○安里
委員 私に与えられた時間は十五分かそこらしかございません。いま同僚議員から御
指摘ありました
海洋博の問題、いろんな問題がございますけれ
ども、私は現
段階において
海洋博を成功させなければならない、こういう基本的な考えを持っております。これが失敗に終わる、あるいは不成功に終わるということになりますと、これはいままでデメリットの問題、いろんな問題も
指摘をされておりますけれ
ども、それはもうたいへんなことになるのだ、こういう
感じを持っております。そこでどうしても——どんなことをしてもというのは極端かもしれませんけれ
ども、成功させなければならない、こういう
感じを持っております。ただここで私たちは反省しなければならない問題があると思っております。これを成功せしめますためには、これは
政府の側、
現地沖繩の当局、国民、特に
沖繩県民の協力がなければ成功しない、こう私は思っております。
それではこの三つの点において欠けた点はなかったかということを反省しますと、どっちにもあったと私は見ております。
海洋博そのものの
計画、これがはたして
あとから言われております——
沖繩開発振興の起爆剤というようなことばも言われておりますけれ
ども、初めからそういう観念でもってやったのか、あるいはまた海に望ましい未来という純真な気持ち、世界にも誇ると申しますか、かってないようなことをする、こういう崇高な
目的を達するという純真な
立場で
政府はこのことを考えたか。そうして
政府のその考えというものを一方的に、強力に、極端なことばでいいますならば、
現地に押しつけた、あるいはまた復帰の
段階において、ややもすれば、復帰すれば
沖繩の
基地経済というのがたいへんになってくる、
基地経済からの脱却ということばがよくいわれる、なおまたある場合においては、復帰すれば
沖繩は貧乏になる、イモとはだしの世界になるのだということも前にいわれたこともございました。そういうようなことの反動として
沖繩に金を流さなければならない、何かの仕事をしなければならない、こういうばく然たる気持ちでこれが始められたのかどうかというようなことも考えてみなければならぬと思っております。正直な話、
海洋博をやるということは、これも極端なことばかもしれませんけれ
ども、非常に御都合的な、場当たり的な、あまり深い考慮なしの思いつきじゃなかったか、私はこういう
感じを抱かされるのであります。
政府がほんとうに先ばしりました。だがその
政府の政治的な
立場を先ばしらしたのが、はたして
政府のそういう高い
立場からの政策として推進したかというと、ほんとうはこのスタートにおきますいろんな事情を私なりに知っておるわけでございますけれ
ども、本来これは、要するに企業家の人々が
海洋博をやるということに便乗すると申しますか、これに乗ってきます、これが主体となります企業家の
方々がその力をもって政治的な働きかけを
政府にやった、
政府がこれに乗ったのだ、私はそう見ております。ですから、もう
政府がその気になれば、企業家というものがまっ先に進出をしてきたという結果にもなっております。この事業というものをほんとうにやる気持ちがあったならば、もっと総合的な考えというものがなければならなかったはずであります。常識的に考えられますことは、あの狭い
沖繩に何千億の金が一時に入ってくる、当然狭い
地域にくる、これはもうほんとうにインフレの
状態というのを来たさないかということも当然考えられてくるはずであります。さらにまたこれには相当な資材を要する、また労働力を要する、これはどうなるのか、こういったことも総合的な出発の
段階におきまして考えなければならなかった問題だと思っております。しかしながらやりさえすればいい、何とかなるといったような安易な考えというものがこのスタートにあったのじゃないかと思っております。したがいまして、そういう反省の上にわれわれは立たなければ、ただ
政府が、ここまできたからどうしてでも推し進めなければならないというような気持ちではいけないのじゃないか。
政府自身も
計画のずさん、総合性を欠いておったというような点にも反省を加えながらやらなければならぬ。この
段階において幾ら
政府を責めましても、お互いが責任のなすり合い、責任の責め合いをしましても、私はものは進まないと思っております。特に私は、政治
段階においてこういうことはきめて、これを実際に取り組むのは行政当局だ。行政当局の
方々には気の毒だと思うような気持ちがします。またその重荷を負わされておりますところの
現地当局というのも実にたいへんな重荷だと思っております。このために県政自体の、またあらゆる県民福祉のためにやらなければならぬいろんな問題が、ここに
重点を置かれますために実におろそかになるというようなしわ寄せがきております。
政府当局も、
現地の県当局の苦痛というもの、また県民のこれによって受けておる、ことに
地方自治体の受けておりますところのしわ寄せということに対しましても十分理解の上で進めていかなければならない、こう思っております。そして私が一番残念に思いますことは、昨年の十月
段階におきまして、土地の買い占めその他の外部からの資本家の入り込みによって、県自体の責任であるところの土地の取得というような問題もなかなか予定どおりいかなかった。そのことがわかったのはすでに昨年の十月だったと思っております。その
段階において、やめてしまえという声も実はあったのです。また十月までに土地を買収しなければとてもできないのだというふうな声も
海洋博の協会の面からもあったと思っております。しかしそれを押し切って今日まで進んでまいりました。前回の沖特委でございましたか、私、質問をいたしました。いろんな心配することがあるのだが、はたして予定どおりできるかどうかということを通産当局にお問いいたしました。だいじょうぶできるというお答えでございました。記録にも明らかでございます。それはあまりに甘い
考え方じゃないか、こういうことも申したのでございますが、できるということでありました。私もそれを信頼をいたしました。それは
日本の技術をもって、力をもって期日に間に合わすためにあらゆる力を注ぎ込めばできる、こういう甘い考えとは思いながらも
一つの信頼感を持って見ておりました。残念ながら今日
延期の
状態になりました。この
延期という問題につきましても、やむを得ないというふうにいわれておりますけれ
ども、私は非常に不信感をそこに持つのであります。
石油危機という問題が
一つの口実になっております。私の聞くところによりますと、
政府自身もこれは物価の問題であれ、資材の問題であれ、とうてい三月には間に合わないという
見通しというのを持っておったのじゃないかと私は思う。しかし
立場上だいじょうぶできるのだというふうに答えをされたんじゃないか。たまたま
石油問題が起こった。やれやれ——これを口実に延ばした、こういうような
感じを私は受けております。通産当局の
方々はこれで何とかできるというふうにほっとしたという情報もあったほどであります。そこで、この延ばしたことが
石油事情によるということがいわれておりますけれ
ども、私はこういうふうに考えるのです。この異常な
状態が生まれた。この場合に
政府がほんとうに
海洋博を成功せしめるだけの熱意と、ほんとうにそういうあれがありますならば、
石油事情というこの異常事態というものを、逆に利用といっては語弊があるかもしれませんけれ
ども、この機会にこそ
海洋博を成功せしめる手段ということにできなかったか。具体的に申しますと、総需要の抑制ということが行なわれておりますけれ
ども、
本土におけるところの開発あるいは四国に橋をかける、新幹線を置く、いろいろな事業、これは半年や一年おくれましてもそう支障を来たしませんし、だから
日本全体におきまするそういう
海洋博以上に資材を要し、労働力を要するところのこの仕事を、
海洋博を
石油事情によるということで抑制するならば、それによって生ずるところの力を、労働力もあわせまして
海洋博の問題は
沖繩の復帰に伴うやらなければならぬことであるし、しかも国際的にも
関係がある問題であるから、だから
沖繩の
海洋博の問題だけは抑制せずに、むしろ
本土におけるところのいろいろな大きな事業というものを繰り延べる、抑制する。ほんとうにやる気があるならばその機会にこそ労働力の問題であれ、資材の問題であれ、
解決する道がなかったものか。私はそんな気持ちがしてしょうがないのです。ところが耳に達するところによりますと、もちろん
石油問題は通産省
関係でございましょうが、その抑制の方針というものを通産省が打ち出したときに、じゃ通産省の
関係の
海洋博はどうするのだ、こういうふうに言われて、
本土におけるいろいろな仕事の繰り延べのかわりに、
海洋博の
延期というものがなされたんだ、こういうふうに私は耳にいたしております。
そこで、私は、ぜひ成功せしめなければならないというところの観点からいたしまして、需要抑制という、こういう中におきまして、
沖繩海洋博について、このらち外において、どうしても資材の問題、労働力の問題、具体的に
解決して、これを期日までに——
延期したという決定をしておるようでありまするけれ
ども、まず予定された既定方針のとおりを目ざして遂行していくところの考えというものがないものかどうか、そういうことができなかったかどうかというようなことについてお伺いしたいと思います。