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稲葉説明員 それでは、まず、私が今回取りまとめました
考え方の
一つに、
エネルギーの
基本的認識というものをどのようにしていかねばならぬかという問題がございます。それについて簡単に御
報告を申し上げますと、これは
世界的な
傾向でございますけれども、
経済成長率と
エネルギーの
消費というものは、
世界的にほぼ一致いたしております。これは
資本主義国だけではなくて、
社会主義国を通じましてもいえることでございます。ただ
先進経済国家では、
経済成長率が一に対しまして、
経済成長の
伸びが弱いということと、やはり効率的な
考え方が普及しているのですか、〇・九ぐらいになっております。それに対しまして
日本の場合は、少なくとも過去の
パターン、最近の
パターンをもとにいたしますると、
経済が一〇%
伸びるに対しまして、一一ないし一二%の一次
エネルギーの
供給増加が必要となっている、こういう形になってきております。そして、私はそのことを三ページの表にあらわしているわけでございますが、
数量であらわしますと、
昭和三十年には、五千六百万キロリットル
石油換算の一次
エネルギーでございましたが、
昭和四十七年度につきましては、三億五千万キロリットル
石油換算を上回る
エネルギー消費というものが
日本に行なわれております。そして
実質経済成長率は、この間
エネルギーが七倍弱の
伸びに対しまして六倍
見当と、こういう
パターンにいままではなってきておるわけでございます。しかも
日本の場合におきましては、
石油に対する
依存度が非常に強くございまして、現在七五%という
エネルギーが
石油に依存している。
石油は前年に対しまして毎年毎年一〇%ぐらいの
増大をしつつある、こういう
傾向でございます。
さて、
昭和四十五年以来、実は
エネルギーの
パターンにやや基本的な
変化が起こり出しました。つまり私
たちは
従前のように容易に安い形で
石油を手に入れるということがむずかしくなってまいりました。それはいわゆる
OPEC攻勢によるものでございます。したがいまして、その前までは、
世界は
石油供給過剰の
時代でございまして、ぜひ
石油を買ってもらいたい、こういうことでございましたが、その後におきましては基本的な
変化が起こり、
ドル建ての値段で申しますと、今回の
石油危機が開始されまする
昭和四十八年十月
時点と、
OPEC攻勢の始まりました四十五年
時点とを比べますると、すでに
ドル建てで二倍
半強の
原油価格の高騰というものが起こってきております。
もう
一つ重要なことは、やはり
国民経済水準が非常に高くなりますと、
環境の問題、
公害の問題が非常に大きくなります。そのような結果といたしまして、将来の
エネルギーを充実していくということに対しまして、だんだん困難が加重されてきつつあった次第でございます。そこへ
石油危機が登場してきた、このように考えます。
さて、そのようなことを背景にして、将来に対処するということを考えますと、やはり
エネルギーに対する
見方の
変化が必要ではなかろうかと感ずる次第でございます。
その
一つは、いままでのように、
経済や
国民生活をこのようにすれば、
エネルギーというものは
国産と
輸入で大体手に入る、こういう
見方、
考え方をひっくり返して、むしろ
エネルギーがどのような
内容、
努力によって、将来どこら辺まで手に入るのか。その
エネルギーをどのように使って、
経済成長や
国民生活を維持していくのか、このような
見方、
考え方を私
たちは強めていかねばならない、このような感じを非常に強くした次第でございます。
そして、そのような
観点から、一応過去の
パターンというものを延長していろいろな
見方、
考え方をいたしまして、一体
エネルギー供給がどこら辺まで達成できるのか。さらにもう
一つは、
エネルギーの
供給量をでき得る限り
増大するということを構想した場合、どのようなことになるだろうか。また、その
双方を考え合わせて、まあ
諸般のいろいろな
事情を考えると、総
エネルギーの
供給量は大体どこら辺までいくし、そして
弾性値を考えて、
経済発展というのはどういう形になるだろうか。その次は、
経済性ということだけではなくて、
経済性を考慮しなければならぬけれども、
諸般の
国際関係の
事情とか
国内の
環境問題だとか、そういういろいろなものを投入した場合において、
エネルギーの各部門の
あり方というものはどのような形になるのがよいのか。そしてその場合、
原子力というものをどのように基本的に考えるべきか、こういうことにつきまして、
私案というよりも、
見方、
考え方を整理いたしまして、そして将来、
政府やまたいろいろな各般の
エネルギーのことについて関心の多い方が、いままでの
見方、
考え方をまとめていただくという素材を提供しようというのが、とりもなおさず、この
稲葉私案の基本的な
考え方であるということを、まず御
報告申し上げたいと思います。
さて、そういうことにつきまして、
考え方と
数字を整理するという仕事を、実は一月ほどかかりまして、具体的に展開したものでございます。そして
数字の
手がかりとして、お
手元の一九ページのところをごらんになっていただきたいのでございますが、これは将来の
エネルギー見通しにつきまして行なわれました過去におきまする公式的な
推計でございます。そして、これをごらんくださいましてもわかりまするように、
昭和四十二年に立てられました
見通しと、四十五年に立てられました
見通しとの間には、根本的といってもいいほどの相違というものが、そこに起きておるわけであります。
昭和四十二年というのは、
佐藤内閣のもとにおいて
経済社会発展計画がまとまりまして、それを
前提にした
数字でございます。ただし、
経済社会発展計画は、
昭和四十二年から四十六年までのものでございますが、やはり
エネルギー政策を進めていくということにつきまして、将来を延長して、その
推計をした
数値でございます。
次に、御存じのように、
昭和四十二年ごろから
日本の
経済は飛躍的に
発展をいたしました。いわゆる
高度成長の
時代に入りました。そしてほぼ四十六年度に行き着くはずの
水準に、実は四十四年度に行き着きかけたということもありまして、そこでひとつ根本的な
経済の
見直しをしようということで誕生いたしましたのが、新
経済社会発展計画というものでございます。そして、その新
経済社会発展計画をよりどころにいたしまして、長い目で考えると、やはり
日本の
経済も将来鈍化をしていくだろう。新
経済社会発展計画では、
昭和四十五年から五十年度までの
経済成長率を、
実質一年
平均一〇・六%と
想定いたしております。それに対しまして、五十一年から五十五年度までは九・五%、五十六年から六十年度までは八・五%ぐらいの
実質成長率を
想定いたしまして、そして
各種の
エネルギーパターンを組み合わせて
想定をいたしましたのが、現在までやや公式的な
見解であるところの将来の
エネルギー見通しでございます。そして、
先生方がごらんくださればおわかりくださいますように、総
エネルギー需要量は、
石油換算で十億キロリットル前後ということになります。その場合の
原子力が六千万キロワット、
国内の
石炭が三千六百万トン、
輸入原油が七億キロリットル前後、
国産原油が六百三十万キロリットル、
液化天然ガスが千四十万トン、
各種の
バランスというものがこういうことになるだろうというのが、いままでの公式的な
見通しでございました。
さて、今回の再
検討にあたりまして、基本的に、私
たちは
現実を出発にいたしまして、はたしてそういうことが
供給可能なのかどうか、
供給可能の場合においてはどういうことになるだろうか、ということをいろいろ
検討してみよう、しかも
エネルギーの
供給ということに
重点を置いて、今度は
経済や産業や
国民生活がどういうことになるだろうかということをひとつ
想定をしてみようという形で、はっきり申しますと、三つの
段階における
推定というものをいたしたわけでございます。
一つの
段階は、
現状では
エネルギー充足難というのがだんだん強くなりつつございます。さらに
石油につきましては、将来――すでに現在において、
日本は
世界一の
石油輸入国でございます。今後もどんどん
石油を買い付けるという国際的な
条件というものはあまり考えられない。しかも
石油は今度は非常に高くなる。つまり過去四
年間に、今回の値上げというものを織り込みますと、約五倍強という形になっている。自然、
日本は高い
エネルギーで
経済を運営していくといったような
条件をしいられる。先行きそういったようなことについても再
検討をしていかねばならない。そういう
要素を入れて、
現実プラスアルファで将来を予測した場合において、一体どこら辺までその
供給量が
増大できるであろうかということを第一に
推定いたします。
第二に、今度はやや
エネルギーというものに
重点を置きまして、まあ十億キロリットルというのが六十年度の目標だったのですが、ここで
先生方がごらんくださればわかりますように、
国内炭三千六百万トンというのが、どうもそこまで
伸びるということがむずかしいように思われます。さらに
国内の
石油開発規模、現在百万キロリットルでございますが、これが六倍ぐらいになるということは、まあそのようになり得るかもしれません、なるということを切望するわけでございますが、それを根っこに置いて、現在、将来の
エネルギーを
推定するということもむずかしいと思います。また、
石油の
輸入規模を七億まで持っていくということも、これは国際的にいろいろいわれている問題でございますけれども、なかなかむずかしいと思います。しかし、
最大限エネルギーというものを充実していくということをすれば、今度は新しい
エネルギー開発をどのようにここで画期的に進めていくか。たとえば
輸入炭を
増大して
発電をしていくということをどうしていくのだとか、さらに地熱とか太陽熱といったことに対してどうしていくのだとか、
天然ガスに対してどうしていくのだという
措置をとらなければなりませんが、やはり
現実的な技術的、
経済的可能性ということになりますと、私
たちは、これから少なくとも十年、十五
年間は、
世界的な
趨勢として、
原子力を推進していくという
措置をとっていかねばならないだろうと思います。しかし、そこにもいろいろな限界があるといたしますると、十億に近いところにまで
努力をして、一体どの
程度の
エネルギーの
供給力が可能であるのかということをひとつ
推定してみる、これがいわゆる
増大型ケースIIと
想定したところの第二の
予測値でございます。それにつきましては、お
手元に
数字で明示しておりますのが第二二ページ、二三ページの表でございます。
そこで、私
自身が
推定いたしました
数値は、
原子力につきまして、
昭和五十年におきましては七百万キロワットぐらいの
発電所は動いているだろう。そして、現在動いている、建設中である、
計画中であるというはっきりした
発電所は、合計いたしますと千六百五十万キロワットでございます。そして、
あとで時間があれば御
紹介申し上げたいのでございますが、今回の
石油危機を契機に、アメリカも、フランスも、スウェーデンも、西ドイツも、
電気を
原子力に傾斜していこうという
努力を積極的に展開いたしております。
しかし、一応
現状推移型プラスアルファでは、五十五年度の
原子力を二千二百万キロワットと
想定いたしております。これは
既定計画の三千二百万キロワットに対しまして、実に一千万キロワット下になる、こういうことになります。そして、六十年度におきましても、
現状プラスアルファの
努力をいたしまして、三千七百万ぐらいではなかろうか。これは、
あとで
先生方から御質問があるかもしれませんけれども、それほど根拠をもってそういうことを
推定した
数字ではございません。つまり全体の
あり方を
推定するための、どこら辺まで
エネルギーが
供給できるか、
原子力がやれるかということを
想定した
数値でございます。その場合に、それが稼働いたしますとどの
程度の
電気が出てくるのか。そして、どの
程度の
キロカロリーになるのかという
計算を、その次の欄でしているわけでございます。
次に
石油でございます。
石油につきましては、一応過去におきます
パターンは、五十年度三億二千万キロリットルの
石油を
輸入する。そして、五十年度におきまする総
エネルギーの
供給率は、
石油換算四億四千万キロリットルという
数値でございます。ところが、もしも
石油危機なかりせば、あるいは
石油危機の影響がそれほどないといたしますると、どうも自然の
趨勢値で四億四千万キロリットル、三億二千万キロリットルという
数値は、
現実にそれを上回った
数字になるわけでございます。と申しますのは、すでに去年の
石油輸入が二億八千万キロリットルであります。今年度が三億キロリットル。本来から申しますと、いままでなかりせば、ほぼ四十九年度ぐらいに行きつく
数値でございます。
しかし、どうも今後につきましては、国際的にいろいろなむずかしいことがございますし、メジャーの
開発威力がだんだん少なくなる。といって、そう新しい
石油を方々から買ってくるという
条件がないといたしますと、ここではややそれを低目に
推定をしなければならない、こういうふうに考えまして、
あとで御批判をこうむりたいのでございますが、これは私
個人が
推定をしたということでございまして、それほど私
個人の頭が明敏だということではございません。一応
手がかりといたしまして、
石油の
輸入は、四十七年度の二億六千万キロリットルに対しまして、ここでは三億六千七百万、六十年が四億ぐらいという
想定をいたしております。
石炭は、これは
キロカロリー計算でございますから、実際はこれを
実量に直すときには三分の二になりますが、過去五
年間の
平均の
伸びの二%、こういったようなものを
想定いたしまして、
石油換算、五十年に七千百万キロリットル、四十八年度の
実績値は、
国内炭が二千二百万トン、
輸入炭が五千万トン、合計七千万トン、それを
石油換算いたしますと四千万キロ強、こういうことになるのではないかと思いますが、そういう
推定をいたしました。
水力の
開発につきましては
年間十億キロリットル、その他の点につきましては、あまり大きな
見方をいたしませんで、従来の延長、こういうものを
想定いたしまして、そして総
エネルギーの
供給量を
想定いたしますと、五十年度が
石油換算四億二千九百万、これでも過去の
数値の四億四千万キロリットルにちょっと下がるというぐらいの
数値でございます。五十五年度が五億四千万キロリットル、六十年度が六億一千八百万キロリットル。このことは、
昭和四十五年につくりました
前提としての十億キロリットルに比べますと、六〇%ぐらいの
エネルギーの
充足率にしか、その場合においてはなりません、こういうことになる。
その場合、
経済成長がどの
程度までいくのだろうかということを、これも非常にラフな
計算でございますけれども、やらしていただきましたのが、このお
手元の三四ページの表でございます。
そのラフな
計算というのは、つまり先ほど私が御
報告申し上げました、
経済が一〇
伸びるに対して
エネルギーが一一%、こういうのが
弾性値でございます。それを
弾性値一の場合とか、さらに〇・九八とか、つまり
エネルギーの
使用効率がだんだん高まっていく、こういうことを
想定した場合において、一応
有効利用というものを
想定をして、
経済成長率は五十年度から五十五年度までがまあ五%ぐらいだろう、それから先はずっと急速に下がっていかざるを得ない、こういう
数値になるわけでございます。
第二の
想定は、
供給力増大型というものでございまして、でき得る限り、十億キロリットルに近い形でやっていくにはどういう
エネルギーの組み合わせが必要かということを、いろいろな
角度から
計算をしたものでございます。この場合、
石油が問題でございますけれども、本来からいえば、
国内の
石炭が減ってくる、さらにほかの
エネルギーも減ってくるということを
想定いたしますと、
石油はなかなか減らないということになります。しかし、
石油はやはり
既定計画以上に
増大するということは、
数量と
価格の面において無理がある、こういうふうに
想定いたしていきますと、どうしても
現実的な
エネルギーの調達は
原子力に依存せざるを得ないということになります。
そこで、ここでは
原子力を五十五年度において三千二百万キロワット、六十年度において六千九百万キロワット、六十五年度において一億一千五百万キロワット、こういうふうに
想定をし、
石油の
輸入を五十五年度において四億七千万、六十年度において六億、そして
石炭を
年間三%増、
水力については第一次案の五〇%
増大ができる、そして、そのほかのものについてはやや強い形でこれをプッシュをする、こういうふうにして
計算をいたしましたのが、実は
石油換算九億三千百万キロリットルということになります。つまり、はっきり言えば、
昭和六十年の
既定計画におきまする十億キロリットル前後にも、そこまでやってもまだ達せられないという形になります。しかし、その場合は
成長率はもっと
増大もできるわけでございます。
さて、この
双方を比較いたしまして、問題は、こういうことをにらみ合わせながら、ほぼどのような形に
諸般の
事情を考えていくのが合理的な
あり方か、その場合において
原子力をどのように位置づけるべきかということが問題でございまして、それは実はこれから
ほんとうに衆知をしぼってやっていかねばならぬ問題でございます。
ただ、そういうことを、今後、各省また各
専門家がおやりになるということを期待いたしまして、
一つの
数値をここにつくっている。
総合エネルギーバランスと
経済発展とか
国際関係とか、そういうことを考慮して、まあ現
時点では、こういうのが私
個人として一番よいと思いますという、控え目な形で出させていただきましたのが、実は三〇ページから三一ページにございますところの試算でございます。これは、はっきり申せば、
森山大臣が
さきにおっしゃいましたように、今後の論議を引き出す
一つの
私案にすぎないわけでございます。私
自身も、
ほんとうにこういうことを進めていくためには、もっと統計も整備をする、
関連分析もいろいろしていく、もっと
経済以外のいろいろな
要素の投入をもはかっていく、そういったようなことを、やはりこれから三月、半年、真剣にやっていかなければならないと思っております。
ただ、何らかのそういうことを期待するという意味におきましてつくりましたのが、この
私案の試算IIIでございまして、それの基本的な
考え方は、第I案では
経済全体がうまく動いてくれないとき、第II案では
供給力をそこまで、客観
情勢や
世界の
エネルギーが変わった中で、非常に高い
エネルギーを使ってどんどんやっていくということになると、どうも無理があるのではなかろうかという
想定に立ちまして、その間においてどのくらいの
数値を求めるべきかという形において出した腰だめの
数字にすぎないのでございます。そこでは、私は、六十年度八億五千万キロリットルぐらいがいいところじゃなかろうかということを、実はこれも腰だめでございますけれども、頭に入れて
想定をしたのでございますが、さて、
一つ一つのいろいろな
要素を考えていきますと、そこまでは入らずに、大体二〇%減の八億キロリットルという形にならざるを得なかったというのが、実は
ほんとうの取りまとめから出た結論でございます。
その場合において、一応どのように
想定をしたのかと申しますと、
原子力につきましては、
昭和五十五年におきまして、三千二百万キロワットを二千八百万キロワットぐらいに
想定する。これでもよほど
努力をしていかなければならぬ
数字だと思います。六十年度につきましては、ひとつもっと
努力を集中していただいて、六千万キロワットの既定目標だけは今度は最小限達成していかなければならぬ目標としてやっていただく。六十五年につきましては、一億プラスアルファの目標というものをやはり
想定する。
石油につきましては、
昭和六十年におきまして四億九千七百万キロリットル、こういうものを依存する。そして
石炭、
水力その他に割り当ててやったわけであります。
ここで、私がこういう仕事をさせていただきまして感じましたことを申しますと、まず、新規の
エネルギー開発というのがどうしても必要でございます。また、でき得る限り
石油依存というものを脱却しなければならないと思います。また、
原子力のための
原子力をやる必要はございません。しかし
世界的な
趨勢であり、新しい資源
開発につきましても、太陽熱とか地熱とか
石炭の液化とかガス化だとか、そういうものについて、タイムテーブルと、それから出てくる効果というものを測定いたしますと、すでに
世界がそういうふうに進んでおりますように、少なくとも当面十年、二十年という世の中におきましては、
原子力というものを推進していくということは、一国にとってどうしても必要ではなかろうか、こういうことを示唆したものだと申し上げたいのでございます。
そして、問題は、そういうことを
条件にして、今後どのような施策を展開していくのかということにあると思います。そういうことにつきまして、ここではいろいろ問題提示をさせていただきました。できるならば、ひとつ、そういうことを御吟味していただきまして、今後のあるべきことを進めていくということと、当面五年、十年、十五年という期間につきましては、やはり
日本が最小限
エネルギーを充実するということになりますと、
石油をどうするか、
原子力をどうするかということが、実は非常に大きな分かれ目にならざるを得ないと思います。ともかく、
日本は総
エネルギーの四分の三をいま
石油に依存しております。
電気についていえば、昔は水で
電気を起こしておりましたのが、いまは三分の二の
電気というものが
石油から
供給されている。しかも、それをずっとこれからもやっていけるという
条件がないといたしますると、
諸般の
事情を考えまして、どの
程度の
規模において
原子力を推進していくのかということが必要ではなかろうかと思います。そして御参考といたしまして、コストの
計算でございますとか、海外でどういったような施策が展開されているかとか、かりに私が提示いたしました
原子力の
努力型をするとなりますと、
既定計画に比べまして、
原子力の安全性を進める上においてどういうタイムテーブルで進めていかねばならぬか、こういったようなことを御参考のために提供さしていただきましたのが、この
私案でございます。
すでに与えられました三十分という時間が経過いたしましたので、一応、以上をもちまして、私の御
説明を終わらしていただきたいと思います。どうもありがとうございました。