○土井
委員 ただいま移動発生源の問題を取り上げて、るる島本
委員のほうから公害健康被害補償についての御質問が展開されているさなかでありますが、実はこれは釈迦に説法のたぐいになるかと思いますけれ
ども、公害による健康被害というのは、まず被害が出てからの対策よりも予防が肝心だと思うわけであります。そういう点からしますと、これはまあ言い古されたことばでございますけれ
ども、いまさらながらイギリスの先ごろの選挙で勝ちました労働党が、一ペンスの予防は一ポンドの治療にまさるということをいっていることばの中身というものは、たいへんに身にしみるわけであります。
そこで、先ほど航空機自身がまき散らす排ガスの問題、それからさらに騒音の問題、これらについて触れられて島本
委員が発言をされ、質問を展開されてきたわけでありますが、ひとつこのことについて
環境庁長官に御
意見を聴取したいことがございます。
それはいま
日本にございます国際空港の中でも、わけても騒音やそれから排ガス、振動等々の問題で憂慮をされているのは大阪国際空港なんですね。この大阪国際空港に対して騒音対策という点から、実は運輸省の方針はいま大型化を進めるということに基本があるようであります。確かに大型化されますと、便数はそれだけ減るということは物理的
状況として出てまいりましょう。しかし、いまいろいろと確かめてまいりますと、騒音の問題や排ガスの問題や振動の問題等々人体に及ぼす影響、健康に与える影響については、まだまだ不確定要素というのが大型の飛行機についてはあるようであります。いま運輸省の方針は、できたら説得をして四月中に就航させたいというお
考えのようでありますが、なかなか不確定要素が多い間は、それは私はかなわないことだと思うわけであります。やはりこういう問題については調査研究を十分に進めて、そうして初めて
住民が安心したという上で就航させるのが順序だと思うのです。
ところが御承知のとおり、一昨日のあのパリのオルリー空港近辺で起こった大惨事であります。いま、当面は日航も全日空も発注をして、そうして入手をして、あすの日からでも就航が可能な機種はDC10ではありません。一昨日のあの大惨事による問題の機種で注目をされておりますDC10ではありません。ただいまあの事故原因というものは調査中でありますけれ
ども、しかし何としても、大型化が進められる手はずになっている大阪空港
周辺の
住民からすると、これはたいへん不安の的になる問題であります。日航は747、全日空はロッキードL一〇一一という機種を大阪空港においても幹線でありますから、
東京——大阪間に就航させるという予定に従って、いろいろな
計画を運輸省はお進めになるはずでありますが、いま
長官御承知のとおりに、あの空港の
周辺の被害に対する対策、公害対策としては、
一つはこういう発生源対策という問題と
周辺整備ということをやって、
周辺の
人たちに対しての健康被害を除去していく、現に健康被害を受けた人に対しては、それに対する補償を問題にしていく、治療を問題にしていくという対策が講じられつつあるわけですね。いま発生源対策として、はたして大型化が適切であるかどうかという問題が
一つあると同時に、
周辺の
住民からしますと、離陸直下にもう民家があるわけでありますから、もし一たん墜落でもした場合に、いま現用機ではとても
考えられないくらいの大惨事が、大型機は起こるわけであります。
そういう点を
考えていきますと、
周辺の
住民に対して、いまの
周辺整備機構等々によって第三種に
考えられている、
環境庁がお出しになっているあの
環境基準ですね、WECPNL八十五をこえるような
地域については、まずこの
整備のほうが先であって、大型化というものは、それからあとに
考えられていい問題だというふうに
考えるわけでありますが、
長官のそのことについての御
意見をひとつここでお伺いしたいわけであります。