○三浦
委員 ですから、そうすると
物価安定政策
会議の提言は、あなたは無視されている。そして、あくまでも利用者に犠牲を押しつけ、私鉄独占の利益を擁護するという立場に立っているとしか思えないじゃないですか。
じゃ、時間がないから、具体的にちょっと
お話ししましようか。東急の田園都市線というのがある。時間がないから私のほうから言いますけれども、これは
昭和三十一年の九月二十八日に新線建設の申請が出ているのです。九月二十八日に溝の口から長津田まで出て、三十二年の十一月十四日には、さらに長津田から中央林間まで申請が出て、三十五年の九月二十日に認可されている。三十八年の十月十一日に着工して、四十一年の四月一日に開通していますね。当時、この路線が決定されたときには、沿線の住民というのはほとんどいなかったはずです。そうでしょう。東急が多摩田園都市をつくるのだ、それで四十万都市をつくるのだ、こういう計画とあわせて新線建設が許可になったと私は思うのです。その多摩田園都市をつくる東急の手口というのは、新線建設を申請するはるか以前の二十五、六年ごろから地主と
話し合いです。そして具体的には二十六年ごろからどんどん土地を買収していっているのです。当時、坪数百円といわれていますね。そして区画整
理事業を行なっているのですよ。これも、「七四 とうきゅうのしおり」というのに出ていますけれどもね。膨大な土地を、一ブロックから第四ブロックまで分けまして、東急もいわゆる区画整理組合員の一人に入っています。何百人と組合員がおりますけれども、東急は一社でもって約一割の土地を所有しているのですよ。ですから、これがもう東急のいうままに区画整理が行なわれているのは間違いがないですね。そうして区画整理を行なうと同時に、新線建設をどんどんやっていっているのですよ。まだ区画整理をやっているのですよ。そしていまでは、大体土地が坪二十一万円ぐらいになっているというのです。そしてこの付帯事業として、田園都市業というふうに東急は区分していますけれどもね。この田園都市業でもってどのぐらいもうけていると思いますか。土地を先に買って、そしてそこの地主と話し合って区画整理組合を九つもつくって、それでどんどん区画整理はやる。新線は敷く。そして自分の買った土地をどんどん売り飛ばしてぼろも一うけしているのですよ。これは鉄道事業部門なくしてこんな不動産の収益をあげることはできないですよ。
どのぐらい収益をあげているかといいますと、これは最近の五年間ですけれども、
昭和四十三年の下期から
昭和四十八年の上期までの有価証券報告書に基づいて計算してみました。少なくとも二百六十億円はかせいでいる。この五年間で、東急一社で、あの田園都市業だけで毎年五十億円以上の利益をあげているのですよ。少なくともというのは、これは
昭和四十五年の下期までは、有価証券報告書は、収益の部分についても費用の部分についても田園都市業というものを区分してぴしっと出しておりました。しかし、四十六年の下期からは有価証券報告書の記載が変わりまして、田園都市業というものについて収益はぴしっと出ていますけれども、費用については不動産事業として一括して出ているんですよ。ですから、われわれは利益を算定するにあたって、土地と関係のない、建物についての費用部分だけを控除して、残りの全部の費用は田園都市業の費用だというふうに過大に見積もって計算しても二百六十億円ですよ。それもだんだんふえているんですよ。これは土地が値
上がりしているからふえているのです。四十七年の上期には三十四億九千万円もうけている。四十七年の下期には、ちょっと減っていますけれども、これは三十億円もうけている。それで四十八年の上期には四十一億九千万円もうけているのですよ。四十八年の上期はどのくらいの土地を売ってこれだけの利益をあげたのかといいますと、十二・五ヘクタールです。これは有価証券報告書に基づいて言っているのです。そうすると現在、現在といってもちょっと古くなりますが、四十八年の四月一日現在で、この多摩田園都市のうちの
横浜市内だけで東急はまだ二百二十五ヘクタール持っているのです。わずか十二・五ヘクタール売っただけで四十八年の上期で四十一億円もうけているのです。これからどのくらい利益をこの田園都市業であげていくかはかり知れないのですね。それでこれは全部鉄軌道部門に負うところが非常に多いというのははっきりしている。そしてこの田園都市線の建設費用というのは全部で百二十二億かかっていますね。不動産事業は収益をどんどんあげているけれども、この田園都市線の建設費用については何ら負担をしていないということなんですよ。こんなばかな話ないのです。ですから、どうしたって鉄軌道部門というものを利用して特に膨大な収益を不動産事業であげている場合には、その不動産収益の費用を
運賃算定にあたって考慮するか、さもなければ、いわゆる新線建設の費用を不動産事業部門が負担をして、鉄軌道部門の資本的な経費を少なくしてやるというような措置をして、
運賃の
値上げを決定していかなければ、これははなはだしい片手落ちになるし、利用者に一方的に負担を押しつけるということになることは明瞭だと思うのですね。ですから私はさっきから繰り返し言っています。しかし鉄監
局長は、繰り返し、いや、鉄道事業部門はそれだけで採算を見るのです。しかし、これがいかに不公平なものであり、私鉄独占資本の利益を弁護している立場に立ち、そして利用者に大きな負担をかけていることになるかということはもうおわかりになったと思うのです。ですから私は、あくまでも不動産事業部門の収益は、
運賃の
値上げにあたって考慮することを強く強く要求しておきたいというふうに思うのです。
時間が超過いたしましたので、一応以上で私はやめたいと思いますけれども、私はいままでに数回にわたって
私鉄運賃の問題について御質問を申し上げました。政府は、
赤字だから上げるのだと言うけれども、過去の
赤字というものも、実際にたとえば費用配分などというものを適正にやる、また減価償却を実情に見合ったようにしていく、こういうことによって実際の
赤字というものはない、むしろ黒字なんだということがはっきりしたと思うし、また、これから将来の予測を立てる上においても、たとえばさっきの算定基準等にあらわれているように種々の疑惑が出てきています。そういう
意味で、特にいま
物価値上げの第三波が押し寄せてきている、こういわれています。田中内閣になってから
日本列島改造をやった。そして土地の買い占めとか材木の買い占めとかでどんどん
物価が上がっていったのが第一波だと思いますよ。第二波というのは、昨年のつくられた石油不足を口実としてどんどん売り惜しみが行なわれて
物価が上げられていった。第三波は、石油の値段が上がったからということを理由にして今度は
公共料金をどんどんどんどん政府が上げていこうとしている。いわゆるこういう第三波の大波にいま国民が洗われてあっぷあっぷしょうとしているわけですから、
国民生活に重大な影響を持っているこの
私鉄運賃の
値上げについては、私はやはり
値上げをすべきではないということを強く要求しておきたいと思います。それと同時に、国民に疑惑を持たせないためにも、算定基準というものを日も早く私どもに提出をしていただくようにお願いを申し上げておきたいというふうに思います。
終わります。
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