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1974-04-25 第72回国会 衆議院 決算委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年四月二十五日(木曜日)     午前十時十七分開議  出席委員    委員長 臼井 莊一君    理事 井原 岸高君 理事 唐沢俊二郎君    理事 橋口  隆君 理事 松岡 松平君    理事 綿貫 民輔君 理事 久保田鶴松君    理事 原   茂君 理事 庄司 幸助君       赤澤 正道君    菅野和太郎君       中村 弘海君    吉永 治市君       坂井 弘一君  委員外出席者         人事院事務総局         給与局次長   長橋  進君         大蔵省主計局主         計官      猪瀬 節雄君         大蔵省理財局国         有財産審査課長 佐藤徳太郎君         大蔵省国際金融         局企画課長   長岡 聰夫君         会計検査院長  白石 正雄君         会計検査院事務         総局次長    鎌田 英夫君         会計検査院事務         総長官房総務課         長       藤井健太郎君         会計検査院事務         総長官房人事課         長       堤  一清君         会計検査院事務         総長官房会計課         長       岡峯佐一郎君         会計検査院事務         総局第一局長  高橋 保司君         会計検査院事務         総局第五局長  中村 祐三君         決算委員会調査         室長      東   哲君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十六年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十六年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十六年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十六年度政府関係機関決算書  昭和四十六年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和四十六年度国有財産無償貸付状況計算書  (会計検査院所管)      ————◇—————
  2. 臼井莊一

    臼井委員長 これより会議を開きます。  昭和四十六年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、会計検査院所管について審査を行ないます。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。原茂君。
  3. 原茂

    ○原(茂)委員 きょうは、会計検査院仕事のあらましを、ある意味では私の頭に入れさしていただくことを前提にしてまずお伺いをし、なお最終的には、現在のこの院法を中心にした仕事ぶりで現在に完全に適応しているのだろうかということも、あわせてお伺いをしたいと思うわけです。  検査院法をよく見ましたのは今度初めてですから、いろいろとこまかい問題をお伺いしていきたいわけですが、特に、たとえば第十七条、「秘書官は、検査官の命を受けて、機密に関する事務に従事する。」とあるんですが、この秘書官というのは何名いるんですか。
  4. 白石正雄

    白石会計検査院長 一名でございます。
  5. 原茂

    ○原(茂)委員 この「機密に関する事務」というのは、どんなものがあるんですか。会計検査院として「機密に関する事務」とは何なんでしょう。
  6. 白石正雄

    白石会計検査院長 「機密に関する事務」は文字どおり機密に関する事務でございますが、具体的に、私、院長に就任いたしまして、これが機密に属するというような事項はまだ扱っていないわけでございます。
  7. 原茂

    ○原(茂)委員 この秘書官の一名は、むだですね。院長が御就任なさってから今日まで、機密に関する事項は何にもなかった。これからありそうですか。なければ、どうもこの秘書官の存在はむだだということになる。
  8. 白石正雄

    白石会計検査院長 私の答弁がいささか悪うございましたのでございますが、院長といたしまして仕事をする上におきまして、諸般の連絡その他の関係がございますので、そういったいわば庶務全般のことにつきまして秘書官を使っておるわけでございます。
  9. 原茂

    ○原(茂)委員 これがおもじゃありませんからその程度でいいんですが、この十七条の「機密に関する事務に従事する。」という表現のしかたが、ほかにこういうのはあるのかどうか知りませんが、大臣にも秘書官がいたりいろいろいるようですが、秘書官の職務を、機密に関する事務に従う、こんな表現をしているのはほかにあるのかどうか、御存じですか。ありますかね。各官庁全部、通例なんでしょうか、こういう書き方が。
  10. 白石正雄

    白石会計検査院長 いま突然の御質問に対しまして、私、答弁を用意していないわけでございまするが、機密ということにつきましては、つまり外部にはこれを秘とするような事項もあるというような意味におきまして機密ということばを使ったんだろうというように考えておる次第でございます。
  11. 原茂

    ○原(茂)委員 院長御存じなければ、ほかの例は知らないことになるのでやむを得ませんが、私はおっしゃろうとする意味はわかるので、秘書官は必要だと思うのです。思うのですが、「機密に関する事務に従事する。」と、こうぱっちり表現することはいかがかなと思うのです。これは私の意見です。あとで総括して申し上げます。  その次に、第十八条に「技官は、上官の指揮を受け、技術に従事する。」この「技術に従事する。」とは何ですか。
  12. 白石正雄

    白石会計検査院長 検査仕事というものは非常に技術関係のことが多いわけでございます。そのようなことにつきまして、技術関係検査の必要上いろいろな技術関係技官を用いておるわけでございまして、そのような検査上の技術的な仕事に従事をいたすということでございます。
  13. 原茂

    ○原(茂)委員 これは純然たる技術、それから大きな意味事務にも技術というものは非常に広範囲に浸透していて、知らないと事務がとれないという意味の、非常に広い意味技術もあると思う。技官というものを位置づけようとするのはけっこうですが、「技術に従事する。」というこの表現のしかたも、私は、「技術業務に従事する。」というなら、何かもうちょっと現代に合っているように思うので、どうも「技術に従事する。」というだけでは表現が足らないように思います。  第十九条に「会計検査院は、会計検査院規則の定めるところにより事務総局支局を置くことができる。」——事務総局支局をいまどのくらい置いてあるんでしょう。
  14. 白石正雄

    白石会計検査院長 ただいま支局は存置しておりません。
  15. 原茂

    ○原(茂)委員 かつて存置したことはないんですか。いまはなくなったんですか。前例がないんでしょうか。
  16. 白石正雄

    白石会計検査院長 全然、現在まで支局を置いた事実はございません。
  17. 原茂

    ○原(茂)委員 私は、これはまた別の意味で、支局というのか外局というか、現在の状況を考えると置くべきだと思う。この支局意味はどういう意味でここに書いてあるのか知りませんが、とにかく発足以来全然置いたことがないというのは、十九条に厳然としてあるが、いまや必要がなくなっている条章である、こういう認定もできるんじゃないかと思うので、これもあとで総合的に申し上げますが、こういう「支局を置くことができる。」、置こうとする意図があった、置く必要があるだろうという予測が当時できた。やってみたが必要はなかった。現在でも必要はないか。現在になると、私はもっともっと数多くの支局なり——この支局意味はわかりませんが、何をねらっておるかわかりませんが、外局的なものを置いて会計検査というものをしていかなければ十全な会計検査はとてもできない、こういう考えを持っておりますが、これもあとで総合的に申し上げます。  それから二十条の二項に「会計検査院は、常時会計検査を行い、会計経理を監督し、その適正を期し、且つ、是正を図る。」とありますが、この「常時会計検査」というもののやり方は、具体的には実地検査それから書類検査がある。その両方を含めていうのでしょうか。この常時会計検査というものの内訳をお教えいただきたい。
  18. 白石正雄

    白石会計検査院長 会計検査院決算検査するわけでございますので、一つの理屈から申し上げますると、決算が作成された後に検査を開始するということも一つの考え方でございます。しかしながら、これにつきましては、常時会計検査を行なうという意味で、決算が終了しなくても、支出の済んだものにつきましては検査を行なうという意味で常時会計検査を行なうというように承知いたしておるわけでございます。したがいまして、毎月あるいは三カ月ごとというように、計算証明規程の定めるところによりまして計算書並びに証拠書類を提出させまして、これについて書面検査を行なうと同時に、また実地職員を派遣いたしまして、常時検査を行なっておるということでございます。
  19. 原茂

    ○原(茂)委員 ちょいちょい院長さん恐縮ですが、従来、常時会計検査決算のできる前二カ月なり三カ月ごとにあるいは半年、中途で何回か行なった事例がございますか。
  20. 白石正雄

    白石会計検査院長 計算証明規則の定めるところによりまして、書類は一カ月ごとあるいは三カ月ごとに常時出てくるわけでございます。そうしますと、それにつきましては直ちに検査をいたしまして、書類上間違いはないか、計数の間違いはないか、またその支出は妥当であるかどうかということを検査をいたしておるわけでございます。また、さらに実地検査といたしましても、たとえば年度末等におきましては、翌年度分のまだ決算が終了していない部分につきましても、すでに支出済みのものにつきまして一月ごろから検査をいたしておるというような状況でございます。これは御承知のように、決算検査報告通常国会の冒頭に提出するということが通例になっておりますので、検査の施行時期は十一月ごろまでには完了しなければならないという関係がございまするので、そういう意味におきまして、時間の許す限り常時検査を行なっておるということでございます。
  21. 原茂

    ○原(茂)委員 この常時検査アクションを起こすのは、原則としてどっちなんですか。常時検査をしようと考え、あるいはしてくれというそういうアクションが起きてくるのですかね。そういうことはないのですか。会計検査院の側から常時検査書類によって行なうということが原則なんですか。
  22. 白石正雄

    白石会計検査院長 会計検査院検査方針を立てまして常時検査を行なっておるということでございます。
  23. 原茂

    ○原(茂)委員 それから、途中でお伺いしますが、第二十二条の四、「日本銀行が国のために取り扱う現金貴金属及び有価証券受払」という項目があります。これに対しても検査を行なっているはずですが、現在、国と日本銀行が保有している貴金属、これがどういう内容で、どういうものがどの程度あるかというのをここでついでにお伺いをしておきたいのでありますが、大蔵省からおいでになっているでしょうか。
  24. 長岡聰夫

    長岡説明員 お答えいたします。  ただいまのは、貴金属特別会計という会計がございますが、ここで持っております四十八年度末の貴金属保有状況は次のとおりでございます。  金地金九十六・九トン、金額は五百六十一億円でございます。それから銀地金二十八・八トン、四億五千五百万円になります。それから白金地金が六十九キログラム、一億円でございます。  以上でございます。
  25. 原茂

    ○原(茂)委員 いつか、三、四年前か何か覚えていませんが、接収貴金属公売を公告してやったことがありましたね。あれはもう、あれで全部なくなったんですか。
  26. 佐藤徳太郎

    佐藤説明員 お答えいたします。  接収貴金属等として国が保有しております貴金属と申しますと、四十八年度末で金地金が約三・六トン、銀地金が百四十・五トン、白金地金が、これはたいへん少のうございまして、〇・五トンというようなことになっておりまして、これの価額は合計で約三十四億円ということになっております。  それで、接収貴金属等といたしましては、先生いま御指摘のように、こういう貴金属のほかに、ダイヤモンドでございますとかあるいは貴石類等がございますが、これらにつきましては、価額が大きさとか品質とかでいろいろ変わるものでございますから、特に価額は出しておらないわけでございます。  それで、このうちダイヤモンド貴石の一部につきましては、先生承知のように、四十一年度以降、一般公開競争入札、あるいは一部委託販売もございましたが、そういうことで処分を進めておる次第でございます。  以上でございます。
  27. 原茂

    ○原(茂)委員 ですから、現在、接収貴金属ダイヤモンドを含めて、残っているのですか、残っていないのですか。
  28. 佐藤徳太郎

    佐藤説明員 お答えいたします。  先ほど申し上げましたように、金地金銀地金白金地金は、先ほど示した数字で残っておりますが、ダイヤモンドにつきましては約二万六千カラット、それから貴石類につきましては約一万一千カラット、その他製品類貨幣類等がまだ残っておるわけでございます。
  29. 原茂

    ○原(茂)委員 これもまだ公売を続けるのですか、それともこれはずっと保有するのですか。
  30. 佐藤徳太郎

    佐藤説明員 お答えいたします。  ただいま申し上げましたダイヤモンドとか貴石製品類、これらにつきましては、一応われわれとしては、現在もダイヤモンド競売を続けておるわけでございますので、年二回やっておりますのをこのペースで続けていきますと、大体五十一年度ごろまでには処分が終了するのではないかという見込みを持っております。  それから金地金銀地金白金地金等につきましては、これはたとえば造幣局等で必要があれば、そういうところに有償所管がえする等の処分方法が好ましいかと思っておるのでございますが、現在のところ、はっきり処分方針等は定めていない実情でございます。  以上でございます。
  31. 原茂

    ○原(茂)委員 そこで会計検査院にお伺いするのですが、いまお話しのあったように、たとえばダイヤモンドなど価額が移動しているというようなこともあって、現在幾らに売るかきめていない、その意味評価ができていないというようなものが国の財産として保有されている。四十六年、四十七年、四十八年、何年度でもいいですが、一体会計検査院としてはこういうものの金額評価をそのときしないのですか、するのですか。
  32. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 お答えいたします。  現在所有しているものにつきまして再評価するということはいたしておりません。ただ、処分をする段階におきまして、時価というものをはかりまして売却するというふうな取り扱いになっております。
  33. 原茂

    ○原(茂)委員 会計検査院というのは、国有財産というものを、当然金額評価しなければいけないものは、金額幾ら年度にあるということを検査しないでいいのでしょうか。相当の金額財産があるのに、売れて処分したときに初めて検査院としては金額的な検査を行なうということだけに終わってずっと来ていて、支障がありませんかね。院長、どうでしょう。
  34. 白石正雄

    白石会計検査院長 これは会社等におきましても、いわば原価主義によって帳簿が作成されておるというような状況でございまして、非常に時価が暴騰いたしまして再評価を行なうということもございますけれども、原則といたしましてはやはり取得原価によって帳簿を形成するということが通常の慣習になっておりますので、そういう経理をいたしておるわけでございます。
  35. 原茂

    ○原(茂)委員 そういうふうに計上し、また検査もしているわけですね。じゃ金額取得原価によってきちっと年度別表現しているわけですか。
  36. 白石正雄

    白石会計検査院長 さようでございます。
  37. 原茂

    ○原(茂)委員 詳細が会計検査院の場合わからないので、私、それ以上いま言ってもむだだと思うのですが、私は、この種の接収貴金属がすでに競売その他で一般公売されることがきめられて以後は、その年度会計検査を行なうときには時価によってこれを換算し、金額の計上を行なうというようにすることが、会計検査院仕事ではないかと思うのですが、どうでしょうか。取得原価でずっと前にあった、それを国家がこれから保有するときめているんではない、もうすでに競売公売を始めている。そういう状況の中で、四十一年以来ずっと取得原価でそのまま会計検査院経理検査を行なう、こういうことでいいのでしょうか。国がもう公売をきめてしまった以上は、年度年度で売れていっているわけですから。というときには、その年度ごと時価相場がこれだという計算がなされなければいけないと思うのです。会計検査院立場からいうならそれが正しいんじゃないかと思うのですが、どうでしょう。
  38. 白石正雄

    白石会計検査院長 たとえば国有財産等につきましても、全国に土地、家屋物件を多数所有しておるわけでございます。このようなものにつきまして一々時価評価をするということはとうてい困難かと思うわけでございます。したがいまして、それを売り払うような場合におきましては、適正な時価で売り払われたかどうかという検査は実施いたすわけでございますけれども、一々現在の簿価時価評価をするということはいたしてない現状でございます。
  39. 原茂

    ○原(茂)委員 そういう点でいうなら、では見解の相違でしょうが、私は立場が違うのかもしれませんが、国が少なくともこれだけの物品を公売するときめて何年か継続的に行なわれているときには、年度年度でそのときの時価による評価をした金額が計上され、検査をされるようにしなければいけない、こう思いますが、その点もまた、時間があればあとで総括して申し上げたい。  それから第二十三条、「会計検査院は、必要と認めるとき又は内閣請求があるときは、左に掲げる会計経理検査をすることができる。」といって一、二、三、四、五、六、七とあげてあるわけです。ここでお伺いしたいのは、「必要と認めるとき又は内閣請求があるとき」だけでしょうか。「左に掲げる会計経理検査」を行なう一から七に該当するもの、会計検査院自体が必要と認める、または内閣がやってくれといったとき以外はないのでしょうか。それだけでしょうか。
  40. 白石正雄

    白石会計検査院長 検査院検査範囲につきましては、御承知のとおり二十二条と二十三条の二カ条があるわけでございます。二十二条は、これはすべて必要検査事項としまして、検査院が必ず検査しなければならない範囲でございます。二十三条は、いまお読みになりましたように、必要と認めるときまたは内閣請求あるときに限って検査をするということに相なっておるわけでございまして、必ず全部検査をするということには相なっていないわけでございます。これは検査必要性の度合いというものが法律で二十二条よりも軽いと見たのであろうと考える次第でございまして、したがいまして、いろいろ検査の途中におきまして、これはどうも怪しい、不当性がありそうだということで検査の必要があると認めたようなときにおきまして検査をするということに相なっておるわけでございます。
  41. 原茂

    ○原(茂)委員 二十二条、二十三条の関連はおっしゃるとおり私も理解しております。ただ、私のお伺いしたのは、会計検査院が必要と認めたときと内閣請求をしたとき以外はないのですか、そのとき以外はこの一から七に該当する会計検査は行なわないのですかと、そういうことをお聞きしたのです。
  42. 白石正雄

    白石会計検査院長 さようでございます。
  43. 原茂

    ○原(茂)委員 これもあとで申し上げますが、どうもこの種の会計検査を行なうその請求、要請がほかの部署から起きてもいいじゃないかと私は思うし、またそうでなければいけないと思いますので、この点だけでいま申し上げないで、あとで総合的に申し上げますが、そういう見解を私は持っているのであります。  それから二十五条、「会計検査院は、常時又は臨時職員を派遣して、実地検査をすることができる。」こういうことが二十五条にうたわれているのであります。ここでお伺いしたいのは、「常時又は臨時職員を派遣して、」という、臨時職員を派遣する、あるいは常時行なう場合でも、抜き打ちに行なうことがあるのか、すべて事前に通知をして——私の知っている範囲では、各下部の役所か、一週間後、十日後に会計検査院が来るというので大騒ぎしていますよ。これはもう皆さん御存じで、それでいいと思います。しかし、場合によっては、能力があり、そのある種の裏づけを長期にわたって検査院が持っているなら、抜き打ち検査というものをしごくひんぱんにやることのほうが、ほんとうに検査をしようという業務のいい意味の改善を指導していこうという立場からいうなら、抜き打ち検査というものを重要視していいんじゃないかと思うのですが、そういうことが行なわれている事例があるんでしょうか。
  44. 白石正雄

    白石会計検査院長 会計検査院検査は、何と申しますか書面検査におきまして一応事情をよく聴取いたしまして、それからそれが実情に合っておるかどうかということを検査いたすわけでございまするので、関係職員等につきまして質問あるいはいろいろそういった書類の準備をさせる必要があるというような点が、非常に多々あるわけでございます。したがいまして、大体通告をして検査をしておるというのが実情でございます。ただ、現金の有高の検査というような、抜き打ち検査の必要のある場合もございます。こういったものにつきまして、過去の実績といたしましては、特定郵便局につきまして三百十一件の実績がございます。
  45. 原茂

    ○原(茂)委員 特定郵便局三百十一件過去の実績がある、これは現金を対象にしている。それ以外にだって、小さな特定郵便局じゃなくて、もっと大きなセクションに対して、やはり現金抜き打ち検査をやることだって必要になるだろうと思うのですが、まあやっていなかった。私は、そのことを技術的にやる、やらないを言うのじゃなくて、やはり抜き打ち検査というのは常時行なわれるのだということを——書面はどうせ取らなければ、抜き打ち検査も何も検査できませんから、まず書面は取る。取ったあとは、いつでも抜き打ち検査はもう常時行なわれるという原則に立つような、あるいはそういうことが宣言されていて、そういう心がまえで検査を受ける者の日常を指導していくほうが、効果のある面があるのじゃないかというふうに思いますので、そういう意味では抜き打ち検査をもうちょっとひんぱんにやるべきだ、今後やったほうがいいというふうに考える立場で申し上げているわけですが、こういうことは必要ないですかね。
  46. 白石正雄

    白石会計検査院長 必要あると思います。先生の御趣旨に沿いまして今後努力いたしたいと考えております。
  47. 原茂

    ○原(茂)委員 これもあと総合的には一括して申し上げたいんですが、その次に二十九条の五、「第三十一条及び政府契約支払遅延防止等に関する法律第十三条第二項一同法第十四条において準用する場合を含む。一並びに予算執行職員等の責任に関する法律第六条第一項(同法第九条第二項において準用する場合を含む。)の規定により懲戒処分を要求した事項及びその結果」という項があるのです。  そこでお伺いしたいのは、支払遅延防止等に関する法律第十三条第二項、この規定によって懲戒処分を要求した事項というのが、今日、事例としてございますか。
  48. 鎌田英夫

    鎌田会計検査院説明員 お答え申し上げます。  支払遅延防止法に基づきまして懲戒処分を要求した事例はございません。
  49. 原茂

    ○原(茂)委員 これは人手が足りない、十分に検査ができないというようなことから、事例がないのでしょうか。絶対に、支払遅延防止法にかんがみて懲戒等を要求する事例というものは、いままでの会計検査の中でないと確信しているのでしょうか。
  50. 鎌田英夫

    鎌田会計検査院説明員 お答え申し上げます。  過去において、現在もそうでございますが、そういう点は十分検査しているわけでございますけれども、われわれの検査段階でそういうものが見当たらなかったという現状でございます。
  51. 原茂

    ○原(茂)委員 そう答弁しなければいけないからしでいるようにしか私には思えないので、実際には、私の知っている範囲でも間々、支払遅延防止等に関する法律関係して二回、三回勧告を受けて、なおかつ、いまだにそれがある意味では公然と、ある意味ではひそかに、実施されないままにきているのがうんとあるのです。われわれの知っている範囲を摘発するようになるから、あえてどうしてもというなら申し上げてもいいのですが、いま申し上げようとは思いませんけれども、やはり実際にこのことを完全にその立場検査を行ない、十分な吟味をしていけば、懲戒処分を要求しなければいけない事項というものはまだずいぶんあるだろうと私は思うのです。これも私の考えですが、やはり現在の人手ではできない、物理的にもできない、一ぺんは追及したけれども、それを全部完全に二回、三回にわたって、長期にわたって、そのことが改善されているかどうかをチェックするだけの力がない、人的な余裕もないということが原因じゃないかと思うので、実際にはこれはいまのようなものではないというふうに私は考える。  次に第三十条、「会計検査院は、前条の検査報告に関し、国会に出席して説明することを必要と認めるときは、検査官をして出席せしめ又は書面でこれを説明することができる。」こういうのですが、ここでお伺いしたいのは、三人の検査官が必要ありと認めたとき以外、あるいはわれわれが必要と認めて要求をするというようなときは全然ないのでしょうか。この説明というのは、いつでも検査官が必要ありと認めたときに説明をするのであって、われわれの側から必要と認めて要求をしたときに、検査官がその報告をする義務は負っていないのでしょうか。それが一つ。その次は、「説明することができる。」とある。説明しなくてもいいのか、これは説明する義務を法律で負っているのか、このことを明瞭にしてもらいたい。それから、二十三条に返ってみて、二十三条の場合もこれと同じように、われわれの要求があったときにやれるものかどうか。二十三条に返って考えてみてということ。三つに分けて……。
  52. 白石正雄

    白石会計検査院長 この三十条の規定は、旧憲法時代に旧院法時代からの関連につきまして、旧院法時代におきましてはこういう規定がなかったわけでございます。新院法におきましては、検査官をして出席せしめることができるというように、いわば積極的な権限規定みたいな規定が置かれておるわけでございます。いわば報告書を提出しただけで事足れりとせずに、なおかつ、説明を必要とするときには出席して説明することができるという規定になっておるわけでございますが、もちろん、国会の御要求がございますれば、この規定のいかんにかかわらず、国会の国政調査権の一環といたしまして、検査院当局が出席いたしまして御説明をいたすことは当然のことと考える次第でございます。そのような意味におきまして、二十三条の「必要と認めるとき」というのは、これは御要求があります場合におきましては、それに応じて、こちらにおきましてはどうもこれは検査の必要がないと認める場合におきましては、これはこういう事情で必要がないということを御了解を得ることだろうと思うわけでございますが、やはり御要望に応じまして、必要と認めればそれによって検査をするというようにいたす所存でございます。
  53. 原茂

    ○原(茂)委員 そこで私、大きな疑問を持つのですが、会計検査院検査官を出席せしめて説明することがてきる。——私は、国民の税金が有効に使われているかどうかをたてまえにした会計検査院業務からいうなら、少なくとも国会に対しては進んで報告する義務を負うような条項に改正すべきだと思うのですね。改めなければいけないと思う。これは会計検査院にはちっとも義務がない。少なくとも内閣直属であって、検査官は認証官で、とにかく相当強権を持つ独立した機関だという感じ、これはよくわかりませんが、そのことは必要だと思います。必要だと思うのですが、どうもこの条項を見ると、私は、少なくとも会計検査院は、国民に対して、税金が有効に適切に使われている、いないということを報告の義務を負っておるというのが前提でなければいけない。そういう前提から考えると、ほかの条章にもあるのですが、三十条のこういう表現のしかたというのは少し奇異な感じがする、義務感が少なくていけない、こう思うのですが、どうでしょう。
  54. 白石正雄

    白石会計検査院長 御趣旨の点は当然のことだと思うわけでございますが、同時に、「委員会は、議長を経由して会計検査院長及び検査官の出席説明を求めることができる。」というように国会法の規定もございますので、それによりまして当然検査院といたしましては説明の義務を負っておるということであろうと思います。
  55. 原茂

    ○原(茂)委員 わかりました。そういう趣旨からいっても、その趣旨もおかしいということを私は申し上げておるわけですけれども、要求があったら出席して御説明をいたします、そうでなくて、進んで完全に検査を行ない、責任をもってそれを国民に報告する義務を負うというたてまえが会計検査院のたてまえでなければいけないだろう、こういう観点からいうと、いまのもおかしい、これもおかしいのではないか、こういうつもりです。あとで申し上げます。  それから、これも第三十一条の一番末尾に、「本属長官その他監督の責任に当る者に対し懲戒処分を要求することができる。」のですが、した前例がありますか。
  56. 鎌田英夫

    鎌田会計検査院説明員 お答えを申し上げます。  院法規定に基づきまして懲戒処分の要求をした前例は、昭和二十四年に東京逓信局関係者につきまして懲戒処分の要求をいたしたことがございます。
  57. 原茂

    ○原(茂)委員 いま一つ東京逓信局の事例をあげられたのですが、これも私は、その後の事態のいろいろな推移、いろいろな事件の起きた内容からいって、当然懲戒処分を要求しなければいけない事例がたくさんあるのじゃないかと思うのです。ですが、これもやはり人手の関係でできない、もうちょっと突っ込んでいけば、あるし、やらなければいけないと思いながらも、検査会議によってまあまあこれはというようなことになっていくのじゃないだろうか。もうちょっと人手があれば、その後起きた社会のいろいろな事象からいって当然懲戒処分を要求する事案があったはずだと思うのですが、こういうことも人手、物理的な力関係でできないから、つい一例二例しかないということに終わったのだと思うのですが、どうでしょうか。
  58. 鎌田英夫

    鎌田会計検査院説明員 お答えを申し上げます。  会計検査院法の規定に基づきまして懲戒処分を要求したものは、先ほど一件ということで申し上げましたけれども、われわれ検査いたしておりまして懲戒処分の要求を要するというふうに見るものが、これはたくさんあるわけでございます。しかし、事後におきまして、関係当局におきまして該当者に対しまして何らかの懲戒処分を行なっている、こういう事例がございまして、それならばあえて検査院が重ねてやることもないというようなことで差し控えておる、こういう例は多々あるわけでございます。
  59. 原茂

    ○原(茂)委員 それも私は違った事例を持っているのですが、いまここではあえて申し上げません。まだまだやるべきだし、発動してしかるべきだと思う事例がありますが、それができていないと私は思う。  第三十二条に「会計検査院は、出納職員現金を亡失したときは、善良な管理者の注意を怠ったため国に損害を与えた事実があるかどうかを審理し、その弁償責任の有無を検定する。」、二項にも「弁償責任の有無を検定する。」、三項にも同じく「弁償を命じなければならない。」こういうことが規定されているのですが、弁償責任の検定についてどんな事例がありましたか。
  60. 鎌田英夫

    鎌田会計検査院説明員 事例を後ほど御要求があれば申し上げますが、件数といたしましては、昭和四十七年度について申し上げますと、国の現金、これにつきまして責任ありと検定いたしたものが二件、責任がないと検定いたしましたものが八件。そのほか政府関係機関につきまして、同じく四十七年度で、現金でございますが、責任がないと検定いたしたものが一件ございました。合計いたしまして、現金関係で有責が二件、無責九件、十一件という状況でございます。
  61. 原茂

    ○原(茂)委員 これもまだ少ないというふうに思いますが、これはもちろん専門家の皆さんが具体的におやりになった事例でございますから、私は知りません。しかし、こういう問題を取り上げて考えてみても、現在のような会計検査の進行状況、進行率などから見る、それに対する人員の問題を考えると、やはりここにも人手などから来るこういうものの指摘不足があるのじゃないだろうかということを、私は疑うといいますか、考えているわけであります。  第三十三条にも同じく、職務上の犯罪があると認めたときは、検察庁に通告しなければいけない、といいますが、この事例も、あるのでしたら、具体的にひとつお教えいただきたい。  それから、先ほどの御答弁の中の、国の現金、二件は賠償責任ありと言ったその事例、二つの内容をちょっと説明していただきたい。
  62. 鎌田英夫

    鎌田会計検査院説明員 検察庁に対しまして院法三十三条に基づきまして通告いたしました例は、過去九件ございます。たとえて申しますと、昭和二十七年の二月十四日に検察庁に通告いたしました例を申し上げますと、国立の若松病院におきまして担当の事務官が領収した診療報酬を横領した、この金額は九万二千円ばかりでありますが、そういった例がございます。  それから、有責で検定いたしましたものを申し上げますと、これは四十七年度決算検査報告に記載してございますが、大阪郵政局、現在近畿郵政局でございますが、管内の住吉郵便局の出納員が、四十五年十二月四日から四十六年の十月十九日までの間に局外で集金いたしました簡易生命保険料等百六十七万円を横領したもの、これが一件でございます。  それから東京郵政局、現在の関東郵政局でございますが、その管内の平塚郵便局の出納員が、四十六年の十二月から四十七年二月までの間に積み立て郵便貯金居宅払い金及び局外で集金した定額郵便貯金預入金等を、合計いたしまして二百万円横領した、こういう例がございます。
  63. 原茂

    ○原(茂)委員 郵政関係が相当の事例にみな出てくるのですが、一番手ごろなんですかね、郵便局が。郵政関係ばかり多いですね。
  64. 鎌田英夫

    鎌田会計検査院説明員 われわれ、各省庁につきまして検査いたしておるわけでございますが、郵政関係、これは郵政当局の内部監査、かなりきびしいものがあるわけでございますが、やはり件数といたしましては、全国に一万数千の特定局等があるわけでございますが、そういう犯罪事項、これはやはり傾向的に多い。過去においてかなり多かったこともあります。最近は相当減っておりますけれども、やはり現状としては多いという状況でございます。
  65. 原茂

    ○原(茂)委員 それから第三十五条、「会計検査院は、国又は公社の会計事務を処理する職員会計経理の取扱に関し、利害関係人から審査の要求があったときは、これを審査し、その結果是正を要するものがあると認めるときは、その判定を主務官庁その他の責任者に通知しなければならない。」というこの利害関係人というのは、どういう立場の人をいうのでしょう。
  66. 鎌田英夫

    鎌田会計検査院説明員 お答え申します。  利害関係人と申しますのは、国または公社の会計事務をつかさどる職員会計事務に関しまして直接その損害をこうむるもの、こういう事例でございます。たとえば、これこれの土地を売ったにもかかわらず、これはたとえて申し上げるのでございますが、売ったにもかかわらず約束どおりの金を払ってくれないというようなケースがございますと、そういう被害を受けたとみなされる人間を利害関係人、こういうふうに考えております。
  67. 原茂

    ○原(茂)委員 被害を受けた、被害を受けそうで困っている側の人間が要求したときにそれを取り上げる、こういうふうに考えていいのですね。
  68. 鎌田英夫

    鎌田会計検査院説明員 お答え申し上げます。現在までにやはり前例があるわけでございますが、受けそうだという段階審査請求をしてきたものはなかったというふうに記憶いたしております。
  69. 原茂

    ○原(茂)委員 では、大きい何か事例一つだけ話してください。
  70. 鎌田英夫

    鎌田会計検査院説明員 昭和三十八年の九月に審査決定をいたした例がございます。これは、元大阪営林局の職員が死亡いたしましたので、その人間に対します退職手当の支給を請求したものがあるわけでございますが、その退職手当はすでに死んだ人間の戸籍上の妻に支給済みであった。そこで請求者は、事実上全く他人と同様の存在である戸籍上の妻に退職金を払ったのはおかしい、これは国家公務員等退職手当法及び会計法の規定に反した支出であるからこれを取り消して、正当債権者である女性、つまり請求者でございますが、それに支給すべきであると審査請求をしてきた例でございます。  これに対しまして本院では、請求者は事実上婚姻関係と同様の事情にあった者と認められますけれども、国家公務員等退職手当法において、配偶者につきましては特に「(届出をしないが、職員の死亡当時事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。)」と規定を設けておりますのは、戸籍上の配偶者がいない場合に限り、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を配偶者として取り扱う趣旨のものというふうに本院で解されますので、この大阪営林局の退職金の支払いは正当である、是正を要しない、こういうふうに判定した事例があるわけでございます。
  71. 原茂

    ○原(茂)委員 なるほど、そういうこともあるのですね。  そこで、各条章ごとの問題を一度おきまして、次に、超過負担に対する検査院見解、たとえば国が国庫補助の対象としてはじいた基礎額と実際にかかった総事業費の差が公共事業その他にあるのですが、今日のような状況になりますと、なおさらそういう問題が非常に大きくなりますが、そういう公共団体の超過負担というものに対して、これはこれに書いてあるのが正しいかどうか知りませんが、四十八年度からは解消される予定だといわれている。しかし、基準上では補助対象となっているものが実行上は対象外となっている事例については、検査院としてどのように考えているかを検討中だ、その見解をどうするかを検討中だ、こういう検査院自体が検討していた、あるいは検討の答えが出たかどうか。超過負担に対する見解というものを、特に現在ではこれが非常に大きな問題になりますので、お伺いしたいと思うのです。  それから、ついでに二、三申し上げておきますが、法律補助でありながら定額打ち切り補助となっているもの、あるいは暖房設備は基準の上では補助対象となっているが、実行上は補助対象外となっているもの、統合などによって新たに生ずる設備、備品等について補助されていないもの、用地取得造成費、設計管理費、一般工事費、旅費などは対象外になっているというようなものに関して、一体会計検査院としては地方公共団体に対してどういうふうに処置をしていくかを、あわせて一緒にお答えをいただきたい。
  72. 白石正雄

    白石会計検査院長 いわゆる国が地方の公共団体に出しまする補助金につきまして、超過負担という実績があるということは承知いたしております。これにつきましてはいろいろ問題が複雑であるわけでございまして、純法律的に申しますと、大部分のものにつきましては、補助をする場合に、政令の定めるところによってその基準の単価を主務大臣が定めるというような規定に相なっておりまして、そうしてその主務大臣の定める補助単価を一応受け入れて地方公共団体が補助を申請する、それに対しまして補助の決定がなされるというような事例が大部分であろうかと思うわけであります。したがいまして、純経費的に考える場合におきましては、一応法律的にはまず適法であるということが言えるかと思うわけでありますけれども、しかし、その実態が著しく実績とかけ離れておるということにつきましては妥当ではないということが考えられるわけでございます。  ただ、そのような実績と予算単価との不符合というものにつきましては、場合によりましては、地方公共団体のほうが補助の対象外になっておるようなものを設備したとか、あるいは面積が広かったとか、あるいはその工事の手ぎわが悪くて不当に高くなったというような事実もあるいはありましょうし、単に国側のみにその責任があるということはなかろうかと思うわけでございますけれども、しかし、大部分の問題といたしましては、国の予算単価が低過ぎるということから問題が起こってきたような実情でございます。  ただ、これにつきましては、どの単価が適当であるかということにつきまして非常にむずかしい問題もありますと同時に、国の側といたしましても少ない予算の配分に悩んでおるというような状態でございまして、いわば予算と法律との板ばさみになって国としても苦悩しておるという実情もこれあり、直ちにこれを検査院が取り上げまして見解を表明するというまでには至らなかったわけでございます。  過去におきまして、補助の単価の基準をきめながら、ただ一定額のみを交付して済ましたというような事例もあったわけでございまして、こういったものにつきましては、非常に望ましくないということで注意を喚起した事例もございます。ただ、その後、国の側といたしましても、漸次このようなことにつきましては実勢の単価と合うように検討を加えておって、次第にその差は縮まっておるというような実情でございまするので、その行くえを見守っておるというのが私どもの立場でございます。
  73. 原茂

    ○原(茂)委員 会計検査院という仕事の本質からいって、いまのような場合にその行くえを見守っている、だんだん話し合いでその落差が詰まってきている、やがてよくなるだろう、いままでずいぶん広がっていたものがずいぶん詰まってきた、だんだんよくはなってきている、これからもまだよくなっていくだろうというようなことで見守っているということが、会計検査院のあり方として私は正しくないのではないかと思う。会計検査院というのは、検査をして、実際に国がきめた補助、適正に行なわれた公共団体の事業費、その間に差が現にあるときには、その差に対して検査院としては、国が追加をすべきである、あるいは自治体が、公共団体がこれはかくかくの理由で負担すべきだというようなことを、裁定者に似たきわめてきびしい答えを、検査院の性格というのは出していいんじゃないかと思うのですが、どうも全部でき上がったあとの処理だけする。で、いま言った超過負担の問題についても、だんだん差が縮まってくるから近いうちに何とかなるだろうというのを見守っているというだけでは、わが国の行政全体を見たときに、だれかがやらなければいけないその種の問題をやるとすれば、私は、検査院の性格を改めてでも、この種のことに対して裁定的な判断を示してやるということが、検査院の今日的なあり方としていいんじゃないだろうか、積極的にそういう意味検査院の性格をつくり出していくべきではないか、こういうふうに思うのですが、どうでしょうか。
  74. 白石正雄

    白石会計検査院長 御説はまことにごもっともでございます。私どもといたしましてもさように努力いたしたいと思っておる次第でございまするが、実のところ、今日に至るまでまだその結論を得ていないという状態でございます。
  75. 原茂

    ○原(茂)委員 これもあとで総括的に申し上げますが、次に、現在、公共事業予算抑制、繰り延べで、たいへん大きな額が繰り延べをされてみたり、本年度予算でも、公共企業体から見れば、あるいは地方自治体から見れば期待に反して、総需要抑制というのであれもこれもぐっと縮められてきたというような経済情勢に置かれて、予算もそういう性格を強く打ち出していることは御承知のとおりです。  そこで、昨年度末以来行なわれているこのような繰り延べを、会計検査院ではどういう処置をするように指導するのか。こまかいことを申し上げる時間はありませんが、不用額という形で処置をするのか、明許費として処置をしていくようにするのか、これは非常に重要な問題で、各地方自治体においてはすこぶるこの点の指針を要求しているわけです。会計検査院はこの点に関しても明快な所見を示すべきだと思うのですが、いかがなものでしょうか。
  76. 白石正雄

    白石会計検査院長 財政上の理由によりまして公共事業費の繰り延べという措置がとられておることは御承知のとおりでございまして、それにつきましては、政策の一環といたしまして政府のとられている方針でございまするので、検査院としてはやむを得ないものであるというように考えておる次第でございます。その結果、その措置を事後繰り延べというような形にするか、あるいは不用額として措置するのかということにつきましては、まず政府のほうにおいて方針がきまるであろうと考えまするので、それを見守りまして態度をきめたいというふうに考える次第でございます。
  77. 原茂

    ○原(茂)委員 その点は、政府の態度決定をまつことも必要でしょうが、積極的に会計検査院の独自の見解を示していいんじゃないかというように私は思うのです。  そこで次に、皆さんからちょうだいした資料に基づいてちょっとお伺いをしておきたいのですが、「過去十年度検査対象予算規模および会計検査院職員の推移」というリストをちょうだいいたしました。もう一枚、「最近五箇年の所管別実地検査施行状況」のリストもちょうだいいたしました。  この二つについてお伺いしたいんですが、たとえば三十九年度は三兆二千五百五十四億三千八百万円、こういう当初の歳入、歳出もこれに見合うというときに、皆さんの会計検査院職員の定員というものは千百九十二名、調査官数が五百四十三名、ずうっと今日に至って四十八年度になりますと、十四兆二千八百四十億七千三百万円という総予算になった。歳入、歳出同額であります。このとき検査を行なう職員の定数はというと、千二百十二名にしかふえていない。調査官数は六百五十三名。予算のふえ方はもう幾何級数的に膨張いたしました。三十九年度から見ると何倍になるんでしょうか、四十八年は約五倍近くに予算がふくれ上がっている。にもかかわらず検査を行なう皆さんの職員、調査官の数はほとんどふえていない。千百九十二名が千二百十二名、五百四十三名が六百五十三名、これで満足に仕事ができたらおかしいと思うのであります。どんなに優秀な電算機あるいはその他の機械設備を導入したからといっても、これでできるような状態ではない。これじゃどんどん取り残しが行なわれて当然だと思う。満足な会計検査はできないというふうに私には思えるわけであります。当然、この歳入歳出の大膨張に見合ったある程度の人員増というのを会計検査院だけはやらない限り、どうしようもない、どうしようもないで毎年度年度十分な会計検査ができないままに放置されて次に移っていく。これは国民の負託にこたえるゆえんではない。国民の血の出るような重要な予算というものの行使された軌跡が適正であり、正しいものであり、より有効に使われているかどうかを指導監督する立場にある検査院としては、これではやっていけないという立場で急遽対策を、というよりは特に職員増を行なう必要が当然あるのではないか、こういうふうに考えるのですが、そこで院長に、この状態でもだいじょうぶやっていけます、国民の負託にこたえるような会計検査を遅滞なく十分やりますと言うことができるかどうかをお答えいただきたい。  同時に、大蔵省からおいでいただいていますのでお聞きしたいのですが、こんな状態の検査ぶりで——一体会計検査が何%終わっているかというのを見ると、いただきました二つ目の表、実地検査の施行状況あるいは施行の率というようなものの表にありますように、全体的にいっても四十四年度で八%、四十五年度で七・一%、四十六年度が七%、四十七年度が七・一%、四十八年度が七・三%という施行率、進捗率であります。こういう状態で、食い残しのようにほとんどできていない検査業務というものをこのまま放置していても、もっと正確なものが、短時日の間に適正な会計検査結果が出てこなくても、大蔵省としては何ら支障がない、痛痒を感じない、けっこうでございますということになるのかどうか。私は、大蔵省立場に、この意味からはたいへん関心を持つわけであります。これじゃ困るんだというんだったら、予算づけを行なって人員増を行なってしかるべきだし、そういう発議が大蔵省からなされていないで今日まで来ている。毎年度の数字を見ると歴然とそのことが出ているのに、けっこうだ、もうおくれてもいいんだ、十分に会計検査されなくてもけっこうなんです、大蔵省立場でそう言い切れるのかどうか。  大蔵省からおいでいただいているので、二点にわたってお伺いをし、院長からは、現在で十分でございますとおっしゃるかどうか、どうしても人をふやさなければだめだというのかをお伺いしたい。
  78. 白石正雄

    白石会計検査院長 御質問のところは、まさに私どもの最も苦慮いたしておるところでございます。いま、最近十カ年程度の御数字をおっしゃられたわけでございますが、実は新院法が発足いたしました昭和二十二年に、四百名程度の定員が三倍の千二百名程度に増加いたしまして以来、自来三十年近い今日に至るまでほとんど定員の増減はないわけでございます。それに対しまして、対象といたしまする一般会計の歳入歳出あるいは特別会計の歳入歳出、公社、公団等の数は膨大な膨張を遂げておることは御承知のとおりでございまして、検査の対象の範囲の膨大化に伴いまして人員の増加が全然ないということにつきましては、私ども最も苦慮いたしておるところでございます。ただ、これを検査の結果からながめてみますというと、二十年代におきましては非常に違反件数が多うございまして、数十億にのぼったこともあるわけでございますが、だんだん経理は改善せられまして、三十年代になりますと、私どもの指摘いたしまする金額は二十億円台に縮小いたしたわけでございます。さらに四十年代になりますとこれが十億円台に減少いたしまして、つまり経理の実態というものは漸次改善せられておるというように考えられるわけでございます。これは私どもの検査の結果もありましょうし、各省各庁の長の努力にもまつところがあったろうと思うわけでございまするが、経理の全体としてはまあ改善の道をたどっておる、こういう実情が一方においてあるわけでございます。  また、他面におきまして、内閣方針といたしまして、いわば血税をもって公務員を養っておるわけでございまするので、人員抑制という方針を持っておられまするので、またこういった方向にも協力しなければならないという検査院立場もございまして、人員の増加は今日まで見合わしてきたという実情でございます。  ただ、その中におきましても、私どもといたしましては、実際の検査の対象の膨大化に対処いたしまするために内部の人員の異動を行ないまして、調査官をここ十年程度の間におきまして百名程度他の事務職員から転換いたしまして、そうして検査の第一線の充実をはかるというようにいたしておるわけでございます。この点につきましては、なお四十九年度におきましては、技術専門官等の増員あるいは調査官の増員もまた十一名程度なされておるわけでございまするが、わずかではございまするが、漸次努力をいたしておるという次第でございます。決して満足すべき状態とは考えていないわけでございまするし、今後とも人員の増加につきましては努力を重ねたいと思っておる次第でございまするが、実情がさようなことでございまするので御了承願いたいと思うわけでございます。
  79. 原茂

    ○原(茂)委員 この進捗率を見まして、もう非常に急いで増員その他の処置をしなければいけない、こういう立場でいますが、先ほど言ったように、大蔵省、どうお考えですか、二点についてお答えいただきたい。
  80. 猪瀬節雄

    ○猪瀬説明員 御説明申し上げます。  会計検査院内閣から独立いたしまして、国費の適正な執行がなされるようにということでその機能が非常に重要であるということは、私どもも十分認識しているつもりでございます。したがいまして、連年、いま検査院長からも御発言ございましたように、いろいろとその機能の充実という点には努力しているつもりでございますが、ただ、その定員の関係につきましては、第一次、第二次という削減がございまして、同時に、定員削減というのは国民的な一つの要請だと私どもも理解しております。ただ、会計検査院は、国会と同じように特別機関でございまして、必ずしも内閣方針に従う必要はないわけでございますが、内閣がそういった定員削減という一つの国民的な要請を実行します場合には、同じように自発的に自主的な御協力をいただいております。したがいまして、定員といたしましては、内閣と同じように削減を実際問題としてはやっていただいておるわけでございますが、その内容、重要性にかんがみまして、実質的にその削減が生ずることのないように、必ずその削減分は増員という形で戻すことをずっとやってきたわけでございます。そうしてその戻す場合に、できるだけ検査に従事します調査官というものを重点的にふやすという形で対処をしてまいったところでございまして、先ほど院長の御発言にもございますように、大体連年十数名の調査官の増員という形で、ここ十年で約百名増員をはかられてきたわけでございます。  ただ、これで、じゃ十分かということになりますと、これは検査院の職務の内容との関連でございまして、私どもも必ずしも、これで全部わが国の会計検査の対象が執行できるものとは、いま考えておりません。ただ、七・三%あるいは八%という数字の中には、毎年必ず執行しなければならないというものが全部入っているわけではございませんで、たとえば特定郵便局のように非常にたくさん数ございまして、これは何年かに一ぺんやればまあ大体その適正がはかられるというのもあろうかと思いますので、七・三%、非常に少ないようでございますが、これは私どもも検査院と十分相談しながら、その人員の配置につきましては御相談申し上げているところでございます。  今後の見通しにつきましても、これは政府の第三次定員削減というものがどういう形で実施されるか、その場合に、国会と同様、会計検査院におきましてもその特別機関の立場からどういった御協力をいただけるかという点はございますので、一がいにいま申し上げるわけにはまいりませんけれども、この点はまた、会計検査院の御要望等も十分勘案しまして、よく御相談しまして遺憾のないようにいたしたいと存じております。
  81. 原茂

    ○原(茂)委員 私の申し上げていることもおわかりだろうと思うのですが、会計検査院会計検査院で、内閣方針に従って、定員を削減しようという方針をできるだけ自分も右へならえしてやろう。その意味で協力はしながらも、調査官の数だけは十年で約百名はふやしました。まあこれじゃ不十分だと言っているところを、大蔵省のほうがそういう会計検査院立場をいいことにして、現在のような七%、八%なんといっても、たとえば郵便局のような数多いものを、だんだん内容はよくなっている、全部それをやっていないから、率は少なくなっているのだけれども、経理の内容も改善されているし、よくなるということもあるなどという藉口、言いわけをしないで、私はもっと、いまも事例を聞いただけでも郵便局関係、郵政関係、いろいろな問題が起きたのが非常に多いんですから、そういう数の多いところを、小さいものだからいいんだと言わないで、できる限りそれをやるということが、国民に対する義務だと思うのです。したがって、大蔵省が率先、増員というものに関してもっと積極的に発議をしていくということと、会計検査院長の言われたような、遠慮はしながらも、これじゃ困る、もっとふやしたいんだという気持ちとが一緒になって、いやしくも定員削減の一次、二次、三次だというようなことがあっても、原則としては定員削減は、合理化の今日当然ではございますが、何でもかんでも切ってしまえ、こういうばかなことをして、国家の重要な業務の遅滞があってもいいんだということにはならないと思うので、この検査院に関する職員の増に関してはもっと積極的な予算取りを行なって、いまの定員削減という内閣方針原則外に——原則は承認しながらも、であっても、なおかつ五〇%、一〇〇%増が必要だというようなことを、この事態を見てその必要だということを認識することが、大蔵省として必要じゃないかと思う。ただ両方が何かもたれ合ったような形で、片方もそう言っている、こっちもだんだんよくなるだろうというので、率だってそんなたいして悪くはないんだ、郵便局やなんか全部やった日にはたいへんなんだ、そんな考え方で国民のいわゆる負託にこたえるわけにはいかないという意味では、たいへんその認識がまずいと思うので、この数字を順次引き上げていくために、こういう計画でこうやりますということをもっと積極的に出すべきだと思うのですが、どうでしょうか。このままでいいというような考え方になってもらっては困るという意味でお伺いする。
  82. 白石正雄

    白石会計検査院長 御趣旨は全くごもっともでございますし、私どもといたしまして、現在までも努力してきた次第でございますが、今後とも全力を尽くして努力をいたしたいと考える次第でございます。
  83. 原茂

    ○原(茂)委員 それから、検査報告の全部が全部というのはなかなかたいへんだというので、金額で何か限度を設けていますか。二十万円だとか十万円だとか、そういうことはないのですか。
  84. 白石正雄

    白石会計検査院長 違反の金額が非常に軽微なものにつきまして一々国会にまで報告するのはいかがかと考えまして、微少な金額につきましては計上を見合わせておるというのが実情でございます。
  85. 原茂

    ○原(茂)委員 私は、そういうものも、検査はこういうようにやりました、しかし二十万以下のものは、こういう軽微なものでたいした問題がなかったが、件数はこれくらいだ、金額にしてこうだというような足あとを報告してもらうほうがいいと思うのです。二十万円以下は全然切りっぱなしで、件数がどれくらいあったか、われわれには何もわからないわけです。そういうのじゃなく、そういうことぐらい、大ざっぱに皆さんの仕事の量、仕事状況を判断するときに必要ですから、そういうものはやはり報告をしていただいたほうがいいと思うので、今後これは報告をしていただくようにお願いをしたいと思うのです。  それから、検査会議に最終的にはかかって、そこで報告をきめる、そうでないものは報告しないでいいときめてしまうということが、現にお三人の検査官によって行なわれているんだろうと思うのです。それはそうなっていますね。その場合にその会議の持ち方ですね、局長なり課長が一緒に検査会議で発言をして意見を述べるというよりな会議になっているのか。それはもう局長、課長は全然別だ、検査官三人で最終決定はするんだというのか。それが一つ。  それから、万が一、検査会議、三人だけ、あるいは局長、課長が入った場合でも、これは報告しないときめたときには、かくかくの理由で報告をしないことにしたということを、下部の職員なり調査官に対してきちっと浸透するように報告がされているのかどうか。私は、民主的な業務の運営というものを考えて、一番大事なところはそこにあると思うのです。一生懸命に働いた人が報告を出します。これが上部の、何か理由は知らぬけれども、会議にかかったら、これは没——没じゃない、何というのか知りませんが、報告しないでいい、こうきまったというときに、こういう理由だということが下部職員にぴっちり徹底して、なるほどそうなのかと思わせることが、次の仕事に対する情熱が出てくる、いわゆる人のグループがうまくまとまって力を出せる原因だろうと思うのですが、そういう点をおやりになっているかどうか。そういうことがちゃんと徹底しているのかどうか。  先にその二点を……。
  86. 白石正雄

    白石会計検査院長 調査しました事件につきましては、事務総局において取りまとめまして、これを検査会議にかけるわけでございます。その検査会議検査官三名をもって構成せられるわけでございますが、出席します者は事務総長以下官房の各課長並びに担当課長が出席いたしまして、担当課長がその懸案につきまして説明をいたしまして、そしてこれを検査報告事案として載せるかどうかということを決定するわけでございます。もちろんその議事録等もとっておるわけでございまして、一々検査官の発言内容も記録にとどめまして、そしてこれを検査報告事案から除くという場合におきましては、理由を明らかにしてその旨を決定をする。担当課長もその場において出席いたしておるというようにいたしておる次第でございます。
  87. 原茂

    ○原(茂)委員 いまの御説明は、だから記録も残っているし、下部職員が全部その理由をちゃんと知って、あ、そうなのかということが納得できるようになっているんだという説明ですね。
  88. 白石正雄

    白石会計検査院長 さようでございます。
  89. 原茂

    ○原(茂)委員 それはけっこうですね。ぜひそれはやっていただきたいと思うのです。  そこでもう一点、最後に締めくくり的にお伺いしてみたい。  二つ一緒に申し上げますが、一つは、やはり会計検査院に対しては投書というのが相当来ておるんじゃないかと思うのです。この投書を採用する率というものは相当あるのでしょうか。私は、投書というものはばかにしてはいけないと思うのですが、それをどう処置しているのか。何件ぐらいあるうちの何件ぐらいが採用されて処置されていたのかというようなことが一つ。  それをお伺いして、最後の御質問は、いままで総じて各条章別にお伺いして、私は、やはり全体的にもうこの会計検査院法は古過ぎる、現代に適していない、もっと現代に適したものに検討し直す必要があるんじゃないか。そういう時期に来ておる。このような増員の問題もあります。あるいは会計検査をする内容、対象の問題もある。私はやはり、たとえばですが、いまここで国土利用法がきょうかあした、どんな話になるか知りませんが、基準価格の七〇から八〇を法律でやれ、政令でやれ、いやそうじゃないというようなことをいまやっておると思うのですが、こういうものがきまる。こういうことは会計検査院には関係ない、そういうふうに思えば思えるのですが、私は、会計検査院仕事をもっと広げていい、広げなければいけない、そういうふうに実は考える。  たとえば租税特別措置法による恩典を受けているものがずいぶんあります。こういうのは直接国の資金がどうこうというんじゃなくても、いわゆる国民の税金を間接には特別な恩典供与という形でこの法律が施行され、実際に非常に広範囲にわたって影響を及ぼしているというようなものに関しても、私は会計検査院の外局、あるいはさっき言った支局になるかどうか知りませんが、どんどんそういうものをつくって、こういうものに関しても要請があれば監査をする、あるいは義務的に監査をするということにしていいんじゃないか。あるいは昨年来の経済動向の中で、将来あるべき——私はもう資本、経営の側は所得政策に踏み込んでいると言っているのですが、所得政策がほんとうに導入される、そういう時期が来るだろうと思う。私どもはいまの内容がどうだかわかりませんから批判できませんが、いい意味の所得政策はやはり必要になってくるんじゃないかというふうに私は思う。そのような所得政策が導入されたときに、一体所得の公平な再配分というものが厳に行なわれているかどうかという観点からも、会計検査院の外局のようなものをつくって別途にこの検討を行なっていく、検査をするということすらやっていいんじゃないか、そういうことをやる必要がある、やらなければだめだと私は思う。  それから、広義にやろうと思えば、いま申し上げたような国土利用計画法ですか、利用法のごときも、こういうものが、あのこまかい内容できまります。きまったら、私は、会計検査院立場検査しようとすれば十分にできるものがあるし、やってもらわなければ不十分だとすら思うので、やはりこういうものも外局を設けてやっていいのじゃないか。それから農産物なんかに対しても相当の価格支持制度というものがいま施行されている。こういうものに関しても、別途に年度年度によって会計検査院が外局を設けて検討をする、検査を行なう。あるいは米価、薬価基準なり医療費の問題がいまずっと厚生省を中心にやられていますが、こういう問題も、いろいろ国民には非常に影響のある問題が、国のそういう価格設定に関する介入を行ないながらいろいろ行政で指導されていくというようなものに関しては、外局を設けて会計検査院は思い切って検査を行なうというような、第三者的な公平な検査というものが、こういう各種の行政の中に入っていかないと、現在ではいけないのじゃないか。そういうことをするものがない。そういうことを的確にやれるものは会計検査院だ。そういうことを考えたときも、それとあわせて現在の会計検査院法というのはもう非常に古過ぎるので、いろいろ古いから改めたらどうですかというものは、言おうと思えばずいぶんあります。先ほど少しく申し上げた。  こういうような観点からも、会計検査院法というのは変えるべきだ、もう改正しなければいけないというふうに私は思うのですが、これを見ましても改正規定がない。会計検査院法という法律には改正規定がないのですね。改正するとしたらどこが発議してどういう検討の後に改正が行なわれるのか。会計検査院法全体の改正をやろうとするときの発議の場所、それからそれを実際に審議する場所、一体どこなんでしょうか。それで、この法律に改正規定のないというのはどういうわけなんですかということをお伺いしたい。  いま私が申し上げたような意味会計検査院の、現時点における国家行政の全般を考えて、非常に新しく日進月歩、複雑になっていくこの状況に対応するためにはそういう会計検査院のあり方というのがぜひ必要だ、こう思うのですが、院長はどうお考えか。  この二点についてお伺いをしたい。
  90. 鎌田英夫

    鎌田会計検査院説明員 私から投書の件につきまして御説明申し上げます。  ここに、手元にございます資料がちょっと古くて恐縮でございますけれども、四十三年中の数字で申し上げますと、記名の投書が年間九十七件、無記名の投書が七十三件、合計して百七十件、こういう数字が出ております。この投書は年々増加しておる、こういう状況でございます。  そういたしまして、検査院がこの投書を受理したときにどういう処理をするかという問題でございますが、これは官房で受理いたしまして、それぞれ仕分けいたしまして担当の局課のほうに配分いたします。担当局課のほうではその内容を調べまして、たとえばこれから実地検査に行く個所の該当のものでありますと、それは当然検査に行ったときに詳しく調べるわけでございます。また、非常に遠隔の地で、その投書の内容からいってこれは非常に軽微なものであるというように判断できるものもございます。そういう場合は別の機会に調べるというようなことをしている例もございます。  いずれにいたしましても、その調べました結果というものはすべて書類で整理いたさせまして、あるいは検査報告になるものもあるかとも思いますが、記録に残して、その内容がどうであったか、結果がどうであったかということを確認しているわけでございます。  ただ、投書者に対して、たとえ記名の投書でございましても、その結果はどうであったというようなことは連絡しない、ただ向こうから、あの点はどうだったという照会があった場合には口頭で説明してあげると、こういう取り扱いをいたしております。
  91. 白石正雄

    白石会計検査院長 ただいま検査院のあり方につきまして詳細にわたって御質問、御意見を承りまして、まことにありがたく存じておる次第でございます。検査院法が発足いたしましてすでに三十年近くたちますし、時勢の進運、変化等々に対して必ずしも対応し切れなくなっているということにつきましては、私どもかねがね努力してはおりますけれども、なおその努力の足らざるところを考えておる次第でございまして、御注意のような点を勘案いたしまして、今後院法の改正というものにつきましても積極的に取り組みたいと考えておる次第でございます。  これにつきましては、なお後ほどあるいは御質問もあろうかと思いますけれども、職員の待遇をどうするかというようなことにつきましても私ども非常に真剣に考えておる次第でございまして、あるいは特別職にするというような問題も検討をいたしておる次第でございまして、さようなものをあわせまして、検査院のあり方につきまして非常に貴重な御意見を承りまして、ありがたく拝聴いたした次第でございます。ただ、法文の改正ということになりますと、これは内閣において発議するということになろうかと思いまするので、法制局のほうとも御相談をいたしまして折衝しなければならない問題に相なろうかと存ずる次第でございます。
  92. 原茂

    ○原(茂)委員 終わります。
  93. 臼井莊一

    臼井委員長 次は、庄司幸助君。
  94. 庄司幸助

    ○庄司委員 私は、会計検査院職員がかねがねたいへん少ない人数で膨大な予算の検査に当たられているという点、たいへん御苦労だと思うわけです。     〔委員長退席、綿貫委員長代理着席〕 そういう点から若干身分上の問題や待遇の問題、それから、先ほど応答がありました予算規模あるいは要検査対象個所ですね、この対比においての定員の問題、三番目には質問発遣の問題ですね、この辺の問題とか、あるいはその他若干の問題についてお伺いしたいと思うのです。  最初にお伺いしたいのは、先ほど院長のほうから、法改正を含めていわゆる身分上の問題について御発言があったわけですが、実は私、こういうことも耳にしているんですね。これは会計検査院の名誉からいってもあまり芳しくない問題もあるわけなんで申し上げておきたいのですが、たとえば、ある県で、会計検査院から出張されてきた、これに対して、これも決算報告の中にあるわけですが、何か食料費という項目で会計検査院御来県につき何万円なんて項目が、これも非常識な話ですが、ぬけぬけと出ているような決算書をちょっと見たこともあるのですよ。これはまあ実際検査に当たられる調査官の問題にもなりますので、あまり私は下級官僚いじめはしたくないのですが、そういう点で会計検査院の調査官の身分の問題点を、裁判官あるいは検察官、これには特別の身分上の規定があるわけですが、やはり憲法で規定された会計検査院ですから、そういった身分上の問題を考える時期に来ているのじゃないか。その点で、検査院当局とどことの間かわかりませんが、何か特別職にしたらどうかというようなやりとりがあったやに聞いているのです。その辺どういう方向で考えておられるのか。私は特別職にしたらいいとか悪いとか、そこは判断がつきませんけれども、その辺、会計検査院当局として考えておられる方向をひとつお示し願いたいと思うのです。その場合、考えておられる方向で、どの辺までそういう身分上の問題の適用をなさるのか、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  95. 白石正雄

    白石会計検査院長 検査の第一線に立ちます調査官の身分上の問題についてのお尋ねでございますが、調査官が各地に参りまして検査をいたす場合におきましては、えりを正して自粛的に、非常に厳粛な態度をもって検査に臨まねばならないということは、かねがね私どもも注意いたしておる次第でございます。いまお話しのような接待等のことにつきましては厳に戒めておる次第でございますが、間々そういう事例があるということにつきましては、なお遺憾の意を表する次第でございます。  ただ、調査官はそういったきわめて高いモラルを要求せられると同時に、長期の出張にも耐えなければなりませんし、また法律、経済、土木技術等の各種の広範な知識も持たねばならないという複雑困難な仕事をかかえておるわけでございまするので、これらの待遇を改善をいたしまして、安心してその職務に精励できるようにするということが、私どもとしての当然の任務であろうと思いまして、これにつきましては数年来検討を続けておる次第でございます。その一環といたしまして、特別職という問題を考慮したこともあるわけでございます。  御承知のように、三権分立と申しますか、国会職員並びに裁判所の職員は特別職といたしまして、一般公務員法の適用をはずされて、独自の待遇をなされておるわけでございます。検査院は、四権と申しましては口幅ったいようでございますけれども、内閣から独立いたしまして特別の機構であるという点も考えますれば、これら国会職員、裁判所職員というように、特別職にして特別の待遇を与えるということができないものかということを、人事院当局とも折衝をいたした次第でございます。ただいまは一般公務員法の適用を受けておりまして、いわば人事院の規制下にあるわけでございますので、特別職となりますと人事院の規制を離れるということに相なるだろうと思うわけでございます。そういう意味におきまして検討を重ねておるわけでございますが、ただ、検査院みたいな千二百名程度の職員につきまして特別職を適用いたしますれば、その人事の任用あるいは公平審査委員会というようなものも、特別に人事院から独立した機構を設けねばならない。また、こういった人事の採用の場合におきまして適当な人員がとれるかどうかというような問題点もございますし、また、いままで二十数年来一般職員として国家公務員法の適用を受けてまいりました検査院職員が、にわかに特別職になるというのはどういう理由によるものであろうかというような点をも考慮いたしますというと、にわかに結論を得ていないという状況でございます。  とにもかくにも、私どもといたしましては、調査官の待遇を改善をするということが第一の問題であろうかと考えまして、現在までのところ、号俸の調整ということをお願いをしてまいった次第でございます。しかしながら、これも同じような検査事務に従事しておるような、たとえば銀行検査等の事務に従事しておるような職員もあるわけでございますが、こういった職員との権衡をも考慮して、なかなか短時日の間に結論に達しないというのが現在までの状況でございまして、四十九年度予算におきましては、検査手当ということで特殊の勤務手当を設定をするということで、御了解を願ったわけでございます。これは四十九年度予算に計上せられまして、人事院規則がほどなく公布せられまして発足をするということになっておる次第でございます。私どもといたしましては、そのようなことを足がかりといたしまして、今後とも待遇の改善につきましては万端の努力を払ってまいりたい、かように存じておる次第でございます。
  96. 庄司幸助

    ○庄司委員 いま院長から御答弁があったわけですが、人事院いらしていると思いますが、その点、人事院のほうからもひとつお答え願いたいと思います。
  97. 長橋進

    ○長橋説明員 お答えいたします。  会計検査院の機関の性格につきましては、先ほど先生のほうからいろいろ御指摘がございましたように、特殊な関係にあると思います。その職員につきまして、これを特別職にするかどうかという身分上の取り扱いにつきまして御相談にあずかったこともございますが、ただ、特別職にするかどうかということになりますと、現在国家公務員法に規定されておりますところの任用、給与を含む身分保障、そういったようなものにつきまして、現在公務員法の原則というものを適用するのがふさわしいかどうかということにつながってくる問題でございまして、私どもとしましては、会計検査院職員につきましては、二十数年来、国家公務員法制定以来でございますけれども、一般職の職員ということでお預かりしておるわけでございます。その間、職責にふさわしい処遇ということにつとめてまいってきたわけでございまして、現在のところ、特に特別職にしなければならないというような問題はないのではないかというふうには考えております。ただ、先ほど来申しましたように、特殊な業務に従事しておるということも考えまして、職員の処遇の改善については今後とも努力してまいりたいということでございます。
  98. 庄司幸助

    ○庄司委員 身分上の問題について、特別職にするかどうか、これは私も別段結論を持っているわけではないのです。ただ、会計検査院職員というのは、ほかの公務員より一そう厳正な職務の遂行が求められているわけですね。国民もそういうふうに期待しているわけです。ですから、みずから、世間の糾弾を浴びないような、誇りと自戒を持たなくちゃならない、こういう自律的な問題はあるだろうと思うのですが、やはりそれを裏づけるような何らかのものがあってしかるべきじゃないかなと常々考えているわけですが、この辺は今後の御検討もあるだろうと思いますから、御検討の方向なんかも、あと機会があるたび伺いながら、ひとつ前向きに考えてみたいと思います。  それで、当面、いま院長の御答弁だと、待遇の改善でひとつ措置していきたいというお考えのようですが、待遇の問題については、基本的にはやはり給与の問題があるわけです。給与の問題でお伺いしますが、現在、課長や副長を除いた調査官の給与は行政職の何等級が最高なのか、その点ひとつお伺いしたいと思います。
  99. 白石正雄

    白石会計検査院長 二等級が最高等級でございます。
  100. 庄司幸助

    ○庄司委員 二等級というのは課長さんとか副長、こういう方のあれじゃないですか。私は、いわゆる平の調査官の場合は三等級が最高だと伺っておりますが、間違いありませんか。
  101. 白石正雄

    白石会計検査院長 間違いました。平の調査官は三等級が最高等級でございます。
  102. 庄司幸助

    ○庄司委員 そうですね。平の調査官の三等級といいますと、これは号俸が十八号俸まであるようですね。これは人事院の俸給表によりますと、最高でも十七万一千九百円です。おたくからちょうだいしました年齢別の階層の資料、これを拝見しますと、五十五歳以上六十歳までの方が四十八名いらっしゃる。それから六十歳以上の方が八名いらっしゃるわけですね。なお五十歳以上が六十八名。合計しますと大体百二十六名ぐらいになりますか、百二十名ですか、それくらいになりますね。こういう方は、最高の三等級十八号俸をもらっても十七万一千九百円ですね。これじゃ会計検査院の調査官として少な過ぎるんじゃないか。その辺、やはり等級ですね、これは具体的な問題でお伺いしますが、調査官の等級は三等級にとどめるということじゃなくて、もっと上げるというのが当面の待遇でもって措置する一つの手段じゃないかと私は思うのですが、その辺どうお考えですか。
  103. 鎌田英夫

    鎌田会計検査院説明員 お答え申し上げます。  調査官の俸給が三等級で、最高であっても十七万幾らという御指摘でございますが、それは本俸でございまして、そのほかに、東京でありますと地域調整額というものが八%なお加算されるというふうに存じておりますが、そのほかに超過勤務手当なり(庄司委員「いや、そんなもの問題じゃないですよ」と呼ぶ)そういうものもございます。しかし、なおそれにしても少ないという御指摘は、ごもっともと存ずる次第でございます。したがいまして、本院といたしましては、この調査官の最高が三等級ということではなくて、やはり二等級の調査官も実現したいということで人事院当局とも折衝をしている、こういう状況でございます。  なお、調査官は三等級、四等級、五等級——五等級以上でございますけれども、この級別定数というものをふやすということが、すなわち、さしあたって一般職のワク内におきましては、これは待遇改善の一環になるという考えもあります。したがいまして、この定数をふやしていただく、こういうふうな努力もいたしておる次第でございます。
  104. 庄司幸助

    ○庄司委員 定数の問題はあとで触れます。その点で人事院と折衝中だといいますが、人事院どうですか。
  105. 長橋進

    ○長橋説明員 お答えいたします。  現在、会計検査院の調査官、ごくわずかでございますけれども、副長で二等級というのも四十九年度定数で出しておりまして、二等級から五等級までまたがっておるという事情にございます。  会計検査院の調査官につきましては、私ども、やはり職務の専門性ということをも高く評価いたしまして、したがいまして、等級別定数の設定につきましてもそれなりの努力をしておるということでございます。
  106. 庄司幸助

    ○庄司委員 それから、旅費は旅費規程で支給されていると思いますが、おたくからちょうだいした表を見ますと、三十歳未満の方が二百五十八名いらっしゃいますね。これは等級はみな同じではないと思いますが、まあ平均的にいって、こういうなりたての調査官の宿泊費、これは一泊どれぐらい支給されておりますか。
  107. 鎌田英夫

    鎌田会計検査院説明員 会計検査院職員一般職でございますので、一般の旅費額をもらっているわけでございますが、調査官になりたてば当然五等級ということになりますが、五等級の日当は一日につきまして九百円、それから宿泊料は一晩、甲地方、東京とか大阪とかそういうところでございますが、これは四千六百円、それ以外の地方の都市あるいは郡部に参りますと、乙地方ということで四千円、こういうことでございます。
  108. 庄司幸助

    ○庄司委員 これは検査手当などもあるから若干の補いはつくだろうと思いますが、実際の現在の旅館の宿泊料の実態からいうと、これは何も検査院だけではありませんけれども、やはり現実から少しかけ離れてき始めている。そういうのが、こういうことはあってはならないし、ないだろうと思いますけれども、先ほどちょっと事例にあげたような、何といいますか、会計検査院御来県につきなんて、ああいう失礼な決算が出されるような事態につながると、やはりまずいんじゃないかと私は思うのですよ。その辺、規律をきびしくするだけではだめなんで、やはり調査官が誇りを持って、そういう誘惑——のうちでも微々たる誘惑だろうとは思いますけれどもね、ほかの汚職や何かと比べると。しかし、そういうものに心を動かされるようなことがあってはまずいだろうと思うのです。この辺もやはり現実に即して考えてあげる必要があると思うのですが、どうでしょうかね。
  109. 鎌田英夫

    鎌田会計検査院説明員 これは事務総局のほうからお答え申し上げます。  現在、各職員が各地に出張検査するわけでございますが、その宿泊料が先ほど申し上げましたような、これは最近改定になった金額でもその程度で、非常に少ないということは御指摘のとおりでございます。しかし、検査院だけこれをふやせということもなかなか困難なことでございます。したがいまして、先ほど来院長が申し上げておりますように、検査院職員はみずからえりを正す、こういう立場もございまして、事務総局といたしましては、全国に指定旅館、そういう制度を実施いたしております。官房の者が回りまして各地に指定旅館を交渉に参りまして、一泊幾らというような協定を結んでまいってくるわけでございます。そうしてそういうところへ泊まるように指導するわけでございます。ただ、指定旅館と申しましても、津々浦々あまねく行き渡るというわけでもございませんで、やはり補助工事などで遠隔の地へ参りますと、そういう宿泊施設がないというような場合もございます。また一方、指定旅館のほかに各共済組合、たとえば地方公務員共済組合の寮であるとか警察職員の共済組合の寮であるとか、そういうような設備がいろいろあるわけでございますが、こういうものも利用いたしまして、できるだけ安く泊まるというような線で実施している状況でございます。
  110. 庄司幸助

    ○庄司委員 たいへんこまかいことをお伺いして申しわけないのですが、こまかいことの最後に、私は休暇の問題を少し取り上げてみたいと思うのです。  これも具体的な事例があるのです。私は宮城県ですが、御承知のように七夕が八月の初旬にあるわけですね。それからお盆があります。この辺になりますと、地方の公務員は大体二交代ぐらいか三交代ぐらいで、ほとんど休みを一週間なり十日とって、そして夏を楽しむ。ところが、たまたま七夕の節に会計検査院がおいでになったことが私の記憶にあるのです。  これは何もあえてとがめる必要はないわけですが、地方の実情、あるいは全国的にいっても夏の八月というのは、七月の末から八月の二十日ごろまで、大体公務員にしろ、会計検査の対象になるような個所は、こうやって休みをとっているのが実情なんですね。そういうところへ会計検査院が来ますと、やはりそういうものが乱されてくる。乱されると言うと語弊がありますけれども、休みがとれないといういろいろ地方の実情があるのですね。これは全国的に休みがあるわけですから、会計検査院も、夏はやはりそういう体制に即応した休暇体制をとるべきじゃないか、それが実情に見合うやり方だろうと思うのですが、たいへんこまいことをお伺いして申しわけないのですが、その辺も、待遇上の問題とからめてひとつ伺っておきたいのです。その辺の改善、考え方の方向、これをひとつ伺っておきます。
  111. 鎌田英夫

    鎌田会計検査院説明員 八月、地方で旧のお盆でいろいろ行事がある、これは先生おっしゃるとおりでございます。したがいまして、この時期に検査に伺うということはなかなか相手方にも御迷惑をおかけする、こういうことは考えられることでございます。  一方、最近におきましては、会計検査院職員組合も、夏ぐらいは休ませてくれというような要望がありまして、夏は暑い時期で健康的にも非常に労苦が多い、あるいは検査に参りますと洗たくものをたくさん持っていかなくちゃならぬ、この洗たくをするひまもないというような物理的なこともございまして、夏場の検査というのはできるだけ差し控えて、その間本院の職員も休養をとるようにしよう、こういうふうに指導をしておるわけでございます。  ただ、大体四月から九月ぐらいまで実地検査の時期といたしまして、いろいろ出張の線引きをいたすわけでございますが、対象が非常に多いという場合に、八月在庁しろと申しましても、検査の施行の面でそれが不可能な場合もあるかと思います。現に東京近辺の本店支店、これは政府出資関係の団体などは大体東京に集中しているところが多いわけでございますが、そういうところは、やはり夏場に少しやっていかないとどうしても日程の配分がうまくいかないというようなものがございまして、やむを得ず八月ごろ多少やらざるを得ない、こういう現状もございます。  しかしながら、原則といたしましては、八月は相手も休んでいただく、こっちも休む、こういう方針で指導しているわけでございます。
  112. 庄司幸助

    ○庄司委員 たいへんこまい問題を伺って、たいへん恐縮なんですが、それではひとつ、おたくからちょうだいした「本院事務総局職員の職務別、年令階層別構成」という資料がございますが、これ拝見しますと、定員の問題はあとで触れますから、この調査官の年齢構成を見ますと、三十歳未満が十三名、三十歳から三十五歳までが八十六名、三十五歳以上四十歳までが九十二名、四十歳以上四十五歳まで百十四名、四十五歳から五十歳までが百九名、五十歳以上六十八名、五十五歳以上が四十八名、六十歳以上八名ですね。  これでちょっと気がかりなのは、もう十五年ぐらいたった場合、この四十歳以上の方が大体退官なさる時期になるわけですね。そのあと継ぎをなさる三十五歳以下の方、こういう方の比率が非常に少なく薄くなっている。ですから、構成がちょうちん型なんですね。十五年たつと会計検査院の調査官が非常に少なくなる心配が、この表から見ると出てくるのですがね、その辺どのようにお考えになっていますか。
  113. 白石正雄

    白石会計検査院長 御指摘の点は全くごもっともでございまして、どうしてこのような状態に相なったかと申しますと、先ほどもちょっと御答弁申し上げましたように、二十二年に新院法が発足しました当時におきまして、四百名程度の定員が一挙に千二百名程度に増員しまして、その点におきまして大学卒等を多量に採用いたしまして、検査院の充実をはかったわけでございます。その当時の方々が現在、このような状態でだんだん老齢化してきたというような現状でございまして、しかも定員の増加がその後行なわれなかったために、新規の採用の人員というものがそう多く採用されなかったというようなことで、年齢構成別が現在のようないびつな型になっているわけでございます。  こういうことにつきましては、私どもといたしましても、将来の検査院のあり方を考慮するときに、逐次手を打っていかねばならないということを考えておるわけでございまして、したがいまして、まあ時には天下り反対というような意見も伺うわけでございまするけれども、しかし、能力のある方が民間等に転出をするというようなこともあります場合におきましては、積極的にあっせんをして人事の更新をはかるということも、また一方において考慮しなければならないというように考えておる次第でございます。ただ、現在の構成上、これがこのままいきました場合におきましては、これを各年齢別に申しますと四十九歳の方が五十二名で最も多いわけでございまして、この人はこのまま年に一、二名ずつ減員いたしましても、十年もたちました暁におきましては、まあ四十名程度には相なろうかと思いまするので、四十名程度ならば、その年の採用におきまして一挙に採用いたしましても、そう支障はないではないかというようにも安易には考えておるわけでございまするが、しかし、そういった安易な考え方は検査院の能力が一時に低下するというおそれもございまするので、逐次この数年のうちに手を打っていかねばならないというように、いろいろ苦慮いたしておるという次第でございます。
  114. 庄司幸助

    ○庄司委員 会計検査院の天下りの問題は、私も去年取り上げましたが、これはいわゆる局長さんクラスとか事務総長さんですか、そういうクラスの天下りの問題を取り上げたのですから、これは誤解しないでもらいたいと思うのです。私は、定年なりあるいは老齢で退官される方、こういう方の第二の人生、これはめんどうを見なくてはならないということは当然だろうと思うのですよ。しかし、それはいわゆる機会均等で、上にだけ厚くて下のほうはあまりかまわれていない、これでは困るというんです。しかも会計検査院の性格上、検査の対象になるような場所に天下ってはならない、これはやっぱり正しいと思うのです。これは厳に今後も守っていただきたいと思うのです。そうなれば、そういう点でいわゆる平の事務員なんかのことまで心配していただきたい。これは一つ申し上げておきます。  それで、話は変わりますが、今後四十名ぐらい任用なすっていけば何とかなるというお話ですが、この調査官の任用にあたって、やはり事務官がいらっしゃるわけでしょう、調査官以外の。これは三十歳未満の方が二百五十八名いらっしゃいます。それで、調査官と協力して会計検査院仕事をやっておるわけでしょう。こういう方が、調査官の道が開かれてる。これは現に開かれてはいるようですが、この門戸開放をやはりもっと幅を広げる必要があるんではないか。もちろん、不適格者を調査官にしろなどとは私は申し上げませんよ。ただ、一般事務官で希望のある人は、やはり講習も受けられる、あるいは任用試験あるのかどうかわかりませんが、任用試験の勉強もできる、こういう道を開いておく必要があるんじゃないか。特に、三十歳未満の前途有望な方がたくさんいらっしゃるわけですから、この辺からもやはり調査官に採用していく。外からだけ引っ張ってくるのじゃなくて、中から調査官適格者を育てていくということが大事じゃないかと思うのですが、その点でどういう御方針になっておられますか。
  115. 鎌田英夫

    鎌田会計検査院説明員 調査官の任命の点でございますが、現在調査官に任命いたしておりますのは、外から引っ張ってくるというのはごくまれでございまして、ほとんどが一般の国家公務員試験を合格した者、それぞれ上級、中級、そういったランクがございますが、そういうランクで入ってきた職員が一定の年限を経ますと、これは調査官試験といいますか、必ずしもこれにのみ従うわけでございませんが、どの程度勉強しているかという評価をやっておりまして、総合的に能力があるかどうかあるいは年限に達しているかどうかということを判断いたしまして調査官にいたしておるわけでございます。そして現状を端的に申し上げますと、むしろ現在では調査官にしたくても数が足らない、こういうような現状でございまして、調査官の候補者を充実しなくちゃいけない、こういうような現状であることを申し添えておきます。
  116. 庄司幸助

    ○庄司委員 大体待遇上の問題は終わらしてもらいまして、定員の問題を少し私も取り上げてみたいと思うのです。     〔綿貫委員長代理退席、委員長着席〕  先ほどの原委員とのやりとりを伺わしてもらいましたが、重複は避けますが、あの質疑応答の中で感じられた点は、これは大蔵省もからんでいらっしゃるようですが、問題は、会計検査院の独自の御要望、こうしなければ会計検査が十分にやれないという判断が、一番大事なようですね。その点で会計検査院は現在千二百十二名ですね。予算規模は先ほどお話にもありましたが、大体三十九年対比で歳入の面で四〇八%、それから歳出の面で三八九%、約四倍ですね。四倍に対して、三十九年から四十年にかけて総数で二十名ふえただけですね。確かに調査官の数は若干ふえているのです。しかし、これは内部のやりくりですね。だから、内部のやりくりをやれば、一般事務に今度はしわ寄せがくると思うのですよ、こういう矛盾が中にあるわけですから。しかもこの予算規模は四倍ですから。これはどこから見たって圧倒的に足りないと思うのです。しかも、私が先ほどからいろいろお話伺っておりますと、たとえば夏休みの体制をとる。これだって人をふやさないと、この体制は私は保障できないと思うのですよ。それから、一般事務官から調査官にどんどん採用していくとなれば、一般事務官がやっぱり今度足らなくなってくる、こういう矛盾も出てきますね。だから、やりたくても数が足りないという先ほどの御答弁が出てくるわけです。  その点で私、会計検査院長のやっぱり決然たる判断が大事だろうと思うのですよ。昨年も私この点で、検査院の独立性の問題でお伺いしたわけですがね。憲法に基づいて検査院が、き然として行政機関から独立している。これは非常に大事なんですね。だから、会計検査院長がその点で御自分の判断をしっかり定められる。いわゆる定員法の一次、二次、三次の削減とかこういう問題は、ほんとうなら会計検査院関係ないのですから、独自の御判断を持つ必要がある。その場合、この千二百十二名、これじゃ足りないことはさっきお認めになったとおりですから、現在の予算規模十七兆、それから現在の要検査個所ですね、これを基準に考えた場合、一体何名必要なのか、この辺の御判断をお持ちになる必要があると思うのですが、一体何名必要なのか、その辺、いま御判断を示していただけませんか。
  117. 白石正雄

    白石会計検査院長 先ほども御答弁いたしましたように、検査院の人員が、膨大なる調査対象に対しまして非常に過少であるということにつきましては、私どもも重々承知いたしておる次第でございまして、これにつきましてはかねがね努力をいたしておる次第ではございまするが、この前も御答弁申し上げましたように、院法改正時に一挙に四倍になったという点では、非常に画期的な拡大強化をなされたわけでございます。そうしまして、事態の推移をながめてみますと、二十年代には非常に経理が紊乱して、違反、指摘事項も非常に多額にのぼっておった。しかし、それが三十年代には逐次よくなってまいりますし、また四十年代になりますとますますそれが減少をしてきたということで、経理の実態というものはやはり逐次改善されておるものと考えられるわけでございます。  そのような面におきまして、私どもとしては、検査の対象に比較いたしますれば人員は非常に僅少であるとは思っておりますけれども、しからば何名が適当であるかということは、こういう監査機構というものにつきましては多ければ多いほどよいというものでもなかろうと思うわけでございまして、一般的な国の政策というような方面にも協力しなければならぬというようなことも勘案いたしまして、三十年来、人員の増加というものを行なっていないという状況でございます。したがいまして、ここにいま一挙に何名に増加するということにつきましては、これはなかなか種々の困難もあろうと思いますので、ちょっと明言いたしかねるわけでございますが、御趣旨の点はなお十分に検討いたしまして、今後とも努力を重ねたいと考える次第でございます。
  118. 庄司幸助

    ○庄司委員 これは院長さん、たいへんしつこいようですが、やはり私は、これはその日暮らしじゃだめだろうと思うんですね。とにかくいま何とか、政府の方針もあるということで繰り合わせてやっていたのではまずいだろうと思うんですね。やはり当面何ぼ、それから政府の方針も考えるなら、五年後には何ぼにしてもらいたい、十年後には何ぼと、そのたびまた予算はおそらく上がりますから、やはりそういう目標をぜひ持っていただきたいのです。だから、たとえば来年度何名必要だ、それから五年後には何名にしてもらいたい、この辺ぐらいのところをやはり持っていただきたいのですが、その辺どうでしょうか。
  119. 白石正雄

    白石会計検査院長 御趣旨の点はごもっともだと思いまするので、今後とも十分に検討いたしたいと考える次第でございます。
  120. 庄司幸助

    ○庄司委員 大蔵省、どうですか。もし会計検査院からこういう予算要求が出た場合、これはほんとうに必要最小限の、たいへん遠慮なすっているわけですから、それを大蔵省がなたで切るようにばっさばっさと切ったりしてはまずいだろうと思うんですね。そうでないと、大蔵省はやはり検査を受ける対象ですから、予算を少なくして人員を削っておけば、検査の網の目が少し大きくなって楽だ、こういうふうに、げすの勘ぐりではありませんが、思われるわけですから、その辺で検査院からの要望があったら、これは切らないで通すという御方針を持っていただきたいと思うのですが、その辺どうですか。
  121. 猪瀬節雄

    ○猪瀬説明員 検査院の定数関係につきましては、先ほど原先生にお答えしたような感じを私ども持っておりますが、来年度以降のお話になりますと、私の立場でいまここで、全部認める、あるいは認めないというようなこともちょっと申しかねますので、できるだけ検査院の御要望を十分尊重しながら、その必要性などを検討させていただきたいというところで御了承いただきたいと思うのでございますが……。
  122. 庄司幸助

    ○庄司委員 まあ、それはあなたじゃちょっと無理でしょう。ですから、これは大蔵省のときに、大臣が出てきたら聞きます。  それで予算規模、要検査対象個所対人員の問題ですね。これは、実は私ももっと調べたのがあるのです。あるのですが、時間の関係でこの辺で終わりたいと思います。ぜひひとつこの点で積極的な案を出していただきたい。  それから三番目にお伺いしたいのは、会計検査院の中で技術調査官、これをふやされたという御発言がありましたが、実はこのごろ、会計検査上非常に知能犯的な不当なやり方があると思うんですよ。現在、この技術調査官という名のついた方が何名ぐらいいらっしゃいますか。
  123. 鎌田英夫

    鎌田会計検査院説明員 技術専門官でございますが、いま電気関係一名、それから四十九年度から土木関係一名、合計二名でございます。
  124. 庄司幸助

    ○庄司委員 そうしますと、たとえば今度の七十二国会で、実は会計検査院が不当事項とはみなしていなかった、不当事項なしといわれる科学技術庁ですね、あそこでたいへんな問題が持ち上がったわけです。あのいわゆる日本分析化学研究所のデータ捏造事件ですね。これは全くインチキ商品を国に納めて、それで科学技術庁もそのまま受け取ってすまし込んでいた。それが長年続いたわけですね。これは会計検査院でも発見できなかったわけです。これはもう明らかに不当事項でしょう。その点だけひとつ最初にお伺いいたします。日本分析化学にからむ科学技術庁の金の使い方ですね、これは不当事項に当てはまる事件でしょう。その点どうですか。
  125. 白石正雄

    白石会計検査院長 さようでございます。
  126. 庄司幸助

    ○庄司委員 この分析化学研究所の問題は、四十九年度会計検査の中でどのような御方針で調査されますか。
  127. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 お答え申し上げます。  分析化学研究所でございますが、これは委託費を出しまして機器分析だとか化学分析をやっておるわけですが、三十六年ごろからでございますか、ずっと引き続きやっておる対象でございますが、科学技術庁の関係では委託費を出しておる対象がたくさんございまして、その一つであるわけですが、過去には、四十二年に一度この対象に参りまして、委託費の実際の使い方について検査をしたことがございます。昨年その計画をもって臨んだわけでございますが、例の事件が起こりまして、検察当局に全部の書類を押収されたというようなことがあったものですから、事実上、検査ができないという状態でございます。まあその状態は現在も続いておることでありまして、ことしも検査ができない実情でございます。
  128. 庄司幸助

    ○庄司委員 そうしますと、四十六年度会計検査院報告に、ほんとうなら、調べていれば、これは当然不当事項として記載されるべきものであった。そうしますと、四十七年度会計検査院報告、これには載っていますか。
  129. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 お答えいたします。  先ほど御説明申し上げましたように、四十七年度決算検査の一環としまして、日本分析化学研究所の委託費について検査をすることを実は考えたわけでございますが、すべての書類を押収されておったというような関係で実は検査ができない状態でございまして、四十七年度検査報告にはその関係の記述はございません。
  130. 庄司幸助

    ○庄司委員 これは、明らかに不当事項と認められるものが載らないわけですね。四十八年度もそろそろいまお調べになっている段階だろうと思うのですが、四十八年度もこれはあるわけですね。こういうものが、国会でも明らかにされてもう不当だというものが、会計検査院報告に四十六年も載らなかった、七年も載らない、八年も載らないとなると、これは会計検査院の報告の権威の問題だろうと思うのですよ。その辺どうなさいますか。不当事項と国会でも指摘されたものが、しかも長官も認めたものが、科学技術庁については不当事項なし。ほかにもあるかもしれませんが、この件に関しては不当事項なしということになるのですよ。これじゃ私は会計検査院の権威が保たれないんじゃないかと思うのですが、その点どうなさいます。
  131. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 事実上の関係として、おっしゃるような事態になっております。しかし、私どもの検査といたしましてはどこまでも証拠主義というものでありまして、書類がなければ確かめようがないというような事実もありますので、その辺が不当であるかどうかという評価がむずかしいというような状態でございます。ただ、委託費の支出でございますから、使っておる日本分析化学研究所自体につきましてはそういう問題があるわけですが、委託費を出している科学技術庁のほうを調べた上で何か確たる証拠というものがつかめましたら、その辺の不当事項の報告というものの扱いは可能だろうと考えております。
  132. 庄司幸助

    ○庄司委員 これは科学技術庁長官が明確に本国会で、いわゆるインチキデータをつかまされた、こう言っているのです。——あなた方は、前の検査報告の中では例の航空写真——これは国鉄かどこか私記憶ありません。ピンぼけの航空写真に金を払ったといって、不当事項か何かの注意事項かでやっているのですよ。これは載っています。これは性格は同じようなものですね、意図が向こうはもっと悪いですが。ピンぼけ航空写真は不当で、ああいう、国会でも明らかにされたいわゆるインチキデータですね、これに金を払ったのですから、これはやはり明らかにして、検査院報告に載せてもらわないと困ると思うのですよ。そうでないと、会計検査院はつんぼさじきに置かれた、目がないといわれてしまうのです。これはぜひその辺検討して、ひとつやっていただきたい。  これと関連して私は、分析化学研究所の問題で頭に浮かんでくるのは、やはり技術専門官の問題なんですよ。こういう問題というのは非常にややこしいのです。相当の科学的な蓄積がないとなかなか発見できない。航空写真のピンぼけなら、これはだれが見ても、こんな写真、金払っていいのか、こうなります。しかし、ああいう問題というのはすぐれて化学的な分析が必要なんですね。そうすると、いま科学専門官が電気一名、土木一名。ところが、公害関係で委託費が相当出ています。あるいは動燃の問題もあります。あるいは防衛庁の委託研究費の問題もあるんです。それから公害防止事業団のインチキな仕事もあるんです、きょうは時間がありませんから言いませんけれどもね。これはBODとかPHとかいろいろなややこしい専門用語がばんばん出てくる。それを解明しなくちゃならないんですね、不当に国費が払われたかどうか。  この科学専門官、私はいま日本の国費のこの支出状況からいったら、ますますこの需要が増大してくると思うのです。これは一般的な定員の増員の問題と同時に、やはり科学専門官をふやす問題、二名などというしみったれた数ではもう問題にならないと思うのですよ。その辺、この科学専門官を大幅にふやす、しかも各分野ですね。皆さん方は、土木のほうではよく、道路の一ぺんつくったところを掘り返して検査したりしてます。しかし、分析化研のような問題でもやはりそういう掘り返しが必要だということになれば、当然に科学専門官を大幅にふやす必要があると思うのです。その点、院長、大幅にふやしてもらいたいんですが、院長のひとつ御決意のほどを伺いたいと思うのです。
  133. 白石正雄

    白石会計検査院長 ただいま次長から申し上げました科学専門官というのは、指導的任務につく者が二名でございまして、事実上技術者は百名程度を擁しておるわけでございます。ただ、これらにつきましては、御意見のとおりますます必要性があるわけでございまするので、増加に努力いたしたいと考えておる次第でございまするが、科学関係技術者というものは、やはり検査院のような方面にはなかなかよう参りたがらない、むしろほんとうの専門分野のほうに行きたがるというような傾向がございまして、なかなか適任者が求めがたいという事情でありますので、そういう点実は苦慮しておるということが実情でございます。しかし、まさに御説のとおりでございまするので、ますますその増加の点につきましては努力を重ねたいというように考える次第でございます。
  134. 庄司幸助

    ○庄司委員 それから、これは去年警察で私取り上げた問題ですが、実は計算証明規程、この問題で、警察の捜査費が、だれに幾ら払ったという証拠書類、これが必要ないんだというような何かお話が昨年あったんですが、この点で、たとえば島根県警文書などという事件があったんです。この島根県警文書の中で、いわゆる警備の課長クラスが集まった送別会にもいろいろ捜査費が使われた、こういうものは計算証明規程によって、だれだれ警部渡しということで済んでいるんですね。そのほか、今度の日教組の弾圧事件の中で、一人一人の組合員のところへ警察から贈りものを持っていっている、そうして情報提供してくれ、こういう事例もあるんです。あるいは公安調査庁が、いわゆる労働者を執拗に誘い込んで酒を飲ましたりあるいは食料の接待をしたりなどして、運転免許を持って車で帰る労働者を無理やり酒屋に連れ込んでそうして酒を飲ます、こういうものも計算証明規程によって、だれだれ渡し、これで済んでいるんですよ。ですから、中には、そういう中で自分のふところへ入れてもわからないようなしかけになっているのです。  だから、これは計算証明規程のこの警察の項目あるいは公安調査庁の項目については、いままでどおりやっていらっしゃる方針なのか、あるいはこれを考え直して、いわゆる証拠書類は要らないという規定からはずして、やはり一々、だれに渡した分はどう使われたという追及をやるべきだと私は思うのですが、その辺、これは事務当局ではちょっと答えられないかもしれません。もし答えられないなら、院長さんのほうから明確にひとつ答えていただきたいと思うのです。
  135. 鎌田英夫

    鎌田会計検査院説明員 計算証明上の簡易証明の問題でございますが、この簡易証明は検査院が承認しているわけでございますけれども、これは証拠書類が要らないという観点に立っているわけではございませんで、検査院へ提出するのを省略いたしまして、それぞれ支出側の手元に置いておく、これを私ども検査に参りましたときに検査する、こういう立場でございまして、決して証拠書類が要らなくていい、こういうふうに承認しているわけではございません。
  136. 庄司幸助

    ○庄司委員 これは非常に疑惑が多いのです。国民の血税が捜査当局によって乱用されたりあるいは不当に支出されている疑いが十分あるのです。私はこの本委員会の席上から申し上げておきますから、ぜひ会計検査院は、警察の捜査費、公安調査庁の協力謝礼金ですか、ああいう問題をこの四十九年度検査対象にして洗ってほしい。これは御要望申し上げたいのですが、その点院長のほうから御答弁願いたいと思うのです。
  137. 白石正雄

    白石会計検査院長 ただいま次長が申し上げましたように、実地検査に臨みまして、それが確かに支出されたかどうかという心証を得るようにつとめておるわけでございますので、なおそのような実地検査の点につきましては、御趣旨の要望に沿うように努力いたしたいというように考える次第でございます。
  138. 庄司幸助

    ○庄司委員 終わります。
  139. 臼井莊一

    臼井委員長 次は、坂井弘一君。
  140. 坂井弘一

    ○坂井委員 三十分程度時間をいただきたいと思います。  会計検査院法第三十六条によりますと、「検査の結果法令、制度又は行政に関し改善を必要とする事項があると認めるときは、」その処置を要求することができる、こうなっておりますが、法令、制度の改善要求につきまして、会計検査院は近年これをどうされておりますか、概要を御説明いただきたいと思います。
  141. 白石正雄

    白石会計検査院長 意見を表示しまたは処置を要求した事項の件数でございますが、これは三十四条と三十六条と両方あるわけでございますが、いまお尋ねの件は三十六条の件であろうかと思うわけでございます。これにつきましては二十三年に二件、二十五年に二件、二十八年に二件、三十一年に一件、それから三十七年に五件、三十八年に八件、三十九年に十二件、四十年に十五件、四十一年に九件、四十二年に四件、四十三年に二件、四十四年に一件、四十六年に一件というように相なっております。
  142. 坂井弘一

    ○坂井委員 法令の改善要求はされたことはござ  いますか。
  143. 鎌田英夫

    鎌田会計検査院説明員 昭和三十七年六月に農林大臣あてに、土地改良事業によって造成した埋め立て地等を転用する場合における造成費の回収について、これは端的に法令を改正しろということではございませんけれども、何らかの措置をとるべきであるということを申しましたところ、法令の改正があったと、こういうことでございます。
  144. 坂井弘一

    ○坂井委員 具体的にお尋ねしたいと思いますが、政府が出資しておりますところの日本航空株式会社、最近たいへんもうかっているようであります。ところが日本航空株式会社法第十条でございますか、これによりますと、民間持ち株への配当が八%、これをこえませんと政府に対する配当はゼロ、免除されていると、こういうことが規定されているわけでございますけれども、政府の出資といいましてもやはり国民の税金によるものでありますし、近年とみに業績をあげつつある、そういうことから考え合わせまして、この日本航空株式会社法の改正要求といいますか、そうした意思表示を会計検査院としてはこの辺でなさったらいかがであろうかと、こう考えるのですけれども、いかがでしょう。
  145. 中村祐三

    中村会計検査院説明員 院法第三十六条は御承知のように、会計検査をいたしました結果、その検査対象であります会計経理の分野におきまして何らかの不合理な状態が生じている、その原因が一つの例として法律あるいはその他の法令にある、その法律なり政令なりを改正しなければその会計経理の不合理な状態が是正されない、そういうふうに判断した場合に発動する。先ほど御紹介いたしました三十七年の例もそういう事例であったかと思います。  そこで、ただいまお尋ねの日本航空株式会社の現状がはたしてそういう事態に当たっているかどうかということにつきましては、私どもといたしまして、今後の検査段階におきまして十分ただいまの御趣旨を反映する方向で検査をしていきたいと、そういうふうに考えております。
  146. 坂井弘一

    ○坂井委員 方向としては私はよくわかりましたが、徳永運輸大臣がことしの初めにこう言っていますね。政府所有の株式に対する配当免除は必要ないと判断、四十八年度からは政府に対しても配当金を支払わせる意向を固めた、このため早急に事務当局に具体的な措置を検討するよう指示する考えである、こういうことをことしの一月四日でございますかに運輸大臣が言っているようであります。確かに経常利益を見ましても、四十六年度九十二億、四十七年度百三十六億、四十八年度百四十億、相当大きな利益をあげつつある。日本航空株式会社自体も相当足腰もしっかりしてきた、財政的にも固まった基盤ができ上ったというような現状から見まして、やはりこの辺で日本航空株式会社法の改正をぜひ行なって、そして政府にも配当金が入るという方向が望ましいのではないか、こう判断いたしますので、会計検査院は前向きなお考えのようでありますから、ぜひそうした方向で検査をお願いいたしたい。  次に、国及び政府出資団体の資金が海外でかなり使用されているわけでありますけれども、最近非常に多額にのぼっております。こうした海外の検査体制、これは必ずしも十分ではない、むしろきわめて手薄なような現状に見受けられるわけでありますけれども、最近そうした海外の検査、これはどれくらいやられましたですか。もし具体的な事例等ありましたならば、ひとつ御明示をいただきたいと思います。
  147. 白石正雄

    白石会計検査院長 海外の検査対象個所数でございますが、これは外務省関係が百四十三カ所、それから海外技術協力事業団が十一カ所、海外移住事業団が三十五カ所、日本貿易振興会が七十三カ所、日本航空が六十九カ所、国際観光振興会が三カ所、合わせて三百三十四カ所あるわけでございます。これらは何しろ海外のことでございまするので、検査はいま御指摘のとおり十分ではございませんが、毎年一カ月程度職員を派遣いたしまして検査をいたしておるのでございまして、四十六年度において十二カ所、四十七年度において七カ所、四十八年度において十六カ所を検査いたしたわけでございますが、これらの検査はなお十分であるとは考えていないわけでございまして、今後とも予算措置等を講じまして、できる限り検査の充実をはかりたいというふうに考えておる次第でございます。
  148. 坂井弘一

    ○坂井委員 ここで一つ問題点を指摘しておきたいと思いますけれども、一回も検査に入っていないところがございますね。海外移住事業団、これは四十六年も四十七年も四十八年もゼロでありますね。ほかは幾つか、抽出的であるかどうかわかりませんが、検査を行なっておるようであります。問題は、海外移住事業団で、かなり問題がある。これは当決算委員会におきましてもいろいろな論議を呼びまして、幾つかの問題点の指摘もあったことでありますし、会計検査院としては当然海外移住事業団に対する検査をおやりになる必要があるのではないか。いかがでしょう。
  149. 白石正雄

    白石会計検査院長 海外移住事業団につきましては、三十八年度に是正改善の措置を要求した事例がございます。それから、御指摘のとおり、最近三カ年は実施いたしておりませんので、四十九年度において予算を計上いたしまして、四十九年度中南米を実施するという予定にいたしておる次第でございます。
  150. 坂井弘一

    ○坂井委員 海外移住事業団におきます検査はぜひひとつ厳重に、的確におやりいただきたいと思います。  なお、それに関連いたしまして、海外で使われているこの国の金には、国、出資団体の在外機関のほかに、いわゆる対外投融資によるもの、これはたいへん巨額にのぼるわけでありますけれども、最近ああした形で海外に進出する特殊法人といいますか、基金あるいは輸銀等の資金を活用して海外に進出いたしております企業、そうしたところに対する検査、これはどうなっておりますか。
  151. 白石正雄

    白石会計検査院長 日本が外国の政府あるいは外国の法人に対しまして投融資を行なっておるというものの検査でございますが、これは投融資をした団体につきましては検査を実施いたしておるわけでございますけれども、その融資先の検査は、権限の関係もございまして、直接にはなかなかやりにくいという部面もあるわけでございます。ただ、御指摘のように、これらの調査も必要であるということはかねがね承知いたしておりますので、海外出張の際、各方面の協力を得まして、国または国の出資団体の投融資が効果をあげているかどうか、できるだけ調査をするということにはいたしておる次第でございます。
  152. 坂井弘一

    ○坂井委員 海外経済協力というのは、直接借款あるいは一般案件等によります、最近のそうした関係のきわめて好ましからざる事例といいますか、事案と申しますか、そういうことが幾つか出てきておりますね。したがって、会計検査院としては、国内のことはもちろんのことながら、海外におけるそうした検査というものをひとつ積極的に取り上げられるならば、かなり多くの批難事項が出てくるのではないか、また、そのことによって、これからの海外経済協力のあり方そのものに対しましても何らかの方向性、軌道の修正、そういうことが、そこから政策的にも出てくるのではないか、そうした観点から、会計検査院そのものの機能と申しますか、役割りと申しますか、さらに、いまのような大きな視野を広げた立場からの活躍も期待したいわけでありますので、あえて申し上げたわけであります。  そこで、一点それに関係しましてお尋ねしておきたいと思いますが、外国の検査院に対しまして、そうした場合検査の委託というようなことはできないのでしょうか、あるいはそのようなことが相互に可能かどうか。
  153. 白石正雄

    白石会計検査院長 これは、国際会議等によってそういうことが討論せられた事実はございます。具体的にはやはり当該国の協力を得なければなりませんので、外交的な折衝にもなろうかと思うわけでございまして、直ちには困難かと思いますけれども、そういう方途も考慮いたしたいと考える次第でございます。
  154. 坂井弘一

    ○坂井委員 それから、変わりますが、国債でございますが、現在国債につきましては、予算総則におきまして発行限度額がきめられ、必要に応じてその限度内で発行されております。ところが、年度が終了してみますと、相当額の予算が不用額として処理されているわけですね。こういう事情からみまして、国債発行にあたっては、その必要性について十二分に検討を加えなければならぬのではないか、つまり必要最小限度にとどめる配慮、そういうことが欠けているんではないかと思われるわけでありますけれども、検査院としては、そうした点についてはどうお考えになっていらっしゃるか、お考えを伺っておきたいと思う。
  155. 白石正雄

    白石会計検査院長 国債の発行についてそれが適当であるかどうかという御質問であろうと思いますが、国債の発行は必要の最小限度にとどめるべきものだと思うわけでございまして、まことに御趣旨のとおりだと考える次第でございます。  実際を検討してみますと、四十七年度には国債の発行限度額は二兆三千百億円でございますが、実際の発行収入額は一兆九千四百九十九億円でございまして、三千億円程度は減額になっておるわけでございます。それに対しまして不用額として四十七年度に計上されましたものは九百七億円程度でございまして、この不用額等勘案して国債の発行額がさらに減額できたではないだろうかという御趣旨だと思うわけでございますが、そのときの不用額はやはり年度を越さなければ確定しないという関係もございまして、これが発行収入済み額に対しましてはわずか四%上回る程度のものでございますので、財政当局としても十分御趣旨のような点において、御趣旨に沿うて努力をしたいと考えておる次第でございます。
  156. 坂井弘一

    ○坂井委員 なお、時間の関係で次のことを伺っておきたいと思いますが、租税検査の第一課、二課、三課ございますけれども、ここはほとんど十年以上のベテランの方ばかりいらっしゃるようであります。これは租税の特殊性がありますので、そうした関係から、どうしてもそう、租税検査ということについては職員の交流ということは好ましくない、こういう判断であろうと思うのですけれども、聞くところによりますと、退職後税理士の業務を行なう場合に非常に恩典があるというような、あまり好ましからざることもちらほら聞くわけでありますけれども、そういうことがあってはいけないと思いますが、ただ、この制度は会計検査院法には規定されていないと思うのですが、いかがでしょうか。特にそのことについては関係はありませんか。
  157. 鎌田英夫

    鎌田会計検査院説明員 租税検査課、御指摘のとおり非常にベテランの者を擁しているわけでございます。これは御承知のとおり、租税行政というものは非常に複雑で専門的な知識を必要とするということから、どうしても固定化する傾向にある、こういうことでございます。それと何か恩典があるというふうな御指摘でございましたが、租税検査を長い間担当しておりますと、税理士の資格を将来とるときにそれなりの実力がついている、開業しても、開業といいますか、資格をとることも勉強しやすい、あるいは開業後も知識が縦横にふるえる、こういう恩典といいますか、こういう利点はあるというふうに考えておりますが、なおちょっと先生の御質問の趣旨がわかりかねますので、もし違っておりましたら再度御質問いただきたいと思います。
  158. 坂井弘一

    ○坂井委員 あえて申し上げるわけではございませんけれども、特定の職員が長期間同一の検査を行なっているということになりますと、これは利点もございますけれども、また反面いわゆる有利な面も出てくるというような点については、やはり慎重であらねばならぬと思いますし、同時に受検庁とのなれ合いですね、どうしてもそうした弊害も出てくるんではないかというような点についても、十分そうしたことのないようにひとつ御注意をいただきたい。  なおまた、検査に参りまして資料の提出を求める際に、相手官庁の承諾を得た上で相手官庁から提出されてくる、承諾のないものは出ない、会計検査院検査の必要上どうしてもこれこれしかじかの資料の提出を求めた際に、相手官庁がそれを断わるというようなことが間々あるように実は仄聞するわけでありますけれども、そうしたことは実情はどうなっておるかという点が一点。そういうことになりますと、会計検査院の独立性というものが発揮されない、十分な検査、適確な検査ができないということにもなろうかと思いますので、そういう点はいかがでしょうか、ほとんどやはり書面検査ということが多いように思われますので、特にお尋ねするわけであります。
  159. 鎌田英夫

    鎌田会計検査院説明員 検査院が相手官庁に要求いたしまして資料を出さないということを、いま先生御指摘になったわけでございますが、私、そういう事実をまだ耳にしておらないわけでございます。なお、帰りまして十分調査してみたいと思いますが、なお法的には会計検査院法で、相手官庁に資料を要求して出さない場合は当該の担当者に対して懲戒処分の要求ができるというような規定もございますので、そういうことは万々ないというふうに考えておりますが、なおよく調査してみたいと考えております。
  160. 坂井弘一

    ○坂井委員 私が申し上げておるのは、会計検査院がこれこれしかじかというのは、さらにこまかい具体的な内容等にわたって資料の提出を求めた、そうした場合、いわゆる通り一ぺんのといいますか、そういう資料しか出ない、したがって、検査が非常にしづらいというようなことを実は聞くわけでありますので、よくひとつ御検討いただきたいと思います。  時間がございませんので、最後に資料だけ要求いたしたいと思いますが、委員長においてお取り計らいいただきたいと思います。  三つございますが、一つは、昭和四十九年四月一日現在で、調査官以上の人員と五年以上、十年以上、同一課に在職している人員を各課別に提出をしていただきたい。  二つ目には、昭和四十五年度、四十六年度、四十七年度検査報告に指摘されている事項で、法令、通達違反のものはその法令条文、通達名を一件ごとに調査して提出をいただきたい。  三点目には、会計検査院検査対象としているもので金融貸し付け業務を行なっている政府機関、団体等別に四十六年度、四十七年度、四十八年度の三カ年分について貸し付け額、償還額、貸し付け残高、返済期間が到来して一年以上経過、つまり焦げつきしているもの等につきましては、会社、個人、公益法人、任意法人、学校法人その他の別に件数と焦げつきの理由を調査をして提出をお願いいたしたい。いかがでございましょうか、ぜひ当委員会への提出をお願いしたいわけでございます。
  161. 白石正雄

    白石会計検査院長 ただいま伺いまして、直ちにできるかどうか、私ちょっと自信がございませんが、できるだけ御要望に沿うように善処いたしたいと思います。
  162. 坂井弘一

    ○坂井委員 よろしくお願いいたします。  終わります。
  163. 臼井莊一

    臼井委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後一時三十分散会