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1974-03-05 第72回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月五日(火曜日)    午前十時五十二分開議  出席委員   委員長 小濱 新次君    理事 國場 幸昌君 理事 佐藤 孝行君    理事 床次 徳二君 理事 加藤 清政君    理事 美濃 政市君 理事 正森 成二君       竹中 修一君    本名  武君       上原 康助君    島田 琢郎君       瀬長亀次郎君    渡部 一郎君       安里積千代君  出席政府委員         内閣官房長官 大村 襄治君         総理府総務副長         官       小渕 恵三君 、       内閣総理大臣官         房管理室長   伊藤 廣一君         防衛施設庁長官 田代 一正君         防衛施設庁施設         部長      平井 啓一君         防衛施設庁労務         部長      松崎鎮一郎君         経済企画庁長官         官房参事官   有松  晃君         沖繩開発政務次         官       西銘 順治君         沖繩開発庁総務         局長      岡田 純夫君         沖繩開発庁振興         局長      渥美 謙二君         外務省アメリカ         局長      大河原良雄君         中小企業庁計画         部長      吉川 佐吉君  委員外出席者         警察庁警備局警         備課長     山田 英雄君         防衛施設庁施設         部首席連絡調整         官       奈良 義説君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ————————————— 本日の会議に付した案件  沖繩振興開発特別措置法の一部を改正する法律  案(内閣提出第三六号)      ————◇—————
  2. 小濱新次

    ○小濱委員長 これより会議を開きます。  沖繩振興開発特別措置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上原康助君。
  3. 上原康助

    上原委員 最初お尋ねしたいんですが、官房長官わざわざおいでいただきましたので、約束の時間かなり詰まりましたので、簡単にお尋ねをしたいと思います。  すでに御承知のように、三月二日午前十一時過ぎ、那覇市小禄の工事現場不発弾あるいは旧日本軍が埋めたとみられる爆雷爆発事故が起きまして、死者四名、重軽傷者三十二名、家屋の全壊あるいは半壊、損失を受けたもの八十戸余り、車両四十一台余の被害を受けております。この件につきましては、政府としてもそれなりの実情調査あるいは対策をお考えのようであると伺っております。昨日も、総理府総務長官官房長官にもお会いをして、早急にこの種事故が再発しない対策をとるべきだ、また不幸にして今回犠牲をこうむった方々に対する補償についても、県側関係者協議の上ですみやかにやるべきだということを強く申し入れをいたしました。戦後三十年近い今日になっても突如としてこの種の惨事が起きるということは、沖繩の戦後処理がまだなされていない一例だと思うわけです。したがってこの事故は、私たちとしては非常に重大な問題をはらんでいる、こういうふうに受けとめております。そこで、政府全体としてこの問題に対する姿勢といいますか、今後の対策は、先ほど申し上げました被害者に対する補償等の問題を含めてどのように考えておられるのか、どう対処していかれようとしているのか、お答えをいただきたいと思います。
  4. 大村襄治

    大村政府委員 今回那覇市で発生しました爆発事故につきましては、不測の事故ではございまするが、たくさんの犠牲者を出し、また家屋車両等の損傷も多いということにかんがみまして、まずもって犠牲者に対しまして深甚なるお見舞いのことばを申し上げたいと存ずるのございます。  そこで、今回の爆発事故についての対策でございますが、まずもって実情を正確に把握したいということで、本日十時四十五分出発の航空機で、建設省の専門家二名と沖繩開発庁の係官一名を現地に派遣いたしたのでございます。そしてただいま御指摘の、二度とこの種の事故を起こさないためにも、いまお話のございましたように、かつての戦場でありました沖繩県特殊性をも考慮いたしまして、政府といたしましては各省間の緊密な連絡のもとに、今後地下工事等の施工にあたりましては事前探査を行なわせる等の行政指導を十分行ない、万全を期することといたしたいと考えております。
  5. 上原康助

    上原委員 約束の時間ですので、あと総理府長官お尋ねしたいのですが、念を押して政府としては実情十分把握をする、そのための職員をきょう派遣をするということは、私が先ほど申し上げましたように、確かにストレート補償問題というのは国だけということに結びつかないというお考えもあるかもしれません。しかし戦後処理の一環ということと、なぜこの事故が起きたかという根本原因考えた場合に、国の責任は免れないものがあると私たちは見ているわけです。したがって、いまおっしゃる実情調査その他ということは、補償問題を含めて政府としても真剣にお考えになる、また未処理不発弾や旧日本軍が埋蔵したであろう爆弾等についても十分調査をする、こういう前向きの考え方であるというように理解をしていいのか、あるいはあくまでも地方自治体にこの問題の処理ないしは調査というものをまかすという立場なのか、その点もう少し明確にしていただきたいと思います。
  6. 大村襄治

    大村政府委員 今回の事故に対する国の責任につきましては、多くの事実問題、法律問題がございますので、直ちに結論を出すことは困難であると考えますが、いま御指摘のような点もございますので、まず実情把握につとめまして、その上で必要な措置を講ずるようにいたしたいと考えております。  なお、弾薬類処理についてでございますが、この点につきましてはかつて戦場でありました沖繩県特殊性を十分考慮し、人命尊重立場から爆発物等による事故を未然に防止することにつとめることはもちろんでございますが、現在の探査技術では、地下に埋没しておる不発弾等発見は、きわめて困難であるという実情もございますが、この点につきましても、各省庁間の緊密な連絡のもとに、特定の危険地域にかかる公共事業については、事前に慎重に調査の上、工事に着工するように、今後はいたしたいと考えております。
  7. 上原康助

    上原委員 副長官、これで一応お約束ですのでいいですが、特に要求しておきたいことは、この種の事故が発生をして、いろいろ国会でやりとりをした事例もございます。その場限りで事を濁すというわけではないでしょうが、その場限りで問題を終わらさないように、特段の御配慮をやっていただきたいということを、あらためて要求をいたしておきます。
  8. 大村襄治

    大村政府委員 ただいまのお話しの点、留意いたしまして善処いたします。
  9. 上原康助

    上原委員 それでは副長官けっこうです。  そこで次に、関連をいたしますので、総理府長官お尋ねをしたいのですが、本土の場合も、不発弾あるいはこの種の弾薬といいますか、爆発物類処理については、戦後この方、各都道府県でなされてきたようであります。しかし、沖繩の場合、先ほど官房長官の御答弁にもありましたように、特殊な事情といいますか、沖繩全体戦場に化したという事実は否定できません。そういう意味で、本土と画一的にこの種の問題処理考える、あるいは行政面、そういった面で考えてはならないと思うんです。戦時中の不発弾なり、また戦後二十七年余にわたって米軍のそういった統治下にあった、米軍不発弾というのも相当散在をしておるわけです。これまで爆発事故というのは、去る二日のが初めてですが、各工事現場なり、いろいろな場所で、不発弾が発掘をされたということは枚挙にいとまがないわけです。したがって、この種の処理をする窓口といいますか、行政指導をしていく関係省庁というのは一体どこなのか、私の理解する限りでは、総理府だと聞いているわけですが、そういう面もこの際明確にして、沖繩の場合に、再発防止あるいは発見されてそのもの処理していくということでなくして、事前に積極的に探知をしていく、不発弾を収拾していくということでなければ、二次ないし三次の同じ事故が起きないとも限らないわけです。そういった面に対する総理府としての今後の取り組みなり、考え方というものも明らかにしていただきたいと思います。
  10. 小渕恵三

    小渕政府委員 お答えいたします。  不発弾処理の問題につきまして、その扱い省庁につきましての御質問でありますが、この問題につきましては、四省庁におきまして協議の上処理をしていくということに相なっております。警察庁防衛庁通産省、そして自治省、こういうことになっております。
  11. 上原康助

    上原委員 警察庁防衛庁通産省自治省ですか、そうしますと、総理府関係ないわけですか。
  12. 小渕恵三

    小渕政府委員 総理府といたしましては、この処理を行なうために地方自治体が支出をいたしますその費用に対しまして、交付金を交付する場合の支給事務につきまして、その責任を負っておるという立場でございます。
  13. 上原康助

    上原委員 そういたしますと、いま関係省庁四つおあげになったわけですが、そういう面で、いわゆる技術的な面なり、実際の作業を進めていく行政指導をやる、予算面については総理府が担当するという意味だと思うのですが、沖繩に対しては、不発弾処理をめぐって、どういう行政指導を今日までやったのか、また関係省庁で十分密接な連携をとりながらやってきたというわけですが、どういう形の協議をし、どういう方法で、今日までこの不発弾処理問題など、あるいは不幸にして事故が発生した場合に、やってきたのか、そこいらをもう少し明らかにしていただきたいと思うのです。
  14. 小渕恵三

    小渕政府委員 先生指摘のように、総理府中心になりまして、過去沖繩不発弾処理の問題につきまして、関係省庁と緊密な連絡を十二分にとってきたかと、こう御質問をいただきますと、この点につきましては、総理府としての見解におきまして、その支給事務等におきまして、沖繩県自治体と直接的に関係を深めてきたということでございまして、関係省庁間の連絡等については、あるいは十分でなかった点もあるかとも存じます。
  15. 上原康助

    上原委員 ですから、疑問に思うのは、そのほかの件なども——件というのは、そのほかの事例もそうなんですが、単に予算をつけてあげる、予算上ある程度めんどうを見るから地方自治、いわゆる沖繩県なら沖繩県でやれとか、あるいは沖繩警察でやれ、手に負えないものは自衛隊協力しましょうということだったと思うのです。私は、そういった発想姿勢といいますか、考え方そのものに問題がありはしないのかという気がするわけなんです。最初に申し上げましたように、どうも復帰をしたから本土並みなんだという感覚というのが、非常に政府の役人さんをはじめ、あるいは政治家の皆さんもお持ちの面がたくさんあると思うのです。私は今回起きたこの爆発事故ということをとらえても、沖繩の戦後処理というもの、あるいは戦時中からこの方、県民がどれだけ戦争犠牲、不安定の環境下生活をしいられてきたか、そのことに対して、いま一度反省を促したいわけですよ。  そこで、各関係省庁いま四つおあげになったのですが、必ずしもその横の連携というものは十分でなかった。総理府窓口になって県側とはかなり十分な連携をとってきたつもりだというお答えだったかと思うのですが、今回のこの事故を契機と言ったら、たいへん悪いのですが、再び起こしてはならないわけです。人間の生命が四名も失われている。しかも三十数名にわたっての負傷者が出ている。家屋その他なまなましい現場惨事なんです。パリの郊外で起きた飛行機事故などもあって、あれと比較すると、そんなに大きくないのじゃないかという感覚を中にはお持ちの方もいるかもしれませんが、実際に県民の受けたショックというものは、一体戦後というのはいつ終わるのか、いつまでこういう環境下生活をせねばいかないのかというやりきれない憤り、怒りというものが、いまあらためて起きてきておると思うのです。私はそういうことに対して、政府が今回の事件十分調査をした上で、再びこの種の災害を起こさない、そういう意味では政府自身対策協議会をもっと強化するということがまずやられなければいかないと思うのです。同時に地下に埋蔵されているその不発弾なり爆雷というものを探知をするには技術的にも非常にむずかしい面があると思うのです。そういう点なども含めて対策を講ずる、そのことに対して、県に対してはどういう行政指導をする、あるいは協力を依頼するという面もあるでしょう。国だけでできる問題でもないと思う。関係町村との協力関係もつくっていかなければいかない、そのことは理解をいたします。  それといま一つ、それに要する費用というもの、職員をいわゆる養成をしなければいかないということもあるでしょう。もう少しそういった戦後処理の問題ということで政府が積極的に技術面においても、また予算面においても、県や市町村に負担をかけないようにやらないと、この問題は私は解決できないと思う。事故が起きてからまた、しまった、どうしましょうかというように同じ議論を繰り返してはならない。そこが私は行政であり、政治だと思うのです。そういうことに対して、窓口である総理府としては、どうやっていかれようとするのか、その点もあわせてこの際明確にしていただきたいと思うのです。
  16. 小渕恵三

    小渕政府委員 お答えいたします。  まず、先ほど先生指摘のように、沖繩の特殊な状況について考慮しないのではないかというお話でございましたが、先ほど大村官房長官から御答弁申し上げましたように、沖繩の置かれた特殊な状態というものを十二分に認識した上で今後処置をしていきたいということについては、私ども同様な考え方をいたしておるのでございます。そこで御質問の中に、今後総理府窓口になって対策協議会等をつくっていったらどうかということでございますが、この問題につきましては、今後検討させていただきたいと存じますが、今回のこの不幸な事件につきましては、総理府総務長官といたしまして、昨日各省庁関係者に集まっていただきまして、この問題について積極的な取り組み方をいたしたいという趣旨のもとに会合を開いております。しかしながら、この問題につきましては、総理府が直接的に窓口になるべきものかどうかという点につきましても、まだ問題もあるようでありますが、気持ちといたしましては、昨日の会議を緊急に総務長官の名において招集し、政府部内の意思の統一をはかろうとしておる行動において、御指摘のような趣旨に合っての行動だと御理解願いたいと思います。総務長官は、御案内のとおり沖繩開発庁長官も兼ねておられますので、そういった立場から、当沖繩の問題につきましても、積極的に取り組んでいくものだろうと考えております。  それから政府として探査問題等につきまして、いろいろ調査のできるような技術者を養成したらどうかという問題でございますが、このことも、前段申し上げましたように、政府部内それぞれ関係省庁があることでございますので、先ほど申し上げました会合を緊密に開きまして、当問題につきましても検討いたしてまいりたいと思います。  以上、お答えいたします。
  17. 上原康助

    上原委員 実は私も、昨日総務長官に直接お目にかかっていろいろ先ほど言いましたような要望を申し上げると同時に、意見も聞いてみたんです。いまおっしゃるように、私が先ほど一体どういう省庁関係しているのかということを尋ねたのも、総務長官自身、いやこういうものはだれがやるのかほんとうはわからないんだ、おれも権限がないんだが、総務長官であるし、開発庁長官であるから、道義上、道徳上、早急に事務次官会議などもあるので、そこに問題を提起をしているのだという御発言なんです。ですから、警察警察庁の管轄といいましても、警察地域住民から連絡があれば処理班が行ってやる。そこで手に負えないのは自衛隊協力を求める。通産省はおそらく爆薬類の取り締まりのほうの関係だと思うのですが、自治省はまた自治体との関係、ですから、はっきりして権限を持って、こういう不発弾なりいろいろな処理に対して、行政指導なりものの言える窓口というのは、いまのところないというのです。それらがみんないいことならば、おれも、おれもと進んでやるかもしれませんが、おっかない爆弾を扱う窓口になるということも、やっかいものをみんなやっかい視するのです。それではいかないわけです。そのことを私はあらためて強調して提起をしておきたいんです。  特に沖繩の場合に、いまの場合は、予算は五百万円まではその地方自治でめんどうみなさい、それ以上になったら国が三分の二補助で、あと交付金でやるとかいうようなシステムになっているわけでしょう。そうなりますと、あっちこっちにある不発弾地方自治県段階処理するといっても、財政上の問題がある、それに要する労力の問題があるわけですね。そういった面も、本土とただ画一的にされたんじゃ、ごろごろしている不発弾処理は、百年河清を待つごとく、絶対できないと思うのです。  これをどうするかということをあらためて政府としても窓口をはっきりさせて、それに要する費用はどのくらいかかる、県に対してはどういう協力を求める、市町村についてはどういうふうな行政指導をやる、また協力を求めるということを要綱なり方針なりというものを協議の上で出して、早急にこの種の不発弾なり、まだ発見されていない爆薬類等を収集せぬと、また同じことになる可能性が十分あるわけですよ。そこいらは、すぐきょう結論的なことをここで御答弁いただけないかもしれませんが、そういう方向でこの問題に対処をしていくということはお約束できるのかどうか、またどうしてもそういう方向でやっていただかなければいかない問題だと思うのですが、あらためてお答えをいただきたいと思うのです。
  18. 小渕恵三

    小渕政府委員 窓口をどこにしぼるべきかという問題につきましては、総理府といたしましては、予算措置の問題の取り扱いをいたしておりますが、その予算措置総理府が担当しておるというゆえんのものを、現在の行政のそれぞれの分野の中で総理府がやれ、とこういうことになっているようでありますので、今後それぞれの末端の問題の処理につきましては、関係省庁がそれぞれあるわけでありますけれども、政府の問題といたしましては、総理府がこの問題に、現在予算配分の問題の事務的な処理責任を負っているということではありますけれども、そういうことを負っているということの趣旨を十二分にかみしめながら、総理府として、その責任を果たしていきたいと思っております。
  19. 上原康助

    上原委員 ちょっと何かあまりはっきりしないお答えのようでもあるんですが、ぜひいまさっき申し上げたようなことも考慮の上で、今後の対策というものを早急にやっていただきたい。  これは私は、最終的責任は国にあるというふうに理解いたします。なぜなら沖繩県戦争をしたわけでもないし、沖繩那覇市爆弾を埋めたわけでもないのです。そのことも強調しておきたいわけですが、ただそういう点だけを指摘をし合い、言い合っておっては、現に散在している不発弾なり危険物というものを処理することはできないわけですから、それをやっていくにはどうしていけばいいのかということを国のほうでも十分お考えになっていただきたいし、早急に県側なり、大体どの地域危険地域だった、あるいはどの地域に地雷なり爆弾弾薬庫があったということは、ある程度推測できるわけですから、そういう関係市町村などとも連絡会議を持つとか、そういう面で対策をとっていただきたい、そのことはまた政府としても当然できることだと思いますので、連絡的な窓口総理府がやるということはできるんじゃないですか。
  20. 小渕恵三

    小渕政府委員 不発弾の存在の調査等につきまして、総理府としてはその責任を負っておらないだろうと思うのです。これはやはり当該市町村自治体がその調査のための調査にかかわるものだろうと考えておりますが、先ほど来申し上げておりますように、不発弾処理につきましての費用配分等につきまして、総理府がその責任を負っているということを十二分に理解をいたしまして、総理府といたしましても、各省庁にその御質問趣旨を十二分に伝えまして、処理をしていただくように努力をしたい、こう思っております。
  21. 上原康助

    上原委員 ちょっと私の提起をしている点とは異なるのですが、予算だけ議論しても——じゃ予算は幾ら組まれているのですか、次年度なり今年度は。そのうちの沖繩関係は一体どうなっているのですか。もし副長官そこまでおっしゃるなら……。
  22. 小渕恵三

    小渕政府委員 四十八年度予算におきまして約一億円でございまして、沖繩関係では約七百万円でございます。
  23. 上原康助

    上原委員 一体七百万で沖繩不発弾なり、まだ発見といいますか発掘されていない、そういった弾薬類処理が可能と思っていらっしゃるのか、だからいま総務長官、何もこまごました議論までしたくないわけですが、発見されたらば、それに要する費用は、国も少しめんどう見ましょうということでしょう。そういう消極的なことでは、事沖繩の場合はだめだというのです。その考え方発想といいますか姿勢というものを変えない限り、また同じ事故が起きて、またしまった。これじゃいかないですよ。それは私は行政でない、政治でないと思うのです。それをやっていくには、どこかがやっかいものではあっても積極的に前に出てやるという省庁なり窓口というものをやらなければいかない。そこが中心になって、あなたがおっしゃるように県や関係市町村とも協議をする、協力をし合っていくということでなければいかないと思うのです。そのことをこの際ぜひ明確にしていただきたいというのです。  それとあえて申し上げておきたいのですが、こういった弾薬処理の問題とか、不発弾の問題になりますと、すぐ自衛隊のことが出てきます。確かに一面において自衛隊処理班というものの協力も得なければいかない。これは人道的立場から私はそこまでは否定はしません。しかし、ストレート自衛隊処理させればいいんじゃないか、自衛隊に反対するからそんなものをごろごろさせておくんだという考え方が中になきにしもあらず。私はそのことは厳に慎むべきだというのです。いまの自衛隊がもしもほんとうに軍備を拡大していって戦争をしたら、同じことをまた十年先、二十年先、あるいは五年先に繰り返すのです。自衛隊が残した不発弾によって、またわれわれの子孫が死ななければいかないという惨事を招くのです。それと関連づけたくはないのですが、よもや政府の腹の中にそういうような感覚があるとするならば、事は重大なんですね。そういうことでなくして、協力範囲でできる処理のしかたがまだあるんじゃないのか、それをまず考えるのが私は先決だと言いたい。そのことも含めてこの対策については、単に予算面でどうこうということでなくして、十分な対策協議会を持つ、そしてそれが実をあげるような方向をこの際打ち立てていく、そのことをあえて重ねて要求しておきたいと思います。  今後の処理の問題について議論をいたしましたが、総理府としても、いわゆる犠牲者に対する補償の問題についても、これはおそらく総理府で扱うと思うのです。先ほど官房長官は前向きに検討を進めていきたいという答弁でもあったんですが、総理府としてはこの問題はどうしていくのか、直接国の工事でなかった、市町村や県の責任ということで、まさかお逃げになるつもりはないとは思うのですが、この補償問題についても十分な対策といいますか、協議を進める中で、国としても何らかの責任を果たす、あるいはそれに対しての補償をやっていくという立場で、総理府がもっと積極的にならないと、私は問題解決はますますむずかしくなるんじゃないかという懸念をいたしますので、この点についても副長官のお考えを聞かせていただきたいと思います。
  24. 小渕恵三

    小渕政府委員 まず第一に、総理府として今後交付金の交付だけの事務にとどまらず、積極的に現在の不発弾調査等についても取り組むべきだという御趣旨のようでございましたが、現在におきましては、交付金の交付の事務方であるだけでございます。が、しかし、私自身もお説のようにその段階でとどまってよいものかどうかということにつきましては疑問もあります。やはり今後関係市町村等がこうした調査を行なうときにおきましては、十二分に国との協力、国が協力できるような体制もとるべきではなかろうかとも考えておりますが、しかしどういうふうな方法で行なうべきかどうかにつきましては、なかなか事務的にはむずかしい点もあろうかと思いますので、今後とも検討させていただきたいと思っております。  むずかしいというのは、自治体調査をする、あるいは国がそれにかかわり合いを持つというような、当然そうされるべき工事等の問題もありますし、民間業者が自分の工事のためにするときにはどうするかというような問題もあります。しかし含めまして、こういった問題について前向きに勉強させていただきたいと思っております。  それから自衛隊の問題が御指摘でございましたが、私どもは、自衛隊自衛隊の持つ特殊な不発弾処理の技術があろうかと思うのです。したがいまして、われわれは自衛隊本来の、そうした他の省庁に持たない力を十二分に活用するということは当然のことであろうと考えまして、自衛隊協力を求めておるということだろうと思います。  それから補償の問題につきまして言及がありましたが、この補償の問題につきましては、さかのぼってまいりますと、責任問題になってまいりまして、国家賠償責任があるやなしやと、こういう問題になりますので、法的背景を持った補償の問題につきましては、これはまだ検討を要することだろうと思っております。しかし政府として、先ほど官房長官答弁のように、まことに悲しむべき事件でありますし、政府としての何らかの処置ができないかということを申し述べておりましたので、私どもといたしましても、内閣と協議の上、当然問題に対して考慮いたしてまいりたいと存じております。
  25. 上原康助

    上原委員 大体先ほどの官房長官またいまの副長官の御答弁で、ある程度わかったわけですが、くどいようですが、確かに総理府が全体的な窓口になるのは、どうかと思うと、そういう面もあろうかと思います。しかし、自治省なら自治省——市町村や県とのかかわり合いならそれは自治省がむしろ窓口かもしれません。そういったどこの、どの省が、どの庁がほんとうにこの問題に対しては責任を持って県や関係町村とやっていくのだという、まずそこの根っこをこの際はっきりさせないと、なかなか役所というものは、なわ張りやらいろいろな考え方があって、むずかしいことに対しては責任のなすり合いをやりかねない面がありますから、そこいらは、先ほど副長官指摘になった警察庁防衛庁あるいは通産省自治省そうして総理府、この五つの省庁でまず話し合いをなさって、今後県や市町村とどういうふうに対処していくのか、その点について、ぜひ協議の上で早急に政府として、いわゆる国としてどういう形でやっていくのだということをまとめていただきたいということを私は強く要望を申し上げておきたいと思うのです。  補償問題については、確かに国家賠償法をストレートに適用できるかどうか、いろいろ法的にむずかしい面もあろうと思います。あえてきょうそこまでは議論はいたしませんでしたが、しかし起きた根本原因をさかのぼっていくと、戦争なんですね。第二次大戦なんです。そこまで詰められると、これは政治的にあるいは道義的に政府責任というものがないとは私は言い切れないと思うのです。言い切れないからこそ、何とか考えてみたいというお答えになると思うのですが、今後私たちも、もう少しこの法的な面については研究もしていきたいと思うのですが、そこいらまで議論をするのか、あるいはやはり沖繩の戦後処理ということと第二次大戦後、施政権が分離をされたがゆえに、どれだけ本土のほかの都道府県にはないことが現にあるのかということなどを考えた場合に、政治的にも道義的にも政府責任は免れない。その点をぜひ御理解の上で、この問題に対して早急に対処していくことを強く重ねて要望いたしまして、この問題については一応終わりたいと思います。  次に、きょうは、これまであまり取り上げられなかった問題の一つに、軍事基地との関連で基地労働者の問題があるわけですね。——長官、もうけっこうですから……。  そこで、本土を含めてですが、いわゆる駐留軍の解雇問題その他についてお尋ねをしてみたいと思うのです。  まず最初に、本土を含めて駐留軍全般にかかわる問題ですが、最近の四十八年度、会計年度をとってもよろしいし、暦年をとってもいいわけですが、一体過去一年の解雇の状況とか、あるいは実態というのはどうなっているのか、そこいらからひとつ説明をいただきたいと思います。
  26. 松崎鎮一郎

    ○松崎政府委員 お答えいたします。  沖繩におきまして、復帰後、四十七年度それから四十八年度の現在のわかっております時点までの離職の状況を申し上げますと、四十七年度、いわゆる人員整理解雇といいますか、そういう人が千三百六十三名ございました。そのほか定年等の退職者を入れますと、いわゆる離職を余儀なくされた従業員数は、四十七年度で千七百三十四人だったと思います。それから四十八年度に入りまして若干ふえておりまして、整理解雇の要求がアメリカ側から出ておりますものが三千五十一ございます。それから整理に準ずる定年等の退職者等を入れますと、三千七百名であると思います。
  27. 上原康助

    上原委員 本土は……。
  28. 松崎鎮一郎

    ○松崎政府委員 本土のほうは、同じく四十七年度を申し上げますと、人員整理解雇者四千四百三十四、その他準ずる者を加えまして、定年等加えますと、五千七百二十九名が離職を余儀なくされた従業員数でございます。四十八年度、これは若干見込みが入っておりますが、年度末までの見込みと考えますと、計で八千五百が整理解雇予定、それからその他定年等の準ずる者を入れますと、一万人をこす予定でございます。
  29. 上原康助

    上原委員 いまの本土の数字は、これは沖繩も含んだ数字じゃないのですか。本土だけで……。
  30. 松崎鎮一郎

    ○松崎政府委員 そうです。含んだ数字でございます。
  31. 上原康助

    上原委員 そんな、ごまかしちゃ困りますよ、あなた。沖繩本土を比較してどうなっておるかと聞いたら、沖繩の分も入れて、本土もまた入れたらこんがらがるのじゃないですか。そういうところにインチキがあるんだよ、外務省も、防衛庁も、施設庁も。結局四十七年度が約五千、いま推測を入れて四十八年は解雇者が大体一万前後に、これは本土沖繩を含めてなるということだと思うのです。  そこで、こまかいところについては、きょうは逐次お尋ねをしておきたいんですが、これだけ大量の基地関係労働者が解雇になっておるわけですね。またその内訳も、いわゆる基本労務契約は幾らなのか、IHA諸機関はどうなのかもあとで聞きますが、何か外務省は少しお急ぎのようですが、その前に二、三点確かめておきたいのです。  これは、最近は毎度のことですが、いわゆる日米安全保障協議委員会の、これは合意議事録なのか、単なるメモランダムなのか、明らかでないのですが、その安保協でいわゆる労務者問題についても触れられているわけですね。去る一月三十日の場合も、第五項でこういうふうに述べております。いわゆる「委員会は、在日米軍に係る労務問題を討議した。双方は、再就職を援助するためのあらゆる努力を含め、今後人員削減によって影響を受けるすべての人々の困難を軽減するために、最善を尽すとの意図を確認した。」まあ外交辞令の用語といえばあまりにも外交辞令。言っていることは十分やったということかもしれません。しかし一体どういうことが安保協で、基地関係労務者の解雇、あるいは再就職、そういう点で触れられたのか、これだけでは中身がわからないわけですよ。実際皆さん、こういうインフレの中で、どんどん切られていく労働者の身というものを真剣に考えるならば、こういった外交辞令だけで済まされる問題じゃないと思うのです。安保協で労務問題について、あるいはここに触れていることは、どういうふうにアメリカ側と話して、アメリカ側の考えなり方針はどうだったのか、もっと明確にしていただきたいし、できれば合同委員会の議事録も出してもらいたい。まずアメリカ局長にその点をお尋ねします。
  32. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 一月三十日に開かれました日米安全保障協議委員会第十五回の会合あとで新聞発表ございまして、ただいま御指摘の点がその発表文にあるわけでございます。その発表文の五項に書いてございますように、この委員会におきまして、在日米軍にかかわる労務問題も討議されたわけでございますけれども、労務問題と申しますのは、結局は施設、区域の従業員の解雇の問題ということが直ちに出てくるわけでございまして、この数年、沖繩を含めます日本全体の在日米軍の労務者の解雇問題につきましては、予告期間を早くするとか、あるいは解雇に伴う再就職の援助とか、いろいろな形で、この解雇される人たちの困難を少しでも軽減するということについての努力を払っていきたいという考え方があるわけでございます。そういう意味で、この労務問題ということになりますと、解雇問題について、日米双方がどういう考え方で取り組んでいくべきなのか、その考え方のもとにどういうことがそれぞれにおいて考えられるのかというふうなことが問題になるわけでございまして、この発表文に触れておりますのも、まさにそういう点であるわけでございます。  最後にまた、合意の中身を発表しろということでございまするけれども、委員会自体といたしましては、施設、区域の整理統合の問題を含めて、いろいろな議題を取り上げたということがその発表文にあるわけでございまして、正式の議事録云々というものがあるわけでございませんし、会議の内容についてはこのようなかっこうでの発表が行なわれているわけであります。
  33. 上原康助

    上原委員 相変わらずわかるようなわからぬような御答弁で。あれですか、そうしますと、安保協で話し合ったのは、まあ形式的にこれだけ解雇になるんだが、予告期間をもっと、早めるということは延ばすということなんですね、前もってやる、あるいは解雇されていく人に対しての困難をなくする、困難をなくするというのは具体的にどういうことなのか、そういう面を私は聞きたいわけですよ。  あらためてお尋ねしますが、じゃ施設庁長官に今度お答えいただきたいのですが、たとえば基地労務者を千名解雇をするという場合に、最初に通告をされるのはどの省なんですか。施設庁でしょう、おそらく、私の考えでは。外務省じゃないわけでしょう。労務問題については施設庁だけがアメリカ側との交渉をずっとやってきていると、私は思うのですがね。外務省はこの問題についてはどのくらいのあれをやっているのか、その違いですね、また安保協で話す場合には、一体どこが実際の権限を持ってアメリカ側の話を聞き、日本政府側の意見をアメリカ側に言うのか、その点も明確にしていただきたいと思うのです。
  34. 田代一正

    ○田代政府委員 お答えいたします。  駐留軍の労務者関係の問題につきましては、主として防衛施設庁が米軍との折衝の窓口に立つわけでございます。ただ事案によりましては逐次外務省とも連絡いたしまして、外務省とも相談するという機会がございます。
  35. 上原康助

    上原委員 外務省と相談する問題は、たとえばどういうことがありますか。
  36. 田代一正

    ○田代政府委員 これは後ほど御質問になろうかと思いますが、たとえば休暇の問題、ああいう問題一つとりましても、これは単に防衛施設庁だけで判断するという問題のほかに、労働省も各省も関係がございますし、また日米合同委員会の主たる日本側の立場という点におきまして、外務省とも相談する、こういう問題がございます。
  37. 上原康助

    上原委員 休暇の問題はむしろ労働省じゃないですか。あとでいろいろお尋ねしますのでいいとして、それじゃこういうのも、ある程度、私は私なりに理解はしているわけですが、やっぱり責任の所在はどこにあるかということもはっきりさせておかぬと、こんがらがる面もあるわけですね。ですから安保協で、ここで五項に書いてあることは、一応国民向け、形式上のことをただ述べた外交辞令だ、施設、区域の問題については外務省が中心になるが、事労働問題については防衛施設庁だ、外務省は労務問題については権限がないんだ、そういう受けとめ方でいいのかどうか、これはアメリカ局長からお答えいただきたいと思うのです。
  38. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 お答えいたします。  先ほど施設庁長官から御答弁ありましたように、窓口といたしましては、施設庁が直接米軍と労務問題の話し合いの窓口としての事務の処理をしておられるわけであります。しかしながら問題によりましては、非常に影響の大きい、範囲の広いというふうな事案になりました場合には、施設庁とも十分協議しながら外交折衝という形で外務省が米側との接触を行なうという場面が出てくることがあるわけでございますけれども、一時的には日常事務は施設庁のほうで担当していただいているというかっこうであります。
  39. 上原康助

    上原委員 何かそう言うと、外務省が非常にえらく見えるのですが、たとえば、じゃ——日常的なものはまかすと——私は問題もっと明確にしておきたいんですよ。じゃいま局長おっしゃるように、どういうものを施設庁と協議をしてやってきたのか、事例あげてくださいよ、今日まで。私は解雇問題より重要な問題はないと思う。施設、区域の返還ということであるならば、皆さんは施設、区域を返還をするんだから、労務者も切るんだ、ことばではあたりまえじゃないですかとは言わないにしても、整理縮小されていくから人間が減るのも当然なんだという発想で、今日まで六九年の、いわゆるあの佐藤・ニクソン共同声明以後やってきたわけですね。しかし実際にこの問題もまだ触れますが、基地の整理縮小と現に減らされていく人間との相対関係というのは全然ないんだ、それは、実際問題としては。もしあなたがおっしゃるように範囲の広い大きな重要な問題については施設庁と相談をするということであるならば、まさしく人間の首を切る、労務者が職を失う、生活の根拠を失うそのことが、何よりも重大で重要な問題なんだが、年次休暇をどうするかどうかは具体的な一つの事例であって、これは労働省やら何やらでできるんです。その点についてはどういう協議をし、どういうふうに、具体的に言いますれば、じゃ一月の二日に牧港兵たん補給基地で千三百三十七名の解雇通告が突如として出された、この問題については、一体どこが最初に通告を受け、アメリカ側と話し合ってきたのか、明らかにしていただきたいと思うのです。
  40. 田代一正

    ○田代政府委員 具体的なお話でございますので、私から答弁いたしますが、一月二日の通告は県庁とそれから私どもの防衛施設局が受けたということでございます。
  41. 上原康助

    上原委員 外務省はその件については全然知らなかったわけですか。
  42. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 施設庁のほうから後ほどそういう事実についての連絡を受けております。
  43. 上原康助

    上原委員 では今度は相模原の場合に、昨年のたしか十二月末の二十四日か二十八日ごろでしたか、解雇通告がありましたね。そのときはどこが通告を受けたのですか。
  44. 松崎鎮一郎

    ○松崎政府委員 先ほど長官からお答えいたしましたように、当該県、この場合は神奈川県でございますが、それから私どもの防衛施設庁、そういうふうに受けております。
  45. 上原康助

    上原委員 従来、当該県だけに連絡をするのですか。私はそういった手順だけを聞いているのじゃないのです。それは事務的にはそうでしょう。やはり沖繩なら沖繩の県庁あるいは労管とか防衛施設局に通告するかもしれないです。しかし最終的な責任者で、アメリカと絶えずかかわりあいのある皆さんは全然わかりませんでしたで済まされるわけですか。そういう筋の問題じゃないわけでしょう。
  46. 松崎鎮一郎

    ○松崎政府委員 ただいまお答えいたしましたように、施設庁労務部が受けております。
  47. 上原康助

    上原委員 施設庁の労務部が受けたわけですね。  アメリカ局長はほかの委員会があるようで、もう少しおつき合いしたいのですが、何か早く行きたいようなお顔をしていらっしゃるのであれしますが、実は基地問題を含めてたくさんあるのです。この種の問題について、アメリカ局長、全然事前にアメリカ側と話し合いをするとかあるいはアメリカ側から皆さんに非公式にでも通告をするというルールといいますか、ルートというのはないわけですか。先ほども理事会でもいろいろ問題になったわけなんだが、施設、区域の返還ということとあわせて少なくとも労務の問題についてもいろいろ話し合ったということを、ここにたとえ外交辞令としての形式的な用語で書こうが、その問題の本質といいますか、中身というのはきわめて重要な問題なんですね、区域の返還ということと。それ以上に、ある面においては人間の生活にかかわる問題なんです。そうであるならば、もっと事前に詰めた交渉なり対策なり日本側の意向というものも、事重要な問題についてはさっきの答弁では施設庁とも協議の上でやっているんだということですから、これ以上私は国民にとって重要な問題はないと思うのです。そういう事前の調整とか打ち合わせなり、あるいはアメリカ側と発表する前に詰めてやっていくというルールといいますか、ルートというのは今日までないのかどうか。外務省も全然知らずに、あるいは今度の、先ほど言ったものについては本庁も知らない、一方的に県なりに通告していいしろものなのかどうか。その点については今後のこととあわせて、いままでの事例について、私は局長の明確な答弁を求めておきたいと思うのです。
  48. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 解雇の問題もちろん当事者のみならず国民生活の上に非常に大きな問題であるということは全く御指摘のとおりだと思います。したがいまして、その人数が一けたであろうと二けたであろうと三けたであろうと、これは重要さにおいて全く変わりない大事な問題だというふうに私ども心得ております。  解雇にあたりまして、従来予告期間をどうするかというふうな問題があったというふうに記憶いたしておりますけれども、たとえばMLCの場合に、予告期間を九十日ということにつきましても長い経緯があってこういうふうにやっと固まってきたというふうに私承知しているわけでございますけれども、一般的に申しまして最近米側からは、いろいろな予算の制約等もあるという関係だろうと思いますけれども、まぎわになりませんとなかなか米側の計画というものが固まってこないという事情があるようでございます。したがいまして日本側といたしましては、米側が次の会計年度にどの程度の雇用計画を持ち、どの程度の解雇計画を持っているのかというふうなことを知るということが望ましいわけでありますが、そういう基本的な米側の事情もあるせいかと思いますけれども、まぎわにならないとなかなか話が伝わってこない。また最近は現地の労管あるいは県当局に対しまして解雇の通知が突然として飛び込んでくるというふうな事例が多いわけでございますけれども、一般的に申しますならば、日本側としてはできる限り前広に一般的な計画というものを米側が知らしてくれるということが望ましいことはかわりないわけでございまして、そういうふうな考え方を持って米側と接触を行なってきているという状況でございます。
  49. 上原康助

    上原委員 残念ですがアメリカ局長、いいです。中座してください。またこの問題を含めてほかの機会にもいろいろお尋ねできると思います。  ただ申し上げておきたいことは、そういった消極的なところに問題があるような気が私はするわけですね。実は私もいろいろ調べてみました。これは防衛施設庁も知っていらっしゃると思うのですが、例の牧港兵たん補給基地の解雇というのは、実は昨年の六月ないし七月、八月ころから検討されているのです。そして十月ごろには大体結論を出している。それはアメリカの書類を見てはっきりしている、どういう職種を削っていくとか。事安保条約とか地位協定の問題については、非常に親交の中で緊密な連携をとってやっているというのに、事労務の、人間の生活にかかわる問題については、アメリカ側が半カ年前から進めている作業についても知らないということではあまりにもうかつであるし、そんなことなのかという疑問を持つのです。ですからアメリカ局長、そういった労務の問題については私の管轄ではないというお考えなのかしれませんが、基地の返還や基地を提供することと、そこで働く労務の問題とは非常に密接な関係があるわけですから、その点はもう少し十分お考えになってやっていただかないと、解雇されていく、家族をかかえている人間の立場というものに、いま外務省が、施設庁がやろうとしていることはあまりにも冷た過ぎるじゃないか。お役人の皆さんは首が吹っ飛ぶ御心配はないかもしれませんが、実際にこういったインフレの中でどんどん解雇されていく——あとで具体的に就職状況を申し上げますが、昭和四十五年以降今日まですでに一万名余り解雇されてきている。まだ今後も続くであろう。就職率というのはわずかに二〇%そこいらです。どうするかということも含めて考えないといけない非常に重要な政治的課題なんです。ですからそのことをぜひ局長も、いろいろむずかしい問題をかかえていらっしゃって、とてもそこまで頭が回らないというお気持ちもあるかもしれませんが、私はもう少し外務省としても、この問題については真剣にお考えになっていただきたい、そのことをきょうはとりあえず強く要望しておいて、局長の次の御日程避けられないようですから中座してください。  そこで施設庁長官お尋ねをしますが、今回私がふしぎに思うのは、たとえば相模原の場合は千百二十四名の解雇が昨年の十二月に発表されたわけですね。十二月の二十四日ですか、八日ですか、あとでそれもはっきりさせてください。と思うのだ、私は。これは去年の十二月に発表しているんです、実際。そして解雇の日付というものがいずれも四月から九月だというふうになっているわけですね。四月以降九月までだ。私は本土の解雇がいいというわけじゃないのです。いま全体の問題を含めて言っているのですが、ただここで疑念に思うことは、相模原の場合は昨年の十二月段階で、しかも会計年度を越して四月から九月までということで、長期的な事前調整をしながら解雇の予告をなさっている。また全駐労の皆さんに聞いても、かなり事前に密接な連携を持ちながらやってきたんだ、こういう言い分なんですね。あまりにもふしぎなことは、沖繩の場合、じゃ千三百三十七名の牧港の兵たん基地の場合はどうかというと、正月の二日に、しかも休みですよ、公休日ですよ。こんなぶざまなことで、のうのうと受けられるほうがむしろ私はふしぎだと思う。一月の二日に千三百三十七名を出して、三月三十一日全部解雇です、こういうことで来たんですね。ここに何か解雇の手続やあるいは事前の施設庁を含めて、外務省を含めて、対策のやり方に、まだ沖繩はしようないんだと、悪いことばでいえば差別的な扱いをしていると受け取らざるを得ない面もあるんですね。なぜそうなったのか。しかも公休日に通告をするということ、先ほど労務部長は県と労管にいったというのだが、県だってそれを通告を受けただけで、了承したわけじゃないんですよ。そこまでアメリカにされても、なおかつものの言えない政府なのかどうかということなんです。正月の二日、休み、公休日、しかも本土においては十二月にやって四月以降九月までというふうにいろいろ計画を出してやっている。なぜそうなったか、違いが一つですね。  もう一つ、私は防衛庁長官にも全軍労の皆さんと一緒に会ってみました。また施設庁長官にもお会いしました。皆さん知らなかったわけでしょう、実際に。アメリカ側はあれだけの解雇予告をするということはわからなかったと言っているのです。そういうかって気ままなことをするのが一体許されていいのかどうかということです。確かに政府立場で、全面的に解雇撤回をやれとか、あるいは今日のアメリカのアジア政策いろんな面を考えて、解雇の面は百歩譲ってやむを得ない面もあるかもしれない。行政的な立場からすると、なおそういうことは言いたいでしょうが、しかし、事もあろうに、正月の二日にあれだけの解雇を出して、それをすんなりと受け入れられるという筋でないんだということは、私はき然たる態度というものが外務省も防衛施設庁もあってしかるべきだと思うのです。これに対してはその後どういう対策をとってこられたのか。先ほど指摘をした本土のやり方と沖繩の解雇の手続の違いというものがあまりにも明白過ぎる。それに対してはどういう考えなのか。やはりやむを得ないのか、あるいはまだ沖繩のはアメリカ軍が、米軍側が本土復帰以前の感覚でゴリ押ししているのか。問題のありかというものを明確にしていただきたいと思うのです。
  50. 田代一正

    ○田代政府委員 御質問は二点にわたると思いますので、まず相模原の事例でございますが、これはこういった業務の縮小という過程を通じての解雇問題といたしましては、これだけ長い予告があったということは初めてだと思います。これはかねがね私どもといたしましても、相当長い期間をほしいという話は米軍に九十日と限らずということを申し上げてきたということが一つ実ったという感じが私はいたします。こういう過程になるのが私はやはり解雇問題の非常に望ましい解決のしかただというぐあいに思っております。したがいまして、今後ともこういうシステムというものがだんだん根をおろすということを私ども続けてまいりたいというぐあいに考えております。  それから第二点の一月二日の予告に関連した問題でございますが、これは私もたしか一月の中旬か下旬、正確に記憶しておりませんが、全軍労の皆さんにお会いいたしました。その際一番憤激いたしておりましたのが一月二日という正月の最中にあったということです。これは日本の慣習を非常に踏みにじるもので非常にけしからぬという御意見でございました。それから第二には、この解雇というものを期日を延期できないかということを強く私に申し述べておりました。私といたしましてはその際申し上げたのでございますが、確かに日本の慣習に従わない、言ってみれば正月のとその酔いもさめない時期にそういうことがあることは非常にけしからぬ、私もそう思います、私はそれについては厳重に米軍に申し上げますということは申し上げました。それから期限の延長の問題でございますが、私どもといたしましては努力いたしますけれども、なかなかむずかしい問題かもしれませんということははっきり申し上げました。そこで施設庁のその後の足取りで申し上げますと、第一点の日本の慣習、これは今度の問題だけじゃございません。過去にもいろいろございますので、私からも米軍に対して強く日本の慣習に従った行動をしてほしいということは厳重に何回も申しております。それから第二点の期限の延長という問題でございますが、これも米軍に強く申し入れいたしているわけでございますが、なかなかこれは正直いっていまのところむずかしい問題でございます。  そこで第三点の問題といたしまして、極力千三百三十七名の方々の人員を減らすことができないかということに一つの焦点を向けてやっているわけでございます。たとえて申しますと、これはアメリカの陸軍でこういう措置をやるわけでございますので、当然沖繩にはマリーンとか、エアフォースとかいろいろな部隊がございます。そういう部隊でもって切り回しはきかないかということもさんざん努力を続けてきたわけでございます。現在までのその成果といたしましては、二百五十三名人員を振り向けるということになっているわけでございますが、私どもといたしましてはまだ時期がございますので引き続きこういった努力はいたしたい、こういう考えでございます。
  51. 上原康助

    上原委員 確かにいまお答えがあったように、相模原の場合を一例あげたわけですが、やり方と違っている。これは後ほど提起もしたいのですが、千三百三十七名の解雇者を本庁も知らない。これは私は手続の問題じゃないと思うのですね。これだけの大量な労働者の解雇を通告するにあたって、たとえ沖繩県あるいは神奈川県であっても長崎県であろうが青森であろうがいいわけですが、その防衛施設局なり県の労管に通告をすれば事足りる、もしそういうことで政府やアメリカ側がやっているとするならば、それは日米交渉なんてないですよ、日米の関係なんというのは。少なくともこれだけの人員を整理をする限りにおいては、事前にいろいろな動きがあったと思うのです。まあいまさらそのことを繰り返してもどうにもならないということになるかもしれませんが、正月の二日にやられたのはけしからぬと思った。思ったなら、思ったとおりアメリカにぶつけてみたらどうですか、そんな筋の通らぬということで。なぜアメリカがそうしたかというのは私が言わぬでもおわかりでしょう。九十日という事前の予告というものを何とかつじつまを合わせたいということだけなんだよ。それが一つと、三月三十一日、四月一日から新しい会計年度になるとアメリカはそれだけ出し前が多くなるからということでしょう。皆さんはそういうことじゃいかぬと私は言うのだ。もしもこの安保協のこれに書いてあるように「今後人員削減によって影響を受けるすべての人々の困難を軽減するために、最善を尽すとの意図を確認した。」ならば、何が困難を軽減するのです、こんな。「困難を軽減する」というのであるならば、やはり三月三十一日に解雇されればどれだけの不利益になるのか、どれだけの損失になるのかぐらいは多くを指摘するまでもなくしてわかるでしょうが。そんなことさえも十分話し合わないでやっていて、こんなところにのうのうと日米合意の議事録とか書くこと自体が労働者をばかにし、国民を愚弄するものなんだ、それは。ほんとうにここに書いてあることがそのまま日米間でやりとりをされているならば、なぜ事もあろうに正月二日に解雇通告をして——三月三十一日付で切られると、新しいベアの分もできない。しかも四十九年度からは特別給付金の増額もあるわけでしょう、これはまあ直接アメリカとは関係ありませんがね。そういうことに対してもっと親身に考えていただきたいというのです。だからそういうことができていない以上は、この解雇は無効なんだということぐらいは外務省も防衛施設庁もき然たる態度でやって——政府は少なくとも日本国民を代表する政府ですから、何もそこまでアメリカに一々頭を下げてごもっともですという必要はないんじゃないですか。交渉をやり直す意思はもうないんですか。
  52. 田代一正

    ○田代政府委員 ただいまたいへんなおしかりをちょうだいいたしましたけれども、私に関する限りはまさに先生と同じような考えを持っておりまして、この労務者の解雇問題につきましては、施設庁にもたくさん事案はございますけれども、私は最も神経を使ってきている問題でございます。もう一回交渉をやり直したらどうかという御提案でございますけれども、一月の末以来こういう話をずっと続けてきていることは先ほど申し上げたとおりでございまして、私はさらに従来やってまいりました努力を続けてまいりたいという気持ちでいるわけでございます。
  53. 上原康助

    上原委員 いまここで御答弁いただいたように私と同じ心境なんだということなら、私だったらそんなものはけしからぬから突っ返すと言いますね。むしろもう直接交渉のほうが私の体験からするといいんじゃないか。回りくどくて、外務省を相手にしたり、施設庁のぐにゃぐにゃしたのを見るとほんとうに歯がゆくてどうしようもないところがある。そのぐらいのことを堂々とここでおっしゃるなら何でやらないかということです。確かに二百五十三名二月八日現在で削減されてきていますね、千三百三十七名のうち。何とあとで一月十八日ごろですか、百三十一名が事務上のミスでしたなんて撤回している。どんなに大急ぎしたかがわかるのだ。そんなでたらめな解雇のことを許すということもおかしいのだ、ほんとうは。もってのほかだ。百二十二人は配置転換とかあるいは解雇をされてもいい、人員整理の退職なら自主的に受けましょうという方々が七十一人出て、おっしゃるように二百五十三人は減っております。ですから、千三百三十七名から二百五十三を引くと千八十四名がいま解雇の対象に、三月三十一日解雇の対象になっている。  そこで問題は、私は、確かにこの種の問題は相手のあることでもあるし非常にむずかしいということは重々わかっています。しかしやり方の問題があるというのだ、ものごとは。事もあろうに一月の二日に首をちょん切るなんて、休みですよ、これは。機能を果たしていないのだ、事務所も。そういうやり方に対して政府としては抗議をするとか、き然たる態度でできないというところに問題があるのじゃないか。今後かかることがあってはならない。厳重に抗議してくださいよ。  そこで、前々から私は提案もしてきたことなんですが、なぜ千三百名余りかりに解雇のやむなき事情にあるとするならば、いまも軍雇用員の中にはやめてもいいという人はたくさんいるのですよ、ほんとういうと。人員整理扱いをするならばやめてもいい。もちろんそれは職種が違うものですから調整せなければいかぬでしょう。なぜ解雇を発表する前に——いまでも牧港兵たん補給所は五千名近くいるわけでしょう、これだけ切られても。五千名の中からもっと自主退職なり事前に配置転換とかいろいろな調整をやるならば、あなた方がおっしゃるように犠牲者を最小限度に食いとめる作業というものは可能じゃないですか。これをやらぬところが私はふしぎなことなんだ。そういう提案を今日までやったことがあるのですか。
  54. 田代一正

    ○田代政府委員 先ほど申し上げたかと思いますけれども、そういう式の提案はやっているわけでございます。
  55. 上原康助

    上原委員 長官は必要以外は絶対言わないほうですか。そういう提案はやった、やったがアメリカは受けないのですか。具体的にどういう提案をしたのですか。お答えくださいよ。
  56. 松崎鎮一郎

    ○松崎政府委員 提案のしかたは、そういう大量の離職等があります場合に、なるべくそれよりも前に希望退職を募る、それから実際の計画が出ましたあとも、その整理の発効日までの間九十日ございますから、その間ねばり強く希望退職を募って、いま先生がおっしゃったような職種の調整等もやりまして、実整理者を減らすようにする、そういうことでございます。
  57. 上原康助

    上原委員 ちょっと私が申し上げている点とは異なるのですよ。皆さんは発表してから絶えず調整しましょうということになっているわけだ。発表してからじゃおそいのですよ。もう一月二日に——きょうは三月の五日でしょう。そうしますとあと幾らもないですよね。千名余りも調整できますか。だから私が申し上げたいのは、事前にもっと緊密な連携をもってやっているのだと皆さんおっしゃるのだが、そうであるとするならば、発表以前にそういう調整というものはやってしかるべきじゃないのかということなんですね。そういう提案は政府としてはやっておられるのかどうか。  もう一つお尋ねしたいのですが、一体九十日前に予告をすればいいという慣行になっているとかなっていないとかいうことなんですが、米側との政府間の口頭でもいいしあるいは約束でもいいし、どういう形になっているのか、それがどの程度拘束されるのか、その点あわせてお答えいただきたいと思うのです。
  58. 松崎鎮一郎

    ○松崎政府委員 先ほどの希望退職の提案の件でございますが、おっしゃいますような整理の発表よりも前に希望退職をまず募るべしという提案といいますか、そういう約束といいますか、そういったものがアメリカ側とございます。それで実際に発動した例といいますのは、昨年夏ごろだったと思いますが、神奈川県で横須賀とかそれから相模原のあたりでそういうものが実施されたと記憶しております。  それから二番目の九十日の事前通告という約束がどういう形でなされているかという御質問につきましては、これは約四年前になりますが、当時の小幡次官とフランクリンというアメリカ側の当時の参謀長との間で口頭でなされましたいわば紳士協約でございまして、ただしそれは紳士協約で書きものにはなっておりませんが、できる限り九十日前の事前通告をする。と申しますのは、日米間の正式の書きものになっております約束では、渉外労務管理事務所にアメリカ側が通告してくるのは基本労務契約関係で四十五日前、それから諸機関関係では四十日前というのが、いわば正式の約束になっております。しかしそれは法定の労働基準法の三十日前よりはいいわけですが、なおもう少し調整期間をとりたいということで九十日という話がそのときできたわけでございます。その後、事に触れおりに触れ、アメリカ側にその完全実施を要請しておりまして、三年ぐらい前は実施率がまだ九割には達しておりませんでしたけれども、四十八年の現在で申しますと、基本労務契約関係では九一%以上は一応九十日前の事前通告が守られております。あと八十日とか八十八日とかいうのがございますけれども、大体ほぼ守られている。ただ諸機関関係が若干遺憾な面がございます。
  59. 上原康助

    上原委員 口約束でできる限りということにしかなっていないわけですね。そこにも問題がありますし、特に今回の場合、いまのは正月の二日、八十九日にしかならない、一日足りない、ほんとうは。三日まで休みでしょうが。通告も県知事や労管所長にやればいいというわけじゃないでしょう。該当者が受け取らぬとこれは通告になりませんよ。効力を発しないと思うのだ。そのことを幾ら言ったって通じないかもしれませんが、そういうやり方をやっているところに非常に問題を複雑にし、ますます組合側の反感を買っている、労務行政の不手ぎわが指摘されているわけですから、いろいろ御苦労もなさってはいると思うのだが、私は、そういう筋の通らぬことはがんとして受け付けないという姿勢がない限り犠牲になるのは労働者なんだ、そのことを踏んまえてもう一度この件については、これこそアメリカ局長が言うように重要な問題ですから、外務省は米側とも相談してやってくださいよ。それでは一体、今後も努力をしていかれるというのですが、いま千八十四名残っているのが幾らぐらい減らされるんですか、最終的に皆さんの予測では。おそらくもうぎりぎりの線まできたんじゃないかと私は思うのですがね。そういう点についてもお答えいただきたいと思うのです。  それといま一つ。三月三十一日ということにアメリカが非常に固執をしたということは、先ほど言いましたように、四月一日に繰り延べるとそれだけ銭がかさむということが一番大きな原因だと私は思うのです。だから何としてもゴリ押しをしてきたということだと思うのですが、もし先ほど施設庁長官がおっしゃったように、やはり正月二日にやられては困る、おれもけしからぬと思うというお考えであるならば、少なくとも四月一日以降に繰り延べる事務上の手続をとる、この点だけは譲れない、政府としては。皆さんがああいう手続を踏んだんだから、そうしてほんとうに解雇をされていく人々の困難を軽減するという合意が日米間にあるとするならば、その程度のことはアメリカは幾ら不景気とはいえ、やせたりとはいえ、そんなことはできない国じゃないと思うのであります。そんなことをアメリカがやるなら、何で施設、区域を提供する、銭は日本政府がどんどん出すんだ。外交交渉というのは、これは日本政府がやるならこのぐらいはおまえらもやれ、やらなければこっちもやらぬぞというのが取引でしょう、やりとりでしょう。アメリカの言うことは全部聞いて、わがほうの言うことは全然聞かない、そんな交渉がありますか。そういうことも含めて、やるならば四月一日以降に繰り延べるということは可能じゃないかと思うのですね。その点についてあらためてやる御意思があるのかどうか、外務省とも相談して、きわめて重要な問題ですので私はそうすべきだと思うのです。やっていただきたい。お答えいただきたいと思います。
  60. 松崎鎮一郎

    ○松崎政府委員 最初の正月の二日に通告をしてきたことにつきましては、先ほど私どもの長官からお答えをいたしましたように、日本側の慣習に沿わない措置はたいへん不適当であるということは直ちに申し入れたところでございます。従来やっておりましたのは、正月とか年末とか、そういうときに人の首を切るということはいけない。ただ今回のことは、実際に解雇が発効する日が正月とか年末でないもんですから従来の約束に反するわけではないんですが、慣習にはどうもそぐわない、そういう意味で苦情を強く申し入れたわけでございます。  それから次の、延期の交渉はするつもりかどうかという御質問でございますが、これはすでに一月からそういう延期の話について申し入れをしております。ただ、これには、いまおっしゃいましたような難点のほかにもいろいろ難点がございますので、いま真剣に検討中でございます。非常にむずかしい、ただ楽観できない、見込みとしては必ずしも明るくないというのが正直な現状でございます。
  61. 上原康助

    上原委員 それはアメリカとやることは最初から見込みのある明るいのはないですよ。それをやるのが行政じゃないですか。政治じゃないですか。ですから、先ほどからくどくど申し上げておりますように、事施設、区域の返還とも密接な関係があるんだということをこれまでいろいろ言ってきたわけですからね。労務を担当するほうとしても、アメリカ側がわがほうにそれだけの要求をしてくるならば、わがほうの要求をアメリカ側も聞け、聞かなければおいらも聞けませんというぐらいの姿勢がないからこうなる。そこを私は言っている。外務省にそういう姿勢がないから、政府全体にそういう考え方がないから。ですから、きわめてむずかしい問題であるかもしれませんが、事はせっぱ詰まってきているわけですよ。私ももっと早目にこの問題を取り上げたかったのですが、あまり機会がなくて、いよいよもう三月も終わりに近づく。いま一度、施設庁長官防衛庁長官なりあるいは外務大臣が本気にやろうと思えばできないことはないと思うのです。それだけの姿勢でこの問題に対してはあらためて当たる。これは長官のほうからお答えを聞いておきたいのです。あなた、先ほどからけしからぬと思うとおっしゃっておるわけだから、けしからぬことをのうのうとのむ必要は一つもないでしょう。聞かなければ突っぱねる。場合によっては、じゃ県がそういうアクションをとらない場合にどうするのですか。そこにも問題があるわけですよ。アメリカはもう基地はただで使う、人間は切りたいときはいつでも……。まるでメッセンジャーボーイじゃないですか、いまの労管にしても、県庁にしたって、政府にしたって。アメリカのペーパーワークをただ取引するだけが私は労務担当じゃないと思うのですよ。働いている労働者をどう保護していくか、失業者に対してはどういうふうに再就職の道を与えるのか、そういう姿勢考え方に皆さんの発想を転換しない限り、今後ますますこの労務問題というのがむずかしくなりますよ。そういう意味でぜひ四月一日以降に繰り延べる、その交渉を極力やる、最善を尽くして、これは施設庁だけとは言いません、外務省とも相談してやっていただきたい。その決意のほどを伺っておきたいと思うのです。
  62. 田代一正

    ○田代政府委員 お答えいたします。  先ほどからお話しいたして、従来努力してまいったわけでございますが、ただいまの御質問でございますので、引き続いて期限の延長という問題、それから人員の縮減という問題に当たりたいと思っております。
  63. 上原康助

    上原委員 ぜひひとつ、こういうことなら私らも大いに応援しますし、またアメリカ側にも文句も言いますので、やっていただきたいということを強く要求しておきます。  そこで、長いようで時間もだいぶたってきました。ほかにもいろいろありますのであと二、三点。  これは基地労働者全般にかかわることなんですが、例の年度末手当の問題です。ほんとうに軍の労務者というのは踏んだりけったりなんですよ。賃金改定がされたって、二カ月ないし三カ月おくれる。本来なら公務員と同率、同時期改定という一応の原則はあるわけでしょう。なぜその〇・三カ月分の繰り上げというのはいまだにされてないのか、一体アメリカとはどういう話し合いがあったのか、説明いただきたいと思うのです。
  64. 松崎鎮一郎

    ○松崎政府委員 駐留軍従業員の場合に国家公務員と同時同率に給与を改定していく、そういう原則的な考え方で従来ともアメリカと交渉しております。ただ、同時という意味はどういうことかといいますと、たとえば昨年国家公務員が人事院の勧告なり給与法の改正法の成立によりまして一五%以上のベースアップがきまりました際に、それは要するに昨年の四月一日に遡及して実施ということでございましたので、こちらの駐留軍従業員の場合も同じく四月一日に遡及して実施ということにしたわけでございまして、この点については実はアメリカ側としては遡及の問題についてはたいへん難色を示しておりましたが、最終的にはそういう合意を見たわけでございます。したがって、それは同時に実施した。率といたしましても、水準も同じように約一五%以上のベースアップができたと思っております。ただ、実際の支払いの時期が二カ月くらい公務員よりもおそいという御指摘だと思いますが、これは実は物理的に、要するに公務員にならうと申します場合に、公務員の関係法律、給与法の改正法というものが実際にでき上がりませんと、それと同じといいましても、途中でございますと同じか同じでないかなかなかアメリカ側とも話がつきませんので、物理的に公務員のほうがきまりましてから始めますものですから、そこに一カ月半か二カ月どうしてもおくれます。ただ、適用する時期は同じにしておるということを申し上げておきます。  それから二番目に、〇・三カ月の年度末手当の繰り上げ支給のお話の御質問でございますが、この経緯を御説明いたしますと、これも昨年国家公務員の場合に〇・三カ月分の繰り上げ支給というのがなされたわけでございますが、私どももこの関係法律が国会に上提されましたとき、同じ時期にアメリカ側と交渉を始めました。それでアメリカ側も昨年の暮れにぜひ払いたいというこちらの施設庁側の要望については理解をいたしまして、年度末手当そのものの繰り上げであれば同意というように言ってまいりました。ただ、若干技術的で恐縮でございますが、国家公務員の場合、年度末手当の繰り上げとはいっておりますが、実際の支給方法としましては年末手当の増額といいますか、そういうかっこうでなされました関係上、その受給資格者の範囲等について若干の異動が生じておりまして、そこの数は千人足らずでございましたが、その人たちに対する支給が年度末手当の繰り上げというだけで強行しますと関係の労働組合との間で紛議が起きかねないというような状況でございましたので、かえってそういうことでなくて規定どおり三月の五日、きょうでございますが、きょうの前後、きのう、きょう、あしたくらいのところで各県が払っておりますけれども、通常の年度末手当を払うほうがいいのじゃないかということで見送ったわけでございます。
  65. 上原康助

    上原委員 時間が来つつありますので、私のほうから少し申し上げますが、それはいまおっしゃっただけの経過じゃないのでしょう。アメリカがこだわったのは、十二月、一月の解雇者や定年退職者に対しては払わない、十二月一日在籍者にしか払えないというような議論が皆さんあったわけでしょう。そうじゃいかないわけですよ、そこもまた。そこがネックになっているんじゃないですか。
  66. 松崎鎮一郎

    ○松崎政府委員 いま申し上げました受給資格者の範囲の異動というのはそういうことでございまして、十二月一日現在は年末手当のことになりますし、それから年度末手当は三月に払うわけでございますから二月一日現在の在籍者と、そこの間に約千人くらいの差があった、そういうことでございます。
  67. 上原康助

    上原委員 ですから、そうなると、いまのようなアメリカ側の考えで押えられると、結果的には駐留軍の方々は損するということになる。年度末手当の繰り上げといったって、公務員や公労協の皆さんはそれで納得しませんよ。もう政府だって検討しているのでしょう。内閣委員会でもあなたもおわかりのように問題になったでしょう。そうであると駐留軍労働者も同時同率だ。確かに技術的な賃金表をつくるとかいろんな計算の問題で一、二カ月のズレが出てくるのはやむを得ないかもしれません。例外がそういうかっこうでなされるならば、駐留軍に対しても年度末手当は、繰り延べであろうが繰り上げであろうがインフレ手当であろうが、公務員や地方自治体職員が受けたようにやるのがあたりまえでしょう。それさえもけるというならこれは何をか言わんやだ。アメリカに対しても、そんなけちなことを言うなと。ですから、お尋ねしたいことは、きのう、きょう、あすにかけて〇・五カ月年度末手当ということで一応支払う。駐留軍はそれでいいかもしれません。しかし、どうしても〇・三カ月分ということは、三月の十五日までに片づくかどうかは別としても、問題が出てくるわけでしょう。公務員の諸君にあらためて〇・三か月が追加された場合に、二月の一日とか三月の一日とか十二月の一日の在籍者とかいわずに、三月末日までに解雇をされたあるいは定年退職をした労働者に対しても〇・三カ月分は追加をして払わせる、政府はそういう考えでこの年度末手当〇・三カ月分の追加問題交渉についてはやるとお約束できますか。
  68. 松崎鎮一郎

    ○松崎政府委員 先ほどのは単に繰り上げでございまして、実額といいますか総体の額がふえる話でありませんでしたので、そういうことをいたしたわけでございますが、いまおっしゃいましたように、たとえば公務員の場合に何か〇・五カ月と従来あったものがたとえば〇・何カ月かふえて行なわれるというような事態になりました際には、全く同じような措置をとる交渉をやるつもりでございます。
  69. 上原康助

    上原委員 その場合は、年度内でいわゆる年度末手当受給者に該当したであろう雇用員、いわゆる解雇された者、定年退職をした者を含めて対象にして交渉なさるということですね。
  70. 松崎鎮一郎

    ○松崎政府委員 国家公務員のきまり方一つでございますが、公務員の例に準じてやりたい、そういうふうに思っております。
  71. 上原康助

    上原委員 なかなか用心深いですね。国家公務員は年度途中で首にならないのですよ。そこが駐留軍のむずかしいところですから、いまの方向でぜひひとつこの問題は早目に片づけていただきたいと思います。  いま一点、先ほど長官のほうから年休の問題が出たのですが、これもいろいろいま日米間の意見の不一致があるわけでしょう。年休行使の件について何か政府の統一見解とかあるいは——私はあんまり統一見解なんというのは意味のないことで好きじゃないのですが、一体どういう考えで駐留軍——特に年度内に解雇をされるあるいは離職をしていく人々の扱いが米軍側の言い分で問題になっていると思うのですね。その点についてはどうなっているのか、具体的に簡潔にお答えいただきたいと思います。
  72. 松崎鎮一郎

    ○松崎政府委員 簡単に要点をお答えいたします。  いまアメリカ側とやっております問題点は、年次有給休暇に関する規定の改正でございます。それで、その改正の要点は、現行の契協約では、たとえば従業員が請求するとかあるいは米側の監督者がそれを承認するとかいうようなことになっておりますが、そういう請求とか承認とかいうことでなくて、届け出をして、それに対して監督者が時期変更権というものを使わない限りはそのまま成立というようなかっこうにしたいということでいまやっているわけでございます。いまおっしゃるように、年の中途で整理をされる従業員があります際に、これにも十分な、十分なといいますか、要するにきまった休暇をちゃんと与えられるようにという意味でいろいろ折衝中でございます。
  73. 上原康助

    上原委員 いまの政府の提案あるいは方針で、アメリカ側はそれを受け入れる可能性はあるのですか。また、受け入れないとすると、これはもう引用するまでもなく、判例も出ているわけでしょう。ですから、国内法を尊重するとか重視するということであるならば、ほかにもいろいろ問題があるのですが、そういった点は、もうアメリカ側がそれを受けようが受けまいが、わがほうはこういう方針でいくんだ、まあそういかない面もあるかもしれませんが、政府としてはいまおっしゃった考え方を変える意思はないわけですね。その方向でアメリカ側にどうしても同意を求める。大体有給休暇を使用者が承認をして恩恵的に与える考え方自体がおかしいんです、従来のアメリカの考え方。権利として請求できるんです。ですから、そういった面は、いま答弁があった方向でアメリカ側に同意を求めて、これは契約を改正するわけですか。それとも、特殊な何か覚え書きとかそういうのをつくるのですか。
  74. 松崎鎮一郎

    ○松崎政府委員 これは、主要な点は、契約そのものを改正するつもりでございます。契約を改正いたしませんと、結局両方拘束されませんので、そういうつもりでございます。
  75. 上原康助

    上原委員 ぜひそういう方向でひとつ、これも懸案のようですから、早目に結論を出していただきたいと思いますし、せっかく契約、協約を変えるならば、先ほど言いました九十日の予告の問題についても、この際明確に規定化すべきだと思うのですね。それを含めてひとつ政府としては検討していただきたいと思います。  ちょっとまた、MLCの件についてだけ触れたので、給与とかそういう面は全部関連するのですが、IHAの場合に、先ほど部長も幾ぶん問題があるというような御答弁があったのですが、やはり相当あるわけですね。解雇予告なんかももうめちゃくちゃなんです、実際。九十日守ったためしはない。二月の十三日に百二十五名、沖繩エクスチェンジ関係通告をして、三月三十一日です。全くもう……。そういうことは、諸機関の場合は九十日ということは、日米間で約束といいますか、そういう慣行的なものは全然ないのですか、一体。
  76. 松崎鎮一郎

    ○松崎政府委員 私どもとしましては、その基本労務契約の従業員と同じように、諸機関の従業員にもやはり九十日前の予告というものをやってほしいということを要請しております。  いま言われました二月の件でございますね。これも二月の十三日に事前通告してきまして、計算しますと四十六日しかございませんでした。これはたいへんけしからぬというので二月の十五日にそれぞれ私どものほうの人を手分けいたしまして、府中の在日米軍司令部、それからこれは陸軍の関係でございましたので、座間の陸軍司令部というところに、こういうことでは困るのでこれをもう少し延ばせという話をしたわけでございます。  そのときにわかりました事情を簡単に申し上げますと、アメリカ側としては、この内容が主たるものは沖繩の将校クラブの解散に伴う従業員の解雇でございまして、解散しないで済むようにということで一生懸命やってきたが、どうもやはりだめだというのでぎりぎりまで努力してきたけれども結局できない。あとは下士官クラブしかできないというようなことで、日が詰まってしまってまことに申しわけない。今後は四十六日なんということではなくて、もっとちゃんと基本労務契約並みにするように努力すると言っておりましたので、御報告しておきます。
  77. 上原康助

    上原委員 これは納得できませんね、それじゃ。人の首を切ってから今後は善処しますなんていったって、それは始まりませんよ。二月十三日に——二月は二十八日までしかない。それと、これは本土も大体似たり寄ったりなんですが、いろいろ調べてみますと、このいわゆるエクスチェンジ関係、PXとか酒保、販売機関あるいはクラブ、基地内のレストラン、そういうところですが、沖繩のOREを例にとってみた場合に、どのくらいパートに切りかえて合理化されているか、その実態については御存じですか。解雇は九十日を守らすようにこれまでアメリカ側に提起をしているのだがなかなか守っていただけないという言い分ですが、合理化の面もほんとうにひど過ぎますよ、パートの問題なんかも。実数をおつかみですか、そういうことは。これに対して政府として、私はほんとうに最近ふしぎなんですが、われわれがやっておったころはそんなにまででたらめじゃなかったです。もう少しものも言えた。またアメリカだって、悪いやつもいるけれどもなかなか筋が通る、理がかなえばそういった面も歯どめがあった。最近は全くめちゃくちゃやりたいほうだいやっている。なぜ政府の機関がかんだらそういうふうにしかならないのかふしぎでたまらないのです、実際。だから、もう間接雇用なんか返上してしまって、直接雇用でどんどんアメリカと話をしたほうがむしろいいのじゃないかという気さえする。実態をおつかみなのかどうか、ちょっと時間がありませんので……。
  78. 松崎鎮一郎

    ○松崎政府委員 沖繩のOREの関係につきましては、昨年の秋ごろからいまのパートタイム切りかえの問題がございました。パートタイム切りかえのときに、これはいやだということで選択権を使ってやめた人が約百人未満ございます。切りかえられた人が、私ちょっとさだかでございませんが、二百人くらいだったと思います。最近の状況は就業時間の変更といったことを言っておりますが、これにつきましても、最初週休二日のものが週休一日しか休めないようなものを言ってまいりましたので、これはやはり週休二日をやってほしい、四十時間というものもできるだけ守るようにということで話をしております。それからさらに、なぜそういう変更をしなければいけないか、その事情をよく当該従業員に理解をしてもらうように説明をするようにということも申し上げてございます。
  79. 上原康助

    上原委員 私がお尋ねしているのは、日本人雇用員のパート切りかえの問題じゃない。これももちろんいいとは言いませんよ。実際七二年の一月現在でOREの雇用員総数というのが二千五十名、七二年六月現在で千九百名、七三年十一月では千九百二十、ちょっとふえているのですね。その過程を見てみますと、これだけの総数に対して、いわゆる日本人雇用員というのが七二年一月は千九百四十人おった。七二年六月になると千六百七十五名、そして七三年では千三百五十名、これに解雇出ていますのでもう千名切っていると思うのですね。こういう状態、このうちにパートがいまおっしゃるように二百名前後切りかえられたんだ、約千三百五十名のうち。そして現在は約千名そこいらの日本人労働者しかいないのに、何と米国人のパートが七二年一月現在では九十名だ。七二年の六月には二百十名、七三年の十一月になると五百五十九名、六百名。現在は幾らいると思う。七百名近くなっているのですよ。千名の日本人労働者に対してアメリカ人のパートというものがやがて同じ数になってきているのです、実際。こういう状態でいいのかということ。ほんとう予算の都合であるということであるならば、こんな問題は出ないと思うのですね。私はそこに諸機関の協約というものが、長官、これはもう少し洗い直してみないといかぬですよ。もう沖繩の軍事基地の場合は、復帰前ならそこに一応職を求める、基地経済云々があった。少なくとも他に就職する場所が少ないということで、基地というのは就労の場として一応は確保できたのですね。しかしいまはそうじゃなくなっている。全く怪物のように居すわっているだけなんです。自衛隊がのこのこ入るし、働いておった職場はどんどん日本人は首を切っていく、あるいはパートに切りかえていく。おまけにアメリカ人の奥さんや駐留軍、いわゆる在郷軍人などを雇って、どんどん首を切っているのがいまの基地の怪物の実態なんです。ここまで許していいかということは、協約問題を含めて考えた場合に、政府として洗い直してみなければいかぬじゃないですか。こういう実態なんですよ。経済的問題というよりも、これに対して、いまの二月の十三日に通告をしたという解雇の問題あるいは職場実態が、米国人がこれだけおって、フィリピン人そのほかもたくさんいるのですよ、第三国人も。第三国人は百五十名近くいるのですね。こういう問題に対して、なぜもっと政府という立場でできないのかどうか。手放しの状態じゃないですか。ですから、こういう合理化の問題があるし、通告のしかたに、二月十三日というあれで三月三十一日を切ったというようなこと、これもきわめて非道なやり方。ですから、先ほど兵たん部隊の件とあわせてこのIHAの職場の実態を把握をするということと、外人パートをそうやすやすと許すわけにもいかぬでしょう。何とか歯どめをする必要はないのですか。そういう件を含めて県側とも相談の上で対処をしていくということでやっていただきたい。その御意思があると思うのですが、お答えいただきたいと思います。
  80. 松崎鎮一郎

    ○松崎政府委員 いま御指摘になりました外人雇用という問題につきましての私どもの態度は、従来から日本人従業員の首を切ってそのかわりに外人を雇うということは、しては困る、それができる場合は、余人をもってかえがたい、要するにアメリカ人の何か特殊な技能なり何なりあって、その人しかいない、どうも日本人に適当な人がいないという場合にはしょうがないが、日本人の首を切ってかわりに外人を雇うということは、しては困るということ、それから、これはちょっと私どもだけではできないことでございますが、外国人は、これは当然出入国管理の関係になりますので、不正に長く滞留するようなそういう退役軍人などは困るのですよという、その二点を従来から主張しております。
  81. 上原康助

    上原委員 主張なさることもいいわけですが、出入国管理の問題ですと法務省とも関係があるし、また、アメちゃんですから外務省とも関係があるでしょう。そういったことをあわせて、長官ひとつ早急にやってもらう。三月三十一日の解雇というのは、何としても繰り延べさせるということはやってもらわぬと困りますので、あらためてその点要求をしておきたいと思うのです。  実はきょうたいへん恐縮したのですが、基地被害の問題も触れるということで準備はしてあるのですが、約束の時間が来てしまって、私もまた分科会もあるのです。これは委員長にお願いしたいのですが、基地の整理の問題と基地被害、一般にいわれている基地公害の問題等について、質問をさしていただきたいと思います。さらに、総理府長官は来ていただいたのですが、先ほどの事故の点についても、最高責任者の総務長官からもお答えをいただきたいし、そういう面を含めて、次の機会に理事会でまた発言の機会を与えていただくことを要望しておきたいと思うのです。その点ひとつお取り計らいをお願いします。  最後に西銘政務次官、先ほどからしんぼうしてすわっていらしたのだから、大臣になる訓練もやっていただきたいということで一言お答えいただきたいのですが、今度の事故の件、いま私が言いました基地労務者の解雇問題、特に三月三十一日で期限を切られた場合に、離職を余儀なくされる人の生活に非常に影響を与える。そういうようなことをあわせて考えた場合に、特に県の御出身である次官としても、政府に対して強くこういう問題は提起すべきだと思うのですね。そういう意味で、開発庁としてもこの問題についてはもっと積極的にやっていただかなければいけないと思うのですが、決意のほどを伺っておきたいと思うのです。
  82. 西銘順治

    ○西銘政府委員 軍関係労働者の解雇の問題先ほど上原委員から御指摘になりましたとおり、今後に向けて改善しなければならない給与その他労働基準の問題等がありますが、開発庁といたしましては、防衛施設庁、また関係団体とも鋭意検討いたしまして、基地労働者が不安のないような対策をとっていきたいと考えております。  それと、小禄における爆発事故でございますが、御指摘になりましたとおり、まだ戦後が終わっていないという感を深くするのであります。ただ、発見されました砲弾、爆弾、地雷等の管理、処分につきましては、関係省庁とも緊密な連携をとって対処していくことが十分できると思うのであります。ただ、地下に埋没されておる砲弾、爆雷、地雷等の探知の問題になりますと、能力がきわめて低い。一メートル五十からせいぜい二メートル程度といわれておるので、探査能力がきわめて低いのでありますが、それにいたしましても、できるだけの能力を振りしぼって、そういう埋没しておる不発弾、砲弾等の処理について、今後不安のない対策を検討してみなければならないと思うのであります。ただ、ばく然として終戦処理ということでは、国の責任が道義的にも追及されてしかるべき面もあろうと思うのであります。ただ、法律上はたして国家の責任であり、また、国家賠償法を適用いたしまして賠償の責めに任じなければならないかというこまかい問題になりますと、まだ法律上詰めていかなければならない問題が残っておりまして、いま鋭意関係省庁協議いたしまして検討しておるところであります。ただ、できることは沖繩戦場でございましたし、危険地域等については公共事業、民間事業等を施行するにあたりまして、危険地域として県、市町村、開発庁が一体となってこれを指導する、そうしてできるだけ探査の努力をいたしまして被害がないように、さらに危険地域については工事費がかさむこと等も考えられますので、そういったことも考慮に入れて予算措置、財政措置をしなければならないという考え方に立っておるのであります。  以上申し上げておきます。
  83. 上原康助

    上原委員 先ほど申し上げた点もひとつ御考慮をいただきまして、一応質問をきょうは終わります。
  84. 小濱新次

    ○小濱委員長 上原君に申し上げます。御要望のありました件につきましては、理事会にはかり善処してまいりたいと思います。  國場幸昌君。
  85. 國場幸昌

    國場委員 このたびの突発した那覇市小禄県道七号線に起きた爆発事故は、今後も起きるであろう重大な沖繩にとっての事件でございます。御案内のとおり、沖繩におけるところの第二次大戦のあの米軍上陸以前においてたくさんの地雷、または戦闘中におけるところの不発弾、これは御案内のとおり数多くいまだに処理されてないというようなことは、なかなかこれを完全にするということに対しては困難であるし、またしかもこのたびのような埋没されたところの地雷の爆発というものに対してはなかなかもってこれは困難であるということを理解しつつも、しかしこれは沖繩県民に言わせればどうにかしてでもこれを解決していかなければいかない、こういうようなことからしまして、私は政府に重複するということを考えつつもお尋ねしたいと思うわけでございます。  そのお尋ねする前に、参考としましてこの地域におけるところの米軍上陸、戦闘の開始されんとするときに、この地域においてのこの地雷の敷設、幸いにしまして当時生き残った海軍のその任に当たったのがおりました関係上、私はその本人に会いましてつぶさに状況を聞いたわけでありますので、参考までにここにおいてちょっと御報告しておきたいと思います。  米軍の上陸したのが昭和十九年四月一日でございます。その地域の防備は沖繩海軍根拠地隊というような海軍の防備地域であったようでございます。五月の二十日から地雷敷設が始まりまして、海軍根拠地隊との戦闘が開始されたのが四日でございますから、その間約二週間ぐらいの時日があったようでございます。そのかいわいに埋没されたというような地雷は二百キロから五百キロというような大型が約四十個ぐらいであったようでございます。それからそれを埋没するその深度というのが大体三尺ぐらいから二尺五寸ぐらいであった。それからそれ以外にやはり三百個から五百個ぐらいの小型地雷を相当な地域にまたがって敷設したようでございます。その深度が大体また一尺五寸から二尺ぐらいの深度であったようでございます。今度爆発事故の起きたところは下水道工事でございまして、すでに御案内のとおり、この下水道のすぐわきのほうには幼稚園がございます。幼稚園は当日ちょうど演芸会の期日で父兄もつき添いまして、約百八十名ぐらいの幼稚園であるようでございますが、幸いにしまして演芸の途中であったようでございまして、それに親についてきたような子供さんが園内に入ることはじゃまになるというようなことで、外に行って遊んでおれというようなことで、そこで子供が約七名ぐらいブランコに乗っておったようでございますが、しかしその後被害を受けまして、なくなったのが御案内のとおり二名で、それからその現場工事に対する、下水道工事のクレーンの操作に当たるクレーンマンとそれからシートパイル、矢板、これをつかんでおる二人が吹っ飛ばされてああいうことになったというようなことでございます。  かようなる状況におきまして、私は遺家族のうちにもお見舞いしましたのですが、まことにかわいそうで、終戦後丸太でつくったようなうちがいまだに、オペレーターのうちは子供がたくさんあるがゆえに家もつくれないというようなことで、葬礼をどうするかということも親戚の方が私に話しておりましたのですが、これは政府を追及しておるだけで、ものごとが解決するものではない。やはり現地のほうの県、市また国というようなことで、互いに協力し合って、この問題に対しては今後またと起きないような事故防止ができるというようなことを考えるわけでございます。しかし、そういいながらもやはり政府責任においてなされたような国事の戦後処理というようなこともからんで、これはぜひ政府のほうでこの問題に対しては補償していただきたい、こういうことが新聞の一般の報道であるし、また被害を受けたような方々も口々にそれを強く私のほうに言っておりました。ここで今後起きないようにするためにはどうあるべきか。なかなか困難な事業でありまして、この問題はただ小緑地域のみならず、全琉にまたがってかようなるものが起きる可能性があるということを考えた場合に、今後いかなる方法でやっていくかということは、まだ政府当局におきましても、どこが担当してどういうような方法でやっていくというようなことの打ち合わせもできてないということを感じつつも、しかしこれは窓口をどこにしてどこが責任を持ってやるんだというようなことでないと、これは県民は納得がいかないことだ、こういうことを考えるわけでございます。そこで総理府としまして、その件に対しては総合事務局も出先がありますので、その管下にあるところの総合事務局を窓口にしまして、そこでの政府間においての横の提携というのはどういうことであろうとも、やはり総理府がやるのが行き方じゃないか、こう思うわけなんですが、これは補償問題でございます。それから探知するにおいての埋没されたところの地雷または不発弾、かようなるものに対しては相当な技術が要るというようなことも考えるわけなんですが、いかがなものでしょうか。政府当局としましてはどういうようなお考えをお持ちでありますか、まず最初にそれをお伺いしたいのであります。
  86. 伊藤廣一

    ○伊藤政府委員 お答え申し上げますが、先生のいま御指摘の点、いわゆる窓口の問題につきましても、午前中総務副長官からも申し上げましたとおり、どこの役所がこういった問題について処理に当たるのかという問題がありまして、私ども、管理室長という立場でいま出席をさせていただいておるわけでございますが、私どもは不発弾処理につきまして、地方公共団体において爆弾の発掘をして処理をいたす、そういうふうな仕事をされ、事業をされる際に、国として一定の補助金を出す、そういう仕事が実は四十八年度から始まっておるわけでございまして、そういう関係の支給の事務をやるということを命ぜられておるものでございます。沖繩につきましては、いま発掘しましてと申し上げましたが、沖繩につきましては、非常な戦場であったという特殊事情からして、本土と同じような扱いではできないという事実に基づきまして、まずやはり、現在沖繩におきましては、ちょっといろいろ工事をするということになると、そこからざらざらと不発弾が出てくるというふうな状況、そしてそういうふうな通報がございますと、それを警察等を通じて情報が入りますとこれを自衛隊処理をしておるという状況でございまして、そういう仕事自体も相当な仕事の量があるということで、実は沖繩につきましては、発掘して処理をいたすというところまで沖繩県におきましても手が回りかねるというふうな状態で、本年度はそういう発見された爆弾等処理をするという仕事を進めておるわけでございます。  そういうことで、私どもはそういう仕事をやっておるわけでございますが、昨日、実は総務長官の御命令によりまして、これは総理府審議室が主になるわけでございますが、各省のこういう関係の担当の方に集まっていただきまして、緊急に今後の安全対策をどういうふうに考えるべきであろうかというふうなことについて御相談申し上げました。その結論を出すまでに至っておりませんのですけれども、先ほども総務副長官からもお話ございましたように、建設省の担当者並びに沖繩開発庁の担当者が本日参っております。そういうことで、帰られましてからの事情もいろいろお聞きし、そして私どもとしては、やはり先ほど申し上げましたように、仕事としては交付金支給事務ということでございますけれども、やはりこれは何とか各省との連絡を密にいたしまして、少しでも先生指摘のような、沖繩の方々の気持ちにこたえられるような努力というものをしていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  87. 國場幸昌

    國場委員 この問題は、おっしゃるとおりなかなかむずかしい問題ではございますが、しかしこれはぜひやらなければいかない問題でございまして、まあひとつ沖繩県民の立場においてお考えになられて、今後絶対にまたとこういうような事故の起きないようにあらゆる英知をひとつ出されまして、その措置に対しては今後とも努力をし、最善を尽くしていただきたいことを希望するわけであります。  それじゃ、できたものに対しての、いま上原委員のほうからもいろいろ質問がありましたとおり、現にとうとい人命をなくされた方が四名、家屋が八十戸、自動車四十一台、それからその工事を担当しておるところの器物、工事の執行不可能になったあらゆる問題に対しての損害問題がございます。ことにこの人命に対して、金目とこれを引き合いに話を出すというようなことは、なくなられた方たちにはまことに失礼にも当たるとは思いますが、しかし現実としてその補償を一体だれがするのか。あさっては県会のほうでも議決を持って上京をし、この委員会にお願いをする、こういうことの連絡も入っております。こういうような事態に至りまして、この補償問題に対しては政府としましてはいかようなお考えでございましょうか。その点に対してお伺いしたいと思います。
  88. 伊藤廣一

    ○伊藤政府委員 お答え申し上げます。  補償の問題につきましては、これも午前中副長官のほうからもあれしたことでございますが、補償ということになりますと国の責任ということになりまして、はっきりと国の責任であるということについては、国家賠償法という法律もございまして、そういう補償関係ができるというふうに伺っておるわけですが、現在の段階では、まだ事実関係についてもいろいろ工事関係の契約であるとか、その他いろいろな関係があるかと思います。その辺も含めて調査をこれからいたすということになるかと思いますが、そういう点で事実上の問題を明らかにしなければいけないということもありますし、それから法律上の問題もまだいろいろございまして、その点は、法務省等担当の部局がございまして、これからそういう問題もまた詰めるということになろうかと思います。  先ほど申し上げましたように、私管理室長としては、そういう補償の問題はどうするということを申し上げる立場にないのはたいへん残念でございますけれども、なお先生の御発言につきまして、上司にお伝えをいたしまして、再度その辺を申し上げるというふうにいたしたいと思います。
  89. 國場幸昌

    國場委員 いますぐここでどうだというようなことは無理な質問だということもよくわかっております。しかし私がここへ立って申し上げたいのは、被害を受け、またとうとい人命をなくされたこの家族に対しての問題、またその仕事を請け負ったところの業者、これにしましても零細の企業でありまして、八十戸といううちがほとんど粉砕されておるとか、自動車が四十二台も破損して使えないとか、あるいはまた工事においても以後は、やった者に対して今後もう見通しもつかない、こういうようなことで、これを解決していくには、やはり政府としましてもその立場をよく理解し、特別なるお計らいをもってそのことに対しては、補償といいましょうか、救助していただきたい、こういうことを考えるわけでございます。  沖繩の日刊紙を見ますと、これは災害救助法を適用するにもまだ余りあるところの措置を講じなければいけないんだ、こういうようなことも報じております。世論はおそろしいもので、私は新聞もここに持ってきておりますが、あの事故以来沖繩の日刊紙は、一面トップ全部こればかりで報道されております。事実沖繩県民にしますと、今後もこういうことがあったのじゃたいへんだというような、あのむごいような状況を見ました場合には、やはりそれだけの県民の関心があるということがありありと新聞には報ぜられでおるということを私は感ずるわけでございます。この問題に対しましては、やはり政府のほうとしましても、これが不測の事故であるかというようなことになると、私はこれは不測の事故ではない、もう少しそれに対して危機感を持って、関心を持ってやることにおいてはこういう問題が起きなかったんじゃないか、こういうようなことを考えるわけでございますので、この問題は政府責任においてそれをしていくというような腹がまえの上にして、ひとつ今後の措置を十分にも、そういうような被災者に対してこたえるべきところの措置を講じていただきたいと、これをお願いするわけです。  問題は海洋博のときですね。この埋没されておるところの爆弾不発弾、これはどうするかという問題で、やあ県だ、やあ国だといろいろやりとりあったわけですが、あのほうに対しては御案内のとおり国がやって、費用も出して、みなやってやるんだ、こういうことに決定されております。しかし海洋においては危険性というのもあるといえども陸上みたいにはないわけなんですね。だからこういうことがあのかいわいでも、大体本人宮城嗣吉といいますが、当時の沖繩根拠地隊の施設班として指揮されたと御本人は言っておりましたのですがね。この小禄のほうからいま、今後振興開発に従って開発されるであろうというようなあらゆる施設に対して土を掘り起こすということになりますと、いまさっきも私申し上げましたとおり、相当なる地雷が埋没されておる、こういうようなことでありましたものですから、私はあえてお願いするわけであります。  あの状況を見ましたが、ちょうどあれは四階建てでしょうかね。あのシートパイルの二十尺ぐらいのものが吹っ飛んで、あのはるか四十メートルか約四十五メートルぐらいの、四階建てか三階建てですが、その屋根の上まで吹っ飛んでいって、そのビルを越してまた向こう側の百メートルぐらい越したところの屋根にも破損を受けておる、こういうような状況ですから、あれがもしああいうものがたくさんあったらこれはたいへんですよ。  時間がございません。私の質問に立ったのはごく簡単でもありますし、しかし同じようなことを二度も三度もしゃべるというのもどうかとは思いましたが、しかしこのことはあまりにも重大なるゆえに私は政府のほうにあえて質問をしておるわけでございますので、どうぞひとつ今後は万全を期して沖繩県民の、また被災者の期待に沿うような措置をしていただきたい、これを希望いたしまして私の質問を終わります。
  90. 小濱新次

    ○小濱委員長 午後二時に再開することとし、暫時休憩いたします。     午後一時二十四分休憩      ————◇—————     午後二時十三分開議
  91. 小濱新次

    ○小濱委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。加藤清政君。
  92. 加藤清政

    ○加藤(清政)委員 私はまず今回の沖繩振興開発特別措置法の一部改正に関連いたしまして、現在の沖繩実情及びそれに対する政府の基本的な考え方、施策についてお尋ねしたいと思います。  最初に私は沖繩県における中小企業の実態についてお尋ねしたいのでありますが、沖繩開発庁及び中小企業庁としては沖繩県における中小企業の育成についてどのような考え方に基づいて施策を進めておられるか、その点まずお尋ねしたいと思います。
  93. 西銘順治

    ○西銘政府委員 お答えいたします。  中小企業対策につきましては、沖繩における企業のほとんどが、と申し上げましても八〇%近くが中小企業、零細企業でございまして、その振興策につきましては開発庁も関連省庁と緊密な連携をとりましてその育成策に当たっておるところでございます。  特にその実態について申し上げますと、海洋博関連事業について申し上げますならば、四十七年度の完成された工事高が一千十四億円ございまして、そのうち資本金一億円以上の大手業者の受注した額は一四・四%に当たる百四十六億円であり、残りの八五・六%に当たる八百六十八億円が中小企業の受注分となっておるのであります。しかしながらわれわれといたしましては、特に技術を要するものまた事業費の多額なもので大手業者に発注すべき事業等につきましても、できるだけ現地企業とのジョイントを考えまして、現地における地元建設業者の育成に鋭意当たっているわけでございます。
  94. 吉川佐吉

    ○吉川政府委員 ただいまの御説明にもございましたとおり、沖繩の中小企業につきましてはきわめて零細性の高い企業のウエートが高うございまして、事業所総数が四万五千ぐらいございますが、そのうちの九〇%に近い三万九千企業が個人企業でございます。また従業員の規模の面から見ましても、二十名以上の従業員を持つ企業はわずか千三百、約三%にすぎない、そういう数字になっております。しかしながら沖繩におきます中小企業の地位はきわめて高いものと考えられまして、企業の数では九九・六%が中小企業、大企業はわずか〇・四%という数字でございます。製造業の出荷額の約八〇%が中小企業というふうになっております。これは、全国平均の中小企業のシェアで見ますと企業数は九九・四%ですから、それ以上に中小企業のウエートが高い。また全国平均の製造業出荷額のシェアは四八・九%でございまして、沖繩におきます製造業の出荷額はそれの倍近くになっているというきわめて中小企業のウエートが高いわけでございます。しかしながら、他県の中小企業と比較いたしまして、沖繩の中小企業を見ますと、沖繩市場というのが相対的に狭隘でございますので、設備の近代化が必ずしも十分でないというふうに見られるわけでございます。こうした現状にございますので、中小企業庁といたしましても、沖繩の中小企業の体質の強化をはかるということがきわめて重要でございまして、沖繩の産業の開発、振興の上からもこういった点に力を入れていきたいというふうに考えておりまして、現在近代化、組織化の指導それから金融、税制面の支援等総合的な施策をいろいろ講ずることといたしておる次第でございます。
  95. 加藤清政

    ○加藤(清政)委員 いま西銘政務次官から中小企業に対しましての沖繩における位置づけとして大体八〇%ぐらいのシェアを占めているという御答弁がありましたが、中小企業庁のいまお話によりますと、大体四万五千軒で九〇%が個人企業として占めており、全体の中小企業として占めるシェアが九九・六%であるというお話があったわけですが、その点西銘政務次官のほうの御答弁によると、中小企業の位置づけについての若干の食い違いがあるのではなかろうかというように考えられますが、その点いかがでしょう。
  96. 西銘順治

    ○西銘政府委員 食い違いはございません。私の計数的な説明が八〇%以上となっておりますが、正確な答弁はただいま中小企業庁からあったとおりでございます。
  97. 吉川佐吉

    ○吉川政府委員 政務次官のおっしゃった八〇%というのは、生産金額から見てのウエートでございます。
  98. 加藤清政

    ○加藤(清政)委員 いま御説明いただきました沖繩における中小企業の相当部分が海洋博ないしそれに関連する事業にかかっているように思われるわけでありますけれども、実際もともと器の小さい沖繩県であれだけの規模を持った海洋博を行なうとなりますると、労働力一つとってみましても、これはとても沖繩県内だけで充足することはできないわけで、勢い九州あるいは本州などの労働力供給にたよらなければならないわけでありますが、政府のほうではこうした労働力の動態については把握しておるかどうか、その点をお尋ねしたい。
  99. 渥美謙二

    ○渥美政府委員 四十八年度におきまして、私ども海洋博ということだけじゃございませんで、民間工事その他そういう建設業界の需要労働力というようなものを推定いたしておりますが、大体五万人ぐらいが必要ではないだろうか。そのうち現在ある労働力が三万八千人ぐらい、そのほか県内で活用できるのが七千人ぐらい、差し引き五千人ぐらいが県外から応援を求める必要があるのじゃないだろうかというような見通しを立てております。
  100. 加藤清政

    ○加藤(清政)委員 いまお答えいただいたように、資金の面でも労働力の面でもこれまでにないほどの量がたいへん短い期間に集中されまして、いずれ海洋博がはなやかに開幕ということになろうと思うわけでありますが、このように膨張した沖繩経済がはたして海洋博が終了したあとにも維持していけるものかどうか私はいささかの懸念を持っているわけでありますが、この辺の見通しについてはどう判断しておられるかどうか、その点お聞きしたいと思います。  さらに聞くところによりますると、沖繩県の中小企業は今海洋博による人手不足、原材料の不足、本土企業の進出による市場の圧迫などによって前途はきわめてきびしいものであるというようにいわれておりますけれども、開発金融公庫などの融資の実態とあわせて御答弁願いたいと思います。
  101. 西銘順治

    ○西銘政府委員 お答えいたします。  海洋博後における沖繩経済の維持をどのようにはかっていくかという最初の御質問でございますが、沖繩経済振興のためには新規企業の立地と並んで既存しておる企業の合理化、体質の改善が必要であります。沖繩の経済成長に負うべきこれらの企業は先ほど申し上げたとおりほとんど中小、零細企業でございまして、しかも企業の近代化、合理化等が本土と比較いたしまして著しく立ちおくれておるのであります。したがって今後中小企業の設備の近代化はもちろんのこと、構造改善の推進、経営の合理化、さらに技術水準の向上、また流通面の改善、税制、金融上の配慮等が必要でございまして、これらの条件を強力に整備、推進していかなければならないと考えておるのであります。  その際最も注意しなければならないことは、本土の企業が無秩序に進出することによりまして、沖繩における中小企業が圧迫を来たすようなことがあってはならないという配慮が最も必要ではないかと考えております。もちろん海洋博の開催は御説明申し上げるまでもなく、沖繩開発振興計画の起爆剤ともいうべきものでございまして、これを起点といたしまして、今後産業開発の推進に強力に当たっていかなければならないと考えております。沖繩振興開発金融公庫の融資の実績との関連においてどうなっておるかということでございますが、公庫の四十八年度における貸し出し計画は当初百三十三億円でございまして、全国的な金融引き締め政策の影響のほか、海洋博準備のために旺盛な資金の需要等もございまして、地元の中小企業金融が逼迫ぎみに推移してきたのであります。そのため先般年末に中小企業向けの資金といたしまして、二十億円を追加いたしておりまして、あわせて公庫資金の弾力的な運用によりまして、三十三億円を捻出したことになり、合計百八十六億円の貸し付けを計画いたしておるのであります。貸し付けの実績につきましては一月末現在で百五十七億円となっております。なお、四十九年度の貸し付け計画は百六十億円でありまして、当初計画百三十三億円に対しまして約二〇%の増となっております。さらに年末において五億追加されておりまして、金融の逼迫状況は幾らか緩和されていることになるのであります。
  102. 加藤清政

    ○加藤(清政)委員 いま海洋博による人手不足、あるいは原材料不足、本土企業の進出による市場の圧迫などにつきまして、企業の実態について御答弁があったわけですが、特に中小企業が九九・六%の圧倒的なシェアを占める沖繩において、俗に中小企業は目じりのしわと申しますか、人間が笑っても泣いても絶えず目じりにしわが寄るように、経済の目がインフレになってもデフレになっても絶えずそのしわ寄せは中小企業あるいは零細企業にしわ寄せされるわけでありますけれども、特に沖繩は復帰後のドルから円への切りかえに際して見られた物価の高騰が県民をたいへん不安のどん底におとしいれた。かてて加えていままた海洋博でかき立てられ、さらにまたつくられた石油危機などによってその上昇が急ピッチになっておると聞いておりますが、この本州における企業の倒産もかなりあるわけでございますけれども、沖繩における中小企業の倒産の実態についてお聞かせ願うと同時に、経企庁のほうではこの実情をどのように把握しておられるか、その点をあわせてお聞きしたいと思います。
  103. 吉川佐吉

    ○吉川政府委員 沖繩だけの倒産の実態についてはいまちょっと数字を持っておりませんので、調べて御報告さしていただきたいと思います。
  104. 有松晃

    ○有松政府委員 沖繩の物価でございますが、これは確かに先生おっしゃいますように、最近特に一月には非常に大幅な上昇をしております。私どもの持っております資料では、一月に、前月の昨年十二月に比べて一カ月で五・七%の上昇、前年同月に比べますと二三・八%という上昇をいたしております。昨年の暮れまでの経過をたどってみますと、最近は日本全国で物価が非常に上昇しておりますが、大体並行して上昇しておるというふうに数字上は見受けられるわけでございますが、特に一月の沖繩における物価の上昇の要因としては、生鮮魚介その他の食料品、あるいは設備修繕というようなサービス料金とか、そのほか医療あるいは理容衛生、こういったようなものが上昇しておるわけでございます。  こういった物価の上昇につきまして、特に沖繩の問題といたしましては、政府におきましても海洋博推進対策本部に物価対策部会というのを設けまして、二月十四日にその物価対策部会を開いたわけでございますが、この部会におきまして関係省庁の申し合わせといたしまして、特に沖繩における生活必需物資の対策につきまして、便乗値上げの排除あるいは需給の安定といったようなことについて、関係官庁において現地の機関と密接な連絡をとって業界を指導する、こういうふうな申し合わせをいたしております。このほか、四十九年度の国の予算といたしましても、野菜の生産あるいは中小企業の近代化等諸般の施策を講じておりますので、沖繩の物価の動向につきましては今後ともその動向を注視いたしますとともに、施策の推進につとめてまいりたいというふうに考えております。
  105. 加藤清政

    ○加藤(清政)委員 本土におきましては、今度の石油ショックによるいわゆる倒産が加速度的に加わって、大体年間七百件をこすというかつてない異常な状態に置かれておるわけでございますけれども、特に沖繩においては復帰後のドルの切りかえ、あるいはまた海洋博による加熱、あるいはまた石油ショックというようなことで、三重の大きな重荷を背負わされておるわけであります。したがって、中小企業あるいは零細企業の占めるシェアというものは九九・六%あるということでありますので、倒産ももうすでに年間相当出ておるのではなかろうかと私は思うわけでありまして、倒産の実態を把握して、その実態に対応した特別融資というものをやるなりあるいはそれに対する措置をして、初めて中小企業の近代化あるいは育成というものが期待できる、そのように考えられるわけでありますが、沖繩の中小企業あるいは零細企業の倒産の実態というものがまだつかめてないという御答弁でありますけれども、ひとつ早急にこれは調査して、やはりこの緊急の事態に対応して、日本の特に産業構造をになう中小企業あるいは零細企業の積極的な育成をはかっていかなければならないと思うわけであります。事情変更の原理と申しますか、そういった対外的な大きな波の中に中小企業あるいは零細企業が倒産のうき目を見るということについて、政府あるいは県当局があたたかくこれを見守って、しかもそれを育成していかなければならないわけでありますので、ひとつ倒産の実態、それから倒産のおそれある企業に対しましては、これに対する手当てを十分していただきたい、こういうように思います。したがって、倒産の実態については後ほど文書をもって報告願いたいと思いますが、その点いかがですか。
  106. 小濱新次

    ○小濱委員長 加藤君に申し上げます。  ただいま御要求のありました件につきましては、理事会にはかりまして善処するように努力いたします。
  107. 加藤清政

    ○加藤(清政)委員 中小企業及び勤労者の問題の次に、沖繩における最も大きな問題として、私は土地買い占めについてお尋ねしたいと思うのです。  この土地買い占めは復帰直後から十分予想されておったわけでありますが、沖繩開発総合事務局の調査でも、わかっているだけで本島で五十二平方キロ、宮古島、石垣島、西表島等いわゆる先島で二十八平方キロの土地が本土の商社、不動産会社、あるいは観光資本によってすでに買い占められて、全島の四・五%に近い面積がこれらの法人の保有地になっていると聞いております。  ちなみに、私の手元におきまして調査いたしますと、東急、近鉄、西武、名鉄、あるいは住友金属、日商岩井、三井物産、住友商事、丸紅、兼松江商、あるいは球陽不動産、日本衣料、共栄土地開発、伸栄開発、三愛土地、宝不動産、あるいは南西総業、あるいは浪速冷凍機、行川アイランド、千葉にもあります観光事業、それから明宏不動産、あるいは東京の百貨店というようなことで、約百三社が沖繩の土地を買い占めておるわけでありまして、全島の四・五%に近い面積が法人の保有地になっているというように聞いております。沖繩県の場合、全島の一二%が米軍基地であることを考えますと、この数字はたいへん大きいといわざるを得ないわけであります。しかもこの買い占め業者の中には、さきの予算委員会でも追及されました日商岩井とか伊藤忠あるいは三井物産、住友商事、丸紅、三菱商事が、いま私が申し上げましたように名前を連ねておるわけであります。この点について、法人の土地買いの実態を明らかにしてほしいと思いますが、知られる範囲内においてひとつ御答弁を願いたいと思います。
  108. 岡田純夫

    ○岡田政府委員 確かに、沖繩の振興開発をはかってまいりますためにも、県民の心の安定という面から見ましても、土地の問題は大事な問題でございまして、私ども常時その推移把握に努力をいたしております。  全島的と申しますか、県全般について調査をいたしましたものは多少古くなってまいりまして、四十七年の末にやったものがございますが、これでまいりますと全島の四・二九%ということでございましたが、その後も絶えず追跡をしておりまして、最近の状況では、調査した行政面積の七・五%くらいが売買されておるというところを把握いたしております。  なお、その実態につきましては、これも聞き取りその他によってできる限り調査をしておるわけでございますけれども、一つには、農地法の関係その他によりまして、金を払ったが直ちに利用するところまでいかないとか、いろいろ事情もあるようでございますが、その実態につきましてさらに今後にかけまして調査をいたすことになっております。  なお、売買の内容につきましては、売買されたものの中で約半分、五割程度が法人関係ということのようでございます。その法人関係でございましても、現地の場合あるいは本土の場合、両方それぞれございます。相半ばしておるのではないかというふうに考えております。そこら辺の点につきまして現在やっておりますところの調査を進めまして、その実態を把握いたしたいというふうに考えております。現在やっております調査についてかいつまんでお話しいたしますと、土地の売買状況、それから、売買されたが、その後の利用計画に沿ってなされておるかどうかという土地の利用の実態あるいは価格といったような面につきまして、できる限りまとめてまいる方向で現在進めておるところでございます。なお、売買された土地の中で約四分の一、二五%ぐらいが農地になっております。こういうところもやはり問題点であろうかと思っておりまして、それについての取り扱いについて十分見守っておるということでございます。  なお、それに対してどういうふうな対策を現在講じつつあるかということをふえんして申し上げますと、ただいまの調査以外に、実際進めてまいりますために、公共団体として用地を早期にやはり手当てしておくということが肝心であるということでございますので、今回の予算でおはかりしておりますように、十億追加いたしまして、全体構想は三十二億という土地開発基金の造成費の補助を国がやることになっております。それによりまして公共用地の手当てをすることにより、そういう面からは解決してまいりたい。  なお、県自体におかれても、県土保全条例あるいは自然環境保全条例といったような条例を設けられて、これも開発庁に相談がございました。設けられまして、大規模な開発行為についての許可制と申しますか、規制等をやっておられますので、そういう方面とも連絡をとりながら十分考えてまいりたい。実態につきましては、なお調査をまとめてまいりたいということでございます。
  109. 加藤清政

    ○加藤(清政)委員 法人の土地買いの実態につきましていま御答弁がありましたが、その土地買いの実態がどのように利用されておるか。また、その計画を把握しておりましたら、その計画。それから土地価格がどんどん日に日に新たに上がっていくわけでありますけれども、ここ二年ぐらいの間の土地上昇の度合い、率、これをひとつ次の委員会までにお出しを願いたいと思うのですが、その点いかがでしょう。
  110. 小濱新次

    ○小濱委員長 御要望のありました件につきましては、理事会にはかりまして、善処してまいりたい、こう思っております。
  111. 加藤清政

    ○加藤(清政)委員 同時に、これらの法人による土地買い占めが、いま御答弁がありましたように、将来の沖繩の総合的な開発計画の中で大きなガンになるわけでありまして、これはいわゆる乱開発となって沖繩の自然を破壊し、本土の二の舞いを演ずるということをたいへん危惧するわけであります。それと同時に、民間主導型の観光開発でよいかどうか、その点も考えなければなりませんが、総合開発するときに国や県が計画立案が立たないことになるし、また、それを買い戻すのにたいへん苦労するというようなことになるわけでありますけれども、この点について政務次官に、いまの後段と申しますか、法人による土地買い占めが将来の沖繩の総合的な開発計画の中で大きなガンとなり、これがいわゆる乱開発となって沖繩の自然を破壊し、本土の二の舞いを演ずるようなおそれがなきにしもあらずでありまして、このことについて、西銘政務次官から御答弁をお願いしたいと思います。
  112. 西銘順治

    ○西銘政府委員 お答えいたします。  加藤委員から御指摘がありましたとおり、沖繩本土と比較いたしましてまだまだ自然環境に恵まれていると思うのであります。したがいまして、今後無計画な乱開発は極力これを防止しなければならないと考えております。先ほど総務局長からお答えがありましたとおり、県におきましても、県土保全条例、自然環境保全条例を制定いたしまして、環境保護に鋭意努力しているところでございます。そういうことで、本土企業による土地の買い占め等が乱開発につながらないように、行政指導の面で十分配慮していきたい、かように考えております。
  113. 加藤清政

    ○加藤(清政)委員 いま総務局長あるいは特に西銘政務次官から、乱開発におちいらないよう将来の沖繩に悔いを残さないように万全を期するという力強い御答弁があったわけですが、その点特に本土の状況を見て、沖繩の問題に取り組んでいただきたい、そのように思います。  先ほどの資料につきましてはひとつ委員長のほうにおいてよろしく御提出になられるようお取り計らいをお願いしたいと思うのです。  私の持ち時間が参りましたので、これをもって私の質問を終わります。
  114. 小濱新次

    ○小濱委員長 瀬長亀次郎君。
  115. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 私最初に、去る三月二日那覇の小禄で起こりました爆発事件についてお尋ねしたいと思いますが、沖繩県議会は、きょう午前中に全会一致で那覇市内における不発弾爆発事故に関する意見書を決議し、あした五名が代表して政府に意見書の提出に来るということになっております。この中で特に注意しなければならないのは、今回の爆発事故は不測の事故によるものではなく、国による戦後処理が十分になされていないことに起因するものであると、実に明快に書かれております。沖繩は、ほんとうにあの戦争中、鉄の爆風の中で、中部、とりわけ南部、ひどいところになると坪当たり実に十二、三発も集中爆撃を受けたことは、これは現実に沖繩の戦史が物語っておりますが、いまだに三月二日に起こりましたあの爆雷による爆発、これを見る場合に、戦争の傷あとがいかに深く、そして日本国民である沖繩に住む県民は、安心して生活ができない。憲法で守られており、いかなる人も侵すことのできない生存権、これが否定されつつある。この生存権を守る上からも、さらに安心して生活ができるように沖繩振興開発計画なども行なわれております。したがいまして、最初にお伺いしたいのは、いま申し上げましたこの事故というものを、政府がどうしても解決しなければならない戦後処理の課題というふうに基本的に考えておるのかどうか、これなんです。で、この中から戦後処理としてどのようなことが行なわれてきたかということが明らかになるわけですが、いずれにいたしましても、これは天災ではないんだ。人災だ。したがってこの大戦を起こした張本人、これまでさかのぼらなければならない実態を持っております。根は非常に深い。アメリカ帝国主義侵略軍と日本の帝国主義侵略軍が死闘を尽くして沖繩を廃墟にした、この中からこのような不幸な根源が出ておる。だから一億総ざんげして国民一人一人が責任を負え、あるいはまた自治体責任を持てなどというそういう問題ではありません。これは国として責任を持って処理しなければならない実に基本的な問題を含んでおりますが、そういう観点に立って政府はこれに対して処理するつもりであるかどうか、まず基本的態度をお聞きしたい。きょう大臣がおられない。政務次官その他おられますが、いずれにしても答弁は大臣の答弁という形に受け取れるようなものにしなければ、いまの沖繩のこの不幸な事態に対する政府責任は果たせないと思います。したがいまして、西銘政務次官が答弁されるのかだれが答弁されるのかわかりませんが、いずれにいたしましても、「不発弾等処理交付金交付要綱」なるものが出ておる。四十八年度一億円、四十九年度一億円組まれておって、その管轄は総理府になっておる。だからこの問題についてまず総理府からいまの基本的姿勢についての御答弁をお願いして、あとでいろいろ具体的問題について進みたいと思います。
  116. 小濱新次

    ○小濱委員長 ちょっと速記をやめてください。     〔速記中止〕
  117. 小濱新次

    ○小濱委員長 速記を始めてください。
  118. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 管理室長答弁できるかどうかわからぬですが、私がお聞きしましたのは、もうすでに御承知のように三月の二日に那覇小禄で起こりました爆発事件、この爆発事件は天災ではなくて人災だ、政府責任である。したがいまして、このような事故に対する責任と、再びこのような事故を起こさせないための責任は、国が当然負わなくちゃいかぬというふうに私は考えるし、県議会も決議の中で明らかにしております。そういう意味で、政府の基本的な姿勢についてお伺いしたいということなんです。
  119. 伊藤廣一

    ○伊藤政府委員 ただいまの先生の御質問政府の基本的な姿勢ということでございましたが(瀬長委員「国の基本的な姿勢です」と呼ぶ)国の基本的な姿勢ということでございますが、私、総理府の管理室長でございますけれども、今回の事故そのものについての処理の担当はいたしておりませんので、直接それにお答えすることはできないかと思います。ただ、今後の安全についてということにつきましては、私どもの所管で不発弾処理に対する交付金の交付事務をやっておりますけれども、そういうことと関連しまして、こういうふうな事故が起きることはやはり本来不発弾処理を進めていこうという考え方からいって非常に問題があるわけでございますので、昨日も関係の各省の方にお集まりいただいて今後の安全をどうするかということについて検討しようということで始めておりますので、いろいろ工事をやる際に安全の問題をどういうふうにやっていくか、こういうことを検討いたしたいと思っております。
  120. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 この件についてはいま御答弁された方では答弁できないような状態、したがって西銘政務次官に基本的な政府姿勢についてさらに責任を明確にしてほしいと思います。
  121. 西銘順治

    ○西銘政府委員 私、まあ責任ある大臣にかわって答弁ということではなくして政務次官としてお答えすることにいたします。  御指摘になりましたとおり戦後処理がまだ終わっていないという感を深くするのであります。ただ、今後こういう事態が起こらないように万全の対策をとっていかなければならないのでございますが、けさの委員会においてもお答えがありましたとおり、不発弾処理につきましては従来自治省警察庁自衛隊総理府ですか四者の間でいろいろ協議されて処理されておったようでございます。したがって、これを今後一体どの省庁責任をもって管理し処理するかという問題は今後検討しなければならないと思うのであります。ただ、発見されました不発砲弾、爆弾、地雷等の処理につきましては、関係省庁と緊密な連携をとりましてこれを管理、処理することはできますが、ただ地下に深く埋没いたしまして発見の非常に困難な爆弾、砲弾等がございまして、現在の探知能力、探査能力をもっていたしましてはなかなか十分な成果をあげることはできませんけれども、能力の範囲内でフルにこれを発動して万全の対策をとっていかなければならないと考えております。ただ沖繩全体、これを全部ひっくり返して発掘するということではたいへん金もかかることでございますが、いまさしあたってできることは、危険地域と想定される地域につきましては、県、市町村また関係省庁が緊密な連携をとりまして、公共工事の際あるいは民間工事の際、工法等による技術的な指導をやりましてこういう事態が起こらないように万全の対策をとらなければならないと同時に、危険を防止するということから経費等もかさむことと思いますので、それに伴う予算上あるいは財政上の措置をしていかなければならないということでございます。ただ、はたして国に賠償の責任があるかどうかという問題につきましては、国家賠償法第二条による疑義等もまだございまして、賠償法を適用して国が賠償の責に任ずるべきである、応ずるべきであるというようなところまではまだまだ今後詰めていかなければならない法律上の問題等もございまして、現在関係省庁と鋭意その問題に取り組んでいるところでございます。
  122. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 まず本土における不発弾処理につきましては、昭和二十七年に「陸上における爆発物件の処理について」というのが最初に出て、次に昭和三十三年七月四日に同じような見出しで「陸上において発見された不発弾等処理について」、これが防衛事務次官、警察庁次長、自治事務次官、通商産業事務次官、この四者で都道府県知事及び各幕僚長さらに管区警察局長、警視総監、県警本部長というように、知事と防衛庁関係さらに警察関係に二番目に出されて、さらに最後に出ているのが、いま交付金制度をとっている「不発弾等処理交付金交付要綱」、これが内閣総理大臣官房管理室から出て、沖繩の場合にはこれが四十八年十月の二十三日に出されております。したがいまして沖繩の場合には占領が法的に見て終わったのが二年前の五月十五日である。それまでほとんど爆発物すなわち不発弾処理については野放しにされて、実に危険な状態に置かれていた。こういった経過が法的にとられた経過でありますが、総理府としてこれを確認されますか。そのほかにもっと有効な措置をとったのだといったような点があれば指摘してください。
  123. 小渕恵三

    小渕政府委員 不発弾処理につきましては先生からただいまその経過につきまして御説明をいただいたとおりでございますが、総理府といたしましては、昭和三十三年の通達に基づきまして、昭和四十八年十月に「不発弾等処理交付金交付要綱」を作成をいたしまして、その要綱に基づきまして、処置を講じておる段階でございます。
  124. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 午前中の質疑の中でも一応出ておりますが、いまだに不発弾処理についての政府の統一見解がない。ないためにどこの省がこれを管轄するかということすらきまっていない。交付金はなるほど総理府であるということになっておりますが、その統一見解、これを副長官どうお考えになるか。占領中、講和発効前はマッカーサーの管轄に入っていた。日本軍の武器弾薬一切の問題が完了する。ところが、講和条約が発効するこの段階では、たとえ半占領状態に移行したにしても形の上では独立国になっている。したがって、不発弾処理はどうするのかと聞いたところでは、この不発弾は国有財産であるのかどうか、これまで討議になっていまだに統一見解が出ていない、アメリカの不発弾があり、掘り起こした場合、これはどこに所属するのか。たまはたまである、ただし使えないたま、危険なものであるということはあったにしても、この財産は一体どこの財産になるのか。国の財産であるとするならば、大蔵省が国有財産として管理する必要があるんじゃないかといったような意見まで出たそうでありますが、日本政府としてまだこれに対する統一見解がないということの中から、いまの不発弾処理についての問題が根本的に解決されていない。私はそう思うのですが、副長官これに対してどうお考えになるか、占領中と占領後の違い……。
  125. 小渕恵三

    小渕政府委員 不発弾が国有財産であるかいなかという御質問趣旨と承りましたが、私聞き及びます範囲におきましては、御指摘のようにまだこの問題についての法律的な見解が決定しておると聞いておりません。
  126. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 そういった基本的な問題に対する政府考え方が、占領中、これはマッカーサーの管轄になる。マッカーサーがかわるとまた司令官がかわる。ところが講和発効後になったその時点で、この不発弾はどういうふうに処理すべきか、国の責任でやるべきなのか都道府県の長の責任でやるべきか、あいまいもことしていたが、とうとう市町村あるいは県を含めて自治体の長にまかせ、危険だから警察さらに自衛隊も、こういったもので何とか処理させようというのが、いままで申し上げました昭和二十七年に一回出る。さらに三十三年にあらためて四名の次長通牒なるもので出される。さらに、いま申し上げました四十八年十月の交付金要綱という形で出ている。そこで沖繩の場合には、いま申し上げましたように、この要綱が出て以後であって、その以前はほとんど放置されていたのが現状なんです。そこで不発弾処理については、まず大きく分けて二つになります。いわゆる地上にあって目に見えるもの、さらに地下にあって目に見えないもの、目に見えるものに対する被害も相当の被害を受けております。これは本土でもそうでありましたが、占領中最初の年から二、三年の間は、生活が非常に困る。アメリカのたま拾いをして薬きょうを売る、それでもって生活をささえる。ところが信管を取りはずす段階で爆発する。それで犠牲者が出る。沖繩では死んだ人、傷を受けた人、死傷者を加えて実に千単位をこす犠牲者が出ている。まずこのような犠牲者に対する政府補償もなされておらない。もう一つは、いま申し上げました地下にある見えないものが工事中突然爆発する。いまの小禄の問題はそれに属しますが、そういったような補償、これは一体何によって補償されたのか。あるいは補償したのか。こういう問題の起こった本土における事例があれば、その事例については国はどういうふうに補償したんだといったことがあれば説明してほしいと思います。
  127. 小渕恵三

    小渕政府委員 本土におきましてのかかる事件の発生に対しての補償等の問題につきましては、私ども聞いておりまする範囲においては、ないと承知しております。
  128. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 この交付要綱によりますと、交付金の対象事業内容三つ掲げてある中で、第一番目に「不発弾等処理するための発掘(発掘に直接必要な探査を含む)。」ということが書かれております。これにつきまして、ただ不発弾発見されてこれを処理するということではなくて、調査探査するということまで要綱に盛られておりますが、これが出て以後でも、本土沖繩を含めてそういう調査をし、さらに探知器その他を利用して探査して、この交付金要綱の目的を達成するためにどのように努力されたか。たとえば沖繩探査するのでこういうふうにしてほしいという要求、沖繩だけではなくて本土でもあったのかなかったのか。ほったらかしてあるのか。ただこれは交付金だけを交付すればいいという、いわゆる様式がここに書かれております。そういうものではないはずなんです。ちゃんと、「不発弾等処理するための発掘(発掘に直接必要な探査を含む。)」この交付金要綱なるものは、単に不発弾が出た、それを処理するための交付金ではなくて、ちゃんと探査をする、発掘をする費用まで含めるんだということで、「この交付金は、今次の戦争に際して生じた不発弾及びその他の爆発物で陸地にあるもの(以下「不発弾等」という。)の処理を促進することにより、不発弾等による災害を防止することを目的とする。」明らかにされている。「目的とする。」から、このような那覇で起こったような災害が起こらないようにするためには、発掘し、探査しなくちゃいけないとこの中にはっきり書かれている。事実これを出した以後政府はどのように努力したか。この要綱内容の不備だらけなものはあと指摘しますが、いずれにしても目的と交付金対象は明らかにされております。これについて政府がどのように努力したかということを明確にしてほしいと思います。
  129. 小渕恵三

    小渕政府委員 先生指摘のように、この交付要綱によりますと、第三条の一におきまして「発掘に直接必要な探査を含む。」こう明記されておるわけでございますが、この要綱をつくり上げました段階における解釈といたしましては、直接的に発掘されるべき場所、すなわち不発弾そのものの存在がしかと確認をされておるところについての探査という意味で、この項目を設けたというふうに私は承っております。しかしながら、御指摘のように、不発弾のために、全国津々浦々に至るまでの不明確な地点も含めてすべてに探査することを義務づけているかどうがはわかりませんが、やはり直接的な発掘のための調査ということのみならず、いま少しく拡大的に解釈できないものかと私自身考えております。
  130. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 この趣旨は、たまがここにあるぞとわかっておる個所だけの発掘作業ではないことは、この中にまた明らかにされております。たとえば発掘作業をしますね。して、事実たまが出なかった場合には交付金はやらないと規定してある。しかし、ここにあるということを確かめないでも、当然のことながら、どうもありそうだというところは探査して、そうして発掘をするというのがこれのほんとう趣旨じゃないのですか。事実そうなっておるんですよ。だからそこは不備です。もしあった場合にはやるが、なかった場合にはやらないのだといったようなこと自体はもちろん直さなければならないと思いますが、いま副長官が言ったようなことじゃないんですよ。
  131. 小渕恵三

    小渕政府委員 探査の結果皆無であるということがわかりました段階におきましても、発掘に必要とした費用の四分の一の交付金を交付することに相なっております。
  132. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 この中の第十六条二項に「内閣総理大臣は、地方公共団体が交付対象工事完了までに不発弾等発見することができなかった場合には、交付金の交付の決定の二分の一を取り消すものとする。」というやつがあるんですね。いずれにいたしましてもこれは内容の問題もありますが、私が基本的に伺いたいのは、他府県に比べて沖繩県は予想をはるかに越した不発弾で、もうほんとうに爆発物を抱いて、それを枕にして生活をしなくちゃならないといったような危険な状態にある中で、このような交付金制度だけでこの調査ができ、そして爆発事故などが起こらないような保障をするために、この交付金要綱だけで十分であると解釈されるかどうか、この点の基本的な考え方をお聞きしたいと思います。
  133. 小渕恵三

    小渕政府委員 御指摘のように、この交付金制度だけで不発弾処理の問題すべてが解決するか、こういうことになりますと、他にも今後取り組まなければならない手段等もあるかとも存じます。しかしながら現行におきましては、この制度を十二分に活用することが前提でなかろうかと考え総理府といたしましては、この要綱に基づきまして市町村等に交付すべきものを交付して、市町村における処理に期待をいたしておるということでございます。
  134. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 いま指摘いたしましたこの要綱の第三条の二項の一、これを十分活用して本腰になって政府不発弾処理、これを追跡し、調査し、さらに発掘し、発掘された爆弾を安全に処理することまで、この「探査を含む。」という問題は、そこを指摘する。この中で、もしそういう場合に、国として責任を持ってそういったような——これは国の責任なんです、事実は。国の責任でやる場合に、現在の交付金制度でやっていけるのかどうか。いまたとえば金属探知器、この金属探知器一つでも、一メートルから二メートルの深さを探知する場合に百六十万円かかる。今度の小禄で爆発したあの爆雷の個所は三メートルちょっとこしておる。ですから一メートルないし二メートルの金属探知器ではこれは探知できないものである。いま沖繩における地下に眠る爆弾は実に五メートルぐらいの深さにまでいっているのじゃないかと専門家指摘している。こうなりますと、この探知器一つ買うだけでも五百万円ぐらいかかる。さらにこの探知器を利用してやるために幾らぐらいの技術者が必要であるか、こういった問題も含めて、総理府では検討されたことはないのか。もうあの事故が起こってからきょうまで三日なんです。しかも園児を含む四名の人命が一瞬のうちに吹っ飛ばされる、こうなると、これは考えぬといかぬ。では再びこのような事故を起こさないためにはどうするか、これはもう常識でわかります。いわゆる科学的に、組織的に、制度化をして国の費用でもってこれを保障するということでなければならない。いま窓口はどこか、あっちかといったような形で、総理府長官があっちへいけ、こっちへいけ、協議会を持つということをやるまでもなく、総理府自体に生存権が否定されておるというこの事実の重大性が明らかに頭の中にあるのであれば、こうするんだという政策はもう立っておるはずなんです。きのう起こってきょう聞いておる問題じゃありません。副長官も新聞をごらんになったと思うし、これは現地の新聞だけではなくて、本土における各新聞とも報じております。そういう意味で、積極的にこれに対しどう取り組むか、再びこのような事態が起こらないためには、とりわけ沖繩の中部から那覇、南部にかけてのあの一帯、これを国の責任において探査、そして発掘して発見して処理しなければ、沖繩の開発事業そのものが進まない。もう危険で手のつけようがないというところまできておる。そういった緊急性があるだけに、私は総理府としては、沖繩のことを特に専門にやるという官庁ですから、もうすでに考え方はまとまっているんじゃないか、こう思うのです。どんなものでしょうか。
  135. 小渕恵三

    小渕政府委員 総理府としてということになりますと、私ども役所のセクショナリズムで言うわけではありませんが、総理府としては、先ほど来申し上げておりますように、当要綱に基づいて交付金の交付をするという範囲においてその行政を行なっておるわけでございます。しかしながらそうは申し上げましても、当問題は、御指摘のように人命にかかわるきわめて重大な問題であるという立場から、今度の事件発生を契機としてということではありませんけれども、この悲しむべき事件に遭遇して、政府としても内閣が当問題について積極的に取り組まなければならないという趣旨のもとに会議を開催をして、関係省庁を招集して、当問題の前向きの取り組み方を現在真剣に検討中でございます。  なお、事件そのものに対してどう取り組むべきかということにつきましては、事件の概要についてさらに詳細に調査すべく、今日担当の者を現地に派遣をいたしておる状況でございます。
  136. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 いま私、第三条の二項の一を特に強調し、この出ておる要綱でも、ほんとう政府が真剣に、まじめにやっていたとすればこのような事件は起こらなかったのじゃないかと思うからこそ言うのですが、ところで内容になりますと、国がからだを張ってこの要綱を実施し得ないのじゃないかというふうなのが出ておる。といいますと、六条、「第三条に定める交付金の額は、一件の工事に要する交付対象経費から五百万円を控除した額の二分の一の金額とする。」これなんです。一件について五百万、五百万までは交付しない、それをこすと、こした額の二分の一だ。これでほんとうに三割自治といわれているこの自治体で、実際にこのような発掘に直接必要な探査を含むものまでやれるかどうか、やれないのが現実である。だからこの要綱は出したにかかわらず、この要綱に基づく政府の政策が行なわれていなかったということ、こうなりますと、これは政府責任問題として追及されなければならない問題だと考えます。もちろんこれには、とりわけ沖繩に関してはこうこうするのだと、二分の一は三分の二になったり、あとの三分の一はまた自治省から回る交付金で補ったり、しかしいずれにいたしましても五百万円でちょん切ってしまう。こういう形に中身がなっているからこそ、この要綱が実際にこういった事件を未然に防ぐことができないという内容を実は持っている。だから、この意味では政府責任実に重大であると私考えますが、どうお考えか。
  137. 小渕恵三

    小渕政府委員 不発弾処理のために実際にかかった経費の問題でございますが、その経費につきましては、四省庁がそれぞれの分担において取り組んだ費用はその省庁費用として支出をしておるわけでございまして、御指摘の五百万円という数字につきましては、そうした処理費を除いた金額につきまして地方自治体が必要とした金額、これがほぼ平均いたしまして、過去の事例から見ますと、四百万円程度と聞いておりますが、そういう金額に照らしまして、地方自治体が使用した金額についての交付金だ、こういうことでございます。
  138. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 いずれにいたしましても、このような制限されたワク内で各都道府県が自力でもってやれないのが現状であるわけですが、それではどこかの県で不発弾処理する、いわゆる発掘する、調査する。そのために探知器その他を買い、幾人かの技術員を置いているところがどこかあるかどうか、あればお知らせ願いたいと思います。
  139. 小渕恵三

    小渕政府委員 公共機関が御指摘のような機械類あるいは技術陣というものを持っておるとは聞いておりません。そうした問題につきましては、民間におきましてそれに処する団体、会社等があると聞いております。
  140. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 非常にあやふやな答弁でありますが、いずれにしても、御答弁の中にも、不発弾処理についての政府側の態度、姿勢、まあ真剣なものがなかった。したがって、沖繩県議会がきょう決議した、これは天災ではなくて人災であり、政府が全責任を持ってこれに対処しなければならないということを全会一致の決議で指摘しておりますが、日本政府のこれに対する責任がいかに重大であったか、いかにいいかげんな不発弾処理についての政策を持ち、対処していたかということがいままでの答弁の中で明らかになりましたが、さて犠牲者ですね。もうすでに四名死亡している。さらに三十数名重軽傷を負っている。この被災者に対する国としての補償をどういうふうに補償されるか、これを明らかにしてほしいと思います。
  141. 小渕恵三

    小渕政府委員 当問題につきましては、けさほど来各委員からの御質疑に御答弁申し上げておりますが、今回の事件につきましてなお一そう詳細な報告を得ませんと、それに対する結論がつけかねるだろうと考えております。と同時に、この問題は国家がその賠償責任を持つものかどうかという法律的な問題にまで言及いたしてまいりませんとその結論を得られないむずかしい問題であろうと考えております。
  142. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 そうなりますと、この事件は、政府責任を持って不発弾処理を一貫してやっておればこのような犠牲者は出なかったという前提に立つとすれば——ところがもう出てしまった。そうなりますと、政府責任を持ってこの犠牲者に対する補償をやらなければならない、私はそう考えるのです。やらないとすればだれがやるのか。県知事がやるのか、警察署長がやるのか。まさか防衛庁ではあるまい。何といっても国がやるとなれば、総理府がまっ先に案を立てて、関係省庁に集まってもらうにしても原案がなければならないはずである。いまさっき厚生省にお聞きしましたら、われわれの管轄ではありませんと逃げられましたが、これは現場ですから別にたいしたことではないのですが、いずれにしても、どこの省でもさあおれはどうするかな、こういったあいまい不確かなことで政府責任が果たせるかどうかなんだな。ここらは一体どう考えるか。これは政府責任であるということは西銘政務次官、認められた、事実は。だから、この点についてもう一言、積極的に私はこう考えるんだ、その考えの上に立って各関係省が集まってもらえば、じゃ制度をもう少し変えるために法改正するかどうか、あるいはこの要綱で、いま申し上げた調査の要綱はこれを利用して調査するか。そうなると、それに基づく経費もよけいかかるので四十九年度予算に組み入れるかどうか、そういった問題まで出てくると思います。こういった点について、自主的にひとつ私はこう考えるという自信のある御返事を私承りたいんですが、いかがでしょう。
  143. 小渕恵三

    小渕政府委員 今回の事件におきまして御逝去された方々に対し、心から哀悼の意を表します。御指摘のような点につきましては、心情的にはまことに同情の念、言い尽くせないものがございますが、国家が国家の責任においてこれを法律をもととして賠償すべきかいなかという問題になりますと、これはその不発弾の財産としての問題等を含めまして、現在時点においては国家としての補償をすべきかいなかという法律論においてまだ問題が存在しておるということでございまして、法的な根拠に基づいてこれを補償すべきかどうかということにつきましてはなはだ、明確にと、こういうことでございますが、結論を得ていない状況というほかはないのであります。
  144. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 まあ現在の依拠すべき法律がこれだということは指摘できないとすれば、じゃ一体どうするか。まさかほったらかすわけにいかぬと思うのですが、この場合見舞い金といったような形で出せるのかどうかですね。ここら辺どうなんですか。いわゆる見舞い金とよくいいますね。むずかしい場合にはこれは見舞い金でもってやるんだ、そういう考え方総理府の中にあるかどうか、一応確かめたいと思うのですが、いかがでしょう。
  145. 小渕恵三

    小渕政府委員 今回の事件に対しての被害者に対するお見舞い金のことでございますが、これは、総理府としてという形での問題解決の方法でなくして、けさほど来内閣官房長官から御質疑にお答えしておりますように、内閣全体の問題として当問題については深く検討いたしていくことをお約束をいたしておりますので、総理府といたしましても、そうした考え方に基づきまして努力をいたしていきたいと思っております。
  146. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 そうしますと、いつまでに具体的にこれに対して回答したいというめどがつきますか。  というのは、あしたは県議会代表は二つの意見書、二項の要求なのですが、それを持ってきます。一つは、再びこのような事態が起こらないように、科学的に組織的にこれを追求し、調査し、発掘して、安全に抜き取る方法の問題、もう一つは、被災者に対する国としての全額補償せいという、この二つなのです。これはきょうの県議会の全会一致の決議なのです。  そういった県の代表に対する答弁は、いまのような実に不確かな答弁しか得られないということになると、県民のあの不安、これは取り除くことができないような状態になってきておると思う。いまでも現に工事がストップしているところが、もう五カ所出ているという報告なのです。ある建設工事をやろうとした、どうもそこもあれは元の海軍の駐とん地であったそうだなどということになると、工事がもうストップするという状況が現実に出ておるわけなのです。したがって、この問題は、いまの生存権の問題に関連すると同時に、将来の沖繩の振興開発計画の工事自体にもうすでに影響を及ぼしている。ですから私は、なるべく早くということになるでしょうが、少なくともこの問題はめどをつけなくてはいけない、遷延するわけにいかない緊急事態なのです。それに対する副長官の誠意ある答弁がほしいのです。
  147. 小渕恵三

    小渕政府委員 まず、お見舞い金の件につきましては、これは可及的すみやかに、内閣サイドと御相談を申し上げて結論を得たいと思っております。  それから、県議会での御決議の話が出ましたが、今回の事件に遭遇してみて、われわれとしても、こうした事件が二度と起こらないように措置していくことが政治責任であろうということは、深く痛感いたしております。したがいまして、前段の問題につきましては、われわれとしても今後関係省庁をさらに督励いたしまして、そうした事故が決して再発しないように努力をいたしていきたいと思っております。  それから補償の問題につきましては、これは先ほど来答弁申し上げておりますように、法的な問題が非常に複雑にからんでおりまして、ここで私が即断して云々できる問題ではありませんが、当問題につきましても誠意をもって努力をいたしていきたいと存じております。  なお、工事等が、との不発弾爆発の事件を契機にいたしましていろいろ支障を来たしておるということでございますから、こうした問題につきましては、建設省当局その他関係省庁にも、現在の沖繩のいろいろな開発計画がそごの来たすことのないように、十二分な配慮をもって臨むように、私どもの立場からも御指摘をいたしておきたいと存じます。
  148. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 この問題につきましては、最後に要望を二つだけ申し上げておきます。  いま指摘しましたように、緊急に必要なのは、とりわけ、不発弾地下にもうほんとうにはかり知れないほど眠っているのじゃないかというのが沖繩なんです。沖繩でも中部、さらに那覇を込めて南部、これにつきましてはすみやかに探知器その他、これを必要な数量、これは県知事あたりとも意思統一をされて、すみやかに国の費用でこれを購入し、さらにそれに対する技術員の陣容、これを整備して、組織的に、科学的に全沖繩不発弾のありかを綿密に調査し、以後このような痛ましい事件が再び起こらない保証を国がやること。さらにもう一つは、最初に申し上げました不発弾処理、信管を抜き取って爆発して、それによって死んだ県民もおります。これを綿密に調査する。と同時に、二日に起こりましたあの四名の死亡者並びに三十名余りの負傷者に対する国家としての補償、見舞い金などといったような涙金ではなくて、ほんとうに家族の生活をも保障し得るような補償金を国が出すような施策を緊急にやってほしいことを最後に要望いたしまして、この質問を終わりたいと思いますが、この二つの要望についての副長官の御意見があれば簡潔にでも承りたいと思います。
  149. 小渕恵三

    小渕政府委員 要望の趣旨につきまして理解をいたし、検討させていただきたいと存じます。
  150. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 次に、この前の委員会で要請いたしました外務省に対する質問に移りますが、この前アメリカ局長は、二つの日米合意事項に対してアメリカと相談した上で返事をするということでありましたが、これについてどのようなアメリカとの交渉が行なわれ、どういう返事をなさいますかを明らかにしてもらってから、さらに質問を続けるつもりでございます。
  151. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 前回の本委員会におきまして、沖繩のキャンプ・ハンセンにかかわる合同委員会の合意と沖繩の縦貫道に関する合同委員会の合意の合意書を資料として提出しろ、こういう御要求でございました。これに対しまして、その委員会におきまして私は、従来からの米側との約束によりまして合意書そのものを提出することはできませんのでごかんべん願いたい、なお要旨を提出することができるかどうかにつきまして米側と相談させていただきたい、こういうふうに御答弁申し上げました。米側とその後いろいろこの問題について話し合ってまいりましたけれども、米側といたしましては、施設区域の提供に関する個々の合意の内容については従来からもこれを文書で提出ということは一切断わってきている、こういう経緯があるので、この点を資料としての提出はやめてもらいたい、こういうことであったわけでございます。それをもとにけさほど理事会に対しまして米側との話の結果を御報告した次第でございます。
  152. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 そういたしますと、要旨も文書では出すなということになりますと従来より非常に後退しておる。要旨出したことあるんでしょう。いままで国会の委員会で要求があって合意議事録を出された慣例がありますね。これを説明してほしいと思います、いつどこの委員会で要求があってこうこういう合意議事録を出したのだと。例があると思います。
  153. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 ただいま御指摘ございましたように、従来国会に対しまして合同委員会の合意の中身を要旨というかっこうで提出いたしました件数は多々ございます。昭和三十五年以来いろいろな内容のものを要旨として提出してございますが、先ほど私御答弁申し上げましたのは、個々の施設、区域の提供についての具体的な合意は、これは国会提出は困るということでございまして、一般的な合意の内容につきましては要旨を提出した例は多々あるわけでございます。
  154. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 聞くところによりますと、合意議事録なるものはすべて英語で、さらに合同委員会も英語でされるのだといったようなことなんですが、これは事実ですか。
  155. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 合同委員会で合意を得ました事項は合同委員会の合意というかっこうでの文書ができておりますが、これは英文でございます。また、合同委員会の会議自体は便宜上英語を使用して行なわれております。
  156. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 この日米合同委員会のいわゆる正式な文書、これが英語で日本語ではない。さらに便宜上英語を使っておる。英語をしゃべったりしゃべられたりする点も問題でありますが、合意事項そのものが、これは法的な拘束力を持つようなのが間々ある、こういった場合に、英語を正文として日本語があり、さらに日本語と英語のうちで疑義がある場合には英文を正文として解釈するといったようなことは一応聞いたことはあるのですが、英語だけしかない、それで日本語はないということになりますと、この合意事項そのものがほんとに屈辱的な合同委員会である。合同委員会自体もそうだし、合同委員会を規定しておる地位協定、さらに安保条約にさかのぼる。これがいかに民族屈辱の条約であり、協定であり、それを如実に示しておるのがこの合同委員会の英語、英文、これだと思うのです。日本人なんです。そして対等な立場で自主的な外交を進めるといいながら、肝心の合同委員会となると英語が正文どころか依拠すべきものはそれ一つしかない。同時に、日本国民の生命、財産に関する問題、安全に関する問題でも、これは秘密ではないどころか知らさなければならないような事項を、アメリカにまずお願いし、お願いでなくても、どうですかと意見を聞いて、アメリカがいかぬとなるともう結局発表ができないというこの現状、これは一体どういうことになるのか。非常に屈辱的な姿勢がいまのアメリカ局長答弁の中にあらわれておると私は思うのですが、この辺はどうお考えになっているか。
  157. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 国際間の約束をいたします場合に英語という最も国際的に広く使用されておりますことばを使うことが多々あるわけでございますし、また、ただいま言及されました安保条約並びに地位協定のように、日英両文それぞれが正文であるという形の国際文書ももちろんあるわけでございます。したがいまして、実用語としての英語を的確にお互いの意思を伝え合う手段として使うということ自体に私ども何ら不都合があるとは考えておらないわけでございまして、要はお互いの意思を明確に的確に伝え合うということであろうかと考えるわけでございます。  また、この合同委員会で合意を見ました事項につきまして、たとえば施設、区域の提供に関する問題につきましては施設庁におきまして告示の形でこれを公示いたしておりますし、そういう意味での内容は明らかにされているわけであるわけでございます。また、秘密云々ということではなくして、このような国際文書の取り扱いに関しましては、公表する場合にはお互いの同意のもとに公表ということがあり得るわけでございまして、かりに合同委員会の合意文書を米側が公表したいという場合にも、日本側がそれは困ると言えば米側はそれに拘束されるわけでございまして、相互性のある問題であるわけであります。
  158. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 いま私が要求しましたのは、一つはキャンプ・ハンセン内を通っている一〇四号県道に関する合意議事録、さらにもう一つは縦貫道路、これがキャンプ・ハンセン内を通る、この場合の合意事項、この二つでありますが、この合意事項は法的な拘束力を持っているのか。単にアメリカと日本が施設、区域を提供するためにはまあ便利だから、こういったことをひとつ話し合おうじゃないかといったようなことでやっているのか。合意された事項は法的拘束力として日本国民を拘束する性格のものではないのかあるのか、この点を明確にしてください。
  159. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 施設、区域の提供は、地位協定の二条の規定に基づいて行なわれているものでございまして、日米間で正式に締結され、国会の御承認を得て日本側が行なっております地位協定に基づく正式の合意である以上は、日本政府が米側との約束に拘束されることは当然でございます。また日本側が米国に施設、区域を提供いたします際には、あくまでも地位協定の規定に従って行なっておるわけでございまして、それに反したような行為をとれないこともまた確かであります。
  160. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 私が申し上げているのは、この合意事項、アメリカが発表してはならないのだといった合意事項は、法的な拘束力を持っておるかどうか。私この前情報として手に入れたものを読み上げました。これについては後ほどお伺いしますが、こういった合意事項が直接日本国民を法的に拘束するのかしないのか、この問題です。
  161. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 施設、区域の提供という正式の合意のもとに、日本政府が米側に対して施設、区域の提供を行なっておるわけでございまして、その行為を一般に周知させるために、施設庁の告示の形で公表されているわけであります。
  162. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 施設、区域の中における告示の問題、法的な拘束力の問題でありますが、これは五月十五日、告示すべきのが告示されていない。この場合、これは沖繩国会における島田防衛施設庁長官の告示についての答弁があります。告示の内容については土地等の所在地、区域と使用の方法及び使用期間を官報に記載するほか、土地の区域を明示した図面を縦覧に供することにしたい云々とあります。これが行なわれていない。
  163. 奈良義説

    ○奈良説明員 お答えします。  いま先生、図面等で示すというふうに当時の次官が答えたにもかかわらず、図面の提示がないというお話でございましたが、あれは沖繩の施政権返還にあたりまして、土地の使用について暫定使用法というのができました。そのための告示の説明のときに、そういう図面をつけますということで御説明したのでございまして、いわゆる米軍への提供のための施設の告示のことではございません。
  164. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 そうではないのですね。そのときの合意されたものの中で、いまの提供した施設、区域、演習をアメリカに許すのだ。この実弾演習を許す場合に、アメリカの使う砲弾、兵器まで第三海兵師団が現に使っておる。兵器を使って射撃をやるという問題からさらにこの一〇四まで含められておる。これが実際沖繩県民に知らされていない、この実態が。この合意議事録全体が一体告示になっておるのかどうか、そうじゃないのですね。だから、あのような事件が起こって初めて、何だ、ここは演習地としてアメリカにやっていたのかということがわかるような状態になる。私が合意議事録は法的拘束力があるのかどうかと聞いているのはそれである。もしいま、縦貫道路が通る、この中に合意議事録がある、これは要旨も発表できないという。しかも、この中には、あの縦貫道路の上を通る高架線、八本つくる。その八本のうちで五本は四十八トン以上のM48戦車が自由に通れるように、さらにあとの三つは八十五トン以上、すなわちトレーラーにそういうふうな戦車を積んで通る、それに耐え得るいわゆる橋をつくる問題を含めて、路線権、イーズメントなどの概念を含むあの道路の路線権を保有する問題まで含められておる。これは事実法的な拘束力を持つと見なければならない。こういった法的拘束力を持つ合意事項が、要旨すら発表してはいけないのだ、文書どころか口頭で適当にごまかしておけ、とは言わなかったかもしれないが、それに似たようなアメリカの答弁で、この委員会に堂々と外務省の代表として来ておられる。この問題はどういうことになるのか。もしこれが知らされていない、いないものだから、道が遮断されたら、何だろうということで、これを警察は道交法に基づいて住民の安全を守るために道路の通行を禁止したり制限したりする。この一番大もとで前提である演習、さらに演習の場合に危険だから道を閉鎖するという問題が実に不法であるということになれば、警察自体がとった道交法に基づく道路の通行の制限と禁止、これ自体が不法になってくる。いまこの合意議事録を発表できません、要旨すら発表できない。これは日本国民の安全、生命、これにかかわる問題である。それはいま局長が言われたような、この問題をあんまり発表しておると将来の日米の外交交渉に支障を来たすというふうな問題じゃないのですよ。まだまだ未解決の問題がある。これをすぐ発表してはいかぬ、これはわかります、外交上の問題は。すでに合意されて、しかも法的な拘束力を持っている事実である。  いまの縦貫道路、この問題に関する合意事項も、これが貫通した暁には、一体この道路、国道にこれは指定されている、この法律に基づいてつくられる国道が、その中にアメリカの合意事項によって制限規定があり、そのとおりまたやらなくてはいかぬということになっている。戦車の問題につきましてはもちろんもとよりのこと、これは基地機能の強化に関連しますが、この戦車が通る橋をつくるのも国民の血税なんです。日本道路公団、全額国が出資している。こういうふうなものを日本がつくってやるという場合に、日本国民がそれを知らないまんまの中で事態はすでに進行しつつある、こういうことが、どうしてこの委員会の要求に対して要旨すら発表できませんと言えるのか、ここら辺を明確にしてもらわないと、以後、何がアメリカと日本政府が交渉しているのか、疑惑は疑惑を呼んで不安にかられるというふうなのが現実なんです。その意味で私、繰り返してこの合意議事録、これを全文公表してもらわなければ、国民の安全、これは主権に関係する問題である。日本国憲法は主権在民を規定している。その主権者である国民が、日本政府が何をやっているかわけがわからない。危険なことをやって、きめたことすら知らない。知らされない。アメリカが知らすなと言うから知らせませんということでは実に不安にかられる一方である。疑惑は疑惑を呼ぶということなんです。これについてどのようにお考えか、御答弁を願いたいと思います。
  165. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 先ほど私、御答弁申し上げましたように、米側は文書での提出は困るということを言っているわけでございまして、けさほど理事会で私、御報告いたしましたように、その内容について国民の最も関心の深い事項については十分これを御説明したい、口頭で御説明したいということを申しているわけでございますし、委員会におきましてただいまのような御質問があれば、私どもといたしましてはその内容について当然これを御答弁申し上げるつもりでいるわけでございます。  なお、キャンプ・ハンセンを通っております県道百四号の問題につきましては、沖繩の復帰の際に、昭和四十七年五月十五日に合同委員会合意が開かれまして、キャンプ・ハンセンを施設、区域として提供という合意が行なわれました。一方、沖繩の復帰以前から今日の県道百四号が公道として認定を受けているという事実を踏まえて、五月十五日に県道百四号が公道としての認定を受けた道路とみなされるという措置がとられているわけでございまして、そういう意味では、施設、区域と、提供されましたキャンプ・ハンセンの中で米側は射撃演習を行ない得るという合意になっておると同時に、一般の通行は県道百四号を通じて行なわれ得る、しかし実弾演習が行なわれる際には、安全のために交通が規制されることがあると、こういうかっこうのものでありまして、合同委員会の合意の中身も、それ以下でもないし、また以上でもないわけでございます。  一方、縦貫道路の問題につきましては、明年の海洋博を控えてぜひ縦貫道路の建設を急ぎたいという国内的な事情をもとに米側に折衝いたしました結果、当該道路がキャンプ・ハンセン、キャンプ・シュワブの中を通っている、こういう物理的な状況のもとにこの一部の返還を米側と話し合いまして、とりあえず日本道路公団が道路建設をしている過程におきましては共同使用、道路の建設が終わりました段階には、その縦貫道路の部分は日本側に返還と、こういう合意になっているわけでございますし、また路線権という問題について、前回からいろいろ御質問でございますが、これも従来御答弁申し上げておりますように、路線権という目新しい特定の権利を特に米側に与えたということではございませんで、米側が出入のために必要な便宜をはかってやる、あるいはこの施設、区域内に上下水道、電気、電話、こういうものがありますのを、道路をつける際につけかえてやる、あるいはそれに手をつけないで従来の便宜をそのまま継続してやるというふうな具体的な措置を講じるという約束を合同委員会でしているにとどまるわけでございまして、したがいまして縦貫道路の完成の後にはこの部分が日本側に返還されるということになるわけでございます。  以上のような経緯を背景としました合同委員会の合意の内容につきましては、そのつど施設庁の告示で告示されると同時に、またこの発表をいたします際には施設庁のほうから詳しくその中身を一般に発表している、こういう状況であるわけであります。
  166. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 私この前、いまの縦貫道路の問題、六月二十八日の合同委員会メモの要旨を読みました。発表した。これについてはむしろ肯定しておられるのです。これは、いま申し上げましたように、戦車の通る道路を含め路線権、これもアメリカが保有する、県も含めて、詳細に資料に基づいて発表した。そのときに施設庁を代表をして、路線権ということよりはイーズメントだといったようなことを説明されたことだけでも、私が発表した合意事項の要旨がポイントとして確認されておる。これについて路線権の説明をまた大河原局長はやられた。そういったような経過から見ると、私の発表した要旨の合意事項が、いわゆる事項が合意された内容のポイントであるということを確認されるかどうか、あらためてお伺いしたいと思うのです。
  167. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 路線権ということばが耳なれないことばであるためにいろいろ誤解を呼んでおるのではないかという感じがいたしますので、あらためて路線権につきまして御説明させていただきたいと思います。  地位協定の中に路線権ということばが出てきておりますのは、これも前回御答弁いたしましたように、地位協定第二十四条の二項に出ておりますけれども、地位協定の第三条一項において米軍の施設、区域への出入の便をはかるために必要な措置が「合同委員会を通ずる両政府間の協議の上で」日本政府または米側によってとられるということがきめられております。このような措置がとられた結果としまして、米軍の出入の便のために米側が享有する利益、その実体を路線権と称しているものでございまして、その内容は、米側が享有することになる利益の実体いかんによることでございまして、日本側としましては、それの実現のために国内法上とれるべき措置がどういうものであるかということにもまたかかってくるわけでございます。六月二十八日の合同委員会の合意の中で路線権ということばが使われておる個条がございますが、この点につきましてはこういうことでございます。  それは、米側が先ほど申し上げましたように当該部分に上下水道、電話、電線、こういうふうなものを持っておりますが、これをなるべくならばいじらないで道路を通してもらいたい、また道路がどうしてもその部分を通る場合にはそれのつけかえを考えてもらいたい、また将来そのようなユーティリティーの設備を米側が新設しまたは付加できるように、それを目的として縦貫道路を横切る地役権を保有するという提案に対して、日本側はその問題に対して好意的な考慮を払うということでございまして、路線権とここで申しておりますのは、きわめて端的に申しますならば、たとえば新しくできます縦貫道路を横切って、そこに電話線を通してやる、あるいは電線を通してやる、こういうふうな内容のものになるわけであります。またタンクの通行云々ということを御指摘でございましたが、これは、従来は施設、区域として米側が自由に使っておりました地域が、新しく縦貫道路がそこを横切ることになります結果として、使えなくなることになって、いわば施設、区域が二つに分断されることになりますために、それをつなぐ高架の道路あるいは地下の道路、これの建設の要求がございまして、日本側としては、二つに分断される施設をつなぐものとしての道路あるいは高架道路の建設を認めておる、こういうことになるわけでございます。その際に、特定の数のものについて、重い車両、たとえば戦車のようなものが十分通れるような強度のものにしてやる、こういう内容の合意になっているわけであります。
  168. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 一応まとめて確認してもらいたいのですが、大体、私がこの前申し上げたのは、合意された事項だと言った点については、いま局長も認めておられる、こう見ていいのですね。違いますか。
  169. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 お手元の資料を、私、拝見いたしておりませんので、その資料に基づいて御発言の内容がどうのこうのと言うことは差し控えさせていただきたいと思いますが、いずれにしろ合意の内容につきましては、私がただいま御説明いたしたとおりのものでございます。
  170. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 こういうことなんです。四十八年六月二十八日合同委員会——いわゆるメモみたいな形になりますが、    要旨   高速道路の建設工事が完了するまで地位協定第二条4(a)に基づき高速道路建設のため、合同委員会合意の日から当該土地の返還されるまで当該土地の共同使用を日本道路公団に認められる。高速道路建設には次のことを行なう。建物の移設(日本側負担)。連絡用通路をつくる。将来米側の新しいユーティリティーの要求に対し日本側は好意的に考慮する。建設される高架、地下道はともに海兵隊が所有するエンジンつき車両の運行が可能であること。最低六カ所の高架、地下道は戦車をはじめ荷重第三十種を収容する全車両の運行が可能であること。高速道路の路線権は、将来新規または追加のユーティリティー施設を設置する目的で米軍が保有する。  大体以上のメモをこの前私発表して、事実このような合意事項、これを英文と和文で提出を願ったのが、このいま読み上げた内容なんです。これはそのまま外務省はお認めになるかどうか。
  171. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 お読みになりました部分が、原文とそっくりであるのかどうか、ちょっといま確認の手段を持ち合わせておりませんけれども、内容的に、私どもの考えておりますこととはずれてないという部分が多かったように伺いました。しかし、日本文そのものを持ち合わせておりませんので、そのとおりであるというふうには、ちょっといま確認しかねるということを御了承いただきたいと思います。
  172. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 この合意事項に対する資料の提出の問題は、これは単に外交上合意されたものであるから、こういった点はすぐ発表できないという性格のものをはるかに越えて、日本国民の主権に関する問題なんです。さらに安全、そして人間の基本権利に関する問題である。したがいまして、これは従来判例としても出されたことがないとすれば、この際、沖繩が返還されてからやがて二カ年近くなる。さらに政府がその腹になれば、安保条約も破棄通告をして、一年後には安保条約はなくなるという段階にも来ておる。その意味でも、日米合同委員会あるいは協議委員会などで、とりわけそういった主権に関係する問題や基本的な人権、安全に関する問題、さらに法として拘束力を持つというのが実にはるかに多い。実に超憲法的な拘束力を持ってくるような合意事項があり、また国内法との関連で矛盾している合意議事録も多々ある。この点につきましては、私、再び委員長にお願いしますが、ぜひ理事会で討議して、委員会だけの要求で出せないとなれば、もうこれこそ慣例に基づきまして、議長にその記録の提出を要求する決議まで含めて、次の理事会で検討してほしいと思いますが、委員長、どうお考えですか。
  173. 小濱新次

    ○小濱委員長 瀬長君の御要望の件につきましては、理事会で討議されるようにはからい、善処していきたい、こういうふうに考えております。
  174. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 次に、県道百四号に対する告示の問題でありますが、施設庁は、いま告示は出したのだ、図面は告示とは関係がないのだなどと言っておりましたが、それはどういう告示になっておるか。ここで発表できますか。たしか五月十五日に告示されたと思うのですが……。     〔委員長退席、床次委員長代理着席〕
  175. 奈良義説

    ○奈良説明員 お答えします。  初めにちょっと、先ほど私、御答弁申し上げておる途中で、島田元次官と申し上げたそうですが、これは島田元長官の誤りでございますので、訂正さしていただきます。  五月十六日の告示は、施設番号、それから施設名、それから所在地、それから所有関係、これは国有、公有、民有の区別、それから種類、これは土地であるとか水域であるとか空域であるとか、そういう種類、それから面積、それから使用目的、こういった事項について告示申し上げております。
  176. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 いま私が申し上げましたアメリカの海兵隊の演習、こういった演習の支障になってはいけない、米軍の活動の支障になっちゃいかぬといったようなものを含んでいますね。これも含めて告示されたのかどうかを聞いているのです。
  177. 奈良義説

    ○奈良説明員 告示では特にそのことについては触れておりません。
  178. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 それでは、警察が道交法によりまして、この演習というのは合法的にやられておるので、結局この危険から住民の安全、生命を守るために道路の通行を禁止したのだといった答弁なんです。むしろあの道交法に基づく道路の通行禁止、制限規定は、火事が起こる、あるいはどろぼうがいる、人殺しがいるという場合危険だ、その危険を除くためだ。まず取り除くことが先行しなくちゃいけない。前提は、生命、財産の危険を取り除くことが前提であるという指摘をしたときの警察答弁が、演習は合法的に行なわれているということで、それから起こる県民の安全を守るために道交法を使ったのだということになっておる。いま施設庁の答弁によりますと、私もそう調査した上で理解しております。アメリカのこの与えられた区域、施設内における演習、その米軍の活動の支障になってはいかぬという条件がついているわけなんです。だからアメリカはその合意事項に基づいてどんどん演習をやるわけです。演習をやるときにアメリカは絶対に通行をとめてほしいということはいいません、過去何回かやられて。防衛施設庁の那覇施設局に、いつからいつまで、何時から何時まで演習をやるという通知をすると、施設庁は警察にあるいは知事にそういった知らせをする。警察は道交法に基づいて禁止するというのが大体の経過ですね。そうなりますと、いま御答弁のあったように、演習の問題、これは合意議事録なんです。合意事項なんです。これが告示されておらない。法的拘束力は持っておる。いかに不法であるかということは明らかになるんじゃないですか。どうお考えですか。この告示にないのです。
  179. 奈良義説

    ○奈良説明員 たびたび御説明申し上げておりますように、告示の中にその道路の部分も含んで全体として告示した形になっておるわけで、私は入っておりますと申し上げておるわけですが、特にこの告示には図面を添付しておりません。それからまた道路が含んでおるというような注も実はつけておりません。ただ、先ほどアメリカ局長からもちょっとお話しございましたように、これが閣議決定のときには添付の図面がついております。中に実は細い線で道路が書かれております。これが地元の県のほうにも送られているわけでございます。しかし、それでなおかつ地元の方たちが必ずしもおわかりにならなかったかもしれないわけでございますが、私どもとしてはおりに触れて皆さまによくわかっていただくように御説明してまいったつもりでございます。
  180. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 おりに触れて御説明されたつもりかもしれないが、法的手続をやってないということなんですよ。いわゆる演習の問題なんです。一番県民が自分の命に関係するし、財産にも関係する、生活にも直接関係する。演習したら道は通れなくなる。学童もこの道を通って行けなくなる。こういったことが合意されている。これが告示されていない。告示されていないにかかわらず、法的に拘束力を持ち、警察はこの前の答弁にもあったとおり、演習するということは合法だということをいって、この合法に基づいて道交法に基づき通行どめをしたという解釈なんです。いまこの前提がぐらぐらしてきているのです。それがアメリカ局長が説明されたように、日米合同委員会での合意事項が秘密のとびらに閉ざされておる限り、このような実に主権、安全に関する問題が知らされないうちに、もうじわりじわりその毒牙が国民の生活、体内に食い込んできているという実態が現状ではありませんか。これは何べんも言いますが、この合意事項そのものが実に法律以上の拘束力をもって、そして法治国家である日本国民の生活の中にとげとして刺されてだんだん深くなりつつある。こういった問題がいま明らかになったわけなんですが、この合意事項が告示されないと法的拘束力は持たないというのが普通の法解釈の常識でしょう。にもかかわらず、この県道一〇四の、あのキャンプ・ハンセン内における県道を中心とした演習の問題については一言も告示されていない。ここに矛盾が生まれてき、そして県知事をはじめ県議会でもこぞってあの道路における演習をやめよ、区域、施設内における県道、これはすみやかに開放しろという要求が生まれてくるのは当然でないですか。これは、さかさまに歩いている人でなければ、そしてまた日本国民の精神が残っている国民であれば、だれでも、これはおかしいぞ。何で県道でありながら通れぬのかと。いや、実は演習があるのだ。わかっておれば、ははあそんな不当なことをまたやったのかという解釈が成り立つが、これ自体知らされないままに県道は封じられる、通れない。  時間ももうあまりありませんので、私はこの問題についてはこれ以上は言いませんが、ただ、いままでの合意事項が、その要旨すら文書ではなくて口頭にしろということで、次第次第にアメリカのいわゆる対日姿勢というのですか、これが実に強まりつつあり、日本国民からいえば、日本政府の対米従属の外交姿勢がこの中でだんだん明らかになりつつあるということが、いまの合同委員会の合意議事録を文書ではほとんど提出できない、さらに英語の原文等はもとよりのこと、これの翻訳すら出せないというふうな事態を解決するためにも、これは委員会だけの責任ではとうてい解決しない責任であり、議長を通じて政府に対する記録の提出の要求まで私がいまさっき委員長提起したのは、そういう重大な問題に触れているからであります。この点につきましては、大臣がおられないので、大臣の意見を聞くわけにまいりませんが、局長はそのことがあったということを大臣にお伝え願いたいと思います。  最後に、あと五分くらいありますのでお聞きしたいのは、この前CTS反対阻止といいますか、いままでCTSが公害産業であるということで沖繩県知事が態度を決定したときに、自民党沖繩県連の主催で大会を持ち、デモを起こして知事室に乱入したことがあります。この沖繩県知事室に乱入したときに、沖繩における部長やあるいは公室長あるいは副知事などもなぐられ、さらに知事の部屋の中のテーブルもひっくり返され、いすもこわされ、ガラス窓もぶちこわされている。そういったような事件が起こったのであります。警察庁に聞きますが、あのとき知事公室から三べん電話をかけてやっと警察がやってきた。二十分ほどかかっている。あれは電話を受けとってから三分くらいで知事室に来れる距離なんです。これにつきまして警察庁としてはどのように指導されておるのか、この一点だけお伺いしたいと思います。
  181. 山田英雄

    ○山田説明員 お答えいたします。  ただいま御指摘の事犯は、二月八日に自民党沖繩県連が、午後一時から与儀公園において二時四十分まで三千人の集会を行ないまして、二時から県庁前に向けて二千五百人の規模でデモが行なわれたケースでございます。三時四十分に県庁前に到着いたしまして、逐次解散したわけでございますが、その際、代表団五人が知事と面会の予定がございまして、この際、千七百人くらい解散途中でありましたグループから百五十人くらいが代表団に追随いたしまして、三時四十五分にそのうち百人ぐらいが代表団とともに知事室に入って起きたケースであると承知しております。  これにつきましては、ただいま暴力行為等処罰ニ関スル法律第一条違反ということで、厳重な捜査を継続しておるわけでございますが、およそ暴力事犯につきましては徹底した措置、捜査を行なう、これが私どもの基本方針でございまして、沖繩県警においても変わるところはございません。  ただ、ただいま御指摘の事犯の時間的経過でございますが、当日一時五十分に琉球大学における内ゲバ殺人事件が発生いたしました。そこで、このデモの警戒につきましては、二個中隊約二百人の規模で警戒を実施しておったわけでございますが、集会途中に内ゲバ殺人という重大な事犯が起きましたので、当日現場で指揮しておりました那覇警察署の警備課長はじめ所要の部隊、集会が平穏に行なわれておりましたので、そのことも勘案いたしまして、一個小隊程度の制私服を残しまして、交通整理要員を残しまして、直ちに内ゲバ殺人の犯人を逮捕すべく配置転換をいたしまして、緊急配備活動を実施したわけでございます。その後、事犯は三時四十五分に県庁知事室内で起きておるわけでございますが、三時五十分に県の総務課から県警本部の警備課にガラスが割られたという通報をいただいております。直ちに那覇署にその通報が連絡されまして、那覇署の警察官の大部分は内ゲバ殺人の緊急配備活動を展開しておったところでございますので、その部隊を県庁内における集団暴力事犯に直ちに向けるべく、那覇署の警備課長は指示をしたわけでございます。二個小隊六十人を配置転換をするという指示をいたしまして、那覇署の警備課長も県庁に直ちに転進してまいったわけでございます。  そこで、四時二十八分に県の総務部長から那覇署の現場へ到着しました警備課長に事犯の通報が重ねてございまして、知事室に警備課長自身が参りまして、厳重な警告をする。そのときには二個小隊、制服も到着しておりますので、部隊の威力を背景としまして退去を警告しましたところ、三々五々退去していった、こういうことでございます。  事件自体につきましては、その後十二人の捜査員の編成をもちまして、ただいま犯行の具体的状況並びに犯人の特定に鋭意努力しておるところでございます。
  182. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 時間が参りましたので締めますが、もう一度お聞きしたいのは、これは琉大内における革マル・中核の殺人事件が起こったことは私も知っております。いずれにいたしましても、あのような大会を持ち三千人のデモをやる、知事を殺せというシュプレヒコール、こういったシュプレヒコールは民主団体ではやりません。だれを殺せ、頭の皮をひっぱげというのがありますが、そういったようなことばまで使いながら、実に二キロいらいの距離をデモをやっておる。この中でもどのようなことが起こるかなということが想像つきます。結局、自民党県連がやったためにあのようなことが起こったんだといったようなこと、警察がいかに大目に見ていたかという問題と、もう一つお聞きしたいのは、これは御存じかどうかお聞きしたいのです。  警察が知って知事室にかけつけてきたときに、現場検証をやるために写真を写しますね。その写真を写すときに、そこにいた人々をあっちに行けあっちに行けと出しておいて、あとで写真を写しておる。この事実がありますが、御存じかどうか。というのは、これはあっちに出ろというんじゃなしに、この人々はほんとうの犯人を逮捕する場合一番の手がかりなんです。これを全部出しておいて、残ったのは何か。ちらかっておるガラスの割れやら何やら。これでは犯人逮捕の真実の姿勢があるかどうかを疑われる。これは普通の常識でもこのようなことは起こらぬと思うのです。警察はすぐ写真をぱちぱちとるのです。ところがあのときは、そういった者を全部退去きせて、あっちへどけ、出ろということで、からっぽのところを写真に写しておる。これは当時のマスコミからも実に嘲笑の材料になっておりますが、こういったものと関連して考える場合に、よほど生命と財産を守るという警察はしっかりせぬと不安でたまらないというのが県民の真実の姿でありますが、こういった写真の写し方など、その捜査の姿勢について何か報告ございましたか。なければないでいいのですが、この事実があったということだけは一応お知らせしておきたいと思います。
  183. 山田英雄

    ○山田説明員 ただいま御指摘の言動が現場であったかどうかについては詳細承知しておりませんが、現場に警備課長が到着しましてから厳重な退去警告によってそこにいる集団の県庁内からの退去を警告したという事実は承知しております。それから直ちに私服捜査員によって現場保存を行なって徹底した採証活動を行なったという事実を報告を受けております。
  184. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 終わります。
  185. 床次徳二

    ○床次委員長代理 次回は、明後七日木曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時五十二分散会