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1974-02-27 第72回国会 衆議院 建設委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年二月二十七日(水曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 木村 武雄君    理事 天野 光晴君 理事 服部 安司君    理事 松野 幸泰君 理事 渡部 恒三君    理事 渡辺 栄一君 理事 井上 普方君    理事 福岡 義登君 理事 浦井  洋君       小沢 一郎君    梶山 静六君       國場 幸昌君    中尾  宏君       野中 英二君    林  義郎君       村田敬次郎君    大柴 滋夫君       佐野 憲治君    清水 徳松君       中村  茂君    渡辺 惣蔵君       柴田 睦夫君    瀬崎 博義君       新井 彬之君    北側 義一君  出席国務大臣         建 設 大 臣 亀岡 高夫君  出席政府委員         大蔵政務次官  中川 一郎君         大蔵大臣官房審         議官      岩瀬 義郎君         建設大臣官房長 高橋 弘篤君         建設省計画局長 大塩洋一郎君         建設省都市局長 吉田 泰夫君         建設省河川局長 松村 賢吉君         建設省道路局長 菊池 三男君         建設省住宅局長 沢田 光英君         自治大臣官房審         議官      近藤 隆之君  委員外出席者         環境庁自然保護         局計画課長   宇野  佐君         大蔵省銀行局銀         行課長     清水  汪君         林野庁指導部長 松形 祐堯君         通商産業省生活         産業局窯業建材         課長      木原 滋之君         資源エネルギー         庁石油部精製流         通課長     松村 克之君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     伊藤 直行君         建設委員会調査         室長      曾田  忠君     ————————————— 委員の異動 二月二十三日  辞任         補欠選任   池田 禎治君     渡辺 武三君 同月二十六日  辞任         補欠選任   小沢 一郎君     江崎 真澄君   梶山 静六君     福永 健司君   中尾  宏君     松澤 雄藏君   浜田 幸一君     大西 正男君 同日  辞任         補欠選任   江崎 真澄君     小沢 一郎君   大西 正男君     浜田 幸一君   福永 健司君     梶山 静六君   松澤 雄藏君     中尾  宏君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  建設行政基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 木村武雄

    木村委員長 これより会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  建設行政基本施策に関する件調査のため、本日、日本道路公団理事伊藤直行君に参考人として御出席を願い、御意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 木村武雄

    木村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人からの御意見質疑応答の形式でお聞きすることにいたしたいと存じますので、さよう御了承お願いいたします。
  4. 木村武雄

    木村委員長 次に、建設行政基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上普方君。
  5. 井上普方

    井上(普)委員 本委員会は長らく一般質問をする機会がございませんで、昨年の九月以降、国内における建設行政についていろいろなことがございましたにもかかわらず、本日までそれらについて質問する機会がなかったことをはなはだ遺憾とするのであります。きょうは、亀岡建設大臣が御就任以来いろいろと御発言になっておられ、また、先日は建設行政基本施策に関する所信表明をお述べになられましたので、この点についてお伺いいたしたいと存ずるのであります。  まず第一番に、亀岡大臣建設大臣に御就任になった際に、国土総合開発法、これを成立さすことは至上命令であると、こうテレビで御発言になっておるのを私、拝聴いたしたのであります。私もそのときに、至上命令というえらい大時代的な、何と申しますか、民主社会にふさわしくないようなおことばを承りまして奇異の感を深くいたしたのでありますが、その後、大臣の御経歴を承りまして、なるほどな、至上命令ということばも出てくるのは過去の御経験からしてやむを得ぬことであるかなと思って了解をいたしたのであります。しかしながら、建設大臣と現在出されております国土総合開発法とは、はなはだ関係はあるとは申しましても、何がゆえに建設大臣としてはこの国土総合開発法を通すことが至上命令であるのか、私にはわからないのであります。この点ひとつ、何がゆえに至上命令か、建設大臣がおっしゃったこの内容についてお伺いいたしたいのであります。
  6. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 お答えいたします。  御承知のように、昨年の一月、地価対策閣僚協議会においていろいろ決定された次第でございます。また一昨年の地価閣僚協できめられたこと、それらをもとにいたしまして国総法並びに諸般土地に関する税制度等の施行をきめられたことは、御承知のとおりでございます。その閣僚協できめられた線に従いまして、一応政府といたしましては、これを具体化するために国総法の中に、土地の問題も含めて私権制限という、画期的なと私ども当時考えたわけでありますが、取り上げたわけでございまして、それをもとにいたしまして国総法を国会に提案いたしてあったわけでございます。諸般情勢国会で審議がなされないままに、私、大臣就任ということになったわけでございますので、でき得べくんば、せっかく国会に提案した法律でございますので、この法律を通す努力をするということは、国務大臣として当然のつとめと、こう感じまして、国総法の成立にもまあ努力しよう。質問がありましたものですから、そういう質問に対しまして私の気持ちを申し上げた、こういうことでございますので御了承賜わりたいと思います。
  7. 井上普方

    井上(普)委員 どうも苦しいお話でございまして、成立のために国務大臣として努力したいということと、建設大臣としてこれを通すことが至上命令だとでは、どうもオーダーは違ってくるのであります。そこで、まあ就任早々でもあろうと思いますので、この点につきまして強く追及することは私は避けたいと思います。しかしながら、この国総法の原案の内容を見てみましたときに、これはたとえ法律が通りましても、実施する部隊——これは大臣の御経験だから部隊と申しましょう。部隊地方自治体であります。しかも府県議会あるいは市町村長がともかく非常にやる気にならなければ法律実効はあがらないのであります。このことは御勉強になられたと思いますが、大臣も十分御承知のとおりだと思います。したがいまして、この国総法を無理やり至上命令という名のもとに突撃して成立さしたといたしましても、自治体協力自治体が真剣にその気にならなければ法律実効はあがらないのであります。したがいまして、この法律はあくまでも、各党の合意の上に、ある程度のコンセンサスの上に立って成立しなければ法律として動かない。強権を発動するわけにはまいりません。このことは十分に御承知になっていただきたいと思うのであります。  もちろん私どもは、土地規制という面につきましては、野党の一員といたしまして、また国会議員一員といたしましても、やらなければならぬということは十分に存じております。しかしこの国総法なる法律が、悪評高い日本列島改造論母法としてあらわれておるところに大きな問題があることを、ひとつ御記憶願いたいのであります。思い起こしていただきたいのであります。それをあたかも至上命令というがごとき表現をもって建設行政に当たられるとするならば、私は、大いなる混乱を建設行政に持ち込むものである、このように考えるのでありますが、大臣、いかがでございますか。
  8. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 仰せのとおり、国政を国民の手もとにまで届けるための行政措置というものにつきましては、地方自治体協力なしでは、これはもう実効があがらないことはお説のとおりでございます。したがいまして、私も就任早々気が落ちついていなかったせいですか、至上命令ということばにこだわるようでございますけれども、使った記憶がないわけでございます。もしありとすれば、少しはやり過ぎておったという感じも、いまにして反省をいたすわけでございます。  特に、土地問題に関連する国総法という立場で考えました際、やはり土地問題、特に土地値上がりというものが国民の非常にきびしい批判を受けておる現段階において、また物価問題がきびしくやかましく国民から指摘されておる現在、地価という問題についても、物価の元凶とさえいわれておるわけでございますので、これに対する措置をできるだけ早くしなければならないという現実の問題を考えますとき、やはりこれは与野党一致してこの急場を切り抜けさしていただかなければならぬわけでございます。そういう立場から考えますと、日本列島改造の固まったものが国総法であるというような批判もあるわけでございます。したがいまして、そういう面については、私としては、もうこの段階に参りましては、そういうメンツ等には、こだわらずにこの地価問題というものを早急に片づける方向に進むべきではないかという感じを持っておるわけであります。
  9. 井上普方

    井上(普)委員 土地の問題についての規制ということをやらなければならぬというお考えであるならば、一国務大臣としては、国総法を撤回して、そして土地規制の問題だけについての法案を提出する御用意はございますかどうですか。そういう国務大臣としての御見解を承りたい。
  10. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 いまのところ、実は撤回というところまでは考えておりませんが、総理からも本会議あるいは予算委員会等でもたびたび申し上げておりますとおり、まあ各党でいかなる修正もしていただければという発言総理がいたしておるわけでありますので、この点はひとつよく御理解いただきたいと思うわけであります。
  11. 井上普方

    井上(普)委員 それでは内閣の法案提出権を非常に軽視しておるものと私はいわざるを得ないと思うのです。しかも国土総合開発法が、もう世上一般日本列島改造論母法である、こういうことに既成事実としてなっておる現在において、この日本列島改造論が現下の情勢もとにおいては非常に時世に合わないということも御存じだろうと思います。それであるならば、日本列島改造論母法であると思われるこの国総法を撤回して、いま緊急に国民が望み、また政治の最大の課題である土地規制という問題について、政府はあらためて新しい法律を出す御用意がなければならぬと思うのでありますが、いかがでございますか。
  12. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 井上先生のお気持ちもわかるわけでありますけれども、私どもといたしましては、国会に提案をいたしました国総法、これは日本列島改造のこり固まったものという批判はいただいておりますけれども、しかし、いま御提案申し上げておる法律はあの法律で、ある意味においては非常にいい法律ではないかという感じも実は持っておるわけであります。ただ、ここに物価問題という石油ショック問題等に際しまして、土地問題を方向づける措置を急がねばならないという段階にございますので、これらを考えますとき、やはりいい法律ではあるけれども、これに固執しておったのでは土地対策が進まないという現実、これをどう調整するかということを考えました際に、政府としてはいい法律という自信を持って国会に出した法律でございますので、やはり国会において修正をいただくというふうに考えておるわけでございます。
  13. 井上普方

    井上(普)委員 どうも政府自体法案提出権に対しまして、はなはだ無責任な言動であるといわざるを得ないと思うのであります。この点、強く反省を求める次第でありますし、私どもはあくまでも、国総法を撤回して新しい地価規制についての法律政府要求するし、またわれわれもそれの成立のために努力することを表明しておきたいと存ずるのであります。  地価の問題、土地の問題はあとにいたしまして、建設行政一つの大きい柱である道路行政についてお伺いいたしたいと思うのです。  昨年、第七次五カ年計画が、道路整備特別措置法成立いたしました。その際本委員会で、第七次五カ年計画財源処置はどうなっておるのか、財源はどうするのかということが大きい問題になったのであります。計画を立てる以上、財源をいかにするかということも出さなければならない、しかしそれの用意がない、けしからぬじゃないかということが議論になりまして、当時の金丸建設大臣は、しからば四十九年度の予算編成時までにこの財源処置をつくるということをわれわれに公約されたのであります。ところが、その問題については一体どうなっておるのでございますか、大臣、お伺いいたしたいのであります。
  14. 菊池三男

    菊池政府委員 ただいま先生お話しのとおりに、第七次道路整備五カ年計画をつくりましたときに、財源については昭和四十九年度の予算編成時までにきめるということになっております。そして今度の四十九年度の予算におきまして、これは今度租税特別措置法の一部改正という形で、ガソリン税の二割アップ、あるいはトン税、これはいろいろ種類によって違いますけれども、約二倍アップするという線、あるいは自動車取得税アップというような形で、これは租税特別措置法臨時措置として二年間ということでございます。また、二年先につきましてはまたそのときにきめるということになっておるわけでありますけれども、少なくともそういう意味で、トン税等一般財源に入りますけれども道路整備財源としてそれが確保されるということになろうかと思います。それから、いまの五カ年計画段階では、特定財源のそれ以外のものは一般財源という形で計画がきめられておるわけでございます。
  15. 井上普方

    井上(普)委員 いまのお話を承りますと、昨年のお話とだいぶ違う。たとえば特別処置として二年間という暫定処置をきめておるようでありますが、しかし計画は五カ年計画であります。しかも五カ年計画を策定する際に、当然財源処置についてもこれは提示しなければならないにもかかわらず、これを出さなかった。したがって四十九年度予算編成時までにはこの財源処置を確定して出すということを政府は確約いたしておるのであります。にもかかわらずこれを二年と限定するのは私はおかしいと思う。大臣、いかがでございます。
  16. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 仰せのところはよくわかるわけでありますけれども、四十九年度予算編成に際しまして、実は前大臣から申し送り、引き継ぎをしておるわけでございますけれども、御承知のように、非常に情勢の違った中、総需要抑制というような立場予算編成を行ないました関係上、実は私どもとしても、道路関係財源措置について相当強く政府部内でも主張いたした次第でございますけれども、ただいま局長から申し上げたような線に落ちつかざるを得なかったということで、みずからの力の不足を実は反省をいたしておるわけでございます。御了承いただきたいと思います。
  17. 井上普方

    井上(普)委員 私はこの点につきましては了承できないんです。五カ年計画をつくる際にはともかく財源処置というものも出さなければならない、このことは、この前の国会におきまして、当委員会において強く指摘したところであります。大臣もそのとおりだとおっしゃった。したがって四十九年度予算編成時までにはこれはつくりますという明言があったのであります。ところが、ふたをあけてみると二カ年の暫定処置。これに対しても、われわれに対しまして建設省側から何ら説明はまだありません。このように処置をいたしますという御報告を私どもは承っていないのであります。しかもその計画は二年。五カ年計画ですよ。ここらあたりに非常に私は了承できないものがあります。特にガソリン税並びにトン税等々を上げるということは、国民生活にも大きい影響を及ぼす問題であります。われわれは慎重にこれらの問題について考慮しなければならない。しかもガソリンは、御存じのとおり値上げの最中、これの国民生活に及ぼす影響並びに運輸行政に及ぼす影響というものは重大だと思います。これらの資料につきまして、私どもはまだそれを手に入れておりません。説明を受けておりません。はなはだ遺憾であります。早急に資料をわれわれに提出するよう強く要求いたしておきたいと思います。  しかし、いずれにいたしましても、この五カ年計画のうち二カ年しかできない。しかも地方財政にとりまして、特に大臣はこのたびの所信表明におきまして、地方道国民生活道路重点を置くんだ、こうおっしゃっております以上、地方財政計画とのからみ合いでどうなっておるのか、私どもは重大な関心を持たざるを得ないのであります。御説明をお願いいたします。
  18. 菊池三男

    菊池政府委員 今度の五カ年計画を改定いたします際に、県道あるいは市町村道等生活道路整備を優先してやるんだということを申し上げてございます。それでその際にも、地方財源について十分な手当てをするようにというお話がございました。それで今度の税率アップの場合も、ガソリン税を上げますと、地方道路譲与税として地方にその一部が参りますし、またトン税につきましては、国費につきましては一般財源に入っておりますけれども地方費につきましては、特定財源ということで地方財源に入ることになっております。それから、先ほど申し上げました自動車取得税、このアップにつきまして、これも全部地方税でございますので、そういう意味では、地方税のほうの手当てもしてあるということに考えております。ただ、そのこまかい数字につきましては、実はまだ御説明申し上げておりませんので、たいへん恐縮に存じております。すぐ資料は提出いたすことにいたします。
  19. 井上普方

    井上(普)委員 自治省、出てこられていますね。自治省は、地方団体歳入歳出総額の見込み、地方財政計画をお出しになっておりますが、それがアップしましても道路財源において一体どれくらいの赤字が見込まれますか、お伺いしたい。
  20. 近藤隆之

    近藤政府委員 地方財政計画の中におきまして、公共事業につきましては、当然建設省のほうでその額及び地方負担予算計上しております。それから、ただいまお話のございました、生活関連道路を中心といたします単独事業につきましては、財政計画中に、四十八年度は六千二百億円でございましたのを、四十九年度は五百五十億円上乗せいたしまして六千七百五十億円を計上いたしております。
  21. 井上普方

    井上(普)委員 いまの情勢もとにおきまして、自動車の販売の伸びが悪いことは御存じのとおり。トン税並びに取得税は、これによって大幅にダウンすることが考えられる。とするならばガソリン税伸びしか考えられない。しかしガソリン税につきましても、御承知のような情勢でございますので、ガソリン税伸びというものは低目に押えられるんじゃないかと私は思います。そうなってまいりますと、この財源処置というものが不足するのではないか。私は、あなた方から詳しい資料をもらってないから、ただ宙でこれを申しておるのでありますが、そこらあたり、地方財政につきましても大きな赤字を来たすのではなかろうかと思うのです。どうなんです、この点は。
  22. 菊池三男

    菊池政府委員 確かに、事業がふえておるわりに、今度の自動車ガソリン税収入伸びは、従来毎年大体一〇%ずつ伸びておりましたので、したがいまして、当初予算要求をいたしましたときも、一〇%くらいガソリン税伸びるという考え方で要求しておりましたけれども、その後こういう石油事情の状態になりまして、伸びが落ちるという想定から、ただいまのところは、逆に一〇%くらいガソリン税収が落ちるのではないかというふうに私どもは考えております。それに対しまして、今度のガソリン税等の二割アップということをやりますと、従来のアップをしないときよりは増収ということになりますけれども、そのアップした分がまるまる増収になるということではないと思います。したがいまして、それがまるまるガソリン税収伸びておるときのアップということから比べますと、これは一般財源にまたかぶさる率が多くなりますけれども、御承知のように、四十九年度は全体の事業量が四十八年度とほぼ同額あるいは若干ダウンということになっておりますので、一般財源に占めるウエートは、私はさほど大きくないだろうというふうに考えております。
  23. 井上普方

    井上(普)委員 そうしますと、これは一つ一つお伺いしておきたいのですが、一つは、いまのお話ガソリン税伸びというものは私は期待できないと思います。むしろ下がるものだと思います。まあその問題はあとにいたしまして、それでは府県と町村とに分けまして、いま自治省から御説明がありましたが、もう少し詳細にひとつ御説明を願いたいと思います。自治省よろしゅうございますね。  それからもう一つは、いまはしなくも道路局長がおっしゃられました、この伸びというものはあまり期待できないので、それで事業量はダウンすると言ったら、建設大臣のおっしゃる生活道路重点を置いたというのとは、どうも食い違いが出てくるんですが、どうなんです。生活道路重点を置いたとおっしゃりながら、一般財源に来る分が少ないのであるいはまた仕事も下がるであろうというのがいまの局長お話なんです。どうなんです。
  24. 菊池三男

    菊池政府委員 一般道路事業が通常ですと二〇%から二五%くらい毎年伸びております。そういう意味で、四十八年度と同額でありますので、そういう伸びがなかったということでございます。まあしかし、それにいたしましても、国道等——国道も私は生活道路一つと考えておりますけれども、それよりもっと密接な関連のある市町村道、あるいは交通安全、あるいは雪寒というようなものは、その全体が下がっている中でも相当な伸ばしをしておりますけれども、残念ながらそういうことで幹線的なものの事業量が下がらざるを得なかったということでございます。
  25. 井上普方

    井上(普)委員 四十八年と比べて伸びがなかったということは、これだけ建設資材値上がり工事費値上がりもとにおきましては、事業量はそれだけ少なくなったということなんです。にもかかわらず、生活道路重点を置かれた、こう言われる大臣所信表明に対しましては、私はどうも納得できないものがあるのであります。どうです大臣、こういうようになりましたということをなぜ率直にお書きにならないのです。おっしゃらないのです。ここではほんとうのことを言い、新しい国土というものはどうあるべきかということを真剣に与野党ともに論議する場が、私はここで必要だと思うのです。どうでございますか。
  26. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 井上先生も万々御承知のような事情であったわけでございます。と申しますのは、総需要抑制という、きびしい物価抑制のための中での予算編成ということでございましたために、実は大型プロジェクトと申しますか、東京湾の架橋でありまするとか、あるいは本四の問題でありますとか、資材を非常に食うような積極的な計画があったわけでありますが、そういうところは、若干、半年なり一年がまんしていただくという措置をとりまして、そうして気持ちの上では、まず生活関連の深い道路整備のほうに予算が回るようにすべきである、こういうことで事務当局に指示をいたした次第でございます。
  27. 井上普方

    井上(普)委員 私は特に、大臣が「国民生活と密接な関連を有する市町村道整備を推進する所存であります」とおっしゃられておる、これができないじゃないかということを指摘しておるわけなんです。さらに御努力をお願いいたしたいと思います。
  28. 佐野憲治

    佐野(憲)委員 関連質問ですけれども、ただいまの質疑の中で私は資料要求いたしたいと思います。  一つは、予算総括表の中で市町村道路の事業費、国費が明示されておりますけれども、この中身ですね。特別法なりその他の措置による国としてなさねばならない事業と、そうではなくて町村道を整備するために予算措置されておる、この区分を明確にしていただきたいと思います。これは全部二つ含まれておりますから、法によるものとそうでないもの。  それから地方財源に対する資料が出ておりますが、この地方財源に対しまして、特にこれは県並びに市町村道と一括して計上されておるわけですが、収入面におきまして特定財源が町村に幾ら与えられておるか、単独事業としてはどの程度見込まれておるか。県の場合、これを明確に区分をして提出していただきたいと思います。
  29. 菊池三男

    菊池政府委員 ただいまのお話資料ではっきりわかるように御提出いたします。
  30. 井上普方

    井上(普)委員 それでは、大蔵政務次官もお忙しいところを来ていただいておるようでございますので、ひとつ大蔵省についてお伺いいたします。  きのうの大蔵省の発表によりますと、四十九年度の公共事業も繰り延べするというようなことをちょっと聞いておるのですが、真意はどうなんですか。
  31. 中川一郎

    ○中川政府委員 大蔵省として、四十九年度の予算を繰り延べるなどという考え方は、現段階において持っておりません。(「けさテレビで出たよ」と呼ぶ者あり)テレビでどういう放送があろうとも、大蔵省としてはそういうことは考えておりませんで、いま提出いたしております予算を執行するために全力を尽くしたいと存じます。
  32. 井上普方

    井上(普)委員 予算審議中に、繰り延べるなんという不見識なことは、大蔵省としては言えまいと思います。しかしながら、けさのテレビではそういうようなことを言われておるのであります。このごろのことでございますので、臨機応変の処置をとらざるを得ぬことも私どもはわかりますが、ともかく予算審議中にそのような不見識なことを御発表になることをひとつやめていただきたいと思います。  続いては大蔵省ですが、昨年の予算委員会におきまして大蔵大臣質問をいたしたのであります。その際に特に、銀行がダミーを使って土地を取得しておる状況をお伺いいたしたのであります。そうしますと、その当時大蔵省は、その資料は持っていないというのでありますが、その資料は幾ら待てども私の手元に届かないし、国会に報告しないのであります。大蔵省というのは、その場のがれの、その場を糊塗すれば事足れりとお考えになっておるのか。少なくとも信義に厚い中川政務次官はどうお考えになりますか。
  33. 中川一郎

    ○中川政府委員 井上先生御指摘のように、確かにダミー会社があって土地を買っておるという実態があるようでございます。そこで、御指摘もありましたので、大蔵省としては、こういうことはけしからぬというところから、出資比率を引き下げるとか、銀行から行っておる役員の引き上げを行なう、あるいはまたみだりな融資をしないように厳重な措置をとりまして、まだ一〇〇%とはいっておりませんけれども、相当実効をあげております。そうして御批判のないように今後ともきびしくやって御趣旨に沿いたい、このように考えております。
  34. 井上普方

    井上(普)委員 信義を最も重んずるといわれております中川政務次官にお伺いするのです。去年の二月二十八日に愛知大蔵大臣はこうおっしゃっておるのです。私が銀行のダミーの問題について質問いたしました。その際に、「重要な問題であると思いますから、できる限り実態等について御報告をいたしたいと思いますし、また、適切と考えられる措置が新たに考えられます場合におきましては、十分御説明もいたしたいと思います」、こう言われておるのであります。ところがいまもってこれについての御報告がない。どうなんです。
  35. 中川一郎

    ○中川政府委員 確かに昨年愛知大臣のときに、そういうお約束をし、そしてまた実際的に自粛の方向でやってまいりましたが、その実態についての御報告がないようでございます。かなり調べも進んでおりますから、直ちに御報告をさせていただきます。
  36. 井上普方

    井上(普)委員 私は中川政務次官は信用しますけれども、大蔵省を信用するわけにはいかぬ。いつまでにやるのです。
  37. 中川一郎

    ○中川政府委員 近日中にいたします。
  38. 井上普方

    井上(普)委員 近日といいましても、言を左右にするのが大蔵省でありますので、ひとつ日にちを限って御報告を願いたいと思います。
  39. 中川一郎

    ○中川政府委員 二、三日うちに御報告をいたします。
  40. 井上普方

    井上(普)委員 二、三日うちに報告ができることを一年間も引っぱってきたのは一体何ゆえかということを、私らふしぎに思うのであります。ともかく現在、金融情勢につきましては、金融が土地価格の規制に大きな役割りをする、このことは御存じだろうと思うし、銀行がいかに融資をやっておるか、このことが土地価格の規制に大きなウエートを占めることを私は確信いたすのであります。特に昭和三十四、五年以来、花見酒の経済とか叫ばれながら、土地金融についてともかく野方図にしてまいった政府の責任というものは重大なのであります。しかも、先ほども申しましたように、銀行がいままでは一〇%しか資本金を持つことができない会社を数多く持って、そして土地の思惑買いに狂奔しておる事実を私どもは知っておるのであります。監督官庁である大蔵省が、これについての調査をやるといいながら実はサボっておって、報告をするといいながらサボっておった。まことに奇々怪々といわざるを得ないのであります。早急に、まあ二、三日うちにやられるというのでありますから、期待いたすものであります。委員長、その資料もとにいたしまして、あらためて大蔵省に質問する機会をひとつ与えていただきたいと思います。
  41. 木村武雄

    木村委員長 了承いたしました。
  42. 岩瀬義郎

    ○岩瀬政府委員 いま御質問ございましたので、報告をいたしておりませんことに対しましておわびを申し上げますが、いま政務次官から報告いたしましたように、昨年の先生の御質問あとで、大蔵省といたしましては直ちに、特に銀行の持っております土地会社というものの整理という意味におきまして、通達を出しまして、これは二度にわたって通達を出したわけでありますが、その一つは、特に銀行の名前を冠した不動産会社というようなもの、たとえば何銀行不動産会社というようなものの名称を改めさせるということ。それから銀行の出資というのは、公取法上、一つの会社に対しまして一〇%の制限がございます。その範囲内であれば持ち株が可能なのでございますが、それを五%以下に押えるということと、それから出向社員というのは総引き揚げを行なう。これは若干時間的な余裕を与えておりますが、それと同時に一番大切なことは、銀行からの融資が、親子関係にございますので、他の融資よりも不当に過剰に融資が行なわれているというような気配があるというような御指摘もございましたので、特にその点についての注意並びに実際の規制を行なうようにという指導をいたしました。その結果、五%持ち株については直ちに実行が完了いたしておりますし、名称変更も、大体定款を変えまして改正をいたしております等、改善の状況は後に御報告いたしますが、かなり顕著なものがあらわれております。  ついでに申し上げますが、不動産関係につきましては、特に土地の融資につきまして、一般の貸し出しの線に比べまして当時数倍の伸び率を示しておりましたので、それも改めて落とさせるようにいたしました結果、現在では、不動産に対する融資というのは、一般の金融貸し出しに比べまして非常に低い数字になっております。あとは御報告を書類でさせていただきます。
  43. 井上普方

    井上(普)委員 ともかく第一勧銀土地株式会社なんというような名前がある会社がございましたけれども、これを名前を変えさせたことによって、一般には銀行との関係がわからなくなる。われわれの目をごまかすものになりはしないかとおそれるのであります。名称なんというよりも問題は実態なんです。ともかくいかに銀行が子会社を駆使して土地の買い占めに狂奔しておるか、この実態に私らメスを入れなければならないと思うのです。持ち株を五%にしましても同じであります。役員の引き揚げが実際問題としては行なわれておらないじゃありませんか。依然として銀行のダミー的行動をやっておる不動産会社がたくさんある。私はこの問題については、資料が参りましてからあらためて質問をいたしたいと思います。  続いてお伺いしたいのですが、自治省にお伺いいたします。  昨年私どもはこの国会におきまして不動産保有税というものをつくりました。これの四十八年度の歳入見通しはどうなっておりますか。当初の計画よりも非常に伸びが多いと私は思うのですが、いかがでございますか。実態をひとつ御説明願いたいと思うのです。
  44. 近藤隆之

    近藤政府委員 担当でございませんので、さっそく役所のほうへ照会いたしまして御返事いたします。
  45. 井上普方

    井上(普)委員 これもまた資料を得て質問をいたしたいと存じます。  いろいろと申し上げたいことがたくさんございます。しかしながら、きょうは時間もございませんので、大蔵省けっこうでございます。またあらためてお伺いいたしたいと思います。  続いてですが、これは法案の際に申し上げていいのであろうと思いますけれども、このたび宅地開発公団なるものを新設されようと政府はいたしております。しかし、これは大臣所信表明にも書いてあるのでありますが、どうも私どもは納得がしがたいものがあるのであります。何ゆえそのような公団を政府として出さなければならないのか。これは一口に言いますならば、日本住宅公団なるものが能率があがらぬから、これを新しい組織をもってやりかえようというのがねらいじゃございませんか。どうでございます。すなわち、建設省政府の日本住宅公団に対する不信任だと私らは受け取っておるのですが、どうでございますか。
  46. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 所信表明でも申し上げましたように、現在の住宅難、それから住宅公団の住宅建設、特に公営住宅等の建設が、特に大都市におきましては非常にきびしい困難な情勢になっておることは御承知のとおりでございます。しかも、年々、新しい住宅、宅地需要というものが非常に大きいものがあるわけでありまして、それらにこたえてまいりますためには、宅地というものを民間デベロッパーにだけまかしておいたのでは現段階ではもうどうにもならないということで、宅地を中心にして造成をする関係機関をこの際つくるべきである。しかも御承知のように、地方自治体協力をいただくために、地方の超過負担を全くなくすというような立場から、水道事業でありますとか、下水道事業でありますとか、あるいはガス事業、さらに交通施設等、さらには公共事業をみずから実行できる機関というものをつくりまして、そうして都市づくりを進めるという立場から実は宅地開発公団を設置することといたしまして、関係法案を提案をいたした次第でございますので、これは住宅公団とその職務配分が背馳するものではない、こう私どもは確信をいたしまして提案をいたした次第でございます。
  47. 井上普方

    井上(普)委員 住宅公団が住宅建設に際しましては、宅地をつくることによって仕事の九割まではできることは御承知のとおりです。あとは建設と管理でありますが、これの比重というものは、いまの社会常識をもってすれば非常に低い。で、公営住宅並びに住宅公団の建築が遅々として予定どおりはかどらない、そのためにこういうような公団をつくらなければならないということになったんじゃないかと私は思うのです。とするならば、住宅公団が宅地を取得する能力がないということに私は帰一すると思うのです。  いままでも住宅公団は、御承知のように多摩ニュータウンを手がけております。しかし多摩ニュータウンの事業推進に際して何らか支障があったのかどうか。まあいろいろと問題はあります。しかしながら当然これは住宅公団でできる仕事。これをさあ鉄道をくっつけてみたり、あるいは下水道事業、はなはだしきに至っては上水道事業までも、市町村の事業であるのを取り上げてこれをくっつけようとするこの宅地公団というやり方、これは私は大きな問題があると思うのです。根本に流れるのは、先ほどから申しますように、どうも住宅公団に対する不信がこれにあらわれているんじゃないか、このように考えられるのです。それならば、屋上屋を重ねるようなこの方式をやめまして、住宅公団を強化するような方向で考えるべきであると思うのであります。大臣いかがでございます。
  48. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 住宅公団に対して不信を持つなんという気持ちは、もうさらさらございません。住宅公団は住宅公団として今日まで最大の成果をあげてきておるわけでございます。ただ住宅公団は、お説のとおり宅地を入手するということはたいへん苦労しておるわけであります。そして自分の住宅、あるいは共同住宅、公営住宅、そういう住宅を建てるための土地を得るのに精一ぱいというような情勢でございまして、それ以上にやはり宅地の造成というものが緊急性を増してきておる、こう私どもは判断をいたしまして、五百ヘクタール以上の大規模な宅地開発というものを国の力でやるべきであるという立場に立って、実は公団を設置して専門的に五百ヘクタール以上の土地づくりと申しますか、土地の基盤づくりと申しますか、そういう試みを実行するために、新しい宅地開発公団を立法化してその御審議をお願いしておるというところでございます。
  49. 井上普方

    井上(普)委員 どうも私は納得しがたいものがあります。いずれこの詳細につきましてはこの法案の審議の際に申し上げたいと思いますが、私がここで申し上げるのは、政府自体の日本住宅公団の非能率に対する不信のあらわれじゃないか、こういう感を深くするのであります。ならば、これは住宅公団を改組するなり、あるいは陳容を強化するなり、いままでのように役人の古手を住宅公団に送り込むようなことをおやめになって、さらに強化するような方策を講ずることこそ必要ではないかと思うのであります。この問題はいずれあらためて質問いたしたいと存じます。  続いて、もう時間がございませんので、簡単に申し上げます。建設省は昨年突如として、大企業が持っておる土地を供出してもらうんだ、ひとつ宅地のために出してもらうんだ、こういう方針を立てて作業を進めたようであります。これはまだ続いておるのですかどうですか。
  50. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 現在も続けてその仕事をやっておるわけでございます。特に、あの当時、金丸前建設大臣がおやりになりました、とにかくみずから開発できる問題については五カ年計画を出しなさいということもあわせて要請したわけでありまするし、また、放出に対する要請にこたえまして、四百数十ヘクタールの放出が実際なされておりまして、目下、住宅公団あるいは地方自治体等との実務的な契約の段階に入っているものもあるわけでありまして、すでに契約の終わったものもあると聞いておるわけであります。
  51. 井上普方

    井上(普)委員 この問題は私は非常に重要な問題を含んでおると思います。大手不動産業者が放出するという土地は、ほとんどが市街化調整区域じゃございませんか。これをなぜ買い上げるのです。建設省は市街化区域、市街化調整区域というのをきめた。なぜきめたんです。これは市街化区域をつくって、市街化区域の都市環境をよくするために都市計画法というのがぜひとも必要なんだ、こういうことでつくったのでしょう。そして市街化調整区域はある年限の間は絶対に開発いたしませんというのが原則だ、こういうことでわれわれに説明するし、いままでやってきたはずであります。市街化調整区域で二十ヘクタール以上の土地を開発する場合に、許可はあるけれどもこれを発動することはほぼないであろうということを私どもは期待して、あの法律の審議に参画いたしたものであります。ところが突如として、ほとんどが市街化調整区域に入るその土地を、このたび大手不動産業者から政府があっせんして公団並びに地方自治体に押しつけておる実情は、私どもはいままでの方針と違った方向であるといわざるを得ないと思います。  そしてまた、現在土地の金融に対してぎゅんぎゅん締めなければならないときであります。先ほど私が自治省に、不動産取得税伸びが一体どういうようになっておるかということを聞いておるのも、現在地価は沈滞に向かいつつある。なぜ向かいつつあるかといえば、これは政府の昨年の一月以来の土地に対する金融引き締めにその大きな原因があると私は思います。同時に、世論が土地買いあさりに対してきびしい眼をもって批判しつつあるこの事実、これによって狂奔する地価はやや沈静に向かいつつある現状において——市街化調整区域というのは大体が売れない土地なのです。取引が少ない土地なのです。その土地に対して政府が金融をあっせんして買ってやるということになりますと、不動産屋はさらに資金をもって市街化調整区域を食い荒らすでありましょう。そうなったときに、いままで一貫して国並びに建設省が考えてまいったこの都市計画法の趣旨、並びにわれわれがこいねがっておった秩序ある都市形成というのが全く画餅に帰すと思います。しかも、当時、この市街化区域に対しまして、一体市街化区域の都市施設を整備するのにどれくらい時間がかかるかといえば十年かかる、それに要する金は五十六兆円、こういう数字を発表されたことがある。まだそれも残っておるのに、あらためて市街化調整区域に大規模に土地政府が買って、それで不動産屋に応援しなければならない理由を私は見出すのに苦しむものであります。考え直していただきたいと思います。私ども金丸建設大臣にはこのことを強く要求いたしたこともございます。しかし行政措置としてどんどんと進んでおる。いま聞いてみましたら、ストップしておるのかと思いますと、進められておる。これは大手不動産業者を救済するもの以外何ものでもないと思うのですが、いかがでございます。
  52. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 井上先生承知のとおり、昨年この土地放出を建設省が要請いたしました当時は、この地価の上昇がきわめて激しかった当時でございます。したがいまして、政府といたしましては、地価の安定の一つの方策として、とにかく取得価格にある一定の経費をプラスしたもので放出しなさい、こういうふうにして地価の安定の一助にしようということでなされたものでございまして、これを今後長く続けるというような気持ちは持っておらないわけであります。その点をひとつ御理解をいただきたいと思いますことと、やはり住宅公団としては現行法のもとにおいては、できるだけ安い土地を確保して、これを開発して住宅の用に供してまいらなければならない。御承知のように住宅もきわめて不足をいたしておりまして、国民が難渋しておりますことも一面にはあるわけでございますので、その点のことを勘案いたしまして公団は土地を取得したもの、こう考えておるわけでございます。
  53. 井上普方

    井上(普)委員 私は大手不動産業者が市街化区域に持っておる数字も持っておるのです。しかし、このたびの、政府が要請し不動産業者が出しましょうという土地は、ほとんどが市街化調整区域じゃございませんか。これは不動産業者が思惑買いをしておった土地です。しかも現在売れない土地なのです。それを買ってやろうというのです。間違っておりはしませんか。それに利潤を加え経費を加えるならば、不動産屋はこれでまた手持ち資金をもって狂奔するでございましょう。  昨年金丸大臣がやられたといいますが、あの当時は、地価伸びというものは市街化調整区域では下がりつつあったときなんです。地域によって違いますよ、大臣。それを堅持しなければならないときに、市街化調整区域をともかく建設省があっせんするということになれば、さらにまた市街化調整区域を買いあさるでございましょう。まさに国土は荒廃すると思うのです。そういう観点に立って私は、あの当時これについてきびしい警告を与えておったのであります。いま現状において発動するならば、これが放出が契約され実行されるならば、さらに大手不動産業者は手持ち資金を持つことによってまた土地買いあさりに狂奔することは目に見えておる。不動産業者を救済すると思われるこのような措置は、即刻おやめになることが必要であると思いますが、御意見を承りたいと思うのであります。
  54. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 実は私も、住宅公団から報告を受けました際、いろいろ対象になっておる地点について説明を求めたわけであります。井上先生百も御承知のとおりのような情勢でございましたので、とにかく今後値上がりを予想されるわけでもあり、できるだけ安価にしかも便利なところを取得したいということ、またそうしなければ、住宅公団として住宅を建設いたしましても利用者が少ないというようなことであっても困りますので、そういう点も彼此勘案をいたしまして契約をするということに相なったわけでございます。私どもとしては、決して不動産屋を太らすような措置は今後は絶対にやるべきではない、やはりデベロッパーとしてその土地に付加価値をつけて、そうしてその付加価値をつけるにあたっての努力に対する適正な社会的報酬というもので不動産業の諸君が経営を続けていくというような立場を堅持してほしいということを考えてもおりまするし、また先般もそういう点を強く申し入れをいたしておるわけでございます。と同時に、昨年の金丸大臣の御指示になられました点につきましては、取得価格に関係経費だけをつけて、利潤というものは実は認めてないということを、これは念のためでございますが、ひとつ申し上げておきたいと思います。
  55. 井上普方

    井上(普)委員 不動産屋が売るに売れず困っておる土地ばかり出さされているのではありませんか、いま。不動産屋が売ることができずに手持ちして困っておる土地ばかりを建設省はあっせんされておるのじゃございませんか。あなた方がそこまでおっしゃるのでございましたら、そのリストを出してごらんなさい。いままでも、はっきりしたリスト、どこそこの土地ということは建設省は出そうとしない。出さないのですよ。強く要求いたしましても出せない、いままで。どこの土地をどのようにして放出するといって不動産屋が出してきた土地はどれだということをわれわれに明示したことがありますか。いままで要求しても出さなかった。出せないのですよ。言い分があるんなら聞きましょう。
  56. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 資料としてはお出ししてないかもしれませんけれども質問がございまして予算委員会でも申し上げてきておるわけでございまするし、資料をお出しいたします。
  57. 井上普方

    井上(普)委員 資料が出てきたところで、私はもう一度この問題について論議さしていただきたいと思います。  時間が参りましたので、これで質問を終わります。
  58. 木村武雄

    木村委員長 清水徳松君。
  59. 清水徳松

    清水委員 私は、新しく大臣になられました亀岡さんに、あらかじめお願いをしておきたいと思います。  私は、言うなれば日本の政治問題を集約した形で持っておるといわれておる、人口急増地帯埼玉県の二区、所沢だとか川越、こういったようなところを中心にしておる、そういう地域から出身の議員であるわけです。私自身が川越。そうしてそこは、当然都市計画区域、市街化区域です。そうはいうものの下水もない。吸い込みです。それでまた都市計画もやられておらないし、道路もほんとうに農道のまま、そして舗装もされておらない、そういうところです。そうしてまた、都市河川になるでしょうけれども、近くの川も非常に改修不完全。そして梅雨になりますと、しょっちゅう水が出てお見舞いに行かなければならぬというところです。そういうところにおります関係上、大臣所信表明の中で、良好なる生活環境をつくる、そしてまた都市環境づくりをやるんだというふうに明言されております。それだけに多くの要求をこれからどんどん持ち込むようになるだろうと思います。あらかじめひとつその点お願いを申し上げておきたいと思います。  大臣所信表明の中で、「土地国民経済の基盤をなす重要な資産であり、かつ、いかなる資源にもまして有限であることにかんがみ、公益優先の観点から、全力をあげて取り組む」、そういうふうに申されております。ここであらためて政府の代表としての建設大臣に対して、土地に対する基本的な考え方、非常にこれは古くて新しい問題だろうと思いますので、あらかじめその基本的な考え方をお伺いをしておきたいと思います。
  60. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 たいへん大事な問題でございまして、私といたしましては、土地国土構成の要素でありまして、新しく生産するというようなことのできないものでございます。しかも動かすことができない、固定されている等、ほかの財産と比べましてきわめて特殊な性格を持っておると考えまするし、また土地の価値の増大というものは、やはり、公共施設がそこに完備されていくということ、また周辺の開発など、社会、公共に負うところが大であると思うわけでございます。このような観点から、土地の所有権というものはほかの財貨以上に公共上の利益というものを考えていかなければならぬのではないか。逆に申しますならば、土地は私有財産であっても社会、公共のためにはある程度制限をされてもやむを得ないのではないかというふうに、私どもはあの憲法の条文を読み取っているわけであります。いまから十数年前こういうことを申しますと非常な反撃があったことも、実は私、記憶をいたしておるわけでありますが、最近はそういう面において国民のコンセンサスがだいぶ出てきているのではないかという感じがいたすわけであります。したがって土地の所有権は絶対的なものではない、その行使は、あくまでも公共優先という観点から活用をし利用をしていかなければならないのではないか、そういうふうに私自身としては土地に対しては基本的に考えておる次第でございます。
  61. 清水徳松

    清水委員 大臣はいま、公共優先、そしてその所有権も絶対的なものではないというふうにおっしゃった。前大臣の金丸さんも、土地は商品ではない、公共の福祉を優先にすべきものである、こういうことを何回も言明されております。今後、土地というものは建設の一番の基盤になるものでありますから、この土地利用については、いま大臣がおっしゃったように、憲法の二十九条第二項によっても、公共の福祉に適合するように利用すべきである、この原則はもうがっちり確立をして、その上に立って、法律をつくるなり、あるいはまた建設行政が展開されなければならないというふうに思うわけです。その点についての御見解をあらためてひとつ表明していただきたいと思います。
  62. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 もうお説のとおりでございます。
  63. 清水徳松

    清水委員 建設は、大臣所信表明にありますように、住宅、宅地、道路、河川、もう多岐にわたるわけです。そういう場合に大臣は、何かをつくる場合に一番気になされると申しましょうか、大事だと思うのはどういう問題でありますか。その点をお伺いしたいと思います。
  64. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 優先順位をつけろ、こういうことだろうと思いますが、私、建設大臣として仕事をするにあたりまして、現時点においては、やはり土地の問題というものに方向づけをしていかなければならない、これが私の建設大臣としての一番大事な問題ではないか、こんなふうに考えて執務をいたしておる次第でございます。  つくづく感ずるわけでありますけれども、国総法は経済企画庁の所管として国会法案を提案いたしておるわけであります。で、先般も予算委員会で、いろいろ土地に関する資料要求されましたが、この資料の担当省が法律上明定されておらないというような問題。また、同じ一つ土地に対して、自治省の固定資産税の評価額と、建設省の公示価格と、それから大蔵省の財産を相続する際の評価の基準価格と、また時価と、四つ、一物四価というような情勢でもあるわけでございまして、こういう点をやはり一元化していかなければならないという閣僚協の決定も実はなされておるわけなんです。そういう面でございますので、この土地問題については、やはり一つの大きな国の基本的な問題として私はたいへん大事ではないかということで、土地問題を優先的に取り上げていきたい、こう考えておるわけであります。
  65. 清水徳松

    清水委員 盛んに土地問題を云々され、金額の問題まで触れられましたが、土地の問題はもちろんそこから発するわけです。発するけれども、実際仕事をする場合、必ずいわゆる住民の意思、その地域の反応というものが非常に問題になるわけですよ。私はその点をこれからいろいろ強調しながら質問するわけですが、大臣がみずから言明しているように、良好なる生活環境の確保、これが建設の一番大きな目的であって、豊かな住みよい国土、環境の保全、都市環境の確保、これは所信言明の随所に出てまいります。これは当然だと思います。このことによくこたえ得るかどうかということが、建設の一番大事なところではなかろうかというふうに思います。私は、災害のない、そして環境の保全、また自分たちのよい生活環境をつくり上げよう、都市環境をつくり上げよう、これが住民の一番大きな願いであろう。これが、住民のいろいろな動きがあります、何かをつくろうとすれば必ず反応が出てくる、その反応の一番源泉であろうというふうに思っておるわけであります。ですから建設大臣は、この建設に付随して起こってくるところの住民運動、地域の反応、住民の意思、こういったようなものに対してどういうようなお考えを持っておられるか。いわゆる住民運動に対する対応のしかた、これをひとつ大臣にお伺いしたいと思うのです。
  66. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 日本国憲法の示すとおり、政治も行政もすべて主権者である国民の福祉向上のために動かなければならぬことは申すまでもないところでございますから、住民運動が起きてきますいろいろな実態を、私もいろいろな面で経験をいたしておりますけれども、もう鉛筆書きでまだ計画する段階と申しますか、そういうころからやはり話し合いというものをしなければならないのではないか。一方的に権力を持った者が計画を立てて、もうこれ以上直すことはできないのだぞ、こういう立場で持ち込みますと、これはやはり国民は不満と申しますか、協力しようと思っておった人までも、そういう一方的なことでは協力はできないという立場になるわけでございます。  実は私も、就任早々、鳥山の問題等につきましても、もう一度話してみろ、お互い日本人同士で三年間もいろいろな面から研究してきているのだから、とにかくもう一度話し合いをしてみぬかということで、両方とも本気になって話し合いをしますと、やはりあのような解決の方法も出てくるわけでございますので、私も建設大臣として、道路関係、あるいは河川関係、住宅関係等にも実は話しておるわけでありますが、とにかく頭の中で計画を大体あれしたときに相談をするというようにしていけば、こちらの建設省としての立場も理解してもらいながら、住民の方々の利益もできるだけそこなわずに協力を得られていくんじゃないかというような気持ちで実は指導をいたしておるわけであります。
  67. 清水徳松

    清水委員 いま言われましたように、ほんとうに鉛筆で下書きをするときからよく関係者と話し合う。関係者といったら、住民、いわゆる地域の利害関係のある方々。これは非常に大事なことでありまして、それがそのとおり行なわれるとするならば、非常にわれわれも期待できると思います。ところが実際いままでは、何をやるにしても、もうすでに計画が上のほうからがばっときめられまして、そしてこれでやっておいてもらいたい、もう変更はできませんというような形で、いわゆる住民を説得する、上から押えつけるというためのそういうやり方が多かったというよりも、ほとんどそういうケースであるわけですね。ですからわれわれは、そういうケースの多かったいままでのやり方というものをもう根底からひとつ変えていただきたいということを、心から期待するというよりも要求したいというふうに思います。  もちろん、より大きな住民の福祉のために、大の虫を生かすために小の虫を殺す、こういうこともあり得ようと思います。いわゆる住民闘争でいうならば、条件闘争にすりかわるときにはよくそういうケースがあるわけです。しかしながら、そういうときでも、むしろ、大の虫的な、そういう大きな範囲の住民の皆さんに説得する以上に、小さな虫の立場にある、ある程度がまんしてもらわなければならぬ住民に対しては、より一そう慎重な態度が必要じゃなかろうかというふうに思います。こういう仕事をする場合は、常に住民の福祉を尊重して、あらゆる場合、最終的な合意を得るまで建設というものは決して強行はしない、そうしてあくまで納得の上に立って建設あるいは開発を行なう、こういう基本的な態度というものをあらためてひとつ確認をいたしたいと思います。大臣の考え方を重ねてひとつお伺いをいたしたいと思います。
  68. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 やはり政府といたしましては、最大多数の最大しあわせと申しますか、そういうものを頭に描きながらいろいろな計画を起こし、これを実行する責めに任じなければならないことは、ただいまお話のあったとおりでございます。これを大の虫をと、こういう表現でなされたものと思うわけであります。  私、就任いたしましてから、住宅公団、道路公団に対していろいろ住民運動のある、また起こるんじゃないかと思うようなところの住民の方々と会って話を聞いてみますと、その政府関係機関の責任者がなかなか話し合いに来てくれないという不満が実はあるわけであります。実は鳥山のときなんかも、理事クラスの人が行って住民といろいろ話し合いすればいいものを、課長さんや部長さんといいますか、その方々が行って、結局、住民からいろいろ言われたときに自信を持って話ができないというような面が、やはりいろいろな混乱を——混乱と申しますか、その話し合いを込み入らしているというようなことを私、気づいたと申しますか、そんな感じがいたしましたので、できるだけ担当理事が出ていって話し合いを進めるというようにすべきであるということを実は指導しておる次第でございます。先生の御主張の点を十分考慮して指導をしてまいりたいと考えております。
  69. 清水徳松

    清水委員 いま言ったように、建設というものは、単に見える建設だけが建設じゃなくて、そういう地域住民の納得のいくまで理解させるための努力、いわゆる見えざる建設とでも申しましょうか、それが現在、民主主義の時代においては最も大事な建設じゃなかろうかというふうに思う次第です。ですから、その点、見える建設よりも見えざる建設ということに今後十分留意して建設行政を進めていただきたいということを強く要望をしておきたいと思います。  それで私はここで、いま言ったように、建設にあたっては、災害防止、環境保全、よりよき生活環境を要求する地域住民の立場とでも申しましょうか、これを尊重しなければならぬという立場に立ち、かつまた、先ほど大臣があらためて言明されました、土地はその利用については、所有者のかってな意思によるものではなくて、あくまで福祉優先を貫くべきものであるというような観点に立ちまして、まあ多少建設の関係からはそれる問題になるかもしれぬですが、一応建設でありますので、若干の具体的な問題について御質問を申し上げたいと思います。  私は土採取の問題について、昨年の九月十九日だったと思いますが、建設委員会において質問を申し上げました。特に、災害と環境破壊の面から土採取法が必要になってきているんじゃないかということを申し上げたわけです。そのときに通産省の生活産業局窯業建材課長木原さんが、お見えになっているはずですが、法案等については十分趣旨を体して今後検討するというふうに答えられ、さらにまた建設省の大塩さんは、環境庁とも協議してそういう方向で検討したい。そして最後の締めくくりのように、時の金丸建設大臣は、採土というような問題については目をおおうものがあるということを私も見せつけられておるわけでございまして、その法律がない、そういうために地元の市町村でも泣いておるんだ、またその地域住民が困っておるという実例がたくさんあることも事実です、今後各省と連絡をとって立法措置を講じたい、こういうふうに締めくくられておるわけであります。その後五カ月たっておるわけですが、この土採取についてのいろんな問題が各所に起こっておるということは皆さん御承知のはずです。その後この扱いについてはどういうふうになっているんであろうかというふうに思うわけです。これは建設が担当だか通産が担当だかわからぬとよく言われまして、答弁もだれに求めてよいかわからぬというような状態でありました。いまもそういうような状況であるかとちょっと心配なんですが、ひとつ御答弁をお願いいたしたいと思います。
  70. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 先ほども土地の問題について申し上げたわけでありますが、確かにいま先生御指摘のございましたように、担当がどこになるのかということすら分明じゃないという状態であったわけでございます。金丸前建設大臣先生の御質問にお答えになってから、実はこの問題が行政の上に検討問題として乗ってきたわけでございます。そこで私も、金丸前大臣からこの問題の引き継ぎがございましたので、事務当局に対して、どういう方法でこの土の採取という問題を取り扱っていったらいいか、とにかく関係省と緊密に連絡をとって検討してほしい、できるならすみやかに結論を出してほしい。もう考えようによりましては、この土採取という問題は、国土の形態を変えていくというふうにも見れなくもないわけでございますので、これは相当大事な問題として対処していかなければならないということで、事務当局に実は私も検討を命じてきておるところでございます。事務当局から詳しくは報告させます。
  71. 清水徳松

    清水委員 では、どういうような状況になっているか、お知らせ願いたいと思います。
  72. 松村賢吉

    松村政府委員 大筋につきましては、ただいま大臣お話ししたとおりでございますけれども、この土の採取の規制、これを土の採取の規制という面から取り上げるのがよいのか、あるいはその地形の形状を変更するということに対して大きな面から取り上げるのがいいのか、いろいろ問題があるわけでございます。  この土の採取の規制について、現行法上でもいろいろと規制をされている面はございます。たとえば砂防法による砂防の指定地、それから地すべり等防止法による地すべり防止区域、それから急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律によります急傾斜地崩壊危険区域、あるいは宅地造成等規制法によります宅地造成工事の規制区域、あるいは都市計画法による都市計画区域等の一定の区域についての規制、こういうようなことについておのおの規制が行なわれておるわけでございます。しかし、土採取法といいますか、土を採取するということによって統一された規制方法というものはできてないわけでございます。  それで現行では、この土の採取そのものを取り上げているものといいますと、法律的にはなくて各地方府県における条例等でありますが、各府県の条例等において全国でおそらく大体半分以上取り上げております。しかし、この取り上げ方につきましても、土の採取というものを、土採取業者といいますか、その業者を登録させて、これに対して計画を出させて一つ規制をするというような方法のもの、あるいはまた、環境保全の立場、これを主体にするもの、いろいろあるわけでありまして、これらにつきまして、われわれのほうといたしましては、現在の、先生にあれしますと非常におそいというあれもございますかもしれませんけれども、いまその内容等についていろいろ検討して実を申しますと、建設省部内におきましても、これをどの方面を主としての取りまとめをするかということをいまいろいろ検討している最中でございます。  たとえば土石採取業法的な考えでしたら、これは通産省にお願いをするようなことになるかもしれませんし、あるいはまた環境保全的な面を打ち出すとなると、これは環境庁ということも考えられるわけでございます。それからまた、防災的見地、これを主体にして考えるということもあります。これはあるいは建設省主体ということになる。あるいはまた、それからあと土地の防災あるいは環境等を加味しまして、採取したあと地の利用と申しますか、こういうものまで広げました一つの考え方というのもある。こういうようなことから総合的に考えなければいかぬということで、いま内部的の検討をさらにこれから進める状況にあるわけでございます。
  73. 清水徳松

    清水委員 大体実態調査というのをしてわかっているかどうか、ひとつその点をお伺いしたいと思うのですよ。大体実態も何もわからぬで、各県では半分ぐらいまで条例をつくって規制しているらしいといったような状態で、実際土採取の実態を全然認識しないでそういうことを言われるのはどうかと思います。そうしてどこが責任をもって実態調査をするかといったようなことも、おそらくおやりになっていないのじゃないかというふうに思います。  いつか川崎でたいへんな事故を起こしたあの実験、あれは結局何が事故を起こしたかというと土なんですよ。いま、石は採石法、砂利については砂利採取法で規制されておるわけですけれども、実際あぶないのは土ですよ。砂利よりも石よりも土です。いつも災害が起こる理由というのは土です。しかもその土というものは、各県においては、どの程度の量がどの程度の個所においてどのような形で取られておるか、どんなあぶないような状態になっておるか、どんなに環境が破壊されておるか、そういったようなことを全然認識をしないでこの問題を論ずるのはおかしいのじゃないかというふうに思います。実態調査をしているかどうかお伺いをしたいと思います。
  74. 松村賢吉

    松村政府委員 お答え申し上げます。  土採取の実態に対しまして、政府といたしまして、土の採取そのものを取り上げて、現在、全国的な調査、統一的な調査というのは、実のところ行なっておりません。ただし、先ほどから申し上げておりますように、地方公共団体等では、条例等で個別に土の採取の規制を行なっておるわけでございますので、そういう実態、これにつきましては、われわれのほうといたしましても、かなりの部分の実態を承知しているというふうに考えておるわけでございます。  なお、これにつきましての必要な統一的な調査、また広域的なその実態調査、これも必要な段階もいろいろあるわけでございますので、これも実を申しますと、土石採取というか、これを主体にいたしますと通産省等の関係もございますので、よく打ち合わせをいたしまして、この実態調査の統一的なものをやる必要があるかどうか、これを十分検討して進めていきたいと思っております。
  75. 清水徳松

    清水委員 これは大臣の答弁からちっとも進んでおらないわけですが、実例がたくさんあることも事実。そして市町村も困っておることも事実。それで、各省とも連絡をとって立法措置を講じたいと、金丸さんの答弁のほうがよほど具体的に言っておるわけなんです。いまの調査の場合だと、実態調査もこれから各省と打ち合わせをしてやるといったようなことなんですが、県では、この土採取についてはもう非常に困りまして、それぞれ条例をつくって行政指導をしておるわけです。特に埼玉だとか千葉の条例等もここにあるわけですが、埼玉、千葉等においては、ただ条例をつくってやっただけじゃもうとても取り締まれない、十分なる成果をあげられない。したがってこの条例も、罰則のある、いわゆる認可制にまで強めてこれを規制しよう、こういうふうにしておるわけでございます。  御承知のとおり、最近の状況は、この採取量ももうどんどん大きくなっておるわけです。そしてその事業個所も非常に増加しておる。そしてまた事業場所、いわゆる採取場は、山間部からだんだん平野部に下がってきておるわけです。自由に採取さしておるものですから、隣近所の迷惑というものを全然考えていない。いわゆる地域住民がどう思おうと、そんなことは、所有者と、それから買った業者のいわゆる約束だけで、隣近所にはいろいろな公害やその他災害についてのいろいろな取りきめもない、そういう形で行なわれておる。また仕事自体も非常に危険な状態で行なわれておる。砂利採取法の場合は、ちゃんとした免許を持った人が監督をしておりますから、ちゃんとした仕事をしておるわけですが、全然責任者というものはいないわけです。無計画にどんどん土をくずしておる、ダンプカーが多数出入りをしておる、いつでも路上に土がどんどん流れ出してしまう、こういうような状態が行なわれておる。それからまた、この土を取ったあとはほったらかしにされておりまして、雨が降ると非常に危険な状態になっておるわけでございます。もちろん環境も破壊されておる。こういうような状態で、埼玉や千葉においては、いまや認可制にまでこれを強めまして、この土採取というものに対して強い行政指導でやっていこうとしているわけです。そのほかに、神奈川にもあるし、それから富山、奈良も、いま言った全国半数にまでその条例が及ぼうとしておるわけです。  ですから、土に対して非常に規制を強くやっているところもあり、それからまたゆるい規制をやっているところあり、全然野放しされているところあり、そういったような状態になっておるときに、そういうような規制にぱらつきがあっていいものだろうか。一方においては、非常に災害が起きやすい、環境も破壊されようとしておる、そういったような状態が全国に及んでおるわけですから、どうしてこういうような段階にまで来ても土採取法というものをつくろうとしないのか。マンマンデーにしておるのか。この点についてわれわれとしては非常に理解ができない。今後は早急に土採取法というものを立案する気があるのかどうか、その辺のところを大臣からはりきり答弁をしていただきたいと思います。砂利と石が法律があって、一番危険な土に全然法的な規制がないというのは非常におかしいと思います。はっきりしていただきたいと思います。
  76. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 実態調査は、建設省が中心になりまして、関係各省の協力を要請してやっていかなければならないと考えます。昨年の九月、先生から御指摘いただいて、遅々として進まないマンマンデーさ、ほんとうに申しわけありません。できるだけ実態調査を促進するようにいたしまして、その結果を見まして、どのような法的措置を講じたらいいのか、これをきめていきたい。私としては、何らかやはり法的措置が必要ではないか、こう考えるわけでありまして、従来の法律の改正によってできるものか、また単独立法しなければならないものか、その辺のことはさらに今後の検討にゆだねることといたしまして、とりあえず、とにかく実態がわからないことにはどうしようもないわけでございますので、その点に努力いたしたいと考えております。
  77. 清水徳松

    清水委員 早急に実態調査をしていただきたいと思います。そうして、その上に立って早急にこの土採取法についての立案をしていただきたい。その前に、われわれ社会党としても、この土採取についてはいま立案を検討をしておる最中であります。いわゆる議員提出という形ではなくて、やはり責任ある政府のほうからちゃんとした法律として出していただくということを期待しながら、われわれはいま立案を準備しておるわけでございます。ひとつこの点についてぜひ責任を持ってやっていただきたいというふうに考えます。  次に、最近、道路問題について、いろいろ先ほど申し上げましたように、建設するという段階で地域住民の非常な抵抗にあってトラブルが起こるというケースが非常に多いということは御承知であろうというふうに思います。これは現在の都市計画そのものに問題があるのではないかと思います。われわれの近くにおいても、嵐山−東松山バイパスの問題、あるいは飯能市の二百九十九号国道バイパスの問題等々があって、これまた住民の抵抗にあいましてその進行が難渋しておるというのが現況でございます。これらはいずれも都市計画道路ですが、全部旧法に基づいた都市計画道路であるわけです。もちろん、この旧法に基づいた都市計画道路であっても、新法が施行される段階で新法でつくられたと同じような扱いを受けておるわけですが、いずれにしろそれらの計画道路というのは、全部昭和四十年の前半においてつくられた道路であるわけでございます。  そこでお伺いしたいわけですが、旧法時代に決定された都市計画道路等は、都市計画法施行法によってすべて新法によるものとされて引き継がれておるとしても、旧法による都市計画はあくまで上からの決定であったと思います。そして地域住民の意思というものはほとんど入っておらない。いまは新法によりまして、行政指導もありまして、市町村に都市計画審議会というものがほとんどの場合あるわけです。そこで審議をされる、いわゆる地域において慎重に審議をされるというような手続もとられ得るわけですが、いま問題を起こしておる道路というものは、そういったような新法によるものではない。市町村の代表、いわゆる市長だとか議長だとか、そういったようなごく一部の人が参加をして、たいしてものも言わず一方的にきめられてきたというのが、いまのこの都市計画道路じゃなかろうかというふうに思います。そこで、まさに現在実際問題を起こしておる都市計画道路というのは、いまの都市計画法に基づく都市計画道路とは本質的に違うものがあろうというふうに思うわけでありまして、その点どのようにお考えになっておるのか。あらためてこのような都市計画道路についてはもう一ぺん洗い直すというような、そういう必要があるかないか。その辺のところをお伺いをいたしたいと思います。
  78. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 確かにおっしゃるとおり、旧都市計画法時代における都市計画の決定の手続は、現行都市計画法による手続と違いまして、たとえば現行法にあります、案をつくって事前に公告し縦覧させる、縦覧した地元民あるいは利害関係者が意見があれば意見書を提出する、その意見書の要旨は、都市計画決定に際し都市計画中央審議会に付議される際、あわせて提出されて審議の対象とされるというような手続はないわけであります。しかしながら、旧法によりましても都市計画審議会はあったわけでございまして、また実態としてそのような地元意向を何らかの方法で打診しつつ決定している例も多いと思います。  いずれにしましても法律上は、御指摘のように、施行法によりましてそのまま新法による都市計画とみなされるということになって現在に至っておりますが、旧法時代の都市計画もとより、新法になりましてからの都市計画につきましても、実は都市計画法で、原則として五年ごとに都市計画区域内のいろいろな実態につきまして調査の上、その新しい実態に即して必要な都市計画の変更、改定等も行なうというたてまえになっております。  飯能市等におきましても、昭和四十五年に市街化区域の設定がなされ、さらに昨年末、新しい用途地域も指定されたわけでありまして、そのような新しい情勢にかんがみまして、必要な時期が来れば、道路網も含めました都市計画の見直しということが当然行なわれると思います。一般論としてはいまのようなお話で、大体五年ごとに新しい事態を調査の上、それによって見直していく。その際には、もとより新法の手続によって新しい都市計画が決定され、あるいは変更されていくということでございます。
  79. 清水徳松

    清水委員 そうすると、いま問題になっておる都市計画道路の紛争等についても、あくまで旧法に基づいてつくられた都市計画道路であるということからして、当然これは洗い直して、そして再検討をする、そういうような余地があり、そしてまた、そういうような指導をする御意思があるわけですね。
  80. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 旧法によるものを特に目ざして再検討するということを申し上げたわけではないのでございますが、もちろん旧法時代といえば決定された時期も古いわけでありますから、そういう意味で見直すとしても、決定時点の年数の開きがあるという違いはあるかと思います。私、申し上げましたのは、都市計画というものは一ぺんきめたら完全に固定するというのではなくて、ある時点をおきまして、新しい市街化の動行とか、あるいは交通需要とか、そういうものもよく見きわめて、さらにその時点における長期の見通しのもとに立てられるということでございます。実際にもう、いま申したような新用途地域の設定とか、あるいは市街化区域の設定等を機会にしまして、各県によりましては、相当大幅な見直しの検討を進めているところもございます。しかし、長い歴史を経て決定されておるものでございますから、結果的には、やはり従前決定されたものが必要だ、むしろ足らない点を補っていくというようなものが多いようでありまして、変更ということが非常に少ないというわけでもありませんけれども、やはり従来の決定を見直した結果も必要だということのほうが非常に多いという、いままでの見直しの結果はそのようになっております。  飯能市の場合につきましては、私、個別にまだ状況を詳しく聞いておりませんが、個別路線で新しい問題があるとすれば、よく連絡いたしまして、必要とあらば事実上の調整などもいたしたいと思います。
  81. 清水徳松

    清水委員 実態としては、先ほど私が最初に質問したときも、もうすでに道路の問題が住民に知らされたときには、現にこれは都市計画なんだ、もう測量するんだ、そういう段階まで全然知らされない。そういう形で都市計画自体がつくられた、こういうことなんてす。  ところが、御承知のとおり、昭和四十年から今日までのこの十年間というものは、特に関東における四十キロ地帯というものは、たいへんな人口急増、そしてまた状況というものは非常に変化いたしておるわけです。ですから、そのころのいわゆる都市計画であれ、バイパスであれ、それが作成されたときには、たとえそれが市長さんや議長さんしか参加しておらなかったにしても、おそらくここならだいじょうぶだろうと思って都市計画を作成したろうと思います。しかしその時代とは全然変わってきているわけです。全然家も何もないところへバイパスをつくったつもりが、この十年間に両側にびっしり家が建ったというような状況がつくり出されておる。これはおそらく飯能の場合だけに限らないだろうと思います。全部そういう状況が出てきておる。ですから、ただ旧法は上からおっかぶされたものであるから練り直せというだけではなくして、実際現在問題になっているところは旧法に基づくところが大半であるわけですから、現在は時期もたっておって状況が変わっておるから、これは練り直すべきではなかろうか、そういうふうに思います。その場合に、いままで全然意向を聞かなかった住民の意思というものを、より一そう詳細に親切に聞いてやるべきじゃなかろうか。そしてまた、市町村において都市計画審議会があるわけですから、そこでもう一回旧法に基づくところの都市計画というものは洗い直すというものは洗い直すというような場をひとつ与えていただきたい。そういうふうにやはり全般的に旧法に基づく都市計画というものは洗い直す時期が来ているのではないかということを言っておるわけです、いろいろな理由から。いま二つの例をあげました。それについてのお答えを願いたいと思います。時間がありませんので、この問題についてはこれでやめますので、ひとつ明確にお答えを願いたいと思います。
  82. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 旧法に基づくものと特に区別することもどうかと思いますので、要するに、計画決定時から非常に時間がたっているもの、あるいはそんなに長期かかっていないものでありましても、その後、いまおっしゃいましたような、急速に家がたって計画決定時と現実の状況が非常に変わっておるというようなものにつきまして、やはり必要な範囲で見直していく。見直した結果もやはりその地元の道路として必要だということもあると思います。したがって、見直した結果が計画決定の変更に必ずしもつながるとは限りませんけれども、少なくとも新しい事態に即した都市計画でなければならぬということでございますので、そういう点を総合的に判断するように調査したいと思います。
  83. 清水徳松

    清水委員 飯能の場合は、いざこの道路計画を実施する段階に、その部落の千五百人くらいの有権者がいるわけですが、もう千二百以上の反対表明がありまして、八割反対しているわけですね。しかも、もう寝耳に水だというのですよ。そういうような状況の中で、このような道路をつくられては困るのだ、もしバイパスをつくるのだったらもう少し遠いところにつくってもらいたい、これは当然の要望だろうと思います。それで、これだけの人に反対されたら、幾らそれがすでに決定済みの道路であるというようなことであっても、私は実際はできないだろうというふうに思います。実際仕事を進捗させるためにも、住民ともう少し納得のいくまでの了解のための努力をし、決して強硬なやり方ということをしていかないほうが、先ほど申し上げました見えざる建設を最初にやることが結果的には建設を早めることになるだろうというふうに思うわけです。そういう点について、ぜひひとつ建設省としても、この二百九十九号バイパスの件については慎重な扱いをしていただきたい。これは都市計画全般にかかわる問題にもなるということで慎重な配慮を要望いたしまして、この点については質問を終わりたいと思います。  次に、環境破壊、自然破壊につながります観光開発問題についてお伺いをいたしたいと思います。特に山梨県の計画した山梨県自然保護道路というのがあります。これについて、建設大臣、そうしてまた環境庁長官にお伺いをいたしたいと思います。長官来られないようですから、その代理の方でもけっこうでございます。  連峰スカイラインというものが前にあったわけですが、それが、いろいろ住民の反対もさりながら、全国民的にこの中部山岳地帯の自然を守れという根強い運動によって、去年の六月に一部が凍結されまして自然公園道路計画という名前に変わった、そういういきさつがあります。そうして全国的な自然を守れという声にささえられた反対運動が起こっておるというのが現状でございます。私は、このような状況を踏まえながら、そうしてまた大臣は、国土の保全は国政の基本であると先ほども申し述べられました。そういうような大臣の考え方からして、ひとつこの際お伺いしたいわけです。  この日本列島の脊梁をなす山岳地帯は非常に大事な自然の資源だと思います。観光資源だと思います。観光資源と申し上げましたのは語弊があると思いますが、この大自然をどのようにして守っていくか、保全をしていくか、その基本的な態度を大臣ひとつ明確にここで表明をしていただきたいと思います。
  84. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 たぐいまれなる日本の景色のいい点、こういう自然というものは、われわれはできるだけそのままの形で子々孫々に伝えていかなければならない、こう考えるわけであります。これは国立公園法の制定されたゆえんでもあろうかと思うわけであります。ところが最近、観光という立場から美観を害さないという立場で道路等が開発されておるわけでありますけれども、私としては、やはり自然をそこなうということは十分に避けなければならないという立場建設行政をリードしなければならないという立場をとっておる次第でございます。
  85. 清水徳松

    清水委員 その大事な自然を保全する、これはむしろ建設の最大の任務の一つになるであろうというふうに思います。  そこで、これは山梨県の自然保護道路の問題であるわけですが、いままで、大雪山のスカイライン、奥日光、それから石鎚山のスカイライン、いろいろ計画がされまして、そのつど、建設大臣なりあるいは環境庁長官からいろいろな御指示がなされて、中止をさせられたいきさつがあるわけですが、この山梨県の一連の連峰スカイライン、そうしてまた一部凍結された自然公園計画道路、こういったようなものに対して、建設大臣、そしてまた環境庁長官は、どのように今後指導されていくつもりか、その点、明確に御答弁願いたいと思います。環境庁のほうからもお願いします。
  86. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 御指摘の連峰スカイラインにつきましては、山梨県のほうで構想中のものと承っておりますが、まだ県当局から具体的な計画は聞いておりません。建設省にも出てきておりません。しかし、当地域におけるルートの選定等、自然景観を害するというようなこともあり得るわけでありますので、先ほど申し述べましたような点から、これは慎重に対処をしていかなければならない。もしそういう事態になりました際には、建設省としてはあらゆる角度から慎重に検討してまいる、こういうことでございます。
  87. 宇野佐

    ○宇野説明員 先生御指摘の道路をはじめといたしまして、国立公園あるいは国定公園の区域内を通るいわゆる観光道路の新設につきましては、環境庁としては基本的に抑制していきたいという考え方でございます。  大雪山道路その他の審議を通じまして、実は自然環境保全審議会のほうで昨年十月に公園部会長談話というものが発表されてございます。その御趣旨によりますと、自然公園の中に道路をつくる場合、公園利用の観点、あるいは経済的、社会的観点などから、どうしてもそれが必要でそれ以外の方法がないというような場合でなければ、これは認めていかないという考え方も示されてございます。また、そのやむを得ないという場合でも、十分な科学的調査を行なって自然環境の破壊が起こらないように配慮すべきである、こういうふうな趣旨の部会長談話が出されております。環境庁といたしましては、今後の道路につきましてはこの御趣旨に沿って配慮していくというふうに考えておる次第でございます。
  88. 清水徳松

    清水委員 時間がありませんので、はしょっていきます。  山梨県では、国民世論に押されまして、当初の連峰スカイライン計画を一部凍結いたしまして、そして自然公園道路計画というふうに直したわけでございます。連峰スカイラインの場合は延長百五十三キロメートル、そのうち六十六キロメートルが凍結されまして、残りを自然公園道路ということで名称を変更したわけであります。しかし、これはあくまで凍結であって、中止したとはいっておらない。特に昨年暮れの石油危機に際しては、総需要抑制の一環として、この自然公園計画道路も、これをやるということがなかなか困難になったということで、これも凍結をいたしまして、いま一自然公園計画道路のほんの一部である、小淵沢というところから小荒間というところの約七キロメートルだけを四十九年度でやろうというふうなことになっておるようでありますが、しかし、あくまでこの基本になっておるものは連峰スカイライン計画であります。ですから、この連峰スカイライン計画というものを、環境庁としても、これを了解するような、やらせるような方向で行政指導しておるならば、おそらくなしくずしに、いま小淵沢・小荒間間の生活道路と称してやろうとしておるわけですが、そこを工事して、そしてやがて自然公園道路計画が行なわれ、凍結されておる部分の工事も行なわれて、連峰スカイライン計画というものが全部完成するというようなことにもなりかねない。やはりいまの小さなうちに、はっきりとした全般の計画に対する考え方というものを環境庁はきちっとしておかないと、私はどんどん計画は進行していくのではないかというふうに思う次第です。ですから環境庁としても、いまからこの計画についてはっきりイエス、ノーをきめておくべきだというふうに考えるわけであります。  その点については、観光道路全般に対してのきちっとした考え方を持っておかないと、これはそのつどいろいろ指導が動揺するのではないかというふうに思いますので、ひとつ環境庁としては、大雪山や石鎚山の場合と同じように——これは全く同じですよ。ですから、こういうような観光道路はやるべきではないというような、はっきりとした考え方をいまから打ち出していただきたい。全国的な国民の要望になっておるわけです。ぜひひとつお願いしたいと思います。お答えを願いたいと思います。
  89. 宇野佐

    ○宇野説明員 先ほど申し上げましたような基本的な方針は、昨年の全国の部長会議におきましても、私どものほうからはっきりと指示をしたわけでございます。現実の連峰スカイラインのほうは、現在私どものほうには、正式な形ではまだ出てきてまいっておりません。  それから、当初の計画と比べまして、自然公園を通る地域というのが非常に減ってまいりまして、現在先生御指摘の区間につきましても、九・何キロの中で自然公園を通る部分が非常に少なうございます。そういう点で、はたして観光道路かどうかという点には問題がございますけれども、私どもは、いわゆる観光道路自然公園の中を通る道路につきましては、きびしい態度を続けていくつもりでございます。
  90. 清水徳松

    清水委員 その自然公園道路計画だけが環境庁のほうに来ておると言いますが、これはもうおそらく連峰スカイラインのほうも全部来ているはずです。というのは、連峰スカイラインというものが一部凍結されまして、その残りがちょうど分断されたような形で残ってきたのが自然公園道路計画です。ですから、ちょうど国定公園なり国立公園にかかる部分の大半を凍結して、かからない部分を一応残して、そこを新たなる自然公園道路計画としてきているわけです。ですから、これはほんとうの連峰スカイラインの計画の一環であるということは、もうはっきりしておるわけです。ですから、この自然公園計画道路を認めれば、当然この連峰スカイライン計画というもの全般を認めたことになるというようなことをひとつ知っておいていただきたいと思います。自然公園道路にかからないからこれは環境庁の行政指導の範囲外であるといったようなことには私はなるまいというふうに思います。中ほどを凍結して両側だけを新しく計画として出してきたわけですから、その計画は公園にはひっかからない、したがって環境庁の権限外であるというような考え方では、非常に行政指導がおくれていくのではないかというふうに思います。どのようにお考えでしょうか。
  91. 菊池三男

    菊池政府委員 いまの連峰スカイラインは、先生お話しのように、富士・箱根の国立公園、それから秩父・多摩国立公園、それから八が岳の国定公園というふうに、たいへん国立公園、国定公園の中を通る延長の長い道路でございます。これにつきましては、先ほど大臣も申しましたように、まだ計画として固まっておりませんし、まだ私どものほうに正式に何も話がございませんので、それはいまのところはそう具体的に進んでないというふうに考えております。ただ、そういうものをつくった場合に植物の生態がどうなるかとか、あるいはそういうようなことの何か調査は県独自でやっておるようでありますけれども、まだその全体の計画というような形では一切来ておりません。  それから、ただいまもお話しの小淵沢に行きます部分につきましては、確かに今度は一部有料道路でやろうという計画がございます。これは全部の延長が約七キロぐらいでありますけれども、これはたまたまそのスカイラインの一番端っこの小淵沢インターというところに当たるところでございます。これは従来主要地方道で大半が広がっておるというところでございます。そしてしかもそれ以外のところも、農免か何か特殊なことでもう道路の形ができておりまして、それを舗装するというのが主体の道路でございまして、ただいまのスカイライン構想とは全然別個に、八ガ岳−下蔦木線という主要地方道がございますが、それの一部という形の事業でございますので、先につながるとつながらないとは関係なしに、それだけの道路としての効用があるわけでございますので、それはそれで進めさせていただきたい。ただし、これはあくまでスカイラインとは全然別個のものであるというふうな考え方を持っております。それからもう一つ、ただいまお話しのように、その道路は公園云々とはほとんど関係のないところでございます。
  92. 清水徳松

    清水委員 公園とは関係ありませんと言いましたが、ありますよ。これは小荒間から、いま局長のおっしゃったように、八ガ岳横断道路というのがいまできているわけですよ。これは連峰スカイラインの計画の一環ですよ。ですからこれは全然関係ないというようなことにはなるまいと思います。小さなところからだんだんなしくずしにして八ガ岳の横断道路につなげ、そしてやがて自然公園計画道路をやって、凍結した部分をさらにつくって、そして最後には連峰スカイラインをやろうというのです。その連峰スカイラインの凍結した部分は、埼玉県のほうからくる百四十号の国道ができれば凍結をさらに解除してやりたい、こういう計画なんです。だから全部関係がありますから、関係がないとして行政指導するということは、私は連峰スカイラインという大きな計画に対する理解が全然ないと言って差しつかえないのじゃないかと思います。もうこれは、それを踏まえながら、頭に置きながらちゃんと指導していかないと、あとでたいへんなことになるというふうな気がするわけです。  それで、これはお伺いしますが、去年の九月二十七日に、国会の最終日ですが、この自然公園計画道路の廃止の請願も通っておりますね。この請願をどのように受けとめておるか。建設省でも環境庁でも、ぜひひとつはっきり御見解を承りたいと思います。
  93. 菊池三男

    菊池政府委員 昨年、これは反対する請願が出ております。そのときにはやはり、この問題についてはまだ計画の固まったものでもないし、具体的にそういう計画として来たものではないから、これの問題についてはそういう段階で十分に検討する、特に計画そのものについては十分に検討するということになっております。したがって、まだ出ておりませんので、その段階でということになろうかと思います。ただ方針としては、なるべくそういうことのないような方向で進めておるということは申し上げてございます。
  94. 清水徳松

    清水委員 そういうことのないような方向で今後強力にひとつ進めておいていただきたいというふうに思います。特に建設省は、この山梨県、長野県にわたります。富士スバルライン、南アルプススーパー林道、それから鶏冠山林道、こういったようなものの状態というものをよく皆さん御承知でしょうか。たいへんな自然破壊です。私はまだそこには直接調査には行っておりません。行っておりませんが、その近くの道路を見ておりますが、自動車道路の両側は全部木が枯れておるわけです。鶏冠山林道のほうは写真で荒廃した姿を見ております。いわゆる富士スバルラインもこれと同じような状況であるということも聞いておるわけです。ですから、そういうような状態であることを見て、こういったようなことを今後ともやっていくつもりかどうか。これをどういうように皆さん総括されておるか、こんなものをつくって。それをひとつお伺いしたいと思います。
  95. 菊池三男

    菊池政府委員 ただいまお話しのスバルラインにつきましても、実は道路ができましてから、その道路を通って風が抜けるというような現象が起きまして、その沿線の木が枯れまして風倒木が五千本くらい出ておるということでございます。それで、それは四十七年度と八年度で三千本ばかり切って、あと新しい木をやはり三千本くらい植えたわけでございますが、その後立ち枯れしている木は切らないほうがよろしいということで、切るのはやめております。ただ、今後、まださらに一万二千本くらいの木を植えようという計画で四十九年度以降もやる予定でございます。ああいうところに道路ができますと、そういう思わぬ被害が出るということも十分わかっておりますので、十分注意してまいりたいと考えております。
  96. 清水徳松

    清水委員 もう時間がありませんので、もう一つお伺いします。  山梨県はほとんど県有林です。森林の大半が県有林です。その県有林が、山梨県はこういうような観光開発に熱心なところなものだから、どんどん伐採されまして、水源地の涵養、それから災害を防止する、またいろんな機能を果たしておる県有林が、そういうような観光開発等によって乱伐されまして、いま甲府の水源地になっておる荒川が非常に汚濁されまして、たいへん問題を起こしておるという事実があるわけであります。ですから、これは県有林でありますので、林野庁は直接監督しにくいという面もあろうけれども、県有林であろうとも、県のかってな考え方によって乱伐されるといったような事態を防がなければならぬ。あくまで水資源が確保されるように、そうしてまた災害が起こらないように、そして公害のないように、いろんな面を注意してこの県有林というものは管理されなければならぬものだろうと思います。その点について、林野庁の代表がどなたか来られておるはずですから、お答えを願いたいと思います。
  97. 松形祐堯

    松形説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生から御指摘ございましたように、山梨県の森林が約三十二万ヘクタールございまして、県土の七一%という非常に山の多い地帯でございまして、その中の約半分の十五万ヘクタールが県有林でございます。しかもその県有林のほとんどが、水源涵養保安林なり土砂流出防備保安林というような網がかかっておるわけでございます。一般的に申し上げまして、荒川という、私、突然なことで承知いたしておりませんけれども、具体的に御指摘ございましたように、森林というものの持っております機能、これは、木林生産という機能と、御指摘のような国土保全、水資源の涵養、あるいは生活環境に必要な緑化の問題、それぞれ公益的な機能を持っておるわけでございます。したがいまして、私ども、この両方の機能を確保いたすためには、やはり合理的な施業というものがありまして、そこに森林がりっぱに保存され、あるいは育成されるということによって確立されるものだというふうに理解いたしております。  したがいまして、私どもの森林法がございまして、その中で、全国計画、その前のもとになりますのは、基本法に基づきます資源の基本計画というのがございまして、それを受けまして、全国の国有森、民有林を通じました全国計画というのをつくりまして、さらにこまかく国有林、民有林別に地域のそれぞれの森林計画というのを樹立いたしまして、そのこまかい地域森林計画の中におきまして、造林、あるいは伐採の方法、林道の計画、あるいは最も大事な保安林の問題、指定の問題、それぞれ具体的にここで計画いたしておるのでございます。  特に、御指摘のように、水源涵養機能等大事なものでございますので、県有林はほとんど保安林に指定されております。御承知のとおり保安林は、伐採の種類あるいは伐採の量につきましても厳正な規制が行なわれておりますし、また造林の義務も与えられておるのでございます。  制度といたしましてはそのようでございますけれども、荒川の上流における伐採による汚濁なり、あるいは水資源の枯渇というようなことがございますと、たいへん住民の方々に御迷惑かけるわけでございます。私どもいま調査いたしますと、水源涵養保安林につきましては、山梨県では十ヘクタール以上の一カ所の伐採というものはない。さらに、土砂流出防備保安林につきましては五ヘクタール以下という制限をつけておりますけれども、非常に大事な場所というふうにいま理解いたすわけでございますが、県のほうにも法律に基づく指導を徹底いたしまして、それぞれのケースにおいてこの伐採量あるいは場所等について指導してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  98. 清水徳松

    清水委員 山梨県というところは、こういうスーパー林道だとか、スカイラインだとかを非常に安直につくるところですから、特にこういう県有林等は、県が相当自由に処理できるということもありまして、どのようになるかわからぬような状態も考えられますので、林野庁としても、この水資源保護の立場から、あるいは緑地保全、あるいはまた災害防止等々の立場から、ぜひ今後ともこの十分なる監督指導をやっていただきたい。心から要望をしておきたいと思います。  もう十分くらいひとつ時間をいただきたいと思います。  次に、石油スタンドの建設問題について御質問申し上げたいと思います。石油スタンドの建設をめぐる住民と業者とのトラブルというのは非常に多いわけです。これは、スタンドの危険性、そういったようなものもありまして、そういったことになろうかと思います。  東京通産局が関東周辺においてはこれを行政指導しておるわけですが、業者によってすなおに通産省の行政指導が守られる場合、無視される場合、いろいろなケースがあるわけです。私の知っているのでは、これは商工委員会でも仲間の方に質問していただいたことでありますが、飯能、所沢等においてやはりこの紛争があるわけです。一方においては、飯能は丸善石油、そうしてまた所沢はモービルであったわけです。ところが一方、所沢においては通産省の行政指導が行なわれまして、住民との間のトラブルから中止ということでこれを処理されたわけです。きょう、モービルと所沢の美原町といいますが、その地域の住民との間に正式に合意が成立いたしまして、一件落着ということのようでございます。  ところが、飯能については通産省は、住民の反対、そしてまた市議会の決議があるのだから決して強行着工してはいかぬというような、強い行政指導をしておったはずですが、そういう行政指導は一切かまわずにどんどん工事を進めまして、聞くところによれば、三月五日には竣工祝賀会をやるというような状態のよいであります。通産省はたしか十二月十七日、同僚の岡田議員に対して答弁されておりますが、この答弁と全く食い違うケースが飯能に出てきたわけでありますが、この実態を御存じでしょうか。
  99. 松村克之

    松村説明員 お答えいたします。  スタンドの建設につきましては、石油業法という法律を私ども持っているわけでございますけれども、石油業法の中で直接にスタンドの建設が認可制になっているわけではないわけでございます。それで行政指導ということでやっておりますので、いま先生の御指摘になりましたような問題については、極力私どもとしては、住民との問題が解決しない限りそれは強行してはいかぬという指導をいたしているわけでございますけれども、それで所沢のようにその問題が解決をする場合もございますし、どうしても業者の方が、まあ中小企業の方でございますけれども、強制的におやりになるという場合もないわけではございませんけれども、そういう場合でも、私どもは法的な権限は持っておりませんが、できる限り行政指導としては、強行はするな。あるいはまた、一方から言いますれば、住民との対話を促進するといったようなことをいたしているわけでございます。
  100. 清水徳松

    清水委員 飯能の場合には非常に重大なんですよ。もちろん住民の反対がある。しかもこれは市街化区域であり住宅区域ですよ。そういうところであるだけに市としても非常に心配されまして、市議会でも反対決議が全会一致で通っておるわけなんです。ところがその市議会の決議というものは全部撤回されたわけじゃない。全然無視して行なわれた。通産局では、その決議もあるのだから決して無理するのじゃないよとずいぶん行政指導した、こういうことになっておるわけなんです。したということにはなっておる。ところが実際はどんどん工事が進行して、もう完成した、こういうことになっておるわけです。通産省のこの際の行政指導が、一方においては守られるとしても、こういうきわめて重大な一つの歯どめのかかっているような状況ですらも及ばないということは一体どういうことであろうか、この結末はどういうふうにおつけになるのか、その点についてお伺いをいたしたいと思います。通産行政というのはずいぶんなめられておりますよ。
  101. 松村克之

    松村説明員 私どもが行なっております行政指導は、あくまでこれは行政指導でございまして、法的な権限を持っていないわけでございます。したがいまして、そういった場合には、あるいはそのほかの法律でもって指導することができるかどうか。たとえば消防関係でございますとかあるいは建設関係、そういった点について市当局等とも東京通産局では御相談していると思うわけでございますが、通産省の権限でこれをどうするかというおしかりでございますが、できる限り行政指導をしんぼう強く続けていくということで御了解いただきたいと思います。
  102. 清水徳松

    清水委員 どういうような行政指導を続けますか。
  103. 松村克之

    松村説明員 平たく申し上げれば、営業の自由といったようなことが一方であるわけでございます。それに対しまして、石油全体の需給の観点あるいは総需要抑制というたてまえから現在では行政指導をやっているわけでございますが、どうしてもそれに承知しないといったような問題が出てきた場合には、これはやはり石油だけの観点といいますよりは、むしろ地域コミュニティーの問題であるわけでございますので、そちらのほうとも十分連絡をとっていきたい、こういう趣旨でございます。
  104. 清水徳松

    清水委員 そちらのほうといったらどこですか。
  105. 松村克之

    松村説明員 いろいろおしかりを受けて恐縮でございますが、私どもといたしましても、通産省の、つまり石油業というたてまえからの、石油精製業あるいは石油流通業を所管しているというたてまえだけからの行政指導というものには、当然限界があろうかと思います。やはり営業の自由というものは大原則としてあるわけでございますから、したがいまして、いま私が申し上げましたのは、県あるいは市というところと十分連絡をとっていきたい、こういう意味でございます。
  106. 清水徳松

    清水委員 委員会においてはっきりお約束をしていただきましたね。住民との了解が取りつけられない以上は絶体強行着工はさせませんということをおっしゃったわけですが、それに対するケリはどういうふうにおつけになるつもりですか。これはできちゃったのですよ。
  107. 松村克之

    松村説明員 強行着工はさせないと申し上げたということでございますが、それは、強行着工はさせないように行政指導をする、こういう趣旨であろうかと思うわけです。ただ、法的な権限がございません場合にそれについてどのようにするかということでございますが、やはり行政指導には行政指導としての一つの限界があるわけでございますから、申し上げておりますのは、県、市等とも十分連絡をとっていきたい、こういうことでございます。
  108. 清水徳松

    清水委員 おたくを責めてもどうもあれですがね。二月二十五日の朝日にもありますし、わが党の石橋書記長がやはり予算委員会質問されたところにもあるわけですが、大臣が、着工許可はしていない、そう言明しながら、一方においてはどんどんどんどん着工して工事を進めているというケースはうんとあるわけですよ。  たとえばここの新聞紙にも出ておりますが、石油の精製施設の増設、これはもう業法七条によってはっきり通産省が責任を持っているはずなんですよ。ですから、そういう法的な根拠のあるものまで、工事は進行させませんよと言いながら、実際工事はどんどん現実にはしておる。そうして、石油がないから、そうしてまた今日でもどの程度石油が入りてくるという確固たる見通しがなかなか立たない段階において、こういう石油精製工場というものをどんどん許可を与えているという実態もあるわけですよ。ですから、この朝日新聞じゃないけれども、どうも業者と通産省は癒着しているのじゃないか、通産省、審議会、業界一体のものであろう。一体のものとはどういうことか、皆さん御承知でしょうか。癒着をしているということなんですよ。そういうことをいわれるわけなんですよ。法的な権限があるものまで、これだけ石油業界に皆さんなめられているわけですよ。行政指導なんかどうなっても、それは突っぱればどうせ引っ込むんだ、業者はそう思っていますよ。そういうような状態ですよ。そういうような状態を皆さんどう思っていらっしゃるかですね。それでいいと思っていらっしゃるのか、お伺いしたいと思うのです。
  109. 松村克之

    松村説明員 業界との関係についての態度でございますが、これは私のような一課長から御答弁するのも恐縮でございますが、やはり私どもとしては、行政の立場にある者が所管の業界とかりそめにも癒着というような御批判のないように日夜努力いたしているつもりでございますが、なお今後ともやっていきたいと思います。
  110. 清水徳松

    清水委員 癒着したといわれることないように日夜努力をする、だからこそ、こういう行政指導をした場合には、その行政指導が守られるようにきちっとした責任のある指導をしてもらわなければ困るというわけなんです。それを言うわけなんですよ。そうでなくても飯能の場合は、時期といい、それからまたこういう問題が起こってきておるときであるだけに、非常に業者としては無理なことをやっているわけですよ。  それからまた、業法で取り締まることのできる石油精製工場の増設にしても、去年の秋からことしの一月にかけて工事が行なわれて完了しているわけなんですよ。ところがその時期は、石油危機の問題が一番われわれとしては課題として論議された時期ですよ。石油がないといわれたんですよ。来ないかもしらぬといわれた時期ですよ。しかもそのときに、建築資材もなくて、セメントもない、鉄鋼もないといって大騒ぎしたときでしょう。しかも福田大蔵大臣が総需要抑制政策という宣伝でやっているときでしょう。そういうときにこのような工事が、大は石油精製工場から小はガソリンスタンドに至るまで、通産省の行政指導を無視しながら行なわれておったという事態は、もう非常に重大だと思うのですよ。こういうことを黙っているから、しかも強行したんだからしかたがない、そういうような考え方になっているから、癒着しているんだといわれるわけですよ。私は絶体にこれは了解できないし、もし癒着してないというんだったら、飯能の問題にだって、できたって、そんなものは営業停止するか、まあ法的にはいろいろ問題があるかもしらぬけれども、やはりそういうような行政指導をきちっとしなければいかぬですよ。極端なことを言えば、取りこわすべきだと思うのですよ。  それよりも、飯能の場合なんかまだ問題があるのですよ。この石油精製工場の問題は、問題が大きいからこれはまた席を改めますよ。だけれどもこの飯能の問題だけは非常に緊急の事態なんです。しかも飯能では、この業者の間にたいへんなトラブルがあるということは皆さん御存じだと思いますが、知らないはずないですよ。  あのスタンドをつくるについて、A、B、C地区というちゃんと一つの基本になるものがあるわけです。あそこがCならばほんとうはできないところなんです。最初はCとして通産局に届け出されたんです。ところが、いつの間にか今度はBにすりかえられまして、そうしてあそこは合法的に建てられるんだということになっているわけなんです。そのトラブルを皆さんのほうはよく知っておるはずですよ。その間いろいろなことがあって、取っつかまった人だっているでしょう。ところがあの石油スタンドも許可になったわけなんですよ。しかもB、C地区の問題については、飯能の現地と埼玉石商というものとの了解というのは全然ついてないですよ。ついてないで通産省もそれにタッチしているわけですよ。そういうトラブルがある中で、しかも当然なんだということで、そしてつくらしているんですよ。行政指導なんか、その辺から相当強くやれるはずなんですよ。それを知らないふりしてやったというのは、やっぱり癒着しているんじゃないかとぼくらは思わざるを得ないわけですよ。  現地からも東京通産局に何回も来ていますよ。まあ、これはたいへんこまかい問題だから、おたくにしゃべったってわからぬような気もするんだけれどもね。(「商工委員会でやれ」と呼ぶ者あり)いや、これはしかし商工委員会じゃないですよ、建設の問題とつながるから。住民の意思、しかも市議会の決議がある。そういったような問題とつながるから、物をつくる場合は、すべてこの辺のことを慎重に考え行政指導していかないとだめですよということを言いたいわけですよ。どう思いますか。そういうトラブルがあるのを知っていますか。
  111. 松村克之

    松村説明員 ガソリンスタンドの設置につきましては、先ほどから申し上げておりますように、これは石油の一つの流通上の問題としてわれわれは取り扱っているわけでございまして、行政指導で行なっているわけでございますから、そこにはおのずから限界があることはひとつ御了承をいただきたいと思うわけでございます。  それで、地元の住民の方との問題といったようなことについても、われわれとしてはそれを十分配慮して、強行着工等はしないようにという指導はいたすわけでございますが、何ぶん中小企業ということでございますので、その行政指導におきましても不十分な点もいろいろあるわけでございますけれども、先ほどから申し上げておりますように、そういった件については、市あるいは県との連絡も東京通産局のほうで十分やっているわけでございますし、またその点について、いま業界との癒着といったようなおしかりもいただいたわけでございますが、そういった御批判のないように今後とも努力を続けていきたい、そういうふうに思っております。
  112. 清水徳松

    清水委員 もう時間が来たからやめますが、こういうような権威のないお答えを聞いていたんじゃ時間の空費になります。  さらに埼玉石商が非常にでたらめであるという資料がまだ来ているんですよ。たいへんな不正な値段で石油あっせんをしているという事実もあるわけですよ。それで資料も来ております。とにかく、そういったようなでたらめであるという事態を通産局よく知っておりながら、しかもそこから出てきた資料を、最初Cを出したり、あとでBを出したり、そういうでたらめを知りながら当然のこととして行政指導をしている。これは丸善だって、そういったようなことを百も承知しながら強引にこのスタンドをつくっているわけなんですよ。通産省の行政指導なんか全然うわのそらですよ。もう全然無視しておりますよ。こういうのはきわめて悪例になると思いますよ。皆さんこれから行政指導をやりますと言うが、そんなこと言ったって、こんなのは無視したほうが得だということになって、たいへんな悪例になりますよ。はっきり言って政治というものは行政が大半ですからね。その行政がこういうようなことであっては、われわれはほんとうに役所を信頼することができないですよ。これは国民のために非常に不幸なことです。  ですから私は、この件については、きょうは時間がありませんから途中にしてやめます。やめますから、また一般質問のときにもう一度質問させていただきたいと思う。そういうことできょうはやめさせてもらいます。
  113. 木村武雄

    木村委員長 この際、午後二時十分まで休憩いたします。    午後一時二十九分休憩      ————◇—————    午後二時二十二分開議
  114. 木村武雄

    木村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。浦井洋君。
  115. 浦井洋

    ○浦井委員 まず最初に、大臣所信表明を前回の委員会でお聞きしたわけですけれども、その中の二、三の問題について大臣に直接お聞きをしたいというふうに考えております。  大臣のしゃべられたことの中で、非常に重要なことを言われておるわけなんです。ちょっと読み上げてみますと、「私は、この際新たな視野のもとに、そのより重点的かつ効率的な整備をはかることが必要であると考えます。このような観点から、大規模事業の新規着手について、当面抑制措置を講ずる反面、国民生活に密接な関連を有する事業については、積極的に推進し、良好な生活環境を確保して」云々、こういうふうに述べられておる。そのあと大臣のしゃべられた順序は、確かに住宅・宅地対策をトップに持ってこられまして、そのあと、都市対策、国土保全、水資源、それから最後に道路の整備というように並べておられる。並べ方としては非常によく配慮をされておるというふうに思えるわけでございますが、そこで亀岡大臣主管のもと建設省の四十九年度予算がつくられたわけでございますが、その予算内容は、この大臣所信表明の全体的な方針に一体合致しておるというふうにお考えかどうか、念のために聞いておきたいと思うのです。
  116. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 予算編成にあたりまして、ただいま御指摘のありました大体の順序に沿って予算は計上されてあるもの、私は自分ではそう思っております。
  117. 浦井洋

    ○浦井委員 そうすると、その順序で——私は順序があと先というのは別に大して問題にしておらない。やはり内容大臣所信表明に合致しておるかどうかというところが問題だと思うのですが、まずそのトップにあげられておる住宅の問題について、大臣が主管をしてつくられた予算案を見ますと、住宅というのは、もちろんトップにあげられておるわけですから、ここに言われておる「国民生活に密接な関連を有する事業」である、その典型的なものであるというように私は理解するわけなんです。  それを見ますと、この中で政府が当然一番力を入れなければならない公的施策住宅、公団、公営、こういうものをちょっと見てみますと、公営住宅でマイナス二万九千戸、改良住宅でマイナス六千戸、公団に至っては賃貸、分譲合わせて一万一戸、こういう最も典型的な、力を入れなければならぬ政府施策住宅で合計マイナス四万五千戸というような、きわめてあ然とした数字を予定されておるわけなんです。なるほど予算の金の量においてはある程度ふえておるかもわかりませんけれども現実に入らなければならない戸数がこれだけ減っておるということは、これは大臣のこの所信表明に盛られた決意と全く合致しておらないというふうにいわれてもしかたがないのではないかと思うのですが、どうですか。
  118. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 確かに戸数の面においては御指摘のとおりでございます。実は御承知のように、これにはやはりよって来たる理由があるわけでございまして、私が申し上げるまでもなく、三大都市圏において、公営住宅でありますとか、公団住宅でありますとか、各自治体の御協力もとに消化していかなければならないわけでありましたけれども昭和四十七年、八年と計上いたしました予算戸数を実は現実的に消化していないというこの事実を実は重視をいたしまして、東京都の場合は、せっかく一万九千戸というようなものを政府としては考えてお願いしたにもかかわらず、なぜこれが完成を見ることができないかということをいろいろ調査をいたしてみますと、結局、自治体の超過負担の問題、それからいろいろな社会・公共施設の経費増の問題、特に学校等の問題等もございまして、もう人口をこれ以上ふやしたくないという自治体気持ちで拒否反応が出ておる、そういう事情も踏んまえまして、しかも単価自体も非常に安かったということで、これまた何回か昨年も単価アップをいたしたわけでありますけれども、四十八年度すら全戸数を消化するということは三大都市圏の中においてはほとんど困難である、こういう事情等も考慮いたしまして、まず住宅問題につきましては、いわゆる人口増の拒否反応のよって来たる原因を排除をしなければならない、それがためには各自治体に超過負担という形で迷惑をかけない住宅政策を推進しなければならないというところから、そういう面で、住宅の一平米当たりの単価増でありますとか、あるいはでき上がる家の面積をふやす問題でありますとか、さらには、何といっても宅地がないということが地価を上げておるゆえんでもありますので、思い切って良質な宅地を造成するという形における住宅政策というものを前面に打ち出して最も意を用いた、こういうことであります。  戸数においては、確かに御指摘のとおり事実上消化をできないという問題を正しく実は受けとめまして、住宅政策を、戸数においては減少はいたしておりますけれども、その他の面において今後大きく伸び得る土台をしっかりとつくるというところに精一ぱい努力をしたということでございます。
  119. 浦井洋

    ○浦井委員 歴代建設大臣は、住宅政策についてお尋ねすると、いつもそう言われるわけなんです。私も数年前から同じことを聞いておるわけなんです。ところが亀岡大臣もう一つたちが悪い。それだけでなしにいまは雌伏の時期なんだ。たとえば宅開公団のことをさされておるのだろうと思うのですが、宅開公団ができてみろ、わしは融資するのだというような開き直りをされておるというふうに私理解をするわけなんですが、歴代建設大臣がずっと言ってこられた非常に困難な実情がある。自治体の拒否反応であるとか、土地問題であるとか、あるいは建築資材が高騰しておる問題といろいろあると思うわけですが、そういう中で、なおかつ住宅困窮世帯が減らずにむしろどんどんふえていっておる状態。国民は安い家賃の公的住宅を待ち望んでおる。そういうむずかしい状況の中で庶民のために住宅を建設していく、これが政府の責務ではないかというふうに私は思うわけなんですが、もう一ぺん大臣、決意をひとつ聞かしていただきたい。
  120. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 確かに住宅難につきましては、御指摘のとおり非常に要請が強いことは私も十分承知をいたしておるわけでございます。したがいまして、市街地内におきましても、従来の公営住宅の平家づくりの建っておりますところ、そういうところに共同住宅を建てかえるというような方式でありますとか、あるいは実は私、筑波学園等に移転したあと地、あるいは工場の移転したあと地等も、その一部を住宅に提供してほしいというようなこと、いわゆるころがし方式といったような問題等も新たに四十九年度から採用いたしまして、とにもかくにも市街地において共同住宅をできるだけ多く建てなければならないということで、いろいろ法律改正等もお願いしなければならない、こういうふうに考えておるわけでございます。
  121. 浦井洋

    ○浦井委員 いまあれやこれや言われたわけですけれども、要するに私が先ほどから強調しておるところの政府施策住宅、公的住宅というのは、いままでそういう傾向であったけれども、今後ますます片すみに追いやられていく危険性を非常に強く感じたわけです。  そこで少し話題を変えまして、いま第二期住宅建設五カ年計画の、四十九年度で第四年度に入るわけなんですが、いま私が言い、また大臣が認められたそういう状態の中で、この五カ年計画が一体達成できるのかどうか、その見通しについて大臣からひとつお聞きしたいと思う。
  122. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 御承知のように、五カ年計画、たいへん困難な事態を排除しながらできるだけ計画どおりの実績をあげたいということでやっておるわけでありますが、いわゆる公的資金による進捗率というものが思うとおりにいっておらない現況であることは御承知のとおりでありまして、私どもたいへん心を痛めておるところでございます。四十九年度も、先ほど申し上げましたようにそのような点を少しでも改善をいたしまして、あの五カ年計画の完遂を期したいということで努力をいたしておるわけでございまして、詳しい数字的な問題につきましては事務当局から答えさせますので、よろしくお願いします。
  123. 沢田光英

    ○沢田政府委員 五カ年計画はいわゆる九百五十万戸を目標にいたしまして、しかもその中の四割が公的だ、かようなかっこうでございますが、たとえば公的住宅、これの合計でいきますと、四十九年度の計画まで入れまして七七%の進捗率ということになります。これは、第一期のときの同年次の比率に比べまして、おおむね二%ぐらい上がっておるということでございます。しかしこれはその他住宅まで入れますと多少下がります。これは公庫がだいぶ成績をあげておるということで、内容といたしますと、公営住宅、公団住宅は、たとえば八%あるいは一〇%程度、現在までのところ進捗率が下がっております。しかし、合計をいたしますとさようなわけでございますが、ただいま民間住宅のほうは、これはむしろ伸びておりまして、第一期のときには同期の計画で七九%でございましたものが八六%でございます。したがいまして、これを両方足しますと、五カ年計画のただいままでの年度の比較では、第一期よりも二、三%上回っておるということでございます。したがいまして、今後も多少は民間住宅は頭を打ってくるというふうに考えます。あるいは公的も非常に苦労をすると思います。しかし第一期程度のものには総数では達し得るというふうに見込みをつけております。  ただ、問題はその内容でございまして、公的住宅、特に公団、公営住宅が下がっておる、こういう話でございまして、特にこれにつきましては、ただいま大臣が申しましたようなことで、できるだけこれを伸ばしまして、問題は東京都、大阪、この辺に集中しておりますので、ころがしだとか、あるいは建てかえだとか、そういうふうな東京都に合いました手法を新たにやって、ことしは基盤を整備をし、五カ年計画のうちにはその地域におきましても成績をあげたい、かような次第でございます。
  124. 浦井洋

    ○浦井委員 総合的には第一期と同じような形にいけるのではないかというような甘い見通しが述べられたわけなんですが、しかし、もしいったところで、住宅局長いま言われたように、これはある程度下がるにしても、民間で非常に達成をして相変わらず公的住宅は低いというような形になることは間違いない。沢田局長、建設白書をずっと見てみますと、第一期の住宅建設五カ年計画が進んだところで建設省はこういうふうに反省しておられる。いまのように住環境が悪化したのは公的住宅の建設のおくれが原因であるというような文章を私、見たわけなんですけれども、第二期の住宅建設計画でもこれと同じ轍を繰り返す危険性が非常に大きいと、私、憂えるわけであります。だからそういう点で、私もうこの問題についてあまり触れませんけれども、ひとつ大臣から、一体具体的にどうしようと思うのかということと決意とをあわせてもう一ぺんお答え願いたい。
  125. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 先ほど申し述べましたように、やはり住宅が東京、大阪等において非常にむずかしい困難な情勢にあるということは御承知のとおりでございますので、この地域以外の地区においては大体公的住宅は全部消化していただいておるわけでございます。したがって、この三大都市圏におきまして、公的住宅が従来考えておったような線で消化されますようにつとめなければならぬわけでございます。それがためには、やはり市街地の再開発並びに、何としても宅地がない、土地がないというところに問題があるわけでございますので、その土地政府が力を入れて造成をしていこう、そして造成された土地にある程度の公営住宅と申しますか、公的な資金による共同住宅を建設していかなければならない、そういう意味において、公営関係の公的資金による住宅が非常に先細りになるんじゃないかという御心配の御指摘、ほんとうにありがたいわけでございますが、そういうことにならぬように努力してまいりたいと考えておるわけであります。
  126. 浦井洋

    ○浦井委員 大臣、それは方向が間違っていると私、思うのですよ。都市再開発法の改正であるとか、あるいは宅開公団をつくる、このことによって、いかにも三大都市圏で住宅難が解決するような、そういう幻想を振りまく説だというふうに私、思わざるを得ないわけなんです。宅開公団にしても宅地の分譲が中心になるわけだし、たとえその分譲を受けられる人を見てもおそらく暁天の星だろうと思う。都市再開発法にしたって、早くもそこに該当するような地域の人たちから反対運動が起き上がっておるわけなんです。そう甘いものではないわけなんです。だからそこのところをひとつ十分に考えなければならない。私はこの大臣の答弁では満足しません。しかし住宅困窮世帯というようなものはどんどんふえておるわけなんです。早く適切な手を打ちなさいということを私、要望しておきたいと思う。  それから、大臣所信表明の第二の項、「都市対策について」という項に移りたいと思うのですけれども、この中に下水道が入るだろうと思うのですが、大臣、非常に残念だろうと思うのですが、新しい下水道の五カ年計画が見送られた。そのかわりに、公共下水道あるいは流域下水道の補助率がアップをした、その点はいいと思うのです。しかしながら、この予算を見てみますと、国費もなるほど伸びております、前年対比二二%の増。ところが事業費全体としてマイナス一一%。そうするとどうなります。これは全国的に見まして下水道を必要とするところの下水道の事業量というものは大幅に減るということは、算術計算でもわかってくるわけです。これで一体、大臣が一番初めに言われておるところの「国民生活に密接な関連を有する事業については、積極的に推進し」云々というような決意と合致しておりますかどうですか。
  127. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 たいへん痛いところを御指摘いただいておるわけでございますが、私といたしましては、精一ぱいこの総需要抑制の中で下水道事業内容改善というものを四十九年度に実現をいたしまして、あと七月から始まります来年度の関係において、その改善をいたしました諸条件、補助率アップという条件の上に、今後事業量を規定してまいりますところの新五カ年計画というものをそこに積み上げていって、私は、下水道事業に対する私の気持ちを十分実現できるもの、こういうふうな考えを実は当時持ったわけであります。
  128. 浦井洋

    ○浦井委員 大臣それは、ことし全面降伏いたしました、来年を見ておってくださいということです。大臣、来年は大臣をやっておられるかどうかわからないわけです。だからやはりことしがんばらなければいかぬ。しかも国民は、住宅にしても下水道にしても、いますぐに適切なる手を打ってくれということを望んでおるわけなんです。  もう一つ指摘したいのですが、最後に大臣は第四の項に道路を持ってきておられる。深甚な配慮のもとにこういうふうに並べられたのだろうと思うのですけれども、ところが数字を見てみますと、道路は落ちておらないわけでしょう。国費にしても、あるいは事業費にしてもほとんど昨年と同じ。しかも昨年の八月に公共事業費の繰り延べが八%道路で行なわれた。下水道は四%だったけれども。それがことしに入ってくるわけでしょう。そうすると例年の伸び率とほとんど変わらないというようなかっこうなんです。もちろん道路の中にも必要なものはあるだろうと思う。しかし金を食うものはやはり幹線道路、高速道路です。こういうものはますます日の当たるところに出ていく傾向、これはことしも変わっておらない。それに比べて、先ほどから言っておるように、住宅とか下水道はますます日陰に追いやられていっておる。これで一体国民の福祉の向上に資するということになりますかどうですか。
  129. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 道路問題につきましては、平年でありますと一五%以上の伸びを見せてきておるわけであります。したがいまして、全国において、道路の整備されていない地域における道路に対する要請というものはまことに熾烈なものがある中で、総需要抑制という物価抑制予算を組まなければならないという中におきまして、道路を予算において前年並みということにしましたことは、諸物価値上がりとかなんとか考えますと、まことに残念ではございますけれども事業量においては前年よりも下回るという情勢にせざるを得なかったというふうなことでございまして、しかもそういう情勢の中でも、市町村道でありますとか、あるいは県道でありますとか、そういう住民に直接関係の深い線に重点的に予算を配分するようにという気持ちで四十九年度の予算を決定したことを御了承いただきたいと思うわけでございます。
  130. 浦井洋

    ○浦井委員 大臣、そういうふうに言われるから、私もう一つだけつけ加えておきたい。  私どもの党で政府要求した資料の中に、「建設省所管公共事業に要する建設資材及び労働力」、これの数字があるわけなんですが、これを見ますと、たとえば四十八年、四十九年、これは推定所要量ということで、もちろん実績ではないわけなんですが、これを比べてみますと、鉄鋼、セメント、木材、骨材、労働力、ずっと見ますと、四十八年に比べて道路整備は四十九年のほうが全部ふえているわけなんです。ところが一方、住宅、下水道、公園、こういうところはみな推定所要量が減っておるわけなんです。この数字一つを見ても、いかにも総需要抑制で、しかもその中で国民福祉を向上させるようなところに力を入れた、そういううたい文句と逆の現象が出ているというふうに私、思わざるを得ないわけなんです。  そこで、総論はこれくらいにしたいと思うのですが、第七次の道路五カ年計画が始まったわけなんですが、これをもう一ぺん見直して、ほんとうに住民の望むようなところに金をつけるというような形で再検討すべきではないかと思うのですが、大臣どうですか。
  131. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 この五カ年計画は、先生も御承知のとおり、いろいろな機関において検討をし、また建設省におきましてもあらゆる点から検討をいたしまして、福祉に重点を置くという立場で立案をせられて計画をされておるわけでございます。したがいまして、いまの段階におきましては、始まったばかりのこの五カ年計画を見直しをするということは考えてはおりません。
  132. 浦井洋

    ○浦井委員 それでは、こういうような深刻な事態の中で政府が対応しようとしておる努力というのは、全く筋違いであるというふうに私、言わざるを得ないわけなんです。  道路の問題についてさらに言うならば、私は先ほどもちょっと申し上げたように、何もかも道路をつくるのをやめておけというような暴論を吐いておるわけではないわけなんです。あなたが先ほどから強調されておるように、地方道整備も必要だろうと思うし、また、私はいろいろ問題をあとで具体的に指摘しますけれども、既設の新幹線道路、高速道路によって道路公害が発生している、こういうような環境の破壊されておるようなところ、こういうようなところにこそ道路の予算を積極的に注ぎ込むべきだというふうに私は思うわけなんです。いままでは、これを私たちもう数年前から要望しておるにもかかわらずきわめて不十分で、関係住民にとっては全く何もされずに放置されておるという感じを与えておるわけなんですが、こういう時期にあたって、いまこそ、列島改造も破綻をした、だから今度はその罪滅ぼしに道路周辺の環境整備を、環境を守っていく、健康を守っていくためにやるのだという決意があってもしかるべきだと思うのですが、どうですか大臣
  133. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 先ほど申し上げましたように、道路整備五カ年計画につきましては十九兆五千億という計画になっておるわけでございます。この中で道路関係につきましては、一般国道が三兆六千三百億、地方道が二兆五千八百億ということで、旧計画に比べてまいりますと地方道に力を入れておるということは、よく御理解いただけると思うわけでございます。特に旧計画におきましては、主要地方道以外の市町村道という計画は実は五カ年計画の中になかったわけでございましたが、今回の新しい計画には、道府県道と市町村道というものを分けまして、これに計画予算を充当しておるということでございまして、この点は生活関連道路整備という面にも十分考慮されておるもの、こう考えておりますので、いまのところ、先ほど申し上げたように、五カ年計画をスタート早々変更を加えるというようなことは考えておらないわけでございます。
  134. 浦井洋

    ○浦井委員 私いま申し上げたいのは、こういう時期にこそ、年来国民の要望しておるところの、高速道路、幹線道路周辺の環境整備に力を注ぐべきではないか、地方道整備とともに。このことを申し上げておる。これは予算には出てこないのです。項目がないわけなんです。  そこで私、二つの事柄を対比して考えてみたいと思う。大臣もあるいは御承知かもわからぬですけれども、この二月二十五日あるいは二十三日、埼玉県の上尾市の団地、公団住宅ですけれども、原市団地というところ、昔からまん中を幹線の県道が通って住民が非常に困っておったところ、これがやっと畑革新県政の中で、道路のふたをするのにシェルター方式にします。もちろん住民の側はこれだけでは不十分だけれども、しかし県の誠意は十分に感じるから今後は慎重に話し合っていきたい、こういう態度を示したというふうに二十五日の新聞で見たわけなんですが、こういう話があるわけです。  一方で、神戸の明舞団地、このまん中を道路公団の第二神明道路がずっと通っているわけなんです。その中で周囲の住民からはいろいろと要望が年来出ておるにもかかわらず、一向にものごとが進捗しておらない、こういう状況があるわけなんです。ここに私は、住民の要求にこたえる政治の姿勢の典型的な違いを見る思いがしておるわけなんです。  具体的にひとつ道路局長なりあるいは道路公団にお尋ねをしたいと思うわけなんですが、第二神明の実情については、これは御承知のように、一日の通過量が全くふえてしまって六万五千台。しかも大型車が多い。そしてこの道路は、大臣も御承知のように、万博に間に合うようにということで突貫工事をされたために道路勾配が非常にきつい、こういう状態なんです。その結果、道路の環境基準を上回る騒音がひどくて、住民が非常に悩まされておるわけなんです。公団もこの実情は十分承知しておるはずなんです。それにもかかわらず、最近まで住民を納得させるような方策なりあるいは話し合いなりがあまりなされておらなかった。最近やっと何かのやり方で公害防止のために事業計画を立てたいというような話が公団の側から持ち上がってきたけれども、住民の側はそんな計画では話にならぬというようにけっているわけです。こういう現状なんです。道路公団の方来ておられますか。私はまず最初に道路公団の担当の方に、簡潔に一体どういう計画を住民に示されたのかということをお示しいただきたい。
  135. 伊藤直行

    伊藤参考人 お答えいたします。  明舞団地に対する道路公団の提案は、現在、明舞大橋という団地をつないでいる県道でございますが、その橋の大阪側のほうに七十メートルほどのふたをかけまして、また全区間にわたりまして、土工でございますが、土工ののりを立てまして、その立てた上に五ないし六メートルの遮音壁をつけて当面騒音を減少しよう、そういう計画を出しております。
  136. 浦井洋

    ○浦井委員 公団に引き続いてお尋ねをしたいのです。  そこで、いろいろなそういう計画を立てられる前に調査をされたと思うわけなんですが、いま公団の言われたような計画がもしでき上がったとして、いまの騒音が、いろいろなところで測定されているだろうと思うのですが、どれくらい減るものなんですか。
  137. 伊藤直行

    伊藤参考人 具体的に申しますと、県営の団地の五階建ての鉄筋コンクリートの建物がございます。そこで一階では現在七十五ホンとなっておりますのが五十五ホンに下がる。それからこれの七階ではやはり七十五ホンでございますが、これが六十一ホンになる。これが一番ひどいところでございます。その他はこれよりずっと低くなるという計画でございます。
  138. 浦井洋

    ○浦井委員 このケースは公団も重々御承知だと思うのですけれども、高速道路、幹線道路の騒音に悩まされておる全国各地の住民が非常に注目しておるケースであるわけですよね。だから、ここでどういうような結末が出るかというのは、これからの道路行政に大きな影響を及ぼすだろうと私、思う。  そこで私、聞きたいのですが、これは道路局長でも公団の方でもけっこうですが、昭和四十六年の五月二十五日に閣議決定をされた「騒音に係る環境基準について」というのがある。この中で、たとえば先ほど申し上げた埼玉県の原市団地であるとか、あるいは明舞団地の道路沿い、こういうところの夜間の環境基準というのは大体どういう数値なんですか。
  139. 菊池三男

    菊池政府委員 これはその道路のある地域によって違います。それから道路に面する地域、それから同じ道路でも四車線以上のところと二車線のところと違います。かりにただいまの明舞団地のようなところというのを当てはめてみますと、夜間は六十ホンということになろうかと思います。
  140. 浦井洋

    ○浦井委員 夜間は五十ホンですよ、この明舞とか原市団地の場合には。そうでしょう。
  141. 菊池三男

    菊池政府委員 間違えました。五十ホンでございます。失礼いたしました。
  142. 浦井洋

    ○浦井委員 それが正解です。そうすると、公団の方にお伺いしたいのです。あなた方が何年間かかっていろいろと思案をされて出されたこの事業計画が完成をしても、いまあなたが答えられた数字で見ますと、この閣議決定の環境基準以上になるということになりますね。どうですか。そうでしょう。一体、こういうような計画を立てて、ほんとうに真剣にこれで住民が納得してくれるというふうにあなたは思っておられますか。
  143. 伊藤直行

    伊藤参考人 この案は、当面とにかくできる方法でまず着手するということでございまして、いまの環境基準を目標にした考え方を放棄しているわけではございません。したがって、今後いろいろな面からこの点については検討していかなければいかぬと思います。たとえばあの地区につきましては、御承知のように、四%と五%の長い区間、両側からのぼっておって上が頂上になっております。その頂上のところに団地があるわけでありますけれども、こういったところでの対策というのは非常に困難をきわめるわけでございます。たとえば、いまのふたかけにいたしましても、これを長くするというのはそれだけの効果はあるわけでございますけれども、一方それによって排気ガスによるもらい公害ができるというようなことがございます。したがって当面、皆さんの合意の得られる、できる方法をまずやらせていただきたいということが提案の趣旨でございます。
  144. 浦井洋

    ○浦井委員 そういうことでは住民は納得しないですよ。やはり可及的すみやかに、しかもできるだけ環境をよくするために騒音の量を減らすような方法がないことはないわけなんです。だからそれを住民の方とよく相談をして速急にやるべきだ。たとえばこの道路の周辺には県関係の団地がたくさんあるんですよ。そこでその自治会の協議会の方がこういうことを言っておられる。たった百メートルのトンネル化ではなしに全部をトンネル化することもひとつ検討してほしい、こういう要望も持っているわけです。それから私、指摘したように、突貫道路で非常に勾配のきつい高速道路、幹線道路をつくっているわけですから、この勾配をなくするために掘削をしてほしい、こういうような要求もあるわけなんです。こういうような要求一つ一つ真剣に取り上げて、こうなんですということでひざ詰めで住民の側と話し合うという態度がなければ、私はものごとは解決しないのではないかというふうに思わざるを得ないわけなんです。だから大臣、こういう時期に、やはりこういうような方面の仕事に、せっかく道路公団はたいした技術を持っておられるわけですから、技術であるとか金なんかをほうり込むということをやるべきであるというふうに私は思うわけなんですが、もう一ぺん大臣の決意を聞きたいと思います。
  145. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 御承知のように、道路公団もあらゆる技術の開発に努力をしてきておるわけでございます。しかもその住民の協力もとにということで、それぞれの立場努力をしていることも、先生よくお認めいただけると思うのであります。  ただ、御指摘のありました明舞等につきましては、ずいぶん前にできた道路でもございますので、いま仰せのあったような線——まあ道路公団としても代案を出して話し合いを続けておるわけでございますけれども、やはり住民の方々、先般陳情に見えられた方々から私もいろいろ聞いたわけでございます。いろいろな要望も確かに出ておるわけでございますが、そういう要望に対して一〇〇%答えが出せるどうかということについては、これまた道路公団のほうに実は先般も話をいたしまして、とにかく検討を進めなさいということを指示いたしておる次第でございます。私も技術者じゃございませんので、どういうふうにすればどういうふうになるというようなことがよくわかりませんが、とにかく話し合いを続けることによって一致点を見出せるんじゃないかという気持ちはあるわけでございます。三年六カ月も続きましたあの鳥山の問題でさえ、いまほんとうに話し合いによって静穏裏に結論が出させたという例もあるわけでございますので、道路公団も幹部が先頭に立って住民の話をよく聞き、また道路公団の意思もよく伝えて、相協力していただいて解決できるようにということを指示いたしておる次第でございます。
  146. 浦井洋

    ○浦井委員 大臣、それはなまぬるいですよ。私が先ほど申し上げた四十六年五月二十五日の騒音に係る環境基準の閣議決定をもう一ぺん思い起こしていただきたいと思う。これにはこう書いてあるわけです。「道路に面する地域については、設定後五年以内を目途として、その達成を図るよう努めるものとする。ただし、道路交通量が多い幹線道路に面する地域で、その達成が著しく困難な地域については五年を越える期間で可及的速かに達成を図るよう努めるものとする」。この閣議決定が出たときには、相当この表現で物議をかもしたという記憶を私も持っておるわけなんですが、それにいたしましても四十六年ですから、この明舞のいま公団が計画されておる事業が完成するのは、いまの予定で行けば五十一年ですか、そうなると、もう五年をこえる期間の中に入ってくるわけなんです。そういう中でも、先ほど聞いたように、夜間の五十ホンというのは達成されない。一体政府建設省や公団は、騒音を除き去るために住民の立場に立ってどんな努力をしたのかということを問い直されても、私はそういう点でいたし方ないと思う。だから、私は、もう一ぺんはっきりと要求をしておきたいわけですけれども、やはり住民の側に立って可及的すみやかに、そしてより完全に近い道路周辺の環境整備のためにこういう時期に技術も金も注ぎ込みなさい、こういうことをもう一ぺん強調しておきたいと思う。よろしいですか、大臣
  147. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 住民の安寧をそこなわないということで環境基準ができておりますことも承知をいたしておるわけでございます。速急にと申しましても、なかなかこれは改善がむずかしいことはいま申し上げてきたとおりでございますので、とりあえずの措置として道路公団からああいう提案をいたして、幾らかでも改善をし、そのあとに環境基準に合致するような改善の方策を実行してまいる、こういう二段階で道路公団は考えておるというふうに説明を受けておるわけでございます。しかし、最終的にはやはり環境基準に沿ったような道路網というものが望ましいことは当然でございますので、そういう状態に持っていけるように、公団においても努力をするように指導していきたいと思います。
  148. 浦井洋

    ○浦井委員 時間が迫ってきますから、全国的に注目されておるこのケースに、建設省としても、それから道路公団としても、ひとつ最善の努力を払うことを私は要望しておきたいと思うのです。  それと、こういう話と逆のケースがあるわけなんです。たとえば午前中に清水委員が言われた山梨県の自然公園道路計画、元連峰スカイラインというものなんかは、典型的な不要不急、これこそ私はこの機会にやめるべきであるというふうに重ねて要求しておきたいと思うのです。昨年の九月には衆議院で、反対の運動をされておる方から出された中止に関する請願が採択をされておるというような状況があるわけです。しかも午前中お話があったように、県は相当部分的に凍結をして、そして姿勢をきわめて低くして縮こまっておるというような状況であるわけなんです。  その方たちの報告書を読んでみますと、いまの状況はこういうことだというのです。県自身がこういう結果を認めて、「ちょうど負け続きの力士や売れないタレントが名前を変えるのと同じである」というような表現で、この山梨県自然公園道路計画について批評をしておるわけです。こういう時期にあるわけですから、やはり午前中大臣からも慎重に配慮したいという答弁があったわけですが、大臣として、まだ計画は出ておらないという話ですけれども、ここで思い切って県に、こういう無謀なことはやめておきなさい、こういう指導をされる気があるかないか、もう一ぺん答弁をお願いしたいと思います。
  149. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 そういう計画につきましては、午前中お答えいたしましたとおり、建設省には全然相談もなければ計画書も上がってきておらぬわけでございますので、やはりその問題が県から話があったときにはそのときで、よく国立公園法の精神等も十分考慮いたしまして所管大臣としての決断をすべきである、こう考えておるわけであります。
  150. 浦井洋

    ○浦井委員 私は大臣の答弁にきわめて不満足でありますから、このことをはっきりと要求しておきたいと思うのです。  時間があと十分ぐらいになってきましたので最後の問題に入りたいと思うのですが、私はきょう、とにかくこういう時期なんだから列島改造に関するような不要不急の公共事業はやめておきなさい。しかし、大臣所信表明で言っておられるように、国民の生活を向上させ福祉を守っていく、こういうものはやはり優先させなさい、こういう観点で質問をしておるわけなんですけれども、今度、金融の面でひとつお聞きしたい。  大蔵省は、去年の暮れ、十二月の二十五日に、銀行局長名で通達を出しておられるわけなんですが、ここで例の選別融資の問題ですね。この通達が出たために、地方自治体なりあるいは地方土地開発公社、こういう中で銀行の融資がとまったりあるいは非常に滞ったりして混乱を来たしておるということを聞いておるわけなんです。そこでまず最初に、私ども共産党は一月の二十四日に、こういう地方自治体への融資規制をやめるように政府に申し入れをしたわけなんです。その後、例の口頭通達などがあったようで、相当手直しをされてきたように聞いておるわけなんですけれども、やはりこれはあとから申し上げたいと思うのですけれども、まだ混乱が残っておるわけなんで、ひとつ大蔵省から、通達なりあるいはその後のやり方なりについて現在どのように考えておるのか、簡潔に初めにお聞きしておきたいと思うのです。
  151. 清水汪

    清水説明員 ただいまの点につきましては、仰せのように、一月の中旬ぐらいから私どものほうでは個別に各金融機関から事情聴取もいたしております。たまたま各地の公共団体の方も見えたことがございます。それから自治省建設省からもお話を伺っており、相談をしながら進めてまいっておるわけでございますが、現在申し上げられますことは、一つは公社側の借り入れ申し込みがたいへん大きいということがあるわけでございますが、それにいたしましても、その内容の中で、やはり教育とかいろいろございますが、教育のようなものはきわめて緊急性が高いだろうというふうにも思っております。また、そういう観点だけでなくて、いずれにいたしましても資金の緊急性ということも考慮しなければならないだろう、こういうふうに考えておるわけでございまして、そういう両面からよく各公社と各関係の金融機関とが話し合いをしていただきまして、基本的には選別融資の通達が、おっしゃいましたように昨年末出ておりますけれども、なお、そうした中で当面の一−三月の問題につきましては、経過措置として私どもは個々の金融機関の話をよく聞きまして、必ずしも通達にはしゃくし定木にこだわらないで、公社の緊急性の高い資金については、金融機関として総ワクの中でできるだけの協力をするようにということで指導をしておるわけでございます。現在、最終的な数字が申し上げられる段階ではございませんけれども、かなり総ワクが苦しいわけでございますけれども、やりくりをつけて少しずつ、御満足ではないと思いますけれども、話が消化されつつあるというふうに承知しておるわけでございます。
  152. 浦井洋

    ○浦井委員 建設大臣にお尋ねをしたいと思うのです。いま問答を聞いておられたと思うのですが、私、もう少し具体的な例を出してみたいと思う。これは私の住んでおります神戸の例なのですが、これは土地開発公社でなしに神戸市という自治体自身の例なのです。ここでは、さしあたって資金不足のために執行延期を余儀なくされておるものが事業費として大体四十九億円ある。しかも、その中の十三億七千七百万円が四十八年度中、この三月までに支払わなければならぬ金なのに、この金がない。これで神戸市自身は困っておる。一体その十三億七千七百万円というのは内訳が何なのだというふうに聞いてみますと、こういうことなのです。四十九年度着工の市営住宅用地四億九千四百万円、同じく四十九年度着工の同和改良住宅用地二億四千五百万円、それから四十九年度着工、五十年四月開校予定の垂水区の福田小学校の学校用地、そのほか各所の都市計画街路あるいは都市計画に基づく代替地などが合計三億四千七百万円、五十年着工予定の公園で四千百万円、すべて用地取得費なのですね。合計先ほど申し上げたように十三億七千七百万円。こういうような事態に自治体なりあるいは公社がおちいっておるということを大臣にひとつ認識をしておっていただいて、一体こういう自治体や開発公社に対する融資規制について——土地の先行取得は必要だろうと思う。そうですね。同時にそういう大蔵省からの通達によって融資が非常にきびしくなってきておる。どういうふうに認識されておるか、どういうふうに考えておられるか、大臣に聞きたい。
  153. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 総需要抑制ということで非常に金融をきびしく締めておることは、御承知のとおりでございます。この効果もぼちぼちあらわれてきている面もあるわけでございます。  そこで、私ども政府といたしましては、この総需要抑制立場から金融の引き締めというものも当分きびしく続けていこうということにいたしておるわけでございますが、御指摘の、また先ほど大蔵省から答弁申し上げましたような、どうしても緊急性の高いものについては特別考慮をしなければなるまいということで、具体的にケース・バイ・ケースで話し合いをいたしておるということでございます。  したがいまして、どうしても年度内にやらなければ教育に差しつかえるとか、あるいはその話が不調になって自治体が損失を受けるというようなことがもしありとすれば、これははなはだ遺憾なことでございますので、そういう問題につきましてはケース・バイ・ケースで処理をしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  154. 浦井洋

    ○浦井委員 先ほど大蔵省から説明がありましたように、大臣、確かにそういう点で、大蔵省の表現をかりれば、かなり消化をされてきつつある、こういうことですね。そうだろうと思うのです。だから、当面具体的に必要なのは、緊急なやつは消化されているということになれば、その次の段階の緊急なやつ、これに対して具体的にどういうふうにするのか。自治体であるとかあるいは開発公社がいま予定を立てておる土地というものは、ほとんどの場合は、これは不動産業とは違って市民の生活に必要な用地取得を目ざしておるものだというふうに私は考えます。だから、具体的なきめのこまかい指導を、建設省なり、あるいは自治省なり文部省なり、さらには大蔵省なりが協議をしてきめなければならぬのではないかというふうに私は思うわけなんですが、その点について、大臣から、あるいは関係当局から、ひとつ建設省としてどうかという具体的な答えをいただきたい。
  155. 沢田光英

    ○沢田政府委員 私どものほうは公的住宅が主でございますけれども、お説のように、先行取得するのが一番いいということにしております。この先行取得もやはり、地域の五カ年計画、こういうものがございまして、数年先まで一応の計画が個所別にある程度できております。そういうふうなもので比較的近いときに建てられるようなもの、こういうものを私ども緊急と思っております。したがって、個々のケースの中に全部あげていただいて、そういう計画に乗っておるものにつきましては、私は緊急なものとして大蔵省のほうと個々のケースで打ち合わせをして解決をしていく、かような方針でございます。
  156. 浦井洋

    ○浦井委員 最後にもう一ぺん大蔵省にお聞きしたいのですが、やはり私は、こういう時期ですから、締めるところ、不要不急のところは締めて、国民にとって必要なところにはやはり融資をするというような方針を徹底させなければならぬというように考えるわけなんですが、こういうことについて、大蔵省は、さらにきめのこまかい、しかもいまの事態にぴったりと合うような何か新しい方針を持っておられるのかどうか。具体的に通達というような形で出されるのかどうかということを聞いておきたいと思う。
  157. 清水汪

    清水説明員 公社の資金需要の中身は、全国的な観点から申しますと各種あるわけでございます。そのそれぞれにつきまして、私ども、あるいは金融機関自身の立場では、必ずしもそのプロジェクト自体の評価を的確になし得る立場にはないだろうと思います。主として金融の面から、かつ短期の引き締めという観点から対処しておるわけでございまして、その間にやはりギャップがあり得るということが問題の背景かと思いますが、したがいまして、私どもといたしましては、一−三月の見通しをもう少し煮詰めまして、その段階で、さらに問題は四−六月期以降にあるわけでございますので、ただいま先生のおっしゃいましたような観点を含めまして、自治省並びに建設省、あるいは文部省ともよく今後の進め方について相談をいたして、適切に対処していきたいと考えております。
  158. 浦井洋

    ○浦井委員 私、これで質問を終わりますけれども建設大臣に初めて質問させていただいた。まあ私としてはあまり満足な答えが返ってこなかったというふうに認識をいたしております。だから、ひとつ私がきょう質問したような趣旨を体して、今後建設行政に当たっていくときに留意してほしいということを私、要望をしまして、時間が来ましたので質問を終わります。
  159. 木村武雄

    木村委員長 新井彬之君。
  160. 新井彬之

    ○新井委員 初めに本四架橋の件についてお伺いしておきたいと思います。  本年度は総需要抑制ということでやられておるわけでございますが、この本四架橋の件については、いままで何回かいろいろな状態で発表されたわけでございます。その経過については、四十八年の十一月十九日に公団は十一月二十五日の起工式を発表しました。それから四十八年の十一月二十日には閣議にて起工式の延期を決定しました。四十八年十一月二十五日、同時着工の延期。四十九年の一月十三日に建設省は、着工延期となっていた本四架橋を、六月に地域住民の生活上必要性の強いものから部分的に着工することをきめる、建設省としては三ルートの同時着工にはこだわらない、こういう立場をとっております。それから四十九年の二月五日には事業費の内容が決定をいたしまして、四十九年の二月十七日に大臣が、物価の鎮静を待って起工式をしたい、しかし秋まで延期はしない、選別着工が伝えられているが、三ルート同時着工の方針はくずしていない、正式着工のおくれが一年以内であれば六十年完成の計画は変わらない、こういうように発表されていますが、建設省大臣との考え方、あるいはまた本四架橋公団との違い、こういうことが考えられるわけでございますが、総需要抑制という意味と、それからどれがほんとうなのかということですね。この点についてお伺いしたいと思います。
  161. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 石油危機等に関連いたしまして、総需要抑制という強力な施策を進行さしておるわけでございまして、私といたしましては、経済情勢の見通しがはっきりした時点において本工事を再開に踏み切りたい、実はこんな気持ちでおるわけであります。大体三月中には見通しをつけて、できれば四月ごろゴーのサインを出したいもの、そんな感じを持っておるわけでございます。なお、この総需要抑制が相当長期にわたった場合には、私、大体一年以上と思っておるのでありますが、完成時期には変更を加えずとも三橋とも完成させることができる。公団のほうともいろいろ打ち合わせた結果、一年以内の延長であれば、途中において積極的に進めること等によって、完成の時期は変更しなくてもよろしい、こういうふうに考えておるわけであります。
  162. 新井彬之

    ○新井委員 次に、先にちょっとこまかい問題を質問しておきますけれども、二十一日の予算委員会建設大臣は、北側委員質問に答えて、宅地開発公団の法律が出るまでに責任を持って土地規制法律を出しましょう、こういうぐあいに答弁をなさっておるようでございますが、それはいつごろどういうような内容で出されるのですか。
  163. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 宅地開発公団に伴う土地規制法律を出すとは、実はお答えしてないわけでございます。宅地開発公団の仕事をほんとうに効果あらしめるためには地価抑制土地規制という問題が必要でありますというふうに答弁をいたしたわけでありまして、この宅地開発公団に相伴って土地規制法律を出すとは申し上げておらないわけであります。同じ閣内において所管が違う経済企画庁のほうからそれに相当する法律がやはり出ておりますので、私としても、その辺は慎重にしていかなければならない、こう考えておりますので、その辺のところを御理解いただきたいと思います。
  164. 新井彬之

    ○新井委員 いまのは私も予算委員会で聞いておりまして、大臣の真意と違って、ことばの先ではそういうことで言われたのじゃないか、こういうように了解します。  それからもう一つ、宅地開発公団法による昭和四十九年度の予定地として、北千葉方面における用地買収については七八%を千葉県がすでに買収済みと聞いておるわけでございます。この千葉県の保有の用地については、反当たり百万円その前後で購入をしておるわけでございますが、残り二二%の買収については千葉県が現在やっているそうでございますが、現在では坪三万、四万ということでなかなか買収が困難になっている、こういうようなことを聞いておりますけれども、その概要はどのようになっておりますか。
  165. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 千葉県の北千葉につきましては、私どもも、大体仰せのように、そんな気持ちで実はおるわけでございます。一応法律が通していただける段階になったら、県当局とも十二分に話し合いをしてまいりたいと考えておるわけでございます。ほかにも実はそういう予定地を心に描いておるわけでございますけれども、これを発表いたしますと、やはり土地規制法律がございませんためにまた波紋を起こすというようなことも考えまして、実はそういう面、たいへん私としても、土地の問題についての立法化をお願いをしなければならぬ、こういうふうに考えておるわけであります。
  166. 新井彬之

    ○新井委員 この件については、千葉県のほうとしても非常に苦慮いたしておるようでございまして、いままで安く買いあげられたところ、そういう方々のいろいろな問題、そういうようなことがあるというようなことを聞いておりますけれども、どちらにしても非常にむずかしい状況だ。したがって、もちろん法案が通らない前にどうのこうのということは当然できないことでございますけれども、そういうことがあるということを申しておきたいと思います。  次に住宅の問題でございますが、先ほど浦井委員のほうから、五カ年計画が達成できるかどうかということについてはいろいろ議論がございましたので、簡単にやりたいと思いますけれども、この五カ年計画ですね、さっき数字が発表ありましたけれども、達成できますか。もう一度お答え願いたいと思います。
  167. 沢田光英

    ○沢田政府委員 五カ年計画につきましては、四十九年度の予算計画戸数まで入れまして、ただいまのところの進捗状況は、公的資金で六七・五%の進みぐあいということになってございます。第一期の場合に比べますと、これが七二・四になってございますから、公的資金のものは五%程度スピードが落ちてございます。これに比べまして民間自力建設のほうはいまの数字が八六・五%でございますが、前期の場合には七九・一%でございましたので、約七%程度アップしてございます。これを総合いたしますと、ただいままでのところ、四十九年度まで入れまして七八・九%の進みぐあいということでございまして、第一期のときの七六・四%よりも二%程度いい、こういうことでございます。  しかし、先ほど申し上げましたように、その中の問題がございまして、公営住宅につきましては、沖繩まで含めまして五十九万七千二百、こういう計画でございますが、現在これの七〇・二%にいっております。これを前期に比べますと、前期が七八%でございましたから、八%程度のおくれということになってございます。この辺が非常に問題でございます。特に、先ほど申し上げましたように、東京あたりが一番の問題でございます。この辺でいかなる手を打って五カ年計画の中でこの戸数を完成するかというのが大きな課題でございます。これにつきまして、今度の予算におきまして、東京あたりで使います手法を新たに設けまして大いに努力をするということで、大勢におきましても、また公的住宅におきましても、かなりのところいくというふうに確信をしております。
  168. 新井彬之

    ○新井委員 公営住宅あるいは公団住宅ですね、これが非常に落ち込んでいる理由というものは、さっき大臣からもお話がありましたけれども、それを具体的に、それでは今度どういうぐあいにすれば建つとお考えですか。
  169. 沢田光英

    ○沢田政府委員 やはり住宅というものはいろんな社会の仕組みの一番頂点の結晶のようなものでございますので、基本的な問題と、とりあえずこの五カ年の危機を迎えましてどうするか、こう二つに方法が分かれようと思います。  基本的にはやはり、先ほど言いましたように、非常に根が方々に張っておる問題でございますから、その辺を抜本的に改善をする、これが基礎的な条件だと思います。これには、土地問題、あるいは人口配分問題、あるいは水の問題、交通の問題こういうふうな問題がうまく進むような仕組み、こういうものを早急につくり上げる、かようなことで、建設省におきましても、各種の制度を現在四十九年度から考えておるわけでございますけれども、次に、緊急のとにかくこの一、二年の間、そういう基本的な問題が整うまでの間これをどういうふうに補っていくのか、こういうことでございますが、たとえば東京等におきましても、研究学園都市の移転あと地であるとか、あるいは工場あと地、こういうものがたまたまあるわけでございますけれども、こういうものにつきましては、地域の意見といたしますと、どうしても公園、緑地、こういうかっこうになりがちでございます。しかし私どもは、それをそのままにしておったのではなかなか家が建たない。連檐地の中に特に家が建たないということでございますので、ここに公共的な住宅をまず半分なりあるいは三分の二なり建てて、そこの周辺の一定地域、この辺から、木賃住宅だとか、あるいはそのほかの老朽住宅、こういうところにお住みの方を優先的にまず入れまして、そしてあいたところを、たとえば東京都が土地ごと木賃住宅を買い取ってつぶす、そして小公園なり中公園にするとか、あるいは福祉的な施設にする。先ほど来発言しておりますころがし方式と申しますが、こういうふうなことをやりませんと、せっかく工場あと地も何もなかなかよく生きてこないし、また緊急にそういうところに土地を求めていかなければいかぬというふうなことでたとえばそういう問題。それからA、B農地等の利用も早急に考えております。さらには木造公営住宅の中心部に近いところの建てかえ、これによりまして戸数が三倍になります。こういうところを各種動員をいたしましてこの一、二年つないで緊急対策として基本対策のできるというところへつなげていく、かようなふうに考えておるわけでございます。
  170. 新井彬之

    ○新井委員 これは建設省からいただいた資料ですが、公営住宅、改良住宅、それから公団住宅、公庫住宅と建設計画戸数ですね。これが昭和四十八年度においては、公営住宅の場合が十二万四千戸、改良住宅の分が一万四千戸。それから改定戸数が、公営住宅の分が十万八千戸、改良住宅の分が一万一千戸。発注戸数が、公営住宅が六万一千二百十八戸、改良住宅が三千八百戸。こういうことで建設の計画戸数があって、それから今度は改定戸数があって、それから今度は発注戸数がある。こういうことからいきますと、この計画戸数のときと改定戸数をしなければならないときのこの状況というのは、どういうときにやられているのですか。
  171. 沢田光英

    ○沢田政府委員 まず公営住宅の例でお話をいたします。  公営住宅は、仰せのとおり四十八年度の当初計画は十二万四千戸でございました。これが現在の時点での見込みでは十万八千戸程度になるだろう。これはなぜかと申しますと、一つには東京都その他におきます住宅建設能力の低下、すなわちできないというふうなかっこうの問題が一つございます。さらには御存じのように四十七年、四十八年にかけて単価が異常に上がっておりますために、そのできない戸数を単価のほうに回すというふうな、私どもといたしましては本意ではございませんけれども、さような操作をせざるを得なかった。したがって、結局は単価が上がりまして、戸数が一万六千戸程度減ってきた、かようなかっこうでございます。  さらに、この十万八千戸を目標にしていまやっておるわけでございますが、十二月までの発注戸数は全国で六万一千何がし、かようなことでございまして、大体計画戸数の六〇%弱というふうなことになってございます。したがいまして、残りのものは十万八千戸から繰り越していくわけでございますが、年度末までにはおそらく九万戸程度の発注ができるだろう。したがって、一万八千戸程度のものが四十九年度に四十八年度から仕事が残って繰り込んでいくということになります。したがいまして、多少話を四十九年度の予算につなげますと、四十九年度は九万五千戸という、十二万四千戸よりもずいぶん減ったという話がございますが、実際に事業主体で執行いたします数は、ただいまの、四十八年度から四十九年度に繰り込んでいきます一万八千戸、それと九万五千戸でおおむね十一万戸強のものを消化をする、ここいらに私どもは能力の限界というものを見て予算を編成したということにもなるわけでございます。
  172. 新井彬之

    ○新井委員 ただいまお話がありましたけれども、結局、改定戸数は単価のアップである。今回も、去年も二回ほど単価のアップをされてあますし、ことしも大幅アップであるというようなことでありますけれども、まだまだ実際に即していない。御存じのように、いまはもう建設資材はめちゃめちゃに上がっているわけです。そういうことで、それに伴ってやはり建設単価というものをアップしなければ、同じようなことが最後の五カ年計画の中の終わりまでついて回る、これは当然考えられますけれども、そういうことについてはいかがですか。
  173. 沢田光英

    ○沢田政府委員 仰せのとおり、四十八年を通じまして、建築資材、それに伴いまして建設費は非常に上がっております。したがいまして私どもは、これに対応して事業を進めていくために、単価アップを過去二回、六月に一三%アップいたし、それから十月に一〇%アップいたしました。その後、石油問題が出てまいりまして、またまた大幅に上がるということなので、現在さらに、今度は標準建設費のアップということじゃなしに、個々のケースについて特別加算をしていくということで、現在、発注するものについて対処をしておるわけでございます。そうしていままでの値上がりでいきますと、ものによって違いますが、三〇%から三五%程度上がるということになっておるわけでございますが、私どもが積算をしてみますと、この一年に、現在の状態では、ものによって違いますが、二〇%から三〇%台の積算が出てまいります。しかしこの一月あたりには、入札をいたしますと相場の値段が出てまいりまして、五〇%とか四〇%、あるいはそれをこす入札結果というふうなものが出てきて不調に終わるというふうなことでございますが、鉄の問題につきましても少し頭を打ってまいりました。あるいはそのほかの資材についても、頭を打ってくる傾向のものも出てきております。そういう相場の問題から、実際のかかる値段というところに落ちつきますことを私ども目標といたしまして、四十九年度の予算は、公営住宅におきましては、四十八年度の単価の四六%弱上げておる。この辺のところで物価が安定方向へ向かいますれば、来年度は執行が十分できるというふうに考えておるわけでございます。
  174. 新井彬之

    ○新井委員 今回の単価を見ましても、中層耐火構造で大体平米五万五千円ぐらいですね。そうしますと、現在、そういうことで請負をさせた場合に、やはり坪に直すと三十万ぐらい、また平米十万ぐらい要るわけですね。そうしますと、当然市町村としては、それだけの超過負担というものはめんどう見切れない。まして現在の住宅というものが望まれておるのは、量の問題もありますけれども、質の問題も当然いま問題になっているわけです。したがいまして、二DKを三DKにしなければいけない、そういうことからいきますと、また大幅なアップということになるわけですね。したがいまして私は、民間自力建設でみんなが建てられるような施策、こういうことも大事でございますけれども、やはりどうしても建てられないというのがもう試算で出ておるわけでございますから、こういう公営住宅あるいは公団住宅、これが現実の上では、局長大臣も言われているように大きな問題になっているわけですから、その単価の問題というものを解決しない限りにおいてはこの予定戸数というものは消化できない、こう思いますけれども、この件について、大臣、いかがお考えになりますか。
  175. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 四十八年度の分をいかに消化させるかということで、この異常なる物価上昇のおりいろいろ苦心をいたしてきておるわけであります。その経験もとといたしまして実は四十九年度の予算単価をつくり出したということは、いま局長から申し上げたとおりでございます。したがいまして、物価抑制の効果も逐次鉄材等にはあらわれてきておることは、もう御承知のとおりでございます。高い石油を使わなければならないというような点も考慮に入れたといたしましても、前年度に比べまして四六%という単価増をはかっておりますので、私は十分消化をしていけるものと考えておるわけであります。
  176. 新井彬之

    ○新井委員 さっきも具体的に大体このぐらいかかるということを言いましたけれども努力はされておることは、確かにそれだけのアップがありますからわかりますけれども現実にそぐわなければこれはやはり達成できないと言っているわけです。したがいまして、今回こういうことでやってみて、もしもそれが現実にそぐわない場合には、直ちに単価を引き上げるというような方法をとられますか。
  177. 沢田光英

    ○沢田政府委員 先ほど、九万円とか、こういう相当高い値段のお話が出てまいりましたが、確かに一月時点、十二月の末時点では、そういう入札が地方の公共団体であったと私も考えます。しかし、先ほど申し上げましたように、これを平常の状態でのいわゆる積算、ほんとうの積算をいたしますと、十分その経費率などを見まして、先ほど申し上げましたようなせいぜい三〇%ということになります。あとは先行き不安の上のせというふうな価格が相場として出てきておりまして、そういう時期が十二月から一月にわたって非常にありました。最近ではややそれが下火になってきておる。したがいまして、九万円あたりでどうしても今後やっていかなければならないという事態は非常に異常で、家賃の問題にもはね返ります。御存じのように、超過負担が出れば家賃が上がります。したがいまして私どもは、あらゆる手段を講じて、この九万円とかそういうものにならぬような手を打ちます。そうして家賃にも影響が及ばぬような範囲で、先ほど申し上げました四六%、こういうふうなことで一応計画を強力に進めていくという所存でございますが、万一そういうものがいかぬ場合には、当然単価のいわゆる改定、こういう問題は本年度同様に考えていかなければならないというふうに感じております。
  178. 新井彬之

    ○新井委員 じゃ、次にちょっと家賃の問題でお伺いしますけれども、今回四・七%の金利が五%にアップされたということで、これも家賃の高騰につながるわけでございますけれども、先般、住宅公団から、赤羽二丁目の面開発の市街地住宅の家賃の試算はどれくらいになるか。これは今後できるわけでございますけれども、二DKで六十三平米、それから三DKで七十七平米、この家賃の試算がどういうぐあいになるか、お答え願いたいと思います。
  179. 沢田光英

    ○沢田政府委員 公団の家賃も政策家賃の一種だと思います。したがいまして、もちろん原価計算方式ではやるわけでございますが、金利を低くしてできるだけ下げるというほかに、各種の手法を講ずるということでございます。そこで、まず、いままでのやり方で三DKあるいは二DK、六十三平米、七十七平米のものをそのまま計算をいたしますと、家賃にいたしますと月に六万三千円から七万三千円、こういうふうなかっこうのものが出てまいります。これは、建築費が上がった、あるいは土地が非常に高い、平米当たり十三万程度の土地を買っておるわけでございますから。しかしこれは、公団の対象といたします五分位別の中の三分位程度を中心とする階層には、管理開始が五十一年、五十二年であったとしてもなかなか無理だというふうに感じます。したがいまして、傾斜家賃制度を四十九年度からは大幅に拡大していただいております。いままで、三年ないし五年というふうな範囲で、数千円のいわゆる傾斜をつけて最初を安くするという制度でございますけれども、これを大幅に五年ないし十年。こういう場合にはおそらく十年間、しかも傾斜の幅は、深さは大きくなりまして、そういうことのために私ども現在、管理開始の時期におきます家賃は二DKで三万七千円ないし八千円、あるいは三DKを四万四、五千円、この辺にいたしまして、所得の伸びと考え合わせまして一五%ないし二〇%の住居費負担で済むようにということをもくろんでおる次第でございます。
  180. 新井彬之

    ○新井委員 ただいま試算についてお話がございましたけれども、結局、傾斜家賃を十年ほどかけるわけですね。十年たちますと、この家賃がとにかく年に三千二百円ずつ上がっていくわけでございますから三万二千円、片方の三DKのほうは三千六百円ずつ年に上がって三万六千円ということで、もうほんとうに八万円を突破するような家賃になってくるわけですね。こういうことでは、もう庶民の住宅といいますか、普通の人じゃちょっと入れない、こういうことになってくるわけでございますけれども、この点についてどういうぐあいにお考えになっているか、お答え願いたいと思います。
  181. 沢田光英

    ○沢田政府委員 仰せのように、やはり傾斜家賃でございますから、十年で上がってまいります。初めの段階にいわゆる住居費負担として適正なところに家賃を持っていくという方針でございますが、この十年の間に、やはり勤労者の所得、入居者の所得というものは上がってまいります。したがって私どもは、いま言ったような家賃もそれほどつらいことではないというふうに考えておりますが、しかし十年間どういう動きをするかわかりません。また過去の例に見ましても、やはり所得も上がるが物価も上がるというふうなかっこうになってまいります。そこで私どもは、とりあえずこの十年の間はそういうことでいけるだろうと考えておりますが、しかし、次の五カ年計画を目標といたしまして、かように物価が上がる時代の家賃体系というのはいかにあるべきかということで、収入にスライドする方式等も審議会の提案で検討中でございまして、これにつきましては、年度中に中間報告が出るというふうなかっこうの審議が行なわれております。そういうものの結果も考え合わせて、やはりこの十年の間には、家賃制度の問題、あるいは政策的な問題、こういう問題が当然来るというふうに感じております。
  182. 新井彬之

    ○新井委員 この問題は何も公団だけではなくて、公営住宅もそういうぐあいにしなければならない時期に来ていると思います。先ほども申しましたように、公営住宅にしても、公団住宅もそうですけれども、そこを移って何とか一戸建ての家を持ちたいという人は八〇%程度いるという。とにかく狭すぎる、住居環境が非常に悪いということで、いろいろと公営住宅にもそういう問題があるわけでございまして、どうしても二DKを三DKにしなければいかぬということが公営住宅の場合でもいわれているわけでございます。そうして現在の地価あるいは建築費等で試算をいたしますと、どうしても公営住宅で家賃が二万七千円から二万八千円。これは大阪とか神戸とかの都市部ではございますけれども、そういう試算が出てくる。したがって入居者は支払いが不能だ、こういうことでその分については自治体が負担をしなければいけない。そこまでしなければ今後の住宅問題は解決しないのじゃないか、こういうこともいわれているわけです。  それでまた、先ほども超過負担という問題がありましたけれども地方公共団体としてはその超過負担をしなければいけない、あるいはまたそういう面の家賃的な補助も考えなければいけない、こういうことになってくると全くのお手あげである。こういうことで、考えられることは、当然やはり、いまお話があった補助制度をどうするかという問題、あるいはまた公営住宅そのものに傾斜家賃制度を取り入れる、こういうことをしなければならないときに来ていると思いますけれども、公団、公社、そうして公営住宅、こういうものに傾斜家賃をやる気があるかどうか、大臣の所信を一ぺん伺いたいと思います。
  183. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 仰せのとおり広げていきたいということで、四十九年度からやるようにしてある次第でございます。
  184. 新井彬之

    ○新井委員 それは公営もですか。
  185. 沢田光英

    ○沢田政府委員 公営住宅の家賃につきましても、この石油ショック以来の値上がりからいいますと、四十九年度の家賃は、先ほど言いましたように、単価を四六%弱上げておりますから相当上がります。したがいまして家賃が上がってくる。これにつきましては、地方公共団体のほうに現在指導しておりまして、この中で傾斜をとるというふうなことも考えるというふうに指導しております。ただしこれは資金繰りの面で公共団体のほうの問題もございますので、いま具体的な方法について打ち合わせ中でございます。しかし四十九年度からそれをやる方針でございます。と同時に、公社の賃貸住宅についても同様なことを考えております。
  186. 新井彬之

    ○新井委員 それから公営住宅に対する入居基準の問題でございますけれども、いままでそういうことでだんだん高い家賃になってきていますので、入居基準というものをひとつはっきりしなければいけない。住宅困窮度によって選別して順番をきめるという方法もあります。いろいろ検討されておると思いますけれども、この収入基準をいつごろ改定されますか。
  187. 沢田光英

    ○沢田政府委員 入居資格としての収入基準は毎年見直して、必要があればそのつど変えるということでございまして、四十八年度にも行ないました。また必要のつど、来年度におきましても見直して、必要があれば改定したいと思います。
  188. 新井彬之

    ○新井委員 それから今回住宅金融公庫も予算の単価がだいぶ上がったわけでございますけれども、これについても、現実的にはまだまだ足らないというのが実態ではないかと思います。これは政府のダブル貸し出しということで、厚生年金とか国民年金、こういうことで両方で貸そうということでやったのですけれども、なかなか借り手がなかったわけですね。この原因はなんですか。
  189. 沢田光英

    ○沢田政府委員 一つには、厚生年金の個人融資というものを、もちろん公庫が一部受託してやっておるわけでございますが、この制度がほんとうに動き出しましたのはたしか昨年の十月ぐらいだったと思います。したがいまして、その間の周知徹底といいますか、そういうものもまだ時期的にも時間がございませんでしたし、あるいはこちらの不足な点もあったかもしれません。そういう面で周知を欠いたというのが一つでございます。さらに、まあいろいろ打ち合わせをしておったわけでございますが、私、調べてみますと、手続の面でも、いろいろ実際やってみると申し込みに不便なところが多い。といいますのは、公庫がいわゆる厚生年金のお金を事業団から委託を受けて貸すということでございまして、そこに何年勤めておるとか、そういうふうなものの企業からの証明を、事業団がこれを確かめた上で証明書のようなかっこうで公庫に持ってきて、公庫の従来の資金と合わせて委託を受けた厚生年金の融資を行なう、かようなことになりますので、従来の公庫の融資の手続よりもさらに一そうほかの手続が加わったということでございまして、それも初年度でございましたからなかなかうまくいかないというふうなこともございまして、結局かなり予想よりも下回ったということでございまして、私どもは来年に向けましては、こういうものを十分活用するような反省をしたいと思います。
  190. 新井彬之

    ○新井委員 さっきも住宅ローンの問題がございましたけれども、住宅金融公庫というのは、それを建てるためにある公庫であるわけでございますから、当然そこが主力になって、あとの補助的なものを住宅ローンだとかそういうところで借りて、建てられるだけのものをつくらなければいけない。いま現実は別でありまして、自己資金をだいぶ持っていた上に、なおかつ少額の住宅金融公庫でお金を借りて、その上にまた今度ローンで多額に借りなければいけない。ところが現在ローンはがっちり締めていますね。それは、さっきもお話がありましたように、そういう選別融資ということで優位には入っておりますけれども現実にはそんなことになるわけないのですよ。ということは、一定のワクが締められて、そうしていままでの資金需要というものはもうきまっているわけですね、どこに幾ら要ると。それが締められているわけですから、一番そういうものがストップされやすいというのは、結局は、住宅のときだけ借りるとか、そういうようなところは一ぺんに締められてしまう。それはもうそういうシステムになっているわけでございますから。やはり住宅金融公庫のこの住宅問題というのは、どんなときであろうとも着実に進んでいかなければ、一ぺんに急に建つわけじゃないわけでございます。そういうことで、そういう面もひとつよろしくお願いをしたいと思います。  それから地代家賃統制令の問題で、これは大臣告示によって改正をしたために、統制額は一挙に約三倍になっておるわけですね。したがって、それとともにまた毎年値上げができるようになったということになっておるわけですけれども、公営住宅だとか公庫住宅というのではなくて、民間のそういうところにも、いまの物価の高騰だとかそういうことで、家賃にどんどん響いておるわけですね。それとともに、いま言っておるのは、この地代家賃統制令を大臣告示で改定したための問題ですけれども、そういうことがどういうぐあいに起こっているか、御存じですか、大臣
  191. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 よく承知をいたしております。
  192. 新井彬之

    ○新井委員 確かに行政訴訟も行なわれておりまして、これは大臣が被告になっておりまして、そして現実には、それこそいままで非常に安かったものが、一つの例をあげますと、一カ月三・三平方メートル当たり、昭和四十六年が百二十七円八十三銭、四十七年が百六十三円七十銭、四十八年が二百十七円八十二銭であるのに対して、地代家賃統制令が改正された結果、昭和四十六年が一カ月三・三平方メートル当たり百五十六円三十二銭であったものが、四十七年には五百二十二円九銭、四十八年には七百八円十一銭、こういうことでべらぼうに上がっているわけですね。したがいまして、公営住宅だけではなくて全体的な民間の住宅というもの、そういうことについて、今後どういうような考え方で建設大臣としては行なっていくかということをちょっと聞いておきたいと思います。
  193. 沢田光英

    ○沢田政府委員 地代家賃統制令の統制額の改定は実は昭和四十六年度に行なったわけでございますが、そのときの地代家賃統制令というのは、もともと昭和二十五年以前の百平米以下の住宅についてかかっておるわけでございまして、それ以後のものについてはかかっていないわけでございますが、たまたま改定の時期に例をとりますと、四十六年の時点におきましては、この統制令によります統制額というものは、家賃におきましては十二分の一という統計が出ております。これでは不当に家主が苦しめられるし、したがって家の手当てもできないということになりますということで、それを三倍にしたわけでございます。と同時に、おっしゃるようにスライドできるような方法にしたわけでございますが、それでもまだ当時におきましては、市価の家賃からいきますれば四分の一程度のもの、かようなことになっておる次第でございます。  ただ、私ども感じますのは、統制令の統制額が上がったから統制対象のものは上がって当然でございますが、統制令の適用のない一般の民間のものまで、統制令が上がったからといって便乗値上げをするというふうなことが非常に問題だというふうに、私どもも同様考えておりまして、これにつきましては、再三にわたりまして通達を出し、地方公共団体の窓口を開きまして、そういうものがあったら苦情を申し込んでいただいて、便乗値上げは厳に戒めるという方針をとっておるわけでございます。  それから、一般に地代、家賃が、もちろんいまの物価よりは上がっておりませんが、次第に上がってまいります。これにつきましては、やはり基本は、土地費なり建設費なり、こういうふうなものがどんどん上がりますれば、それに影響を及ぼされて上がってくるということでございまして、その辺の基本の問題に急激に進まないような手を打つということが根本問題だろうと思います。そのほかいろいろ税制その他で賃貸住宅の問題は優遇するということも措置として必要だろう、かように考えておる次第でございます。
  194. 新井彬之

    ○新井委員 なかなか現実はたいへんな問題でございまして、いま答弁がありましたけれども、そういうことではなかなか解決ができかねると思いますけれども、とにかく、そういうことをやられる場合には、先に手を打ってからやられるということが非常に大事であると思うのです。  最後に、時間がありませんからまとめて言いますけれども、道路公害、このことについて一つだけ聞いておきたいと思います。  四十七年度の公害苦情というのは、総理府の公害調整委員会がまとめておりますけれども、その中で苦情の種類には騒音とか振動が約三分の一の三二%を占めている。きょうもいろいろ指摘がありましたけれども、新しい道路をつくる場合になぜ反対をするのかということについて、結局はいまのままの道路ではもうわれわれの生活環境は破壊されるだけなんだということが非常にあるわけです。  たとえて言いますと、現在山陽高速自動車道が通ることについて非常な反対があるわけでございますけれども、それもその近くといいますか、新幹線が通ったわけです。そのときには、新幹線が通ることはいいことだといってみんなが賛成をして喜んでいた。ところが実際に通ってみると、振動だとか、あるいは騒音だとか、そういう問題でどうしようもない。そこでそのことを国鉄なら国鉄に言ってみても、だれもそんなことは取り上げてくれないということですね。そういうようなことで、いろいろないままでのやり方によって、みながもうこれじゃどうしようもないんだということで、道路反対である、こういうことにまずなっているわけでございます。そこをつくるときも、たとえて言いますと、山陽高速自動車道路を通る場合でも、市議会であるとか、あるいは県議会に陳情しまして、姫路あたりでは市議会で反対決議が採択されておるような状態です。だから、ほんとうにもう議会あるいはその地域住民あげて、そういう反対というものが起こっているわけです。  これも道路公団のデータですけれども、道路別の騒音陳情に対する処理件数。いままで、陳情件数というのが東名で六十五、名神で七十七、中央その他で四十一、合計百八十三出ておるわけです。その中で八十二は解決をされているということでございますが、年々そういう陳情件数というものがふえてきているわけです。初め問題でなかったところも、あまり車が多く通るのでやかましいということで陳情件数がふえてきていると思いますけれども、やはり大臣所信表明演説で言っているように、そういうような問題というものをきちっと解決をしていかなければ、これからの道路行政というものは当然行き詰まりが来る、こういうぐあいに思うのでございますが、その件についてお伺いしておきたいと思います。
  195. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 道路の路線決定等にあたりまして、路線決定のときは賛成しておっても、建設されてみて住民運動が起こるというケースもございます。やはり私ども行政に携わる者といたしましては、何といっても住民の福祉安寧ということを考えていかなければなりません。したがいまして、やはり道路をつくる際におきましても、いままでのようなやり方でいいのかどうかというようなことも、いろいろ検討されてきておるわけでございます。そうして四十九年度におきましても、道路の両側に緩衝地帯を置いて、道路の直接の騒音でありますとか排気ガスとかいうものの住民に及ぼす害をできるだけ少なくするような配慮も必要であろうかと思いますし、また、家並みのこんでおりますところにつきましては、烏山等で長年の間実験してやりました防音のシェルターでありますとか、そういうものを活用することによって、住民の安寧を確保するということも十分考えていかなければならないということで、建設省としても、道路局としても、そういう点を十分考慮をして今後の道路行政をやっていく予定でございます。
  196. 新井彬之

    ○新井委員 今後そういう住民運動といいますか、決してわけのわからない反対をしているわけじゃないのです。これはどうなんだということを聞かれたときに、適切な返事をして、そして直せるものはちゃんと直す、こういうことでやっていかなければならないと思います。そういうことについては今後いろいろあると思いますけれども、ひとつよろしくお願いしたいと思います。  最後に、一つだけまたお伺いしておきますけれども、現在、中小建設業者が非常に倒産をしておりますね。その件について建設省としてはどのような手を打たれるのか、お伺いしたいと思います。
  197. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 一番心を痛める問題でございまして、総需要抑制、仕事量は減る、金融は締められる、しかも資材値上がり資材が不足するということで、特に中小業界の方々が非常な苦労をいたしておられることは十分承知をいたしておるわけでございます。したがいまして、昨年におきましても、スライド制の官房長通達を出しましたり、また年末融資等におきましても、中小企業金融公庫、国民金融公庫等政府関係三機関からの貸し付けについて特段の配慮を建設業界にも及ぼすようにということで強く大蔵に要請をいたしまして、資金量の確保につとめておったわけでございまするし、また保証協会による保証の拡大をはかりましたり、一般市中金融機関に対しましても、特別融資をするように要望をいたしてきておる次第であります。  また、先ほど申し上げましたように、公共工事の請負契約につきましてはスライド制の適用、これは昨年暮れにやりましたのですが、そのやり方が非常にきびしくしぼったせいですか、一つも効果がないというような批判も実はあったわけであります。倒産の数もふえてきておる、こういうことで、実は今年の一月の十四日にさらに通達を出しましてその緩和措置をはかりました。それから発注単価の適正化というような問題についてもあれをいたしましたし、また前金払い制度の積極的活用。これは、国は契約して四割ですか、前金を払うわけでありますが、地方自治体は三割払うところはいいわけでありますけれども、工事が終わってからというようなところもなかなか多いわけでありまして、そういうところには、できるだけ国にならって前払いの制度をこの際活用してほしいという御要請をいたしておるわけでございます。  それと、実は大型公共事業を押えながら公共工事への依存度が高い地域に対しましては、極力事業量の確保をしなければならないということで、そのような指導をいたしておるわけであります。それは公共工事の繰り延べによる中小建設業者の受ける影響を極力緩和するためにはその措置が必要だからということでやったわけでございまして、さらに工事発注にあたっては極力中小企業のワクを確保するようにつとめるようにいたしておるわけであります。  また、きょうの新聞でもごらんいただいたと思うのでありますが、やはり中小企業は、どうしても仕事の量がありませんと、もう力がございませんために、倒産という最悪事態に追い込まれやすいわけでありますので、来年度の五月から六月ころが最も心配されるということでございまして、そのころ手持ちの仕事が全くなくなるというような陳情が最近非常に強く来ておるわけであります。したがいまして、そういうことのないように、中小企業に限って早期発注の体制を整えるようにということで事務当局に準備を命じておる次第でございます。  以上でございます。
  198. 新井彬之

    ○新井委員 じゃ、これで質問を終わりますけれども、とにかく今回のこの経済危機の影響というのは、建設業界の中小企業が一番こうむっているわけです。非常にまじめな方もおられますし、一社が倒産すると、ほんとうに五、六人でやっているようなところがまた連鎖倒産するというようないろいろのことがございまして、内容的にはいろいろ御存じだと思いますけれども、これ以上言いませんけれども、どうかそういう件についても気を配っていただきたい、このように思うわけでございます。
  199. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 仰せの趣旨をよく体しまして、中小企業の建設業界の方々が最悪の事態に追い込まれることのないように全力をあげていきたいと考える次第でございます。
  200. 木村武雄

    木村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後四時二十五分散会