○山原
委員 時間がもうあまりないようですが、私がなぜこんなことを言っているかといいますと、これは中央
教育審議会の専門
委員である、また
文部省の
研究所にもおられた方ですが、河野重男さんの書きました「
教育経営」という本があるわけです。これを読んでください。一六四ページの「
負担にあえぐ教師」、それから「教師を
教育にかえそう」というようなところがございますけれ
ども、ほんとうに
日本の
教育というのはたいへんな状態なんですね、雑務にいたしましても。そういう状態に置かれて、そして学級定数も先ほど言ったようになかなか解決できない状態にある。五年間はどうにもなりませんという
お話でしょう。それから研修日の問題は、人事院勧告があれば多少それにのっとって、地方公務員、
国家公務員とは別にはしたくないという
お話がありましたけれ
ども、雑務とかそれから授業量とかいうこと、これなんか
考えましたら、実際いま
義務教育におきましても、子供
たちにほんとうに行き届いた
教育をできるような状態には行政はしていないと私は思います。これはそれに
関係してきた、皆さんのほうの中央
教育審議会の専門
委員をしておった方がずっと書いておられるわけです。これは一方的な理論の展開ではないと思う。具体的に相当書かれていますから、数字もあげてますから、一ぺん読んでいただきたいと思いますが、そういう状態にある。
それからもう
一つは、学校の先生方の住宅の問題ですね。これがどうなっておるか。これは裁判官並みの取り扱いをしたいということを
文部大臣もしばしば言っていますけれ
ども、
文部省の基準の教員住宅にしても五十平米ですね。裁判官のほうは違いますね、裁判官のほうは、e型という一等級及び指定職の場合は八十平米以上、二等級CL型というのは六十五平米から八十平米、こうなっているわけです。そして、現実には裁判官の場合は、配置転換が行なわれても、裁判官の住宅というのはちゃんとあるわけです。裁判官並みにすると言ったって、私
どもも実際経験しておりますけれ
ども、教員の場合は、行っても家がないわけです。転勤をさせられたらまず家を探さなければならぬという状態ですね。こういうものもほとんど改善されてはいない、こういう状態にあります。
それから人事異動に至っては、裁判官の場合を
考えてみますと、大体わかるのです。その人が今度どこにお移りになるか、いつごろお移りになるかということがわかるのです。ところが教員の場合は、全く突然新聞に発令が発表される、それで知るという状態がほとんどだと思います。そして、私の経験などでは、全く突然僻地へぱっと行くとか、夫婦別居。しかも報復的な人事行政というのが至るところにある。大体、任命権があるからといって教員をどこにでもほおり込んでかまわぬというような思想は、これはもう教師の尊厳に対するたいへんな冒涜ですよ。だから、たとえばこの僻地へ行っていただきたいというときには、その先生に話をして、この僻地へ行っていただきたい、その先生が情熱を持って行けるような態勢をつくってあげる、そしてまたいつか、家庭の
条件があれば帰ってくるというふうな、民主的な話し合いによる人事、これはどこでもやっているわけです。教員の場合だけですね、ただ権力をもってぱっぱと飛ばしておる。私の知り合いの者は、十年間に十一回、学校をあっち飛びこっち飛びさせられている。人間的な家庭の構成とかそういうものも一切無視されてしまって、それが教員の人事だという
考え方があるわけですね。
住宅はない、それからそういう家庭の
条件も、自分が情熱を燃やして教えようとする
条件も全く
考えないで、ただ人事異動をやっておるというようなことは、これはもう聖職だなどというのはやめなさい。私らは、教員というのは神聖な職業だと思っていますよ。けれ
ども、あなた方がいうのは、何もそういう手当てをしないで、ただ権力をもってどうでもやれるのだ。教員の尊厳に対する敬意とかそういうものは全く
感じられない。そういう
条件も整備しようとしていない。
文部省のやらなければいかぬことはそのことなんですね。
教育基本法第十条に忠実に
文部省が従っていく、このことがいま
文部省に
要求されていることなんですよ。どうですか。との人事の問題、住宅の問題、情勢はどんなになっていますか。