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1973-12-20 第72回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年十二月二十日(木曜日)     午前十時四分開議  出席委員    委員長 小濱 新次君    理事 國場 幸昌君 理事 佐藤 孝行君    理事 床次 徳二君 理事 中村 拓道君    理事 上原 康助君 理事 加藤 清政君    理事 美濃 政市君 理事 正森 成二君       田中 龍夫君    島田 琢郎君       横路 孝弘君    瀬長亀次郎君       渡部 一郎君    安里積千代君  出席国務大臣         外 務 大 臣 大平 正芳君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)         (沖繩開発庁長         官)      小坂徳三郎君  出席政府委員         総理府総務副長         官       小渕 恵三君         防衛庁参事官  長坂  強君         防衛施設庁総務         部長      安斉 正邦君         防衛施設庁施設         部長      平井 啓一君         経済企画庁長官         官房参事官   有松  晃君         沖繩開発政務次         官       西銘 順治君         沖繩開発庁総務         局長      岡田 純夫君         沖繩開発庁振興         局長      渥美 謙二君         外務省アメリカ         局長      大河原良雄君         外務省欧亜局長 大和田 渉君         外務省条約局長 松永 信雄君  委員外出席者         防衛施設庁施設         部施設補償課長 奥野 貞広君         厚生省医務局指         導助成課長   木戸  脩君         農林省食品流通         局砂糖類課長  永井 和夫君         通商産業省産業         政策局沖繩国際         海洋博覧会管理         官       増山 孝明君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部長 住田 正二君         自治省行政局公         務員部福利課長 大嶋  孝君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ――――――――――――― 委員の異動 十二月十日  辞任         補欠選任   川崎 寛治君     島田 琢郎君   楯 兼次郎君     塚田 庄平君   楢崎弥之助君     横路 孝弘君 同月二十日  理事上原康助君同日理事辞任につき、その補欠  として加藤清政君が理事に当選した。     ――――――――――――― 十二月一日  沖繩住民等が受けた損害補償に関する特別  措置法案安井吉典君外八名提出、第七十一回  国会衆法第四七号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十二月十九日  北方領土復帰促進に関する陳情書外三件  (第五三号)  沖繩県のさとうきび最低生産者価格引上げに関  する陳情書  (第五四号)  北方領土返還に関する陳情書外三件  (第九六号)  沖繩農業の保護に関する陳情書  (第九七号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  沖繩及び北方問題に関する件      ――――◇―――――
  2. 小濱新次

    ○小濱委員長 これより会議を開きます。  この際、理事辞任の件についておはかりいたします。  理事上原康助君から理事辞任申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小濱新次

    ○小濱委員長 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。  引き続き、理事補欠選任についておはかりいたします。  これは先例によりまして、委員長において指名することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 小濱新次

    ○小濱委員長 御異議なしと認めます。よって、委員長加藤清政君を理事に指名いたします。      ————◇—————
  5. 小濱新次

    ○小濱委員長 沖繩及び北方問題に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。美濃政市君。
  6. 美濃政市

    美濃委員 外務大臣お尋ねいたしますが、過般、大臣ソビエトへ行って北方領土問題でたいへん御苦労願ったわけでありますが、この中で領土問題の解決あるいは安全操業領土問題がどの程度関連を持って、分離して領土問題の解決の前に安全操業問題が大幅に解決できるような見通しがあるかどうか。そういうことが今回の交渉の中でどういうふうに受けとめられてきたか。あわせてシベリア石油開発の問題についてはどういうことであるか、このお話を承りたい。
  7. 大平正芳

    大平国務大臣 今度の内閣改造にあたりまして引き続き外務大臣をやることになりましたので、また皆さんよろしく御鞭撻と御支持をお願いいたしたいと思います。  いまお尋ねの件でございますが、領土問題と安全操業問題では全然別問題でございます。安全操業の問題は領土問題が本ぎまりになるまでの暫定的な措置としてわがほうから提案いたしてありまして、領土問題という本質問題に触れることなく年々歳々不幸なトラブルが起きておりますので、領土問題及び領海に関する双方の基本的な立場をそこなうことなく何らかの措置を講ずる必要があるのではないかという立場に立ちまして交渉をいたしたわけでございます。その結果、漁業の長期安定化の問題とあわせまして、両首脳間におきましては、主管大臣の間で協議を行なわせようじゃないかということで合意を見まして、その直後櫻内農林大臣が訪ソいたしましたことは御案内のとおりでございまして、この協議は今後も続行されると承知いたしております。したがいまして、いまお尋ね安全操業問題の進展という問題は一応領土問題とは別と心得ております。  第二のシベリア開発の問題でございますが、これは原則的な話し合いをいたしたわけでございます。ソ連は豊富な資源を全土に持っておるし、特にサイベリアに持っておるわけでございますが、これはソ連の独力をもっても開発し得るものである、しかしながら日本が望むならば日本参加異議はないという態度でございます。わがほうは資源のない国でございますから、資源保有国、地球上いろんな国との間で互恵的な関係において資源安定確保をしなければならない立場にございますので、それら資源保有国の側とわが国関係業界との間で話がフィージビリティースタディーが行なわれて、それが満足すべきものでございますならば、政府はそれを受けてこれを促進してまいることでやぶさかでない。そういう当事者間の話し合いを促進するというようにしようじゃないかということで、両方の意見が合っておるわけでございます。そしてその場合、日本シベリア資源開発に協力する場合に、第三国参加を排除しないということも確認されておりますが、しかし、その第三国、たどえば米国が参加するにつきましても、それは日本を通してやる、つまりソ連が直接やるわけじゃない。そういう場合には日本がその話をつけて、それからソ連にあたるというようにしていこうじゃないかということで合意を見ておるわけでございます。
  8. 美濃政市

    美濃委員 安全操業の問題はお話ありましたように、その後農林大臣が訪ソしておりますが、あまりてきぱきと話が進展していないようなんですが、これは安全操業について近く見通しが立てられるのかどうか。それからいまお話石油開発問題についてはそういう合意に達すれば日本側としてはどのくらいの期間でこれがそういう開発状態に入る見通しでこれから進めていく予定であるか、これをお聞きしておきたい。
  9. 大平正芳

    大平国務大臣 安全操業の問題につきましては、水域の問題がまず第一にあるわけでございます。それから第二には安全操業を確保する保障措置と申しますか、両方の官憲がどういう手段で守られた約束の履行状況を見ていくかという問題等があるわけでございますが、後段のほうの問題につきましては相当歩み寄りが私はできておると考えております。前段の水域の問題が一番ネックになっておると考えております。田中総理におかれては四島周辺水域ということで、最後まで主張をされたわけでございます。それを最後まで先方首脳はコミットされませんでしたわけです。したがって、どの範囲の水域合意するかということは今後の交渉の焦点ではなかろうかと考えております。そしてそれにつきましては今後の交渉いかんによりましては私は希望が持てないわけではないと考えております。  それから、石油、あるいは原料、粘結炭、あるいは天然ガス等シベリア資源開発はいつごろまでにということでございますが、これは当事者同士話し合いのテンポにかかってくるわけでございます。原料炭でございますとか、あるいはヤクートのガス等につきましては、当事者間の話し合いは相当進んできておるように思うのでございますけれども石油の問題につきましては、それほどにはまだ進んでいないように私は思うのでありまして、いつごろまでに両当事者間が基本契約を結ぶ段階になるかということをいまの段階で申し上げられるまでまだ自信がないわけでございます。その間に当面の石油危機が出来してまいりまして、各業界とも当面の問題に狂奔いたしておるような状態でございますことは御案内のとおりでございます。確たる時期的展望を申し上げるというまでには至っていないことを、残念でございますが申し上げざるを得ないと思います。
  10. 美濃政市

    美濃委員 領土問題の、これもなかなか見通しは困難でしょうが、領土解決について大臣の感触をちょっと承りたい、今後どういうふうに進展していくのか。
  11. 大平正芳

    大平国務大臣 当方立場は、本来はわが国固有領土であるから返していただきたいということ、そしてそのことが真の意味における日ソ友好関係の基盤を築くものであるということで臨んでおるわけでございますが、首脳会談を通じて私ども感じ取ったことは、先方は、第一に去年の十月に私が訪ソいたしまして、第一回の平和条約締結交渉をいたしたばかりじゃないかということでございまして、そのときには双方はそれぞれの立場を述べ合ったという共同発表をいたしておるわけでございます。で、いま、ことしになってあなたがいらっしてその話を持ち出されるのだが、まあ感じとしてはやや性急じゃないかという反応が一つでございます。  それから第二は、こういう問題は日ソ間の友好、信頼の関係がもっとあたたまってくるといいますか、もっと厚みを持ってくるというか、そうならないといけないのではないかという感じを繰り返し、繰り返し述べられるわけでございます。しかし、逆にそういう問題を持ち出されても、もう聞く耳持ちませんよとは言わないというわけです。でございまするから、これは忍耐強く折衝を続けるにしかずと考えるわけでございまして、ことしも継続して交渉をしようということに取りきめて帰ったような次第でございます。
  12. 美濃政市

    美濃委員 最後お尋ねしておきたいことがあるのですが、北方海域では拿捕によって死亡事故が起きておる、北洋丸事件、それに対して水産庁で損害をいろいろ算定して外務省を通じて損害補償ソビエト要請しておるのですが、いまのところナシのつぶてなのですが、これは、今回訪ソされたときに事務レベルか何かでその話が行なわれたか、それとも全然そういうことはやらなかった、補償問題は全然だめなのかどうなのか、これを伺っておきたいと思います。
  13. 大和田渉

    大和田政府委員 御承知のように、拿捕事件という不幸な事態が数件、むしろ非常にたくさん起こっております。そういう事件をなくそうというのが目的で、人道上の考慮で安全操業交渉というのを行なっていることも御承知のとおりでございます。いま御指摘北洋丸事件につきましても、先方抗議を申し入れております。その内容といたしましては、当然それによって生じた損害についてのソ連側責任追及、それから今後こういうことがないように、また実際にそれによって生じた損害補償ということを先方に言っておるのでございますが、先方からは、その抗議は受け入れておりますけれども、それについてどういうふうに措置する、あるいは損害を賠償するというような返事は遺憾ながらいまだまいっておりません。
  14. 美濃政市

    美濃委員 終わります。
  15. 小濱新次

  16. 上原康助

    上原委員 質問に入る前に、ちょっと委員長要望したいのですが、政府委員外務省お見えになっているのですが、防衛施設庁がまだ見えていないのですが、どうなっているのですか。
  17. 小濱新次

    ○小濱委員長 すぐ参るそうでございますので、御了承いただきたいということでございます。
  18. 上原康助

    上原委員 私は、沖繩米軍基地整理縮小問題について、おもにお尋ねをしてみたいと思うのです。  御承知のように、今年の一月二十三日、第十四回日米安全保障協議委員会において、本土を含めて基地整理統合縮小計画というものが発表されました。さらに本年六月十五日の、日米合同委員会において沖繩施設区域返還について発表がなされました。その過程で、日米両国政府で今後も引き続き基地整理統合縮小について話し合いを進めていくということが述べられております。さらに私たちが、これまで外務大臣並びに関係当局にいろいろ基地問題で御要望なり要求をするそのつど、整理縮小について鋭意米側話し合いを進めているのだという政府考え方なり御答弁もございました。一説には、年内にもかなり大規模な基地整理縮小計画発表されるという報道もなされたわけですが、最近仄聞するところによりますと、日米間の交渉がかなり行き詰まって年を越す見込みだといわれております。  そこで、沖繩基地整理縮小計画について米側とどういう話し合いを持たれ、どういう見通しがあるのか、一月の二十三日以降あるいは六月十五日に発表された件などとも関連をして、外務省としてどういう見通しを立てておられるのか、御見解を賜わりたいと思います。
  19. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 沖繩米軍施設区域整理統合の問題につきましては、ことしの一月の第十四回安保協議委員会におきまして、那覇市内からの施設撤去縮小ということを重点としての計画発表されたわけでございますが、その後も政府といたしましては、沖繩施設区域整理統合について積極的に取り組むという基本的な方針のもとに、米側との折衝を続けてきているわけでございます。  ことしの四月に第一回の会合が開かれました安保運用協議会は、今日までに八回開かれておりますけれども、その八回の運用協議会の場におきましても、毎回、沖繩施設区域整理統合の問題を米側とも話し合っております。この十七日に第八回目の会合が開かれたわけでございますが、その会合におきましても、この問題をまた取り上げております。もちろん、この運用協議会の場での話し合いということにとどまるわけでございませんので、そのほかに、外交ルートを通じましてひんぱんな接触を米側と続けまして、この問題について取り組んできているわけでございまして、何とか、なるべく早い時期に具体的な整理統合計画発表できるようにということで、米側とも作業を進めてきているわけでございますけれども、まだ十分話し合いが煮詰まっておらない、こういう状況で、いまの段階におきましては、いつごろということについてはっきり申し上げ得る状況に至っておりません。しかしながら、基本的な考えといたしましては、日米双方ともに、なるべく早い機会に具体的なものについて発表できるように作業を進めていきたいということであるわけでございます。
  20. 上原康助

    上原委員 相手のあることでもあるでしょうし現段階で公にできないという立場も理解しないわけではございませんが、いま御答弁ありましたように、現在進められている交渉というのは那覇近郊を中心に縮小計画交渉しているというふうにも受け取れるわけですが、御承知のように、中部の各自治体、県側あるいは沖繩土地連合会などからも、地域開発地方自治都市計画にとって必要である部分については最小限度返してほしいという要求は、もうかなり前から幾度も出されているわけです。そういうアウトライン的なものについては、政府は単にアメリカにお伺いを立てるということではなくして、政府立場で主体的に、こういう分野については、地域については返してもらいたい、返還すべきであるという立場交渉をなさっているのか、そこらについても明らかにしていただきたいと思います。
  21. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 この問題に取り組むにあたりましての基本的な考え方は、現地方々の強い要望、また沖繩県経済開発の推進、民生の安定、こういうことを踏まえまして、でき得る限り現地実情に即した整理統合計画を固めたい、こういうことでございます。  一月の安保運用協議会発表されました沖繩整理統合計画をごらんいただくとわかりますように、主として那覇からの施設区域整理撤去ということに重点が置かれておったわけでございますが、目下私ども米側折衝いたしておりますのは、那覇につきましては、那覇軍港を除きましては一応の措置が見られているという状況を踏まえまして、それ以外の地域につきまして、現地実情に即した、また現地方々の強い要望を踏まえて話し合いを進める、こういうことできておるわけでございます。
  22. 上原康助

    上原委員 そこで大臣に一言まずお尋ねしておきたいのですが、いまアメリカ局長から御答弁あった点で大体推測はできますけれども、たしか本年九月の三日だったと思うのです。先輩の安井先生とともにSR71のカンボジア偵察の問題あるいは那覇空港へのF4ファントム移駐問題等大臣アメリカ局長に一緒にお会いいたしました。そのときに冗談まじりだったと思うのですが、上原君、年内にびっくりするほど返してやるから、政府の真意を信じてくれぬか、あまりがみがみ文句だけ言わぬで協力してくれというような御発言があったのですが、年内めどが立たなかったということは、それだけ受けとめ方としては後退をしたという受けとめ方をせざるを得ない面もありますし、あるいは積極的に解すれば、いま御答弁があったように、現地意思も尊重し、それに沿う形で、より交渉を詰めているという受けとめ方もできるんじゃないかと思うのです。大臣として、沖繩基地返還の問題、これはあとで具体的に中身も触れますけれども、はたして現地意思に沿った軍用地返還、開放というものができるという予測でいま交渉を進めておられるのか。めどははっきりは言えないにしても、早急にということですから、また来年の一月二十三日に第十五回目の安保協議委員会を開くのかあるいは運用協議会でやるのかですが、そこいらのめどと、現地意思がどれだけくみ入れられる可能性があるのかという点についてぜひ明らかにしていただきたいと思うのです。
  23. 大平正芳

    大平国務大臣 いま上原さん御承知のように、大体基地の面積から申しますと、内地——内地といっては恐縮ですが、本土沖繩県とがほぼ同じ広さを持っておるわけでございまして、あの狭隘な地にこんな重い荷物を背負った姿で開発計画を立てろといっても、私はなかなか立てようがないんじゃないかと思います。しかし、本土の場合は占領解除以来ずっと基地整理統合も続けてまいったわけでございますが、沖繩の場合は去年の五月返還がなってから相談を始めているわけでございまして、たいへん出おくれておるわけでございます。したがって、こういうアンバランスの状態でいいとはだれも思っていないと思うのでございますし、私どもも何とかこれを筋の通った解決に持っていかなければならぬと考えておるわけでございます。しかし、あなたも御指摘のとおり、先方もあれだけのベースを沖繩県につくっておるわけでございますし、それにはそれ相当の目的を持っておつくりになっていると思うのでございまして、先方立場も十分考えなければなわませんけれども当方もこういう姿において一部那覇周辺地区の非軍事化と六月に発表いたしました八カ所の部分的返還というようなところでお茶を濁すわけには私はまいらぬと思うのであります。したがって、いま大河原君からも御説明がございましたように、現地要望をたくさん聴取いたしておりますので、先方要請とこちらの要求とを突き合わして、いま鋭意やっておるところでございますので、できたら年内にやりたいと思っておりまして、やろうと思えばやれないわけではございませんけれども、そのあたりもう少し私どもは念を入れてやるべきじゃないかと、主として日本側要請で詰めを急いでおるわけでございます。だから、いつごろということを言われますと、いまアメリカ局長、なるべく早くと言っておりますが、私は遠からずということでごらんいただけるようにいたしたいと、鋭意やっておるところでございます。
  24. 上原康助

    上原委員 どうも遠からずとなるべく早く、どう違うのか私わかりませんが、大体来年早々だというふうに受けとめたいと思います。  そこで、きょう時間がありませんのであまりこまかい点に触れられませんが、今年一月二十三日の安保協議委員会でいわゆる那覇空港全面返還ということとの関連、また牧港ハウジングエリア、いわゆる一般的にいわれております上之屋米軍住宅地域のたしか一部二百戸部分について返還をするということがうたわれております。実際には千二百戸の住宅がありますし、その他学校、いろいろな米人関係施設がほかにもある。いまのお二人の御答弁からしますと、那覇地域についてはあの二百戸という分にプラス上之屋ハウジング全体について返還をする立場話し合いが進められているという受けとめ方もできます。それはどういうふうになっているかということ。  もう一つぜひ確認をしていただきたいことは、那覇空港全面返還あるいは上之屋ハウジングエリアの一部返還については五十年の三月を目途にしてやる、三月までにはやるんだということでした。これは海洋博関係があったわけですね。海洋博が実質的には、まだ政府は公式には発表しておりませんが、もう五十年七月の二十日からやる、一部延期をするということがほぼ確定をしている。そういたしますと、那覇空港全面返還、一月二十三日に発表された基地返還についても自動的に七月まで延びるのか、あるいは当初計画どおり三月を目途にしてやるのか、そこいらについても明らかにしていただきたいと思います。
  25. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 まず牧港住宅地区の問題でございますが、一月二十三日の合意によりますと、二百戸が嘉手納に移設される、こういうことであるわけでございまして、残り約千戸の問題が残っているわけでございます。牧港住宅地区につきましては、沖繩返還交渉の際に、代替施設完成による返還の問題は今後の検討の特定の主題とされるということが基本的に合意されているわけでございまして、二百戸を移しましたあとの千戸の問題につきましては、かねてから話し合いの対象には当然なっているわけでございますが、この問題が、今回の整理統合計画の中でどういうふうに取り上げられるかということにつきましては、いまの段階では御答弁をいたしますことを差し控えさしていただきたいと思います。  また、五十年三月という海洋博開催時期との関連におきましては、私ども海洋博の時期の延期関係なしに当初の計画どおり、五十年三月を目標としてP3の移転作業を進めてまいりたい、こういう気持ちでおります。
  26. 上原康助

    上原委員 ぜひ上之屋ハウジング移転については、これはいま御答弁ありましたように、返還協定の中でも継続交渉主要課題にするという申し合わせがあるわけですから、千二百戸あるうちの二百戸を返してみたって、返されるほうがかえって迷惑で都市計画もできないということが強くいわれているわけですから、そこいらも配慮して、ぜひ次期発表されるであろう中に含めていただきたい。強く要望をしておきたいと思います。  そこで、P3の問題があったのですが、せんだってからいろいろ議論が出ておりますように、今月の十日からおそらく十二日にかけてだと思うのですが、P3が普天間飛行場を使用して離着陸訓練をやったという、現地は着陸をしたという確認をしている、あるいは海兵隊当局も普天間飛行場を使用して離着陸訓練をやったということをほぼ確認をしておるようですが、外務省に私がお尋ねした段階では、いや、上空は飛んでいるのだが着陸はしなかったというような回答があったわけですが、実際にP3は普天間飛行場に着陸をしたのか、その辺どういう事実になっているのかお尋ねをしておきたいと思うのです。
  27. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 普天間の地元の方々が、P3が普天間の飛行場を使って離着陸訓練をやっておるということで騒いでいるというお話を伺いまして、私どもさっそく事実関係につきまして米側に照会し、調べてみたわけでございます。米側調査の結果私どもに言ってまいりましたのは、P3一機が普天間の上空を飛行した事実はある、しかし離着陸の訓練をやった事実はないし、着陸をしたという事実もない、こういうふうな回答に接しているわけでございます。
  28. 上原康助

    上原委員 それはどこからの情報ですか。
  29. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 米側に照会しまして得られた回答であります。
  30. 上原康助

    上原委員 那覇防衛施設局はその点は確認をしてございませんか。
  31. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 地元の宜野湾市等からのそういう御照会等に関しまして、さっそく那覇局におきましても現地の普天間の基地司令官等に照会したように聞いておりますが、ただいま大河原局長からの御答弁のように、当庁といたしましても那覇局はそういうP3の着陸等は行なわなかったという米軍の回答に接しておるというふうに聞いております。
  32. 上原康助

    上原委員 それでは納得できないわけですよね。現に着陸したということを、現地方々なりそこで働いておった人々が確認をしているわけですよ。また、私が調べている限りにおいては米軍当局もそれは否定はしてない。少なくとも政府のほうで、ただアメリカがそう言っているからということではいかないのじゃないですか。その点については事実をぜひ明らかにしていただきたいと思うのです。  それとの関係で、このP3の移転については、かねがね問題のありましたように、嘉手納空港に移転をしていく、移転をする計画があるのだということもこれまでいわれているわけですが、実際問題として嘉手納の地元も反対をしているわけです。いつごろまでに那覇空港を完全に返還をするのかということとの関係で、どうしてもP3は沖繩に駐留せざるを得ない状況なのかどうかということについてもこの際検討すべきじゃないかと思うのですね、これだけ沖繩国会から問題になってきている以上。  それといま一つは、那覇空港全面返還との関連で普天間を補助施設として使うのだ、そういう意味で、滑走路の修理とかあるいは信号灯、そういった施設を整備をするということも、ほぼ工事が始まりつつあるようです。補助施設というのは、一体アメリカ側の意思いかんによっては、P3なりそのほかの軍用機というものが必要に応じていつでも使用できるという解釈をとっておられるのか、その点についても明らかにしていただきたいと思います。
  33. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、P3が普天間の飛行場を使ったかどうかということにつきましては、事実関係米側に照会しましたところ、米側としては着陸の事実なしということを回答してきているわけでございまして、私どもとしましてはほかに確認の手段を持ちませんし、米側のその回答によって御答弁申し上げているわけであります。  それから、P3は那覇から嘉手納に移駐させるということにつきまして、ことしの一月二十三日に安保協議委員会におきまして合意の成立を見て、これを発表しているわけでございまして、嘉手納に移駐のための設備の提供工事を近く着工と、こういう段取りに至っておるわけでございまして、P3の那覇空港からの撤去につきましては、沖繩返還交渉当時からの長い経緯を踏まえての日米合意でございますので、これをこの際変えるという考えは持っておりません。普天間の飛行場の使用の問題につきましては、P3が那覇から移駐をいたしますと、那覇は文字どおりに民間空港になるわけでございまして、米軍の軍用使用ということはそれ以後はなくなるわけであります。  そこで、米軍が沖繩で使用いたしまする主たる飛行場であります嘉手納の補助飛行場として普天間を使う、こういうことにつきまして米側との話し合いができておるわけでございまして、そういうかっこうで普天間が使われることがある、こういう状況になるわけであります。
  34. 上原康助

    上原委員 きょうは時間がありませんので、いまの点は納得いたしかねますが、後日またもう少しお尋ねしたいと思います。  それから施設局に二点ばかりお尋ねしておきたいのですが、十二月九日ですね、那覇空軍基地から、いわゆるどういうわけで基地に牛がおったのかわからないのですが、基地内から牛が逃げ出してこの地域、豊見城村の農民の野菜畑やその他の畑に相当被害を与えているわけです。一体何のために基地内に牛を飼っておったのか、どういう人がこの牛を飼っているのか、その事実関係についてぜひ明らかにしていただきたいと思うのです。基地を提供するのは牛を飼う目的で提供していないと思うのです。それを明確にしていただきたいし、施設局としてどういう調査をしておられるのか。また、この種の件について外務省としてはどう対処していかれるのか。きょうは時間がありませんから、これまでのあれをぜひ明らかにしていただきたいということ。  もう一つは、これもかねてから問題になってきたところですが、施設提供の問題でVFWクラブ、アメリカン・リージョン・クラブ、それからブラック・オイル・ターミナル・エリアですね。この件については、実際には施設区域として提供すべきでないところを提供して、現在まだ地主の方々と紛争中です。これについては十月二十五日に、防衛庁長官あるいは外務大臣あてに関係地主から相当強い文書が、早急に返還をしなさい、また施設を撤収しなさいという強い申し入れがあると思うのです。一体この問題の責任の所在はだれなのか、その点についてもはっきりさせていただきたいと思います。
  35. 安斉正邦

    ○安斉政府委員 初めに事実の関係から申し上げます。  十二月の九日、日曜日でございますけれども、午前の六時三十分ごろに、新聞配達の少年が、牛がこの那覇空軍施設の外に出ている、豊見城村のほうに出ているというのを発見いたしました。そこで部落のほうに連絡いたしまして、部落の方が出まして、その牛をそれぞれ収容しなければいかぬということで、基地のほうに追い込んだというのが事実でございます。で、そのときの牛の数は十二頭でございます。  それで、あとでこれ調べてわかったわけでございますが、これは基地那覇海空軍施設の中に十四頭飼われておりまして、そのうちの十二頭が外に出たということがわかったわけです。当日はこの牛を管理しておりました米人が参りまして、村の方々話し合いを一日しましたが、物別れになったというわけでございます。もの別れになった原因といいますのは、その踏み荒らしました畑、野菜その他についての損害額についていろいろ話し合いをしたんですけれども、なかなか話し合いがつかないということで、もの別れになっておるわけであります。そしてその後、当日から施設局が立ち会いの形で職員を派遣しておりますが、翌十日月曜日、これは施設局が中に入りまして話し合いを続けたわけでございますが、まだ話し合いがつかないという状態のまま、なお十一日の火曜日には現地の米軍司令官と施設局長とが話し合いをいたしまして、この問題については解決の方法として幾つかあろう。一つ考え方、大体固まっておりますけれども、フェンスが破れているという問題について、これは米側のフェンスであるので、これが破れてなければ牛が出なかったろうという問題から、いわゆる地位協定上の問題として扱えるのではなかろうか。また、フェンスが破れているのに牛を放し飼いにしているという状態、これは管理者といいますか、牛の所有者といいますか、そういう者の責任になるのではなかろうか。両者の責任ではなかろうか。いずれにしても、民事上の問題としてこれは話し合いをつけなければいかぬという方向が大体出まして、そして地元の方との間にはそういう形での話し合いを早急に開始して、そして適正な額の補償額について妥結をし次第支払いをするようにいたしましょうという話し合いがついているわけでございます。  そして、なぜ牛がここにいたかという問題に入るわけでございますけれども、これは実は米軍の厚生施設ということで、地位協定でいいますと、十五条機関というのがございますけれども、十五条の機関がミスター・スカボロという方と契約をいたしまして、この那覇空軍・海軍補助施設の中にいろいろ動物を飼っております。この牛以外いろいろ飼っておりますけれども、また、この契約によって嘉手納のほうにも乗馬クラブの契約もやっておるということでございます。いわゆる米軍の軍人、軍属、家族等のためのレクリェーションといいますか、厚生施設あるいは教育のための、子供に動物を見せるといいますか、そういうもののために飼っていたということでございます。
  36. 上原康助

    上原委員 冗談じゃないですよ。きょうあとの方の関係もありますので、時間がありませんが、その事実だけは——皆さん、幾らなんでも基地内にアメリカの米人、軍人、軍属のために牛やヤギやいろいろなものを飼っていいという道理はないのです。そんなばかげた答弁はよしてくださいよ。外務省も、そういったことに対してはたしていいのですか。きょうは時間がありませんので、VFWとアメリカン・リージョン・クラブの件についてどうなっているか、簡単にお答えいただきたいと思います。協定違反です、それは。
  37. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 事実関係については、ただいま施設庁のほうから御答弁があったとおりでございますが、この関係につきまして、私どもとしましては、米側が三条による施設区域の管理の一つの態様として、福利厚生のための施設を委託契約によって運営しておったというふうに承知しております。  ただしかし、こういう形で問題が起きたということについては非常に遺憾なことでありますので、十三日に開かれました合同委員会の席上で、日本側から米側に対しまして、今回の事件の発生について遺憾の意を表明いたしました。と同時に、この事実関係調査並びに所要の措置をとるようにという申し入れをいたしたわけであります。これに対しまして米側は、このような事件が発生して周辺の方々に迷惑をかけたということを遺憾としつつ、米側といたしましても事実関係調査中であるけれども、とりあえずの措置として那覇空軍・海軍補助施設内の乗馬クラブ等、この種の施設をすべて嘉手納の基地に移設すること、及び問題を起こしました牛につきましては数を削減して、今後は二頭のみとするということを言ってまいっております。
  38. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 VFWとアメリカン・リージョン・クラフの件につきましては、すでに御承知のようにあの二つの施設は、復帰前までは布令二五に基づく軍用地の中にあったわけでございます。これは、復帰後は地位協定上の施設区域の中にあるべき施設でないという判断でもってアメリカ側と折衝して、これを施設区域から除くことにしたわけであります。何ぶんにもその話し合いが復帰直前についたために、これらに伴う手続に関しまして、たとえば公用地等暫定使用法の告示を四月にかけるとかということで不手ぎわがあったために混乱を生じたことはまことに申しわけないと思っておりますが、その後事情につきまして関係所有者の皆さん方と寄り寄り話を進めさせていただいております。何ぶんにもこれは復帰直前に軍用地からはずされて、復帰後は施設区域でないということでございますので、私どもだけではなくてやはり外交ルートを通じての折衝も必要であろうかということで、現在外務省にもお願いして大使館等を通じながら早急の解決に努力しておる次第でございまして、アメリカ側もこの問題には真剣に取り組んでおります。所有者の皆さん方も、次第に事情等も御理解いただいておりますので、できるだけ早い機会に問題の解決をはかりたい、そういうふうに思っております。
  39. 上原康助

    上原委員 もうかなり時間がたって、まだこれからいまの件を含めて質問をしたいのですが、きょうはやむを得ないので、大臣、人が住む土地も狭いというのに、牛やその他の動物を飼っている。幾ら何でも、アメリカにそういう土地を提供するという義務も道理もないと思うのですよ。  いまの件については、委員長、牛の問題その他を資料として出すことを要求してください。その経過の説明と、どういう動物を基地内に飼っているのか、資料として提出させてください。  大臣、そういうことについてはもう少しき然たる態度で、沖繩では人が住む土地もないのに、牛やヤギを施設内で飼っていいですか。少なくともそういうために日米安保条約や地位協定はないと思うのです。大臣の決意のほどを伺ってやめたいと思うのです。冗談じゃない。
  40. 大平正芳

    大平国務大臣 事実をよく調べまして、適切な措置を講じたいと思います。
  41. 小濱新次

    ○小濱委員長 上原君に申し上げます。資料の要求については後刻はからいたいと思いますので、御了解いただきたいと思います。  次に、瀬長亀次郎君。
  42. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 最初に外務大臣お尋ねしたいのですが、安保条約の問題とそれから事前協議制、こういった問題についてもっと詰めてみようと思うのですが、私は四日の代表質問のときに、「今回の中東問題の危機に際し、日本にいるすべての米軍が、総理も防衛庁長官も知らない間に自動的に警戒態勢に入りましたが、これは政府の繰り返しの言明にもかかわらず、安保条約に基づく事前協議の取りきめなるものが、全く実効のない、紙の上の空文にしかすぎないことを示したものであります。これは、アメリカ政府が戦争を決意したときには、日本国民は、国会も政府もあずかり知らないままに、わが国土が侵略戦争の前進基地になるということをまざまざと証明」している。これに対しまして、政府は米軍及びアメリカ合衆国政府に対してどのように抗議したのか、どのような外交措置をとったかということを聞きましたら、田中総理は、「第四次中東紛争発生に伴い、米軍は警戒態勢に入ったことがございますが、その段階では通報を受けておりません。」これだけの答弁です。それで、抗議したのかしないのか、あるいは外交関係どういうふうにやったのか。大河原さんのお話では、二十五日警戒態勢に入って、翌朝知ったんだ、いずれにしても知っております。ですから、この米軍は警戒態勢に入ったことがございますが、その段階では報告を受けていないということだけでは答弁にならぬので、これを大平大臣のほうで補足してください。
  43. 大平正芳

    大平国務大臣 二十五日に警戒態勢に入った由でございまして、二十六日に事後そういう通報がございました。その場合、わがほうといたしましては、事前に通報がないということはたいへん残念だということで米側に注意を喚起いたしておいたわけでございます。もっともこれはわがほうばかりでなく、NATO各国に対しても事前通報がなかったようでございます。安保条約の関係からいきますと、通報の義務があるという解釈は出てこないわけでございますが、しかし安保条約も日米双方の信頼関係が基礎にあるわけでございますので、事前通報がないというようなことは私はたいへん遺憾に存ずることでございまして、その旨は先方にもよく伝えておいたわけでございます。
  44. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 そうすると全然抗議も何もやっていないということですね。
  45. 大平正芳

    大平国務大臣 遺憾の意を表明しておきました。
  46. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 この警戒態勢は、二十五日ホワイトハウスは核戦略爆撃機の乗り組み員を含む全世界、もちろんこれは日本あるいは沖繩の嘉手納空軍基地、これを含む、この全世界の米軍に緊急警戒態勢を命じた。この態勢は、核戦力空軍、ICBM基地を含む警戒態勢がとられたのは、六二年のキューバ危機以来初めてのことなんですね。それでこれはソ連がいま戦争をしかけるかもしらぬといったようなことなども理由にあげられておるようでありますが、この問題はNATO諸国でも、いま大臣が言われたように予告していないのですね。それで反発が起こった。結局ポルトガルを除く西欧諸国は、アメリカのこのような行動に一斉に強い反発を示しておるのです。それで抗議行動を起こしておる。ひとり日本だけが抗議をしていない。この問題から関連する問題として、アメリカは一方では御承知のようにソ連と平和の協調をしておるような方向で呼びかける、同時に露骨な核を含む脅迫政策をとっておる、これは事実なんです。  そこで、中東戦争の非常に特徴的なものは、アメリカ帝国主義が、反帝・民主勢力の闘争によって後退や挫折を余儀なくされつつある。これは事実なんですね。ところで、その基本的戦略を変更しようとはしていない。相変わらず反帝、独立の闘争にこれは、事実なんですね。ところで、その基本的戦略を変更しようとはしていない。相変わらず反帝、独立の闘争に立ち上がった人民を各個撃破し、そして可能なところでは侵略戦争を遂行していく。これはニクソン政権の世界戦略の基本だと私は見ております。したがいまして、この問題で一言の抗議もしない、ただ遺憾の意を表明するということになれば一体どういうことになるか。事前協議制というのは警戒態勢は入らない、いわゆる作戦行動ということになると入るというふうなことを従来答弁しております。  この場合、お伺いしたいのは、これは大河原さんのほうで最初に答えてください。これは十月九日の内閣委員会における大河原さんの答弁ですね。「米軍がこのような目的のために施設区域を使って行動します際の現実の行動範囲というものは、極東地域に対する武力攻撃を含め、この地域の平和と安全に対する脅威の性質がどういうものであるかということにかかわるものであって、必ずしも極東の範囲というものに限定」されない、これは統一見解として従来述べておりますが、さらにこういった場合、インド洋にたとえば第七艦隊が行動を起こすという場合にもこれは容認される。この場合には、いわゆる極東の安全と平和に関係がある場合には一応認められる、地域はほとんど除外されてしまっております。そしてそうなりますとどうなるかといいますと、非常におそろしいことを私は感じておるのですよ。これは十二月十二日、イスラエル軍艦が紅海へという見出しの中で、「シリアのサナ通信が十一日クウェートから報じたところによると、イスラエルの艦艇数隻が米第七艦隊所属の艦艇の保護の下にバブ・エル・マンデブでのアラブ側封鎖を突破して紅海に向かった。」これは事実なんですね。これは第七艦隊がちゃんと護衛してそしてイスラエルの艦隊への攻撃を保護し、協力しておる。この事実からいいますと、事前協議制なるものは日本が戦争に巻き込まれないようにするための歯どめだということを従来言っておりますね、ところが、そうなりますと結局歯どめにならない、なっていないということを現実に証明しておりますが、最初に、第七艦隊の行動範囲についても大河原さんはいろいろ言っておりますが、その中に紅海あたりも含まれておるのか、ここら辺も説明してください。
  47. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 一番最後に御質問になりました第七艦隊の行動範囲からまず御答弁いたしたいと思います。第七艦隊の行動範囲は、米側の公表されました資料によりますと、西はインド洋のペルシヤ湾口、東経六十二度というふうになっております。  そこで、前のほうに事前協議との関連におきまして極東の範囲と米軍の行動の範囲ということについての御質問がございました。極東の範囲につきましては、昭和三十五年の安保国会当時以来政府の統一見解があるわけでございまして、極東の範囲と申しますのは、安保条約によって日本施設区域を提供いたします関係において、六条との関係において極東の範囲というものは考えられてきているわけでございまして、極東の範囲と米軍の行動範囲そのものは必ずしも同じものではないということを、政府はその当時からずっと一貫して御答弁しているわけであります。
  48. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 たとえば六〇年安保のときは、フィリッピン以北とか、いろいろ区域を設定して、これが極東の範囲だといっていた。ベトナム侵略戦争がどんどん進行するにつれて、その極東の範囲が極東の周辺までなってきて、現在ではこの地域の限定はなくなって、アメリカ軍が出動する、それが艦隊であれ空軍であれ、出動する場合に、極東の安全と平和に無関係でなければ、在日米軍はどこに行こうがかまわない、事前協議制度の中に入らぬというふうに解釈しているわけですね。
  49. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 昭和三十五年に政府が出しております極東の範囲に関する統一見解の中にもこのような表現がございます。「米国がこれに対処するため執ることのある行動の範囲は、その攻撃又は脅威の性質いかんにかかるのであって必ずしも前記の区域に局限されるわけではない。」、「前記の区域」と申しますのは、いわゆる極東の範囲、こういうことであるわけでございます。
  50. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 そうなりますと、いま一番大事なことは、これは大平大臣に答えてもらいたいのですが、アメリカ、いわゆる在日米軍が作戦行動を起こすという場合に、極東の安全と平和に関係があるのか関係がないのかという判断はだれが下すのか。アメリカがその判断をするのか。それに基づいて日本政府は了解を与える、あるいは了解なしに——作戦行動は戦争ですから。そうすると、繰り返して言いますが、その作戦行動そのものが極東の安全と平和、いわゆる安保条約にうたわれているものと関連して、関係がある、ない、その基準、判断を一体だれが下すのか。日米合同委員会あたりでやるのか。事前協議制のもとでそれを問題にするのか。この点を明らかにしてほしいと思います。
  51. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 事前協議につきましては、昭和三十五年以来政府が御答弁申し上げておりますように、協議を発議いたしますのは米側であります。したがいまして、事前協議という協議をしてまいりますのは米側が行なうことでございますが、これも政府が当時から一貫して御説明いたしておりますように、第四条に随時協議という規定がございます。したがいまして、日本側といたしましては、昭和三十五年以来、長い国会での審議、討議、そういう歴史を踏まえまして、米側との間にはこの問題についての意思の疎通が十分行なわれているというふうに考えておりますし、事前協議そのものは米側が発議するものではありますけれども日本側といたしましては、第四条による随時協議という形で米側に対して日本側の考えを伝え得る場を十分持っているわけであります。
  52. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 事前協議制度というのは、平時においては大体適用されないということは大河原さんが答弁していますね。平時と戦時をどういうふうに分けるかなどということもいろいろ国会で答弁になっておりますが、私の申し上げましたのは、在日米軍、この中には第七艦隊——ミッドウェーあたりは横須賀におるですね。さらに沖繩のホワイトビーチは第七艦隊のいま巣くつなんです。そうして第七艦隊はどこにでも行くのです。行っていますよ。そういった行動を起こす場合に、いまの問題は、極東の安全と平和に関係があるので出動したとアメリカは言いますよ。そういったアメリカの行動基準、アメリカの判定、これが基準になるのか。日本はそれに対してどういうことを言い得るのか、はっきり答弁してほしいと思います。
  53. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 事前協議は平時においては行なわれないという御趣旨の御発言でございますが、私が内閣委員会におきまして先般御答弁申し上げましたのは、重要な配置の変更ということで事前協議の主題となるべき海軍の一機動部隊程度以上の兵力が日本に配置されることがあるか、こういう御質問に対しまして、平常の状態におきましては、そういうことはまず考えられないと思います。こういう趣旨の御答弁をしたわけでございまして、平常の事態において事前協議制度というものは一切働かないものだという趣旨の御答弁ではないわけであります。そこで、米側の行動につきましては、先ほど御答弁申し上げましたように、日米間においては緊密な連絡、協議が絶えず行なわれているわけでございますから、平常の事態におきましても、日米間の意思の疎通また協議ということは絶えず行なわれており、また必要にに応じ行なわなければいけない、こういうように考えておるわけであります。
  54. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 そこで、いま平時でしょう、日本は戦争していないから。それではなぜ、アメリカの核部隊の乗り組み員をも含む警戒体制を、全世界に張りめぐらしたアメリカ基地にニクソンの命令でしいたという場合、一言の政府抗議もない、そうしてそれをやめさせるような努力をしない。NATO諸国すらこれをやっておる。これは一体どういう乙とか。  その抗議をしていないという問題から推論しますと、政府が安保繁栄論を従来唱えてきた、それがいま、安保条約はたいへんなものだ、さらに安保条約があるからアジアと日本の平和と安全は確保されているんだということが事実をもって虚構である、うそだとはっきりわかっております。これは万一、この警戒体制が実際上核部隊を含めて脅迫政策であるにしても、一たび中東を中心にして戦争が起こるならば、日本における第七艦隊をはじめとして、全軍が出動するということは火を見るより明らかであり、したがって、国民も知らない、総理も外務大臣も防衛庁長官も知らない、国会も知らないうちに、この日本が戦争に巻き込まれるということは火を見るより明らかじゃないですか。そこら辺をはっきりさせないといけないと思います。外務大臣、いかがですか。アメリカに対しては一片の抗議もやらぬ、ただ遺憾の意を表しました……。
  55. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 安保条約におきまして米側日本と事前協議の義務を負っておりますのは、重要な装備の変更、重要な配置の変更並びに戦闘作戦行動のために発進するための日本施設区域の使用、この三つであるわけでございまして、その意味で、先ほど外務大臣から御答弁ありましたように、十月二十五日の警戒体制の発動自体は安保条約による事前協議の義務の対象となるものではないわけでございます。しかしながら、米側から通報がございましたのは翌十月二十六日でありましたので、これも先ほど大臣から御答弁ございましたように、日本側としましては米側に対して遺憾の意を表明すると同時に、今後はこのような場合に義務はないにしても事前の通報を求めたい、こういう趣旨の申し入れをしているわけでございまして、米側はその点について十分日本側の申し入れを留意しているわけであります。
  56. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 いまのような日本政府の姿勢では、アメリカの一切の作戦行動に対してはほとんど文句を言わないというだけではなくて、承認を与えるだけではなしに協力していくということがはっきりしているわけですが、私の聞きました点、明確にしてもらいたいのは、たとえばインド洋の区域も第七艦隊の行動区域になる、紅海あたりもなるというふうに解釈すると、問題は、現実に第七艦隊は日本基地としておることはいなめない事実なんですね。そうなると、それが極東の平和と安全と関連があるかないか、関連があればいいということなんだから、関連があるかないかは一体だれがきめるかということなんです。これを明確にしてほしいのです。
  57. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 安保条約第六条によって提供されております施設区域の使用目的は、日本を含む極東の平和と安全であるわけでございまして、米軍の行動が全体としてその施設区域の使用目的に合致する限りにおきまして、日本政府としてはこの米軍の行動に対しまして特にとやかく言うということはないわけであります。
  58. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 米軍の行動に対してとやかく言えない、これもはっきりしていますね。そうなると、いま申し上げたように、在日米軍が第七艦隊を含めて行動を起こす。これはインド洋であれ紅海であれよろしい。これが極東の安全と平和にかかわり合っている、関係があるということであるならば、やはり文句を言いようがない。だから、それをきめるのはアメリカだ、日本ではないということなんです。ですから、いかにこの安保条約なるものが危険な条約であるか。さらに軍事同盟、これがどんなに日本国民を戦争に縛りつけているか。で、最後日本の主権、平和、安全、これをいかに侵しているか明らかになってくるじゃないですか。これはちっとも歯どめにもならないし、あれだけ核部隊を含む警戒体制やあるいは哨戒、それは事前協議制にならぬ、なる、こういった問題は別としても、警戒体制というのは私もよう知っておりますが、あのこの前の警戒体制には、全部隊外の兵隊は帰れ、もうほんとうの待機なんだ。一ぺんニクソンがボタンを押したらすぐ行動を起こす段階なんです。これがコンディション・ワンであるかツーであるか、今度はスリーだ、フォーであるか別として、いずれにしても、この警戒体制と作戦行動、これとの関連性は紙一重なんです。不可分に結びついている。こういったことで、いや警戒体制はこれは安保条約に基づく事前協議制の中にないなどといってみたところで、現実にいかに日本が安保条約と軍事同盟のもとで危険にさらされているかということはわかります。  そこでいま牛の問題が出まして、私も牛を見てきたのですよ。あれはいまさっきどなたか、事実関係を言いますと違っています。あれは向こうの部隊で養っておいて牧畜をやっている。食う草がなくなったものだから、金網を断ち切って、あっちへ行って食べてこいと放牧されたこの牛が——子牛も含む。草よりはあの農民の植えたピーマン、やわらかいうまいものだから、あのピーマンを全部食べてしまった。それで青年が集まって牛を逮捕して金網をつくってそこへ保護した。やっぱり十二頭でした。この問題を含めますと、まず最初にお聞きしたいのは、百九十一万円現地要求しております。防衛施設庁どなたかおりますか。この百九十一万円は要求額どおり出すのか出さぬのか。アメリカに出すようにしむけていくのかどうか。この問題をはっきり一応させてください。
  59. 安斉正邦

    ○安斉政府委員 この問題は、フェンスが破れておったといいますか、そこから牛が出たわけでございますが、それの過失といいますか、管理の瑕疵といいますか、そういう問題の責任はどうかという問題、それから現実にその動物を飼って管理している人がいるわけですが、フェンスが破れているのを知っていて外に出てしまうような飼い方をしたという責任といいますか、そういう問題がからみあった問題というふうに考えられるのではないかというふうに判断しております。したがいまして、実際に野菜を食べたあるいは踏み荒らしたというものの実損と申しますか、そういうものと、その管理責任、あるいは飼っている人の責任というものがどういうふうにからみ合うかということに帰するわけでございまして、現実にどういう所有者がどの部分の土地でどういうふうに農作物をつくっていたかというような関係調査をいたしまして、そして話し合いをしまして、適正な額をお互いに妥結してお支払いする一その場合に、いわゆるフェンスのほうの瑕疵はこれは米軍じゃないかと思いますし、飼っている人が放し飼いにしたという問題、これは飼っている人の問題になりますので、それはあっせんをしてそちらから出させるという形に、二手になって、合計額として出させるということになりますが、全体の額はいまおっしゃられました額になるかどうなるかという問題については、まだきめておりませんし、まだ調査段階で、これからはっきりした形になっていくということでございます。
  60. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 時間が参りましたので、外務大臣最後に締めの問題で御答弁をお願いしたいのは、基地の開放の問題なんです。あなた方は基地縮小整理と言っておりますが、この基本姿勢、日本国民の立場に立って開放を要求するのか。アメリカはいまSR71が沖繩におることはだれでも否定できない問題なんですね。SR71は十一月の八日から十七日までの間に六回にわたって南ベトナム、さらにベトナム民主主義共和国、この偵察を行なっておる。きのうもベトナム民主共和国はこれに対して抗議をしております。ベトナム民主共和国とはこの前国交の回復もするという段階にきておるだけに、日本政府は、そのようなことがあれば、やはりアメリカにこのようなことをやっちゃいかぬ、パリ協定の侵犯になるおそれもある、また事実は侵犯だと、一片の抗議ぐらいしてもいいんじゃないか。いかに腰抜けでも腰はあるわけなんで、そういった点をはっきりさせるのが、対外外交を自主性を持ってやれるということを国民に知らすことではないかという問題と、もう一つは、いま牛の問題が出ましたが、あれは最初はヤギから馬になって、また象ですね、子象、これが一頭入り込んでいってまだわからないのです。象もいるのです。それで次にあらわれたのがヤギなんですね。牧畜もやっている。米軍基地は核を抱こうが牛を抱こうが一こうおかまいなし、あらわれたときには国民の批判、反撃があるので、こんなことをやると国民の反撃を受けるから少し反省したらどうですか。それじゃ十四頭のうち二頭ぐらい残して嘉手納基地へ持っていけば、あれは大きいからだれも知らぬだろうから持っていこうというふうな姿勢で、それをまた認める。堂々とまたこの委員会でそういった発言をする。  私が申し上げたいのは、基地の開放は、いまほとんど自民党の村長も含めて、自分たちの市町村の都市計画、区画整理、これを関連して、あと地はどう利用するということで全県的な基地開放の運動が高まっておるので、もし大平外務大臣が国民の立場に立っていくならば、この要求を早急に解決してやるという姿勢に立たなければならぬじゃないか。目玉商品とかといって那覇空軍基地はすぐ開放するなどといって牧畜業までさしているような状態、これでは政府基地縮小整理というものの基本姿勢は、日米安保条約に基づく日米軍事同盟の再編強化、これを目ざして、アメリカがこのぐらいはいいだろうということで開放される開放したところは今度はまた自衛隊が乗り込んでいくといったような方向がいままでの基地縮小整理とかいわれておるものの実態である。この点ははっきり沖繩県民はよく知っております。横須賀にもこの前行きましたが、よう知っているのです。だんだんこれはたいへんなことになっていく。いま石油危機、物価の高騰、買い占めさらに売り惜しみ、いろいろの問題で国民は不安におののいておる。だからいま申し上げましたように、主権さらに安全、平和な立場から、沖繩県民の要求日本国民の要求に基づいて基地は開放して、そうして国民がこのあと地を平和利用できるように、自主的に開発できるようにさせるということが現在の外務大臣の任務ではないかと思いますが、最後大臣のこれに対する御理解を承りたいと思います。
  61. 大平正芳

    大平国務大臣 安保条約は有害であり、危険であり、そして日本を戦争に巻き込むおそれのあるものであるという御批判は、この条約締結の前後から終始述べられてきたことでございます。しかしこの条約も星霜ふること二十年、試練に耐えてきたわけでございますが、その間幸いにいたしまして日本が戦争に巻き込まれるということはなかったわけであるばかりでなく、われわれの言うところの極東地帯におきましても大きな紛争を回避いたしまして、平和共存の状態が漸次出てきておるわけでございまして、私は瀬長さんとやや見解を異にするのは、この条約は日本を含めての極東の平和と安全のために有用なものであるという立場をとっておるわけでございます。その点あなたと若干見解を異にいたします。  しかしながら、この条約の運営ということになってまいりますと、当然のことといたしまして、日本国民の理解と協力がなければ円滑に運用できないことは当然なことでございますので、運営につきましては、日本の国民の希望、要請を念頭に置きまして、注意深く厳正に運用してまいらなければならぬと考えておるわけでございます。したがって、いま御指摘基地の問題につきましても、基地を全面的に開放いたしまして、お返しするということがよろしいのではないかというあなたの御意見でございますけれども、安保条約を維持してまいる上から申しまして 私ども直ちにそれに賛成はできませんけれども、国民の御要望とそれから安保条約を維持する上の要請との間の均衡を考えながら、極力この要望にこたえてまいる態度でやってまいっておる次第でございます。したがいまして、結論といたしまして、あなたの御質問に対して一面においてノーであります。しかし一面においてイエスでございますことを御了解いただきたいと思います。
  62. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 最後に申し上げたいのは、このような重大な事態の中で、日本国民の広範な国民が安保条約はなくしなければならぬ、日米軍事同盟と手を切らない限り日本の主権と安全は確保できない、だんだん都市といわず農村といわず、広範な国民の声になってきた。これはなぜかというと、安保条約を堅持して、これがなければ日本の安全と極東、アジアの平和は維持できないという観点であるから、だからこそ運営をどうするという問題になっても、アメリカの言うことが中心となって運用されていく。これは当然な話である。したがって、日本国民の要求に沿う基地を全面開放しろ、そしてあと地を平和的に、自主的に、民主的に利用するという国民の期待に沿えないというのが現在の田中内閣の本質である。したがいまして、この点につきましてはあとでいろいろ具体的に述べまして、さらに煮詰めなくちゃならない点もありますが、時間の関係で保留いたします。  希望といたしまして、日本政府は独立国の政府だというのだから、独立国の政府であれば対米従属的な外交をやめて、ほんとうに日本国民らしい、日本外務大臣らしい政策を持っていけないかなという感はします。これはいずれにしても意見の相違であり、見解の相違だということになると思いますが、われわれの見解は次第に正しくなって、日ならずして安保条約をなくして、軍事同盟と手を切る、それで中立平和の日本をつくっていくという段階は、私はそう遠くないと思い、その確信を大臣にもお伝えいたしまして質問を終わります。
  63. 小濱新次

    ○小濱委員長 渡部一郎君。
  64. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 時間がありませんので、データ等は、一部は読み上げ一部は資料として提出をいたしたいと存じます。  まず沖繩米軍基地整理統合交渉につき、最近種々交渉が行なわれているやに伺っております。  四十八年一月二十三日に行なわれた日米安全保障協議委員会第十四回会合においては、その外務省情報文化局の発表された第七項において、「委員会は、また、沖繩における施設区域整理・統合計画について検討した。  双方は、日本政府によってとられる措置をまって那覇空港日本に完全返還することに原則的に合意した。この措置は、米海軍及び海兵隊の航空機が那覇空港から移転する先の嘉手納飛行場における代替施設の提供並びに那覇空港の完全返還関連して必要とされる普天間飛行場における改良措置を含むこととなる。同時に、岩国飛行場の米海軍P3部隊は三沢飛行場へ移転し、三沢飛行場における必要な施設日本政府により提供されることとなる。  那覇地域から住宅及び補助施設移転することに関して、双方は、那覇空軍・海軍補助施設の全施設のうち、大部分を嘉手納飛行場へ、一部分牧港補給地区その他へ移転すること並びに牧港住宅地区住宅二百戸を嘉手納飛行場へ移転することに原則として合意した。これらの移転が完了した際は、那覇空軍・海軍補助施設の全域及び牧港住宅地区の当該区域は、日本返還されることとなる。」、こういうふうに発表されており、日米安全保障運用協議会第八回会合、十二月十七日においては、「石油危機に伴う在日米軍への石油、電力の供給削減問題と、沖繩基地整理統合問題を話し合った。」旨、報じられております。私はこの米軍基地の削減に対し、早急にこれを進めていただきたいと思っているわけでありますが、現状におけるその返還交渉の内容とその進展の度合いまた見通しについてまず伺いたいと思います。
  65. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 最初に、ことしの一月二十三日の日米安保協議委員会においての日米間の合意について、具体的に当該個所の御発言があったわけでございますが、その件につきましてはその後日米間に具体的な作業についての話し合いがずっと進められてきておりまして、引き続いてそれの具体化のための話し合いが持たれております。それとはまた別に、この春以来、主として沖繩基地整理統合重点を置きまして日米間で整理統合のための新しい計画をまとめ上げるということについての作業をずっとやってきておるわけでございまして、この十七日に開かれました第八回日米安保運用協議会の席におきましても、その点についての話し合いがさらに持たれたわけであります。  政府といたしましての基本的な考え方は、一月二十三日の沖繩整理統合計画発表に引き続きまして、さらに沖繩全体の施設区域整理統合を進めるという見地からこれに取り組んできているわけでございまして、先ほど上原委員の御質問にもお答え申し上げましたように、具体的にまとまったものが出し得るように、その場合に現地方々要望を踏まえ、また沖繩県の経済開発計画の推進にも資し、民生安定を確保する、こういう基本的な考え方のもとにこれに取り組んできているわけであります。ただ、作業が若干おくれぎみでございまして、そのために現在いつまでにということで具体的なことを申し上げ得る段階に至っておりませんけれども、なるべく早い時期にこれがまとまったものが出し得るように作業を進めたい、こういうふうに考えて、現在米側との折衝を急いでいる状況でございます。
  66. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 それでは具体的な話に入りますが、時間がないのであまり詰められませんが、一つは、この安保協議委員会のほうで決定された那覇空軍・海軍補助施設の全施設のうち大部分を嘉手納飛行場へ移すということですね。もう一つは、一部を牧港補給地区へ移転するということであり、三つ目の条件は、牧港住宅地域住宅二百戸を嘉手納飛行場へ移転する、この措置によって当該地域返還するという話がまずできておるわけです。この日本側の対応措置はできておるのかできていないのか。いつになったらできるのか。どういう見通しでやっておられますか。これは向こう側との問題ではなくて、こっち側の問題です。
  67. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 P3の那覇空港からの移転につきましては、P3の移転先であります嘉手納の飛行場に格納庫その他の受け入れ施設を整備する必要がまずあるわけでございまして、それの作業が動きませんとP3が事実上移れません。P3が移れないということは、那覇の海軍・空軍補助施設移転もはかどらない、こういう状況でございますので、日本側といたしましては、嘉手納への受け入れ施設の整備ということにまず焦点を合わして米側と具体的な作業計画を詰めてまいりまして、これがほぼ固まった段階でありますので、なるべく早い時期に嘉手納で受け入れの施設の整備に取りかかるということになるわけであります。
  68. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 そうすると、まだお話し合い段階で、具体的には手をつけていない、作業計画もできていない、青写真もできていない、こういう意味ですか。
  69. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 嘉手納での受け入れを考えます際に、嘉手納の具体的などの地点に、どういう施設をつくって、どういう手順で作業を、こういうふうなことが必要になるわけでございまして、米側からの計画をとり、それをもとに日米間で話し合いまして、ほぼ基礎的な調査が終わり、具体的な作業計画をこれから固めていく、こういう段階であります。
  70. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 それじゃもうそれでしようがないのでしょうけれども外務大臣アメリカと相談するにしても、この基礎的な方針がきまったのは一月二十三日です。もう一年になろうとしている。作業計画をつくるのに一年間かかるというのは、これは少し長過ぎませんか。P3の格納庫だけでも一年かかっているのだそうですからいわんや住宅の二百戸なんというのは、もっとかかるでしょう。こういうふうに引き延ばすのには、政治的効果、外交的効果を何かねらっておられるのかもしれませんが、私はちょっとのろ過ぎるんじゃないかと思うのです。日本政府としては、こういうスピードでやるのが正常なスピードであるかどうか、外務大臣、お答えいただきたい。
  71. 大平正芳

    大平国務大臣 精一ぱい早くやろうという意欲を持って鋭意作業いたしておることは事実でございますが、渡部先生も御承知のとおり、これにはお金を伴うことでありまして、限られた予算の中でどのようにやりくってまいりますか、先方要求に対してどのように対応してまいりますかということを、一々の工事計画について詰めてまいるわけでございますので、そういう点について、私は相当時間をかしていただかなければならぬ事情は御了解いただきたいと思います。
  72. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 外務大臣あとどれくらいかかったらできるのですか、これは。こんないいかげんな話では審議にならぬと私は思うのです。
  73. 大平正芳

    大平国務大臣 でございますから、本委員会でも申し上げましたとおり、沖繩海洋博が五十年三月に開催されるということでございましたが、それまでにはそれをなし遂げたいという目途でやっております。いま沖繩博が若干延びるということに相なっておるようでございますけれども、それにかかわらず、五十年三月までにはやり遂げることを目途といたしまして、鋭意進めたいと申し上げておるわけでございます。
  74. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 そうすると、四十八年の一月に言われて二年と二カ月かかったらできる、こういう意味なんですね。ほんとにのろ過ぎると思いますが、今後の委員会でもう少しそれを具体的なお話にしたいと思っておるわけです。というのは、あまりにも投げやりな、放置されているんではないかという沖繩県民のふんまんは非常なものであると理解していただかなければいかぬと思います。  時間がありませんが、私は北方領土返還交渉においてのわがほうの立場についてもう一回申し上げたいと思います。  この間、私が予算委員会において、両者の協定文に四十一カ所エラーがある旨指摘をいたしました。その後、その問題について御返答、御回答のたぐいはないのでありますが、私は日本外交始まって以来のエラーだと思います。その責任体制も明確ではないし、タイプミスというだけで、タイプミスの持つものが国益を傷つけてないという一方的な御返事があったのみで、どの部分がタイプミスであり、どの部分がほんとうのエラーであるか、その部分の御説明もないようであります。私は、その点を明らかにしていただきたい、まずこう思っておるわけであります。
  75. 大和田渉

    大和田政府委員 お答え申し上げます。  日ソの共同声明におきまして、日本文とソ連の原文との間に相違点があるということで、これは事実でございます。そのうち七カ所につきましては、先方のタイプミスによって生じたものでございまして、その点は先方もそれを認めております。それから、それ以外に双方合意して、双方の文章が違っているというのを合意している個所が十四カ所ございます。その違いと申しますのは、日ソ両国語の修文上、あるいは文章の構成上ということによって生じたものでございます。あるいは一部は双方の体制の相違に基づいて相違を承知の上で双方合意しているという個所でございます。  以上でございます。(渡部(一)委員あとは」と呼ぶ)  それ以外にも、違っているといえば違っているという点もございますが、日本語とソ連語で実際に長い間の交渉を通じまして慣用語として日本語で定着していることば、ソ連語としてもそれに対応することばとして定着していることばというのは数カ所ございます。
  76. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 きょうは、あんまりひどい御説明なので私ちょっと申し上げておきますが、これは外務委員会理事会に対して提出された、外務省が認められた訂正の個所の入っているやつでございます。これは勘定しますと三十一カ所あるじゃありませんか。私が外務委員会指摘したのは四十一カ所です。その中には年号が落ちているようなくだらないエラーすら入っています。三十一カ所あるのに、いま御説明になったのは二十一カ所です。故意的に十カ所落とされた。そういう態度では話にならないんだな。議論する気力を失うな、そういうやり方でこられますと。みっともなさ過ぎますよ、その責任のとり方にしても何にしても。だけれど、私は、外務大臣の責任論については予算委員会で申しましたからもう申し上げません。ここで言うつもりはない。しかし、どこが間違っているのか明確にしないでこのまま次に進行することは許されない。私は、次までに何カ所がどう間違っていて何のためだということをはっきりして文章にして出されることを要求します。委員長、ぜひこれは外務省にその資料を出させるようにしていただきたいと思いますが、いかがですか。
  77. 大和田渉

    大和田政府委員 先ほど私御答弁で十四カ所と申し上げましたのは、私の記憶違いで二十四カ所でございます。したがいまして、合計三十一カ所ということでございます。  なお、(渡部(一)委員「それなら、そのほかに何カ所かあると言ったのは何だ」と呼ぶ)なお、資料要求につきましては、委員会の決定に従う所存でございます。
  78. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 そのほかに何カ所か間違いがありますと言ったのはどうなんですか、それなら。一々違っているじゃないですか。間違った個所を勘定するぐらいのことは小学生だってできるのです。私は、その意味ではいいかげんにやり過ぎると思うのです。こんないいかげんな問題で、この問題通り過ぎられませんよ。私はこれは何回も言いますよ。こんな言い方で、責任もいいかげん、そしてこれに対する日本側の見解もいいかげんで通り過ぎようなんて、そうはいきませんよ。国会をなめていますよ、こういうやり方は。資料の提出を待って、この問題をもう一回議論し直したいと思います。  それからもう一つは、外務大臣に私は伺いたいのですが、北方領土返還に関して、これは確かにめんどうな問題で、御苦労のほどを私は察している一人であります。しかし、外務大臣がヨーロッパを回られている間に時々刻々と、今度の返還交渉ではどのくらいまでがんばるんだとか、どの辺までうちとしては妥協する用意があるとかということが次から次へ報道されてきました。外交交渉の場合に、手のうちのカードを全部さらけ出してやるという方法があるのも事実でありますが、なぜあんなに次から次へと情報をリークされて、そしてソ連まで乗り込まれたのか、私はとうてい理解しがたい。あれでは交渉にならない。賢明な方々交渉に行かれるにあたって、なぜあんな愚かなことをされたのか。現にソビエト側の担当官たちは笑っているじゃありませんか。私はそういう情報を伺うにつけ、何という愚かな交渉だったかという感じがしてしようがない。そこへ持ってきて、私はあきれはてているのは、この交渉を扱われた特命全権大使の新関欽哉さんという人は、あの交渉が行なわれるまでは明らかにソビエト側と一切の交渉の手順を全部やったはずです。ところが交渉が行なわれる直前になったら、新関さんはほとんど首も同様に左遷されることが決定した。それでインド大使なんというようにぱあんと情報が漏れてきた。ソ連側は笑っていますよ。交渉担当官をいきなりそうした形で外へほうり出す。ソ連大使といえば、いままでは国連大使へ転ずるとか外務次官に転出するとか、少なくとも外務省内において権威ある立場であるはずだった。ところが、いままでの常識かちいえば、それはインド外交が重要でないとは言いませんけれども、そういうところに移したということは、日本外交の意思として、こいつは信用すべからざる人間であり、この交渉というのはだめなんだということを意思表示するのと同じことじゃないですか。そういう愚かなことを、ソ連へ乗り込むにあたって、そういう情報を漏らしながら到着された。まるで対ソ外交をしくじるためにおやりになったのと同じことじゃないでしょうか。こういう非難、こういう反省というものをお持ちになっているのかどうか、私は伺いたい。
  79. 大平正芳

    大平国務大臣 ソ連との交渉をリークした覚えは一切ございません。また新関君の人事につきまして、私から申し上げたことは一切ないわけでございます。どのような情報が渡部先生に届いたか、世間に漏れたか、それは私は存じませんけれども外務省といたしまして、そういうことを発表した覚えは毛頭ございません。
  80. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 大臣は大使の件はおっしゃいませんでした。そして情報のリークのことだけ言われましたが、私は外交交渉にあたってもその情報は次から次へと国民の手に届くというのが大事なことであるとは思います。しかし手の内まで全部明かした交渉なんというのは交渉にならない。当時の新聞の切り抜き全部見ていただきたい。どうして漏れるのですか。——漏れるなんというものじゃないんだ。もう出ほうだいにしゃべって歩いたとしか思われない。外務大臣、あなたが訪ヨーロッパ中の新聞切り抜きをずっと並べて見ていただきたい。どういうふうに書かれているか。それはしゃべった人があるから書くんであって、しゃべらないことをどうして書きますか。少なくとも対米外交よりも格段に劣ったスタイルで、対米外交の慎重さとはもう全く違ったスタイルで、これが行なわれておる。そしてこの共同声明の案文から見る限り、わが国の国益は大幅に侵されたと言うのが私の立場であります。  次回、この三十一カ所ないし四十一カ所のエラーから対ソ外交において何が譲られたか、私は議論したいと思います。だけれども、こんなことではしかたがないのじゃないかという、私はもう議論するよりもむしろ反省を求めたいと思っております。この点はひとつ反省なさった上で、これからの失敗のかてにしていただきたいと思います。  以上で、私の質問の時間が切れましたので、終わります。
  81. 大平正芳

    大平国務大臣 外交交渉は、国内の交渉においてもそうでございますが、とりわけ外国との交渉でございますので、仰せのように、交渉の過程におきましてリークされるということは耐えられないことでございます。当局者といたしまして、そういうことは絶対にしないつもりでおりますが、今後とも十分戒心していかなければならぬことと心得ておるわけでございます。  ただ一言、心境を言わしていただきますならば、そういう非常に自由な体制の中で仕事をしておるものであるということにつきまして、一片の御同情をいただきたいと思います。
  82. 小濱新次

    ○小濱委員長 渡部君に申し上げます。  資料要求については後刻計らいたいと思います。  安里積千代君。
  83. 安里積千代

    ○安里委員 時間がだいぶ食い入っているようでございますので、簡単にお聞きしたいと思っております。  先ほど上原委員からの質問の中にありました基地内で牛を飼っているという問題、まことに非常識な問題だと思っております。アメリカ側に抗議ですか、した結果は、地位協定の十五条の厚生施設関係であるというふうな話し合いだったというふうに承ったわけでございますが、日本政府といたしましても、あれは地位協定の第十五条の範囲内において許されるものだという解釈のもとに、この問題に対してアメリカ側に対する抗議その他の折衝をしたものでございましょうか。
  84. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 この事件が発生いたしまして、事実関係をとりあえず調べた段階におきましてわかりましたことは、当該者が米軍との委託契約に基づいて施設区域内においてこのようなことをやっておったということであるわけでございます。この点につきましては、米軍は、地位協定の第三条に基づいて、施設区域の「設定、運営、警護及び管理のため必要なすべての措置を執ることができる。」ということになっておりまして、一般的に申しまして、米軍が軍人軍属、家族のための福利厚生施設として民間との契約に基づいてこのような施設を維持すること自体は、この規定に照らして問題はないというふうに考えられるわけでありますが、いずれにしましても、政府としてはこの実情を十分調査した上で対処していきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。そこでとりあえず、十三日に合同委員会の場を通じまして米側に対して遺憾の意を表明し、また事実関係調査を申し入れた、こういう関係になるわけでございます。
  85. 安里積千代

    ○安里委員 いまこの問題で論争する時間もありませんけれども、私はこの問題を通じて、政府の安保条約に対する考えあるいは地位協定に対する考え、なお言いますならば基本的にはアメリカに対する姿勢というものは情けないと思うのですよ。それは十何頭も牛を基地内に飼う、これは厚生施設だ、こういうことを言うから、ああそうですか、そんなばかなことはないと思うのですよ。われわれどう考えてみましても、これが厚生施設としてのあれであるとかなんとかいうことはいえないと思うのです。ですから私が申し上げたいのは、できたことでございまするけれどもアメリカに対して折衝する場合には、地位協定の範囲を逸脱するのじゃないか、こういう立場をとって対米折衝をしなければ、向こうがそう弁解すればやはりその範囲内に入るのだというふうな、これを是認するような態度というものはいけないと思うのですよ。安保条約の改定をしなければならぬ、地位協定も見直さなければならぬというときに、一つ一つずつこういうものがアメリカの言いなりに拡大されてくるというようなことはいけないと思うのです。私はこの問題を通じまして、政府の対米姿勢なり地位協定に対する基本的なもっとしっかりした腹を持って臨んでもらわなければ、その後の軍事基地整理統合なんというようなこともアメリカの言いなりになってしまう、こういう気持ちがするので申し上げるわけであります。しっかりした態度でひとつ法文を見てもらいたいと思います。  それで、補償の責任というのはどこにあるわけでございますか。
  86. 安斉正邦

    ○安斉政府委員 ただいまのところ事実関係調査にあたっておるわけでございますけれども……。(安里委員「簡単にしてください。補償責任」と呼ぶ)結論といたしましては、米軍の責任とそれから牛を飼っていた人間の責任と両方がからんでいるというふうに考えます。両者に責任があるのではないかというふうに考えております。
  87. 安里積千代

    ○安里委員 その責任がある、したがってその補償は米軍がやるのですか。いまの飼っておったところの個人が共同してやるというわけですか。
  88. 安斉正邦

    ○安斉政府委員 両者から補償するということになると思います。
  89. 安里積千代

    ○安里委員 報道によりますと、施設庁のほうで肩がわりして払うというようなことも報道されておりますが、施設庁としてはそういう考えですか。
  90. 安斉正邦

    ○安斉政府委員 施設庁としてはそういうふうに考えておりません。もし損害があるということで所有者が出すべきものについては、所有者と話し合いをして、あっせんをして民事的に所有者から払わせる。それから米軍そのものに過失があるという問題になるならば施設庁が立てかえる形をとりまして、そしてあと米軍から償還をするという形になります。
  91. 安里積千代

    ○安里委員 少なくともさくを破って出たということは基地の管理に対する責任があると思いまするし、厚生施設の一環としてなされておるし、しかも委託しておったということになればアメリカ自身が責任があるということは理の当然であって、こういう問題に対しまして、私は時間をかけるだけあるいは論争するだけの、そんなに理屈をこねなくともはっきりした問題だと思うのです。私は、この問題どこに責任があるかなんということを言い合っておる間に非常なマイナスの点が出てくるので、直ちにアメリカの責任としての解決を求めたいと思います。  それからもう一つ、私、先ほど答弁の中にございましたVFW、リージョン・クラブの問題について、結論的に今年内解決めどはまだないわけですか。これは施設庁、外務省両方関係があるわけでございますが、何だかまだめどがないようなふうにも先ほどの答弁から承りましたが、いかがですか。
  92. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 アメリカン・リージョンもVFWも、両方とも所有者の方々からは早く年内解決しろと強いお申し出があることは承知しております。そこで、先ほども答弁申し上げましたように、現在外務省とわれわれのほうで——大使館とも外務省折衝していただいておりますし、また現地におきましても、所有者とVFWなりアメリカン・リージョンの組織の責任者との話し合いの場をあっせんするとか、いろいろ話し合いを進めておりまして、何とか年内めどを立てたい、そういうふうに努力はしておりますけれども、いまのところはっきりとした見通しは持っておりません。
  93. 安里積千代

    ○安里委員 これは現地の地主の皆さん方から——一カ月以内どころか、もう過ぎていますよ、解決しなければもう実力行使でもするぞというようなことまでも強く言われたはずです。それで、もう一カ月以上も過ぎた今日においてもまだめどがつかない。しかし、地元の村長、それから参議院の沖繩選出の喜屋武議員が施設庁、外務省あるいは次官にお会いしたはずですが、お会いしたところによると、クリスマスをめどにこれが可能であるという印象を与えるようなお話があって、大いに期待して皆さん帰っておるのですよ。いまの御答弁からしますと、これは努力はするけれどもまだ見通しはない、こうなりますと、交渉ごとでございますから、あえて言いたくありませんけれども、私が申し上げたいのは、ほんとうに地元の地主、村長、そういった方々政府折衝をする、いかにももう年内には、あるいはクリスマスまでには解決できるんだというような安易な答えをして、そうして強硬なるところの要求に対してなでて帰す、実際においてはもう見込みない、こういうごまかしの、親切味のないようなことは私はまずいと思うのです。できることはできる、できぬことはできぬ、そういったことをはっきりしませんと、要求が出れば、まあまあやっておる、年内には解決しますよ、こういうことでただなだめるようなあり方というものは私はいけないと思うのです。その間の陳情の問題はどうなっていますか。
  94. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 この問題につきましては、先ほども答弁しましたように、現地では那覇防衛施設局は現地なりに努力もしておりますし、東京におきましても大使館等との折衝を鋭意続けているわけでございます。先般、那覇の防衛施設局長もこの問題で上京いたしまして、現地におけるいろいろなあっせんの状況等を踏まえて、外務省とともども大使館と折衝をいたしまして、いろいろ米側との考えを詰め、さらにそれを持ちまして那覇局長現地にきょうあたりは帰りましたが、さっそくそれを踏まえながら現地での話の詰めをいたしまして、ただいま御指摘のように、クリスマスを目標にするか、いずれにしましても年内解決を何とかめどを立てたいということで努力をいたしております。いましばらく様子をお待ちいただきたいと思います。
  95. 安里積千代

    ○安里委員 先月の七日に沖繩におきます英字新聞の報ずるところによりますと、台湾に配備されてありましたアメリカの戦術空輸部隊が嘉手納へ移動する、こういうことが報ぜられておったわけでございますが、外務省としてはそのことについては御存じでございますか。
  96. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 前に嘉手納に配備されておりました部隊が一時台湾へ移駐いたしておりまして、その移駐部隊が嘉手納へまた復帰するという趣旨の話を聞いております。
  97. 安里積千代

    ○安里委員 嘉手納から撤去するという話がずっと前にあったこともございます。そのころからの話でございまするけれども、この台湾の基地から嘉手納へ戻ってまいります、戻るというか、移駐しまするところの部隊というものは、本隊は、今度は二飛行隊はフィリピンのほうの基地に、そして航空司令部もフィリピンの同基地に置かれる、台湾方面からの撤退というものはインドシナにおける米軍の関係、いわばアジア戦略の変更でそのようになるものだというふうにも報じられております。  私はお聞きしたいのは、従来台湾にあった三個のこの部隊が、主体はフィリピンに置き、そして一部嘉手納に置かれる、これは日本の側にとりまして、沖繩基地にとりましてはたいへん重要な配備、装備の変更に当たるんじゃないか、こういうふうに考えるわけでございまするけれども、その点についていかがでしょうか。
  98. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 正確な数字をちょっと手元に持ち合わしておりませんけれども、嘉手納から台湾へ移駐いたしまして、今度また嘉手納へ復帰が考えられております部隊は、たしか空軍の一個中隊であった、一スコードロンであるというふうに承知いたしております。したがいまして、一スコードロン程度の空軍部隊の移動ということは事前協議の対象となる規模のものではないというふうに言えるわけであります。
  99. 安里積千代

    ○安里委員 詳しくお聞きするわけにはいきませんけれども、その報道が事実となって、今月の、十二月の初めから嘉手納にこの移駐をやっております。それも御承知のとおりだと思います。私はいまのもちろん事前協議の対象になるところの配備あるいは装備の重大なる変更ということがどの程度であるか、いろいろな考え方があるようでございまするけれども、いま私どもの言いたいことは、沖繩におきまして、こればかりではなくして、非常な基地の強化というものがなされておる。これもいま具体的に一々あげるわけにいきませんが、知花にも施設が強化される、あるいはまた演習も強化される、いろいろな問題が沖繩の復帰後の、しかも今日アジアの緊張も緩和したというときに、いろいろな問題が現実に沖繩に強化されつつあります。この台湾からの移駐というのも、私はこれは日本における装備、配備の非常に大きな変更だと思うのです。もしこれもアメリカの一方的な考えで、そうでない、日本政府もそうだというふうに考えますと、この歯どめの事項ということも何も意味をなさないものだと思います。そして現実にいま沖繩基地が強化されつつある。演習も強化される。ヘリコプターも落ちる。道路を遮断して演習を行なう。まるで今日の状態というものは、復帰前よりも悪いんですよ。強化されつつある。そうして、このような変更というのも、アメリカが一方的にやる。日本政府はこれに対して一言も文句も言えないというようなことになりますと、少なくともわれわれは考えなければならぬ問題が多くあると思うのです。  時間がもうございませんが、私はこれを簡単に、前に台湾に移駐したものが戻ってきたのだからといったような考えで、日本の側はこれに何も文句を言えない、何の通報も相談も受けぬでもよろしいというような考えはいけないと思うのです。そこで、基地整理縮小だと言われながら、現実においては、逆に強化される、拡大される、兵力が増強される。私はこの点を指摘いたしまして、基地縮小整理、こういった問題に対しまする政府のお考えを改めると申しまするか、ほんとうに姿勢を正してやっていただきたいということをもう一回申し上げまして、私は質問を終わりたいと思いますが、大事な国防に関する、あるいはまた基地に関する問題でございますので、こういった強化の傾向に対しまして、外務大臣としてどのようにお考えであるかを承りまして、質問は終わりたいと思います。
  100. 大平正芳

    大平国務大臣 府政の立場といたしましては、安保条約並びにその関連取りきめというものは、厳正に運営してまいらなければならぬと思います。すなわち、日米間で約束いたしましたことにつきましては、これは忠実に実行すべきものと思います。ただ、先ほども申し上げましたように、しかしながら政治の問題といたしまして、これはあくまでも国民の理解と協力を得なければ、実効があがらないということでございますので、これを運営していくにあたりましては、それ相当の配慮を細心周到に講じていかなければならぬことでございます。権利と義務という冷たい関係ではなくて、そういう関連から、私ども日米外交に当たる者といたしましては気をつけまして、御趣旨のような点につきまして十分戒めていかなければならぬと考えております。
  101. 安里積千代

    ○安里委員 国民の協力を求めること、これはもう当然でございまするけれども、国民の協力を求めるには前提があると私は思うのです。政府に対する国民の信頼感というものを厚くしなければならぬと思うのです。いまのように牛を放し飼いをしても、いやこれは地位協定の中のアメリカの与えられた範囲内だ、こういうふうに考える。重大な部隊というものが移動し、基地が強化されていく、これでも文句も言えない。これでは国民の信頼というものはかちえられぬと私は思うのです。国民の信頼を得まするためにも、もっとしっかりした一つの腹を持って当たっていただきたいということを私は要望いたしまして、終わります。
  102. 小濱新次

    ○小濱委員長 この際、午後三時より再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時二十三分休憩      ————◇—————     午後三時八分開議
  103. 小濱新次

    ○小濱委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、国務大臣小坂徳三郎君、総理府総務副長官小渕恵三君、沖繩開発政務次官西銘順治君から発言を求められておりますので、順次これを許します。小坂国務大臣
  104. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 今般、内閣改造に際しまして、総理府総務長官並びに沖繩開発庁長官を拝命いたしました小坂徳三郎でございます。  特に、沖繩の問題に関しましては、現在非常にいろいろな問題が累積をしておりますし、私といたしましては、特に本土との格差是正ということに全力を傾けて今後努力してまいりたいと考えております。どうか、委員長並びに委員各位の皆様方から忌憚のない御指導を賜わりたいと考えております。よろしくお願いいたします。(拍手)  なお、北方問題につきましては、御承知のように、先般の田中首相の訪ソに関連いたしまして、これまたきわめて困難な事態であると思います。しかし、問題は打ち切られたわけではないのでございます。また同時に、両院におきましても力強い御決議を賜わっております。私は、そうした御決議を背に、国民各位に十分理解を得るような形で、今後北方領土問題につきましても全力を傾けて努力したいと思っておりますので、また委員長はじめ委員各位の皆さま万の御叱正を心からお願い申し上げたいと思います。  ありがとうございました。(拍手)
  105. 小渕恵三

    ○小渕政府委員 このたび総理府の副長官に就任をいたしました小渕恵三でございます。  もとより浅学非才でございますが、誠意をもって事に当たりたいと存じます。委員長はじめ委員各先生方の御指導と御鞭撻のほどを心からお願いを申し上げまして、ごあいさつといたします。  (拍手)
  106. 西銘順治

    ○西銘政府委員 このたびはからずも沖繩開発政務次官に任令されました西銘順治でございます。  微力ではありますが、努力を傾注いたしまして小坂長官を助け、与えられた職責を十二分に全うしたい所存でございます。  つきましては、委員長はじめ委員各位の忌憚のない御指導、御鞭撻をお願い申し上げまして、就任のごあいさつといたします。(拍手)      ————◇—————
  107. 小濱新次

    ○小濱委員長 沖繩及び北方問題に関する件について、質疑を続行いたします。國場幸昌君。
  108. 國場幸昌

    國場委員 このたび小坂新長官におきましては、むずかしいところの沖繩開発庁長官に御就任され、沖繩百万県民の長官に寄せるところの期待はまことに大きいものがございます。同時に、新長官の沖繩に対する今後の施策に対して大きな期待を持っておるわけでございます。御案内のとおり、復帰後一年七カ月が経過いたしております。復帰後、天知らずというような異常なる物価高騰の中で、沖繩県民は復帰したといえども落ちつくことなくしていま不安にかられておるのが現状でございます。  まず最初に御所見を賜わりたいことは、二十八年間の立ちおくれの格差是正、御案内のとおり、この是正をいたすために沖繩には特別措置法、また沖繩振興開発法がございます。その精神にのっとって、いま御案内のとおりわが国は物価高騰に悩まされ、ずいぶん国民は苦しんでおるわけではございますが、それ以上なる沖繩においてはあらゆる面においての困難なる問題が山積されております。  そこで私は新長官にお尋ねいたしたいことは、いま、四十九年度の予算は物価抑制のために大きく縮小し、不要不急に対しては予算も減じるというようなことでございますが、長官、沖繩においてのこの実情をかんがみ、また再来年においては海洋博が開催されるわけでございます。本土並みの施策においては、沖繩の立ちおくれた格差是正あるいはまたタイムリミットのあるところの海洋博は実現はおぼつかないと思いますが、沖繩に対するところの長官の基本的姿勢をお伺いしたいのであります。
  109. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 お答え申し上げます。  沖繩の問題につきましては、先ほど申し述べたとおり、本土との格差是正ということが何よりも大切なことであると考えております。また、基本法が制定されておりますし、またそうした計画もございます。われわれといたしましては、全力を傾けて計画を推進してまいりたい。また、ただいま御指摘でございましたように、計画がおくれるのではないかというような御質問もございましたが、われわれといたしましては、計画縮小の考えは全くございません。ぜひ計画どおりのすべての施策、特に住宅問題やあるいはまた環境の問題、教育の施設の問題、そうしたことについておくれないように努力してまいりたいと考えております。
  110. 國場幸昌

    國場委員 そこで長官にお伺いしたいんですが、長官、就任したばかりでまことに失礼ではございますが、局長のほうでもかまいませんので、お尋ねいたしたいと思います。  沖繩の予算消化に対しての問題、御案内のとおり本土におきましてもやはり未消化ということで、あらゆる公共設備に対しての政府予算が物価高騰によってなかなか進捗状態がうまくいっていない。ことに沖繩においては昨年、ことしの予算も繰り越しというようなことで、遅々として進んでないわけでございます。沖繩は御案内のとおり四十五の有人島からなっておるわけでございますが、単価は物価高騰によってスライドするというようなことで、大体基本的にはそうなっておるわけでございますが、同じ離島といえども沖繩本島も離島といいながら、本島を中心にするところのまた離島、その離島に対しての政府の予算に盛られる単価というのがはなはだしく相違がある。それに対して特別なる御配慮をしていただかなければ、沖繩の離島の立ちおくれたあらゆる設備に対して実現は不可能になるということを私は考えるわけでございます。  たとえば伊平屋島あるいはまた伊是名、宮古に所属するところの群島である多良間島とか、あるいはまた南大東、北大東、あるいは八重山に所属するところの竹富の群島、あるいは与那国島、こういうようなところはほとんど本島から資材を送るわけでございます。たとえば伊平屋島にしますと、本部半島と那覇とでは距離からしますと本部半島のほうが近うございます。ところが輸送関係は、港湾の整備もできておりません関係上、学校工事をしましても港湾施設をしましても、本部半島の採石場から一応那覇にトラックで運びましてその那覇からまた伊平屋島に逆に送っていく。砂にしてもバラスにしましても、北大東、南大東のごときは全部沖繩本土から送るわけでございます。そうしますと、この政府の予算ではとてもおぼつかない。たとえば八〇%補助するんだとか、こういうような市町村事業にしましても、これが逆に地元が八〇%負担しなければいけないというような、地元の負担能力のないような市町村、こういう離島は苦しんでおるわけです。それに対しては、申すまでもなく沖繩開発庁のほうでもよく御存じだと思うのですが、かようなるものに対しての特別措置を御配慮をしていただきたい。せっかくの予算をつけたいといえども、それに対するところのいわゆる対応費をとうてい負担することができないというようなことで工事が遅々として進まないというようなことでございますが、その点に対しての特別なる御配慮の御好意があられるかどうか、これをひとつお尋ねいたします。
  111. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 お答え申し上げます。  ただいま御指摘のとおり、最近の労務費あるいは資材費の高騰はなかなか激しいものがございます。特に、私概括的にただいまの御質問にお答えをいたしますが、請負代金につきましては四十七年度は一応改定をいたしました。また四十八年度分につきましても、十二月から実勢に即した労務単価をまず採用していくというようなことで改善をはかっております。なお、こうした改善後におきましても、請負契約後の労賃または資材価格の大幅な変動があった場合には、発注者、受注者が互いに協議して請負代金額の変更を行ない得るよう契約上の配慮をいたしたいと考えております。
  112. 國場幸昌

    國場委員 ひとつよろしくお願いいたします。  それから次に海洋博の問題でございますが、海洋博は新聞の報ずるところによりますと、七月二十日まで開催の日程を延期する、こういうようなことが報ぜられておりますが、約四カ月と十八日間になりますか、そういう延期をするということで、縮小するとか、あるいはまたその他に変化が起きるものはないかどうか、これに対してどういうような事情によってそれだけ日程が延期されたか、そういう事情に対してひとつお伺いしたいのであります。
  113. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 海洋博につきましては、特に最近の石油情勢の大幅な変化を踏まえて、また沖繩自体の経済情勢から見ましても、一部には相当大幅な開会の延期をはかるべきではないかという議論がございました。しかし、その後われわれ通産省、大蔵省等でいろいろと話し合いをいたしました。確かに一部には工事のおくれはございますが、同時にまたあまり県民各位の期待や希望を裏切るわけにもいかない。そうしたことと同時に、多少工事の完成期間にもゆとりを持つべきではないか、このゆとりを持つことによりまして、いま起こっておりますいろいろな物価問題あるいは輸送問題等についてもゆとりを持たせなくてはならない等々配慮いたしまして、七月二十日の開会に延期をいたしたわけでございます。  なお、この海洋博に関する公共事業関係の予算化と契約の問題でございますが、現在六九・五%の成約を得ておりまして、大体この程度でまいりますれば、官民一致の努力によって七月二十日の開会はこれ以上おくらす必要はないというふうに考えております。しかし同時に、これを実践するためにも、特に沖繩方々の積極的な御協力を同時にいただかなければならないというふうに考えております。
  114. 國場幸昌

    國場委員 この物価高騰によっては、いろいろ理由はあるとは存じますが、しかし私はこの取り組みに対して、たとえ四カ月と十八日間延ばしたとするにしましても、問題になるのはやはり必要資材に対しての問題と労働者の問題に対して大きく左右されるのだということを感ずるわけでございます。そこで、きのうも三日前もその話はずいぶんありますし、また陳情も来ておるわけなんですが、いま沖繩においてのあらゆる設備はほとんど海洋博関連するところの設備でございまして石油の減少そのものから波及したところのいわゆる生産制限、これが沖繩にも同じようなことでしかメーカーのほうではできない。通産省に再三再四タイムリミットの問題もあるし、かようなる資材に対しては特別なる御配慮をひとつしていただきたいというようなことをいっておりますし、また通産省としましても、その件に対しては特別なる配慮をするんだ、こういうようなことでございますが、しかし事実はそれとはうらはらに、セメントが今日まで大体沖繩本島で生産されるのが約四万トン、それから扱っておる、三社ございますが、本土からの移入が約五万トン、大体九万トンでございます。九万トンではございますが、しかしメーカーからの通知に接しますと、来月からはおそらく五、六万トンぐらいに制限されるであろう、こういうようなことをいわれております。セメントのみならず、やはりすべてにおいての建設に使用する資材、鉄鋼でございましょうか、あるいはまたビニールのパイプでございましょうかあるいはまたアセチレンガスでございましょうかかようなるものがほとんど削減されただけは沖繩においてでもそれだけの削減がくるのだ、こういうようなことで扱いの人たちが、また沖繩において仕事をしておるそれに携わる業者はいまずいぶんそれには気を砕いておるわけなんです。  そこで私はお願いしたいのは、メーカーというのも営利事業であるし、得意さんをやはり多く持っております。本土であろうが沖繩であろうが、メーカーの営利事業としては、これはそういう事情を知りつつといえども、いままでのお得意さんに対して沖繩だけは特別だというようなことは、ちょっと政府が買い取ってやることとは違いまして、ほとんどエージェントとしてやっておりますので、そのエージェントというのからの沖繩に対する割り当て、それが本土並みというようなことになりますと、とても計画の日程においてこの海洋博を成功させることはできない、こういうことを考えるわけですが、これは通産省の管轄だと思うのですが、通産省としましてこういう資材の供給に対していかような計画を持ち、またいま言うセメントでございましょうか、あるいはその他に関連するところのすべての資材、これに対する確保と輸送、こういうものに対してはいかなる計画をお持ちであるか、これをお尋ねしたいわけでございます。
  115. 増山孝明

    ○増山説明員 石油危機に伴っております資材の不足問題、物価の高騰問題につきましては、現在総需要の抑制その他諸般の施策を講じておりまして、この効果も近く出てまいりまして、資材の需給あるいは物価の高騰問題もかなり安定してくるものではないかと私ども期待している次第でございます。沖繩国際海洋博関係関連いたします資材につきましては、沖繩国際海洋博推進対策本部の中に関連施設部会を設けまして、これで資材及び労務に対する対策を検討いたしておりまして、すでに一度目の答申書を出している次第でございますが、これにつきまして、最近の事情を踏まえ、さらに今後におきます資材の需給状況等、精密に調査いたしまして、さらにきめこまかい対策を講じ、十分この関連施設並びに会場関係の資材の需給の調整に努力いたしたいと考えております。
  116. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 ただいまの御質問でございますが、月曜日に屋良知事がおいでになりまして、そのときに通産大臣と私と二階堂官房長官と、海洋博についてのお打ち合わせをいたしましたが、その席上でも、私たちから特に通産大臣に対して、資材問題、輸送問題すべてをくるめて、海洋博の円満な前進をはかれるよう御配慮を強く要望いたしました。通産大臣も了承をされております。  なお、ただいまも通産省からお答えがございましたように、きめこまかく推進するように、施設部会あるいは物価部会を通じましてわれわれも全力を傾けてまいりたいと考えております。
  117. 國場幸昌

    國場委員 資材のみならず、その従事する労働者の問題でございますが、いま直接、間接で働いておるのが台湾から復帰前に入った技術者で、約三百名といわれております。それが、沖繩の出先の出入国管理のほうから、再延長の更新はできないので二月になったらほとんど期限が切れる、それは全部帰しなさい、こういうような通知があったというようなことで、雇用しているほうから、それに対して何とか海洋博を終わるまでは特別にその契約更新を認めていただきたい——これは外務省あるいは労働省の関係か知りませんが、大体台湾から来る技術者は更新、更新でいままでやっておったわけなんです。ところが、再更新はもうできないので帰しなさいというようなことで、そうなってくると、ただでさえも技術者が少ないという立場においてそういう人たちを帰すということは、ますます技術者が少なくなるということであるので、何とかそれを食いとめていただきたいこういうような希望でございましたが、それに対して何か通知でもありましたかどうか。大臣でなくてもようございますので……。
  118. 渥美謙二

    ○渥美政府委員 法務省あるいは労働省あたりの所管する事項かと思います。私ども実はその話を承知いたしておりませんので、さっそく関係省庁のほうへ聞きまして、どういうことになっておるのか確かめたいと思います。
  119. 國場幸昌

    國場委員 まあそれはささいな、人数も二、三百名というようなことでございますが、しかし私は、約四カ月海洋博の開催を、設備の都合が間に合わないというようなことで延ばすにしましても、いまの人員をもってこれを七月にということになると、はたしてそれだけ延ばしてでもできるかどうかということを心配するわけなんです。  そこで、坪川前総務長官は、大阪におけるところの万博の場合には、各県割り当てで、動員し、それでできないということを間に合わしたんだ、こういうことをおっしゃっておりましたが、沖繩のような不便の地において、あの遠隔の地でございますので、ほかから動員することもなかなか困難さがあるというようなことも考えますが、政府当局としましては、いまの沖繩の労働者の数をもってはたして海洋博を四カ月延ばしてだいじょうぶ間に合うかどうかということを検討なされたことがあるかどうか。ただ日にちさえ延ばせば——いまさっきの資材問題もありますが、しかし資材を順調に手当てしたとしましても、その資材を扱って建設していくのはやはり技術者であり、労務者でございますので、その点に対しても何とか特別なる手当てをする必要があると思うわけなんです。本土からの業者もたくさん行っておられますが、大体事業量に対しての労働あるいは技術、そういう面の人員が足りない。でありますから、おる人をたらい回しにして奪い合いするものですから労働賃金がとんでもなく上昇するというようなことになっておるのが現状なんです。それに対してもうひとつ何とか手当てをしていただきたいと思いますが、その点いかがですか。
  120. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 お答え申し上げます。  もちろん、ただいま御指摘のような点はみんなで非常に憂慮したことでございますが、先ほどお話し申し上げましたように、屋良知事が御上京になったおりによくお話し合いをいたしまして、特に地元としても海洋博完成には全力を傾けて御努力をいただけるということをはっきりとおっしゃっていただきました。また、ただいまのような賃金の問題等の値上がりはたいへん大幅なものであるということも伺っておりますが、同時に、この海洋博そのものの持つ国際的な意義や、またこの海洋博そのものの持つ沖繩の今後の振興計画推進の大きな意味を考えまして、われわれといたしましては、あらゆる困難を乗り越えてもぜひ七月二十日の開会日までにはこぎつけようではないかということを、知事を交えての懇談会で確認し合っております。なおまた、そうした事情がとてもいけないというような事態にありましたら、皆さま方始終沖繩にいらっしゃるわけでございますので、遅滞なくわれわれにお知らせいただきたい、われわれもさらに関係閣僚とよく協議して、また事務当局等も全力を傾けて完成に努力をしてまいりたいと思っております。
  121. 國場幸昌

    國場委員 いまさっき申し上げました公共事業に対しての地元負担があまりにも大きくて、とても沖繩のいまの市町村財政では耐え得ることはできない、こういうことを市町村会でも陳情しておるし、また事実においてその契約とかそういうものがいまとても行き詰まっておるというようなことでございますが、いままで大体四十七年度予算において施工されたものを参考までに申し上げますと、たとえば政府の補助額、県の補助金と合わせて総予算が一千三百十四万ある工事が、事実においては一千六百万、これは十分の八の補助額になっておるようでございますが、しかし、百六十四万二千円を負担しなければいけないのが四百五十万円。そうすると逆算しますと、政府のほうで補助しているのは、約六割ほどしかしていない、こういうような計算になるわけです。はなはだしいものは、逆に五五%が地元負担、政府は四五%しか出していないというような実績も出ておるわけでございます。こういうようなことで、これは四十七年度予算ですから済んだものからしての統計表ですから、これが四十八年度予算ということになると、これこそもうほとんど施行することは不可能だ、こういうようなことにもなるわけです。御案内のとおり、たとえば住宅とかアパートとかいろいろつくっておりますが、私のほうも建設事業が主体でございますのでよくわかりますが、いま単価そのものは、たとえば住宅とかアパートとかビルとか、建築に対しては約三倍になっております。坪当たり三十六万円から四十万円になるのです。復帰前においては十二、三万円だったのですよ。だからそういうようなことで、実質これだけ上がっておるということから考えました場合——離島は別なんです。本島でそうなんですから、離島はさっきのようなバラスでも砂でも本島から運ぶということになると、これはたいへんなことになるわけです。  もう一つ突っ込んで予算については、今度四十九年度予算にしましても、やはり社会一般に対しての公共設備投資、これは県あるいはまた市町村事業、これに対して、ことに学校工事があるわけなんですが、その学校工事に対してでも、単価のほうは、コストは十分に見積もられておるかどうか、こういうことを心配しておるわけなんですが、いかがですか。
  122. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 お答え申し上げます。  四十八年度の予算におきましても、予算単価に対しまして公立学校施設は約二三・一%の単価の引き上げをいたします。また公営住宅につきましては二九・七%の単価引き上げをいたすわけでございますが、なお現在の物価騰貴というようなことで起こっておるいわゆる超過負担については、その解釈あるいは算定につきましてむずかしい点をたくさん含んでおりまして、沖繩につきましても関係省庁に頼みまして、その解明につとめてまいりたいと考えております。
  123. 國場幸昌

    國場委員 じゃ、時間がございませんので、また別のほうのことをお願いしたいと思います。旧沖繩県の町村吏員に対する年金等についていまだに解決してないのに対して、町村吏員はぜひ——実は復帰対策でこの問題は解決すべきなのが、対策室のほうでもよく御存じでしょうが、この問題がまだ解決されてない。恩給組合というのが根絶したため、当恩給受給資格者がこれまで年金等を受けることができない状態になっていたが、復帰に伴い、昭和四十七年五月から支給ができるようになった、本土のほうはそうなっておるわけでございますが、沖繩のほうではそれがそのまま放置されて、いまだにこの解決を見てないわけなんです。それで、町村吏員の年金について、何とか復帰以前に遡及して本土と同等にしてこれを解決していただきたいというようなお願いなんです。その適用を受ける人が大体百五十七名だそうでございます。これは金額にしまして、本土法に従っていま換算してみますと、その資金が二億一千四十七万七千九百八十四円、これくらいの金が百五十七名で必要だ、こういうことをいわれておるわけなんです。それを何とかひとつ復帰経過措置として——沖繩が分離されたためにこういう問題が起きて、それでその問題がいまだに解決してない、こういうようなことでございますので、それに対して特別なる御配慮をしていただきたいというようなことが強い要望となって要請書が来ておるわけです。これは自治省のほうが管轄だと思うのですが、自治省、これに対しての御見解と、それから今後においての措置に対して御意見を賜わりたいのです。
  124. 大嶋孝

    ○大嶋説明員 確かにいま御指摘のとおりのような状態でございます。四十八年の法律改正におきまして、四十七年五月分以後に遡及して支給するということになったわけでございます。本来から申しますと、制度改正に伴います年金の支給は、その法律の施行後に支給するということが本来でございますけれども、この場合におきましては、特に沖繩復帰に伴います措置の一環といたしまして、復帰時点にさかのぼったというような事情もございます。したがいまして、これは制度的には非常に困難な問題がございます。先生も御存じと思いますけれども沖繩県の市町村財政全般の問題としてやはりとらえて検討してみるべきではなかろうか、かように考えておる次第でございます。
  125. 國場幸昌

    國場委員 沖繩県全体の問題としてこれを解決してやるというようなことですか。それとも、何か話に聞きますと、遡及する人たちに対しては県のほうでやってもらいだいとかいうようなことで突っ返された。しかし、県ではとてもそういうような予算は組むことはできない、沖繩県は貧乏県でございますから。だから、国のほうで何とか特別措置を講じていただいてその要望にこたえてもらいたい、こういうようなお願いなんです。いまおっしゃるのはあまりはっきりしませんが、ひとつもう一回なにしていただけませんか。
  126. 大嶋孝

    ○大嶋説明員 制度的に法律を改正してどうこうするということは、いまの時点ではもうできないことだと思います。したがいまして、いま御指摘のように、沖繩県の市町村がそれを実施するかどうかということになってくると、財源の問題が出てまいります。そうなりますと、沖繩県の個々の市町村になりましようか、その財政力そのものを総合的に勘案した上でないとちょっと判断ができないのじゃないかと思いますということでございます。したがって、そのこと自体をとらえてその財源の裏づけ措置をするとかしないとかいうことでなくて、市町村の財政全般を考えるべきである、かように申し上げた次第でございます。
  127. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 ただいまの問題は、実は西銘政務次官がすでにその問題をとらえまして、法務省その他関係といろいろと話を進めております。しかしいまの段階でそれが必ずそうなるというところまでいっておりませんが、積極的な姿勢でそれを取り上げているということを御報告いたしたいと思います。
  128. 國場幸昌

    國場委員 いまさっきのは吏員の問題ですが、今度は町村議員ですね。またこの問題もまだ残っておるわけなんです。町村議員の問題は、沖繩の市町村議会議員に対する年金制度の地方公務員等共済組合法の遡及適用についてでございますが、この問題については本委員会においても質疑を行ない、その後自治省からも調査に行ったということを聞いておりますが、あらためてその内容を申しあげますと、沖繩における市町村議員の年金制度は、昭和四十四年九月当時の琉球政府によって公務員等の共済組合法が制定され、昭和四十五年七月一日から実施され、市町村議会議員の年金制度が確立されたが、他県においてはすでに昭和三十七年十二月一日から発足しております。沖繩県との差が七年余りあるわけでございますが、しかしそのことは沖繩県が行政分離をされたためにこういうことが生じたものであるので、国の責任においてこの問題ば解決していただきたい、こういうようなことでございます。この適用人員は、退職年金で五十四名、二百八十五万一千百二十円、遺族年金で十名、これが二十三万四千百六十円である、こういうことが陳情の中で数字が出ております。いまさっきのは地方公務員ですね。これはまた議員の問題なんです。それに対してもこの陳情の趣旨を自治省としましていかような処理をせんとするか、お尋ねいたします。
  129. 大嶋孝

    ○大嶋説明員 確かに本土の議員の年金と沖繩の議員の年金にその時期の差がございます。これは本土におきましては三十七年からその議員年金制度が発足をいたしましたし、沖繩におきましては四十五年から発足をいたしておるわけでございまして、その発足の時点からということをとらえて現在の制度になっております。したがいまして、その差というのは依然としてございますけれども、これはいわゆる沖繩本土並みということのたてまえに立ちまして十分検討してまいりたい、必要があればその措置をとってまいりたい、かように考えております。
  130. 國場幸昌

    國場委員 この問題は再三再四陳情がきております。それで、それに対するいまの答弁は、ずいぶん聞いておるわけですが、もう検討します、検討しますは、これはとても言いやすいことなんですが、これを具体的にどうするんだというようなことは、失礼ですが課長さんですので、それをはっきりとこういうぐあいにしてやろうと思いますというようなことは言えないかもしれませんが、しかし、いくさのために二十八年間、同じような地方公務員であって国家の恩恵に浴しないということから考えますと、所轄する主務省においてはこの点は何とか措置していただきたい、これを希望するわけです。
  131. 大嶋孝

    ○大嶋説明員 議員年金につきましては、本土と同じ時期になるように検討を進めたい、かように考えておる次第でございます。
  132. 國場幸昌

    國場委員 厚生省、来ておられますか。——御案内のとおり海洋博も迎えますし、でないにしましても、沖繩の医療設備もあるいは技術者も本土の約四〇%とか五〇%、こういうようなことで、緊急に対する病院とか、あるいはベッドもふえなければいけないのが次第に減っていくというようなかっこうで現状から見ますと、沖繩県民の医療に対する苦しみというのは、離島のみならず本島においてもしかりでございますが、基本的に沖繩の医療関係に対する問題をどう解決せんとするものであるか、その計画がまず厚生省としてありましたら、お聞かせいただきたいと思うのですが、いかがですか。
  133. 木戸脩

    ○木戸説明員 先生御指摘のように、沖繩におきます医療水準は、本土に比べますと、ベッドの数にいたしましても、お医者さん、看護婦さんの数に比べましても非常に少ないわけでございます。したがって厚生省といたしましては、復帰後、医療機関の整備、これは県立病院の整備、それから国立の医療施設の新設あるいは既存のものの充実、僻地診療所の整備、こういう医療機関の整備、それから医療要員の確保につきましては、専門医の無医地区への医師派遣あるいは中部病院への臨床研修指導員の派遣等を行なってきたわけでございます。  しかしながら基本的な解決策といたしましては、やはり沖繩の医師の絶対数を増加することが必要である。したがいまして沖繩におきまして琉球大学医学部の設置が基本的には必要であると考えているわけでございます。しかしながら琉大の医学部が設置されたといたしましても、それまでにはかなりの期間がかかるわけでございますので、当面の措置といたしましては、特に県立病院の整備をはかることによりましてお医者さんが本土から通えるような条件をつくっていく、あるいは国立の医療施設の新しいものをつくっていく、あるいは既存のものを充実していく、そういうような占を中心に対策を進めてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  134. 國場幸昌

    國場委員 時間がありませんので、これで終わります。
  135. 小濱新次

  136. 上原康助

    上原委員 これまでもたびたびお尋ねしてきたのですが、きょうはまず私は最近の石油危機問題あるいはインフレ、物不足、そういう経済情勢の激動下における沖繩の振興開発の問題、その一環として位置づけられているといわれている海洋博の問題について、あらためて基本的な政府の姿勢をお尋ねをしてみたいと思うのです。  先ほど来御議論ございましたが、政府が今回海洋博延期をせざるを得なかったいわゆる理由は一体何なのか、なぜ延期するのか、その点についてはまだ明らかにされていないわけですね。むしろ中東戦争がきっかけになって石油逼迫という状況が出たことに、一面においては政府は救われた、ことばが悪いかもしれませんが、そういう感を受けないわけでもないわけです。なぜならば、海洋博の件については、本委員会のみならず連合審査あるいはその他の関連委員会においても、当初政府が進めておった計画どおりには推進をしていない、いわゆるデメリットについてどう対策を立てていくのか、そのことをさておいては海洋博の推進、成功というのはあり得ないということは、何回となく私たちは指摘してまいりました。また、私は質問主意書でも二度にわたってお尋ねをしましたが、残念ながら、その答弁を見ても実にもう、これがほんとうに政府の意のある答弁かと思うほど形式的で一般的なことしか書いてない。仄聞すると、何か野党の質問に対しては全然いいように答えないのが質問主意書らしいということを最近聞かされて、それなら勉強してもつまらぬと思ったのです。  正直申し上げて、一体延期をせざるを得なかった背景、理由は何なのか。これまでの反省の上に立って、これから延期の問題なり海洋博問題に取り組んでいく、当たっていく姿勢があるのかどうか。そのことがない限り、幾ら議論をしてみても、ここで皆さんがかっこいい答弁をなさってみたって、私は本質的な問題の解決にはつながらない。特に現在の石油危機、インフレ、物価高、物不足ということを考えてみました場合に、沖繩に与えている——離島県である沖繩の場合は、本土以上にきびしい前途があるということを私たちは覚悟をして、政治を議論し、ものごとを考えていかなければいかないと思うのですね。  そういう面からして、新しい開発庁長官、総務長官に就任されて、ほんとうに現在の事情、これは本土を含めてですが、どうとらえておられるのか。その基本的な姿勢にかかっていると思うのですよ。まずその点をお伺いをして議論を進めていきたいと思うのです。
  137. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 お答え申し上げます。  現在の、特に石油で激発されておる現在のいろいろな経済上の問題につきましては、われわれは決して楽観をしておりません。むしろ非常に深刻なものと受け取っております。  同時にまた、この石油危機以前からのときに、沖繩におきましては、いろいろな物価の問題や資材の問題等において多少他の県とは違った情勢にあったことも、もちろん知っておるわけでありましたが、同時にまた、この石油危機というものの影響を直接沖繩県にのみぶつけるような形で、たとえば海洋博というものを縮小するなり中止するなりというようなことをいたしました場合の影響も十分考慮しなければならない。われわれはしかし、さればといってこの石油危機の情勢というものを決して簡単なものとは考えておらない。そこのところに延期論が出、そしてまた知事にも上京していただいてひざ詰めで話し合った結果、七月の二十日という開会日をきめたわけでございます。
  138. 上原康助

    上原委員 長官、私がお尋ねしているのは、そういう経過をお聞きをしたいわけじゃないんですよ。確かに石油危機というものの深刻さという点については、われわれも否定しません。だからこそ、石油需給適正化法案も与野党一緒になって国会を早急に通した、あるいは国民生活安定緊急措置法案にしたってそうなんです。それは、本土全体のマクロとしてわからないわけではない。しかし、私がお尋ねしてみたいのは、じゃ、石油危機がなかったなら、石油問題が突如として起きなかった場合は、当初皆さんは十月の二十二日の私の質問主意書に対しても、既定方針どおりやるのだ、規模の縮小も考えてしなければ、延期はもちろん、中止なんて全くあり得ない、既定方針どおりやるのだということを堂々と言っておられる。われわれは当初からそういう計画は甘いぞということを指摘してきたはずなんですよ。あれだけの大型プロジェクトというものを受けざらの小さい離島県にやるということにはいろいろ問題が出てきている。その問題というのは、具体的には物価高の問題をどうするのか、先ほど議論がありました労働力の問題はどうするのか、資材の確保はどうなるのか、いろいろ詰めた話をしたはずなんですよ。それに対してそのつど、万全の対策をとるとかいろいろなことを言ってきましたが、実際そうなっていない。だから、石油危機がなかったにしても当初のようには海洋博計画というものは推進できなかったという反省がおありなのかどうか。それが石油問題がなければできておったというようなことでは、この問題の基本に対しての考え方が食い違うことになると思うのですよ。その点が一つ。  いま一つは、実際に海洋博を推進をしていく上で、物価高の問題なり資材、労働力の確保の問題これに対しては、いわゆる県民一般大衆が受けている、自然破壊等の問題を含めて不利益、被害、そういうことが並行してどう対策を進めていくかということは、今度検討しないわけですか。そのこともあわせて延期問題というもの、あるいは今後の県民の協力体制というものを求めるとするならば、当然、そういう現に県民が受けている不利益、被害、また、今後も受けるであろうものに対しても、政府としてはこうしますという政策なり方針というものがあって初めて海洋博問題というものは進めていく、あるいは再検討するということになるのじゃないかと思うのですが、その基本を私はお尋ねしておるわけなんです。
  139. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 お答え申し上げます。  私といたしましては、いまの上原委員のおっしゃるようなふうには考えておらなかったわけであります。むしろ一般の関連事業等に対する契約分を見ましても、大体順調に進んでおります。また、建物その他につきましては多少契約が延びておることは事実でございますが、これも十二月中には単価改定等によりまして契約になるというふうに聞いておりますし、全般として見まする場合には必ずしも石油危機がなくても海洋博延期がなされなければならないという必然性はわれわれ感じておりません。
  140. 上原康助

    上原委員 そういたしますと長官は、石油問題がなかったら当初計画どおりいっておったのだ、石油があったから延期をせざるを得なかったのだというふうな立場海洋博の推進といいますか、計画については対処をしていく、そういう姿勢でおられるということですか。
  141. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 海洋博延期問題が出されたのは、私が総務長官に就任の前でございます。しかし、就任いたしましてからそういう問題がすでにいろいろと検討されておるという事実を聞きました。したがいまして、私としましてはそうした実態についてよく認識をしなければならぬということで、ちょうど私の就任しました二日後に開発庁の事務次官が沖繩を視察して帰ってまいりました。それから、さらにそれでもなお実態をよく調べなければならぬ。いま御指摘のような形で、非常な石油危機というものが日本の経済全般に重大な影響を及ぼすということを踏まえた場合に、なおそれが沖繩海洋博問題等についてどのような影響を与えるか、また与えてはならないか、そうした事態につきましても、直接信頼できる人に行ってもらおうということで、小渕総務副長官と西銘政務次官に現地に行っていただきました。そして、その両氏の御報告を承って、私は七月二十日の開会ということがすべての面において最もいいというふうに考え、それを推進したわけです。
  142. 上原康助

    上原委員 御就任早々で失礼かもしれませんが、沖繩実情というものをどう把握しているか、若干私は疑問があるわけですよ。石油危機問題がない前から、海洋博に対する県民の批判というものは強かったわけですよ。石油問題が起きたから海洋博というものが大きく社会問題、政治問題になってきたわけじゃないんですよ。小渕さんや西銘さんがどういう関係の意向を聞こうが、それは政府立場から御自由です。しかし、県の意向だけが県民全体というわけにもいかないでしょう。農民団体なりあるいは労働者、そういった面の広範な県民の世論というもの、中小企業あるいは現に地場産業の方々とか沖繩現地の建築業者まで、海洋博に対する不満というのは非常に強いわけなんですね。かてて加えて石油の問題が出てきた。とすると、七月まで延期をしようがしまいが、そのことは別としても、海洋博を進めてくる過程において起きたもろもろの社会現象に対するいわゆる経済的な不利益、デメリットに対しての、この部分が大きくぽっかり穴をあいた形で、何が何でも海洋博ということに対しての県民の不満というもの、政府に対する不信というものは、どうしても解消しなければいけないわけですね。そのぽっかりあいた穴をそのまま素通りしておったら、そこに落ち込むかもしらぬ。そういう認識のしかたがあるかどうかということを私はお尋ねしたかったわけですよ。残念ながら見解が違うということになるかもしれませんが、私は先行き非常に、まだまだ困難といいますか、不安があると思うわけです。はたして、七月まで延ばしたっていまの状況でできるかどうかという大きな疑問を持ちます。  そこで、じゃ具体的にお尋ねしますが、政府はこれまでいろいろ海洋博を推進していく上で、物価あるいは資材、労働力の確保の問題等について検討を進めてきた。また、進めているということを再々答弁してきたわけですが、具体的に今日までどういう対策を進めてこられたのか、それがまず一つ。  じゃ、今後は、その石油危機というものが出てきて、一応開催の時期を七月二十日まで延ばす。それまでにはどういう対策を具体的にとろうとしているのか、明らかにしていただきたいと思うのです。
  143. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 総括的なことをお答え申し上げますが、やはり施設部会とかあるいはまた物価対策部会等を真剣に動かしまして、そこに集まるすべての情報に基づいて適切な処置をとるということに尽きると思っておりますが、詳細につきましては担当官から説明させます。
  144. 渥美謙二

    ○渥美政府委員 まず労務資材の関係でございますが、これは関連施設部会というものを設けまして関係各省が集まる。もちろん県庁も参加していただいております。また、それに対応する現地の機関も設ける。そしてやりましたことは、大体どのぐらいの労務資材の需要があるか、それに対して自然にしておけばどの程度供給が県内で可能であるか、さらにそれの増産がどのぐらい見込まれているか、その足りない分を本土から入れるためにはどういう措置をすればいいか、こういう対策の基本をつくりまして、また現地にはそれに対応いたしましていろいろな資材の需給調整委員会あるいは雇用のためのそういう連絡機関、またそのために那覇に臨時の職業安定所をつくる、いろいろな措置を講じまして、何ぶん御指摘のように大きなプロジェクトをやるわけでございますので、そのためには計画的に、合理的に仕事を進めていく必要があるという前提に立ちまして仕事を進めてまいったわけでございます。  昨今の石油危機にからみまして、確かに沖繩につきましてはいろいろな影響が鋭角的にあらわれてくるという可能性はあると思います。そこで従来の体制といったものをより強化いたしまして、さしあたり十二月にセメントが非常にショートしているというところから、これはいろいろ特別なお手当てをお願いしまして、一応所要のものは確保できる見通しがつきました。一月以降のものにつきましては、やはりそういう機関を通じまして前広に必要需要量というものをあらかじめキャッチいたしまして、関係方面に協力、指導をお願いする、こういう体制で進みたいと思っております。
  145. 岡田純夫

    ○岡田政府委員 物価対策部会につきましては、本年の五月第一回の会合を経済企画庁事務次官のもとに開催いたしました。その際に、特に沖繩の場合には、野菜等生鮮食料品を中心としますところの物価の上昇が県民の生活に非常に大きな影響を及ぼしますということで、特別委員会を設けましてそれに取り組むということをきめました。並行しまして、物価部会の作業部会と申しますか、各省担当のほうでは具体的に詰めながら、一方特別委員会の具体的な対策というものを詰めてまいりました。たとえば県会におきましては野菜の生産出荷の協議会でございますとか、あるいは緊急な場合に本土からの移入の体制というものをつくる。それからどの程度のものを入れるかということにつきまして、たとえば出荷もとをどうする、受け入れ体制をどうするというふうな処理体制をはっきりするということで、現地におきましてすでに着々その準備を進めておりまして、そういうふうなことが本年ばかりでなく、来年以降も起きました場合には、直ちに本土からの生鮮食料品等の移入体制を実行に移せるような準備を進めております。  一方今後の問題につきましては、国民生活の緊急措置法案にうたわれておりますように、地域的事情というものを十分考慮いたしまして諸施策を進めることになっておりますので、当然沖繩につきましても地域の事情というものが非常に関係ございますので、強く関係省庁と話し合いを進めて、十分配慮されるようにお願いしておるというふうな状況でございます。
  146. 上原康助

    上原委員 まず施設部会のほうから、もう少しお尋ねしてみたいと思うのです。  政府答弁というのはそういうものだとは思うのですが、五月の八日に確かに施設部会でいろいろ検討したものがございますね。学務資材の需給見通し、それから建設資材、公共工事執行の計画と合理化とか、いろいろやっていますね。これはあくまで四十八年度の主要建設資材の需給見通しということで対策を立てておられる。これを主体に今日まで進めてきたということですか。これは四十八年度でしょう。四十九年度の分についてはこういう具体的な対策というものはまだお立てになっていないのかどうか。特にセメントの問題、皆さん韓国から輸入するということをこれまで言ってきたわけですが、石油事情で韓国も輸出についてはできないという立場をとっているということも聞いているのですがね。そういう面は一体どうなるのか、労務の問題についても、この計画によりますと、大体五万前後の労働力が必要だということをうたっております。その確保についてははたしてどうなったのか、立てた計画なり目標というものと、具体的に皆さんが行政なり作業を進めていって、その結果はどうなったのか、それまで見ないと採点はつけられないのですよ。これを文章で企画するのはたやすいことだと思う。しかし、こういうことさえも十分にされていないがゆえに労務不足を来たし、資材が不足をする、セメントがない。先月なんか二万トンも不足して建設業者もやいやい言っているでしょう。四十八年度でさえもそうなんだ、石油があった時代でさえ。今度石油が二〇%、二五%も削減をされていくという中で、輸送コストの問題なども含めて当然すでに対策というものができてしかるべきだと思う。だから私が最初にお尋ねしているのは、海洋博延期をするなら延期をする、どうしてもやらざるを得ないならやらざるを得ないということであれば、当然こういう県民の生活にしわ寄せをするであろうものごとに対しても、同時に発表するというぐらいの姿勢がなければほんとうの政治なり行政といえないということを言いたいわけですよ。その点についてどうなのか。  もう一つ、物価対策をいろいろやっておられるなんておっしゃるのですが、経企庁来ていらっしゃるね。——物価対策委員会を設けて、今日まで物価対策委員会を何回持ったのか。具体的に沖繩の諸物価の問題——物価というとすぐ二言目には生鮮食料品と言う。物価は生鮮食料品だけでないんだ、物価は公共料金の問題なりいろいろ問題があるんだ。それに対しては、具体的に沖繩の物価を鎮静させていく、あるいは抑制をしていく上で、皆さんが海洋博との関連において物価対策委員会を設けて今日までどういう方針で進めてきたのか、明らかにしていただきたいと思うのです。
  147. 有松晃

    ○有松政府委員 物価対策部会につきましては、五月二十九日に第一回の会合を持ったわけでございます。その会議におきましては、これからの沖繩における物価対策の進め方、具体的にはさらに物価対策部会の下に下部機構といたしまして特別対策小委員会、これは先ほど沖繩開発庁からの御答弁にも触れられておりましたが、その小委員会を設けまして、六月、七月にそれぞれ第一回、第二回を開きまして、その後さらに関係各省による幹事会を開いて具体的な検討をやっておる次第でございます。その検討の中身といたしましては、やはりこれは、実は昨年沖繩復帰直後に緊急な沖繩現地の物価対策調査を行なったわけでございますが、その際に、やはり重点は生鮮食料品である。その後の物価の推移を見ましても最近の価格上昇、特にことしの十月あたりの価格を見ましても、たとえば野菜等の価格が一番値上がりをしておる。これは一つ沖繩における農業の生産構造というような面もあろうかと思いますが、そういった面にやはりこれからの物価対策としては重点を置いていかなければならない、こういうふうなことになっておりまして、そういう意味合いで、この小委員会におきましても野菜の対策が決定されたわけでございます。こういったことを受けまして、本年度予算においても、すでに農林省において野菜の生産流通施設の増強ということについて予算を計上しておりますけれども、来年度はさらにそういった沖繩における対策を強化するということで、予算の増額要求を行なっておるということでございます。
  148. 上原康助

    上原委員 どうもいまの御答弁では私は納得できないのですよ。沖繩の人は野菜だけ食っているのではないんで、私は野菜のことだけ言っているんじゃないんだ。そうしますと、海洋博との関連で物価対策委員会を設けたのは、五月の二十九日に全体会議を持って、あとはそのもとに小委員会があって、六月と七月に野菜がどうなっているかということを調べただけ、そういうことですね。
  149. 有松晃

    ○有松政府委員 物価対策部会におきましては、もちろん野菜だけのために設けられたわけではございませんけれども、審議の過程におきましてはやはり一番問題と申しますか、値上がりの著しいものは野菜である、こういうことから野菜に一番重点を置いて、特にその野菜も議論の過程におきましては本土からの移送ということもありますけれども本土からの移送につきましては、沖繩における農業との調整、こういうような問題もございますので、これは台風等の緊急時には本土から移送をするということで、やはり沖繩自体における野菜の生産の強化ということが一番大事であるということでございます。  なお、このほか、復帰に伴って必要な生活関連物資等の関税の減免とかあるいは輸入ワクの拡大、こういうようなことも行なっておりますし、あるいは本土からの緊急輸送というようなことも一部行なった次第でございます。
  150. 上原康助

    上原委員 施設部会はどういうあれですか、先ほどお尋ねした点ですね。
  151. 渥美謙二

    ○渥美政府委員 四十八年度の私どもの見込みにつきましては、公共事業それから民間の事業合わせまして、工事完工高を大体千九百八十億ぐらいと見込んだわけでございます。しかしその後、これは四十八年度じゅうに予算もすっかり消化してしまうというようなことで見込んだわけでありますけれども、若干工事にズレがございましてこの額には至らないのではないか。これに対応いたしましてセメント、そのときは百五十万トンぐらい要るだろう、こういうふうに見込んだわけでございますけれども、大体現在の状況でございますと百万トンを少し上回るぐらいの需要ではないだろうかというふうに見込んでおります。  それに対しまして供給のほうでございます。ただいま御指摘のございましたようにこれは石油危機が問題になってくる少し前からでございますが、いろいろ、韓国からの輸入がとだえましたり、また十分品物が回らなくなった、琉球セメントがオーバーホールをやっておったというような事情もあるようでございますけれども、一時的にそういう問題が起こりまして、今後ほうっておきますと私どものあれでは大体七、八十万トンぐらいの供給がなされるのではないだろうか。そこでこの二、三十万トンのものをどうしても確保しなければいけない。そこで先ほど申し上げましたように、一—三月の需要量というものを前広につかみまして、これを主務官庁である通産省を通じまして、これは本土業界のほうの応援を得なくてはいけません。優先的に沖繩のほうに回していただくようにお願いしておりますし、いまのところそれにこたえるように努力をしてくださる、こういうことになっております。
  152. 上原康助

    上原委員 四十九年度のそういった需給見通しとか計画については、どういうふうに御検討なさっていますか。それまでお答えください。
  153. 渥美謙二

    ○渥美政府委員 これは四十九年度の予算がもうじききまると思います。その数字をつかまえまして、早急に策定したいというふうに考えております。
  154. 上原康助

    上原委員 そこで長官に、これは私の意見、提案も含めてのことになるかもしれませんが、いま時間がありませんので、物価の問題もう少し具体的に指数をあげてやりたいのですが、きょうは基本的な問題に触れておきたいのです。  要するに海洋博を推進するためには、海洋博の推進によって起きているデメリットを解消していくために施設部会を設けあるいは物価対策委員会を設けてやるのだということは、今年三月ごろから相当政治的な面だけ、行政面だけ宣伝されているわけですね。しかし、いま触れましたように、実際にはその機能というものを果たしていないというのが私は指摘できると思うのですよ。ほんとうに機能しているならこういう結果にならないと思うのです。施設部会は少しセメントの問題で具体的に数字をあげてやっていますが、物価のごときはほとんど何にもないんだ。私が資料をよこせと言ったって何にも持ってきていない。この設置をしたという要綱だけ持ってきている。そういう状態沖繩の物価対策はできっこないのです。この要綱を見ても、皆さん一体どう思うの。これは「海洋博関連事業の進捗にともない現地においては、建設労務・資材・日常生活物資等をはじめとする諸物価の高騰が危惧されつつあり、これに対する早急な対策が強く要請されている。」「このため政府としても、海洋博にともなう諸事業の実施にあたり、積極的な物価対策を講じてゆく必要があり、そのための組織として海洋博推進対策本部に物価対策部会を設けることとする。」そうであるならば、やはり目的を定めたように仕事はしていただかないと困るのですよ。だから総合的に洗い直して、ほんとうに海洋博の推進によって県民にどれだけ物価問題なり資材の問題が影響を与えているかということを洗い直した上で、もう少し親身に、魂の通った対策なり施策というものを講じないとだめだということなんですよ、私が言いたいのは。県のほうが足りなければ県のほうが足りないということで、機構を充実化するなりスタッフを充実化するなり、横の連携ももっと密接にしていくというような対策をこの際講ずべきだと思う。もう手おくれだと思うのですが、いまからでもやらなければいかない問題なんです。それは長官、そういう御意思があるのかどうか。
  155. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 お答え申し上げます。  大体海洋博関連した資材あるいは労働力、そうしたものを四十九年度の予測を計算してみますると、全体の大体二割から二割八分くらいのものに当たるわけです。いま海洋博だけがすべての問題の根本であるようにおっしゃいましたけれども、必ずしもそうではないのであって、海洋博ももちろんその中の貢献度と申しますかいろいろな問題は二七、八%平均すればあるというふうには思いますが、同時にやはり全般の、現在の物価、資材の問題、そうしたことを十分今度の生活安定法を中心に、地域事情をよく考えた運営の中で、全般としての対策を強力に進めていくということをすべきだと考えております。
  156. 上原康助

    上原委員 そこで、では物価の問題と関連していま少しお尋ねしておきたいのですが、政府は来年度、いわゆる四十九年度予算において、総需要、物価対策を重点にやるということで、公共料金の引き上げの実施を繰り延べるということが、ほぼ大蔵大臣なり政府首脳で確認されたという報道がなされているわけですね。そういう作業をいま進められていると私たちは思うのですよ。しからば沖繩の公共料金について一体どうするのか具体的に、——そういうことも含めないとだめなんだ。バスが上がる、タクシーが上がる、米が上がる、鉄軌道はない。だから物価という場合に、二言目には生鮮食料とか野菜とかなんとか言うけれども、野菜だけ食っているんじゃないのですよ、ほんとう言って。ほんとうに物価の値上げを誘導していくのは公共料金なんだ。こういう公共料金については、沖繩の場合も含めて、値上げを申請されているものを、海洋博との関係も特にあるわけですから、これに対してほんとうに値上げを押えていく、あるいはもっと繰り延べる、延期をするという方針まで検討されているのかどうか。そうであるなら、またほかの問題が出ますね。政治的に、財政的な問題が出てくる。それに対してはどういう補てんをするのか。そういう具体的なきめこまかい対策というものがこの海洋博との関連において、現在の物価高騰の中においてないと私はだめだというのですね。そういう点についてはどういうお考えを持っておられるのか、明らかにしていただきたいと思う。
  157. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 来年度予算におきましての公共料金については、先般来政府特に大蔵省を中心にできるだけこれは上げないという方針で、また米につきましても御承知のとおりに延期、国鉄運賃につきましても延期という線が確認されております。現在こうした公共料金を一般的に据え置こうではないかというような作業が進行中でございまして、それならばどの料金がいいか、どの料金が悪いかという個別的な選別にはまだ入っておりません。特に私鉄の問題その他なお問題がたくさんあると思います。  しかし、一方沖繩におきまする航空料金等はすでにもう上がっておると聞いておりまして、そうしたことから見ますると、今度の公共料金一般の四十九年度における据え置きということは、一部すでにもう先がけのものが出てしまっておるわけだと思いますが、私はやはりこの際石油危機というものが日本全体に及ぼす深刻な影響を十分考え、また同時にそのためにする勤労者の生活というような問題も考え、減税というようなことは曲げないでやろうじゃないかというような考え方の中から、公共料金については先般の政府方針というものの中でぜひひとつよく検討してまいりたいというふうに考えます。
  158. 上原康助

    上原委員 公共料金の問題、すでに上がったのがあります。バス賃が四一・二%、去る十五日ですか上がっていますね。そういう問題。また六カ月後にあと二五・九%上がる。タクシー賃も四七・六%で約五〇%近く上がっているわけですよ。今後もそういうことがガス不足の点で出てくる。当然そういったことまで含めて物価問題というのは総合的に考えないといかない問題ですから、先ほど申し上げましたように施設部会の機能をもっと強化をしていく、物価対策部会をもっと強化をしていただく、これはぜひ大臣でやっていただきたいと思うのです。そしていまの公共料金、あらためて強く要求をしておきます。  時間がありませんので、そこで長官は今回の内閣改造では目玉大臣だといわれておるのでわれわれ期待しておるわけです、ある面では。しかし、沖繩の復帰の目玉はすべて抜かれてしまった。那覇空港は返されないし、いま海洋博がこういう状態だし、だからぜひあなたに目玉を入れてもらわなければ困るのだ。そういうことになりますと、私は沖繩の振興開発計画というものをもう一ぺんこの段階で洗い直してみる必要があるのではないかと思うのですね。きょうは時間がありませんが、基本的には大臣は姿勢は変わらないとおっしゃっていましたが、かつて琉球政府あるいは県側がつくった振興開発計画、またそれを受けて政府が相当手直しをして昨年の十二月に決定をした沖繩振興開発計画、あれは作文だけなんですね。年次計画も将来目標も何もない。いろいろ調べてみますと、大正のときにも沖繩振興十カ年計画というのがあったらしい。また昭和の時代にもそういう十五カ年計画というのが出されている。しかし、いずれも知事が更迭をするとか戦争になるとかいうことでみんな御破算になっている、これまでの沖繩振興開発計画というのは。そういう歴史的な過程もあるがゆえに、今回の振興開発計画についてもやはり海洋博との関連においてどう位置づけていくのか、将来の沖繩をどう開発していくかということは、あらためてこの際、大臣が開発の窓口ですから、やっていただかないと私はいかないと思うのですね。あれは実際問題として作文にしかすぎないのです。予算の裏づけも全然ないわけでしょう。そういう点についても早急に海洋博との関連の位置づけ、今後の沖繩振興開発十カ年計画手直しをし再検討する御意思があるのかどうかということが一つ。それは最初のたたき台は県がつくるのだから、県から上がってくればやるのだという消極的な立場でおられるのか、あるいは今後の年次計画というものをどう具体化していくのか、そこら辺についてもぜひ決意のほどを伺っておきたいと思うのです。
  159. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 いわゆる開発計画は、やはり本土との格差是正ということが終局的な問題であろうし、また同時に沖繩地域的な特性というものを生かす、私はこの大きな目標は少しも間違っておらぬと思うのです。しかし、御指摘のような年次計画というものの中において、現在の非常な石油危機を迎えたり何かするような状況の中で何を最も優先的にやるかというような問題については、これはもちろん考えなくてはならないと思いますが、基本的にこの十年間にほんとうに格差を是正したいと私も思うし、できるならもっと早く格差是正を実現したいし、また同時に沖繩の持つ特殊性、またアジアに対する一つの門というその地位、それをもっと十分に活用できるようになってほしい、そのような考えております。
  160. 上原康助

    上原委員 もう時間がありませんので、いま姿勢だけを承ったのですが、それだけではちょっと理解しがたいのですが、後ほどわれわれもいろいろ提案をしてみたいと思うのです。沖繩の振興開発計画、御承知のように工業をかなり重点主義にやって、年率二〇%ないし二二%も成長率を高めていくというような方針も出されているが、それは絵にかいたモチにひとしいし、こういう状況の中でとてもじゃないができない。したがって、第一次産業あるいは第二次、第三次という産業構造の問題を含めて、もう一度たたき台、方向づけというものを確たるものにしないと、私はいつまでもいまのような議論が出てくると思うのです。したがってその点は、開発庁長官として早急に御検討をいただきたい。またわれわれも、県なりあるいは独自の立場でわれわれ自体の反省を含めていろいろな問題で提起をし、これからの沖繩の方向づけというものはやはり改めていかなければいかないという段階にいまあると思いますので、その点だけを強く要望して、きょうは質問を終えたいと思うのです。
  161. 小濱新次

  162. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 私は海洋博の問題と関連をした若干の問題とサトウキビ価格の政府保障の問題、さらに縦貫鉄道、国鉄を沖繩に建設してほしいという三つの点について質問したいと思います。  最初に、海洋博延期についてはすでに決定されたということでありますので、また再延期することはないだろうなということが県民の不信——不信というのは政府不信ですよ。それと不安、これがあります。その点についてお伺いしたいのですが、その前に、「沖繩海洋博の開催延期計画の再検討について」というものを、当時ありました沖繩人民党と日本共産党共同提案で四月二十八日官房長官に申し出をしてあります。この内容を話しますと時間がかかりますから申し上げませんが海洋博なるものは、最初は沖繩振興開発計画の起爆剤などと言っておったが、起爆剤どころか、爆発剤になってしまっている。いわゆる他府県の大資本、大商社の土地の買い占め、投機、さらに第一次産業の破壊の問題、インフレ、物価上昇、さらに労賃のとほうもない値上がり、さらに文化財を含めての自然の破壊などというのがこの海洋博計画を推進する上からもすでに出ている。したがって、沖繩における海洋博の開催は延期して再検討をしなければならない。この延期につきましては、当時、これはいわゆる万国博覧会の条約などによってできないんじゃないかというようなこともありましたが、その面までを含めてできるんだ。過去においてベルギーのブラッセルで行なわれることになっていた万国博、これは財政上の問題で二カ年延期しておるんだ。したがって、こういったことは政府延期決定をしてやるとすればできるんだというきめこまかいものまで含めて親切に提起しました。官房長官に会ったんです。  その中で、再検討の問題については、「海洋博は、基地温存と大資本奉仕をやめて、真に県民本位の経済振興計画の一環としておこなうべきである。したがって、それは百万県民の生活と生活環境、美しい自然を守るものでなければならない。大資本本位の観光施設中心の建設ではなく海洋資源の利用、海洋開発センター、健全な海洋観光センターの建設を中心とし、土地投機や物価上昇、公害をおさえるものでなければならない。交通問題についても、その基本を有料道路においている現行関連計画をやめ、本島縦貫鉄道建設を軸とする交通計画を推進しなければならない。」いわゆる延期して再検討するその対象はこれだと具体的に示して、政府要求したのです。もうすでに、四月二十八日ですから、かれこれ八カ月。官房長官はその当時、それは関係大臣にも言うて一応善処しようとかという、政治的配慮の面からでしょう、答弁がありましたが、その後政府は、延期しない、これは計画どおり推し進めていくということでしたね。  ところが突然、延期するんだと言いだした。理由は、石油危機関係も含めてということになりますが、お聞きしたいのは、一応四カ月半ですか延期することをきめたとか言われましたね。再びまた、石油危機がより猛烈になって襲ってきた場合には延期するとかいうことがないのかどうか。これが一つ。四カ月半延期したが、その四カ月半で何を検討するのか。いま私が指摘しましたようなよくデメリットといいますね、こういった問題をなくすための検討であるのか。こういうものをやれと、私たちは具体的に指摘したのです。絶対反対じゃありませんでした。海洋博そのものが目的どおりやられるとすれば、これは国会においても賛成です。ただ条件をつけた。いまだ政府はそれについて何らの方針も出されておらない。ただ延期すればいいのか。そういった面で、延期した、再びまた延期するんじゃないのかな、この政府は——よく朝令暮改とか、いろいろむずかしいことばもありますが、政府のやることは当てにならぬぞというのが現実にあるんですよ。百万県民、百万人がそうじゃないにしても、多くの県民は、どうも政府はまた延期するかもしらぬぞと思っている。延期しないんだ、徹底的に何が何でもやるんだという方針があるのかどうか。さらに検討の問題、これをいま指摘しましたような方向で検討される御意思があるかどうか、新長官に自信ある御答弁をお願いしたいと思うのです。
  163. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 お答え申し上げます。  ただいまの延期がさらに延期されるのではないかということでございますが、われわれはいまそのようなことは全然考えておりません。同時にまた、委員からおっしゃいました大幅な延期というような問題、むしろ私らは沖繩方々海洋博についてどのような期待とか気持ちを持っていらっしゃるかということを十分に伺いたかったので、小渕副長官と西銘政務次官にわざわざまた沖繩に行っていただいたわけです。と同時に、それだけではなお不十分、県民の総意を代表していらっしゃる屋良知事にも伺ってみなければならぬということで、御上京いただいて御意見を承った。そうしたことの全般的な判断の中から海洋博はやはり既定方針どおりやるべきである。しかし一面石油危機の問題もあるし、石油危機のさらに深刻化ということも考えられないではないけれども、少なくとも現在の時点に立つならば日本全体の資材総量というものから考えるならば、必ずしも海洋博を全部やめてしまわなければならぬというほどの量でもないということ等から慎重に検討した結果最も県民が期待されておる夏場の開会、夏休みを含んだ開会という線に落ちついたわけでございます。どうかそんなような事情で政府の方針をきめたということを御了解賜わりたいと思います。
  164. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 もう一つ、検討の問題、具体的にどうするかという問題。
  165. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 もう一つ沖繩海洋博そのものが自然を破壊するとか、あるいはまたいろいろな悪い事態をひき起こすそのきっかけになるとはわれわれは考えておらないわけでございます。特に開発計画そのものが沖繩の自然保護ということ、また同時に本土との格差是正ということ、これを基盤にして立案されておるものでありまして、私はこの基本的な方針というものは、間違っていないどころか、われわれとしてはその方針を着実に実行していく、一日も早くその実現を期するべきだという考えでございます。その一環としての海洋博でございまして、そのものが自然を破壊し、あるいはまたはなはだしい混乱を沖繩に与えておるというものであってはならないし、もしもそういう面が多少でもあるならば先ほどからも各委員からの御質問ございましたように、全力をふるってその問題の解決に努力をしてまいりたい。  特にまたそういう問題がございますれば、どうかひとつ各委員から忌憚なく御指摘をいただき、われわれの至らざるところを補う、そして活動するという方向で進ませていただきたいと考えております。
  166. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 それで、計画どおりやるということですが、新年度予算でも計画どおり予算は組んでいくことになると思うのですが、そうであるかどうか。  さらにもう一つは、私がいま最初に読みましたこの海洋博延期計画の再検討について、四月二十八日に官房長官に渡したのだが、新長官、読んだことがあるのか。事務引き継ぎでまだ新しいので読んだことがないのかどうか。あるいは新長官が読んでいなければ、前の長官に確実に官房長官渡していますからね、私は知っているのですよ。そこら辺をいま私が読んで初めてお聞きになったのか、いやこれは事務引き継ぎで知っていたというのか、そこら辺を明らかにしてください。
  167. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 第二番目の御質問にお答えしたいと思いますが、私は前長官からの引き継ぎの書類の中に、そうした官房長官からのあなた方の御意見というものはなかったように記憶しております。
  168. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 これは赤旗の御意見ではなしに、日本共産党と当時の沖繩人民党、いま沖繩人民党は日本共産党に合流して、ないですが、当時あったのですよ。それで日本共産党と沖繩人民党、この名前で官房長官に私とさらに金子、松本善明両議員、三名で会ったのです、一時間余り。これを読んでおられなければ——この延期するということがそのとおりになっておるのですよ。と同時に、内容についても、いまおっしゃったようにするなら自然を破壊するというふうなことがあるとすれば、それがないように努力するなどということになりますと、そのとおりの方向に政府はいっておるということなんですよ。われわれが指摘した、いわゆる海洋博延期、それで再検討。再検討もこの点を検討してほしい。またいまの博覧会条約によっても延期はできるのだ、そういった親切丁寧に具体的なものを出して、県知事に出したのですよ。もしお読みになっていなければ、お帰りになって目を通してほしいと思うのです。確実にあります。なければ、うそですよ。たいへんなことです。公党が出した申し出ですからね。  その点と、最初の質問ですね。計画は変更せぬでしょう。そのとおりやるでしょう。ただ四カ月半延期しただけの話だ。計画変更しなければ新年度予算にそのとおり年次計画で組むかどうか。これは簡単に、組むなら組むとお答えください。
  169. 渥美謙二

    ○渥美政府委員 私どもといたしましては海洋博で予定しました事業につきまして四十九年度及び五十年度の予算におきましてそれが実施できるような予算を確保いたしたいというふうに考えております。
  170. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 この点、石油危機の問題から総需要の抑制あるいは節約は美徳の価値観などという基本方針を田中総理がはっきり所信表明で言われた。非常に不安なのは、これはそのままやられると海洋博一辺倒になって、沖繩開発の問題がだんだんあとに寄せられてくるのではないかということです。この心配は、これは専門家でなくても一般に受けとめておるのですよ。海洋博だけは需要抑制をせぬ、節約もせぬ、どんどん計画どおり推し進めていくという方針なんだから、さて、沖繩の自主的な振興開発計画は一体どうなるだろうかという問題になってくるわけですが、しかしいまの御答弁で、これは政府答弁ということで確認したわけなんで、いや、計画どおりちゃんとやるんだ、新予算に組むんだということですから、この点は確認した上で、もししわ寄せされるのであれば、新年度予算でどういうふうになるか、予算委員会あたりで相当検討になると思います。  そこで、それと関連して、時間の関係がありますので、鉄道の問題をお聞きしたいのです。  これは沖繩県から出した四十七年十月の「沖繩振興開発計画の案」です。これは沖繩開発庁が出した四十七年十二月十八日の「沖繩振興開発計画」です。この県知事が出した「沖繩振興開発計画の案」の中にはちゃんと鉄道の問題が出ております。これは最初に、「本県の陸上交通は、今日まで鉄道など高速輸送手段を欠き、道路交通に専ら依存しできている」という、占領支配のもとでの軍事優先の道路計画指摘した上でさらに「基地の転用に伴う市街地の拡大に対応して既存のバス交通に加えて、鉄道等新交通システムの導入について検討する。」これがあなた方のものには削られています。ところで現在の沖繩の交通地獄は那覇から中部にかけて東京以上なんです。新長官まだ沖繩に渡られたことはないですか。あればおわかりでしょう。たいへんなことなんです。そこで、いま全交通体系の問題として、鉄道は沖繩だけがないのですよ。どこの県でも鉄道はあるのです。沖繩に国鉄をどうしても敷設しなくちゃいかぬということが全県民的な要求になりつつあります。すなわち、沖繩本島縦貫鉄道の建設、本土——沖繩、先島間の快速船の就航、都市モノレール敷設を実現し、縦貫鉄道を軸に縦貫道路、立体交差、公営駐車場を整備するなど、交通体系を確立するという問題は、当面、県民のほんとうの切実な要求であります。これにつきまして運輸省からもお聞きしたいし、さらに新長官からも、鉄道の問題は重要であるのでお聞きしたいが、その前に、どのように苦しんでおるかということは、これはたしか朝日の十二月十七日の投書欄なんですが、「拝啓運輸大臣殿」から始まっています。「十一月の沖繩の旅でお世話になったおばあちゃんに何かお礼を、と思い、十キログラムの荷物を持って国鉄の貨物取扱所に行きました。ところが、宮古群島には届かず、那覇どまりになるとのことです。沖繩本島近くの島々や宮古・八重山群島へは、海運会社との契約がまだで送れないのです。それで、惨めな気持ちで重い荷物をかつぎ、家に戻りました。」「どうか、郵便配達のできない六キロ以上の荷物でも、宮古群島の伊良部島に送れるようにして下さい。おばあちゃんは一人暮らしなので家まで配達できないと困るわけです。ほかの島々にも、便を設けていただければ幸いです。」という投書ですね。これは東京の十八歳の学生なんです。向こうへ行って世話になったおばあちゃんに荷物を送ろうと思ったら、できぬ。これも含めまして、いまの新幹線を何千キロ、あるいは高速道路を何千キロ、総需要抑制からいってもそんなのはだめですね。沖繩に鉄道がない、鉄道さえ敷設すれば、モノレールの問題、さらに鹿児島から大島、沖繩本島、宮古、八重山、離島に対する国鉄の船、そういったことをして初めて沖繩の交通体系というのはできるんだ。お聞きしたいのは、いまの荷物を送ろうと思ってできないというものにこたえて、運輸省は現在どういうことになっておるのか、簡単に答えてほしい。さらに基本的には、鉄道を敷くための調査費を新年度予算で組むかどうか、この問題を簡潔に答えてほしいと思います。
  171. 住田正二

    ○住田説明員 沖繩に国鉄を設置したらどうかという御質問でございますけれども、現在の段階沖繩に国鉄の施設をつくるという計画は、持っておりません。沖繩に鉄道が要るか要らないかという問題は、非常に重要な問題であろうかと思います。この点については、沖繩の交通体系をどういうふうに形成したら最も効率的であるかということを検討する必要があろうかと思いますけれども、現段階沖繩の交通体系がどういう形でつくったら一番効率的であるかということについての案ができていないのではないかと思います。しかし、かりに鉄道をつくる必要があるという結論が出ましても、それが直ちに国鉄がっくるということにはならないわけでございまして、やはり国鉄というのは全国の鉄道網の一環として形成するわけでありますから、沖繩で鉄道が要るという場合には、、むしろ県が中心となって鉄道をつくっていくというのが筋ではないかというように考えております。  また、沖繩本島と各地との間に国鉄の連絡船を設けるということについても、現在沖繩と先島各島との間では民間の事業者が定期船を経営しているわけでございますので、国鉄がそういうものと競争してやらなければならないということにはならないのではないかと考えております。  それから、先ほど小包が本土から宮古のほうに届かないという御指摘がございましたが、現在の国鉄の業務範囲からいいますと、鹿児島から沖繩まで運ぶ船、現在は琉球海運でございますが、これと連絡運輸の協定をいたしております。したがって、沖繩に着いたあとの小包をどう運ぶかということは、琉球海運の仕事でございまして、国鉄の守備範囲ではないわけでございます。したがって、国鉄ではなくて琉球海運が地元の通運業者とそのあとの配達をどうするかということを協定して実施していただくということになろうかと思います。しかし、非常にむずかしい問題でありますので、むしろそういう場合には県等が仲に入って、沖繩以降の配達についていろいろ調整していただくということが必要ではないかと思います。
  172. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 ただいま運輸省からのお答えでございますが、先ほど瀬長議員からは一回も行ったことがないかとおっしゃいましたが、私は占領中五、六回参っております。復帰後は参っておりません。それで、その当時の事情から考えましても、那覇中心の交通は全くたいへんなことなんで、ただいまのような中南都市、これについてモノレールのようなものを引くというようなことについての調査を四十九年度はひとつ要求しようというような方向で検討しております。
  173. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 時間が参りましたのでやめますが、あと二分ぐらい、サトウキビの問題で簡潔に答えてほしいと思うのです。  これは再告示を要求しましたら、田中総理は再告示せぬと言っておりましたが、現実にトン当たり一万円では、人夫賃が五千円になっている。一トンを収穫するまでに二人要る。そうなりますと、どんどん人夫賃は高くなりますから、人夫賃だけで全部吹っ飛んでしまう。だから、あと三千円は、それじゃどうするのか。政府は出さぬという。沖繩県で出せるか。百二十万トン出るとして、三十六億になります。これは沖繩県庁がさか立ちしても出ない金額なんです。ですから、政府は今度の予算で一万円にあと三千円プラスして、少なくとも三十六億の予算を、甘味資源確保の立場から、この計画があるのかどうか。なければそれに対してどう対処するか。最後の質問として、この点をはっきり、これは総務長官も責任があられますから、農林省だけじゃなしに、両方から答えてください。
  174. 永井和夫

    ○永井説明員 サトウキビの最低生産者価格につきましては、去る十一月二十日に決定、告示をいたしたわけでございますが、本年、四十八年産の価格につきましては、現行法に基づきまして、パリティ指数、それから生産費その他の事情を参酌いたしまして、価格自体は八千七百円、昨年に比較いたしまして二五%のアップのほかに、労賃、物価が上昇しておるというような事情あるいは沖繩のキビ作が例年の台風とか干ばつによって非常に被害を受けて粗放化しつつある事情というのを考慮いたしまして、特にトン当たり千三百円の生産出荷奨励金を支出するということを内定したわけでございます。これを合計いたしましたトン当たり一万円という実質農家手取り額は、前年度と比較いたしまして四三・九%のアップということに相なっております。本年度予算につきましては、さきに補正予算でこの千三百円の奨励費をお願いしたほか、この価格のアップ分を現在要求し、折衝中でございます。  なお、これに私ども見込みました以上に労賃が上がれば、それを当然価格にあげていくべきであるということにつきましては、これは私ども、価格政策以外の面につきまして、むしろ労務政策等の問題であろうとも考えられますので、これを自動的に価格を上げていくということは考えておりませんし、また再告示するということも現在考えておりません。
  175. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 お答え申し上げます。  予算委員会等におきましても、総理並びに大蔵大臣あるいは企画庁長官等からもはっきり申しておりましたが、所得補償方式は他の農産物に対しても非常に大きな影響があるので、現段階では考えられないということでございます。私もそのように考えております。
  176. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 終わります。
  177. 小濱新次

  178. 安里積千代

    ○安里委員 私に与えられた時間は十五分かそこらしかございません。いま同僚議員から御指摘ありました海洋博の問題、いろんな問題がございますけれども、私は現段階において海洋博を成功させなければならない、こういう基本的な考えを持っております。これが失敗に終わる、あるいは不成功に終わるということになりますと、これはいままでデメリットの問題、いろんな問題も指摘をされておりますけれども、それはもうたいへんなことになるのだ、こういう感じを持っております。そこでどうしても——どんなことをしてもというのは極端かもしれませんけれども、成功させなければならない、こういう感じを持っております。ただここで私たちは反省しなければならない問題があると思っております。これを成功せしめますためには、これは政府の側、現地沖繩の当局、国民、特に沖繩県民の協力がなければ成功しない、こう私は思っております。  それではこの三つの点において欠けた点はなかったかということを反省しますと、どっちにもあったと私は見ております。海洋博そのものの計画、これがはたしてあとから言われております——沖繩開発振興の起爆剤というようなことばも言われておりますけれども、初めからそういう観念でもってやったのか、あるいはまた海に望ましい未来という純真な気持ち、世界にも誇ると申しますか、かってないようなことをする、こういう崇高な目的を達するという純真な立場政府はこのことを考えたか。そうして政府のその考えというものを一方的に、強力に、極端なことばでいいますならば、現地に押しつけた、あるいはまた復帰の段階において、ややもすれば、復帰すれば沖繩基地経済というのがたいへんになってくる、基地経済からの脱却ということばがよくいわれる、なおまたある場合においては、復帰すれば沖繩は貧乏になる、イモとはだしの世界になるのだということも前にいわれたこともございました。そういうようなことの反動として沖繩に金を流さなければならない、何かの仕事をしなければならない、こういうばく然たる気持ちでこれが始められたのかどうかというようなことも考えてみなければならぬと思っております。正直な話、海洋博をやるということは、これも極端なことばかもしれませんけれども、非常に御都合的な、場当たり的な、あまり深い考慮なしの思いつきじゃなかったか、私はこういう感じを抱かされるのであります。政府がほんとうに先ばしりました。だがその政府の政治的な立場を先ばしらしたのが、はたして政府のそういう高い立場からの政策として推進したかというと、ほんとうはこのスタートにおきますいろんな事情を私なりに知っておるわけでございますけれども、本来これは、要するに企業家の人々が海洋博をやるということに便乗すると申しますか、これに乗ってきます、これが主体となります企業家の方々がその力をもって政治的な働きかけを政府にやった、政府がこれに乗ったのだ、私はそう見ております。ですから、もう政府がその気になれば、企業家というものがまっ先に進出をしてきたという結果にもなっております。この事業というものをほんとうにやる気持ちがあったならば、もっと総合的な考えというものがなければならなかったはずであります。常識的に考えられますことは、あの狭い沖繩に何千億の金が一時に入ってくる、当然狭い地域にくる、これはもうほんとうにインフレの状態というのを来たさないかということも当然考えられてくるはずであります。さらにまたこれには相当な資材を要する、また労働力を要する、これはどうなるのか、こういったことも総合的な出発の段階におきまして考えなければならなかった問題だと思っております。しかしながらやりさえすればいい、何とかなるといったような安易な考えというものがこのスタートにあったのじゃないかと思っております。したがいまして、そういう反省の上にわれわれは立たなければ、ただ政府が、ここまできたからどうしてでも推し進めなければならないというような気持ちではいけないのじゃないか。政府自身も計画のずさん、総合性を欠いておったというような点にも反省を加えながらやらなければならぬ。この段階において幾ら政府を責めましても、お互いが責任のなすり合い、責任の責め合いをしましても、私はものは進まないと思っております。特に私は、政治段階においてこういうことはきめて、これを実際に取り組むのは行政当局だ。行政当局の方々には気の毒だと思うような気持ちがします。またその重荷を負わされておりますところの現地当局というのも実にたいへんな重荷だと思っております。このために県政自体の、またあらゆる県民福祉のためにやらなければならぬいろんな問題が、ここに重点を置かれますために実におろそかになるというようなしわ寄せがきております。政府当局も、現地の県当局の苦痛というもの、また県民のこれによって受けておる、ことに地方自治体の受けておりますところのしわ寄せということに対しましても十分理解の上で進めていかなければならない、こう思っております。そして私が一番残念に思いますことは、昨年の十月段階におきまして、土地の買い占めその他の外部からの資本家の入り込みによって、県自体の責任であるところの土地の取得というような問題もなかなか予定どおりいかなかった。そのことがわかったのはすでに昨年の十月だったと思っております。その段階において、やめてしまえという声も実はあったのです。また十月までに土地を買収しなければとてもできないのだというふうな声も海洋博の協会の面からもあったと思っております。しかしそれを押し切って今日まで進んでまいりました。前回の沖特委でございましたか、私、質問をいたしました。いろんな心配することがあるのだが、はたして予定どおりできるかどうかということを通産当局にお問いいたしました。だいじょうぶできるというお答えでございました。記録にも明らかでございます。それはあまりに甘い考え方じゃないか、こういうことも申したのでございますが、できるということでありました。私もそれを信頼をいたしました。それは日本の技術をもって、力をもって期日に間に合わすためにあらゆる力を注ぎ込めばできる、こういう甘い考えとは思いながらも一つの信頼感を持って見ておりました。残念ながら今日延期状態になりました。この延期という問題につきましても、やむを得ないというふうにいわれておりますけれども、私は非常に不信感をそこに持つのであります。石油危機という問題が一つの口実になっております。私の聞くところによりますと、政府自身もこれは物価の問題であれ、資材の問題であれ、とうてい三月には間に合わないという見通しというのを持っておったのじゃないかと私は思う。しかし立場上だいじょうぶできるのだというふうに答えをされたんじゃないか。たまたま石油問題が起こった。やれやれ——これを口実に延ばした、こういうような感じを私は受けております。通産当局の方々はこれで何とかできるというふうにほっとしたという情報もあったほどであります。そこで、この延ばしたことが石油事情によるということがいわれておりますけれども、私はこういうふうに考えるのです。この異常な状態が生まれた。この場合に政府がほんとうに海洋博を成功せしめるだけの熱意と、ほんとうにそういうあれがありますならば、石油事情というこの異常事態というものを、逆に利用といっては語弊があるかもしれませんけれども、この機会にこそ海洋博を成功せしめる手段ということにできなかったか。具体的に申しますと、総需要の抑制ということが行なわれておりますけれども本土におけるところの開発あるいは四国に橋をかける、新幹線を置く、いろいろな事業、これは半年や一年おくれましてもそう支障を来たしませんし、だから日本全体におきまするそういう海洋博以上に資材を要し、労働力を要するところのこの仕事を、海洋博石油事情によるということで抑制するならば、それによって生ずるところの力を、労働力もあわせまして海洋博の問題は沖繩の復帰に伴うやらなければならぬことであるし、しかも国際的にも関係がある問題であるから、だから沖繩海洋博の問題だけは抑制せずに、むしろ本土におけるところのいろいろな大きな事業というものを繰り延べる、抑制する。ほんとうにやる気があるならばその機会にこそ労働力の問題であれ、資材の問題であれ、解決する道がなかったものか。私はそんな気持ちがしてしょうがないのです。ところが耳に達するところによりますと、もちろん石油問題は通産省関係でございましょうが、その抑制の方針というものを通産省が打ち出したときに、じゃ通産省の関係海洋博はどうするのだ、こういうふうに言われて、本土におけるいろいろな仕事の繰り延べのかわりに、海洋博延期というものがなされたんだ、こういうふうに私は耳にいたしております。  そこで、私は、ぜひ成功せしめなければならないというところの観点からいたしまして、需要抑制という、こういう中におきまして、沖繩海洋博について、このらち外において、どうしても資材の問題、労働力の問題、具体的に解決して、これを期日までに——延期したという決定をしておるようでありまするけれども、まず予定された既定方針のとおりを目ざして遂行していくところの考えというものがないものかどうか、そういうことができなかったかどうかというようなことについてお伺いしたいと思います。
  179. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 安里委員のたいへんな御理解のある御意見はありがたく拝聴いたしました。  なお、この海洋博につきまして、現在の総需要抑制の中だからこそ、もっと海洋博に対して、これは国家的な、また、ある場合には沖繩の県民の方々の心といいますか、そうした問題につながっている問題であるから、むしろこういう際にこそ思い切って海洋博の前進をはかるという御意見も、私はきわめて傾聴すべきものだと考えておりますが、われわれはこの延ばさなければならなかったという事情が、多少現在までのいろいろな工事のあるいは契約のおくれというようなことの中から考えられておったように聞いておるわけです。しかし、われわれとしましては、五十年三月に開会できるような、そうした考え方で実務当局は走らなければならぬというふうにも考えております。やはりいま置かれておる日本の情勢、必ずしも沖繩だけを除外するわけにもいかないという大蔵当局あたりの非常に強い意見もあるわけでありますが、私先ほど申し上げましたように、海洋博そのものは沖繩の知事さんが出した計画の柱の一つでございます。私らはそれを拝見いたしまして、沖繩の百万の方々の気持ちがここにあるというふうに私は理解しております。したがいまして、今度の延期につきましても、知事さんの意向、そしてまた、これを今後どうやって七月二十日までのオープンまで知事さんに努力していただけるか、何をなさるのか、そうした御決意も承って延期をきめたわけでございますが、われわれといたしましては、先ほど来御指摘の諸問題に対して積極的にどんどんと前向きにこの問題を進めてまいる気持ちは少しも変わっておりません。
  180. 安里積千代

    ○安里委員 私は、この問題のスタートから事情というものを若干知っておりますために、あまり政府を責める気にもなれないわけでございまするけれども沖繩現地において、あるいはまた政府自体も予想しておったかもしれませんけれども、多くのデメリットが生じた。これに対する政府の対処も足りなかったという点も争えないことでございます。また正直に工事着手、その他予定が予定どおり進行しなかったという点も私はそのとおりだと思います。しかし、それはそれなりに認めていいんじゃないか。ところが、そうであるにかかわらず、それを抜きにいたしまして、石油事情がこうなったからということを表向きの理由にいたしまして延期するという、何となくそこに不純なものを私は感ずる。もっと私たちは腹を打ち割ったところの、政府も、国民も、国会も、腹を打ち割ったところの話し合いの中からものごとを解決していかなければならないという気持ちを切にするわけです。そこで沖繩側におきましても、もちろん現地に行なわれておりまするいろいろなまずい点からいたしまして、反対の運動もある、反対の声も強い。反対の声が強いということは、協力の体制というものがやはり薄くなるという結果にもなります。だが、反対する者はいけないのだというふうに責めるわけにはいかないので、協力できるような措置というものを、私は政府としても考えなければならなかったと思っております。しかし、これをいまいろいろ取り上げましても、問題の解決にはならぬと私は思っております。今後どれだけ政府が誠意を尽くし、あらゆる点を尽くしてこれに対処するかということに、私は期待したいと思っております。  そこで、ただ一つだけお聞きしたいと思います。これは国際的な行事でございますので、この問題が延期になったということによって、他国に対する影響あるいは不信感、こういったようなものが日本に対して感じの上において持たれるようなことはないのかどうか、そういった点は完全に理解の上になされておるものであるかどうか、これは大臣のほうでおわかりでございましょうか。本来ならば外務大臣関係かもしれませんけれども、あるいは通産大臣関係かもしれませんけれども、総務長官としてお答えができましたらば、お願いしたいと思います。
  181. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 たいへん残念ながら、私といたしましては、直接に外国の反響等はまだとっておりませんのでわかりません。しかし、現在世界的に起こっておる石油危機の中でございまして、日本がほとんど九〇%をこえる石油を輸入している国であれば、当然その間の日本経済に与える強烈な影響はどこでもわかっておるのではないか。そうした中でも海洋博をやってのけるということのほうが、むしろ話題になっているというふうに聞いたことがございます。これが世界的な信用を非常に傷つけるものであってはならないのでございまして、そこに、開催期日につきましても沖繩方々の気持ちというものを私らは主張いたしました。同時に、世界的なこうした催しに対しての諸外国の反響というものについても、この程度で日本はしのいでいくというものであったほうが望ましいのではないかというような議論もいたしたわけでございます。
  182. 安里積千代

    ○安里委員 私も、いまおっしゃいましたとおり、この石油危機というものは、逆にいえばたいへん幸いしたと思います。また、日本がこういう危機の中にあってもこれを遂行するということによって、かえって信頼度を高めるというような声があるということでありますれば、私はある程度災いを利益に導くことができたと考えております。  そこで、先ほどからもお答えがありましたが、どんな事情が今後変わらないとも限りません。私が心配するのは、延期したということを決定をいたしましたけれども、この段階になっても、もうすでに延期だなんだかんだといって一カ月半ぐらい延び延びになったはずです。そこで、せっかく延期したけれども、これがまた十分でない、あるいはまた何らかのいろんな事情によって、これがそのときにまたできなかったということになりますと、今度は先ほどのお答えから見ましても、国際的な信用というものを非常に失うことになる、私はそのように思うわけです。それを念頭に置かれて、この問題を沖繩のためとか沖繩の経済の起爆云々、大事でございますけれども、同時に日本の力、日本の信用というものが国際的にどう評価されるかということにもつながる問題なんだ、私はそういう意味における国策的立場というものをとらなければいかぬと思います。私は、国策の名において、いっでも沖繩にいろいろなしわ寄せ、軍事基地の問題でもしわ寄せされていることを非常に不愉快に思いますけれども、少なくともここまで来ましたこの問題に対して、国民にも対外的にも信を失うようなあり方がなされてはいけない、その高い立場でこの問題に対処してもらいたいと思う。いまいたずらにあなた方をまずかったのではないかということで責めましても、国民の恥にしかなりません。どうかそういうつもりで進めていただきたい。これが一つでございます。  もう一つ、私少し気になることがあります。それは、今回の延期の場合におきましても、県知事の意見なんか聞いて現地の意向を聞いたということをおっしゃっております。これにも私、一まつの抵抗を感ずるのでございます。  それは何かというと、沖繩の側に一つの責任を転嫁したような気持ちがするのです。いままで沖繩においては延ばせとか中止しろという論があります。延期という機会に、これだけ延期したということに対します——沖繩側がいままで反対しておった。延ばせという声に対しまして、逆に、沖繩側から延期しろということは、その間に完成しろということでございますから、そうすると、現地沖繩においては海洋博を成功させるためにみんな一致してきめられたことなんだ。だから、これができなかった場合に責任の転嫁、沖繩側の要請によってこの期間というものを延期したんだ。政府としてはもっと長く延ばすべきだったんだけれども沖繩がこれだけでいいと言ったので、これだけに縮めたんだというようなぐあいになりますと、あとにまたしこりを残す問題があると思う。海洋博の成功のためには責任のなすり合いをせずにやっていただきたい、このことを私は申し上げたいと思います。  時間がございませんが、ついででございますので、私、この海洋博関連して、物価の問題、いろいろな問題で前向きに処理しなければならぬ問題がございますけれども、しかし、あまりこういう問題にとらわれまして、過去の大事なものをみんな忘れてしまって、過去において行なった沖繩の問題というものが、みんなどこかに消えていってしまっておるような感じがします。  その一つの問題といたしまして、復帰前にアメリカ返還をいたしました旧西原飛行場の補償の問題、これはアメリカ軍が一部補償いたしました。しかし手をつけたのは日本軍だった。だから、日本軍が手をつけたものについては日本がやれ、アメリカの責任でないということで補償した。この補償の問題、並びにこれに対します道路、排水その他の公共施設というものがつぶされた、この回復のために地元の西原村や中城村はたいへん負担が重い。こういう問題に対して、これは過去のことなんだ、この始末をしろということをずっと長い間、議会の名において、行政当局の名において陳情もされた。しかし、復帰前の問題であるということで今日までうやむやにされております。一体この問題に対して、あとからあとから沖繩に問題ばかり来るものだから、大きい問題ばかりにとらわれて、過去のことがみんな始末しないうちに消えてしまってはしようがないと思います。こういう問題を開発庁はお聞きになっておられると思いますが、これに対するお考え、それから、これは復帰前の問題でございますので、施設庁とは直接関係ないようにも思われますけれども、いろいろな調査施設庁はこれまでやられたはずであります。その結果、これに対してどうするかという問題について、私は最後にお聞きしたいと思います。
  183. 奥野貞広

    ○奥野説明員 同飛行場の補償問題には種々複雑な問題がありましたが、関係機関相互の調整が必要ということでございますが、昭和四十三年に米軍が支払った見舞い金の対象にならなかった分、ことに滑走路地域周辺につきまして、地元の御要望も理解できるところでございますので、四十九年度の概算要求事案といたしまして要求中でございます。
  184. 安里積千代

    ○安里委員 開発庁、何かありますか。これは、いまのものは滑走路などの問題でございますけれども、それ以外に、滑走路以外の本来ならばあるいは自治省、地方自治体において考えなければならぬ、市町村において考えなければならぬ問題があると思うのですから、開発庁に関係があるはずであります。
  185. 渥美謙二

    ○渥美政府委員 本件につきまして地元のほうから村道とか農道とか排水路とか、そういうものを整備したい、それについて工事費の助成をお願いしたい、こういうお話がございました。私どものほうで取り扱うといたしますと、農地改良の事業ということで位置づけまして処理するのが一番適当ではないだろうかというようなことで検討もいたしたわけでございます。ただ、現在の段階では、土地改良事業でやりますと、将来にわたりまして農地以外の転用ができないというような規制もあるわけでございまして、どうもそういう方法ではぐわいが悪いという地元のお話もございました。したがいまして、ちょっと土地改良事業でこれをやっていくということはむずかしいという状況はございます。全般的に非常に複雑な問題でございますので、ただいま施設庁からもお話がございましたように、私ども打ち合わせをさらに進めまして、何とか善処の道を見つけたいというふうに考えております。
  186. 安里積千代

    ○安里委員 もちろん施設庁でございましても復帰前の問題でございますので、補償とかなんとかいうような性質のものとは違うということもわかりますけれども、何らかの処置をしたいということで前向きのお答えがございましたが、第二は、開発庁のほうとしては、これを土地改良事業云々というお話もありましたけれども、それとは性格を異にするものでございますが、私が重ねてお聞きしたいのは、これはいつまでも研究したってしようがないんですよ。やるならやる、やらぬならやらぬ、早くいえば、来年度の予算においてこういうことも配慮するだけの立場で皆さん方は処理に当たろうとするのか、またやっておるのか、これだけはっきりしてください。
  187. 渥美謙二

    ○渥美政府委員 いままで主として施設庁のほうが中心になられまして、現状調査その他をお願いしてきておるわけでございます。どのような対策を立てるか、御指摘のようにじんぜん日を送るということは許されませんとは思っております。至急いろいろ検討してみたいと思います。
  188. 安里積千代

    ○安里委員 私は最後にもう時間がありませんから申し上げておきます。  沖繩問題、大臣、いろいろな復帰後取り残されている問題がたくさんあります。これを一々あげてどうするかということも時間がございませんけれども、申し上げたいのは、海洋博海洋博ということでみんな目が集中されまして、そうして先ほど私が成功しなければならぬ、こう申しましたのだが、その成功するためにみんなあらゆる問題が集中されて大事な問題というのが置き忘れられていく傾向があります。一例として私はこのことを申し上げたのでございますけれども、前からある問題なんです。新しい年度に対してこれに対して何とかしてやらなければならぬ。ことに海洋博の問題に関して地方自治体というのは財政的にもいろいろなものにしわ寄せが来ておる。そういう状況で過去にまだ残されたこの問題も、地方自治体だけの責任で処理しろというようなことになりましたならば、これはたいへんなことだと思うのです。ですから言いたいことは、海洋博海洋博ということで、それでそれを成功するがためにいろいろな無理でもして集中しまして、ほかのことというのが逆に忘れられてしまう、おろそかになっていく、こういうことのないように新しく就任されました大臣におかれましても、ぜひ積極的に、これまでの行政当局のいろいろな資料もたくさんあられるはずでありますから、どうです、あわせてやるという——そこに沖繩県民が政府を信頼してやろうというところの協力する気持ちも出てくると思います。やるべきことはやらずにおいて、海洋博政府のやるあれだけは協力しろ、これではいけないと思います。その点を大臣に御要望申し上げまして、大臣の所見を承って私は終わりたいと思います。
  189. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 お答え申し上げます。  おっしゃるとおりだと思います。そしてやはり大きなプロジェクトをやる場合に、小さな問題というよりも過去において非常に切実な問題がたくさんあるということはよく承知しておりますが、もう一回よく私も長官といたしまして、省内にたまっている仕事を全部一回掘り起こして、そして四十九年度の予算に間に合わなければ意味ないとおっしゃられればそれまででございますけれども、しかし予算に計上できるかできないかは別としまして、問題処理に対して前向きに当たるという方針で進みたいと思っております。
  190. 安里積千代

    ○安里委員 終わります。
  191. 小濱新次

    ○小濱委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時四十八分散会