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1974-03-22 第72回国会 衆議院 公害対策並びに環境保全特別委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月二十二日(金曜日)    午後一時一分開議  出席委員   委員長 角屋堅次郎君    理事 坂本三十次君 理事 登坂重次郎君    理事 林  義郎君 理事 森  喜朗君    理事 島本 虎三君 理事 土井たか子君    理事 木下 元二君       田中  覚君    戸井田三郎君       橋本龍太郎君    岩垂寿喜男君       山原健二郎君    米原  昶君       坂口  力君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 三木 武夫君  出席政府委員         北海道開発庁総         務監理官    秋吉 良雄君         環境政務次官  藤本 孝雄君         環境庁長官官房         長       信澤  清君         環境庁長官官房         審議官     橋本 道夫君         環境庁企画調整         局長      城戸 謙次君         環境庁自然保護         局長      江間 時彦君         環境庁大気保全         局長      春日  斉君         環境庁水質保全         局長      森  整治君         通商産業省立地         公害局長    林 信太郎君         運輸省港湾局長 竹内 良夫君  委員外出席者         環境庁水質保全         局水質管理課長 山村 勝美君         運輸省航空局飛         行場部長    隅  健三君         運輸省航空局飛         行場部騒音対策         課航空公害調査         官       石野康太郎君         建設省道路局国         道第一課長   大島 哲男君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ————————————— 委員の異動 三月二十二日  辞任         補欠選任   米原  昶君     山原健二郎君 同日  辞任         補欠選任   山原健二郎君     米原  昶君     ————————————— 三月二十日  自然保護の見地より山梨県の自然公園道路計画  中止に関する請願(金丸徳重紹介)(第三〇  〇九号)  同(瀬野栄次郎紹介)(第三〇一〇号)  同(瀬野栄次郎紹介)(第三〇九七号)  同(金丸徳重紹介)(第三一二八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  公害対策並びに環境保全に関する件(大気汚染  及び水質汚濁対策等)      ————◇—————
  2. 角屋堅次郎

    ○角屋委員長 これより会議を開きます。  公害対策並びに環境保全に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。林義郎君。
  3. 林義郎

    ○林(義)委員 私は、苫小牧総合開発計画、いわゆる苫小牧東部工業基地開発の問題につきまして、質疑を行ないたいと思います。  実は、この問題は国会におきましても、衆議院でも昨年の十二月十六日に連合審査委員会質疑が行なわれました。本年の二月二十三日に予算委員会でも質疑が行なわれておりましたし、当環境委員会におきましても三月八日に質疑がなされております。この質疑を私はずっと調べてみましたところが、いろいろと相当問題があるようでありますから、この点につきまして、少し質疑を行ないたいと思います。  まず第一に、苫小牧東部工業基地開発に関して、北海道開発庁作成にかかるところの基本計画、いわゆるマスタープランというものは一体、どういう性格のものですか。これと今回の港湾計画の基礎となっているところの苫小牧市の五十三年目標開発計画との関係というものが、これはどうもはっきりしていないようであります。二つ計画がある。その二つ計画は、前のほうの計画はどういった根拠に基づいて、いつ行なわれてきたのか、それからあとのほうは、どういうふうなものであるかということを、二つ違うのだと思うのですけれども、その辺をひとつ明らかに御説明いただきたい。
  4. 秋吉良雄

    秋吉政府委員 御指摘北海道開発庁作成にかかるマスタープランは、昭和四十六年に作成をしたものでございまして、これは四十五年の閣議決定北海道総合開発計画第三期に基づくものでございますが、これは六十年代に及ぶ三兆三千億という工業出荷額になっていますが、非常に長期かつ広範多岐にわたるものでございます。したがって、いわばマスタープラン長期的構想というものでございまして、この具体的な展開につきましては、それぞれの社会経済情勢環境問題、そういったことに十分留意しつつ、弾力的に進めるものであるというふうに私ども理解をしておりますし、この点は北海道開発審議会において了承になった案でございます。  そこで御案内のように、昨年十一月、地元苫小牧市におきましては、一万ヘクタールの工業立地のもとに、第一段階段階立地といたしまして環境問題がございますから、五十三年までの第一段階工業立地ということで、議決を見ておるわけでございます。そこで私どもといたしましては、このマスタープラン方向と、地元苫小牧市の考え方というものは、特にそごを来たすものではないという考え方に立って、地元苫小牧市の工業開発につきまして十分尊重いたしまして、関係省庁とも連絡協議をいたし、今日まで進めてきておる次第でございます。
  5. 林義郎

    ○林(義)委員 明らかに二つ計画というのは違うんだということでしょうね。それは昭和四十六年に長期計画ができた。それで今回の五十三年までの計画というものをもとにしまして、港湾計画というものができておる。そこで港湾計画ということになりますとバースをつくる、それからいろんな港湾荷役施設を全部やっていくということになれば、当然にそのバックグラウンドにあるところの工場の生産であるとか出荷であるとか、そういったものに関連をした、いろいろの問題を想定して港湾計画というものをつくる、こういうことだろうと思いますけれども二つ計画がありますから、とかく問題がありますのは——しかも最初お話があった六十年までのほうが長いわけですから、五十三年までの計画と五十四年の計画とどうするのだという問題が常に出てくる。  そうすると五十四年以降のものについて、どういうふうに考えているのか。よくいわれるのですけれども鉄鋼が五十三年度までの計画には入っていない、それから六十年までのに入っている、こういうふうな話でありますけれども、将来の立地の問題、特に立地業種の問題及び規模については、現時点ではどういうふうにお考えになりますか。
  6. 秋吉良雄

    秋吉政府委員 苫小牧市の議決に基づきます五十三年までの工業出荷額四千三百億を想定いたしまして、今回の港湾計画決定を見ておるわけでございまして、五十四年以降につきましてどうするかという問題は、これは五十三年までの進捗状況、それから地元意向、あるいは今後における社会経済情勢環境問題、そういったことを総合勘案、十分検討いたしまして、立地業種、その規模をどうするかということは弾力的に十分検討してきめてまいりたい、こう考えております。
  7. 林義郎

    ○林(義)委員 そういたしますと、その五十四年以降の問題については、いまから考える。まだ四年か五年ありますから、その辺におきましては技術的な革新というものも行なわれるのでありましょうし、環境改善のためのいろんな技術というものも出てくるろだろうと思いますし、またそういったものを期待できるだろうと思いますから、そういった形において、その段階におけるところの環境保全防止技術というものの進展と相まってやっていく、こういうふうに私は理解をしたいのであります。  そこで今度の構想でありますけれども東苫小牧東部工業基地開発構想をまとめて港湾計画決定を見た今日まで、地元住民と、あるいは関係地方公共団体、またその他関係機関に対してはどういうふうな説得なり理解を求めてきたか、この辺について開発庁のほうから簡単に御説明をください。
  8. 秋吉良雄

    秋吉政府委員 御指摘ございました五十四年以降の問題については、私ども鉄鋼を含めマスタープランに拘泥をするという考え方ではなしに、十分弾力的に対処してまいりたい、このように考えております。  なお、地元等における協力理解について、開発庁としてどういうようなことをなさったかという御指摘でございますが、この問題はやはり中央地方一体となって推進をしなくてはならない問題でございます。したがいまして、中央段階におきましては、これは北海道開発庁中心となりまして関係省庁との連絡会議を設ける、十一省庁会議等持っておりますが、数回開いてまいっておりますし、さらにまた地元との連絡を密にする必要もございます。これにつきましては私ども俗称者連といっておりますが、関係市町村、それから第三セクターでございます苫小牧東部会社、道、開発庁、この連絡会議も持って、中央地方のレベルの連絡会議を密にしてやってきております。  先ほど指摘になりましたマスタープランにつきましても、これは北海道開発審議会了承を得ておりますが、この案をつくる過程におきましては、数次にわたり関係市町村との連絡会を持って案を煮詰めてきておるような状況になっております。何せ最近、特に環境問題が非常に住民意識として関心を持たれておるわけでございまして、この点につきましては、苫小牧市が昨年二度にわたる各地域説明会等も開催をいたしまして、その結果を踏まえまして苫小牧市は十一月、東部開発基本方針を出したわけでございまして、私どもといたしましては、この市の基本方針を十分尊重いたしまして、関係省庁十分連絡をとって今日まで至っているような状況でございまして、今後とも地元の建設的な御意見については十分私どもは尊重してまいりたい、このように考えております。
  9. 林義郎

    ○林(義)委員 地元市長さんの意見、あるいは地元の市議会意見というものも当然に徴しなくてはなりませんが、地元におきまして市長がどういうふうな形で、いわゆる地元住民理解を求めておるのか、この辺につきまして北海道開発庁のほうでデータを持っておられるならば御説明をいただきたい。
  10. 秋吉良雄

    秋吉政府委員 苫小牧東部開発につきましては、先ほど申しましたように、まずマスタープランをつくる段階から関係市町村連絡を密にしてやっておりますし、市の議会におきましても、東部会社の出資の問題であるとか、今回十一月の議決についての市の議会の問題だとか、その前に苫小牧市といたしましては地区懇談会を七月と十月でございましたか、再度にわたって、苫小牧市といたしましては十分理解協力を求めるべく努力をいたして今日に至っておる、このように理解をいたしております。
  11. 林義郎

    ○林(義)委員 地区懇談会などというのも相当にやっておられるというふうに話を聞いております。実は私も昨年の九月だと思いますけれども、現地の視察をしたことがあります。そのときにちょうど市長さんから、いろいろな住民懇談会をやって住民意向も十分反映したようなことをやる、こういうふうなお話でありましたから、その辺がどういうふうになっているか、またそういったものが表明されるということになれば市議会なり、あるいは市長意思決定というかっこうで出てくるのだろうと思いますけれども、そういったいわゆる住民意思というものが十分に反映されるようなことというのは、私はぜひとも必要なことだろうと思うのです。その辺につきましては、開発庁のほうはどういうふうに見ておられますか。
  12. 秋吉良雄

    秋吉政府委員 苫小牧市といたしましては、昨年の六月に港湾審議会に付議するべく作業はございましたけれども環境問題についていろいろ問題が提起されまして、以来苫小牧市といたしましては、先ほども申しましたように七月と十月、地区懇談会を開き、もちろんその前にもいろいろパンフレットとかチラシ等も配付いたしまして市の東部開発についての考え方について市民に理解協力を求めるということをなさり、昨年の十一月には市の議会において苫小牧東部開発についての議論がなされ、これが十一月に議決を見て港湾審議会了承、そういったことで、今回まで苫小牧市といたしましては、そういった方面に十分な理解協力を求めるべく努力をして今日に至っておる、このように私ども理解いたしております。
  13. 林義郎

    ○林(義)委員 そうすると、その苫小牧東部工業基地開発という構想は五十三年までの構想であり、これに基づいて苫小牧東港地区港湾計画というものが運輸省におきまして本年の一月何日かに承認をされた、こういうことだと私は思いますけれども、いろいろと議事録を調べてみますと、港湾手続において法的に遺漏があったのではないかというような御質問もあるようであります。現在の港湾法のもとにおけるところの手続でありまして、この前改正され、案ができたところの港湾法というものは、まだ公布、施行になっておらない。そういうことから現在の港湾法計画策定において法的な問題で手続的に遺漏がなかったかどうかという点につきまして、運輸省当局、どうですか。  たとえば、いろいろ議論がありまして、地方公害対策審議会にかけなければならないとか、あるいは当該市の公害対策審議会の議を経てないではないかというような議論がありましたけれども港湾計画そのもの策定手続においては、そういったことは必ずしも必要でないのではないか、こういうふうな気がするのです。この辺につきましては法律的にどうなっているのか、御説明いただきたい。
  14. 竹内良夫

    竹内(良)政府委員 お答えいたします。  港湾法によりますと、港湾計画港湾管理者がみずから作成することになっております。この場合には苫小牧港の港湾管理者でございますけれども苫小牧港の港湾管理者がみずから作成する。運輸大臣重要港湾につきまして、その港湾計画作成された場合に、その港湾管理者に対してその計画提出を求めることができるということになっております。現行法におきましては、必ずその港湾計画提出を求めなくてはいけないというわけではございません。非常に重要な港湾計画のような場合に当該計画提出を求めることはできるということになっておるわけでございます。それで、運輸大臣がこの計画提出を求めた場合に、その計画が全国の港湾開発のための国の計画に適合しているかいないか、その港湾の利用上著しく不適当でないかいなかということについて審査を行なうことになっております。この場合に、運輸大臣はこの審査にあたりまして港湾審議会意見を聞くということにしている次第でございます。  御質問苫小牧東港地区港湾計画につきましては、苫小牧港の港湾管理者作成したものでございまして、さきに申し上げました港湾法にのっとりまして運輸大臣港湾管理者に対してこの計画提出を求め、港湾審議会意見を十分踏まえて審査し、適当であると認めたものでございます。この結果につきましては、すでに港湾管理者あてに文書をもって通知済みでございます。  なお、港湾管理者港湾計画作成する場合に、現行港湾法では地方港湾審議会意見聴取は義務づけられておりません。また、当然そのほかのいろいろの議会意見を聴取することは義務づけられてはおりません。しかしながら、このたびの改正法につきましは、地方港湾審議会意見聴取を義務づけられることになるわけでございます。なお、今回のこの計画審査にあたりましては、地方港湾管理者は、現在すでに苫小牧港の地方港湾審議会がございまして、この地方港湾審議会了承を得ているものでございます。したがいまして、私ども現行法による法的にはまったく遺漏はなかったというように考えておりますし、また改正法精神に照らしましても、その精神方向に沿うて措置してまいったものと考えている次第でございます。
  15. 林義郎

    ○林(義)委員 資料をいただいたのですが、ここに苫小牧東港地区港湾計画書というのがあります。それから、その説明資料ですけれども計画資料というものがある。それから、苫小牧東港地区港湾計画資料環境保全計画、この三つの資料があるのですが、どうも国会でのいままでの議論を聞いておりますと、環境保全計画というのが、何か別のところがつくられたような感じの議論もあるのです。これはあくまでも港湾計画策定で、先ほどお話がありましたように、地方港湾審議会及び中央港湾審議会にかけてやるのですから、苫小牧港の港湾管理者が、それの環境保全計画をつくらなければならないということでありまして、環境保全計画というのは、北海道知事知事の立場においてつくったものではないというふうに私は了解するのですが、その辺は、これとは別に北海道知事環境保全計画というものをつくったり、あるいは環境アセスメントをされたことがあるのですか、ないのですか。
  16. 竹内良夫

    竹内(良)政府委員 計画審査する際には、いま先生お手持ちの資料がございますように、一つ計画でございます。あと二冊ございますが、二冊は参考資料となっております。環境問題につきましては、計画審査する際の資料として審査参考とするという形でございます。この環境アセスメントにつきましては、道が中心になってつくったものと聞いておりますが、それに対しまして港湾管理者がそれを参考として提出したものと考えております。
  17. 林義郎

    ○林(義)委員 そうしますと、この環境保全計画ですけれども、これも道が実際にはつくっておったのかもしれぬけれども提出者はあくまでも苫小牧港湾管理者であるということだと思いますし、港湾審議会に出すときの責任は、もちろん苫小牧港湾管理者がとらなければならない。これは当然のことでしょうね。
  18. 竹内良夫

    竹内(良)政府委員 そのとおりでございます。
  19. 林義郎

    ○林(義)委員 この計画というのは港湾計画ですから、先ほどお話し申し上げたように、苫小牧港の中の工業開発計画がある。その東部開発規模に対して適当だということで、これは御判断されたのだろうと思いますが、この中の港湾計画平面図を見ますと、黒線で書いてある部分点線で書いてある部分とがある。点線で書いてある部分というのは、計画対象には考えておられないのですか。それとも、点線は将来の計画としてやるのだ、こういうことですか。この点線で書いてある部分というのは、一体どういう意味を持っているのか御説明ください。
  20. 竹内良夫

    竹内(良)政府委員 今回決定されました計画は、先ほどから開発庁のほうからも申し上げましたけれども昭和五十三年を目標とする苫小牧東部開発基本方針、市がつくりましたそれに基づきまして、工業開発規模を想定いたしております。この工業開発規模を想定し、それに対応する港湾計画をもって昭和五十三年の計画と称しております。五十三年までの計画でございまして、今回決定されましたのは、お手元の、いま先生のおっしゃいました計画平面図実線部分でございます。点線部分につきましては、将来港湾が拡張される可能性もある。当然どんな港もそこでストップしてしまうわけではございませんで、常に将来の発展方向考えなければいけないと思いますが、どういう施設の形状が考えられるかということにつきまして、弾力的に考えておく必要があるわけでございます。そこで、点線で示すことによって将来の参考を示すというように考えております。  すなわち、一般に港湾計画にあたりましては、社会経済事情に対応いたしまして、その拡張を考える場合に、たとえ五十三年までなら五十三年までの目標期間計画であるといいましても、それをたとえば防波堤なら防波堤そのほか防砂堤とかいろんなもので区切っていたしますと、将来の発展が全く考えられない。そこで、何らかの意味で将来性というものも常に余地を残しながら考えていくというのが計画のあり方であると私たちは思っている次第でございます。もちろんこの点線部分は今回の計画決定部分ではございませんので、ここのところで拡張するような場合には当然もう一回計画をつくり直しまして、それをまた審議会等にはかりながら決定していくという性質のものでございます。
  21. 林義郎

    ○林(義)委員 それでは、国会でいろいろ議論されたときに、環境庁はこれらの計画同意をされた、こういうことでありますが、港湾計画資料としての環境保全計画、これはまだ腹案でありますけれども、この港湾計画環境保全について、環境庁のほうは同意をされたのか。あるいはこのバックデータであるところの工業基地開発についての計画、これも五十三年までのやっと六十年までのやっとありますけれども、そのどちらについて環境庁環境アセスメントでよろしいということをおっしゃったのでしょうか、お答えください。
  22. 城戸謙次

    城戸政府委員 苫小牧東部に関しますアセスメントはいろいろ経緯がございまして、六月までは六十年代の開発目標についてのアセスメント北海道庁がやってまいったわけでございまして、私ども、その相談に乗ったわけでございます。ところが、その後地元でいろいろ考え方が変わりまして、最終的には五十三年を目標とする開発ということになったわけでございますので、北海道庁も五十三年目標アセスメントに切りかえまして持ってまいったわけでございます。  もちろん、このきっかけになりましたのは、一番最初先行投資であります港湾に関します港湾計画ということに関連してアセスメントをやったわけでございますが、アセスメント対象自身は、その港湾計画の前提となっています五十三年目標開発規模、これがどういうような環境上の問題を起こすかということが中心でございまして、それに港湾自身の工事がもたらす環境問題を含めてアセスメントしておる、こういうぐあいに了承しております。
  23. 林義郎

    ○林(義)委員 そういたしますと、環境庁が承認されたというか、 これはいいだろう、こうおっしゃったのは五十三年目標工業開発計画であるし、それに伴うところの港湾計画、こういうふうに了解してよろしゅうございますね。
  24. 城戸謙次

    城戸政府委員 今回のアセスメント一つ問題点は、この開発があくまで五十三年を当面の目標とする開発ということに限ってのアセスメントであるということに重点があったわけでございまして、その点を、先ほどから先生も御質問ございましたようないろいろな問題点について、北海道開発庁等に確認した上で、私どもとしましては、一定の条件のもとに同意をしたわけでございます。
  25. 林義郎

    ○林(義)委員 そういたしますと、今度の問題の中で二つの具体的な問題でおかしいではないかという話が出ている。一つ水質汚濁の問題でありますし、一つ大気汚染の問題であります。現在の苫小牧のところに山陽国策パルプ工場がありますが、パルプであれば当然に排出口付近はよごれているけれども、それが今度新しい工場立地が東のほうにできる。そうしますと、それとの境界線のところの水質がいろいろと問題になってまいります。いろいろと議事録を私が読みますと、はっきりしないのですけれども、一PPMにその辺がなるだろう、こういうふうな想定をしているようでありますが、この辺につきましては、どうも一PPMというのは、はたして達成可能なのかどうか、この辺は環境庁のほうはいかがお考えですか。
  26. 山村勝美

    山村説明員 お答えいたします。  ただいま御指摘のとおり、山陽国策パルプ排水口直下周辺では当然によごれておりまして、それがどんどん薄まって拡散していくという形態をとっておるわけでございますが、その周辺水質を見ますと、各測定の時期、潮の干満でありますとか、風向きでありますとか等の状況によって異なるわけでございますが、全般的に見まして、その排水口からおおむね千メートル付近でCOD三PPM、それから千七百メートル付近で二PPMというふうに安全を見て、この程度に拡散をいた  しております。  今回の五十三年計画に基づきます東港境界はどういう状況にあるかというのは、この水質計算にあたりましては、いわゆるバックグラウンドの水質といたしまして、防波堤の先端から約一キロ入った地点で、排水口直下から約三千五百メートルの位置に当たりますが、その地点で一PPM以下となるというふうな仮定で計算を進めておるわけでございます。これは東港の西防波堤の地点より奥が一という見方をいたしておりますので、むしろ安全な計算というふうに考えております。
  27. 林義郎

    ○林(義)委員 国策パルプの排水は、おそらく昭和四十年当時と昭和四十六年当時——四十七年でもいいのですが、生産も相当に上がってきているだろうと思うのです。上がってきていれば、パルプですから相当に汚水も出てくるし、生産工程を変えたり何かすることによって排出口におけるところの実際の規制も、四十六年ぐらいには相当上がってきているのが常識的に考えられる。その後いろいろな施設をしたり公害防除施設をすれば、これは相当にCODを下げたり、汚濁負荷量を下げたりすることも可能である、こういうふうに考えられるわけでありますけれども、その点はこれから相当に会社のほうでやっていかなければならない問題があるだろうと思うのです。技術的な問題としてやらなければならない。その辺は一体どういうふうな指導をしてやるのか。大体五十三年なり、あるいは五十一、二年に、排出口の排水規制というものは、どのくらいのことを考えてもらえるのですか。
  28. 山村勝美

    山村説明員 お答えいたします。  山陽パルプの勇払工場の排水処理につきましては、四十六年までに黒液燃焼処理及び自然沈でん処理を行なってきたわけでございますが、四十六年の十二月に、さらに機械的な薬品沈でんを行なうような処理を追加いたしておりまして、その段階で一段階改善されたのが実情でございます。現在二百PPMの排水が出ております。これは日によって排水の量あるいは操作の問題等によって若干変動いたしておりますが、四十六年十二月に設定した時点では、かなり二百PPM前後の数字でございましたが、その後だんだんなれてまいりまして、若干改善されてきたというふうに聞いております。  なお、将来につきましては、排水濃度は百十PPM程度というふうに予定しておると聞いております。
  29. 林義郎

    ○林(義)委員 もう一つの問題は、大気汚染の問題でありまして、三月九日の新聞には「〃認可申請資料〃に疑惑」「基準超す汚染隠す」こういうふうなトップの記事が出ておる新聞もあるのです。  ここで問題になりますのは、勇払測定局の測定データというのが入っておらないというのが同僚島本議員からの御指摘でありますが、これは、一体この測定データがあれば、市の測定データでしょうから、当然に使っておってもよかったのだろう、こう思うのです。思うのですが、この苫小牧開発環境アセスメントといいますか、先ほどのこの資料等の中に入れてなかったのは一体どういう理由ですか。この新聞によりますと、「〃認可申請資料〃に疑惑」ということを書いてありますから、この疑惑に対してどうお感じになりますか。
  30. 春日斉

    ○春日政府委員 御承知のように、大気汚染を測定いたします測定局と申しますのは、国設のものあるいは都道府県で設けるもの、それから政令市が設けるもの、この三種類がいわゆる全国的な大気汚染の測定のネットワークを形成しておるわけでございます。ところが、まあこれが行政上のいわば正規の測定ネットワークの一環でございますが、それ以外に市町村みずからが設置していらっしゃるものもあれば、あるいは大学、研究所が設けておるものもある、あるいは企業、会社がつけているものもございまして、勇払におきます測定局は、いわば後者に属する、政令市ではない苫小牧市が独自に設けた測定局でございます。したがって、その設置に関する国の行政とかあるいは国に対する報告というものは特にないものでございます。  さて、北海道が、苫小牧の市が行なっていらっしゃいます勇払測定局の測定データをなぜアセスメント資料として提出しなかったかという点につきましては、道は、苫小牧市の測定データが道自身の測定局によってなされたものではない、したがってアセスメント資料の中には特に掲載しなかったのである。ただ、もちろん道としては内部判断資料として、この勇払の測定データというものは十分尊重して配慮した、かように聞いております。  苫小牧市の勇払測定局の測定データを私どもも検討いたしましたところ、環境基準に適合している点から申しても、資料提出しなかったことについては、全くみずからが測定したデータのみをもって環境影響調査資料とするという北海道庁の当初の方針に沿うものと考えられまして、特段の理由があったとは考えられないのでございます。もちろん基準に不適合であったにもかかわらず、それを故意に隠したというものであると問題でございましょうが、そのような事実はないように考えられるわけでございます。
  31. 林義郎

    ○林(義)委員 一体苫小牧市が行なっているところの勇払測定局の測定データの内容というのは、どういうことになっているのですか。具体的に、数字的に御説明をいただけますか。私のところにあるデータでは特に勇払がめちゃくちゃにどうだということではない。そのほかにも明野であるとか沼の端というのですか、こういったところもいろいろと問題があるような数字になっております。必ずしも一〇〇%だとかなんとかというような出し方にもなっていないのです。しかし、この一〇〇%という数字そのものをどうだこうだ言うというのは非常におかしなことで、これは九八%だったと思いますが、そのくらいのところの環境に達してくればよろしいというのが環境基準の一般的な考え方であります。一〇〇%満たさなければならないというような議論というのは、公害問題をあまり知らない人の議論だろう、私はこう思うのです。  そういった意味で、この辺でどういうふうな形になっているのか。環境庁のほうでは当然にいろいろな点をお調べでしょうかち、この辺につきまして御説明を具体的にしてください。
  32. 春日斉

    ○春日政府委員 苫小牧市が行ないました勇払の測定局の測定データを取り寄せまして、その内容をしさいに検討いたしました。環境基準に適合しておるわけでございますが、これは道が苫小牧市に設けました六つのその他の測定局の測定値とほぼ同値でございまして、道が行ないました大気に関する環境アセスメントの内容及び結果には影警を与えないようなデータである、かように判断いたしております。  具体的に申し上げますと、四十八年の一月から七月のデータで申し上げますと、一時間値は九九・九%の適合率であり、一日平均値は九八・九%でございます。この場合、明野の場合は一時間値が九九・七%、一日平均値が九七・九%、それから双葉は一時間値が九九・九%、一日平均値は一〇〇%となっております。また、一月から十月までとってみます。勇払の場合が一時間値が平均値が九九・九%の適合率、一日平均値は九九・二%の適合率でございます。  なお、四月から十月、これはアセスメントレポートの表の2−2というものに時期を合わせてみますると、勇払は一時間値におきましても一日平均値についても一〇〇%である。ただし、沼の端は一時間値の平均値は九九・八、一日平均値は九九・〇ということになっておりまして、私ども先ほど指摘になりましたように、その地域がよごれているかいないかということを判断する場合には長期評価を用いますが、この場合は二十四時間値の九八%値に合格していることをもって適合といたしておる点から、他の苫小牧市の測定局とほぼ同じ傾向であり、いずれにいたしましても環境基準に適合している、かように申し上げることができると思います。
  33. 林義郎

    ○林(義)委員 そういたしますと、測定記録で、一部環境基準をこえておるというような判断は、これは明らかに誤りであるということははっきりしておりますね。
  34. 春日斉

    ○春日政府委員 環境基準と申しますのは、大気中のSO2の濃度が人体に好ましくない影響を与えない望ましい目標値なのでございます。これを短期評価いたしますときには一時間値と、それから二十四時間値、一日平均値を用いるわけでございますが、それはきょう一日のこの地域の汚染度はどうかとか、あるいはいま午前十時から十一時までの大気汚染度はどうかというときに一時間値を用いたり、あるいは二十四時間値を用いるわけでございますから、やはりその地域全体の汚染を知るという場合には長期評価を用いるべきである。したがいまして、九八%値で私は十分適合しているもの、かように考えております。
  35. 林義郎

    ○林(義)委員 そういたしますと、実は運輸大臣からの通達もありますが、本計画の運用にあたりましては、これからもいろいろと補完調査を実施していかなければならない、こういうことがいわれておるようでありますけれども一体大気関係ではどういうふうな補完調査をやられるのか簡単にお答えいただくのと、時間も迫ってまいりましたからあれですが、今回のやつは港湾計画である。さらには基地開発計画でありますから、非常に大ざっぱなことと、それから港湾につきましてどうだといいましても、港湾が別に煙を出すわけでも何でもないわけでありますから、むしろ工場立地その他の問題が具体的に出てきたときに、いろいろと審査をするということになるのだろう、こう思うのです。  その辺につきましては、工場立地法であるとか、あるいは電気事業法で、あるいは電源開発促進法ですか電調審の関係であるとか、その他いろんな各法律によって工場立地につきまして基準をこえることのないような、また環境アセスメントに合うような審査をしてくるのだろうと思いますけれども、この辺につきまして各省は一体どういうふうにこれをやろうというふうに考えておられますか。各省ばらばらでやられるのですか。それともいろんな規制をやっていくときに、どういうふうな体制で進まれるのか、この辺につきましてお答えをいただきたいと思います。
  36. 春日斉

    ○春日政府委員 私どもは北海道に補完調査を実施いたしてもらいたい、それに対しましては大気関係ではどういう条件をつけておるかと申しますと、四十八年度から五十年度までの三カ年計画で、大気では気象調査大気の拡散及びバックググラウンド調査大気汚染解析調査を実施することにいたしておりまして、これらの調査結果が得られた段階環境アセスメントをさらに補完をしていく、こういうことにいたしておるわけでございます。詳しいことを申し上げますると、たとえば地上の風の解析調査あるいは上層風の解析調査、それからガスの観測、上層気象連続観測、それからエアトレーサーの実験、大気拡散条件調査、理論計算値と実測値の比較調査等々を行なうつもりでおります。
  37. 林義郎

    ○林(義)委員 通産省は工場立地法というような法律を持っておられるし、それから石油業法、それから電気の関係の法律、いろいろあると思うのです。これから工場立地にあたりまして、どういうふうな形で環境破壊を防いでいかれるのか、御答弁願いたい。
  38. 林信太郎

    ○林(信)政府委員 お答え申し上げます。  工場立地法によりまして大規模工場が集中して立地が予定される地域及びその周辺の地域に対しましていわゆる産業公害事前調査を法の二条で実施することになっております。その目的は工場立地に伴います公害を事前に防止するために必要な調査をするということでございますが、その際、工場立地等審議会意見を聞いてやることになっておりまして、この審議会には各関係省庁の事務次官がメンバーに入っていただいております。そういう形で、現実に工場立地されるという段階になりますと、その予定工場を前提にいたしまして、予想される汚染状態を現地調査あるいは風洞実験あるいは水理模型実験あるいはコンピューターを使います一種の計算式によります汚染予測等々をいたすわけでございます。  その結果、与えられております環境基準をこえるということが明らかになりました場合、そのこえた部分をどうやって解決するかということを具体的に企業指導するわけでございます。使います原燃料の種類、量、あるいは公害防止施設あるいは施設の種類といったようなことで指導をいたします。その前提としての法的な根拠も 準則あるいは聞かない場合には勧告、あるいはそれでも聞かなければ命令というふうな法的な手段も、新しく改正されました工場立地法によりまして用意されておるわけでございます。  一般工場立地の場合はそういうことでございますが、電気事業等々の場合につきましても、この工場立地法の対象になりますので、含めて実施することにいたしております。
  39. 林義郎

    ○林(義)委員 そういたしますと、苫小牧の東部工業開発計画というものを、計画自体は五十二年までは大体大ざっぱな計画としては認めているということだろうと思いますし、それから港湾計画につきましても、この方向で大体やっていくと書いてますのは、そういうふうな運輸大臣の通達が出ておりますから、そういった形でやっていかれる。したがって、これをもう一ぺんひっくり返して、もう一ぺん審議をするとかなんとかということは、私は必要はないと思いますし、またそれも適当なことではない。どうもあまり理由のないことであるように私は思うのです。  この苫小牧東部工業基地開発を進めていくにあたりまして、一体これからどういうふうな決意で環境庁長官おやりになるのか。たいへんな大規模開発であります。私は、新聞によりますと、三木長官再検討を約束と、こう出ておりますが、聞いておりましたこの委員会での発言でも、そういった再検討というようなお約束はどうもなかったように思うのです。ただ、いろいろな問題がございまして、環境問題でもあるし、たいへん大きな工場なんかできるから、それはそのときそのときにやっていかなければならない。それから不備なものについては、補完調査もまたやっていく、こういうふうなことが大体の御答弁の趣旨だっただろうと思いますし、私もあらためてこの際、三木大臣からこの辺を確認をしておきたいのです。これがいままでの港湾計画はだめであるとか撤回をするとか、あるいは工業開発計画がおかしいというような話になりますと、これはまた別の問題でありますが、これにつきまして政府として、ひとつ明確な御答弁をいただきたいと思います。
  40. 三木武夫

    ○三木国務大臣 前回の委員会においても島本委員にお答えをして、環境調査の補完的な調査を今後続けていくということで、この計画を撤回するというようなことは、私は申したこともないので、速記録をお読みいただければわかりますように、環境調査の補完ということを申したわけでございます。大規模工業立地でありますから、今後段階的にアセスメントをしていって、むろんそのアセスメントの結果によっては計画の変更を命ずることもございます。  いずれにしても、今後はきれいな工業基地にしたい。いままで、われわれは各地においていろいろな経験を持っておるわけですから、きれいな工業基地にするために、今後北海道庁とも連絡をとりつつ、環境アセスメントというものは厳重にやってまいりたいと考えておる次第でございます。
  41. 林義郎

    ○林(義)委員 いろいろな御質疑の中にありましたか、最終のものを見てやらなければアセスメントができない、こういうふうな話でありますが、御議論があったんです。私はそうでないと思う。こういった大きな計画でありますから、どういった工場ができる、またその工場の排水設備はどうであるとかいうようなことは、相当大きな計画が具体化していくことによって、そのときそのときに判断がされるべきものだろうと私は思うのです。そういった具体的なものに基づいてやるところに環境アセスメントの手法のいいところがある。いま長官のおっしゃったように、その場合におきまして、計画全体の変更をされなければならないという問題も出てくるだろう、こう思うのです。しかしながら、この計画計画として大いに進めていくということは、北海道の開発のためにはたいへんに必要なことだろう、私はこう思うのです。  最後にお尋ねいたしますけれども北海道開発庁から、この計画が北海道に対して及ぼすところの影響雇用の問題であるとか、あるいは工業生産性の出荷額の問題であるとか、そういった点につきまして、どういうふうに考えておられるのか。  北海道に行きまして私非常に感じたのは、北海道は灯油がない。たまたま石油危機である。北海道に精油所がなければ、やはり運んだりなんかするのは運賃が高くなることは当然のことなんです。やはり精油所というものがある程度なければ北海道はできない。これから住民パワーというものがだんだん強くなってくれば、たとえば私のところの山口県にはたくさん精油所があります。石油危機という形になれば、山口県知事さんなんかとお話しして、山口県だけに供給しようじゃないかというような話も出てくるのです。はっきり申し上げて。  住民の意識というものがだんだん高まってくれば、住民とその地域の工業というものが、一体的な運用というものを考えていかなければならないような時期に来るだろうと私は思うのです。そういったときにおきまして、苫小牧東部開発というものが、北海道の地域としてどういうふうなメリットを持っているのか、この辺につきまして、あとあまり時間がありませんが、簡単に御答弁ください。
  42. 秋吉良雄

    秋吉政府委員 北海道の開発につきましては、四十五年、第三期北海道総合開発計画策定を見て、今日まで推進をされておるわけでございますが、三期計画の眼目は、北海道の生産と生活が調和する豊かな地域社会の実現ということでございまして、その中の一環といたしまして、特に北海道の場合は、第二次産業のウエートが全国バランスで見ると、かなり落ちているわけでございます。数字的に申しますと、かつては、三十年代では三%の時代もございましたが、いまや二・二%前後、これは四十六年のころでございます。そういう状況でございまして、いろいろ勘案いたしまして、やはり北海道の開発にはそういった工業基地の建設が必要であるということで、北海道開発の先導的事業の一つといたしまして、苫小牧東部が第三期計画の中にも特掲されておるような次第でございます。  ただ、私ども先ほど申しましたように、やはり生産と生活が調和する豊かな地域社会の実現でございますから、事環境問題において問題があってはならない。あくまでも環境問題に万全を期しつつ、工業基地を建設するというたてまえで北海道の開発を進めてまいりたい。  なお、先ほど指摘がございましたように、個々具体的な数字はただいま持ち合わせがございませんが、特に第二次産業のウエートが非常に低いということで、ごかんべん願いたいと思います。
  43. 林義郎

    ○林(義)委員 ありがとうございました。
  44. 角屋堅次郎

    ○角屋委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後一時五十九分休憩      ————◇—————     午後四時二十二分開議
  45. 角屋堅次郎

    ○角屋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。島本虎三君。
  46. 島本虎三

    ○島本委員 三月八日の質問に引き続きまして、大規模工業基地計画苫小牧東部環境影響事前評価報告書、すなわち環境アセスメント、この報告書について質問を続けたいと思います。  これは言わなくても御存じのとおりでありますが、苫小牧東部環境影響評価は、去年の十二月十日の関係十一省庁連絡会議環境庁が報告書を認めて港湾計画決定同意をしてしまった、こういうようなことからして、ここではっきりさしておかなければならない問題が、長官あるのです。というのは、環境庁が、環境影響報告書、これを認めてお墨つきを出さなければ、港湾審議会苫小牧東港計画をかけて、そして港湾計画決定することは不可能であったわけであります。これは不可能なんです、長官。公害を未然に防止する見通しを確立することが今日の大規模工業開発を具体化する際の絶対の必要要件だからなんです。四十七年十二月にまとめられた、この中央公害対策審議会の中間報告、これは前回も、私は長官にその意向を聞きましたが、今後の地域開発にあたっては環境保全水準の確保を絶対的な条件として、場合によっては開発そのものを中止すべきである、こうはっきり長官も認めたわけであります。  したがいまして、長官もそのとおりだと、もう確認してありますけれども苫小牧東部開発計画の当事者である北海道開発庁に同じ確認を私は求めたいのであります。開発庁環境影響報告書、これを環境庁が認めて、そして環境庁港湾計画決定同意しなければ、苫小牧東港計画港湾審議会へかけることができなかった、こう思いますが、いかがですか。
  47. 秋吉良雄

    秋吉政府委員 先生指摘になりました四十七年十二月の中央公害対策審議会の中間報告、私どもその内容について全く同意見でございます。
  48. 島本虎三

    ○島本委員 同意見であるということであります。したがいまして、環境庁の承認と同意がなければ関係十一省庁連絡会議を通過できなかった、港湾審議会へ持ち出すこともできなかった、こういうようなことになります。そうですね。——ところが、この苫小牧の東部の環境影響評価報告書、これは内容を十分調べてみると、とんでもない欠陥品である。ずさんそのものの報告書である、こういうようなことがだんだんわかってきたのであります。一番大切な勇払地区の亜硫酸ガスの測定データを隠していた。北海道は隠したわけじゃない、こう弁解しているようでありますけれども、このSO2のデータ、この件については後ほど分類によって質問をしてまいります。  先日の質問苫小牧東部環境影響評価は地元関係手続、こういうようなものを一切省略して、極秘のうちに報告書をきめてしまったという事実がだんだん明らかになってきたわけであります。  報告書案の段階で、北海道と苫小牧市の議会公害対策特別委員会知事市長の諮問機関の公害対策審議会苫小牧港管理組合議会地方港湾審議会、こういうようなものを全部素通りして十二月十日に報告書を決定してしまった。もちろん市民や住民には報告書案を公開しておりません。地元手続らしいようなものは何一つなかったわけであります。これは報告書を国へ上げてくる前の手続の点で、環境庁は北海道の生活環境部に対してどのような指導をなすっておられましたか。この点を伺います。
  49. 城戸謙次

    城戸政府委員 ただいま先生指摘になりましたように、十二月十日の十一省庁会議の前におきまして、最終的に文書になりましたアセスメントについて審議会あるいは議会に、道のレベルあるいは市のレベルにかけた、こういうことになっておりません。ただ先般は事実関係だけお聞きになりましたので、イエスかノーかでお答えしたわけでございますが、たとえば道の審議会で申し上げますと、すでに四十七年の九月からマスタープランに基づきます開発計画のあり方につきまして検討を依頼されまして、計画部会の中に小委員会を設け、十三回ほど会合いたしております。そして六月十四日に中間報告を出しているわけでございまして、その後も八月から十一月にかけまして、総量規制についての考え方を審議しております。  したがって、そういうような段階でいろいろ審議会意見を聞きながら、それを反映してアセスメントをつくったということでございまして、全く無関係に道自身の判断で動いたという形になっていないわけでございます。同じことは市の段階で言えるわけでございまして、私どもとしましては、将来そういうような手続を制度化するということの必要性は当然認めているわけでございますが、現段階におきましては、それぞれの地方において議会なり、あるいは審議会なりに対する手順と申しますか、こういうものは踏んでもらう、一律にこうでなければいかぬということはいってないわけでございます。その点は、この間も申し上げましたが、私どもはそういう考え方でございます。  ただ考え方といたしまして、住民同意を得るということの一つの過程として、審議会なり議会同意ということがいろいろな意味合いを持つわけでございましょうから、そういう点については、今後制度化する場合にはいろいろ考えてまいりたい、こう思っております。
  50. 島本虎三

    ○島本委員 地元のほうでどのような審議を経てきたか、確認したかどうかを聞いているのですよ。どういう審議をしてきたか、確認したかどうか、聞いているのです。あまりほかのことをつべこべ言わなくてもいいです。
  51. 城戸謙次

    城戸政府委員 審議の経過につきましては、私どもその段階でそれぞれ聞いております。
  52. 島本虎三

    ○島本委員 確認したかどうか聞いているのです。全部確認してありますね。——確認した。そうすると、審議会を経て行なえということを知っているわけですか。
  53. 城戸謙次

    城戸政府委員 知っております。
  54. 島本虎三

    ○島本委員 これは重大です。必要なそういうふうな民主的な手続を経ないできたものを、環境庁がそのままうのみにして、そしてそれをきめてしまって、すぐ港湾計画に着手させた。そのあとには世界一膨大な重化学工業のコンビナートができるじゃありませんか。もう引き金を引いたと同じなんです。それを知っていてやったということは、これは重大です。環境行政や公害行政のかぎは、これはもう公開の原則にあるでしょう。これはきめてしまったものをあとで新聞発表したから、それで公開した、こういうことにはならぬのであります。これは決定版の押しつけなんです。  したがって、もう苫小牧東部の報告書案が、公開の原則を踏みにじって、完全な秘密主義を押し通したことについて環境庁は、これは好ましいことだ、こう思っているのですか、それとも、まずいことだ、こういうふうに思っているのですか。知らないでやったというなら少し私は何ですが、知ってやったということを聞いて、じゃ、これは望ましいと思ってやったことになりますか。無視してやったことに対して、はっきりした見解を述べてください。
  55. 城戸謙次

    城戸政府委員 私どもとしましては、地元のいわば住民意見が十分反映されるような何らかの手続を将来設定していくということは、当然望ましいと思っております。  ただ、現在の段階では、そういう形になっておりませんから、審議会でどういう委員がおられるかということも十分確認しませんで、ただ、それがお受けしたかしないかだけで判断するのは非常に問題がある。したがって、中身で私どもは判断しますが、前提としまして、当然どういう過程を経たかは十分聞いてはおります。しかし、そういう状況でございますから、それだけで判断するということにはまいらないということを、先般来申し上げているわけでございます。
  56. 島本虎三

    ○島本委員 公開の原則、少なくともそれがはっきりしておって、公害行政はあと追い行政ではならないと、過去の行政をはっきりここに反省した上に立って環境庁ができている。そのためにアセスメントをつくるようになったじゃありませんか。それがもう公開の原則を踏みにじって、あらゆる審議会委員会というようなものを経ないままに、こつ然として環境庁へ来た。環境庁ではもう引き金を引いて、この大規模のコンビナートの出発を許してやった、こういうようなことは重大なことです。環境庁の命取りです。  私は、それで心配するのです。過去のようなことを二度と繰り返してはならないから、これは心から忠告しているんです。長官は幾らことばで言っても、現に事務はこういうふうにして実施されているじゃありませんか、長官、私は遺憾です。  同時に、北海道開発庁は、これはもう苫東計画の直接責任者の一員ですが、報告書案を一切公開しなかったという事実の責任については、どう考えますか。
  57. 秋吉良雄

    秋吉政府委員 先ほど環境庁のほうから御答弁がありましたように、現在手続的には制度化されていないという点がございまして、問題は、やはり中身の問題が一番大事でございます。そこにおいて北海道と環境庁との間に環境アセスメントについて十分精一ぱいの吟味、検討がなされたということでございますから、現段階においてはやむを得ないものである、かように考えております。
  58. 島本虎三

    ○島本委員 中身の問題だと言って、その中身はだれのための中身なんですか、企業のための中身ですか、住民のための中身ですか。いまいろいろな物価高、狂乱物価、すべてこれ企業のなせるわざではありませんか。そして、公害によって国民の健康と命を犠牲にしている。こういうようなことをしてはならないからこそ、公開の原則、すべて開発は国民のために、住民のために、これが基本になっているのです。中身がよければいいといって、これはだれのための中身なんですか。これは徐々に言っていったならばわかりますが、とんでもないことです。少なくとも環境庁がそういうような考えを持つということは、長官、遺憾です。だれのための中身なんですか、これはよく考えておいてもらいたい。  私は、ほんとうにこの点を聞いて、きょうは少しがっかりしているところであります。しかし、長官にもう一回伺いますけれども、これは環境庁ですが、この環境影響報告書案は、これは本来公開しなければならないものなんですね。しかし、この苫小牧の東部の報告書案は、一回も公開されていないですね。世界に前例のないような巨大な臨海重化学コンビナート、これをつくるためのこの大規模工業基地計画、これでは完全な住民無視じゃありませんか、住民不在の開発計画でありませんか。公害の不安におびえている住民のためにどうしたらいいのですか。こんな手続で報告書をまとめてしまって、なぜ住民のコンセンサスを得たんだと、こんなことを言うのですか。これは地元同意があったと言えませんよ。  私は、いままでの答弁を聞いていて、こうまで言うのですが、もうわかりましたから、次へ進みます。報告書の内容について私は具体的に質問していきたい。  まずその一つ、海域の水質汚濁について環境庁に聞きます。これは報告書は、現在の苫小牧臨海工業地帯の水質汚濁の測定データを出しています。そして、これも不備なものだと言わざるを得ないようなものを出しております。たとえば水素イオン濃度つまりPH、化学的酸素要求量つまりCOD、このほかの浮遊物質量つまりSS、苫小牧幌内川と現在の苫小牧港、この港内の五つの地点の測定値を出しています。ところが、この報告書はどこにも海域のSSの測定データを出していません。海域の環境基準にはSSが入っていないとはいいながら、こんな報告書がありますか。海域のSSは測定したのですか、しなかったのですか、伺います。
  59. 森整治

    ○森(整)政府委員 排水のSSの濃度は、平均一七PPM以下、負荷量は三千百八十キロ・パー・デー以下とするということで計画を承知しております。
  60. 島本虎三

    ○島本委員 そうすると、いまの答弁では、これはどうなるんですか、調査をしたということですか。調査をしたのですか。
  61. 森整治

    ○森(整)政府委員 計画によって、そういうふうになるということでございます。
  62. 島本虎三

    ○島本委員 計画によってなるじゃなく、調査したかどうかと言うのです。——しなかったらしないでいいですよ、はっきり言われたとおり答えてください。
  63. 森整治

    ○森(整)政府委員 新しくこれから立地をしようという計画でございますから、計画に従って考えた、こういうことでございます。
  64. 島本虎三

    ○島本委員 これはばく大なヘドロがあるんですよ、前面の海には。ですから、そこを調査したのかしないのかと具体的に聞いているんじゃありませんか。しなければしないでいいんですよ。どうなんですか、していないのですか、したのですか。——測定したのかしないのか、それをはっきり言えばいいんじゃありませんか。これであまり追及しませんよ。だめですよ、時間ばっかりとって……。
  65. 森整治

    ○森(整)政府委員 たいへん申しわけございませんけれども、確定的なお答えはできないので、しばらくお待ちください。
  66. 島本虎三

    ○島本委員 じゃ、この外海の浮遊物質量は、これは測定データが全くないのですか、あるのですか。これははっきりしなければわかりませんが、これは重大であります。電話で確認してもわかるじゃありませんか。これはわかり次第答えてください。このために時間をとると困りますので、先に進みます。もしデータがあるならば、すぐ出してもらいたい。いいですね。あるのですか、ないのですか。
  67. 森整治

    ○森(整)政府委員 もうしばらくお待ちください。
  68. 島本虎三

    ○島本委員 報告書の中に、現苫小牧臨海工業地帯と苫小牧東部の海域のSSデータが入っていませんね。この報告書は、先ほども言いましたけれども、「苫小牧東港地区港湾計画資料」そのうちの「(環境保全計画)」この中には現苫臨海工業地帯と苫小牧東部の海域のSSデータは入っていません。この事実を確認してください。SSの測定データを落としたという点で、これは片手落ちの報告書である、こういうことになりますが、これでもって十分な報告書なんですか、伺います。
  69. 森整治

    ○森(整)政府委員 御承知のように、環境調査では、苫小牧港内のSSについて、道が調査しました資料が載っているだけでございます。
  70. 島本虎三

    ○島本委員 掘り込み港の五測定点のデータを聞いているのじゃないのです。いますぐ掘ったところに、どうしてヘドロがたまりますか。これは苫小牧の前面海域、ここには王子製紙、山陽国策パルプ、日軽金、こういうような工場立地しているのです。したがって、ここではCOD、SSともほかの臨海工業地帯とは比較にならないほど大きな排出総量を持っておるのです。そこを調査していないじゃありませんか。この場所にはSSが膨大なヘドロになって堆積しているのですよ。大気汚染防止法の一部改正法案、参議院に付託されるか、こちらで扱うか、いま態度がきまろうとしておるのです。三月十五日に、この総量規制が閣議決定されました。今後の公害対策は総量規制を重視しなければならない、こうはっきり叫ばれておるのです。  苫小牧東部の報告書は、大気汚染のSO2、NO2などは東部のほかに現苫小牧工業地帯の排出総量を出しているのです。ちゃんと出しているのです。出しているでしょう。それでは、この水質汚濁は、現苫分の排出総量、つまり汚濁負荷量を出していますか、いませんか。——出していないのですよ、ここに書いてないもの。答弁ができないようであります。つまり汚濁負荷量、これをきちっと測定し、調査してあるかということであります。これは東部のほうは調査しているようですね。しかし現苫の総量、これはやっていないじゃありませんか。現在、王子製紙や山陽国策パルプ、日本軽金属、こういうような工場立地しておって、そして一番よごれているその方面は、全然調査していないじゃありませんか。調査しないからデータが出ないのです。現在の苫小牧臨海工業地帯の化学的酸素要求量COD、浮遊物質量SS、油分、こういうような汚濁負荷量は一切報告書に入っておりません。  海は現苫でも東部でも仕切りがないのです。すぐ隣りです。そのまま流れていくのです。現苫から排出された汚濁物質はすぐ隣の東部のほうへ流れていくのです。これも片手落ちじゃないですか。なぜ現苫の汚濁負荷量の実態を隠したのですか。現在活躍中の現苫の汚濁負荷量、この実態をはっきりなぜ載せないのですか。そして、それをなぜ認めてやったのですか。まさに欠陥じゃありませんか。
  71. 森整治

    ○森(整)政府委員 現在の苫小牧汚濁調査したかしないかということについては後ほどお答えいたしますが、基本的に、東部の苫小牧、今度の計画に影響いたします海域の水質、そういうものは一PPMということで把握をし、その上で計画審査をしておる、こういうことでございます。
  72. 島本虎三

    ○島本委員 現在よごれ切るだけよごれ切っているところから、まだ新しい立地されてないところにCOD一PPMの水がこれから流れていく。どうしてそれが科学的な根拠が出るのですか。でたらめもはなはだしいじゃないですか。こういうふうなのが開発の引き金になるじゃありませんか。全然これはなっていません。報告書から落とした理由を聞いておる。報告書にちゃんと載っておれば一応認めますよ。一番悪いところを落としておるじゃありませんか。  これは聞いてもらいたいのです。一月の三十一日に、瀬戸内海の環境保全議会、ここでは瀬戸内海の十一府県の汚濁負荷量を日量六百七十三トンとして、十一府県別の割り当て量をきめました。最高が山口県の百二十七トン、他の十の府県はすべて八十トン以下なんだ。ところが、四十七年十二月の通産省のコンビナート調査報告書によると、苫小牧のCOD負荷量は四十五年で日量二百五十五トン、四十六年二百七十二トン、四十七年二百二十二トンです。これは北海道全体ではないのです。現在の苫小牧工業地帯だけなんだ。これは瀬戸内海十一府県分六百七十三トンの約三分の一に当たるCOD負荷量を持っているということになります。ここは日本一といってもいいほど、すでによごれているのです。  今度の報告書では、この点について「現苫小牧地区の紙パルプのCOD負荷量は、現状以下にするものとする。」ほんのたった一行、この二八ページに載っているだけでしょう。見てください。どうしてこれができるんですか。摩訶不思議じゃありませんか。一番よごれ切っているところを調査しない、測定もしない、それで新しいところだけやって、まだよごれていない、こういうやり方です。これはもう現苫の——現苫というのは現在の苫小牧工業地帯のことです。現苫の水質汚濁の負荷量を隠しただけではないのです。抽象的に現状以下といってごまかしてしまっているでしょう一現在の負荷量を削減する計画については一言も触れていないでしょう。実にこれはずさんな報告書です。これは住民に対してはふざけ切ったやり方じゃありませんか。なぜ現苫の具体的な水質汚濁改善計画を報告書の中へ入れなかったんですか。その理由を伺います。
  73. 森整治

    ○森(整)政府委員 報告書に御承知のように、現苫の王子製紙それから国策パルプ、それから現苫の周辺水質につきましては、調査資料が出ておりまして、たとえて申し上げますと、計画そのものには書いてございませんが、王子製紙の現在の排出負荷量はCOD百八十トンでございまして、SSが五十トン、これはパー・デーでございます。それに対しまして、将来五十三年には、C ○Dが四十二トン、SSは二十一トンということで、施設改善等により、そういう水質の良化をはかるというふうに承知をしておるわけでございます。
  74. 島本虎三

    ○島本委員 施設改善によりはかる、この報告書の中には環境を保全するということばだけ一ページの中に十一カ所あるのです。しかしながら何ら具体性がないのです。ただ、ことばだけあるのです。そして現状の一番よごれているところに対して測定も調査もしていない。それはどこから来た資料ですか。調査した、はっきりした資料ですか。会社側の提出によるものですか。
  75. 森整治

    ○森(整)政府委員 道庁に資料提出を求め、道庁から入手した資料でございます。
  76. 島本虎三

    ○島本委員 いろいろ答弁を聞いてみても、ほんとうに重大な問題、前面海域のSSにしても、重大な点に対しては自信をもって答えられない。ほとんど答弁らしい答弁になっていない、こんな答弁では。——りっぱな環境保全計画であって、これによって開発のゴー、引き金を引いた。まことにお粗末きまわる。私は、これは納得するわけにいきません。将来の環境庁のためにも私はほんとうに遺憾に思います。  水質汚濁アセスメントは、第一に、現在の苫小牧海域をしっかり把握していなかったということ。そうでしょう。第二には、現苫分の水質汚濁負荷量に厚いべールをかぶせて、すべて隠蔽してしまったということ。第三には、現苫から東部への影響がCOD一PPMだ、いまそう言いましたけれども、その根拠は何ら一つ説明されておらないということ。現在の実測値よりもはるかに低い値を前提条件としておいて、水質汚濁の重合影響、こういうようなものに対しては、一まあはっきり判断しているというが、これではわからないじゃありませんか。  この三点を見ただけでも、間違いなくこれはお粗末きわまる欠陥品である、こう言わざるを得ません。このほかにもいろいろの問題がありますけれども、不備だから補完する——常に、補完していくということばがすぐ返ってきます。これはだめなんです。こんなアセスメント水質汚濁を未然に防止できるなどと言えますか。十分な環境影響評価をしたと言えますか。いままでの水島を見ても、鹿島を見ても、大分を見ても、瀬戸内海沿岸のあのコンビナートを見ても、全部開発をゴーさせておいて、引き金を引いて、そしてよごれてからあと追い行政、それが環境行政だったのです。今度はそれをしないための環境アセスメント。それがまた不十分。そして補完するという答弁。補完するだけでは、以前は通産省がやったが今度は環境庁がやる、官庁を変えるだけです。十分な環境影響評価をしたと、これは言えますか。
  77. 森整治

    ○森(整)政府委員 先生指摘のように、細部につきまして、この報告書に記載をされてないことは事実でございます。しかし、われわれがこの計画を審議する場合に承知いたしましたデータでは、たとえて申しますと、国策パルプ周辺のCODの負荷がどういう形に拡散をしていくか、それが今度の東部の開発にどういう影響を与えてくるかということは、道庁からの拡散式及びその実測値等につきまして、全部審議をいたしました。その上で、バックグラウンドCODの一PPMということを確認した上で、それを前提として論議をしたということでございます。
  78. 島本虎三

    ○島本委員 論議をしたということはわかりました。しかし、その論議の内容並びに水質汚濁環境評価、そういうようなものに対しては、なぜここにその論議をしたものをきちっと出して、間違いのないものにしてスタートさせないのですか。こういう欠陥品を出して、内容だけ論議した。これを見たところによると、結局手落ちがあるじゃありませんか。手抜きがあるじゃありませんか。では、これだけで完全ですか。よく調べてみて、あなたはもうそれを認めた。では、この中にはなぜそれを書かないのですか。これだけ見ても欠陥品じゃありませんか。はっきりこれを完全だと認めますか、それとも手抜きがあると認めますか。
  79. 森整治

    ○森(整)政府委員 現苫——先生のおことばの現苫の影響が新しい開発にどういう影響があるかということは審議して、それがデータに載ってないというお話でございます。それを載せるか載せないかということは、それは載せたほうが私は好ましかったと思います。しかし、そのことと、新しい開発につきまして、その前提となる水質をどう押えていったかということと、いまの計画苫小牧の新しいほうの東部の開発でございますから、それに関連したデータがここへ載せられた、こういうふうに承知をいたしております。
  80. 島本虎三

    ○島本委員 承知をしていたのじゃ困るのですよ。はっきりこれを認めて、はっきりそれが載っていない。載っていない欠陥報告書を、これは環境保全計画となって出されている。これをあなたは、ただ認めている。この中には水質汚濁環境評価に、それじゃ手抜きがない、これで完全です、手落ちがない、こういうようにあなたは言い切れますか。
  81. 森整治

    ○森(整)政府委員 この部分のこのもの、ここに載せられております数字なり考え方、それについては欠陥はないと私は思います。
  82. 島本虎三

    ○島本委員 欠陥がないということは、これで十分だということですか。
  83. 森整治

    ○森(整)政府委員 もちろん水質の問題につきまして、たとえば一PPMの範囲がどこまでになるかということの確定したデータは欠いております。そういう点は今後補完すべきだろうと思います。ただ非常に離れた現在の、新しい計画の港内に一PPMの——要するに現苫の影響がないということについては推定で行なわれておりまして、確定的なものは、補完調査でさらにそれを数字的に立証すべき点が残っておると思います。
  84. 島本虎三

    ○島本委員 どうもいけませんね、そういうふうなことでは。いま私は数字を、現苫、苫小牧のC ○D負荷量、四十五年日量二百五十五トン、四十六年二百七十二トン、四十七年二百二十二トン、それぞれあげたでしょう。もうすでにこの前面海域は汚染されておるし、ヘドロそのものが蓄積されておる。これに対して何ら調査も測定もしていない。またこのデータのほうにも載せない。新たに東部開発、その方面だけは一PPMにするんだ。この水は流れるじゃありませんか。王子製紙もあれば、山陽国策パルプもあれば、日軽金もある。離れたところには大昭和だってあるじゃありませんか。そういうようなものが海流によって流れる。その流れるものをそのままにしておいて、新しいところだけ一PPMに押えるんだ。これに対して、はっきりここに載ってもいない。これを完全だと言うのですか、あなたは。  では、一PPMにするのはどうしてやるのです。一PPMにするとここに書いていますよ。すぐそばからこういう膨大なヘドロが流れ出ているのです。どういうふうにしてやるのですか、言ってごらんなさい。そうでなければ、これは欠陥があるじゃありませんか。どういうふうにしてやるのです。
  85. 森整治

    ○森(整)政府委員 現苫の海域におきますSSについてのデータは、ここに載っておりません。先ほどのお答えになりますけれども、港内に限ってSS等の調査が行なわれております。  それから、新しい影響がないという判断は、一番近いところの国策パルプの前面海域の、先生指摘のようないろいろな調査がございますが、その調査と、パルプの廃液拡散の計算をいたしまして、それが現在の東のほうになりますか、東部のほうへどのくらいの影響が及ぶであろうかということを計算をしております。そういうことで現在の苫小牧への影響がないという判断をいたしておるわけでございます。  先ほど私は、それをさらに詰めまして補完調査を行なうようなことが必要であろう、そういうことで数字的にはっきり、もっと一PPMの地点というのを確保することは行ないたい、こういうふうに申し上げたわけでございます。そういうことがこの報告書に載っておりません。ですから、先生が御指摘のように、そういうことがあったほうが私は好ましかったと思います。思いますが、この計画がそれで全然いけないかといいますと、私はそうではなかろう、こういうことを申し上げたわけでございます。
  86. 島本虎三

    ○島本委員 一番よごれているところを隠して、これから開発するところは全然よごれないようにする。しかし水は流れる。こういうような状態にしておいて、これでもう何ら欠陥がないといえますか。瀬戸内海でさえも、いま言ったように総量規制、こういうのがいろいろ出た際には、十一府県の汚濁負荷量が日量で六百七十三トンでしょうが。苫小牧だけでCODの負荷量が、四十六年で二百七十二トンじゃありませんか。北海道じゃないですよ。たった一地域です。  こうまで多いものを、そのまま調査もしないでおいて、その隣に膨大な、世界一のコンビナートをつくるのですよ。そして一PPMにするというのです。それで間違いない、環境庁がそういう行政だとするならば、全く言語道断です。私は認めるわけにいきません。できるわけないじゃありませんか。どうしてそれをやるのか、その手だてを聞いても、あえて言わない。信念をもってやればできるのですか。科学的な、はっきりした調査でも測定でもしないと、これはもうだめなんです。その測定もしていない。一番よごれているところはそっとしておいて、そして何でもありませんというふうにして出してきておる。これが欠陥品でなくて何ですか。これは望ましいことはしていないということですね。それを載せたほうが、なお望ましかったと思いませんか。
  87. 森整治

    ○森(整)政府委員 私は先ほどから、そういうことが書いてあるほうが望ましいということを申し上げておるわけでございます。
  88. 島本虎三

    ○島本委員 だから、書いてないのは手抜きがあった、手落ちがあった、こういうふうに認めたらいいじゃありませんか。子供をあやすようにして一つ一つやっていかなければ、あなた答えないのですか。これはほんとうはまだあるのですよ。だけれども、時間の関係で移るのですから、そこで安心しちゃいけません。  次に、大気汚染です。三月の八日、私はここで質問しました。それで次の事実が明らかになりました。第一は、昨年十二月十日に苫小牧東部計画環境影響評価報告書を環境庁が承認、そして決定する段階で勇払地区に約一年近いSO2の自動測定データがあったということ。第二は、この環境影響評価報告書の作成に当たった北海道と苫小牧市が勇払地区のSO2測定データを隠蔽し、報告書の中へこれを入れなかったということ。現に入っていません。第三は、隠されていたSO2の測定データを見ると、環境基準の短期的評価で、勇払地区には現在すでに環境基準を上回るSO2の汚染実態があったということ。この三つです。  測定データを隠蔽したこの事件は非常に重大な問題です。千百戸、五千四百人の人口を持つ勇払の町が、二つの臨海工業地帯によって完全にはさみ込まれるわけです。そうすると公害の町になるおそれが十分あるわけです。だからこそ、環境庁開発庁北海道庁の間で勇払の町ぐるみの集団移転を検討していたではないですか。勇払問題こそ、苫小牧東部環境影響評価報告書をつくって、公害の未然防止の見通しを確立する上で最大の問題点であり、環境アセスメントの生命線である、こういわざるを得ないじゃありませんか。それはまあ大体わかりました。  それで、私はお伺いいたしますが、苫小牧市は、別に隠したわけじゃない、昨年八月の市の公害対策審議会へ出していると弁解しているようです。しかし、この環境影響評価報告書には勇払地区のSO2データを入れていないのです。この中に入ってないのです。やはり隠蔽したといわざるを得ないじゃありませんか。環境庁はさっそく市と道を呼びつけて調査をしたようでありますが、なぜ報告書へ入れなかったのかという点について答えていただきます。測定データ環境基準適用率などについては順番に聞いてまいりますが、まず、いま言ったように、なぜ報告書に入れなかったのか、この点についてはどうですか。
  89. 春日斉

    ○春日政府委員 午後一時からの林先生の御指摘に対してお答えいたしましたことの繰り返しになるわけでありますが、御承知のように大気汚染測定局というものは、国設あるいは都道府県立あるいは政令市によってつくられたものがございました。それをわれわれは行政的な全国の汚染観測ネットワークにいたしておるわけでございます。ところが、そのほかに独自で政令市以外の市町村がおつくりになるような測定局もございます。大学研究所の持っていらっしゃる測定局もあれば工場もございます。そこで、苫小牧市の勇払それから糸井というところにも測定局を市はお持ちだったようでございますが、これはそういった測定局ではない、これが一つなのでございます。  そこで、苫小牧市の行なっておりました勇払の測定局の測定データは、なぜアセスメント資料として道が掲載しなかったのか、この点につきまして道は、苫小牧市の測定データが道自身の測定局によって行なわれたものではない、そういうためにアセスメント資料の中には掲載しなかったけれども、もちろん道としては内部判断資料として十分尊重し配慮した、こう申しております。  苫小牧市の勇払測定局の測定データを検討いたしてみますと、環境基準に適合しているわけでございます。そこで特段の理由があったとは考えられない、こういうふうに申し上げておるわけです。
  90. 島本虎三

    ○島本委員 ではひとつ聞きますが、苫小牧市が設置した測定器の測定データは報告書に入れなくてもよいということですか。そうなりますね。したがって、これは公の測定器じゃないのですか、苫小牧市といえども。そしてその数値が一〇〇%でないような数値が出てしまっているのです。そんなばかな話がありますか。なぜこれを参考にして載せないのですか。
  91. 春日斉

    ○春日政府委員 午後一時からの答弁で申し上げましたけれども、勇払がSO2によって汚染されているかどうか、これを判定いたします現状把握でございますが、そしてそれをもとにして将来予測を立てますときには、いわゆる長期予測によって判定するのが原則でございます。したがいまして、これは九八%値で合格をいたしております。すなわち勇払については、他の苫小牧市内の六測定……。
  92. 島本虎三

    ○島本委員 合格しているということですね。
  93. 春日斉

    ○春日政府委員 そういうことでございます。
  94. 島本虎三

    ○島本委員 わかりました。いまの答弁では、勇払のSO2データ、これは載せなくてもいいのだ、しかし実態はわかっていたのだ、それは市の調査であって責任ある調査資料ではないからだ、参考にはした。それならば、なぜここへはっきり載せないのですか、悪い数値でも。苫小牧といえども公の機関じゃありませんか、公の測定器じゃないですか。そしてそこで注目すべき数値が出た場合は、当然載せるべきです。
  95. 春日斉

    ○春日政府委員 島本先生の御指摘のように、載せるべきであったという御趣旨に対しては私も同感でございます。
  96. 島本虎三

    ○島本委員 あとでその問題はもう一回入ります。いまの答弁では、勇払のいろいろなことをやっているといいましたけれども、大規模工業開発環境影響評価をする場合、現在の環境濃度の把握、すなわち測定データの積み重ね、そして現在のよごれぐあいをつかむ、こういうようなことがまず第一歩の出発点じゃないですか。それをやらないといけません。しかし問題の勇払地区には大気汚染の自動測定データがほとんどなかったのです。ただ一つSO2の約十カ月分の測定データがあった。環境庁はこの勇払地区のSO2データを報告書に入れるべきだった。当然それを主張すべきではありませんか。それと同時に、入れなくてもいいデータである、こういうことには当然ならないでしょう。  そういうような点からして、どうも春日局長の言うことは私は理解できない。やはりこれを認めるための引き金になっている。自分はわかっているから載せなくてもいい、全部一〇〇%のきれいなところだ、こういうようなことで出発させる、これは環境行政の中で最も陰険なやり方です。
  97. 春日斉

    ○春日政府委員 勇払という町は、確かに先生のおっしゃいますように、現苫と東苫の接点に立つところであり環境庁としてもあるいは市としても、一度は集団移転等をディスカスした問題地点でございます。したがいまして、そこのデータというものがあることは望ましいわけでございます。少なくとも道の測定データがなかったという現状は、われわれも把握しておったわけでございますが、市のデータというものは、先ほども申し上げましたように、いわゆる正規の、ネットワークの一環でございませんので、私どものところに報告があがってないのでわからなかったということでございます。したがいまして、私は先ほど先生にお答えいたしましたように、参考として載せるということは望ましかったと考えております。
  98. 島本虎三

    ○島本委員 勇払のSO2データ、これは事実として報告書に入っておりません。入っていないということに対して入れるほうが望ましい、それはそうでしょう。入っていないということに対し、この責任はどこにあるのか。だれも責任を負わなくてもいい、こういうように考えるのか。三月九日付の毎日新聞、ここにあります。北海道の寺田生活環境部長が、「データをわざと隠したなどというのは、とんでもないことだ」「環境庁から勇払地区のデータを出せというような指示は聞いていない」、はっきりここに載っています。もしこのとおりならば、環境庁のチェックと指導が怠慢だったということになるわけです。環境庁は勇払地区の測定データを出さなくてもよい、こう指示したのですか。測定データの点で、どのような指導をなさったのですか。
  99. 春日斉

    ○春日政府委員 何回も申し上げますが、勇払地域の測定データの必要性については、私ども先生のおっしゃるとおり重要性を認めておるわけでございます。したがいまして、環境アセスメントの指導をいたしますときには、勇払のデータにつきまして、われわれは要求したということはございます、部長が直接聞かれたかどうかは別といたしまして。あるいは私ども書類でそういったことを要求したことがないことは事実でございますが、これはやむを得ないことであろうと思っております。  したがいまして、責任とかなんとかいうことより、道としては内部資料として苫小牧市のデータを十分尊重し、検討したわけでございまして、それは苫小牧市、ことに勇払の地域が汚染したというデータではないので安心した、こういうところではないかと思います。
  100. 島本虎三

    ○島本委員 汚染されたのではない、責任者のあなたがそんなことを言っている。それはちょっと私は納得できませんよ。いますぐそれに入りますけれども、そうすると道の寺田生活環境部長がうそを言ったのか、あるいは毎日新聞の寺田部長談話の報道に誤りがあった、これはいずれなんですか。
  101. 春日斉

    ○春日政府委員 その点につきました、私、存じません。
  102. 島本虎三

    ○島本委員 大泉苫小牧市長は、去年の十月に住民との間の、これは午後一時からの質問でも言っていましたが、この地域懇談会を開いておる。その際に市長は、一般市民や勇払地区の住民に対して、SO2の自動測定データがあり、環境基準をこえているという事実、これを公表し、説明していますか。
  103. 春日斉

    ○春日政府委員 その点は、つまびらかではござ  いません。
  104. 島本虎三

    ○島本委員 一切これは発表していないんです。一度の説明もしていないんです。それではもう道と市が苫東開発にとって都合の悪い測定データを隠して、いわゆる隠蔽したのだ、こういわれても申し開きはできないじゃありませんか。環境庁すら、つい三月の八日まで、勇払地区にSO2の測定器があり、測定データがあるという事実を知らなかったじゃないですか、環境影響の評価報告書を見ると、これは大気汚染物質の自動測定データは二酸化窒素、NO2、浮遊粒子状物質、弗化水素の三つは、一時間値の最大値、一日平均値が最大値、月平均値、それから測定期間中の平均値、これをはっきり示しております。このデータの中に、これは載っています。御存じですね。  そうすると亜硫酸ガス、SO2だけは環境基準との適合率だけを表で示して、一時間最大値、一日平均値の最大値などのこの実際の測定値を一切出していません。つけたのは四十七年度の年平均値一つだけを余分につけてありますね、これは、そうだとすると、なぜSO2だけを特別扱いにして数値を出さないのですか。この表では実際のSO2濃度、読み取ることは不可能です。勇払地区のデータと同じように、意識的に隠したのですか。それとも環境庁と道の、これは手落ちなんですか。どうですか。
  105. 春日斉

    ○春日政府委員 御承知のとおり硫黄酸化物の環境基準は昨年の夏に改定いたしました。改定いたしまして、一時間値〇・一PPM、それから一日平均値〇・〇四PPMをもって環境基準といたしたわけでございます。それから大気保全局長の通達で、それを評価するにあたっては短期評価と長期評価を掲げまして説明いたしておるわけでございます。したがいまして、私はその新しい考え方に基づきまして、SO2の環境基準との適合表等が出ておるわけで、これはごまかしたとかなんとかという筋合いのものではないと思っています。
  106. 島本虎三

    ○島本委員 これはそうすると、SO2の測定データの中身についても、それならばちょっと伺っていきますけれども、勇払と明野の測定値は冬場、冬ですね、この冬場、たとえば四十八年一月から三月までの間に環境基準値をこえる高濃度が発生し、それから四月から十月にかけては環境基準を一〇〇%満足している。冬場に高濃度が出ているわけです。この点間違いありませんか。
  107. 春日斉

    ○春日政府委員 まず勇払でございますが、一時間値で申し上げますと、二月の二十一日、二月の二十八日、三月の二日、五月の十日と四回〇・一PPMをこえておる日がございます。それから二十四時間値では、二月の十一日、三月の一日、この二日間にわたりまして〇・〇四をいささかこえているところがございます。  ただ、ここで注目しなければいけないことは、この勇払の測定器は一月に設置されております。大体これは環境アセスメントのレポートにもあると思いますが、新しく測定器を設置いたしますと、二カ月ぐらいはならし運転、調整期間が必要でございます。したがいまして、私どもはほんとうならば一月、二月のデータというものは、むしろ削除して、三月から見るべきではないかという気もいたしますが、しかし、ほかのデータとの整合をするために、そういう資料を掲げたつもりでございます。
  108. 島本虎三

    ○島本委員 それはとんでもない間違いですね。冬場と夏場は風の方向が逆になるのです。逆になってしまうのです。そうして測定点のほうへそのままかぶるような風は冬場吹くのです。夏場はそこを避けているのです。そうすると、十二月、一月、二月、三月、いわゆる冬場、この冬場のデータをはっきり握らないと完全なものにならぬのです。一番いいところだけとって一〇〇%のこれは適合率である、こんなことを言って、まさにとんでもないじゃありませんか。  報告書は、四十八年のSO2環境基準適合率として六測定点の二つの表を出しています。この勇払地区の測定データを落としている問題のこの表ですね、この勇払地区のやつ、あとから、あなた説明して、入れているようですけれども、落として発表しているこの問題の表です。これは六ページにありますね。一つは四十八年四月から十月の七カ月、もう一つは四十八年六月から十月までのわずか五カ月の環境基準適合率、こういうようなものを並べたものでしょう。沼の端を除いてすべて一〇〇%の適合率だ、こう強調しているでしょう、そのデータによると。  ところが、この二つの表には冬場の測定値が入っているのですか。いないでしょう。会計年度で区切って、そして適合率を見たからこうなったと言うかもしれない。が、これは弁解にすぎない。昨年の十二月のアセスメントなら四十七年十一月から四十八年の十月までの一年間をこれはとれたはずでしょう。高濃度の出た冬場の測定値をはずして、そうして環境基準適合率一〇〇%数字を多くするための作為じゃないですか。これではペテンじゃないですか。報告書は、これは五ページのほうを見ると、「現在では、概ね環境基準に適合していると思われる。」こういうように書いているのです。  冬場の測定データを除外しておいて、なぜこんなことが言えるのですか。なぜ冬の測定データをはずしたのを急いで発表しなければならないのですか。なぜ完全なものに擬装して出さなければならないのですか。なぜ冬場をきちっとして、国民の健康と生命を守るためのアセスメントをつくらないのですか。冬場の測定データ、これをはずしたということは、私は重大だと思うのです。どうなんですか。
  109. 春日斉

    ○春日政府委員 表の2−1に「二酸化いおうに係る環境基準との比較表」というのがあって、昭和四十七年度間の旭、双葉、明野について報告が出ております。
  110. 島本虎三

    ○島本委員 何と言ったのですか、もう一回。
  111. 春日斉

    ○春日政府委員 表の2−1、昭和四十七年度の年間の測定値が、旭、双葉、明野について出ております。
  112. 島本虎三

    ○島本委員 これはもう三月八日に私はこのことを質問し、春日さん答弁されましたね。この穏された勇払地区のSO2のデータについて、短期的評価で見ると、測定データははっきりと現状ですら環境基準をこえる亜硫酸ガス汚染があることを示しているではないか。これに対して春日大気保全局長は、長期的評価の九八%値で環境基準を満足している、こういうように答えましたね。そして、きょう林委員にもそのことを入念にも答えられましたね。私にも答えてくれました。答えてもらったのはありがたい。しかし、環境基準の長期的評価を聞いているのじゃないのです。いいかげんな答弁は、私、聞きたくないのです。  あらためて聞きますけれども、勇払地区の四十八年一月から十二月までのSO2汚染は、短期的評価で環境基準をこえているのかいないのか、この点をはっきりしてください。
  113. 春日斉

    ○春日政府委員 短期的評価と申しますのは、毎日、毎時間呼吸しております空気がどのような状態であるか、現状、いまどうだ、こういうことを日平均値、一時間値に照らして判断するものでございます。したがいまして、先生がいまおっしゃいましたように、勇払は短期的評価によって年間を通じてどうかという御質問に対しては、これはちょっと答えられないと思います。(島本委員「どうして」と呼ぶ)これは、長期的評価で年間を通じては評価するものでございます。
  114. 島本虎三

    ○島本委員 短期的評価だってやらなければだめだと、はっきり載っているでしょう、あなたの通達に。
  115. 春日斉

    ○春日政府委員 いいえ、そうではありません。  たとえば、私どもが出しております「日本の大気汚染状況」のレポートにも書いてございますが、「短期的評価」というところで「新環境基準の短期的評価の基準は一日を単位とし、日平均値 ○・〇四PPMをこえず、かつ、時間値〇・一PPMをこえないことである。したがって、年間を通じてこれを眺めることはあまり意味のないことであるが、」云々というふうに書いてございまして、私どもは、年間を通じて評価するときには長期評価をいたすのでございまして、短期評価では、これは年間を通じての、その地域が汚染しているかどうか、現状把握には用いないのが通則でございます。
  116. 島本虎三

    ○島本委員 その通則が間違っているのです。たとえば北海道札幌、私の居住地、あそこは冬場だけばい煙によって肺ガンの発生率が高いのです。春から秋まで、これはもう空気がよくて、さっぱりないのです。一年平均とってみたら、全部いい数値が出るのです。冬の間は、雪祭りやっても四日か五日で、雪がまっ黒くなるほど汚染されるのです。それが冬の実態なんです。薄めてしまって、それでいいんだ、こういうような考え方は私どもは賛成するわけにはまいりません。どうも私は、いまのことばはおかしいと思うのです。  ことに、先ほどの林委員質問に対して、春日局長は、勇払の測定値は環境基準に適合しているのだ、こう言いました。そしていまでもそれを言っております。環境基準の評価には、短期的評価と長期的評価の二つがあるということは、何回も聞かされました。昨年の六月十二日付の大気保全局長通達、これはもう短期的評価については、「環境基準が一時間値、または一時間値の一日平均値についての条件として定められているので、測定を行った日または時間について評価する」、こう通達に出しているでしょう。この短期的評価で見ると、勇払には環境基準をこえる値がちゃんと出ているでしょう。どうも何でも適合すればいいというようなこの考え方は危険きわまる、またでたらめであると言わざるを得ないじゃありませんか。
  117. 春日斉

    ○春日政府委員 でたらめではございません。短期評価によって環境基準をこえた場合に、直ちに環境基準達成のための施策を強化する必要があるかどうか、これは必ずしもそうとは言えないわけでございます。なぜかならば、個々の日平均値について、短期評価のところで私、再三申し上げましたように、いろいろの問題点がございますが、長期連続測定の場合、短期間では把握できない個々の自動測定器の持つ固有の誤差がある、あるいは測定方法の原理からくる誤差がございます。あるいは記録及び維持、管理上の誤りもございます。あるいは測定機械の反応液に恥とか、あるいはアンモニア等、こういった正常なる記録を阻害するような物質がまざったような場合、いろいろございます。したがいまして、私どもは、そういった一時間値、二十四時間値だけでは評価できないものを、年間を通じての長期評価によって評価しよう、こういうわけでございますので、決してでたらめではございません。
  118. 島本虎三

    ○島本委員 これは何のために一日平均値〇・〇四PPM、一時間値〇・一PPM、この環境基準をきめたのですか。それに合わして、はっきりと国民の健康と生命を守るためにデータをつくるための、これは必要なやり方でしょう。これは完全であるということを見せるための作意じゃないでしょう。そうなってはだめです。困るのです。  どうもやっている間に時間がなくなってしまって、この問題でも実際私はしゃくにさわってしようがありませんけれども、時間がほとんどなくなってしまいました。これについてはほんとうに困りますけれども、この報告書は、SO2の四十八年六月から十月までの五カ月の環境基準適合率を全部一〇〇%で並べているのだ、高濃度の出る冬季のSO2データを除外した上で、環境基準の短期的評価も長期的評価もすべて満足していますよと、こういうふうに出している。苫小牧はよごれていませんよということを見せかけている、これしぐさでしょう。しかし、隠されていた勇払地区の環境基準適合率、これは一〇〇%ではない。現に短期的評価で環境基準をこえている。この勇払のSO2のデータを隠したこと、これが問題だと言っているわけです。しかし、もう環境庁でははっきりと、この問題は聞いておかなければならないと思うのです。  昨年の十二月当時勇払地区には約十カ月間のSO2の測定データがあったわけです。この測定データ環境影響評価報告書へ入れなかったということは、これはやはり致命的ミスだ。環境庁は、道と市に対して適切な指導を行なわないで、そして勇払地区には大気汚染の測定データがあるかどうか、この確認を怠ったり、報告書から勇払の測定データを落としてしまった、この点で、環境庁のチェックに手抜かりがあった、同時に報告書作成の指導に手落ちがあった、当然これはもうそうじゃないですか。全然手落ちもなかったなんて、こういうようなことはまことに私としては言語道断だ。  窒素酸化物についても同様じゃありませんか。自動測定データとしては、昨年の四月に設置した明野と双葉、この二つの測定点の七カ月間の測定値しか出していません。苫小牧東部計画が入ると、大気汚染の影響が最も心配される地区は勇払と沼の端です。この二つの地区にはNO2の自動測定データがありましたか。
  119. 春日斉

    ○春日政府委員 苫小牧地区におきます自動測定器によりますNO2の濃度測定は、双葉及び明野の二地点で昭和四十八年度の四月から実施されておるわけでございます。この結果によりますと、おおむね環境基準に適合しているものと推定されるわけです。ただし、先生が御指摘のような点は確かにあろうかと思います。  なお、北海道は四十八年度から五十年度まで三カ年計画でバックグラウンド調査、気象調査、拡散調査等を実施いたしておりまして、それらの結果が得られた段階で、移動発生源データを加えて見直しを行なうことといたしております。この見直し時点でNO2の環境濃度の経年変化、季節変化は十分把握し得るものと考えております。そしてその段階では、確度の高いアセスメントの見直しができるものと確信いたしております。
  120. 島本虎三

    ○島本委員 そうじゃない。どうも言ったことにはっきり答えてくれないと困るのです。勇払と沼の端、この二つの地区にNO2の自動測定データがあったかどうかというのです。これはないでしょう。
  121. 春日斉

    ○春日政府委員 ございません。
  122. 島本虎三

    ○島本委員 そう言えばいいのです。時間ばかりとって。なぜこの最大の問題地域である勇払と沼の端にNO2の自動測定器を置かないのですか。測定器を入れた場合、現在のNO2の汚染度が環境基準を下回っている、よごれていない、こう自信を持って言えますか。私は、この勇払と沼の端にNO2の自動測定器を置いて長期測定データをとれば、おそらく環境基準をこえる汚染を示すだろうと思います。うそだと思ったら、まずはかってみてください。窒素酸化物の環境アセスメントは、たった二測定点で七カ月の貧弱な測定データしかないわけです。しかも冬場の自動測定データはゼロなんです。肝心な勇払と沼の端のNO2の汚染も測定していない。こんな状態で十分な観測データがありましたとか、窒素酸化物のアセスメントをしましたとか、どうしてこれは言えるのですか。全部苦しまぎれの答弁じゃありませんか。  それで長官、いよいよこういうような状態でありますけれども環境庁長官として勇払についての、ひそかに集団移転まで検討されていた一番大切な勇払地区のNO2データを隠蔽していた、この環境影響評価報告書でどうしてこの公害を未然に防止できるのか、大気汚染問題を起こさない、こう言えるのですか。このことなんです。勇払問題だけじゃないです。まさに欠陥品の報告書です。このようなずさんな報告書を認めてしまった環境庁には重大な責任があります。いままでの反省が何ら示されないような結果を招くじゃありませんか。不備だったから調査して補完する、こういうような答弁では納得できません。同じような答弁をいままで聞いてまいりました。補完調査だけでは、長官が常々言っておるあと追い公害行政、それになってしまうわけなんです。  私、もう一度地元手続を踏み直して報告書の白紙再検討をすべきだと思います。そして環境保全優先の立場に立つなら、長官の言明によって私はそれ信じますが、そうして当然じゃないかと思うのです。長官いかがです。
  123. 三木武夫

    ○三木国務大臣 そういう北海道庁の測定器でなくても、市の測定器でも、そういうものがあれば参考につけるべきがよかったと私は思います。何も隠蔽といったって、こういうものは事実を隠蔽できるわけじゃないのですから、そういう意図があったとも思わないんですが、それは不用意であったと思うし、やはりつけたほうがいい。しかし、これからも環境庁としては厳重な環境アセスメントをしていくわけでございますから、これを白紙還元という意思は持っておりません。
  124. 島本虎三

    ○島本委員 これは苫小牧東部環境アセスメント環境庁が初めて手がける大規模工業開発アセスメントなんです。その第一号がこんなずさんな報告書、これでなお、これはもう一回考え直す必要がない、こういうようなことでは中公審の中間報告書で、これはもう環境保全水準の確保を絶対的な条件として、場合によっては開発そのものを中止すべきである、こういうようにいっておりますね。この基本的精神、こういうようなものを初めの第一回目は、長官なかなかりっぱであったけれども、いまの答弁はまた回れ右です。  苫小牧東部環境影響評価報告書、これを認めて、そして港湾の着工を許すということは環境庁にとっては取り返しのつかない汚点になる。環境庁としては運輸省港湾管理者に対して、環境保全計画の疑問点が解明されるまで港湾の着工を待て、せめて待てと、こう指示すべきじゃないのですか。それが環境庁長官環境行政の良心じゃないですか。それまでやむを得ない、こういうようなことを言うなんか、私は言語道断じゃないかと思っているのです。長官。
  125. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 長官のお答えになる前に、環境アセスメントの問題につきまして先生の御批判に対して、事務的に簡単に御説明申し上げます。  今回の環境アセスメントにつきましては、港湾計画というものを認可する場合のアセスメントということでございまして、決してこれで環境庁港湾計画のときにいいと言ったら、あと計画はすべて手放しでそのまま完全にいいのだというようなものでは、これは毛頭ございません。  現在の港湾をつくるというときに得られた程度の荒さの前提条件で作業をされて、全体の骨組みとしてはどうであろうかという程度の荒さのものしか私どもは答えられるものではないというぐあいに解しておるわけでございます。そういう点におきまして従来の産業公害事前調査というものに比べますと、従来のものよりかは 大気も水も自然もずっと分化をして検討されてきたということは事実でございますが、非常に荒い巨視的な問題のみを扱っておりますので、先生の御批判のようなミクロの問題の個々のところになってまいりますと、まだこれは完全ではないのではないかという御指摘については、私どもはもっともだというぐあいに考えております。  ただ、この問題につきまして、ミクロのところをはっきり詰めるということになりますと、どこにどのような工場が入ってきて、どういう施設が、どういう能力のものが、いかにレイアウトされて、そしてそれをどのように評価をするかということをはっきりしなければなりません。その前段階の荒いものにつきましては、先生のお手元にございます資料にございますように、通産省の大気と水につきましての産業公害事前調査の中で、相当こまかなものがやられていることは事実でございまして、その上に立った荒い骨組みというものでございます。  それから、もう一点だけ申しますと、非常に広いいろいろな分野のものがかむわけでございまして、学問的にも、また利害関係からも非常に違う立場がございますし、評価の判断資料、判断尺度となりますと、非常に問題が今後に残るわけであります。アメリカにおきましても、三年間この環境影響評価の報告書をつくってやってまいりましたが、きわめてまだやり方があいまいで、手続、内容、方法について一致を見ないというところで、裁判も多く非常に困っておるということが、つい最近まいりました報告におきましても実態でございます。  そういうことで、私ども環境アセスメントといたしましては、御批判のようないろいろな問題があろうかと思われますが、これは最初の事前的な荒い評価ということでございまして、このあとのこまかな評価のところで、いろいろきびしい条件が具体的に示されていくものというぐあいに事務的には御説明申し上げます。
  126. 三木武夫

    ○三木国務大臣 アセスメント段階的に環境アセスメントをしていこうという考えでありますから、そのアセスメントの途中において計画の変更を指示する場合がある。それは環境の保全上その計画を遂行することが無理であるという場合には、計画の変更を指示する場合がある。これくらい厳重に環境アセスメント考えておるわけでございます。しかし、島本委員の御指摘のような、これを白紙に還元する意思は持っていないということでございます。
  127. 島本虎三

    ○島本委員 ありがとうございました。  時間が迫りまして、ほんとうに私は残念に思います。長官、要請だけしておきます。  これはもう環境影響評価報告書の白紙再検討、いまやその必要がはっきりわかってきた。必要がある。したがって、全面見直しを北海道に対してこれは指示して当然やるべきじゃありませんか。それと同時に、環境庁は昨年十二月十日に、報告書を認めて港湾計画決定同意してしまいましたが、この同意をもう一回取り消して、そうして再考すべきである。こういうふうに思うのです。私は、もうこの点だけ強く長官に訴えます。どうぞこの第一の報告書の白紙再検討、全面見直し、これを北海道に対して命令、指示する、これとあわせて強く私は要請しておきたいと思います。
  128. 角屋堅次郎

    ○角屋委員長 土井たか子君。
  129. 土井たか子

    ○土井委員 長官もお疲れでしょうが、大事なことをお伺いしますので、一問だけですからお答えをぜひお願いしたいと思います。  昨年、たいへん苦心の末、瀬戸内海環境保全臨時措置法が議員立法で成立をいたしまして、そして長官も御承知のとおり、十一月二日に全面施行されたわけです。ところで、十一月十三日になりまして、石油審議会昭和四十八年度の石油特定設備の申請に対する許可を出しております。全体は十四社、十六製油所、百十三万三千バーレル。ところがこの中に、実はこの法律にばっちりとひっかかる場所につくられる施設が四カ所あることを御存じだろうと思うのです。瀬戸内海関係府県にそれは設置される。中身はもう言うまでもないことですが、しかし念のために、ここにはっきり申し上げておきます。  それは、兵庫県の姫路につくられる予定の出光興産、十万バーレル。それから山口県の新下松、十五万八千バーレルですが、これは実は日本石油精製であります。それから大分県に参りまして、大分の豊後高田市、ここに丸善石油、三万バーレル。それから同じく大分県の大分市に九州石油の六万バーレル。大体これは総設備許可の三三%にも当たる。たいへん大きな問題なんですが、まずお伺いしておきたいのは、こういうことについて、事前に石油審議会から環境庁に対して何らかの連絡があったかなかったか。その点をまず、ひとつお答えいただきたいのです。
  130. 森整治

    ○森(整)政府委員 瀬戸内海の法律の関係で、連絡があったというふうには聞いておりません。  (土井委員「ちょっと、いまどういうふうにおっしゃいましたか」と呼ぶ)瀬戸内海法の特定施設につきまして許可を要する事項でございます、それについて、特に事前に連絡があったというふうには聞いておりません。ただ、そういうものが石油審議会で審議されたということは承知をいたしております。
  131. 土井たか子

    ○土井委員 それは事前に御存じだったのですか、それともこういうことが十一月十三日に石油審議会で許可されたということが知らされてから御存じになったのですか。その点をまず、はっきりしておいていただきたい。
  132. 森整治

    ○森(整)政府委員 そういう御計画があるということは、承知はいたしておりましたけれども、石油審議会で審議されて了承された後にそういうことを承知いたしました。
  133. 土井たか子

    ○土井委員 どうもいまの御答弁からすると、事情は思わしくないように思うんですね。  まず第一に、その点に対して、せっかく議員立法で苦心惨たんの末できたところの、この瀬戸内海環境保全臨時措置法というものの中身が、実は通産省、通産省のもとにある石油審議会の許可のもとに危うくなろうとしておるということが、まずは、この点で言えると思うのです。  ところで、そういうことをまず念頭に置いて、一月二十八日の予算委員会で、実はこの問題が取り上げられているわけですけれども、その節通産大臣は、石油審議会の許可は長期計画としての答申であって、石油業法でいうところの通産大臣の個別の製油所に出す許可は別である、まだその工事許可は出していない、今後の情勢を見きわめながら慎重に対処する、こういうふうな答弁に現在のところなっておるわけです。  ただしかし、これについて、いま石油業界と通産省の癒着ぶりが問題にされておるまつ最中であります。だから、石油審議会の許可はあくまで答申であって、通産大臣の許可ではないのだ、通産大臣の許可は別でありますよ、それについてはまだ出しておりませんと言われても、肝心のところの石油精製をやる業者側は、もうすでに通産大臣の許可をもらったような顔つきでやっておる例が現にある。  たとえば、東亜燃料工業、これは静岡県の清水にあるわけですが、日産十一万五千バーレル、この会社から十二月に清水工場の増設計画書を添付して公害防止計画書が清水市の公害課に対して出されておるわけですが、その文書の中身には、はっきり通産省より設備許可をいただきましたのでと書いてあるんですよ。もう書いてあるんですね。こういう例があるわけです。  出光興産、日本石油精製、丸善石油、九州石油、この四社がいま瀬戸内海環境保全臨時措置法に正面からひっかかってくるところの特定施設を設置しようとする事業者ですから、第五条に従って考えてまいりますと、第五条で、設置の許可を、府県知事に対して申請して受けなければならないという手続があるわけでしょう。これはかなり具体的な手続をちゃんときめておるわけですね。  それには、先ほどから問題なっておるところの事業者自身がやる事前評価に関する事項を記載した書面も添付しなければならぬのです。環境アセスメントですよ。そうしてしかも この申請をした後に、府県知事は申請があったら、遅滞なく、その概要を告示しなければならない。そうして、告示をしてから三週間公衆の縦覧に供さなければならない。さらに、府県知事は、この告示をしたときには、遅滞なく、その旨を他の関係府県知事、それから当該特定施設の設置に関して環境保全の上から関係がある市町村の長に通知をしなければならない。そうして、期間を指定して、そういう知事、そういう市町村長の意見を求めなければならない。さらにまだあるんですね。当該特定施設の設置に関して利害関係を有する人たちは、この縦覧期間満了の日までに、当該府県知事に事前評価に関する事項についての意見書を提出することができる、こうなっておるんですね。瀬戸内海環境保全臨時措置法からしますと、これこれの手続を全部とってもらわなければならぬのです。  このことについては、通産大臣の立場からすれば、現に一月二十八日の予算委員会で、個別の製油所に出す許可は別ということでありますから、いま情勢を見きわめながら慎重に対処なすっているまつ最中でありましょう。ただしかし、業者の立場は先ほど言ったような態度があるんですよ。したがいまして、この節よっぽど環境庁しっかりしてもらわなければ困るのです、ほんとうに。  さて、例のこの瀬戸内海環境保全臨時措置法の二十条というところを見ますと、「環境庁長官は、この法律の適正かつ円滑な運用を確保するために必要があると認めるときは、関係府県知事に対し、必要な勧告」「をすることができる。」環境庁長官、いかがでございますか。
  134. 三木武夫

    ○三木国務大臣 これはいま御指摘のような瀬戸内海環境保全臨時措置法の第五条に真正面からかかるわけでありますから、この許可をとらなければ特定施設はできないわけです。その前提には、いま御指摘のような厳重なアセスメントもあるわけでございますから、これは、その手続をちゃんと踏まぬ限りはその設置はできないということでございます。われわれとしては、瀬戸内海環境保全臨時措置法を厳重に履行をするということでございます。
  135. 土井たか子

    ○土井委員 それはまあおっしゃるのはそのとおり、常識論でありますが、聞くところによりますと、この山口の下松なんかについてはもう執拗に下松市長や市議会の議長や下松の商工会議所の会頭なんかが、通産大臣目がけて、特段の御配慮をお願い申し上げますと陳情書などを出したりしていらっしゃるのですよ。これは幾ら陳情書を出されましても、このあるところの瀬戸内海環境保全臨時措置法を無視なすって、この取り扱いをなさるということは、断じて認めるべきことじゃない。  ひとつ、現に特定事業所を新設なさろうという、このそれぞれの企業者のほうで、いま環境アセスメントが進んでいるのかどうか、手続の上で遅滞なく、またそごなく、こういう法律に従っての手続がとられるというふうな手順に、いま事が進んでいるかどうか、その辺の事情についてちょっとお聞かせいただいて、あと一つ長官に言って、私、終わりにします。
  136. 森整治

    ○森(整)政府委員 いま担当課長から聞きましたけれども、問い合わせがありましたけれども、そういう手続が進められたというふうには現在聞いておりません。
  137. 土井たか子

    ○土井委員 それはどこからの問い合わせですか、そして、現にどういうふうなぐあいになっているということでしょう。ちょっと御答弁のほどがはっきりいたしません。
  138. 森整治

    ○森(整)政府委員 会社からアセスメント手続について問い合わせがございましたけれども、県がそういう申請を受け付けて手続を進めておるというふうには聞いておりません。
  139. 土井たか子

    ○土井委員 どうもおぼつかないですよ。  そこで長官、ひとつこの二十条を適用して勧告をやってください。勧告をぜひやっていただくように、はっきりお願いをいたします。そうでないと、この法律というのは、すっぽ抜けもいいところだと思うのですよ。もういいかげん環境庁というのは、通産省から見ると、ほったらかしにされて、無視されてきたような形に現在なっているわけですから、何としても、この瀬戸内海の環境保全ということに対しては、やはり通産省にも責任を持ってもらわぬと困るのです。そういう点からしますと、ひとつ二十条に従って環境庁長官の勧告をなすべきであると考えますが、いかがでございましょう。
  140. 三木武夫

    ○三木国務大臣 あえて二十条の勧告をしなくても、瀬戸内海環境保全臨時措置法のこの法律は、厳重に履行する決心でございます。
  141. 土井たか子

    ○土井委員 それについては責任を持ってくださいますね。どういう形で担保がされるかということについて、ひとつはっきり確かめておいていただきますよ。——どこに責任があるんです、それじゃ、はっきり申し上げますが。
  142. 三木武夫

    ○三木国務大臣 この臨時措置法の立法の精神を厳重に履行する責任を、環境庁長官はとる決心でございます。
  143. 土井たか子

    ○土井委員 どうもこれで終わろうと思ったら、御答弁を聞いたら、そうはいかなくなってきたのです。  立法の趣旨とか精神じゃないですよ。具体的に五条の中には、こうしろ、ああしろと手続がきめこまかに具体的に書いてあるのです。特定的に書いてあるのですよ。それを守らなかったら違法行為であり、違法行為の結果なされたところの、それぞれの特定施設に対しては、これは全部無効でしょう。したがいまして、これは第五条に従ってなすべきであるという勧告を、長官のほうから県知事あてにしてもらえるように二十条ではなっているのですよ。  県知事に従って考えていきますと、現にこのそれぞれの四つの石油精製施設をつくろうとしている県については、先ほどお答えになったとおりであります。まだそういうことに対して具体的に事が進んでいないし、また、はっきりどういうふうにおやりになるかということも非常におぼっかない。したがって私は言っているのです。これははっきりしてもらわぬと困りますよ。
  144. 三木武夫

    ○三木国務大臣 これは先ほども御指摘になったように、もうきわめて手続をちゃんと書いておるわけですから、この手続によらなければいけませんよと言う必要はないと思います。これだけ石油問題というのがやかましい問題になって、しかもあれだけみなの関心を集めた瀬戸内海の環境保全に関する臨時措置法が通っておるのですから、この法律があって、この法律の手続によらずしてやるというようなことは、これはもうもしそういうことをすれば、われわれとしたって違法でありますから、そういう一つの製油所の設置は絶対に認めるわけはございません。
  145. 土井たか子

    ○土井委員 それはわかりました。  しかし、まず最初に申し上げた石油審議会が許可をしたという事情については環境庁は御存じだったかと聞いたのは、そういうふうな御答弁を最後になさるであろうと私は考えたからであります。なるほど、審議会が許可をしたということ自身、それを環境庁連絡を取り合いながら、具体的に中身を瀬戸内海の環境保全を守るということを大前提にしてということがなかった。これは、違法とはすぐには言いかねるでしょう。しかしながら、好ましいか好ましくないかという点になると、断じて好ましくないということも、これははっきり言えるわけであります。  過去にそういう例がもう具体的事実としてあったわけでありますから、この通産大臣の個別の製油所に出す許可についても、事前に、この瀬戸内海環境保全臨時措置法というものがきめている中身については、徹底してこれは知らさないと、どうも・ひもとないのじゃないか、そういうふうなことで私は、第二十条にいうところの勧告をなすべき時期というものは、こういうときじゃないかということを申し上げているわけなんです。いかがです。
  146. 三木武夫

    ○三木国務大臣 私は、そんなに二十条によって勧告しなくても、この法律というものは、瀬戸内海沿岸の知事はもちろん、市町村が承知しないというはずはない。そういうことは これだけのものができたのだから、許されないことだ。この手続を踏まずして製油所を簡単につくれということは絶対にあり得ない。そういうことは環境庁は絶対に認めません。
  147. 土井たか子

    ○土井委員 環境庁は絶対に認めないという最後の一言、これをひとつ確認して、あといろいろ問題がありましたら、そのつど取り上げて私は追及することにいたします。、終わります。
  148. 角屋堅次郎

    ○角屋委員長 山原健二郎君。
  149. 山原健二郎

    ○山原委員 航空騒音について伺います。最初運輸省のほうへ聞きますので、長官、私は最後にお尋ねしたいと思いますから、よくお聞きいただきたいと思うのです。  航空騒音というものがいま深刻な事態を迎えておることは、これはもう明らかです。特に高血圧あるいは胃腸障害、さらには鼻血が出るというような状態が大阪空港周辺では出ておるわけです。ある住民の方のことばに、えらい人のむずかしい理屈は要りません、私たちは一人残らず耳という最高の測定器を持っていますということばが新聞に報道されています。私は、ほんとうにこれは深刻な、しかも怒りに満ちたことばだと思うのです。  それで、いままでの騒音測定について、運輸省資料と、それから地元住民たちの組織による調査資料とがほとんど食い違っているんですね。特に大阪空港の場合は、運輸省資料の騒音コンター、等音線図ですね、それと、大阪空港周辺十一市で結成している騒音対策協議会のつくったコンターとに大きな食い違いがある。これは一体なぜだろうか、これはいまみな疑問を持っておるところです。ことに、WECPNL八十五以上の地域について差がひどいわけですね。  運輸省のコンターでは、十五平方キロ、世帯数にして三万三千二百世帯、人口にして十一万一千名、十一の市の対策協議会のコンターによりますと、二十七平方キロ、世帯数にして六万六百四世帯、人口にして十八万八千九百三十七人。面積にして一・八倍、人口にしまして一・七倍の差が出ているわけです。なぜか。これが私もいままで非常に疑問に思ってまいりました。たまたまこの問題について十一市の協議会のほうでは、調査資料の公開、対決してもよいと言っておるんですね。これはかなり自信を持っているのです。というのは、この十一市の場合は、それぞれの市の公害対策の専門的な人たちが集まって調査をしておる。運輸省調査はほとんどアルバイトだ、こういう状態なんですね。  そこで、その一つの実例をいまから申し上げます。これは高知空港の場合ですが、高知空港は現在滑走路千五百メートル、これを二千メートルにしてジェット機を導入するという問題が起こっているわけです。この高知空港のそばには、高知大学農学部、国立高専、それから高等学校、中学校、小学校、約六つの学校があるわけです。その中から住民の中でも、ジェット機を飛ばして、はたして騒音がないのかという疑問が起こりまして、一昨年の九月二十九日、和昭四十七年の秋ですが、ボーイング737型の飛行機を飛ばしまして、騒音測定をやったわけです。この騒音測定にあたりまして、県は運輸省のほうへ測定を依頼したわけです。そうしますと、運輸省は航空公害防止協会を指名いたしております。そして県の発言によりますと、これがただ一つの専門機関である、こういうふうに県は説明をされておるようであります。そして、この測定のために三百七十八万五千八百円という経費が出されております。この問題について質問をするわけですが、運輸省はなぜ航空公害防止協会を指名したのか、まずこれをお聞きしたい。
  150. 隅健三

    ○隅説明員 お答えいたします。  騒音コンターにつきましては、 (山原委員「それはいいですよ。防止協会をなぜ指名したのか」と呼ぶ)高知空港におきましては、四十七年に高知県から騒音調査をしたいということで、いろいろ御相談に上がられたことは事実でございます。この騒音調査につきまして、運輸省が航空公害防止協会を指定してやったということではなくて、高知県が航空公害防止協会とお話をして契約されたように伺っております。
  151. 山原健二郎

    ○山原委員 航空騒音についての測定をする機関というのは、たくさんあるのですか。
  152. 隅健三

    ○隅説明員 航空機の騒音調査というのは、基礎的なデータを確実に守るならば、それほどむずかしい測定技術ではございません。でございますから、地方公共団体の公害担当者も、その講習を受けた場合には皆さんおやりになっております。実際にこれをおやりになっておりますのは、小林理科学研究所、空港コンサルタントあるいは航空公害防止協会というのがございますけれども、これが航空機騒音の調査を専門にやっているわけではございません。
  153. 山原健二郎

    ○山原委員 この航空公害防止協会の事業計画概要を見ますと、昭和四十七年度には東京、大阪、千歳、高知、鹿児島、昭和四十八年度の事業におきましては仙台、松山、熊本、鹿児島、福岡。今日問題になっておる重要な騒音測定は、全部これがやっておるのです。ほとんどここがやっておるのですま。だから、これはかなり大きな測定の協会として運輸省も認めているのではないかと思うのです。  そこで、この防止協会の役員構成、性格その他について簡単に伺っておきたいのです。
  154. 隅健三

    ○隅説明員 航空公害防止協会は財団法人でございまして、四十三年の八月一日に運輸大臣の認可を受けて設立されたものでございます。     〔委員長退席、島本委員長代理着席〕  この目的といたしましては「主として東京、大阪両国際空港その他航空機の離陸または着陸のひん繁な実施により生ずる騒音等の障害が、特に著しい空港の障害の軽減等の諸対策に寄与し、周辺住民の生活環境の改善を図り、もって航空交通の健全な発展を期する」ことを目的といたしまして、航空公害の現状調査とその対策の研究であるとか、あるいは航空公害防止のための施設環境の整備、あるいはテレビ、ラジオの受信障害の防止、あるいは資料の収集、統計、整備及び配布等を事業といたしております。  なお、役員につきましては、会長は、日本船舶振興会の会長の笹川良一氏でございまして、理事長は航空振興財団の理事長でございます飯野毅夫氏が就任しております。
  155. 山原健二郎

    ○山原委員 この役員構成と仕事の内容を見ますと、いまおっしゃったように、役員は笹川良一氏、日本船舶振興会会長、航空振興財団会長、航空保安協会の会長をしておられる方でございます。理事長は飯野さん、専務理事は丸山さん、そして常務理事山根さん、こうなっておりまして、さらに構成をしておる理事は、日本航空株式会社社長、全日本空輸株式会社社長、東亜国内航空株式会社社長、日本船舶振興会理事長、大阪府モーターボート競走会監事、新東京国際空港公団理事、この人々によって理事会が構成をされているわけです。  これは公害源の会社でしょう。航空騒音を起こしておる会社によって構成されておる団体が、公害防止協会をつくって騒音の測定をやったときに、どういう立場で測定をするかということぐらいはおわかりになると思うのですよ。そういう状態で、はたして公正な騒音の測定ができるのか、ここが問題なんです。  しかもこの防止協会は、たとえば羽田空港の駐車場を持っていますね。大阪空港の駐車場を持っておる。飛行場によって利得を得ておる会社ですよ。しかもあれはもとはただです。この間も値上げをして、ばく大な利益が上がっておる。そういうことをやっておる会社、しかもこれを構成する理事は航空会社の社長。いま問題になっておる騒音をまき散らしておる公害源が集まった防止協会ですよ。これが航空騒音測定をやって一体だれの立場に立ってやるかということは初めから明らかなところです。まさにここに問題があるわけですね。  さらにふしぎなのは、運輸省に聞きますと、航空騒音については、この防止協会職員、運輸省、空港職員、たとえば全日空とかの職員ですね、それとアルバイト、これで構成して測定をやっております、こう私どもに答えております。そしてまさにそのとおり、運輸省は空港拡張の当事者、それから防止協会は利得を得ておるところ、さらに空港関係者は公害をまき散らしている、騒音を出しておるところですね。そういう当事者ばかりが集まって、あとアルバイトだけなんです。そういうもので騒音測定をやっておるというところに大きな問題がある。  しかも、この測定にあたって、なぜ運輸省の石野さん、お見えになっておるけれども、石野調査官がこの指揮をとるのですか。高知空港の測定にあたっては石野さんが直接行ってそして指揮をとっておられるんでしょう。運輸省と、この防止協会とはどういう関係にあるんですか、これを明らかにしていただきたい。     〔島本委員長代理退席、委員長着席〕
  156. 隅健三

    ○隅説明員 航空公害防止協会は運輸大臣が認可した法人でございまして、運輸大臣がこれを監督いたしております。  それで、先生ただいま御指摘の駐車場で利益をあげておるというお話でございますが、確かに大阪の空港の駐車場は航空公害防止協会に経営をさしておりますけれども、東京国際空港においては公害防止協会はタッチいたしておりません。  なお、アルバイトというお話でございましたが、一応航空公害調査研究センターをこの中に持っておりまして、その所長に守田栄先生をお迎えいたしまして、大体短大あるいは高専卒の測定の技術者をかかえております。確かに先生の御指摘のとおり、アルバイトでこれをやっておるのも若干おりますけれども、その点は専門家の短大あるいは高専卒の所員をかかえております。  なお、石野調査官が高知に参りまして総指揮をとった、運輸省と航空公害防止協会との間はどうかというお話でございました。石野調査官は、運輸省におきまして、数少ない航空騒音の非常に勉強いたしております者で、この点につきましても、高知県からのお話もございまして、一応技術的な援助をするということで、調査の実態を視察させると同時に、高知空港に出張さしたことは事実でございます。
  157. 山原健二郎

    ○山原委員 この防止協会は七十六名の職員を持っておるそうです。しかも七十六名の職員といっても、この防止協会の組織たるや、十三の部や課があるのですね。その中には東京事務所、大阪事務所、福岡事務所、駐車場部、そういうものがあります。その一つの部に騒音振動部というのがあります。七十六名の職員が配置されておるけれども、おそらく騒音測定をやるのは、この騒音振動部でなかろうかと私は思うのですけれども、そんなにたくさん専門家がおるんですか。専門家がおれば、なぜ石野さんが行く必要があるんですか。財団法人の防止協会が測定をするのに、何で運輸省が出なければならぬのですか。専門家がおるならば、防止協会でやったらいいじゃないですか。それが正しいかどうかをチェックするのが運輸省の仕事でしょう。どうなんですか。そんな何もかも一緒になったようなことで測定しておるのですか。
  158. 隅健三

    ○隅説明員 航空公害防止協会の組織から申しますと、私のほうで掌握いたしておりますのは、事務局職員が八十三名でございまして、先生指摘のとおり、騒音振動部というのが置かれておりまして、部長とそれから一般の職員九名で組織されております。これはさっき申しましたように、短大あるいは電子工学を出ました、高専を出た若い職員でございまして、石野調査官がこれの指導に当たるということは、やはりまだ技術的な点につきまして、いろいろ問題がございましたので、石野調査官を高知空港の騒音調査に一応出張さしたということでございます。
  159. 山原健二郎

    ○山原委員 私は日本分析化学研の問題について、そのでたらめな調査をかつて指摘したことがあります。いまこれだけ大きな問題になっておりますけれども、日本分析化学のほうがまだ、あれだけの問題を起こしておるけれども、科学技術庁は日本分析化学研が分析したものについて、官庁としてチェックしているのですよ、体制としては。ところが、あなた方の場合は、航空公害防止協会が調査をされる、そのされたのが正しいかどうかということを、あるいは監督官庁でないかもしれませんけれども、少なくとも国民の立場に立ち、公平な官庁としてのチェックをしていく役割りが運輸省の役割りじゃないのでしょうか。それが中へ入って総指揮をやっている。これが、私はどう考えたってわからぬですよ。こんなでたらめな官庁がどこにあるかと私は言いたい。財団法人のやる調査に何で運輸省の役人が出ていって総指揮をするのですか。「騒音調査総指揮、航空局担当官」これは石野さんだろうと思うのです、石野さんがおそらく運輸省における最高の専門家だと私は思いますから。その測定の内容については、あと質問をいたします。  いまは測定の体制を申し上げているのですが、この高知空港における測定は、五十二名の方で、二十三地点で測定しているのですね。この五十二名の内訳ですが、どういう内訳になっておりますか。
  160. 隅健三

    ○隅説明員 高知空港の騒音調査につきましての人員配置でございますが、半数の二十数名の方は、高知県を主といたしまして地方公共団体から出た地方の方でございます。あとの残りが航空公害防止協会の職員並びにアルバイトでございます。
  161. 山原健二郎

    ○山原委員 それからこの中には全日空の職員も入っています。それから防止協会、運輸省、これで構成された五十二名。全日空の職員も調査の中へ入っているのですよ。しかもほとんどアルバイトですね。アルバイトも理科系の学生じゃなくて、ほとんどが文科系の学生、ほんとうのアルバイトです。  だから石野さんは、あの指揮をされたときに、警察学校へ行って機械を全部集めて、そして機械のスイッチを封印をさせたでしょう。機械を全部集めて、あなたはテープで封印をしている。私は、ここにそのときの写真も持っているのです。明らかに機械をテープで封印をしておられるのです。こういう指導までされておる。このスイッチを動かしてはいけないと、あなたは言われているわけですね。アルバイトのしろうとだから、あなたがそういうふうに言われるのは当然だと思いますが、また、これが報告書でございますけれども、この報告書の中にも、あなたは八十ないし九十の目盛りへセットしたということが出ておる。これが測定のチャートです。セットしておる。そういう指揮をやられているのですね。なぜこれはスイッチを固定したのですか。簡単に答えてください。
  162. 石野康太郎

    ○石野説明員 技術的なことでございますので、私から答えさせていただきます。  レベルレコーダーという機械がございまして、そのレベルレコーダーの調整ノブが非常にゆるくできております。これはどの機械もみなゆるいのですが、それで、ちょっとさわりますと動く可能性がありますので、ノブをテープで押えるしきたりになっております。
  163. 山原健二郎

    ○山原委員 レベルスイッチを八十に固定したわけですね。それはなぜですか。
  164. 角屋堅次郎

    ○角屋委員長 石野君、もうちょっと声を大きくせぬと速記がとりにくいから……。
  165. 石野康太郎

    ○石野説明員 レベル調整ノブは、八十にしたり、九十にしたり、百にしたり、いろいろ場所によって変わるわけですが、高知空港の場合は八十ホンないし九十ホンが予定されておりましたので、おおむね八十ホンが予定されるところは八十に、おおむね九十ホンが予定されるところには九十ホンにセットするように指示いたしました。
  166. 山原健二郎

    ○山原委員 レベルスイッチですね、これは長官、図面を私書いてまいったのですが、こういう二つの機械、これは音がマイクロホンを通じて入ってまいりまして、ここにレベルスイッチがあり、そしてテープに図面が記録される、こういう二つの機械を使っているわけです。これはりオンの指示騒音計と申しますが、この指示騒音計を八十ホンに固定をされておられるのですね、石野さん、八十と九十に固定されている。ところが、ほんとうに正確な測定をするためには 飛行機の音が高くなったときには、百ホン出るときには、このレベルスイッチを九十、百に回して正確にキャッチするというのがこの機械なんです。これを固定してしまっている。固定をしてしまえばどういう状態が出るかといいますと、これはりオンの機械を防止協会も便っておられる、リオンNAO七A型指示騒音計を使用されておるのですが、リオンの本社へ行って聞きますと、八十に固定をした場合にプラス十、高いところは十ホン以上は保証できない、だから九十、百、百十という音が出始めると、八十のこのレベルスイッチを九十、百と上げていかなければ正確なホンをとることはできない。スイッチを切りかえなければなりませんと、この機械の操作方法にも書いてありますし、リオンの本社でもそういうふうにいっているわけですね。  そうしますと、石野さんのやられたことは、八十に固定したということは、もう九十までのホンしか出ないだろうという予測のもとに、これが行なわれている。だから、あなた方の調査は全部音が低い、低くするために固定しているのですよ。こういう結果が出ているわけでありますが、これに対して反論がありますか。
  167. 石野康太郎

    ○石野説明員 お答えいたします。  騒音測定をいたしますときに記録装置を使いませんと、いま先生が御指摘になったとおり、騒音計はセットしたレベルプラス十、マイナス五しかはかれないようになっております。ただし、レベルレコーダーに接続いたしますと、指示騒音計はマイクロホンの増幅器にかわりましてセットしたレベルが基準線になります。したがって、レベルレコーダーのほうでは五十db測定されることになっておりまして、基準線プラス二十、マイナス三十測定できることになっております。したがいまして、ほぼ八十なり九十なり最高値を示すと思われるところに基準線を設けて、上限は二十dbの余裕を持っております。二十dbをこしますと非線型領域に入りまして測定が比較的あいまいになってくる、そういうことでやっておるわけでございます。
  168. 山原健二郎

    ○山原委員 そういう理屈をつけられるわけですね。すなわち、この指示騒音計だけであれば、これはだめであるけれども、この記録高速度レベルレコーダーを使った場合には、それはやれるんだ、こうおっしゃるのですね。しかもそれも二十ですから、あなたは八十に固定した場合は、百までしか実際は出ないわけですね。ところが、リオンの本社で聞きますと、プラスマイナス十五以上をはかっても不正確だとはっきりいっておられるわけですね。これは機械ですから、しかも機械のメーカーの本社のいっておられることですから、そういうことから考えましても、あなたのやられたことは非常におかしい。ほかのところでは、どうやっておるかというと、東京都公害研究所にいって聞きますと、私どもはプラス十五ホンで切りかえをやっております、それ以上はもう線型が乱れて正確な数字はつかめません、だから私たちはスイッチは常に変えています、百ホンをこす場合には九十へ持っていきます、そうして百も百十五まで、大体は十までが正確で十五といえば大体もう乱れてくる、こうおっしゃっておりますけれども、ともかくレベルスイッチをかえて正確な音を把握するのがあたりまえのやり方ですとみんな言っているのです。これは大阪の公害関係の人のやっておるのもそういうふうにやっているわけです。  だから、こういう無理なことをして八十で押えて、そこへテープでとめてやれば、あなたの論理からいっても百しか出てこないという状態なんですね。実際に百十五というのは、あるいは百五という音が出た場合には、これはもう正確な数字を  つかまえることはできないわけです。そういう弱点を持っておられる。あなたは専門家ですから、そんなことはもう百も御承知であろうと思います。そういう点から見ましても、何となく騒音測定というものがあなたをはじめとして、防止協会、あなたは指揮されてとめられたわけですから、音を低くするということに相当の努力をされておるんじゃないかということが言えるわけです。  さらに、時間がありませんから、幾つかの例を申し上げてみましょう。この高知空港周辺二十三カ所の調査でいろいろなことがわかってまいりました。たとえば、この高知空港のあるのは南国市という市でありますけれども、その南国市の体育館に二十三地点で集めたデータが持ち寄られております。その中で航空対策班長が大ごとだ、大ごとだと言ってホンを下げるように電話連絡をしている。これは目撃者がおります。それから南国市の大徳寺のビワの木の下での測定者、この人たちは自分たちは機械の操作は全く知らないと地元の人たちに言っております。全くのしろうとがやっているわけですね。だから、あなたはその点でも心配して、このテープで全部機械のスイッチを押えられたんだと思います。さらに南国市の関部落の場合、これは周辺の人たちが私の家の庭でやってくれと言ったけれども、それは聞かないで、わざわざササのはえたところへ持っていって、音がさえぎられるような場所へ持っていって、そこを選んで測定をしておる。こういう状態ですね。  しかも御承知のように、この調査をされた九月二十九日は風が非常に強かったわけですから、だから風が強い場合には、それなりにこの測定器もスイッチの使い方、こういうものがなければ、その音の条件が非常に激しくなったり急になったりするわけですね、変動がありますから。それに対する対応のしかたも教えられておりません。  さらに、ちょうどこの二十三点の調査の中で第三地点というのがございます。これは高知大学農学部の屋上でございます。ここで日本科学者会議の高知支部の方々が、たまたま同じ機械を使って測定をやったのです。この方々は専門家の先生方ですから、前日にリハーサルをやっております。その場所へ防止協会の測定班が参りまして、約一メートル半離れたところで同じ機械を使って測定をいたしておるわけです。これが全くたまたまの  できごとなんですね。いままでは、ほとんどそういうことはないから、その測定の結果の差異というものがわからなかった。たまたまこれでわかった。そうしますと、この日本科学者会議先生方の調査によりますと、上が百五ホンまで出ています。そのときに防止協会の測定値は八十一ホン、差が二十四ホンあるのですね。こういう結果が出ているわけです。  これはあなたのほうはこう言われると思います。これはSスロー、Fファースト、早いとおそいとがあって、その先生方はファーストのほうヘレベルを合わせておる、それから皆さん方はスローのほうへレベルを合わせておるから、これだけの差が出てきたのだ、こう言われると思います。しかもそれはISOすなわちインターナショナル・スタンダージゼーション・オーガニゼーション、この勧告ではSでもかまわないということになっておるから、それでもいいんだという弁解をされると思うのです。しかし私は、最初に伊丹の住民の方の耳の話をしましたけれども、ジェット機というのは常に音がスムーズに流れているわけではありません。特に家の間におったりすると、がっとくる場合、非常にその音というものが高くなったり低くなったりする。そういう複雑な音を出しておるわけですから、Fでやっていいと思うのです。それがほんとうに耳に忠実なやり方だと私は思うのです。しかし、その点ではSにしてしまいますと、Sでは記録紙に書く場合もペンの動きが鈍くなってまいります。急速音にはついていけないという状態があります。だから私は、正確にはF、ファーストでなければ、ほんとうに音をつかむことはできぬだろうと思うのですが、この点については音響学会その他で今後検討しなければならぬ問題だと思います。  しかし、ともかくこういう差が出てきています。先ほど言いましたように、この防止協会、しかもあなたが指揮をしてやられた防止協会の測定というのは、地形、気象、風、人家あるいは海、そういうものに対応するだけの体制をとった調査ではなかったということを私は指摘をしておきたいと思うのです。  それから、これが測定のチャートであります。こういうメモが出てくるわけですが、二十三地点における防止協会の測定は流しっぱなし。これは毎秒三ミリの速度で流れていくわけです。二時間半調査をしておりますから、この長さが約二十五メートルになる。ところが、皆さんのほうはしろうとでございますから、アルバイトを使っておりますから流しっぱなし。私は、ここへ科学者会議の方たちのやられたのを持っておりますけれども、これは全部綿密に、ここには人の声が入った、あるいは自動車の警笛が鳴った、それは何時何分と記録されているのです。これで初めて、チャートが集められたときに測定の値というものが正確に出てくるわけです。二十三地点ではかったって全部流しっぱなし。このばらつきというのは一体どうなのか。二時間三十分の調査の中には、あとで見たって何が何だかわからないような状態があるわけです。時間の記入もなければ、一体何の音かの記入もない、こういう状態なんですね。これで科学的な正確な調査結果といえるであろうか。このことを第二点として指摘をいたしておきたいのであります。  さらに問題は、欠落がある。たとえば出されております報告書を見ますと、この中の二二ページ、測定NO1の地点、ここでは一カ所欠落があります。それからNO3の一、五カ所、NO3の2、三カ所、こういうふうにずさんな測定なものですから、報告書の中にも書けない、欠落が出ているのです。ほんとうにまじめに測定をするならば、欠落などというものは出るはずはないわけでありますけれども、それが出ている。こういうような幾つかの問題点があるわけです。  さらに、もう一つふしぎなのは、八十ないし九十に固定したと報告書には書いております。私はその固定には問題があると思っております。第十  一地点、土佐希望の家のところではかられたのにはチャートが二つ出ております。八十にした場合と九十にした場合の図が出ているのです。固定したのにこんなものがどうして出るのか、こういう疑問も起こるわけですね。  幾つかの問題が出てまいりまして、防止協会を使ったところの、しかもあなたが指揮をして行なったところのこの測定というものは、はたして正しいのかどうか、非常に疑問を持っているわけです。これについて簡単に説明をいただきたい。
  169. 隅健三

    ○隅説明員 詳細な点につきましては、石野調査官からお答えいたします。航空機騒音は、先生御存じのように、ボーイングあるいはダグラス、それぞれメーカーにおきまして、 エンジンによって、そのときの常備重量によって、離陸のときの滑走距離によって一つのパターンが全部きまっております。そこで、われわれといたしましては、それぞれの地点において出ましたものを電子計算機に入れます際に、おかしいものがあれば、それは全部チェックをいたします。そうして騒音コンターを書いておるわけでございまして、先生のおっしゃったように、風向き、気温あるいは地形の高低によっていろいろの騒音が出ると思いますけれども、第一にFAAで認められました騒音の一つのパターンというものと比較いたしますと、確かに、そこに作為があれば直ちにわかるはずでございまして、その点を実地調査ということでチェックしていくことが必要ではないかと考えます。
  170. 石野康太郎

    ○石野説明員 お答えします。  第一点の場所と風の指導の面ですが、場所は、壁あるいは電柱から三メートル五十以上離れるように指定いたしておりまして、先ほど指摘の庭がどういうところだったか、私記憶はちょっとないのですが、そういう家の壁なんかに近かったのではないかというふうに考えます。  それから風の場合は、六メートル以上風が吹きますときには、一応風防をつけることになっておりますが、当日は当初から風防をつけて出ておりますので、風の指示は特にいたしておりません。  それから欠落の場所ですが、これはいまちょっとデータを持ち合わせておりませんので、どういう理由で欠落したのかよくわかりません。  以上でございます。
  171. 山原健二郎

    ○山原委員 こういう膨大な調査書が出ていますね。おそらく運輸省持っておられると思うのです。私も、これはないもんですから、県から借りまして、ファックスで焼いて調べてみたわけです。そうすると欠落の場所がある。考えられないことなんですね。そういう欠落があって、それからまたいろいろな疑問が出てくるわけですけれども、時間の関係で、いまそれを指摘することはやめます。  それからもう一つ、いま言われたパターンがあるというのですね。日本には騒音の規格というものがありませんから、結局いま言われた国際的な規格を使っておられると思うのですけれども、パターンがあれば何も調査しなくていいのですよ。高知空港だったら、大阪空港の経験から——これは石野さんもいままで言われているわけですね。大阪空港の経験から、この程度離れたところでは大体この程度だということを言われておるだろうと思うのです。だから八十にしたって、かまわないんだということを言われておると思うのですけれども、それではほんとうの意味調査ではないわけです。あのジェット機の音が、ときには百ホンを突破する場合があるのですね。事実百五ホンという音が出ているわけですから、大体こんなものだということなら、何もわざわざ高い経費をかけて調査をする必要もないわけです。だから、ほんとうに科学的に調査をやろうとするならば、やはりこのデータの使い方あるいはレベルスイッチの使い方などを教えて正確な数字をはかる。いま私が言いました先生方のやった、科学者会議の支部の方たちがやったのは、ほんとうに緻密なものなんですよ。  それから、私は自分で実験をしてみました。これは長官も見ていただきたいのですけれども、大体百十ホンの音の出るマイクで音を流して、そしてそれをキャッチする場合、このレベルを百にした場合と八十にした場合との差が全部出てくるのです。だから八十にした場合は、おそらく低い音で押えられるという実例がここに出ております。  たとえば、レベルスイッチを百に基準を置きましたときには百七という数字が出てまいります。ところがレベルスイッチを八十に押えました場合、そのときは百一しか出ません。それからレベルスイッチを百にした場合に百十一出ますが、レベルスイッチを八十にした場合には百二しか出ない。それからレベルスイッチ百で押えた場合に百十というホンが出ましたものが、八十に押えましたときには百二しか出ないのです。だから、このレベルスイッチを八十に押えて固定したということは、どんなに考えても音が低く押えられるのです。  これは私の実験したメモですから、長官、ちょっとごらんになっていただきたいと思います。ちょっとわかりにくいかもしれませんが、こういうものです。——それで、そういうふうに違いが出てくるわけですね。だから私がいま指摘したのは、一つは体制の問題。体制の問題は、公害源が、しかも運輸省の指揮によって騒音の測定をやるなどということは考えられない、これがまず第一番の問題です。もし運輸省あるいは環境庁が精密な騒音測定をやろうとするならば、公平な立場に立ち得る機関をつくらなければ、ほんとうの測定はできないわけですね。日本航空、全日空、東亜国内航空が集まって構成されておる会社が騒音の測定をやって、はたして公明正大な測定結果が出るかといえば、これはだれが考えたっておかしい。それと運輸省がまた癒着をしている。この体制というものは絶対打破しなければならぬ。だから、いままでやった測定なんて全部信用できませんよ。  しかも先ほど言いましたように、航空公害防止協会というのは全国で東京、大阪、千歳、鹿児島、高知、大事なところは全部やっているわけです。しかもこれを基礎にして中央公害審議会の答申が出ているわけです。重大な問題です。全部やり直さなければいかぬです。環境庁あるいは運輸省が ほんとうに精密な測定結果を生み出そうとするならば、もう一度やり直す必要がある。そんなもので中央公害審議会の答申が出されたのでは、たまったものではない。しかもWECPNL、これもそこから出てきておるのです。そんなものが日本の全騒音公害の基準になっては、たまらぬわけですね。この点どんなに強弁をされようとも、こういう癒着した形で騒音測定をやってはだめなんです。もっと中立的な立場あるいは官庁らしい立場で測定をしていくならわかりますけれども、そんな公害源と一緒になって測定をするなどということは、国民を侮辱するもはなはだしいと私は思うのです。  この点については三木環境庁長官の御意見を承りまして、ほんとうに正確な、国民の納得できる測定をやっていただきたいと思うのですが、この点はいかがでしょうか。
  172. 春日斉

    ○春日政府委員 長官のおことばに先んじまして一言申し上げます。  航空機騒音の測定方法につきましては、昨年末の環境庁告示の航空機騒音に係る環境基準において定めております。ただ高知空港の調査は、それに先立つ昭和四十七年の九月に行なわれているということで、その間の時間の隔たりはございますが、私どもがこの環境基準において定めました測定方法は中央公害対策審議会の答申に基づいて定めたものでございまして、同審議会の審議過程においては、住民に及ぼす影響のほか国際標準化機構、先生も御指摘のようなISO等におきます国際的な測定方法を十分勘案の上、答申されたものだと思います。今後これに沿った統一的な方法で航空機騒音の適正な測定が行なわれるよう環境庁としても努力してまいりたいと思うわけでございます。  なお、スローとファーストのことでございますが、この航空機騒音の環境基準に定めてございます測定方法は、スローを用いることといたしております。
  173. 三木武夫

    ○三木国務大臣 これだけ航空機騒音というのが、やかましくなってきたのですから、そういう作為的なでたらめなデータを出して、それで隠しおおせるものではないわけであります。したがって、いまいろいろ御指摘のあったような財団法人航空公害防止協会が運輸省と癒着して騒音のデータをごまかしておるとは私は思わないのです。そんなごまかしおおせるものではないですからね。しかも訴訟問題まで起こっておる、これだけやかましい問題ですからね。しかし、そういう騒音問題という住民とすれば非常な大問題を、できるだけ住民に疑惑を持たさないような配慮は必要だと思うのです。しかし、いま御指摘のように、それは役所や、あるいは航空会社、それが癒着しておって、そして騒音のデータをごまかしておるとは私は信じないのでございます。
  174. 山原健二郎

    ○山原委員 ごまかしておるとかいないとかいうことは、事実に立って話をしなければならぬと思うのです。たまたま同じ場所で測定した問題があって、こういうことが明らかになったわけですが、私が長官にお聞きしておりますのは、体制の問題ですね。騒音測定をやる場合に、いま私の言ったことはわかると思うのですよ。  航空公害防止協会というのがございますが、その防止協会の会長自身が飛行場によって利得をあげておられる方なんです。それから、それを構成する理事さん、これは航空会社の社長さん。いま問題になっておりますのは、そういう機関で測定をされるということになってきますと、それは正しくないと私は思うのですよ。それはそれなりに測定されてもいいと思うのです。しかし、それと官庁とは別にならなければ、官庁は官庁でもっと正確で、しかももっと公正な立場に立って測定をやっていくという体制がなければ、国民が疑惑を持つのは当然じゃないか。だから、そういうのは防止協会がやられてもいいのです。しかしそれとは、運輸省なら運輸省環境庁なら環境庁というものが、もっと別の、今日これだけ大きくなった航空機騒音についての測定の体制というものが必要だと思うのです。そのことを、いままで長々と指摘しているわけですから、これについては、しっかりしたお答えをいただきたいと思うのです。
  175. 三木武夫

    ○三木国務大臣 騒音の測定というものは重大問題でありますから、私からも運輸大臣に対して測定に対する監督行政といいますか、いやしくも国民に疑惑を持たれるようなことのないように、運輸大臣としても、その管轄下にあるわけですから、十分な監督を行なうように私からも申し添えておきます。
  176. 山原健二郎

    ○山原委員 運輸省のほうに伺いますが、やはりこういう体制で進んでいかれるおつもりですか。大事なところは全部防止協会がやっておられる。それと運輸省とが一緒になっている。石野さん、たまたま専門家であられるから、総指揮という形でお手伝いに行ったのかもしれません。防止協会というものは、それだけ専門家がおるなら、防止協会でやられたらいいのです。それに対して、石野さんが専門的な立場でそのやり方は間違いだとか、これをチェックして正していくのが運輸省の仕事でしょう。それを一緒になったらだめじゃないですか。一体だれが調査したのか、わけがわからぬ。防止協会か、運輸省か、国か、財団法人か。これはどなたが出してきた調査結果だということを、私自身が困るわけです。私はそういう体制は改めていただきたいと思うのですが、いま長官も、その点については注意をされるという御返事でありますけれども運輸省としてはどうなんですか。
  177. 隅健三

    ○隅説明員 お答えいたします。  先生最初に御質問になりました大阪の十一市協のコンターと運輸省のコンターとが違うではないかというお話でございますが、今後運輸省といたしましては、十分独自性を保って調査をしていきますけれども地元地方公共団体の方は、もうだいぶ測定についてもおなれにもなりました。地方公共団体と運輸省が一緒になって、地元の皆さまと騒音対策あるいは騒音調査というのをする必要があると思います。  航空公害防止協会を使うときには、その監督は運輸省はみずから厳にいたしますけれども地方公共団体と運輸省が納得づくで同じ機械を並べて騒音調査をするということが必要ではないかというふうに私は考えるわけでございます。
  178. 山原健二郎

    ○山原委員 たとえば大阪の場合でも、それだけの差があれば、十一市の協議会のやられておるやり方が正しいのか、あるいは防止協会等がやっておる、あるいは運輸省も行っておるわけですけれども、その高低の差があるわけですから、どちらが正しいかということは、運輸省あるいは環境庁は、それなりの官庁としての立場を堅持していくということでなければ、いつまでたっても住民の疑惑は消えないわけです。その点は、私はしっかりやっていただきたいと思うのです。  それからもう一つは、高知空港の調査はボーイング737でやっております。ところが、現在の計画は、五十三年度には二千メートルに広げるという計画のようです。ところが、ボーイング737というのは、昭和五十五年度には一便しか入らないという計画なんですよ。それから、皆さんの出されておる計画によれば、これは昭和六十年度にゼロ便です。そうして、それにかわって何が出てくるかというと、ボーイング727が五十五年度には  五便入ります。六十年度には一便という計画になっております。それから、ロッキード一〇一一が五十五年度には七便、六十年度には十六便、こ  れが主力になるわけです。それが高知空港計画書一一四ページにはっきりと書かれているわけです。  ところが、ボーイング727の場合は、滑走路が運輸省の指導によりますと、離陸時に二千六百五十メートル要る。それからロッキード一〇一一は、離陸時には二千六百四十メートル要る。昨日、石野調査官に来ていただきましてお聞きしますと、ボーイング747SRは二千五百メートル、ロッキード一〇一一、これも滑走路が二千五百メートルは要る、こういう御計画でございます。それから、資料の中にも出ておりますけれども、ボーイング727、この場合には二千五十メートル滑走路が必要だ、こういうふうに指導されているわけですね。ところが、現在計画は二千メートルです。初めからオーバーランです。  そういう計画と現実の問題、これなんか考えましても、一体これは五十三年度に二千メートルでき上がって、そのあとはどうするつもりなのか。727やロッキードを入れるということになってまいりますと、滑走路はあっても入れない。しかも入る計画を立てておる。しかもロッキードは主力になる。こんな計画がぬけぬけと計画書の中に書かれているのです。これなんか一体どうしたことなんですか。どうされるおつもりですか。
  179. 隅健三

    ○隅説明員 高知空港につきましては、第二次空港整備五カ年計画におきましては二千メートルで計画をいたしております。これは727が離着陸できる滑走路の長さでございます。先生の御指摘のとおり、ロッキード一〇一一というようなエアバスは入りません。ただ、先生指摘の一四三ページにありました六十年度の予測で、これは予測WECPNLコンターの入力デー夕として、四十七年、五十年、五十五年、六十年の機材と便数計画を入れる、そのときに、六十年に先生おっしゃいましたロッキード一〇一一の十六便と727のストレッチタイプの200を一便入れた場合に、WECPNLの予測コンターは、このようになるという入力データの計算でございまして、われわれ航空行政ことに飛行場を持っておるものといたしまして、高知空港は現在でも二千メートルの滑走路ができるかどうか、地元とも調整を要する点が多々ございます。われわれは、これを二千五百あるいは三千に延ばす計画は全然持っておりません。
  180. 山原健二郎

    ○山原委員 ボーイング727で二千五十メートルというのでしょう。じゃ二千メートルでやれるのですか。
  181. 隅健三

    ○隅説明員 先生御存じのように、航空機が離陸いたしますときに、国際線であるとか、あるいは長距離飛びます場合の燃料の積み込みの重さによりまして、滑走路がある程度長くなるのは事実でございます。現在727は、国内線においては各空港二千メートルの滑走路の延長があれば十分な運航をいたしております。
  182. 山原健二郎

    ○山原委員 じゃ、この計画というのは全く実現性のない計画をここに出しておられるのですか。  それからもう一つは、二千メートルで727はいいんだとおっしゃるけれども、滑走路が目一ぱいの状態で、ほんとうに航空の保安というものが保たれるのかどうか。そんなことも航空会社に行って聞きますと、こういっているわけです。風向きが非常に平穏な状態の中では二千メートルでもいいけれども、実際にはこれだけ要るんだ。運輸省の指導も私が先ほどあげましたような数字になっているわけです。そんなことを一方では指導しておきながら、一方ではこれでいいんだ。それで計画書の中には、大きなエアバスがどんどん入るというような計画、全く実現性のないことを計画書の中に書いているのですか。
  183. 隅健三

    ○隅説明員 先ほども申しましたとおり、これは全日空の予測コンターを入力データといたしまして六十年のWECPNLコンターを書いたわけでございまして、現在の計画といたしまして、高知空港を拡張してエアバスを入れるような計画はわれわれは立てておりませんし、また、第三次の空港整備五カ年計画も間もなく作成しなければなりませんが、その時点におきましても高知空港にエアバスを入れるというような計画を立てるつもりはございません。
  184. 山原健二郎

    ○山原委員 時間が参りましたので、これ以上申し上げませんが、最後に、こういう状態で人心を惑わしてやるというやり方は、私はどうしても納得がいかないのです。先ほど言いましたように、ほんとうに騒音という問題が今日のような重大な問題になっている。その測定にあたっては、業者間の測定を国の測定であるかのような見せかけをするのはやめるということですね。絶対にこういうやり方はやめていただきたい。この点について最後にもう一回聞いておきます。  それから、ほんとうに科学的な調査をやろうとするならば、地元にも科学者もおいでになるわけです。また、それなりの研究をされた方、あるいは地方自治体におきましても、そういう訓練を受けた方が、いまやおいでになるわけですから、そういう方々と一緒に公然と騒音の測定をやるという態度を貫いてほしい。企業は企業ですから、公害源の企業が幾ら集まって測定やったって、だれも信用しませんよ。それを、あたかも国の測定であるかのごとき印象づけるような態度というものは、絶対にやめていただかなければならぬと思うのです。  そういう点で、ほんとうに公平な、公正な立場に立って騒音測定をやってもらいたい。これについての見解を伺いたいと思います。  そうして、いままでの測定、これはもう一度検討し直すということを約束をしていただきたい。これが第二点。  第三点は、先ほどスローとファーストのことを言いましたが、名古屋等における新幹線もスローでやっているのですね。これは自動車その他はファーストでやらなければならぬとなっておるのに、新幹線だけスローでやっている。だから、肝心なところは全部音を低くするような方向で国が動いているのです。これもファーストでやることが、ほんとうに人間の耳にどう響くかという立場から考えるならば、ファーストにやって正確な数値を出すのが正しいと思うのです。新幹線だけは特別だ、飛行機に似ているから、あれでいいんだ、こういう安易な考え方でなくして、かりにスローでやっても、同時にファーストでやって、これだけの差が出るのですということぐらいは住民に知らしたっていいわけです。何も音を低くするために懸命な努力をする必要はないわけですから、この点も私は指摘をいたしておきたいと思います。  そういう意味で最後に、この騒音測定についての公正な体制というものを必ず確立をしていただきたい。このことを要請をしまして、これに対する御答弁を長官からいただきたいのであります。
  185. 隅健三

    ○隅説明員 先生のおっしゃいましたとおり 高知空港からの、あとの騒音調査につきましては、もし地元の大学でございましたら、専門の先生もいらっしゃいます。また地方公共団体の専門家の方がずいぶんお育ちになっております。そこで、これを十分に方法について、あるいは地点について協議をいたしております。  なお、スローにするかファーストにするかという先生お話でございますが、これは音響学会の権威あるいはNHKあるいは専門家にお集まりをいただきまして、納得のいくまで航空機騒音調査の方法を確立いたしまして、今後はその方法によって進めていきたいというふうに考えております。
  186. 山原健二郎

    ○山原委員 最後に。長官、こういう私が言いましたような欠陥を持ち、レベルスイッチは固定する、あるいはデータは流しっぱなし、これでは正確なことはできないというのは、これは科学者みんなが言っておることなんですね。  それから、ただいま申しましたような、測定するところのものが企業そのものであるというようなことでは、だめなんですけれども、そういう測定の中で騒音公害心配なしという報告書になっているわけですね。だから、これでは納得できぬわけですから、この体制の問題について、ぜひしっかりした体制を確立していただきたいと思います。この点について最後に伺いまして、私の質問を終わります。
  187. 三木武夫

    ○三木国務大臣 測定は、その人でなければできぬというものでもないのですから、私は、そんなにデータをごまかしたりはできぬと思っているのです。いま御指摘になったように、ほかの先生方でも、やはり測定をされておるわけですから、そういうことで——しかし、一般の騒音問題は国民としても非常に大きな懸念でもあるし、関心でもありますから、運輸省として、こういう測定を取り扱っておる機関に対しての監督は厳重にするように、私からも申し伝えます。
  188. 角屋堅次郎

    ○角屋委員長 坂口力君。
  189. 坂口力

    ○坂口委員 時間がおそくなりましたので 短時間で終わりたいと思います。昨年の九月の十八日に道路騒音のことをお聞きをしておりまして、きょうは、その続編という形で少しお聞きをしたいと思います。  騒音は、先ほどからもいろいろお話が出ておりますように、いままでのたとえばカドミウムですとか、あるいは水銀の中毒というようなものとはかなり様相を異にしておりますし、そういったものとは違いまして、はっきりとした生体に対する反応というものが出てまいりません。むしろ自律神経系やホルモン系の失調という形で、その人その人によっていろいろ違った症状が出てくるというのが、この騒音による障害の一つの特徴かとも思うわけであります。先日の大阪空港の判決でも、健康被害というものにつきましては、はっきりとした因果関係が証明されないというような結果になっておりますけれども、これもこういうふうな騒音の生体に及ぼす特殊性によるものではないかと思うわけであります。  しかしながら、公害の中で騒音に対する一般の方の苦情というものが最も多うございますし、四割から、ときには五割近くがこの騒音による苦情であることは御存じのとおりでございます。去る昨年の九月十八日に、私は一例としまして、名古屋から四日市を結ぶ名四国道の騒音問題を取り上げました。その問題につきまして、その対策を迫りましたが、その時点におきましては何ら結論めいたものは出ておりませんでした。そこで、もう一度はっきりと建設省のほうでこの調査をしてもらいたいということを、そのときに申し述べました。そして、それについては了解をしていただいたというふうに記憶をいたしております。その結果が出ておりますかどうか、まず建設省のほうからお伺いをしたいと思います。
  190. 大島哲男

    ○大島説明員 昨年の先生の御質問あと調査しております。
  191. 坂口力

    ○坂口委員 じゃ、その結果はどういうふうであったかということを御報告いただきたいと思います。
  192. 大島哲男

    ○大島説明員 まず騒音でございますが、昨年の九月の十八日に、中部地方建設局が調査をいたしました。その結果は、朝が七十六ホン、昼が七十六ホン、夜間が七十三ホンでございます。  それから振動につきましては、ことしの二月に調査を行ないました。結果は現在整理中でございますが、最大値で〇・五ミリ・パー・セコンドという数値が出ております。
  193. 坂口力

    ○坂口委員 そういたしますと、この結果は環境基準に照らして、どのようにお考えになっておりますか。
  194. 大島哲男

    ○大島説明員 騒音の実態につきましては、環境基準が、朝は六十五ホンでございます。それに対しまして七十六ホンが出ております。昼間は、同じく六十五ホン、それに対しまして七十六ホン、夜間は、六十ホンに対しまして七十三ホンということになっております。  なお、要請基準につきましては、朝が七十五ホン、昼は八十ホン、夜間が六十五ホンということでございまして、要請基準につきましては、夜間が多少オーバーしておるように思います。
  195. 坂口力

    ○坂口委員 これも、測定の日によりまして多少の差はございましょう。先日、この問題を取り上げましたときにも申しましたが、朝ですと大体七十五、六ホン、お昼になりますと八十ホンをこえることが多いという結果が、前回の市の結果では出ているわけでございます。これは、朝、昼、夜とわりに音が違わないのは、ちょっと気にかかりますけれども、しかし一応おはかりになったわけでございますから、この値は一応信用させていただきましょう。この結果を見ましても、夜にわりに音が落ちていない、しかも振動がかなりきびしいという結果が出ているわけでございます。  私も、再三ここに参りまして実情を聞きましたし、また事実、そこでしばらくおりまして、その騒音の状態を調べましたけれども、確かにかなりきびしいものがございますし、特に夜間は非常にきびしいものがございます。それから、長くここにおりますと、やはりお互いに話ができないというようなこともございますし、この地域の学校の先生に聞きますと、非常な騒音のために音楽等に対する感覚が全く狂ってしまっているというような話も出ております。その音楽のことは別にいたしましても、非常にこの騒音が苦痛であることには間違いがないわけでございます。  そこで、この結果をもとにして建設省としては、どのような対策を現在お立てになっているか、それをひとつお聞きをしたいと思います。
  196. 大島哲男

    ○大島説明員 昨年の十月でございますか、十月の五日に、地元住民と騒音等対策懇談会という会合を持ちまして、いろいろ議論をいたしました。出席の者は、四日市市、それから県警、建設省、地元代表、そのほか陸運局も加わっておりますが、地元の方は七町内二十九名の方でございます。それに対しまして、地元のほうの要望といたしまして、交通規制の強化、名四国道の構造的な変更、それから高架部では水がはねますので、そのはねるしぶきをとめる装置をしてもらいたいということを要望されました。それに対しまして、建設省で行ないましたことは、振動に対する処置としましては、路面の補修をいたしました。それから高架部では、いま申しました止水壁と申しますかはねる水をとめるような壁を増設いたしました。それから高架部の橋梁のジョイントを補修しております。それからなお、水につきましては、側溝の手入れなども実施したわけでございます。  根本的には防音壁のやれるところは防音壁をやろうというような対策もとるのでございますが、実態といたしまして、人家の集まっておるところでございますし、日常生活の問題も出てくるということで、すぐにはそういう対策がとれないということが考えられます。根本的には、あそこを通ります大型の通過交通をよそへ回すということがまず第一じゃなかろうかということで、バイパス路線がどこかに引けないかということで一つ調査をいたしております。  それからまた、これは県警のほうでございますが、いろいろ交通規制につきまして二、三の試みをやっておるように聞いております。
  197. 坂口力

    ○坂口委員 私の聞いておりますところによりましても、県警のほうで、スピードを多少ダウンしましても、それほどこの騒音が下がらない。むしろブウブウいう音でよけいにやかましい、あるいは渋滞をするために、よけいに騒音が大きくなるというようなこともございまして、あまり効果としてはあげていない。  それから、別にこの道路をつくるということになれば、これは一番いいわけでございますが、それは具体的に進んでいるんでしょうか。たとえば、場所ですとかあるいはその調査というようなものは具体的に進んでいるんでしょうか。
  198. 大島哲男

    ○大島説明員 四日市の現在の場所を通らないようなルートを比較線としまして、いろいろ現実に引いております。それに対してどういう幅員がいいのか、それに対する環境対策はどうすべきであるとか、それから前後の名古屋と鈴鹿に至るルートはどうすべきであるかという点につきまして検討しております。
  199. 坂口力

    ○坂口委員 まだ検討段階ですね。
  200. 大島哲男

    ○大島説明員 検討と申しますか、調査費をつけて実施しております。
  201. 坂口力

    ○坂口委員 これは一例として申し上げたわけでございますが、今月の十九日に、国鉄は新幹線の騒音公害に対する防止の具体的方策というものを発表いたしました。それから運輸省のほうも、法案等をようやく用意をするという形になってきております。私は建設省としても、一地域じゃなしに全体的に、この道路騒音に対して具体的な方針を示すべきときにきているのではないかと思いますが、そういうふうな総体的な道路騒音に対する取り組みというものについて、現在プランがありましたら、お示しをいただきたいと思います。
  202. 大島哲男

    ○大島説明員 道路の場合は、いわゆる発生源であるトラックと、そこをお通りになる利用者の方と申しますかその利用のしかた、それから私どもの道路管理の問題、それから交通規制をおやりになる警察のほう、四者からみ合った結果、いろんな騒音の問題が出てくると思います。ただ、道路側では物理的に対応できる分野があるではないかということで、その辺の調査をいたしまして、四十九年度予算においては新設の道路の一部につきましては、環境緑地帯、環境施設帯というような名前で呼んでおりますそういう余裕幅をとりまして、そこに消音壁でありますとか、植樹でありますとか、あるいは自転車道みたいなものを設置して、両側の家に対する環境を保全していこうというふうに考えております。
  203. 坂口力

    ○坂口委員 前回聞きましたときにも、たとえば二重窓なんかの問題はどうですかということを聞きましたときに、その九月十八日時点におきましては、現在は補償としてまだ前例はございませんというような答弁でございました。確かにいまおっしゃいますように、これは建設省だけで解決のつく問題ではないと思います。これは各省にまたがったいろいろな問題があろうかと思いますが、しかし、はっきりとした生体に対する症状というものがつかめなくとも、これだけいろいろの騒音に対する問題が出てきておりますし、特殊な症状というもの、あるいは疾病というものとは結びつきはいたしませんけれども、しかし生体に対して非常な悪影響を及ぼすことだけは、まぎれもない事実だと私は思うわけであります。だからこの際、私はどうしても建設省としての具体的な方策というものを示してもらわなければならない時期に来ていると思うわけなんです。  これは、環境庁としてはいかがでございましょう。建設省にそういうふうなお申し入れ、あいは提携というようなことについての呼びかけはしておいでにならないのでしょうか。
  204. 春日斉

    ○春日政府委員 御承知のとおり、自動車騒音の規制強化をはかるということは、われわれにとって中央公害対策審議会に私どもいろいろ諮問をいたしております。たとえば昨年の四月十日に、中央公害対策審議会に対しまして、自動車騒音の大きさの許容限度の長期的設定方策について諮問いたし、現在鋭意検討中でございます。  こういうふうにいたしまして、私どもといたしましては道路を主管なすっております建設省とも事務的にいろいろ話し合いをいたし、また道路公団の担当者とも話し合いをし、指導をいたしておるところでございます。
  205. 坂口力

    ○坂口委員 これはあまりいつまでも、もう話し合いをしておる時期ではないと思うのです。これだけ日本各地で、この道路騒音の問題が起こっておりますので、これからまだしばらく検討し続けるというような余裕はないと思うのです。  そこで早急に、これは一つの結論めいたものを私は出してもらわざるを得ないと思うのです。これは環境庁として、あるいは建設省としても、どちらでもけっこうでございますが、あるいは両方ともお答えいただいてもけっこうでございますが、大体いつぐらいをめどにして、この決着を一応つけるという一つの具体的な方針というものを、ここでお示しをいただきたいと思います。いかがです。
  206. 三木武夫

    ○三木国務大臣 道路の騒音問題は、いつまでに決着を出して環境基準を守れということは、たいへんにむずかしい問題であります。大体、私は建設大臣とも言っておるのは、高速道路をつくる場合に、最初からやはり緩衝地帯をつくって——これからはいまのような道路をつくったんでは、いろいろなことをやりましても、そのことはやはり末梢的なことになりがちですから。これは道路の建設の当初から騒音問題がやかましくなかったのですからね、いまの道路は。それが、こんなにやはり大きな問題になってきた後の道路の立地計画というものが変更されなければ、騒音問題は解決しないということを建設大臣とも話して、建設大臣も全くそう考えている、これはいま建設省の答弁の中にもああいう答弁があったようですけれども、将来において道路建設の当初からそういうことを頭に入れてやる。  いままでの、いま現にある道路に対しては、これはどうしてもやかましいところは交通制限をするのですね。どうしても騒音というものを環境基準まで持っていけないというようなところは交通制限をする、防音装置やいろいろありますよ。ありますけれども、やはり防音装置——学校などは、私も建設大臣に話しますが、防音装置なんかは、音楽の教育にも影響するというようなことは非常にやはり影響が大きいですから、公共機関、学校のような場合は防音装置をするべきだと思うのですね。  そういういま応急的な措置として、できるだけのことはやったらいいと思いますが、しかし、われわれとしても、大型の貨物車あるいは二輪車というものに対する基準を来月までぐらいにはきびしくしょうと思っていますが、そういうことでいろいろやれることだけはみなやって、そうして騒音というものを、やはりできるだけ騒音の被害を少なくするということに、考えつくものは何でもやったらいいと思います。
  207. 坂口力

    ○坂口委員 長官のおっしゃるのはあれでございますか、来月末までにとおっしゃるのは、それは自動車の台数を減らすということについて来月末までに一応の結論を出したい、こういう意味でございますか。そうじゃございませんか。
  208. 三木武夫

    ○三木国務大臣 そうじゃなしに、自動車の騒音対策の一環として、とりあえず大型車それから二輪車、これに重点を置いて騒音の許容限度を強化する、そのことをきめたいということです。
  209. 坂口力

    ○坂口委員 これからつくります道路につきましては、いま長官仰せのとおり、やはり周辺にある程度の間隔をとっていくというようなことが大事でございましょう。全くそのとおりだと思いますし、ひとつそのようにお願いをしたいわけでございますが、すでに現在できてしまっているところをどうするかということ、私も非常にいろいろと考えてみたわけでございますが、なかなか名案というのはないわけでございます。防音壁といいましても、非常に立て込んだところに防音壁を建てれば風通しも悪くなりますでしょうし、これもなかなか現実的な問題としましては、むずかしい面もあると思います。しかし、そこで一たん同じように生活の場に入ってみますと、もはや耐えがたい毎日であることも、もう間違いがないわけです。  ですから、これはこれからのところは、そういうふうにしていただきたいと思いますし、また大型車あるいは二輪車等の個々の自動車からのいわゆる騒音量というものを減らすということについても、これは研究を重ねてもらわなければならないと思いますが、しかし、現在起こっていて、なおかつ、そこの自動車量もどうしても減らすことができぬ、そういう場所がやはりあると思うのです。長官、自動車の数減らせばいいとおっしゃいますけれども、これはその制限をはたしてできるかどうかということも、私疑問に思うのです。長官が言っていただくように、この数をそういうふうに制限してもらえば、これはある程度楽だと思います。しかし現実的に、それができるかどうかということだと思うのです。  これは建設省のほうはどうですか。ある程度台数を制限するということ、これはできますか。
  210. 大島哲男

    ○大島説明員 国道を通る車の量というものは、大体車線数によってきまってまいります。これは、たとえば名古屋と四日市の間ですと、道路が何本かございます。いま大きいのは三本くらいございますか、その全部足した容量で勝負がきまってくるわけでございまして、たとえば名神国道をかりに車線を減らすとしますと、そのかわりのものをどこかにつくってやらなければ救えないものだというふうに存じております。
  211. 坂口力

    ○坂口委員 車を減らそうと思うと、またもう一本別につくらなければならぬということになりますと、これも急にできることではありませんし、そういたしますと、もしでき得ることというのは、やはり多少ともプラスになるのは二重窓ではないかという気がするわけです。家の建て方等によりましても、これはずいぶん違いますし、いろいろだと思いますけれども、しかし、中に一、二自分のところのおうちで二重窓にしておみえになるところがございます。これはピアノの先生をしておみえになるおうちでございまして、どうしてもやかましくて教えられないというので、二重窓になすっているおうちがございましたが、このうちはかなり落ちていると私は思いました。私の耳の感じでは、少なくとも十ホンは下がっているというふうな感じがいたしました。  ですから、家にもよりますが、しかし二重窓というのは、かなり有効ではあると私思うわけです。これは騒音じゃなしに、振動に対しましてはだめでしょうけれども、騒音に対しては、ある程度の私、これは意味があると思います。  そこで、どうしてももう一本道をつくらぬことには車の量を減らすこともできない。それから道の幅も限られていて、そこに緑を植えるとか、木々を植えるとか、あるいは防音壁等もできにくいというような、どうしてもそういう場所が現在あると思いますので、その辺については、その辺の中で特にまた何ホン以上というふうに私は限ってもらってもいいと思うのですが、そういうふうなところの特にひどいところからでも、私は徐々に二重窓なら二重窓を取りつけていくというような一つの方針というものを、どうしてもこれはもう打ち出してもらわざるを得ないと思うのです。何とかして少しでも下がるように、これは国の方針としていかないことには、もう道路騒音だけ、このままでほっておくわけにいかぬと思うのです。  ほかも大体不十分ではありますけれども、前向きに来ておりますので、私はやはりこの道路騒音につきましても、少なくともこれは一歩も二歩も譲って、ことし一ぱいくらいには一つの具体的方針というものを確立してもらいたい、そう思いますが、長官どうでございましょう。
  212. 三木武夫

    ○三木国務大臣 これだけ道路騒音に対して問題が起こっておりますから、根本的には道路の建設の当初から変えないと、根本的な解決はないと思いますが、しかし、できる限りのことは……(坂口委員「次善の策として」と呼ぶ)次善の策というものは、われわれとしてもできるだけすみやかに、これはどういう方法でやるかということに対しては結論を出したいと思っております。
  213. 坂口力

    ○坂口委員 できるだけすみやかにということを言っていただきましたので、これ以上申しませんけれども、ときによりますと、そのできるだけすみやかが二年になったり、三年になったり、ときには五年になったりすることがありますので、五年も六年も先のできるだけすみやかは、決してこれはできるだけすみやかじゃございませんから、できるだけすみやかにと言っていただく以上は、少なくとも来年度内という意味理解させていただいてよろしゅうございましょうか。もう一度念を押して……。
  214. 三木武夫

    ○三木国務大臣 これは来年度の予算にも関連をしますから、むろん来年度内という考えでございます。
  215. 坂口力

    ○坂口委員 では、まだ聞きたい問題がございますが、きょうはこれで一応終わらせていただきます。ありがとうございました。
  216. 角屋堅次郎

    ○角屋委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時四十一分散会