○水野委員 私は、最近の
韓国における
日本人の二人の逮捕
事件についてこれから
質問するわけでございますが、最初にこの
質問がいろいろな
意味で複雑に理解をされると思いますので、私の
立場を正確に申し上げますと、実は私はこの
質問をするのは、いまの
韓国政府に対して特別な反感を持っているとか、あるいは内政干渉的な
考え方を持っているからということで
質問をするわけではないわけであります。
実は私は、この五月の初旬の連休の期間、
韓国を旅行してきたわけであります。この逮捕者の周辺の人たちにも、何人かに会って直接接触をしてきたわけでございますが、
一言にこの直接の問題を除いてほかの角度から申しますと、私は
韓国の今度の旅行に際して、いまの政権が、
日本では非常に統制的で、きわめて好ましくない政権のようにいわれておりますが、その面は別として、経済政策の面では私はかなり評価をしていい仕事をしているのではないかというふうに見てきたわけであります。
たとえば、これは
政府委員の皆さんはむしろ私より御承知でしょうが、
日本の経済
協力でできた浦項の製鉄所、この
運営も現在では一人の
日本人もいませんが、りっぱに
運営をしておりますし、経営的にも非常にうまくいっているようであります。あるいはその近くに、これは向こうの現代造船という名前の
会社が造船所をつくっておりますが、私も意外であったことは、
韓国人の人たちだけの手で三十万トンのタンカーをりっぱにつくり上げて、何隻もできている。こういう情勢、あるいは
韓国国内の一般的な、これはきわめて表面的な面では、なかなかうまくいっているじゃないかという、私は率直な印象を持ったわけであります。
もちろんこのことは、これから私が伺う早川、太刀川両氏の逮捕
事件とは違う問題でありますけれども、私は最初に蛇足を言うのはおかしいのでありますが、この
事件を取り上げることによって、何か
韓国政府に私は特別な反感をもって
質問をするというふうに、現在の
韓国の情勢自身がとられがちな情勢でございますので、その
質問に先立って、私の自分の見解をまず申し上げるわけであります。
ところで、早川、太刀川両氏の問題に入りますが、実は私はソウルで、
韓国政府の李乗禧さんという第一無任所
大臣に会いました。約二時間近くも話をしたわけでありますが、私はこのときにも、今回の両氏の逮捕
事件の問題は、日韓友好のために、
韓国の法律に違反すると向こうは言っているわけでありますが、違反することいかんは別としまして、
早期の釈放をすることが日韓両国の将来のために非常に望ましいことである。特に、両氏を将来軍法
会議にかけるという可能性が非常に強いように受け取れましたが、軍法
会議にかけるというようなことになりますと、これは
日本の世論をきわめて刺激をすることになるだろう、これは私たちとしては望ましいことではない、できるだけこれを避けてもらいたいという要望をしたわけであります。
しかし、このときの李乗禧さんの回答は、かなりきびしい内容でございました。また、
韓国国内の現在出されている
新聞やその他の風評から見ても、この早川、太刀川両氏の釈放問題というのがなかなか簡単でないなということを私は率直に感じてきたわけであります。
その具体的なことをこれから申し上げますが、まず
韓国政府や
韓国の
新聞などの記事によりますと、早川、太刀川両氏が、こまかい事実内容は別として、
韓国側で言っていることは、両氏が北朝鮮からの指令で
韓国の
学生運動と接触しているから、これは重大な国事犯である。大統領の布告の緊急勅令ですか、一号並びに四号に違反するのだ、こういう事実であります。
外務省、あるいはこれは
日本政府全体として法務省もそのうしろにおられる、警察庁もおられると思いますが、
日本側としてはこの点をそうではないんだと――私は率直に言って、いろいろな事柄から、早川、太刀川両氏が北朝鮮の指令を受けたとかなんとかというふうな
事件ではないというふうに私は見ているわけでありますが、そうでないんだといういろいろな証明あるいは証拠をたくさん突きつけて
韓国側に交渉をしっかりなさいませんと、この問題はなかなからちがあかない。あるいは私の会った
韓国政府部内の当局者でありますが、これは特に名前を申し上げるわけにいきませんけれども、自分の個人的な見解であるが、これは犯罪の事実よりももはや日韓両国間の政治問題であるという言い方で、それ以上私には言わなかったのでありますけれども、非常に
意味の深い言い方を私にした人物もおります。
こういうことから、まず
外務省としては、警察庁とか法務省とかその他と御連絡をおとりになって、たとえば早川さんの場合は三年前まで
日本共産党に籍があった。これは
日本共産党の当
委員会の委員でもある金子先生も、
新聞紙上で拝見しますと、言っておられるようでありますが、三年前に籍をとってある。早川さんは言語学者でありますが、それから
韓国に渡航し、
韓国のソウル大学内におけるこの人の
行動は決してそういう北朝鮮から指令を受けたりするような
行動ではないのだということは、家族の話であるとかその他
日本における
行動であるとか、いろいろなものを総合して私は証拠づけることができると思うのであります。そういうものをそろえておやりになっておられるかということをまず承りたいわけであります。