○
小沢(貞)
委員 私は
大臣に冒頭
お尋ねをしたいわけですが、去年の
宅地並み
課税のときの大混乱といい、いままで
建設委員会だけでこの
生産緑地法案を
審議しておったときはそれまでではなかったと思いますが、やはり地方行政、農林
関係連合審査ということになれば、昨年の
宅地並み
課税と同じように、この
生産緑地法案がまたいろいろの矛盾や撞着が出てくるのではないか、こういうように
考えるわけであります。この間、本会議のときの
建設大臣の
宅地開発公団の御
答弁も、調整
地域へ持っていって大
規模で安いところへやっていきますみたいなことで、そっちへ行かなければ
宅地を大
規模に
開発できないみたいなことになっていくのも私は矛盾の一つではないか、こう思います。
それで、この矛盾が出てきた根本原因はどこにあるだろうか、こういうように、いまここでじっと聞いていながら
考えているわけであります。私は、第一ボタンをかけそこなったのは、終わりの第三ボタンや第四ボタンを直そうとしてもなかなかうまくいかない、こう思います。その第一ボタンをかけそこなったのは一体どこにもとがあるだろうか、こういう問題をいまここでじっと
考えておったわけであります。
それは大体三つあるではないか。一つはあの
線引きの混乱であります。ある市長は田園
都市だと言って、
市街化区域をなるべく広くしたい。そうすると、その中にいる農民は、そういう
サイドに従って、いや地目変換だ何だというむずかしい許可制が要らないで簡単に届け出でできて、
土地が上がっていけばいよいよ簡単に売れて、欲の深い
立場から見れば、なるべく広く
市街化区域をとっておけ、こういう
立場でやった
都市もあるわけであります。ある
都市へ行けば、そうではないぞ、どうも保利前の前の
建設大臣が、
宅地並み
課税は
市街化区域の中においてもかけないぞと言ったが、どうもあぶなっかしくてしようがないぞ、
宅地並み
課税をかけられそうだぞ、いや、そういうことになると、なるべく
市街化区域というものは小さくしておいて
調整区域をうんと広くしておいたほうがいいぞというような、こういうニュアンスの違いがあるわけであります。そうかと思えば、いまもここでうしろで山口議員と話していたんだが、福田大蔵
大臣の地元のどっか町だか市においては、今日においてもまだ
線引きさえ行なわれておらない、こういうことであります。うんと広くとったところもあれば、なるべく狭くしろと、いろいろの要素がからまってやっていた。いっそそんなのはやめてしまえ、こういうことで、全国ではまだ
線引きさえ行なわれていないという、これは第一に新
都市計画法制定のときの矛盾、こういうものが私は一つ出ているのではないか、こう思います。
先ほど来各
局長の話を聞いていると、紙の上や法律の上においてはこうあるべきものだ、こういうものだ、そういう
前提に立ってすべてのことを
考えているわけです。ところが実際現地へ行けば複雑な利害がからまっているわけであります。だからいま言ったように、一つはまだ
線引きが行なわれてない、一つはうんと
市街化区域を広くした、あるところにおいてはもうそれを極端に小さくした、こういう矛盾がまず第一にあるんじゃないか、こう思います。
第二は、昨年の
宅地並み
課税のときにさんざ問題になったわけですが、この
宅地並み
課税で農民を追い出して
宅地を造成をしようという意図があったとするならば、私はそこから問題が出ているのではないか、こう思います。大体、
農業をやろうとし、それに精進をしている、それが明らかなもの、こういうものには、
農地は
農地並みに
課税をかけておきさえすればちっとも差しつかえなかった。それを、先ほどの御
答弁もあったように、惰農がいたでしょう、擬装
農地と称せられるものもあったでしょう、あるいは値上がり待ち
農地というのもあったでしょう、これは悪貨であります。悪貨が何か良貨を駆逐したみたいなかっこうだと思います。だから、惰農だとか、値上がり待ち
農地だとか、擬装
農地だとか、こういうものだけは的確に何らかの方法で税を課す、こういうようなぐあいにやっていけばいいのを、逆なことをやって、
農業に精進しようとして一生懸命でやっているところにまで
宅地並み
課税をかけよう、こういうことをやったものだから、昨年の混乱、今日の混乱があるのではないか、第二はこういうふうに思います。
第三点は、
土地というものはみんな国有だとか、
土地というものはみんな公有だとか、もう根本的にそうでもやれば、先ほど来
局長が答えているように、線を引いたからここは
市街地になるべきもの、これはそうではないもの、こういうことができるんだけれ
ども、やはり市場
価格制度で、値上がりしたならばおれは
農業をやっているよりは売っていったほうがいいであろうという、欲の皮の突っぱったのがいるのはあたりまえのことであります。もうこれが永久に売れないことになれば
考えなければいけないぞ、こういうように
考えるのはあたりまえのことでありますから、第三には、市場
価格制度のもとにおいてわずかな日本の資源である
土地というものが律せられておる。
こういう三つの矛盾の
前提に立って、昨年の
宅地並み
課税、ことしの
生産緑地法案というものが論議されている、私はこういうふうに
考えるわけであります。だから、この法律については矛盾撞着が山のごとく出てくるのは、けだしあたりまえだと私は思います。したがって、役所がこうすべきもの、こうすべきもの、さっきからの
答弁を聞いているとみんなそうであります。がしかし、私は
前提が大きなあやまちがある。まず第一ボタンをかけそこなった者が、第三ボタンや第五ボタンの最後のボタンにいってつじつまを合わせようと思ったってうまくいきっこないから、この法律については、まず
大臣が政治的な判断をして、修正すべきものは
国会の多くの議員の意見を聞いて——与野党、意見があるわけであります。私は、さっき自民党の小山議員の意見を聞いていて、うしろで拍手をしておったんだけれ
ども、与野党意見があるわけですから、まず謙虚に修正すべきものは修正をする、こういう態度で
大臣は臨まなければならない、こう思うが、どうでしょうか。