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1974-05-08 第72回国会 衆議院 建設委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年五月八日(水曜日)     午後三時三十八分開議 出席委員    委員長 木村 武雄君    理事 天野 光晴君 理事 松野 幸泰君    理事 渡部 恒三君 理事 渡辺 栄一君    理事 井上 普方君 理事 福岡 義登君    理事 浦井  洋君       愛野興一郎君    大石 千八君       片岡 清一君    金丸  信君       瓦   力君    國場 幸昌君       野中 英二君    羽田  孜君       林  義郎君    村田敬次郎君       渡辺 紘三君    大柴 滋夫君       佐野 憲治君    清水 徳松君       柴田 睦夫君    中島 武敏君       新井 彬之君    北側 義一君       渡辺 武三君  出席国務大臣         建 設 大 臣 亀岡 高夫君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      内田 常雄君  出席政府委員         経済企画政務次         官       竹内 黎一君         経済企画庁長官         官房参事官   北川 博正君         経済企画庁総合         開発局長    下河辺 淳君         建設大臣官房長 高橋 弘篤君         建設省計画局長 大塩洋一郎君         建設省都市局長 吉田 泰夫君  委員外出席者         建設委員会調査         室長      曾田  忠君     ――――――――――――― 委員の異動 四月二十四日  辞任         補欠選任   瀬崎 博義君     中島 武敏君   渡辺 武三君     玉置 一徳君 同日  辞任         補欠選任   玉置 一徳君     渡辺 武三君 五月八日  辞任         補欠選任   小沢 一郎君     渡辺 紘三君   梶山 静六君     瓦   力君   田村 良平君     愛野興一郎君   中尾  宏君     大石 千八君   浜田 幸一君     羽田  孜君   三原 朝雄君     片岡 清一君   中村  茂君     阿部 昭吾君 同日  辞任         補欠選任   愛野興一郎君     田村 良平君   大石 千八君     中尾  宏君   片岡 清一君     三原 朝雄君   瓦   力君     梶山 静六君   羽田  孜君     浜田 幸一君   渡辺 紘三君     小沢 一郎君   阿部 昭吾君     中村  茂君     ――――――――――――― 四月二十六日  日本道路公団法の一部を改正する法律案内閣  提出第六五号)(参議院送付) 同月十六日  中小零細土木建設業者経営安定等に関する請  願(多田光雄紹介)(第四三五八号)  利根川下流塩分濃度基準値内の水確保に関す  る請願伊能繁次郎紹介)(第四四九五号)  地代家賃統制令の撤廃に関する請願藤井勝志  君紹介)(第四四九六号) 同月十七日  大分市大在地区区画整理事業計画の一部変更  に関する請願諫山博紹介)(第四五五四  号) 同月十九日  生産緑地法案に関する請願外九件(浦野幸男君  紹介)(第五〇六四号)  同外三件(上村千一郎紹介)(第五〇六五  号)  同(海部俊樹紹介)(第五〇六六号)  同外七件(久野忠治紹介)(第五〇六七号)  同外四件(早稻田柳右エ門紹介)(第五〇六  八号)  下水道事業促進に関する請願小沢辰男君紹  介)(第五〇六九号)  公共事業早期発注に関する請願小沢辰男君  紹介)(第五〇七五号) 同月二十日  生産緑地法案に関する請願外一件(横山利秋君  紹介)(第五一五二号)  同外三件(村田敬次郎紹介)(第五五一四  号)  同外一件(春日一幸紹介)(第五五八一号)  同外一件(塚本三郎紹介)(第五五八二号) 同月二十二日  生産緑地法案に関する請願外十件(丹羽兵助君  紹介)(第六二七八号) 同月二十三日  梅ケ丘団地の地下ごう補修工事実施に関する請  願(小山省二紹介)(第六七二八号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月二十三日  九州高速縦貫道建設促進に関する陳情書  (第五三八号)  中小零細土木建設業者経営安定等に関する陳  情書(第五三九号)  生産緑地法案反対に関する陳情書外二件  (第五四〇号)  生産緑地法案の再検討に関する陳情書  (第五四一号)  生産緑地制度確立等に関する陳情書  (第五四二号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国土利用計画法案起草の件  生産緑地法案内閣提出第五六号)      ――――◇―――――
  2. 木村武雄

    木村委員長 これより会議を開きます。  理事会協議により、国土利用計画法案起草の件について議事を進めます。  本件について天野光晴君から発言を求められておりますので、これを許します。天野光晴君。
  3. 天野光晴

    天野(光)委員 草案趣旨説明をいたします。  国土利用計画法案本件につきましては、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の四党委員協議に基づく草案を各委員のお手元に配付してありますが、四党を代表して、私からその趣旨説明を申し上げます。  御承知のとおり、人口、産業の大都市への集中に伴い、大都市地域においては、土地利用の混乱、地価高騰等国民生活に著しい弊害を与えておりますが、さらに、ここ数年間の土地投機的取引の増大は、全国的に地価の異常な上昇をもたらし、また土地大量買い占め乱開発による自然環境破壊等土地問題はいよいよ深刻となり、いまやこの問題の解決国民最大の要請となっております。  建設委員会においては、昨年の第七十一回国会に付託されました国土総合開発法案について、慎重に審議が進められてきたのでありますが、四党委員は、現下の土地問題の解決が何ものにも増して緊急かつ最大の課題であることにかんがみ、この際、公共福祉優先立場に立って、国土利用計画及び土地利用基本計画策定土地取引規制強化遊休土地に関する措置等内容とする新法を早急に制定することが必要であるとの結論に達し、ここに国土利用計画法案草案を得た次第であります。  次に、本草案のおもな内容を申し上げます。  第一は、国土利用計画についてであります。  まず、内閣総理大臣は、国土利用計画審議会及び都道府県知事意見を聞き、閣議決定を経て国土利用に関する全国計画を定めることとしておりますが、全国計画国土利用に関する国の諸計画及び都道府県計画基本とするものとしております。  次に、都道府県国土利用計画地方審議会及び市町村長意見を開き議会議決を経て、また市町村議会議決を経て、それぞれ当該区域国土利用に関する都道府県計画または市町村計画を定めることができることとしております。  なお、全国計画または都道府県計画策定にあたっては、都道府県知事または市町村長意向を十分に反映させるとともに、市町村計画策定にあたっては、公聴会開催等住民意向を反映させるために必要な措置を講ずることとしているほか、内閣総理大臣または都道府県知事は必要な助言または勧告をすることができることとしております。  また政府は、国会国土利用現況等に関する年次報告書提出するものとしております。  第二は、土地利用基本計画等についてであります。  都道府県知事は、全国計画及び都道府県計画基本として、都市地域農業地域森林地域自然公園地域及び自然保全地域地域区分、及びこれらの地域についての土地利用調整等に関する事項内容とする土地利用基本計画を定めるものとしておりますが、都道府県知事は、同計画を定める場合には市町村長意向を十分反映させるとともに、内閣総理大臣の承認を受けるものとしております。  なお、国及び地方公共団体は、土地利用基本計画に即して適正かつ合理的な土地利用がはかられるように、次に述べる措置のほか、都市計画法等関係法律で定めるところにより、公害の防止、自然環境及び農林地保全等に配意しつつ、土地利用規制に関する措置等を講ずることとしております。  第三は、土地取引規制に関する措置についてであります。  土地投機的取引及び地価高騰国民生活に及ぼす弊害を除去し、かつ適正、合理的な土地利用確保するため、全国にわたり土地取引規制強化がはかられるべきものとし、その緊急性にかんがみ以下の措置を講じようとするものであります。  まず、規制区域指定について申し上げます。  都道府県知事は、五年以内の期間を定め、都市計画区域にあっては、その全部または一部の区域で、土地投機的取引が相当範囲にわたり行なわれ、または行なわれるおそれがあり、及び地価が急激に上昇し、またはそのおそれがある区域を、都市計画区域外区域にあっては、同様の事態が生じ、その事態を緊急に除去する必要がある区域規制区域として指定するものとしております。なお都道府県知事は、指定期間満了時において指定の事由がなくなっていないと認めるときは、規制区域の再指定を行なうものとしております。  また都道府県知事は、規制区域指定をしたときは内閣総理大臣に報告するとともに、二週間以内に関係市町村意見を付して土地利用審査会確認を求めるものとし、確認を受けられなかったときは、その指定は効力を失うものとしているほか、内閣総理大臣は、国の立場から特に必要があると認めるときは、規制区域指定等を指示し、都道府県知事が正当の理由がなくその措置を講じないときは、国土利用計画審議会確認を得てみずから当該措置を講ずることができることとしております。  次に、規制区域内の土地取引許可制について申し上げます。  規制区域内で土地売買等を行なう場合には、都道府県知事許可を受けなければならないものとし、許可を受けない土地売買等契約は無効としております。  なお、民事調停に基づく場合等には許可を要しないものとするほか、当事者の一方または双方が国、地方公共団体等であるときは、都道府県知事との協議が成立することをもって許可があったものとみなすことにしております。  都道府県知事は、許可申請にかかる予定対価の額が基準となる価額に照らし適正を欠くこと、利用目的が自己の住宅用地住民利便施設用地等の用に供するためのものでないこと、及び利用目的土地利用基本計画等に適合しないこと等の許可基準に該当すると認めるときは、許可してはならないこととしております。  なお、基準となる価額は、後述の届け出等の場合と同様に、近傍類地取引価格等を考慮して政令で定める方法により算定した相当な価額、または公示価格を規準として算定した価額としておりますが、この規制区域にあっては、区域指定時の当該価額許可申請時までの物価の変動に応ずる修正率を乗じて得た額をもって基準となる価額としております。  また、許可申請があったときは、六週間以内に許可または不許可処分をしなければならないものとし、不許可処分を受けた者に対しては、買い取り請求権を認めるほか、不服申し立てをすることができることとしております。  次に、土地取引届け出制について申し上げます。  規制区域外一定規模以上の土地売買等を行なう者は、あらかじめ都道府県知事届け出なければならないものとし、都道府県知事は、届け出にかかわる予定対価の額が届け出時における基準となる価額に照らし著しく適正を欠くこと、利用目的土地利用基本計画等に適合しない等の要件に該当すると認めるときは、土地利用審査会意見を聞いて、届け出のあった日から六週間以内に土地売買等契約締結中止勧告等をすることができることとしております。  なお、都道府県知事は、勧告を受けた者がその勧告に従わないときは、その旨及び勧告内容を公表することができることとしております。  第四は、遊休土地に関する措置についてであります。  まず、都道府県知事は、土地取引許可を受け、または届け出をして土地取得した者が保有している土地で、その面積が一定規模以上の土地であること、取得後三年を経過したものであること、その土地住宅または事業用施設の用に供されていないものであること等の要件に該当すると認めるとき、または市町村長申し出があったときは、当該土地所有者遊休土地である旨を通知するものとしております。  なお、昭和四十四年一月一日以後この法律施行前に土地取得した者が保有している土地については、この法律施行後二年間に限り、同様の通知をすることができることとしております。  次に、通知を受けた者は、六週間以内に当該土地利用計画等市町村長を経由して都道府県知事届け出るものとし、都道府県知事は、届け出をした者に対し、届け出にかかわる土地の有効かつ適切な利用促進するため必要な助言及び計画変更等勧告をすることができることとしております。  次に、都道府県知事は、勧告を受けた者がその勧告に従わないときは、当該土地買い取りを希望する地方公共団体等にその買い取りのための協議を行なわせるものとし、この場合の買い取り価格は、当該土地買い取り時の価額基準とし、当該土地取得価額及び管理費を勘案して算定した価格としております。  また、都道府県知事は、買い取り協議が成立しない場合において、住宅建設公共施設等整備のため必要があると認めるときは、都市計画決定等措置を講ずることとしております。  第五は、立ち入り検査等についてであります。  都道府県知事は、土地取引許可申請または届け出及び遊休土地利用計画等届け出に関し、その職員に立ち入り検査等を行なわせることができるものとし、その職務を行なわせるため都道府県土地調査員を置くこととしております。  第六は、罰則についてであります。  許可を受けないで契約を締結した者は、三年以下の懲役または百万円以下の罰金に、届け出をしないで契約を締結した者または遊休土地利用計画等届け出をしなかった者等は、六月以下の懲役または三十万円以下の罰金に処する等の罰則規定を定めております。  その他、国土利用計画審議会国土利用計画地方審議会及び土地利用審査会を設けることとしているほか、この法律施行に要する経費の補助等に関する規定を定めるとともに、関係法律の改正を行なうこととしております。  なお、この法律は、公布の日から起算して六月以内で政令で定める日から施行するものとしております。  以上が本草案のおもな内容でありますが、この際私は、四党を代表いたしまして動議提出いたしたいと思います。  すなわち、お手元に配付してあります本草案を成案とし、これを本委員会提出法律案決定されんことを望みます。  委員会各位の御賛同をお願い申し上げます。 (拍手)
  4. 木村武雄

    木村委員長 ただいまの天野光晴君、井上普方君、北側義一君及び渡辺武三提出動議に対し発言申し出がありますので、これを許します。柴田睦夫君。
  5. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 ただいま提案がありました国土利用計画法案草案に関しまして、若干の質問をさしていただきます。  まず、草案の第二章「国土利用計画」に関してでありますが、一つは、第五条の「国は、政令で定めるところにより、国土利用に関する基本的な事項について全国計画を定めるものとする」、こういう内容になっておりますが、この「国土利用に関する基本的な事項」というのは、具体的にはどういう内容であるのか、この点をお伺いいたします。
  6. 天野光晴

    天野(光)委員 要綱にほとんど記載してあるのでおわかり願っておることと思うのでありますが、基本構想は、都市住宅地あるいは農業地森林地自然公園あるいは自然保全地域等公共用利用区分規模及びその配置等に関する目標を定めるという構想が第一。それから、前号の目的を達成するために、土地の用途の変更または土地造成に関する方針、前号のほか第二号の目標を達するための緊急措置の概要、あるいは都道府県計画策定の指針となるべき事項等政令で認めてございます。
  7. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 これはもうすでに政令はできているんでしょうか。もしできておれば明らかにしていただきたいと思います。
  8. 天野光晴

    天野(光)委員 大体総括的なものはできておりますが、全部はまだ確定はしておりません。
  9. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 草案によりますと、この委員会にかかっておりました国土総合開発法案の中に「国土利用開発及び保全」ということばがありますが、この草案からは「開発及び保全」というのがなくなっているわけですけれども、まず、国土保全ということについては、この草案においてはどのようにお考えであるか、お伺いします。
  10. 井上普方

    井上(普)委員 お答え申し上げます。  柴田さんはいま国総法との関連を申されましたけれども、国総法とは全然関係がございません。と申しますのは、共産党をも含めました野党四党の要求案の骨子というものを基礎にいたしましてこの法案をつくったのでございますので、国総法との関連はないものとお考え願いたいと思います。したがいまして、国総法とこの法律との比較検討をせられることは、まことにもって迷惑でございます。  以上でございます。
  11. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 国総法のことを言いましたのは、これはわかりやすくするためのことばでございまして、質問はこの「国土利用」ということでありますけれども、国土保全ということはこの「国土利用」の中に含まれるのかどうか、こういう質問でございます。
  12. 天野光晴

    天野(光)委員 「利用」の中に含まれます。
  13. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 それでは開発ということは含まれますか。いかがですか。
  14. 天野光晴

    天野(光)委員 これは御承知だと思うのですが、利用開発を終局的に結びつければあるいは一つになる場合もあり得ると思いますが、この場合は開発考えておりません。要するに全然利用する意思のないところに規制をするということそれ自体が不合理であり、いわゆる規制を主体として考えたからこういう結果になったと御了承願えればたいへんけっこうだと思います。
  15. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 それでは、この「国土利用計画」においては、学校だとか公園だとかいうものがつくられる場合に、当然開発ということは必要になってくると思うのですけれども、その点はいかがですか。
  16. 天野光晴

    天野(光)委員 それは「利用」の中に含まれていると御了承願えればけっこうです。
  17. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 そうしますと、開発ということもこの「利用」の中に入ってくるということですが、その点は井上理事の御見解はいかがでしょうか。
  18. 井上普方

    井上(普)委員 お答えいたします。  日本語というものはまことに便利なものでございまして、非常に幅広い意味がいろいろと取り上げられるのでございます。したがいまして私どもは、第九条にも明らかなように、学校開発なんというのは基本計画の中に一応含ましております。しかしながら、あなたのおっしゃる開発というのは、おそらく大規模開発というようなことも含まれておると思いますが、そのような大規模開発につきましては、この法律の中には含んでおりません。そのように御理解願いたいと思います。
  19. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 都市整備ということが含まれていると思うのですけれども、そうしますと、都市づくりというような、それからまた一般的に都市地域ということになれば、工場地帯工場地域、こういったものも含まれると思うのですけれども、そういう点はこの草案においては想定しているわけでしょう。
  20. 天野光晴

    天野(光)委員 先ほど申し上げました利用開発という点は非常に微妙であります。しかしこの法律決定をするものではありません。要するに決定するのは他の法律でこれをやることになります。そうですから、これはあくまでも目標をきめるといいますか、そういう考え方利用計画であるというふうに御理解願えればたいへんしあわせだと思います。
  21. 井上普方

    井上(普)委員 柴田さんの御質問にお答えしますが、ただいまのおっしゃられるような個々の具体的な問題は都市計画法内で解決する問題でございます。で、都市計画法策定するに際してこの土地利用法というものが要るんだ、こう御理解願えれば幸いだと思います。
  22. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 現行国土総合開発法、そして新全総計画などがあるわけですけれども、この現行国土総合開発法においては、「土地利用に関する事項」というのが「開発計画」の中に入っているわけですけれども、この国総計画国土利用計画とはどういう関係になるのか、お伺いしたいと思います。
  23. 井上普方

    井上(普)委員 私ども、いま柴田さんのおっしゃる意味がちょっとわからないのでございますが、もう一度御質問していただければ……。しかしながら、こうお考え願えればいいと思います。この土地利用計画地価の抑制ということを主目的にいたしましたものであるということをお考えになっていただければいいんじゃないか、このように思っています。
  24. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 国総計画の中で「土地利用に関する事項」ということがきめられるわけなんですが、それと、この国土利用計画法草案の中における国土利用計画はどういう関係を持つか、こういうことなんです。
  25. 天野光晴

    天野(光)委員 総合開発の中にある「利用」と今度の土地利用計画の中の「利用」とはどう違うかということじゃないかと思うのですが、いわゆる土地利用計画の中の「利用」というものは総体的なものであり、具体的なものはその他の法律で、利用計画、いわゆる開発につながっていくというふうに御理解願えればいいんじゃないかと思うのですが。
  26. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 そうしてこの国総計画は、法律によって総理大臣が定めるということになっておりまして、今度の国土利用全国計画総理大臣閣議決定を経て作成する、こういうことになっているわけですが、そうしますと、この国土利用に関する定めは、同じ総理大臣ですから矛盾することはないと思いますけれども、そのように理解してよろしいでしょうか。
  27. 天野光晴

    天野(光)委員 矛盾はいたしません。
  28. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 そうしますと、時の総理大臣が、大規模開発をしたい、工場地帯開発をしたい、こういう考えになって、それに基づく土地利用計画をつくられる、こういうことになれば、その利用計画に従って開発は進められる、こういうことになると思うのですが、そのように理解してよろしいですか。
  29. 北側義一

    北側委員 土地開発行為規制をする場合に、土地利用によって規制をする方法、これはやはり一つ方法だろうと思うのです。たとえば対案としておたくさんのほうが用意なさっておられる、生活用地確保土地取引規制等に関する法律、これを見ましても、許可基準、これについては、許可してはならないという一つのうちに、申請に係る開発行為が「国又は地方公共団体土地利用に関する計画に適合しないこと」、このように共産党さんのほうでもおっしゃっておられるわけです。それと同じ意味であると、こう解釈していただいたら一番適当じゃないかと思います。
  30. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 結局、時の政府考え方一定開発計画が立てられて、それに基づく国土利用計画がつくられる、そして現行国総法によって開発が進められるということになれば、この工場地帯造成だとか大規模開発を制限するということには、この法律によってはならないんではないかと、こういうことなんですが……。
  31. 井上普方

    井上(普)委員 その問題とは別個のものでございまして、この利用計画法案では全然そういうことを想定いたしておりません。
  32. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 その全国計画というのを総理大臣がつくられるわけですけれども、そうしますと、現行国総法による開発、これとは、同じ総理大臣がつくられるわけですから、一体として開発ができるんじゃないか、このように考えるのですけれども、それでは今度は天野理事の御意見を伺いたいと思います。
  33. 天野光晴

    天野(光)委員 国土総合開発法とこの利用法とが相矛盾することになると、これはもう精神的には非常に困るわけでございます。そういう面で、現在の国土総合開発法並びに新全総というものの中に、今度のきょう御審議願うこの法律案となじまないところが出てくると思いますが、それは両方並行して行ない得るようにするということが第一であり、そして現在政府でも、新全総の計画その他のものは五十一年度に改めるという意思表示をされておりますので、そういう関係で矛盾なくやっていけるというふうに考えております。
  34. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 ちょっと角度を変えまして、この法律が成立した場合の所管庁はどこになるわけでしょうか。
  35. 天野光晴

    天野(光)委員 国土総合開発庁になる予定でございます。
  36. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 国土総合開発法、これも国土総合開発庁が所管しているわけですけれども、同じところで所管する、こういうことになるわけですね。
  37. 天野光晴

    天野(光)委員 いまそれは審議最中ですから、あるいは国土庁となるか、国土開発庁となるか、それはいま内閣委員会でも審議中でありますし、でき上がってみないとほんとうの名前は申し上げられないのですが、いわゆるでき上がった官庁でこのほうも取り扱うことになるというふうに了承しております。
  38. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 それは、この国土総合開発法と同じ所管庁が、名称はともかく扱うことになるわけですね。
  39. 天野光晴

    天野(光)委員 そのとおりです。
  40. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 次に国土利用計画に関しまして、全国計画、それから都道府県計画市町村計画というのがきめられておりますが、いずれも、この全国計画基本にして都道府県計画が定められる、市町村計画都道府県計画基本にして定められる、こういうことになっているわけです。この国土利用に関して言いますならば、ほんとうに国民が住みよい国土をつくっていくという方向で国土利用するということであれば、これは下のほうから計画を積み上げる、市町村計画をつくって都道府県で調整する、都道府県がつくったものを国のほうで調整する、こういう形を私たちはいつも主張しているわけなんですけれども、この草案によりますと、上から下へというかっこうで中央集権的な国土利用計画になっているわけですけれども、この点、井上理事はいかがお考えですか。
  41. 井上普方

    井上(普)委員 まあ柴田さん、時間がなかったので十分お読み願えなかったと思うのです。誤解がだいぶあるようでございます。  御承知のように、全国計画都道府県計画市町村計画と三つございます。そしていずれもそれを関連させるようにいたしております。上からだけではございません。住民意見を十分に取り入れた市町村計画というものをつくらなければいかぬ、その市町村計画というものをまた府県に反映させなければいかぬ、そのために市町村長意見というものを十分に知事は聞いて府県計画というものをつくらなければならない。市町村計画は、議会議決を得ると同時に、公聴会等で住民の意思を十分に反映しなければならないということを法律でうたっておるところでありますし、また全国計画にいたしましても、これは総理大臣都道府県の知事の意見というものを反映しなければならないということをここにうたっておるのでございます。国、県あるいは市町村、いずれも下から上へ、また上から下へ相融合した理想的な利用計画ができるものと私どもは考えております。
  42. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 国土利用計画は第三章の「土地利用基本計画」というものに関連してくると思いますので、次に土地利用基本計画についてお伺いしますが、国土利用計画基本的な指針を示す、それに比べますと土地利用基本計画は今度は具体的な拘束力を持ったものとしてあらわれてくる、こう見ることができると思うわけです。その場合に、一般的な指針で直接住民を拘束しない国土利用計画には議会議決が必要とされておりますけれども、住民を拘束する、そして具体的な土地利用基本計画においては議会議決を必要としない、こういうことになっておりますけれども、それはどういうわけでしょうか。
  43. 天野光晴

    天野(光)委員 それは他の法令、いわゆる都市計画法あるいは森林法等にゆだねてありますから、支障ないというふうに考えております。
  44. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 それから、先ほど井上理事から言われました住民参加の問題ですが、この土地利用基本計画の作成については、住民参加の問題、住民意見を聞く問題だとか、あるいは公聴会だとか、こういうことについて何ら規定されていないということはどういうことでしょうか。
  45. 天野光晴

    天野(光)委員 それは、ただいま申し上げましたように、他の法令、いわゆる都市計画法なり森林法で住民参加をするようにできておりますので、それは問題ないと思います。
  46. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 次に、第四章の「土地に関する権利の移転等の許可」というところについてでありますけれども、問題になっております第十三条の「内閣総理大臣の指示等」の問題です。「内閣総理大臣は、土地投機的取引及び地価高騰国民生活に及ぼす弊害を除去し、かつ、適正かつ合理的な土地利用確保を図るため」、こういう内容になっておりまして、その前段の「土地投機的取引及び地価高騰」というのが一つ要件になるわけですけれども、この「土地投機的取引及び地価高騰」ということが予想される場合は、どういう場合を想定しておられるのでしょうか。
  47. 井上普方

    井上(普)委員 お答えいたします。  読んで字のとおりでございます。土地投機的取引が行なわれ、あるいはまた地価高騰が著しいと認めたとき、この場合が適当だと思うのでございます。
  48. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 だから、どういう場合が土地投機的取引が行なわれ地価高騰になるか、どういう場合を考えておるかということです。
  49. 天野光晴

    天野(光)委員 この問題は、開発事業等が行なわれ騰貴するというような問題でなしに、いついかなる場合でも、その土地価格が常識的以上に高騰するというような場合をさしておるのでありまして、どういう場合と具体的に言われても、ここで申し上げることは非常にむずかしいと思いますので、いま井上理事の答弁のように、読んで字のごとしだという答弁があったわけでありますが、それは常識的に考えていただければ、おのずから答えが出てくるのではないかと思います。
  50. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 常識的に考えれば、土地投機的取引だとか地価高騰が一般の場合と違って異常である、著しいというような場合は、いま天野理事が言われましたような、大規模開発が進められるとか、あるいは市街化が急速に進むとか、こういうことが一番まっ先に頭にくる問題だ、こう思うわけです。そういうことが当然想定されるので、前に審議しておりました国土総合開発法案の中の「特別規制地域指定」という問題と相当部分重なるのではないか、こう思うのですが、その点についてはいかがですか。
  51. 北側義一

    北側委員 これは、大規模開発という頭で考えていきますと、少し矛盾するのではないかと思うのです。そういう点もそれば考えられます。しかしたとえば、いままで全然交通網がなくて、そして地下鉄が通るとかそういう場合に、地下鉄の駅ができますとその周辺の地価が必ず上がる。これはわかりきったことですから。それと、いま言われたように、市街化されていった地域、こういう地域は、いままでの実情ですと投機的取引が行なわれたわけです。それをやめさそうというのがこの法案目的でございますので、そのように留意していただいたらいいのではないかと思うのです。
  52. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 それから、「都道府県知事は、正当な理由がない限り、、その指示に従わなければならない」ということで、「正当な理由」というのが出ているわけですけれども、この「正当な理由」の最終的な判断は、結局、「国土利用計画審議会確認」というのが次の項に出てまいりますので、国土利用計画審議会が最終的な判断をすることになる、こう見られるわけです。ところがこの国土利用計画審議会というのは、総理大臣が任命する人たちで構成されるということから考えてみました場合に、地方自治法では裁判所の確認を得た上で代執行するという慎重な手続を定めているわけですけれども、この総理大臣の指示権、代執行権というのは、これを容認する場合においても、少なくともいまの地方自治法の定めているような慎重な手続によらなければ地方自治の侵害になっていくんじゃないか、このように考えるわけですけれども、その点の見解はいかがですか。
  53. 井上普方

    井上(普)委員 ただいま地方自治法で高等裁判所の判決にまたなければならないというのは、それは知事の罷免の場合ではございませんでしょうか。罷免権の場合でございまして、地方自治法にいいますところの国の機関委任事務でございますならば、これは当然にどの法律でも実は指示権、代執行権というのは入っておるところでございます。ただ総理大臣じゃございません、その場合には主務大臣になっておるわけでございます。しかしながら、この法律におきましては、私どもは、国の機関委任事務ではございますけれども大幅に地方自治体に権限を委譲しよう、こういう意図のもとにこの法律をつくったわけでございまして、したがいまして、先ほど申しましたように、内閣総理大臣と申しましても、これは主管官庁が総理府の中にありますので、それで主務大臣である内閣総理大臣とお読みかえ願えればいいと思うのでございます。他の法律と比較になっていただきますというと、この法律がいかに地方自治を尊重しておるかということがおわかり願えるかと思います。
  54. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 本来、この規制区域指定するということは、知事が自分の管轄する地域について一番事情を知っているわけです。総理大臣がこの知事の指定に対して、それを部分的に減少したり変えたりいろんな指示をするということですが、一番知っている知事、その考え方最大限に尊重しなければならない。総理大臣の指示権、代執行権というような問題は、これはもう一見明白に違法な状態である、知事が指定しないのが非常に違法な状態である、こういうような場合に初めて発動せらるべき性質のものであって、このように、本来知事が区域指定をする権限が法律によってきめられている場合に、その知事の管轄する区域について総理大臣が指示するということは、地方自治に対してこのような要件のもとで指示権、代執行権を行使するというのは、まさに地方自治権に対する侵害であると私たちは考えているわけですけれども、御見解はいかがですか。
  55. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 内閣総理大臣の指示権並びに代執行権についてはその乱用を戒めなければならない、これはもちろん私どもも御意見のとおり考えておるわけでございまして、簡単に内閣総理大臣都道府県知事に指示を与え、あるいは代執行をするということは実は考えておらないわけでございまして、それには、地方自治の本旨にのっとって、十分に地方自治というものを尊重する中で適切な指導を行ないながら、そうして指導を行なってもさらに知事そのものがとり行なわない、そういうような場合に限って内閣総理大臣の指示権もしくは代執行権を執行せしめたい、かように考えておるわけでございます。
  56. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 それから、この規制区域の範囲内においては、土地に関する権利の移転については一切許可制ということになっております。大規模土地、それからまた非常に小面積の土地まで全部許可制にするという趣旨に読めるのですけれども、すべての土地許可制にするという考えですか。
  57. 天野光晴

    天野(光)委員 そのとおりです。脱法行為等を防ぐ意味において、全部に適用、大小にかかわらず許可制になった場合は全部やるという考えでございます。
  58. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 規制区域内においては適正な価額取引がされなければならない、適正な価額でないと許可がされない、こういう制度になるわけですけれども、そうしますと、規制区域内の土地についてはすべて適正な価額をあらかじめきめなければならない、こういうことになると思うわけですけれども、この価額をきめる人員、あるいはどれだけの期間があればその価額をきめて公表するまでに至ることができるか、そういう点についてはどうお考えですか。
  59. 天野光晴

    天野(光)委員 この問題が一番最初から最後まで残った問題でございます。具体的なものは政令でうたうことにしてあります。その政令はわれわれがタッチしまして、納得のいく形の上においてつくり上げる考え方でおります。なかなか容易でないと思いますが、日程等につきましては、できるだけ早急に行なうように指導をしてやらせるようにいたしたいと思いますし、法律でうたっているように、法律目的地価を抑制するという考え方でございますから、いろいろな面でいろいろな土地価格の評価の方法があるわけでありますが、現在わが国において、法律的に土地の評価をきめるという扱いのできる法律というものは二つきりないのじゃないかと私たちは思っております。大蔵省等におきましては、御承知土地の税金を標準としてやるという方法もありますが、地価公示法あるいは土地鑑定士の評価によるきめ方という、法律では現在その二つきりないと思うのでございまして、これが納得のいく価格をきめるということは非常にむずかしいと思うのでありますが、むずかしいといっても、法律をつくって法律目的を遂行するためにはきちっとした法律に書かなければいけませんので、いま内容については政令で作成中でありますから、この問題は、法律が通りましたら、共産党の皆さん方のお知恵も拝聴しまして、でき得るだけ納得のいくような価格を出せるようにひとつ仕組みたいと思いますので、かえってこちらから御協力をお願い申し上げておきたいと思います。
  60. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 ちょっと質問趣旨と離れた面もあるのですけれども、問題を変えまして、この適正価額のきめ方を草案によって見ますと、「近傍類地取引価格等を考慮して政令で定めるところにより算定した公告の時における土地に関する権利の相当な価額」、こういう内容になっております。近傍類地取引価格等を考慮してきめるというのは、いわゆる俗にいう時価、これを表現することばであるわけですけれども、巷間伝えられているところによりますと、この時価の七〇%、八〇%で価格をきめる、こういうふうに新聞などで拝見しておりますけれども、ただ、草案やこの前の要綱などにはそれが出ておりませんので、時価の七〇%あるいは八〇%できめる、こういうことが政令内容にうたわれるのかどうか、お伺いします。
  61. 井上普方

    井上(普)委員 この地価を一体どれくらいにするかというのは、先ほども天野理事から申されましたように、非常にむずかしい問題でございます。しかし私どもは、基準価額というものが高値安定になってはいけない、こう考えるわけでございます。したがいまして、この価格をきめるときには非常に苦労をいたしたのでございまして、法律におきましても、近傍類地取引価格基準としてということを入れておるのはその意味でございます。  政令においていかに定めるかと言いますと、私どもは政策目標といたしましては、もうすでに新聞にも発表されておりますように、時価の七、八〇%ということを目標にいたすつもりでございまして、これは政令事項に委任してはおりますけれども、高値安定になってはいけない。しかも地価を抑制するのがこの法律目的でございますので、そのような政令政府につくらせよう、そう思っておる次第でございます。
  62. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 カッコ内の「公示価格」というのがありますが、公示価格も、自由な取引における価格ということで、これもやはり時価を表現したことばだと思うのです。公示価格の場合ならば、この公示価格をさらに下げるということであるのか。あるいは公示価格が、いわれておりますように、時価の七〇%、八〇%ということであるのか。その点お伺いします。
  63. 井上普方

    井上(普)委員 先日建設省が発表いたしましたように、一年間で三五%も公示価格が上がっておるのでございます。したがいまして、あなたのおっしゃるように、公示価格というものは一定のものであるというわけにもまいりません。でございますので、私どもがあくまでも時価の七、八〇%を政策目標にするんだということを考えて、政令案を政府に目下練らしておるところでございます。
  64. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 その時価の七〇%ないし八〇%、こういうことですけれども、その時価を公示価格考えるのか。あるいは公示価格と違ったものであるのか。
  65. 井上普方

    井上(普)委員 それは公示価格の場合もございましょうし、違った場合もございます。いろいろと違ってまいると思います。一つ方法といたしましては、私どもは固定資産評価額に倍率をかける方法考えておるところでございまして、政府に対しましてこの点研究を目下さしておる。しかし政策目標はあくまでも、先ほど来何回も申しますように、高値安定になっちゃいかぬということと、時価の七、八〇%をひとつ目標にしょう。私どもは、もっとはっきり言いますと、田中内閣出現前ぐらいの地価に戻したかったのであります。しかし、それもなかなかむずかしい問題がございますので、私どもといたしましては、時価の七、八〇%をひとつ政策目標としてやっていくんだ、こうひとつ御理解願いたいと存じます。
  66. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 その点、それでは政府のほうの見解を聞いておきますが、政府のほうでは、いまの提案者の御意向に対して、どのような作業を進められ、どのような研究成果に達しているか、お伺いしたいと思います。
  67. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 いま提案の先生方からお話ありましたように、目下おっしゃられる方向で政令を中心として検討を始めております。
  68. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 検討している段階で、まだその中身については発表できない段階ですか。
  69. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 政令であります関係で、全省庁との協議が終わりませんと御説明できないのは当然でございますが、公示価格その他との関係もございますので、建設省の担当者とも相談を始めておるということだけ御報告申し上げておきます。
  70. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 それからまた、これも新聞などで見た話ですけれども、その時価の七〇%から八〇%に押えるという問題について何か念書を交換するというようなことですけれども、そういう事実はあるのですか。
  71. 天野光晴

    天野(光)委員 そういう事実はございません。
  72. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 次に、第五章の「土地に関する権利の移転等の届出」ということについてですが、この点については、一定面積以上の土地の権利移転について届け出をさして所要の指導をする、こういう内容になっておりますが、この届け出をさせる目的はどういうところにあるわけですか。
  73. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 乱開発を防止する面と、それからさらに地価の安定をはかろう、こういう目的を持っております。
  74. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 届け出があって、いま言われたような目的の面から見た場合に、これを指導によって直すということでしょうけれども、結局、最後まで聞かないということもできるようになっていると思うわけです。そういう意味から見ますと、これだけの規模の面積の土地の売買ですから、乱開発やあるいは土地利用関係でいろいろな問題が生じることだと思いますけれども、そういう場合には、届け出よりもちゃんと許可制にして、乱開発をやられるおそれがある場合は許可をしない、それから地価高騰をあおるような場合も許可をしないという許可制にしたほうがいいんではないか、こう思うのですが、いかがですか。
  75. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 おっしゃるとおりなんです。しかし、先ほどあなた自身も言われましたように、指定区域内は、標準価額そのものをきめるにもたいへんな体制を実はとっていかなくちゃならぬ、これを全国一律に一、二の三でやった場合には行政能力的にも非常にまだまだ問題がある、したがってそういうような問題点のあるところから逐次やっていこう。その他一般的な土地については、まずは取引届け出制度を設けて、そして大まかな規制措置考えていく、必要があればやがては全国規制するという方向で進みたい、こう考えております。
  76. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 この届け出があったものについては、すでに先ほどから議論いたしました、「相当な価額」に照らして適正を欠くかどうかということが検討されることになっているわけで、その点についてはもう価格をきめておくということだと思うのですけれども、いまの御説明によりますと、価格をきめるのがむずかしいからということのようであったのですが、その点はいかがですか。
  77. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 御質問意味がよくわかりませんが、いわば規制区域指定いたしますと、その告示の日をもって時価の大体七、八〇%の地価というものの算定業務、いろいろなたくさんの業務が出てくるわけですね。それを全国一ぺんにやった場合にはたいへんな行政上の作業が出てくる、したがって行政能力的に不可能であろうということがまず考えられるわけでございます。したがって、その他の白地地区においては、まずは届け出によってそういう動向を把握をしていこう。届け出をされなければ何もその動態がわからないわけですから、届け出によってその動態を把握し、ほんとうにさらに強固な措置が必要であると考えるならば、それはそれによってまた対応していかなくてはいけない。  御承知のように、わが国の土地政策としては一番新しい法律でございまして、これに対応していくためには、またわれわれが予想せざるいろいろな問題が出てくると思います。私どもはそれにはそのように時宜に適した対応をしていかなくてはならない。いまから頭の中でいろいろ起きるであろうことを想定をしてすべてを網羅するといいわけですけれども、それは頭の中の作業でございまして、そう適切なものとは言いがたい面もあろうかと思います。そういう面では、やはり届け出制度というような制度の中で全体の動態を把握しながら、さらに強固な規制が必要だという事態が出てまいりますならば、それに対応した法律の修正なりいろいろな面が考えられていくのではないか、かように考えております。
  78. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 第六章の「遊休土地に関する措置」に関してですが、この遊休土地に関しては、附則のほうにまた規定があるわけです。これを比べてみますと、附則のほうは法律施行の前に取得した土地について、本文のほうはこの法律施行取得した土地と、こういうように理解してよろしいのでしょうか。
  79. 天野光晴

    天野(光)委員 それでいいと思います。
  80. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 そうしますと、この法律によっては、大企業なんかの買い占め、これらが大体遊休地になっていくと思うのですけれども、そういうものが法律施行後もあらわれる、こういうことを想定しておられるわけですか。
  81. 天野光晴

    天野(光)委員 法律施行以後においてはもちろんですが、施行以前においても、四十四年の一月以後に取得したものについては該当するという意味であります。その点よく御理解願っているんだろうと思うのでありますが、これからもいま柴田さんの言われたようなことがあり得ると思います。
  82. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 いまの土地問題というのは、何といっても大企業が投機的な土地の買い占めを一ぱいやった、それで地価が非常に高騰した。その反面、国民住宅用地などがない。生活用地がなくて、非常に高い値段になって住宅が手に入らない。こういうところにいまの土地問題の根本があると思うので、やはり買い占めを厳格に取り締まるということが法律目的規制目的でなければならない、こう思うわけです。特に大企業というのは、膨大な資金をもって土地を買いあさるといういままでの経験があるわけですから、大企業の今後の買い占めを禁止するような考え方はないのかということをお伺いします。
  83. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 今後の買い占めですけれども、私はそんなに起こらないと思うのです。なぜかといえば、いわば土地というものを大量に買い占めて、それを分割して売却することによって膨大な利益を得る、これがねらいでございまして、それらの利益がないということになれば、相当な資金量を投入して大きな土地を買い入れても何ら利益に結びつかないということであれば、そんなところへ大量な資金が投入されるはずがない。いわば投機的な土地というものを対象からはずすことによって、そういう大都市の買い占めといいますか、大企業が大きな遊休地を買い占めてしまう、こういう現象は起こってこないのではないか、かように私は考えております。
  84. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 まあ買い占めが起こらないようにするというので規制の大きな目標であると思うわけです。ただこの法律においては、法律施行前四十四年一月一日から取得した買い占め地、まあ「遊休地」という表現ですけれども、これらのものは措置をするということになって、この法律においては、結局この法律施行後さらに取得したものが対象になる、こういう構想だと思うのですけれども、いまのようにほんとうに買い占めが起こらないということであれば目的は達成されるわけです。しかしこの草案において、要するに法律施行取得した遊休土地についての措置考えておられるということから考えてみた場合に、そういう買い占めなんかの懸念がこの法律によってはなお防げないのではないか。そういう意味においては大企業の買いあさりを特に禁止するというような措置が必要であろう、こう思っております。  そこで内容の問題ですが、結局、遊休地がある、その遊休地は一定要件のもとに使用計画届け出をさせて、そして助言勧告をして、有効な利用をしない場合は買い取り協議をする、こういうことになっておるわけです。このように遊休地があるというような場合に、地方自治体が、実際に土地利用上、遊休地として置いておくのはよろしくないというふうに考えた場合に、その所有者に対して任意的に指導もできますし、それから助言勧告程度のことは現実上はできると思うわけです。それから買い取りの問題にいたしましても、地方公共団体が自分たちがこれは必要であると思えば、任意の買い取りということもできると思うのですけれども、そうしますと、この第六章の「遊休土地に関する措置」、これはいままでの法律と比べてみた場合に何か新しいものがあるかどうか。この程度のことはいまでもできるんじゃないか。それをこの法律によってどういうところが新しい措置としてできるのか。こういうことをお伺いします。
  85. 井上普方

    井上(普)委員 いまでもできるとおっしゃいますけれども、いままでできておりませんので、この遊休土地という措置考えたわけでございます。これは共産党さんも含めた四党共同案では、遊休土地の買い上げということを私どもはともにつくりまして、このたびの法案作成に臨んだわけでございます。  この遊休土地につきましては、市町村長が、これは遊休土地であるといって知事に申請し、知事が遊休土地であると認めたときには所定の手続をしなければならないことになっております。そしてお説のように助言勧告をいたします。これは公有地拡大法のやり方をやっておるわけでございます。しかしながら、そのあとにおきまして、買い取り協議が整わなかった場合に一体どうするかといいますと、これは私どものこの法律におきましては、知事は都市計画等の事業決定をしなければならないということにしております。都市計画等の事業決定をいたしますと、これは土地収用法が働くことは御存じのとおりであります。これがこのたび収用権力を遊休地に及ぼしたところでございまして、ただ単に大企業が持っておる土地だからいきなり没収してしまえというところには、多少憲法上の疑義もあるのではなかろうか、こう私は思いますので、国あるいは地方公共団体公共目的に使うんだ、しかもその公共目的というものはどんなものかと言いますと、住宅であるとか、あるいは保育所、あるいは学校というような生活用地に必要であると認めたときには、これはもう都市計画決定できるのでございますから、直ちに土地収用法が働く、こう考えていただければいいと思います。
  86. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 その点について三十五条に「土地利用に関する計画決定等措置」というのがあるわけですが、ここに「住宅建設し、又は公園、広場その他の公共施設若しくは学校その他の公益的施設を整備することが特に必要であると認めるときは」と書いてありますが、現在の都市計画法においても、このような学校住宅公園をつくるというような場合においては、当然都市計画の対象に入れることができるわけで、現行法以上には出ないんじゃないか、こう思うのですが……。
  87. 井上普方

    井上(普)委員 それはそのあと「速やかに、都市計画その他の土地利用に関する計画決定等措置を講ずることにより、当該土地の有効かつ適切な利用が図られるようにしなければならない」ということを知事に義務づけておるのでございます。遊休土地であるということが認定をされたときにはしなければならないという義務づけをしておるのでございまして、ここが大いに違うところでございます。
  88. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 この規定は知事を拘束するものであるのか。あるいは精神的な規定であるのか。知事がそれをやらないというような場合はどういうことになるのか。こういう点のところはいかがですか。
  89. 井上普方

    井上(普)委員 私どもは地方自治の本旨を守ろうといたすわけでございます。したがいまして、知事が地方自治体の長であるという認識に立つならば、住民住宅であるとか、あるいは公園であるとか、公益的な利便設備、あるいはまた公益的施設を整備することは必要であるとお考えになるだろうという善意を持ってこの法律をつくっております。
  90. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 だから、特に必要であると認めるときは、いまでもやはり、遊休地があって、そこの遊休地に学校をつくらなくてはならぬというような場合は都市計画できる、こう見ていいんじゃないかと思うわけですが……。
  91. 井上普方

    井上(普)委員 いまの制度におきましては、遊休地ということを指定することができません。指定したならばこれこれの措置をしなければならない、都市計画法による都市計画決定等措置を講じて有効かつ適切な利用がはかられるようにしなければならないとしているわけでございます。
  92. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 遊休地の認定ということは、一般の都市計画をする場合においても特に必要ではないわけで、都市計画上、学校を建てる、公園をつくるというような問題が出てくれば、当然いまの都市計画法都市計画ができる。特にこの法律によって新しい利用関係が生まれるものではない、このように見ているわけです。そういう意味におきましては、投機的な買い占め地を持つというような、こういう反社会的な行為、特に大企業が大資本を利用してのばく大な買いあさりというようなものに対しては、この有効な利用をするために、強制力を行使してその買い占め地を国や地方公共団体取得して、そしてこれを国民住宅その他の生活用地に充てる、そういう権限が加わらなければ、ほんとうにこの買い占めを防止し、そしてまた国民生活用地確保する、こういう道にはならないのではないか、このように考えているわけです。  そういう意味におきまして、全体的に見てみまして、国民が一番問題にしている住宅用地だとかその他の公益的施設、公共施設のために必要な土地を国や地方公共団体取得するという意味においていわゆる生活用地確保が非常に必要だと思うのですけれども、この草案においては、生活用地確保ということについてはどのように考えておられるかお伺いしたいと思います。
  93. 井上普方

    井上(普)委員 私どもは、地価を安定させる、しかも乱開発を防止させるということを主目的にいたしておりますけれども、特に遊休地の措置につきまして、買い占められた土地が放置されておるところは、これは都市計画法等計画決定をすることにより強制力を活用しようと考えております。したがいまして、遊休地に対しましては、私どもは、この届け出制、あるいはまた届け出制に続きまして助言勧告、あるいは買い取り協議、その上に持ってまいりまして、先ほど来申し上げておりますように、計画決定をすることによって強制力を大いに働かそうという趣旨でございますので、これから私どもは、あなたの言う生活用地確保にはこの法律は大いなる力を発揮するものと期待いたしておるところでございます。
  94. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 いまの生活用地の問題から見てみますと、この法案施行することによって土地がどれだけ得られるかということになりますと、この許可申請があった場合に不許可になった土地買い取りの問題があるわけです。ただこれについても、生活用地として利用するという趣旨は加わってはいない。そういう意味におきましては、四党で協議したときにありましたような、先買い権の強化だとか、そういうことがやはり必要になってくると思うわけです。  それから、井上理事が先ほど言われましたけれども、四党案では、土地の買い上げ、これは強制力を含む、こういう趣旨であったと思うわけです。そういう意味におきましては、この「遊休土地に関する措置」の中で大体現行法でできる範囲のことしか規定されていないということで、特に私たちが主張したような問題にまでは至っていない、このように理解しているわけです。
  95. 北側義一

    北側委員 先ほどから何べんもお答えしておりますとおり、現行法律の中では遊休地という指定は全然なされておらないわけです。これは先ほどの答弁でおわかりだと思うのです。それとあわせてその遊休土地については、いわゆる土地利用計画を立てて、そうしてその土地利用計画というのは、いわゆる都市計画決定して、その都市計画決定に従って強制収用する。そうして強制収用した土地につきましては、三十四条で御存じのとおり、「買取りに係る遊休土地利用」、これに「土地利用基本計画その他の土地利用に関する計画に従って当該土地の有効かつ適切な利用を図らなければならない」、こうなっております。「有効」というその中に、あなたの言われた生活用地が全部含まれておる、このように解釈してもらったらいいのじゃないかと思うのです。
  96. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 その有効適切な利用ということから見ますと、これは生活用地というように解釈、私たちはそれはしたい。ただ、今度は工業開発考えているほうから見ると、工場地帯を、工場をつくるということのほうが有効だと考える場合も大いにあり得るわけで、そういう意味生活用地というような目的をはっきり掲げるのが妥当だ、こう思うわけです。
  97. 井上普方

    井上(普)委員 特に四党共同案を作成します際に非常に問題があったことは、御存じのとおりであります。私どもは、その際に強く申しましたのは、土地収用法の適用をやらすんだということを言ったことは柴田さんも御存じのとおりであります。ところが、共産党の皆さん方のおっしゃるのは、公共用地の取得に関する特別措置によって事業の認定をやっていこうというのでございまして、こういう意見の対立があったことも御存じのとおりでございます。しかしながら、遊休地につきましては、私どもの言っておるほうがはるかに強いんだということで、土地収用法の適用を本法にうたっておるところであります。  私は残念に思いますことは、せっかく四党共同要求案をつくってこれに参加せられた共産党が、それほど御意見をお持ちになるならば、なぜこの法案の作成に参加されなかったか。あまり理由にならないことをおっしゃって離脱していったのは、はなはだ私は遺憾に存ずるのであります。そのことは、私どもが再三皆さま方に申し上げて慰留を申し上げたところでありますが、そのような強い御意見がございますならば、本法案を作成する際に参加されて御意見を述べられたら、まことに私どもも幸いであったといま思っておる次第でございます。
  98. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 ちょっと最初のほうに戻りますが、井上理事は、この法律地価の抑制を目的とする法律だ、このようにおっしゃいました。しかし、この第一条の「目的」では、地価の抑制ということは入っていないで、「国土利用計画策定に関し必要な事項について定める」、これが第一になっているわけです。その「目的」との関係ではどのようにお考えですか。
  99. 井上普方

    井上(普)委員 字づらだけ読みましたらそうなっておりますが、われわれお互いに政治家でございます。したがいまして、この法文の裏をよくお読みになられましたならば、土地高騰を抑制する法律であるということがおわかりになろうと存ずる次第でございます。
  100. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 だから、その政治家という意味から見るならば、まさに一番最初に言いましたように、国土利用という名のもとに、私たちがずっと批判しておりました日本列島改造のあの開発が、これに乗り入れてくるということを非常に危惧し、やはりこれに反対しなければならない、このように考えているわけです。  最後に、地価を抑制するという問題について言いますならば、この草案によりますと「規制区域指定」というのがございます。規制区域指定して、その中の土地について一切許可制にするということになれば、まずその土地の値段をきめなければならぬ、こういう大作業がありますし、これには膨大な資金が必要とされる、またそのための公務員をふやさなければならない、そういうことでまたその財源が必要となってくる。さらに、不許可にした土地買い取りについての財源の問題が出てくる。それらの問題で、ほんとうにこれを動かしていくということであれば相当な財源が必要とされると思うわけですけれども、この点について第四十条で、「国は、予算の範囲内で、政令で定めるところにより、土地利用基本計画の作成に要する経費その他のこの法律施行に要する経費の一部を補助する」、このように書いてありますけれども、国としては一年度にどの程度の経費を見込んでいるのか、これをお伺いしたいと思います。
  101. 天野光晴

    天野(光)委員 この法律が実施される予定は大体十月末か十一月初旬になると思います。そういう関係で、今年度の必要とする金額、いまはっきりしますが、それは予定どおり予算化されておりますが、いま柴田君の言われたように、今後これを運営していきますと膨大な費用を地方自治団体にも必要といたします。それから仕事をやるために人数も相当ふやさなければいけなくなります。そういうものの予算はその間考慮いたしまして、来年の新年度の予算からこれを盛り込むことに各省との間で話し合いがつけてございますので、その点、御了承願いたいと思います。
  102. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 今年度の予算はもうきめられているということですか。そして今年度は十一月からということですね。それから実際上本格的に動くということになると、来年は本年度とは比べものにならないと思うわけですけれども、大体動く場合の一年間の予算というふうなものについての見通しはいかがですか。
  103. 天野光晴

    天野(光)委員 実質的に金を必要とするという問題は、来年度の予算編成時までに一〇〇%の見積もりはできないのではないかと思うわけです。そういう意味で、今年度、一応土地利用規制等に関する経費並びに国土利用計画審議会の設置等に要する——要するに、この法律を動かすのに必要なだけの予算の計上はされておりますが、いま申し上げましたように、相当膨大にのぼるであろう。不許可になった場合の買い取り請求権による買い取りする金額その他のものについては、十二分に検討しまして来年度の予算には完全に盛り込むようにやるという考え方でおりますので、御了解願いたいと思います。
  104. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 やはり大企業なんかが買い占めた土地については、私たちは、交付公債をもって場合によっては強制的に買い上げる、このように考えておりますけれども、交付公債というような考え方はあるのですか。
  105. 天野光晴

    天野(光)委員 それは十二分に検討してみたいと思います。
  106. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 一応私の質問は以上で終わります。
  107. 木村武雄

    木村委員長 浦井洋君。
  108. 浦井洋

    ○浦井委員 ただいま、天野光晴君外三名の提案された草案国土利用計画法案に対してわが党の柴田委員が幾つかの点について質問をしたわけでありますけれども、私は、その質問の中でもある程度明らかになったように、この国土利用計画法案草案では、国民が求めておるところの生活用地確保、それから土地取引規制も、とうてい望めないと思うのであります。  私ども日本共産党・革新共同は、いままで、生活用地確保ざれ真に土地取引の実効ある規制が行なわれるよう法案の作成に努力してまいりました。そして確信ある法律案をつくり上げたのでありますけれども、これは予算関連の性格を持つ法律案であるために、まことに残念ながら国会提出することができません。天野光晴君外三名の提案された草案にかえて私どもの案が委員会提出法案内容となるならば、私は真に国民の期待にこたえられる法律となるというふうに考えておるわけでございます。したがってここにそのおもな内容を述べてみたいと思うのであります。  その概要は、今日における土地問題の根本は、大企業本位の高度成長とともに、大企業等による土地の買い占めがかつてなくはなはだしくなり、天井知らずの地価高騰が進み、国民の生活が脅かされているということであります。  そこで、国民の生活を守るための土地対策は、一つには、大企業の土地買い占め、土地投機を押えることであり、一つには、国民のための生活用地、すなわち、公共、個人の住宅用地、生活道路等の公共施設、学校等の公益的施設の用に供する用地、自然環境保全するために必要な土地を含むものでありますけれども、このような生活用地確保して国民の生活基盤を優先的に整備していくことであります。  このような基本立場から、日本共産党・革新共同の試案は、生活用地確保土地取引規制等に関する法律という名称であり、この試案は緊急措置として、生活用地確保するための先買い権及び大企業法人が保有する未利用地の買収の措置を講ずるとともに、一定規模以上の土地取引及び開発規制し、生活用地確保土地の適切な利用自然環境等の保全及び地価の安定をはかり、国民生活の安定に寄与することを目的とするものであります。  試案の要旨は次のとおりであります。  第一は、国または地方公共団体による土地の先買いであり、市町村長は、生活用地確保のため必要がある区域生活用地予定区域として指定できるものとし、指定区域内においては、土地売買等契約をしようとするものに対して届け出を義務づけ、また国や地方公共団体に対して買い取り申し出ができるものとし、これら届け出等があった土地のうち、生活用地に適しているものについては、国や地方公共団体買い取り協議を行なうものとするけれども、この協議期間を三年間とし、実際的な協議の成立をはかったのであります。  第二は、大企業法人が保有する買い占め地の収用であります。  本法においては、資本または出資の額が十億円以上の会社及びその系列会社、借り入れ金が三十億円をこえる会社または相互会社を大企業法人とし、この大企業法人が高度成長政策がとられた昭和三十六年以降に取得し、現に保有する土地で未利用もしくはこれに準ずる状態にある土地市町村土地委員会が調査し、その結果に基づいて、国または地方公共団体が強制的に買い上げることができるようにしたのであります。この買収の対価は、土地取得価額及び管理費基準とする価額で三十年以内に償還する国債または地方債をもつて交付することにいたしました。  第三は、土地に関する権利移転の規制であります。  市街化区域においては二千平米、調整区域等においては四千平米、その他の区域においては八千平米をこえる土地売買などについて、この中には、ただし地域の状況によりその半分まで面積を引き下げることができるというふうにいたしました。そういうことについては、市町村長許可を受けるものとし、市町村長は、使用目的住宅及び業務用でないとき、土地利用計画に適合しないとき、周辺の環境保全及び文化財の保護上、または公共的施設の整備予定から見て不適当なとき、基準価額をこえている予定価額のときは許可をしないものとし、特に大企業法人については、本法施行後二年間は土地取得の原則的禁止ときびしい許可基準によるものといたしました。不許可となった土地については、国や地方公共団体が買い取ることといたしました。  なお、土地価額が急激に上昇する区域については、都道府県知事地価抑制規制地域指定することができるものとし、指定区域内においては、基準価額がきめられるまでの間は、標準価額を定めて土地売買等価額を指導し、基準価額が定められた後においては、基準価額以内の取引であることの確認を義務づけるものといたしました。  第四は、開発行為規制であります。  第三に述べた面積以上の土地開発については市町村長許可を受けなければならないものとし、開発行為が、土地利用計画に適合しないとき、環境の保全及び文化財の保護上、または公共的施設の整備予定から見て不適当なものであるとき、災害防止の措置が講じられていないとき等は許可をしないものといたしました。  第五に、土地委員会については別に法律で定めることにするが、委員会は公選制と任命制の委員をもって構成することとしたのであります。  以上の基本に従い、必要な監督規定罰則その他の規定を設けるものであります。  そこで、この際、委員長にお願いをしたいのでありますけれども、私、先ほどの理事会で提示をさせていただきました、わが党の作成した生活用地確保土地取引規制等に関する法律の試案、この試案を会議録に参照として掲載していただきたいと思いますが、ひとつ委員長においてしかるべくお取り計らいを願いたいと思います。
  109. 木村武雄

    木村委員長 ただいま浦井洋君から申し出のあった件については、先刻の理事会において、前例としないということで一応了承いたしておりますので、日本共産党・革新共同が作成した生活用地確保土地取引規制等に関する法律の試案を、本日の委員会議録の末尾に参照掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  110. 木村武雄

    木村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。引き続き発言を許します。浦井洋君。
  111. 浦井洋

    ○浦井委員 そこで、最後に私は、日本共産党・革新共同を代表をいたしまして、天野光晴君外三名の提案されておる国土利用計画法案草案に対し、反対の意見を述べるものであります。  反対の第一の理由は、草案開発とは無関係であるかのような装いをしておりますけれども、実際には国総法とほとんど同じものであり、大企業本位の日本列島改造を何の支障もなく進めることができるものであることであります。それは開発を抜きにした国土計画はあり得ず、また国総法案が廃案になろうとも、現行国総法は存続しているのであり、新全総や国土開発に関する諸法及び諸計画国土利用計画土地利用基本計画が一体のものとなって、何らの矛盾もなく列島改造事業を推進し得るからであります。国総法案から開発の文字が削られ、開発部分の規定は表面上姿を消しながら、実質上は従来と変わらない開発も保障されているのでありますから、大企業本位の開発に反対している国民に対するはなはだしい欺瞞であるといわなければなりません。しかも、国土利用計画は新たにつくられる制度でありながら、この内容に何が盛られるか、一番肝心な点については何一つ明記されていません。これは、その内容政府に白紙委任するにひとしく、これほど危険なものはありません。  土地利用規制に関する条文は、国総法案の条文がそのまま使用され、都市計画法、農地法、自然公園法など現行法が適用されるだけで、開発に関して新たな規制は全く加えられておりません。  反対の第二の理由は、この草案では大企業の土地投機を十分に取り締まることができないばかりか、今日国民が切実に求めているところの住宅学校、保育所、公園などの生活用地確保することができないという点であります。  言うまでもなく、今日の深刻な土地問題は、大企業が投機的な土地買い占めを行ない、地価高騰させ、そのため多くの国民住宅難に苦しめられ、劣悪な居住地に閉じ込められ、まさに憲法第二十五条に保障されている生活権が侵害されておるところにあります。したがって、自治体や国が、すでに大企業によって買い占められておる土地を、国民の要求に応じて必要な生活用地確保するために法的強制力をもって買収するとともに、大企業の新たな買い占めを禁止することが土地問題解決のかぎであります。ところが、草案によれば、買い占め地の自治体による買収は、最終的に都市計画法などの現行法によって行なうというもので、現行法を少しも出ておりません。新たな法的措置は、面積、期間による制限のほか、遊休地に対して直ちに現行法を適用させることを避けて、遊休地認定の通知土地利用処分計画提出、知事の勧告、自治体の買い取り協議などの複雑な手続を設けて、大企業の土地処分に余裕を持たせるだけのことであります。また、地方自治体の先買い権の強化もなければ、財源の保障もありません。さらに、わが党がここに提案しておるとおり、大企業による土地の新規購入を原則として禁止することは法律上可能でありますが、草案ではこれに関する何の規制もないのであります。  一方、大企業などが、列島改造事業、国土開発のため必要な土地取得については、内閣総理大臣の指示権、代執行権の発動によって、土地を安く容易に確保することさえできる仕組みになっているのであります。  このように草案による土地規制は、住宅学校公園などの生活用地確保には無力であり、大企業の横暴を規制できないという全く国民の期待に反するものであります。  反対の第三の理由は、草案が民主主義の否定、地方自治破壊の性格に貫かれておるという点であります。草案では、国土計画についても、規制地域指定についても、内閣総理大臣に最終的な権限を与え、すべての国土計画は天下り的に上から国民に押しつけるものとなっております。「全国計画以外の国の計画は、国土利用に関しては、全国計画基本とする」と規定され、閣議決定だけで国会審議も承認も経ない非民主的な全国計画を最上位計画とし、他の計画はこれに従わせられることとなっております。都道府県計画には内閣総理大臣助言勧告権が、市町村計画には知事の助言勧告権が確保されているのであります。  土地利用基本計画土地取引規制基準として重要な制度であるにもかかわらず、市町村長意見を聞くだけで、住民参加の制度的保障がないだけでなく、議会の承認も必要とされず、逆に内閣総理大臣の承認を必要としております。  国総法案で悪名高かった規制地域に対する内閣総理大臣の指示権、代執行権がそのまま残されたのは、地方自治破壊の最たるものであります。かりにそれが開発のためでないとしても、私は開発のために使うことができると思いますが、地方自治権を守る立場からは、総理大臣の指示権、代執行権は許されるべきではありません。地方自治法では、指示権、代執行権については、慎重な手続を定めておるところの職務執行命令訴訟制度を通じて初めて執行されるようになっているのでありますが、この草案では、内閣総理大臣がみずから任命する国土利用計画審議会確認を受けるだけで直ちに代執行できるもので、地方自治を踏みにじるもはなはだしいものであります。  このように、国土利用計画法案草案は、独自に国土開発を推進し得るものであり、また現行国総法と結合させるならば、さらに完全に日本列島改造を推し進める役割りを果たし得るものといわざるを得ません。  したがってわが党は、国土利用計画法案草案に反対をいたします。この草案にかえて、わが党が準備した生活用地確保土地取引規制等に関する法律案試案を委員会提出法案の成案とすることを私は最後に強く要求して、発言を終わるものであります。
  112. 木村武雄

    木村委員長 福岡義登君。
  113. 福岡義登

    ○福岡委員 ただいま共産党の浦井委員から、野党四党に基づいて今日提案をいたしました国土利用計画法に対しましていろいろ御批判がありました。同時にまた共産党の案についても説明がありました。この際私は、共産党の浦井委員が、私ども四党が提案をしました法案につきまして、相当大きな誤解をされておる点がありますので、これを明らかにさしていただきますと同時に、共産党が末尾参照で先ほど提出されました草案につきましても、若干の疑義を持っておりますので、その点を明らかにしておきたいと思うのであります。  その前に、今日までに至りました経過を少し明らかにしておきたいと思うのであります。  御承知のように国土総合開発法は、昨年四月の十九日に本会議におきまして趣旨説明が行なわれたのであります。自来一年有余を経過したのでありますが、この過程で特徴的な問題点は何であったかと言いますと、われわれ野党といたしましては、田中総理の日本列島改造論を実施する法律としての国総法にはあくまでも反対するという立場を貫いてまいりました。しかし、一方で地価高騰が著しい、国民生活を大きく圧迫をしておるという実態にかんがみまして、緊急に土地対策を樹立しなければならぬという方針を立てて、そのために努力をしてきたのであります。  そこで、中間の経過は省略をいたしますが、この第七十二国会になりまして、私ども四党は、土地対策を樹立するために野党四党案をつくったのであります。それには共産党の皆さんも加わられまして、七項目の野党四党案ができたわけであります。この野党四党の要求を基礎にいたしまして作業を開始しようとしたのでありますが、共産党のほうは、自民党並びに政府の責任ある具体案を出せという要求をなされました。その要求されたのが四月の二日のことであります。私どもは、その時点で政府・自民党から具体案を出させるということは、その時点では国総法の修正しか出てこないであろう、そういうものを政府・自民党から提出されるということは適当でない、あくまでも野党四党の七項目要求を基礎にいたしまして具体的な作業に入るべきだということを主張いたしました。共産党の同意を得ることはできませんでしたが、他の四党は合意に達しまして、その後作業を進めてきたわけであります。その作業の結果まとまりましたのが、きょう提案されましたそれであります。  したがって私どもは、野党四党要求の七項目を基礎にいたしましてこの法案はでき上がっておるという確信を持っております。つまり、当面緊急に措置をしなければなりません地価対策、あるいは土地取引規制などを中心にした法案が今日提案した法案であると思っておるのであります。先ほど浦井委員は、この四党案は国総法と何ら変わるところはない、こういう御指摘をされたのでありますが、非常に大きな誤解でありまして、私どもとしましては心外にたえない点であります。もとより法案の個々の条文などにつきましては、技術論その他もまじえまして若干の異見があることは私どもも承知をいたします。しかし大筋におきまして、浦井委員が指摘されましたようなことは全くないということを、この機会に明らかにしておきたいと思うのであります。  いま浦井委員が指摘されました、大資本の土地の買い占め、この対策が弱いじゃないかという御質問がありましたが、私どもはこの点を一番強く規制をしておると思うのであります。先ほど提案者の各委員から柴田委員質問に対して答えましたように、具体的にはその内容で明らかになっておると思うのでありますが、未利用地を買い上げまして生活用地に有効的に利用していくという規定法案の第三十四条に規定されておるところでありますし、また、今後、投機のための土地買い占めができないように各条項にわたって規制しておることも、御承知のとおりであります。また、地方自治権を尊重するという立場に立ちましてそれぞれの配慮をしておることも、法案を読んでいただければ十分明らかな点なんであります。  そこで、われわれが考えてまいりました、野党四党の案をつくるときにも議論をしたのでありますが、共産党がきょう末尾参照で提出されました問題をながめてみますと、幾つかの疑問を持たざるを得ません。  その第一は生活用地確保についてであります。この生活用地確保の中で、土地の先買い協議権に規定されております項目を見ますと、これは現在の公有地拡大推進法で対処できるものでありまして、新たに新法は必要としないとわれわれは考えておるところであります。  第二に、大企業法人所有の未利用地の強制買収という共産党の提案なのでありますが、これは野党四党案を作成するときにもいろいろ議論したのでありますが、大企業というものだけに限定する点は若干憲法上疑義を持たざるを得ない。四党案は別の角度からこの点には十分対処する手だてをしておるところであります。  それから、大企業法人の土地取得規制、二年間禁止するという条項があるのでありますが、これも憲法上の疑義のほか、大企業法人の基準をどうするか、つまり大企業法人とは一体どういうものかという、その認定基準を定めるのに技術的に非常に困難である。ですから、土地取引規制をすることによって、あるいは許可制の中におきましてこれらは十分対処できるというように判断をしておるところであります。  それから、第三の一定規模以上の許可制は、共産党案は小規模のすそ切りをなされておるのでありますが、すそ切りをすることは脱法行為の増大のおそれが非常に強いのであります。かつ二重価格につながっていくものでありまして、これは妥当でない。私権を制限する場合にこういう二重価格をもってするということは、大きく憲法上疑義のあることも論をまたないところであります。  第四番目に、土地利用に関する計画は別の法律とするというように共産党案は規定をされておるのであります。しかし、規制をするためには、その基準としての計画が必要不可欠であるとわれわれは考えました。ただ、土地利用計画を定める場合に、いわゆる国総法に盛り込まれておりましたような大規模開発が忍び込んではいけないという点については十分配慮いたしまして、条文を読んでいただければ御理解いただけるところなのでありますが、共産党のような御心配は全然ない、かように考えておるところであります。  以下、申し上げれば相当の項目があるのでありますが、時間の関係もありますので要点だけでとどめたいと思います。  そこで、最後にもう一回繰り返して共産党の各委員に反省を促したいと思います点は、先ほど浦井委員が述べられましたその筋道については多くの疑問がある。あるいは法案の中身を御存じないからそういうことになったのかもしれませんが、もし法案の中身を御承知の上でああいう意見を述べられるとすれば、これは党利党略以外の何ものでもないということを言わざるを得ないと思うのであります。(拍手)私どもはまじめに国民の要望にこたえて、地価の抑制と正しい土地の有効利用考えていこう、生活用地を最優先してやっていこうというのがこの法案を出した目的でありまして、誤解のないように重ねてお願いを申し上げまして、私の意見を終わりたいと思います。(拍手)
  114. 木村武雄

    木村委員長 新井彬之君。
  115. 新井彬之

    ○新井委員 先ほどの浦井委員発言によると、この法律案は日本列島改造の法案になりかねないとのことでございますけれども、あくまでもこの法律案は、共産党を含めた四党案を基礎としたものでありまして、浦井委員が述べたような法案内容ではないわけであります。投機と乱開発を排除するために、土地利用基本計画の作成、土地取引許可制届け出制、遊休地対策、土地白書と土地調査員といった骨子からなっておることは、先ほどの内容で明らかであります。  その内容の第一、土地利用計画の作成についてであります。この土地利用はあくまでも、先ほどの質問で明らかになっているとおり、開発のためではなく土地規制のためのものであります。また、国土利用計画地方審議会意見を聞き、市町村長意向を反映させるようにすることとなっております。  第二は、土地に関する権利の移転等の許可制届け出制についてであります。  その第一は規制区域であります。地価が急騰もしくはそのおそれのある地域を、知事は、規制区域指定でき、指定区域指定でき、指定区域内では次のような規制を受けることとなっておるわけです。  まず地価指定時で凍結される。その価格指定時の時価の七、八割で押える。土地の売買契約を締結しようとする場合は、たとえ一平方メートルでも市町村を通じて知事に届け出、その許可を受けなければならない。知事は、その売買価格が凍結価格をこえているときや、土地利用目的都市計画などに照らして不適当なときは、許可をしないこととなっております。  また、危険ながけ地や、水、道路などのない土地に家を建てようとするときは、利用がふさわしくない場合は不許可である。この場合は所有者買い取りを請求することができ、地方自治体はその土地を凍結価格で買い上げることとなっております。  その二は、規制区域以外の地域についてであります。規制区域以外の全国土地で、次の規模以上については、届け出制による規制を受けることになっております。市街化区域で二千平方メートル、それ以外の都市計画区域で五千平方メートル、その他の地域では一万平方メートル以上の土地を売買しようとする場合は、市町村を通じて知事に届け出ることとなっております。知事は、その価格が著しく不適正だったり土地利用目的に合わない場合は取引の中止を勧告でき、勧告に従わない場合は罰則として公表することといたしております。  第三は、遊休地対策についてであります。届け出制の適用を受けて大口取引が行なわれたあと三年以上放置されていれば、知事は遊休土地指定所有者から土地利用計画書を提出させ、利用をはかる。その計画が不適当であった場合は、知事は変更勧告できることとなっております。もし所有者がその勧告に従わない場合は、地方公共団体土地開発公社などと買い取り協議をさせ、それがまとまらなかったとき、土地収用法を発動し収用するようになっております。  また、四十四年一月以降取得して未利用のまま放置している一定規模以上の土地は、法施行後二年以内に利用をはかることとし、それに従わないときは同じ手続によって収用することになっております。  第四は、土地調査員土地白書についてであります。許可申請届け出に関して、土地立ち入り検査等を行なわせることができるものとし、その職務遂行のために都道府県土地調査員を置くこととなっております。  以上が本法律案の要旨でありますが、この法案政令に委任する措置が多く、また不許可にあたっての買い取り資金の手当て、行政組織の整備など課題が多いとは言えますが、それだけに法律運用の妙が求められるし、実効を期する手当てを早急にはからなければならないと思います。複雑多岐な土地問題の解決一つの立法でできるものではありません。しかし、今日の土地規制を第一弾として、さらに土地税制、財政、金融面など総合的な地価住宅政策の確立をはかると同時に、国民本位の土地対策を一段と強化することを推進してまいりたいと思うのであります。  以上のとおり、先ほど共産党から発言がありました日本列島改造を推進するものでないということを、明確に申し上げておきます。
  116. 木村武雄

    木村委員長 他に発言申し出もありませんので、この際、本起草案の立法の趣旨にかんがみ、その施行について、次の事項に関し、政府に要望いたします。  一、本法案第四条の国土利用計画は、開発事業の計画決定については他の法令等の定めによるものとし、直接に開発事業の実施をはかる性格のものではなく、総合的かつ計画的な国土利用確保するための長期計画であり、第九条の土地利用基本計画は、土地取引規制開発行為規制遊休土地に関する措置等を実施するための基本計画であると解すること。  二、本法案中第十六条、第十九条、第二十四条及び第三十三条の「土地に関する権利の相当な価額」の政令で、現況地目宅地である土地の売買契約を締結しようとする場合の規制価額にかかるものについては、市場相場の七ないし八割程度を政策的な目標として適切な算定方式を定めること。  三、本法案の主務大臣である内閣総理大臣の第十三条に規定する規則区域指定等にかかる指示権及び代行権については、地方自治の本旨にのっとり、地方公共団体の長の権限を最大限に尊重するものとし、その行使は、事前に地方公共団体の長に対し適切な指導を行ない、正当な理由なく一定期日をこえて地方公共団体の長が適切な措置を講じないときに限るものとすること。  四、本法案施行に伴う地方公共団体の事務及び事業の増大に対処するとともに遊休土地の有効利用促進するため、行財政上具体的な措置を講ずるよう一そうの努力をすること。  以上の要望に対しまして政府の御見解を承ることといたします。  御答弁をお願い申し上げます。内田経済企画庁長官
  117. 内田常雄

    ○内田国務大臣 ただいま木村委員長から御要望のあった事項につきましては、御提案にかかる国土利用計画法が制定され、これが施行されるにあたって、立法の御趣旨をそんたくして、次のように配慮することといたします。  以下、個条書きに申し述べます。  一、本法案により策定される土地利用に関する計画は、御趣旨のような計画であると解すること。  二、本法案の「土地に関する権利の相当な価額」の政令は、御趣旨に沿い地目別、地域別に十分調査検討の上定めるものとすること。  三、内閣総理大臣の指示権及び代行権については、地方自治の本旨にのっとり、御趣旨のように運用するものとすること。  四、本法案施行に必要な行財政上の措置については、昭和四十九年度に引き続き、昭和五十年度以降において拡充するようつとめること。  以上のとおりであります。
  118. 木村武雄

    木村委員長 次に、衆議院規則第四十八条の二の規定により、内閣意見があればこれを許します。内田経済企画庁長官
  119. 内田常雄

    ○内田国務大臣 土地問題の解決は、現下の国民の緊急かつ最大の要請でありまして、この見地から、本委員会において、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の四党委員が長期間にわたって御努力された結果、ここに国土利用計画法案が提案される運びとなりましたことに対しまして、深く敬意を表する次第であります。  政府といたましては、この法律案につきまして特に異議はございません。この法律が成立いたしましたならば、政府としてはその立法趣旨を十分体し、土地問題の解決に万全を期する所存であります。     —————————————
  120. 木村武雄

    木村委員長 採決いたします。  天野光晴君外三名提出動議のごとく、お手元に配付の草案委員会の成案と決定し、これを委員会提出法律案とするに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  121. 木村武雄

    木村委員長 起立多数。よって、さよう決しました。  なお、本法律案提出手続及び字句の整理等の必要がありました場合には、その取り扱いを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  122. 木村武雄

    木村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  123. 木村武雄

    木村委員長 次に、内閣提出生産緑地法案を議題といたします。  これより本案の質疑に入るのでありますが、質疑の申し出もありませんので、本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  124. 木村武雄

    木村委員長 この際、渡辺栄一君及び渡辺武三君から、生産緑地法案に対し修正案が提出されております。     —————————————
  125. 木村武雄

    木村委員長 提出渡辺栄一君から趣旨説明を求めます。渡辺栄一君。
  126. 渡辺栄一

    渡辺(栄)委員 ただいま議題となりました生産緑地法案に対する修正案につきまして、自由民主党及び民社党を代表してその趣旨を御説明申し上げます。案文はお手元に配付しております。  本修正案は、生産緑地制度と農林漁業との調整をより円滑にするため、生産緑地地区指定規模要件を、第一種生産緑地地区のうち永年性植物が栽培されている農地等及び第二種生産緑地地区の農地等にあっては、「おおむね〇・三ヘクタール以上」とあるのを「おおむね〇・二ヘクタール以上」に改めるほか、生産緑地の買い取り価格都市計画法等規定と同様時価に改めようとするものであります。  委員各位の御賛同をお願いいたします。
  127. 木村武雄

    木村委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  本修正案について別に発言申し出もありません。     —————————————
  128. 木村武雄

    木村委員長 これより本案及びこれに対する修正案を一括して討論に付します。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。渡部恒三君。
  129. 渡部恒三

    ○渡部(恒)委員 私は自由民主党及び民社党を代表いたしまして、生産緑地法案に対する修正案及び修正部分を除く原案につきまして、賛成の討論を行なおうとするものであります。  本案は、近年における都市化の進展に伴い、都市地域における緑地が急速に減少して生活環境を悪化させている状況にかんがみ、、市街化区域農地等のうち一定要件に該当するものを、都市計画上、生産緑地地区として指定し、農林漁業との調整をはかりつつ良好な都市環境を形成しようとするものであり、また本案は、生産緑地地区内においては宅地並み課税を適用除外とする等、前国会における地方行政委員会の附帯決議の趣旨にも合致するものであり、時宜を得た適切なものとして賛成の意を表するものであります。  また、生産緑地地区指定規模要件を緩和すること等を内容とする修正案は、都市農業等とのより一そう円滑な調整がはかられるものとして賛成するものであります。以上で討論を終わります。(拍手)
  130. 木村武雄

    木村委員長 清水徳松君。
  131. 清水徳松

    ○清水委員 私は日本社会党を代表いたしまして、、生産緑地法案の原案並びに修正案に対して反対をいたします。  本法原案の内容は、都市計画法尊重の立場に立つとはいえ、都市農業や近郊農業確立の視点並びに農家の実態を軽視したものであって、本法案目的である農林漁業との調整をはかりつつ良好なる都市環境の形成に資するという趣旨にも沿うものでもありません。特に、三大都市圏の多くの市が、条例、要綱などに基づいて独自に実施している農業緑地保全対策を十分踏まえたものということはできません。真に実効のある制度、法律とするためには、これらの実情を十分に調査、検討し、それを尊重したものにしなければなりません。そうでなければ、本法案の指向する健全な都市形成や、われわれの主張する都市農業、近郊農業確立のための支障となるだけではなくて、国と自治体との間の混乱を引き起こすことになりましょう。  ことに、世界の食糧事情の逼迫、日本の食糧自給率の低下を考え、さらに農業の環境保持に果たす役割りを考慮するとき、生産緑地制度をフルに活用し、より積極的なる農業施策を実施することが必要であります。そうでなければ、生産緑地制度の帰するところは、都市農業、近郊農業を真剣に守り続けようとする農家を欺瞞し、すでに国民の批判の的になっておる三十万ヘクタールの農地転用の実現のために、市街化区域の全農地二十八万ヘクタールの宅地化促進以外の何ものでもないということになりましょう。  このように考えると、本法案の中に考えられている生産緑地と、多くの自治体がとっておる農地保全目的のための生産緑地制度とは、全く正反対の内容であるといわざるを得ません。原案はもちろん、修正案においても、第一種、第二種ともに指定要件土地利用制限がきびしいため、実際上適用を受けられる農地はごくわずかであって、したがって宅地並み課税の適用除外については有名無実であります。特に、現に自治体の条例、要綱においても第一種、第二種の区別も存在せず、いずれも五百平米あるいは千平米程度であって、面積条件も低く、その期限も三年、五年程度が一番多いのであります。原案は初めから、この実態を無視し、修正案も少々の手直しが見られるだけであって、われわれとしては賛成することはできません。農業を守る立場から生産緑地制度を活用しようとするならば、指定面積、指定期限ともに市町村の判断にまかせることが妥当であると考えます。しかしながら、本法案並びに修正案については、このことについては一顧だにされていないことはまことに残念であります。  以上の理由から、原案並びに修正案に対し、ともに反対をするものであります。(拍手)
  132. 木村武雄

    木村委員長 浦井洋君。
  133. 浦井洋

    ○浦井委員 私は日本共産党・革新共同を代表して、ただいま議題となっておる生産緑地法案に反対の討論を行なうものであります。  本法案は、第七十一回国会における農地の宅地並み課税の実施に伴って、地方行政委員会の附帯決議に基づいて立案されたものであります。その附帯決議では、市街化区域内の農地については、その実態にかんがみ、都市計画法に基づく生産緑地の制度を創設し、一般の農地と同様の税負担とするよう検討することを政府に要望したのであります。しかし、政府よりこのたび提案されておる生産緑地制度は、附帯決議で要望したものと似て非なるものであります。  本法案に反対せざるを得ない第一の理由は、制度としては生産緑地を新しく設けながら、実際には農民が生産緑地の指定に応じられないことであります。本法律案によって一体どれだけの農地が生産緑地として残され得るのか。当委員会での質問に対し、政府側は憶測と私見でしか答弁ができず、建設省、自治省、農林省のいずれにも、何らの調査も資料もないという無責任な状態であります。  良好な都市環境のために、生産緑地を都市計画として定め、緑地、空間を確保することはもとより必要なことであります。ところが、この制度に指定されるための要件である農地面積、土地利用、権利の移転等の点で現実的でなく、農民の受け入れがたいものとなっております。農民は真剣に営農を続けることを願いながらも、政府都市農業見殺しの政策のもとで、その前途に確信が持てなくなっております。これが農民をして長期にわたる農業経営に踏み切ることをちゅうちょさせておる原因であり、農民自身の責任では全くありません。農民の同意を生産緑地指定要件としながら、その同意が期待できない条件を規定しているのは矛盾であり、本法律案の根本にかかわる致命的欠陥であります。これは容易に補正することは不可能であります。  第二の理由は、本法律案都市農業に関する位置づけが不明確であり、これを保護、奨励、発展させるものでないという点であります。政府・自民党による都市農業取りつぶしの政策は、新都市計画法による線引き、固定資産税の宅地並み課税、田中総理による日本列島改造のための農地三十万ヘクタール取りつぶしの指示によって加速的に強化をされ、農民が営農を続けることをきわめて困難にしております。本委員会における農林省の答弁も、都市農業に対して消極的、否定的態度に終始しており、これでは、生産緑地制度を形式的に創設しても、実質的には本来の意味での生産緑地として存続する保障はないのであります。  第三は、本法律案が地方自治体独自の生産緑地制度に与える否定的影響であります。本案はたてまえ上、農地を生産緑地として残し宅地並み課税の適用を除外することとしておりますから、本法案が成立するならば、現在地方自治体が自主的に進めておる各種の生産緑地制度は、もはや不必要なものとして縮小または廃止させられる方向をたどることが当然考えられます。さらに、同じ理由を口実に、A、B農地及びC農地の宅地並み課税の全国的実施に踏み切らせる理由づけを与える危険性をはらんでおります。  以上述べたように、本法律案によっては、多少の農地が生産緑地として残される面よりも、生産緑地として指定され得ない大部分の農地が宅地並み課税に直接さらされ、農民の意思に反して農地の宅地化が促進させられる面により強力に作用すると考えざるを得ません。その結果は、安い新鮮な野菜の供給源としての都市農業の衰退、宅地化に伴う人口の急増と過密状態の深刻化をもたらし、緑と空間の確保の可能性を断つこととなるのであります。これは、農民にとっても、都市住民にとっても、ともに反対せざるを得ない状態を招来することとなります。  これらの理由によって、わが党は生産緑地法案に反対をいたします。  いま政府が行なうべきことは、第一に、都市農業の重要性を認め、必要な長期的投資を含む都市農業発展の積極的施策を講ずること。第二には、地方自治体が自発的に実施している生産緑地制度を尊重し、これを継続できるよう国の財政的援助を講ずること。第三は、農地の宅地並み課税を直ちに廃止すること。第四に、宅地供給のためには、農地の取りつぶしによるのではなく、大企業の投機的買い占め地を収用し、これを生活用地やよい環境のために使うことであります。政府が真に良好な都市環境のための生産緑地制度をつくろうとするならば、これらの諸点の実施を土台として、農民が喜んで応じられる真の生産緑地制度をあらためて提案すべきであります。  なお、渡辺栄一君及び渡辺武三提出の修正案については、原案の基本的欠陥を補充するに足るものではありませんので、反対をいたします。  以上をもって反対討論を終わります。
  134. 木村武雄

  135. 北側義一

    北側委員 私は公明党を代表しまして、ただいま議題になりました生産緑地法案並びに修正案に対し反対の討論を行なうものであります。  その反対理由の第一は、本法案第一条の目的条項の中に都市農業の位置づけがなされていない点であります。今日の都市農業は、都市生活者へ欠かせない生鮮野菜等を供給しているのみならず、緑や公園の少ないわが国の都市部における緑地機能や、災害時における緊急避難地としての機能など、いろいろな役目を持っています。しかるに本法案では、そのように重要な役目を持つ都市農業の位置づけを何ら明示せず、むしろ都市化、市街化の名のもとに都市農業を切り捨てようとしているのであります。  第二は、第一種生産緑地の対象農地が市街化区域内のごく一部にきびしく限定されている点であります。すなわち本法案では、第一種生産緑地は土地区画整理事業及び開発行為が行なわれた区域では指定されないように規定されていますが、都市農業を含む良好な環境を有する都市形成をはかるためには、面積要件等がかなっておれば指定されるべきであります。  第三は、第二種生産緑地の指定要件のうち、面積規模が修正案で「おおむね〇・二ヘクタール以上」となっている点であります。三大都市圏の多くの地方自治体が実施している条例におきましても、ほとんどが〇・一ヘクタールを基準としているのが現状であります。したがって少なくとも〇・一ヘクタールを基準とすべきであります。  第四は、市町村長に対して買い取り請求が行なえるようになっていますが、本法案では市町村長がその買い取り請求に応じられるだけの財源的措置が何ら明示されていない点であります。  以上の理由により、本法案並びに修正案に対し反対し、討論を終わらせていただきます。
  136. 木村武雄

    木村委員長 以上で討論は終局いたしました。  これより採決いたします。  まず、渡辺栄一君外一名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  137. 木村武雄

    木村委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。  次に、ただいま議決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  138. 木村武雄

    木村委員長 起立多数。よって、生産緑地法案は、渡辺栄一君外一名提出の修正案のごとく修正議決すべきものと決しました。     —————————————
  139. 木村武雄

    木村委員長 ただいま修正議決いたしました本案に対し、渡辺栄一君、井上普方君、北側義一君及び渡辺武三君から附帯決議を付すべしとの動議提出されております。  まず、提出渡辺栄一君から趣旨説明を求めます。渡辺栄一君。
  140. 渡辺栄一

    渡辺(栄)委員 ただいま議題となりました生産緑地法案に対する附帯決議案について、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党を代表してその趣旨を御説明申し上げます。案文は、お手元に配付してあります。  本法案は、関係委員会との連合審査及び参考人の意見の聴取等慎重に審議が進められ、ただいま修正議決されたのでありますが、なお、審議の過程におきまして、市街化区域内農地等に対する農業施策の適切な措置都市計画地方審議会への農業者代表の参加と、市町村都市計画審議会に生産緑地部会の設置、一定期間経過後における自主的、計画的な農住構想の実施に即応する都市計画変更、地方自治体の農業緑地等保全制度でその内容が本法の規定と異なるものについての尊重などが特に議論された重要な問題でありますので、この際、政府に対し、本法の施行にあたってはこれらの諸点に留意し、その運用に遺憾なきを期するよう強く要望する必要があると思うのであります。  以上が附帯決議の趣旨でありますが、委員各位の御賛同をお願いいたす次第であります。     ————————————— 生産緑地法案に対する附帯決議(案) 政府は、本法の施行にあたっては次の諸点に留意し、その運用に遺憾なきを期すべきである。 一、市街化区域内の農地等が、都市における生鮮野菜などの安定的供給地としてわが国の食糧生産に占める役割を重視し、必要な農業施策を適切に講ずること。 二、生産緑地地区の都市計画決定にあたって、地域の実情を勘案し指定及び承認が適正におこなわれるようにするため、都市計画地方審議会に農業者の代表を新たに加えるとともに、市町村に任意の都市計画審議会を設け、そのなかに生産緑地部会を設置するよう行政指導をおこなうこと。 三、第一種生産緑地地区については十年、第二種生産緑地地区については五年経過後、農業者が自主的、計画的におこなう農住構想の実施が確実な場合には、すみやかに所要の都市計画変更をおこなうよう配慮すること。 四、地方自治体が、地域の実情に応じて現に実施している農業緑地等保全制度で、その内容が生産緑地法の規定と異なるものについては、これを尊重すること。 右決議する。 —————————————
  141. 木村武雄

    木村委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  本動議に対し、別に発言申し出もありませんので、これより採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  142. 木村武雄

    木村委員長 起立総員。よって、渡辺栄一君外三名提出のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、亀岡建設大臣より発言を求められておりますので、これを許します。亀岡建設大臣。
  143. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 本法案の御審議をお願いして以来、本委員会におかれては熱心なる御審議をいただき、ただいま議決されましたことを深く感謝申し上げます。  審議中における委員各位の御高見については、今後その趣旨を生かすようにつとめるとともに、ただいま決議された附帯決議につきましても、その趣旨を十分尊重し、今後の運用に万全を期して、各位の御期待に沿うようにする所存でございます。  ここに、本法案審議を終わるに際し、委員長はじめ委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。ありがとうございました。(拍手)     —————————————
  144. 木村武雄

    木村委員長 なお、おはかりいたします。  ただいま修正議決いたしました本案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  145. 木村武雄

    木村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  146. 木村武雄

    木村委員長 次回は、来たる十日金曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。    午後六時九分散会      ————◇—————