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1974-04-12 第72回国会 衆議院 公害対策並びに環境保全特別委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年四月十二日(金曜日)    午前十時三十四分開議  出席委員   委員長代理 理事 島本 虎三君    理事 林  義郎君 理事 森  喜朗君    理事 渡部 恒三君       田中  覚君    戸井田三郎君       羽田野忠文君    橋本龍太郎君       渡辺 栄一君    岩垂寿喜男君       佐野 憲治君    米原  昶君       岡本 富夫君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 三木 武夫君  出席政府委員         科学技術庁原子         力局長     牟田口道夫君         科学技術庁原子         力局次長    伊原 義徳君         環境庁長官官房         長       信澤  清君         環境庁自然保護         局長      江間 時彦君         環境庁水質保全         局長      森  整治君         厚生省環境衛生         局長      石丸 隆治君  委員外出席者         経済企画庁総合         開発局開発計画         課長      箕輪  哲君         文部省体育局学         校給食課長   高石 邦男君         運輸省港湾局管         理課長     勝目久二郎君         運輸省港湾局開         発課長     小野寺駿一君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ————————————— 本日の会議に付した案件  公害対策並びに環境保全に関する件(水質汚濁  対策及び自然環境保全対策)      ————◇—————
  2. 島本虎三

    島本委員長代理 これより会議を開きます。前回に引き続きまして、私が委員長の職務を行ないます。公害対策並びに環境保全に関する件について調査を進めます。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡本富夫君。
  3. 岡本富夫

    岡本委員 きょうは長官が一時過ぎですか、お出かけになるそうですから、時間の範囲内で行ないますので、明確にお答え願いたいと思います。最初にお聞きしたいのは、原子力船の「むつ」の母港化決定におけるところの問題でありますが、これは青森県のむつ市でありますけれども、この決定にあたっての環境アセスメント、これについて少しお聞きしたいと思います。そこで、科学技術庁にお聞きいたしますけれども、原子力発電用地あるいは原子力船母港地、これを決定するにあたって、原子炉安全審査、そういうものはもちろんのことでありますけれども、それと同様の厳重な環境アセスメントが必要である、こういうように考えられますが、現在どのように行なわれておるのか、ひとっこれは科学技術庁のほうからお聞きしたいと思います。
  4. 牟田口道夫

    牟田口政府委員 お答えいたします。ただいまお尋ねの、まず原子力発電所設置の場合でございますが、これは御承知のように、安全審査の際に、単に原子炉の工学的な安全性だけではなくて、自然的条件、たとえば地形地質陸水海象地震気象等審査いたしまして許可いたしております。同様のことは、原子力船につきましても、原子炉設置という立場から規制法は規制いたしております関係もございまして、同様の点は、これを審査対象といたす次第でございます。
  5. 岡本富夫

    岡本委員 そこで、「むつ」の母港決定におけるところの、いまあなたのおっしゃった立地、地質あるいは気象、こういうものの環境調査、これをおやりになっておるかどうか。
  6. 牟田口道夫

    牟田口政府委員 原子力船むつ」の定係港にかかわる原子炉施設安全審査の際も、敷地の周辺環境地質海象気象地震水利等審査対象といたしました。
  7. 岡本富夫

    岡本委員 本年の三月二十日、むつ市の菊池市長記者会見で、原子力船むつ」の母港決定に対する疑義がある、こういうように記者会見で発表しておるわけでありますが、この中で、国は、安全審査会から設置認可を得るために必要な地質調査も行なわず、データも借りものである、こういうような内容の記者会見をしておるわけでありますが、これについて、どういうように科学技術庁はお考えになりますか。
  8. 牟田口道夫

    牟田口政府委員 地質の点でございますが、事業団申請をいたす前に、この同じ地域につきまして、むつ製鉄という会社がその地域工場を建設する予定をもちまして、ボーリング等十分な地質調査を行なった報告資料がございましたので、同じ地域であります関係もありまして、事業団はこの資料に基づきまして、地形資料として提出いたしたものでございまして、審査はこれに基づいてなされたものでございます。
  9. 岡本富夫

    岡本委員 たとえば地質調査、これは東北鑿泉株式会社に委託して行なわれたのは四十二年の十二月のことであります。それからむつ製鉄が行なったと、こういうように言っておりますけれども、これは三十八年六月から三十八年の十月にわたり、ダイヤコンサルタントに依頼して調査を行なったもので、むつ工場予定地のために報告されたものであって、実際にボーリング調査をしたのは東北ボーリング、これが四十二年の十二月に行なった、こういうことでありますから、認可以前にははっきりしたところの調査を行なっていなかったのではないか。ここに一つ問題点があるわけですが、いかがですか。
  10. 牟田口道夫

    牟田口政府委員 先生指摘東北鑿泉株式会社の行ないましたボーリングは、事業団許可を得ましたあと実際の工事をするというとに、工事のために必要な詳細設計と、それから価格の算定を行ないますためには、なお詳細なその工事上に必要なボーリングというものを必要といたしますために、四十二年十二月から始められたものでございまして、先ほど先生指摘審査のためには、ちょうどむつ製鉄が同じ場所ダイヤコンサルタント株式会社というところでボーリングをやって、その地質調査というものの報告書審査に足るものであると考えられまして、その審査は、そちらのほうでやりました。審査を終わったあと実際に事業団工事をするということになりますと、さらにそれがボーリング等をする必要があるものでございますから、それを東北鑿泉で四十二年十二月にいたしました、こういうことでございます。
  11. 岡本富夫

    岡本委員 そうしますと、当初の設計が四十二年に入ってから二度も変更されておる。ということは、はっきりした調査ができてなかった、これを一つあらわすのではないでしょうか。いかがですか。
  12. 牟田口道夫

    牟田口政府委員 設計変更ということは、これはよくあることでございますけれども、この場合には、ちょうど十勝沖地震というものがございましたので、なお岩壁クレーン基礎部につきましては増強設計変更をする必要がある、かように考えて、二度それをいたしたわけでございまして、補強のために、なお万全を期したということでございます。
  13. 岡本富夫

    岡本委員 補強のために万全を期すのであれば、これは決して二度も設計変更する必要はないのじゃないですか。その点がどうも疑義がある、こういうように考えられるのですが、いかがですか。
  14. 牟田口道夫

    牟田口政府委員 先ほど申し上げましたとおりに、大なり小なりの設計変更というものは、普通の工事で行なわれるわけでございますけれども、この場合は特に先ほど申し上げました十勝沖地震というものがございましたので、その経験にもかんがみまして設計変更をいたしたということでございます。
  15. 岡本富夫

    岡本委員 こういったものの事前評価については、やはりこういった地震とか、あるいはまたそういった不測のことをよく調査の上で認可をおろすべきものではないのですか。たまたま地震があったから、また計画変更をするというようなことでは、完全な事前評価ができてなかったのではないか、この点われわれは非常に心配するわけです。  そこで、この認可申請のために提出したところの地質調査資料と、それからむつ製鉄に関連して東北開発株式会社が委託を受けて行なった銭高組ボーリング調査と比較すると、同じ三十メートルの水深の中で地質が違うわけですね。提出された資料では凝灰石、それで凝灰石だから定係港には悪くない、こういうようにいっておりますけれども、四十二年十二月に行なわれたところの銭高組データでは砂質火山灰、こういうように地質が違うわけですね。だから、これは適当でないというようにいわれておるのですが、これについてはいかがですか。
  16. 牟田口道夫

    牟田口政府委員 先生指摘凝灰岩砂質火山灰との違いは、凝灰岩が百万年より前の第三紀層であって、砂質火山灰は百万年未満の第四紀層でございます。そういうことでございますので、判定がむずかしい場合もございますけれども、結局は、こういう安全審査をする場合には、構築物基礎として地耐力がどの程度あるかということであると考えます。そういう意味では、この場合には支持層として構築物の建設を行なうに足る、この場合の原子炉関係施設を構築するに足るという、その地耐力のほうが重要でございまして、そういう意味では、この場所地耐力は十分耐え得るというぐあいに考えたものでございます。
  17. 岡本富夫

    岡本委員 その点が、要するにむつ製鉄ダイヤコンサルタントに依頼して調査したものと、それから認可してから四十二年になって調査したのと、こういう地質が違うということは、——それでも安全だとあなたは言いますけれども、最初認可する前に調査したのと、あとでいよいよ工事を行なうために調査したのと、こうした地質が違うということは、これはどうも前の調査というものがいいかげんであった、それをいいかげんにしながら認可をした、こういうふうに考えざるを得ないわけですね。それと一致しておるというならば話はわかるわけですよ。わずか三十メートルの地質調査だけでも、こういうふうに違う。しかも、先ほど私言いましたように、途中で二回も変更しておる。これは十勝地震があったからだと言うが、こういうことでも、どうもこれでは地元住民を代表する市長にしましても、非常に信頼がおけない。日本は唯一の被爆国でありますから、原子力平和利用というものは私たちにもうなずけるわけでありますけれども、二度とああいうことが起こってはならないということで、世界でも一番シビアに考えなければならないと私は思うのです。それであるのに、この地質調査なんというものは物理的にわかるわけですね、それが許可前と許可後との調査によって違うということでは、これはどうも信用ができないのじゃないか。なお、海象調査も、水産庁の調査したものですか、これを借りてきておる。ですから、事前評価に非常にずさんであったのではないかというように考えられるわけですが、この点いかがですか。
  18. 牟田口道夫

    牟田口政府委員 御質問最初のほうの地質の点でございますが、繰り返して恐縮でございますけれども、問題は地耐力でございまして、地質自体ではないと考えたわけでございます。地耐力としては十分条件を満足しておると考えたわけでございます。  それからなお、先生指摘砂質火山灰というふうに出しましたほうの資料は、先ほど申し上げました四十二年十二月に東北ボーリングでやりました資料ではございませんで、むつ製鉄が別に頼んだ資料でございまして、そちらのほうは審査対象とはいたしておりません。いずれにしても、審査対象といたしました資料によりますれば、地耐力としては十分条件を満足しておったと考えたわけでございます。  次に、お尋ね海象は、これはまさに海上保安庁水路部資料というのは一番信用に足るものと考えまして、これを資料対象といたしたわけでございます。
  19. 岡本富夫

    岡本委員 もとに戻りますけれども、この認可申請のために提出した地質調査資料、これは東北開発鑿泉株式会社と、それからむつ製鉄調査した地質とは相違はあるけれども、力においては関係がないのだ、こういうふうにあなたはおっしゃるけれども、それならば、あと砂質火山灰であるということがわかったのですが、その事前調査のときにわかっておったのですか、どうなんですか。
  20. 牟田口道夫

    牟田口政府委員 先ほど御説明いたしましたように、審査のときは、むつ製鉄ダイヤコンサルタントに依頼して行なった調査報告書によりましたので、凝灰岩ということでその資料は報告されているということでございます。
  21. 岡本富夫

    岡本委員 そうして建設しようとして実際にボーリングをすると、今度は砂質火山灰だった。この一つを見ましても、最初調査したのと、あとで今度はいよいよ工事にかかるということでボーリングをすると地質が違う。もしももっと違った場合、これはどうしますか。したがって、国で行なっておるところの安全審査あるいは事前調査というものは、非常にいいかげんなものだ。地質ですからね、それが違うのですから。私はその点がどうも納得ができないわけですよ。地元住民皆さんもその点を非常に心配しておる。事故が起こってからでは、どうにもならないわけです。この点について、いかがですか。
  22. 牟田口道夫

    牟田口政府委員 建築をいたしますときの地質調査目的は、やはり地耐力構造物を建てるに耐え得るかどうかというところがポイントでございますので、もちろん地質を幅広く調べても、結局、結論は、そこのところの地耐力がどのくらいの値であるかということによって、審査ポイントがそこできまるものと考えます。
  23. 岡本富夫

    岡本委員 私は、そんなこと言っていないんですよ。地耐力については私、まだそこまで調査しておりませんけれども、最初調査したときの地質事前評価をして、あなたのほうが許可を与えたときの地質と、それから今度いよいよ工事を始めるときの、今度ボーリングしたときの地質が違うということは、この一つを見ましても、許可を与えるとぎの事前評価というものが、ずさんであった、こういわざるを得ないと私は思うのです。  あなたは、地耐力というのですか、それが耐えたら、もういいじゃないか——それなら何も事前調査もする必要はないじゃありませんか。事、大事な原子力関係ですから、日本にとっては非常にシビアにシビアにやらなければならない。あなたがいま言っておるのと私が指摘しておるのとは、そこに相違があるのです。あなたは、たまたま地質が違っても、力があるからだいじょうぶだ、こう言う。私は事前調査の、要するに認可を与えるときに調査したその地質と、ほんとうの地質は違うということを指摘しておる。その点はいかがですか。
  24. 牟田口道夫

    牟田口政府委員 先ほど申し上げましたとおり、むつ製鉄調査した報告書によりますのと、認可を受けたあと東北ボーリングがいたしました調査そのものに、いまの地質相違が出ておったとすれば、十五カ所ぐらいの多くの地点についてやっておりますので、そのいずれかのところには、そういう地質の差があるいは出ておったかもしれないと考えられるわけでございますけれども、繰り返して恐縮ですが、地質調査目的は、建築物基礎として地耐力が十分であるかどうかということでございますので、建築上は、たとえば幾らの値以上は、地質のいかんにかかわらず岩盤というような観念で、耐え得るというような分類をしているというぐあいに聞いております。
  25. 岡本富夫

    岡本委員 十五カ所やっておるから、どこかそういうところがあったんでしょうというような、あなた簡単な答えをしておりますけれども、事、原子力船、こういうものになりますと、もっとシビアにそれだけのことを全部調べて、やはり最初から砂質火山灰だった、こういうところもあるということで許可をしたのだったら、私は何も言いませんよ。しかし、最初提出資料凝灰岩で出しておいて、そうして今度はいよいよボーリングをすると、こういうふうに地質が違うということは、あなたのほうの許可のおろし方について、事前調査について、非常に私はずさんであると思うのです。こればかりにあまり時間をとれませんから、ひるがえって、それなら初めから凝灰岩だけでなくして砂質火山灰、こういうところだということがわかっていて許可をおろしたのですか、いかがですか。
  26. 牟田口道夫

    牟田口政府委員 許可ポイント地耐力でございますので、そこのところを最終ポイントといたしました。
  27. 岡本富夫

    岡本委員 ぼくは、そこさえ率直に認めるならばよろしいが、そこで事故が起こってから問題があるということは、私ども非常に心配をしておるわけでありますから、このむつ原子力船の基地について再調査をなさいますか、いかがですか。この気象あるいはまた海象調査、こういうものも、ただ田名部測候所資料をそのまま海象調査用に使っておるわけでして、実際にやっていないわけですよ。これは権威があるとか、権威がないとか、そうでなくして、こういった重大なものについては、やはり特別の調査をする。  もう一つは、放射能による生態学的影響に関する調査を行なう、これもできていないのです。こういった事前調査をもっときちっとやって、そうして地元市長、あるいは市民の皆さん、こうした人たちがやはり納得できるようにしなければならない。地元においては原子力船母港返上論、こういうものも、いますでに出ておるわけですよ。これについて結論としてどういうふうにしますか。
  28. 牟田口道夫

    牟田口政府委員 気象につきましては、御指摘田名部測候所が一番近くの測候所でございますので、この資料を信頼するに足ると考えるわけでございます。先生指摘の諸点につきましては、安全審査会で専門の先生方によって慎重に審査の結果、許可いたした次第でございます。なお、非常に念には念を入れて、今後の進め方にも関係いたしまして、生物も含めて環境のモニタリング等行なっているのは御承知のとおりでございます。今後そういう点については続けて、万全を期したいと考えております。
  29. 岡本富夫

    岡本委員 安全審査会許可をおろした、こういうふうに言いますけれども、そういった地質一つ見ましても、はっきりしてない、事実と違うということが明らかになったわけでありますから、やはり科学技術庁の責任として、もう一度事前評価をやり直す必要があると私は思います。それでなければ地元皆さんは納得しない。被害があってからたいへんだと騒いでもしかたないわけですから、再調査をひとつ行ない、そして万全の処置をとる、こういうふうに考えてよろしいか、いかがですか。
  30. 牟田口道夫

    牟田口政府委員 安全審査会で慎重な検討のもとの許可でございますので、再調査をただいまのところ考えておりません。
  31. 岡本富夫

    岡本委員 それではおかしいじゃないですか。安全審査会審査するときにあたっての地質が違うのです。また先ほど申しましたように、放射能による生態学的影響に関する調査、あるいは海象調査、これも測候所のあれを使っておるだけで事前調査については非常にいいかげんである。こういうふうに地元の人が非常に心配しておる。だから安全審査会がきめたから、それで動かせないのだ、そういう考え方では困る。だからぼくは大臣に出てきなさいと言うたんですよ。あなたは責任ある再調査をするとか、あるいは再検討をするのか、これについて、ひとつはっきりした答えをもらいたい。できなければ大臣が来るまで待つ。
  32. 牟田口道夫

    牟田口政府委員 先ほど来御説明申し上げておりますとおり、いろいろな資料に基づきまして、この安全審査に必要なポイントはおのおの満足いたしておると考えて、審査が行なわれ、許可が行なわれたものと考えますので、ただいまのところ、これを再調査いたす必要はないと考えております。
  33. 岡本富夫

    岡本委員 環境庁長官に伺いますが、いま私は科学技術庁とこうしてやりとりをしたわけですが、こういった地質調査一つにしましても、こういうように違うわけですよ。ということは、その他の面においても、非常に住民皆さん心配だ。特に地元市長もこうして心配しておるわけです。ですから安全審査会が、だいじょうぶだといって許可をおろした、これで私は済まないと思うのですよ。特に環境問題の元締めであるところの環境庁長官として、再度環境アセスメントを行なわしめるように、ひとつ科学技術庁長官に申し入れをしてもらいたい、こういうように思うのですが、いかがですか。
  34. 三木武夫

    三木国務大臣 これから日本は、エネルギーに対して原子力発電に依存しなければならないものが非常に多いわけでありますが、原子力発電の場合に安全性の確保ということが、これが一番大事なことであります。ただ、これに対しては、原子力発電という特殊な技術によるものですから、原子力局でいろいろな全般の行政をやっておるわけですが、しかし、これは安全性という問題が問題になっておるときに、原子力局としてもその点に十分気をつけて、地元民に対して不安を与えない、市長がいろいろな不安を持つような形であるとうまくいきませんから、これはよく私どもからも話すことにいたします。
  35. 岡本富夫

    岡本委員 じゃ、科学技術庁長官のほうにひとつよく話をしてもらいたいと思います。科学技術庁も非常に最近は黒星ばかりやっておりますね。日本分析センターでもああいうようなことをやっているわけです。ですから、非常にわれわれは科学技術庁だけにこの環境問題をまかすわけにいかない、こういうように考えるわけです。長官は、この点について科学技術庁長官にも話をして再度善処するというように話がありましたから、この問題はこれでおきます。  次に——科学技術庁もうけっこうです。四十八年の七月三十一日、内閣総理大臣臨時代理国務大臣三木武夫長官の名前で参議院の峯山昭範君に対しての回答があるわけですが、これは合成洗剤による健康被害及び環境汚染等に関する質問に対しての答弁書でありますが、この中で「合成洗剤に関しては、我が国のみならず欧米諸国における研究も多く行なわれており、通常の使用における安全性は学問的に十分確立したものと考えられる。」こういう答弁があるわけでありますけれども、過日の予算委員会におきまして、これは四十八年の十二月十日、社会党の大原委員から田中総理に対しての質問に対して、こういう答弁をされております。 「この問題、」——これは合成洗剤の問題です。「将来非常に重大な問題になると思いますので、私から三百お答えをして、あと厚生大臣からお答えをしますが、厚生省でも東京都の衛生試験所でも、中性洗剤人体影響はないということでもってやっているわけでありますが、その後、学界の各方面に中性洗剤人体に対する害ということは学説として発表されております。私自身は、これはしろうとではございますが、中性洗剤というものは人体影響があるのではないかという感じを持っておるのでございます。それで、これが二代、三代という場合には、中性洗剤は、食物を通じてとか魚を通じてとか、いろいろな問題で必ず影響あり、こういう考えに立っております。」こういうふうに答弁されておるわけであります。  そこで、環境庁資料を見ますと、「ABS排水実態調査概要」、この四十八年度分を私もらいましたが、やはり調査をされておるそうであります。そこで環境庁は、ABSなどの活性剤を主成分とする合成洗剤が問題となっているのではないかということでいろいろ対策をとっておるそうでありますが、どういうような対策をとっていらっしゃるのか、これについて、これは事務当局からでもけっこうですから……。
  36. 森整治

    ○森(整)政府委員 合成洗剤のわれわれに直接影響してまいります水質の問題でございますが、一つは発泡の問題、これにつきましては、生分解をしやすいという形のソフト型のものに通産省の御指導でほとんど切り変わってきておるわけです。あと下水処理がうまくいくかいかないかということ、下水処理施設の整備がおくれておるという問題がございますが、そういうことで一つ対応してまいりたいということでございます。  もう一つの問題というのは、ビルダーとして使われております燐の問題がございます。これは先生承知のように、われわれの知っている限りでは、人間の屎尿と同量程度のものが合成洗剤から出ておるということでございます。この問題につきましても通産省と御相談をいたしまして、なるたけ燐の含有を少なくする洗剤をということで、ただいま全体平均しますと二二%の燐酸ソーダを使っておるようでございますが、それを一五%まで下げていこうではないかということでいろいろ御指導願っておるということでございますが、いずれにいたしましても、この問題は富栄養化の問題につながる重大な問題でございまして、各国の例を見ましても、非常に難儀をしておるわけでございます。われわれも富栄養化の問題として非常に重要視しておるわけでございます。  ただもう一つ、最後に毒性の問題がございまして、この問題につきましては、科学技術庁から委託されました調査、そういうものでいろいろ厚生省関係各省で調査を進められておるわけでございます。それらの結果が出てまいりまして、それらとあわせまして排水基準なり環境基準なり、そういうものをわれわれとしては設定をしようということで、四十八年、先ほど御指摘調査をしておるというのが現状でございます。
  37. 岡本富夫

    岡本委員 これはソ連のある学者の文献ですけれども、この中に、台所用品と食器を洗うための陰イオン合成界面活性剤の広い使用によってでき上がる料理をさらに汚染させる結果となっている、こういうような文献が出ているわけでありますけれども、——これはたしか四十七年の岡山の、私と同じ名前なんですが、岡本というのですが、岡本和子さん、この裏はこうなんですがね。——これは要するに合成洗剤でもって洗たくをした、その中に子供を寝かせておった、そうするとこういうような斑点が出てきたということで、いま、岡山でもそうですが、兵庫県でも、西宮あたりでも要するに合成洗剤を使わない運動、石けんに切りかえると、これがなおったというのです。この方は学校の先生をしておるわけですが、おかあさんですね、こういうような被害が出てきておるわけです。  田中総理が私もこうしたことは非常に心配だという答弁をなさっているということでありますが、やはり前にPCBも最初は非常に便利だということで、ああいったトランスなんか小さくなりますから使った。何年かたって、いま非常に問題になっているということでありますから、ハード型からソフト型にかえたといいましても、やはりこの問題は残っておるんではないか。洗剤というものは非常に便利なものですから家庭でも非常に使われておりますけれども、国民に知らず知らずの間にこういった事故が、また体内に入って健康をむしばむということになりますと、これは私は将来たいへんな問題になろうと思うのです。  そこで、環境庁調査費を見ましても、ABS、アンチモン——アンチモンは別ですけれども、これがまだ水質の規制の中に入ってない、水質汚濁防止法の有害物質とも考えていない。中でそれをいま調査している。この調査費が何と四十五万八千円なんですよね、環境庁で。これは大事な問題でありますから、もっと調査費をつけて徹底した調査をしなければならぬのではないか。問題が起こってからになりますと、これはもう全国で使われておりますから、使用量をどうきめるとか、あるいはまた基準をどこにきめるとか、そういうことをいまから早くやらないと、たいへんな問題が起こってくるんではないかというように考えられるわけです。この点についてもっと前向きな対策というものをやらなければならぬのではないか、こういうように考えるのですが、この点についていかがですか。
  38. 森整治

    ○森(整)政府委員 お答えいたします。  私どものほうでいま受け持っておる調査の分担としましては、合成洗剤に使われております先ほど申しましたトリポリ燐酸ソーダの要するに燐でございます、それの富栄養化問題として別に今年度調査をいたします。今年度と申しますか、四十九年度でございます。それから富栄養化自身の収支その他につきまして、瀬戸内海はじめ閉鎖水域につきましての調査を別途進めております。したがいまして、直接その規制項目としての調査費はわずかでございましたけれども、そういう意味合成洗剤を意識しながら、やっておるわけでございまして、そういうふうにひとつ御理解をいただきたいと思います。  それから毒性の問題につきましては、先ほど私から申し上げましたように、関係各省で厚生省を中心に研究を進められておりまして、今年度も予算を計上しておるということでございます。
  39. 岡本富夫

    岡本委員 厚生省環境衛生局長さん、この毒性についてどういうように調査をし、またどういう見解を持っておるか、お聞かせ願いたいと思います。
  40. 石丸隆治

    ○石丸政府委員 この中性洗剤の毒性問題につきましては、これはいろいろな事例があろうかと思うわけでございますが、従来われわれのほうでいろいろ試験をいたしております問題は、これが食品関係に使用されまして、これが食品あるいは食器等に残留いたしまして、われわれのからだの中に経口的に入った場合の毒性の試験を従来から行なってまいったわけでございまして、その点、この中性洗剤全般の毒性問題のうちのそういう経口的な毒性について、従来食品衛生の立場からこれを実施いたしておったわけでございますが、従来の結果によりますと、通常の使用状態におきます使用の結果の毒性につきましては、この経口毒性についての範囲内におきましては、あまり毒性として問題にすべき点はなかろう、こういう結果になっておるわけでございます。  そのほか、先ほど来先生指摘の、洗剤によります他のいろんな有害作用と申し上げましょうか、そういった点につきましては、現在この試験を続行しておる段階でございますが、特にこの皮膚障害等につきましては、従来からこれが大きな問題になっておりまして、われわれのほうといたしましても、これを検討いたしておるわけでございますが、特にこの中性洗剤の皮膚障害の問題につきましては、これはいろんな原因がございまして、一つの原因といたしましては、合成洗剤そのものによる毒性の問題、あるいはこの使用する際の濃度の問題、そういった問題があるわけでございますが、皮膚に接触をしての障害に対しましては、これは通産省の所管でございますけれども、家庭用品品質表示法に基づきまして、使用する際の適正濃度あるいはその使用した後におきます皮膚の手入れの方法等につきまして容器に表示させる、こういう方法を従来からとってまいったわけでございます。  さらに、はだ荒れ、あるいは湿しん等の問題につきまして学問的に究明するために、昭和四十八年度から中性洗剤に関する特別研究班を設けて研究を実施いたしておるところでございまして、昭和四十八年度におきましては約二千八百万円の毒性検査費で中性洗剤の研究を行なっておりますし、昭和四十九年度につきましても、約二千万円の経費を現在予定いたしておりますけれども、さらに研究を続行するということにいたしております。  さらに洗たく用の洗剤等につきまして、これは食品関係で使うものと組成がちょっと違うわけでございますが、洗たく用の洗剤につきましても、昭和四十九年度から皮膚の刺激試験あるいはアレルギー試験等を新たに検査項目に加えまして、この毒性試験を続行する予定にいたしております。
  41. 岡本富夫

    岡本委員 これは西宮市の主婦に対するアンケート調査ですが、団地の主婦五百五十二名に対して、合成洗剤で手が荒れたことがあるかということに対して、荒れたと答えた者が四八・九%、また学校給食整理員についての調査では、手が荒れたと答えた者が百五十七人、九六・三%、手がかさかさになったというのが全員、かゆみ、水泡ができたというのが十九人、手の皮膚がかたくなり、ひび割れができたというのが五十九名、つめの変形、はがれそうになったというのが三十九名となっている。こういうように皮膚に対するところの影響があるということは、やはり皮膚も内臓も同じものだと私は思うのです。まして、内臓のほうが弱いと思うのですよ。ですから、毒性検査については、もっと真剣にやらなければならない。  ところが、あなたのほうで、四十八年度ですか、予算をとって、学者を集めてやっているわけですが、この学者の顔ぶれを見て、悪いのですけれども、この中に三上教授という人がいたはずなんですが、こういう人は、三重大学の学長におっぽり出したのか、あるいは栄転させたのか知りませんが、ほとんどの方は、毒性がないという意見の方を入れているわけですよ。たとえば東京都の衛生研究所におった柳沢先生、あの人は毒性がある、こういう毒性ありだという方と、それから毒性がないという方との混合したいろいろな意見を出して、それでほんとうに国民の生命、人畜に被害がないかということを判断するような、そういった研究会と申しますか、調査会にしなければ、どうも都合のいい人ばかり集めて——被害を受けるのは国民なんです。あなたも同じですよ、将来は。あなたのお子さんも同じです。  ですから、これはがっちりしたものをつくって、そして相当な研究をして、それで害がないというのであればよろしい。しかし各所で、世界各国でも、こうしていろいろなあれが出ているわけです。しかも事実、私がいまお見せしたこういう被害もあるし、それからアンケ−ト調査もある。まだまだたくさんあるのですよ。ですから、これは全国に被害が及んでから、さあたいへんだというのじゃおそいわけですから、先に強力な政府の体制というものが必要であると私は思うのです。もうPCBでえらい目におうたのですから。  これについて、再度厚生省のほうからお答え願いたいと思います。
  42. 石丸隆治

    ○石丸政府委員 この研究班の編成につきましては、先生指摘のように、できるだけ広い範囲内から学者の先生に御参加いただくという方向でわれわれも考えておるわけでございます。  なお、先生指摘の三重大学の三上教授は、研究班のうちに部会がございますが、催奇形性、すなわち、使用いたしまして、これが奇形にどういう影響を与えるかというその研究班の中に、三上先生には御参加いただいております。  なお、御指摘の柳沢先生につきましては、当初研究班の班員にお加わりいただいていなかったわけでございますが、その後いろいろ検討いたしまして、今後研究班を開く際に御意見を述べていただくために御参加願うというふうに、現在考えております。  今後とも、できるだけ広い範囲内で学者の先生に御参加願うようにいたしたいと思っております。
  43. 岡本富夫

    岡本委員 参加願うとかいうよりも、その中に入れて一緒に、どんどん将来のためにいろいろな意見を出してもらって、そうして実際の実験といいますか、マウスなんか使って相当実験しておりますから、そういうような貴重なデータを駆使をして、そうして安全を期していく、これでなければ私はほんとうの姿勢ではないと思うのです。これは申し上げておきます。  そこでもう一つ合成洗剤に含まれているところのABS等の界面活性剤には、PCBあるいはDDT、こういう有害物質等の相乗作用を起こす、これが非常に種々の研究で明らかになっておるのですが、この相乗作用について、これは所管は環境庁ですか、水質のほうだから、おそらく環境庁だと思うのですが、この調査研究をどういうようにやっておるのか、一ぺんひとつお聞きしたい。
  44. 森整治

    ○森(整)政府委員 四十七年度で実施いたしました調査でも、われわれそういうことの報告を受けておるわけでございまして、それによりますと、ABSが単独の場合よりも、ABSとPCB、DDT、BHCが共存している場合のほうがプランクトンに及ぼす影響が大きくなる傾向がある、これは室内実験でございます、そういう実験結果が得られておるわけでございます。われわれといたしましても、このような実験結果もございますので、先ほどの毒性に関する研究の結果とあわせまして、合成洗剤の及ぼす影響について今後十分に検討してまいりたいと思いますが、PCB等につきましては、それ自体として、排水の規制なり環境への影響というものを、PCBそれ自身を押えていくということで、あわせて検討をしておるわけでございます。
  45. 岡本富夫

    岡本委員 これはことしの一月の二十六日、滋賀大学で湖沼研究応用化学班、これは班長は高橋という教授でありますが、同班は、PCBがかなりの高濃度にならないと農作物には吸収されにくいが、界面活性剤と一緒になると、わずかなPCBでも水に溶けて吸収され、蓄積されていくと結論づけた、こういうように研究発表しておるわけです。だから、この界面活性剤、これは中性洗剤の中に二〇%から三〇%含まれておるそうでありますけれども、そうしますと、PCB、あるいはまたDDT、これは単独であれば非常に吸収しにくい。しかし、中性洗剤が媒介すると非常に吸収されて、それで毒性が強くなる。米とかいろいろ農作物が吸い上げる。それを人間が食べる。こういうことになりますと、そういった面からもやはり私は、調査をして今後水質汚濁防止法の中の有害物質の中に定めていかなければならぬのではないか、こういうように考えるのですが、その点いかがですか。
  46. 森整治

    ○森(整)政府委員 先生指摘のように、ただいまABSの規制につきまして検討を進めておるわけでございます。その一環といたしまして、いまのような問題もさらに検討いたしまして、善処をしていきたいというふうに考えております。
  47. 岡本富夫

    岡本委員 もう一つ、ハード型からソフト型に変えた、これは下水道でほとんどこれをとることができるんだというような話がありましたが、日本の国の下水道の普及率は二〇%なんですね。あとはすっとすぐ海へ入ってしまうのです。そこへまた魚が、あるいはいろいろな海産物にすぐに付着をする、あるいは蓄積するというような非常に心配日本の国情であると思うのです。アメリカなんかの川は非常に長いですから、その間に分解されるということがありますけれども、この間厚生省の話を聞いていると、外国と日本中性洗剤の使用のしかたというのは、日本は一人当たり少ないんだというようなことを言っていましたが、あんな広いところと国情が違うわけなんです。しかも下水道というものが、いま日本にはまだ非常に不備なんです。  それにもかかわらず、毎年どんどん生産量がふえていく。安全性が確認をされるまでに合成洗剤の生産はどんどんふえていく。この間も洗剤問題で騒いだときには、これもほんとうは買い占め、そういうものによってああいうことになったわけですが、やはりこの点は早く手を打たなければ、生産の問題と、それから今度石けんに切りかえていくとか、そういった方向を打ち出さなければ、これはもうたいへんなことになるんだ、こういうふうに私は思うのです。  そこで、これは会社の、企業の社会的責任ということから私考えるのですが、小林宏というライオン油脂の社長さんが、「合成洗剤は公害を出すという考えからでしょうが、それは誤解です。欧米では合成洗剤の公害問題は起こっていません。」「合成洗剤をやめて石鹸だけを使うと、河川にヘドロがたまって大変なことになります。」というようなことが週刊朝日に出ておるわけですね。これは売ったほうがいいということでしょうが、米国のロングアイランドでは下水処理に差しつかえるということで合成洗剤の販売を禁止した例がある。  こういうことも考えますと、やはり企業の社会的責任ということが必要になってくると私は思うのです。これをやはり規制するためには、一日も早くこの確たるところの調査、研究あるいはまた方針というものを政府では出す必要があろうと私は思うのです。それについて、これは特にもう時間の問題ですから、大臣からお答え願いたいと思います。
  48. 三木武夫

    三木国務大臣 中性洗剤による皮膚障害というものは、ときどきそういう問題が提起されておるわけでありますから、厚生省でこの問題を相当な予算もつけて徹底的にやろうということで、いま研究を進めているようでありますが、われわれとしても、環境庁としても、これは非常に重大な関係のある問題でありますから、厚生省とも連携をとりつつ、この研究を徹底的に行なうようにいたしたいと思います。
  49. 岡本富夫

    岡本委員 これは早急に結論を出せるようなことにしないとならないと私は思うのです。  そこで文部省に……。全国の学校給食調理員に合成洗剤の使用によるところの手荒れ等が非常に出ているわけですが、あなたのほうで調査しておりますか、いかがですか。それに対する対策、これをお答えいただきたい。
  50. 高石邦男

    ○高石説明員 いまお話しのありましたように、調理従事員の手荒れという状況が訴えられておりますけれども、七万人の調理従事員がありまして、全部に対してどういう状況か、そういう調査は現在のところ、やっておりません。
  51. 岡本富夫

    岡本委員 これはさっそくやりなさいよ。学校の給食費を値切るよりもふやして、同時にこっちのほうもやらないと、あなたのほうでこういう調査をして、その意見を厚生省やあるいはまた環境庁のほうに出していく責任があると私は思うのです。全然やっておりませんなどといばる必要は私はないと思う。だから、これをやったらどうですか。簡単にできるんだから、いかがですか。
  52. 高石邦男

    ○高石説明員 手荒れの原因というのが洗剤だけによるものか、いろいろ分析して基準をきめて、調査していかないと正確なデータが出ないと思いますので、そういう調査をするにあたっての項目等を厚生省あたりと十分連絡をとりながら研究していきたいと思います。
  53. 岡本富夫

    岡本委員 基準を研究するだけでは何にもならないのです。いいですか。基準を研究するだけでは事故はなくならないのです。厚生省と相談して、いろいろ基準を研究していきたい。——こんなものを研究してもらうより、早く事故をなくしてもらいたい、当委員会はそういうところなんです。学校と違うのです。だからいまの答弁では私は満足しませんよ。少なくとも人の健康あるいは環境問題、これを審議するのが当委員会なんです。もう一度はっきりした答弁をもらいたい。
  54. 高石邦男

    ○高石説明員 先ほど厚生省のほうで、四十九年度にいろいろな角度から調査をしていただくわけでございますが、その際にも調理従事員等そういう関係者、これは学校給食だけには限りませんで、一般的な集団給食が行なわれているところに対しての調査も行なわれますから、その一環の中で調査をしていくようにしていきたいと思います。
  55. 岡本富夫

    岡本委員 その点はきびしく見守っていきます。  私は合成洗剤が有毒であるか有毒でないか、こういうものがはっきりしない場合は、ほんとうは使ってはいけないとまで申し上げたいわけですけれども、一歩あれして、早急にこれは調査もし、そして毒性のないもの、国民の健康を守っていただく、これを特に要求をいたしておきます。  なおもう一つ、川崎熱病というのがはやっているわけです。これはビールスによるのか、あるいはまた中性洗剤によるのか、これもまだちょっとはっきりしていないわけですけれども、この点もひとつ厚生省のほうで早急に調査をして、いろいろ学者の意見があるわけですが、約七千名の幼児がかかっている。そのうち一%から二%が死亡しておる。この原因がわからぬ、こういうようなことになっておりますから、この点もあわせて早急に結論を出して、そして特に合成洗剤、こういうものの公害によって、少なくとも国民が被害を受けないように、政府は早急にひとつ対策を立てていただきたい。これを要望いたしまして、きょうは終わります。
  56. 島本虎三

    島本委員長代理 岡本君の質問は終わりました。  次は、米原昶君。
  57. 米原昶

    ○米原委員 おととしアメリカと、そして今度の国会ではオーストラリア並びにソビエトと、それぞれ渡り鳥を保護する協定が結ばれ、国会の承認をすでに受けました。もちろんこの協定を所管するのは外務省でしょうが、実際の渡り鳥問題を担当するのは環境庁だろうと思うのです。どういう理由からこうした協定が結ばれたか、最初に伺いたいと思います。
  58. 江間時彦

    ○江間政府委員 渡り鳥といいますのは、地球上を大体におきまして南北に、季節に従って行ったり来たりする鳥でございますが、それぞれの国におきまして鳥を保護する必要があるわけでございますが、特に鳥の生息状況というものが、自然をどの程度保持しておるかというその標準に考えられるというふうな意味で、各国ともそういうことに最近非常に大きな関心を払っておる、そういうことが非常に大きな契機になったということと、それから鳥を通じて各国の親善を高めるという考え方があるかと思います。
  59. 米原昶

    ○米原委員 趣旨はまことにけっこうだと思うのであります。これらの協定の中には、「渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類並びにその生息環境の管理及び保護のために保護区その他の施設を設けるように努める。」とありますし、また「鳥類の生息環境を保全しかつ改善するため、適当な措置をとるように努める。」とあります。この協定を実効あるものとするようになっておりますが、わが国ではどのような政策をとろうとしているか、この点を聞きたい。
  60. 江間時彦

    ○江間政府委員 御承知のように渡り鳥といいますのは、主として水の浅い干がたに生息するという鳥でございまして、わが国といたしましても極力干がたを保全していく、これが自然環境の保全の重要な行政の一環であるというふうに考えまして、その方向で行政を進めておる次第でございます。
  61. 米原昶

    ○米原委員 そこでお聞きしたいのでありますが、全国自然保護連合会長の荒垣秀雄さんが、三月十七日の朝日新聞の「論壇」という欄に、一つ簡単な小論文を書いておられますが、それを見ますと、こんなことが書かれております。「渡り鳥を国際的に保護する条約や協定が日米、日ソ、日豪の間に結ばれたが、日本でほんとうに保護されているかどうか。紙っペらに鳥の名前を書き並べて署名しただけでは、渡り鳥は安心して日本に来られない。エサのたっぷりある渡来地、生息地が確保されなければダメだ。」こういうふうに書いておられまして、その中でもう一つ、次にこういうことを書いておられます。  「さきごろソビエト科学アカデミーから山階鳥類研究所に手紙が来て「シベリアから飛び立つ渡り鳥でアメリカ、ヨーロッッパ、中央アジアに行くのはほとんどみな帰ってくるが、日本日本経由で南方に行ったものは帰りが少ない。どういうわけか」と問い合わせてきたそうだ。」というのであります。「まさに痛いところを突かれた。」と荒垣さんは書いておる。「公害で大気や川、海、魚介類が汚染していることもあるが、おもな原因は海岸湖沼の干潟が埋め立てられて野鳥の生息地がどんどん消滅したからだ。」いまおっしゃったとおり、干がたの問題だということを荒垣さんも指摘されているわけです。埋め立ての問題が、結局最大の問題だということが、おっしゃったようにわかるわけであります。  おそらく、この埋め立ての問題が解決すれば、渡り鳥問題の大半は解決するといっておる。逆にいまのまま埋め立てがどんどん進められるなら、渡り鳥は大打撃を受ける。さきの三つの国際協定にも違反するということになります。したがって、この埋め立てから渡り鳥を保護するために全力を尽くす、これは国としての責務ではないか、こう私は感ずるわけでありますが、どうでしょうか。
  62. 三木武夫

    三木国務大臣 大体渡り鳥条約を結びましても、水鳥の生息地をやはりちゃんと保存していこうということでなければ渡り鳥の保護にならないわけですから、全国でいろいろそういうところがあるわけですが、それには法制的な権限はないわけですけれども、われわれのほうとして、強く県に働きかけて干がたは残すようにという強力な指導を行なっておる次第でございます。
  63. 米原昶

    ○米原委員 実態はどうかというと、この協定の問題が外務委員会にかかったときにも、わが党の松本善明議員が質問したのに対して江間局長は、一般的な状況から申しますと、野鳥の生息状況その他、一般的に必ずしもいいほうに向かっていないというふうに申しておられるわけで、非常にこの点心配なわけであります。すでに東京の浦安では、埋め立てで大打撃を受けて渡り鳥の種類が十分の一に激減している。そして四十七年、四十八年の二年間で環境庁で二十カ所の干がたの調査を実施したということですが、これらの場所においても相当埋め立てや開発の計画があると聞いておりますが、どうでしょうか。
  64. 江間時彦

    ○江間政府委員 御承知のように千がたといいますのは、きわめて浅い海面、しかも真水と接しておる部分でございまして、開発の観点からしますと、きわめて経済効率のよろしいところかと思います。したがいまして、この数年間におきまして、有力な干がたが大なり小なり開発の対象に目されておるということは御指摘のとおりでございます。
  65. 米原昶

    ○米原委員 一方では環境庁が鳥獣保護区の設定のため調査を行なう、ところが、もう一方ではすでに開発計画がある。こうしたところについて、一方ではそういう開発計画場所によっては、すでにそれが認可されて、どんどん進められているところもありますが、そこが重大だというような場合に、環境庁はどのような対策をとられるのか、この点を聞きたいと思います。
  66. 江間時彦

    ○江間政府委員 一つには、鳥獣保護区を設定するというのも方策でございますが、干がたの面におきましては、最近法的に強化されました公有水面の埋め立てに関する規制、そういうものを根拠にいたしまして、極力開発当事者と話し合いをする。もし法的な権限の及ばないところであっても、しんぼう強く説得をして、被害が最小限度にとどまるようにつとめるというのが当面のやり方でございます。
  67. 米原昶

    ○米原委員 もちろん開発当局との話し合いは必要でしょうが、協定にも保護区の設定ということがうたわれているわけでありますから、積極的に、特に特別保護地区というような指定を行なうべきじゃないか、こう考えるわけです。今後の埋め立ての申請が出るものについては、昨年決定された自然環境保全基本方針に照らしても、干がたを保存するという立場で臨むべきだと思いますが、その点についての環境庁の見解を聞きたいのと、もう一つは、港湾区域の計画もあるわけで、運輸省の考え方も聞いておきたいと思います。逐次、答えてください。
  68. 江間時彦

    ○江間政府委員 渡り鳥の保護につきましては、国際的な義務の関係もございますし、また純粋な自然保護の立場からもございますし、この件につきましては、将来からもそうでございますが、一そう強い態度をもって臨んでまいりたいと思うわけでございます。
  69. 勝目久二郎

    ○勝目説明員 埋め立て法につきましては、先生御案内のとおり、昨年改正をいたしたわけでございます。従来明確でなかった免許基準を明らかにするということで、法律上免許基準を明定をしたわけでございますけれども、その中に環境の保全上配慮されておることということが免許事由に入っておるわけでございます。  したがいまして、そういう自然保護の面をも含めた環境全般の問題について十分配慮した運用をするということになっておりますのが第一点でございます。  それから、埋め立てのうち主務大臣認可、これは具体的には建設大臣と運輸大臣認可にかかっている事項がありますけれども、その中で特に環境上特別の配慮を要するものというものにつきましては、環境庁長官の意見を聞くということも、同時に昨年の法律で定めたわけでございます。したがいまして、そういう意味からの環境当局との協議というものも十分重ねて、必要な配慮をしてまいりたいというように考えております。
  70. 米原昶

    ○米原委員 それでは具体的に聞きますが、愛知県三河湾の汐川河口の千がたについてであります。ここは四十七年の十カ所の環境庁調査対象にも入れられ、また百三十種以上の日本でも最大の渡り鳥が訪れるなど、非常に貴重な干がただといわれておりますが、環境庁の見解はどうでしょうか。
  71. 三木武夫

    三木国務大臣 汐川の干がたは、有数なやはり渡り鳥の生息地になるわけですが、この埋め立て計画があったわけです。地元の陳情の方も来られまして、強い御要望があったわけでございます。私のほうとしても、愛知県に対して、ぜひともこの干がたは残してもらいたいという強い要請を伝えまして、県としても、いま十分な検討を加えておる段階だと考えております。
  72. 米原昶

    ○米原委員 その措置をとられたことは感謝しますが、ここの埋め立ては田原三区と杉山地区の二カ所でありますが、杉山地区の埋め立ての免許はまだだと聞いております。杉山地区については、昨年改正された公有水面埋立法が適用されるわけになる。この改正の趣旨に従えば、杉山地区の認可はすべきではない。環境庁と運輸省で、これはきめてもらいたいんでありますが、どうでしょう。
  73. 江間時彦

    ○江間政府委員 この点につきましては、まだ正式な話し合いには入っておりませんけれども、われわれといたしましては、渡り鳥の保護のために、できるだけ必要な措置を講じる方向で考えてまいりたいと思っております。
  74. 米原昶

    ○米原委員 昨年の埋め立て法の改正で、環境保全の見地から環境庁は意見を述べることができることになっておるわけでありますし、この杉山地区の埋め立てには絶対反対という立場を表明してもらいたいと思うのです。  運輸省としても、港湾計画とはなっておるけれども、この杉山地区の埋め立て問題について干がたを残すということを最優先的に考えるべきだと思いますが、どうでしょうか。
  75. 小野寺駿一

    ○小野寺説明員 御説明申し上げます。  三河港の港湾計画の件でございますが、港湾計画につきましては、これは港湾管理者でございます県が港湾計画の原案を立てるという仕組みになっておりまして、県がつくりました港湾計画につきまして、重要港湾におきましては運輸大臣が、その港湾計画の提出を求めるというしかけになっております。この三河港の計画につきましては、昭和四十五年に、その法律に基づきますところの運輸大臣審査という手続を経まして、決定したものでございます。  ただいまお話のございます杉山地区及び田原地区の埋め立て計画につきましては、その四十五年に手続を講じました計画の中に入っておる部分でございます。  これをどういうふうにするかという点につきましては、まず第一段階に県がどのように考えるかという点でございますが、この点につきましで愛知県の考え方を問い合わせましたところ、非常に重要な干がたがあるということでございますので、現在検討中ということでございます。この検討の結果が出ました場合に、県のほうから私どものほうにその旨、話が出てくると思いますが、そのようなことになりました際には、やはり環境保全につきましては非常に重視するというたてまえに立ちまして、必要な措置を講ずるという考え方でおるわけでございます。
  76. 米原昶

    ○米原委員 運輸省の考え方はわかりましたが、東三河工業整備特別地域の一角となっているわけで、ここの工業整備基本計画から見て、この埋め立てばどうしてもやらなくてはならないものなのかどうか、この点について、経済企画庁の見解を聞いておきたいと思います。
  77. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 お答えいたします。  東三河の工特地域の基本計画におきましては、昭和五十年を目標といたしまして、約千八百九十ヘクタールの臨海及び内陸の工業用地造成をするということになっております。現在、四十八年度の実績がわかりませんので、四十七年度実績で申し上げますと、四十七年度までの実績では、すでに完成しておりますものは基本計画の約三二%でございます。そのほかに昭和五十五年度完成見込みといたします工事中の用地が千三百四ヘクタールございまして、これが完成いたしますと基本計画を若干オーバーするということになります。  当該汐川干がたにつきましては、ただいま環境庁あるいは運輸省のほうからお答えがございましたように、港湾管理者の側の考え方を待ちまして、私どもとしては関係省庁と十分な連絡をとって措置をしたいというように考えております。単に基本計画ベースで考えますれば、数量目標との関係というのは第一に考慮の対象になろうかと存じますけれども、そのほかいろいろな社会的な事情というのを考慮して運ぶべきであるというふうに考えております。  以上でございます。
  78. 米原昶

    ○米原委員 私が聞いたところでは、四十八年で東三河工業整備特別地域における工業用地の現況は、工事中のものも含めて一〇一・三%の進捗率である、そういう意味では工場用地の造成計画はすでに達成されている、一〇〇%をこえている、こういうふうに聞いているわけでありますが、国としてどうしても必要な埋め立てということでないのではないか、こういうふうに感ずるわけであります。その点を企画庁の見解を聞きたい。
  79. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 数字につきましては、ただいま先生指摘のとおり、工事中のものを含めますと一〇一%という数字になります。これは先ほど申し上げました現在工事中のものを加えれば、そうだということでございます。  基本計画につきましては、先生御存じのとおり、基本計画の中におきまして、どこの地先を埋め立てる、あるいはどこの内陸を造成するということはきめてございません。トータルできめております。ですから、トータルの造成計画というものの中に当該干がたが含まれているかどうかということは、基本計画上は明確ではございません。ただ従来のいきさつを調べますと、一〇一%ということになります現在工事中あるいは完成しました造成面積の中には、杉山地区というのは含まれておりません。それから田原地区というのは含まれているというふうに考えてよろしいかと考えております。  国としてと申しますか、基本計画認可いたしました国の立場として、これ以上必要かどうかということは、基本計画をどういうふうに考えるかということであろうかと存じます。工特地域全体の基本計画に照らしてみた場合に、現在の状況が、基本計画でねらっておりました社会的な生活環境の整備ですとか、あるいは生産関連施設の整備ということに達しているかどうかということは、全般的な問題であろうかと思います。その点につきましては、現在進めております新全総計画の総点検の過程においていろいろ考えておりまして、今後のことにつきましては、幅の広い観点から進めていくべきだと考えております。  現在の段階で、これ以上埋め立てることが必要かどうかということについては、現在の状態ではちょっとお答えしにくい、このように考えております。
  80. 米原昶

    ○米原委員 いまおっしゃった新全総の総点検、まさにその点からここを考えてもらいたいのです。すでに造成された田原一区、二区へ進出を予定していたトヨタが現在進出を見合わせた。この田原三区、杉山地区の四倍もの面積の田原一区、二区の売却先が確定していない、そういう事実もあると聞いております。それにもかかわらず、工場用地とはいえ、何にするのか明確でない埋め立てを多数の人々の反対を押し切って強行する、こうした無理な、そうしてむちゃなことをしてまで工場用地を造成する、こうしたことは適切に県を指導してやめさせるように見直してもらいたいと思うわけであります。この点いかがでしょうか。
  81. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 当該干がたの取り扱いにつきましては、現在県及び港湾管理者当局におきまして、環境庁の強い意向を受けまして、保護を加えるという面で検討しているというふうに聞いております。その結果、関係省庁の間で当然協議が行なわれることになろうかと存じておりますので、その過程を通じまして県のほうに指導を進めてまいりたいというように考えております。
  82. 米原昶

    ○米原委員 地方の新聞を見ますと、工場用地と予定したところが工場が来なくなったので、そこにボウリング場が建ったり、そういう施設ができている、初めの目的とはまるで違ったようになっているという記事も読みました。ここの田原三区、杉山地区の埋め立て面積は約二百ヘクタールで、港湾計画での、全体の埋め立て計画のわずか五%、しかもここは売却先未定の工場用地ということです。どうしても埋め立てなければならないというところではないはずだ、こういうふうに考えるわけです。再度、この点で運輸省の見解を問いたい。
  83. 小野寺駿一

    ○小野寺説明員 港湾計画を立てます場合に、港湾管理者が立てるわけでございますが、その際、地域住民の発展のことを考え地形条件を考え、経済条件を考え、各種さまざまの角度から考えまして港湾計画を立てるわけでございます。そうしてその際に、ある部分は商工的な機能を持った部分、ある部分につきましては都市の構造を改善するための、都市再開発のための土地、あるいはある部分は工業用地ということでつくるわけでございます。その場合に、ある場合には工業用地の中で工場が先にきまっておる場合もございますし、工場がきまっていないけれども、工業地帯として発展する可能性もあるというふうに判断された場合には、必ずしも工場がきまらないまま進める場合もあるわけでございます。  したがいまして、いまのこの三河港の工業用地の造成につきましても、全体的にきまっていない部分はおっしゃるとおりございます。しかしながら、きまっていないから、すぐやめるべきであるということではないのではないかと私どもは考えております。  ただし、先ほど来お話しございますように、工業用地として開発するという考え方でまいったわけでございますけれども、ある部分に関しまして、その後新しい情勢として渡り鳥に関するものの考え方というものが変わってきたということになりますと、その点に関しまして港湾管理者が、この段階でどう考えるかという判断を第一にやってもらいまして、そこでまた私どもも、それなりの考え方に立ってものごとを判断していきたい、こういうふうなことになろうかと思います。
  84. 米原昶

    ○米原委員 すでに田原三区の埋め立ての免許がおりているという事態から非常にややこしくなっているわけで、確かに単純じゃないと思います。しかし、ここの埋め立ては、東三河工業整備基本計画から見ても、港湾計画から見ても、どうしても強行しなければならない埋め立てだとは、どうしても思えないわけであります。いまの状況からしても、当然まず見直すべきところのように感ずるわけであります。愛知県のほうでは、いろいろ埋め立ての必要を述べているそうでありますが、どうも根拠が薄弱なように思うのであります。  昨年、閣議決定された自然環境保全基本方針で「人為のほとんど加わっていない原生の自然地域、国を代表する傑出した自然景観、更に学術上、文化上特に価値の高い自然物等は、多様な生物種を保存し、あるいは自然の精妙なメカニズムを人類に教えるなど、国の遺産として後代に伝えなければならないものである。いずれもかけがえのないものであり、厳正に保全を図る。」こういうように昨年の閣議決定の基本方針の中に書かれておりますが、もしこの埋め立てが強行されて、干がたが失われるようなことがあれば、自然環境保全のこの基本方針にも反するし、また国際的責務という見地から見ても、それにそむくということになります。  そこで、関係環境庁、運輸省、経済企画庁は、この干がたを残すように強力にひとつ愛知県に対する指導を行なうべきではないか、こう感ずるわけであります。すでに一定のことはやっておられるのだろうとは思いますが、あわせて環境庁のほうは、この地区を鳥獣保護区の特別地区とするために、運輸省や企画庁とも連絡をとって、もっと強く推進すべきだ、こう考えるわけであります。その点についての決意を長官に、最後にお聞きしたいと思います。
  85. 三木武夫

    三木国務大臣 私のほうでもそのように考えまして、相当きびしく愛知県に要請をしておるわけでございます。
  86. 米原昶

    ○米原委員 じゃ、終わります。どうもありがとうございました。
  87. 島本虎三

    島本委員長代理 次回は、来たる四月十六日火曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時二十二分散会