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森山国務大臣 分析がいたずらに低
レベルを誇るというようなことは、本来の所期するゆえんではないではないかという
お話でございますが、私もまさにそのように思います。そして
分析の
専門家に聞きますと、表には出ないけれども、非常に誤差があるんだそうですね。出てきた結論に対して、プラスマイナス幾らというような誤差がございますので、そういう
分析の
成果からいたしまして、もう少し妥当な
分析レベルを考えてやっていく必要があろうというふうに考えます。
私は、この機会に内海
先生に申し上げたいのですが、最初に敦賀発電所の問題にちょっとお触れになりましたね。これは
原子力軍艦の問題、コバルトの問題で
お話になられたのだと思いますが、これは私もちょっと調べてきました。
敦賀発電所のある浦底湾において、指標
生物としての海藻類に、他の地区より高いコバルト60の濃度が以前から検出されて、その値は、
科学技術庁放射能
調査研究成果発表会において
報告されているとおり、安全上問題とされるものではない。この
原子力発電所、敦賀の炉の運転初期においては、海底土に一〇〇ピコキュリー・キログラム当たりのコバルト60が検出されたことがあるということで、これは安全上問題とされるものではないということであります。さらに当該発電所においては、海水への液体放射性廃棄物の排出については、極力その低減化をはかっておって、当初の排出量に比して十分の一以下に低減しておって、今後はこれらの海産物類におけるコバルト60の濃度は減少していくものと考えられる、こういうことでございますが、その点だけは御
報告を申し上げておきます。
それから、
アメリカの
原子力潜水艦の
調査は、
先生も「軍艦のもつ特殊な性格にかんがみ、」という点を強調されましたが、元来、政府は、
原子力軍艦寄港地周辺住民の安全を
確保するために必要な
調査をやるということなのでございます。ソードフィッシュのあとでもって、
アメリカ側と日本側で取りかわした、あれは
アメリカ側の発表かな、それによりますと、通例第一次冷却水を出さない、こういうことをいっておるわけでございますが、米軍がいうことでございますから、日米間の
関係から申しまして、一応信用してかかる。あの連中はうそつきだ、いいかげんだ、という考えでいくのは好ましくないと思います。やはりそういうふうにやるものだ、こういうふうにわれわれは尊重してまいりたいと思っております。
しかしいまわれわれがやろうとしておる
原子力軍艦寄港に伴う放射能の測定というものは、ここにありますように、「寄港地周辺住民の安全を
確保するために、」やるのでございまして、入ってきた軍艦から第一次冷却水が出たかどうか調べるというようなことは、それが
目的ではありませんし、それはやろうとしてもできません。潜水艦におしめでもつけてなければ、
確保することはむずかしいのでございます。しかし第一次冷却水を相当量出しますと、これはいまのシステムでいって必ずわかります。ですから、いわゆる一滴論といわれるわけでございますが、一滴論というのは、そういう御論議をされたところに
科学技術庁が巻き込まれて、そういうことになっておるわけでございますが、初めから
原子力潜水艦寄港地周辺住民の安全のためにやるわけでございますから、それは一体現行は必要にしてどうかということでありますと、その点につきましては、日本は、
アメリカ、
西ドイツ、イタリア、
フランス、
イギリス等では全くやっていないような現地の放射能
調査、すなわちポスト、ボート等による、海中、水中放射能測定というのを、御案内のとおりやっておるわけでございます。これは諸外国ではほとんど例がない。全然ないといってはあれでございますが、非常に乏しい例であります。日本はそういう点をやったあげくに、試料採取による放射能の年四回の定期的な測定
調査のほかに、すなわち海水、海底土、海産物について定期的に年四回やってあるほかに、また
原子力軍艦入港のつどやっておるというのも、こんなにやっておる国は世界じゅうにないのでございまして、
アメリカの場合は年四回の定期
調査、これは海軍省がやる。
原子力委員会は年一回。
西ドイツは入港のつど、イタリアは、入港前及び出港後、これは定期検査は別にありません。スペインは入港時のみ毎回三回、
フランスは一、二カ月に一回
程度、
イギリスでは三、四カ月に一回という
程度でございますから、したがって、日本はその定期検査に加うるに入港のつどやっておるなんて、こんなに頻度多くやっておるところはございませんです。そこへ持ってきて、調べるのも、海水、海底土、海産物をやっておりまして、それも
化学分析に機器
分析に、五核種にわたってやっておる、こういうことでございますから、こんなにやっておるところはないのですよ。
そしてやっておりながら、低
レベル過ぎるような、いたずらに名人芸を誇るようなことをやっておって、こんなことで能率があがるだろうか、ほんとうに必要なのかという、いま
先生の御
指摘があったわけでございますが、私はこの基本線を守ることについては異存はございません。これによって、ずっと見ていく。しかし、実は先般近江
委員から
お話がありましたように、
アメリカの
原子力潜水艦の入港の際に、
アメリカ流のやり方をこれに加えろ、こうおっしゃったものですから、日本は日本流で、これだけのことを、世界じゅうでやっていないぐらいやっておるのです、それ以上やるのは云々と申し上げたところが、これが問題になったわけでございます。どうか近江
委員も御理解を願いたいと思っておりますので、資料等をごらんになられれば、私の本旨はわかっていただけると思うのです。私は、周辺住民の放射能の測定というものに必要な限度は、確実に実行する。そういう
意味で、たとえばいままでモニタリングのポスト、ボート——ポストからポイント等につきまして、ちょっと故障なんか出たところがございましてね、こういうのは私は困ると思っておりますから、そういうものは故障が起きないように、そしてもう少し監視をしていくように、きちんとやっていきたいと思っております。
それから、
先生のおっしゃるような低
レベルをいたずらに誇るという点は、再検討していっていささかも差しつかえないのではないかと思っておりますから、そういう点も考えていきたいと思います。
それから、いまはもう十年前と違いまして、機器
分析がものすごく発達したのです。したがって、そういう機器
分析に重点を置いて、
化学分析というのは、それに対するクロスチェックみたいに持っていったらどうかとも考えておりますので、基本線はいささかもゆるがすつもりはございませんで、きちっとやってまいりたいと思っておりますが、いま申し上げたような点で、ずいぶんだっておりますから、その点は実情に合ったようにやっていきたいということで、どうか近江
委員も、この前私の発言を新聞社がおもしろがって書いたものですから、ああいうことになったのです。ひとつよろしく
お願いします。私も勉強したものですから。