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1974-04-04 第72回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年四月四日(木曜日)     午前十時五分開議  出席委員    委員長代理 理事 井上  泉君   理事 小此木彦三郎君 理事 大竹 太郎君    理事 斉藤滋与史君 理事 野中 英二君    理事 野坂 浩賢君       片岡 清一君    唐沢俊二郎君       左藤  恵君    太田 一夫君       久保 三郎君    紺野与次郎君       沖本 泰幸君    渡辺 武三君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房交通安全対策         室長      秋山  進君  委員外出席者         警察庁交通局交         通指導課長   森  郷巳君         通商産業省機械         情報産業局自動         車課長     中村 泰男君         運輸省自動車局         業務部長    真島  健君         運輸省自動車局         整備部車両課長 宇野 則義君         参  考  人         (日本自動車運         転士労働組合中         央副執行委員         長)      浜本 徳夫君         参  考  人         (東京鉄鋼埠頭         株式会社代表取         締役社長)   福田桂次郎君         参  考  人         (神奈川大学工         学部助教授)  堀野 定雄君         参  考  人         (大型貨物自動         車過積載防止装         置研究委員会委         員長)     鶴海二郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  交通安全対策に関する件(貨物自動車の過積載  等による事故防止対策に関する問題)      ————◇—————
  2. 井上泉

    井上(泉)委員長代理 これより会議を開きます。  本日は、委員長が所用のため出席できませんので、指名により私が委員長の職務を行ないます。  交通安全対策に関する件について調査を進めます。  本日は、貨物自動車の過積載等による事故防止対策に関する問題について、参考人として日本自動車運転士労働組合中央執行委員長浜本徳夫君、東京鉄鋼埠頭株式会社代表取締役社長福田桂次郎君、神奈川大学工学部助教授堀野定雄君、大型貨物自動車過積載防止装置研究委員会委員長鶴海二郎君に御出席をいただいております。  各参考人には、御多忙中のところ御出席いただきまして、厚く御礼申し上げます。  わが国の道路交通事故は、各種の交通安全対策国民交通安全意識の向上によって、数年来減少を続けておりますが、最近の道路交通過密化自動車による貨物輸送量の増大に伴い、特に大型貨物自動車の過積載等によって発生する事故は、ややもすれば事故を大きくし、悲惨なものとなる場合が多く、社会的関心も高まっております現状から、本委員会といたしましても、これらの諸問題の解決のために調査を進めておりますが、本日は、それぞれの立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。  御意見開陳は、浜本徳夫君、福田桂次郎君、堀野定雄君、鶴海二郎君の順で、お一人約十分程度でお願いをいたします。  それでは浜本徳夫君。
  3. 浜本徳夫

    浜本参考人 ただいま御紹介いただきました浜本でございます。  私は、交通事故交通公害に関する対策といえば必ずといっていいくらい大型トラックがその対象の筆頭になるわけでありまして、過日昨年の十月二十七日、全交運貨物共闘及び交通事故をなくす会の主催によりますブレーキ調査、いわゆる過積載によるブレーキ調査を直接担当いたしました関係上、御意見開陳したいと思います。  大体トラック運転手は、すべて車を運転する者は、快適な運転をしたいということで免許をとり、運転手になっていくわけであります。そうしてそれを生活の手段にしておるのが実態でありまして、過積みをいたしますと運転そのものが非常に労働過重になるわけでございます。と申しますのは、加速する場合も非常に労力が必要になってくるわけです。したがって、操作もふえます。そういうようなことで、運転者としては過積みは絶対したくない、少なくとも快適に運転をしたいというのがほんとうの気持ちでございますが、しかし、過積みは絶対に業務命令として行なわれておる。過積みをしなければ——過積みをしなければというか、すでに積まれてあるトラック運行しなければ、しかもそれを安全に走行するわけでありますが、しなければ、結局その職場におれないという環境の中にあります。したがって、そこに過積み運行が行なわれていくわけでありますが、しかし自動車ブレーキというのは、物理的には荷重関係ブレーキ距離が伸びるというようなことは理論的にはないというような説もございますけれども、実際に実験をやりました結果は、先生方の目の前に黄色い報告書がございますので、御参考にしていただきたいと思いますが、どのようなブレーキ装置をつけましても、自動車のスピードと過積みの量によってはブレーキは絶対に延長されるという事実が実験の結果出てきたわけであります。  それは三九ページ後の記録をごらんになれば事実関係が載っているわけでありまして、重量制動効果関係についてちょっと述べますと、車輪のタイヤ路面摩擦係数、最近は粘着係数ともいっておりますが、これは良好なタイヤが乾燥したアスファルト路面に接した最良の場合でも〇コンマ以上ということはあり得ないのでありまして、制動力について当てはめてみますと、制動力タイヤに加わる下向き荷重の一・〇以上に大きくなることは、これもあり得ないわけであります。一般的にはタイヤ路面粘着比率は〇、八といわれておるのでありまして、これが大体制動効果の算出の基準になっております。したがって、走行中の自動車減速作用は常に制動力とその力が作用する車両重量比率とつり合うから、またその比率粘着係数をこえることはあり得ないというような理由で、車両重量にかかわらず同じ制動効果があると理論づけた根拠がありますが、しかし、実際にわれわれ職業運転手は、道路上においては実用ブレーキと申しまして、いわゆる実用ブレーキというのは、荷物をこわさないで安全に車を制止するという動作を実用ブレーキと呼んでおりますが、そういう関係がありまして、どうしても積み荷に対して神経を使う関係があります。物を安全に運ぶということが主でありますから、急ブレーキはなかなかかけられないということで、実用ブレーキを使う。そういう関係制動距離はどうしても延びるんだ。しかもこれは、運転者ばかりじゃなくて、取り締まる警察官その他一般国民の常識化しておる、むしろ神格化しておるというような状態にある。しかし、そんなことはないという説もあるのでありますが、実際に公開実験をやりましたら、実用ブレーキにおいては、ひどいのは四倍ぐらい、まるで列車がとまるような状態でなければとめられないというような実態があるわけです。そういうようなことで、過積み業務命令によって行なわれているところに問題がある。しかもそれに対しては、両罰規定というものが現在実施されておりますが、実際にはその摘発件数は非常に少ないということを指摘したいと思います。  さらに、自動車はやはり安全に走行するということが目的であります。しかし、自動車そのものは絶対安全だという乗りものではありません。これは路面タイヤとの摩擦係数で走行しているわけでありますから、常に危険を伴っている。その点軌道に乗っている列車その他とは違うのでありまして、同じ定期便であっても、同じコースを定期便が千回通っても、その状態は天候その他また道路状態障害物状態が常に異なっているわけでありまして、その点が非常に大きな開きがあるわけでありますから、運転者が常にそこに神経を使う。ましてや過積みをしておりますと、操作が多くなりまして、非常に疲れる。さらにブレーキを踏むということについては、非常な神経を使うわけですね。そういうことで、常に肉体的にも精神的にも大きな疲労感を持つから、これがまた事故につながるということになりますので、過積みは絶対にさせてはならぬということです。  それと、もう一つ申し上げたいのは、当局取り締まりにつきましても、本日、先ほど御案内を聞きますと、鉄鋼埠頭の方がお見えになっておるようでありますが、取り締まり方法においても非常に政治配慮が多過ぎる。たとえばオリンピックの当時は、砂にしろ砂利にしろ、そういうものは優先的に通しておる。過積みがあっても見て見ないふりをしておる。現在、生鮮食料についてはどんな過積みがあっても、警察官はこれを決して取り締まろうとはしない。そういう基本姿勢にも問題があろうかと思います。  さらに摘発の場合においても、東京鉄鋼埠頭だけをやってもだめでございまして、市川の京葉埠頭とかあるいは十号地生金とか、そういうようなところを実際一気にやらなければ、他に誘導するだけであって、決して根拠を押えるようなことはできない。そういう取り締まり当局方法論、そういうことについても私は考えていただきたい、こういうふうに思います。  いずれにいたしましても、私が申し上げたいことは、過積み運転は非常に過労に通ずるということであります。しかし、どうしても大量にものを運ばなければならない。でなければ利益にならない。ましてや現在二万六千といわれるくらいに運輸業者があるわけでありますから、どうしても過当競争になるわけです。だから、実際には運賃というものは規定運賃よりも下回っておるわけです。そうなると、どうしても積載量を多くしてこれを補わなければならぬ。また運転者にしても、会社がぶっ倒れるようじゃ困るから、どうしても命令があれば載せていくというような因果関係にあります。そういうことで、現在表面上の契約はいろいろありますでしょうが、実際にはトン数契約というものが根底にある以上は、過積みはどうしてもなかなかやめられない。運賃が上がれば上がるほどやりたくなる、こういう因果関係にあります。  そういうことでございまして、車両構造上、たとえばミキサーあたりにおきましては、ドラムの容量を、トン数よりも容積で規制をするという方法もあろうかと思います。さらに積み荷の際に、過積みをすれば警報のランプがつく装置が現在あるわけでありますが、そんな装置も今後つけてもらいたいと思うのですが、ダンプのような構造のものならつけやすいのですが、一般のスタンダードの車にはなかなかつけにくいという技術的問題があろうかと思います。したがって、構造ダンプの場合なんか現在サイドわくをはずすことによって相当な効果があがっておるということで、取り締まり当局においてもそういう点で車種あるいは特殊車両において規制を今後強めていただきたいと思います。  最後に、私が申し上げたいのは、くどいようでございますが、とにかく過積みをすれば運転者運転そのもので非常に過労になる。したがって、これが事故につながっておるということをここに強調して、私の意見を終わりたい、このように思います。  そのほかにつきましては、黄色い本を通じて、質疑その他を通じて、明確な回答をしていきたい、このように思っています。
  4. 井上泉

    井上(泉)委員長代理 次に、福田桂次郎君。
  5. 福田桂次郎

    福田参考人 ただいま御紹介にあずかりました東京鉄鋼埠頭株式会社社長福田でございます。  先般、全日本交通運輸労組協議会は、豊洲、東雲、十号埋立地において、鉄鋼積載トラックの過積み実態調査され、その際、私ども会社に出入するトラックにも、相当過積みしているということが指摘されました。このことは、去る三月二十六日、都議会の予算特別委員会においても問題となった次第でございまして、まことに遺憾に存ずる次第でございます。弊社といたしましては、このことを深く反省するとともに、各運送業者協力を得て、今後こうしたことのないよう、万全の措置を講じている次第でございます。  初めに、弊社概要を簡単に御説明申し上げたいと存じます。  弊社は、東京港の港湾荷役合理化の一環として、重要資源のうち、鉄鋼専用埠頭設置目的で、去る三十二年に設立され、今日に及んでいる会社でございます。現在、資本金は十七億でございまして、主たる株主は東京都、新日鉄その他鉄鋼メーカー船会社鉄鋼問屋東京港における港湾運送事業者等でございます。  営業種目港湾運送事業倉庫業自動車運送取り扱い業でございまして、扱い品目鉄鋼及び鉄鋼二次製品その他となっております。  弊社は、創業当時は近代的鉄鋼専門埠頭として独自の存在でございましたが、現在では東京、川崎、横浜、京葉の各港にはりっぱな施設を保有し、同種の業務を行なう者がたくさんできております。したがいまして、弊社も激しい競争場裏に立たされておるのでございます。  さて、次に作業実績でございますが、四十八年度の実績入庫八十八万トン、出庫八十七万トン、月末保管残高約七万トンでございまして、月間出庫約十五万トンでございます。なお、入庫の内訳は、本船六十三万トン、はしけ十六万トン、自動車九万トン、出庫は逆に自動車によるもの八十四万五千トン、はしけ二万トン、本船五千トンでございます。  次に、トラック運送概要を申し上げたいと存じます。  弊社事業開始昭和三十四年でございまして、開業当初、弊社といたしましては自営でトラック輸送も経営したいと希望したのでございますけれども、当時、当地区のトラック業者より、鉄鋼埠頭トラック輸送はぜひわれわれにまかせてほしいという強い要望がございましたので、各専門業者にお願いすることとし、弊社自動車運送取り扱い業だけにとどめることになったわけでございます。  なお、先ほど申し上げました作業実績出庫の中で、自動車によるもの八十四万五千トンのうち、弊社メーカーあるいは荷主の依頼による輸送をお引き受けしている数量は約六〇%でございまして、残りの四〇%は荷主が御自身責任においてお引き取りに来られているわけでございます。  以上のように、弊社荷主各位輸送の取り次ぎをいたしておるわけで、弊社自身青ナンバー営業車は保有いたしておりません。したがいまして、実際の運送業は、現在、山岡運送ほか十五社と個別契約をいたし、それぞれ輸送をお願い申し上げているわけでございます。  次に、運送料金に触れさせていただきます。  御承知のとおり、トラック運送料金認可料金でございまして、去る四十年三月改定以後六年間据え置かれ、四十六年六月再び改定され、以後すでに三カ年経過いたし、昨今の異常な物価高騰にもかかわらず改定が行なわれておりません。  次に、料金の建て方でございますけれども、四十六年改定の際、従来の重量別運賃から距離別車扱い運賃に大きく改められました。しかるに鉄鋼におきましては、従来の慣習を継承し、今日もトン建て運賃荷主及びトラック業者に採用されている実情でございます。東京トラック協会鉄鋼部会では、車建て運賃表から換算いたしましてトン建て自主料金というものを設定いたしております。このトン建て運賃制を採用していることが過積み一つ要因となっていることはいなめないのでございますけれども、それは後刻触れさせていただきます。  次に、運行能率悪化という点についてお話いたしたいと存じます。  御承知のとおり、最近の東京都の道路交通事情は、ますますその混雑さを加え、交通戦争とさえいわれている実情でございまして、御当局におかれましても、車種別交通規制等、種々交通規制を実施されておりますが、実情はなかなか理想どおりにはなっておりません。この交通事情悪化トラック運行回転率の低下を助長し、数年前は一日の平均回転率二回以上であったものが、最近では一・三回がやっとという実情でございます。  なお、夜間運行が問題となっておりますけれども道路交通法により長尺濶大品は昼間運送を禁止され、夜間、午後十時以降だけしか運行できないため、やむを得ず夜間運行を行なっているわけでございます。特に鉄鋼についてはその率が高いわけでございます。  次に、受け荷主の問題がございます。最近は週休二日制が浸透し、日曜はもちろん、土曜日もほとんど仕事にならなくなってきている実情でございまして、月間稼働日数は最近では平均二十二日となっております。  さて、最後に過積みの原因についていききか私見を述べさせていただきたいと存じます。  過積み防止につきましては、昨年四月以来、本交通安全対策特別委員会におかれましては、各界の代表者参考人として招かれ、過積みを未然に防止するための基本対策について深く掘り下げて御検討いただいておることを拝承いたしております。  ところで、過積み防止の実効があまりあがっておらない理由はいろいろございましょうが、私は、必要なとき必要な車両数運転手が確保できないこと並びに運賃のきめ方にも大きな要因があるのではないかと考えます。鉄鋼輸送トラック業界の方のお話ですと、十一トン半の車では、原価プラス利潤を考えますと、どうしても月間一台当たり七十五万円、一日にしますと三万数千円前後の水揚げが必要であるということが常識だそうでございます。しかるに、認可料金は十二トン車十キロ一回で五千四百十円でございます。これでは、一日三回転いたしましても一万六千円にしかなりません。六十キロでは一回一万二千九百円でございまして、現状ではこの距離では一回がせいぜいでございます。トン建ての場合も単価はほとんど変わらないわけですから、制限重量内で運行されれば水揚げ金額も大同小異ということになります。したがって、トラック業者並びに運転手はやむを得ず過積みをせざるを得ないという実情だということでございます。  しからば、こうした責任はいずれにありやとなるとまことにむずかしい問題でございまして、荷主からすれば、トラック料金認可料金である以上、それによらざるを得ないわけでございます。荷主認可料金をはるかに下回り業者をしぼっているとすれば問題ですが、現在私どもにおきましては認可料金を下回って業者契約しているわけではございません。料金改定業者の問題であり、業者原価計算に基づき、荷主の了解のもとに申請が出されれば、御当局検討審査の上、改定していただけることと存じますけれども、ただ、現在は政府の方針として公共料金の抑制という問題がおありかと存じます。トラック業者は御承知のとおり、その六、七〇%が弱少零細企業であるため、なかなか組織立った料金改定の運動が軌道に乗らないというのが実情ではないかと考えます。  いずれにしましても、ここ数年の物価上昇率、特に昨年の石油問題以来、諸物価高騰トラック運送業界は特に受けている実情でございまして、過積み防止一つ対策として、業者制限荷重内で適正利潤をあげられる料金設定に一日も早く踏み切ることが必要であると考える次第でございます。  冒頭に申し上げましたとおり、最近はメーカーその他から、弊社輸送委託されましたものについては、契約しているトラック業者協力を得て、定量輸送を励行いたしております。ただ、弊社は、主たる業務倉庫業という、いわゆるサービス業でございます。責任を転嫁する考えは毛頭ございませんが、お得意さまが引き取りにこられた場合、過積みをお断わりすることがどの程度まで納得していただけるか、今後も荷主並びに業者と話し合っていきたいと考えております。  時間がだいぶ経過いたしましたので、はなはだ簡単でございますけれども私の意見開陳を終わらしていただきます。
  6. 井上泉

    井上(泉)委員長代理 次に、堀野定雄君。
  7. 堀野定雄

    堀野参考人 ただいま御紹介いただきました堀野定雄でございます。  皆さまのお手元にあると思いますが、この緑の本を中心にして私は話を進めさせていただきます。きょうは過積みの問題でございますけれども、非常に関連の深い疲労問題に重点を置きまして私のほうはお話をきせていただきます。  全交運から労働科学研究所委託がございまして、その委託研究として学際的な共同研究として行なわれましたその研究成果が、この緑の本に報告の形として出てまいったわけでございます。学際的と申しますのは、社会科学労働法専門でございます労研野沢浩先生自然科学人間工学をやっております私と共同研究ということで進めてまいったわけでありまして、トラック労働の肉体的、精神的負担の様態及びトラック労働を具体的に規定している社会経済的諸条件を、労働力労働過程労働力再生産の有機的関連のもとで把握し、負担の軽減に必要な労働生活の諸条件を研究する、そういった観点から調査研究を進めてまいりました。  そこで、私たちが持ちました目的は、最近の高速道路、深夜長距離運転労働疲労実態把握、それからトラック労働者全体の一般的な疲労実態把握すること、及び過労におちいらないで安全運転が確保できるための適正な運転時間制度の確立に資すること、そういったことを目的として具体的にやったわけであります。  そうしましてとりました方法は、大きく分けまして添乗調査アンケート調査でありました。  添乗調査は、現行の営業ダイヤに沿いまして実際にわれわれ調査員助手席に添乗いたしまして、長時間の深夜運転東名高速東京から名古屋あるいは大阪を往復しておりますそういった路線トラックに実際に添乗いたしまして、昨年の十一月十六日から十二月九日にかけて行なわれました二十一便、それに関係いたしましたトラック運転者二十七名の具体的な各種人間工学的及び労働科学的な調査項目を設けまして、運転者生体心身反応連続測定及び車内環境測定などを行ないました。  またアンケート調査では、二千名を対象にいたしまして、回収率六二・三%を示すこの種調査ではかなりいい成績をおさめたわけであります。  そのほかに、約三十名の運転手の方に生活時間調査を実施いたしまして、休日を含む一週間の生活時間の刻明記録をいただきました。  私たち疲労を考えます場合に、基本的には、生体が有機的な存在体であるということから単一要因で判断することは問題の把握をするには不十分であると考えておりまして、生体の持つ多面的な生体原則を優先する発想で問題に当たっていっております。  きて、結果でありますけれども、まず労働環境が非常に劣悪であるということが言えます。  一つ申しますと、この緑の本の三七ページ以降の図三つにございますが、車内騒音が非常に高い。常時九十ないし百ホンの騒音レベルにありまして、これはちょうどガード下の電車が通過するあの音と同じであります。また高速道路に入りますと、市街地よりは下五ホン以上の騒音レベルの増加がございました。あるいは永久聴力損失の許容基準すれすれの高周波成分がございまして、車内におきます会話妨害度をはかりますと、とても普通の状態では話ができないような高い騒音レベルでありまして、トラック沿線道路住民車外騒音をまき散らすということで加害者でもありますが、自分も被害者である、こういった状態がわかりました。  またさらに、冬の期間でございましたので温熱状況をはかったわけでありますが、温熱傾斜が非常に高い、大きい、そういったことがわかりました。具体的に申しますと、運転者の頭のレベルとそれからすわっております足のレベル温熱条件をはかったわけでありますが、頭部におきましては二十三・八度を中心にいたしまして約二十八度ぐらいまで、それに対しまして足のほうでは二十五・七が平均値でありましてその範囲が約二十・六度から三十三・三度とつまり下のほうが暑いわけであります。それは四四ページの図6及び図5にございます。そしてそれらをまとめましたのが四六ページの図8であります。それで見ていただくとわかりますが、温度に関しましては、車内下部のほうが高くて上にいくほど少し低くなっている。そして外気温はもっと低い。それに対しまして湿度をはかりますと、座席が最近合成樹脂を使っております関係上、非常に汗ばむほどの高湿度である。それに対しまして車内上部のほうがやや湿度が高く、下部にいきますと湿度が低い、約二〇%台のものがございます。つまりこれは高温、低湿の環境条件であります。あのような狭い車内空間でそういった騒音、温熱条件環境がございまして、これは眠気を誘う要因として重視すべきであるし、また最近のトラックがキャブオーバー型になっております関係上、エンジンの余熱、つまり高速運転におきますエンジンの余熱で、ヒーターを入れなくてもそういった条件があります。さらにヒーターを入れますと三十度をこすような状況が実際にございました。四五ページの図を見ていただきますとわかりますが、ほとんどの状態で快適域をはずれている、そういった状態がつかめたわけであります。  対策といたしましては、騒音の発生源の解析を進めていくこと、また車内温熱の分布を均一化するような換気方法を考えること、そういったことが必要だろうと考えております。またエンジンケースの断熱化といったことも検討に値するのではないかと考えております。  さらに車外環境ということで、実際に高速道路を走っております場合の車線変更を逐一観察しましてカウントしたわけでありますが、車線を乗り移ることによって一とカウントいたしますと、平均いたしまして一・九四分に一回あるいは距離にいたしますと二・三七キロに一回の割合で車線変更を行なっております。これは各社ともかなり条件のいい会社でありまして、安全速度を各社できめておりまして、それを越えないような形で走っております。つまり普通の状態で走っておりまして、これぐらいの頻度で車線変更をしなければならない。これは逆にいいますと、他車からもそのような頻度で追い越しをされているというわけであります。したがって精神負担がかなり高まっている。決して無理な追い越しではないわけですけれども、こういった頻度である。したがって、ハンドル、ウインカー、加減速の操作及びバックミラーによる後方注視あるいは前方注視、そういった作業がたいへんひんぱんにあるということを示しております。もし、居眠りあるいは対向車の光の幻惑によりましてちょっとした誤判断がありますと、かなり重大な事故が起こると思われますような状況がございました。  それから労働時間に関しまして見たわけでありますけれども、数年前の調査報告などと比較いたしますと、非常に悪化しているということがいえます。  まず、中継、折り返し点におきまして、最近のワンマン運行は中継乗り継ぎ制をとっておりますが、仮眠休憩を省略する、あるいは途中の休憩時間を省略するといったようなことが常態化しております。それから、自宅睡眠時間が非常に減少しているといった事態がございます。具体的なデータを申しますと四九ページ、五〇ページに、私たちが実際に添乗いたしまして時間研究を行なったわけでありますが、それの結果を一覧にしてございます。そして五二ページに時間の具体的な数値を表にさせていただきましたが、それを見ますと、ワンマン運行とツーマン運行で比較いたしますと、実ハンドル時間、すなわち実際に基地を出ましてから次の基地に着くまでの間に乗っかって実際にハンドルを握った時間を比較いたしますと、ワンマンの場合には八時間五十分、ツーマンの場合には四時間四十二分、これは平均でありますが、ワンマンはツーマンの一・八八倍になっております。また拘束時間は、ワンマンが十一時間四十七分、ツーマンが十時間三十三分で、ワンマンはツーマンの一・一二倍。拘束時間でハンドル時間を割りました実ハンドル時間率というようなものを計算いたしますと、ワンマンが七五・三%、ツーマンが四四・八%、すなわちワンマンはツーマンの一・六八倍、こういった数値が得られております。  それから休憩から休憩までのハンドル時間、すなわち一連続ハンドル時間を見ますと、ワンマンの場合には三十分から二時間近くに分布しておりますが、ツーマンの場合には一時間以内から六時間近くまで分布したのがございまして、ツーマンにおきましては一連続ハンドル時間が長いといったことが印象づけられます。  それから休憩回数は、ワンマンのほうがツーマンよりは多いということもわかりました。  先ほど睡眠時間のことを申しましたが、生活時間調査を行ないまして得られました結果、労働日におきましては何と三・七時間、これは平均であります。路線トレーラーを含めます路線トラック運転手さんの平均でありますが、被験者は六名でございましたけれども、実際に報告くださった数が少なかったのですが、平均しまして三・七時間。そして休日になりますと、それが十時間になっております。すなわち、休日に睡眠をとりだめることによって補っている。そういった実態がございまして、他産業、たとえば電機産業などと比較いたしましてトラック運転手の睡眠時間が非常にゆがんでいるといったことがわかりました。  それから、そういったことが背景にありまして、アンケート調査で、眠けに危険感はないかといったことを聞きましたら、たまにあると答えたのが七三・六%、しばしばあると答えたのが七・九%、危険感を経験している人の数は計八一・五%に及んでおります。  それから、ワンマン運行がだんだん普及化しておりますが、前回、全交運が独自に調査されましたデータを見ましても五一%ないし七四・七%という数値がありますが、私どもアンケート調査でも五〇%近い四五・七%のワンマン化といったデータが得られております。これは高速道路を拡張したりあるいは貨物輸送が長距離化するとともにこの傾向が大きくなっているように伺っておりますが、今後大きな問題になってくると考えております。  それから、この調査では一つ中心課題でありました一連続ハンドル時間及び休憩に関してデータを紹介きせていただきますと、休憩をすれば非常に効果があるといったことが、私たちが行ないましたフリッカー値テスト及びデュアルタスク法、それから疲労自覚症状、疲労部位調査等によりまして裏づけられました。ところが一連続ハンドル時間を長くさせる要因がたくさんございまして、列挙いたしますと、最近の大都市交通の規制が自家用車本位に行なわれていることが原因になりまして、トラック輸送が深夜に集中する。それから通行時間帯が規制されるために、どうしてもきびしい時間範囲内で仕事をしなくてはならないといったことから、どうしても休憩をカットする方向にいく。それから東名高速道路のサービスエリアが非常に狭いためにほとんど満車状態でございまして、せっかく休憩しようとして入ってまいりましても満車でありましてとまれない、そういった状況が非常にございました。それから荷主の都合などもございます。それから一連続ハンドル時間は、アンケート調査を見ましても二時間と答えた方が約三三%、それからデュアルタスク法で見ましたところ、一・五時間から二時間くらいが適切ではなかろうか、これはまだ断定はできません。デュアルタスク法というのがまだわが国でもあまり応用されておらない方法でございますので、もう少し解析をする必要がありますが、一時間半から二時間くらいで走行中の運転手の反応時間が優位性を持って延びるというデータが得られております。それは八二ページの図の29でございますが、三十分刻みで区切って行ないましたところ、九十分から百二十分にかけまして、他の時間帯よりは顕著な反応時間のおくれが見られたわけであります。これを一つ根拠にいたしまして、一時間半から二時間くらいが一つの注目してよろしい時間であろう。さらにそれを裏づけてくれますような資料といたしましては、産業衛生学会で、健康障害のおそれある業務労働時間規制に関する意見書というようなものを出しましたが、そこでも、やはり休憩なしで四時間をこえる作業を禁止し、かつ作業の一時的中断が労働者個々人において不可能ないし困難となる連続作業については、この上限時間を二時間とし、ともに所要休憩時間を定めるべきである、こういった意見書がことしの二月に出されております。そういったことからも、二時間という線が一つの注目すべき時間帯であろうと私たちは考えております。  それから、時間がございませんので先を急がせていただきますが、高速道路は非常に単調な監視作業の側面があるといったことが、クラッチ操作頻度の測定からわかりました。たとえば市街地では〇・二六分に一回、すなわち約十五秒に一回の割りでクラッチの操作をしておりますが、それが高速道路に入りますと一・九八分に一回、ざっと二分に一回の割りである。頻度が約一けた落ちるわけであります。つまりそれだけ監視作業的な、非常に操作する内容が変わってくる。そして視覚的には夜間でありますので、目に対しましては等質性がありまして、刺激の稀薄さがある、そういったことから単調な監視作業的な側面があります。  そこで、心拍数を連続してはかったわけですが一明け方の四時から五時ごろにかけまして、被験者の安静値よりは低いような値が得られております。これは生体側ではその時間帯は眠りについてもよろしい、そういうかまえになっている状態である、そういったことがうかがえるわけでありますが、そういった状況でも注意しながら走っていかなくてはならない。もしそこで何か突発的なことが起こればかなり重大な事故につながるであろうということがうかがわれるようなデータが得られております。  それから、主観的な疲労感を見たわけでありますが、肩がこる、目が疲れるといった訴えが非常に高い。それから腰痛と関連いたしまして、腰、肩あたりにいろいろな身体違和感の訴えが得られております。  さらに驚きましたことは、アンケートでわかったのですが、健康障害であります。これはまだ断定できませんが、歯に変調を来たす人が全体の三二・五%ございます。特に経験年数がふえるとともにこれは着実な増加を見せております。それから腰痛ですが、四七%くらいの人が出ておりまして、重大な問題であると考えております。すなわち災害性ではなくて職業性の腰痛であろうということであります。  さらに安全に関連いたしまして、ニアミスの体験を運転手の方から聞いたわけでありますが、全体の二〇%以上の訴えがあった項目、それはこのテキストの一番最後のところでございますが、付表の最後のニアミスの経験というところで見ていただければわかりますが、全部で十一項目上がってきたわけでありますが、そのうち分析いたしますと、ぼやっとしていたとか、他車に気をとられていて追突したりあるいは衝突しそうになった、そういった内在的要因、すなわちこれは全く本人の責任であると考えられるようなものが二項目でありまして、あとは前車のほろに隠されていたとか、信号の位置が見えなかったとか、あるいは過積みのために制御判断を誤っただとか、あるいは人、車が急に飛び出した、あるいは雨でスリップしたといったような外在要因と考えられるものが多うございました。  以上で結果の報告を終わらしていただきますが、労働条件労働環境条件道路施設及び交通行政、つまり交通規制等におきますところの交通行政などが相互に有機的に関連いたしまして、運転をあずかっている一人の人間の生体にいろいろな影響を及ぼしている、こういったことがわかりましたので、これは生体原則の発想に基づいてこういった問題を考えていかなければならないと考えております。  これは過積みをした状態でないデータでございますが、もし過積みをしておればもっと重大なことが出てくるだろう、そういったことをうかがわせたデータでございました。  時間が超過いたしまして失礼いたしました。
  8. 井上泉

    井上(泉)委員長代理 次に、鶴海二郎君。
  9. 鶴海準二郎

    鶴海参考人 ただいま御紹介いただきました大型貨物自動車積載防止装置研究委員会委員長をやっております鶴海でございます。  この委員会といいますものは、四十六年の五月二十一日に、この衆議院の交通安全対策特別委員会で、四党決議案といたしまして「過積載防止するため、すべての大型自動車積載重量の自重計の取付けをすすめること。」という決議がございました。それに基づきまして、関係の省庁のほうからの御指示もございまして、一応この委員会が発足いたしたわけでございます。  それで、この委員会は、官民合同というかっこうで運営されておりまして、官民のそれぞれの専門家、そういった方々に委員になっていただきまして、それによってこの研究委員会が運営されております。  それで、四十六年の七月三十日に第一回の委員会を行ないまして以来、今日まで七回の委員会とそれから二十九回の幹事会を開きまして、これの研究を進めてまいったわけでございます。現在までいろいろ研究してきました結果をこれからかいつまんで御報告したいと思いますが、自動車に、ある装置を取りつけて積載量測定するとか、そういったようなごとによって現在警察で取り締まりを行なっておられます台ばかり、そういったようなものと同等の精度のものができるかどうかというような問題につきまして検討いたしました結果では、残念ながらきょう現在では、その計器によってすぐ即時にそれが罰金につながるといいますか、そういった精度のものはとうてい得られないということになっております。  この委員会の構成といたしましては、運輸省、通産省、それから工業技術院の計量研究所、それからユーザーの代表といたしまして日通の方、それから車体工業会、それから自動車工業会の大型四社並びに五トン以上をつくっておるという関係上トヨタ、日産それぞれのところから委員のメンバーを出しております。そのほか研究の進むに従いまして必要になったつど、それぞれのメーカーの、これは計器メーカーだとか、あるいはバネのメーカーだとか、そういったような専門メーカーの方にも委員に入っていただきまして、今日までいろいろ研究をいたしてきたわけでございます。  この委員会が始まりましたときに、各委員の方からいろいろな御意見が出まして、どういうふうに進めるべきかというようなことでいろいろ討議いたしてきたわけでございますが、その前に、四十二年にいわゆるダンプ規制法が実施されておりまして、そのときにダンプに自重計取りつけの義務ができまして取りつけられたということは、皆さま御存じのとおりでございますが、そのダンプの自重計が必ずしも十分効果を、所期の目的を達していないじゃないかということで、まずそのダンプの自重計の実態調査、現実にはどういう状態にあるかというようなこともいろいろ当初調べてみました。そのほか、この委員会といたしましても、ダンプの自重計のいろいろなテストもやってみたわけでございます。  そういったようなことで調べてみますと、必ずしも精度としては技術基準できめられておりますプラス二五%、マイナス一五%、これは八〇%積載から一五〇%積載の間においての要求精度でございますが、その中には十分入っておる。大体、特殊な例はございますが、調べた範囲ではプラマイ一〇%ぐらいに入っておったというのが実情だったと思います。これは特に、いろいろ方式がございますが、ダンプの油圧を取り出した場合の計器に基づいた調査でございます。  そういったことからわれわれといたしましては、じゃ、どうこの問題にアプローチしていくかということで、自動車積載荷物を積んだときに変化するところを見つけ出して、その変化を何らかの方法で数値に変えていく、あるいはそれによって検出をするということが必要なわけでございまして、その面をまず検討いたしたわけでございます。  それで、いろいろわれわれの委員の中で考えられるというものはすべて出しまして研究してきたわけでございますが、たとえばバネのたわみが当然荷重がかかりますと変わりますので、そういうものとか、あるいは応力が変わってくる、荷重を積めば応力がふえてくる、そういったものを取り出す、あるいはタイヤの空気圧が変わるのじゃないだろうかとか、そのほか相当いろいろの項目について検討してきたわけでございますが、それぞれ問題点がございまして、まあまあ可能性があるのは一応バネのたわみをとるのがやはり一番近道ではなかろうかということで、一応第一段階としてはそういったようなかっこうでまとめております。  したがいまして、その後第二段階といたしまして——第一段階は主として、多少の実験は伴いましたが、おもに机上の、机の上でのいろいろの検討、計算でございます。それで第二段階としまして、一応とりあえずバネたわみというものに焦点を当ててやろうということで、その後の研究をいたしてきたわけでございます。第二段階におきましては、主として二軸のトラック、それについてやってまいりました。その結果、やはりバネというのは履歴といいますかヒステリシスといいますか、そういったものがあるというのはこれは周知の事実でございまして、そういったものによる精度というものに対しては、非常に阻害になるわけでございます。そういった面でいろいろやりましたが、これはもちろん計算、実験その他いろいろなことをやって確認してきたわけでございますけれども、やはりかなりの誤差は出る要因がある、そういうふうに委員会としては考えております。  それから第三段階といたしましては、そういった実験に基づきましてやはり実車でも、少し実際の車でそういったものを調べたほうがよかろうということで、あるユーザーさんにお願いしまして、イギリスにございますスミスという自重計がございますが、そういったものを利用してどういうふうにバネが変わっていくかというような試験をやっております。それはきょう現在まだ試験続行中でございまして、最終結論は出ておりませんが、そういうことをやっておる。それは主として、先ほど申し上げましたように二軸車を主体にやっております。大体日本で使われております大型のトラックといいますものは、二軸車と三軸車に大別できますが、二軸車のほうはそういったかっこうで進めてきたわけでございますが、三軸車になりますと、もっと条件が悪い。これはバネのたわみだとかそういったものが二軸車に比べますと非常に大きなバネ定数を持っておる、そういったような点から、バネのヒステリシスにしましても、それからバネの荷重によるたわみそのものも非常に少ない。ヒステリシスが非常に大きくてたわみが少ない。そういったようなことで、二軸車の場合よりもさらに条件が悪いというようなことがございまして、そういった面の実験とか計算、そういったものを進めてやってきております。そういったことで、いままで逐次解明されてきましたことに基づきまして、試験的なそういったパネのたわみをはかるようなもの、そういったようなものの施策を進めたらどうだろうかというようなことで現在やっておるような状況でございます。   〔井上(泉)委員長代理退席、野坂委員長代理着席〕  いずれにしましても、最初に申し上げましたように、自動車につける自重計といいますか、そういったものですぐ罰金とか、そういったものに通ずるような精度のものはまずできそうにないということは、いままで二十九回ですか、それから七回の委員会、そういったものを通じていろいろ研究いたしました結果、そういう結論になっておりまして、まだ今後もそれについてさらに解明すべく委員会としては進めておる状況でございます。  以上でございます。
  10. 野坂浩賢

    ○野坂委員長代理 以上で各参考人からの御意見開陳は終わりました。     —————————————
  11. 野坂浩賢

    ○野坂委員長代理 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小此木彦三郎君。
  12. 小此木彦三郎

    ○小此木委員 きょうは参考人の皆さん御苦労さまでございます。  時間があまりありませんので、お一人一問ないし二問ずつ聞かせていただきますので、われわれの参考にさせていただければまことにしあわせでございます。  まず第一番に浜本さんにお聞きしたいのでございますけれども運転手は快適な運転ということを希望し、それを目的とする。しかし、過積みは過積み自体がハードワークになってしまう、さればといって過積みをしなければその職場を失うというような御意見があったのでございますけれども、それほど業界は、またあなた方は過積みというものを余儀なくされているのかということがまず第一点であります。  二番目は、私どもに言わせれば、過積みをするという業者がそれほどたくさんいるというようなことは信じられないわけでございまして、大方の業者が良識を持ってその基準を守っているのじゃないかという裏づけは、当局のある調査一つのケースでは、フェリーヤードでもって調査したところ、過積みは一割程度しかなかったというようなこともあるわけであります。   〔野坂委員長代理退席、井上(泉)委員長代理着席〕  そのほかいろいろ御意見もございましたけれども、要するに、私ども三番目に聞きたいことは、もしもあなたのおっしゃるような過積みというものがそれほどたくさん行なわれているとすれば、そういうことを強要するのははたして大手企業であるのか、大手商社であるのか、大手メーカーであるのか。要するにその下請けであるところの中小零細企業トラック業者というものが、大手の意向にさからってまで過積みというものを拒否できない、そういうことであれば、われわれは別の観点から大手商社あるいは大手メーカーに対して、先ごろの企業の悪徳ぶり糾弾以上の人命尊重、あるいは交通安全上の立場から別の意味で糾弾しなければならないと思うのでありますけれども、そこらあたりをひとつお聞かせ願いたいと思います。
  13. 浜本徳夫

    浜本参考人 過積み運転者にとって苦痛であるということは、先ほどから堀野参考人からお話があったと思いますが、非常に労働過重になるということで、少なくとも積み荷を安全に目的地まで運ぶということが使命でございますので、疲れると同時にどうしてもブレーキは必要上踏まなければならない。制動距離ばかりではなくて、商品をこわすということで、どうしても神経的にも疲労度が多いということを私は申し上げているわけでございまして、これは非常に慢性化している。一口に申しますと、おまえの腕で、おまえの経験でそれができないのか、いわゆるプロドライバーとして常にスピードによって調整するわけでございますが、そういうことが要するにプロドライバーの権威にかかわるというか、誇りにかかわるというようなことがあって、実際にそれに耐えておるというような内面的な、精神的な問題がさらに加わってくるわけです。  さらに当局の調べとおっしゃいますけれども当局が調べているのは昼間であって、夜間とかにそういった当局の目を避けてやっているわけであります。これはむしろ、これが犯罪とするならば計画的犯罪でありまして、常に捜査の先にある、こういうふうに御理解いただければわかるかと思います。  そうして強要しているということは、はっきり申し上げますと、ただいま東京鉄鋼埠題が問題になっておりますが、ここの下請が、まず相模運輸、第一港運、それに小川運輸、この三社あたりが元請でありますが、元請は絶対に過積みを許しておりません。許していないけれども、実際に競争入札でやるのでございますから、どうしても入札を落とさなければならぬ。現在のわれわれ労働者の要求を満たしていかなければ運転手は来ない。そうなってくると、どうしても積載量をオーバーしなければこれを埋めることはできないのです、ほかに方法がないのでございますから。したがって下請はそうせざるを得ないというのが実態であります。  以上がお答えです。
  14. 小此木彦三郎

    ○小此木委員 いま当局取り締まりは昼間であって夜行なっていないということばがありましたけれども、この点は当局におかれても反論があると思います。これは私が調査して、いずれ私なりの結論を出したいと思います。  二番目に、堀野さんにお聞きしたいのでありますけれども、先ほど睡眠時間の不安定によるところの危険感、それがたまに危険感を感じたというのが七三・六%である。しばしば感じたのが七・九%であるということでありましたけれども、それでよろしいですね。——そうすると、おかしな質問でありますけれども、残りの一八・五%の人たちは危険感というものを全く感じなかったのかどうか、あるいは別な感じを持ったのかどうか。これをちょっと聞かしていただきたいと思います。
  15. 堀野定雄

    堀野参考人 お答えいたします。  緑の本の付表の一三ページをちょっと見ていただきたいのでありますが、そのデータが出ております。眠けによる危険感をあなたは感じましたかという質問に対しまして、いま御指摘がありましたように、残りのうちの全くないと答えた方が一二・四%あります。それから全然答えてくれなかった無記入の率が六・一%ございます。  以上でございます。
  16. 小此木彦三郎

    ○小此木委員 たまにしろしばしばにしろ八一・五%の人が睡眠時間の不安定による危険感を感じるということになれば事は重大でありますので、われわれもこれは十分研究の上、この委員会を通じてまた討議していかなければならないことかと思います。  三番目に、鶴海さんにお聞きしたいのでございますが、大型貨物自動車積載防止装置研究の段階におきまして、過積みというものが自動的にわかる機械装置というものはできないものか。たとえばエレベーターに私のようなでかいからだの者がたくさん乗りますとブザーが鳴って、これ以上乗っちゃいけないというような装置があると思う。あるいはこのごろ乗用車がスピードを出し過ぎると鈴が鳴るような装置ができた。あれと同じような何か機械装置ができないものか。かりにそれができたとしても、二次的に弊害が発生するとすればどういうものがあるのか。そこをちょっと聞かせていただきたいと思います。
  17. 鶴海準二郎

    鶴海参考人 ただいまの御質問にお答えします。  物を積めばベルが鳴るとかあるいは自動的に計測ができるとか、そういったものが絶対にできないかというお話については、問題は精度の問題だと思うのです。先ほども申し上げましたように、すぐそれが取り締まりにつながるというのはちょっとことばが悪いかと思いますが、少なくともいわゆる計量法的な考え方でやるような精度のものはなかなかできないということを先ほど申し上げたわけでございまして、たとえば精度が落ちても、とにかくそういったものができないかと言われますと、精度によってはできる可能性はあると思います。ただそれによって、問題としましては、これは私個人の見解かもわかりませんが、たとえばそういった装置を車に取りつけたといったような場合に、運転手さんがその装置をたよりに荷物を積んでいかれたといったような場合、ある数値を示したので、そこで一応定積載と判断されて運行されたといったような場合に、たとえばそれが三〇%狂っておったような場合には、当然三〇%をオーバーしたところで走られるケースもあり得ると考えられるわけです。そういった場合に、荷物を積まれた方あるいは運転しておられる方は、当然適法の範囲で走っておられると考えられていたにもかかわらず、実際にはオーバーしておった。それで、たとえば警察につかまっていろいろ問題が出たというようなことも起こるケースも考えられるのではないかと思います。
  18. 小此木彦三郎

    ○小此木委員 最後に、福田さんにお聞きいたしますけれども、われわれは、大部分の業者がそのような悪徳業者であるということを信じないのであります。むしろこのような業者は一部であって、当局が信頼をもって指導するということがベストであると思うわけであります。そうかといって、人命の安全、そして交通安全を期するためには、いかなる場合もきびしい監視を怠ってはなりませんけれども、先ほど福田さんのおっしゃる中に、ひっきょう過積みというものがあるとすれば、その過積みの原因は運転手の確保が非常にむずかしいということと運賃の立て方に問題があるのだ、そういう原因によってやむを得ず過積みをしなければならない立場に追い込まれてしまっているという御意見があったわけであります。そしてその運送料金というものは、過去において六年間据え置きされて、四十六年三月に改定されたその立て方というものが、いままで重量別であったものが距離別に変更された。そしてそのことが、重量よりもむしろ走ることということに経営内容というか、経営目標といいますか、そういうものがそちらのほうに置かれるようになってしまったという御意見であったわけであります。そうしますと、当然重量距離の両立てに料率を改定すべきであるというような考え方をお持ちかどうか、それがまず一点。  もう一つは、たとえば料率改定ということはいずれにしろ物価にはね返る。要するにいろいろな意味で便乗値上げを誘うわけであります。これを防止する意味でもってどのようなことを業界では考えておられるか。たとえば、あなたの御専門以外のことになるかもしれませんけれども、私は選挙区が横浜でございますので、横浜港のことを、多少港湾荷役のことをかじっておりますが、いまトラック運賃改定の問題と港湾荷役の料金改定の問題が出ている。  たとえば、雑貨の荷役料金現状が一トン四百三十円である。四百三十円というものは、これも一つの例でありますけれども、かん詰め一個に対して幾らぐらいの料金になるかということを申しますと、ちょっと私の意見が多過ぎて恐縮でありますけれども、かん詰め一個ということは一体何才ぐらいになるか。何才ということは、要するに一トンは四十才であります。そうすると、一カートンは、たとえばマグロのかん詰めにすれば四十八個であります。要するに四ダースが一カートンでありますから、四十八個が一カートンの中に入っているわけです。その四十八個入っている一カートンというものは〇・八才ぐらいになる。〇・八才ということは四十八カートンくらいで一トンということになるわけです。そうすると、四十八と四十八かけますと大体二千三、四百個が一トンということになるのです。そうすると、いまの雑貨の港湾荷役の料金というものは一トン四百三十円でありますから、マグロのかん詰めの荷役賃というものは一個が十八銭四厘ぐらいだ。だから、いまの四百三十円というものを一〇〇%——要するに倍にしても、マグロ一個に当たって十八銭四厘にしかならないわけです。だから、もしもトラック業界でそのような意味から距離別、重量別というような立て方でこれを改定してもらわなければ困るというようなことであるならば、やはりそのような数字の試算を行なって、こういうことだから便乗値上げあるいは物価へのはね返りというものは少ないのだというようなデータも当然お持ちになるべきだと思うのです。きょうそこにお持ちであると——これはお持ちでないでしょうけれども、そういうような考え方に立って、もしもあなたのほうでそういうものができたならば、参考のために私のほうにその資料をいただきたいと思います。答弁とともに、これは要求申し上げます。
  19. 福田桂次郎

    福田参考人 最初に、過積みになる原因の一つとして、トラックが必要なときに必要な台数が得られないということ並びに運転手も得られないということを申し上げました。そのことについて御質問ございましたが、これは事実でございまして、やはりラッシュ時になりますとどうしても足りなくなるのであります。それで私どもでは、配車は契約しているトラック業者のほうから車が来てやってもらっておりますけれども、どうもこれだけしかないんだからどうしても積まなければならないのだと言われれば、蔵出しの担当者としては積まざるを得ない、悪いと知りつつ積まざるを得ないというのが実情でございます。  それから、運賃の立て方でございますけれども、確かに現在は料金表は車両別、距離別の運賃表になっております。それが、やはり長い間の慣行で重量別の運賃を割り出してやっておるわけでございますが、このいずれがいいかということでございますけれども、確かに過積み防止するという意味からいえば、車両制のほうがいいのではないかと私は考えます。しかし、荷主並びにトラック業界の長い間の慣習でございまして、その慣習にはそれなりの理由があったことと思いますので、一気に改定できるかどうか、これについては私は何とも申し上げかねる次第でございます。  それから、運賃の値上げをしたことによって物価にどのような影響を及ぼすかという御意見でございます。確かにいま港運料金のことについて詳細な御説明をいただきましたけれども、私は、実はいまトラック運賃について鉄鋼の価格にどの程度影響を及ぼすかということについてはデータを持っておりません。しかし、ちょっと考えましてもそれほど大きな率にはならないというふうに考える次第でございます。  以上、簡単でございますが……。
  20. 小此木彦三郎

    ○小此木委員 時間がございませんのであまり詳しい質問はできませんでしたが、十分参考にさせていただきまして、われわれの勉強の資料にしたいと思います。どうも御苦労さまでございました。
  21. 井上泉

    井上(泉)委員長代理 次に、久保三郎君。
  22. 久保三郎

    ○久保(三)委員 時間もたくさんございませんので、全部の方にお尋ねしなければ失礼なんですが、できないかもしれませんので、御了承いただきたいと思います。  最初に、東京鉄鋼埠頭福田社長さんにお尋ねしたいのであります。ただいまもお話がありましたが、あなたの会社では、最近新聞にも出ておるように——あなたの会社と言ったらたいへん語弊があるかもしれませんが、とにかくあなたの会社から出ていくトラックが大半過積みであったという事実があるのでありますが、それに対しては遺憾であるということでありますからそれ以上とやかく申し上げませんけれども、その後はどういうふうになさっておられますか、簡単にお述べいただきたい。  それからもう一つは、この原因についてあなたはいろいろお述べになりました。われわれも、たとえば業態が中小企業であるとか、あるいは都市交通の渋滞であるとか、あるいは週休二日制で荷受け人のほうで荷受けを拒否されるとか、いろいろな問題は事実としてあると思うのであります。それからもう一つは、いまもお話がありましたが、運賃契約は大体トン建てでやっておるわけですね。しかし、実態料金というか運賃の立て方は車両建てあるいは距離建てといいますか、そういうことになっている。お話によりますと、トラック協会車両建て、距離建てを、重量建て、トン建てに換算してやっているということなんです。運輸省からも来ておりますが、それは一つの便法としてやっておるのだろうと思うのでありますが、そういう運賃の立て方あるいは取引の実態からいって無理があるのであろうか、それはどういう無理があるのかということであります。お述べになった限りにおいては、どうも弱い者が一番しょっていくんですよという結論になるようでありますが、われわれはその問題についてももちろん検討しなければいかぬと思うのであります。  しかしながら、その前に、だから重量制限を越えてトラックが走ることが許されるというふうに思っておられるのではなかろうかというふうに、邪推かもしれませんがとるわけであります。すべてこれから改善していかなければならぬことでありますが、現状になじんでいく限りは過積みというのはとうてい防ぎようがない。どこかでがちっと歯どめをくれて、反撃態勢に出て初めて交通戦争というものは勝てるのじゃないかというふうに私は思うんですよ。なるほど御商売の中ではたいへんつらいことかもしれませんが、そういうものをだれもやらぬでいる場合は、一番弱い者、たとえば鉄鋼会社よりは鉄鋼埠頭会社、あなたのところが弱く、あなたより弱いのは、あなたと契約しておる運送屋が弱く、その次に弱いのは運転手である、こういうことで、一番下まで行って、行き着く先は危険ということになっているんですよ。だから、どこかでみんなが歯どめをくれていかなければ交通戦争に勝つことができないのでありますから、運賃が安いから、取引の実態がこうであるから、あるいは交通の事情がこうであるからというのは、私はこの際は少しいただけないと思うんですね。解決の方法としてはありますよ。しかし、だから過積みをしなければならぬという理屈にはならぬのでありますが、その辺はいかがでありましょうか。その二つだけでいいでしょう、時間がないですから。  それからあわせて運輸省にお尋ねしますが、トン建てから車両建てにした理由は何であるのか。トラック協会が、いま福田参考人からお述べになったように、運賃の立て方を換算してわざわざ昔どおりのトン建てにやっておるという実態をどういうふうに思っていらっしゃるのか、そういうところを運輸省からお聞きしたい。  それから、時間がありませんので続いてずっと申し上げたいと思うのでありますが、先ほど小此木さんからもちょっとお話がありました。これは別な意味でお話があったのでありますが、容積で云々という何か例がありました。自重計の開発はあとで鶴海さんからお聞きしますが、これはなかなかたいへんだと思うんですね。鶴海さんにお聞きしたいのは、自重計の開発については、お述べになった限りでは何かお先まっ暗というかあまり期待できませんというような感じを受けたのでありますが、そういうふうに考えていいのかどうか。われわれはもう少し発想の転換をしてもらったらどうか。私は技術屋でもないし、しろうとでありますからよくわかりませんが、その道の専門家がたくさんいらっしゃるのだから、何とかこのくらいのことはできそうなものだというふうにてまえどもは考えてこれまでもやっておるわけです。しかも法律の中に自重計というりっぱな呼称がつけられている現実を見れば、何とかして開発してこれを生かしていきたいと思うのであります。はっきりと申し上げて、結論的に、今後の開発については、いままでお述べになったことでは先行きどうも知恵は出し尽くしたような感じを受けるのでありますが、もう少し発想の転換というかそういうものも含めて何かないものかどうか。  それからもう一つは、現にダンプ等に取りつけてある自重計というのはどういう装置であるのか、どういう仕組みになっておるのか、簡単にお述べいただきたいのであります。  それから、これは警察庁にお伺いしたいのでありますが、自重計の開発研究も早急にしてもらわなければいかぬとわれわれは思っているのでありますが、と同時に、道交法五十七条の取り締まりであります。これは再三お話があったように、運転者そのものが一つには取り締まりをされる、具体的にいえば、積んで走った者が処罰されるということでありまして、それを現認して処罰するのには、警察がつくった自分のはかりにその当該の車両を持ってきて秤量して、これは積載重量がオーバーしているということで初めてここで取り締まりが可能なんですね。ちょっと見て、だれが見てもこれは確かにオーバーしていると思っても、これを処罰の対象というか、取り締まりができないということですね。これは簡単に、どうもそうらしいというので処罰されてもかないませんから、当然だと思うのでありますが、そこで、最も合理的にやるのには、鉄鋼埠頭会社じゃありませんけれども、こういう倉庫やなんか、あるいは販売するようなところには、特定の品物をやる場合には、必ず秤量計があるはずです、これは取引の対象ですから。あとで聞きますが、福田さんのところにも秤量計がおありでしょうね。それから、大きな採石場、いわゆる山の石をくずして採石をするその場所にもちゃんと、警察と同じというか、台ばかりがあるわけですね。だから、それぞれ車両がその上へ乗って、取引の対象で何トン積んだというのは、みんなチェックできますね。こういうものがありながら過積みをしているわけですね。十トンの車に三十トン積んで、三十トンの取引ができていくわけですよ。こういうものをそのまま見過ごしているところに、私は問題があると思うのです。  ついては、その取引の実態からいって、そういう販売や出荷をする特定の——もちろん全部といっても、なかなかこれははかりを持ち得ない、あるいはまた、その必要のないところもあるかもしれませんね、少量の取引など。だから、特定のもの、そういうものについては制度を設けて、販売する場合あるいは出荷する場合の秤量をきちんとさせ、その上で、もしも超過していれば処罰の対象になるというふうにしていけば、問題が一つは解消するのではなかろうかと思うのですね。これはそういうことです。  それであとで聞きますが、福田さん、あなたのところにも秤量計ございますか、どうですか。それは記録してあるはずだと思うのですが、記録してございますか。もしあるとすれば、それを知っていながらこの積載重量をオーバーしているのですから、まさにこれは共犯ですね。運転者が悪いという前に、あるいは強要していなくても、少なくとも共犯者でありますから、これは処罰の対象になりはしないかというふうに私は思うのでありますが、少なくとも、法律の制度を変えてそういうふうにしたらどうか。  それからもう一点、これは警察庁に。お話を聞いた中で思うのでありますが、たとえば米の袋、これは大体六十キロなんですね。それから鉄鋼のコイルというのは、たとえば十二トンとかいうふうになるんですね。あるいは丸棒は、長さがきまっておりますから、何センチの丸棒は一本で幾ら、これはきまるわけですね。そういう一定の重量を持っているものは、その換算によって直ちに取り締まりができる。あるいは砕石というか、砂利、土砂、そういうものは容積で大体わかるはずでありますから、容積で取り締まりができるようにしたらば過積みがなくなりはしないか。取り締まるのが能じゃありませんが、そうすれば、持っていくものも持って出られませんから、そこで取り締まりが可能じゃないかと思うのだが、この点はどう思っていらっしゃるかですね。  それからもう一つ、これは運輸省の真島業務部長がいらっしゃるが、お答えにくいかもしれませんが、東京鉄鋼埠頭株式会社の社長さんがいらっしゃって、自分で過積みで出荷きせるなんていうことを現認していらっしゃるので、たいへん申しわけないが、私は、鉄鋼埠頭会社だけをやれとは言いませんけれども、いままでの取り締まりというのはどうも道路運送法上は非常に寛大なんですね。これは青ナンバー、白ナンバーに限らずびしびしとやるべきだと私は思うのですよ。人間の命をどうやってもかまわぬという前提条件運送する者などは、これはもう車を取り上げるということを私は優先的にやるべきだと思うのですね。だから、そういう意味で考えてどうなのか。白ナンバーの場合はナンバープレートを取り上げてしまう、青ナンバーについては登録を取り消すということも、これは断行しなければ、いつまでたってもだめじゃなかろうかというふうに思うのです。あえて福田さんの会社をやれということではございませんが、そういう御方針について念のために伺っておきたい、こういうふうに思うわけであります。  時間もありませんから、その程度でお答えいただきますが、ただ、きょうは労働省が来ておりませんが、通産省は来ておりますが、これは総理府にも、時間がないので答弁は簡単にして、あなたが政府代表ですから、対策室長からお願いしたいのは、先ほど神奈川大学の堀野助教授からお話があった件ですね。この緑の本、これはしさいにお読みというか、政府で、関係のところでお読みいただいて、ひとつ後刻この委員会お話をいただきたい。政府関係者、いろいろ労働省、通産省、警察、運輸省もございますね、そういうふうにしていただいたらば一番いいんじゃなかろうかというふうに思うので、そのことについてどういうふうにお思いであるか。以上です。
  23. 福田桂次郎

    福田参考人 東京鉄鋼埠頭におきましては、先般全交運の調査で指摘を受けまして、非常にいま恐縮しておる次第でございますが、その後、現在はもう徹底した定量積みをいたしております。  それから、過積みの原因についていろいろ御質問がございましたが、私は、ただ過積みの原因のごく一部について申し上げた程度でございますから御了解願います。  それで、トラック運賃車両建てがたてまえとなっておりますけれども、それをトン建てにしている、それは、先ほど申し上げましたとおり、長い間の慣行でございます。それで、現行の認可料金表から割り出した重量制でございます。したがって、トン建てだからといって、現在の運賃認可料金を下回っているということは全然ございません。むしろ若干上回っているようになっておるわけであります。ただ、この運賃が、何といたしましても、昭和四十六年に設定されたものでございまして、もう実情に全然沿わなくなっているというようなことでございます。  それから、トン建てだからもう幾らでも積んでもいいんだというような考えじゃないかというような意味の御質問でございましたが、そうしたことは全然あり得ない。やはりもう過積みはあくまでも違法でございますから、やはりトン建てとしても、このたてまえはもう励行すべきであると私は考えております。  それから、まあ運賃が安いので、それがトラック運送業者あるいは運転手さんにいっているんじゃないか、過積みのようなことになっていくのじゃないかということでございますが、運賃を通常にすればそうしたあれは相当防げるであろう、一つ方法であろうというふうに私ども思っておる次第でございます。  それから、計量器のお話でございますが、私ども会社としては、計量器は持っております。全部の車にこれをやるということではなくて、銑鉄のようなもの、これは一々はかりませんと出荷できませんので、利用しております。その他の鉄鋼類は、それぞれコイル類にしましても条鋼類にしましても板類にしましても、大体トン数はわかっておりますので、計量器は使用しておりません。
  24. 真島健

    ○真島説明員 お答えいたします。  最初の、四十六年の改正の際に従来の運賃制度を改めまして、車扱いといいますか、車建ての運賃に改正をいたしました。この趣旨はいろいろございましたけれども運賃制度上やはりそのほうが過積みが事業者の魅力にならないだろう、そういうねらいを込めて重量建てを車両建ての運賃に改めたというのが一つの改正の趣旨でございました。先ほど、これをトラック協会トン建てに換算して実際の契約なり運用をしておるというお話でございますが、実は私、あまりよく知っておりませんでしたので、これから十分調査をいたします。しかし、おそらくやり方によっては問題があろうかと思いますので、後刻また御報告いたしたいと思います。  それから、あとで申されました過積み防止という意味からの取り締まりの問題でございますが、私どもトラックの過積みということはやはりダンピングの場合と同様に、非常に基本的には広範多岐な問題、いろいろひっからまっておりますが、現実問題としてそういう事象が生じた場合には当然厳正な態度で取り締まっていかなければならないというつもりでいままでもやってきております。白、青と限らず、特に悪質常習というような業者に対しては、これまでも厳正にやっておりますし、これからもその態度をくずさずにやっていきたいと思っております。
  25. 鶴海準二郎

    鶴海参考人 ただいまお話のありました御質問は二つあると解釈いたしております。一つは、自重計の開発が何か将来に期待がないのじゃないかというようなことと、それから、それについて発想の転換はないだろうかというような御質問と、もう一つは、ダンプの自重計の仕組みについてどうなっておるのだ、こういう御質問だと存じますので、順序を変えまして、現在のダンプの自重計のほうから先に御説明さしていただきたいと思います。  当初、ダンプ規制法ができまして、その当時にありました自重計というのは何種類かございます。大別しますと大体三種類になるかと思いますが、一つは、ダンプの荷台を持ち上げるためにホイストというのがございまして、それに油圧をかけましてその油圧の力でダンプの荷台を持ち上げていく、その油圧を重量に換算して重量を推定する、そういったようないわゆる油圧式のダンプの自重計と、二番目には、ダンプの荷台を少し前方を持ち上げまして、ダンプは当然先ほどのホイストがございますので、少し持ち上げまして、その間に、この下にスプリングなりその他の重量測定するものを入れまして、それでそれによって積載量に換算する方法、これが二つ目でございます。それから三つ目は、うしろのほうのバネのたわみから——これは二軸車に限ってでございますが、二軸車の場合にはうしろのバネのたわみを取り出しまして、それによって重量を推定して換算していく、この三つがあったと思います。  それにつきまして、現在は、ダンプ規制法ができました以降の新しい車につきましては、ほとんど油圧式を使っておるのが使われておりまして、それ以前に出ておった車だけにバネたわみなんかのものが使われておったように記憶しております。前方をちょっと持ち上げてバネなり何かではかって重量を推定するという方法は、規制法が施行されて以降も多少は取りつけられておりますが、きょう現在ではほとんど油圧式のものしか使われておらない。大体車の寿命からいたしましても、おそらく先ほど申し上げましたほかの二つのものについては、現在は実際には車がないのではないかというように存じております。  そういったダンプに対しまして、いま私どもでいろいろ研究いたしておりますものは、荷台がダンプのように簡単に持ち上がるような構造にはなっていないわけです。これはフレームに荷台をUボルトとかその他のもので固定しておりまして、荷台がすぐ持ち上がるというような構造のものには一般になっておりません。そういったことで、最初にも御説明申し上げましたように、荷重が変わっていけば、つまり積み荷の量が変わっていけばどういうところでその車の中に変化を起こして、その変化を取り出してやっていくかというような点についていろいろ研究したのですが、やはりバネのたわみを使うのが一番早いだろう。これはすぐ実現できるというような話じゃございませんけれども、たとえばアクセルにストレンゲージ的なものでそのひずみをとってから換算していくというようなことも考えられるわけなんですが、先ほどもお話し申し上げましたように、バネでとりますと、バネの履歴現象というのがございまして、いわゆる摩擦が非常に多いわけでございます。そのために精度が落ちるという点で、先ほどはいわゆる台ばかりのような精度においてはできないということを申し上げたので、じゃ全然できないかといいますと、精度いかんによっては可能性はあると思います。  私どもも技術屋でございまして、絶対にそういうものはできませんということにはもちろんならないと思いますが、ただし、どの程度の精度であればできる、どの程度以上ならできないというようなことは、これは車の構造その他によってそれぞれ変わってくると思います。たとえば二軸の、一般にいえば八トン車クラスのものであれば、やはりいろいろな誤差の要因がございますので、それを全部含めますと、かなり大きなパーセンテージの誤差になると思いますが、ただ、その計器をかりにつけたといたしまして、それを極力良心的に活用していただくというようなことでやれば、たとえばいまはっきりした数値ではございませんが、常に最上の状態にその計器の保守をやるとかいうようなことをやれば、三〇%前後の精度でいけるのじゃないかということも考えられると思います。ただし三軸車の場合につきましては、二軸車と違いまして、その車の構造上、バネのサスペンションの構造が全く違います。そういった意味で、バネ自体のバネ定数も高くて、荷重を積んでも、バネのたわみがもともと非常に少ないというところにもってきまして、車の構造上軸にかかる荷重を常にある比率でかけるという必要がございますので、そういったバランス機構のあるために、たとえば平らなところではかったときとでこぼこのあるところではかったようなときには、バネのたわみというものについてさらにエラーが加算されるといったような点で、二軸の場合よりももっと悪い精度にしかならないのじゃないかというのが、いままでの検討されてきた結果でございます。  いま発想の転換というお話がございましたが、これは考えようがいろいろあるのじゃないかと思いますが、とにかく一般のはかりのようにずっと広い範囲で、たとえば八〇%から一五〇%までそれぞれの値に対してある精度でおきめるということは非常にむずかしいかと思います。しかし、たとえば定積載かそれをオーバーしておるか、もちろんある幅、余裕を持たした上での話でございますが、そういった状態で自分の積んでおる車が現在どのくらいの荷重だろうかということを、自己チェックということで計器などもそれなりに使っていただければ、あるいはそういった意味には使える可能性があるかとも考えられますが、何ぶん私どもの研究委員会のほうで最初いろいろお話が出た中で、過積には二種類ある。一つは、自分では定積載と思って積んでおっても間違えて多少一割なり二割なりオーバーする場合と、初めから当然過積するという意識があった上でやる場合と、二つのケースがあると思います。後者については、こういったものについて何をつけようと意味がないのじゃないか、そういうことでございます。
  26. 森郷巳

    ○森説明員 私どもにお尋ねの二点についてお答え申し上げたいと思います。  第一点の倉庫、販売業者は当然秤量計を備えつけているはずだ、備えつけておって、実際に測定して、これが過積載であるということを知りながらそれをさせたということになれば共犯が成立しないかということについてでございます。  この点につきましては、御承知のとおり道交法につきましても刑法総則の規定の適用がございます。したがいまして、貨物の出荷とか販売業者が過積載を慫慂したりあるいは容易ならしめたというようなことになりました場合には、当然その過積載運転についての共犯ということが成立いたします。現に私どもといたしましても、悪質なものにつきましては、共犯であるところの教唆犯とかあるいは帯助犯というようなことで取り締まりをいたしております。  ただ、実情について申し上げますと、必ずしも多いということじゃございませんが、今後はひとつ背後関係責任追及、こういった面にさらに力を尽くしていきたいというふうに考えております。  第二点の定量定型と申しますか、たとえば米であれば六十キロだとか、鉄鋼コイルであれば十二トンであるとか、そういったものがあるので、そういったことを基準にして取り締まりをするということをしたらどうかということでございますが、きわめて示唆に富んだ御意見でございまして、参考にさせていただきたいと思っております。  ただ、先生御承知のように、私ども違反として送致いたします場合には、少なくともそういったものをはっきり確認いたしまして、確かにそれが違反であるということを立証する責任がございます。そういったようなこともございますので、やはり私どもは、現実には、先生御承知のように、実際にはかりでもってはかって送っているわけでございます。ただ、いまお話しのように、きわめて示唆に富んだお話でございまして、この点につきましては私どもさらに検討させていただきたいと思います。  ただ問題は、御承知のとおり、確かに個々のものについて申し上げますと、定型定量というようなことでわかるわけでございますが、現実に運送している場合に、そういったものがどの程度あるのか、またはたしてそういったものが正確にはかった上でやられているものかどうかというような問題もございます。さらに立法技術上の問題といたしましては、定型定量のものを一体どういったものとして指定するのだ、それから現実に測定の義務をどうするのだ、それから具体的にこういったものは確かに定型定量なものだということで表示する方法はどうするのだというような点なんかについてもいろいろと問題がございます。  確かに私ども取り締まり技術上の問題として、きわめて示唆に富んだ御指摘であろうと思いますので、さらに検討させていただきたい、こんなふうに考えております。
  27. 秋山進

    ○秋山政府委員 労働条件の改善の問題は、御指摘のとおり、非常に重要な問題でございますし、またその施策は各省庁にまたがることと存じますので、労働省あるいは運輸省その他関係省庁とともにこの資料について十分検討を加えまして、今後の安全対策の樹立に努力いたしたいと存じます。
  28. 久保三郎

    ○久保(三)委員 最後に宇野車両課長にお尋ねしますが、自重計の問題等については、いままでこまごまお話がありましたが、なかなか前途容易ではないように思うし、しかし必要度は緊急な問題がある。そこで、大型貨物自動車積載防止装置研究委員会、こういうところに、ハンドルを握っている者の代表というか、現実にそういう必要に迫られている者を一ぺんメンバーとして入れて推進をしたらどうか。いまの委員会がだめだというわけじゃありませんけれども、そういうことにしたらどうなのかというふうにてまえどもは思っているので、そういうことについての御意見はどうなのかということをお伺いして終わりにしますが、秋山室長に申し上げておきたいのは、きょうおいでになっているのは、通産省、運輸省、警察庁それにあなたの総理府でありますが、緑の本ですね、この印刷物の中の研究資料は、労働省にも関係ございますし、建設省にも関係ございます。関係各省庁において一ぺん通読されまして、機会をあらためてこの委員会の席でこの問題についてどうなのか、われわれもきょういただいたばかりでございますから、まだじっくり読んでおりませんし、そういうふうにしたいということでありますので、お含みおきいただきたい。別に御答弁は要りませんけれども……。
  29. 宇野則義

    ○宇野説明員 先ほど来鶴海委員長のほうから、研究委員会のこれまでの経緯について御報告がございましたし、久保先生から今後の研究に際しましていろいろな御示唆がございました。  一つは、発想の転換をやったらどうだというような御意見も出ておりますが、私どもこの委員会関係省庁といたしまして一緒になってやっておりますが、今後過積載防止装置を何とか開発したいということから、いわゆるハンドルを握る、実態をよく知っておりますところのトラック運転者側の意見を広く聴取できるように、この研究委員会のメンバーを充実してまいりたい。自重計だけではなくて、そのほか発想の転換を含めまして、いわゆる過積載防止装置ということで今後研究を続けてまいりたいというふうに考えておりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
  30. 井上泉

    井上(泉)委員長代理 次に、野坂浩賢君。
  31. 野坂浩賢

    ○野坂委員 鶴海さんにお尋ねをいたしますが、いままで参考人の皆さんいろいろ答えていただきました。特に浜本さんからもお話がありましたように、過積みをするとブレーキがききにくくなると黄色の本の十九ページに詳しく書いてあります。しかも過積み過労につながっていく。だから、過積みをすれば事故があるということが想定をきれる、こういうことが言い得るわけです。それにもかかわらず過積みをする。東京鉄鋼埠頭の社長でありますか、それは問題は運賃であるというお話もあったわけですが、この問題はあとにいたしまして、運転者は、そういうことが想定をきれるのに過積みせざるを得ない。それは反論ができない仕組みがある。そのために自重計が必要だ。こういうことになっておるわけでありまして、去年もこの交特で議論がございましたが、いままで七年間も運転者の皆さんはこの研究委員会にもお願いをし当局にもお願いをしておった。しかし一向にはかどってこない、成果もない。いまあなたのお話を聞いておりますと、バネのたわみ、こういうものを中心にして一、二、三、そういう試験をやった、現在イギリスの自重計を試験続行中である、こういうお話もいただいたわけでありますが、運転者が、過積みはごめんだ、一応こういう抵抗ができる。坂のときでも平地でも、いろいろあるにはあるでしょうけれども、平地なら平地で、そのときだけに荷重計が過積みであるということを示したら、それをもとに、これは過積みですから積めません、こういうことが言える程度の計量器というものは、そうむずかしいものではないと私は思うのですが、それが何年間か研究されてそういうことすら非常にむずかしいものなのか。完ぺきなものでなしに、第一次の改良、第二改良、第三改良として完ぺきなものをつければいいと思うのですが、私が言うその程度のものもそんなにむずかしいものですか。私たちしろうとで考えてもその程度はいとも簡単にできると思うのですが、どうでしょう。
  32. 鶴海準二郎

    鶴海参考人 ただいまの御質問に対しまして、先ほど来申し上げておりますように、精度をどこまで許容してもよろしいかということにかかっておると思います。精度があまり高いものでなくてもよろしい、ラフなものでいいということになれば、その可能性はあると思います。
  33. 野坂浩賢

    ○野坂委員 私は精度がいいかげんなものであるというようなことは言ってないわけですが、過積みするのに、運転者の皆さんのお話によると、久保さんのお話もあったように、荷主東京埠頭よりも強い、さらに自動車会社は弱い、まだ弱いのは運転者だ。とりあえずこの弱い運転者が過積みですよといって運送業者なり荷主に明示する。平地で積んだときでいいわけです。動いておって荷物が飛ぶために荷重がかかるというときでなしに、積んだ平地の状態でそれが拒否できる、これはだめなんですといって示すことができる程度の初歩的なものは、まあ精度の高度、低度ということはいろいろありましょうが、できるということでありますから、労働者の意見もこれからいれると運輸省はいっておるわけですから、そういうことになれば、そう時日がかからなくても、また来年この交特でやるようなことはない、それまでにはできる、こういうふうに私は考えてもよろしいでしょうか。
  34. 鶴海準二郎

    鶴海参考人 技術的には、そういった精度の問題がございますので、精度さえ、たとえば第一段階でこの程度であれば役に立つというようなことであれば、可能性はあると思います。  ただ、つけます以上は、やはりその計器がすぐにこわれるとか精度がしょっちゅう狂ってしまうというようなものでは、実際のものとして役に立たないだろうと思います。そういう意味で、やはり試験を十分やってその耐久性なり信頼性なりを確認しないとできないのではないか。したがいまして、まあ技術的には可能だと思いますが、物としてすぐ取りつけられるというかっこうにするにはいささか時間が必要ではないかと考えます。
  35. 野坂浩賢

    ○野坂委員 どのぐらいかかりますか。
  36. 鶴海準二郎

    鶴海参考人 現在専門メーカーにいろいろこちらの研究委員会のほうから資料を出しまして具体的に試作の検討をしてもらっております。そういったものができればさっそくいろいろな試験をやって、耐久性、信頼性を確かめていきたいと私どもの研究委員会では考えております。  なお、どの程度の精度というような問題につきましては、先ほど実際運転される立場の方からいろいろ御意見も聞きたいということで、そういう方に委員として御参加いただくということに対しては、よく関係官庁のほうの御指示をいただきまして、それによってやっていきたいというように考えております。
  37. 野坂浩賢

    ○野坂委員 ありがとうございました。  堀野先生からいろいろと御懇篤なお話をいただいたわけですが、同乗されて試験の結果、ここの七二ページ以下にも出されておりますように、二時間程度運転をして休むともとの正常な状態に返っておる。それ以上やるとまた疲労度が高まっておる。それから腰痛を訴える人が四七%程度ある。言うなれば、高速で時速八十キロで走ると百六十キロから二百キロ程度走ったところでは一応休憩をとったほうがいい、こういうふうに書いてあります。しかし、サービスエリアは満車でなかなかとめられない。しかも自動車の中で休むといっても足のほうは温度が高くて上のほうは低い、八十から百ホンも騒音がある、十分疲れもとれないということですが、これの車内構造というものを変えていかなければ、これから自動車はどんどんふえていきますし、これでは運転手になれば命取りだということに、あなたの結果ではなってくるわけですから、しかも賃金は安い、だから賃金を補うために過積みをやるんだ、こういう悪循環がいま出ておるわけですから、その車両構造について問題があるじゃないか、そのことが一つ。それから二時間おきに休憩をすればある程度こういう状態でも人間のからだにはそう大きな悪影響はないかどうか承っておきたいと思います。  それから、時間がありませんから、福田さん必お尋ねをしますが、久保さんからの質問の中で、その他いまは過積みはやらせていないということですが、やはり過積みはあります。おたくにもまだあります。写真をお見せすればいいんですが、あると思いますが、問題の元凶は突き詰めてまいりますと、やはり運賃の設定のしかたですね。これは車両建て運賃であれば一台幾らですから定量運ぶ、しかしトン建て運賃が中身として契約をされますからよけい積まなければならぬ。先ほどもお話がありましたように、一日十一トン車で三万円かせぐ、定量運べば五千円だ。十キロ六回往復やらなければならぬということになれば、この交通ふくそうの時代にそれだけの回数はできない。だから三回にするためには倍積む。この間テレビで、横浜鶴見区の大黒埠頭の大黒運輸というのは、十一トン車で平均三十三トン、二十トン車で五十六トン積め、罰金は会社持ち、そのかわり運転者運転免許の停止、こういうことがあるというので、ガサが入っていま捜査をされておりますけれども、これが平常になっておりますね。これは東京都でも過積みをしていない自動車というのは少ない。ほとんどしておる。せざるを得ない。こういう罪の意識というのは非常に少ないわけですが、このトン建て運賃は、車両建て運賃——認可料金でやれば当然トン建てでも同じようにもらっておるとおっしゃいますけれども、現実に六回も——三万円取らなければならぬのに、それだけもらえないから倍積むということになれば、非常にいまの認可料金の仕組みは悪いということになると思うのですけれども、それについての見解と、それから真島業務部長にお尋ねをしたいのですが、いまそういうことは調査をするというお話がありましたけれども、これは去年八幡製鉄の営業部長が、私のほうは、この一山トン幾らで契約をしなければ、何トン何台で運ぶというのは業者がやることであってわれわれがやることじゃない。だから、トン幾らで契約をするのは当然だと言ってここで開き直った。そのことはあなたもよく知っておられるわけです。一年前にそういうことがあるわけです。それが不都合であるということが今回明らかになれば、トラック協会等も、車両運賃をお願いしておるのですけれども、現実にはトン建てになりますと言って答えておるわけです。これについては運輸省は、調査をしなくても現実にもうこの段階ではっきりしておるわけですから、今後運賃のあり方、建て方について強力な指導をしなければ、この過積みというものは解消できない、ここに問題があるというふうに思うわけですが、どのような措置をとられるのか伺いたいと思います。
  38. 堀野定雄

    堀野参考人 お答えいたします。  まず車両構造の改善のことでございますけれども、先ほど私も説明いたしまして、またただいま御指摘いただきましたが、車内環境が非常に想像を絶するほど悪かったわけでありまして、私先ほど少し申しましたが、時間の都合ではしょりましたので、もう一度確認をさせていただきますが、それは緑の本にも書いてございますけれども、まず騒音に関しましては、車外騒音を下げるという意味で具体的にエンジンの騒音を下げるとかいったことをやらねばならないといったことが最近問題になっておりまして、私もそれは指示しておりますけれども、もっと下げなくてはならないと私は思っております。と申しますと、トラック運転手の人たちの健康管理ですけれども、難聴になっている人がいるのではないかと私は実は考えております。しかし、いろいろ伺いましたが全然そういう調査がないそうでして、実態がつかめておらないわけです。車内騒音が、トラックは昔はボンネットタイプだったわけですけれども、最近は荷台を少しでも大きくしたいというような発想もございまして、ほとんどのトラックがキャブオーバー型になっております。それは必然的にエンジンが車内に入ってまいりまして、運転手のすぐ横にございます。それがまたワンマン化の普及とも関連いたしまして、助手席のないトラックも現実に走っております。私も実は助手席のないトラックに当たりまして、にわかに物を積んだりして間に合わせたことがありましたけれども、そういう状態になっておりまして、そのキャブオーバースタイルのエンジンがすぐ車内に入ってきておる。それが高温及び低湿、それから高騒音につながっておると考えております。したがって、中にたとえばベッドがありますけれども、実は私も実際寝て走ったわけです、どのように寝れるものか。二晩ほど徹夜で調査をしておりました明け方、私自身が非常に過労しておりましたので眠れましたけれども、普通の状態では非常に振動と騒音がたいへんで眠れない。それから人間工学的な観点から申しますと、寸法が全く人間が寝るような形ではないのでありまして、キャビンのうしろのほうからこういう傾斜がついた形で窓がついているのがございまして、非常に居住性に問題があろうかと考えております。  それからもう一点は、バックミラーですけれども、非常に車幅があります。それから、うしろにトレーラーのように長いものを引っぱっているのは、運転席よりももっと荷台のほうが幅が広いわけでありまして、特に高速道路の追い越しなどをやろうとする場合には、後方確認というのが運転手にとっての非常に重要な作業でありますけれども、それはすべてミラーを通してやっておりますが、それが非常に幅が広いために左右に首を振る運動が非常に多いのです。そういったことがかなり過労の原因にもなっていると思われますし、もし何かのはずみで、たとえば明け方の四時とか五時ごろは非常に生体の機能が劣っておりますが、何かがあればうっかり見誤ってしまう。  それからもう一つは、中央分離帯が低いのです。トラック運転席の運転者の目の位置に対しましては、全く光をさえぎるという機能を果たしておりませんようでして、非常ににひんぱんに走ってくる対向車のヘッドライトがまともに入ってまいりまして、ある運転手などは、深夜運転ですが、サングラスをかけて自衛をしている。そういう人にも私は実際にお目にかかったわけですけれども、そういったことからもかなり精神的緊張を来たしている、そういうふうに思います。  ですから、視界の問題、エンジンの位置の問題、それからどうしても高速で走りますから、どんどんヒートしてくるわけです。そういったことと関連して車両構造を検討する必要があると、私は人間工学的な観点、それから労働科学的な観点から考えております。  それから、腰痛の問題に触れられたわけですけれども、これは簡単に触れさせていただきますと、腰痛の発生を訴えている人が四七%でありまして、腰痛が原因で欠勤した経験者、これは報告書に全部入っていますけれども五二・七%あります。それから一週間以上欠勤した人が何と二五%、つまり腰痛経験者の中に四分の一くらいおります。それから慢性的に出てきたのが三五・一%でして、つまり急性の人が二四・八%で、慢性のほうが急性よりまさっている。これは先ほど申しましたが職業性である。つまり災害性ではない。ところが、たとえばはり、きゅうにかかったとかそういった治療経験者は四二・五%ございまして、かなり広範に腰痛の問題が広がっております。事実、名古屋のあるミキサートラック運転手が、腰痛が原因で最近自殺をしております。その遺書等が残っておりまして、そのうちに活字になるというふうに伺っておりますが、非常に当人たちにとってはきびしいようで、ガンで死ぬ同僚者のほうがうらやましい、そういったことを言ってその運転手は死んでいっております。そういった健康障害の問題が、その車両構造との関連で、あるというふうに考えられます。  それから第二点ですけれども、休憩と連続ハンドル時間のことについてお聞きになったわけですが、高速道路のサービスエリアが全くサービスが不十分であるというのが私の印象でございます。とまるところがないものですから、わりにダイヤがきちっと組まれている非常に良条件の企業では、一応できるだけ休憩をとるように会社のほうでも指導しておりまして、とまるのですが、とにかくサービスエリアにとまれないのです。したがって、夜十時以降は、高速バスが最終が終わりますので、バス停でとまります。あるいは、バス停も満車の場合がありまして、そういう場合は合流車線の路肩に駐車するわけですね。私も経験しましたが、非常にあれは危険でございまして、すぐそばを百キロ近いトラックがびゅんびゅん飛んでいく。音がたいへんですし、排気ガスがたいへんです。何といったって、その中で点検をしますので、非常に危険である。それから、何にも設備がないわけです。たばこを一服して用足しをして、それで終わりでして、全く人間的な休憩をしたという実感が得られない。そういったことを私も多数回経験いたしましたので、これは高速道路の設備の問題として、一つ問題点があろうかと考えております。  それから、二時間ということでございますが、これは今回の私たち実験の結果では、まだ私個人としては断定はしておりません。約一時間半から二時間ぐらいに、トラックが走りながら、運転席にランプを設けまして、ランプがつけば反応してください、それも短期記憶を伴う少しむずかしい仕事を、二次作業として課題いたしましてやった結果の反応時間ですね、二次作業の成績を見たわけですが、ハンドル時間が経過するに従ってその機能レベルが確実に低下していく、そして休憩をとると必ず回復する、そういったデータがとれたわけでありまして、連続ハンドル時間が長期化すれば機能レベルは低下していくということは、一応押えられたと考えております。ただし、その二時間という線に関しましては、たとえば先ほど申しました産業衛生学会等の意見書にもございますように、一応そこでも二時間という線が出ております。それから、何といっても、アンケート調査によりまして千数百名のトラック運転手の大半が、二時間から三時間ぐらいが自分たちは適切であると考えている、そういう主観的な意見もありますので、いろんな観点から総合的に見まして、二時間ぐらいで切ってやってみるのがいいのではないかというふうに考えられます。これはさらに科学的な調査を行なって結論を下したほうが妥当と考えておりますが、日本の過密道路状況を考えますと、その辺が限度ではないかというのが私たちの体験的な実感でもございます。  以上で一応お答えとさしていただきます。
  39. 福田桂次郎

    福田参考人 私どもは最近は、出入りのトラック業者の皆さんの協力を得て定量積みを励行いたしておるつもりでございますが、ただいま御指摘がございましたので、今後そういうことのないように十分留意したいと思います。
  40. 真島健

    ○真島説明員 先ほど久保先生への答弁の中で、トラック協会が換算云々のことでやっておるということならば調査すると申し上げましたが、一般的に過積みがある程度行なわれておるということについては、私どももちろん承知しないわけではございませんが、荷主運送業者、強者対弱者という関係で、個々の業者がある程度そういう形をとらざるを得ないということがあるにしても、トラック協会という全国団体がそういう態度をとっておるかどうかということについては調査をする必要があるという意味で申し上げましたので、車扱い運賃の励行ということについて、私どももちろんこれをぜひ徹底していかなければならない。先生御承知のとおり、昨年七月に、政府と申しますか総理府を中心といたしまして、私ども、それから荷主官庁である建設省、通商産業省等も全部集まりまして、車扱いの運賃の励行については、通商産業省、建設省等関係各省は、所管の利用者団体、荷主に対して過積載防止及び車扱い運賃の励行について指導強化するということで、私ども申し合わせておりまして、当然に、各荷主官庁において指導を強化しておることと思っておりますけれども、御承知のとおりのような事件も起こりましたので、私ども、これからもこういう関係省庁に対しまして指導強化を強力に申し入れていく、こういうことを考えております。
  41. 井上泉

    井上(泉)委員長代理 野坂君、時間に御協力を願います。質問者は二十分を経過しておりますから……。
  42. 野坂浩賢

    ○野坂委員 これでやめますが、意見がまちまちであれば、秋山さんなり中村さんなり真島さん、それぞれ答えていただきますが、政府の統一見解を述べていただくならば、総理府の秋山さんでけっこうでありますが、いまお話がありましたように、大型貨物自動車積載防止装置研究委員会には、労働者の代表を早急に入れる、善処するということがはっきりしました。しかし、きょうの参考人の皆さんのお話で明らかになりましたように、自殺をする人さえ出てきた、腰痛を訴える人もあるし、室内の騒音は百ホンに及んでおる、こういう非常に悪い環境にあるということもはっきりいたしております。さらに、過積み防止のためにあるいは過労運転を追放するために、休憩施設、そういうものも現状ないにひとしい、こういうこともはっきりしてまいったわけでありますから、過積み過労運転の追放あるいは貨物の過積み過労、そういう防止対策委員会とか、名称はいろいろあろうと思いますが、そういうものを早急に設置されて、学識経験者なりあるいは通産、建設、警察、総理府、運輸、こういう方々の関係者、さらにそれに携わる労働者、あるいは運送業者荷主、こういうもので構成をされて、毎年同じような過積みとか過労とかいうような追放の問題を、こういう特別委員会だけで話すのではなしに、日常的にそういう委員会を設置をして、当面する労働者、運転者、そういう方も入れて、これらの対策を立ててほしい、こう思います。そうすれば吸収も早いと思いますし、対策を立てるのにも、より効果的ではなかろうか、こう思うのであります。そういう意味で、そういうことを私は提案をしたいと思うわけでありますが、政府はどのようにお考えであろうかと思います。
  43. 秋山進

    ○秋山政府委員 ただいまの貴重な資料をいただいておりますが、さらに関係省庁とまずこの問題を十分に究明する、その究明のしかたとしては、まず科学的にものごとを明らかにしていくということから手がけて、さらにその対策についてそれ相応の組織をつくっていきたい、こういうふうに私どもは考えております。
  44. 野坂浩賢

    ○野坂委員 それでは終わります。
  45. 井上泉

    井上(泉)委員長代理 次に、紺野与次郎君。
  46. 紺野与次郎

    ○紺野委員 最初に、きょう参考人の方々の貴重なお話を聞きまして、ほんとうにありがとうございました。  さっそくですが、東京鉄鋼埠頭のほうの福田さんからお話をもうちょっとお聞きしたいのですが、それは、運送業者に対して実際に鉄鋼運送協定をやる荷主は、東京埠頭の場合にどういうことになっているのか、どこがどれくらいのパーセンテージをもってそれぞれやっているのかという実情を、ちょっと知らせていただきたいと思います。
  47. 福田桂次郎

    福田参考人 東京鉄鋼埠頭としましては、荷主の立場といいますか、実はほんとの荷主メーカーあるいは商社等でございまして、私どもは取り扱い業だけで、結局ほんとの荷主の取り次ぎをしているだけでございます。そしてまた契約は、実際にやっておられるトラック運送業者と私ども契約いたしております。
  48. 紺野与次郎

    ○紺野委員 そうすると、取り次ぎ店みたいになっているわけですね。それで実際にどことどこが、一年間のトン数ありますね、鉄鋼埠頭に入る、その総額とパーセンテージ。たとえば新日鉄とかその他のところの実情、あるいは商社ならば大体何%ぐらい、それを知らせてください。
  49. 福田桂次郎

    福田参考人 結局メーカーとか商社から受けるものが大体六〇%でございます。それから引き取りといいますか、荷主さんが直接御自分の責任で取りにこられるものが残りの四〇%ぐらいになっております。
  50. 紺野与次郎

    ○紺野委員 ちょっと先ほどの六〇%の中で、いわゆる製鉄メーカーと商社というものの区別はどうですか。
  51. 福田桂次郎

    福田参考人 メーカーといいますと、東京鉄鋼埠頭では新日鉄が非常に多いわけでございます。それからあとは商社でございます。
  52. 紺野与次郎

    ○紺野委員 商社のパーセンテージは。
  53. 福田桂次郎

    福田参考人 メーカーと商社のパーセンテージは、いまちょっと数字を持っておりませんけれども、やはり半々ぐらいじゃないかと思います。
  54. 紺野与次郎

    ○紺野委員 それはあとで資料をいただきたいと思います。  それから、あとのほうの四〇%の残のところですね。これはどういうところですか。
  55. 福田桂次郎

    福田参考人 これはほとんど需要家でございます。
  56. 紺野与次郎

    ○紺野委員 ところで、トン当たりあなた方が今度は荷役——荷主にかわって取り次ぐわけですね、契約を。その場合に、最近の契約についてメーカーなり商社のほうから、こういうトン建てでしてくれというふうなことになるんですか。
  57. 福田桂次郎

    福田参考人 これはトン建てというのは、実は鉄鋼業界の荷主あるいはトラック業界鉄鋼に関しては長い間の慣習でございまして、メーカーから言ってきているというようなわけではございません。
  58. 紺野与次郎

    ○紺野委員 慣習としてそうなっておる、そうですか。  それで、もう一つ、一トン当たり幾らぐらいのものです、運賃は。
  59. 福田桂次郎

    福田参考人 トン当たりにしますと、実は十二トントラックで十キロの場合は、現在の認可料金は五千四百十円と車両制でなっております。それを十二で割りますと、四百五十一円というトン当たりが出るわけでございます。これが現行の、安いんでございますが、認可料金から割り出した額でございます。ところが実際に鉄鋼埠頭トラック運送業者に払っているのは、トン当たり五百二十円、これを基準にしております。
  60. 紺野与次郎

    ○紺野委員 それは一トンですね。
  61. 福田桂次郎

    福田参考人 一トンでございます。走行距離が十キロとして五百二十円でございます。
  62. 紺野与次郎

    ○紺野委員 そうすると、諸悪の根源ということばが最近ありますけれども、過積みの根源がこの辺にあるということは衆目が一致してきていると思います。要するにその運賃では業者のほうでなかなか採算合わない。ですから、そういう点でもっと合理的な運賃制度というものに、いろんな過積みをしなくても済むようなものに変えなければなかなかこれを改めることができないような、大きな問題点がここにあるのではないか。ある人の話で、業者のほうであと五割くらいトン建てだけでいえばしてもらわないと、それくらいになれば過積みしなくても済むとか、いろいろ言ったという話がありますけれどもトン建てでやるという考え方そのものを再検討して、先ほどからいろいろ言われている定量で一台幾らというふうなことでの運賃制度とか、そういう過積みが起こらなくても済むような運賃制度というものを、あなた方の長い経験の中からどんなふうにしたらいいというふうに思いますか。いまのまま慣習でこのままずるずるいけば、これはいわば諸悪の根源ですから、そこを避けるにはどんなふうに運賃制度を変えたらいいかという、まずあなた自身のお考えがもしあったら聞かしていただきたいと思います。
  63. 福田桂次郎

    福田参考人 私はトン建て運賃制が決して悪いとは申しませんけれども、やはり過積み防止というような意味合いからいけば、私見ではございますけれども車両建てということも考えなければならないのじゃないかというふうに思います。
  64. 紺野与次郎

    ○紺野委員 政府のほうの見解はこの点についてどうですか、運賃制度について。
  65. 真島健

    ○真島説明員 先ほども御質問が出ましたときに申し上げましたけれども、私どもは過積み防止というような観点も含めまして、四十六年に前回トラック運賃改定をいたしたわけでございます。そのときに、運賃制度としては車両建てということをすでにはっきりさしておるわけでございます。ただ、いままでのいろんなお話でおわかりのように、慣習としてなかなかそれを破れない部面があるということで、昨年の七月に総理府を中心といたしまして、荷主官庁も含めました場におきまして、この車両建て運賃の励行を、——私どもはもちろんでございますけれども荷主官庁も、励行するためにそれぞれ関係の業界を強力に指導していこう、こういうことになっております。
  66. 紺野与次郎

    ○紺野委員 そうすると、監督体制の責任というか、具体的にそこのところの監督体制というものがあるのかどうか、知らしてください。
  67. 真島健

    ○真島説明員 荷主官庁のほうは私よく存じませんが、私どもでは本省、陸運局あるいは陸運事務所というところで、特に監査その他の場を通じましてそういう指導を行なっておる次第でございます。
  68. 紺野与次郎

    ○紺野委員 そうすると、あなた方のあれはほとんど実行に移されていないような、そういう状態になっているのですね。そういう点で、やはり過積みをなくすための監督、監視の体制、これをあらためて確立するということが必要じゃないかというふうに思うのです。現にそのことを待ちかねて、労働組合側ではことしの二月二十六日に東京鉄鋼埠頭、東雲の鉄鋼置き場、これらを自主的に検査をしたわけなんです。それによりますと、これは東京都議会でも問題になりましたけれども東京埠頭の場合には、過積み一・五倍のものが二十台、二倍のものが二十台、三倍の過積みが三台、四倍のものも二台ある。それから東雲のほうの状況について言いますと、過積み一・五倍のものが三台、二倍のものが三台、三倍のものが二台。それからもう一つの東雲の同じ置き場の別の号地のところでも、一・五倍のところが二十四台、二倍のところが二十九台、三倍のところが五台、四倍のところが二台というふうに、もうすべてこれ過積みという形で行なわれている。その荷主メーカーであり商社であるということで大きな指名権を持っているという状態だと思うのですね。ですから、やはり監視、監督をその根源においてやるということが必要ではないか。一つ運賃制度そのものを車両建てにするということ、そして、監視体制を大もとのところでする。ちょうど労働組合がやったように、東京埠頭あるいは鉄鋼置き場、こういう大もとのところで監視、監督の体制をやるべきだ。そこを手抜かっていては、あとは群集の中の一つという形で、車がたくさん走っている中でということになって、これは非常にむずかしくなります。  これは鉄鋼置き場で労働組合が写したものです。だれが見ても、一目でもうこれはたいへんな過積みだ。これもそうです。こういうふうなものは、計量器を使わなくても、三倍から四倍やっているということがわかるわけなんですね。これもそうなっていますけれども鉄鋼置き場とか埠頭とか、そういう大もとのところでまず監視、監督をして——労働組合はもう見てすぐわかるわけです。あなた方はこういうところをいままでされましたか、それともどうだったか。それから、今後こういうことをしてもらいたいということですが、それについて政府のほうからちょっと聞かしてもらいたいと思います。
  69. 真島健

    ○真島説明員 私ども、もちろんそういうような点について今後十分やっていきたいと思っておりますけれども、全体的に警察の問題通産、建設等荷主官庁の問題、いろいろございますので、総理府のほうからひとつ御答弁していただいたほうがいいんじゃないかと思います。
  70. 秋山進

    ○秋山政府委員 昨年各省で申し合わせいたしました九項目の励行ということが何よりも大切でございますし、各省庁のそれぞれの仕事の中でそれぞれやるべきことがございますので、それを十分に徹底してやっていただくよう私どもも各省庁と十分協議して努力いたしたい、こういうふうに存じております。
  71. 紺野与次郎

    ○紺野委員 問題はそういう監視を、実際にその場に行ってしょっちゅう点検をするという体制は、いま役所の側にあるのですか、どうですか。
  72. 秋山進

    ○秋山政府委員 現状では警察と運輸省が取り締まり監視の役割りを持っておるところでございまして、他の諸官庁、いわゆる荷主官庁は、いわば業界の指導という形でこれを推進しておるというふうに私は考えております。
  73. 紺野与次郎

    ○紺野委員 そうすると、結局いまのところは、現場を絶えず巡視して、大もとの鉄鋼埠頭とかその他を監視している人はおらないのですね。どうですか、そこのところ。
  74. 真島健

    ○真島説明員 お答えいたします。  そういう全国のあらゆる地域における場所等について常時十分に監視できる体制は、私どもは持っておりません。
  75. 紺野与次郎

    ○紺野委員 そういうことで全くしり抜けになっているところを、今後はやはり大もとの根源のところで調べるような体制をぜひつくってもらいたいと思いますが、たとえば、そうすればどういうことが起きるかということの一つの例として、最近福岡の博多において東洋埠頭というところから扶桑興運、新興貨物自動車、朝日貨物、昭興運輸という四業者の過積みを発見しまして、そしていままでにばく大な過積み運転者に対して強要されておったし、また計画的にこういう過積みが行なわれておったということが発見されているのですね。それで、たとえば一つ会社の場合は、十二人の運転手に対して百九十三回の過積みを強要しておった、それからもう一つの新興貨物というところでは、十六人の運転手に百八十四回の過積みを強要しておった、しかもそれを、計画的に配車計画等々をやりながらしておったということが出ておるのですね。これはわかっておりますか。
  76. 森郷巳

    ○森説明員 地元の県警等で十分調査いたしているところでございます。
  77. 紺野与次郎

    ○紺野委員 ですから、そういうことでやれば防ぐことができるような措置がとれるということだと思うのですね。そういう点で、重ねて、いわゆる監視と監督の体制をつくって、大もとのところでそれらを実際に見ながら直していくようにすべきである、そして根本的には運賃制度そのものの改革をすべきであるというふうに思います。  時間がありませんから、最後に賃金の問題です。  労働組合側のお話をいろいろ聞きますと、出来高払いですね。そしていろいろの歩合制。鉄鋼の場合なんかは、トン当たりオール歩合制というようなことで、運賃歩合、トン歩合、走行距離歩合、走行回数歩合、すべてこれ歩合というふうな賃金制度で、実際上過積みにかり立てられている状態だと思いますけれども、この点について、賃金の側からも運賃そのものの体制をどうしても変えてもらわなければいけないと思います。同時に、賃金制度のほう、この出来高払い及び運賃の歩合制度というものについて、浜本さんの立場から見て、こういうことはどういうことかということで御意見をちょっと……。
  78. 浜本徳夫

    浜本参考人 すべてがそうだということではありませんけれども、どうしてもそれをつけ加えないと企業がやれない。また、組織化されている大きい労働組合を持っているところはそういうことはありませんけれども、どうしても未組織が多い。現在トラック百万台といわれていますが、その労働者の中で実際には七〇%以上が未組織であるという実態で、それはすべてそれに通ずると言っても過言ではないのでありまして、運賃がどうのこうのということについては、われわれが干渉するものではございませんけれども、実際に企業が、そういうことでないとおまえたちに払えないと言う。また、払われなければ労働者は、就労しないのですけれども、現に就労しているということは、そういうことでやはり食っていかなければならぬから就労しているというのが実態だろうと思うのです。  本来労働者は、自分らの要求が通らなければその職場を捨てればいいのですけれども、やはりその地域に住む労働者は、通勤あるいは居住の関係でその職場にいざるを得ないという生活問題がかかっておりますし、また家族にしましても、住宅がどこへ行ったってすぐあるわけじゃなし、また子供の学校の問題その他のことで、転居その他は絶対不可能だといういろいろ諸条件がありますので、現在そういうことが行なわれているということは事実であります。
  79. 紺野与次郎

    ○紺野委員 改善の方向として、どうですか。
  80. 浜本徳夫

    浜本参考人 このことにつきましては、われわれ組織労働者がやらなければ、未組織では力がないのでできませんので、われわれはこの辺についても調査を進めて、現在資料を作成中でありまして、すでに整っておりますので、今後この問題も大きく労働省なり関係当局とも交渉していきたい、このように考えております。
  81. 紺野与次郎

    ○紺野委員 いまのことにつきまして堀野さんの御意見ですね、つまり、一つは、あなたがずっと報告されましたね、ああいうことが過積みによってどういうふうに過重されるかというか、もっとひどくなるというふうな点があると思いますけれども、それと賃金問題との関係で、もし御意見がありましたら、ちょっとお伺いしたいと思います。
  82. 堀野定雄

    堀野参考人 アンケート調査でも、過積みによってニアミスを起こしそうになったというニアミスの経験者がかなりあるということは先ほど申しましたが、もう一度念のためにデータを申しておきますと、私のこの緑の本の付表の最後のページでございますけれども、「ム、積み過ぎていて制動距離の判断を誤った。」というのが、二百八十七名で二五・四%おります。私たちがやりました調査実験は、過積みではない状態でやっております。それで先ほど申しましたような疲労実態が得られたわけでありますけれども、過積みをいたしますと、精神的な負担がまず増すということですね。それから、ブレーキテストの、その報告書でもございますけれども制動距離がこうした判断を誤るというぐらいでして、きかない。高速道路は非常に混雑しておりまして、その判断、要するに、プロの運転手でも勘が狂うようなケースが起こり得る。そういうことを知った状態運転するということが、それだけでもすでに精神的な負担になってしまう。もし、今度実際に何か起こった場合には、もろにそれが物理的にもきいていくというふうに考えられます。したがって、その過積みの問題は、疲労を非常に助長させる重大な要因であるというふうに私たちは考えます。  それから、賃金の問題は、私の専門ではございませんが、歩合制が一つ疲労の因子になっている。つまり、その無理な要求を受けなければ仕事にならないような非常に複雑な背景に運転手の一人一人が置かれておりまして、少しでもいい生活をしたいわけですから、そういった観点から、自分のからだを削るような形でもって無理を背負い込んでいく。  実は運転手の方々とかなり接触いたしましたが、この職種は、四十歳が大体限界だというふうに聞いております。三十歳代ですでにしらがになっておりまして、五十歳ぐらいですかと聞かれて非常にがっくりするという人がかなりいるそうでして、自分のからだがどんどんむしばまれていく、そういった実態があるようでございまして、非常に私も背筋が寒くなるような気がいたしました。そういったことが賃金とかなりつながってあるんだろうというふうに私も考えております。  以上でございます。
  83. 紺野与次郎

    ○紺野委員 最後に。そういうことで、結局、過積み問題は、東京埠頭のあれでも、商社とメーカーの代行をしているような形になっておるという点はきわめてやはり重大だと思いますね。そういうふうなことで、やはりこの問題については、大きな力を持っているものが根源になっていると思います。そういう点で、本委員会においても、これから継続してこの過積みの巨大な圧力に対して十分に監視もし、あるいはこれからは商社あるいはメーカー、こういうところの代表も来てもらって、そうしてこういうことに対する大きな責任があるということで追及していくべきではないかというふうに考えます。  また、監視、監督の体制がやはり非常に弱いものであって、これを大いに強化して、そして実際の監督と監視の面からもこれをなくしていくということが必要ではないかというふうに思います。  以上をもって私の質問を終わります。
  84. 井上泉

    井上(泉)委員長代理 沖本泰幸君。
  85. 沖本泰幸

    ○沖本委員 だいぶ時間が経過いたしましたので、御質問もたくさん出ておりますし、私はしぼってお伺いしたいと思います。  いま紺野先生からは、これからもどんどんこのことを続けていくべきだという御意見があったわけですけれども、私は、できるだけこういうことが早くなくなることのほうを望みたい、こう考えるわけです。そこで、貴重な資料を、以前には高速道路上のトラック実態を発表していただいたり、今度の実験なり何なりを御発表いただいておるわけですけれども、こういう貴重な参考資料なり調査資料というものがどういうふうに政府間では生かされておるか、その点をお伺いしたいのです。
  86. 秋山進

    ○秋山政府委員 まことに遺憾でございますが、こうした資料、きょう初めていただきまして、まだ十分に検討しておりませんので、今後これを十分検討しまして、安全対策に生かしてまいりたいと存じます。
  87. 沖本泰幸

    ○沖本委員 この中にも載っておるのですが、学生諸君がこの実験に参加して、そしてその後民放のテレビでもこれを取り上げて、私も一部それを見ましたけれども、そういうことがあったわけですね。ですから、そういうものは別に実験した団体なりそういうところから資料を送ってくるのを待っているということでなくて、やはり貴重な民間の実験なり何なりというものは、いち早く政府のほうから言って取り寄せていただいて、それに対して具体的な対策なり回答なりというものが十分できていくような、あるいは改善が行なわれていくような体制をとっていただくことが一番大事なことではないか、私はそういうふうに考えるわけでございます。  それで、昨年もやはり当委員会で同じ内容のものの委員会が行なわれたわけです。そのとき、各委員がそれぞれの立場から御質問し、また、貴重な御見解をたくさんいただいたわけなんですが、それが、ほんとうにその内容について改善されているかされていないかという点について、浜本さん、いかがでしょうか。
  88. 浜本徳夫

    浜本参考人 われわれがここに発表しておりますことは、事実を書いておるわけでございます。しかしこれは、政府においては、おまえらがやったんであって、われわれの責任ではないということだろうと思うのです。となりますと、私が一番心配しているのは、現在ハイタクの運転手が非常に減っておりますように、将来、トラック運転手がいなくなったら一体どうなるのだ、こういうことを政府はまず考えられるべきだろうと思う。もう産業も生活もすべてとまってしまうだろう。   〔井上(泉)委員長代理退席、野坂委員長代理着席〕 そういう日が間もなく来るだろう。そういうことをわれわれは労働組合の立場で考えるから、こういうことをやらざるを得ない。やむにやまれずやったわけであって、これはただでできるわけじゃありません。多くの組合員の拠出によってこれだけの行動をしておるわけでございますので、政府がどうおとりになるかは別としても、事実であることについては御認識をいただきたい、このように考えております。
  89. 沖本泰幸

    ○沖本委員 私、たまたまタクシーに乗りまして、運転手さんと話をかわしたのですが、トラックのほうがえらいのでタクシーに乗りかえたんだ、こういう御意見が出ているんですね。乗りかえてみたけれども、たまたま話をかわしたのがちょうど石油の危機の時期であったので、タクシーのほうも条件がよくなくなってきたというお話があったわけで、そういうところから聞きますと、やむを得ずトラックに乗っているというお立場でこの職業をお選びになったというふうにとられる点が非常に多いわけなんですけれども、そういう点につきまして浜本さんと堀野先生ですか、お二方の御意見を伺いたいのです。
  90. 浜本徳夫

    浜本参考人 われわれは労働組合ですから、労働条件、ずばり言えばもっとよこせ、もっとよこせという要求に常になるわけでありますが、決してエゴだけで言っているのではなくて、これは後ほど他の参考人からも話があろうかと思いますが、終生この仕事をやっていこうというような人は実に少ないわけですね。そういうことを運輸労働自身が意識している。これであってはならない。先ほども申し上げましたように、くどいようですが、将来展望は、労働者はトラックに乗れば命を捨てるのだということになってくるのじゃないか。われわれだって子供にトラックなど乗せたくないです。そういう気持ちになってしまうということだと思います。
  91. 堀野定雄

    堀野参考人 トラック運転手さんと会いましていろいろ聞きますと、将来どういうふうに自分の仕事を考えているか、たくさん聞きましたが、ほとんどの人が将来は個人タクシーに移りたい。個人タクシーの運転手になるまでに幾つかプロセスがありまして、トラックの中でもまださらにいい仕事があるわけですから、そういうところから移っていきまして、たとえば路線の定期便だとか、労働条件がある程度恵まれている仕事をやって、その次はバスの運転手あるいはその中でも観光バスの運転手をやって、それからタクシーへいきたい、あこがれは個人タクシーだということが大体異口同音のようでございます。ところが、たまたま石油危機とぶつかりまして、プロパンガスが個人タクシーの人はなかなか入らなかったわけでして、その事態に直面いたしまして、それを横でトラック運転手さんたちが見ておられまして、やはり大手の会社にいないとああいうときは個人タクシーも困るんだな、それで非常に頭を悩めているというのが、私たちが拝見いたしました実情であったように思います。  それから、やむを得ず運転手になっているという実情は、こういう仕事はほんとうはやりたくないとみんな言っているわけですね。一番よくわかりますのは、労働時間を見ますと、どう考えたって他の産業にはないような長時間労働が常態化している。週休二日制というのが最近、余暇の問題とからみましてどんどん進行しておりますけれども、この職種に関しましてはなかなかそれが望めない。大体、現場のことばで連チャンというのがあるそうですが、連続して深夜運転をする、そういうことがあたりまえのようになっておりまして、私たちが添乗いたしました路線トラックも、二日間ぶっ続けで、その間の日を会社の仮眠所で寝てやる。ひどい場合は、かなりいい条件会社だったんですけれども、荷物の積みおろし、それから翌日帰るための集荷まで全部やってそれから仮眠に入るのですが、交通渋滞等のためにその仮眠時間がほとんどなくなってしまって、またそのまま帰っていく、そういうことがかなり常態化しておって、とにかく肉体を削りながら仕事をやっているというのが、私たちトラック職種のしろうとですけれども、率直な印象でございまして、労働時間を見ましてもやむを得ず彼らはがまんしながらやっているということが非常に感じられた次第であります。
  92. 沖本泰幸

    ○沖本委員 これは浜本委員長にお伺いしたいのですが、同じような仕事は外国でもあるわけです。外国での過積み問題をお調べであるかどうか。そういう条件について、外国でも同じ過積み問題があるのかないのか。ない場合にはどういうふうな内容で条件ができ上がっているのか。この点、御存じでございましたらお教えいただきたいと思います。
  93. 浜本徳夫

    浜本参考人 残念ながら私は外国に行ったことはないのでございますけれども、文献その他、また行かれた方の報告その他を伺いますと、アメリカあたりではまず皆無だそうです。要するに、彼らはいわゆるルールの上にしかもモラルがあるという、レベルの問題もありましょう。しかし、実際上運賃なり、大体労働自身の意識が、要求を入れなければ就労しないというような原則にあると思いますが、しかし日本の実態は、前段から御案内しておりますようにいろいろな規制があるわけですね。住宅の問題にしても学校転校の問題にしても、また近親、家族制度の問題にしてもそうでありますが、そういうことに縛られておるということでなかなか移動もできない。しかも特に日本においては企業内組織の組合が多くて、向こうのようなチームスターのような形にはなっておりませんから、そういうことで組合自身の力も弱いということが言えるのではないかと思いますが、いずれにしましても、外国ではまずないということになっております。
  94. 沖本泰幸

    ○沖本委員 いま御質問しました点について政府から、何か同じ問題で……。
  95. 秋山進

    ○秋山政府委員 私どもまだ外国の事情について十分把握いたしておりません。
  96. 沖本泰幸

    ○沖本委員 それから、前の赤い本の高速道路上の御調査にも出ているのですが、マイカーの追い越しが非常に事故を倍加させている、事故の原因にもつながっていっているということで、マイカーの追い越しについては厳重な処置を望むというような声も出ておるわけですけれども、こういう問題について浜本さんの御意見を伺いたいのですが……。
  97. 浜本徳夫

    浜本参考人 最近はマイカーも、石油規制の問題その他いろいろ広報活動によって、そういうことが少なくなっております。また休日などはスタンドが閉鎖しておりますから、そういうことで実際には少なくなっておりますが、しかし、マイカーをすぐ阻止せよというようなことは、それにかわる輸送機関がなければそれも実際はできないだろうということは踏まえておるのですけれども、われわれはやはり先生がおっしゃるような強い希望を持っておることは間違いございません。
  98. 沖本泰幸

    ○沖本委員 先ほどから御意見も出ていますように、結局はモラルの点にかかってくるのですね。一番その波をかぶっている頂点はどこへ来ているかということにかかるわけです。結局、処罰されるのは一番弱い人のところにいって処罰が行なわれておる。その点は十分気をつけてやっているのだということなんですけれども、その点の改善が行なわれているか行なわれていないかということ。ただ道交法だけに寄っかかって、問題追及だけに終わっているのかどうかという点。その後そういう問題が、いわゆる荷主あるいはメーカーのほうなり何なりに同じ共同責任がいくような方向に法律の改正なり何なりをお考えになっているのかどうか、この点いかがなんですか。
  99. 森郷巳

    ○森説明員 私どもは、過積載というのは現実には個々の運転者の違反ということになると思いますが、しかし、個々の運転者を取り締まるだけでは過積載の追放ということはできないというふうに考えております。したがって、これまでも雇用者とか運行管理者等につきましては、そういった違反を命じた、あるいは容認したということにつきましては、それぞれ道交法の規定を適用いたしまして、下命容認の禁止規定なりあるいは両罰規定の適用なりということを行なっております。  また荷主等につきましても、やはりそういった過積載を慫慂した、あるいはそういったことを認めているということにつきましては、当然のことながら刑法総則の適用、共犯ということで、時に応じて教唆犯としてあるいは幇助犯として、きびしく責任を追及するという考え方でやっております。現に、昨年一年間の取り締まり状況を見ましても、たとえば下命容認の関係につきましては千四百六十三件、教唆帯助関係については二十件余り、両罰規定の適用については四千件余りの取り締まりをしているということでございまして、今後ともやはりこういった間接責任の追及、背後関係責任追及、そういったことに力を注いでいきたい、そういうふうに考えております。
  100. 沖本泰幸

    ○沖本委員 法律問題になってくると思うのですけれども、法解釈の問題で解釈がだいぶ変わってくると思われるのですね。ですから、いま御答弁があったとおり、両罰規定の中においても、一番弱者のところに焦点を置くということではなくて、先ほどからずっとお述べになっていらっしゃる、またお答えになっていらっしゃる内容からは、やむを得ずそうならざるを得ないというところがあるわけですね。そうすると、故意とか過失とかという点から考えていくと、本人が故意で行なっているというふうにとられない内容がたくさんあるはずなんですけれども、そうすれば、故意でそういう問題あるいは事故を起こす原因をつくったというところに、事故の最大の原因があると思われるのです。そういう問題をやはり重点的にお考えになった内容の取り締まりなり対策なりを考えていただかなければ、なかなか片づかないと思います。そういう点についてお考えがあるかないかということ。  それから、もう時間がありませんので締めくくり的に申し上げますけれども、ずっとこの問題につきましては、やむを得ないやむを得ないという話ばかり続いているわけです。ところが、これから起きてくる事故の発生というものは、当人に限らず他にまで大きな事故の原因になっていくということを考えていくと、社会的な重大な問題でなければならないはずです。人の命ほど大事なものはないはずなんです。この命の安全をはかっていくために、命の危険をあえて見過ごしているというのは政府のとるべき態度ではない、こういうふうに私は考えるわけです。人の命の危険をおかしてまで荷物を無理に積ませるほうにも、重大な刑事責任がなければならないはずなんです。そういう角度からも十分この問題を考えていただければ、この問題点の解決はもっと前に進んだものが出てくるのではないかというふうに私は考えるわけですけれども、そういう点について、政府は今後この問題をなくするためにどういう考えをもっておやりになるか。きょうお伺いしませんでしたけれども、同じような委員会を同じ角度で開いて、毎年同じことを繰り返したってしようがないわけです。ですから、昨年よりことしのほうがうんと改善されたものがあり、なおかつ、それを開いてよりいい方向に向けていくというのであれば、これは非常にけっこうなことだと思うのですけれども、毎年変わらない問題を、重要視しながら、毎年交通安全対策委員会でこの問題をいろいろ議論しなければならないというところには、政府は十分責任を感じてもらわなければならないし、早急に対策を立ててもらわなければならない、こういうふうに考えます。その点についてお答えを願いたいと思います。
  101. 秋山進

    ○秋山政府委員 私も経験が浅いので十分なお答えは申し上げられないと存じますが、この問題は関係する省庁も相当多いと思いますし、またいろいろな立法によって、罰則を強化するというだけでは解決できない問題も相当あると思います。複雑な日本の社会構造あるいは経済構造、そういう問題も十分見きわめて、それなりの行政措置も裏づけしていかなければならないというような問題であろうかと思います。関係省庁衆知を集めて、これが対策についてさらに検討を加えるとともに、早急に実施できる対策は早急に実施するという姿勢で臨んでいきたいと思っております。
  102. 沖本泰幸

    ○沖本委員 先ほどと答えは同じですか、法解釈の問題で……。
  103. 森郷巳

    ○森説明員 ただいま総理府の交通安全対策室長からお答えしたとおりでございますが、やはりこういった問題は取り締まりだけで解決のつく問題ではないというふうに考えておりますので、さらに関係の省庁と力を合わせて、私どものほうの分野でやれる分野については最大限の努力を払ってまいりたいというふうに考えております。
  104. 野坂浩賢

    ○野坂委員長代理 渡辺武三君。
  105. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 過積載問題は、先ほど来論議されておりますように、以前からの問題でございまして、昨年度も同じことを繰り返しておったわけでございます。特に私は、昨年度は労働組合の代表の方に申し上げたのですが、いろいろお話をお聞きしておると、いわば労働条件に関することが非常に多いわけであります。労使の関係としてとらえて解決していかなければならない問題が多数訴えられておるように見受けられるわけであります。御承知のように、労働時間等を一つとりましても、いまたくさんある労働組合それぞれに、労使交渉の中で労働時間の短縮化のほうに向かって一生懸命に努力をしておる。労働基準法では一応の基準はきまっておりましても、ほとんどがそれ以下の短い労働時間を獲得をして現在いろいろやっておるのです。  ところが、今回のお話をいろいろ聞いておりますと、運転者労働条件そのものは年々悪くなってきておる。特に堀野先生あたりの御調査の結果によりましても、数年前よりもさらに悪くなってきておる、こういうことがいわれておるわけでたいへん驚いておるわけですが、一体その労使の間における交渉能力の中ではもう消化し切れないのかどうか、現状のままでは労働条件がだんだん落ちてくる一方なのかどうか、この辺に実は私ども非常に疑問を持つわけですが、まずその辺からお聞きをしたいと思います。
  106. 浜本徳夫

    浜本参考人 おっしゃるとおりの面がございます。たとえば一例をあげますと、過積みはこれをなくするということにつきましても、われわれは非常に過労運転につながる、そして危険につながる、事故につながるということが運転者自身も明らかにわかっておる。しかし、どうしてもそれを積まなければパンにならないという因果関係があるわけです。たとえばそれならば、先ほどから盛んに論議されております、特に発想の転換とかそういうことばが非常に出てくる。われわれが一例をあげれば、これは私個人の見解ですが、たとえばピンポン玉のようなものをポケットに入れておく、そしてその二つのものを踏めばそれが破裂する、それが四トンの玉ならば、それが破裂すれば四トン以上である。ただ計量計とか重量計とかいうから、法律上何%以内だとかいう規制が出てくると思うのです。そうじゃない、簡単な方法も、やる気ならばあるだろうと思うのです。もちろんそのピンポン玉が破裂すれば、それだけ会社が幾らかのコストのものが損をするわけであります。だから方法は、転換すれば実際に幾らでもあると思うのです。一つ国民運動としてこれはやらなければならないぐらい大きな問題でありますが、決してむずかしいもの、特殊なものなどを労働者は要求しておりません。むしろ再教育を受けて車を運転していくようなことであるならば、現在の運転手はすべてがほとんど不適であると言いたいですね。運転手は二年以上たったらもう変わらないのです。考えながら運転はしておりません。目に映じたことがからだの反応として出てくるというようなスピードを持った乗り物であります。したがって、二年たってその運転手事故を再々やるようだったら、これは人間として欠陥者です。そういうようにわれわれは考えているわけです。  したがって、実際に積む場所において、あるいはすでに積み置かれたところにおいて、これはちょっとおかしいということは感覚でわかりますから、それでは踏んでみますよということで、たとえばボストンバックから出して立ち会いによって踏んで、これはだめだということが言えるような、簡単なものでけっこうなんです。むずかしいもので再教育を受けるようでは、現在の運転手はむしろ失脚であります、これは言い過ぎかもしれませんが。ともかくどちらにいたしましても、トラック業界においても、東京トラック協会もそうなんですが、全ト協においてもなかなかわれわれと対話を持つことをやらない、持とうとしない、管理者責任がないとか、なんとかかんとか言って。常にわれわれは交渉しているのでありますが、なかなかやってくれない、そういう実態があります。この辺についてもぜひ御指導いただきたい。  それと、実際に、われわれエゴで言うのではありませんが、先ほど堀野先生から言われているように、やはり運転手も人間でありますから、また、その運転手が人間性を喪失するようなことがあったら即事故でございますから、本人はもとより必ず他に危害を与えるわけであります。しかもあらゆる運転手道路を走っておるわけでありますから、組織されていようと未組織であろうと同じであります。そういう交通戦争の中において、当然政府は、たとえば港湾がやっていますようなトン幾らというような費用を出して、そういうものをとって、当然それに必要な休養施設なり何なりやっていただきたいし、何とかわれわれ労働者の労働条件が少なくとも人間並みであるように、それ以上の要求をしているわけではないのです。先ほどから言われますように、だんだん交通戦争がきびしくなっておることは間違いございません。そういうことでひとつ御判断をいただきたいということで回答にかえたいと思います。
  107. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 時間がありませんから、なるべく質問に的確に答えていただきたいのです。  私は、幾ら法律をきめましても、たとえばいま過積みはいけないのだ、きまっておるのですよ。きまっておるのにかかわらずその法律が無視されてどんどん過積みがされていってしまう。何々をやってはいけない、何々をやりなさいと言っても、それが守られなければ何にもならぬわけですからね。その中にはもっと組合がき然たる態度をとって律していかなければならない問題があるんではないか、こういうことをお尋ねしているわけです。だから、法律上たとえば過積み防止を強化していっても、それはほんとうになくなるだろうか。いまでさえ、積んではいけないことになっておるのに、平気で積んでいってしまう。しかもそれは、業務命令に準じてきてしまうというのだから、やむを得ないというような態度で労働組合が処していくならば、たいへんな問題だ。むしろ法律の基準以上に労働条件を高めるための努力、こういうものは、賃金を上げるあるいは一時金を取るということ以前の、同等以上に労働組合の主たる任務であるべきではないだろうか、こう考えるわけですが、その面の御努力がどうなんだろうか、もう労働組合の力で及ばないようになってしまっているのかどうかということが実はわからなかったものですから、お尋ねしたわけでございまして、法律上規制をきびしくするということは可能でございましょう。しかしそれだけで事は足りないのですよ。現実にもう基準が守られていないのですから、そういう面に対する労働組合の行き方というのは当然あるのではないか、こういう面について実は私は非常に疑問を持った、こういうことでございます。  そこで、道交法なりあるいはいろいろな関係法令によって、特に運転者については過労運転を実際には禁止をしておるのです。それは警察庁としては一体どういうお考えでしょうか。具体的に言いますと道交法六十六条ですね、ここで過労運転を禁止しておるのですが、ここでいう過労運転というのは一体どういうものでしょうか。
  108. 森郷巳

    ○森説明員 道交法の六十六条に規定があるわけでございますが、過労運転というのは具体的にどうかというときわめてむずかしい問題になりますが、通常の言い方といたしましては、平常な運転ができないおそれがある状態運転をする、それを一応過労運転というふうな言い方で言っております。ただ具体的に過労はどうかということになりますと、やはり運転の状況を個々に判断しなければ、実際には過労かどうかというようなことは判断しにくいということになろうかと思います。もちろん過労といいましても、具体的には個人差なりそのときのからだの調子なりそういったものがありますし、また具体的な運転の状況等によっても異なってまいりますので、一がいにこういったような状態になった場合にそうだというようなことについてはきめつけられない、やはり個々の状態によって判断せざるを得ないということになろうかと思います。
  109. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 指導課長、過労運転そのものを禁止しているわけですから、何らかの判断材料がなければ禁止できないわけでしょう。それはよくよく個人個人のすべてのものを長期にわたって調べなければいかぬ、こういうことではなくて、一応の目安としての、この程度のこと以上はいけないというような基準はないわけですか。ただことばの上だけで過労禁止、こういうことなんでしょうか。
  110. 森郷巳

    ○森説明員 過労という状態をどういった形であらわすかということは非常にむずかしい問題だと思います。したがいまして、現実には具体的な運転の時間なり、それから運転の状況なりあるいはその前後の状況なり、そういったものを総合的に判断して、その上で結論づける以外には手はないと思っております。
  111. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 先ほど堀野先生のほうからいろいろ調査結果の御報告があったわけですが、そういう中で見ていきますと、休息時間も、与えられている仮眠時間も十分にとれないままのような状態労働がしいられておる。こうなりますと明らかに過労運転ではないか、こう思うわけですが、その辺の御見解はいかがですか。
  112. 森郷巳

    ○森説明員 繰り返すようになりますが、やはり個々の運転状態、そういったものをとらえて総合的に判断しないと、ほんとうの意味での過労かどうかということは判断しにくいんじゃないか、こんなふうに考えております。
  113. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 先ほど御報告があったものだから、ああいう内容であるならば過労運転に該当しないか、こういう御質問をしたわけですが、お答えにくいようでございます。  きょうは業者の方がおられませんのであれですが、貨物運賃のきめ方ですね。認可運賃になっていると思いますが、この辺に非常に大きな問題があろうか、こう思うわけですが、貨物運賃改定は一体どういう時期にどういうふうに行なわれておるのでしょうか。前回行なわれた貨物運賃改定がいつであったのか、前々回行なわれた貨物運賃改定はいつであったのか、お聞かせを願いたいと思います。
  114. 真島健

    ○真島説明員 前回は、四十六年に行ないました。前々回は、ちょっと正確な年数はあれでございますので、あとで……。
  115. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 実は思い出せないくらい前なんですよ。だから、忘れたころに、こういう高物価のときに、いわば準公共料金というような形で、実は非常に不当に押えられておる、そういうしわ寄せが業者に行き、一番弱い労働者がかぶってくる。その結果が、毎年行なわれておる過積み防止運動にも非常に大きな影響を来たしておるということなんです。私は、一番の諸悪の根源ではないか、こういうふうに実は考えておるのです。この前のときにも実は問題にしたのです。ほんとうにトラック輸送というのは、もう合理化の余地というのはないわけでしょう。同じきめられた容積の中にたくさん積めばおこられてしまうし、早く走ればつかまってしまうし、きめられた容積で、きめられたスピードで走るだけなんですから、あとはいかに合理的にぱっぱっとおろすかということぐらいしか残らないわけであって、そういう情勢の中で、年々この物価高騰の中では人件費も上げざるを得ない。ところが、一番基礎になる運賃だけはぐっと押えつけられている。いまお聞きすると、前回の四十六年以降今日までの物価上昇を考えてみても、これは無理なんですよ。そういう無理な状況が当然そういうことに加わってきてしまう、あらわれてきてしまう。幾ら論議をしましても、結局はそうなってしまう。お互いに運送業者も生きなければならぬ、労働者も食っていかなければならぬ、こういうことになってまいるわけですからね。私は、その辺をもう少し真剣に考えていただいて、定スピードできめられた容量だけを運んでおって、その業なりその労働者の生活が成り立つというものが、数字の上でわれわれが納得できなければ、これは幾ら論議をしておってもだめだと思うのです。トラック業者だけ、そういう運送事業だけ別だというなら別ですよ。何かほかに補給金でも出て来て、そのマイナス分だけはやるのだ、こうならばいいのですが、いま、この中でもいろいろおっしゃっているように、過積みをしなければほかのほうへ荷物を取られてしまうから、いま競争条件の中にあるわけですから、結局は苦しい過積みが奨励をされていってしまう、こういうことではないかと思うのです。そういうことについて今後どう対処されていくのか、お答えを願って、私の質問を終わりたいと思います。
  116. 真島健

    ○真島説明員 四十六年に、運賃の問題でございますが、改定をいたしまして、現在、路線トラックの業界からは、昨年の十一月の終わりごろに運賃改定の申請が出ております。区域関係については、十二月に入りまして、暫定運賃という形で若干の地区から出てまいりましたが、全国的には、まだ正式の基本運賃改定という申請が出ておりませんが、私ども、この運賃改定につきましては、現在、慎重に検討中でございまして、適正な水準でしかるべき時期に改定を考えてまいりたい、このように思っておりますが、そのほかいろいろ、労働条件の改善——これはまあ基本的には労使の問題でございますけれども、そこでなかなか解決のつかないような部門について、たとえば休養施設の問題その他につきましても、道路わきの休憩所その他の設置等についての建設省に対する協力要請というようなことをいろいろ含めまして、今後できるだけ積極的に、ものごとを考えてまいりたい、このように思っております。
  117. 野坂浩賢

    ○野坂委員長代理 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして、厚くお礼を申し上げます。ありがとうございました。  次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会をいたします。    午後一時三十五分散会