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井上(普)
委員 この問題は私は非常に重要な問題を含んでおると思います。大手不動産業者が放出するという
土地は、ほとんどが市街化調整区域じゃございませんか。これをなぜ買い上げるのです。
建設省は市街化区域、市街化調整区域というのをきめた。なぜきめたんです。これは市街化区域をつくって、市街化区域の都市環境をよくするために都市
計画法というのがぜひとも必要なんだ、こういうことでつくったのでしょう。そして市街化調整区域はある年限の間は絶対に開発いたしませんというのが原則だ、こういうことでわれわれに
説明するし、いままでやってきたはずであります。市街化調整区域で二十ヘクタール以上の
土地を開発する場合に、許可はあるけれ
どもこれを発動することはほぼないであろうということを私
どもは期待して、あの
法律の審議に参画いたしたものであります。ところが突如として、ほとんどが市街化調整区域に入るその
土地を、このたび大手不動産業者から
政府があっせんして公団並びに
地方自治体に押しつけておる実情は、私
どもはいままでの方針と違った方向であるといわざるを得ないと思います。
そしてまた、現在
土地の金融に対してぎゅんぎゅん締めなければならないときであります。先ほど私が
自治省に、不動産
取得税の
伸びが一体どういうようになっておるかということを聞いておるのも、現在
地価は沈滞に向かいつつある。なぜ向かいつつあるかといえば、これは
政府の昨年の一月以来の
土地に対する金融引き締めにその大きな原因があると私は思います。同時に、世論が
土地買いあさりに対してきびしい眼をもって
批判しつつあるこの事実、これによって狂奔する
地価はやや沈静に向かいつつある現状において
——市街化調整区域というのは大体が売れない
土地なのです。取引が少ない
土地なのです。その
土地に対して
政府が金融をあっせんして買ってやるということになりますと、不動産屋はさらに資金をもって市街化調整区域を食い荒らすでありましょう。そうなったときに、いままで一貫して国並びに
建設省が考えてまいったこの都市
計画法の趣旨、並びにわれわれがこいねがっておった秩序ある都市形成というのが全く画餅に帰すと思います。しかも、当時、この市街化区域に対しまして、一体市街化区域の都市施設を
整備するのにどれくらい時間がかかるかといえば十年かかる、それに要する金は五十六兆円、こういう数字を発表されたことがある。まだそれも残っておるのに、あらためて市街化調整区域に大規模に
土地を
政府が買って、それで不動産屋に応援しなければならない理由を私は見出すのに苦しむものであります。考え直していただきたいと思います。私
どもも
金丸建設大臣にはこのことを強く
要求いたしたこともございます。しかし
行政措置としてどんどんと進んでおる。いま聞いてみましたら、ストップしておるのかと思いますと、進められておる。これは大手不動産業者を救済するもの以外何ものでもないと思うのですが、いかがでございます。