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1974-03-28 第72回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月二十八日(木曜日)     午前十時十六分開議  出席委員    委員長 勝澤 芳雄君   理事 小此木彦三郎君 理事 斉藤滋与史君    理事 野中 英二君 理事 井上  泉君    理事 野坂 浩賢君 理事 平田 藤吉君       加藤 六月君    片岡 清一君       佐藤 守良君    板川 正吾君       太田 一夫君    久保 三郎君       紺野与次郎君    渡辺 武三君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房交通安全対策         室長      秋山  進君         警察庁交通局長 渡部 正郎君         防衛庁参事官  大西誠一郎君         運輸省航空局長 寺井 久美君         運輸省航空局技         術部長     中曽  敬君  委員外出席者         警察庁交通局交         通指導課長   森  郷巳君         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部土         木電気課長   横山 義一君         運輸省自動車局         参事官     高橋 英雄君         運輸省自動車局         整備部車両課長 宇野 則義君         運輸省航空局首         席安全監察官  浜田 幸晴君         運輸省航空局管         制保安部長   松本  操君         建設省道路局企         画課長     浅井新一郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  交通安全対策に関する件      ————◇—————
  2. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員長 これより会議を開きます。  交通安全対策に関する件について調査を進めます。  まず参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  交通安全対策に関する件の調査のため、貨物自動車の過積載等による事故防止対策に関する問題について、参考人出席を求め、その意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人の人選、出席日時及びその手続等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  5. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員長 次に、質疑の通告がありますので、順次これを許します。平田藤吉君。
  6. 平田藤吉

    平田委員 きのうに引き続いて質問を行ないます。  二月二十七日、この委員会で私は質問をしたわけですけれども、それに対する答弁が行なわれていますが、その答弁の中で、どうしても確認しておかなければならない問題が幾つかございますので、その点について質問をしたいと思います。  まず第一は、二月十二日に起こったニアミス問題であります。東亜国内航空機七五三便YS11が、乗客二十九人を乗せて大阪から宇部に向かい、グリーン4の航空路を指定された高度三千六百で岩国上空飛行中、岩国米海兵隊に属すると見られる米軍機が百五十メートルのところまで異常接近したということであります。明確にしておかなければならないことは、民間機が指定された航空路を指定された三千六百メートルという高度で飛行している、そこへ米軍機が突然飛び込んでくるということが許されるのかどうか。これはずいぶんややこしい説明が行なわれているわけです。私が聞いているのは、民間機航空路というのは、計器飛行をやっているのだから高度が指定されているわけでしょう。ここに飛び込んでくるのがいいのかどうかということを聞いているわけですから、あらためてここのところをはっきりさしておいていただきたい。
  7. 浜田幸晴

    浜田説明員 御指摘事件につきましては、たいへん問題が多うございまして、私ども安全確保上大事な問題だと考えまして、同種事件再発防止のためには事態を明確にする必要があるという点から、米側に対して調査要求をいたしたわけでございます。その調査結果が一応二十日の日に参ったのでございますが、私ども手持ち資料等から考えます点と矛盾する点が多うございますので、結果的には再調査を依頼している段階でございます。ただ、いままでの調査でわかりました点は、相手機は、いままで推定しておりましたが、米側のほうからもスカイホークであるということがはっきりしたことと、もう一点は、この飛行機緊急状態通報しておって、岩国に入ってきた。そしてその内容としましては、操縦系統の故障であったという特別な事情がございます。したがいまして、通常の場合でございますればあのようなところにあらわれるわけではないと考えられるのでございますが、その緊急状態内容、それからその後どういう飛行方法を行なってあそこに入ったかという点がまだはっきりいたしておりませんので、この点につきましては再調査の結果を待って明らかにいたしたいと考えております。
  8. 平田藤吉

    平田委員 私が聞いているのは、そのことを聞いているんじゃないのですよ。この前質問した際に、計器飛行をやっている民間機航空路米軍機が飛び込んできても安全なのか、そういうことが許されるのかということに対して、安全でございます、許されることになっております、有視界飛行の場合はそれはいいんでございますという返事をしている。だから、高度がきめられたところへ米軍機が飛び込んできてもいいのかどうなのか、それでも安全だと言えるのかどうかということに対する回答をしてください。
  9. 寺井久美

    寺井政府委員 先生指摘のこの前の委員会での御説明は、計器飛行航空路を飛ぶ場合、有視界飛行で飛ぶ場合、おのおの高度差がございますから、これは安全上しようがございませんという御説明を申し上げたと記憶いたしておりますが、今回の場合の事実関係、ただいま首席安全監察官から御報告申し上げたとおりでございまして、まだ必ずしも明確ではございません。航空路計器飛行航行中の民間機がある、その航空路の中に有視界飛行で入ってくる航空機というものは、所定の高度で飛ばなければならないわけでございますが、今回のケース緊急事態ということで入ってまいりまして、その間の事実関係をもう少し詰めませんといけないわけでございます。航空路の中を有視界飛行計器飛行が飛ぶということは、安全を確保してできるという御説明を先般申し上げた、こういうふうに記憶いたしております。
  10. 平田藤吉

    平田委員 だめじゃないですか、あなた、そんなことをいつまでも繰り返していては時間がかかってしようがない。高度がきめられているんでしょう、民間機の高度が。その指定された高度のところへ米軍機が飛び込んできてもいいのか、そんなことは許されるのかということを聞いているんですよ。それを話をすりかえて、いや高度差があるからいいんでございます、安全でございますという返事をあなた方はしているんだ。高度をきめられたと同じ高度へ飛び込んできていいのかどうなのか、もう一ぺん答えなさい。
  11. 寺井久美

    寺井政府委員 航空路航行中のIFR、計器飛行航空機とそれから有視界飛行航空機との高度差というのは設けられておりますので、先生のおっしゃるように、有視界航空機計器飛行の高度に入るということはたてまえ上ないはずでございます。
  12. 平田藤吉

    平田委員 たてまえ上ないのに起こっているから聞いているのですよ。そこへ飛び込んできていいのかどうなのか。何ですか。わからない人たちですね。飛び込んできてはいけないんだということは言えないのですか。たてまえ上ないったって、あったから問題になっているのじゃないですか。ずいぶん侮辱したものの言い方をしなさんなよ。答えなさい。
  13. 松本操

    松本説明員 まず第一に、軍用機航空路民間機航空路というものはございません。航空路は一本でございます。航空路を飛びます場合の高度というものは、管制機関によって指定をされます。そこで、航空路の中に有視界飛行飛行機が入ってきてもかまいませんが、しかしその場合は、高度を違えるというのが原則でございます。したがって、もしかりに高度を違えないで計器飛行方式飛行機と同じ高度で有視界飛行機が飛ぶということがあったとすれば、ルールの違反でございます。
  14. 平田藤吉

    平田委員 あったから問題になっているのですよ。あったから心配しているのです。いま初めてじゃないのですよ。何べんもこれは起こっているから問題にしているのですよ。それをあなた方は、あったら問題だとかなんとか言って、ないことになっているとか言って、現実にあったから質問をしているのですよ。だめですよ。具体的な事実をあげてやっているのですから、そこいら辺は問題をはぐらかしちゃだめだと思います。  いずれにしても、とにかくそれは計器飛行を行なっている航空機がある場合、そこへ有視界であっても飛び込んではいけないということははっきりしたわけです。  第二は、ニアミスの確認問題です。  寺井政府委員答弁によると、異常接近は、四十六年、四十七年、四十八年の三年間で百回にのぼっているわけですね。それなのにニアミスと認定されたものは十八件です。百件のうち十八件しかニアミスと認定していないというのは一体どういうことなんだ。答えてください。
  15. 浜田幸晴

    浜田説明員 異常接近報告という制度がございまして、異常接近したと思った機長報告書を提出してまいるわけでございますが、この報告書の提出がございますと、私どものほうで相手方機長のほうからも報告書を出していただく。もしそれが管制を受けておった航空機であるならば、管制機関担当管制官からの状況報告書も出してもらう、それと航空機フライトレコーダーが積載してあります場合にはフライトレコーダー記録、それと管制交信記録、それらの資料を総合的に判定いたしました結果、異常接近の定義に該当すると思われるものだけを異常接近と認定するというふうな手続をとっております関係上、異常接近報告が出されたもののうち、全部が異常接近と認定されるわけではございませんで、先生指摘のように、たとえば四十八年について申しますれば、二十件の報告があったが、結果的に異常接近と認定したものは一件だけだった。四十七年については三十二件の報告があったが、異常接近と認定したものは五件だけだった。四十六年については四十八件の報告があったが、そのうち異常接近と認定したものが十二件であったという結果になるわけでございます。
  16. 平田藤吉

    平田委員 そうすると、あなた方が認定している状況から見ると、報告者報告に基づいていろいろ検討するんだろうけれども、どっち側に問題があるのかとにかくわからないが、異常接近ではないという結論を出しているわけですね。民間機に対して自衛隊機米軍機ニアミスを起こし、ひた隠しに隠しているというようにしか、こういう事態を見ると考えられないのですよ。この前の質問に対する回答だって、とにかく何としてもここのところをはっきりさせていないというふうに思うのです。これは雫石の例を見ただけでも問題ははっきりしていると思うのです。空の安全を無視し、わがもの顔にふるまっているのが軍用機だということを言っても差しつかえないと思うのですね。高度差がきめられているから安全だというふうに先ほど言われていますけれども、これも非常に危険な考え方だというふうに思うのです。それは米軍自衛隊が空の安全を脅かしている事実をおおい隠す言い分だというふうに思うわけです。私はこの段階で、態度を改めて問題の起こってくる根本を明らかにしていく努力をすべきだというふうに思うのです。  第三の問題は、位置通報をめぐる問題です。  管制官はこの問題でたいへんな苦労をしている、何とかなくさなければ困るというふうに言っているわけです。管制上危険なもので、空の信号無視といわれるものであるわけですけれども、あなた方が出した数だけでも、昭和四十七年一月から四十八年十二月の二年間で民間機が三十回、米軍自衛隊機が実に二百四十二回にのぼっているわけです。私のほうの調査では、これは実際は半年分の数じゃないか、七、八カ月分の数じゃないかというふうにすら推定しているわけです。これはある資料に基づいて推定しているわけですけれども、ここでも空の信号無視大半米軍機自衛隊機だということが出てくると思います。これをなくしていく対策、こういう行為を退治していく対策があるのかないのか、はっきりさしていただきたいと思います。
  17. 松本操

    松本説明員 先生指摘のように、過去二年間の数字を見てみますと、月間の取り扱い機数が約三万六千機でございますが、それに対して、月平均民間機の場合には数機、軍用機の場合には十機、この程度の位置通報のおくれを行なっておる航空機がございます。位置通報のおくれが出ました場合には、いま先生が御指摘のように、管制官といたしましては規定に従って所要の措置をとるわけでございますが、しかし、その位置通報が正確に行なわれておれば、そういうふうな付加的な措置というものも当然なくなるわけでございますので、私どもといたしましては、軍用航空機に対しても民間航空機に対しても、正確な位置通報を行なうように、位置通報が三分以上の見込み違いが出たときには必ずそれの修正をするようにということを、従来もいろいろとおりに触れて申し入れをしてまいっておりますが、今後ともそういう面の努力を重ねてまいりたい、こういうふうに考えております。
  18. 平田藤吉

    平田委員 私のほうに出していただいたこの期間資料によると、札幌及び福岡交通管制部はゼロというふうに報告している。奇妙なことがあるものだ。東京管制部関係では相当数にのぼるけれども札幌福岡はゼロだ。これも一体なぜゼロになるのか、ここら辺も聞かせていただきたいと思います。いまおっしゃったように、位置通報がおくれると十五分後にしかるべき措置をとるというふうに答えておられますが、しかるべき措置というのは一体どういうことなのか、お聞かせいただきたい。
  19. 松本操

    松本説明員 前段の札幌管制部福岡管制部の中において位置通報の事例が出ていないという理由でございますが、これは管制をしております管轄区域の広さが圧倒的に違います。それから、その中を走っております航空路複雑性というものがまた非常に違っております。したがいまして、札幌管制部福岡管制部の場合には、もともとフライトの数も少のうございますし、位置通報点の数も少のうございますので、おそらくその結果が反映されておるのではないか、このように考えております。  それから、第二のどういう措置をとるのかということでございますが、十五分たってあるいは三十分たってなお通報がなされておりません場合には、もより管制機関を含めて、各種の方法により対空通信による通信捜索という行為を行ないます。つまり、一号機なら一号機というものが十時なら十時に通報すべきところ、適切な定められた時間がたっても通報がないという場合には、管制官は自分のVHFまたはUHFをもって直接パイロットを呼び出すとともに、必要によってはもより管制機関、つまり近所の飛行場のタワー、こういうふうなところを使って、一号機なら一号機をさがしてくれということを頼むわけでございますが、従来の経験によりますと、大体四、五十分たちましたときにはどこかの進入管制所コンタクトをとってくるとか、あるいはどこかのタワーコンタクトをとってくるとかというふうなケースがほとんどであるようでございます。
  20. 平田藤吉

    平田委員 これはお願いしておきたいのですけれども、いまの資料を出していただきたいと思います。どこかの連絡すべきところへしかるべき時間を経過した後に大体連絡がとれておるというのだったら、そのデータをひとつ出していただきたいと思います。しかも、あなた方のほうで言うだろうと思っていたのですが、位置通報がおくれた米軍機の場合には、府中に通報しているはずです。それから自衛隊機の場合には入間基地通報しているはずです。これも、この数年間何回通報が行なわれているかを明らかにしてもらいたい。資料を出してもらいたいというふうに思うのです。これは通報しているのですからデータをとってないということはないと思います。とにかくいま申し上げましたように、救難センター通報した数、大体年限としては四十七年の一月から四十八年の十二月まででけっこうですが、何機になるのか。それからいなくなって、しばらくたってからどこそこへ着陸したというのがわかったという数と両方を出していただきたい。このことは委員長にひとつお願いいたします。  それから、いま申し上げてきましたように、危険きわまりない空の信号無視航空機が、米軍機自衛隊機民間機、少なくともこれくらいに大別することができるだろう、これはこの間の質問ではっきりしておるわけです。分ければ分けられる。そしてチェックしてデータをとろうと思えばとれる。現場へ行ってごらんなさい、データがありますから。このデータ一定期間を区切って公表すべきだ。この期間には米軍機が何機位置通報しなかった、自衛隊機が何機位置通報しなかった、民間機は何機だというものを公表すべきだというように思うのです。実態をしっかりと統計上つかむこと、それから公表すること、つまり米軍自衛隊民間の別をきちっとさせて公表すること、これが空の信号無視をなくしていく第一歩だと思いますので、私はそうすべきだと思う。この点どうですか。
  21. 寺井久美

    寺井政府委員 過去のデータを整理するのにかなり手間がかかると思いますけれども先生指摘のように、こういう違反件数を公表する公表のしかたもいろいろあるかと存じますが、とにかくそれが違反防止に役に立つということは確かに一つの御意見だと思いますので、私どもも十分検討させていただきまして、そのラインで処理させていただければけっこうだと思います。
  22. 大西誠一郎

    大西政府委員 ただいま御指摘がございました位置通報の件でございますが、自衛隊機につきましては昭和四十七年、四十八年暦年とも皆無でございます。
  23. 平田藤吉

    平田委員 第四は、航空機の着陸前の待機保護空域をめぐる問題です。前の委員会中曽政府委員ですかが、国際機関ICAOの見解として、保護空域ナシ型がよいということが出された関係上、わが国でも順次この保護空域の形に変えていく作業をやっておりますというふうに言われましたけれども保護空域幾つあり、そのうち幾つナシ型に変えたのか、これが一つ。それから残っているのは幾つで、どことどこか、これをお聞かせいただきたい。
  24. 中曽敬

    中曽政府委員 お答え申し上げます。  現在待機径路としてございます場所の数が、私ども調査では約百五十五カ所ございます。この大半が、この間申し上げましたように、できるところからナシ型に変えておると申し上げましたのですが、大半ナシ型になっておるということでございまして、残りますナシ型でない待機径路が十カ所ございます。具体的に申しますと、佐倉VOR上空、百里のNDB上空百里タカン上空浜松タカン上空松島タカンの上空築城NDB上空、それから築城タカン上空、新田原タカンの上空芦屋NDB上空宇部NDB上空というふうになっております。
  25. 平田藤吉

    平田委員 具体的にはいま言われたように、十カ所残っていると言われましたが、これはいつまでにやる予定ですか。
  26. 中曽敬

    中曽政府委員 いつまでというふうに私どもは期限を切って申し上げることはちょっとはばかりますけれども、できるだけ早い時期にやるように努力しておるわけでございますが、いろいろ、先ほど申しましたこの十カ所につきましては、それなりの問題がございまして、防衛庁その他とも十分協議しつつやっていかなければならない問題があるので、私どもとしてはできるだけ早い時期にやっていきたいと思っておりますけれども、時期につきましては、ちょっとここでは申し上げることはいまむずかしかろうと思います。
  27. 平田藤吉

    平田委員 これはやはり計画を立ててやらなければだめですよ。障害になっておるのは自衛隊米軍なんですから、その空域障害になって、最も安全だといわれるナシ型に変えていくことができないのだから、これは何といったって米軍自衛隊に遠慮してもらって、空域民間航空が安全に行なえるようにしていくのがあたりまえだと思うのですね。私はそういう立場からこの問題には取り組むべきだというふうに考えます。  次に、佐倉VOR自衛隊の百里空域と接しているわけですけれども自衛隊側がこの空域をより狭めることになるいま申し上げたナシ型保護空域に対して、自衛隊側が今度は反対しているということはないのかという点についてひとつお答え願います。
  28. 大西誠一郎

    大西政府委員 お答えいたします。  いままでのところそういう問題につきまして、運輸省当局のほうから特にお話がございません。ただ、いずれ成田ができる段階において、そういう問題について御相談をするということを聞いております。
  29. 平田藤吉

    平田委員 これは運輸省のほう、航空局のほうが問題ですね。あれだけふくそうしているところで、いっときも早くやらなければならぬはずですよ。自衛隊のほうは聞いておらぬと言う。あなたのほうは提起してない。これは問題ですよ。重大問題ですよ。どうです、さっそく相談する考えがあるかどうか、聞かしてください。
  30. 大西誠一郎

    大西政府委員 これは従来いろいろな経緯がございまして、百里の管制権限運輸大臣から委任を受ける時期に、百里の管制のやり方につきましては、将来成田ができるときに再協議をするというお話運輸省のほうからございます。したがいまして、百里の基地に委任される管制上の権限またそれを行使するための空域の問題については、全般的には成田ができるときに御相談をするということを私どもも了解をしております。事務的にも、ちょっと私先ほど申し上げました点を訂正させていただきますけれども、そういうお話が参っておるように私は聞いております。
  31. 平田藤吉

    平田委員 それだったらもう一ぺん、自衛隊の側ではそれをナシ型にしていくことについて賛成する意思があるのかどうか、聞かせてください。検討するといったって、何にもなしに、そのうちに相談し合いましょうやなんというようなものじゃないのですよ。非常に重大な問題ですからね。飛行機がどうにもならないほど一ぱい来ていて、管制する上でもちょっと間違えば大事故に発展するという危険が毎日あるわけですから、これはそこのところははっきりさせておいてください。
  32. 大西誠一郎

    大西政府委員 この問題については、純技術的な見地から運輸省と十分に協議をいたしまして、航空交通の安全に支障のないように調整をいたしたい、そういうふうに考えています。
  33. 平田藤吉

    平田委員 それでは最後に、第五番目の問題としてお伺いしておきたいのですけれども、ミッドウェーの米軍機が母艦と基地との間を往復する際の管制をめぐる問題です。  ミッドウエーが日本に寄港するようになって、飛行計画が何回通報され、そして何回承認を与えているか、これを明らかにしてください。
  34. 松本操

    松本説明員 せんだっても先生の御質問にお答えした記憶がございますが、ミッドウエー艦載機計器飛行方式によって飛行するということはあるわけでございます。しかしこの場合には、フライトプランは、空中に飛んでおります航空機から無線で管制部のほうにファイルをされてまいります。したがいまして、管制官は、管制のために使っておりますストリップにこれを書き込みまして、そこでそのフライトプランに基づいて管制承認を発出する、こういう手続を踏むわけでございます。したがいまして、一日飛行機が一機飛びますと、大体ストリップは二枚から三枚程度出てまいりますので、非常に膨大な数のストリップでございますので、無事平穏に飛行機が飛びました場合には、何らかの証拠という意味で保管はしてございますけれども、特にそれをもとにしてこまかな統計その他をとるようなことをいたしておりません。したがいまして、これを全部調べ上げれば御質問にお答えできるはずでございますけれども、たいへんな作業量になりますので、たいへん申しわけないのでございますが、私、どのようなケースになっておるのかを報告を受けておりませんし、調査をしろと言われましても、事実上の問題としてきわめて困難な調査になるのではないかというふうに考えます。
  35. 平田藤吉

    平田委員 いま言われたように、とにかくたくさんの飛行機で、それこそ調査するのもできかねるほどだ、たいへんなものだと思うのですね。それだけに、私のほうもこれは重大だと思っているわけですよ。だから、そういう問題をちゃんと出してもらって検討しなければ、これは話になりませんよ。とにかくどっちにしても羽田、成田空港周辺を飛ぶ場合が多いわけでしょうから、あなたのほうで、一定期間でいいですよ、空母が来る、それから出ていく、一回分でもいいですよ、資料を整えて、ひとつ委員長、これも資料を提出していただきたいというふうに考えます。いま申し上げましたように、米軍自衛隊航空機関係で、民間航空がかなり圧迫されていることもだんだん明らかになってきているわけです。引き続いてこの問題はやりたいと思いますので、ひとつ資料は出していただいて、検討できるようにしていただくことをお願いして、きょうの私の質問を終わらせていただきます。
  36. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員長 資料につきましては、別途協議させていただくことにいたしまして、久保三郎君。
  37. 久保三郎

    ○久保(三)委員 航空機の問題では、きのうからきょうにかけて御質問があったようでありますから、これからの問題として、簡単にDC10の問題だけにしぼって一言お尋ねしておきたいと思うのです。  御承知のように、DC10は、つい最近ではフランスにおけるトルコ航空の事故がありました。それでいまアメリカでは、上院の安全小委員会というか、そういうところで証人を喚問して、DC10の安全性について究明しているやに聞いております。わが国ではエアバスということで、DC10の導入を日航が大体計画しているというふうでありますが、導入の時期並びに導入する体制というものはどういうふうに整っているのか。特にこのDC10の安全性について、最近というかここ一年ぐらい、DC10は、日本の報道機関——商業的な報道機関でありますが、新聞あるいは週刊誌というものをたくさん使ってキャンペーンを張っているわけであります。キャンペーンの中身は、騒音が非常に少ないというようなことが中心でありますが、われわれ自身、技術的にはこの問題について、DC10の安全性についてよくわからぬ。ついては航空局は、受け入れについてどういう検査あるいは事前における審査、そういうものをどんなふうにやっているのか、あるいはそういうものが完了しているのか。聞けば、日航はDC10を間もなく導入するという話です。だからそういう問題にからんで、これは航空局長からお答えいただいたほうがいいと思うのでありますが、一言、DC10の導入に関して、この安全性についてどういうふうにチェックされているかお伺いします。
  38. 寺井久美

    寺井政府委員 日本航空が、DC10を五十一年度から使用するというような計画で、DC10の購入を計画中であるというふうに聞いておりますが、本件について、まず政府としてこれを日航法に基づく承認をするという行為はまだ先のことでございまして、現在そういう計画があるというふうに聞いておる程度でございます。  日本航空がDC10を選定した理由といたしましては、まず騒音が非常に低いということ、それから現在日本航空はDC8の代替を考えておりますが、国内線並びに国際線、両方に使える可能性があるということ、また、エンジンが現在使用いたしております747と同系統のエンジンであるというようなことから、整備面で有利であるというような理由でこれを選定したというふうに聞いております。  また、安全性の面につきましては、技術部長のほうからお答えさせていただきます。
  39. 中曽敬

    中曽政府委員 安全性のチェックの問題につきまして、引き続きまして私のほうからお答え申し上げたいと思います。  ただいま局長がお答え申し上げましたように、日本航空がDC10の、いわゆるワイドボデー型の航空機を導入するよう社内的に内定したという話は聞いておりますけれども、私どものほうではまだ正式な認可というところまではいっていないわけでございます。ただ、最近起きますところのワイドボデーの大型航空機の安全性の問題については、社会的な関心も非常に高いし、そしてまた、この飛行機のわが国への導入にあたりましては、私どもとしまして非常にきびしいチェックをいたしまして、しかるべき指導をしなければいけないというふうに考えておるわけでございますけれども、ただいまのところ、日本航空が内定はしましたけれども、われわれとしましては日本航空からいろいろと話は事前に聞いておりますが、現在の段階におきましては、次に申し上げますような仕様を除きましては、こまかい仕様の検討がまだ日本航空において作業中であるという段階でございます。  どんな仕様が現在のところきまっておるかと申しますと、ただいま局長がちょっと申し上げましたように、この間パリの郊外で落ちましたDC10の型の飛行機は、エンジンがGE——ゼネラル・エレクトリックという会社がアメリカにございますが、そこの製造にかかりますところのCF6という型のエンジンでございます。日本航空が今度導入するDC10につきましては、在来日本航空が使っておりましたところのボーイング747型のエンジン、つまりJT9Dというエンジンがございますが、メーカーはプラット・アンド・ホイットニーという会社でございますけれども、そこのエンジンを使いたい、こういう希望を持っておるようでございます。このJT9Dというエンジンは、先ほど申しましたように、747型につけられておりますエンジンで、いろいろと実績がございまして、信頼性、整備性にすぐれておるという観点から、日本航空はそのエンジンを採用したい、こういうふうに思っておるようでございます。  そしてもう一つわかっておりますことは、日本航空の路線に適応したような座席配置にしたい、こういう仕様で注文したいというふうに考えておるようでございますが、その他の仕様につきましては目下検討中である。ベーシックなデザインはDC10の現在のデザインに大体沿ったデザインになろうかと思いますけれども、こまかい仕様につきましては現在検討中である、こういうことでございます。  そこで私どもといたしましては、ほうとうに導入がきまりますれば、いろいろわれわれのほうの航空法に基づきますところのチェックをいたしますけれども、現在の段階でもわれわれとしては事前チェックと申しますか、そういったことをやりたいと思っておるわけであります。それはどういうことかと申しますと、日本航空のほうでそういう設計仕様の詳細検討が終わりました段階で直ちに報告を求めまして、どういう内容になっているかということを聴取いたしまして、そうして事前に指導ができるものはやっていきたい、その指導の中にはどういうことが含まれるかと申しますと、新聞紙上で御承知かと思いますが、現在、フランスのパリ郊外で落ちましたDC10の事故原因が、はっきりはいたしませんけれども、新聞紙上に伝えられておりますように、貨物室のドアが原因ではなかろうかというふうなことがいわれておりまして、アメリカのFAAとか、あるいはNTSB、そういったところでいろいろな勧告なり何なりがなされておりますが、そういった勧告の内容というふうなものは、当然新しく導入されます予定のDC10についてわれわれとしては要求していきたい、こういうふうに思っております。これが最低限の要求であって、チェックの結果では、場合によってはさらにもっときついそういった指導もやっていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  40. 久保三郎

    ○久保(三)委員 いずれにいたしましても、最近話題になっている機材でありますし、しかも一九七二年の六月にカナダでやはり同じような貨物室のドアの事故を起こしておるということ、しかもそのときに当然関係の向きから——連邦航空局ですね。そういうものから厳重な通達というか、これの是正というか、そういう強い、きつい命令が出るはずだったのが、新聞紙上に見られる限りでは何かうやむやになったという評判のことでありまして、しかもアメリカ国家運輸安全委員会ではそのことを強く取り上げておる、こういうような問題がありますので、必ずしもFAAだけの資料というか、そういうものだけでわが国でやるべき筋合いではないというふうにも思うのであります。だから、これは事前に厳重な審査をして、いよいよ入る段階においても相当な試験なり何なりをやっていくべきだと思うのです。人間の命は一人でも十人でも同じかもしれませんが、数の問題でいきますれば、不幸にして墜落というか事故があった場合には、小さい飛行機なら人数も少ない、こういう大きい航空機になりますれば一挙にして大量の人間が死んでいかねばならぬという問題になるわけです。飛行機は一機対一機かもしれないが、人間の命にすれば数が多くなるという問題がありますので、やはりいままで以上の体制を整えてやるべきだと思うのですが、われわれはしろうとでよくわかりませんけれども航空局の技術陣営の体制というのはどんなふうなのか、こういうものをチェックするには十分であって余りあるぐらいの技術であるのかどうかも、これはやはり何か不安があるわけであります。というのは、たいへん失礼な言い方でありますが、これは別に軽べつしているわけでも何でもありません。だから、もしも体制としてそういう心配があるとするならば、学会もあるだろうし、技術陣営もあるだろうし、そういうところの日本全体の頭脳を集めて、あるいは技術を集めて、やはり入念にチェックをすべきだと思うのでありまして、ただ、惰性といっては語弊があるが、いままでのやり方だけで、チェックしました、しかし届きませんでした、残念でしたという結果にならないように、事前に一言申し上げておきたいと思います。  次にもう一つ。これは念のためにお伺いしたいのですが、SSTの問題であります。スーパーソニックスの問題でありますが、これはもう御承知のとおり、先般事故もありましたし、それからもう一つは衝撃波を中心にする騒音の問題、環境破壊の問題、そういうものと安全性の問題二つからいって、もはや実用的ではなしに、またこれを追求すべきではないというようにとった国も、中にはたくさんあると思うのですね。いわゆる受け入れはいたしません、われわれ自身も飛ばしません、飛んでも来させませんというようなきつい態度を示した国もあると思うのでありますが、わが国の航空行政上はどういうふうにSSTを規定づけているのか。もしも何もきめてないとするならば、この際やはりそういう国々の態度に照応して、きつい態度で臨むことが賢明ではなかろうかと思うのでありますが、いかがでありますか。
  41. 寺井久美

    寺井政府委員 SSTにつきましては、結論から先に申し上げますと、まだ航空局としては最終的にこれをどう取り扱うかという態度を決定はいたしておりません、しかしながら、世界的に見ますと、超音速で上空飛行することを拒否するという傾向がかなり顕著であるかと存じます。騒音の問題等につきましては、そういう関係で、少なくともまず領空内では亜音速で飛ぶということ、それから騒音がかなり改善されて、現行の航空機程度になりつつあるというふうに聞いておりますが、それが具体的にどの程度のものになったかということについてはまだ最終的な確認をいたしておりません。いずれにいたしましても、SSTの問題については慎重に対処したいというふうに考えております。
  42. 久保三郎

    ○久保(三)委員 私の考え方としては、当面少なくとも新しい技術が開発されるまでは、いまあるSSTのごときそういうものを受け入れることは、日本の環境からいっても、航空政策全体からいっても必要はない。だから、きっぱりこれは断わったらどうだろうか、こういうように思うのでありますが、時間もありませんから、いずれこの問題はまたあとでやることにしまして先へ進みます。  航空局関係は本日はこれでもうありません。  次に、交通安全週間がまた来月やってきます。そこで、今度のテーマも年寄りと子供を中心にした安全ということにするということだそうでありますが、この問題についてたびたびこの席からもいろいろな方々からいろいろな御提案があったのでありますが、われわれその運動が悪いとかというようなことはないのでありますが、具体的にやはり多少なりとも前進していくという形がなければ、運動に対して国民大衆はどうも何かそっぽを向くきらいがありはしないか。すでに交通戦争で勝つことは不可能であるというようなあきらめも国民の一部には出てきていると思うのです。そういうさなかでありますので、特に私は、小さい問題かもしれませんが、子供と老人対策について、一、二お尋ねというよりは申し上げたいと思うのであります。  まず第一に、横断歩道橋の問題であります。これはこの席でも何回もお尋ねがあったと思うのでありますが、これはやはり歩く人間を中心にした施設でないことは、もう議論の余地はないと思うのですね。歩く人を中心にした施設ではない。ただやむを得ず、金もかかるし時間もかかるので、まあまあ人間には上を通ってもらうという発想だと思うのですね。この発想が全部悪いということじゃありませんけれども、少なくとも人間対車という対比で考えれば、ずいぶんこれはものごとの判断を取り違えたもののように一つは思うのです。しかしいまさら全部やめてしまえという暴論もいかがかと思うのでありますが、少なくとも子供と老人という交通の手段から非常に遠ざけられている者あるいは身障者も含みますけれども、そういう者に対して——これは交通疎外者というか交通貧困者というものがあるそうでありますが、まさにこの交通貧困者、身障者、子供、老人、こういう者にとっての歩行の容易さを確保し、安全を確保するということは、当面の課題だろうと思うのです。  そこで、歩道橋についてそういった交通から疎外された人間を救うための技術的な改良は考えておらないのかどうか。たとえばどこにもある姿としては歩道橋の上には屋根も側板もございません。だからきのうのように雪が降ったり風が吹いたりするときには、多少頑健な者でもああいう高いところに上がったりおりたりするのは苦労であります。そういうことを考えると、少なくとも交通疎外をされている人間ばかりではなくて、どうも人間を扱う橋ではなさそうだと思うのであります。だからそこで、たとえば東京の地下鉄あるいは国鉄の駅の階段のわきにはエスカレーターがある。頑健である者は階段をおのぼりください、そうでない方はエスカレーターで乗りおりをしてください、こういうのがあるのです。なぜ鉄道や地下鉄にあって道路にはないのかというふしぎさがあるのです。ふしぎさばかりではなくて、歩道橋があったために実は歩行ができなくなった。まるで逆ですね。こういうものの改良についてどういうふうにお考えであるのか。これは建設省道路局からまずお伺いしたい。  それからもう一つこれに関連して、歩道橋のあるところで横断しようとした老人、子供がひかれる例が多いのですね。これは特に非常に狭い道路にかかっている横断歩道橋がある交差点において、私は事故が多いと思うのです。われわれ自身も心理的に考えれば、これは交通規則違反になりますけれども、突っ切ってしまえということであります。ところが、これが何車線もあるところではそう簡単に突っ切れませんから、やむを得ず強制された歩道橋を渡る、こういうことです。ところが二車線くらいのところは突っ切ったほうがいいのですね、はっきり言うと。老人は上がれないから突っ切るわけです。壮年者は自信があるから突っ切るわけです。だから、老人のためにも——これはやはり歩道橋もあるのだからこわすことはないでしょう、これもいい。しかし、そこには横断歩道を設置し、信号を設置すべきだと思うが、これはどうか。  ただし信号には機能が二つあると思うのです。信号には二つあるというのは、一つは通行を円滑にするためのいわゆる流れをさばくための信号という役割りがまず最初にくる信号、そういう信号が一つあります。それからもう一つの信号というのは安全を確保するための信号、いずれも安全ですが、それを中心にした信号というものがなくてはならないはずだと思うのです。いまある信号はどういう機能が優先しているかというと、大半は最初にあげた通行をさばくための、交通をさばくための機能を優先させた信号機が多いのです。だから事故は二の次になると言っては語弊がありますが、そういうのがあります。たとえば交差点がたまたまこういうふうなカーブのところにある。信号機は交差点の直前にありますから、ある一定距離——カーブでありますから遠くからは見えないのですね。カーブを曲がったとたんに見えるのです。ところがスピードを落とせといっても落とさないのが最近のならわしであります。しかし安全からいけばもう少し、スピードを上げておいてもとまれるようにする。だから、ほんとうに安全を確保する信号機ならば、こういうカーブの地点においては信号を予告する信号がなければならないはずです。ところがそういうのはあまり見かけない。こういうものをこの際考えてみたらどうか、特に老人や子供の横断する場合は、そういうものがなければ、身のよけようもないのですね。これもひとつ考える必要があると思うのだが、どうだろうかということであります。  その二点をまずそれぞれからお伺いしたいと思うのです。  もう一点、時間もたくさんございませんから、これは警察庁にやはりお伺いするのでありますが、最近都市というか町の中の交通というものは非常に渋滞してまいりまして、いろいろな問題が起きているのですね。安全上からもあるいは国民の足を確保する面からも、公共輸送を確保するというのはだれもが考えていることなんですね。シビルミニマムとしても確保しなければならぬ。そこで特に都会地の、都市における交通渋滞からバスやタクシーを解放してやるということが一つあるわけです。ついてはその方法としては、言うまでもありませんが、従来もやっておるようでありますが、専用レーンの設置、それから進んではバス優先の信号機の開発と設置、そういうものが必要だと思うのです。バス専用レーンについてはすでにできておりますけれども、どうもそう大幅ではなさそうに思うのです。いろいろ問題があると思うのですが、しかもこのバス専用レーンは画一的にやるべきじゃなくて、その地域の交通に見合って、場所と時間と、それはケース・バイ・ケースというか千差万別に運用すべき筋合いのものであるが、どうもいままでのバス専用レーンのできたものを見るとぎこちなさがある。極端なことばでいうと画一的である、そういうものもこの際はもっと機動性を帯びたものに変えていく必要がありはしないか。ついては警察庁の方針として、バス専用レーンの設置に対してはいかなる御方針であるのか、それからバスの優先通行の信号機の開発あるいはその設備についてどういうふうな御方針があるのか、その点をあわせてお答えをいただきたい。
  43. 浅井新一郎

    ○浅井説明員 歩道橋のお尋ねについてお答えいたします。  現在横断歩道橋は全国で七千カ所をこえる数になっておりますが、これはこれなりに緊急の交通安全対策としてかなり効用を発揮しておるわけでございますが、一方御指摘のような幼児あるいは身障者の利用という面から考えますと、かなり利用しにくいという面もございまして、実はそういうものを条件が許すところから逐次直していく、あるいはこれからつくるものについてはなるべく斜路式のものにするとかというようなことで、具体的な施策としましては、昨年の五月に通達を流しまして、歩道の切り下げを含めまして身障者対策としまして、横断橋についてはできるだけ条件の許すところではスロープ式を採用するような通達を流しております。そういうようなことで、逐次構造的な改善をはかってまいりたいと思っております。  それからエレベーターの問題につきましても、これはまだ実験段階でございますが、屋外で利用するエレベーターの試作というようなことも手をつけておりまして、徐々にでありますが、そういう方向で、身障者あるいは老人、幼児の利用しやすい横断施設の整備ということを重点的に心がけてまいりたいというふうに考えております。
  44. 渡部正郎

    ○渡部政府委員 ことに子供、老人を中心にしました歩行者の安全の問題でございますけれども、御指摘のございました点、幾つかございましたけれども、いずれも私どもも非常に問題にしている点でございます。  一つは、信号機あるいは交差点等につきまして、いま正確な数は覚えておりませんが、それを予告するということは積極的にやろうということで、最近はまだ十分とは思っておりませんが、積極的に進めているところでございます。  それから、単に予告するというだけではなくて、交差点、ことに信号交差点の場合に、交差点自体は法律で安全な速度で通ることになっておりますけれども状況によりましては、その前から段階的に速度を落として交差点を通過すべきではないかということで、交差点に近づく区間の速度制限も規制としてやってみようというようなことで考えてやっているわけでございます。  率直に言いまして、私ども従来の交通警察というのは、やはりどうしても車だけを問題にしてきた、極端にいえばそういうところが多かったように思うわけでございます。交通主体というのは車だけではございませんで、歩行者も重要な交通主体でございまして、自転車その他も重要な交通主体でございますから、そういう意味で車と歩行者というものを少なくとも対等に扱った交通規制その他の交通警察の運用が必要ではないかということを昨年あたりから非常に強く言っております。  ことに道交法でわれわれに課せられている任務というのは、安全と円滑、それから公害ということでございますけれども、最近の、ことに都市交通の情勢からいいまして、やはり私どもといたしましては、公害なり安全というものをまず第一義的に考えまして、それをとにかく国民の少なくとも耐え得る限度に保って、その中で円滑という問題を考えていく、それが今日の交通警察の姿勢ではないだろうかということで、大げさにいえば転換ということでございますが、そういう形でいろいろ検討しているところでございます。現実にやっておりますことは御不満な点が多いとは思いますけれども、最近そういう考え方で、いま御指摘のような問題も非常に強く取り上げていこう。技術的な方法はいろいろ考えられるわけでございます。たとえば歩道橋を問題にされましたが、従来は歩道橋があるところには原則として横断歩道はつくらないというやり方でやってきたのでございますけれども、最近はその方針を修正いたしまして、特異な状況がある場合あるいは特に必要な場合には、歩道橋がありましても横断歩道を設置するようなこともやっております。  それから関連いたしまして、押しボタン式の歩行者用の信号機、これも積極的にやろうということで、現在は、四十八年三月末で全国に六千九百七十基ほどでございますけれども、私これはやはりまだ足りないと思いますので、今後横断歩道にはできるだけ歩行者用の押しボタン式の信号機をつくっていきたい。ことに交差点の事故というのはわりあいに防ぎやすいのですが、交差点でない道路の部分、私ども単路といっておりますけれども、単路での事故というのは非常に散らばってもおりますので、最近死者が大幅に減った中でも減りなずんでいる部分でございます。この対策は、非常に散らばっているためにむずかしいと思いますけれども、やはりどうしても歩行者の安全ということからいうと、ことに単路における歩行者事故というものは一つの問題であろうということで、ことし取り上げているような状況でございます。  どうもまとまりませんが、そういうようなことで、ことに子供、老人を主とする歩行者の問題を考えていることで、次の問題に移らしていただきたいと思います。  バスレーンといわれているものでございますが、これは従来とも警察といたしましてはぼつぼつやってきたわけでございますが、御承知のとおり最近都市交通の状況というものは、御指摘の渋滞の問題のみならず、非常に深刻になってきているといわざるを得ないと思います。安全の面から見ましても、たしか前にもこの委員会お話ししたことがあるかと思いますけれども、昨年県別に一昨年との死者の比較をいたしますと、ふえた県はわずか四県でございますけれども、人口十万以上の都市で比較いたしますと三分の一近い比で一昨年よりも死者がふえてきているというような状況でございまして、これは、全体として交通死亡者が減っている中で、やはり都市交通というのは決して楽観できない情勢にあるということを示すものだというふうに思っているわけでございます。そういうようなこともございまして、安全、渋滞、公害、いずれの見地から見ましても、警察としても真剣に都市交通対策に取り組まざるを得ないだろうというふうに思っているわけでございます。  その場合、日本の都市というのは非常に特異な構造を持っていると私ども理解しているわけでございますが、そこへ急激に自動車がふえたということ、ことに通勤、通学、住宅問題が非常に問題だろうと私は思いますけれども、住宅のある場所との関連で、通勤、通学時の事故も非常に多いし、渋滞も多いというようなこともございます。いろいろ考えてみますと、やはり都市によって事情は違うかと思いますけれども、場合によっては思い切って交通量を減らしていかなければならないのじゃないか。そういう観点に立ちますと、一つはその通勤、通学のためのマイカーの使用、それからもう一つは、やはり物の輸送、配送、ことに配送業務、この交通量を何とか減らせないだろうかというふうに考えざるを得ないわけでございます。  通勤、通学を主とする人員の輸送につきましては、私どもとしてやれることは、いまお話のございましたバス専用あるいは優先レーンの設置、それから信号機におけるバスの優先的な取り扱いということでございますけれどもお話のように、これを何か、こんでいるところをちょっとやってみるというようなことではあまり意味がないわけでございまして、ことに通勤路線、通勤時間というものをねらって、つまりほんとうにマイカーを捨ててバスに乗りかえられるような、そういう形での施策をやらなければだめだということを痛感しているわけでございます。  やはりその前提といたしまして、世界各国そうでございますけれども、地下鉄とか新しい交通システムとかいろいろあるわけでございますが、さしあたって私は、やはり公共輸送機関としてのバスのサービスの拡大と強化ということをどうしてもやらざるを得ない。これはもうヨーロッパを見ましてもアメリカを見ましても、世界の趨勢でございますから、私どもといたしましては、ことに通勤用のバス、これを動かしておられる方面に対しまして、そのサービスの拡大と強化を強く要望いたしまして、それを前提として、それに対応する形で思い切ってバス専用・優先レーンをやっていきたいということで昨年からやっている状況でございます。   〔委員長退席、井上(泉)委員長代理着席〕  従来ですと、片側一車線しかないようなところではレーンは引かないというようなことであったわけでございますけれども、これも交通量の時間的配分という観点に立てば不可能ではないということで、一車線しかないような道路でもぼつぼつとバスのレーンを設置するというようなことをやっております。  それから信号機につきましての優先取り扱いにつきましても、愛知県において最初実験的にやったのが非常に結果がよかったものでございますから、これは大体その技術的な開発の段階はまあ一応終ったということで、非常に実用性が高まってまいりました。これは全国的に今後やっていきたいということで、予算化その他の措置を進めている状況でございます。  これはパス専用・優先レーンも非常にいいのでございますけれども、バスの運行の全体的な能率化ということを考えますと、都市によりましては、むしろバスレーンよりも、この信号、交差点におけるバスの優先扱いのほうが、全体としては非常にバスの運行効率を高めるという試算も持っているわけでございます。  このバスレーンと信号機におけるバスのプライオリティースキーム、優先処理というものを合わせまして、これを軸にして人員輸送の面については都市交通対策を考えていきたい。  繰り返すようで恐縮でございますけれども、やはりそれに対応いたしまして、バスのサービスの拡大強化というものを、私どもといたしましても、各県警におきましても、これは民間のものもございますし、公共のものもあるわけでございますけれども、それぞれに強く要望していっていただくということで、今後もやっていきたいと思っております。
  45. 久保三郎

    ○久保(三)委員 時間がないので何ですが、局長のお話ありましたように、われわれも、交通というのは生活の一部ですから、衣食住と同じように必要なもの、しかし、あなたがおっしゃるように、安全と環境保全、そういうもののサークルの中にきちっとおさまるのが交通でなくてはならない、単に早いとか、たくさん運べるとかいうことが能ではない、経済効率が能ではないというふうに思っているわけなんです。  そういう意味からいくと、さっき建設省からもお答えがありましたが、多少金がかかっても、生活の一部であるとするならば、やはり足の確保のためには、エレベーターかエスカレーターかわかりませんけれども、そういうものもつくるべぎだというふうに思うのであります。  それから、もう一ぺん交通局長にお答えいただきたいのは、専用レーン並びにバス優先の信号機の設置について、いまお話しのことで大体わかりましたが、バスのサービスの拡大というか、拡張というか、それは当然、都市交通というか、路面交通を担当する者として要求すべき筋合いだろうと私は思うのでありますよ。そこまで警察というより交通の分野を広げてきた考え方というか、そういうものに私は敬意を表します。いままで単に、安全というか、道交法というか、道交法の前の、言うなら交通安全取り締まりの取り締まりということ、それから今度は規制まできた、その次には、ほんとうの交通にこれからならなければいけない時代なんでありますから、そういう意味で、おっしゃることは十分理解するのでありますが、ただ、専用レーンあるいは優先信号機の問題等も、大体ある一定基準の都市を持つところに対しては、一定の方針に従って、いまあなたがおっしゃるようなバス企業やその他の者等も、サービス拡大のために、専用レーンを含めて、やはり相談する機関を持って計画的にこれを実施するようにひとつ指導をしてもらったらどうだろうかというふうに、私はお答えを聞きながら思っているわけなんです。どうでしょう、そういうお考えはおありでしょうか。
  46. 渡部正郎

    ○渡部政府委員 いまお話しのように各県警を昨年から指導をしております。これは県によりましていろいろ実情が違う面もございますので、形は斉一ではございませんけれども、県、関係の市当局、それからバスの運行者の方々はもちろん、民間の場合には民間のバスの運行者の方にも入っていただきまして、協力を求めるというか、そういう形で地域の問題として、ことに通勤輸送を中心に考えてみよう、場合によりますと、時差出勤というような問題も出てくるかと思いますが、そういうものも含めまして、みんなで考えましょうというような形のことをやっておりまして、相当の成果をあげている県もございます。今後そういう方向で指導していきたいと思います。  ことに、バスのサービスの拡大ということを申しましたが、通勤者の話を聞きますと、朝来るときはいいけれども、帰りがおそいバスがなくて非常に困るというような声もございます。これは実は、そのバスのほうの関係の労働組合の方のいろいろな利害関係もございますので、県によりましては、労働組合の方々の代表の方にも入っていただきまして、事情を御説明したり御協力を求めたりというようなことをやっているところもございます。私どもやはり警察というものは、あまり出しゃばらずに法律に書いてあることだけやっていればいいんだという考え方もあろうとは思いますけれども、しかし、都市交通につきましては、非常に問題が深刻でございますし、関係するところも非常に多いわけでございますので、県の指導につきましては、やはり世話役を買って出るような形で、一つのコンセンサスを得られるような、そういうみんなで手を取り合ってやるという形をつくり上げていかなければ、バスレーンもバスの信号の優先扱いも究極的には成功しない、方向はそういうことだということで指導しておりますので、御了承いただきたいと思います。
  47. 久保三郎

    ○久保(三)委員 さらには、いまのお答えでもう一歩踏み出していただきたいというのは、全国的に、画一的といっては語弊があるが、どこにも同じような問題があるのでありますから、いまお答えになった中身をもう少し組織立って御指導いただいたらなおいいというふうに思っております。  てまえどもは、御承知かもしれませんが、やはり地域の交通は地域のコンセンサスを得られるようなものにしてほしい、だからそのためには、やはり意見も吸い上げてほしいというのでありますので、どなたが中心になるかは別にしましても、関係者一堂に会して、今日の交通をどうしたらいいのかということでやはりやってもらいたい。そのためには、少なくとも都道府県にはそういう——どういう機関にしたらいいのか、これはお考えいただくことでけっこうだと思うのですが、必要なところにはやはり市町村単位の——村までは必要ないと思うのですが、都市の単位ぐらいにはこれの小型のものを置いて、実際に交通に対する意見が通っていく、そうしてそれが実際に生かされてくるという仕組みを、われわれ自身は仮称交通委員会と称しているわけですが、そういうものを、名称は別として、そういう仕組みがいまや必要だというふうに思うので、ぜひお考えをいただきたい、こういうふうに思います。  時間がありませんので次に参りますが、最後に、自動車の運転者の適性の問題ですね。それで、免許を与えるときには一応は、簡単といっては語弊があるかもしれませんが、そういう検査もされるでございましょうし、それからもう一つは、先般できました自動車事故対策センターにおいては、職業というか、運転業務に従事する者の適性診断というか、そういうものをやることになっておりますが、これはいろいろ問題が多いのですね。交通事故の起きた原因は、単に運転者の不注意とかあるいはわき見運転とかいう簡単なものではなさそうにわれわれ自身思っているのです。だから、そういうものからいうと、人間そのものの問題にも非常に関係があるので、運転者の適性診断というものを、単にペーパーの上で診断するのでは本物ではなさそうに思うのです。ペーパーでやって全然効果がないわけじゃないと思うので、心理的な面で多少あろう、こういうことだそうですが、生理的な面では、残念ながらペーパー診断ではむずかしいというか、全然だめだというふうにいわれているのでありまして、そういうところからいって、適性診断についてどういうふうにいま考えておられるか、これは運輸省並びに警察庁にまず第一にお尋ねするのであります。  それからもう一つは、少なくとも事故対策センターには、心理学を専攻した者を入れておくことが必要ではないか。それからもう一つは、ここで適性診断のいわゆるやり方というか方法等をもちろん考究するのでありますが、それと同時に、各所に今度そういうものができるのでありますから、そこにはある程度そういう心理学を専攻した者を配置することが望ましい形だと思う。そういう問題についてどういうふうに考えているか。  それからもう一つは、これは警察庁になろうかと思うのでありますが、事故を起こした者の原因の分析ですね、分析というか真の原因はどこにあるのかという追跡調査、追跡じゃなくて、そこでの調査ですね。厳密な心理的あるいは生理的な面から、あるいはその人とその運転した車との人間工学的な関係とかいろいろな角度があると思うのですね。そういう細密な、全部とは言いませんが、特殊なものについてはそういう調査をして、事故の原因を厳密に表へ出していく。それはやはり安全対策の一番大事な点だと思うので、そういう仕組みについてどんなふうにやられているのか、あるいはやろうとしているのか、それをひとつお伺いしたい。  それからもう一つ、これは運輸省でありますが、事故対策センターで、安全の問題というのと直接じゃないのですが、遺児の奨学資金の問題があります。いわゆる小中学校の子供ですね。これに対して何がしかやることになっておりますが、最近のような物価高のおりから、当初この法案をこの席で審議したときはたしか三千円くらいかもしれませんね。その程度のものではもはやあまり用に立たないのじゃなかろうかと思う。ついては、来年度予算の中でも関係がありますが、どういうふうに考えておられるか。あるいは対象の交通遺児はいまはどの程度に考えているのか。そういうものをまとめて御答弁いただきたいと思います。
  48. 宇野則義

    ○宇野説明員 最初の御質問の件についてお答えいたしたいと思います。  自動車事故対策センターが昨年の暮れにできましたけれども、その中の一つの大きな業務といたしまして、運転者の適性診断を行なうという業務がございます。これにつきましては、現在、私ども運輸省といたしまして指導しております中身を簡単に御説明申し上げますと、運転免許証を持っておりますところの運転者、特に事業用運転者を最初重点的に行ないたいと思いますけれども、心理学的な面それから医学的な面を合わせまして、いろいろ適性診断を行ないまして、運転者の安全運転のために必要に応じてその具体的な運転の確保のための指導を行なっていきたい、ということを目的にするものでございます。  そこで、その診断の内容でございますけれども先生指摘のように、当然ペーパーテストだけでなくて、いろいろな機械も使いましてやっていくことにいたしておりますけれども、大きく分けますと、一つは心理適性といった面、それからもう一つは身体機能、二つに分けまして診断を行なっていきたいというふうに考えております。この運転者の適性につきましては、非常に心理的な面も含みますし、技術的にむずかしい面がございますので、これまで行なってきた形といたしましては、これらの交通関係の心理あるいは医学の専門をやっておりますところの大学の先生だとかあるいは研究所の先生をお願いいたしまして、心理学者あるいは医学者の委員をお願いいたしまして、いろいろその診断内容の検討を行なっていただいたわけでございまして、ようやくその基準もでき上がりましたので、今後は、これを行ないますところの診断員の研修あるいは診断施設の充実ということにつとめてまいりたいというふうに考えております。  なお、職員の構成といたしましては、直接心理学を専攻した職員を採用しておる支所もございますし、さらには各支所ごとに心理学あるいは医学の面を専攻いたしますところの学者のような方、先生をカウンセラーとしてお願いいたしまして、この適性診断の運営の万全を期したいということで体制を固めつつございます。  なお、まだ全国に全部支所ができ上がっておりませんで、逐次充実してまいる計画になっておりますので、そういう際に、先生指摘の面も十分組み入れまして、今後内容の充実をはかってまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。
  49. 渡部正郎

    ○渡部政府委員 まずお話のございました心理学的なペーパーテストのことの実情を最初に申し上げたいと思いますが、これにつきましては、現在やっておりますのは、事故を起こした者全員ということではなく、事故を起こしたりあるいは交通違反によって運転免許に対する行政処分を受ける者がございますが、その中で中期、長期の処分を受けた者に対しましてペーパーテストをやりまして、その結果運転特性を見つけて個別指導をやるということをやっております。この種のペーパーテストは、四十八年におきまして約三十二万名ほどに対して実施しております。これ以外に任意に運転適性の相談を持ってこられる方があるわけでございますが、そういう方々に対してペーパーテストその他をやりました者、これも年間十数万人ぐらいあるということでございます。  また、私ども監督しております指定自動車学校におきましては、教習生に対しまして、これも年に百五十万ぐらいになりますけれども、任意でございますが、このテストを実施いたしまして事故防止に役立てているというふうなことをやっております。  しかしながら、御指摘のとおり、これだけではたいへん不十分だと私は思っているわけでございます。事故の追跡調査と申しますか、その点にも関連するわけでございますが、率直にいいまして、従来道交法違反が事故の原因だというように非常に短絡してものごとを私どもは考えていたんじゃないかと思います。ところが、実際には事故の原因というのは非常に複雑でございまして、もちろん道交法違反も事故の原因にはなっているわけでございますが、それだけではない。やはり人と車あるいは環境というものが非常に複雑にからみ合った中で事故が起こってくるわけでございまして、事故対策の第一は事故の原因を知ることだと言われているわけでございます。まさにそのとおりでございますが、どうしても事故というものに対しては多角的な分析が必要である、マルチプルアプローチという態度が非常に必要であるということを最近痛感しているわけでございます。諸外国におきまして、たとえばイギリス等におきまして、心理学、医学その他いろんな分野の専門の学者でチームをつくりまして、死亡事故が起こるたびに現場にそれが派遣されていろいろ詳細な検討をするというようなことをやっているというのも、私ども承知しているわけでございますが、それをやるには人も金もなかながたいへんだろうとは思いますけれども、理想的にいえば、やはりそういうこともやらなければならないというふうに考えているわけでございます。いままで直ちにそういうところになかなか踏み出すことができなかったのでございますが、しかし、だからといっていまのままでいいとは私どもとしては思っていないわけでございまして、しろうとの警察官にもやれるいろいろな方法があるんじゃないか。一つのシステムをつくれば、相当詳細に事故の原因を分析することができるんじゃないだろうか。そういう観点に立ちまして、私ども事故が起こりますと、全人身事故については事故の調査票をつくっているわけでございますが、その調査票の中で取り上げるべきデータというものを現在根本から再検討しております。それで、そのデータのとり方を、やはりほんとうの事故の原因の追及というところに焦点を合わせまして、もう一ぺん考え直そうということで大体成案を得ておりますので、近くこの原票の根本的な改正をやろうと思っております。これをやりますと、いままでよりはやはり相当よく原因が浮かび上がってくるのではないかというようなことを考えている次第でございます。  私ども、やっておりますことみずから非常に不十分だと思っているわけでございますが、私といたしましてはいろいろな調査、分析というものは、やはり施策に役に立つものでなければ、学者じゃございませんので、意味がない。ことに今日当面しておりますいろいろな交通警察の問題、安全にしましても渋滞にしましても公害にいたしましても、それを思い切って減らしていくという効果に結びつく調査は一体何なのか、分析は何なのかということで、予算も人員も限られている中で、最も重点的に焦点をしぼった仕事をしていきたい。そういう観点から反省しますと、やはりやらなければならないことはたくさんあるということで、現在取り組んでいる最中でございます。ほかの機会にもいろいろ御指導いただきまして、そういう方向に進めてまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
  50. 井上泉

    ○井上(泉)委員長代理 高橋参事官。できるだけ答弁を簡潔にお願いします。
  51. 高橋英雄

    ○高橋説明員 先生お尋ねの交通遺児の貸し付けの関係につきましてお答えさせていただきます。  御承知のように、センターにおきましては、政府が自賠法に基づきまして行なっております被害者救済の補完的な意味合いにおきまして、交通事故の被害者に対する貸し付けを行なっております。その中に、先生指摘の交通遺児に対します、特に義務教育終了前の交通遺児に対します貸し付けというものが行なわれておるわけでございます。  これの内容でございますが、現在のところ交通遺児に対します貸し付けは、一時金として六万円、それから毎月五千円というふうなことになっております。それで、これはもちろん無利子でございまして、義務教育が終了いたしましてからすぐに就職するというふうな場合には、一年据え置きまして、以後二十年で償還するというふうなことに相なっております。  それで、予算的には、四十八年度は年度末近くになってオープンいたしたものでございますので、非常に少のうございますが、四十九年度は一応一億円を貸し付けの原資として予定いたしておる次第でございます。  それで、この内容でございますが、これは昨年の本委員会におきます附帯決議にもございますように、今後の経済情勢に応じまして被害者救済に遺憾のないようにしろというふうな趣旨もございまして、私どもといたしましても、今後の経済情勢に応じまして、また、ほかの同趣旨の交通遺児等に対する貸し付けとのバランスも考えながら、被害者救済に遺憾のないように措置していきたい、かように考えている次第でございます。
  52. 久保三郎

    ○久保(三)委員 時間もありませんから、以上で本日は終わります。ありがとうございました。
  53. 井上泉

    ○井上(泉)委員長代理 続いて、太田一夫君。
  54. 太田一夫

    ○太田委員 最初に運輸省にお尋ねをいたしますが、踏切事故の問題でございます。  三月二日に西鉄で起きました踏切事故というのが実はなかなか問題を起こしているようでありまして、一説によりますと、その踏切遮断機は機能を失っておった、機能が作動せず、そのために自転車に乗っていた中学生並びに軽自動車に乗っていた運転手ともに死傷いたしまして、大事故になった、こういうことが伝えられておるのでありますが、一体、実地検証もあったと思いますが、お調べになった結果は、この踏切の保安装置には欠陥があったか、なかったか、これについてお答えをいただきたいと思うのです。
  55. 横山義一

    ○横山説明員 お答えいたします。  三月二日に先生指摘の白木原第一号踏切におきまして事故が発生したわけでございます。三月の四日、五日に福岡県の県警と鉄道事業者、両者立ち会いで当該踏切の信号機の構造、それから動作の機能チェックというようなものをいたしました結果、異常はございませんでした。
  56. 太田一夫

    ○太田委員 警察庁にお尋ねいたしますが、現地の警察のほうにおいては、その事故のあとお調べになった結果は、施設、機構等に何らか異常があったと認められたかどうか。
  57. 森郷巳

    ○森説明員 事故のあと実況見分等いたしました結果につきましては、同じような状況でやったわけでございますが、異常は認められなかったというような結果が出ております。
  58. 太田一夫

    ○太田委員 それでは、この際総理府にお尋ねをいたしますが、かつて踏切の事故防止対策要綱というのが昭和三十二年に対策本部決定ということできまりまして、その中に「踏切道通行に関する措置」という具体的な問題が五つあるのですね。第二項に「遮断機の遮断及び踏切警報後の現示がある間は通行者を停止せしめるようこれら遮断機及び踏切警報機に法的拘束力を付与すべく検討する。」とありますが、この結論はどうなりましたか。——では、少し検討しておいてください。あとでお答えください。  運輸省のほうにお尋ねをいたしますが、運輸省には、踏切の安全のために、踏切道改良促進法に基づきまして省令等の制定がございますね。その中に、陸運局長あて通達の踏切道保安設備設置標準についてとか、あるいは踏切道の保安設備の整備に関する省令とかありますが、これを一読いたしまして感ずるのは、その中に、踏切の警報機並びに遮断機というものをつけるべき交通量の基準とか補助金をもらう手続等はありますが、問題は、どういう機能の遮断機とか警報機をつけるべきだというものが見つからない。したがって、任意の民間の信号関係の機器を販売する会社の製品を取り付けておるということになるような気がするのですが、この機器の指定についてはどうなっておるのですか。
  59. 横山義一

    ○横山説明員 お答えいたします。  踏切警報機、自動踏切遮断装置の構造基準等につきましては、これは私どもの内部通達といたしまして、まず踏切警報機の構造基準につきましては、昭和三十年に本省のほうから陸運局長へ通達ということで出してございます。それから、自動踏切遮断装置の構造基準につきましては、昭和三十一年にこれも同じく本省のほうから陸運局長への通達ということで出しておるわけでございます。
  60. 太田一夫

    ○太田委員 具体的に言いますと、その機器は各工事施工者がつくるものではないのでしょう。そうすると、認定というのがあるのですか。
  61. 横山義一

    ○横山説明員 お答えいたします。  警報機にしても、それから自動遮断機にしましても、これを鉄道事業者が設置します場合には、陸運局なり本省のほうへこういうものをこしらえてもよろしいかという申請がございます。その申請の段階で、こういう設置基準に照らし合わせまして審査して、よろしいというものを認可しているわけでございます。
  62. 太田一夫

    ○太田委員 だから、型式の認定があるのでしょうか、どうでしょうか。
  63. 横山義一

    ○横山説明員 お答えします。  型式の認定はございません。
  64. 太田一夫

    ○太田委員 現在用いられておる路切警報機並びに遮断機の製造元は幾つありますか、どことどこでございましょうか。
  65. 横山義一

    ○横山説明員 お答えします。  メーカーの数としては非常に少のうございまして、日本信号株式会社、京三株式会社、大同信号株式会社、三社程度でございます。
  66. 太田一夫

    ○太田委員 型式の認定をしないところに、私は、機械の性能といいますか、能力というものにいささか疑いを持つのです。寡占形態でしょう。日本信号とか京三とか大同という三社だけだ。そうなりますと、それが非常に寡占といっては何ですが、競争原理からいいますと、いささか問題があるのではないかと思います。そのために、場合によっては安くつくるというようなことからとんでもない盲点が出て、それがいま西鉄の場合におきましては、片方の普通電車が通ったから、普通でいうとそこで遮断機は上がるわけなんです。上がるか上がらないかという境目に、反対線を通過する急行が二分おくれてきたために、いつもと違う電流が流れておるわけですね。そこの盲点があって、瞬間的に作動すべきものが作動しなくて上がりかけたために、そこに待っていた中学生や自動車の方々が先を争って中に入り込んだということはないのであろうか。こんな心配をするのですが、その辺のことは警察庁わかりますか。
  67. 森郷巳

    ○森説明員 現在のところ、つまびらかにしておりません。
  68. 太田一夫

    ○太田委員 それでは、これは運輸省にお尋ねしたほうがいいでしょうね。結線図というものをお調べになって、工事の施工上の図面では間違いなかったのですか。
  69. 横山義一

    ○横山説明員 お答えします。  異常はございませんでした。
  70. 太田一夫

    ○太田委員 きょうは運輸省は土木電気課長だけでしたかね。——課長さんがずいぶん練達たんのうの方ですから、あなたでけっこうだと思いますけれども、どこの機械を使っていたかわからないが、機械そのものに最近どうもあまり信を置けない問題があるのではないか。それは逆にいうと、列車が来たら上がっておって下がらないというよりは、下がったら下がりっぱなしというのが実に多い。安全といえば安全ですけれども、これほど人をばかにした遮断機はないのでありまして、上げようと思うとある程度まで上がりますよ。上がったらすぐ下がるのですよ。だから、うしろに車を置いておいて、ある程度上げておいて、さて車を出そうとするとさっと下がってくるというので、どうにもならない。だから、性能そのものに対してもう一回チェックしていただく必要があると思うのです。  それから、大牟田線の場合には常日ごろのダイヤと違うダイヤであったのです。常日ごろは、急行が踏切を通過しますと、その近くにある駅にとまる普通電車が入ってくる。したがって、その普通電車をやり通せば、そのあとはずっとみんな通れたという習慣があったから、下がっているのを上がっているものだと錯覚したきらいもあると思いますけれども、死傷者に罪はないと私は思うので、この辺のところ、ちょっと総理府お答えいただきたい。もし信号とか遮断機に法的拘束力を与えておけば、いまのような場合、ちんちんが鳴っていたとするなら、遮断機がおりるかおりぬかわからないけれども信号無視ということにはなるが、踏切警報機は信号じゃないから信号無視にならぬでしょう。あれはどうなったですか。
  71. 秋山進

    ○秋山政府委員 先ほどの御質問と合わせて関連してお答え申し上げますが、何ぶんこの交対本部の決定が古いもので、交対本部の決定後の法的措置がどういうふうになされたか、十分調査いたさなければわかりませんが、この後、道路交通法が昭和三十五年六月に制定されましたので、そのおりに三十三条に踏切に関する規定をこの趣旨に沿って設置したものと考えられます。ただ、この規定には歩行者に対する法的規制がございませんので、今回の事故につきましては、その点がまことに遺憾である、こう考えております。
  72. 太田一夫

    ○太田委員 そうなんですね。踏切一たん停止ということは法定化されて、これは相当厳重に守られておりますし、そういうことが習慣化されておりますけれども、警報機並びに遮断機に対する法的拘束力はないのです。そこは今後、総理府は警察庁とも十分な連携をとられまして、将来いまのようなつまらない事故を起こさないためにも、何らかの対策を講ぜられる必要があると思う。  そこで、運輸省にもう一回お尋ねいたしますが、結線図には間違いはなかったというが、結線図どおりにやられておったかどうかという、工事竣工検査に一々立ち会っておるわけじゃないでしょうから、そこで、鉄道の踏切、信号機、遮断機の工事施工者の資格というものに対して厳選をする必要があるのではないかと思いますが、その点については何か御用意がありますか。
  73. 横山義一

    ○横山説明員 お答えいたします。  信号機の設置につきましては、機械類はメーカーがつくります。それから、その設置につきましても、大部分については鉄道事業者とメーカーが両方でやっているような状況でございます。メーカーにつきましては、さっき申し上げましたように、日本信号、京三あるいは大同という一流メーカーでございますので、だいじょうぶだと思っております。
  74. 太田一夫

    ○太田委員 課長さん、一流メーカーという、一流というのがみなよければ、わが国の経済がこんなに撹乱されないわけでありまして、われわれも生活に困難を来たさないし、春闘もこんなに激しくなりませんよ。ですから、一流というのはどちらのほうに一流であるかわからないから、金もうけに一流も一流のうち。したがいまして、私は、日本信号並びに京三等の有力メーカーそのものの技術を疑うわけではありませんが、だんだんと安く、あるいは部品のコストダウンをはかる等の計算、研究が、逆に性能そのものに万が一の欠陥を及ぼすことになってはいかぬと思う。  それと同時に、メーカーそのものが施工するなんということはありませんよ。工事人が請負工事でやるんですよ。ですから、その請負工事人というのは十分資格をチェックしてありますか、だれでもやらせるようなことじゃいかぬでしょう、その基準は運輸省の監督規則の中にはありませんかとお尋ねしておるわけです。なければつくってくださいよ。私はそういうことを要望しておきます。  きょうは練達たんのうな課長さんだけで、一言申し上げるだけでおわかりになるわけなんで、部長さん、局長さんがいらっしゃいませんから、当面の問題だけ取り上げたことにしておきます。あとは詳しくお尋ねすることにして、きょうはこれで終わります。ありがとうございました。
  75. 井上泉

    ○井上(泉)委員長代理 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後零時十分散会