○渡部(一)
委員 政治家同士ですから、私も率直に言わしていただくのですが、国と国との間の援助とか
協力とか侵略とか、それは両方の意思の合致によってやるというのが最近のスタイルなんですよ。あなた御存じかどうか知らないけれども、私、あんまりあほみたいな
議論が続いたからちょっとだけ小言を言うておきますが、ソ連
政府がチェコスロバキアに侵入したときも、両国
政府の意思の合致によってソ連
政府は軍隊出して占領したのです。自由をあのように奪った時代にも、両国
政府は意思が合致したのです。何も反発したんじゃないのです、チェコスロバキア
政府というのは。またユーゴ
政府もそうだ。
日本が満州国を中国につくったときだって、あれは両国の意思の合致によって行なわれたのです。
そういうのは古いテクニックであり、古い表現だと私は思うのです。そんなことは、当
委員会によって私は言われる筋はないと思う。そんな
議論するのだったら、日米安保を結んだのも両方の意思の合致でしょうし、あらゆる
日本の不平等
条約は意思の合致によってつくられたのです。したがって私は、そういう
議論ではこの問題は解決せぬと思うのです。
それから、自由なる
企業の発展というものは、世界の繁栄につながる旨おっしゃいましたけれども、それは古い古い
議論なんですね。それはもう一世紀前の
議論なんです。初期資本主義の時代の
議論ですね。いまは、自由なる
企業の発展というのは世界に繁栄をもたらすのじゃなくて、世界に災厄をもたらすことが公害の面でいわれ、資源の面でいわれ、いま多
国籍企業は、世界において国家
関係を上回る強大な存在として登場したことが、国連において問題にされているわけですね。
その辺は私は、賢明にわかっていただかなければいかぬと思うのです。また、ベストでなければ何にもしないというのじゃなくて、プラクチカルにやるべきだとおっしゃいまして、それは先生の御持論であることには私は敬意を表して別に申し上げませんけれども、これはベストでないのだ。ベターですらないのだ。むしろこれは、見のがしの三振とでもいうべきものですよ。そして、世界的な
企業の高度
脱税行為を黙認するところの
条約じゃありませんか。
さっき担当される方が、これが必ずしも適当でない旨を御自分で認められて、検討の余地があるとまで言われている。もう官僚の
答弁としては、あれが最高の
答弁と思われるくらいまで言われ、世界
企業の
脱税問題については、これは問題があるとおっしゃったじゃないですか。私は、だからさっきから、反発を買わないようにゆっくり
議論してきました。私の論拠は、ことごとく評価されているじゃありませんか。何でこの
条約を通そうとなさるのか、別の意味づけが私は必要だろうと、きょう申し上げておるのです。これ以上
議論しても、またそちらが恥かくだけではなかろうかと私は思うのです、ここまで
議論をしちゃったら。この
条約を通さなければならぬという、もうちょっと積極的な理由がなければいけない。私はその点、非常に遺憾としているのです。ですから、私は、この問題については、別の回答をこの次に用意されることを望みます。そしてもう少し的確に
議論していただきたい。
議論される方がまずかったなら、もう少し責任者に来ていただいて、
議論したい。
私、もう
一つ議論しておきたいのです。それは私がいま非常に心配していることが
一つあります。それは世界
企業というのは、いま世界に進出していますが、それが相手国において内政干渉を起こすという
実例が非常に多いと存じます。その内政干渉を起こす事実に対して、
日本から出かけた
海外子会社が本国に対して
保護を求めるということは、今後起こり得ることであろうと存じます。
それはなぜかといえば、社員が内乱に巻き込まれていなくなったとか、新聞記者がいなくなったとか、すでにそういう
ケースがあり、そういう商社
活動であるとかあるいはマスコミ
活動等通して、その国に逮捕されたり拘禁されたような場合、本
委員会としてもそれに対する態度を表明されたことさえあります。ところが、先発多
国籍企業の本社保有国においてはこれが高じて、名前をあげるのはぐあいが悪いかもしれませんけれども、ラテンアメリカにおけるユナイテッド・フルーツ社のごとく、その政治的な影響力がラテン諸国の大きな怨嗟の的になった例もあります。
わが国政府としては、こういうような多
国籍企業、まさに
日本型の小型の多
国籍企業を、いまや守る立場にいらっしゃるかのごとく私には見えるわけであります。それがそのとおりかどうかは、これから聞いてみなきゃわかりません。また、責任者の方に来でいただいて聞かなければわかりませんが、その場合、少なくとも現在
日本が保有している多
国籍企業がある以上、そういう場合に内政干渉をしないということを鮮明にするべきではなかろうかというのが私の提案なんです。これは内政干渉いたしませんという公式的な意思表示がなければ、
日本の
企業の進出は、次に銃剣をもってするところの軍事支配につながるだろうという恐怖は、世界には絶えることがなかろうと思います。
日本国憲法があるから
日本は攻めないのだというだけではならないだろうと私は思うのですね。
私は
一つ、提案しておきたいのですが、これは
海外子会社が本国に対して
保護を求めないことを保障するカルボー
原則とかいうのだそうでありますが、そういう
原則が国際間にはあるそうであります。そういう
原則を保持する旨、私は外務大臣なりあるいは中曽根さんなりあるいは防衛庁長官なり総理なりが意思を鮮明にされるべきだと思いますが、どうでしょうか。これは
一つの提案であります。
また、私は次にもう
一つ提案申し上げておきたい。きょういろいろな
議論をしましたけれども、もう
一つは、国連の先ほどの社会経済
理事会において
議論されたたくさんの
議論があるわけであります。その
議論については、私はその
原則というものをよく踏んまえた上、わが
日本政府はそういう問題に対していかに考えるべきかという基本的な立場を、早く当
委員会において表明されることが妥当ではないかと私は思います。これが私の第二の提案です。
委員長、この点は
資料の要求もお願いしてありますから、ひとつよろしくお願いしたいんですが、これはひとつ当
委員会においてそういう問題に対してどう考えるか、意思表明していただかなければならぬと思うのです。そうでないと、これだけ多
国籍企業を黙認した形の
わが国政府のやり方というものは、やがて国際的な問題になろうかと思うわけであります。
第三にもう
一つ。いままで
租税条約は二十六結んでおります。いま二つ結ぼうとしております。
租税条約を二十六結んでいる中で、
租税回避が発生しやすい多
国籍企業に対して、三つの制約を設けてあると先ほど述べられました。私は現場の方々から、これがあまりきき目がない旨伺いましたが、これについては私の
情報は正確ではありません。これらの
条項が
租税回避を引き起こさないためのさまざまの手というものですね、
条約上に盛り込まれている手というものは、いままでどういうふうに動作してきたかということを私は知りたいと思います。それはいままでの既存の二十六カ国の
関係において述べていただければ十分ではないかと存じます。
したがって、これを
大蔵省当局からこの次に表明をしていただきたい。
資料として出してくだすってもけっこうでありますが そうしていただきたいと思うのですが、いかがでございましょうか。