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1974-04-04 第72回国会 衆議院 外務委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年四月四日(木曜日)     午後三時三十八分開議  出席委員    委員長 木村 俊夫君    理事 石井  一君 理事 鯨岡 兵輔君    理事 福永 一臣君 理事 水野  清君    理事 河上 民雄君 理事 堂森 芳夫君       足立 篤郎君    加藤 紘一君       小林 正巳君    坂本三十次君       深谷 隆司君    宮澤 喜一君       勝間田清一君    土井たか子君       金子 満広君    津金 佑近君       渡部 一郎君  出席国務大臣         外 務 大 臣 大平 正芳君  出席政府委員         外務大臣官房長 鹿取 泰衛君         外務省アジア局         長       高島 益郎君         外務省欧亜局長 大和田 渉君         外務省経済協力         局長      御巫 清尚君         外務省条約局長 松永 信雄君         外務省国際連合         局長      鈴木 文彦君         水産庁次長   安福 数夫君  委員外出席者         外務省アメリカ         局外務参事官  伊達 邦美君         運輸省航空局審         議官      間   孝君         外務委員会調査         室長      亀倉 四郎君     ――――――――――――― 委員の異動 四月二日  辞任         補欠選任   石野 久男君     平林  剛君 同日  辞任         補欠選任   平林  剛君     石野 久男君 同月三日  辞任         補欠選任   加藤 紘一君     中垣 國男君   小林 正巳君     江崎 真澄君   原 健三郎君     田中 龍夫君   深谷 隆司君     千葉 三郎君 同日  辞任         補欠選任   江崎 真澄君     小林 正巳君   千葉 三郎君     深谷 隆司君   中垣 國男君     加藤 紘一君     ――――――――――――― 三月三十日  日本国ベルギー王国との間の文化協定締結  について承認を求めるの件(条約第一号)(参  議院送付)  航空業務に関する日本国ギリシャ王国との間  の協定締結について承認を求めるの件(条約  第二号)(参議院送付) 四月四日  国際協力事業団法案内閣提出第五七号) 同月二日  世界連邦樹立決議にの関する請願(奥田敬和君  紹介)(第三一七〇号)  同(金子みつ紹介)(第三一七一号)  同(木野晴夫紹介)(第三一七二号)  同(久保三郎紹介)(第三一七三号)  同(神門至馬夫君紹介)(第三一七四号)  同(塩谷一夫紹介)(第三一七五号)  同(宮澤喜一紹介)(第三一七六号)  同(辻原弘市君紹介)(第三一七七号)  同(堀昌雄紹介)(第三一七八号)  同(湯山勇紹介)(第三一七九号)  同(足立篤郎紹介)(第三一八〇号)  同(井上普方紹介)(第三二六一号)  同(勝間田清一紹介)(第三二六二号)  同(久保等紹介)(第三二六三号)  同(島田安夫紹介)(第三二六四号)  同(黒金泰美紹介)(第三三二〇号)  同(谷川和穗紹介)(第三三二一号)  同(八田貞義紹介)(第三三二二号)  同(森喜朗紹介)(第三三二三号)  同(石井一紹介)(第三三五八号)  同(梶山静六紹介)(第三三五九号)  同(斉藤正男紹介)(第三三六〇号)  同(渡海元三郎紹介)(第三三六一号)  同(長谷川正三紹介)(第三三六二号)  同(美濃政市紹介)(第三三六三号)  同(山下元利紹介)(第三三六四号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月三日  横須賀の米軍空母母港化反対に関する陳情書  (第三七  〇号)  日中航空協定早期締結に関する陳情書  (第三七一号)  日中共同声明に基づく諸協定早期締結に関す  る陳情書(第三七  二号)  日本アルバニア国交樹立促進に関する陳情書  (第三七三号)  原水爆禁止に関する陳情書  (第三七四号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国際情勢に関する件      ――――◇―――――
  2. 木村俊夫

    木村委員長 これより会議を開きます。  国際情勢に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石井一君。
  3. 石井一

    石井委員 北京におきまして、日中航空協定交渉が順調に進んでおるのかどうか。一部報道によりますと、かなり軌道に乗っておるというふうに私たち理解をいたしておるわけでございますが、現在までの交渉経過、このことについてまず外務大臣に忌憚のない意見をお伺いしたいと思います。そうしてさらに、今後の仮調印、本調印というふうな今後の見通しについて、これは現在国際国内に非常に大きな問題、関心事になっておりますので、このことに関して外務大臣の率直な御決意のほどをひとつ伺いたいと思います。
  4. 大平正芳

    大平国務大臣 先々週の金曜日にわがほうの代表団北京入りをいたしましてから、すでに十日余りたったわけでございます。その間、日中航空協定並びにそれに関連した問題につきまして先方との意見詰めをいたしておるわけでございますが、ただいまの段階におきまして、いつごろまとまるであろうかという展望を申し上げるまでにはまだ至っておりません。また、その内容につきましては、たびたび恐縮でございますけれども交渉中の案件でございますので、内容を御披露申し上げることはしばらく御遠慮させていただきたいと思うのであります。  ただ、私どもといたしまして、今国会会期もあることでございますので、この国会において協定の御審議を願いたいものという希望をいまなお持ち続けて、せっかくの努力をいたしておる最中でございます。
  5. 石井一

    石井委員 非常に重要な問題でございますので、あえて差しつかえのない点だけお答えいただきたいと考えるわけでございますが、新聞報道などではどんどんと具体的な問題が報道されておるわけでございまして、それが間違っておれば御否定をいただかなければ非常に誤解を生むというような面もあろうかと私は考えます。そういう面で、すでに実質討議に入っておるわけでございますけれども、いわゆる原則論というものに関してはもうすでに合意に達して、日台路線その他の取り扱いについて合意に達して、原則問題から離れて、現在技術的な実質問題について討議が進められておるのか、あるいは原則論においてもまだいろいろの紆余曲折と申しますか、意見の対立があるのか、この点は大臣いかがでございますか。
  6. 大平正芳

    大平国務大臣 原則問題も技術問題も、いずれもまだこれでまとまったというところへはきておりませんで、まだ討議を重ねておるところでございます。
  7. 石井一

    石井委員 どうもその御答弁ではいたしかたないのでございますけれども、それではちょっと角度を変えまして、日台航空民間取りきめのほうは順調に進んでおるのかどうか。板垣理事長台湾民間取りきめの話をしてこられたようでございますけれども先方からの何らかの反応があったのかどうか、この点はいかがで、ございますか。
  8. 大平正芳

    大平国務大臣 北京交渉に先立ちまして、台湾側に対しましては、交流協会を通じましてわがほうの構想を詳細に御説明申し上げて、先方検討を約されたわけでございます。しかし、確たる返答はまだちょうだいいたしていないわけでございますが、事柄事柄でございまして、私どもとしては絶えず注意を払っておるつもりでございます。
  9. 石井一

    石井委員 私たち理解いたしておりますのは、北京における日中航空協定は、何と申しますか、相互の理解が非常に深まって、ほんとうにいい形で順調に軌道に乗っておる、そういうふうに解釈しておるわけでございますけれども、そうすると、基本的にはそういう形でもうほとんど詰めに入ってきた、こういうふうに理解していいのでございますか。
  10. 大平正芳

    大平国務大臣 どう申し上げたらいいのでしょうか。つまり、いろいろな問題点には一応触れた、原則問題も技術問題も一応触れたということができようかと思っておりますが、その一つ一つにつきまして最終的な詰めがまだ行なわれていないこと、したがって、全体としてこれでまとまりを見たというようなところにはまだきていないわけでございます。
  11. 石井一

    石井委員 さらに微妙な問題でございますが、これは外務大臣に直接関係があるようでございますので、あえてこの席でただしておきたいと思いますが、調印時には、外相談話として、いわゆる青天白日旗に関する政府声明というものを発表されるというふうに伺っておりますけれども、この問題について差しつかえがなければ外務大臣の御所見を伺っておきたい思います。
  12. 大平正芳

    大平国務大臣 まだいまそういう詰め段階を鋭意やっておる段階でございまして、調印段階のことをいま考えておるわけじゃないのでございまして、それに早く到達したいと思いまして、鋭意個々の問題の詰めを急いでおると御承知願いたいと思います。
  13. 石井一

    石井委員 私は、先日の外務委員会におきまして、FIR防空識別圏の問題について政府側意見をお伺いしたわけでごごいますが、これらはやはり技術的な問題であるといっても、今後航空機の安全を確保するために、台湾政府との何らかの形での公式、非公式の話し合いをしなければいけないのではないか、こういうことを質問いたしたわけでございますけれども、これは検討すべき事項だというふうな答弁が返ってきたようでありますが、この点について検討されたかどうか。どういう態度で臨まれようとしておるのかお伺いしたいと思います。
  14. 高島益郎

    高島政府委員 先般の委員会石井先生の御質問に対しまして、私ども五月十五日から沖繩FIRの所管が日本政府に移管されますので、これをめどに台北FIRとの間の引き継ぎにつきまして何らかの両当局間の意思疎通が必要である。これは航空の安全という観点からどうしても必要である。ただし、他面日中関係上の問題も波及するおそれがございますので、中国のほうのこの問題に対する理解もいただいておく必要がある、こういうことを申し上げたつもりでございます。現在どのような形式においてこういう航空の安全をはかるための取りきめをするかという点については、まだ公表の段階ではございませんが、鋭意検討中でございます。
  15. 石井一

    石井委員 過去の例から申しまして、気象だとか通信だとかいうことがいわゆる正常化の、関係のない国とも話し合いが当然なされたという例がございます。私は、そういう意味ではこれは当然政府間同士話し合いが必要だと思うのですが、特に重大な意味を持ってくるのは、沖繩施政権が正式に返ってきたという場合に、いわゆる防空識別圏という防衛に関する問題、これは政府間交渉以外には民間交渉の入る余地というものは全然ない、こう言ってもいいわけでありますけれども、これに関して、いまの答弁をもう少し拡大いたしますと、形は変えても防空識別圏あるいはFIRということで政府同士話し合いをしなければいかぬ、こういうふうにお考えになっておると解釈してよろしいですか。
  16. 高島益郎

    高島政府委員 私、FIRの問題につきまして先ほど御説明したつもりでございますけれども政府機関同士話し合いが具体的に必要かどうかということはまた別個の問題でございます。いずれにしましても、このFIR引き継ぎ関係がございますので、その引き継ぎについての意思疎通を何らかの形ではかる必要があるということでございまして、具体的にある人と人とが会って話をしなければどうしても詰まらないという問題では必ずしもないと思います。しかし、いずれにしましても、先方当局とわがほうの当局との間の意思疎通をはかって、その上で、ある合意を確認する必要があるということでございます。
  17. 石井一

    石井委員 私がこの問題についてたびたびお伺いをいたしておりますのは、台湾は、もし日台路線が切れた場合に台湾防空識別圏に入ってくるわが国航空機その他に対してこれを撃墜する旨を声明したというこういう事実があるのかないのか。こういう声明があったのかどうか。こういう態度になりますとかなり重要な問題でして、日中航空協定を早く結びたいという気持ちはわれわれにもあるわけでありますけれども、これに対して何らか、いま申しました交渉というものをもう少し早く進めなければいけない、こういうことを考えるわけですが、こういう表現なり声明台湾側にあったのかどうか、またそういう場合に、これに対してどういう御見解を持っておられるのか、お伺いをしたいと思います。
  18. 高島益郎

    高島政府委員 台湾当局側日台路線維持の問題についての見解というのは、しばしば新聞報道その他で伺っております。その中に、いま石井先生おっしゃったような趣旨の、もし日台間の路線が切れた場合には、台湾に飛んでくる日本航空機についてそのような態度をとるというようなことを公表したことがあることを承知しております。  わが国といたしましては、再三御説明いたしましておりますとおり、日中航空協定締結と関連いたしまして、日台路線維持のために民間の取りきめを締結するということでございまして、わが国といたしまして、このために全力を尽くすというのが現状でございまして、日台路線が切れるというようなことは全然仮定いたしておりません。そういう前提のもとに、日中航空協定締結、それから日台路線維持のための民間取りきめの締結ということに全力を振りしぼっているというのが現状でございます。
  19. 石井一

    石井委員 公式か非公式か知りませんが、そういう態度の表明が台湾側にあったということになりますと、日中航空協定ができても日台路線が切れないということが前提であるというふうなことにも相なるわけでありまして、これはいま交渉中でありますから非常に微妙な段階に入っておると思いますが、われわれといたしましては一日も早く国家間の取りきめというものを実行したい、そういう見地から私は質問をいたしておるわけでございますが、きょうは外務大臣まことに慎重で、私が期待しておりますような答弁が出ておりません。しかし、世論と申しますか、一般ではもうすでに青天白日旗の問題だけでなく、以遠権であるとか乗り入れ地点であるとか大阪空港その他の問題であるとか、もう具体的な問題が次々に報道され、非常に軌道に乗っておるという印象を持っておるわけでございます。  最後に一言でも前向きの答弁がいただければ非常に幸いだと思うのでございますが、今国会中に不退転の決意でこの条約を批准するという御決意であるのかどうか、また、いま私が数点の各論についてお伺いしましたが、これらの点について差しつかえないものがありましたら、ひとつ経過をお話しいただきたいと思いますが、この点、大臣いかがですか。
  20. 大平正芳

    大平国務大臣 先ほど御答弁申し上げましたように、日中航空協定自体、並びにそれに関連した諸問題全体につきまして、今度の北京交渉におきまして触れたことは事実でございまして、いまその個々について仕上げをしなければならぬ時期に来ておりますけれども、まだこれでできたというところまでは至っていないわけでございます。しかし、先ほども申し上げましたように、私どもといたしましては、できるだけ早くこれを仕上げなければならぬと思いますし、今国会会期とにらみ合わせながらせっかく努力をいたしておりまして、この国会中には御審議を願うようにいたしたいという決意で臨んでおることに変わりはございません。
  21. 石井一

    石井委員 私が先ほど申し上げました以遠権の問題とか乗り入れ地点の問題だとかその他の各論について、最近各紙が報道いたしております。これらの事実というのは一応そういう方向で進んでおる、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  22. 高島益郎

    高島政府委員 航空協定の中で最も重要な部分でございます。付表に関する話し合いというのが行なわれておることは事実でございますが、それにつきましてどういう路線日本が要求し、どういう路線を向こうが要求し、さらに以遠便についてどういう話し合いがあったかということにつきましては、これは北京でも東京でもだれも話しておらないので、おそらく各新聞のほうでいろいろ想像をたくましゅうして書いておるのだろうと思っております。
  23. 石井一

    石井委員 新聞報道が正しいということを私は大いに期待し確信いたしておりますが、一応これでこの問題は終わりまして、アジア卓球選手権大会に関連して、カンボジア王国民族連合選手団最終段階で来日を拒否したというのはどういうことか。これは一部にはその手続外務省ミスがあったというように報道されておりますが、この真相はどうかということを簡潔に当委員会でひとつ報告していただきたいと思います。
  24. 高島益郎

    高島政府委員 インドシナの三地域から代表団日本への入国申請をいたしまして、これに対しましては北京大使館同意手続を踏んでおりまして、この同意手続に基づきましてベトナム及びラオスの代表団日本に入ってきたわけでございます。カンボジアにつきまして特別な手続は何らとっておりませんし、したがいまして、わがほうがカンボジアに対して特別な差別をしたとかとういような事実は全くございません。  ただ、組織委員会のほうでこれは外務省ミスだというような非難があったものでございますので、私どもはそういう汚名を甘んじて受けるわけにいきませんので、北京大使館を通じましてカンボジア代表団長に会って、そしてそういう事実がないことを確認した上で、どういう理由日本に来られないのかということを確かめました。その結果、先方の申すことは、要するにカンボジア王国民族連合政府カンボジアにおける唯一の合法政府であって、したがって、自分たちの持っておる旅券に直接査証をくれるのでなければ入国できない、そういう非常に原則的な立場でございまして、こういう立場から自分たち日本に行くわけにはいかないのだという説明がございました。  したがいまして、これは当初私ども渡航証明書という形でもって各地域代表が入ってくることを期待しておったわけでございまして、組織委員会のほうにもそういうように了解がついていたわけでございますけどれも、カンボジアはそれに不満足でございまして、あくまでも旅券そのものに対する査証を要求するということでございましたので、そういうことでは日本として入国を認めるわけにいかないということで今回入ってこなかったというのが真相でございます。
  25. 石井一

    石井委員 この大会開会式において、大会組織委員会解放戦線グループに対して、これは約束に違反したというふうに言われております。リパブリック・オブ・サウスベトナム、こういう呼称を使った、こういうことでありますけどれも、これに対して政府はこういう事実があったということを認められるのか。さらに、簡単でけっこうですけどれも、このPRGの関係者入国というものに対して今後どういう態度で臨まれるのか。いまの前段の説明だと、すべて責任組織委員会にあるというような言い方にも聞こえますので、その点を明確にしておいていただきたいと思います。
  26. 高島益郎

    高島政府委員 呼称の問題につきましては、各地域代表入国の前に法務省組織委員会との間に明確な了解がございまして、いま先生指摘ベトナムにつきましては、ベトナム解放戦線)ということに了解がついていたというふうに覚えておりますが、実際に開会式のときのプラカードに使った呼称はそうではなくて、いま先生が御指摘のような呼称を使ったということでございまして、これは形式的には組織委員会約束違反、いわゆる背信行為であるということになろうかと思います。ただ、実態面から見ますと、ベトナム解放戦線側といたしましても、そういう組織委員会法務省との間になし遂げております了解については十分承知しているわけでございまして、それにもかかわらずそういう挙に出たということは、やはりこの解放戦線側にも責任はあろうかと私たち思っております。  ただ、現在の段階で、将来いわゆるGRPの代表の方々が日本入国する場合の方針を示せということでございますけれども、これは今回のような事例はもちろん考慮に入れなければならないというふうに思っておりますが、その結果どうすべきかという点は、これは法務省が今後検討すべき問題かと思いますので、私どもの口からは申し上げかねる次第でございます。
  27. 石井一

    石井委員 一言で申すと、今回の措置については外務省側ミスは全然なかった、こういうことですね。
  28. 高島益郎

    高島政府委員 これは先ほど申しましたとおり、全然ミスはございませんし、その点は組織委員会にも明確に説明してございますし、組織委員会のほうでもわかっているはずでございます。
  29. 石井一

    石井委員 もう一つ、最近の重要な話題としてお伺いしておきたいのは、国連資源特別総会の問題でございます。これはきょうの事業団法案趣旨説明など、それらに関連いたします問題としても当委員会で非常に注目をいたしておるところでありますが、政府立場は、従来のこれらの資源問題と何ら変わったことがないのか、この国連総会に対する基本的な考え方大臣からひとつお伺いしておきたいと思います。
  30. 大平正芳

    大平国務大臣 今回の国連における資源特別総会は、アルジェリアが提唱いたしたものでございまして、わが国もこれを支持することにいたしたわけでございます。この総会の議題は、原材料等開発の問題となっております。食糧につきましては、別途ことしの秋はFAOにおきまして世界食糧会議が行なわれることも勘案いたしまして、食糧以外の第一次産品が主題になることと思うのでありますが、これの開発、それから水産、貿易等に関連いたしました諸問題が討議される。それから同時に、そういう原材料を持っておる資源保有国経済社会開発問題が討議されるというふうに承知いたしておるわけでございます。  わが国立場といたしましては、間々申し上げておりますように、資源保有国わが国のような消費国との間の協調体制、調和ある関係をつくり出すということが大事だと考えておるわけでございます。先方資源を持っておる、われわれは資本と技術に恵まれておるという間柄でございますので、この間柄を調和ある関係につくり上げてまいることが互恵的な関係を永続的につくり上げる基調であると考えておるわけでございまして、そこに主眼を置いてわが国の主張を精力的に述べるとともに、この資源特別総会で展開される主として資源保有国側見解に耳を傾けなければならぬと考えておりますし、同時に、これを契機にいたしまして、世界資源問題というものに新たな活力のある接近が行なわれることに期待を持っておるわけでございます。したがいまして、わが国としては、有力な政治家であり、かつ経済、財政の問題に御造詣の深い水田三喜男政調会長をわずらわして、政府首席代表としてお出向きを願うということにいたしたわけでございます。
  31. 石井一

    石井委員 時期的に、意欲的に取り組まれるという姿勢はわかりましたが、具体的な問題として、天然資源恒久主権ということに関しては原則的にこれを認めるが、ただ、これらの開発途上国における外国企業国有化する動きに対しては必ずしも賛成しないというのが、これまでの外務大臣なり政府の御見解だったと思うのであります。二十八回総会では、この天然資源恒久主権に関する決議わが国棄権をいたしておりますが、この考え方にいまも変更はございませんか。
  32. 鈴木文彦

    鈴木(文)政府委員 二十八国連総会におきまして、天然資源恒久主権決議案が上程されましたときに、わが日本はこれに棄権いたしました。その棄権理由は、国有化に際しまして補償の額の決定、あるいはその支払い方法決定、あるいはそれに関連して争いが起こりました場合に、最終的に資源保有国国内裁判所決定最終審であるという点と、それからもう一つは、この決議の中に、領海外の大陸だな上部にあります上部水域といいますか、そこの漁業資源にまで恒久主権が及ぶという考え方に対して、わがほうはこれをのみ得ないということで棄権いたしました次第ですが、同様の内容決議案が出ます場合には、やはり従来の考え方に即して判断せざるを得ないと思います。おそらく棄権ということになろうがと思います。
  33. 石井一

    石井委員 大体時間が参ったようでございますから、最後に、どうも問題を突っ込まずに総括的なものばかりで恐縮でございますけれども、最近ソ連から帰国されました経済ミッションの永野、植村両氏にも私直接お目にかかりましていろいろお話を聞いておりまして、ソ連の非常なアンビシャスなプランと申しますか、意欲的な提案に非常に驚いておるわけでございますけれども、第二鉄道建設構想は、わが国資源の少ない石油、天然ガスその他の開発というものに対しても非常に大きな意義がありますし、それかといって、またアメリカの参加、中国のこれに対する考え方というふうな面で非常に政治的な意味合いがあると思うのでございますけれども外務大臣は今度のこの提案に対して、基本的にどういう形から積極的にこれに取り組もうというお考えなのか、この点をお伺いしておきたいと思います。
  34. 大平正芳

    大平国務大臣 この間ソ連から帰国されました植村、永野両氏にお目にかかりまして、あらましのことは御報告を受けました。いま御指摘の鉄道計画の問題でございますが、これは私ども初耳でございます。したがって、それ自体も十分研究しなければならぬ問題でございますが、同時に、この計画は従来日ソの間で話し合われておるペンディングの各種プロジェクトとどういう関連になるのかというような点も究明しておかなければならぬ点だと思うのでありまして、ただいまの段階でこの問題について見解を述べるのはまだ時期が早い、もう少し時間をかしていただいて検討さしてもらいたいと思います。
  35. 石井一

    石井委員 終わります。
  36. 木村俊夫

    木村委員長 堂森芳夫君。
  37. 堂森芳夫

    堂森委員 外務大臣に私重ねてお尋ねをしておきたいのでありますが、三月二十七日の本委員会で一時間ぐらいの質問を申し上げました。そのときに、ただいま石井議員からお話がございましたシベリア第二鉄道といわれるソ連側の提案について関連をしてお尋ねをしたのであります。  その際私は、政府態度はどうなるのでありますか、これは外交的にも軍事的にも重大な問題となる大きな問題であるので、政府はどのような態度で臨まれるのであるかと聞きました。そうすると、あなたは、速記がまだできていませんので、私がメモをしておったのを読むのですが、それについて政府意見を述べるなどという段階ではございません、こういうような意味答弁をしておられます。そこでさらに私が、そんなことでは外務大臣としてはおかしいのではないか、もっと堂々とした態度で所見を述べられるべきじゃないか、こう申しますと、あなたは、堂々と答弁——これは少しくかいぎゃくぶりに言っておられるのでありますが、またあなたにしかられるから答弁できません、こういう意味のことを言っておられるのであります。ところが、あくる日の参議院の外務委員会で、社会党の田君だとか公明党の黒柳議員がいろいろと聞いておられます。あなたは私にそんなそっけない答弁しかしないのに、わりあいいろいろとしゃべっておられるのです。もちろんよく読むと、私に答弁をされたようなことをふえんして答弁しておるようなことにはなりますが、私たいへん不満なんです。  と申しますことは、私が質問をしたのが二十七日、あくる日、参議院の外務委員会は二十八日なんです。その間一日しか日をおいていないのに、私はたいへん不満なんです。新聞を私読んでおって、何だ、外務大臣はわれわれが衆議院の外務委員会質問したときにはまるで二言か三言しか答弁しないのに、参議院ではべらべらといろいろなことをしゃべっておるじゃないか、けしからぬ、こう私は率直に思いましたよ。あまりしつこく言いますと、何だおまえ、いい年をしてということになるかもしれませんから、実はそのとき黙っておったのです。新聞を見たときに、私は非常に残念だと思ったのです。  もうこれから協力しないぞ、こうおどかしたい、ところでありますが、そこで私は、一体一日しかたっていない——衆議院では二十七日に質問したとき、ほとんどしゃべらない。まだ新聞で見た程度だ、こういう話だ。二十八日にはいろいろしゃべっておられる、答弁しておられるということは、一日の差があったから、その間にいろいろと状態が変化したから、それで外務大臣答弁したのであるかとも思うのであります。  しかし、私は大臣及び外務省の首脳部に申し上げたいのです。こういう重要な問題のミッションの首脳部が帰ってこられて記者会見もしておる。そして二十六日に新聞報道がなされておる。そして外務委員会が二十七日に開かれるということは、外務省の首脳部としては、こういう重要な問題は委員会質問が必ず行なわれるのに違いない、そして積極的にミッションの首脳部と会っていろいろと情報も集め、そして外務省としても、その態度について、委員会質問が出たときにどういう答弁をするであろうかというような協議なりあるいはそういう話し合いをされることは当然だと思うのです。ただ委員会に来て、大臣はじめ、そんなことはまだ新聞で見た程度だ、こういう答弁で済まされるという態度に、わが国外務省がだんだんと時代おくれになって、そしていろいろな問題が起きてきた根本原因は、私はそういう外務省の本質によると思うのでございますが、いかがでございましょうか。  きょうは私は、いろいろなこの問題についてのお尋ねは、私に与えられた時間がありませんから、いたしませんが、この問題についてどういう御意見か、承っておきたいです。場合によっては次の委員会にまたしつこくお尋ねすることにします。
  38. 大平正芳

    大平国務大臣 二十七日に衆議院の外務委員会がございまして、二十八日に参議院の外務委員会がありましたことは、御指摘のとおりでございます。正直にいって、二十七日の段階におきまして私はまだ事務当局からも全然承っておりませんし、永野、植村両氏からの報告も全然受けていない。全く新聞で拝見した程度でございましたので、外務省見解などを述べる用意は全然ないわけでございますので、たいへんそっけない返事を申し上げて恐縮でございましたが、私は、しかしながら、国会における御答弁というのは、たいへん慎重にやっているつもりでございます。これは抜き差しならない発言なんでございまして、一言間違えばえらいことになるわけでございますので、私といたしましては、周到な配慮でいたしておるつもりでございます。堂森さんに対してそっけなく受け流したというような気持ちは毛頭ございませんから、その点はお気を直していただきたいと思います。  それから、翌日の田さんの答弁段階では、一応事務当局の話は聞いておったわけでございますけれども、本人御両氏からまだ直接聴取してないわけでございますので、堂森さんにお答えした以上のことを私は申し上げてないつもりでございます。しかし、人間のことでございますから、一言、二言あるいはよけいなことを言うたのかもしれませんけれども、それは従来のシベリア資源開発問題につきましての政府の基本的な考え方、これはサイベリア鉄道というわけでなくて、全体の基本的な考え方について、従来述べておることを若干ふえんして申し上げたと思いますけれども、本件につきましては、田さんにも私は申し上げる自信がないものでございますので、同様の応酬をいたしたと思うわけでございます。  要するに、答弁すべき場面において、答弁すべき時期に、答弁すべきことを怠るというようなことがあってはいかぬと思うのでございますが、問題は、国会答弁というのはたいへん厳粛なものでございますので、十分気をつけてやっておるということはひとつ御理解をいただきたいと思いまするし、同時に、答弁しなければならぬときに怠っておるというようなことがございますならば、それは御遠慮なく、しかもしつこくおしかりをいただいて、私はそれを甘受いたしたいと思います。
  39. 堂森芳夫

    堂森委員 もう時間がありませんからこれ以上申しませんが、二十六日に帰られて、記者会見しておるのでしょう。そうすれば、国会委員会を開けばそういう重要な問題に質問が出ることはわかっておると思うのです。その際、そのときはもう言わぬでもいいというのですか。まだ早いからあとでもいいやということでございますか。  私はそうじゃないと思うのですよ。やはり当然そういう質問が出るであろう、出るのは当然である、こう御判断になって、あなたを助ける次官や局長の諸君はそういう手助けをするところに、外務省としての責務があると私は思うのですが、それもおやりにならずに、ただそんなような、ごまかすような答弁では私は済まされぬ、こう思うのであります。おそらく、皆さんだれでもそう思うと思うのですよ、あんな御答弁では。将来大平内閣をつくろうという大平さんですらか、あなたはもっと堂々と所信を表明される、そういう決意委員会に臨んでもらいたいと思うのです。あんな答弁で、そして木で鼻をくくったような答弁をされて、そうですかと、こういうような委員会なら要らぬと私はほんとうに思うのです。そういうことなら、これからわれわれも大いに野党ぶりを発揮して、いやらしいことをやはりやらざるを得ないことになると思うのであります。  まあ、きょうは時間がありませんから、私はこれで質問を終わります。
  40. 木村俊夫

    木村委員長 河上民雄君。
  41. 河上民雄

    ○河上委員 いまシベリア問題でお二人から質問があったわけですけれども大臣、植村さん、永野さんとこの問題についてゆっくりお話しになって、詳細な御報告はもう受けておられるのですか。
  42. 大平正芳

    大平国務大臣 帰国のごあいさつを受けた機会に、簡単には報告は受けましたけれども、詳細の御報告をまだ受けておりません。
  43. 河上民雄

    ○河上委員 本委員会でも、また参議院においても、この問題は何度か質疑応答があるわけでございますが、外交上も、また国際経済上も非常に重大な問題でありますから、もう少し早く政府の腹をきめる意味からいっても、当然お話し合いがあってもしかるべきだと思うのでありますが、植村ミッションがおたちになる前に、政府はこのミッションに対し、ある程度の裏づけをするような形になっておったのかどうか、それを伺いたいと思うのです。
  44. 大和田渉

    ○大和田政府委員 裏づけをするということではございませんけれども、お二人の方が出発される前に、われわれ政府側の、外務省、通産省、大蔵省の者たちと相談はいたしております。われわれのほうの側から、政府側から見た従来の経緯というようなものを、植村さん、永野さん、お二方に御説明申し上げたというような経緯でございます。
  45. 河上民雄

    ○河上委員 私は、この前この問題について、まだ植村さんが帰ってこられない前ですけれども質問いたしました。そのとき大臣は、植村さん一行が帰ってきたときに持ち返ったプロジェクトについては政府として検討し、適当と思うならこれを裏打ちするというような御答弁があったと思うのであります。そういう点からいいますと、すでに帰ってこられたわけですから、もっと早くそういう意味合いにおける会談があってもしかるべきであろうと思いますし、いままでないといたしますれば、帰国ごあいさつ程度であるとするならば、今後そういう機会を持たれるおつもりですか。
  46. 大平正芳

    大平国務大臣 だから御両氏にも私お答えしておいたのですけれども、若干新しい、従来われわれが承知していない要素が入ってまいったわけでございますので、政府としても勉強さしてもらいたいということを申し上げたわけでございます。したがって、私どもといたしましては十分吟味した上で、お二人はもとよりでございますけれども関係方面とはお話し合いをしなければいかぬと思っておりますが、まずそれより先にわれわれのほうで十分吟味さしていただかねばならぬと思っています。
  47. 河上民雄

    ○河上委員 それでは、いま大臣あるいは当局の手元で検討中である、こういうふうに理解してよろしいわけですか。
  48. 大平正芳

    大平国務大臣 さようでございます。
  49. 河上民雄

    ○河上委員 今度は、いま新しい要素と言われましたけれども、それは第二シベリア鉄道の提案だと思いますが、この第二シベリア鉄道の提案は新しい事態だというふうに受け取っておられる、そういう印象を持っておりますけれども、そういうことでいいと思いますが、この第二シベリア鉄道の提案によって、チュメニ油田のパイプライン案というのはキャンセルになったというふうに理解しておられるのか、その点はいかがでございますか。
  50. 大和田渉

    ○大和田政府委員 チュメニの石油プロジェクトに対しまする先方のいわゆる新しい提案と申しますのは、従来すべてパイプで石油を運んで、それを港まで持ってくるという案でございましたのを、その一部について、距離的に見まして約三千キロでございますが、それを鉄道で運ぶという案でございます。したがいまして、いま先方が提示しました構想だけから申しますれば、その三千キロの間はパイプではなくて鉄道で運ぶという案でございます。
  51. 河上民雄

    ○河上委員 そういたしますと、経済的に見ましても、パイプラインの場合は、日本経済界で協力する分野というのは、第二シベリア鉄道の場合と違ってくると思うのです。ですから、一口に日本の財界といいましても、経済界といいましても、チュメニの油田からパイプラインを引くという案の場合と、第二シベリア鉄道で運ぶという場合では、当然協力する分野は変わってくる、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  52. 大和田渉

    ○大和田政府委員 いわゆる新しい提案の中身の問題に触れますけれども、まだ具体的に、しからば鉄道を敷くからどういう資材が必要なのか、機材が必要なのかというようなところまでの提案はございません。ただ仰せのとおり、パイプが一部鉄道に変わったということで、日本の業界の内部から申しますれば、協力する分野、つまり企業の分野というものは当然変わるというふうに考えざるを得ないと思います。
  53. 河上民雄

    ○河上委員 第二シベリア鉄道案について一体政府はどういうふうにお考えになっておられるのか、新聞ではいろいろ取りざたされておるわけですけれども、この委員会でまだはっきり伺っておりませんので、その点を明らかにしていただきたいと思います。
  54. 大和田渉

    ○大和田政府委員 先ほど大臣が仰せられましたように、われわれといたしましては、従来と非常に違う提案なものでございますので、慎重に検討中でございます。したがいまして、現段階でこれにいいという返事をするのかあるいは悪いという返事をするのかということは完全に白紙の状態でございます。
  55. 河上民雄

    ○河上委員 それでは新聞などに伝えられるところによれば、中国が第二シベリア鉄道の問題について、単に経済的な視点だけではなく、外交的あるいは軍事的な観点からも非常に関心を持っている、こういうふうにいっておりますけれども、こういう非経済的な視点というものを、植村、永野両氏のミッションは、私たちは財界人だからそういうことは関心を持たないというようなことでございましたけれども外務大臣としてはそういうわけにいかないと思います。外務大臣はそういう点についてどういうふうな政治的な判断をいま持っておられるか、伺いたいと思うのです。
  56. 大平正芳

    大平国務大臣 まだ全く新しいご提案のようでございまして、その経済的なフィージビリティ自体も検討の材料が十分ない段階でございまするし、いわんやそれにからんだ政治問題というようなものをまだ考慮する段階ではないと思うのでありまして、しかし、政府立場では、仰せのようにいろんな角度からプロジェクトというものは吟味せなければなりませんことは当然だと考えております。
  57. 河上民雄

    ○河上委員 もしこの第二シベリア鉄道を政府が拒否した場合、裏打ちすることを拒否した場合、シベリア開発構想全体にどういう影響が出てくるか、これは一括して受け入れるべきものであるのか、それとも個別にプロジェクトをばらして、そのうち日本として選択し、向こう側と協議をする、こういう考えなのか、その辺はいかがでございますか。
  58. 大和田渉

    ○大和田政府委員 先方説明として承った範囲内で申し上げますれば、鉄道を敷くという計画自身は、ほかのプロジェクトとは関係なしで、チュメニの石油についてのみ関連のある事項、こう考えております。したがいまして、それ以外のプロジェクトにつきましては、従来に引き続き交渉が行なわれているという現状でございます。
  59. 河上民雄

    ○河上委員 最近ソ連から要人の来日がしきりに伝えられております。新聞などを断片的に拝見するだけでもかなり有力な対日窓口の担当者が来ておられるようでありますけれども、たとえばどういう方々が来ておられるのか、またそういう中に外国貿易省の幹部であるアルヒーモフという方が来ているようにも聞いておるのでありますけれども、そういうことは事実でありますかどうか。
  60. 大和田渉

    ○大和田政府委員 植村さん、永野さんがおいでになったあとを受けまして、先方から外国貿易省のアルヒーモフ次官それからイワノフ外国貿易銀行総裁を含めました一行が現在日本に来ております。その要務は、日本の輸銀といろいろなプロジェクトについての信用の条件等についていっそう詰めを行うという目的でございまして、これは澄田輸銀総裁の招待で参っております。この月曜日からすでに交渉を開始しているというふうに承ってております。
  61. 河上民雄

    ○河上委員 第二シベリア鉄道は、向こう側の借款の条件によりますと三十一億ドルを要求しているということですけれども、そういう場合に、もしかりに、これをやるかやらぬかまだおきめになっていないようですけれども、やるとした場合にどういうチャンネルを使ってやるおつもりであるか、おつもりというより、どういうチャンネルを使うことになるとお考えになっておられますか。
  62. 大和田渉

    ○大和田政府委員 仰せのとおり、まだやるやらないの決定がないわけでございまするけれども、現在先方が要求しております金額は二十四億ルーブル、米ドルに直しまして約三十一億ドルでございます。これはいわゆる第二シベリア鉄道を建設するための資金ということでは必ずしもなくて、チュメニの計画、鉄道の問題を含めましてチュメニの計画自身にそれだけの金額が要るという要求でございます。実際にかりに将来行なわれるとした場合にはどうなるか。当然アメリカの参加というものをわれわれは期待しておりますし、その参加の態様がどうなるかということも関連してくる問題ではなかろうか、こう考えております。したがいまして、現在、その金はしからばどういうところからどういうふうに出るかというところまでは申し上げかねるわけでございます。
  63. 河上民雄

    ○河上委員 それではいま澄田さんの招待で来ておるアルヒーモフさんほかのそうした人たちは、一般論として輸銀問題の詰めに来ておるのか、それとも具体的なプロジェクトがあって、そのための輸銀との詰めに来ておられるのか、その点ちょっとはっきりしなかったのですが、いかがですか。
  64. 大和田渉

    ○大和田政府委員 一般論の問題ではなくて、具体的なプロジェクトでございまして、さらに具体的に申し上げますると、南ヤクートの石炭に関するプロジェクト、それからヤクートの天然ガスに関するプロジェクト、それから第二次KSでございますが、木材に関するプロジェクト、それらの個々のプロジェクトについての信用供与の条件というものを個々交渉いたしております。
  65. 河上民雄

    ○河上委員 いずれにせよ非常に大きな問題で、たとえば三十一億ドル日本から借款をした場合、日本のいまの力では、かなり日本がシベリアに縛りつけられる可能性もあると思うのでありますけれども、単に経済問題だけではなくて、どうしても政治的に中国と日本関係、ソ連と日本関係、中国とソ連の関係、アメリカと日本関係、米ソの関係、いろいろ考えざるを得ない。その一つのシンボルとしてシベリア問題というのが起きていると思うのですが、外務大臣に最後にちょっと伺いたいのでありますけれども、このシベリア問題について、そういうような中国と日本関係あるいは中ソ間の関係についてどういう影響がある、そうしてそういう影響について避けたいものはどういうように避けていきたいというような姿勢について、外務大臣の希望といいますか、心がまえを承りたいと思うのです。
  66. 大平正芳

    大平国務大臣 わが国資源がない国でございますので、シベリアばかりでなく、グローパリーに申しまして至るところで資源を確保しなければならぬ立場にあるわけでございます。したがいまして、シベリアにつきましても、わが国資源を安定的に確保する上から申しまして、また経済的な立場から申しまして、アクセプタブルなものでございますならば、これを推進してまいることは、わが国立場から申しまして当然なすべきことであると考えておるのであります。しかし、それは申すまでもなくあなたがおっしゃるように、経済的なプロジェクトでございましても政治的なインプリケーションを持つことはやむを得ないことでございまして、そういう場合におきましても、中国であれどこであれ、第三国が十分了解理解するという姿においてやってまいらなければいかぬことは当然のことと思うのでありまして、わが国立場を踏まえて、日本がやっていることはわかるじゃないかというような状況において、われわれは資源の安定確保というものをはかってまいる必要があると思っております。サイベリアの資源であろうとどこの資源であろうと、私はやはりそういう心がまえで臨んでいくべきじゃないかと思っております。
  67. 河上民雄

    ○河上委員 いまいろいろお話がありましたが、植村さん、永野さんの直接の報告というのはわれわれまだ聞いてないわけです。外務当局もあまりよく聞いてないということで、わからぬ者同士で議論しているようなことでははなはだどうも困るような気がするのですが、これは委員長にお願いしたいのですけれども、植村さん、永野さんが持ち帰られました内容というものは非常にわが国にとって重要な意味を持っておるだけに、これは植村さん、永野さんを当委員会にお呼びして、じかに聞くような機会を与えていただくとたいへん幸いだと思うのでありますが、その点委員長において取り計らっていただきますようにお願いいたします。
  68. 木村俊夫

    木村委員長 後日理事会で協議することにいたします。
  69. 河上民雄

    ○河上委員 どうもありがとうございました。  それでは今度は、ラオスに新しい政権が樹立されました。そのラオスについて若干伺いたいと思います。  外務省伺いたいのでありますが、わが国はこの新政権をあらためて承認する必要があると考えるかどうか、それとも現在のプーマ政権が新政権を継承するというような判断をとっているのか、その点を伺いたいと思います。
  70. 高島益郎

    高島政府委員 新政府承認というのは、通常非合法的方法によってできた政府承認するというのが国際法上の一般の慣例でございまして、先生の御指摘のラオスの場合は、形式的には現在の政府を継承するものというふうに考えますので、あらためて承認というような手続を必要としないのではないかと思います。
  71. 河上民雄

    ○河上委員 新政権が成立後、現在のパテトラオ系の人がかりに日本入国する場合、ラオスの国籍を持った者として、プーマ系の人と区別することなく入国することになると思うのですが、その場合、一体、じゃ、従来のパテトラオ系の人たちは——従来パテトラオ系の人は非承認政権の人間であるというふうに見ていたと思うのですね。そうなりますと、いままでとは違った態度を、そこに何らかの違った一つ段階に入ったということは言えるのじゃないですか。その点はいかがですか。
  72. 高島益郎

    高島政府委員 連合政府ができますと、一つの統一された国といたしまして、旅券の問題もおのずから一本にまとまるものではないかと思います。従来はそうではなくて、パテトラオ側の特別な文書があったように伺っておりますけれども、今後はそういう問題はおのずから解消するのではないかというふうに期待いたしております。
  73. 河上民雄

    ○河上委員 日本政府は最近、ラオスの新政権の発足する直前でありますけれども、ラオスのいわゆる現政権に対して八億円の援助協定調印したというように伝えられておりますが、それは事実でございますか。
  74. 御巫清尚

    ○御巫政府委員 お答え申し上げます。  八億円の援助を、無償協力でございますが補正予算の中でいただきました分でございますので、なるべく補正予算は緊急を要するということでいただきましたものでございますので、ラオス側といろいろ打ち合わせておりましたけれども、ようやく話し合いがととのいましたので、ごく最近に交換公文を取りかわしたということは事実でございます。
  75. 河上民雄

    ○河上委員 その場合、援助の対象になる地域は現在のプーマ政権の施政の及ぶ範囲に限られるのか。少なくも協定段階においてはそうであったのかどうか。そしてもし新政府ができますと、その八億円の権利義務というか一切の権限は新政府にそのまま継承されて、パテトラオの施政の及ぶ範囲にもこれが拡大されるのかどうかです。
  76. 御巫清尚

    ○御巫政府委員 その点につきましては、もちろん無償協力によって供与いたします品目というものはあらかじめ相談しております。主としていわゆる難民救済用の資材であるとか農機具であるとか、そういうものでございまして、そういったものが今後新しい政権のもとでどういうぐあいなふうに使われるかは供与された側の決定にまかせられるものだと存じております。したがいまして、いわゆるパテトラオ側とか、もともとのいわゆるラオス政府側とかいうような区別は、その新しい政府が成立したことでなくなっていくものではなかろうかと思います。
  77. 河上民雄

    ○河上委員 そうなりますと、インドシナに対する無償供与百八億円のうちベトナムの北と南にそれぞれ五十億ずつですか、そして今度はラオスに八億、こういう形で供与したわけですけれども、その場合南に対する五十億の無償供与でありますが、これはいま横浜で問題になっております臨時革命政府には及ばないものであるという解釈を日本政府はとっておられるようですけれども、もしベトナムが統一するとかいうような段階に入りました場合には、あるいは臨時革命政府と南ベトナム政府との間にある話ができた場合には、この五十億というのは革命政府施政権の及ぶ範囲にも適用される、自動的に適用されるというふうに考えたらいいわけですか。
  78. 御巫清尚

    ○御巫政府委員 五十億円のほうにつきましてもやはり補正予算でお願いいたしましたものですから、緊急に話し合いを進めなければいけないというので、やはり同じような時期に南ベトナム政府と交換公文の取りかわしをやったわけでございまして、今後どういうような事態が南ベトナムに起こってくるかは私どもの予測できるところではございませんが、ラオスにおきますと同じような事態が起こればやはり同じようなことになるのではなかろうかと思います。
  79. 河上民雄

    ○河上委員 八億円の援助協定調印のニュースを聞きまして私はおやと思ったのでありますけれども外務省外務委員会に対しまして、こういうようなことが起こったときには直ちに報告するというような話になっていたような気がするのでありますが、さっき堂森委員外務委員会を一体どう考えているのだというような意味の御質問がありましたが、これはやはり外務大臣はこういう場合にはすみやかに本委員会に報告することを約束したように私どもは記憶しておりますけれども、今回そういうことにならなかったのはどういうわけでございますか。
  80. 大平正芳

    大平国務大臣 私どもとしては、委員会の御審議を願う場合におきまして、御審議の御便宜のためにいろいろな資料をできるだけ御提供申し上げる労をいとうものでは決してないわけでございます。けれども、いま御指摘の八億円の対ラオス供与の問題は、当委員会外務省の間の了解で、外務省側委員会に前もって御報告するという種類のものと私は承知しておりません。
  81. 河上民雄

    ○河上委員 いずれにせよ、そういうように義務づけられているかどうかは別として、やはりこういうことはなるべく早い機会に報告するのがいいのじゃないかと思うのであります。新聞やその他に出てだいぶたってからそういうことが委員会で話題になるということでなしに、八億円の問題についていろいろ国会審議しているわけですから、そういう点で、先ほど堂森さんも言われましたけれども、そういう積極性をもう少し外務当局が持っていただかないと困ると思うのですが、これは私は、ひとつ要望としてお聞きいただきたいと思うのです。  なお、先ほどラオスの新政権の問題について、プーマ政権の継承であるというふうに日本政府としては見る。向こうは、それぞれの当事者はどう見るかは別といたしまして、日本政府としてはそう見るということでした。  ここで念のため、最後に政府見解を聞きたいのですけれども、内戦のときに、アメリカ空軍爆撃機がパテトラオ地域を爆撃したのは、プーマ政府の要請によるものというふうに説明されました。新政府が成立いたしますと、このプーマ政府の要請というのは理論的に法的根拠を失ったというふうに解釈してよいのかどうか、そうすべきだと思いますけれども政府考え方はどうでございますか。
  82. 松永信雄

    ○松永政府委員 ただいまの御質問は、おそらく私どものほうの考え方といたしましては、プーマ政府がアメリカ政府に要請をした、その要請というものの目的なり効果というのはすでに終了をしているというふうに考えるべきではないだろうか。すなわち、ラオスの中で平和的な話し合いによりまして新しい政権が合同して誕生するという状態にいまなるということになるわけでございます。したがいまして、それまでに対立的な状態というものを前提にしてなされていました要請というものは、その存立の根拠を失うということになるだろうと思います。ですから、その要請というものは、もうすでにそういう状態が出てくれば終了しているというふうに解釈すべきではなかろうかと思います。
  83. 河上民雄

    ○河上委員 そうなりますと、外務当局としては、米軍がラオスに対し空軍による攻撃をしかける法的な根拠も——法的な根拠というのは認めなかったようですけれども、攻撃をしかけることは今後あり得ないというふうにお考えでございますか。
  84. 松永信雄

    ○松永政府委員 その点につきましては、すでに御承知のように、ラオスにおきましては和平協定が成立しているわけでございます。そしてその和平協定に従って関係者、当事者間で話し合いが行なわれて平和的に新しい政府が成立するということでございますから、そういう要請というのはもうすでになくなってきている、存立の根拠を失ってきているというふうに考えるべきだろうと思うのでございます。従来爆撃が行なわれました場合に、それはラオスのプーマ政府、ラオス政府からの要請に基づいて、それを根拠として行なわれたという事態は、前にはあったわけでございますけれども、そういう事態は今後は起こり得ないであろうというふうに考えております。
  85. 河上民雄

    ○河上委員 それでは最後に二つほど伺いたいのでありますが、一つはハノイの日本大使館の設置がだいぶおくれておりますけれども、この辺については何か特別な理由があるのかどうか。
  86. 高島益郎

    高島政府委員 わがほうといたしまして、国交樹立以来なるべく早い機会に相互に大使館を設置して国交の進展をはかりたいというふうに考えておりますけれども、現在ラオスにわがほうの在ハノイ大使館要員を二名配置いたしまして、大使館が設置次第ハノイにおもむいて開設の準備をするようにいたしておりますが、まだいろいろ先方の事情もございまして、実際にそういう相互開設の段取りに至っておりませんけれども、ほかの問題と並行いたしまして、大使館の相互開設の問題について現在先方側と話し合っております。
  87. 河上民雄

    ○河上委員 それは技術的な問題だけであるならば、なるべく早くしていただくようにお願いしたいと思うのです。  それからもう一つ新聞報道によりますと朝鮮問題がいろいろ報道せられておりますが、それについてはまた機会をあらためて質問させていただきたいと思いますけれども、とりあえず一つだけお尋ねしたいと思っておりますのは、韓国政府に対する日本の対韓援助について、その方式をIECOK方式に切りかえるという報道がございます。ところが韓国の統一日報の記事によりますと、三月十九日付でありますが、向こうの経済企画院長官という人が駐日公館へ照会したところ、日本政府は従来の方式を続けると表明したというふうにも伝えておるのであります。これはどちらが正しいのか、伺っておきたいと思います。
  88. 御巫清尚

    ○御巫政府委員 対韓援助をIECOK方式に切りかえるというような報道日本新聞に報ぜられましたけれども、これは私が説明いたしましたことが少し誤って受け取られた気味があるかと存じます。私が新聞記者の質問に答えて申し上げましたことは、このIECOKというのは対韓援助協議グループという字の略語でございますが、それが三月二十六日、二十七日両日にわたってパリで開かれたわけでございます。その前の話でございますが、近くIECOKというものが開かれるようだけれども、その際の日本態度はどうかというような質問に対しての返事であったわけでございますが、その際、そのIECOKにおいては韓国側から経済企画院総裁で副総理でございます太完善副総理が行かれて韓国の経済情勢の御説明等があるはずだ、それに対してまた世銀も調査団を送って調査をしておるので、世銀からも韓国経済についていろんなコメント等があるはずで、そういったものを聴取した上で日本として韓国に対する援助問題について考えをまとめるべきであろうと思っている。それから昨年閣僚会議が行なわれました際に、外務大臣から御説明がすでにございましたけれども、閣僚会議と対韓援助とは一応切り離して考えるべきであって、閣僚会議の席上でどういうプロジェクトにどういう条件で援助するというようなこまかい問題を一々取り上げるべきではないという御方針も示されております。  したがいまして、昨年の末に開かれました閣僚会議の席上、本年再びまた閣僚会議が開かれる、時期はまだきまっておりませんが開かれるはずでございますので、それまでの間に、韓国に対して政府の行ないます経済協力等につきまして考えをまとめておかなければいけないということがございますので、このIECOKにおきます韓国側もしくは世界銀行等の説明をよく聴取した上でそういった検討を始めるのだということを説明したわけでございます。  IECOKといいますのは、今回が第七回目でございまして、大体において毎年一回ぐらい開かれておる会合でございますので、従来のやり方とあまり大差ないといわれればそのとおりでございますし、私どもとしてもいま、この説明を聞きましたので、これから韓国に対します経済協力のやり方を検討して、韓国側とも相談していきたいというふうに存じておるわけでございます。
  89. 河上民雄

    ○河上委員 いまの御説明ですと、IECOKというルートも生かしていくということになるわけですか。IECOKによるルートも今後かなり重視してやるというふうにお答えになったわけですか。
  90. 御巫清尚

    ○御巫政府委員 ちょっとことばが不足して申しわけございませんが、IECOKの会議には従来とも、韓国側からは経済企画院総裁、現副総理が出席されて、韓国の経済情勢等について説明をされるのが慣例でございますので、そこで述べられます韓国側の経済情勢の説明、またそれに対する世銀の調査団の報告等は重視してきておったわけでございまして、その点につきましては今後も変わらないということでございます。
  91. 河上民雄

    ○河上委員 朝鮮問題につきましてはまた日をあらためて御質問したいと思いますけれども、いまちょっと新聞でそういう報道が幾つか流れておりましたので、確かめたくて御質問したわけです。  最後になりますけれども、四月五日からいよいよ国連資源特別総会が開かれるわけです。これに出席するわがほう代表の人選は、先ほどの外務大臣の御答弁で、水田三喜男氏というふうにおっしゃったように聞いたのでございますけれども、それはもう確定したわけでございますか。
  92. 大平正芳

    大平国務大臣 明日の閣議できめていただきたいと思っております。
  93. 河上民雄

    ○河上委員 先般石油消費国会議がアメリカが主唱いたしまして開かれたときには、日本代表として大平外務大臣、森山科学技術庁長官という現職の閣僚が二人出席をされたのであります。今回アルジェリアが主唱して、開発途上国一つのアスピレーションといいますか願いを込めたこの国連資源特別総会には水田さん——水田さんが小ものであるという意味では毛頭ないので、非常な経歴のある方でありますけれども、少なくとも現職の閣僚ではないわけでございます。そうすると、現職の閣僚を送らないというふうになるわけですけれども、そういうことが外交的にどういうふうに受け取られるかという配慮は、外務大臣としてはおとりにならなかったのかどうか。いやそれは他意がないのだ、私たちは別に軽視するつもりはなかったとおっしゃいましても、やはり石油消費国会議、アメリカの主唱する先進諸国だけの会議には現職の大臣を送る、しかし開発途上国が中心になり開かれる国連特別総会には現職の大臣を送らないというのはどういうわけであるか、また、そのことがどういうふうに受け取られるか、大平外務大臣はどういうふうにお考えになりますか。
  94. 大平正芳

    大平国務大臣 仰せのように、当然現職の担当大臣が出席すべきものと私は思います。したがいまして、私または三木副総理の出席を真剣に考えまして、日程をいろいろ詰めてみたわけでございますけれども、ちょうどその時期が国会審議の山にかかっておりまして、三木さんも私もどうしても出られない状況でございましたので、水田さんをわずらわすことにいたしたわけでございます。当然、仰せのように現職の閣僚が出るべきものと私は思っております。
  95. 河上民雄

    ○河上委員 まあ、国会開会中の国務大臣の海外派遣が困難だということも一つ理由になるかと思いますけれども、しかしやはり主唱国アルジェリアはもとより、開発途上国には、日本国連中心主義といっているけれども国連のワク外の会合には大臣が出る、しかしこちらのほうには出ないというように受け取られても、これは弁護の余地がないのではないかというように私は思うし、またそのことを非常におそれるのであります。まあ、非常に緊急のことではございますけれども、田中総理大臣も明日外国へ行かれるわけでございます。そういうことを考えますれば、いろいろな問題がありましょうけれども、このことが将来日本立場を非常に悪くすることも十分考えられるということは私は強く警告をしておきたいと思うのです。  これがもし、石油の問題が一応ちょっと峠を越したというようなことからそういうような判断をしたとか、あるいは開発途上国が中心だからというようなことでこういうような——苦慮の末ではありましょうけれども、そういうことになったということになりますると非常にまずいことになるのじゃないかと私は思うのでありまして、特別総会の意義が重大であるだけに、今回の決定は非常に残念なことだと私は考えております。まあ、大臣からできればそうしたかったというプロセスのお話もありましたので、私はこの点だけを強く申しまして、きょうの質問を終わりたいと思います。
  96. 木村俊夫

    木村委員長 津金佑近君。
  97. 津金佑近

    ○津金委員 私は時間の制約もありますので、主としてチリをめぐる問題について若干お尋ねいたしたいというふうに思います。  まず第一に、政府は昨年十月二日、すなわち九月十一日に例のチリの事件が起こりましてからわずか半月後の閣議におきまして、ピノチェット政権を承認するという処置をとられておるわけでありますが、どのような理由によってこうした処置をとられたか、この点についてお伺いをいたしたいと思います。
  98. 伊達邦美

    ○伊達説明員 お答えいたします。  ただいま御指摘の点でございますが、新政府から、従来の友好関係維持したいという申し入れば、先生がいまおっしゃいました時点の直後にあったわけでございます。したがいまして、新政権を承認いたします際の要件といたしまして国際的にも通っておりますのは、その政権が全土を有効、実効的に支配しているかどうか、そしてまたその安定度はどうであるかということが、主たる要素でございます。したがいまして、その点につきましては、きわめて慎重に手段を尽くしまして経緯を見たわけでございます。  いまのお話では、比較的早い時期に承認に踏み切ったのではないかという御指摘でございますけれども、その点は私どもといたしましては、特に年来の友好関係のございますチリではございますけれども、なおそういったことを考慮いたしまして、各国の出方等もあわせ見ながら、いろいろな情報を集めておりましたので、他の場合に比しまして、むしろおそきに失するのではないかということを憂えた時期もあったのでございます。御参考までかと思いますけれども、私ども承認いたしました時期には、多くの国々、特に主要国は、何らかの措置をもうとっておった段階でございます。
  99. 津金佑近

    ○津金委員 外務大臣にお伺いをいたしますが、御承知のように、一九七〇年十一月にアジェンデ氏を首班とする政府が選挙を通じて適法的に成立したことは御承知のとおりでありますが、それが昨年九月十一日のああいうクーデターという事態を通じて倒され、ピノチェット政府が樹立したわけでありますけれども、その後ピノチェット政府が発足してから約六カ月たっておるわけであります。その間の成立の経過及びその後の事態を見て、政府としては、このピノチェット政府を民主主義的な政府というふうに見ておられるのかどうか、その基本的な認識について、お伺いをいたしたいと思います。
  100. 伊達邦美

    ○伊達説明員 政府といたしましては、民主的な政権というふうに見ております。ちなみに、ただいま南米諸国の大多数の国が類似のごとき政権交代の方式によりまして、その後も維持されております、申さば軍事政権ということでございまして、ことさらチリの軍事政権というものにつきまして、別格に考える要素はないというふうに思っております。
  101. 津金佑近

    ○津金委員 いまの点は大事な点でありますから、大臣、いまの答弁政府としての基本的な考え方はよろしゅうございますね。
  102. 大平正芳

    大平国務大臣 政府が他の独立国の政権が民主的であるかどうかなんということを批判、評価するというのは、私いかがかと思うのであります。学者でございましたら、いろいろ論評を加える自由を持っておりますけれども、私の立場で、そういう判定を下すなんということは、たいへん非礼だと思いますので、ごめんこうむりたいと思います。
  103. 津金佑近

    ○津金委員 いまの大臣答弁は、ちょっとおかしいと思うのですね。このことはかつて衆議院本会議において、金大中事件に関して、米原議員が現在の韓国朴政権の問題をめぐって同趣旨質問をしたときに、田中総理ははっきり民主的な政府であるというふうな、かなりはっきりした答弁をされているように思いますが、政府は、こういう問題に対する判断のお考えをその後変えたということになるわけですか。
  104. 大平正芳

    大平国務大臣 田中さんはたしか、民主主義に向かって進んでいるというか、民主主義を希求しておるというか、そういう意味の政権であると自分は思うということを答えたと思うのでありますが、したがいまして私はそういうことはなるべく言わぬことにいたしております。
  105. 津金佑近

    ○津金委員 まことに奇妙な答弁だと思うわけでありますが、念のためにお伺いしておきますが、それではアジェンデ政権は民主的な政府というふうに考えておられたかどうか。
  106. 伊達邦美

    ○伊達説明員 これは先生のほうが非常によく御存じのように、初めて社会主義政権で民主的なルールに基づきまして樹立されました政権でございまして、当時先生方のほうのおことばでも、輝く星であるということで非常にたたえられておられる政権だというふうに思います。  それから、先ほどちょっとことばが足りませんでしたけれども、軍事評議会の今回の政権が民主的であるかということは、大臣の御答弁のとおりだと思いますけれども、私どものほうでもずっとその後閣僚その他いわゆるファンクション、機能等を見ておりましても、他とそれほど変わることはないというふうに了解しておるという意味でございます。
  107. 津金佑近

    ○津金委員 このピノチェット政権が発足いたしましてから六カ月間、チリにおいてはたいへんいろいろな問題が起こっておるわけであります。先ほど政府側答弁の中で、十月二日に閣議で承認をする間、いろいろ慎重に調べた、その上での判断である、ですから決して早過ぎるということはないと思うという意味答弁があったと思いますが、その後、私は現在の認識、その時点の認識とあわせて、現時点での認識もあわせてお聞きしているわけでありますが、その後六カ月間にチリの中で起こっているいろいろなできごと、こういうものを十分調査し、そういう事実の正確な判断に立って先ほどのような答弁をされた、こういうふうに伺ってよろしいですか。
  108. 伊達邦美

    ○伊達説明員 そのとおりでございます。
  109. 津金佑近

    ○津金委員 私たちがいろいろ調査をいたしましたところでは、このピノチェット政権が樹立されましてから六カ月間に、私はきわめて重大な事態がチリの中で進んでいるというふうに思います。あなたのおっしゃるように政治的な評価、これはいろいろの意見があり得るというふうに思いますが、しかし現実にチリにおきましてはきわめて非人道的なさまざまな事態が起こっておるということはきわめて明白なところであり、またこれが大きな国際的な問題になっているということも御承知のところだと思うのです。  たとえばクーデターが起こりましてから約二カ月半後に帰任をいたしましたスウェーデンのチリ駐在大使が、その九月十一日以降の二カ月半の間にチリで起こった問題について報告をしております。たとえば約三万五千の人たちが逮捕され、そのうち約一万五千の人たちが殺されておる、あるいは七千人が投獄をされておる、こういうことを二カ月半後の事態の中でスウェーデンの駐チリ大使がはっきり報告をしております。そしてまた、今日の時点までにさらにそうした状況が拡大をされまして、虐殺をされた人間は約八万人に及ぶ、こういうこともいわれております。また、現在一万五千に達する人々が投獄をされ、きわめて非人道的な取り扱いを受けておる。この点は、いま大きな国際世論にもなっておるわけであります。  たとえばあなたも御承知だと思いますが、チリの南端にあり南極に近いドーソン島の強制収容所の中には、かつてのチリ人民連合政府の閣僚であったアルメイダ外相、さらにはガルマルトリー蔵相など、こうした政府の閣僚、あるいは元工業大学の学長、それから共産党コルバラン書記長、こうしたかつての政府与党の人々が約二百名、すなわち、民主的政府とあなたが認めておられたアジェンデ政権のこうした閣僚の人たちが、こうした中できわめて非人道的な扱いを受け、生命の危険の不安にさらされておるということが広く訴えられているわけであります。また、四月の二日からは秘密軍事裁判が行なわれまして、そして約六十人のかつての高級軍人が九月十一日のクーデターに参加を拒んだという理由だけでこの裁判にかけられ、死刑または無期の極刑が科せられるのではなかろうかということが非常に憂えられているわけであります。  こういう事態、時間がありませんから私はもうこのくらいにとめますが、こうした問題は枚挙にいとまがないくらいいろいろな事態が報道をされておるわけであります。こういう事態というものを踏まえた上でも、民主的政府というふうに考えられるのか、また、大臣はそういうことをごかんべん願いたいという意味でありますか、こういう事態に対して、やはり政府としてどういう認識を持たれるのか、これは非常に重要な問題なので、この際お伺いしておきたいと思います。
  110. 伊達邦美

    ○伊達説明員 ただいまおっしゃいましたような数々の具体的な事実と申しますか情報と申しますか、そういうものにつきましては私どももいろいろなソースから持っております数字等はございます。いろいろ多岐にわたっておりますのですけれども、私どもとして申し上げられますことは、チリの現在の政権が人権侵害を侵しているというような一部の国際世論があるということは事実かと存じますけれども、それを十分立証するに足るような証拠と申しますか、それから一般的に確認されている事態というようなことを考えますと、まだ私どもの手元で十分それをきわめるような資料を持ち合わせておりません。  いずれにいたしましても、このような問題につきまして、特にただいま御指摘になりましたような問題につきましては、第一義的にはその当該国の主として国内事情でございますので、現在の段階の程度では、私どもとかくの批評とか論評ということは差し控えたいというふうに考えております。
  111. 津金佑近

    ○津金委員 一般論としてその国の政治形態それから政治の方向がどのような方向に向かって進むかということは、その国の主権者である人民がきめるべきことでありその意味においては、一般的には国内問題でありますが、しかし、私がここで指摘しているのは、むしろそういう人道的上の立場からやはりこれは黙視できない重大な事態ではないかということを提起しているわけであります。  御承知のように、政府も大いに強調されております一九四八年に制定されたいわゆる世界人権宣言の中におきましても、私がここで一々長々と読み上げる必要はないと思いますが、その第五条においても、こうした残虐な非人道的な行為をしてはならないということがうたわれておりますし、またこういうふうな状態がないよう、国連と協力してこうした事態を達成するのに努力することを加盟国はその前文において誓約している、こういうことがありますね。  こういう事態に立ったときに、やはり当然私は政府としては、いまの答弁ではある程度情報は収集されておるようなお話でありましたが、こうした問題に関してはしかるべく的確に情報を収集し、世界人権宣言の精神に基づいて、そういう人道的な立場からもこうした残虐な行為の中止、こうした一連の処置を政府として強くやはり要求すべきである、訴えるべきである、こういうふうに私は考えるわけでありますが、この点について外務大臣のお考えをお伺いしたい。
  112. 大平正芳

    大平国務大臣 一般に政権の承認という問題は、その政権を政治的にまたは道義的に支持を与えるという意味では決してないわけでございまして、そういうことを直ちに意味しないので、有効な支配を及ぼしているかどうか、それが安定しているかどうかという点を見定めてやることでございまして、したがって、チリにおきましても、チリの政情に対しましてあきたらない気持ちを持っておられる北欧諸国にいたしましてもオランダに  いたしましてもメキシコにいたしましても、いち早く承認はいたしておるわけでございます。そういう意味で、わが国も同政権を承認いたしたことは御了承いただきたいと思います。  それから、人権の尊重の問題につきましては、仰せのとおり、わが国といたしましても、チリにおきまして人権の尊重がゆるがせにならぬように実践されますことを心から願っております。
  113. 津金佑近

    ○津金委員 あのような形で新しい政権ができたことについて御了承願いたいと言われましたが、これは簡単に了承するわけにいかぬ問題でありますが、それは一応さておいて、いま私が申し上げたのは、むしろ世界人権宣言の精神からする人道的な問題から、こうした非人道的行為の中止をはっきり政府として国連その他、あるいはピノチェット政権に対して要求する用意があるかということを聞いたわけですが、いま最後の大臣答弁はそこがちょっとはっきりしない。政府としてそういうことをきちっと人道的立場から、そういう残虐的行為の中止を要求されるおつもりだというふうに承ってよろしいですか。
  114. 大平正芳

    大平国務大臣 それは第一義的にはその国の政権が考えるべき問題でございまして、その国民の支持を得まして、人権の尊重が実践されることを期待するわけでございます。私ども注意深くそれをウォッチしていきたいと考えておりまして、いま日本が差し出がましく中止を勧告するというようなところまでは考えておりません。
  115. 津金佑近

    ○津金委員 そういう処置は政府としては現在とらない、こういうことだそうでありますが、時間の点もありますので、私、次の問題に移りたいと思います。  次の問題は、パリの債権国会議の借款緩和の問題でありますが、これについては経過は省略します。政府もこれを承認される立場で処置をとられておるわけでありますが、こういう処置をとられるという問題について、現在のチリ政府から何か具体的な要請があったのですか。こういう会議が開かれ、そういう処置がとられたということについて、こういう処置をとってくれというふうなピノチェット政権からの要請というようなものがあったわけですか。
  116. 伊達邦美

    ○伊達説明員 こういう措置とおっしゃる点がちょっとはっきりいたさないのでございますけれども政府がこの会議に臨みます基本的な立場というものは、御承知のように、これはアジェンデ政権時代を含めまして二回目の債権繰り延べ会議でございます。前政権の時代に臨みました私どもの基本的な立場というものと今回とはちっとも変わっておりません。したがいまして、政権の性格いかん、交代ということは、私どもがこの会議に臨みまして、かつ大多数の国と同じ形で今回の合意に達しました点につきましては、何ら新しい政権から申し入れを受けたとか、そういう影響はございません。
  117. 津金佑近

    ○津金委員 そこで、これに関してもう一つ伺いをしておきたいと思いますが、この債権国会議で、ピノチェット政権に対する総計四十数億の借款の返済緩和という方向が出されたわけですが、この方向がとられることによって、現実に日本の場合どういう具体的な結果になるのか、当然いつまでに返済さるべきものがどの期間延期されることになるのか、その具体的な中身について、ちょっとお答えをいただきたいと思います。
  118. 伊達邦美

    ○伊達説明員 今回の合意に達しました内容につきましては御承知のようでございますから、その点を詳しく申し上げませんけれども、一九七三年及び七四年、したがいまして本年一ぱいまでに弁済期が参ります債務総額のうちの八〇%を一九七七年から十四回の半年賦によりまして償還する、それから残りの二〇%につきましては、本年を含みます両三年、七四年、七五年及び七六年に分割払いをするという大筋を合意されたものというふうに了解いたしております。
  119. 津金佑近

    ○津金委員 このパリの会議におきましても、先ほど来申し上げているような今回のチリ政権の誕生の歴史的な経過、それからまた今日、その後チリにおいて起こっておるこうした非人道的なさまざまな事実から、こうした処置をとるべきでないという意見もあり、必ずしも全体が完全な意思の一致をはかられた会議ではなかったというふうにわれわれは聞いておるわけでありますが、やはり私どもは、さっきも申しましたような事態、そしてまた今日わが国において国民生活がきわめて重大な状況になり、政府も総需要抑制政策によって国民の忍耐を要求されておるというふうな事態の中から、私どもはやはりこういう処置はこの際やめる、こういうふうに思い切って進めるべきではなかろうかというふうに考えますが、この点については大臣どう考えられるか、お答えを願いたい。
  120. 大平正芳

    大平国務大臣 一つの御意見であるとは思いますけれども、先ほど政府委員からもお話申し上げましたように、わが国といたしましては、チリのためにも、また債権国のためにも、政治問題にとらわれないで純経済的な立場から債権を確保してまいるということを考えることが実際的であり、建設的であると考えておるわけでございます。せっかくの御意見でございますけれども、ただいまわれわれがとっておる方針を変更するつもりはありません。
  121. 津金佑近

    ○津金委員 いまの大臣答弁については、たいへん不満であるということをはっきり申し述べておきたいというふうに思います。時間の点がありますので、先に進みたいと思います。  私、いまチリの問題に関してもう一つここで伺っておきたい問題は、かって一九七二年国会から列国議会同盟参加の七名からなる国会議員の代表団が、チリを短時間でありましたけれども通過したことがあります。そのときの状況について、その国会代表団の一員でありました民社党の塚本書記長が、「アジェンデ社共連合政権の行状とその末路」というパンフレットを出しておられるわけであります。この中身につきましては、われわれと塚本さんとは、御承知のように政治的立場を異にいたしますから、この中身についてわれわれはもちろんこれに同意するものではありません。ただ、この中に、われわれとして黙視することのできない問題が触れられてあるわけであります。  それは、この一九七二年はアジェンデ政権の時代だったわけでありますけれども、この代表団がみやげものの銅細工を買うために、大使館員に通訳を頼んだ。ところが、「彼が言うには、ドルで品物を買うより、現地通貨で買いなさいと注意し、明朝現地通貨を持参してもらうことを約し、三人の代議士が合せて三百ドルを渡した。」こう書いてあります。「明くる朝小さなダンボールに一杯のお札を持って大使館員がホテルにやってきた。闇でドルの取引をすれば、現地公定レートの五倍になることを知らされた。その金で三人の代議士が一軒の売店の大半を買い占め、トランクに詰めきらず、残りを船便で日本に送った。」という文章がここにあるわけであります。  私は、一党の書記長がはっきり署名して出された本でありますから、この事実関係については偽りはないというふうに考えるわけでありますけれども、この塚本さんの報告によれば、大使館員がいわゆるやみドル買いを行なって、これに結果的に国会代表も同調する形になって、いま申し上げたような事態が起こった、こういうふうに判断されるわけでありますが、こういうことが事実であるとすれば、しかもアジェンデ政権のもとでこういった事実が行なわれておったということは、私は黙視することのできない問題だというふうに考えるわけであります。  こういう事実というものは外務省としては承知をされておるのか、それともどうした事実というものはほかのところでもこういったことが行なわれておるのか、私はやはり大使館のあり方としてかなり重要な問題が含まれているというふうに思うのでありますが、この点について御意見を賜わりたいと思います。
  122. 伊達邦美

    ○伊達説明員 実は、申しわけないのでございますけれども、ただいまのようなことがあったということを承知しておりません。いまのそのパンフレットの内容につきましては承知しておりません。
  123. 津金佑近

    ○津金委員 このパンフレットは、昭和四十九年二月二十五日に発行されているパンフレットでありますが、念のためにお伺いしておきますが、この当時、一九七二年の秋でありますが、大使はどなたでございましたか。
  124. 伊達邦美

    ○伊達説明員 佐藤大使であったと存じます。
  125. 津金佑近

    ○津金委員 先般、歌手の結婚式に出席したということで、だいぶいろいろ世論の批判を浴びた大使がおられたようでありますが、これも軽率のそしりを免れないことは当然でありますが、問題の中身としては、このパンフで指摘されている事実は、政治的に見てもまた道義的に見ても、私は非常に重大な問題が含まれておるというふうに考えるわけであります。こういうことを全く知らない、しかもやはり一党の書記長がこういうパンフに書いて、すでに一カ月以上も前に出しておるにもかかわらず全くそういうことを知らない、私は非常に遺憾であるというふうに考えるわけであります。  私は、先ほど申しましたような理由から、事実関係としてはこれは決して偽りでないというふうに考えるわけでありますが、こうした最近の外務省の出先における問題ですね、安川大使の問題もそうですが、こうした事態について外務省が全く知らない、問題が起こってからいろいろ手を打たれる、こういうことについて大臣としてはどういうふうに処置をこれからされていこうと考えておられるか、お伺いしておきたいと思います。
  126. 大平正芳

    大平国務大臣 その国々の主権は尊重されねばならず、したがってその国の法律は守られなければならないわけでありまして、在留邦人であろうと大使館員であろうとツーリストであろうと、日本人といたしましては現地における秩序は守っていただきたいものと思います。それが日本に対する国際信用の非常に大事な基礎だと思うわけでございます。正規の取引でなくて、何か違法な取引があり、そこに大使館員が介在しておるというようなことになりますと、これはたいへん残念な事件でございまして、よく事実関係を念のために調査させていただきたいと思うのであります。  一般に、国がたくさんありまするし、また外交事務の分量が多くなるし、情報も多くなるし、人の行き来も非常にひんぱんになってまいりまして、私どもよほど注意をいたしておるつもりでございますけれども、間々落ち度が指摘されるようなことになりまして、たいへん残念に思っておるわけでございます。注意の上にも注意を加えまして、そういうことのないように心がけていかなければならぬと思います。しかし、その間におきまして第三者から指摘されるというようなことがございますならば、それはよく取り調べまして、適正に処理してまいるべきものと私は考えております。
  127. 津金佑近

    ○津金委員 私の時間が大体参ったようでありますからこれで終わりますが、いま大臣はこういう問題を調査し、適切な処置をとるというふうに言われましたが、私はやはり日本の外交の権威を高めるという意味からも、こうした問題は決してあいまいにさるべきではないというふうに考えるわけであります。あなたがいまおっしゃったように、この間の事情を調べ、そしてこれが事実であるならば、やはり適切な処置をとられることを重ねて要望をして、私の質問を終わりたい、こういうふうに思います。
  128. 木村俊夫

    木村委員長 渡部一郎君。
  129. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 私はまず、一九七四年度サケマス漁業交渉の、現在行なわれている交渉の進行中、またしても電報を打ちそこなったというのか間違ったというのか、ソビエト側の提案を本庁が受け取る際誤って受け取り、それを公表された件につきお伺いをしたいと存じます。  この件につき、まず総括的な御説明を求めます。
  130. 鹿取泰衛

    ○鹿取政府委員 渡部委員から御指摘のありました問題について御説明申し上げます。  現在モスクワで行なわれております日ソ漁業交渉のソ連原案につきまして、出先の藤田代表より電報が入ったわけでございますけれども、その電報でソ連案の示した区域を、図柄ではなく、電報のことでございますので文字で表現してあったわけでございます。その文字を図に解釈いたします際に、水産庁のほうでソ連案と違うように解釈いたしまして、三十一日の発表がそうなったわけでございますけれども、ソ連提案の図そのものも入りまして、それを一日に水産庁であらためて発表し直したというのが事実でございます。
  131. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 それは、まずお伺いしますが、どなたとどなたが交渉の際、どなたから提示されたものをどなたが間違われたのか、水産庁の責任であるのか、外務省責任であるのか、現地大使館責任であるのか。
  132. 鹿取泰衛

    ○鹿取政府委員 先ほど御説明しました第一回の電報と申しますか、文字できた電報につきましては、これはモスクワの大使館からの電報でございますが、内容的には藤田代表よりという電報でございまして、この内容は、藤田代表を団長といたします水産庁のメンバーで主として構成されております、その代表団からの電報が参ったわけでございます。しかも、その電報には水産庁に御連絡願いたいとありますので、それをそのまま水産庁に連絡したわけでございます。
  133. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 その代表団にはだれとだれがいたのですか。
  134. 大和田渉

    ○大和田政府委員 これは二十九日に行なわれました第五回の本会議でございます。わがほう代表団のおそらく総員が出席したはずでございますが、団長は藤田巌さん、その他水産庁海洋漁業部長、それから大使館の参事官等が参加しておりました。
  135. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 その電報を打たれたグループは、藤田団長、海洋漁業部長、大使館参事官と言われましたが、そうしますと、水産庁と外務省の連合部隊であった、こういうふうにおっしゃって  いるわけですね。
  136. 大和田渉

    ○大和田政府委員 先ほどの官房長も御説明申し上げましたとおり、水産庁及び外務省員が参加した代表団でございます。代表団長である藤田さんからの電報でございます。
  137. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 水産庁の次長が来ておられるはずでありますが、これについてどういう見解ですか。
  138. 安福数夫

    ○安福政府委員 お答えいたします。  この発表につきましては、三月の三十日に発表いたしまして、それから四月一日にそれを訂正いたしたわけでございます。これは御指摘のとおりでございます。この事態は、交渉が継続中でございますので、毎日のようにそういった交渉内容についての連絡が外務省のほうにございます。それを私どもサムアップいたしまして——これは日本側だけでございます。おそらくソ連側は一切発表していないと思いますが、新聞にそれを発表するためにサムアップして発表いたしておりますのが今回のような事態になったわけでございます。ただ、先ほど外務省のほうからも御答弁がございましたように、地図のことを文章で書くということは非常にむずかしいわけでございまして、そういった面で文章にそういった誤解を生ずるような分野が若干あったかと思います。  ただ、私どもそれを受け取りましてサムアップする場合に、さらにこういった事態が起きないように慎重であらねばならない、私こういった感じがいたしております。私どもこれを地図に落とします場合に、参りました文章をそのまま安易に——安易にというと語弊がございますけれども、地図に落としたわけでございまして、その結果がこういう事態になったということについて、こういった電報内容の取り扱いに今後さらに慎重であらねばならない、このように感じております。  ただ、これは交渉最中の問題でございますし、事態の認識につきましては代表団交渉の過程におきまして双方の認識の違いはなかったということでございます。これは下旬に一部資源関係の人が帰ってまいりまして、そこで初めて私どもソ連側のドキュメントを手に入れたわけでございまして、その際に現地の交渉団におきましても、それを地図に落としたメモがございました。あ、こちらの発表は間違っているなという感じをそこで見たわけでございます。そういうふうに、現場での事態の認識については全く間違いなかった。ただ、中間の連絡事項でございますので、そういった面の連絡事項をさらに正確に間違いのないようにやるべきであるというふうに思いますし、受け取った私どももそれを読む場合にさらに慎重でなければならない、このように感じておるわけでございます。
  139. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 ソビエト側の提示された文面でありますが、先ほど私が水産庁からいただいたものでは、「五四度N、一六五度E、四四度N及び禁止区域の東側沿いに北緯四四度の点まで下がった線で囲まれる水域」というのがソビエト側の文章であったと承りました。ところが本庁へ打たれてきた電報は、「五四度N、一六五度E、四四度N及び禁止区域の」ここまでは同じでありましてて、「東側沿いの各線に囲まれる水域」というのが電報で打たれた。  私は、これは地図に落とす場合に間違ったというお話でございましたが、向こう側が提示されたものを本庁へそのまま送らないで、現地の理解を加えてよりわかりやすく送ろうとする御努力があっただろうとは推察ができるのでありますが、先方の述べた文章よりもはるかに荒っぽく、かつわからない形の文章になっておった。これは地図云々の問題ではなくて、ロシア語の理解の不足か翻訳のエラーか読み合わせの不十分か、ごく原始的なエラーがこれにつながっていたと思われるわけであります。  また、地図のエリアが問題になる交渉の際、地図のエリアというものを表示するために、出発以前から地図のエリアに対してナンバーをふり、そうして交渉のつど話し合うぐらいのことは通常でしたら当然行なわれることであって、何もそのときにあわてて回りくどい言い方をしてあらためてその水域を表示し直す必要はないと私は思うのです。しかも外務省は外交交渉のベテランであり、かつ電信課を保有し、官房はそれを統括されているのでありますから、そうした知識力を駆使すれば、もし水産庁職員が幼稚な電文をつくられたとしても、この内容をより的確な数字あるいは記号等により本庁へ打電することは妥当ではなかったかと私は思うわけです。  これはまことに業務の失態を免れない。水産庁のほうは露文に対する理解及び電報のチェックに対していいかげんなることをこれは示しております。また外務省は電信の扱いが、他省庁の電報ならば、うそでもばかでもちょんでも打つというような方式で打たれておることを示しております。そして責任者が不明なことをまたこの事件は示しております。たび重なるエラーが続いているわけでありますが、こうしたことをどうお考えですか。
  140. 鹿取泰衛

    ○鹿取政府委員 いま渡部委員からの御指摘があったわけでございますけれども、この漁業交渉につきましては、代表団を結成いたしまして、その代表団の首席に藤田さんがなられ、代表団からの電報というのを在モスクワの大使館から本省に打電してくるわけでございますが、先ほど申しましたような水域を文字であらわすというのは容易ではないけれども、さらにその文字も不十分ではなかったかという御指摘があったわけでございますけれども、この水域その他につきましては、藤田代表とそれから東京におきます水産庁との間で従来から密接なやりとりもあるわけでございますので、私ども外務省といたしましては、もちろん早く、正確に東京に藤田代表からの伝言を水産庁につなぐ、必要あらば助言をするというふうにつとめている次第でございまして、私どもとしては、こういういま非常に国際問題が多岐にわたり、専門的な事項が多くなり、しかも文字による電信だけでは不十分というような状態でございまするので、できれば文字でないファクシミリというようなもので図そのものも出先と本省との間で交換できるようなそういう改善の案をいま検討中でございまして、そういうことで私どもは今後非常に複雑になる対外交渉国際問題に対処していきたいというふうに考えております。
  141. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 それじゃまず外務省のほうから申し上げますが、鹿取さんはこの問題に対する御反省が先ほどからないのではないでしょうか。これは明らかに外務省の所管される電信課がこの電信を受けられたのであり、交渉団の一員に外務省の公使が加わっておられた。それである以上は、こうした電文に対する扱いはおかしいと私は申し上げているのです。あなたは先ほどから水産庁のほうに責任があるかのごとく言われておりますが、応分の責任外務省としても感ずるべきでないか。私はまずひとつそう申し上げたい。  もう一つは、図形は全然文字であらわせないかのごとくあなたは私に言われますが、それは間違いですね。図形を文字で表示することは幾らでもできる。最初にエリアに対する番号をあらかじめ協定しておけば、どんな地域の問題でも表示することはできるじゃありませんか。アメリカの潜水艦は世界じゅうを走っておりますが、また世界の潜水艦はそうでありますが、ファクシミリなんか持っておる潜水艦はおりやしない。けれども指定水域というものを直ちに理解することができるじゃありませんか。そんな幼稚な状況であったということは、あらかじめ相談が不十分であり、外務省としては本腰を入れてなかった責任を感じなければいかぬと私は申し上げたいのです。私、これ以上がみがみ言う必要もないと思うのですが、外務省としての責任をお感じいただきたい、こう思うのですが、どうですか。
  142. 鹿取泰衛

    ○鹿取政府委員 いま先生の御指摘の点でございますけれども、対外交渉を行ないます場合に、各省と外務省とがよく緊密に連絡をして協力しながらやる、それが非常に肝心でございますので、そういう点で今後各省との協力、各省との間にごうも誤解とか無理解とかいうことのないようにつとめたいと思います。
  143. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 水産庁はどう申しわけないと思っておるのですか。そんなことはしょっちゅう起こることであたりまえだと思っておるのですか。責任をどう感じられたか言ってください。
  144. 安福数夫

    ○安福政府委員 お答えいたします。  先ほども申し上げたわけでございますけれども交渉の最中の経過について毎日のように電報が入ってまいります。したがいまして、たとえばその電報を打つ際にはできるだけ正確に、できるだけ詳細にということが当然だろうと思うのでございますけれども、やはりドキュメントをそのままこちらに送ってくるということは非常に膨大になるという場合もございます。そういった面でそれをある程度簡略化するということはありがちなことでございます。それだけに、それを簡略化する場合に慎重であるべきであるということを先ほど申し上げたわけでございまして、それを受けた私どものほうでも、これは従来と違うという問題がこの際にもあるわけでございますから、それを受けた場合にそれを翻訳するあるいはそれをサムアップする場合にやはりより以上に慎重でなければならない。そういう点で私どもこの事件の処理のしかたについて将来に向かって非常に慎重でなければならない、こういうふうな反省をいたしておる次第でございます。
  145. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 それをぼくにお説教する必要はないでしょう。あなたの責任を聞いているんだよ。
  146. 安福数夫

    ○安福政府委員 それにつきましては、こういった事態が起きたことについての責任は感じております。これを将来に向かってそういう慎重な態度で取り扱うべきだということを重々反省しておる、こういうことでございます。
  147. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 どうもおかしな答弁がさっきから続くんですな。私は何もめんどうなことを言っているわけではない。向こうから大量のドキュメントを打たれたのを全部打てなどと言っているのではない。しかしこれほど重要な部分についてはそのとおり打てばいいじゃないですか。この直された文面だって、字数はほとんど違わないではないですか。要するに誤解に基づいて、サムアップと称して全然別なものに書き直しただけじゃないですか。そしてチェックする人がいなかったのじゃないですか。チェックしていたら、明らかにこんなエラーは見つかるじゃないですか。チェックする人がいなかったという事実、サムアップという作業が全然インチキだったという事実、そうした代表団を国民の代表としていま外国へ送っているということの責任はどうなるのだと私は聞いているのです。  今後直すなんて、そんなことはあたりまえじゃないですか。地図に番号もつげないで飛び出して、向こうから、地図がどこにどうなっているかもわからないでいきなり電報で打つ。こんなみっともない交渉をよくもまあ国民の前にやっておれるものだと思う。外務省は日ソ交渉のとき四十一カ所もエラーをした文書をつくっておいて、なおこりないでこんなだらしのない交渉をソ連とやっているのです。それともソ連との交渉になるとなおかつこういうことばかりが重なるのでしょうか。国民の知りたいのはこれです。外務省は頼むに足らず。それこそまさに国民外交を破壊するものです。民主主義を破壊するものじゃないですか。こんなだらしのないことをやっておいて、だれが一体責任をしょうのですか。  水産庁の長官をさっきから呼び出しているけれども、大体責任者が出てこないじゃないか。水産庁は何を考えているのか。たいした用事でもないのに当委員会を避ける。逃げて歩く。ぐあいが悪いと来ない。説明もしない。出てきたら逆に当委員会委員をお説教しようとする。反省しなければならぬのは自分たちではないか。私は、あまりのことにさっきからあきれ返っているのです。そんな体制ならば、二度行けば二度、三度行けば三度、四度行けば四度、同じ事故が起こるでしょう。責任者がいないんだ、あやまる人がいないんだ。責任者は、国会に呼び出されたら逃げるんだ。  万やむを得ず外務大臣伺いますが、外務大臣、この一通りの事情はおわかりいただいたと思いますが、責任体制を明確にし、今後かかる事件を起こさないためにどういう決意と反省でおられるか、水産庁のほうまで含めまして御答弁をいただきたいと思います。
  148. 大平正芳

    大平国務大臣 事外交交渉責任外務省にあるわけでございます。外務省といたしまして内政各省と緊密な連絡をとってその責任にこたえなければならないと存じます。したがいまして、現地、中央を通ずる緊張した通信連絡にそごのないようにいたすことが第一に必要だと思います。国内各省に転達される文書とわれわれプロパーの文書とに注意の厚薄があってはいけないと思います。その点、十分注意いたさせたいと思います。しかし、冒頭に申しましたように、外交交渉全体は私の責任でございます。代表団全体に対しましてもよく心していただきまして、国民の御期待にこたえなければならぬと存じます。
  149. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 それでは、外務大臣からお話がありましたから、この問題はこれで打ち切りにしたいと存じますが、しっかりしていただきたいというのが国民を代表しての私の気持ちであります。交渉するたびにエラーをする外務省をかかえていていい気のする国民はいない。国民のたよりにしたがっているところからたよれないようなところが出てくるのでは、どうしようもない。これをひとつわかっておいていただきたいと存じます。  次に私は、日中航空交渉がいまや核心に迫りつつある模様でありますが、この航空協定交渉の問題についてお伺いします。  まず、日中航空交渉の際、台湾との日台航空路線維持することが政府側の方針である旨私たちは伺っているのでありますが、すでに明らかにされておりますように、自民党の橋本幹事長は、日台民間航空協定合意しなければ国会批准はできないというような言い方をされておるのに対して、自民党内で鈴木総務会長は、同時調印を必ずしも要しないという旨の御発言をなさっているようでありまして、この二つの自民党内の潮流が今後の日中航空交渉の上で大きな問題になるのではなかろうかと思っております。外務大臣日台路線をどういうふうになさるおつもりでありますか。
  150. 大平正芳

    大平国務大臣 日台間の、かってありました航空に関する交換公文は失効いたしておるわけでございまして、私といたしましては、こういう状態を長く続けておいてはいけないと思いまして、安定した基礎の上で維持いたしたいと考えておりますが、しかしこの維持は、日中間の国交正常化の精神を踏まえて、その土俵の上で維持しなければならぬわけでございまして、したがって、日中間の十分な理解の上でやってまいらなければいけないと考えております。  目下、日中間におきましては政府間の航空協定を結び、日台間におきましては民間航空のお取りきめをお願いいたしまして、これが安定した基礎の上で円滑な航空往来が保障できるような状態を招来いたしたいと考えまして、鋭意努力をいたしておるところでございます。いまの段階は、この両面の努力を積み重ねておる段階でございまして、これがどういう手順になって仕上げができるかということを展望するのは、まだ若干時期が早いと考えておるわけでございまして、全力を本体の交渉に傾倒いたしておるのが、今日の私の立場でございます。
  151. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 運輸省に伺うのでありますが、現在進行中の交渉について、とやかく御説明を求めるわけではありませんが、今後日台民間航空維持する際、どの航空会社にそれを担当させるかにつき、さまざまな思惑が行きこうておるわけでありますが、基本方針はどういう基本方針でおられるのでしょうか。
  152. 間孝

    ○間説明員 日中協定締結されまして、ただいま外務大臣から御答弁にもございましたように、日台間は民間協定によって運営されるということになるわけでございますが、その際に、すでに発表されておりますように、外務、運輸両省案という形で出ておりますように、日台航路には日本航空が就航しないようにするというのが、まず第一の方針でございます。  そこで、そうなりました場合に、現在日本航空が運営しておりますこの路線をどこの企業にやらせるかということが当然問題でございますが、これにつきましては、現在運輸省におきましては、その検討を始めておる段階でございまして、具体的にどういう形で持っていくかという点につきましては、実はまだ結論を得ていないのでございます。ただ、申し上げられますことは、やはりその際に考えるべきことは、まず、何と申しましても航空の安全ということを第一に考えなければならない。それからさらに、こういう路線を長期間にわたりまして安定的に経営する能力というものがやはり要求されるわけでございますので、それらの点を踏まえまして、今後どの企業にこれを運営させるかということを、検討を続けてまいりたい、そういうのが現在の運輸省の立場でございます。
  153. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 わかりました。  それでくどいようでありますが、それは日本航空の子会社あるいはダミーをもってやるという意味ではございませんですね。
  154. 間孝

    ○間説明員 その場合に、実はいろいろな考え方があるわけでございます。現在、御承知のように、定期航空を経営しておりますのは、日本航空と、それから全日空、東亜国内、それと非常に小さい企業でございますが、南西航空というのが沖繩にございます。そういう現在ございます航空会社の中から選びまして、そのうちのどれかにやらせるというのも一つ考え方でございます。  しかし、同時に、新しい会社をつくりまして、これにやらせるということも考え方としては当然あるわけでございます。その新しい会社というものの考え方の中に、俗にダミーと申されておりますけれども日本航空の資本系列に入る、いわば完全に日本航空が支配するような形の企業、そういう企業にこれを引き続いてやらせるという考え方もあるわけでございます。  そういったいろいろな考え方につきまして、総合的に検討しておるというわけでございます。
  155. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 いま、大阪のほうで、この航空協定交渉の際、台湾の飛行機が依然として着陸をするというような形で、六項目のさきの合意とかなり違った形になるのではないかという心配が起きているわけであります。つまり東京は中国民航、それから大阪は中華航空台湾)、こうした形の案文になるのではないかという不安があるわけであります。さきに日中共同声明あるいは大平外務大臣が中国において交渉された当時のその方向でいけば、こうしたことは当然あり得ないことであると思いますが、運輸省としては、どうお考えですか。
  156. 間孝

    ○間説明員 運輸省の、大阪の使用に関します考え方は、先般のその六項目の中に第五項目だと思います、として入っておるわけでございますが、この民間協定締結をいたしまして、以後、台湾航空企業につきましては、つまり中華航空は、大阪から他の空港に移転させるという方針を持っておるわけでございます。
  157. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 また営業所問題がだいぶ難航しているやに伺うわけでありますが、この営業所問題に関しては、営業、地上業務、貨客取り扱い、整備等を他の航空企業に委託されている例というものが当然あるだろう。またそういう例に中華航空はならうべきであると私は思うわけでありますが、その辺の御事情を御説明いただきたい。
  158. 間孝

    ○間説明員 通常定期航空業務におきましては、非常に営業活動が世界の広い分野にわたることが多いものでございますから、そこのあらゆる地点に自分の会社の事務所を持つということは、実際問題といたしましてなかなか困難でございます。そこで、外地におきますところの営業活動あるいは空港におきますところのハンドリング、こういった問題は、その地にありますところの他の企業に委託するという例がきわめて多いわけでございまして、現在日本におきましても、たとえば羽田では現在二十七社の外国航空会社が入っておりますが、その中で全部の業務を自社で経営いたしておりますのは四社だけでございまして、その他の二十三社と申しますのは、その業務のうちのいずれかの部分を、あるいは全部をやっているのもございますが、他の企業、たとえば日本航空あるいは外国の航空会社、そういうところに委託をいたしておるわけでございます。  具体的に名前を二、三あげて申しますと、現在羽田におきましてあらゆる地上業務を、これは営業も含めまして委託をいたしておりますのが、ソ連のアエロフロートでございまして、そのほかに部分的に業務を委託しておりますのは、韓国の大韓航空あるいはスイス航空、ベルギーのサベナ航空、これはほんの一例でございますけれども、それがいずれも日本航空あるいはスカンジナビア航空に委託をしておる、そういう状況でございます。
  159. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 それでは時間が参りましたので、最後に外務大臣にちょっとお伺いするわけでありますが、この日中航空協定交渉締結する問題については、単なる航空路線の問題でなくて、日本の今日まで続けてきた平和外交を追求しようという一つの方向性としては、きわめて重要な観点であろうかと思うわけであります。自民党内の党内事情に対して私たちが言及するのは避けるとしまして、とにもかくにもこの国際的な日本の方向性をうしろ向きにしないよう、すみやかな交渉と妥結を特にお願いしたい。そしてこの交渉について、妙な拙速は当然避けなければならぬ、慎重な配慮は当然必要ではありますけれども、いたずらに遅延することなく現在の国際的な安定状態を確保する方向に向かうべきであって、これをくつがえすような方向でないように、ひとつ万般の御努力をいただきたいと思うわけでありますが、いかがですか。
  160. 大平正芳

    大平国務大臣 仰せのように、これは一実務協定締結という技術的側面を持つばかりでなく、日中関係の象徴的な案件でもございますばかりでなく、御指摘のようにわが国の外交を展開するにあたりまして重要な仕事の一つであると心得ておるわけでございまして、私どもできるだけ早くしかも滞りなく仕事を進めまして、できるだけ早く国会の御審議を仰ぐ運びにいたしたいという決意をもちまして、せっかく努力をいたしております。
  161. 木村俊夫

    木村委員長 次回は、明五日金曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後六時二十五分散会