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1974-05-09 第72回国会 衆議院 決算委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年五月九日(木曜日)     午前十時二十分開議  出席委員    委員長 臼井 莊一君    理事 井原 岸高君 理事 唐沢俊二郎君    理事 橋口  隆君 理事 原   茂君    理事 庄司 幸助君       愛野興一郎君    赤澤 正道君       小沢 一郎君    梶山 静六君       木部 佳昭君    中村 弘海君       羽田  孜君    藤田 高敏君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 原田  憲君  出席政府委員         科学技術庁研究         調整局長    千葉  博君         郵政大臣官房電         気通信監理官  浅見 喜作君         郵政大臣官房電         気通信監理官  佐野 芳男君         郵政省郵務局長 石井多加三君         郵政省簡易保険         局長      野田誠二郎君         郵政省電波監理         局長      齋藤 義郎君         郵政省経理局長 廣瀬  弘君  委員外出席者         厚生省社会局更         生課長     井手精一郎君         会計検査院事務         総局第二局長  柴崎 敏郎君         会計検査院事務         総局第五局長  中村 祐三君         日本電信電話公         社総裁     米澤  滋君         日本電信電話公         社総務理事   北原 安定君         日本電信電話公         社営業局長   玉野 義雄君         日本電信電話公         社業務管理局長 小畑 新造君         日本電信電話公         社計画局長   清水 通隆君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   松浦 隼雄君         参  考  人         (日本有線放送         電話協会常務理         事)      谷口治太郎君         決算委員会調査         室長      東   哲君     ————————————— 委員の異動 五月九日  辞任         補欠選任   石田 博英君     羽田  孜君   大石 武一君     愛野興一郎君   菅野和太郎君     梶山 静六君   中尾  宏君     小沢 一郎君   吉永 治市君     木部 佳昭君 同日  辞任         補欠選任   愛野興一郎君     大石 武一君   小沢 一郎君     中尾  宏君   梶山 静六君     菅野和太郎君   木部 佳昭君     吉永 治市君   羽田  孜君     石田 博英君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和四十六年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十六年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十六年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十六年度政府関係機関決算書  昭和四十六年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和四十六年度国有財産無償貸付状況計算書  (郵政省所管日本電信電話公社)      ————◇—————
  2. 臼井莊一

    臼井委員長 これより会議を開きます。  昭和四十六年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、郵政省所管及び日本電信電話公社について審査を行ないます。  この際、おはかりいたします。  本件審査のため、本日、参考人として日本放送協会専務理事松浦隼雄君、日本有線放送電話協会常務理事谷口治太郎君の御出席を願い、その御意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 臼井莊一

    臼井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人からの意見聴取委員質疑により行ないたいと存じますので、さよう御了承を願います。     —————————————  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。庄司幸助君。
  4. 庄司幸助

    庄司委員 まず、郵政当局にお伺いしますが、有線放送電話の件であります。  有線放送電話は、たしか昭和二十五年ごろ千葉県下で、有線放送設備送受話機を取りつけて簡単な通話ができる、こういうくふうがあって始まったと聞いております。それ以後二十三年ほどたっておりますが、この農山漁村において有線放送電話が発達してきた役割りは非常に大きいと思っております。  日本有線放送電話協会の調べによりますと、四十九年四月現在の施設が二千二百八、それから端末設備数が三百三十一万五千百五十となっております。非常に広範な需要家から歓迎されている数字がここにも出ているわけです。現在においてこの農山漁村における有線放送電話、これは地域経済あるいは生活、文化の発展、教育、あるいは防災、こういうものに非常に大きな役割りを果たしているんじゃないかと思うわけです。  そういう中で、有線放送電話については、昭和四十二年だったと思いますが、たしか政府から諮問された事項があったと思うのですが、あの諮問の時点と現在では、やはり有線電話についての認識も変わっていなくてはならないだろうと思うのです。あのころからいわゆる過疎化がどんどん進行いたしましたし、それから出かせぎなんかも相当ふえているわけですね。あるいは他県への中学生、高等学校生徒の就職なんかも非常にふえてきておる。そういう点での農家あるいは漁家とそういう出かせぎ先あるいは進学先との連絡、こういうものも非常にふえてきているし、また需要も拡大してきていると思うのですよね。しかし、どうも政府通信行政を見ておりますと、これは電電公社の例の設備拡充の五カ年計画ですか、あるいはこれは七カ年計画ともいわれておりますが、これで建設投資額が八兆五千億円、債務償還額が一兆六千六百七十億円、合計で十兆円をこしております。これは情報化社会発展に寄与するという基本方針になっておりまして、データ通信やあるいは画像通信、こういうものの拡充開発には相当力こぶ入れておりますが、しかし、どうも有線放送電話についてはほとんど何らの施策も見られないというのがこの計画中身だと私は読み取ったわけです。  その点でまずお伺いしたいわけですが、この有線放送電話役割りというものをどういうふうに認識しておられるのか、この辺からまず伺っておきたいと思うのです。これは郵政当局どなたでもけっこうですから、ひとつお答え願いたいと思います。
  5. 佐野芳男

    佐野政府委員 お答えいたします。  ただいま先生の御指摘のありました有線放送電話につきましては、創始以来、そのメリットといいますか効用といいますか、十分な効用があったということも皆さんの認められるところでありますが、郵政省としましてもこの電話につきましては、先ほど先生の御質問の中にありましたように、四十二年度の郵政審議会答申基本といたしまして、農山漁村地域における電気通信連絡手段として、その地域要求に合致する限り今後とも健全な育成をはかってまいりたいと考えてきておりましたし、この基本姿勢は全然変わっていないと思います。  なお、最近の農山漁村地域におきます社会的、経済的変化に伴いまして、当時と現在の考え方は相当変わっているのではないか、変わるべきではないかという御指摘でありますが、この有線放送電話につきましてもやはり種々な御要望、御意見が出ておりますので、これらの問題につきましては、農山漁村地域における電気通信サービスあり方についてさらに総合的に調査審議していただくために、昨年の六月に地域通信調査会というものを設置いたしまして、設置以来十数回の調査研究をお願いいたしまして、目下まだ鋭意御検討をいただいておるところでございます。今後この調査会の結果を十分参考といたしまして、従来の基本方針にさらに積み重ねて、今後の郵政省のとるべき施策というものを考えていきたいと思います。
  6. 庄司幸助

    庄司委員 通信白書によりますと、一六一ページにこう書いてあるのです。  現在、有線放送電話減少傾向にある、その原因はいわゆる地域共同体の変貌であるとか、あるいは都市効部都市化山間部過疎化がある、こういうところに原因があるのだといっております。ただ、新しいコミュニティーづくりに、また過疎化防止有線放送電話が逆に活用され得る余地があるともいえる。  それから第二番目として、公社電話普及によって廃止する施設も多い、これが施設経営を圧迫している要因になっていることも間違いないだろうと思うのです。しかし、有線放送電話は、今後公社電話と異なるユニークな特質、放送機能強化でその存在意義を示すことはできよう。  なお、そのあとで、建設コスト運営コストに比べ料金は低く押えられがちで経営が苦しいものが多いが、適正料金については検討されなければならないと、料金検討を物語っております。  それからさらにその後段のほうで、業務区域原則として同一市町村内だ、公社線接続についても通話範囲原則として同一県内だ、しかし、最近における人的、物的移動の拡大や、あるいは広域営農圏の設定、市町村を越える農協合併等有線放送電話業務区域接続通話通話範囲は根本的な再検討を迫られている、それで諮問して検討しているのだ、こういうくだりがあります。  こうしてみますと、いまの御答弁にもあったように、これは健全な育成をはからなくちゃならない、経済変化の事情もわかると言っておられるのですが、そういう認識に立っておられるならば、有線放送電話育成強化基本的な対策郵政省当局が持っておられなければならないと私は思うんですね。そういうような基本的な対策、これを持っておられるなら、諮問待ちじゃなくて、当面持っておられるものをお示し願いたいと思うのですが、その点をお答え願いたいと思います。
  7. 佐野芳男

    佐野政府委員 お答えいたします。  郵政省基本的な態度としましては、先ほど申し上げました四十二年度の答申の精神にのっとっているわけですが、その後のいろんな変化に追随して、今後有線放送電話あり方というものはどうあるべきか、もちろん公社電話のほうもどんどん普及してきますし、それからいま先生指摘のように既設の有線放送電話の数も大体減少ぎみにありますし、先ほどお話にありましたように、現在、四十七年度末では千七百二十五施設、約二百九十六万の端末数があるそうでございますけれども、それで……(庄司委員端末数が違いますよ。」と呼ぶ)ちょっとそれは、計算して締めくくった年度が違いますので……。各運営主体経営の楽さ、苦しさといいますか、非常に経営がむずかしくなってきておるということも先生指摘のとおりでございますが、現在の有線放送施設を将来どうすべきかということも含めまして、さらに先生指摘放送あるいは現在張られておりますネットワークを情報化社会に照らして何とかうまく使う方法はないかということも含めまして、先ほど申し上げました調査会にはかりまして検討していただいておるという段階でございます。
  8. 庄司幸助

    庄司委員 そうすると、やはり調査会答申待ちということになるのですか。
  9. 佐野芳男

    佐野政府委員 お答えします。  調査会のほうもかれこれ一年たちますし、なかなかむずかしい問題がありますが、そろそろ調査結果が出るのも間もないかと思いますので、もうしばらく待って、十分検討したいと思います。
  10. 庄司幸助

    庄司委員 これは大臣にひとつお伺いしますが、現在端末、つまり平たくいえば加入者ですね、これが三百三十一万世帯あるのですね。都市部の場合は非常に便利になりました。しかし、農村部漁村部の場合、電電公社はいろんな計画を持っておるようですが、なかなかこれはつけてくれません。そういう補完的な役割り一つは果たしておるわけですね、この有線放送電話が。しかも三百三十一万世帯が利用しているわけですね。こういう有線放送電話について、大臣、この意義をどのように認めておられるか。さっき事務当局からお答えがありましたが、大臣のほうからもひとつお答え願いたいと思うのです。
  11. 原田憲

    原田国務大臣 お答えいたします。  先ほど庄司委員が冒頭にお述べになりましたように、この有線放送電話というものの沿革は、地域社会、特に農山漁村というところでこれの連絡をとるのに考え出した一つの手法というものが、今日の沿革になっておるわけであります。そしてそれが非常に有効であるというので、政府でもこれに対して助成もし、今日、電電公社のいわゆる電話というものがたいへん普及をしてきております段階におきましても、いまの数字で三百三十万でございますかの多数の方々がこれを利用しておる、こういうことでございまして、その間に電電公社の行なう電話と、いま地域社会から発展してきた有線放送電話というもののあり方についてどうあるべきかということにつきまして、昭和四十二年でございますか、審議会を設けて審議をいたしましたその結果、地域社会発展のためにこの制度というものを伸ばしていこう、こういう結論が出てきておる、これが一つ基本態度であると申して差しつかえないと思うのでございますが、しかしながら、その後にも、いま述べておられますように、また当局からも申しておりますように、いろいろな問題が生じてきまして、これとどうして調整をしていくかということにつきましてもう一度考えてみなければならぬ、こういうことから、昨年の六月に調査会を設けて問題点についての御検討を願って答申をもらうべく、いまその過程にあるわけでございます。  この問題は、郵政省電信電話電波、これらのことを主管をしておりますが、農山漁村という問題になってまいりますと、これは行政上言いますと自治省だとか農林省にも及ぶところの問題も含んでおりますので、あらゆる場面からつかまえて今度の調査会答申を期待しておるわけでございまして、この答申を待ちまして検討し、今後に処していくというのが基本的な現在の態度でござ  います。
  12. 庄司幸助

    庄司委員 それで、これは事務当局でけっこうですが、有線放送電話施設ですね、つまり経営体実態、これはどういうふうにつかんでおられるか、この辺ひとつ具体的にお教え願いたいと思うのです。
  13. 佐野芳男

    佐野政府委員 お答えします。  全国の約千七百二十幾つかの施設の個々につきまして、これは別に調査資料がございますが、マクロ的に申し上げますと、全施設の、一施設当たりの四十七年度につきましての収入支出につきましては、事業収入が一年度当たり一千百四十四万八千円、それから支出につきましては一千三百八十五万三千円、収支差額が△の二百四十万五千円。それからこれ以外に、内容はいろいろあると思いますが、事業外収入、これが一施設当たり二百四万四千円、それから利用外支出というものが五十一万七千円、これで収支差額が百五十二万七千円。トータル締めますと、収入のほうが千三百四十九万二千円、支出のほうが千四百三十七万。結局、締めまして収支差額が△の八十七万八千円、約九十万ということになっております。いま申し上げましたように、施設総数は千七百二十五、一施設平均端末数は千七百十八でございます。
  14. 庄司幸助

    庄司委員 それで、私は若干の具体例を調べたのですが、これは平均とは違います。しかし、非常になまなましい実例もあるんですね。これは、いかに農協方々や漁協の方々がこの経営に苦心してこられたかという姿がありありと出ているわけですね。たとえば、これは京都の久美浜町の有線放送農業協同組合の四十八年度の業務報告書でありますが、これは当期欠損金は三万九千円ほどでありますが、この中で、やはり町当局から九十万円の助成も入れて三万九千円の赤字になっている。ですから、これがなければ九十四万円ほどの赤字になるわけです。  そして、この赤字原因はいろいろあります。一つ借り入れ金の利息が非常に高いという問題があるのですね。これは極端な例かもしれません。  そのほかいろいろ収入の面でやはり制約もある。しかもこの収入の面は、安くしているから赤字になるんじゃなくて、ほかより高いのですね。いわゆる電電公社一般加入電話と比べるとはるかに高いのです。たとえば接続手数料を見てみますと、加入者から発信する場合が十五円から三十円ぐらい取っている。それから今度は逆に相手から、いわゆる端末電話がかかってきた場合も着信手数料を十円取っている。これは一般加入者から比べるとはるかにひどい状態なんですね。相手からかかってきても電話料を取られるのです。これは久美浜だけではないだろうと思うのですが、こういういろいろと苦心惨たんして経営をやっているわけですね、あるいは広告収入をいろいろあげようと努力したり。だから一般加入者と比べると非常に高い負担金を払わされてやっているわけですが、こういう実態。  まだほかにもいろいろあるのです、時間の関係で言いませんけれども。これは一般加入者と比べるとほんとうにひどい差別待遇を受けてるものだ。しかも県外へはつながらない。あるいは県内へつなぐにしても非常に手数がかかるのですね。一般加入者ですと大体自動化されて、ダイヤルを回せばすぐ通ずるが、交換台でしばらく待たされるというのが有線放送電話の実情なんですね。  この有線放送電話意義については、大臣事務当局も私も、大体評価は一致していると思うのですが、その意義評価から比べると、こういった経営実態に対する把握なり、あるいは経営実態を把握した上での助成措置なりが非常に足りないのじゃないかと私は思うのです。その点で実は郵政省は何ぼこの有線放送電話設備助成しているかを調べてみると、郵政省補助は、昭和三十二年ごろは最高で四千二百七十五万円やっていたのです。ところが昭和四十一年になると五百万に削られちゃって、現在ではもう四百六十五万ぽっきりなんですね。たいへん重要な意義を持っているといいながら郵政省助成はきわめて少ないと私は思うのですよ。  これは農林省自治省防衛施設庁関係あるのですよ。それぞれから出てはおりますよ。しかし、防衛施設庁が出しているのは、これは防衛施設のある周辺だけですからね。それから農林省にしたって現在四百七十万円です。自治省はもう現在これはゼロです。  だから、その点私は、郵政省有線放送電話についての当面の措置として、少なくとも運営費補助ぐらい出す必要があるんじゃないかと思うのです。いま出している四百六十五万というのはおそらく研修費か何かのことでしょう、全国技術者を集めて研修会をやるとか。この運営費補助の面で少し考えてもらいたいと思うのですが、その辺お答え願いたいと思うのです。
  15. 佐野芳男

    佐野政府委員 お答えいたします。  いま先生の御指摘の件につきまして、有線放送電話に関する補助金ですが、いまおっしゃいましたように、郵政省といたしましては昭和三十六年から三十八年まで、これは御存じかと思いますが、公社電話との接続に関する三十三施設試験施設に対して、合計いたしますと総額八千四百四十五万円出しております。それから一方、これもいまお話がありましたが、社団法人日本有線放送電話協会が行ないまする技術指導等事業に対して、四十一年から四十二年度、これは五百万、四十三年度以降につきましては、少し落ちておりますが、四百六十五万の補助金をずっと交付してまいりました。  いま御指摘経常経費といいますか、これにつきましては自治省農林省との関係もあると思いますけれども、有線放送電話に対する郵政省の先ほど申し上げました基本姿勢ということもありますし、そういうことも含みまして、今後の助成措置につきましては調査会結論を待って、これも含めまして慎重に検討していきたい、こういうふうに考えております。
  16. 庄司幸助

    庄司委員 何でも調査会結論を待つと、こうなっちゃうんですね。結局、こういう経営実態で、現実にあなたがお出しになった数字でも一施設当たり九十万円の赤字が出ている。電電公社のほかの一般加入者、これは赤字も何もありませんね。  まあ、料金の問題その他についてはあとで詳しく触れますけれども、こうやって農村電電公社の手が伸びない——まあほかの意義もありますけれども、そういう点から赤字を出し出しやっている、地域のいわゆる電気通信の公衆的な仕事をやっているこの有線電話に、何でもかんでも調査会待ちだとおっしゃられるのでは、私はちょっと納得できないと思うのですよ。だから、当面できることは何かあるんじゃないかと思うのですが、その辺、当面できること何か考えてませんか。調査会待ち調査会待ちというけれども、来年三月高尾が来るなんてことわざもあるわけですからね。これはいつのことやらわからないわけです。当面の対策を少し答えていただきたいと思うのですがね。
  17. 佐野芳男

    佐野政府委員 有線放送電話に関しましてすべて調査会待ちではないかという先生の御指摘ですが、先ほど申し上げましたように、この調査会の中には学界の先生だとか、自治、農林のお役所関係だとか、あるいは協会とか公社、いろいろな関係の方が入っていますし、有線放送電話のいままでの価値といいますか今後のあるべき姿、あるいは効用というものも十分皆さん御承知の上で、現在ある公社電話とどう調和をとるかということで非常にむずかしい問題も入ってきておりますし、いま御指摘運営の問題も確かに御指摘のとおりでございますが、鋭意調査活動をいたしまして、もう十数回、あと二回で大体結論が出て調査資料が出るというふうな見通しになっておりますので、郵政省としましてももうしばらくがまんをしてその経過を待ちたい、こういうふうに考えております。
  18. 庄司幸助

    庄司委員 そうしますと、これは五十年度の予算に間に合いますか。
  19. 佐野芳男

    佐野政府委員 いまここで五十年度予算に間に合うか間に合わないかということは申し上げませんが、やはり中身を見た上での話になると思います。
  20. 庄司幸助

    庄司委員 これは事務当局じゃなかなか答えられない問題もあるだろうと思うのですが、大臣、その点、五十年度の予算にぜひ間に合わしてもらいたいと思うのです。大臣の御決意があれば可能なような気がするのです、いまのお話だとあと二回ですから。これは大臣、どうしても五十年度予算運営費補助なりあるいは経常費補助ですね、間に合うような御配慮をお願いしたいのですが、その点、大臣からひとつ御答弁をお願いしたいのです。
  21. 原田憲

    原田国務大臣 五十年度予算にこの問題に対するところの具体的な措置要望するということでございますが、具体化でございますから、何をするかということは、いま監理官から申しておりますように、調査会答申がもう二回、三回のうちに必ず出るから、これをもって行ないたい、こういうことを申しておるわけでございます。先ほど私が答弁の中にも申し上げましたが、いま庄司さんがおっしゃったように、農林省予算の中でもこの問題に関連しての助成策が講じられてきておる。自治省はいまはないようでございますが、これらの問題を含みまして、できるだけ御要望に沿うように私も努力をしてまいりたいと存ずる次第でございます。
  22. 庄司幸助

    庄司委員 それでは、その問題は強く御要望申し上げておきます。  有線放送電話協会常任理事の方いらしていると思いますので、参考人の方にお伺いしますが、経営実態からいって、どういう国家の援助が望ましいのか。接続範囲の問題はあとで伺いますが、いわゆる補助関係でどういう補助が望ましいのか、その辺ちょっと参考意見を聞かしてもらいたいと思います。
  23. 谷口治太郎

    谷口参考人 有線放送電話協会谷口でございます。  有線放送電話施設が創設された初期におきましては、農林省あるいは自治省その他関係各省の絶大な援助助成があったわけでございますが、その後ある期間を経た今日におきましては、いわゆる施設に対する財政補助といいますか、援助的なものはございません。先ほど先生お話がありましたように、全国の約三百万近い加入者の立場に立ちまして、その利益なりを保護あるいは維持していく責任を持っております当協会に対しましては、農林省及び郵政省からそれぞれ五百万余りの補助金をいただきまして、それぞれ運営管理なりあるいは技術指導を実施をしておる次第でございます。  なお、現在の各施設運営経営状況を見ますと、いろいろ物価高なりあるいは人件費の高騰等によりまして、かなりな施設経営がむずかしい状況にございます。これらに対しましては、それぞれ農業協同組合あるいは市町村長、地方自治体が何らかの形で援助をいたしておりますが、われわれといたしましてはさらに政府の強力な財政援助を強く希望いたしております。去る三月に衆参両院議長あてにそれぞれ請願書を提出いたしておりますが、その中にも有線放送電話育成強化に関する請願の内容におきまして、有線放送電話設備の新設、改修につきましては、その公共的役割りにかんがみ、設置なりあるいは改修についての補助を実現していただきたい。あるいは設備の新設、改修に際しましては、融資金利の大幅引き下げ、起債ワクの拡大をはかっていただきたい。それから設備の維持管理に要する経費に助成措置を講じ、特に山村、過疎、辺地地域には大幅な適用を考慮していただきたいというような請願をいたしております。そういった点につきまして、われわれといたしましては特に政府の強い御援助なりあるいは御協力を希望する次第でございます。
  24. 庄司幸助

    庄司委員 もう一ぺん参考人に伺いますが、あなた、郵政省御出身ですからといって、あまり当局に遠慮なさることなんかあってはまずいですから、忌憚のない、需要家の立場に立ってひとつお答え願いたいのです。  電電公社一般加入電話有線放送電話の格差の問題、一番不自由に感じておられる問題ですね、あるいは料金の面その他で一番不合理だと思われる点はどういう点か、ひとつ率直に、端末需要家の立場に立ってお答え願いたいと思うのです。
  25. 谷口治太郎

    谷口参考人 先生よく御存じと思いますが、有線放送電話は、一応農林漁業地域地域内における情報通信の手段として発達をしてまいったわけでございます。公社電話は、全国あまねく通話ができるという一つの機能あるいはそういう目的を持っておるわけでありますが、一番大きな両者の違いは、いわゆる通話の待時範囲の問題でございます。現在有線放送電話は、原則として県内一中継というワクがございますが、おおむねその県内公社電話なりあるいは有線放送電話加入者通話ができるようになっております。そこが一番大きな違いといいますか、そういう点であろうかと思います。
  26. 庄司幸助

    庄司委員 料金の問題ではどうですか。
  27. 谷口治太郎

    谷口参考人 料金問題につきましては、架設費が公社電話よりは比較的低廉であるということと、架設後の運用費が現状におきましては、公社電話の毎月の基本料あるいは維持費でございますか、そういうものから見れば、現段階におきましては若干低いということが申せます。
  28. 庄司幸助

    庄司委員 では私から申し上げますが、これはおたくが出された四十八年十二月十二日付の「農村漁村地域における現行電通信サービスの問題点について」という資料がございます。これは全部申し上げる時間もありませんから要点だけしぼって申し上げますが、これによりますと、いわゆる電電公社の局との関係でありますが、一施設当たり約八・九回線入っているということになっておりますね。これは二百十一戸について一回線だということになるわけです。しかも相手電電公社の局が委託局が大部分だ。委託局の場合は手動局ですね。こういう実態がある。  実は調べてみたのですが、有線放送電話の発信の回数、これが電電公社の回線一回線当たりに一日四十・一回だ、発信の場合。それから着信が五十二・六回だ。これは一般家庭に比べると非常に効率が高いといえますね。一般加入電話の場合、一日平均何回になっておりますか。これは電電公社の方からお伺いしたいのですが、一般家庭の加入電話の利用回数、私のほうは一日四回と調べておりますが、大体間違いありませんか。
  29. 小畑新造

    ○小畑説明員 お答えいたします。  正確な数字はちょっとつかんでおりませんけれども、発着で大体一加入当たり十度数、十回くらいかと思います。
  30. 庄司幸助

    庄司委員 発着で十回。私、発信の場合四回と言ったのですが、これは発着にしても大体十倍くらいの開きがありますね。有線放送電話は、発着で電電公社の一回線当たり約百回です。ところが、一般家庭の加入電話は十回だ。非常に一回線当たりの効率がいい、こう思うのですね。  ところが、これについて料金の面で見ますと、有線放送電話の場合は、一回線一カ月平均二万一千六百八十三円という数字が出ております。ところが、これに対して一般加入者電話料金、これは一カ月平均で四千七百十一円だ。同じ一回線使って、いわゆる公社電話を直接使っている方は四千七百円で済んでいる。ところが有線放送電話の場合は二万一千六百八十三円、約五倍くらいの違いがあるのです。非常に不公平だと私は思うのですが、電電公社の総裁、この点どう思われますか。
  31. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  有線放送電話の効果といいますか地域社会における役割りというものは、先ほど郵政大臣がお答えいたしたとおり、私たちもその効果というもの、また地域社会における重要性、十分認識しております。  ただいまの、確かに一回線当たりの値段は違っておりますが、ただ有線放送の場合には、これが搬送式のように通信と放送とが分離されておるという場合には、確かにいまの比較は問題になると思うのですが、実際には放送があり、しかもそこに通信がある、いわゆる両方の機能を持っておりますので、ちょっとそこで比較して料金問題を取り上げることはむずかしいのではないかというふうに考えます。
  32. 庄司幸助

    庄司委員 それは私はおかしいと思うのですね。この電気通信法の第一条にこうあるでしょう。「この法律は、日本電信電話公社及び国際電信電話株式会社が迅速且つ確実な公衆電気通信役務を合理的な料金で、あまねく、且つ、公平に提供することを図ることによって、公共の福祉を増進することを目的とする。」ところが農村や漁村ですね、こういうところの公社の加入電話数は、遅々として進んでいないわけですよ。これは全面的な側面ではありませんが、一面的に見ればそれを補完する役割りですね、この有線放送電話は果たしておるわけですよ。日本国民ならだれでも、農村にいようが過疎地にいようが山の中にいようが、あまねく公平にこういう電気通信の利便を受けられる、これが第一条の目的です。それがなかなか進まないから、補完的な意味ですよ、これは一面ですが、全面ではありませんよ、この有線放送電話が果たしている役割りは非常に大きいのです。ところが、有線放送電話赤字経営を続けながら——電電公社赤字とかなんとかおっしゃっておりますが——赤字経営を続けながら何らの補助もなしに、しかも料金は一回線あたり五倍近くもとられている。これは非常に不公平で、第一条の目的からいっても私はおかしいのではないかと思うのですよ。  一方、これはこの間の逓信委員会で問題になりましたあれですが、データ通信の事例であります。上田短資という会社ですね。これはデータ通信については一本当たり月二千二百八十三円です。朝から晩までかけっぱなしでも二千二百八十三円。こういういわゆる大企業には不当に安い料金で、しかもデータ通信は赤字でやっておきながら、有線放送電話についてはこういう料金上の差別も実質的にあるというのはおかしいと思いませんか。これはぜひ総裁に考えてもらいたい問題だと思うのですよ。その点ひとつお答え願いたいと思います。簡潔にお願いします。
  33. 玉野義雄

    ○玉野説明員 いまの料金の問題でございますが、先生お話ございましたように、有線放送電話につきましては、御要望によりまして、定額制でいきたいとおっしゃる方には定額制でまいっておるわけでございます。そうなりますと、先生がいまおっしゃっておりましたいわゆる委託局のような手動局でございますと、市内通話につきましては千円から二千七百円の定額で、もう何回おかけになっても月この定額しかいただかない。その選択をおまかせしておりまして、定額制でやっておられる方のほうが、全体の割合からいいますと五〇%をこしておりまして、多くなっておるようなわけでございます。いま先生のおっしゃった従量制、かけたつど取るという計算だと思いますが、そのかけたつど料金を取るいわゆる従量制といいますか、これでやりたほうがいいとおっしゃる方はそれにしておりますし、そうでなくて、もう何回かけても同じという定額制でやってほしいという方には定額制でやっておるわけでございます。
  34. 庄司幸助

    庄司委員 それはその区域内だけじゃなくて、県内、たとえば宮城県の気仙沼から宮城県の白石まで市外通話を何回かけても同じなんですか。
  35. 玉野義雄

    ○玉野説明員 それは従来申しております市内通話といいますか、それについてだけでございます。ですから市外はやはり従量制になってまいります。
  36. 庄司幸助

    庄司委員 ですから、そんなことおっしゃられたって、農民や漁民は納得するわけないのですよ。こういう不公平がある、その上に不便がある、こういう格差の問題ですね、これはどうしたって解決してもらう必要が緊急にあると思うのです。  その点で、いわゆる範囲の問題で一つ伺いますが、先ほど参考人から、範囲の問題でもいろいろ要望があるというふうに抽象的な御答弁しかもらっておりませんが、おたくの資料を見ますと非常に切実な範囲の拡大、県内だけではまずい、ぜひ全国につながるようにしてもらいたいという資料があるのですね。この辺、参考人はさっぱりお述べにならない。これはやはりき然として需要家の立場に立ってもらいたいと思うのですよ。  これで見ますと、いわゆる県外入学の事例のパ一センテージ、それから県外就職のパーセンテージ、県外出かせぎのパーセンテージ、こういう詳細の資料が出ているのです。しかもこれは大臣に聞いてもらいたいのですが、私は東北です。東北で、出かせぎに行ったきり家庭に戻らないという事例が非常にふえているのですよ。連絡が悪いのですね。もしもこの有線放送電話で、一週間に一ぺんとか月に一ぺんでもいいから家庭のおとうちゃん、おかあちゃんと肉声で会話していれば、やはりきずなは残るのですよ。ところが、そういうものもない上に過疎化が進んで、いわゆる農民切り捨ても進んでいるわけで、東北の農民、非常に苦労しているわけです。だからその点でも、全国通話できるようにしてもらいたい。  その点、私は何か技術上の問題やら法律上の問題やらがあるやに伺うのですが、参考人からその点で、技術上はどうなのか、おたくの設備が技術上欠格しているのか、あるいは自信があるのか、あるいは法律上の問題でどういう問題点があるのか、これを一言簡単に述べてもらいたいのです。
  37. 谷口治太郎

    谷口参考人 通話範囲の拡大は、先ほどちょっと触れましたが、われわれの会員約三百万が多年にわたりまして強く要望しておる問題でございます。  そこで、ただいまの御質問でございますが、一応電電公社の技術基準というのが定めてございます。それによりますと、加入者から相手加入者までの通話の伝送損失というのが三十二デシベル、これは国際的な一つの基準になっておりますが、それと比較いたしますと、有線放送電話施設が、全部はそれには該当いたしませんが、若干の改良措置を講じますればおおむねその基準に入るということを私どもは検討いたしております。  それから法律制度上の問題でございますが、これは御承知のように公衆電気通信法に一応規定がございまして、有線放送電話接続通話に関しましては、原則として県内一中継に限るということになってございます。
  38. 庄司幸助

    庄司委員 電電公社はその点どうですか。技術的な問題でいま参考人から意見が述べられたわけですが、電電公社はどういう御意見です。
  39. 北原安定

    ○北原説明員 お答えします。  通話をする際に支障なく話し合いができるようにするということで、国際間にも委員会がございまして技術の基準をきめております。わが国もその国際会議に参加しております。ただいまのところの国際会議の基準では、AENという単位を使っておりまして、四十九デシベルに入るように全国のネットワークを私たちはつくっておるわけであります。これによって国際間の通信も支障なくできるようになり、国内の通信ももちろん支障なくできるようにしております。  そこで、その場合に、御質問の有線放送電話設備公社設備接続いたした場合に、それは先ほど御指摘のように、おおむねもよりの親局——自動局もございます、磁石の局もございます。それに接続しまして許し得る限界は、おおむね七デシベル、マキシマム九デシベル以内ということで規定されてまいります。その範疇で現在の有線放送設備を拝見いたしますと、ほとんどの設備全国のネットワークにはちょっと接続が無理というように考えております。
  40. 庄司幸助

    庄司委員 参考人電電公社当局と、若干食い違いがあるのですね。若干じゃなくてだいぶある。その点、参考人どうです。
  41. 谷口治太郎

    谷口参考人 これはそれぞれ個々の施設当たりませんと断定的な意見というものは出ないわけでございます。現在郵政省地域通信調査会におきましていろいろ審議をいたしておりますが、そのときにわれわれのほうから提出をいたしまして説明いたしました資料等からしますれば、先ほど申し上げましたような若干の施設といいますか、要するに施設全体じゃございませんので、一つ施設につきまして、いわゆる有放の交換機から四キロあるいは五キロ以内の地域にある端末につきましては、おおむね公社の定めておる基準に該当する、それ以遠の端末につきましては、ある程度の改良措置を講じませんと基準に該当しないということでございます。  なお、私ども、現在約千七百の施設がございますが、そのうち接続範囲を拡大する希望を持っておる施設が約七百でございます。現在、県内中継接続をやっておる施設が約九百十一ほどございますが、その八〇%相当が接続範囲を拡大してほしいという希望を持っております。したがって、千七百のうち千施設は、現に公社との接続をやっておりませんし、将来その接続を始めるとか、あるいは範囲を拡大するという希望は持っておりません。したがって、約七百の施設につきましては、かなり設備も優秀な設備を持っておりまして、技術的にもかなり高い水準の施設でございます。だから、千七百全部につきましてどうかということになりますと、中にはかなり落つるものもある。それは落ちてもいいわけでございます。公社との接続を現にやっておりませんし、希望を持っていないということでございます。
  42. 庄司幸助

    庄司委員 そうしますと、要約するとこうなると思うのですね。希望は約八〇%ある、希望しているところは大体適格だ、それから適格でないところも改善すれば適格になる。  そうしますと、ここで障害になって残るのは電気通信法、これの改正が一つですね。それからもう一つは、その施設の改善、これをどうやるか。私はこの二点にしぼられると思うのです。  いままでいろいろ述べてきましたように、有線放送電話の使命や現在の経済的な状況からいくと、また社会的な環境から言っても、通話範囲全国に拡大するということはやはり非常に大事なことだろうと思うのです。これは白書にも書いてあるとおりですね。  そうすると、この法改正の問題、これは答申待ちということにあるいはなるかもしれませんが、大臣としてこの法改正について、いままでのやりとりをお聞きになって、これは改正する必要があるなとお感じになったかどうか、それから改正すべきである、こういうふうに思っておられるかどうか、その辺ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  43. 原田憲

    原田国務大臣 お答えいたします。  この電気通信というものがまだ十分行き届かない時代に、地域地域で起こった一つの方法というものが農山漁村におけるところのいまの有線放送電話、こういう形で一つある。もう一方においては、世界につながるところの電話電気通信というものを鋭意国全体に伸ばしていく、法律の精神として伸ばしていく、電電公社の現在の公衆電話の方法があるわけであります。しかも、それがたいへん進んでまいりまして、五十二年度には積滞数もなくしようというところまで来ておる。その際にどうするかということにつきまして、この問題を踏まえて現在調査会で御検討を願っておるところであります。したがいまして、私といたしましては、この調査会答申を待ちまして今後に処してまいりたい、このように考える次第でございます。
  44. 庄司幸助

    庄司委員 電電公社の総裁、この点で、農村山村漁村も含めて積滞数をなくす、この積滞数の中に有線放送電話加入者、三百三十一万ほどですね、これも入っていますか。これは事務当局でもいいです。
  45. 清水通隆

    ○清水説明員 計画局長でございますが、私から答弁させていただきます。  ただいま御指摘になりました、積滞の中に含まれておるかどうかという問題でございますが、一口に申し上げますと、含まれておるということに申し上げたほうがいいかと思います。  簡単に申し上げますと、有線放送電話をお待ちの方でも、やはり公社電話を希望される方が現実にいらっしゃいます。そういった方は普通の形での電話の申し込みをなされておるわけでございまして、そういったものを含めてわれわれは積滞として処理いたしておりますし、この五次五カ年計画の千五百三十万というものの中にもそれらを若干見込んでおるわけでございます。
  46. 庄司幸助

    庄司委員 それは若干なんです、希望者はね。しかも一方では、有線放送電話の別な意義答申の中には認めているわけだし、それからこの白書でも認めているわけですから、やはりその点、有線放送電話範囲の国内への拡大、これはどうしても私は必要だろうと思うのです。  それから、この有線放送電話公社との関係での諸矛盾ですね、これなんかも、実は問題まだまだあるのです。  最近、都会のひとり暮らしの老人あるいは寝たきり老人には電話施設してあげるというような市町村もふえているわけです。ところが、この農村、漁村、山村ではそれすらかなわない。そういう中で、若い方々が出かせぎの最中にお年寄りがなくなって、一週間もだれも知らないでいた、こういう事態が宮城県内にもあるのです。これは各地にあるわけです。  これは郵政大臣ね、大臣は大阪御出身ですからどうのこうのと言うわけじゃありませんが、実際、山村や漁村、農村実態をよくつかんでいただきたいと思うのですよ。その上に立って、いま有線放送電話協会要望している事項やあるいは個々の施設要望している事項、これをぜひ前向きに、しかも早期に解決をはかっていただきたい。これ、大臣から最後に所信をお聞かせ願いたいし、電電公社の総裁もこの点ひとつ考えてもらいたい。  もう一つは、電電公社の総裁にお聞かせ願いたいのは、料金の問題、あるいはいわゆる自動電話、これもくふうすれば、農集で有線放送電話につながらないことはないのですね。これがほとんど手動局経由だという実態もあるのです。その辺、電電公社の総裁としてひとつ前向きに御検討を加えていただきたいと思うのです。その辺で総裁からも所信をひとつ表明していただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  47. 原田憲

    原田国務大臣 お答えいたします。  庄司さんに申し上げますが、私は大阪出身でございますけれども、日本の国の政治を担当いたしておるのでございまして、農村の問題も都会の問題もともに、われわれ人間生活の環境をよくして、住みよい環境をつくって、しあわせを目標にして進んでおるのでございまして、日本の国が、戦前、食べることができないから、都会からも農村からも外国へ移民しなければならなかったというような状況から、今日脱却して、一億人が国の中で何とか過ごせるところまで来ておる。見方によっては世界の国々の中で、第三世界という方々のところから見ると日本は恵まれておる、こういうところまで来ておりますけれども、昔は東北地方では、飢饉があると娘を売った。ところが、今日ではそういう話はないけれども、あなたのおっしゃるように、今度は出かせぎという面が見られる。これらのものをどうつなぎ合わして環境をよくしていくか、こういうことで、一つの通信方法をもって、出かせぎをしておるところのおやじさんあるいはきょうだいに山の奥からでも電話がかけられたらと、こういうことで環境のよさというものが持たれるのではないか、こういうことになってくると思うのでございまして、私は、これらに対しまして極力最大の努力を傾けて環境づくりをしていかなければならないということをたてまえとして、行政を進めてまいりたいと存じております。したがいまして、そのためにいま答申を求めておるところでございますから、これが出ましたならば速急に具体的な方策を進めまして、庄司委員、いろいろ有益な御意見をまじえてお尋ねもございましたが、問題を解決するように進めてまいりたい、このように考える次第でございます。
  48. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  電電公社といたしましても、過疎地域の通信の拡充につきまして、非常に関心を持っておるところでございます。ただいま郵政大臣が御答弁になりましたが、私も、有線放送はその地域社会におきまして非常に重要な役割りを果たしておるというふうに考えております。十分認識しておるつもりでございます。  なお、最後に御質問ございました自動化につきましても、公社として今後とも五次五カ年計画、また、その後につきましても自動化に対しましてさらに進めると同時に、加入区域を現在いろいろ拡大しておりますが、この加入区域の拡大等につきましてもさらにこれを広げていきまして、過疎地の通信の拡充に十分努力していきたいと思います。
  49. 庄司幸助

    庄司委員 終わります。
  50. 臼井莊一

    臼井委員長 次に、原茂君。
  51. 原茂

    ○原(茂)委員 協会松浦さんの時間の都合もおありのようですから、最初に、いま計画している通信放送衛星、この問題について少しくお伺いいたしますが、少し欲ばって問題をかかえ過ぎていますので、簡潔にお答えをいただいて進めていきたい、こう思います。  最初に、どなたにお伺いしたらいいのかわかりませんが、ことし、たしか米国のATS−F、この実験衛星が打ち上げられるはずだと思うのですが、この様子を御存じでしょうか。なお、来年度になりますと、カナダのCTSが同じく実験衛星として打ち上げられることになっていますが、こういうものの様子をやはり当然勉強もしなければいけないはずですが、どんな状態になっているか。郵政省関係かあるいは電電の関係か知りませんが、協会でもいいのですが、その様子をちょっと先にお伺いしておきたい。
  52. 齋藤義郎

    ○齋藤(義)政府委員 御質問のATS−F、これはことしの五月ですから今月ですが、打ち上げられる予定でございます。それからカナダのCTS、これも放送衛星でございますけれども、これを一九七五年、昭和五十年打ち上げられるという予定になっております。
  53. 原茂

    ○原(茂)委員 この種のものを日本でも勉強のために、実際に打ち上げの状況、打ち上げ前の準備、施設その他を視察に行っていますか。全然視察はしてないですか。
  54. 齋藤義郎

    ○齋藤(義)政府委員 これまでもあらゆる機会をとらえまして、打ち上げの実験の模様を見学したり、あるいは技術的なデータをもらったりということで、できるだけ努力はいたしております。
  55. 原茂

    ○原(茂)委員 特に今月打ち上げるアメリカに、打ち上げられるのを実際に勉強、視察に行っているのでしょうか。
  56. 齋藤義郎

    ○齋藤(義)政府委員 ATS−Fにつきましては、いまのところ計画はございません。ただ、データその他につきましては十分にちょうだいしたいと思っています。
  57. 原茂

    ○原(茂)委員 過去には視察に行ったことがあるかもしれないが、少なくともいま、卑近なものとして勉強になる今月打ち上げのアメリカに視察をしないというのはどういうのでしょうね。日本の場合、五十一年に打ち上げを計画しているでしょう。やはりある程度この種のものの視察を、十分に技術者が行って見てこないと、広範な勉強をしてこないといけないのじゃないか。まあ五十一年打ち上げだという計画あとで聞きますけれども、その状況の中で、いまの世界で、放送衛星というものがほんとうに打ち上げられたのはないでしょう。まだ実験段階なんでしょう。
  58. 齋藤義郎

    ○齋藤(義)政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  59. 原茂

    ○原(茂)委員 それでどうしてアメリカに行って視察するというようなことを必要としないのでしょうかね。  では、先に進んでいきますが、現に、五十一年打ち上げという予定を立てて、いま放送通信衛星が四十八年度八億七千万か、予算をつけてスタートをしている。五十一年までにどれくらいの予算がつくのか知りませんが、そういうようなことをやっているときに、打ち上げはアメリカにたよるというようなことも決定をしているようなんですね。本来ですと、この宇宙開発に関するときからいうと、やはり国産の開発というのが主体でなければいけないというふうに私どもは読むのですが、それを、ロケットの打ち上げはアメリカに依存をする。まあ、ロケットに関して日本では相当長い間苦労をして、いま開発をしている。そのロケットをアメリカに依存するということも少しふしぎなんですが、そういうような、アメリカ自体が現に打ち上げようとしているものを実際に勉強してみよう、見てみようということにならないと、五十一年打ち上げという日本のこの計画が何か絵にかいただけであって、実際に私たち日本のものになりにくいのじゃないかという気がするのですが、そういう必要はないのですかね。全然視察する必要はない、こう言い切っていいのでしょうか。
  60. 千葉博

    千葉政府委員 外国の視察でございますが、これにつきましては、実はもうたびたび米国に参りまして、それでこの通信、放送衛星関係のいろいろな施設について、その技術者と打ち合わせはいたしております。この計画を決定する以前、それからさらに決定したあと、この衛星をつくってまいります、またいわゆる開発し、そしてこれを打ち上げる、こういった段階についてのいろいろな技術的な問題について米側と、特にNASAあるいは製作します技術を持っております企業と、よく打ち合わせはいたしておるわけでございます。特に宇宙開発委員会はこういった計画を決定いたしておりますので、それ以前には網島委員あるいは吉識委員が米国へ参りましてつぶさに視察し、その内容をよく把握してまいりまして、それでこの計画を立てた、こういうことでございます。  それから、第二点の打ち上げでございますが、打ち上げにつきましては、もう先生御案内のとおり、従来の宇宙開発計画は、日本のロケットでみずからつくった衛星を打ち上げる、こういった計画基本になっておるわけでございます。先生指摘の通信、放送衛星あるいは気象衛星、この三つの衛星につきましては、従来、昭和五十四年前後ぐらいのところだという大体の腹づもりで、それでみずからつくり、自分のロケットで打ち上げようという内々の考え方で、宇宙開発委員会はいろいろと研究開発を進めておったわけでございますが、利用者側の強い御意向もございましてこれを五十一年に繰り上げた。そういたしますと日本で開発するロケットでは間に合わない、こういったような事態になりますので、これを米国に依頼したということでございます。
  61. 原茂

    ○原(茂)委員 では、それはあとでまた出てくるでしょうから……。  そこでお伺いしたいのは、五十一年打ち上げというのはもう決定的な目標になっているわけですが、しろうとが考えますと、世界でもまだ、アメリカが初めて打ち上げようとしている実験衛星、こういうものを、五十一年を目途に日本がどうしてもやらなければいけないという理由は一体何なんだろうということが、ちょっとふしぎになるのですが、一度そういう経験、実験を見た上で、少なくとも打ち上げロケットですらが依存しなければいけないような——おっしゃるとおり、五十四年の当時になったら、いいかもしれません。しかし、そんな状態であるのに、人に頼んでまで五十一年の打ち上げをどうしてもやりたいんだということを、どういう理由でお考えになったのでしょうね。それから、いまお話がございましたが、宇宙開発委員会も、なぜこれが必要なのかという論議、どうして五十一年に打ち上げなければいけないかという理由づけの審議ですね、あるいは打ち上げた衛星をどう利用するかというようなことの論議、開発委員会でそういう三つの点に関して具体的に論議をされたわけなんでしょうか。もしされたとするなら、その宇宙開発委員会の討議の記録をなるべく早く、後刻お見せをいただいたら非常に参考になるのですが、それができるかどうかもあわせて四つ、千葉さんからもう一度お答えいただきます。
  62. 千葉博

    千葉政府委員 宇宙開発委員会におきましてなぜ五十一年に決定したんだろうかということでございます。それから、その審議の状況はどういうことなんだということでございますが、通信、放送両衛星につきまして、一昨年の夏でございますが、利用者の所管官庁でございます郵政省側から強い御要望がありまして、どうしても五十一年に上げてほしいということがこの委員会に要望されたわけでございます。そして、その御要望を受けて委員会としても検討したわけでございます。  それで、これはまず宇宙開発の手順を申し上げるとよくわかると思うのでございますが、宇宙開発は段階がござまして、まず第一が概念設計を行なう。システムを幾通りにも考えて、そしてそれを今度いろいろ検討してみる。それから第二段階が予備設計の段階に入るわけでございます。それでだんだんしぼっていく。そこまではどっちかといいますと利用官庁なり、要するに利用者側が十分詰めまして、それで、こういったものがこういうぐあいに要るんだということが明確になってくる。そのあと今度は基本設計に入るわけです。そこからがいわゆる開発で、その前の段階は開発のためのいろいろな研究だ、こういうような手順があるわけです。  それで基本設計に入って、それから製作にいきます。そして最後に打ち上げ、こうなるわけでございますが、いわゆる概念設計と予備設計の段階がまだ十分にやられていない。だから、まずそこのところをよくおやりになって、もう少し固めて、そのあとで、開発に入るというところでいわゆる宇宙開発計画の中に載せるという段取りになるのですという見解を委員会は持っておるし、また従来、そういったような手順を経ておるわけでございます。  それで、利用者の強い御要望はよくわかります。ですが、そういった手順があるので、その辺を利用者の官庁でよくお詰めになってということで、それで四十八年度の予算につきましては、利用官庁である郵政省が中心になりましてその前段階の研究を進めておった。そして昨年の十月ですか、これがはっきりいたしまして、それではということで宇宙開発委員会におきましていろいろ検討いたしました。それで最終的には三月に宇宙開発計画の見直し、これは毎年やっておりますので、この見直しをことしの三月になりまして行ないまして、その際に、二つの衛星を五十一年度に打ち上げる、米国のロケットを借りて打ち上げるのだということをきめたわけでございます。  そういった経過でございますが、宇宙開発委員会は、御案内のとおり利用についての所管はないわけです。衛星をつくってロケットで打ち上げてトラッキングするという、いわゆる開発の所管でございますので、したがいまして、政府部内としては利用についてはこれは当然と思いますが、通信については、通信政策まで宇宙開発委員会が立ち入るということはまた行き過ぎでございますし、放送についてまで立ち入るということは行き過ぎでございますので、宇宙開発委員会としてはできるだけ宇宙開発という観点から見て、その利用も見る。そういったようなことで、宇宙開発委員会は、本計画につきましても十分検討したわけでございます。  それで、利用者官庁のほうからの強い御要望がありまして、これは通信についての運用の技術の確立とか、それから放送衛星については直接難視聴解消のためとかいろいろな理由がございまして、そういったような観点から、利用者としてはどうしてもこれは五十一年に上げてほしい、こういう強い御要望があって、それに対して宇宙開発委員会は開発という観点から検討をいたしまして、それで世界の宇宙開発、いま先生指摘の点でございますが、それを見ますと、五十一年前後に実験衛星を上げるという方向で、各国ともに非常に急いでおります。そういった状況も、先ほど私申し上げましたように十分調べまして、その結果、技術的には米国の援助を借りればこれは十分に間に合う——十分というのですか、まあまあ間に合うことはできる、そういったことも明確になりました。ただし、ロケットは間に合わない。そこで米側に打ち上げを頼む、これも米側の了解も得られましたので、それで三月に決定をした、こういったようないきさつでございます。  それから、そのいろいろな審議の内容でございますが、私のほうには一応議事要旨がございますので、また先生にその審議した点、まあ要旨でございますが、ごらんに入れることができるかと思います。  以上でございます。
  63. 原茂

    ○原(茂)委員 郵政大臣にお伺いしたいのですが、これは中曽根さんが大臣の当時でしたね、たしか、国産でやるんだ、アメリカにロケットの打ち上げを頼むなんということはしない。三池さんもそうおっしゃっていた。それが半年足らずの間に急に変わったのですが、当時どういう理由で依存ということに変えたのでしょうか。  私がこんな質問をする理由は、日本でロケットが間に合わない、確かに五十四年でなければだめかもしれないというだけでなくて、それを繰り上げてでも、やはり国産というのを主体に考えてやっていっても、五十一年に上げないで五十三年、五十四年になったとしても、そんなにおそ過ぎる、そんなに赤道上のエリアがなくなっちゃう、そんなに——全部は調べてはありませんが、いろんなものを見ても、そう窮屈になるほど、赤道上、軌道上にあき家がなくなるほど、三年延びたために日本の打ち上げの余地がないというようなこともないんじゃないか。一体なぜ、ここまでロケット開発をやってきていて、日本の国産でやってみようということを、そのためにはアメリカその他の勉強をすることも必要なんですが、なぜやらないんだろう、それがどうしてもふしぎでなりませんので、それで質問をしているわけですから、その線に沿ってお答えをいただいていいのです。  二つ目にお聞きしたいのは、四十八年度の予算を八億七千万か何かきめようといったときに、当時郵政大臣が特別折衝をして二十億取った。だけれども宇宙開発委員会が、冗談じゃない、現在の技術段階を見たときに二十億という金を取ったところで使い道がないというので、逆にまたもとの八億七千万か何かに戻って実際には決定をされたといういきさつがあるのですが、なぜ、一ぺん二十億という根拠を当時郵政省が出したのでしょうか。  この二つについてちょっとお答えを願いたい。
  64. 齋藤義郎

    ○齋藤(義)政府委員 五十一年度にいま予定しております通信衛星、放送衛星、これは、この計画がない場合にはどうなりますかと申しますと、昭和五十二年度に、日本の開発中のロケットで約百キログラム程度の小さなたまを打ち上げるというような計画になっておったわけでございますけれども、先ほどから話が出ておりますように、世界の大勢は、そういう小型な衛星の時代はもうすでに過ぎたということで、二倍ないし三倍の衛星を打ち上げて、これでもまだ容量が不足だ、将来はさらに大きな衛星を打ち上げよう、それから経済的な理由もあると思いますけれども、そういうようなことで、いま日本が五十二年度に一応予定しておったたまは、世界の大勢から見たら非常に小型過ぎる、こういうことで順序を踏んでいった場合に、はたして世界の宇宙開発の趨勢に順応していけるものだろうかどうだろうかということが一つあるわけでございます。  それから地上施設関係でございますけれども、これは日本の技術がきわめて優秀でございまして、たとえばインテルサットの関係の地上局、これは六十数局あるわけでございますけれども、まあそのうちで全部日本でやっているもの、あるいは下請けをしているもの、いずれにしましても五十数局と記憶しておりますが、それが日本の技術でもって世界じゅうにばらまかれている。それに対して衛星は、世界の大勢から見たら非常におくれておるというような計画だったわけでございます。しかし、日本の計画は、日本で開発したロケットでという計画が確立しておったわけでございますので、そのつもりでおったわけでございますが、ただ、気象衛星というものが出てまいりまして、これは世界的な協力体制をしがなければならぬということで、それを上げるためには日本のロケットでは間に合わぬ、したがって一部、日本のロケットで上げるということの修正が行なわれたわけでございます。そういう関係から、気象衛星がもしそういうことで外国のロケットでも上げられるということであるならば、われわれが熱望しております通信衛星、放送衛星の開発という問題につきましても同じようなことがとれないものだろうかどうだろうか、まあひとつ科学技術庁あるいは宇宙開発委員会に要望してみようではないかということでお願いをしたわけでございます。  ちなみに申し上げますと、独・仏が昭和四十九年に上げますシンフォニーという衛星がございますが、これが二百三十七キロ、アメリカの国内衛星が二百七十五キログラム、それからイタリアのシリオ、これがちょっと小型でございますけれども百八十二キロ、まあそういうことで百キロないし二百キロ。あるいは放送衛星につきましては、たとえば先ほど先生があげられましたATS−F、これは千二百七十五キログラムということでございまして、われわれが昭和五十一年度に計画しております衛星よりもさらに数倍、重量が重いわけでございます。それから、先ほどのカナダのCTSでございますけれども、これは三百五十九キログラムということでございまして、われわれが当初予定しておった五十二年度打ち上げ百キログラム程度というところでは、とうてい世界の進運に、何と申しますか順応していけないのではないかという心配が出てきたわけでございます。  そういうことで、あれやこれや考えまして、郵政省といたしましては、これはひとつぜひ昭和五十一年度——五十一年度といいますと、われわれがいままで十数年来研究してきたわけでございますけれども、一番早い時期が昭和五十一年度ということでございまして、それを計画の目標にいたしまして開発したいということを要望したわけでございます。  それから第二点でございますけれども、これは当初八億七千万円の予算でございましたけれども、補正予算をいただきまして、合わせて十八億一千万円程度の仕事を昭和四十八年度に完了したわけでございます。今年度は国債を含めて二百八十億ということで、計画がいまのところはきわめて順調に進んでおります。  それからロケットの問題でございますけれども、これは郵政省が直接タッチすべき問題ではございませんけれども、米ソは別でございますけれども、世界各国の主要国の衛星を打ち上げるロケットと申しますのは、大体アメリカに頼んでおるというのが現状でございます。
  65. 原茂

    ○原(茂)委員 こまかい説明で、大体知っていることをずいぶん言われたのですが、私の言っているのは、もうおわかりになって答えているのだろうと思うのですが、五十二年百キロなんというのはやっていいじゃないかという意味じゃないですね。いま計画しているのは二百五十から三百キロといっていますね。正確に何キロになるか知りませんが。それをやるのに二、三年おくれたっていいのじゃないだろうか、そんなに五十一年打ち上げに固執するというのは——国産化をやろうとして鋭意努力をしているのだから、そっちのほうを国家的な力を注ぎながら、やはり国産化でやるということが主体になって、二、三年おくれて二百五十から三百のやつが上がっても、どうしておそいのかなというのが私の質問です。それにはいまお答えがなかった。それから、二十億を要求した根拠は当時どういう根拠だったかということもお聞きしたがったのですが、時間の関係でそれは省きます。  具体的にお聞きしていきますが、いま言った実験用の中型静止衛星、通信網、放送網、二百五十から三百といわれていますが、二百五十なんですか、三百なんですか、これが一つ。それから、どこから打ち上げるのでしょうか、場所は。一緒に答えてください。それから出力は何ワットになるのでしょうか、放送衛星の場合。それから寿命は何年くらいと見ているのですか。特にこれも一緒にお聞きしますが、放送衛星の場合には難視聴区域解消というのが一つのポイントになって出されているのですが、私の想像では家庭の直接受信は不可能じゃないかというふうに思うのですが、その点は、そうじゃない、家庭の直接受信も可能なんだ。しかし私の言うとおりむずかしいというので、サテライト局ではありませんが、十数メートルのアンテナを立てて、相当の金をかけてやれば可能になるのだととかいうことも、勉強までに一緒に知らしていただきたい。まずそれだけ先にお答えいただきましょうか。
  66. 齋藤義郎

    ○齋藤(義)政府委員 衛星の重量でございますけれども、おのおの三百三十キログラム程度ということでございます。それから出力、これは放送のほうが百ワット、二チャンネルとれる装置になっております。それから通信衛星は六ワット、八チャンネルとれるという設計になっております。それから寿命は三年。  それから、この衛星は、いまおっしゃいましたように、実験用の通信衛星、放送衛星でございますので、これを最終的に実用に供するということではございません。特に放送衛星につきましては、まだまだ出力が小さいということは、何と申しますか、実用になる場合にはさらに大きな衛星が将来必要であろう、それを開発するための前段階として、こういう衛星を打ち上げて技術を確立する必要があるということでございまして、これが直接に難視聴解消というようなことをねらっておるわけではございません。したがって、将来これよりも大きな、本格的な実用衛星が開発されました場合には、もちろんこれは直接受信ということをねらうわけでございます。ただ、これは衛星と地上の受信施設あるいは転換装置というようなものとのコンビでございますので、衛星の出力が大きければ下のほうは少なくて済む、衛星の出力が弱いとこちらのほうが非常に大きなアンテナを要する。したがって、放送衛星につきましてはできるだけでかいものを上げて、できるだけ地上は小さいアンテナで受かるというようなことをねらっておる。そういうような技術の確立をねらっておるというようなことでございます。  それから、打ち上げの場所はケープケネディということになると思います。
  67. 原茂

    ○原(茂)委員 現在の実験用衛星が直ちに難視聴区域の解消に通ずるのではないことはわかっているのですが、そのことをねらいにしてやる限り、たとえ百ワットの衛星であろうと、難視聴区域解消に類するような開発が、やがて大型静止衛星が行ったときにできるものかどうかの試みをやってみるのでしょう。やらないのですか、全然。では、具体的に何をやるということになりますか。この実験衛星は、技術開発がもちろん中心なんですが、いろいろ上げているのだけれども、その中の大きな、たとえばいま申し上げた難視聴区域の解消というようなことを考えているのだと言いながら、実験衛星は百ワットだから小さいので、難視聴区域の解消は大型静止衛星ができたときにやるのであって、いまはそんなことは考えていないというが、実験衛星をせっかく上げておきながら、それに類する何かの試みを全然やらないのですか。やるのですか。ついでに、打ち上げが終わるまでの費用、全部でどのくらい見込んでいますか。施設、もちろん設備を含めまして、ロケットの打ち上げから始まって全部終わるまでの費用というのはどのくらい見込んでいるか、その内訳も一緒に……。
  68. 齋藤義郎

    ○齋藤(義)政府委員 放送衛星を使って何をやるかという御質問でございますが、これは各種の衛星管制技術、と申しますと、衛星は静止しているわけではございませんので、ふらふらしておりますが、そういうものをある一定の軌道に固定させるような技術、あるいは十二ギガの波を使うということを一応考えておりますけれども、これがはたしていいのかどうか実験してみたいというようなこと。それから、できますれば、おそらく出力が少ないので、非常に低廉なアンテナあるいは受信機では受からないとは思いますけれども、そういうようなことも試みてみる。それから、いまNHKあたりでは、中継をいたします場合に、中継線がない場合が非常に多いわけでございます。空中波を使って中継をしているわけでございますけれども、そういうような場合、中継線のない場合に衛星を使ってやってみたらどうだろうか。これは中継線のかわりみたいなかっこうになります。その他もろもろの技術的な実験をこの機会にやってみたい、そして、将来大型を開発する場合の技術的な資料を完備したい、こういうことでございます。  それから予算でございますけれども、二発と申しますか、通信衛星、放送衛星合わせて三百六十九億、一応予定されております。そのほかにロケットの打ち上げ費用があるわけでございますけれども、これは科学技術庁のほうからひとつ……。
  69. 千葉博

    千葉政府委員 ロケットの打ち上げ経費につきましては、米側は約三、四十億だ、こういうことを言っております。ですが、予備を考えまして、失敗した場合を考えますと、失敗した分だけふえていくということでございます。二つで、失敗しないとすれば、これが七、八十億程度だと思いますけれども、失敗すればそれが倍くらいかかるということになるわけでございます。
  70. 原茂

    ○原(茂)委員 またもとへ返るのですけれども、いまの四百、五百億を使って管制技術あるいはその他をこの実験衛星を通じてやるんだ——これは人のふんどしで相撲をとって、いけないことかもしれませんが、アメリカなりカナダのCTSなりSTSなりそういうものが現にすぐ上がるということは前からわかっているんだから、その実験を見た上で——自分で上げなければ、やはりそういうものをよく勉強しても同じことにならないものですか。実際打ち上げられる衛星も、どうですか、全部国産ですか。おそらく純粋にいったら二、三割国産で、あとはアメリカなりどこなりということに全体、グローバルに言うとなるんじゃないでしょうか、乱暴な言い方ですが。これはそうじゃないんだ、打ち上げられる衛星も全部国産なんだというなら私の趣旨に合うのですが、だけど、なぜ一体そんなにあわてて五十一年打ち上げということにしながら、目の前にもうそれに類似したものが上がる、上がったら一やはりこれも実験用衛星なんですから、アメリカにしてもカナダにしても。そういうものを十分に、何回も行って勉強しているというのですから、それを十分にデータをとりながら自分でも行ってよく見たら、打ち上げを日本でやらなければいけないという理由もどうも乏しいように思うのですよ。それはやはり場所を確保するんだ、これは一つの権益だ、早くやらなければだめなんだ、こういうことだけでやろうというなら、それはそれでわかりますよ。ただ理由なしに五十一年、五十一年というのは納得できないのですよ。やはり赤道上の、軌道上のある空間を国際的に占拠しておきたい、権益を確保したい、そういうことがあるから、五十一年というのは至上命令で、まずぶち上げてしまったのだ、五十一年にきめてしまったのだ、そういうことがあるから、あるいはほかの理由があるからきめた、それでやむなくこういうことをいまやっているんだということになるなら納得できるのですが、どうでしょうね、そういう点は。
  71. 齋藤義郎

    ○齋藤(義)政府委員 一番最初に国産化の問題でございますけれども、これは最初の計画で五十二年度に打ち上げる百キログラム程度の衛星でも、大幅にアメリカの技術を導入するということになるだろうと思います。それが何%かという事柄、程度の差はございますけれども、いずれにしましても日本が独自で、アメリカから全然技術を導入しないで打ち上げるということは、至難のことだと思います。したがって、程度の差はありますけれども、技術導入という事柄は必然的なものだと思います。  それから、ロケットは私のほうの主管ではございませんけれども、ロケットにつきましてもおそらく大幅な技術導入が、いま現に開発しているロケットについてもそういうことになっているのではないか、これはよその省の所管でございますので……。いずれにしましても、二、三年待てば全部国産の技術でやれるんだということではございませんで、パーセンテージで五%なり一〇%なりが国産化の率が多いか少ないかという、比較の問題になるのではないかと思います。  それから、いまなぜ五十一年度に打ち上げなければならぬかということでございますけれども、先ほどから申し上げておりますように、私のほうの従来の計画では五十二年度に、これも相当大幅な技術導入を必要といたしますけれども、通信衛星を打ち上げるという計画であったわけでございますけれども、世界のいろいろな宇宙開発の進展状況ににらみあわせて、これはできるだけ早く、しかも大型の衛星を打ち上げる必要があるということでございまして、もしそれが百キログラム程度のものから出発します場合には、最終的な到着点と申しますか、そういうところでは相当大幅なおくれをとるのではないかというようなことでございます。  それで、技術的な問題としては相当大幅なおくれをとるのではないかということでございまして、その点もありますけれども、ただ、郵政省といたしましてはさらに国際的な問題があるわけでございます。それは、ある一定の、これは赤道上の静止軌道でございますけれども、それに日本がある周波数を持った衛星を打ち上げるということになりますと、たとえば日本が一番最初に打ち上げたということになりますと、国際的に登録されることになりまして、一応権益が確保されるということでございまして、たとえばいまフィリピンとかあるいはインドとかイランとかというようなところが計画をしておるようでございますけれども、もしそういう国々がやるといたしましても、日本の軌道と周波数、これに妨害を与えてはならないという国際的な義務を負うわけでございます。したがいまして、早い者勝ちといったら語弊がありますけれども、できるだけ早く電波権益を確保したいということで、各国とも一応開発を急いでおるというようなことでございます。  それから、将来日本の通信というものがどういう形であるべきかあるいは放送というものがどういう形であるべきかということでございますけれども、通信はいまマイクロそれから有線、こういうことでやっておりますけれども、おそらく情報化社会ということで通信量が激増するというときに備えて、おそらく衛星を国内通信に導入せざるを得ないたろう、あるいは導入するほうが——何と申しますか、地上のマイクロだけではとうていまかない切れない、そういう事態がおそらく近く来るだろうということでございまして、そのためにはやはり衛星を導入すべきである。それからまた多ルート化ということで、災害などが起こりました場合に地上の線がすべて断ち切られましても衛星だけは生き残っておる、こういうような多ルート化というような観点からもこういうものが必要であろう、これは通信衛星のほうでございますけれども、放送衛星につきましては将来の問題でございます。この五十一年度の衛星を直接さしておるわけではございませんけれども、将来おそらくビル陰等につきまして、相当ビル陰の解消が期待されるのではないかということで、日本ばかりでなしに世界各国でビル陰問題に対して衛星に期待するところが非常に大きいということ。それから難視聴の問題、これはもちろん衛星はきわめて有効な手段であろう。あるいはいま問題になっております放送大学ということで、一つの番組で全国をカバーするというようなことでは最も経済的な星ではなかろうか。そういうようないろいろな観点から、できるだけ早く通信衛星、放送衛星を開発すべきであろうということでございまして、これはいま開発を始めたわけではございませんので、KDD、電電公社あるいはNHKを含めて郵政省サイドといたしましては、十数年来研究を重ねてきた問題でございまして、できるだけ早く開発をするということになりますれば、五十一年度を目標にして開発をしてもだいじょうぶだというような技術的な確信のもとに計画を立てたということでございます。
  72. 原茂

    ○原(茂)委員 質問したことだけに答えてもらわないと、ちょっと時間がなくなってしまうので……。  さきの大型静止衛星の利用の問題とか、そういう問題は別個にまたお聞きしますし、まだ将来の問題でいいです。現在の実験衛星に関してだけお答えをいただくというようにお願いをしたいのです。  そこで、NHKの松浦さんにお伺いしたいのですが、NHKとしてはこの実験衛星約三百三十キロ、この放送衛星がどうしても必要だ、何にこれが利用できるんだというふうに考えているのか。この実験衛星に関して期待するもの、現実に上がってから利用できるもの、これが一つの問題としてお答えをいただく点。  もう一つは、いまも齋藤さんのお話にあったように、国際競争におくれる。——競争におくれると言ったのじゃないかもしれませんが、端的に言うとそういう状態になるというのです。私がきょう言っているのは、五十一年にどうしても打ち上げなければいけないというのはふしぎでしょうがない、もうちょっと考えて、国産化その他を中心に二、三年おくれたっていいじゃないかということがたてまえでお聞きしているのですが、そうじゃないんだ、おまえの考え違いだ、こういう状態からいって現在必要なんだというようなことを二点目に、これもひとつ簡潔にお答えをいただきたい。
  73. 松浦隼雄

    松浦参考人 最初に、現在の実験に対しては、NHKといたしましては国のプロジェクトに協力するという立場でやっておりますので、その点を前提として申し上げます。  そういうことでありますけれども、NHKとしてどう実験衛星を使いたいのかという点を最初に申し上げます。  現在までにNHKは、全国にあまねくテレビジョンを受信できるようにということで、四十八年度末で千八百九十六地点に、これは総合と教育の二つありますから、その倍の送信機を置きまして九八%弱の人口カバレージを達成しております。残りは百万ちょっとだということでございますが、従来の置局並びに共同受信施設でそれを解消していくといたしましても、なお三十万近くの散在世帯についてはどうにもならないという状態が予見されるわけでございます。その置局が終わります時期が、大体もう数年のうちに置局の好適地はなくなる。しかしテレビジョンの国民生活への浸透という点から考えますと、まあ理想をいえば一〇〇%カバーしなければならないという義務が課せられておりますし、現にこれは毎年度の国会の逓信委員会におきましても、政府並びにNHKに対して難視解消に格段の努力をするようにという決議がなされておりますので、この情勢は今後も変わることがないと思われるわけです。  さて、そうやって努力をしておりますが、この約千九百地点の中でどういう状態になっておりますかというと、一次、つまり非常に大きな局が四十一局、二次プランの局が三百四十局、残りの千五百十五局というのは微小局でございますが、いわゆる電電公社のマイクロウエーブを使いまして直接良好な絵を送信をしております地点というのは、五十六地点にすぎません。そこからダイレクトに、あとは全部放送波を使っているわけでございますが、その放送波を使って、一段でまた再放送しておるという局を入れまして七百七十七局でございますから、両方入れても八百三十三局が、ほんとうの意味でいえば良好な画質をごらんになっているわけです。あとの局は、二段中継からはなはだしいのは七段中継ということで、放送波を受けてはまた出す、それを受けてまた出すということで、率直に申しますれば少し甘い絵をごらんいただいている。もしこの実験が進展いたしまして、放送実験がいいということになりますれば、これらの地点に対してダイレクトに——いま放送波を受信しておるわけですから、直接にNHKの手によって衛星受信をするならば、これは一段の受信になるというところから、非常な良好な画質改善が期待できます。これはあくまで実験でございますから、直ちにそれを実用化するというわけではございませんけれども、そういうことに要するいろいろな問題、あるいは費用の問題、技術開発の問題ということが、この実験の中で当然行なわれるべきであろう、こういうふうに考えているわけでございます。  で、これの費用といたしましても、その残存わずか二十五万のために放送衛星をやるのではなくて、これらの世帯数を全部入れますと、東京都の世帯数より多い約三百万世帯についての効果が期待できるわけですから、これは先ほど電監局長が申し上げましたように、実験段階ですぐにそうなるということにはいまのところなっておりませんが、そういう可能性は非常にございます。  それからさらに、直接受信ということが、特に都市難視の問題と関連して究極的な解決策であろうということは、何人も考えるわけでございます。東京でも三十数度、つまり日本の、放送衛星でいきますと北のほうでも三十数度、南のほうでは五十度でございますから、ビル陰の影響並びにビルの反射の影響が大体建物の高さ程度におさまる。現在はちょうど水平でございますから数十キロ伸びるわけですが、それによる被害の状況はたいへん少なくなるということも、これは将来の問題として十分予想されるわけです。  それから、現在の実験の百ワットというものと将来のものは、別に一キロになるわけではございませんで、ぽつぽつでございます。これは、衛星でございますから、非常に強いものを出せば近隣諸国へのいわゆる漏れというものも出てまいりますので、そう大きくはできないわけで、現在国の費用でやっておりますこの開発が直ちに次の問題にきわめて——まあ開発要素なしにやっていける、発展できるというのが技術的な見通しでございます。  それから二段目の御質問の、なぜ早くやるか。すでに電監局長からお話がございましたけれども、御質問がございますので補足さしていただきますと、この軌道位置を占有する、実験衛星によって占有して陣取りをしちゃうという意味よりは——赤道上は非常に広うございますから、それはおっしゃるとおり余地はあるわけでございますが、そういうことよりも、少なくともこの放送衛星、通信衛星について、どういうふうに軌道位置を使い、周波数を割り当てるかという国際的合意がまだなされていないわけでございます。七一年の主管庁会議で行なわれましたのは周波数帯の配分にとどまっておりました。この周波数帯の実際日本への割り当て、あるいは通信衛星、放送衛星の軌道位置をどういうふうにきめるのかという技術的な国際的な合意というものをやる会議が、これはその後確定したわけですけれども、一九七七年の四月以前に第一回を少なくとも行なうということも確定しておるわけです。これは五十一年度以内ということでございます。そういたしますと、すでに米国あるいはソ連というような、これは直接放送衛星ではございませんけれども、通信衛星あるいはそのほかの宇宙開発にすでに実績を十分持っておる国々、それから非常に連携のよろしいヨーロッパ諸国というようないわゆる工業的に進んだ国々の中で、日本のみがそういう実際の体験なしにもしその会議に臨んだときに、従来も関係者が非常な努力をなされてかなり国際的発言力がございますけれども、この問題についての迫力と申しますか、現実の問題——それはデータをもらってくればいいということでございますが、御承知のとおり技術の問題はデータだけではございませんで、そのプロセスと申しますか、過程の知恵というか力というものが非常にものをいうわけでございますので、そういうようなところの問題も勘案すると、一番望ましいのは五十一年度である。もっと早いほうがいいのですけれども、可能性のあるという点からすると五十一年度である。  なお付言いたしますけれども、二、三年おくれでそれでは上がるのかという問題でございますが、これは現在のN計画が百三十キロが限度である。そして現在の実験がいずれも三百五十キロ前後である。三百五十キロ前後と申しますのは、いま予定されておりますソー・デルタというやつで、上がる限度が七百キロでございます。七百キロが地上から上がっていく。そうすると、その上で、途中で消費してしまう重量と静止したときの重量の兼ね合いでございますが、必ずしも三百三十キロか三百五十キロかというのはいまのところ確定できませんけれども、いずれにしろその程度でございます。その程度のものへ持っていこうとするととても数年というわけにはいかないのではないか。そうすると、先ほど申し上げたような国際的なこまかい取りきめが行なわれてしまい、さらにそれからということになりますと、技術的な積み上げもないまま十年をたつということは、それから追っかけようと思ってもちょっと追っかけられない状態になるのではないかというようなことが、五十一年度をおきめになった一つの背景にあるのではないかということをつけ加えさせていただきます。
  74. 原茂

    ○原(茂)委員 チャンネルプランが七七年に国際化していくということは確かに重要だと思うのですが、日本のこれだけ大きな金を使ってやるときには、まだそれだけでは納得できないですね。私は、そういう国際会議があったときに、五十一年までといっても、やはり予定がある限り、予定を強く主張しながらある程度、二、三年ぐらいの余裕を持ってもやれるのじゃないかという気がまだしています。でも、おっしゃる意味はよくわかります。現に行なわれているのですから、これをとめたりなんかするというわけにいかない。したがって、理由とするところは、局長なり専務理事さんのお話でわかりました。  そこで、これについてあと一、二お伺いしておきたいのです。  アメリカの六六年か何かに打ち上げたATS一号ですか、ピースサットといってあとで七一年に名前をくっつけた。教育実験衛星みたいなことにいま利用されている一号というのが、六六年に中部太平洋の上空に、三万六千キロのところに現に上がっています。これが太平洋諸島の実用実験が終わったために——すでに終わったのです。おととし終わったので、これをハワイ大学の教授たちにただで貸してやるから利用してみろということになって、ピースサントという名前が——英語の頭文字を取りまして、教育実験用の、という名前をくっつけて現にいま回っている。これも、あまり寿命がないから、かわりを打ち上げなければならない段階が来るだろう。この実用技術衛星というのと今回日本が打ち上げようとする衛星とは、大ざっぱに言って何が違うのでしょう。これは松浦さんでもけっこうです。
  75. 松浦隼雄

    松浦参考人 放送衛星についてのみ申し上げます。  いまお話しのATS一号の出力はわずか数ワットでございます。それからいま現にインテルサットが使っております四号とかそういうものも、いわゆる通信衛星は六ワットないし十ワット以内でございます。それで、先ほど私が申し上げました、たとえば中継局に使うというようなことを考えましても、これは現在私どもでやっております中継局一地点は二チャンネルで一千万円とかそのオーダーでございますが、衛星から受信するだけでいま億のオーダーですけれども、おそらく将来も数千万円かかってしまう。そうすると、放送衛星のほうは出力が少なくても百ワットは必要だ。十二ギガヘルツを使って、一・四度という非常にしぼったビームを使っても百ワットが必要だということになりますので、放送衛星に関する限り、応用技術衛星として一連に上げられましたATS何号という星、今度上がるFまでの星、並びに通信衛星であるインテルサット系の星というものと放送衛星とは、一口で言えば出力が全く違う。出力が違うということは地上施設が全く違うということで、ちょうど現在の地上における通信と放送の違いのようなことがございます。この点につきましてはCTSが最初の実験だというふうに言えると思います。
  76. 原茂

    ○原(茂)委員 いまATS一号というのは太平洋諸島八カ所——九カ所ですか、これからまた八カ所ふやして、各大学のセミナーに使ってみたりいろいろやっていますね。新しくこれを打ち上げる、そうしないともう寿命が来る。同じことが今回の五十一年打ち上げの通信放送衛星にも言えると思うのですが、これはどうなんですか。三年で寿命が尽きたとき、あとの大型静止衛星がすぐできていない。もちろんできていない、いま計画がないのだから。その実験を見てから大型静止衛星に移るわけでしょう。大型静止衛星というものは将来の目標としてあるのですか。それはいつごろやる予定なんです。三年で寿命が終わったときに、それで一応の研究が終わるからそれはそれでよろしい。あと追っかけてもう一ぺんつなぎに打ち上げる必要が出てきそうなのか、その必要がないのか。これはどうでしょう。
  77. 齋藤義郎

    ○齋藤(義)政府委員 いま計画としてきまっておりますのは、昭和五十一年度に二発打ち上げるということでございますけれども、これは寿命がおっしゃるように三年と一応推定されておりますので、そのあとどうするか。大型に移ることができるのか、あるいはもう一ぺん同じような、あるいは改良型と申しますか、そういうような同じような重量の衛星をもう一ぺん打ち上げるかという事柄は、いま検討をしている最中でございます。
  78. 原茂

    ○原(茂)委員 そうすると三年の寿命の間に、打ち上げが成功してから一年なり一年半の間に、次の大型静止衛星はこういうものをつくる、何の目標でやる——これは寿命がここで、三年で終わる、そのあとこの実用実験衛星を追っかけてもう一発やるというようなことは、一年か一年半できまりますか。
  79. 齋藤義郎

    ○齋藤(義)政府委員 大型の衛星は、理屈を申しますと、実験をある程度積み重ねないとなかなかできないということでございますけれども、将来のつなぎ、どういうぐあいにつないでいくかという事柄は、できるだけ早くひとつきめていきたいということで、宇宙開発委員会とも内々いろいろな相談をしておるというのが現段階でございます。
  80. 原茂

    ○原(茂)委員 そんな程度の答弁では、これだけのものを五十一年に無理に打ち上げる必要はないじゃないか、もっと違った方法で、二、三年おくれてもいいじゃないかと思うような気持ちの立場から言いますと、現在もうすでに、五十一年に日本が打ち上げる前にほかでは上げるというようなものも、まあデータだけでは不十分だけれども、勉強しながらやっていく。では打ち上げが成功したときには、一年なり一年半で、かくかくの研究をひとつやっていく。その研究をしたときに、一体三年で寿命の終わる現在の衛星のあとをまたつなぎにやるとか、あるいは大型静止衛星を一年半ぐらいの技術的な検討の後にいつごろやるというような計画をつくらなければ、膨大な予算がかかるこの種の計画を、三年間寿命が終わるまでゆっくり研究して、それが終わっちゃったらそれからそのつなぎをどうするのか、大型静止衛星をどうするのかというようなことを考えているはずがないと思うのですね。私は、もう具体的に、宇宙開発委員会が中心でそのことまで検討をすべきではないか、検討してなければおかしいと思う。千葉さんどうですか。全然検討してないのですか。
  81. 千葉博

    千葉政府委員 先ほど申し上げましたように、宇宙開発計画はもう御案内のとおり昭和五十二年、ここまででございます。それ以降の問題につきましては、これはまあ毎年毎年の見直しでやるわけでございますが、特に五十二年以降の問題につきましては、実はもう現在これの検討を開始いたしておりまして、できるだけ早い機会に、五十二年以降、それからあと四、五年の間、五年程度を見まして、それでこの日本の宇宙開発をどう持っていくか、特にポストNといたしましてそのポストNをいかにすべきかという点を、いま正面から取り組んで進めておりまして、それで各利用官庁からいろいろと御要望をいま伺っております。  そのほかロケットにつきましても、Nのロケットの延長線上にどういったようなロケットを開発すべきか、そういった点も含めましていま検討中でございます。  この結果は、来年度五十年度の予算に間に合うように行ないたいということでございまして、それで四十九年度の予算としてはそれをつくるための費用も計上されておりまして、その金を使いまして計画を立案するというような手順になっております。
  82. 原茂

    ○原(茂)委員 電電公社にお伺いしたいのですが、公社の立場でいうと、現在の非常に情報化社会発展していく段階からいって、一体、この種の衛星に、現在の予想からいくと、いつごろたよらなければいけないときが来るとお思いでしょうか。
  83. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  いまの計画は、郵政省を中心に政府計画で進んでおりますので、いままで御説明ございましたが、電電公社がこの衛星問題を取り上げました時期は昭和四十一年ということでございまして、いまから八年前に着手いたしました。  電電公社は特に通信に対しまして、災害等の場合にこれを確保しなければならぬという重大な責任を持っております。それで、マイクロウエーブの二ルート化、あるいは同軸ケーブル、あるいは一部は海底ケーブルもありますが、そういうものを使いまして、とにかく通信を安固にするということをやってまいりまして、最近、台風が来ましても、テレビ回線あるいは一般電話回線は全然影響がないというところまでまいりました。  しかし、一番弱い点は何かと申しますと、地震が来たとき一番弱い。昭和三十九年に新潟地震がございましたが、結局橋のところとか、あるいは地下にありますマンホールで地下ケ−ブルがみんな切れてしまいますから、そうするとこの新潟地震で仮復旧するのに約一カ月かかったということがございます。これからもいつ地震が来るかわからないので、昭和四十一年の時点でこの衛星の話を、当時チャリックというコムサットの社長が参りまして、私も会ったときに、やはりこれは電電公社が採用すべきじゃないかということで、特に研究所でいわゆるミリ波なり準ミリ波の研究をやらせまして、結局、今度五十一年に乗るロケットの中にそのミリ波、準ミリ波のものが乗るようなところまで開発いたしました。  しかし、何と言いましてもこのロケットなり、それからいろいろ外郭、外側の問題は公社がやる問題ではない、やはり国でやっていただかなければならないのでございまして、電電公社といたしましてはとにかくそういう災害対策にこのロケットを使っていくということを重点にしております。したがって、国の今度のものができたときに、これをどう利用するかというのは利用目的が非常にはっきりしておりまして、三千チャンネルの電話、それから二回線のテレビというものを対象にする、それからまた地上局に対しましては、これは公社が自分でつくらなければならないんじゃないかと思います。  それから、先ほど自主技術のお話がございましたが、電電公社は四十年間ずっと自主技術を開発してまいりまして、マイクロウエーブ等、地上施設その他では非常な経験を積みまして、その結果、世界に約一千億円ぐらいもうすでに輸出されておるという状態でございます。
  84. 原茂

    ○原(茂)委員 わかりました。衛星に関してはまた科学技術のほうであとの経過を伺うことにして、これで終わりますので、松浦さんその他、どうぞお帰りください。  次にお伺いしたいのは、この間、日中間の海底ケーブルの建設保守協定の仮調印がされました。この内容を、もう新聞で見てあのとおりだと思いますから、聞こうと思いません。  ただ、二点お伺いしたいのは、やがて来年の十一月に完成予定になっている日米間の第二太平洋海底ケーブルがあります。これとの接続計画されているのか。もしそうだとするならアメリカとの了解が事前になければいけないと思いますが、その了解も得られているのかどうかということが一つ。  それからもう一つは、国際電電のことを郵政省では、まあ浅見さんは御存じかどうか知りませんが、これも東南アジアの海底ケーブルがやがてつくられようという構想ができている。この東南アジアの海底ケーブルにも接続をやはり考えているのかという、この二点だけお伺いしたい。
  85. 浅見喜作

    ○浅見政府委員 日中間の主管庁間の覚え書きによりまして、両国とも積極的に第三国の通信の利用に供しようという約束になっております。したがいまして、先生指摘の、アメリカの国際電気通信事業者がこの日中間ケーブルを利用したいといいます場合には、アメリカの国際電気通信業者とKDDとの間、同じく中国との間に具体的に取りきめを行ないまして、料金等をきめました上で利用状態に入るということに相なります。東南アジア海底ケーブルが実現いたしました暁にも同様の運びになるわけでございます。
  86. 原茂

    ○原(茂)委員 そこで、これをつなぐことになると、来年十一月にできたのをつなぐといって、その工事が終わるのはいつごろになりますか。
  87. 浅見喜作

    ○浅見政府委員 第二太平洋ケーブルと日中ケーブルとの間には国内線が必要になってまいりまして、第二太平洋ケーブルが沖繩に上陸いたしますので、片や日中ケーブルの陸揚げ地点であります熊本県苓北町との間を日本電信電話公社の無線で結ぶということに相なります。これはもう十分用意してございます。
  88. 原茂

    ○原(茂)委員 いつごろになりますか。
  89. 浅見喜作

    ○浅見政府委員 すでに現在、沖繩——苓北町間通信可能でございますが、それをなお強化する、こういうことでございます。
  90. 原茂

    ○原(茂)委員 わかりました。その問題はけっこうです。  次に、この間、春闘のときに、春闘共闘委員会と厚生省がやりとりをやった結果、重度障害者の福祉電話をつけようということがきまった。厚生省の井手さんがおいでになっているようですから井手さんからお答えをいただきたいのですが、どういうことが約束されて、現にどのように進行しているのか。
  91. 井手精一郎

    ○井手説明員 お答え申し上げます。  実は重度の障害者の方々の生活の足しにというようなことでございまして、居宅の障害者の方々電話をという要望が前々からございましたことは御承知のとおりでございまして、私ども、特に最近におきましてはひとり暮らしの老人の方々に福祉電話の制度というのを開始いたしましたという関係もございまして、最近におきまして特に御要望が強くなってきたわけでございます。  そこで私どもも、この問題につきましては積極的に取り組みたいということで現在検討しているところでございますけれども、特に私どもが考えておりますのは、外出が困難な重度の障害者の方々を対象に検討してみようじゃないかということでございます。しかし、残念ながら私ども、その重度障害者の電話の使用状況等についての実態を実は押えてないわけでございまして、承るところによりますれば、郵政省当局もその実態等についてさっそく調査をしようというような御計画がございますので、私どももその調査に積極的に協力をいたしまして実態をつかみますと同時に、できるだけ早い時期に実現がはかられるように努力をしてまいりたい。  いずれにいたしましても、来年度予算の編成の時期に検討をいたす予定にいたしてございますので、現在のところではまだ作業に入っていないような状況でございます。しかし、いま申し上げましたように、郵政省当局のほうでも実態調査しようというような具体的な御相談もございますので、これに協力をいたしますと同時に、早急に検討を始める予定にいたしてございます。
  92. 原茂

    ○原(茂)委員 大臣、いまお聞きのとおりで、おっしゃるとおりに、寝たきり老人に対する電話がようやく少し普及しました。三万世帯といわれるところに全部いくのにはまだ時間がかかります。その間に、いまお話を聞くと、寝たきり老人、寝たきりの重度障害者、一人では歩けない方、脳性麻痺、これも入っていると思うのですが、そういう人だけにやるんだという焦点がきまって、一応その調査郵政省で始まるそうで、来年度の予算編成の時期までには何とかしたいと思っているというのですが、これは急いでやる必要がある。やるときめた以上、非常に大きな期待が持たれていますから、郵政省ですでに調査は始まっているのですから、しかも焦点がきまっていたら、調べようと思ったらこんなのわけないです。ですから、来年度予算にはこの重度障害者に対する福祉電話を引けるように予算化をするということを大臣がきっぱりおっしゃっていただくと、約束が履行されるし、非常に安心できるわけですが、どうでしょうか。
  93. 原田憲

    原田国務大臣 いまの問題は、そういう事業は私は進めたらよいと考えておりますので、いまやっておる寝たきり老人のために私のほうでできること、これは電話の機械はどういう電話がいいんだろうかというようなことで、一番使いやすい電話を研究してもらうためのことを進めておりますが、いまの重症心身障害者にもその電話でよいのかどうかというようなことは、私のほうでございますから、これは積極的に調査を進めていく。いま厚生省の課長が言いましたように、これの問題の取り組む先は厚生省でございますので、厚生省のほうにもよくすすめまして、来年度の予算にできれば間に合うように最大の努力をいたしたい、このように考えます。
  94. 原茂

    ○原(茂)委員 最大だけでは不満なんですが、こんな焦点のきまった調査はわけないですから、必ず来年度の予算には組む、こうおっしゃっていただきたいわけですが、それでも最大の努力をしていただけば、たぶんそうなるだろうと思いますからけっこうです。  それで、たとえばこういう重度心身障害者がその住んでいる家に家庭用の電話がある、その人専用の電話ではないというときにどうなりますか。そのときでも引くようになりますかね。これは厚生省の考え方が中心かどうか、それを聞かしていただきたい。それが一つ。  それから、これは電電公社でお答えがあるかと思うのですが、引くようになったときに、一体どの程度の費用を本人負担にさせるのか、全然ただで架設できるのか。同時に、架設費用はただでいいが、使う度数ぐらいを制限して、ある程度の度数は無料だというようなことにできるのか。現在の老人に対する電話との比較において一体どういう構想があるかをお聞きしたいのです。
  95. 井手精一郎

    ○井手説明員 お答え申し上げます。  実は私ども、対象にどの程度のどういう方々をということにつきましては、先ほども申し上げたことで、これから調査をさしていただくことになるわけでございますが、現在のところ考えておりますのは、介護が必要でございますけれども、現に介護をする方がいないというような方で電話が設置されてない方々が、第一義的に対象になろうかと考えております。したがいまして、御本人自身の電話とかいうような問題になりますと、一世帯に一台電話がございますれば、そこら辺の応用の問題というのは何かできるんじゃないかというふうに私ども考えておりますけれども、そういうようなことで解決をはかってまいりたいと思います。  それから、老人福祉電話の例でございますけれども、現在始めております老人福祉電話は、架設料につきまして、一般会計の厚生省のほうの予算から公費で補助をいたします。三分の一が国でございまして、三分の一が都道府県、三分の一が市町村ということで、低所得階層の老人の方々につきましては無料で、公費で負担をいたしまして架設をしてさしあげる、こういうシステムになっているわけでございます。
  96. 原茂

    ○原(茂)委員 使用料は。
  97. 井手精一郎

    ○井手説明員 使用料は自己負担でございます。
  98. 原茂

    ○原(茂)委員 いま井手さんがおっしゃったように、介護を必要とする者で介護をする者がいない人に関して考えようなんてぐうっと幅を狭めますと、今日まで期待をされ、あるいは約束したと考えている側はたいへんがっかりしますよ。こんなになっちゃいますよ。ほとんどない状態になりますよ。重度心身障害者でいて一人で歩けない。その人間に介護が必要なことはもちろん、介護者がいなければいけない。介護者が常時ついているから家庭にとってもたいへんなんです。それを介護者がいない者を考えるなんということは、これは取り消していただかなければいけない。とんでもないことだと思います。  それから、この種の問題やるのにいつもそうなんですが、架設に対しては公費でやる。私はこの種の問題は、地方自治体が入っているのもちょっと不満なんですけれども、しかしそれはそれとしても、使用料に関しては個人負担だということが、この場合の重度障害者の福祉電話にもまた適用される。これももうちょっと何か考えてあげないと、せっかく電話は来たけれどもその家庭にとっては——介護者はもう絶対必要なんですからね。一人いて、何にも仕事をしないで介護をしているくらい、つきっきりなんですよ。たいへんな苦労をしている上に費用がふえる。電話をかけたくなるし、また、かけなければいけません、そのためですから。友人ともどんどん話ができるように、いま大臣の言った、その人たちに向くような特設の電話を開発するということは非常にいいことで、それはやっていただくのですが、それを使ったときに、まあ家庭だってみんな切り詰めて生活をしていますわね、そうでなくても余分な一人前の人が一人つきっきりでいるという費用がかかっているところへ、新たに電話料というのがまたここへかかってくる。家庭生活は非常に困ると思うのですよ。どうせ親切に考えてやるならやはり魂を入れて、そこらのところを、全部とは言わないまでも、ある一定の定額まではよろしい、それ以上になったときには気の毒だが負担をしてくれというような思いやりのある配慮がなさるべきだと思うのですが、どうでしょう。それなら、ほんとうに重度心身障害者に、気の毒だ、孤独感を味わわせないように電話でだれとも話ができるように、生きがいを感じるようにというような思いやりがあったことになる。  私は、いまの二点をもう一ぺんお伺いしたい。
  99. 井手精一郎

    ○井手説明員 お答え申し上げます。  対象になります方々範囲は、一番最初に申し上げましたように、実はこれから郵政省とも御相談をいたしまして調査をいたす予定にしておりますと同時に、障害者の方々の御意見を承るなり何なりいたしまして、先生指摘のとおりできるだけ広い範囲をとり入れるべきであろうと私どもは考えているわけでございます。  それから電話料金の問題でございますが、これは実はほかの経費との関係の問題もございますし、かたがた年金等の所得保障との問題も出てまいりますし、現在のところでは、電話料を公費で負担をするというようなことは私どもちょっと考えていないわけでございますけれども、おっしゃっている御趣旨は私どものほうもよくわかるわけでございますし、そういう意味では郵政当局のほうとも十分御相談を申し上げた上で検討をさせていただきたい、かように考えております。
  100. 原茂

    ○原(茂)委員 それをひとつ検討していただいて、私の言った線に沿うように前向きでお願いして、その問題を終わります。  次に、電話料金の問題なんですが、私はよく知りませんが、俗に昔からいう長距離電話といいますか、そういう電話には深夜料金割引みたいなものが現にある。何十キロ以上だか知りませんが、ある。ところが、何十キロ以下の、昔の市内電話といったような近距離の電話には、それが適用されていない。私は、電電公社赤字がだんだんふえて非常に困っている状況はわかっています。予定以上のベースアップがあり、何だかんだというので、きょうの新聞を見ると総裁は、どうも五十年度から料金を上げなければだめじゃないかというような苦衷もお出しになっている。この問題が当然あがってくるだろうと思っていたわけです。そういう状況の中で、何かまた減収になるような話をして恐縮なんですが、公平という立場からいえば、長距離に深夜の割引があるなら、短距離というか、六十キロ以内か五十キロ以内か知りませんが、そこだって深夜の料金割引があっていいんじゃないか、なぜ長距離はあるんだけれども短距離はないのか、もし私が納得できるような理由があったら御説明をいただきたい。
  101. 玉野義雄

    ○玉野説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生からございました夜間割引につきましては昭和二十八年以来やっておるわけでございますが、当時はまだ自動化といいますかダイヤル化があまり進んでおらなかった時代でございます。  それで、御承知のように割引は手動の場合でも自動の場合でもやっておりますが、実際には夜間割引と申しますのは、夜間、呼量が少ない閑散時に使っていただくという意味で割引をしておるわけでございます。これは手動と自動とちょっと性格が違っておりまして、自動の場合ですと、なるほど設備が遊んでおりますから、夜間トラフィックが少ないのですから割引してお使いいただくというのがいいのですが、最近のような状況になってまいりますと、いわゆる人手を使って、オペレーターを使ってやる分については、人件費その他考えますと、夜間割引がいいのかどうか、これはかなり問題があるわけなんです。実際、夜間に勤務しますと手当てその他も違ってまいりますし、割引はとてもできない状況になっておるわけでございます。したがいまして、これは考え方を自動と手動の場合とに分けて考えなければならぬと思いますが、現在は両方とも一緒にやっておるわけでございます。  それで、おっしゃいますように、六十キロ以内は夜間割引をしない、それをこえている部分についてだけ割引をいたしますというふうにしておるわけでございまして、この六十キロの切り方がどうかという問題でございますが、これはまあ理論的に確定したことを申し上げるのはなかなかむずかしい点はございますが、近距離でございますと、たとえば単位料金区域内でございますと三分七円、こういうふうになって、料金がわりと割り安になっておるわけでございますが、六十キロをこえますと二十一秒七円というようなことで、かなり料金が高くなってまいりますので、その辺も考えまして六十キロ以上を割引きするというふうにしたわけでございます。  それで、こういう状況は外国の例を見ますと、西ドイツだとかイタリアあたりも近距離は割引しない。もちろん、近距離も割引しておるところもございます。要は設備があいておるときには割引して使っていただくという趣旨でございますので、外国の例等も見ますと、もう一つの問題がございますのは、それでは非常に呼が殺到するというようなときには割り高になってくる、それだけ設備をふやして、殺到しないときには設備を遊ばすということになりますので、そういう非常に呼が殺到するときには割り高な料金をいただく、そのかわり呼が少なくて設備があいておるときには割り安にする、こういう問題もございますので、その辺を私たちといたしましても今後十分慎重に検討していきたいというふうに考えておるわけでございます。
  102. 原茂

    ○原(茂)委員 私は、前段に申し上げたように、公平という意味で少しおかしいんじゃないかなという感じが前からしているものですから、その点申し上げたのですが、いまの御説明で、なるほど、じゃ近距離のほうはやむを得ないんだというふうには、まだ思えない。時間がありませんから、後ほど何かの機会にまた、もうちょっと私の考えていることも申し上げてみたいと思うのですが、やはり手動が確かに人件費その他かかるというようなことから割引は再考しなければいけないということがあるなら、これも大衆に話しして、私は納得してもらえると思う。同時に、そのことが考えられるときには一緒に近距離も、回りがもっと納得できるような、割引をしない理由がはっきりしなければいけないと思う。逆に言うなら、やはり率は違っても、長距離と同じように、近距離の場合も夜間において割引があってしかるべきだという考え方をまだ持っていますので、これはまた検討をお願いして、私自身ももう少し詳細に意見を言いたいことがあるのですが、これは後日に譲ります。  電電公社関係皆さんには、どうもありがとうございました。  あとは、郵政省だけの問題で、これから二つお伺いをしたいと思います。  その第一は、総需要抑制というたてまえからいって、とにかく郵便料金の値上げは一年延ばそうということがきめられて、現にそれが延びている。しかし現在のような、先ほどの公社の場合も同じですが、予想以上のベースアップが行なわれ、審議会答申が出たときにはアップは一二%ぐらいの計算でいたのが、とにかくその倍以上もベースアップされているというようなことから、やはり郵便料金の値上げをなるべく早い機会にやらないとちょっとやっていけないというようなことで、現に検討がされているんじゃないかというふうに思うのですが、いや、きめたとおり一年間は値上げをしないんだ、国鉄運賃の値上げの十月を期して小包料金の値上げだけはやるけれども、ほかのはがきなり封書に関しては値上げをしないというたてまえで今後とも、あれは閣議決定ですか何か知りませんが、一年間延期する、値上げをさせないという方針がそのまま貫かれていくと見ていいのか、いやいや、中間で上げなければいけない状況になっている、いつごろになるとその問題を正式に国会に提案して法定の手続をとるというようなことにしたいとお考えなのか、その点どうでしょうか、端的にお答えをいただきたいと思います。
  103. 石井多加三

    ○石井政府委員 お答えいたします。  ただいま御指摘のございました郵便料金の問題でございますが、お話しになりましたとおり昨年の十二月に郵政審議会から答申がございまして、その答申の内容は御案内と思いますけれども、四十九年度から五十一年度までの三年間の収支均衡をはかるためには郵便料金の改正をすべきであるという答申であったわけでございます。当時、政府の大方針といたしまして物価の抑制策ということが最大の課題でもございましたので、そういった総合的な判断の中で、小包料金だけはことしの十月から値上げをし、それ以外の郵便料金の改正はこれを織り込まないということで予算を編成いたしたわけでございます。しかしながら、ただいまお話しのありましたように、調停委員長の見解に示されましたような大幅な給与改定を実施することといたしますと、その審議会答申の中において予定しておりましたような人件費の上昇率を大幅に上回ることになりまするので、かりに値上げをいたしますとしましても、十二月の時点でいただいた答申どおりの値上げでは、五十一年度までの三カ年間の収支均衡をはかるということはとうてい困難であるというのが実情でございます。  御質問にございました、今後一体どうするのかということにつきましては、仲裁裁定が示されました段階でまた政府の内部でも、関係各省とも十分協議いたしまして態度をきめていかなければならないというふうに考えております。
  104. 原茂

    ○原(茂)委員 いま御説明があったんですが、大臣、やはり封書、はがきについても値上げをせざるを得ないという段階のような間接的な御答弁だと思う。  もう一つお聞きしたいのは、あの当時、審議会答申の中では一二%ぐらいのアップを前提とした中で、封書を二十円が三十円、はがき十円が二十円というようなことが答申されていた。自今考えるというときには、封書二十円が三十円以上にもっと上がる、はがき十円を二十円以上にもっと上げなければいけないようなことをおそれているのですが、そういうような心配はございませんか、どうでしょうか。
  105. 原田憲

    原田国務大臣 上げるか上げないかということについて、まだ仮定でございますから、すでに上げるということを前提にしてこれは幾らかという原先生の御質問ですから、私どもは、昨年の十二月に審議会答申をもらった時点で、すでにいまのままでやっていけない、こういう状況から、この郵便事業というものの健全化をするためにはいまの審議会答申を受けて処置をしたい、こう考えておったのでございますけれども、これに対して物価抑制という最大の政治課題ということから、これをことしは織り込まないということにしておるということがまず前提になっておりますので、今後この問題について変化が起こりましたときには、そういう立場に立って政治をやっておるということに立ってやっていかなければならぬということを考えておるということが第一点でございます。  それから、今度のベースアップに伴って今後値上げせざるを得ないのじゃないか、こういうことでございますが、いま郵務局長から御答弁申し上げましたように、今度の仲裁裁定がおりました際には、御指摘のように、いままで見込んでおったこととは相当相違がございますから、これは私どもだけではなく、政府全般として考慮しなければならぬ問題でございますので、いずれ私ども関係閣僚も集まっての上に、これに対する対処の協議をいたしていかなければならぬと考える次第でございます。その時点に立ちまして今後に処してまいりたい、このように考える次第です。
  106. 原茂

    ○原(茂)委員 あと一問で終わりますが、いまの問題については、何でもかんでも郵便料金に転嫁してしまうという安易な道をとらないようにということを、特にお願いをしておきたいと思うのです。  それから、最後にお伺いしたいのは、簡易保険なり郵便年金の財源を通じて老人福祉施設が現に十三カ所、俗に老人ホームといっているのがありますが、これは、一番最後にできたのは相当前にできただけで、ずっとこっち何にもつくっていない。もちろん郵便年金というのは減る一方ですから——時間がありませんから、資料うんとありますけれども、ちょうだいしましたが、それに基づいて申し上げませんが、こんなに社会全体が福祉国家を目ざして、先ほどの老人のための電話、身障者のための電話などまで配慮するような、いわゆる福祉政治への大転換が基本方針になっている段階で、ただ郵便年金がずっと少なくなっていくということにつれて、何かこの種の老人ホームをつくるということに郵政省の立場で熱が失われてきている。時代的にいって、逆にいまこそ郵政省は、こういう問題にうんと力を入れていく絶好のレールが敷かれているわけですから、やればできるので、思い切ってこれをどんどんふやしていく。そして短期あるいは長期の加入がもう少し条件が緩和された形で増設されていくようにすべきだと思うのですが、そういう考え方があるかどうかをお聞きしたい。ぜひやらなければいけないという立場で私は申し上げているわけであります。  それから、診療施設も同じことであります。  それからもう一つは、例の養護センターというのか何か知りませんが、こういうセンターというのが相当できていますが、これは非常な利用率があって喜ばれていますので、老人ホームも同じですけれども、これに関してももっと積極的に進めていくように計画があるかないか、ぜひそれをやるべきだと思いますが、いかがかということを最後にお伺いしたい。
  107. 野田誠二郎

    ○野田政府委員 お答え申し上げます。  簡易保険の加入者福祉施設関係につきまして御支援いただきまして、非常に感謝申し上げる次第でございますが、一番最初に御指摘になりました加入者ホーム、いわゆる老人ホームにつきまして、これは長期と短期に分けておりますけれども、長期の分につきましては、御承知のとおり簡易保険が独立採算制であること、また加入者数が非常に多いということから、長期ホームにつきましては、いわゆる老人ホームでありますので、入られますと大体非常に長期にわたって滞在される、そういうことから、一つの見方としまして、それこそ数千万人という保険の契約者、加入者がおられる中で、その利用が一部に片寄る、公平かつ加入者全部に均霑しない、こういう批判が一部にございます。これはお説のとおりでございますけれども、その点が一点と、もう一つ、現在の収支率といいますか、独立採算制でやっておりますたてまえ上、これは簡易保険で経費を負担しておりますが、収入支出を比べますと、建設費を別にいたしまして、運営費の約三割程度しか老人ホームでは収入をあげておりません。そういう点から考えまして、私ども、御指摘のように、四十三年以降、長期ホームにつきましては拡充をいたしておりません。しかし、短期ホームにつきましては、これは保養を目的とする老人の短期の施設でございますので、これはどんどん拡充をいたしております。したがいまして、今後加入者ホームのあり方としましては、なお実費弁償に足る程度ぐらいの収入をあげ得るような施設というようなものにつきまして、今後検討を進めていきたい。短期の部分につきましてはどんどん拡充をしていきたい、このように考えております。  診療関係につきましては、最近の医療保険制度の拡充その他につれまして、相当運営もむずかしくなっておりますので、これは社会保険適用外の部分への進出、たとえば健康診断とかあるいは無医村への巡回、こういうような方向に進めていきたい、このように考えております。  なお、最後に御指摘になりました、いわゆる保養センターといいますか、要するに国民生活の福祉指向型あるいはレジャー、こういう点から、事情の許す限り拡充をしていきたい、このように考えております。
  108. 原茂

    ○原(茂)委員 これで終わろうと思ったのですが、いまの長期ホーム、確かにペイしないにきまっているのですが、だからこそやるべきだと思うのです。ほかのところでも無理をしてやっているわけですからね。皆さんのところではそれをやる義務があるし、いまの国の方向からいっても、長期のほうはどうもペイしないから、これに対してはあまりやらないのだじゃ困る。現在は長期ホームをつくる計画はないのですね、それが一つ。  それからついでにお聞きしたいのは、郵便年金はこれからもなくしていくという措置がとられているのかどうか知りませんが、法律を見ますと、いろいろと切りかえの法律案が出ています。だんだん減っていく一方なんですが、これはどこかでけりをつけなければいけないのか、それともまだこれからずっとやっていくのか、募集もするのか、いや、もうけりをつける、いつを目標に郵便年金はやめるというような方針があるなら、そのことをお伺いして終わります。
  109. 野田誠二郎

    ○野田政府委員 最初の点でございますが、加入者ホームの長期の部分につきましては、現在のところ拡充の計画はございません。  第二点の郵便年金制度の将来でございますが、御指摘のように、現在郵便年金は非常に存在意義が薄れておりまして、現実に新規契約の募集ということも、ここ四年ばかりやっておりません。しかし、このまま郵便年金制度を廃止してしまうかどうかということにつきましては、なお国民の需要動向というようなものをもう少し検討いたしまして、現在の郵便年金があるいは新種の任意の年金保険に転換できるかどうかというようなことにつきまして、なお全面的に再検討を進めておるところでございまして、現在の時点では、これを廃止しようということにはいたしておりません。なお、検討の結果、どうしてもこれはもう社会的な機能が終わった、こういう判断に立ちました場合には、現在の加入者、約二十万件ございますけれども、こういう方々に対する救済措置を十分考えまして幕をとじたい、こういう程度の心がまえでおります。
  110. 原茂

    ○原(茂)委員 終わります。
  111. 臼井莊一

    臼井委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後一時二十分散会