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1974-03-26 第72回国会 衆議院 公害対策並びに環境保全特別委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月二十六日(火曜日)    午後二時五十五分開議  出席委員   委員長 角屋堅次郎君    理事 坂本三十次君 理事 登坂重次郎君    理事 林  義郎君 理事 森  喜朗君    理事 土井たか子君 理事 木下 元二君       羽田野忠文君    八田 貞義君       小林 信一君    米原  昶君       岡本 富夫君    坂口  力君       折小野良一君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 三木 武夫君  出席政府委員         環境政務次官  藤本 孝雄君         環境庁長官官房         長       信澤  清君         環境庁長官官房         審議官     橋本 道夫君         環境庁企画調整         局長      城戸 謙次君         環境庁大気保全         局長      春日  斉君         環境庁水質保全         局長      森  整治君         通商産業省立地         公害局長    林 信太郎君  委員外出席者         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ————————————— 三月二十三日  大気汚染防止法の一部を改正する法律案内閣  提出第八五号)(予) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  公害健康被害補償法の一部を改正する法律案  (内閣提出第三五号)      ————◇—————
  2. 角屋堅次郎

    ○角屋委員長 これより会議を開きます。内閣提出公害健康被害補償法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。米原昶君。
  3. 米原昶

    米原委員 先日も大臣に、日本版マスキー法実施について一度お尋ねしましたが、五十一年の規制について新聞を見ますと、どうも実行されるのかどうか怪しいというような記事がしきりに最近出ております。その点について、私も非常に不安を持つので、一体、見通しはどうなのか、率直な意見をまず大臣から伺いたいと思います。
  4. 三木武夫

    三木国務大臣 五十年はああいう、いろいろ延ばしてくれという意見メーカーに強かったんですけれども、これは予定どおり実施をいたすということで、方針を変えなかった。五十一年の窒素酸化物は、これはなかなかその技術開発というものは、五十年の規制のときには、すでに本田とか東洋工業など開発をされたところもありましたが、五十一年の規制は、今度はどこもまだ開発されていないんですね。したがって、いまやっておることは、技術開発メーカーに対して促進するということで、一方においては、方針はやはり示してあるわけですから、その方針に従って聴聞会なんかも予定どおり開いていくつもりであります。  しかし、一方において技術開発促進をするということで、今後の推移を見たいと思っておるのですが——いまやりたいのですよ。その方針は変えてないのですけれども、しかし、どのメーカー開発ができぬというような事態になれば、なかなか実際に実現するということは困難になりますから、いまはもっぱら、技術開発促進メーカーに対して強く要請をしておる次第でございます。
  5. 米原昶

    米原委員 大臣の言われたことは、メーカーがしきりに言っていることだと思うんです。すでに本田技研なんかは、実験車段階としては完成したということも伝えられております。この中で、五月に聴聞会が開かれるということですが、この聴聞会がどういう形で開かれるのか。国民の前で議論するのは、非常にけっこうだと思うんです。しかし、それが何か規制をおくらす口実に利用されるようでは私は困ると思うので、公開というのは、一般に他人でも公開する形の聴聞会でしょうか、そして実験データ等は全面的に公開されるのかどうか、この点を承りたいのです。
  6. 春日斉

    春日政府委員 自動車から排出されます窒素酸化物の低減を目的とするのが昭和五十一年度規制なんでございますが、その具体化にあたりまして、自動車メーカー排出ガス防止技術開発状況をいろいろ私ども勘案する必要がございます。そこで、五十年度規制の場合もそうであったわけですが、当時の例も参考にいたしまして、適当な時期に、技術開発進捗状況を把握する機会をわれわれは持つことといたしておるわけでございます。  しかし、その時期はいつか、何月何日かという具体的なところまでは、まだきまっておりません。また、その方法等につきましても、必ずしもきまっていないわけでございまして、いわゆる外開をするということが、あらゆる方すべてお招きをしてやる、そういう意味での公開となりますと、これはまあいささか違うと私ども考えております。しかしながら、いずれにいたしましても、公平なヒヤリングを行なってまいりたいと考えております。
  7. 米原昶

    米原委員 いずれにしましても公開——公開といってもいろいろな形があると思うのですが、少なくともこういう問題について判断のできるような人、それは必ずしもメーカーによりは、むしろ対立的な立場に立っておるような人に聞かせる必要があると思うし、それから実験データ等も、そういう意味では、そういう専門家範囲には公開されて、納得のいくような立場で決定される必要があるのじゃないか。この点についてどうでしょうか。まだきまってないと言われるが、少なくともそういう意味公開は必要じゃないかと思うのですが……。
  8. 春日斉

    春日政府委員 私ども、先ほど五十年度規制の場合も例にいたしましてと申しましたが、私どもヒヤリングいたしましたあとには、いろいろ新聞社の方々にもその質疑応答をいたしておりますし、その内容については申し上げておるわけでございまして、決して秘密のうちに事を決するというようなことはあり得ないことでございます。
  9. 米原昶

    米原委員 いずれにしましても、国民納得のいく形でこの問題は解決されないと、何かアメリカでも御存じのように五十年規制すら延ばしたわけです。日本の場合、五十年規制はやりましたけれども、非常にむずかしい五十一年規制、これはできるだけ早くやってもらうことを私たちも望んでいるのでありまして、国民にフェアな形で解決されるように希望しておきます。  その次に、先月の大阪空港訴訟判決以来、新幹線公害とか、また道路公害など、いわゆる交通公害の問題がクローズアップされてきております。一般的にいって、こういう交通公害原因がどこにあるのか、長官の見解を聞きたいと思います。
  10. 三木武夫

    三木国務大臣 私は根本的には、空港建設の当初に騒音問題というものを頭に入れた空港建設というものでなかったところに、一番問題があると思っています。最近の世界での空港建設の話などを聞きますと、相当空港敷地を広くとっているんですね。ところが大阪国際空港の場合は、面積は三百ヘクタールくらいのものですね。非常に敷地が狭いですから、その敷地周辺というのは、まあ非常に、たとえば八十五WECPNLですか、そういうふうな地域にでも何万という人が住んでいるという事態があるわけです。だから、これから根本的に考えるのには、やはり空港敷地を相当思い切ってとらなければいかぬ。そうして生活のバランスを非常に破るようなそういう騒音のもとにある地域人たちは、空港の近所で住まなくてもいいくらいな敷地をとる必要があると思います。  もう一つは、やはり飛行機エンジン改良ということも、これは日本ばかりじゃなしに、航空機騒音というものは世界的な問題になっておるわけですから、それはアメリカにおいても、あるいはヨーロッパにおいても非常に研究されておるわけですね。そういう点で、飛行機エンジン改良という問題も一つのこれからの課題であると思いますが、そういうことがやはり根本対策である。現実にはもうすでに相当な人家が密集しておるわけですね、空港騒音のやかましい地域にも。そういう人たちに対しては、できるだけ代替地を渡して移転をしてもらうとか、あるいはまた防音装置をするとか、そういう応急的な処置を現にある空港周辺地域に対してはせざるを得ない場合がある。根本には、飛行場建設の当初から騒音対策というものを頭に入れた飛行場立地計画というものを立てることが私は根本だというふうに考えております。
  11. 米原昶

    米原委員 私は、実は三木長官自身があの判決の直後に発表された談話です。この談話、非常に私高く評価しておる。この中ではっきりと、いままでの交通体系環境保全の面からの検討が十分ではない、総合交通体系を抜本的に再検討する、このことを述べておられます。まさにいままで、いまもちょっとおっしゃいましたけれども、ああいうところに空港をつくったりしていった行き方やその後の交通政策、そういうことから実際にああいう事態にまでなってしまったのであって、そこのところを根本的に再検討しなくちゃならぬと思うのです。いま言われたような処置、当然いままでの経過としてやむを得ずとられるのであって、でき得べくんば、もっと根本的な解決策のほうを一歩一歩進めていかないと、さしあたっての措置としては、もう既成事実としてやむを得ないという面が若干あるとは思います。そうではなくて、根本的な再検討が必要だ、ここにむしろ問題があるのではないかと思いますし、長官自身も、あのときにはっきり声明書の中でおっしゃっている。この点についてどうかということをもう一度聞きたいと思います。
  12. 三木武夫

    三木国務大臣 大阪判決がおりた翌日でしたか、関係閣僚の参集を求めまして、私が直後に言ったそういう諸点について、一つの提案に対して各省に協力を要請したわけです。  その交通体系の問題は、経済企画庁が従来も扱っておるわけで、昭和四十六年に総合交通体系というものを出したわけです。そのときにも環境問題というものは頭に入れてはおりますが、しかし、今日のような事態に、社会問題になってなかったわけですから、どうしても公害対策とか環境保全とかいうような見地から交通体系というものを考えていくという配慮が十分に加わっておりませんから、これからの経済社会計画の中において、そういうことを頭に入れて、もう一ぺん見直していくことを強く要請をしたわけです。  経済企画庁においてもそのとおりである、騒音振動というようなことは、いままでの交通体系の中には一応は頭に入れても、非常な重点を置いたとはいえない、そういうことで見直しをやりますということを約束したわけでございます。したがって、そういう問題について経済企画庁としては、もう一ぺん経済社会計画見直しの作業に入るものであると考えておるわけでございます。
  13. 米原昶

    米原委員 航空機の問題にしましても、いままでのやり方空港整備計画なんかを見ましても、それから総合交通体系考え方を見ましても、とにかく昭和何年度になったら、どのくらい需要がふえるんだ、乗客がどのぐらいふえるんだ、これに合わせるためには、こういうふうな空港が必要だというようなところが主要なものになっている。もちろんその点を考慮しなくてもいいというのじゃないですが、ただこの形だけをめちゃくちゃに進めていけば、全く航空会社営利本位政策に国家の政策は全部追随していく、そしてとんでもない行き詰まりに逢着するのではないかと思う。  一体、総合的に交通体系を考えて、たとえば新幹線を一方じゃつくっているわけですし、乗客というものをどういう範囲に、飛行機にはどういう乗客を主として乗せていくか、どの程度空港日本の狭い国土では、少なくとも環境保全するということを一方に考えに入れるならば、一定の制限があると思う。そういうことを総合的に考えた政策でないと非常にむずかしい問題に、もういまぶつかっておるわけですよ。解決できなくなってしまっておる、こういうふうに思うわけです。いままでのところは、ただ、こういう交通公害が激しくなっておる中で、大阪空港周辺住民とか、あるいは新幹線では名古屋住民とか、住民運動に押されて、どちらかというと、住民運動があったればこそ、逆に不十分ながら少しずつ対策をとらざるを得ないというところに追い込まれておるのが実情じゃないかと思うのです。  そこで、それに関連してもう一つ問題になってくるのは、その対策です。費用負担の問題ですが、こういう交通公害に対して加害者負担しなければならないというPPP原則の問題、これに照らして、この前の判決でも若干私、その点で疑義を持っているわけですが、今後また名古屋中心とする新幹線公害がいよいよ裁判になるらしい。そういう中で、費用負担問題は当然出てきますが、やはり汚染者負担するという原則が貫かれなくちゃならぬと思います。この点について大臣はどう思われるでしょう。
  14. 三木武夫

    三木国務大臣 お説のとおりに、やっぱりPPP原則というものを貫きたいと思っておるわけであります。だから、新幹線の場合でも、名古屋中心にしてああいう問題が起こって、そして国鉄は線路の両側二十メートルですか、その土地はもう買い上げる、そうして緩衝地帯のようなものをつくろう、あるいは防音の工事なども、民家に対してもこれをやって、騒音からできるだけ沿道の人たちに対しての被害を少なくしよう、こういうことを国鉄自身の予算でやろうといっているわけであります。また、空港騒音に対しても、あの判決の中では、政府騒音対策というものが十分でなかったことに対して、政府不法行為というものに対して過失の責任を負わしたわけですからね。しかし、そういう場合にも、やはり航空会社というものも責任を負わなければならぬものだと私は思います。  したがって、将来そういう場合における損害などに対しての負担区分というものは、やはり明白にしておく必要があると思います。それはPPP原則を貫くという原則の上に立って、どういうふうに負担していくか。鉄道の場合なんか、もうはっきりしておるわけです。空港の場合については、まだ、それがはっきり割り切っていないわけですから、そういう点については、ひとつ検討を加えて、空港騒音とか振動などによる被害に対して、これをどのように損害というものを負担するかということは、これは十分検討を加えて結論を得たいと考えております。
  15. 米原昶

    米原委員 そこで、飛行機会社に出させるとか、国鉄に出させるとか、汚染者が出すということは当然ですが、そこで、ちょっとそれに関連して問題が起こるのは、航空運賃値上げとか、それから新幹線公害については特急料金値上げというようなことがすでに報道されております。そして、今度の法律では、自動車公害については、ユーザーからの費用負担という形で、この法案でも問題が出されているので、これについて、はたしてこれが値上げという形でいくのが正しいのかどうかという点なんです。
  16. 三木武夫

    三木国務大臣 今度の法案には、やはり自動車を使用しておる人が排気ガスを出しているわけですから、そういう点で汚染者であるということで、自動車重量税という形で自動車所有者にこれをかけるということは、PPP原則というものにそむくとは考えていないわけでございます。
  17. 米原昶

    米原委員 そこで問題は、これをただ値上げという形でいくのは、もう一つの点でたいへんな問題じゃないか。実際は責任のがれになるのじゃないか。飛行機新幹線、それから自動車、どれをとってみても、いわゆるモータリゼーションですか、そういう中で、飛ばせ、飛ばせというので増便を続けてきたわけです。もうけた飛行機会社、それから国鉄の場合は、在来線をむしろ減らして、新幹線で大もうけしているわけです。あるいは道路の混雑も排ガスもかまわないで年間に六百万台を生産した自動車会社、それに合わして飛行場高速道路をどんどんつくらしてきた政府責任という問題もあると思うのです。それをごっちゃにしている。汚染者負担原則を貫く場合に、非常に慎重にこれを見分けていかなければならないのじゃないか。  特に新幹線について聞きますが、新幹線公害に対する費用の一部として、料金値上げということが問題になっているようですが、私思うのに、四十五年、四十六年、いずれをとってみても、新幹線だけをとってみれば、一千億円以上の黒字を出しているわけです。それを何か値上げによって解決する、これはおかしいと思う。やはりその点は国鉄として、当然値上げしないで出させなければ、ほんとうの原因者負担にはならない、私はそう思うのです。この点について長官意見を聞いておきたいのです。
  18. 三木武夫

    三木国務大臣 国鉄運賃値上げされるわけですが、しかし、そのことは、騒音対策としての値上げというよりは、国鉄全体の経営累積赤字が、こういうままでは、鉄道公共企業体として一応の独立採算制のような原則の上に立っておるわけですから、あまり次々に赤字が累積していくという状態では、非常に不健全な経営内容になるから、それを上げようということで、いわゆる騒音対策のために国鉄運賃値上げということではないと私は思います。
  19. 米原昶

    米原委員 また法律の問題ですが、今回のこの法律で二年間暫定となっているわけです。暫定とした理由を、一語にしていえばどういうことか聞きたいのです。
  20. 城戸謙次

    城戸政府委員 暫定にしました理由は、大きくいいまして二つございます。  一つは、このいまの公害規制制度としまして、日本では直接規制というのがやられておりますが、現在OECDでいろいろ検討されているところによりますと、経済的なインセンティブを与えて公害を防いでいく、チャージ制度を有効な制度として検討すべきだということになっているわけでございまして、私どものほうの専門委員会でいろいろ議論されました際にも、そういうチャージ制度ができれば、その中の財源の一部を公害健康被害に対する補償に充てるのが本来的な姿としては一番望ましいということが指摘されているわけでございまして、こういうチャージ制度を含めまして、もっと基本的に検討したいということが第一点でございます。  第二点は、この重量税引き当てでございますが、これ自身、現在提案されています税関係法律では二年間暫定措置になっているわけでございます。そういう点からも、時限的な立法にするほうがよろしかろうということで、附則の改正ということにいたしたわけでございます。
  21. 米原昶

    米原委員 そうしますと、これは暫定措置ですが、最終的にはいまおっしゃったような、大体どういうことになろうと考えておられるのかということですね。この点、もうちょっとはっきり聞きたい。
  22. 城戸謙次

    城戸政府委員 私どもOECD結論が現在のところまだ出ておりませんので、それを見ました上で十分検討して、チャージ制度がすぐ実現できるものかどうかということにつきまして、まず第一に検討したいと思います。  またそのほかにも、基本的な制度として適当な方法があるかどうかも検討してまいりたいと思っておるわけでございまして、この点は四十九年度を含めました二年間暫定措置期間内に、できるだけの検討をして、新しい具体策をつくってまいりたい、こう思っております。
  23. 米原昶

    米原委員 私は、この重量税の中から取っていくということにたいへん疑問を感ずるのです。この自動車公害は、むやみやたらに自動車をつくってきたこと自体に問題があると思うし、それとイタチごっこ高速道路をどんどんつくる、これがむしろ基本的な原因じゃないかと思うのです。たとえば東京都の車の保有台数はいま何台ありますか。
  24. 春日斉

    春日政府委員 四十八年三月の段階で、約二百五十万台だと思います。
  25. 米原昶

    米原委員 今後二、三年の日本における車の生産台数、大体どの程度が予想されておりますか。
  26. 春日斉

    春日政府委員 日本全体で、四十八年三月の段階で、おそらく二千六百万台であろう、こう推定されておるわけでございますが、四十九年の情勢は、御承知のとおり石油危機等々によりまして、いままでほぼ一〇%ないし一二%ずつふえてまいったのが、先般の自動車工業会等の報告によりますと、四・四%ぐらい昨年に比べて落ちるというようなことをいっておりますので、これからどのように自動車の数がふえるか減るか、これはちょっと、いまのところ予測をつけがたいと思います。
  27. 米原昶

    米原委員 若干のそういう停滞の現象が起こりかけていることはわかります。それにしても、ふえることは間違いありませんね、いまのままでいくと。この調子でいきますと、ますます道路が大量の車で埋まるようになるし、都市高速道路をつくっても、またすぐに渋滞する、これを繰り返しているのが、いままでの状態だったと思うのです。その中から極端な排気ガスによる公害が起こってきたわけですが、この点で、ここまで深刻化した車公害責任は、私は自動車メーカーにあると思う。都市巨大化の進行と公共交通が整備されていないために、少なからぬ人にとって、いまでは車は生活必需品となっております。そういう点から見ても、ユーザーの人々に車公害責任を持たせるというのは、非常に私疑問だと思うわけです。  それで、移動発生源は二割の負担というふうに今度の法律では説明されておりますが、今度の負担によって、どの程度の額が年間に見込まれることになりますか。
  28. 城戸謙次

    城戸政府委員 どの程度の額ということは、ちょっとよくわからないわけでございますが、私ども一般会計からの重量税引き当てによる交付金を八億円と算定しておるわけでございます。私どもとしましては、八億円が二〇%に相当するという算定のもとに、来年度の九月から実施されます分の給付費及び福祉事業費、この合わせましたものを算定しておるわけでございます。
  29. 米原昶

    米原委員 大体そういう程度数字だとすると、私はユーザーから取るのではなくて、メーカーから取るべきじゃないか、こう思うのです。自動車メーカーのもうけは非常に膨大であります。四十六年九月期の税引き後の利益は、日産で二百二十六億円、トヨタは四十六年十一月で三百十九億円、その他東洋工業本田技研ども大きな利益をあげております。  平地部分アメリカの十倍の密度で自動車が走っておる。公害のたれ流しが行なわれているこの日本に、自動車をこれ以上詰め込んで大もうけをするというような行き方は、私はもう許されないと思っております。自動車メーカーに、むしろかけていくことのほうが、私は本来の筋が通っているのじゃないか、こう考えるわけでありますが、長官どう思われますか。
  30. 三木武夫

    三木国務大臣 まあ私は、一つ考え方だと思います。だから二年間いまの重量税による期間があるわけで、そのときにはいまお話のようなことも、一つ検討の対象になる。しかし、メーカーにかけても、結局はユーザーに転嫁されるわけでしょうけれどもメーカーから取るということも一つ方法だと思います。これは、いま暫定期間の二年間があるわけですから、将来にわたって一番合理的な方法というものを二年間の間に考えて、そして結論を出そうとしておりますから、その場合には検討する一つ問題点として、十分検討を加えることにいたします。
  31. 米原昶

    米原委員 長官検討をすると言われたので、私は満足しました。この問題はぜひ、少なくとも、いますぐでも私はこれはメーカーから取る案に修正したほうがいいと思っているのですが、しかし、それがたとえできなくても、少なくとも二年間猶予期間があるわけで、この間にメーカーから取るという問題をぜひ考えていただきたい。実際メーカーのあげている利益から見ると、この負担はさっきもちょっと数字をあげましたが、微々たるものであります。ですから、それを自動車一台一台から徴収するというやり方は、どうも筋が通らないんじゃないか。いろいろ論理的にも矛盾が出てくることは、長官自身御存じだと思うのです。  さらに、こうもいわれております。このやり方でいくと、徴収に要する費用のほうが集める金よりも大きくなってしまうのではないか。むしろメーカーから取るほうが筋が通るし、徴収も実に簡単だ、メーカーから取るべきだ、私はこの意見を強調しまして、簡単でありますが、これで質問を終わります。
  32. 角屋堅次郎

    ○角屋委員長 岡本富夫君。
  33. 岡本富夫

    ○岡本委員 最初に、長官がちょうどおいでになっておりますので、確かめておきたいのですが、この公害健康被害補償法を昨年審議しました。その前に昨年の予算委員会で、健康被害だけであるから、生業被害、すなわち財産被害も加えるようにというようなお願いもし、また要望いたしましたときに、長官は四十九年度にそれを法制化するように考えるというような御答弁があったと思うのです。これは事務当局でもよろしいが、大体どの程度まで進んでおって、そして四十九年度中にはこういった結論が出るのか、これをひとつ確かめておきたい。
  34. 三木武夫

    三木国務大臣 予算委員会で私が述べましたことは、公害による健康被害補償法、これを軌道に乗せたい。そして軌道に乗せればそのあとは、昭和四十九年と申したいと思いますが、昭和四十九年から生業被害の問題に取り組んでいくということを申したわけです。したがって、これは生業被害ということになると、どうしても水産庁の関係というものが非常に多いわけですから、普通の健康被害の場合とちょっとタイプが違うものですから、私は生業被害の問題を農林省のイニシアチブでつくってもらいたいということを農林省に対しても強く要請をして、農林省においても、この問題はできるだけ結論を得たいということで、いま取り組んでいられるということでございます。  われわれは、できるだけ、ああいう答弁もしたわけですから責任を感じているわけです。これを推進をしてまいりたいと考えております。
  35. 岡本富夫

    ○岡本委員 その場合、聞くところによると水産庁のほうでいろいろ検討しているそうでありますけれども、これは長官、実は水産物だけではございません。たとえば農作物、これが調査いたしますと相当やられておりまして、どうしても農作物のほうの被害もやはりやらなければならぬと思うのですが、そういうと、それも農林省の問題だ、こういうふうになりましょうが、これはまだ野菜だとか、あるいはまたそういった農業被害についての検討がどうもなされていないように思う。水産庁のほうは何かいろいろ考えているらしいですが、これではどうも片手落ちだということになりますので、長官のほうからこれは強力に要求をして、できれば、海と陸ということになりますけれども、両方一緒にやられるような検討をしていただきたい、またそういうように法制化していただきたい、こういうふうに考えておるのですが、いかがでしょうか。
  36. 三木武夫

    三木国務大臣 それは、やはり海と陸と別々にしないほうがいい。やはり一本の制度として海と陸と両方を扱う、そのほうがやはり運営としてはよろしいと私は思っております。
  37. 岡本富夫

    ○岡本委員 それはぜひ両方並行して片手落ちにならないように、ひとつ農林当局にも指導していただきたい。副総理ですから。  次に、この間ちょっと時間がなくて聞けなかったのですが、これは事務当局からですが、公害保健福祉事業についてもう少し内容を明らかにしていただきたいと思うのですが、あなたのほうから医学的リハビリテーション、それから被認定者の健康回復、それから空気清浄機の給付、家庭訪問の指導、こういうことで資料をもらったのですけれども、これについてもう少し詳しく、どういうことをやるのかということを明らかにしてもらいたいと思います。
  38. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 いま先生から御質問のございました公害保健福祉事業でございますが、これにつきましては、まず対象といたしまして、この患者さんそのものが対象となることは当然でございますが、法律の趣旨にもございますように、患者さん以外の人も汚染地区の中でその対象となり得るような性格の事業になっております。  具体的にどういうことを考えておるかということでございますが、このリハビリテーションというところになってまいりますと、特異的疾患の中でイタイイタイ病やあるいは水俣病というようなケースの中で、このリハビリテーションをやれば、回復がもう少し進むのではないかというようなケースもある場合もございましょうし、これは現在進められておりますが、従来大気系の患者さんにつきましては、リハビリテーションをどうするかということをほとんど触れられないままにまいってきております。そういうことで特に今回大気系の患者さんたちのリハビリテーションをどうするかということに非常に関心を持ちまして、現在医師会の方とも、いろいろどのような従来の医療で見られていなかったものがあるだろうかということを現地の開業医の方の代表もあわせて話を、している最中でございます。  それから、その次の認定児童の健康回復という問題でございますが、これは現在四日市であるとか川崎であるとか尼崎というところで一部行なっておりますが、グリーンスクールというのを設けまして、一種の林間学校あるいは養護学校式のものでございますが、一定の期間非常に空気のいいところの施設にその子供たちを連れていって、そうして保養をさせるというようなことをこれは考えております。  それから空気清浄化の給付ということでございますが、患者さんが寝ておられるところで空気清浄化の機械がほしいというような要望も中にございまして、一部川崎市はもうすでに始めたやに聞いておりますが、そういうものが非常に有効であるならば、そういうことについての給付もできるようにしてはどうだろうかということを考えております。  また、この家庭訪問につきましては、これはやはり保健指導ということが非常に大事な問題になってまいりまして、保健婦が家庭訪問をして、生活とかあるいは健康回復のためのいろいろ指導をするということが必要だと思われますので、そういうものをこの事業の中でやりたい。  以上のようなことを具体的に考えておるわけでございます。
  39. 岡本富夫

    ○岡本委員 この中で、たとえば被認定者の健康回復、先ほどグリーンスクールといいますか、こういうものをつくることを考えておるのだということですが、すでに尼崎市は猪名川町というところに、そういったグリーンスクールをつくっておるわけですけれども、そういったところに補助金として出すのか、あるいはまた国がそういった回復訓練施設というようなものをつくるのか、この点をひとつ明らかにしていただきたいのです。
  40. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 いま先生の例をあげられました尼崎市の猪名川町のケース、私たちも伺っております。一つの非常にいい方式だと思っております。  今回の四十九年度の予算の中で考えておりますのは、施設補助というものは考えておりません。子供をそこに連れていって、そして保養をさせるための費用について補助を見るという形で四十九年度の予算の中では考えております。将来の問題としましては、先生のおっしゃったような問題もあろうかと思いますが、なるべく子供に、あるいは患者さんにじかに恩恵が及ぶような形で金を使いたいというような希望を持っております。
  41. 岡本富夫

    ○岡本委員 そうしますと二つあるわけですね。一つは地方自治体でそういったグリーンスクールができれば、そこヘバス代とか、あるいは食事代とか、そういうものを四十九年度は出すというのですね。それをつくってないところ——ぼくは大阪市はあまり聞いてないのですが、これをつくってないところ、そういうところに対しては今度次の段階で、要するに五十年なら五十年には、そういったグリーンスクールをつくる、こういうこととですか。もう一度ひとつ……。
  42. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 いまの先生の御質問は、つくってないところはどうするかということでございますが、これはいろいろな保養施設が現在存在しておるわけでございまして、あるいは養護学校等の施設も中にございます。そういうことでございますので、この施設をつくるために金を使うということは必ずしも本来のねらいではない。いまある施設を十分生かして、そしてそこに行くために必要な費用に使うことによって、直接その金がその患者さんやあるいは児童に生きるようにしたいというようなことでございます。将来の問題としては、先生のおっしゃったような問題も検討の要はあるというぐあいには考えております。     〔委員長退席、坂本(三)委員長代理着席〕
  43. 岡本富夫

    ○岡本委員 それから次は空気清浄機の場合ですが、これを給付する。これは民間の住宅——ぼくは四日市へ行ったことがありますが、あそこは病院の中にそういったのがありまして、そこへ夜だけ泊まりに来て昼働きに行っているというような人がいますけれども、民間住宅にも施設を——この施設について補助金を出すというようなことにはならないと私は思うのですが、空気清浄機を民間の住宅に施設してあげる、これはこう解釈してよろしいですか。
  44. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 空気清浄化の機械につきましては、機械そのものを給付をするという形でございますので、患者さんの家に対する補助金という形ではございません。
  45. 岡本富夫

    ○岡本委員 ちょっともとへ戻りまして、先ほどの保養施設、これは尼崎市で公害病患者の保養施設をつくったのですけれども、ここは企業から金を集めまして公害救済基金というものを昨年の四月に約五億円でスタートしているわけですが、建設費用なんかがあって非常に小さなものになってしまった。こういうことを考えますと、現在あるものをフルに活用する。たとえば国民休暇村とかそういうものがだいぶ各所にありますけれども、現実に私、あちこち当たってみますと、申し込みが殺到して、相当一ぱいなんですね。この間生野町の国民宿舎に行ってみましたら、もうずっと申し込みが一ぱいなんですね。  転地療養する場合、そういったところに行く場合に、その患者さんに、ただ費用負担してあげるというだけで、はたしてほんとうの実効があがるかどうか。ということは、いま私申しましたように、尼崎市でもこうして相当な基金が要って、そして非常に小さくなっておるわけですね。ここは宿泊施設は二部屋に削ってしまって、定員が三十名が二人減となって二十八人になってしまったというようなことですから、事実健康回復の実効があがるかどうかということが、私は非常に心配なんです。その点についての見通しはございますか。
  46. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 いまその点につきましては、指定地域を持っております県、市に対しまして、計画をぜひともつくってくれということで申しておりまして、本制度は九月から発足になりまして、半年間でございますが、この計画によりまして、将来また施設をつくることが必要であるという問題が出てまいりましたら、先生のおっしゃったようなことを、新たにまた予算として検討しなければならないというぐあいに思っておりますが、現在のところは、まず現存している施設で、林間学校の施設も、学校は中に持っておりましょうし、養護学校の施設も持っておりましょうし、国民休暇村というものもございましょうし、また尼崎のように独自におつくりになったものもある。それを生かすという形に、本年の予算はなっております。
  47. 岡本富夫

    ○岡本委員 これはもう一度検討していただきたいと思うのですが、いまあなたの答弁でぼくは少し納得ができない。ということは、養護学校だって、ほとんど手一ぱいなんですよ。入らない。それから休暇村、そういったものを使おうとしても、ほとんど一ぱいだということですから、なるほど患者の皆さんに対して、そういった費用を出してあげる、こう言いましても、事実行けない。しかも、大気系の患者の皆さんは、転地療養というのは非常に効果がある。したがって、これはもう少し実効があがるような検討を、いまはしかたがないとしましても、五十年にはどうしてもしていかなければならぬと私は思うのです。その点をひとつ要望したいのですが、検討できますか。
  48. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 いま先生から御指摘がございましたが、この制度を実際に運用してみまして、また関係の県、市から計画が出てまいりまして、そうしてそのようなことを、先生の御指摘のような問題がどうしても新たに考えられなければならないというような、具体的な基礎が固まりましたならば、私どもも積極的に検討してまいりたい、こういうぐあいに考えております。
  49. 岡本富夫

    ○岡本委員 次に、これは兵庫県で尼崎に公害病の専門病棟をつくったのですよ、塚口に。ところが看護婦がいないわけですね。看護婦不足で開院ができない。だから宝の持ちぐされになっておるというような——これはわが党の県会議員がやかましく言って、設置してもらったのですけれども、あとそういうような問題が残っているわけですね。そういった総合的な——これは看護婦の問題ですから厚生省だということになりますけれども公害患者の救済にあたって、やはりあらゆる面から検討をして、大体何人いる、どのくらいが転地療法あるいはそういったことが必要なんだというような実際の数を把握して、一日も早く救済できるような総合的な検討が必要であろうと私は思うのです。  ただ、こういうことをやりました、こういうことをやりました——やったには違いないのですが、百人のうち二人だけだったとか、非常にむずかしいとか、こういうことでは、ほんとうの法の精神に反するのではないか、私はこういうふうに思いますので、その点の再検討をひとつお願いをしておきます。  次に、この法律は、二年間の時限立法で、公害被害補償するための財源を自動車重量税に求めておるわけですが、二年たったあと、今度は、次はどういうようなことを考えているのか。そこまではまだ考えておりませんということになったのじゃ困るわけです。  なぜかといいますと、二年たって、今度は、財源がないから、これで打ち切ったというようなことでも困るわけです。その次に来たるべき、たとえばこれは聞くところによると、石油一ガロン二十一銭か何かで取りますと、大体百億は入るのだというようなことで相当検討をされておる。環境庁もそうだと非常に乗り気になった。ところが、これは石油業界からの圧力か知りませんけれども、つぶれたというようなことですが、次の検討をどういうようにお考えになっておるのか、ひとつこの点をお聞かせを願いたいと思うのですが、いかがですか。
  50. 城戸謙次

    城戸政府委員 先般もお答えしたと思いますが、私ども暫定措置にしました一つ理由としては、やはり根本的な制度として考えます場合には、現在OECD検討されておりますチャージ制度と関連させていくのが一番適当であろう、こういう中央公害対策審議会の費用負担特別部会の中にあります専門委員会から報告をいただいているわけでございまして、そのような方向を一つ検討の課題とし、なおもっとほかにいい方法があれば、それもあわせて、今後、この暫定期間が切れますまでに検討してまいりたいと思っておるわけでございます。  私ども、現在こういうような形で重量税引き当てにしましたのは、何と申しましても、自動車排出ガスによります大気汚染は、直接の汚染者はやはり自動車の使用者でございますので、これに関連して、自動車の保有あるいは燃料、いずれかに対して賦課金を課する、あるいはそれに関連した税金を引き当てるというのが適当であろうということで検討してまいりましたが、やはり重量税引き当てるということが、現在の段階では一番適当と考えますので、二年間暫定措置としてそういう方法をとって、さらに先ほど申しましたような、根本的な検討をその間にやっていこう、こう思っておるわけでございます。     〔坂本(三)委員長代理退席、委員長着席〕
  51. 岡本富夫

    ○岡本委員 この問題について、次にもう一ぺん通産省に来てもらって、詰めていきたいと思います。  そこで、この法律が通りましても、指定地域でなければ、これは実施できないわけでありますが、第二種地域、水俣湾沿岸地域、阿賀野川沿岸地域、神通川下流地域、宮崎県土呂久地域、これを見ますと、水俣病患者が出ておるところは水俣ですね。それから第二水俣が阿賀野川ですか、土呂久は砒素——砒素のほうは公害認定をされておりましたね。こう見ますと、公害病に認定を受けなければ——公害病も、たとえば水俣病とかあるいはイタイイタイ病とか、こういう認定を受けた患者さんがいなければ、この補償地域にはならないようになっておるように見えるのです。  そこで、この間、参議院の予算委員会で内田参議院議員が、兵庫県の生野鉱山、市川流域のカドミ汚染によるところのイ病疑似患者、しかもこれは金沢大学の石崎教授あるいはまた萩野医師の調査では、この七人については、明らかにイ病の認定を受けるだけの結果が出ておるというようなことでありますが、ここも指定地域の中に入れる考えはないのか、ひとつこの点をお聞きしたいと思います。
  52. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 いま先生の御指摘の件につきましては、昨日ときょうにわたりまして参議院の予算委員会におきましても非常に問題になったケースでございます。  御指摘の生野の地区につきましては、金沢大学の石崎教授あるいは萩野先生などの方々の研究者グループから、今年三月十六日に行なわれましたカドミウム中毒研究班におきまして、三例の患者につきましての研究報告をなさいました。三例の患者につきましての先生方の研究報告どおりであるということといたしますと、なかなかいままでのイタイイタイ病と分けることはむずかしいという問題があるわけでございますが、この三例のケースにつきましては、県のほうにおきましても、いろいろ県の設けております健康審査委員会の中で議論のあったケースでございまして、本件の問題につきましては、きわめて重大な問題であるというぐあいに私ども考えております。  この兵庫県の審査委員会においては、従来イタイイタイ病でないという議論でございましたが、それ以外の専門家から、このような問題も、——従来の問題も出されておりますので、それを含めて再検討してもらうということで、現在進める手順にいたしております。
  53. 岡本富夫

    ○岡本委員 そこで、イタイイタイ病の認定については、おとといでしたか、御答弁あったのを伺っておりますが、カドミ汚染によって病気になったということは、これはもう明らかな事実なんです。カドミのお米も出ているし、水もそうであったししますと、公害によって病気になったということは、これは明らかだ。そうすると、この人たちを救済してあげるのは、私は公害健康被害補償法、これは通っているんですから、あたりまえのことだと私は思うのですがね。この点についてどうお考えになっているのか、ひとつ……。
  54. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 いま先生の御意見で、公害によって、起こったことは明らかであるという御意見でございましたが、現在の段階といたしましては、石崎先生あるいは萩野先生方の専門家の方方が、これはカドミウムの中毒によるイタイイタイ病であるという主張をして研究班に出しておられるという段階でございまして、このケースがカドミウム中毒によるものかどうかということにつきましての四十七年以来のいろいろの研究があり、そこの中にいろいろの違う意見の討論があったわけでございますので、それを、これはカドムウムによって生じたものであるとすることができるかどうかという点につきまして、早急に重大な問題として再検討を加えて、そうであるということになれば当然先生のおっしゃったようになりますが、現在の段階では、まだそこにまで至っていないというのが実情でございます。
  55. 岡本富夫

    ○岡本委員 その点ちょっと私は、前長官の大石長官は、公害病というものは疑わしきも救済するんだ、こういうように答弁を何べんかされた。したがって、指定地域あるいはまた公害病も、たとえ一人でもそういうのが出たら救済するんだということを答弁なさっておりますよ。三木長官は御答弁の中で、この生野の疑似患者七人については全く富山県と同じであるというような御答弁をされているわけですが、ということは、イタイイタイ病の認定というのは御承知のように診断班がやって、そして国の診断班と県の診断班の中でいろいろと論争があろうと思いますけれども、これは確実に疑いがある——疑いというより富山県と全く一致だということになりますれば、そういう見解であれば、これはイ病認定以前の問題で救済をしていかなければならぬのじゃないか。  向こうに行きまして町長さんにも会いましたら、とにかくお金がかかるのだ、ほっておくわけにいかないのだということで、地方自治体としても非常に困っているのだということでありました。しかも患者の様子についてのデータの中には、萩野先生の指示によって投薬していけば、どんどんよくなっている。こういうことになれば、これは公害健康被害救済法に基づいて、疑わしきはたとえ一人でも救済していくという前大石環境庁長官と、いまの答弁との相違があろうと私は思うのですが、いかがですか。
  56. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 大石前環境庁長官がその問題をおっしゃいましたケースは、水俣という場所で、すでに水俣病が発生しておって、汚染の事実があって、そこの中でいろいろの症状から見ると、専門家が見ても疑わしい、なかなか踏み切れないものはどうするかという点についておっしゃったわけであります。  この生野のケースにつきましては、まだ指定地域になっていないということでございます。しかし、汚染の事実があるということは事実でございます。そこにある疾病というものにつきまして、非常に重大な問題につきまして、三月十六日の研究班で石崎先生方から御意見があったということでございまして、この法律の対象としますには、あくまでもまず患者さんがそこにいるということが前提になって初めて指定地域ができるということでございます。  そういうことで、先ほど申し上げましたように、これはきわめて重大な問題でございますので、いままでイタイイタイ病ではないという御意見が兵庫県の健康診査特別委員会の中ではございましたが、県以外の専門の先生方から、そのような重大な御意見が出ましたので、それをあわせて再検討していただきまして、そしてこの問題を処理をしていきたいというぐあいに考えておるわけでございます。
  57. 岡本富夫

    ○岡本委員 どうもそれは納得できないですね。これは私もまだ確かめておりませんが、兵庫県のイ病鑑別診断研究班ですか、ここの喜田村教授による、なくなった青田さんという方の解剖の結果、あるいはまたそういった資料を、金沢大学の梶川教授のところの部屋の人がみんな見ているわけですね。このカドミの含有量が非常に多いというようなことでいろいろ話があった。  それはそれとしまして、そうしますと、私は、故意に学者の中でいろいろ意見が対立しておるのではないかとも考えられるわけです。行政庁としまして三木環境庁長官は、疑わしき者も救済していく、これは前大石環境庁長官意見でありましたけれども、それは水俣だけなんだ、ほかは違うんだ、それでは環境庁というものがほんとうにこういった公害患者に——要するに公害によって起こっている、疑わしい、これは救済していくというのはあたりまえだと思うのですよ。そうでなければ、たとえばいま四日市とか尼崎とかで大気汚染によって起こっている患者さん、この人たちが、あなたはほんとうに亜硫酸ガスによってぜんそくになったのですかといわれて、証拠が出ないじゃありませんか。そこまで医学が発達していない。しかし、いま個々になりましたら救済しておるわけでしょう。  そういうことを考えますと、しかも環境庁がすでに生野、市川流域は要観察地域に指定しておる。ということは、お米の中にも相当な量があって、いま構造改善もしておる。カドミの流出があって汚染されているということは明らかなんです。私、もう少し政治的な配慮をして、一日も早くこの方々を救済してあげることが環境庁としての責任であろうと思うのです。長官、政治的な配慮から、まず救済してあげるということに力を尽くすべきじゃないかと思うのですが、いかがですか。
  58. 三木武夫

    三木国務大臣 ことしの三月十七日でしたか、研究班の総会をやったのですが、石崎、萩野という、イタイイタイ病を長いこと手がけてきた人が、三人指摘したわけです、カドミウム中毒の患者がいるということで。ところが、ほかの兵庫県の審査委員会では所見を異にしたわけですね。カドミウムの中毒というものに対して、いろいろな点から学者の間にも意見が分かれているわけであります。しかし、否定はしても、そういういままでカドミウム中毒を手がけてきた専門医が指摘をするということになってくると、それをそのままにしておけないと考えているわけです。  そこで、橋本審議官を近く兵庫県に派遣をしまして、どうしても第一段階は県の審査委員会ですから、審査委員会のメンバーと、現にこういう症状があるということで重大な指摘があったのですから、橋本審議官に少し懇談をしてもらって、これを再審査する。やはりそういうカドミウム中毒で身体にじん臓やいろいろなところの障害が出てきておるということになると気の毒ですから、何とかそういう人たちを救済できる道を考えなければいかぬと考えておりますので、近く橋本審議官を派遣して、この問題をもう一ぺん取り上げてみたいと思っておる次第でございます。
  59. 岡本富夫

    ○岡本委員 では、それは早急にひとつ手を打っていただきたいと思うのです。  兵庫県の審査班といいますか研究班といいますか、こういう人たちと、今度出してきたのと対象がちょっと違うように思うのですね。その点もいきさつがあろうと思いますので、ひとつ対象になる方もよく見ていただきたい。そして、政治的配慮で一日も早く、そういう人たちを救済してあげる。何といっても、なおればいいのですからね。これはお金やそんなものと違うと私は思うのです。まずその人たちが健康になれば、これはもう一番いいわけです。ですから、ひとつその点は早急に、橋本審議官が兵庫県に出向くそうでありますから、説得もし、救済をしていただきたい。  なお、疑似患者のような人がいるのですよ。私は、こういうのを早く手を打ってきちっとしてあげれば、変な住民運動が起こって——変なと言っては悪いです。住民運動も大事ですけれども、わあわあ、わあわあ騒いで町も困っているんですよ、これ。この間行きましたら、町長もほんとうに頭痛いと言っていました。だから、早く救ってあげる。とにかく手を打つのがおそいんですよね。法律でも、私いままで見ておりますと、副総理だから申し上げておきますけれども、早くきめて、ぴしゃっと規制すれば被害が起こらない。いろいろなことが起こらなくて済む。いろいろな市民運動で、わあわあなってから法律をつくってやるものだから、いつもあと追い行政になる。被害を受けた人は、もうたまったものじゃないです。こういうことですから、やはり法治国家ですからね、やるならばやはり節度あるような、先の手を打った法律をきめて、行政をしなければならぬと、私は最近つくづく思うのです。  そこで最後に、ついでですから、通産省の立地公害局長さん来ておりますね。この生野鉱山はすでに休廃止になっておるわけですが、この休廃止の中で、上のほうに宮之谷ダムというのがあるのです。これは三十四年に決壊しておるのです。下のほうはどんどん農地改良をしまして、ことしは一号地、約六町歩、それから来年また何ぼかやる。これは国費も入るわけですよね。企業から四分の三、それから県費、町費と、こうなっているわけですが、これはやはり国民の金なんですが、同時にまたカドミのお米が出てきたんじゃ、これは話にならないわけです。  したがって、この宮之谷ダムは強力な、決壊しないように——もうずっと山の上にある。これがこわれたら、その下の部落はもう全滅ですからね。しかも三十四年に決壊しておる。私調査に行きましたら、その付近の土を——わりにいいかげんなものなんですね。これをつくった人たちに聞きましても、だいぶ昔の話ですけれども、鉄筋も入ってないというようなことですから、これは完全にひとつやっておいてもらわないと、ぐあいが悪い。これが一点。  もう一つは、廃水処理。坑内からどんどんカドミの入った廃水が、やはりまだ出てくる。現在処理場がありまして、この処理をやっておりますけれども、最後のもう一つの処理場が必要でないかと私思うのです。これも一つ。  それからもう一つ、ズリ対策。この生野の休廃止した鉱山のズリが相当あります。これも完全にやっておかなければならない。  この三点について、あなたのほうはどういうように調査をし、またどういうようにするのか、これだけひとつお聞きしておきたい。
  60. 林信太郎

    ○林(信)政府委員 お答え申し上げます。  生野鉱山は、昨年の三月三十一日閉山いたしております。鉱業権は残っておりますが、事実上鉱業活動は停止をいたしております。したがいまして、閉山後におきます鉱害防止を万全にさせる必要がございまして、閉山前、四十七年六月二十二日に、大要次のような監督上の指示事項を文書で交付しております。使用してない坑口の閉塞、それから使用してない堆積場の覆土植栽、それから沈でん池の拡張工事、これはただいま先生御指摘のとおりでございまして、坑水処理施設を十全にするという見地からでございます。それから四番目、使用中の堆積場の補強ということでございます。  それで明けまして閉山時、四十八年三月三十一日に、また次の三点の指示をいたしております。坑口の閉鎖と堆積場の整備補強、鉱害防止のための坑廃水の継続処理ということでございます。  現在のこうした鉱害防止工事の状況でございますが、坑口の閉塞はほぼ完了いたしております。それで手当てをしなければならぬ数が四百七十五という多数にのぼっておりまして、千年以上も昔からある鉱山でございますので、これだけたくさんの手当てを必要とする坑口があるわけでございますが、全部につきましてほぼ完了いたしております。それから堆積場の整備補強も、一部を除きまして、おおむね完成いたしております。それから沈でん池の整備も終了いたしております。坑廃水は今後も継続して処理をするという形にしてございます。  ただいま特に先生から御指摘のございました宮之谷沈でん池の点でございますが、間仕切りを補強いたしまして、水がいいものと悪いものがまじらないような処置を講ずることと、特に御指摘の築堤の強化に具体的な指示をいたしておりまして、目下工事中でございますが、五十年四月完成の予定になっております。  なお、鉄筋を入れてという先生のお話でございますが、土堰堤で堤防を築くのが通常で、これで十分でございますので、通常のこういったやり方で万全の措置を講じておるわけでございます。これで十分建設の基準に適格になっておるわけでございます。  それからズリ対策の点でございますが、覆土植栽を一カ所を除きまして、ほとんど全部完了いたしております。  それから現在の廃水の状況でございますが、ことしの二月に検査いたしましたところでは六カ所の廃水、いずれも同鉱山に課しました上のせ基準〇・〇五PPMでございますが、これに適合しておりまして、大体〇・〇一PPM台になっております。
  61. 岡本富夫

    ○岡本委員 時間になりましたから、要求だけしておきますから、またもう一度よく調査してください。  まず宮之谷ダム、これは製錬したあとの、まだカドミの一ぱい入ったものが、あの中に一ぱい詰まっておる。そしてそこから廃水が出ておる。その処理ができていない。それが一点。それから廃水処理場は、現在入っているぐらいの水であれば、これは何とかいきますけれども、いま閉山しているところは、雨季になりますと、水が相当浸透して出てくるというおそれがあります。したがって、廃水処理場のもう一つ下に魚でも飼って、そしてその魚が死ぬということであればだめなんです。これは外国へ行ってみましても、下で魚を飼っていますよ。そして、これならだいじょうぶですというような、生物が住めるようなことをひとつ考えてもいいのじゃないかということを私は現地で見てきました。  ズリ対策についても、まだ全部がいまおっしゃったように完成はしてない。大体いま冬季でありますし、それから雨量が少ない。夏になりますと、また雨量が多くなってくる。このときが心配だというのが現地の住民の皆さんの不安です。それにも耐えられるかどうか。事故を起こさない先に、休廃止鉱山については万全の措置が必要である。あとでまた、あなたのほうから現地をもう一ぺんよく見てもらって、完全なことをしてもらえば私はいいと思うのです。私がいま指摘したものだけを検討して、いますぐにお答えはできないと思いますから、要求しておきます。  きょうは、これで終わります。
  62. 角屋堅次郎

    ○角屋委員長 木下元二君。
  63. 木下元二

    ○木下委員 まずお尋ねしたいのは、移動発生源である自動車から公害健康被害補償費用徴収することの根拠、詳しくはけっこうですが、突き詰めていうと何でしょうか。
  64. 城戸謙次

    城戸政府委員 大気の汚染に関して申し上げますと、一番大きいのは、やはり固定発生源からの汚染でございます。ただ自動車の場合、特に一台一台からは、汚染物質はそう多くないにしましても、全体に自動車というグループを考えました場合、汚染の中に占める割合というものは非常に大きなものになるわけでございまして、そういう汚染に対する寄与度が無視できないというところに、自動車という発生源グループの社会的な費用負担してもらう理由があるわけでございます。
  65. 木下元二

    ○木下委員 移動発生源である自動車から費用徴収する場合、自動車から取るといいましても、メーカーから取る場合、それからユーザーから取る場合、こうあるわけでありますが、この改正はユーザーから取るという前提の改正であります。その点がいろいろと私は問題だと思うのです。これは昨年でありますが、日弁連が健康被害補償法の成立過程で意見書を出しております。  ちょっと引用いたしますと、いまの問題について、どのような考え方をしておるかということです。「光化学スモッグ・鉛中毒症等の疾病を指定疾病としない場合においても尚自動車移動発生源費用負担させるとすれば、指定地域を要件の一つとする因果関係構成の民事責任上の意義づけを失わせる危険があり、連帯責任の名をかりて実は確立しつつある公害訴訟における因果関係論を徒らに混乱させこれを後退させる恐れがある。」こう一ついっております。さらに「のみならず、発生源企業の責任を不当に分散させ企業責任を稀しやくすることとなり、企業における公害防除施策推進への機能を減殺させることとなるので妥当でない。」こういう意見を述べておるのです。  確かに、ユーザーから徴収をするということになりますと、公害の発生源である大企業の公害責任というものを分散させると申しますか、弱めると申しますか、そういう効果をもたらすという問題が一つあります。  第二といたしましては、健康被害補償制度と申しますのは、これは政府側の提案においても再々聞きましたけれども、民事責任を踏まえた制度であります。民事責任そのものの追及ではありませんけれども、民事責任を踏まえた被害補償救済制度であります。この性格が、こういうふうなユーザーから費用徴収するということになりますと、非常に薄められる、こういう性格が遠のくという感じがいたします。  私のほうでいただいております「費用負担専門委員会検討結果整理(メモ)」これを見ましても、どうもそういう傾向と申しますか考え方があらわれているようであります。「自動車等が大気汚染の形でもたらす社会的費用負担をすべきであるという考え方に立脚する」こういうふうな表現がされておりますが、確かに、民事責任から社会的費用負担へ、こういうふうに一歩本質が移り変わったような感じがするのです。受益者負担という考え方がありますが、ちょうどこの考えとうらはらでありまして、この受益者負担と申しますのは、利益を受ける者は費用負担をという考えですけれども、逆に、迷惑を与えるから、その補償をさせばこと足りるんだ、こういう考え方ですね。これがひそんでおるように思われます。  一体この点は、私が指摘をしましたような考え方があることは、お認めになると思うのですが、こうしたことでいいのかどうか、問題だと思うのです。いかがでしょうか。
  66. 城戸謙次

    城戸政府委員 私ども公害健康被害補償法を提案した場合の中心的な考えは、先生いま御指摘の民事責任を踏まえたものであるということは間違いございません。ただ、これは私ども個々の民事責任を少なくとも追及できる場面が相当考えられる固定発生源についてでございまして、移動発生源につきましては、個々の自動車の民事責任を追及するということは考えられないわけでございまして、やはり自動車というグループの全体としての社会的な責任と申しますか、そういう考え方に立っておるわけでございます。
  67. 木下元二

    ○木下委員 この制度は、やはり何といっても公害被害者の救済制度であります。その面も、こういうふうな車から取るというふうな形によりまして弱められるんではないか。被害者感情から申しましても、私は問題ではないかと思うのです。被害者だって車を持っているわけですね。車を持って運転している。一方で被害者でありながら、他方で加害者としての側面も持つというふうなことにもなるので、何か被害者と加害者の非交換性と申しますか、そうしたものを無視する形になってくる、ここに私は、このような制度の改正に大きな問題を感ずるわけです。メーカーから徴収をするということ、これについては、あなた方のほうでは一体考えられたのでしょうか。検討されたのでしょうか。
  68. 城戸謙次

    城戸政府委員 これはいろいろ議論のあるところでございますが、私ども審議会の内部で議論しました場合も、自動車排出ガスによります大気汚染ということを考えました場合、直接の汚染者自動車の使用者であり、健康被害補償費用を出します場合は、自動車の保有にかけるか、あるいは燃料にかけるか、これが一番適当であろうという考え方に立っているわけでございます。ただ、これは将来いわば自動車からの排出される排気ガスによる汚染を減らしていくという、いわばインセンティブチャージということで考えます場合はおのずから別でございまして、いま申し上げましたような直接の汚染者でなくても、最終的にインセンティブが与えられれば、どの段階でかけてもよろしい、こういうような考え方が現在のOECDで議論されておりますチャージ一つの特徴でございますので、そういうことでございますれば、当然自動車メーカー等も対象として考えられるわけでございます。  当面は、そういうようなチャージという考え方でございませんから、やはり直接の汚染者に対しまして、それに関連ある、一番関係の深いメルクマールをとらえまして、費用負担してもらうというのが一番適当だろうという考え方で成立されておるわけでございます。
  69. 木下元二

    ○木下委員 この点は、自動車メーカーというのが、私が一々指摘をするまでもなく、著しい利益をあげておるのですね。そういう利益をあげながら、大量生産された自動車公害防止の点ではきわめて不完全である。不完全な車を社会に提供しておる、ユーザーに提供しておるということであります。これによって道路公害がまき散らされ、国民の健康破壊の大きな原因一つになっておる。これは疑いの余地のないところなんですね。自動車の場合は、結局モータリゼーションによってこういうばく大な利益をあげながら、いわば一種の社会的欠陥品を送り出している。社会的欠陥品という意味は、その公害防除の点で一〇〇%完全でないという意味において言っておるのですが、そういうことが言えるわけなんです。  そうだとすれば、これはメーカーから徴収をして、ちっともおかしくない。この点の議論がどうも十分なされていなかったんではないかという気が私はするのです。メーカーから徴収するということは、私がいま言いましたような点から申しますと、これは社会的な公平の観念にも照らしてみても、きわめて妥当なものだ、こう思うのです。この点はどうですか。どうした議論が行なわれたのか。幾らか何か検討されたようなことも言われましたけれども……。
  70. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 いま先生の御質問では、自動車メーカーについて審議会でどういう議論が行なわれたかという問題がその中にございますが、その点だけに限って私、お答えいたします。  中央公害対策審議会で議論いたしましたときに、自動車メーカーの議論も出ました。いたしましたが、自動車メーカーにかけるといたしますと、現に使われている車の量が非常に多いわけでございます。新車というのは、大体全体の五分の一弱前後ぐらいしかないというのが実態でございます。そうしますと、その五分の四くらいの最も汚染を起こしているものに対してかけることができなくて、五分の一くらいの車を毎年出してくるそのときそのときに、新しい車に金をかけて出さすというところは、どうも非常に問題があるのではないか。しかも、新しい車ほど低公害車になってくるということになると、これは非常に問題があるということでございます。  全体の社会経済のメカニズムで、いま先生のおっしゃったような自動車メーカーは不完全製品を出しているのではないかという議論は、理論的な次元ではございましたが、汚染の負荷に応じていかにして金を取るかというようなことになりますと、いま申し上げた新車と使用過程車の問題があり、新車は低公害車になっていくというような観点から、少なくとも本制度としては、まず自動車メーカーにかけることは無理があるのではないかということで、もっぱら自動車を走らせてガスを排出する人にかけるか、あるいは油にかけるかという議論になり、最終的にいま言った自動車重量税を払うという立場の人に、この制度として落ちついた、このような経緯でございます。
  71. 木下元二

    ○木下委員 そうしますと、その一点だけですか。ほかにもいろいろあったわけですか。おもになった理論、かけるべきではない、メーカーから徴収すべきでないという理論のおもな根拠は、いま言われた点一つですか。
  72. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 いま私が先生に御説明いたしましたのは、専門委員会の議論が出されてくる前のなまの議論を先生に御紹介を申し上げたということを、一点まずお断わり申し上げておきたいと思います。そして、どうして自動車メーカーに税金をかけないかという点につきましては、新車、旧車という議論が一番大きな問題点であって、それに対してやるべきではない、こういうことで……(木下委員「専門委員会では」と呼ぶ)専門委員会では、いま言った自動車の燃料にかけるか、それともその自動車を走らせて出している人にかけるか、この両方になっております。
  73. 木下元二

    ○木下委員 それは、いま言われた点、新車にだけかけるという前提で議論をされると、そうした問題にぶつかるかもわかりませんが、そういう限定は、必要なんじゃないですか。要するに、現に走っておる車、これをつくったところのメーカーに対してかけるということで、じゃ、どういう算定基準によるかということになると、いろいろあるかもわかりませんけれども、たとえば前年度一年間、これは一年間でなくても、二年間でも三年間でもいいと思いますが、その期間内に生産され、登録または届け出をされた車の台数を基準にして、メーカー費用負担をさせるということだって可能なわけなんですね。  だから、それがいま言われたようなことで、全く新車にだけかけるといったような議論でむずかしいというのは、どうも私はわかりにくいのです。
  74. 城戸謙次

    城戸政府委員 いま橋本審議官から御紹介申し上げましたのは、私、前の前でございますが、去年四月に中央公害対策審議会から答申されました、それまでの経過で、主としてそういう論点があったということでございます。ただ、その後、実は費用負担という見地から、もう一度見直す必要があるということで、費用負担専門委員会の中で検討していただきましたわけでございます。  その際は、やはりチャージとして将来取るということでございますれば、たとえば新車の中で、公害防止により十分な施設が整備されているというものに対しましては、低いチャージをかけ、そうでないものに高くする。もちろん、これは公的規制のワク内の議論でございますが、そういうことでインセンティブを与えるということならば十分考え得る。しかし当面の、そういうチャージでなく考える場合におきましては、やはり車の使用者というのが直接の汚染者でございますから、これに関連しまして自動車の保有なり、燃料にかけていくのが一番適当であろうということで、二案を中心に議論しました結果、当面は重量税引き当てということになったわけでございます。
  75. 木下元二

    ○木下委員 どうもその理論的根拠がはっきりしないように思うのですが、この専門委員会検討されたメモというものを私も見ておるわけであります。これによりますと、汚染防止の費用は、その生産と消費の過程において負担させるという考え方が基本的に述べられております。  このメモの一ページの二項の(1)のところです。「汚染の防止や制御の措置に対する費用は、その生産と消費の過程において、汚染を引き起こす財とサービスのコストに反映されねばならないという原則を確立することである。」というふうな考え方が出されておる。どうも私はこれは問題だと思うのですよ。こういう考え方が基本にある。  もう少し問題を申しますが、これは生産と消費を対等に並べて、それぞれから費用負担させる、こういう考え方なんですね。たとえば産業廃棄物の処理は企業のほうに負担させる、これはけっこうなんですけれども、一方、家庭廃棄物の処理は各家庭に負担させるというような考え方、そういう論理なんですね、これは。家庭廃棄物の処理というのは、これはやはり一般環境の整備の問題として処理されなければならないと思います。  それからまた、この制度というのが、初めにも指摘をいたしましたように、公害被害の救済の制度なんですね。被害者に対する補償救済制度なんですね。そういう制度の中に、この一般環境の整備を組み込むというふうな、そういうことにも通じてくることになると思うのです。ですから、私は、専門委員会検討されております、この基本的な一般的な問題として提起されております考え方は、きわめて問題ではないかというふうに思うのですけれども、この点はいかがでしょうか。
  76. 城戸謙次

    城戸政府委員 専門委員会の報告の中で、先生御指摘にたりました点は、まさにOECD汚染者負担原則そのものでございまして、私どもは、そういう汚染者負担原則考え方をより徹底させる必要があるということを、ただそういう意味合いで、あすこに引用しているだけでございまして、他意はございません。
  77. 木下元二

    ○木下委員 いや、OECDがどういう考えを出しておるのか、OECDがこう言っているからこうだというふうなことでは、私は議論にならないと思うのです。いま問題になっているのは、健康被害補償制度の改正をどうするかということでしょう。第一、こういう健康被害補償制度について、ではOECDではどう言っているのですか。日本で起こっているこうした公害問題の解決のための健康被害補償制度、こうした制度は世界にもないと思うのですけれどもOECDでこの問題が、では検討されているのですか。されていないでしょう。
  78. 城戸謙次

    城戸政府委員 ただいまPPPのところを引用しておりますのは、OECDPPP論議の中で、チャージ制度を提案しているわけでございます。したがって、この専門委員会では、そういうチャージ制度日本でももし許されるならば導入すべきであるし、そういう考えのもとに検討すべきだ、こういうことを言っているわけでございまして、その場合、チャージによって得られます相当大きな財源があるわけでございますが、それを健康被害補償にも充てたらどうだろうかというのが考え方中心でございます。  金額的に申し上げますと、この財源としましては、たとえば四十九年度でございますと、車一台当たり三十円台の負担でございまして、年間非常にわずかな金額でございます。チャージということになりますれば、年間少なくとも数万円、数十万円の大きな金額を課するのでなければ、これは汚染防止をするインセンティブにはならないわけでございまして、考え方が全然違うわけでございます。そういう点を先ほどから申し上げているわけでございます。
  79. 木下元二

    ○木下委員 どうもよくわかりにくいのですけれども、このメモに沿って私、少し批判いたしますと、いま私が申しましたように、生産と消費の過程において両者から汚染の費用を取るのだというふうな考え方があるわけです。示されているわけですね。それ自体きわめて問題だということを私、指摘をいたしましたけれども、今度は、あとのほうにいきますと、この二枚目の(3)のほうですけれども、「当面緊急な課題である移動発生源費用負担の問題は、理論的なチャージとしてではなく、汚染者負担原則の精神をふまえつつ、現実に即した処理を考えざるをえない。」というようなことで、結局、ユーザーから取るというふうにダウンしているのですよ。  初めの理論展開は、生産と消費の過程で両方から負担させるべきだ、取るんだという考えが出ておりながら、あとになってくると、それがダウンいたしまして、消費のほうから取るのだ、こういう考えに変わってきているのですね。ここらに、私非常に問題があると思います。なぜ一体、ユーザーから取るのか、どうですか。
  80. 三木武夫

    三木国務大臣 私は米原委員の質問に答えまして、暫定期間の二年間の間に、もっと合理的な自動車公害に対しての徴収ですね。健康被害補償法の財源としての徴収自動車からもやろうというこれは一つ方針ですが、それをもっと合理的な何か方法があるかということを検討してみたいということで、メーカーから取るという場合も検討の中に入れましょうということを言ったわけですが、非常にむずかしい問題は、いま二千五百万台ぐらいあって、新車といっても、二千万台ぐらいは旧車でしょう、だからメーカーから取るといったら、新車だけでは困るのですから、古い車に対しても、さかのぼってメーカーから取るということは、これはなかなか容易ではないですね。これから新しくするものに対してチャージするということならば、それは一つのそういう立法によってできるでしょうが、いままでずっと昔つくった車を、みな昔にさかのぼって徴収するということは、それはやはりちょっと合理的でないですね。  そういうことを考えてみると、それが必ずしも完全なものとは思わぬけれども重量税というものは、あるいはできた当初も、自動車の走行によって起こる社会的負担重量税の中からカバーするというような、そういう趣旨であれば設けられたわけです。だから理屈は合うわけです。自動車重量税の中から一般会計に振り込むのだけれども、やはり重量税の中からとるという趣旨ですから、重量税を置いたときの趣旨には、これは何も反するわけではないわけです。  そこで、二年間暫定期間のうちに、ずっともう永久にこういうような制度が続いていくのでしょうから、できるだけいろいろな意見も聞きまして合理的な方法を編み出したい。いまの場合は、まあ重量税で取って、この健康の被害補償法をスタートさすことが妥当でないかという判断で、これがもう一番いい方法だという、将来もこれでという考えに、必ずしもそういう結論に達しているわけではないので、二年間のうちに、もっと研究してみたいと思っておるわけでございます。
  81. 木下元二

    ○木下委員 ユーザーから取るということが一〇〇%完全なものではない、不十分なものがあるということで、二年間にさらに検討する、メーカーから取るということも含めて、合理的な方法検討するというお答えで、それはそれでひとつ合理的な方法検討していただくということが必要でもあるし、ぜひやっていただきたいと思うわけでありますが、いま私が問題提起をいたしておりますのは、二年間でいまの法律改正はやって、二年間でひとつ検討をという問題として提起をしておるのではないのでありまして、今度の改正に、ユーザーから取るというようなことではなくて、メーカーから取るという、そういう方向で考えるべきではないかという問題提起をしておるのであります。  先ほど来議論をいたしておりますが、ユーザーから取るということの合理的な根拠というものが、ますます乏しくなってきておるような感じが私はいたします。  第一、ユーザーから取れば、大気汚染を生み出す移動発生源である車、この車でがっぽりもうけて社会に提供しておるメーカー、このメーカーは全く痛痒を感じない、痛くもかゆくもないわけですよ。その点はどうでしょうか。やはりそういう一種の、ある意味で社会的欠陥品をユーザーに大量に出しておる、社会に出しているわけですから、そして大幅な利益をあげている、それに負担をさせるというのは、私は先ほども言いましたけれども、社会的公正という立場からいいましても、国民納得されると思うのです。特にメーカーから徴収することがぐあいが悪いというふうな、そういう理屈か何かあるのでしょうか。  さっき長官が言われましたけれども、新車だけから取るという問題ですね。これはその前に私申しましたので、重ねて申すのもなんですけれども、それは技術的な問題ですけれども、どうにでもなることだと思うのです。各メーカーの前年の登録台数で取る、総費用を前年の登録台数に割り振る、これは技術的に容易なことであります。そういう形で取れば、移動発生源の車から費用徴収するということになるわけでありますから、——それはこまかいことをいえば、いろいろこまかい問題があるかもわかりませんけれども、それこそあなた方がよく言われる制度的な割り切りであります。その点はいかがでしょう。
  82. 城戸謙次

    城戸政府委員 その前に先ほどの生産と消費の過程において云々ということでございますが、これは生産、消費、いずれも合わせてということでございませんで、通常は、工場の公害の場合は生産の過程からいろいろ問題が起こるわけでございまして、その中に汚染防止の費用が必要ならば、それを十分製品のコストの中に織り込むべきである、こういうことを言っておるわけでございます。  自動車の場合は、むしろその使用ないし消費というグループに入ってくるわけでございまして、その段階でいろいろと問題が起こるということでございまして、この場合の直接の汚染者というのは、やはり自動車の使用者であるという考え方に立ちまして、その保有あるいは燃料に求めるのが適当であるというのが、私ども議論をしていただきました専門委員会の御意見でございます。ただチャージの場合には、どこの段階で課そうと、汚染が減るようなインセンティブを与えられればいいということでございますから、その段階では当然メーカーという段階もありますし流通の段階もある、こういうことでございます。
  83. 木下元二

    ○木下委員 どうも私は十分に納得できかねます。この問題はさらに検討をいただきたいと思います。  もう一つ問題を指摘いたしておきます。  重量税から取るということですが、わが党は、そもそもこの重量税自体に問題がある。この重量税の創設にも反対をしてきたのでありますが、租税特別措置法できょう衆議院本会議を通りましたけれども、この重量税を二倍に増税をする、その機会に本制度をつくって重量税をもってまかなう、こういうことでありますので、私どもはその点から申しましても、こういう制度に対しては賛成いたしかねるのです。  特に私、問題点として申しますと、この公害対策費用重量税からまかなうと申しましても、これは重量税の中に単に観念的に含ましめるというだけのことなんですね。税金という形態で徴収をするんです。その徴収したものを交付するという、これだけの話であります。これが、たとえば特別会計というものをつくって、そして公害対策を行なう、そういう制度が、たとえば空港なんかの場合にありますね。航空通行税であるとか、あるいは航空機燃料税、こういうのは一部を特別会計に入れて騒音対策をやる、これも問題はありますけれども、これなら一応徴収したお金に色がつくわけですね。これは航空通行税あるいは航空機燃料税として徴収したものだ、それを特別会計で公害対策に回すのだ、これがはっきりいたしておりますけれども重量税の場合には、一般会計でありますから、重量税でまかなうとか重量税から取るとか申しましても、結局のところ、これは一般会計にほうり込まれて、もうわけがわからなくなる。お金に色がついておりません。  それで、幾ら重量税から取るんだといったって、これは全く観念的でありまして、実際のところは、これは公費負担じゃないのですか。税金から取るんじゃないのですか。そうでしょう。ここに私はこの制度の非常に大きな問題点があると思うのです。隠されていると思うのです。何か、いかにも重量税から取るんだといいながら、実際はそうではなくて公費負担である。そうじゃないでしょうか。
  84. 三木武夫

    三木国務大臣 それは公費負担とはいえないですよ。やはり社会的負担にも充てるということで重量税をつくったわけですし、会計は、一般会計に一ぺん入って、それから取ってくるから、公費負担じゃないかというように形からしたならば見えるけれども、そのもとは、重量税というものは社会的な費用負担に充てるということで、ほかのものも、むろんその中から充当するでしょうが、いま言ったような制度に対しても、重量税の中から取るということでありますから、その金の操作としては、いかにも公費負担みたいですけれども、本質は違うと私は思います。
  85. 木下元二

    ○木下委員 これは重量税を取って、それに金額は少ないけれども三十何円ですか、それを別に上のせをするということじゃないのですね。重量税が二倍から増税になるということですが、これは何も今度の制度がつくられるから上がるということではないわけです。今度の制度ができるできないにかかわらず、重量税の増税が行なわれようとしているわけですね。だから、結局、重量税の一部を割り当てると申しましても、これは全く観念的なので、一般会計にお金が入って、税金が繰り込まれて、その中から一定金額を、この公害のほうに支出をするというだけの話なんですよ。  ただ、幾らお金を出すかというと、そのワクづけだけはしておる。それはその重量税の収入見込み額の一部なんだ、そういうワクづけだけがあるという話なんです。この改正案の十九条の二に「当該年度の自動車重量税の収入見込額の一部に相当する金額を交付する。」こういうふうになっているのですけれども、つまり自動車重量税の収入見込み額の一部なんだ、そういうワクづけだけがあるという話であって、現実に重量税として取ったものから払うというものでは全然ないわけです。  ここに私は、はっきり言って、この制度のごまかしがあると思うのです。この制度をおつくりになるのには、私は、政府のほうはそれなりに苦慮したと思います。苦慮はされたでしょう。しかし、結局、これは税金でまかなうということなんですよ。長官がいま、いやそうではないと言われましても、税金からまかなうということは明らかです。これは結局、経団連あたりが、この制度について公費負担を強調してきたことの反映ではないかと私は思っておるのですが、そういう点からも、私はこの制度には賛成しがたいのです。いかがでしょう。
  86. 三木武夫

    三木国務大臣 これはぜひとも、こういう画期的な法案ですから、共産党の賛成も得なければならぬわけでございますが、しかし最初は、自動車ごとに徴収する方法を考えてみたのです。登録のときとか、いろいろしてみたけれども、どうも一つ一つ自動車にすると徴収に非常に経費がかかるのですね。  そういうことで、やはりこれを重量税から出すことで、重量税というものをどれだけ増額するかということも、それは考慮の中に入ったわけですからね。そういうことで、重量税というものの上げ幅を考える場合には、こういうことも頭には入れたに違いない。したがって、形はそういうことだけれども、そういうことにも引き当てることも頭に入れながら重量税の増徴というものを考えたのだから、実質的な意味からいって、公費負担とは言えないものではないか、そういうふうに考えるわけでございます。
  87. 木下元二

    ○木下委員 いま言われた、こういう制度をつくるので重量税の増税にあたって上げ幅を考慮したなんて言われますけれども、そんなことないですよ。第一この制度は、さっきも言われましたけれども、一台について三十数円でしょう。わずか三十数円ですよ。では重量税は幾ら上がるのですか。五千円が一万円でしょう。幾らか車種によって違いはあったと思いますけれども、大体五千円から一万円でしょう。それだけ上げるのに、本制度をつくることについての三十数円の上げ幅を特に考慮したなんと言われましても、それはあまりにも何か作為的な感じがするのですよ。これは、かりにこういう制度ができなくても、やはり五千円から一万円にするのでしょう。では、この制度ができなかったら、三十何円ずつ少ない九千幾らということになるのですか。そんなはずはないと思うのですよ。  だから、これは長官がいかに弁解されましても、これはその重量税の収入見込み額の範囲内で取るという意味のワクづけはあるというだけの話であって、重量税から取るということではない、税金一般からこの費用に充てるのだ、こういうふうに理解せざるを得ないのです。  そういう点で、もう時間が来ましたけれども、きわめて問題であります。こういうふうに私のほうで指摘をしました問題点も踏まえて、ひとつ再検討されるべきだ、このことを要請いたしまして、質問を終わります。
  88. 角屋堅次郎

    ○角屋委員長 次回は、来たる三月二十八日木曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時九分散会