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1974-03-14 第72回国会 衆議院 決算委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月十四日(木曜日)    午前十時二十五分開議  出席委員   委員長 臼井 莊一君    理事 唐沢俊二郎君 理事 田村  元君    理事 松岡 松平君 理事 綿貫 民輔君    理事 久保田鶴松君 理事 原   茂君    理事 庄司 幸助君       宇都宮徳馬君    吉永 治市君       藤田 高敏君    田代 文久君       坂井 弘一君  委員外出席者         通商産業省基礎         産業局化学製品         課長      赤羽 信久君         建設省計画局技         術調査官    浅間  隆君         会計検査院事務         総局第一局長  高橋 保司君         会計検査院事務         総局第三局長  桜木 拳一君         参  考  人         (日本建設業団         体連合会専務理         事)      渋江 操一君         参  考  人         (全国中小建設         業協会理事)  島田 善雄君         参  考  人         (全国建設労働         組合連合会合         理化技術対策部         長)      谷内 富三君         参  考  人         (日本管工事工         業協会会長)  山本 秀夫君         参  考  人         (日本管工事工         業協会管工事資         材対策委員長) 三富 榮司君         参  考  人         (塩化ビニール         工業協会理事) 鈴木 安丸君         参  考  人         (塩化ビニル管         ・継手協会会         長)      下田 謙治君         参  考  人         (塩化ビニル管         ・継手協会専務         理事)     渡辺藤四郎君         参  考  人         (全国管工機材         商業連合会副会         長)      橋本 政雄君         参  考  人         (全国管工機材         商業連合会理         事)      奥山 二郎君         決算委員会調査         室長      東   哲君     ————————————— 委員の異動 二月二十七日  辞任         補欠選任   稲葉 誠一君     辻原 弘市君 同日  辞任         補欠選任   辻原 弘市君     稲葉 誠一君 同月二十八日  辞任         補欠選任   渡海元三郎君     根本龍太郎君 三月四日  辞任         補欠選任   田代 文久君     不破 哲三君 同月五日  辞任         補欠選任   稲葉 誠一君     辻原 弘市君   藤田 高敏君     多賀谷真稔君   不破 哲三君     田代 文久君 同日  辞任         補欠選任   多賀谷真稔君     藤田 高敏君   辻原 弘市君     稲葉 誠一君 同月六日  辞任         補欠選任   稲葉 誠一君     阿部 昭吾君   藤田 高敏君     赤松  勇君 同日  辞任         補欠選任   阿部 昭吾君     稲葉 誠一君   赤松  勇君     藤田 高敏君 同月七日  辞任         補欠選任   稲葉 誠一君     赤松  勇君   藤田 高敏君     岡田 春夫君 同日  辞任         補欠選任   赤松  勇君     稲葉 誠一君   岡田 春夫君     藤田 高敏君 同月八日  辞任         補欠選任   稲葉 誠一君     岡田 春夫君   藤田 高敏君     楢崎弥之助君 同日  辞任         補欠選任   岡田 春夫君     稲葉 誠一君   楢崎弥之助君     藤田 高敏君 同月九日  辞任         補欠選任   稲葉 誠一君     辻原 弘市君 同日  辞任         補欠選任   辻原 弘市君     稲葉 誠一君 同月十一日  辞任         補欠選任   根本龍太郎君     渡海元三郎君   稲葉 誠一君     八木 一男君   坂井 弘市君     矢野 絢也君 同日  辞任         補欠選任   八木 一男君     稲葉 誠一君   矢野 絢也君     坂井 弘一君 同月十二日  辞任         補欠選任   稲葉 誠一君     岡田 春夫君   田代 文久君     不破 哲三君 同日  辞任         補欠選任   岡田 春夫君     稲葉 誠一君 同月十三日  辞任         補欠選任   不破 哲三君     田代 文久君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和四十六年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十六年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十六年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十六年度政府関係機関決算書  昭和四十六年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和四十六年度国有財産無償貸付状況計算書  〔総理府所管経済企画庁)、通商産業省所管、  建設省所管〕      ————◇—————
  2. 臼井莊一

    臼井委員長 これより会議を開きます。  昭和四十六年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、総理府所管経済企画庁通商産業省所管及び建設省所管について審査を行ないます。      ————◇—————
  3. 臼井莊一

  4. 臼井莊一

    臼井委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。      ————◇—————
  5. 臼井莊一

    臼井委員長 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、お忙しいところ委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございました。  当委員会は、経済企画庁通商産業省建設省所管中、公共事業に関する諸問題について審査を進めるのでありますが、本日は、そのうち建設資材問題、特に塩化ビニール管中心として、参考人各位のそれぞれの立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。  なお、念のため議事の順序について申し上げます。  まず初めに、御意見をお一人十五分程度お述べをいただき、次に、委員からの質疑に対してお答えを願います。  また、発言の際には、そのつど委員長の許可を得なければならないことになっておりますから、あらかじめ御承知おき願います。  それから、御意見開陳順序は、渋江操一参考人島田善雄参考人谷内富三参考人三富榮司参考人鈴木安丸参考人下田謙治参考人橋本政雄参考人奥山二郎参考人順序でお願いいたします。  それでは、まず渋江参考人にお願いいたします。
  6. 渋江操一

    渋江参考人 ただいま御指名をいただいております、社団法人日本建設業団体連合会専務理事をいたしております渋江でございます。  ただいま委員長のお話にございました資材問題、すなわち、建設業者が当面いたしたおります資材問題、特に塩ビ管に関する問題等に関する意見を述べてみよということでございますが、はたして御期待に沿えるような御意見を申し上げられるかどうか、その点は内心じくじたるものがございます。  と申しますことは、資材問題に関する関係建設業界取り扱っております資材はきわめて多種多様にわたっておりまして、皆さま御承知のように、一つ建築物関係をとらえましてもおよそ四千種類くらいな資材が必要な事情でございます。そういう中における塩ビ関係製品というものの占める比率と申しますか、その比率は、およそそう高いものではございません。高いものではございませんが、しかし、これは私どもが、あとで申し上げますけれども総合業者立場に立つ場合と、それからこれを特に重要な資材として取り扱っております専門工事業者さんの立場とでは、非常にその影響といいますか、比重が違っておるということが言えるかと思います。そういう意味で、私どもの申し上げる意見総合工事業者に関する問題だということでお聞き取りを願いたいと思うわけでございます。  それから、総合工事業者自体につきましても、これは御存じかと存じますが、資本金の規模とか、それから営業活動の大小とか、そういう意味におきまして大手筋業者層、あるいは中堅業者業者層、さらにはそれから先の一人親方等中心にいたしました工事業者層というぐあいに、建設業界産業構造が非常に多岐にわたっておりますので、そういう関係から申しますと、私ども関係いたしております日本建設業団体連合会大手業者層であるという立場でございますので、その点もあらかじめお含みおきを願いましてお聞き取りを願いたい、かように存ずるわけでございます。  具体的に、私ども関係している業者層がどういう範囲であるかということを御参考のために申し上げておきますと、直接私ども団体メンバーであります企業者の層というのは、資本金にいたしまして十億円以上、それから年間工事高におきまして百億円以上というような企業層一つ対象にいたしております。それからもう一つは、建築、土木あるいは埋め立て、あるいは道路、鉄道、そういったようないわゆる総合工事業の中の業種別に見たそういう団体をそれぞれ構成団体にいたしておりますが、その団体メンバー、言ってみれば私のほうの団体一つの間接的な孫メンバーといいますか、そういったような形でとらえましても、これは三百程度業者層がそのメンバーに入ってくるということでございますから、全体の総合工事業者が現在三十万といわれておりますから、その中の三百程度業者、つまり総合工事業者関係している問題であるということでございますので、その点をあらかじめ申し上げましてお聞き取りを願いたい、かように思うわけでございます。  さて、資材問題、これのただいま当面しておる問題、それからそれに対応する対策、そういったようなことを中心にして申し上げさせていただきます。  資材問題は、昨年、特に建設業界にとっては非常な大きな問題に直面いたしましたことは、もう御承知のとおりでございます。私どもの見ているところでは、これが三段階くらいに分かれてこの資材問題の一つの問題に直面したというふうに言えるかと思います。  まず当初に起きましたのは、昨年の二月から三月にかけましてセメント、生コン中心といたしました供給逼迫、これが一つの大きな問題として出てまいりました。その結果、かなり大幅な値上げメーカーサイド、いわゆる供給業者からの値上げの要請に応ぜざるを得ない状況に追い込まれた事実がございます。  それから、その次に直面いたしましたのは鋼材でございまして、棒鋼等中心としました鋼材価格の騰貴、これによる影響でございます。  それから三番目が、十一月末から始まりましたオイルショックによる、これは主要建設資材のみならず、ほとんど全面的な建設資材の暴騰という形で出てまいりましたので、これによる影響でございます。  以上のような三段階の、建設業界にとっては非常に苦境に立たされる時点になりまして、これをどういう方法解決していったか、これも簡単に、私ども業界の側からとられた措置についての事情を申し上げさしていただきたいと思います。  まず、昨年の二月から三月にかけましてのセメント、生コン中心とした問題につきましては、公共工事につきましてこれが供給を何とかして確保してもらわなければならない。ことに地域的に中国地方中心にしまして需給逼迫度合いがひどかった関係もございまして、これに対する供給確保、これが政府の、通産省あるいは建設省、この方面の関係当局におかれてとられたのでございます。供給量確保という問題のほかに、価格問題ももちろん、相当値上がり業界としては受け入れざるを得ない事情に立たされまして、その結果につきましては、これを工事価格の上でスライドするという措置をとっていただくような形になったわけでございます。  それから、次の鋼材につきましては、これまた七月から八月時点等にかけまして、一時五万円そこそこでおさまっておりました鋼材類が七万円台、その後におきましては十万円台をこえるという形に発展してまいりましたが、さような棒鋼値上がり、これに対する対応策が考えられねばならないということで、これまた関係当局にそれぞれ陳情を申し上げたような事情がございました。その結果として、これに対しましては、鋼材使用量に応じて月別の価格をもとにしまして精算措置をとっていく。いわゆる価格精算工事金額の上で見直して精算措置をとるという形に処置をいたされたようなわけでございます。  それから、三番目のオイルショックでございますが、これは先ほど申し上げましたように値上がりを見ましたもの、需給逼迫したもの、こういうものの資材類範囲も非常に広範になってまいりました関係がございまして、個別資材取り上げ方だけでは問題が解決しないという問題にまで発展したようなわけでございまして、したがいまして、公共工事につきましてはこれをある程度資材範囲を広げまして、結論的に申し上げますと、価格において一〇%の値上がりを見た、それから資材の内容については、資材対象については、工事費の中におけるその資材費シェアが、たしかこれは五%だったと思いますが、以上のシェアを占めるもの、あるいはそれをさらに引き下げられたかと思いますが、数字的なことはいまちょっと持ち合わしておりませんが、そういうので、ある程度資材シェア工事費の中における度合いが強いもの、しかもそれが値上がり価格で先ほど申し上げましたように一〇%以上の値上がりを見たもの、こういうものにつきましては、これを価格改定対象として取り上げていくというようなことで、これに対する対応措置をとられたようなわけでございます。  なお、御参考のために申し上げておきますと、請負、いわゆる公共工事に関する問題でございますから、競争入札の結果として価格がきまっておるということでございますから、これの価格改定というのは一つのルールに基づかなければならないことは当然でございまして、その根拠と申しますのは、公共工事に関する標準請負契約約款というものがございます。その約款の中に、私ども通称インフレ条項と申しておりますが、著しい価格上昇があった場合、それによって請負金額がはなはだしく不適当になった場合、以上の二つの条件がございまして、その場合については甲乙協議——甲というのは、発注者としての国または政府機関あるいは公共団体でございます。それから乙と申しますのは、受注者である建設業者でございます。甲乙協議の結果によってその工事金額改定を行なうことができるという根拠規定がございまして、この根拠に基づきまして、ただいま三段階に分けて問題を申し上げましたが、いずれも措置をとられたということでございます。  それから、もう一つの問題として申し上げておきたいと思いますことは、いまの措置はいずれも、すでに契約をして着工をしているという工事についての取り扱いでございます。資材値上がりをした時点で新しい契約をするということになりますれば、それぞれ見積もり段階において新しい価格による見積もり方式が当然とられるわけでございますから、その結果として請負者側、いわゆる入札者側見積もり価格と合わない以上は落札という結果にはなりません。そういうことに関連して、いま資材問題がどういう状況を生じたかと申しますと、これはきわめて多くの工事において、先ほど申し上げました、十月末ごろから、入札しても落札の結果にならない、いわゆる入札不調という事態が繰り返されるような結果に、現実の問題としてはなってきたようなわけでございます。したがいまして、新しい工事発注については、入札不調という問題が現実の問題として出てきた。それから既応の、もう契約した工事については、そのままの形では業者の出血という形に発展するということでございますので、どうしてもそれを、先ほど申し上げました契約条項約款に基づいて工事金額改定を行なうという形で解決されるような結果に相なったわけでございます。  以上のような経過を踏みまして、四十八年における資材問題のいわゆる実態、あるいはそれに対応する救済措置、こういうことがとられて今日に至っておるという状況でございます。  最後に申し上げたいと思いますことは、これは大手建設業者といわず、それから中小建設業者といわず、この建設工事積算における一つの特徴と申しますのは、手持ち資材を用意して、いわゆる資材のストックを用意して積算をやるという形ではございませんで、どこまでも受注をした工程の進むに従って資材の手当てをしながら工事を完成さしていくという工程を踏みます関係上、当初の見積もっておる資材からある程度資材値上がりというものは、いわゆる見積もり工事金額の中で吸収して解決をしていくことができるわけでございますが、昨年のような、最近に見ますような資材高騰は、何としても、いまのような積算方式をとっている以上はこれは解決できない。  それからもう一つ特質的に申し上げたいと思いますことは、定額請負でございまして、公共工事といわず民間工事といわず、契約当初における定額でもって、かくかくの工事についてはかくかくの金額でこれを行なっていくという契約をいたしておるわけでございますから、その定額を切りかえるということは、これは建築主請負業者との関係における解決策としては基本的に非常にむずかしいのでございまして、そこが建設業者請負業者一つの大きな悩みでございます。そういうリスクを、一般の生産の製品等の場合でございますれば、これをある程度転嫁して解決することが可能である。しかし建設業者請負業者の場合においては、その転嫁する方法というものは、いわゆるいまの定額請負関係からいきましてきわめて困難な問題であるというような状況でございます。  最近の総需要抑制による受注工事量減少という問題がある。それから、いままでかかえている工事に対しては、いま申し上げました非常な資材値上がりによる工事費高騰という問題をリスクとしてどう解決していかなきゃならないかという問題がございます。それから資金繰り自体についても、きわめて現在は引き締め政策が強い段階でございますので、きわめてむずかしい段階でございまして、以上のようなことからいたしまして、建設業界は、従来見られなかったきわめてきびしい難局に直面しているというような事情でございます。  はなはだ、十分なことを申し上げられませんが、概括以上のような事情であるということをまず申し上げさしていただきまして、説明を終わらさしていただきたいと思います。ありがとうございました。
  7. 臼井莊一

  8. 島田善雄

    島田参考人 全国中小建設業協会理事島田善雄でございます。  私は、全国中小建設業者の現況につきまして意見を発表さしていただきます  一昨年来の資材価格高騰や、昨年来の石油危機がもたらした物価狂乱によりまして、経営基盤の弱い中小建設業界は戦後最大ともいえる危機に直面し、中小業者の倒産が一段と増加しておりさす。この状態は、総需要抑制によります公共事業の削減と金融引き締め民間設備投資減少によって、新年度に入ってもさらに続き、きわめて憂慮される事態が予想されるものであります。  そこで、中小建設業界の現在、さらには今後の危機を御理解いただくためには、過去一年間業界取り巻く経営環境悪化の過程を御報告申上げてみたいと思います。  その要因一つにあげられますのは、まず、昨年一年間を通じましての建設用資材高騰と、一部資材供給不足の現象であります。  官公庁予算積算基礎となる建設資材価格調査をしております財団法人建設物価調査会の調べによりますと、都内の場合、本年一月末の建設用主要資材価格は、前年同期に比べまして、鉄筋が一トン三万八千円より十四万円の高値を経まして、現在八万五千円前後に落ちつき、木材、これは杉の角を一応参考にしてみますと、一立米、四十七年の平均三万円前後が、四十七年の十二月には一躍七万三千円に暴騰し、さらに四十八年中を通じまして、六万円から六万五千円を前後してまいりました。松材に至りましては、四十七年十一月までは二万五千円から二万八千円のものが、四十七年十二月には五万二千円となり、大体そのまま高値安定を続けております。セメントは、一袋二百七十円のものが、四十九年一月末には五百円から六百円に高騰しました。その他、電線、塩ビ関係製品は、年間上昇率、実に二倍から三倍に値上がりいたしました。  この値上がりの動きは、木材については商社の人為的価格操作がおもな原因であると思います。全資材とも、需給バランスのくずれを背景に、毎月徐々に上げ続けてまいりましたが、四十八年の八、九月の鋼材の値が上がり、並びに一連の化学コンビナート爆発事故に端を発した塩ビ管値上がりが特に目立ってまいりました。こうした値上がり基調の上に、十一月以降の石油危機が拍車をかけ、各資材便乗値上げ、売り惜しみが激しくなってまいりました。  また、資材高とともに、物不足工事の遅延をもたらし、かつまた、業績悪化の一因となってまいりました。  この資材高に対する救済策として、建設省が九月に鋼材に対しまして、また十二月には鋼材以外のすべての建設資材について、公共工事標準請負契約約款に基づくインフレ条項の適用をきめていただきましたが、さらに同省は一月にこのインフレ条項を適用する際の条件を緩和してくださり、建設省以外の公共工事発注官庁もそれぞれ資材高に対する救済策を打ち出していただきましたが、この措置も、国、県どまりでありまして、市町村の自治体には徹底していないのが実情であります。  次に、建設業界危機をもたらしております第二の要因といたしまして、昨年四月以降五回にわたる公定歩合の引き上げによる金融引き締めの強化がありました。建設業の形態として、金利負担は大きな経営の要素であると思います。特に今回の金融引き締めでは、質と量の両面で建設業が特にきびしく規制されておるように思っております。  次に第三の要因は、総需要抑制による公共工事繰り延べ措置大型建設工事民間設備投資抑制措置市中銀行住宅ローンのきびしい規制等によりまして、中小建設業者手持ち工事はゼロに近く、かつまた、四月、五月の春闘による賃上げや、石油、電力、米価等引き上げによってさらに一段と諸物価高も予想され、今後の受注見通しは全く立たず、先行きの経営目標の設定に苦慮しているのが実情であります。  諸物価が昨年の石油危機以来の便乗値上げによる高値安定の様相を示し、かつまた、金融引き締めはさらに強化される見込みもあり、しかも四十九年度公共事業発注が下期に繰り延べられることになれば、中小建設業界の打撃はきわめて大きく、倒産業者の数も、一千万以上の金額でございますが、二月一カ月で全産業の三五・八%を建設業で占めておりますが、さらにこれを大きく上回るものと推察されます。  どうぞ、全国建設業者の大半を占めます中小業者の救済対策として、公共工事の早期発注物価の安定、金融緩和、工事積算の適正化、中小業者受注分野の確保、一億円未満の工事につきましては大手業者には受注の自粛をしていただきたいと思っております。次に、民間工事にもスライド適用の法的措置等を講ぜられたく、現下における中小建設業は空前の危機に追い込まれておりますので、この窮状打開のために、国会の先生方の特段の御高配をお願いしたいと思います。  以上、はなはだざっぱくでございますが、意見の発表にかえる次第でございます。どうもありがとうございました。
  9. 臼井莊一

  10. 谷内富三

    谷内参考人 御紹介をいただきました、全建総連の谷内でございます。  一昨年の木材に始まった建設資材の品不足と暴騰は、セメント、くぎ、合板、塗料、塩ビ管、ボンド、石こうボード等々から畳のへり、糸に至るまで、ほとんどすべてのものに及んだのであります。このため、多くの仲間は、見積もりができない、工事が大幅におくれる、この先仕事があるだろうかという深刻な状態に追い込まれたのであります。  一方、マイホームを夢見て、長年にわたって計画してきた人たちにとっても、インフレの中にあって、資材高騰住宅ローン引き締めなどが重なり、せっかく建築確認まで受けながら涙をのんで建築を中止する例も少なくありません。  ところが、こうした国民の苦しみをよそに、メーカー、商社などの大企業は、石油危機を千載一遇の好機として、それ以前から目立っていた買い占め、売り惜しみ、価格操作をさらに増幅し拡大して暴利をむさぼり、わが世の春をうたっているのであります。この物不足石油危機も、実はつくられたものであることが、いますべての国民の前に明らかになっています。  こうした状況を私ども建築職人、零細な親方の立場で振り返ってみますと、まず一昨年の七月から十二月にかけての暴騰があげられます。この問題は、昨年七十一国会の物価問題に関する特別委員会の中でも取り上げられ、全建総連からも唐沢書記長が参考人として出席しましたが、この中で、輸入木材の大半を扱う大商社が不当な利益をあげていることが指摘されたのであります。  続いてセメント、電線、塩化ビニール管などの品不足が起こりました。  ここで、昨年夏の電線、塩ビ管の不足と価格高騰が私たちにどんな影響を与えたか、具体的に触れてみたいと思います。お手元にも簡単な資料をお配りしてございますけれども、塩ビ製品の品不足は春ごろから顕著となり、七月、八月には市場から姿を消し、これに伴って価格もまた異常にはね上がるという状態が起こりました。電線のF一・六ミリの二芯を例にとると、これは住宅用の配線として最も多く使われるものですが、一月に一メートル当たり二十三円で町の電気屋さんが材料店から買っていたものが、八月になるとなんと百三十円にもはね上がってしまった。実に六倍近くも上がったわけです。塩ビ管についても同様であります。給水用の十三ミリ管、これも家庭用の配管として欠くことができませんが、一月の百六円が八月に百九十九円、十二月には三百三十六円にもなりました。日銀の卸売物価指数もこれを裏つけていますし、まさに狂騰というべきであります。しかも品物が姿を消して手に入らないのですから、私ども組合に参加している一人親方あるいはせいぜい二、三人の職人を使って細々と仕事をしている人たちにとっては、まさに死活問題でありました。  私ごとを申し上げて恐縮ですが、私もそのころ町の大工として、十五坪ほどの住宅を請負っておりました。八月の半ばに完成する予定でしたが、塩ビ管が間に合わず、水道工事ができない。とうとう工事が一カ月ほどおくれて、当時アパートを借りて住んでいた建て主の方にたいへん迷惑をかけた経験がございます。これは何も私一人に限ったことではなく、至るところの現場で見られたことで、ついには悲しい犠牲者さえ出した事実を、私は忘れることができないのであります。  九月二十一日の新聞は「塩ビ不足で?自殺」「経営難の電気工事業者」という見出しで、東京世田谷の新井惟生さんという人の死を報じています。その原因は、新井さんは従業員二人を使ってビルなどの電気工事をしていたが、最近のビニール電線などの材料不足、値上がりにからんで、請負った仕事が期日内に完成せず、資金繰りの苦しさに悩み、経営不振に追い詰められたもの、と書かれてありました。  この新井さんは、私たちの仲間、すなわち全建総連の組合員でありました。彼をこの不幸な死に追いやったものは何か。いな、彼を殺したものは一体だれなのか。それは不当な買い占め、売り惜しみで自由に価格を操作し、膨大な利益をあげている大商社、大メーカーであります。こうした犠牲者に対して彼らはどう償いをするのか。私は、これらの仕掛け人たちに対して、強くその責任を追及するものであります。それとともにこうした悪徳行為に対して何ら適切な手を打たなかった政府に対しても、これに手をかしたものとして、強くその責任を問うものであります。どうか本委員会におかれましても、大企業の社会的責任を追及し、明確にしていただきたい、このようにお願いするものでございます。  もちろん、私たちは、こうしたことをただ黙って見ていたわけではありません。全建総連は、八月から九月にかけて通産省に対して四回にわたって、これらの資材確保価格を引き下げて安定させること、大手資本の売り惜しみをきびしく規制し、早急に資材の市場放出を行なわせること、電工、配管工等に対する救済措置を講ずることなど、異常事態への対処を要求する行動と交渉を行なってきました。しかし、通産省は、需要の増大、出光徳山工場の事故による生産の減少、公害対策による操業短縮の影響などが品不足の原因だと回答するばかりでありました。  再三の交渉によって電線、塩ビ管の緊急放出が行なわれたのですが、電線については、当初、全日本電気工事工業組合の県組織をその窓口とするなど、電工業界との癒着ぶりを物語るものでありました。しかもその価格は、電線については一メートル当たり六十七円、これは実際には七十円前後でありました。塩ビ管は十三ミリ管一本百四十一円。いまこの価格を一月のそれと比較してみますと、電線は三倍、塩ビ管は四割高ということになります。何のことはない。これでは、通産省みずからが高値安定に協力しているといっても決して言い過ぎではないと思うのであります。  また、出光の事故をしきりに強調しておりますが、電線は二月ごろから不足が目立ち始め、七月になると末端の電気屋さんでは手に入らなくなってきている。出光の事故は七月七日ですから、これが原因とすればまことに奇妙な現象といわざるを得ません。  問題の根源として、四十七年一月から九月まで、通産省と公正取引委員会が不況対策として塩ビメーカーに不況カルテルを認め、大幅な生産調整を許した事実をあげることができます。つまり塩ビ管メーカーは、政府の保護を受けて生産を調整しながら在庫を減らす、価格をつり上げるという体制をとることができたわけであります。昨年七月の塩ビ生産量は、通産省の化学工業統計月報によれば確かに対前月比一八%ほど落ちている。しかし、前年同月比では一五%以上伸びています。原料メーカーで事故が起きたら直ちに末端で電線や水道管が、まるで神隠しにあったようにこつ然と姿を消してしまった。これはだれが考えてみてもおかしなことであります。やっぱりそこには、メーカーや流通段階で何らかの操作がなされたと思うのであります。けれども、当時私たちは、その実態を正確につかむことはできませんでした。しかし、初めに述べました木材暴騰の真の原因が何であったか、私たちは私たち自身の戦いの中から学びました。こうした経験によって、通産当局やメーカーがどのように品不足の原因を正当化しようとも、いわば本能的にこれはくさいと思ったのであります。  さて、御承知のとおり、二月二日の予算委員会で公取委の高橋委員長は、大幅値上がりをしている石油石油化学関連の大企業製品の大半が悪質な業界価格協定に基づくものだと認めております。新聞の記事によれば、一昨年の四月からことしの一月までに公取委が独占禁止法違反で勧告した件数は八十六件、うち六十九件は価格つり上げをねらった価格カルテルである、そして大手石油化学会社が軒並みに三回から五回も勧告を受けていると報じ、塩ビ関係として住友化学、チッソ、三井東圧、電気化学工業、日産化学工業などをあげています。  また、ごく最近の情報では伊藤忠、三井物産、三菱商事等の大手商社が四十六年から四十七年にかけて、塩化ビニールの値くずれを防止するために生産会社から総量約六万トンの塩ビを買い上げて在庫凍結し、二億円にのぼる利ざやをかせいだことも聞いております。  このように国会の審議の中で次々に明るみに出てきた醜い事実、あるいは新聞などの報道を見聞きするとき、同じ国民でありながら、みずからの利益のためには手段を選ばぬ大商社、大メーカーの行為に対して、私は強い憎しみがわいてくるのを押えることができないのであります。  以上、いろいろと申し述べましたが、最後に、富めるものはますます富み、貧しきものはますます貧しくしいたげられていく、悪いものほどよく肥え太っていく現在の悪の根源に対して、すなわち大企業の非道とこれと癒着する通産行政に対して、本委員会におかれましても鋭い正義のメスを入れてその理非をただしてくださるよう要請いたしまして、全建総連を代表しての意見を終わりたいと思います。
  11. 臼井莊一

  12. 三富榮司

    三富参考人 ただいま御指名いただきました、社団法人日本管工事工業協会管工事資材対策委員長三富榮司でございます。  異常事態における業界実情とその影響につきまして、しばらく意見を発表させていただきます。  今般の異常な物価高騰は、われわれ管工事設備業界においても多大な影響を及ぼしております。特に使用原材料構成比率の中でポリエステル、塩化ビニール、銅、アルミ、亜鉛等の非鉄、鋳物等の使用比率の高い製品については、特に著しい高騰を来たしております。中でもレジンなど塩ビ樹脂の品不足は極端で、塩ビ製品のすべてが狂気じみた市況を長期間形成し、昨年夏の水飢饉、公害問題等に引き続き、塩ビ管原料生産高が国内全体の一六%といわれております出光興産の徳山工場における工場爆発事故より二、三日後に塩ビ管が市場から姿を消したという事情を見ましても、何か思惑があるように思われてしかたがありません。  そして、塩ビ管価格はこの一年間で約二倍強の値上がりをいたしております。また、ある流通過程においては、昨年十月より本年早々にかけてやみ相場的価格により工事業者等へ、一般価格の三倍という法外な値段ならば塩ビ管工事店へ回してもよいという、品不足につけ込んだ悪徳商行為も見られております。請負契約工事の性格上、どうしても資材等が調達できなければ工事も進渉せず、予算を上回っても出血して資材を購入せざるを得ない場合もありますが、このような品不足の時期に購入側の弱みにつけ込んだ商行為は、断固として許せない行為だと思われます。昨年はまた山陰、北陸方面でも、この管工事業者塩ビ管の調達ができず、工事の行き詰まりから責任を感じて自殺をしたという最悪の事態も起こしております。前述のようなその自殺の原因は、先ほどの材料業者の悪徳商法というようなこととも関連があるのじゃなかろうかと思います。  昨年初めの合成樹脂原料の不足に端を発して、公害規制による減産、中東戦争による非鉄の高騰、引き続いての石油問題、電力制限、輸送事情悪化等の諸要因による生産原価の上昇を理由に、各メーカーとも昨年一年間で数回にわたる価格改定が行なわれ、その幅も最低三〇%から平均六〇%、機種によっては一二〇%以上という大幅なものもありました。特に昨年十月の石油産出国による原油供給削減と大幅な値上げの発表はわが国の経済の根底をゆるがすものと受け取られ、諸物価は一斉に高騰し、建設資材も全般的に便乗、先取り値上げのあらしの中に巻き込まれました。いわゆる狂乱物価といわれております。  四十七年から引き続く深刻な品不足を解消し、物価抑制をはかるため、政府は総需要抑制を行なわれておりますが、また建設資材のあっせん等も行なわれておりますが、結果的には即効は期待できず、物価の異常な高騰の中で石油危機を迎えたわけであります。  当業界におきましても、昨年八、九月ころまでは、各配管材料機器ともメーカー側の価格改定はありましたが、先物納期の品物につきましては、比較的安定した長期有効見積もりを得られました。しかしながら十二月以降、電力規制の強化後は異常な高騰が加速度を早め、加えて既契約改定、新規見積もりの納入時価格によるスライド制の要求、見積もり有効期間の短縮等、強硬な要望が各メーカーからありまして、工事積算すら不可能な破局的状況になりました。もう従来の商業道徳、習慣は一切なく、既契約分に関しても納期の遅延についての責任回避も重なり、竣工を迎えられないという現場もある状況であります。  そして、今後の建築設備機材の価格につきましては、各メーカーとも原材料価格上昇、操短の影響並びに人件費の上昇等の見通しの困難を理由に、本年四月以降の納品については確定価格さえ不可能との回答で、このままでは今後建設計画予算の予測も立たない状態に追い込まれております。当協会において再三にわたる交渉の結果、値上がり予想についての報告を得ました。それより推測いたしますと、昨年末価格を基準として、本年七−十月前後の納入品については、今後とも低い値上がり品目でも二五%、平均四〇%から五〇%、著しいものは一二〇%以上の価格改定が考えられます。十月以降の納期分についてはかいもく予測も立たない状況であります。  御承知のように、設備工事費における機材原価の構成比率はきわめて高く、前述の機材の高騰は設備工事費を大幅に変動させる大きな要因であります。  昨年一年間値上がりについては、請負契約の責任を守るべく、各社とも相当の出血をしながら所要機材を確保し、契約工期内の完成に努力してまいりましたが、この異常事態請負責任の限界をはるかに越え、業界はまさに危機に瀕している実情であります。今後とも大幅な機材の高騰が予測され、加えて極度の金融逼迫のきびしい状況下に、管工事業界各社は前述メーカーの強硬なる要望を受け入れることは不可能であり、このまま放置すれば、既契約工事は言うまでもなく、新規契約工事についても機材確保が困難となり、施工不可能な現場が続発し、社会問題にも発展しかねません。  当業界におきましては、諸機材、人件費、諸経費の値上がりによる工事原価の上昇を、新システムの開発、工法管理技術の改善、経営の合理化等の努力によって吸収していく所存ではありますが、なお一そう関係当局の御配慮をお願い申し上げる次第であります。  簡単でありますが、意見陳述を終わります。
  13. 臼井莊一

  14. 鈴木安丸

    鈴木参考人 私は、塩化ビニール工業協会の理事をいたしております鈴木でございます。しばらく時間を拝借いたしまして申し述べたいと思います。  実は昨日、この決算委員会出席せよという御指示を受けまして、時間もございませんのでまとまったことを申し述べることができないかと思いますが、気のついた点を申し上げまして責めを果たしたいと思います。  お手元に、諸先生方のところにもお届けしてございますように、われわれ塩化ビニールにつきまして簡単に概要が記載されておりますので、まずその関係から御説明をいたしたいと思います。  塩化ビニールというのは、いままでもいろいろとお話も出ておりますように、合成樹脂のプラスチックの中では日本で戦後いち早く国産化をいたしまして、すでに三十年の歴史を持っておるわけでございます。この間、原料面におきましても、国産のいわゆるカーバイド法でやっておりましたのが、最近はほとんど一〇〇%石油にかわっております。  一方の原料は、食塩を電気分解いたしまして苛性ソーダと塩素ができるわけでございます。この塩素を使いまして、いわゆる石油化学のほうから出てまいりますエチレンと塩素、あるいはナフサを直接分解いたしまして、それと塩素、こういうものでつくっておるわけでございます。  戦後早く出た関係もございまして、この塩化ビニールの性質あるいは加工性、また経済性、いろいろな面におきまして特徴がございます。したがいまして、現在、われわれ製品をつくりましてこれを供給申し上げておるユーザーの加工メーカーさんは千以上にわたっておりまして、もちろんその中には大企業の加工メーカーさんもございますが、非常に中小の、月に数十トン程度処理するというようなユーザーさんもたくさんございます。千にまたがっておりますけれども、いわゆる三けたの、百トンといいますか、このけた以上のレジンを月に消化している会社の数というのは三十社程度でございまして、あとは非常に少量の原料を使いましていろいろ加工されておる方が多いのでございます。それだけに、このパンフレットにもございますように、その用途の面におきましても非常に多岐にわたっております。  お手元にお届けいたしておりますように、昨年の四十八年暦年の一−十二の生産並びに出荷実績をまとめましてお手元に差し上げてございますけれども、この用途は非常にたくさんございまして、これをあまりこまかく申し上げてもなにかと思いまして、一応国内出荷分を硬質と軟質、先ほどもお話が出ております電線その他、こういう概略に分けまして期別に数字を出しておるわけでございます。  いままでいろいろお話もございましたように、昨年一年間をわれわれの側から御説明いたしたいと思うのでございますが、四十七年の十一月ごろから非常に様相は変わってきておりまして、生産の面も逐次増産をする、こういうふうになってまいりまして、年が明けまして四十八年の二月ごろになりまして、塩ビ管につきまして需要が非常に伸びてまいりました。そういうことで、三月には特別に予定を変更いたしまして、緊急に増産をする、そして御供給申し上げる、こういう措置をいたしたわけでございます。  一−三月から四月に入りまして逐次生産にも努力いたしたわけでございますが、この四−六の中におきましても、われわれメーカーの中で大手の会社が二工場連続トラブルがございまして、約一カ月生産がとまるというようなことがこの五月、六月に起こったわけでございます。そうしまして七月に入りまして、先ほどもお話が出ておりますように、徳山地区の出光コンビナートの爆発事故がございまして、原料のエチレンにおきまして全国の十数%を占めておりまする出光石油化学さんが全面ストップをする、こういうことになりまして、このわれわれの主原料でございますエチレンというものは、非常に大幅にカットされたわけでございます。その後、それに加えまして八月から九月には、御承知のように六月ごろから水銀汚染問題が発生いたしまして、一方の主要原料でございます塩素ガスがこれまた大幅に減産をして、われわれのほうにも供給が相当カットされるというようなことでございまして、出光さんの事故に加えて水銀汚染問題による塩素の供給減。また昨年の七月ごろには工業用水、いわゆる水の不足が出てまいりまして操業を圧縮せざるを得ぬ。また電力のほうも規制がございまして、産業用はどうしても優先して電力をカットいたしますので、昨年の七月ごろには中国地方におきましては電力の規制をされた、こういうことで減産にまた追い打ちをかけられる、こういうような現象でございました。  十月になりまして若干持ち直してまいったわけでございますが、先ほどお話の出ておりますように、十一月、今度は石油ショックによりまして——電力規制並びに油の使用規制が実施されまして、電力規制で一〇%規制されますと生産は一五%ダウンするわけでございます。われわれの電力というのは原料でございますので、いわゆるポンプを回すとか水を揚げるとかそういう電気は、全体の使用量から見るとわずかでございます。大部分は電力そのものが原料、いわゆる電気分解をいたしまする原料は電力でございます。したがいまして、電力がトータルで一〇%制限されますと、一般補助動力用のものはなかなかカットできませんので、したがいましてどうしてもメインのほうにしわ寄せがくるということで、生産面になりますと五%ぐらいさらにダウンする、こういうことでございます。  しかし一方、全体にはそういうことでございますけれども、塩ビにつきましては各メーカーとも傾斜生産をいたしまして、いわゆるほかの生産を落としても塩ビの生産は極力ダウンを少なくする、こういうことを鋭意努力いたしまして、十一月あるいは十二月におきましても、若干のダウンはございますけれども、それほど大幅なダウンにはならなかったわけでございます。そういうことで、四十八年度は前年に比べまして約三〇%程度の増産をいたしたわけでございます。  昨年度は、この輸出につきましても、東南アジアあるいは中国各方面に輸出をいたしておったわけでございますけれども、国内の状況を勘案いたしまして、いろいろ御当局の御要請、御指示もございまして、極力輸出面においてもカットする、あるいは繰り延べをする、そういうことをいたしまして、現在も昨年度の契約分がまだ残っておりまして、この三月まで三カ月間昨年分を延ばしていただく、こういうような処置もいたしたわけでございます。  そうしたいろいろ努力をいたしましても、何ぶんにも国内の各方面の需要に即応することができなかったということでございまして、いろいろパイプメーカーさんにも御迷惑をかけておるわけでございますが、われわれといたしましても非常に分野が広く、先ほども電線のお話もございましたが、電線につきましてもわれわれもできるだけの御協力を申し上げたわけでございますが、片方をやりますと片方のほうはまた問題ということで、いろんな面で、昨年は供給面におきましても、何ぶんにも各メーカー、十数社おりますので、その供給面におきましてもむずかしい問題が多々ございましたけれども、われわれはわれわれなりに努力いたしたつもりでございます。  お手元にお届けしました終わりのほうにございますように、われわれ業界といたしましても、非常に各家庭まで入り込んでおるこの塩ビ加工製品、これにつきましては、いろいろ一昨年からいわゆるプラスチック廃棄物問題これがクローズアップいたしまして、ことに原料が石油でもございますし、そういう意味からいきましてもやはり資源を有効に利用するということで、関連業界と協力いたしまして、いわゆる適正処理あるいは有効利用、こういう面についても鋭意努力いたしているわけでございます。  一番最後のところに、われわれの直接関係のある業界の名前を掲げてございますが、この業界の数を見ましても、われわれ供給いたしております軟質関係でもたくさんございます。また、硬質でも板とかシートとか、あるいは波板とか雨どいとか、いろいろな分野がございまして、スムーズに、しかも公平に、こういうことが実際になかなかむずかしい。何ぶんにもわれわれ納入をいたしておりまする需要家さんというのは数が多いものでございまして、数字的にもなかなかまとめることがむずかしい。そういう面で、いろいろ供給面においてもスムーズに流れないということもあったかと思いますが、しかし、供給そのもの、われわれの製品そのものは全部ユーザーに直結して、もちろん商社は入っておりますけれども、物が停滞するということは一切ございません。これはその生産したものは全部ユーザーさんに、各メーカーさんには供給申し上げておる、この点は途中で停滞するとかそういうことは全然ございません。われわれメーカーが直接ユーザーさんに、紙袋あるいはタンクローリーで供給申し上げておるということでございます。  あまりまとまったことも申し上げないではなはだ失礼でございましたが、以上で私の陳述を終わらしていただきます。
  15. 臼井莊一

  16. 下田謙治

    下田参考人 私、塩化ビニル管・継手協会の下田でございます。  昨年は、はからずも原料不足からたいへんな品不足となりまして、これに伴いビニール管の価格も大幅に値上がりいたしまして、皆さまにたいへん御迷惑をおかけすることになりまして、まことに申しわけない次第と存じております。  お話の順序といたしまして、初めに業界の概要など一般的なことにつきまして簡単に御説明いたします。  塩化ビニール管は、ドイツにおきまして第二次大戦中に発明されたのであります。日本におきましては、昭和二十六年に初めて生産され、今日まで二十数年の浅い歴史を持っているにすぎないのではございますが、その性質に非常にすぐれた点がございまして、たとえばさびないこと、薬品に対して強いこと、腐食しないこと、また表面が平滑でございますので、いろいろな水あかとかそういうものがなかなかたまらない、そのために管が詰まることがないというようなこと、あるいは軽いこととか、それから簡単につなぐことができるというようなことで、非常に作業性がよい、こういうようないい点がいろいろございますために、毎年急速に伸びてまいりまして、今日では年間四十万トンをこえる製品と相なっておる次第でございます。  塩化ビニール管ということばは広く使用されておりますが、代表的なものが硬質塩化ビニール管でございまして、これは可塑剤を使用していないものであります。可塑剤の入ったものは、ホースなどやわらかい製品であります。また再生原料——廃品の回収というようなことでございますが、などから生産される塩ビ管もありますが、われわれの団体ではJIS規格またはこれに準じた製品のみを対象といたしております。本日お話し申し上げる塩化ビニール管は、こうした規格品またはこれに準じたものであります。  次に、私どもの協会のことについて一言申し上げておきたいと存じます。  昭和二十九年の九月、当時塩ビ管を生産いたしておりました五社が塩化ビニル管協会をつくり、その後、昭和三十三年十二月に塩ビ継手メーカー八社により、塩ビ継手協会がつくられました。パイプと継手のこのような二つの協会ができたわけでございますが、昭和三十七年、両者が合併しまして塩化ビニル管・継手協会となり、今日に至っております。法人格のない任意団体でございまして、会員はパイプ八社、継手専業四社、計十二社でございます。  全国的なシェアから見ますと、パイプメーカーではアウトサイダーが二十社ないし三十社ございますが、アウトサイダーにつきましては、二、三の大手メーカーを除きまして、大部分は小企業でございまして、生産量は協会所属メンバーで約九五%を占めております。継手につきましては、アウトサイダーはこれはわりに少なく、数社でございます。生産量はアウトサイダーにつきまして、特に排水管継手が多いのでございますが、継手全体の生産量の中で、協会会員は八〇%程度の生産をいたしております。  次に、塩化ビニール管の用途別比率でございますが、ビニール管の用途は非常に広範囲にわたっておりますため、確実な数字をとらえることが困難であります。しかし、当協会会員の推定したところによりますれば、水道用が二七%、土木建築用二六%、電電公社用一二%、農業用一〇%、鉱工業用七%、電線管三%、その他一五%というようなぐあいに相なっております。  さて、塩ビ管業界は、数量的には年々一五%ないし二〇%程度の著しい伸びを示してまいりましたが、何ぶん生産設備にそれほど資金を必要としないこと、また技術的にもさほどむずかしくないことなどの点から、昭和四十六年末ごろまでは常に生産過剰ぎみでございましたし、業界の競争は激しく、塩ビ管価格は常に乱れがちでございました。そのため過去に二回の不況カルテルを実施いたしております。すなわち、第一回は昭和三十四年三月二十日から三十五年五月二十日まで、第二回目は昭和四十年九月十日から昭和四十一年六月三十日まで、この二回でございます。こういう次第でございましたので、ユーザーの方々はいつでも必要なときに必要なサイズが手に入るということから、全く在庫する必要もないという状態にあった次第でございます。  こうした過剰商品の塩ビ管が、昭和四十七年から状況が大きく変化いたしましたが、これにつきましてはお手元に差し上げておりますグラフによりまして御説明申し上げたいと存ずる次第でございます。  お手元に一枚の「塩化ビニル管需給状況」という表を差し上げてございます。それには塩化ビニール管の生産、販売、在庫それから設備能力というふうに出ておりまして、昭和四十六年一月から四十九年の一月までの三年間につきまして、グラフをもちまして一応書いてございます。たとえば昭和四十六年の一月でございますと、生産が二万三千トンくらいでございますか、そして在庫につきましても二万一、二千トンございましたのが、四十九年一月には一万トンを割りまして七千二百トン程度になっておる次第でございます。  それは別といたしまして、昭和四十六年の後半から需要は一段と減退してまいりまして、図表にもございますが、在庫は累積いたしましたし、塩ビ管価格もどんどん低下いたしました。昭和四十七年一、二月ごろには、塩ビ管が最低の価格を記録しております。したがいまして、メーカーにとってきわめて苦しい時期であった次第でございます。  昭和四十六年がこうしてたいへん不振でございましたので、昭和四十七年も大きな伸びはないであろうと予想していたのでありますが、事実はこれに反して、グラフのように、毎月需要はきわめて旺盛となってまいりましたし、いつの間にか生産が間に合わず、在庫は急速に減少し始めてまいりました。このことは他の業界でも同様でございまして、セメントをはじめ建設資材の不足が目につくようになったわけでございます。四十七年十一月ごろから塩ビ管不足の声が方々で出てまいったように存ぜられます。  四十八年の一月になりまして品不足がはっきりしましたが、メーカーは原料が入手できませず、生産を増加することもできないため、通産省に塩ビ樹脂の増配を陳情いたしておりました。しかし、塩ビ樹脂は、水銀公害の問題から原料塩素の生産がネックとなり、原料の生産は容易に増加できない状況にありました。  通産省では四十八年三月、セメントなどとともに塩ビ管を重要物資として需給協議会の対象品目に取り上げ、四月二日第一回の中央需給協議会が開催されました。当日の結論は大体次のとおりでございまして、第一に、昭和四十八年度の塩ビレジン需要量を百四十二万トンと見込む。第二に、このうち塩ビパイプ継ぎ手用需要量は五十二万三千トン。これに必要な塩ビレジンは確保する。塩ビパイプの設備能力を月産一万トン増強する。大体この四点が当日の結論となった次第でございます。  ところが、現実には予期しない原料業界の事故が続発しましたために、原料の生産は大きくダウンし、塩ビ管の生産は昨年四月が最高となり、その後はかえって減退しておる次第でございます。  特に七月の、たびたび出てまいりましたが、出光石油徳山工場の事故は当業界に甚大な影響を与え、ユーザーの方にもたいへん御迷惑をおかけすることになりました。  昭和四十八年暦年の塩ビ管の生産量は三十九万六千トンで、対前年比は一〇・五%の増加に相なっております。このように増加しておりますにもかかわらず、それ以上に需要が旺盛でありましたため、以上申しましたような需給逼迫となった次第でございます。  もちろん、このような需給逼迫の情勢に対処いたしまして、業界としましても何とかこの混乱を打開するために努力をいたしておったわけでございます。  例をあげてみますと、昨年の九月に通産省からの御要請がありまして、緊急あっせんによる約一万七千軒の管工事業者の方に塩ビ管を出荷いたしております  次に、国内原料の不足をカバーするため海外からの輸入をはかりましたが、塩ビレジンの不足は世界的でございまして、非常に高いレジンを遠くヨーロッパあたりからまで輸入いたしております。昨年じゅうに輸入した量は通関統計では約五万六千トンでございますが、これらは塩ビ管用にも相当多く使用されたのではないかと思われます。  次に、生産サイズを大口径から小口径に切りかえました。これは大口径は比較的新しく用途が開発されたものでございまして、塩ビ管以外のたとえばヒューム管というような多種の管がございますのに対しまして、小口径は塩ビ管でなければ非常に支障が大きいこと、塩ビ管でなければなかなか使いにくいことと、それから生活関連物資であることなど、こういう点から大口径管を押えて小口径管に切りかえたような次第でございます。  それからさらに業界では、出荷に際しましてゴルフ場等のレジャー用を避け、公共事業に優先するよう努力してまいっております。  それからさらに、設備能力を約一万トン増設して、現在の月産能力は約四万九千トン程度に相なっております。  最後に、価格について申し上げます。  塩ビ管価格は、前に御説明いたしましたように、過去におきましては、激しい競争でかなり低い線を低迷してまいっておりました。ところが、昨年の塩ビ管価格はおおよそ二倍程度値上がりとなっております。値上がり要因としましては次のことが考えられる次第でございます。  まず第一に、原料レジンの大幅な値上がり、第二に、副原材料、特に安定剤の大幅な値上がり、それから運送費の値上がり、輸入原料を使用することによりますコスト局、最後に、操業度低下によるコスト高、こういうような要因が考えられるのではないかと思っております。特に昨年十一月末になりまして石油製品の一斉大幅値上げが行なわれまして、これに伴って塩ビ管もまた値上げをせざるを得ない状態に相なった次第でございます。  本年一月末日通産省よりの行政指導によりまして、塩ビレジンは二月から値下げが行なわれまして、塩ビ管各社は九%ないし一〇%程度の値下げを実施いたしたような次第でございます。  私の陣述は、簡単でございますが、これをもって終わらせていただきます。
  17. 臼井莊一

    臼井委員長 この際、暫時休憩いたします。     午前十一時五十一分休憩      ————◇—————     午後一時三十五分開議
  18. 臼井莊一

    臼井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  引き続き参考人から御意見をお述べいただきます。それでは橋本参考人
  19. 橋本政雄

    橋本参考人 私は、全国管工機材商業連合会橋本でございます。流通業界立場から意見を述べさせていただきます。  全国管工機材商業連合会と申しますのは、配管設備用諸資材、すなわち各種の管・継手類、衛生陶器・金具、バルブ、ポンプ及び住宅設備機器類等の販売業者団体であります全国六地区の商業組合によって組織されており、会員数は四百七十四社でございます。私は東京の協同組合理事長もいたしておりますが、東京はもちろん、全国では、会員になっていない業者の方も多数いられるものと思います。  配管用塩ビ管は、一部の例外を除き、ほとんど管工機材の販売業者を通じ工事業者さんに納入いたしておりますが、その数は全国で、一次店約百三十社、二次店約千五百社といわれております。  私は、流通業界立場から配管用塩ビ管の現状を、発売当初から今日に至るまでの過程を申し上げながら御説明いたします。  塩ビ管が配管用として発売され始めましたのは、約二十年前の昭和二十九年ごろでしたが、当時は鉛管、銅管、鋼管、鋳鉄管、石綿管等が主として給排水用に使用されておりました。塩ビ管は、当時としてはプラスチック製という材質の不安感と、継手類がそろっていなかったこと、さらにはトン当たり六十万円ぐらいという他の管類との価格差メリットのなさから、最終需要家並びに工事業者の方々から敬遠され、目立った需要もなく二、三年推移しましたが、昭和三十二年ごろには継手類も整備され、メーカーさんの合理化と増産による価格ダウンから、その需要も大幅に伸びてまいりました。  その反面、生産過剰による販売競争は激烈化し、ついには昭和三十四年、四十年と二回にわたって塩ビ管の不況カルテルが実施されましたが、流通業界もまた同様に、きわめて採算の悪い商品として、長年にわたって苦労してまいりました。  しかしながら、塩ビ管は配管工事にはなくてはならない資材と考えるため、採算を度外視して供給責任につとめてまいりました。幸い、われわれ管工機材の販売業者は、先ほど申し上げました通り、多品種にわたる商品を取り扱っており、塩ビ管・継手はその中の九%ぐらいのため、各社とも、何とか企業努力をもって供給責任を果たすことができたわけでございます。  現在、塩ビ管・継手のみを取り扱っている販売業者業界に存在していないことが、塩ビ管がいかに採算の悪い商品であったかを物語っており、私も、過去において塩ビ管・継手専門店が二社倒産したことを記憶いたしております。  さて、昭和四十五年、四十六年と景気は沈滞しており、四十七年も年央には不況感も強かったのでありますが、中旬より政府の景気刺激策として種々の公共事業投資が実施され、また、金融緩和による住宅ローンの大幅な伸びにより、民間の住宅建築が四十六年に比べ三〇%もふえ、さらには全国的にゴルフ場建設ブームが起こり、塩ビ管需要量が急激に増加してまいりました。一方、レジンメーカーの不況カルテルは四十七年一月から実施されており、塩ビ管メーカーさんも年初の消極的な生産予測もあって、急激な需要増に製品が追いつかず、四十八年初には一部品種に品切れが目立つようになり、長年いつでも間に合う商品であっただけに、工事業者さんの一部に塩ビ管の品不足感を強めたことになりました。  四月になって価格は上がり、七月には、続発した石油コンビナートの爆発事故から、塩ビ管供給は六月比三〇%近くのダウンとなり、一次店、二次店を含め、流通段階には、全くといってよいほど在庫はなくなりました。従来、ほとんど在庫をお持ちにならなかった工事業者さんも、受注工事の先行き手当て買いが活発となり、一方では、メーカーさんから要望どおりの入荷もなく、流通段階では、入荷即出荷の毎日が続いておりましたので、御希望どおりの品種、数量を取りそろえることが不可能な状態になりました。  また、この間、当業界における流通コストも上昇してまいりました。  すなわち、このような需給状況のアンバランスは、勢い小口、少量の入出荷となってあらわれ、極度に荷さばき、配送の頻度がふえ、運賃、人件費を含め諸経費がかかるようになりました。加えて取り扱い量の減少による経費率の上昇も当業界経営を圧迫してきておりました。さらに、得意先から緊急の供給御要望により、同業他社から高い商品を間に合わせて納入いたす場合もありました。  十一月末からは、石油問題、電力規制などからと存じますが、価格高騰に加えて、再び供給がダウンして品不足、不安感を起こしましたが、本年に入り、総需要抑制策が効を奏したのか、一応の落ちつきを見せ始め、二月には価格の引き下げも行なわれて、三月に入ってからは徐々に存庫もできるようになってまいりました。  塩ビ管は長年供給過剰であった商品だけに、昨年のような時期には、逆の意味で、われわれも非常に苦慮をいたしました。  一般的に品不足になりますと、流通業者は、従来からお取引をいただいておりますお得意様を優先する傾向にあり、そのため、飛び入りのお客様には御不便をおかけしたこともあったかと存じます。また、公共性優先も流通業者の常日ごろ心がけておることでありまして、塩ビ管について申し上げれば、比較的要望の多かったゴルフ場向け等は控えさせていただいておりました。  一方、工事関係において一部材料持ちの下請が行なわれ、極端な場合はさらにまたそれを下請に出し、受けた業者さんは、勢い情勢に合わないような価格をもって材料の購入をなさろうとされます。もちろん、全部がそうではないと思いますが、幾つかの段階を踏めば、それだけ価格のしわ寄せが流通業者にきて、ついには納入不能のようなことになる場合もありました。そのようなときに元請をされた業者さんが材料を手配されようとしても、平素から取引のある材料業者がないために手に入らなかったというケースもあるかと存じます。  以上申し上げましたが、いずれにしても材料供給の円滑化は流通の責任であると自覚しておりますので、私は、昨年五月以来数回にわたり、組合員約千七百社を有する東京都管工事工業協同組合の杉原理事長さんはじめ代表の方々とお会いいたしまして、資材供給には十分協力したい、販売業者に問題があれば、何でも直接私に申しつけて下さいとお伝えしました。  十二月の会合の時に、一、二の業者について、不当な価格のつり上げや売り惜しみが話題にのぼりましたので、お手元に参考資料として提出いたしましたとおり、十二月二十日付発翰にて全組合員に対して、流通の使命を認識し、適正価格の販売と適切なる供給責任を遂行するよう訴えました。  種々申し上げましたが、インフレ基調の経済界のもと、相次ぐレジンメーカー工場の爆発事故に加え、石油ショックにより予測し得ない極端な情勢に遭遇し、旺盛な需要とそれに追従し得なかった供給との板ばさみにあいまして、焦慮と混乱の一年でありましたが、今後はメーカーさんの絶大なる御後援と工事業者さんとの緊密なる御協力によりまして、安定供給の責任を果たすべく一そう努力をいたしてまいりたいと存じます。  なお、二次卸関係につきましては、奥山理事より補足意見を申し上げます。  終わります。
  20. 臼井莊一

  21. 奥山二郎

    奥山参考人 御指名を受けました、全国管工機材商業連合会理事奥山でございます。二次卸店としての補足説明をごく簡単にさせていただきます。  私ども業界は、メーカー、それから一次卸、二次卸、こういうふうな流通形態になっております。設備工事店さんを主体に直接販売するのは私どもの二次販売店であります。そして、いままでは二次販売店が必要数量を在庫いたしまして、いつでも必要な数量を、設備工事業者さんの要求に応じまして現場にあるいはその店頭に配送するというのが、私どもの仕事となっております。  ところが、昭和四十八年の四、五月ごろより塩ビ管が寸法的に一部の寸法切れを来たしまして、それから工事店さんに供給の不安感が一部出始めました。先行き品不足を心配しました設備工事業者さんの中で、手持ちの仕事の予測ができるものは手当て買いをしようというようなことから、販売店の在庫が急激に減少をいたしました。十月ごろからは、私ども販売店の在庫量はゼロとなったような状態であります。  これは一つの例でございますが、大体一カ月に千束販売する私どもの店の適正在庫量というものは、約三分の一の三百束ぐらいでございますが、大体百軒ぐらいの設備業者さんを取引先といたしておりますと、一店十束を手当て買いをいたされますと、ちょうど販売店の在庫はゼロとなるような状況でございます。その後は入荷即販売というような事態になりましたので、在庫は常にゼロの状態でありました。  そこで、私どもといたしましては、設備業者さんより品種別、寸法別あるいは工事現場ごとに受注をしておきまして、入荷するたびに、その公共性あるいは工事現場の緊急度合い等に応じまして販売をしてまいりましたが、何ぶん在庫がゼロの状況にありましたので、寸法によってはあるいは量的に仕入れの納期が長くなり、または数量的に不十分な場合もありまして、御迷惑をかけたこともあったことと思います。現在は、二月にメーカーよりの仕入れ価格の引き下げ、あるいは総需要抑制策による建築件数の減少と思われるような要因によりまして、先行き買いも少なくなりまして、三月の上旬ごろからはかなりの数量が私どもの店にも在庫できるようになりまして、いまはある程度供給の円滑化ももとに復しつつあるというような現況でございます。  簡単でございますが、これで終わります。
  22. 臼井莊一

    臼井委員長 以上で参考人各位の御意見の開陳を終わります。     —————————————
  23. 臼井莊一

    臼井委員長 これより質疑に入ります。質疑の申し出がございますので、順次これを許します。松岡松平君。
  24. 松岡松平

    ○松岡委員 私は、鈴木参考人にお伺いいたします。  鈴木さんは、東亜合成化学工業株式会社の常務であられるようですが、これはもちろんメーカーの方々と思うのですが、そこで私ども伺いたいのは、先ほどからいろいろ伺っていると、塩化ビニールは当初はなかなか売れない商品であった、二十年前から出てきたけれども、長いこと不況の商売状態であった、こうおっしゃるのですが、昭和四十八年の六月ごろから急激に価格上昇している。この上昇の理由を伺いたい。まだこのときは石油危機も発生しておりません。なぜ一体こんな急上昇を来たしたのか、これをひとつメーカの側から御説明願いたいと思います。
  25. 鈴木安丸

    鈴木参考人 御説明申し上げます。  いま御指摘の昨年の八月ごろからの値上げということでございますが、午前に説明申し上げました中にも触れましたように、昨年の六月、九州の有明海に端を発しました水銀の海域汚染の問題が出まして、政府当局からもその対策につきまして、緊急に電解槽の設備のクローズドシステム化、これをすみやかに実施せよ、こういう御指摘がございまして、これにつきましては、もちろんわれわれメーカーといたしましては前々から研究もいたしておりますし、早くそれを実施するというかまえは持っておりましたが、何ぶんにも短期間で実施するということでございまして、このために非常に工事の費用その他につきましても金銭を問わない、こういう姿勢で緊急に処置をする、こういうことで、昨年の秋にかけましてほとんど完成をしたわけでございます。そういう公害のための設備費の増大並びに各企業におきまして、てまえどもそうでございますが、魚の問題に端を発しましたいわゆる漁民の方々に対する補償あるいは海域のしゅんせつ、こういうものにつきましても早急に手をつける、こういうようなことでございまして、そういう面から、いわゆる一方の原料でございます塩素の面のコストアップが急激に出てまいったわけでございます。したがいまして、先ほど御指摘の油につきましては、大幅な油の価格上昇というものは御指摘のとおり十一月ごろからでございますけれども、しかし、それにいたしましてもやはり昨年の春以来若干の油、重油その他についても値上がりはいたしております。そういうことで八月ごろになりまして塩ビの価格、レジンの価格上昇したわけでございます。  以上でございます。
  26. 松岡松平

    ○松岡委員 上昇したわけだとただいま鈴木さんはおっしゃいますけれども、設備費の増大、そういうことから価格が急激に上がっているものとは私どもは考えないのです。この六月を機に、塩ビだけではないのですよ、鉄鋼なんか急激に上がっているのです。最もこのときに上がっているのは塩ビ関係、鉄鋼関係である。一時は鉄鋼のごときはたった二月かそこらの間に、五万円の丸棒が大阪あたりでは——東京と大阪では多少値の違いがありますが、十一、二万円まで上がっている。これは明らかに価格の操作と私どもは考えざるを得ない。ひとり、塩ビをつくっておられるあなたのところの会社ばかりではないのです。一斉に上がっているということは一体どういうわけか。ことにこれはメーカーが商社なり特約店なり、その関係はまた別に伺いますが、出される値段は結局メーカーがきめるんじゃないか。メーカーがきめるから値が上がってくるので、私はおそらくこの操作は、販売店や特約店が行なった操作とは考えられない。この点について、いま設備費と言うから、設備費の償却というものはおのずから常識的にきまったものだ。それが直ちに価格に急激に反映せられるということはちょっと考えられない。もしそういうような考えだったら、その考えについて私は大いにたださなければならぬ。設備費を拡大したからそのたびに価格を上げる。もうすでにこのころでは、物価上昇を非常に国民が憂えておるし、また政府としてもこの点はきびしく、物価をつり上げることについては指導しておったはずであります。それをしり目に塩ビ関係が上がっていく。そのために学校もできないところもできる、住宅もできないところができる。現にきのうの朝ですか、東京都の住宅はここ二、三年来計画の半分しかできないのですよ。そのおもなる原因は、むろん鉄鋼にもありましょうが、かなり塩ビ関係にあるということを指摘されているのです。私どもは別にメーカーでもなければ特約店でもない、政治の立場からこれをお伺いしなければならぬのは、そういう値段が急激に上がるということが、これは企業家の、企業体の価格の操作じゃないか、こう思うのです。これに対する解明をしていただきたいと思います。
  27. 鈴木安丸

    鈴木参考人 お答えいたします。  私は、値上げの大幅なという、比較の問題だと思いますけれども、これは各社のことは私申し上げられませんし、また、詳しく存じておりません。てまえどもの会社につきましてのことについてもう少し具体的にお答えさせていただきます。  八月になりまして、てまえどもとしては、それ以前の春の価格に対しまして一八%の価格アップをいたしました。この一八%につきまして——ただし、いま設備の投資ということで、御指摘のとおり償却云々ではございません。その設備をいたしまして、それに伴う公害処理費これはいわゆるランニングコストでございます。こういう面の薬品代とかそういうものが従来のコストに比べまして大幅に上昇してきた。いわゆる水銀を一滴も工場外に出さない、こういうことで、設備費はもちろんでございますが、それを今度管理するためにいろいろ薬品代から処理費用がかさんでまいった、これが一つのいわゆる塩素ガスの価格コストでございました。この塩素ガスを使いまして、一方では石油のほうから出てまいりますエチレンとで塩化ビニールをつくるわけでございます。この面のコストアップ、これが八月の時点の大きな理由でございます。もちろんそのほかにも、油の価格でもやはり一割とか一割五分ぐらいは上がっております。これはいわゆる燃料として蒸気代が上がるとか、そういうコストアップもございます。そういうことで、てまえどもでは約一八%の価格アップをいたしたわけでございます。  以上でございます。
  28. 松岡松平

    ○松岡委員 鈴木参考人に伺いますけれども、八月はなるほど上がりがけですね、値段の上がりがけ。頂上は、これはあなたが専門家だからおわかりになるでしょう。これは別に想像でかいたものじゃなくして、委員会でいろいろ資料を集めて事務当局がやってくだすったのですが、この上がり方は、十月にきてちょっと下がって、また十一月になりますとどんと上がりました。これは石油ですか、それがわからないですよ。
  29. 鈴木安丸

    鈴木参考人 お答えいたします。  いま御指摘の十一月ということでございますが、十一月になりまして——てまえどもは十二月からでございますけれども、これまでの御指摘のとおり石油の大幅な値上げによりまして、石油制品のうちのナフサでございます、ナフサの五割アップ、これから出てまいりまするエチレンの価格が大幅に上昇いたしたわけでございます。これに伴いまして、ナフサだけでなくて、やはり重油関係もあるいは灯油関係、工業用でございます、これも大幅に上がりました。いわゆる燃料費、こういう関係も、蒸気代もまた上がってきております。そういうことで、われわれが購入しておりまする石油から出てまいりまするエチレンの価格につきましても、春に比べますと約七〇%上昇しております。これは十二月一日からでございます。それから重油関係につきましてもやはり七、八〇%アップしております。  それからもう一つは、これは十一月の二十日を境にしまして、油の関係から電力の制限並びに油の制限がございまして、操業度が相当大幅にダウンする、こういうことで、当時のいろいろな情勢から見ますと、従来の操業に比べまして二〇%ないし二五%の操業度ダウンするだろう、そういうことで操業度ダウンによる固定費アップ、そういうものも踏まえまして、十二月から価格を大幅に是正したわけでございます。  この件につきましては、十二月が当初予想したほどに操業度がダウンしなかった。もちろんこの点につきましても、すべてのものが大幅にダウンせぬというわけではございませんで、塩ビにつきましては、そういう需要に対してなかなか供給の面で追いつかない、こういう状況でございますので、他の製品の生産をてまえどもでも、圧縮いたしまして、塩ビの生産についてはできるだけ電力の制限範囲内で傾斜生産をいたしました。したがいまして、塩ビにつきましては一〇%程度のダウンで十二月は過ぎたわけでございます。これも本年に入りまして、先ほどもお話に出ておりますように、二月の初めから約一〇%程度価格を下げさせていただいたわけでございます。
  30. 松岡松平

    ○松岡委員 鈴木参考人にお伺いしますけれども、線を引いてみると、十一月は鉄鋼も最高値なんです。塩ビも最高値なんですね。私どもは、そこに期せずしてこういう上がり方をする——塩化ビニール樹脂の上がりはそれほどではありません。それから塩ビの電線も、上がりがそれほどひどくありません。こうなってくると、塩化ビニールというものの商品の特性から出て——ちょうどこれと鉄鋼とが比例するんですよ。だから、私どもが探りを入れて聞きたいのは、業者価格操作されたんではないかと思われる——という感じを抱くのです。鉄鋼なんかもみなそうですよ。平電炉メーカーも一斉に同じ幅で上げてくる。そうすると、たとえば商社に伺うと——この間も予算委員会で私は参考人に伺ったんだが、私どもは薄口銭でございます、じゃだれがもうけたんだ、特約店か、さっぱりわからない。特約店を調べてみると、いや、それは私どもではございません。そうすれば、薄口銭、薄口銭といって、商社が薄口銭、特約店も薄口銭だったら、だれが一体べらぼうなもうけ方をしているんだとこう突っ込んできて業者を調べてみると、業者は、私どもはもう商社にお渡しするんだ、そんなべらぼうな金もうけはしておりません、こう言う。塩ビもややその感を深くするのです。  もし事実上業者価格協定に関する操作をしたとあれば、これは重大な問題ですよ。これは重大な問題なんです。通産省は引き上げに協力するわけがないのです。引き下げろ、引き下げろと言っていたはずです。これはどの程度行政指導しておったか私どもはわからぬけれども、まさか引き上げに協力しているわけがない。期せずして十一月に、鉄鋼も塩ビも同じなんです。これはみないわゆる公共用の事業の資材なんですよ。そのためにともかく繰り延べはやる、結局事実上事業はできないというものがたくさんできているんですよ。これはよほどあなた方がお考えになったかならぬかはわからぬけれども、どうもこのカーブの上げは、なるほどいまナフサが上がった、五〇%上がった、こうおっしゃるけれども、これは十一月以後でございましょう。そのときが一番高いんですよ。前から上がってきているんじゃなくて、もとの原料でつくったものが、石油値上げした十一月に一番天井までいっちゃう。私も生産に関与すること二十年の経験を持っておるのですから、そういいかげんなことは申しません。十一月にナフサが上がったら、そのときにいきなり上がるというその手品づかいができるわけがないのですよ。その前の材料でつくっておられるはずだ。それが二月にきたというなら、これはわかりますがね。そのいわゆる石油値上げの十一月に一番天井へきているということ。  それからもう一つどもが疑問に思うのは、なぜ下がったかというんです。引き合わないものなら何も下げることはないじゃありませんか。あなた方に毎日赤字で生産してくださいと政府が言っているわけでもなし、国民はそういうことを要望しておりませんよ。それは企業が続くわけがないですよ。だからいまの電力なんか値上げができない。油が上がる、毎日赤字を生産するといっていますよ。どこで調整するか。これは一つの政治問題であり、大きな問題だと思いますけれども、あなたのほうはそういう声もなし、ただ量が需要と合わなかったという事実がある。合わないからといって値を上げる理由はありませんね。近代の企業というものは社会性があるんですから、社会性を離れて企業というものは独存できないんですよ。だから、どうしてこの業界あたりでもカルテルにされたかとか、私はそういうことを言っているんじゃなくて、お互いが組合で寄っておられるわけだから、どうもこれはちょっときつい上げだとか、ここらで少し下げなければならぬとかいう操作があってしかるべきものだと思うんだ。  値下げについての話し合いというものがあったことはありますか、これをひとつお伺いします。
  31. 鈴木安丸

    鈴木参考人 お答えいたします。  いまの御質問は値下げについて話し合ったことがあるか、こういう御質問でございますが、われわれ同業といたしましてそういう相手さまとはあります。しかし、メーカーとしてのあれではそういう話し合いをすることはございません。われわれ納入しておりますユーザーさんの側から、過去においても——最近ばかりじゃございません。四十五年以来、価格が下がるときには相当大幅に下がっております。そういうことで、問屋さんを通じて、あるいはユーザーさんから、これこれにしてくれということで値下げについても話し合うことはございますし、また値上げについてもやはりユーザーさんとお話をするということでわれわれはやっております。
  32. 松岡松平

    ○松岡委員 最後に鈴木さんに一点お伺いをしておきたいのですが、あなたのほうは問屋へおろされるか商社に出されるか、特約店に出されるか、取引は一体現金ですか、手形ですか。
  33. 鈴木安丸

    鈴木参考人 お答えいたします。  てまえども製品はキャッシュがございません。全部手形でございます。
  34. 松岡松平

    ○松岡委員 それでは管工事工業の山本秀夫参考人にお伺いしたいのですが、あなたのほうは管工事をおやりになるのに、材料の仕入れはあなたのところでなさるのか。  それから、これは結局土建業者供給せられる工事も含めておやりになるのだと思うのですが、一体あなた方から見られて、昨年四十八年度の八月以後における急上昇値上がりに対して御意見がありましたらお伺いします。
  35. 山本秀夫

    山本参考人 去年の六月から、通産省から塩ビ管の毎月の状況を知らせろ、こういう御指示がございまして、毎月月末の日を調べ上がった日といたしまして、翌月の七日までにずっと出しております。これは四十八年の六月を一〇〇といたしまして、先月の二月末では一八六・六%という数字で、先月よりは一〇%下がったことになっております。  こういったようなことで、通産省の御指示によりましてこうして出しておりますが、問屋筋のほうへお支払いするのは、全部手形ではございませんが、半々くらいのことになっております。それから、私らのほうがいただくお得意さんからの支払いは、大体御注文をちょうだいしまして工事にかかるまで一カ月ないし二カ月してから請書を申し、契約するようなことでございまして、そのときに初めてお金をちょうだいするわけでございますが、大体建築屋さんのほうからいただく場合は九十日以上の手形でございます。したがって、私のほうら工事業者から、たとえば塩ビ管の問屋さんに対しましてお支払いをする金は、現金が払われることがないのです。もとがもとでございますので、勢いしわ寄せが塩ビ管の問屋さんのほうへ行くというような形になっております。
  36. 松岡松平

    ○松岡委員 いまのお答えはよくわかりました。私が伺っているのはそうじゃなくて、まあいろいろ差しさわりがあるかもしれませんが、塩ビ管工事工業協会の皆さんとして、どうもメーカーが少しきつ過ぎる、値を上げ過ぎる。言いかえて言うならば、結局この価格関係は、どうもメーカーがおきめになるようですな。ですから、これはこれだけに仕切れとか、これだけに売ってくれというような買い手市場でなくて、やはり売り手市場ですよ。だから、売り手がいってきた値段で買わなければ入ってこなくなるんですよ。しかも、需要のほうが多い、供給が少ないとなれば、これは自然売り手市場ですな。だから、この上げ方は、あなた方何と考えているのか。  実は私どもに訴えてくるのは、どうもひどい、何とか一ぺん追及してもらいたいということを方々から言うてこられる。まああなたから聞いたことはありませんけれども。これは自然にそういう声は出てくるでしょうな。やはり建築業界でもみな、聞いてみると、鉄鋼がひどい、大手業者は特契を結んでいるから値段がそんなに上がらない、小口のものはたたかれるから、弱小土建業者はもうこれは一たまりもない、こういう泣き言を言うてきますよ。  それと同時に、来るのは塩ビです。一時は電線がありましたが、電線は、いまのところはあまり声を聞きません。一時、何か芝かどこかへ寄って、大挙みんな、えらい大騒ぎをされたことがある。私らも知り合いに電線業者がおって、どうだ、おさまったかと聞いたら、最近まあ落ちついてまいりましたと言っております。  ところが塩ビ管と鉄鋼だけは、この上げ方が同じカーブなんですよ。これはカーブでお見せしてもいいんですよ、鉄鋼でも。実によく似ているんですね。こういう上げ方をされたのでは……。     〔松岡委員、資料を示す〕 こういう上げ方なんですよ、鉄鋼が。それがみんな六月以後なんです。これは塩ビの関係です。ここの線はビニール樹脂です。これは電線ですけれども、こういうふうになだらかなんです。ここだけがぱっと上がっていくんだ。これはもう数字は争えないものですからね。これは鉄鋼、塩ビ、こう出てくるのです。線が青のです。  だから、そこが問題なんですよ。これは一体どこに禍根があるのかというと、私の見たところは、やはりメーカーにある。メーカーは公害で痛めつけられ、設備費がかかった。これは無理もないですけれども、これは長年月で償却していかれることをお考え願わぬと、いきなりそれを価格に割り出されたのでは、それは需要家がたまりませんよ。  また、はっきり言うと、そういうような考え方でいま世界の企業体も動いていないのですよ。みなおのおの社会的使命というものをお心得になっているから。このくらいはかけてもいい、これは赤子の手をねじるようなもので、この輸入メーカーぐらい楽なものはないですよ。長い間われわれはえらい苦しい思いをしてきた、それはわかりますよ。商売にはいろいろあるけれども、当今のように物価高、インフレで国民の生活を苦しめている、言いかえて言うなら——これは春闘で賃上げは必至ですな。電力の値上げもこれは必至ですよ。いつやるかは、これは許可事業ですから、政府が押えていると言わざるを得ない。こういう関係でいままた石油の再引き上げでしょう。この三つの要因を考えても値上がりを考えなければならないときに、一番問題になるのは、昨年の八月から今日に至る引き上げ幅がきつ過ぎる、こういうのです。これでは国民が納得しなくなる。ほんとうなんです。いまもう家庭の主婦なんか寄るとさわると、お聞きだろうと思うのですが、はっきり言うてトイレットペーパー、洗剤のことはもう飛んじゃったのです。もっと奥深く生産関係の根底にまでメスを向けてきている時代なんです。そうするとすぐ政党に対する非難、政府に対する不平、こうなってくるのですね。私どもは、政党員としてみれば、やはりこれは非常に神経の痛むことなんです。  だから、あなた方もよくお考え願いたいのは、それはいままでもうからなかったから、割りの悪い仕事だからここでひとつどかすかいこうか、こういうお考えになられるのも、業者として無理はないと思うのですよ。長い不況で割りの合わぬ仕事をしてきた立場になれば、ここらで少し息をつかしてもらわなければという、ことばの文句ではないけれどもあるんだが、ちょっとこの間も私は、鉄鋼関係の七商社にどう思うかと言ったら、いや、よくわかりました、値下げに協力します、せめて一万五千円くらいはトン当たり下げませんか、協力しませんか、こう言うたら、下げることに協力しますとおっしゃっているのです。これ以上追及のしようがありませんね。七大商社ががん首そろえてそれをお約束なされば、私どもは何も企業をつぶそうというのじゃないのですから、企業は企業で繁栄してもらい、国民の需要需要でこたえていただいて、そしてそこに調和をはかりたい、こう考えているのですが、私はきょうの調査の主眼は、塩ビ関係が一番、鉄鋼と同じようにきついのです。だから、電線を実は伺おうと思って、きょうは資料も持っているのですが、だいぶ自覚されたのか、ややこれは平穏、穏やかです。そんなわけで、先ほど塩ビ専門の業者がないとおっしゃったけれども、これはちょっとおかしいので、需要供給関係ですから、塩ビ継手だけを扱っているというのは、それは建築資材関係業者としてはちょっとやれぬでしょう。いろいろと種類を扱わなければやれないということはわかる。それだから値を上げたという理由にもならなければ、それだから分が合わぬという理由にも、はっきり言うてならないのですよ。だから、私はこの程度に……。  全国中小建設業協会理事島田さんにちょっとお伺いします。あなた方は、実際に需要者に直面し、また土建業者大手とも関連して、一番苦しめられる立場ですな。どうですか、これは、鉄鋼と塩ビではだいぶ苦しめられましたか。ひとつ率直に、ほんとうのことを言ってもらいたいのです。
  37. 島田善雄

    島田参考人 お答えいたします。  鋼材については、ここ数年来たびたび、非常に苦しめられております。塩ビにつきましては、一応水道工事あるいは電気工事の下請と申しますか、協力業者にお願いしまして、いまのように急激に上がった場合に相談は持ち込まれます。相談をして、場合によると半々なりある程度補ってやっております。鋼材については大体直接かぶっておりますので、これが一回や二へんじゃありません。ここ数年来、特に選挙が近づくとその現象が起きております。  以上でございます。
  38. 松岡松平

    ○松岡委員 島田参考人は率直に言っていただいて、どうもありがとうございました。選挙が鋼材に及ぼすというのはどういうわけか、どうも政治家と鉄鋼業者の癒着性でもあるように感ずるのですけれども、そんなこともないと思うので、他の理由かとも思うのですけれども、今度の去年からの現象は、はっきり言うと塩ビが主犯ですな。鉄鋼は長いことやるのですよ。というのは、鉄鋼にはこういうことわざがあるのですよ。九年間の赤字を一年でとれ、こういうのが昔からあるのです。これは普通鋼業者の鉄則といいますかね。九年は赤字でいいんだ、そのかわり一年で九年分の赤字を埋めるのだ、これはたまりませんな。全部需要者に負担をかけちゃうのです。塩ビがそれを覚えられちゃ困るのですね、はっきり言うと。同じ建築資材ですからね。だから鉄鋼屋のまねをして——鉄鋼屋の罪悪意識というのは昔からあるのです。こんなことはあなた方に釈迦に説法だけれども、昔はメーカーはトン千円から二千円、終戦後ですよ、これが普通の利益なのです。だから運搬の場所によっては五百円違うとか、これは収支上非常に困るのですよ。だから運搬のいいところ、船着き場でまた運びのいいところを選んで工場を置くのです。ところがこのごろじゃ、野原にあったってどこにあったってかまいませんよ。トン一万円も二万円ももうかるとなれば、埼玉県のどまん中であろうと群馬県の山の近くであったって、そんなもの関係ないのですよ。運搬賃なんかへでもない。そういう状態になっているのですよ。  だから、私ども見ていると、鉄鋼屋もずっとそんな赤字なんかじゃないですよ。終戦後、普通鋼業者で赤字を生んだところはありません。平電炉メーカーなんというものは終戦直後にぼつぼつ始めて、月六百トンから千トンくらいのものから始まって、いまや二万トン、三万トンとやっているのですから。  しからば、みんな自分の蓄積でやったのかというと、そうでもない。これは商社資金が介入してきておる。そこにいわゆる価格の売り手市場が生まれるのです。だから、ぜひ買ってくださいなんて言うてくるものはおらないので、それが塩ビにも移っているのですね。買ってくださいといって塩ビをかついで、トラックに乗せて、売り歩くという人はありませんからね。こうなれば、それは買い手としてはつかみどころですわ。鉄鋼と同じにそうなってないですよ。だから、私は今後の御所見を伺って——下田さん、ひとつあなたも業界の会長なのですから、どうお考えになりますか。これを一体皆さんは、もう少し企業の社会的責任ということと同時に、やはり日本の物価というものを下へ下げる。インフレは、やはり引き下げなければやみませんよ。ただ、どうして引き下げるかというと、そう簡単にはいきませんよね。それほど幼稚な考えは私は持っておりませんけれども、やはり市場における一つの力を持っている皆さんが協力して下げようじゃないかという気持ちにならなければ、これはなかなか実現できぬことだと私は思いますが、ひとついかがでしょう。協会の会長さんとしてお答え願いたいと思うのです。
  39. 下田謙治

    下田参考人 お答え申し上げます。  企業の社会的責任ということから考えまして、先生のおっしゃいましたこと、まことにもっともだと私も存じます。そういう意味で、先ほどどなたか参考人の方のお話もございましたが、塩ビ管の市況と申しますか状況につきましても、総需要抑制策が相当成功してまいっております。すでにこれは、通産省の御指導にもよることではございますが、二月の初めから大体一〇%ほど値段を下げてございますが、これから先、当業界におきましても、また上がるということは、この総需要抑制策が響いていきます限り、だれも考えていないというふうに思っております。  大体そういうような情勢でございまして、ある意味では昨年の状況に対する反省というようなことにも相なっているかというふうに存じております。  以上でございます。
  40. 松岡松平

    ○松岡委員 それでは私、最後に関係者の皆さんに聞いておいていただきたいと思うことは、いま電力料金は、どっちみち夏から秋へかかって上がるのですよ。それはどれだけ上げるのか。現に電力業者も赤字で苦しんでいるのですよ。こういうのを上げるのはしかたがないです、何ぼインフレだからといっても、油が上がってくれば。いま火力は、東電なんか九〇%くらい、電力を出すのに火力を使っているでしょう。そうかといって、水力はそう増発をできるものじゃないです。少なくとも五年、六年はかかる。原子力発電を増発するといったって、やはり五、六年、長ければ七年もかかるのですから、そうすれば、現状の発電状況でいくとすれば、これは値上げやむを得ないでしょう。これを押えると、みな破産してしまいますよ。政府で買い上げるか、政府で買い上げたって、何ぼ政府でも、贋造紙幣を発行するわけにいかぬですから、そうなれば電力の値上げというものはもう必至ですわ。そこに賃上げも加わってきますね。これはみんなコストを形成しているのですから。そんなわけですから、またこれは起こらぬとも限りませんよ。  私が憂えているのは、ようやくこれでおさまったからといって安心できない。だからこれは、業界の少なくとも指導者たる皆さんは真剣に政府に要求せられることがあるなら要求せられて、また政府の希望も入れられて、国民の声も聞かれて、私は国民総協力でインフレを押える。総需要の抑圧なんて、これはたった一つ方法でしかないのですよ。問題は、インフレを収束せしめるということは、全国民の協力だと思うのですね。私が先ほども言いましたとおりに、家庭の主婦なども、もうこのごろ節約運動ですよ。方向が変わりました。もう行列して洗剤やちり紙を買いに行く婦人はありませんよ。笑われものですよ。みんないま節約時代へ入っている。そんなわけですから、ひとつ業界におかれても、みんな立場立場違うでしょうが、その点をひとつ御留意賜わりたいと切に私はお願いして、質問を終わります。
  41. 臼井莊一

    臼井委員長 次に、原茂君。
  42. 原茂

    ○原(茂)委員 きょうは貴重な時間をさいて参考人の各位においでいただいて、ありがとうございました。  最初に、先ほど陳述をいただきましたことに関連しまして、思いついたまま各参考人の皆さんにお伺いをいたしまして、そのあと総括的に、特に私が業界の代表的な皆さんにお伺いをしたいと考えておりますことを四、五点、最後にお伺いをいたします。  最初に渋江さんにお伺いをいたしたいのですが、その前に、質問をいたします私どもも非常に現在の状態を憂えて、できるなら何かいい手がないものだろうか、これを政治の場に少しでも反映をさせたいというのが念願でございますから、ある意味では業界を代表する皆さんではございますが、国民の一人でもある皆さんが、やはりあすの日本の状態を考えたときに、ひとつざっくばらんにフランクにものを言っていただくということをお願いいたしたいと思います。決してあげ足をとって何か言ってみよう、できたらつるし上げようなんて考えは全然ございませんから、どうかひとつ、ほんとうのことを腹の底からこの際お聞かせをいただくようにお願いをいたします。  先ほどのお話を伺いまして一つ疑問に思いましたのは、いまも松岡先生のお話にありましたように、企業にはやはり社会的な責任がある、これはまあ当然でございますし、特にこのモラルというものは今後非常に大事になっていくだろうと思う。こういう観点から言いますと、たとえば一昨年以来非常な値上がりを続けてきた、非常に困ったとおっしゃるのですが、その値上がった分をどういうふうに処理をしたのかということを端的にお伺いをしたいのであります。値上がり分をどう処理したのだろうということが第一点。  その点で、簡単な正確なお答えをいただく意味であえて言いたいのですが、その値上げになったものの処理のしかたも、本来あるべき企業の利益率、もちろん計画的に利益を追求していく企業でございますから当然ですが、一例ですが、その当初計画した利益率を思い切って下げても、自己の負担において社会に対する、インフレ化を防いでいくような意味での責任を果たすというのも一つの例だと思う。というようなことも、特に大企業の場合にはもうこれが絶対これからは必要になるわけでありますが、そういう点、渋江さん、まず第一にお答えをいただきたい。
  43. 渋江操一

    渋江参考人 ただいま御質問がございました、資材等の値上がりによる損失をカバーする処理方法、企業における処理方法という御質問のようでございます。  このことにつきましては、端的に申しまして、建築業という企業では非常に苦慮をいたしております。一つは、やはり利益率が非常に落ちてきていることは当然でございます。利益率の落ちた結果はどう処理するか、これは一つは配当率を落とすという形に発展せざるを得ないわけでございまして、事実、私どものいわゆる会員会社である企業におきましては、現にこの三月期等におきまして配当率を落としております。  それからもう一つは、これは現在の時点でその利益率が落ちている点をそういうふうにカバーするという問題が端的に出てくるわけですが、現在未消化工事として持っておる工事、これはその上で直接に響いているもの、それからまた今後に値上げ影響を受けるもの、こういう問題が考えられるわけでございまして、この三月期の決算で当面しているものは、その三月期の決算までの間に完工いたしまして、決算処理をしなければならない工事、そういうもののいわゆる利益率の低下、欠損、そういったようなものを反映させるという形において処理しておるわけでございまして、それがいま申し上げましたような配当率の引き下げという形にいたしておるようなわけでございます。  もっとも、建設の各会社といえども内部保留を持っていないわけではございません。何らかの意味の内部保留を持っておることも事実でございまして、そういうものによってカバーしていくということも考えられます。これは企業内における問題の処理の方法でございます。  しかし、それで全部解決できるかといいますと、それは率直に申し上げましてできない、こういうことでございまして、したがいまして、その一つ方法としましては、先ほど私が申し上げましたように、公共工事に対しましては工事費改定をしてもらう。これは請負金額で当初きめられた金額でございますから、これを改定することは容易ではございませんが、一つの正当と思われるルールによってこれをスライドアップしてもらうことによって解決していただくということに、これは当事者の協議方式でございますけれども、現在の段階では業界としてまとめてお願いをするという形において、建設省のほうのいわゆるそれに対する処理方法を打ち出していただくという方法によって解決していこうということにいたしたわけでございます。幸いにいたしまして、そのスライド制につきましてもある程度具体的な御方針をお示しいただいたことは、先ほど私が冒頭の陳述で申し上げたとおりでございます。  以上が、現在とられつつあり、それからとっていただいておる、この値上がりに対する処理方式でございます。
  44. 原茂

    ○原(茂)委員 いまのに関連して、これは将来の問題ですが、まだまだ、この種のお考えを突っ込んできびしくやっていただかなければいけない事態がまた来るかと思うのですが、その場合に、いまの内部処理の一つとして、いわれている所得政策というようなものをどうお考えになっているでしょうか。
  45. 渋江操一

    渋江参考人 所得政策自体の内容につきましては、私ども、どちらかといいますと十分正確な知識を持っておるわけではございませんが、先ほども申し上げましたように、株主層に対する処置というのは、これは言ってみれば、配当率を下げるというのは、本来ならば、会社の株主に対してある程度の配当率を保証して今日まで経営してきたというのが経営者の立場であろうと思いますが、そういうことに対して、配当率を落とすというのは一つの、いまお話がございました所得政策につながるかどうかわかりませんけれども、株主の方にはある程度の、従来の配当率の保証についてはこれは引き下げるということを了承していただくというようなことであろうかと思います。  それから、先ほどいろいろお話がございました賃上げ問題、これは建築業界といえどもそれぞれたくさんの作業員を使って仕事をしているわけでございますから、いまの状況の中で賃金を引き下げるということは許されませんし、むしろ上がらざるを得ないということになるわけであります。そういう状況でございます。  それらが、いま御指摘になりました所得政策との関連において一つの姿を示しているかどうか、これはちょっと私では、はっきりしたお答えを申し上げることができませんけれども、必然的にそうせざるを得ないという状況でいま推移しているような状況でございます。
  46. 原茂

    ○原(茂)委員 ついでに鈴木さんにちょっと。現在の経営の状態の中で業界、あるいは仕事も経営しておいでになるようですが、所得政策に対してどう思いますか。
  47. 鈴木安丸

    鈴木参考人 お答えいたします。  われわれの業界も二十二社ございまして、その中で大企業の会社もございます。その会社によりましてだいぶ内容も違うわけでございまして、一々、各社のこまかいことはわかりません。自分の会社というものを踏まえまして申し上げるならば、まず第一に、先ほども松岡先生からも御指摘ありましたのですが、てまえどもの会社は、塩ビにつきましては業界では五%以下でございまして、レジンをつくっている業界の中では平均以下というような状況でございますし、したがいましていろいろな面でやはり、一〇%あるいは十数%のシェアをお持ちの会社と比べますと、いろいろなコストの面でも割り高になっております。もちろんわれわれの会社におきましても、塩ビが全体の売り上げの中では二十数%でございますので、いろいろ他の製品もございます。四十五年の後半から不況に入りまして、てまえどもも長年配当を一割継続しておりましたのですが、四十六年の後半から六分に減配いたしまして、昨年の六月期に二分増配いたしまして八分にいたしました。先般十二月期で一割に復配したわけでございまして、決してかんばしい成績を維持しておったわけではございません。そういうことで、この二月に、先ほども御報告申し上げましたように値下げをさしていただきまして、このまま推移いたしますと、やはり塩ビの利益というものは、決してそう御批判を受けるような利益はもう維持できないと思います。  一方、松岡先生からも御指摘のありましたように、電力の大幅料金改正、これは近くあると思いますが、私どもの企業では電力を非常に使っておりますので、これが大幅に上がりました場合には、いろいろな合理化、さらにいろいろな努力をいたしまして、はたしてこれを吸収できるかどうか、現在の価格をそのまま維持するということができるかどうか、私まだ試算をしてございませんが、私は、非常に困難じゃないかと思っております。  それから、いま御指摘の所得政策の件でございますが、私も専門でございませんので、お答えに合うようなことを申し上げられるかどうかわかりませんが、この四月になりますと春闘に、当社でもやはり昨年を上回るベースアップ、これは当然組合のほうからも要求しております。まだ折衝に入っておりませんけれども、当社の姿勢としては、これは是が非でもやはり世間並みのベースアップはやらざるを得ぬ、こういう姿勢で従来も来ておりますし、本年のこの春闘におきましてもそういう姿勢はくずさない、こういう考えであります。具体的にどうかということは今後の情勢によりますけれども、そういうものを踏まえますと、昨年の実績を踏まえまして考えましても、やはり三%くらいのコストアップになると思います。  そういうことで、今後どう対処するかということになりますとなかなか問題が多いと思いますが、先生の御指摘の所得政策というものも踏まえざるを得ぬかどうか、われわれもわれわれなりにいろいろ勉強はしておりますが、まだいまここでお答えできるほどの具体的なあれもございませんので、この辺で終わらせてもらいます。
  48. 原茂

    ○原(茂)委員 余談を申し上げるようで恐縮ですが、私見ですけれども、いまの日本の経済の今後の動向を考えたとき、従来のように、半年たてば、一年たてばまた頭が上がるというようなパターンを、また再び繰り返すことはない。そんな甘いものではない。むしろ、世界に前例のないほどの高度成長を遂げたという、その高度成長というのは、ある種の虚像なんで、たとえば自己資本率一つをとってみても、非常に低くなっているわけです、各企業の。この自己資本率の低過ぎる状態というものは、正常な経営活動を通じて戦前と同じように五一%以上に持っていくときがあるだろうか、私はなかなか困難じゃないかという感じがするんです。そういうことを考えてみますと、うんと悪く考えれば、難波田さんじゃありませんけれども、一度破局を迎える、落ちるところまで落ちるんだというような極端な、結果的にはモラトリアムをしくような、そういう事態が三年ないし四年後には起きるだろうというようなきつい意見もあるほど、それほど的確に私はものを言おうとは思いませんが、従来のパターンをそのまま追っていくような、何かのサイクルでまた景気がよくなるというような、従来それを何回か繰り返してきましたけれども、今後の経済というものはそんななまやさしいものじゃないぞと自分に言い聞かせて、私はそう思っておるわけです。皆さんがどうお考えか知りませんが、そういうときに起きてくる問題の一つとしては、やはり所得政策というのはおそらく皆さん財界の側から真剣に考えられてくる、そういうときが来る前段の激しいやりとりとして、今回いわれる国民春闘というのは実は起きているように思うのです。  なかなか今回の春闘は、いま世間並みの賃上げはとおっしゃいましたが、世間並みをどの程度を世間並みとお考えか知りませんが、その春闘の皆さんのお考えになっているような幅で賃上げがおさまるなんという考え方は甘いと思うのであります。たいへんきびしい言い方ですけれども、これほどインフレ、物価上昇率が激しくなりますと、やはり生活するために最低限の保障をする義務を持った経営者の立場から言うなら、当然異常な決意でこの春闘には——対決をする決意じゃない。異常な決意とは、とにかく配当をしなくても、食える賃金を従業員に与えるというところまで、おそらく今回は考えていただかなければいけない事態になっているんじゃないだろうかというような経験をこの春闘で経たあと、財界全体があす、来年、再来年の経済の見通しを立てたときに、やはり所得政策というものが相当大きな問題になる、所得政策に火をつけるような結果が国民春闘を通じて起きてくるのじゃないかというようなことを、私見ですが考えておりますので、皆さんなりに、やはり二の経済が一体従来のパターンでいくのかどうかということは真剣に考えないと、そう甘いものではないという前提に私は実は立っているわけであります。そういう前提に立ちながら、これからいろいろ質問をするわけであります。  そこで、いま総需要抑制というはしりに四十八年度の公共事業の繰り延べが行なわれました。その結果非常に困難をお感じになっている。これは渋江さんに、続いてまたお答えをいただきたいのですが、一体この公共事業全体が現在建設業に与えている繰り延べのある程度のパーセントですね、どのくらいになっておるのでしょう。金額がどのくらいになっておるかわかりますか。全体的に建設業界として四十八年度の公共事業の繰り延べによる影響ですね、そういうものはどのくらいあるのだろうか。それで、四十九年度の予算案を見ましても相当にきびしくなっているわけですが、前年度の繰り延べをこの四十九年度に加えていけば、何とか建設業界としてはいままで予定してきた事業量というものになるのかどうか、それをちょっとお伺いしたい。
  49. 渋江操一

    渋江参考人 総需要抑制の結果として建設の事業量がどの程度に繰り延べられたかという御質問でございますが、具体的な数字で申し上げられるほど確かなデータをまだ用意いたしておりません。したがいまして、金額的には正確なお答えを申し上げることはできないわけですが、私どもが大体この四十八年の工事費等の値上がりによってどの程度の当初の見積もりとの差額ができたか、これが一つの御参考になるかと思いますが、約三〇%は下らないいわゆる値上がりになっているというふうに私どもは見ております。したがいまして、その程度は、いわゆる建設投資量が四十八年度におきましては二十八兆円近くあったと思いますが、二十八兆円近くのものの三〇%分はその値上がりによってむしろ実質工事量、名目は二十八兆円程度になっておりますけれども、その程度はディスカウントされた実質にはなっておるというふうに考えざるを得ないというふうに思っております。  それから、もう一つの問題としてお話しの点は、もう一度伺わしていただけませんでしょうか。
  50. 原茂

    ○原(茂)委員 四十九年度にそれが繰り延べてきますね。四十九年度の、やはり総需要抑制されて、予定された工事量が減った分をちょうどカバーできますか。
  51. 渋江操一

    渋江参考人 四十九年度の建設投資量は、現在の段階では推定予測を立てておる段階でございます。公共投資につきましては、政府予算を中心として積み上げられたものがございます。それから設備投資等につきましては、通産省等におきまして設備投資の計画が立てられておるような状況でございます。それらを合わしてみてまいりますと、一応二十九兆七千億という数字を私どもは推定いたしております。これは建設省からも出された数字が、たしかさような数字だったと思います。  しかし、すでに先生でもお気づきでございましょうが、四十八年度のデフレーターの上における数値は、たしか二三・八%だったと承知いたしております。したがいまして、現在の二十九兆何千億のいわゆる名目の建設投資量の推測というものは、それだけディスカウントしたもので私どもは実質的な事業量を受けとめざるを得ない一これは四十八年度水準をはっきりいって下回ります。下回る結果にならざるを得ないというふうに考えているような次第でございます。  以上が私どもの現在の推定でございます。
  52. 原茂

    ○原(茂)委員 そこで、渋江さんには、最後に、現在の状況を考えた上で、何か政府にこうしてほしいということございますか。
  53. 渋江操一

    渋江参考人 二つほど、私どもの内部で考えております点を申し上げさしていただきたいと思います。  一つは、ただいまいろいろ御指摘がございましたけれども建設業界としてはきわめて深刻な状況にございます。その一つは、手持ち工事量というものが、私ども関係しております大手業界におきましては若干持っておりますが、これは全体の業者数の中のごく一部でございまして、建設業界の大部分を占めておられる、ここに御出席のそれぞれ関係しておられる業界筋の皆さまのほうでは、もう手持ち工事量が底をついてきている。で、これは総需要抑制策の至上命令の結果ではございますけれども、四十九年度の工事量の発注というのは早くやっていただく必要がある。それは総需要抑制価格安定という大命題を達成するために忍んだらよかろうということに言われるかもしれませんけれども、それぞれ数十人あるいは数百人の従業員をかかえ、仕事をしているわけでございますから、そういう建設業界の内部では、倒産の件数というのはもう、先ほど陳述ございましたように、ふえてきております。これは四十九年三月、四月、五月あたりの端境期になりますと、ますますその状況は激しくなるという状況でございますから、総需要抑制策には多少問題はあろうかと思いますけれども、早期発注というものをぜひお取り上げいただくことが必要ではないかというふうに考えておるのでございます。  それからもう一つは、今後の問題といたしましては、やはり供給の安定、価格の安定でございまして、それが前提にございませんと、いわゆる建設業界の企業としての成り立ちは、前提条件はもうすべてくずれるという状況でございますから、この建設工事発注問題とそれから資材との関係需給バランスというものは特にこれから注意を払う必要がある。私ども業界も、そういう観点に立ってそれぞれその対策を練っておりますけれども、大きくは、これはやはり公共投資を所管される政府関係当局資材行政を担当せられる関係当局とのきわめて密接な連絡というものが必要かと思います。私どもは私どもなりに、ユーザーとしての立場建設業界筋といわゆるメーカーとの緊密な連絡、コミュニケーションというものを今後はもっと深める必要がある。いままでは、品物は値段を出せば買える、しかもそう高い値段でなくて入手できるという前提ですべて仕事をしておりましたが、これからはそうはいかないということでございますから、やはり生産計画と、それからそれに対応する、いま申し上げました需要の予測を前提にしました資材需要というものとのチェックを絶えずしていかなければならぬだろう、そういう考え方のもとに私どもなりのいわゆる対応策を考えていきたい。しかし、これは私ども民間だけの立場でできることではございませんで、やはり政府当局の指導、これに対する深い御配慮がなければやっていけない、かようなことを考えておりますので、よろしくお願いしたいと考えております。
  54. 原茂

    ○原(茂)委員 建設省、きょうは浅間さん、大森さんではお答えができないですかね。どうでしょう、いまお話のあるように、少なくとも予見されるこの業界全体の非常な困難が、なお一そう深刻になる状態にいまあるわけですね。そういうときに、確かにこれは官公需というものは非常に大事になってくるのですが、建設省としては早期発注というようなことができるように、国、地方を通じて指導するような方向をとっていますか、どうですか。
  55. 浅間隆

    ○浅間説明員 お答え申し上げます。  建設省といたしましては、先ほど渋江専務からもお話がありましたように、確かに総需要抑制の効果によりまして、四月からの発注量が問題にされているわけでございます。なかんずく、中小企業の建設業界におきましては、全国建設業界の調査によりましても、手持ち工事量が非常に少ないというような結果も出ております。そういうものにかんがみまして、先ほど先生から御質問のありました繰り延べでございますが、これが建設省所管需要につきましては約二千三百億円、これは国費でございますが、全体で約七・一%でございますが、これを繰り延べているわけでございます。その他一般の繰り越しもございます。こういうようなものをできるだけ早く四十九年度、この四月から発注するような考えを持っているわけでございますが、しかし総需要抑制というようなこともございますので、まだ大蔵省との最後の詰めはやっておりませんが、いずれにいたしましても建設省といたしましては発注官庁並びに建設業の育成というような行政も所管しておりますので、そういう点を十分注目して進みたいというふうに考えているわけでございます。  それから資材供給安定につきましては、資材につきましては確かに所管が通産省ではございますが、しかし三十万の業者がおりますし、また公共事業の六十数%を執行しております建設省といたしましては、その責任を十分痛感しているところでございまして、発注をどういうふうに具体的にするか、たとえば資材供給不足を具体的に、地域別に、時期別に調査するようなことも考えているわけでございます。発注の平準化といいますか、計画的な発注、それから資材需要量を推定いたしまして、これは公共事業につきましてはすでに調査を実施中でございますし、民間につきましては全国建設業界並びに日建連等、いろいろ協力いたしまして進めるつもりでいるわけでございます。いずれにいたしましても供給の安定、価格の安定というようなことに一歩前進して諸般の体制を整えておるのが現状でございます。
  56. 原茂

    ○原(茂)委員 これは、お気の毒ですが、赤羽さんにお管守えいただきたい。いまの浅間さんのお話にもありましたように、供給それから価格、ともに安定しなければ困る、そういう点で一体どんなことをいま計画しているのですか。もうこんな状態であることがわかっていながら、まだ今後考えるというのか、すでにこういう手を打ち、こういう手段でやっていくのだ、だから供給もよし、価格も安定させる、こういうふうな説明ができますかどうか、それをひとつ……。
  57. 赤羽信久

    ○赤羽説明員 本日、塩ビ管につきましてお呼びいただきまして、そのほうを担当しておる者でございますが、塩ビにつきましては、昨年からやはり建設省のほうと連絡もとりまして、需要が相当伸びるという予測がついておったのでございますが、先ほどからの説明にもございましたように、特に塩素をつくる設備についての能力と、それから工場の事故ということが重なりまして、予定量がなかなか達成できなかった。これにつきまして、やむを得ませんので、先ほどありましたように、たとえば細いほうの、一般用の需要に重点を置いたパイプをつくるとか、それから特に小口に対しましてはあっせんを行なうとか、完ぺきではございませんけれども、順次手を打ってきたわけでございます。  今後につきましては、水銀問題の対策上、電解設備の隔膜法への転換を控えておりまして、ここ当面、大幅な設備増がちょっとはかれない状態にございますので、できるだけ円滑な生産ができるよう、いろんな原料の優先的な手だてを講じていきたいと思いますけれども、大幅な増産が期待できませんので、やはり需要のほうの適正な配分を指導していく、今年度は特にそういう点に重点を置いていきたいと思っております。
  58. 原茂

    ○原(茂)委員 時間があったら、あとでいまの御答弁に対してちょっと疑義があるのでお伺いしますが、いま時間がなくなるといけません。先へ参ります。  次に、島田さんにお伺いしたいのですが、何か先ほどの陳述の中で、建築建設資材全体の中で一部非常に供給不足のものがあったというおことばがあったのですが、建設資材で常に潤沢に供給されているものは何なんですか。
  59. 島田善雄

    島田参考人 お答えいたします。  私の最初の意見発表の場合に……
  60. 原茂

    ○原(茂)委員 一部供給不足資材ですね。
  61. 島田善雄

    島田参考人 現在はほとんどございません。現在、大体鎮静化の方向に進んでおりまして、昨年に、先ほどから問題になっておりました、いわゆる石油ショックによって物不足があったものでございまして、特にこれということはございません。
  62. 原茂

    ○原(茂)委員 実は去年非常に貴重な経験を積んだわけですよね、島田さんも。たいへん貴重な経験を積んで苦しんだわけです。ああいうことを考えて——現在まあ塩ビなら塩ビをとってみても、皮肉なことですけれども、だんだん需要そのものが軟調になってきているという状態。これはあとでまた触れますが、ああいう経験にかんがみて、今後再びああいうことがないようにするためにどういうふうにしてもらったらいいとお考えでしょうか。何が、どこを、国の立場で、あるいは業界全体としてこういう点を考え、こういう点を手当てをしておいてもらわないと、また起きるおそれがあるというふうにお考えですか。
  63. 島田善雄

    島田参考人 はなはだ大きな問題でございまして、私のごときいなかの零細業者にとりましてはちょっと苦しい問題でございますが、私どもは流通機構の改善をぜひやっていただきたいと思っております。
  64. 原茂

    ○原(茂)委員 具体的なことを……。
  65. 島田善雄

    島田参考人 具体的に申し上げますと、先ほどちょっと鋼材の点に触れましたが、鋼材は、私ども群馬県の片いなかでございますが、東京で発表される金額と、われわれいなかで入手できる金額には、大体一割以上の差がついております。——この程度でよろしゅうございましょうか。
  66. 原茂

    ○原(茂)委員 それから、先ほどのお話の中で気にとまりましたのは、一億以下と言ったかどうか知りませんが、その程度の仕事は大手にやらせないで中小にやらせるというようなことを考えてもらいたいというようなお話があったと思うのですが、そこのところをもうちょっと詳しく聞きたいのですが、何ですか、一億という額になると大半大手発注されるというようなことがあるのでしょうか、どういう意味なんでしょうか。
  67. 島田善雄

    島田参考人 これは絶えず私ども中小企業が受注分野の確保につきまして御当局にお願いしているのですが、特に総需要抑制によりまして工事量が少なくなりますと、大手の方が、公共工事の小さい、一億未満の工事にも当然進出されるのではないか。われわれとすると、ある程度平年どおりの公共工事でありますれば大手の方も遠慮していただける工事が、民間工事抑制によりましてその分野に進出される、これを懸念しているのでございまして、一億円未満は絶対に指名していただきたくない——そういう表現ではございません。大手の方に自粛的に、ひとつこの際は中小を助けていただきたい、そういう何らかの御当局の御後援をお願いしたいという意味でございます。
  68. 原茂

    ○原(茂)委員 建設省、こういう点、どう思いますか。
  69. 浅間隆

    ○浅間説明員 お答えいたします。  建設省におきましては、中小建設業の育成という観点から、すでに二、三年前から地方の法人につきましては、できるだけ中小建設業に仕事を与えるような方向で検討しなさいというようなことを各出先機関に通牒を出しておりまして、いわゆる受注機会の確保といいますか、そういうふうに努力しているところでございます。
  70. 原茂

    ○原(茂)委員 その実効があがっていますか。そういう指導どおりいっていますか。
  71. 浅間隆

    ○浅間説明員 お答えいたします。  おおむねそういうような傾向で進んでいるようにわれわれは承っております。
  72. 原茂

    ○原(茂)委員 大企業よりは中小企業のほうが圧倒的に数が多いし、工事量からいっても相当なものを中小は担当しているわけですよ。おおむねいっているだろうなんて、指導していながら、おおむねいっているかもしれないというような調子——担当が違うのじゃないかといま考えて、無理もないような感じがしたのですが、こんなばかげた指導が——指導かどの程度行き渡って、現実にどういう効果をあげているのか数字でつかむくらいのことをしなければ、これからの血の通った行政とは言えないと思うのですよ。どう思いますか。
  73. 浅間隆

    ○浅間説明員 現在手持ち資料ございませんが、建設省におきましては毎年公共工事着工統計という統計をとっております。これは発注別、時期別、規模別、種類別にとっておりますので、したがいまして、過去におきましてどのような工事建設業者請負ったかというような数字は出ておりますが、たまたま手元に資料がございませんので、そうお答えしたわけでございます。そういうデータはございます。
  74. 原茂

    ○原(茂)委員 そのデータを見まして、年度別に一億円前後の仕事は中小にずっといっているという上向きのカーブになっているのですか。データなんか幾らとってもしようがないので、そのとおり、指導したようにちゃんといっているのかどうか、年々それが多くなっているのかどうか、どうなんです。
  75. 浅間隆

    ○浅間説明員 公共工事着工統計によりまして、われわれの考えておりまする大規模工事といいますか、この範囲は約五千万円ぐらいというふうに考えておりますが、いままでの結果によりますと、そのシェアといいますか受注の率は上回っていると思います。これは資料が手持ちにございませんので、帰りまして、もし必要であれば提出したいと思います。
  76. 原茂

    ○原(茂)委員 これは委員長にお願いしておきますが、次回また建設大臣を呼んだ審議があるわけですが、そのときに必要ですから、それまでにいま言った統計を出すようにひとつ言ってくれませんか。手配しておいてください。これはやはり、過去十年ぐらいほしいですね。十年ぐらいさかのぼってほしい。その指導どおりいっているかどうかのカーブが明確に見えるようにしていただく。ついでにその資料にお願いをしておきたいのは、いま五千万円という話がありましたが、一億、二億程度まで一体どんな帰趨になっているかがわかるような資料にしていただくということをお願いします。  それから、これは渋江さんにお伺いしたいのですが、いま中小の問題が出てきたわけですが、大きな建設業界自体が、何か一つのコードとしてかどうかは知りませんが、できるだけ地方におけるその種の工事は遠慮しようというような話があったり、そういう心がけがあるんでしょうか、そんなものは業界としてはないんでしょうか。
  77. 渋江操一

    渋江参考人 ただいま御指摘の点は、絶えず私ども業界の内部で出る問題ではございます。それは私ども大手業界関係者同士の間で出る問題でもございますし、それから、ただいま島田さんからお話がございましたように、全中建さんと私のほうの団体とは絶えず意見交流をいたしております。そういう団体間の話し合いでは、それは話としては、大手が自粛をすべきであるという話で終わっております。終わっておりますが、御指摘になりましたように、具体的のケースにつきましてそれではそういう事実が絶無と言えるかというと、必ずしもそうでないのが実態でございます。しかし、これは、私のほうの団体の内部を取り上げましても、これを徹底化する、実行に移すという形になってまいりますときには、かなり強力な統制力を用いなければならないという現実がございまして、そういうところまで実は行きたいと考えておりますけれども、実行論になりますと問題がありまして、なかなかそういかないという面がございます。これはありのままを申し上げまして私のお答えとさせていただきます。
  78. 原茂

    ○原(茂)委員 まあ総論賛成という口ですよね。やはりそこらのところは、何とか業界全体のモラルとして確立できるまで、ひとつ渋江さんなんかが中心でもうちょっと旗を振っていただくように、これは逆にお願いしておきたいと思うのです。そういう問題もまた別の機会に取り上げますが、参考になりましてありがとうございました。  次いで谷内さんにお伺いしたいのですが、先ほども木材の問題にちょっとお触れになりましたけれども、一昨年来、木材は非常に流動的で困難を感じたわけです。で、この木材中心大手商社との団交というか何か知りませんが、話し合いをやったりいろいろされたということを聞いていますが、木材中心にしたいままでの経過をお話しいただければと思う。  ついでにもう一点お伺いしておきたいのですが、特に木材関係では、最近の新聞を見ますと、林野庁が四十七年度までは大体赤字だったのだが四十八年度は一挙に六百何十億の黒字になったというようなことが、でかい見出しで出ていたのをわずかに記憶しているんですが、財政法その他の問題もあるかどうか知りませんが、とにかくああした不逞な便乗値上げ、仕組まれた値上げによって市価が操作されて非常に暴騰をしていたその時価で林野庁がこれを処分したということは、林野庁を通じて国家が便乗値上げをしたんだと言ってもいいんじゃないかと思うのです。こういった点も、もし見解があれば一緒にお伺いしたい。
  79. 谷内富三

    谷内参考人 原先生の御質問について、木材の問題その他について私どもの要望を含めてお答えしたいと思うわけです。  一昨年の木材暴騰に対しまして、われわれは建設省なりあるいは農林省なりにいろいろお願いしたわけですけれども、国のほうでは具体的にはほとんど何も有効な対策を立ててくれなかったわけです。仕事と暮らしを守るためには、やはり自分たちが怒りを込めて立ち上がっていくより生きる道はない、こうした仲間の気持ちが一つになりまして、実は昨年三月二十二日の六大商社に対する抗議行動となったわけでございます。数回の交渉あるいは公開質問状に対しまして返ってくる答えは、買い占めや投機的な行為の事実はない、こういう繰り返しだけでございました。きょう、その一例として日商岩井からの回答文の写しを先生方のお手元にお配りしてございます。たいへんきれいなことばが書き連ねてあるわけですけれども、こういったきれいなことばを書いたその手で一体彼らは何をやっていたんでしょうか。御承知のとおり、輸入木材で日商岩井がたいへん悪どい価格操作を行なっていたことは、二月二十五日及び三月十一日の予算委員会の中で坂井先生の追及によって明るみに出され、日商岩井の辻社長もこれをはっきりと認めたところでございます。  先ほども申し上げたところですけれども、日高岩井に限らず、また木材に限らず、他の資材についてもこうした事実はなかったか、企業の代表を呼ぶなりして十分に究明されることを再度お願いしたいと思うわけです。また、投機的な行為、価格操作を規制するために調査権及び価格決定権を持つ委員会を国会に設置していただいて、違反に対してきびしい措置を含めた法制化を行なってほしい、このことを第一に要請したいのでございます。  次に、先生の御質問の第二点でございますけれども、二月八日の日本経済新聞は、国有林野事業の四十八年度決算は六百十三億円の黒字となる見込みで、これは市場の実勢価格の急騰が収益をふやした原因であると報じております。そうして、インフレの高進する中で木材価格を安定させることも国有林野事業に強く求められている使命の一つである。それがかつてないほどの膨大な利益を計上するとあっては、国民感情として納得しにくい。インフレが国民にとって非常事態であるとすれば、国有林野材を安く放出し、木材価格高騰を鎮静させる道はなかったのかと述べています。  これについては全く同感でございます。私ども末端の大工やあるいは住宅難にあえぐ庶民の立場から見れば、あのような木材の急騰の場合、そういう木材の急騰に際しまして六百十三億円にものぼる荒かせぎをした事実は、先生もおっしゃったとおり、まことに便乗値上げというよりほかはないというふうに考えているものです。法律上のたてまえはともかくとして、あのようなときにこそ安く放出して市場価格を下げさせる、これが生きた政治であり、血の通った行政である、このように考えているところです。  こうした考えに立ちまして、会計法、財政法を改正し、国有林材を時価よりも安く放出できる措置を講じてほしい、このことを第二に要請したいのでございます。  以上で私に対する質問のお答えにいたします。
  80. 原茂

    ○原(茂)委員 谷内さんにもう一つだけ最後にお伺いしてみたいのですが、いままで各地方ごとに建設材料関係の不足を中心にして、通産局ですか、との折衝を何回かやったんじゃないかと思うのですが、やったことおありでしょう。
  81. 谷内富三

    谷内参考人 たびたびやりました。
  82. 原茂

    ○原(茂)委員 そこでちょっとお伺いしたいのですが、通産局に交渉して、たとえばくぎにしろ、いまのボードにしろ、塩ビにしろ何にしろ、おかげで資材が間に合った、あるいは逆に通産局に何回も交渉したけれども、その権限がないというか、のれんに腕押しで全然問題にならなかったというのか、どっちでもいいから端的にお答えください。
  83. 谷内富三

    谷内参考人 一言で言わしていただきますけれども、あまりたよりにならない、こういう感じを受けました。
  84. 原茂

    ○原(茂)委員 これは通産省、どうでしょうね。これは私もいろいろな面から仄聞しているのですが、何といってもこういうときに通産局というのは非常に重要な役割りを果たさなければいけないわけですね。実際には通産省として、いまは塩ビ中心でけっこうですが、通産局を通じて地方のいろいろな塩ビの要求に対してこういうふうにこたえた、こういう問題の解決ができたというような報告が来ていますか。
  85. 赤羽信久

    ○赤羽説明員 建設資材の中には地方地方でこまかく生産されているものもございまして、このようなものについては、通産局が現地で生産者と需要者あるいは流通業者を指導するというこまかい問題もよくございます。ただし、塩ビパイプにつきましては、かなり全国に分布はしておりますけれども、通産局限りで需給を整えるというのは無理がございまして、たとえば昨年の九月に行ないました塩ビ管のあっせんの場合には、やはり中央で立案いたしましてこれを通産局及び都道府県を通じて実施してもらう、要するに、こちらに情報を集めてもらって、それでこちらが基本方針を立ててまた実施を地方にゆだねる、そういう体系が必要かと思われます。
  86. 原茂

    ○原(茂)委員 そういう点で、やはり情報を集めるというその情報が大事なんですよ。的確に下部の状況というものが通産局につかまれて、それが正確に通産省へ来る、そうしていまの中央における割り当てその他を都道府県を通じて行なうというんですが、その通産局の実情把握というもの、これはまた通産省の関係のときにお伺いしてみたいと思うのですが、たいへんずさんな状況なんで、これはまあ聞いておいていただけばいい。  それから三富さんにお伺いをしたいんですが、端的に悪徳業者と言っていいほど売り惜しみそれから便乗値上げをやるようなこういう業者の根を絶つということが、三富さんなんかの先ほどの陳述を聞いているとそくそくとしてうかがわれるわけですよ。そうするにはどうしたらいいと思いますか、どういうことをやったら、そういう根が断てるとお思いになりますか。
  87. 三富榮司

    三富参考人 お答えいたします。  悪徳業者というのはなかなかしっぽを出さないと申しますか、表面にあらわれないと申しますか、あることは事実なんでございますが、なかなかつかみにくいことでございますが、これはわれわれ、ユーザーと申しますか、購入側のほうで、そういう業者から購入をしないようにしなければいけないと思うわけなんでございますが、先ほど来の話がありましたように、昨年の六月から十一月ごろまではなかなか品物がございませんので、逼迫しておりますので、工事に間に合わせるためにやむを得ず、やはりそういう業者から買わなければならないような状態でございました。  それはどういう方法でやっておるかと申しますと、これは何もここにおいでの方がそういうことをやっているという、塩ビ管ですね、それから全国管工機材の方がやっておるということではございません、これは言明できますが、中には、先ほどお話がありましたように数が多うございますので、ディーラーでございますね、材料店、数が多いものですから、その中の一社かあるいはまあ二社ぐらいは、直接店から販売するのでなくして、ブローカーとか、もとそこにおった店員さんとか、またはつながりのあるブローカーを通じて、ダミーを使って、市価の三倍ぐらいの価格で販売したというような話を伺っております。  この悪徳業者を締め出すということは、われわれ業界としても、国民としても必要でございますが、なかなかむずかしい問題と思っておりますので、今後とも研究していきたいと思います。
  88. 原茂

    ○原(茂)委員 そういう点は、苦しんでおいでになり、実際を体験をしている三富さん方が、こうしてもらったらいいんだというものをやはり提案していただく必要がありますね。特にわれわれ、全然それはわかりませんしね。やはり何か手段があると思いますね。現実にそういうダミーを使ってどうのこうのということがおわかりになっているんですから、こういうことをやってもらいたいというようなことを至急にお考えになって、われわれのところへ教えていただくことが必要じゃないかと思いますよ。これはやらないといけませんね。  それから、最後にもう一つ。たとえば塩ビ管がメーカーから幾らでおりてくる、値段はきめられてきますね。これを実際に今度ユーザーのところへ持っていって使うとき、われわれ仲間としてはこれだけの値段で売ろうじゃないか、原価に入れようじゃないかというような話し合いをなさるんですか。
  89. 三富榮司

    三富参考人 先ほど来話がありましたように、昨年からことしにかけましては売り手市場でございましたので、一方的な価格のきめ方で購入せざるを得ない状況でありますが、今後は代理店とはお互いに話し合って価格をきめていきたいと思っております。  それから塩ビ管については、先ほどもお話ししましたが、とにかく品物がなかったということ、逼迫しておったということも事実でございますが、また最近は出回って、先ほど来の話では三月ごろから、または二月ごろから一〇%、通産省の指導で下げたということでございますが、ディーラー、取り扱い店でございますね、その辺では、流通機構では、下げませんというようなことばも聞いております。実際に二月には下がっておりませんでしたが、三月になりまして五%程度流通機構で下げております。メーカーは確かに一〇%下げておるということのようでございますが、流通機構で、私のほうではそれほど下げられません、こういうようなことを言っております。
  90. 原茂

    ○原(茂)委員 そこで先に、今度は橋本さんにちょっとお伺いしたいのですが、奥山さん、どちらでもいいのですが、先ほどの御説明もいただきましたし、それから谷内さんのお話にもありましたように、たとえばこの出光の徳山工場の爆発というようなものがきっかけで値段が上がったというような認識の陳述が先ほどあったように思うのです。私も谷内さんの見解と同じで、あの爆発の以前からすでに値上がりをしている、こういう事実をお認めになりますか。
  91. 橋本政雄

    橋本参考人 お答えいたします。  私の伺っている範囲では、先ほどもメーカーさんのほうの御説明にもあったと思うのですが、もう一昨年、四十七年の暮れごろから相当逼迫状況がぼつぼつ出たということだと思うのでありますが、その辺のメーカーさんからの御説明は、公害問題が非常にきびしくなって生産が追いつかなくなった。その当時から私ども、一次店にはぼつぼつ、発注をしても思ったとおり入らなくなってきたというように記憶しております。ですから、その辺では、そういった事情から多少値上がりがあったというふうに記憶しております。
  92. 原茂

    ○原(茂)委員 時間がないからお伺いしないのですが、先ほども話がありましたように、公害がきっかけでコストアップせざるを得ないというような——この公害問題なんというのは、特に水銀に関する限りは十五年前からの問題なんですよ。いまごろ、三年ぐらい前からよくやく公害を頭に入れて諸施設の改善、整備を行なうということをやったとすれば、その企業はどうかしているのです。もう水銀による公害なんというものは騒がれて今日非常に古過ぎるので、いまごろそんなものをコストアップの理由にするなんということは、松岡先生も先ほど言っておりましたが、私は少しおかしいと思いますが、その点はきょう触れようとは思いません。  ただ、先ほどの話の中に、あなたの組合員の中にもちょっと不心得者がいたというような話がありました。それは何が不心得なんです。便乗値上げという意味で不心得者なんですかね。
  93. 橋本政雄

    橋本参考人 先ほどの意見の中にもちょっと申し上げたのですが、これは昨年来数回にわたって、東京都管工事工業協同組合理事長さんはじめ各資材対策委員の方々との会合を開いたのですが、その際に、いまもちょっとお話が出ましたように、何と申しましょうか、やはり物が非常になくなってきている関係上どうしても数量、注文にすべて応じ切れないというようなことから、一部の方々からの御注文をお断わりしなければならぬ。そういうときに、そのままただ、ないからお断わりするということでなしに、極端な値段を提示すれば当然買わないであろうというようなことで極端な値段を出したところが、現金で買っていったところがあるというようなお話が実は出まして、これはそういう意味で、そういう感覚でそういう値段を提示することは非常におかしいのじゃないかというような御指摘もありましたのですが、その辺がやはりちょっと、われわれ流通業者立場をほんとうに認識しているものの方法ではなかったんじゃないか。そういうものを資料もお持ちになられておりましたので、これは私どもとしても非常に残念であり、対処しましょうというふうに申し上げたわけでございます。
  94. 原茂

    ○原(茂)委員 それで、通達を出されたのが去年の十二月ですね。その後二月から三月にかけて、衆議院の予算委員会で各業界参考人を呼んで、あのやりとりがございましたね。ある程度新聞、ラジオ、テレビで御存じだと思うのです。いまでもこんな考えですか。ああいう予算委員会のやりとりを通じたあと、皆さんとして、組合員に対してこういう小さな注意をすることも大事なんですが、一体この上のほうの業界に対して何か考えたり、言おうとすることはありませんか。
  95. 橋本政雄

    橋本参考人 やはり基本的には、こういうようなことになってきたということは、先ほど私も最終的に意見陳述の際にも申し上げたかと思うのでありますが、やはり基調としてインフレ基調だというようなことと、あまりにも需給のアンバランスが起きてしまってきているというようなことにつきまして、われわれ流通業者というものはほんの中間におりますものですから、供給責任を果たすという点をどういうふうにしたらいいのかということも真剣に考えて討議をいたしたのでありますが、やはり何としましても需給の見通しを十分に早く立てていただいて、安定供給をしていただきたい。われわれはそういう意味では絶えず情報を提供するといいましょうか、各管工事業者さんの方々の意見をもっと——その会合のときにもお話が出たのでありますが、従来、物が潤沢の際にはあまりそういう会合も開かれなかったものでありますから、これをもっと今後密にして、極力需要家さんの需要量、将来の見通し等をお伺いして、メーカーさんのほうにいち早くこれを御連絡して供給体制を十分にとっていただくということのかけ橋になるべきだというふうにも思っておりますので、そういう面では努力してまいりたいと思っております。
  96. 原茂

    ○原(茂)委員 あまりけしかけるようなことを言うつもりはないのですが、やはり橋本さん方とすれば、この間の予算委員会のやりとりを通じて、こういう問題の基本はここにあったんだというものをもっと的確につかんで、それに対する要望なりあるいはある意味における憤激なり世論というものを仲間でかき立てていくことは必要だと思いますよ。少し遠慮をしているのか何か知りませんが、ちょっとそれではいけないと思いますね。  それから鈴木さんにお伺いいたしますが、この間の、いま申し上げた予算委員会参考人を招致した結果ああいうやりとりをやりましたが、あれを見たり聞いたりしてどうお感じになりますか。
  97. 鈴木安丸

    鈴木参考人 お答えいたします。  私、あの予算委員会のテレビを一時間半ばかり拝見いたしました。なお新聞も拝見いたしたわけですが、いろいろ各トップの方々、御質問にお答えしておる。私も経営者の一人として反省して、やはり政府あるいは国の物価抑制、こういうものに一段と努力しなければならぬ、こういうふうに痛切に感じました。
  98. 原茂

    ○原(茂)委員 これから三、四点質問をするのですが、これは順不同で、しかもどなたという指名をしない場合もありますが、どうぞ参考人の皆さんで、おれはこう思うということをおっしゃりたかったら、遠慮なしに発言をお願いしたいと思います。  これは今度は私のほうから皆さんにお伺いするのですけれども、塩ビ業界の一番大きな問題点というのは、いまもちょっと流通機構の問題が出ましたけれども、その流通過程における価格が明瞭に分析あるいは確保されていない。四十七年、四十八年のあの末端価格と、それからメーカーの蔵出し価格との間における異常な差額が、物によって、場所によって生じている。一々数字を申し上げている時間がありませんから申し上げません、これは皆さんのほうが御存じですから。一体、このメーカーから第二次卸、小売りに至るまでの経過の値段の内訳というのは、こうなっているんだということをどこかでつかんでいるのでしょうか、わかっているんでしょうか。
  99. 橋本政雄

    橋本参考人 塩ビ管につきまして、実は流通の統計をこの二月ごろに一度、全国管工機材業界として、各地区に、どのような仕入れ価格になり、どのような売り値段をされているかというようなのを一度とったことはございますけれども、それがやはり、全国各地区非常にばらばらでございまして、大体統計をとりましたところは、東京、関西、いわゆる都市地区におきましては、一次店の問題で一二ないし一五%、二次店で一八ないし二二%というぐらいの口銭が妥当だというような統計が返りまして、それから東北、北海道等の地区では二八あるいは二九%というような、これは二次店さんのマージンですが、そういうような御返事も参っておりまして、その集計で二次店さんのほうを全部プールすると、大体二五%ぐらいじゃないかというようなことをつかみましたので、これはもちろん全部の御返事がきておりますわけではないものですから、そのような感じではないかと思うのであります。
  100. 原茂

    ○原(茂)委員 通産省の赤羽さんにお聞きしますが、いま私が申し上げたような流通経路ですね、メーカーから末端へ行くまでの間の価格の分析はできていますか。
  101. 赤羽信久

    ○赤羽説明員 一昨年のような、物が非常にたくさんある、むしろ売るための競争が行なわれて公りますときと、昨年のような不足のときの間には、これは個別の情報を集めて聞いた程度でございまして、統計的なものではございませんが、ずいぶん大きな開きがあるということは、大体、感じとしてはつかめております。しかしながら、非常に数の多い流通段階ですので、必ずしも的確な状況をつかんでいるとは申せません。
  102. 原茂

    ○原(茂)委員 これもお気の毒ですが、委員長に資料をひとつ要求しておきたい。  いまの、これは三年程度の前からでいいですが、流通経路の個別の段階における価格というものが、本年のたとえば一月なら一月まで、向こう三カ年比較できるような資料を出していただきたい。たいへん参考になると思います。これがありませんと実際の問題点をつつき上げることができない。先ほど各業界の代表がいろいろ述べた中の問題を解決するためにもこれが必要です。ぜひお願いをしたいと思うのであります。  それから、この点、ついでに鈴木さんにもちょっとお伺いしてみたいのですが、三菱化成の篠島社長が、何かの新聞に出ていましたが、塩ビが末端へいって十倍にもなるというのはどうしてもおれには理解できない、こういうことを言っておりますね。これを聞いてどうお思いになりますか、やはり鈴木さんも理解できないほうですか、理解できるのでしょうか。
  103. 鈴木安丸

    鈴木参考人 お答え申し上げます。  実はいま初めて伺うわけでありますが、三菱化成の篠島社長さんが、末端というか、私はレジンをつくっているわけですが、このレジンが、お隣にお見えになる加工のほうでパイプとか板とかあるいは波板とか、こういうものになるわけです。それが末端といいますと、いまのパイプであれば工事店というか工事業者の方に入るときの価格だと思うのですが、ちょっと十倍というのは、私も長年やっておりますが、篠島さんが何をとらえておっしゃったのかわかりませんけれども、私自身も、十倍というのは、どう考えてもちょっとくっつかないと思います。
  104. 原茂

    ○原(茂)委員 そこで、これは鈴木さんなりまた工業会の会長さんなりにお答えをいただくようになるのかもしれませんが、この間、去年でしたね、塩ビの材料であるナフサがキロリットル当たり四千円上がったときに——去年結局キロリットル一万二千円になったわけですね。そのときに、ポリだとか塩ビなどがキログラム当たり五十円値上げをした。この間やっていましたね。通産省の勧告があって十五円下げて三十五円になった。最近は何か石油製品値上げというものがうわさされて、政府で十六日ごろに決定されるようですが、約二万円になるのではないかといわれている。二万円ということになると八千円上がる。ということは、四千円で三十五円ですから、三十五円の二倍の七十円をこれは上げるということになるのでしょうか、どうでしょうか。
  105. 鈴木安丸

    鈴木参考人 お答え申し上げます。  いま先生の御指摘のように、昨年のナフサ、十一月に八千円でございました。これを四千円上げて十二月一日から一万二千円になりました。この四千円のアップにつきまして、エチレンが二十五円アップした。その論法で、いまの先生の御指摘ですと、かりに八千円上げたとすれば四十円上がるのか、こういう御指摘でございますが、まあてまえどもも、そちらのほうはやっておりませんので、購入しているほうの側でございますので、はたしてそういう価格を提示されるか、これはちょっと私ども想像はつきませんが、ただ、本年に入りまして、ヨーロッパのほうの一月の時点のエチレン価格というものはキロ九十円だと、こういうことを伺っておりますので、あるいはそういう近い価格が提示されるかもしれません。この辺はちょっと……。その程度でございます。
  106. 原茂

    ○原(茂)委員 いまのお話のように、私も心配しているのですが、エチレンで四十円の値上げになって提示されたら、そのままやむを得ないというので承服して受け入れるということになりますか。
  107. 鈴木安丸

    鈴木参考人 お答え申し上げます。  いまちょっと私、説明が足らなかったと思うのですが、いわゆる油が上がればエチレンが上がる、そういうことでエチレンだけ申し上げたのですが、それをやむを得ず受け取るかどうか、いまこういう御質問でございますが、やはり大幅にそれだけわれわれの工程において吸収するということは、限界があると思います。ですから、やはりわれわれもできるだけ価格を低めにしていただかないと、われわれの段階だけでこれを全部しようというのは、まず不可能ではないかと思います。  もう少し御参考に申しますと、原料は、モノマーというのがございまして、そのモノマーをさらに重合してポリマーにいたすわけでございます。そういう加工過程のコストというのは、現在でも三割くらいなんです。あとは原料費なんですね。そういう面からいって、その原料がもろにかぶっていきますと、いわゆる重合工程のそういう三〇%のコストの中でとても吸収はできない、こういうことでございます。
  108. 原茂

    ○原(茂)委員 ここでモラルの問題に入るのですけれども、これは業界としては非常につらいことだろうと思うのですけれども、現在、インフレを何とか収束せしめようというのが国家的な目標なわけですよね。これは一政府がやろうとしてできる問題ではない。国民全体の問題として、やはりインフレに関しては徹頭徹尾、各自の立場で戦っていかなければいけないと思うのですね。野党ですからそんなことを言ったのでは、ほんとうはやらなくてはいけないというので、政府が悪いのだ、悪いのだと言っていればいいかもしれませんけれども、そういうものじゃない、実際には。だから、そういう点からいいますと、たとえば私がいま申し上げたように、昨年の例からいうと、単純計算で、どうも三十五円かける二になりそうだ、八千円上がればですね。そういったようなときに、その値段を提示されたときに、それをそのまま受け入れるどころか、やはり業界としても樹脂に至るまでの原価計算をしっかりある程度つかみながら、おれもこれだけがまんする、従来これだけ配当したし、これだけの利潤を得てきたのだが、やはりインフレ収束という国家的な目的のためには、おれもこれだけがまんするから、おまえらもこれだけだというような交渉が強くできるようなところまで勉強もし、腹を据えてやらないと、これはその意味における唇歯輔車の関係でいかないと、業界が社会的責任というものを負えないのだろうと思うのですね。先ほど、企業の社会的責任ということばが出てきましたけれども、私はそういう意味からいっても、単に私企業だけがどうのこうのというよりは、業界というものを考えて、これは業界全体の一つのモラルにして、やはり困難ではあろうけれども、原価に近いものはやはり探り出して、おれもがまんするが、おまえもだ、こういうようなことがお互いに、一番下の第一次卸、第二次卸に至るまでがそういった気風、その気合いでやっていかないと、そのインフレというものを押えることはむずかしいのじゃないかと思うのですよ。そういう点はどうですか。そのくらいのことをおやりになりませんか。
  109. 鈴木安丸

    鈴木参考人 お答え申し上げます。  すでにわれわれ業界におきましても、昨年の沖の価格のアップによりましてわれわれの原料の価格アップの提示につきましては、やはりわれわれなりにも相当努力はいたしたつもりでございます。何ぶんにも価格の問題だけでなく、量的な問題がからんできまして、原油の入荷が大幅に減る、そういう中での価格アップでございまして、やはり供給量が一割あるいは二割カットされる、そういうことで、あまり価格の問題について抵抗しても、することはかえってわれわれの供給を、さらにわれわれの製品の生産を落とさざるを得ぬというようなことで、昨年はいたしました。しかし、その後情勢は変わってきておりまして、今後の油価格の修正に伴う二次製品の修正についてはやはり十分に話し合っていく、こういうことは、われわれの業界でも話をしております。
  110. 原茂

    ○原(茂)委員 それにつれて私が心配していることをずばり申し上げますと、現在塩ビの製品価格が一応凍結されていても、実際には今月半ばに徳山工場が稼働する、ものは出てくる。しかし、片方では石油関係値上げが行なわれる。市況は軟調になってきているんだけれども供給は十分できるような状況になってきているのだけれども、今度は石油値上げというものを機会に、現在ある値段というものを、本来下げ得るものを、逆に凍結をしたままで下げないでいくようなことが起きはしないだろうかという心配があるのですが、こういう点はどうでしょうか。ほかの業界の皆さんもお考えになって、その心配はありませんか。石油値上げというものは本来相当こたえてくる、コスト構成の中の材料として七割樹脂によって占められる、それの大幅な値上げがある、これは非常にたいへんな困難を感ずる。値上げをしなければやれない、こういう状況のところで、片方はある程度供給が潤沢にでき始める、市況はその意味で軟調になってきているというようなときに、どこで交差するかしれませんが、値上げ分をもろに値上げするようなことを許してはいけないし、そういうことがあったのではまた下部末端における業界の皆さんもたいへんだろうと思うのですが、そういう点の心配はないでしょうか、これはどうでしょう。従来はややもするとそういうときに、必ずうまく仕組んで、いわゆる便乗というのが行なわれるのですが、それが行なわれてはいけないと思う。今度は、塩ビ関係のこの問題に関する限りは、もうきまっている石油値上げ、しかも供給はだんだん潤沢になってきている、市況としては軟調になっていくはずなのに、現在の価格にプラス石油値上げの分だけ純粋に上げました、こういうようなことで、この機会にまた価格が実質的には上がったということにさせられる心配がある。従来はそういうことが多かった。そういう心配がないでしょうか、どうでしょう。どなたでもけっこうです。
  111. 谷内富三

    谷内参考人 その点につきましては、十分そういう心配があるというふうに私は考えるわけです。それらの点は、これからそういう点をなくするためには一体どうやっていったらいいのだろうか、こういうふうに考えたとき、私たちはこれから述べるようなことを考えているわけでございます。  それは、やはり先ほどお答えの中で要望いたしましたように、調査権あるいは価格決定権を持つ委員会を国会に設置していただくことが一つでございます。  それから、それに加えまして、やはり複雑な流通経路を改善して、消費者保護の立場から法的な流通経路を確立してほしい、こういうことでございます。  これは建設資材に限って言いますが、申すまでもなく、衣食住は人間生活の基本であります。衣食はさておきましても、現在、住宅建設に必要な資材については、公的な流通経路が全くありません。先ほど申しましたように、すべての建築資材が不足する中で、私たちは通産局とも、建材メーカーとも、中央、地方を問わず交渉を行なったわけです。そうして資材が私たちの手に渡るまでの複雑な何段階もの流通機構に驚くとともに、素材から製品に至るまで、そこにはやはり商社の手が伸びていることにあらためてりつ然としたのでございます。住宅問題は衣食に劣らぬ重要さを国民生活の上に持っておるわけでございますから、そのための主要資材についてはやはり公的な流通経路、流通機関を設置することが緊急かつたいへん大事な課題であると思うのでございます。  こういうことで、いろいろ先ほどから申し上げましたけれども、そういう点につきまして御検討をいただいて、一日も早く建設資材価格が引き下げられ、安定をして、庶民のための住宅が早く安く大量に建設されるように、そして私たちが安心して、そして誇りをもって働くことができるように、諸先生方の一そうの御努力をお願いいたしたいと思うわけでございます。  なお、先ほど、流通段階において一体価格がどのくらいになっているかというふうな御質問がございました。塩ビではございませんけれども、くぎの問題について一応この機会に申し上げたいと思うわけです。  実は昨年末、くぎも全くなくなったことがありました。そういうことで、私たちは通産省ともいろいろ交渉しましたし、それなりに放出もしてもらったわけですが、実は二月にくぎの放出が行なわれたわけですけれども、これがトン当たりにいたしまして、百ミリを基準といたしまして十九万。百ミリのくぎといいますと、普通、木造の住宅を建てる場合は一番使われないくぎなわけですね。短くなるほど高くなるわけですから、一トン当たり十九万円以上ということになります。これが上限の価格、こういうふうなことで放出されたわけです。こういう点につきまして、私たちはこれは非常に高い、こういうことで交渉を持ったわけですけれども、この間三月八日に、通産省の仲立ちでくぎのメーカーと懇談をしたわけです。くぎのメーカーというのは非常に小さいメーカーが多いわけですけれども、そことの話し合いの中でわかったのは、くぎのメーカーが材料を仕入れる価格、これがトン当たり四万五千から五万くらいだそうです。これは新日鉄やそのほかのメーカーから入ってくるわけですが、四万五千から五万くらいで仕入れたもの、それをくぎにつくって問屋に出すわけですが、つまりメーカーから問屋に渡る値段がその当時十一万八千円、こういうことだったわけです。それが末端のわれわれ大工のところに手に入る場合は、通産省のきめた上限価格でいきますと十九万、驚くなかれ、この間で問屋を幾つ通るかわかりませんけれども、七万二千円もはね上がる、こういう状態があるわけですね。やはりこういったことを押えるためには、初めに申しましたように、複雑な流通機構を改革していただくより道はない、私はこういうふうに考えておる次第でございます。
  112. 原茂

    ○原(茂)委員 あと二問だけお伺いしたい。  一つは、この間予算委員会でも、結果的には原価をほんとうに公表してもらわないとこういう問題の解決にならないということで、やりとりがあったわけですが、この原価の公開に対しては企業の秘密だというので、ある程度わかります。競争の激しい業界の中で原価のほんとうにこまかいものを発表するということは、これはある種の競争力に打撃を与えますから、困難かもしれません。であるとするなら、私は、たとえばある学者などが言っているように、とてもいまの商法、証券法その他を通じて原価の公開は不可能だろう、したがって、国会が調査権を発動して、証人として喚問して原価の公表を迫るという以外にないだろうなんという極論があります。しかし、やがては私は原価の公開というものが、これは趨勢として現実にされるようになるだろうと思います。どんな企業といえども、原価をある程度株主総会においては発表することになっている、原価とはいいませんが、いろいろな面での資料の提出を約束、義務づけられているわけですから、もう一歩突っ込んで、原価というものをほんとうに公開するところまで証券法その他を改正してもやるべきではないかと思いますし、そうなると思うのです。現在は、企業の秘密だから原価は言えない。しかし、原価というものをほんとうにつかまないと、問題のほんとうの解決にはならない、こういうふうに考えるわけですが、これは鈴木さんをはじめメーカー側としておいでになっている下田さんなり、渡辺さんなりがどうお考えになるか、私お伺いしたいのです。せめて、株主総会でけっこうですから、ここへ、今期なら今期の思わぬ利益、思わぬもうけがこれだけありました、端的にいうならインフレ利益というのが、そういうものがこれだけございました、せめてそのくらいのことを営業報告の中へ入れるくらいのことを思い切ってやっていいのではないか。皆さんの業界のそうそうたる社長さんでも、そのくらいのことが必要になってきたなということを言っている人がありますよ。私も同感なんで、せめてそのくらいのことをおやりになる、一歩近づけるというようなことはできないものでしょうか、それが一つ。  それからもう一つは、現在、公正取引委員会がこの種の問題を論議するのに必要だからというので、独占禁止法の改正をもう一ぺんやろうというような意見が、公取ばかりじゃなくて、学者の中にもある。たとえば旧八条をもう一ぺん復活して寡占体制、いわゆる大企業に対する企業の分割命令を出すというようなことができるようにならないと、寡占というものに対してメスを入れない限り、今日のような独占価格というものが形成されて、この寡占が競争的寡占ではなくて逆に協調的になってきている、話し合いで、なれ合いで、そしてある種の必要があればやみカルテルがどんどん通産省を通じて認可されるというようなことがあって、結局この寡占というものに対するメスを入れるためには、突き詰めていくならば結局旧八条の復活をして、独占禁止法の改正を行なって、企業の分割命令というようなものができなければだめだ。昭和二十八年でしたか、改正になりましたが、もう一ぺんもとに返す必要があるといっていますが、これに対してどうお考えになるか、お二方からいまの二点に関してお答えをいただいて、終わりたいと思います。
  113. 下田謙治

    下田参考人 お答えいたします。  私、お答えするのに必ずしも適当な人間であるとは存じませんのでございますが、鈴木さんにばかりお答えさせては申しわけないものですから、私がお答えいたします。  まず第一点の原価の公開という問題でございますが、やはり自由な自由主義経済ということで、私企業を中心といたしました競争経済であります限り、これは企業の立場として、とても公開ということはできないと私は思います。そうお答えせざるを得ないというふうに考えます。  それからあとの、これだけ今期はもうけました、よけいな、何といいますか、もうけ過ぎましたからというような、これは口が裂けても経営者としては申すまいと思います。そういうことをいたしましたら、従業員がもう全然言うことを聞かなくなると思います。士気を阻喪すると思います。結局、従業員はそういう臨時利得のために働いたということに相なろうかと思いますが、経営者にしましても従業員にいたしましても、自分らの努力によりましてあげた正当の利益と考えているのが普通ではないかと思います。  それから第二点でございましたが、企業が巨大化していきましていわゆる寡占状態になりましたときに、従前ございました独占禁止法の企業分割の規定を復活させることについてどう考えるかというお尋ねであったかと存じまするが、これにつきまして、アメリカでは確かにそういうことはございますようでございますが、また、たとえばアメリカにおきまして自動車業界をとってみますれば、GMとフォードとクライスラーと、あとアメリカンモータースと四社がございます。巷間いわれておりますのは、アメリカンモータースをつぶしてしまうとGMの解体に連なるということから、GMはアメリカンモータースをそのまま生かしているということがいわれております。日本でも、もしそういう規定が復活いたしますれば、何かそういうことが行なわれるようになるのじゃないかと思います。まして、分割される企業というものも、これまた自分らの一生懸命の努力によりましてそういうふうに大きくなったので、あくどい合併とか、まあテークオーバービットでございますかどうか存じませんが、そういうことで巨大化したわけでないとしますれば、これを分割するのもいかがなものかなというふうに存ずる次第でございまして、私自身の意見はどうかというふうに聞かれましたら、否定的である、消極的であるというふうにお答え申し上げる次第でございます。
  114. 原茂

    ○原(茂)委員 いまの下田さんの御意見ですからそれを尊重いたしますし、それでいいのかもしれませんが、これはもうおよそ私とは見解が違うことになる。たとえば従業員の士気を阻喪する心配があるという、これは少し考えが違うので、もう従業員のほうがいまはおそらくあれですよ、これからは便乗値上げその他に関しても、公害に関しても——従業員も一国民ですから、消費者ですから、ある意味ではインフレの被害者です。従業員といえども、いまいわれている内部告発というのをどんどんこれから行なうようになりますよ。いま多くの会社で従業員が内部告発を行なうようになってきた。決して従業員は、不当にというか、インフレ便乗的にもうけたものがあったのを、それをこれだけありましたといったときに、士気を阻喪するなんてそんなちゃちなものじゃない、そんなレベルにはいないというふうに、もっと信頼していいんじゃないかと思います。これは私の見解です。  それからGM、アメリカンモータース等の例がいま寡占の中に出てきましたが、日本でも昭和二十八年までは、もうすでに八条によって行なわれてきたんですよ。現在の寡占がどういう経路でできたかは業態によってずいぶん違いますけれども、これが非常に大きな独占としての弊害を及ぼしていることは、きょうの塩ビの関係全体を通観してみてもこれはわかるのであって、必要があればやはりある程度あまりにも大きくなったものに対しては解体をさせていくことのほうが国民経済の上からはいいんじゃないかという考えを私も持っていますので、これは見解の相違で、きょう皆さんとそのことを論議しようとは思いませんが、いずれにいたしましても、たいへん貴重な時間、多くの参考人の皆さんから御意見をお聞かせいただいて、厚くお礼を申し上げて、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
  115. 臼井莊一

    臼井委員長 この際、関連質問の申し出がございますので、これを許します。松岡松平君。
  116. 松岡松平

    ○松岡委員 ちょっと渋江さんにお伺いしたいのです。  先ほど、土建業者、つまり大手中小企業とのかね合いの問題が出ましたね。これは常に起こっている問題で、いまさらある問題ではありませんのですが、私どもが見て一番目に余る現象は、大手業者が割り込んで、その仕事は実際はこまい業者に全部渡すんですね。それからそのピンのはね方ですね、それは渋江さんなんかおわかりになると思います。島田さんもこれはわかるだろうと思うのです。まあ昔は五%ぐらいだったが、このごろはだいぶ荒くなってきて——これは建設省の方も聞いていてもらいたいのですが、ある県の話ですよ。一県会議員が一年間でとった請負高が十七億、自分のところでやったのは二億ぐらい、あとは全部そっくり渡した。ピンはねが一割から一割五分。あなたどうです、ぬれ手にアワですよ。これが県会議員の副業となっているんだから、ゆゆしき問題だと思う。おそらく建設省なんか、そんなのはわからぬでしょう。それはみんな発注元の部長なんかと癒着しているから起こり出すんですよ。これは役所との癒着なくしても、下請業者から、このごろ五%程度吸い上げじゃくれませんよと聞いている。このごろはなかなか荒くなってきた。先ほども流通過程の乱脈性の問題が出ましたが、八千万の工事でも大手が介入してくるというのは、ピンをはねるだけなんですよ。みんなやっちゃうんです。これは、私ははっきり言うと、建設省あたりの監督、指導性がもう麻痺してしまっておるんだ。これはやっちゃいかぬことをやっているんですよ。大きな工事で、おまえは官公需をやらせる、おまえは水道工事をやらせる、これは適法でしょう。それで一括全部やっちゃうんだ。それでそのやった人間は、十七億の工事をやりっこないんですよ。看板だけなんだから。看板を掲げておるだけだ。看板を掲げておって一年に一倍以上もうかる商売があったら、これはいい仕事ですな。そうでしょう。これは現に建築業界に横行している。どうですか、渋江さん、続いて島田さんにも御意見を伺いたい。どうぞ。
  117. 渋江操一

    渋江参考人 ただいま御指摘がございましたような問題の実態については私も十分承知いたしておりませんが、御承知のように建設業法自体の中で一括下請禁止規定がはっきりいたしておるわけでございまして、これはたしか業者の処罰規定につながっているというふうに私は存じております。したがいまして、今後の問題としては、業界内におけるそういう実態のあった業者に対するいろいろな内部的な処置の問題もございますけれども、言うなれば新しい業法というのは許可制でございますから、許可業者の中においてそういう事実があるということになりますれば、これははっきりした行政当局の処置が出る、そういう性質のものであろうかというふうに考えております。そういう一括下請禁止にひっかからないでも、それに類するようないわゆる看板貸し、そういったような実態がかりにありとしますれば、これはその業者の信用問題として指摘、指弾を受けてもやむを得ない、当然のことであろうというふうに私自身は考えております。
  118. 松岡松平

    ○松岡委員 いずれ私は指摘してあなたのほうへお知らせしますが、土木事業の多いところが——建築にはあまりないのですね。土木事業の河川の改修とか災害復旧とかいうのは、私ども富山県ですが、非常に多いです。これは横行している。名前を私も差し控えますが、もっと業界がこういう問題に自粛していただきたい。  それから、建設省の調査官にお伺いしたいことは、そういうことに対する建設省の指導、監督というのはきわめてルーズですよ、ほんとうに。それで、どうせ建設省から出ている各県の土木部長というのはみんな県会議員と癒着を持っていて、その県会議員が土木業者なんですから、赤子の手をねじるようにピンをはねている。一番ひどいのです。大手業者もやりますね。これは事実は幾らでもあります。けれども、案外これは弊害が少ないのです。一番弊害のあるものは、県会議員三期、四期とやっている古ダヌキどもになってくると、これはもうたいへんなものです。国会議員よりはいいといっているそうだけれども、国会議員はそれじゃもう、まるで利権屋か何かのように扱われているようなもので、一たまりもありませんけれども、そういうことが横行しておるのです。どうですか、建設省は。これは大臣に伺う事項だけれども、あなた、伝達してください。ここへ来てあなたの意見を言うてください。
  119. 浅間隆

    ○浅間説明員 お答えいたします。  現在の建設業法によりますと、その二十二条に一括の下請禁止の項がございます。ただ、元請人があらかじめ発注者の書面によりまして承諾を得た場合には、これは適用しないことになっておりますが、しかし、二十二条にははっきり一括下請禁止の規約があるわけでございまして、これに違反した場合におきましては、行政官庁が業者に対しまして営業の注意並びに営業の停止をするような規定が二十八条にあるわけでございます。建設業者には、現在は建設大臣の登録と知事登録の業者がございます。これは現在の建設業法でもって一般業者と特定業者にこの四月から改正になりますが、いずれにいたしましても建設大臣並びに県知事から、違法があった場合には指示または営業の停止という処分を受けるようなことになっているわけです。
  120. 松岡松平

    ○松岡委員 知事と癒着しておったらどうなるのです。
  121. 浅間隆

    ○浅間説明員 お答えいたします。  現在の建設業法は一般業者と特定ということに分かれてございます。これはこの四月から適用でございます。しかし、現在行なわれておりますのは、まだその四月まで時間がございますので、知事の許可業者と建設大臣の許可業者がございますので もし先ほど先生の御指摘のような場合におきましては、県の許可を得た業者でございますと、県知事から指示または停止の処分がなされるわけでございます。
  122. 松岡松平

    ○松岡委員 知事が癒着しておってやらぬときはどうしますか。これはどうすればいいのです。あなたの御意見……。
  123. 浅間隆

    ○浅間説明員 知事が癒着してというのはちょっとあれですけれども、行政監督官庁はやはり、知事の許可業者であれば知事でございますので、これは知事の権限に属するものと解釈するわけでございます。
  124. 松岡松平

    ○松岡委員 私が伺っているのは、知事の許可業者なんです。知事がその処分をやらなかったらどこへ行けばいいのです。それはだれがやるのです。それだけなんですか、その規定は。伺っている問題は、知事がやらなかった場合にどうするのかと聞いている。そのくらい、やっぱり監督官庁の建設省は知っておいてもらわなければならぬ。
  125. 浅間隆

    ○浅間説明員 それはやはり上級官庁でありまする建設大臣が処分するような措置になると考えております。
  126. 松岡松平

    ○松岡委員 どうもありがとうございました。  島田さんにお伺いしたいのですけれども、あなたは全国中小建設業協会の理事なんですが、どうですかこれは、あなた方そういう問題に苦しんでいられることはありませんか。
  127. 島田善雄

    島田参考人 私どもはそういう禁止されている一括下請を受けるほうの立場でございますが、私の聞いている範囲では、あまり一括下請ほどはいかなくて、適当にうまく逃げる範囲で渡してくださるように聞いております。できることならば根絶することが望ましいと思っております。
  128. 松岡松平

    ○松岡委員 これで質問を終わります。
  129. 臼井莊一

    臼井委員長 次に、庄司幸助君。
  130. 庄司幸助

    ○庄司委員 最初に、塩ビ継手協会の会長さんである下田さんと工業協会の鈴木さんにお伺いしたいのですが、実は先ほどおたくのほうからちょうだいした資料があります。塩化ビニール管需給状況、これは塩ビ管継手協会会員のみとなっておりますが、実はこのグラフを拝見いたしましてちょっとふしぎに感じた点があるのです。  このグラフの生産と販売高は大体一致しておりますが、在庫のほうは、これはちょうど昭和四十七年の二月ころからぐんぐん下がり始めて、いまに至ってもう底をついている、こういう数字であります。生産量と販売量のカーブと在庫量のカーブが、四十七年の二月ころで交差するわけです。一方、この一番上のほうの線を見ますと、これは設備能力ですね。設備能力のほうは、四十六年一月が三万二千トンくらい。その辺から出発してずんずん上がって、これは上がりっぱなし。本年の一月になりますと能力は五万トン近くになっていますね。こういうシェーレと申しますか、はさみのような状況、これがなぜ起きてきたのか、この点が実はふしぎでならないのです。この生産高、販売高のグラフは大体一致して動いておりますから、ほぼ販売高に見合った生産はやられているわけですね。それでいながら在庫量が急カーブに落っこちてきた。これはどこか在庫が隠されてしまったのじゃないか、これを物語っているグラフじゃないかと思うのですが、この辺ちょっと御説明願いたいのです。
  131. 渡辺藤四郎

    ○渡辺参考人 お答え申し上げます。  いまの御質問でございまするけれども、その細い線が販売量でございまして、黒い線が生産量でございます。その差額は、たとえば四十七年の三月でございますと、このグラフにあるように、約三千トンばかり、二千何百トン販売が多くて生産が少ない。したがいまして、在庫は減少しております。そういうことでその差額が在庫の減少になってあらわれております。前月の在庫プラス生産マイナス販売という数字で出しておりますので、この数字は間違っておりません。  それからもう一つ申し上げますと、先ほど私どものほうの会長が申し上げましたように、四十七年度はそれほど需要が伸びるとは思っていなかったわけでございます。しかし、非常に需要の伸びが好調でございまして、それにもっと原料がほしいということで申し上げたのでございまするけれども、原料が間に合わなかったということで、自然、メーカーの在庫は減少しております。適正在庫と申しますと、メーカーとしては大体〇・八カ月ぐらいは持っておりたいというのがメーカーの適正在庫でございまして、四十六年は少し在庫が多かったのでございますけれども、大体月に四万トンあるいは三万トンつくりますと、在庫は二万トン以上なければ、メーカーのほうは適正在庫ではない。したがいまして、メーカーは再三、もっと生産をあげたいということでお願いをしました。  それから設備能力のほうも、昨年四月二日の中央需給協議会におきまして、四十八年度は十分原料はできるんだから塩ビ管のメーカーは設備を一万トン増設しなさい、そして十分ユーザーに対して品物を渡しなさいというのが、四月二日における需給協議会の結論でございます。したがいまして、メーカー側は四十八年度に大体約一万トン近い増設をいたしまして、いつでも原料があれば生産ができる。ちなみに四十八年度は大体四十八万トンを考えておりまして、月平均四万トンぐらいの生産になりますので、四万トンの生産ができるためには五万トンの設備をしなければならない、こういうところで塩ビ管メーカーのほうは設備の増設をいたしたわけでございまして、つくったものを隠しておるとかなんとかいう数字では絶対ございません。  以上でございます。
  132. 庄司幸助

    ○庄司委員 私はあなたが隠していると申し上げたのではございませんから、これは誤解のないように。  ただ、このグラフを見ますと、たとえば四十六年の十一月時点では約五千トン近く、生産あるいは販売と在庫との差があるわけですね。こういうストックを持っておられた。それから四十七年の一−二月の時点ですと、約千トンぐらい食い込みになります。それから三月になりますと、これは二千トンちょっとになりますか。それから一番極端な場合は五月で、生産と販売の差が三千トンぐらいになりますか。ですから、これほどの在庫の落ち込みがこのグラフから出てこないと思うのですよ。その点で、実はこれはメーカー在庫の曲線かどうか私はわかりませんが、メーカー在庫なのか、あるいは問屋さんも含めた業界全体の在庫の数字なのかこれはわかりませんが、どうも生産と販売と在庫の曲線が違い過ぎる。この点がやはり懸念されるのです。だから、あなたは何か、私から疑いをかけられて、悪徳業者だと言われるのがおつかなくて、必死になってお話なすっているようですが、それほど肩をこらせないで、私は、これはあるいは業界全体の在庫の関連かと思って伺ったのですからね。その辺が一つおかしいと思うのです。  それからもう一つ、これは全建総連の谷内さんにお伺いしたいのですが、たしか去年の八月三日にあなた方が通産省に参られて、飯塚史郎基礎産業局長と交渉なすった。その際こういう御指摘をなすったようであります。いろいろ需給関係を追及して、需要が伸びたのが一因だ、こう言って売り惜しみの問題に入って、何か電設業者の耳には、問屋やメーカーを通して商社が塩ビを電線メーカーに渡す、そして被覆電線を一手に買い上げている、あるいは公害防止設備資金を商社が貸し付けて、その担保として塩化ビニール電線を確保しているなどのうわさも入っている、ということを通産当局に聞いたようですが、その際、商社の代表を通産省に呼んで事情を聴取すると通産当局から言われたらしいような新聞の記事が出ておりますが、その辺実際どうだったのか、ちょっとお答え願いたいと思います。
  133. 谷内富三

    谷内参考人 八月三日の通産省交渉ですけれども、そのとき塩ビ電線、それから電線、それから塩ビ管、そういうものがなくなっている、こういうことで交渉したわけです。そういう中で通産省の答えは、午前中に申し上げたとおり、公害による生産の減少、それから出光の事故あるいは需要の増大、そういうことをあげたわけです。  ただいま先生が御指摘になった点は、私、そのころまだ総連の本部に専従で入っていませんでしたので、ちょっと詳しい事情をつかみかねるわけです。それで間違った答えをするといけませんので、ちょっとお答えできない、こういうことでございます。申しわけございません。
  134. 庄司幸助

    ○庄司委員 それじゃ通産省のほう、どうですかね。こういうやりとりがあって、調査するという約束をなすったのかどうか。それから、もし調査なすったとすれば結果はどうだったのか、この点ひとつ……。
  135. 赤羽信久

    ○赤羽説明員 そのときの会合に私も一部立ち会ったのでございますけれども、私のほうは電線を担当しておりませんので、出席した時間が違うのかと思います。私の記憶にはそのことは残っておりませんのですが……。
  136. 庄司幸助

    ○庄司委員 それでは、この問題はあとで通産大臣のときにやらしてもらいたいと思いますが、いずれにしても、どうもこの在庫が四十七年の二月からどかどかと落ち込んだ、この辺と先ほどの——これはうわさの程度でございますけれども、どうも商社が手を回して塩化ビニール電線をかかえ込んだ、こういううわさですけれども、ですから一次卸、二次卸の段階以外にこういう手が回っていたのじゃないかと疑われるような問題点もあるわけです。その辺、問屋筋の方ひとつお答え願いたいと思いますが……。
  137. 橋本政雄

    橋本参考人 お答え申し上げます。  先ほども全国での一次店、二次店の件数を申し上げましたけれども、電線管は私どもの業種ではございませんのではかり知れませんけれども塩ビ管につきましては商社、いわゆる総合商社といいましょうか、は、もうほとんどゼロといっていいくらいに入っておりません。私どもの業種には商社はほんの一部、いわゆるペーパー的に、何と申しましょうか、債権確保というような面から入られているところもあるやに聞いておりますが、全くごく一部と言ってもいいかと思います。大半は私ども一次店、管工機材業界の一次店に入る。それから二次店に行く。その段階では、先ほど来申し上げましたが、全く在庫はゼロ、ゼロ、入荷即出荷という状況をずっと約一年来続けてきております。
  138. 庄司幸助

    ○庄司委員 実は四十七年二月の落ち込みの問題ですが、ここでいわゆる整理ができたわけですが、このころ、これは下田さんあるいは鈴木さんあたりにお伺いしたいのですが、通産のほうからいわゆる価格ないしは生産のカルテルについて何らかの指示があったのかどうか——指導、その辺は御記憶ありませんか。
  139. 鈴木安丸

    鈴木参考人 お答え申し上げます。  いまパイプの在庫の件で四十七年二月、こういうことでございますが、われわれレジンメーカーは、四十五年の後半から非常なオーバーサプライといいますか、価格も逐月ダウンしてまいりまして、四十六年では価格ダウンの一途をたどっております。そういうことで、四十七年の一月一日から九月三十日まで、通産の御指導並びに公正取引委員会のほうに申請をいたしまして、生産カルテルに一月の一日から入っております。
  140. 庄司幸助

    ○庄司委員 そうしますと、通産に伺いますが、いま私がお話ししたような実態があるわけですね、このグラフ上で。この四十七年の二月の時点で先を見通せなかったと言えばそれまでなんですが、こういう生産カルテルを指導した結果がいま現実にあるような事態、特に昨年八月ごろの事態、これを招いた一つの大きな原因になっているのじゃないかと思うのですよ。これは通産が指導しておやりになったと業界の方がおっしゃっていますから、この指導はいまの時点から考えると、これは明らかに予測はできなかったにしても、やはり結果的には間違った指導になるのじゃないか、こう思うのです。これは調査官の段階ではあるいは御答弁むずかしいかもしれませんが、もしあなたできるなら、ひとつ答弁していただきたいと思うのです。
  141. 赤羽信久

    ○赤羽説明員 塩ビレジンの段階につきまして、ただいま鈴木参考人から話がありましたような不況カルテルが行なわれました。その間の生産の調整で大体在庫の、ことにこれはメーカー在庫だけでなくてレジンの市中在庫、流通在庫等も圧迫があったわけでありますが、大体それが正常な姿に戻ったという効果があったかと思います。ただし、そのあとの四十八年に入ります急激な需要の増加をまかなうだけのいわば余分な在庫をそこで持っていなかったということが、景気の急変に対して対応できなかったという結果になったことは、これは結果的に見て否定できない事実かと思われます。
  142. 庄司幸助

    ○庄司委員 それから四十八年の四月は、ちょうど在庫が一万六千トンぐらいだったのですが、これから五月、六月——七月は徳山の火災がありますからこれは特別としても、在庫が急速なドロップの線をたどってきている。一方、生産量のほうもドロップしてきている。これは六月の時点ですから、まだ事故の問題は起きていなかった時点ですね。これはまあ私、推量いたしますが、この在庫のドロップというのは、当然、生産が落ちたからドロップするとか、あるいは販売量があがってどんどん売れたから在庫がドロップするとか、いろいろな事情があるだろうと思いますが、この五月、六月の急速なドロップですね、どっちの線もドロップしています。この関連はどうなりますかね。
  143. 渡辺藤四郎

    ○渡辺参考人 お答え申し上げます。  四十八年の四月までは比較的順調にきておりましたのですが、五月になりまして生産が下がっております。これは、先ほど鈴木参考人からも話がありましたけれども、二つの工場の事故がございまして、塩ビ並びにモノマーの工場の事故がありまして、塩ビレジンの生産は減少いたしました。したがいまして、パイプメーカーにまいります原料が不足したということで、五月は生産が減りました。六月になりましてようやくその工場が一部復帰をいたしまして生産量が上がってまいったのでございますが、七月の例の徳山の事故で再び大幅な原料の不足という事態になったわけでございます。それで、それ以降はごらんのような趨勢で、八月はやはりその影響が出まして、九月になって少し原料が復活したのでございまするけれども、また十月に塩ビの工場の事故がございまして、再び生産がダウンをした。それ以降はまた石油影響で生産がいかない、こういうことでございまして、いまここに書いてございますメーカーの在庫というのは、ほとんど在庫がないにひとしい。メーカーは現在、水道協会あるいは電電公社で、でき上がった製品を検査を受けておりますので、ある程度最低数量は工場に持っております。  それから、ここに書いてあります在庫は、メーカーの工場在庫並びに各地の営業所のストックポイントにある在庫もこれは一緒に含んだ数字になっておりますので、各メーカーの工場から営業所までの輸送途中のパイプもこの中に入っております。したがいまして、ここに六千トン、七千トンの数字は、数字の上ではあがっておりますけれども、ほとんど在庫はゼロで、すなわちつくったものは全部そのまま出荷をしている、こういうふうな状態になりまして、全くメーカーとしてはやりくりに非常に困っている、こういう状態になっております。
  144. 庄司幸助

    ○庄司委員 そうしますと、これは「昭和四十八年塩化ビニール樹脂生産出荷実績」という表をもらっておりますが、これでいくと、一−三月、四−六月、七−九月、十−十二月、三カ月ごとのあれを見ますと、ほとんど生産量は変わっておりませんね、若干の移動はありますけれども。それから硬質用、軟質用についても同じように、ほとんど移動しておりません。それから輸出が伸びたかといえば、輸出も減っているくらいですね。それから出荷総量も大体同じです。こういう平均的に生産されて原料が入ってきているわけですが、それは確かに徳山の火事の七月の問題は私も幾らかわかるような気がしますけれども、その後の九月、十月、十一月、十二月、この辺の落ち込みの事情というのはどう説明つくのですかね。これひとつ下田さんのほうからお答え願えますか。
  145. 下田謙治

    下田参考人 お答えいたします。  塩ビレジンのほうの状況は私一向存じません次第でございますが、塩ビ管需給状況はまさにこのとおりでございまして、私どもから見ますと、そうおかしい点もないと思うのでございます。  たとえば、この生産の面で落ちておりますのが十月あたりになっております。これは、十月には三井東圧の爆発でございますとかいろいろあったように思います。そういうことによりまして、塩ビ管メーカーに対するレジンの量は確実に減っておるわけでございます。そのためにまた、午前中私陳述申し上げましたとおり、四十八年の十月以降急激に輸入塩ビレジンがふえております。それまでは大体月に二、三千トンでございましたのが、十二月からは一万二千トンをこえて入っております。そういうことでございまして、塩ビ管メーカーの欲しておりますレジン量まで、国内のビニールレジンメーカーから供給がなかったということであろうかと思います。  このグラフにつきまして、いろいろと点とか線の置き方がなかなかはっきりしない面もございますので、在庫量が急激に減っている点について何かとお疑いをお持ちになられるかと存じますが、実数のほうをお渡ししてもよろしゅうございます。実数もございます。これは、この実数を簡単に見ることができるようにと思いまして、こういうグラフにしたわけでございます。  以上でございます。
  146. 庄司幸助

    ○庄司委員 いや、グラフも実数も同じなんですよね、これは。たとえば四十七年の二月は二万五千トンですから、それから四十八年の四月は一万六千トンである、これはわかります。ただ、グラフの傾斜が急だから何か誤解を受けるのじゃないかとあなたはおっしゃるようですけれども、実数はこれでわかるのです。  それでは塩ビレジンの出荷実績、これはどなたがお出しになったかわかりませんが、お出しになった方に伺いたいのですが、これでまいりますと、ほとんど出荷額は変わっておりませんという数字なんですね。四十八年の一月から十二月の間、若干のでこぼこはあったにしても、変わっていない。それでいながらいまの方が、非常に不足で、輸入レジンが一万二千トンもあったというようなお話しになっているのですが、その辺ちょっと私はふしぎなような感じがするのですよ。どうしてこんなに落ち込んだのか。供給量は一定なんです。その辺どう説明されますかね。
  147. 鈴木安丸

    鈴木参考人 お答え申し上げます。  ただいまパイプのほうの生産並びに在庫について御質問ございましたですが、お手元に差し上げてございまする昨年度の各四半期ごとの生産並びに出荷量、このうち出荷量は国内と輸出に分けてございますが、先生の御指摘のとおり輸出につきましても、昨年の国内需要というものを十分に供給申し上げられなかったということで抑制をいたしたわけでございまして、いまの四半期ごとになりますと、先生御指摘のように、あまり数字はそう変わらぬ、こういうことで、この数字の上では確かに先生の御指摘のとおりなんです。  これをもう少し内容を詳しく申し上げますと、先ほどもちょっとお話が出ておりますように、五月に千葉地区におきまして、やはりシェアで約一〇%を持っておりますところが、事故で一カ月程度の生産をストップいたしました。ようやくそれが六月には稼働いたしましたのですが、また呉羽地区で事故がございました。これもやはり約一カ月程度の間は三分の一程度の稼働、三分の二が生産がとまる。こういうようなことで七月に入りまして、いまの出光の徳山地区の事故がございます。九月には大阪の事故もございます。そういうことで、この事故の起こりましたところが生産がとまります。これがいまのパイプメーカーさんに各社が納入しているわけでございますけれども、生産がとまって、在庫だけを出せばあとは出せない。そういうことで、全体的にはせいぜい月々で申しましても一方トン程度の生産のプラスマイナスはございますが、これが納入する先になりますと、あるメーカーが一つ事故を起こしますと在庫しかない、こういうことで、われわれもできるだけ御迷惑をかけないようにお互いに製品を出し合う、こういうことをいたしてはおりますけれども、何ぶんにもやはり各メーカーとも生産即出荷——在庫も、この表にもございますように四万四千トン、これは約十日分でございます。十日分程度の在庫を持っておることでございますので、品物のグレードもたくさんございます。これは一種類ではございません。それから硬質向け、軟質向けでグレードもみな違うわけでございます。そういうことでぎりぎりの在庫をもって供給申し上げるということでありますので、どうしてもスムーズに供給できない。そういう結果、やはりパイプメーカ−さんのほうに御迷惑をかけた。全体の数字は御指摘のとおり、そう大きな変動はないのでございますが、個々になりますと、やはりこういう結果になったというふうに私は解釈しております。
  148. 庄司幸助

    ○庄司委員 どうも私にはわからないのですがね。たとえば四十八年の、これは四月ですね、四月の塩ビ管と継ぎ手の生産高が、これは三万八千トンですね。それから四十八年の十二月になりますと、これは三万一千トンぐらいですか。約七千トン落ち込んでおりますね。しかもこのグラフで示すとおり、この四十八年四月の時点の三万八千トンまで、一ぺんも回復したことはないのですね。ところが、この出荷実績を見ますと、ほぼコンスタントに三万三千トン平均ぐらい供給されている。そうすると物はいっている、原料はいっている。しかるに生産は落ち込んでいる。そうすると素材でストックがふえているのですか。塩ビ管と継ぎ手メーカーさんのほうの倉庫の中にあるレジンの素材で在庫がふえている、こういうかっこうになるのですか。そうでないと、これは数字が合いませんよ。
  149. 渡辺藤四郎

    ○渡辺参考人 お答えいたします。  この数字は、各メーカーから報告された数字を出して書いておりますのですけれども、現在パイプメーカーさんの工場は、そんなに原料を何日もたくわえるような装置になっておりません。したがいまして、その差額がメーカー側にたまっているということはないだろうと私は考えております。
  150. 庄司幸助

    ○庄司委員 そうするとこれはどこへいったのですか。この差をどう御説明なさるのです。これは通産省、調べておりますか。
  151. 赤羽信久

    ○赤羽説明員 ただいま拝見しましたこの表は三カ月ごとにまとめてありますので、月ごとの変動の状況はもう少し大きいかと思います。  それからもう一つの問題点は、塩ビ管は三割程度需要でございまして、そのほか特に食品、雑貨等の包装用に塩ビが非常に重要な位置を占めております。これに対する供給を全うするために、そちらのほうにかなり重点を置かざるを得ないという事情が別途ございます。
  152. 庄司幸助

    ○庄司委員 そうするとこれはたいへんな問題になるのです。包装用のものに回ったということになると、包装用のポリエチレンやその他、あるいは塩ビ関係も、もうべらぼうな値上がりをしていますね、物が足りないというて。それから農業用のビニールフィルム、こういうものもべらぼうな値上がりをしております。ところが、あなたのおっしゃるように包装用に回ったとすれば、少なくともこれは出回って、そうして値段も安定してこなくちゃならないのですよ。この食い違いですね。私はやはり非常に重要な問題だと思うのです。これはこの資料だけではわかりませんから、それでは、いわゆるレジンが包装用に何%回った、あるいはビニール管にどれだけ回った、それから電線にどれだけ回った、この品目別にどれだけ回ったかの資料をひとつ当委員会にお出しいただきますように、委員長からおはからい願いたいと思うのです。  この問題だけやっているわけにまいりませんので、次に進みます。  一つ簡単に伺っておきますが、塩化ビニールのレジンですね、レジンの原価に占めるエチレンとナフサ、こういう関係比率は、たしかさっき七〇%ぐらいと伺ったのですが、それでよろしゅうございますか。
  153. 鈴木安丸

    鈴木参考人 お答え申し上げます。  ナフサあるいはエチレンだけが七〇%でございません。これは塩素関係も含まれております。
  154. 庄司幸助

    ○庄司委員 それではひとつ、先ほどから展開されておりますが、元請、下請、孫請の問題ですね、この問題で少し建設業界の方に伺いたいと思うのです。  私は地元でよく聞く話なんですが、たとえば鹿島建設がダム工事の本体を請け負った、そのとき、子会社でありますかどうかわかりませんが、Kという企業に一括請け負わせている。これが第一番目の下請になりますね。そのKからいわゆる孫請の各社に回っていく。土工事であるとかあるいは木工事であるとか、いろいろあります。そうしてこの孫請からさらに曾孫のほうまでこの請負がやられている。現にこの曾孫の方、これは具体的な例ですから申し上げますが、いわゆる建設機械のリース業者なんですね。これはそのダム工事が始まるというので、大阪から新しい、まっさらなブルドーザーその他を買って、それに全部統一した色を塗らされて、いわゆる鹿島カラーといいますか、名前まで麗々しく鹿島建設と書かされた。そうやって提供したあげくに、その孫請がつぶれて曾孫のリース業者は不渡りを食ってしまった。どうしてくれるのだという話があるのです。これは鹿島だけ出して申しわけないのですが、あるいは建具の業界からいわせると、鹿島のあとには草もはえないなんて悪口を言われていますね。鹿島の通ったあとには草もはえない、相当下請いじめをやっているのだという宮城県の業界の声があるのです。  その点で、私ひとつこれは渋江さんにお伺いしたいのですが、こういう一括請負をやって、本店経費、支店経費というのを取りますね、これは一体業界としてどれぐらい取っているのですか、大手は。
  155. 渋江操一

    渋江参考人 いわゆる下請に外注した場合の元請の経費率としてどのぐらい取っているか、これは具体的数字はちょっと私も、十分な資料を持ち合わせておりませんで申し上げることができません。事情によりましては十分調べましてまたお答えをさしていただきたい、かように思います。
  156. 庄司幸助

    ○庄司委員 それじゃ渋江さんから、調べてあと報告するとありますので、委員長のほうで、これはひとつ調査の上数字を出していただくようにお取り計らい願いたいと思います。  これは建設省にお伺いしたいのですが、こうやってたとえば十億円の発注をやるといった場合、こういう元請が本店経費、支店経費を取っちゃう。悪いことばでいえばかすり取るわけですね、手数料といいますか。そして今度はこの下請が孫請にやる場合、またやる。孫から曾孫に行く場合、またこのかすりを取る。かすりというと少し語弊がありますけれども、そうなっていくと、工事発注量十億円、これが一体実質何ぼくらいでやられているか、これは計算なさったことありますか、建設省
  157. 浅間隆

    ○浅間説明員 お答えいたします。  請負工事費積算の中には直接工事費一般管理費と現場経費とがございますが、おそらく元請が下請に、また下請が孫請に出す場合の経費は、その一般管理費並びに現場経費の中の一部をさいて下請に出しておるのではないかというふうに考えられます。建設省といたしましては、どのくらいの額が下請に経費が回っておるかというような調査をしておりません。
  158. 庄司幸助

    ○庄司委員 これは私は、国費のむだ使いとして非常に重要な内容を持っていると思うのです。しかも、中小土建屋さんあるいは一人親方の方々が、こういう制度のもとで相当泣かされているという事実があるわけです。もしも十億円が七億円ぐらいの実質工事量しかなかったということになると、これはたいへんな問題なんですね。これは建設大臣がいらっしゃる場で私は質問したいと思いますけれども、その辺をひとつ調べて、いずれ今月中にはやられるはずですから、ひとつ資料として出していただきたいと思うのです。いいですか。  それから、受注分野の問題が中小土建の方々から出されましたが、一億円という線があるらしいともいわれておりますが、実際見ておりますと、話を聞いておりますと、一千万ぐらいのちっぽけな仕事にまでも大手の看板が立っているのですね。何々氏邸新築工事なんというもの。これはもちろん相対の契約でありますから、法律的にはどうということはありませんが、いやしくも天下の鹿島であるとか清水建設であるとか大成建設が、こういう中小企業ないしは一人親方のそういう仕事の分野にまで手を出しているということになると、これはゆゆしい問題だと思います。その点、私はくどいようですが、さっき原さんからも松岡さんからもいろいろ御指摘があったようですが、渋江さんのほうで、やはりあまり零細な業者をいじめるような行為は大手として当然自粛をきびしくしてほしい、こういうふうに思うのですが、ひとつその点の御所見もお聞かせ願いたいと思うのです。
  159. 渋江操一

    渋江参考人 ただいま御指摘がございました問題点は、結論的には大手の自粛体制、これは当然必要だというふうに私は考えております。ただ、その具体的方法論ということになってまいりますと、これの徹底化につきましては、先ほど原先生からもいろいろ御指摘がございました。松岡先生からも御指摘がございました。やはりそういうことで、業者団体同士のトップのそれぞれの話し合いの中では、そういうものは大手は自粛する。金額は一千万円という線である場合もありますし、三千万円という場合である場合もございますし、そういうものについてはとにかく自粛するということは出されます。ただ、具体的にこれは各企業が、それぞれ本店を通じまして支店関係者にこの問題を徹底するということをやる。これは一つ経営姿勢でございまして、経営者のモラルの問題にもつながります。そういうことを一つの強制力を持った方法において実行するということになってまいりますと、先ほど申し上げましたように、率直に言ってその点については、徹底の程度ということになりますとなかなか御期待に沿う十分なことが出ていないということも事実でございます。今後、御意見がございましたことを私の内部の幹部にもそれぞれ伝えまして、はっきりさせるように努力をしていきたいというふうに思います。
  160. 庄司幸助

    ○庄司委員 これはあまりいつまでも徹底しないと、やはり分野に関する法律なんというものが飛び出してくる可能性もあるのです。その点、当面、中小土建の協会やあるいは全建総連のほうから個々に、これについては不当じゃないかというような訴えがあった場合、渋江さんのほうで具体的に取り上げていただいて解決してもらえるかどうか、その点ひとつ伺っておきます。
  161. 渋江操一

    渋江参考人 結論から申しますと、やはりその実例等については十分聞かしていただきたいというふうに考えております。それの実態の結果によってきわめて不当であるといったような問題につきましては、それはまた個々のケースケースに応じましたそれぞれの当事者に対する業界内の一つの考え方として、それのケースを通じていろいろ自粛を求めていく、こういうことは考えられる問題だと思います。したがいまして、それの実情等のアッピールが具体的にあれば、それは私ども聞くのにやぶさかではないというふうに感じております。
  162. 庄司幸助

    ○庄司委員 最後にもう一つ渋江さんにお伺いしたいのですが、あなたのほうの業者が、請け負ったものをだんだん下におろします。いわゆるインフレ条項ですか、これなんかあるわけですが、末端の請負者、孫請、曾孫請、こういう方々にインフレ条項が十分均てんしているとは私考えられないのですが、その辺について具体的な手をどのようにお打ちになるのか。政府との交渉あるいは県や市役所との交渉でインフレ条項が適用になってスライドする、その利益をやっぱり末端の請負業者にも均てんさせる、これは必要だろうと思うのです。その点で具体的におやりになるかどうかですね。この点、簡単に一言でいいですから、イエスかノーでもけっこうです。お願いします。
  163. 渋江操一

    渋江参考人 インフレ条項解決、これは現在進行中でございます。その結果を元請業者立場ではすみやかに解決する、こういうことにしたい。したがいまして、そのすみやかな解決を求めていく目的の一つは、いま先生から御指摘になったように、専門工事業者、下請業者、それに対する支払い関係、資金関係、そういうもののプラスになるようにということを当然考慮の中に入れて行動しておるわけでございますから、そういう方法において善処をするということは当然考えられる問題だというふうに思います。
  164. 庄司幸助

    ○庄司委員 最後に簡単にお伺いします。  これは全建総連の谷内さんにお願いですが、きょうは主として塩ビ関係で伺ったわけです。それからくぎの事情なんかも若干出ました。しかし、このほかに、建設用の資材としてはラスもあれば鉄筋もあればトタンもあります。あるいはベニヤもあれば新建材もある。ボードですね。それからタイルのたぐいとかセメントとかあるいはぺンキ、溶剤のたぐい、それから畳のへりの値段まで、こまごまとあるわけです。その辺の具体的にお困りになっておる実情、これを少しなまの声として、きょうは時間がございませんから、当委員会のほうへ一つの資料として御提出いただければ今後の審議に非常に参考になると思うのですが、その辺委員長のほうからお取り計らい願いたいと思うのです。——よろしゅうございますか。谷内さんどうですか。
  165. 谷内富三

    谷内参考人 ただいまの御要望に対しましては、さっそく資料をまとめまして提出したいと思います。
  166. 庄司幸助

    ○庄司委員 終わります。
  167. 臼井莊一

    臼井委員長 以上で本日の質疑は終了いたします。  参考人の皆さまには、審議に長時間御協力くださいまして、まことにありがとうございました。  次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後五時三十二分散会