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山田(久)
政府委員 先ほ
どもちょっと触れましたけれ
ども、結局この
条約締結の
目的というところに、同時に裏返せばそこにメリットがあるということになろうかと思います。昨今国際的な
経済の
交流、そしてまた
人的交流というものも非常に増加してまいっておることは御
承知のとおりであります。したがいまして、こういうような
状況におきましてこの二重
課税というものが起こってくる、そういう客観
情勢でございまして、したがいまして、この二重
課税ということによって円滑な国際的な
交流を阻害することにならないようにということから、この二重
課税を
防止する、そしてまた一方においては万一生じたような場合にこれを救済する、そういう仕組みをつくっておる。これによって事実いろいろな
経済交流についての障害が除去されるという結果になっておるわけでございまして、これが一つのこの問題を考えていく、これがっくり上げられていくメリットと申し上げて差しつかえないかと思います。
もう一つは、御
承知のように、先進国それからまた
発展途上国というこのお互いの南北問題という形においての
交流または相互協力という
関係が進んでおりますし、またこれは進めていかなければならないところでございますけれ
ども、この面から考えて、やはり
経済協力というものを容易ならしめるということのためには、
発展途上国のほうとしてもいろいろ便宜を考えていってやらなければいかぬ。しかしながら、それにはやはり
経済協力を行なう側のほうにおいてそれに対応した考慮がないと、片一方のほうで非常に税の減免が行なわれていてもその本店のほうで全部取られるというようなことになったのではその
趣旨に反するということでございまして、そういう
意味での仕組みができ上がるということによって、この面におけるほんとうの
意味の
経済協力促進という、そういう結果というものを確保することができる、これも一つのメリットであろうと思います。
と同時に、これらの諸国では、いろいろ技術水準を高めるという
意味で、教授であるとかあるいは研修生を派遣する、いろいろそういう人的
関係の
交流も必要とされているわけでございますけれ
ども、同じような
趣旨から
租税の免除というようなことを考えて、そしてその協力というものに少しでも寄与するというような点もそういう
意味でのこれのメリットということになろうかと思います。
と同時に、先ほど多
国籍企業ということが問題になりましたけれ
ども、これに限らず、今日のように非常に
関係が密接になってまいりますと、それぞれの国の
事情でやはり
租税関係の違い、こういうことについてのいろいろな
情報をよく得るということによって、それぞれが
課税というものの能率化をはかっていく、適正化をはかっていくということにもなりますし、他面これが一方においては
脱税防止というようなことに寄与する結果にもなる。今日の
条約そのものがそういうような
意味において万全かどうかという点についてはなお検討の余地があろうかと思いますけれ
ども、また一方においてはこの仕組みによっていろいろな
情報をキャッチして、そういう
脱税を捕捉するというような結果にも事実なっているような実情でございまして、以上のような点がこれからくるメリットか、こう考えます。