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1974-02-20 第72回国会 衆議院 公害対策並びに環境保全特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年二月二十日(水曜日)    午前十時七分開議  出席委員   委員長 角屋堅次郎君    理事 坂本三十次君 理事 登坂重次郎君    理事 林  義郎君 理事 渡部 恒三君    理事 島本 虎三君 理事 木下 元二君       大石 千八君    戸井田三郎君       渡辺 栄一君    佐野 憲治君       米原  昶君    岡本 富夫君       坂口  力君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 三木 武夫君  出席政府委員         科学技術庁原子         力局次長    伊原 義徳君         環境庁長官官房         長       信澤  清君         環境庁長官官房         審議官     橋本 道夫君         環境庁企画調整         局長      城戸 謙次君         環境庁自然保護         局長      江間 時彦君         環境庁大気保全         局長      春日  斉君         環境庁水質保全         局長      森  整治君  委員外出席者         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  公害対策並びに環境保全に関する件(公害対策  並びに環境保全基本施策等)      ――――◇―――――
  2. 角屋堅次郎

    角屋委員長 これより会議を開きます。  公害対策並びに環境保全に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。米原昶君。
  3. 米原昶

    米原委員 私、最初に、今国会で大問題になりました分析研の問題について若干聞きたいと思います。  今回の分析研データ捏造事件は、公害の点から申しますと、わが国の従来の公害行政を根底からくずしかねないような事件だと思うのでありますが、この点についてどう考えておられるか、まず最初に聞きたいと思います。
  4. 森整治

    ○森(整)政府委員 公害行政を進めてまいります上に、分析測定というのは、非常に公正であり、かつ科学的に十分調査された上で行なわれなければならないということは申すまでもございませんが、今回の日本分析化学研究所の問題につきましては、正直に申し上げまして、われわれも含めて関係者は確かにショックを受けたわけでございます。ただしかし、確かにこういう問題は、そのまま放置しておくわけにはまいりません。一部、この分析研の問題で非常に不安なり不信なり、そういうものが出ましたことにつきましては、われわれとしてはまことに残念に思っておるわけでございます。  それはそれといたしまして、この問題を契機にいたしまして、われわれといたしましては、とりあえず分析研で行なわれました分析測定、その値、あるいはそれが正しいかどうかという問題の前に、また捏造みたいなものがあったのかどうかということを至急調査を進めているわけでございます。できるだけ早く調査を終わりまして、その結果を明らかにいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  5. 米原昶

    米原委員 今回のこの分析研事件というのは、単に分析研だけの問題と見たら間違いじゃないか。今後の委員会で、私はこの問題をもっと明らかにしていきたいと思うのです。  とにかく環境行政というのは、どうしても科学的な、厳密な、客観的なデータもとにしてやらなければならないことは、当然過ぎるほど当然であります。そのデータそのもの捏造されているということになりますと、行政が根本からくつがえってしまうという性格を持っておるので、しかも、はたしてこれが分析研だけであろうか、私は幾つかの政府調査を依頼されているいろんな機関研究所、それがもとになっていろんな公害対策環境行政が行なわれておりますけれども、その面でも実は疑惑を持つような点が幾つかあります。きょうはそういう個々の問題には触れませんけれども、そういう意味では非常に重要じゃないかと思うのです。  ところが、先日の環境庁長官所信表明では、こうした点については何ら触れられてなかったというので非常に残念に思うのです。どうしても、こういう問題に対する抜本的な対策を、少なくとも所信表明において、この委員会で示されるべきであった、こう考えるのでありますが、その点どうでしょう。
  6. 森整治

    ○森(整)政府委員 まだ長官参られませんので、私から御答弁申し上げますが、とりあえず分析研の過去の分析の事実、確認を急ぐことだと思っております。それから、その他民間分析機関につきましても、一応洗い直しをするつもりでおります。そうした上で今後のあり方といたしましては、やはり分析の需要が相当ございます。それから、いろいろ水銀PCBにあらわれましたように、ある時期に大量集中してその分析が急がれるという場合が、今後もないとは申し上げられない現状だと思います。  そういたしますと、やはりわれわれといたしましては、県の公害研究所、そういうものの機器の整備、人員の養成、研修、そういうことをただいまも進めておるわけでございますし、来年度もそういうことで既定の方針どおり進めてまいるわけでございますが、やはり国、地方公共団体分析機関だけでは、おそらく当面は解決できないのではないか。そういたしますと、国なり地方公共団体民間も含めましてそういう事業のあり方と、それから分析性格、位置づけ、そういうものを考えながら今後の分析体制あり方ということについて基本的に検討をしてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  7. 米原昶

    米原委員 私たち調査したところによりますと、まだ大まかなものですが、四十八年度に分析研で請け負った水銀PCB検体数は非常に膨大なものであります。常識では考えられないほどのものでありますが、これでは実際上は能力をオーバーしていたのではないかということをしみじみ痛感するのです。  私たちは、この問題が起こって、われわれとしても国立の総合的な検査機関をつくるべきだということを提案しましたけれども実情はどうだろうかということで研究者の方々に聞きますと、分析というような仕事をやっていたのではどうにもならない、うだつが上がらないと言うのです。何か研究論文でも書けば相当給料も高くなる。分析というような仕事は、何か非常に軽べつされているようなやり方にいままでなっているわけですね。私は、そういう点にも根本的な問題があると思うので、体制を根本的にひとつ変える必要があるのではないか。この点について、いま長官が見えましたから、長官見解を聞いておきたいと思います。
  8. 三木武夫

    三木国務大臣 公害対策から考えましても、データというもの、これは行政基礎になるわけですから、ああいう不始末が起こったことは非常に残念に思うわけでございますが、これから政府のほうとしても体制を、やはりどうしたって分析機能というものは持たなければ、いろんな、放射能の問題にしても、公害対策にしても、それを基礎にして政策を進めていくわけですから、いま科学技術庁中心になって、これはどのようにして体制を整えて、失われた国民の信用を回復するかということを考えておるわけで、多少の時間をいただきたいと思いますが、国民から、これならだいじょうぶだろうという体制を立て直したいと考えております。  もう一つは、いままでの分析というものに対して、でたらめがあったのではないかということは、これは将来の問題は別として、いままでの分析に対する不信というものは、やはり払拭しなければなりませんので、御答弁があったかと思いますけれども環境庁としては、学者のグループを委嘱しまして、そして委員会をつくりまして、いままでの中の、分析化学研究所でやった中で、これはおかしいと思うような点があれば、もう一ぺん再調査をしよう。いままでやったというようなことも、どうもその分析に対して信が置けぬという個所に対しては、これは再調査をするということで、それをいま検討を加えておる。  全部委嘱したわけではないのですけれども地方自治体に委嘱したのが、地方自治体から分析化学研究所委託したものもあれば――環境庁自身がやったというのは、農薬とか土壌などに関連して、そう多くはないわけで、みな地方自治体を通じていっておるものが多いのです。しかし、これは、公害行政国民の信を失うということは、基盤がくずれるわけですから、そういう将来の体制とは別に、いままでのやったことに対しても再検討を加えておる次第でございます。
  9. 米原昶

    米原委員 いま言われた問題ですが、分析研については、具体的に言いますと、昨年の、例の汚職事件が起こった。これ以来、たとえば東京都は委託をそのときにすでに打ち切っておったし、あるいは富山県でも分析研に依頼したものを見ると、偏差が非常に大きいというので委託を打ち切っておったわけです。さらに昨年の九水域調査を行なうあの場合も、水産庁は、分析研は料金が安いので疑わしいということで、各自治体に対して分析研を紹介しない。ほかの機関水産庁がむしろ紹介しておる。それにもかかわらず、環境庁が各自治体分析研を紹介して大量の分析をやらしたという経過があるわけであります。この点全く私たちとしても、一番大切な環境庁分析研に一番たくさん紹介されている。非常に理解に苦しむわけです。この点について、長官見解を聞きたい。
  10. 三木武夫

    三木国務大臣 そのいきさつについては政府委員から答弁をいたしますが、あのときはPCBとか水銀とか一斉に問題が起こって、私も分析化学研究所の実態というものには――いま御指摘のように汚職事件が起こったときに、これはやはりその事態になったら、汚職事件でなしに、そのやっておる業務に対しても、やはりそこで少し疑惑を持つべきであったと思いますね、いま思えば。  しかし、そういうふうなことも、いまからすれば反省されることですが、その当時としては一斉に水銀問題なんか起こったものですから、これは短期間のうちに国民の不安を解消しなければならぬということで、一斉に地方自治体問題水域の全面的な環境調査を委嘱したわけですから、それをいま先ほどの御質問の中にもあったかと思いますが、分析能力というものが、そんなに一斉に問題水域をやるだけの能力は、いまにして思えば持っていなかったのかもしれない。しかしやはり、これは地方自治体とすれば、自分でやる能力というものは限られていますから、そういうふうな分析化学研究所を使ったことになったと思いますが、それはあとから反省すれば、いろいろと考えてみなければならぬ場面はあったということは反省をいたす次第でございます。  いきさつについては、政府委員から御答弁いたします。
  11. 森整治

    ○森(整)政府委員 若干補足して御説明を申し上げますと、水銀全国調査の場合、ただいまわれわれが把握しておりますところでは、全体としまして、これは全国でございますが、約六万三千の分析項目がございました。そのうち分析研に行っておりますのは六千九百、約七千の程度でございますが、約一一%に当たるわけであります。そのほか民間にも再委託されておるのが実情でございますが、当時の事情といたしまして、いま申し上げましたように分析の件数が非常に多かったということと、確かにいろいろ問題が起こりました直後ではございますが、正直申し上げまして、いまからは反省をしておるわけでございますが、当時といたしましては、やはり民間の中では分析にかけましては非常に高く評価されておった機関でございます。そういうこともございまして、ともかく早急な対策を求められておる事態でございましたので、集中的に処理しなければならぬというようなことで分析研に県が依頼した例があるわけでございます。  ただ、全部ではございません。たとえて申しますと、九水域につきまして申し上げますれば、あのうち水島なり新居浜なりについては、分析研には依頼しておりません。これは県のそれぞれの分析研究所センター等分析能力の問題が一つ、それからその県に分析を要する検体数が非常に多かったというようなことで、たとえば富山県なり山口県なり、そういうところがほかのところにも委託しておりますと同時に分析研委託いたしているというのが実情でございます。そういうようなことで、いまからは反省をいたしておるわけでございますが、ともかく早急に解決を求められておったというやむを得ない当時の事情から、そういうことになったというふうに理解しております。  それから、私どもが県に、どこにやらせろというようなことを水銀につきまして指示しておるということはございません。ただ、繰り返すようでございますが、県の事情として、それぞれお願いをしたということでございます。もちろん先ほど御指摘ございましたように、魚の問題それから水質底質の問題、土壌の問題、その他健康調査の問題、いろいろの分野にわたって全面的に調査をいたしたわけでございます。民間につきましても、あるところに集中して委託が行なわれると、結局分析ができない、能力を越えてしまうというようなことで、各県で調整なり相談が行なわれたということはあり得ると思いますけれども、私どもでここにやりなさいということを申し上げたことはございません。  そういう事情はともかくとしまして、いずれにいたしましても、その分析が正確に行なわれたかどうかということの究明を急いでおるわけでございます。
  12. 米原昶

    米原委員 そうしますと、昨年十一月に九水域調査結果の発表があって一応決着がついたということになっているわけですけれども、いまお話のあった魚介類水質底質についての調査、かなりのものが分析研調査によったわけですね。そうしますと、その結果というものはどういうふうになりますか、再検討した結果というものを発表しなくちゃならぬと思うが。
  13. 森整治

    ○森(整)政府委員 九水域分につきましては約一万五千、正確に申しますと一万四千八百八十九ということでございますけれども、先ほど申しましたように新居浜水島関係はございません。九水域全体では約一六%、分析研委託をしておるわけでございます。先ほど大臣からも御答弁ございましたように、分析測定につきましての検討委員会が開かれておりまして、それの指示に従いまして九水域を先行しまして先にともかく調査をする。すでに県で調査されたものもありますが、それも再調査していただく。統一方針に従って再調査をしていただく。いま申し上げました分析研に行っております分が二千三百ぐらいになるわけでありますが、その分につきましては、一つ一つ全部当たります。  それからもう一つ、一応約一〇%ということにきまったわけでございますが、その分析の前処理をやったかどうか、それからその前処理後の測定の過程に何かミスはないか、そういうことが正確に行なわれたかどうかということを抽出で、県の調査班に私どもも立ち会いまして徹底的に調査いたしまして、今月中には少なくとも調査を完了したい、その上検討委員会におはかりいたしまして、結論を早急に出したい、こういうふうに考えております。
  14. 米原昶

    米原委員 私が専門家に聞いたところが、公害関係のほうのデータ放射能測定に比べると、捏造しようと思えば、はるかに簡単にできるという意味で逆に心配している。放射能関係は、データを調べさえすれば捏造だということは、わりあいに簡単にわかるけれども公害関係のほうは、わかりにくく捏造されやすいわけですね。その点について十分な検討を行なって、その結果を、ひとつこの委員会にも報告されるように希望しておきます。  もう一つ聞きたいんですが、これもきのうきょうの新聞にもちょっと出ています。これは直接には環境庁監督下にある問題でないのかもしれませんけれども、しかし、環境行政という点で、これは黙視できないので……。  福島の原発の問題です。この調査というものがやはり分析化研のほうに出されて、しかも福島県の科学者中心になってこれを調査しますと、その中で二十二カ所書きかえがあった。これは新聞にも、一部の新聞に出ています。きょうの新聞でもちょっと報道しておりましたが、ところが、そういう状態で重大な疑問が提出されているのに、審査会のほうは総合審査せずに、とにかく一応これはパスだという結論を出したということで、きょうの新聞も報道しております。  これはゆゆしい問題だと思います。これだけの問題が起こったわけですし、この点をしっかりしないと、逆にこういうやり方をしていれば、将来考えると、確かに原子力発電所の問題は考えなくちゃならぬ。しかし、そのためには絶対に住民に被害を起こすことのないようにするということが、もう条件だということは、これは当然なことだと思うのですね。こういう問題に対して、環境行政全般の見地からしてどういうふうに考えられるか、長官見解を聞いておきたいと思います。
  15. 三木武夫

    三木国務大臣 私は、米原委員の御質問環境行政一つ問題点だと思うのですが、原子力関係というものは環境庁の手を離れているのですけれども、しかし、これはやはり検討を要する課題であると私自身考えておるのですが、現在のところは科学技術庁がやっているわけですから、環境庁自身としては原子力関係に対してはノータッチのような状態であるわけです。環境に対して非常に影響力を与えますから、この問題は行政の問題として一つ問題点だと考えておりますが、もういままでのところは、原子力というのは環境庁管轄外であるということでございます。
  16. 米原昶

    米原委員 先ほどの答弁では、今度の経験からして、化学分析のための機関を別にでもつくっていこうということも、政府考えられておるようでありますが、国の責任で分析体制を十分に確立することは当然でありますが、同時に公害では、特に地方自治体でも全般的に分析機能を充実させる、こういうことを考えるべきじゃないかと思うのです。  実情をいいますと、たとえば京都市の場合ですが、この分析に当たっている人員が六人で、予算はわずか五十万円、これで京都市が分析を全部委託されているのです。こういうような体制じゃちょっと問題にならないのじゃないか、自治体自身が相当のものができるというぐらいの体制をつくることがむしろいいのじゃないか。もちろん中央の最高の機関をつくる必要はあります。強める必要がある。しかし、公害に対しては自治体機能を強めるということ、これが国全体の体制を強めるために非常に実際役に立つと思うのです。ところが、いままでのところでは、こういう自治体機能がそういうふうに非常に貧弱なものなのに、安い費用で国のほうがむしろ自治体に押しつけているわけですよ。委託するという形でやらしてきた。それからまた分析研自治体へ紹介するというようなこともやってきたわけです。  ですから、少なくとも公害の問題では、その気になれば地方自治体分析する機能を持つことは、そうむずかしいことではない。そういう点で国の分析体制を確立するとともに、日常的に地域住民公害から守るためには、どうしても地方自治体体制強化すべきだ、そういうふうに考えるわけですが、そのために環境庁がむしろ率先して積極的な対策を講ずべきである、こう思いますが、長官所見を伺いたいと思います。
  17. 三木武夫

    三木国務大臣 私も米原さんのお説に賛成です。地方自治体がもう少し分析能力を持ったほうが、日常分析を必要とするようなことが起こる場合が自治体の中に多いわけですから。いま分析器具のほうの補助金予算環境庁が持っていますが、金額はあまり多くないのです。その機能強化していくことが好ましいと思いますので、今後強化し得るように予算とか、あるいはその他政府の指導などもやっていくようにすることが好ましいと考えます。
  18. 米原昶

    米原委員 分析研の問題は一応これで終わって、時間がありませんから、簡単にあとの問題で若干質問します。  昨年来の石油問題の中でわれわれが心配したのは、石油が削減されるという中で、公害の問題を忘れがちにする、あるところでも業界のほうが意識的に規制緩和ということですぐ動き出したと思うのです。この点について、長官見解最初に聞きたいのです。  御存じのように、石油問題が昨年の暮れ問題になって、国会で、通産大臣のほうはむしろ先頭に立って規制を緩和する、少なくともたとえば地方自治体の条例で上のせした分は、これは必ずしも法律の規制と違うのだから、これは緩和するのだ、してもいいのだというような発言をまっ先にされるわけですね。これは非常に問題だと思うのです。この点について、長官の基本的な考え方をはっきりさしてもらいたい。
  19. 三木武夫

    三木国務大臣 私も米原委員のような空気を察しましたので、閣議発言を求めて、石油危機というものは、ややもすると環境行政というものは二の次にしてもいいのだという風潮があるが、そういう説にはわれわれはやはり同意できない。内閣自体として、石油危機であろうが何であろうが、環境保全ということが大きな前提である、そういうことで環境基準を緩和する考えは一切持っていないということを閣議発言をしまして、閣議の了解を得ておるような次第であります。  現に、今度の五十年度の自動車の炭化水素一酸化炭素規制ですね、いわゆるマスキー法、あのときでもメーカーがやはりいってきますのは、無公害車石油消費量が多いというのですよ。それで、石油危機のさなかにこういうことを強行することは、時代逆行ではないかという話があったわけですが、私は石油消費が少しふえましても、一方においては人間の健康、ひいては生命にも関係をするのだから、そういう理由で排気ガス規制をゆるめることはできないということで、そういうメーカーの陳情を退けたわけでございます。せっかくこうやって環境というものの保全が大きな国民的関心を得ておるときに、しかもこれはまた健康にも関連をする問題ですから、いかなるそういう事態が来ても環境行政を後退さす考えは持っていないということを申し上げておきます。
  20. 米原昶

    米原委員 ただいま長官が言われたことは非常に重要な点です。いまとなっては、石油危機だといったのが実は石油がだぶついていたというような問題すら問題になってきているわけです。その中で、まるで石油を削減するから、公害がなくなるのだというような宣伝は全くつくられた――つくられた石油危機と同時に、この公害の問題はさらにつくられた問題だ。この中で、やはり確固たる姿勢で臨んでもらいたいのです。  実際は、公害が少なくなっているかといえばそんなことはないと思います。逆だと思うのです。たとえば東京都の公害局発表によって見ても、これは新聞にも出ておりますけれども、昨年十二月とことし一月の大気汚染状態は、一年前と比べてさらに悪化している、こういうことが新聞にも出ております。そこで、いま長官がおっしゃったような姿勢で臨まれるとすれば、私はむしろやはりもの足りないのです。環境基準が昨年見直されたことはけっこうですけれども、それにもかかわらず、いまだに排出基準強化が行なわれていない。これはどういうことかということを聞きたいわけです。
  21. 春日斉

    春日政府委員 お答え申し上げます。  ただいま御質問ございました環境基準見直し強化が行なわれたと申しますのは、硫黄酸化物二酸化硫黄環境基準見直しを昨年の夏行なったことを、おさしになっているのであろうと思います。御承知のとおり旧環境基準と申しますものは、私ども行政当局関係地方自治体並びに企業の努力によりまして、ようやく昨年の末の成績によりますと九五%程度達成率を示したのでございますが、私どもいろいろな疫学的な所見からして、さらに三倍ぐらい強めた環境基準にすべきであるということで、見直し環境基準を昨年夏つくったわけでございます。  それを達成するのに、達成期間は約五年、こういうふうに告示いたしておりますが、そのためには段階をつけまして、一度に落とすわけにはまいりませんので、K値K値と申しますのは硫黄酸化物排出規制の方法でございますが、K値規制によりましてそれを二段階、三段階で達成しようということを試みておるわけでございます。ただし、K値の値を出しますためには、やはり石油の使用量というものの数年先の推定ということが原則になっておりますので、これは御承知のとおり、いまから考えてみれば、石油は余ったではないかとおっしゃいますが、当時の段階では、なかなか推定がつかなかったということで作業が若干おくれておりますが、近くこのK値の改定を行ない、告示をいたします。そうして、硫黄酸化物排出規制強化ということを強めてまいるつもりでございます。
  22. 米原昶

    米原委員 では次に、いま大臣も言われました、いわゆる日本版マスキー法について聞きたいのですが、今回告示されたものを見ますと、五十一年規制問題もからめて若干の疑念を持たざるを得ないわけであります。  まず第一に、一昨年十月に告示された自動車排出ガスの量の許容限度の設定方針と、今回の告示の違いであります。設定方針では自動車全体を規制の対象にしていたのに比べて、今回はバスや大型トラックを除外しておられます。これはなぜであるかということを大臣に聞きたい。
  23. 春日斉

    春日政府委員 これは全く技術的な問題でございまして、大型バス、それからトラック、こういったものに乗用車並みの規制をかけるほど現段階の技術はないということでございます。したがいまして、バス、トラックというものにつきましては、段階的に落としていかないと、乗用車並みにはなかなかいかぬという全く技術的な問題でございます。技術を無視しての規制を幾らつくりましても意味がないわけでございますので、その点は御了解いただきたいと思います。
  24. 米原昶

    米原委員 さらに聞きますが、昨年十二月の新聞記事によりますと、軽乗用車について業界が強く働きかけて、環境庁、運輸省が業界の言い分をのむという報道が出ておりました。今回の告示も、まさにその新聞記事どおり軽乗用車の分を四カ月繰り延ばしておりますが、これはどういうわけか。
  25. 春日斉

    春日政府委員 私どもは軽自動車、これはツーサイクルエンジンのことを言っておるわけであります。ツーサイクルエンジンの宿命といたしまして、窒素酸化物、それから一酸化炭素については非常に排出が少ないのでありますが、炭化水素の減少につきましては、いささか構造上の問題があるということでございます。それから御承知のとおりツーサイクルエンジンというのは非常に小さい軽自動車でございますので、技術的にむずかしい問題がございます。したがいまして、これに規制をかけますときに若干のリードタイムというものは与えるということでございますが、しかしこれは一年とか二年とかいうわけではございません。これは四カ月ということでございます。  なお、この四カ月をおきめになったのは、環境庁ではございませんで、運輸省のほうでございます。
  26. 米原昶

    米原委員 いまの話を聞いていますと、すべて技術上の問題になっていくわけです。そこのところを環境庁のほうでがんばってもらわなければ困るのです。技術上の問題というと、しろうとはすぐに、それはちょっと無理なんだろう、なるほどと思います。問題は国民の健康を、技術上の問題の犠牲にしてはならない。これがむしろ環境庁の原則でなくてはならぬと思うわけであります。その点考えれば、自動車メーカーの生産を野放しにしてメーカーに大もうけをさせて、実際のところ日本では、アメリカの平地部分とでは十倍の密度で車が走りまくっている、こういう野放しにしておいて国民の健康を脅かしてきた。ここで技術上の問題、もちろん技術上の問題がないとは、われわれは実際は思いませんが、とにかく技術上の問題を理由にして、こういう問題をずるずる何回も延ばさせるやり方というのが問題だと思うのです。  とにかく国民の健康のほうが大事なんだという点、そこでがんばっていただかないと、まさにここに国民優先か企業優先か、どちらだろうと国民、いま見ているのです、政府やり方をすべて。各省のやり方を全部見ておりますよ。環境庁国民優先なのかという点、非常に疑問をいま抱いているところなんで、この点は、ひとつもっとがんばっていただかないと、私は困ると思うのです。軽乗用車の問題でも、何か結局技術上の問題で、業界の言い分をのむような行政姿勢、こういうことが問題になっているのですよ。私はそういう点で、この規制に重大な疑惑を持たざるを得ないです。  断固として五十一年規制を実施する決意があるかどうか、これを最後に長官にお聞きしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  27. 春日斉

    春日政府委員 御承知のとおり自動車の五十年規制につきましては、私、技術的な問題と申しておりますものは、たとえばマスキー法と称するものは、現実にアメリカでは二年の延期というようなことになっております。それをあえて日本では踏み切っているという点からお考えいただいても、技術的に妥協しただとか、それから企業べったりというような御批判は当たらないものと考えております。技術的の問題と申しますのは、やはり行政の立場においては、私どもできるだけ技術というものも尊重し、それからこれが健康問題とのかかわり合いにおいて検討していくという姿勢が必要であろうと考えております。
  28. 三木武夫

    三木国務大臣 五十一年の規制は窒素酸化物の低減を目標にするものでありますが、これは五十一年からやるという方針はもう示してある。ただやはり、この窒素酸化物に対する排気ガスの技術開発というものが非常におくれておるわけです。そういう方針のもとに、いまやっておることは、技術開発を促進する、どうしてもこれがやはり実際問題として技術的に開発できぬということになれば、これはもう自動車、新車は全部とめなければならぬというようなことにもなりますので、その方針をひとつ示しながら、一方においては技術開発の促進ということに全力をあげておる次第でございます。その方針を変えているわけではないわけであります。
  29. 角屋堅次郎

    角屋委員長 岡本富夫君。
  30. 岡本富夫

    ○岡本委員 本国会で初めての質問でありますので、まず環境庁長官所信表明について少しただしておきたいと思います。     〔委員長退席、坂本(三)委員長代理着席〕  長官の所信演説の中で「いまや、わが国にとって、一つの時代は終わりを告げ、資源多消費型の産業構造や生活様式の転換をはかるべき新たな時代へ、大きく一歩を踏み出すべきときに来たことを痛感する」こういうことでありまして、そのあと公害対策の第一、「総量規制方式を採用する」こういうように出ておりますけれども公害対策の根本、この理念につきまして、この総量規制から私は一ぺんお聞きしたいと思うのです。  これは水質保全局長、それから大気保全局長の両方に入るわけですけれども、たとえば総量がその地域においてPCBあるいはいろいろなものですが、汚染物質が何トン、こういうようにきめるその根拠というもの、その総量を規制する根拠というものは何になるのか。と申しますのは、一応一〇〇%の汚染の中から五〇%に押えたとしましても、やはりあと次々と出てくるわけですね。ですから、いつかはまたこれは一〇〇%になってしまう。そこで、この総量規制考え方について、自然浄化力と申しますか、自然に浄化をする力を地球というのは持っていますから、そこまでに押えた総量規制にするのか、それともこれからまだ蓄積していくのを若干規制するだけの総量規制にするのか、この点について一ぺんお聞きしたいと思うのです。
  31. 春日斉

    春日政府委員 総量規制につきましては、大気汚染防止法の一部改正ということで、ただいま私ども検討中でございますので、その詳細につきましては、また次の機会に御説明させていただくといたしまして、先生の御質問にまずお答えしなければいけないのでございますが、先生の御質問は、いわゆるその地域における総排出量の定め方いかんということであろうと思います。もっとほかのことばでいえば、地域の環境容量というものを自然浄化力を基本にして考えるべきではないかという御提案であろうと思います。  学問的には、確かに先生のおっしゃる方式というものが非常に重要な一方式として検討されておるのでございますが、自然の浄化力というものを一つの計算式で証明し、それからそれを実際に当てはめるということはいまのところできておりません。いまの学問的な段階においては、そこまではいっておりません。     〔坂本(三)委員長代理退席、委員長着席〕  したがいまして、私どもは当該地域の汚染物質の排出総量の許容限度というものを一応算定することによって、排出総量の許容限度以下に、言うなれば環境基準以下にその許容排出量を持っていくということで、やはり総量というものを仮定せざるを得なくなるのではなかろうか、こういうふうに思っております。現在検討中でございますので、詳細は省略させていただきます。
  32. 岡本富夫

    ○岡本委員 現在の環境基準排出基準、そのあとに、各種公害にかかる環境基準排出基準の設定、見直し強化につとめる、環境基準も見直さなければならぬ、こういうことなんです。事実、硫黄酸化物ですか、ああいうものは〇・〇五PPMにしておりますけれども大気汚染の場合、それでまだ病人が出ているということでありますから、この許容限度というものの見直しをしなければならぬ、こういうことですから、総量規制、総量規制と、ただ一口におっしゃっておりますけれども、簡単にはいかないと思うのです。  そこで長官にお聞きしますけれども、そういうような状態でありますが、いままでの公害対策というものは対症療法的といいますか、病気になったものをなおしていこう、そこを手当てをしていこうということでありますから、完全にならないわけですね。そこで、いまこうして、あなたの所信表明演説で「わが国にとって、一つの時代は終わりを告げ、」た。私ども考えておりますのは、人間も自然の生態系の循環の一部である。確かに私たちの肉体もそうでありますが、そういうことですから、やはり自然環境保全、この環境保全の基本政策から、そこから公害対策が出てこなければならぬと私は思うのです。  したがいまして、現在の公害対策基本法では、もうすでに時代おくれなのではないか。先国会も、実は私どももそういった環境保全基本法というものを提案しているわけです。ですから、長官のおっしゃっている一つの時代は終わりを告げた、いよいよこれからほんとうの環境保全につとめなければならない時代だ。しかも、きれいな空気、澄んだ水、豊かな大地もかけがえのない貴重な天与の資源である。この資源も保全しなければならぬ、こういう御決意でありますから、そういうことを考えますと、私は、現在の公害対策基本法は若干手直しをしましたけれども、もうすでに時代おくれだ。これはひとつ英断をもって次の環境保全基本法から出発する公害対策にしなければならぬという一番大きな根本方針を、ひとつ、きょうは長官にきめていただきたい、御答弁いただきたいと思うのですが、いかがですか。
  33. 三木武夫

    三木国務大臣 いま御指摘のあった自然環境については、ようやく自然環境保全法ができたばかりですから、そういうふうなこともこれを踏まえて実施して、これは将来私は岡本委員の言われるように、基本法もやはり見直しをせねばならぬ時期が来ると思います。しかし、いまは、いま言ったようないろいろ環境保全のための自然環境保全法なんかも重要な柱になるわけです。それが実施に入る段階ですから、そういうことも踏まえて将来はやはりそういう時期が来ると私は思いますが、いますぐこの国会に基本法の改正を提案するというふうな、そんな速度ではその見直し考えていないわけです。
  34. 岡本富夫

    ○岡本委員 長官、四十五年の十二月の公害国会のときでありますが、このとき院の決議といたしまして環境保全宣言をしておるわけです。それで現在、もうまる三年ですか、たちました。したがって私は、環境庁もいろいろな公害対策に追われて、とてもそこまでいかなかったかもわかりませんけれども、いろいろな基準をきめたり、あるいはまた環境基準をきめたりする根本原理としまして、やはり私は人と自然との調和――産業との調和は違いますよ。人と自然との調和を基本としたそういった環境保全基本法というものをつくって、そこから公害対策あるいは自然環境保全、こういうような項目にしなければならない時代が来たのではないか。公害対策基本法がある。それに並列して自然環境保全法がある。自然環境保全法というものは、よく調べますと、原始林を残したり、全部に当てはまっていないわけです。  したがいまして、公害対策基本法の見直しというものは、根本の理念は環境保全を基本に持っていかなければならない。そこから出発した公害対策でなければならない。この大もとをひとつ――今国会に提出するというわけにはいかないと思いますけれども、そこから出発しませんと、あと追い行政ばかりになる。要するに、環境基準につきましては全部また見直しをしなければならぬ。こういうもとを、ひとつ実力ある副総理のときに、環境保全基本法というものをきちっとひとつ制定していただきたいという考え方なんですが、もう一ぺんひとつ長官から……。
  35. 三木武夫

    三木国務大臣 根本的な考え方においては、やはり見直しをする必要が必ず起こってくると思うのです。ただ、いま言ったような、環境庁環境行政の柱になるようなことは、まだ一応緒についたばかりでございますから、こういうことも踏まえて、そうして将来はより完全な環境公害対策基本法というものをつくり上げる必要が必ずくると私は思います。
  36. 岡本富夫

    ○岡本委員 長官、将来くるであろうというようなお話、それはちょっと、だれかがするであろう――あなたの所信演説を聞きますと、先ほどから何べんも言って悪いのですけれども、「わが国にとって、一つの時代は終わりを告げ、」た、そして「資源多消費型の産業構造や生活様式の転換をはかるべき」ときがきたのだ、それでなければ人間の生存、これは世界の環境宣言も出ておりますけれども、こういうようなときからやはり積極的に、環境保全基本法というようなものを、仮称ですけれども制定をして、そこから環境行政をやらなければならない時代がきたのではないか。これは私は、この文面を見ると、はっきり出ておると思うのですよ。将来くるであろうでは、去年の先国会の所信演説だったらそう受け取れますけれども、今国会の所信演説では、ちょっとそう受け取れない、こういうふうに私は考えるのですが、もう一ぺん進んだお答えを……。
  37. 三木武夫

    三木国務大臣 私もいつまでも環境庁長官という地位におるかどうかわかりませんから、そういうふうにお答えをしたのですが、だれかがするであろうというようなことがお気に召さぬようでありますが、必ずそういうときがきて、自分も環境庁におるおらぬにかかわらず、そういう環境公害対策基本法の見直しというものは必ずやらなければならぬ、こういうふうに考えます。
  38. 岡本富夫

    ○岡本委員 くどいようで悪いのですが、憲法二十五条でちゃんと国民は健康で文化的な生活を営む権利があるわけでありますから、公害対策基本法一つを見直すというのじゃなくして、環境保全基本法を根本として公害対策基本法も、あるいはあらゆる法律も全部見直していく、こういうふうにやっていただきたい、これをひとつ提案しておきます。  そこでその一方、一つ考え方としまして、私は自然は人間の精神のふるさととして心の安らぎを回復させ、美的感覚を与え、あすへの活力を生み出す共有の財産である。これは同時に環境権というのじゃないかと私は思うのですが、この環境権に対するところの長官の根本の考え方をひとつ聞いておきたいと思うのです。
  39. 三木武夫

    三木国務大臣 一つの法概念として環境権といいますと、まだまだやはり熟していないものがあると思うのです。一つの基本的な権利として、環境権という広範な法概念を制定するということはまだ今日熟していないと思いますが、しかし政治の理念として、環境権はあると私は考えます。法体系の中に環境権というものを設定するのにはどうも熟していない感じがいたしますが、環境権というものが一つの基本的人権という中に政治の理念として含まれておるということに対しては、私は否定はしないわけでございます。そういうふうに思うものでございます。
  40. 岡本富夫

    ○岡本委員 環境権という権利として主張するものが法体系として熟していないというようなことでありますけれども、これは長官、たとえば四大公害裁判あるいはあらゆる訴訟を見ましても、憲法二十五条にも保障された環境権というものをすでに相当主張しておるわけですね。熟していない、熟してきたというその考え方ですね。マスコミの報道を見ましても、たとえば日照権、いろいろな環境の権利というものをどんどん国民が要求してきておる。いままでは政治に対して不信があった人も、無関心であった人も、最近はこれだけの公害のいろいろな実態があらわれたり、あるいはまた自然破壊が行なわれたり、あるいは社会的、文化的ないろいろな破壊が行なわれてくることになりまして、非常に環境権というものを要求する国民の声というものがほうふつとしてあがっているわけです。  これは私は熟してきたと思うのですが、熟していないのは政府のほうだけじゃないのでしょうか。そんなの熟したら困る、だから半熟にしておけというのじゃなくして、やはりここらで、政府の中でも環境庁が先頭に立って環境権というものをきちんと主張し、そしてあらゆる行政の根本に――国民本位の行政でありますから、そういうようにするために、どうしてもこの環境権というものを樹立するという方向に環境庁がリードしていくというようにしなければ、いろいろな公害対策あるいはまた環境保全ができなくなるのじゃないか、こういった根本問題について、きょう私はまずお聞きしたいと思うのですが、もうちょっと深く――熟していないとか熟したとかいったら話にならぬと思うのですが……。
  41. 三木武夫

    三木国務大臣 日照権というようなものは、これは一つの法体系としてできつつあるわけですね。またこのごろ問題になっておる静寂権といいますか、静けさ、これもやはりだんだんと、一つ環境権と岡本委員が言われる内容としてそういうものが熟しつつあるわけです。しかし環境権という、そういう包括的な法の概念として、その範囲に含まれるものは一体何かということになると、私が熟していないというのはその点なんです。日照権なら日照権というなら、これはやはり言われるとおり一つの法概念としてもわかるわけです。しかし包括的な意味環境権といったら、その環境というものに含まるべき範囲というものは、一体何かということになると、まだやはりばく然としたものがある。これを一つの法概念として立法の中に組み入れることには、お気に召さぬけれども、まだ熟しきれぬものがある。  こういうことで、否定はしないんですよ。政治の理念としてはあるけれども、法概念として取り入れるのにはまだ熟してないものがある。けれども、だんだんと熟しつつありますね、日照権とか、静けさというものを静寂権というかどうか、これも騒音の問題なんかと関連して、やはり一つの問題となりつつある。全体の包括したものとしては、まだどうもこれを立法化するためには熟しきれぬものがあると思います。
  42. 岡本富夫

    ○岡本委員 長官長官のこの所信表明から見ますと、これは非常に如実にあらわれておる。だから、おそらくもうそこまで長官は到達しておるのじゃないか。しかも公害対策基本法の中に典型公害が七つあるわけですね。だから、どこまでの範囲かわからぬというのじゃなくして、まず典型公害のこの七つからでも、これはおそらく人が生活するために必要な、早く言えば環境権ですか、そういうものを維持するための対策じゃないかと私は思うのです。  ここにも「全人類が共有するこの有限な資源をいかに有効に利用し、子孫のためにいかにして確保すべきかを真剣に考え始めているとき、わが国のみがこの資源を大量に消費しつつ、ひとり高い経済成長を遂げることは、もはや許されなくなりました。」いままで資源といいましても無形の資源ですね、たとえば振動とか騒音とかあるいはいろんなそういった典型公害は。そういうものを受けない、騒音で悩まされない、これは、考えてみますと一つの財産ですよね。こういうことを考えますと、私は理念としてはそうであろう、いままでもそうであったろうと思いますけれども、ここらでそういった環境権というもの、憲法に保障されているわけですから、ひとつ長官のほうで提案をしていくような積極姿勢が必要である、こういうふうに考えて提案しているわけです。  これは副総理のときじゃないと、できないですよ。いままでも各環境庁長官おりましたけれども、副総理の力でもって、ばしっと言えなかった、外でやかましく言うて、えらいラッパ吹いてきて、帰ったら閣議であやまっておる、そんなことじゃ話にならぬ。そういう経過はたくさんあるのです。だから副総理のときに、私はいつまでもやっていないなんて逃げ腰じゃなくて、私はここで環境権の確立を考えていきたい、これぐらいの積極姿勢がほしいと思うのですが、もう一ぺんいかがですか。
  43. 三木武夫

    三木国務大臣 私は逃げるのではないのですよ。私もやはり基本的な人権を大事にしたいと考えておる政治家の一人です。ただしかし、ばく然として、法の概念として範囲というものがまだ確定できないでしょう。環境とは何ぞやということになって、その守ろうとする一つ環境権という中に含まるべき、その守ろうとする権利というのは何かというものが、まだやはりばく然としておりますが、しかし将来においては環境権というようなものがもっと明確になって、守るべき環境というものが法の体系としても国民によくそのことが理解されるようなことに私は必ずなると思います。だから、将来環境権というようなものが一つの人間の基本的な権利として守らなければならぬというような時代は来ると思いますが、それにはもう少しその中に包括すべき一つの内容というものを明確にするために、今後とも、われわれも研究をいたします、それは岡本君のほうにおいても御研究を願いたいと思うのでございます。
  44. 岡本富夫

    ○岡本委員 私どもはその点をいろいろと考えまして研究しました。そのために先国会も、その一環として環境保全基本法を提案しておるわけです。ほかの各野党の人もやっておりますけれどもね。ですから、私はそこから出発して、この環境保全基本法を検討をしていただきたい。何かいままでの政府環境保全に対するところの考え方があと追い行政になっておる。もう少し早く手を打っておけば、あんなチッソや水俣の、ああいう問題あるいはまたイタイイタイ病だとかああいうものもなかったのではないか。また四日市の公害裁判も起こらなかったのではないか。こういうことで社会情勢はますます悪化しておるのじゃないでしょうか。ですから、やはり副総理のときにもう少し先取りをして、そしてきちっと国民が安心して政府の言うことを聞けるような、そういうような閣僚が必要じゃないか、こういうふうに私は思うのですよ。  いままでは政府に対する不信が非常に多いというのは、みなの意見がわあっとわいてから困ってからあと押すというところに、私はいつもあと追い行政だから、こういうふうになっていると思います。かえって政府国民を騒がしておるみたいなものですよ。これは物価問題も同じことですけれども、きょうは物価問題を私やりませんけれどもね。ひとつその点を、もう一ぺん次の委員会までに考えていただきまして、そして明確なる長官の所信を聞かしていただきたい。この所信演説を見ますと、相当進んだように私は期待しておった。だが、あまり進んでないですね。  まあそれはそれとしまして、その点から立って、きょうも長官のほうに大阪伊丹空港の人たちがえらい来ておりましたが、そして相当いろいろと要求しておりましたが、私は無理はないと思うのです。WECPNLですか、こういった飛行機の騒音の環境基準、これは私はどうももうひとつぴんと来ない。  一つ例をとりますと、機数が二倍になっても、たとえばいま四百六十回近く毎日大阪伊丹空港には入っているわけですけれども、かりにこれが二倍になったとしても、ただWECPNLは三しか上がらないというようで、これはいままで普通の騒音基準ではホンであらわしておりましたですね。航空機の騒音だけが何でWECPNLになっておるのか、この点について一つと、それから受忍限度、要するに、全然音がしないということもできないと思いますけれども、受忍限度につきまして、その住民の健康破壊あるいはまた生活に差しつかえないというのが受忍限度でありまして、どうも受忍限度についても考え方が、航空機がこれ以上落とせないというのを受忍限度にしておるように思われるわけですね。だから環境基準というものは、もっと住民サイドに立った環境基準でなければならない、こういうようにも考えるのですが、この点については、これは大気保全局長から。
  45. 春日斉

    春日政府委員 WECPNLというものについて、どうも倍ふえても三より落ちないというのはおかしいではないかという御疑念でございますが、確かにそういう御疑念はあろうかと思いますが、これは音のエネルギー量を対数であらわしておりますから、そういうことになります。ホンでもそれは同じことが言えようかと思います。(「ホンでも同じですか」と呼ぶ者あり)エネルギー量を対数であらわしていることは同じでございます。これはWECPNLについての御議論はいろいろあると思います。しかし、これは現在私どもの中公審の騒音部会の中で最も進歩した一つの基準として取り上げるべきだということでおきめいただいたものでございますので、これは私ども尊重してまいらねばならぬと思いますし、現在われわれが航空機騒音をあらわすのには、これが最適であろうと考えておるわけでございます。
  46. 岡本富夫

    ○岡本委員 このWECPNL七十というのはピークレベルで七十ホンの航空機が一日に三百機飛んだ場合に相当する。そこで、こういうWECPNLという基準で七十ホンで三百機一日に飛んでこれで受忍できるかどうかですよ。現実はもっと多いですけれども。現実はひどいところは九十ホンからあるいはまた百ホンというところもありますけれども、大体七十ホンくらいのところがたくさんある。そこでも、これは一日にいま四百六十機ですけれども、毎日毎日居住している人たちのこの姿というものは、ほんとにしんぼうできないというような状態になっているのですが、あなたはピークレベルで七十ホンの航空機が一日三百機飛んだ場合、これで受忍ができると確信もってきめていられるのかどうか、これも一ぺんお聞かせ願いたいのです。
  47. 春日斉

    春日政府委員 私どもやはり中公審の専門家の御意見、それからそれを総合いたしました答申について根拠といたしておるわけでございますので、その答申の中から申し上げますと、航空機騒音による日常生活の妨害、住民の苦情等があらわれないというのは、NNIという基準で申しますと、大体三十ないし四十以下ということになっております。また、各国における建築制限、土地利用が制約される基準というものも、この値を相当上回っております。したがって、環境基準の指針値としては、その中間値、NNI三十五以下であることが望ましいということがいわれるわけでございます。しかし、一方、航空機騒音について、その影響が広範囲に及ぶこと、技術的に騒音を低減することは困難である、そういったことを考えまして、航空機騒音の環境基準としては、WECPNL七十から七十五とすることが適当である、こういう判断を下されておるわけでございます。  この場合、WECPNL七十は、機数二百機の場合、ほぼNNIの四十に相当して、二十五機の場合はNNI三十五に相当するということでございますので、もう一回申し上げますと、いままでの国際的ないろいろな資料から判断いたしましても、ほぼWECPNLの七十というのは妥当ではないであろうか。少なくとも、七十以下であれば、航空機騒音による日常生活の妨害、住民の苦情というものがほとんど、全然ないとは申しませんが、なくなる、こういう資料があるようでございます。
  48. 岡本富夫

    ○岡本委員 私、もっと大まかに言いまして、今度の所信演説の中に、環境アセスメント、環境を事前に評価する、これによって環境基準をきめるというようになりますと、私、机上計算じゃなくして、やはりこの環境基準をきめる場合、これから環境アセスメントをして、これならだいじょうぶだ、確かにみんなこれなら納得した、これなら被害がないんだというようなきめ方をしていただきたいと思うのです。  それで、こればかりやっていると、おそうなりますから……(「はっきり長官の意向をとれ」と呼ぶ者あり)いま外野席から話がありますから、これもひとつその意向を尊重しまして、環境アセスメントによってきめるべきだというのが一つと、それからもう一つ、航空機の排気ガスによるところの大気汚染、これは全然今度この規制も出ていないわけですね。航空機によるところの大気汚染について、環境庁が一ぺんも調査していないのかどうかというと、そうではない。この二点についてひとつ……。
  49. 春日斉

    春日政府委員 航空機によります排気ガスの問題につきましては、これは私どもいろいろ調査をいたしております。ことに、エンジンの基本的な排出係数を定めるというような作業も、昨年一年間かかって行ないました。これは公表いたしております。  それから、環境アセスメントをやって、それから空港をつくるべきだという御意見に対しましては、全く私どももそのとおりだと考えております。
  50. 岡本富夫

    ○岡本委員 全くそのとおりだ、環境アセスメントによって、そして基準をきめるのは全くそのとおりだとおっしゃっているけれども、いまのところこれはやっていませんね。私、このアセスメントをやったのを見たことがないわけです。これが一つ。――元官房長、じゃひとつお答えいただきたい。
  51. 城戸謙次

    ○城戸政府委員 ただいまのアセスメントと環境基準との関係でございますが、私どもは、環境基準をきめます場合に、いろいろ過去におきます動物実験あるいは疫学調査、こういうものの試験から、できるだけ厳正なものをきめていく、こういうのは当然のことでございます。ただ、アセスメントとの関係におきましては、むしろさっき大気保全局長から申し上げましたように、自然の環境容量というのはダイレクトには出てこないということでございますから、環境基準を前提にしまして、これをいかにすれば達成できるかということについてやっていく。まあ環境の総排出許容量というものを考えていくということが適当じゃないか。いま先生御指摘のは、むしろアセスメントと環境基準関係を逆に位置づけられておりますので、私どもはそういう考えを持っておるということを、ここで申し上げておきたいと思います。
  52. 岡本富夫

    ○岡本委員 それじゃ環境アセスメントによって、それを事前評価の後に、この航空機騒音のWECPNL七十、これをきめたわけですか。――私は、そういうことになればもう一つ言いたい。それは、じゃ、空港周辺の人体影響調査、これは完全にできておりますか。
  53. 春日斉

    春日政府委員 環境アセスメントという考え方、いろいろあろうと思いますが、私どもといたしましては、十分な、いままで得られました資料をもとにいたしまして、現地調査も加えて、あらゆる角度から検討してきめた、こういう意味環境アセスメントと、こう申したわけでございます。まあ環境アセスメントということばの定義、いろいろあろうと思いますが、そういう意味でお答えいたしておるわけでございます。  それから、健康に及ぼす影響につきましては、御指摘のとおり、かつて厚生省時代行なった調査がございますが、それは完全なものとは私ども考えておりません。したがって、四十九年度、航空機騒音による健康調査等についても行なうべく予定いたしておるわけでございます。
  54. 岡本富夫

    ○岡本委員 私が言っているのは、厚生省時代も三年ほどやったですけれどもあと打ち切ってしまった。まあこれから健康調査もやるということですから、健康調査も完全にできていない。それで事前評価をやった、環境アセスメントをした、それできめたというのは、ちょっとこれは私はあまりいただけない。この問題をあまり追及してもしかたがありません。これはもうはっきりしているわけですから……。  それと、大気汚染、これは環境庁で調べたのが発表されているわけですが、ジャンボ機一機で車二千八百台分の大気汚染がある。この中を見ますと、羽田空港においても、環境基準の、これはずいぶんいろいろなのがありますけれども、二倍強上回っておった、あるいは伊丹空港においても環境基準をはるかにこえていた。数字をいろいろ言いませんけれども、そういう発表がされておるわけであります。それに対するところの対策、これもどうも私ははっきりしていないと思うのですがね。  今度エアバスを入れようというようなことも言っておるらしいのですが、あの威圧感というのはたいへんですな。そういうことを考えますと、私は、環境庁で次から次へと用事ができて困ると思いますけれども、しかしこれはやっていかなければならない、行政ですから。いままで大阪の豊中の勝部地区、あすこへ行っても、ものすごい鼻血を出したりたいへんな被害者が続出しておるわけでしょう。これについて運輸省に対する環境庁からの勧告というのは、一つもないじゃありませんか。これについていかがですか。
  55. 春日斉

    春日政府委員 先ほどの御指摘もございましたように、航空機エンジンから排出されます排気ガスの問題につきましては、すでに公表いたしておりまして、たとえばジャンボジェット機一機は、千六百㏄の乗用車で申しますと、一酸化炭素が三百四十一台相当、それから窒素酸化物が二千七百台相当というような資料は公表いたしておりますが、ただし航空機一機と運行時の千六百㏄乗用車何台の比較というものは、これは出しておるわけでございますが、航空機一日分の排出ガス量が全自動車の何台分に相当するかというのは、単純に計算できないわけでございまして、ことに飛行機が排出ガスを空港周辺で出しますのは、離発着のきわめて短い時間だけでございますので、それに比べますと、自動車の走っております運行時間というものは非常に長いということでございますから、単純に比較はできない。しかしながら、かなりなものであるということは事実でございます。  それから、それが集積されました空港の汚染の実態、これも公表してございます。
  56. 岡本富夫

    ○岡本委員 局長、そんなことを言うちゃ話になりません。車は運行時間が長い。飛行機は発着するときだけだ。しかし、その時点のところは同じことじゃありませんか。車がそこでじっと一日とまって排気ガスを出しておるんじゃなくて走っちゃうわけですからね、そこの個所は同じだと私は思うのですよ。ですから、ちょっとそのお答えはいただけないのです。  そこで、航空機の排気ガスについても私、当委員会で前の手塚さんだったか、局長質問した。全然被害はありません、こう言って答えておった。それから私は調査を始めた。そうすると次から次へとああいった被害の実態が出ているわけです。ですから、きょうはこれはよろしいから、環境庁で一ぺん航空機の排気ガスの実態についての調査が大体終わったわけですから、これをどういうふうに規制していくか、こういうことについて、ひとつ御検討をいただきたい。そして一日も早く解決をしてもらわないと、付近の住民が困ったわけですね。これをひとつ要求しておきます。  次には、環境庁日本分析化学研究所に依頼した、そしてああいった不祥事件が出まして、これはぼくは前からずいぶんおかしいなと思ったことがありまして、一ぺん調査せねばいかぬと思っておったのですが、そうしますと、非常にいままでの――その前に日本分析化学に出した件数、それについてひとつ御報告を願いたい。
  57. 森整治

    ○森(整)政府委員 日本分析化学研究所に対します委託状況でございますが、環境庁発足以来、四十六年には農薬残留対策調査費を委託しております。約一千百四十万。それから、四十七年度、同じく農薬残留対策調査費八百二十三万円。これは農薬の土壌に対する残留状況の分析委託でございます。それから、同じ年に、水質汚濁等調査研究委託費約四百九十三万でございますが、これは、川の流れているうちに、ある物質が有害な物質に転化いたしまして、そこで魚等に被害を与えるのではないかという、そういう調査の研究を委託しております。これは調査報告が出ております。  それから四十八年に、同じく農薬残留対策調査費が七百八十一万、委託契約を結びましたが、これにつきましては、ただいま契約を解除するということで手続が進行中でございます。  そのほかに、四十八年、公害調査で、土壌の細密調査につきまして、環境庁の庁費でクロスチェックをする。都道府県が分析をいたしましたものを、同じ検体を日本分析化学研究所委託をいたしまして、分析をいたしまして、クロスチェックをするというのが、おもな経費でございますが、これは百二十二万、いずれも支出見込みを含みます額でございまして、先ほど申しましたように、農薬残留対策調査費四十八年七百八十万は、これは契約を解除するということでございますので、その辺の減ということはございます。  そのほかに、問題は、私どもが県に調査委託いたしましたものが、分析研に再委託をされているというものがございます。大きなものは、四十七年のPCB環境汚染調査でございますが、大体全体の延べ検体数の二六%程度分析研に行っているというふうに、ただいま数字を把握いたしておるわけでございます。  それから、四十八年におきましては、全国水銀PCB環境汚染調査がございました。これは全体では、全県にわたっておりますが、全県、政令市含めまして六万三千ぐらいの分析項目がございますが、そのうち約一一%の六千九百が分析研委託をされておるわけでございます。  おもなものは、そういうことでございます。
  58. 岡本富夫

    ○岡本委員 時間があまりありませんから……。  それで、この日研に依頼した分析、これは地方自治体にも、いまおっしゃったように、相当ある。問題は、特に山口県の徳山やあるいはまた富山県の魚津等の九水域です。これについて当時、水銀の魚問題で非常に住民が心配した。そういった問題で、いまどうも納得できないのは、こういったところに分析を依頼して、そしてだいじょうぶだと発表した。これについて、どういうような方法にして再調査をするか、この点のはっきりした態度をひとつおきめいただきたいと思いますが、ここで報告してもらいたい。
  59. 森整治

    ○森(整)政府委員 御指摘のように、水銀全国環境調査の全体の取りまとめはまだでございますが、九水域分につきましては、昨年十一月の十日に公表をいたしております。その全体の検体数が一万四千八百程度でございますが、そのうち二千三百二十八項目が分析研委託されております。ただ新居浜水島水域につきましては関係ございません。残りの七水域につきまして、先ほど大臣からも御答弁ございましたが、学者だけで組織しております検討委員会の指示に従いまして、九水域分をともかく先に全検体数当たるということで作業に入っておるわけでございます。その結果は、今月中に調査を終わる、そこで検討委員会で御検討いただきまして、その結果につきまして、なるべく早く取りまとめをしたい、同時に御報告もいたしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  60. 岡本富夫

    ○岡本委員 科学技術庁来ておりますね。――この報道によりますと、佐世保の港の放射能監視体制について欠陥があった、同時に放射線の分析について、この日研に出しておるわけです。日研はいまこういう状態で、不信で、とてもここへ渡すわけにはいかないだろうと思いますが、聞くところによると、近くまたアメリカから原子力の軍艦がいつ入ってくるかわからない。この間、予算委員会で大平外務大臣は、二十四時間前に連絡があるから、それまでは予想つかない、こういうことですが、そういうことになりますと、この放射線の分析、こういうものもきちっとやはり体制を整えておかなければならないと私は思うのですが、その点については、どういうようにしてやるのか。これは急に入ってこられて、日本分析研に頼んでおったけれども、だめだった。ですから、どうしようもありませんというようなことでは話にならない。したがって、ひとつこの点について詳細を明らかにしていただきたい。
  61. 伊原義徳

    ○伊原政府委員 お答えいたします。  先生御指摘の件の最初の点、佐世保港の放射能監視体制に欠陥があるのではないか、この御質問につきましては、二月の九日に専門家三名を含む四名の調査団を派遣いたしまして総点検をいたしております。佐世保港におきましてはモニタリングポストは四カ所、それからモニタリングポイントが十カ所、そのほかにモニタリングボート、これで調査システムをつくっておりますが、このうち崎辺というところに置かれておりますモニタリングポストのうちの海中系検出器が故障をいたしておりまして、故障は十月末に故障であることが発見され、その後修理をいたしておりましたが、その修理がおくれておりまして、これは至急二月九日に修理を完了させております。今後こういう機器の保守点検については十分留意をいたしまして、万全を期したい、こう思っております。  それから今後の対策でございますが、特に原子力軍艦が二十四時間前に入港通知がある、それでいまの体制で十分かという御指摘でございます。御承知のことかと思いますが、原子力軍艦の寄港時には、現地に科学技術庁が職員を派遣いたしまして、海上保安庁、それから市、または沖繩の場合は県の職員の御協力をいただきまして対策本部をそこに設けまして、先ほど申し上げましたモニタリングポスト、モニタリングポイント、それからモニタリングボート、その組み合わせによりまして空中及び水中の放射能を厳重に測定をいたします。もし異常な数値が出てまいりました場合には、すぐに警報が鳴り、サンプリングを自動的に行ない、これを現場における波高分析器と称する分析器にかけまして詳細をすぐチェックできるようになっております。さらに海上保安庁及び水産庁において定期的にいわゆる核種分析と称しておりますが、どのような放射性核種がどのように海水中あるいは海底土中に蓄積しておるかということの調査も行なっております。  先生御指摘日本分析化学研究所による放射能測定の信頼性が失われた点をどう穴埋めするかという点につきましては、至急理化学研究所及び放射線医学総合研究所におきまして分析するという体制をとっておりまして、特に原子力軍艦が寄港いたしまして出港後の調査というのがございますが、これにつきましては今後放射線医学総合研究所におきまして分析をする、こういう体制になっております。したがいまして、日本分析化学研究所の今回の事件はまことに遺憾であり、私どもも責任を痛感しておりますが、原子力軍艦の入港についての監視体制は万全であると思っております。
  62. 岡本富夫

    ○岡本委員 これはまた次の機会にいたしますが、長官、こういった日本分析化学研究所に私どもも権威があると思ってお願いしたこともあるのです。ところがこういう非常に不祥な事態が起こっております。そこで政府としてひとつ――これは各省からここへ分析依頼が来ておったわけですね。環境庁ももちろんです。あるいはまた各県からも行っております。環境庁から補助金を出した。したがって、それにかわるべき権威ある分析所というものを政府のほうで早く確立する、そして何といっても公害対策もと分析で、その分析が間違っているということはたいへんですから、権威ある分析のできる場所といいますか、そういうものをはっきり提示することが私は大事だと思うのです。早急にひとつこの点について検討をして発表をしていただきたいのですが、この点について最後に長官からお聞きしたいと思います。
  63. 三木武夫

    三木国務大臣 御指摘のとおり放射能の問題にしても公害の問題にしても、そのもと分析した結果のデータ基礎になるわけですから、これに信頼がないということになれば、これは国民として非常な不安にかられざるを得ないわけですから、今日、分析ということが各種の行政を進めていく上においてやはり重要な意義を持ってきておるわけですから、政府としていましばらく時間をかしてもらいたいのですが、国民が信頼できるような分析、どういう形にしますか、ともかく分析体制というものを立て直す。あれだけの問題になったわけですから、いま科学技術庁中心になって検討を加えておるわけでございます。  また過去に環境庁も、環境庁自身として委嘱した場合は少ないのですけれども、あの水銀の大騒動が起こったときには、急を要するものですから、地方自治体にその分析を依頼したわけですが、地方自治体から分析化学研究所にまた依頼をしたという件が一一%ぐらいあるわけです。これは環境庁の中にも再検討委員会を置きまして、その分析というものがでたらめなものであるかどうかということに対して再検討を加えておるわけでございますので、それが非常に信頼できないものであるということについては、もう一ぺん再調査をする方針のもと検討委員会検討を加えておる次第でございます。
  64. 岡本富夫

    ○岡本委員 終わります。
  65. 角屋堅次郎

    角屋委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時一分休憩      ――――◇―――――     午後二時四分開議
  66. 渡部恒三

    ○渡部(恒)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  委員長が所用のためおくれますので、委員長の指名により、私が委員長代理を行ないます。  質疑を続行いたします。木下元二君。
  67. 木下元二

    ○木下委員 長官所信表明によりますと、公害によって健康被害を受けた者に対して万全の救済措置を講ずるという趣旨が書かれておりまして、公害健康被害補償法が成立をされたことについても触れられております。目下、諸般の準備を進めておるところということでありますが、そこで伺いたいのでありますが、この新しい法律に基づく地域指定のために現在調査が進んでおるようであります。調査の内容と進行ぐあいを、ごく大まかでけっこうでありますから、述べてもらいたいと思います。
  68. 城戸謙次

    ○城戸政府委員 現在の調査の地域でございますが、これは御承知のように現在指定されています地域はそれぞれ第一種、第二種に分けまして、当然新法によります指定地域になるわけでございますから、今後はそれに追加さるべき地域につきまして調査をしているわけでございまして、今年度は現在、東京都、大阪市、川崎市、尼崎市、吹田市、千葉市、三重県の楠町、その七地域につきまして、それぞれ一部でございますが、環境大気調査あるいは有症率調査等所要の調査を進めております。  また、四十九年度におきましても引き続きまして、地元から要望のあった地域あるいは現行指定地域の周辺地域その他で、大気汚染の現状や有症率、こういうものから見まして、既存の資料が使えるところでございまして、それを基礎として調査が必要だと判断される地域につきまして調査を進めてまいりたい、こう思っておるわけでございます。
  69. 木下元二

    ○木下委員 認定患者数が日本一の尼崎、ここでは認定患者が続々ふえておりまして、環境庁の統計によりましても、四十八年十二月末で三千二百九十人の患者が出ております。現在の認定地域外から、しかも呼吸器疾患の患者が続出しております。認定地域を拡大するという方向で対象地域を定めて調査を進めていられるように聞いておりますが、その進みぐあいはいかがでしょうか。これも簡単でけっこうでございます。
  70. 城戸謙次

    ○城戸政府委員 この中の環境大気調査は、今月の十四日から来月の一日にかけましてやる予定にしておりまして、呼吸器疾患問診調査、これは二月一日から今月末を目標に現在やっておるところでございます。それから受診率調査につきましても、現在昨年十一月分の国保のレセプトにつきまして実施しておるわけでございます。いずれも順調に進んでおると聞いております。
  71. 木下元二

    ○木下委員 いま言われました問診調査でありますが、それはどういう方法でやっていられるでしょうか。
  72. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 いま御質問の問題でございますが、問診調査につきましては、従来地域指定をいたす場合に用いておりましたイギリスの医療審議会がつくりました問診表がございまして、それを当初いろいろ各地で使ってみたものを一定化いたしまして、その問診表を中心といたしてやっております。それから問診表を使いますときには保健婦が通常その問診表について聞くということになっておりまして、その問診表を使うのに一定のやり方をもってやるということ等の趣旨徹底をいたした上で調査をいたしております。
  73. 木下元二

    ○木下委員 このことをお尋ねいたしますのは、住民の中にも公害患者ということをいやがったり隠したりする風潮というものがやはりあるわけなんです。住民が進んでこの調査に応じてくるような、そういった方法というものが望ましいと思われます。それには広報とか、いろいろ方法がありましょうけれども、特に私はそのやり方について住民の人たちの意見をよく聞いて進めていただくように要請をしたいのでありますが、その点は現在すでに調査が進んでおるということでありますが、この点いかがでしょうか。どういう状況で進んでおるのか、住民の意向などを聞いておるのかどうか。
  74. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 いま御質問の点の、住民の人々の意見をよく聞くという点でございますが、環境庁のほうに患者会の代表の方がたしか二度か三度でございましたか、お見えになった機会がございまして、その機会に約二時間ぐらいな時間を使いまして、いろいろ御質問もあり、私どもも率直にお話を申し上げて御協力を願うということをいたしております。なお地元におきましても、医師会の方々の問題もございますので、地元の方々とも私ども接触しながらお話をしております。
  75. 木下元二

    ○木下委員 それから四十九年度の予算では、この健康被害の認定患者の問題でありますが、医療手当のアップはありません。これは調べてみますと四十六年から毎年アップされておりますが、四十九年度の予算ではないわけであります。介護料のアップもありません。これは四十五年に改定をされまして、その後はないわけであります。昨年末よりおそろしい勢いで物価が急上昇いたしておりますが、それに見合って四十九年度も当然改定すべきではないかと思うのでありますが、この点はいかがでしょうか。
  76. 城戸謙次

    ○城戸政府委員 医療手当でございますが、これは従来の特別措置法に基づきますものは本年の八月末で終わりまして、九月からは新しい健康被害補償法が施行されるわけでございまして、その中では当然、従来ベースに比べますと若干のアップを見ております。ただ、現行法につきましてはアップを見ていない。これは他の社会保障制度におきましても、実施時期が、こちらでまいりますと新法が施行される時期になりますので、私どもとしましては、新法の中におきましてアップを見ている、こういう状況でございます。
  77. 木下元二

    ○木下委員 四十九年の九月から新法を施行されることはわかっておりますけれども、このインフレ、物価高にさらされて、九月まで待てというのでは、これは患者に対して酷だと思うのです。五カ月間もあるわけなんで、その間をどうしてやっていくのかということになるので、やはり患者の置かれた経済的立場というものを、こうした点から見ましても私は十分に理解されていないのではないか、こう思うわけであります。  この点はさておきまして、一つ申し上げたいのは、認定患者が指定地域から他の地域に移ったときは、これまで、三年経過いたしますと救済が打ち切られるということになっておりましたが、まだ病気がなおらないのに三年経過で打ち切るというのは、もうそのこと自体はなはだ不合理であります。しかもそれらの患者は、新法による新しい制度に基づく救済も受けられないというのでは、あまりに酷であります。この点、前にわが党の中島議員が強く主張、要望いたしました結果、この不合理、不当な扱いが是正されることになりました。四十四年十二月十五日から四十六年四月一日までの間に住所を他に移した患者は四十九年三月三十一日までの期間は打ち切られないという救済措置がとられるということになりました。環境庁告示第二十四号であります。  ところが、結局こういう特例措置がとられましたのは、四十九年三月三十一日までの期間は打ち切らないということでありますが、これは新しい制度が始まるまでは落とさないようにして、新しい制度のもとで引き続いて救済しようという趣旨に立っておるのであります。ところが、この新しい制度の施行がおくれたわけでありますので、その施行直前まで落とさないような措置が新たにとられる必要があると思うのであります。この点はいかがでしょうか。
  78. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 いま先生の御指摘の点につきましては、四月から九月までの間切れないように告示の期間を延ばすということによって、対処するということで問題を解決いたすという考えでございます。
  79. 木下元二

    ○木下委員 そうしますと、長官、その点は確認していいんでしょうか。前にも告示が設けられましたけれども、新たに告示で特例措置がとられるように善処をはかりたい、こういうことでけっこうでございますか。
  80. 三木武夫

    三木国務大臣 けっこうでございます。
  81. 木下元二

    ○木下委員 次は、瀬戸内海環境保全臨時措置法の問題について、これも所信表明の中で述べられておりますので、お尋ねをいたしたいと思います。  COD汚濁負荷量の府県別割り当て量がきめられました。これは新しい臨時措置法の四条に基づきまして、汚濁負荷量を三年以内に四十七年当時の二分の一程度に減少させることを目途として定められたものということであります。これにつきまして環境庁のほうから表をいただいております。この表を見ますと、たとえば和歌山は四十七年は負荷量か六十――これは産業排水ですね。六十である。これを三年以内に四十一にする。徳島は四十七年が六十二である。これを四十一にする。香川県は十九であるが、これを三年以内に十八にする。こういうふうに段階的に減らしていくということで、計画が組まれておるのであります。  これは段階的に減らしていくということでありますので、でこぼこにならないように、だんだん減らしていくということだと思います。三年先にこの表に示されたような形で減ればいいということではなくて、毎年毎年徐々に減っていかなければならない。そして三年先にこの示された目標値に達するということだと思うのであります。また、現状のまま放置しておいて三年目に一ぺんに減らすということであってはならないと思うのであります。その点はいかがでしょうか。確認しておきたいと思います。
  82. 森整治

    ○森(整)政府委員 今回定められました各府県の割り当て量に従いまして、県は上のせ基準をあらためてつくるか、従来の上のせ基準を見直すか、いずれにせよ、この通達を受けまして、県で条例で措置をしてまいるというたてまえになっております。  そこで、先生御指摘の点でございますけれども、現実に各業種の配分をきめて、その目標を三年後に達成するということでございまして、当然普通の場合には、先生御指摘のように、徐々に減らしていくということが現実的には一番スムーズにいくというふうにも考えますけれども、いまのところその段階で、要するに三年後にそういうふうにするという目標を掲げまして、県が条例でそこのところをどういうふうに処置していくかということにつきまして、県とよく協議をいたし、その目標が達成されるように指導してまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  83. 木下元二

    ○木下委員 それは県と協議をして県に対して指導をするということでありますが、三年先にそのきめられた目標値に達するようにするということだけでなくて、その中間が問題なんですから、現在から三年先までのその間においてぐっと数値が上がるというようなことのないように、だんだん減らしていくという方向でやるのだ、そういうふうに行政指導をしていくというふうに理解していいわけですか。
  84. 森整治

    ○森(整)政府委員 たてまえとしてはそういうふうに指導してまいりたいと思いますけれども、業種別にいろいろ事情がございます。たとえば中小企業をかかえているところもございます。そういうところを、逐次というよりも、これからいろいろ措置をしてまいるわけでございますから、すべて弾力がないように押しつけるということは、ちょっと避けていただきたいと思います。原則として、先生のおっしゃるように指導していくのがたてまえで指導していきたいと思います。
  85. 木下元二

    ○木下委員 これは新しい法律の四条二項を見ましても、「当該府県に係る汚濁負荷量の限度まで段階的に減少させることを旨として、」とあるのですね。「段階的」という表現は、私がいま言っておるように、でこぼこにならないようにだんだん減らしていくという趣旨なんですから、関係府県にいたしましても、そのように進めていくという義務が、この法律によって、あるわけです。当然環境庁としてもそういう指導でやっていく。たてまえと言われますが、単なるたてまえに終わってはいかぬと思うのですよ。いただきました案によりますと、たとえば香川県などを見ますと、四十七年が負荷量は十九であります。これを三年先に十八にする。わずかその差が一しかない。だから、これを段階的に減らすといったってなかなかむずかしいかもわかりません、差が少ないわけですから。そういうのは特殊な場合であるといたしましても、ほかでは大体単なるたてまえということでなくて、法律でもこういうふうにきめられておるわけでありますから、これにのっとって段階的に減少を進めるように行政指導を進めていただきたい、こう思うわけであります。そのことをここではっきりと明言していただきたいと思います。
  86. 森整治

    ○森(整)政府委員 くどいようですけれども、先生おっしゃるとおりに指導していきたいわけです。ただ原則ということで、大部分そういう形で指導してまいりたいということで御了承いただきたいと思います。
  87. 木下元二

    ○木下委員 次は、この法律の五条三項によりますと、この排水をする特定施設の設置を申請するときに、申請書に事前評価に関する事項を記載した書面の添付を要件といたしております。これに基づいて施行規則四条が定められております。特にその施行規則の四条一項の五号、六号が問題であります。五号は、「排出水の排出に伴い予測される周辺公共用水域水質の変化の程度及び範囲並びにその予測の方法」六号は「その他当該特定施設の設置が環境に及ぼす影響についての事前評価に関して参考となるべき事項」というふうに書かれておりますが、こういったことを記載した書面を添付しなければならない、こうなっておるのですが、これだけでは関係府県に特定施設を設置しようということで申請するにあたりまして、一体何をどう記載してよいのかわからないと思うのであります。もっと具体的な基準なり方法なりを示す必要があると思うのでありますが、これでは私は都道府県のほうでも困ると思うのです。この点、一体どのように考えておられるでしょうか。
  88. 森整治

    ○森(整)政府委員 これは特定施設の事前評価の処理でございまして、これが公告縦覧にもつながる重要な書類だと思っております。  具体的には、その運用につきまして通達で指導をしてまいるわけでございますが、そのやり方につきまして瀬戸内海を、一応試みでございますが、それぞれの地域をこまかく区分いたしまして、そこの水質というものを考えながら地域を分けながら、そういうものについてのアセスメントをやることをただいま県とも協議しながら、そのやり方をつくり上げていく、こういう考え方で指導をしているわけでございます。
  89. 木下元二

    ○木下委員 そのやり方は幾らか具体化しているのでしょうか。その内容を大ざっぱでけっこうですから。
  90. 森整治

    ○森(整)政府委員 シミュレーションの方式を一応連絡会にはかりまして、試みとしてやっていこうということで相談をいたしておるところでございます。
  91. 木下元二

    ○木下委員 それはいつごろ具体化し、いつごろからこれをやっていくということになるのですか。この法律はもうすでに施行されておるわけですが、具体的に府県に対して申請しょうという場合に、これが具体化していないと申請もできないということになるわけなんで、早くその内容がきまって実施されるということでないといかぬと思うのですが……。
  92. 森整治

    ○森(整)政府委員 できるだけ早くということで、われわれの内部の気持ちといたしましては、今週でもまとめていきたい、こういう考え方でおります。
  93. 木下元二

    ○木下委員 そうしますと、数日中にこれをまとめて具体化し実行していく、こう承っていいわけですね。
  94. 森整治

    ○森(整)政府委員 これは従来いろいろ瀬戸内海の調査をいたしました。現在までに相当データがございます。そのデータに基づきまして、一つのシミュレーションをつくりまして、それを当てはめながら見ていきたいということで、絶対にそれで自信があるというほどのものではまだございません。ほかの水域でもそういうことはやっておりません。ですから、そういう意味での一つの実験的なものとしての案であるということで、それを実際に当てはめてやっていってみたい、こういうことでございます。
  95. 木下元二

    ○木下委員 次に伺いますが、下水道の整備でありますが、四十九年度は、瀬戸内海ばかりではなくて、全体として見ましてあまり進捗しないのではないかと思われます。公共事業抑制ということで、その影響によりまして、かえって落ち込むのではないかと思います。事業費は、全体として見ますと二〇%アップになっておりますが、それは補助率が大幅にアップになっておりますので、そのほうで埋められてしまうことになるわけでありますし、また物価も急上昇をいたしておるわけでありますので、実際の事業量そのものはふえないと思われます。  全体がそういうことになるわけでありますが、瀬戸内海地域における下水道の整備、これのほうは全体の予算のうち一体どの程度が割り当てられ、どのように実施をされるということになるのか、簡単でけっこうですから伺いたいと思います。
  96. 森整治

    ○森(整)政府委員 予算につきましては、先生御指摘のとおりでございます。今年度は補助率を上げるということに重点がございます。瀬戸内海関連について下水道の処理というのは非常に重要でございます。また法律でもそういうものを特に配慮するということが規定をされておるわけでございます。ただ、あらかじめワクを瀬戸内海のワクとしてこうであるということでなしに、むしろ実行の問題というふうにわれわれは考えております。  そこで建設省と十分連絡をとりまして、県のほうの要望も非常に強うございますし、そういうことについてわれわれも建設省に対しまして、瀬戸内海関連の下水処理の事業量が高くなるように努力してまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます、実行の問題といたしまして。
  97. 木下元二

    ○木下委員 それはいつごろきまるのですか。
  98. 森整治

    ○森(整)政府委員 これは予算が成立をいたしますれば、直ちに建設省に対する要望といたしまして、そういう促進の話し合いをしてまいりたいと思っております。
  99. 木下元二

    ○木下委員 それはそうすると、予算がきまるまでに話が進められるという意味に理解したのですが、そうでなくて、予算がきまってから、その上で建設省と話をしたり都道府県と話をして配分していくということですか。もっとその以前に配分についての――それはもちろん予算がきまったわけではありませんから、確定的にはきめられないことになりますが……。
  100. 森整治

    ○森(整)政府委員 厳密な意味で私申し上げたわけでありまして、大体定期的に下水道の関係者とはわれわれ連絡会を持っております。したがいまして、そういうことでプッシュをしてまいりたいと思いますけれども、具体的にはやはり県の計画というのが前提になるわけでございますから、そういうことで先ほど御答弁を申し上げた次第でございます。
  101. 木下元二

    ○木下委員 これは、いまあなたのほうから指摘もありましたけれども、これは新しくできたこの法律によりまして、特にその十四条によりまして瀬戸内海地域における下水道などの事業の促進がうたわれておるわけであります。また、国は瀬戸内海地域の下水道の整備について、特に財政上の援助につとめなければならないということもうたわれておるのであります。したがって、これは全体の予算の中で幾ら割り当てられるかということにも関連してくるわけでありますが、こういう法律の趣旨にのっとって、できるだけ瀬戸内海地域の下水道整備が促進されるようにつとめていただきたい。強く要望いたします。この点は長官いかがでしょう。
  102. 三木武夫

    三木国務大臣 やはり下水道というものは、こういう公共事業全体を抑制されなければアクセントをつけたいということであったわけですが、これは全体が押えられたものですから、補助率を上げるということに重点が置かれたのですが、ことに瀬戸内海の環境保全の特別立法もあるわけですから、そういうふうに特に瀬戸内海には、そういう圧縮された公共事業の中においても力を入れていきたいと思います。
  103. 木下元二

    ○木下委員 そこで伺いたいのですが、環境庁水質保全局長の通達というのがありまして、これを私いただいたのでありますが、これの七ページを見ますとこう書いてあるのです。「関係府県に割り当てられたCOD負荷量の限度量を達成するための上乗せ排水基準の設定又は見直しをする場合におけるその基準値等は下水道の整備その他の施策の効果を勘案して決定されたい。」こうあるのですが、この意味が私にはよく理解しがたいのであります。どういうことでしょう。
  104. 森整治

    ○森(整)政府委員 これは下水道の処理の中に中小企業の工場の排水がございます。そういうことで、それとの関連で見直し等をはかるように、こういう趣旨であります。
  105. 木下元二

    ○木下委員 それとの関連で見直しをはかるというのはどういうことですか。ちょっと奥歯にもののはさまったみたいなことでよくわかりませんが、このいまの内容は、新法四条二項による上のせ排水基準の設定は、下水道の整備などの効果を見て決定されたいということなんですね。これは、この下水道の整備そのものが、さっきもこれはあなた方のほうもお認めになったように、特に四十九年度はあまり効果が期待できない、促進が期待できない、そういう状況なんです。その下水道の整備に足並みをそろえて上のせ排水基準の設定もやってもらいたい。結局足を引っぱられるようなことになるんじゃないかと思うのですよ。  上のせ排水基準をきめるにあたっては下水道のほう、これの整備の状況と見合った形で進めてもらいたい、こういう趣旨でしょう。そうだとすれば、下水道の整備そのものが、どうも四十九年度はそう進捗しそうにないということになってくると、それに足を引っぱられてしまう。むしろこの上のせ排水基準というものは、下水道の整備、これも非常に大事でありますが、それはそれとしておいて、上のせ排水基準そのものを進めていくべきだと思うのですよ。いかがです。     〔渡部(恒)委員長代理退席、委員長着席〕
  106. 森整治

    ○森(整)政府委員 下水道の整備ということにつきまして、御指摘の点につきましては、そのとおりでございますけれども、ただ、来年度全体の伸び率が非常に少ないということと、やはり三年後の状態というのは、おのずからこれは私ども違う問題だ、こういうふうに考えております。当面下水道に対する事業費が、ある意味では押えられたということはやむを得ない措置と思っておりますが、当然三年後には下水道の処理というものがこれに伴っていかないと、やはり瀬戸内海の環境保全ということは達成できないというふうに考えておりますので、その点につきましては来年度と三年後――再来年、その次の年ということと、おのずから事情は異ってくるものというふうにわれわれ理解をしております。
  107. 木下元二

    ○木下委員 いろいろ言われますが、ちょっと趣旨がわかりにくい点があるのですが、結局においてその上のせ排水基準の設定は、これは法律できめられておることでもあるし、非常に大事なことなんですね、瀬戸内海をきれいにしていく上において。これを、下水道などの整備の状況と関連はしておりますが、それはそれとしておいて、それに足を引っぱられるというようなことのないように、これを進めていく、こういうふうに承っていいわけですか。あるいはそうでなくて、いやもうそれは下水道がおくれるんだから、上のせ排水基準もそれに伴っておくれてもいたし方ない、こういうお考えですか。
  108. 森整治

    ○森(整)政府委員 工場排水につきまして特定施設につきましての上のせをきびしくしていくということは、この法律のたてまえでございます。ただ、下水道の処理というものは――下水道といいますか、家庭排水の処理というものは、この法律のワク外にございますから、あくまでも産業排水の規制そのものにつきましては、先生御指摘のとおり家庭排水が進もうと進むまいといかんにかかわらず、産業排水については、ともかくきびしい基準で規制をしてまいるという考え方に毛頭変わりはございません。
  109. 木下元二

    ○木下委員 下水道の整備のおくれによって足を引っぱられるおそれがないと明言されましたので、その問題は終わります。  次は、航空機の問題について、これも所信表明に関連して伺いたいのでありますが、その前に、実はきょう朝環境庁で、現に大阪空港をめぐって裁判をやっておる訴訟団が陳情にやってまいりまして、長官とお会いをし、お話をさせていただきました。この住民との話し合いの中で長官は、この大阪空港というものが問題のある空港である、これについて、判決がいよいよ出るというわけでありますが、判決が出た段階で、ひとつ大きなメスを入れて根本的に検討をいたしたい、こういうふうに言われたように私思うのです。その趣旨は、現在の大阪空港というものが公害対策上大きな欠陥を持っておる、このことをまずお認めになった上でのお話だというふうに理解をいたしました。この点は長官いかがでございましょう。
  110. 三木武夫

    三木国務大臣 それは、世界の中においても空港の周辺に、ああいう人口の稠密地帯を持っている空港というのは、例はないわけではないでしょうが、やはり条件としては悪い空港である。
  111. 木下元二

    ○木下委員 その判決が出た段階で根本的に検討をする、メスを入れるということは、これは判決そのものを争わない趣旨だというふうに私は理解をしたわけであります。そうでなくて、一方で出た判決に対して控訴して争いながら、メスを入れるというのもおかしな話なんでありまして、これは当然――これは政府自身がきめることで長官がおきめになることではないのでございますけれども長官としては、ひとつ空港のあり方について再検討をするということで、判決を争うというようなことはしたくない、こういうふうに私は理解したのでありますが、そう理解していいわけでございますか。
  112. 三木武夫

    三木国務大臣 どういう判決がおりるか、やはり今度の訴訟というものは非常に広範な問題を含んでおりますから、各省との間にも協議をしなければならぬわけであります。きょうも陳情団の方々から、それは非常に大きな陳情の目標であったようですけれども、私がその点に触れなかったのは、これは木下委員がごらんになっても、あの訴訟の内容というものは、いろいろな問題を含んでおるのですから、判決がおりれば十分政府として検討の必要があるということで、私の個人的見解をこの際述べることは適当でないと思ったから申し上げなかったのです。
  113. 木下元二

    ○木下委員 判決が出まして、判決に対して一体どうするかという問題は、これは運輸省もあることですし、郵政省もあることだし、政府としてそうした各省の意向もよく反映をしておきめになることだと思いますが、国民の健康に最もかかわりのある環境庁としては、いま言われますように国民の健康を維持していく上に大きな問題のある空港だ、判決が出た場合には、これはひとつその時点でそれを大きなチャンスとして空港のあり方、存在について検討を加える、こういうことでございましょう。  そうだとすれば――政府がどうするかということは、これはまた別の問題であります。環境庁としては、そういうふうに空港にメスを入れるわけでありますから、これはもう控訴なども環境庁としてはやらせたくないという、そういう前提でなければ長官の言われている趣旨が生きてこないわけですよ。一方でメスを入れると言いながら、一方で控訴して争うというのでは、これはメスを入れることになりませんので、メスを入れるということは、もうこれは判決をそれ以上争わないという前提でお話しになっていることだと私は理解をしておるのであります。
  114. 三木武夫

    三木国務大臣 あの陳情団と私とが会見をする場合に、木下委員もお立ち会いになっておりましたからおわかりでしょうが……(木下委員「私はあまり立ち会ってなかった」と呼ぶ)ああそうですか。  私は、きょう陳情に来られた人にも、そういう木下委員と同じような御要望がありましたので質問したのですよ。まだ判決が下ってないのですが、判決によったら、あなた方自身でもこれは控訴する場合があるのではないですかと言ったら、それはまあそうだ、こういう、そういう場合もあり得るというニュアンスの御返事があったので、まあ判決がおりない場合に患者の人――患者というか、きょうの訴訟原告になっておる人たちでしょうが、この人でも控訴するかしないかということは、なかなか明言できないというニュアンスの御返事があったわけで、それはもうすぐ一週間もすれば判決がおりるわけですから、その前に控訴するかしないかということは、これはやはり政府全体の考え方もございましょうから、私がここで言うことは適当でないと思うのですよ。個人的見解といったって、もう一週間もすれば判決が下るわけですから。  そういうことで、この点は私はきょうも申しませんでした。しかし、やはり騒音というものは、そのままにしておけないという感じを持っておりますから、それを一つの機会として伊丹空港というものには、ひとつ騒音対策というものにいままでよりももっと根本的なメスを入れたいという心境であるわけでございます。
  115. 木下元二

    ○木下委員 私がこういうふうに申しますのは、過去に例があるわけです。たとえば、あの富山のイタイイタイ病の判決がありました。一審のときは、まだ環境庁できてなかったのですが、二審判決が出ましたが、その直前に前の小山長官は、住民が陳情に来まして、そのときにこれは会社に上告をさせないように働きかける、このことを約束されました。そして現にこの三井金属に対しまして、上告をしないように小山長官から申し入れをしておるのであります。そして、その結果上告をせずに判決は確定いたしております。こういう例がある。  それからまた三木長官のときも、水俣の判決がありましたけれども、その直前に三木長官はチッソの社長にいろいろと働きかけをされておると思うのでありますが、これは新聞にも出たことでありますが、長官はこう言っておられるのです。判決を天の声として受けとめ、被害者の補償に努力すべきだ、そういう説得をチッソのほうにしてきた。チッソが控訴権の放棄をきめたことは当然だ、こういうふうに言明しておられるのであります。チッソは判決の出る前の日ですか、控訴権放棄をいたしました。このように長官自身が――前の小山長官のときもそうであるし、現三木長官自身がこの判決が出る前に、加害者、加害会社に対して説得をし、控訴をしないように、そういうことを強く説得をしておられる。そういう過去の例があるから、私は言っておるわけであります。  ただ過去の場合と今度の場合と違う点は一つ。その過去の場合というのは、加害者は国ではなくて民間の大資本である。それに対して環境庁の立場で勧告をされた――勧告といいますか、説得をされておる。今度の場合はどうかというと、加害者は国自身政府自身であります。加害者が政府の場合と民間会社の場合と、取り扱いが違っていいものでしょうか。これは私はいけないと思うのです。同じ加害者であります。特に、言うならば、政府が加害者ということは、これはもうあってはならないことであります。  申すまでもなく、政府というのは、国民の生命、健康を何よりも守るべき立場にあるのでありますから、それが加害者であってはならないのに、加害者の立場にある。その場合に環境庁としては、やはり独自の立場で、民間が加害者の場合と同じように、これに対して働きかけるということをやるべきだと思うのですよ。だから私は言っておるのであります。過去にやって、なぜ今度の場合やらないか、加害者が国だからか、このことをお尋ねしたいのです。
  116. 三木武夫

    三木国務大臣 イタイイタイ病の場合もやはり政府見解が前に出ておるし、水俣病の場合においても出ておるわけです。相手はやはり企業であるわけです。それで環境庁は、何もそういう公害問題に対してほかの役所と共管ということではないわけです。これはやはり環境庁の意見を述べるということに対して、公害の救済という面から見て、環境庁自身見解を述べるということは、何もほかの省との関連はないわけですが、今度は空港というものが入っているわけですからね。実際空港というものは運輸省がいろいろやっておるわけです。イタイイタイ病とか水俣病のときのように、環境庁自身見解というもので――相手はやはり加害者ということが明白である会社ですからね。今度の場合は、いま言ったようなほかの省との関連もありますから、この判決が一週間後に出る前に、そういう共管事項について環境庁見解を述べることは、かえって適当でないと私は思うのです。  しかし、私が言っておることは、何とかしてあの騒音というものは、いままでの対策はどうも不徹底であるということを考えておるわけですから、その対策については、裁判の判決もおりる一つの機会にメスを入れてやろう、こう思っておるのです。だから、いまあなたが言われるように、もう控訴しないんだ、そういうようなことを言えというようなことは、やはり――その場合はやろうと思っているのですからね、騒音対策というものを徹底して。そういうことはやはり各省との関連もありますから、私がいま申し上げることは適当でないと思います。
  117. 木下元二

    ○木下委員 もうあまり時間がありませんので、実は私、航空機問題で詳しく質問したかったのでありますが、それはまあ次回といたします。  いまの御答弁を聞いておりましても、私は釈然としないのです。釈然としませんけれども長官自身のお考えは、さっきから繰り返し言われたのですが、この判決を契機として、大阪空港のあり方について大きなメスを入れたい、こういうふうにずっと言われておるので、それは長官のお考えだと思うのですね。政府考えではなくて、長官自身のお考えだと思うのです。  その長官のお考え意味ですが、それはさっきから私も聞いて、お答えがなかったのですが、その意味は、判決をそのまま受けとめて、そうしてそれ以上これを争うということをしないということが前提になっているんではないか、そのお考えの中には。そうでなければ、さっきから言っているように、いや、これはやはり争うべきだと言って高裁に出して争って、争いながらメスを入れると言ったって、入れようがないのですから。メスを入れるという以上は、もうそのお考えの中には控訴をしないという考えが含まれておる、こう私は長官のお考えを理解しておるのですが、あるいはそれは政府がどうするか、これは別ですよ。別ですけれども、お考えとしては、そういうふうに理解してよいのかどうか、聞いておきます。
  118. 三木武夫

    三木国務大臣 いま繰り返して申し上げておりますように、この訴訟というものは非常に複雑な内容を伴っておるわけです。だから、水俣病とかイタイイタイ病に対してわれわれの述べる見解というよりも、対象は非常に複雑なものがあるわけですから、そういうことで、やはり各省との間に――判決がおりれば、私はいま言ったように騒音対策を徹底したいという趣旨ですからね。したがって、これをどうするかというときに対しても、私自身見解をそのときにはむろん述べるつもりですけれども、この段階で、一週間後に判決がおりようというときに、もう控訴しないのだとかするとかいうことを、各省に関連が非常に多いこの問題について、この委員会で述べることは、私は適当でないと思います。
  119. 木下元二

    ○木下委員 もう時間がありませんので、最後に申します。結局堂々めぐりになりますので、釈然としませんけれども、時間の関係もありますので、やめたいと思います。  所信表明によりますと、環境問題の重要性を唱えて、これがいまや最大の政治課題の一つだと強調しておられるのです。そして「私は、われわれに課せられた至上の命題であるこの環境行政の前進のため、引き続き全力を傾注する覚悟であります」と、覚悟のほどを述べておられるのですね。そしてその上で、この重点が置かれるべき事項、問題点について述べていられるわけです。  その重点事項として述べられている中に、航空機騒音の問題というものが落ちておるのです。これはもう環境行政の前進がはかられるべき重大な環境問題であると思いますが、特にこれについては所信表明の中で触れられておりません。触れられておりませんけれども、この問題について、これは環境庁、特に長官として、公害規制強化を積極的かつ強力に推し進める趣旨だ、こういうふうに私は当然理解しておるのですが、この理解に間違いがあるかどうか、さらに私の理解を強めるような答弁をいただきたいと思います。
  120. 三木武夫

    三木国務大臣 環境保全という中で、騒音問題というのは大きな問題である。自分の生活環境というものに対して静けさを求めるということは、やはり非常に強い国民的な要望としてあらわれてきておる。単に航空機ばかりでもないですね。新幹線の問題だって、名古屋にああいう問題もあるし、高速道路もある。(「橋の問題もある」と呼ぶ者あり)橋はまだかかっておりませんから、これからの問題ですけれども、いろいろとこれは、いまやはり国民の中で、環境問題の中で大きなウエートを占めてきておると思います、騒音問題というのは。当然に、環境問題の前進をはかるという中には騒音ということも非常に大きなウエートを占めておる、こう御理解をいただいてけっこうでございます。
  121. 木下元二

    ○木下委員 時間が来ましたので、また航空機騒音の問題については、あらためて質問することにしまして、きょうは終わりたいと思います。
  122. 角屋堅次郎

    角屋委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時散会