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1974-02-13 第72回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年二月十三日(水曜日)     午後一時三十分開議  出席委員   委員長 勝澤 芳雄君   理事 小此木彦三郎君 理事 大竹 太郎君    理事 斉藤滋与史君 理事 中村 弘海君    理事 野中 英二君 理事 井上  泉君    理事 平田 藤吉君       足立 篤郎君    阿部 喜元君       越智 通雄君    加藤 六月君       片岡 清一君    左藤  恵君       佐藤 守良君    野田  毅君       板川 正吾君    太田 一夫君       久保 三郎君    沖本 泰幸君       渡辺 武三君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 徳永 正利君  出席政府委員         運輸政務次官  増岡 博之君         運輸省船舶局長 内田  守君         運輸省船員局長 住田 俊一君         運輸省港湾局長 竹内 良夫君         海上保安庁長官 佐原  亨君  委員外出席者         運輸省船員局船         舶職員課長   星  忠行君     ————————————— 本日の会議に付した案件  船舶職員法の一部を改正する法律案内閣提  出、第七十一回国会閣法第七四号)      ————◇—————
  2. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員長 これより会議を開きます。  第七十一回国会から継続審議となっております船舶職員法の一部を改正する法律案を議題といたします。
  3. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員長 本案につきましては、第七十一回国会におきまして、すでに趣旨説明を聴取いたしておりますので、これを省略したいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  5. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員長 これより質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。平田藤吉君。
  6. 平田藤吉

    平田委員 この法案が再び審議されるにあたって、私は日本共産党革新共同を代表して、あらためて幾つかの問題について質問したいと思います。  第一は、小型船舶の安全上の問題であります。  現行法は、五トンから二十トンの小型船舶で四十馬力以上のものは、船長及び機関長の二人乗務となっているが、改正案では、船長のみにしようとしております。私は、船舶職員航行の安全の上から見て、改正案に反対であります。  前国会でのわが党の紺野議員質問に対して、当時の丸居船員局長は次のように言っております。一級小型船舶操縦士エンジンについての知識を吸収した免許を取らせるようにしたいと答えております。これらの操縦士にいつ免許が取れるようにするのか、お聞かせいただきたいと思います。
  7. 住田俊一

    住田政府委員 お答え申し上げます。  この法律につきましては、前回運輸大臣並びに前の船員局長から御説明されましたとおりに、御承知のように、最近におきまするモーターボートあるいは小型漁船等小型船舶の増加が非常に著しい、こういうことに関連いたしまして特に事故というものが激発しております。これに対する対応策といたしまして、今回この船舶職員法改正いたしまして事故防止に万全を期する、こういったことでこの法律改正案が出たことは先生承知のとおりだと思います。  さて、この免許の問題につきましては、御承知のように、最近は小型船機器というものの発達が非常に著しくなっておりますし、機材あるいは油、こういったような点につきまして数年前よりも非常な進歩を遂げております。そういうことで、一人の船長によりまして甲板部機関部職務を兼ねるということが可能であるということで、必要な知識、技能を吸収させよう、持たせよう、こういうような仕組みで、この試験の資格合理化をはかったというのが法律改正一つ理由でございます。  そこで、実際の資格を取るにあたりましては、極力講習会、こういったものを開催いたしまして、所定の資格を取るように今後進めていきたい、かように考えておる次第でございます。
  8. 平田藤吉

    平田委員 免許というふうに答えておりますので、その免許とは何をさすのかということが一つ。それから、その対象となる操縦士というのはどれぐらいの数にのぼるのか。この二点をお聞かせいただきたい。
  9. 住田俊一

    住田政府委員 お答え申し上げます。  まず、先生の御質問の今回の改正によりまするところの適用対象となりまする人数でございますが、次のように推定されます。  まず対象者といたしまして、モーターボート漁船その他を含めますると、六十九万一千人程度になると推定されます。そのうちすでに免許を有している者は、漁船関係で二十五万人、漁船以外で六万人、合計約三十一万人。残りの三十八万一千人を公布後一年九カ月間で処理するということになっております。  さて次に、海技従事者のいま先生おっしゃった免許でございますが、これは法律の第五条に規定されておりまするように、四つに分けておりまして、一級小型船舶操縦士、第二に二級小型船舶操縦士、第三に三級小型船舶操縦士、第四が四級小型船舶操縦士、こういうふうな資格になっておるのでございます。
  10. 平田藤吉

    平田委員 私が聞いているのは、一級小型船舶操縦士エンジンについての知識を吸収した免許を取らせるようにしたい、前回こう答えているので、この免許とは何ですかと聞いているのです。
  11. 住田俊一

    住田政府委員 お答え申し上げます。  現在の丙機に一級小型を取らせるというのが転業対策として考えられるのでございますが、その前に職を失わぬようにできるだけ通達をもちまして善処したい、かように考えておる次第でございます。
  12. 平田藤吉

    平田委員 どうも話がよくわからないのですけれども、そうすると、別に免許を取らせるようにしたいというのは、これは間違いなんですね。一級小型船舶操縦士にあらためて何らかの形の免許を取らせるということではないのですね。そこをはっきりさしてください。
  13. 住田俊一

    住田政府委員 お答え申し上げます。  それぞれの就航区域に即応いたしまして、いま申し上げましたように四つにクラスがえをしまして、そして免許を取らせよう、こういう趣旨でございます。
  14. 平田藤吉

    平田委員 どうも困りましたな。一級小型船舶操縦士エンジンについての知識を吸収した免許、こう言っているのですね。そうすると、今後、いま言われたような免許の中にはそういうものを含んでいるということを意味するわけですか。
  15. 住田俊一

    住田政府委員 お答え申し上げます。含んでおります。
  16. 平田藤吉

    平田委員 そうしますと、その教育を行ない、免許を取らせていく上で、どこが免許を与える機関になるか、それから免許を取るまでの間にどれぐらいの教育期間が必要か、その期間に対して政府はあらためて免許を取ろうとする人たちに対してどのような援助をするつもりかについてお聞かせいただきます。
  17. 住田俊一

    住田政府委員 お答え申し上げます。  いまの免許は全部国で付与いたします。それから、先ほど申しましたように、現在その職務に従事している者につきましては、それぞれ講習会その他を通しましてその免許を付与するように行政指導したい、かように考えておる次第であります。
  18. 平田藤吉

    平田委員 どれくらいの期間が必要ですかということを聞いておりますが、これが落ちております。  それから次に、あわせて一回にどれぐらい教育できるものなのか、また一回にどれぐらいの免許を与えられるようになるのか、この期間と、それから免許を与えるための手続に、一回にどれくらいができるのかについてお聞かせをいただきたいと思います。
  19. 住田俊一

    住田政府委員 お答え申し上げます。  期間は十日間でございますが、人数についてはちょっといま調べておりますので、後ほど御報告させていただきます。
  20. 平田藤吉

    平田委員 そうしますと、十日間というと、この十日間は船からおりなきゃならないのですか、どういうことになりますか。この点について、もし船からおりなきゃならないとしたら、この十日間について経済的にもどういう援助をするつもりか、そこのところをお聞かせいただきたい。
  21. 住田俊一

    住田政府委員 お答え申し上げます。  この講習は、実際に仕事をしている、こういう関係から、夜間講習会でやるようになります。そういうことで、極力仕事とそういった講習がダブらないようにしていきたいと思いますが、特にそれに対して経済的な援助というような点は、現在考えておりません。
  22. 平田藤吉

    平田委員 夜間に行なうということについては、大体小型船舶職員は夜は船からおりているわけですね。そこをひとつ答えてください。
  23. 住田俊一

    住田政府委員 お答え申し上げます。そのとおりでございます。
  24. 平田藤吉

    平田委員 やはり同じく前回丸居船員局長は、同じ紺野質問に対して、船上では修理もできないのに機関長を乗り組ませるよりは船外機の一台も持っていたほうがいいというふうに答えておりますが、船外機というのは一体何ですか。
  25. 住田俊一

    住田政府委員 お答え申し上げます。  船外機というのは、船に、エンジンを外に取りつけているものでございます。
  26. 平田藤吉

    平田委員 その船外機で、故障が起こった際、あらしの際なんかも船員みな乗っけて航行できるのですね、どうなんですか。
  27. 住田俊一

    住田政府委員 お答え申し上げます。  もちろんあらしとか、そういったときには出ませんでございますが、平常の場合は可能でございます。
  28. 平田藤吉

    平田委員 大体事故が起こっているのは、静かな海で起こっている場合が少ないのですよ。かなり荒れているときに故障が起こるのですよ。だからそういうときに故障が起こったら、機関長を乗せておかなくたって、船に故障が起こったら船外機へ乗せればいいじゃないかというふうに丸居船員局長答えているわけですよ。あなたもこれは同じように考えているのですか。
  29. 住田俊一

    住田政府委員 お答え申し上げます。  この種の船外機というのは、陸上から見える非常に近い距離、そういうところで航行しておりますので、実際にそういった事故は、非常に近いところでございますから、先生指摘のような点はないと思います。
  30. 平田藤吉

    平田委員 話がどうも違うのですけれどもね。つまり丸居船員局長が言ったのは、船が出る際に、機関長を置くよりは船外機を積んで行ったほうがいい、故障が起こったら船外機へ乗ればいいのだ、こういう答えをしているのですよ。あなたは見えるところにいるからだいじょうぶだなんて言って、いま言っておるのは、この船舶外洋へまで出ていくということを言っているわけでしょう。これに積んでいく船を船外機と言っているわけでしょう。だからこの船外機は、船のエンジン故障が起こった場合に船外機に乗りかえて走ればいいのだというような、あらしに耐え得るものなのかどうなのかを聞いているのですよ。
  31. 住田俊一

    住田政府委員 お答え申し上げます。  いまの御指摘の点につきましては、こういうことでございます。いまの船外機を載せたというのは、いわば予備部品的な意味で載せたということでございまして、丸居前局長もその意味でおっしゃったのじゃないか、こういうふうに理解しております。
  32. 平田藤吉

    平田委員 船外機予備部品ですって。予備部品だと言って、こわれた船のエンジンと交換できるようなエンジンなのですか。
  33. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員長 局長でわからなければ課長でもいいし、わかる専門家でもう少し詳しく説明しなさいよ、聞いている人でもよくわからないのだから。丸居局長の説明したことをもう少し丁寧にわかりやすく説明すればいいわけだから。  それから、質問をしているときにみんなでよく質問を聞いて、それからゆっくり相談すればいいから。質問の途中で相談しているからあと質問がわからないわけだから、答弁を相談する時間を十分与えるから、しっかり答弁してください。
  34. 内田守

    内田政府委員 技術的なことだけ説明させていただきます。  普通の船ですと、小さい船でも大きい船でも、当然エンジンは永久的に船内に装備いたしまして、プロペラプロペラで船の外に船体に固着してつけてあるわけでございますけれども、小さいボート船外機と申しますのは、普通の場合ですとエンジンかじプロペラが一体になっておりまして、そしてAのボートに装着して、またある場合にはBのボートにも装着できるように、言うなれば取りはずし式のかじプロペラエンジンということでございます。
  35. 平田藤吉

    平田委員 それはわかっているのですよ。あなたの答弁は間違いないのだ。間違いないのだけれども、つまり機関長を乗せなくたって、沖に出て故障が起こったとき、船外機を乗っけていればだいじょうぶなんだと言っておるから、船というのは往々にして機関故障が起こるのは荒れているときなんだ、だから荒れているときでもその船外機を載っけておけば用が足りるか、これで安全だと言えるのか。私も漁師のむすこですよ、船ぐらいのことは知っていますよ。ちゃんと答えなさいよ。
  36. 星忠行

    星説明員 お答え申し上げます。  先ほど船外機と申しましたのは、船外機を積んでいる船は非常に小型でございまして、これは陸上近く、陸上から見える距離程度しか航行しない船でございます。したがって、あらしのような日には最初から沖に出ることはできません。その程度の小さな船でございますと、かわりに船外機を積んでいくことによって十分航行の安全を達することができます。  また、もう少し遠くに出る大きな船になりますと、これはもう船外機のようなエンジンは積んでおりませんで、もう船の中に備えつけた船内エンジンを使用しております。こういう船になりますと、船外機を積んでいっても推進はできないのでありまして、こういう船は、必要な、簡単に交換のできるような場所が故障した場合に備えましては、予備部品を積んでいく。その意味予備部品を積んでいくということによりまして、ある程度故障は修理することはできますけれども、しかし、それ以上重大な故障が発生した場合には、ちょっとエンジンをたとえば洋上で分解しなくてはいけない、そういう事態が万一発生した場合には、これは他船または救助機関救助を要請しなければならないような事態がございます。
  37. 平田藤吉

    平田委員 聞いていることがわかっていませんね。  その船外機を積んでいれば、船に故障が起こってもだいじょうぶなんだ、だから機関長を乗せておかなくても船外機を積んでいったほうがいいのだ、こういうふうに言っているから、一体これで安全が守れるのかということを言っているのですよ。ですからあなたの話では答えにならないですよ。まあいいですよ。もうこれ以上聞いたってしょうがない。話がわからないのだということを確認しておきますよ。  じゃ、レジャー用モーターボートあらしのときも走り回るのかどうか、また外洋にまで遊びに出かけていくのかどうか、ここのところをお聞かせいただきたい。
  38. 住田俊一

    住田政府委員 お答え申し上げます。  そういった先生の御指摘のようなあらしのようなときには参りません。
  39. 平田藤吉

    平田委員 昨年の海難事故について、レジャー用モーターボートは何隻海難事故にあっているか、それから漁船などの海難事故は、機関故障によるものが相当数にのぼっているはずだけれども、何隻か、このことについて統計のとれる機関でいいですから答えてください。
  40. 佐原亨

    佐原政府委員 統計が不備でございまして、完ぺきのお答えになるかどうかわかりませんが、四十八年はまだ統計はできておりませんので、四十七年でお答えさせていただきます。  四十七年のモーターボートのいろいろの海難事故が全部で八件、八隻ございます。そのうち、モーターボートと他の船、漁船とぶつかったのが三件でございます。あとは、防波堤にぶつかったり、橋げたにぶつかったり、流木にぶつかったり、こういったケースでございます。全国的に八件でございますので、その事故件数としては非常に微々たるものでございます。
  41. 平田藤吉

    平田委員 いわゆるモーターボート事故を起こしているというのは、ぶつかり合いが多いということですね。エンジン故障あらしで帰れなくなって海難事故にあっているというような状態はどうなんです。
  42. 佐原亨

    佐原政府委員 おそらく先生の御指摘は、機関故障ということでお答えすればいいのではなかろうかと思いますが、四十七年で申しますと、機関故障は六十七件でございます。
  43. 平田藤吉

    平田委員 何の機関故障……。
  44. 佐原亨

  45. 平田藤吉

  46. 佐原亨

    佐原政府委員 モーターボートでございます。
  47. 平田藤吉

    平田委員 漁船などは……。
  48. 佐原亨

    佐原政府委員 漁船は非常に多うございます。四十七年度で申しますと、三百三十六隻でございます。
  49. 平田藤吉

    平田委員 これも前国会丸居局長は、機関長を廃止の理由一つとして言っていることがあるのです。こういうように言っているのです。同じ種類のエンジンを積んであって、片方機関長が要るし片方は要らないというのはおかしいというふうに言っているのです。つまりモーターボートには機関長が要らないし、一般小型船には機関長が要るというのはおかしいとこう言っているのです。いまの海難事故数とその原因を見ても、安全ということを考える人ならば、こんな理屈理屈にならない理屈ですよ。とても言えた筋合いのものじゃないと思うのです。この点について、局長どうお考えになるか、お聞かせいただきたい。
  50. 住田俊一

    住田政府委員 お答え申し上げます。  先ほども申し上げましたように、最近の機器発達は非常に著しいものがございます。特に今回、甲機両用を兼ねた機種経験を有した海技従事者になりますと、こういった甲板部機関部の両方の部面をマスターすることができる、こういうことと相まちまして、事故防止というものが十分にできるのではないかということが一つと、それから現在のこういった機器発達に伴いまして、事前に十分なる仕業点検、こういったものをはかっていけば、そういった事故の点はない、こういうふうに確信して、こういった改正案を出した次第でございます。
  51. 平田藤吉

    平田委員 まあいまのも、さっきの答弁で三百三十六件も機関故障海難事故が起こっている。モーターボートのほうは機関故障というのは六十七件である。これはそんなに遠くへは出てないですから問題はない。このモーターボート漁船などとを一緒にして、そしてものを言っているというところに非常に重大な問題がある。しかも、前の運輸大臣が出席しているもとでこういうことが麗々しく語られていたのですよ。あなたは、もういまは機械などが発達しておりまして心配はございません、こういうように答えている。機関長が乗っていてこれだけ起こっているのですよ。こういう冷厳なる事実に目をつぶっちゃだめだということを私は強調しておきます。  第二の問題は、船舶職員の失業の不安を解消する問題です。  整理の対象となる機関士船員の皆さんは、一様に失業問題が出るのではなかろうかというふうに心配しております。政府はこの不安をどう解消しようとしているのか、どのような対策があるのか、お聞かせいただきたい。
  52. 住田俊一

    住田政府委員 お答え申し上げます。  今回の改正によります五トン以上二十トン未満船舶に乗り組んでおりまする丙種機関士は、現在約一万二千人程度いる、こういうふうに推定されます。ところで、この種の丙種機関士乗り組みを必要とする船舶は、このような五トン以上二十トン未満船舶だけではございませんで、それ以外に二百トン未満平水区域船あるいは五十トン未満沿海区域、それから漁船といたしまして約一万三千隻と、広範囲にわたっております。こういうことで、丙種機関士は不足しているという現状でございますので、先生の御指摘のような点は、このような広い範囲の船舶に乗り組むことによりまして十分に吸収できる、こういうふうに考えいるのが第一点でございます。  それから第二点といたしまして、現実の問題でございますが、現在このような丙種機関士は、現実に漁労に従事しております。したがいまして、この法改正によりまして職場が失われるということはまずないのではないかというふうに考えております。これは第二点でございます。  しかしながら私ども政府といたしましては、このような丙種機関士職場の確保につきまして、特に雇用不安が生じませんように十分に留意いたしまして行政指導をはかっていきたい、かように考えておる次第でございます。  では、しからばこの行政指導はどういうようなことを考えているかと申しますと、次のように私は考えております。  まず地方の海運局、それから関係業界に対しまして、現在乗り組んでおりますところの機関長を下船させたりあるいは労働条件を不当に低下させることのないように行政指導していきたい。また同時に、この該当船舶の実態を十分に把握いたしまして、この万全を期していくということで通達を出していきたい、こういうことでその確実な実施をはかっていきたい、かように考えている次第でございます。
  53. 平田藤吉

    平田委員 年齢やあるいは居住地の問題や生活条件などから、起こり得る可能性を十分はらんでいると思うのです。ですから、あなた方が通達出しさえすれば解決するんだ——私は、通達出したからそれでいいんだというわけにはいかないだろうと思うのです。そこで私は、政府としてはどういう対策を具体的に保証するのかということを聞いているわけなんですよ。もう一度、その点について、じゃ具体的なそれ以外の保証はないんだねということをはっきりさしておいてもらいたい。
  54. 住田俊一

    住田政府委員 お答えを申し上げます。  いまお話しましたように、その通達によりまして極力行政指導をはかって、先生の御指摘のような点がないように万全の措置をはかっていきたい、かように考えている次第でございます。
  55. 平田藤吉

    平田委員 とにかくこの問題は、現実にどこでも、そう言いながらかなりの困難を労働者は背負ってきているのですよ。炭鉱の閉鎖ひとつとってみたってそうなんですよ。ですから私は、あなたがそう簡単に言うようなわけにいかないというふうに思うのですよ。中小の船主は、やっぱり何とかして手を減らしたい、経営が困難だという状況にあるのですから、あなたが言うように一本の通達でうまいぐあいにいくとは限らぬのですよ。そういう意味で、万全を期したいというのですから万全を期して責任をとってもらいたいというように考えます。  第三の問題は、レジャー用モーターボートをめぐる問題です。  まず聞きたいのは、マリーナといわれるモーターボート基地についてですけれども、現在全国で何カ所つくられているのか。その基地全体でモーターボートはどれぐらい収容できるのか、これが二つ目ですね。基地幾つあるか。どれぐらい収容できるか。それから、今後何カ所新たにマリーナをつくる計画か。そしてそれらを総合してどれぐらいのモーターボートを収容する計画か。これをお聞かせいただきたい。
  56. 竹内良夫

    竹内(良)政府委員 現在のマリーナの数は幾つかということで、四十七年に調査をいたしました。その結果によりますと、全国マリーナの数は、昭和四十七年度に百八十一カ所ございました。これは一般公共港湾の中に入っているのも含めまして百八十一カ所でございます。このうち公共マリーナが十七カ所でございまして、民間が自分でつくっているマリーナは百六十四カ所でございました。  それから現在のマリーナの中のプレジャーボート等収容隻数幾つであるかという御質問でございますが、百八十一カ所のマリーナに、昭和四十七年に一万一千隻ございました。そのうち、先ほど申し上げました公共マリーナの十七カ所の中には約三分の一の三千六百隻、民間マリーナ百六十四カ所の中には七千四百隻となっております。  それから、今後の建設計画はどうかという御質問でございましたけれども、実は、今後何万隻にふえるかという点、いま私持ってございませんけれども、建設計画といたしましては、公共マリーナにつきましては、今後の海洋性レクリエーションの動向に対応いたしまして、あまり貴重な海岸がスプロールされないように、また、安全かつ健全な海洋性レクリエーションの振興に寄与するために、港湾整備事業の一環として整備を進めていきたいというように考えております。  まだ緒についたばかりでございまして、全国では公共マリーナといたしましては八個しか手にしておりません。それから、民間マリーナにつきましては民間がおつくりになるわけでございますが、これの技術的な指導と申しましょうか、チェック、これは知事にやっていただきたいというように考えまして、今回の改正いたしました港湾法に基づきまして知事に届け出をさせます。そのときに、技術的な安全の基準を設けましてチェックしていきたいというように考えている次第でございます。  なお、このつくる際の位置等につきましては、帆走する場所との関係とかあるいはほかの船との錯綜の関係、また海水浴場等の関係もございますので、港湾の区域内における公共マリーナにつきましては、港湾計画会議等におきまして、たとえば海上保安庁の意見等を十分取り入れながら位置を選定していく、こういうような方針にしている次第でございます。  なお、もう一つの問題といたしましては、マリーナの運営の関係のほうから考えまして、遊ぶ人のモラルを上げていくということが安全上非常に大事ではないかということで、マリーナにたとえばハーバーマスター等を置いて教育等もやっていかなくちゃいけないんじゃないかということを研究している最中でございます。  以上でございます。
  57. 平田藤吉

    平田委員 公共マリーナ建設費はどこが持つのか、その海域とマリーナの施設の管理はだれがするのかについてお聞かせいただきたい。
  58. 竹内良夫

    竹内(良)政府委員 公共マリーナ建設港湾管理者にやっていただきたいと思います。港湾管理者は地方公共団体が主でございます。それに対しまして、国としては補助をしていきたいというように考えます。大体防波堤等そういうものが主体でございますが、重要港湾におきましては五割、地方港湾におきましては四割の補助をしていきたいというように考えております。
  59. 平田藤吉

    平田委員 前国会で、やはり前の田坂船舶局長が、昭和六十年にはモーターボートが百万隻になるという展望を示しました。この展望に立ってもろもろの対策が考えられていたと思います。この点について、見通しについては今日も変わりないのかどうか、また変わったとすればどれくらいを見込んでおられるか、お聞かせいただきたい。
  60. 内田守

    内田政府委員 前回、前局長お答えいたしましたように、モーターボートの伸びというものは、生産が大体毎年二五%くらいずつ伸びておるわけでございます。そういうことで、約十年ぐらいのうちに百万隻近くに達するであろうという御答弁を申し上げたわけでございますけれども、まず実態を申しますと、最近の石油危機等に関連いたしまして、昨年度の実績で申しますと、予定よりもかえって生産が落ちてる、これは要望、注文のほうもそうでございますし、それから生産のほうもいろいろな面から抑制されておるわけでございます。それで、おそらく今年度もよくて横ばいではないかというような状況でございます。まあ時期が時期でございますし、特にわれわれのほうで生産を意欲的にあげるというような考え方は持っておりません。そういう意味で、一時的には生産というのは非常に減少しておる状況にございます。  ただ、何といいましても長い目で見ますと、前にもお答えいたしましたように、健全な海洋レクリエーションという国民の意欲というものは、抑制すべきでもないし、また抑制することも不可能だと思います。現に数字的なことを申しますと、いまほぼわれわれのほうのわが国におけるレジャーボートというのは、約十万隻というオーダーでございますと、国民千人に一隻ということでございますけれども、アメリカでも現に二十人に一隻とか、それから欧米で少ないところでも二百人に一隻という状況でございますので、少なくとも達するのは、若干われわれまだ見通しを正確には申されませんけれども、やはり百万隻に達するような時期というのは、そう当初申し上げた時期から変わるものではなかろうというふうに考えております。
  61. 平田藤吉

    平田委員 時間も過ぎましたから、若干の問題は私のほうの主張だけにしておきますけれども、漁場や海水浴場などを被害や傷害の危険から守るためにも、私はモーターボート航行区域をごく狭い海域に限定する必要があるというふうに考えております。  また、プラスチック製のモーターボートが拡大するにつれて、こわれた船体の処理、廃船の処理の問題が当然出てきます。これをどう処理されるつもりか。本来からいってメーカーの責任で処理させる必要があると思うけれどもどうか。法律によって責任を負わせる必要があると思うがどうか。この点についてひとつお答え願います。
  62. 内田守

    内田政府委員 お答えいたします。  船の航行区域というのは、御承知のように、船舶安全法に基づいて航行区域を定めることになっておりますし、このレジャーボート等につきましても、それに応じた航行区域を設定していくということになろうと思います。  それから、第二点のプラスチックの公害の問題でございますけれども、幸いにFRPボートというのは、まだでき始めてから数年たっているという状況でございまして、いまいわゆるその廃棄とか廃却という問題は惹起しておりませんけれども、いずれは早晩そういう問題に当面するのだろうと思います。したがいまして、私どものほうも、来年度からプラスチックボートの廃却、それから廃棄設備の開発ということを三年計画で進めていくという体制もとっておるわけでございます。
  63. 平田藤吉

    平田委員 いまの廃棄処置の問題も、メーカーに責任を負わせていくという立場から対処する必要があると私は主張しておきます。  さらに政府は、昭和六十年には百万隻になるという展望、これは六十年が若干延びるかもしれないような印象の持てる話のしかたですけれども、五十歩、百歩で、やはり同じような展望に立っておられるというように考えます。これは高度経済成長政策を推進することを前提としたものだというふうに思うのです。つまり、つくられるものは制限できないじゃないかという立場から見ておられる。プラスチック製品といったって、これも石油製品なんですね。電力の制限までやっておる状況のもとで、野放しでございますよという問題の立て方はないだろうというふうに思うのです。私は、高度経済成長政策を推進する立場から船舶職員法の一部改正案なるものが出されてきたのではないかというふうに考えております。この高度成長政策は、いわゆるエネルギー危機といわれる事態のもとで深刻な問題を引き起こしております。こうした段階でモーターボートについての対策もあらためて見直す必要があると思うのです。  特に大臣にお伺いしたいのですけれども、いわゆるエネルギー危機が叫ばれている今日、燃料及び船体用プラスチックに使用される石油は膨大なものになります。それが国民生活になくてはならないものとはいえないレジャーボートに浪費されるということについて、あらためて見直していく必要があるのではないかと思うが、どうですか。
  64. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 御指摘のような経済情勢を迎えまして、いろいろな問題を引き起こしておるわけでございます。油の問題にいたしましても、またプラスチックの原料にいたしましても、それは石油でできておるというようなことで、これは好むと好まざるとにかかわらずそういう面からいろいろな制肘を受けてまいるだろうと思います。また、これから先のそういうレジャー問題につきましても、必ずしもいままでどおりの見通しをたどっていくかどうかということは、いまここで判断するわけにはまいらないわけでございますけれども、お説のような点もございますし、さりとて、ここでそれを政策的に政治がこれに介入するという点につきましては、ただいまのところ考えておりません。
  65. 平田藤吉

    平田委員 いわば、なるにまかせていきますよというお話ですよ。電力などについてはかなりきびしい規制を加えておきながら、こういうものについてはなるにまかせていきますよというお話です。私は納得できません。昨年政府は、港湾法の一部改正で、先ほどもお話がありましたように、無計画マリーナ建設を是正するためにとして、マリーナ港湾整備計画の一環に組み込んだわけです。これは、いまのお話もあわせて考えますと、モーターボートなどが昭和六十年に百万隻になるという見通しに立って、それを受け入れる体制をつくるためのものだったということができると思うのです。マリーナ建設計画自体大幅に削って、モーターボート自体を規制する強い処置が必要だというふうに考えます。こうしてレジャー用モーターボートをいろいろな角度から規制することが何といっても重要であります。  この立場から免許制度を設けるということも一つの大事な点になると思いますが、国の機関教育もし、訓練もし、試験も行なうというようにすべきであり、また、免許の条件もきびしくすべきであるというふうに考えております。  こういう立場から見ますと、やはり提案されている改正案なるものは、私は一部のモーターボート業界、一部の人々の利益を守ることを基本に据えた施策を遂行されていくつもりでおられるというふうに断定せざるを得ません。  したがって、私はあらためてこの改正案に反対する態度を表明いたしまして、時間も経過いたしましたから質問を終わりたいと思います。
  66. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員長 次に、渡辺武三君。
  67. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 本日の委員会は、この船舶職員法の問題について結論を出すということのようでございますので、私はその前に、大臣に対して基本的な考え方の確認をしておきたい、こう思うわけでございます。  まず第一番目に、そもそもこの法律改正の基本的な考え方は、これはすでに御説明をいただきましたが、レジャーボート小型船舶等の事故が増大をしておるのだ、そして、それは基礎的な知識あるいは技能というものが欠如しておるのだ、こういう認識の上に立って、そうして事故防止して、より航行の安全をはかるのが法改正の目的だ、こういう御説明があったと思います。  ところが、具体的にこの法案の改正内容を見てまいりますと、一部は確かに安全のための前進措置が見られますけれども、一部は不安全な方向へ後退をしている部分があるのではないか。  御承知のように、前者は従来適用除外になっておりました小型船舶に対して、今回新たに船舶職員法の適用をはかって、そうして有資格者の乗り組みを義務づける、こういうことがきめられるわけでございますから、この面で私はたいへん前進をしておるであろう、こう思うわけでございますが、同時に、実は従来、先ほども問題になっておりましたように、五トン以上、二十トン未満小型船舶に対して丙種機関士乗り組みが義務づけられておりましたところが、今回この法改正によってその義務づけが除外をされてしまっておるのです。  大臣も御承知のように、この五トン以上二十トン未満小型船舶といいましても、実は太平洋のまん中にまで出漁をするという実態があるわけでございます。いまは出港と同時に義務づけられておりますから乗っていきますが、この法改正と同時にそれらを一挙におろしてしまってもいいのかどうか。ここに非常に問題があるわけでございまして、こういう面から見れば、これは安全を増進するために、そういう目的を持って法改正をしようといっておきながら、片面はそういう不安全な方向が実は打ち出されておるのではないか。  そこでいろいろ私も調べてみました。どういうことになってきたかといいますと、これは海上安全船員教育審議会というのがあって、ここへ大臣が諮問をされて、ここからの答申が実は出ておるわけでございます。実はその答申の中を見てまいりましても、この配乗別表の改正については併記答申がなされておるわけですよ。乗せなくてもいいという意見と、一定距離以遠に出漁するものについてはやはり機関長を乗り組ませるべきだという二つの意見がこの審議会でもまとまらなくて、併記答申がなされておる。にもかかわらず、実際には法案が成文化されてまいりますと、この併記答申がいつの間にか片方だけが採用されて法改正がなされようとしておる、こういう状態であろうかと思います。  したがって、本来法が目的としておる、より安全な航行をはかるために法改正をするのだとおっしゃっておりますが、実は一面は非常に後退をしておる面があるのではないか。  これはこの前も質問をいたしました。ところが局長お答えでは、実はエンジンの性能が非常に向上をしたのです、したがって、従来のような機関士が乗っていなくてももうエンジントラブルはありません、リモートコントロールもできるのです、こういうふうにおっしゃるわけでございます。私自身も実は小さいときから焼き玉エンジンも知っておりまして、私自身、機関士仕事をやったこともございますし、たいへんよく知っておるわけですが、現在のディーゼルエンジンもよく知っております。したがって、焼き玉エンジンとディーゼルエンジンを比較すれば、確かに性能は向上したでございましょう。しかし、きわめて単純なエンジンから非常に複雑なエンジンヘと移行をしておるわけです。そういう面では、昔の機関士のような簡単な整備ではなくて、確かに複雑な微調整が必要な高度なエンジンに変わっておるのです。したがって、本来操縦士というもの、船長というものが、かじをとりながら計器だけ見ておれば十分にエンジンの状態が把握できるかどうかについては、私は非常に疑問を持っておるのです。  これが陸上ならば、自動車のエンジンのメーターがついておりますね、エンジン音が上がってきた、上がってきたといっても、何が原因で上がってきたかよくわからないのですよ。ボンネットのふたを取ってみて、そしていろいろ調べてみる、こういうことが必要なわけですね。陸上は少し走らせれば整備工場がありますから、そういうところへ入って見てもらうとか、いろいろできるわけです。  ところが海の上は、これは大臣も御承知のように、非常に風波の影響を強く受ける、船が停止することによって危険度が非常に増大をする、こういうことが当然考えられるわけです。しかも漁船というのは、一たんエンジンをかけて出港をしますと、これはもう一週間も十日も、長いのは一カ月もエンジンはかけっぱなしという状態になるわけですから、当然そういう問題が起こってくる。  百歩譲って、ほんとうにエンジンが向上しただろうかというふうに見ていきますと、これは海上保安庁が出しておられる資料を見ればすぐわかるわけですね。海上保安庁が要救難事故統計を出していらっしゃいます。ところが、私、毎年毎年の統計表がここにあるわけですけれども、一向にその機関故障の件数というのは減っていないのです。だから、本来エンジンの性能がよくなって機関故障はもうなくなってきたのですよ、こうおっしゃるならば、そのデータの裏づけがなければならない。実際には、海上保安庁が出しておるデータを見ますと、年々その件数というものは減っておりません。しかも要救難事故の中で一番多い原因は機関故障なんですよ。これは当然大臣が管轄をしていらっしゃる、いわば運輸省管轄下の海上保安庁が調べていらっしゃるわけですから、この資料にうそはないと思いますが、そういうデータしか実は出ていないのです。  したがって私は、より安全な方向でそれを考えていくとするならば、一挙になくしてしまうということではなくて、当然、ここの併記答申がされておるように、いわゆる一定距離以遠に出漁するものについては、やはり機関長を乗り組ませるべきである。こういうことが併記答申されておるわけですから、あとはこの距離が問題になってくると思うのですね。いま提案をされております原案は、もう最初からどこまで行っても乗せなくてもいいんだ、こういう原案なんです。これでは法律を制定しようとする目的にも合致していないのではないか。  私は、ここに提案の趣旨説明書もいただいておりますが、これをどういうふうに読んでいきましても、そういうことが出てこないんですよ。第一に、第二に、第三に、第四にと、こう項目別にあげていらっしゃいますが、実は肝心な配乗を取りやめるということは一言もここに書いてない。ずっと読んでいく限りは、いかにも安全面で非常に前進をさせるのだということばかり書いてあるのです。その隠された中に実はそういう不安全な方向に後退をしている面がある、こう考えるわけですが、この辺のところ、大臣どういうふうにお考えになりましょうか。
  68. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 御指摘の点は確かに一つの議論だと思います。私も、この法案を運輸省に参りまして見ましたときに、二つの点を実は心配したわけなんです。いま御指摘の点と、それからもう一つ機関士の諸君が、いままで乗っておられた方の今後の転職をどういうふうにするか、これは一体どういうふうになるのだろうかということで、いろいろ専門家あるいはまた省内の諸君の意見も聞いてみたわけでございます。  先ほど来繰り返し御説明申し上げておりますように、先生指摘の点も問題の一つだろうと思いますけれども、いまのこの機械の状況、機関の状況から見まして、御指摘の点はまず心配はない、安全に運航できるものだろうというふうに考えたわけでございます。
  69. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 大臣、そうお考えになるのはけっこうですが、お考えになる基礎的な判断のデータとして、当然海上保安庁が出していらっしゃる要海難救助のデータがあるわけですから、それを年次別にごらんになれば、機関故障というのは決して減っていないのですよ。減っていないにかかわらず、この間ぼくのところに何かデータをいただきました。局長、持ってきてくれまして——これを見ますと、エンジン業者が発行をした、いまのエンジンは非常にいいんだということだけが書いてある。エンジン、こんなものは、私もエンジン工場を知っておりますし、うちでもつくっておりますから十分知っております。エンジンの性能が向上すれば非常に微調整が必要になってくるんですよ、いわば機関士という性格ではなくて整備士が必要なんだ。それで、大臣がおっしゃるように、エンジンの性能が非常によくなって、もう故障は起きないんだと言われるならば、海上保安庁が出しているそのデータに明らかにあらわれてこなければいけないのです。機関故障は全然減っておりませんよ。しかもその内訳を見ていきますと、いわゆるエンジンの焼きつけというのが多いのです。当然なんですよ、これは海水を使ってエンジンの冷却をしているから。  陸上の自動車でも海水、塩水を入れてごらんなさい、じきに故障が起きますから。だからその判断の基礎資料を、何をもって安全だとお考えになったか知りませんが、私はとにかく運輸省が出しておる資料を見ても、そう簡単に安全だというふうに割り切るわけにはいかない。しかも非常に風波が高いんだ。人間の生命に関係することですから、最初から今度の法改正は、いままで義務づけられておったすべての距離を一挙にやめてしまおうというのですが、私は百歩譲って、エンジンの性能が向上したとしても、まずはやはり安全性を見て一定の距離をきめて、そこで十分に試験的に見てみて、その結果が非常にいいということであればさらにこの距離を延ばしていくということも考えられるでございましょう。しかし最初から、そういう疑問がありながらも一挙に配乗をやめてしまおうというところまでいくのは行き過ぎではないか、こう思うわけですが、大臣、だいじょうぶですか。
  70. 住田俊一

    住田政府委員 先生の御質問お答え申し上げます。  確かに先生が御指摘のように、現在総トン数五トン以上二十トン未満船舶機関故障について調べますると、機関故障が多いことは事実でございます。特にその内容を調べますると、噴射弁、それから排気弁の故障が非常に多いことも事実でございます。  これにつきましては、この燃料弁あるいは排気弁の故障につきましては交換部品を持ってまいります。したがいまして、知識のある方であれば、洋上で十分に交換が可能である、かように考えております。  それからもう一つ、これらの事故防止は、潤滑油系統あるいは冷却水系統の事前チェックということを厳重に行なうことによって可能ではないか、こういうふうにも考える次第でございます。  特に現在、この種のディーゼル機関の取り扱いにつきましては、次のような出港前の点検の検査をやっております。またやらなければならないことになっております。すなわち、エンジンオイルあるいはエンジンオイルの油量の点検だとかあるいは補給、それから油漏れ点検だとかバッテリーの液面の点検だとか、あるいはオイルエレメントの交換とか、こういうような各種の仕業点検を厳重にやっております。また、やるように指導しております。したがいまして、こういうことをやればそういう先生の御懸念の点はないのではないかというふうに考えます。  したがいまして、政府原案といたしましては、外洋小型船については機関長乗り組みを現在要しない、こういうふうに考えておる次第でございます。しかし、先生のおっしゃる点は十分にわかりますので、今後こういった点につきまして十分関係方面に対しまして行政指導をはかっていきたい、かように考えておる次第でございます。
  71. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 いろいろなことを私、聞いているわけじゃないんですよ。そういう問題がある、実際にはだいじょうぶだと、こうおっしゃっておるけれども、だいじょうぶだとおっしゃるには、そういう資料が裏づけとして出てこなければいけないんですよ。実際に海上保安庁が出している資料を見ても、私どもはそう簡単にだいじょうぶだとは言い得ない幾多の資料が出ておる。したがって、考えてもらわないといけないのではないか、こう私は思うわけです。だからその面はひとつ十分に考えていただくということにいたしまして、いろいろ調べていきますと、実は港内を走っておる通船あるいは引き船というようなものも、今度法改正になりますと、こういうことがまた問題になってまいるわけです。  実は私ども、一昨年でしたか一昨々年でしたか、海上交通安全法というのをこの委員会で審議をいたしました。そのときにいろいろ瀬戸内海等々を見に行きまして、私ども、海上保安庁の船に乗せていただきまして、そして母船から移るときに、松山の沖でございましたけれども、港からは非常に近いところですよ。港がすぐそこに見えるところで母船から乗り移るわけですけれども、これは非常に危険なんですよ。これは前の海上保安庁長官も一緒に行きましたから。命からがらわれわれはその船に乗り移った。数人の人が一生懸命でこうやっているわけですね。そういう問題があるものですから、当然この法によって法律どおりやられてしまいますと、これは一人でいいんだということになってしまうんです。だから、そういういろいろな面を考えますと、港内を走っている船といえども、やはり通船だとか引き船だとかいうものの補助者を乗り組ませる行政指導というものを相当強力に行なっていただかなければいかぬと思うわけですが、その辺は大臣、どういうふうにお考えでしょうか。
  72. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 お説のように、そういう点につきましては補助者を乗せるように十分厳重な行政指導をしてまいりたいと思います。
  73. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 それでは、最後にもう一つ確認をしておきたいと思いますが、実は大臣も御承知のように、いま配乗が義務づけられておりますから、相当数機関士がいるわけです。現実漁船に乗っておるわけです。ところが、今度この法律がかりに成立をいたしますと、そういう方々が雇い主からこの法律改正理由にして馘首をされてしまうというような事態、こういうことが起こるおそれがあるわけです。したがって私は、法律改正されて、これからは新しくそれを採用するということは当然なくなるでございましょうが、現実にいま乗っていらっしゃる方々に、この法律が成立したことを理由にして直ちに雇用上の不安を及ぼさないような措置を、これも相当強力な行政指導をしていただかなければいけないと思いますが、やっていただけますでしょうか。
  74. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 先ほども触れましたように、この点につきましては、ただ一片の通達でどうこうするという意味じゃなくて、十分厳重な監督のもとに行政指導を行なってまいります。
  75. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 最後に一言言っておきますが、実はこの法案の審議の中でも、従来配乗が義務づけられておるんだけれども大部分の漁船は乗せておりませんよ、したがってもう必要ないんですということすら言われた方がおられる。私はもってのほかだと思うのです。法律がありながら、行政指導をしておっても乗ってない、乗ってないからもう要らぬじゃないかというような言い方は、非常にけしからぬと思うのです。だから法律を乗せなくてもいいように改正してしまうんだ、こういうやり方ですからね。これは一体どういうことだろうか。ほんとうにそれで安全が守られるだろうか。私どもは、この安全委員会は、安全の面から非常に真剣に考えなければいかぬ。業者がコストを低くするために考えるんじゃ安全が第二になってしまいますから、やはり安全を第一に考えなければいかぬ。そういう面から考えれば、行政指導というものも、従来運輸省が行なっていた行政指導あるいは水産庁が行なっておった行政指導か知りませんが、私は従来の実績から見るとなかなか信用がおけない。そういうことのないようにほんとうにしっかり行政指導していただくことを強く要求いたしまして、質問を終わりたいと思います。
  76. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  77. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員長 この際、本案に対し、野中英二君から修正案、井上泉君外二名から日本社会党、公明党、民社党の三党共同提案にかかる修正案及び平田藤吉君から修正案がそれぞれ提出されております。
  78. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員長 この際、各修正案について、提出者より順次趣旨の説明を求めます。野中英二君。
  79. 野中英二

    ○野中委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、本修正案について、その趣旨を御説明申し上げます。  修正案の案文はお手元に配付したとおりでございます。  修正の趣旨は、第一に、限られた水域のみを航行する小馬力の小型船舶に乗り組む者に対して、新たにこれらの船舶航行の実態に見合った限定免許を設けるよう関係条文を改めるものであり、第二に、外洋小型船のうち一定の距離以遠に出るものについて、航行の安全に万全を期するため、一級小型船舶操縦士のほか、機関長として丙種機関士を乗り組ませるよう別表第一を改めるものであります。  何とぞ御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  80. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員長 次に、井上泉君。
  81. 井上泉

    ○井上(泉)委員 私は、日本社会党、公明党、民社党の三党を代表いたしまして、本修正案についてその趣旨を御説明申し上げます。  修正案の案文はお手元に配付したとおりでございます。  修正の要旨は、第一に、四級小型船舶操縦士免許を取得できる年齢を、若年者による無謀操縦を防止する観点から、現在の小型船舶操縦士免許と同様、十八歳以上に改めるものでございます。  第二は、外洋小型船の安全を確保するため、すべての外洋小型船について機関長乗り組みを義務づけるよう改めるものでございます。  何とぞ御賛成くださるようお願い申し上げます。
  82. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員長 次に、平田藤吉君。
  83. 平田藤吉

    平田委員 日本共産党革新共同を代表いたしまして、船舶職員法一部改正案に対する修正案を提出いたします。  修正案は、詳細に規定したものを皆さんのお手元にお配りしてありますが、趣旨は次のとおりであります。  それは、小型船舶操縦士試験機関を新設しようとしている第三章の二を削除するという修正案であります。  モーターボート等にも免許を義務づけるということは、当然必要な措置であります。しかし、これを国の直接の責任で行なわず、法人等に委任して実施するということは、国の重要な責任である安全行政の切り捨てにつながるものであります。  結局のところ、海運事務所の機構、人員をふやして対応しようとせず、海運行政の民間移行促進の一つの形態といわなければならないと思います。  海運関係をはじめとして、航空から陸運に至るまで、従来から政府によって推し進められてきた安全行政の切り捨てをやめ、安全確保に必要な人員、機構の増強を要求いたしまして、私の提案趣旨の説明といたします。
  84. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員長 これにて各修正案の趣旨の説明は終了いたしました。     —————————————
  85. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員長 これより原案並びに各修正案を一括して討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、これより採決に入ります。  まず、平田藤吉君提出の修正案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  86. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員長 起立少数。よって平田藤吉君提出の修正案は否決されました。  次に、井上泉君外二名提出の修正案について採決いたします。  井上泉君外二名提出の修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  87. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員長 起立少数。よって、井上泉君外二名提出の修正案は否決されました。  次に、野中英二君提出の修正案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  88. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員長 起立多数。よって、野中英二君提出の修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除く原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  89. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員長 起立多数。よって、修正部分を除く原案は可決され、本案は修正議決すべきものと決しました。     —————————————
  90. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員長 ただいま議決いたしました船舶職員法の一部を改正する法律案に対し、小此木彦三郎君外四名から、自由民主党、日本社会党、日本共産党革新共同、公明党及び民社党の五党共同提案にかかる附帯決議を附すべしとの動議が提出されております。  この際、提出者から趣旨の説明を求めます。小此木彦三郎君。
  91. 小此木彦三郎

    ○小此木委員 私は、ただいま議決いたしました本案に対し附帯決議を附すべしとの動議について、自由民主党、日本社会党、日本共産党革新共同、公明党、民社党を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読したします。    船舶職員法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行にあたり、船舶航行の安全確保に資するため、港内を航行する通船等旅客を運送する船舶については、補助者を乗り組ませる等安全に支障のないよう適切な指導を行うこと。   なお、従前より配乗している丙種機関士については、雇用上の不安を生ぜしめないよう特段の処置を講ずること。   右決議する。 以上の附帯決議の趣旨につきましては、すでに質疑の過程で十分論議されており、委員各位には御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。  何とぞ御賛同を賜わりますようお願いいたします。
  92. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  本動議に対し別に発言もありませんので、直ちに採決いたします。  小此木彦三郎君外四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  93. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員長 起立総員。よって、本動議のごとく附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいまの附帯決議について政府の所信を求めます。徳永運輸大臣
  94. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 ただいまは慎重御審議の結果御採決をいただきまして、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。  本法案の修正個所につきましては、御審議の経過にかんがみまして、その趣旨の徹底をはかってまいりますとともに、小型船舶航行の安全になお一そうの努力をいたしたいと存じます。  また、決議されました附帯決議の内容につきましては、その趣旨を十分尊重し、誠意をもって実施に当たる所存でございます。(拍手)     —————————————
  95. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員長 なお、ただいま議決いたしました本案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  96. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕
  97. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後二時五十一分散会