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1974-03-27 第72回国会 衆議院 建設委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月二十七日(水曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 木村 武雄君    理事 天野 光晴君 理事 服部 安司君    理事 松野 幸泰君 理事 渡部 恒三君    理事 渡辺 栄一君 理事 井上 普方君    理事 福岡 義登君 理事 浦井  洋君       小沢 一郎君    梶山 静六君       金丸  信君    國場 幸昌君       中尾  宏君    野中 英二君       林  義郎君    村田敬次郎君       大柴 滋夫君    佐野 憲治君       清水 徳松君    中村  茂君       山本 幸一君    渡辺 惣蔵君       柴田 睦夫君    瀬崎 博義君       新井 彬之君    北側 義一君       渡辺 武三君  出席国務大臣         建 設 大 臣 亀岡 高夫君  出席政府委員         大蔵省銀行局長 吉田太郎一君         建設政務次官  内海 英男君         建設大臣官房長 高橋 弘篤君         建設省計画局長 大塩洋一郎君         建設省都市局長 吉田 泰夫君         建設省河川局長 松村 賢吉君         建設省道路局長 菊池 三男君         建設省住宅局長 沢田 光英君  委員外出席者         農林省構造改善         局農政部農政課         長       関谷 俊作君         参  考  人         (水資源開発公         団副総裁)   丹羽雅次郎君         参  考  人         (水資源開発公         団理事)    富所 強哉君         建設委員会調査         室長      曾田  忠君     ————————————— 委員の異動 三月二十六日  辞任         補欠選任   柴田 睦夫君     米原  昶君 同日  辞任         補欠選任   米原  昶君     柴田 睦夫君 同月二十七日  辞任         補欠選任   大柴 滋夫君     山本 幸一君 同日  辞任         補欠選任   山本 幸一君     大柴 滋夫君     ————————————— 三月二十六日  生産緑地法案内閣提出第五六号)  建築基準法の一部を改正する法律案内閣提出  第七五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  生産緑地法案内閣提出第五六号)  建設行政基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 木村武雄

    木村委員長 これより会議を開きます。  昨二十大日、本委員会に付託されました内閣提出生産緑地法案議題といたします。
  3. 木村武雄

    木村委員長 まず、提案理由説明を聴取いたします。亀岡建設大臣
  4. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 ただいま議題となりました生産緑地法案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  都市化の進展に伴う緑地の急速な減少により、都市地域における生活環境は悪化する傾向にあります。このような事態に対処するため、都市公園等公共空地整備を促進するとともに、広く民有緑地についても積極的に活用することがとりわけ市街化区域内においては必要不可欠となっております。他方、市街化区域を今後計画的かつ段階的に整備していくためには、将来必要となる公共施設等の用に供する土地をあらかじめ確保しておくことも重要な課題となっております。  このような状況において、良好な都市環境の形成をはかるための都市計画上の施策として、市街化区域内において適正に管理されている農地等のうち、良好な生活環境確保相当効用を持ち、かつ公共施設等予定地として適しているものを対象とする生産緑地地区の制度を創設する必要があります。  以上がこの法律案を提案する理由でありますが、次にこの法律案要旨を御説明申し上げます。  第一に、市街化区域内の農地等で、公害または災害の防止等良好な生活環境確保相当効用があり、かつ公共施設等の敷地の用に供する土地として適しているものであって、おおむね一ヘクタール以上の規模を有する等一定要件に該当するものについて、市町村土地所有者等関係権利者の全員の同意を得て、都市計画に第一種生産緑地地区を定めることができることといたしております。  第二に、市街化区域内における土地区画整理事業等が完了した土地区域内にある農地等で、おおむね〇・三ヘクタール以上の規模を有する等一定要件に該当するものについては、当該土地区画整理事業等施行区域の面積のおおむね三〇%をこえない範囲内において、第一種生産緑地地区と同様の手続きをもって都市計画に第二種生産緑地地区を定めることができることといたしております。なお、第二種生産緑地地区に関する都市計画は、原則として十年で失効することといたしております。  第三に、生産緑地地区内においては、建築物建築土地の形質の変更等行為は、原則として市町村長の許可を受けなければならず、市町村長は、農林漁業を営むために必要となる施設設置等にかかる行為以外は許可しないこととし、これに違反した者に対しては、原状回復等を命ずることができることといたしております。  第四に、生産緑地所有者は、生産緑地地区の指定後一定期間経過した場合等にあっては、市町村長に対し当該生産緑地を買い取るべき旨を申し出ることができることとし、申し出があった場合は、市町村長等は、特別の事情がない限り、適正価額で買い取るものとし、買い取らないときは、当該生産緑地について行為制限等の規定は、適用しないことといたしております。  第五に、生産緑地地区内の農地については、固定資産税等のいわゆる宅地並み課税を適用除外することといたしております。  以上がこの法律案提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  5. 木村武雄

    木村委員長 以上で提案理由説明聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ります。      ————◇—————
  6. 木村武雄

    木村委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  建設行政基本施策に関する件調査のため、本日水資源開発公団から副総裁丹羽雅次郎君及び理事富所強哉君参考人として御出席を願い、御意見を聴取することにいたしたいと存じますが御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 木村武雄

    木村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人からの御意見質疑応答形式でお聞きすることにいたしたいと存じますので、さよう御了承願います。     —————————————
  8. 木村武雄

    木村委員長 次に、建設行政基本施策に関する件について調査を進めます。質疑申し出がありますので、順次これを許します。瀬崎博義君。
  9. 瀬崎博義

    瀬崎委員 高度成長時代の花形であった建設省も、一方ではインフレの抑制、列島改造批判などによって、また一方では、現実の建設工事住民地方自治体反対等に出会うなどして、いまや建設行政あり方には再検討が求められている時期だと思うのです。建設省の中にも、建設省公共事業地域社会への適応策研究会というふうなものが大臣官房政策課の中につくられていて、昨年は中間報告も出されているようなんです。そういう意味では、昨年十月十九日に開かれました国土開発幹線自動車道建設審議会において、インフレ対策などを真剣に考えるなら計画の一部を中止するとか繰り延べるとか、こまかい審議の必要なことが強調されましたし、今日の事態はそのときの指摘の正しさを証明していると思います。しかし結局、共産党だけの反対ですべて原案どおり決定を見たわけであります。したがって私は、いまあらためて、審議会運営あり方についていろいろと改善意見が当時の審議会に出されたことの重要な意義を思い出しまして、建設行政民主化の一環としていろいろ政府に質問をしたいと思うわけであります。もちろんここで審議会をやろうというわけではありませんので、審議会実情国会論議に反映させ、その基本的なあり方について、政府考え方が先般出た審議会意見を聞き入れようとしているのかどうか、そういう点をただしたいと思うわけでありますから、ひとつ答弁もその趣旨に沿ってお願いをしたいと思うわけであります。  まず第一は、審議回数及び審議時間なんですが、年に一回、それも二時間と時間を限って、法律審議会に与えている重要な審議がそもそも可能なのかという点が指摘されたわけであります。当然会長職務代理者にもなられる新大臣がこの点をどうお考えになるのか、お聞きしたいと思うのです。
  10. 菊池三男

    菊池政府委員 前回審議会におきまして、一回の審議でわずかな短い時間にこれだけの大きな問題をきめてよいのかという御意見が出たのは事実でございます。そこでちょっと審議会について申し上げたいと思います。  実は審議会にかけておりますのは、高速自動車国道基本計画整備計画を出す段階審議会の議を経るということになっております。たまたま高速国道につきましては、普通の道路計画と違いまして、これは、法律高速自動車幹線自動車道建設法によりましてもう予定路線がきめられております。おもな経過地を通ってどこからどこまで行くというものが法定されております。それにつきまして、さらに建設を開始すべき路線についての基本計画を定める、それからさらに整備計画を定める、そういういろんな段階を経まして、それから道路公団施行命令が出されて、設計協議あるいはルート発表ということになるわけであります。  そういう意味で、これはもう予定路線がある程度きまっておりますので、私どもも最近は、その整備を、基本計画を出す区域をきめるということから何回もやることなしに、一回でやっております。従前は、その法律が定められます前は、どこをやるかということが非常に大きな問題でございましたので、路線部会あるいは財源等部会というようなものを開いて、それぞれ慎重にやっておりましたけれども、もう予定路線が全部できまして、その中で、しかも基本計画整備計画ももう八〇%、九〇%というふうに出ておりますので、あと残りのところをどこを出すかということでございますので、最近は一回できめていただいているという実情でございます。お話のように、十分慎重に検討することは必要でございますけれども、それで、いまのところはだいじょうぶだったということでいままでやっておったわけでございます。
  11. 瀬崎博義

    瀬崎委員 大臣答弁を聞きたかったのでありますが、当時大臣は出ておられませんから、一応局長答弁を聞きましたが、道路局長は極力審議会存在意義を薄めようとしていらっしゃるわけなんですね。  第二の問題として、いまお話しのように、基本計画が十一地区間、整備計画が二十区間整備計画変更二十四区間一括審議という形態が当時とられておったわけなんです。たぶんそれはいまの局長のような方針からだろうと思うのですね。しかも採決議題別一括採決の方法がとられておる。こういう点についても、審議会においては、片方で全国的な経済情勢社会情勢との対応から見ると、そういうものが大きく変わった場合の全体としての計画規模が妥当なのかどうか。段階を区切らなければならないという点では、大局的にかけられた路線全部を一ぺんに認めるのがいいのか、幾らかこれを縮小するとか、あるいはずらすとかいうことがいいのか、これも意見が出される、あるいはそういうことの賛否も問われるということが必要であろう、こういうことも強調された。それから同時に、いま一つは、各路線別にも具体的な意見が反映できるような個別の審議採決のしかたも必要なのではないか、こういう意見も出されたわけなんです。これについては、一定理解が当時の審議会では示されているわけですね。議事録にも載っております。こういうことについて、ああいう審議のしかた、あるいは採決のしかたがそのままでいいのかどうか、これもあらためて聞きたいと思います。
  12. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 御指摘の点、ごもっとものようにも受け取れるわけでございますけれども先生も御承知のとおり、当審議会構成メンバー考えてみますと、わが国の政界、また技術界言論界等の、一応最高峰といってもいい方々によって構成されておる審議会でございます。したがいまして、審議会運営については、審議会独自性にまつべきものでございまして、そういう面におきましては、しかも各党からも委員として出ておられるわけでありますから、審議会独自の問題を私どものほうであれこれと申し上げるべきことではないと存じますけれども、事務的な問題を扱っております建設省といたしましては、確かに、御審議いただくにあたりましてのいろいろな資料準備でありますとか、御理解をいただけるために十分な対策を講ずるというようなことについては、十分慎重に考えていかなければならないのではないかという考えを持っておる次第でございます。
  13. 瀬崎博義

    瀬崎委員 技術界とか言論界代表する権威者出席だとおっしゃいましたが、何人昨年の審議会に出ておられますか。
  14. 菊池三男

    菊池政府委員 学識経験者が八名審議会委員として載っておられますけれども前回出席されましたのは三名でございます。
  15. 瀬崎博義

    瀬崎委員 その三名の方が、はたしてたとえば技術界あるいは道路言論界代表者であるかどうかについては、私も大いに疑問があるのですが、その三人の方があの審議会でどれだけの発言をされましたか。
  16. 菊池三男

    菊池政府委員 時間の関係で、説明にも相当な時間を要しましたために、実際に御審議いただく時間が少なかったこともございますけれども、御発言は各先生方が皆さんやられますので、一人の時間というのはあまりなかったかと思います。ただ、審議会委員長総理大臣でございまして、あと建設大臣代理ということで、それ以外の委員方々は、各省の大臣、それから国会議員方々と、非常にお忙しい方がたくさんいらっしゃいますので、なかなか時間をかけることができませんので、事前に委員方々には全部に私ども説明をしてございます。それで、その際にもいろいろと御意見は承っておりますけれども、あの公開の場で御発言があったのは、やはり時間の関係がございまして、必ずしも十分その場では出なかったということもあるかと思います。
  17. 瀬崎博義

    瀬崎委員 十分出なかったどころか、ここに議事録がありますが、八人中三人出席、その三人の方の発言は公式にはないのです。それでは、裏で聞いたというが、建設省側がまとめてそういう方方の意見審議会でどこかに出したか、これもないわけなんです。ですから、どうです大臣、残念ながら大臣のおっしゃった技術界言論界代表者の御意見というものは、公式には審議会に出ていないような仕組みの審議会であったというわけなんですが、これはやはり改善を要すると思うのです。審議会の問題ではあるけれども、そういうものを選任していらっしゃるのは大臣のほうですから、そこの考え方がある程度お聞きできないと、改まるのかどうかという保障が私たちは得られないわけなんです。大臣の所見をお聞きしたいと思います。
  18. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 局長から申し上げましたように、審議会を開催するにあたりまして、あらかじめ資料等事務当局整備いたしましたものを各委員方々に勉強していただくだけの時間の余裕を持って御説明にあがったり、あるいは御研究を願う、その上で審議会が開催される、こういう形式通常踏んでおる次第でございまして、本審議会においてもそういう手続をとらしておる次第でございます。発言がなかったということは、結局、事務当局準備いたしましたいろいろな案件が、審議会委員の諸先生方に十分御納得をいただいておるから、ことさらの発言がなかったのではないかというふうにも考えられるわけでございます。その点につきましては、日本の戦後の道路行政、特に高速道路設置につきましては、比較的円滑に進んできておるという事態を振り返ってみましても、審議会あり方がいまのままでは全く不十分であるというような御指摘ですが、十分審議会使命を果たしてきておるものと私は考えておる次第でございます。  しかし、今後確かに、住民意識の高揚に伴いまして、生活環境整備公害防止というような面に道路行政が逢着することも予想されますので、そういう面に対しての審議会使命というような点につきましても、いろいろ大きな問題が予想されるわけでございますので、今後事務担当をいたしております建設省といたしましては、そういう面についてのあらかじめの研究準備、そして審議会の諸先生方に十分御納得のいただけるような御勉強を願える体制をとってまいるということに十分努力をしてまいりたいと考えております。
  19. 瀬崎博義

    瀬崎委員 私は残念にして、せっかくの学識経験者の御意見なるものを、今日に至るも全く知り得ていないわけであります。かつ、円滑に道路行政が進められているというお話であったけれども、当時の審議会で具体的に、まことに円滑を欠いている問題も指摘されているわけなんです。  たとえば地方自治体議会反対決議をしている問題も出されました。ところが、これに対する菊地道路局長見解は、地方議会計画路線発表されるのは、整備計画段階ではなく、もっとあと道路公団施行命令を受け詳細な測量調査をして一年か一年半たったところだ、整備計画段階反対決議は本来ないはずだ、こういうふうなことを言われたわけなんです。本来どういう決議をするかは、それこそ地方自治体の権限に属する問題であって、そんなことをするのは全くおかしい、けしからぬというふうな、こんな意見なんですね。民主的な手続という点からいえばこれこそおかしい話で、いま出されている整備計画関係市町村議会を全くつんぼさじきに置いてつくられるべきなんだというならばなおさらのこと、審議会がせめて住民意見との調整の大筋について配慮する努力がむしろ必要になってくる、このように思うのです。  こういう点について私は事実をそのまま申し上げたのですが、新大臣はどのようにお考えいただけますか。これは大臣見解を伺いたい。
  20. 菊池三男

    菊池政府委員 先ほど、そのときに私が答弁申し上げたことが出ましたので、先に私から申し上げたいと思います。  路線決定するにあたりまして、地元住民方々の御意見を聞くということは非常に重要なことでございます。ただ、こういう地域的な問題を離れた、非常に大きな全国的な視野に立った問題のルートということになりますと、地元という考え方が、そこに住んでおられる地元の方、あるいはその行政機関代表である市町村あるいは県という段階でいろいろあろうかと思います。そこで、ほんとう地元の方の御意見というものをいつ聞くべきかということがむずかしい問題でございます。ただ、私がそのとき申し上げましたのは、基本計画整備計画段階は、まだ路線の確定をいたしておりません。そのときの資料として皆さまに差し上げます図面も、五十万分の一に三ミリくらいの太さのルートが入っております。それは端から端まで一キロ半くらい実際の現地では離れておるわけでございます。まだその程度の段階しか路線というものは確定しておりませんので、その中でどこに行くかということになりますと、これは地元方々の強い関心のある問題になるわけでございます。そこで、整備計画を出す段階までは、県なり地方自治体というようなところで大まかなものをきめ、そして公団は、施行命令が出てからルート発表いたします前に、関連公共事業の問題、あるいはさらに、文化財の発掘あるいは調査という具体的な問題をひっくるめてルートをきめるわけでございます。そのときにはやはり地元方々の御意見を承るということで、この審議会にかけております整備計画までの段階は、非常に地域的でない、全国的な視野に立った見方ということでございます。そうかといって、ただいま申しましたように、ルート発表あるいは設計協議というようなことを実際に公団地元の方とやりまして、いろいろな地元利害関係の問題を全部なくした上で事業に着工しておるということでございますので、私どもは、その段階でいわゆる地主さん方あるいはその土地の方との関連の御協議は、十分できるというふうに考えております。
  21. 瀬崎博義

    瀬崎委員 私の言っていることに答えていないんですね。私が言っているのは、たとえどうであれ、整備計画段階地元議会一定意見を出したわけなんです。それをわれわれが審議会で取り上げて議論しようとしたら、おたくのような発言があって、そもそもそんな自治体の反対決議はおかしいんだ、こういうふうに否定されたけれども、私が言っているのは、出た以上は、やはりそういうものは審議会審議対象になるべき問題ではないか、こういうふうに申し上げているわけなんです。こういう意味大臣の御答弁をお願いしたいと思います。
  22. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 ただいま道路局長から申し上げた点で御理解いただけると思うのでありますけれども、大まかな、とにかく東北縦貫道路設置をするということ、大体どの付近を通って青森まで行く、こういう路線決定審議会で当然審議されまして決定されるわけでございます。その際に、自分たちの町を通してほしいという要望もございましょう。また町内を通してもらっては困るという御意見もございましょう。こういう問題につきましては、その審議会の御決定によって、建設省から今度は道路公団設計命令を出して、いよいよ着工をするという段階になったその時点において路線決定が行なわれるわけでございます。したがいまして、審議会ほんとうにそういう細部の点まで審議しようといたしましても、実はその資料そのものがございませんので、実際上の審議がなかなかその時点においては不可能であるということで、先ほど道路局長から説明申し上げましたような手続を経て、住民の気持ちを十分取り入れていくことができる処置は講じてある、こういうふうに考えるわけでございます。
  23. 瀬崎博義

    瀬崎委員 ところが、この問題については、やはり地方自治体決議がある以上、そういうものについての検討は大事だということで小委員会をつくるということがきまったのです。そういうこと自身も、大臣はかんばしいことではないというお考えですか。
  24. 菊池三男

    菊池政府委員 前回審議会におきまして、ある地区ルートの問題が出ました。実はこれは非常に例の少ないところでございます。と申しますのは、通常整備計画までの段階は、先ほど申しましたように、五十万分一に三ミリくらいのルートでございますので、まだどこを通るということの地元発表はないわけでございます。したがって、この前もめましたところも、まだ路線発表というような形を全然とっておりませんが、大体この辺を通りそうだということで、まだ公団がきめて発表もしないうちに、たまたま議会のほうで先に反対だというような意見——賛成意見もございますが、そういう問題が出たわけでございます。したがって、通常整備計画段階ではない、あそこは特殊の例だと思います。ただ、あの場所につきましては、その後小委員会をつくって検討いたしますということを申し上げてございます。小委員会をつくってやりますには、もう少しあそこの地元の御意向等も固まりませんと、ただそこの審議会の小委員会でこれをどうするかということではなかなかきまりませんので、もう少し現地の状態も話し合いをして詰まった段階で小委員会にかけたいということで、それは小委員会をやる予定でございます。  それから、先ほど私ちょっと申し忘れましたけれども基本計画を出しましたときに、これは法律できめられておりますが、それに利害のある方がもし御意見があれば、知事を通じて申し出ることができるようになっております。そういう意味では、基本計画を出してあと、何かそれに対して異論があれば異議を申し立てることができることになっておりますが、これはまだ実例としてはいままでに一件もございません。
  25. 瀬崎博義

    瀬崎委員 小委員会は開くがまだその時期ではない、こういうことですが、もしわれわれのほうとして、早く開くべきである——いわば条件つきで認められたようなかっこうですね。そういう場合、会長職務をかわられた新大臣の意向にかかってくると思うのです。私たちは早急にやるべきだと思うのですが、いかがですか。
  26. 菊池三男

    菊池政府委員 できるだけ早い機会にやることは大切だと思います。ただ、先ほど申し上げましたように、非常にお忙しい方々でございますので……。ただ、そこでどうするかということになりますと、これは普通の整備計画の大きな考え方の問題より、いま問題になっておりますのは、非常に地域的な、どこを通るかという問題でございますので、それだけに、ほんとう路線発表段階でそういうことがあるということでございますが、たまたまあの整備計画審議のときに出ましたので、小委員会をつくってもちろん御説明もし、また決定もしていただくわけでございます。もう少しこちらの考え方あるいは地元考え方が詰まってからのほうがいいということでいままで延ばしておるわけでございますけれども、これはなるべく早くきめるようにしたいというふうに考えております。
  27. 瀬崎博義

    瀬崎委員 いま具体的な小さい問題という強調があったのですが、逆にこの間の審議会は、本来ならこういう委員会で論議されるような大きな問題も提起されているのです。たとえば、「何のために道路をつくるのか、このような高速道路をつくるかという根本をわれわれ常に考えなければならない。いままでの行政は残念ながらその根本を忘れていたのではないか。道路をつくること、それで地域を開発すること、あるいは経済の発展を促すことは何のためにあるかといえば、結局人々のしあわせをつくるため以外の何ものでもない。住民が困るというなら、山のほうを通すとか、トンネルにするとか、人間の命を大事にするという根本思想で行政をやるべきだ」、こういうのが意見としてありました。また、「日本のいままでの道路工事は残念ながら安上がり行政だった。自然環境だけでなく、人間の生活環境を守れるかということを前提にして工事をするべきだ」というふうな意見もあったわけです。これはまさに道路行政の根本を問われているような問題だと思うのです。こういう意見には、これはひとつ大臣からお聞きしたいのですが、賛成なんですか。反対ですか。
  28. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 日本国新憲法の示すとおり、立法も行政も司法も、すべて国民主権者のしあわせを築き上げるためにやらなければならないということは、もう御指摘のとおり、いまおっしゃったとおりでございます。つきましては、この審議会におきましても、先ほど局長からお答え申し上げたように、やはり本会議に議案を出すまでに、部会なり、ただいま御指摘のような小委員会なりで十分こなしたものを提案をして、お忙しい委員先生方に最後の決をとっていただくというシステムにしていかなければならないことは当然でございます。そういう点につきましては、御指摘のとおり迅速にやっていきますように考えてまいります。
  29. 瀬崎博義

    瀬崎委員 一定改善をされるというお話ですから、それはぜひ実行していただきたいと思うのです。もちろん御存じと思いますが、先ほどの意見というのは、私ども野党の側が言ったのではなくて、与党、自民党の大石委員がおっしゃったおことばそのままなんですね。こういう観点に立ちますと、こういうことも私たち考え直す必要が出てくると思うのです。  当時の審議会に提出されました一番詳しい資料というのは、「国土開発幹線自動道調査計画の概要」という、こういうパンフなんですね。これ以上のものは出てなかったわけであります。事前に私どももう少し詳しいものを要求したのでありますが、それは出ずじまいでありました。それでは審議会の任務からいって全く不十分な資料ということで、席上私のほうから、少なくとも調査項目として一次調査、二次調査に上がっているぐらいのことは示されている資料の提出を求めましたところ、四路線だけではありますが、一応追加資料が出されたのでおります。「国土開発幹線自動車道調査の概要」という、こういうコピー刷りの資料が、これは全路線ではなくてわずか四路線だけ出てまいりました。もちろんこの資料そのものも、われわれの要求しているものからいえばなおほど遠いものではありますが、それでも審議会にこれらの資料が提示されておりましたならば、大石発言もあったことだし、当然次のようなことがもっと具体的に論議になっただろうと考えられるわけであります。  たとえば、四路線のうち三路線は霧対策が重要な計画要素であることをこの追加資料は示しております。  北海道の気象調査の中では、「旭川付近では九月、十月の二カ月間で視程二百メートルを割る濃霧が十五回程度発生している」。つまり四日に一回の割合で発生しているとあるが、「視程二百メートルを割る」とは一体どの程度なのか、こういう疑問が生じます。  また中央自動車道長野線でも、川霧、山霧、湖霧の発生が指摘されている。山と湖と川に囲まれるという条件の中で何回ぐらいの発生頻度が予想されるのか、これはこの資料に出ておりません。また視程は何メートルぐらいになるのか。こういうことも私どもとしては懸念されところです。  九州横断自動車道では「霧については、日田市を中心として発生しており、年間総発生日数は百十日程度」と調査結果を追加資料で出しておりますが、こうしたところに通常高速道路の概念は当てはまるのだろうかと私ども考えるわけであります。  さらにまた追加の資料では、雪対策、路面凍結対策の必要なことを示す調査結果も出ております。  北海道縦貫自動車道の場合、「平均最深積雪は、岩見沢で百五十センチ程度、旭川で九十センチ程度である。また、岩見沢付近では北北東と南南東の風向が卓越している」と、きわめて悪い気象条件が示されているわけです。専門家の見解によりますと、冬は北北東の風が強くて、ふぶきになれば視界ゼロもしばしば起こるであろう。走行は全く不可能となる。走行中の車が途中ストップせざるを得なくなれば凍死ということもあり得るし、現に北海道内で実例もあったというふうに聞いているんです。  九州横断道では、「日田地区で年間0度C以下となる日が六十五日」とあり、路面凍結対策の必要性を示しております。  こうした霧、雪、凍結等の対策は、この追加資料によれば、すべて「実施段階における設計上の配慮によって、十分対処できるもの」としか示されていないのでありますが、設計上の配慮とは道路構造にどんな特殊施設を施そうということになるのか、また、通行制限の配慮によるとするならどんな通行制限の対策考えようというのか等の基本方針については、少なくともこういう資料を出す以上、審議会説明がなされ、そういうことが了解できることなのかどうか等ぐらいのことは必要であったと思うのですが、いかがでしょうか。
  30. 菊池三男

    菊池政府委員 ただいま御指摘になりましたことは、やはり高速道路をつくる上におきましては、一つ一つがみんな重要な問題でございます。ただ審議会におきましては、ただいま申し上げましたように、非常にお忙しい方ばかりでございますので、なかなかそこまでの細部の点についての審議が行き届かないこともあろうかと思います。  いままでは特に、高速道路建設の促進の問題、あるいは二車線の暫定施行をやっておりましたが、これは、二車線はあぶないから四車線にすべきであるというような問題、あるいはインターチェンジをもっとつくるべきであるというような問題、あるいは道路の環境の問題、あるいは自然保護の問題とか、いままで審議会におきましてたいへん重要な問題をたくさん出していただきまして、私どももそれにのっとりまして、段階建設は解消するとかいうような、だんだん言われましたことの実行をやっておるわけでございますが、ただいまお話しのように、たとえば雪の問題を構造上できるということにつきまして、どういう形でやるのかということはたいへん大きな問題でございますけれども、これは、スノーセッドをやるようなこと、あるいは防雪の林をつくること、あるいは壁をつくること、さくをつくること、いろいろございます。そういうような構造的な問題は、その審議会というよりは、そういう実際の問題はその後まだやるチャンスがあるのであろうということで、私どもも、実は調査資料も、いまの御質問のとおり、その要点だけしか書いてございませんので、内容的にそれだけを見たのでは理解できないというのもごもっともでございますので、今後は、そういう内容につきまして、できるだけ全部入ったような、網羅したものを出すように心がけたいと思っておりますけれども、そうかといって、そういう非常にこまかい調査資料まで入りますと膨大になりまして、審議会先生方が目を通していただくには、非常に内容的にこまかい問題がたくさんあり過ぎますので、やはり要点だけについてしぼって議論していただくことは実際の運営上やむを得ないんじゃないかというように考えておりますが、先ほどの大臣から言われましたように、事前に説明はやっておりますけれども、その場で御説明して、形としてはその場できめるんじゃなくて、やはり何らかの形で事前にそういうことをやった上できめるというようなことを大臣からも指示を受けておりますので、そういう形で進んでまいりたいと考えております。
  31. 瀬崎博義

    瀬崎委員 これは当然、先ほどの大石発言のような立場を認められるならば、いまのようなことは、細部でなしに基本方針だけでも審議会で確認が必要になると思うのですね。ぜひひとつ、いま発言されたとおり、部会とか小委員会を早期に開いて、やはり事前にこういうことが審議できるような体制をお願いしたい、何ぼ忙しくても、必要なことはわれわれとしてやらなければならないと思うのですね。  といいますのも、これは決してこまかい問題ではなくて、過去の例を見ましても、たとえば霧によっては、一九六四年十二月に名神の深草で三十六台衝突、死亡一、負傷七という大事故。七二年の二月には、東名のすそ野で三十二台衝突、これも死亡二、負傷四十四を出し、また外国の例で見ましても、七二年の三月には英国のM1高速道路で百五十台の衝突事故が起こって、死亡約十を出している。路面の凍結では、七二年の二月に名神で十三台衝突、死亡十三というふうな事故が出ている。ですから、いずれもこういう問題は特別やはり審議会で、われわれは技術者ではないから、どういう構造ということは別問題として、必ずこういうことが防ぎ得るという前提のもとに建設が行なわれるべきであるというぐらいのことは確認が必要な条項です。そうでないと、これは本来は賛成できないような個所だと思うのですね。こういう点をひとつぜひ認識をしておいていただきたいと思うのです。  さらに、この追加資料を見ますと、地形、地質について、中央自動車道の長野線の場合、「岡谷〜豊科間はフォッサマグナ(大断層帯)が通っている。会田川沿いには、砂質泥岩層が分布し、崩壊及地辷りを起している」、こういう重要な調査報告が出ているわけです。  金子史朗という方の「世界の大災害怒れる地球」という本の中では、「私は、たまたま一九七〇年、東北高速道通過予定地の一部(盛岡〜花巻間)が活断層を横切るのを知った。ただちに時の環境庁長官大石武一氏にこのことを伝え、路線の一部変更(数十m)を提案した。大石長官は快諾し、再考を約したが、建設省道路高速国道課では、一九七一年一月八日付の回答において、すでに時機を逸しており、路線変更が困難であることを回答してきた」と述べているわけです。  追加資料によれば、「地質的に問題のある」としながら、「断層帯や地辷り地帯については、設計、施工段階での慎重な配慮によって十分対処できる」としか対策については書いていないわけなんです。先ほどの例にありますように、審議会を一たん素通りしてしまいますと、その後、貴重な忠告や意見が出ても、それは生かされない。だからこそ、政府側の言い分も含めまして、せめて慎重な配慮の具体的な中身ぐらいは基本方針として審議会で論議されるべきではないか、こういうように、私は主観的に言っているのではなくて、過去の例から見て申し上げているわけなんです。ひとつこの点については、大臣のほうで、先ほど改善お話がありましたが、とりあえず改善するためにはどうしようかという審議会ぐらい早急に開かれる必要があると思うんですね。あと審議会が論議できると思うのですが、それはやはり大臣の意向にかかってくると思うのです。早期とは言われますけれども、大体めどとしてはいつごろまでに審議あり方についての審議会を開こうとされるのか、そういう点について御意見を聞きたいのです。
  32. 菊池三男

    菊池政府委員 審議あり方の問題はたいへん重要でございますけれども、ただそれだけのために皆さんが集まっていただくことも、これもお忙しい方でございますので、もしやるとすれば、また次の、そういう基本計画整備計画という問題が出てまいりますそのときに、やはり審議あり方というものを最初に御相談いただきまし又そして、それじゃ何か部会をつくるとか、あるいは小委員会をつくるとかいうような行き方をきめていただきまして、そしてそれにのっとってやっていくような形で、それだけのために早急にお集まりいただくことはむずかしいのじゃないかという気がいたします。
  33. 瀬崎博義

    瀬崎委員 それだったらなおのこと、少なくともペンディングになった小委員会の発足等については、ただ単なる早期ということで、あと審議会の問題だと言われてても、審議会が開かれないのですから、われわれは論議ができないでしょう。それはここで明示しておいてもらう必要があるのじゃないかと思うのです。大臣、いかがでしょうか。
  34. 菊池三男

    菊池政府委員 小委員会につきましては、前回審議会におきまして、そういう小委員会をつくって、あそこの塩尻の問題については小委員会審議するということがきまっておりますので、いま地元とまたいろいろ詰めをやっておると先ほど申し上げましたけれども、できるだけ早い機会にこれは開きたいと思います。ただ、全体の審議会あり方という問題は、この次の審議会のときに御審議いただけばよろしいのではないかと思います。今度開きますのは小委員会でございます。
  35. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 いま仰せられたような、雪国地帯の道路の災害防止の問題でありますとか、あるいは凍結の問題でありますとか、そういう問題につきましては、これはもう行政を担当いたしております私の責任でございますので、そういう問題につきましては、それぞれ行政担当部局において、二度と再び事故の起こらないように、安全交通が確保されるようにという立場で全力をあげて研究し、検討し、これを路線決定なり道路の構造なり、そういう面に実行をしてまいるということは、私もう責任を持ってやっておるわけでございます。局長からも申し上げましたように、審議会はなかなか多忙な方々ばかりでございますので、法律に示された事項等の決定に際してお集まりをいただいて審議会を持つということでございますので、運営については、局長から申し上げたような時期をねらって、いままで御指摘いただいたような線についての審議会の結論を出していただく、こういうふうにいたしていきたいと考えるわけであります。
  36. 瀬崎博義

    瀬崎委員 おそらく過去のいろいろな教訓が行政に生かされるように努力をされているのだろうと思うのですが、それが実際にはなかなか具体化されてこない。それで実際に事故が起こり、あるいはまた指摘が生まれる。  もう一つだけ例をあげておきますと、たとえば日本道路公団が「東名高速道路 工事資料集」というものを出しています。これは出たのが一九七一年ですね。主として現場からの報告を集めているわけです。ここにもほんとうに傾聴に値するような幾つかの指摘がある。  二、三だけあげてみますと、「建設段階で問題であった箇所は、維持管理段階においても、例えば地辷り、崩壊などの問題を起すことが多い」「(工事中の)事故例についても、東名高速工事における殉職者が、八十七名の高きにのぼったことから考えて、まだまだ多くの反省が必要である」「交通事故にともない高架、橋梁部分、上下線空間部より転落する事故が発生し、死亡、重傷事故につながる。すみやかに転落防止網の設置を要望する」「道路の維持管理は、建設に要した数倍〜数十倍にわたって、管理を続けなければならない。それがためには、建設段階から維持管理の容易さ、経済性及び安全性に関してきめの細かい配慮が望まれる」等があるわけなんです。まだまだたくさん貴重な報告がありますよ。  こうした現場報告の貴重な問題点の指摘は、一たん工事が始まる、ましてや一たんでき上がってしまうとなかなか取り上げられないし、取り上げられるまでには時間がかかっているということなんですね。こういうふうに私どもは聞いているわけなんです。ですから、やはり民主的なチェックを受けるという意味では、審議会がまあ言えば高速道路については最後みたいなものです。あとはもう行政ペースになりますから。ここで、こういう貴重な、特に基本的な教訓については、道路を何のためにつくるのかという観点を認めるならば、やはり審議をする必要があるので、小委員会が、塩尻の問題だけに限らず、やはりその中でせめても、こういう教訓の生かし方をどうしようかということぐらいなことは論議していただきたい、こういうふうに私は思うわけであります。一応、大臣局長も、早急に部会、小委員会を開きながら審議会の方向について検討は加えたいという御意見ですから、それを多として、私はこのほうの質問はこれで終わりたいと思うのです。  いま一つは、工事の計画段階をできるだけこのようにして民主的にやっていく必要があるということと同時に、そのでき上がった工事の検査等の問題について、続いて質問したいわけであります。  これは、一般的に入札制度をとっているからとかどうかということではなしに、この建設事業というのは、片一方で民間の業者が私的に請け負うというふうな側面が今日では大多数です。一たんでき上がったものは、今度は国民の共同の財産であるという性格を持ちますね。だから国民共同の財産たるにふさわしくりっぱなものでなければならない。やはりこの両面を満足するような検査や工事発注の体制でなければならないと私たち考えるわけなのであります。たぶんこの点は建設省のほうにも御異議はないと思うのですが、そういう点で、特に業者の工事参加は公正、民主的に保障され、またでき上がったものは国民の共同財産たるにふさわしくりっぱなものだということについて配慮されている面があったら、ひとつ具体的に教えていただきたいと思うのです。
  37. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 先生のおっしゃるとおり、公共事業のでき上がったものにつきましては、りっぱなものである必要があります。というのは、先生のおっしゃるとおり、これも国民みんなの財産であるということは私も同じ考えでございます。そのためには、まず計画段階からいろいろりっぱなものをつくると同時に、これを実際に仕事をやるのは請負う業者でございます。したがってりっぱな業者を選ぶことがまず第一に必要でございます。したがって、その業者が十分にその事業を施行できるかどうか、的確にできるかどうか、十分に資格を審査いたしまして、その資格審査をしましたもののうちから、さらにその能力のあるものを指名するということにまずいたしておるわけでございます。  でき上がりましたら、先生御承知のように、これを完成しましたあとで検査をし、また完成以前でも、施工中にもこれを監督をいたしまして、そしてその結果を建設省では、地方建設局の所掌する工事につきまして成績の評定を行なっておる次第でございまして、その成績によりまして、次の指名の場合に、成績優秀なものにつきましては、さらにこれを積極的に指名して、その業者に公共事業を施行させる。同時に、成績が良好でないものにつきましては、指名を差し控えるというようなことを考えておる次第でございます。同時にまた、非常に粗雑な工事をいたしました場合、これは最初に設計し、計画したものと違う粗雑な工事をしたもの等につきましては、これは指名を排除するという方針で臨んでおる次第でございます。
  38. 瀬崎博義

    瀬崎委員 私ども建設省のほうから、いま言われました工事成績評定表というものを、関東地建、中部地建、近畿地建、三地建のものについてのみちょうだいをいたしました。いまのお話によれば、成績優秀なものにできるだけ工事を発注し、成績不良なものに対しては工事の発注を控えるということなんですけれども、これを見ますと、六十点以下というのは、評定表によれば一つもないのですね。これはほんとうに六十点以下の工事というものはないということなんですか。また六十点以下の点がつくと一体どういうことになるのか、そういうことをひとつお聞かせいただきたいと思います。
  39. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 いろいろな業者がいるわけでございますから、中には工事を計画どおりに完成できないものもあると思います。そういうものにつきましては六十点以下というものもあると思いますけれども、大体、施行監督の段階、工事の段階でもいろいろ指摘をいたしまして直させる、また完成後におきましても手直しできるところは手直しさせるということで、そういうことによりまして、計画どおり、設計どおりできているものにつきましては六十点になるものもあるわけでございます。しかしながら、手直しできないものにつきましては、これは六十点以下というもの。御承知の全く手直しのできないものは不可ということで、私ども四つの段階で区分いたしております。これは五十点を切るもので四十九点以下、これは手直しのできないものでございます。そういうような分類でやっておる次第でございます。
  40. 瀬崎博義

    瀬崎委員 いや私が聞いているのは、いまのお話だと六十点以下があるように聞こえるのですけれども、しかしこの成績評定表には出ていないのです。そうすると、一体どうなっているんですか。
  41. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 これは制度的には、いま申し上げた不可というのは段階であるけれども、実際、お手元の先生資料で御承知のとおり、ありません。具体的には、先生に差し上げてあるその資料では、ありませんということでございます。さっき申し上げたのは、制度的には不可というのはあるということを申し上げたわけでございます。
  42. 瀬崎博義

    瀬崎委員 そうしますと、大体この六十点台というのは、少なくとも成績評定で言えばいわば最低ランク、ぎりぎり一ぱいという表示だというふうに受け取れるわけですね。また指名業者の総合得点をつけるときには、この成績評定では六十五点を零点にして、そこから上の部分だけが加算されるような仕組みになっていますね。ですからそういう点では、六十点台というのは、私たちの感覚からいけば、たいへん芳しくない工事のできばえ、こういうふうに工事の経過も含めて受け取れるのですが、そういうことでよろしいのですか。
  43. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 工事の完成後の成績評定の表は、優、良、可と不可ということでございまして、優が大体八十以上、それから良が六十以上、可が五十以上ということにいたしておる次第でございます。優は非常にいいというものでございまして、良はいま御指摘の六十以上、これはおおむね良好であるということでございます。いま六十五点というお話がございましたけれども、これは総合点数を資格審査の場合につける際の一応のめどということでございまして、いま言いました、おおむね良好の大体中間付近をという意味で、そういうふうにそれをとっている次第でございます。
  44. 瀬崎博義

    瀬崎委員 ですから、おおむね良好であっても二十点も幅がある。そのうちの六十点、特に六十五点前後なんかになってくると、総合得点には加算されない成績、実際には制度としてそうしておられるわけなんでしょう。  私がそういう点でまことにあ然としたのは、たとえば住友建設は、四十六年度、関東地建で六十九・八点、近畿地建で六十六点。それから東急建設は、四十六年度、関東地建で六十七・八点。清水建設が、四十七年度、関東地建で六十九・四点。大林組が、四十六年度、近畿地建で六十九点。日立造船が、四十七年度、近畿地建で六十七点。フジタ工業が、同じく四十七年度、近畿地建で六十六点。大林道路は、四十六年度、近畿地建で六十六点。こういう点数を出している。いずれも名だたる大手企業ばかりで、実際、資本力からいっても、技術力からいっても、体制からいっても、どんなむずかしい工事でもりっぱに仕上げられるような実力のある会社だと思うのです。こういう会社が三地建分の二年間だけの工事成績評定表をもらっただけで出てくるのです。あるいはこれで大手企業の六十点台が全部ではないかもしれないのですよ。こういう点について私はある意味では全く不可解な感じを受けるのです。  逆に、たいへん良好であると言われました八十点以上の中でも、わけても九十点以上というのが若干あるのです。若干というのは、三地建二年間合わせてあとにも先にも六件しかないからであります。それほどとりにくい点数なのかなと思うのでありますが、この六件のうち、これはよいほうですから、名誉のために大企業も中小企業も全部名前をあげてみますと、大企業では三菱重工業が四十六年に近畿地建で九十点をとっている。それから同じくずっと近畿地建ですが、四十六年度に、羽崎組というのが九十一点、西村組九十二点、井村組九十点、福井建設共同企業体が九十三点。四十七年度、近畿地建で佐々木組が九十点。私が調べた限り、とにかく二年間三地建で九十点以上というのはこれだけしかないのです。  これで見ると、どちらかというと小さい企業が一生懸命努力していい成績をとり、本来ならばいい成績をとれるはずの大企業が次々と六十点台にあらわれてくる。こういうふうなこと自身について、いまの建設業界について大臣も何らかの御所見はあろうかと思うのです。私はこれは全くふしぎでならない。逆であってしかるべきだと思うぐらいなんですが、いかがでしょうか。
  45. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 私としましては、評点は厳正になさるべきものであるということで、きわめてきびしくこれを行なっておるということが御指摘のような数字としてあらわれておる。質というものについては、これはもうあらゆる技術的な検討が加えられた上での竣工後の評点ということになるわけでございますので、そういう点につきましては、きびしく基準を設けておりますがゆえに、六十点から七十点という標準的な線に落ちついているのが多いのではないかという、こういう感じを私自身としては持っておる次第でございます。
  46. 瀬崎博義

    瀬崎委員 しかも、こういう大企業が六十点台を実際にとって、それで次の工事発注を受けるにあたって何らか制約を受けているというのであれば話はわかるのですが、別に事実上、こういう点数を出したからといって障害にはなっていないようですね。こうなってくると先ほどの答弁とは違ってくるし、せっかく工事成績評定制度というものをとっていても、ほとんどこれが工事発注の民主化には役立っていないように私は感ずるのですが、どうですか。
  47. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 この成績評定の結果を、私ども資格審査の面にも活用するという意味におきまして、総合点数の計算方式に入れておるのは御承知のとおりでございます。一番最初に申し上げましたように、指名にあたりましても、特に優秀なものにつきましては、御承知のABCDの発注区分がございますが、そういう場合には、二等級下位のものであっても、したがって企業としては小さいものであっても上のランクに指名する、特に優秀なものについては活用するということも、すでに通達を出している次第でございます。逆に今度は、工事成績が良好でなかった、たとえば合格点でございましても六十以下であったというものにつきましては、今後の指名を差し控える、回数を少なくするというようなことも、すでに指導をいたしておるわけでございます。これを十分に活用いたしまして、先生の御趣旨のような、いい公共事業ができるように今後も指導してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  48. 瀬崎博義

    瀬崎委員 それは何も役に立たないのですよ。六十以下なら指名を差し控えるというけれども、六十以下は実際につかない仕組みになっておる。ですからそういう意味では、六十点台というのは成績評定制度における最下位ランクなんですね。しかもこれが、能力とかあるいは技術力に不足するためにやむを得ないと見られるような場合ならいざ知らず、さっきあげましたように、住友建設だの、東急建設、清水建設だの、大林だの日立だの、これなんかは実際九十点以上であってちっともふしぎはない企業なんです。こういうものがなお六十点台ということにふしぎを感ずる。しかも、それでも六十点以下でないということによって、何ら工事の発注を受けるにあたって制約は受けない。これでは、何のためにこういう制度をとっているのかわからない、こういうことを申し上げているわけです。  時間がありませんが、さらにつけ加えて言うならば、四十六年六月には官房長から地建局長あてにこんな通達も出しておられますね。「工事成績が優秀であった有資格業者に対しては、指名にあたってその実績を十分尊重すること」、逆に「工事の成績が良好でなかった有資格業者については、今後の指名を差し控えるよう配慮すること」、こういうふうに出ているのだけれども、一体、この四十六年の通達によって、先ほど私があげました、当然やれる能力を持ちながらきわめて成績の悪い大企業に対してどういった処置をとったのか、ひとつこれを知らせてください。
  49. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 先ほど私の申し上げました通達も、先生の御指摘の通達でございます。私ども現在でも同じような方針で指導いたしておる次第でございますが、その方針を守って具体的にその条項を何件どうしたというような資料がいま手元にございませんので、実態を十分把握してみたいというふうに考えております。
  50. 瀬崎博義

    瀬崎委員 先ほど私が読み上げました大手企業の点数は、あなた方からいただいた資料から引き抜いております。ですから、いま私が申し上げました企業について、実情調査してみるとおっしゃったのですから、その報告書を必ず出していただきたいと思います。  最後に私は、こういう工事成績の評定制度そのものについても一定改善は必要だろう。これでいいというものじゃないと思うのです。  一つは、一定以下の成績の場合、大企業については直ちに一定期間指名を停止するくらいの処置がなければ、なかなか大手企業というのは改めたいのではないか、こういうふうに考えます。第二は、同じように一定以下の成績であっても、中小企業については、なぜ成績が悪いのか、その業者に詳しく説明をし、技術面での改善を指導援助する必要があると思うのです。第三には、工事成績評定そのものがもっと業者選定に役立つような制度に改善されなければならない。一ぺん実績を調べてごらんなさい。ほとんどこれは役立っていませんから。それから第四に、別にわれわれは業者をふるいにかけることだけが能ではないので、工事成績評定制度が全体として工事そのものの質を向上させるのに役立つよう活用していただきたいということです。第五点目には、科学的な評価になるように評価方法も検討する必要がある。あまりにも主観が入り過ぎてくると、必ずしもこの点数の差が工事成績の差をあらわしていることにならないからであります。特にこれが、業者は地建にまたがって仕事をしているけれども、それぞれ評点の文書自身も必ずしも統一されていないのです。こういうことではたして比較検討が可能であろうかということを私たち考えるわけであります。さらに第六として、そのためには、いろいろとお聞きしますと、検査、監督に当たる体制も不備なようであります。少ない人員で非常に無理をしているというふうに聞きますから、こういう面の改善充実も当然必要になってくると思います。そして第七番目には、こういうふうな評定制度の改善の上に立って、特に大手、大企業といわれる工事業者については、その工事成績を公表していって世論の監督を受ける。中小企業じゃないですよ。これはやはり内面的な指導が必要だ。当然できる能力を持ちながら点数が悪いような場合の大手企業、これについては、科学的な評定制度に改められた上で一定の公開を考えられるべきではないか、こういうふうに思うのです。こういうような点について総括して大臣のお考えを聞いて質問を終わりたいと思います。
  51. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 一番先にお話のありましたように、民間の工事によって公共事業が施行されまして、その施行された施設そのものが国民の財産になるということでございます。したがいまして、両面の目的を達成できるように建設省としては今日まで最大の努力をいたしてきておるわけでございます。御指摘のありましたような線につきましても、建設省としてぼんやりしておるわけではございませんで、そういう資料を縦横に駆使をいたしまして、三万一千名の公務員諸君が全力をあげて監督をし、指導をし、そして公共事業の推進にあたっておることもひとつ御理解をいただきたいわけでございまして、そういう面においては、積極的ないい御意見は十二分に取り入れてまいりまして、仰せのようなりっぱな公共事業が国民のために実行されるようにしてまいりたいと考えております。
  52. 木村武雄

  53. 山本幸一

    山本幸一委員 きょう私は、岐阜の長良川河口ぜきについてお尋ねしようと思っているのです。幸いにきょうは、前建設大臣の金丸君、それから前政務次官の松野君御出席ですが、お尋ねする中には御両者の名前が出るかもしれませんが、それはひとつお許しをいただきたいと思うのです。これは御承知のとおり、長良川河口せきの建設をめぐって、いま二万七千人ほどの人々が工事差しとめの仮処分を提訴中なんです。訴訟でいま争っているわけです。私は、きょうは別段議論がましいことは申し上げぬつもりです。ほんの概要二、三だけを御質問しておきまして、またいずれ次の機会にしさいなお尋ねをいたしたい、こう思っております。  まず最初にお尋ねしたいのは、この長良川河口せきが取り上げられた時期、それからその必要であった根拠、これについてお答えをちょうだいしたいと思います。
  54. 松村賢吉

    ○松村政府委員 お答え申し上げます。  まず、長良川河口せきの取り上げられた時期でございますけれども、昭和三十五年から予備調査をやっております。それで、昭和四十三年度に水資源開発の基本計画決定いたしまして、これで公団事業として取り上げられたということでございます。  この河口せきをつくる理由でございますが、これは一番大きな目的といたしましては、昭和三十五年に伊勢湾台風がありましたが、こういうような関係で木曽川の洪水流量の再検討が必要になってきて、この洪水量を大幅にふやさなければならない。現在木曽川の河道の疎通能力といたしましては、大体毎秒四千五百トン程度が流れる。これを大幅に掘りまして七千五百トン流すようにしたい。これでないと、長良川の治水が全くできないということでございます。ところが、これを大幅に掘りますと、現在でもすでに問題になっておりますが、長良川の両岸いろいろの用水がございます。あるいは魚の関係もありますが、こういうようなことでもって塩水の問題が非常に問題になる。これがためには、やはり塩水の遡上を防止しなければならぬということで、河口にせきをつくる必要がある、このせきをつくって長良川を大幅に掘ろうということでございます。  そういうことでございますので、第一番の問題としては、治水上の問題が取り上げられたわけでございます。それからまた一方、この地域の水の需要も最近特に多くなっておる、この関係から各種用水の供給が必要であろうということで、これも目的に加えられております。しかし、この用水の供給といいますのは、この濃尾地域、こういうところにつきましては、先生も御承知のように非常に地盤沈下が問題になっている。こういうものの切りかえ、こういうような防災対策も一つその観点にある、こういうことでございまして、この長良川河口せきをぜひ設置しようということで計画調査を進めまして、現在に至っておるということでございます。
  55. 山本幸一

    山本幸一委員 いまの御説明は、これは私はきのうあなたのほうからいただいたのですが、長良川河口せきについてのパンフレット、これに十分具体的に載っておりますね。これを拝見するとすべて万全ですね。文句なし。これでやればもう間違いないんだということですね。ところが、おそらくこういうことは、あなた方が県なり関係者なりに前もって話しておられると思う。私は想像する。にもかかわらず二万七千人からの提訴人による訴訟が起こされた。これはやはり問題があるのですね。もしこれが説明書どおり万全のものなら、そういうものはあり得ぬはずです。だからそこに私は問題があると思う。  いまあなたの御答弁によると、昭和三十五年に取り上げたんだ、基本計画は四十三年から立てたんだ、こういう御説明です。昭和三十五年というのは、御承知のとおり池田内閣の提唱した高度成長経済の推進時期です。ちょうどその当時の新聞記事を読むと、中部経済団体連合会、主として名古屋あるいは三重県の財界、この中部経済団体連合会が、伊勢湾の大工場建設開発のために工業用水を確保しよう、こういうことで長良川河口せきの建設が提案されておるのです。ちょうどその時期にあなた方がこれを取り上げられたということですね。したがって、いまあなたの説明によると、治水に万全を期するんだ、その結果利水に活用するんだという御説明、それはわかります。わかりますが、少なくとも出発当時は、目的は利水であった、大工場の建設開発のために行なうんだ、こういうことであったと思うのですが、それはどうなんですか。そういうところは率直に言ってもらいたいと思うのです。途中で変えたなら変えたと。何でも正直に言ってもらわぬと話がややこしくなるから。私は前提に言ったように、議論をしようとはしない。きょうは二、三の点だけ質問しようというんだから。その点、答えてください。
  56. 松村賢吉

    ○松村政府委員 先生指摘のように、水の需要といいますか、こういうものがその当時非常にふえてきたということはもちろんでございます。しかし一方におきましてこの治水上の問題、まあ木曽川でいきますと伊勢湾台風関係とか、全国的にも昭和三十四年くらいにも相当の被害がいろいろと起こっているわけです。終戦直後からずっと来ておりまして、この治水対策というものも大きく取り上げられているわけでございます。でございますので、私どもといたしましては、当初から治水計画というものが第一義的であったことは間違いございません。まあ建設省でやっておりますこういうような計画、これは大部分のものが治水をもとにしてやりまして、それと利水状況、こういうものを加味して、こういう河口せきなり、それから多目的ダムの計画なり、こういうものをやっておるわけでございます。
  57. 山本幸一

    山本幸一委員 そうおっしゃることは当然だと思うんですがね。私がいま言ったように、ちょうどあなたの御答弁で昭和三十五年というあれが明らかになったから、だとすると、中部財界が提唱したものを建設省が取り上げたという経過を踏んでいますから、あくまでも最初の目的は利水であったということだけは私は否定できぬと思う。私はあなたの答弁から考えてもそうだと認識します。  それからもう一つ重要な問題は、実は建設省側に終始一貫して一定の方針が貫かれておったかどうか、これは私は疑問があると思うのですね。それは、冒頭にお断わりしたが、金丸前大臣や松野前次官の名前が出ることをお許しいただきたいと申し上げましたが、それは昨年の七月二十五日に岐阜の水産会館で反対住民、漁民大会が開かれた。その席上へ金丸君が出席する予定でおったのが、何らかの都合で出席できなくて、当時の松野政務次官が大臣にかわって出席されたと新聞は報道しております。そこでいろいろ関係者から質問があった際に、当時政務次官としてはいろいろなことをおっしゃってみえるが、要約すれば、これは利水が目的です、したがって諸君は日光の太郎杉事件のように敢然と立ち上がって反対しなければいけませんよ、反対世論を盛り上げなければいけませんよ、こういうことをはっきり言明しておられる。これは松野政務次官が知事のときに終始一貫の態度を言ってみえて、私は非常にりっぱだと思いますが、少なくとも大臣代理出席した人がそういうことを言明しておられる。建設省はそうでなしに、いやそれは治水だ、こう言っておられる。住民は何が何だかわからぬ。これは一体どういうことなんですか。こういう一貫しない態度、こういうものはかなり問題になると思うのですね、行政をやる上においては。いわゆる行政上の混乱ですよ、私に言わせると。そういう点、建設省はどう思いますか。それは大臣だな。ほかの者じゃだめだよ。ゼロだよ。
  58. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 御指摘の点、私も事務当局から報告を受けております。水の問題につきましては、やはり長い伝統もあり権利関係もございまして、非常に解決にはむずかしいということであることは、私も十分承知をいたしております。ただ、私、建設大臣になりまして感じますことは、人口がどんどんふえ、生活が多様化してまいりまして、わが日本国土における水というものを大きく考えた際には、一滴といえどもこれを十二分に国民の福祉のために使っていかなければならないという感じを実は強く持っているわけでございます。したがいまして、できればもうほんとうに一滴も余さずに利用できるようなことを、子々孫々のためにわれわれが考えてやらなければならないということについては、先生も御理解いただけると思うわけでございます。ただその問題が、事務当局なり行政当局の提起のしかたに不十分な点がありまして、住民の協力が得られないということは、まことにこれは残念なここでございまして、こういう問題については、やはり十二分に話し合いを続けるなりということが必要かと思うわけでございますが、治水ということも、その面については、これはもうたいへん車の両輪のごとく大事なことは申すまでもございませんけれども、そういう意味におきましては、建設省としては利水の面も十分考えて対処をしなければならぬということを頭にしっかりと置きながら、なおかつ、先ほど申し上げましたように、治水、利水という車の両輪のごとき水行政を展開をしなければならないという基本的な認識を私は持っておるわけでございます。  岐阜の問題につきましては、私も、もっともっと詳しく実情を聴取をいたしまして私なりの判断をしていきたい、かように考えておる次第でございます。
  59. 山本幸一

    山本幸一委員 建設大臣がそこまで言えば、また次の機会に、あなたも勉強してもらって、私も勉強してさらに深めていきたいと思います。  実は昨年、問題の当時、岐阜市長から、建設省、それから水資源公団に対して質問をしているわけですね、不安点を。その一つは、河口せきが建設されることによって岐阜市の飲料水の将来に不安がある、それはどうなるのか、こういう質問に対して建設省から、上流にダムを建設すれば何とか導入できる、こういう回答が出ているのですね。私は自分でもらったんじゃないから、原文は知りませんよ。その報告を受けているわけですね。写しをもらって受けているわけです。それから次に、岐阜県当局から提出せられた質問事項、これには、上流ダムの建設についてはどうなのかという項目について、建設省調査をしてみたが、建設に適合する場所が見当たらないという、こういう回答が出ておるそうですが、これは事実かどうか。事実とするとこれはたいへんな問題ですね。岐阜市長からの問い合わせには、上流でダムをつくって取り水をするんだ。県側の問い合わせに対しては、上流のダムは建設する適合地が見当たらない。こうなるとペテンですからな。だからそういう事実があったかどうか。ないとおっしゃるならば、次の機会にはひとつ参考人を呼んでもらわなければいけない。県側と市側をね。そういうことになりますで。それは率直に答えてもらいたい。
  60. 松村賢吉

    ○松村政府委員 将来の岐阜市の水の需要に対します計画といたしまして上流のダムを考慮するということは、これはわれわれとしては当然考えております。それで、このダムにつきましては、候補地点幾つかもちろん調査等もあるのですが、まだはっきりとした確定のところは数が限られているということでございます。また一方県に対して、上流にダムは考えられない、だめだというような話をしたということは、私、実は聞いておりません。それでこの点は十分調査いたします。われわれといたしましては、いずれにいたしましても、この岐阜市の水の需要に対しましては、やはり上流のダムについて解決すべき問題だというふうに考えております。
  61. 山本幸一

    山本幸一委員 じゃ、そういう適合場所があるんですか。おそらく調査されてみえると思う。要するに岐阜市の水に不安があるということだけはお認め願ったわけだ。いまお認めされたわけだ。そうするとダムをつくらなければならない。あなたの答弁によっても、将来、岐阜市の水の安定をはからなければならぬ、そのためにはダムが必要なんだ、ダムをつくらなければならぬと。そして適合場所がありますか、調査の結果。あったらひとつ具体的に指摘してください。
  62. 松村賢吉

    ○松村政府委員 候補地点としては実は幾つかやっておるわけでございます。しかし、このうち可能性のあると申しますか、現在あがっておりますのは、長良川の上流の板取ダム、こういうものも計画しておりまして、これは私どものほうとしては、いま時期はいつということはちょっと申し上げられませんが、将来これを開発したいというふうに考えております。また、これは川は違いますけれども、揖斐川の上流の徳山ダム、これは実施計画調査ということで進めておりますので、これは岐阜市に水が行くかどうかということはまだもちろんきまっておりませんが、やはり岐阜、大垣、あの辺の全体の水というものも相当考えなければいかぬというふうに考えております。
  63. 山本幸一

    山本幸一委員 私はそれはたいへん疑問があります。県側も調査してますからね。適合地は県側もないと言っておりますから、たいへん疑問がある。あるけれども、きょうはこの程度にしておきましょう、その辺は。  そこで、水資源公団総裁と岐阜県知事との間に、関係住民納得なしには工事に着工しない、こういう覚書文書が交換されておる。覚書かどうか知りませんが、文書が交換されておる。それは間違いありませんか。
  64. 丹羽雅次郎

    ○丹羽参考人 お答え申し上げます。知事の了解なしにはせき本体には着工しないということは、はっきりお約束をいたしております。
  65. 山本幸一

    山本幸一委員 そうすると建設大臣、それは何か法的な根拠があるのですか。単なる申し合わせ、約束にすぎないのですか。それとも法的な根拠があるのですか。——こういうことは大臣だよ。こういうことは大臣でなければだめなんだよ。
  66. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 私、法律にあまり詳しくありませんので、根拠と言われましても直ちにあれですから、法律に詳しい事務当局から答弁させます。
  67. 松村賢吉

    ○松村政府委員 これは、法的な根拠と申しましては、ございません。ただし、これは道義の問題あるいは実際問題といたしまして、こういう約束を破って工事というものは実際進められないし、また実際地元に対する背信行為でもございますし、こういうことは絶対ないと私ども考えております。
  68. 山本幸一

    山本幸一委員 その言明を私は了とします。了としますが、法的根拠のないことだけは間違いありませんね。  そこで問題なのは、冒頭にお尋ねしたように、行政が一貫しておらぬ、住民に一そう不信感を与えておる、てんで役所を信用していない、こういう問題が出てくるわけですね。いわばそういう知事との約束をしたから、それは守りますとここできょうは御言明なすったが、実際には、守りますと言いながら、本体ではありませんけれども、本体に接近するようにだんだん工事が進められておる。こういうことで、たいへんな不信感を持っておる。  それが訴訟になっておる最大の原因だということは、これは私ははっきり記憶ありませんが、このとき私もたしかちょっと見たと思うのですが、四十三年に岐阜市で政府が一日内閣を開いたんですよ。そのときの建設大臣が保利茂さんですよね。そこでやはり問題になりまして、質問者がこの河口せきの問題を取り上げたわけですね。そうすると保利建設大臣は、諸君の納得のない限り河口ぜきの着工は断じてさせないから安心しなさい、こういう答弁をしておりますね。  それから、さっき申し上げたように、松野君が岐阜に行かれて大臣代理で言われたときには、かなり具体的なことが出ておりますよ、この文書を見ると。いろんなことが出ておりますよ。出ておりますが、結論から言えば、これは利水である、岐阜県としてはたいへんな不利である、岐阜市の水の不安も非常に大きい、こうおっしゃってみえる。  これらの経過をたどってみると、何だか知らぬが、選挙対策でやったのかどうか知らぬけれども、そう言いながら、一方においてはどんどん既成事実をつくっていく。その間に反対住民との具体的な話し合いというものは、私もあまり聞かない。県当局はやられたかしらぬが、あまり聞かない。これは行政を進める上からたいへんなあやまちですよ。どうも役所は昔からその癖がある。いまだに直っていない。うまいことを言うけれども裏では既成事実をつくっていく、こういう悪い癖が抜け切っておらぬ。ここに私は重大な問題があると思うんですね。  そこで、そういうことについてあなた方がきっちりしなければ、私はこの問題はなかなか片はつかぬと思うんですよ。訴訟の結果がどうなるのか、それは私どもの関与すべきことじゃありませんから、見守っておらなければならぬと思いますが、訴訟の結果がどうあろうと、世間でよくやられる実力行使がないとは言えぬですね、いよいよやろうと思うと。そういう混乱、トラブルがまた随所に起きてくる。まず、ここをあなた方反省することが第一だと私は思うのです。したがっていまからでも十分住民と話し合うチャンスをつくらなければいかぬ。私は、そういう機会をたくさんつくっていただくことが必要だ、こう思います。  それからその次に、たしか松野政務次官が行かれた七月二十五日の一週間あとに、工事認可を建設省は三十一日に出しておられる。当時、松野政務次官の回答は、住民納得してもらおうと思って努力しておられる形跡がきわめて見受けられるのです。要するに、無断じゃやりませんよ、皆さんに無断で認可はやりませんよ、自分としては、九月には建設大臣を岐阜へ連れてきて、皆さんと十分話し合いしますよと言って答弁しておられる。回答しておられる。九月ですよ。その会合は七月二十五日ですよ。一週間たたぬうちに突然認可が来た。この認可はもちろんせき本体は含まれていないと私は思いますが、含まれているのかいないのか、それを明確にしてもらいたいと思うのです。
  69. 松村賢吉

    ○松村政府委員 この工事実施計画認可につきましては、せきの本体も含めた全体の認可でございます。ただし、これを認可をするに際しましては、各関係の知事の意見も聞いております。この意見等を受けまして、やはり地元納得がいかぬうちは本体にはかからぬということを前提にして認可をしております。
  70. 山本幸一

    山本幸一委員 いま松野君から関連質問がありますから、私が委員長にかわって許しますが、ちょっと河川局長、いまあなた、たいへんなことを言っているよ。知事との約束では、せき本体については両者の意見が合意しなければやりません、こう言っておきながら、認可はせき本体を含めて許可するとは、これは何ですか。詐欺じゃないか、ペテンだよ、そのやり方は。そういう認可を出したということは、やる気なら建設省は強権をもってでもやるということもあり得るんだから。いまあなたの答弁では、それは県側との了承なしには着工しませんよと言っておるけれども、いままでの経過からいってそんなことは信用できぬよ。チャンスがくれば強行するんじゃないか。これはたいへんな問題だよ、あなた。それは取り消しなさい、本体だけは。取り消しなさい。取り消すか、あるいは大臣がここできちっと言明しなさい。私の以後の大臣といえども、——あなただけじゃないよ。どうもあなた方ずるいから、大臣がかわると変わったことを平気で言うから、少なくとも自民党内閣の続く限りは両者の合意なしにせきの本体には着工しません、住民の合意なしに着工しませんということを、大臣みずからここで言明しなさいよ。
  71. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 先ほどもお答え申し上げましたとおり、私も詳しく、この問題の経緯、行政的措置をとった過程等を承知いたしておりません。したがいまして、先ほどもお答え申し上げましたとおり、答弁が一般的になるかもしれませんが、これはあらかじめ御理解をいただきたいと思います。  私も就任以来、やはり信頼関係のもとでありませんと、自民党そのものも国民から見放されるわけでありますから、私も大臣である限りは、住民の信頼、国民の信頼を受けられるだけのことはやらなければいかぬ、こういう気持ちでさばいてきたつもりでございます。  一例を申し上げますと、烏山の三年半かかりました問題につきましても、もう一度チャンスをつくるから話し合ってほしいということで、結局円満に話し合いがついた例も実は経験をいたしております。この長良川のせきの問題にいたしましても、お互い日本人同士が腹を割って話し合っていくということであれば、私は、必ずや一致点は見い出せるもの、こういう考えで、実はいま全国に幾つかこういう住民問題が起きておりますが、そこに対しましては、公団の責任者がまず出ていけ、そして第一線に行ってとにかく相手の言うことを十分に聞け、それから自分の考えていることを十二分にとにかく責任をもって話しをしなさい、これがまず話し合いの端緒になるからということで指導をいたしておるわけでございますので、この問題につきましても、私はさらに勉強さしていただきたいと思います。もう少し時間をおかし願いたいと考えるわけでございます。
  72. 山本幸一

    山本幸一委員 ちょっともう一問だけ……。  大臣、あなたはちょっと聞き違いしてやしませんか。あなたの基本姿勢はいいですよ、話し合いしよう、勉強しようという。いま私が聞いているのは、私と河川局長との間の質疑応答の中身を聞いているのだから。いいですか。河川局長は、さっきからお聞きのように、県側との話し合いがつくまでは河口せき本体には工事を着工しません、そういう約束が両者間で取りかわされております。もちろん公団もそうですよ。ようございますか。にもかかわらずせきを含めて認可を出した。そんなことはむちゃだと私は言うのですよ。約束があるなら、せきだけはまず認可を除外してやるべきですよ。それをせきを含めて許可をしたというんだから、これはむちゃくちゃだな。  そこで私は、経緯からいって当然、いまからでもおそくないからせきだけをその認可からはずしなさい、こう言うんだけれども、なかなか役所はそういうことはできぬでしょうから、私があなたを信頼して、あなたが言明しなさい。自民党内閣の続く限りは両者の合意なしにせき本体の工事はいたしません、これを言明してもらえばいいんですよ。そんなむずかしいことじゃないのだ。
  73. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 そのつもりで実は私の基本姿勢を申し上げたわけでございまして、この長良川の問題につきましても、当然建設省は協力の得られないものを強行するというようなことは、絶対に私の目の黒い間はやりません。
  74. 松野幸泰

    ○松野(幸)委員 山本さんからいろいろ私の話が出ましたので、関連質問の形でお話をさせていただきたいと思います。  実はちょっと話が食い違っておりますところだけ二、三申し上げたいのですが、建設大臣があの席に出席される予定ではなかったのです。建設大臣が来られなかったので——ほかの用件で建設大臣が来られることになっておりましたが、ちょうど岐阜に来られないときに私が行っておりましたので、ぜひひとつ出て陳情を受けてくれ、こういうことでございまして、私は出席をしましたときに、いま山本さんの言われたと同じようなことを申しました。  と申しますのは、昭和三十五年ごろから河口せきの問題が出ました当時、私は知事の立場におきまして、これは利水が優先するものであって、決して治水というものが並行しておるものではないから反対だという態度をずっととり続けておりました。これは利水が優先するという疑いは私は今日でも持っております。おりますが、問題は、あのときに私が申し上げましたのは、知事が協議に応じたら、これは建設省で私がどう言いましても拒否することが困難だ、だから知事が協議に応ずるか応じないかということが前提ですよということを申し上げたのですが、もうそのときすでに知事が水資源公団協議に応じて調印がされておった、一日前に行なわれておったということを、その一日、二日あとに私は事態を知ったわけでございます。だから、そのときに申し上げたことは、すべてが逆戻りをしてしまったことになります。  それからもう一つ、山本さんが、せき本体の許可、着工についてはというお話でございましたが、私はこれは大問題だと思う。というのは、せき本体を除いてあとの工事が全部進められるということになってくると、先ほど河川局長が言いましたように、逆潮どめのために、むしろ岐阜県が頭を下げてぜひともせき本体の工事をやってくださいとお願いしなければならぬことになるので、これはまんまんと作戦にひっかかってしまった、こんなばかなものに調印するやつがあるかといって私はずいぶん攻撃をしたのです。ところが漁業組合の連中は、私の真意というものが、その後私はお目に十分かかっておりませんので、わからないのです。だから、よほどこれは気をつけていただきたいと思いますのは、このままでいけば、せき本体の工事の許可があれば、もうむしろこれはあとの工事、しゅんせつをやってしまうのでしょう。深く掘ってしまうのでしょう。そうすると塩害が起こってくるから、岐阜県側からもう三拝九拝してせき本体の工事をやっていただかなければならぬようなちゃんとルールが引かれておるのです。だから、それを十分お考えになりませんと、きょう建設大臣だけ責めていただいてもなかなか実りあるものにならないということを、関連質問で私は申し上げておきます。
  75. 山本幸一

    山本幸一委員 松野前政務次官待遇で私に答弁されたわけですが、答弁をお聞き願っても全くそのとおりでしょう。金丸君が出る前のことはいま松野君の言われたとおりだから、それはそのとおりにしておきましょう。あとのことは一致している。  それから、せき本体を除いて工事をやればどうなるかくらいのことは、私だって知っている。そういう問題は私は今後やるというのです。これからやる。きょうはやりませんよ。きょうは上つらだけやっておいて、むしろ道義的、行政混乱上、政治家はうそばかりつく、この点をきょうは私は強調したいのですからね。そのことを言っておるんでね。あなたのおっしゃる技術上から起きる問題等々については、日を改めてまたやるつもりですよ。そんなもの、あなた、知り切って紙張っているのですから御心配なくどうぞ。  それからもう一つ、きょうのところはかんべんしてお尋ねだけしておきますが、先般、漁民代表住民代表三十名が利根川の河口ぜきを視察、調査した。その結果の報告書が私の手元へ届いている。それによると、河口せき建設前に毎年二十トンも放流用の稚アユがとれたが、建設の翌年は半分の十トンに減った。ようございますか。建設前は二十トンだったが、建設あと翌年は十トンに減った。また全国の八〇%、金額として年間五億円を生産したヤマトシジミは全滅した。その残骸処理と種シジミ購入のために千葉県は七千万円を投じている事実が明らかになった。こういう報告書が来ておりますね。これは建設省、お調べになりましたか。そういう事実があるかどうか。その調査した諸君の報告書がうそなのか。それを念のためにちょっと聞かしてください。
  76. 松村賢吉

    ○松村政府委員 その報告書の事実は知っておりません。
  77. 山本幸一

    山本幸一委員 報告書の事実は御存じない。
  78. 松村賢吉

    ○松村政府委員 その報告書が出ているということを聞いておりません。
  79. 山本幸一

    山本幸一委員 そうすると、報告書でなしに、建設省はこういうことを調べておられるのですか。
  80. 松村賢吉

    ○松村政府委員 全部ではございませんが、シジミ等の被害のあった事実については調べております。
  81. 山本幸一

    山本幸一委員 そうすると、放流用の稚アユが二十トンとれたのが十トンに減ったことは御存じない。
  82. 松村賢吉

    ○松村政府委員 いま、二十トンとれていたものが十トンに減ったのは調べておりません。
  83. 山本幸一

    山本幸一委員 それはよく調べなければいかぬですよ。調べないとあなた方は説得材料にならないから、御注意申し上げておきます。さっそくそういうことは調べなさいよ。調べなければいけないというだけで、答弁は要りません。  最後に一つお聞きしますが、あなた方は治水であるということを強調していらっしゃる。これを見ると、さっき申し上げたように、漫然ですよ。これを私らしろうとが読んだら、漫然な対策を立てておられるように思われる。悪いところは書きませんから。いいところだけを書いているのだから。そこで、治水を主としてやられるなら、何で公団にやらせるのですか。建設省がなぜ工事をやらないのですか。それはどういう意味なんですか。公団というのは治水専門ですか。利水専門ですか。どっちですか。あるいは両方ともやるといっても、ウエートはどちらにあるのです。
  84. 松村賢吉

    ○松村政府委員 公団水資源開発公団でございますから、これは水資源を開発するためにやる公団でございます。ただし水資源公団は治水工事をやることはできます。したがいまして、治水工事、利水工事、両方にタッチすることはできるわけでございます。
  85. 山本幸一

    山本幸一委員 ウエートはどうなんですか。私だって知ってますよ。治水が全くできないというようなことはないんだ。しかし原則的には利水ですよ。それをやるためには治水をやらなければいかぬ、こういうことになるのですから、それは何もやること法律上いかぬと私は言っているのじゃないのです。しかしウエートはやはり利水にあるのですから、利水にあるものなら、あなた方、先ほどの説明で治水治水とおっしゃるなら、なぜ建設省がやらぬのか、こういう疑問が起きるでしょう。だれが考えたって起きるでしょう。ウエートを聞かしてください。
  86. 松村賢吉

    ○松村政府委員 個々のプロジェクトにつきましては、必ずしもどちらにウエートがあるということは言えないと思います。各プロジェクトにつきまして、やはり治水計画の入っているものをやる場合には、これは治水計画のほうがウエートと申しますか、プロジェクトの目的がどちらが、ウエートというとおかしいのですけれども、主になるかということにつきましては、必ずしも限定されません。
  87. 山本幸一

    山本幸一委員 いま一点。この次また申し上げますが、あんたも公団法をもう少し詳しく読んでもらって、私も読んできますから、大いにその点やってみましょう。  それから、過去の実例、これは場合によれば、ここ五カ年間くらいさかのぼって、実例の資料を出してもらいたい。公団がやっている治水、利水の資料を出してもらいたい。そうするとはっきりします。その点はお預けにしておきましょう。この程度できょうはやめておきます。やめておきますが、重ねて注意するのは、今日の事態になって、何万人の人々が提訴しておるこの事態の責任は、明らかにあなた方にあった。行政が一貫していない、そのつどそのつどうそばかり言っている、こういうところにあった。きょうの議論でこれだけは間違いないですからね。それは松野政務次官がああいう発言をしている。保利大臣がこういう発言をしている。私はいろいろ具体例を申し上げたのですから、その責任だけは明確にあなた方が持たなければいけない、こう思います。そのことだけを申し上げてきょうのところは一応やめまして、また次の機会にやりましょう。
  88. 木村武雄

    木村委員長 井上普方君。
  89. 井上普方

    ○井上(普)委員 私は、時間をいただきまして土地問題につきましてお尋ねいたしたいと思います。と申しますのは、この土地問題の解決なくして日本のインフレを押えることもできないと私は思いますし、かつまた庶民大衆が住宅をつくるのに困っておる現況を解決するためにも土地問題をゆるがせにすることはできない、こう考えるからであります。しかしながら、そのような限られた資源である土地、それに対しまして、生きているこの農地をハゲタカのごとく豺狼がさいなんでおる。これは私どもは許すことができないと思います。過剰流動性といいますか、大資本を持っております連中がどんどん土地の買い占めをやり思惑買いをやっておる実情は目に余るものがあります。その一例を申し上げて、これから対策政府に講じていただきたいあまりに質問をいたしたいと思います。  場所は千葉県の大網白里町であります。大網白里町といいますと皆さん方おわかりになりませんが、やがて複々線ができまして、東京から通勤時間が一時間足らずで行けるという土地にいまやなろうといたしております。その土地に対しまして、銀行をバックにいたしまして大資本が土地の買いあさりに狂奔いたしておるのであります。ここに地図を持っておりますが、角栄建設は長期信用銀行をバックにし、興和産業は日本興業銀行をバックにし、三井不動産も建財という会社をつくってやっております。また、地崎工業は北海道拓殖銀行をバックにいたしましてこの地に進出いたしておるのであります。伊藤忠もあります。それらの諸会社が手に入れました土地というものを見てみますと、三井でございますと田んぼが六万六千坪、畑が五万六千坪、山林が八万五千坪、合計二十万七千坪。伊藤忠は田が三万七千坪、畑が一万六千坪、山林が五万三千坪、合計十万六千坪。角栄建設は田が一万六千坪、畑が十六万二千坪、山林が二十二万四千坪、合計四十万二千坪というようになっております。地崎工業の場合は見てみますと、田が三十一万五千坪、畑が一万八千坪買っておるのであります。場所はここに書いてございますので、ひとつ見ていただけばわかります。  そこで、これに関係いたしまして問題がたくさん出てまいります。きょうは農林省も来ていただいておりますが、この地崎工業が買っております田三十一万五千坪のところは、これは農振地域であります。そして、この土地は、県営のかんがい排水事業をやった土地であります。言いかえますならば優良農地であります。その土地を三十一万五千坪買いあさっておるのであります。  したがって農林省にお伺いしますが、この事実は御存じのはずだと思う。農地法に違反しておりませんかどうか。ここに地崎組が買っております土地の売買の登記抄本があります。これも農林省見ていただきたい。農地法違反になるかならぬかがまず第一点。農振法の違反にならないか、農地関係法律に違反しないかどうか、この点をひとつお伺いしたい。
  90. 関谷俊作

    ○関谷説明員 ただいまお尋ねのございました大網白里町の永田地区における地崎工業の土地の取得関係でございますが、ただいま拝見しました登記簿関係でもそうなっておりますが、売買契約につきましては、私どもの承知しております関係では、売買契約をいたしまして、その場合に農地法の第五条の許可を条件とする契約を締結しまして、代金の一部を支払うと同時に、この場合は地崎組になっておりますが、仮登記をつけております。この仮登記は、売買契約が締結されました所有権移転請求権の仮登記でございますので、農地法の適用から申しますと、その状態ではまだ農地の売買が完結しておりませんので、農地法違反という状態には該当しておらない、こういう解釈をいたしております。
  91. 井上普方

    ○井上(普)委員 それでは農業委員会の許可も得ずにやっておるわけですね。
  92. 関谷俊作

    ○関谷説明員 農地の売買の手順としましては、売買契約を締結しまして、両当事者の間で契約関係が整いますと、農地法第五条の申請書を出します。通常の場合ですと、農業委員会あるいは県知事を経由して農林大臣なり、県知事に出ます。いまの関係は契約締結の段階でございますので、まだ申請書は農業委員会には提出されておらない、こういうように承知しております。
  93. 井上普方

    ○井上(普)委員 ここに私はいまの抜け穴があると思うのです。農地移転禁止の仮処分という形で売買契約を行なっております。事実上、土地はもう地崎組です。地崎工業じゃないですよ。地崎組に移っておるのであります。その条件には、都市計画法の市街化区域に編入せられたときに自動的に移すということを書かれておるのであります。まさに知能犯もはなはだしいのであります。こういうことが行なわれて、実は農地を保護しておる法の網をくぐり抜けようとしておるのが現状であります。  そこでお伺いするのですが、ここで県営のかん排事業が行なわれておることは農林省御存じですか。そして、それの金額並びにいま現状どうなっておるか、御存じでございますか。
  94. 関谷俊作

    ○関谷説明員 お尋ねの土地改良事業関係でございますが、これは問題の永田地区だけではございませんで、その事業地区全体の数字でございますが、二つありまして、一つは県営小中川地区用水改良事業、これは四十六年から五十一年までの施行でございまして、地区全体五百八十五ヘクタール、総事業費が四億八千五百万円、これが一つございます。それからもう一つは、県営圃場整備南横川地区事業でありまして、施行は四十四年から五十一年まで、地区全体面積が三百十ヘクタール、事業費にして七億一千万円。この二本がおもなものでございます。
  95. 井上普方

    ○井上(普)委員 県営事業といえども税金が投入せられた土地であります。その土地を県あるいは農林省に無断でやられていいんでございますか。この点どうなんです。仮登記といえども、これはもうすでに売買契約で移転が禁止せられておるのですが、これはどうなっておりますか。この点どういうように考えられます。
  96. 関谷俊作

    ○関谷説明員 これからの問題でもございますけれども、転用許可につきましては、契約がありますと、転用許可申請がございました場合に、事業が実施中であるとか、優良農地である、あるいは農業振興地域、都市計画関係、そういう地域の区分その他を全体的に判断いたしまして、許可相当であるかどうかという判断の上で許可、不許可をいたすわけでございます。
  97. 井上普方

    ○井上(普)委員 この場合に限定しましょう。どうするのです、農林省は。転用許可するつもりですか、しないつもりですか。どうです。
  98. 関谷俊作

    ○関谷説明員 この件につきましては、どういう地区構成でどういうような事業計画事業内容でまいるか、それから周辺農用地との調整その他具体的な調整のしかたがどうなるか、こういう関係については、現在まだ一切私どもの組織のところに来ておりませんので、そういう意味ではこれからの判断になるわけでございます。ただ、この場合には農業振興地域でございまして、農用地区域と申します農用地の農業振興地域の土地利用計画でどういう扱いにするか。それからもう一つは、都市計画の線引きをするという予定もあるようでございますので、その両者の区域区分をこれからどういうふうに調整するか、それとの関係が一番大きい問題になって扱いをきめることになろうかと思います。
  99. 井上普方

    ○井上(普)委員 この問題につきましては、私は、この国会でもすでに一月前に、予算委員会でございましたが、取り上げた問題であります。農林省は一体この問題について検討するおつもりがあるのですか。それとも、いまの御答弁を承っておりますと、国会が開かれている間はこのままじっと頭をすくめておればいい、国会が終われば何とか片づくというような考え方で終始せられておるのじゃないですか。  少なくとも税金を入れた土地で、農振法に指定し、そこで農地法にともかく違反するがごとき行為が行なわれておる。それも二十坪、五十坪、百坪という土地じゃない。三十一万五千坪という大集団地域なんです。私がこの問題を地崎組について申し上げるのは、ほかの開発しようとする三井不動産、あるいはまた角栄団地にしましても、ある程度は山林というものを大幅に取り入れておる。ところがここは優良農地を目標にして買っておるのであります。ここに株式会社地崎組の住宅団地開発計画調査表というのを私は持っておる。これが買われ始めたのは四十七年の後半から昨年であります。まさに政府が、土地の乱開発を防止しよう、金融もそのために不動産の売買に対しては引き締めをする、こういう時期に堂々と優良農地が百十町歩にわたって買われておる事実なんです。これで一体国土はどうなるのかといって心配するのは私だけではありますまい。一握りの企業が、国民の住宅の不足につけ込み、ハゲタカのごとく襲いかかっておる姿がこの大網白里町に見られるのであります。しかもその間において、農林省、建設省、あるいは大蔵省の間に横の連絡があったかということなんです。  銀行について申し上げますならば、地崎組のバックには北海道拓殖銀行がある。北海道拓殖銀行というのは都市銀行である。ところが去年の十一月にこの人口わずか一万四千の大網白里町に支店が開設せられたのであります。北海道拓殖銀行なんです。申請は去年の五月に出ております。しかも大蔵省銀行局は、金融機関の店舗の認可について引き締めるんだということを四十八年二月二日に通達を出しております。吉田太郎一という銀行局長の名前で通達を出しておる。これにも該当しないと私は思う。ところが昨年の十一月には、北海道拓殖銀行の支店が千葉県の過疎地帯といわれる大網白里町に開かれておるのであります。そこにはいままで地元銀行である千葉銀行の支店が一つある。わずか人口一万三千でございますので、当然一つぐらいであるのが常識なんです。ここに銀行の支店が開設せられておる。北海道拓殖銀行の支店だ。北海道拓殖銀行といえば都市銀行だといいます。しかし千葉県にはいままで北海道拓殖銀行の支店というのは三つしかない。それが開設せられておる。しかもこれは、私は話に聞いたのでありますが、千葉県知事が北海道拓殖銀行の支店を大網町につくることについては困ると言ったという話が、銀行局長の耳に入っているはずだと私は承っておる。それを強行して北海道拓殖銀行の支店が開設せられておるのであります。言いかえますならば、金融機関があと押しをしてこの土地の買い占め、思惑が行なわれた一事例であろうと思うのであります。  その後私は質問をいたしましてから、大蔵大臣はこの問題について十分調査すると御発言になりましたが、その後の調査は一体どうなっておるのか、そしてまたそれに対する処置をどう考えておられるか、大蔵省にお伺いしたいと思います。
  100. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 御指摘の問題につきまして、現在、拓殖銀行から聴取いたしました概要については、次のとおりでございます。  この地方の開発の計画につきましては、買収面積が二十二万五千坪ということで計画が進んでおるようでございまして、買収は四十七年の五月から開始いたしまして、約十五万坪買収済みというようでございます。こういう工事の地元の公共機関との折衝状況等、拓銀から聴収いたしておりますが、この辺のところは略さしていただきまして、私のほうに関係のございます資金計画ということで、聞きましたところによりますと、所要資金は約二百億円、借り入れ金はピークで百六十億円になるのではなかろうかというように見られておりまして、調達先といたしましては、拓殖銀行、東洋信託などその他金融機関が一緒に協調融資の計画である、かように聞いております。  以上でございます。
  101. 井上普方

    ○井上(普)委員 そこで、銀行局長、あなたが種種出された金融措置についての引き締め計画と違反しませんか、この計画は。どうなんです。
  102. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 御承知のように、私どもが現在選別融資という規制をやっております。また四十八年当初から、土地融資に関しては、これに対する抑制措置をとっております。ただ、その前提となりますのは、あくまで民間金融機関の融資でございますので、いわば金融統制的な手法というものは適切でないと考えておりまして、むしろ総量の大ワク規制というやり方でやっております。したがいまして現在、拓殖銀行、あるいはその他の都市銀行、あるいは地方銀行に対する規制につきましても、個別の計画についてこれが適切であるかどうかという判断というものは、金融機関の良識にゆだねるというやり方でやっております。現在までのところ、拓殖銀行が、その不動産関連の貸し出しにつきましては、全体の貸し出しの伸び率よりは低く行なわれておるというところで、私どもの規制としては、それがその範囲内に入っておる、かように考えております。
  103. 井上普方

    ○井上(普)委員 いいですか、あなたの説明でわれわれ納得できますか。これで総計画二百億円、しかも優良農地を買いあさっておる。あなたはいま二十二万五千坪と言いましたが、三十二万五千坪ですよ。これは四十七年の十二月二十二日現在で十五万坪買収済みの面積だといっております。これが地崎組の計画書であります。四十七年の十二月に出されている。そうするならば、あなたのほうは二十二万坪と言われる。私のほうは三十二万坪と言う。この計画では三十二万坪になっているのです。事実、私ども調査によりましても三十二万坪になるんだ。その金は、あなたのほうが一月に不動産の金融については引き締めを、選別融資をやり始めたときなんです。それを無視してどんどんと買い占めをやっておる。あなたのほうは、総ワクでやっているんだから金融機関の良識にまつと、こうおっしゃる。金融機関の良識にまちましょう。それじゃ大蔵省銀行局の良識はどうなるんだ。あなたのほうは、拓殖銀行の支店をなぜここにつくったんです。知事はあなたに申し入れがあったはずなんだ。
  104. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 まず最初に買収面積の点で御指摘がございましたが、確かに当初計画は三十一万四千坪という計画に聞いております。ただ拓殖側から私どもが聞きましたところによりますと、それを修正する予定であるということで、修正予定が二十二万五千坪というように報告を受けておるということでございます。  なおもう一点、そのピーク百六十億というような資金調達について、金融機関がこれを引き受けるとか引き受けないというような話は、必ずしもこれは確定している問題ではなかろうと思います。と申しますのは、拓銀がこの二百億なり百六十億なりを全部自分がめんどうを見るというようなことを約束している話ではなくて、この地崎工業と拓殖銀行とは明治年間からの非常に古い関係であるというところでメインになっておるそうでございますが、その企業の計画について聞いておるということを私どもに報告してきた数字がそういう数字でございます。したがいまして、この金額が一度に融資されるとか、あるいは特定の金融機関がこれをめんどうを見るということではなくて、非常に多くの金融機関におそらく話がある。それをまとめたものを報告してきた数字が所要資金が約二百億に達するような計画である、こういうふうに申し上げておるわけでございます。  それから店舗を認めたことについての御指摘でございますが、先生も先ほどおっしゃいましたように、北海道拓殖銀行は都市銀行でございます。現在、御承知のように都市銀行は十三行ございまして、全国的に店舗網を整備していくという計画でやっておるわけでございます。私どもの店舗認可の方針は、一つは、非常に人口稠密な地帯に店舗を認めていくというやり方が一つのカテゴリー。それからもう一つは、金融機関が預金の集まるところばかりに店を出してはかえって弊害も起こる、むしろ、それをできるだけばらしていくようにという指導で、二つの基準でやっておるわけでございます。で、千葉県には北海道拓殖銀行はいま三、四カ店認めておりますが、その一つである、かように考えております。  なお千葉県知事からは、かねてから私どもお話はございます。これはしかし一般論としてのお話でございまして、千葉県の中に県外の都市銀行などがあまり出てこられて、しかもその資金を吸い上げて東京などに持って行かれては困る、こういう趣旨で私どものほうにもお見えになったわけでございます。その例の一つとして、北海道拓殖銀行というようなものが千葉県などに出てくるのはおかしいではないかというお話もあったように記憶いたしておりますが、それは私は、北海道拓殖銀行、あるいは名古屋、大阪の銀行も、都市銀行である限りは、その都市周辺に店舗網を整備していくことにつきましてはできるだけ御了承をいただきたい、ただし、急激な出し方についてはできるだけ抑制していくように考えます、かような話として申し上げておるわけでございます。
  105. 井上普方

    ○井上(普)委員 時期がおかしいじゃありませんか。去年あなたのほうは、「金融機関の店舗の認可について」という、吉田太郎一という人が四十八年二月二日、蔵銀第二四九号というむずかしい名前ですが、これで通達を出して、各銀行を指導しておる。あなたのほうは、新設の場合はいうならばこれの(ロ)であろうと、こうおっしゃるんでしょう。そこには「人口、企業が著しく増加する等地域経済情勢に変化が生じたため」ということを言われると思う。しかし現在は大網町は人口が減っておるのですよ。去年よりもことしは減っておる。企業が出てきておるというのは、不動産屋ばかりが出てきておるだけじゃありませんか。こんなところに北海道拓殖銀行のごときをつくってもらっては困ると知事がおっしゃっておるにもかかわらず、あなた方はなぜ認可したのです。一般論として知事だって弱い面もある。弱い面があるから、あるいはこれは私の推量ですが、大蔵省に強いことを言って正面から反対をすれば、何でしっぺ返しをされるかわからぬというおそれがあったんでしょう。しかし、拓殖銀行を大網町につくることは私は反対ですという意思表示があったにもかかわらず、なぜおたくはあえてこういうことをやるのです。銀行局がなぜ認可するのです。どうも私どもには、この間、国と企業とが一体となってやったにおいがしてならないのであります。人口も減っておる、こういうときになぜつくるのか。これこそ、いま土地問題が重要であると政府・自民党もわれわれも言っておるにもかかわらず、国民がこのような行政措置を納得できると思いますか。  地崎工業、地崎組は、先ほどもおっしゃられたように、北海道を地盤とする建設業者であります。明治以来、拓殖銀行と関係のある会社だと銀行局長は言われた。その地崎組が千葉県の一寒村でありますこのようなところに土地を買い始めたとたんに、そこに銀行支店をつくる。金融機関と不動産業とが一体となってこの思惑買いをしようという計画が進められたと断言して私ははばからないのであります。銀行局の責任まさに重いと私は思います。さらに詳しい調査を私は要求いたしたいと思うのでありますが、しかしここでこのような問題を放置するわけにはまいりません。  それで、聞きますと、昨年、すなわち昭和四十八年三月三十日ですか、この土地、白里町に対しまして、大臣は線引き区域に指定したようであります。建設大臣は告示をしておるようであります。そこで今後どのような計画をやられようとするのか。私はここで注文をつけたい。その一つは、その優良農地計画区域からはずしなさいということなんです。大臣、あなたはいま初めてお聞きになることなのかもしれません。この点、ひとつ計画局あるいは都市局から御答弁をお願いしたい。しかしながら、大臣、最後に聞きますが、あなたはこのような実態はおわかりになったと思いますので、これから都市計画をやる上において、建設省考え方いかんによっては思惑買いをしたやつに大もうけをさす結果にもなりかねない。これを国が追認する形になりかねないので、そこらを十分意識してあとで御答弁いただきたいと思います。
  106. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 お話しの大網白里町につきましては、現在、都市計画区域に入っておりませんで、したがって線引きももちろんなされておらない地域でございますが、おっしゃいましたとおり、昨年三月にこれを、線引き、いわゆる市街化区域と市街化調整区域の区分をすべき都市ということで、追加して指定したわけでございます。現在、県及び地元町といろいろ打ち合わせつつ、その線引き及びその前提となる都市計画区域の設定作業をやっているようでございまして、本年中には、都市計画区域を新たに設定した上、線引きもするということでございますので、私どもも、大臣認可事項でもありますから、事前に十分状況を把握しつつ適切に処理したいと思います。
  107. 天野光晴

    ○天野(光)委員 いまのに関連して、農林省にちょっとお伺いしておきます。  農地転換を強力に拒んでいる実態が全国至るところにあるわけですが、私は、山林原野を開発するために、それに付随しておる農地を——農地といっても、山林原野に付随しておるのですから、そんなに優良なものではありません。その農地を一緒に開発するというやり方が非常に望ましいと思うのですが、これはあまり行なわれておりません。いわゆる農振法、農地法をたてにとってこれをやっていないのですが、いま問題になっている優良農地、特に農林省の計画で国庫助成を数多く使った地域についての農地転換に対する態度、これは優良農地でもどんどん転換をしていくという考え方なのか。その農地転換に対する考え方をまずひとつ農林省当局から聞いておきたいと思います。
  108. 関谷俊作

    ○関谷説明員 農地の転用の扱いについてのお尋ねと存じますが、農地につきましては、現在、転用許可基準というもので一応方針をきめておりますが、その基本的な考え方は、第一には、農業公共投資、いわゆる土地改良事業等を実施した地域、それから非常にまとまった大きな単位で能率的な作業のできるような集団的な農地、これらを優良農地と解しておりまして、お尋ねの初めのほうにございました、山林原野等の間に付随的にはさまっておるような農地、こういうものはいまの基準から申しますと、いわゆる優良農地というよりはむしろやや順位の低い農地になる、こういう考え方でございます。  それから、その優良農地も含めました転用の扱いにつきましては、基本的には二つの考え方をとっておりまして、一つは、都市計画でありますとか、あるいは開発計画、そういう計画につきまして関係省庁で十分調整をする。そういう地域の調整ができました場合には、その調整の方針に従って、場合によっては優良農地でも、十分に調整がつきました場合には、その地域計画に従った転用を認めざるを得ない、こういう場合もございます。それから、そういう地域調整と関係がない一般の場合につきましては、あくまでも、土地収用対象事業でありますとか、公共的な事業でありますとか、そういう優先度の高いものについてはやむを得ない場合もございますけれども、一般的には、優良農地については原則として転用を認めない、こういう方針でございます。
  109. 天野光晴

    ○天野(光)委員 そうしますと、都市局長のただいまの答弁なんですが、先ほどお話にあった地崎さん、われわれの同士ですからとやかく言いたくはないのですが、地崎組に限らず、全国至るところにこういう状態が現在は数多くあるわけです。これは国総法の基本的な相談がそろそろ始まるだろうと思っているのですが、その中でもこれは問題になってくるものではございますが、そういう観点から、すでに見越して優良農地を買い占めておって、それがいかにもそれに便乗した形で都市計画が設定されてくる。それを線引きの引き直しを簡単にやるという態度では、私はいけないと思うのですが、いまの都市局長答弁だと、近く出てくるであろうそのとき、いかにも大臣の許可権限ではあるがという、やりそうなやりそうでないような話をいましておりますが、この問題は、もうちょっと建設省当局、都市局としても慎重に考える必要があるのではないか。私の知っているのでは、そういう土地は全部取り上げてしまえという話もいま出てきそうだということを承知しておるのですが、そういう点から考えてみて、いかにもそれをやったことに便乗して都市計画が設定されていくというようなことはわれわれとしては了承できないのですが、その考え方の基本はどうですか。
  110. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 先ほどの表現が悪かったためだと思いますが、私、申し上げましたのは、まずあそこはまだ線引きしてないところでございますが、都市計画法の規定によりまして、新たに線引きする都市に追加したということでございます。そこで、いずれ線引きされることになりますが、その際に問題の土地市街化区域に入らないようにせよというのが井上先生の御趣旨でございまして、私まだその詳細を把握してないものですから確答はできないのですけれども、寄り寄りお話を聞いておりますと、市街化区域に入れるならばよほど慎重にしなければならない。それから農林省との調整ももちろん要しますし、大臣認可の手続もあることですから、いま問題点を知りましたので、十分検討いたしまして対処したいということでございまして、すでに線引きをしておる都市の引き直しという問題ではないわけでございます。
  111. 天野光晴

    ○天野(光)委員 いや、新たにやるんだから同じ意味だよ、そんなこと。ただ都市局として、先日来理事会でも問題になっておるように、調整区域の中で旧来からの宅地であったものすらも現在新築の許可をしないというような扱いをしていながら、現在優良農地であると断定しておる土地、その実態がどうか、これは私も現地を視察する必要があると思うのですが、視察をしてみて、もしも都市から離れている地域であって、それまで含めて都市計画の設定をするというような筋が出てくるようだったら、これは了承できませんよ。そんな、いかにも出てくれば相談いたしますなんという態度は、行政指導として最もよろしくないと思う。もう少し真剣になって行政指導すべきだと思う。そうではないですか。それはちょっと問題だと思いますよ。  先日来問題になっておることは、現在工場の敷地になって宅地の税金を払っている、その中に建物を建てたいというのを許可しないという方針じゃないですか。それを、いま優良農地として農林省で投資してまだ数年しかたっていない、そういうところを、かりに——現地がどうなっているかわかりませんよ。東京都内のどまん中ならこれは別だよ。おそらく、過疎状態で例年人口が減っていく町だから、相当離れているんじゃないかと思う。そんなところをかりにそういうことをやれば、いかにも、自民党の代議士が社長をやっている会社がそれを買ったんだから、これは一緒になってやったんだろうといわれてもやむを得ないじゃないですか。もう少しはっきりした答弁をしておきなさいよ。
  112. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 優良農地市街化区域には入れないというのが一般的な原則でありますので、まあ全然例外がないというわけでもないでしょうけれども、御趣旨をよく体しましてはっきりした措置をとりたいと思います。
  113. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 農振法、農地法の精神は、優良農地を守るという立場から立法されておるわけでございます。したがいまして、大網町がもし優良農地を線引きをするというような事態になった場合におきましても、これは行政指導ができるわけでありますから、そういう申請をよこしても建設大臣は判こをつかぬぞということで指導をさせるべきであると私は考えます。  私も就任以来、この土地問題につきましては、ほんとうに目に余るような感じを抱く事例を数多く耳にいたしておるわけであります。土地のこういう問題をこそ早く国会のほうできちんとさばけるように、法的根拠を与えていただけるようにお願いをしたい、こういう気持ちでもう一ぱいでございます。  この大網の問題につきましては、優良農地、しかも圃場整備、用水路まで十億以上の金もかけてやるということになりますと、大体県営圃場といいますと相当なあれでございますが、まあ、そういう面についてのことも考えますと、いま天野委員からも御指摘を受けたように、先を見越してやったんじゃないかというようなことを一般国民に知らしめることになりますと、これはたいへんな悪影響を及ぼすことはもう申すまでもありません。こういう点はきちんとしていきたいと思います。
  114. 天野光晴

    ○天野(光)委員 なお、いま申し上げたのは、千葉県の地崎さんの買った土地という意味ではなくて、これは全国的に見ていただきたいと思います。  それから銀行局長、さっきの答弁、私、了承できないのですがね。二十何万坪を開発するという。それが優良農地都市計画区域内でもない。要するに線引きで市街化区域になっている地域でもない土地を買うのに、大体銀行が融資するのがおかしいじゃありませんか。そういう点の姿勢はきちっとしなければ。先ほど来の答弁聞いていると、やはり何かくさいものにふたしたような感じですよ。  大体支店は、あんたのところで、そんなにどんどん許可するんですか。例年人口が減っていくというようなところ、そこへ銀行の支店を許可する、それほどたやすく許可するというのなら、許可するときよう答弁しておいてくださいよ。われわれの聞いているところでは、どうしても支店がほしいといっても、ワクがこれだけだからおまえのところは許可しないということが数多くあるように聞いているんですよ。それは間違いないのですか。要するに融資の基本的な考え方に問題があると私、思うですが、それをもう少しきちっと答弁をしてください。
  115. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 お答えいたします。  最初に、まず融資の点についてお答えいたします。そういういわば社会的に望ましくないものに対して融資をするのはおかしいじゃないか、こういう御趣旨だろうと思います。それについては私も全く同感でございます。ただ、あくまで市中銀行が自分の責任で融資する場合にはそういう判断にのっとってやってもらいたい、こういうように私どもは指導いたしておるわけでございまして、そしてその指導の内容として選別融資なり土地融資の通達を出しております。その中で、土地に関する融資はできるだけ抑制的に、かつ投機的なものはやめてもらいたいという指導をしております。もしもこの件が、そういう投機的、あるいは将来の計画を十分確かめないで融資をするということであれば、これは好ましくない融資であろうと私は考えております。  ただ、現在、この問題の土地に対する融資の問題として、拓殖銀行が融資しておるという事実はないように私は聞いておるわけでございます。むしろ地崎工業に対する融資はございますが、このプロジェクトに対する融資というものは聞いておりません。ただ保証というのをやっております。それが適切であるかどうかという問題は確かにあろうかと思いますが、これを私どもが行政的に一可否を判断していくというやり方は、現在の金融行政としてはむしろとっていないということでございます。  それから支店でございますが、支店は仰せのようにワクをきめて内示いたしております。これはそう簡単に出せるものではございません。したがいまして、都市銀行あるいは地方銀行いずれの場合におきましても、年間に出せる数はきまっております。その中で、銀行によってはそれをそれぞれの地域で、こういうところへ出してもらいたい、こういうところへ出したいということで言ってくるわけでございますが、多くのケースは一カ所に三つも四つも集中するということで、それを私どもは交通整理するという形で散らしておるわけでございます。  北拓の場合は、北海道に本拠があるだけに、北海道は非常に店舗網が発達しておるので、できるだけ東京周辺に出したいというところでこの大網というのを候補に入れたものと考えます。これが適切な場所であるかどうかについては確かに御異論はあろうかと思います。しかし拓殖銀行の当事者は、将来ここがさらに発展する地域であろう、こういうところで店舗をつくったのであると考えております。
  116. 天野光晴

    ○天野(光)委員 私は、大蔵省の方針で、いまいかにも何か間接的な指導をしているような印象を受けたのですが、いま土地の規制をやろうという考え方を持っておりますが、いまの金融状態からいくと、ほんとうのところ土地の規制なんか要りませんよ。いま土地はどうなっていると思いますか。動いていますか。金融は全部とめたんじゃないか。とめれば全部ぴたっと土地なんか動きませんよ。土地の値下がりはどんどんしていますよ。それほど指導力の強い大蔵省が、銀行で融資するのに、末端銀行だからなどというような、そんな答弁でわれわれは了承できませんよ。いやしくも優良農地農地転換をする手続を必要としますよ。ことに新都市計画法がきまった後においては、その程度の開発はなかなかむずかしいはずでありますよ。それをあなた、承知の上で融資をしているというような銀行に対して、なぜ強硬な手段をとらないのですか。そういうことに私はちょっと納得がいかない。これは私の質問ではありませんから、関連ですからこの程度でやめますが、そういう態度が、いろいろうわさからうわさが出てくるのですよ。  あなたも御承知のように、山林とか原野を買って開発をするという。そうして、さっき私が第一回目に質問したのがそれなんだが、山林や原野に付属しているわずかな農地を入れた開発計画を立ててやるというようなものであるならば、これは私は、融資の対象にどんどんやってもいいという考え方を持っておるのですが、いま言ったとおり、優良農地のどまん中に開発計画を立ててやるというのに、いかに末端銀行であろうと融資をするということは、大蔵省それ自体が、これは間接的だからなんという考え方は了解できませんよ。その点はどうなんですか。責任がないからいいんですか。もう一度答弁してください。
  117. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 基本的には、その土地法律で規制されて開発できないものに対して融資するということは、融資全体が意味がなくなる問題であろうと思います。したがいまして、そういうような事実があれば、銀行は当然融資をストップするはずでございます。ただ正直のところ、現在までは、それが開発されるかどうかということを、金融機関はおそらく確実なものとして承知していないというところで話が進んでおるのではなかろうか、私どもはかように考えております。
  118. 天野光晴

    ○天野(光)委員 やめようと思っていたけれども、そういう答弁されたんではどうにもやめるわけにいかなくなってしまうな。私が主力じゃないんだからあれなんですがね。  地崎君のことを言うのもうまくないからあれなんですが、地崎工業に金を融資した。融資するには、何かやるから融資するということになると思うのですよ。さっき読んだのは何ですか。二十二万何千坪かの土地を開発するということで融資をしているというように報告が来ているんじゃないんですか。それはどういうあれをさっきあなたは読んだんですか。
  119. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 先ほど申しましたように、この地崎工業のいわば主力銀行が北拓でございます。したがいまして、北拓を通じて、地崎工業のこの計画はどうなっておるかということを調べてほしいということを申し入れたわけでございます。したがいまして、北拓は単に自分と地崎工業との関係以外に、地崎工業がどう考えておるかをおそらく地崎工業を通じて聴取したものがこれでございます。したがいまして、北拓自身は、この開発計画にお金を貸すということは、現在までのところはございません。これは地崎工業に対する融資はございます。地崎工業に融資はございますが、これはかねてから昔からの関係で融資しておるものがある、こういうように聞いておりますが、もちろん融資でございますから、これがここに行く、これはここに行くということは、実際問題としてはなかなかむずかしいかとは思いますが、このプロジェクトそのものに対しては、現在までのところは、北拓は保証以外はやっていない、かように聞いております。
  120. 天野光晴

    ○天野(光)委員 保証というのは貸したと同じじゃないんですか。保証というものは貸し金には関係ないのですか。要するに、北拓が保証したからその関係金融機関が融資したんじゃないんですか。保証をするのには、その内容を確かめないで保証をするように大蔵省は指導しているのですか。それはどうなんです。
  121. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 その保証がなければおそらく別の金融機関から融資が行なわれなかったろうと考えますと、実質的には保証ということは同じであろうと考えて差しつかえないと思います。
  122. 天野光晴

    ○天野(光)委員 同じであるという考え方なら、そういう開発計画をちっとも調査も何もしないで出したのでしょうか。いま時間がないからあれですが、その融資の内容について、どこからどう融資してその金はどういう理由で出したのか、これを資料として出していただきたいと思います。委員長に申し入れしておきます。私は関連ですから、これで質問を終わります。
  123. 井上普方

    ○井上(普)委員 いま天野さんから適切な質問をされておったようですが、あなたのお話、それは銀行からお聞きしたそうですね。地崎工業に対しては、ともかく拓殖銀行は保証はしたけれども融資していない。土地は地崎組が買っているんですよ。ここにも登記簿の抄本を持っておる。それを銀行局というものは、銀行から話を聞いて、ああそうか、これで国会をごまかせるわいというようら態度であなた方は臨んでおるんじゃないですか。買っておるのは地崎組なんですよ。銀行は地崎組にもやはり融資しているんでしょうが。これを買っておるのは地崎組なんですよ。あなた方に登記の抄本を見せてあげる。しかもその地崎組が買った土地に支店を開設したんですよ。これで因果関係なしと言えますか。
  124. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 地崎工業はおそらく十ぐらいの金融機関から融資を受けているだろうと思います。そこで私どもは、地崎工業のこの問題について調査をするという場合に、一番主力銀行を通じて聞くのが適当だろうということで聴取をいたしまして、先ほど御報告したような次第でございます。
  125. 井上普方

    ○井上(普)委員 買っておるのは地崎組なんですよ。拓殖銀行が融資をしておるのですよ。これは融資をしている地崎組が土地を買っているのです。地崎工業じゃありませんよ。だから、あなた方の銀行局と銀行とはなれ合いの上でやられておるのじゃなかろうかと、私は疑わざるを得ないのであります。さらにこの点、明確にもう一度御答弁願いたい。ここに登記の抄本がある。見てごらんなさい。  それからもう一つ申しておきますが、その地崎組が買ったという土地は、この優良農地百十町歩の中には家一軒ありません。いいですか、百十町歩のところに家一軒ありませんよ。しかもこの地図、これは建設省が出された地図ですから、五万分の一。いつつくったんですかな、これは。これを見てみますと、このとおり、碁盤の目のごとくきれいに区画整理が行なわれておる土地なんです。それを百十町歩買い占めておるのです。しかもこういう仮登記のしかた、それ自体にも私は問題があると思う。しかしながら、これからいよいよこの土地都市計画事業が施行されるというのでありましたならば、この点、十分にこのような実態を知った上で行なっていただきたいということを、強く建設大臣に申し上げておきたいと思うのですが、建設大臣、御答弁をお願いします。
  126. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 先ほどもお答えいたしましたとおり、慎重の上にも慎重を重ねまして、農振法、農地法等の精神も十分に考え、なお、線引きの都市計画法等の関連も十分に考慮いたしまして、御指摘のありましたように、優良農地がそのまま乱開発されるというようなことの絶対にないように指導をしていきたいと考えておるわけでございます。
  127. 井上普方

    ○井上(普)委員 私はこれは、農林省あるいは建設省、あるいは大蔵省の調査がまだまだ不十分なところが多々あると思います。したがいまして、いずれもう一度機会を得まして、この問題について質問することを委員長にお許しを願いたいと思います。  時間がもうございませんので、この程度できょうは終えておきます。
  128. 木村武雄

    木村委員長 次回は、来たる二十九日金曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。    午後一時三十四分散会