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橋本(道)
政府委員 四十八
年度の
予算で
東京都で
調査をいたしました九区につきましては、
環境庁と
東京都の
意見が合致をいたしました地区でございまして、この九区につきましては、従来すでに
地域指定をされたところの状態と比べて、現在もしくは以前において同様な
汚染の状態があったというぐあいに
考えられるところでございます。そういう点で、この九区に着手をいたしたということでございます。
この場合に
一つの問題は、従来の
地域指定につきましては
硫黄酸化物が
中心となっておりまして、それと浮遊粉じん、降下
ばいじん等が参考として加わっておったということでございますが、また従来の
指定地域の場所では確かに
窒素酸化物等も、非常に都市工業地帯の
中心でございましたから、それも
あとではかってみると高いというような状況でございます。そういうことでございますが、具体的にはほとんど
硫黄酸化物の濃度を
中心として判断をされてきたところでございます。そういう意味で、今回の九区というのも、もとのままの
汚染の条件ということを尺度として選ばれたものであるということを、まず御了解をお願いいたしたいと思います。
もう一点は、
地域指定をいたしますために環境
調査をいたしますが、これは環境
調査とその測定
分析といいますものは相当能力の限りがございます。そういうことから見ましても、
東京都とお話をいたしますときも、特別区全体をやるにしても、
東京都といえ
どもやはり二年の年数はどうしてもかかるということが、環境
調査面の能力からくる
一つの制約でございます。
〔登坂
委員長代理退席、
委員長着席〕
そういうことで一年に全部はできないということは、能力上もこれは不可能でございますし、また従来の尺度から見て
両方が合意したのが九区ということでございますので、この九区が選ばれたということでございます。
もう一点は、
先生の御
指摘で、このひどいところだけではなしに、ほかにたくさん
患者がいるではないかということでございますが、
東京都はこの
公害の医療ということで、特定の年齢層の方の特定の疾病を抜いてやっておられるということでございまして、
公害という観点から見ますと、なかなかいろいろな議論のあるような尺度であろうかと思われます。すべての人がそれに合意をするかというと、なかなかそこにはむずかしい問題もいろいろあるように思いますが、今度は、あれはこの
補償法ということになってまいりますので、できるだけ広きをとるということは、これは確かに附帯決議でへ私
どもができるだけ尊重してやらなければならない要件として対処していかなければならないことでございますが、三多摩の奥のほうまで取り入れるということは現在の
段階ではなかなか無理な問題があると思っております。
ただ、新しい問題としては、いま
先生の割合が高いという御
指摘でございますが、これは確かに私
どもも検討してみたいと思いますが、ある面におきましては、三多摩
地域の年齢構成と、
汚染のはなはだしいところの年齢構成が違うということでありまして、むしろ
東京都の
救済の制度の対象となる年齢層の人口の多いところになりますと、全体の人口に対しての比率は高くなるということが統計の上ではあらわれるのではないかということも
考えられますので、これは統計的に、やはりどのような補正をして判断をしてみるかということにもなろうかと思います。
しかし、この制度の本質的な立場といたしまして、前回の特別
委員会でもいろいろ御
指摘のありましたように、浮遊粉じんもあまりたいしたよごれではない、
硫黄酸化物もたいしたよごれではない、しかしながら
窒素酸化物の濃度がわりあいに高く出る、あるいは光化学スモッグが季節的によく出るというような問題をどう扱うかという条件につきましては、前回の
委員会のときにも御
説明いたしましたように、そのようなものだけについての影響につきましては、現在非常に私
どもその判断の材料が乏しゅうございます。
環境基準としましては、いつまでも待っておられないのできめたいということもございますが、
救済や
補償法の
根拠とするほど
汚染の有症率の関係を明らかにする資料は、いまだ私
ども持ち合わせておりませんし、また世界のほかの国々におきましても、そのような資料はないということは事実でございますので、この点につきましては、私
どもできるだけ早く詰めて、
窒素酸化物やオキシダントの問題のあるところをどうするかということにつきましての成績を得たいと思います。やはりこれは早くと申しましても、二年やそこらの年限は最短かかるというものでございますので、今後の問題として検討いたしたいと思っておる次第でございます。