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1974-04-05 第72回国会 衆議院 建設委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年四月五日(金曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 木村 武雄君    理事 天野 光晴君 理事 松野 幸泰君    理事 渡部 恒三君 理事 渡辺 栄一君    理事 井上 普方君 理事 福岡 義登君       小沢 一郎君    梶山 静六君       金丸  信君    國場 幸昌君       中尾  宏君    野中 英二君       林  義郎君    村田敬次郎君       佐野 憲治君    島田 琢郎君       清水 徳松君    中村  茂君       長谷川正三君    山本弥之助君       柴田 睦夫君    瀬崎 博義君       新井 彬之君    北側 義一君       渡辺 武三君  出席国務大臣         建 設 大 臣 亀岡 高夫君  出席政府委員         農林省構造改善         局次長     杉田 栄司君         建設大臣官房長 高橋 弘篤君         建設省計画局長 大塩洋一郎君         建設省都市局長 吉田 泰夫君         自治省税務局長 首藤  堯君  委員外出席者         資源エネルギー         庁公益事業部技         術課長     下邨 昭三君         自治省税務局固         定資産税課長  川俣 芳郎君         建設委員会調査         室長      曾田  忠君     ――――――――――――― 委員の異動 四月五日  辞任         補欠選任   大柴 滋夫君     島田 琢郎君   清水 徳松君     長谷川正三君   渡辺 惣蔵君     山本弥之助君   中島 武敏君     瀬崎 博義君 同日  辞任         補欠選任   島田 琢郎君     大柴 滋夫君   長谷川正三君     清水 徳松君   山本弥之助君     渡辺 惣蔵君     ――――――――――――― 四月四日  都市開発法の一部を改正する法律案内閣提  出第八一号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月三日  公営住宅建設促進に関する陳情書外一件  (第四三六号)  勤労者持家対策の推進に関する陳情書  (第四三七号)  公団住宅家賃値上げ反対等に関する陳情書外  一件(第  四三八号)  本州四国連絡橋三路線の同時着工に関する陳情  書  (第四三九号)  下水道整備五カ年計画の改正に関する陳情書外  一件  (第四四〇号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  連合審査会開会に関する件  生産緑地法案内閣提出第五六号)      ――――◇―――――
  2. 木村武雄

    木村委員長 これより会議を開きます。  この際、連合審査会開会に関する件についておはかりいたします。  本委員会において審査中の内閣提出生産緑地法案について、地方行政委員会及び農林水産委員会から連合審査会開会の申し入れがありました。この際、これを受諾するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 木村武雄

    木村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、連合審査会開会日時につきましては、委員長問協議の上決定されますが、来たる八日月曜日開会の予定でございます。      ————◇—————
  4. 木村武雄

    木村委員長 次に、内閣提出生産緑地法案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。島田琢郎君。
  5. 島田琢郎

    島田(琢)委員 たいへんわれわれ農業者にとっては重大な関心を持っておりますこの生産緑地法案が、この建設委員会で進められてまいりましたその審議過程を見てまいりますと、非常に急いでこの法案が取り運びされているように思います。私ども農林水産委員会においても、こうした問題について非常に大きな関心を払いながら、この成り行きを実は見守っていたわけであります。しかしながら、この際、われわれ農業者を代表する立場から、この法案中身についてもう少し掘り下げて政府当局のお考えを聞いておきませんといけないという立場から、きょうは差しかえで私が農林水産委員会を代表してこちらに伺った次第であります。時間がきわめて限られておりますから、十分意を尽くせない点があろうかと思いますが、質問にあたっても、できるだけ簡単に、さらにまた明瞭に質問してまいりますから、政府側としても簡潔なお答えをぜひお願いをいたしたい。そして十分この法案の持つ意義等を明らかにしていただきたい、こう考えております。  そこで第一点でありますが、建設大臣お尋ねをいたしますが、この法案が今回建設省サイドから出された、こういうことについて、われわれは一面農業者立場からいえば、何かのいわゆる裏があるんではないか、あるいははまた、将来の農業というものについて十分建設省サイドで掘り下げた検討がなされた上でこの法案が出されているかという点については、大きな危惧を抱かざるを得ません。まず、そのねらいとするものは何なのか、大臣から明らかにしていただきたいと思います。
  6. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 都市化が進むに従いまして、やはり良好なる住宅街区並びに都市街区というものが造成されてまいらなければならぬことは、申し上げるまでもないところでございます。そういう意味におきまして、東京、大阪、名古屋と三大都市圏を見てまいりますときに、建設省市街化づくりに懸命になる、農林省もどういうふうにして農村意向を維持して農業経営を安定的なものにしていくかという、この二つの行政要求が出てきたことは当然でございます。それが税問題やらいろいろないわゆる行政の盲点とでも申しますか、農林行政建設行政のちょうど接際部に起きた問題であると私自身は認識をいたしておるわけであります。  そこで、これをどう解決してまいるかということになりますと、お互いが納得し合う、理解し合える立場をとらなければならないということで、私自身、実は宅地並み課税というときにも、いわゆる農業者気持ちというものを十分考えた上での税制にしなければならぬという主張をした一人でございます。御承知のような経緯をたどってあの税法が成立いたした際に、やはり農業者の言い分というものも聞いて立法しなければいかぬぞという附帯決議もちょうだいしたわけでございます。したがいまして、これは政府からいたしますれば、建設農林共同提案という形になるのが望ましいのかもしれませんけれども、とにかく、全国的な問題でもなく三大都市圏に限った問題として一応取り上げようということで、当建設省が担当いたしまして提案申し上げ、建設省所管ということで御審議をいただいておるわけでございます。  したがいまして、私といたしましては、就任以来この法案と取り組むにあたりまして、その辺のいわゆる建設行政都市行政都市計画といったようなものと、やはり農業でなければ生活していけないという方が現におるわけであります、市街化地域の中にも。転業したいというても、とにかく五十を過ぎて、六十を近くこして、そうしてあと十年なり十五年なり農業でなければ食べていけないという方も現におられるわけでありますから、そういう農業者方々とのいわゆる調整をどのようにはかってまいるかということを一つ考えましたのと、本来建設省が伝統的に申してきておりました、特に日本都市という実態の中で、いわゆる公園なり緑地なりの占める比率が非常に国際的に比べて低い。そういう面で、公園とか緑地帯とかレクリエーションの場とか、そういう緑に包まれた地域をふやさなければならないという至上命令都市行政の中にもあるわけでございます。したがって、その先ほど申し述べました都市行政上から来る要請と、いわゆる現に市街化地域農業をやっておられる方々、いわゆる農業者との調整をどうやっていくかということにも目をつけまして、実は生産緑地という構想を打ち出しまして本法律案提案をいたしたわけでございまして、私どもとしては、やはり農村の協力を得ながら都市化を進めていきたいという気持ちが、この法案に対する私の、担当大臣としての気持ちでございます。
  7. 島田琢郎

    島田(琢)委員 この法案が準備されて以来、農業者サイドからは、いま大臣がおっしゃっていることに対しても十分理解しながらも、一面、日本の将来の農業あり方というものを考えてまいります場合に、この生産緑地法が大きく日本農業の確立に立ちはだかってしまっては困るという、そういう意見が強く農業団体を中心にして出てまいりました。本委員会における審議状態を見て、昨日は非常にたくさんの人たち中央に集まってこの生産緑地法案に対する意見を出しております。大臣は、こうした農業者サイド意見については、どのように受けとめておられますか。
  8. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 私も、詳細には承っておりませんけれども、この法案提案するに至りますまでの過程において、全農、農協中央会、全国農業会議所等の御意見等も十分承ったつもりでございます。したがいまして、よく私どものほうにも、農業会議でありますとか、あるいは農業協同組合方々でありますとか、それぞれ陳情に見えられましていろいろお話を申し上げてもおるわけでございます。私どもとしてはよくお話し申し上げて、これはお互いに譲り合ってやっていかなければならぬわけでありますので、一〇〇%は納得してもらえなくてもあらかた御理解をいただいているんじゃないかなという感じを持つわけでございます。  ただ、いわゆる面積の基準でありますとか、それからC農地等が一体どうなるんであろうかといったような不安の問題、そういう問題については立法上の配慮がもっとあってしかるべきじゃないかという点はあるいは指摘されるかもしれませんけれども、私どもとしては、先ほど申し上げましたような農業側都市側との調整点としては、まあまあの線がこの法案で確立されておるものと思います。  それで私、最初に申し上げましたように、農業団体の方の御心配するような点については、きのうも実は大会のあとどものところにお見えになられたわけでありますが、そういう際にも実はよく私の気持ちを申し上げまして、とにかく国会審議を尽くしていただくということで一応お帰りを願ったということで、私も団体側の一応の御意向というものは十分心得ておるつもりでございます。
  9. 島田琢郎

    島田(琢)委員 大臣建設省大臣でありますから、この都市計画をはじめとする都市あり方についてウエートを高くお持ちになるのは、これは私は否定できない。また当然だと思っております。ただ、今日私ども農業者が非常に心配しておりますのは、昨年からきわめて顕著になりつつあります国際的な食糧危機というものが一つございます。しかも日本は、長い間高度経済成長政策のひずみの中で、一番弱い農業の部面がだんだん後退をし、今日では国内における食糧自給率というものは、世界先進国の中では最も低い国だといわれているのであります。つい先ごろ発表になった農業白書によっても、国内における量的な自給率は七三%と、前年よりさらに落ち込んだという報告がなされております。しかも私どもは、正確に食糧自給率をとらえる場合には、こういう量の上あるいは金額だけのとらえ方ではなくて、動物に食わせる飼料なども含めて国内自給率オリジナルカロリーで計算すべきだ、こういう主張の中で言ってまいりました。そうしたカロリー計算によりますと、半分しか国内食糧自給されていないという状態にあります。  なるほど、都市に集中してくる今日の実態から見れば、都市計画というものは非常に大事な側面を持っておるということは私自身もよく承知しております。しかしながら、都市生活者といえども毎日生きていくための食糧がどうあるべきかということに重要な生活上の基礎があるということも、私が申し上げるまでもないことであります。そういう面を考えますと、昭和三十六年以来急速に落ち込んでまいりました日本国内食糧自給率というのは、日本民族にとってたいへん重要な関心事といわざるを得ないのであります。  しかも、かつて六百万ヘクタールを数えました国内農業用生産地は、今日では五百八十万ないし五百七十万ヘクタールに落ち込んでいるというのが現況であります。したがって、農地を確保するということは、食糧自給力を維持し、かつまたこれを向上せしめていく重要な基礎条件といわなければなりません。したがって、今日のこの生産緑地法案なるものは、表面では、なるほど私がいま申し上げた点について、一応そこに歯どめをかうための法案であるというふうな説明がなされておりますけれども、しかし、その中身を見てまいりますときには、どうもその裏にあるものは、なお農地取りつぶし方向に進んでいく気配が濃厚だとわれわれは受け取らざるを得ないのであります。そこに大きな危惧を抱いているということを冒頭に申し上げたのであります。  しからば、こうした日本国内食糧自給という問題については、建設大臣としてこれをどのように見ておられるのか。所管が違うからわからぬということでも困るのでありますけれども、そうした点を十分踏まえて生産緑地法案なるものを出されたと私は考えておるのですが、大臣はこの農業問題をどのように理解されておりますか。
  10. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 農業問題につきましては、何と申しましても命から二番目の大事な食糧をつくっておる産業、それが農業であります。その農業が衰微して食糧自給の問題がほんとう表面に出てきますと、これはもうたいへんなことになるわけであります。昨年もカナダや米国、豪州から中国やソビエトが大口の買い付けをやっただけで、もうあれだけの国際的な食糧の値上がりを来たしてきておるわけでございます。そういう中にあって日本農業を振興し自給率を高めていくという、特にえさ関係しかり、それから果樹関係でありますとか、養蚕でありますとか、いずれを見ましても、とにかく農業関係を伸展さしてまいらなければならないということで、政府も懸命の努力をし、先般の畜産物価格あるいは繭糸価格等の決定にあたりましても慎重な配慮を行ないまして、物価抑制のおりからではありますけれども農業者生産意欲を高揚するために思い切った措置を講じた点も御理解いただいておりますとおりで、政府としては農業を非常に大事な政策目標として推進しておりますことは、もう御承知のとおりでございます。  したがいまして、そういう立場に立って、もういままでの立法のままでまいりますと、都市計画によりまして強制されるというような農地であっても、この生産緑地法という法案提案することによって、農業をやりたい、農業生産を続けたい、農というものに愛情を持った諸君の気持ちというものを今後続けさしていける措置法律的にここで定めたわけでございまして、建設省であるから都市づくりにのみ懸命になって、農家のことは二の次、三の次としてしか考えないのだという立場でこの立法お願いをしておるわけじゃございませんし、また今後の運営につきましても、都市対策の中にも強く要求されておりますこの緑地というものの造成公園というものの造成、これはもう日本都市世界先進国に比べましても非常におくれておるわけでありますから、そういう要求もあるわけでございますので、その要求と、農業の重要さに伴う農家生産意欲を持続するという、これを調整する法律として御提案を申し上げておるわけでございますので、御心配になるような点はないのではないかと、実は昨日も陳情を受けましたときに申し上げた次第でございます。
  11. 島田琢郎

    島田(琢)委員 ところで農林省としては、この生産緑地法案の進んでいく過程あるいは取っかかりの段階で、建設省とはどういう相談がなされましたか。
  12. 杉田栄司

    杉田政府委員 都市計画中央審議会等に参加をいたしておりまして、また役所といたしましても、生産緑地法案内容等について事前にこまかく打ち合わせはいたしております。
  13. 島田琢郎

    島田(琢)委員 こまかく打ち合わせをしたということだが、農林省サイドからの主張点は何と何であったのですか。
  14. 杉田栄司

    杉田政府委員 農林省といたしましては、いわゆる市街化区域の中の農地につきましては、計画的に十年内に市街化される地帯であるという観点から、一面では、率直に申し上げてある程度あきらめも持ったのでございますけれども、実は相当まとまった土地につきましては、これはやはり市街地に対する生鮮食料品等の重要な機能も持っておるという観点から、できるだけ農地としても存続する限りはりっぱな農業ができるように持っていきたいというような観点からいろいろな主張をしたわけでございます。
  15. 島田琢郎

    島田(琢)委員 いろいろだとかいったような、きわめて抽象的な私の質問に対してのお答えでしかないのでありますが、私はこの点は、建設省サイドから出されたということに対しての一面の危惧を持っているということを先ほど建設大臣お話をしました。農業を守り農民をどういうふうな立場に位置づけるかという役割り農林省の責任であります。建設省に御心配いただくということは本来筋違いではないですか。それをあなたのほうでは、いまの二度の答弁の中では、私は農林省サイドとしての意見は積極的に持ち込まれていないという印象を持ちました。一面あきらめも持ちましたということばによって表現されているように、農林省サイド考え方生産緑地法案の中に盛られていないとすれば、これは重大であります。重ねてお尋ねをいたしますが、そんな程度の考え方しかこの法案にはお持ちになっていないのですか。
  16. 杉田栄司

    杉田政府委員 本案に対しましては、当分の間農地として農業生産が営まれるわけでございますから、その存続する期間あるいは取り扱い等につきまして、農林省としても重大な関心を持っておるということから御協議をいたした次第でございます。
  17. 島田琢郎

    島田(琢)委員 幾ら聞いても抽象的なお答えしか返ってきません。農林省都市農業に対してどういう評価をお持ちですか。
  18. 杉田栄司

    杉田政府委員 重複になって恐縮でございますけれども市街化区域につきましては、都市計画法上いわゆる優先的、計画的に市街化をはかるというような地域であるということになっておりますが、一面では都市に対する生鮮食料品あるいは果樹お茶等供給機能も持っている、そういうふうに考えております。したがいまして、農政上の立場からは、効用が長期に及ぶような、そういう施策を加えるということは困難ではございますけれども、なお当分の間はそういう農業上の利用が続けられる土地がございますので、農業経営を継続するために必要なそういう各種施策農林省としてもとってまいるという観点から、この生産緑地につきまして、農地としての取り扱いに、建設省と対応して措置をとっていくという考え方でおるわけでございます。
  19. 島田琢郎

    島田(琢)委員 都市農業に対する評価ということに対してのお答えとしては、まことに私としては不満であります。都市近郊農家は、外的な阻害要因を排除しながら困難の中で今日まで営農を続けてきているという、たいへん苦労を持ってがんばっているわけであります。そのことを建設大臣評価しながら、大事な農林省評価としてはきわめて消極的で、都市計画法の中にあって、わが農林省の側からいえばこれはアウトサイダーである、こういうふうな消極的な姿勢で今日この都市農業を守るということはできないと私は思うです。私は農水委員ですから、農水でこの問題をやればいいわけなんですけれども、そういうあなた方のお考えというものは、きょうは建設大臣にもこの場でよくひとつ聞いてもらいたいという趣旨を含めて農林省の皆さんをお呼びしたのでありますが、あにはからんや私の心配したとおり、この生産緑地法案に対する農林省姿勢がきわめてあいまいであって消極的だ、こういうふうな印象をぬぐうことができなかったことを私は非常に残念に思います。  さて、建設大臣に重ねてお尋ねをいたします。  先ほど大臣のお考えは、農業を大事にする、そうした都市農業でがんばっておられる人たち考えた上でこの法案をつくったという趣旨答弁がありました。しかし、農林省との十分な協議が必ずしもなされていないというふうな印象の中では、私の印象として、市街化区域内の農地というのは都市整備のための保留地だ、そういうふうな域を出ていない感じがいたします。この点について重ねて大臣の所見を承りたいのでありますが、いかがでございますか。
  20. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 確かにその心配があると思います。そういう面が確かにございます。よき後継者があって親の農業をそのまま継いでいこうというのは、純農村地帯においてもなかなか少なくなってきておるというのが昨今でございます。そういう中で、やはり農業しかできないからということで、固定資産税が高くなっても農地を手放さずに農業努力をしておられるという方も、三大都市圏等においては特に多いわけでございます。したがいまして、せめてそういう方々の希望だけでも生かす方法はないかということで、いまのままでほっておきますと固定資産税宅地並みで取られてしまうということでは、これはもうほんとう農業をやりたいと思ってもなかなかできない。そうかといって、それじゃどうするかということになると、その辺の不動産屋にもう手放さざるを得ないというようなことになっても、これは困るわけでございますので、やはりそういうのは法律でもって、ほかの農業者と同じような固定資産税の納入によってちゃんと営農が続けられるということが、私は、農林省側としてはこの法案に対する一つの大きな農家に対しての措置、こう考えられるわけでありますので、都市計画公共用地のための、いま御指摘になったような性質のものにしておるのではないかという御批判でありますけれども、私どもとしては、あるいはそういう目で見られる節があるかもしれませんけれども、とにかく営農をやりたいという方が、法律上堂々と市街化区域の中においても農業がやっていけるという法的根拠を与えるということが、私は農業者をないがしろにするというふうに申されますと、たいへん心外である。また、国会でいろいろ附帯決議等政府に対して御要求になられたのもその精神ではなかったか、このように思ってこの法案づくりをいたしたつもりでございます。
  21. 島田琢郎

    島田(琢)委員 私はなぜそういう点をしつこく聞くかといいますと、あなたのお考えとはうらはらに、総理大臣みずから三十万ヘクタールの農地転用ということを指示しております。この三十万ヘクタールをどこに求めるかということを常識的に考えてまいりますならば、こうした地帯における都市化の傾向に対応するということを考えますならば、当然ここに求めるということが常識的だというふうに判断をしているからであります。したがって私は、基本的にはまずこの三十万ヘクタール土地取り上げの問題について、明確に総理みずからこの考え方を引っ込めるなり、あるいは考え方を改めるなりの方向が出てきて、初めて私はいま大臣がおっしゃった点について納得ができると思う。それがないものですから私は、どうも政府考え方としては、この生産緑地法というものは一つの隠れみのであって、何らかの手を通して農民から土地を取り上げていくようなことを考えているのではないかと勘ぐらざるを得ないからであります。  しかもまた、いろいろ問題点が中にありますけれども、それにしてはあまりにも指定の要件というものがきびし過ぎる、こういう指摘ができると思うのです。そういう場合において、たとえば第二種生産緑地の三十アール以下の面積についてはどのように考えているか、この点が先般も同僚議員質問に対してあまり明らかになっていないと思うのでありますが、この点についてはどういう措置をお考えになっているのか。先般の質問の中ではこれを全面的に否定されているようでありますけれども、私は、三十アール以下の農地についても、真剣にそこに農業で生きていこうとする農民がある限りこれを救い上げていくということが、前段大臣がおっしゃった、農業の重要性を認識しているということであるならば、私は当然措置されてしかるべきだと考えますが、この点は、いかがですか。
  22. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 第二種生産緑地の規模要件としては、おおむね〇・三ヘクタール以上。おおむねというのがありますから、私ども常識的に考えまして、一、二割減ったところ、つまり〇・二五ヘクタールぐらいまでのものは当然含まれると解釈しておりますが、それにしてもそういった規模要件があるわけでございます。これは本来、市街化区域の中で、周辺が市街化されていくという中で、農業として相当長期間継続的に続けていくというためには、そういう面からも、やはりある程度の規模がなければその要件が保障されないのではないかということもありますし、また、都市計画サイドから見ましても、貴重な三大都市圏の中の土地ということを考えれば、基本的には、一定の緑地をとりつつも、残りは公共用地あるいは宅地として市街化の対象になっていくという地域でもございますので、その中でなおかつ都市計画上意義づけて積極的に制度化するというためには、基本的には一ヘクタールぐらいなければならない。これは都市の環境機能という面を保全するためにも必要な規模だと思いますが、あえて第二種につきましては、区画整理等の計画的な面開発が行なわれた地域でもあるし、いつまでも期限のない制度とするわけにもいかないだろうということとあわせまして、特に規模要件を縮めまして、生活機能というような面ではおよそ最低限と思われる規模、たとえば児童公園の規模が大体その程度でありますが、その程度のもので考えられるような、その相当規模というものが最小限必要ではないか、こう考えたわけであります。  なお、この規模以下のものということになりますと、この制度では拾えません。しかしながら、従来からあります施設緑地としての都市計画決定の運用等によって、このほうは規模要件がありませんから、おそらくは〇・一ヘクタール以上のものは拾えるものと思います。
  23. 島田琢郎

    島田(琢)委員 現在、市町村の自治体で、この三大都市圏の中で、相当生産緑地制度というものを条例化して進められているようであります。この三大都市圏内ではどれぐらいの市町村がこの条例を制定して制度化をはかっておりますか。またそういう予定もあると思いますが、予定の市町村も含めてその数をお知らせいただきたいと思います。
  24. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 私ども調べました範囲では、現在実施しているのが六十二、近い将来考えようとしているのが十二、合わせますと七十四、したがって百八十二の市に対しまして約四割程度のものが実施または実施を考えている、こういうことと考えております。
  25. 島田琢郎

    島田(琢)委員 大臣、この四〇%というのは、私の調査ではもう少し高いのでありますが、大体六〇%ぐらい、予定町村を含めてこうした考え方を持っているというふうに私は考えております。しかし、いま御発表の数字によっても、四割の市町村がこの制度に対して積極的に取り組んでおるわけであります。  こうした自治体の生産緑地制度を中心にした取り組みについては、建設大臣としてどういう評価をいたしておりますか。
  26. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 各市におきましても、新たに宅地並み固定資産税という税収によって市の財政がそれだけふえてきておるわけでございますので、その中から大事な農業振興策に助成をしてまいるということは、自治体としては私は当然な措置ではないか、こういうふうに考えておる次第でございまして、この点については、どうとも私自身としては申し上げるところございませんけれども、先ほど来申し述べてまいってきておりますように、生産緑地という制度ができました際には、これはほんとう都市側農村側との調整点ということで提案をいたしておりますので、私ども気持ちも十分御理解いただくことによって、この制度は生産緑地の制度のほうに集合されてくるということが望ましいと考えておりますし、また、それにはある程度の経過期間というのも当然必要になってくるんじゃないか、こんなふうにも考えておるわけでございます。
  27. 島田琢郎

    島田(琢)委員 自治省は、こうした自治体の動きに対して、どういう評価をしどういう取り組みをしようとお考えですか。
  28. 川俣芳郎

    ○川俣説明員 先ほども建設省のほうからお答えがございましたように、特定市街化区域農地が所在いたします百八十二の市の、うち六十二団体において、主として市の要綱等に基づきまして補助金もしくは奨励金を出しておるところがあるということについては、私ども承知をいたしております。これら補助金あるいは奨励金を交付しております各団体の交付の内容あるいは要件等を見てまいりますと、主として面積一定規模以上あるいは営農一定期間以上というような要件を設けておるところが大部分だと承知いたしております。このような点につきましては、やはり自治体としての関係市が、緑地の保全等の見地から独自の判断で奨励金等をお出しになっているということでありまして、それはそれなりに評価できることではなかろうかというふうに考えております。  生産緑地制度ができました場合におきましては、都市計画サイドと近郊農業との接点として生産緑地制度ができまして、そして具体的な指定が行なわれることになるわけでございますから、私どもといたしましては、この制度ができました場合においては、関係市において現在交付されておりますところの補助金、奨励金については再検討と申しますか、見直しが行なわれることになるのではなかろうか。ただ、具体の生産緑地の指定が行なわれますまでにはかなりの期間を要するというふうに考えられますので、その間においては現在の補助金なり奨励金の交付が過渡的に継続することもあるであろう、かように考えておるところでございます。
  29. 島田琢郎

    島田(琢)委員 こうした自治体における制度の中では、いまほとんどの町村において面積制限を加えておるという話がありましたけれども、ごく一部に面積制限を加えられているほかは、ほとんど面積的な制限という条項はないのであります。あるというならどこがあるのかお示し願いたい。〇・二ヘクタールというところは二、三カ所あるようであります。あとはほとんど面積的な制限がない。そういう中で自治体は生産緑地を守ろうとしているのであります。しからば自治省としては、こうした制度に対して財政的にはどういう考え方をもって対処しておられるのか、その二点について重ねて質問いたします。
  30. 川俣芳郎

    ○川俣説明員 詳細にわたりまして逐一調査をいたしたわけではございませんけれども、私ども承知いたしておるところでは、大部分の団体において一定の面積要件を設けておるというふうに聞いておるところでございます。なお、補助金の交付のしかたにつきましては、これも大部分が固定資産税額の一定割合ということでございます。中には例外的に全額相当分を交付しておるという例もあるようでございます。
  31. 島田琢郎

    島田(琢)委員 時間が近づいてきましたが、もう一度前に戻って質問いたしますが、大臣はこの三日の当委員会における質問に答えて、農業施策は関係省で措置すべきだ、こういう趣旨答弁をしておられます。しからば建設大臣立場から、この生産緑地における農業施策はどうあるべきだとお考えですか、その点をまず明らかにしていただきたいと思います。
  32. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 この法案が成立させていただきまして、これが具体化いたしました際には、私の希望といたしましては、われわれ建設行政をあずかるものといたしましては、やはり良好なる市街化地域というものを造成をしていく必要があるわけでございますので、その中で、生産緑地としてそこで農業経営をやっていただくということになるわけでございますので、やはり都市農業等にふさわしい農業というものがそこに生まれてきてほしい、こういう感じがいたすわけでございます。そういうところでは、養豚でありますとか、養鶏でありますとかということは、これはおのずから無理ではないか。やはり生鮮食料品あるいは温室というようなものによる、土地の生産の回転率の多い、資本の回転率の多い農業経営等をやっていただくようなことによって、都市化にふさわしい農業というものをやっていただきたいなという感じがいたすわけでございます。また、そういう都市農業に対する施策というものは、これはもう農林省のほうで十分お考えいただけるもの、こう考えるわけでございます。
  33. 島田琢郎

    島田(琢)委員 第一種の指定要件の中に一ヘクタールの面積制限を加えている。都市の中における農業は、平場における農業と違いまして、近接にいわゆる高層ビルのようなものが建ってまいりますと、一ヘクタールでも日照上の問題が出てまいります。水と太陽というものは農業にとって欠かせない重大な要件でありますが、私は、この一ヘクタールという面積制限をされた基礎的な考え方というものはまた別にあるのではないかと思いますが、これはいかがですか。
  34. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 一面では、御指摘のような農業市街化区域内における独立しての存続可能性というような点もありますが、私ども法案で主として考えました考え方は、良好な生活環境を保全するというためには、何といっても規模要件というものが要るのではないかということが一つ。それからその規模要件としては、たとえば公園などは児童公園とか近隣公園というような種類がありますが、児童公園など規模の小さいものでは環境上の要請にはこたえられないという判断で、近隣公園、これは普通二ヘクタール程度なのでございますが、その程度になってはじめて環境機能をあわせ持つ公園ということはいえると評価しております。そういったこととあわせ考えれば、この場合も二ヘクタール程度が望ましいのでございますが、あまりきつい要件ということも実際上困難ではないかという考え方から、あえて近隣公園としても考え得る最低規模というようなことも目安にしながらおおむね一ヘクタールということにいたしたわけでありまして、まあ小さいといえば小さいのですけれども、この程度あれば都市環境上の意味合いは十分持てるのじゃないか、こう思います。
  35. 島田琢郎

    島田(琢)委員 農業者立場気持ちを十分そんたくしていないという感じで私は受け取っております。それは建設省サイドだから、その面についての考え方というものはきわめて都市計画法によらざるを得ない。いわゆる都市立場でのものの考え方が出てくるということは、いたし方がないといえばいたし方がないのかもしれませんけれども、さすれば農林省としては、先ほどの私の質問に対する答弁としては、農林省自体が実情を的確に把握していないという私は印象であったのであります。  いま大臣から、畜産経営というようなものは畜産公害等の関係から無理であろうが、そのほかの蔬菜あるいは園芸等の経営というものを促進していくべきではないかという説明がありました。ここまで建設省が言っていることに対して、農林省としては、まだこの期に及んで内容がどうもはっきりしないというのはいただけぬと思うのであります。重ねて聞きますけれども、この生産緑地に対する農業政策を、アウトサイダーだなんていわないで、どう進めていこうとしているのかをやはり明確にすべきだと思うのですが、いかがですか。
  36. 杉田栄司

    杉田政府委員 生産緑地といいましても、いわゆる都市計画法上は、先ほど申し上げましたように、十年以内に優先的かつ計画的に市街化をはかるべき区域というふうに定められております区域でありますから、効用が長期に及ぶ、そういう施策を実施するのはなかなか困難であるということを先ほども申し上げた次第でございます。しかし、当分の間は農業上の土地利用が続けられるのでございますから、これらの土地につきましては、経営を継続していくために必要な施策、たとえば防災的な仕事とか、あるいはまた農業者に対する経営並びに技術上の指導、病虫害の防除あるいは家畜衛生等の施策というようなもの、あるいは多少公共的な色彩の強いものにつきましては融資の事業とかいうものを十分に活用してまいりたいというふうに考えております。ただこの生産緑地は、一面では農業生産の場であると同時に、都市に対しましてやはり環境上の利便をもたらすという機能もございますので、具体的に申し上げますと、特に排水路というような公共的な事業につきましては、都市側施策を十分に活用して、農地の排水等もあわせて実施していただくように今後両省で調整してまいりたい、かように考えている次第でございます。
  37. 島田琢郎

    島田(琢)委員 私は、この法案が出される前に、そうした点について建設省農林省が十分考え方を出し合って、その中からはっきりした生産緑地における農業政策を打ち出した上でこの法案が出されるべきだと考えておりました。そういう一つのプロセスを経ずして、今後この法案が通って、建設省サイド考えられてきた時点でいま言ったようなことをやろうとするということは、私は消極的ではないかという指摘の点なんであります。  大体いままでの成り行きを見てまいりますと、農林省側考え方としては、まあ市街化区域内における農地というのは都市整備のための保留地なんだから、あまりわれわれのほうからくちばしを入れるのもどうかと思う、こういうふうな考え方が終始貫かれている。きわめて消極的な考え方によって貫かれているという点は、私は所管農林省としてはきわめて遺憾な措置といわざるを得ません。しかもその考え方の中には、宅地並み課税適用除外で事足りるという考え方がある。昨年の宅地並み課税のときにも、そういう考え方農林省側考え方として示されたことは、きわめて私は残念でおったのであります。そもそも、都市内における生産緑地を含めたいわゆる国民の保健上大事だといわれておりますこのバランスというのは、大臣、一体どれくらいが適当だとお考えですか。
  38. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 市街化する区域の中でも相当量の緑地あるいはオープンスぺースというものが必要なことは当然でございまして、特に緑というものの生活環境に及ぼす効果というものを考えますと、欧米諸国等の例、これはまあ土地日本に比べて非常に広いわけですから、直ちに例にならないにしても、できればそれに近づけたいと考えるのは当然であります。私どもも基本的には、都市公園あるいは都市緑地の整備というものを基本にしながら、緑地保全地区の指定とか、風致地区の指定とか、それに今回の生産緑地、こういったものを加えまして、一人当たりで相当程度の規模のものがやがては確保されるように逐次整備してまいりたいと思います。
  39. 島田琢郎

    島田(琢)委員 いま農民の側からこの制度に乗り切れないということが出ている問題点があります。それは、いままでも話に出しましたけれども、第一種の指定要件であります面積制限の問題や、それから公共用地として適地であるというものの見方や、それから用排地など農業継続が可能な条件を備えているところでなければならないといった条件やら、あるいは都市施設の整備に支障を生じないといったような制限が加えられ、かつまた関係全権利者の同意が得られなければこれまた移転ができない、開発ができない、一人でも反対する者があったらだめだ、こういうふうに手きびしく制限を加えているところに乗り切れないという農民側の意識があります。しかも十年たって売ろうとしても、なかなか自分たちの意思どおりに、価格の面においても、あるいは開発を進める上においても手をつけることができない。この点は私は、大臣のお考えになっている生産緑地の持ち方としてはきわめて矛盾する点ではないかと思うのですが、この点は大臣いかがですか。
  40. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 実はいままでの都市計画法の法的措置でまいりますと、ほんとう農業を経営しようという方に対しても非常にきびしい法的措置になっておることは御承知のとおりでございます。それを島田委員は、農家に対する愛情が全くないじゃないか、こういうふうに御指摘になるわけでございますけれども、私どもとしては精一ぱい、とにかくそういう都市計画のきびしい要請の中においても、農業者の希望というものがある期間達成していけるようにという配慮をしなければならぬぞと国会のほうから附帯決議でお示しいただいたわけでございますので、その気持ちも十分取り入れながら、やがては市街化地域として、公園になりますか、あるいは公共施設になりますか、それはいまのところ見当はつきませんけれども、そういうふうになるであろうところであっても、農業者としての立場を十分理解した上での考慮をして、先ほど来申し上げておりますとおり、宅地並み課税の免除、それから農業に対する積極的な施策というようなこともあわせて考えてまいる。その期間が短いということでおしかりをいただくわけでありますけれども気持ちとしては、農家の協力を得なければ今後の都市政策といえどももう十分に効果をあげることはできないというような感じも、実は私、持ちながらこの法案提案させていただいたことを申し添える次第でございます。
  41. 島田琢郎

    島田(琢)委員 私は重ねて申し上げるわけでありますが、せっかく大臣がいまお答えになっているように、あるいは先ほど来お答えになっているように、農業の重要さを認識している、こういうことであるならば、まず生産緑地内における農業者の経営の安定が先行していかなければこの制度の持つ意味はないと思います。  きわめてくどいようでありますが、私は、先ごろ農林事務次官を退官された亀長さんが、農林省を去ってみて、初めて日本農業のいわゆる立ちおくれ、あるいは大事な食糧の問題についてうかつであったことがわかった、こう言って反省をしております。つい先ごろまで農林省を牛耳った事務次官がそう言っているのであります。各国を外遊してみてしみじみと感じたと私どもに言っております。しかも、石油の問題に限らず食糧資源の確保というのは、わが国においては、よその国以上に深刻であり急がなければならない重要な施策一つだ、自国資源を完全に活用しそういう面について力を入れていくというのは、農林省の仕事だけではなくて、いまの政府に与えられている重要な課題であって、急がなければならない点であるということを彼は繰り返し強調いたしております。私はいまごろ何を言っているかと言いたいのでありますけれども、しかし、実際その器の中にいるとわからぬことが多いということもありますから、その辺は百歩譲って彼の弁を肯定するとして、私は少なくとも、杉田さんもここにおられるが、あなたの構造改善局の所管である生産緑地の問題は、きょう御答弁になっているような姿勢では、亀長さんと同じように、あなたが農林省を去ったときに、えらいあやまちをおかした、こんな後悔をするだけでは済まされない問題なのであります。ですから私は、いろいろな制度を通じて、あらゆる施策を通じて今日の日本農業を守っていくということは、いわゆる日本民族の命を守るということでありますから、こうした農業者に対する施策というのは重厚であり過ぎるということはないと私は思います。  これは私は、農民だからそのセクトでものを言っているのではありません。農林水産委員会においても、私は終始こうした考え方主張してまいった。たまたまこの生産緑地法案なるものが出されるに及び、大臣お答えになっている点について私は一そうの疑念を強めるわけでありまして、そういう点、建設省としては建設省考え方があり、やろうとする進め方があると思いますけれども、一面において、こうした日本の重大施策一つである国内食糧資源の活用、そしてこの開発というものは非常に急がれる重大な施策であるという御認識の上に立って、十分ひとつ各界の意見を聞いて、こんなに急いでこの法案を取り進めていくということでなく、もう少し時間をかけて徹底的に議論をして十分の了解と納得を得た上で進めるべきであるという主張を、最後に私は、繰り返しでありますけれども強く申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。大臣、最後に私がいま申し上げました点の考えを御披瀝いただきたいと思っております。
  42. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 御趣旨よく理解できます。建設行政を推進する上につきましても、建設省といたしましては、農村の協力を得なければ建設行政は全国的にいろいろな面において円滑に進まないという面が多々あるわけでありますので、政府としても、農業政策を重視するという立場を、建設行政の面からやはり踏んまえて今後の建設行政を進めてまいりますし、特に今回提案をして御審議をいただいおります緑地関係の生産緑地法案につきましても、急ぐと申されるわけでありますけれども、私どもとしては、やはり宅地並み課税というものの免除規定をせっかく設けておるわけでございますので、せめてほんとう都市側から見た大義名分がここに立って、立法措置として堂々と、そういう農家に対する、農業に対する特別の措置ということが講ぜられようという内容も持っておるわけでありますから、やはり国会附帯決議という精神からいっても早いほうがいいのではないかということで、農林省とも実は昨年の宅地並み課税の問題以来ずいぶん長いこと協議をしたあげくに、このような結論を出して御提案申し上げたということでございますので、その点、御理解を賜りたいと思います。
  43. 島田琢郎

    島田(琢)委員 限られた時間でのやりとりでありまして、きわめて意を尽くせない点があって、私自身も残念であります。私どもも所属する農林水産委員会でも、この問題を十分詰めて将来に悔いのないような方向に持っていくように努力をしたいということも重ねて申し上げて、私の質問を終わります。
  44. 木村武雄

  45. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 まず建設大臣にお聞きいたしますが、いま提案になっております生産緑地法案につきましてお聞きいたしたいと思います。  本案を御提案になりました趣旨法案の第一条の「目的」にあるわけでありますが、昨年、地方税法の改正をいたしたわけであります。これにはいろいろな経緯があるわけでありまして、あとで御質問に関連いたしまして申し上げたいと思いますが、私どもはもとより反対であったわけでありますが、これが採決になりました際に、地方行政委員会におきまして附帯決議をつけたわけであります。「市街化区域内の農地については、その実態にかんがみ、都市計画法に基づく生産緑地の制度を創設し、一般の農地と同様の税負担とするよう検討すること」、この地方行政委員会附帯決議を尊重してこの法案ができたのか。あるいは今後都市計画法に基づきまして早急に市街化の整備をしなければなりません市街化区域、これは全国的には二十八万ヘクタールあるわけであります。これを整備するいわゆる都市計画の手法として、生産緑地を公共空地にかわるべきものとして活用するという意味で制定せられたのか。この点につきまして、おそらく両方とも関連はいたしていると思いますが、どちらに重点を置いて立法をされましたか。大臣の所見を承りたいと思います。
  46. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 実は建設省といたしましても、公園都市内の緑地、レクリエーションの場、そういうところが、日本都市の市街地の中では、先進国都市と比べますと非常に一人当たりの面積が少ないということは、もう長年いわれてきたところでありまして、建設省としても、そういう面の緑地の増大ということには年々努力をいたしてきておったところでございます。また今後も、五カ年計画等を制定をいたしまして、都市公園面積の拡大整備ということもやっておるわけでございます。  たまたま線引き法によりまして、市街化区域調整区域、農業区域というふうに線引きがされまして、十年間に市街化区域を整備をしようということになって、そういう際のいわゆる公園とか緑地とか、そういうものはどうするかという検討をいたしておったことも事実でございます。そういう際に、たまたま昨年、地方行政委員会からの附帯決議というものを、いまお話しのような経緯の結果、私どもちょだいいたしたわけでございます。そこで建設省といたしましては、どっちを重点かと言われますと、私も、どっちが重点と言ったらいいのか、そのあれがありませんけれども、とにかくたいへん今後の都市づくり一つの新しい発想がされるのじゃないかということで、これを積極的に進めたらどうか。むしろいままで建設行政農林行政との接際部において、いつもこれは土地問題の基本にも及ぶわけでありますけれども、なかなか調整がとれないという面があったわけでございまして、そういう問題を将来大きく基本的にも解決していくというためにも一つのチャンスになるのではないか、こういうふうに考えまして、積極的にこれはひとつ省として進めようということで、先ほど少し急ぎ過ぎたという御批判もあったわけでありますが、私どもとしては、いいことはなるべく早く進めたほうがいいじゃないかということで、農林省ともよく打ち合わせをいたしまして御提案を申し上げたということでございます。
  47. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 さらに御質問申し上げる前に、長谷川委員から関連質問がございますので、それをお許し願いたいと思います。
  48. 木村武雄

  49. 長谷川正三

    ○長谷川(正)委員 関連質問の機会をお与えいただきまして、質問をさしていただきます。  アメリカでも、ここのところたいへん大旋風が起こりまして、近来ない大惨事が起こっておりますが、日本でも、昨日、寒冷前線に関連して突風が吹きまして、実は東京都下の日野市におきまして、一歩誤るとたいへん人命にかかわるような事態が起こりましたので、この問題について一つだけ質問させていただきます。  今朝の新聞の伝えるところによりますと、都下日野市東平山二丁目の東京電力高圧送電線の鉄塔工事現場で、架線工事中の高さ七十メートルの鉄塔が昨日の突風で根元から折れまして、これが工事現場にありました小型トラック三台とブルドーザー一台を押しつぶし、幅四メートルの市道を横切って、民家にあと一・五メートルというところへ倒れた。幸い自動車等に人が乗っておらなくて、人命に損傷はなかったのでありますが、ちょっと角度が違いますと数軒の家はもう完全に押しつぶされる、こういう状況であった模様であります。  これについては、この沿線の住民がすでに各地で非常に心配をされておったわけであります。私どもも、社会党の建設委員の皆さんと一緒に、先般この沿線の多摩ニュータウンが非常に心配になっておりますので、あのニュータウンの諏訪・永山団地のどまん中をこれが通っておる。これを五十万キロワットから三百万キロワットにかえるための工事がいま進んでいる。二十七万ボルトという非常に高圧な電流が流れるものでありまして、しかもこれがニュータウンにおきましては、途中で直角に曲がるというような、しろうとが考えても非常に危険な構造になっておる。風や地震が起こったらどうかということは、あの密集団地の中でありますから、だれが考えても、しろうとが考えても非常に危険なことです。建設省、あるいは電力の監督は通産省かとも思いますが、こういうことをなぜ許しておくのか、こういう感を深めておって、その工事停止の仮処分の申請を起こすといま自治会もいっておるやさきに現に起こっておる。ところが東電そのものは、どんな関東大震災が来ても、どんな強い風が来ても絶対安全なんだ、こういう説明を盛んにしておったやさきに、アメリカの旋風ならぬ、わずか三十メートルの突風がばっと吹いただけで根元から倒れるというような事件が起こった。もしかあの多摩ニュータウンは、関東ローム層と申しますか、非常に赤土の基盤の弱いところです。こういうところにこういうものが放置されておるということは、これは一刻も猶予を許されない事態だと思いますが、これに対しまして、建設大臣並びに関係の方々の明快な御処置を含めてのお答えをいただきたいと思います。
  50. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 私もけさ朝日新聞を見まして実は驚いたわけでございます。直ちに、なぜ都会地においてこういう問題が起きたのか、原因をすみやかに調査をして、どういうことになっておるのかぼくも知りたいから、とにかくこういうことがあったんでは安心して都市生活ができない、二度と再びこういうことが起こったのではたいへんなことになるからということで調査を命じたところでございます。  御指摘のとおり、ほんとうに七十メートルの鉄塔が、どういう原因かわかりませんけれども、とにかくあのような結果になったということは、これはたいへんなことでございます。東電にも厳重に申しつけますとともに、建設省としても、こういう専門家がたくさんおるわけでありますから、建設省建設省として検討させまして、特にニュータウン等の関連もございまするから、どうしてもこういう鉄塔が必要であれば、どうすればこういう事故を未然に防げるのか、そういう対策が十分実験済みなのか、そういう点についても確認をさせていきたい、そうして対処したいと考えております。詳細な点は通産、建設から……。
  51. 下邨昭三

    ○下邨説明員 ただいま御質問にございました東京西線の千八十三号鉄塔が倒壊した件でございます。昨日三時半ごろ、緊線中、線を張っておりまして、それを引っぱっておる状態だったわけですが、まだ片側だけを張って、それを引っぱるという不安定な状態の工事をやっておりました。設計ではそういう工事をしてもだいじょうぶなようにやっておったわけでございますが、遺憾ながら倒壊したということでございます。われわれ、いま現地に職員を派遣いたしまして検討、調査をいたしておりますけれども、原因を究明いたしまして対処したいと考えております。  現在、原因がわかりませんので、その周辺の工事につきましては、工事を中止するように指示してございます。二度とこういうことの起こらないように対策を講じていきたいというふうに考えております。
  52. 長谷川正三

    ○長谷川(正)委員 工事中止を命じたというのはいつですか。
  53. 下邨昭三

    ○下邨説明員 本日、指示いたしました。
  54. 長谷川正三

    ○長谷川(正)委員 それでは、時間がありませんので……。  いま建設大臣からも、こういうことが二度とないようにというお話もございましたが、ぜひ通産大臣とも御相談いただいて、少なくともいまあのニュータウンの中を通すというようなことをそのまま許可することは、これはもう絶対許されないことだと思いますので、その計画の変更を含めてきちっとした安全の万全の措置をとられるように強く要望したいと思います。それについてお答えをいただいて、私の質問を終わります。
  55. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 よく検討をさせていただきたいと思います。
  56. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 先ほど大臣から、この法案の制定の必要性の趣旨につきまして御答弁がありました。どうも大臣答弁では、法案趣旨につきまして、きわめて中途はんぱな、確信の持てないような、妥協的な御説明があったわけでありますが、私ども地方行政委員会におきます決議を尊重していただいたことはけっこうでございますが、私どもは、不当な農地宅地並み課税につきまして、幾ぶんとも真剣に市街化区域内で営農を続けておる農民生活を保障するという意味で、できるだけ従来の農地並み課税をすべきであるという趣旨の私ども立場から、そういう附帯決議を要請したわけであります。確かに、この第一条の「目的」に「農林漁業との調整を図りつつ」と、こうありますが、本来、都市計画を進めていく際に、十年後に農林漁業というものは市街化区域の中から排除するという考え方が従来あったのではないか。この改正によりまして、農林漁業は快適な町づくりの一環としての、むしろその形態によりましては、農林漁業の存在がいわゆる町づくりにおいて必要な地区であり、そのことを取り入れての都市計画ということが好ましいんだという考え方なのか。あるいは財源の関係で地方公共団体は、十年間に農林漁業の地区を排除しながら本来の公園とか児童公園とか緑地というようなものを買収することができないので、その空地にかわるべき暫定的措置として、いわば一定の期間の措置として農林漁業というものを都市計画の中に取り入れるものであるかどうか。この辺の見解がはっきりしないといかぬのではないか、それにつきまして、大臣、どうお考えになっていますか、お伺いいたしたい。
  57. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 先ほどもお答え申し上げましたとおり、われわれ建設行政立場から、市街化区域として都市計画を定め、そして優良なる都市として造成をしていきたいという立場をとるわけでございます。たまたまその市街化区域と指定した中に、やはり農業でなければ生活をしていけないという方が多数おられるわけであります。したがって、市街区地域になりますと、どうしても地価が高くなりますから税金も高い、その高い税金を納めながら農業をやってもらうのですよというようなことで一面税制ができたことは、御承知のとおりでございまするし、また一面においては、いま申し上げましたように、農業でなければ生計の道を立てることのできないという農家方々の現実というものを見ました際に、私ども、そこをどう調整をとるかというときに、先ほど申し上げましたとおり、日本都市というものが、いままでそういう空間あるいは防災上の立場からする緑地公園、そういうものの占める面積がきわめて低かったということでありまするから、そういう点を国際的な都市の水準並みにまで高めなければならないということで積極的な施策も進めておるおりからでもございますので、積極的に生産緑地という新しい発想をとって、そうして都市づくりを進めようというふうに決意をいたしまして法案提案をした次第でございます。
  58. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 田中総理大臣は、昨年でございましたか、宅地化のために三十万ヘクタールの農地を転用するということで、農林省にその施策について指示をしたということが新聞に出ておりましたが、三十万ヘクタールといいますと、全国の市街化区域面積が二十八万ヘクタールですから、市街化区域農地の転用に加えまして調整区域を加えての転用でなければならないと思うのです。当時の新聞では、一年間に三十万ヘクタールというように聞き取れるような記事になっておりましたが、これに対しまして建設大臣はどういうふうにお考えになっておりますか。
  59. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 農林大臣に御指示になったという新聞記事は見ておりますけれども、実は私、総理から直接その三十万ヘクタールの問題についてお聞きしたことはございません。
  60. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 まあ総理大臣の指示であるかどうか、これは農林省にお聞きしますけれども建設大臣としてこのことについて御賛成でございますか、急速に三十万ヘクタールを宅地化するということについて。宅地化することの関係は、都市計画にいたしましても、住宅の建設にいたしましても、道路の推進にいたしましても、すべて建設省に関連の深い問題ばかりでございますから、これは国務大臣としても、建設大臣としても御賛成でございましょうか。
  61. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 長期的な視野に立ちました際には、特に建設行政の中において、いま一番国民が求めておりますのところの住宅問題等を考えますことと、それから道路の長期計画の問題、あるい一はその他公園の整備の問題等を考えまして、数字の上で試算をしてまいりますと、その程度の土地は必要になってくるのではないか。それをどこに求めるかということは、これはもう建設省として今後具体的に取り組まなければならないというふうに思っておる次第でございます。
  62. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 農林省お尋ねをいたしますが、ただいま申し上げましたような指示によって施策なり対策をお考えになっておるのかどうか。なおあわせて、従来壊滅というと語弊があるかわかりませんが、宅地化された面積は年間どのくらいにのぼっているかお聞かせ願います。
  63. 杉田栄司

    杉田政府委員 三十万ヘクタールの農地転用問、題につきまして、総理から直接大臣に指示があったかどうか、その辺は実は私どもよく存じておりませんけれども、三十万ヘクタールの転用の目標というものが数字が出たことは事実でございまして、この三十万ヘクタールにつきましては、いわゆる公共用地あるいは住宅、工場用地等の需要に応じまして必要な用地を円滑に供給する、そして地価の上昇を抑制するというような観点から出たものというふうに承知しております。そこで、この三十万ヘクタールにつきましては、市街化区域も含めまして一定の期間をかけて計画的に農地の転用をはかるということで、その実施につきましては、特に優良農地の確保ということを農林省といたしましては十分配慮いたして、なお、その需要の動向等につきましては、建設省はじめ各省州庁と連絡調整をはかって進めていくというふうになっております。  なお壊廃の動向でございますが、現在、住宅、工業用地というようなものに全体で六万ヘクタール前後が毎年壊廃してまいっておる次第でございます。
  64. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 そういたしますと、農林省の代表でおいでを願ったのですが、三十万ヘクタールの農地の転用について、短期間にこれが実現するという施策は、農林省としては何ら講じていないということをはっきり御答弁できますか。
  65. 杉田栄司

    杉田政府委員 急速に三十万ヘクタールを転用するということについての施策は講じておりません。
  66. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 建設大臣、ただいま農地の転用が年間六、七万ヘクタールと言っておりますね。これは事実私どもは、それぐらい、あるいはそれ以上かもわからぬと思っております。ですから長期間に三十万ヘクタールというものの転用ということが行なわれ得るということは予想されるわけですね。これはいまの六、七万とすれば、五年もたてば三十万になりますね。  問題は、今後の農業の政策からいいますと、私は、わが国の農業自給率を高めるためにはどれだけの農耕地が必要であり、またそのためにはさらにどう農地を確保するかという問題があろうかと思いますけれども、ある程度まで住宅用地その他に農地が転用されることは予想されるのですね。それが五年とかあるいは七年間に転用されるということは当然なことなんですね。なぜ総理大臣が三十万ヘクタールを転用するなんということを都市対策として話をされたか。それならば意味をなさぬのですね。将来に長期にわたって転用されるであろうという予測を述べたということだけでは、総理大臣としての権威はないわけです。それを短期間に転用するというお考えであることにおいて、その指示の意味が出てくるわけですね。しかしそれは農林省としては、大臣の指示に対しては何ら手を打っていない。また今後の農業食糧事情の関係からいっても、そういうことは農林省としてはやらないということがはっきりいたしましたので、私は安心しているわけであります。  それからもう一つ、この生産緑地として、ある相当の期間にわたりまして、かりに第二種で十年、それから更新して二十年で自然に効力を失うということでありまして、第一種につきましては、相当の期間というよりも永久の期間、買い取り請求等がない限りはある期間これが長期にわたって継続する。そのことは、都市計画の中に、市街化区域内の町づくりの中に、農林業というものを都市計画の一環として位置づけようということになったんだろうと思うのです。そうなれば農林省として、そういう市街化区域内における農林業が、都市計画の一環としてどういう位置づけの農林業を行なうべきであるかということを真剣に検討すべき問題だと私は思うのですが、これについてどういうふうにお考えになっておられますか。
  67. 杉田栄司

    杉田政府委員 都市計画法法律のたてまえ上は、生産緑地もいわゆる都市計画市街化区域にあるわけでございますから、計画的にかつ優先的に市街化をはかるべき地域というふうになっておるわけでございます。その中身としていわゆる生産緑地という形ができるわけでございますから、それが当分の間いわゆる農業が営まれる地域としてある以上、農林省としても、それらの農地に対しては相当な農政上の施策を施してまいるべきだというふうに思っております。
  68. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 相当な施策ではなくて、現実にどういうふうに都市農業をおやりになるかというもう少し具体的なお話はないのですか。大臣以上の答弁じゃどうにもならぬじゃないですか。
  69. 杉田栄司

    杉田政府委員 農業経営が継続して行なわれる生産緑地につきましては、各種の事業、たとえば、防災的な事業、あるいは家畜衛生とか、あるいは病虫害防除等のような事業、あるいはまた経営や技術上の指導の施策、そういうことを行なっていくということに考えておりますし、また公共的な色彩が多少入ってまいりますような施策につきましては融資等の措置を講じてまいりたい、こういうふうに思っております。
  70. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 どうも具体的な答弁が得られませんので、これ以上時間の関係で質問いたしませんが、この法案で私は、「目的」からいっても、「農林業との調整を図りつつ」というようなことと中身とは違うのですね。第一種に指定になりますと永久に続くわけですね。そして、農業をやりたくない、あるいはやることができなくなった場合に公共団体がこれを買い取る。そして、公共空地にするとか、都市のいわゆる環境整備、あるいは必要な施設、空地をつぶしてもなおかつ必要な道路をつくり建物を建てる、公共物を建てるということに転用する。何といいますか、保留地機能といったものを期待しながら環境保全につとめるという考え方があると思うのです。なお、このほかに地方都市によりましては、人口急増地帯等は、人口の急増を押えるためには、どうしても農地として農民営農を続けていきたいという場合にはそれを残しておきたいという強い要望もあるのですね。これは、昨年私どもが横浜に行ったときに、横浜から痛切に聞かされたわけです。公共施設が追いつかない。単に町づくり、道路をつくるというようなことが追いつかないばかりでなく、高等学校あるいは義務教育機関、それらの用地確保が困難でありますので、ある程度まで快適な環境を維持するためには、農業としてそれを保留しながらもう人口の流入を防ぐんだという考え方をとっているところもあるのです。これは公共団体はいろいろあると思うのです。  それで、このいわゆる宅地並み課税との関連においてこの生産緑地法考えるということと、おそらくこの法律は全国の市街化区域に適用になると思うのですが、その場合に、農林業を都市計画の一環として考えながら快適な町づくりをするということの考え方がどうもはっきりしていない、私はかように考えるわけであります。  そこで、問題になりました宅地並み課税の問題ですが、これは当時非常にマスコミの支持を受けたわけでありまして、総理も思い切っておやりになったと思うのであります。住宅用地の確保なんというようなことから、いわば長期保有の分譲につきましては、低率の分譲価格によっていわゆる税金を安くする。そのかわり農業を営む者は、宅地並み課税によって税金の重圧にたえがたいということによりまして、農業を廃止せざるを得ないという一つの圧力をかけていく。そういう土地対策の一環として出てまいったわけであります。これは明らかに失敗だということは明瞭になってまいりましたね。ですから、宅地化、宅地化という一面、地方の全国の各知事は、どうすれば調整区域の土地規制ができるかということにやっきとなって要綱等で対処したということは、建設大臣も御承知だと思うのであります。  そこで、たまたま昨年はすったもんだしたあげく、三大都市圏のA、B農地——B農地は一年おくれたわけでありますが、A、B農地について宅地並み課税をいたしまして、それに対して、いわゆる宅地化促進臨時措置法というあめ法案をつくりまして、宅地化する農民に対する、いろいろな税制その他金融におきまして恩典を与えたわけです。このあめ法案は暫定法案でありますから、五十一年三月末で時限立法で切れるわけですね。  そこで私は、五十年度末までに三大都市圏のC農地、及びその他の地域市街化区域にあるA、B、C農地につきましては、宅地並み課税については五十年度末までにこれを検討するということになっておるわけです。これは法律に明記してあるわけです。私はこれは廃止の方向で検討すべきである、かように考えますが、自治省からもお見えになっていると思いますが、どういうふうにお考えになっているかお聞かせ願いたい。
  71. 首藤堯

    ○首藤政府委員 農地宅地並み課税の問題でございますが、ただいま御指摘をいただきましたように、三大都市圏都市区域にございますA、B農地につきましてだけ現在宅地並み課税の進行があっておるわけでございまして、御指摘のように、その他の地域におけるA、B農地ないしは全国のC農地、こういうものについては、五十一年度以降における課税措置について今後検討を続ける、こういうことになっておるわけでございます。  この問題は、国全体の土地政策とも関連をすることが非常に多うございますので、地価の推移とか、都市化の状況とか、あるいは今回のこの生産緑地の運用の状況、こういうものを見きわめながら総合的な検討が必要であろうと思っております。宅地並み課税という行き方、その手法にすぐ基づいて移行するのか、あるいはそうでない方向をとるのか、そのことも含めて今後全般的に検討を続けていきたい、このように考えておる次第でございます。
  72. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 そういたしますと、五十年度末までの再検討の際に、少なくとも三大都市圏のA、B農地以外の宅地並み課税は実施をしないということもあり得るわけですか。
  73. 首藤堯

    ○首藤政府委員 今後の検討にゆだねられている事柄でございますので、いま申し上げましたように、国全体の都市政策と関連をさせまして、いろいろな地価そのほかの都市化の状況、こういった推移を勘案をしながらやっていく。したがって、どのような方法をとるのが適当か、こういう問題を全部含めまして検討する、こういうことに相なろうと思います。
  74. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 税務局長としては、その程度の御答弁しかできないと私も思います。ことに、昨年の議員立法宅地並み課税をいろいろ与野党で検討をいたしました際も、一つの成案を持ちながら一夜にして大臣のお声がかりでこれが変更になったといういきさつがありますので、どの大臣ももとよりのこと、事務的には私はめんどうな問題だと思っておるのですが、建設大臣は新進気鋭として建設行政をおやりになっておるようです。むちで宅地化するというようなことが成功するというお考えでしょうかどうでしょうか。  私は、この法案審議する過程で重要な問題は、いわば二十八万ヘクタールにいわゆる生産緑地という構想が拡大することによって、宅地並み課税が二十八万ヘクタールに拡大するのではないかという不安を農民は持っておると思うのです。それを明らかにすることによりまして、これは本来の都市計画サイドからすべての問題が解決つくんじゃないかという感じを私はいたしております。  したがいまして、今後の町づくりにおきまして、大臣もお認めになったように、地方行政委員会附帯決議があろうがなかろうが、今後の長期間にわたって、農業やあるいは竹林、茶畑、果樹園というものがあることが都市計画の快適な町づくりには理想的な姿である。市街化区域の中にそういうのがあることが理想的な姿である。また、小面積といえども農地として残しておいて、ある時期には、子供の遊び場だとか、いわゆる人口密集市街地の中における息抜きの場所をつくることを確保しておくのだということからいきますと、その位置づけはきわめて重要なわけですね。公共団体のほんとうの快適な町づくりができると思うのです。市街化区域といえども、いろいろ線引きの過程におきまして線引きが適当でなかった区域も相当あると私は思います。五年後に見直しをしなければならぬところもあろうかと思うのであります。また、いま農民もいろいろな農民があろうと思います。いわゆる生産手段としてではなく、資産として土地を持って値上がりを待っておるものもある。いま、こういう地代の値上がりをどうするかということは、国としては重要な問題であります。それを押しつけるということも重要な問題であります。しかし、生産手段として快適な環境保全のために営農をしておるというものは、それは単にある期間は認めてやろうということではなくて、都市計画の一環として位置づけるということが必要じゃなかろうかと私は思うのです。  その意味から言いますと、この法案がそういう位置づけをすることによりまして、宅地並み課税と切り離す必要があるのだ。その意味におきましてはもう解決済みなんだ。三大都市圏のA、B農地、それのあめ法案も五十年度末でありますから、ちょうど両三年で時限立法で効果がなくなるわけですから、そのころには、三大都市圏のA、B農地宅地並み課税というようなことをやらずに、ちょうど五十年が固定資産税評価額の改定時期だと思いますが、そのときに、農地の課税は適当な農地課税として、他の土地評価と関連し、あるいは免税点その他とも関連しながら農地課税を正当に評価することによりまして、おそらく、高い値段にするのではなくて、ある程度まで営農ができるという課税にすべきであると思っています。そういうことによって、私は、市街化区域農業あるいは林業が、都市の環境の保全ということに一役をにないながら都市農業都市林業としての役割りを果たしていくというようなやり方をとるべきではないかと思うのです。この生産緑地法の制定それ自体が混乱しておりますので、本来の意味の都市計画の町づくりから離れて、いたずらに全国の市街化区域における農民生活不安をかき立てるという現実になっておるわけであります。  どうも長々とおしゃべりしましたが、大臣は、そういう意味におきまして、まずこのことが必要であるとするならば、三大都市圏のA、B農地は、そのあめ法案である宅地化促進臨時措置法の時限立法の期限が切れると同時に、農地並み課税に還元し、検討を加えるべきC農地及び全国のA、B、C農地は、以前の農地並み課税に戻すのだということが正しいというふうにお考えになりませんかどうか。
  75. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 御指摘ようないろいろな経緯がありまして今日に至っておることは、いまお話のあったとおりでございます。同時に、宅地並み課税の問題につきましては、五十一年以降どうするかということについては、自治省のほうから答弁があったわけでございます。特にこの問題も、いろいろ土地問題というものが基本になっておるわけでございますために、やはりほんとうに熱心に農業をやっておられる方に対しては、いままで議論してまいりましたように、積極的な生産緑地としての援助措置も講じなければならぬわけでありますけれども、やはり都市周辺にはほんとに荒地同様ということで放置されておる農地もなくはないわけでございます。これはいろいろ調査してみますと、やはり値上がりを待つ、もう農業経営者がおらないというようなことも少なくないわけでございまして、それやこれや考えますと、どうしてもやはり市街化地域におけるA農地、B農地等々、いわゆる市街地域との調整をどうとっていくかということが非常に大事な問題になってきておるわけであります。  そこで、先ほど来何回も繰り返して申し上げておるわけでありますが、この生産緑地法によってそこに一つの接点を設定をする。そして先ほどから御指摘がありましたように、やはり農民魂というものがあるわけでありますから、農民魂を無視した処置というものはなかなかいい結果をもたらさないわけでございます。そういう意味におきましては、値上がりを待って農業をやらないような方に対する措置も必要じゃないかと思いますし、また熱心に農業を経営しておる人には、やはりその方々に対する措置も必要であるということでいかなければならない、こう考えておるわけでございます。したがいまして、五十一年度はちょうど固定資産税評価をされるときでもあり、また宅地化促進の法律の期限切れの年でもあるわけでございますが、土地問題というのが幸い国会において各党の間で非常に積極的に方向が打ち出されようとしておるわけでもございますので、それらの問題等も十分考慮された上で、やはり固定資産税農地と宅地に対する考え方等が基本的に考究されてくるのではないかという感じもいたすわけでございますので、そういう問題ともども検討していかなければならぬな、こういう感じでおるわけでございます。
  76. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 ちょっと事務的にお尋ねいたしますが、建設省でも農林省でもけっこうですが、三大都市圏のいま宅地並み課税をしておりますA農地、B農地合わせますと一万六千八百ヘクタールですね。これは全体の比率からいきますと約一五%くらいなものです。これは一体何年くらいたてば宅地に転用されるという予想を立てておられますか。
  77. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 別段、市街化区域の中の、しかも非常に貴重な土地であるからといって、直接的に宅地転用を要請するような仕組みもありませんから、これは全くの予測でありまして、そのとおりになるかわかりませんが、しかし、場所柄だけに便利な場所でもあろうということから宅地化が進むという要因と、それから逆に、相当地価が高いわけでありまして、何に利用するにしても、その地価の高さからくる制約もありますから、案外宅地化が進まないという要因、両方からみ合ってくると思います。ですから、今後五年、十年たったときに相当数は市街化されると思いますが、なお残る農地もあり得るんじゃないかと思います。
  78. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 どうもいろいろな答弁、ねらいがはっきりわからないのでありますけれども、そういたしますと、今度の生産緑地の構想ですが、たとえば東京だとか大阪というのは、場合によりましてA農地というものは私は点だろうと思うのです。ぼつんぽつんと点として存在し、B農地は線的な存在である、C農地は相当集団的になっているというふうな感じがするわけでありますが、それはともかくとして、この法案が制定されることによりまして、再検討されるべき五十年度末における宅地並み課税、いわゆる三大都市圏のC農地その他の市街化区域農地、これが宅地並みに課税されるということを促進する結果になるのか。そのときに真剣に都市計画の見地から、そういうまじめに営農しておる農業市街化区域の中における農業という位置づけを都市計画で認めるということであれば、ある程度まで拘束を受けるそういう地域宅地並み課税を廃止すべきである。そして既存のA、B農地宅地並み課税も再検討して、時限立法の切れるときに、こういう紛争の種になる、しかも今後出てくる政策がいろいろ混乱に混乱を重ねるようなことを避けるということに大臣はお考えになりませんか。そういう疑惑は農民の間に相当多いと思うのであります。その点について、ちょっと答弁しにくいとは思いますけれども、その不安を解消する意味で大臣の明快なお考えを述べていただきたいと思うのであります。
  79. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 山本委員の御所見よく承っておきまして、先ほども答弁申し上げましたように、やはり土地に対する税問題というものは、土地に対するいろいろな検討が現在なされておるわけでもございますので、そういう方向も十分参考にいたしまして対処してまいらなければならないと考えておるわけであります。
  80. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 土地規制に関する与野党の話し合いが進められているのですね。これは憲法に違反にならないぎりぎりの線までやらなければいかぬというのがいまの現状なんですね。その中に、将来の展望に立っていままでの土地政策を見直す。むちでたたいたりあめで引っぱり込むというような、そんな国策なんかはどうも私どもは賛成しないですね。固定資産税は政策減税が多い。大企業に対する政策減税ばかりですね。弱い農民、今後振興をはからなければならない農民に対しては、農村のような農業を促進しなければならない地帯は当然でございますが、市街化区域におきましても農業が、環境保全だとか、あるいは人口の抑制だとか、あるいは生鮮食料品その他永年作物等は一つ役割りを果たすという位置づけをしようというさなかに、むちでたたきながら、その代償として言うことを聞けばこういうことをやるのだというような政策は、私はまことに下策だと思います。土地規制を考えておる際に、私は、こういったいままでの、あめで釣りむちでたたくというような政策を一てきして、将来もう二、三年——いわゆるあめ法もあと二年もたてば失効になりますね。そういう展望に立たないで、土地規制という今後の重要な問題、これらについて建設大臣として何か一つのお考えを持って、そして強く総理に進言されて解決をつける必要があるのじゃないか。  私もかつて首長をやりましたが、計画の見地から非常に苦心をするものです。それを国の政策でいろいろゆがめられるということは困るのですね。ある程度まで国政のワクの中に地方行政はあるということもいえるわけですけれども、それにしても実情がおわかりにならないで机の上でいろんなワクを二重にも三重にもかけるということは、住民に直接接触しておる市町村長としては非常に困るのです。困らないようにするのが私は政治だと思います。住民の正しい要望を受け入れてそれに対応するというのがあれなんです。ですから、農地課税というものは、それに便乗値上げと同じようにいろいろ便乗しているのもあります。農民の中にも、すべてがりっぱな営農をやって、奨励金をもらうのが当然だというのと、私ども視察をいたしました結果では、これが農地かと思われるような農地があります。それをどう選別するかということは、農民をまじえ、労働者をまじえ、学識経験者も入れての宅地並み課税審議会なり、あるいは生産緑地につきましても審議会を設けまして、総合した地域住民の世論のいわゆる調和といいますか、その中から決定をしていくということが正しいやり方だと思うのです。私ども去年の附帯決議も、そういう意味で三大都市圏のA、B農地に対してやったのでありまして、もし生産緑地法がある程度まで緩和されるということがあり得ましても、これが全国に拡大する伏線になる役割りをするということになると、それはいまの土地規制立法を急いでいることとまことにうらはらなことになって、いろいろな考え方が混同した行政になると私は思うのです。これは建設大臣、ひとつしっかり願いたいと思うのです。  あと二、三年たって、いままでのは暫定的な措置だといっても、暫定的な措置、それにどう対応するかということは市町村長におまかせになればいいわけでありまして、国の政治としては、すべての地域住民が快適な環境づくりに協力し合うというような体制、これはある意味においては、規制になり価格を押えるという国の政治が打ち出されるかもわかりません。しかし、いずれにいたしましても、いままでの誤った土地政策、考え方の発想転換をしまして生産緑地法に取り組むという姿勢でなければ、この法案は生きてまいりません。中途はんぱなものになる。  ことに、ここにありますように、第一種農地が一ヘクタールでいいか悪いか、あるいは区画整理の済んだところに〇・三ヘクタールを残すことがいいか悪いか、そのほかの地域に拡大することが必要であるかどうかということは、すべていまの宅地並み課税との関連において判断することになりますね。地方のいわゆる農業地帯の多い市街化区域を取り込んだところでは、それは一ヘクタールが妥当であるというふうにも私は考えられます。しかし、大都市圏の周辺町村、人口急増地帯において一ヘクタールのところを確保するとかなんとか——それはもう〇・一ヘクタールでもいいような、いわゆる空地がほしい、緑地がほしいというところがたくさんあると思うのです。ですから、立法の背景が混乱していますから、すべてがどうも中途はんぱになり、いたずらに農民生活を脅かすようなことになると思うのです。私は、多少の手直しということよりも、むしろそういう考え方の前提に立って、たとえばこの法案は、これこれの点は三大都市圏そのほかの点については市街化区域農地に適用するのだ。その場合には、拘束するために、固定資産税の差額でなくて、ある程度まで農林業の奨励金まで出して、そこは公共空地にかわるべきものとして農業をやってくれということを強要する場合もあろうかと思うのです。そういう総合的に考えませんと、一ヘクタールが妥当であるか、〇.三ヘクタールが妥当であるか、あるいは買い取り請求の期限をどうするかという法案の細部の内容につきましては、私は論議することが意味がない。はっきりした立法趣旨都市計画上の趣旨、それは都市計画を進めていく上において、農業とか林業とかいうような、いわゆる生産緑地という区域が都市計画の中に取り入れるべき重要な問題であるという考え方に立つならば、それなりに混乱の要素になる。それに漏れるような農民にやはり多額の税金をいままでよりかけて宅地化を強要するという政策はとるべきではない、かように考えます。  この細部の点につきまして、私いろいろ疑問もあり、また意見も持っておるわけでありますが、時間も迫っておりますようですので、これ以上細部につきまして質問は申し上げませんが、都市計画上の必要から生産緑地をどう取り入れるかということと、農民生活を守ってやるのか、あるいはその必要である農業をやっている者が宅地化して転業することを促進するのだという考え方とが混乱しておったのでは、これは法の運用は十分いかないのではないか、こう思います。  そこで、最後に大臣に要望しておきますが、いままでの失敗に失敗を重ねてまいりました土地政策、これがある意味におきまして今回の土地規制に関する与野党の立法でうまくいくかどうかわかりませんが、もしそれでいくとするならば、これは宅地化を促進するというか、いわゆる有効な適正な土地利用という考え方で規制もし、あるいは価格も押えるという面があると同時に、やはり全国各地の快適な町づくりということも考えておられると思うのでありますが、それならば、いままでの土地政策を、あめとむちの政策を一掃するという前提に立たなければいかぬのじゃないか、私はこう思います。その点は、農民というか、農業を営んでおる者の位置づけと同時に、不安な気持ちでここ何年間を過ごすようなことのないように明瞭な見地で大臣は対処願いたい。ことに、宅地を必要とする事業、行政をやっておられるのは建設省ですから、建設省がその腹になりさえすればこの問題はうまくいく。総理も説得できて昨年のような混乱は来たさないのじゃないか。実は私、あめ法案審議の際に、総理からC農地及び三大都市圏以外の地域には宅地並み課税を拡大しない、二つの案のうちに三大都市圏をとるからには、そのほかに拡大することは将来考えないという意味のことの——端的にそういう答弁はいただきませんでしたが、拡大をさせないというお気持ちをお聞きしたのであります。それで五十年度末までには再検討するということになっているのですが、再検討の際に宅地並み課税を真剣に見直す。それは建設大臣立場からは強く大局から決定を願いたい。そうしてこの生産緑地法ほんとうに、これではどうにもならぬわけですが、これで生きるようなことをお考え願いたいということを強く要請をいたしまして質問を終わります。
  81. 木村武雄

  82. 瀬崎博義

    瀬崎委員 法案の検討にあたって基本になる問題についてまず大臣お尋ねをしておきたいと思います。  田中総理が「日本列島改造論」の中で日本農業について論じておられますが、その中で「現在の農地から道路、宅地、工業用地などに転換する面積を決め」「そして転用地を差引いた農地を〃永久農地〃に確定し」と言っております。一般にはこれを残地農業論と呼んでいるわけでありますが、建設大臣はこの残地農業論の立場をとっておられるのか。それとも、現在農業の行なわれている農地やあるいは農業適地は、優先的、積極的に確保されなければならぬという立場をとっておられるのか。国土開発の主管大臣として、つまり建設大臣の基本的な政治姿勢として伺っておきたいと思います。
  83. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 私の立場といたしましては、線引き法によって優良農地を守ってまいる、市街化調整地域を定める、市街化地域を設定するということで日本の国土の均衡ある発展をはかっていこう、こういう基本的な態度で取り組んでおる次第でございます。したがいまして、市街化地域の中にも、先ほど来論議されておりますとおり、農地は現有いたしておるわけであります。したがいまして、この農地によって農業を経営しておる農民の諸君と都市勤労者との調整をどうとっていくかということも、これまた現実に解決をしていかなければならない問題であるわけでございます。したがって、この調整をはかるために、やはり市街化地域農業を経営する農家と、また優良農地農業をする農家と、農業をやる面においてはこれは変わりはないわけでありますから、やはり農業者立場を尊重していくということも無視できないわけであります。したがって、先ほども申し上げておりますとおり、日本都市においては緑地が非常に少ない。林間地でありますとか、公園でありますとか、あるいはレクリエーションの場でありますとか、芝生でありますとか、そういういわゆる緑地日本都市の中には非常に少ない、これをできるだけ増大をしていこうということで公園等の造成計画もあるわけでございます。そういうときに、たまたまこの都市農村との調整の問題が出てまいりましたわけでございまして、建設省としても、都市計画の中に生産緑地というものを正式に認めまして、そうしてそこで農業をやりたいという方々がある期間農業をやれるという、住民の農家の要望も果たし得るということを法律的に処置をしていこうということでこの法案提案をいたした次第であります。
  84. 瀬崎博義

    瀬崎委員 どっちなのかわからないような御答弁なので、あらためてこういう場合はどういうお考えをされるのかお聞きしておきたいのです。そういう市街地域において現に農業が行なわれていて農業適地でもある。しかし一方「日本列島改造論」でいうような、あるいはその場所が工場、宅地などとしても適地であるというふうな場合、つまり優先的にどっちをとるのかということについて、大臣は残地農業論の立場、まず優先的に工場用地や宅地だという考え方をとられるのか、まず農業適地であれば農業適地として確保するという立場をとられるのか、ここをお聞きしているわけなんです。
  85. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 その点については、先ほどから申し上げておりますとおり、都市計画を行なうわけでございますので、やがては都市機能を発揮する一部門として使用されてまいるということであるわけでございますが、一面優秀な後継者が出てまいりまして、優良な生産緑地ということであれば、これまた都市機能一つというふうにも認めていこうということでこの法律提案しておるわけでありますから、そこにも十年、二十年と農業が続いていくということも考えられるわけであります。
  86. 瀬崎博義

    瀬崎委員 結局、都市化のために農地がつぶれるのは時代の趨勢であり、やむを得ないことではないかというふうにもとれるのですが、形を変えて、これが先ほどもいわれている例の田中総理の三十万ヘクタールの農地転用構想になったのじゃないかと思うのです。建設大臣御就任前のことですから、指示はもちろん受けていらっしゃらないというお話、そのとおりだと思います。しかし、こういう構想が田中総理から出たのは事実なのですね。これは結局手っとり早くいえば、農地をつぶして宅地を確保する、これが宅地確保の一番近道だ、こういう構想だと思うのですが、こういう構想には大臣はどうなんですか。
  87. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 農地は平らで非常に宅地としては造成しやすい条件に置かれてあることはもちろんであります。しかし、これはやっぱり農家が親代々農業というものを経営しているわけでありますから、無条件でそれが宅地にすぐ転用できるというものでもないわけであります。それじゃ土地収用法等強権をもってということになれば、これは私は、できるだけ避けるべきである、やはり話し合いによって協力体制のもとに宅地造成というものが進められていかなければならないという考え方をとりたいわけであります。
  88. 瀬崎博義

    瀬崎委員 先ほど建設大臣は、同じ農業をやっておる人でも、熱心にやっておる人と熱心に農業をやらないで値上がりを待っておる人とある、こういう後者の人に対してはそれなりの処置が必要だというお話をされたと思うのですね。それならばなおのこと、広大な土地を買い占めて、土地を利用するどころか遊休地として放置しておる大手の不動産業者があることは、これはもう政府もよく調査して御存じのことですね。こういうものこそまず最初にやり玉に上がらなければならないし、大臣が口にされなければならない宅地確保の対象でなければならないと思うのですが、その点はどうですか。
  89. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 それはもうおっしゃるとおりであります。したがいまして、昨年もそういう会社に対しまして、とにかく公団なり各地方自治体に、直ちに開発できるものはもう放出しなさいという要請をやり、またその後も、そういう土地を持っておるデベロッパーの諸君に対しましては、五年間のデベロップ実施計画をとにかく出しなさいということでこれが活用を進めておるわけでございます。しかし、これだけではどうにも土地問題は解決しないというわけでございますので、先ほど来お話ししたような線もあわせてやってまいるということにいたしておるわけであります。
  90. 瀬崎博義

    瀬崎委員 そうすれば、総合して、建設大臣としては、三十万ヘクタールの農地を転用して宅地を確保するというふうな議論に全面的単純に同調しているわけではない、こういうことに理解していいですね。
  91. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 平板的に三十万ヘクタールという農地を宅地にするということ、また、しかしそれは一つの私は考え方だと思うのですね。それはとにかく、これから人口がどんどんふえていくわけでありますし、やはり一生を過ごすためには庭つきのうちにも住みたいというのが、これはもう国民の要望でもございまするし、そういう方々の希望にこたえてまいりますためには、これは幾何学的に計算していけば、共同住宅じゃもう自分は死に水はとってもらいたくない、やっぱり一軒の家で、たとえ五年でも六年でも十年でも悠々自適してみたいという希望は非常に強いわけでありますね。そういう国民の方々にこたえていくためにもやはり土地というものは絶対必要である。そういうものを積み上げてみますと、二十八万ヘクタールから三十万ヘクタールが、人口増を考えました際にはどうしても必要である、こういうことが出てくるわけであります。したがいまして、その要請にこたえて混乱なく計画的にどのように進めてまいるかということが、私は政治上の問題になってくるものと判断いたしまして、いろいろと事務当局に対して、混乱の起こらぬように各省とも緊密な連携をとっていたしておる次第でございます。
  92. 瀬崎博義

    瀬崎委員 それで、少し各論に入りたいわけでありますが、この生産緑地制度についての中央都計審の建設大臣あて答申が出るまでの経緯といたしましては、すでにもう論議にものぼっております地方行政委員会、それから参議院の建設委員会附帯決議が出されたわけです。これが本法案にも何らかの形で反映されているということなんですが、あらためてひとつごく簡明に、どういう点を本法案に反映されたのかお聞きしたいと思います。
  93. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 衆議院の地方行政委員会附帯決議では、「市街化区域内の農地については、その実態にかんがみ、都市計画法に基づく生産緑地の制度を創設し、一般の農地と同様の税負担とするよう検討すること」、こうありますので、都市計画法の体系の中で都市計画として位置づけられる生産緑地の制度を創設すべきである、その効果としていわゆる宅地並み課税を適用からはずす、こういう趣旨だと承っております。「その実態にかんがみ」というのは、その前のいろいろな御審議の中で言っておられました、市街化区域といえども公共緑地、公共空間が足りないときに民有緑地も動員して環境保全をはかるべきではないか、そのための制度もいろいろあるかしれないけれども農地についてもそういった機能があるはずだ、そういうものまですべて宅地にしてしまう、すべてを建物で塗りつぶすというようなことでは都市計画上も困るのではないか、こういうような御指摘でありまして、私どももそのように思いましたので、本法案を提出したということでございます。
  94. 瀬崎博義

    瀬崎委員 全体を読み上げられたって、どこをくんだのかわからないですね。特に衆議院の地方行政委員会附帯決議の重要な論点は、宅地並み課税によって市街化区域内の農業経営がますます困難になってきた、そこで都市農業を手厚く保護し、都市農業として確立されていくようにする必要がある、さらにそれが結果として、さっき言われている農地緑地としての機能都市計画上の緑地という点でも着目できる、こういういわば一つの系統的な論旨になっていると思うんですね。私たちは、その精神を生かしたというならば、こういう理解が正しいのだと思うのですけれども、さて、この決議の趣旨、基本精神の私のいま申し上げました理解、これが正しいのか。先ほど吉田局長が言ったような漫然とした受け取り方が正しいのか。こういう点について、自治省はこの決議の基本精神をどういうふうに解釈したらいいとお考えになっているのか。とりあえず、地方行政委員会での決議ですから、答えていただきたいと思います。
  95. 川俣芳郎

    ○川俣説明員 四十八年度の地方税法改正に際しまして、衆参両院の地方行政委員会附帯決議の中で、生産緑地の制度を早急に創設し、生産緑地に該当する農地については一般農地と同様の税負担とするよう検討することということにされておるわけでございまして、私どもといたしましては、生産緑地制度が確立されました場合におきましては、これについての固定資産税の課税については宅地並みの課税から除外するということで検討をいたし、生産緑地法案の附則におきましてそのような条文を入れておるところでございます。
  96. 瀬崎博義

    瀬崎委員 私が聞いているのは、そういう処置のそもそもの目的は、都市農業を手厚く保護し、都市農業として成り立つようにするというためにそういうことが期待されるんだ、それが、第二次的に都市計画上の緑地としての機能も果たす、こういうふうな答申の趣旨になっているのではないか、こういうふうに聞いているんですよ。つまり都市農業として手厚く保護するということを基本に置いていまの税制上の問題についてこの附帯決議が出た、こういう理解じゃないかというんですね。いかがですか。その農業に対する考え方を聞いているわけです。
  97. 川俣芳郎

    ○川俣説明員 答申につきましては、私どもといたしましては、いわゆる都市計画サイドからするところの環境保全機能、さらには都市近郊農業の継続というような考え方との接点として答申が出されたものというふうに理解をいたしております。
  98. 瀬崎博義

    瀬崎委員 この附帯決議ども受けながら、中央都計審が出した答申の中には、やはりそういう精神も部分的には生かされているわけですね。ですから、「生産緑地保全の意義」の中でも、「これらの農地等のなかには」「適切に保全されるならば、都市住民に対する生鮮野菜等の安定的供給源として意義づけられることはもちろんのこと」と述べているわけですね。  この前、浦井委員指摘されたのでありますが、実際、東京の農業等では、コマツナとかピーマンなど、軟弱野菜とかいうそうですが、市場占有率もきわめて高い。さらにこういう野菜は都市住民の生鮮野菜としてきわめて重要な位置を占めている、これは事実として指摘されているわけであります。こうした都市住民に対する生鮮野菜の供給地の役割りが今度の生産緑地制度によって失われるのではないか。少なくとも、先ほどの地行の附帯決議や、あるいは中央都計審の答申の線ではこういうことの期待があるわけですから、その線からはずれるのではないかと心配をされるのですが、この点について、まず農林省、そういう心配はないといえるかどうか、お答えをいただきたいと思います。
  99. 杉田栄司

    杉田政府委員 生産緑地につきましては、都市計画法上の手法の一つとして制度化されるわけでございますけれども、そこに、今後当分農地として農業が続けられる地帯につきましては、当然、いま先生のおっしゃいましたような、そういう生鮮食料等の生産基地としての機能を十分持っていけるような手当てもすべきであるし、そういう機能が期待できるというふうに思います。
  100. 瀬崎博義

    瀬崎委員 期待できるのであれば、そういうことをちゃんと附帯決議やまた都計審答申もうたっているのだから、必ず守られなければ、農業をやる側だけからではなしに、都市住民のほうも困るわけですね。ですから、こういう都市農業に対して、農林省としては必ず守られるという処置をどのようにとっているか、お伺いしておきたいと思います。
  101. 杉田栄司

    杉田政府委員 この生産緑地は、都市計画法上のたてまえから法文化されることになっております。したがって、今後の長期にわたる生産緑地の確保等につきましては、農林省としては特に言及できないわけでございますけれども、十年あるいは二十年というふうに当然生産緑地としていまのような期待が持てるということになりますと、これは重要な農業生産上の場として農政の中に位置づけをしてまいるべきであるというふうに考えておりますし、またそのための施策というものも、農林行政の中でとっていくというふうにすべきであると考えておるわけでございます。
  102. 瀬崎博義

    瀬崎委員 私は農林の専門の議員ではないわけで、詳しくは存じませんが、聞いたところによれば、こういう法案が通ってくると、いずれにしろ市街化区域農地は狭められてきて、特定の地域だけしか残らなくなる。こういう農地都市環境にマッチしたものになるためには、先ほど申し上げましたような生鮮野菜の栽培農地としてではなしに、苗木とか、あるいは花卉ですか、こういうものにいえば構造改善のようなことをやらして、都市環境にマッチさせるというようなことを農林省考えているとも聞くわけですね。そういうお考えはやはりあるのですか。
  103. 杉田栄司

    杉田政府委員 一面では都市環境のために快適な環境を提供するという機能と、それから農業生産の場としての機能と、二つ市街化区域内の生産緑地は持つことになるわけでございますが、その生産の場としての生産緑地に対しまして、農林省としては、従来もとっておりますし、今後も、たとえば、いま先生がおっしゃいましたような、花木とか、あるいはそういう施設園芸とか、そういうものに対して助成の施策をとっていこうというふうに考えておるわけでございます。
  104. 瀬崎博義

    瀬崎委員 もちろん、農民方々がどういう農業をやるかは、みずから選択される問題だから、みずから進んで、いまおっしゃっているような、施設園芸あるいは花木等の栽培をやられることは大いに自由だと思うのです。しかし農林省自身も、先ほど、市街化区域内の農地都市住民の新鮮な野菜の供給地として確保されなければならないということはお認めになったんだから、それをわざわざ農林施策としていま言ったような特殊な園芸に切りかえさせるようなことがはたして妥当な政策かどうか、私は疑問を持つわけなんですね。  こういう点で大臣に、ひとついままでの話を総合して御判断を伺いたいのでありますが、地行の附帯決議でも、それから都計審答申でも、また農林省の当初のお話でも、この市街化区域内の農地は、農業をやりたいという側からだけではなしに、そこでつくられたものを受ける都市住民の側からも必要な農地なんだということであったのですね。ですからそれは、そういう必要性に応じて確保される手だてが必要なんだ。そうむやみやたらに、政府が誘導して野菜以外のものに転用されて、無理やり都市環境にマッチさせるとか、あるいはまたそうせざるを得ないようにして農地を狭めてしまうとかいうふうなことがあってはならないと思うのですが、大臣の御所見はいかがでしょうか。
  105. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 もう仰せの趣旨を生かすためにこの生産緑地法という法律を制定をした次第でございまして、その点は、農業振興地域農業を営む農民も、市街化地域において、生産緑地というように名前は変わりますけれども、その中で農業生産をやる農民も、農民としての同じ待遇を受けるということはもちろんでございます。
  106. 瀬崎博義

    瀬崎委員 そうすると、いま大臣がおっしゃった点と矛盾するような面がもしあったり、たくさんの農業団体から、いろいろそういう点では疑義を申し立てられ要望を出されておりますが、こういう点については、いまの大臣答弁趣旨に従って改めるべきものは改められますね。
  107. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 私の考え方は、もう農林省農業団体も実はいろいろ御協議に入っていただきまして、一応はこれならもう十分、先ほど申し上げました、いわゆる農業振興地域でやる農家に対する固定資産の税額も、市街地域でやる農家の納める課税額も差をつけるようなことはいたさないようにしていきます、こういう気持ちを申し上げたわけでございまして、この原案で大体農家の方、農業団体方々の御協力も得られるのではないかという気持ちを持っておるわけであります。
  108. 瀬崎博義

    瀬崎委員 では、あとで一応農業団体から出ている要望なり意見の代表的なものについてあらためてお聞きしたいと思うのですが、その前にひとつ国土政策の面からも建設大臣のお考えをお聞きしておきたいのです。  それは昨年の十一月一日に行政監理委員会が「住宅対策のための土地行政の機構および運営のあり方」と題する答申を発表されておるわけなんです。この答申の中で、新住宅市街化区域の制度として、市街化区域内の農地の所有者に対して一定の期間を定めて宅地化及び住宅の建設を義務づける制度の創設が述べられております。こういう行政監理委員会考え方についての大臣の御所見をまず聞いておきたいと思います。
  109. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 行政監理委員会の答申におきまして、御指摘のような点が述べられております。つまり市街化区域内の全域について一定期間を定めてその宅地化を義務づけるべきであるという意見があり、さらにその中でも、市街地形成の条件に恵まれ、かつ適正開発単位のまとまりを持つ地域については、早急かつ優先的に宅地化を進めることが適当な地域としてこれを指定し、さらに短期間の間に宅地化を義務づけることとされた、こういうような表現でございます。  私ども市街化区域は基本的には宅地化するという地域でありまして、もちろんその間に必要な緑地等を保全すべきでございますが、全体としては宅地化を早急に進めるという地域であるということは当然でございます。さらにそれを、市街化区域内の全域について期間を定めて宅地化を義務づけるべきであるというような答申につきましては、早急にこのようなことができるとは私どもはまだ考えておりません。ただ中でも、特に後段のほらで述べております、早急かつ優先的に宅地化を進めるような場所を特定しまして、そこを早急に宅地化するというような点につきましては、この法律による生産緑地の制度とか、その他農業との施策調整を進めつつ考えてしかるべきではないかと考えます。
  110. 瀬崎博義

    瀬崎委員 特にこの答申には、前提として人口分散政策を述べておるようなんですが、そのことと、市街化区域内の農地を取りつぶして宅地化を進めるということとが、両立するかどうかということについてわれわれも非常に疑問を感じておるのですが、建設省としては、こういう点の考え方はいかがです。
  111. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 大都市圏の人口分散政策と、それから大都市圏の宅地化促進といいますか、宅地あるいは住宅供給の促進という問題は、常にそういう若干のジレンマを持っている問題でございますが、私どもとしては、現に住んでしまった人、あるいは新しく生まれてくる人、新しく世帯を設けられる人のためのいわば受け身の政策としての住宅あるいは宅地の供給というものは、これはほっておくということは人道上できない、どうしてもこの供給を促進して不安感を解消するということがぜひとも必要だ。一方、住宅等のようなものでなくて、工場とか学校とかその他の、場合によっては事務所、事業所といった人口誘引の原因となるようなもの、こういうものについてはいろいろな施策を講じて、従来の施策に上積みして大都市への集中を極力排除する、あるいは現にあるものも積極的に分散に持っていくような誘導施策を講ずる、一方、地方都市その他の整備をしてこの受け皿を固める、こういうことだろうと思います。
  112. 瀬崎博義

    瀬崎委員 そうしますと、この行政監理委員会の答申と、今回建設省提案されている法案とは、これは関係がない、むしろどちらかというと、やや批判的見解を建設省のほうは持っていらしゃる、こういうふうに理解しておいてよろしゅうございますか。
  113. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 いまの答申の中には、そのほかにも、いわゆる生産緑地構想、当時からその構想がありましたし、附帯決議もありましたから、そういうものについても述べておりました。だから無関係というわけではありませんが、私どもは、この答申のずっと以前から、いろいろ関係各省とも相談し、都市計画中央審議会なども、四月に諮問して以来、鋭意農業関係者も入っていただいて議論したわけでありまして、直接には都市計画審議会の答申というものを基礎に本法案の条文化に入った、こういうことであります。
  114. 瀬崎博義

    瀬崎委員 本法案についていろいろな農業団体から種々の要望が出されている。私の出身県の滋賀県の農協中央会さんなどからも、きわめて強い要請もいただいているわけなんです。この点について建設省当局も内容は十分御存じだろうと思うのです。先ほどの建設大臣お話によれば、そういう御理解の上に成り立っているというお話なんですが、成り立っていたらこういうことにはならないと思うのです。そういうことからいえば、そもそも私ども共産党のところへそういう期待が来るというのもおかしいわけでしょう。そういう意味で、少し大臣も御答弁趣旨に合うようにこれからはお答えいただきたい。もちろん私が言うのは、この農協関係の団体の御意見だけじゃないのです。農民組合その他も含めての話であります。  生産緑地の第二種の対象区域については、「土地区画整理事業が完了し、若しくは仮換地として指定された土地の区域又は開発行為が行われた土地の区域」とその要件を定めているわけなんですが、たとえば千葉県では、昭和四十年ごろからすでに開発が進み、全県的にスプロール現象が急激に起きている地域だそうであります。この開発行為については、そうしたスプロール現象が起きたところでも認めるべきだというのが要望なんです。私も、こうした地域でも良好な市街地が形成される条件があれば、第二種の要件には適合するんじゃないかと思うのですが、さて建設省の判断はいかがなんですか。
  115. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 第二種の生産緑地というのは、期限の限定があるとか、規模要件も大幅に縮められているとか、非常に特例的なものでありまして、なかなか都市計画上も困難であったわけでございますが、何とかこの制度を実現したいということで法制化に成功したというものでございます。  その根拠としては、整然たる町づくりのための開発行為とか区画整理、こういった面開発行為が行なわれたということで、土地利用上もそういった調整がとられているということが一つ。それから法文の要件にありますように、その開発行為の区域のおおむね三〇%の範囲内に限る、逆にいえばおおむね七〇%程度は宅地として供給の場に乗る、そのメリットというものも十分評価したい、こういうようなことでありまして、また一面からいえば、そういう投資をしてまで宅地化のための行為を計画的に行なったということですから、永久に農地で保全するということもいかがか、一応十年で切り、要望が強ければさらにもう十年、二十年まで延ばせる、こういう制度にしたというわけでありまして、ただスプロールしているという地域では、いまの申し上げましたような理由に該当しませんから、これを特例としてこのゆるい要件のものに合わせるというわけにはいかない、こう思います。
  116. 瀬崎博義

    瀬崎委員 先ほどの大臣答弁趣旨からいうならば、この生産緑地というものは、農業をやる側の立場からいってもその必要性を認め、それから都市住民、市民の側からいっても、確かに宅地の確保も必要だろうけれども、衣食足って礼節を知るですから、三位一体として衣食住足って礼節を知るで、その食の中に生鮮な野菜というものがあり、その重要な供給地としても生産緑地は意義がある、それらをすべてまとめてあるのだというお話なんですから、そうなると、千葉県の農業団体の要望というものが入ってなければいかぬわけですが、いまの都市局長の話では、結局それは該当しないのだ、こういうことなんですね。こういう食い違いが現実に起こるので、十分調整がなされた、法制化に成功したなどと言うのはちょっと言い過ぎじゃないか、早過ぎじゃないかと思うのですが、いかがですか。
  117. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 法制化に成功したというのは言い過ぎでございますが、要するに御提案する段階に達した、こういう意味でありまして、やはりほかならぬ市街化区域の、それも三大都市圏の中などを考えますと、どうしてもそういった既成市街地に近いような場所は、極力本来的には宅地として供給され、住宅不足の解消に役立てるということが基本ではないか。ある程度の規模要件、あるいはその前提となる開発行為等が整然と行なわれた、しかもそのうちの七割程度はその事業とともに宅地供給されるというような、いろいろな要件の積み重ねによって初めて第二種というものを認められたわけでございまして、これは都市計画の制度としても当然の限界でありますし、都市環境という面から見ても、そこまでこれを緩和するというわけにはいかないということでございます。
  118. 瀬崎博義

    瀬崎委員 いよいよもって農業サイドは、この際やはり見捨てられている感を非常に強めるわけなんですけれども。  さらに、この開発行為の範囲について、建設省は、良好な市街化が進められるとみなした場合は開発行為が行なわれたと規定できるが、正確にはケース・バイ・ケースであるというふうな説明をしておられるようなんです。この点から言いますと、開発行為にあっても市町村の認定にゆだねるべきであるという、やはりこれも農協関係の団体の御意見に多いわけなんでありますが、その限りでは私たちも妥当だと思うのですけれども建設省はいかがですか。
  119. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 第二種の要件の中に書いてありますこの「開発行為」というのは、法案の第四条に定義されてありまして、「主として建築物の建築又は第一種特定工作物の建設の用に供する目的で行う土地の区画形質の変更をいう」ということですから、法律上定義されているわけでございまして、これの具体的な判断というものは、都市計画決定権者は市町村、知事の承認を得る、都市計画審議会にかける、こういうことでございますので、都市計画決定権者として、あるいはその承認権者として市町村なり知事が、この定義に当てはまるかどうかを判断されるわけでありまして、御指摘のようなことに結局はなるのではないかと思います。
  120. 瀬崎博義

    瀬崎委員 同じく第二種の面積要件についてですが、都計審の答申でも、第二種の範囲については最後まで問題になったと述べられておりますし、また答申は第二種の面積要件を〇・一ヘクタール以上としているわけであります。これも本委員会でも何回か論議されていることなんですが、さらに地方自治体の農業保全、生産緑地指定の要綱とか条例ができましたその面積要件から見ますと、面積要件なしから三千平方メートルの範囲に大体なっているわけですね。先ほどのどなたかの質問に自治省が答えられておりますが、あれは不正確だったと思うのです。それから農協関係の御調査では、一人でやれる畑作中心の都市農業の場合は、千平方メートル、〇・一ヘクタールくらいが中心ではないか、こういうふうにいわれているわけなんです。ところが法案は、第二種の面積要件は〇・三ヘクタール以上、こうなってきたわけなんです。だから、答申とも違うし、各地方自治体がとっている条例や要綱とも違うし、また農協などがいろいろ調査されている都市農業の実情とも違うしという結果に建設省提案法案はなっているのですが、こういう食い違いが起こってきた理由をひとつ明らかにしていただきたいのです。
  121. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 政府部内の法制的な審議過程におきまして、良好な環境を保全するという観点から、総体としての面積でなければならない、それはおおむね〇、三ヘクタールで、おおむねということですから若干切れてもいいわけですが、そういう程度の規模がなければ幾ら何でも環境機能を果たすとはいえないだろうということで、「おおむね〇・三ヘクタール」という規模の条文になったわけですが、実はそのもとになった答申におきましては、「一人当り〇・一ヘクタール以上」、こう書いてありまして、それが法制的な審議において、一人当たりということは良好な生活環境という観点からなじまない、やはり全体の規模だということで、「一人当り」を取りまして、全体といたしましたかわりに「おおむね」というのを入れたわけでございます。結果としては、一人当たりは幾ら小さくても、数名集まることによっておおむね〇・三ヘクタールになればこの法案のほうが救われる。一人当たり〇・〇八ヘクタールというような規模が畑作においては多いというような話を聞きますが、そういう場合には何人か集まったことによってできるわけであります。  各市町村の条例等におきましては、調べてみますと、大体〇・一ヘクタール以上というようなものが多いようでございます。これは市町村の独自の判断でいろいろな角度を踏まえてやっておられるわけでございますが、私ども法案を作成するにつきましては、やはり都市計画の制度という意味の限界もあり、また環境機能というものも考えまして、「一人当り」をはずした場合の〇・一ヘクタールというわけにはどうしてもいかない、こう考えたわけでございます。
  122. 瀬崎博義

    瀬崎委員 それでは端的にお聞きしますから答えてほしいのですが、もしも都市農業を守るというサイドを重点に考えれば、やはり一人当たり〇・一ヘクタールくらいのところが基準ではないかと考えられるけれども、それでは、都市計画サイド、つまり建設省サイドのいう環境機能の維持ということから見て不適当なので、結局何人か集まってもらって〇・三ヘクタール以上にしてもらうんだ、そういう基準に変えた、こういうことなんですね。
  123. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 大要そういうことでございます。
  124. 瀬崎博義

    瀬崎委員 そこで、さっき建設大臣のせっかくのたいへん御理解ある御答弁をいただいたと私、思うのだけれども、具体的に法案を各農業団体からいろいろ御意見が出ているのと照らし合わせた場合には、結局、農業側意見は無視されているようになっていると思うのですね。ですから、法制化に成功したどころか、ようやく提案にこぎつけたんだというお話に変わりましたから、なおのこと一ぺん慎重に御検討いただきたいと思うのですが、いかがですか。
  125. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 先ほどから何回も申し上げているわけでございますけれども、きわめてむずかしい都市サイドの問題と農村サイドの問題の調整をはかるという、見方によっては画期的な考え方法律案として出したわけでございます。したがいまして、建設省で要請しておる問題と農民側の希望を一〇〇%お互いに満たそうということになりますと、こういう法案は生まれないわけであります。そこで、私どもといたしましても、各審議会の御意向国会の御意向等を十分法案の中に盛り込まれるような立場をとりつつ、なおかつ農林省農業団体等の御意見等も十分しんしゃくした上で、御審議いただいておるような線で何とかやらしてもらいたいということで提案をした次第でございます。
  126. 瀬崎博義

    瀬崎委員 私どもはやはり、都市農業といえども、いまの日本の現状から見れば農業が優先でなければならないと考えるのです。しかし、それはさておくといたしましても、先ほどの大臣の基本的な精神から言うならば、都市計画サイド建設省サイド、そして農民サイド農業団体からの御意見サイド、せめて五分五分でなければほんとう配慮が生きたことにならないと思うのです。吉田局長の線でいけば、もっぱらこれは都市の環境というサイドでしかものを見ていない、こういう結論でしょう。だからこれは私は、政府側の論旨からいっても、いまの大臣の御趣旨でいくならば、五分五分の線にはもう少し変えられないと、答弁とも食い違う結果をわれわれは認めることになる。それはちょっとぐあいが悪いと思うのですね。どうでしょう。
  127. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 とにかく税法上の取り扱い方は、もうこれは五分五分どころではない、建設省は全面的に農家立場をお認めいたしておるわけでございますし、いままでのやり方、手法でまいりますと、農家立場というものを認められないという現行法であるものに対して、そこのところを、農業者営農権と申しますか、農業を経営していく事実を正式に法律の上で認めていこう、しかもそれも都市計画の中の一手法として認めていこうということでございますので、私といたしましては、三大都市圏内における市街化区域の中で農業を営もうという熱意のある農家の方に対してこたえる道は、これ以外にはないのではないかという気持ち提案をいたしておる次第でございます。
  128. 瀬崎博義

    瀬崎委員 繰り返しになりますが、都市農業については、確かに農業をやっていらっしゃる農民立場から、どうしても守らなければならないものであることは論をまたないし、同時にまた、その農地から生まれてくる生産物は都市住民にとってもかけがえのない食料であるという点でも、これは守られなければならないという点を重ねて強調して、最後の問題として、これも部分的には論議は出されておりますが、各地方自治体がとっている制度との関係についてお伺いしておきたいと思うのです。  これも浦井委員がごく一般的に質問されました。それに答えて吉田局長は、市町村は独自の判断でやっている、別の観点から出されたものもあるが、しかしおおむね政府法案と一致している、こう述べられたのであります。一体どういう点を押しておおむね一致しているとお答えになったのか。もうあれこれすでに発表されている公式文書を読むのではなしに、端的なお答えをひとつしていただきたいのです。
  129. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 良好な生活環境を保全したい、そういう目的でおおむね一致しておる、こう申し上げたつもりでございます。
  130. 瀬崎博義

    瀬崎委員 ところが、この生産緑地法案が出されるということになってから、多くの地方公共団体からは、逆に異論や要望が続出してきているありさまじゃないかと思うのですね。たぶん建設省も御存じだと思うのですが、たとえば愛知県議会は、二月の定例県会で生産緑地制度についての意見書というものを採択されております。そこでは「生産緑地法はそれぞれの地域が持っている実情を無視して一方的に規制しようとするもの」だと述べ、さらに「地方自治体の自主性を十分生かすことができるよう強く要請する」、こういう要請が出ております。これは建設省御存じだと思うのですが、一応念のためお聞きしておきたいし、またこういう要望をどういうふうに受けとめられておるのかお聞きしておきたいと思います。
  131. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 幾つかのところからそういった御要望も時期をたがえて受け取っておりますが、この法律都市計画としていままでなかった全く新しい制度を位置づけるということが非常に難問題でありまして、そのためにいろいろ要件その他もきびしくびしびしと法定されてきているわけでございまして、そういうことによって初めて、市街化区域内の農地について生産緑地というものを積極的に意義づけ、その見返り効果として宅地並み課税などの適用除外ができることになるはずでありまして、いろいろ審議過程農業関係方々その他の御意見も聞いておりますが、すべての希望がなかなか取り込めなかったという事情にあることを御了解いただきたいと思います。
  132. 瀬崎博義

    瀬崎委員 なお、堺市以外の場合でも、市独自の生産緑地制度とは正反対のものだ、こう述べておるわけなんですね。ですから、吉田都市局長の言われるおおむね一致ということが、ことばどおり、まず基本は一致しているんだ、端々だけが少し細目において意見が違うというのなら話がわかるのですが、ただ単に抽象的に良好な生活環境という点で一致しているのだと思うと言っても、しかし正反対だというふうな意見が出てくるに及んでは、これはやはり政府側としても住民に最も密着している地方自治体に納得のいく説明がないと……。こういう点で確かに地方自治体の制度をくみ上げ、こういう点で一致できているんだ、細部はそれは多少の違いはあるでしょうというのなら話はわかると思うのですね。正反対だというのです。ですから、たとえば地方自治体がこの議事録を見てなるほどなと思えるような答弁を、もう少しここでしておいていただきたいと思うのです。
  133. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 正反対というのは、税制も含めていわれれば何をか言わんやでございますが、本法に関する限りまさか正反対ということはあるはずがない。  それから、おおむね一致していると申し上げましたのは、その目的とするところがおおむね一致しているというわけでありまして、要件等の内容はかなり違っているわけでございます。それは私もそう認識しておりますし、それに近づけるにしても法制上限度があったということと、要するに宅地並み課税というのはすでに施行されているわけでありますが、そのときの附帯決議として、都市計画上の制度としての生産緑地を確立せよ、こういう御趣旨でありますから、私どももそういう場の制度として極力いろいろな御意見も取り入れて、やっとここへ持ち込んできたという感じを申し上げてお答えといたしたいと思います。
  134. 瀬崎博義

    瀬崎委員 ですから法の根本に及べば、地方自治体がとってきた制度の趣旨、内容と今回の政府の案とは、やはり質を異にするということになるのじゃないかと思うのです。結局そういうふうに言かえられると思うのです。そうだと思いますよ。各自治体の条例と比較すればその違いは非常にはっきりしてくるのです。私も全部の各地方自治体の要綱や条例に目を通したわけではありませんが、たとえば町田市の要綱の目的には「営農意欲の持続ならびに促進をはかり」と、促進ということばを入れておりますね。それから青梅市の要綱案では「生鮮食糧品の供給確保につとめると共に」と、積極的に生鮮な野菜の供給地としての生産緑地の意義を述べております。いずれも農業の保全、これが優先的に取り上げられて地方自治体の制度が生まれてきている。これに比べて、先ほど来の論議のように、政府の案はどこまでも都市計画サイド、それもわれわれが言う総合的な都市計画じゃなしに、きわめて狭い範囲の最も手っとり早い土地確保という意味で述べられている。こういうふうな点でまず法をつくる目的から相反していると思うのです。ですから、この点でやはり、私が先ほど農民意見をもっと聞くべきだと申し上げたと同じように、自治体の意見も聞き自治体との調節も十分はかるような法案の作成でなければならないと思うのですが、これはやはり大臣から一度そういう点での再検討をお考えいただきたいという点でお伺いします。
  135. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 もう先ほど来繰り返し繰り返し申し上げてきておるところでございますが、何といっても、都市計画都市づくりというものと農村の環境整備、営農という面から、従来は法律上のその結び目というものがないためにいろいろな問題を起こしてきたことは、先ほど来の御審議で明らかなところでございます。いろいろ税法上の込み入った点がここに出てまいりまして、国会でいろいろな曲折を経てあの税法が成立をし、しかもそのときに国会の議決の附帯決議として、とにかくその接際点におる農業というものをよく考えた上で都市計画ができるようにしなさい、こういう決議がされたわけであります。その決議にこたえて、実はいろいろと各関係者が寄りまして、農業団体の方も、地方自治体の代表の方も、農林省建設省も自治省も寄り合いましてこの原案を作成いたした次第でございまして、これはもうほんとうに画期的な法律であるということでございまして、農業団体方々とも実は昨日いろいろお話ししたわけでございますが、やはり先ほど申し上げておりますとおり、農家の側の意向が一〇〇%入る、建設省側の意向が一〇〇%入るということになりますと、これはもう強権でお互いにやり合わなければならぬような形になるわけでありまして、これはもう望ましくないということでありますから、お互いに大部分の要請が達成されればいいではないかということで、このような諸基準を定めまして立法化して提案をした、こういうことでございますので、私どもは、先ほど来申し上げておりますとおり、決していま市街地で農業をやっておる農業しかできない人に対して、おまえ出て行けというような気持ちでやっておるのじゃないということだけは十分おわかりいただけたと思う次第でございます。
  136. 瀬崎博義

    瀬崎委員 いまの大臣お答えの中にもありました、宅地並み課税が持ち込まれて混乱が起こった、もっともだと思うのですね。  最後に私、強く要望しておきたいのは、ほんとう都市住民の立場に立った都市計画を進めていく、必要な土地を確保していく、そういうふうな立場でいくならば、これは先ほど大臣も認められましたように、農地だけに目をつけて三十万ヘクタール転用するということではなしに、やはり土地を無用に遊ばせて値上がりを待っている、そういう意味では社会的にも最も悪徳な大手の不動産業者の用地のはき出し、こういうことがやはり建設省の一番の施策になるように、そうすればこういう問題もやはり矛盾なく解決の道に向かうであろう、こういう希望を述べて私の質問を終わりたいと思います。
  137. 木村武雄

    木村委員長 次回は、来たる九日火曜日、午前十時委員会開会いたします。  なお、建設委員会地方行政委員会農林水産委員会連合審査会は、来たる八日月曜日、午前十時開会いたしますので、御出席をお願いいたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後一時四十分散会