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村山参考人 お答えいたします。
造水促進センターは、昨年の五月十日に、各方面の御賛同を得まして設立されました財団法人でございますが、御質問のありました現在の研究
開発の
状況でございますが、
一つは、
東京都に協力いたしまして日産五万トンの下水処理水の高度処理、これは活性炭処理でございますが、そのプラントの
建設にかかっております。これは昨年の七月からいろいろと基本設計に入りまして、この一月ごろに基本設計を終えまして、現在
東京都のほうで詳細設計をやり、一部基礎
工事の分につきましてはすでに入札発注を終わっております。これは四十八年度から三カ年
計画で
建設する予定でございまして、第二年度目の四十九年度には大部分ができ上がる予定でございます。
問題は活性炭の吸着でございまして、使いまして性能の落ちました活性炭をさらに再生する、この炉の
建設が一部五十年度に繰り延ばされるという予定になっております。
東京都のほうといたしましては、現在城北
工業用水道といたしまして
利根川系の水、これは大体四十万トンパーデーでございますが、これを給水いたしております。そのうちの一部に五万トンの水を五十年度中に給水したい、このように考えておられるようでございまして、私
どももその運転にも積極的に協力いたしたい、このように考えております。
それから、先ほど通産省の柴田
工業用水課長からお話がございました紙パルブ工場排水のほうの処理の実験でございますが、これは量は、先ほどお話がありましたとおり一日三百トンでございます。山陽国策パルプというところは、非常にたくさん岩国工場が使っておりまして、一日約三十六万トンくらいの水を使っております。その中で現在最も困っておりますのは、
一つは公害
対策、水質汚濁防止、こういう面からでございますが、これはKPのさらし排水でございまして、あそこの工場では、将来SPの生産設備は次第に縮小する
方向でございますので、私
どもはKPにつきまして、その汚染源となっておりますKPの再生
利用、この実験を始めたわけでございます。これは一応四十八年度に半分くらいの装置の
建設が終わりまして、現在試運転に入っているところでございます。四十九年度はさらに残りの装置を
建設いたしまして、全部の設備の完成を待ちまして一貫した本格的な運転実験に入りたい、このように考えております。これは一応二カ月ということになっておりますが、実際の運転は五十年度までずれ込む予定になっております。これの一応実験が終わりますと、さらにそれをスケールアップするための基礎
データ、それから大体どれぐらいの価格で水ができるか、こういったようなことの推定ができることになっております。
それから、石油化学工場の排水も同じようなことでございまして、これは大体今年の十二月くらいまでにその実験のめどをつけたい、このように考えております。それが終わりました
あとは、紙パルプと同様に、
規模を大きくするために必要な
データというものが得られる予定でございます。
それから、下水処理水のほうでございますが、これは
昭和四十七年三月現在の統計によりますと、四十六年度一カ年間に下水処理場で処理されました下水の量は四十一億トン余り、大体四十二億トンぐらいになっております。
下水処理場におきましては、大体最初にスクリーンによりまして粗大ごみを除きまして、それから沈砂池に導きまして砂等を沈下させます。それを一次処理あるいは予備処理と申しております。それから次に曝気槽に導きまして、空気を吹き込みまして、微生物の力をかりまして下水を浄化するわけでございます。これを二次処理あるいは本処理とか申しておりますが、これを終わりまして、BODが大体二〇PPMぐらいになりまして公共水域に放流されているわけでございます。ただ、全国の下水処理場で申しますと全体の八割近くぐらいしか、まだ二次処理をやっておりません。ほかは予備処理
程度で終わっております。しかし、現在非常に急ピッチで下水処理場の整備が進められております。
現在の下水道の普及率は、四十七年三月現在で二五%
程度でございます。それでも約三十数万トンの水が公共用水域に流されておるわけでございますから、私
どもが
東京都に協力してやっております実証プラントの実験で好結果が得られますと——
地方公共団体の方は非常に熱心でございます。特に大都市あるいは工業地帯をかかえておりますところは、下水の再生処理につきまして非常に御熱心でございます。したがいまして、その結果をまっていろいろと実用化が促進されるのではないかと思います。
もっとも、先ほど申しました四十二億トン、これがあるいは将来もっと、二倍にも三倍にもふえると思いますけれ
ども、
地域の関係で消費地の関係もございます。全部がすべて有効に
利用されるわけではございませんが、たとえ半分とか三分の一が
利用されましても、わが国の
水資源不足に大いに役立つのではないかと考えられます。