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下田参考人 私、
塩化ビニル管・継手協会の
下田でございます。
昨年は、はからずも原料不足からたいへんな品不足となりまして、これに伴いビニール管の
価格も大幅に
値上がりいたしまして、皆さまにたいへん御迷惑をおかけすることになりまして、まことに申しわけない次第と存じております。
お話の
順序といたしまして、初めに
業界の概要など
一般的なことにつきまして簡単に御説明いたします。
塩化ビニール管は、ドイツにおきまして第二次大戦中に発明されたのであります。日本におきましては、
昭和二十六年に初めて生産され、今日まで二十数年の浅い歴史を持っているにすぎないのではございますが、その性質に非常にすぐれた点がございまして、たとえばさびないこと、薬品に対して強いこと、腐食しないこと、また表面が平滑でございますので、いろいろな水あかとかそういうものがなかなかたまらない、そのために管が詰まることがないというようなこと、あるいは軽いこととか、それから簡単につなぐことができるというようなことで、非常に作業性がよい、こういうようないい点がいろいろございますために、毎年急速に伸びてまいりまして、今日では
年間四十万トンをこえる
製品と相なっておる次第でございます。
塩化ビニール管ということばは広く使用されておりますが、代表的なものが硬質
塩化ビニール管でございまして、これは可塑剤を使用していないものであります。可塑剤の入ったものは、ホースなどやわらかい
製品であります。また再生原料——廃品の回収というようなことでございますが、などから生産される
塩ビ管もありますが、われわれの
団体ではJIS規格またはこれに準じた
製品のみを
対象といたしております。本日お話し申し上げる
塩化ビニール管は、こうした規格品またはこれに準じたものであります。
次に、私
どもの協会のことについて一言申し上げておきたいと存じます。
昭和二十九年の九月、当時
塩ビ管を生産いたしておりました五社が
塩化ビニル管協会をつくり、その後、
昭和三十三年十二月に塩ビ継手メーカー八社により、塩ビ継手協会がつくられました。パイプと継手のこのような二つの協会ができたわけでございますが、
昭和三十七年、両者が合併しまして
塩化ビニル管・継手協会となり、今日に至っております。法人格のない任意
団体でございまして、会員はパイプ八社、継手専業四社、計十二社でございます。
全国的な
シェアから見ますと、パイプメーカーではアウトサイダーが二十社ないし三十社ございますが、アウトサイダーにつきましては、二、三の
大手メーカーを除きまして、大部分は小企業でございまして、生産量は協会所属
メンバーで約九五%を占めております。継手につきましては、アウトサイダーはこれはわりに少なく、数社でございます。生産量はアウトサイダーにつきまして、特に排水管継手が多いのでございますが、継手全体の生産量の中で、協会会員は八〇%
程度の生産をいたしております。
次に、
塩化ビニール管の用途別
比率でございますが、ビニール管の用途は非常に広
範囲にわたっておりますため、確実な数字をとらえることが困難であります。しかし、当協会会員の推定したところによりますれば、水道用が二七%、土木
建築用二六%、電電公社用一二%、農業用一〇%、鉱工業用七%、電線管三%、その他一五%というようなぐあいに相なっております。
さて、
塩ビ管業界は、数量的には年々一五%ないし二〇%
程度の著しい伸びを示してまいりましたが、何ぶん生産設備にそれほど資金を必要としないこと、また技術的にもさほどむずかしくないことなどの点から、
昭和四十六年末ごろまでは常に生産過剰ぎみでございましたし、
業界の競争は激しく、
塩ビ管の
価格は常に乱れがちでございました。そのため過去に二回の不況カルテルを実施いたしております。すなわち、第一回は
昭和三十四年三月二十日から三十五年五月二十日まで、第二回目は
昭和四十年九月十日から
昭和四十一年六月三十日まで、この二回でございます。こういう次第でございましたので、ユーザーの方々はいつでも必要なときに必要なサイズが手に入るということから、全く在庫する必要もないという状態にあった次第でございます。
こうした過剰商品の
塩ビ管が、
昭和四十七年から
状況が大きく変化いたしましたが、これにつきましてはお手元に差し上げておりますグラフによりまして御説明申し上げたいと存ずる次第でございます。
お手元に一枚の「
塩化ビニル管需給状況」という表を差し上げてございます。それには
塩化ビニール管の生産、販売、在庫それから設備能力というふうに出ておりまして、
昭和四十六年一月から四十九年の一月までの三
年間につきまして、グラフをもちまして一応書いてございます。たとえば
昭和四十六年の一月でございますと、生産が二万三千トンくらいでございますか、そして在庫につきましても二万一、二千トンございましたのが、四十九年一月には一万トンを割りまして七千二百トン
程度になっておる次第でございます。
それは別といたしまして、
昭和四十六年の後半から
需要は一段と減退してまいりまして、図表にもございますが、在庫は累積いたしましたし、
塩ビ管の
価格もどんどん低下いたしました。
昭和四十七年一、二月ごろには、
塩ビ管が最低の
価格を記録しております。したがいまして、メーカーにとってきわめて苦しい時期であった次第でございます。
昭和四十六年がこうしてたいへん不振でございましたので、
昭和四十七年も大きな伸びはないであろうと予想していたのでありますが、事実はこれに反して、グラフのように、毎月
需要はきわめて旺盛となってまいりましたし、いつの間にか生産が間に合わず、在庫は急速に
減少し始めてまいりました。このことは他の
業界でも同様でございまして、
セメントをはじめ
建設資材の不足が目につくようになったわけでございます。四十七年十一月ごろから
塩ビ管不足の声が方々で出てまいったように存ぜられます。
四十八年の一月になりまして品不足がはっきりしましたが、メーカーは原料が入手できませず、生産を増加することもできないため、通産省に塩ビ樹脂の増配を陳情いたしておりました。しかし、塩ビ樹脂は、水銀公害の問題から原料塩素の生産がネックとなり、原料の生産は容易に増加できない
状況にありました。
通産省では四十八年三月、
セメントなどとともに
塩ビ管を重要物資として
需給協議会の
対象品目に
取り上げ、四月二日第一回の中央
需給協議会が開催されました。当日の結論は大体次のとおりでございまして、第一に、
昭和四十八年度の塩ビレジン
需要量を百四十二万トンと見込む。第二に、このうち塩ビパイプ継ぎ手用
需要量は五十二万三千トン。これに必要な塩ビレジンは
確保する。塩ビパイプの設備能力を月産一万トン増強する。大体この四点が当日の結論となった次第でございます。
ところが、
現実には予期しない原料
業界の事故が続発しましたために、原料の生産は大きくダウンし、
塩ビ管の生産は昨年四月が最高となり、その後はかえって減退しておる次第でございます。
特に七月の、たびたび出てまいりましたが、出光
石油徳山工場の事故は当
業界に甚大な
影響を与え、ユーザーの方にもたいへん御迷惑をおかけすることになりました。
昭和四十八年暦年の
塩ビ管の生産量は三十九万六千トンで、対前年比は一〇・五%の増加に相なっております。このように増加しておりますにもかかわらず、それ以上に
需要が旺盛でありましたため、以上申しましたような
需給逼迫となった次第でございます。
もちろん、このような
需給逼迫の情勢に対処いたしまして、
業界としましても何とかこの混乱を打開するために努力をいたしておったわけでございます。
例をあげてみますと、昨年の九月に通産省からの御要請がありまして、緊急あっせんによる約一万七千軒の管
工事業者の方に
塩ビ管を出荷いたしております
次に、国内原料の不足をカバーするため海外からの輸入をはかりましたが、塩ビレジンの不足は世界的でございまして、非常に高いレジンを遠くヨーロッパあたりからまで輸入いたしております。昨年じゅうに輸入した量は通関統計では約五万六千トンでございますが、これらは
塩ビ管用にも相当多く使用されたのではないかと思われます。
次に、生産サイズを大口径から小口径に切りかえました。これは大口径は比較的新しく用途が開発されたものでございまして、
塩ビ管以外のたとえばヒューム管というような多種の管がございますのに対しまして、小口径は
塩ビ管でなければ非常に支障が大きいこと、
塩ビ管でなければなかなか使いにくいことと、それから生活関連物資であることなど、こういう点から大口径管を押えて小口径管に切りかえたような次第でございます。
それからさらに
業界では、出荷に際しましてゴルフ場等のレジャー用を避け、
公共事業に優先するよう努力してまいっております。
それからさらに、設備能力を約一万トン増設して、現在の月産能力は約四万九千トン
程度に相なっております。
最後に、
価格について申し上げます。
塩ビ管の
価格は、前に御説明いたしましたように、過去におきましては、激しい競争でかなり低い線を低迷してまいっておりました。ところが、昨年の
塩ビ管の
価格はおおよそ二倍
程度の
値上がりとなっております。
値上がりの
要因としましては次のことが考えられる次第でございます。
まず第一に、原料レジンの大幅な
値上がり、第二に、副原材料、特に安定剤の大幅な
値上がり、それから運送費の
値上がり、輸入原料を使用することによりますコスト局、最後に、操業度低下によるコスト高、こういうような
要因が考えられるのではないかと思っております。特に昨年十一月末になりまして
石油製品の一斉大幅
値上げが行なわれまして、これに伴って
塩ビ管もまた
値上げをせざるを得ない状態に相なった次第でございます。
本年一月末日通産省よりの行政指導によりまして、塩ビレジンは二月から値下げが行なわれまして、
塩ビ管各社は九%ないし一〇%
程度の値下げを実施いたしたような次第でございます。
私の陣述は、簡単でございますが、これをもって終わらせていただきます。