○渡部政府委員 ことに子供、老人を中心にしました歩行者の安全の問題でございますけれ
ども、御
指摘のございました点、
幾つかございましたけれ
ども、いずれも私
どもも非常に問題にしている点でございます。
一つは、信号機あるいは交差点等につきまして、いま正確な数は覚えておりませんが、それを予告するということは積極的にやろうということで、最近はまだ十分とは思っておりませんが、積極的に進めているところでございます。
それから、単に予告するというだけではなくて、交差点、ことに信号交差点の場合に、交差点自体は法律で安全な速度で通ることになっておりますけれ
ども、
状況によりましては、その前から
段階的に速度を落として交差点を通過すべきではないかということで、交差点に近づく区間の速度制限も規制としてやってみようというようなことで考えてやっているわけでございます。
率直に言いまして、私
ども従来の交通警察というのは、やはりどうしても車だけを問題にしてきた、極端にいえばそういうところが多かったように思うわけでございます。交通主体というのは車だけではございませんで、歩行者も重要な交通主体でございまして、自転車その他も重要な交通主体でございますから、そういう意味で車と歩行者というものを少なくとも対等に扱った交通規制その他の交通警察の運用が必要ではないかということを昨年あたりから非常に強く言っております。
ことに道交法でわれわれに課せられている任務というのは、安全と円滑、それから公害ということでございますけれ
ども、最近の、ことに都市交通の情勢からいいまして、やはり私
どもといたしましては、公害なり安全というものをまず第一義的に考えまして、それをとにかく国民の少なくとも耐え得る限度に保って、その中で円滑という問題を考えていく、それが今日の交通警察の姿勢ではないだろうかということで、大げさにいえば転換ということでございますが、そういう形でいろいろ検討しているところでございます。現実にやっておりますことは御不満な点が多いとは思いますけれ
ども、最近そういう考え方で、いま御
指摘のような問題も非常に強く取り上げていこう。技術的な
方法はいろいろ考えられるわけでございます。たとえば歩道橋を問題にされましたが、従来は歩道橋があるところには原則として横断歩道はつくらないというやり方でやってきたのでございますけれ
ども、最近はその方針を修正いたしまして、特異な
状況がある場合あるいは特に必要な場合には、歩道橋がありましても横断歩道を設置するようなこともやっております。
それから関連いたしまして、押しボタン式の歩行者用の信号機、これも積極的にやろうということで、現在は、四十八年三月末で全国に六千九百七十基ほどでございますけれ
ども、私これはやはりまだ足りないと思いますので、今後横断歩道にはできるだけ歩行者用の押しボタン式の信号機をつくっていきたい。ことに交差点の事故というのはわりあいに防ぎやすいのですが、交差点でない道路の部分、私
ども単路といっておりますけれ
ども、単路での事故というのは非常に散らばってもおりますので、最近死者が大幅に減った中でも減りなずんでいる部分でございます。この
対策は、非常に散らばっているためにむずかしいと思いますけれ
ども、やはりどうしても歩行者の安全ということからいうと、ことに単路における歩行者事故というものは
一つの問題であろうということで、ことし取り上げているような
状況でございます。
どうもまとまりませんが、そういうようなことで、ことに子供、老人を主とする歩行者の問題を考えていることで、次の問題に移らしていただきたいと思います。
バスレーンといわれているものでございますが、これは従来とも警察といたしましてはぼつぼつやってきたわけでございますが、御承知のとおり最近都市交通の
状況というものは、御
指摘の渋滞の問題のみならず、非常に深刻になってきているといわざるを得ないと思います。安全の面から見ましても、たしか前にもこの
委員会で
お話ししたことがあるかと思いますけれ
ども、昨年県別に一昨年との死者の比較をいたしますと、ふえた県はわずか四県でございますけれ
ども、人口十万以上の都市で比較いたしますと三分の一近い比で一昨年よりも死者がふえてきているというような
状況でございまして、これは、全体として交通死亡者が減っている中で、やはり都市交通というのは決して楽観できない情勢にあるということを示すものだというふうに思っているわけでございます。そういうようなこともございまして、安全、渋滞、公害、いずれの見地から見ましても、警察としても真剣に都市交通
対策に取り組まざるを得ないだろうというふうに思っているわけでございます。
その場合、日本の都市というのは非常に特異な構造を持っていると私
ども理解しているわけでございますが、そこへ急激に自動車がふえたということ、ことに通勤、通学、住宅問題が非常に問題だろうと私は思いますけれ
ども、住宅のある場所との関連で、通勤、通学時の事故も非常に多いし、渋滞も多いというようなこともございます。いろいろ考えてみますと、やはり都市によって事情は違うかと思いますけれ
ども、場合によっては思い切って交通量を減らしていかなければならないのじゃないか。そういう観点に立ちますと、
一つはその通勤、通学のためのマイカーの使用、それからもう
一つは、やはり物の輸送、配送、ことに配送業務、この交通量を何とか減らせないだろうかというふうに考えざるを得ないわけでございます。
通勤、通学を主とする人員の輸送につきましては、私
どもとしてやれることは、いま
お話のございましたバス専用あるいは優先レーンの設置、それから信号機におけるバスの優先的な取り扱いということでございますけれ
ども、
お話のように、これを何か、こんでいるところをちょっとやってみるというようなことではあまり意味がないわけでございまして、ことに通勤路線、通勤時間というものをねらって、つまりほんとうにマイカーを捨ててバスに乗りかえられるような、そういう形での施策をやらなければだめだということを痛感しているわけでございます。
やはりその前提といたしまして、世界各国そうでございますけれ
ども、地下鉄とか新しい交通システムとかいろいろあるわけでございますが、さしあたって私は、やはり公共輸送機関としてのバスのサービスの拡大と強化ということをどうしてもやらざるを得ない。これはもうヨーロッパを見ましてもアメリカを見ましても、世界の趨勢でございますから、私
どもといたしましては、ことに通勤用のバス、これを動かしておられる方面に対しまして、そのサービスの拡大と強化を強く要望いたしまして、それを前提として、それに対応する形で思い切ってバス専用・優先レーンをやっていきたいということで昨年からやっている
状況でございます。
〔
委員長退席、井上(泉)
委員長代理着席〕
従来ですと、片側一車線しかないようなところではレーンは引かないというようなことであったわけでございますけれ
ども、これも交通量の時間的配分という観点に立てば不可能ではないということで、一車線しかないような道路でもぼつぼつとバスのレーンを設置するというようなことをやっております。
それから信号機につきましての優先取り扱いにつきましても、愛知県において最初実験的にやったのが非常に結果がよかったものでございますから、これは大体その技術的な開発の
段階はまあ一応終ったということで、非常に実用性が高まってまいりました。これは全国的に今後やっていきたいということで、予算化その他の
措置を進めている
状況でございます。
これはパス専用・優先レーンも非常にいいのでございますけれ
ども、バスの運行の全体的な能率化ということを考えますと、都市によりましては、むしろバスレーンよりも、この信号、交差点におけるバスの優先扱いのほうが、全体としては非常にバスの運行効率を高めるという試算も持っているわけでございます。
このバスレーンと信号機におけるバスのプライオリティースキーム、優先処理というものを合わせまして、これを軸にして人員輸送の面については都市交通
対策を考えていきたい。
繰り返すようで恐縮でございますけれ
ども、やはりそれに対応いたしまして、バスのサービスの拡大強化というものを、私
どもといたしましても、各県警におきましても、これは
民間のものもございますし、公共のものもあるわけでございますけれ
ども、それぞれに強く要望していっていただくということで、今後もやっていきたいと思っております。