○福岡
委員 ただいま
共産党の浦井
委員から、野党四党に基づいて今日提案をいたしました
国土利用計画法に対しましていろいろ御批判がありました。同時にまた
共産党の案についても
説明がありました。この際私は、
共産党の浦井
委員が、私ども四党が提案をしました
法案につきまして、相当大きな誤解をされておる点がありますので、これを明らかにさしていただきますと同時に、
共産党が末尾参照で先ほど
提出されました
草案につきましても、若干の疑義を持っておりますので、その点を明らかにしておきたいと思うのであります。
その前に、今日までに至りました経過を少し明らかにしておきたいと思うのであります。
御
承知のように
国土総合開発法は、昨年四月の十九日に本
会議におきまして
趣旨説明が行なわれたのであります。自来一年有余を経過したのでありますが、この過程で特徴的な問題点は何であったかと言いますと、われわれ野党といたしましては、田中総理の日本列島改造論を実施する
法律としての
国総法にはあくまでも反対するという
立場を貫いてまいりました。しかし、一方で
地価の
高騰が著しい、
国民生活を大きく圧迫をしておるという実態にかんがみまして、緊急に
土地対策を樹立しなければならぬという方針を立てて、そのために努力をしてきたのであります。
そこで、中間の経過は省略をいたしますが、この第七十二
国会になりまして、私ども四党は、
土地対策を樹立するために野党四党案をつくったのであります。それには
共産党の皆さんも加わられまして、七項目の野党四党案ができたわけであります。この野党四党の要求を基礎にいたしまして作業を開始しようとしたのでありますが、
共産党のほうは、自民党並びに
政府の責任ある具体案を出せという要求をなされました。その要求されたのが四月の二日のことであります。私どもは、その時点で
政府・自民党から具体案を出させるということは、その時点では
国総法の修正しか出てこないであろう、そういうものを
政府・自民党から
提出されるということは適当でない、あくまでも野党四党の七項目要求を基礎にいたしまして具体的な作業に入るべきだということを主張いたしました。
共産党の同意を得ることはできませんでしたが、他の四党は合意に達しまして、その後作業を進めてきたわけであります。その作業の結果まとまりましたのが、きょう提案されましたそれであります。
したがって私どもは、野党四党要求の七項目を基礎にいたしましてこの
法案はでき上がっておるという確信を持っております。つまり、当面緊急に
措置をしなければなりません
地価対策、あるいは
土地の
取引の
規制などを中心にした
法案が今日提案した
法案であると思っておるのであります。先ほど浦井
委員は、この四党案は
国総法と何ら変わるところはない、こういう御指摘をされたのでありますが、非常に大きな誤解でありまして、私どもとしましては心外にたえない点であります。もとより
法案の個々の条文などにつきましては、技術論その他もまじえまして若干の異見があることは私どもも
承知をいたします。しかし大筋におきまして、浦井
委員が指摘されましたようなことは全くないということを、この機会に明らかにしておきたいと思うのであります。
いま浦井
委員が指摘されました、大資本の
土地の買い占め、この対策が弱いじゃないかという御
質問がありましたが、私どもはこの点を一番強く
規制をしておると思うのであります。先ほど提案者の各
委員から
柴田委員の
質問に対して答えましたように、具体的にはその
内容で明らかになっておると思うのでありますが、未
利用地を買い上げまして
生活用地に有効的に
利用していくという
規定も
法案の第三十四条に
規定されておるところでありますし、また、今後、投機のための
土地買い占めができないように各条項にわたって
規制しておることも、御
承知のとおりであります。また、地方自治権を尊重するという
立場に立ちましてそれぞれの配慮をしておることも、
法案を読んでいただければ十分明らかな点なんであります。
そこで、われわれが
考えてまいりました、野党四党の案をつくるときにも議論をしたのでありますが、
共産党がきょう末尾参照で
提出されました問題をながめてみますと、幾つかの疑問を持たざるを得ません。
その第一は
生活用地の
確保についてであります。この
生活用地の
確保の中で、
土地の先買い
協議権に
規定されております項目を見ますと、これは現在の公有地拡大推進法で対処できるものでありまして、新たに新法は必要としないとわれわれは
考えておるところであります。
第二に、大企業法人所有の未
利用地の強制買収という
共産党の提案なのでありますが、これは野党四党案を作成するときにもいろいろ議論したのでありますが、大企業というものだけに限定する点は若干憲法上疑義を持たざるを得ない。四党案は別の角度からこの点には十分対処する手だてをしておるところであります。
それから、大企業法人の
土地取得規制、二年間禁止するという条項があるのでありますが、これも憲法上の疑義のほか、大企業法人の
基準をどうするか、つまり大企業法人とは一体どういうものかという、その認定
基準を定めるのに技術的に非常に困難である。ですから、
土地取引の
規制をすることによって、あるいは
許可制の中におきましてこれらは十分対処できるというように判断をしておるところであります。
それから、第三の
一定規模以上の
許可制は、
共産党案は小
規模のすそ切りをなされておるのでありますが、すそ切りをすることは脱法行為の増大のおそれが非常に強いのであります。かつ二重
価格につながっていくものでありまして、これは妥当でない。私権を制限する場合にこういう二重
価格をもってするということは、大きく憲法上疑義のあることも論をまたないところであります。
第四番目に、
土地利用に関する
計画は別の
法律とするというように
共産党案は
規定をされておるのであります。しかし、
規制をするためには、その
基準としての
計画が必要不可欠であるとわれわれは
考えました。ただ、
土地利用計画を定める場合に、いわゆる
国総法に盛り込まれておりましたような大
規模開発が忍び込んではいけないという点については十分配慮いたしまして、条文を読んでいただければ御理解いただけるところなのでありますが、
共産党のような御心配は全然ない、かように
考えておるところであります。
以下、申し上げれば相当の項目があるのでありますが、時間の
関係もありますので要点だけでとどめたいと思います。
そこで、最後にもう一回繰り返して
共産党の各
委員に反省を促したいと思います点は、先ほど浦井
委員が述べられましたその筋道については多くの疑問がある。あるいは
法案の中身を御存じないからそういうことになったのかもしれませんが、もし
法案の中身を御
承知の上でああいう
意見を述べられるとすれば、これは党利党略以外の何ものでもないということを言わざるを得ないと思うのであります。(拍手)私どもはまじめに
国民の要望にこたえて、
地価の抑制と正しい
土地の有効
利用を
考えていこう、
生活用地を最優先してやっていこうというのがこの
法案を出した
目的でありまして、誤解のないように重ねてお願いを申し上げまして、私の
意見を終わりたいと思います。(拍手)