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1974-04-02 第72回国会 衆議院 決算委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年四月二日(火曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 臼井 莊一君    理事 唐沢俊二郎君 理事 橋口  隆君    理事 松岡 松平君 理事 綿貫 民輔君    理事 久保田鶴松君 理事 原   茂君    理事 庄司 幸助君       中尾  宏君    中村 弘海君       吉永 治市君    石野 久男君       稲葉 誠一君    田代 文久君       坂井 弘一君    塚本 三郎君  出席国務大臣         建 設 大 臣 亀岡 高夫君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      森山 欽司君  出席政府委員         人事院事務総局         職員局長    中村  博君         科学技術庁長官         官房長     片山 石郎君         科学技術庁研究         調整局長    千葉  博君         科学技術庁原子         力局長     牟田口道夫君         科学技術庁原子         力次長     伊原 義徳君         建設大臣官房長 高橋 弘篤君         建設省計画局長 大塩洋一郎君         建設省道路局長 菊池 三男君         建設省住宅局長 沢田 光英君  委員外出席者         大蔵省主計局司         計課長     高木 壽夫君         大蔵省主計局主         計官      廣江 運弘君         農林省農蚕園芸         局植物防疫課長 福田 秀夫君         農林水産技術会         議事務局研究総         務官      鈴木 章生君         会計検査院事務         総局第一局長  高橋 保司君         会計検査院事務         総局第三局長  桜木 拳一君         会計検査院事務         総局第五局長  中村 祐三君         参  考  人         (日本住宅公団         総裁)     南部 哲也君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     大田 満雄君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     川口 京村君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     播磨 雅雄君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     秀島 敏彦君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     上野 誠朗君         参  考  人         (宇宙開発事業         団理事長)   島  秀雄君         決算委員会調査         室長      東   哲君     ————————————— 委員の異動 三月二十二日  辞任         補欠選任   渡海元三郎君     渡辺 紘三君   中尾  宏君     千葉 三郎君   吉永 治市君     中垣 國男君 同日  辞任         補欠選任   千葉 三郎君     中尾  宏君   中垣 國男君     吉永 治市君   渡辺 紘三君     渡海元三郎君 同月二十六日  辞任         補欠選任   渡海元三郎君     白浜 仁吉君   吉永 治市君     吉川 久衛君 同日  辞任         補欠選任   吉川 久衛君     吉永 治市君   白浜 仁吉君     渡海元三郎君 同月二十八日  辞任         補欠選任   渡海元三郎君     地崎宇三郎君 同月二十九日  辞任         補欠選任   吉永 治市君     植木庚子郎君   田代 文久君     不破 哲三君 同日  辞任         補欠選任   植木庚子郎君     吉永 治市君   地崎宇三郎君     渡海元三郎君   不破 哲三君     田代 文久君 四月二日  辞任         補欠選任   石田 博英君     中村 弘海君   平林  剛君     石野 久男君   田代 文久君     東中 光雄君 同日  辞任         補欠選任   中村 弘海君     石田 博英君   石野 久男君     平林  剛君   東中 光雄君     田代 文久君     ————————————— 三月二十八日  昭和四十七年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十七年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十七年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十七年度政府関係機関決算書 は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和四十六年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十六年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十六年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十六年度政府関係機関決算書  昭和四十六年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和四十六年度国有財産無償貸付状況計算書  〔総理府所管科学技術庁)、建設省所管〕      ————◇—————
  2. 臼井莊一

    臼井委員長 これより会議を開きます。  昭和四十六年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、総理府所管科学技術庁及び建設省所管について審査を行ないます。      ————◇—————
  3. 臼井莊一

    臼井委員長 この際、おはかりいたします。  本件審査のため、本日、参考人として宇宙開発事業団理事長島秀雄君、日本住宅公団総裁南部哲也君、理事大田満雄君、理事播磨雅雄君、理事秀島敏彦君、理事上野誠朗君の御出席を願い、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 臼井莊一

    臼井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人からの意見聴取委員質疑により行ないたいと存じますので、さよう御了承を願います。     —————————————
  5. 臼井莊一

    臼井委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がございますので、順次これを許します。石野久男君。
  6. 石野久男

    石野委員 まず最初に、四十七年度決算検査報告で、動力炉・核燃料開発事業団に関しまして幾つかの意見を表示しまたは処置を要求した事項がありますが、これらの事項について科学技術庁はどのような処置をしましたか。簡単でよろしゅうございますから、幾つ案件がありますが、ひとつお聞かせください。
  7. 伊原義徳

    伊原政府委員 お答えいたします。  動力炉・核燃料開発事業団昭和四十七年度決算につきまして、会計検査院が御検討の結果、動力炉等建設事業にかかわる建築、土木工事予定単価積算につきまして、工事費見積もり計算にあたりましての積算関係資料調査検討が十分でない、こういう御趣旨の御報告がございます。その中身につきましては、九件御指摘がございます。たとえば、コンクリートコンクリートポンプ車で打設する際、コンクリート圧送管配管コンクリートのつき固めなどの労務費を見込んでいるが、これらはポンプ車使用料金に織り込まれておる、すなわち二重計算的な原価計算をやっている、こういう種類の御指摘が九件ございます。
  8. 石野久男

    石野委員 指摘のあることはわかっているから、それに対してどういう処置をしたかということを聞いている。それは報告書にちゃんと書いてあるんです。
  9. 伊原義徳

    伊原政府委員 この御注意をいただきまして、科学技術庁としては、直ちに動力炉・核燃料開発事業団に対して業務改善命令を出しております。その後動力炉・核燃料開発事業団といたしましては、御指摘のようなことが二度とないように十分、中の体制を整え、現在その改善をはかっておる次第でございます。
  10. 石野久男

    石野委員 会計検査院報告は、労務費積算する必要はないとか、あるいは工事費が二重に請求されているとかといろいろ指摘をしておるわけですが、動力炉事業団はこういう問題について、会計検査院報告のとおりそういう積算されたものをもとへ戻して、支払い額払い戻しを受けるというような処置をしたのですかどうですか、そういう点の確認はありますか。
  11. 伊原義徳

    伊原政府委員 ただいま御指摘の点につきましては、契約書条項の中にどういうふうにきまっておるかということでございますが、予定単価積算段階ミス、こういうことになりますと、これは契約書の中には直接うたわれない。単価がその予定見積もり価格の範囲内できまって、その段階におきまして両者の契約関係が成立するということでございますので、直ちにその契約条項違反という形にはならないケースが多いわけでございます。したがいまして、そういう場合には、残念ながらこの積算ミスというものによって金の払い戻しを受けるという形には契約上はならない、こういうことに承知いたしております。
  12. 石野久男

    石野委員 これは会計検査院にお聞きしますが、会計検査院は、必要がないと認められるというようなこういう意見を述べた場合、ただこれは意見の述べっぱなしでいいのか、それとも、事実上二重に計算されているとか、あるいはまた安い単価を高い単価計算しているという事実がある場合、それをどのように、皆さんの意見を述べられたように実行させる処置をとるお考えでいられ、またどういうようにやられておるか、その点について御意見を聞かしてください。
  13. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 お答えいたします。  昨年の十二月一日に出しました改善意見につきましては、これは予定単価の問題で問題にしたわけでございますが、十件ほどあげまして、予定単価積算にあたりまして、工事の手順であるとか、あるいは積算の基礎になるいろんな調査、あるいは二重積算があるとかというようなことで御指摘申し上げまして、これにつきましては、その衝に当たる方々がしっかりやっていただきたい、そういう趣旨であの改善意見を出したわけであります。しかし、一般的に処理する方法として審査制度というものが欠けておるのではないかということで、審査体制をもう少ししっかりやっていただきたいという趣旨のものでございます。  それで、いま先生の御質問の、予定単価が高い場合に返還という問題が起こるかどうかということでございますが、これにつきましては、契約の全体の問題ということになりまして、その全体の価格が高い、そういう種類の判定がつくものにつきましては返還という問題は起こりますが、契約の中の部分的な価格の問題になりますと、一がい返還ということにもなりかねない事態が多かろうと思います。私ども指摘いたしました昨年の実検の事態というものは、その部分的な種類の問題でございまして、一がい返還という問題が起こるとは限らない種類のものでございます。  以上でございます。
  14. 石野久男

    石野委員 総額の中で問題の解決をするという御所見のようですが、それでしたらこういう意見を出さなくてもいいんじゃないか。たとえば「別途にこれらの労務費積算する必要はないと認められる。」それはなぜかといえば、「上記の積算関係資料に掲載されているポンプ車使用料金にはポンプ車の運転や圧送管配管に必要な労務費が含まれているのであるから、」だから二重であるということがはっきり書いてあるわけです。二重であるということがはっきりしておったら、それは小さいものであっても、当然やはり返還させるべきであると思われます。しかもその金額は、一億二千五百九十六万円という大きいものです。せっかく会計検査院がこれだけの意見を述べていて、それが全然、ただ述べさえすればいいんだということでは会計検査院必要ないと思うのだが、何とかこのあやまちを具体的に直させるような方法会計検査院としては考えなくてはいけないのと違いますか。
  15. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 お答えいたします。  先生のおっしゃるとおりだと思いますが、もしも先生の主張を私ども業務上の取り扱いに乗せて考えてみますと、実は不当事項として扱うべきことになるわけでございますが、ただ、積算の部分的な過程におきましてその種の誤りがあった場合には、その種の誤りを部分的でも改善していただく、こういう趣旨改善事項にしたわけだという経緯がございます。返還するような事態が起こった場合には、先ほど申し上げましたように、不当事項として取り扱うのが私どもの扱いの慣例になっております。
  16. 石野久男

    石野委員 この件に関して、言うなれば、たとえば労務費が含まれている積算の中にまた別途に労務費積算するということになれば、これは不当であるというふうに認められないのだろうかどうだろうか。会計検査院はそれをどういうふうに御判定なさいますか。
  17. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 お答えします。  それ自体をとらえてみますと、これは不当といわるべき性質のものだと考えますが、契約という問題をとらえてみますと、これは部分的なものの総合計という形で取り上げる結果になりますから、総合計を見たところで、一体、全体として予定価格が常識上の価格より高かったかどうかという判断のつかない限り、総体的な判断に基づく返還という問題は起こらないのではないか、こういうふうに考えております。
  18. 石野久男

    石野委員 小さな金であるかもしれない。しかし、一億二千五百九十六万という金は非常に大きい。しかもこれは労務費ですから、当然これに間接経費として割り掛けがかかってくると思うのです。相当大きな金額になると思うのです。私は、こういうようなものを、ささいなものであるというようなことで見のがすとするならば——しかもこれはほんのわずかなところだけなんですね。そのほかに同じような類似のものがたくさんここにあるわけですから、こういうような問題点指摘した場合の会計検査院のあり方というものは、もう少しやはり厳格に指示あるいは要請をすべきではなかろうか、こういうふうに私は思います。  具体的にはどういうように実行されておるかについて、これは科学技術庁にひとつお聞きしたいのですが、科学技術庁はそれでは、これについて具体的にはただ注意をしただけなのかどうなのか。きょうは、核燃料事業団理事長を私はちょっと手違いで呼べなかったので、事業団の人は来ておりませんけれども科学技術庁としては、こういうような問題についてどういうような指導をしたのか、どういうことをさせておるのか、その点だけひとつ聞かしてください。  それから、会計検査院はこういう問題について、ただ報告のしっぱなしをするのかどうなのか、そういう点についての考え方もひとつこの際聞かしてください。
  19. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 お答えします。  報告のしっぱなしかどうかという御質問でございますが、決してそういうことはないのでありまして、改善を要求しておる事態でございますから、私ども指摘の線に沿った改善が行なわれるということを最後まで見守っています。取り扱いといたしましては、大体翌年度の検査報告にどういう処置をとったかということを報告してございます。
  20. 伊原義徳

    伊原政府委員 動力炉・核燃料開発事業団におきます直接の担当部財務部でございます。しかしながら、事業仕様につきましては、それぞれ動力炉開発関係各部あるいは計画管理部などが最初仕様書づくりを行なうという関係になっておりますので、部内におきましてそれら関係各部間の連絡を十分調整し、円滑化し、さらに財務部の中にこの最終予定単価につきましての審査体制を十分行なうための制度を設けまして、御指摘事項が今後起こらないという制度を完全に確立させるということで科学技術庁は十分指導いたしておる次第でございます。
  21. 石野久男

    石野委員 本件については、事業団の方がおいでになってないから、どういうふうに処置するかわかりませんけれども会計検査院が来年度の報告の中に、これがどういうふうになったかという報告をまたするんだ、こういうことであります。しかし、いまの会計検査院の方の御説明を聞いておりますと、おそらくその処置はできないで、総額の中であちこちやりくりしてしまって、結局これは指摘だけにとまっちゃうだろうと思うのです。明らかに四十七年度の決算の中でこれだけのものが二重に計上されているといたしますると、これは非常に大きな額になってくると思います。したがって、ここで指摘されたものが、他の款項に移しがえをしたり、あるいはまた注意をしたというだけでとまったのでは、会計検査院の仕事は何の役にも立たないと思うのです。だから、そのことについて、こういうように指摘したものをどういうふうに処置するか、その処置方法をあらためてやはり規定すべきだと思います。そういうことを規定しなければ、会計検査院は何をやっているのかちっともわかりはしない。だから、そういう点についていま何か方法を講じておるのか、それとも講じていないとするならばどういうふうにするのかということについて、考え方だけをひとつ聞かしてもらいたい。
  22. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 お答えいたします。  先生のお話のポイントは、返還とかどうとかという金額のことのように承りましたのですが、(石野委員「二重計上しているじゃないか」と呼ぶ)この種の問題になりますと契約上の解釈の問題になりまして、局部的な、部分的な問題の指摘というようなことで、過不足があったということだけでは、直ちに返還という問題が起こらない場合が多いのでございます。しかし、私ども指摘いたしました改善事項につきましては、日常業務の上でいろいろな資料の取り忘れとか、あるいは二重計上であるとか、あるいは調査の不十分であるとかいうような事態を実検し、指摘申し上げましたわけでございますが、これにつきましては、その衝に当たる担当者がしっかりやっていただくということのほかに、そういうあやまちを二度と起こさないように審査体制というものを十分整備していただきたい、こういう趣旨改善意見を出しているものでございます。ですから、金額調整という趣旨、まあ結局そういう事態が起こってはいかぬという最終のねらいはあるわけでございますが、そういう事態の起こらないように審査体制をしっかりやっていただきたいという趣旨改善事項でございます。
  23. 石野久男

    石野委員 問題をはぐらかしちゃいかぬと思うのですよ。これは部分的な問題とかなんかじゃないのです。一たん計上されても、二重計上をしているということはもう明らかに質的な問題なんでしょう。こういう質的な問題を指摘しておるのに、それに対する改善が行なわれないということであるならば、これは会計検査院報告意味は何もなくなっちゃうんじゃないかと思うのです。  そういう意味で、私はこの点は委員長、ひとつあとで本委員会でも検討してもらいたいと思います。二重記載をしているということになれば、これは明らかに質的に悪質なんですよ。その悪質なものを排除することができないようだったら、会計検査院は何の意味もないと思います。時間がありませんので、これは委員長、本委員会でもあとでまた課題として取り上げてもらいたいし、それから会計検査院でもひとつその問題についての対策を考えていただきたい、この要請をしておきます。  科学技術庁関係の問題でまだお聞きしたいことありますけれども関係する事業団の方も来ておりませんから、ほかのことでお聞きしますが、昨年の十一月に水戸石岡精工で起きた問題について水戸原子力事務所事情調査をやられた、そのことについて原子力局は、その後この被曝事実を認めた者の処置をどういうふうにされておるか、ひとつ説明してください。
  24. 牟田口道夫

    牟田口政府委員 お答えいたします。  石岡精工につきましては、御承知のように昨年の十一月十二日に火災が起こりましたときを機会にこちらが立ち入り検査を行ないましたところ、法律許可を得ずに貯蔵しているところとか、あるいは下請にRIを使用させていたということがわかりましたので、まずその事実につきましては厳重に注意をいたしますとともに、時計関係メーカーでございますので、この石岡精工だけでなくて、日本時計協会理事長に対しまして、傘下組合に今後こういうような事態が起こらないようにという注意事項を発してございます。  なお、お尋ねの健康診断の件に関しましては、まず石岡精工自体は、自分のところで法定の規定に基づいて健康診断をやっておりますが、下請事業所に対しましては、石岡精工をして原研にその被曝線量推定を依頼してそれを行なわせるように勧告いたし、下請事業所はそれを行なったと聞いております。
  25. 石野久男

    石野委員 聞いておるじゃなくて、その結果はもうわかっているんでしょうから、しかも科学技術庁はそのことについてもう発表したんでしょう。
  26. 牟田口道夫

    牟田口政府委員 結果は二月二十八日に発表いたしております。下請四社、各二名を対象といたしまして、原研体内放射能課調査をいたしました。その八名につきましては、屎尿に排せつされたプロメチウムの量からの内部被曝推定をいたしまして、全身被曝に換算して毎年七十ないし百五十ミリレムという線量推定されました。
  27. 石野久男

    石野委員 年百五十ミリレム被曝線量があるということがわかった。で、この科学技術庁のなにでは、一般人に対する被曝許容限度は五百ミリレムだからという注書きがしてありますね。この注書きは、百五十ミリレムはたいしたことはないということを証明するためだろうと思うのですが、しかし、御承知のようにアメリカ一般人に対する被曝線量を百分の一に下げており、それから科学技術庁もときには百分の一にしておるという答弁などを本委員会でもしておるわけで、いま一般人に対する百五十ミリレムというものは、これは軽微なものとは考えられないと思うのです。そういうような意味からしましても、下請工場二名ずつでこういう抽出をして検査したわけですが、これだけの被曝をしておるとするならば、ほかの下請工場の全従業員に対してやはり一度検査をする必要があるんじゃないだろうか、その点については科学技術庁はどういうふうに考えておりますか。
  28. 伊原義徳

    伊原政府委員 ただいまの先生の御指摘の点でございますが、年間五百、ミリレムと申しますのは、御承知のように国際放射線防護委員会で定めました一般人に対する許容量でございます。それに対しまして、たとえばアメリカにおきましてはアズ・ロー・アズ・レディリー・アチーバブルと申しますか、容易に達成できる限り低く押える、こういう考え方を導入いたしまして、たとえば軽水型原子力発電所周辺公衆に対してはその五百ミリレムの百分の一程度に下げるということが適当であろう、こういう行政判断のもとに発電所建設に際しての安全審査を行なっておると承知いたしております。わが国におきましても、発電所安全審査におきましては同様の考え方をとって実施いたしておるわけでございます。  ただ、今回の御指摘の件につきましては、これが法律に基づく許可をとっていない事業者であったということでございますので、未許可であるということのために、たとえば技術上の基準が十分的確に確認されていない、こういうことでございまして、またその作業条件などにつきましても国が十分指導できない、つまり許可事業者であれば十分国が指導するわけでございますが、未許可であるために国が関知していなかった、これははなはだ残念でございますが、未許可という事実がございましたために、必ずしも作業条件が的確でなかったかと考えられます。  なお、この種類下請業者についての診断をさらにやるべきではないかという御指摘でございますが、一つには、許可事業者におきましては、作業管理というものが未許可事業者に比べますとよりよく行なわれておる。それから健康診断等をいたします場合に、やはり一番被曝が多い可能性のある職場の人間を重点に置いて管理する、こういう関係になるかと思います。  今回の被曝の事故につきまして、これが未許可事業者が行なったということでありまして、国が十分関知し得なかったのははなはだ残念である、こう思っております。今後こういうことがないように、未許可使用者というものが出ないように十分注意はいたしたいと考えております。
  29. 石野久男

    石野委員 これはどんなに注意しても、すでに未許可でやっていることが事実として出ておりますから、未許可のものをこれからどういうふうに防ぐかという方法が一つありますが、その前に私が聞きたいのは、この人たちを一般人というふうに科学技術庁は見るのですか。許可をされていないからといったって、この人たちは現にアイソトープを、いわゆるプロメチウム一四七を扱っているのでしょう。これは作業者でしょう、一般人とは違うのじゃないですか。それはどういうふうな扱いをするのですか。
  30. 伊原義徳

    伊原政府委員 実態は先生指摘のように放射線作業従事者でございますけれども法律上は従事者でない。これはどういう違いかと申しますと、要するに放射線被曝が、管理された状態のもとで行なわれておるか、管理されていない状態のもとで行なわれておるかの違いになるわけでございます。したがいまして、許可事業者従業員であれば、これは管理された状態のもとに放射線被曝が行なわれ、その記録も十分とられ、必要な措置がとられるということになっております。それに対しまして、末許可でございますと不特定多数、こういう形で、実態上国がそこをとらえることができません、管理ができませんので、そこのところはやはり法律上は一般人という形の取り扱いになると考えております。
  31. 石野久男

    石野委員 次長さんに聞きますけれども法律上で許可あるいは未許可というようなことによって、被曝した放射能の線量に変わりが出てくるのですか。
  32. 伊原義徳

    伊原政府委員 被曝した線量のその特定の人に対しましての影響というものは、受けてしまったあとで考えますと、それは身体的の影響としては同様でございますが、今回の場合につきまして、先ほど申し上げましたように、管理されておるか管理されていないかというところが重点の一つでございます。  なお、受けた結果、身体的な障害があらわれるかどうかというのは、これはまた別でございまして、御承知のように七十ミリレムないし百五十、ミリレムと申しますのは、身体障害が起こるであろう値よりはきわめて低い値でございます。
  33. 石野久男

    石野委員 百五十ミリレムは身体に影響を与える量としてはきわめて低いというような認定のしかたをすることに問題がある。それよりも管理されているか管理されていないかが問題だというけれども被曝するということについては、人間が放射能を帯びるということは、管理されていようがいまいが、それはただあなた方の管理業者の問題だけなのであって、被曝を防ごうという念願からすれば問題ではなくなるのですよ。そしてまた、そういう管理が行き届いていないことをこそ改めることが必要なんだし、それから、すでにそういう被曝事実が出れば、それに対しては、管理体制のあるなしにかかわらず、それに対する対処のしかたが出てこなければいけないのではないですか。
  34. 伊原義徳

    伊原政府委員 先ほど御説明申し上げましたように、管理されておるかされておらないかという問題でございますが、この事業者が未許可事業者であったということで、十分管理がされておらなかった。したがいまして、この下請事業者につきましては直ちに使用を中止させまして、石岡精工を指導いたしまして、この下請業者は今後使用しないと、こういうことにいたしております。そういう関係でございますので、今後ともこのような未許可事業者が出てきた場合には厳重に対処すると、こういうことで考えております。
  35. 石野久男

    石野委員 ぼくの聞いていることに対して答えてくれてないわけだ。事業体が許可を得ないで事業したことに対する処罰をするということは、これはわかりますよ。しかし、現実に被曝をした人がいる場合、それについてもう少し突っ込んで追及し、その被曝事実をなるべく早く排除してしまうということをしなければいけないと思う。  なお、ここで一番問題なのは、四工場における従業員は全部で何名おりましたか。
  36. 伊原義徳

    伊原政府委員 下請工場につきましては桜精工が約百名、森田精機が約十名、チャイムスターが約五十名でございます。いま一つ春栄舎につきましては調査中でございますが、正確な数字はちょっとただいま把握されておりません。(石野委員「およそ何名ぐらい」と呼ぶ)百名弱と聞いております。
  37. 石野久男

    石野委員 約二百六十名の中から八名だけを選び出して検査をしたわけですよ。したがって、この八名の中に、こういう通常人以上の被曝の事実が出たとしたら、あとの人を調べるという観点があっていいのじゃないですか。場合によれば、この人たちよりもっと被曝線量の多い人がいるかもしれない。あるいはうんと少ない人がいるかもしれませんけれども、やはりそういう努力を科学技術庁としてはやらなければいけないし、また指導しなければいけないのと違いますか。そういう処置をとりましたか。
  38. 伊原義徳

    伊原政府委員 この下請工場の職員の健康診断につきましては、一応専門家にも十分その作業内容を検討していただきまして、その結果、どの作業が最も被曝を受けやすいか、こういう観点から、特に被曝の多いという作業の担当者調査したわけでございます。しかしながら、先生指摘のように、それ以外が絶対それをこえないということはないかもしれませんので、その点につきましては、いま一度石岡精工に対して、十分下請工場の作業内容を検討し、必要でございましたらさらに健康診断の範囲を広げる、こういう措置をとらせるように指導いたしたいと思っております。
  39. 石野久男

    石野委員 石岡精工のこの被曝事実に対する科学技術庁の指導は、非常に安易感におおわれているように思うのです。この石岡精工下請工場四工場というのは、みんなそれぞれ、非常に人口の稠密したところにございます。特に、日立とか常陸太田などというのは、ほんとうに町中なんですよ。そういう中で無許可の作業が行なわれ、しかもこういう事実が出てきたとするならば、周辺住民に対する影響というものを真剣に考えなければいけないと思うのです。  昨年、第十一回の日本アイソトープ会議でいろいろな論議をしておる。また、行管のほうから科学技術庁に対して、本年一月二十八日に勧告をしてきておりますね。その勧告の中で、いろいろこれらの問題にかかわるような問題の勧告がありますが、そういう行管の勧告事項に対しては、どういうように科学技術庁は対策を立て、処置をなさっておりますか。それを聞かしてください。
  40. 伊原義徳

    伊原政府委員 ただいま先生指摘の、行政管理庁からの放射線障害の防止に関する行政監察の結果につきましては、今後、各種の御指摘に対して遺憾なきを期するために、たとえば許可審査をさらに厳重に行なうこと、それから立ち入り検査を従来もやっておりますが、それをさらに効果的に行なうための各種の検討を部内で行ない、これを実施すること、それから報告の聴取につきましても、現在の制度のもとでさらに有効な報告聴取を行ないまして、実態の把握につとめ、違反がないように十分措置をとっておる次第でございます。
  41. 石野久男

    石野委員 いまの行管の勧告というのは多岐にわたっておると思うのです。そして行管は調査の対象を二百六十七カ所について行なって、その対象になった大学あるいは大学病院だとか研究所だとか民間事業体は、その八二%というのが、使用方法あるいはまた健康管理、施設面でのずさんさを指摘されております。あるいはまた、その中では、専門知識を持たない職員が非常に多いのだという指摘もある。あるいはまた、監視体制が全くルーズで、なってはいないという指摘もしているはずです。こういう問題について、特にアイソトープの使用制限の改善をしないということになりますと、大体アイソトープ自体はほとんど都市に集中して使用されていると思いますので、それだけに、住民に対するアイソトープの公害が一そう強く出てくるだろうということを私たちは心配する。そういう意味からして、科学技術庁はこの勧告に対し、たとえば立ち入り検査の徹底の問題についてはどういうような処置をするつもりでおるのか、まずその点をひとつ聞かせてください。
  42. 伊原義徳

    伊原政府委員 この行管の勧告につきましては、御指摘の件数は非常に多いわけでございますが、その中に、非常に重大な誤りと申しますか、それと、やや軽微なもの、こう分かれております。私は、軽微なものはいいのだと申し上げるわけではございませんが、件数のかなりの部分はやや軽微なものであるので、それはそれなりに十分の対策を今後とってまいることに考えておりますが、特に先生指摘の立ち入り検査、これをいかに効果的に実施するかということにつきましては、もちろん職員数は限られておりますけれども、十分その職員を動員いたしまして、過去の実績を十分調査の上、過去において問題があった事業所をまず優先いたしまして、その事業所に対して立ち入り調査をする、そういう対策を現在講じておる次第でございます。
  43. 石野久男

    石野委員 そのような処置をするために、いま科学技術庁はいわゆる放射線検査官というようなものを何名確保しておるのですか。
  44. 伊原義徳

    伊原政府委員 現在十八名でございます。
  45. 石野久男

    石野委員 いまアイソトープを使用している工場なりあるいは大学なりそういう事業所というのは、全体で何カ所ございますか。
  46. 伊原義徳

    伊原政府委員 放射性同位原素の使用許可を得ておる事業所が二千八百数十、それから販売の業、これが百数十でございまして、合わせて約三千事業所がございます。
  47. 石野久男

    石野委員 約三千、放射性同位原素を扱っているところがありますが、科学技術庁は、そのうちどの程度のものに管理監督の責任を持っておりますか。
  48. 伊原義徳

    伊原政府委員 放射線障害防止法に基づきまして、これら事業所のすべてに対して管理監督の責任を持っております。
  49. 石野久男

    石野委員 十八名のこの検査官で、これだけの管理監督というものが十分できるという確信をお持ちでございますか。
  50. 伊原義徳

    伊原政府委員 人員の問題につきましては、確かに先生指摘のように、それで十分かということになりますと、できればいま少しということは、いかなる業務におきましてもこれはあるわけでございますが、しかし、私どもといたしましては、現在置かれました条件のもとで最善を尽くす、そのために業務の効率化をはかる、適正化をはかるということで最善を尽くし、さらに業務改善をはかってまいる所存でございます。
  51. 石野久男

    石野委員 いまもお聞きのように、放射性同位元素を扱っているところは全国で三千カ所あり、それについて十八名でいま管理監督をしている。そしてしかも、事業所のほかに、無許可で作業しているような場所がたくさんあるわけです。たとえば石岡精工一カ所は許可をされておりますけれども下請工場がそれに四カ所くっついて、四倍の作業場が出てきているわけです。別に算術平均するわけじゃありませんが、こういうような比率でいきますと、扱い場所というのは三千カ所が一万二千カ所ぐらいになっちゃうだろう。これではとてもじゃない、管理監督ということはできようはずはない。この放射線検査官というようなもの、これは急速に増員しなければまずいのとは違いますか。大臣、それに対してどういうようにお考えになっておられるか。また、どういうように処置なさるつもりですか。
  52. 森山欽司

    ○森山国務大臣 ただいまお話しのように、もう少ししっかり監督ができるような体制をつくる必要があるということについては、同感でございますから、これの効率的な運営について十分今後検討してまいりたいと思っております。
  53. 石野久男

    石野委員 効率的な運営について十分検討するということではちょっとわからないです。ことに伊原原子力局次長は、まあ多いほうがいいんだけれども、これでやっていくんだというような意味のことを言っておられる。しかも現実には石岡精工のように、もう目の届かないところはたくさんあるわけですよ。アイソトープの使用というのは、これからますます私は多くなるだろうと思うのですよ。このアイソトープ使用の個所というのは、私は大体、ほとんど都市に集中する形で使用されているように見受けておりますが、現在三千カ所の使用が、都市とか農村とか地域別にしまして、およそどういうような形態に分布、使用されておるか、そういう統計がありましたら、簡単でいいですから……。
  54. 森山欽司

    ○森山国務大臣 科学技術庁の人をふやすということも一つの考え方でありましょうが、全国的に分散配置されて数多くあるわけでございますから、この監督の仕事を地方に委譲するというのも一つの方法だとも考えております。
  55. 石野久男

    石野委員 全国的にということになれば、私は、それならむしろ、いろいろこの関係者の中に意見があるとも言われておるし、またわれわれもそう考えなければいかぬと思いますが、現在の法律でいろいろ権限を科学技術庁が持っておりますけれども科学技術庁とかあるいは労働省とか通産省とかと、いろいろ持っておるけれども、そういうものをむしろ都道府県知事に権限委譲する。そこで、具体的にこまかく権限委譲するような形の法改正というようなものをむしろやらないと、とてもこれは手が届かないんじゃないだろうかというような感じさえするのですが、科学技術庁には、そういうことについて何か考え方がございますか。
  56. 森山欽司

    ○森山国務大臣 そこで、先ほど申し上げましたように、地方委譲という方向で効率的な運営を考えていきたい、こういうことであります。
  57. 石野久男

    石野委員 しかし、地方委譲ということになりますと、そのかわり今度は管理監督の基準になるものがしっかりしなくちゃだめなんですね。これをむやみにやっていきますと、今度そこでまたいろいろな事故が起きてくる。その場合に、地方自治体なり何なりそういうような各種団体との関係で、それをどういうふうな扱いをしていくかという問題が一つ出てくると思いますが、そういう点については政府はどういうふうに考えておりますか。
  58. 伊原義徳

    伊原政府委員 ただいま先生指摘の点につきましては、非常に重要なポイントでございますが、いままで放射性同位元素の使用許可に関する、あるいはその一般的な監督に対する業務が十五年以上にわたって行なわれておりまして、その間に業務の十分な標準化が行なわれておるわけでございます。またさらに、地方委譲に際しましては地方自治体の職員に対して十分な研修を、たとえば中央において十分な研修を行なうというふうなことも当然必要でございまして、こういうことも含めまして十分な制度自身の標準化と、その職員の養成訓練と申しますか研修と申しますか、そういうことを十分つとめてまいることによりまして遺漏なきを期したいと考えております。  なお、先ほどの説明でちょっと落としましたが、三千事業所でアイソトープ、放射性同位元素が使われておりますが、そのうち約七割はいわゆる密封線源ということでございまして、それの取り扱いによって直ちにその取り扱い者が汚染を受けるということのない線源でございます。もちろん密封線源でございましても、扱いについては慎重を要しますので、そのための取り扱い主任者というものがおりまして扱っておるわけでございますが、七割は比較的管理のしやすい線源になっておるということを追加させていただきます。
  59. 石野久男

    石野委員 そういう釈明みたいなことは、いまあまり必要ないんですよ。それよりもむしろ、どういうふうに管理監督しているかということをはっきりしてもらいたいのです。幾ら密閉線源であっても、それはむやみやたらにさらにほっておけば必ず事故が起きてくるのですから、大事なのは、密閉であろうと開放であろうと、それに対してどういうふうに管理監督が行き届いておるかということが大事なんで、そういう弁解じみたことは、もう時間がないんですから言わないでください。  で、いま職員の訓練をしなければいかぬということを言われておりますが、職員を訓練するということは非常に大事なことです。その訓練について、たとえば学術会議はこれらのことについて、ブロック別でアイソトープセンターのようなものを新設して、そこでそういう訓練なり実地訓練をすべきだというような、いわゆる科学技術庁に対する勧告をしておりますね。すでに学術会議などではそういうことを前々から言っておるのですから、これらのものを具体的に早急に実現化させることが大事だろうと思うのですよ。法の改正だけでなく、やはり行政指導の上でそれらのことを当面何かやられなければならぬし、やるべきだと思いますが、それに対する科学技術庁考え方なり方針がございますかどうか、お聞かせください。
  60. 伊原義徳

    伊原政府委員 学術会議の勧告につきましては、その辺検討させていただきますが、なお、御承知のように放射性同位元素協会、これが放射性同位元素の使用につきましてのいろいろなPRと申しますかそういう関係、あるいは地方における講習その他をいろいろやっております。したがいまして、そういう既存の活動状況とも組み合わせて十分検討したいと考えております。
  61. 石野久男

    石野委員 放射性同位元素協会がそれらの職員の訓練等について当たるということもけっこうでございますが、先ほど御意見のあったように、法の改正の問題にもからみ行政指導を適切にやるということと、それから学術会議などが勧告している問題は、私は非常に適切な勧告だと思うのです。そういう問題はやはり真剣に科学技術庁自身取り上げてもらうべきことだろうと思います。特にアイソトープについて、それを非常に安易に取り扱う傾向がある。これは非常に危険なものだという考え方が薄いのですね。これをやはりもう少ししっかりしませんと、先ほども言いましたように、おそらくアイソトープを取り扱っている事業所なり扱い場所というのはほとんど都市集中ですし、人口の稠密化しているところなんで、そこで安易な取り扱い方をされたら、この危険は、ただ取り扱いをしている方々だけでなくて、周辺地に及ぶということを非常におそれる。それは行管が指摘しておりますように、たとえば徳島の診療所などでは、コバルト六〇が遮蔽不備のために、その建物の屋上に一時間当たり百ミリレムも放射能の何が出ているのでしょう。そういうことがすでに行管の中で指摘されているのですから、放射線の危険に対するPRをするについても、簡単に安易感をもってしてはいけないと思うのです。そういう意味では、たとえばアイソトープ会議の中なんかでも出、また各大学の先生方もいろいろと意見を述べておりますが、大学におけるところのアイソトープの実習教育というものを積極的にやる必要があるだろうと私は思うのです。こういう点については、これは大臣からひとつ——きょうは私は、時間の関係で文部大臣を呼ばなかったのですが、これはひとつ大臣から要請すべきだろうと思います。特に大学においては、この問題意識の中にやはりいろいろな高い低いの差があって、なかなか統一した管理体制を築けないということを、これに関係している先生方は意見を述べておられます。それらのことを含めて、大学におけるところのアイソトープ教育の完全実施ということを積極的にやりませんと、これの具体的な成果があがってこないんじゃないか、こう思います。きょうは文部大臣おりませんけれども、森山長官からひとつこういう点について、やはり文部大臣に対してもその要請をしてもらわなければ困ると思いますが、長官はそういう点についてどういうようにお考えですか。
  62. 森山欽司

    ○森山国務大臣 アイソトープ等の放射性同位元素の取り扱いを慎重にしなければいかぬということは、全く同感でございます。これは大学だけに限ったことではないとは思いますが、特に大学においてはこれを取り扱う機会が多いわけでございますから、ただいまの御趣旨は文部大臣とも相談いたし、またその他関係方面とよく相談いたしまして、遺憾のない体制を確立するように努力をいたしたいと思います。
  63. 石野久男

    石野委員 あまり時間がございませんので、もっといろいろ聞きたいことがございますが、とにかくこのアイソトープの扱いの問題について、現在はっきりしていることは無届け使用が多いということです。それから未承認の使用が、特にこれは大学あたりでも出ているわけです。それから所定の使用量を越えた使用、たとえば奈良の女子大学ほかでこれがたくさん出ていますね。障害予防規定の違反のものが非常に多いのです。だから、そういう点からしましても、この被曝測定をしない、管理不十分だという点に、科学技術庁はやはり思いをいたさなくちゃいけないと思うのですよ。そういう結果として、やはり被曝した人に対する健康診断というようなものをおろそかにするという傾向が出てきておりますけれども、私は、石岡の問題などは、この八名だけじゃなしに、ぜひひとつほかの方々も全部健康診断をするようにしてもらいたい、これは大臣からも特にその指示をするようにひとつ願っておきたい。一応それについての科学技術庁考え方だけ聞かしてもらいます。特にこの被曝している人は女子が非常に多いのですから、この健康診断はぜひひとつ、ほとんどの者に対してやってもらいたい。
  64. 森山欽司

    ○森山国務大臣 石岡精工の事故につきましては、その被曝者について調査をしたところ、先ほど御報告のとおり七十ないし百五十ミリレムということでございました。七十ないし百五十ミリレムということの評価はいろいろございますけれども、放射線によって通常皮膚炎を起こす線量は五百レム程度とか、あるいは一過性の身体障害が二十五レムとか、職業人の許容量が年間五レム、五千ミリレム一般人許容量が年間〇・五レム、五百ミリレム、こういうもの以下であったということは幸いであったということでございまして、身体障害を与える程度に至っていなくてよかったな、そういうふうに私自身は感じたわけでございます。しかし、こういう問題について、被曝限度というのはできるだけ低ければ低いほどいいという考え方が趨勢であることは私もよくわかりますが、この事故によって受けたのが七十ないし百五十ミリレムということで、まあまあよかったというような感じを、私は率直に受けたわけであります。しかし、これが放射線を受けた人たちはほんとうに健康上どういうことになっているかということについては、注意をしてみる必要はあろうかとも思います。必要があれば、いまのような点についてもう一回石岡精工のほうに、どうなっているかということを調査するようにいたしたい、それによりまして措置をいたしたいと思っております。
  65. 石野久男

    石野委員 先ほど伊原次長の答弁の中にあったことだし、またいまも大臣がそう言っておりますが、たとえばこの下請工場被曝した女の作業員、これは一般人という観念でなくて、やはり作業員という形でとらえなくちゃいけないのですよ。それを一般人というような考え方でとらえるからますます安易になってしまうのだ。現に仕事をしている者を一般人の基準で判定なんかしたらたいへんなことになってしまうのじゃないですか。大体その考え方自体を改めなくちゃいけませんよ。一般の人に五百ミリレムであった場合、作業に携わる者は五ミリレムとか、あるいは五十ミリレムとか十分の一とか百分の一とか——一般には、アメリカあたりではやはりそれを百分の一まで押えているのでしょう。ゴフマン氏やタンプリン氏の勧告によるいわゆる被曝線量がどんなにガンに影響するかというぐらいのことは、皆さんわかっているはずですよ。実を言うと、われわれはやはり、五百ミリレムでいいなんて考え方も持ってはいけないのですよ。ましてや、こういうように作業している者に百五十ミリレムまで出ているのに、それが一般人に対しては五百ミリでいいのですからなんというようなその考え方自体を改めなければ、放射線に対する一般の危惧、不安感というものを排除することはできませんよ。私はやはり、この考え方は、大臣もそうですが、いわゆる当面の原子力局の役人をやっている者は改むべきだと思うのであります。これは大臣、その点はひとつしっかりと考えてくださいよ。
  66. 森山欽司

    ○森山国務大臣 私は報告を受けまして、七十ないし百五十ミリレムであった、だから、一般人許容量が五百ミリレムで、それ以下でよかったな、こう思った、こういうわけです。というのは、そういう許容量以上の放射能を受けるといろいろ問題が、障害が起こり得る可能性があるわけでありますが、それが全くないというような状況でよかったなという感じがしたということであります。しかし、先ほど来伊原次長も言っておりますように、できるだけ低ければ低いほうがいいわけでありますから、そして実際問題としていろいろ御心配の動きを先ほど来承っておりますから、それはその後どうなっているかということをこちらのほうで調べて、必要があればもう一回健康診断をやるかどうかというふうにしましょう、こういうふうに申し上げておるわけでありますから、私の言うこともそうおかしくはないと思いますのですが……。
  67. 石野久男

    石野委員 それじゃ大臣、先ほど大臣がお読みになった、職業人の被曝線量は幾らになっておりますか、一ぺんちょっと見てくださいよ。
  68. 森山欽司

    ○森山国務大臣 私のところでは、職業人の場合は、被曝許容量は限度が高くて、年間五レム、五千ミリレム一般人許容量が年間〇・五レム、五百ミリレム、こういうふうに聞いております。ですから、もしこれがそういうところで事実上職業的に——届け出はしてなかったということは別にしまして、職業的に届け出たといたしますと、許容量は職業人のほうが高いのじゃないですか。だから私は、事実上これは仕事としておりながら、無届けでやっていたというところに問題がある。しかし、それによって、全身被曝に換算して七十ないし百五十ミリレム年間というようなそういう程度の放射能であれば、まあまあ心配ない、よかったなと思うのが私は常識だと思うのです。しかし、こういうものは慎重に取り扱えよ、それからできるだけ限度は低いほうがいいではないかとおっしゃる御趣旨には、私は異存ございませんから、それはできるだけ限度以下で、低ければ低いほどいいというふうに、それは私も考えます。そして、もしそういうふうに、職業人、一般人許容量よりはるかに下ではあるけれども、心配があるかもしれぬぞと、こうおっしゃるわけでございますから、それは具体的な場合に、そういう点につきましてはひとつ一回会社のほうに当たって調べてみましょう、必要があればまた健康診断も考えましょう、こういうふうに御返事を申し上げておるので、そんなにおかしくないと思っているのですがね。
  69. 石野久男

    石野委員 時間がありませんから、あとの点を聞きますが、分析研の問題に関連して、その後、理研とかあるいは放医研とかあるいは原研に作業依頼をしておりますが、それはその後どういうふうに進展しておりますか、事情をひとつ聞かしてください。
  70. 牟田口道夫

    牟田口政府委員 理研につきましては、原子力軍艦の寄港に伴う定期調査の機器分析と、それから放射性降下物の化学分析を三月一日に委託契約をいたしまして、目下分析が進んでおります。もう一方、放医研につきましては、原子力軍艦の寄港に伴う定期調査の化学分析と、それから出港後の分析を依頼しておりまして、着々準備が進んでおりまして、近々実際上の着手に入ると聞いております。
  71. 石野久男

    石野委員 そうするといままでのところ、分析を依頼したものは、予定どおりは必ずしも進んでいないわけですね。
  72. 牟田口道夫

    牟田口政府委員 三月初めに予想いたしました状況のときから比べますると、理研も放医研も、いずれも、要するに前の分析研の例もあり、やる以上はしっかり間違えないように厳格にやりたいということと、それ自体をいままでやっておらなかった——技術、分析能力としてはありまするけれども本件自体をやっておらなかったという関係もありまして、慎重に準備を進めておりました関係上、当初の予定よりはまだ若干おくれぎみのところもございます。
  73. 石野久男

    石野委員 国が新しい分析研のようなものを考えるということをすでに意思表示をしておりますが、その新しい分析機関というものをつくることと、それからいま各方面に依頼していることとの期間的な関係ですね、スケジュール、それを実現するスケジュールの問題、そして、それと同時に現実に分析の作業がいつごろから実際に仕事に入れる見通しなのか、そういう点についてのおおよその見通しをこの際ひとつ述べてください。
  74. 牟田口道夫

    牟田口政府委員 分析研にかわると申しますか、新しい分析機関につきましては、目下学識経験者等の意見を参考といたしまして、その関係者によって準備を進めておるところでございますけれども、これもまた、分析研の経験にかんがみまして、分析研の轍を踏まないようにするということでは、急ぐ中にも慎重にいたしておりまするけれども、第一・四半期に入ってからできるだけ早い機会ということで、現実問題としては六月か七月ごろには実際に発足及び分析に着手するということにいたしたいというぐあいに関係者が準備を進めております。放医研と理研に頼んでおりまするものは、したがいましてそれまでの期間、つまりおよそ第一・四半期はこの両機関に頼みたい、こういうぐあいに考えております。その後のことにつきましては、分析センターができたときの諸般の情勢を考えて対処いたしたいと考えております。
  75. 石野久男

    石野委員 理研でも、あるいは放医研でもそうですが、現場では態勢が十分整っていないこともこれあり、また作業人員の仕事量のことなんかもあって、必ずしも科技庁が考えているように仕事は進み得られないだろうというふうに思いますが、それに対して科学技術庁は、やはり予定どおり仕事はどんどん進んでいけるというふうに考えておりますか。
  76. 牟田口道夫

    牟田口政府委員 先ほど申し上げましたように、この両機関は、非常に技術能力としては十分であると考えます。ただ、分析ということに非常に慎重に準備を進めておりました関係上、着手には慎重さがあったと思いまするけれども、この種の分析業務というものは、スタートいたしますとわりあいに早くいくそうでございまして、その点では、いま申し上げましたように技術者及び分析能力としては十分と考えますので、着手いたしましたあとは、いままでどおりの日数から単に予測するということでなくて、もっとスピードがかかっていくというのが分析業務の通常であるそうであります。
  77. 石野久男

    石野委員 作業が始まれば順調に進んでいくというのは、それは一定量までは順調に進むだろうと思うけれども、その設備や人員の限度をこえては進まないわけですよね。問題は、そういう態勢にまで入ればそれなりの順調な進展は行なわれるでしょうが、そこへいくまでの間に放医研なりあるいは理研の作業当事者と、それから依頼する科学技術庁との間でのいろいろな話し合い、合意がなければ、これはなかなかまたうまくいかないだろうと思うのですよね。私は、非常に無理な要請をして、そこでまた捏造事件が出てくるようなことをさしてはいけないと思いますから、したがって、やはりその間、科学技術庁は、理研だとか放医研などが仕事を始めるまでの間には、それぞれの当事者あるいは作業者との間に綿密な話し合いをし、合意に達するような努力を具体的になさった上で仕事に入る用意があるのかどうか、その点の心がまえをひとつ聞かしてください。
  78. 牟田口道夫

    牟田口政府委員 放医研と理研につきましては、先生指摘のとおり、また無理な仕事を頼んで分析研の二の舞いというわけには絶対まいりませんので、理研、放医研の責任者とはたびたび、技術的にもあるいはその他の点でも十分お打ち合わせの上進めておりまして、先ほど申し上げましたように、そのうち理研につきましては、わりあいに早くからお話し合いをしておった関係もございまして、だいぶ進んでおります。放医研のほうは、いま言ったように、単に分析をどんどんやればいいんだというわけではなくて、慎重に体制を整え、準備を進めているというのが現状でございます。しかし、これも近々、実際に着手できるというぐあいに聞いております。
  79. 石野久男

    石野委員 そうすると、科学技術庁としては、また分析研のような、無理な仕事の頼み方をしたための握造事件のような不祥事を起こしてはいけないから、慎重にこれらの当事者との間で話し合いをするというかまえをとっていかれる、こういうふうに理解してもよろしゅうございますね。
  80. 牟田口道夫

    牟田口政府委員 実際に仕事をこちらから頼むわけすから、それにつきましては、できないことを無理にしいるということはもちろんできませんし、そういうことでは、いま再三申し上げておりますように、諸般の事情を勘案して、実行可能なように、しかも、これはいつか先生に申し上げましたけれども、国民の健康の保たれていることを早く確認したいということでございますから、急いでやりたいと考えております。
  81. 石野久男

    石野委員 国が所定の分析作業を行なう段階までの間、放医研とか理研とか、あるいは原研その他にいろいろな頼み方をするにあたっても、どんなことがあっても無理な頼み方をしないようにということだけをお願いしておきたいと思うのです。  科学技術庁は放射能分析評価委員会の設置をなさって、すでに会合が持たれたというふうに伝え聞いておりますが、この委員会の設置なりその後の運営の問題について、ひとつ簡単な説明をしてもらいたい。
  82. 牟田口道夫

    牟田口政府委員 放射能分析評価委員会なるものは、科学技術庁におきまして、科学技術庁が委託により行なう放射能分析に関する事項のうち、資料のサンプリング方法の指定とか、あるいは資料の分析方法の指定とか、あるいは分析結果の評価というようなことを評価、審議してもらうために、科学技術庁長官が委嘱する委員と専門委員によって構成するという性格のものでございます。  第一回会合は三月二十九日に開きました。その際は、先ほど御説明申し上げました理研、放医研、それに原研の実際の分析のマニュアルを説明いたしてもらいまして、それについて、まあこういう方法であればいいだろう、そういうようなことを評価、審議するということにいたしております。
  83. 石野久男

    石野委員 もう時間がございませんので、私はこのことについては、あとでまた別な機会にお聞きしたいと思うのです。  最後に一つだけ、ちょっとお聞きしておきますが、去る十八日に、大洗の材料試験炉に事故がございましたが、この事故について、その後どういうふうに処置をなさっておられるかということの報告だけをひとつしていただきたい。
  84. 伊原義徳

    伊原政府委員 先生指摘の事故につきましては、制御棒の引き抜きにつきまして回路に故障があって、そのためにその回路の故障の修理をいたしております。その修理の結果、原状に復したと記憶しておりますが、詳細につきましては、後ほど先生に御報告申し上げたいと思います。
  85. 石野久男

    石野委員 では、これで終わりますが、いまの事故は、少なくとも制御棒が七本全部落下して炉が自動的にとまるというようなところまでいっている事故ですし、炉内の熱量も相当高まっているというような、炉にとっては非常に重大な事故だったのです。したがって、こういう問題についての対策は、これは原研の問題ですからまたあとで聞きますが、いずれにしましても放射能の問題は、アイソトープとか、それだけに限らず、放射能全体についての危機感というものをもっとしっかり持たないと、一たび事故が起きたときにはたいへんなことになると思うのです。  大臣は、先般、参議院の予算委員会で、放射能の危機感を持つことについて別な意味の御発言をなさったやに聞いておりますが、そういう考え方ではまずかろうと思いますから、ぜひひとつ、この科学技術関係でばく大な国の予算も使い、しかもその結果として国民に対して放射能の危機が知らない間にだんだん広がっていくということのないようにしてもらいたい。大臣の所見をお聞きしておいて、私の質問を終わります。
  86. 森山欽司

    ○森山国務大臣 私は、いまお話しのような、安易にものを考えているということはありません。  しかし、原子力というものは、軍事利用から出発をして平和利用に移り、平和利用で、特に原子力発電所等で実用段階に入って、まだ二十年足らずであります。歴史がまあ短いわけであります。それだけ新しい産業であり技術でありますから、技術的なアセスメントというものに特に留意してやっていかなければならない産業であり技術であるということは当然である。しかしながら、だからといって直ちにあぶない、あぶないというべきものでもないのだということを私は言っておるのであります。もしほんとうにそういうふうにあぶないものであるならば、それは、たとえば、この間私はワシントンのエネルギー会議に行ってまいりましたが、ちょうどそのときにレイ原子力委員長に会いましたが、レイ委員長が言うのには、現にアメリカで動いておる原子力発電所は四十三基、二千五百万キロワットに達しておる、五十三基が現在建設中であるということであり、同じような傾向はヨーロッパにも見られるわけでございまして、特に石油危機以来、原子力発電等はクローズアップしてきておるわけでございます。であるから、私は、新しい技術であり産業であり、また新しい技術、産業の発展段階として技術的なアセスメントというものに特に気をつけてやっていく、念には念を入れてやっていかなければならない産業である、そのことについての認識は、石野委員にいささかも劣るものではない。しかし、だからといって何でもかんでもあぶない、あぶないという考え方は必ずしもとるべきではない、こう私は言っているのであって、決して安易に考えておるわけではありません。ものの考え方としてはどうかひとつ御理解を願いたい。安易に考えておるのではなくして、正姿勢をもってこれに対応しているということであります。  国会でいろいろ議論が出ますが、そういう新しい産業なり技術というものが進展をしていく上において、特に国家的な仕事として進んでいくわけでございますから、いろいろなことは当然通らなければならない関門である。進歩なり前進のために必要なるいろいろな御意見ということでわれわれはありがたくお受けしてこれらの事態に対処していることは、石野委員承知のとおりであります。どうかひとつ御理解願いますようによろしくお願いします。
  87. 臼井莊一

    臼井委員長 次は、庄司幸助君。
  88. 庄司幸助

    ○庄司委員 最初農林省にお伺いしますが、沖繩のかんきつ類に発生するウリミバエ、この防疫体制あるいは絶滅の体制についてどのような対策をとっておられるのか。それからその対策の進行状況ですね、研究の成果とかそういうものがどういうふうになっておりますか、簡単にひとつお答え願いたいと思います。
  89. 福田秀夫

    ○福田説明員 ウリミバエに関する御質問かと拝聴いたしましたが、ウリミバエはかんきつ類は全然おかしませんので、かんきつ類をおかすというほうかウリミバエかということで、ちょっといま、どちらをお答えしようかと思って迷ったところでございますが、これはウリミバエでございますね。(庄司委員「ええ、ウリミバエです」と呼ぶ)ウリミバエはウリ類その他の野菜、豆等をおかしますが、この害虫の被害がきわめて大きいということにかんがみまして、沖繩県復帰以来、農林省といたしましては、沖繩県に対する補助事業としましてこのウリミバエの防除をやっておるわけでございます。  もう少し詳しく申しますと、ウリミバエは、沖繩復帰当時は、わが国では沖繩県の宮古、八重山群島とそれから久米島、これにしかいないというふうに認識されておりました。そこで、ただ防除するだけではなくて、未発生地域、発生してない地域への蔓延を防ぐという意味から、久米島につきましては撲滅を目標とした防除事業を行なっているわけでございます。で、宮古、八重山につきましては、被害を軽減するための一般的な抑圧防除を行なっている。どちらも沖繩県に対する補助事業として、補助金を交付いたしまして防除を実施いたしております。  で、久米島におきます撲滅を目標といたしました補助事業につきましては、四十七年に沖繩が返りましたときからそれを計画いたしまして、各方面の専門家の御意見あるいは外国の文献等を参考にいたしまして、七カ年計画で久米島の撲滅防除をやってみようということで今日までまいっております。そうして撲滅防除の方法といたしましては、まず久米島におけるウリミバエの密度を低下しておきまして、そこへ不妊にしました雄を放って、それによって雌の、正常な雄と不妊な雄との奪い合いといいますか、そういうことからこの虫の密度を次第に下げて、撲滅に持っていってしまおうというようなことを考えたわけでございます。これはアメリカ合衆国の例がございますので、それをまねするといいますか、それで行なおうとしたわけでございます。  最初の四十七年は、まず不妊雄を大量増殖しなければなりません。ウリミバエを人工的に大量にふやしまして、それを不妊化しなければなりません。それに必要な施設等の補助が主になっていたわけでございます。で、四十七年は、そういった大量増殖及び不妊化施設の補助、それと密度を下げるための防除事業というふうなことで、施設以外は十分の十、施設は十分の九という補助率でもって補助いたしております。  それから宮古、八重山地方につきましては、先ほど申しましたような抑圧防除の事業として補助をいたしておりました。  四十八年度は、増殖施設や不妊化施設が完成してまいりましたので、そういった施設の試運転というようなことを主目的とした補助をいたしております。  それで今年度、これからまいります四十九年度につきましては、いよいよその施設を使いまして大量増殖し不妊化した雄を久米島に放すということ、あるいは宮古、八重山の抑圧防除、それから実は沖繩本島にもこの虫が侵入していることがわかりましたので、沖繩本島における抑圧防除、こういったことを中心にいたしましていま補助金を考えているところでございます。
  90. 庄司幸助

    ○庄司委員 私、先ほどウリミバエと申し上、げましたが、確かにおっしゃるとおりこれはウリのたぐいですね。そのほかかんきつ類関係においてもミバエ類が、いろいろ国際的にも非常に大きな問題になっている。  それで実は、こういったミバエのたぐいの研究をやっている伊藤さんという、沖繩の試験場の研究員の方の投書といいますか投稿といいますか、これが三月十四日の新聞に載ったわけです。題は「国際研究阻む国内の“壁”」「目立つ国立機関優先」というタイトルがついております。で、自治体研究者への差別を廃止してもらいたい、こういった主題で投稿が載っているわけです。  この投稿の趣旨でございますけれども、これは六点ほどになると思うのです。農学関係についていうと、自治体の研究機関やスタッフが相当多い、こういうスタッフによってたいへん重要な成果をあげているという実例も出されております。ところが、これに対する予算が国の研究機関に比べてけた違いに少ないという苦衷が訴えられております。  そういう中で農林省や科学技術庁は、こういった研究機関のメンバーが海外出張なんかしたいと思っている場合でも、国家公務員以外の旅費は認めていない、こういうふうに述べております。  三番目として、どうも科学技術庁や農林省には、国立機関だけが日本を代表するという空気が感じられる。その実例として、国際原子力機関からミバエのたぐいについてのシンポジウムの募集があったはずなんだが、沖繩県の農業試験場にはこういう公募が何も知らされていなかった、こういうことを述べております。これについてはさらに、一九六五年に同じようなシンポジウムが持たれた際、東南アジアの低開発国からは出席したのだが、日本からだけは出席しなかった。これは、いわゆる経済大国といわれている日本——低開発国が出席しているにもかかわらず日本だけが出席しない。しかも沖繩県でのこの研究は、世界的にも相当注目されている研究なんですね。それにもかかわらず日本から出席がされていない。これは日本の恥じゃないか。それからまた、日本の農業技術にとっても、世界的な最新情報が入手できないという羽目になる。そういう点で、沖繩県だからといって甘えるわけじゃないのだが、ひとつ国と自治体の研究者が平等にこういうことに出席できるように、平等な審査をしてもらいたいという最後の要望が、この投稿の内容なんです。その点で、いろいろないきさつがあったんだと思うのですが、これは科学技術庁の事務当局でけっこうですから、こういった投稿があったことについて、この投稿についてどのように考えておられるのか、この辺ひとつお伺いしたいと思うのです。
  91. 牟田口道夫

    牟田口政府委員 科学技術庁が現在海外に出張させる者は、研究所を含めまして科学技術関係者、国家公務員を対象といたしております。したがいまして、今回のこの沖繩の方のIAEAの御出張については、当方からごめんどうを見ることができなかったのは遺憾であると考えております。
  92. 庄司幸助

    ○庄司委員 そうしますと、国際原子力機関IAEAから科学技術庁にシンポジウム参加の最初の案内があったのは、いつごろだったでしょうか。
  93. 牟田口道夫

    牟田口政府委員 IAEAから案内がございましたのは、四十八年五月二十四日でございます。
  94. 庄司幸助

    ○庄司委員 それで科学技術庁としては、この案内について関係省庁に連絡なすったのかどうか、特に農林省に。その点簡単に……。
  95. 牟田口道夫

    牟田口政府委員 この通知に基づきまして、月十八日に原子力局長名の文書をもちまして農林省農林水産技術会議、学術会議、原子力学会、文部省等関係方面に連絡いたしております。  なお、この件に限らず、この種のものについてはそういう連絡をいたしておりますほか、先ほど申し上げました旅費の点についてはごめんどう見かねますことは遺憾でございますけれども、その他いろんな連絡等はあらゆる便宜をはかるようつとめておるわけでございます。
  96. 庄司幸助

    ○庄司委員 それでは農林省に伺いますが、農林省も、こういう科学技術庁からの連絡を受けて、各県の地方機関の試験場には連絡なすったのですか。
  97. 鈴木章生

    ○鈴木説明員 ただいまの御質問にお答え申し上げますと、各国立の試験研究機関等には連絡をいたしておりますが、都道府県等の地方自治体の研究機関には直接連絡はしておりません。  研究者の海外の国際会議への派遣というものにつきましては、科学技術庁におきますところの国際研究集会出席旅費ということによって行なっておりますが、この旅費につきましては、地方自治体の研究者の国際会議出席というものを補助対象といたしておりません。したがいまして、県には、直接私どものほうでは連絡はいたしておりません。
  98. 庄司幸助

    ○庄司委員 それではっきりしたわけですが、そうしますと、科学技術庁のほうにお伺いしますか、四十八年十二月二十八日付で国際原子力機関から、沖繩農業試験場の伊藤さんの出席要請する手紙が来ておりますね。その内容をちょっと知らしてもらいたいのです。
  99. 牟田口道夫

    牟田口政府委員 十二月二十八日付、IAEAから参りました書簡によりますと、一九七四年七月二十二日から二十六日の間、シンポジウムを開きます、それで日本の科学者で伊藤さんがこのシンポジウムで役割りを果たし論文を提出するよう適当なアレンジをすることを考慮されたい、こういう趣旨のものでございます。
  100. 庄司幸助

    ○庄司委員 その手紙は、「我々は、日本の一人の優秀な科学者がこのシンポジウムに出席して報告するために適切な配置がおこなわれるよう日本政府の御配慮を要請いたします。この人は、沖繩農業試験場の伊藤嘉昭博士です。」こうなっていますね。そのあとに続けて「伊藤博士は、日本の南方諸島の果物バエの研究をしてこられました。」フルーツフライですが、「この研究は昆虫の移動、生存密度、寿命、刺激への反応の問題を含んでいます。これらの研究から得られた資料は、雄の不妊化技術方法関係しています。彼は「日本の南方諸島から果物バエを根絶する研究」について報告することができるでしょう。」こうなっておりますね。その点で、これはナショナル・レポートを出してくれという要請なんですね。  こういう要請が日本政府、科学技術庁に来たわけですが、この伊藤さんに対して、こういう手紙が来て要請が来ておりながら、御出席なさるならしてください、ただし旅費は出しません、こういう断わり書きをつけた手紙をあなた方は出しておられるわけです。これはことしの二月十九日ですが、「沖繩県農業試験場伊藤嘉昭殿 昆虫制御のための不妊原理に関するシンポジウムについてIAEA事務局担当者より別添手紙が来ておりますので参考までに送付致します。」こういう手紙を伊藤さんあてに出しておるわけです。  これはIAEAからすれば日本政府に、この伊藤さんを出席させてくれと要請したわけですね。ところが、あなたのほうから伊藤さんに行った手紙は、こういう別添の手紙が来ております、それだけ書いて、参考までに送付する、こういうふうな書き方をしているわけです。それから、そのあとの手紙ですが、出された手紙を見ると、旅費は出せませんとか、目下のところ科学技術庁としてば農林省横浜防疫所の楯谷昭夫さんという人をオブザーバーとして参加させる予定だ、こういうことも伊藤さんあてに手紙を出しておられますね。  これは国際的に見ても非常に失礼な話じゃないか、こう思うのですよ。伊藤さんという優秀な研究員がいるんで、ぜひ出席させるよう要請いたしますという国際原子力機関からの要請があったにかかわらず、御本人の伊藤さんにはこういう手紙を出している。これはまさに国際的に日本の恥さらしをしたのじゃないかな、こう私は思っているのですが、どうしてこういうことになるのか、これをひとつ聞かしていただきたいと思うのです。
  101. 牟田口道夫

    牟田口政府委員 ひとつその前に、先ほどIAEAのシンポジウムと申し上げましたが、正確に申しますとIAEAとFAOの共催でございますので、訂正させていただきます。  それで、私どものほうは、こういうシンポジウムに関しましてはや先ほど申し上げましたように、シンポジウムに関する通知がございますと、これを遅滞なく関係方面に通知する、間違いないように一定のフォームをきめておきまして、それによって通知をいたします。その中に、冒頭に申し上げましたように、現在の当庁の海外旅費は国家公務員に限られております関係もございまして、なお書きといたしまして、なお、論文の提出は本会議出席可能な方に限られており、かつ、参加者の出席に要する費用はあなたまたは参加者個人の負担となりますので、念のために申し添えますということを申し添えて、毎回送っていることにいたしておりますが、これは、冒頭申し上げましたように、現在のところは、海外出張及び研究集会への出席は、当方としてごめんどうを見ておりますのは国家公務員に限るということの原則によるものでございます。
  102. 庄司幸助

    ○庄司委員 大蔵省の主計官、来ておられると思いますが、いらしてますね。  この旅費の支給の規定ですが、これは、地方機関の研究員がいわゆる国際会議出席する場合には、大蔵省から見て、旅費を支給するのは適切じゃない、こういう規定でもあるのですか。
  103. 廣江運弘

    廣江説明員 お答えいたします。  国の機関の依頼または要求に応じて公務の遂行を補助するために、証人とか鑑定人、参考人などといたしまして旅行いたしました場合には、旅費法の規定で旅費を支給することになっております。したがいまして、御質問の場合の国際会議が国の所掌に関する国際会議であって、公務遂行のために出席をさせる者につきましては、国家公務員、地方公務員あるいは民間の人、いずれを問わず、旅費法に定める旅費を支給することができることになっております。なお、実際に当該国際会議出席させるための旅費を依頼する必要があるかどうかということにつきましては、各省庁で御判断をいただく、かようなことかと思います。
  104. 庄司幸助

    ○庄司委員 そうしますと科学技術庁、旅費を支給してもいい、こういう規定があるのですね。ただ、出席させる必要があるかないかは当該省庁の判断による、というただいまの御答弁です。  そうすると、私は、これは旅費支給規定その他ではなくて、問題は科学技術庁あるいは当該の農林省の御判断、この不妊化の国際シンポジウムに対する出席可否についての御判断がやはり大事なんだと思うのですよ。その点、私は、科学技術庁から出せとか、あるいは農林省から出せとか、これはどっちでもいいのですから、このシンポジウムの位置づけ、それからいわゆるくだものバエについての防除についてその位置づけの問題、これが大事なんだと思うのです。その点で科学技術庁としてもう一ぺん考え直していただいて、位置づけを明確にして、やはりこういう地方機関ですから予算も非常に少ないし、少ない研究費で一生懸命やっておられるわけですから、これはやはり御判断し直していただいて、当然旅費ぐらいは、たぶん百万もあればいいのでしょう、出してあげてもいいのじゃないか、こう思うのです。その辺、ささいな問題ですが、ひとつ大臣の御判断を願いたいと思うのですが、お答え願います。
  105. 牟田口道夫

    牟田口政府委員 その前に、恐縮でございますけれども、私から事務的な補足説明をさせていただきます。  先ほど大蔵省からお話のございました、国の機関の依頼または要求に応じ公務の遂行を補助するためということであれば可能であるという御説明でございました。本件は、私どものほうの機関として、公務の遂行を補助するためということでふだん出張をお願いしておりますケースとは、たいへん事情が異なっておると考えておる次第でございます。
  106. 庄司幸助

    ○庄司委員 研究も私は公務だと思うのです。この公務の遂行を補助するためという規定に、先ほど申し上げたような事例がなぜ該当しないのですか。
  107. 牟田口道夫

    牟田口政府委員 国の仕事といたしましては、まず、行政に直接関係がございますたくさんの仕事のうち、原則として国家公務員が出張いたしますが、その際に、特にその人に頼まなければならないような場合にお願いするというようなことに相なっておりまして、研究集会等はその事情が異なるのではないかと考えます。
  108. 庄司幸助

    ○庄司委員 この植物の防疫体制の問題というのは非常に大事なんですね。特に沖繩の場合は、サトーキビはあのとおり、なかなかつくれない。沖繩の農業を発展させるという問題は非常に大事だと思うのですよ。そういう中でああいう国際会議出席して、しかも国際会議の位置づけは、沖繩の試験場でやっている不妊化の研究というのは非常に大事なんだ。ここへは現に海外からも視察に来ているのです。しかも、IAEAの研修旅行のコースにも入っているのです。国際的には重視しているのです。しかも日本の農業からいっても、この撲滅の問題は非常に大事な問題なんです。そういう点で、いま局長から御答弁あったように、必要がないという考え方は、私はちょっとふに落ちないのです。  これは話はまるきり違いますが、たとえば動燃の財務諸表なんか見ますと——これは動燃とくだものバエは月とスッポンぐらい違う問題でしょうが、政府出資金が千二百億近く出ていますよ。そういう中で民間その他への委託研究勘定というのが、これでもって四十八年で百十八億六千万円も出ている。いままで出されたのはもう三百五億円くらいに達している。  確かに動燃も大事だろうとは思いますけれども、こういうささやかな研究でも、じみちな、大事な仕事があるんだと思うのですよ。これに百万やそこらの旅費が出せないというようなしみったれた考え方ですね、これじゃ日本の農業科学は私は発展しないと思うのです。たいへんきついことばを申し上げまして申しわけないのですが、長官、この辺で、こういうささやかな問題をひとつぜひ解決してもらいたいと思うのですが、これは長官から、基本的な姿勢でもけっこうですから、ひとつお示し願いたいと思うのですよ。
  109. 森山欽司

    ○森山国務大臣 私は、今度の問題に限りませんが、外国の機関から指名して、シンポジウムをやるから出てくれ、こういいましても、外国の機関がいったから一々聞く必要はない。わが国が必要だと思えば出せばよし、必要でないと思えば出さなくともよろしい。わが国は独立国でありますから、外国から入ってきたものは何でもいいなんていささかも思っておりません。けれども、かりにそれだけの理由があるという内容だとする場合には、それはこちらから出すということもありますし、また、向こうから招待してこなくとも、必要があることだったら、こちらから押しかけてでも行かなければならぬという問題も私はあると思います。いずれにいたしましても、われわれは自主性をもって独立国としてやるわけでございますから、外国の機関がいったからといって、だからいかにも大事そうな、外国が指名したからというような、そういう考え方は私あまり好きじゃないですね、率直に言いまして。だけれども、かりに当該の場合、あるいは研究の内容は、私はしろうとだからわかりませんけれども、かりにもし必要があるのだといたしますれば、これは県立の機関でございますから、当然沖繩県の知事さんにお願いして、あるいは沖繩県の県会議員の方々にお願いして、これは非常に大事なシンポジウムだからぜひひとつやらしてくれということを言われたらどうか、そういう努力がなされておるかどうかというのが一つの問題点じゃなかろうかと私は思うのです。沖繩はなかなか金がかかって、そういうものを出す金がないんだとおっしゃるかもしれぬけれども一私は必ずしもそうじゃないと思いますが、やはり県立の試験場であれば——私ともの出身県でも、これは県会議員さんもよく行きますけれども、県の職員の方も、よくこのごろは海外へ行くようになりました。ですから、沖繩でそういう努力はやはりされてしかるべきではなかろうかと私は思います。そういうのをされたかどうか、一つの問題点でございましょう。  そして、これはもちろん、研究内容が沖繩にとって非常に重要であるということでございます。また、そのことが、沖繩ばかりでなく、日本全国の農業の面で非常に役に立つということでございますれば、沖繩開発庁というのがございますから、ひとつ沖繩県を通して沖繩開発庁のほうに申し出ていただいて、何とかならぬかという行政的な手だてを尽くされてしかるべきだと私は思っておりますが、今回の場合それが尽くされたのかどうかというような問題もございましょう。  それから、沖繩開発庁ということになりますれば、これを見るとFAOとIAEAのジョイントコミッティーみたいなものでございますから、それがほんとうにぜひ必要なんだということになりますれば、沖繩県のためにも、また沖繩県以外にも重要な内容であるということになれば、農林省自身でまずこの問題についていろいろ検討してしかるべきではないか。そして、そういうことのあれで最終的に科学技術庁のほうにということになってまいれば、またそれなりの要するに行政的な努力を尽くして、そして打開していく。  ところが、何かいまここで聞いた範囲内においては、新聞に投書をし、また投書をきっかけに御質問があり、それについて経過の報告を先ほど来聞いておるところでは、そこまでの順序が尽くされておるのかどうか、私はよくわかりません。しかし、少なくも国会で論議する前に、沖繩県の農務部というのがきっとあるのかもしれませんね、だから沖繩県の農務部長から、農務部だけ、沖繩県だけでは片づかぬ——そのぐらいの金は、言ってくれれば私のところで出しますよと、沖繩県の知事さん言うかもしれませんよ。そこまで話は詰めているかどうか私は存じませんけれども、それでどうしてもだめだというなら開発庁のほうに、ひとつこういう際に何とかならぬか、沖繩はたくさん問題をかかえて容易じゃないんだということで御相談になる。開発庁からまた農林省に相談され、また私ども科学技術庁にも相談になる。そういう過程の中に、それだけの価値があるものなら、それは道は開いていかなければならぬと思いますよ。道を開いていかなければならぬと思うのです。だけど、どうでしょうね、そこまで手が尽くされたんでしょうか、その辺のところは私は存じませんが、いかがでございますか。私が質問を受けていてこちらから聞いちゃいけないんですけれども、経過がよくわかりませんから、その辺のところを尽くしてみたがどうにもならぬから国会へ持ち出したというのであれば、またそれなりの理由があると思いますが、どうもお話を承っておりますと、これは朝日新聞の投稿がきっかけのような感じがいたしますので、その辺の事情についてもう少し伺わしていただきたいと思います。
  110. 庄司幸助

    ○庄司委員 いま長官は、外国の依頼だと言っていますが、これは国際的な機関なんですね。そうでしょう。IAEAというのは略語で、まさに国際的な原子力機関ですよ。それからFAOだってそうでしょう。だから、単なる一アメリカとかあるいはイギリスとか、そういう外国の問題じゃないということです。国際的な会議なんですね。その事務当局から要請を受けた。日本の政府が要請を受けたんです。ですから、やはり日本の政府がこれを責任もって解決すべきだ、こういうたてまえなんです。この主任研究員の伊藤さんも、確かに沖繩県庁にお願いして予算を組んでもらうという手だてもあるでしょうが、筋からいえば、これは国が旅費を出すべきだ、こういう考えをこの投書で述べているわけです。ですから、その点、私は、長官の話と少し違うと思うのです。  それから、もう一つ私は農林省にお伺いしたいのですが、これは国費を出して研究さしているわけです。相当の業績もあがって、国際的にも認められているわけです。それから、この重要性についても農林省はわかっているわけです。とすれば、農林省もこれについて、科学技術庁が出さないなら出さないでいい、おれのほうで出してやる、当然こういう態度に立ってしかるべきだと思うのですが、農林省、その点ひとつ答えてください。
  111. 鈴木章生

    ○鈴木説明員 国際研究集会に関しましては一元的に科学技術庁でやっておられまして、私どものほうでは従来から、こういう例を実施しておりません。したがいまして、今回の場合も、この問題につきましては科学技術庁に農林省からつないだわけでございます。  以上でございます。
  112. 庄司幸助

    ○庄司委員 これは農林省から科学技術庁につないだ、こういま御答弁がありました。すると、これは科学技術庁の責任、こうなってきます。その辺どっちがどうなんだか、これははっきりさせてもらいたいと思うのです。ひとつ統一見解を述べてください。
  113. 牟田口道夫

    牟田口政府委員 国際研究集会に出席する旅費というものは、科学技術庁に確かについております。これは、先ほど申し上げました国家公務員を対象といたしております。
  114. 庄司幸助

    ○庄司委員 これはもう時間もありませんし、らちがあきませんから、最後に私は、長官に御要望だけしておきます。この問題はひとつもう一ぺん御判断し直し願って、しかるべき対処をしていただきたい、できるだけ国の旅費で出していただきたい、これを御要望申し上げますが、御再考願う点について、一言だけ御答弁願いたいと思うのです。
  115. 森山欽司

    ○森山国務大臣 日本は独立国ですから、外国から頼まれたり——国際機関だって同じことです。国際機関は何もわれわれを制約する力はないのでありますから。したがって、まず第一番に、そういうところから招待があっても、それは行こうと行くまいとわが国の自由であります。その原則は、やはり主権国家である以上当然のことでございまして、国際機関からいってきたから何でもかんでも出なければいかぬとは思いません。その点はわかっていただけると思うのです。  ただ、今回の研究内容が重要であるというならば、やはり県庁の研究機関の職員の方ですから県のほうに努力をされた、しかしなかなかよういかぬ、そこで沖繩開発庁のほうにも連絡をしてもらう、農林省のほうにもしてもらう、そういう形でわれわれのところへもし届いている問題であるならば——たとえば県庁ですから、先ほど来の政府委員の回答どおり、やはり国家公務員がたてまえですから、地方公務員の場合は地方で片づかないかという努力をしてみて、どうしてもいかぬということで沖繩開発庁あたりからお墨つきをもらって、農林省もそうだ——農林省がつないだといいますけれども、きわめて安直に右から左へ持っていくのはだれでもできることなんですから、それは本気に、そういうことで必要があるということで連絡があるということが——現在は制度としてできぬのかもしれませんけれども、やはり何か打開の方法がないか、そういう場合はそれだけの価値があるものなら、これは考えていかなければならぬと思うのです。だから、外国機関からそういってきたからということではなくて、研究の内容がそれだけの価値のあるものであるということであり、それが沖繩の地元ではどうにも出せぬ、何か便法がないかということで行政的に積み上げてこれは措置すべきものであるというふうに考えております。そういう意味で、沖繩県側の意向とか沖繩開発庁側の意向とかそういうものを踏まえてこの問題に対処したい、そういうふうに考えております。
  116. 臼井莊一

    臼井委員長 次に、坂井弘一君。
  117. 坂井弘一

    ○坂井委員 アメリカからリモコンされた日本企業の代理戦争であるというように巷間いわれておりますところの、いわゆる静止気象衛星の受注をめぐりまして激しい日本企業の代理合戦が行なわれてまいりました。結果的には日本電気に軍配があがりまして、この受注劇も幕を閉じようとしているようであります。そこで、本日は宇宙開発事業団の理事長に御出席いただいておりますので、順次お伺いをしてまいりたいと思います。  まず昭和四十八年七月十一日気象庁長官から宇宙開発事業団理事長にあてまして「静止気象衛星の開発について」こう題しまして、この衛星を昭和五十一年度打ち上げ実現のために開発の依頼書が出されております。この静止気象衛星——これをGMSと略称いたしておりますが、これは世界気象機関と国際学術連合が共同で行なうところの地球大気開発計画に参加をするために開発をする、これが目的でございます。かつまた、日本の天気予報の精度の向上をはかることを目的といたしまして開発をするということでございますが、気象庁がこの静止気象衛星、つまりGMSにどのような機能を要求するかということは、これまた詳しくここに要求の項目がございます。これに対しまして三菱電機それから日本電気、最終的にはこの二社にしぼられたようでありますが、この両社の技術調査結果がこれまた詳しく報告をされております。この調査内容につきましては後ほど明らかにするといたしまして、最初申しましたように、結果的にはこのGMSの基本設計が日本電気と契約をするということになりまして、契約が締結されました。これが昭和四十八年度予算の実行額でありますが四億三千万円、契約額どおりであります。納期は四十九年三月三十日、こうなっておりますが、ここで確認の意味におきましてお尋ねいたしますが、いつ契約され、いつ納入されましたか。また金額誤りございませんか。宇宙開発事業団理事長から御答弁をちょうだいいたしたいと思います。
  118. 島秀雄

    ○島参考人 ただいまの御質問のとおりでございます。
  119. 坂井弘一

    ○坂井委員 すでに基本設計は納入されておりますか。おわかりでしたならば日にちもおっしゃっていただきたい。
  120. 島秀雄

    ○島参考人 仰せのとおりでございます。
  121. 坂井弘一

    ○坂井委員 それでは科学技術庁長官にお尋ねいたしたいと思いますけれども、この基本設計に基づきまして、長官よく御存じだと思いますが、四十九年度中に詳細設計を完了いたしまして直ちに製作に着手する、こういう方針のようであります。そこで、この予算につきまして、つまり詳細設計、製作完成に至るこの予算でございますが、いかほど予算を見込んでおられますか。
  122. 森山欽司

    ○森山国務大臣 数字にわたることでございますから、政府委員をしてお答えさせます。
  123. 千葉博

    千葉政府委員 四十九年度の予算といたしまして、現金で十億円、それから債務負担行為で七十八億円という予算が計上されているわけでございます。
  124. 坂井弘一

    ○坂井委員 調達仕様書、これに対する回答がたしか昨年、つまり四十八年九月二十一日に提出されていると思いますが、この提出されました中に両社の最終価格、つまり三菱電機が示しました価格及び日本電気が示しました価格、それぞれ最終価格は幾らであったでしょうか。
  125. 千葉博

    千葉政府委員 実はこれにつきましては随意契約でございますが、ちょっと本件の内容についてまず第一に御説明させていただきまして、それで価格の問題に触れたいと思います。  これは先生御案内のとおり、四十八年度の予算といたしまして、これはGMSの基本設計、これのお金だけがついておるわけでございます。それで、こういったような星の開発、衛星の開発につきましては、開発の特性からいいまして、世界的に四段階に分けてこれの進捗が行なわれる。それで、まず第一、第二段階、これは利用者の官庁でやっておる。第一、第二段階と申しますのは、概念設計と予備設計でございます。それで、利用者官庁でこういうものをつくってほしいのだというプロポーザルを、今度は製造を進めます組織体、日本でいえばこの開発事業団、ここが受け取りまして、その基本設計とそれからその次に来ます詳細設計、製造をやる、こういう段階でまいるわけでございます。  それで、今回四十八年度で、いま先生の御指摘になられましたのはこの基本設計の段階でございます。したがいまして、契約上からいきますと、もう御案内のとおり基本設計だけについてきめればいい、それからそのあとのものについては、これについてはまた詳細設計以降のいわゆる生産段階で、第四番目のステージで、つまり来年度、これは新たに事業団とメーカーとの間で契約される、こういう段階を経ていくわけでございます。  いま先生の御指摘価格と申しますのは、おそらく最後の価格が一体どうなんだということだと思います。  その点は、いま申し上げましたように、まず第一に、契約段階で最後の価格まで出すということ自体が、これはなんと申しますか、契約する価格というのは出てきませんでございますので、これは普通の随契なり入札なりですと出てこないわけでございますが、実はこのたまの、たまと申しますか、衛星の特性からいたしまして、基本設計をやりますと、今度次の生産に入るときの契約については、これはどうしても有利になる。ここで新たに競争させても、これは基本設計をやったところが非常に有利になるし、また必ず強いということになるわけでございますので、事業団といたしまして、この契約のいわゆる基本的な基準といたしまして、きめる際に十分に予算を有効に使い、つまり大いに経済的に使うように努力せしめるという意味で、全体の価格につきましても十分に検討をするようにということで指示したわけでございます。そういったことでございまして、結果的にはこの価格につきましては、これは大体大差ないというように私ども聞いておるわけでございます。  それでは、その内容がこの二社について、片一方は何ぼだ、また片一方は何ぼだというような点につきましては、これは事業団とそれから契約当事者でございますメーカーとの約束でございまして、これを公表しては困るということになっております。まことに残念でございますけれども、いま公表できないというような状態になっておるわけでございます。
  126. 坂井弘一

    ○坂井委員 結論を言いますと、価格を言えないということですね。じゃどっちが高かったのですか。簡単におっしゃってください。
  127. 千葉博

    千葉政府委員 実はこれは大差ないということでございます。
  128. 坂井弘一

    ○坂井委員 どちらが高かったかという質問にはお答えいただけませんか。
  129. 千葉博

    千葉政府委員 若干日電のほうが高かったということでございます。
  130. 坂井弘一

    ○坂井委員 両社から示されました最終価格、その価格が多少日電が高かった、こう理解して間違いございませんか。つまり、その間には事業団なり科学技術庁なりの意思がそこに入って価格調整をした、その調整されたものが多少高かったというのではなくして、日電から示された額そのものが三菱に比べて多少だ、こう理解して間違いございませんか。
  131. 千葉博

    千葉政府委員 実は御案内のとおり、こういった衛星につきましては、品物そのものがいろいろと変わっております。たとえば日電のものとそれから三菱のプロポーザルのものと、品物自身は、それは要求性能は要するに満たしておるけれども、品物は違っております。それで値段につきましては大差ないということでございます。
  132. 坂井弘一

    ○坂井委員 では、この値段の点は、私はあとで触れましょう。  関係者の間、あるいは専門家筋によりますと、三菱電機のほうが技術的にもはるかに上回っておる、かつまた値段も安い、そういうものが、最終的には日本電気にこれは逆転受注になってしまった、まことに不可解である、こういうことがもっぱらいわれているわけでありますね、これは御承知のとおり。  そこで、いま基本設計がもうすでに日本電気との間に契約が結ばれ、それがまた受注され、しかももうすでに基本設計ができ上がった。あと詳細設計、それから製作に入るわけですけれども、この契約はいつ、どことされますか。
  133. 千葉博

    千葉政府委員 本年度にこの詳細設計とそれから製作に入るという契約がなされるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、基本設計と製作関係とは予算的には切り離されている、そういうことでございます。したがいまして、本年度、年度内に、これのいわゆる詳細設計、それから製作に関します契約事業団とそれからメーカーとの間でなされるわけでございますが、じゃどこと契約されるかということは、今後随契できまるということでございまして、まだ三菱ということは確定してはおらないということでございます。
  134. 坂井弘一

    ○坂井委員 そうとしか答弁できないでしょうがね、これはきまったようなものですよ。つまり日電と契約するということにならざるを得ない。つまり、基本設計はここでできておるわけです。そういうことにならざるを得ない。しかし答弁は、いまの答弁しかできない。それはわかります。ですから私は、これは日電と契約をする、こういうふうな理解の上で質問を続けたいと思いますが、この気象衛星の開発受注メーカーに日本電気がきまった非常に大きなきめ手になったものは、この気象衛星の心臓部門といわれるところの可視・赤外走査放射計、VISSRと呼ばれるものですね。カメラですね。この特許を、日電と契約いたしておりますところのアメリカのヒューズ社、これが持っております。日電はアメリカのヒューズ社の技術導入をするということですね。一方、三菱と提携するのはアメリカのフィルコ社であります。ところが、アメリカのフィルコ社にはこのVISSRがありません。したがって、このVISSRにつきましては、フィルコ社のほうはフランスのエンジン・マトラー社のカメラを輸入する、こういうことにならざるを得ない。したがって、この受注にあたって一番大きなきめ手になったものはこのVISSRの入手の確実性、これが非常に大きなきめ手である。つまりヒューズ社と提携するところの日電、これはもう容易にこのVISSRが入るということでもって日電と契約をしたというようなところがその実情だ、こういわれておるようであります。  ここで、私ひとつお尋ねいたしますが、確かにこの心臓部分のVISSR、このカメラ、非常に大事でありますが、特にわが国の場合、夜間の赤外線の分解能力、これが気象観測上、わが国の気象の条件等からいたしましてもたいへん大事な問題だ。そこで、夜間の赤外線の分解能力は、ヒューズ社のVISSRのほうがよろしいのか、それともマトラー社のほうがよろしいのか、どちらがこの分解能力が高いでしょうか。
  135. 千葉博

    千葉政府委員 先生の御専門のほうで、きわめて技術的な問題でございますが、実はその件につきましては、結果的にはこういうことでございます。  まず、今度の事業団がメーカーに対して出した要求性能、これに対しまして、いまの赤外線関係の分解性能の問題につきまして、これは両社ともにその要求性能を満足している、こういうように私どは聞いておるわけでございます。この点については、要するに要求を満足しているということでございます。それからさらに、私の聞いておりますのは、ヒューズ社のカメラにつきましては、これはもう来月あるいは再来月に打ち上げを予定されております米国のこの気象衛星関係、二つの衛星を打ち上げるわけでございますが、これについてのカメラはヒューズ社のものでございまして、この点からいきましても、このヒューズ社のカメラにつきましては十分信頼性に足るものだ、かように考えておりますが、さらに詳細の技術的な点につきましては事業団側がお答えいたします。
  136. 坂井弘一

    ○坂井委員 いや、御説明いただく前に、私のほうにも資料がございますから、この「GMS要求機能から見た両提案の技術評価」、これは技術評価は全部出ております。ですから、これに従って内容を明らかにしていくということは一番正確だと思いますから、私のほうから申し上げたいと思いますが、その前に、いまの問題ですけれども、つまり夜間の太平洋上で気象観測をする場合、これは赤外線の分解能力というものが非常に大事になる。赤外線の分解能力につきましては、少なくともマトラ一社は非常に優秀だということで、ぜひともマトラー社のVISSR、カメラ、これが日本としてはほしいのだというような説明を、気象庁は事業団にされたことはございませんか。
  137. 千葉博

    千葉政府委員 いま先生の御指摘のそのデータでございますが、それは気象庁がいわゆる概念設計、それから予備設計の段階で調べられて、その結果、事業団側に対して、こういう要求性能にしてくださいということをいうための資料でございます。その一番最後にこういっております。自分のほうで調べたら、両衛星のそのVISSRについては、両方ともこういう欠点や問題点、これはありますと、ですが最終的な判断は、両方ともこの改善をすることができて、したがいましてこれにつきましては甲乙ないのである、こういうようなことで、事業団側に気象庁から意見要請が出てきておるわけでございます。
  138. 坂井弘一

    ○坂井委員 私も総合意見は見ました。いまのような趣旨のことが述べられてあります。しかし、ずいぶん無理な総合意見です。部分的に、具体的に、項目別に要求機能が出され、それに対する技術調査の結果が、M案つまり三菱案、それからN案つまり日本電気案、それがそれぞれ出されて、それに対する評価がなされてある。  では、一つ一つ申し上げましょう。たとえば標準黒体温度モニター精度、この要求機能についてはプラマイ〇・一度K、これが要求した機能です。これに対しましてM案、三菱のほうはプラマイ〇・一度K。しかるにN案、日本電気のほうはプラマイ一度K。〇・一度Kの要求に対しまして、三菱のほうは満足しております。日電のほうは、〇・一度に対して一度ある。ですから、評価につきましては「N案はプラマイ一度Kであるが、静止実用環境衛星用VISSRでは改善をすることを計画しているので、改善可能と思われる。」思われる、です。これが評価。これがまず一つ。  それから焦点調整。この焦点調整は年四回以内、これが要求機能であります。これに対しまして三菱は、「調整の必要はない。」非常に優秀であります。これはなぜかといいますと、衛星の本体に内蔵する、こういうものであります、マトラー社のカメラは。それに対しましてN案は、」年間最大六回の調整が必要」である。つまりヒューズ社のVISSRですね、これは六回も調整しなければいかぬ。要求した機能は四回以内。これは六回も調整せぬとだめですというのが、日本電気のほうのヒューズ社のVISSRです。それが二つ目。  たくさんありますよ。三つ目、走査用ステップ角精度。これは要求は「プラマイ〇・〇〇一八mr以下」。これに対しましてM案「プラマイ〇・〇〇二五mr」。一方N案、日電のほうは「プラマイ〇・〇〇五mr」。つまり倍です。したがって評価は「N案は設計値であり、地上試験で確認する必要があり、かつ精度改善の必要がある。」悪いといっているんです。  次に信頼度。最も大事な信頼度、これにつきましては、「N案では、温度の均一性の必要から、運用時以外でも電源を入れておかねばならない」云々、「信頼度を要求値に合値するため改善を行う必要がある。」、それから」()内の値は、エンコーダ内電球、モータ部の改善により、信頼性を高めた報告(六月十三日)であるが、NASAにアプルーされた値ではないので、」つまりNASAに認可された値ではないので、「根拠を明確にする必要がある。」、カッコ内の値というのは〇・七五七となっております。つまりN案、日本電気のほうは信頼度はきわめて低い、こういうわけです。  さらに、いまのようなことを検討意見として出されておりますが、「赤外線の検出精度」これについては、」絶対値の精度を高めるうえで、素子への入射放射量を、標準黒体炉で精密に較正する必要がある。」つまり要求性能プラマイ〇・一度K——さっき出しました。悪いんですね、日電のほうは。「現時点で提案されているN案のVISSRISでは要求性能を満足しないが、GOES衛星用VISSRでは改善される計画があり、この改善は、技術的に可能と思われる。」思われる、ですよ。  次は、「焦点調整」、これもたくさん書いてありますが、「回数を少くすることが可能となるものと思われる。」、つまり要求は四回以下、それに対して六回も調整しなければならぬ。それは「可能となるものと思われる。」と、これだけです。一方、三菱のほうは一回も調整する必要はない。きわめて優秀だと私は思います、少なくとも技術的には。  それから「VISSR信頼性」——最も大事な心臓部であるところのカメラのVISSRの信頼性につきましては、VISSR−S、つまり日電が採用しようとしておるものですね、ヒューズ社です。これは「複雑な機構が多いので、信頼性を確保するためには、信頼性の低い部分を二重系にするなど、改善をほどこす必要がある。」いずれも改善しなければならぬ。そういうものを——技術的にはうんと劣っておるわけですね。これでも三菱のVISSRよりはすぐれていると言えるのでしょうか。
  139. 千葉博

    千葉政府委員 気象庁で予備設計段階でお調べになったそういったようなデータの中で、先ほど私が申し上げましたような意見とか問題点、こういった点をいまお読みになったのでございますが、実は事業団におきましては、その御意見も承りまして、さらにこの日電と三菱電機の双方からもう十分にそれの改善方策等を承りまして、それで御案内のとおりの事業団としての要求性能を出しまして、それで両方とも合格しているということで、採用をこのN社のほうにしておるわけでございます。  それで、N社にきめた最大のポイントは、もう御案内のとおり、ヒューズのカメラにつきましてはもう米国で完成しております。ですから、世界でカメラを五つ上げるわけでございますけれども、これはもう当然同様の観測をして、お互いにこれを知らせ合って、それで世界的な気象のいろいろな要因でございますファクターを観測しよう、こういうことでございまして、しかも米国は最も信頼に足る中心的な技術を持っておるわけでございます。しかもその米国が採用したカメラ、それを中心といたしました技術を採用したわけでございます。  一方、エンジン・マトラ一社のカメラにつきましては、先生指摘のように、確かにアイデアとしてはいろいろといい点があるわけでございます。これもやはり欠点もございます。たとえば、これ、も御案内かと存じますが、御承知のとおりカメラ自体が動きますので、ある一つの画像をとって次に行くときにカメラがブレてくる。これがとまらぬので、五分以内にまた画像をとるということが非常にむずかしい。これはダンパーを入れて、可と申しますか、ブレをとめなければいかぬとか、これもしさいにいろいろと試験をし、テストをして、それでまた採用しなければいかぬというようなことが出てくるわけでございますが、いずれにいたしましても、二年ほどこれが製作がおくれているわけでございます。そういった不確定な要素がございますまま、五十一年にどうしても打ち上げるという命題がございます。したがいまして、いま採用するといたしましては、最も信頼するに足る米国のカメラを載せざるを得ない、こういった点でございますので、ひとつよろしく御理解していただきたい、かように考えておるわけでございます。
  140. 坂井弘一

    ○坂井委員 アメリカのヒューズエアクラフト社のカメラをたいへん信頼し、強調されますけれども、少なくとも三菱が技術導入、提携しようとしておりますところの同じくアメリカのフィルコ・フォード社、ここの場合につきましては、このVISSRはフランスのエンジン・マトラー社、先ほど申し上げておるとおりでありますが、このマトラー社のVISSR、カメラのほうがうんと優秀だということは、技術的な評価として出ているわけですね。しかも値段は安いんです。しかも、このような科学機器というものは日進月歩であります。いまあるから、これが確実性が高い、これでいいんだというものでは必ずしもなかろうと私は思う。ただその判断だけであれば、ここでこれ以上のことを申し上げる必要は、私はあるいはないかもしれない。しかし、冒頭申し上げましたように、アメリカからリモコンされましたところの日本企業の代理戦争であった、これはもっぱらいわれておる。値段がたいへん違う。ある新聞の報道によれば、日本電気から示された額は八十九億八千万円、三菱のほうは七十二億七千万円、約十七億違った、それで事業団はこの価格の値下げ工作を行なった、こういわれております。  会計検査院、おいででしょうからお伺いいたしますが、値下げ工作を行なったという、ある意味ではきわめて根拠のあることがいわれておりますが、調査されたことはおありでしょうか。
  141. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 結論的には、調査してはいませんです。先ほどの基本設計でございますが、これは四十八年度の調達でございまして、ただいま検査が進行中でございます。先ほどの御質問につきましては、現在のところ、具体的に調査した事跡はございません。
  142. 坂井弘一

    ○坂井委員 では、会計検査院に要望いたしますが、私がいま申しましたような、値下げ工作等が行なわれたという節がきわめて濃厚である、そういう点につきましても、厳格な調査をして当委員会報告をしていただきたい、いかがでしょう。
  143. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 はっきり先生の御質問に対してお答えになるかどうかわかりませんが、まあ価格の安い高いという問題だけでは決着がつかないのでありまして、性能その他を勘案した上で、その調達がそれでよかったかどうかという最終的な判断をわれわれいたすわけでございますが、現在、検査としては進行中の事態でございまして、これから御趣旨も体して検査を進めていきたい、こういうふうに考えております。
  144. 坂井弘一

    ○坂井委員 長官にお尋ねしますが、この静止気象衛星は全部で五つ打ち上げるのですね。アメリカが二個上がります。欧州宇宙研究機構が一個、ソ連が一個、日本が一個、全部で五つであります。アメリカの二個につきましてはフィルコ社が受注したようであります。それからヒューズ社のほうは米国での受注に失敗をした。そこで日本に対して猛烈な売り込みにがかった。結果的には日電・ヒューズ組が、先ほどからの経緯のとおり——技術的にも三菱には劣るのですね、値段の上でも高いのですね。したがって、当然三菱が受注するであろう、およそ関係筋ではそう予想されておった。それをまさに逆転受注をした、こういうわけであります。その間かなり政治的な工作が行なわれた、こういうようなことが、これまた巷間もっぱらうわさされるわけでありますけれども、いまのような経緯を踏まえまして、長官、いかがでしょうか、そのような不明朗なことは一切なかったと断言できますか、御感想を。
  145. 森山欽司

    ○森山国務大臣 私は、昨年の十一月二十五日着任をいたしました。今回の契約の締結は、たぶんその前の、私の着任以前のことでございます。しかしながら、宇宙開発事業団がやっております当該気象衛星の受注については、受注者のほうが値段も高いし、物も悪い——価格の面は先ほどのやりとりで存じませんが、物が悪いのは確実だとは私は考えておりません。島理事長は、ごらんのとおりまことに誠実、練達の士でございます。確かに最終確定までの前の段階におきまして、アメリカの業者間、日本の業者間に激しい競争があったことは事実だろうと思います。また、競争は競争で、大いに意味があることだと思っておるわけでございます。衛星だからといって、上がりっきりになって、高いところできまっては困るわけでありますから、お互いに競争して適当な値段で折り合っていくことが望ましいというふうに考えておるわけでございますが、今回の、先ほど来お話しの契約につきましては、私は公正なる結論が出たものだと確信をいたしております。
  146. 坂井弘一

    ○坂井委員 時間が参ったようでございますので、最後に一問だけ長官にお尋ねして終わりたいと思いますが、さらに心配なことは、両社の提示いたしました価格というものが非常に安かった。専門家筋、関係筋では、これは技術的な面も含め、この詳細設計、製造にはかなりな金がかかるであろう、これが意外に安かった、つまりダンピングして受注合戦に狂奔したということがいわれるわけであります。先ほど、四十九年度の債務負担行為限度額といたしまして七十八億二千万円という額が示されました。本年度十億六千万円を支出とするそうでありますが、この額でもって詳細設計、それから製作完成までできるかどうか、自信はおありでしょうか。それが一点。  それからもう一つは、これからまた通信衛星でありますとか放送衛星でありますとか、衛星の開発というものは非常に進んでいくと思います。また、そうなければならないと思いますが、この受注合戦が産業界に与えた影響というものは非常に大きかった、将来において大きな禍根を残すのではないか、これまた関係筋、専門家の間ではずいぶん心配されているようであります。これらを含めまして、長官といたしまして今後どうこの開発に当たっていくのか、方針をお聞かせいただきまして、質問を終わりたいと思います。
  147. 森山欽司

    ○森山国務大臣 確かに過当競争というようなことは非常に問題ではございましょう。しかし、先ほど来お話をしたことにつきまして、私は当該問題の取りまとめに当たられました島理事長に全幅の信頼を置いて、その結論については公正なるものであるというふうに確信をいたしております。
  148. 坂井弘一

    ○坂井委員 予算内で完成できますかどうかの御質問に対して御答弁いただきたい。
  149. 島秀雄

    ○島参考人 私どもは、いろいろな衛星がございますが、この衛星はそれぞれ非常な特徴がありまして、似たような衛星があります場合は、似たものをつくる場合には非常に安くなりますし、いままで全然前例のないようなものでありますときにはたいへん高くなる、そういう性質のようでございます。  気象衛星につきましては、これは先ほどのお話のように、米国におきまして非常な競争をいたしまして、たいへんな研究費を投じましてやって、そして結局フィルコ・フォードに落ちたもののように聞いております。そして、私どものほうのつくるべきものと申しますものは、同じ目的に使うものでございますから比較的似ておるわけでございます。したがいまして、フィルコ・フォードは——ちょっと申し忘れましたけれども、フィルコ・フォードは、私どもに提言してまいります最後まで、ヒューズ社の子会社でございますサンタバーバラ社の使います赤外線放射計を積むものだ、それが買えるものだと思って提案しておりました。それが買えなくなるということになりましたもので、急遽フランスのいまだ開発中のアンジャン・マトラー社のものを代用に使ったらどうかという提言をしてまいったような経緯にございます。しかし、それにいたしましても、フィルコ・フォード社のほうはアメリカで上げるものというのに、放射計こそ違いますが、大体のかっこうは似たようなものをやっておりますし、ヒューズ社はそれと競争するために一生懸命、ほとんど設計を完成したようなものになっている、実際つくったわけじゃないんですが、その前提までいっておりますので、それに似たようなものをわれわれに提供するわけでございますので、全然素地からやったものに比べますと相当安上がりなものになっておるのは事実のように私は思っております。でございますから、全然新しいものをといいましたら、その割合ではなかなかできないことになるのじゃないかなと思っております。しかし、そのほかのことにつきましては、現在のような変動しつつあるときでございますが、とっぴなことが起こらない限りにおきましては十分できるものと私どもは確信しておる次第でございます。
  150. 坂井弘一

    ○坂井委員 終わります。
  151. 臼井莊一

    臼井委員長 この際暫時休憩いたします。     午後一時二十九分休憩      ————◇—————     午後二時三分開議
  152. 臼井莊一

    臼井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、おはかりいたします。  建設省所管審査のため、本日、参考人として日本住宅公団理事川口京村君の御出席を願い、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  153. 臼井莊一

    臼井委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。     —————————————
  154. 臼井莊一

    臼井委員長 質疑の申し出がございますので、順次これを許します。綿貫民輔君。
  155. 綿貫民輔

    ○綿貫委員 私は、近時物価の狂乱といわれるものの中で、特に建設省に密接な関係のある建設資材の値上がりによって、それが住宅、下水道、道路等の公共事業にいかに深刻な影響を与えるに至っているかということで、当局にお尋ねを申し上げたいと存ずるのであります。  建設資材の高騰については、先日も当委員会におきまして参考人の方々からお話を伺ってまいったのでございますが、建設物価調査会の調べによりますと、東京の場合、昨年十二月末の建設用主要資材の価格は前年同期に比べまして、鉄筋が九五・五%、セメント六七・三%、厚鋼板五六・九%、生コンクリート四七・三%というふうに大幅な上昇をしておるわけでありますが、特に、この委員会でも事情聴取いたしました塩化ビニール管にいたしましては二・三倍と、一昨年暮れの木材暴騰に始まった資材高は、石油パニックで拍車がかかった状態となっておるわけであります。これら資材の高騰は、木造、鉄筋コンクリート建築物や道路、下水道、ダム、河川等の土木工事にも多大の悪影響を与えるに至っております。  同時にまた、総需要の抑制の一環といたしまして公共事業の八%来年度への繰り延べ措置も相まって、本年度の公共事業量は当初計画より大幅な後退とならざるを得ない状態となっておりますが、これが公営住宅等の住宅建設事業及び道路、河川、下水道等の公共土木事業量にいかなる変化を与えるであろうか。  当初計画事業量繰り延べ措置による減少、資材高騰に伴う事業量の減少の見通しについて、ひとつお伺いをいたしてみたいと思います。
  156. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 お答えいたします。  昨年春から秋にかけての物価抑制ということでいろいろ措置を講じ、単価是正等も行なったわけでありますが、それに加えるに石油の問題、御指摘のとおりのような情勢を踏んで、暮れには、もうほんとうに建設業界としてはどうして年を越すかという、まことにきびしい事態に当面したことは、綿貫委員の御指摘のとおりでございます。  そこで、私も、就任いたしますと早々、技監を中心にいたしまして建設資材対策委員会というものを省内につくりました。と同時に、各地区の地域によっても非常に資材の足りない部面、地建ごとに資材の需給の実態、それから資材の価格の現実というものを調査報告させる措置をとりまして、本省としては物価上昇の影響をできるだけ建設業界がかぶらぬようにというような対策をやろうという指示を実はいたしたわけでございます。  それと同時に、セメントとかそういう問題につきましても、石油問題という、まあわれわれとしては初めて経験をするこの石油ショックをどうして切り抜けていくかということで、建設省といたしましても、通産省に対しまして、それぞれ資材ごとに便乗値上げというような点を最大限に防止する措置をとるように要請をいたしたわけでございますが、御指摘のとおりのような高騰をもたらしたことは、もう否定できない現実になったわけでございます。  そこで、十二月の初めに官房長通達を出しまして、いわゆるスライド条項と申しますか、この問題を発動しよう、そうしなければもうたいへんなことになるということで、官房長通達を出したわけでございます。この十二月初めに出しました官房長通達で、ある程度の対策はできたかなと思ったわけでありますが、ところが、年を越して一月になってみますと、その対策が案外効果をあらわしておらないということで、一月十四日に実は再度通達を出しまして、実態に合ったスライド条項の適用ができるようにというふうにいたしたわけであります。その当時になりますと、実は契約がなかなかできないというような事態も一面には出てまいりまして、たいへん心配いたしたわけですが、一月十四日の一応の通達によりまして、私ども心配いたしました契約拒否というような問題もだいぶおさまってまいりまして、ほっと一息ついたわけでございます。しかし、一面、公営住宅等につきましては、これまた、単価があまりにも低いために応札者がないというような現実も出てきましたために、四十八年中にも二度ほど単価是正をやったわけでありますけれども、さらに年を越してそういう点を公団のほうにもよく打ち合わせをいたしまして、とにかく、予算があっても家が建たないというようなことはもうできるだけ少なくしていきたい、できるだけ家の建つようにしなければならぬということで努力をいたしたわけでございます。  詳しい数字的なことにつきましては事務当局のほうから説明いたさせるわけでありますが、何と申しましても私の気持ちといたしましては、大きな業者はとにもかくにも相当なきびしい情勢も切り抜けることができると判断いたしたわけでありますが、中小企業者の方々が、実は公共事業の投資抑制という波と、それから物価の異常なる高騰という波をもろにかぶってきますので、このまじめに仕事をやっておる中小業界の方々が乗り切っていくことができるようにという気持ちで対処をいたしておる次第でございます。
  157. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 建築資材の高騰などによりまして、建設省の所管の公共事業につきましてもいろいろな影響を受けていることは、おっしゃるとおりでございます。  先ほど大臣からもお答え申し上げましたように、四十八年度予算は総需要抑制という予算の執行調整を行なう、繰り延べ等の措置を行なったということと、それから資材高騰によりまして、これも大臣から御説明申し上げましたように契約更改というものを行なっておるわけでございまして、いわゆるスライド条項の適用ということで、このために他事業からの事業費の流用とか、また工事内容を変更するというような措置によりまして、このスライド条項を適用するということにいたしておるわけでございます。そういうようなことからいたしまして、例年よりもいわゆる繰り越し額が非常に多くなるというような見通しになっている次第でございます。  四十八年度の繰り延べ措置につきましては、御承知のように九月末に閣議決定されまして、原則として八%、ただ下水道、公園だとか積寒地域におきましてはこれが四%、災害復旧等は適用がないわけでございます。そういうことで、平均して建設省は大体七%ぐらいの繰り延べということになった次第でございますが、十二月の総需要抑制の関係の閣議決定に伴いまして、さらに大規模な工事につきましての発注抑制というものを行なってきまして、そのために二、三%そういう措置でふえまして、合計しまして大体九%から一〇%ぐらいの繰り延べになっておるわけでございます。さらに例年並みのいわゆる繰り越し、及び先ほども申し上げましたようなスライド条項適用によりましての他事業よりの流用だとか、工事内容の変更に伴いましてのいろいろな措置によりまして、いわゆる工事そのものが工期がおくれるとか、そしてまた入札の不調だというようなこともございまして、繰り越し総額は、繰り延べを入れまして十数%、一〇%をこえるというふうに私ども考えておる次第でございます。例年、御承知の繰り延べは、普通の年では三%から四%ぐらいでございました。四十七年度は大体五、六%ということになっている次第でございますが、四十八年度は、これは最終的にはまだわかりませんけれども、一〇%をこえるものになろうというふうに考えている次第でございます。
  158. 綿貫民輔

    ○綿貫委員 ただいま大臣並びに官房長から、このスライド条項について力を入れていろいろと御説明になりましたが、これは工事請負契約書第二十一条第六項によるものだと思うわけでございます。この中に「インフレーション」ということばが使ってございます。今回の本条の適用はインフレーションを認めたことになるのかどうかという問題になると思うのですが、これについて大臣はどのようにお考えであるか、ちょっと伺っておきたいと思います。
  159. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 お尋ねの件は、御指摘のとおりいわゆる標準約款の二十一条第六項という条項の適用でございます。これには、「工期内にインフレーションその他の予期することのできない特別の事情により」ということで、そういう事情で賃金または物価に著しい変動を生じたということで、いわゆる事情変更の原則というものの条項でございます。私ども、インフレーションがどういう状態でどういうものであるとか、どういう場合がどうだということを断定するわけにいかないわけでございますが、この「特別の事情」によりまして賃金または物価に著しい変動を生じた、そういうことによって「請負代金額が著しく不適当となった」という解釈でこの条項の適用をいたした次第でございます。
  160. 綿貫民輔

    ○綿貫委員 ただいまの二十一条第六項の適用の中におきまして、労務費については、先ほど大臣が申されましたように四十八年十月に改定いたしておりますが、何%の上昇ということを見込んでおられるのか、また四十九年度予算においてどの程度の上昇を見込んでおられるのか、これについてお伺いいたしたいと思います。
  161. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 労務費につきましては、すでに御承知のように、公共事業関係の三省におきまして、実際の賃金台帳を調べて、昨年の秋に実態調査をやっております。その実態調査の結果に基づきまして設計単価となるべき基準というものが地域別にきまっておる次第でございまして、各県におきましてはそれを基準にいたしまして、まあ大体二〇%のアローアンスを持ちながら、実情に合わせながら設計単価にこれを繰り入れていくということになっている次第でございます。  この労務単価をどのぐらい上昇させたかということは、各県の状況によりまして単価というのはそれぞれ違うので、統一的な単価ではございません。したがって、一がいに、これが何%上がったとかいうことを申し上げるわけにはいかない状況でございます。秋に各県におきまして、二〇%のアローアンスの範囲内で、最初にきめました単価を上昇させまして変更いたしたという次第でございまして、これは、さっき申し上げましたように各県でみな違いますけれども、全国の平均で大体一三%ということになっておる次第でございます。  それから四十九年度につきましても、昨年の秋に三省でいたしました実態調査をもとにして四十九年度新単価をきめていくわけでございますが、その調査結果によりますと、約三〇%上昇いたしたという次第でございます。
  162. 綿貫民輔

    ○綿貫委員 人件費についてはただいま御説明をいただきましたが、この資材費の三%の足切りの考え方の根拠というのはどういうふうになっておるのか、また、この三%という数字についての変更があり得るのかどうか、こういう点についてお伺いをいたしておきたいと思います。
  163. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 ただいま足切りと申されましたけれども、四十八年度のスライド条項では、足切りという思想は実はないわけでございます。主要資材につきまして一定の条件が整えばその発動をいたしまして、その差額についてこれを見るという形になっておりまして、足切りという思想はないわけでございます。  それから、四十九年度におきましてどうするかということは、目下いろいろ検討をいたしておる次第でございます。
  164. 綿貫民輔

    ○綿貫委員 資材費については、諸経費を除く直接工事費に占めるウエートが二%以内のものが一〇%以上値上がりしたものについては、基準日十一月一日から工事代金の百分の三を超過する場合には越えた部分についてのめんどうを見る、こういうことになっておるのでございますが、これはいま申し上げた足切りとは関係ないのですか。
  165. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 これは先ほども申し上げましたように、四十八年度におきましては足切りとかそういう理論じゃなくて、主要資材について一定の条件が整った——整ったというとおかしいのですが、一定の条件を具備したそういう資材、大体主要資材になりますが、こういうものについて適用をいたした次第でございまして、いまおっしゃいました、ウエートが二%、それから基準日以降における実勢単価が設計単価と比較して一〇%以上上昇している建設資材について見たということでございまして、足切りという、そういう思想ではございません。
  166. 綿貫民輔

    ○綿貫委員 いろいろと先ほどから、この物価狂乱の中で建設関係の問題のとらえ方というのが非常にむずかしいということはよく理解できるわけでございますが、しかし、先日も災害対策特別委員会でも問題になっておりますように、福島県における八名の死亡事故、こういう個所が全国では三万四千七百カ所にものぼるといわれておるわけでございまして、どれ一つをとりましても、おくれていいというものは一つもないわけであります。  こういう中で、この物価問題をとらえながら進めていくという御苦労はわかるわけでございますが、この際、やはり長期、短期にわたるいろいろのお考え方があろうと思います。そういう点で長期的に、いままで長期計画というものを立てながら建設関係の予算を執行してまいられたわけでありますが、今後、この長期計画の見直しという面については、どういう御方針であるのかお伺いをいたしたい、こう思うわけであります。
  167. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 短期的には、この狂乱物価を短期決戦によって鎮静をせしめるということに最大の努力を傾注するという方策のもとに各種の政策を進めておりますことは、綿貫委員も御承知のところでございます。したがいまして、長期的にいまどうするかということは、実は私自身考えておらないわけでございます。たとえば道路七次の五カ年計画、あるいは治水の五カ年計画、あるいは下水処理の五カ年計画、住宅計画、公園計画等がそれぞれあるわけでございますので、とにかくその計画の年度内の事業すらなかなか達成が容易じゃないという現段階でありますので、この物価鎮静を見た上で、どういうふうにするかということは考えていかなければならぬ、こう思っておる次第でございます。
  168. 綿貫民輔

    ○綿貫委員 たいへん御苦労されておるということは十分理解できるわけでございまして、インフレを静めるということが先決だと思いますけれども、なお長期的な問題についての的確な御判断を切に要望いたしたいと思います。  そこで、短期的な問題についてでございますが、これにつきましては、先ほどから大臣からも中小建設業者に対するいろいろの思いやりの御発言もございましたが、昨日も、北陸の金沢市では大工さんが、仕事がないということで自殺をしたというニュースも一伝わっておる昨今でございます。そういう中で、中小建設業に対する優先発注ということは、先日ここで参考人をお呼びして意見を伺ったときにも、一億円以下の工事については大企業は遠慮してもらいたいという発言もあったのでございます。まあその線引きということは非常にむずかしいと思いますけれども、この中小建設業に対して、こういう不況期における優先発注、あるいはこういう総需要抑制という中において早期発注というのは、一見矛盾するようでございますけれども、一部そういう考え方で臨んでいかれる考えがおありであるかどうか、これについてお伺いをいたしたいと思います。
  169. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 金沢でああいう事態になったという記事を私もけさ読みまして、実は身の切られるような感じを持ったわけでございます。しかも、なおかつ先般、石油の価格を上昇させたわけでございます。これらを考え合わせますと、よほど腰を据えてやってまいりませんと、四月−六月という月が私は非常に心配なわけでございます。  そこで、実はもう二月の初めごろから、とにかく国会で予算審議が終了して四十九年度の予算を成立さしていただくことができたら、もう次の日でも契約書に判を押せるような準備はできないのか、私はしろうとで、そういう点は行政的にどのようにすればいいのか詳しくは知っておりませんけれども、そういう気持ちを事務当局に二月の初めに実は申し渡しまして、そうして各県に対する補助事業等も、国会で予算を承認をしていだだけたら直ちにもう連絡して、そういういわゆる四十九年度の予算実施というような面にあまり時間を費やして、その間に持ちこたえられなくて倒産したというようなことのないようにひとつ努力してほしいということで、直轄事業につきましては、各地建でそのような準備も実はさせておる次第でございます。それと同時に、やはり大手が小さい仕事までさらってしまうというような情勢というのは、私も実は福島におりまして、福島で政治生活をしておりますと、苦々しく思ったケースも何回か経験いたしておるわけであります。したがいまして、建設大臣に就任いたしましてからも、大手があまり地方の小さなものまで手を出すなということを機会あるごとに実は申してきておる次第でございまして、それと同時に、まあたとえば一億の仕事でありましたならば、これは分割発注ということは好ましくないかもしれませんけれども、こういう異常の状態でもございますので、そういう点技術的に十分考慮をした上で一億を二つなり三つの工区に分けて、一人でも多くの中小業者の方々が仕事を持てるように心を配って処置をしなさい、こういう指導を実はいたしておるわけでございまます。ところが、総需要抑制という一方には大きな使命がございますので、これもいま大蔵とできるだけ、中小企業関係事業量というものは少なくとも昨年並みの範囲くらいは第一・四半期にはやれるようにということを、実は強く要請をいたしておる次第でございます。
  170. 綿貫民輔

    ○綿貫委員 ただいま大臣から、たいへん思いやりのあるあたたかい御発言をいただいたわけでございますが、きょうは大蔵省からもどなたかお見えになっておると思いますが、大蔵省のこれに対するお考えを承っておきたいと思います。
  171. 高木壽夫

    ○高木説明員 四十九年度の予算執行の問題につきましては、現下の経済情勢からいたしまして、たいへん残念ではございますけれども、やはり総需要抑制の一環といたしまして、公共事業の執行につきましても抑制という線をしばらくは続けてまいらなければならないというふうに考えております。ただ、そのやり方なりどの程度にやるかということにつきましては目下作業中でございまして、これからの問題でございますが、その中におきまして、先生の御指摘の中小建設業者に対しましてどう配慮できるかということにつきましては、できます限りそういった配慮を加えてまいらなければならない、かように私ども考えておるところでございます。
  172. 綿貫民輔

    ○綿貫委員 すべて国の行政を行なうためには、やはり大筋の原則、あるいは押し通す政策というものがあるわけでありますけれども、その中でいろいろのケースを考えながら、またタイミングを考えながら政策を一部弾力的に運用するということが今日ほど要請されておる時代はないと思います。そういう点で、ただいま大蔵省から何かかたい返事が返ってきたようでありますが、もう一つ、それでは短期的な問題としてお尋ねをいたしたいと思います。  今日、全国的に過疎対策ということが非常に強く叫ばれておるわけであります。この過疎という問題は、道路がよくなれば過疎はあり得ないという実証がもういろいろ各地で示されておるわけでありまして、この過疎地帯における国道や県道というものは即生活道路というふうにも考えていいと思うわけであります。そういう意味で、この先ほどからの八%の繰り延べやら、あるいは今年度の発注の繰り延べという方向の中で、生活圏道路というものについては特別の考え方が必要ではないかと私は思うわけでありますけれども、これについて、ひとつ建設省あるいは大蔵省のお考えを承っておきたいと思います。
  173. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 もう綿貫委員の御指摘のとおりでございます。総需要抑制というきびしい情勢の中においても、やはり生活関連の公共事業というものはできるだけ整備をはからなければならない。生活関連と公害、災害防除、交通安全といったような面については、どうしてもこれは計画どおりの進捗度で進めたいというのが建設省の実は心からなる希望でありまして、予算編成の際にもそういう点で努力をいたしたつもりでございます。幸い大蔵省のほうにおいても、そういう点についてはある程度の理解を示してくれまして、特に市町村道の関係は前年よりも一八%ふえておる、さらに過疎地域の市町村道の事業につきましては二〇%増。さらには特別豪雪対策道路関係の予算につきましても、これは相当増額をしておる。それから過疎地域の対策のための道路経費は、これも増額をしておる。高速道路とか道路予算一般は前年よりも実はマイナスになっておるわけでございまして、そういうきびしい中においても、いま申し上げたような生活関連の事業というものについては、道路で一例を申し上げたわけでありますが、そのような措置を講じた次第でございます。
  174. 綿貫民輔

    ○綿貫委員 大蔵省……。
  175. 高木壽夫

    ○高木説明員 道路関係の予算全般が縮小されました中で、ただいま先生の御指摘のございましたような国民生活に特に関連の深い生活道路といったような範畴のものにつきましては、むしろ四十九年度の予算が前年に対しましてそれぞれかなり伸びておるという状況にあるということで御理解をちょうだいいたしたいと思う次第でございます。
  176. 綿貫民輔

    ○綿貫委員 これは政治的な問題だと思いますので、あまり事務的な答弁をしてもらっても困るから、これはこの辺にいたしておきますけれども、ひとつ大蔵省も、生活関連に対する特別な配慮ということをぜひ考えてもらいたい、こう思います。  次に、昨年の本会議におきまして、決算委員会関係でいろいろ私が代表質問をいたし、本年は唐沢君がやったわけでございますけれども、その中で住宅問題について取り上げておるわけであります。一世帯一住宅という夢を掲げながら進めてまいりましたこの政策に、いろいろとかげりが出ておるということは御存じのとおりであります。特に最近の、大都市におきまして計画いたしましたものが、計画戸数はもちろんのこと、いろいろと障害やその他のためにも進捗がはかばかしくないという実態があらわれておるわけであります。しかも予算の繰り越しというようなことで、これが次々に持ち越されておる。こういうことはやはり、羊頭狗肉とまでは申しませんけれども、いろいろ期待を持たせながらその実態がこれに伴っていかないということは、やはり行政上の大きな問題だと思います。こういう問題について積極的にこれを推進するためには、何か別の面からの解明あるいは方法があるんじゃないかということもいわれておるわけでありますが、ひとつ意欲満々の亀岡建設大臣に、この点について御意見を伺っておきたいと思います。
  177. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 住宅問題につきましては、御指摘のとおり勤労者、特に三大都市圏に働いておられる方々の、ほんとうに心からなる願望であるということは、もう統計上の数字から見ましても、これはもうはっきりした事実でございます。そこで私どもといたしましても、住宅公団を督励をいたしまして、できるだけ三大都市圏における公営住宅、宅地造成等を指導してきておるわけでございますけれども、その手法においていままで十分あったかどうかという点になりますと、これは反省せざるを得ない点がやはりあった、こう私自身は考えるわけであります。したがいまして、昭和四十七年東京都、大阪等におきましては、たとえば一例を公営住宅で申し上げますと、建設省から一万九千戸の予算措置を実は東京都のほうにお願いした、ところが現実に四千戸程度しか建っておらない、そうして一万五千戸は返上、これはもう東京都だけを責めなければならぬのかという感じも実は私、大臣に就任して、持っておったわけですが、いろいろ検討してみますとそうではなくて、やはりわれわれ政府としてやるべきことをやってない点が幾つ指摘されるわけでございます。  一例を申し上げますと、団地をつくるということになりますと、そこにどうしても人口増を伴いますために小学校が必要になってくる、中学校も必要になってくる、あるいは高校も必要になってくる。同時に幼稚園あるいは公民館、そういういわゆる公共施設というものが必要になるわけでございます。ところが、そういう面に対する土地の配慮は、もう自治体にまかせっぱなしという感じがあったわけでございます。住宅公団でも多少立てかえ工事というようなことはやっておりました。また、ある場合においては業者に無理やり寄付をさせるというような手法も、実は長年の間の慣習みたいになってやられてきておるわけであります。そういう点を是正をしていかなければ、幾ら予算措置をとり、住宅公団を督励いたしましても、なかなか思うとおりの宅地もできなければ、住宅も建たない、こういうふうに感じまして、実は新たな宅地開発公団の考え方を取り入れまして今国会に御提案を申し上げておる、こういう運びにいたしたわけであります。  これによりますと、たとえば一例を申し上げますと、二千ヘクタールなら二千ヘクタールの土地開発をする。そこに宅地あるいは下水、道路、そういう公共施設、そういうものをしっかり完備をいたしまして、これをある程度、十年間なら十年間その自治体に無償で引き継ぐ。そうしてその間の超過負担分は公団のほうで見ていくというような措置も、実はその公団法の中に考えておるわけでございます。  とにかく、公営住宅が建たないという一つには、土地問題がなかなか解決しないということと、土地が非常に上昇いたしますために家賃にこれがはね返ってくるわけであります。そうしますと、せっかく建てても、もう三万円以上の家賃になってしまう。こういうふうになりますと、なかなか三万円の家賃を払ってという方々——ほんとうに住宅に入りたいという方々が入れないという問題にもなってまいりますために、なかなか公営住宅の建設が意のように進んでおらないということは、御指摘のとおりでございます。そこで、先ほどから申し上げておりますとおり、とにかく住宅公団が、住宅を建てるのに精一ぱいで宅地の開発にまでなかなか手が届かぬ、ここに一つの大きな手法の盲点があったというふうに考えまして、公団を新たに設置をいたしまして宅地を積極的に大規模に開発をして、しかも自治体が超過負担で非常に苦しんでおった、それを排除するという方法をとりまして、この住宅政策に対処していきたい、このように考えた次第でございます。
  178. 綿貫民輔

    ○綿貫委員 公共投資に対するいろいろの要望は、各地方へ行きましても、相も変わらず非常に旺盛でございます。その中で、冒頭から申し上げておりますように、物価騰貴の中でこれをどういうふうに進めていくかということは、非常に難問題でございます。おそらく、今日までのこういう建設行政の中でいまが一番重要であり、しかも至難なときだと思いますけれども、そういう点も十分とらえながら、国民の中にこの行政がひとつ喜ばれるように、定着していくように実行していただくように、きょうは特に物価騰貴の問題を中心にしてのお考えを聞くなり、あるいはその御決意を聞くために御質問を申し上げたわけでありまして、大臣の今後の御健闘を切望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
  179. 臼井莊一

    臼井委員長 この際、関連質問の申し出がありますので、これを許します。松岡松平君。
  180. 松岡松平

    ○松岡委員 建設大臣にお伺いしたいのですけれども、ただいま綿貫委員に対する大臣の御答弁もお伺いしまして、住宅地の開発について非常に熱意を持っておられることを拝聴いたしました。まことに同感であります。  これに関連しまして私お伺いしたいのは、何年前でしたか建設省が中心になって、各地方都市周辺にも線引き土地というものがありますが、線を引かれたままほったらかしなんです。これはかなり問題だと思うのです。これは、六万坪以上のものに対しては計画によって開放するという趣旨にたてまえができているようでありますが、なかなかこれが進捗しません。むろん、これを乱発して地価を暴騰せしめるようなことは強く抑制しなければならぬことではありますが、適切な対策を立て、適切な価格で国民の住宅希望をかなえるような計画に対しては、建設省はいまどういうお考えをお持ちになっているのか、ひとつお伺いしたいと思います。
  181. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 お答えいたします。  先生承知のとおり、この線引き法は五年ごとに見直しをする、そのつどその地域の住民の意向を中心にして見直すという立法措置になっておる次第でございます。したがいまして、建設省といたしましては、優良農地を守り、また適切なる地方都市の整備をするというような立場から、非常な御苦労を願ってこの線引きというものをいたしたわけでございます。したがいまして、法律の再検討の時期が来る前に線引きを比較的弾力的にし直すというようなことは、建設大臣としてはやりたくないというのが実は本心でございます。しかし、ほんとうに住宅難のおりから、宅地開発をあるいは県なり都なり、そういう公共団体が中心になってお進めになられるというような面につきましては、これは考慮をしてもいいのではないかなという気分も少しは持っておる、こういうところでございまして、事務的には事務当局のほうからお答えさせたいと思います。
  182. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 ただいま御指摘のありました線引きを中心とする都市計画の見直しにつきましては、ただいま大臣から答弁いたしたとおり、特に三大都市圏あるいは地方の新産都市とか地方の中枢都市等におきましては、都市の様態というものは生きものでございまして動くものでございますから、非常な与件の変更というものが当然あるわけでございます。そのような与件の変更に適確にこたえるということは行政の必要な姿勢だと考えますので、線引きの見直しを含めまして、五年ごとには見直せという法律の規定はございますけれども、そういった急に与件が変わるとかいうようなことに対処いたしますためには、五年を待たずして線引きその他の都市計画の変更を適確にすべきだというような姿勢でおるわけでございます。  いわゆる微調整という問題につきましてはそういう姿勢でございますが、さらにもう一つ、調整地域の中にあります開発の許可ということにつきまして、ただいま二十ヘクタール以上のものにつきましては原則としてこれを許可し得るという規定がございます。そのほかのいろいろ調整地域につきましても開発を認める規定がございますけれども、なお十号のロ号というので、いろいろな市街化の促進にならないとか、あるいは市街化区域の中に立地することは困難であるというような条件が認められます場合には許可し得るという規定がございますが、この運用につきまして、地方によりましていろいろな条件が違いますので、これはよくわれわれも地方庁と協議いたしておりますが、そういう開発許可の運用の問題とそれから線引きの見直しの問題という問題は、特に住宅対策を必要とするような人口の集中の著しいようなところにつきましては、われわれはそのような姿勢でいくべきだと考えておる次第でございます。
  183. 松岡松平

    ○松岡委員 いままでの大臣並びに政府委員の御答弁でよくわかりましたが、その中で、地方公共団体とかあるいは公社関係の行なうものについてはかなり優先的なお考えなんですけれども、地方自治体あたりと協力して民間会社が行なうこともまた、これは大いに考慮をしていただかなければならぬ。むろん指導のもとに行なわれることであって、かって無手勝な開発をされて、暴利でこれを売りまくられるというような現象は、強くこれは戒めなければならぬことであり、抑制しなければならぬことだと思いますけれども、とかく民間の事業家は千編一律に、いままでの行跡が悪い点もありますが、民間が開発の主体になるということは、私は必ずしも悪いことじゃないと思う。むろん、その地方自治体との協力のもとに行なうならば、これは大いに私は認めていいんじゃないか。これは当局におかれても、積極的に前向きにそういう計画をよく聞いてやっていただいて、十分の指導で住宅の、国民の要求に対して急いでこれをやはり適用してやらなければならぬものだと思うのです。先ほど大臣からも言われたのですが、それはなかなか、三万円以上の家賃になりますと容易じゃありません。係長、課長級でも頭が痛むのです。私もいつもそれを考えるのですが、一体四万だ、五万だというところへだれが入れるのか、幾ら月給取ればいいのかと、こう考えてみますと、実に心寒々とする思いがいたします。その意味において、やはり地方でもかなり安く入手できる土地がある、これを開発すればりっぱな住宅地になります。そういうわけですが、このいわゆる線引きの線に触れてくると意欲が一ぺんにぱたんとくるのですよ。だから、少なくとも六万坪以上の規定のある範囲の計画に対しては前向きでひとつ御検討願えますかどうか、ちょっとお伺いしたいと思います。大臣でなくてけっこうです。どうぞ。
  184. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 先ほど申し上げましたように、調整地域、市街化区域という線引きをいたしますところは、人口十万以上の都市を主として対象としておりますけれども、要するに計画的に都市化を段階的にはかっていこうというところでございまして、調整地域というのはしばらく待っていてもらう。十年間に大急ぎでやらなければいけない、公共施設も整っていない、そういうわが国の都市の実態からいたしまして、やはり地方公共団体の負担も伴うことですし、市街化区域のほうから順次計画的にやっていこう、こういう思想でつくられた都市計画法の精神から申しまして、調整区域の中にそうどんどんと開発が進むということは、かえって計画的な市街化をそこなうであろうというこの基本的な姿勢をくずすことはできないと思いますけれども、先ほど申しましたように、二十ヘクタール以上というような、やるならばまとまった形で、地方公共団体と連絡をとりながら、そういう形でスプロールでない良好な宅地を、公共の迷惑にならないようによく設計その他を協議しながらやる、こういった場合には認められ得るという規定があるのでございまして、この運用につきましては地方公共団体等にも、そういうスプロールを助長しない計画的な開発を指向するものであるならば、これを許可し得るという姿勢で指導しておるところであります。
  185. 松岡松平

    ○松岡委員 今後線引きというものの見直しについて特にお願いしておきたいことなんですが、現実に例があるんで、私は自分のことについて語ることはあまり好まないんですけれども、道路を一つはさんでこっち側を市街化区域にして、こっち側を線引きされる。そうするとたいへんな不利益をこうむるわけですね。それが結局、当然両方とも入るべきものなんだが、どういうことかそういうへんぱなことが行なわれているんです。私のほうは一昨年、私も政治家のはしくれですから、地方公共団体に線引き地を譲り渡しました。もう、価格としては問題にならないくらいな価格ですけれども。しかし片一方、残っている市街化地域というのは五倍も値段が違うんですよ、相場は。こういうことのないように、ひとつ今後も公平化の原則で——どうせ線引きするなら全部を線引きすればいいのに、片一方は道路を隔てて市街地として認める、片一方は線引きしてしまう。何十万坪という土地ですから。私は政治家ですから文句言いません。自分の財産なんというものは、そんなものは問題にしておりませんけれども、考えてみると、そういうことで嘆いている人はずいぶんあるんですよ。ところが、線引きをする地方自治体の人たちというのは、かなりじっくりと考えてやっているわけじゃないんで、わいわいと、こう線を引いちゃうんですよ、寄ってたかって。引かれなかった者はたいへん利得をする、引かれた者はたいへん不利益をこうむっている、こういうところがだいぶあるんです、現に。ですから、今後もこの点についてはよほど大所高所から、建設自体がもう少し踏み込んで、御調査を願いたいと思うのです。線引きしなくてもいいところを線引きしてある、線引きすべきところを線引きしなかったり、こういう不公平は、はっきり言いますと、かえって土地の価格の不均衡なる騰貴を来たす、こう私は思うのです。なるべく公平に処理せられることを私は特に御希望申し上げまして、質問を終わります。御答弁ありがとうございました。
  186. 臼井莊一

    臼井委員長 次は、原茂君。
  187. 原茂

    ○原(茂)委員 きょうは、前回当委員会参考人を呼びましていろいろその意見を聞いた結果、やはりどうも、国の立場で考えなきゃいけないことがたくさんあるなということを痛感しましたので、それに関係するものを数点、それから住宅問題に対する基本的な今後の方針、それからもう一件、専門調査員というのが、専門委員ですか、建設省に置かれています問題、この三つに関して端的にお伺いをしてまいりたいと思います。  第一にお伺いしたい問題は、いまもお話のありましたように、五千万円から一億円という程度の工事はぜひ大企業に遠慮をしてもらって、これは中小建設業に仕事が来るようにしてもらいたいという非常に強い意向があったわけなんですが、それを見るために、この間、資料をお出しいただいたわけです。これは計画局の資料ですが、従来、三十八年度から今日に至るまでの統計を、工事の件数、それをまた今度はパーセンテージであらわす、そういう資料をちょうだいしましたから、たぶん御存じだろうと思うのですが、これを見るのと、もう一つ、日本建設業団体連合会というのから、建設業の損益計算を百分比で出してもらったのがございます。  この両方を比較してみますと、まず第一に、建設省のお出しになりました資料を見ても、建設省の方針で一億未満の工事を中小建設業に出していくように努力をしていますという御返事があったのですが、別にそのあとはあまり数字に見られないですね。見られない。今日になりますと、いまも話のありましたような総需要抑制という名目で、非常に公共投資を中心にした繰り延べだの手控えだのが行なわれるほかに、資材等の値上がりを通じて施工が困難になっているというような問題まであるわけですが、そういうしわが中小建設業にもろに行ってしまう危険が現実にいま起きているわけですね。こういうことを見ますと、やはり建設省として、ただ口先だけで、やる方針でございます、従来もその方針で指導をしてまいりましたと言うのが、数字には顕著にあらわれていない。こういうことを見ますと、口ではおっしゃるのですが、どうも具体的にこの種の問題の指導性が建設省には確立されていない。具体的に、どうして言ったとおりに実現できるかをきちっとお持ちにならなければいけないと思うのですが、反省をされていると思うのですが、現在まで努力はしたが、こうこういう理由でだめだったということになり、今後はこういう具体的な方針を実行に移して、確実に目標として、どの程度までは一億未満の工事が中小建設業に行くようにするというような方針を大臣からお伺いしたい。
  188. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 もう御指摘のとおりで、私も、気持ちとしては原先生と全く同感でございます。  そこで、私、いろいろ考えてみるわけでありますけれども、やはり役所の諸君というのは、ある程度責任を持って、自分の国家公務員としての責任でぴたりときめるという態度を持ってほしいということを私、就任早々、実は建設省の職員諸君に申したわけでございます。やはり地方の業者だと心配だ、これはもしものことがあったら自分の地位に関するのではないかといったような気持ちが、実は地方業者をなかなか指名にも入れないのじゃないかな、これは実は議員として十年間、あちこち話を聞いて歩き、見て歩いた私としての感じなんでありますが、そういうことのないように、責任は全部おれが持つから、とにかくその地元の人のしあわせのためにその工事が行なわれるのであるから、なるべくその地方に信望の厚い人に工事をしてもらったほうが愛情が入るのだというようなことも実は申しまして、地元優先という形でひとつ指導をしていきなさいということを、実は地建の局長会議でもざっくばらんに申したわけであります。その結果が、四十九年度の予算執行にあたってどの程度あらわれてまいりますか、そういう気持ちで今後も、国会を終わりましたら、各地方を歩きまして指導してまいりたい、このような気持ちでおりますと同時に、やはり五つのランクに建設省でもいろいろ分けておるようでございます。しかし、あのランクづけを行なってからもう相当年月もたっておると思います。まあざっくばらんに申し上げまして、きょう原委員のほうから御質問があるということで、私もいろいろ勉強したわけでございます。何か先生の前で、こうしますということはないかということを、まあざっくばらんに言うたわけでございますが、先ほど申しましたように、前のランクの金額をきめてからもう相当年数がたっている、だからこれはもう再検討せざるを得ない時期になっています、こういうことでございましたので、その点もさっそくよく検討して新しい結論を出しなさい、こういうふうに指導をいたした次第でございます。
  189. 原茂

    ○原(茂)委員 前回、参考人においでいただいたときにも、相当はっきりと具体的にやってきたという話があったのですが、いま大臣おっしゃるように、どうも隔靴掻痒の感がある。大至急にやはりそういう一つの方針をぴちっと具体化していくような——よく最近行なわれます行政指導ですか、石油問題を中心にして価格を安定せしめようというような、ああいう問題における行政指導ばかりじゃなくて、通産省にまかせないで、建設省だって、こういう点における行政指導というのが当然必要になると思うのです。もう少ししっかりした方針を確立して、これが実施に移せるように、大至急にしておいていただきたいと思うんですね。それにも関連して、いま申し上げましたように、建設業団体連合会に出してもらいました表を見ますと、下請に出しているものが率で四割一分六厘あるんですね。約五割弱あるわけです。この建設業が下請に注文を出している部類というのは、実情を見ますと、私は、もっと違った意味で多くなると思うのです。しかし、団体連合会ではこうした数字を出してきました。こういうのを見ても、一番痛感しますのは、やはり建設省がある程度の指導をして、下請に出すときの価格についても相当の材料を用意して指導すべきだろうと思うのですが、こういうお考えはありませんか。現在までは、もう流通過程のそこまでは手をつけられないのだ、また自由主義経済のもとでは、というような言いわけも聞いてきました。しかし、現段階のような総需要抑制などを通じて、特に中小企業の打撃が非常に大きいことがもうすでに現実にあらわれているし、たいへんな被害が予想されようとするときには、社会問題としても思い切ってこれに介入をして、親企業と下請企業との間のこの種の価格問題にまで指導すべきではないかと思うのですが、そういう意味でお聞きしているのです。
  190. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 建設省の、三十数万の建設業者のいわゆる振興に関する行政指導という面につきましては、御指摘いただいたように、やはりもっと積極的にあらねばならないという基本姿勢については私も十分理解いたしまして、特に下請との関係において、下請をした中小業界の諸君がもうほんとうにどうにもならないというようなことであっては、その仕事が十分国民のためにならないというようなことがもしあったとすれば、これはたいへんなことになりますので、そういう点についての私の気持ちといたしましては、実は事務当局に対しましても、商社等が公共の仕事にまで手を出してきているという現実、そういう面は、特に御指摘になったような線で私ども心配するわけでございまして、まるまる下請をすると、その下請をした人がまたまるまる下請をするというようなことで、ほんとうに仕事をやる方は血の出るような患いで仕事に取り組まなければならないということは、これは今後許される問題ではないんじゃないかという感じを持っておるわけであります。ただ、私、そういう面についての専門的な知識を持っておりませんので、実はそういう面を事務当局に対して、商社が公共事業等に指名権だけとって、工事だけとって、下請にまるまる出すというようなことは絶対にしてはいかぬ、させてはいかぬ、こういうことも実は指示をいたしてきておるわけでございまして、今後も業界の指導という問題につきましては、もっと積極的に展開をしていかなければならぬと感じておる次第でございます。
  191. 原茂

    ○原(茂)委員 これはたとえば、いまも大臣がおっしゃったように、指名だけとってきてまるまる下請に出してしまう。ごっそりもうけているんだから当然なのかもしれませんが、現にそのことが幾段階も行なわれているわけですよ。これがわが国の建設事業価格をいたずらに騰貴させてみたり、不必要な流通経路の何かが介在するような結果になっているわけですね。私は、先ほどから言っている趣旨からいっても、こういう問題一つとらえても、やはりそういう精神指導ばかりでなくて、具体的な、受注者に対して下請に出すときの条件ですね、下請に出す条件というようなものを、一つのコードではありませんけれどもきちっとつくって、それを守らない限り自今の契約はしないというくらいな強い姿勢で、ある程度そこまで介入していかないと、幾ら百年待ってもなかなかに改善されないんじゃないか。たいへんな、ぐうっと長い間の歴史もありますし仕組みがありまして、にわかには変革できないと思うのです。大臣の大英断でそれをやっていただいたら、ずいぶん変わってくるだろうと思うのです。やはり下請に出すときの条件というものが、指名をされ、入札を落としたときの契約時においてぴしっとそこに書き込まれる、誓約をさせるというようなことをさせようと思いませんか。それをやればずいぶん違うのですよね。
  192. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、公共事業は国民の福祉増進のために行なわれるものでございまするから、やはりその仕事を実際に担当するものが、もうほんとうに計画されたすれすれの工事しかできない、あるいはそれ以下の工事しかできないというような、会計検査院なんかでもたまに指摘を受けておるのを、私も十数年の議員生活の中で承知もいたしているわけでございます。ところが、私、何しろそういう方面の勉強をまだ十分積んでおりません。いま御指摘をいただいたような前向きの姿勢で——国会で、下請の支払いについての防止法という法律もできておるわけでございます。ああいう法律の精神もあることでございますので、前向きで検討をさせていただきます。
  193. 原茂

    ○原(茂)委員 くどいようですが、もう一言だけ言っておきますが、私の言うのは、契約をされるときの契約条項の中に、下請に出すときの条件はこれだ、そういう一つのワクを契約時にぴしっと一項差しはさんで、ワクをきめていく、下請に出すときの条件をきめる、このことをすべてやるとたいへんな進歩になると思うのですよ。そういうことをもう一度ひとつ、それだけでいいですから。
  194. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 建設業は専門的ないろいろな工事の組み合わせによってやっておる工事でございまして、下請、これはいろいろな問題がございますけれども、現在のところ、下請を元請が使う、そういうような形態はある程度やむを得ないと私ども考えておる次第でございます。しかしながら、その下請業者についての保護、これはもうおっしゃるとおり、大きな問題として私どもも取り上げなければいけないと考えている次第でございます。御承知のように建設業法が昭和四十六年に改正になりまして、国会を通過させていただいたわけでございます。この際にもこれは非常に大きな問題でございまして、下請保護がこの改正の一つの大きな眼目でございました。先生のおっしゃる代金の問題、非常に不当に安い代金で契約するということは、法の中で、不当に低い請負代金の禁止という項目が実はあるわけでございます。そうしてまた下請代金の支払いの期日も、特定建設業という制度を設けまして、御承知のように、下請を一千万円以上使うものについては特定建設業という特別にいろいろな義務を加重する、そういう条件を備えておるものからこれは許可するわけでございます。そういう特定建設業につきましては、下請に対して代金の支払いも特に厳重に制限をいたしておる次第でございます。同時に、特定建設業につきましては下請を十分に指導する義務も法定いたしましたし、また下請が賃金不払いというようなそういう事故を起こしました場合におきましては、特定建設業者が立てかえて支払うというように建設大臣から勧告するという制度も設けられておる次第でございます。そういうようないろいろな意味におきまして特定建設業者、下請を使う業者というものが下請のいろいろなことにつきましても責任を持つというような制度、仕組みというものを、建設業法の大改正の際に内容といたした次第でございます。  先生最初におっしゃっておりました一括下請というようなもの、元請が受けてこれをそのまま下に、いわゆる全部そのまま下請させるというようなものにつきましては、これは従前から建設業法におきまして、一括下請の禁止というような制度があるわけでございます。したがいまして、そういうようなことがありましたり、また不当に安い代金で契約しているということは法で禁止されていることでございますので、そういうことにつきましての十分監督、指導も行なってまいりたいというように考えておる次第でございまして、大臣から前向きな御答弁を申し上げましたので、私ども、大臣の指示に従いまして、なお下請の保護につきまして十分に検討してまいりたいと考えておる次第でございます。
  195. 原茂

    ○原(茂)委員 私のいま重点的に言っているのは、一括というものですね、実際には一括になっていない。しかし契約を土台の部分、構造の部分、内装の部分というように分けまして、実際には部分的にそっくりいくんです。全体が一括してそっくりいくなんということはあまりないんですよ。何ら自分で手を加えないで、部分的にその工事を三つなり四つに分けまして、四つがそっくりいくわけですよ。合わしてみると、一括して全部やったのと同じ結果になるんですね。せめてそういうところから手をつけていったらどうだろうか、こういう提案です。ですから、その場合に、価格の問題に関しても——いまお話が高橋さんからありました。それも承知していますし、そのとおりまた実行されていない部分もあります。なかなかに逃げ道があるわけです。しかし、せめて一括というものがいけないという前提に立って、しかもこま切れにして合わせてみれば一括やったと同じになるようなときには、具体的にそれに対する価格を——どう考えたって、管理価格が幾ら幾らというのはもう計算で出てくるわけですから、企業の態様によって違うなんということはないのですから。したがって、その場合には、やはり下請に対する価格はこの範囲というようなことが示されたら、たいへんこの業界に一つの新風を吹き込むと思うのですが、その一つだけでもとりあえず橋頭塗をつくってもらったらどうか、こう思っているのですが、もう一ぺん……。
  196. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 そういう意味におきまして、実は建設省におきましても建物関係、電設関係でありますとかあるいは内装でありますとか、そういう別々に直接指名入札をさせるという制度なんかも取り入れて、いま御指摘のあったような線の防止策にも実は当たっておるわけでございますが、やはりいま御指摘いただいた点、私もそのような感じを持つわけでございますので、先ほどもお答え申し上げましたように前向きの姿勢で研究をさせて、取り組ませていただきたいと思う次第でございます。
  197. 原茂

    ○原(茂)委員 次に、やはりこれもこの間、参考人が来たときの第二の問題点として、建設資材の主要資材について、しろうとなりにいろいろ調べてみますと、実に流通経路が複雑なんですね。この流通経路というものに対して、主要資材に関してはやはり何がしか、政府の力の入った公団あるいはその他の政府関係機関が現にあるように、流通機構を整えながら、今日の段階のように建設問題が重要になってきたら、流通機関というものを公団的な何かを置くと、ずいぶん違ってくると思うのですね。よく最近、日用品などを正当な値段で売るように指導しようというので、生活何とか局というのか、何局でしたかね、マーケットをつくりましたよね。全国にだいぶつくりました。ここで価格の指導をしていこうというのでやった。同じようなことが、あれと全く同じでいいかどうか私わからないのですが、やはり流通機関の指導的な役割りを果たすものを、あの生活局がやったと同じような、市場をつくったと同じような構想が、この建設資材の主要資材に関するマーケットみたいなものが、政府の非常に大きな力を入れた運営のなされるような機関、こういうものができてくると、この間の参考人のいろいろな話を聞いたり、いろんな矛盾を私自身が知ったりしたときに、どうもそれを一ぺんにいきなり根本的に変えようとしても無理だから、ああいう形をひとつ一ぺんここへ突っ込んだらいいじゃないかなという感じがしているのですが、どうでしょうか。
  198. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 実は私も建設にはしろうとで、大臣を拝命しまして勉強させていただいているわけでございますが、先ほど、業界の振興策についての建設省の指導的役割りと同時に、資材、労務関係に対する機構の面というものが、御指摘いただいたように、ほんとうに十分じゃないということを感じたわけでございます。  先ほど申し上げましたように、技監を中心にいたしまして資材対策の委員会を設置をした、同時に各地建に四十九年度において資材労務班長といいますか係長と申しますか、そういう行政上のポストをやっとつくったというような段階でございまして、確かにこれだけの情勢の中で膨大な建設資材の円滑なる需給のバランスをとった流通体制をつくっていかなければなりませんし、そういう意味におきましても、御指摘いただいたような綿で何かがほしいという感じを、実は私自身も持っておるわけでございますが、これはもう少し研究をさせて、まあ昭和五十年度の問題としてひとつ検討をさしていただきたいと考えるわけでございます。
  199. 原茂

    ○原(茂)委員 大臣がそう言ったら、初めての約束ですから、きっと検討して前向きに何か答えが出るのだろうと思うのですが、従来はなかなか出てこないんですね。従来、もうずいぶん長い間いろいろものを言っていますが、これがしり切れトンボで、ほとんど出てこない。大臣がかわった、何があったというようなことが理由かもしれませんけれども、なかなかにそうした的確な回答というものが、委員会でこういう論議をされたそのことが検討された結果、ここに欠陥があるからそれはだめだった、あるいは今度はやれるようになったといったような、きちっと締めくくりをつける習慣を、亀岡さんで一ぺんつくってくれませんかね。いつも、こっちが忘れればそのままになっちやうんですね。必ずしも的確な答弁が出てこないのですよ。ほんとうに検討したなら、専門的にえらい人が一ぱいいるのですから、この種の問題は半年もあれば答えが出るだろうと思うのです。ですから大臣、ひとつ新しい国会風ですか作風をつくるためにも、こういう問題をほんとうに討議した結果がわれわれのところへ正式に回答が来るように、ひとつお願いをしたいと思うのです。
  200. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 先ほどもちょっと触れましたが、実は、ことしの正月からやれと言うて始めさせたわけでございますが、地建ごとに建築主要資材、これの需給の動向、価格の動向、そういうものを一月からずっと連続的に調査をさしておるわけでございます。これが非常に各地建で、いろいろ計画をします際にも、また業者の指導をする際にも、有意義な役割りを果たしておるわけでございます。  これからやはり物価問題が、何といっても国民生活を安定さしていく基本問題であることには変わりございませんので、特に私、感じますことは、生産は通産省に要請をするという立場でありますために、なかなか建設当局で考えるような積極的な指導ができないという面もございます。こういう点も、やはり考えれば、何かうまい手は出てこないはずはないと思うのです。そういう意味において、やはり三十万業界の方々の積極的な協力体制なりを進めてまいりますためには、この資材というもの——これはもうほんとうに、ある意味におきますと建設業者というのはあてがいぶちといった感じがするわけであります。そういうあてがわれるものがもうべらぼうに値が上がったということになりますとほんとうにどうにもならないということで、スライド条項適用ということにせざるを得ないわけでありますから、その間において物資の流通の円滑化、安定化というものに対する行政指導の体制が何らかの形でつくり上げられなければならないのではないかと、私自身は考えておりますので、これも幾つも荷物をしょっちゃうようでありますけれども、しかし、これはやれば国民から喜ばれることでございますので、積極的に検討さしていただきたいと思います。
  201. 原茂

    ○原(茂)委員 それから、その主要資材に関連しまして、やはり今回の、今回とは昨年から今日に至るまでに、たいへんな暴騰を来たした陰にいろいろな問題があったわけですね。こういうことにこりて、調査権、あるいは指導価格か標準価格の決定をするための委員会みたいなものが第三者によって構成されるか、国会にそうした調査権あるいは指導価格の決定権を持った委員会をつくるか、一足飛びに国会へそれを持ち込もうといっても、なかなかいまの体制ではむずかしいとおっしゃる場合には、第三者による、調査権を持った、しかも標準価格の決定機関、委員会ですね、そういうようなものが片方につくられていれば、この点では、いままで石油問題を中心にしてたいへん混乱を来たしてきた、それを反省した一つの歯どめの役目を果たすものというふうに第三に考えるのですが、こういうものを必要としませんかね。
  202. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 お気持ちは理解できるわけでありますけれども、この石油ショックの問題を契機といたしまして、買いだめ売り惜しみ防止の法案あるいは石油二法案によって一応そういう形が組み込まれておりまして、今度の石油値上げの問題等につきましても、主要建築資材というものは、値上げをする場合には認可を要するというような措置も実は講じられておるわけでございますので、当分はこの制度をフルに活用をいたして、昨年の暮れからことしの二月にあったようなことはもう来たさないような努力をしようというのが、実は私どもの考えでございますので、その点ひとつ御理解をいただきたいと思います。
  203. 原茂

    ○原(茂)委員 期待もしますし、ぜひそれをやってもらわなければいけませんし、値上げのときに認可を与えるという制度がやはり必要だと思います。私は、その認可を与えるということにも寄与するために、いま申し上げたような委員会なり機関というものが何らかの形でできて、第三者的に常に指導的な役割りをして、いたずらな投機的なあるいはその他の価格操作のできないようにしておこうという考えですから、しろうとの言うことだと思いますけれども、十分に専門家各位がいろんな面からの検討をするときの一つの材料にしていただけたらしあわせだと思うのです。  それから、先ほど大臣の答弁にありましたように、一月ですか、いつだったかから、建設資材対策委員会が発足をしたそうですね。この対策委員会がすでに発足しているわけですから、一回目の会合を持ったその後いつ会合を持ったかも知りたいわけですが、この対策委員会のやる仕事が非常に克明に書かれているわけです。たいへんいいことずくめなんですが、その中で二、三、どういうふうに考えていますかということをちょっとお伺いしてみたいのです。  一つは、あっせん相談所というのがあるのですね。これは通産省が管轄でやっているようです。このあっせん相談所を、今後の基本方針としては拡充強化していくということが書いてあるのですね。ところが、現実に調べてみますと、あっせん相談所なるものが、最近は、一山過ぎたからいいやというようなことなのかどうか知りませんが、開店休業みたいになっている。鉄鋼に関しても、もういいだろう、あるいは塩ビについても、まあまあここらであっせん相談所の任務はないだろうというような、一服状態になっているらしいのですね。ところが、重要だと思う対策委員会の基本方針の中に、今後あっせん相談所を拡充強化して云云ということが載っているのを見まして、いいなと思ったら、現実にはこれがもう一山過ぎた形になっているらしい。これは少しまずいと思う。このあっせん相談所が従来、物がないないといったときに、各地方でずいぶん、何カ所もございますが、私は一カ所一カ所調べる時間がなかったものですから調べてありませんが、これは相当の役目を従来は果たしてきたろうと思うのです。これだけたくさんの相談所がありながら、もうこれからそれは要らないのか。拡大強化していこうといって基本方針にあるのに現実にはそうではないような状況になったというのは、仕事がもうなくなったからというのかどうか知りませんが、この矛盾をひとつ解明していただきたい。
  204. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 実は、物価対策の問題として建設省が一番先に実行したのがあっせん所のあれでございまして、十六万トンからの鋼材を零細業界の諸君にあっせんをして急場をしのいでいただいたというのが初仕事のような形になっておるわけでございますが、いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように行政機構の中に、肝心の建設関係の地建の中に、業界の労務対策とか資材対策というものについての窓口がなかったわけでございます。そこで、それを四十九年度の予算要求に際しまして、各地建に設置することを認めてもらったわけでございますので、これが動き出しますと、これを中核にいたしまして、各県とのそれぞれのあっせんという問題については積極的に、適宜適切に動けるように、この前も業界とあっせんとの結びつきがぴたっといくまでには相当時間を要した経緯があるわけでございますが、今後はそういう意味におきまして、変化が生じてきたというような場合にはいつでも対応できるような体制をとらしていくようにするわけでございまして、そういう点については重視をして、資材対策の一環としてまずそういう機構を整えたということでございますので、今後はあっせん等について軽視をするというような意欲は持っておりませんので、よろしくお願いしたいと思います。
  205. 原茂

    ○原(茂)委員 私は、あっせん相談所というものの仕事、任務をもう一ぺん再検討しますと、いまのように、ほとんど仕事をしていませんというようなことは言えた段階ではないと思うのです。これは、やるべき仕事をもっと真剣に考えてみますと、いまだからあっせん相談所が非常に有用に活動する分野があるわけなんだ、大事なときだと思いますので、価格の問題その他、実際に資材のあるないの問題等を含めまして、監視の役目といってはおかしいのですが、監視的な役目も相当果たし得ますし、これはいま仕事が一段落ついたような感じに私は受け取っていますが、これは改めるべきだ。任務をもう一度再検討して、新たに任務を付与してまであっせん相談所は積極的な活動をさせていただくようにすべきだと思いますから、これはお願いをしておきます。  なお、この対策委員会の、建設資材・エネルギー対策の基本的方向という項が第五にあるわけなんですが、この項の序文のところに、前提要件となった建設資材の需給逼迫、価格高騰の原因について触れておきたいといって、ずいぶん長く物価高騰の原因について、不況カルテルを含めて八項目にわたって書いてあります。そして、一がそれで終わって、二について、三についてというふうにあるわけです。  私は、ここに書いてある以外に、価格高騰の原因についてもっと触れなければいけない問題もあるのだろうと思うのですが、これは二月の、建設省が発行している薄っぺらなあれがありますね、あれにたしか出ていたと思うのですが、もうこの段階では、いかに建設省が書くにしても、価格高騰の原因なり需給逼迫の原因をこの程度のものだけ書いて、あとは書いていないというのは、わざと隠したというのか、遠慮したのか、もうちょっとはっきり書いていいのじゃないか。これほど重要な問題になっていて、欠陥が、参考人を呼んだりあるいは予算委員会等を通じて相当程度えぐられてきているのに、なおかつ、この逼迫なり高騰の原因について書かれているものがたいへんおざなりで、ほんとうに大事なことが一項抜けている、こう思うのですが、どうでしょう、ごらんになっていませんか。
  206. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 お答えします。  この建設資材・エネルギー対策の基本的方向ということで資材需給の見通しの策定その他の項に触れましたときに、その原因について書いておるわけでございますが、先生がいまおっしゃっているのは、建設月報に書かれた解説だと思います。基本的方向ということで一月の二十五日に書きましたのは、もっと簡潔なものにしぼっておりますので、建設月報のほうは、そういう論文として発表したものですから、そういう原因等について分量を多くして載せたものでございます。この委員会のきめた基本的方向とは違うわけでございます。
  207. 原茂

    ○原(茂)委員 分量を多くしたというが、多くし足りないとぼくは言っているんですから。大事なことを抜かしているじゃないか、解説的に何か書くんでも、いやしくも建設月報に書くからには、もっとほんとうのことをずばり書いていいんじゃないか、業界に遠慮する必要ないじゃないか、政府があやまったことがあったら、あやまったことがあってこうなったと書いていいじゃないか、こういう意味です。私は、そのくらいのフランクな立場でものをどんどん書いたり、国民に知らせていこうという態度があっていいという意味で言っているわけですから。ふやし足りないわけですよ。ふやして書いたんだなんて言っても、ふやし足らない、こういう意味で言っているわけです。これはその程度でけっこうです。  次に、住宅問題についてお伺いをしたいわけです。私は、基本的な問題をと先ほど申し上げましたので、あまりこまかい具体的な問題を、現実がどうだということを論じようとは思っていないわけです。ただ、先にお伺いしておきたいのは、現在の公的住宅を中央、地方を通じて払い下げを行なうという方針ができているわけですね。その払い下げが、今日までの段階よりは、今後こういう方針でこの程度のものを払い下げをしていく予定だ、こういうことを大ざっぱに最初にお伺いをしたい。
  208. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 原先生も御承知のとおり、公営住宅は県なりあるいは市町村のものでございますために、これは政府がどういってみましても、実は市町村なり県から払い下げの申請があった場合に建設大臣がこれを認めていくという行政的な手続がございますために、私としても、この問題については非常に慎重な態度を今日までとってきたつもりでございます。  その要旨を申し上げますならば、三大都市圏においては、土地の問題というものが非常に窮迫しておるわけであります。その反面、住宅を要求する方々も、これまた非常に多い。そういう中にあって、実は東京都の終戦直後に建てましたあの木造の公営住宅、四万戸ほどあるわけでございます。これを高層に建てかえましてやりますと、事務当局の計算によりますと、実は十二万戸ほどの高層住宅が可能である。しかも、その上に緑地帯なり公園なりというものをつくっていくことができるということがございますために、これはそうして建てていった上で、その高層住宅がほしいという方にはこれは分けてやってもいいじゃないかという感じがいたすわけであります。しかし、これもやはり、東京都なり自治体の建設省に対する申請というものがありません限りは、幾ら私が払い下げする、する、こう言ってみても、実際上実行されないわけでありますので、私はいままで、払い下げの問題については、払い下げするというようなことばは絶対使ってないわけであります。  ただ、現在におきましては、地方の比較的土地の入手の容易な市町村におきましては、戦後建てて、入ってもう長い間住んでおるような方々にはぼちぼち払い下げしたいということで、申請は出てきております。そういうものは、三大都市圏以外であります際には認可をしておるというのが、住宅払い下げ問題に対する私の基本的な姿勢でございます。
  209. 原茂

    ○原(茂)委員 私があえて公的住宅と言ったのは、公団、公営含めてですからね。公団のことはあと総裁にお伺いしますが、いまおっしゃったとおり自治体の申請によって払い下げがきまるわけですね。その申請があったときに、払い下げてもよろしいというときのいろいろな条件があるんですよね。その条件というのはずいぶん前にきめた条件なんです。私は建設省へ二回こういう問題で、地元のことでお願いにあがったことがあるんです。払い下げていい条件というのがあるわけです。ところが、あとでよく私が見てみますと、その条件なんというものはずいぶん古いものなんですね。現在の状況になりますと、現実に合ってない部分がずいぶんある。現在、当時予想した以上に複雑な、しかも切実に、払い下げたほうが地方公共団体、自治体のためにいいと思うことがずいぶんあるんです。にもかかわらず、それがこの条件、あの条件、いろいろな条件に合わないためにずるずると延ばされて、何回頼みに行ってもだめなんだそうですというような、その事例を幾つかここに書いてきましたけれども、そんなものを一々ここて申し上げるよりは、あとでまた課長さんにでも来てもらって話したほうがいいかと思うのですが、基本的にそういう問題のあるということを大臣は御存じかどうか知りませんが、やはりこの機会に、払い下げをよろしいというときの条件について、いつも同じことをやらないように、一ぺん再検討を加えておく、そういう必要がありはしないかということをお聞きしたい。
  210. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 私も実は原先生と同じ体験を、議員になってからいたしたわけでございます。  確かにおっしゃるとおりそこまで、私まだこまいところまで勉強をいたしておりませんので、気持ちとしては原先生と相通ずるような気持ち——私、大臣になってその気持ちを申し上げると、影響が大き過ぎますので申し上げませんけれども、そういう気持ちでおりますので、ひとつ検討さしていただきたいと思います。
  211. 原茂

    ○原(茂)委員 それはけっこうですね。わかんなければ、私じっくりまた相談をいたしますから。ずいぶんいろいろな矛盾があります。  それから、基本的な問題をお伺いしたいのですが、現在のように地価とか建築材料とか、あるいは工賃だって、どんどん上がっていきますと、先ほどもお話があったように、いま新しく住宅をつくると、三万円以上じゃなければちょっと入れない。原則としてはどのくらいがいいんですかね、収入の三割程度あるいは四割以内が適当ではないかということを前に言っていましたが、今日、三万だ、四万だということになりますと、十七、八万、二十万という収入がなければ入れない。こういう人が入るような住宅を、いまつくるとすればつくらざるを得ないんだということになると、本来、庶民といいますか、低所得階層に住宅をという念願で、三十年ごろですか、住宅公団というような構想が発足をして現に行なわれてきたんですが、現在このままでいけば高額——高額になるかどうか知りませんが、少なくとも十七、八万以上の収入がないと入れない住宅をつくるという結果になってしまう。イコールある程度の所得がなければ入れない。まして低所得階層、現在若い人が住宅がなくて困っているというこの低所得階層に至っては手も足も出ないというものをこのまま放置するわけにはいかないだろうと思うので、おそらく建設省として、大臣として、新たにこういう問題に対する構想をお持ちになっているはずですし、検討されているはずですから、いまの検討の方向なり内容についてできるだけ簡潔にひとつ……。
  212. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 この家賃の高騰は、先生承知のとおり、昭和三十年代から土地の価格というものがどんどん上がってきておるのが一つの原因になっておるわけでございます。したがいまして、やはり土地を安価に入手するということが一つの大きな対策ではなかろうか、そういう意味におきまして地価の抑制という問題を一日も早く実現しなければならないのではないかという感じがいたすわけでございます。これは国会に法案の御審議をいただいておるわけでございますが、建設大臣としてはあの法案の担当をいまいたしておりませんので、非常に微妙な段階にあるというふうにも聞いております。地価問題の解決ということと、それからやはりこの家賃の考え方というものをどうしたらいいかということを、実は審議会のほうにお伺いを立てておる最中でございます。と申しますのは、いまの土地並びに建築したその経費の一切を七十年で償還をするというところから家賃を幾らにするかということがはじき出されておるようでございますので、その方式を踏襲する限りは、現状の地価というものがこのまま据え置かれたとしましても非常に高い家賃を払わなければならないということになるわけでございます。そういう意味におきまして、実はこの家賃の考え方というものをどういうふうにしたらいいんだろうかということで、実は審議会に、少なくとも八月ごろまでに結論を出していただきたいということで諮問中でございますので、この程度でひとつ御理解をいただきたいと思います。
  213. 原茂

    ○原(茂)委員 基本的な考えの一つとしては、やはり収入を基準にして何%というような考え方にいこうとしているのでしょうか。それともいまお話があったように、七十年というようなものを基準にして考えていく——現在でも地方公営の場合には補助金が出ておりますね。こういうような考え方の基本としては、たとえばヨーロッパで行なわれているような、たとえば三DKなら三DKが三万五千円だとする、これがその人の収入の一五%ないし一六%以上になる、以上になった分は補助をしてやる、こういうような考え方が現に行なわれていますね、これにもいろいろな矛盾はあるのだそうですが。その基本的な方向をやはりある程度大臣としてもお持ちになって審査をしてもらっている、審議をしてもらっているだろうと思うのですが、これは全然何もなしに、ただ審査をしてもらっているのでしょうか、審議をしてもらっているのでしょうか。基本方針というものはあるのじゃないでしょうか。
  214. 沢田光英

    ○沢田政府委員 私ども、ただいま大臣から申し上げましたように、二分の一補助を出したり、三分の二補助を出したりいたしますものについては、残りについて原価を七十年で償却する。公団の場合には原価を五%、七十年で償却する、こういうふうなかっこうでございますから、物価が上がりますれば必然的に上がってきて負担能力と乖離してくる、かようなことでございまして、したがって審議会に、大臣の御命令によりまして、こういうものはどういうふうに考えるべきか——そこで中間報告が実は昨年出ております。これはやはり収入にリンクした家賃という考え方にいくのも一つの方法である、こういうことを受け取っておりまして、それでは一体具体的にそれをどういうふうにし、それによっていわゆる住宅行政の体制制度というものがいかなるものがいいのか、こういう諮問をいたしておりまして、ただいま大臣が申し上げましたように、八月ごろまでに結論を出したいということでございますが、その構成は、やはり居住の水準、これをどこに置くべきかという問題が一つございます。悪いもので安くてはしようがありませんので、それは一つございます。それを確保するために原価が出てくるわけでございますが、原価と関係なく、今度は収入から負担をする、収入の何%ぐらいがよろしいか、こういうものがもう一つの要素でございます。通常、世界的に言いますと、大体一五%から二〇%強というところにいくと思いますけれども、これにつきまして現在審議会におきましていろいろと作業をやっておる、水準と負担力、この二つが出てまいりまして、それをどういうふうにからめて政策的に進めていくか、こういう検討をいたしている次第でございます。
  215. 原茂

    ○原(茂)委員 そうすると、八月になると具体的な答申が出てくるわけですね。
  216. 沢田光英

    ○沢田政府委員 最終的な答申になりますか報告になりますか、一応結論の筋は八月には出るというふうに私ども考えております。
  217. 原茂

    ○原(茂)委員 そこで南部総裁にお伺いしたいのですが、公団としては、いま私どもがものを言っておりますように、まあ高い値段でなければとにかく入ってもらえないということになるのですが、少なくともずいぶん昔のもので相当安い値段でいま入っている。きたなくなっているか不便だか知りませんけれども……。最近は非常に高家賃でなければ入ってもらえない。これはやはり少し矛盾がありますよ。これは昔できたのだから、古いのだから安くてあたりまえなんだ、最近のは地価も資材も労賃も高いのだから、同じ広さで高くてあたりまえだといってほうっておくようなことでは、公団本来の使命からいってもちょっとおかしいのじゃないかと思うのですね。そこのところに何かくふうはないものですかね。うんと安いのとうんと高い最近のと、矛盾しているんだけれどもしかたがないのだ、収入も多少違ってきているからいいじゃないかというだけで、手をこまねくのじゃないでしょうが、このままずっといくのかどうか、それをひとつ……。
  218. 南部哲也

    南部参考人 お話しのように、昭和三十一年供給を開始したものにつきましては大体四千六百円ぐらいでございまして、四十八年中に供給いたしました賃貸住宅の平均家賃は二万二千七百円というように、約四、五倍の開差が出てきております。ただ、現在まで私どものほうの賃貸住宅、いま大体四十五万戸管理いたしておりますが、総平均いたしますと、月家賃にいたしまして一万三千円ぐらいになっております。  そこで、先生お話しの古い家賃をどうするかという問題でございますが、これは償却のほうとしてはいろいろ問題がございますけれども、私ども一番弱っておりますのは修繕費でございます。これが家賃構成からいいますと、大体一割が修繕費になっています。したがいまして、たとえば五千円の家賃ですと月五百円しか修繕費がない。最近のものでございますと、二万円の家賃ですと二千円の修繕費がある。そこで、いままでのところはそういった最近の家賃の修繕費を古いのにつぎ込む、こういう、言ってみれば自転車操業的なことをやっておりますので、経営自体を考えますと、ぜひ古いほうの家賃をそれ相応のものに直していかなければならないという努力を、企業努力としてはすべきであるというふうに考えております。ただ、これはいろいろ政治的な問題もございますし、物価問題もございますし……。  それでは、いまはどうしておるのかといいますと、実はこれは貸し家経営の基本でございますけれども、いま入っている方が退去されまして新しいところにお移りになるというのが、大体回転率といたしまして九%ぐらいございます。約一割ぐらいでございます。ですから、戸数的にいいますと、十年たてば大体ぐるぐる回りで一回りするということになるのでございますが、現実には、非常に入退居の激しい団地とそれから非常に入退居率の少ない団地とございます。そんなようなことで、まんべんなくというわけにはいきませんけれども、毎年、その回転率に伴うものにつきましては五年間で家賃を改定いたしておりまして、約五割程度の家賃の値上げをいたしております。これをもって新しい家賃の抑制とかあるいは傾斜家賃の財源に実は充てておるわけでございます。もちろん、新しく入る方のために全部修理をいたしまして、古いうちが新品同様に直すという経費もこれから払っておるということでございますが、そういうことで現在は経営を行なっておるという状態でございます。
  219. 原茂

    ○原(茂)委員 私は、総裁、低いほうを上げなければいけないだろう、矛盾だろう、そういうところへ力点を置いたわけじゃないのですよね。総裁としては、同じ広さの家が、それは新しい古いはあっても、片方は何千円だ、片方はいま新しく入れば二万円だという矛盾を——高いほうを高く取るというのでは、これは普通なんです。何も苦心がないので、その、いま現に古いけれども安いところがあったら、それにできるだけ近づけるような努力というのが、公団として、財政措置その他を考えて配慮されていいんじゃないか。  というのは、先ほど前段に申し上げたように、高額とは言わないが、相当の所得でなければもうだんだん入れなくなってきます。これからどんどん、まだ地価は上がるでしょう。安くなる見込みはない。労賃はどんどん上がる一方です。建築資材だって、平均すれば、やはりまた石油の再値上げを通じて間接的に上がってくる。一時標準価格でとめたなどといっても、これは電力その他が一斉にここでまた再値上げをする、六月になるとこれはまた一斉に上がるなというのは常識になっているわけですね。そうすると、これからつくられるものはもっともっと高いものになることは明瞭なわけですね。そういう高くなるやつを、そのまましかたがないやとやっておけば、前段申し上げた、ある程度の高所得のあるものでなければ入れない。低所得階層への住宅供給という本来の使命がもう現になくなりつつある、こういうものをどうするかというところに公団としての苦心があって、いかにこれを下げるか、いかにこれを安く提供できるかということの何かくふうはありませんかとお尋ねしたわけです。どうですか。
  220. 南部哲也

    南部参考人 これは公的住宅の供給のしかたの根本に関する問題でございまして、公団だけでどうこうというわけにはなかなかいかないと思います。先ほどから住宅局長から御答弁がありましたように、やはり国全体の、これは公団だけではなくて、公営、公団あるいは公庫、すべての住宅を通じまして、家賃のあり方をどうするかという施策が必要であろうと思います。私どもといたしましては、日々ただいま建設をしておりますが、この建設費の高騰、実は非常に頭を痛めておりまして、従来十九年間やってきましたのは、都市勤労者の世帯収入の大体一五・六%ということで、一貫してこの線でやってきております。大体その線で本年度まではおさまってきております。四十九年度も、実は四十九年度に管理開始するのは四十五、六年度に発注したものでございますから、これは大体いけるのじゃないか。その次、五十年ぐらいからが問題になってきます。それまでの間にぜひ家賃体系についての一つの公平な原理といいますか、原則といいますか、そういったものを国のほうで確立願いたい。われわれのほうもいろいろ勉強はいたしておりますが、あるいは外国の諸制度を勉強するというような研究はいたしておりますが、そういったことで五十年、五十一年までにはどうしても新しい家賃体系のあり方、国の公的住宅の供給のあり方というものについての根本方針を固めていただきたい、これがただいまのわれわれの念願でございます。
  221. 原茂

    ○原(茂)委員 そうしますと、四十九年度できてくる住宅というものは四十六年度発注のものだ、五十年度にできるやつは四十七年度と見ていいわけですね。少なくとも四十九年度、すなわち来年の三月まで、再来年の三月まで、その間にできる新たな住宅は、現在の家賃より上げることはない、こう見てよろしいわけですね。
  222. 南部哲也

    南部参考人 それまでに、一例を申し上げますと、たとえば収入と家賃との関係を、公的といいますか、住宅対策審議会のほうで御結論が出ますれば、それに沿った施策が行なわれるであろうということを期待申し上げているということでございます。
  223. 原茂

    ○原(茂)委員 きょうは、総裁に私がお伺いしたのは、現在のような高い住宅が安くなる方法としては、こうこうこういうことをやってもらったら安くなるんだがなあということを総裁から聞けたら聞きたいものだと思ったから質問をしたわけです、そのお答えはないわけですけれども。いまの問題も、今後の物価なりその他の変動を通じてやがてきめられるというようなことがあると、やはり何か政治的な配慮で、四十六年に発注をして契約をして、それがことしから来年に完成していくものまで、うっかりすると現在以上に値段を上げることもあり得るような答弁に聞いたんですが、私の聞きたいのは、現在より上げることはないと、こういうことが言えますねと、こういうことだけ端的に答えていただきたい。
  224. 沢田光英

    ○沢田政府委員 住宅の家賃あるいは負担力の問題に関しまして新しい方向を目ざしておるということは、先ほど申し上げましたが、これが制度としてできますまでの間は現行の制度をとっていくわけでございます。したがいまして、コストにリンクをしたような家賃計算をする。したがって、四十八年度のものもさようでございますし、四十九年度の公的住宅もそのようになるかと思います。  しかし、この間に物価が上がるわけでございまして、先生のおっしゃるように負担力との乖離はひどくなってくる。これに関して何か考えておるかと、こういうことでございますが、新しい制度のできるまで、これはできるだけ早くやりたいと思っておりますけれども、その間は、たとえば公団につきましては傾斜家賃制度というのがございます。すでに先生御存じでございましょう。四十八年度におきましては、いわゆる高層住宅を中心といたしまして、これは高くなるからでございますが、これに関しまして、三年ないし五年という期間で、最初数千円下げて、所得に応じて上がっていくようなかっこうで処理をする。したがって、家賃を下げるというよりも、もちろんそういうふうに低い家賃にして支払いやすくする、こういう家賃でございますが、それを四十九年度におきましては、さらにこういうふうに上がってまいりましたので、それを七年ないし十年、しかも高層だけではなしに中層耐火構造全体にも及ぼす、かようなことで、減額の程度も一万円をこえる、あるいは二万円近くなる、かようなことをいま試算をしておりまして、そういうことでとりあえずをつないで、将来の新しい方向につなげたい、かようなくふうをしているわけでございます。
  225. 原茂

    ○原(茂)委員 そのリンクをしたり傾斜計算をしたりというそのことが、現時点——住宅公団発足の使命である低所得層に住宅を与えるということとおよそ乖離していくような、現在の高物価時代に必ず高くなるというときには、それをリンクしようとどうしようと、逆に引き下げるというくふうにそれを持っていかないと、いま総裁が言ったように、四十六年度に発注したやつだから、まずまず四十九年度できるものはそんなに値上がりの心配はないのだとおっしゃった、そういうこともあわせて、私は、やはり何かのくふうをして、少なくとも現在よりここ二年、新たにできる公団というものは、住宅は値上げをしないで済む、現在の水準より高値にすることはないというくらいなことをぴしっと約束をしてやる、あるいはそういう方針を打ち出すというくらいのことができないだろうかと思うのですが、局長もう一ぺん、その点どうですか。
  226. 沢田光英

    ○沢田政府委員 公的住宅の入居者に関しましては、先生もすでにさっきからおっしゃっておりますように、やはり応分の負担はすべきだというふうに思います。この応分の負担の比率というのはだいぶ幅がございまして、一五%あるいは二十数%の間に入るかと思います。  まあ、非常に上がってまいりまして、計算をいたしますれば、たとえば四十九年度の予算単価でいきますれば四万なり五万なりというふうな計算になるものを、四十九年度の実施に際しましては、先ほど言いました一万数千円なり二万円なりというものを最初引き下げまして、それによって楽に支払いができるというところに置いていく、かようなことでございますが、私ども試算してみますと、この間に所得も上がっておりますので、一応私が先ほど申し上げました一五%あるいは二十数%、こういうふうな幅の中にはいわゆる第三分位程度の公団階層はいまだ入っておるというふうに感じております。ただし、できるだけ快適なものにしたほうがよろしゅうございますから、二五%というとだいぶつろうございますから、そういうふうなことで、先ほど来くふうをしたお話をしたわけでございます。
  227. 原茂

    ○原(茂)委員 その点はまだ、もう少し私の真意をわかっていただかないと明快な答えが出ないようですが、それは次に譲ります。  先ほど申し上げた第三の問題に入るのですが、建設省に専門委員が置かれている。他の省庁を見ますと、どうもこの種の専門委員の置かれている省庁はないようで、科学技術庁の防災科学技術センターか何かにこれと類似した制度といいますか内規といいますか、そういうものがあるようですが、建設省が専門委員制度というのを採用し始めたのはいつごろからですか。それが一つ。  それから、専門委員というのは何の目的で任命をするのか。それが一つ。  それから、専門委員に関して一切手当は出していないのか、やはり足代ぐらいは出すというのか、それを聞きたい。  それから第四には、どういう官制によってこういう任命ができるのか。  この四つを先に……。
  228. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 建設省の専門委員は、昭和二十七年の建設省令第二十九号、建設省内部部局組織規程の第八条で、専門委員というものを置いておるわけでございます。  それから、これは建設行政にかかります専門の事項調査審議していただくためにお願いしておる非常勤の職員でございまして、必要に応じまして学識経験者のうちからお願いしておる次第でございます。  手当の点につきましては、これは給与は支給いたしていないわけでございます。
  229. 原茂

    ○原(茂)委員 大臣が任命されるわけですので大臣にお伺いしますが、この委嘱する方々の略歴も含めて名前を実はちょうだいしました。いろいろな問題がこの中にあるわけですが、原則として、何のためにこういう専門委員を置いて、どういうことが委員を任命する基準になっているのでしょうか。
  230. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 まず私から、御質問につきまして事務的なことをお答え申し上げます。  先ほど申し上げましたように、建設行政にかかる専門の事項調査審議するというものでございますが、具体的に申し上げますと大体二種類に分かれておる次第でございます。  第一のほうは、たとえば沖繩の海洋博という中で海浜公園をつくることになっておりますけれども、これの設計審査というような、そういう特定の専門事項につきまして継続的、集中的に調査審議をお願いする方々、第二の方々は、建設行政に関する学識経験者を専門委員にあらかじめお願いいたしておりまして、必要のつど、専門の事項につきまして個人の御意見をお伺いする方、そういうふうに分かれている次第でございます。
  231. 原茂

    ○原(茂)委員 第二のほう、学識経験者というのは、このメンバーをごらんになって、一々名前をあげて説明を要求しませんが、これが学識経験者といえる部分と、それからいまの、必要に応じて、沖繩の問題もありましたけれども、そういう技術的な分野、その範疇にこれは全部入りますか。
  232. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 第二の部類につきましての学識経験者、これは大学の先生もいらっしゃいます。それから民間の会社の役員をされていらっしゃる方もおります。また、新聞記者をやられた方もいらっしゃる。そういうふうに、学識のある方、また経験のいろいろある方、そういう方にお願いしておる次第でございます。
  233. 原茂

    ○原(茂)委員 こういう問題は、あまり固有名詞をあげてものを言いたくありませんから言いませんが、これは建設大臣が専門委員として任命をする、その前提としては、学識経験があるから。建設大臣が建設行政の諮問を行なおうというときの学識経験者というときには、やはりある程度の範疇ができてくる。その種の関連した経験というものがなければいけないと思う。そういう意味では、この名簿を見ました中に、一、二、およそそれとは縁が遠いと思う人がいると思うのです。だれだというようなことを言う必要はありませんが、やはりそういう点を自今任命するときには注意すべきだと思うのですが、どうでしょう、この中に、私が言っているのはまるで違う、そういうのがあるなら言ってみろ、こういうことになるのでしょうか。そういう点をまず、もう一度お答えをいただきたい。
  234. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 実は建設省の専門委員、ただいま官房長からお答えいたしましたとおり、私も大臣になりましてから、いろいろ推薦もあったわけでございます。しかし、私の就任以来お願いしたのは一人でございます。  やはり役所の諸君の言うことばかり聞くような形にどうしてもなりやすいということでございまして、私も先輩の大臣経験者の方にも聞いてみたわけでございますけれども、これは始まってから相当な歴史も、原先生承知のように持っておるわけでございます。やはり、官僚的にならないためにも、庶民の意見なり意向もお願いをして聞いてみるということも必要であることは、これはもう私としても当然ではないかと考えておるわけでございます。したがいまして、特別の専門的な方方と、また、社会一般の情勢というものをすぐに気安く、大臣として、どうだ、こういうのを見てきてくれぬか、こういうのはどういう受け取られ方をしているのだろうかというような相談にも応ずるということで、この制度が今日まで運用されてきたのではないかという感じもいたすわけでございます。  確かに、先生から御指摘いただきました線のないように、この運営については十分心していかなければならない、こう反省をいたしておる次第でございます。
  235. 原茂

    ○原(茂)委員 これ以上言いませんが、今後は注意をする必要があると私は思う。建設大臣の任命によるこの種の任命が、あまりみだりに乱発されては困るというように考えます。  そこで最後に、これは建設大臣にお答えをいただきたいのですが、去る三月三日に恵那山トンネルの、これはトンネルといってもパイロットトンネルですか、あれができた。確かに画期的な大事業だったわけですが、このトンネルができた祝賀会に出席をされたときに、飯田市で違った意味の激励歓迎会が、あるパーティーで持たれて、そのときに大ぜい行かれたわけです。金丸前建設大臣も御一緒だったようです。その集会でのあいさつに、金丸前大臣のあと亀岡大臣がお立ちになって、総需要抑制型のたいへんきびしい予算をいま審議をしている、橋を直せ、道路を直せと全国的にいろいろ言ってくるけれども、予算の配分は厳格にしなければいけないので困難をしておる、しかし、何と言っても人間的なつながりがあれば、その人間的なつながりのあるところに予算は流れる、こういうことを、二度繰り返して大臣がおっしゃったといわれているんですね。  私、普通ならこういうことを問題にするのいやなんですが、少なくとも地元の大きな新聞に大々的に書かれてみたり、中立公平な人が最近はいろいろ記録をとるわけですね、そうしたような人たちから、これは少しおかしいじゃないかと言われてみますと、私も確かにおかしいという感じがするのです。その専門員の人を通じてものを言ってきてくれれば、建設省のことに関する限りこの人を通じて何でもいたします、そういう締めくくりになっているのですよ。これは少し——少しどころじゃない、たいへんな行き過ぎだというふうに考えますが、大臣の率直ないまの見解をひとつお聞きしたい。
  236. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 事実そのとおりでございまして、私も前大臣と同行いたしまして、あの席でそういうことを申し上げたわけでございます。同志という気のゆるみもあったと反省いたしておるわけでありますが、いま振り返ってみますと非常に行き過ぎであった、大臣という職務を忘れたという感じをいたすわけでございます。今後そういうことのないように十分心を戒めてまいりたいと思う次第でございます。
  237. 原茂

    ○原(茂)委員 大臣であればあるほどに十分御注意をいただくようにお願いをして、終わります。
  238. 臼井莊一

    臼井委員長 次は、庄司幸助君。
  239. 庄司幸助

    ○庄司委員 いろいろ高尚な御答弁があったようでありますが、私は、少しきたない問題で建設省当局に対してお伺いしたいと思います。  昨年からことしにかけて建設関係で汚職の問題が取り上げられまして、私も手元に二、三資料を持っているわけですが、古いところになりますと、これは参議院でも取り上げられた問題ですが、いわゆる建設省のマル秘入札文書が技研興業という会社に流れた。これについて河川局長は、どうも技研興業に天下った三人のうち二人がこれに関係があるようだ、こういうふうに述べているわけです。これは去年の六月のことです。  去年の十月になりますと、ダム工事の指定に便宜を与えたということで建設省の役人と日特建設の副社長が逮捕されている、こういう事実があったわけです。そして河川局次長の川田さん、それから日特建設の副社長、財団法人道路施設協会理事の元建設省大臣官房人事課長補佐の高岩さん、こういう方が贈収賄それぞれで逮捕されたわけです。  この事件を見ますと、東京地検に逮捕された高岩という人は、去る三十九年に起きたいわゆる建設省橋梁汚職で、元同省事務次官の選挙資金集めに加担し、有罪が確定しているいわくつきの人物だった、橋梁汚職の問題では上司の命令を単純に伝達するメッセンジャーボーイであったが、今度はブローカー役にまで昇格した、こういうふうにいわれております。こういう札つきの男を建設省、道路公団と関係の深い道路施設協会の理事としてここで再び汚職劇に登場させた。そういう点でこの新聞は、建設省一家の過保護体制が問題になっている、こういうふうに指摘をいたしております。  これを見ますと、やはり建設省OBと汚職の関係が非常に深いということがわかるわけです。  それから、ことしの二月になりますと北陸地建の汚職が起きております。これは、上越国道工事事務所用地課長の矢の目という人と関東地方建設局利根川ダム統合管理事務所藤原ダム管理支所電気通信係長の窪田という人が、便宜をはからって自動車を買う資金をもらった、こういう汚職事件です。  こういう汚職事件が、私の手元にあるだけで去年から三件、建設関係であるわけですが、大臣はどういう基本姿勢でこういった汚職を根絶されるのか。それからOBとの関係、天下り組との関係、これも指摘されているわけですが、そういう点で大臣の基本的な姿勢をまず聞かしていただきたいと思います。
  240. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 三権分立の一翼をになう国家公務員は国民全般に対する奉仕者であって、一部のためになってはならない、こういうふうにきびしく憲法に示され、しかも国家公務員法に基づいてその身分保障は最高にされておるわけでございます。したがいまして、自信と誇りをもって国民に奉仕する行政に殉じなければならないのが公務員でございます。  そこで、私は、総理から辞令をもらいますとすぐ国民の前に立たされまして、何か言え、こう言われましたときも、実は三万一千人の建設省の公務員が、ほんとうに憲法に示された、また国家公務員法に示された精神にのっとって業務に精励をしてほしい、またそのような環境をつくっていくためにまず大臣としてやっていきたい、こう申し上げたわけでございます。  御指摘のような事実、確かにあったわけでございます。これはもう私の前の大臣が厳重に処断をされまして、懲戒免職というまことにきびしい措置をとられたゆえんもそこにあるわけでございまして、とにかく積極的に公務員としての使命感に徹して仕事をやるように指導をいたしておる次第でございます。
  241. 庄司幸助

    ○庄司委員 現職の場合は、これは大臣が直接懲戒免職したり何かする権限はあると思います。しかし、OBの場合は、これは直接手が及ばない範囲ですね。私がきょう取り上げたいのは、天下ったOBの問題ですね、この問題でやはり建設省の中に、本質的にこういった天下りOBと現職とのなれ合いなり癒着なりがいままでの関係で持たれているのじゃないか、そういう体制の中で、OBとの関係での汚職やあるいは不正が発生しやすい基盤があるのじゃないか、こういう観点から私はお伺いしているのです。  このOBの——OBといったってピンからキリまであります。ほんとうに建設省の小使さんからあるいは河川局長に至るまで、これはピンからキリまであるわけですが、私が問題にしたいのは、どちらかというと高級官僚の部類ですね。この辺との関係で癒着が生じないためにどのような配慮をされておるのか、この辺をちょっと伺っておきたいのです。
  242. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 現職につきましては、国家公務員法によってそういうことは厳に禁止されておることは、先生も御承知のとおりでございます。OBのほうでは、昔おれも建設省にいたんだから何とか大目に見てくれるであろう、うまいことしてくれるであろうと、あるいは期待を持つ方がおるかもしれません。しかし、現職としては定められた法規、法令に従いましてこれを厳正に遂行していくということは、私は建設省に参りまして、その点は非常に信頼をもって見ることができる、こういうふうに考えておりまして、先生のように、何かあるんじゃないかという、くされ縁と申しますか癒着と申しますか、そういうものはない、こう御信頼いただいてけっこうだ、こう思うわけでございます。
  243. 庄司幸助

    ○庄司委員 それでは、昭和四十八年度で地方建設局の退官者、この方々で業界への就職をなされている方があるわけですが、四十八年度の退官者の業界への就職者、この数、これはひとつ地建ごとに、本省も含めて御発表願いたいと思います。
  244. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 その前にちょっと一言……。  先生も御承知のとおり、職員の営利企業への就職は、人事院の公正な審査を経た上で許可されて就職をする、こういうことになっておるわけでございます。これは公務員の人事管理、退職する人の今後の生活あるいはこれまでの知識、技術を役立たせるというような面などから、ある程度はやむを得ないと考えられます。しかし、これがため公共事業の執行にいささかの支障があってはならないことはもちろんでございまして、先ほど申し上げましたように、特に厳重に、私はもう辞令をちょうだいしたその瞬間から、自分でみずから範をたれているつもりで実はやっておるつもりでございます。
  245. 庄司幸助

    ○庄司委員 いや、私がお伺いしたのは、何名、退官後就職されたかという点です。
  246. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 四十八年におきますところの地方建設局の退職者は千百七十五名でございました。それから就職者、これは課長補佐以上の四十七名を含めまして百九名でございます。
  247. 庄司幸助

    ○庄司委員 それで、私、これは伝え聞いたのでありますが、各地建ごとにこういう退職者の会といいますか、OBの会が組織されているやに聞いておりますが、そのとおりでございますか。
  248. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 各地方建設局ごとに、名前は多少違いますけれども、いわゆる建設弘済会という組織がございます。この組織は、会員は有志の者をもって会員とするわけでございますけれども、OBが大部分のようでございます。
  249. 庄司幸助

    ○庄司委員 これは弘済会あるいは建設協会などという名前で、あることは聞いております。この弘済会は、わりと一般的な退職者も含めて組織されているようでありますが、そのほかに、少し上級の方の組織があるように聞いておるわけです。そういうのはございませんか。
  250. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 弘済会以外にはございません。
  251. 庄司幸助

    ○庄司委員 それでは、九州地建の退職者をもって組織されている九友会というのはどういう組織ですか。
  252. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 私は、その名前は実は初めて聞くわけでございますけれども、いま確認しますと、いわゆる弘済会のように法人組織、公益法人ではないようでございます。それはちょっと初めて聞きますので、その存在の有無はここでお答え申し上げるわけにはいかないわけでございます。
  253. 庄司幸助

    ○庄司委員 では、私から申しましょう。  これは、九友会と言ったのはちょっと間違いで、九友懇談会ですね。この九友懇談会というのは「温古会の会員で、建設業務に従事するものをもって組織する。」それで、まあ入会規定とか目的とかいろいろあります。この九友懇談会について、さっき九友会と申したからわかりませんかもしれませんが、そういうものがあるというのは御存じですか。
  254. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 私は初めて聞くことでございますし、ここにいる建設省の職員に聞きましても、ここにいる人はみな知りません。
  255. 庄司幸助

    ○庄司委員 実はこの九友懇談会というものの座談会が、この会主催で開かれたのですね。この座談会に出席したのは九州地建の松尾局長さん、題名は「座談会「松尾局長を囲んで」」、出席されたのは松尾局長とそれから会長さんの秋竹さん、あとは中島、橋本、稲葉、小幡、山本、野村、原田、深草、こういうふうになっておりますが、この方々はいずれも九州地建の工事事務所あるいはこの地建そのもの、そういうほうのOBなんですね、全部。しかも、建設業界の相当の要職につかれている方々なんです。これはあとでリストを読み上げてもよろしゅうございますけれども、いずれも、とにかく九州地建の相当の要職にあった高級官僚です。その方々が現職の松尾局長を囲んで座談会をやって、局長からいろいろな話を聞いているのですね。  まず第一番目に聞いていることは、四十八年度の政府予算案が、案の段階で閣議決定されたようだ、だいぶ公共事業費も伸びたようだ、この四十八年度の予算と、あるいはそれに付随する計画と申しますか、そういったことについていろいろお話を承りたい——これに松尾局長が答えているのですね。  その答えがまた——これはいまや業界の方々なんですね。昔は確かに建設省の役人だったかもしれませんが、いまはれっきとした業界のメンバーですね。その方々に、この予算の説明から個所づけまで全部説明しているのです。一月八日に大蔵省から大規模な新規事業について内示があった、その中で、たとえば福岡でいわゆる外郭環状線が認められているとか、あるいは福岡から唐津に向かう国道二百二号線のバイパスが認められたとか、それから長崎の外環状線の問題、あるいは熊本の北バイパス、あるいは有明の湾岸道路の問題とか、あるいは佐賀県の問題、ダムの問題、非常に詳細に説明されているのですね。  これは、政府が予算案でまだ内示された程度ですね。内示された程度のものが、現職の局長から業界に対して、堂々とこういう説明がされているのです。ですから、私は、これは法的にどうかは言いませんけれども、やはりOBを通じて現職と業界のなれ合いの土台になるのじゃないか、こういうふうに思うのです。その辺、大臣どう思われますか。
  256. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 いま御指摘いただいたような線は、予算編成の過程で地方紙において大体報ぜられている程度のものではないかと思うわけでございます。おそらく関係局長も、結局特定の人にこっそりと教えるというのならこれはあれだと思いますけれども、公式の座談会で、それが活字になって一般の方々の目に入るというようなことではないかと思うので、そういうことであれば、先生指摘のようなかんぐりを受けるということはないんじゃないかなと、これは私、当時の実情をよく存じておりませんけれども、まあ私の部下に関する限り、そういう癒着とかなれ合いとか、何らかを期待しながら情報を提供したというようなことはないと、こう私は信じております。
  257. 庄司幸助

    ○庄司委員 ですから、私は、何もこの松尾局長が、これは癒着になるんじゃないかなと思いながら話した問題じゃないだろうと思います。これはそういう意識もないのです。そして当然のように、いわゆるOBで現在建設業界の要職にある方方に、これは相当大きな会社の常務もいますよ、そういう人に、平然としてこういうことを話をするという神経が私はおかしいんじゃないかと思うのです。これが活字を通してほかに周知徹底させられるというなら若干の公平性もあるだろうと思いますが、しかし、これは、この九友懇談会という組織の中だけ配られるような筋合いの雑誌ですね。そうすると、一部の業界だけがそういう情報の提供にあずかって、中小零細の業界はそういう情報の提供にはあずかれないという、少なくとも不公平な問題が発生するだろうと思うのですよ。その辺どう思われますかね。
  258. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 その点は、先ほど申し上げましたように、いま御指摘いただいたような線は、これは私どもの地方におきましても、やはり地方の言論機関、新聞が最も関心を持って報ずるところでございますから、これはもう大体そういう方向になったということは、おそらくその時期の九州方面の新聞、地方紙にも載っているんではないかなと、その程度のことであれば、私は先ほど申し上げたような線で了解ができると、こういうふうに思っておるわけでございます。
  259. 庄司幸助

    ○庄司委員 実はこの会長さんの秋竹さん、この人は鴻池組の九州支店の常務さんですね。四十一年二月一日に九州地建の局長をやめられて鴻池組の常務に就任したわけです。これは元局長さんです。それから、あとから出てきますが、中島さんという人は同地建の主任監査官、これをやって、やはり四十一年にやめて大林組の福岡支店の参与をやっている。それから橋本さんは松尾建設の常務で、四十二年にやめられて松尾建設の常務だ。——これはいいです。それから肝属工事事務所長の稲葉さんという方は、五洋建設の福岡支店次長になっている。あるいは小幡さんという方は、長崎の本明川というのですか、工事事務所長です。九州建設コンサルタント取締役社長です。それから野村さんという方は、鹿島建設の九州支店の営業第一部次長、この方は北九州の国道工事事務所副所長をやっていた。  そういう方々がずらっと並んでおるのです、この九友懇談会のメンバーとして。しかも出席されている。元局長も含めて、先輩ですよ。この先輩の方々が、現職の局長を呼んで、予算の説明をさせたり個所づけの説明をさせるということですね、これ自体、私はやはり不明朗を世間に感じさせる一つの形態じゃないか、こう思うのですよ。だから、こういうものはやめてもらいたいと私は思うのですが、あとからまた別な問題を出しますけれども、大臣、その辺どう思われますか。
  260. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 かつて建設省に奉職した者、国家公務員として、ほんとうに国民の奉仕者として長い間骨身を削って奉仕した国家公務員が、定年ということで職を辞する。その際、いろいろな御指摘のようなあれがありましたために、人事院において、二年間は遠慮をしなさいということで、三年目に再就職を人事院が許可する、こういう手続をとって就職をされておるわけであります。  これらの方々といえども、やはり生きる権利は日本国憲法によって持たされておるわけでありますし、また、営業の自由、就職の自由という職業選択の自由も持たされておるわけでございます。かつて公務員であったがために、能力を持ちながら、その関係の仕事には、自分の最も得意な仕事につくことができないというようなことでありましたならば、これはもうほんとに国家的な大損失といっても私は差しつかえない。そういう意味におきまして、要は、そのOBで就職された方と現職の国家公務員である九州地建の局長との間において、国民から疑惑を持たれるようなことをしでかさない、絶対に慎むということが、私は一番大事であり、国民もそれを期待しておるわけでございますので、御指摘のように、どうもおかしいというような疑惑を持たれないような出処進退をしなければならないということも、確かにこれは一面でございます。  したがいまして、その九友会、どういう組織になっておるかわかりません。私は、だれでもそれに、建設省出身者であれば参加できて、そして会合があった際にはだれでもそこに行って、そうして要求されれば地建の局長といえども——営業会社の人といえどもこれは主権者でありますから、主権者から国家公務員が、出てきて説明しろといわれれば、これを断わるすべがない、こういうふうに考えるわけでございます。ただ、たまたまそういう建設業という地位にあってということが、先生の御気分に触れたわけでございます。私もそういう面については、誤解を受けないように、きちんとしたやり方をやるようにさせたいと思います。
  261. 庄司幸助

    ○庄司委員 大臣、確かに生きる権利がある、これは私も同感です。しかし、生きる権利があるのは、もとの局長さんやもとの工事事務所長さんや、そういう方々だけではないということです。地建の平の職員だって生きる権利はあるのです。そういう方々にどういう仕打ちをしているかは、これはあとで言います。  それで、この中で中島さんという方、さっき名前を出しましたが、これは大林組の福岡支店の参与の方です。元地建の主任監査官。この人が松尾局長にこういうことを聞いていますよ。何か八木山トンネルというのがあるそうですが、「八木山トンネルは、一般有料道路として公団がやられるように聞いておりますが、あれなんかは二〇一号のバイパスとして国がやるべきじゃありませんか。」、これは意見を述べたといえばそれっきりですが、しかし、この現職の局長に、もとの先輩か何かわかりませんが、これは国が直接やれ、こういうことを迫っているわけですよ。それに対して松尾局長が、「当然そこは地建でやるという原則論で進んでいるわけです。」、当然直轄でやる、こういうことを答えております。  そうすると、まるで国会の代議士が局長を呼んで、おまえ、ここはこうやるべきだ、こういうことを質問して、局長が、はい、そのとおりでございます、こういうことが、政治の場を通り越して、業界とそれから現職の局長の間で取りかわさている。これは私ははなはだ不審にたえない次第なんですよ。  こういうたぐいはまだあるのです。時間の関係で私はこれだけにしますけれども、大臣、一体こういうことがあっていいのですか。
  262. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 先ほどお答えしたとおりでございます。
  263. 庄司幸助

    ○庄司委員 先ほどのこととはちょっと性質が違うんです。先ほどは予算の説明で、個所づけの説明をしたのだが、今度は逆に業界の常務から、支店長からですか、こうしたらどうだと指図されているんですよ。建設省の役人が業界から指図をされるなどというみっともないかっこうですね。これは私は慎むべきだと思うのですが、どうですか。
  264. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 御指摘のとおりでもございますし、かつて、やはり経験者ですから、専門家ですからね、その専門家が専門家の立場で意見を言う、これを採用するかしないかは、これは建設省自身の側にあるわけでございまして、それをしも言っちゃいかぬというようなことは、私はこれはやはり友だち同士、先輩後輩が集まればそういうことも——話の出た際に、それをそのとおりにしてしまうというのでは、これはいかぬわけでありまして、やはり建設省独自の立場で、現職にある諸君が、ほんとうに自分の持てる力の最大限を発揮をして仕事をし、国民に対する国家公務員としての使命を果たすということをやっておるわけでありますから、その点はやはり信用していただきませんと日本の行政というものは成り立たない、こういうふうに私、考えますがゆえに、確かに御指摘いただくような誤解を受ける点は、あってはいいことではございませんので、その点についてはそういう誤解を受けないように指導してまいる、こう申し上げておるところでございますので、先ほどお答え申し上げたとおりということを申し上げた次第でございます。
  265. 庄司幸助

    ○庄司委員 先輩後輩としてものを言い合う場は、ぼくはあるだろうとは思うのですよ。しかし、これは業界の支店長ですよ。相当大きな土建業の支店長です。その会社の利益を代表している方ですよ。そういう方々が、幾ら先輩だからといって、こういう場で現職の局長にああしろ、こうしろというようなことまで言われたら、これは内政干渉もいいところだと思うんですよ。業界との癒着というのはやはりそこから疑われると私は思うのです。少し場違いじゃないですか。
  266. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 先ほどもお答え申し上げましたとおり、その場でそういう話し合いがなされた、そういう指摘を受けたから、すぐそれが建設省の仕事に癒着というような結果をもたらすとは私は思いたくありません。その点については、厳正な執行が行なわれておると確信をいたしておる次第でございます。
  267. 庄司幸助

    ○庄司委員 それならば、私は——建設省でこういう、去年からことしにかけて三べんも汚職がある。その中で、しかも河川の問題では非常に重要な内容を持っているわけですよ。だから、業界と建設省との間というのは画然とした一線を持つべきだと私は思うのですよ。その辺が、分け隔てなく、先輩後輩の関係とかそういうことでずるずるいくと、やはり情報も漏れる、入札についても情報が漏れていく。こうなると、予定価格だって漏れない保証はないのですね。これでは入札の公正も疑われてくる素地が、こういうところにあると私は思うのですよ。だから、大臣が、やむを得ないのだ、建設省というのは昔からそういうしきたりで、建設省一家なんだ、先輩後輩の関係を大事にするのだということの中に、やはり汚職や不正の生まれる下地があるというので申し上げているのです。その辺どうですか大臣、もう一ぺん……。
  268. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 いまのおことばはまことに心外でございまして、私が癒着の根源を黙認しているがごとき感じのする御発言でございましたが、そういう気持ちはさらさら私はないわけでございます。したがいまして、私の前任大臣も、そういう、建設省にとってはまことに獅子身中の虫というべき公務員に対しましては、実は昨年厳重なる処断をして、その場で懲戒免職というかつてない措置をとられたということをもっても、御理解いただけると思うわけであります。
  269. 庄司幸助

    ○庄司委員 大臣先ほど原さんへの答弁で、人間的なつながりがあれば予算が流れる、こういう発言をなさったことを、大臣が認められたでしょう、申しわけなかったと。これだって人間的な関係ですね。やはり予算が流れるケースになるのです。ですから、大臣もそういうことをふっと口に出される、下々のほうではなおさら口に出す機会はあると私は思うのですよ。その辺どう思われますか。
  270. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 私は建設大臣としまして、就任以来、先ほどから申し上げておりますとおり、国家公務員法に基づく厳正なる国民の奉仕者としての仕事をしてまいるように、きびしく指導をいたしておるところであります。
  271. 庄司幸助

    ○庄司委員 それからもう一つ、最後に司会者の方がこういうことを要望しているのです。「九友懇話会二百一二十人の中には、もうすでにOBになってから八年たつ、十年たつ、十二年たつといったような人がだんだんふえて来たわけでございます。」「業界に入ったときが第二の人生であるならば、今度はすでに第三の人生だといえんことはなかろうと思うのです。」「そういう第三の人生に踏み入ろうとする場合のOBに対して、局としてはどういうふうにお考えになっておられるか、」「いついつまでも甘えたような言い方で大へん恐縮ではございますが、でき得るならば何らかの御同情をいただければという気持ちがないではございませんので、」  どうですね、大臣。第二の人生で天下って相当の要職についておいて、今度は第三の人生まで要求しているのですよ、この連中は。相当虫のいい話ですね。こういう連中が寄ってたかって局長を囲んで座談会をやったりなんかしながら、こういう方々の所属する会社が入札に参加しているのです。そうすると、当然やはり癒着だといわれてもしかたがないと私は言うのですよ。この辺、大臣どうです。第三の人生まで、国家的な損失だからこれを保障してあげなくてはならない、第三の人生も、生きる権利があるのだから保障しなくちゃいけない、こういうふうに思いますか。
  272. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 何も特別に地建が、その第三の人生を保障してやっておるわけじゃありません。また、保障しようとも思っておらぬわけでございます。先ほど来申し上げておりますとおり、とにかく第三の人生なんていうことが頭に浮かんでくるということは、やはり年のせいだろうと思うのです。そういうことでありますから、私どもとしては、現職の諸君に対して、そういう誤解を受けないように、あくまでも厳正に、公務員としての行政の執行に当たるように、誘惑に負けないように、圧力に屈しないように仕事をしなさいということを指導をいたしておるところでございます。
  273. 庄司幸助

    ○庄司委員 圧力に屈しないようにがんばれといっても、なかなかこの圧力は強いのです。この会則の一番最後に、「第5 本会に下記の役員をおく」「顧問」、どうです。前建設次官をおやりになった米田正文さん、参議院の全国区の方ですか。それかの前建設官房長をやられた鬼丸勝之さん、それから建設省河川局長をやられた上田稔さん、同じく河川局長をやられた古賀雷四郎さん、こういうそうそうたる参議院の先生方が顧問になっておるのです。しかも、この方々は建設省のOBです。そうすると、政界と財界といいますか、業界と、それから官僚、こういうのが三つどもえになって癒着しているような感じを、先ほどのやりとりから見ても、こういう名簿から見ても、受けるわけですよ。  これは大臣、とにかく現職に、公務員として厳正な立場を堅持してやれというだけでは、なかなかたいへんな問題があるだろうと思うのです。これは九州だけではなくて、各地建ごとにこういった組織はあるだろうと思うのです。その辺、大臣としてこれは一ぺん点検してみて、厳重な指導を加えないと、いずれまた第二のいろいろな問題が起きないとも限らない。この辺点検してみられるおつもりはございますか。
  274. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 ただいまわれわれの同僚議員の名前等もあげられたわけでございますが、庄司議員も御承知のように、議員というのは国民主権者によって選ばれるわけでございます。したがいまして、そういう意味においては民主的で謙虚な方が多い、こう私は確信をいたしております。また、そうであればこそ、お互いきびしい選挙戦の試練を経て、国民主権者の代表としてこうして国会に出て、国民の福祉をどうして向上してまいるか、国民の不安をどうして除いてまいるかということに懸命に努力をいたしておるところでございますから、議員さんが圧力をかけるなどということは、同僚として、私はそういうことはない、こう信じたいですね。  各地建においてそういうことがあってはよくないという御指摘でございますけれども、やはり弘済会的な組織というものは、本人のなくなられた遺族の方とか、そういう方々に対して同僚としてあたたかい手を差し伸べるというような面もあるようでございます。そういうものまでもみなやめてしまえということになれば、これはまことに寒寒としたことになるわけでございまして、その点は、角をためて牛を殺すということではなく、やはり建設省としては業界を指導しなければなりません。指導してまいりますためには、やはり発注するもの、受注するもの、そういう立場になるわけでございますので、よほど厳正な指導をしてまいりませんと、先生から御指摘いただいたような誤解を受ける、癒着ではないか、こう御指摘を受ける、こういうことのないようにしていくことが一番大事なわけでございまして、そういう面につきましては、私も大臣として主として本省——就任して間もない期間でございますので、各地建を全部回ったわけではございませんけれども、私の知る限りにおきましては、また体験しております限りにおいては、そういう現職の者はおらない、こういうふうに確信いたしておるわけであります。
  275. 庄司幸助

    ○庄司委員 弘済会までつぶせと私、言っておるわけではないのです。これは誤解しないでもらいたいと思います。こういう九友懇談会のような、相当上位にあった方々だけの組織があって、いま言ったような話があるわけですから、私はこれに対象をしぼっているわけです。弘済会つぶせなんて、私は一言も言っていませんよ。ただ、弘済会についても若干問題はないわけではない。これは時間がありませんから私はやめますけれども、やはり問題はあるようです。労働基準監督署からにらまれるような節さえも感知される部面もある。それから、若干賃金のピンはねをしているような疑いさえもあるやに私は聞いているのです。弘済会問題はやめますけれども、とにかくこういった問題は重要な問題ですから、大臣、私はやはり総点検してもらいたい、いやしくも癒着があってはならないわけですから。  それで、実は私は入札問題で一つだけ伺いたいのは、四十九年度の発注予定というのですね、これは建設省としては一体いつごろつくられるものですか。四十九年度の発注予定です、道路工事その他の。
  276. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 まだ予算が国会で審議中でございますので、いつごろになりますか、いま大蔵とその辺を詰めておるところでございます。事務的にどのようになっておりますか、事務当局から答弁させます。
  277. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 御質問の御趣旨、四十九年度の予算の配分のことではないかと考えますけれども、これならば、大臣がいま御説明申し上げたとおり、いま参議院で審議中でございます。御承知のように、予算が成立いたしますと、これを配分するわけでございます。その前に、御承知のように、公共事業につきましては実施計画の承認を大蔵大臣に求める、それを承認してもらったあと支出負担行為計画についてこれを各県に流す、地建にこれを交付するということになるわけでございまして、その場合に具体的な発注の場所がはっきりするわけでございます。
  278. 庄司幸助

    ○庄司委員 そうですね。まさにそのとおりだと思うのです。ところが、ここに一月十六日付で、一月十六日に作成したといわれるおたくの書類があるのです。四十九年度道路事業費(改築)工事発注予定表、三重工事事務所のものですね。その中に、たとえば名四となっておりますが、何かわかりませんが、名四、霞ケ浦高架橋下部工事、これが工事費二億一千万円、そして一番最後のほうに大成と書いてあります。  いまあなたがおっしゃったようなあれが本物なんですね。あのとおりやらなくちゃならない。ところが、予算が参議院も通過してない、その段階でこの三重工事事務所では、一月十六日にもうこういうものを作成している。これはどういうことなんですか。
  279. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 いまの具体的な問題でございまして、私ども、その資料を持ちませんし、その内容をよく吟味することができないわけでございますけれども、したがって、ここでそれについてお答え申し上げるわけにはいかないわけでございますが、四十九年度の予算の配分は、さっき申し上げたとおりの手続によりましてきまるわけでございます。
  280. 庄司幸助

    ○庄司委員 こういうことが具体的にはやられているということですね、あなた方は御存じなくとも。こういった違法なことがまかり通っているわけでしょう。しかも、さっきから私、九友懇談会の問題を申し上げましたが、ああいうからくりがあるわけです。しかも予定価格まできめて表にしている。こんなばかな話ないと思うのですね。しかも発注予定者の名前まで、御丁寧に書いている。こんなことが建設省でまかり通っているのですか。
  281. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 さっき申し上げましたように、具体的な資料の内容わかりませんけれども、おそらく、かりに私らが想像しますと、本省に出したのは要望をまとめたのではないかとも思います。業者の名前を書いていることは、全くわれわれは考えられません。
  282. 庄司幸助

    ○庄司委員 ですから、これは委員長にも御紹介しておきますが、ひとつ調べて当委員会に御報告願いたいと思うのです。委員長、よろしいですか。
  283. 臼井莊一

    臼井委員長 あとで、理事会でまた御相談いたしましょう。
  284. 庄司幸助

    ○庄司委員 いままでの質疑の中でいろいろやってきたわけですが、大臣は、とにかく建設省の公務員だって生きる権利があるのだ、それからこういう人的な宝を失うのは国家的な損失だ、こういうふうにおっしゃったわけです。そうすると、先ほど御報告いただきましたが、建設省の退職者ですね、これは地建関係で千何名あった、そのうち四十七名についてこういうリストをちょうだいしたわけですね。     〔委員長退席、唐沢委員長代理着席〕 あとの千名以上の方の生きる権利についてはどのようになさっているのか。私は、平等だと思うのですね、上の人も下の人も。その辺どのような御処置をとっておられるか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  285. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 先生に差し上げました資料は、これは御承知のとおりでございます。大体退職者の一割くらい。これは営利企業に二年以内に就職する場合には、国家公務員法及び人事院規則によりまして承認が要ることになっております。その手続をとったものでございます。したがいまして、それ以外の者につきましては、たとえばその他の——この営利企業というのは、職務に密接な関係がある、そういうように考えられるものについての承認でございますが、それ以外の一般の会社に行かれる方、それからいろいろな団体、協会とかそういう団体に行く方、それから地方公共団体、府県とか市町村に行かれる方というようなものは、これもあるわけでございます。それから年齢的に再就職をするような年齢でない方が就職をしないとか、また親戚その他の仕事を手伝うというようなものもあろうかと思います。  いずれにしましても、その再就職の問題、先ほどから大臣が御説明申し上げておりますとおり、やはり人間、相当の年齢まで、働かなければ食えないような情勢でございますので、弊害の起こらない意味におきまして、密接な関係のあると認められるような営利企業へは、きびしく人事院が審査をいたしまして、承認を得て就職をいたしている次第でございます。その場合におきまして、先ほど先生から幹部だけではないかという御指摘がございましたが、実際にはそうじゃございません。幹部もあるでしょうし、また幹部以外の、たとえばこの承認された中におきましては、等級でいいますと五等級とか六等級、こういう事務所の主任だとか係長クラスの人もこの中に含まれておる次第でございまして、建設省を退職する方について、具体的にその人のそれぞれの特殊な事情があることと思いますので、一がいにいきませんが、それぞれみんなで、食べることができないというようなことにならぬようにいろいろ配慮をいたしておる次第でございます。
  286. 庄司幸助

    ○庄司委員 そうすると、千百七十五名の四十八年の退職者中、そういったものも含めて何名再就職していますか。
  287. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 これは具体的にすべての人を調査しないといけませんので、現在調査資料を持っていない次第でございます。
  288. 庄司幸助

    ○庄司委員 ですから、大臣が言ったとおり、生きる権利があるわけですから、この千百七十五名、ことしもまた退職されるでしょうから、そういう方々も含めて、親身になって再就職のお世話を建設省当局がやられるかどうか、これを一言だけ伺います。
  289. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 再就職先と申しましても、先ほど申し上げましたようにいろいろな方面があります。その本人がつとめた過去五年間における職務と密接な関係があるというものにつきましては、先ほども申し上げましたように、これも人事院の厳重な審査を経て、承認されました場合に就職できる。それから、その他の協会とか地方公共団体だとか、それから建設省の職務に全く関係のない会社への再就職というものもあるわけでございまして、そういうものもあわせまして、十分親身になってそういうことを考えてまいるように私どもも指導いたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  290. 庄司幸助

    ○庄司委員 それで私、二、三の事例をあげたいのですが、末端の方の事例です。  これは前にも事務当局に聞いたわけですが、青森工事事務所の阿部貞四郎さんという方がいらっしゃって、この方は相当の御年配だ。この方がついこの間、配転の内示があったというんですね。本人は六十五歳、奥さんは五十八歳。この人が六十五歳、奥さんが五十八歳になって、青森と秋田と別れ別れで暮らさなくちゃならない。これは私は、温情味のある処遇ではない、こう思うのですよ。これは生きる権利とは直接関係ないにしても、やはり夫婦間のいろいろな機微の問題もありますし、年とってから夫婦離れ離れで暮らさなくちゃならない、こういう事態が起きているわけです。こういうものについては、何か事務当局の話だと、とにかく差しつかえないから、これはもう絶対内示は取り消さない、こういうことになっているんですね。それから、東北地建の仙台工事事務所の水野さんという方も、いろいろ事情があって、内示された線では困る、るる言っているわけです。そういう方についても、調べてみたら一向差しつかえない。——本人の事情を十分聞いて、本人の納得を得て配転させたと思えない形跡があるんですよ。これは一つ二つの例です。  しかし、ほんとうに大臣がさっきからお話しのような御趣旨ならば、こういう末端の方の配転問題あるいは就職問題についても、ほんとうに親身の、人情味のある施策があってしかるべきだと私は思うのですが、こういった点、それぞれ労働組合を持っているわけですから、やはり組合と、本人も含めてよく話し合って、そうして解決されるのが私はほんとうの行政じゃないかと思うのですが、その辺ひとつ大臣から、やはり話し合いをやらしてもらいたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  291. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 先ほどから申し上げておりますとおり、建設省の職員は、私の傘下に三万一千名おるわけでございます。これらの諸君が全国にそれぞれ位置をいたしまして、建設行政の推進にあたっていただいておるわけでございます。したがいまして、適材適所といったような面あるいはだれも行きたくないという職務場所等もあり得るわけでございます。     〔唐沢委員長代理退席、委員長着席〕 しかし、そういうところを、やはり公務員という自覚のもとに、戦後今日まで遅滞なく建設行政が行なわれてきておるという事実も御理解いただきたいわけでございます。確かにただいま御指摘をいただいたような方がおられることも、電話で私もお聞きいたしております。その詳しい点につきましては、私も事務当局に、どういうふうになっているのかさらに調べてみなさい、こう言っておりますから、詳しいことは事務当局から御答弁させたいと思います。  高級公務員だから特別に就職を世話するとか、あるいは第一線で働いておられる公務員の方々だから知らぬ顔をするとか、そういう気持ちはさらさらないわけでございます。高級の方といえども、何も建設省が世話してやっておるわけじゃないわけでございます。しかし、御指摘のありますように、やはりお互いに安心した職場を持てるように配慮をするということは、われわれ内閣に課せられた使命でもございます。そういう意味におきましては、それぞれの組織、機能等に対して積極的に私どものほうからも申し入れをいたしまして、本人が不安のない生活が送れるようにしていかなければならない、こう考えておるわけでございます。
  292. 庄司幸助

    ○庄司委員 それでは、そういうことで、ひとつこういった具体的に例示した問題やその他の問題について、よく話し合いを進めていただきたい。これを強く要望しておきます。  最後に私お伺いしたいのは、新規採用者の採用にあたって、どうも建設省当局の中で思想調査がやられている模様なんですね。思想調査は、建設省としては当然、憲法の規定その他に基づいて、おやりになってはならないはずなんですが、そういう思想調査をやっている事例はございますか。
  293. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 思想調査ということはあり得ないことである、こう考えます。
  294. 庄司幸助

    ○庄司委員 実は、そのあり得ないことがあるんですね。これは、中国地方建設局の総務部の人事課長、ちゃんと判も押しておりますが、この名前で各学校の校長に出した手紙なんです。前のほうは省略しますが、「選考の結果当局に勤務していただくことに内定いたしましたのでとりあえずご通知申しあげます。」「つきましてはまことにご多忙中恐縮に存じますが人事管理上の資料に必要なため別紙調査書にご記入のうえ当職あて送付方よろしくお願い申し上げます。」ということで、身元調査書を送っているのです。その身元調査書には氏名、本籍、現住所、もちろんあります。学歴、性質、学業成績、健康状態、クラブ活動、交友関係、日常の生活態度、あとは特技、資格、免許、それから品行、その下に、思想があるんです。それから趣味嗜好、スポーツとなって、友人関係、友人の氏名、これについて別欄で、性質、思想など、こう書いております。それから友人の席次を知らせてくれ。本人の思想調査をやるのでさえもあってはならないと大臣が言っているにかかわらず、本人の思想調査をやった上に、しかも友人三名について思想を調べてくれ。しかも、どうです、友人の席順まで書いてこい。こういうことが中国建設局でやられているのです。これはどう思います。
  295. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 私も、庄司先生から御指摘を受けて、実は中国地建を調査いたしましたところ御指摘のとおりでございまして、あ然としたわけでございます。これはもう御指摘を受けるまでもなく、あってはならないことでございますので、この点については、即刻こういうことをやめるように指導をしたところでございます。
  296. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 ただいま大臣から御説明申し上げたとおりでございますけれども、私どもも、先生から御指摘を受けまして、実は調べたわけでございます。これは一部の、先生指摘の地建におきまして、そういう身元調査を学校長にあてて調査を依頼しておりますが、これは採用の内定を決定したあとにおきまして、そういう身元調査を学校長にあてて調査をしているわけでございます。これは文書にそういうふうに書いておる次第でございます。したがいまして、あくまで採用後の人事管理の参考資料とするものでございまして、これによりまして採用内定が取り消されたりするものではない、しかもそれはなかったということでございます。  しかしながら、疑いを招くということでございまして、これは適当でございませんので、大臣からも指示がございまして、本日午前中にこの地建に、もうこういうことをやめるように指示いたした次第でございます。
  297. 庄司幸助

    ○庄司委員 これからやめるということでありますが、こういうことで不利益処分を受けた者がもしもあったならば、これは善処してもらえますね。
  298. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 これはもう憲法に示してあるところでございます。そういうことによって特別の偏向した取り扱いを受けるというようなことは、憲法のもとで絶対に禁止しているところでございますので、そういうことはいたしません。
  299. 庄司幸助

    ○庄司委員 もう時間ですから、最後に、これは文書でやったケースを私はお示ししたのです。しかし、こういう文書は出さなくても、地建によっては、本人を面接する際に口頭でやっているケースが、私の耳に入っているのです。きょうのところは、どこということは言いません。これもひとつやめさしてもらいたい。この点いかがですか。
  300. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 承知いたしました。
  301. 庄司幸助

    ○庄司委員 終わります。
  302. 臼井莊一

    臼井委員長 次に、坂井弘一君。
  303. 坂井弘一

    ○坂井委員 日本住宅公団が行ないますところの住宅建設につきましてはいろいろと問題があるようでありまして、いわれるところの欠陥住宅あるいは欠陥団地ということでございますが、ただ、これは単に技術的な問題だけではなくして、むしろ家賃とのからみあるいはまた戸数消化主義、これらに基づきますところの建設行政、建設省の住宅に対します政策あるいは行政そのものに根ざすところが非常に大きい、私はそう思います。  そこで、本日は、これら欠陥住宅あるいは欠陥団地と称せられますものの実態につきまして、全体的にその内容を明らかにする中で、住宅行政そのものが本来的には国民が主体でなければなりませんし、同時に、そのような考え方の上に立ちまして計画性のある住宅行政の推進をはかっていかなければならない、そのような観点から、以下順次御質問をしてまいりたいと思います。  そこで、私が今回あげます問題点は、最初に列挙いたしますと、まず第一番目は発注状況がきわめて遅延しておるその実態、二つ目には住宅建設部門の工事の中止の状況、さらに三つ目には長期間使用できない住宅建設用地の実態、四番目には住宅完成後長期間入居できない団地の実態、さらに五番目には宅地造成部門の工事の中止の状況、六つ目にはおもな未処分の宅地、七つ目には削減戸数の実態、以上七点にわたりまして、大体その全容につきまして明らかにしてまいりたいと思います。  そこで、まず第一番目の、遅延している発注状況でございますが、この質問に移ります前に住宅公団にお尋ねいたしますが、四十七年度及び四十八年度の公団住宅の事業計画、この戸数と発注戸数、これを見ますと、四十七年度におきましては事業計画数が七万戸であります。これに対します発注が三万百八十六戸、この達成率はわずかに四三%。四十八年度におきましては事業計画戸数が八万戸に対しまして、四十九年二月末現在で発注が一万八千戸、これは二三%、こういうようにきわめて発注状況が悪いわけでございますが、この原因は何なんでしょうか。項目をあげて簡単に御説明いただきたいと思います。
  304. 沢田光英

    ○沢田政府委員 公団はまだちょっと参っておりませんので、建設省のほうから概略を御説明申し上げます。  公団におきましても、四十六年度まではある程度の進みで来ておりました。四十七、八年につきましては、先生おっしゃるとおりの実績でございます。公団は、御存じのように大都市圏、東京、大阪圏あるいは中部圏、ここにおきます住宅難の著しい個所に集中的に建設をしておるわけでございますが、この大都市圏におきまして、四十七、四十八年あたりから非常に建設がダウンしてきております。  これはいろいろと原因がございますけれども、基本的には下物と申しますか、建物が上物といたしますれば下物の問題がすぐれて大きいかと思います。第一には、土地が高騰いたしましてなかなか買いにくいという問題がございますけれども、現在、公団は相当の土地を保有しております。これがなぜ建たないかといいますと、やはり地方公共団体に負担のかかります関連公共公益施設、これの地元負担が増加をするというふうな地方財政の問題が一つ大きくありまして、これによって公共団体は、公団団地拒否というような傾向が顕著にあらわれてきました。さらには、もう少し深刻な問題といたしましては水の問題、人口がふえれば水が不足する。あるいは交通問題、これが非常に混乱をする。そういうふうないわゆる都市基盤整備と申しますか、かような問題に関しまして団地拒否というような傾向が非常に強まってまいりました。そういう理由で四十七年度はお説のような遅延を来たしたわけでございますが、さらに昨年に入りまして建設資材の高騰ということがございました。特に石油ショック以来は非常に高騰をいたしまして、上物の面からも、これは入札不調等によります急激なおくれというものが来た。以上が原因の大略でございます。
  305. 坂井弘一

    ○坂井委員 住宅公団は住宅建設の実施機関であります。むしろ、住宅行政あるいは住宅政策あるいはそれに基づくところの指導、それはまさに建設省において行なわれなければなりません。いま、発注状況が非常に悪いその原因について、幾つかの問題点があげられました。私は、ただ単に、その原因は今日的なやむを得ない事情のものであるというような皮相的な立場でとらまえるものではなくして、むしろ、それらがよって起こった真因というものが今日までの住宅政策あるいは指導そのものにあった、つまり、ある意味で言えば住宅行政の失政に負うところきわめて大きいという点をまず冒頭に申し上げながら、最初にあげました七つの点、以下六つになりますが、それらの実態についてつまびらかにしてまいりたいと思います。  住宅建設部門の工事の中止状況でありますが、四十八年六月末現在の状況を私のほうから申し上げたいと思いますが、御確認いただきたいと思います。  件数は全部で七十二件、工事費は全部で百五十五億八千五百七十一万一千円、きわめて多額であります。この内訳は、三カ月以上六カ月未満のもの、件数三十九件、工事費五十七億七千二百五十三万七千円、六カ月以上九カ月未満二十件、二十四億二千九百六十万五千円、九カ月以上十二カ月未満三件、八億一百十万、再開時期未定のもの十件、六十五億八千二百四十六万九千円、以上トータルいたしますと、件数にして七十二件、工事費にいたしまして百五十五億八千五百七十一万一千円、このようになると思いますが、間違いないでしょうか。
  306. 南部哲也

    南部参考人 そのとおりでございます。
  307. 坂井弘一

    ○坂井委員 特にこの中で再開時期未定のものが十件ございますが、どこの分でしょうか。さらにその理由について簡単に御説明いただきたいと思います。
  308. 上野誠朗

    上野参考人 お答え申し上げます。  当時、再開時期未定と申しますのは、千葉の特定分譲住宅の黒崎窯業十六戸でございます。それから丸山台、これは横浜でございますが、百八十六戸。それから川口芝園、これは川口市の高層住宅でございますが、これが第一、第二、第三とありまして全部で千八百八十三戸。それから千葉県船橋市飯山満の敷地造成、それから川口東本郷の敷地造成、それから月島一丁目の市街地住宅の駐車場の建設工事、それから高島平の東口の駅前の歩道橋の工事、それから飯山満団地の排水のための水中ポンプ工事、以上十件でございます。それで、これにつきましてはその後の状況を申し上げますと、まず最初の黒崎窯業でございますが、これは当初の敷地が高層住宅を建てることについて周辺から反対があったものでございますから、敷地を変更いたしまして、ことしの五月上旬に工事再開予定でございます。  それから丸山台につきましては、現在、この敷地そのものを学校用地にしてほしいというような地元の要望がありまして工事再開に至っておりませんけれども、学校用地にするならばそのかわりの土地を、候補地がございまして、そのあたりを現在検討いたしておる段階でございます。  それから川口芝園千八百八十三戸につきましては、周辺の地元から日照関係あるいは高層住宅を建てるための圧迫感と申しますか、そういうことからいろいろ反対がございまして、現在、建物の位置を多少変更するとか、そういうような話し合いをいたしまして、近く工事の再開ができるだろう、そういうことを目途にいたしまして現在協議中でございます。  それから、その次の飯山満の敷地造成、これにつきましては、排水で下のほうの農業用水が汚染するということで反対があったものでございますが、これは地元の水利組合と話がつきまして、四十八年十二月五日工事を再開いたしております。  それから、川口東本郷の敷地造成につきましては、これも学校用地にほしいということで地元と協議中でございましたが、一部を学校用地に提供するということで大体話がつく見込みで、現在協議中でございます。  それから月島一丁目の駐車場の追加工事につきましては、これは地元から風害が起きるのではなかろうかということで陳情があった分でございますが、その後話がつきまして、四十八年十一月十九日再開をいたしております。  それから高島平の東口の駅前の歩道橋工事につきましては、これは現在一つ歩道橋がございます。それに隣接してもう一つ歩道橋をつくるという工事でございますけれども、歩道橋のお互いの距離が近過ぎるということで道路の占用許可がなかなかとれなくて、工事中止をいたしておりましたけれども、その件の話がつきまして、近く四月中に占用許可がとれる見込みでございます。  最後に、飯山満団地の水中ポンプにつきましては、先ほど申し上げましたように、敷地造成につきまして地元と話がつきましたので、敷地造成の工事の進捗に合わせまして、本年の九月ごろポンプの設置工事を再開する予定でございます。  以上でございます。
  309. 坂井弘一

    ○坂井委員 いまあげました十件以外に、それ以後の分としましても、なお新しい、再開見通しの立たない分があります。  たとえば日野大久保団地、この経緯を簡単に申し上げますと、四十三年三月に用地取得です。四十六年十月に仮換地指定の後に、四十六年度事業として、三十四条照会に対する回答が得られないまま、市の担当部長の口頭了解のみで、六カ月間の障害期間つきで十一階建て二DK三百九十二戸の発注が行なわれた。当初の着工予定日は四十七年十月一日であったが、三十四条回答、法手続未了のため着工延期となった。その後、法手続が完了いたしまして四十八年三月十五日着工可能となったが、着工延期に伴ない建設業者との折り合いがつかず——建設業者というのは鹿島建設であります。——ただちに着工はされなかった。この間各地で住民パワーの高まりがあり、当団地周辺の住民からも高層住宅による電波障害、風害等の問題について懸念が表明され、その後地元自治会は公団住宅建設反対をきめ、この用地を市で買収し公園その他公共施設をつくるよう、団地建設反対同盟の名で陳情書を市に対して提出し、市側がこれを採択、現在のところ、発注済みの建設工事再開の見通しは立っていない。  いま申し上げたとおりでしょうか。
  310. 上野誠朗

    上野参考人 お答え申し上げます。  この土地は、日野市から区画整理中の土地を買ったものでございます。仮換地の指定を受けましたのが四十七年一月一日でございます。それから四十七年三月三十一日に入札したのは、先生がただいま申されたとおりでございます。それから、その三月三十一日に入札をいたしましたときに十月一日から着工ということも、おっしゃられたとおりでございます。  で、当時三月三十一日に入札いたしまして、その十月一日までに工事実施について地元と詳細話を詰める、こういう予定でございました。発注当時、その敷地は住居地域で高度地区が指定されております。十メートルの高さ制限でございます。それに従いまして着工までに手続が要りますので、高度を——十一階建てでございますので三十一メートルです。十メートルを超過しますので、建築基準法の許可が要ります。それで、その許可を四十七年八月二十二日にとっております。それから四十八年二月六日に、日野市から公団法三十四条に基づく回答を受理いたしました。それから四十八年三月十日に、建築基準法に基づくところの適合する旨の通知を市から受理をいたしております。  そこで、着工できる法の手続が終わりましたので着工できる状態になりまして、施工者の鹿島建設とは、着工時点で当初の請負金額を変更してほしいという申し入れがありまして、これの相談はしながら、協議をしながら、一方、工事は急ぎますので、五月の二十四日に現場で工事に着手をいたしました。仮設工事でございます。板囲いをする、現場事務所をつくる、こういう仮設工事に着手いたしました。  ちょうどそのころ周辺の地元の方々から、高層住宅は困る、それは風害あるいは日照あるいは高層による圧迫感がある、そういうようなことで反対の陳情がございまして、そこで日野市のほうから一時工事を中止するように要請されまして、四十八年の六月の四日に工事を中止いたしました。  それから以後、市を通じまして地元の代表といろいろ話し合いをいたしましたけれども、なかなかその話がつかない。こういうことになりまして、四十八年十二月十日に契約を解除いたしました。  現在は、十一階建てを五階建てに変更いたしまして実施すべく、地元の日野市を通じまして地元の人とも話し合いを進めるように準備中でございます。
  311. 坂井弘一

    ○坂井委員 御説明いただいてけっこうなんですがね、問題は、やはり見切り発車なんですね。もっとありますよ。原因はもっと深いと思います。思いますが、そういうことがあったということ。  それから、この竣工期限が、最初段階では四十九年三月三十一日、変更後におきましては四十九年九月十二日、ただし、いま御説明のとおりで、中止になったまま見通しは立っておりません。相手方の鹿島建設、これは契約解除になったわけですけれども、違約金はどうなったでしょうか。
  312. 上野誠朗

    上野参考人 契約解除に伴いまして、違約金は取っておりません。そういうやりとりはございません。ただ、仮設工事等に対する実費を公団側から鹿島建設に支払っております。それから、前渡金を渡しておりますので、それの利息分は、逆に、鹿島建設のほうから当方にいただく、こういう処理をいたしております。
  313. 坂井弘一

    ○坂井委員 これはあらためて契約をし直すということになろうかと思いますけれども、請負代金八億六千四百十万、これは高くなりますね。
  314. 上野誠朗

    上野参考人 当初の計画を変更いたしまして、地元と話し合いがつくような計画にいたしまして、あらためて入札にする予定でございます。
  315. 坂井弘一

    ○坂井委員 大臣、いずれにしましてもこれは高いものになりますね、どっちにしましてもね。私は、ここで価格まで云々しようとは思いません。思いませんが、高くなるであろうということは容易に予測できる、こういうことですね。  全体をあらましずっと申し上げましょう。  四十八年三月末現在、次の問題でありますが、長期間使用できない住宅建設用地、これも私のほうから申し上げたいと思いますが、団地名、所在地、面積、金額、取得年度、使用予定、理由、そういう順序で申し上げます。中荻野、神奈川県厚木市、面積は三十三万六千平米、金額が十六億六千五百三十三万二千円、取得年度四十五年、使用予定が未定、理由は市街化調整区域のため。以下同じ順序で、松伏、埼玉県松伏町、三十八万七千平米、三十二億八千六百八十三万五千円、四十七年度、未定、同じく市街化調整区域のため。箕面粟生、大阪府の箕面市であります。十万一千平米、これが十億二十二万三千円、四十四年度、五十年度以降になります。これは上水が確保できない。それから如意谷、同じく大阪府の箕面市であります。これも十万一千平米、八億九千八百四十五万一千円、四十五年度、これも五十年度以降、理由は同じく上水が確保できない。阿武山、これは大阪府の高槻市であります。二十四万四千平米、六億五千六百八十三万八千円、三十九年から四十一年、五十年度以降、排水先の河川改修が遅延している。それから次は日進、これは愛知県の日進町、三十九万六千平米、十八億八十一万三千円、四十五年度、五十年度以降、市街化調整区域のため。次は四箇、これは福岡市であります。二十三万平米、六億六千百二十万九千円、これは四十四年度、これも五十年度以降。これは住宅需要がありません。  以上のような実態、つまり長期間使用できない住宅建設用地の実態を申し上げたわけでありますが、以上のとおりで間違いないでしょうか。
  316. 上野誠朗

    上野参考人 ただいまおっしゃられたとおりでございます。ただ、使用の予定のことにつきましては若干お答えさしていただきたいと思います。  中荻野につきましては、これは調整区域でございますので、四十九年度以降に使用すべく県と協議をしてまいりたいと思います。  それから松伏につきましても、これは調整区域でございますが、取得の段階から地元の松伏町あるいは埼玉県と協議をいたしておりますので、これは比較的早く使用できることになるかと思います。  それから箕面粟生につきましては、ただいま先生がおっしゃいましたような給水の関係で五十年以降という関係もございますけれども、この箕面粟生と如意谷につきましては、いずれも箕面市でございますけれども、箕面市には現在如意谷の第一団地、これが六百十戸ですが、完成しております。それから箕面粟生の団地で現在千三百八十戸工事中でございます。ただいま先生がおっしゃいました箕面粟生というのはそれの追加の分でございます。こういうふうに一つの市で逐次団地を建設いたしておりますので、地元の市では、一度に建てずに逐次建ててほしい、こういうことを申しておりますので、その辺を調整いたしまして逐次その用地を使用していく、こういう状況でございます。  それから阿武山につきましては、これは排水関係が五十一年ごろになるということで使用がおくれておりますけれども、これは阿武山から高槻へ出るその駅前の整備、それから排水、そういったことを地元といま折衝しまして、大体話がついております。それから阿武山については、その隣にさらに最近用地も取得いたしておりますので、それらを一緒にしまして四十九年度以降において使用いたしたい、そういうめどを立てております。  日進につきましては、これは調整区域でございますので、今後日進町となお協議を要します。  それから福岡の四箇につきましては、これは福岡市における住宅建設があまり一方面に集中いたしますと、住宅の需要上多少あき家が出るものですから、南のほうに建てたり北のほうに建てたりというような、各地域にばらまいて建設する、こういうことをやっておりますので、四箇についてはいままで使用いたしておりませんけれども、四十九年度からは使用を開始する予定でございます。  以上でございます。
  317. 坂井弘一

    ○坂井委員 それぞれの理由については、これは弁明もあろうと思うのですが、しかし、いずれにいたしましても当初の建設計画そのものが、いまのような理由によって大きく阻害されているということは事実なんです。少なくともこれだけの用地が、今日、住宅建設ができないままにあるということですね、ここのところの認識をまずしっかり踏まえていただきたいと思います。  さらにその次には、住宅完成後長期間入居できない団地、これが四十八年九月末現在で見ますと、成田ニュータウン、戸数が千五百三十二戸これは四十七年の七月にすでに完成しております。ところが、なぜ入らないかという理由につきましては、成田新空港が未開港のため。次に稲毛の海浜ニュータウン第一、戸数が四千七百三十三一尺これの保守管理期間も四十七年七月から。その理由につきましては、通勤輸送対策及び水道問題について地方公共団体との調整ができない。一部入居しているようであります。次に稲毛海浜ニュータウン第二、戸数が千三百四戸、これも四十七年十二月、理由は同じく。次が新栄町団地、これが八百八戸、これも四十七年十月、これは上水道施設の未整備。  以上のような実態で入居できない団地を申し上げました。御確認いただきたいと思います。
  318. 上野誠朗

    上野参考人 お答え申し上げます。  四十八年九月末で入居できなかった状況は、ただいま先生がおっしゃいましたとおりでございます。ただ、その後、成田ニュータウンを除きましては、稲毛第一、第二、それから新栄町等は——まず新栄町で申しますと、これは本年五月に入居の予定でございます。それから稲毛ニュータウンにつきましては、これは千葉市、それから検見川ニュータウンは千葉県が、それぞれ埋め立てをやって造成をしておるところでございますが、そこから公団が土地を買収しまして建設をしたわけでございまして、それの駅への交通あるいは水の供給等はすべて市と県で行なうことになって、そういう約束で土地を購入したものでございます。それぞれ駅広を整備するわけでございますけれども、その工事がおくれておった関係上、その入居を一時延期したことがございますが、現在二千九百三十戸は入居をいたしております。これは四十八年の三月から五月にかけてでございます。それから三千八百七十七一尺これはことしの三月から五月にかけて入居をする予定でございます。全体でここは約一万二千戸建てておりますけれども、その半分の六千八百戸程度については、そういうふうに入居の見込みでございます。あとは目下工事中でございます。  それから成田ニュータウンにつきましては、これは先生指摘のように、成田空港の関連で現在あき家になって、保守管理をいたしております。  以上でございます。
  319. 坂井弘一

    ○坂井委員 いずれも完成したのが四十七年度なんですよ。ですから、一年半前後入居できなかったということですね。成田ニュータウンについてはまだ全然入っていない。この管理面につきましては私はたいへん問題があろうかと思いますが、それはまた後に譲るといたしまして、次に、宅地造成部門の工事の中止の状況、これは四十八年六月末現在で申し上げますが、三カ月以上九カ月未満、これが七件、七億三千十五万円、それから六カ月以上九カ月未満が一件ございまして、五千七十万円。さらに、再開時期の未定、これが富田林市の金剛東地区二件、それから奈良県の香芝町真美ケ丘団地四件、こういう実態ですね。合わせますと十四件で十六億四千二十五万円。  確認だけお願いしたいと思います。
  320. 秀島敏彦

    ○秀島参考人 そのとおりでございます。
  321. 坂井弘一

    ○坂井委員 これは工事中止、再開時期未定というものもあるわけでございまして、やっぱり県の許可もなく見切り発車をしたというような理由に基づくものもあるようでありますので、後ほどひとつ十分御検討いただきたいと思います。  次に、未処分の宅地、これはおもなものをあげますと、四十八年三月末現在で、笹川、これは所在地が三重県四日市市でありますが、面積が二十一万二千二百七十三平米、金額にいたしまして十億七千六百十五万二千円、これが完成いたしましたのが四十四年二月から四十五年三月、未処分の理由、宅地の需要がありません。それから周南、これは山口県の徳山市であります。面積が十四万二千百八十一平米、金額が六億七千六百七十五万一千円、完成が四十二年から四十六年、未処分の理由、同じく宅地の需要がなし。それから日の里、これは福岡県宗像町、面積が三十四万六千六百十三平米、金額が十五億四千二百二十四万七千円、完成が四十四年十二月から四十六年三月、未処分の理由、同じく宅地の需要がありません。理由は、遠隔地である。それから、いろいろあるようでありますけれども、つまりこんな便利の悪いところを買ってもしかたがないということであります、平たく申し上げますと。  いまの点、これも御確認いただきたいと思います。
  322. 播磨雅雄

    播磨参考人 お答え申し上げます。  ただいま御指摘のございました面積が、昭和四十八年三月末現在におきまして未処分宅地としてありましたことは事実でございます。確かに四十七年度までは、私どもがこの三地区におきまして土地を分譲いたそうといたしましても、あまり人気がなかったということは御指摘のとおりでございます。  ただ、四十八年になりましてからの募集状況、応募実績を申し上げますと、笹川地区は四十八年の十一月に募集したのでございますが、六十六・七倍。それから山口県の周南地区は四十八年の十一月に募集したのでありますが、八十八・五倍。それから福岡県の宗像町の日の里地区は、四十八年の七月に三百四口、約十五万平米の募集をしたのでありますが、三・七五倍ということで、分譲予定地は、日の里がまだ十万六千平方メートル残っておりますが、笹川、周南は大体民間、一般の方に分譲する分は終わっております。そのほかの土地、たとえば学校の用地などは、私たちがこういった宅地開発をいたしますときには、将来最終的な人口を想定いたしまして、それに必要な学校用地は全部公団用地で確保してあるわけです。ただ、初めのうちは、公団住宅にお入りの方も年齢が若い方が多いというふうなことで、小中学生が計画どおりいらっしゃらないわけです。それからまた、私たちは区画整理でやっておりますので、民間の土地もかなり残っておるわけでございますが、そういったところは、必ずしも公団用地ほどは急ピッチに建物が建たないということがございまして、一応その最終計画に合わせた学校用地それから諸般のものを、土地だけは用意いたしておるのでございますが、それを処分していきますのは、市街地の熟成度に応じまして、必要が生じたつどお売りいたしておるというふうなことでございまして、たとえば笹川団地では、現在でも、小学校一つと中学校一つの学校用地四万四千平米がまだ公団の名前でございます。これは、もっと家が建ってきますと市のほうにお売りする、こういうことになるわけでございますが、まだそこまで学童がふえていないというふうなことでございます。  各団地とも大体そういうふうな状況でございまして、一般に分譲する予定の土地は、先ほど申しましたように、日の里に十万六千平米が残っておる程度でございます。
  323. 坂井弘一

    ○坂井委員 遠隔地でして、公共施設等は、この完成時点では環境整備も非常にできていないですね。最近においてようやくそれができつつある。特に近年、地価がどんどん高騰する。したがって、こういうところも買いましょうということになるわけですけれども、いずれにしましても、これは四十二年から四十六年にすでに完成した分なんです。それがいまになってようやく、これが少し明るさが見えてきたというようでありますけれども、あまり希望的な観測はなさらぬほうがよろしいのではないかという感じが実はいたします。これは御注意申し上げておきたい。  さらに戸数の削減、これが二件ございまして、稲毛海浜第三、これは計画戸数が千四百七十戸に対しまして変更戸数が千二百二十戸、つまり削減いたしましたのが二百五十戸。削減につきましては千葉市と協定をいたしたようでございますが、原因についてつまびらかにはいたしておりません。海浜ニュータウン検見川第二、これが計画戸数が六百四十四、変更戸数が五百四十八、したがって削減戸数が九十六戸になります。間違いないでしょうか。
  324. 上野誠朗

    上野参考人 お答え申し上げます。  御指摘の数字のとおりでございます。
  325. 坂井弘一

    ○坂井委員 大臣に初めて御登場願うわけでありますが、以上七点にわたりまして、あらまし、現在の日本住宅公団の計画費、かつ、建設を進めようといたしますこの事業計画に対しましての実態について申し上げたわけでありますけれども、大臣はどのようにお感じになりますか、御見解をお伺いいたしたいと思います。
  326. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 ただいままで詳細に御指摘いただきましたとおり、住宅公団としてはその使命に向かって全力をあげておるわけでございまして、当公団側から御説明申し上げました御説明の中からも、いろいろと苦労をいたしておることも感じ取りいただけたことと存じますが、しかし、現に計画どおり進んでおらないという現実は、これはいかんともなしがたい現実であるわけでございます。  私も就任以来、この住宅政策につきまして、公団からの事情もいろいろと聴取をいたしました。また、住宅局からも、建設省の従来の考え方、特に土地に対する、宅地に対する考え方というような問題等についてもいろいろ分析をいたしたわけでございまするが、要は、土地に対するいろいろな問題が解決されないということが一つの大きな問題になっておる。地価が昭和三十年以来今日まで、毎年毎年、ほんとうに異常なほど上昇してきておったにもかかわらず、土地に対する施策というものを思い切って断行すべきであったと考えられるわけでございますけれども、この点の立法措置が今日まで講ぜられないで、ただいま、この問題について各党間で話し合いを進めていただいておるということでございます。  この土地の問題が一つの大きなガンであった、こう言うことができるわけでございまするし、先ほど来いろいろ御指摘いただきましたとおり、何と申しましても自治体の超過負担という問題が、年とともに、地価の暴騰とともに、これまた非常に大きくなってまいって、その結果、下水も、水も、道路もということで、自治体の超過負担はほんとうにもうどうしようもないというところまで来まして、大都市圏における人口の抑制策が自治体の課題として浮かび上がってきますとともに、この住宅公団の、また政府でやっております公営住宅等の困難な情勢が倍加してきた、こう見ておるわけでございます。  そこで、これを解決いたしますためにはどうしても抜本的な思い切った施策を講じなければならないということで、四十九年度予算編成にあたりまして、とにかく宅地を積極的に造成してまいるという姿勢が——いままで住宅公団で大いに努力をいたしたわけでありますけれども、これが実を結んでおらない。やはり宅地は宅地専門の機関をつくって、政府が全力投球をしてその宅地提供という問題に真剣に取り組むと同時に、その宅地提供という問題を提起いたしましても、自治体の協力が得られなければこれはどうしようもありませんので、自治体の超過負担を軽減をする、なくするという方向で、宅地開発公団にいろいろ基金を設けましたり、また利子補給をいたしましたり、また交通関係の施設まで公団がやれるように運輸省の協力をいただく方式を取り入れましたり、また、もろもろの公共事業を公団がかわって助成を受けながら執行できるようにいたしまして、そしてある一定の住宅団地と申しますか、まあ五百ヘクタール以上のことを考えているわけでありますが、そういう措置を講じた上に自治体に肩がわりをする、そして自治体の負担を軽減することによって、この住宅問題を解決していかなければならない、こういうふうに基本的に考えまして、国会のほうに予算並びに法案の御審議をいただいておる、こういう実情であります。
  327. 坂井弘一

    ○坂井委員 私は住宅公団を責めているのではございませんでして、むしろ、冒頭申し上げましたように、これはやはり建設省の住宅建設にかかる政策、住宅行政そのものに基因をしておるということでありまして、大臣の御答弁もそういう点を踏まえた御答弁であったかのように思うわけでありますけれども、ただ、今日まできわめて残念なことは、住宅公団に対します補給金に必要な経費といたしまして、昨年の十一月十三日閣議決定によりまして予算計上がなされました。この予算が百五億六千四百七十一万三千円。これは何かといいますと、つまり金をたくさん借りてありますね。宅地造成しても売れない、工事は途中でストプする、でき上がっても人が入らない、利子補給をしなければならぬ、それが百五億六千四百七十一万三千円であります。つまり、日本住宅公団昭和四十七年度決算におきまして生じた借入金等の資金の運用による利息収入相当額等と当該借入金等にかかる支払利息との収支差損を補てんする経費といたしまして、いま申しました百五億余の経費が計上された。こういう形を続けていきますと、これは私は、住宅行政そのものがたいへんな暗礁に乗り上げてしまうと心配するわけであります。第二期住宅五ヵ年計画によりましても、住宅公団は四十六万戸を五十年度までに建設しなければならぬ。しかるに、三年たってもわずかに十三万二千四百戸、この進捗率は二八・七%ですね。あと残っているのは二年間です。それで七二%を達成しなかったならば当初の計画には手が届かない、こういうわけであります。したがって、一世帯一住宅なんてことは、これはおよそ不可能であるということにならざるを得ないという議論にまた発展するわけでありますが、本日は残念ながら時間がございません。  そこで、一問だけお許しをいただいて、問題はかわりますが、これは大臣にぜひこの機会にお伺いしておきたいと思います。  日本文化住宅協会が取得いたしました土地であります。御承知のとおり、長い裁判の経緯の結果、国有地を日本文化住宅協会が取得いたしました。これが昨年の十月でしたか、国が二十二億円という金を払いました。私から言わせれば、全くどろぼうに追い銭なのです。けしからぬ内容です。これはここに一々資料がございますが、本日は時間がありませんから、これは別の機会に譲るといたしますが、ただ、私は、建設省をここで一つだけほめておきたいと思います。まあ、建設省がずいぶん日本文化住宅協会に対して、あからさまに、おまえさんのところはけしからぬじゃないかと一ぱい言っている。それに対する回答があります。もうふざけている。これに対して、何と国が昨年、二十二億もの金をくれてやった。どろぼうに追い銭ですよ。  文化住宅協会はここへ住宅を建てようとしておる。この用地の所在地でありますところの武蔵野市は絶対反対であります。公園緑地——時代が違います。全国でも人口の最過密都市である。公園がない、緑地がない。こんなところに住宅を建てられたらたまったものではない。それでもなおかつ住宅を建てようとしておる。私は、こんなところに住宅を建てさせるべきではないと思うのです。  そこで、建設省の意向も、住宅を建てることは適当ではないという判断をされているやに伺っておりますが、大臣にこれはひとつ全く決断をしていただきたいと思うのですけれども、これを一体どうするかという問題です。建てさせるのか、それとも建てさせないで何らかの解決策をほかに見出すのか、その点について一言だけお伺いいたしまして、御答弁次第によりましては、機会を改めてお伺いいたしたいと思います。
  328. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 文化住宅協会の和解金の支払い後のあれについては、すでに先生もいろいろ御承知のとおりであります。  グリーンパークのあと地の利用につきましては、地元の武蔵野市だとか市議会から、われわれも、あと地を公園緑地にしたい、そういう強い要望を再三聞いております。したがいまして、われわれとしましても、この実現のためにいろいろ協会を指導いたしておる次第でございます。
  329. 坂井弘一

    ○坂井委員 それでは結論は出ないと思いますが、大臣、御答弁いただけますか。
  330. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 私も実情をつまびらかにいたしておりませんので、この件につきましては、私、十分実情をそしゃくいたしまして、その上で決心をしたいと思っておりますが、何が何でも住宅を建てなければいかぬというような考えではなくて、やはり東京都、また住民の方々の意向というものも十分しんしゃくした上で決断を下したいと考えております。
  331. 坂井弘一

    ○坂井委員 慎重に御検討されまして、責任のある決定を期待いたしております。  終わります。
  332. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 承知いたしました。
  333. 臼井莊一

    臼井委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後六時三十五分散会