方の努力でいけると思うのです。しかし、一たん認可されて、そして着手されたという状態のときに、それを行政指導でとめるということ、これはやはりなかなか困難なことだと思います。やはりそのためには、法律その他の根拠というものがなければ、せっかく皆さん方の御意思はそうであっても、また行政指導をいろいろやられたにいたしましても、実際は困難じゃなかろうかというふうに考えます。私は、あえてここにこういう規定を置いて、これを除外する必要はないのじゃないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  257. 江間時彦

    江間政府委員 どうも繰り返し申し上げるようでございますが、規制が強化されます立法の際には、こういうのが入るのが通則になっておりまして、そこら辺が先生の御趣旨に必ずしも沿わないわけでございますが、実際の運用面では十分な努力をしてまいりたいと思うわけでございます。
  258. 折小野良一

    ○折小野委員 直接これに関係ございませんけれども、去年熊本の大洋デパートの火災がありました。あの前に消防法が改正になって、ああいうたくさんの人が集まるところでは、スプリンクラーをつけなければならないことになっておった。ところが、それには一定の規制がありまして、あの大洋デパートのように、その法律ができるよりか前からあったものについては、これはさかのぼらない、不遡及の原則によってやらなくてよかったわけなんです。ところが、いざ火災になって、あれだけたくさんの人がなくなった。そのあとになって、やはりああいう場合には遡及してやってもらわなければならないということになって、今度、その前にさかのぼって適用するような法律を、あらためてつくらなければならなかったわけです。  人命と自然環境と比較して、どちらが大切かということは、これは言えないだろうと思います。しかし、自然環境もまた非常に大切。しかもここにございますように、日本の自然を象徴するこの富士山の自然というものも非常に大切なものだと思います。といたしますならば、これはでき上がってしまったものを旧に復するということは、なかなか困難にいたしましても 着手をしておっても、いまならまだ直せるというものはあるはずだと思うのです。それくらいのものは、やはり富士の自然環境というものが大切であるというふうに考えれば考えるほど、制度的にももう少し何とかなってもいいのじゃなかろうかというふうに考えるわけです。  確かに、いまおっしゃるように、普通規制をする場合には、そのきめたあとの分についてやるのであって、原則としてはさかのぼらないというのが普通でしょう。ここの場合に、やはりそういう普通の状態法律の規定のしかたを持ってきた、それは確かにそのとおりかもしれませんが、今日の状態富士の自然環境を守ろうという立場からするならば、私は環境庁として、決して口でおっしゃるほど富士の自然を守るのに、それほど一生懸命じゃないのじゃなかろうかというふうに考えざるを得ないのですが、どうなんでしょう。
  259. 江間時彦

    江間政府委員 私のほうは自然を守るという点においては決して不熱心なわけではないと思います。先生が御指摘になりました点は非常に重要な点でございますので、私らのほうも十分念頭に入れさせていただきたいと思います。
  260. 折小野良一

    ○折小野委員 これがこのまま通ってしまったら、幾ら皆さんが念頭に入れておいでになりましても、結果的には効果がないということにならざるを得ないと思うのです。そういうようなことで、口では自然の環境保全するということを非常におっしゃっておられるわけですが、この法案そのものから見ますと、必ずしもそうおっしゃるほど、自然の環境保全にそれほど御熱心じゃないのじゃないかと思われるような面があるわけです。  たとえば十五条(利用地域における行為の規制)これはこの法律だけでなしに、自然公園法あるいは自然環境保全法、そういうものにもそれぞれある規定なんですが、その二項に、国または地方公共団体の当該職員は、前に規定してあります二つの行為のうち第二の行為について、その行為をやめることを指示することができる、こういうような規定がございます。確かに、この区域内におきまして喧騒にわたるような行為があった場合に、それをやめさせる。これは当然なことだと考えるわけです。ところが一項の「ごみその他の汚物又は廃棄物を捨て、又は放置すること。」これについては、別にこの二項によって規制をする、そういう指示をするということはないわけなんですね。どれだけ違うのでしょうか。
  261. 江間時彦

    江間政府委員 やや技術的な点にわたりますが、十五条の第一号の「ごみその他の汚物又は廃棄物を捨て、又は放置すること。」これをやりました人は、二十八条の四号でございますか、これで直ちに罰則がかかるということになります。そして十五条の第二号の行為、これはやや不注意にも行なう人があるということを想定いたしまして、第二項で行為をやめることを指示するということがかかりまして、この指示にもかかわらず違反をした場合に、二十八条の五号でございますか、罰則がかかる、そういうふうな二段がまえになっておりまして、一号のごみ、汚物その他を捨てたという行為は、これはもう直ちに罰則がかかる。二号のほうは、やめるという指示を一たん出しておいて、指示が聞かれなかった場合に罰則がかかる、そういうふうなかまえになっておるのだと思います。
  262. 折小野良一

    ○折小野委員 法律の技術的な規定のしかたというものは、いろいろあろうかと思います。ここに二つの行為、これが掲げられておるわけでございますが、そのほかに自然公園法によるものがございますし、それから自然環境保全法による規制というものもいろいろあるわけでございます。もちろん、この区域はその区域とは別個の区域ということになるわけでしょうが、しかし、全体の富士地域保全という立場からいたしますと、いろいろな行為というものを規制をしなければならない、現状やむを得ないことだというふうに考えます。  ところが、その行為の規制というものが、はたして十分行なわれておるであろうかということなんです。私どもは、すべての国民がそういう面十分に認識をしていただいて、そうして規制をされなくとも、あるいはいろいろ指示をされなくとも、罰則がなくとも、それが守られるということが最も望ましいことではございますが、現状はなかなかそうまいりません。そういうような点から、いろいろと指示をやったり、あるいは罰則をきめたり、あるいはいろいろな行為を禁止したり、そういうことをせざるを得ないわけなんです。そうした場合に、たとえばここの地域につきまして、山から植物をとってきたとか、あるいは土石をとってきたとか、そういうものがたまたま途中でひっかからないで、ここまで来たというようなことがあるわけなんです。そういうような場合には、やはりいろいろと指示をしたりする必要があるのじゃなかろうか。もっと広範な区域全体の自然の保護についての規制というものが、ある程度こういうようなところにおいても行なわれていいのじゃなかろうかというふうに考えますが、この職員のほんとうに行なえる、その規制の範囲といいますか、それはどういうようなことになりますでしょうか。
  263. 江間時彦

    江間政府委員 一般の人が行ないますいろいろな法に違反したような行為というものは、いろいろな態様がございまして、その書き方あるいは程度につきましても、いろいろな書き方があるかと思いますが、この法律におきましては、書き方としては、軽易な違反につきましては、それをやめるように指示をして、そしてそれを聞かない場合に罰則をかけるという形をとったわけでございます。現実に、われわれの担当しております職員に警察権があるというわけではございませんで、事実上の指導というものは、またこれと別に行なえるわけでございまして、そこら辺はできるだけ十分な形でやってまいりたいと思うわけでございます。
  264. 折小野良一

    ○折小野委員 いずれにいたしましても、いろいろな方法によりまして、できるだけの規制を行なっていかなければならない、そういうような状況にあろうかと考えております。  それから、一つ一般的なことでございますが、自然環境保全をする、そういうことについてちょっとお尋ねしておきたいと思いますが、いわゆる自然環境保全をする、これはどういうふうにお考えになっておりますでしょうか。どういうことが自然環境保全することであるというふうにお考えになっておるでしょうか。
  265. 江間時彦

    江間政府委員 自然環境保全というものにつきましては、いろいろな考え方があろうかと思いますが、私らが現在持っております考え方は、保全といいますのは、自然を最良の状態に維持すること。単に、そのままの状態に保存するということは考えておりません。自然の状態とその価値によりまして、厳正に自然の状態を維持し、一切の人為を加えないこと、あるいは、ある程度人為により維持管理をするに至るまでの広い概念、そういうふうな状態をわれわれはさしておるというふうに考えております。
  266. 折小野良一

    ○折小野委員 そこで、具体的な問題で一つお伺いしたいのですが、自然をそのまま放置することによって、自然そのものが破壊をされる、こういうことがあるわけであります。たとえば普通の細胞の中に、ガン細胞が発達することによって結局その人を殺してしまう、そういうのと似たような状況でございますが、特別な害獣、害虫等が異常発生をして自然をこわす、こういうようなことが現実にあるわけでございます。こういうような点から考えますと、一切の人為を加えないということでおいておくということは、必ずしも自然環境をいい条件のもとに保全をするということにならないのじゃなかろうか、こういう面については、もっともっと力を入れなければならないのじゃなかろうかというふうに考えますが、環境庁としては具体的な問題として、どういうふうに対処しておいでになりますか。
  267. 江間時彦

    江間政府委員 先生が御指摘になりましたように、全く自然のままに放置することは、必ずしも適当でない場合というのはたくさんございます。たとえていいますと、原生林の中にマツクイムシが発生した、もしそれを放置しましたならば、原生林が全部やられるだけではなしに、それ以外の地域にまで被害を及ぼすというようなこともあり得るかと思います。やはりこれはエコロジーに従って、そのままほっておくということではございませんで、自然を最良の状態に維持するという方向考えてまいりたいと思っておるわけでございます。
  268. 折小野良一

    ○折小野委員 そういう点から、具体的にいまお話のございましたマツクイムシですね、これにつきましての被害というのが非常に大きなものになってまいっております。もちろん、これは植林地帯に対する被害、したがって経済的な問題に直接関連をする面もありますが、保安林とか、それからいわゆる自然公園地帯にも広がってまいるわけでございます。そういうような面について、環境庁としては何らか対策を講じておいでになりますか。
  269. 江間時彦

    江間政府委員 たとえばマツクイムシの問題などにつきましては、行政的な面では、主として林野庁がやっていらっしゃいますが、われわれの管轄区域におきましても非常に重要なことでございますので、両方が一緒になって努力をしておるつもりでございます。われわれの立場といたしまして、決して自然のままの状態で放置したほうがいいというふうには考えておりません。
  270. 折小野良一

    ○折小野委員 確かに林野庁が森林行政という面から、これにいろいろ取り組んでおいでになることは承知をいたしております。しかし、実際のマツクイムシの被害というのは、こういう林野行政という立場から問題になる区域だけでなしに、環境庁が問題にいたします一般のいわゆる自然の景観ですね、そういう面にも非常に大きな影響をもたらすわけでございます。少なくも日本の国土から松がなくなったということになってまいりますと、これは日本の景観の価値の相当程度というものは減殺されるであろうと思います。こういう面からいたしますと、もっともっと環境庁は積極的に、こういう面の駆除にも努力されること、これが環境保全の事業のやはり一つじゃなかろうかというふうに考えます。  それから、最近ときどき問題になりますのが、特殊な植物が非常に繁茂する。たとえばアメリカから、たまたま日本に渡ってきたある種の植物が異常繁殖して、そして従来その地域にあった植物を圧迫してしまう、圧倒してしまう、こういうようなこともあるわけでございます。そういうような面についての対策と申しますか、そういうことは現在のところは、どこでやっておいでになるのでしょうか。あるいは環境庁としては、そういう面は関心を持って対策を講じようとしておられるのでしょうか、どうでしょうか。
  271. 江間時彦

    江間政府委員 外国から入りました特殊な雑草が、非常に方々でばっこをしておるという事実の認識はございますが、遺憾ながらまだ環境庁としては、それに対処したことはやっておりません。
  272. 折小野良一

    ○折小野委員 いずれにいたしましても、自然環境保全というのは非常に大切な問題だと思いますし、今回富士保全法を出された趣旨も、本来はやはり利用ということよりは、自然環境をより一そう保全をしていこう、こういうところに、その趣旨がなければならないのじゃないかと思います。そういう点からいたしまして、この法案内容は、必ずしも多くの国民の納得するものでないような気がいたします。そういうような面につきましては、法律あるいは制度だけが万全だというわけにもまいりませんし、それを運用するのは特に関係の人の問題、こういう面があろうかと思っております。  いずれにいたしましても、この法案が今後成立をしたということになってまいりますならば、その運営については、よほど厳重に注意をしていただかなければならないのじゃなかろうかというふうに考えるわけでございまして、特に環境庁の自然環境行政の一そうの、その目的を達成するための御努力をお願いをいたしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  273. 角屋堅次郎

    ○角屋委員長 次回は、来たる五月九日木曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時五十三分散会