○野間
委員 そういう認識でおられて、これからさらに国家資金を投入して貸し付けあるいは保証をするということになったら私はとんでもない話だと思うのです。
具体的に一、二例をあげますと、予算
委員会で私はG・S・スティール、あの社内報をもとにして三菱商事の問題について追及をしたわけであります。あれについてはすでに
外務省あるいは通産省も御承知のとおりなんですけれ
ども、「豚は太らせてから」こういうような表現を使ってみたり、あるいは具体的なG・S・スティールの建設の
過程から、そうしてネット百万ドルに至るその
経過が詳細に書かれておる。それによりますと、「ピストル腰にスクラップ買つけ」こういうようなことまでやっておる。それから建設途上についてのいろいろな表現の中でタイ人はぐずであるとかなんとかいろいろなべつ視を投げかけておる。
確かにこの点について、あとでマスコミの取材に対しては筆が走ったとか誇張したとかいろいろ言いわけをしておるようです。おもしろおかしく書いた、こういうような言いわけもしておるようにマスコミは報道しております。タイ人をべつ視し、これがおもしろおかしいというふうになるのか。私はとんでもない話だと思うのです。外国人をべつ視し、
開発途上国の
人間をべつ視して、これがおもしろおかしいか。何たることだと私は言いたいのです。しかも、
世界の三菱といわれる三菱商事がタイの
資本と合弁でやった会社なんですね。ですから、このようないわゆる一流の会社といわれておる
企業がそういう態度でやっておる。これではタイ
国内において激しい対日
批判の抗議が出るのはもう当然だと私は思うのです。これらがもうかるためには何をほっといてでもという姿勢がここに出てきていると思うのです。これは一例です。
さらにこれは協和銀行の社内報ですけれ
ども、この中に私は非常におもしろい記事があると思うのです。色部という頭取がこういうことを書いておる。「シンガポールは東南アジアのマネーセンターである。二年前にはやっと八億米ドルだった所謂アジア・ダラーは、今日では四〇乃至五〇億米ドルに迫ろうとしているという。私達はそこに目をつけ、香港をさしおいて、ここに事務所をもってこようとした
一つの理由がそこにあった。」こういうような記事があるわけですね。つまり、ダラーがいまシンガポールに集中している。二年前には八億ドルだったのがいまでは四十から五十億ドルになっておる。そこに目をつけて、そしてここに事務所を持ったのだ、そういうことが書かれているわけです。
これは銀行
資本でございますけれ
ども、いまのG・S・スティール、これと同じようにこういう着眼というか目で
海外へ出かけていく、こういうところに私は非常に大きな問題がある。それに目をふさぎまして、いま次官は私の見解が片寄っておるのではないか、こういう
答弁がありましたけれ
ども、そのような認識でおられる限り、私は逆にあなたは現状の認識を正しくしていない、こう答えざるを得ないと思うのです。
さらにそれに関連してでありますけれ
ども、これは内閣
調査室が出しておられる資料ですが、ネーション紙にカンチト・クミラグセという新聞記者が三月七日から十一日付で
日本の
企業に対する、対日
関係に対する批評、評論を書いておるわけです。これは次官、御承知のとおりだと思うのです。しかもこの人は決していわゆる左翼の方ではない。左翼の人々についてというようなことでもかなり
批判をされた方です。しかもタイ国のこの英字紙に堂々とこのような論文というかあるいは記者の目で書かれておるということに、私はむしろショッキングな衝動に打たれたわけです。
こういうことまで書いておるわけです。「タイが
日本に対してとるべき当面の政策は鎖国体制であることを私は確信している。われわれが
日本の進出にとびらを閉じるというこの抜本的な措置をとらないかぎり、タイは、
日本のいわゆる
経済帝国主義と、それに密接に関連を有する公害
企業の輸入国あるいは不必要な製品の購入国となり、
日本の攻撃的進出の犠牲となるだろう。」つまり鎖国体制を
日本に対してはとれということまで書いておるわけですね。
さらに、
先ほど聞いておりますと、五団体の行動
基準の問題がありました。これにもひっかけまして、「ネオンサインを消せとか、もっと多くのタイ人を雇用せよとか、現地人とさらに交際せよということが語られている。しかし、公害
産業の輸出中止、不必要な物資の売却中止あるいはタイ人、タイ
政府との取引でつけ込むことを中止する、といったことは語られていない。」こういう記事が書かれておるわけです。
これはタイ国の新聞記者で、
日本新聞協会の招きに応じて二週間ばかり
日本に滞在して帰られた方のようでありますけれ
ども、
ほんとうに
政府は
国際協力事業団がこのような
批判に耐えられるというふうな認識に立っておられるのかどうか、この点について明確な
答弁を求めたいと思います。