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1974-02-22 第72回国会 衆議院 運輸委員会地方行政委員会公害対策並びに環境保全特別委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年二月二十二日(金曜日)     午前十時四分開議  出席委員   運輸委員会    委員長 三池  信君    理事 江藤 隆美君 理事 佐藤 孝行君    理事 佐藤 文生君 理事 太田 一夫君    理事 兒玉 末男君 理事 三浦  久君       唐沢俊二郎君    宮崎 茂一君       金瀬 俊雄君    久保 三郎君       斉藤 正男君    坂本 恭一君       梅田  勝君    紺野与次郎君       石田幸四郎君    松本 忠助君   地方行政委員会    委員長 伊能繁次郎君    理事 中山 利生君 理事 村田敬次郎君    理事 山本弥之助君       片岡 清一君    亀山 孝一君       武藤 嘉文君    保岡 興治君       井岡 大治君    多田 光雄君       小濱 新次君   公害対策並びに環境保全特別委員会    委員長 角屋堅次郎君    理事 坂本三十次君 理事 島本 虎三君    理事 土井たか子君 理事 木下 元二君       石井  一君    田中  覚君       佐野 憲治君    米原  昶君       岡本 富夫君    折小野良一君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 徳永 正利君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 三木 武夫君  出席政府委員         環境政務次官  藤本 孝雄君         環境庁企画調整         局長      城戸 謙次君         環境庁大気保全         局長      春日  斉君         通商産業省機械         情報産業局長  齋藤 太一君         運輸政務次官  増岡 博之君         運輸省航空局長 寺井 久美君         運輸省航空局技         術部長     中曽  敬君         建設省都市局長 吉田 泰夫君         自治政務次官  古屋  亨君         自治省財政局長 松浦  功君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      藤仲 貞一君         大蔵省主税局税         制第一課長   伊豫田敏雄君         運輸省航空局飛         行場部騒音対策         課長      棚橋  泰君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正己君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ————————————— 本日の会議に付した案件  公共用飛行場周辺における航空機騒音による障  害の防止等に関する法律の一部を改正する法律  案(内閣提出、第七十一回国会閣法第七一号)      ————◇—————   〔三池運輸委員長委員長席に着く〕
  2. 三池信

    三池委員長 これより運輸委員会地方行政委員会公害対策並びに環境保全特別委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして、私が委員長の職務を行ないます。  公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
  3. 三池信

    三池委員長 本案についての提案理由の説明は、お手元に配付してあります資料により御了承願うこととし、直ちに質疑に入ります。  この際、御質疑なさる各委員に申し上げます。  関係委員長協議の上、質疑時間等申し合わせておりますので、何とぞ御協力をお願い申し上げます。  なお、政府当局答弁は簡潔にお願いいたします。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。石井一君。
  4. 石井一

    石井委員 大阪空港公害訴訟判決がもう二十七日に出ようといたしておるわけでございますが、仄聞するところ、たいへん見通しはよくない、国が敗訴する可能性も非常にあるというふうに私は伺っております。時間が限られておりますので、こういう問題にあまり時間を費やしたくはないわけでございますけれども、国はこの裁判の結果どのように対処しようとしておるのか。それに対する覚悟はできておるのか。まずこの点についてお伺いをしてみたいと思います。
  5. 増岡博之

    増岡政府委員 まだあと数日の後に判決が下るわけでございますけれども、いま私ども行政当局といたしましては、その判決の予測を立てまして、それについてお話を申し上げる立場にないと思うわけでございます。しかし、いろいろな対策、あるいはまた裁判のあるなしにかかわらず、音源対策並びに周辺対策につきましては、今後とも、これまでもそうでございまするけれども、十分に対処してまいりたいと思います。
  6. 石井一

    石井委員 結果が出ておらないから、いまこの時点で明確な答弁をされることは非常にむずかしいと思うのでございますが、結果が出てから対処するというのでは、やはりこれだけ被害の大きい住民の心情を考えても、これはたいへんなことになる。したがって、相当長期的にいろいろの可能性というものを考えて御処置をなさらなければいかぬと思っておるわけでございますが、もう少し、たとえばこういうことも考えておるというふうなことが、この時点で言えることがありましたら、また控訴をするかどうかという点についても何か国としてのお考えがありましたら、ひとつお伺いしておきたいと思います。
  7. 増岡博之

    増岡政府委員 伊丹空港につきましては、従来から私どもといたしましては、騒音の一日の総量の減少といいますか、一機当たりの騒音を下げること、並びにできれば便数の削減ということも考えております。そのために低騒音でございます大型ジェット機を投入することによって便数を減らすということも考慮いたして、また地元との協議も始めておるところでございます。  それから、ただいま御審議をいただいております法律改正その他によりまして、周辺整備あるいは音源対策というものも十分にやっていかなければならないと思います。  訴訟につきましては、先ほど申し上げたとおりでございますので、御容赦願いたいと思います。
  8. 石井一

    石井委員 三木環境庁長官が御出席でございますが、昨年環境庁告示の百五十四号で航空機に対する基準を提示されております。たいへんきびしい基準だと、その点では非常に高く評価されておるわけでございますが、それと対応して、いま審議をいたしておりますいわゆる騒音防止法改正を見ますと、この基準に合うように持っていくのにはまことにたいへんであるということを痛感せざるを得ません。特に万博の時点で一本滑走路をふやすだけでも、当局はたいへんな苦労をされたわけでございますけれども、今度の五年までの時限内における処置、十年以内に処理するべきもの、その三段階のゾーニングというふうなものをこの基準に合わせてやろうと思えば、これは至難のわざではないか、こういうふうな感じもいたすわけでございますけれども環境庁長官は、この法律をごらんになって、この基準に合うものがこの法律の内において当然実施可能である、こういうふうにお考えでございますか。また、この基準に違反した場合には、もちろんきびしくこれに対しての監視を続けられると言われるわけですか。この法律に関して、いまの基準と照らし合わしてどういう御感想をお持ちでございますか。
  9. 三木武夫

    三木国務大臣 静けさというものに対して非常な関心が高まっておる。市民生活における環境保全の中の一つの大きな重要な項目になってきておるわけです。伊丹やチューリッヒとかベルリンなどの市街地における空港もありますけれども、そんなに世界のどこにもかしこにもああいう人口稠密地域空港があるわけではない。地域住民人たち騒音被害というものは、われわれとしても十分にわかるわけでありますから、これは非常にきびしい基準ではあるけれども、しかし何か目標というものを定めていく。一方においてはエンジンの改良も行なわれておるわけです。世界的に騒音というものが問題になって、ヨーロッパにおいても、アメリカにおいても、相当な資金と研究の陣容を投入してやっておるわけです。そういうエンジン技術開発というものも行なわれておりますし、また航空機運航についても、いろいろなくふうもできるわけでありますから、非常にきびしいけれど、しかし一般の人々の精神的、肉体的健康を保持するために、これくらいの基準を守ることが必要であるとするならば、やはり一つ目標を掲げて、みなが努力をするということが必要なのです。なかなか十年後に七十五という国際の水準まで持っていくということは容易ではないと思いますが、一つ目標を掲げて努力することが、一般地域住民の願っておる空港における静けさを保持するために必要であるわけでありますから、容易ならぬことを承知しながら、目標を設定したものでございます。
  10. 石井一

    石井委員 いま世論では、いわゆる空港公共性という問題と住民環境権ということが一つの争点になっておるわけでございますけれども環境庁長官は、空港公共性ということと、いわゆる環境権というものをどういうふうにお考えになりますか。
  11. 三木武夫

    三木国務大臣 むろん国際空港というものが必要であるという事態は否定できぬわけであります。関西伊丹空港の場合も、新しい関西国際空港をつくろうという声もあるわけでありますから、そういう場合には、公共性地域住民の願望とが両立できるような空港をつくるべきであると私は思うのですね、これからの新しい空港の立地については。こういうことを繰り返しておることは、公共性があるからといって、地域住民生活を犠牲にしてもいいという論は成り立たないわけでありますから、国際空港も必要である、地域住民生活環境を守ることも必要であるとするならば、それを両立できるような新しい空港をつくるべきである。そういう空港ができるまでの間は、伊丹国際空港でもあるわけですから、これをすぐに廃止してしまうというわけにはいかないわけです。しかし、新しい空港は、それを両立させなければいかぬ。その新しい空港ができるまでの過渡的な事態は、運航の点においても、いろいろな面で、地域住民被害をできるだけ低減するというような方法考えられなければならぬ。そういう形で、過渡的にはできるだけそれを両立さすための努力をすることが必要である、こう考えております。
  12. 石井一

    石井委員 結局、環境基準を守ってこれにいろいろの措置をいたしましても、過渡的な措置であって非常にむずかしい。抜本的にはやはり新しい両立する空港をつくらざるを得ない、こういうことになろうと思うのでございますが、関西国際空港に対する答申というものがおくれにおくれておる。四十六年に諮問されておるわけで、もうすでに何年も前に答申が出ておらなければいけないこの重要な問題が、今日までおくれておる。まあ本年の七月に答申が出るということでございますから、そのおくれておる理由についてはここでとやかく申し上げませんけれども答申が出ました後に具体的に事業着手までどういう方法論考えておられるのか。これはもうすみやかに解決をしなければいかぬということでありますが、地元の情勢というのがますます混迷をきわめておるということであります。時間がありませんので、ひとつ簡単に、答申が出てから空港を着手するまで何カ月くらいかかって、どういう措置をどういう順序でやろうとしておられるか、御回答いただきたいと思います。
  13. 増岡博之

    増岡政府委員 航空局長お答えいたさせます。
  14. 寺井久美

    寺井政府委員 お答え申し上げます。  先生の御指摘のように、大体七月ごろ答申がいただけるものと考えておりますが、答申を受けました後の段取りといたしましては、このような大プロジェクトは、地方公共団体協力がなくては完遂できませんので、まず審議内容及びそれに要しましたいろいろな資料を添えまして、地方公共団体十分協議をし、御理解をいただいて建設着工したいと考えております。  期間の点につきましては、現在のところ確たる見通しはございませんが、地元の各関係市町村のいろいろの御意見もございますので、御理解をいただくまでにかなり月日がかかるというふうに考えております。
  15. 石井一

    石井委員 いまのお話だと、すでにもう現在伊丹空港は限界に達しておる、こういうことです。そして今後、答申がどんどんおくれ、さらにそれから後かなりの時間がかかる、こういうふうなことになりますと、これはますますもって関西空港ができるのかどうか、まことに原則的な疑問点が多いわけです。私などが伺っておりますところでは、技術的な問題についてはもう相当詰めができ、いろいろの試算、調査というものができておるにかかわらず、結局政治的な問題というふうなものがこういう形で残っておる。そうして伊丹がこういう問題になっておるからよけいその政治的な問題が複雑にからみ合ってきておる、こういうふうな状態になってきておるわけでして、どうもやり方が、何か後手後手に回っておるような感じがして私にはなりません。現地では、まず伊丹空港というものに対して、これを共存さすのか、あるいは廃止さすのかということが、非常に大きな問題であって、廃止さしてもらいたいという非常に強い希望があるわけでありますけれども伊丹空港撤去見通しについてはどういうふうにお考えになっておるわけですか、新空港の建設と関連してお答えをいただきたいと思います。
  16. 寺井久美

    寺井政府委員 伊丹空港と新空港関係につきましては、現在新空港に関する答申を待っている段階でございますけれども、新空港が完成されました暁に、どのような位置にどのような規模でできるかということが一つございまして、それとの関連におきまして伊丹空港というものの今後の状態——空港が完成いたしますまでには相当の年月を要しますし、その間に音源対策あるいは周辺対策というものもある程度進んでまいります。使用される航空機も変わってまいる可能性もございますので、その時点におきまして、伊丹空港の存続が適当であるかどうかということを総合的に判断したいと考えておりますが、その時点地元関係府県地方公共団体が、伊丹空港は存続すべきでないというような御結論になりますれば、これは撤去の方向に行かざるを得ない、こういうふうに考えております。
  17. 石井一

    石井委員 この新空港位置とそれから規模ということが答申内容になっておる。これはどこが優先であるかということが七月には明らかに出てくるということを期待しておるわけでございますか。
  18. 寺井久美

    寺井政府委員 審議会におきましては、環境問題に特に重点を置きまして審議をいたしております。その結果、位置規模について御答申がいただけますので、その候補地につきましての優劣が当然御答申いただけるものと期待いたしております。
  19. 石井一

    石井委員 それでは、いま御答弁になりましたことをまとめますと、七月の時点には、第一候補としてのいわゆる候補予定地というものが明示される、それからその時点答申に含まれた内容によって伊丹を存続するかどうかを決定する、そうしてその時点地方公共団体に交渉を始める、合意が得られればつくる、かなり時間がかかる、合意が得られないという見通しが現在の場合非常に強いわけでありますけれども、そういう場合には関西国際空港をつくらないのか、どういうふうにお考えなんですか。
  20. 増岡博之

    増岡政府委員 先ほど航空局長から申し上げましたように、非常に環境の問題その他、地元への影響が大きい問題でございますから、したがいまして、地元の御理解、御協力がいただけるまではなかなか実現困難であろうというふうに思っております。  なお、念のために申し添えますけれども、その間伊丹空港につきましては、既定方針どおり騒音対策並びに周辺対策をやっていくつもりでおります。
  21. 石井一

    石井委員 では政府側の見解としては、いまの御答弁を聞いておりますと、これは新空港というのはなかなかできないなという感じがしてならぬわけでありますが、それではほんとうは困るわけであります。航空機需要というのはますます大きくなってきておる。ところが、現在の伊丹と新空港とのことを考えますと、この法律によっていろいろと措置される、それが十年間に五千三百億というような膨大な国家予算をつぎ込もうとしている。新空港ができ上がるのは何年か何十年先かわかりませんが、一兆円以上の予算がかかる。しかも、その五千三百億円の措置というものに対して、その後確固たる方針がない、存続さすのかさせないのか。私が申し上げたいのは、すでに昭和四十六年に答申を得ようと努力をされておる。この時間がずるずるとおくれておるために、地元受け入れ体制をどんどん悪くして、しかも需要に合わないような状態のまま、結局二つとも同じような形で、方針もきまらず進められておる、こういう形になってきておるわけであって、しかも、いまの答弁を聞いておると、関西空港に対する確固たる方針方法論というものがなかなか伺えない。私は、やはりこれは国家的な経済的な見地から見ましても非常に大きなロスがあるし、その辺はもう少し、この必要性ということを考えました場合に、地方公共団体公共団体と申しますけれども、国のほうがしっかりした方針を出さぬから、結局はずるずるべったりになって、問題がますます複雑化しておるということをひとつ当局としては十分認識されて、これに対して答申待ちであるとか何であるとかいう態度を改められないと、この根本的な問題は解決しないと私は思うのでありますけれども、何かもう少しこの新空港に対する前向きな答弁をいただくわけにまいりませんか。
  22. 増岡博之

    増岡政府委員 御指摘の点は全くそのとおりでございまして、私ども先生のお考え十分頭に入れて今後対処してまいりたいと思います。
  23. 石井一

    石井委員 時間が参ったようでございますから……。  私はこういうふうに申しておりましても、伊丹騒音防止に対して手をゆるめろというようなことを申しておるわけでございません。これに対してはひとつ徹底的に基準を守りつつ十分な被害者に対する措置をしていただかなければいけません。それをやっていただくことによって、新空港を建設するための住民に対する強い説得の材料にもなると思いますし、また政治への信頼を回復するということにもなると思います。現在まで進んでおります関西国際空港に対する政府、特に運輸省やり方方法というふうなものは、ますます住民の不信をつのらせる、そういうことをひとつお考えをいただいて、この事業に万全を期していただきたいということを要望いたしておきます。  以上で終わります。
  24. 三池信

  25. 中山利生

    中山(利)委員 ただいま石井委員から、関西国際空港関連いたしまして質問がありましたが、私は新東京国際空港、いわゆる成田空港関連をいたしまして御質問を申し上げたいと思います。  時間があまりありませんので簡単に二、三点だけ質問したいと思いますが、現在までの成田空港工事進捗状況あるいは開港予定日、いつごろからこの空港が使用できるのか、まずお答えをいただきたいと思います。
  26. 寺井久美

    寺井政府委員 成田空港におきましては、現在、航空燃料輸送用パイプラインを除いて主要施設はすべて完成いたしております。  パイプラインにつきましては、当初計画されました千葉港頭から東関東自動車道路側道を経まして新空港に至りますルートが、鉄道、河川、道路等横断部工事に相当長期間を要することと、また、千葉市内の一部ルートについて沿道住民千葉当局との関係から工事を中断せざるを得ない状態になりまして、この本格的な本ルートの完成にはなお相当長期の期間を要するという状態になっております。  そこで、このために、この本格的なパイプラインに暫定的に変わるものといたしまして、鹿島地区及び京葉地区から鉄道によりまして航空燃料を輸送し、成田の土屋というところから空港内まで暫定的にパイプラインを布設いたしまして航空燃料を補給するという計画を、四十七年の夏、公団か立てました。それで、運輸省公団において関係機関協力を得て、昨年末ようやく着工の段取りになった次第でございます。現在この暫定パイプライン工事を鋭意進めております。また鹿島地区におきまして燃料取り扱い施設を設置する必要がございますが、これにつきまして千葉県知事承認等が必要でございますし、また鉄道輸送につきまして、沿線の地元関係市町村からいろいろ安全対策について要望が出ております。これらの問題の解決に現在鋭意努力を続けているところでございます。  また、このほかに、御存じのように滑走路の南側に、反対派によって建設されました妨害鉄塔が二基ございますが、これも各方面の協力を得まして撤去をするという措置をとらなければなりませんので、これの努力も続けております。  開港の時期がいつごろであるかという御質問でございますが、現在のところ確実にいつごろということは申し上げられませんが、本年じゅうに何とか、開港したいということで、関係者一同努力をいたしておる次第でございます。
  27. 中山利生

    中山(利)委員 この空港開港にあたって、地元に対してかなりの騒音対策防音工作その他いろいろな対策が立てられていると思います。そうして今度のこの法改正によって、なお一そうの対策の充実がはかられると思うわけでありますが、現在具体的にどのような騒音対策がとられているか、簡単でけっこうですからお話し願いたい。
  28. 寺井久美

    寺井政府委員 成田空港におきましては、現在いわゆる騒音防止法の規定に基づきまして空港周辺学校等防音工事助成共同利用施設の設置に対する助成、あるいは空港周辺一定区域内の移転補償等を実施いたしております。  また、騒音が著しいと認められる地域につきましては、千葉県におきまして民家の防音工事を先行的に実施いたしております。
  29. 中山利生

    中山(利)委員 この新空港周辺には、従来の羽田空港、あるいは米軍飛行コース、あるいは自衛隊の下総基地、百里基地、それからそのほかにも龍ケ崎、河内といったような民間の小さな飛行場があるわけでありますがこういうものとの関連飛行コース等が定められると思いますけれども、この飛行コース等についてはすでにきまりているわけでございますか。
  30. 寺井久美

    寺井政府委員 ただいま御質問の新空港関連いたします飛行コースにつきましては、千葉県、茨城県等にかかります内陸部分につきましては、まだ最終的に決定いたしておりませんが、考え方といたしましては、航空機の航行の安全を確保いたしますとともに、できる限り、その内陸部分に住んでいらっしゃいます住民方々に、騒音影響が少なくなるようなコースということで、目下検討をいたしております。  それから、新空港百里飛行場関係でございますが、当面はそれぞれの飛行場におきまして管制管轄区域を設けまして、お互いに独立した進入管制ターミナルレーダー管制飛行場管制等を実施する計画になっております。このために、両方の空港出発進入経路を分離いたしまして、運航上は支障のないようにいたしたいというふうに考えております。  また、龍ケ崎等小型航空機につきましては、高度を制限するなどの措置をとりまして、新空港出入航空機と完全に飛行空域を分けるということを考えております。  また、将来新空港離着機が増大いたしますことを考えまして、百里空港進入ターミナルレーダーを新空港で一元的に運用いたしまして、空域の有効的な活用ができるように計画をいたしております。
  31. 中山利生

    中山(利)委員 この飛行コースの問題は、騒音対策以上に、危険防止事故防止という点で重要だと思いますので、ひとつ緊密な連携のもとに、地元住民に不安を与えないように御配慮をいただきたいと思います。  そこで、ことしの一月に茨城県の新利根村の騒音対策委員会方々空港公団に陳情に参りました際に、公団のほうから、利根川北側茨城県のほうの側は、高度が五百メートルないし六百メートルに達するので、もう飛行機が転回可能で、利根川より北側へは飛行機が飛んでいかないのだ、そういうことで、騒音対策については考えていないというような説明を聞いてきたそうでありますが、この問題はその後訂正をされました。私もそのことは承知しておりますけれども、その後のことしの二月七日に、地元の十の市町村長さんたちが行ないました陳情などを見ましても、やはりそういう前提のもとに、利根川から北へは飛んでこないでほしいといったような陳情が行なわれているわけでありますが、これは実際上非常に無理があるのではないか。  そこでもし、私はしろうと考えでありますけれども茨城県の南側、いま陳情をされている地域におきましては、飛行機の転回点その他になりまして、騒音もかなりきびしいのではないかというふうな考えを持っております。また、先ほど石井委員からお話がありましたように、環境基準のいわゆる七十五ホンというやつ、あれを前後する、七十五ホンに達しないから補償は要らないのだといったようなことではなくて、その前後の非常に騒音影響を受ける地域がここに何カ村かできるということは明白だろうと思うのですけれども、これに対する補償あるいは対策というようなものについてお伺いをしたいと思います。
  32. 寺井久美

    寺井政府委員 ただいま御指摘利根川北側の町村につきまして、成田空港の出発進入航空機によりまして、相当の騒音影響があるというふうに考えております。これも当然のことながら、いわゆる騒音防止法に基づきます助成、補助は行なわなければなりませんし、また実際に飛行機が飛びだしました後に精密なる測定等を行ないまして、必要な措置を講じていきたいというふうに考えております。
  33. 中山利生

    中山(利)委員 ぜひそういうことで、愛情のある配慮をお願いをしたいと思います。  与えられた時間がありませんので、まとめてお願いやら質問やらをしたいと思いますが、大臣もおいでになっておりますのでちょっと聞いていただきたいと思いますが、この改正案を見ますと、周辺整備機構といったような、おそらく第三セクターみたいな形でこの周辺整備が行なわれると思いますけれども、この問題については運輸委員会等で十分に詰められたことと思います。しかし、この空港周辺整備といったような仕事の内容からいいまして、あまり見返りというものは期待できない。したがって地方公共団体に対する財政の圧迫といったものもかなり強くなるのではなかろうかというふうな考えを持つわけでございますが、こういうものに対しましても十分な御配慮をいただいて、ただでさえ貧弱な地方財政を圧迫しないように御配慮をいただきたいということ、それからもう一つは、先ほども申し上げましたが、各種の対策とか補償とかにつきましても、先ほど言いましたような、環境基準が七十五ホンであるからとか、距離がどうだからというようなこと、そういう基準をたてに地方のいろいろな実情に対して配慮の欠けるような発言あるいは施策というようなものが行なわれないように、十分に御協力をいただきたい。また、飛行コースの決定その他いろいろな周辺整備事業関係の施策等につきましては、すみやかに関係各町村長さんたちに少なくとも密接な御連絡をいただきたい。この三点を、できるかできないか、大臣からひとつ御答弁をいただきたい。
  34. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 地方財政に圧迫にならないような配慮をせいということでございます。御承知のように、いろいろな面で地方にもごやっかいにならなければならぬことがあると思いますが、その点につきましては、私どもその実情もよくわかっておりますから、今後十分検討しさらに努力をしてまいりたいと思います。  それから、おっしゃるように、ただ単一的な線引きによってその対策を進めるということだけじゃいかぬじゃないかというお話でございますが、地域住民の皆さん方の立場に立って、そういう点についても十分配慮してまいりたいと思います。  なお、いろんな施策を進める上には地方公共団体の皆さん方の御協力を得なければならないことが、土地利用の問題にしましても、立地規制の問題にいたしましても、たくさんございますから、そういう面につきましては遺漏のないような連絡と処置をとってまいりたいと思います。
  35. 中山利生

    中山(利)委員 ありがとうございました。  もう一点だけお伺いします。この整備事業のいろいろな基準につきましては、現在防衛施設庁が行なっております基地周辺の整備事業、あの仕事との関連といいますか、同じような基準でやられるのか、多少ニュアンスを異にしているのか、お伺いしたい。
  36. 寺井久美

    寺井政府委員 防衛庁のやっております基地周辺対策というものと運輸省航空局のやっております空港周辺騒音対策というものは、騒音対策という面ではある程度同じでございますが、防衛庁の基地周辺対策というものは、いわゆる民生安定的な対策というものも含まれておりまして、この点が多少食い違っております。音の対策やり方にいたしましても、防衛庁の空港周辺騒音地域のとり方、これは従来同じでございましたが、今回の法改正を機会にいたしまして、われわれはWECPNLという一つの尺度でもって騒音の程度をはかろうといたしておりますが、防衛庁の航空機の場合には、民間航空機と違いまして、一定の方向から出入りをするというような性質でございませんので、この音のコンターの描き方というようなものもおのずから違ってまいろうかと思います。また、先ほど申しましましたように民生決定的なものを当面含んでおりませんけれども たとえば公民館というようなものにつきましても、騒音対策の一環としてわれわれは取り上げていきたい。ただ、防衛庁が取り上げております中には、たとえば看護婦の養成学校というようなものもございますが、ここまではなかなかわれわれのほうの騒音対策としてはとっていけない。したがいまして、騒音関係につきましては同じ考え方でございますけれども、多少民生安定的な面では違ってまいっております。そういう実情にございます。   〔三池運輸委員長退席、角屋公害対策並びに環   境保全特別委員長着席〕
  37. 角屋堅次郎

    ○角屋委員長 土井たか子君。
  38. 土井たか子

    ○土井委員 ただいまから私質問させていただくわけですが、与えられております時間がたいへんに短うございます。そこで質問のほうも思い切りはしょって質問をいたしますが、ひとつ端的な御答弁をあらかじめ要望いたしておいて質問に入ります。  まず、昨年の七月この航空機騒音防止法改正案を国会に提出されるにあたりまして、運輸省航空局長名で、伊丹、豊中など大阪空港周辺自治体の同意を取りつけるために出した文書がございます。その中身はもう周知の中身でありまして、四十八年の七月九日という日付が打ってございますが、その中に「現大阪国際空港の将来のあり方については、新関西国際空港との関連において十分検討を要するものであるが、その開港時点にこれを撤去することをも含めて可及的速やかに検討するものとし、その検討に際しては地元公共団体の意思を十分尊重するものとする。」とございます。これからしますと、大阪国際空港撤去ということもやはり考える必要があるということが御認識の中になければこういう文書は出ないはずです。お尋ねいたしますが、大阪空港を欠陥空港と運輸大臣はお考えであるかどうか、ひとつ端的なお答えをいただきます。
  39. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 いろいろな問題を地域住民の皆さま方に、騒音等によって御迷惑をかけていることは、私が申し上げるまでもなく、申しわけないことだと思っております。が、需要の問題に対しましてどうこれを解決していくかということで今日まで努力をしてまいっておりますが、御指摘の通達につきましては私も承知いたしております。いまの時点で、それではすぐ撤去をする、新しい空港ができたら全部やめるかどうかということ等につきましては、その時点地域の皆さま方とも十分御相談し、また考えてまいりたいと思います。
  40. 土井たか子

    ○土井委員 全く答えになっていないんです。だから最初に要望を私は申し上げた。端的に欠陥空港とお認めになっているのかどうかに対してお答えがいただければそれでいいんです。いかがです。
  41. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 いろいろな問題を含んでいることは確かでございますが、必ずしも欠陥空港だというふうにも考えておりません。
  42. 土井たか子

    ○土井委員 欠陥空港でないという側面は、一体それじゃどういうふうな根拠において御認識になっておるわけですか。その点にいたずらに私は時間を費やしたくないのですが、一言だけまず御答弁いただいて次にいきましょう。
  43. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 欠陥という意味でございますけれども、どういうところをつかまえて欠陥かどうかという問題があろうと思います。騒音等において地域住民の皆さま方にたいへんな御迷惑をかけておる、こういう点においては確かに問題を含んでおりますが、しからば欠陥空港かどうか明確に答えろ、一言で答えろということのお説のようでございますけれども、そういうことになりますと、先ほど来お答え申し上げておるとおりでございます。
  44. 土井たか子

    ○土井委員 住民方々に迷惑をかけているという意味においては欠陥空港だということをお認めになりますね。それは先ほどの御答弁でも、たいへんに御迷惑をかけて申しわけなく思っているというふうな御答弁だったわけです。そうして、きょうここに審議をいたしておりますこの法案の中身でおもなる問題は、やはり住民に対しての生活保全、環境保全という点じゃないでしょうか。そういう点から考えていきますと、いまあの大阪国際空港住民に対して与えている影響、その結果どういうふうな状態になっているかということ、これは運輸大臣はこの担当の行政最高責任者としてはっきり御存じのはずなんであります。御存じなかったらおかしい。したがいまして、住民に与えている影響、つまり住民側からいうと、これによってもたらされているところの、いろいろな環境における住民生活の中身をごらんいただいたときに、この空港には、その側面から考えれば、欠陥空港ということがはっきり言い切れるというふうな側面があるのではないか、このことについてはどうお考えになりますか。
  45. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、騒音問題につきましては、確かにこれは大きな問題をかかえておりまして、そういう点においては、そういう面に欠陥のあることは私も認めております。その対策については、今日まであるいは今後においても十分なる配慮を払ってまいらなければならない、かように考えております。
  46. 土井たか子

    ○土井委員 住民の立場に立って考えれば欠陥空港ということをただいまお認めになったわけでありますが、今回、この問題について審議をするについては、公害の側面から空港の、住民に対して与えているこの影響から考えますと、抜本的にやはり騒音発生源対策ということが中心課題だと私は考えているのです。  そういう点から思いますと、昨年の十二月に環境庁を通じて中公審の答申に従って出されております中身、これは言うまでもなく公害対策基本法に基づくところの中身でありますけれども、この中身をまずは完全実施していくための努力というものがやはりなければならない。これが肝心なところだろうと思うのですね。しかし今回の法案を見ますと、その発生源対策という点がまことにあいまいであり、不十分であります。むしろ周辺の住民に対していろいろ対策をどういうふうに講じていくか、立ちのきである、緑地帯、緩衝地帯を設ける、いわゆる地域に対しての再開発ということと合致した一つ周辺整備ということに重点が置かれているわけです。したがいまして、あとで公害対策そのものについての、この発生源ということに対してどういうふうな御認識がいま現にあるのか、これからなされるのかということについてお伺いを進めたいと思いますが、それに先立って、運輸大臣御承知のとおりに、住民の移転補償、国が出す補償額というものは、実際のところ、地価より大幅に安いということがいままでわざわいのもとであります。  移転補償事業というのは、国家予算がついたのが四十五年でありまして、事業に実際に着手をいたしましたのは四十六年。ところが、そのときには補償対象が約二万五千戸あった。ことしの一月までに移転交渉が成立をした数はわずか百八十九件にしかすぎないわけであります。一体どこにこういうふうに非常に移転交渉成立の少ないという理由があるかというと、一にも二にも地価よりも大幅に安い補償額に不備の原因がある。それから考えていきますと、今回、これはもうもはや言うまでもございません、WECPNL九〇以上の地域は、この大阪空港周辺では伊丹、豊中、大阪、川西、池田、宝塚、尼崎、この各市にまたがる十三・三平方キロ、家屋も人口にして考えてまいりますと八万六千九百七十人に及ぶわけであります。また、防音工事をしなければならない八五以上の地域についても約十万人の人たちがいるわけであります。いま運輸省空港周辺整備計画は、そういう点から考えてまいりますと、財政的に非常にむずかしいのじゃないかということが考えられる。  いま私があげました数値というのは、この空港周辺関係十一市が寄りまして四十七年の暮れから約一年間かけて調査した結果出てきてはじき出された数であります。そういうことからしますと、この当初の補償事業というものが発足して以来、物価は御承知のとおりに高騰する一方でありますし、地価というものは非常に高くなっている。こういう点から考えて、今回の、財政的に裏づけがあるとは言いながら、この中身ではたしていいのかどうか、非常に心細い。心もとない。むしろこういうことからすると、まやかしの住民に対する言いわけにしかすぎないのじゃないかという声すら出てきているわけであります。運輸大臣、この点についてどういうふうな措置を講じようとなさっているか、お伺いいたします。
  47. 寺井久美

    寺井政府委員 先生指摘のように、この移転補償が予定どおり進まなかったという原因にはいろいろございますが、特に買い取り価格というものが売り手と一致しなかったというのも一つの原因でございます。土地の価格につきましては、一般の公共用地の取得の場合と同様に扱っていかなければならないというのが原則でございまして、空港周辺の移転補償だけを例外とするという措置が非常にとりにくうございました。しかしながら、できるだけ時価による修正等を行ないましてやってまいっておる次第でございます。第二には、移転先の代替地がなかなか獲得できなかった。代替地の価格にも問題がございました。第三には、事務能力が十分でなかった、こういう理由から非常におくれておるのは事実でございます。そういうことから、今回、周辺整備機構というものによって事務能率をあげ、代替地を安く造成をして移転先の確保につとめるという考え方で法案の改正をお願いしておる次第でございます。  資金手当てが十分かという点につきましては、御指摘のように不十分な面もあるかと存じますが、これは物価その他を勘案しながら、今後その財源の確保につとめ、最大限にこの実現に努力をしていきたいというふうに考えております。
  48. 土井たか子

    ○土井委員 そういう抽象的な御答弁をいただいている間に、時間が非常にむだなんであります。将来、そういうことに対しては努力をしようと思うというふうな御答弁なら、これは要らない。財政的な裏づけはこれで十分と考えていらっしゃいますか、と私は運輸大臣にお尋ねをしている。特に参考人をお呼びしての御意見の中にもございましたとおり、発生源者の負担というものはゼロであります。その意味も含めて、この予算に計上されつつある額の中身は大幅に変動する可能性もあるかないかという点も含めてひとつ御答弁いただきます。
  49. 寺井久美

    寺井政府委員 まず、二点についてお答えしたいと思いますが、発生源者の負担がゼロであるということは、必ずしも私どもそういうふうに考えておりません。この空港整備計画というものは、特別会計によって実施されておりまして、この特別会計の財源といたしましては、空港の着陸料、航行援助料、燃料税あるいは通行税の一部というようなことから成り立っておりまして、やはり利用者が負担をしておるという意味で発生源者が負担をしておるという面もかなり大きいというふうに考えております。  第二の財源手当てでございますが、これは騒音対策というものが今後非常に重要な問題になってまいりますし、これは何も大阪の伊丹空港のみの問題ではございません。全国的にこれを配慮していかなければなりませんので、こういう騒音対策に必要な特別な財源というものの手当ても今後実現していく考えでおります。
  50. 土井たか子

    ○土井委員 それに時間を長く費やすわけにいかないのですが、いまの御答弁からしますと、発生源者が負担をまるでしていないと言うわけにはいかない。現にこういうしかじかだという御答弁でありますが、それはいまさらあらためて承るまでもなく、いままでそうだったのです。特に今回の法案で問題にされている周辺整備について、大幅な予算を計上して思い切ってやるということでありますから、新たに出発するぐらいのつもりでこの問題に対しては考え直していいと私は思っているのです。  そういうことに対して一体思い切った措置がとられる可能性があるのかないのか。この点からすると、いまのままじゃ非常に心もとないのですよ。以前と同じように、立ちのきをすすめてもなかなかそうはいかない。また、移転補償についていろいろ交渉を重ねても、なかなかうまく事が進まない。これの繰り返しだろうと私は思うのです。したがって、こういうことに対して十分なる措置が講じられているかという点を見れば、これが十分でないという意味で私はお伺いしているわけでありますから、将来にわたってこの中身を充足させていくつもりで、予算についても大幅な変動があり得るということが大臣のお考えの中にあるのかないのか、その点をひとつお聞かせください。
  51. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 御指摘の点につきましては、十分私も考えております。
  52. 土井たか子

    ○土井委員 周辺について十分考えていらっしゃるということでありますから、十分に考えていらっしゃるということになると、五千三百億を大幅にこすという場合もある、将来これに対しての国家予算をどれだけ投入してもひとつ住民の意思に沿いたいと考えている、こういうふうな御趣旨と理解していいわけですね。
  53. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 できるだけの努力を積み重ねて、住民の皆さん方に御迷惑のかからないような努力をいたしてまいりたい、かように考えております。
  54. 土井たか子

    ○土井委員 これは環境庁の中公審による答申に従っていろいろ策を進められる。しかし、それではたして住民からすると、空港がない場所に居住をなすっている方と同様の快適な生活が営めるかというと、どれだけ策を講じても、空港があすこにある限りは、やはり騒音はなくならないのですよ。騒音にやはり悩まされるという毎日が続くわけであります。そういうことを考えていきますと、いま運輸大臣のおっしゃった、非常な決意でもってこれに臨みたいと言われるような意味、よしといたしますが、何としても問題になるのはやはり発生源対策じゃないか。いま運輸省は、発生源対策に対して一つ考えていらっしゃるのは、大型機の乗り入れという問題があるようであります。そうですね、大臣。大型機に切りかえていきたい、そういうことがあるようであります。  ところで、この大型機の問題については、四十七年の八月三十一日に覚書がございまして、これは大阪国際空港騒音対策協議会長あてに運輸省航空局のほうから出ている覚書でございますが、中身は、大型機、ワイドボデー機の乗り入れについては同空港周辺住民理解がない場合は行なわないという従来の方針は変えない、という趣旨のことがはっきりここに書かれてあります。御存じですね。それからいたしますと、最近、騒音対策の一環として、新聞紙上でも、どうも大阪空港にも大型機の乗り入れが運輸省によって強く考えられているらしいということが、住民の間ではいろいろ話題になっているわけであります。  そのやさきに、実は伊丹空港辺の各戸に入っております新聞の中の折り込みに、最近こういうたいへんりっぱな折り込みが入ってきた。これは日本航空が入れている折り込みであります。中身は、一言で言うと、エアバス乗り入れ、ジャンボ機の乗り入れの住民に対するすすめであります。私はこういう問題に対して、住民に対してこういう新聞の中の折り込み、これもたいへん豪華なものでありますが、運輸省が全く知らないということは私は言われないと思うのです。運輸大臣御承知のとおりに、これは、日本航空株式会社法の十二条の二によって考えてもこのことが言える。特にこの中身に対して、私はこまかい点はきょう一切申し上げるわけにはいきませんが、事実に反する問題の記述がございます。二点あげましょう。  一つは、環境庁の「航空機騒音に係る環境基準に合致させるよう具体的な対策を実施するのは運輸省航空機騒音防止法改正による「空港周辺整備機構」の発足、航空法の改正による航空機騒音証明制度の導入等の対策を実施します。」と書いてある。まだこの法律改正できておりませんよ。ただいま審議中なんです。審議中ということは、この改正案が成立するか成立しないかわからないという段階じゃないですか。ましてや、ここのあとのほうに書いてある「航空法の改正」というのはこれから先にかかる問題であります。審議の途上に乗るか乗らないかも正確に言えばわからない。こういう問題が、あたかもでき上がったように書いてあるんですよ。この問題についてまず運輸大臣、どういうふうにお考えになりますか。
  55. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 実は私、その新聞をまだ読んでおりませんし、いま御指摘のような内容であるとするならば御指摘のとおりでございまして、まことに遺憾なことだと思います。
  56. 土井たか子

    ○土井委員 さらにもう一つ指摘しましょう。  もう一つ指摘の文面は「日本航空は年々二百億円近いお金を、通常の税金のほかに、特に空港整備特別会計に繰り入れており、空港周辺対策費もこの会計の中から支出されています。」二百億円調べてみました。どこをどうしても二百億円ないのであります。四十七年度、これは四十八年度について言うと、まだ十二月までのことしか出ておりませんからこれは正確には言えない、まだ四十八年度は終わっておりませんからね。四十七年度についてだけ言うと、大体概算七十億程度であります。ここに書いてある数字は二百億円と書いてあるんですよ。これは根も葉もないことなんです。  しかも、もう一つ言いますと、これは基本的な問題、こういうふうなことをいってるる住民に対して宣伝をなさる。しかも正確なものならまだしも、それは一つ資料として意味があるかもしれないけれども、中身はまことに不正確な宣伝文をためにあの住民に対して流される。その日本航空が実は現に使っている航空機についても、エンジンなどについてこれを騒音を減らしていく方向で努力をなすっているのかというと、必ずしもそうは言えないわけであります。これまた日本航空でありますから、運輸大臣、運輸省に対して私はものを言うときに、責任が運輸大臣や運輸省にないとは絶対に言わせませんよ。  そういうことからいいますと、いま大阪空港で使用されている機種について調べてみた。DC9は、おそらく運輸大臣御承知だと思いますが、プラット・アンド・ホイットニー社のいわゆる8Dというエンジンを装備いたしております。いまその8DというエンジンはFAAの騒音証明にも合格しているということを聞いております。騒音証明に合格しているかいないかという問題は、やがて審議されるかもしれない航空法の一部改正にひっかかる問題でありますね。日航の現に就航させているボーイング727、これは大阪空港で、いろいろタイムテーブルを調べてみますと二十八回離着陸をしているわけでありますが、DC9と同じ8Dのエンジンを装備しているわけです。しかし、この8Dのエンジンの中身は、FAAの基準値以下ではない、つまり騒音証明に合格していないのを取りつけているのです。飛行機全体をかえる必要はない、エンジンの部分だけをかえるということは、これは技術的に可能なんですね。やろうとすればできるのですよ。しかも日本航空は、日本航空株式会社法によって、これをやろうとしたときには予算措置を要求できるわけであります。しかも運輸省としては騒音対策に対しての責任がやはりあるわけです。発生源対策についてしっかりやっておりますということをいつもおっしゃるわけでありますし、しかも最近、もう二十七日に判決を迎えるわけでありますが、大阪で地域住民が国を相手どってこの大阪空港騒音公害、公害裁判を営々と続けている中身でも、国のほうは、発生源対策に対してこのように努力しているということをいつも言われる。そういう観点からすると、このありさまというのは、現に使用されている飛行機についての努力のあとがない。これはまさにいまの大阪空港に対して、この騒音対策を十分に講じないでおいて、新空港建設ということを住民に訴えられても、住民は納得しないのと同様であります。  現に使われている飛行機に対しての騒音対策騒音を押えていくための対策というものに対して、どれくらい誠意をもって努力を払っていらっしゃるかということは、みんな見ているのですよ。そういうことからしますと、大型機の乗り入れや大型化ということに対しての宣伝を幾らお金を使っておやりになっても、これは住民としては断じて納得する問題にはならないだろうと私は思うのです。こういうことに対して運輸大臣、どういうふうに考えていらっしゃいますか、また、どういうふうに責任を果たそうとなさっていらっしゃいますか。
  57. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 エンジンの技術的なことにつきましては、詳細は政府委員から答弁させますが、音源対策というのは、確かにいままでもやってまいりましたけれども、いろいろ問題を残しておるわけでございます。大型機の問題につきましても、公害対策審議会の御答申もちょうだいいたしまして、騒音の少ない大型機を乗り入れたらどうだという、大型機に変更すべきじゃないかというような御答申内容にあるわけでございますし、そういうようなものも含めて、今後もさらに騒音対策、これが航空機では一番大きな問題でございますから、努力を重ねてまいりたいと思います。  エンジンの問題につきましては政府委員から答弁させていただきます。
  58. 棚橋泰

    ○棚橋説明員 お答え申し上げます。  先生指摘のように、ボーイング727のエンジンはダグラスのDC9についておりますJT8Dと同様のエンジンでございます。ただ、このエンジンが、先生おっしゃいますように、騒音証明基準に合格するような改修が量産化いたしましたのは一昨年ぐらいでございまして、当初新生産機にこれを装着をいたしておりまして、昨年あたりから順次古い型のエンジンの交換というようなものに生産が回ってきたわけでございます。  そのような観点から、私どもはこれを使っております日本航空、それから先生指摘ございませんでしたけれども、全日本空輸、あの飛行機の727も同様のエンジンでございますが、これを順次この騒音証明がついて改修の終わったエンジンに交換させるということにいたしまして、昭和四十九年度から政府関係の融資をこれにあっせんいたしまして、交換をさせていくということにいたしております。したがいまして、いま御指摘のございました日本航空のボーイング727につきましても、四十九年からこれに改修をさせると、かようにいたしております。
  59. 土井たか子

    ○土井委員 いまの御答弁で、いままで全くやっていらっしゃらなかったということが非常にはっきりいたしました。だめなんですよ、こういうことじゃ。  ほかの問題も種々まだまだございますので、委員長にひとつ申し上げたいと思います。これは運輸委員会の席でさらに問題にすべき問題だと思います。したがいまして、運輸委員長並びに運輸委員会理事会において、来たる日に日本航空の社長を参考人としてひとつお呼びいただきますように、委員長のほうからもお口添えのほどをいまここで要望申し上げます。
  60. 角屋堅次郎

    ○角屋委員長 ただいまの点については、本連合審査で土井委員のほうから御要請が出たということを運輸委員会にお伝えしまして、運輸委員会で御相談を願うようにお願いしておきます。
  61. 土井たか子

    ○土井委員 時間の都合からもうあと二間ばかり質問をいたします。  運輸大臣、昨年十二月の中央公害対策審議会の例の「航空機騒音に係る環境基準の設定」の中に「汚染者負担の原則」という個所がございまして、そこの部分をいまから読み上げますが、そこにはこう書いてあるのです。「公共用飛行場周辺における環境基準達成のための防音対策、用地買収等に要する費用については、各飛行場ごとに、負担することを原則とし、これらの費用を料金等に反映させる等の措置を検討すること。」とあります。御存じでいらっしゃいますね。これに対して現に、大阪国際空港についてだけ申しましょう。あそこに就航しているところの飛行料金について航空会社にどういうふうな、この中身を実施するための措置を講じられつつあるか、また今後、もう先日の参考人の御意見の中にもございましたが、特に兵庫県知事などは強く要望されておりまして、代替交通機関のある場合は、その部分における航路というものは廃止していいのじゃないか。端的に言えば東京−大阪線であります。そういう問題も含めて、このことに対しての大臣の措置はいかがでございますか。
  62. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 新五カ年計画におきまして、そういうような御指摘の点も十分配慮してまいるつもりでございます。
  63. 土井たか子

    ○土井委員 いまの御答弁じゃそれは答弁になってないです。そんなことはお聞かせいただかなくたってわかっているわけであります。具体的に「費用を料金等に反映させる等の措置を検討すること。」とあるのですよ。検討することとある中身は運輸大臣がどのように検討されるかによってきまっていくわけであります。現にどのように検討されているわけでありますか。
  64. 寺井久美

    寺井政府委員 お答え申し上げます。  環境庁の勧告に基づきまして、この騒音対策等に要する費用をどのように課徴するかにつきましては、目下検討中でございまして、考え方といたしまして、現在進行中の空港整備五カ年計画を、五十年度を当初といたします新五カ年計画に組みかえますその際に、そのような手当てをする方向で現在検討中でございます。
  65. 土井たか子

    ○土井委員 それはまたさらに抽象的なんですがね。第一次五カ年計画というのも、あれは終局的には中身は完全実施され得なかったんですね。そうして終息して第二次に入っているのです。いまの中身も、これは新全総に基づいて作成されているわけでありますから、そういう点から言うと、だから一番最初に運輸大臣に申し上げたわけでありますが、住民サイドに立って考えたら、この空港整備の中身は拡張整備につながるという頭がありますよ。現にそういうことで、私は運輸省からも資料をちょうだいしました。資料の中身を見れば、これはやはり拡張整備だと言わざるを得ない中身であります。だから、そういうことからも考えていって、発生源対策ということになると、これからの大阪空港それ自身のあるべき姿というものは、拡張じゃないのですよ、中身をだんだん縮小していかなければならない、むしろあの大阪空港の機能性というものを削減していかなければならない。それでこそ私は発生源対策だと思うわけであります。そういうことからすると、先ほどおっしゃったような抽象的な御答弁じゃなくて、私の耳にしただけでも、東京−大阪線というのは、大阪から東京に飛ぶ飛行機についても同様でありますが、料金はいまの少なくとも二倍くらいにして当然じゃないか。場合によったら、二倍ではまだまだ少ないので、四倍も五倍も六倍もにしなければならないという可能性も持ってますよ。だけれども、少なくとも二倍くらいにするというのは、いま常識じゃないかということがいわれているのです。運輸大臣、このことについてどうお考えでありますか。具体的に言ってくださいよ。
  66. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 二倍、三倍、四倍、いろいろな御発言がございますけれども、私どもも、決してこの料金の問題をなおざりにしているわけではございません。実は、いろいろと検討を加えておる最中でございまして、またいずれ御相談申し上げることがあるかもわかりませんが、ただいま検討中でございます。
  67. 土井たか子

    ○土井委員 検討中検討中はけっこうであります。それならば申し上げますが、大阪でもう判決を目の前にしています裁判所の公判廷において、被告すなわち国側が立証されてまいりました航空需要予測というものがあります。これは、ずっと主張されてきた、この航空需要の予測の中身を見ますと、いろいろな条件があるわけですが、その一つに、算定基準として「航空需要の予測は航空料金が鉄道料金に比して相対的に二〇%低下するという前提でなされている。」ということは、ずっと続いてきたことですね。こういうことで、航空需要というものの先の伸びというものをいままで運輸省は読んでこられたわけであります。この点はくずれますね。先ほどから、料金については検討中であるという御答弁でありますが、この鉄道料金に比して相対的に二〇%低下するという前提で計算されてきた料金に対する認識というのはくずれておりますね。いかがです。うしろに一々お聞きにならないで、大臣言ってください。
  68. 寺井久美

    寺井政府委員 需要予測につきましては、先生指摘のように、確かに国鉄運賃に対して低いということに基づきまして、現在の需要予測が出ております。しかしながら、今後考えます場合には、そういう形の需要予測というものは変わってまいる、変わってまいらざるを得ないというように考えております。
  69. 土井たか子

    ○土井委員 需要予測というものが変わる、すなわち中身を、端的に言うと、需要内容というものは大阪空港では低下させていかなければならないという意味での航空運輸料金の策定でなければならない、こうだと思うのです。  そうしますと、そういうことともあわせまして、総合的に今回のこういう周辺整備にあわせて、空港そのものの将来像というものを、運輸省としてはっきり出していただきたいのですよ。環境庁から出されておりますあの中公審の中身を十年間に実施する、これはたいへんなことであります。実現させていくという義務があるわけですからね。それからしても大阪国際空港の将来あるべき姿というのはこういうふうにやっていきたいんだ、十年の間にこういうことになるのだということが出なければ、住民は納得できないのですよ。住民側からすれば周辺整備に対する心がまえもあります。十年の間に、環境庁から出されている中身について、運輸省はこの空港に対して、先行き五年の間にはこうしたいと考えているのだ、三年の間はこうなのだ、先行き一年間はこうだというふうな構想を発表するのが、私はこの法案に先立つ問題だと思うのです。そうじゃないですか、運輸大臣。このことは、最後になりましたけれども、御出席をいただいた環境庁長官にも一言お願いをいたしまして、もう時間ですから私は質問を終えます。またときをあらためまして、運輸委員会に出していただいて、質問の機会が与えられたならば、私は再度質問を続行させていただきたいと思います。
  70. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 ごもっともな御意見だと思います。それが御審議いただいておりますこの機構問題でございまして、これによってその整備を進めていきたい、かように考える次第でございます。
  71. 三木武夫

    三木国務大臣 どうしても地域住民の現状というものは捨て置くわけにはいかぬわけですから、どんなに困難であっても環境基準は守るように努力をしてもらいたい。そのためにはやはり音源対策もあると思います。ところが、飛行機は日本がつくってないですから、これはアメリカでたいへんなプロジェクトチームを編成してやっているようです、航空宇宙局、それから連邦航空局などで。そういうことで、音源対策ということはエンジンの改良が一番でありますが、そういうことでエアバスなども一方において問題があるけれども騒音の面からいえばDC8などに比べて八ホンから十ホンくらいは騒音が少なくなることは事実でしょう。ああいうのもやはり研究の結果生まれた飛行機であることは事実であります。  それと、運航の面において、一昨年に環境庁が勧告をしたときにも十時以後の飛行は禁止したわけですから、郵便だけが飛んでおったのをこの三月からやめることになった、こういう点も騒音対策の一環だと思いますが、また一方においては、御審議を願っておる法案なども、そういう防音設備を学校や病院ばかりではなしに、今度は民家までしょうということですし、移転とか、問題があって——まあ根本的には空港の立地というのはこれから問題だと私は思うのですよ。そのことは、関西における新しい空港というものもいま審議会にかかっておるようです。これは将来のことを考えたら、いまの日本の空港のようなスケールではなかなか問題がありますので、立地条件ということは、今後、将来のことを見通し空港というものにしないと、こういうことを繰り返しておったのでは、地域住民に対してやはり非常な環境上の問題を提起するわけでありますから、いま言ったようなことがこれからの音源対策といいますか、騒音対策として取り入れられなければならぬ問題だと考えております。
  72. 土井たか子

    ○土井委員 もう時間ですからこれで終わりにしたいと思います。あとまた公害特別委員会のほうで環境庁長官に具体的な中身を御質問する機会もありますから、それはそれに譲りたいと思います。ありがとうございました。
  73. 角屋堅次郎

    ○角屋委員長 井岡大治君。   〔角屋公害対策並びに環境保全特別委員長退   席、伊能地方行政委員長着席〕
  74. 井岡大治

    ○井岡委員 先ほどもお話がございましたように、四十四年からこの騒音の問題で裁判で争っておいでになりますが、二十七日に判決が出るようでございます。私は、この判決を待つまでもなしに、もっと努力すべきことがたくさんあったのではないか、こう思います。たとえば、憲法の二十五条でいっていること、それから公害対策基本法でいっている一条、二条、この問題について運輸省当局はいままでなおざりにしておった、こういうように考えるのです。これが今日この裁判になったことであるし、同時にまた、最近国民からいわゆる住民パワーという形でいろいろな公害の問題に対する多くの批判と争いが出てきている、こう考えるのです。そこで、この裁判の中で非常に重要なことをいままで運輸省は全くなおざりにしておった、こう考えるのです。  「争点」の中にこういう問題があります。いわゆる被告側の主張の中で「需要の年々の増大」「郵便機の必要性」「国際条約ないし国際交流の必要性」、こういうことからわれわれとしてはいまのままでしかたがないんだ、わずかに「航空機騒音防止法によつて学校の防音工事共同利用施設助成をとつているから住民被害を受忍すべきである。」忍ばなきゃいかぬ、こういうようにいっている。この姿勢が私は今日の問題の大きな争点になっていると思うのです。この点について、だから私たちは今度の法案を出したんだ、こういうようにあなた方は言いのがれをなさろうとするでありましょうけれども、私は間違いだと思うのです。いままでにおやりになったことについてひとつ話をしてみてください。
  75. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 公害問題につきましては、御指摘のように裁判とは別に、私はこの騒音対策問題というものは、行政の面から進めていかなければならぬ問題だと思います。今日までこうした不幸な裁判というようなものになったことにつきましては、これは別のことといたしましても、行政といたしましては、それとは別ないろいろな面から努力を積み重ねていかなければならない。また、やるべきこともあったろうと思います。御指摘のように、おまえはこの法律案によって、これからやろうとしているのだという言いのがれをしようとしているんじゃないかという御指摘でございますけれども、決してそうばかりではございません。それは、いままでのいろいろな手抜かりも率直に認めた上で、今後そういうようなこともあわせて整備を進めてまいろう、こういうことでございますから、御理解を賜わりたいと思う次第でございます。
  76. 井岡大治

    ○井岡委員 実は大臣、きのうの朝の102に、名古屋の新幹線の百キロに落としたあれが出ておりました。きょうの新聞にも出ております。ごらんになりましたね。ごらんになりませんか。いかに住民騒音に悩まされておるかということ、これがなくなることによって、どんなに安らかに生活ができるかということを、あの102で、落として通ってきたら、涙を流しておじいさんは、このようにやってくれればわれわれは裁判などをしたくないのだ、こう言っているわけです。  基本法は四十二年の八月三日から施行されているんです。裁判は、初めの裁判が四十四年に提訴されている。いかに運輸省当局がこれらの問題について無神経であったかということが言えるのではないかと私は考えるのです。いままでやっておった——やっておったのはわずかに、ここにもいっているように学校の防音工事。私は、あの通っている下の大阪の三国という小学校によく行きますが、飛行機が通りがけたら先生が幾ら話をしても講義が聞かれぬ。わからないのです。全部やめてしまうんです。御承知のとおり二分間隔で飛行機は通っていますよ。一時間のうちに先生が授業をするのは、わずかに十五分か二十分だけしかできない。防音装置をしたといっても、冬はよろしいけれども、夏は窓を締めていたら暑くって蒸しぶろに入っているのと一緒ですよ。御存じないでしょう。それで国民はこの被害を受忍すべきだ、こうあなた方は主張している。これはどういうことなんです。これらに対してどういう対策を講じようとされているか、教えてください。
  77. 寺井久美

    寺井政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生指摘の、防音工事を施工した結果、非常に夏蒸し暑くなるという欠陥もよく認識いたしておりまして、これにつきましては除湿装置を学校等につけていくということで現在進めております。
  78. 井岡大治

    ○井岡委員 だから私は言っているんですよ。四十二年に法律は施行されているんですよ。四十四年に裁判が提訴されているんですよ。そして、これを受忍すべきだなどといっていままで放置をしている。こういうことで新しい空港をつくるなどといっても住民理解をしますか。しないでしょう。環境庁長官、いま大阪で新空港をつくるのに——運輸大臣じゃないですよ。長官か言われたわけです。あんなところに国際空港なんてつくるもんじゃないんだ、できれば移転したいんだ、こういうことなんです。これはスムーズにいくとお考えですか、長官。
  79. 三木武夫

    三木国務大臣 大阪としても、やはり国際空港必要性というものは、大阪の府民の方々が認識をされておると思います。もう全然大阪は国際空港は要らぬのだ、飛行場も要らぬのだ、これはやはり大阪の府民の考え方ではない。伊丹がいろいろ欠陥のある空港であるというのは、いま土井委員の御質問の中にも出ておったようですから、一番根本的な一つ対策は、新しい空港をつくって、そしてそれが国際空港になり一また向こうの大阪における拠点になることが好ましいわけですから、したがって、実際問題として、飛行場ができると周辺の人たちはやはりなかなか迷惑がかかるわけですからね、騒音ばかりでなしに。しかし、一方において必要だというんですから、いま言ったような生活環境の面と国際空港必要性、これを両立できるような立地条件を考えるということが、大阪ばかりでなしに、大阪、兵庫県、両県にわたる一つの——そこがやはり知恵の出しところでないでしょうか。もうみな要らぬというなら別ですよ。それは必要だということならば、それと、どうして生活環境との間に両立をはかるような飛行場の立地を考えていくかということが、やはり大阪や兵庫における一つの英知だと私は思うのであります。だからそれは解決をされるように御努力を非常に期待しておるわけです。
  80. 井岡大治

    ○井岡委員 長官は期待論の話をされた。私は、大阪空港を拡張するときに、急ぐあまりに十分なるコンセンサスが得られておらなかった、こう思うのです。もしコンセンサスを得ておられたとするならば、四十二年に法が施行されておるわけですから、この法に基づいていろいろなことが措置されておったはずなんです。航空局長も、蒸し暑いのがわかったからこれからやります、こう言っているんですよ。こういうような状態ですから、コンセンサスは得られてなかった。だから、得ようとするのなら、飛び込んでいって一日か二日——あなた方おいてになっても、たかたか半日か一日くらいです。すわり込んで裁判をやっている人方と、こうするから、これをいつまでにやるから、こういうように話をして初めて国際空港としての機能を果たすのだろうと私は思うのです。かりに受け入れたとしても、いまから十年かかるのですよ。  もう時間がありませんから私はこれでやめますけれども、どこにこしらえるのです。泉南にこしらえるといったって、泉南はみんな反対しているのです。尼崎の沖にアイランドをつくってやる、神戸の沖にアイランドをつくる、これにみんな反対している。そうすると、かりにこしらえるとしても、いまから十年もかかる。そうすると、十年間はいまの空港を使わざるを得ないのでしょう。こんな法律一つ出して、これができたらこれでやれますなどと言っておったのなら、いままでできておるはずです。これで法改正は何べん目です。三べん目でしょう。そのつどあなた方は、うまくやるんだ、うまくやるんだと言ったんだ。これで皆さんに納得してもらえるんだ、こう言ったんだ。一つも納得していないじゃないですか。  もう時間が来ましたから私はこれでやめますけれども、もっと、法を通すというより——そのことも大事でしょう。そのことも大事だけれども、あなた方が裸になって住民の中に飛び込んでいく、この姿勢がない限り、やがてはあの伊丹空港は全く機能を失うだろう、このことを警告をして、私の質問を終わりたいと思います。
  81. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 山本弥之助君。
  82. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 今回の改正につきましては、関係知事の空港周辺の整備計画の策定と、この計画を実施をいたします団体として空港周辺整備機構を設置することにあると思うのでありますが、特に大阪空港を中心といたしまして、すでに具体的に昨年度の予算等苦労なさっておられると思うのです。そこで私は、地方自治の立場から、この機構と関係地方公共団体関係につきましてお尋ねいたしたいと思います。  まず、この機構は、設立当時の資本金は政府及び関係地方公共団体となっておりますが、資本金の増加をする場合には、政府並びに地方公共団体の設立当初のような出資によるのか、外部の資本金を導入するのか、そのことによりまして機構の性格がだいぶ変わってくると思いますが、いかがでございましょうか。
  83. 寺井久美

    寺井政府委員 お答え申し上げます。  現在資本金十億円で発足を予定いたしておりまして、二億五千万につきまして大阪府、兵庫県から御出資をお願いしているわけでございますが、将来のことはまだ現在はっきり確定いたしておりません。当面この十億の資本金で運営したいというふうに考えております。  それから、外部の資本、つまり民間の資本を入れる考えはないかという御指摘の点でございますが、これはこの機構の性格上、やはり民間資本を入れないほうがよろしかろうというふうに考えております。
  84. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 私も、機構の条文の構成からいいますと、いままでに例があるかどうかわかりませんけれども、私どもの知っております範囲では、非常に変わった機構のように感じておるわけです。私も外部の資本を入れるべきではない、当然第一義的には政府の責任、第二義的には地方公共団体の出資によりましてこの機構を運営すべきであるというふうに考えます。  それにいたしましても、この機構の管理につきましては、設立当時は政府地方公共団体、あるいは学識経験者——これもよくわからないのですけれども、発起人になってつくるわけでありますけれども、できました以後におきまして、地方公共団体の関与することは非常に関係が薄くなっておる。ほとんど運輸大臣の認可その他によりまして、事こまかく、それこそ微に入り細にわたって機構の監督をし指導をするという体制になっております。このことにつきまして私は、役員の構成においても同じわけでありますけれども、たとえば評議員の任命にしても、かりに出資をしない地方公共団体、あるいは地元伊丹市が出資をしないというような場合があり得るとするならば、その出資をしない市長の意見を機構の中に反映させるという意味においての評議員の任命というようなことは——出資をしない地方公共団体については評議員にも任命をしないというたてまえになっておるようであります。これらの関係は、私は当然、出資をしない関係地方公共団体も評議員にいたしまして、十分意見を聞くべきであるというふうに考えますが、いかがでございましょうか。
  85. 棚橋泰

    ○棚橋説明員 法律の条文のことでございますから私からお答え申し上げます。  先生指摘のように、評議員の任命につきましては運輸大臣の認可の規定になっております。しかしその評議員の中身につきましては、先生の御趣旨のように地元関係方々の御意見が反映されるように任命するのは当然のことでございまして、この条文で評議員を置きましたこと自体が、そういう事態を予想しておるわけでございます。さように運営するという方針になっております。
  86. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 そうすると、条文によりますと学識経験者の部類に入るわけでございますか。
  87. 棚橋泰

    ○棚橋説明員 大体その分類に入るというふうに考えております。
  88. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 そうでありまするならば、当然その出資をした地方公共団体ということではなくて、出資の有無にかかわらず、関係地方公共団体関係者を評議員に入れるというふうな条文にすべきではないかと思うのでありますが、いかがですか。
  89. 棚橋泰

    ○棚橋説明員 先生の御指摘は、この機構に非常に利害関係の強い地方公共団体というものはこれに加えるべきであるという御指摘かと思います。この法律が予想いたしておりますのは、非常に利害関係が強くて、その事業をともどもやっていくという場合には、これに出資をいたしまして、そして出資をいたしました地方公共団体となってやっていく。それから、そういうのではなくて、利害関係はございますけれども、それに対していろいろ客観的立場から意見を反映していかれるという立場の場合には、学識経験のある方として地方公共団体の方に評議員に入っていただく、かようになっていくのではないかというふうに考えております。
  90. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 最初の答弁と食い違っておるわけですね。関係地方公共団体の意見を十分に参照しながら運営をするという御答弁があり、それでは出資をしなければ評議員にしないのかということになれば、出資をすることが関心の深い団体であるというふうな答弁になっておるわけであります。時間がございませんので、出資の有無にかかわらず、評議員の中には関係地方公共団体の意思の反映できるような条文の修正をすべきであるというふうに考えておりますので、私はこの点を強く要請をしておきます。  それから、ことに関係知事が周辺整備計画を樹立いたしまして、それをこの機構が実施をするということになっておりますけれども、先ほど申し上げましたように、設立ができて以後の状態は、運輸大臣がもっぱらこまかく指導監督をするということになっておりまして、重要な、その年度においてどういう事業を実施するかという、あるいは基本的な業務報告書等につきましても、十分関与する余裕がないようでありますし、また、毎年度の予算、決算、事業計画書等も、単に出資をした地方公共団体に送付をするということになっておるわけであります。これは私は重要なことだと思うのであります。予算につきましても、あるいは決算につきましても、その他の財務諸表あるいは事業計画書等につきましては、運輸大臣に認可申請をする、あるいは承認を求めるという事前におきまして関係地方公共団体、ことに計画を策定いたしました知事の意見を付するとか、あるいは認可あるいは承認をする以前に、知事の意見が反映するような方法をとる、そういうことでなければならぬと思うのであります。そうしなければ、策定いたしました計画と実施計画というものが——知事はできましたあとは計画がどう実行されるかということは、年度当初にもわかりませんし、年度経過後、その年度にどういうことがなされたかということも、一年たって事後に知り得る、それに対して何ら意見を述べることができないという組織になっておるわけでありますが、これは非常に矛盾しておると思うのであります。私は、そういうものは事前に知事の意見を聴取するか、あるいは少なくとも事前に提出をして、それに対して知事が意見を述べる機会を与えるべきであると思いますが、この点につきましてお聞かせ願います。
  91. 棚橋泰

    ○棚橋説明員 先生指摘のとおり、この法人の諸認可規定というのはすべて運輸大臣の認可ということになっております。ただ、私どもこれにつきましては、この諸種の認可は、法人たるこの周辺整備機構の監督のための認可規定であるというふうに考えております。それで、この法人が何を実施するかということは、先ほど先生お話にございましたように、すべて関係都道府県知事のお立てになります周辺整備計画に基づいて実施をするわけでございまして、その計画どおりに実施されておるかどうかというのの監督に関する規定というものが運輸大臣の権限となっておるのだというふうに考えております。諸種の法人等につきましても主務大臣の監督規定がございますが、そういう意味の監督規定であろうというふうに思っております。  そこで、周辺整備計画のとおりに業務が行なわれるかどうかということについての監視でございますが、これは周辺整備計画が明らかであります以上、それに従って法人の業務が行なわれるかどうかということを監督するのは運輸大臣の責務でございまして、当然地方公共団体の御意思のとおりにこれが運営されるように監督すべきだというふうに思っております。
  92. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 どうも答弁を聞いておりますと、地方公共団体の意見については無視をし、運輸大臣が万能であるような御答弁でありますが、ちょっとほかの例でこういうのがあるのかどうか私はわかりませんけれども、全く運輸大臣に権限を集中し、出資金の大小にかかわらず、関係知事は、自己の策定いたしました計画が的確に実施することを監視する地域住民に対する重大な責任があるわけですね。しかも、政府地方公共団体の出資の比率がどういうふうになろうかは別問題といたしまして、出資をして代行願うというからには、地方公共団体の長にもう少し、ことに県知事に権限を与えるべきであるというふうに私は考えます。  ただ、自治法の関係におきましては、別途に監査権だとかあるいは調査権だとか出資をいたしております団体の財務諸表等についての公表をいたしまして地域住民に周知をさせるということが規定されておりますが、自治省から財政局長がお見えになっておるわけでありますが、当然この監査権あるいは調査権、それらの点につきまして、自治法に基づきまして地方自治体はこの措置がとれるかどうか、お伺いいたしたいと思います。
  93. 松浦功

    ○松浦政府委員 ただいま御指摘いただきました点につきましては、山本先生のおっしゃるとおりでございまして、自治法が当然に働くという前提で考えております。
  94. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 ことに調査権につきましては、自治法二百二十一条によりますと、出資金が二分の一以上でなければ調査権の発動はできないようなことになっておりまして、調査権を発動する団体は道路公社、住宅供給公社だとかあるいは土地開発公社みたいに政令で例示をしておるわけですね。これは今回の改正に行なわれていないような感じがいたしますが、そういう改正が行なわれるわけでしょうか、どうでしょうか。
  95. 松浦功

    ○松浦政府委員 今度の法律では四分の一という前提で話を進めておりますので、それらの点について改正はいたさない。一般的に地方自治法が働く。したがって、財務諸表の提出、そういったところは働きますけれども、いま御指摘をいただきました点は働かないようになるかと思います。
  96. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 そうすると調査権の発動はできないわけですか。
  97. 松浦功

    ○松浦政府委員 自治法の規定を改正しないと動かないと思います。
  98. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 それはわかってますよ、財政局長。自治法を改正する意思があるのかどうなのか。あなたは必要を認めておられるようでありますが、当然この調査権を自治法でやるべきじゃないでしょうか。あるいはこの法律においてそういう規定を加えまして、当然知事は、出資をするからにはそういう調査権も働くような——ことに政府と地方自治体だけの出資なんですね。そういう団体について運輸省に監督をまかさないで、当然密接な関係のある計画まで策定して、計画どおり実施するかどうかという団体、これは道路公社、住宅供給公社、あるいは土地開発公社とも、その規模の大小はともかくといたしまして、性格においては変わっていないわけなんですね。当然地方公共団体調査権を持ち得るような体制をとるべきじゃないかと思います。
  99. 松浦功

    ○松浦政府委員 先ほどから、運輸省のほうからお答えをいたしておりますように、地方公共団体の長、あるいは出資をしていないところでも関係地方団体を入れるということで十分意見が反映するというたてまえになっておるとわれわれは理解をいたしておりますし、さらに自治法の一般的に出資の割合に応じてそれぞれ権限がきめられております。二五%ということを前提にわれわれも相談を受けておりますので、その限度で自治法が働く、こういうことでわれわれとしては了解をいたしております。
  100. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 どうも財政局長答弁、満足いたしませんね。こういう地域住民関係の深い騒音防止対策というような事業、しかも政府地方公共団体が重点を置いてやらなければならない重要な事項を担当する法人、それが運輸大臣にすべての権限を委任している。この改正案によりましても、地方公共団体調査権も持っていない。運輸大臣しか持っていない。それの命令した職員が調査立ち入りをするということで出資をしている地方公共団体、しかも住民のためにその機構が完全に動いておるかどうかということについて重要な関心を持っている地方公共団体が、運輸大臣と同じように立ち入り検査もできないということは、きわめて私は住民の負託にこたえ得ないと思う。  法の不備であるということでありますので、これは改正すべきである。これは自治大臣が強く要望しなかったのかもわかりませんが、運輸大臣、どうお考えになりますか。当然自分の責任と同時に、地方公共団体協力をして、出資のことにつきましても、過去においていろいろ私は問題があったと思います。関係団体との話し合いにおいて問題があったと思うのであります。当然そういった権限を、いろいろな認可をする諸手続の関係におきましても、地方公共団体の意見を聞き、さらには調査立ち入り等につきましても、地元の事情のわかっている地方公共団体の長、ことに県知事あたりに運輸大臣と同じように与えるべきである。この法律改正もしくは地方自治法の改正によりまして与えるべきだと思いますが、いかがでございますか。どうお考えになりますか。運輸大臣みずから何でもできるのだというお考えでしょうか。私はむしろ、そういう権限を地方自治体に与えてこそ、地方自治体と密接な連絡をとるならばより効果的である、機構も機能を発揮し得るというふうに考えますが、いかがでございましょう。
  101. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 御指摘の点は私にもよくわかるわけでございますが、地方公共団体の皆さん方の計画におきましては十分御相談をし、そうしてその計画を遂行する。そこでその調査等につきまして、この権限等につきまして、運輸大臣はその御相談いただいた計画が遂行されておるかどうかということに対する権限を持っているわけでございまして、いろいろお考えはあろうかと思いますが、この点についてはそういうようなことでやれるのじゃないか。なおまた、運営等にあたってはいろいろな問題が出てこようと思いますけれども、私はかように考えるわけでございます。
  102. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 私は運輸大臣だけではできないと思うのです。そして権限は地方公共団体に与えるべきなんです。両方で出資をして、国の出資の比率が高いので国が全責任を負うということであれば、私は、出資をさせないで、出資をさせなくても、地元公共団体の意見を聞きながら、運輸大臣が万全の体制を、騒音対策についてはとり得るような機構の運営をはかるべきであると思いますけれども、いまのあり方からいいますと、そのほうが地域住民に対しましても、また多額の出資をする、また今後出資しなければならない公共団体にとりましても、当然の挿入すべき規定であるということでございますので、今後運輸委員会におきましても、運輸省におきましても、十分その点を配慮して、この法案の審議を進めていただきたいということを、強くこの点も要請を申し上げておきます。  次に、この機会に、私は時間がございませんので端的にお伺いいたしますが、第二次空港整備計画、これは当時の計画ですと五十年で終わることになっておりますが、あるいは社会経済発展計画等の関連で多少年次は狂ってくると思うのでありますが、おそらく進捗状況は当初計画どおり進んでいないと思います。それで、ある程度までさらに第三次の計画を立てざるを得ないのではないかと思うのであります。  この機会に私お伺いいたしたいのは、今日の空港というのは、航空運輸を中心とした空港の整備であるわけでありますが、高速化あるいは大型化ということに関連いたしまして、各国際空港あるいは一種空港をはじめといたしまして、二種空港等の整備もはかるようになっておると思うのであります。現に私のほうの県の花巻空港も、現在の用地を三倍に拡張するという計画を持っておるわけであります。これはこの計画に従いましてジェット機の発着可能なような航空路その他の整備をはかろうということであろうと思うのであります。ばく大な経費を要するわけであります。用地問題についても紛糾をしておるという現状であります。このことは岩手県ばかりではないと思うのであります。  そこで、交通につきましては、新幹線網も整備をしておる今日、いわゆる陸上輸送と航空輸送との総合交通体系というものを確立いたしまして、それに従ってすべての整備をはかっていかなければならない。新幹線もいまの時代にさらに現在着工いたしておる。私どもの東北新幹線も進捗をしておるわけであります。そういうさなかに新しい新幹線を発表して、国内に新幹線の網が張られる。空港も大型ジェットが旅客の需要に応じて整備することになるのかもわかりませんけれども、大型化、高速化を進めていく、これはどうも私ども計画のむだがあり、矛盾があるような感じがするのです。現に東京・大阪間も、先ほどの議論を聞いておりますと、あるいは大型機というものの就航を、便を減らしたらどうかというような議論があるわけであります。この国内全体の航空網の整備に関連しての空港整備については、いたずらに運輸省の指導方針によりまして、県が県の実情を無視しても、大型空港を整備しなければならぬという、そうでなければ地域住民に申しわけないという空気になっておるわけであります。そういうことのないように、私は的確な総合交通体系を確立すべきであると思いますが、いかがでございますか。  時間がありませんので、さらにお聞きいたしますが、本年度私どものほうの花巻空港も二十三億の要求をしておるようでありますけれども、現実には、いただきました資料では三千五百万しか配分がない。そういたしますととても事業は遂行できない。財政局長からもお聞かせ願いたいのですが、この補助事業に対して、一体起債は幾らつくのか。無理をして、起債を抑制する時代に大幅な起債でどんどん用地買収を進めていくということになりますと、これは、さなきだに起債を抑制されておる地方公共団体としては、必要な適債事業の福祉施設の整備ができないという事態に追い込まれる心配があるのであります。地元のことの整備に多少、知事が強く要請していることに、反対をするような発言をして私は心苦しいのですけれども、どうもいまの航空行政、ことに空港の整備につきましては、全国的な矛盾をそのまま、他の交通機関との総合調整もできないままに、ばらばらに計画を立て、空港の整備をはかっておる、これは十分再検討する必要があるのではないか、こう考えるのでありますが、運輸大臣からの御意見をお聞かせ願い、また自治省のほうから財政的に、そういうさらに大きな計画を補助金のないところを起債で補うような起債が認められるものかどうか、せいぜいどのくらいの起債をお認めくださるのか、このことをお聞かせ願いたいと思います。私は、大局から立ちまして、あるべきほんとうの姿、これをお聞かせ願いたいと思いまして、この機会に御答弁をお願いしたいと思います。
  103. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 お答えいたします。  御指摘のように、いままでは需要に見合った航空整備というようなものを主体に進められてきたわけでございますが、今後はそういうことであってはならないと思います。先ほど来公害の問題も出ておりますし、そういうような問題も含めた総合的な立場から新しい航空政策というものを計画を立てていくべきだ、かように考えております。
  104. 松浦功

    ○松浦政府委員 お答え申し上げます。  空港整備事業の地方負担につきましては、一般単独事業債の対象になるわけでございます。明年度以降の問題につきましては、単独事業債の総ワクと各地方公共団体からの申請状況を勘案しながら決定をせざるを得ないというふうに、一般論としては考えておりますが、ただいま先生から御指摘をいただきました、事業費が三千五百万だとかりにいたしますならば、これは限度落ちということで起債は認められない。県には一件三千万という単位の制限がございますので、おそらく、三千五百万の事業費でございましたら、残念ながら地方債を配分することはできないということになろうかと思います。
  105. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 最後に運輸大臣に要望しておきますが、今後の騒音対策の問題もありますし、先ほど申し上げましたような総合交通体系の問題もあるわけでありまして、空港の整備につきましては、いたずらに拡張ということではなく、今後の騒音対策と同時に、技術開発の問題もあるわけでしょうし、あるいは能率的な問題もありましょうし、空港の整備は、安全その他を考え合わせながら、いたずらに滑走路の拡張ではなくて、技術の進歩等によりまして十分空港が活用される、そして地元民との紛争のないような体制で空港の整備をはかるべきであると私は考えますので、その点をもう一度お気持ちを聞かしていただきたいと思います。
  106. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 私もそうであると思います。肝に銘じて承っておきます。
  107. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 小濱新次君。
  108. 小濱新次

    ○小濱委員 まず、運輸大臣にお尋ねをしていきたいと思いますが、大阪国際空港以外の、羽田あるいは成田その他特定飛行場に指定されている空港周辺は、今後どのように処理をされていかれるのか、すなわち、周辺整備空港として指定する考えはあるのかどうかということをお尋ねしたいわけですが、お答え願いたいと思います。
  109. 寺井久美

    寺井政府委員 今回の周辺整備機構は、特定空港の中で、その周辺の市街化状況から見まして特に必要がある空港周辺整備空港に指定するという考え方でございまして、これにつきまして地方公共団体から設立を希望した場合に実施していく、したがいまして、当面は大阪空港のみを考えておりますが、その他の空港につきましても、そのような条件が整ってまいりました場合、地方公共団体の知事とも十分協議をいたしまして、また、それに必要な財政上の措置をした上で設立の可否を検討していきたいというふうに考えております。
  110. 小濱新次

    ○小濱委員 やはりこの特定飛行場については、それぞれ大きな悩みをかかえて耐え忍んで現在は生活しているというのが実情であろうと思うわけですが、そこでおいおいにやろうとするんでしょうけれども、そこには金の問題が出てまいります。都道府県の出資の問題等々も出ましたけれども、この問題も出てくるけれども、今回のこうした法案が出てきたわけですから、したがってやはり将来計画というものは明らかにしていただきたいと私ども考えているわけですが、どうか、いまの御答弁では何か誠意が見られないようにもうかがわれますので、いま一度、ひとつ確たる御答弁をお願いをいたしたいと思います。
  111. 寺井久美

    寺井政府委員 お答え申します。  ただいま申し上げましたように、特定飛行場について、この周辺整備空港というものが指定できるように改正をお願いしているわけでございまして、特定空港の中で、特にそういう必要性があるという御判断で地方公共団体のほうからそういう御要望がありました段階につきましては、われわれといたしましては、財政上の措置も考慮いたしまして、こういう新しい機構をつくって整備をするかどうかということを決定していきたい、こういう考え方になっております。
  112. 小濱新次

    ○小濱委員 それぞれの要望が出てくればという御答弁でございますけれども、今回は住民から航空機騒音というものをでき得る限り遮断をするということがこの法案の目玉であろうと私ども考えているわけであります。そういう立場からこの対策を実施しようとされるのですから、どうしてもこの特定飛行場周辺の騒音対策というものは、出てきたらやるというんじゃなくして、もう出てきていることは明らかなんですから、そこに問題点があるわけです。国の方針なり施策が必要であろうということを考えるわけですが、これは大臣、いかがでございましょう、将来どういう形でこの整備事業というものを続けていこうとされるのか、大臣からひとつお考えを聞かしていただきたいと思います。
  113. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 お説のように、確かにほかの空港等においてもいろいろな問題が出ておるわけでございます。したがいまして、この法律案は、さしあたって当面大阪国際空港を中心にしましたものの考え方に立っておりますけれども、順次そういう問題解消のためにこの機構が動きませんと——これを動かすためには、いろいろな手続その他組み立て方があるわけでございますが、そういうようなものも前向きに今後進めていって、住民の皆さま方に御迷惑のかからないような法案の運営をやっていかなければならぬ、かように考えております。
  114. 小濱新次

    ○小濱委員 大臣から、前向きに検討する、順次その対策を進めていくという御回答がございましたので、ぜひひとつそういう方向で御努力をお願いしたい、こう思います。  さらに、大臣にお尋ねしていきたいことは、防音工事に対する助成措置についてお伺いしたいのですが、民家の防音工事に対する助成措置、この対象となる戸数ですね、それから一戸当たりの工事費、国の負担率、これは出ております。四十八年度四百戸分三億円、四十九年度分が千二百戸分で九億円、国の負担率が予算単価から百万円とこう見て、百分の七十五ですから、四分の一が地元負担、こうなっているわけですが、このテンポでいきますと、今後の見通しはどうなのであろうか、何年計画でいまの地域住民の悩みを解消しようとされるのか。そうした全体計画がやはり出てこなければならぬ、こう思うわけです。大臣の先ほどの御答弁がございましたけれども、この工事費の内容から見てたいへんほど遠いように感じられるわけですが、この点での御答弁をひとつお願いしたい、こう思います。
  115. 棚橋泰

    ○棚橋説明員 お答え申し上げます。  確かに先生指摘のとおり、当初の戸数、予算はたいへん少のうございますが、実は、民家の防音工事と申しますのは初めての試みでございまして、その仕様、工事能力等につきまして、まだ正確な算定ができていないわけでございまして、そういう関係で、財政当局とも御相談を申し上げまして、当初年度は戸数をできる限り押えて、工事能力を確かめつつふやしていきたい、かように思っておるわけでございます。  長期的な面といたしましては、たとえば大阪国際空港の例をとりますと、ただいま御審議をお願いしております、この法案によりまして成立いたします周辺整備機構に業務を委託いたしまして、ほぼ七カ年計画で三万戸程度の防音工事を実施したい、かように考えております。
  116. 小濱新次

    ○小濱委員 大臣が予算委員会のほうでお呼び出しだそうでありまして、ちょっと前後いたしますが、一、二点お伺いいたしたい、こう思います。  今回の防音工事に対する国の補助率は四分の三、残りの四分の一に対しては法案では示されていないわけですね。地方自治体が負担をするのか、あるいはまた個人であるのか、あるいはまた自治体と個人が折半をするのか、こういう問題が出てまいります。これも大きな関心事であろう、こう思うわけですが、この点についてのお考えをお伺いしたいと思います。
  117. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 実は、その点について私も頭を痛めておるわけでございまして、何とか国の補助というものがもう少しやれぬものか、もしいまからそれをやった場合に、一体予算措置がどうなるのかということまで、いま事務当局に検討さしておるわけでございますが、何とかその辺もくふうができぬものかと思って、いま研究をさせておる最中でございますが、何はともあれ、御指摘のように、その他の補助につきましてもなるたけ個人負担を少なくするように、あるいはでき得べくんば皆無にするような努力を重ねてまいらなければならないだろう、こういうふうに考える次第でございます。
  118. 小濱新次

    ○小濱委員 さらに、単価について大臣のお考えをお伺いしておきたいと思いますが、防音工事一戸当たりの見積もり額が百万円といたします。千葉県の新東京国際空港周辺を少し調べてみたのですが、二室既存家屋の改造費、これが百三十万円、それから一室の増築、これが百六十五万円、二室の増築が二百九十万円、こういう数字が出てまいりました。これは根拠のある資料でございます。したがって、現在の物価の高騰などを考えれば、一世帯一室百万円はこれはあまりにも低いのではないか。いわゆる百万をこえた超過負担分についてはどういうふうに考えておられるのか。地域によっては改造でいい地域もあるかもしれませんが、どうせこれだけの持ち出し分があるならば、増築をしたい、どうせ増築をするならば、土地もあることだから二部屋つくりたい、こういう声もあるわけですね。したがっていまのような数字が出てくるわけですが、超過負担分についてはどういうふうにお考えになっておられるのか。あるいは二室増築とか、あるいは二室改造とか、こういう声もあるわけですけれども、この点についての大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  119. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 増築については、ただいまのところまだそこまで検討が進んでおりませんけれども、単価の点につきましては、物価の上昇等もございまして、財政当局とこの点についてはその是正方について話を進めておる次第でございます。
  120. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 小濱君、運輸大臣もうよろしゅうございますか。
  121. 小濱新次

    ○小濱委員 もう一点お尋ねしたいのですが、これは大臣の見解をお尋ねしたいのです。  譲与税についてであります。この民間の防音工事に対する国の負担割合四分の三でありますが、残りの四分の一は地方ないし個人、まあ検討中、こういうことでございますが、空港周辺整備関係の財源に航空機燃料税があるわけですね。国と地方との配分の割合が、国は十三分の十一、それから地方は十三分の二、こういうふうになっているわけでございます。このほか、地方自治体といたしましては、この周辺の公的施設の整備を行なわなければなりません。この点から考えても、この配分割合というものは、他に比べて比率も絶対額もあまりにも少ないのではないか、こういうように思いますが、これはひとつ運輸大臣から御答弁をお願いをして大臣への質問を終わりたい、こう思います。
  122. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 申しわけございませんが、その詳細については政府委員から答弁をさせていただきたいと思います。
  123. 寺井久美

    寺井政府委員 ただいまの御指摘の燃料譲与税の関係でございますが、十三分の二が空港周辺の市町村に参っております。それで私どもといたしましては、この譲与税が府県にいっておりません、今回考えております民家の防音工事等の残りの二五%につきまして、県のほうの御負担もお願いしたいというように考えておりますので、この譲与税が県のほうにいくように目下検討中でございます。
  124. 小濱新次

    ○小濱委員 目下検討中ということでありますが、財政局長おいでになっておられますので、いまの問題について、地方財政計画の概要から見て、この一覧が出ているわけですが、この配分が適正であるかどうかという問題について、どのようにお考えになっておられるのか。いまの問題、いかがでございましょう。御答弁をいただきましょうか。
  125. 松浦功

    ○松浦政府委員 関係市町村九十二に明年度も二十四億程度の譲与税が配分される計画で財政計画の中に組み込んでおります。十三分の二という割合については、当省としてはいろいろ地方公共団体にも飛行場関係での支出がございますので、できるだけ引き上げていく方向で努力をいたしたいということを考えております。
  126. 小濱新次

    ○小濱委員 他と比べて、比率からも絶対額からも少ないのですね。これはどうしても一考する必要がある、こういうように思うわけですね。きょうは大臣が忙しいものですからやむを得ませんが、それじゃ大蔵省来ておられますね。大蔵省からこの問題についてひとつ御答弁をちょうだいしたい、こう思います。
  127. 藤仲貞一

    藤仲説明員 お答えいたします。  航空機燃料譲与税の配分比率は、御指摘のとおり地方が十三分の二ということでございます。この配分比率をきめましたときにいかなる考えをとったかということは、先生御案内かと思いますが、揮発油税と地方道路税の合計税率がキロリットル当たり一万三千円でございましたときの両者の配分比率にならったものでございます。それで、この揮発油税と地方道路税との配分比率は、現在でも航空機燃料譲与税の配分比率とほぼ同様になっておりまして、私ども、御指摘のようにこれからだんだん市町村関係騒音対策事業というのがふえてまいりました場合には、この譲与税の自然増収と申しますか、そういうものが期待できないとすれば、これは航空機燃料税そのものを、まず総体として原因者負担強化というような見地から大きくしていく必要があるのではなかろうか。しかしながら現段階では、この配分比率によって予算も計上しているわけでございまして、私どもとしましては、現段階におきましては、これはまあまあの比率ではなかろうか、かように考えております。  ただ、いま申し上げましたとおり、第三次空港整備五カ年計画の問題と申しますか、今後空港をめぐりまして公害問題がいよいよ大きくクローズアップされてくる、かようなことに相なりました場合には、国、地方を通じましてこの関係の経費が増大するということは十分予想されるわけでございます。その場合には、いま申し上げましたように、原因者負担強化というような見地からあらためてこういう問題を取り上げて検討しなければいけない、かように考えておる次第でございます。
  128. 小濱新次

    ○小濱委員 それじゃ、さらにもう一点お尋ねいたしますが、燃料関係税ですね。これは国内線だけしか適用されていないんですね。まあ羽田にも国際線がございますし、今回の成田のように国際線のみ発着するという空港には適用されないとするならば、これは相当の財源措置考えるべきではないのか。どう交付すべきかという問題についてお考えがあろうかと思いますが、この点についてもいま一度お答えいただきたいと思います。
  129. 藤仲貞一

    藤仲説明員 お答えいたします。  御指摘の問題非常にむずかしい問題でございます。御案内のとおり、国際線の航空機に積載されます燃料につきましては、国際民間航空条約並びにこれに基づく二国間の協定によりまして租税等を免除することとされておりますので、航空機燃料税も非課税となっておるわけでございます。  しかしながら、一方におきましては、ただいま御指摘のように、騒音の点から申しますれば、周辺の住民の方のこうむる影響というのは変わらないわけでございまして、したがいまして国際専用空港の周辺住民の受ける影響という面のみに着目いたしますならば、国際線のほうがむしろ深刻である、かような考えもあり得るわけでございます。  そこで、国際線について譲与税の配分ができないという現状をどうするかということが問題になっておるわけでございます。しかしながら、先ほども申し上げましたように、航空機騒音対策をさらに充実強化していくという場合に、われわれが一つ考えなければならない点は、航空機利用者の負担と申しますか、そういう原因者負担的な観点から財源措置もやはり考えていかなければならない。そういたしますと、たとえば租税の免除というようなことが条約によってきまっております以上は、たとえば、それでは国際線専用空港の場合には、着陸料等の利用収入に何らかの特定財源的なものを上乗せできないか、こういう一つ考えがあるわけでございますが、この問題一つとりましても、これは国際線を就航させております航空会社との間で相当の交渉を重ねなければならない。これもまた簡単でないわけでございます。したがいまして、これは今後の問題として私ども十分検討をしてまいらなければならぬとは思っておりますが、国際線専用空港でございます成田関連いたしまして、周辺市町村が騒音等の影響を受けるという事態が十分想定されますので、とりあえず四十九年度予算におきまして、他空港の周辺市町村につきまして現行制度上措置されております程度の事業が実施されますように、新東京国際空港公団の建設事業のうちおおむね二億円を周辺市町村の騒音防止施設設置事業等の騒音対策事業に充て得るように措置しておるところでございます。
  130. 小濱新次

    ○小濱委員 時間もありませんが、あと一、二問お尋ねしていきたいと思います。これは自治省の松浦財政局長にお尋ねしたいのですが、先ほどもどうも結論が出ないまま大臣が退席されてしまったわけですけれども、この四分の一負担という問題について、これはどこが負担をするのかということになると、当然これは自治省にも呼びかけがあったかと思いますが、自治省としてはこの問題について、いわゆる四分の一負担ということについての快諾を与えたのかどうか、あるいはまた、どういうふうにこの四分の一負担というものを考え措置されようとしているのか、局長としてはたいへん言いにくい答弁かと思いますけれども、大臣がいないのでやむを得ません、局長から見解をひとつ聞かしていただきたい、こう思います。
  131. 松浦功

    ○松浦政府委員 四分の一の負担をどこがするかという問題につきましては、法案作成の段階においては結論を得ておりません。運輸省のほうから御答弁がございましたように、ただいま検討中でございます。
  132. 小濱新次

    ○小濱委員 これは運輸省は大臣にかわって御答弁をいただきたいと思いますが、航空機による騒音は、空港の設置者ないしは航空会社によってもたらされるものでなければならないと考えます。したがって、当然これらのものに対して応分に負担するような考え方が出てこなければならないわけですね。ところが、四分の一負担という問題が出てきて、自治体また個人に負担をしいるということはどうも適切ではない、こういうように考えているわけです。ひとつ御答弁をいただき、またこの由は大臣にもお伝えを願いたい、こういうふうに思います。
  133. 寺井久美

    寺井政府委員 お答え申し上げます。  航空会社が負担すべきではないかという御意見、承りまして大臣にも申し伝えますが、航空会社といいますか、要するに利用者の側からいたしまして、これは着陸料なり何なりの形で現在までのところ負担をいたしておりまして、直接的ではございませんが、間接的にこの種の経費を負担しておるというふうに考えております。  ただ、先ほども申し上げましたが、この騒音関係対策費が今後非常に増大していくことが予想されますので、これに必要な財源等につきましても、やはり原因者負担という考え方から、何らかの形でそれをまかなっていかなければならない、こういうふうに考えております。
  134. 小濱新次

    ○小濱委員 よろしくお伝えを願いたい、こう思います。  最後に、建設省にお尋ねをしていきたいと思いますが、現実には、一方では騒音地域の移転という問題について努力をして補償を続けております。一方、他方ではこの地域に新しくまた移転をしてくる人がいるわけです。いわゆる市街化区域とか調整区域とか、その規制されてない地域があるわけです。白地地域というようにいわれておりますが、この問題について、私も千葉県の芝山町のほうを少し調べてみました。そのために出ていく人よりも、乱開発によって入ってくる人のほうが多い形になる。このことについては、航空機騒音環境基準を定めた中央公害対策審議会答申にも明らかなように、「飛行場周辺の土地利用規制については、新たな法制度を設ける必要があること。」新たに法制度を設ける必要があるということを明示してございます。この問題について、一方では一生懸命移転をさせて、片方ではどんどんとまた移転のために入ってきているという問題についての今後の取り扱い、また、対処するその方策について、これは建設省からお答えいただきたいと思います。
  135. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 御指摘のように、中央公害対策審議会答申にもありますから、空港周辺の土地利用について所要の規制が行なえるような、そういう制度的な整備ということが今後は重要なことになってくると思います。私ども建設省では、都市地域につきまして、都市計画区域に編入し、あるいはその都市計画区域のうちで重要な地域につきましては、市街化区域、市街化調整区域の区域区分をするというようなこと、あるいは都市計画の中身としていろいろな用途地域、住居専用地域であるとか準工業地域であるとかいった用途の制限をするというようないろいろな土地利用の規制の制度を持っております。  御指摘の芝山町につきましては、現在の時点で見ますと、その人口あるいは二次、三次産業従事者の人口、あるいは中心市街地的な部分における人口、いろいろな面から見まして、芝山町独自で都市計画区域に指定するという要件には欠けているわけでありまして、そういうようなこともありまして、現にまだ都市計画区域に入っておらないわけでありますが、今後のこの空港の設置及び運営の将来に向かいまして、空港周辺なるがゆえに、現在まではむしろ人口が減りつつあるような傾向があるわけでございますけれども、逆に人口がどんどんふえる、何としても都市的な地域として都市計画区域に入れ、土地利用規制を的確に行なわなければならないというような事態になるのかどうか、その辺も見きわめたいと思います。  いずれにしても、都市計画法による土地利用規制というのは、いわば総合的な町全体としての土地利用規制でございますので、この場合のような航空機騒音というものに特に焦点を置いた意味での土地利用規制ということには限界があると思います。したがいまして、一方では補償あるいは買い取り等を行ないつつ、一方では、その利用規制すらしておらないという事態は、どのような法制によって解決していくかという点につきまして、私ども関係当局と十分相談しながら今後煮詰めていきたいと思います。
  136. 小濱新次

    ○小濱委員 こういう問題が発生し、地域ではたいへん大きな悩みの種になっておりますので、いま御答弁のように、しっかりとひとつ御努力をお願いしたいと思います。  最後に、せっかく政務次官がおいでになりましたので、一点だけお伺いしたいと思いますが、この法案では、空港周辺整備計画を策定することになっているわけですが、いまのような問題が出てきているという事実からは、何か抜け穴だらけという、さらには机上の空論といわれるような点がこれはなきにしもあらずというふうに考えてわけですが、この点についての御答弁をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  137. 増岡博之

    増岡政府委員 先生指摘のとおり、この問題につきましては非常に複雑な要素をはらんでおると思います。したがいまして、計画を立てますにつきましても、非常に困難な作業を積み重ねていかなくてはならないことが多いと思いますけれども、しかし、私どもに課せられた使命と存じますので、何とか極力努力をいたしまして、御期待に沿うような計画を立ててまいりたいと思います。
  138. 小濱新次

    ○小濱委員 以上で終わります。
  139. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 この際、本会議終了後再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時五十二分休憩      ————◇—————    午後三時三十一分開議
  140. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。米原昶君。
  141. 米原昶

    ○米原委員 環境庁長官予算委員会で見えないそうですから、政務次官のほうに質問します。  公害問題の解決の根本は、あくまで、まず何よりも発生源をなくする、公害の原因をなくする、そのために最大限の努力を払って原状回復するということだと思うのです。そうして、それがもちろん完全に一気にはできないことはあり得る。だから、依然として被害が続く限りは、それでカバーできないものは損害の賠償を行なう、こういうことが原則だと思う。もちろん損害の賠償という場合に、原因者が負担しなきゃいけない、PPPの原則を厳重に守ってやるべきだ、こう思うわけですが、まずその点について環境庁の見解を聞いておきたい。
  142. 藤本孝雄

    ○藤本政府委員 基本的な考え方としてはそのとおりだと思います。
  143. 米原昶

    ○米原委員 その点で、いままさにこの公共飛行場周辺における航空機騒音騒音だけじゃなくて排気ガスによる被害も起こっているようですが、そういうことで大阪空港が、たいへんな訴訟を起こしまして、その判決も間近に迫っておるわけです。訴訟団の方々に先日会いました。その人たちの言っているところを聞きましたが、とにかく問題は、もう金の問題じゃほんとうはないんだ、とにかく静かな生活に戻してもらいたい、これが根本だ。当然だと思うのです。ですから、やはり公害を起こす根本のところを直すという姿勢がないと間違っていくんじゃないかと思うのです。その点で私は、今度のこの改正案がそういうところに力点はむしろ置かれてないということを非常に遺憾に思うのです。  具体的に聞いていきますが、昨年成立した公害健康被害補償法、あれと今度の法律では、被害者に対する政策が違っていると思うのです。その違っている点はどこにあるのか、ここをひとつ環境庁から説明を願いたいと思います。
  144. 城戸謙次

    ○城戸政府委員 ただいまの御質問、昨年成立しました公害健康被害補償法におきまして、騒音の問題をどう扱っているかという関連でございますが、私ども、この公害健康被害補償法を提案いたすにつきましては、審議会段階でもいろいろ騒音問題についても議論があったわけでございます。ただ、騒音によります公害は、主として生活妨害あるいは財産被害という考え方で対策が講ぜられているということでございまして、医学的に診断し得る疾病というところまで特定し得るものはないということでございましたから、疾病を対象として取り上げました健康被害補償法では、騒音による被害というものを取り上げなかったわけでございます。  またかりに、そのときの判断でございますが、将来そういうものにつきまして補償が必要であるということになりました場合におきましても、騒音問題はその発生源が通常明らかである、こういうような特殊性がございますので、むしろ防止の措置とあわせまして、できるだけ一元的に処理していくということが適当であると考えまして、その段階では法律からはずしたのが経緯でございます。
  145. 米原昶

    ○米原委員 おっしゃるように、この法案の場合は、健康被害については一切認めてない。実際に訴訟団の人たちにも会って聞きますと、やはり健康被害があらわれているんですね。ところが、その点は今度の法案では一切認められてない。そうして昨年のあの公害健康被害補償法の場合にわが党が要求した、健康被害だけでなく、移転補償も認めるべきだということを言いました。ところがそのほうは、逆に今度の法案では移転補償のほうは認めている、こういう形でいるわけです。発生源対策を行なわずに、こういう行き方でいくと、発生源対策のほうじゃなくて、騒音地域から住民を追い出すということが基本になっているのではないか、こういうふうに考えざるを得ないと思うのですが、この点についてどう思われるか、環境庁と運輸省からそれぞれ御答弁をいただきたいと思うのです。
  146. 寺井久美

    寺井政府委員 お答え申し上げます。   〔伊能委員長退席、江藤委員長代理着席〕  今回のいわゆる航空機騒音防止法改正でお願い申し上げておりますのは、騒音源対策という面ではなくて、周辺対策のほうに重点を置いております。したがいまして、ただいま先生指摘音源対策のほうは、この法案で直接触れておりません。しかしながら、ただいま御指摘の追い出しではないかという点につきましては、全くそのようなことを考えているわけではございませんで、基本的には空港周辺騒音地帯、これを緩衡地帯といたしますことと、それからさらに、その外周につきましては、比較的音の影響の少ない倉庫とかそういったものに再開発していこう、こういう考え方でございまして、現在中に住んでいらっしゃる方々につきましては、適当なる代替地をごあっせん申し上げてお移り願う、こういうことでございまして、追い出すというような考え方はとっておりません。
  147. 春日斉

    ○春日政府委員 航空機騒音にかかわりますいろいろ対策がございますが、その中で、御指摘のようにエンジンの低騒音化というような音源対策について、現状においては必ずしも十分に実施されていないという点につきましては、御指摘のとおりだろうと思います。  しかし、現段階におきましてエンジンの製造というものは、御承知のとおり外国に依存しておるということでございます。ただ、エンジンの低騒音化の開発は、午前中三木長官もお話し申し上げておりましたように、NASA、あるいはアメリカの連邦航空局等を中心とした一大プロジェクトによって、着々その低騒音エンジンの開発も進められておるわけでございまして、その点は今後もますます音源対策は進んでいくと考えております。  しかしながら、飛行機の技術的な限界というものがございまして、エンジンの低騒音化によってのみではやはり限界があるということも、われわれは知らなければならぬと思います。したがいまして、環境基準を達成するためには、こういった低騒音機の開発あるいは研究ということを十分に進めていくことはもちろん大切なのでございますが、それと同時に、離着陸のあり方、飛び方でございます。こういったこととか、あるいは離着陸回数の抑制というような音源対策を含めての総合的な対策が必要である。また、障害防止対策とか土地利用対策、こういったものの総合化が必要でございまして、やはり航空機騒音対策は、単に音源対策だけでは到達できるものではないということを申し上げておきたいと思うのです。
  148. 米原昶

    ○米原委員 お話聞きますと、いますぐやれることは何もないわけです。私が聞いているのは、というよりも訴訟団の方に会いましても、もう先にどうなるなんということじゃ話にならない、ですからもう飛行場撤去してもらいたい、こうも言っているわけです。私たち何もいますぐ飛行場撤去しろということを共産党は要求しているわけではありませんが、しかしそういう気持ちになっていることはわかるわけです。これは実は大阪空港だけではないのです。東京の羽田空港につきましても、十二月に大田の区議会で、自民党を含めて与野党満場一致で羽田空港の即時撤去という決議をやっていますよ。それは皆さんのところに来ておるかどうか知らないが、決議しておる状態です。それはもう十数年間、何回も政府にもいろんな申し入れをやっていますけれども、何一つまだ通っていないのだ。こういう気持ちのあらわれなのでしてね。もちろん私は、科学的な研究が進められるということ、これは積極的に推進していただきたい。しかし現実的にできることすらいままでやってないのじゃないかという気がしてしょうがないのです。  現実的な騒音対策について、たとえば四十六年に当時の大石環境庁長官の勧告がありました。それから昨年は環境基準の告示があったわけでありますが、これに対して大体運輸省はどういう対策を現実にとってこられたかということを聞きたい。
  149. 寺井久美

    寺井政府委員 ただいま御指摘のありました四十六年十二月の環境庁の勧告に基づきまして、運輸省はどういう措置をとったかという点につきましては、まず東京国際空港につきましては、午後十一時から翌朝の午前六時までの間、ジェット機の原則的な発着禁止を行ないました。また、午後十時から十一時及び午前六時から七時までの間に発着する航空機が海上を利用して離発着をする。それから、三番目といたしまして、エンジンテストは、ジェットエンジン機は、羽田空港の中にございますU地区と申します試運転エリアだけで行なう。プロペラ機につきましては、T−三〇三格納庫前面の地域、並びにU地区試運転エリアを除いては、午後十時から翌朝の六時三十分までは禁止するという措置をとりました。  この実施状況について申し上げますと、ジェット機の原則的な発着禁止につきましては、やむを得ず時間帯をオーバーして発着するものがございますが、これらのほとんどは国際線に従事する航空機でございまして、管制上必要な洋上の間隔設定等のため、あるいはハイジャック防止のための貨物取り扱いのために手間どったため、機体の点検等のために出発がおくれたというような特殊なケースでございまして、やむを得ずこういう禁止時間帯に入り込んでおる飛行機がまだございます。それから、海から入って海から出るという方法につきましては、できるだけこれを守るように指導をいたしておりますが、まだ約二〇%程度の航空機が陸側を利用しております。これは気象条件等でやむを得ずそうなっておるものでございまして、やむを得ないというふうに考えております。また、三番目のエンジンテストの関係については、これは完全に履行されております。  大阪空港につきましては、午後十時から翌朝の七時までの間の航空機の発着を禁止いたしておりまして、現在のところは郵便機と若干のやむを得ないものを除きまして、この制限は守られております。  さらに、騒音対策一般といたしましては、民家の防音工事を進めること、移転補償を促進するため、地方公共団体協力体制をとること等によりまして、空港周辺の土地利用計画を推進いたしますと同時に、代替地の造成及びあっせんを行なうように検討することにつきましては、これも同時に措置をすることといたしまして、この両件につきましては、今回の改正法案に盛り込まれているつもりでございます。  さらに、燃料譲与税の譲与につきましても措置をすることといたしました。これもおかげさまで四十七年度から実施している、こういう状態になっております。
  150. 米原昶

    ○米原委員 いまおっしゃった程度のことだったら、問題にならないし、付近の住民も、前からその程度のものではだめだ。大田の区議会で決議された条項を検討してみましても、それよりもっときびしいものを要求しているわけです。   〔伊能委員長退席、江藤委員長代理着席〕  しかし問題は、それよりも、その不完全ないまおっしゃったことですら実は実行していないのです。いま運輸省が回答なさった中で、エンジンのテストだけは完全に実施されているとおっしゃった。そんなことはないです。いまおっしゃった、ジェット機はU地区試運転エリアに限る、それからプロペラ機のエンジンテストはT−三〇三格納庫の前面地に限る、こういうことになっておりますね。文書にもそう書いてある。ところが、このT−三〇三格納庫前面地というところは、大森南五丁目のちょうど向かい側です。ここの住民はたいへんですよ。ここで、プロペラじゃないですよ、ジェット機のエンジンテストをやっているのです。去年の夏は、夜中にやるのでたいへんでした。それで、飛行場に何べんも直接電話をかけて申し込んでいるわけですから、知らないはずはない。それが完全に実施されているという、うそをいま言っている。私は、この点厳重に調査をしてもらいたい。非常に厳重な抗議が出ています。それで、私たちがこういうふうになっているはずだと幾ら言ったって聞かない。プロペラ機じゃない、ジェット機を持ってきている。公表されているものと全然違う、ここでエンジンテストをやっている、こういうことを言っております。この点どうでしょう。
  151. 寺井久美

    寺井政府委員 ただいま御指摘のT−三〇三格納庫前の件につきまして、私どもの了解では、これは先生の御指摘でございますから、調べてみる必要があると存じますが、私どもの了解している点では、これはエンジンテストではなくて、飛行機が始動する前のエンジンの回転であるというふうに了解いたしております。ただ念のためもう一度よく調べて御返答申し上げたいと思います。   〔江藤委員長代理退席、伊能委員長着席〕
  152. 米原昶

    ○米原委員 その点は調べていただきたいのです。ただ問題は、始動する前の——だからエンジンテストじゃなかったということかも、それは調べてみなければわかりませんが、問題はとにかくそこでやられて、夏ですね、冬は少し離れていれば比較的いいのですが、たいへんだといってたいへんな抗議が出ているのです。もっと直接に言いますと、夜中に私の家に電話がかかってくるのです。それですぐ政府と交渉してくれと、夜中に電話がかかってきますからこっちもたいへんなんです。そういう状況だということを言っておきます。  それからもう一つ、夜間の飛行が十一時から六時まで禁止されている問題ですね。そういうことになっているけれども、例外はある、緊急やむを得ない場合がある。そういうこともあるでしょう。問題は、統計が出ていますからわかりますけれども、全体的に見ますと、午後十一時から午前六時までに発着する機数ですね、これはふえていますよ。たとえば四十七年が、そういう飛行機が二百七十六機あった。それが四十八年には三百八十機になっている。そういうふうに、原則としては禁止する、しかし、やむを得ない場合の例外があるということが回答にも入っているわけです。しかし、それにしても禁止の原則だったら減るのが当然じゃないですか。減るために努力されるのが当然です。これはふえていますよ。この統計がはっきり——東京国際空港の離陸機、着陸機の統計がありますが、これでも四十七年よりも四十八年のほうが逆にふえている。これはもう実際何もやっていないというのと同じじゃないですか。この点についてどう思われますか。
  153. 寺井久美

    寺井政府委員 先生の御指摘のとおり、やや時間外の離発着がふえておるのは事実でございます。これは一つはハイジャック防止のために出発がおくれるというケースが昨年は多かったというのも事実でございまして、それほど大幅におそい時間に繰り込んだということではなかろうと存じますけれども、いずれにしても国際線の場合、そういうハイジャック防止の作業のためにふえたというふうに考えております。ふえておりますことは事実でございます。まことに遺憾に存じております。
  154. 米原昶

    ○米原委員 この問題は、たとえば大阪空港の今度の裁判で、もちろん判決が出る前にどうこう言うわけじゃありませんが、しかしあの裁判では、おそらくこの航空の時間の制限の問題は、裁判所は認めるだろうというふうに予測されていますよ。すると、九時以降は禁止するというのが出るでしょう。これをやりますと、当然東京空港でも訴訟が起こりますよ。東京空港だって、それが当然通るんだったらわれわれもやる、こうなりますよ。ですからこの問題は、いいかげんなことじゃだめだと思うのですよ、もっと厳重にやってもらわなければ。そういうことに論理がなりますよ。  そして、もう一つお聞きしたいのですが、航空路の問題です。海のほうから入ってくるやつ、若干そうでないのがあるという話もありましたが、航空路の問題で、私、飛行機の知識があまりないので、これではよくわからないのですが、モノレールが通っておりますね、あのモノレールよりも海岸寄り、モノレールより陸側に入ってこないというように指定されているわけですか、その点お聞きしたい。
  155. 寺井久美

    寺井政府委員 ただいま御指摘の点は、木更津と反対の方向から、つまり東京都の側から進入する場合には、及び逆に出発する場合も、ともに騒音被害を軽減するためにモノレールよりも外側、つまり湾内のほうに飛行するように指導いたしております。  まず出発から申し上げますと、出発いたしまして、一定の高度に達しましたら、すぐ右施回をして海面上に出るということ、それから入ってまいりますほうにつきましては、モノレールの中に入らないように回り込んでくるということを指導いたしておりますが、これはまだ残念ながら完全に全部の飛行機がそれを守って入るという状態になっておりません。これはやはり運航の安全上等も関連がございますし、その時点の風速、風向とも関連がございまして、一定の線上を飛ばせることが非常にむずかしい状態でございますが、いずれにいたしましても、そういう指導を続けておる次第でございます。
  156. 米原昶

    ○米原委員 空港周辺の土地の住民、いろいろ何回もおそらく運輸省にも行ったんでしょうが、方々と折衝しているもんですから知っているのです。それでモノレールの内側には入らせないようにしているんだからということを聞いているものだから、ところがもうほとんど毎日モノレールを越えて入ってくる。非常に不満を持っているわけです。それで、こういう方針としてはちゃんと出されながら、運輸省がどうしてこれを法律にある第三条第一項の告示になぜされなかったか、単なる行政的な指導であって、告示として出しておられないのはどういう意味ですか。
  157. 寺井久美

    寺井政府委員 お答え申し上げます。  告示で指定することができますのは、時間とかあるいは飛び方、飛行経路でございますが、飛行経路につきましては、ただいまモノレールの例で御説明申し上げましたが、なかなか一定のコースを守らせるということが技術的に困難な面が多うございます。  一つは、航空機が正確に飛ぶために、地上のそういう誘導施設、あるいは航空機側でそれを正確に飛ぶような施設がまだ十分完備し得ないという点も理由がございますし、また離着陸寸前等の状態は非常に航空機が不安定な状態でございまして、やはりどうしても安全第一に考えざるを得ません。そういうことで、告示によりまして一定のコースを縛り上げますと、これは罰則が伴いまして、パイロットがもしそのコースをはずれた場合に罰則の適用を行なわなければならない、その場合、そういう事実を立証するということの技術的な困難さもございますが、同時に、反面、これを完全に守らせるという技術的な保証が現段階では得られませんので、告示をいたしまして罰則をかけるというのは、現段階においては不適当であるということで、行政指導でただいま申し上げたようなことをいろいろやってまいっておる、こういう状態でございます。
  158. 米原昶

    ○米原委員 では、せっかく法律に告示ときまっている、しかも罰則規定もあるのに、そして住民が要望している問題です。これが実行できない。これははっきりいって、法律には書いてあるけれども、何もそれは実行していないということですね。ことばの上だけでは、私は公害対策というのはすべてだめだと思うのです。方針としては理解できます。それから航空機騒音公害のようなものを一気に直すなんという約束ができないこともわかるのです。しかし、少なくとも一歩一歩実効のあることをやっていくということが、住民の信頼を得ることになるのだ。住民のほうも、一気にこれがなくなるとは実際思ってないですよ。しかし全然その努力がない。法律に書いてあったって実行しない。いろいろ言われても実行しないということで信頼がないわけです。ことばの上だけでなくて、実際の行動で示してもらいたいのです。環境庁の勧告に対する回答で運輸省が約束されたことすら、いま言ったような状態ですからね。それすらまだ実効できない段階です。少なくともそれはいままでにもすでに実行していて、さらにそれ以上に一歩進められるというのが、住民の要求はそういうところです。  たとえば東京の場合でいいますと、大阪では九時以降は飛行機を禁止してもらいたいと言っていますが、東京では大体十時までだったらがまんしてもいい。十時以降禁止してもらいたいというのが、調べてみると一般の要望です。すでにそのために、いまも言いました、いまの状態が続くならば、羽田空港撤去という決議を区議会が、自民党から含めて満場一致で決議しているというのは、そんななまやさしい事態でないということをわかってもらわぬと困るのです。少なくとも十一時から六時までの便数が一応禁止として運輸省が回答されているのに、逆に四十七年から四十八年にかけてふえている状態ですね。こういうことはもってのほかのことであって、少なくとも四十七年の水準に返すくらいのことがどうしてできないのかということを言っているのです。これを実行してもらいたい。すぐにこれは実行できるはずなんです。  それから、さっき申しました夜間のエンジンテストですね、これはもう非常に被害が大きいので、私が回ってみて一番大きな苦情が出たのはここでした。これはもう全部厳重に禁止してもらいたいのです。もうエンジンテストをそこではやってないとおっしゃっているわけだが、とにかくプロペラ機じゃなくてここでやっているということを現地の人が言っておりますから、これは調べてもらって、もしもそういうことがあったら厳重に禁止してもらいたい。これは、地元の人の意見では、格納庫のそばでのいまやっているのは全部禁止してもらいたいと言っていますが、しかし、プロペラでも困るのだというくらい言っています。しかし、少なくとも運輸省が言っておられる範囲のことは厳重にやってもらいたい。  それから、モノレールの内側に入ってくる問題です。飛行路の問題ですが、これも何かこれを禁止するような措置をとってもらいたいのです。やり方考えてもらいたいのです。とにかくあそこに行ってみますと、ちゃんと標識わかるようにしてありますね。そういう設備だけある。設備の点ではやれるけれども、あそこのモノレールのところには入れぬような措置もとっておられるようですし、問題はできないことじゃないと思うので、こういう点を少なくとも完全に、環境庁長官にあてて出された運輸大臣の回答の完全実施、これだけは少なくともやるべきじゃないか。これがやれないようじゃ、運輸省は責任果たせないということになります。この点について運輸大臣の見解を聞きたい。
  159. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 お答えいたします。  御指摘のように、環境庁の勧告に対して運輸大臣が約束をしたこと、それが果たせないようで運輸大臣の職務はどうだという御叱責はごもっともだと思います。  夜間ジェット機のエンジンのテストの件につきましては、これは先ほど来航空局長お話し申し上げておりましたように、もしテストをやっておるという事実がございましたならば、厳重に注意し、中止させます。  それから、十一時以降の飛行機、それからモノレールの内側の飛行の問題でございますが、何ぶんにも太平洋を飛んでくるわけでございますから、いろいろな気象条件その他において——これを絶無に持ち込むということは、これはもうまことにそのとおりで、そうやらなければならぬと思います。と思いますけれども、そういうようないろいろな気象上の条件とかいうものがあってやむを得ぬものはこれはしかたがないと思いますが、しかし御指摘の点はよく私にもわかりますから、そういうような指導をして、厳重に指導してまいりたいと思います。、モノレールの内側の問題等につきましても、飛行機の発着の風向きとかいろいろなことで、これはもう一切そのように厳重に守らせますと言いたいんでございますけれども、そういうような面もあるかと思いますが、それにいたしましても、そういう基準を守るように今後も指導を続けてまいりたいと思います。
  160. 米原昶

    ○米原委員 次に、昨年告示された環境基準の点です。  あの環境基準の告示の中で、東京や大阪は十年をこえる期間内というわけのわからぬことばが入っていました。十年と限るんじゃなくて、十年をこえる、十年プラスアルファというのでは、何のことかはっきりわからないんで、一般の人は非常に失望しているわけです。しかし問題は、少なくともあのくらいの環境基準を何とかして実現しなくちゃならぬということは当然だと思います。そうだとしますと、運輸省のほうで期間の問題は別として、いますぐに——十年プラスアルファということですから、期間そのものもばく然としておりますが、少なくとも運輸省があれを受けて、あの基準値を実現する計画を持っておられるかどうか、この点を聞きたいわけです。私は当然もう計画を持っていられるはずだと思うが、それはあるのかないのか聞きたい。
  161. 寺井久美

    寺井政府委員 お答えいたします。  環境庁の基準はかなりきびしいものでございますが、運輸省といたしましては、これを実現しなければならない、こういうふうに考えておりまして、中央公害対策審議会答申の中でも指摘されておりますが、音源対策と土地利用の適正化と立地規制、この二つの面からこの実現をはかりたいと考えております。  大阪空港の場合におきましては、まず周辺の土地利用対策というものを促進していきたい、こういうふうに考えまして、現在この法改正をお願いしている次第でございます。  東京につきましては、まだ具体的に検討する段階に至っておりませんが、成田空港ができますと、比較的重い、音の大きい国際線の航空機成田に移りますので、羽田といたしましてはかなり音の量が減ってまいるであろう。この間に低騒音航空機を入れてまいりますと、かなり総量としての音の被害が減るのではないかというふうに考えておりますし、また羽田の立地条件が片方海に面しておりますし、また近いところでは住家が少ない面もございますので、かなりこの対策はやりやすいのではないかと思います。それにしてもこの環境基準が守れない場合もございますので、空港の改造その他を検討しなければならないというふうに考えております。
  162. 米原昶

    ○米原委員 聞いていますと、羽田の場合は大阪よりかも立地条件がいいからというようなことがありますけれども、どうも何か計画の概要すらまだ全然できてないという感じですね。せっかくあれだけの環境基準環境庁できめられた以上、私は当然直ちに運輸省のほうで計画考えられるというような体制でなくては困ると思うのです。私は環境庁のほうにもお願いしますが、直ちに運輸省がこの環境基準を実行する計画を立てろ、こういうことを環境庁のほうからも申し込むべきだと思うのです。そうでないと、あれだけのものを発表しましても、絵にかいたもちで何も実効がない。抽象的なああだこうだという話が依然として続いているだけで、具体的な方向も何もない。実際にこんなもの不可能だというなら不可能だと正直に言ったほうがまだいいですよ。ああいうものをせっかく出した以上は、十年は無理でも、じゃ十五年でやるというなら十五年でやるでも、政府として最大限にやってこういうことはできるはずです、こういうふうにやります、ということを出すべきだ。環境庁のほう、そういうふうに運輸省に提出させるようになさるかどうか、ちょっと聞いておきます。せっかく環境庁がああいうものを出されたのです。
  163. 藤本孝雄

    ○藤本政府委員 航空機騒音にかかる環境基準を達成また維持するために、いろいろな対策を強力に推進していかなければならないことは御承知のとおりでございますが、その対策を強力に推進していくことができますように、関係の各省庁に対しましては十分に強力に働きかける所存でございます。
  164. 寺井久美

    寺井政府委員 ただいま先生指摘の点は、まことに私どももそのように考えております。ただ、環境基準が出ましたのは昨年の暮れでございまして、私ども、この東京、大阪の二空港のみならず全国の空港を対象にこの実現をはかっていかなければなりません。こうした環境基準を達成するための空港整備の計画目下検討いたしておりまして、新しい計画ができますと、この環境基準達成ということが一つの柱になりまして今後の空港整備が行なわれる、またそのようにしていきたい、こういうふうに準備を進めているわけでございます。
  165. 米原昶

    ○米原委員 それからもう一つ運輸省に聞きます。これは二月十五日の毎日新聞ですよ。羽田の空港を沖合いに移転するという方針があるのだというようなことが新聞に出ておりました。おそらくこれは新聞記事に出ただけで、そうきまっているわけじゃないとは思いますが、一体こういう計画があるのかどうか聞きたい。
  166. 寺井久美

    寺井政府委員 ただいま御指摘の、毎日新聞に出ております計画と申しますか、こういう羽田の海側にもう一本滑走路をつくりまして空港を改造しようという考え方そのものは、もうかなり古くからございました。しかし、あの記事に書いてありますような計画が現段階であるというわけでございませんで、私ども環境基準達成の手段の一つといたしまして、このようなことも今後検討しなければならないと考えておりますが、あのようなかっこうで現在運輸省の中に案がある、検討されているという段階ではございません。
  167. 米原昶

    ○米原委員 この記事が住民の中に非常に複雑な反響を呼び起こしているのです。というのは、いままでも千葉県のほうに国際空港をつくる、そして国際空港ができたら羽田は飛行場がなくなるんだといわんばかりのことも、初めはあの周辺では一般的には流布されていた。そうしていると、千葉県のほうがなかなか解決がつかないだけでなく、千葉県にできてもちっとも飛行機は減らないらしいということが出てきているので、すっかり失望しているのですね。  そういう事態を踏まえてですから、この沖合いにそれができたらいかにも解決するような印象を与えるような記事でしたが、出ると、そうは受け取っていませんね。逆に、これは便数をふやしたりするためにたくらんだことだ、ごまかしだ、けしからぬ、だからもう、それよりも撤去してもらいたい、こういうような要求になりかかっているのですよ。ですから問題は、根本的に考えてもらいたい。はたしてこれほどの便数が要るかどうか。大阪の裁判の結果によっては便数の制限という問題は必然に問題になりますし、一体、観光客なんかあんなにたくさん乗せる必要があるのかどうかというような問題。まあ裁判の過程でも、実際上に必要な乗客と観光客とどのくらいの比率を占めておるだろうかというようなこともかなり議論になったようです。私たちが読んでみてもなかなか参考になる点がありますが、いまのままで、ただ航空会社がもうかるということだけでこの問題を考えていたらたいへんなことになると思う。  飛行機の安全という点からいいましても、例の全日空の飛行機が自衛隊機とぶつかって墜落したあの事件直後に、私は航空関係のすべての労働組合の人たちと会っていろいろ話を聞いたのです。そのときに操縦士の人は言っていました。とにかく、もういま以上便数がふやされたら航空機事故の起こることは必然だ、こういうふうに言っておりました。そのあたりを考えてもらわないと、羽田や大阪の飛行場のあれを見ましても、とにかくたいへんな込み方でしょう。あんなスケジュールを組んで飛ばしていて、事故が起きないのがふしぎですよ。総合的にもっと考えないとならないのじゃないか。ただ目先のことだけ見ていたんじゃ、たいへんな破綻を来たすことが将来起こってきやしないか。航空会社は、金をもうけることだけに流されてしまったらたいへんなことになります。それを考えておかないと、根本的な対策も、ただでき上がった事態をごまかして塗りつぶすようなやり方になってしまうのです。  もちろん飛行機が重要なことはわかりますよ。それから国際的な路線も一定のものが必要だということは何も否定はしてない。必要です。しかしその場合に、どういう形でこれをコントロールしていくかということをきめておかないと、ただ経済の法則に流されてどんどんふえるだけだ、それに合わせてすべての計画を立てていくということからこの矛盾が起こってくるのだと思うのです。この点を根本的に考えられないと、決して問題は解決しない、深刻な社会問題にますますなってくると思うのです。この点を私は特に言いたいのです。  あともうちょっと、現実的な問題で若干聞きたいことがあります。  いろいろ今度の法律では移転の補償の問題が出ておりますが、逆に大阪の場合は、いまの状態の中からほんとうの発生源対策のほうじゃなくて、むしろ住民にできたら出ていってもらうというところに重点が置かれている。私は法律に追い出せと書いてあるわけじゃないことは知っていますよ。現実の問題としてそうなっていくような法案になっておる点が不満なんですよ。逆に東京のほうは実際の対象にはなってないそうです、この法律によってはできなくもないけれども。東京は、一部の人は引っ越したいと言う人もいるのです。そういう人はかなりあります、自分のほうから希望して。ところが、実際にはこの法律でできなくはないけれども、実際にはそういう計画にはなってないようですね。そういう問題もあります。  もう一つは、テレビがよく見えないとかいうことで、いままでもテレビの聴視料に対する補助を出しておられますね。根本的に言うならば、これは新幹線のテレビ障害の問題は、私も東京都内を走っている新幹線の問題で扱ったことがありますが、結局これもPPPの原則で原因者が全部負担するという形で基本的には一部分は解決がついておるわけです。飛行機の場合は、全部見えないというのじゃないようですから、一定の聴視料の補助を出されるということもわかりますが、一体いままでテレビの聴視料の補助対象になっているのは、大田区から品川区にかけて大体どの地帯だったのでしょうか。この点、わかっているならお聞きしたい。私は大体第一京浜国道から海岸寄りの地帯だと思うのですが、そういうことでしょうか。
  168. 棚橋泰

    ○棚橋説明員 お答え申し上げます。  ただいま東京国際空港のテレビの聴視料の減免の範囲になっておりますのは、羽田空港から多摩川、それから産業道路、それから第一国道を結びまして競馬場の手前あたりまで、そのあたりが大体範囲になっております。
  169. 米原昶

    ○米原委員 その点、現地の住民の要望では、少なくとも国鉄の東海道線から海岸寄りは全部を含めてもらいたいということですから、できるだけ早くそういうふうに実施してもらいたい。要望だけ言っておきます。  もう一つ、今度の法律ですが、この法律の場合、補償するにあたって航空会社の負担は一文もないですね。なぜそういうふうになっておるのかということです。政府と自治体が出してやるだけで、航空会社は全然負担をしない。これは環境問題の原則からいっても、原因者が負担する、汚染者が負担しなければならぬというPPPの原則からいっておかしいじゃないか。この点をどう考えてこういう法案をつくられたのか聞きたいわけなのです。
  170. 寺井久美

    寺井政府委員 お答え申し上げます。  騒音対策費は、空港整備特別会計で支払われておりますけれども、その財源は着陸料、航行援助料、航空機燃料税等が大半を占めておりまして、これに通行税見合い分を含めますと約八〇%程度になるかと存じます。したがいまして、現在でも騒音対策はほぼ原因者負担で実施されていると考えております。今回の環境基準に伴う答申の中でも、原因者負担の原則で対策を実施すべきであるということが言われておりまして、私どももその方向で進むべきだと考えております。  ただ、ただいまの先生の御指摘は、あるいは今度の周辺整備機構に航空会社が出資をしていないとか、あるいは何かそういう資金的な関係を持っていないという御指摘かもしれませんが、これはやはり国と地方公共団体が中心となって行なうべき性質のもので、そういう民間の資金を入れるのは適当でないというふうに考えておりまして、この原因者負担の原則で対策費をまかなっていくという方向は、そういう方向で今後進めていく考えでおります。
  171. 米原昶

    ○米原委員 いまおっしゃったことはてんでわからないのです。なぜ飛行機会社にやらせたら悪いのかちっともわからない。なぜこういうものを国や自治体がやらなければならないのか。それだったらもう航空会社は国営にしてしまいなさい。そうすればはっきりする。何か航空会社というものか別にあって——たって航空の通行税は乗客か払うものですし、燃料税や空港使用料も払うのは当然のことですよ。それと騒音対策費というのは性格が別です。そうして騒音対策費に限る限りは原因者負担、航空会社が払うのは当然だと私は思うのです。燃料税にしましても、地方自治体にかなり出ているといわれるけれども、燃料税で地方自治体へ譲与されているものは大体九億円、それに比べて航空会社の売り上げはどうなっているか。航空会社の売り上げがばく大なものだということは、私も時間がありませんから説明はしませんが、たいへんな売り上げです。なぜそれを国と自治体が持ってこういうセクターをつくってやらなくちゃならぬのかということなんです。この点は非常に根本問題ですが、私はおっしゃっている説明が全然理解できないのです。まるでPPPの原則なんというのはないにひとしいような法律にこれはなっております。非常に遺憾であるということを申し上げて私の質問を終わりたい。最後にその点を聞いておきたい。
  172. 寺井久美

    寺井政府委員 簡単にお答えしますが、この空港周辺整備機構を通して騒音対策を進めようといたしておりますのは、設置者の責任においてやるということでございまして、その設置者が負担する資金をさらに施設を利用する航空会社から取る、こういう関係考えておるわけでございます。
  173. 米原昶

    ○米原委員 終わります。
  174. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 岡本君。
  175. 岡本富夫

    ○岡本委員 午前中の当委員会の審議を聞いておりますと、運輸大臣は、この大阪伊丹空港公害対策について率直に手抜かりを認めて法案を出した、こういうことを仰せになったわけでありますけれども、どういう点を率直にお認めになったのか。  まず、私申し上げたいことは、昭和四十二年、私が初めて公害対策特別委員会に籍を置きましたときに、この大阪伊丹空港騒音問題について、当時は運輸大臣は大橋さんだったと思いますが、相当きびしく現地の問題を取り上げて再三要望をしたわけであります。  しかし、その四十二年のころの航空機の一年の発着数が、九万四千五百二十回、そのうちジェット機が三六・七%だった。ところが四十三年になりますと、十万七千三百八十四、ジェット機は三七・二%にふえた。さらに四十六年になりますと十五万七千二百十二回、そのうちジェット機が五二・五%要するに、この航空機騒音の問題についてやかましく指摘をすればするほど航空機がふえて、音の多いジェット機がふえている。こういうことでは、私どもがやかましく言ったことが何にもならない。これは各党からも相当きびしく批判があったはずです。したがって、何を率直に認めてこの法案をおつくりになったのか、簡単にひとつ大臣のほうからお答えをいただきたい。
  176. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 私、そういう意味で発言をしたわけではございませんで、いまの大阪国際空港騒音の問題は、率直にこれは住民の皆さん方がたいへん御迷惑をいただいていることは認めなければならないし、認めるところでございます。それがために、音源対策等について、先ほど来いろいろ御説明申し上げているような点について努力を続けておるわけでございますけれども、いろいろ問題を残していることは事実でございます。この法律案は昨年来提出されておるわけでございまして、もちろんそういう問題等も考え合わせ、周辺整備の問題でございますから提出されていると思いますけれども、そういういまの現状を率直に認めましてこの法律案を私は提出した、こういうわけではないわけでございまして、そういうようなものもあわせ今後騒音問題に挑戦していかなければならぬ、こういう意味でございますから、御理解いただきたいと存じます。
  177. 岡本富夫

    ○岡本委員 音源対策につきまして、いまはからずも大臣からお話がありましたが、これは時間があまりありませんから、私はほんとうは通産省から聞くわけでありますけれども、私のほうで通産省からいろいろと聞きました。そうしますと、米国のロイズ社と提携をして、YXの音源対策、いろいろなことをこれから研究するというのです。これからなんです。ですから、あなたがおっしゃっている音源対策とは、私はこの四十二年のころやかましく、ジェット機が三六・七%、しかも現在の機数の約三分の二、そのころでさえジェット機がその中で三六・七%、いま大体、これは四十六年の資料でありますけれども、五二・五%で、しかも、四十二年から比べると約三分の一ふえておるということですね。この機数を減らすことが音源対策なんです。一番手っとり早い。運輸省は、いままでとにかくB滑走路ができてから航空機を飛ばすことばかり、どういうようにすればいかに回数かよくふえるか——こう私が言いますと、あなたのほうは需要者が多い、こうおっしゃると思いますけれども、この利用者は見てみますと確かに多い。しかし、なぜそういった利用者をつくっているかといいますと、いろいろな宣伝をして、たとえば銀行のローンを受ける、あるいは銀行とかいろいろなところの、まあ何といいますか、海外旅行だとかそういう宣伝が非常に多いわけですね。このごろは非常にローンで行けますから、先に金を払わなくても行けるわけですね、あとで払うというのですから。こういうようなことで利用者をあおっているのです。そうして利用者をたくさんつくっておいて、被害は依然としてもう前よりも——考えて見ますと、ジェット機だけだったら前の倍以上になっておるのですね。こういった考え方ですね。大臣、あなたは大阪空港は御視察になったことがありますか。一ぺんお聞きしたいのですが、いかがですか。
  178. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 私も大阪空港を利用させていただいたこともございます。
  179. 岡本富夫

    ○岡本委員 利用しておるということは、飛行機に乗っていってそこでおりるだけでしょう。これは加害者じゃないですか。加害者と言うとおかしいですけれども被害者の立場に立って現地を視察になったことがありますか。いままで小山環境庁長官あるいは佐々木運輸大臣、私は公害委員会でやかましく言って来てもらった。そうして、来てもらうと、これは岡本さん、あなた、いつも委員会でやかましゅう言うのは無理ない、こういうように言って帰られておるのです。ですから、あなたは少なくとも一国の運輸大臣として、今度の法律案を出そうとなさるのだったら、一ぺん調査して、この法律が確かに適正なものなのか、これは一ぺんはだで感じ、目で感じ、あるいは調査をして、それが私は責任ある一国の運輸大臣の姿だと思うのですが、いかがですか。お行きになりますか。
  180. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 私、就任いたしましてからはまだ調査等には参ったことはございませんけれども、その以前には、豊中市その他にたびたびおじやまいたしまして——たびたびということはございませんが、おじやまいたしまして、いろいろな点について承知しているつもりでございます。
  181. 岡本富夫

    ○岡本委員 そうしますと、あなたが全部承知されておる、こういうように考えて、今度の法案についてひとつお聞きいたしますけれども、たとえば今度の法案の中で、民家の防音装置をお考えになっています。しかしこれ、運輸省は川西にモデルハウスをつくられた。私、その実態を調べますと、モデルハウスの中ではかった全日空のBの737ですか、これは八十九・六ホン。それから727、九十五・七。それから日本航空のDC8、これは百一ホンをこえております。これはみんな言っておりますと時間がありませんから。こういうように、たとえばタイ航空のDC8、これですとやっぱり百六。これはせっかく民家の防音装置をされた中ではかったホンなんです。環境基準はまあ大体七十ですか、七十五ですか、ちょっとあれが違いますけれども一般騒音の、交通騒音あるいはまた工場の騒音、これの環境基準は深夜では四十五、昼間で六十ですからね。こういうように見ますと、これは倍ですよ。要するにモデルハウスをつくった、中がまだこんなに高い。これで、民家に防音工事をしたところの部屋をつくったから、それで対策が完全だとあなたはお思いになりますか、これが一点。  時間ありませんから次言います。  次に、私もたびたび委員会でやかましく言いまして、どうしてももうしんぼうできないから出て行きたいという、移転をしたい、この移転補償の予算をやかましく言って、四十五年に二億九千二百万ですか、それから四十六年、四十七年、四十八年とこうつけてもらったのですが、すべて残金が残っておる。四十六年には二億八千三百万、四十七年には四億三千八百万、四十八年には一億六千、あと数字はあれですが、こういうようになぜ残っておるのか。出たい申し込みは相当あります。申請も相当あります。しかし出られない。その原因は、一つは評価額です。たとえば百坪なら百坪の土地に家を建てている人、五十坪に建てている人、そこの土地は、一つの例をとりますと、川西の田中さんという方は、土地の評価額を八万六千円、伊藤さんという方は、評価額は十三万円。なぜそんなに安いかと申しますと、その土地は飛行機騒音によって値段が下がっているわけです。ところが、騒音のないところに行こうとすると、みな二十万円以上、いまだったらもう二十四、五万円します。この買い取りの評価が安い。そのために、行こうとすれば借金ができるというのです。ですから、金がなければ、もう借金できちゃどうにもならないからそこにいるわけです。だから、こういった移転ができない。  もう一つ、これは私、先国会の予算委員会でも前の大蔵大臣の愛知さんにやかましく言いましたのですが、買いかえ資産ですね、要するにその土地を売ってそして向こうに行くときに、税金かかるわけです。今度少しふやしたようでありますけれども、しかし税金がかかる。航空機騒音でどうにもならないというので出て行くときに税金がとられるというのですからね。こういうことで今度あなたのほうでは第三セクターをつくって、そして早いことをいえば、追い出しということはおかしいですけれども、移転したい人をどんどん出していこうとなさるわけですけれども、ところがその土地もなかなかそうは見当たりません。こういうことを考えますと、大臣、今度の法律案で確かにだいじょうぶなのかどうか、そういうところをあなたは御存じなのかどうか、これをひとつお聞きしたいのですが、いかがですか。
  182. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 御指摘のように、補償費が余るということは、やはり評価額等の問題があるからだろうと思います。また、モデルハウス、どういうものをつくっているか実は私、詳細に存じませんもので、あとで政府委員から答弁させますけれども、評価額等の点につきましても、あるいはまた補償の点等につきましても、やはり代替地に見合うようなものをごあっせんしなければならないだろうと思います。また、税金の問題も、いま御指摘がございましたが、こういう点については配慮しているようでございますから、そういう詳細につきましては、政府委員から答弁させたいと思います。
  183. 棚橋泰

    ○棚橋説明員 事務的な問題についてお答え申し上げます。  まず最初に、先生指摘の民家防音工事のモデルハウスの音の下がり方でございますが、先生、どういう御資料に基づいておっしゃっているのか、私ちょっとつまびらかでございませんが、先生お話しになりました音は、大体それらの地区におきます屋外騒音とほぼ同じでございまして、私どもの行なっておりますモデルハウスの実験工事では、確実に二十デシベルないし二十五デシベル下がっております。したがいまして、後刻、先生資料を見せていただきまして調査をいたしたいと思います。  それから、移転補償につきまして毎年繰り越し額がある、これは御指摘のとおりでございます。ただ、大体一年おくれでほぼ前年度分を消化するという程度であることは事実でございます。これにつきましての原因といたしまして、地価の評価が安いということにつきましても御指摘のとおりでございます。ただ、先生指摘の七万、八万というのは二、三年前の話でございまして、毎年時点修正をいたしておりますので、現在時点ではもう少し高いかというふうに思っております。  ただ、この点につきましては、騒音の原因その他でそこらの地価が周辺に比べてそれほど高くないということは事実でございます。しかしこれは、私ども用地を補償いたします際には、政府といたしましてきまっております公共用地の取得基準に準じております関係上、騒音地域についてのみ高く評価をするということはできないわけでございまして、それを解消いたします手段といたしまして、条件のよい代替地を低廉な価格で提供したいということが願いでございまして、今回お願いをいたしております周辺整備機構によりまして、国の無利子融資、補助金等の措置をとりまして、良好な代替地を早急に造成いたしたい、そして移転補償の方に、優先的にそちらに譲渡をして移っていただきたいということを願っておるわけでございます。  それから、最後に税金問題につきましては、現在税法上は、移転補償に伴いまして土地を譲渡いたします方に対しましては千万円の控除というのがございます。ただそのほかに、移転補償でお移りになります場合でございますと、居住用資産の買いかえという法を適用いたしますと、千七百万まで控除があるということになっておりますので、いろいろ私ども政府部内で討議をいたしまして、千万円ないし買いかえの場合千七百万というところまで認めているわけでございますが、その点、今後とも十分もう少し検討いたしていきたい、かように思っておるわけでございます。
  184. 岡本富夫

    ○岡本委員 大臣、あなた一ぺんこの法律案審議するとき現地調査してくださいよ。現地へ、予算委員会が終わったら一ぺん行ってください。そうでないと、これはもう話にならないですよ。いまみたいに簡単にこう説明していますけれども、たとえばいまのお話で、モデルハウスの中ではかったって、私のほうは、これは川西の市役所ではかったわけです、一緒に。  それからもう一つは、買い取りの評価。もっと上がるでありましょう、上がるでありましょうでは、売るほうはたまったものじゃないですよ。売りたくて売るわけじゃないんですよ、これは。この点については、やはり移るところに見合う価格にあなたのほうで大蔵省にひとつ話してもらわなければいかぬ。これを約束してもらいたい。  もう一つは、住宅千七百万まで控除しております。確かに前よりふえております。いま住宅、千七百万円でありますかね。あっちこっちで売ってる住宅、ほとんど二千万円以上ですよ。いままでもう、何年ですか、約十年間、ひどい人は。私が取り上げてからでも約七年間しんぼうしたんだ。それを、その人に移ってもらうときに税金をかける、そんなばかなことがありますか。  それから、土地だけの場合は一千万円まで控除。これは私、やかましく言いまして、事業用は課税しないということに、大蔵省で聞くときまったらしいんですが、これは農地が含まっておりますね。もう一ぺん、ちょっと大蔵省の課長、来ておりますか。
  185. 伊豫田敏雄

    ○伊豫田説明員 お答え申し上げます。  事業用資産の買いかえという制度を、先生予算委員会における大蔵大臣との御討論等も拝聴しておりまして、今回の税制改正におきまして、新たに事業用資産の買いかえというものを、公共用飛行場の周辺につきまして認めることといたしまして、租税特別措置法の改正案として現在国会に提案さしていただいております。その事業用資産の買いかえの適用になりますと、もし新たな事業用の資産を買いかえるとなれば税金はかからない、その場合に農地はこの中に含まれております。
  186. 岡本富夫

    ○岡本委員 大臣、これは要求しておきますから、ぜひひとつ現地を見てもらいたい。  次に、騒音コンターの線引きのことですが、遠くて見えないかもわかりませんけれども、これはいま運輸省考えておるのは、五十嵐コンターという、東大の五十嵐教授がつくった、だいぶ前のコンターなんです。いま十一市協、要するに現地で確かに八十五ホン以上、第一種以上になるところ、これを調べますとずいぶん差がある。この差を申し上げますと、WECPNL八五以上の地域において、運輸省のコンターでは十五万平方キロ、三万三千二百世帯、十一万一千人。ところが十一市協、現地の十一市でいろいろ調べたところによりますと、二十七万平方キロ、六万六百四世帯、十八万八千九百三十七人、面積で一・八倍、人口で一・七倍、WECPNL九〇以上の地域でも、面積は二・八倍、人口は二・三倍、こういうように食い違っているわけです。この騒音コンターについて、これは現地の実情に合わして、十一市協と協議してこれに合わす考えがありますか、これをひとつ聞きたい。
  187. 棚橋泰

    ○棚橋説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生がお示しになりました運輸省のコンターは、先生指摘のように、東大の五十嵐教授が測定されてかかれましたコンターをもとに、それを四十七年度の便数に合わして修正したものでございます。ちなみに、四十七年度以降は便数は増加しておりませんので、現在のところまではそれを使っておりますが、コンターの正確性を期しますために、昨年からことしにかけまして、再度かなり大がかりな騒音測定をいたしまして、ただいまそれに基づきまして出ましたコンターを関係地方公共団体にお示しして、御相談を申し上げておるところでございます。  ただ、おっしゃいますように、十一市協作成というそのコンターとの間には依然として隔たりがあるというふうに思いますので、私のほうといたしましては、さらに御納得を得るために、関係市に立ち会っていただきまして、それに兵庫県、大阪府、大阪市という府県ないしは地方の御要望がございましたから、環境庁にもお願いして立ち会っていただいて、再度確認をしたらどうであろうかということを、関係市のほうに現在申し出てお話しをしている最中でございます。
  188. 岡本富夫

    ○岡本委員 そこで、政府に要求するのですけれども、四十二年でもこんなに被害が出て、それから当時は一年に十万台足らずであった。それが十九万台になっておるわけです。その間ずっと住民の皆さんはしんぼうにしんぼうし、しんぼうしきれずにとうとうこの飛行場撤去という裁判に踏み切った。この間もお話があったと思いますが、いままでこんなに迷惑かけたのですから、私、これからこういう迷惑をかけておるところに対しては、住民税、市民税を免除する、あるいは固定資産税を免除する、その分を加害者である航空会社から取るというぐらいの抜本策をひとつ考えなければならぬ、こういうように思うのですが、自治省の政務次官、来ておりますね。あなたの考え方をひとつ伺いたい。
  189. 古屋亨

    ○古屋政府委員 騒音による被害地域の土地家屋に対しての固定資産税の問題がいま御指摘になったところでございます。  御承知のように固定資産税は、三年ごとに実施しております評価額によって課税をしておるものでありますから、航空機騒音が著しいことによりまして地域内の土地の価格が実際に減ってくる、こういうことになりますれば、評価額も低くなるのが通例でありまして、その結果、他の地域にある土地に比べまして固定資産税の税額も低くなると思いますし、また家屋につきましても、その価格が減額すると認められる家屋につきましては、現実に、これは伊丹ではございませんが、板付等につきましては、実際に減っておるから評価額も減じておるというようなことを私聞いておる次第であります。したがいまして、騒音の著しい地区につきまして、そういう飛行場が所在するということだけによりまして固定資産税を全廃するということはなかなかむずかしい問題でございまして、たてまえといたしまして非課税にするにはいろいろの行政その他法律上の問題もございますが、先生の御意見もございますので、ひとつそういう評価の面での考慮を必要とするというような事態に応じまして、町村の指導には遺憾なきを期してまいりたいというふうに考えております。  なお、御意見の点は、ひとつ事務当局に早急に検討さしてみたいと思っております。
  190. 岡本富夫

    ○岡本委員 では事務当局に、市民税の無税も含めて検討をしてもらいたいと思います。  この大阪空港は欠陥空港だ。どの大臣が来ても、こんなところにあるのはおかしいんだ。三木長官もこの間おっしゃっていた。一日も早く撤去してもらいたい、こういうように、もうしんぼうならないというのが、あなたもお行きになったらよくわかると思います。それによって、では固定資産税、市民税をなくしたから、これは地方自治体でまかなえ、こう言われると今度は各市は困るわけですから、その財源の確保は、ひとつあなたのほうで交付金を出すとか、PPPの原則によってこれは航空会社が出すのがあたりまえです。公共性についても私、非常に疑問があるのですけれども、時間がありませんから……。  最後に運輸大臣に、開西新空港の問題についてのその方向性をひとつお聞きしておきたい。同時に、これはまた、運輸審議会答申を聞いていればそんな話にならないと思いますから、あなたがいま頭に描いている、どうしようというような苦労を——そうすると皆さん少し安心すると思うのです。同時に、今度もしも午後九時に打ち切りとか、あるいは便数を減らすとかいうような判決が出た場合、あなたのほうでは応じるお考えはあるのかどうか。  それから、もう一つ要望しておきたいのは、二十八日の九時過ぎに現地の方が見えますので、大臣、会っていただくことになっておりますから、ひとつこの点も御了承を願いたいと思います。   いずれにしましても、もうできる限りの誠意を尽くさなければならないと思うのです。たくさんの病人も出ております。騒音対策騒音対策と、先ほど来話がありましたが、私は排気ガスの問題をもっと詰めようと思ったのですが、時間がありませんからあれしますが、実は、運輸省航空局長の手塚さんは、飛行機の排気ガスは全然関係ありませんと、私ども公害対策特別委員会で明言したことがある。しかし事実は、きのうでしたか、公害委員会でも大気保全局長が、ジェット機なんかは、大型機は自動車の二千七百倍もの排気ガスがあるのだ、また、事実調査も出ております。また、同時に、鼻血を出しているお子さんたちがたくさんおる、五人に一人くらいおる、こういう実態もあなたは御存じでないと思うのですけれども、いずれにいたしましても、そういうことで、誠意のある対策をいま行なわなければますます世の中が騒然として、不安定な世の中になってくる、政治不信がつのる、こういうことでありますので、この三点について、大臣から答弁を承って終わりたいと思います。はっきりしてください。
  191. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 新空港は、御承知のように、いま審議会で検討しておりますが、大体七月ごろには答申が出てくるのではなかろうかと実は期待しているわけでございます。その上で、十分尊重いたしまして、新空港のことにつきましては努力をしてまいりたいと思います。  それから判決の問題でございますけれども、これは判決が出ましてからその時点で判断さしていただきたいと思います。  それから、鼻血が事実出て、五人に一人も非常にそういう苦しみにあるじゃないかというお話でございます。これはせんだって梅田先生から実物をここで示されまして、私、十分その点は認識したわけでございます。そういうようなことで、今後もこの騒音対策並びにそれに関連するいろいろな問題につきましては、十分真剣に取り組んでまいりたいと思います。
  192. 岡本富夫

    ○岡本委員 もう一問だけ。  大臣、あなたここで見ただけではなくして、この法案が通るまでに一ぺんぜひ現地調査してください。これをひとつお答え願いたい。  それからもう一つは、そういった航空機の排気ガスの問題についての通産省のあれを見ましても、全然それがないのですね。おかげさまで自動車のほうは何かマスキー法をちゃんと尊重してやるというような環境庁のあれがありますけれども、それに対していま一生懸命改造に各自動車会社は専念しております。その点についてもやはり私は問題になると思うのです。ですから、そのほうの排気ガス対策処置、これについても研究をあなたのほうから通産省に要請してもらう。この二点だけひとつお答え願いたい。
  193. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 エンジン問題は、いろいろ技術的な問題でございまして、通産省に対しましても、そういう公害の少ないエンジンの開発と申しますか、そういう面に努力してもらうように私からもお願いを申し上げたいと思います。  それから、この法案が通過するまでに私に現地を視察しろということをここで約束しろということでございますが、私もいまいろいろな諸般の事情も、仕事も持っております。いまここで明確にお約束するわけにはまいりませんが、私の信頼する者を、いずれにしましても間違いのないような対策をとるために努力させることをお誓いいたします。
  194. 岡本富夫

    ○岡本委員 どうも委員長、ありがとうございました。
  195. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 折小野良一君。
  196. 折小野良一

    ○折小野委員 まず最初に、先ほど来、ちょっと御質問の中にもございましたが、現在大阪空港騒音問題について訴訟が行なわれておりますが、近くその結論が出る、すなわち判決が行なわれる、こういうふうにいわれております。  これに関連をいたしまして、最近ですが、政府はこれに対して控訴しないようにという関係者のほうの意見も出されておるやに承っておりますが、こういう問題も含めまして、判決が出た場合に、政府としての対応の姿勢、そういう面について、大臣のお考えをまず承っておきたいと思います。
  197. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 判決に対しましては、私どもは、いろいろそういうような御意見もございますし、また御要請もあることも承知しております。しかし、判決に対しましては、誠心誠意これを受けとめて検討をいたしたいと思います。その上で態度をきめてまいりたい、かように考える次第でございます。
  198. 折小野良一

    ○折小野委員 その訴訟と並行いたしまして、伊丹市の辰巳弥次郎さん外二千三百五十五名ですか、四十八年の二月、国を相手どって調停の申請がなされております。この問題もやはり大阪の航空機騒音の問題でございますし、各方面からいろいろと関心が持たれておるわけでございますが、申請以来今日まで、もうほぼ一年たったわけでございますが、その間の審理の経過、あるいは今日までの審理の過程でいろいろと出てまいっております問題点、こういう面についてひとつ御答弁を願いたいと思います。
  199. 棚橋泰

    ○棚橋説明員 お答え申し上げます。  先ほどお話のございましたように、四十八年の二月十五日に国の公害等調整委員会に公害紛争処理法に基づきまして調停の申請がございまして、以後二次、三次、四次、五次、六次というところまでだんだんございまして、総計で一万人をこえる調停になっております。  調停を求める事項といたしましては、一次から六次までの皆さま、若干の違いはございますが、内容的にはほぼ同じ事項でございまして、一つは、昭和五十六年から現在の空港を使用しないこと。それから二番目に、その使用をやめるまでの間、航空機騒音をWECPNLで七〇以下とすること。それから三番目に、総発着回数を一日二百回以下、それから夜間は八時から午前八時まで——これは第四次の調停からは七時ということになっておりますが、それらについての発着禁止というようなこと。それから現在までの受けた損害に対して賠償金を支払い、将来も、先ほど申し上げましたようなことが達成されるまでの間、やはり賠償金を支払う、こういう内容が調停の事項となっております。  調停は、総理府におきまして、ただいま申し上げましたようないろいろな論点を調停委員会のほうで整理されまして、双方からの意見交換というような形で一部は併合、一部は並行というような形で審理が進められております。  御質問のございました問題の争点というものにつきましてはいろいろございますけれども、ごく大ざっぱに申し上げまして、まず大阪国際空港というものがほんとうに地元の強い要望で現在のような形になったものかどうか、ないしは大阪国際空港便数をもっと具体的に減らすということができないかどうか、そういうような点、それからほんとうにどういうような被害を、実際に肉体的な被害とか、そういうものを受けているかどうかというような諸点につきまして、双方から、国側と申請人側の間で調停委員の仲立ちでいろいろ話を行なっております。  大体そういう内容でございますが、調停の性格上、自由に思ったことを言って意見を交換して合意点を求めるということのために、具体的な中身については調停委員会のほうから、できる限り調停が一段落するまでは双方とも口外しないようにというようなお話もございますので、大体この程度でとどめさせていただきたいと思います。
  200. 折小野良一

    ○折小野委員 ただいま御報告の中にもちょっとございましたが、そしてまあ、先ほどの質問にもあり、私どもかねていろいろ関心を持っております問題の一つに、騒音が健康被害との関係においてどういうふうな影響を及ぼすかということでございます。この調停の申請の中におきましても、聴力機能の低下とかその他いろいろな健康上の被害が訴えられております。ところが、今日までの騒音対策の中におきましては、こういう面はほとんど触れられておりません。そしてまた、公害対策基本法からいたしますと、何といっても健康被害に対する対策をやっていくというのが公害対策の一番の基本だ、こういうふうに考えます。こういうような面から、なお現在でも騒音関係の健康被害、こういうものはないというふうに断定をされるのか、あるいはそういうような関係が現時点において医学的にどういうふうに検討されておるのか、そういう点、わかりましたらひとつお知らせを願いたい。
  201. 寺井久美

    寺井政府委員 あるいは詳しくは環境庁のほうから御答弁があるかもしれませんが、現在のところ、航空機騒音によりまして空港周辺住民の健康がそこなわれるかどうかについて、国内あるいは国外、かなり研究報告がございますが、国連の国際民間航空機関の特別会議の報告に、航空機騒音によって空港周辺住民の健康が直接そこなわれるということは、現在までのところ必ずしも明確でないとされておりまして、現段階におきましては、その因果関係が明らかになるまでには至っていないというふうに了解いたしております。
  202. 折小野良一

    ○折小野委員 明確でないということは、ないということじゃありませんのですね。
  203. 寺井久美

    寺井政府委員 さようでございます。
  204. 折小野良一

    ○折小野委員 これらの点につきましては、まあ今後さらに医学的にもいろいろと検討がなされようかと思いますが、これは何と申しましても、公害対策の一番最初にやらなければならないことは、まず健康被害をなくするということだろうと思います。こういう面から積極的にこういう問題についての取り組みをお願いをいたしたいと思います。  次いで法案に入りますが、法案の九条から先、ここで新たに第一種区域、第二種区域あるいは第三種区域ということで、それぞれ新しい法律の規定ができるようでございます。このそれぞれの区域というもの、これはただそういうふうな名称がここに掲げられておるだけでございまして、どの程度のところを第一種にするか、どの区域を第二種あるいは第三種、そういうような具体的な基準というものは法律上は全然書かれておりません。もちろんこれは政令に委任するということだろうと思いますが、しかし騒音対策という面で一番大切なことは、どの程度のところをこういうふうに指定をして、そしてそれに対してどういう対策をとるのか、これを検討するというのが一番大切なことじゃなかろうかというふうに考えます。もちろん政府としては、こういうものについてすでにある程度の予定を立ててこの法案を提案されておられるだろうと思いますが、運輸省におきましては、この区域をどの範囲のもの、あるいはどういう程度のところを指定をしようとしておられるのか、お聞きをいたしたいと思います。
  205. 棚橋泰

    ○棚橋説明員 法案の中身でございますので、私から答えさせていただきます。  先生指摘のように、この法律では第一種、第二種、第三種ということで地域を指定することになっておりますが、いずれも「政令で定めるところにより」ということで政令に委任をいたしております。で、この対策は、その法律の中でおわかりいただきますように、騒音の障害の発生を防止する、ないしは周辺における生活環境の改善をはかるというようなことを目的に一種、二種、三種という区域を指定するわけでございますから、当然それは騒音の激甚さというものに比例して指定をさるべきであるというふうに考えております。したがいまして、この法律がこれを政令にゆだねましたのも、その騒音の程度を法律の中で明確に表現することは、あまりにも技術的でできないということで政令に委任されておるというふうに考えております。  そこで、第一種、第二種、第三種、それぞれ対策が違うわけでございますけれども、どの程度の区域を予定しているかということでございますが、私どもといたしましては、ただいまのところ、第一種区域はWECPNLという単位で八五以内、それから第二種区域は同じくWECPNLで九〇以内一それから第三種はWECPNLで九五以内というのを基本にいたしまして、指定をすることを政令ないしはそれに基づく告示等で定めたい、かように予定をいたしております。
  206. 折小野良一

    ○折小野委員 私は、こういうような規定は実質的には最も重要な部分だと思います。まあいろいろな問題があって政令に委任をするということも多いんですが、しかし、このような最も重要な問題につきましては、むしろこれを法律で明確にいたしまして、そうしてその実効を期していく、こういうことが非常に大切なことじゃなかろうかというふうに考えます。もちろん法案には、もうすでにその面については政令に委任するということになっておるわけでございますので、今後の問題といたしましてこれは特に大臣にお伺いをいたしますが、こういうような最も重要な問題につきまして、それを安易に政令にゆだねるということのないように、できるだけこういう面は法律事項として規定をすることが大切であろうと思うのでございますが、御見解をお伺いしたいと思います。
  207. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 御指摘の点は、私もさように考えますが、これを政令にゆだねたのはそれなりのいま説明したような理由もあったろうと思いますが、そういう場合でも、政令の点については、やはり明確なものを持つということが大切であろうと思います。
  208. 折小野良一

    ○折小野委員 こういう点につきましては、関係住民と非常に関心を持っておるわけでございます。ところが、法律ができた、どういう点に対してどういう措置が講じられるのか一向わからない、こういうような状況でございますが、こういう面につきましては、ひとつ今後十分お考えをいただきたいと考えております。  そういう指定に関する規定の中で第九条でございますが、第二種区域、ここにあります建物その他、これを第二種区域以外の地域に移転をする場合に移転の補償をする、こういうことが規定されておるわけでございます。ところが、区域の境界というのは、これは当然に何らかの線を引くということになってくるでありましょう。といたしますと、第二種区域にあったものが移転をする、そしてその線をちょっとはずれた、第二種区域以外のところに移転をする。それでもこの法律からいきますと当然補償をすることになってまいります。ところが、、それじゃ実際の効果はほとんどあがらない、ただある程度距離が違ったというだけにしかすぎない、こういう事態考えられます。せっかく補償を受けて移転をするのであるならば、また移転について補償をするのであるならば、もう少しそういう公害のないところに移転することをすすめる、こういうことはどうなんでしょうか。せめて第一種の区域外に移転をさせる、こういうような指導をやることのほうがより積極的な効果があるんじゃないかと私は考えます。この点についての立案当局のお考え、あるいは将来に対するこの問題についての考え方をお伺いしたいと思います。
  209. 寺井久美

    寺井政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生指摘の点は、全くそのとおりでございます。ただ、移転補償の規定は、第二種区域の中から移転する者に対して補償するという規定でございまして、第一種区域に移転する場合に補償の対象としないということは、法制上なかなかむずかしい問題がございます。しかし、この法律の精神、趣旨から申し上げますれば、第一種区域以外の、もっと外の静かな地域に移転していただくのが当然でございますので、代替地の提供などの方法によりまして、できるだけそのような地域に移転していただくように努力をしたい、こういうふうに考えております。したがいまして、主として、運用面で第二種から第一種へ簡単に移るということではなくて、より静かな地域に移っていただくように実行していきたいというふうに考えております。
  210. 折小野良一

    ○折小野委員 ただいまの御答弁でお気持ちはわかるんですけれども、しかしそれはおかしんじゃありませんか。法律で、第二種以外のところですから第一種の区域ももちろん入るわけですがね、第一種の中の第二種を除いたところはですね。ですから、ここに第二種の線があった場合、ここにある家をここに持っていけば当然損失の補償をすると法律に書いてあるわけです。法律に書いてあるのにあなた方は、それは補償しない、あるいはできるだけ向こうに持っていきなさい、こういうことで押えるということは、これはできないんじゃありませんか。ですから、そういう点につきましては、法律の基本的な考え方、やはり法律を直していくべきだと私は思うのです。それは被害の全然ないところに行っていただくことが一番いいでしょう。しかしせめて第一種の線より外には出ていただく、こういうような規定のしかたというものは、そう問題になろうとは思いません。私は、むしろそのほうが移転していただく方々に対しては親切なやり方だと思いますし、対策としても正しい対策だというふうに考えるのですが、いかがですか。
  211. 寺井久美

    寺井政府委員 お答え申し上げます。  第二種地域の中に住んでおられる方がその二種地域の外へ移転される場合に移転補償をするというたてまえでございますから、かりに一種地域の中に移転をされたとしても補償は行ないます。しかしながら、せっかく移転をしていただくのでございますから、第一種地域のより外側に適当な代替地をごあっせん申し上げて移っていただくように運営したい、こういうふうに申し上げた次第でございます。
  212. 折小野良一

    ○折小野委員 そういう運用は一応けっこうなんです。しかし運用は拘束力ありませんでしょう。いまの二種におる人が二種の境界をちょっとはずれて一種に行った。それをいけない、それは補償しないということは、この法律上はできませんでしょう。それじゃせっかくのこの対策、そしてまたせっかくこの対策に金を使ってほとんど効果がないということになるんじゃありませんでしょうか。基本的に、やはりそういう場合には少なくも一種以外に出ていただく、こういうふうに法律上はっきりきめることが大切だと思います。
  213. 棚橋泰

    ○棚橋説明員 法案の中身でございますので、ちょっと補足をしてお答えをさしていただきます。  私どもも実は先生のおっしゃる御指摘のことについては非常によく理解をするわけでございます。ただこの立法にあたりましては、ここの移転補償の規定と申しますものは、非常に音の激甚な区域から移転をしたいという方に対して補償をする。その方がどういうところへ行かれるか。たとえばどこかのもっと工場地帯のまん中へ移られるとか、ないしはいままで自宅を持っておられた方が、補償だけをもらってアパートへお移りになるとか、そこはいろいろな移り方があるとは思いますけれども、その移り方いかんにかかわらず補償をいたします、こういう規定でございます。したがいまして、おっしゃるように、二種区域の方が一種区域へ移るということでは、目的の一〇〇%達成にならないことは事実でございますけれども、法制上は、それを差別して扱うということは立法技術上非常にむずかしかった、かようなことでこういうことになっておるわけでございまして、先生のお気持ちは非常によくわかります関係から、局長がただいま申し上げましたように、移っていただく方には、できる限り一種区域以外に条件のいい代替地を早急に造成して、どうせ移転をしていただくならば、その条件のいいほうに移転をしていただくような行政措置をいろいろ進めてまいりたい、かように申し上げたわけでございます。
  214. 折小野良一

    ○折小野委員 立法技術とおっしゃるのが私どもわかりません。法律をつくるということは、結局国民のためにいい政策を実現しようと思って法律をつくるわけなんであります。そうするならば、当然、そのほうが正しいと思うならば、それに合わして法律のほうを直すべきです。立法技術なら立法技術のほうを直すべきだと私は考えます。こういう点につきましては、そういうふうにお考えであるならば、政府のほうで修正されるか何らかの方法を講じていただきたい。そうすることがよりいい政策になる、私はそう思います。よりいい政策になることがわかっておるならば、多少の立法技術——私はその立法技術というのは、そういう目的をも曲げなければならないほどの大切な立法技術じゃないと考えます。改むべきだと思いますが、いかがですか。
  215. 棚橋泰

    ○棚橋説明員 私が立法技術ということばを使いましたことにつきまして、若干不用意だったかと存じますが、私がお答え申し上げました趣旨は、非常に騒音の激甚なる区域から移転される方に対して補償するという規定でございまして、先ほどのことを繰り返して申し上げますように、その方がたとえば工場地帯のまん中とか、ほかのどういうところにお移りになるかということによって、補償をするしないという差別をつけることは、この法律上は好ましくない。とにかくここは音がするんだから移転をしたいんだという御希望がある方には、すべて補償し、その方がその後にどこにお住まいになるか、どこに移転されるかということにかかわらず補償しなければならないという義務があるのではないか、こういう意味の法律上の規定からこういうふうにならざるを得なかったという事情を申し上げまして、決して技術的な意味での立法技術という意味を申し上げたわけでございませんので、御了解いただきたいと思います。
  216. 折小野良一

    ○折小野委員 時間がありませんのであまり時間をとりたくはないのですけれども、第二種の区域に入っている方はできるだけ出てください、こういうことなんでしょう。補償します。そうしたら、その次の区域もやはりいろいろぐあいが悪いわけですよ。騒音対策という立場からは、やはりそこにも新しく入ってきていただきたくはないわけです。それは、こちらの立場から、あるいは政府の立場から、あるいは空港の立場から入ってきていただきたくないだけでなしに、国民という立場からいたしますと、もっと環境のいいところにおいでください、こういうふうに言いたいわけなんです。そういう立場から考えていくべきだと思うのです。でありますならば、二種の区域におる人は出てくださいというんならば、一種の区域内にはできるだけ入らないでください、こういう規定を設けるということは、私は決して差しつかえないと考えます。そのことがその関係方々に対しても親切であります。そしてまた、公害対策という面からもよりいい結果が生まれるというふうに考えます。  あまり議論する時間もございませんので、この点につきましては、ひとつ大臣以下よろしくお考えをいただきまして、まだ採決までには時間もあることでございますので、よろしく御考慮をお願いをいたしたいと思います。  それからもう一つお伺いをいたしますが、家屋等を移転いたします場合には補償されます。それからその家屋等を除却するときにも補償されます。その効果からいたしまして、そこに家屋があった、騒音がひどいので出ていく、しかし業態その他の関係からして騒音関係のない使い方をしたい。もっと具体的に言いますならば、そこから出ていく、もうとうていそこには住めない、しかしその家を倉庫にしてそのまま置いておく、こういうような場合はどうなるんでしょう。すなわち、その目的を変えてしまったという場合ですね。
  217. 棚橋泰

    ○棚橋説明員 お答え申し上げます。  先ほどから申し上げておりますように、この規定は、そこの場所から移転をしたいと希望をされる方に対する補償の規定でございます。したがいまして、現在のところは、用途変更をされる方に対して補償をするという態様は考えていないわけでございます。しかし、騒音がうるさいから用途変更するんだから補償をしてもいいじゃないかという御意向も確かにあろうかと思います。ただこれにつきましては、騒音が激甚のためにそこではとても住居ではたとえば仕事ができないとか、そういうようなことで倉庫にして仕事を変えたいというようなお話に非常に近いんではないか。そのような場合には、本来でございますと、それは移転補償とは別体系の営業の損失補償というような形で処理さるべき性格ではないか、かように思っております。損失補償の規定は実はこの法律にございまして、法制上は一応できることになっております。ただ現実には、いま先生のおっしゃったような実例がございません関係で、現在の損失補償の規定は事実上適用になっていない、こういうことでございます。
  218. 折小野良一

    ○折小野委員 それから、従来学校等騒音防止工事助成関係でございましたが、今度また新たに住宅の騒音防止工事助成というのが出てまいっております。たいへんけっこうなことだと思います。その中で、具体的な問題といたしまして、騒音防止をやる、空調までは見てやる。しかし騒音防止対策を講じますと、何といっても締め切ってしまうわけですから、夏は暑くてとてもその中で生活できない。特に学校があるわけなんです。とうていその中で勉強できない。こういうようなことで、従来とも冷房の要求というのは非常に強くなってきておるのだというふうに考えます。これも具体的な問題は政令のほうでいろいろときめられることだと思いますが、今後の問題といたしまして、この冷房に対してはどういうふうにお考えになっておるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  219. 棚橋泰

    ○棚橋説明員 先生の御質問は学校の冷房でございましょうか、それとも民家でございましょうか。
  220. 折小野良一

    ○折小野委員 両方です。
  221. 棚橋泰

    ○棚橋説明員 それでは両方についてお答え申し上げます。  学校につきましては御指摘のようなことがございまして、締め切って非常に暑苦しくて勉強ができないということがございまして、昭和四十五年から除湿工事という形で事実上の冷房を実施をいたしております。したがいまして、現在の防音工事の学校は大部分除湿工事が施されております。  それから、民家の防音工事につきましては、この法律の成立を待ちまして実施をするということになっておりますので、いまだ実施をいたしておりませんが、その具体的仕様につきましては、法律の成立を見ました段階政府部内で確定をするということになっておりまして、まだ細目まで確定をいたしておりません。ただ、冷房につきましては、実験工事におきまして、当初、先ほど岡本先生の御質問お答え申し上げましたモデルハウスをつくりまして、数軒の実験工事をいたしておりますが、その際には当初熱交換器という装置をつけまして実施をしたわけでございますけれども、御指摘のように、それではとても夏暑いということで、実験工事も途中から冷房装置を装着をいたして現在テスト中でございます。ただ、民家の防音工事というのは、わが国で大規模にやっております例がまだあまりないものでございますので、ただいま調査費をもちまして、どの程度の換気装置等を施したらいいかということについて調査中でございまして、第一次的な段階では、やはり冷房に類似する装置というものが必要ではないだろうかという大体結論に近くなっておりますので、実施の段階までに政府部内においてさらに詰めて、そのような方向でいきたいということで検討中でございます。
  222. 折小野良一

    ○折小野委員 次には空港周辺整備機構について一言お伺いをします。  この機構に関する制度をいろいろ見せていただきますと、この中で理事長とともに監事を運輸大臣が任命するということになっております。それから理事長が機構と利害が対立する、こういうような問題については監事が機構を代表する、こういう規定になっております。私どもが普通承知いたしております法人その他の組織におきましては、通常理事長が事故あるときには理事の中からだれか、一定の代表あるいはかねて順番をきめておいて、その順位によって代理をするとか、そういうような規定をするのが普通だと思います。こういうふうに監事について直接運輸大臣が任命をする、あるいは監事が組織を代表する、こういうような制度は、どういうような理由によってつくられようとしておるのか、そしてまた、それが何のために必要なのか、その点お伺いをいたします。
  223. 棚橋泰

    ○棚橋説明員 お答え申し上げます。  先生指摘の点は、理事長とこの機構の利害が相反したときには監事がその事務を代行する、こういう規定でございます。したがいまして、たとえば病気で休まれるとかそういう点についてはまた別の規定がございまして、順位に従って先生の御指摘のように事務をとることになっております。  そこで、なぜ理事長と機構が利害が相反するときに監事が代行するかということでございますが、実は理事理事長の任命でございます。したがいまして、そういう意味では、理事理事長というのはある意味では一身同体と申しますか、そういう形になっております。任免権を理事長が持っております。ところが監事は、理事長とともに運輸大臣が直接任命するということになっております。したがいまして、利害が相反するときに限り、監事がその中立的な立場で事務を代行する、かような規定になっておるようでございまして、これは他のこの種の法人の法律上の例文のとおりでございます。
  224. 折小野良一

    ○折小野委員 ただいまの説明はどうも少し納得いきませんですが、時間がありませんので、それは今後の問題に残しておきたいと思います。最後に、航空機騒音に関しましては、去る十二月、環境庁からその基準が公表をされました。航空機騒音を減らす、これはもうすべての関係住民の最も期待をするところでございます。それを減らすにつきましては、私ども考えました場合に、飛行機そのもの、すなわち騒音の発生源に対していろいろな改良その他を加えていくという方法がありますでしょう。それからまた、飛行の便数を少なくするとか、あるいは進入方向その他航空路を変えていくとか、そういうような方法がありますでしょう。あるいはまた、関係住民を移転をさして問題の解決をはかるということもありますでしょう。あるいは飛行場そのものを移転する、こういうような方法もあろうかと考えております。いずれにいたしましても、環境庁がこの基準の実現を期待をする、こういう面からいたしますと、どういう点をどうして環境基準というものを維持できるのか、こういう点についての環境庁としてのお考えをひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  225. 春日斉

    ○春日政府委員 航空機騒音にかかわります環境基準を設定いたしますにあたりまして、これは環境基準でございまして、いわば望ましい数値でございます。言いかえてみますると、住民生活環境を保全し、健康の保護に資する上で望ましい環境上の条件として基準を定めたわけでございます。そして可能な限りのいろいろな達成施策を考えまして、その基準を達成するために必要な期間として達成期間というものを定めたわけでございます。そして、改善目標といたしまして、一気にできないものについては、五年の中間目標あるいは十年の中間目標、こういったものを定めまして、環境基準の達成まで努力してもらいたい、こういうことでございます。したがいまして、環境基準はいわゆる排出基準とか規制基準ではないということでございます。
  226. 折小野良一

    ○折小野委員 一定の環境基準を達成するためにはあらゆる方法があろうかと思いますし、それぞれの方法を総合的に実施して初めて達成できるものだと思います。  望ましい基準というふうにおっしゃいました。しかし、その望ましい基準というのは、基準を立てさえすればいいんだということではなしに、これはやはり実現をしていかなければならない。実現するための努力というものがなされなければならないわけでございます。したがって、今回出されましたこの環境基準は、これは必ず実現することを目標にして今後具体的な施策が立てられなければならないと考えますが、航空機騒音のこの環境基準が、すなわちこの望ましい基準を実現するために、運輸省といたしましてはどういうふうな対策をとろうとしておいでになるのか、あるいはその対策をとるについての御決意をお伺いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  227. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 御指摘のように、この環境基準は望ましい一つ目標というよりも、この基準は私は守っていかなければならぬ、またそのように全力をあげて努力しなければならないと思います。いま日本に大体六十ぐらい飛行場があるそうでございますが、そのうちでこの環境基準に合格すると申しますか、合格する飛行場というのは、釧路の飛行場とその次に大体那覇、大分もあるいはというぐらいの程度でございまして、ほかの飛行場は全部この環境基準をこれから達成するために努力をしてまいらなければならぬわけでございまして、これはもうたいへんなことだと私どもは覚悟をきめておるわけでございます。これにつきましては、先生、いままで個別に一つずつ御指摘がございましたように、一つは立地条件とか地域の整備とかいうものをもあわせまして、問題はやはり音源対策というものに対して積極的に取り組んでまいりませんと、ただ狭い日本の土地の、しかも周辺がこんなに混雑している中で、この目的を達するのは非常に困難なものがあると思います。しかしながら、先ほど来申し上げましたように、私どもはこの基準一つ目標に、目標というよりも命題にいたしまして、今後総合的な努力を払って目的を達成してまいりたい、かように考えております。
  228. 折小野良一

    ○折小野委員 これは今後の御努力に期待するわけでございますが、今度の法案にいたしましても、はっきり出ておりますのは、先ほど御答弁がございましたように、八五までの対策しか具体的には出てない。これを七〇なり七五なりにするということになりますと、そのほかにもいろいろな対策が必要になってこようかと思います。しかし、これはやはり望ましい環境を保持するために何とかやっていただかなければなりませんので、今後の一そうの御努力をお願いをいたしまして、私の質問を終わらしていただきます。  ありがとうございました。
  229. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 以上で本連合審査会は終了いたしました。  これにて散会いたします。    午後五時五十一分散会