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1974-02-07 第72回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年二月七日(木曜日)    午後零時二分開議  出席委員   委員長 小濱 新次君    理事 床次 徳二君 理事 中村 拓道君    理事 加藤 清政君       北澤 直吉君    田中 龍夫君       中山 正暉君    水野  清君       上原 康助君    島田 琢郎君       塚田 庄平君    瀬長亀次郎君       渡部 一郎君    安里積千代君  出席国務大臣         外 務 大 臣 大平 正芳君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)         (沖繩開発庁長         官)      小坂徳三郎君  出席政府委員         沖繩開発庁総務         局長      岡田 純夫君         外務省アメリカ         局長      大河原良雄君         外務省欧亜局長 大和田 渉君  委員外出席者         北方対策本部審         議官      大屋敷行雄君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ————————————— 本日の会議に付した案件  沖繩及び北方問題に関する件      ————◇—————
  2. 小濱新次

    ○小濱委員長 これより会議を開きます。  沖繩及び北方問題に関する件について調査を進めます。  この際、沖繩及び北方問題に関する政府施策について説明を求めます。小坂国務大臣
  3. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 沖繩及び北方問題について所信一端を申し述べさせていただきます。  初めに沖繩振興開発について申し上げます。  沖繩は、本土復帰してから第三年目を迎えました。この間、復帰直後の混乱の時期を経て、沖繩振興開発計画の策定、それに基づく諸事業実施など新しい県づくりへの歩みが進められております。政府としては、今後とも、沖繩振興開発計画基本方針である沖繩の各方面にわたる本土との格差を早急に是正し、すぐれた地域特性を生かすことによって自立的発展基礎条件整備をはかり、平和で明るい豊かな沖繩県をつくることに最大限努力を払ってまいります。  昨年来の石油問題に端を発して、現在わが国経済社会が直面している情勢はまことにきびしいものがあり、このような情況のなかで、社会資本整備をはじめ沖繩振興開発推進することは、並みたいていのことではありません。しかし、政府としては、さきにも述べたとおり、沖繩振興開発に支障を来たすことのないよう特段配慮を払うこととし、明年度予算案においても、全国的には公共事業規模が抑制される中にあって、沖繩振興開発事業費については、前年度の約一九%増に当たる約七百十八億円を計上いたしております。  この振興開発事業は、沖繩社会生活基盤整備をはかるためのものでありますが、明年度においては、教育振興に資するための教育関係施設整備医療体制整備をはじめとする保健衛生対策の拡充、農林漁業生産基盤整備等農林漁業に関する施策の充実、用水問題の改善等生活環境施設整備など、沖繩の現状に即した県民生活安定のための施策推進に、特に重点的な配慮を払ってまいります。  次に、当初昭和五十年三月二日から開催する予定でありました沖繩国際海洋博覧会についてでありますが、政府は、昨年末に、海洋博開催期日昭和五十年七月二十日から五十一年一月十八日までとすることに決定いたしました。これも石油問題に関連するまことにやむを得ない措置でありますが、この決定にあたっては、沖繩県当局をはじめ現地各界各層の方々の御意見を十分考慮して行なったものであります。海洋博が、単に復帰を記念する事業にとどまらず、沖繩振興開発をはかる上でも重要であることは、いまさら申すまでもないのでありますが、加えてその有する国際的な意義、役割にかんがみ、その成功のため万全を期してまいります。このため、明年度振興開発事業費において、海洋博関連する道路港湾等交通施設、上・下水道等生活環境施設等整備のため約二百二十億円を予定しております。  これら沖繩振興開発に必要な事業推進にあたっては、引き続き労務、資材の需給のバランスを確保するなど、事業の円滑な実施をはかるようつとめてまいります。また、県民生活に大きな影響を及ぼす物価問題についても、沖繩地域事情に即応した物価対策具体化努力してまいります。  なお、全国的に下水道整備を促進するための補助率の引き上げが行なわれるのに伴い、沖繩流域下水道についてもこれを引き上げる必要があるため、沖繩振興開発特別措置法の一部を改正する法律案を今国会に提出し、御審議いただくこととしております。  沖繩振興開発制度金融の面から促進する機関である沖繩振興開発金融公庫については、昭和四十九年度において七百八十二億円の貸し付けワクを確保いたしましたが、これは前年度に比べ、約三〇%の増加となっております。  政府としては、これら各般の施策を通じて沖繩経済社会発展県民福祉の向上を目ざして格段の努力を払ってまいることを重ねて申し上げます。  次に、北方領土問題について申し上げます。  北方領土問題は今日日ソ間に存する最大の懸案であり、北方領土復帰の実現は国民の長年の悲願であります。  御承知のように、昨年十月の日ソ首脳会談において田中総理は、北方領土問題の解決交渉の眼目として四島の返還を強く迫られました。その結果、日ソ共同声明に明らかなように、北方領土問題が平和条約締結によって処理されるべき、戦後の未解決の問題であることが確認され、本年中に、引き続き北方領土問題を含む平和条約締結交渉を行なうことについての合意が成立したことは、これまでのいきさつから見て大きな前進であると考えます。  政府においては、今後の交渉において、日本古来領土であり、国際法わが国に帰属すべき北方四島は当然わが国返還されるべきであるとの立場に立ち、かつ、北方領土返還による日ソ平和条約締結によって初めて両国間に真に安定した友好親善関係が築かれるとの考え方のもとに、粘り強い交渉を続けていく方針であります。  ところで、政府外交交渉を行なうにあたって最大の力となるものは、言うまでもなく盛り上がる国民世論支持であります。このため、私は、北方問題担当大臣として、日ソ首脳会談を機に高まった北方領土問題に対する国民関心理解をさらに深め、外交交渉のささえとなる国民世論の一そうの高揚をはかるため、啓蒙宣伝に関する諸事業を拡充強化する考えであります。また、北方地域居住者に対する援護についてもこれを積極的に推進してまいる所存であります。  ここに、沖繩及び北方問題に対する所信一端を述べ、各位の御協力を切望する次第であります。
  4. 小濱新次

  5. 大平正芳

    大平国務大臣 外務省所管事項につきまして、その概略を御説明いたします。  まず、北方領土問題につきまして、政府所信を申し述べたいと思います。  わが国ソ連邦との関係は近年幅広い分野におきまして着実な進展を見せており、昨年十月の田中総理大臣ソ連邦訪問により、さらに一そうの発展のための素地が築かれるに至っております。しかしながら日ソ間に真の善隣友好関係を樹立するためには北方領土問題の解決が必須であることは申すまでもありません。日ソ国交回復後十七年を経た今日におきましても、いまだ日ソ間に平和条約締結されていないという事実を政府としてはきわめて遺憾に考えておるものであります。  田中総理は、ブレジネフ書記長はじめソ連側最高首脳との会談に際して、北方四島はわが国固有領土であり、これら諸島の返還国民の非願である旨強く主張し、北方領土問題を解決して平和条約締結することが、日ソ間の真の善隣関係確立に不可欠であるとして、大局的見地からのソ連側の決断を求めたのであります。会談は難航いたしましたが、最終首脳会談の結果、共同声明で、「第二次大戦の時からの未解決の諸問題を解決して平和条約締結することが、両国間の真の善隣友好関係確立に寄与することを認識し、平和条約内容に関する諸問題について交渉した。双方は一九七四年の適当な時期に両国間で平和条約締結交渉を継続することに合意した。」旨明記することに合意を見ました。この「第二次大戦の時からの未解決の諸問題」に北方領土問題が含まれておることについては最高首脳間で確認されております。このことは、ソ連側が従来、日ソ間の領土問題は解決済みであるとの態度をとっていたことにかんがみれば、北方領土問題解決の端緒を開いたものと確信いたします。  政府としては、本年中に再開される平和条約交渉におきましてもただいま申し述べました総理訪ソの成果を踏まえて、国民各位の御支持のもとに、北方領土問題の解決をはかるべく粘り強く交渉を続けてまいる所存であります。  北方領土問題を解決することによって日ソ平和条約締結し、日ソ関係を真に安定した基盤の上に発展させることは、日ソ両国の利益に合致するのみならず、極東、ひいては世界の平和と安定に資するものであり、わが国平和外交の理念にも合致するものでありますので、このため、最大限努力を払ってまいりたいと考えております。  次に、沖繩問題につきまして、政府所信を申し述べたいと思います。  外務省としては、去る昭和四十六年十一月二十四日の衆議院決議を体し、現地要望沖繩県開発計画推進、民生安定の確保等との関連を踏まえ、かつ、日米安保条約目的達成との調整をはかりつつ、沖繩県における米軍施設区域整理統合推進しておりますが、すでに御案内のとおり昨年一月二十三日の安保協議委員会において、那覇空港完全返還及び那覇空港周辺地域返還につきまして原則的合意が成立いたしましたほか、昨年六月十五日には米軍施設区域の一部または全部返還、計八カ所につきましてそれぞれ日米間で合意を見、また、今般一月三十日の安保協議委員会においては米軍施設区域の一部または全部返還、計三十二カ所につきまして合意に達した次第であります。  政府としては、海洋博関連工事関係もあり、さしあたり、昨年の安保協議委員会合意されたプロジェクト実施に全力を傾注する所存でありますが、今回了承されたプロジェクトのうち移設を条件とするものにつきましては可能なものから逐次実施に移す考えであります。沖繩県民米軍施設区域整理統合に対する強い要望政府としても十分理解し得るので、安保条約目的達成との調和をはかりつつ、今後とも在沖繩米軍施設区域整理統合についてこれまでの計画進捗状況をにらみながら検討を進めてまいる考えであります。  また、沖繩返還協定実施について、請求権米側による処理につきましては引き続き米側十分連絡を保ちつつ促進をはかることとし、また、VOAにつきましては国会等における論議をも踏まえつつ、協定上本年五月以降行なわれることとなっておる将来の運営に関する米側との協議に備えてまいる所存であります。  以上、外務省所管事項について概略説明申し上げました。     —————————————
  6. 小濱新次

    ○小濱委員長 次に、沖繩及び北方関係予算について順次説明を求めます。岡田沖繩開発庁総務局長
  7. 岡田純夫

    岡田政府委員 昭和四十九年度沖繩開発庁予算について、その概要を御説明申し上げます。  昭和四十九年度におきましては、一昨年十二月に策定されました沖繩振興開発計画に基づき、沖繩の各面にわたる本土との格差を早急に是正するとともに、そのすぐれた地域特性を生かすことによって、自立的発展基礎条件整備するため、沖繩県に対する国の負担または補助の割合について本年度に引き続き特段配慮を加えつつ、所要の財政措置を講ずることといたしております。  以下、その内容について具体的に御説明申し上げます。  第一は、沖繩振興開発計画実施するため、その中心となる公共事業及びその他の事業に必要な経費沖繩開発庁一括計上し、これら事業を積極的に推進することとしております。  この一括計上予算総額は、七百十八億三千万円でありますが、これは次の経費が含まれております。すなわち公立学校施設整備費五十七億九千四百万円、産業教育施設整備費六億一千九百万円、学校給食施設整備費八千五百万円、社会教育施設整備費七千二百万円等を内容とする沖繩教育振興事業費六十六億二千四百万円、公的医療機関等施設整備費三億七千六百万円、医師歯科医師派遣費九千三百万円、無医地区医師派遣費四千百万円等を内容とする沖繩保健衛生等対策諸費五億二千百万円、糖業振興費十六億五千百万円、植物防疫対策費一億八千三百万円を内容とする沖繩農業振興費十八億三千四百万円、道路整備事業費二百四十七億六千二百万円、生活環境施設整備費百五十四億百万円、港湾整備事業費六十三億五千九百万円、公営住宅建設事業費三十四億四千三百万円、工業用水道事業費三十億二千百万円、農業基盤整備事業費二十八億六千九百万円、空港整備事業費二十三億三千四百万円等を内容とする沖繩開発事業費等公共事業関係費六百二十八億五千万円であります。  なお、この沖繩開発事業費等の中には、明昭和五十年に開催される沖繩国際海洋博覧会関連公共事業費が二百二十億二千三百万円含まれております。  第二は、一括計上事業費以外の諸経費計上であります。  この経費についてのまず第一点は、沖繩振興開発事業を円滑に推進するため、沖繩県公共用地等先行取得体制強化をはかる目的で、沖繩県に対し、昭和四十八年度から三年間で総額三十二億円にのぼる土地開発基金造成のための経費補助することとし、昭和四十九年度はその第二年度分として十億円を交付する予算計上していることであります。  次に、その第二点は、沖繩産業開発を促進するとともに、沖繩県民の営む事業及び生活のために必要な資金を融通するため設けられている沖繩振興開発金融公庫に対し、その事務の円滑な運営に資するための補給金として三億六千二百万円を計上していることであります。  なお、同公庫昭和四十九年度における貸し付け計画につきましては、財政投融資資金六百億円、貸し付け回収金等百四十三億円を原資として、貸し付け決定額で七百八十二億円、資金交付額で七百四十三億円の貸し付けを予定しております。  次に、その第三点として、沖繩における境界が不明確な土地調査首里城歓会門復元整備及び砂糖価格差補給に要する経費二億三千六百万円を計上し、さらに、このほか、沖繩開発庁所掌一般行政経費として二十七億四千九百万円を計上するとともに、沖繩振興開発に関する基本的計画調査に必要な経費として六千万円、沖繩総合事務局が施行する振興開発事業指導監督に必要な経費として三千九百万円を計上いたしております。  以上申し述べました沖繩開発庁計上経費総額は、七百六十二億七千七百万円となっております。  以上でございます。
  8. 小濱新次

  9. 大屋敷行雄

    大屋敷説明員 昭和四十九年度総理府が所管しております北方関係予算案について、その概要を御説明申し上げます。  御承知のように、昭和四十九年度においては、昨年に引き続きまして、北方領土問題を含む日ソ平和条約締結のための交渉が行なわれることになっており、また、日ソ首脳会談を機に高まってまいりました北方領土問題に関する国民関心理解を一そう深め、より力強い国民世論高揚をはかるため、啓発広報に関する施策を一段と充実する必要があると考えます。さらに、北方地域居住者等に対する援護についても、積極的にこれを推進していく必要があると考えます。  このため、昭和四十九年度においては、北方関係予算として、対前年度比三六%増の二億五百三十四万一千円を計上しております。  その内訳を申し上げますと、別添の資料にございますが、(1)が北方対策本部に必要な経費であります。すなわち本部人件費及び一般事務費でございます。この額が二千三十万八千円となっております。  次は、北方領土問題対策に必要な経費でございます。その内容は、備考欄に記載されておりますように、北方地域総合実態調査北方領土問題解説資料作成頒布北方問題説明会でございます。以上の三項目は、北方対策本部がその事業として実施するものでございます。次に、四番目といたしまして、北方領土問題対策協会補助に要する経費がございます。以上の四項目を合わせました経費が一億八千五百三万三千円となっております。  そのうち、四の北方領土問題対策協会に対する補助金が一億七千九百三十一万六千円で、経費の大部分を占めております関係上、これについて若干の御説明を申し上げたいと思います。  御承知のとおり、この協会昭和四十四年十月に北方領土問題対策協会法に基づいて設置された団体でございまして、北方領土問題に対する世論啓発広報のほか、北方領土問題等に関する調査研究北方地域漁業権者及び元居住者に対する長期低利融資事業を含めた援護の業務を担当しております。  補助金内容について申し上げますと、事務費としまして三千四百八十九万円、事業費としまして一億四千三百四十二万六千円、予備費百万円となっております。  事業費は、さきに申し上げました協会事務に対応して、啓蒙宣伝費調査研究費援護費利子補給費について行なうものでございます。  まず、啓蒙宣伝関係費について申し上げます。啓蒙宣伝関係費としましては、対前年度比五一・六%増の一億二千八十四万円を計上しておりますが、これは内容としましては、パンフレット、ポスター等部数増、新聞、週刊誌テレビ等による啓発広報強化、そのほか新規に巡回映画による啓発事業補助対象として加えておるわけでございます。さらにまた、例年の規模による広告塔の設置、全国青年婦人の代表に対する現地研修会対象人員増加関係団体事業に対する助成の強化等によるものであります。  調査研究援護に関する経費は、いずれも四十八年度予算と同額としております。  利子補給費は、協会北方地域漁業権者等に対し、事業資金生活資金の融通を行なうにあたって必要とする金融機関よりの長期借り入れ金に対して支払う利子の一部を補給するための経費でございます。千五百五十七万円を計上しております。これにより、四十九年度においても四十八年度とほぼ同じ規模融資事業実施することが可能であると考えております。  以上でございます。
  10. 小濱新次

    ○小濱委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時二十五分散会