○山原
委員 そういう理屈をつけられるわけですね。すなわち、この指示騒音計だけであれば、これはだめであるけれ
ども、この記録高速度レベルレコーダーを使った場合には、それはやれるんだ、こうおっしゃるのですね。しかもそれも二十ですから、あなたは八十に固定した場合は、百までしか実際は出ないわけですね。ところが、リオンの本社で聞きますと、プラスマイナス十五以上をはかっても不正確だとはっきりいっておられるわけですね。これは機械ですから、しかも機械のメーカーの本社のいっておられることですから、そういうことから
考えましても、あなたのやられたことは非常におかしい。ほかのところでは、どうやっておるかというと、東京都公害研究所にいって聞きますと、私
どもはプラス十五ホンで切りかえをやっております、それ以上はもう線型が乱れて正確な数字はつかめません、だから私たちはスイッチは常に変えています、百ホンをこす場合には九十へ持っていきます、そうして百も百十五まで、大体は十までが正確で十五といえば大体もう乱れてくる、こうおっしゃっておりますけれ
ども、ともかくレベルスイッチをかえて正確な音を把握するのがあたりまえのやり方ですとみんな言っているのです。これは大阪の公害
関係の人のやっておるのもそういうふうにやっているわけです。
だから、こういう無理なことをして八十で押えて、そこへテープでとめてやれば、あなたの論理からいっても百しか出てこないという状態なんですね。実際に百十五というのは、あるいは百五という音が出た場合には、これはもう正確な数字を
つかまえることはできないわけです。そういう弱点を持っておられる。あなたは専門家ですから、そんなことはもう百も御承知であろうと思います。そういう点から見ましても、何となく騒音測定というものがあなたをはじめとして、防止協会、あなたは指揮されてとめられたわけですから、音を低くするということに相当の
努力をされておるんじゃないかということが言えるわけです。
さらに、時間がありませんから、幾つかの例を申し上げてみましょう。この高知空港
周辺二十三カ所の
調査でいろいろなことがわかってまいりました。たとえば、この高知空港のあるのは南国市という市でありますけれ
ども、その南国市の体育館に二十三地点で集めた
データが持ち寄られております。その中で航空対策班長が大ごとだ、大ごとだと言ってホンを下げるように電話
連絡をしている。これは目撃者がおります。それから南国市の大徳寺のビワの木の下での測定者、この人たちは自分たちは機械の操作は全く知らないと
地元の人たちに言っております。全くのしろうとがやっているわけですね。だから、あなたはその点でも心配して、このテープで全部機械のスイッチを押えられたんだと思います。さらに南国市の関部落の場合、これは
周辺の人たちが私の家の庭でやってくれと言ったけれ
ども、それは聞かないで、わざわざササのはえたところへ持っていって、音がさえぎられるような場所へ持っていって、そこを選んで測定をしておる。こういう状態ですね。
しかも御承知のように、この
調査をされた九月二十九日は風が非常に強かったわけですから、だから風が強い場合には、それなりにこの測定器もスイッチの使い方、こういうものがなければ、その音の条件が非常に激しくなったり急になったりするわけですね、変動がありますから。それに対する対応のしかたも教えられておりません。
さらに、ちょうどこの二十三点の
調査の中で第三地点というのがございます。これは高知大学農学部の屋上でございます。ここで日本科学者
会議の高知支部の方々が、たまたま同じ機械を使って測定をやったのです。この方々は専門家の
先生方ですから、前日にリハーサルをやっております。その場所へ防止協会の測定班が参りまして、約一メートル半離れたところで同じ機械を使って測定をいたしておるわけです。これが全くたまたまの
できごとなんですね。いままでは、ほとんどそういうことはないから、その測定の結果の差異というものがわからなかった。たまたまこれでわかった。そうしますと、この日本科学者
会議の
先生方の
調査によりますと、上が百五ホンまで出ています。そのときに防止協会の測定値は八十一ホン、差が二十四ホンあるのですね。こういう結果が出ているわけです。
これはあなたのほうはこう言われると思います。これはSスロー、Fファースト、早いとおそいとがあって、その
先生方はファーストのほうヘレベルを合わせておる、それから皆さん方はスローのほうへレベルを合わせておるから、これだけの差が出てきたのだ、こう言われると思います。しかもそれはISOすなわちインターナショナル・スタンダージゼーション・オーガニゼーション、この勧告ではSでもかまわないということになっておるから、それでもいいんだという弁解をされると思うのです。しかし私は、
最初に伊丹の
住民の方の耳の話をしましたけれ
ども、ジェット機というのは常に音がスムーズに流れているわけではありません。特に家の間におったりすると、がっとくる場合、非常にその音というものが高くなったり低くなったりする。そういう複雑な音を出しておるわけですから、Fでやっていいと思うのです。それがほんとうに耳に忠実なやり方だと私は思うのです。しかし、その点ではSにしてしまいますと、Sでは記録紙に書く場合もペンの動きが鈍くなってまいります。急速音にはついていけないという状態があります。だから私は、正確にはF、ファーストでなければ、ほんとうに音をつかむことはできぬだろうと思うのですが、この点については音響学会その他で今後検討しなければならぬ問題だと思います。
しかし、ともかくこういう差が出てきています。
先ほど言いましたように、この防止協会、しかもあなたが指揮をしてやられた防止協会の測定というのは、地形、気象、風、人家あるいは海、そういうものに対応するだけの体制をとった
調査ではなかったということを私は
指摘をしておきたいと思うのです。
それから、これが測定のチャートであります。こういうメモが出てくるわけですが、二十三地点における防止協会の測定は流しっぱなし。これは毎秒三ミリの速度で流れていくわけです。二時間半
調査をしておりますから、この長さが約二十五メートルになる。ところが、皆さんのほうはしろうとでございますから、アルバイトを使っておりますから流しっぱなし。私は、ここへ科学者
会議の方たちのやられたのを持っておりますけれ
ども、これは全部綿密に、ここには人の声が入った、あるいは自動車の警笛が鳴った、それは何時何分と記録されているのです。これで初めて、チャートが集められたときに測定の値というものが正確に出てくるわけです。二十三地点ではかったって全部流しっぱなし。このばらつきというのは
一体どうなのか。二時間三十分の
調査の中には、
あとで見たって何が何だかわからないような状態があるわけです。時間の記入もなければ、
一体何の音かの記入もない、こういう状態なんですね。これで科学的な正確な
調査結果といえるであろうか。このことを第二点として
指摘をいたしておきたいのであります。
さらに問題は、欠落がある。たとえば出されております報告書を見ますと、この中の二二ページ、測定NO1の地点、ここでは一カ所欠落があります。それからNO3の一、五カ所、NO3の2、三カ所、こういうふうにずさんな測定なものですから、報告書の中にも書けない、欠落が出ているのです。ほんとうにまじめに測定をするならば、欠落などというものは出るはずはないわけでありますけれ
ども、それが出ている。こういうような幾つかの
問題点があるわけです。
さらに、もう
一つふしぎなのは、八十ないし九十に固定したと報告書には書いております。私はその固定には問題があると思っております。第十
一地点、土佐希望の家のところではかられたのにはチャートが
二つ出ております。八十にした場合と九十にした場合の図が出ているのです。固定したのにこんなものがどうして出るのか、こういう疑問も起こるわけですね。
幾つかの問題が出てまいりまして、防止協会を使ったところの、しかもあなたが指揮をして行なったところのこの測定というものは、はたして正しいのかどうか、非常に疑問を持っているわけです。これについて簡単に
説明をいただきたい。