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1974-03-22 第72回国会 衆議院 運輸委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月二十二日(金曜日)     午前十時五十六分開議  出席委員    委員長 三池  信君    理事 江藤 隆美君 理事 加藤 六月君    理事 佐藤 孝行君 理事 佐藤 文生君    理事 佐藤 守良君 理事 太田 一夫君    理事 兒玉 末男君 理事 三浦  久君       阿部 喜元君   小此木彦三郎君       加藤 紘一君    片岡 清一君       唐沢俊二郎君    中村 弘海君       羽田  孜君    細田 吉藏君       山村新治郎君    綿貫 民輔君       金瀬 俊雄君    久保 三郎君       神門至馬夫君    斉藤 正男君       坂本 恭一君    梅田  勝君       紺野与次郎君    石田幸四郎君       松本 忠助君    河村  勝君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 徳永 正利君  出席政府委員         内閣官房長官 大村 襄治君         経済企画庁長官         官房参事官   有松  晃君         経済企画庁物価         局長      小島 英敏君         経済企画庁総合         計画局長    宮崎  仁君         大蔵政務次官  中川 一郎君         運輸政務次官  増岡 博之君         運輸省海運局長 薗村 泰彦君         運輸省船舶局長 内田  守君         運輸省船員局長 住田 俊一君         運輸省鉄道監督         局長      秋富 公正君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部長 住田 正二君         運輸省自動車局         長       中村 大造君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      宮本 保孝君         日本国有鉄道総         裁       藤井松太郎君         日本国有鉄道副         総裁      井上 邦之君         日本国有鉄道常         務理事     内田 隆滋君         日本国有鉄道常         務理事     伊江 朝雄君         日本国有鉄道常         務理事     天坂 昌司君         日本国有鉄道常         務理事     速水 信一君         日本国有鉄道経         営計画室長   富井 義郎君         日本国有鉄道資         材局長     篠原 春夫君         日本国有鉄道旅         客局長     柳井乃武夫君         日本国有鉄道貨         物局長     丸尾 和夫君         日本国有鉄道施         設局長     篠原 良男君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正己君     ————————————— 委員の異動 三月二十二日  辞任         補欠選任   井原 岸高君     中村 弘海君   國場 幸昌君     羽田  孜君   關谷 勝利君     加藤 紘一君   宮崎 茂一君     片岡 清一君 同日  辞任         補欠選任   加藤 紘一君     關谷 勝利君   片岡 清一君     宮崎 茂一君   中村 弘海君     井原 岸高君   羽田  孜君     國場 幸昌君     ————————————— 三月二十日  国鉄篠ノ井線全線複線化に関する請願(林百  郎君紹介)(第三〇五一号)  上田交通別所線の存続に関する請願(林百郎君  紹介)(第三〇五二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進  特別措置法の一部を改正する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第五九号)  臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案  (内閣提出第六六号)      ————◇—————
  2. 三池信

    ○三池委員長 これより会議を開きます。  国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。久保三郎君。
  3. 久保三郎

    久保(三)委員 運輸大臣もまだおいでにならないので、提案されているこの法案重要性からいけば、当然しかるべき方が出てきて質問に答えるのが筋だと思うのでありますが、都合もあるというのでありますから、一定の時間まで大臣おいでにならぬときには質問を中断してお待ちしたいと思いますので、あらかじめ御了承願います。  それでは、国鉄の副総裁おいでになっているから、国鉄からまず聞きましょう。  最近国鉄の安全の問題が実は大きな問題になっているわけでありますが、特に、内部告発といったらことばが悪いが、内部からも安全について問題が提起されている。それから、その中身は、特に新幹線優等列車の増発による線路保守ですね、そういう問題に安全に対する大きな懸念が出てきたという問題でありますが、これは、言うならばいままで進めてまいりました、安全を度外視するということじゃないでしょうが、国鉄財政を何とかしようという、経済効果を焦点にして考えてきたためではなかろうかというふうに一つは思うのであります。  なるほど技術開発の進展に伴って当然合理的に改革はさるべきものとは思うけれども、その機械的な、技術的なものがまだ不十分であるにもかかわらず、経済効果というか、そういうものを優先的に考えて、たとえば線路の問題にしても、その耐久力というか、それに対する保守、これの近代化、そういうものが実際は計画どおり進まないのに、保守体制そのものは、その体制が進んだと同様な形で進められてきたきらいがありはしないかということなんです。  それからもう一つは、従来この委員会でも取り上げられてまいりましたように、車両修繕回帰キロ、いわゆる修繕の周期ですね、あるいはメンテナンスのやり方、そういうものについてあまりにも効率的な運用ということに重きを置き過ぎて、そのために最近、優等列車の一部をダイヤから消すというような不手ぎわも見受けられるわけでありますが、これらについて国鉄当局は今日どういうふうに考えられておるのか。新幹線においても御承知のように開業以来もはや十年になります。この十年間でいろんな経験もあったと思うのでありますが、一つは、十年の間に目に見えないところに疲労がきてはいないか、その疲労の蓄積というものが今後爆発的に出やしないかという、心配一つはある。それからもう一つは、CTCですか、ATCですか、いわゆる列車総括制御、そういう制御装置に問題があるという話も聞いている。こうなりますと、技術革新が安全を阻害するという問題が逆に裏目に出てくるわけですね。そういう問題についていままでどういう対策をとってきたのか、この辺でいままでの経営のあり方というか、姿勢を変える必要がありはしないかと思うのだが、この点について国鉄当局はどう思っておられるか。  それからもう一つは、労使の間で内部に、安全というか、事故対策委員会というか、そういうものをつくっておられるはずでありますが、いまそういうものの機能はどうなっているのか、われわれの側から見ておりますと、そういうものが十分機能していれば、先ほど申し上げたように内部告発的な安全に対する危惧、そういう面から職員世間にアピールするというふうなことはないはずだとわれわれは思っている。ところが、これが出てくるところに形式的な取り上げ方がありはしないか。  それからもう一つは、安全綱領なるものが内部に古くからありますが、そのおおよそは、言うならば精神主義にありはしないか。もちろん問題は、究極は人間にありというから、これを全然否定するものではありませんけれども、相手は機械でありますから、そういう機械装置の問題をないがしろにして人力にたよるということは、もはやこの際は非常にむずかしい段階に来ていると思うのです。だから、そういう意味精神主義について、いままでどういうふうに評価しておるのか。  それからもう一つは、事故原因責任について不明確であるというふうにわれわれは思っている。事故原因は、いままで発表された原因別の、いわゆる事故の種別にしても、本人の不注意とか、あるいは取り扱いの誤りとかいうようなもので大半が処理されておるけれども、実際にほんとうの事故原因というものを探求しない、あるいはことさらに回避してきているようにも思うのであって、そういう態度では、残念ながら国鉄安全性を徹底的に確保することは非常にむずかしいというふうに思いますが、それらの諸点についてどういうふうに思うか、お答えをいただきたい。
  4. 井上邦之

    井上説明員 国鉄の安全問題につきまして、かねがね先生からも多大の御関心をいただいておることを厚く御礼申し上げます。  ただいま先生からきわめて広範な点にわたりましていろいろ御指摘がございました。一々私、傾聴いたした次第でございますが、最初にまず申し上げたいことは、国鉄といたしまして安全という問題は経営以前の問題であると申しますか、経営の基本問題であるというふうに考えておりますので、先生のちょっとお触れになりましたような、営利主義に走って安全をおろそかにしておるのではなかろうかというようなお話がございましたけれども、決してさような点はございません。  また内部告発、最近、動労もやりましたし、また国労もやりましたが、そういった問題についてもお触れになりましたけれども、これは職員が直接仕事をしておって、実際のみずからの経験と体験によっていろいろな問題を感ずるということにつきましては、私どもも謙虚に受けとめてまいりたい、かように考えております。国鉄の安全の問題につきまして、内部からであろうと外部からであろうと、とにかくいろいろな面で御注意がある、あるいは御指摘があるという点につきましては、謙虚に受けとめてまいるという考えでおりますので、内部から労働組合がこういうことを言ったからということで、私どもは決して頭からこれを押えていくというような考えは毛頭持っておりません。したがいまして、事故防止委員会というような席を設けまして、——これは国労鉄労との間では事故防止委員会というような名前でやっておりますが、動労はどういう考えでありますか、ちょっと考えも違うようでありまして、事故防止委員会という名前を好みません。そういう名称をつけておりませんけれども、現実にはやはり同じような場を設けまして、安全問題について隔意なき意見の交換をいたしております。  また、国鉄としても非常に不名誉な、最近、優等列車運休をやっておるのではないか、これはその安全について非常に問題があることを立証しておるじゃないかというお話もございました。おそらくこれは上越特急の「とき」の問題を御指摘になったのだと思いますけれども、これは確かに御指摘のとおり、ただいま三月一ぱい三本の運休計画的にやっております。これは、国鉄車両が非常に老朽化したために、最近故障が続発して、そうして運休のやむなきに至ったというようなことも組合側で言っておりますが、必ずしもそうではないのでございまして、根本的な原因はやはり昨年末から今年初にかけました異例の豪雪、これは統計上は三十年に一度の豪雪だそうでございますが、そういう豪雪のために車両修繕が、ふだんでありますれば、普通の雪でありますれば修繕がちゃんと予定どおり参りまして、次の列車運行に差しつかえなく列車を仕立て得る、こういうことでございますけれども、まれに見る豪雪でありましたために、修繕のほうで多少余裕ができませんで、それがたまりたまって押せ押せになりまして、かなり運休せざるを得なくなった、まあこういうことでございまして、たとえば昨年雪が降り始まりましてから二月一ぱいまで約百日間にわたりまして、車両故障原因を調べてみますと、雪による故障が九割を占めておるのでございます。したがいまして、この「とき」の問題につきましては、車両が古い古いといわれますけれども平均車齢車両の年齢でございますが、これは大体十二年ぐらいのものでございます。私ども電車平均車齢は二十年を考えておりますが、それからいたしましても決してそう古い車であるとも思っておりません。  そういうことで、先ほど御指摘になりました「とき」の問題は、昨年末以来の豪雪が大きな原因であるというふうに、ひとつ御了解いただきたいのでございます。ただいま鋭意三本の計画的な運休をやるということをやりまして、それだけ車両予備率も確保いたしまして、故障修繕をできるだけやりまして、四月からは正常な運行に戻る。さらにまた、今年中に三十八両の新しい車両を発注いたしまして、この問題につきましては御心配のないようにやってまいる、こういう考えでございます。  その他冒頭に申し上げましたとおり、安全の問題につきましては、組合ともよく話し合いをしながら問題のないように私ども考えておりますし、また精神主義に走っておって、ただ頭からかけ声ばかりで安全問題をやっておるのじゃないかというような御指摘もございましたが、幾ら機械化いたしましても、機械を操作し、それを動かすものは人間でございますから、根本的には職員指導訓練というものにつきましては、基本的に重点的に一生懸命やっていかなければならぬということは大事だと思います。決してそれだけで安全の問題を事足れりとしておるのじゃなくて、年々膨大な安全対策費も立てまして、安全については機械化の面でも安全が保障されるようにというふうに私ども努力いたしてまいっておるのでございます。どうかひとつ、安全の問題につきましては、私どもにおまかせいただきますようにお願いいたしたいと思う次第でございます。
  5. 久保三郎

    久保(三)委員 副総裁、おまかせいただきたいという最後のことばでありますが、おまかせすることはもちろんでありますよ。それは直接運営しているあなたらにまかせないで側から行ってやるわけにいきませんから。しかしこれは、それほどの自信がおありならば、なぜそういう列車なり何なりを運休しなければならぬのか。いまの御説明だと、何か別な豪雪理由をとっておられるようでありますが、秋田や青森というのは昔から豪雪地帯になっているのでありまして、あまり天候異変のない限りは雪が降ることになっております。だから、そういうものにどこまで耐えられるかというのが当然研究されてしかるべき話だと思うのですね。それがやられていないので——もちろん公式の場所で私の質問に対して、あなたのおっしゃるとおりでまことに申しわけない、と言ったら、これは責任の問題になりますから言い得ないことは事実であります。しかし、問題は安全の問題でありますから、もう少しまじめに考えてもらいたい、私はこういうふうに思っております。  別にあなたらのやりとりが全部悪いとは言ってないのですよ。ただ問題は、列車電車の運転というものはどこのワクで押えるのかということをあなたに聞きたい。どういうワクで押えるのが一番いいのか。ことばではなるほど安全が大事でありますから、一番先にそれを押えます、こう言うのでしょうが、ことばだけでなくて実際にどうやっているか。これは内部告発だろうが外部だろうが、謙虚に耳を傾けるといったら傾けたらどうですか。おまかせくださいというのは、はっきり言ってことばが違う。それならばはっきり言うが、いわゆる事故原因責任についてもっと明確にするように、これは外部に委託して究明したらどうですか、内部でごちゃごちゃやってないで、私はそう思う。別にいままでのやり方が全部悪いとは言ってないんですよ。少なくともいま安全というものが一番問われている。当然な話であります。それをどうするかということについて、いままでのありきたりの答弁でのがれようなんというのはどうかと私は思うのです。車両の発注をしましたとかなんか言っていらっしゃるが、おやりになっているというのはいま初めての話でしょう。運休する前になぜもっと車両ができなかったのか、世間はふしぎに思いますよ。私はそういうふうに思う。  時間も限られておりますから、そう長くいろいろなことをお聞きできませんけれども、少なくとも国鉄事故原因責任というか、そういうものの基本にかかわる問題を、まず第一に究明されることが先決ではないのかというふうに私は思うのであります。内部的な究明のしかたもあります。しかしながら、そういう内部告発が出た今日では、第三者にまかせて一ぺん考えたらどうです、こう言うのです。それは人間の問題は大事であります。しかし、技術の問題も、人間を度外視した技術革新というのはあり得ないのです。たとえば人間工学的にどれほどの配慮があって技術革新をしているのか、信号機場所あるいはハンドルの位置、いろいろな点からいっても、人間工学的に検討しなければならぬものもたくさんあると思うのです。そういうものを度外視しては話にならないだろうというふうに私は思うので、あとから時間があれば答弁していただきますが、一応申し上げて大臣が来ましたから、先にいきましょう。  それでは大臣にお伺いしますが、御提案なさっている国鉄運賃値上げは九月一ぱいまで延期するということであります。それではこれは、提案の説明のように、大体九月一ぱいまでには物価安定ができるから、大体九月一ぱいまで、その間は物価安定のために延期する、こういうわけですが、これは企画庁長官なり企画庁からもあとから聞きますが、これは大体そういう理由だとするならば、物価の安定が九月一ぱいにできなければ、さらに国鉄運賃値上げは延期するということに相なることでありましょうね。いかがでしょう。
  6. 徳永正利

    徳永国務大臣 値上げの安定は、九月を待たず、この夏までにもう全力をあげてこれの安定のために努力しようということでいまやっている最中でございまして、この問題につきましては、予算委員会その他を通じて総理はじめ担当の閣僚からたびたび御説明のあったとおりでございます。私どもといたしましては、公共料金影響するところが非常に大きいということで、九月一ぱいこの国鉄運賃を凍結いたしまして、政府の不動の姿勢を宣明したわけでございます。御審議をわずらわすわけでございますが、いまのところ、現時点におきましては、その後のことについては考えておりません。とにかくそれまでに物価安定に全力を尽くして押え込むという決意で努力している次第でございます。(太田委員大臣、あなたは最初のほうで値上げの安定と言ったから、ちょっと訂正したらどうですか。物価の安定だろう」と呼ぶ)
  7. 久保三郎

    久保(三)委員 経済企画庁有松参事官来ておりますね。長官おいでになりませんから、あなたに一応お聞きしますが、いま運輸大臣から御答弁がありましたが、全力をあげて安定させる、こういうことです。最近は高値安定ということばもあるのですが、われわれ国民大衆から見れば、高値安定はことばでの安定であって、これは生活上の物価安定ではない、こういうふうに考えるのでありますが、あなたのほうでは、いま運輸大臣がお使いになった物価安定とはどんなものであるか、それからいつまでにどの程度まで物価は下がるとか上がるとかいうような予測をされておられるのか、計画はどうなんですか。
  8. 有松晃

    有松政府委員 最近の物価動向でございますけれども卸売り物価並びに消費者物価とも非常に騰勢と申しますか、高騰の勢いが続いておりまして、その点ではまことに楽観を許さない情勢であることは事実でございます。ただ、卸売り物価につきましては、二月以後におきまして若干騰勢鈍化の気配が出てきておる。これはいままでの総需要抑制その他の政策の効果が徐々にあらわれ始めてきたということもいえるのではないかというふうに思われる次第でございます。  それからまた、消費者物価につきましても、これは依然として騰勢が続いてはおりますが、一ころいわれましたような、いわゆるもの不足というような状態は解消に向かいつつある、そういうような現状認識に立ちまして、今回石油の製品価格値上げは行なわれたわけではございますけれども、これの諸物価への影響を極力影響しないようにということで、すでに各種の価格につきまして、先取り的な値上げが行なわれたものも多い、こういったような現状にも照らしまして、値下げできるものはさらに値下げの指導までする、あるいは全般的に個別物資について値上げ抑制をはかるといったような対策を、強力に推進いたしたいということと同時に、総需要抑制というような基本的な施策につきましては、今後引き続きさらに堅持してまいる、こういう前提に立ちまして、物価動向につきましては、本年の夏ごろまでには安定をさせていくという覚悟で、全面的に取り組んでいきたいということでございます。
  9. 久保三郎

    久保(三)委員 いまの御答弁でも、どうも私の質問には的確に答えていただけない。もちろん、これはたいへん無理なことでありまして、当たるも八卦当たらぬも八卦というのが、最近では当たるのは、物価高値というのは大体当たるというわけですね。安定ということばも、さきほど申し上げたように、いろいろな使い分けがございますから、そういう意味では当たりましょう。しかし、国民大衆生活に密着した、いわゆる高値から値段を下げる安定、こういうものはおそらく当たらぬだろうと思うのです。そういう意味で、夏ごろまでには何とかしたいし、努力目標だと言う。努力目標ならば、先ほど運輸大臣に申し上げたとおり、努力はしたけれどもだめだというようなときには、もちろん国鉄運賃もそのまま上げないでいく以外に方法はないと思うのです。くどいようですが、理屈からいけばそうでしょうね。
  10. 徳永正利

    徳永国務大臣 先ほど私、値上げ安定と言ったそうで、御指摘を受けまして、まことに恐縮いたしました。これは値上げではなくて、物価の安定でございますから、訂正させていただきます。  それから、重ねてのお尋ねでございますけれども、私どもは、この夏ごろまでには物価を安定させるという異常な決心と確信を持っております。したがいまして、ただいまの時点におきまして、十月以降物価がさらに上がるということは考えておりません。それまでには必ず安定するということで、それ以後のことについて、この料金の問題については、現時点では考えておらないわけでございます。
  11. 久保三郎

    久保(三)委員 いまから考えておるというなら、法案を直さなければいけませんからそうかもしれませんが、ただ、昨年というか、運賃値上げ法案審議の際は、前の大臣でありまして、あなたは延ばすところのほうの法案大臣になられたわけでありまして、だいぶ趣が違うと思いますが、去年の審議、おととしもそうでありますが、審議した際に、国鉄運賃値上げというのは、物価にさしたる影響はないというような理屈から、実は強行して上げてきた。われわれは二年ごし議論をしまして、去年も長いこと衆参両院を通して議論してまいりました。  議論中身は、いろいろございますが、一つには物価公共料金の問題で議論をしてきた。われわれとしては、最終的に少なくとも物価に、いま高騰のさなかにあるから、この運賃値上げは思いとどまったらいいだろうという主張できたのでありますが、もしもその言うことを当時政府なり与党が謙虚に受けとめて判断されれば、こういうことはなくて済んだものをというふうに私は思うのであります。予算審議とか法案審議というのは、野党の主張であっても、一たん出した法案は必ず通すのだというようなやぼなことでは、議会制民主主義というのはうまくいかないというか、発展しないだろうと私は思うのです。  ところが、いままでのやり方を見ますと、そういうことなんです。だから、われわれから見れば、それ見たことか、やはりそういうふうにせざるを得ないじゃないかという気持ちが多分にあるわけであります。いままた御提案に対しても、われわれ自身として、夏までに安定させる、努力目標はけっこうである。一刻も早く、あしたにも安定させればこれが一番いいのであります。しかしそれは非常にむずかしいから、さしたる影響はないというならば、さしたる影響がないようなものであるのかどうか、どうもここらに矛盾もあるし、もっと解明して、すかっとした形でやるべきではないかというふうに思う。いずれにしても、出されてきた趣旨からいけば、やはりわれわれの主張のとおり、物価に大いに影響があるなということが証明されたと思うのであります。その意味からいけば、物価の安定ができなければ、これは延期するというのが理の当然であるというふうにわれわれは考えるものであります。  時間がありませんから先にまいりたいと思いますが、ついては、関連して、最近電気料金値上げというか、これも改定というか、値上げですね、これは一般家庭用と産業用では区別をつけていこうということでありますが、いずれにしても値上げには違いない。これも公共料金一つであります。国鉄の電力料金というか、大体年間四百五十億ぐらい使っているのですね。これが三割ないし七割上がるとすれば、これで大体五百億ぐらいはいくわけです。そうでしょう。国鉄だけですよ。そういうものと、それからもう一つは、そういうものの値上げ、そういうさなかにおいて、一方私鉄あるいはバスの料金はいま据え置いておりますが、これからも電力料金のように途中で上げるようなことはまさかございませんでしょうね。いかがです。
  12. 徳永正利

    徳永国務大臣 公共料金抑制するという原則は、実は変わっておらないわけでございます。あらゆる企業努力を要請し、あるいはまた、私どもといたしましても、できる限りの手を尽くして、公共料金抑制したいという大原則は変わらないわけでございますが、御指摘のように、現にバスあるいは私鉄——私鉄は、運輸省といたしましては、昨年も運輸審議会に、どうすべきかという答申を求めておりまして、ただいま審議中でございますが、この結論を見ないうちにどうこう言うすべはないわけでございますけれども、非常に大きな私鉄の動力源になっております電力の値上げというものがいつ行なわれるのか、あるいはどういう形で行なわれるのかは、ただいま私存じません。存じませんが、そういうときがかりに来たとするならば、やはり安全投資とかいろいろな面において問題が出てくるのではないかということをおそれるわけでございます。したがいまして、その時点においては、やはりこれを値上げでカバーするのか、あるいはまた、財政的な裏づけをもってカバーしてやるのか、いろいろ手はあろうと思いますけれども、そういう面において、とにかくそういう事業計画と申しますか、安全設備等をも含めました事業計画ができるような手を打ってやらなければならないのではなかろうかと、私、現場を受け持つ担当大臣としては考えておるわけでございます。  バス等におきましても、これはもう小と申しますか、零細と申しますか、小企業で脆弱な企業でございますから、このバス運賃値上げというようなものは、いままでずっと二年ローテーションで、その地域ごとに順次改定を見ておったのは御案内のとおりでございますが、やはりそういう面をも踏襲させていただきまして、しかし経営の実態というものを十分見きわめた上で、関係各省庁と検討を重ねた上で善処いたしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  13. 久保三郎

    久保(三)委員 ただいまのお話だとあいまいさは残りますが、めんどうを見てやるほかないだろうという、めんどうを見てやることもけっこうでありますが、どうも運賃の面でめんどうを見るようなお話ですね。そういうふうにとってよろしいのですか。それは少しどうかと思うのですね。これは少なくとも物価安定を最大の努力目標として取り組んでおられる田中内閣が、国鉄運賃の延期をかたがたやりながら、片方で私鉄やバスの値上げをめんどう見なくちゃならぬというのは理屈に合わない。しかしながら、さっきもお話がありましたように、油は値上がりします、それから電気も上がる、こういうさ中で経営が苦しくなるというか、悪くなることは当然だと思うのですね。これに対しては、物価安定の対策上からいっても、当然運輸大臣のところでだけ処理するものじゃなくて、国家財政の中で考えていくことだし、そういう方法もとるべきだと思うのですね。そういうものに対しては、まず第一に油の値上げを押えるとか電気の値上げを押えることがほんとうは先なんですよ。それをやってしまったなら、これは国家責任においてめんどうを見ることがほんとうでありまして、そうでなければ、物価安定にはならぬと思うのです。いかがでしょう。
  14. 徳永正利

    徳永国務大臣 御指摘のとおりでございます。  油の値上げにつきましても、軽油等につきましては、できるだけそういう配慮をしていただくように努力をして、軽油の値上げの率等もガソリン等に比べまして押えてきたところでございますけれども、しかしながら、影響するところは、御指摘のように大きいものがあると思います。したがいまして、物価安定を最大の目標としております田中内閣の姿勢といたしましては、この運賃値上げによってそういう問題を解決するということは、これは現に抑制してきているところでもあるし、将来も抑制していかなければならぬという気持ちは微動だもするものではございませんけれども、実際問題といたしまして、先ほども申しましたように、安全設備投資あるいはその他の問題が出てくるような事態になってはいけない。そういう事態等も十分にらみ合わせて、資金の裏打ちでございますとか、でき得べくんば運賃によってこれを解決するということは避ける最大の努力をいたしてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  15. 久保三郎

    久保(三)委員 時間もありませんので、その問題はあとから同僚諸君からもまたお話があると思うので、先へ行きましょう。  次に、この財政再建計画ですね。これは昨年もそうでありますが、この九月まで運賃値上げを延ばす、これはけっこうでありますが、財政措置として財投を中心にこれを考えておられるわけですね。財投は借金でありまして、なるほど利子補給はします。しかしながら、後年度国鉄財政の重圧になることは理の当然でありまして、そうなりますと、一ときではありましょうけれども国鉄財政再建計画というか、その一角もくずれるんじゃないかというふうに思うわけであります。当然考えなければいかぬと思うのであります。  これらについて、大蔵政務次官、せっかくお見えでありますので、あなたから勇敢な御答弁をいただきたいと思うのでありますが、こういうことで再建計画はこのままでやっていくと、これは練り直しというか、やり直しということだと私は思っているわけですね。これはいま財政当局とすれば財投でめんどう見るのが精一ぱい、あるいは利子補給が精一ぱいというふうなお話かもしれませんが、ほんとうに財政再建計画を実行に移していくんだということになりますと、これはたいへん無理が出ると思うのです。その辺のことはいかがでしょうか。
  16. 中川一郎

    ○中川政府委員 確かに、御指摘のとおり、あれだけの欠陥、約千億に近い運賃収入の欠陥が出てまいりましたから、十カ年計画に支障があるという御指摘をいただくのは当然でございます。しかしながら、財政投融資によって利子を完全にめんどう見る、このことによる政府支出も六百五十億、十年間でばく大な金を出すわけでありまして、こういった異常な事態に備えて国鉄当局もがんばっていただくし、また国もそういった負担に応ずるということで十カ年計画を完遂したい。同時にまた、やりようによってはできるものだというふうに考えております。今後ともその点については十分配慮して、今後の措置として御指摘はいただいておきたいと存じます。
  17. 久保三郎

    久保(三)委員 次に、先般運輸大臣は、就任に際して当委員会で所信表明をされました。その中で、これからの運輸行政を進めていくにあたっての心がまえというか、御方針をお示しになって、そのうち特に新しい交通ネットワークの形成というか、そういうものに関連してこのようにお述べになっております。「新幹線網の形成、空港、港湾の整備については、総需要の抑制の見地から、現下の経済情勢に対応するよう配慮しつつ進めてまいりたい」こういう御趣旨でありまして、これはたいへん抽象的でありますが、言うならばこれまでのそういうものの整備計画は、総需要抑制の立場からも考えていかなければならぬというようなことを、特に油の問題エネルギー対策というか、そういうものに関連していくならば、現にあるものを効率的にやるための施策を進めていきたい、こういう御趣旨だろうと思って承ってきました。それはそのとおりと思うのですが、いかがでしょうか。
  18. 徳永正利

    徳永国務大臣 そのように私も考えております。
  19. 久保三郎

    久保(三)委員 ところが、四十九年度予算案、国鉄予算案を見ますると、特に国鉄新幹線網の問題にしぼりまして、その他の問題はございますけれども、その予算案についての、特に工事経費ですね。工事経費は御承知のように前年度並み、同じですね。六千八百億、うち五千五百億が在来線の増強、残り千二百三十億ですか、そういうものが新幹線の整備に入っているわけですね。それで提案の予算説明の中でも「東北新幹線の建設及び整備計画中の新幹線の建設に着手する」こうなっておりますね。そうしますと、去年の十月にはなばなしく、あなたが大臣に御就任になる前に、たしか整備計画で新しい五線、北海道、東北、北陸、九州、長崎、こういうものは整備計画として五十四年度目標ということで、実は運輸大臣に建議があって、これを確定したということになって、この予算説明からいくというと、新幹線の建設に着手するということなんですね。そうなるというと、所信表明でお述べになったこととは何も関係なく既定方針どおりおやりになるということなんですね。  そこで、時間もありませんから、私が言いたいことは、その食い違いもさりながら、新幹線の問題については、大臣御承知のように、最近では公害の問題が一つある。それから、さっき御質問申し上げたように、安全の問題もある。二つあるわけですね。しかも、国民の生活権というか人格権というか、そういうものとのかかわり合いで、やはり交通公害、交通安全の問題があるわけですね。特に、そうなりますというと、これから、いい悪いは別にして、七千キロも新幹線を引こうというお考えのようでありますが、所信表明ではこれに対してブレーキをかけたとわれわれは考えております。しかしブレーキをかけないのでありますが、いま一番大事なのは、公害をなくするということだと思うのです。あるいは安全を確保するということ。ところが、公害や安全については、言うならばいまだしの感があるのですね。まだ完全ではないということです。特に公害の問題は、レールの上に車輪が走るという方式の最高は新幹線ですね。これ以上のものを考えるとすれば、もはやレールの上に鉄の車輪が走るというようなことは、これはもう限界であるというふうに見ていいと思うのですね。だからむしろ当面の既設の線区における新幹線の公害対策には、もっと積極的になるべきだと思うのであります。  この間新聞発表によりますれば、八十五ホンでありますか、そういうところでやろうというのでありますが、とてもじゃないが、これでは残念ながら付近住民の要望にはこたえられないと思うのですね。もっと思い切った対策考えなきゃいかぬ。その問題もございます。それと同時に、もう一つは、新しい交通を開発するということを、公害のない、しかも安全である、そういうものを開発するということにもっと力を入れて、その開発を待ってから、必要があれば七千キロ引くなら引く、そういうことをいま考えるべきだと思うのですね。時の勢いにまかせて新幹線で七千キロ張りめぐらすのだというだけでは、残念ながら国民は合意を与えるわけにはいかないと思うのですね。だからこの際、この十カ年計画の中でも七千キロ引くということになっていますが、これについてどういうふうに考えるか。  新しい交通、たとえば最近というか、いままで試験的にやっておるようでありますが、リニアモーター方式、こういうものはおそらく騒音とか振動とはあまり関係のないものが開発されるであろうというふうにわれわれは期待しておるわけであります。ところが、こういうものの開発を待たずに、どんどん既設のいままでの方式の新幹線を建設していくということに、われわれは疑問があると思うのですね。おやりになるならそういうことだと思うのですね。ですから、そういう意味でも、所信表明をなされたときの御見解どおり、いまやそういう新しいシステムができるまでこれは一応ストップして、開発を待ってからやってもおそくはないのではないかというふうに一つは思うのであります。  時間がありませんので、次の問題もあわせてお答えをいただきたいのであります。  これは国鉄に聞いたほうがいいかもしれませんが、国鉄の貨物というか、こういうのは御承知のように、全体の国内における貨物輸送というのはふえてきているわけですね。ところが、国鉄の貨物輸送は減ってきている。いろいろな原因はありますが、輸送の面からだけ焦点をしぼって考えますれば、いま国鉄がやりつつあるところの貨物輸送は、フレートライナーによるところの都市間輸送ですね。都市間輸送、これはいなかは関係ありませんから。フレートライナー、都市間輸送、それから物資別適合輸送、これも大体言うなら工場から工場まででありますから、幹線を通ってくる輸送であります。そういうものを考えると、幹線というものが、言うならば特に大部市近辺における近距離、あるいは中近距離と言ったほうがいいかもしれませんが、最近通勤の距離は延びてまいりましたから、そういう意味で中近距離と言ったほうがいいかもしれませんが、そういう圏内におけるところの輸送力というものはあまり増強されていない。姑息的な線増をやっている。ところが、もはや別線でなければ、これは線増ではどうもうまくいかない。というのは、都市内におけるところの輸送がふん詰まりでありますから、別線と別経路を通ってのみこれは解決されるものですね。ところが、それをやらないでいその上にフレートライナーが走り、あるいは物資別適合輸送の貨物を輸送する、あるいは先ほどお話を申し上げたように、優等列車を増発していく、ということになりますと、通勤輸送が延びてきた、そういう契機と一緒になりまして、だんごになりまして、結局総合的に国鉄の輸送力は大事なところで輸送力がないということですね。極端に言えば、輸送力がないということです。この輸送力を増強することが国鉄再建のかぎだということを、私はこれまでも何べんも言っているわけですね。  ところが、もはや世間というか、世間受けするところの新幹線を引けば起死回生がはかられるということで、今日まで政府並びに国鉄はやってきたのでありますが、私は思いをここにいたすことがこの際必要だと思うのですね。これは単に国鉄の再建ばかりじゃなくて、総合交通体系、特に最近のような資源並びにエネルギーの省力、そういう立場から言っても、そういう既設線区のいわゆる増強をもっと早く確実にやるべきだと思いますが、この点は国鉄当局はどう思っているか、あるいは政府はどう思うか。  それから、企画庁からもし時間があれば聞きたいが、大体新全総そのものも問い直されなければならない、あるいは経済社会基本計画もこれを大きく見直し、そういう土台の上に立った総合交通体系並びに国鉄再建計画というのは見直すべきときに来ていると思うのですね。特に、企画庁が中心になってまとめられた総合交通体系というのは、もう一ぺん新しい観点から見直す。というのは、言うまでもありませんが、総合交通体系に流れる思想というものは、自由競争のいわゆるマーケットを中心にして一つ考えた、あるいは乗るものを利用する者の選考にまかせるというそういう立場から考えている、この二つが主流になって策定された総合交通体系は、いまや大きく見直すべきだと思うが、これはどうですかというふうに思うのであります。  それからもう一つ、これは運輸大臣に参考のためお伺いします。いずれ総理大臣がこの席に出てきてお答えをいただくことでありますが、順序は逆になりました。  先般参議院の予算委員会の中で、総理は、国鉄の民営について検討をするというお話がありましたが、民営についてやるというならば、国鉄の再建計画も何もみんな白紙に戻してこれはやらなければいかぬ問題だと私は思うのですがね。この民営論というのは、与党・自民党の中ではどうなっていらっしゃるのか。自民党の総裁としておっしゃったのかどうかわかりませんけれども、少なくとも総理でありますから、総理がそうおっしゃるからには、国鉄の性格づけもこれはあらためてやらなければならぬ時代でありまして、そういうものについて担当の大臣である運輸大臣は、どういうふうに思っていらっしゃるか。  それから国鉄総裁は、自分が運営している国鉄でありますから、田中総理の言う民営論についてあなたはどういうふうにお考えになっておられるのか、御見解をお示しいただきたい。  大体その辺で時間でありましょうから、それだけお答えをいただきたい、こういうふうに思うのです。
  20. 徳永正利

    徳永国務大臣 第一点の問題は、総需要抑制から、新幹線等における投資を抑制しておらないじゃないかという御指摘でございますが、四十九年度の予算におきましては、新幹線予算は四十八年度に比べまして大体八〇%でございます。いろいろな面から抑制をしてまいりまして、今後のいろいろな経済事情等も勘案してまいらなければならぬということで、そういうことになっております。  なお、在来線の補強につきましては、一二五%の予算の増を見ておるわけでございます。これによりまして、御指摘のような在来線の電化あるいは複線化、こういうものになお一そうの努力を傾けていかなければならない、かように考える次第でございます。  それから輸送体系の問題でございますが、国鉄からもお話があろうと思いますけれども、私ども、この省資源に取り組まなければならない今日といたしましては、この点はさらに新しい問題として、新しい角度から取り組んでまいらなければならないと思います。そういう意味からも、中長距離あるいは貨物輸送、今日まで非常に設備投資のおくれがございますし、そういう面につきましては、今後十分改善もし、努力をしてまいるように、国鉄当局にも指示し、話し合って進んでいるわけでございます。  それから公害の問題でございますが、公害の問題は東京−大阪間の新幹線におきましては、これは全く手おくれでございまして、あとを追っかけてまいっておるというのが現状でございます。したがいまして、この問題も、四十七年の十二月に環境庁から暫定的な基準の勧告でございますけれども出まして、その線に沿って音源対策でございますとか、あるいはまた周辺対策につきまして、障害防除のためにいろいろな努力を払っておるわけでございますが、その具体的な点につきまして、国鉄はいま鋭意検討し、要綱はできたようでございますが、これも国鉄からお答えがあろうと思いますけれども、そういう問題を強力に、しかも五十年度末を目標に進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。  それから国鉄民営論でございますが、これは総理から私に検討を指示された事実はございません。一部新聞でそういうような報道がなされましたけれども、これは何かの誤報であると思います。ただ、ずっと昔の日本国有鉄道法ができます時点にさかのぼっていろいろ議論がかわされたわけでございます。山崎昇議員の公務員制度の問題にからみまして、憲法論から始まって二十八条を引っぱり出し、あるいは十二条を引っぱり出して、いろいろ議論のさなかでそういう問題が総理の考えとして、公共企業体として存続させるいまの実体がどういうぐあいにして出てきたのか、ある意味では、依然昔のまま存続しておったほうがよかったか、あるいは民営にすっぽり切りかえたほうがよかったかというのは、当時大いに議論されたところであるというような総理一流の昔話が出てまいりまして、そういうようなところから、あたかもいま直ちに民営に移行する、検討に踏み切る、まあ検討は公制審の答申の中にも指摘がございますように、いろいろの面で検討すべきことはあると思いますけれども、いま直ちに、昨年御審議いただきました再建十カ年計画の母体が、企業組織体が変わるというようなものではないというふうに私は考えております。
  21. 藤井松太郎

    ○藤井説明員 二、三の問題でお答え申し上げます。  国鉄の民営論に関しましては、ただいま大臣がおっしゃいましたように、私どもはいかなる運営形態が国民に最大の利益を与え、御利便を与えるであろうかということが、あくまでも再検討なさる場合の根幹であろうと思うのでございますが、必ずしも現在の公共企業体がそういう点で御不満があるかどうかという問題は別といたしまして、かりにそういうことでございますれば、そういう御意見を伺って慎重に検討していきたい、かように考えております。  しかし、私は、公共企業体としての国鉄責任者として、直ちに民営でやるということは、理論は別として、感情上はあまり賛成じゃございません。  それから第二点の公害並びに安全の問題でございますが、これはしばしば御指摘になったとおりでございまして、まことに申しわけない、かように考える次第であります。公害の問題に関しましては、御承知のように環境庁の御指示もあり、第一歩としてはまずああいうものに沿ったことをやり、さらに技術を進めることによってこれを前進させていくよりほかに方法はないであろう、かように考えるのであります。  それに対しまして、だいぶん技術は進んでいるのだが、現在の車輪とかレールとかという、公害を発生しながら走らなければいかぬようなものはもう限界に来ているので、新しいものの開発をすべき時代じゃないか、これはまさに同感でございまして、御承知のことと思いますけれども、リニアモーターといったようなものを中心に、国鉄技術研究所でも大いに力を入れて研究をいたしておりまして、でき得べくんば、近い将来に試運転線もつくってこれの技術研究を進めたい、かように考えておりますが、非常に困ったことなんですが、これはきわめて新しい技術でございますので、技術上これは可能であろうかどうかということは、私個人はそう心配してなくて、可能であろう、かように考えるのでありますけれども、これが実現した場合に、おそろしくお金がかかるということだと、交通機関はやはり、かかった金の全部か一部か知りませんけれども、御利用者に御負担願うということに相なりますので、むしろそういう面から、ここ少なくとも二十年やそこらは経済的な交通機関に相なり得ないのじゃないか、これは私だけの個人の心配でございますけれども、さように考えております。  それから第三の貨物輸送に関しましては、副総裁から詳しく御説明申し上げますが、先生指摘のように、過去の国鉄は、旅客輸送の伸びに追われて、これに追いつくために四苦八苦をして貨物のほうに実は手が回ってなかった、したがって、だんだんと貨物輸送量が減ってきたというか、自動車輸送などに取られていったというのが現況でございますので、今回エネルギー資源の方向転換といったような意味合いからも、国鉄が大いに省資源的な輸送機関として力を入れなくてはいかぬ、これは実に当然なことでございまして、先生が御指摘なさいましたようなリニアモーターであるとか、あるいは物資別の輸送であるとか、あるいは直通のハイスピードの交通輸送であるとか、そういうものを極力考えておる次第でありますが、そういうものを考えて、一体どこを走らすのだという御議論もあろうかと思いますけれども、まあ設備投資その他で新幹線網の七千キロがどんなふうに落ちつくのかは別問題として、とにかくこれが実現すれば旅客輸送はそちらのほうに移っていくであろう、したがって現在線には余力ができますので、その余力の生まれたものを直ちに貨物輸送に充てる、のみならず、それで間に合わぬものは線路をやり電化をやるということにおいて、貨物の輸送力をつけていきたい、かように考えておる次第でございます。  まあ、こんなようなことでございまして、先ほどもまたおしかりを受けたのでございますが、輸送の安全の問題は、これは働く者、管理する者といった立場を離れた共通の責任であり、義務の問題なんで、これは国労の諸君が安全に対する白書と申しますか報告書を出していただいたので、私もよく読んだのでございますが、まあ立場の相違という言い方はちょっとどぎついのでございますけれども、ああいう立場で報告を出せば、物的の、施設的の安全のおくれを、人間の注意力に転嫁しておるという言い方になるだろうと思いますし、事実、あるいはそういう面があるかもしれません。それから施設設備などをやっている側から言えば、施設にたより過ぎて人間の注意力が少し足らぬぞという議論が成り立つかもしれませんが、いずれにしましても、安全は管理者とかなんとかという問題ではなくて、共通の責任でございますので、労組の諸君ともよく話をし、現に四半期に一回ずつ安全に関する協議会を開いていろいろ議論をやっておりますが、それと同時に、問題が発生すればそのたびごとにやるというようなことで、働く方々の意見も十二分に聞くべきものは聞いて安全を高めていきたい、かように考えております。  一応私の気のついたことだけを申し上げます。
  22. 井上邦之

    井上説明員 貨物輸送の問題について副総裁から詳しく説明させるとただいま総裁申し上げましたが、あまり詳しくもございませんが、若干補足をいたします。  先ほど先生から御指摘のありましたとおり、いまこそ国鉄として貨物輸送を見直すべきときではないか、いままで貨物輸送に対する見方が少し甘かったのではないか、こういう御指摘がございました。まさにその御指摘どおりでございます。私ども今後十カ年の長期計画の中で貨物輸送を重点的に考えてまいりたいという気持ちを強く持っております。たとえば、資金の面で申し上げましても、今度の投資計画十兆五千億の中で、貨物輸送は純粋に貨物輸送に関するものだけでございまして、ほかのいろいろな投資、貨物に関連するものが出てきますから、そういう関連的なものを含めますともっと額がふえますが、純粋に貨物関係の投資だけを拾い上げてみましても、一兆八千億円という資金を計画いたしております。大体全体の投資計画の中で一八%ぐらいになりますが、過去十カ年の平均的に貨物関係に投資した額を調べてみましても大体一〇%程度でございました。過去は一〇%程度であった。今後これからの十カ年間では、年平均で一八%の投資をやっていこうという考えを持っております。そういうことで、先生の御指摘の点と基本的には全く同じ気持ちを持っておりますことを御説明させていただきます。
  23. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 お答えを申し上げます。  総合交通体系の問題でございますが、四十六年十二月に作業いたしましてつくったものがございますけれども、その後に御指摘のように石油問題ということで非常に大きな変化がございましたし、また先般、環境庁からの御指摘のございました環境問題というような面も、この前回の作業では織り込み不十分ということでございます。そういうことで総合交通体系問題ということを検討し直さなければならないという状況になっておりますが、御指摘のように、新全総についても総点検をやっておりますし、また経済社会基本計画についても、フォローアップという形ではございますが、いろいろの面についての見直しをやっておる最中でございます。したがいまして、経済企画庁といたしましては、これから関係各省の御協力を仰ぎまして、フォローアップ作業の一環としていまやっておるこの問題をさらに広げまして、総合交通体系の問題についての検討を行ない、なるべく早く方向づけをいたしたい、こう思っておる次第でございます。
  24. 久保三郎

    久保(三)委員 時間でありますから、もはやなんでありますが、いまのお答えの中で運輸大臣は、総理の民営論というのは誤報であろうというような話、昔話があっただけでというお話ですが、新聞なりテレビはみんなこぞって民営論というのを出しておりまして、昔話とは書いてないですよ。だから誤報ではないと思うのです、十人が十人同じことを聞いているのですから。誤報であるかどうかは別としても、そういう話に対してもっと明確に考えていかなければ、この問題自身も、この法案自身も審議するのに大きな前提ですよ、これ、民営にするかどうかなんという問題は。だから、そういうものがちっとも担当大臣にも何にもお話がなくているとすれば、これはたいへんな問題だと思うのですね。いずれにしても昔話ではないだろう。われわれ自身はそういうものに対して重大な関心を持っているということだけ、いま時間もありませんから申し上げます。  それから藤井総裁、リニアモーターは技術的には可能だけれども、大体採算に合うのがたいへんだろうというふうなことで、採算のことはあまりお考えになる——考えなければいけませんけれども、そんなに採算で制約されるとするならば、いまの新幹線をどうするかの問題でありますから、採算の問題は二の次だと思うのですね。われわれのつたない計算でありますが、採算は飛行機よりはずっと安いということですよ。われわれのつたない計算でありますが、飛行機よりは安い。YS11を飛ばすより安いというふうにわれわれは見ているわけなんです。むしろこういうものに、いまのような考えが、経済性の問題が頭にひっかかっていて、どうも安全とか公害の問題は、さっきから井上総裁にもちょっとことばは荒っぽかったが申し上げたように、そういう思想があるからこのリニアモーターの開発がおそくなっているのじゃないか。いまやレールの上に車を回すというような時代じゃなくなったということは、もうあなたもお認めになっているんでしょう。そうだとすれば、これに切りかえることが先ですよ。それを公害をまき散らし、何かあぶないというようなことも付随しながらあって新幹線をどんどんつくっていくというのは、私は理屈に合わないと思うのですよ。これは新たに御答弁要りません。しかし、そういう観点でやっていたのでは間違いでありますということだけを申し上げておきたい。  それから、国鉄の貨物が自動車に取られた、それは昔の話です。初期においては自動車に取られた。いまや自動車に追いやっているんです、国鉄の貨物というのは。追いやっている。輸送力がない、集約で国鉄の貨車は回ってこない。駅はあっても貨車は回ってこない、そういうことなんですよ。その辺の認識は改めていただかないと、運営を誤るんじゃないかと思うので、一応意見を申し上げておきます。  いずれにしても、いままで民営論については、感情論として、私はだめだというような感情論じゃなくて、いまのとりでを守る立場から反対なら反対ということをおっしゃるのがほんとうじゃないですか。単に昔の国鉄だから、私はいま経営者の頂点にあるから、感情としておもしろくねえなんというようなことでは、ちょっと困るんでありますね。一応申し上げて、私の質問は終わります。
  25. 三池信

    ○三池委員長 三浦久君。
  26. 三浦久

    ○三浦委員 まず、大臣にお尋ねをいたしたいと思います。  政府は前国会で国鉄運賃値上げを提案したときに、物価への影響というのはわずかに〇・四二%であって、ほとんど国民生活への影響がないのだ、こういうふうに言ってきたわけであります。そして参議院では強行採決までして値上げを決定したわけであります。  わが党は、国鉄運賃値上げというのは物価値上げに拍車をかけるものだ、風の強い日に家々にガソリンをぶっかけて火をつけて歩くようなものなんだ、だからこれはやめるべきだという主張をし、国鉄再建の提案を行ないながらこれに反対をいたしました。  今回政府は、物価情勢がきわめてきびしい情勢にある、このため、物価対策の一環として運賃値上げを十月まで延期しようとしている、こういう理由を述べられておりますけれども、そうすると政府は、この国鉄運賃値上げというのが国民生活に重大な影響を及ぼす、こういうことをお認めになったのかどうか、これを最初にお答えいただきたいと思うのです。
  27. 徳永正利

    徳永国務大臣 昨年再建整備計画を御審議いただくときに、国鉄運賃物価指数に〇・四三%でございますか、何かそのぐらいしか響かぬのでということを申しておったことは事実でございます。しかし、その後今日までいろいろな経済情勢の変化等をたどりましてこの時点にきているわけでございますが、そういう平穏な経済状態の時点ではなくて、こうした狂乱物価にほんろうされます今日の時点では、公共料金というものが、指数の問題とは別に、精神的にも大きな影響を国民に与えることは、これは事実でございます。したがいまして、物価抑制の見地から、また政府といたしましても、この狂乱物価の征伐が最大の目標でございますから、そういう点からも公共料金を暫時押えていこう、そして御審議をわずらわそうということで、いまお手元に法案を提出しているわけでございますが、昨年のものの考え方と今年のものの考え方は、そういう意味合いで大きく違っておるわけでございます。
  28. 三浦久

    ○三浦委員 大臣お話を承っていると、国鉄運賃値上げが国民生活に重大な影響があるということを認めるのか認めないのか、あまりはっきりしないのですが、ただわかることは、まあ国鉄運賃だけならたいしたことはないけれども、〇・四二%の寄与率だけれども、ほかの物価一ぱい上がっているので、それでこういう重大な情勢のときだからひとつ差し控えておこう、こういうような意味に受け取られるのですが、そういうふうに承ってよろしいのですか。
  29. 徳永正利

    徳永国務大臣 今日の事態は、私が申し上げるまでもなく、非常な国民的な、物価に対する焦燥と不安の感情があるわけでございます。したがいまして、そういうものの国民感情等に与える影響というものも非常に大きいということで、あえて公共料金でございます国鉄運賃の凍結に踏み切った、こういうことでございます。
  30. 三浦久

    ○三浦委員 そうしますと、十月まで延期をするけれども、十月以降は上げるんだという、その根拠を私ははっきりさせる必要があると思うのですね。先ほどの御答弁によると、八月までには物価が安定をするのだ、そこを目ざして一生懸命努力するんだ、こういうお話でありますけれども、もう一度その根拠というものをはっきりさせていただきたいと思うのです。
  31. 徳永正利

    徳永国務大臣 いろいろな需要の抑制等によりまして、あるいは公共料金抑制等にもよりまして、卸売り物価もだんだんと気息えんえんの状態に追い込まれていることは、御承知のとおりでございます。  そういうようなところから見ましても、さらに金融引き締め等によりまして、今後この政策を続けますならば、近い将来、少なくとも夏ごろまでには物価の安定を見るという確信を持って、ただいま政策を進めているわけでございます。したがいまして、六カ月間の運賃の凍結をお願いいたしまして、その後のことにつきましては、ただいまのところ考えていない。先ほど久保先生に御答弁申し上げたとおりでございます。
  32. 三浦久

    ○三浦委員 夏までに物価を安定させるというその安定の中身が問題であるし、また時期も問題だと思いますけれども、田中総理は、この前の参議院予算委員会では、夏までに物価を安定させる、こういうことを言っておられるのですね。ですから、大臣もそういうふうに言わざるを得ないだろうと思うのですけれども、しかし、田中さんのこの物価の安定時期というのは、全く口から出まかせみたいな感じがしてならないのです。たとえば、いままでにも何回も何回も言う時期が変わってきているのですよ。たとえば、去年の七月五日の総裁就任一周年記念の記者会見で、ことしの末には物価は鎮静するだろう、こういうふうに言ったわけです。ところが、昨年の秋、これは十月の十一日に、訪欧、訪ソ後の記者会見ですけれども、このときには四十九年の、ことしの三月には安定をするだろう、こういうふうに言ったわけであります。もう末が三月に延びてしまった。四十八年の十二月の衆議院本会議答弁では、桜の花の咲く四月か、まあ六月ごろには安定するだろう、こういうふうに言われた。今度は四十九年の三月になったら、参議院の予算委員会では、夏ごろまでには安定するだろう、こう言うんですね。そうすると、一国の総理が、こうたびたび物価安定の時期について変わったことを言うということでは、私は国民は信頼しないと思うんですね。そこはまた運輸大臣つらいところだと思うんですけれども、私はもっと科学的に物価の安定の時期というものをぴしっと目安をつけなければならないというふうに思うのです。  それで、時期の問題についてはあまり信用性がないということが言えると思いますけれども、もっと大事なことは、この物価安定の中身であります。物価安定の中身、どういう状態をさして物価の安定というのかということですね。たとえば、田中総理は、参議院の予算委員会質疑の中で、昨年の十月水準に戻すのだ、こう言っておられるんですね。十月水準に戻すということが物価安定の中身なのか、それとも、政府が四十九年度の経済見通しの中で、消費者物価の前年比の上昇率は九・六%だ、こういう見込みをはじいているわけなんですけれども、この九・六%以上におさめるという目安がついたとき物価安定の状態になったというのか、この点を大臣お答えいただきたいと思うのです。
  33. 徳永正利

    徳永国務大臣 物価問題でいろいろお話がございましたが、まあ昨年の七月、総理が就任して一周年のときの記者会見から始まって、いろいろ御指摘がございました。ございましたが、まあこれはいろいろな要因がそれぞれ変化しているわけでございまして、昨年の七月と今年の三月の要因が、全然その裏づけというものが、基盤が一緒なわけではないので、多少変わってくるのもやむを得ぬことじゃないかと思うわけであります。  それにしましても、いままでよくいわれております物価が水ぶくれになっている面を、その水を取った状態だということがよく大蔵大臣からもお話がございますが、それがいわゆる昨年の十月の物価だということではないだろうかと私は思っているわけでございます。  一体、何を基準にしてその物価を言っているのか、いま高いと言うけれども、どこを基準にして言っているかというのは、今日までもいろいろ議論があったわけでございます。そういう意味で、昨年の十月論というのが出てきたのではないかと思うのでございますが、石油の値段も御案内のように値上げをせざるを得ないという状況になりましたし、これにからんだいろいろな諸物価高騰に対しましては、標準価格の設定でございますとか、あるいはその以前の価格の民間に対する御協力とか、いろいろなことを今日もやってきておるわけでございますが、大体どういうふうに動くかというのは、まだ明確なめどは今日ただいま持つということは非常に困難だろうと思いますけれども、それにしましても、一応の目標といたしましては、昨年の十月の物価というものをめどに押え込むということであろうと思います。  公共料金等のことは、しかしながら、先ほど来久保先生お話し申し上げましたように、いろいろむずかしい面も含んでおりますから、今日まで物価というよりもむしろ相場で動いておった。この物価と相場の間に水ぶくれの水を抜くということがいわゆる物価の安定であろう、かように考えるわけでございます。
  34. 三浦久

    ○三浦委員 大臣お話ですと、十月をめどに物価を押え込むんだ、こういうお話ですね。そんなこと、一体できるのですか。政府の経済見通しでも、四十八年度に比べて四十九年度の上昇率というのは九・六%見込んでおるのです。そうしますと、昨年十月の消費者物価指数を基礎に計算してみますと、これは九・六%なんて上がらないわけです。八%よりもっと下がるわけですね。そうしますと、片一方では十月の水準をめどに八月までに何とか鎮静をする、こう言っておる。ところが一方では、政府の正式決定、経済見通しでは九・六%上がる、こう言っておるわけですよ。そうすると、八月までに昨年十月水準に押えるというふうに国会答弁では言っているけれども、実際には九・六%上昇率を見込んでいるというのです。これは矛盾だと思うのです。どっちかがほんとうで、どっちかがにせものでなければならないはずなんです。この点どうお考えですか。
  35. 徳永正利

    徳永国務大臣 経済見通しの上に予算を組んでおるのでございますから、そのほうが正しいと思います。
  36. 三浦久

    ○三浦委員 そうすると、九・六%の上昇率になりますと、昨年の十月の物価水準で固定したらそんなふうにはならないです。はるかに下がってしまうのです。九・六%の上昇率なんて見込まれないのです。だから夏までには安定するんだ、昨年十月の水準に戻すのだというのは、私は全く科学的根拠のない見解であり、外向きの宣伝だというふうに考えざるを得ないわけなんですね。  それでは、次に経済企画庁にお尋ねしますけれども経済企画庁が二月の東京都区部の消費者物価から類推した今年二月の全国の消費者物価指数一四六というふうに予想していますね。まだこれは正式に発表になっていないのですけれども、予想として一四六というふうになっている。これで今後ずっと動かない、二月、三月、四月、五月、そして四十九年度一ぱい動かないとして計算をした場合に、四十八年度に比べて四十九年度の物価上昇率はどのくらいになるのですか。
  37. 有松晃

    有松政府委員 実は、先生お尋ねの東京都区部の指数でございますが、これはまだ確報でございませんので、私どものほうは全国の一月の確報、これは一四〇・九と指数でなっておりますが、これをもとにして計算をいたしますと、四十九年度におきましては、前年度に比べて八・三%のアップという計算をしております。
  38. 三浦久

    ○三浦委員 経済企画庁にお尋ねしますが、石油製品が十八日から上がりましたね。これの物価上昇へのはね返りが幾らか。それから電力料金値上げが近く申請される、平均して六〇%の値上げが申請されるといっていますね。六〇%そのまま認めた場合の物価へのはね返り、それから米代が十月からまた上がりますね。そうすると、この米代の値上げ物価の上昇にどういう影響を及ぼすのか、これをひとつお答えいただきたい。
  39. 有松晃

    有松政府委員 石油製品の値上がりでございますが、先般御決定になりました内容におきまして、政策的に油種別の配慮を加えておりまして、国民生活に関係の深い灯油あるいは液化石油ガスについては据え置き、こういう前提をとっておりますので、直接消費者物価指数に影響が生じますのはガソリンでございますが、ガソリンにつきましては、先般の決定をもとにして計算いたしますと、消費者物価に〇・二%ほどのアップになる、こういうことでございます。  それから電力でございますが、電力につきましては、実は私どものほうへまだ申請の率が明確に示されておりませんので、現在の時点でまだ計算してございません。それから、米につきましては、ちょっといま手元に資料を持っておりませんですが、一%弱であったかと思いますが、一%よりかなり下回る、ちょっといま手元に正確な数字を持っておりませんので……。
  40. 三浦久

    ○三浦委員 大体幾らですか。
  41. 有松晃

    有松政府委員 〇・六前後じゃなかったかと思いますが、私の記憶が違いましたら、後ほど訂正させていただきます。
  42. 三浦久

    ○三浦委員 そうしますと、もう大体経済見通しの九・六%という数字に達しているわけですね。たとえば国鉄が〇・四二でしょう、それに私鉄が今度また上がる可能性がありますからね。大臣答弁聞いていると、何か上げそうな感じがしますね。これの物価寄与率〇・一%、米代が〇・六%、それに石油の〇・一%、八・三%にこれを加えますと、もう九・五%ですよ。この数字というのも結局一月の全国平均物価指数を基礎にしているのですね。  ところが、たとえば私が先ほど言いました、二月の東京都の消費者物価から経済企画庁が推定をしている今年の二月の消費者物価指数というのは一四六なんです。これを基礎に計算をいたしますと、四十八年度と四十九年度は一一・五%の上昇率になるのですね。ですから、どんなことがあっても、この九・六%というのは、いまのまま物価が凍結したと考えても達成できない数字なんですね。そうすると、さっき大臣がおっしゃった八月をめどに昨年の十月水準で物価は安定するのだ、こういうこともまず不可能だ、政府の経済見通しの九・六%の上昇率にとどめるのだ、このことも不可能ということにならざるを得ないわけですね。そうすると、私は、十月に値上げする根拠が一全くないじゃないかというふうに思うわけなんですよ。  たとえば、現在異常な物価高だから国鉄運賃値上げは差し控えるのだ、そうすると、十月になっても同じように政府がいうような物価安定という問題は出てこない、いまと同じような物価狂乱の時期が続く、こういうふうに考えざるを得ないわけなんですね。そうすると、十月以降の問題については何も考えていないのだというふうにさっき大臣おっしゃいましたけれども、これは考えざるを得ないと思うのですね。大臣が十月以降の再延期の問題については考えないのだというのは、何とか十月までには物価を安定させるということが前提になっている。ところが、その前提というものが全くくずれてしまっているわけなんですから、そうすると、私はお尋ねしたいのですが、十月までに、いま言ったように昨年の十月水準でもって凍結をするというようなことが不可能という見通しができた場合、また政府の経済見通しである九・六%の上昇率で押え込むことができないということがはっきりした場合、これは国鉄運賃値上げの延期をまたやるのかどうか、これをお尋ねしたい。
  43. 徳永正利

    徳永国務大臣 いろいろこまごま基礎的な数字をあげて御指摘でございますが、昨年の十月に押え込むという努力時点は今年の早々のころであり、いろんな時期において基礎的な動揺があるわけでございますから、それにいたしましても、経済見通しに立った物価の上昇というようなものは一つの基礎ではあると思います。しかしながら、私どもといたしましては、この夏までに何とかそういう時点でいわゆる安定させようということでございまして、その範囲内で何とか押え込もういうのが、ただいま全力をあげてやっておる最大の問題でございますから、そこで十月以降の国鉄運賃をさらにどうこうということは、ただいま時点ではそういうことは考えておらぬ、こういうことでございます。
  44. 三浦久

    ○三浦委員 そうすると、政府の経済見通しである九・六%に物価の上昇率を押えるという見通しがなくなったという場合にはどうですか。
  45. 徳永正利

    徳永国務大臣 あくまでも九・六%というのは見通しでございまして、いろんな要因が加わっていろんな変動もあろうと思います。あろうと思いますが、私どもとしましては、その線に押え込む努力全力をあげてやる、こういうことでございまして、そこでくずれたときに十月にもう一ぺん凍結をやるのかということでございますが、それはただいまのところはそういうようなことは全然考えておりません、こういうことでございます。
  46. 三浦久

    ○三浦委員 半年先のことを考えない政治というのはあるのですかね。ですから田中総理が言うように、秋に下げますよ、年末に下げますよ、それ三月に下げますよ、五月に下げますよ、六月に下げますよ、今度は八月ですよ、そういうことになるのですね。やはり先のことを見通してぴしぴし手を打っていくというのが政治家の任務じゃありませんか。それじゃ全くお先まっ暗じゃありませんか。やはりいまの物価の上昇率から見て、どうしても九・六%の範囲内に押えることができないというような状況になったときにはどうするのかということを、あらかじめ考え対策をとっておかないといけないでしょう。もしそういうことをやるとすれば、やはり国鉄に対する財政援助の問題も当然出てくるわけですから、いまからそういうことは考えて、かなりあり得る可能性というものを前提にしながら、いろいろ手を打っていくということをしなければ、これはもうその日暮らしの政治になってしまうのじゃないですか。ですから私は、いまかなり具体的に、八月に物価を昨年の十月水準に押えることはできないじゃないか、また九・六%の上昇率に押えるということもできないじゃないかということを数字をあげてお話ししたのですよ。これは現在、たとえばいま経済企画庁お話を聞いていておわかりになると思いますけれども、一月の全国平均物価指数をもとにして、それがそのまま全然動かないと仮定しての話であれなんですよ。ところが、この物価というのは御承知のとおり毎年毎年、毎月毎月どんどん上がっているじゃありませんか。  もう時間がありませんから、私ここで一々資料を読みません。ですから現在の予想される物価指数でもって計算をしたら一二、三%の上昇率が見込まれてしまうという状況なんですよ。それでもまだ今月よりも来月のほうが消費者物価は上昇するだろうという見通しでしょう。ですから九・六%なんというのは、絶対にそこで押えるということはできない状況にあるんですね。そうなればやはり物価安定、国民生活への影響考え国鉄値上げを延期するんだというのであれば、十月でも同じような状態であれば再延期も考慮いたしますという答弁が出てこなければならないと私は思うのですけれども大臣いかがですか。
  47. 徳永正利

    徳永国務大臣 九・六%のこの見通しというのは、これはあくまで見通しでございますが、そういう努力目標に向かって努力するということでございまして、しからば物価がどんどん上がっていっておるにもかかわらず十月になったらどうするのだという話は、私どもはいろいろな要因によって、九・六%という努力目標はともかくといたしまして、それまでに物価は安定さす、できるという確信の上に立って、十月以降の問題についてはただいまのところ何も考えておらぬというのじゃなくて、御審議いただいたような方向でひとつ値上げをさせていただきたい、こういうふうに考えているということでございます。
  48. 三浦久

    ○三浦委員 九・六%はともかくとしてと言われますと、それじゃ一〇%上がろうと二〇%上昇しようと三〇%になろうと、まあ何とか安定させますよ、それじゃ物価安定という概念とは全く違うのですね。やはり政府が九・六%といって目安をつけるのでしょう。九・六%という上昇率だってかなり高いのですよ。それで目安をつけているのに、それはともかくとしてまあ何とか安定しましょうと言うのじゃ、安定の中身がないじゃありませんか。それは幾ら物価が高くなったって、それを安定だと言えば言えるということになってしまうのですね。これじゃ私は責任ある大臣答弁としてはいただけないと思うのですよ。私は、結局大臣の腹の中では、たとえば九・六%の上昇率をこえて、十月段階ではもっともっと上がっていくという見通しが出たとしても、やはり運賃値上げはせざるを得ないのだというお考えがあるのじゃないかと思うのですね。そうすると、現在、政府物価対策なのだ、国民生活への影響考え値上げの延期をしているのだということはちょっとまゆつばではないだろうか、何か参議院選挙対策考えてやっているのじゃなかろうかという気持ちを非常に強く持つわけですね。それでなかったら、十月にも四月段階と同じような物価上昇の状態があればもう一回再延期をすると言っていただいてもけっこうだというふうに思うわけなのです。  私はもう時間がありませんので、民営移管問題についてちょっとお尋ねいたしたいと思うのですけれども、この問題はこの前——この前というのは前国会で再建十カ年計画審議したばかりなんですね。そしてかなりの時間をとってやったわけです。国鉄のほうも今後十年間はこういう計画でいきますよということで国会に提案をし審議したわけでしょう。それが審議が終わってからわずか半年もたたないうちに、民営移管を考えるべきだとか、こんなことが一国の総理大臣から言われるということは、私は非常に遺憾であります。特に国会を侮辱するもはなはだしい、国会審議というものを何と考えておるのかというふうに思うわけなんですが、この点についての大臣のお考えを聞きたいと思います。
  49. 徳永正利

    徳永国務大臣 民営移管論につきましては、先ほどお答え申し上げました骨子でございますが、……(三浦委員「私に答えてませんよ」と呼ぶ)私に、運輸大臣に総理大臣が民営移管論について検討しろという指示はいまのところございません。いままでにもございません。この点は明確にいたしておきます。その点について新聞がいろいろ報道をしておりましたが、これは誤報であろう、こう申したわけでございます。  それから民営の可否については、国鉄が、先ほども申し上げましたように、鉄道省から公社に移った当時からいろいろ議論をされ検討されて、その当時にもいろいろ検討されたことだということでございます。国鉄ばかりではございません。他の二公社五現業についてもその当時いろいろな議論をされ、また検討が加えられたそうでございます。その話を私も拝聴しておったと同時に、総理と社会党の山崎昇議員との一問一答の間にいろいろの民営論があったわけでございますが、その速記録を取り寄せて読んでみました。読んでみましたが、いろんなことを言っておられるわけでございまして、ここでひとつ超党派でこの民営論というのをひとつやってみたらどうだろうかというようなことばも使っておられますし、いろいろ出ておりますが、いま御指摘がございましたように、再建十カ年計画経営主体そのものに関係するということは私は考えておりません。また、かりにいろいろ今後検討されるにいたしましても、まだ宿ったものではないわけでございまして、いろんなところから、宿りますとだんだんとふくれていって成長するということはあると思いますけれども、まだその前の段階であると思います。したがって、これがいまから法律の問題もございましょう。あるいはいろいろな問題が出てまいりまして、この十カ年計画経営主体にどうこうという問題ではないと私は考えております。
  50. 三浦久

    ○三浦委員 いま総理大臣のほうから運輸大臣のほうに何の指示もなかったんだと言いますが、それは総理大臣がああいう発言をする以前にないということですか。その以後もこの問題については何もないということなんですか。
  51. 徳永正利

    徳永国務大臣 以後も以前とないということでございます。
  52. 三浦久

    ○三浦委員 そうしますと、朝日新聞が三月十九日の閣議における田中さんの発言として、「国会での私の発言は単なる思いつきではない。ずっと検討し、ちゃんと考えていることだ。郵政、国鉄関係などの閣僚は、国会で質問されたら十分研究していると答え、そのつもりで対処してほしい」こういうふうに言ったというふうに報道されているのですが、これはうそですか。
  53. 徳永正利

    徳永国務大臣 朝日新聞の記事につきましては、私は存じません。閣議の席においてそういう発言のなかったことは、私はずっと閣議に列席しておるのですから確かでございます。
  54. 三浦久

    ○三浦委員 そうしますと、いま大臣お話を聞いていると、事前にも事後にも大臣には何の相談もない。そうすると、当然事務当局でもそれを組織をつくって検討しているというようなこともないだろうと私は判断するんです。それにもかかわらず、いきなり民営移管の問題を国会という正式の場でぶち上げるなんということは、非常に私は不見識だと思うのです。これによって国民がどれだけ大きな不安におとしいれられていますか。たとえば、赤字ローカル線の運命はどうなるんだろうか。民間に運営移管されたらどうなるんだろうか。また国鉄運賃はどうなるんだろうか。また国鉄運賃を決定する方法を、たとえば大臣の認可になるのか、またフリーになるのか、それとも、いまのようにまた法律できめていくのか。そしてまた、営利を目的とする民間に移管した場合には、どんどんどんどんいつも国鉄運賃値上げが提案をされてくるんじゃなかろうか。また、国鉄職員についてはもっともっときびしい合理化が、いまでもたいへんきびしいですけれども、いまよりもっときびしい合理化がくるんじゃなかろうかとか、そういういろんなところにいろんな影響を及ぼしているんですよ、これは。そういう問題の重大性というものを認識しないで、ああいう発言をしたというのは、私は許せないと思うのです。そういう意味で、私は大臣国鉄総裁に伺いますけれども、ああいう軽率な発言はすべきでない、そういう抗議を厳重にするべきであると思うのですが、その点についてお答えいただきたいと思う。
  55. 徳永正利

    徳永国務大臣 新聞の報道から見ますと、いろんな御議論があるかもわかりませんけれども、速記録を読んでみますと、そういうことではないわけでございます。公制審の問題からいろいろな議論がありまして、そして、いやその問題は、すでに民営の可否については、国鉄が鉄道省から公社に移転するときにはこういう議論があったんだ、こういう検討がなされたんだ、そのほかの二公社五現業にしてもそうなんだ、ということをこまごま話がございまして、それで公制審の憲法問題までいったわけなんです。憲法二十八条にはこうじゃないか、一応スト権というものを与えて、その上でもしも乱用していかぬということがあれば、さらに十二条をおっかぶせていってもいいじゃないか、与える前からがっちり押さえ込むというのはけしからぬ、というような山崎委員の反論もございまして、そういうようなことが行き来する中で、民営にすればそんなものは一ぺんで解決つくじゃないか、それは民営にすればこんな議論、いまする必要もないというようなやりとりがありまして、そこで民営論が出てきたわけなんです。  そういうことで、先ほど来申し上げておりますように、いまここですぐ民営移管のいろいろな研究——公制審の中にもいろいろな御指摘があるのは私が申し上げるまでもなく御承知のとおりでございます。したがって、経営自体についても、いろいろなものがどうなるだろうかというようなメリットなりデメリットというものは考えられるわけでございますし、また抜き出しているわけでございますけれども、いまこれを本格的に民営論に取り組むという事態でないということは、御了承いただきたいと思います。
  56. 三浦久

    ○三浦委員 総裁、どうですか。
  57. 藤井松太郎

    ○藤井説明員 お答えいたします。  大筋に関しましては、運輸大臣のおっしゃったとおりでございまして、私は総理からじかにお話を伺ったわけでも何でもなくて、しいて言えば、御指摘の新聞といったようなことしか存じませんので、運輸大臣の御意見を伺いましても、私どもがそうけしからぬぞという段階ではなさそうに考えております。
  58. 三浦久

    ○三浦委員 終わります。
  59. 三池信

    ○三池委員長 松本忠助君。
  60. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 大臣にお伺いいたしたいと思います。三十分間という非常に限られた時間でございますので、お答えも簡略にひとつやっていただきたいと思うわけでございます。  まず、大臣にお伺いしたい点は、国鉄が膨大な赤字をかかえて、この再建のためにたいへん苦しんでいらっしゃることは、もう十分御理解のことと思います。そこで、その国鉄の再建という問題について、まず国の財政援助、第二の問題が国鉄運賃値上げ、第三に国鉄自身の企業努力、この私が三つ申し上げました中から選んでいただくとしたら、大臣はこの三つのうちどれを一番優先的にお考えになりますか。
  61. 徳永正利

    徳永国務大臣 国鉄は申し上げるまでもなく国の基幹的な交通輸送機関でございますから、これの整備、改善、運営というものは非常に大きな公共性を持っておるわけでございます。いま御指摘の公共性の問題と受益者負担の運賃の問題と国鉄そのものの企業努力の問題、この三つのうちおまえはどれを選ぶかということでございますが、それぞれにみな一様にそれぞれの努力と申しますか、その三本が軽重を問わず重要な三本の柱だというふうに考えております。
  62. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 大臣のお答え、大臣のお立場とすればごもっともだと思います。しかし、やはり国鉄自身がほんとうに企業努力をやる気になって再建しようという気持ちがなければ、幾ら金をつぎ込んでみても、あるいはまた、国民にたいへんな負担をかけたとしても、国鉄の再建は不可能ではないか、こういう点を私は強く指摘します。したがって、私自身としては、国鉄自身の企業努力というものを最も私は重要視して考えているわけでございます。この点をひとつお含みおきを願いたいと思うわけでございます。  そこで、総裁に伺うわけでございます。きょう総裁に初めて私、お目にかかるわけでございまして、総裁からいまと同じようなお答えをひとついただきたいと思うわけでございます。国の財政援助、運賃値上げ国鉄自身の企業努力、こういう中で総裁としてはどれを一番重点的におとりになるか、この点についてお答えを願いたいと思います。
  63. 藤井松太郎

    ○藤井説明員 ただいま御指摘のように、国鉄の再建は、まずもって国鉄の企業努力、それに政府並びに国民の御援助、これを三本の柱といたしておるのでございまして、先生指摘のように、国鉄自身が懸命の努力をしなければ政府、国民も援助してくださるはずはないので、私はやはり先生の御意見と同様に国鉄努力ということが基本をなすものである、かように考えております。
  64. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 総裁の御答弁、私もその点で理解をいたします。  そこで、企業努力というものがたいへんであるということ、これは私もわかりますけれども、一そうその企業努力のために精力を費やしていただきたい、こう思います。この点は前総裁もそのようにお答えになっておりましたし、新総裁もそのようなお答えでございますので、私も了解いたします。  そこで、お伺いしたい点は、昭和四十七年度の国有鉄道の監査報告書にございます、要するに四十八年三月三十一日現在のバランスシートによりますと、有形固定資産、土地千九百七十六億円、はんぱがつきますけれどもございます。そのうちに現に国鉄が使用しているものと使用していないものと区分できると思いますが、その面積と金額をお示し願いたいと思うのであります。これは総裁でなくてけっこうであります。
  65. 内田隆滋

    内田説明員 現在、国鉄が所有しております面積は、大体六億六千七百万平米、琵琶湖と同じぐらいの面積でございます。このうち事業の用に供せられているものが六億四千四百万平米、それから事業の用に供せられていないもの、それが約二千三百万平米ということでございます。なお、この財産価格につきましては計算をしないと出ませんので、帳簿価格は後ほど御報告さしていただきたいと思います。
  66. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 常務にちょっとお尋ねしますが、全体が六億六千七百万ですか。そのうちで使用しているのが六億四千四百万。
  67. 内田隆滋

    内田説明員 はい。
  68. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それから、ちょっといま私はっきりしなかったんだけれども、もう一ぺん答えてください。
  69. 内田隆滋

    内田説明員 総面積が六億六千七百万平米でございます。それで事業の用に供せられているものが正確に言いますと六億四千四百二十万平米、それから事業の用に供せられていないものは二千二百八十万平米でございます。
  70. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 わかりました。事業の用に供してないものが二千二百八十万平米、こういうことでございます。金額の点はいま出ないからあとでお知らせするということでございますから、それで理解しますが、この利用というかあるいは使用というか、これは私どもは同意語のように考えておるわけでございます。先般、国鉄としてかつてなかった資料をつくったと言ってたいへん自慢していらっしゃるようでございますが、未利用地というものの資料を提出していただきました。これによりますと、これが千九百五十六万平米、件数にして四千三百六十四件ということですが、この資料と、ただいま常務の言われました未利用地二千二百八十万平米、これの差というものは一体どういうことになりますか。
  71. 内田隆滋

    内田説明員 それは、国鉄の事業の用に供せられていないもので部外に貸し付けている土地がございます。それが千七百六十七件、約三百二十万平米ございます。それが差になると思います。
  72. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それじゃその数字を一応伺っておきます。  それで、私がいただいた資料をもとにして私はこれから進めていきたいと思うわけでございますが、この中の事業の用に供していないものの中で五百三十五件、六百六十八万八千八百二十八平米というおもなるものを除きますと、二千六百七十七件、九百六十六万七千平米というものは、要するに事業計画のないもの、利用計画のないもの、こういうふうに算出されるわけでございます。この利用計画のないものについて国鉄は今後どのようになさろうとするのか。大なり小なり利用計画のあるものはけっこうでございますけれども、利用計画のないものですね。おもなるものはわかりましたが、しかし、全体を通じて千六百三十五万五千平米という利用計画のないものがあるわけです。これに対して国鉄はどのようになさろうとするのか、この点をお伺いしておきます。
  73. 内田隆滋

    内田説明員 今後、新幹線等で用地交換等がございますが、そういうようなものを洗いまして、要らないものは極力売却していくということでまいりたいと思います。
  74. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 新幹線の通るところは非常に限られたところですよ。そういうところに全然関係のないところを代替地に持っていったって、それはとてもできない問題だと思います。  それで、私はここで、こういうものに対していままで国鉄があまりにもむとんちゃく過ぎるのだということを、一つの例をもって申し上げたいと思っているんです。今年度あたりの予算を見ましても、財産を売却するのを二百億程度見込んでいるようでございますけれども、こういう土地について、国鉄としてももう少し真剣に考えなければいけないんではなかろうか、こういうふうに私は思うわけでございます。  そこで、この資料を出していただくときに、あらかじめ全般的な資料の要求をしたわけでございますけれども最初出てきた資料というのは、東京、大阪だけに限られた、非常に限られた場所の未利用地、こういうものが出てきたわけでございます。まあ、ごまかそうという気持ちはなかったと思うのでありますけれども、何と申しますか、どうもたいへんに小さな四百平米とか百平米とか百八十二平米とか八十九平米とか、こういった小さいところです。もちろん、小さいところだからどうでもいいというわけではございませんけれども、もっと大きな場所について、国鉄自身として何に活用したらよろしいのかということを真剣に考えなきゃいかぬのじゃないかと私は思うのです。  そこで、一つ私から申し上げてみたいのは、要するに利用計画のない土地、こういうもので十万平米以上のものが一体どれだけあるかということでございます。たとえて申しますと、一番大きいのでは、この前も四十七年の予算の総括質問ときに問題にいたしました中央線の多治見−古虎渓間、古虎渓−定光寺間の三十一万七千二百二十五平米、あるいは門鉄管内の志免駅の構外の三十一万三千五百十七平米、あるいは米子局の浜田駅構外としての十五万六千九百八十平米、こういったものがございますけれども、こういったもののほかに十万平米以上の国鉄としての未利用地、いわゆる利用計画のないものとしてある土地がどれだけあるか、ひとつお答えを願いたいと思います。
  75. 篠原良男

    篠原(良)説明員 お答えいたします。  室蘭に三十二万平米、小樽に約十三万平米、それから多治見付近はいま先生おっしゃいましたが、あとはやはり廃線敷で室蘭本線の黄金−崎守間に十万平米、それから東北本線の乙供−千曳約十五万平米、同じ地点で約十七万平米、それから千曳−野辺地あたりに十二万平米、こういうふうに廃線敷が九つございます。あとは室蘭、小樽というようなところ、それから志免、その辺が先生のおっしゃるとおりの面積でございます。
  76. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 時間もございませんから、これ以上私は申し上げませんけれども、十万平米以上、こういったものが私の調査では十三件ございます。百六十万四千七百六十平米、十万平米以上のものとしてもそういうものがあるわけでございます。  そこで、いま局長が答えられましたけれども、室蘭とか小樽というようなものは、先般出していただきました資料の中には明記してございませんけれども、これはいかなる理由ですか。
  77. 篠原良男

    篠原(良)説明員 先生にお出しいたしました総括表の中には入っております。個々の件名の中には入っておりませんが、その総括表の中に面積として管理局の中へ全部入っております。
  78. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 私は、そういうふうな言い抜けは当然するだろうと思ったんですけれども、いま申し上げましたように、室蘭あるいは小樽にしましても相当の面積ですよ。それをなぜ、利用計画がないならないとしてその中にあげておかないのか。あるいはまた、利用計画があるならばあるほうにぴしっとあげておかないのかということなんです。私どもは、この問題はもう前から問題にしていることなんです。それが今回の資料を見ますと、ほんとうにありふれた問題が、場所の問題だけ出ていて、そういった肝心の室蘭なりあるいは小樽の問題については何ら記載してない。膨大なものです。この坪数もたいへんな坪数のあるところをわざと隠しているのじゃなかろうか。なぜそれをはっきりと、堂々と、こういうところについては利用計画はございますということで、利用計画のある中にはっきりあげないのかということなんです。どういうわけでそれをあげないのですか、あげない理由
  79. 篠原良男

    篠原(良)説明員 室蘭と小樽は、先生も御承知のとおり、現在市と折衝しておるのですが、市の必要とするところと私のほうの要らないというところとは面積が合わないものですから、はっきり不用地というものがラウンドナンバーで出ないという欠点がございます。たとえば、私どもは室蘭は三十二万売りたい、向こうのほうは二十万というふうにはっきりしませんと、不用地がはっきりいたしませんので実は割愛いたしまして、別表の総括表には全部面積が入れてあるというのが実情であります。
  80. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 総括表に入れてあると言いますけれども、その総括表のどっちへ入れてあるのですか。それじゃ利用計画のあるものか。事業計画とここに書いてありますが、事業計画のあるもの、室蘭のは要するに北海道総局でしょう、計画のあるものは五万八千平米ですよ。計画のないものが百六十一万七千平米。それでは利用計画のないほうに入っているということですね。
  81. 篠原良男

    篠原(良)説明員 そのとおりであります。
  82. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それでは私はお伺いします。利用計画がないとおっしゃいますけれども、この室蘭なり小樽の問題については、私は利用計画があるんじゃなかろうかという解釈をします。それはもう御存じだと思うのでありますけれども、室蘭につきましても、室蘭のあの港、あの国鉄が所有しておりました石炭の積み出し港、この埠頭が、私が四十七年に申し上げましたときも十九万七千五百六十四平米というはっきりした面積が国鉄当局から出ているわけですね。ところが、今度のリストにはそれがないわけですよ。小樽のほうの問題にしましても、この中に出ているのは一万七千三百八十五平米だけは記載されておりますけれども、これは五千坪程度です。小樽のほうも、この問題は、私のほうで調べてみましても、少なくとも十万平米以上ですね、正確に言えば十万九千五百平米というものに対して、根拠のある数字として小樽の市役所からすでに国鉄に対して払い下げの要請が出ている土地があるわけですね。一体そういうものを、室蘭にしろあるいは小樽にしろ、なぜそれをはっきりしないのですか、その点おかしいじゃないですか。
  83. 篠原良男

    篠原(良)説明員 小樽について申し上げますと、実は私のほうは、小樽市には、十二万八千平米が不用だ、これを全部買ってほしい、こう申し上げておるのですが、小樽市からは、いま先生おっしゃいますように、約十一万、残地を含めて買ってほしいというので、数字がはっきりいたしませんので、総括表には入れましたけれども、別表の内訳のほうは割愛さしていただいたというのが実情であります。
  84. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 じゃ小樽の問題にいきましょう。小樽の問題は、小樽市の側から言わせますと、いわゆる小樽港の勝納地区については、公式の文書ですでに三回にわたって国鉄北海道総局にお願いをしておるわけです。しかも口頭では何回も何回もやっているということであります。しかし、それに対して国鉄当局は少しも誠意ある回答をしてくれないということを言っておる。これは小樽の私のほうの調査です。はっきりこれを言っておる。そういう問題について、昭和四十六年の二月に、国鉄に対して勝納埠頭建設を認めてください、あるいは国鉄用地の不用部分の土地の売却を求める、こういうことで文書を出しております。この文書の控えがここにございます。四十六年二月十三日、市長の稲垣さんから北海道総局長の土井さんあて、それから、さらには四十七年五月十日には小樽市長の稲垣さんから北岡総局長あて、さらには四十八年七月十七日も北岡総局長あてに出しておる。その中にはいずれも面積としては十万九千五百平米というものを譲ってもらいたい、こういうことが出ておるわけです。それに対して国鉄からは、いままでに一ぺんも正式な回答がないというのですよ。あなたの言われるのは、要するに用地の面積がぴちっと符合しないから交渉の相手にならないんだというような言い方でありますけれども、一体、売るのか売らないのかということを、一番最初小樽の当局では聞いておるわけです。それに対しても返答がないんですね。要するに、用地売却の面積や価格は事後でもかまわないけれども、意思の表示を文面ではっきりさせてほしいということはもう再三言っているというのです。この問題は、四十六年二月からです。ところが、それに対して少しも国鉄は誠意ある回答を見せないで、依然として草ぼうぼうにしておくわけです。こういうことで企業努力をしていると言えますか。小樽のほうでは、少なくとも工事の進行に支障のないように努力を願いたい。それから、少なくとも十月ごろまでに価格を決定してもらえなければ起債をすることもむずかしいんだ、価格は安ければ安いほどいいけれども、市としてはまあよろしくお願いしたい。いままで一度も価格についてどうこうしようという話がないので進展していない、こういうことを市のほうでは言っているわけでございます。したがいまして、このためには小樽としても計画が立たないために、非常なそごを来たしているということを言っている。私は、この地方の自治体、しかも優秀な港湾をこれから利用しよう、そしてまた、国鉄にももうけてもらおうと思っているところに対して、こういうやり方ではたしていいかどうかということ。  それから、時間もありませんからさらに室蘭の問題を言っておきます。  室蘭の問題にしてみても、四十七年の三月にここで言いました。しかしそのときはまだ実際問題としてできなかった。あまり計画もできていなかった。しかし今度は計画もはっきりできてきたようだ。もちろん、この計画には国鉄の北海道総局からも施設部の計画課長と営業部の開発課長の二名が研究員として加盟しているというようなことは、国鉄自身としても、この室蘭という天然の良港を使って仕事をしなければいかぬということで、重い腰を上げたことはわかります。しかし、ほんとうに国鉄自身がもう少し地方公共団体の利便のために努力をするということがなければいかぬのじゃないかと私は思うのです。こういう点に対して企業努力が必要だと総裁も言われました。しかし、現場のほうの預かっておる人たちは、こういうものに対して全く傍観をするというか、四十六年以来今日に至るまで、全く誠意ある回答をしない、こういうことがはたしてよろしいかどうか、こういう点をひとつ明確にしてもらいたいと思うのです。
  85. 篠原良男

    篠原(良)説明員 先生のおっしゃるとおり、企業努力のためにわれわれは昨年、今年度と約百億用地を売却してまいりました。鋭意現場のほうには話を煮詰めて、市町村の場合には随契で売却するように促進はしております。室蘭の場合には、四月下旬に国の港湾審議会に市の調査報告が出まして、審議会の結論が出る、こういうふうに聞いております。したがって、港湾審議会の結論が出ましたら、極力私のほうは事務を進めて売却したい、こう思っております。港湾審議会の審議を待っておるというのが実情でございます。  小樽につきましては、私のほうはもう少しまとめて買ってほしい、残地を残されたのではたまらないので、小樽市にあと三万平米ぐらい不用地が出るので買ってほしいということを申し上げておりまして、雪が解けましたら立ち会って調査をするというように聞いております。
  86. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 小樽の問題にしても、いま申し上げましたように、四十六年以降、誠意ある回答がないという点を責めておるのですよ。室蘭が、新しい計画ができて、それに従ってやる、当然また港湾審議会の審議もあると思います。そして、一刻も早くあの天然の良港を使うことが国鉄自身のプラスになるのではないか、私はこう思いますので、室蘭の問題についても、小樽の問題についても、もっと誠意を持って国鉄が当たってもらいたい、これが私の希望でございます。  時間もございませんので、もう一点だけで午前中は終わりにします。  それは、未利用地、その中でも利用計画のないもの、こういうことで、ころ中に資料が出ております中央線の多治見−古虎渓、古虎渓−定光寺間の未利用地です。これが前回は十八万五千平方メートル、こういうふうに資料が出ておりました。今回の資料を見ますと、多治見−古虎渓間が十一万三千七百十一平米、古虎渓−定光寺間が二十万三千五百十四平米、合計三十一万七千二百二十五平米、これは廃線敷だったわけですね。この廃線敷が三十一万七千平米と、四十七年のときの十八万五千平米とあまりにもかけ離れているわけです。要するに、十三万二千平米も廃線敷がふえている、こういう事実があるわけであります。この事実を私はどうも解せないのでございますけれども、どうしてこんなふうに二年間で廃線敷が十三万二千二百二十五平米もふえたのかということなんです。お答え願いたい。
  87. 篠原良男

    篠原(良)説明員 まことに、資料を提出しましたとき説明不足で申しわけございませんが、鉄道林が入りましたので鉄道林を足しました。廃線敷プラス鉄道林であります。
  88. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 時間もありませんから、私、多くは詰めませんけれども、資料の出し方についても、非常に国鉄の資料というものを私たちはいままで買いかぶっていたということです。全くそういう点について憤慨にたえない、もう少し、前回とこういうふうに違いますが、こうですよぐらいのことは、当然説明があってしかるべきだと思うのですよ。そういう点を一つ指摘しておきます。  それから、これは、大蔵省の方に出ていただいておりますので、一点だけ詰めて終わりにしたいのですが、こういった廃線敷の問題について、この前も詰めました。そのときに、どうしても利用計画がないもの、これは何とか地方の公共団体に買ってもらったらいいだろう、地方公共団体でもこれを買えない、こういうものについては、国にそれを引き取ってもらったらどうかというようなことを私は申し上げたわけです。それに対しまして、当時、水田大蔵大臣も、研究してみたい、このように言われておりますけれども、研究の成果についてひとつお答えを願いたい。  これで、一応三十分の時間帯の質問を終わりたいと思います。
  89. 宮本保孝

    ○宮本説明員 お答えいたします。  水田大臣が、松本先生の御質問につきまして、研究するということで答えられておりますのは承知いたしておるわけでございます。われわれといたしましては、やはりこういう問題につきましては、国鉄がまず売却に努力していただきまして、そして有効に国鉄経営の改善に資するということが必要だと思っておりますけれども先生指摘のあれは、国鉄が売ろうと思っても売れないものについてはどうかという問題だと思います。その点につきまして、いろいろ研究はいたしましたけれども、国のほうといたしましても、不必要なものは買うわけにもまいりません。そこで、国道等に使えるもの等につきましては、極力これを買い上げるようにいろいろと研究はいたしております。  それから、もう一つ指摘がありました、市町村納付金とか固定資産税の減免等につきましても、いろいろ研究はいたしておりますが、政府部部内におきましても、なかなか調整がいまのところついておりません。そこで、個々のものといいますよりも、全体に税金を使うということで、再建計画をお出しして御審議いただいて成立願った、こういうことでございます。  お答えといたします。
  90. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 大臣、それから総裁も聞いていただきたいのですが、未利用地の処分問題というのは、やはり国鉄としても年間計画百億、あるいはまたことしは二百億というふうに予算を立てて、それだけのものは、ほんとうに不用なものは売りたい、それはけっこうだと思うのです。しかし、ほんとうにそこまでの手続の中において、もう少し、国鉄がいまこういう状態にあるのだから、何とか地方公共団体も協力してほしい、あるいはまた、国としても協力してほしいというような点を、私はものをずばりと言って、そうして協力を求めていくという姿勢がない点を非常に残念に思うのです。こういう点が私は企業努力がないのだということの一つの例としまして申し上げておきたいわけであります。答弁は要りませんけれども、その企業努力というものが大事な問題だということは、いままでも再々申し上げております。したがいまして、この点について、大臣にいたしましても、総裁にいたしましても、よく監督をしていただいて、十分の成果が発揮できますように心からお願いをいたしたいと思います。  以上でございます。
  91. 三池信

    ○三池委員長 河村勝君。
  92. 河村勝

    ○河村委員 大臣が三十分までしかおられないそうですから、要点だけ三点、最終的な確認の意味で、お尋ねをいたします。  第一は、もうすでに再三論議があった問題でありますが、半年運賃値上げを延ばしたあとをどうするかということで、わが党としては昨年の運賃法の改正のときに態度を明らかにしましたように、国鉄運賃値上げしなければならないという必然性は認めるけれども、このインフレのさなかに、実質的な影響力もさることながら、心理的な影響力の非常に大きい国鉄運賃値上げを、なぜそういう時期にやらなければならないのか。だから、このインフレが鎮静をして物価が安定するまで延ばしなさいというのが反対の理由であったわけであります。  でありますから、この法案の賛否を党としてきめるために必要でありますので、重複をしますけれども、この延期の時期が終わる十月の時点で、なお狂乱物価といわれるようないまのインフレの高進、したがって物価の上昇が続いている、そういう状態にあった場合に、一体政府としてはどう考えるのか、その点を伺います。
  93. 徳永正利

    徳永国務大臣 先ほど来申し上げておるように、いまのこんな不安焦燥の間にいろいろな狂乱物価がおどり回っているわけでございますが、これに対する挑戦がいまの政府の一番重要な課題であるということで、金融の面あるいは政策の面等においていろいろやっているのは御承知のとおりでございます。私どもは、この夏ごろまでには、繰り返して申し上げるようでございますが、必ずこの狂乱物価は鎮静できるという確信のもとに、十月まで凍結ということでお願いを申し上げている次第でございます。
  94. 河村勝

    ○河村委員 どうせ満足のいくような答弁がいただけないことはわかっておったけれども、たいへん残念でございます。  その次に新幹線の騒音問題であります。  今回、国鉄で既設新幹線鉄道騒音に対する障害防止対策についてという対策を発表されました。  大臣に伺う前に国鉄のほうに先にお伺いいたしますが、この既設の新幹線対策、これに要する経費はおおよそどのくらいでありますか。
  95. 内田隆滋

    内田説明員 御承知のように、十カ年計画では騒音振動対策で約八百億を見込んでおるわけでございます。それでこの中身は、音源対策が五百八十億、障害防止対策その他が二百二十億ということで組んでございます。  それで、先ほどの新聞で障害防止対策を推進するために三百億ないし五百億という発表がございましたけれども、大体いまの八百億で遂行し得るというふうに考えております。これはあと地の買い取りをいたしました場合に、そのあとをどういうふうに使うかということが問題なんでございまして、各地元の市町村等と相談いたしまして、これを道路にするなりあるいは緑地にするなりということになれば、そういうようなことで地方の市町村からの協力資金というようなものも得られるであろうし、そういうようなものをあわせて進めてまいりたい、特に地方の都市につきましては、この点について今後絶大に協力していただくように働きかけてまいりたいというように考えております。
  96. 河村勝

    ○河村委員 いまの協力資金というのは何ですか、地方自治体の財源を当てにして言っているわけですか。
  97. 内田隆滋

    内田説明員 結果的にはそういうことになりますけれども、要するに都市計画をするなり、公園緑地にするとすれば、都市計画用の道路にするとすれば、当然地元の負担金をいただくということになろうかと思います。
  98. 河村勝

    ○河村委員 大臣、いま聞かれた、私も初めてああいう説明を聞いたのですけれども、人のふんどしを当てにしたような、勘定合って銭足らずみたいなかっこうになるわけですね。いまよけいな金が要るというとたいへんだからああいうふうに言っておるのではないかと思いますが、私は運輸省の対策やり方を見ておりまして、環境庁から勧告があった、それを受けて運輸大臣の通達というものは、国鉄総裁に対して、いままでもいろいろやっておるようだが、これからも努力しろ、そういう要望をして、本勧告の真意を達成するための措置について計画を策定の上報告しなさいというだけのことで、トンネルですね、運輸大臣は。ただあなたまかせで、適当におやりなさいという形ですね。政府としての責任ある態度が少しも見えないですね。ですから、もしこれを本式に対策をやって、地方の財源を当てにするといったって、これはほんとに政府が乗り出さなければならぬことであるし、これから先新しく新幹線をやっていくとなれば、おそらくこれからは単なる線路敷を買うだけじゃなしに、相当広範な土地も買っていかなければならぬようになるでしょう。そうなれば、ただ国鉄に適当におやりなさいで済む話ではない。だからこの環境庁の運輸大臣に対する勧告におきましても、そうした周辺の住宅等に対する対策については、必要な法制度の整備をはかれというようなふうになっているのです。ところが、そういうことについてまるっきり触れないで、ただおやりなさいというようなことになったのは、私は非常に運輸省としては無責任に思われるが、大臣はいかがお考えですか。
  99. 徳永正利

    徳永国務大臣 確かに、そういう御意見は傾聴に値する議論でございまして、私どもといたしましては、重要な問題でございますから、早急に結論を出したい、かように考えております。
  100. 河村勝

    ○河村委員 鉄監局長、所要の法制の整備というような内容が環境庁からも言ってきている。それには全く触れないでこういうような立案をした事務当局はいかにお考えか。
  101. 秋富公正

    秋富政府委員 ただいま先生お話に、通り抜けではないかという御指摘がございましたが、これは……。
  102. 河村勝

    ○河村委員 その問題につきましては、大臣が出てからあと聞きます。  それからもう一つは、狂乱物価状態と今後の再建計画についての影響です。来年度の予算中身あと国鉄からどういうふうな影響があるか聞くつもりでおりますけれども、おそらくすべての人件費、物件費を通じて相当な上昇であるはずです。所要経費ですね。それからこの騒音対策等も尋常一様のことでまかなえるとは私は思いません。そうなれば、当然再建計画は四十九年度の段階でもう一ぺん見直さなければならぬ状態になるに相違ないと私は思うのですけれども大臣はその点どういう認識をもって対処しておられるであろうか、それをお伺いいたします。
  103. 徳永正利

    徳永国務大臣 再建整備に対する国の財投の借り入れにいたしましても、あるいはまた物価等にいたしましても、いろいろ御指摘の点は、これはもう逃げて通ることのできない事実だと思います。したがいまして、しからばすぐ再建計画をいま変えるかということにつきましては、基本的な計画でございますから、一応この目標というものはただいま変えるつもりはございません。この基本計画によって進めてまいりたい、現時点ではそういうふうに考えております。
  104. 河村勝

    ○河村委員 大臣、まあ一応そう答弁されるだろうと思っておりました。しかし、実際の物価上昇の進行というものは、ただ先に延ばせばそれで済むというだけの問題とは思われません。ですから、大臣も十分この推移を検討されて、それで対策の誤りのないようにやっていただきたい、それを要望しておきます。大臣、時間ですから、どうぞ行ってください。  では、局長、さっきの返事を……。
  105. 秋富公正

    秋富政府委員 一昨年の十二月に環境庁長官から運輸大臣あてに勧告が出たわけでございまして、これに基づきまして、運輸大臣から国鉄総裁に、これにつきましての報告を求めたわけでございます。その報告をさらに運輸省におきましていろいろと検討いたしまして、その結果、二月十五日に国鉄総裁あてにいわゆる音源対策、それから障害防止対策につきまして指示をいたしました。同時に、これを環境庁長官運輸大臣から御報告した次第でございます。  それから次に、法令の問題でございますが、これは御承知のように、航空機につきましては、すでにいろいろとございますが、これは国が直接飛行場の設置ということをいたしておるわけでございますが、新幹線の騒音は国鉄のみに限っておりまして、民営鉄道あるいは地下鉄にはこういった問題は、新幹線騒音についてはございませんので、これを法制化すべきかということにつきましては、さらに今後検討を重ねていきたい、かように考えております。
  106. 河村勝

    ○河村委員 対象は国鉄だけであっても、その法律が要らないということはない。それなら国鉄財政再建特別措置法なんてなぜつくったのですか。そうでしょう。だから、ほんとうにやる気ならば、国鉄だけでできるはずがない、さっき言ったように、地方自治団体の協力その他はあるはずだ。それから、場合によったら、ジェット騒音料というのが考えられているけれども、今後新しくどんどん新幹線をやろうという計画があるなら、そうしたものも考えなければいけないでしょう。一体、そういうものについてもっと運輸省としては責任を持って考えていかなければ、私ははなはだ無責任だと思う。その点どうですか。
  107. 秋富公正

    秋富政府委員 現在の新幹線につきましては、先ほど国鉄からも御答弁いたしましたように、八百億の対策考えておるわけでございます。また、今後の新幹線につきましては、先般の運輸委員会におきましても御答弁いたしましたように、大体工事費の五%を考えておるわけでございまして、今回の再建計画におきましては、国といたしましては、工事規模につきましてはその一五%を政府出資、三・五%を利子補給ということで、国鉄といたしましての金利負担と申しますものは三%にとどめておるわけでございます。したがいまして、ただいま申しました既存の新幹線あるいは今後の新幹線につきましても、一応国といたしましては、三%になるまで助成をいたしておるわけでございます。しかし、今後この新幹線の基準と申しますものは、現在のところは暫定基準でございますが、いずれ環境基準が定まるわけでございます。そうした場合に、非常に巨額の費用を必要とする場合には、ただいま先生の御指摘のような原因者負担というPPPの原則に基づきまして、そういった面につきましてもこれを検討しなければならない、かように考えております。
  108. 河村勝

    ○河村委員 三%の率に押えるというのは、一般の工事費の話ですね。これは程度は別として、とにかく収益を生む工事ですよ。ところが、この問題は全く違う次元の問題だ。だからそういう一般的な答弁で済ませるのはおかしいですよ。しかし、いまはそれ以上の答弁ができなければしかたがないから、ほんとうに真剣にこれに取り組んでもらいたい、そう要望しておきます。  それから国鉄にお伺いいたしますが、今度の四十九年度予算で、物件費では対四十八年度補正予算五百七十一億増、それから千二十四億の人件費増を見込んでおりますが、これを見込んだのは、一体ものにおいてあるいは人においてどれだけの物価あるいは賃金の上昇を見込んでおりますか。
  109. 井上邦之

    井上説明員 詳細にわたりましては、後刻担当常務から御説明をさせますが、ただいま先生の御指摘になりました数字と私の持っておる数字とちょっと違っておりますので、後ほどこの問題につきましては御説明さしていただきたいと思います。(河村委員「間違ったか」と呼ぶ)いや、間違っておるとは申しません。私のほうが考え違いしておるかもしれませんので、これは後ほど担当常務から説明させます。
  110. 河村勝

    ○河村委員 違うはずはないんだな。経営費の増で、あれでしょう、四十八年度補正に対して——おたくの資金会計ですよ。経営費で千五百九十五億、その内訳が、物件費で五百七十一億、人件費で千二十四億でしょう。違うのですか。資金会計くらい持っていないのかな。——時間がないからよろしい。これは大体間違ってないつもりだ。  それで、いま人件費と物件費の上昇の率はわかりませんか。——これもわからない。おかしいな。物価上昇の国鉄経営に及ぼす影響というのは聞くと言って、これはちゃんと連絡してあったはずだけれども。突如としてだまし討ちしたわけじゃなしに、ちゃんと予告してあるので、返事ができないというのはおかしいな。
  111. 秋富公正

    秋富政府委員 四十八年度におきましては、人件費は一六・六%伸びたことは事実でございます。今回の予算におきましては給与改善費五%というものを組んでおります。それから予備費につきましては、これを昨年に比べまして三百億にしておるわけでございます。物件費につきましては、一般の物件費は昨年同様三%の予算を組んでおりますが、委託物件費につきましては一五%のアップで計上いたしております。
  112. 河村勝

    ○河村委員 人件費はいまのとおりベースアップが五%、定昇はいま言わなかったが二・四%ですね。それから物件費が大体そういうこと。それで今日までの推移と予測を考えれば、人件費は、赤字でも黒字でも、とにかく世間並みのベースアップはしなければならないというのは鉄則みたいなものですね。そうすると、幾ら低くてもやはり二〇%をこえると見なければならない。物件費は、これはものによってうんと違うのですが、一体いま資材を買っている状況から見てどのぐらいの値上がり率になっているのです。
  113. 内田隆滋

    内田説明員 工事担当でございますので工事の関係だけ申し上げますと、鉄筋は大体四十八年度が鋼材が五万円くらい。それが一時は十万円以上昨年の十二月しておりましたが、次第に下がりまして、ただいまのところは七万円前後ということでございます。これはさらに現在は値段が落ちつきつつございます。それから、私のほうで一番使いますのはなまコンクリートでございますが、これは四十八年三月が五千六百円だったものが現在八千百円ということで、昨年の十二月からずっと均衡がとれております。
  114. 河村勝

    ○河村委員 はなはだ不完全な答弁だけれども、とにかく一例を見てもそんなものですね。ですから、一体この経営費においても、どこまで節約できるかは別として、収拾し切れないくらいの非常な赤字が出ることだけは間違いありませんね。それから工事経費のほうも、この率でいくと工事を大幅に縮小しなければならないという状況になると思いますが、いかがですか。
  115. 内田隆滋

    内田説明員 御承知のように、工事経費は総額は昨年度と全く同じということでございます。ただ、中身の点につきましては、先生も御承知のように、東北新幹線は大幅にスローダウンする、そのかわり山陽新幹線は間違いなく本年度中にできるような予算措置をしていただいておるわけでございまして、これは工事の面だけで申しますと、いまの状況で物価がそのまま鎮静化に向かっておりますれば、見通しとしてはできるということでございます。問題は在来線のほうでございますが、これは御承知のように東北新幹線を減らした分だけふやしていただいておるわけでございます。先生指摘のように物価が相当上がっております。したがって、本年度の実行につきましては、重点的なものから慎重に工事を進めてまいりたいというふうに考えております。
  116. 河村勝

    ○河村委員 その答弁もどうもほんとうはおかしいのであって、大体この予算を組んだのは昨年の石油ショック以前の状態をもとにして組んだものですね。ですから、十分見ていただいておると言っておるけれども、実際去年の予測で組んだものでできるわけがないのですね。だから、きょうはもう時間が二時までに限られておりますから、これ以上この問題は聞いている時間がありませんから、またあらためて聞くことがあるでしょう。もう少し詳細に資料をつくっておいてください。いまの答弁ではさっぱりわからないので、お願いをします。  それから、これも先ほど質問があった問題でありますが、これからの再建計画の中で国鉄として一番大事なのは、人間の問題を除けばやはり貨物輸送、これをどうやって採算ベースにのせるかということだと思います。とにかく他の運輸機関と比較をして適正運賃をとればまかなえるというところまで持っていかなければならぬわけでありますが、今度十カ年計画で一兆八千億という予算はかなりのものではありますが、一体いま貨物の合理化、それからサービスの改善と両方なければならぬわけでありますが、一番重点を置いているのは何と何ですか。こまかいやつはいいから、大きいやつを言ってください。
  117. 伊江朝雄

    ○伊江説明員 御指摘の点、簡単にお答え申し上げます。  やはり国鉄の機能というものが、労働集約産業的な機能がまだ随所に残っている、これを早く近代化と申しますか機械装置化するということが、当面大きな問題かと思っております。
  118. 河村勝

    ○河村委員 機械装置化の中で、やはり貨物輸送の中で、一番金のかかるのは、あるいはサービスに影響する——というのは要するに貨物のスピードアップの障害になっているのはヤードでしょう。この貨物ヤードの近代化ということについてどれだけの金をつぎ込むつもりですか。それでどれだけ人件費を節約できるか、そうしてそれによって貨物列車全体のスピードアップがどれくらいできるか、それは計画は持っていますか。部分的な、ばらばらのものではなしに、長期計画として一体どれだけ貨物ヤードの近代化によって労働集約型産業を近代化をして、人を減らして、しかも、やりようによっては貨物列車のスピードアップも相当できるはずだ。そういうものについては計画を持っていますか。持っているかいないかだけでいいです。
  119. 伊江朝雄

    ○伊江説明員 お答え申し上げます。  大体先ほど御指摘の数字の一兆八千五百億というのが十カ年計画の貨物の投資額でございます。その中で大体——大体と申しますのは失礼なことですが、ヤードの自動化に向けます金が大体一千億、数にいたしまして二十三カ所というかっこうに持っていきたいと思っております。  現在貨物の地上職員でございますが、貨物関係の地上職員が大体五万三千名ぐらいおります。その中で特に御指摘のヤードに関係のある、構内作業掛と申しますが、この従事員が大体二万一千名くらいおります。これをできるだけ縮めていきたいというふうに考えております。  問題は、ヤードを自動化いたしますが、いままでの経験値からいたしますと、大体一人当たりのこなし能力が一・三倍ないし一・四倍というふうに能力はアップし、なるほど自動化というものは相当の効果だなというふうにわれわれは経験的にものを考えておりますので、その意味から二万一千名は相当の数の減少になるだろう、かように考えております。  それから、お尋ねのスピードアップでございますが、これは現在コンテナリゼーション、フレートライナー、その他スピードの早い列車運行しております。大体平均いたしまして八十五キロないし九十五キロという、貨物の輸送としては、まあ従来から考えますとやや画期的なスピードアップになっております。平均しますと六十五キロが一般の貨物でございますが、それが八十五ないし九十五ということでございまして、これが進みますとヤードパスということ、並びにヤードの自動化によります一般貨物の手数が能率アップいたしますので、それによるところのスピードアップということで、貨物の速達効果というものが期待できる、かように考えております。
  120. 河村勝

    ○河村委員 コンテナ列車やフレートライナーとかそういうものは、早くなるのはわかるけれども、現在でも七〇%くらいみんなヤードにかかっているはずだ。だからそれをほんとうにヤードを、人を減らすだけではなしに、近代化をすればもっとスピードアップができるはずだ。少し専門的な話になれば、その指定継送みたいなものをコンピューターを使ってやれば、もっとできるはずだ。だから、そういうものをただそういう部分的な説明ではなしに、貨物の近代化の総体的な計画というものがあってしかるべきだ。それで目標はどこにあるか。そういうものがないのは私はちょっとおかしいと思う。ありますか。あれば聞くけれども、なければ返事は要らないから、とにかくそういうものをぜひおつくりなさい。それで、一兆八千億のうちのわずか一千億がヤードに投下されるというだけでしょう。これでもって近代化ができるはずはないのだな。返事ありますか。
  121. 伊江朝雄

    ○伊江説明員 部分的なお答えを申し上げまして申しわけありませんが、一兆八千五百億、多いか少いかは別問題といたしまして、現時点において私どもの再建計画の中に組んでおりますのは一兆八千五百億、その中でいまヤードのことだけ申し上げたわけでございますが、そのほとんど大部分はやはりターミナルの強化ということになろうと思います。ターミナルも、現在のようなターミナルではなくして、むしろ機能的に一般の通運能力も同時にかみ合うような複合ターミナル、こういったようなことを私ども考えておりまして、これに相当の金をつぎ込みます。具体的に申し上げますと、大体予定いたしておりますものは、九千七百億というオーダーで考えております。そのほか、先ほど申しましたように一千億の中で、ヤードの増築増強工事といったものに充てて、残りは車両計画車両の増強、こういうふうに考えておりまして、方向としましては大体今後はフレートライナー、つまりコンテナリゼーションとそれから物資別の輸送ということが主体になっていくような方向づけを考えておるわけでございます。
  122. 河村勝

    ○河村委員 ターミナルのほうに一兆円近くをかけてヤードのほうに千億円というのは、私はどうもその辺が理解ができない。もう一ぺん検討の必要があるのじゃないかと私は思う。  総裁、この点御就任日も浅いから、まだ十分検討されてないかもしれぬが、ひとつ十分検討されたい。よろしゅうございますか。
  123. 藤井松太郎

    ○藤井説明員 お答え申し上げます。  貨物輸送の問題は財政再建の骨になる問題であり、なおかつエネルギーの転換と申しますか、省エネルギー的な輸送ということになりましても、これが骨になるというようなことでございまして、その具体的の計画は、御指摘のように、あまり百点か——八十点をつけられそうもないので、御趣旨を体して十分検討いたします。
  124. 河村勝

    ○河村委員 最後に、これは特に総裁に所見を伺いたいと思います。  再建の基礎は人ですね。単に労使関係ということだけでなしに、もっと基本的に人事管理というものがしっかりしていないと、国鉄の再建はできません。最近、特にいわゆるマル生というようなことがあって以後、労使関係以前の問題として、職場規律というものが非常に弛緩をしておるように思われます。極端に言えば、重大な運輸運転関係の職場で、事実上職制麻痺状態になっているところが間々見受けられる。これはどうも何か労使関係の力関係みたいなことにとられやすいけれども国鉄のこういうダイナミックな仕事を組織的にやらなければならないところで、職場の規律という秩序が確立されていないで、第一線管理者が、当然職員のなすべきこともろくすっぽ言えないような状況にあったら、これは私は絶対に国鉄は再建できないと思う。そういう事態を総裁はどういうふうに認識をされ、これからどういうふうに仕事されようとしておるのか、それを伺いたいと思います。
  125. 藤井松太郎

    ○藤井説明員 お答えします。  国鉄財政の再建の根本問題は人の関係である、これは間違いないのでございますが、実は私は、四十六万同じ仕事をやっているのだから、もう少し腹を割って話したら、何とかもう少し前進するのじゃないかと、きわめて——きわめてというか、多少甘い考えでだいぶ考えておったのでございますが、だんだんあれを見ていきますと、あえてマル生運動の後遺症とは申しませんけれども、御指摘のような事実が、これは全部とは決して申しませんけれども、あるというようなことで、これはやっぱり現場の第一線を管理しておる管理者を元気づけてやる、バックしてやる。それで正すべきものは正すということ以外に再建の基礎工事はできないというようなことを感じまして、最近もそういったことをるる書いて、現場の管理者を督励すると同時に、お願いを申し上げておるというようなことでございまして、国鉄輸送のようなものは、大きなシステムが遺憾なく動いて、安全かつ能率が上がるものであってそのシステムの機構が狂いが出ておるということだと、安全も能率もはなはだ懸念が残るということは、もう御指摘のとおりなんで、その点は十二分にやる所存でございます。
  126. 河村勝

    ○河村委員 人間関係というものは、悪くするときには非常に簡単に悪くなりますけれども、よくしようとするのは非常に努力も要るし、時間もかかるということは私も承知をしております。どうかひとつその辺十分な御認識をもってがんばっていただきたい。  最後にそれを申し上げて、時間が来たようでありますから、私の質問を終わります。
  127. 三池信

    ○三池委員長 この際、午後四時から再開することとし、暫時休憩いたします。     午後一時五十三分休憩     —————————————     午後四時二十三分開議
  128. 三池信

    ○三池委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。太田一夫君。
  129. 太田一夫

    太田委員 国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案について若干のお尋ねを申し上げます。  最初に、初めて総裁に所信をお尋ねをいたしたいと思います。  資源制約下における総合交通政策の中において、日本国有鉄道のになうべき役割りは何であろうかということについて、この際、総裁としての御所信を承りたいと思います。
  130. 藤井松太郎

    ○藤井説明員 お答え申し上げます。  かねて御審議を願いました財政再建計画におきましても、国鉄は、貨物輸送に関しては中長距離以上の貨物の輸送をやる。旅客輸送は、御承知の都市間の輸送であるとか、あるいは通勤輸送であるとか、こういうものを引き受けるということであの計画はできているのでございますが、ただ、ただいま御指摘の石油危機、動力のエネルギー源の事情の変化というようなことによりまして、国鉄の輸送、なかんずく貨物輸送に関しては、国鉄の引き受ける分野が必然的に大きくなってくるだろう、かように考えられますので、旅客輸送よりもむしろ貨物輸送に一そうの力を傾倒して国鉄の役割りを果たさなくちゃいかぬ、かように考えております。
  131. 太田一夫

    太田委員 いまの総裁お話しですね、一つの特色があると私も思います。先ほど来からの同僚の質問にもあなたお答えになりまして、貨物に力点を置くということをおっしゃいましたが、貨物に力点を置いてほんとうに貨物が国鉄に来ますか。そのためにはいかなる施策をお持ちでございますか。
  132. 藤井松太郎

    ○藤井説明員 かねがね御説明申し上げておりますように、過去の国鉄は、旅客輸送の伸びに追いかけられて、実は貨物投資がはなはだしくおくれておったということなんで、これから貨物に力点を置くということは、おくれておる貨物の投資をふやしていくということでございまして、大体十カ年間におきまして一兆八千億かなんかの貨物の投資をやって——貨物の拠点駅とわれわれは申しておりますが、これの整備であるとか、あるいは御承知のフレートライナーの増備であるとか一あるいは、高速度の直通輸送列車をふやす、さらに物流の拠点となる貨物駅の整備をやる、こういうようなことに力を傾倒いたしまして、貨物を伸ばしていきたい、かように考えております。
  133. 太田一夫

    太田委員 これは運輸大臣にお尋ねしたほうがいいと思いますから、次官、あなたからか鉄監局長でお答えをいただきたいのですが、いま国鉄総裁お話しになりましたように、あすの国鉄というのは、貨物輸送に重点を置いた交通機関である、こういうお話なんで、それは私も考え方として非常に正しいと思います。しかし、フレートライナーで荷物を運ぼうとか、あるいは貨物駅の整備をしようとか、直通運転をしようとかという考え方は、それなりに原則論としてよろしいと思いますけれども、フレートライナーといったところでトラック、陸上交通を度外視しては成り立たないし、貨物駅の整備ということは、それに付随する陸上交通機関が——トラックですね、路上交通機関か必要でありますし一駅の整備をしてもそこに荷物が集まらなければ、広大なる貨物ホームはクモの巣でございます。だから監督官庁としては、どういうような政策を国鉄が持っておると感じ、その政策の具体化のためには、いかなる指導監督をするおつもりでいらっしゃいますか。これについてお答えをいただきます。
  134. 秋富公正

    秋富政府委員 国鉄のになう使命、その中におきましても特に貨物輸送ということが大きいわけでございますが、国鉄の貨物輸送と申しますものは、中長距離におきます貨物輸送でございまして、運輸省といたしましては、総合交通のたてまえから、近距離の貨物輸送につきましては、これをトラックにゆだね、中距離、長距離につきましては、これを国鉄がにない、さらに大量の長距離貨物につきましては、これを海上輸送でになうというふうに、いわゆる総合交通体系ということを考えておるわけでございます。  その際に、国鉄とただいま御指摘の自動車の関係でございますが、これはたとえばフレートライナーにいたしましても、あるいは車扱い貨物にいたしましても、国鉄とトラックとの一貫輸送ということにつきまして、拠点駅の整備でございますとかあるいはコンテナ輸送とか、そういう面におきましてもいろいろと国鉄の特色とトラックの特色と両方を生かして、一貫輸送体系の整備を進めてまいりたいと考えております。
  135. 太田一夫

    太田委員 運輸省に重ねてお尋ねをいたしますが、そのような指導方針であるならば、建設省とも合議の上で、長距離高速自動車道路というようなものの建設に力を入れるのではなくて、貨物の直通輸送、鉄道による長距離大量貨物輸送を重点とした貨物の流通機構を確立されるべきであると思うわけです。そのようなことについて、具体的には中長距離というものの概念に数字を与えていかなければなりません。中距離とはどれぐらいのところをさし、長距離とはどの辺である、貨物自動車の受け持つ輸送範囲はこれぐらい、鉄道はこれぐらい、これは明らかに数字の上で示されるべきであると思いますが、何か腹案をお持ちでしょうか。
  136. 秋富公正

    秋富政府委員 国鉄運賃もこれは運賃法に定められておるところでございますし、トラック運賃につきましては運輸大臣が認可しているところでございます。こういった経済運賃面からまいりますと、大体二百キロというところが一つの限界でございますが、現実には三百キロあたりまでトラック輸送が一般に行なわれておるわけでございます。これにつきましては、やはり国鉄の輸送サービス、たとえて申しますと、到着時刻の明確化だとか、あるいは輸送時間の問題とか、なお国鉄の輸送の改善ということを必要とするわけでございますが、私たちといたしましても、いま申しましたように、経済的には一応二百キロでございますが、これは現在は三百キロに延びているという厳粛な事実に照らしまして、一そう国鉄の貨物輸送の改善をはかりたいと考えております。
  137. 太田一夫

    太田委員 二百キロないし三百キロに一つのポイントを置いた場合に、現実のいまのトラックの状態はどのようなものであるか。それはかりに高速自動車道路のある路線を例にとっても一つのサンプルは出ると思いますが、それ以上長距離を走っておるトラックというのはずいぶんあると思いますが、いかがですか。
  138. 秋富公正

    秋富政府委員 私、実は鉄道監督局長で、自動車局のことにつきましては明確な責任ある答弁はできない立場でございますが、一般に高速道路におきましては、たとえば東名あるいは名神といったようなところにおきましては、大体平均乗車キロが百六十キロと承知いたしております。これに対しまして、新幹線のほうにおきましては、三百キロの平均乗車キロでございます。私たちとしましては、ただいま御指摘のような相当長距離のトラック輸送ということもございますが、これは主として国鉄とのコンテナで一貫輸送、あるいはフェリーとの一貫輸送という面でございまして、現実にトラックのみにおきましてそれ以上の輸送をやっているという場合は、きわめて異例な例ではないかと考えております。
  139. 太田一夫

    太田委員 道路の長さのほうはあなたはあまり詳しくないようだ。鉄道の長さはよくわかっても道路の長さはわからない。三百キロといえば名古屋まで行きませんね。そんな短いところしかトラックが走らないなんということは大間違いで、あなたは鉄監局長ですから、鉄道の線路が引いてないと距離が読めない。まああなたはよろしい。  国鉄のほうにお尋ねをします。あなたのほうは三百キロ以上の貨物は必ず国鉄に取ってみせるという確信はおありなんでしょう。総裁、いかがですか。
  140. 藤井松太郎

    ○藤井説明員 お答えいたします。  この問題は非常にむずかしい問題で、私がどうこう、取ってみせるとかみせぬとかいうことを申し上げるのはどうかと思いますけれども、鉄道輸送と貨物輸送に関しましては、輸送の原価が原価的に切れ合いと申しますか、バランスする点があるので、それ以上、たとえばそういう点が二百キロか三百キロか知りませんけれども、それ以上流れているということは、片や従来の商慣習もあり、国鉄のサービスも悪かったといったようなことが原因で流れておるのだろうと思いますから、やはり一応の目安として経済的な限界、これまでは国鉄側は努力して取るべきであるというふうに私は考えます。
  141. 太田一夫

    太田委員 貨物局長いらっしゃいますね。専門家としてあなたは三百キロを限度といたしまして、三百キロ以上の輸送貨物は国鉄が大半を占めることができるという確信をいま持っていらっしゃいますか。
  142. 丸尾和夫

    ○丸尾説明員 御承知のように、国鉄の貨物輸送が現在のような状態になったのもいろいろな原因がございます。原因一つではございません。したがいまして、将来を展望する場合にも、いろいろな条件が一致するかしないかという問題がございます。  そこでまず、先ほども総裁が御答弁いたしましたように、わが社に輸送力がないとなかなか対応できない。したがいまして、まず輸送力を拡充したい、これは再建計画その他でそういう計画を持っております。  次に、一時的なものは別といたしまして、長期にわたって貨物が鉄道へ来るということは、まあこういった自由の時代でございますから、サービスをよくしないといけない。サービスをよくするためには、やはり到着日時の明確化あるいは高速化ということが必要かと思います。  最後に、国の総合交通体系と申しますか、調和のある各種交通機関の、先ほども鉄監局長の御答弁にございましたが、共同一貫輸送というものがうまくシステムとして組まれる必要があるかと思います。このような諸条件が整えば、いまの御質問のような事態ができるというように考えております。
  143. 太田一夫

    太田委員 ここでちょっと経済企画庁にお尋ねしたいということになりましたが、要求をしなかったのでおいでにならない。次官、あなた答えていただけますか、総合交通政策です。  いま国鉄の貨物局長は、ある条件を備うれば貨物の輸送の主力は国鉄とすることが可能である、そのためにはサービスであるとかその他の諸条件の整備向上がございますが、そういう話でした。これは資源が制約されて、石油資源というものは無尽蔵でない、今日はこれを大切にしなければならぬというときに、鉄道の負うべき使命というものが明らかになってきたことでありまして、急がなければいけませんね。ある日突然そういうときが来るかもしれないが、なかなかそこまで設備ができないし準備ができないから、まあまあいまのままでじり貧で行きますということでは困るでしょう。ということになりますと、どうですか、そのようなことについて政府としては条件をすみやかに整備して、国鉄をして貨物輸送の中心たらしめる、こういう決意で一日も早く実現させるということの御確信がおありでしょうか。
  144. 増岡博之

    ○増岡政府委員 先ほど国鉄総裁から、あるいはまた鉄監局長からお話し申し上げたようなことでございます。私どもは、自由経済のもとでございまするから、国鉄の貨物がトラック輸送に対して十分以上の対抗力といいますか、底力をつけることがまず肝心であろうと思います。そういう意味でただいま国鉄総裁も鉄監局長も申し上げたわけでございます。今日ただいま即座に、きょうあしたのうちに、そういう条件が整うということはなかなか困難であろうというふうにも思います。今後の努力にまってまいりたいと思います。
  145. 太田一夫

    太田委員 まあ無難なお答えをなさらないで、私はあなたの言質なんかに対してそうむずかしいことは言いやしないから。本気になって国鉄に貨物輸送の中心の役割りをしょわせるという気持ちがなかったから、国鉄財政再建がどうしてできますか。先ほど河村さんは、操車場の予算が足らないとおっしゃったが、操車場の予算だけじゃないでしょう。国鉄が貨物を輸送するその中心となる、それがこれからの資源制約下における総合交通体系の中心課題だ。総裁もおっしゃったし、先ほどは副総裁もそういうことを言っていらっしゃった、国鉄の首脳は口をそろえて。運輸省もそのようなことを同調していらっしゃる。だったら、よほどの覚悟がなければいかぬじゃないですか。やらせてみるつもりですとか、いや国鉄が何とかやるだろうと思っていますとか、決意といってももう少し強い決意がなくちゃいけないと思うのです。どんなものですか。
  146. 増岡博之

    ○増岡政府委員 先ほど申し上げましたような力をつけますためには、当然、当初の数年間においてよほどな対策が必要であろうと思います。十年たって全部が終わるということでなしに、最初の二、三年間に力を入れる、先生指摘のとおりであろうと思うのです。
  147. 太田一夫

    太田委員 国鉄総裁か貨物局長でもどちらでもいいので、国鉄のほうからお答えください。  具体的にどんなことをしますか。コンテナをふやせばいいのか、機関車をふやせばいいのか、貨物線をつくればいいのか、何ですか。
  148. 丸尾和夫

    ○丸尾説明員 具体的になりますので若干長くなりますが、まず第一に輸送力をふやす場合に必要なことは、線路の容量でございます。二番目にはヤードの能力、三番目にはターミナルの能力、四番目には車両数、貨車数ないしはこれを牽引します機関車数というようなことに相なります。それから二番目にサービスをよくする、到着日時を明確化する、あるいは高速性を持たせるということがございます。到着日時を明確化するためには、コンテナ化してフレートライナーで牽引すればこれが一番早いわけでございます。これは兼ねて高速性も保てるわけでございます。しかしながら、一般貨車につきましては、ヤードの近代化を進めまして、できるだけヤードで継送を早くとる、そして時間を明確にするということが必要だと思います。  最後に、それと各種交通機関の協同輸送、いわゆるソフトウエアの面の実現ができることが必要かと思います。
  149. 太田一夫

    太田委員 それもそうなんでしょうね、一つの方法でしょうね。しかし、具体的な話になってちょっと恐縮ですが、トヨタの自動車の工場がその組み立てを行なう場合に、日本全国の枝工場と部品をお互いにキャッチボールをやらなきゃならない。転送が要るのです。そこで、具体的には、東海道線刈谷の駅に——部品を送るのには全くコンテナが都合がいいのですね。コンテナ頼むですよ。そのコンテナというのは、あそこにはからのコンテナ、到着コンテナが少ないものですからね、なかなか入らないのですよ。どこから来ると思いますか、そのコンテナが。仙台から来るんですよ。何で仙台から刈谷までからのコンテナを送っておるのですか。コンテナなんというものを用意して、フレートライナーだといいながら、からのコンテナが走っていくのを見て、おお、かっこういいぞ、と言ったって始まらぬじゃないですか。
  150. 丸尾和夫

    ○丸尾説明員 貨物輸送の特徴といたしまして、片道輸送というのがございます。これはコンテナだけでございませんで、車扱いについてもさようでございます。一番はっきりしておりますのが、たとえば鮮魚の冷蔵車でございますが、どうしてもこれは片道になる。あるいは石炭を運ぶ場合のセキ車でございますとかあるいは石灰石を運ぶトキ車をつくりますと、どうしても片道になります。で、御指摘のコンテナの場合でございますが、宮城野駅は到着専門でございます。これは東北地方でございますから、北海道も同じでございます。したがいまして、到着したコンテナを発の地帯に回送するということでございまして、先生御承知のように、フレートライナーと申しても、コンテナと下の台車とは別の運用を組んでおりまして、三角運用、五角運用ということで、できるだけ効率の高い組み方で輸送経路をとっておりますが、御指摘のように、場所によってはどうしても空コンの回送ということが生じるわけでございます。
  151. 太田一夫

    太田委員 その理由は何ですか。それは、たまたま宮城野ですか、仙台ですか、そこは到着コンテナが多くて帰り荷が少ないために、どうしても回送になるという、それはいいですよ。そのとおりでしょう。しかし、どこに何があってどうしたらいいかということを、コンピューターでいま指令さしておるじゃありませんか。ところがそれは、そこのところは私は若干問題があると指摘したいのは、昔の配車というのがありましたね。配車掛というのは、神がかり、超能力を持ってましたよね。そのほうが具体的に、もっと合理性があった。いまはコンピューターだからああいうことになるんですね。そうでしょう。新幹線だって、あなた、乗ってごらんなさいよ、われわれがきちっと指定席を買って乗りますと、まずまん中からお客さんをすし詰めにいたしますね、グリーン車の指定席。うしろのほう全部あいているけれども、まん中のほうは全部詰まっちゃって、きゅうきゅういっておる。いわゆるコンピューター万能方式というものは反省をする。これはもっときちっと使うところに使えばいいけれども、そういう不合理なものが出てくるような気がするんですよ。確かに、向こうにあいているから送ればいいという形は違いがありませんが、そんなことやっておったら、いまの安い運賃ではそろばんに合わないだろうと思うのですよ。だから、もっとつくるということはいかがなものか。  そこで一つ承りますが、国有鉄道のコンテナと私有コンテナの比率というのはいまどのぐらいになっていますか。
  152. 丸尾和夫

    ○丸尾説明員 全体のコンテナ数が約五万でございます。私有コンテナは三千でございます。
  153. 太田一夫

    太田委員 したがって、私有コンテナをもっとつくらせたほうがいいのか、国有鉄道所有のコンテナをもっとつくったほうがいいのか、コンテナ時代が来たらば、コンテナというものに対する基本政策が必要でございますね。いまわずかしか私有コンテナがないということですが、国有鉄道の基本方針はどういうことでございますか。
  154. 丸尾和夫

    ○丸尾説明員 現在のところ、私有コンテナの三千個は全部十トンコンテナでございます。先生御承知のように国鉄のコンテナは五トンコンテナでございます。したがいまして、現在のところは、国鉄の共有の一般的な五トンコンテナは国鉄で所有して共通運用する、特殊といっては言い過ぎでございますが、十トンというようなものについては、特に路線トラックの方がライナーを利用される場合等に私有コンテナを認めておるというのが現状でございます。
  155. 太田一夫

    太田委員 十トンコンテナは私有であるというのですが、国鉄がなぜ十トンコンテナをおつくりにならないのかわかりませんけれども、コンテナ政策というのをもっと確立される必要がある。何か自然発生的です。しかも、コンピューターにかってに何かを吹き込んでおいて、気ままに回送したり割り当てたりしておるなんてことじゃ、私は、サービスの向上にもならなければ財政の再建にも役に立たないと思うのです。それはそれでよろしいです。  昔は、機関車の牽引定数というのは、大体一ぱいに走っておる貨物が多かった。その後非常に貸物が短くなりまして、旅客列車のほうが組成が長いというような時代が一時ありました。このごろだいぶ回復しておるように見受けますが、いまの実績はいかがですか。
  156. 丸尾和夫

    ○丸尾説明員 これはいろいろな、たとえば石炭列車とか一般車扱いとかコンテナとか区間によって違いますが、現在のところは、車扱いにつきましては大体九十何%、ほぼ満牽で走っております。それからコンテナにつきましては、大体八十数%というような率で走っております。
  157. 太田一夫

    太田委員 ということになりますと、貨物は充実した運転をしておるということですね。貨物は充実した運転をしておりながら、なおかつ、配付された資料を拝見をいたしますと、貨物の輸送トン数というのは、四十四年から四十五年にかけて若干上がりましたが、四十六年に少し下がり、四十七年さらに下がり、四十四年を一〇〇として四十七年は輸送トン数が九二だ。トンキロにおいても、四十四年一〇〇が四十七年は九七。伸びておらぬじゃありませんか。
  158. 丸尾和夫

    ○丸尾説明員 全体的に伸びておりませんのは御指摘のとおりでございます。しかしながら、まず輸送トン数で申し上げますと、御承知のように総トン数は、短くてもトン数が上がればこれは伸びますので、石炭輸送が毎年毎年減ってまいりまして、輸送トン数としてはそういった第一次産品の減少が影響しまして、どうしてもこのような漸減の数字になります。  それからトンキロは、先生指摘のように、これにいわゆるわれわれが足と申しております輸送距離がかかりますから、これで見ますと若干ふえておりますが、御承知のように微増でございます。やはりわれわれといたしましても、遺憾ながら経営状態その他から、非常にたっぷりの輸送力を持って、若干遊ばしても貨物を誘致するというだけの余裕がございませんので、その年々、あるいは季節によりまして、若干のゆとりを持ちながら貨物を誘致していくということで来ておるわけでございます。
  159. 太田一夫

    太田委員 総裁、あなたもこの数字は大体おぼろげに見ていらっしゃると思うのですが、四十八年度というのはまだ三月三十一日終わったわけじゃありませんから、これは会計年度ですか、大体概数として輸送トン数は一億八千七百万トン、それで四十九年度、本年度の見通しというのは一億八千六百万トン、これが下がっておるですね。先ほど来、私はこれから国鉄経営の力点はどこにありますかと言ったのですが、特にいま政府が盛んに言っております資源制約下における総合交通体系、重油をたいてあるいは軽油をたいてトラックでものを運ぶときではないから、鉄道の力をフルに発揮させたい、こういうことになるのは、私も理の当然だと思うのに、あなたのほうの見通しは、逆に百万トンの輸送を減らして書いておるというのは、うそでもほんとうでも情けないと私は思いますが、どうなんです。
  160. 藤井松太郎

    ○藤井説明員 御高説のとおりで、まことに残念な数字でございますけれども、要するに鉄道の、私どもの持っている現在線の容量、線路容量というものがほとんどフルになりまして、貨物輸送をふやすということになると、方向別あるいは下りは一ぱいだけれども上りはすいているとか、この区間だけはすいているというのをまず活用することによって若干伸ばし得るんだが、それ以外に伸ばすということになりますと、やっぱり線路増設をやるとか、何か線路容量を上げるより方法がない。したがいまして、それにはいかに力んでみても時間的なあれがかかりますので、ことし、来年もまた同様なおしかりを受けるかもしれませんけれども、その後はあまりしかられぬような形になるのではないかと私は思います。
  161. 太田一夫

    太田委員 総裁、あなた新進気鋭の経営者として、ひとつ国鉄をりっぱに立て直してください。あなたのおっしゃる貨物中心、物流の主役は国鉄であるという、この意気込みというのはりっぱであるし、そうなくちゃなりません。そこで、大いにそれを実現していただきますよう、御健闘を祈ります。  そこで、秋富局長さん、貨物がそういうふうにちょっと弱気の見通しでございますが、やっぱりあまり弱気だとぐあい悪いので、強気にするためにも、国鉄に対するいろいろな、先ほど来おっしゃいます施設の増強、設備の増強、金かかりますね。これに対して配慮しなければなりませんね。何かお話を聞いておりますと、ことしの財政計画というものの中に、あまり政府としては六カ月延ばしましてもめんどう見るというのは少ないようですね。利子だけでしょう。もうちょっと物価が上がったなら工事費を割り増しするとかなんとか、積極的な打って出るものが盛られておらなければうそだと思うのですが、どこかにあるのでございますか。
  162. 秋富公正

    秋富政府委員 昨年の運賃改定の繰り延べにより千八百八十五億、それから今回また十月一日に延ばしますために九百七十六億と大体見込まれる収入減でございますが、これに対しましては、全額借り入れにより、また先生指摘のとおり、特別利子補給金という制度をつくったわけでございますが、これ以外に当初予定いたしておりました出資額以上に四十八、四十九両年度におきまして八百八十五億と申しますものは出資を増額しておる次第でございます。  それから、いわゆる工事規模でございますが、これは昨年、四十八年度同様に六千八百億でございますが、今回は最もこの事態に即応いたしまして、新幹線のほうにおきましては、四十八年に比べまして八〇%という減額をしておりますが、在来線の整備強化という意味におきまして、在来線におきましてはこれを一二五%にいたしまして、旅客、貨物の輸送力の増強をはかっていきたい、かように考えております。
  163. 太田一夫

    太田委員 これはどちらからお答えいただいてもけっこうですが、昨年の審議の際には輸送力増強十兆五千億というのがありまして、それぞれ新幹線にどれだけ、線増その他輸送力増強にどれだけ、通勤施設の整備にどれだけ、安全対策に幾らとありましたね。この数字、もう一度どなたかいま生きておる数字を御発表いただけませんか。
  164. 富井義郎

    ○富井説明員 お答え申し上げます。  新幹線が四兆八千億円でございます。それから大都市圏輸送が七千億円。それから幹線輸送のうち増線、電化が一兆三千億円、それから旅客輸送に三千五百億円、それから貨物輸送に一兆八千五百億円。それをいま合わせますと三兆五千億になります。それから安全、公害対策、合理化、これで一兆五千億円。合計十兆五千億円という内容になっております。
  165. 太田一夫

    太田委員 ついでに、財政の話がありましたから、ここでちょっと伺っておきますが、やりくりであり、出資の増額、この出資の増額はけっこうでございますね。できるだけ大いに出資はふやしていただくことでありますが、借りたものは返し、また新たに借金をしながら、その利子の分だけ何とか補給しようというやりくりでございますが、この前、たしか公共負担という名前国鉄が現在定期券の割引その他学生割引等含めて二千億以上の年間負担をしょっておるように御発表になったと思うのですが、この数字はどんなものでございましたか。
  166. 秋富公正

    秋富政府委員 あるいは国鉄から御答弁すべきかと思いますが、いまの二千億と申しますのは、いわゆる日本国有鉄道が公共企業体となって以来の公共負担額ではないかと思います。大体現在いろいろと政策割引その他全部含めまして、年間約五百億か、かように考えております。
  167. 太田一夫

    太田委員 そうすると、もし公共負担を国の財政によって見るということになりますと、利子相当分くらい——利子に相当することになりますね。これはそのままにしておくというところはちょっと避けて通れぬところだと思いますね。半年も運賃値上げを延ばしたという、あなたのほうの原案だけでも、これは一日三億円の減収になりますか、かなりの大きな減収を予想されていらっしゃるわけでありますから、こういう際には公共負担の問題どうするんだ、年間五百億の公共負担だとしても、それをそのままにしておくというのではなくて、やはりケリをつけたらどんなものかと思うのですね、やっていけないんだから。そこで、あとになれば必ず春闘だとか、それ労働条件だという問題も、具体的に議論しなければなりませんけれども、そういう際には、ないそでは振れないという話にならぬとは限らぬ。ですから五百億の公共負担を国がめんどう見ますということを、どこかで言わなければならぬと私は思う。また、国鉄としては、五百億ぐらいの公共負担はめんどうを見てくださいと、これは堂々と言ってもいいことでありますが、そういう要求は国鉄から政府のほうへ出ておるでしょうか。
  168. 藤井松太郎

    ○藤井説明員 お答えいたします。  公共負担の軽減に関しましてはお説のとおりでございまして、国鉄当局としてはできるだけごめんどうを見ていただきたいということで、従来までにも相当額のごめんどうを見ていただいておるのでありますが、今後も一そう、いろいろの御事情もございましょうけれども、軽減していただきたいというお願いをしておる最中でございます。
  169. 太田一夫

    太田委員 これは運輸省としてもよく国鉄の意向を体して、何とかなるだろうという目をつぶった政策じゃなくて、目をあいた政策をおとりになっていただくことが必要だと思います。  そこでもう一つ、先ほどの新事業計画の裏側でありますが、これは間違いございませんか。昭和六〇年までに新幹線七千キロ、それから、同時に、在来線の電化が全線の二分の一の一万キロ、在来線の複線化は全線の三分の一の七千キロ、こういう御計画がこの前あったのですが、これはスローダウンするのですか、そのままいくのですか、どういうことですか。
  170. 富井義郎

    ○富井説明員 いまのところ変更する意思はございません。
  171. 太田一夫

    太田委員 その予算規模というのは、先ほどの予算の数字というのは前の数字と同じだと思いますが、物価値上がりのおりから、どこでどうつじつまを合わせられますか。
  172. 富井義郎

    ○富井説明員 物価の問題は、毎年三%という物価の騰貴率ということで積算をいたしておりまして、最近非常に物価騰勢が激しゅうございますけれども政府の御努力によりまして、最近物価の鎮静する状況も見えておりますし、それからこれが十カ年計画でございますから、あと政府のいろいろ物価対策によりまして、おおむねその範囲の中でおさめていくことができるものと考えております。
  173. 太田一夫

    太田委員 田中内閣によく御協力をいただいて、物価は秋には鎮静するだろうという宣言を信頼されて、そうして輸送の第一線を守られるということも、まじめな態度でありますからいいのでありますが、しかし、実際において、銅材にしたって、セメントにしたって、あるいはいろいろな工事の労務賃にしたって、そんなわけにいかない。いかないところに皆さんは絵にかいたもちにならんとしておると私は思うのですね。これは、いま修正するというと大騒ぎですから、あまり物価は上がらない、そのうちに逆に下がるかもしれないなんという——わからないんですよね、あしたのことは。その点はわかるのだけれども、しかし、何せこの異常な物価の値上がりの際に、十兆五千億の工事計画は変えない、その予算も変わりません、先になればどうなるかわからないというようなことでは、それは長くその責めを負うて、そうして初めから終わりまで見届けるという立場にならぬと、いささかいかがかと思いますが、それ以上お答えを求めても無理でしょう。それはそれで一応聞いておきます。ぜひ、その計画があなたのおっしゃったとおりのことが早くできますように、電化、複線化、通勤地獄の解消等がんばってください。  それで、ちょっと伺いますが、赤字赤字、四十七年度の赤字はだいぶひどうございましたね。三千四百十五億円でございましたか、そのだいぶ大きな数字というのが、かなり本線といわれるところから出ておるわけでございますね。東海道本線が三百八十三億円、鹿児島本線が二百三十三億円、函館本線が二百六億円、奥羽本線が百八十一億円、こういうことになってまいりますと、いままではドル箱線と思った本線がみな赤字であり、しかも三けたの何百億という赤字だ。そうなりますと、これは総裁、どうですか、在来線の活用ということに対して、貨物を走らせるということもなかなか思うとおりいかないとしても、これは貨物を多く走らせるように政府に交通政策の確立を求めていかなければいかぬですね。政府がやらないのに国鉄だけでやろうたってなかなかできませんね。  このころ、駅の構内等歩いておりますと——昔は名勝古跡のポスターがたくさんありましたね、ディスカバージャパンというやつがね。あれはなかなか楽しかったのですが、あれを、宣伝が過剰である、石油浪費につながるとかなんとかいってやめちゃいましたね。だから、ろくなものがかけてないのですが、そのろくなもののない中にも、貨物は鉄道へというのはあまり拝見しません。そうでしょう。そうすると、一体これはどうなるんでしょう、国鉄の前途暗たんたるものを感じてしょうがない。もう一回ディスカバージャパンを始めたらどうですか。国民が非常に困難をしておるときこそ、精神的な鼓吹をしなければだめだ。週休二日制でゆっくり休んで、それ松島でもいらっしゃいとか、別府の温泉でも行ってらっしゃい、この村にはこういう日本の宝ありというような宣伝があるということは、私はいいと思うんですよ。あなたのほうがやれなかったら交通公社にやらせなさいよ。交通公社というものがあるでしょう。あそこはあなたのほうが宣伝したやつでお客さんを扱っておるのだから、お客さんを扱うところと宣伝とを一緒にやらせるなら、あなたのほうは金がなくたってやれますよ。大いにやるべきだと思います。そういう意味から、本線の赤字が大きいということについて、新幹線が敷設されれば敷設されるほど本線の赤字はますます増大をする、これは当然の覚悟でございますか。
  174. 藤井松太郎

    ○藤井説明員 お答えします。  第一の、本線の赤字で東海道は赤かというお話なんでございますけれども、御承知のように国鉄運賃は、これはもうきわめて当然な話なんだが、あまり余剰のある運賃をちょうだいしているわけじゃないので、要するに運賃というものは、国鉄の二万キロか何かを動かすのに足る平均値をちょうだいしている。これが運賃であるということになりますので、運賃水準がいかに上がりましても、国鉄のような運賃体系をとる限りにおいては、大多数のものは赤であるということで、その赤が直ちに損をしたというような観念じゃなくて、赤字線というのは国鉄として平均値以下の線であるということなんで、私は赤字、黒字ということ自体、それだけではそう心配していない、かように申し上げるのでありますが、これもあるいはおしかりを受けるかもしれません。  それからディスカバージャパンでございますが、これはこの間も大阪に行ったら、駅長か何かに、われわれあれを楽しみにして大いにやって、みんな若い者は張り切っておった、しかるにあれをやめろとかなんとかいうことになって、若い者の働く意欲をディスカレッジした、おまえどう思っておるのかというので、しかられました。それはもうお説のとおりなんだけれども、世の中がガソリンがなくてレジャーを押えようというときに、おれのところだけは別だ、やれ、やれというわけにいかぬので、まあしばらくがまんしてくれ、そのうちにそれにしかられぬような宣伝方法を、必ずしもレジャーじゃないんでございますけれども考えましょうということで、先生おっしゃるように、大いにガソリンを食わぬ国鉄へ貨物をといったような宣伝は必要だろうと思います。
  175. 太田一夫

    太田委員 その意気込みに実際共鳴しますよ。ひとつ総裁、一緒にやりましょうや。  大体、オンレールで、鉄道に乗って、新幹線、汽車に乗って名所古跡、ふるさとを回るなんて、いいじゃありませんか。ディスカバージャパンに何も自動車に乗っていけとは書いてないでしょう。マイカーで行きなさいと一言も書いてないんだ。遠慮することないんで、なぜやらぬのですか。あなたのほうに金がなかったら、交通公社にやらせなさいと言っているんだ。  そこで総裁、もう一つ、減価償却の費用ですが、昭和四十八年度二千二百四十八億円、四十七年度は二千二百四億円、二千億円台の償却。あなたのおっしゃる、運賃が縛られておったって、資本というものに対する負担がなかったときにはあなたのほうはそうお困りにならない。ところが、資本まであなた方、全部かせぎ出して、そして償却を見積もって、それだけを利益の中から充当していこうとするから無理がある。二千二百億なら二千二百億、二千三百億なら二千三百億の償却ぐらいは、いままであまり出資をしておらなかった政府が、贖罪の意味をもって、いや悪かった、これから国鉄をしっかりささえるから、償却のことは全部めんどう見ようというように、償却と同額を補給金として出すとか、それぐらいのことがあるというと、あなた楽ですよ。何もそんなに損しませんよ。鉄監局長、どうですか、償却ぐらいはめんどう見て差し上げるわけにはいきませんか。
  176. 秋富公正

    秋富政府委員 償却をめんどう見るということも、あるいは政府の助成の一つの方策かとも思いますが、現在、運輸省といたしましては、やはり今後さらに国鉄の使命というものをにらみまして、今後の工事規模のコストを極力低減する、こういう意味におきまして十兆五千億の十カ年間の投資規模に対しまして、この一五%、約一兆五千六百億というものを出資しようというわけでございまして、私たちといたしましては、やはり今後、国鉄を再建するために前向きで政府の出資をいたしたい、こういう措置をとった次第でございます。
  177. 太田一夫

    太田委員 これは次官、大臣いらっしゃいませんけれども、私は大臣質問したり御注文するおりがありませんから、あなたに申し上げておくが、運輸省も腰を据えて、国鉄がふらふらしないように、もっと財政的にささえることは、この法律はこの法律として、この次のあらゆるチャンスにひとつ考えてください。  そこで国鉄に、最後にひとつ問題を解明してほしいと私は思うのです。  昨年開通いたしました伊勢線というのがあるのですがね。三重県の中心である津から北西の四日市まで二十九・二キロ、この線、幾らかかったか存じませんが、さてそれからというものは、ふしぎな線でございまして、一日に十一回運転しておるわけですね、十一往復運転しておりますが、その中の四往復というのは急行と特急なんです。これは紀勢線と名古屋とを結んでおりまして、急行、特急で、沿線の方々には乗れない電車です。あと沿線の市町村の方たちが乗れるというのは、したがって七往復しかありません。一日に七往復。たとえば伊勢の津から名古屋へ行きたいという人は八時二十七分の電車に乗りませんと、十三時六分までないわけですね。朝の八時二十七分に乗りおくれますと十三時六分までない。それから同じように四日市のほうから伊勢へ行こうとしますと、八時三十分に乗りおくれますと十三時十二分までない。そういうわけで、あの辺にはずいぶん工場がありますが、通勤の役にならないというんですね。だから、この伊勢線なんというのに金を使って、そして近畿日本鉄道と並行線のようなぐあいになっておりますから、伊勢、中勢、南勢、南紀と名古屋を結ぶ場合には、ショートカットですから実に理想的な線でありますが、実用的な線じゃないわけだ。これじゃもうけようというのですか、何ですか。何のためにその線を敷いたかわからない。このダイヤについて説明できる人がありましたら御説明いただきたい。
  178. 柳井乃武夫

    ○柳井説明員 ただいま伊勢線についての御指摘がございましたが、先生の仰せのとおりの数の列車でございまして、上り、下り合わせまして二十二本でございます。昨年の九月一日に開通した線でございますが、そのうちに、普通が上下で十四本と、先生の仰せのとおりの数字になっております。この線は、御承知のように近鉄が付近を、ただいまのお話にもございましたように、四通八達しておりまして、二十分ヘッドで近鉄が走っているということもあるかと思うのでございますが、ただいまの列車の乗車効率——ただいまのお話のように、それは不便だからだということかとも思いますが、現実に乗車効率を調べてみましたところ、普通列車は上り、下りとも平均乗車効率が定員の八%でございまして、現在のところは非常に利用率が低いということになっております。また、利用率その他お客の流れを十分勘案してまいりたいと思っております。
  179. 太田一夫

    太田委員 総裁、いま一つの例でございますが、新線をこれからおつくりになりますね、AB線であろうが何であろうが。この前のときに磯崎総裁並びに新谷運輸大臣というのは、たとえば四国の循環線であるとかなんとかいうような地域開発に役に立つものは、赤字だと想像されても何でもつくって、早くこれによって国民の足を守る、と言うと私たちのことばになるか知りませんが、地域の産業、文化の発展のために役立たせたいということをおっしゃいましたよね。いいことだと思うんですよ。だから、ローカル線というのは赤字だ、赤字だと言ったって、たかが知れた金額でありまして、いまでは本線の赤字のほうが多いのであります。そのことを私は申し上げておるのですが、たまたまローカル線、約三十キロの、津から四日市の線というのはいい線をおつくりになった。これはそれだけの線じゃなくて、前後がつながるのだから、この線が生かされるだろうと思っておりましたが、昨日もその線路の上を私はたまたま用があって通った。きれいな線ですね。それで土地の人に、お乗りになったことありますかと言ったら、いやあ、開通式のときににぎやかだったから一ぺん乗ろうと思うんだが、なかなかディーゼルが来ないから乗れないよ、はあ、それはふしぎですね、というようなことを言って、土地の人の話を聞きましたら、これは使うものじゃなくてながめる線だと言っておりました。  そういうわけで、せっかく巨額の工事資金を投じながら、かような宝の持ちぐされがあってはいけないと思うのです。近鉄の列車がたくさん出るからそう不自由はかけませんと言うなら、そんな線路をつくらぬでもいいわけですよ。何のためにつくったかわからない。ですからそういう点は、せっかくの国鉄の持つ使命というものは、これはしっかりと貫いていただきたいと思う。こんなところへ、つまらぬところへ小さなそろばんを、懐中から取り出したようなそろばんじゃなくて、でっかいそろばんを使ってはじいていただきたいと思うのです。  それからついでに聞いておきますが、この前のときに岡多線というのも、トヨタ自動車のためにつくったのではなくて、これは名古屋の東のほうの交通圏の発達のためにつくったんだというお話があったが、一向にその工事が進まないし開通もしない。これはどんなもくろみになっているんですか。
  180. 秋富公正

    秋富政府委員 岡多線につきましては、現在御指摘のものはいわゆるC線の部分でございますが、これにつきましては、すでに岡崎と枡塚の間は四十五年十月に開業したわけでございます。枡塚−瀬戸間につきましては、鉄道建設公団におきまして全面的に施工いたしております。最初の予定におきましては、その一部につきましては四十九年開業ということを目ざしてまいりましたのですが、一部区間におきまして、用地買収上の難航がございましたために若干おくれてまいりましたが、中豊田−枡塚間におきましては、昭和五十年に開業の予定でございます。
  181. 太田一夫

    太田委員 五十年の何月ですか。
  182. 秋富公正

    秋富政府委員 五十年の七月を予定いたしております。
  183. 太田一夫

    太田委員 これも宝の持ちぐされでありまして、四国の高知の駅から東の室戸岬に行きます循環線の何とかいう鉄道がありますね。あの線と同じようにトンネルをつくったのはもう七、八年前だけれども、両わきはなかなかできないというようなちぐはぐなことがありますが、ひとつ重点的にやるべきところはどんどんやって、そうして使命を発揮していただくことを望みます。そうでもしなければ、国鉄が本来の使命に目ざめて、新しい日本の発展に貢献するということは不可能であろうと思う。特に資源制約下、もう石油の時代は終わりましたから、モータリゼーションというのは押えていかなければいけない。こういう時代に鉄道がぐずぐずしておったら、何が一体前面に出てきますか、こう思いますので、ひとつがんばっていただきたいと思います。  私はこれで終わります。
  184. 三池信

    ○三池委員長 児玉末男君。
  185. 兒玉末男

    ○兒玉委員 まず、国鉄総裁に伺いたいと思うのですが、すでに同僚議員からも質問があったと思うのですけれども、先般参議院の予算委員会におきまして、田中総理が突如として、今回の春闘を通じてのスト権の問題とのからみの中で、国鉄の民営論というのを言われているわけであります。この件につきましては、私はこの委員会で、前総裁の磯崎氏に対して、再建法並びに運賃関係法の審議の中で、きわめて重要な意見としてそういうふうな意見が巷間伝えられているがどうかという質問をいたしましたら、国鉄総裁としてはそのような考えは全くありません、こういうことを明確に言っておられるわけであります。ですから、新総裁の藤井総裁にしても、私はそのように情勢が急激に変化したものとは思えないわけでございますが、この総理の民営論について、国鉄総裁としてはどういうふうな見解をお持ちなのか、お伺いをしたいと存じます。
  186. 藤井松太郎

    ○藤井説明員 お答えします。  総理の国鉄民営論に関しましては、私は直接総理がどういう御意図でどういう御発言になったのか実は存じないので、新聞あたりが報道したことは知っておりますけれども、これをどうこう言う資格は実はございませんが、国鉄の運営形態というのは一体どうするんだということになると、究極の目的は、国鉄を御利用くださる国民に最大の御便益、御利益を与えるというのには、いかなる経営形態がいいかということ、これが当然の問題になるのでございまして、先生御承知のように、この問題に関しましては、過去においてもいろいろの御議論がございましたけれども、まだ結論的にこうだというような議論は伺っておりませんので、やはり前総裁が申しましたように、国鉄の現在の体系を守っていく。また御意向を伺いながら改めるべきところは改めて、現在の体系で行くというのが、私自身は常道じゃないか、かように考えております。
  187. 兒玉末男

    ○兒玉委員 この国鉄再建のための十カ年計画が国会に提案されまして、そうして前国会においてこれが決定されている状況にありますし、少なくとも民営論ということになりますと、現在の国鉄経営というものが、公共企業体というたてまえをとっている以上は、この公共企業体体制というものを根本的に改めなければこれはできないのじゃないか。そういう点から論及していきますならば、再建十カ年計画そのものも御破算にした上での意見でなければ、政府国鉄経営に対するところの基本的な方針というものはきわめてあいまいである、一体、十カ年計画を何のために国会に提案したのか、その理論的根拠も私はあやぶまれてくると思うのでございますが、この点について、特にきょうは政務次官お見えでありますが、まず総裁並びに政府を代表する政務次官の見解を承りたいと存じます。
  188. 増岡博之

    ○増岡政府委員 この問題につきましては、大臣にもお尋ねしたわけでございまするけれども、新聞にはああいうふうに報道されておるけれども、総理から何ら指示はないということでございます。したがいまして、これは私の想像でございまするけれども、昨年公制審のほうから、経営形態まで含めていろいろ考えたらどうかということが出て、若干の作業をしたことがございます。これは決して全体的に考えてそういうことにしようという案を立てたということではございませんで、頭の中で考えた程度のものではございますが、そういうことを思い浮かべられてお話しになったのではないか。これは私の想像でございまするけれども、そういうふうに理解をいたしております。
  189. 兒玉末男

    ○兒玉委員 一国の総責任者である総理の口から、こういうことが堂々と国会の場で論議されることは、これはきわめて重大な問題であり、特に実際の実務を担当する国鉄総裁として、また国鉄当局としても、これは単にそういうことは考えておらないということでは済まされない問題として私は受けとめているわけでありまするが、今後この点に関して、一体どういうふうな対策と検討を加えていく御所存なのか、再度総裁にお伺いしたいと思います。
  190. 藤井松太郎

    ○藤井説明員 お答えします。  先ほども申しましたように、実は私はどういう御意図でそういうことをおっしゃったかは、直接総理から伺っておりませんし、かたがた、運輸大臣お話を伺いましても、総理からそういった指示を受けたことはない、こういうお話でございますので、私としましては、いまさらどうこうと言っても、その対策に踏み切る根拠が何もない、と言ってははなはだ言いようが悪いのでございますけれども、まあそういうつもりでおりますので、ひとつさよう御了承願います。
  191. 兒玉末男

    ○兒玉委員 どうせあと大臣出席の際、仲間の議員からもこの点についての質問があるかと思いますけれども、ここで私は鉄監局長にお伺いしたいわけでございますが、先般の運輸大臣の所信表明に対する質問の中で、私は現在の運賃改定を含めて、特に、運賃制度のこれを三年間ということでなくして、再建計画を根本的に検討せい、こういうことを質問したわけですが、少なくとも十月までの再度の運賃改定の延長ということは、十カ年計画そのものにも重大な影響を与えるんじゃないか。ところが鉄監局長は、その点については心配要らない、こういうふうな御答弁をされております。  加えまして、二回の延長に伴い、おそらく四十八年度の決算については、一般新聞等の報道によりましても、一兆五千億という膨大な赤字をかかえておるということがいわれておるわけですが、鉄監局としてはこれをどういうふうに踏まえているのか。同時に、去年とさらに今度の再延長で少なくとも三千億程度の赤字が累増するわけであります。さらにまた、今度の賃金改定ということについても、全体的な判断からします場合に、再建計画に組まれている一二・五%の平均アップ率じゃないかと私は思うのですが、現実の人件費関係の増強ということは、それをまだ上回ることが予想をされるわけでございます。  そういうふうな諸般の情勢を勘案した場合に、私はやはり十カ年計画そのものの根本的な再検討が要請されると思うし、さらに、先ほど申し上げましたような、いわゆる国鉄民営論ということは、公企体としての国鉄十カ年計画の根本をゆるがす問題として私は受けとめるわけでございますが、先般の答弁に対する情勢からさらに今時点における情勢について、局長の見解を承りたいのです。
  192. 秋富公正

    秋富政府委員 先般児玉先生の御質問に対しまして私お答えいたしましたときに、四十八年度の運賃のおくれによります減収額が千八百五十五億、それから四十九年度におきましてこれを十月一日までさらに延期いたしますことによる減収額が九百七十六億見込まれるということを申し上げたわけでございます。  これに対しまして政府としての措置でございますが、昨年もこの減収額とともに、さらにベースアップの改定によります支出の増ということに対しましても、あわせましてこれを借り入れの措置をいたしまして、その全額を利子補給をしたわけでございますが、今回も運賃改定のおくれにつきましては、これに対しまして五十五億の利子補給、昨年の分と合わせますと二百三十五億の特別利子補給をいたしたわけでございますが、さらにそれ以外に、四十八年度と四十九年度合わせまして八百八十五億、最初の再建計画以外の出資ということをしたわけでございます。  こういうわけで四十八年度、四十九年度につきましてはそれぞれ措置をした次第でございますが、御指摘のように、これだけの借り入れ金が再建後にも残るということも、これまた事実でございます。しかし、これにつきましては、私たちといたしまして、いまの八百八十五億といいます出資をさらに加えましたことによるその利子効果と申しますか、金利の節約ということによりまして再建はできる、こういうふうに申し上げた次第でございます。さらに、現在の収支でまいりますと、五十七年におきましては約五兆の運賃収入ということを考えておるわけでございまして、長期の借り入れ金がふえるということも事実でございますが、私たちは再建ができる、かように考えておる次第でございます。  それから、ただいま御指摘の、昨年御審議いただいた際にいろいろとございましたが、経営形態についていまの民営論の問題も御質問がございましたが、これは政務次官がお答え申し上げましたように、まだ運輸省としましては、直接現在までのところ総理からそういう指示はございません。これにつきましては、いろいろと法制上も、あるいは実際の運営上も、多くの検討すべき重大な問題があるわけでございまして、四十八年度に発足いたします再建計画、あくまでも公企体という現在の形態を前提といたしましてこれを策定いたすものでございます。
  193. 兒玉末男

    ○兒玉委員 これは鉄監局長に御質問することは無理かと思うわけですけれども、先般の衆議院の予算分科会で、私は質問したわけじゃございませんけれども内田経企長官は、現在、政府が策定している経済社会基本計画そのものがもうすでに難破した、こういうことを明確に議事録によりますと言っているわけですよ。国鉄の十カ年計画もこれに基づいて策定された。いま局長言われたように、これからの収入五兆円ということも、経企長官答弁から判断するならば、一体それだけの財源の確保が確実に保証されるのかどうか、きわめて私は疑問に思わざるを得ないわけですが、経企庁長官が唱えました、この経済社会基本計画の根本的な難破ということばは、これはきわめて注目すべき発言として私は受けとめているわけですが、この際それとの関連において、一体五兆円のいわゆる運賃収入ということが期待できるのかどうか、それはどうですか。
  194. 秋富公正

    秋富政府委員 経済社会基本計画につきまして、いろいろの御議論があることは事実でございます。また、昨年の十月以降の物価の異常なる高騰という事態があることも事実でございます。こういった事実を私たちといたしましては厳粛に受けとめながら、一方におきまして、国鉄財政再建ということは一刻もゆるがせにすることができないものでございますので、私たちといたしましては、あくまでも昨年御審議いただきましたように、いろいろな手段を尽くしましても、国鉄財政再建は一刻も早く確立しなければいけない、こういう気持ちでございまして、いろいろとむずかしい問題があることも事実でございますが、再建計画を一日も早く策定いたしたいと考えております。
  195. 兒玉末男

    ○兒玉委員 これは、この十カ年計画を含めて、国鉄の現在合理化政策がとられているわけでございますが、先般若干の質問をしたわけでございますけれども宮崎県の高千穂線というのがございますが、これについて現在高森と連結させるためのいわゆる新しい建設が行なわれているわけです。これに対して、今月の十二日でございますか、この高千穂線の日ノ影という駅の貨物の扱い廃止、並びに現在高千穂線と言ってますけれども、この全線のいわゆる貨物廃止ということですね、駅だけじゃなくして、線そのものが貨物運送を扱わないということになりますと、一体これから新線建設の過程にありながら、これが開通の暁には私は相当の貨物の輸送ということがやはり予想されるんじゃないか。この全線が開通の時点においてこの問題が処理されるべきであったにもかかわらず、日之影町当局のいわゆる同意を得たということで、これが実は大臣の認可はおりているわけですが、一方では新線建設を進めながら、一方では営業の根幹である貨物輸送を廃止するということは、私はきわめて時期尚早であったと思うわけですが、鉄監局としては、これの廃止承認についてどういうような姿勢でこれを承認されたのか、お伺いしたいと思います。
  196. 秋富公正

    秋富政府委員 この高千穂線につきましては、日ノ影線と高森線、これを両方結びますことによりまして、宮崎県と熊本県と結ぶ重要な路線と考えております。したがいまして、現在これは鉄道建設公団が工事を進めておりますが、運輸省といたしましてもきわめて重要な、いわば重点的な路線だと考えておりまして、すでに高千穂までは一部開業いたしたわけでございますが、さらに高千穂−高森間につきましても工事を鋭意進めている次第でございます。  日ノ影線の貨物取り扱いの廃止の問題でございますが、日ノ影線におきましては、終点の日ノ影駅だけが貨物の取り扱いをしておった次第でございます。この貨物の輸送量と申しますものも、年々その扱い量が減ってきていることは事実でございます。この問題につきましては、並行してと申しますか、熊本と宮崎の間はりっぱな国道もございまして、遺憾ながらそのほうに、トラック輸送のほうに貨物輸送が転移したために輸送が減ってきている、こういう事実にかんがみまして、現在日ノ影駅の貨物取り扱いを廃止することに伴いまして日ノ影線の貨物取り扱いを廃止した次第でございます。  しかし、先生の御指摘のように、これが全線通じまして、さらに国鉄による貨物の輸送量が増加したという際には、これはその際に見直す、こういうつもりで、とりあえず現在のところにおきましては、年々その取り扱いが減っているという事実に照らしまして、この廃止を認可したものでございます。
  197. 兒玉末男

    ○兒玉委員 国鉄のほうにお伺いしたいわけでございますが、現在この高千穂線のさらにこれから全線開通までの予算というものは大体どの程度を予想されておるのか、お伺いしたいと思います。
  198. 秋富公正

    秋富政府委員 これは現在鉄道建設公団が建設を進めておりますので、私のほうから御答弁申し上げます。  高千穂−高森間は約二十二・九キロでございまして、この工事費は約百四億円と見込まれております。
  199. 兒玉末男

    ○兒玉委員 百四億というのは少なくとも国鉄——これからどうせ完成の暁には国鉄が営業をやるわけですが、その新線いわゆる高千穂線の建設にあたっては、当初の計画は旅客だけの輸送を前提とした計画じゃなかったと私は思うのです。やはり旅客、貨物を含めた中でこの計画が立てられたものと私は思うわけでございますが、そこはどうですか。
  200. 秋富公正

    秋富政府委員 現在鉄道建設公団が建設いたしておりますAB線は、現在までのところ、すべてこれは旅客のみを取り扱ってきたわけでございます。と申しますのは、やはりいろいろの趨勢を見ますと、道路整備によりまして、貨物の面は現在まで遺憾ながらトラックに移ってきているというのが事実でございまして、国鉄といたしまして、これを引き継いだ場合に、極力省力化いたしまして、まず旅客の輸送ということに重点を置いてきた次第でございまして、これはいまの省エネルギーとかいろいろな趨勢を見まして、今後さらに検討を重ねていくべき問題だと考えております。
  201. 兒玉末男

    ○兒玉委員 鉄監局長は地域の情勢をどういうふうに判断しているかわかりませんけれども、御承知のように、この地区はいわゆる旧二級国道でございますけれども、この路線の整備計画は、少なくとも高森線の開通よりもまだ長い予定をしているわけであります。そういう点から、いわゆる集中豪雨等の災害があった場合、絶えず不通になる路線であります。ですから、少なくともバイパスとしてのこの二級国道が普通の災害にも十分に対応できるような整備が完了する時点までは、一たん道路が途絶しますと、国鉄以外の輸送に依存することができない特殊な状況にあるわけですが、その辺のことについてもおそらく十分な配慮をした上でのことだと思うのですが、どういうふうに判断されておるのか、お伺いいたします。
  202. 秋富公正

    秋富政府委員 今回の貨物の取り扱いの廃止につきましては、地元の町村長の御同意もいただいておるわけでございますが、ただいま御指摘の二級国道という輸送力の問題こういった問題も云わせて地元においてもいろいろと御検討になった結果かと考えるものでございます。  私たちといたしましては、現在のところ、さらに全線が通じました際には、これをどういたすべきかということをあらためてその際に検討するという立場で進めさしていただきたいと考えております。
  203. 兒玉末男

    ○兒玉委員 そこで、これに関連しまして国鉄のほうにお伺いしたいと思うわけでございますが、先般この件について私は伊江常務理事答弁をお聞きしたわけですけれども、この廃止の同意の条件として、在来のいわゆる日ノ影線の改良に約二十億を投じて改良する、そういうことが一つの条件として示されて町当局も同意したということについて、事実かどうかということをお伺いしたところ、常務理事としては否定するような発言をされたわけでございますが、それについては私は資料の提出も求めているわけですが、その辺の改良関係については一体どうなっておるのか。  それから第二点は、三月三十日で国鉄による貨物輸送が全面的に廃止をされますと、当然これは他の輸送機関が、たとえ貨物の量が多い少ないは別としても、地域住民の生活関連物資を含め、あるいは現在建設中のこの高千穂線の建設に要する鉄材、セメントあるいは砂利、こういう建設資材も相当の輸送量があると思うわけでございますが、この代行すべき輸送についても、やはり運賃対策等についても当然地域住民に不当なる荷重がないような配慮があってしかるべきじゃないのか。先ほども鉄監局長にもお伺いしましたが、特に二級国道の整備がまだまだ不十分な状態においても、十分この辺の関連は配慮してしかるべきじゃなかったかと思うのですが、この二点についての見解を承ります。
  204. 伊江朝雄

    ○伊江説明員 前段の御質問に対するお答えでございますが、地元の広報紙その他には、確かに先生指摘のとおり、二十億程度の改良費ということが出ております。しかし、これは私どもよく調査いたしました結果、全線もし線路改良をして貨物列車を運転するとするならばということが、どうも二十億ぐらいかかるという話が、そのまま改良に二十億かかるんだ、こういうふうに固定した数字のように聞いております。と申しますのは、今回貨物の営業を廃止いたします一つの根拠には、もちろん従来の貨物輸送の数量が非常に激減いたしまして、現在大体一日に三十トン程度でございます。したがいまして、これを一日おきに貨物列車を運転している、こういう現状でございまして、将来ともこれが数量的に伸びるという見通しがないということが一つの前提でございます。  その第二番目には、今度はまた御承知のとおり、日豊線の電化をいたします。その際に、あそこにおりますディーゼルの基地が全部鹿児島のほうへ移動いたしまして、電車の基地に置きかわるわけでございますが、その際一緒に走っておりました蒸気機関車も全部なくなるわけでございます。現在高千穂線に入っております機関車がC11という小型の機関車でございまして、現在日ノ影線は御承知のとおり、私ども内部線路の仕分け、構造の仕分けからいいまして、甲、乙、丙の規格の線路がございますが、これは丙線になっております。したがって、C11程度の軽い機関車ですと貨物輸送ができますが、これがディーゼル機関車、DLと申しますが、ディーゼル機関車を入れますとどうしても線路がもたない。その線路をディーゼル機関車を入れて全部貨物輸送ができる程度に改修し、しかも先ほどの鉄監局長の御答弁のとおり全線開通いたしました場合には、やはり旅客輸送主体の線でございますので、そういった線路容量その他を考えると、その強化費用に全部を見積もれば二十億程度になりはしませんでしょうかという話が、今回の貨物集約という問題に関連して、二十億の補修費が予算的に裏づけられるんだというふうに、地元がお受け取りになったんではなかろうかというふうに推定いたしております。前回も調査資料の提出要求がございましたので、目下作成して早急にお届けいたしますが、そんなような事情であるというふうに聞いております。  それから第二点の荷主、旅客へのサービス問題でございますが、この種貨物輸送の廃止あるいは集約と申しますと、やはり幾ら数量が減りましても、御利用の荷主さんがいらっしゃいますので、まず荷主さんの御了解をいただかなければならぬ。同時に、地元の御同意も得なければならぬということで、先般来そういった努力を続けてまいりまして、そして大方の荷主さん、これは三十トン程度でございまして、そのうちの主たる貨物が鉄くずでございます。それから季節的にはシイタケの原木輸送でございます。それから先生指摘のございました高千穂線の全線開通のための建設資材、こういったものがいま三十トン程度ということになっておりますが、これにつきましては、関係荷主のほとんどの御了解をいただいております。それから関係の市町村、特に日之影町、高千穂町の町長の御同意書もいただいたということで踏み切れたわけでございます。したがいまして、御了解いただきました関係荷主には、延岡まで約四十キロばかりございますけれども、横持ち費用その他についても確かに御出費でございますけれども国鉄の事情を御理解いただきまして、御同意をいただいておる。こんなようなことで、将来もしここに大きな貨物輸送の発生がございました場合には、もちろん私どもとしましては、貨物輸送の復活ということに、幾ら金がかかりましょうともやるつもりでございますが、現在のところは、そんなような事情になっております。
  205. 兒玉末男

    ○兒玉委員 これは一地域に限定した問題としてではなくして、すでに門鉄管内でもかなり大幅な合理化問題が提起をされまして、そして地域住民としては、これに対して相当抵抗している現状もあるわけですが、国鉄全体の合理化対策、いわゆる赤字線区の貨物廃止ということは、貨物の量そのものは確かに減っておりますけれども、地域住民にとりましては唯一の輸送機関が国鉄である、そういうことで集約された場合には、やはり相当の犠牲が住民にいくという点から考えます場合に、国鉄が貨物の扱いを全面的に廃止する以前においては、やはりこれに代行する他の運送機関の場合においても、特に運賃の値上がりということが今日の石油事情から類推しても、国鉄以外の機関の場合はおそらく運賃制度そのものが随意になされるという点から、国鉄全体の今後の貨物の扱い廃止という線区における地域住民の利便をはかる立場から、他の輸送機関における場合においても、現状国鉄運賃とたいして差がない、大体対応する運賃で輸送できる、こういう輸送体系ということも私はこの際考えてしかるべきじゃないかと思うのですが、これについて国鉄並びに運輸省当局はどういうふうにお考えか、お伺いしたいと思います。
  206. 伊江朝雄

    ○伊江説明員 非常に大きな問題でございまして、はたして御質問の御趣旨に合った御答弁が申し上げられるかどうかわかりませんが、やはり鉄道の機能に対するサービス対価あるいは運送対価としての運賃と、それから路面を走ります自動車の運賃というのは、必ずしも同一でなければならぬという性質のものではないと思います。と申しますのは、機能的にそれぞれ違った役割りを持ちますし、それからまた、それに要しますコストの問題を考えます場合には、それぞれの特性に応じた対価としての運賃をそれぞれの機関がもらうということが必要であって、その選択は、やはりどちらがサービスになるかという荷主側の判断であるというふうに私は考えます。したがって、自動車でありましょうと、あるいは列車でありましょうと、船でありましょうと、すべて一定の物量のトン数については同じ運賃というのは、エネルギー効率から申しましても、あるいはまた輸送の機能面から申しましても、むしろ私は不公平じゃないかと思います。  かように非常に書生っぽい議論を申し上げるわけでありますが、それぞれの機能の選択は荷主側におまかせする、そうして、そのサービス対価としての運賃はそれぞれの機関の適正な運賃、こういうことが理想であろうというふうに考えております。
  207. 秋富公正

    秋富政府委員 運輸省といたしましては、総合交通というたてまえからいたしまして、最もその特色を発揮でき、その機能を生かせる、こういうふうに自由に荷主の選択にまっているわけでございます。しかしながら、そうは申しましても、その特色を生かせますように、先ほども申しましたが、国鉄といたしましては、中長距離の貨物輸送ということがその本来の機能でございますので、こういう点につきましては、十分にその機能を生かせるべく政府といたしましても努力しておるわけでございますが、先ほど申しました二百キロあるいは三百キロと申しますようなところは、やはりその迅速性あるいは到着時刻の的確性、こういうような面からいたしまして荷主の選択にまつ、現実に、先ほど伊江理事からお答え申しましたように、この線におきまして年々扱い量が減ってきているということはまことに遺憾でございますが、やはり国鉄のいたします役割りとトラックの役割りというものは、おのずから荷主が選択している結果と思うわけでございまして、このあたりにつきましては、やはりそれぞれの特色を生かした総合交通対策という面から検討していくべきものだと考えております。
  208. 兒玉末男

    ○兒玉委員 最後に、一点伺いたいことは、総裁にお伺いしますけれども、先般総裁が当委員会におきまして特に問題として非常に提起されております、新幹線関係の騒音公害ということが非常に問題になっておるわけですし、先般その基準が示され、音源対策委員会でございますか、このことについて新聞の報道を通じましても、国鉄の基準の設定というのは非常に地域住民の考えている実情にそぐわない、こういう特に名古屋地区等の反応も出ているようでございまして、今後さらに相当規模の新幹線の建設が予定されているわけですが、やはり住民との摩擦ということを最小限に進めていかなければ、おそらく全国的にこの騒音公害というものが発生して、今後の新幹線建設について重大な支障を来たすということが予想されるわけでございますので、この新幹線のいわゆる騒音公害に対する対策について、きちっとしたところの体制を持っていく必要があると思うのですが、これについてどういうふうな対策を今後進めていこうとするのか。また、現在すでに名古屋地区以外にもかなりの住民の抵抗が予想されるわけですが、これらの対策を含めて総裁の見解を最後にお伺いしたいと思います。
  209. 藤井松太郎

    ○藤井説明員 交通公害、なかんずく新幹線の公害に関しましては、皆さまにいろいろな御心配をおかけして、まことに申しわけないと存ずるのでありますが、過日、国鉄の案として新聞に書かれたものは、実は環境庁がお示しくださいました御指示にある程度肉をつけるとああいうようなかっこうになるんじゃないかということで、まだ国鉄内部としては決定した案でもないし、あの案を、ああいう肉づけをしたものを、環境庁なり運輸省なり関係の各員に御披露して、御意見を伺って最後のあれをきめようと、こういうことを考えておるのでありまして、要するに環境庁の御指示になったのは、あらゆる努力をして音源対策は八十ホン以下にしなさい、いかなる努力をしてみても八十五ホンも残るようなところは、お住まいになっている家に騒音を防止する工作をやるとか、あるいは御転居をお願いするとか、そういったことをなさいということで、過日新聞の書いたのは実はそういう範囲を出ておりませんので、これから何も私ども八十で、八十五ホン以下ならなんとかということじゃなくて、できるだけそのほうの技術の開発とか研究にはきわめて力をいたして努力をしておるのでございまして、できるだけこれを低めていかないと、先生指摘のように、これからの新幹線も進むまいと、かように考えますので、できるだけ努力をして、その地方の方々の御理解を得ながら漸次ああいう線からスタートして公害対策を進めていきたいと、かように考えております。
  210. 兒玉末男

    ○兒玉委員 終わります。
  211. 三池信

    ○三池委員長 三浦久君。
  212. 三浦久

    ○三浦委員 国鉄総裁にお尋ねいたしますが、大臣の所信表明の中で、今度の国鉄予算というのは在来線に重点を置いて作成したのだと、こういうことが言われております。それでお尋ねしたいのですが、四十九年度の新幹線と在来線の投資比率はどうなっているのか、お答えいただきたいと思います。
  213. 藤井松太郎

    ○藤井説明員 新幹線と在来線の投資の重点と申しますか、比率はどうだということでございまして、これは直接のお尋ねじゃございませんけれども、十カ年間では新幹線には四兆八千億、それから現在線には五兆七千億ということでございまして、決して新幹線に重点を置き過ぎたというようなことには相なってない。先生の御質問になりました、今年度の予算はどうだということは、いま私は詳しい数字を覚えておりませんので、担当から報告させますけれども、今年度は、設備投資のほうを押えるというようなことにおきまして、新幹線の比率は十カ年よりもはるかに低いだろう、かように考えておりますが、本年度、四十九年度の数字は担当の者から御報告させます。
  214. 天坂昌司

    ○天坂説明員 四十九年度の工事経費の実額で申し上げますと、工事経費トータルでは六千八百億でございます。  それで新幹線の部分でございますが、これは山陽新幹線、東北新幹線、それから整備新幹線等、それから東海道新幹線の改良費、これは福岡まで営業開始をいたしますと、それに関連いたしまして、たとえば大阪のホームを直すとか、そういったものがございますので、これも新幹線の工事として取り上げますと、新幹線といたしましては三千二百六億円でございます。  それから在来線といたしましては、三千五百九十四億、一応こういうぐあいに大分けにいたして考えておる次第でございます。
  215. 三浦久

    ○三浦委員 ちょっと数字が違うと思うのですね。いままで国鉄のほうで説明をされておったのは、その工事費の中で新幹線の占める割合、いわゆる新幹線投資には約三〇%台だということをおっしゃっていましたね。ところが、いま三千二百六億円が新幹線投資になっているということなんですけれども、これもちょっと数字が違うと思うのですよ。たとえば、山陽新幹線増設費というのが千三百五十四億円、それから東北新幹線等建設費が千百三十二億円、それからいまおっしゃった東海道、山陽の改良費が百八十一億円でしょう。これで二千六百六十七億円になります。これにさらに防災設備費、これが百九十九億円。車両費が入るでしょう、これが四百十九億円入りますよ。それに総経費が約二百二十億円入ると思うのですね。これをトータルいたしますと、三千五百五億円になる。この数字はお認めになりますか。
  216. 天坂昌司

    ○天坂説明員 先生、ただいまおっしゃいました資料につきまして、私、手元にあるものと多少違いますが、新幹線につきまして内訳申し上げましょうか。——東海道新幹線の改良費等で百八十一億、これはおっしゃったとおりでございます。それから山陽新幹線の千三百五十四億、これもおっしゃったとおりでございます。それから、東北新幹線は、千二百億でございます。この点が多少数字に違いがございます。それから整備新幹線としまして五十億、それから追加十二新幹線の調査費といたしまして二億、それから新幹線車両費が四百十九億でございます。なお、総経費につきましては、これは私ども事務的には明確に区分をいたしておりませんで、もし工事量の比によって分けるとすれば、おおむね先生のおっしゃったような数字になろうかと思います。  それから、公害の関係でございますが、これは私ども直接には輸送力を増強するものであるというようなことでもございませんので、便宜、在来線に含めて計算いたしております。  以上でございます。
  217. 三浦久

    ○三浦委員 そうすると、大体新幹線と在来線の比率というのは、私がいま述べた数字とほぼ間違いないわけですね。そうすると、それで計算すると五〇%をこすんですね。たとえば、全工事費が六千八百億ですから、その中で三千五百億円以上が新幹線投資に使われているということになると、五一・五%になる。半分以上なんですね。そうすると、総裁がいま言われた、たとえば、十カ年計画の中の比率よりも、今年度はぐっと新幹線の比率が下がっているだろうというのは、数字を詳細に見てみると、特に総経費まで入れて見てみますと、違った数字になってくるんですね。私はそういう意味では、今度の予算というのも、決して在来線重点であって新幹線は総需要抑制でもって押えたというような中身にはなっていないのではないかというふうに考えるんですね。  それで私は、こういう日本列島改造論に基づく新幹線重点主義というものを改めるべきである、工事費の内容をもう一回洗い直して、もっともっと緊急なものに重点的に予算を配分していくべきだというふうに考えるわけなんです。特に、大都市通勤対策なんというのは非常に緊急な問題です。それからまた、公害対策もそうでありますし、またローカル輸送の確保の問題、またわれわれが忘れてはならないのは沖繩の問題です。沖繩に国鉄を通すという問題や、また本土と沖繩との間に国鉄の連絡船を通していく、こういうようなことも私は長期計画の中で考えていかなければならないことだと思うのです。  私は、きょうは時間が三十分ということでたいへん短いわけでありますので、一つ一つの問題についてお尋ねすることができませんので、沖繩問題についてお尋ねしますが、総裁は、いま私が申し上げましたように、沖繩に国鉄を敷設する、また本土と沖繩との間に国鉄の連絡船を通す、こういうようなことはお考えになっていらっしゃらないのですか、お尋ねしたいと思います。
  218. 藤井松太郎

    ○藤井説明員 お答え申し上げます。  沖繩に鉄道を敷設するということにつきましては、これは私が担当しているとかしてないとかいうことを別にして、残念ながら私はまだ考えたことはございません。  それから本土との連絡に関しましては、これは交通量があって、政府のお世話にならぬでもそういうものが動かし得るということならば、非常にけっこうじゃないかと私個人は考えます。
  219. 三浦久

    ○三浦委員 沖繩の実情というのは道路しかないわけですね。そうしてその道路の整備も非常におくれているということがいわれておりますし、そのために交通麻痺がしばしば起こっているというのが実情だと思います。それで大量公共輸送機関としてはバスしかない。それも民間のバスですね。民営であります。したがって住民はおそいバスに高い料金を払わせられている。そしてまた、これが民営でありますから、どうしても営利本位になりますから、しばしば値上げの問題が出て住民の生活を不安におとしいれている、こういう現状だと思うんですね。私は、いま総裁が、考えたことはないけれども、反対じゃない、これで一脈の望みを持つわけなんですけれども、そういう沖繩県民の実情というものを十分に考えた上で、よく運輸省と協議の上、私はひとつ国鉄を沖繩につくるということに熱意を燃やしていただくようにお願いしたいと思うのです。  運輸省のほうに、政務次官にお尋ねしますが、沖繩に国鉄をつくるという問題について、運輸省としてはどういうふうにお考えでしょうか。
  220. 増岡博之

    ○増岡政府委員 実は、過日私も沖繩に参りましたおりに、輸送問題についてたいへん苦労しておられるという話は承ったのでございますが、しかし、地形の特殊性その他によりまして、にわかに鉄道ということが考え得るかどうかにつきましては、今後検討をしてまいりたいと思いますけれども、ただいまのところは、そういうふうなことしか申し上げられないと思います。
  221. 三浦久

    ○三浦委員 そうすると、御検討はいただけるというふうに承ってよろしいですか。
  222. 増岡博之

    ○増岡政府委員 沖繩開発庁におかれまして、いろいろ検討しておられると聞いておりますので、私のほうでもその協議をいたしてみたいと思います。
  223. 三浦久

    ○三浦委員 やはり、道路中心の交通政策というのはよろしくない。特に、こういうように自動車をどんどん走らせていくというのは交通事故につながっていくのですね。どこでもそうです。ですから、そういう意味で、政府自身も沖繩の鉄道建設に熱意を燃やしていただくようにお願いを申し上げたいと思います。  次に、私は資材購入の問題について、国鉄当局にお尋ねします。  先ほど、ほかの議員の質問で、セメントの価格がたいへんに上がったということで、その値段の御説明がありましたけれども、そのほかに軽油ですね。それからC重油、鋼材、生コン、この四つについて、現在の値段をお尋ねいたしたいと思います。
  224. 篠原春夫

    篠原(春)説明員 いまお話ございました国鉄の資材の購入価格でございますが、これはかねて資料としては提出してございますが、いま手持ちがございませんので……。
  225. 三浦久

    ○三浦委員 いま手元にないので答弁ができない、こういう意味でございますね。それでしたら、あとで資料として御提出いただけますでしょうか。
  226. 篠原春夫

    篠原(春)説明員 先ほど御質問ございました品名につきましては、市場価格、それから、ものによりましては原価計算、それからまた、国鉄の需要家としての特殊な立場、そういうものを考慮いたしまして価格の決定をいたしておるわけでございます。ただ、具体的な契約価格、購入価格につきましては、商売上の問題もございますし、また相手に対する信義の問題もございまして、契約価格を幾らということにつきましては、かねて発表いたしておりません。したがいまして、契約価格の推移につきまして、実情がどうなっておるかということについては、資料は提出いたします。
  227. 三浦久

    ○三浦委員 そうすると、結局発表できないということになってしまうのですけれども、企業に対する遠慮は要らないと思うのです。どこの企業から幾らで買っているかというふうに聞いているわけではないのですね。平均でけっこうなんですよ。ですから、軽油、C重油、鋼材、生コンですね、この単価は幾らなのか、平均でけっこうですからお聞きしたいということなんです。たとえば、共石から幾らで買っているとか、昭石から幾らで買っているとか、そんなことを聞いているのじゃないのです。こんなことをやっていると時間がなくなってしまうのですが、先ほどはセメントの問題については五千数百円から、八千数百円になりましたというようにお答えになっているでしょう。ですから、お答えいただけるのじゃないでしょうか。もう一度お尋ねいたしたいと思います。いま資料がなければあとでもいいですよ。資料としてお出しいただくのでもいいですよ。
  228. 篠原春夫

    篠原(春)説明員 総契約価格を総購入量で割りましたいわゆる平均単価でありましたら提出いたします。
  229. 三浦久

    ○三浦委員 それでは、あとで御提出願うことにいたしまして、軽重油の問題についてお尋ねするのですけれども、四十八年度の上期というのは、四十七年度対比でもって七%アップで契約されておりますね。それで、四十八年度の下期というのは、今度は四十八年度上期対比でやはり七%アップで契約されていますね。ところが、四十八年度の下期のこの契約が一月中旬に破棄をされた、そして十月から十二月までは四十八年度上期対比で一九%アップで契約を結ばれたという事実があるのですか。
  230. 篠原春夫

    篠原(春)説明員 四十八年度の上期は、対前年下期に対しまして七%アップの価格で契約いたしております。それから、四十八年度の下半期の十、十一、十二月分は、上期の平均に対しまして一九%アップで契約いたしております。
  231. 三浦久

    ○三浦委員 いま私がお尋ねした、一月中旬に下期の契約を破棄しまして、せっかくきめたやつを破棄して、そしてこういうふうに一九%アップをのまされた、そういうような事実はないのですか。
  232. 篠原春夫

    篠原(春)説明員 下期の契約は、四十八年の十月から四十九年三月までの契約で、これは価格の決定が非常にむずかしい情勢でございまして、概算価格ということで契約をいたしておりました。その後、石油業法その他の関係もございまして、需給の関係が毎月月別に確定するような形になりましたので、前期の十、十一、十二月分につきましては、精算いたしますとともに、下期につきましては、業者のほうの要請としては、月ごとの契約に変えてくれということでございましたが、私ども、三カ月程度の長期的な需給の見通しが立たないと業務運営上困るということで、一月から三月まで別途契約を給ぶ、このような経緯になっております。
  233. 三浦久

    ○三浦委員 どのくらい上がった。
  234. 篠原春夫

    篠原(春)説明員 下期の契約は概算契約でございまして、確定いたしておりません。
  235. 三浦久

    ○三浦委員 そうしますと、十月から十二月までは四十八年度上期対比で一九%のアップで結んだと言われるわけなんですが、なぜこういう業者の要求をそのままのむのですか。大体、現在ではこの業者の値上げ要求というのが全く不当な値上げ要求だということが明らかになっているじゃありませんか。十月十六日に原油が上がったといっても、それは運送するのに六十日間かかる、そうすればこの時点で業者の値上げの要求をのむ必要はなかったと思うのですよ。便乗値上げだということははっきりしているわけであって、私は国鉄当局がむだな金を使ったんじゃないかという疑いを持っているわけなんです。このときどうして業者に対してそういう不当な要求はのめないといって断わらなかったのですか。
  236. 篠原春夫

    篠原(春)説明員 お答えいたします。  私ども石油の契約につきましては、原油の輸入価格動向、それから一般市況の状態、それから需給関係、そういうもろもろの要素並びに国鉄の特別な地位ということを考慮いたしまして契約いたしておるわけでございますが、十二月時点の交渉におきましては、日銀の一般市況その他も考慮して決定いたしておりますが、なお日銀の市況との間には相当な開差がございまして、国鉄としては相当安く買った、かように考えております。
  237. 三浦久

    ○三浦委員 それはうそですよ。それはいまここで議論する時間がないから言いませんけれども、市況調査によれば二%高いのです。一七%上がっていないのですよ。十月、十一月、十二月を平均すれば一五%しか上がってないのです。そうすると、これよりも高く買っているということです。その日銀の市況調査だって、どんどん便乗値上げしたのが全部反映しているわけなんです。だから国鉄としては、市況調査よりも安いから、市況調査と同じだからといって、私はそれで正当な値段で買ったというわけにはいかないんじゃないかと思うのです。  それから、特別な地位ということを皆さんは言われますけれども、この特別な地位というのは、大量に買っているんだから何ぼか安く買っているんだ、それをばらしたら今度は安く買えなくなる、こういうようなことを言われているのだろうと思うのですけれども、しかし国鉄はほんとうに大口需要家でしょう。国民の税金を使っているわけでしょう。そうであれば、皆さん方が安く買った値段を公表することによって、それが一般全体の相場をつくっていって、全体の物価を下げるという作用を果たすことだってあり得るわけですよ。そういう方向で私はやはり努力すべきじゃないかというふうに思うのですよ。この軽油をあくまでも正当な値段で買っているんだというふうに言い張られるようですけれども、私はこの軽油を購入した価格から不当な便乗値上げ分については、国鉄当局が計算をして、そして業者に返還請求をすべきだというふうに考えるのです。このことを強く主張しておきます。  それから生コンの問題ですけれども、きょうは御答弁がありませんけれども、この交通新聞を見ますと国鉄建設局調査役の川手さんという方が「資材不足と建設工事」というのをお書きになっていますね。四十九年度は四十八年度よりも生コンは四〇%のアップだ、こういうふうにいわれているのですよ。これは間違いないですか。
  238. 内田隆滋

    内田説明員 先ほども申し上げましたように間違いございません。ただ、これは現場渡しの値段でございまして、国鉄の生コンというのは、ほとんどが業者が生コン会社から買う、国鉄自体で直接購入をしているというケースはほとんどないというふうに考えております。
  239. 三浦久

    ○三浦委員 この生コンの問題につきましても、これはカルテル値段ですね。やみ協定値段なんです。御承知のとおりにセメント業界が摘発をされていますね。時間がありませんから、たとえば代表的なものだけを言いますと、審決まで進んだやつですが、これは昨年の十二月二十五日に、公正取引委員会から日本セメント、徳山曹達、南協生コン株式会社、福岡小野田レミコン、八幡生コン工業株式会社、それから三菱鉱業セメント、麻生セメント、宇部興産株式会社、こういうセメントの大手ですよ、これがカルテルが摘発され、勧告を受け、そして勧告を受け入れたので審決が出ているのですね。  そうすると皆さんたちは、不当に業者がいわゆるやみカルテルによって引き上げた値段でそのまま買っているということなんですね。こんなばかなことがありますか。国民の税金で大量に購入しているわけでしょう。その購入量でも、たとえばセメントの場合で二百万トン、鋼材では八十万トンというふうに川手さんは言っております。これだけの年間の使用量のものを、業者がかってに協定をした高い不当な値段で、国鉄がその言い値で買っているというのは、私はどうもいただけないと思うのですね。こういう不当な値上げ分については、やはり国鉄で調査をした上で、国民の血税なんですから、業者に返還を要求すべきだと思いますけれども、いかがですか。
  240. 内田隆滋

    内田説明員 そういうことで、値段を下げろというような勧告があって、現実に業者が値段を下げれば、その分はわれわれの積算の単価の中で差し引いてまいりたい、こういうふうに考えます。
  241. 三浦久

    ○三浦委員 そうすると、下げればと、下げなかったらどうするのですか。公取の勧告というのは、協定は破棄しなければならないということになっていますけれども、協定を破棄した後値段は下げなければならないということになっていないのですね。そうすると業者は、では値段を下げてきているのですか、どうなんですか。
  242. 内田隆滋

    内田説明員 これは、先ほども申し上げましたように、国鉄がじかに買っておるわけではございませんので、工事費の積算単価の中で見ておるわけです。したがって、たとえば昨年の四月に契約した生コンにつきましては、その単価で契約をしておるわけでございます。したがって、いまはその契約が生きておるわけでございます。ただ、建設省等の勧告もございまして、非常に値上がりのある分については、請負契約の原則があるけれども、これは契約規定の中である程度その増加額を見てあげなさいという勧告が参っております。したがって、まだその値段の修正はやっておりませんので、今後の中で十分修正を、もしそういう勧告が出るならばやると思います。
  243. 三浦久

    ○三浦委員 私は、非常に国鉄の資材購入費というのが世間相場というものをつくりますし、そういう意味では、大きな社会的な責任があると思うのですね。ですから、資材購入にあたっては、業者の便乗値上げというようなものについては厳重な注意を払いながら、ひとつ適正な値段で買い、物価を下げる方向でもって資材購入を行なっていただくように強く要望して、私の質問を終わりたいと思います。
  244. 三池信

    ○三池委員長 松本忠助君。
  245. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 午前中限られた三十分の時間でございましたが、企業努力の点についてお伺いをいたしました。この問題をもう少し私も詰めておきたいと思います。  小さな問題ではございますけれども、大事な問題だと私は思っております。したがいまして、この問題を残された二十分間また角度を変えて伺っておきたいと思うわけでございます。  全国の鉄道管理局長、この現場の第一線に働いていらっしゃる方々に、国鉄の再建に対してどう対処されるかということをお伺いをしたいと思いまして、私また私の代理として秘書が機会をつくりましてずっと回りました。十四カ所ばかり地方の鉄道管理局を回りまして、そしてその状態を直接管理局長さんから伺ったわけでございます。  総括をしてみますと、異口同音に言われましたことは、未利用地の活用をすること、サービスを向上すること、こういったことがわれわれ現場としてはまず考えなければならないことだというような答えが返ってまいりました。このように口をそろえて言われるわけでございますけれども、現実に、この十四の管理局の中で、二、三を除きましては、まだまだ本心から未利用地の活用ということに心を入れているとは思えないように私どもは感じたわけでございます。  本社から売却予定地に指定してある場所、こういうものについても、その売却をするための下準備、こういうものに対して何ら手をつけていない管理局もございました。また、売却予定の面積についても本社と管理局で食い違いがあったり、相手方に対して誠意ある回答を現場としてしていなかったり、そうしたこまかい点をあげれば切りがないわけでございます。また、現地の管理局で調査いたしました未利用地につきましても、今回提出を受けました資料と照合してみました。これは非常に短い時間でございましたので、完全な照合とは言えませんけれども、面積に食い違いがあるのが若干ございます。これはふしぎといわざるを得ないわけでございます。  先ほどの質問の中でも、資料の説明不足というものの指摘がございました。説明を受ければ納得できるのではないかと思いますけれども、とにかく調査を進めれば進めるほど、どうもいろいろな疑問の点が浮き上がってまいるわけでございます。そういう現状でございました。この点をひとつ総裁にも知っておいてもらいたいと思うわけでございます。  そこで、私が次に申し上げたいことは、駅付近の未利用地の活用でございます。山の中のいわゆる廃線敷であるとか、あるいはまたこれから線路を引こう、しかし情勢が変わったためにそれがやれないでいるというようなところはいざ知らず、駅の付近、こういうところにおきまして自動車の置き場、あるいは自転車の置き場、こういうものに活用されているということは非常にけっこうなことだと私は思うわけでございます。     〔委員長退席、佐藤(守)委員長代理着席〕 この問題については、かつて磯崎総裁にもただしたことがございます。四十七年の三月当時で六十カ所、三万九千六百二十三平米で三千四百万円の収入があった。これはあくまで推計でございますが、こういうふうな答弁もあったわけでございます。すでにそのときから勘定してみますと二年たっております。そのままの状態でおいても七千万円くらいの収入になっているんだろうと思います。しかしながら、その後も増加しているわけでございまして、私どもが調査をしてまいりますと、この点については非常に努力をしているということを一応認めるのにやぶさかではございません。  たとえて申しますと、金沢管理局、これは四十七年当時四カ所でございました。これは東金沢ほか小さな駅が三カ所でございましたが、現在ではこれは四十九年一月から二月にかけてでございますが、金沢、高岡、富山というような中心の都市で、収容能力百六十七台の自動車が収容できるというような場所を確保して、日銭をかせいでいるわけでございます。また仙台も、四十七年当時は二カ所でございまして、小さな都市でございました。現在は仙台、福島、郡山、会津若松というような四カ所に百三十七台の収容能力を持っておることがわかりました。また、長野は当時ゼロでございましたが、四十九年一−二月においては、松本、上田二カ所で百七十五台の収容力を持つようなところを活用をいたしております。高崎管理局は、四十七年当時は五カ所でございましたが、現在は軽井沢、高崎、神保原、中軽井沢、長野原、あるいはまた岩本、後閑というような七カ所で、二百三十四台というような場所を確保できております。広島は当時ゼロでございましたのが、現在は三十カ所、八百十六台、門司に至りましては、当時十六カ所、これは唐津以外は全く小さな都市ばかりでございましたが、現在は四十五カ所、千二百八台、この四十五カ所の中には門司、小倉、戸畑、折尾、博多、長崎等々ございまして、非常に熱心にやっている点が見受けられます。この点、私もこの努力を買わざるを得ません。しかし、もっともっとこれを拡大していくならば、いままで一銭も収入のあがらなかったところからこういう努力によって収入があがるわけでございます。  先ほども申し上げましたように、四十七年当時では六十カ所で三千四百万円という数字でございましたけれども、門司の鉄道管理局だけを一つとりましても、私の調査によりますと、四十六年度の収入は八千九百三十七万六千七百二十円、四十七年度の収入は一億一千百三十四万八千六百円、こういう実績の報告を受けているわけでございまして、こういう点を考えますと、これらのところについて非常に熱心にやっていられるところを見受けられますけれども、私どもにしますと、まだまだもっと何とか活用の方法があるんじゃなかろうか、こういうふうに思うわけでございます。  そこで、先ほども申し上げましたように、この問題は小さな問題ではございますけれども、大事な問題だと私は指摘しております。このことは、いままで何も指摘しないときには、全然そこから一銭の収入もあがらなかった、全く遊ばせておいたわけであります。それがこのように門司の鉄道管理局一つをとりましても、四十七年度は一億一千百万円以上という収入があがってくるわけです。これをもって拡大してやるべきではないかということで、私どもは真剣にこういう点も努力を呼びかけております。これは私は決して自分のためではございません。現在赤字に悩む国鉄がどうしたら立ち上がるかという具体的な実証を各鉄道管理局で示すべきではないか、こういうふうに思うわけでございます。  そこで、ただ一つ残念なことを私どもはここで報告しなければなりません。ということは、本社の事業局のあり方について私はちょっと申し上げてみたいと思う。  本社の事業局に各地方鉄道管理局から、こうして収入をあげております、こういう報告がある。ところが、事業局が寝ぼけておりますと、その優秀な企画というようなものもそこでストップされてしまう。全然それが全国に流れていかない。こうなりますと、すばらしいアイデア、企画をもって収入の向上のために努力しようとしているものが、全く生かされてないということがいえるわけです。そういう調査を国鉄当局としてやったことがないと私は思いますので、あえてここで申し上げておくわけでございます。  たとえて申しますと、高崎局を例にとりますと、駅前の広場を自動車の駐車場にする。鉄道のまくら木でさくをしまして、そこに砂利を敷いた程度です。こういう設備で当該の駅の要員が兼掌といいますか、兼務するといいますか、そういう形でやっているのが神保原、中軽井沢、岩本、後閑、それからもう少し上等になりますか、さくに金網があり、そうして砂利を敷いてあります。こういったところが高崎、長野原、軽井沢というようなところです。これはまた株式会社のレンタカー上信高原というのに委託してやっております。もう一つやり方が、四国総局のように、高松やあるいは観音寺、伊予三島等の駅前に設置してありますのが、メーターのついている機械を導入してレンタカー四国というのに経営を委任しているわけです。  こういういろいろなやり方があるわけでありますけれども、現今非常に労働問題がやかましい、こういう状態からまいりますと、当該の駅の要目が兼掌するというか、兼務するというようなことはなかなかたいへんだと思います。したがいまして、レンタカーの会社等に委託するのも一つの方法であろうし、さらにまた、四国総局のように機械力を導入して委託経営することも手段だと思います。そういった点から考えまして、四国総局でこうした方法について本社の事業局に、われわれのほうではこういう方法でやりますということを連絡したというわけでありますけれども、その報告が一体、本社の事業局には届いているのか、届かないのか、これが一点。  届いたとするならば、私が先ほど申し上げましたように、それを地方の管理局に、こういう例があるぞと、これを教えてやるのが事業局の行き方じゃないかと思う。そうした点を考えてみますと、事業局がほんとうに受けたか受けないかがまず一点。受けたとすれば、それに対してどういう方法をとったかという点。この二点について局長にひとつ答弁をしてもらいたいと思います。
  246. 伊江朝雄

    ○伊江説明員 前半の未利用地の利用の問題は、先生指摘のとおりだと思います。それで、当初は駅前の未利用地は、増収のためばかりではなくて、要するに旅客の送迎用の駐車場を充てるということがそもそも発想の由来だと思います。また、その未利用地は、送迎用のほかに一般タクシーに開放するということから参った経過がございまして、確かに御指摘のとおり、最近は価値転換いたしまして、収入増に幾らかでも寄与するという意味から非常に活用いたしております。  各管理局は、それぞれのニュアンス、それぞれのケース・バイ・ケースに基づいての未利用地の活用のしかたをやっておりますが、御指摘の四国総局の機械装置によるところのパーキングロック、これは確かに一つの新しい技術の開発だと存じます、これについて、四国総局が現実に使っております状況は報告ございます。ただし、これは実は去年の八月から試行しておりますものですから、いまその経過を見ているという段階でございます。しかも当初よりも非常に設備が高うございまして、現時点価格では大体一台当たり三十二万円、それに工事費が十万円程度かかりまして、一台につき四十万円というちょっと高いものかと思います。それにまた、一つの会社の技術開発でございますから、特定の会社のものをそのままそっくり全国的に利用するというところまでは、まだ試行の結果が十分検討されていないというふうに存じておりますので、もちろんよければどの会社でもいいわけでございまして、この点の試行の結果をよく検討いたしまして、全国的に採用するかどうかというのはきめたい、かように考えております。
  247. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 確かに、駅前に自動車の駐車場を設けるという問題は、お客さんが送迎のために一時自動車を置いておく、このためにも三十分間は無料というのが一応原則になっております。そういう点から、その四国の機械などは三十分間入れておいても全然料金はかからない、三十分経過したときから料金がかかる、こういう利点があるわけですね。確かに、これは指摘があったように、値段としては高いかとも思います。しかし、いま一番まずいことは、国鉄の駅の前へ持っていって自動車を置きっぱなしにしておく。もう廃車、ポンコツに近いものをそのまま置きっぱなしにしてくる。駅の前に持っていって置いてくればいいんだ、こういうことがいわれているんです。ですから、だれかついていないとかしますと、そういう傾向が出てくるわけです。そういうものを防ぎようがないわけです、いまのやり方では。なかなか四六時中それを見張っているわけにはいきません。そうすると、そういう機械を使うことも一つの行き方ではないかと私どもは思うわけであります。国鉄でこれを使う使わないは、各局の事情によりまして決定すればいいのであるし、もっともそれをやることがいけないのであれば、四国にも事業局として注意すればいい、私はこう思います。  いずれにしましても、本社の事業局というものは、ここでほんとうに空閑地を利用するなり、とにかく収入をあげるということについて、ただ旅客、貨物を運ぶ、そのことによって収入をあげるということのみでなくて、要するに国鉄としてできる範囲の最大限の努力をするということが必要じゃないか。そうすることが少しでも赤字の穴埋めになるのじゃないか、こういうふうに考えるわけでございます。国鉄の見解もわかるわけでございますけれども、一番そういう立場にいるところの事業局長というものが、ほんとうに事業局のことを専心やっているのか、こう言いたいわけです。言うならば他の場所と兼任してやっている。どっちが本職かわからない、私どもはそう思います。こういう点を考えまして、ぜひひとつ、事業局というものの実体があるならば、それにふさわしいだけの働きをしてやってもらいたいということが私の希望でございます。  それから、ついでに言っておきますけれども、自転車の置き場です。この管理のやり方次第でこれも収入をあげられる。いまのところまだ自転車の置き場によって収入をあげているということをあまり聞いておりませんけれども、これもやり方によってはできるわけであります。最近は非常に駅から住宅が遠くなった、こういうことになっております。したがいまして、駅まで自転車に乗っていく、そうして自転車を駅のところに置いておいて国電に乗るというようなケースが非常に多くなっております。現に赤羽あるいは東十条、王子という私の知っている範囲におきましても非常に多くなっておる。こういうところももし国鉄の用地があるならば、何とか利用して収入をあげることもできるんじゃないか、こういうふうに思うわけでございます。  それからもう一つ私言っておきたい点は、狂乱物価のあおりを受けまして、駅の構内で売っておりますところの駅弁屋さんのお弁当です。これが原材料の仕入れ値段が非常に高騰しておりまして、採算が苦しいという声があがっております。これは門鉄の管内の駅弁屋さんを調査した結果でございますけれども、駅弁の材料が四十八年四月と四十九年一月を比較してみますと、副食において一六八%、調味料が一六一%、容器が一七九%、こういうふうな値上がりをしています。高崎局の管内では、主食が一二九%、副食が一五二%、調味料が一五一、容器類が一三六、いずれも値上がりをしているわけです。そうした点を考えますと、現在二百円のいわゆる幕の内弁当というのは、つくりたくてもつくれないという状態になっています。  そうした点を考えましたときに、これを無理に続けさせますと中身が落ちます。現に非常に内容が悪くなっております。その内容の悪くなったものが、しかもこれから陽気があたたかくなると腐敗をするというようなことも考えられます。したがいまして、こういう面についてもう一度再検討を国鉄側としてもすべきじゃないか、そういう時期に来ていると私どもは思うわけであります。これは全くの個人的な考えでありますけれども、二百円が無理とするならば、幕の内弁当は三百円、四百円というようなものにするとか、あるいはまた、副食をごく簡単にしたおにぎり弁当式のものを二百円で売るとかいうふうなくふうがひとつ必要ではないか。こういう物価高の状態になりまして——これから夏場になってまいりますと、どうしても弁当を持って旅行するというわけにいかない。行き先行き先で弁当を買わなきゃならない。こういう点から考えまして、ささいな問題ではございますけれども、こういう問題に対して、事業局としてはどういうふうにお考えになっているか、この点をひとつ伺っておきたい。
  248. 速水信一

    ○速水説明員 お答えします。  ただいま先生からお話がありました弁当の値段の問題、確かにたいへん原材料が上がりまして、容器も上がるということで、弁当業者が非常に苦労しております。しかし、国鉄といたしましても、お客さまにできるだけ安いものを食べていただきたいということで、いままでかなりがまんしてきておりましたが、やはり経営の限界に来ておりますので、できるだけ少ない範囲ですが値段はある程度上げていかないとやっていけない、こういうふうに考えております。一方、容器等もできるだけ簡素なものにして、値上げ幅は少なくしていかなければいけない。しかし、最低の食べれるものということで、ある程度は上げていかざるを得ない、こういうふうに考えております。
  249. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 時間が五十分までということでございますので、最後に総裁にひとつ伺っておきます。  最初に伺いました企業努力という問題でございます。これはぜひ再認識してほしいということを私は口をすっぱくして申し上げました。その企業努力するということについては、やはり人の問題だと私は思うのです。人の問題といいますとすぐ首切りの合理化というふうに考えるかもしれませんけれども、そうではございません。人の和でございます。この点をぜひ十分に総裁としてお考えにならないと、今後の国鉄の再建というものはできないのじゃないかと思うわけです。労使の緊密なる話し合いがなければならぬと思うわけです。  そこで、総裁として国労あるいは動労鉄労、施設労働組合、こういった労働組合に対して、この執行部との話し合いというものを積極的に進める必要があるだろうと私は思うわけでございます。確かにそういう面についても御努力はなさることであろうとは思いますけれども、積極的にこれらの労働組合総裁がじかに会っていく、こういうところがやはり和を生んでいく根本ではないか、こう思います。国民のための国鉄である、あるいは国民の足でございます、あるいはまた、国民のために、二言目には国民のため、国民のためと言いながら、実際問題として国鉄の当事者が、ほんとうに国民のための国鉄としての真剣な努力をしているかどうか、この点私は非常に疑問に思っております。そこで、先ほども申し上げておりますように、これらの労働組合と定期的に話し合いを持っていく、そういう必要があるんではなかろうかと思いますが、これに対して総裁はどのようにお考えであるか、これを伺って終わりにいたします。
  250. 藤井松太郎

    ○藤井説明員 御指摘にあったことはまさに同感でございまして、国鉄四十六万の者が一緒にならないと、国鉄の再建とかなんとかお題目を並べても実を結ばぬということは、実に当然なことでございます。実はまだ働く者の代表者と会う機会が比較的少ないのでございますけれども、精力的に会って、同じ仲間であるからということで、主張は違いましても、共通の点を見出そうという努力をいたす考えであります。  それから、国鉄の未利用地のあれにつきましては、非常に詳しい御高説を伺いまして、非常に敬意を表するとともに、お礼を申し上げる次第でございますが、その未利用地は、これは国鉄が駅の前あたりで持っておっても、今度は線路増設をやるとかなんとかいう場合にかえ地がないとなかなか手に入らぬというようなこともあり、それから第二点は、国鉄はこういうふうに財政状況が苦しいので、少しでも何千万円でも金にしなさい、まさにお説のとおりでありますが、それのみならず、これは永久に使わぬものなら、経済価値のあるものを死蔵しているということは国家に申しわけないことなので、国鉄が将来も使わぬし、あるいは用地獲得の便にも供しないということが確実にわかれば、これは先生のおっしゃるとおり、国鉄の合理化のためからも、あるいは国家の財源を死蔵しないためからも、大いにやる所存でございます。いろいろ御忠言をありがとうございました。
  251. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 いま総裁が言われました国鉄関係の四つの労働組合との話し合い、この問題について私一言だけ申し上げておきたいのは、国労のような大きな組合または歴史の古い組合、それとまた施設労働組合のような小さな組合、歴史のほんとうに短い組合、こういったものもやはり一つ労働組合としての形態を持っている以上は同格に扱うべきである。国労であるからといって総裁が時間をかける、そうしてまた小さな組合であったればそれに対してはあまり時間をさかない、このような不公平があってはならないと私は思います。そういう点についてどうか十分配慮をして積極的に会っていただきたいということが一つ。  それから同時に、未利用地の問題等について総裁が言われましたけれども、代替地の問題等もこれはいろいろわけがありますから私もよく承知はしております。しかし、私が指摘しております未利用地というものはそういうものでなくて、廃線敷がそのままで全く何の処置もしない、ほっておく、これはもう固定資産税がかかるなりあるいは財政負担を受けなければならないということになっておりますので、こういう点についても十分の配慮をしていただくことを切望いたしまして、終わりにいたします。
  252. 佐藤守良

    佐藤(守)委員長代理 神門至馬夫君
  253. 神門至馬夫

    ○神門委員 大臣にまずお尋ねいたしますが、けさ来一貫して話に出ております国鉄民営論であります。大臣の御答弁によりますと、それは三月十六日に参議院予算委員会で山崎昇さんからスト権問題についていろいろと質問があった際、公共企業体として発足した沿革等について話す中からそういうような民営論的な話が出たので、どうもたまたま飛び出したような気がするというような意味の発言をなさっておるわけです。しかし、あとから議員の中からも質問がありましたように、この民営論の及ぼす国民に対する心理的な影響、これは非常に大きいものがございます。特に、国鉄に働いている労働者の中には、いままでも赤字の国鉄、働きがいのない国鉄労働者というような意味でのべっ視的な傾向がある。そういう何か圧迫されたような雰囲気の中で働いているこの国鉄の労働者に及ぼす影響は非常に大きなものがございます。もし総理大臣が国会であのように奇想天外ともいうべき民営論をぶたれる、それが主管大臣である運輸大臣にもたいした相談がない、その後の指示がない、あれはたまたま飛び出したものだろう、こういうようなことになってまいりますと、きわめて大きかった影響、いわゆる総理の発言による後遺症的なものに対して、どう対処していくかということは大切なことじゃないか。私は国鉄運賃値上げ延期のときにも感じたわけですが、大蔵大臣はどんどんきめておるけれども運輸大臣は全然関知してない。今回の場合にも、まさに主務大臣であるところの運輸大臣が知らないときに総理大臣がそういうものを打ち上げて、そうして議事録を読んでみるとたいしたことはないようだ、あとからも話がない、こういうことになりますと、内閣制度と申しますか、あるいは組織法的に総理大臣運輸大臣は一体どういうような関係になっているのか。これはどういうふうな連帯的な責任を持たねばならないのか。及ぼす影響が大きいとするならば、総理大臣の発言というものはあまり根拠がなかったのですと答弁したままでは、それは解決できないことになりはしないか。もし根拠のないものであるとするならば、一体どういうふうに善後処置をされようとしているのか。この辺を、あまり軽々に一国の総理大臣が打ち上げられたその内容というものについて、けさ方の答弁ではどうも納得がいかないので、これは重ねてお尋ねいたします。  これは国鉄総裁も同じことなんですが、総裁は、運輸大臣も知らないようなことなんだから、私らがこれに介入するような段取りではないということですが、実は、国鉄職員にもたらす影響というものは非常に大きいわけですね。あなたは職制に対して、管理者に対して文書を出しておいでになる。これの中で切々として、再建は人なり、そうしていろいろ混乱はあったけれどもマル生後遺症はこの際この辺で打ち切って意欲を持ってやろうじゃないか、こうおっしゃっている。ところが、その矢先に総理大臣が、ばんと民営論のようなものを打ち出して、公共企業体というふうなものが、あるいは国会で論議された十カ年計画というようなものが、何か根拠のない、価値のない、権威のないようなものに消されてしまう、それでは国鉄総裁としてお困りになるはずなんですね。この問題は、いかに総理大臣といえども、及ぼす影響から考えて何とかしなければいかぬとすれば、それを一体どのようにお考えになっているのか、お尋ねします。
  254. 徳永正利

    徳永国務大臣 この問題につきましては、たまたま国鉄の民営論という形でぱっと浮かび上がってきたわけでございますが、実際は、議論の発足はそうじゃなかったわけでございまして、民営移管については、国鉄が鉄道省から公社に移行したとか、あるいは逓信省が電電公社でございますか、それから郵政省に移行したとか、いろいろな三公社の問題が全部並んで出てきたわけなんです。総理は昔物語が好きでございますし、たいへんよく御存じでございますから、そういうようなことで、いわゆる移行した当時の話がざあっと一連出てきて、三公社五現業の今日の姿に、こういう占領下の時代にあって出てきたのだ、そうして自分たちはということで、たしか総理のあれは、どういう立場か知りませんけれども、そんな党派の立場でございましょう、これに反対したけれども、当時は附帯決議一本つけるのでも司令部のホイットニーの了承を得なければつけられなかったのだというような話やら、いろいろなことが一連のものとして出てきたわけでございます。その中でやはりこの国鉄問題が一番身近な問題なものでございますから、その後議論のやりとりの中におきましても、国鉄問題というのが、二、三他の電電の問題やら、あるいはそのほか専売の問題やら出ておりますけれどもことばとしては二、三よけいに出てきていることも事実だと思います。そういうようなことで憲法二十八条、先ほど申しましたけれども、これは団結権なりあるいは争議権というものを認めておるものだ、これによってどうして認めないのだ、認めた上で憲法十二条を背景に何か抑制策をつくるというならこれはわかるけれども、そうじゃないじゃないかというような山崎君の押し返しがございました。そのときに、電力問題等も実は出てまいりまして、いろいろな議論がそこでなされたわけでございます。したがいまして、総理は民営問題につきましては、公制審の答申もさることながら、あの中にもいろいろな経営体系の問題等についての御指摘も二、三あるわけでございますが、そういうような公制審の答申を踏まえての争議権の問題の議論の中で出てきた民営論でございまして、私はここでこの民営論をひっさげて世に訴えるというほどの決意のもとに出された問題ではないというふうに思っております。     〔佐藤(守)委員長代理退席、委員長着席〕  それからその後新聞の報道等にもございましたように、私に対して、所管大臣にそれぞれ検討を命じたいというようなことがございましたけれども、そういうこともないということは先ほど申し上げたとおりでございます。また、これの与える影響というものは、新聞、報道機関がこのぐらい大きく取り上げておるのでございますから、これはなかなか御指摘のように、非常にいろいろなところに問題を提起していると思います。しかし、まあ考えてみますと、実際問題といたしましては、法律問題にいたしましても、その他の問題にいたしましても、相当重要な困難な問題等がございまして、これが右から左に動くというようなものではないということも、議論している人の中にはみんな明確にわかっての議論でございますし、与えた影響は少なからざるものがあろうとは思いますが、私どもは、御審議いただきまして、またさらに本日も御審議いただいております再建十カ年計画というものの企業組織母体が変わるということは、実は毛頭考えておらぬわけでございまして、その点はひとつ御理解をいただきたいと思う次第でございます。
  255. 神門至馬夫

    ○神門委員 大臣、えらい時間のほうが長くて内容がない答弁ですが、時間がありませんので、簡単にひとつお願いしたいと思います。  一体、内閣としては、現在の公共企業体である日本国有鉄道をそのまま守ろうという決意は、総理大臣の発言にかかわらず、今日現在ないのかあるのか、明確にしてもらいたいと思います。
  256. 徳永正利

    徳永国務大臣 いろいろなもので検討さるべきことはあろうと思いますけれども、いまの企業体組織そのものをいろいろ検討を加えられることはあると思います。公共性の問題でございますとか、あるいは三本の柱をどういうふうに…(神門委員「簡単に、コーポレーションとしての国鉄ということで」と呼ぶ)ということはあろうと思いますけれども、その他の点につきましては寸毫も変わるものではございません。
  257. 藤井松太郎

    ○藤井説明員 国鉄の民営の御議論に関しましていろいろ御心配をかけたのでありますが、首相はいま大臣がおっしゃったとおりでございますが、先生指摘のように、国鉄のいわゆる管理者も働く者もこれから一心になって明るい国鉄をつくろうという場合、かりに国鉄の働く者を暗くするというようなことがあれば、これはたいへんなことなんで、いま大臣お話を伺っておりましても、必ずしもそうたいへんでもなさそうでございますが、これをよく心配しないように連中にも話したい、かように思います。
  258. 神門至馬夫

    ○神門委員 総裁、磯崎前総裁がやめられる前に総裁として思っておられることを全部言っておられる議事録がありますが、あとから言いますが、そのことが非常に大事なので、いろいろと側のほうでは何があろうとも、総裁としての気持ちというものを今後とも発言をしてもらって、いまのように及ぼす影響が大きいならば、それはその実態に合ったように消していく、こういう努力をぜひともやっていただく必要があろうかと思います。  さらに、これも久保議員からの質問の継続でありますが、リニアモーター方式によるところの採算性の観点は、二十年たってもおそらくそれは採算面から言うならば実用にならないだろう、こういうふうにおっしゃっております。しかし研究はしておる。しかし今日の状況では、たとえば飛行場騒音問題にいたしましても、あるいは新幹線公害にいたしましても、それは公害の及ぼす影響というものは銭金にかえられない一面がある。あるいは、飛行機騒音の中でたくさんの地元自治体市長が来て参考意見を言いましたように、東京−大阪の客はひとつ新幹線でその需要をまかなってくれないか、こういうようなことも言っておるところがあります。そうしますと、今日以上の騒音公害を排除しながら、なおかつ量的に要求にこたえるということになれば、そこには必然的に騒音公害が起きないような新しい方式として、いまリニアモーターというものが考えられておるわけですね。それは、いまおっしゃったような採算面からでなしに、今日的国民のいわゆる生命なり暮らしを守るという大きな観点に立って、これはなるべく緊急に実現していくという必要があるのではないかというふうに考えるわけですが、どうでしょうか。
  259. 藤井松太郎

    ○藤井説明員 新幹線方式が公害を出しておしかりを受けていることは——現状のままでございまして、私どももできるだけの力でこれを軽減しようという努力を払っていることは、ある程度御承知願っておると思うのでありますが、例のリニアモーターによるものは、これは公害もないし振動もないし非常にいいじゃないかという御議論なんで、実にそのとおりだと思いますが、私は、午前中も言っておしかりを受けたのでありますが、心配しているのは、技術的にはあれは期待するような速度に比較的近くいけるだろうけれども、要するに、マグネットのごときを中央にべたに置くとか、ところどころに置いて加速するとか、方法はありますけれども、おそろしく金がかかったんじゃ、これは御利用なさる方が御利用できないような形じゃ困る。しかし、それもこれから研究を進めまして、一般の経済レベルといったらおしかりになるかもしれませんが、そういうもので利用できるようなところに努力をしようということで、これは研究をやめたということじゃないんで、七キロぐらいの実験線をつくって大いにやろう、こういうふうに考えている次第でございますので、午前中もおしかりを受けたのですが、私は、やらぬという意味ではないのですから……。
  260. 神門至馬夫

    ○神門委員 それでは、二つの問題について、特に民営論の問題につきましては、重ねて申しますが、けさ何人かの質問があったように、影響が大きいようですから、運輸大臣及び総裁のほうから、実態に応じた適切な措置をとってもらう、こういうことを重ねて要望しておきます。  それで、今次の運賃値上げ延期に伴う直接の質問に入りますが、この運賃改定が延期になりまして、値上げを延期して、それによる歳入欠陥ですね、いわゆる減収、それは四十八年、四十九年の九月いっぱいですね、この二年で幾らの借りになりますか。
  261. 徳永正利

    徳永国務大臣 四十八年が千八百五十五億でございます。それから四十九年が九百七十六億でございます。
  262. 神門至馬夫

    ○神門委員 それで、その歳入欠陥についてどのような措置をされようとしておるのか。
  263. 徳永正利

    徳永国務大臣 この減収に対しましては、財政投融資からの借り入れ金によってまかなったわけでございます。補てんしたわけでございます。その利息につきましては、これはもう再建期間中全部国庫負担でまかなおうということで、四十九年度の九百七十六億に対しまして五十五億の利子補給を見込んで計上しておるわけでございます。
  264. 神門至馬夫

    ○神門委員 この提案理由の中にも明確にいっておりますように、「物価の安定を最優先の課題とし」云々という、そのために運賃値上げを延ばすんだ、こういうふうな提案がなされておりますが、そうしますと、これは国鉄経営には全くかかわり合いのない、いわゆる物価対策、国の政策として出た赤字、減収ですね。だから歳入欠陥と言っておるのだろうが。しかし、今日までいわれている歳入欠陥の——賃上げやらあるいは退職金の増やら、そういうようなものとは全く違った意味の、特に国鉄経営にはかかわり合いのないといっていいと思いますね、直接的にはその原因は。そのような歳入欠陥を、借り入れ金をして国鉄の借金に上積みすることは、これはどうなんですか、たとえば日鉄法四十一条の独算との関係においてどういうふうになりますか。
  265. 徳永正利

    徳永国務大臣 御指摘のように、その部分につきましては債務として残ることになるわけでございます。しかしながら、この四十八年、四十九年に、十カ年計画の中に見込んでいなかった八百五十五億という政府出資を新たにやっていただきまして、そしてこの利息の節約と申しますか、そういう面を十分からんで計算いたしてまいると、五十七年度の収支決算には大きな変化はないというふうに考えておるわけでございます。
  266. 神門至馬夫

    ○神門委員 いや、収支計算には直ちにその歳入欠陥分が出てくるんですよ、これは債務ですから。そして十カ年計画の最終年度の五十七年度には三千八百億の黒字を見込んでおるわけですね、単年度収支で。その三千八百億という金額から今日のこの歳入欠陥というものは落とさなければならぬ、こうなってきますね。そういうことになって、これは単年度決算が財政基本になっておるんですが、そのたてまえからいきましても、いま運輸大臣のおっしゃるように、影響が出ないことはない。直ちにこれは四十八年度あるいは四十九年度にそのまま借金として、債務として国鉄に残るんですよ。お考え違いじゃないんですか。
  267. 秋富公正

    秋富政府委員 ただいま大臣からお答え申し上げましたように、四十八年度、四十九年度には、それぞれその借り入れ金につきましては、その増加いたします金利につきまして特別利子補給金という制度をつくりまして、これは再建期間中ずっと補給するわけでございます。しかし、御指摘のように長期債務がふえるということは事実でございます。これに対しましては、大臣から申しましたように、いわゆる当初の出資以外に八百八十五億というものを出資いたすわけでございます。これはその利子効果と申しますものがずっと今後出てくるわけでございます。それと、さらに利子補給金というものも今後五十年、五十一年とずっと出てくるわけでございまして、確かに五十七年度が終わったときにおきましては、その借り入れ金というものは増加することは事実でございますが、ただいま申しました利子効果ということを考えますと、この五十七年度はもちろんでございますが、十カ年計画におきましてもたいした影響がないということでございます。
  268. 神門至馬夫

    ○神門委員 それはそういう理屈にはならないでしょう。その出資金というのは、十カ年計画の中で一兆五千億の中に入るものじゃないですか。それは利子補給じゃないですか、その、あなたのおっしゃる分は。別にその中に出してありますか。
  269. 秋富公正

    秋富政府委員 ただいま申しました八百八十五億は、十カ年間の一兆五千七百億という当初の出資以外のものでございます。
  270. 神門至馬夫

    ○神門委員 その八百八十五億、これは何に相当するものですか。
  271. 秋富公正

    秋富政府委員 これは、国鉄財政再建という長期の見方におきまして、長期負債と申しますものと政府の出資というものとの見合いをはかっていたしたものでございます。
  272. 神門至馬夫

    ○神門委員 その八百八十五億というのは、もう一ぺんお尋ねしますが、いわゆる運賃値上げ延期に伴う歳入の減少があるから八百八十五億はついたものですか。
  273. 秋富公正

    秋富政府委員 四十八年度の千八百五十五億のいわば歳入欠陥、並びに四十九年の九百七十六億と申します、当初の予定いたしました収入に対しまして、それだけ収入が減になったわけでございます。これに対しまして、これは全部借り入れ金で、これを四十八年度、四十九年度は資金的に手当てをしたわけでございます。しかし、これが長期債務として残ることは事実でございますので、これが十カ年間の再建計画に悪い影響を及ぼさないように損益効果ということを考えまして、別個に八百八十五億と申しますものを新しくあらためて追加して増資した次第でございます。
  274. 神門至馬夫

    ○神門委員 もう一ぺん尋ねておきますが、八百八十五億は四十八年、四十九年の運賃改定延期分に対する歳入欠陥に見合うものとして政府が出資したものだ、こういうことですね。
  275. 秋富公正

    秋富政府委員 いわゆるそれだけ損益効果ということにおきまして、二カ年間に及びまして千八百五十五億円並びに九百七十六億円というものが損益上に収入減になったわけでございます。これに対しまして、それの損益効果ということを考えまして、八百八十五億を新しく出資したものでございます。これによりまして再建計画におきましてそごを来たさないように措置したものでございます。
  276. 神門至馬夫

    ○神門委員 それは私事務的に、いままでその歳入欠陥に対する手当ての問題を聞いて、そういうようなことは一言も出てない。それは八百八十五億というのは、たとえば工事基準価格高騰とか、あるいはその他新幹線の促進だとか、こういうようないろいろの社会的な今日のインフレ状況の中で、さらに計画を進めるためにこれだけ増資したというものじゃないんですか。
  277. 秋富公正

    秋富政府委員 これは別に工事規模を増加するとか、あるいは物騰に対する手当てではございませんで、あくまでもいわゆる運賃の改定がおくれたための措置でございます。
  278. 神門至馬夫

    ○神門委員 それでは、それはその歳入欠陥に対する手当てだといえば、どういうような計算で八百八十五億になったのか、その点を説明してもらいたい。
  279. 秋富公正

    秋富政府委員 これにつきましては、長期の……〔神門委員「だめです。きちっと数字を、八百八十五億の試算した内容を」と呼ぶ〕八百八十五億と申しますものは、これだけあらためて出資をふやすことによりまして、再建には影響ない、こういう見きわめをいたしまして出資した措置でございます。
  280. 神門至馬夫

    ○神門委員 八百八十五億は運賃改定延期分に見合う歳入欠陥に充てるために増資をした。この増資は利子を生むものであって、この歳入欠陥を将来必ず補てんするものだ、こういう説明でしょう。それならば、そういう数字の根拠があるはずです。どうしてその四十七年度分と四十八年度分と四十九年度分の歳入欠陥を埋めることができるのか、その数字を出してください。
  281. 秋富公正

    秋富政府委員 あくまでも現在申しました歳入の見込み減、いわゆる収入減に対しましては借り入れ金をもちましてこれを補てんしたわけでございます。そうしてこれに対しましては、その財政再建に及ぼす影響考えまして特別利子補給をいたしたわけでございます。これ以上に国鉄といたしましてのいわゆる体質をさらに強化する、こういう意味におきましてあらためて八百八十五億というものを追加出資した次第でございます。
  282. 神門至馬夫

    ○神門委員 私たちがあれだけ議論して審議した十カ年計画をくずさない、そのくずさないという予算編成時期における物価の情勢を見て八百八十五億を出資されると思われる。それならば当然それに見合ったものがなくちゃいけない。あなたのおっしゃるのは、運賃減収分の歳入欠陥分と、あるいは今日の経済状況ももう全部考えて八百八十五億を出した、こういうことなのでしょう。それではそれできちっとしたものが出なくちゃいけないのじゃないですか。
  283. 秋富公正

    秋富政府委員 いま私が体質の改善と申し上げましたのは、最初の予定におきましては、長期債務が一兆四千四百三十五億でございました。これがただいま申しましたような延期によりまして約一兆六千六百二十九億になるわけでございます。これに対しまして、最初の出資は一兆五千七百五十億でございましたが、四十八年、四十九年に八百八十五億追加出資いたしますことによって十カ年間の出資は一兆六千六百三十五億になるわけでございます。こういう意味におきまして、いわば長期債務と出資というものが見合うということにおきまして、再建においては影響ない、こういうふうに措置した次第でございます。
  284. 神門至馬夫

    ○神門委員 あなたの言っておられることは、それならば運賃減収分に対して八百八十五億の中から幾らそれに見合ったものとして引き当てたのか。八百八十五億の中から運賃欠陥分をどれだけ見て底を上げたのか、この問題が出なくちゃいけないでしょう。十年先にはそういうような——あなたは八百八十五億から利子を生むからその欠陥分を補てんすることができるという説明でしたね。八百八十五億ことし出しておけば、それが利子を生む。利子を生むから、いわゆる四十八年度分の一千八百五十五億、四十九年度分の九百七十六億を補てんすることができるのだ、実質的には政府が助成することができるのだ、こういう説明でしたね。それならば八百八十五億というのは、まるまるこの運賃改定延期に伴う歳入欠陥分の金ではないのですね。その八百八十五億は、その中のどの割合を、この四十八年、四十九年度運賃値上げ延期分の歳入欠陥に充てたものか、説明願いたいということなんですよ。その数字を示してもらいたい。
  285. 秋富公正

    秋富政府委員 八百八十五億と申します追加出資は、あくまでもこれは運賃の改定のおくれに対しますものです。さらに正確に申しますと、それ以外に……
  286. 神門至馬夫

    ○神門委員 それならば具体的な数字——そういうものが入っておるのだったら、どれだけ入っておるのですか、八百八十五億の中から運賃おくれに対して。
  287. 秋富公正

    秋富政府委員 これは全部運賃の改定を延期したためにとった措置でございます。
  288. 神門至馬夫

    ○神門委員 そうすると、確認しますが、運賃改定延期に伴う歳入欠陥分、二年で約二千九百億ですね、それを補てんするために、まるまる八百八十五億というものを補てんしたものだ、いわゆる運賃欠陥分に見合うものだということを確認してよろしゅうございますね。
  289. 秋富公正

    秋富政府委員 いまの約二千九百億をまるまる全額政府の追加出資で埋めるというわけではございません。これは、歳入欠陥につきましては全額借り入れをもって補いましたわけでございますが、しかし、それによりまして新しく利子の増額支出いということが出ますので、これに対しましては特別利子補給金という制度をもちまして、再建期間中の借り入れの増加は補ったわけでございますが、それ以外に、いま申しました八百八十五億というものを出資いたしましたのは、これによりまして、一つには、再建期間中にその利子効果ということによって収支の改善をはかるのでございますが、いま一つにおきましては、再建期間が終わりましたときに長期負債がふえますので、これに対しまして資本金を増加して、そのバランスをはかった次第でございます。
  290. 神門至馬夫

    ○神門委員 何か、考え間違いしておられるのじゃないですか。いわゆる歳入欠陥については財投をもって補てんするという今日までのいわゆる大蔵省における財務当局の方針が変わったのですか。損益勘定は全部財投で処理しておるのじゃないですか。いわゆる資産勘定におけるところのものについては収支等で見合うということはあるがと、これは前回の参議院における議論の中でも、さっき議事録を持ってきておりますが、出ておるのじゃないですか。ですから、当然歳入欠陥のものについては、八百八十五億をもってそれに充てるためにこれを余分に出資したのだ、こういうことをおっしゃっている。八百八十五億というのは、これは十カ年計画の中の一つじゃないかと私は思いますよ、別ワクだと言われるが。しかし、それは別としたということをおっしゃるなら、またあとから調べてみますが、それをもって歳入欠陥を補てんしたのだということになると、これは重要な問題だと思いますよ。  これは大蔵省のほうにお聞きしますが、いまの問題について、八百八十五億とは、一兆五千億のいわゆる再建十カ年計画における投資総額の一部ではないのか、財務当局として、この四十八、四十九年の歳入欠陥についての補てんはどういうふうにされたのか。
  291. 宮本保孝

    ○宮本説明員 お答えいたします。  われわれといたしましては、今回の歳入欠陥の補てんにつきましては、企業体であります国鉄の損益勘定にダイレクトに一般会計から支出をするということは、毎々御説明申し上げておりますように避けたいということでございますので、あくまでも借り入れ金でこれはいたしまして、そしてそれに対する利子補給を、子利子の補給——これはいわゆる再建債でない、孫利子でない子利子の補給をいたしまして、それでもって措置いたした。したがいまして、出資はあくまでも欠損補てんという感じではございませんで、これはやはり今回の影響等もいろいろございますので、国鉄財政基盤を一般的に強化しようということで、苦しい予算の中からできる限り、前回の補正と今回の当初予算とにおきまして合わせて予定よりも八百八十五億ふやした、こういうことでございます。
  292. 神門至馬夫

    ○神門委員 鉄監局長、いま大蔵省のほうでは、その歳入欠陥については財投で処置したのだ、八百八十五億というのは国鉄一般の基盤強化の意味の収支としてやったのだ、こういうふうにおっしゃっておりますけれども、あなたのおっしゃるような、いわゆる改定運賃延期分の歳入欠陥を補てんする目的をもって八百八十五億というものを出資したということではない、この辺は明確にしておいてもらわぬと……。
  293. 秋富公正

    秋富政府委員 あるいは私の説明がきわめてつたなかったかもわかりませんが、私のお答え申しましたのは、ただいま大蔵省主計官と全く同一の趣旨でございまして、歳入欠陥につきましてはこれを借り入れ金をもって充て、それについては特別利子補給金ということをいたしますが、一方におきまして、国鉄財政再建に影響のないよう、さらに財政基盤の強化をいたしますために、最初の一兆五千七百億以外に八百八十五億を追加出資をする、こう申しました次第でございます。
  294. 神門至馬夫

    ○神門委員 その問題をいつまでも押したり引っぱったりしておりましても時間がなくなりますから、ここでお尋ねをしておきますが、去年の九月六日の参議院におきまして、そのときには衆議院をもう通過して参議院に回りまして、すでにこの運賃値上げ実施期日がずっとおくれておりまして、その分だけ歳入欠陥が出るというのは予想されたわけですね。他の歳入欠陥の費目というものもいろいろありますが、特に運賃値上げ延期に伴う歳入欠陥について、これを財投等でやってはならぬということが、まる半日やって、ですから非常に長時間をかけられて論議をされ、ここには運輸大臣経済企画庁当局、大蔵政務次官、主計局次長等が入って、そして委員会を一たん休憩して、そして再開をされておる。この前の論議というのは財投で補てんするのかしないのかというのが一つの問題。それから、いま大蔵省から、財政措置として基本的にはこのような企業体である以上は損益勘定を一般予算で補てんするわけにいかぬ、財投補てん以外にはないのだというようなお話があった。しかし、そうすると今度は日鉄法四十一条との問題が出てくるわけですね。そのような、経営責任以外の歳入欠陥を借金として国鉄に上積みさせることは、今度は日鉄法四十一条の独算と一体どうなるのかという問題、いわゆる二つの排律の競合の問題が出たわけなんです。そこでもうもめてもめて、最終的に、政府を代表するというような立場で、いわゆる内閣の統一見解というような方向で、休憩後に山下官房副長官が「現在における歳入欠陥につきましては、その補てんについて、政府において措置いたします。」こう言っているわけです。それは財投にはよりませんとか、一般会計をもって補てんしますという言い方はしておりませんが、その経過から言えば、やはり政府がそこまで措置しますということは、利子によらないものをもってやる、こういうような一つの判断に踏み切ったと思われる。そして、質問者である森中議員のほうからは、ぜひそのようにお願いいたします、ただし、これは先ほど来申しておるように条件がある、財投によらない、これを一つの条件にして了承してくれ、こういうことで、さしもの四時間、五時間かかった論議もそこでピリオドを打った。ところが、いまこの問題がなっておりますように、その歳入欠陥については、財務当局としてはこの方法しかないんだ、企業体である以上。こういう前提でいま御説明があった。しかし、今度は国鉄のほうとしては、自分のところの経営責任にかかわらないことでそういう借金を上積みしていく、こうなってまいります。また、そのとき運輸大臣の新谷さんは、こういうことをおっしゃっておるんですね。「主管大臣として率直に申し上げますと、十カ年計画の初年度でございます、初年度から、いまお話しのあったような千数百億」——これは運賃値上げ延期分ですね。「千数百億の歳入欠陥をこのままでほっておいて、それで十カ年計画を予定どおりに実行いたしますというわけにはいかないわけでございます。これに対しましては、われわれのほうも極力くふうをいたしますけれども、やはり何といいましても、財政当局に対しましては、十カ年計画をこういうふうにして政府責任において国会に提案しているわけでございます。これを一応最小限度この計画が達成せられるような方途を政府としても講じてもらいたいと思っております。」と、財務当局に陳情のようなやり方をしているわけですね。いわゆる二千九百億円というものを、歳入欠陥を借金に上積みすると、この十カ年計画というものがくずれてしまうということを運輸大臣は言っているわけです。ですから、そういうような措置をせぬように政府で何か特別の新しい方法でやっていこう、こういうようにおっしゃっている。このことなんですが、一つお伺いしたいのは、この九月六日に——これは非常に貴重な議事録だと私は思いますし、時間がなくなってしまったのですが、人まさに死なんとするときにその声やよしというので、元国鉄総裁も、もうやめることをほとんど決意されたから非常にずばずば国鉄総裁として言いたいことを言っているんですね。私が衆議院で幾ら質問しても、総裁としての立場を言いなさいと言っても、説明員である私はと、こういうことでずっと逃げていたのが、ずばずば言っている。その中にも言っておるのですが、時間がないから一ぺんに言ってしまうよりしかたがなくなってしまったのですが、これは非常に大切なことを言っているんですね。たくさん言っています。二ページにわたる発言をして、非常に大切なことを言っています。こういうことを言っています。「たとえば先般監査報告書が出ましたとき、また国鉄は赤字か。——やはり私とも四十万の職員に対する影響はたいへんなものでございます、これは。幾ら働いたっておれたちは赤字なんだ、世の中からばかなようにいわれる、総裁以下全部だらしないといわれる。これではなかなか部内の士気の高揚にはなりません。」私は、このことを簡単に借金として国鉄に上積みするな——いま国鉄か採用試験をやっても応募者が非常に激減して、数を合わすに困るような状況になりましたね。こういうことも言っている。「ですから、ほんとうに働かなくて赤字が出た面と、幾ら働いても赤字が出る面と、これはやはり区別してやりませんと非常にその士気に関する。いろいろ世間から御批判も受けておりますけれども、そういうことが、全然もう表現できないような深刻さでもって現場の末端職員まで響いているということは事実でございます。」この辺の問題が、日鉄法四十一条なりあるいは独立採算制が制度として維持できない問題、ここでは運輸大臣総裁も、大蔵省の政務次官も全部、国鉄はすでに独立採算制としての態様を失っている、もう独立採算制は崩壊しておる、こう言っているわけですね。崩壊しておるなら崩壊しておるで、それに対するところの、たとえばもろもろの措置というものは、国鉄に対する財務当局なり政府の見方なりがずっと変わってこなければならぬわけですね。この辺が、実は今日、この運賃値上げ延期に伴うところの歳入欠陥、いわゆる減収分の措置をどういうふうにやっていくかによって、これはまさに大切な問題だと私は思うから、この問題をもう少し議論したかったのですが、時間がございません。  そこで、おいでいただいておりますいまの大蔵、経企、そして運輸大臣、この九月六日のそのようなやりとりで確認されたこと、それはやはり財投によらずに何とか赤字にしないように、初年度である十カ年計画がくずれぬように確認されたと私は思うが、どのようにこのときにお考えになっているのか。特に大村次官のほうから、前の山下官房副長官が代表して答弁なさったという、こういう総理大臣にかわっての発言をなさっておるので、これは最終的にひとつ御発言願いたい。
  295. 秋富公正

    秋富政府委員 たまたま当時の者といたしましては私だけが残っておりますものですから、私から大体当時のいきさつをお答え申し上げます。  これは、確かにそういった御質問がございまして、一時休憩いたしまして、内閣副長官、大蔵、運輸というところでいたしたわけでございますが、ただいまお読み上げになりましたように、どういった手当てをもってするかということにつきましては、実は明確なことでなく、何らか政府としてもこれに対処していきたいということであったわけでございます。その後の補正予算におきまして、この歳入欠陥につきまして、ただいま私並びに大蔵省主計官からもお答えいたしましたように、これは全額借り入れでいたしますけれども、これに対しましては、その利子というものは新しく出るものでございますから、新しく利子補給制度というものをいたしますとともに、その体質を強化いたしますために追加出資をした次第でございます。
  296. 中川一郎

    ○中川政府委員 確かに昨年の九月六日、参議院において、政府を代表して山下官房副長官が、「現在における歳入欠陥につきましては、その補てんについて、政府において措置いたします。」と述べております。しかしながら、読み上げましたように、これをすべて一般会計で措置するとは言っておりません。「政府において措置いたします。」と。  そこで、当時の国鉄、今日もそうでありますが、もしまるまるの財政投融資でやるならば、それには金利というものがかかりますし、かつてやりましたように孫利子を見るという見方もあります。孫利子を見た程度では利子がふえてまいりますから、これはたいへんだというところから、政府において措置するという意味において、利子は一切国がめんどうを見るという、かつてない措置を講じたところでありますし、あわせて、先ほど御質問のありました八百八十五億は、確かに企業会計に対して、企業体に対して、その損益勘定の損を補てんするという、ダイレクトの投入はできませんけれども財政基盤強化という意味において、そういった赤字といいますか、負債もあることも踏まえて加えたということは、政府において措置をしたということでりっぱに責任を果たしておると思っております。  要は、このことの措置において、国鉄の再建計画、十カ年計画がそごを来たさないという責任のもとにやっておることを御承知いただきたいと存じます。
  297. 大村襄治

    ○大村政府委員 お答えします。  昨年の九月六日、参議院の委員会において、当時の官房副長官山下政府委員が、「歳入欠陥につきましては、その補てんについて、政府において措置いたします。」と答弁いたしましたことの措置について調べてみますると、運賃改定実施期日の延期に伴う減収、仲裁裁定実施のための人件費増等により生じた資金不足につきましては、昭和四十八年度補正予算におきましてその全額を借り入れ金によって補てんするとともに、この借り入れ金にかかる利子については国が全額補給することとし、このほかに政府出資を追加して、財政再建計画遂行に悪影響のないように措置したところであります。
  298. 神門至馬夫

    ○神門委員 時間が来ました。それでずっと経過を追うていけば、その答弁なさった字句ほどからの逃げ道としてできない点もあると思いますが、まあ孫利子から子利子へと一つ前進した一面はあります。こういう点は一つ認めます。  実は、総裁国鉄の管理者に出しておいでになる文書を見ますと、「財政の問題には、いろいろむずかしい問題もありますが、必要なものは、私が国からいただいてまいります。財政の問題は、私にまかせていただき、」どうか皆さんは仕事をやってください、こういうふうに言っておいでになる。これは国鉄の今日の現状からいくならば、独立採算制あるいは政府国鉄という一つの原則、節度というものもない。いわゆる独立採算制の合理的基準ということを、この前の国鉄二法の審議でも私はそれのみに集中して質問をしたのですが、それらのものがある程度確立をされて、働けば働きがいのある職場だということにならなければ国鉄の再建はありませんよ。いまのような、八百八十五億がつまみ金でその積算の基礎も出てこない、こういうようなことで何か知らん行き当たりばったりで、借金を負うておけばまた政府が見てくれるだろうというようなことでは、人間が再建をするのですから、その人間の心をつかむことはできない。この点は、今日の国鉄の再建問題にとってきわめて大事な問題なんです。いみじくも今度出ました半年間の延期の中で、あるいは一年間の四十八年度の延期の中で、その歳入欠陥の処置に対して関連して質問を申し上げたのですが、ねらいとするところは、真に国鉄を再建するためには四十一条を生かすなら生かす、あるいは法律を変えて運賃法第一条の四つの基本の矛盾を、一本にきっちりと目標をきめた合理的なものに、教科書的なものに改めるなら改める。たとえば、四十一条の問題につきましても、独算が無理なら無理で独立採算制をやめてしまう、あるいは独立採算制ということが基本であるならば、制度として生かしていくとするならばそれなりの合理的基準をきめての納得する経営というものがなされなくちゃならぬだろう、こういうことから申し上げておるところであります。  以上をもって終わります。
  299. 三池信

    ○三池委員長 梅田勝君。
  300. 梅田勝

    ○梅田委員 時間がきわめて短いので、答弁のほうは簡潔にお願いを申し上げたいと思います。  まず、本改正案におきましては、運賃値上げを六カ月延期せざるを得なかったこと自体、政府物価対策、さらには国鉄財政再建政策の破綻を示すものであります。赤字は減るどころかますますふえて、昭和四十八年度見込みでは、累積赤字は一兆六千億円に達しようとしているのであります。  そこで、大臣にまずお伺いいたしたい点は、政府は、その破綻ないしは失敗をお認めの上で本改正案を出されておるのかどうか、ということを一言お聞きしたいわけです。
  301. 徳永正利

    徳永国務大臣 今日までいろいろの角度から御指摘のあったことを私どもよく理解できるわけでございます。しかし、再建十カ年計画というのは、やはり十カ年に対する一つ計画でございまして、この十カ年計画を変更し、あるいはくずすという考えはいまのところございません。
  302. 梅田勝

    ○梅田委員 初年度から計画が狂っているようでははなはだ先は暗いということだと私は思うのです。認められないのではなはだ遺憾でありますが、そこで本改正案の最大の問題は、十月一日から大幅の運賃値上げをするという点であります。田中総理は、物価は一−三、四−六だ——これは競馬の連勝馬券ではないだろうと思うのですね。全く無責任な放言をいたしております。しかし、物価の上昇は一向におさまらないというのが現実であります。したがって、いま国民がひとしく求めておりますのは、運賃値上げの六カ月延期にとどまるのではなくて、運賃値上げの全面的な中止であり、撤回でございます。また、そのことを要求する根底には、昨年私どもが国会審議で明らかにいたしましたような、旅客は黒字だ、貨物のほうは赤字だという問題がございます。つまり、旅客運賃値上げというのは全く理由がなく納得がいかない、こういう点でございます。  そこでお伺いいたしますが、昭和四十七年度の決算におきまして、旅客、貨物のいわゆる客貨別経営計算における損金の状態はどうなっているか、明確にしていただきたいと思います。
  303. 天坂昌司

    ○天坂説明員 四十七年度の客貨別収支計算は、ただいま鋭意作業を進めておる最中でございます。したがいまして、まだ数字を申し上げる段階に立ち至っておりません。
  304. 梅田勝

    ○梅田委員 去年も三月の段階において私が質問をして、まあ、いまごろの段階だったら出ておったんじゃないかと思うのですよ。半年もたってまだ出てこぬというのは一体どういうことですか。出すつもりがあるのかどうかということをまずお伺いしたいと思うのです。
  305. 天坂昌司

    ○天坂説明員 客貨別の収支の計算を出すに至る手順を簡単に御説明したほうがおわかりやすいかと思いますので御説明いたしますが、四十七年度の財務決算は八月に確定いたしまして、法に定められた手続をいたすと同時に発表いたしております。その財務決算の数字をもとにいたしまして線区別の計算をいたします。この線区別の計算も……(梅田委員「それはもう去年聞いておるからわかっておるんだよ。出すのか出さぬのかを聞いておるんだよ」と呼ぶ)簡単に申し上げます。線区別を出しまして、それをもとにいたしまして客貨別の計算をいたすわけでございまして、そういう点でいろいろ時間がかかっておるというのが事実でございます。
  306. 梅田勝

    ○梅田委員 そんなことはわかっておるんですよ。去年は、いまごろはちゃんと内訳が出ておったということを言うておるのです。ことしだけ何でそんなおそいのか。出すのか出さぬのか、それだけ言うてください。
  307. 天坂昌司

    ○天坂説明員 昨年度は、線区別を出しましてから七カ月後に客貨別が出ております。ことしは十一月でございますから、もうしばらく時間がかかると思います。ただいま作業をいたしておりますので、この結果ができます……(梅田委員「なぜおくれたかを聞いておるのです」と呼ぶ)一生懸命やっておりまして、私が見ましても、担当者は一生懸命やっておるわけでございます。おくれておるというのは事実でございまして、ただ結果が出ましたならば、必要によりましては御報告いたします。
  308. 梅田勝

    ○梅田委員 それならば、結果が出たら資料として出していただけますね。もう一度。
  309. 天坂昌司

    ○天坂説明員 御必要があればお出しいたします。
  310. 梅田勝

    ○梅田委員 それじゃ出していただくことにいたしまして、次に昭和四十七年度における貨物割引はどの程度になっておるか、金額をおっしゃっていただけますか。
  311. 伊江朝雄

    ○伊江説明員 四十七年度は八十億でございます。
  312. 梅田勝

    ○梅田委員 八十億の営業割引をしておるということでございますね。そうなりますと、赤字だ赤字だと言いながら、なおかつ昨年あれだけ問題になっておったにもかかわらず、八十億円というばく大な営業割引をしておる。つまり大企業に対して特別のサービスを相変わらず続けておる。ここに三月十五日の「交通新聞」がございますが、「本格化する国鉄の新貨物販売体制」というものが出ておりますが、貨物営業センターによる体制というものが着々と進められておるということが書いてあります。そして特別の指示も出しておられるようです。その詳細が出ておる中で、荷主折衝というのがあるのですね。「定形契約および営業割引にかかる運送契約については、センターが荷主折衝を行い、駅、通運業者と関係事項の詰めをしたのち資料を作成する。」そして「貨物課と割引率、貨車手配について協議し、契約案を作成」する。さらにそのあとのほうには「センターは契約出荷状況をチェックし、荷主と常時接触、苦情等アフターサービスの処理にあたる。」アフターサービスまで懇切丁寧にやるということで、そっちのほうは一生懸命やっておられると思うんだけれども、旅客のほうの国民から見ると、大企業のほうにはえらい手厚くやっておるなということになって、今回の問題についても、十月一日からは値上げということでありますから、これは承知ならぬ。一体どうなっておるんだ。旅客はもう黒字にきまった、貨物のほうは大幅な赤字をした上でなおかつこういう懇切丁寧な出血サービスをしておるというのは承知ならぬ。これはどうですか、改める気はありませんか。大臣、どうです。
  313. 徳永正利

    徳永国務大臣 営業割引というのは、いろいろな観点から御批判あろうと思いますけれども、やはり国鉄もお客さんに利用してもらわなければならぬわけでございまして、いろいろな面からそういうものに対しましてまた一連のサービスもあろうと思います。いま直ちにこれをやめるというような指導をする考えはございませんけれども、今後またいろいろ検討してまいる面もあろうかと思う次第でございます。
  314. 梅田勝

    ○梅田委員 時間がありませんので、最後に一つだけ質問をいたしますが、三月八日の予算委員会第五分科会におきまして私が質問をいたしました際に、内部疾患の身障者に対する割引に必要な額はわずかに五千万円と言われた。しかし、いま聞きますと、営業割引のほうは八十億円もやっている。内部疾患で死にかけている人の必要な手当てについて、わずか五千万円であるにもかかわらずこれはなかなか出さない、非常に遺憾だと思うのですね。そういう点で全く納得がいかない。じん不全で血液の透析が絶対に必要な患者は国鉄を利用して遠方の病院へ通わなければならぬ、この現実はこの間るるお話し申し上げたのでよく御存じかと思う。そういう点でやはりこの際、貨物のほうには懇切丁寧にやっておる、内部疾患の患者に対してはもう冷酷に扱うておるというのでは、政府国鉄当局は国民の信頼を得ることはできないと思いますので、ひとつ大臣に最後にお伺いしたいことは、こういう内部疾患の方々に対しても英断をもって割引を実行するということで、その決意のほどをお伺いして、私の質問を終わります。
  315. 徳永正利

    徳永国務大臣 ただいま御指摘の問題は、社会保障制度全般の問題からきめこまかい手当てをしていかなければならない問題だと思います。そういう意味からも、厚生省におきましてもいろいろそういう点において配慮していると思いますが、今後私どももそういう背景を十分考えまして、ただその問題だけにとどまらず、いろいろな問題があろうと思います。そういうものを総合的にひとつ検討させていただきたいと思っておる次第でございます。
  316. 梅田勝

    ○梅田委員 身障者といえどもお客さまですよ。旅客のお客さまなんだ。大企業のほうをあなた方お客さまと言うなら、身障者だってお客さまだ。しかもそのお客さまのほうは黒字で、国鉄財政に寄与しておる。だからサービスとしてやる。そのでっかいでっかい社会福祉とかいう、そんなでっかい話を抜きにして、ほんとうに国鉄を利用するお客さまで、そういう体の悪い方々で、ここはサービスしたほうかいいということは国鉄のサイドでまた国のサイドでできることじゃないですか、どうですか。義理と人情でやってくださいよ。
  317. 徳永正利

    徳永国務大臣 義理と人情も考えまして、輸送サービスの面等につきましては、十分配慮してまいりたいと思っております。
  318. 梅田勝

    ○梅田委員 終わります。
  319. 三池信

    ○三池委員長 松本忠助君。
  320. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 大臣に最後の一問だけお伺いいたしたい。  国鉄の再建ははたして可能かという問題であります。御承知のように、当初の計画よりいたしますならば、運賃値上げという問題は、延期に次ぐ延期をしているわけでございます。収入の面は大きな狂いを生じていることはもう大臣も御承知のとおりでございます。加えまして、昨年来の石油危機によりまして、非常な物価の値上がり、購入する資材が非常に高くなっていること、これまた大臣は御承知であると思います。加えまして、さらに人件費も大幅な増加を見ようとしている傾向にあるわけでございます。こうした点から考えまして、国鉄の再建計画は、当初のものよりも大きな狂いを私は生じていることがはっきりといえると思います。この点も大臣はお認めにならざるを得ないだろうと思うわけでございますが、はたしてこういう状態からして、国鉄のいわゆる再建計画なるものは絵にかいたもちになっておる、こう断言してもはばからないと思います。  そこで、大臣に伺いたいのは、再建ははたして可能なりや、この一点をお伺いいたしたいと思います。
  321. 徳永正利

    徳永国務大臣 きょう午前の久保先生の御質問の中にも、四十七年度、四十八年度の赤字補てんの問題、それからまた、電力からはね返るいろいろな問題の御指摘もございました。また、物価の問題等もございました。先生と同じような御指摘がございました。いろいろな問題点は確かに多く含んでおると思います。しかし、せっかく十年の再建計画をもちまして発足してまいっておりますし、この基本的な計画というものはこれを踏襲させていただきたい。いずれまたいろいろな面から見直す時点があるかもわかりませんが、ただいまのところの基本計画をいま直ちに撤回するというような考えはございません。
  322. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 もちろんそれは、再建計画を出してそれを遂行していくという責任は、大臣もお考えになっていらっしゃる。また、それに対する努力を払うことは、私は当然のことだと思うのでありますが、四囲の事情からして、これが再建可能なりというふうにお考えになる人は一人もおらぬと思うのです。世間のだれも、国鉄の再建が可能なり、今度の再建計画によって国鉄は全く立ち直る、こういうようなことを言う人は一人もおらぬのです。それは言うとすればおそらく国鉄の幹部とそれから運輸大臣、鉄監局長以下、それだけだろうと思うのです。国民全部が、この問題に対してはもう大きな疑問を抱いているわけです。ですから、いまの御説明では私は納得しません。これはやってみなければわからぬということになるだろうと思うのです。しかし、これはやはり早晩この再建計画をまたやり直さなければならない、練り直さなければならない、こういうふうに考えられるわけでございます。大臣として、これは当然責任上、いまの再建計画というものを真剣にやっておるんだ、こういう御努力は私は認めないわけにはいきませんけれども、この再建計画というものが絵にかいたもちであるということは、世間一般に通用している問題でございます。それでもあくまでも大臣は可能なりとおっしゃいますか。
  323. 徳永正利

    徳永国務大臣 御指摘のように、いろいろな問題点を含んでおることは私もよく承知しております。しかし、これは基本的な一つ計画でございまして、あるいは途中において見直すというようなことができるかもわかりませんけれども、いま今日の時点におきましては、この計画を一応の目標にいたしまして再建の努力をしてまいりたい、こういうことでございます。
  324. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 総裁に伺います。  総裁努力をされることは十分だろうと思いますし、御就任早々からえらい元気な総裁で私たちも敬服をしておるわけでありますが、一そう国鉄の再建のために努力される決意というもの——これはやってみなければわからぬのです。しかし私たちは、いまのやり方では不可能であると思います。そういう点から総裁の決意だけは一応お伺いしておきたいと思います。
  325. 藤井松太郎

    ○藤井説明員 お答えします。  国鉄の再建計画は、要するに国鉄が十年後にはああいう姿になって、陸上交通の主力を占めなくてはいかぬということで、それには国鉄が働くことはもちろんだが、政府、一般の国民の方々にもお助けを願ってああいう形に是が非でも持っていかなくてはならぬというふうに私は了解いたしておりますので、いろいろなことの修正と申しますか、変化はございましょうけれども、方向としては是が非でもあれを完遂しなくてはいかぬ、私はかように考えております。
  326. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 以上で終わります。とにかく国鉄当局もしっかりがんばってもらいたいし、また、監督の責任にある運輸省としても当然のことであろうと私は思います。しかし、ほんとうにこれからの経済状態というものを考えてみたときに、きょうの考えがそのまま明日に適用できるというわけにはまいりません。いろいろな問題が起きてくるだろうと思うのです。特に労働の問題、労使の問題、こういう問題を考えましたときに、国鉄の再建に対してわれわれは大きな危惧を抱いているということを重ねて申し上げまして、私はこれで質問を終了いたします。
  327. 三池信

    ○三池委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました     —————————————
  328. 三池信

    ○三池委員長 ただいま、本案に対し、委員長の手元に、児玉末男君、三浦久君、松本忠助君、河村勝君から、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党の四派共同提出にかかる修正案が提出されております。  修正案はお手元に配付してあるとおりでございます。     —————————————
  329. 三池信

    ○三池委員長 この際、提出者から趣旨の説明を求めます。児玉末男君。
  330. 兒玉末男

    ○兒玉委員 私は、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党の四党を代表して、本案に対する四党共同提案にかかる修正案の趣旨について、御説明申し上げます。  修正案の案文はお手元に配付してございますので、その朗読は省略させていただきます。  本修正案の内容は、昨年第七十一回国会において成立いたしました国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律の第一条において国有鉄道運賃法の一部改正を規定しておりますが、この第一条の規定を削除するとともに、これに伴い附則第一項ただし書き及び附則第五項の規定を削ることとするものであります。  以下、その趣旨について簡単に申し上げます。  昨年、国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部改正案の審査にあたり、野党各派は、こぞって国鉄運賃値上げは、公共料金全体の引き上げを誘発し、諸物価高騰の起爆となり、高物価に苦しむ国民の生活をさらに圧迫するものであると反対し、撤回を強く要望したのでありますが、政府及び与党は、今回の運賃改定は国鉄財政再建のためやむを得ないもので、消費者物価に及ぼす影響は〇・四三%、家計に及ぼす影響は〇・二%といずれも軽微であるとして国民の切実な願いを退けて成立に至ったものであります。  しかるに、今回、政府は、その態度を急変し、物価対策の一環として、国鉄運賃改定の実施期日を単に六月間延期しようとする本案を提案してまいったのでありますが、現下のいわゆる狂乱物価の状況と、これによります国民の不安と政府不信の実情を考えますとき、今回の運賃値上げ半年延期は、まさに参議院選挙目当ての人気取りのゼスチュアにすぎないものと断ぜざるを得ません。  国鉄運賃値上げが十月から実施されれば、消費者米価のほか、他の足どめを食っていた公共料金の一斉の値上げが行われ、現在の物価事情はより悪質な狂乱物価へ転化することは火を見るより明らかであり、今日の現状においては、政府としては、単に半年間の運賃値上げの延期ではなく、少なくとも当分は運賃改正の実施を延期して物価対策に対する政府の誠意を示すべきであり、根本的には、昨年成立した国有鉄道運賃法の一部改正による国鉄運賃の改定を中止し、抜本的な物価対策及び国鉄再建対策の確立を先行すべきものであります。  以上、申し述べた理由により本修正案を提出したのでありますので、何とぞ皆さまの御賛成をお願い申し上げ、提案の趣旨の説明を終わる次第であります。(拍手)
  331. 三池信

    ○三池委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  この際、本修正案について国会法第五十七条の三の規定によりまして、本修正案に対する内閣の意見を聴取いたします。徳永運輸大臣
  332. 徳永正利

    徳永国務大臣 ただいま御提案の修正案につきましては、政府といたしましては賛成いたしかねる次第でございます。     —————————————
  333. 三池信

    ○三池委員長 これより国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案を一括して討論に付します。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。阿部喜元君。
  334. 阿部喜元

    ○阿部(喜)委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、本案に賛成し、四党共同提案にかかる修正案に反対の討論を行なうものであります。  政府は、昨年十一月のOAPECの石油削減通告に端を発した異常なる経済情勢に対処するため、総力をあげて総需要の抑制をはかることを決意し、昭和四十九年度予算編成方針において、物価抑制に資するため、国有鉄道運賃の実施時期の六カ月延期を決定するとともに、物価の安定を最優先の課題として、現在物価対策に強力に取り組んできておりますことは、高く評価すべきことと存ずるものであります。  昨年第七十一回国会におきまして、危殆に瀕する国鉄財政の再建をはかり、基幹的公共輸送機関としての国鉄の使命達成のため、昭和四十八年度以降十年間を再建期間とし、政府の画期的な財政措置、国鉄自身の最大限の企業努力及び国民の協力による必要最小限度の運賃改定を基本とする国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道再建促進特別措置法の一部を改正する法律が成立いたしたのでありますが、現下の物価情勢は、国際的要因に基因する戦後最大の異常事態でありますので、政府が総力をあげ最大の課題として取り組んでおります物価対策の一環として、国鉄運賃の改定の期日を六カ月延期し物価抑制に資することとしておりますことは、まことに勇断というべきであり、現下の物価情勢にかんがみるとき、適切な措置として政府の態度に対し敬意とともに全幅の賛意を表する次第であります。  国鉄運賃改定が半年延期されることに伴い、昭和四十九年度において、旅客七百八十三億円、貨物百九十三億円合計九百七十六億円の減収が見込まれるのでありますが、この減収相当額について政府においては、その全額を資金運用部から借り入れる借入金によって補てんすることとし、その利子については、昭和四十八年度に新設された日本国有鉄道特別利子補給金の対象を拡大し、再建期間中の毎年度予算の範囲内で利子補給を行なうことといたしておりますことはまことに適切な措置と考えますが、今後、十カ年間の国鉄財政再建計画の遂行に支障が生ずることのないよう、今後とも政府において、適切な財政措置を講ずべきことを強く要望をいたし、本改正案に対し賛意を表する次第であります。  次に、四党共同提案にかかる修正案に対する反対意見を申し上げます。  本修正案は、昨年成立した国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律のうち、国有鉄道運賃法の改正の規定を削除しようとするものでありますが、野党各派は、一体国鉄財政を再建し、国民の足を確保しようとする熱意があるのかどうか、疑わざるを得ません。  すなわち、国鉄は国内輸送の大動脈として、都市間旅客輸送、大都市通勤通学輸送及び中長距離大量貨物輸送の各分野における使命遂行のため、国鉄財政再建をはからねばならぬことは万人異論のないところと存じますが、それには国鉄自身の努力のほか、政府財政援助も必要であることは申すまでもありません。しかし、これは結局国民の税金によることを考えとき、利用者の負担も最小限度考慮すべきであることは当然であります。  昨年の国有鉄道運賃法改正を削除し、すなわち運賃改定を行なわずに国民の税金を当てにして国鉄財政再建を行なうことを野党各派は考えておられるのでしょうか。あるいは他に別案を持っておられるのでしょうか。案があるならお示し願いたいと思うのであります。ただ国鉄運賃改正の規定を削除するだけのこの修正案は、野党各派こそ参議院選挙目当てのために提出したものと断ぜざるを得ません。  以上をもって本修正案に対する反対意見を表明し、本案に賛成、修正案に、反対の討論を終わります。(拍手)
  335. 三池信

    ○三池委員長 斉藤正男君。
  336. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 私は、ただいま提案されております国鉄運賃法及び国鉄財政再建特別措置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案に反対し、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党、民社党の四党が共同提案している修正案に賛成する立場から、日本社会党を代表して討議を行います。  御承知のように、いわゆる国鉄二法は、昨年の七十一国会において、国民世論にさからい、全野党の反対にもかかわらず成立した問題の法律であります。  相次ぐ物価暴騰の中で、国民生活が危機に立たされているとき、内政最大の緊急課題は、強力な物価対策によって国民生活の安定をはかることでなくてはなりません。そのためには、まず政府の手の中にある公共料金を据え置き、物価安定に対する政府の決意を示せというのが国民の要求であり、国鉄運賃値上げに反対したわが社会党の大きな理由一つであったからであります。  運賃値上げがもたらす物価と国民生活への重大な影響を訴え、反対してきた全野党の警告を拒絶し、国民に背を向け、運賃値上げを強行した政府・自民党ではありますが、事の重大性にようやく気づき、半年間運賃値上げ延期の措置をとったことは、おそきに失するとはいえ一歩前進といえましょう。  しかし残念ながら、政府の今回の措置は、真に国民の要求にこたえたものとはいえないのであります。それには三つの理由があります。  一つは、わずか半年間の運賃値上げの延長では、国民が期待する強力な物価対策とはなり得ないことであります。  二つは、運賃値上げを延期することによる歳入欠陥分を国鉄の借金に上積みをし、最終的には国民の負担としたことであります。  三つは、昨年の七十一国会で審議した問題点を生かそうとしていないことであります。  まず第一点について申し上げます。  田中首相の物価鎮静の時期はまぼろしのごとく定まらず、去年は夏から秋だと言い、今年は一−三から四−六月、さらに夏ごろと、田中内閣の人気とともに後退の一途をたどっているのであります。  もしかりに夏から秋ごろに、物価鎮静化があらわれたとしても、国鉄運賃や消費者米価など足どめを食っていた公共料金の一斉値上げが集中し、より悪質な物価狂乱への引き金となることは必至であります。あまつさえ今日の物価動向現状は鎮静どころか、悪性インフレのまっただ中で、国鉄運賃値上げがさらに油を注ぐ結果となる可能性が強いのであります。  第二の点は、歳入欠陥の処理についてであります。  政府は、国会の意思によって運賃改定が廃案になり、あるいは延期となったとき、それに原因する歳入欠陥のすべてを国鉄の借金として押しつけていることであります。  すなわち、運賃値上げ延期による不足分、昭和四十八年度、一千八百四十九億円、昭和四十九年度、九百七十六億円、合わせて二千八百二十五億円を国鉄の借金として上積みしたのであります。  いみじくも磯崎前国鉄総裁が「幾ら働いてもおれたちは赤字なんだ、世の中からはばかのように言われる。それではなかなか部内の士気の高揚にはなりません」と、前国会で重大な告白をしているのを政府は、何と心得ているのでありましょうか。  真に国鉄財政を再建をし、国民の国鉄とする意思が政府にあるのなら、何はともあれ、運賃値上げ延期による歳入欠陥は政府の支出によって補充し、国鉄職員に働きがいのある措置をとるべきであります。  第三点の、七十一国会で論議された問題点を前向きに対処しようという誠意のないことであります。  国鉄財政再建に対する多くの問題点は、あらゆる機会をとらえて正そうとする前向きの姿勢がなくてはなりません。しかるに、第二点で述べた歳入欠陥に対する財政措置に見られるように、国会論議を頭から無視していることであります。特に疑問の多かった国鉄財政再建十カ年計画は、経済社会基本計画を土台として組み立てられたのでありますが、内田経済企画庁長官が明らかにしたように、経済社会基本計画はすでに難破しているのであります。この基本計画をもとにした国鉄十カ年計画であり、運賃値上げであります。崩壊した土台の上に家は建たないはずであります。根拠を失った運賃値上げは、延期するのではなく、撤回して出直すべきであります。そして大企業中心の国鉄経営のあり方を改め、民主的な国民の国鉄とする再建計画を確立すべきであります。  悪性インフレの今日、国民生活安定のために運賃値上げを撤回すべきであること、運賃値上げ撤回による歳入欠陥は、政府が一般会計によって補充すべきであること、国鉄再建十カ年計画を撤回して出直すべきであること、以上三点を中心にし、提案されている本法案に対する反対の意見を述べ、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党、民社党が共同提案した修正案を採択されるよう強く要望し、討論を終わります。(拍手)
  337. 三池信

    ○三池委員長 梅田勝君。
  338. 梅田勝

    ○梅田委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、内閣提出国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建特別措置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案に反対し、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党の四党による共同修正案に賛成する立場から討論するものであります。  法案反対理由の第一は、政府提案が成立すれば、運賃値上げは六カ月間凍結されたとしても、六カ月後には不当かつ大幅な運賃値上げが実施され、今日狂乱物価といわれるインフレにさらに拍車をかけ、国民に塗炭の苦しみをもたらすという点であります。  周知のように、田中内閣は、一昨年七月、アメリカに追随し、大企業の利益追求を使命とし、七 ○年代、さらに八〇年代に向けて、国民を犠牲にした大企業本位の一そうの高度成長をはかるために歴史の舞台に登場したのであります。  しかし、日本列島改造論のもたらしたものは、土地、木材、石油からトイレットペーパーに至るまでの大企業による買い占め、売り惜しみであり、諸物価の異常な高騰であったことは何びとも否定できない事実であります。したがってほんとうに物価の安定を望むのであれば、公共料金や独占価格のつり上げを許さず、大企業本位の巨額の公共投資やインフレ、財政政策を直ちにやめなければなりません。  しかるに、政府は、真剣にそのような対策はとらず、物価抑制に資するためと称して、わずか六カ月の延期にとどめようとすることは、六月の参議院選挙を前にして、国民の批判をおそれたごまかしにすぎないといわなければなりません。  反対理由の第二は、運賃値上げそのものの不当性であります。  この点については、すでに前国会で徹底的に究明されたものでありますが、減価償却方式の変更という経理操作による赤字づくり、国鉄財政規模を無視した巨大な設備投資による借金と利払い、黒字の旅客に値上げ負担の八割を押しつけようとしながら、大企業や米軍の貨物には手厚い割引の出血サービスを相も変わらず続けているのであります。したがって、施行期日を多少延期するからといっても、この不当性に何ら変更が加えられるものでないことは明白であります。国民がいま切に望んでいるのは、われわれの共同提案になる修正案を成立させて運賃値上げをもとへ戻し、合理的な運賃体系を全面的に再検討することなのであります。  最後に、重要なことは、政府の提起した国鉄財政再建計画が早くも破綻し、全面的な再検討が迫られているにもかかわらず、何の反省もなく、国鉄の真の再建を示す展望もなく、逆に、国鉄を民営移管にしろというような無責任な放言が行なわれ、国鉄をますます国民から離し、ますます大企業奉仕の道具にしようとしている点であります。  国民は、このような暴論を絶対に許すものではありません。国民は生活に密着した快適な国鉄を望んでいるのであり、大企業本位の運賃体系の抜本的な改革、公共交通機関にふさわしい費用負担原則の確立を求めているのであります。  以上、私は三点にわたって理由を述べ、十月一日からの運賃値上げ法案に反対し、運賃値上げの白紙還元を求める四党共同修正案の成立を訴えて、日本共産党・革新共同を代表しての討論を終わります。(拍手)
  339. 三池信

  340. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 私は、公明党を代表して、国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案に対し反対の討論を行なうものであります。  この法律案に反対する第一の理由は、運賃値上げをわずか六カ月程度延長したからといって、現在のインフレ高進を抑制できないといわざるを得ないからであります。高度経済成長政策に端を発する最近の物価上昇は、昭和二十六年六月の朝鮮動乱当時に匹敵する異常事態となっており、このため国民は日々の物価高騰に苦しみ、その生活は急速に破壊されようとしています。しかも、先般行なわれた石油製品価格の引き上げや生活必需物資の高値凍結に見られる、いわゆる政府のいうインフレ抑制政策は、かえって昨年末の石油危機を契機とした物価狂騰にますます拍車をかけ、第二波の物価高騰を招来しようとしています。  またさらに、電気料金や非鉄金属類の大幅値上げも予定されているところであります。このような断続的な値上げ実施に追い打ちをかけるように、十月に国鉄運賃値上げが行なわれるならば、国民生活はまさに極度の危機に瀕することは明らかであります。  インフレ抑制には公共料金値上げを押えることが最も効果的な対策であり、政治的にも制御が可能なところに大きな特徴があります。政府は、インフレで苦しむ国民の声に率直に耳を傾ける姿勢があるならば、国鉄運賃の凍結をはかるべきであって、それをわずか六カ月程度延長し、国民の批判をかわそうとする姑息な手段はとるべきではありません。  反対する第二の理由は、ただいま審議中のこの法案は、昨年の国会において、国民世論の強い反対にもかかわらず成立したものであり、本質的には国鉄財政の危機を回避するという名目で責任を国民に転嫁しようとするものであり、絶対に認めるわけにはいかないのであります。  今日、国鉄財政の危機を招いたのは、政府が将来の見通しを誤って独立採算制に固執し、国鉄に借り入れ金政策を強要し、その結果膨大な支払い利息の増大をもたらし、これが赤字経営の要因をつくったのであります。また、会計学的にも不確定的な総合原価主義の名のもとに、政治的運賃を策定し、国民に負担を強要しようとする再建計画は、国鉄の真の再建とはなり得えず、かえって五十七年には二兆六千億の累積赤字を残す結果となるのであります。この再建計画を前提とする本改正案には賛成できないのであります。  第三の反対理由は、国鉄再建に取り組む国鉄当局の安易な姿勢が一向に改められていないからであります。  前国会において、国鉄の企業努力について取り上げ、その指摘に対し国鉄当局がどのように改善することに努力しているか、この一年間見てまいりました。しかし一向に改められていないのが実情であります。すなわち、前国会でわれわれが指摘したごとく、国鉄の未利用地の活用、国鉄経理の明確化、その他関連事業の適正な運営、サービスの改善等々の諸問題を解決せずして、国民の共感を得る国鉄再建への道を開くことはできません。  今後、国民のための国鉄としての使命を果たすためにも、運賃値上げ以前の問題として、まずその体質を改むべきであり、この努力がなされない限り、国民の合意を得た国鉄再建の見込みは皆無であることはあまりにも明白であります。  最後に、政府は国民生活の窮状を直視し、インフレ、高物価から国民を守るために、本法案を撤回し、野党四党が提出する修正案を採択すべきであることを強く要求して、私の反対討論を終わります。(拍手)
  341. 三池信

    ○三池委員長 河村勝君。
  342. 河村勝

    ○河村委員 私は、民社党を代表して、国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建特別措置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案について反対の討論をいたします。  昨年成立した本法案についてのわが党の反対の理由は、国鉄財政の実態から見て運賃改定の必要があることは認めるが、インフレの燃え盛るさなかに、心理的に大きな波及力を持つ国鉄運賃を上げることは避けなければならない。その間に生ずる欠損は国が補てんすべしということであった。したがって、今回提出の法案が、物価狂乱の現状にかんがみて、国鉄運賃法改正の施行を当面延期し、欠損は不完全ながら国が補てんしようとすることに対しては、一応賛意を表するものであります。  しかしながら、法案質疑を通じて明らかにされたところによれば、本法案はあくまでも六カ月の有効期間に限定され、インフレの動向いかんによってその後の事態に対応しようという政府の意思のないことはきわめて遺憾にたえません。  よってわが党は、本法案に対して反対の意思を表明します。(拍手)
  343. 三池信

    ○三池委員長 これにて討論は終局いたしました。  これにより採決いたします。  まず、児玉末男君外三名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  344. 三池信

    ○三池委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。  次に、原案について採決いたします。  国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案について賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  345. 三池信

    ○三池委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  おはかりいたします。  ただいま議決いたしました本案の委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  346. 三池信

    ○三池委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  347. 三池信

    ○三池委員長 この際、運輸大臣から発言を求められておりますので、これを許します。徳永運輸大臣
  348. 徳永正利

    徳永国務大臣 ただいまは、国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案について、慎重御審議の結果、御可決をいただきまして、まことにありがとうございました。(拍手)      ————◇—————
  349. 三池信

    ○三池委員長 次に、臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。久保三郎君。
  350. 久保三郎

    久保(三)委員 臨時調整法について、先般運輸大臣おいででないので、短い時間でありますが、運輸大臣を中心にして一、二お尋ねしたい。  一つは海運政策についてでありますが、海運政策というのは、従来ともすれば計画造船の量を中心にしてきめてこられたことは御案内のとおりであります。この成り行きについていまさらいろいろ申し上げる必要はございません。功罪それぞれあるわけであります。いまや、そういう計画造船を中心にしての海運政策ではもはや持っていけない。というよりは、計画造船そのものも転換すべき時期に来てはいないかというのが、てまえども考え方であります。  そこで、先日も運輸省当局からお話を伺ったのでありますが、海運政策の目的というか、それは、言うならば安定輸送である、こういうことに尽きるようであります。国際収支の問題は、国際収支がまた逆転しておりますから、あるいは逆転がずっと続けば、国際収支の改善ということも考えるのかしれませんが、いまではやはり安定輸送ということ。そこで安定輸送は、単なる輸送があるわけではなくて、日本国にとりますれば、安定輸送というのは、安定して資源を手に入れると言ったら語弊がありますが、運んでくるという、いわゆる資源を確保する、安定確保の問題が中心でありまして、その確保の一つの方便として輸送があるというふうに考えれば、輸送も確保も含めて考えねばならぬ時代に来ております。  そういう意味で、これからの、いま策定中だそうでありますが、従来の方針を踏襲することではなくて、一つにはいま会議中だと思うのでありますが、発展途上国からの要求が中心となったUNCTADにおけるところの海運憲章の問題一つとってみましても、これは単に発展途上国の権益を伸ばしてやるという、そういう観点からではなくて、資源確保の問題を含めてわが国はやはり国際協調が第一にならねばならぬと思うのです。そうだとするならば、しかも安定輸送のためには一〇〇%積取比率を高めることができるかというと、これは不可能に近いと思うのですね。どっちにいたしましても、よその国の協力を得られなければ、わが国としては安定輸送そのものも不可能なことは自明の理であります。  そこで、いままでのような海洋自由というか海運の自由、そして航路同盟に結集してやっていくという方法は、もはやそういう意味からいっても安定輸送の方向ではないようにわれわれは思う。そういう意味で、発展途上国というか世界全体を一丸となった安定輸送の方法を考える時期だと思うのです。そういう方向でUNCTADにおいてわが国の代表は主張すべき筋合いだと思うのでありますが、従来からの行きがかりを見ておりますと必ずしもそうではない。先般海運局長答弁の中にもちらっと出てまいりましたが、発展途上国は力いまだしのものがたくさんある。だから、権益は尊重するにしても、残念ながらそのとおり認めるわけに現在はいかぬような話をしている。しかし、権利は権利とし、これは認めるのが当然だと思うのですね。そこにやはり認めながらも協調していくということを考えなければならぬ時代なんですね。そういうことを中心にして考える事態だと思うので、航路同盟については、新たな観点から、われわれは国際協調の線にこれを発展させる方向がまず第一に中心的な柱であるべきだと思うのですね。  それから、もう一つは、日本海運というか、日本の船社を中心にした問題でありますが、これは言うまでもなく船腹拡充以前の問題として、なるほど中核六社に集約をいたしました。この集約についての功罪も幾つかあります。だからわれわれは、いままで六社に集約したそういう形を未来永劫固執するのではなくて、時代に即応した形で海運の問題を発展させることが必要だというふうに考えている。それは言うまでもありませんが、いま問題になっているのは、やや成功だと思うのは、定期船の中でもコンテナ船の一部だろうと思うのですね。それ以外は残念ながらそう評価すべきものはない。むしろマイナスの面もあるかもしれない。  そこで、定期船、ライナーの問題でありますが、これはもっと協調を進めていく。いまコンテナ船ではスペースチャーターというかそういうものが多少協調の線のようでありますが、さらに配船調整まで考えていく。さらに、もう一つ進んでいくならば、航路調整まで進むべきだと私は考えている。これは数年前にも私はこの席で主張したのでありますが、当時は受け入れる人は一人もありませんでしたが、もはやこの時代においてはそういう問題を中心に考えていくべきだと思うのであります。  それからもう一つは、タンカー並びに専用船でありますが、これは先般も簡単にこの席で申し上げましたが、やはり一つの専門化していくという方向をたどるべきだと思うのですね。そういうことを中心にして、一つには海運政策をやっていく。もう一つは、これも先般申し上げましたが、いわゆる船員雇用の安定の問題であります。この雇用の安定の問題は、従来は計画造船というか、そういうものを中心にした海運政策ができてから、言うならば需給の計算をしていくというか、策定をしていくということでありまして、今日ではそういうものが必ずしも当てにならぬ。大臣御承知のように、海外売船の問題がある、あるいは便宜置籍船の問題が出てきているというようなことになりますと、必ずしもこれから新しく策定されるであろう計画造船の量で船員の需給をはかることは不可能に近い、というよりは問題がある。現に問題が出ていますね。だから、そういうものはいわゆる船員需給の問題も中心の一つとして考えて、その上で便宜置籍船をどうするか、海外売船をどうチェックしていくか、こういうことがなければならぬのであります。  ところが、いま仄聞するところによりますと、海造審の中で審議しているようでありますが、便宜置籍船の数を何かワクでもきめようかという話がちらほら出ているというふうにも聞いているのであります。間違いならけっこうでありますが、もしもそういう話が出るとするならば、これは本末転倒もはなはだしいやり方だと思うので、これはチェックしていくということだと私は思っています。いずれにいたしましても、そういう方向でのみ海運政策というのはとるべきだと思うのでありまして、従来のような船腹増強のための海運政策であってはならない。そういうふうにはならないんですね、売船してしまうのですから。片方では計画造船——つくりながら古い船というか、そういうものはどんどん持っていく、こういうことのやり方は、御承知のように東南アジアで外交が失敗している一つ原因も、そういうものが出てくることは当然だと思うのですね。  それからもう一つは、貿易構造が変わってくる。スエズ運河は再開ですね。そうなりますれば、世界海運というか、国際海上全体の船腹の問題にも関係してまいります。それから海運市況の問題でも問題になってきます。そういうものがある。それから、日本を中心にした貿易構造は、御案内のとおり中国並びにソビエトとの関係がさらに緊密になっていくということですね。そういうことになりますと自然変わってくるのでありますから、よほど腰を据えて、いま私が幾つか並べたものを含みながら海運政策を策定すべきだと思うんだが、いかがでしょうかということなんです。  たいへん長い話になりましたが、時間がありませんので、自分の考えを先に申し上げましたが、いかがでしょうか、こういうことであります。
  351. 徳永正利

    徳永国務大臣 いま答弁資料をやろうと言いますけれども、率直に私の感じを、いま御指摘の点について申し上げたいと思います。  計画造船の功罪につきましてはいろいろあるけれどもいまは言わぬということでありますが、戦後あの荒廃の中から立ち上がった功罪ということにつきましては、私は功のほうを大きく認めたいと思う次第でございます。  それから、海運政策の基本は、貿易立国の日本でございますから、どうしても安全な、安定した輸送ということが基本にならなければならないと思っております。それがために、いま幾つかの事例を御指摘いただきました。私もそのように考えております。  それから、ただ船の量と船の質だけよければそれでいいというわけにはまいらぬと思います。船乗りというものは最低五年はかかるわけでございます。一つのもやいを結ぶのにも、あるいは一つのカッターを動かすにも五年はかかるわけでございます。そういった優秀な船員というものがこれに伴わなければ、安全な安定輸送というものの確保はできない。海運の基本はそういうところにあるのではなかろうかと思う次第でございます。  そこで、いま御指摘のございましたそういう者を養成し、あるいはまた訓練し、あるいはまた助成いたしまして、基礎づくりをまずやっていかなければならぬと思いますが、その上で御指摘の国際協調の問題でございます。御指摘がございましたように、自分の船で自分の国の船員を乗せてこれを運航するというのが一番いいことでございますし、基本にならなければならないと思います。そういうようなところから、資源の問題にいたしましても、あるいは御指摘のございました後進国の主張の問題にいたしましても、いろいろな点から、やはり国際協調ということは、私は後進国の諸君の言うことにも耳を傾けて、その上で十分日本の国益を考えて処置していくべきものだと考えております。  また、定期船、コンテナ船あるいは航路調整のところまで配慮しなければならぬのじゃないかというお話でございますが、この点につきましても、御指摘の点につきましては、私は十分傾聴に値する御議論だと思っております。  また、貿易構造の変化ということも、スエズ運河を二十三メートル深く掘ろうという伸長の計画がございます。日本からもその計画に参加しているわけでございますが、二十五万トンのタンカーがそこを通るようになりますと、七十五万トンのタンカーがケープタウンを回るのと匹敵する輸送量というものが出てくるわけでございまして、そういう意味におきましても、貿易構造の変化というものに十分配慮し、注意してまいらなければならないというのはお説のとおりでございます。  また、海外売船の問題は、これは頭から一がいにこれを否定するわけにもまいらぬと思いますけれども、船員雇用の問題にいたしましても、あるいはやむを得ぬ面もあるかもわかりませんけれども、雇用問題等を中心にいたしまして十分な配慮の上、こういう問題は処置してまいらなければならぬと思います。その点につきましても全く私は同感でございます。  それから、便宜置籍船の問題につきまして、審議会においていま議論が出ているということは寡聞にして私はまだ耳に入っておりませんので、海運局長から答弁させることにいたしたいと思います。
  352. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 いま大臣から御説明申し上げましたことに尽きますが、残った点を私からちょっと補足させていただきます。  開発途上国の関係については、私先般説明がちょっと不十分でございました。私ども現在ジュネーブで主張しておりますところは、たとえば五十、五十とか四十、二十、四十とかいうことを、各航路でそれぞれ特性もございますので、完全に算術的にきめてしまわないで、各航路の特性に応じてそれぞれ話し合いをしようじゃないかということがわがほうの主張でございます。それは柔軟性を多少持たせたいということでございまして、決して開発途上国との協調をおろそかにしているというのではございませんから、その辺御承知をいただきたい。  それから、残りました便宜置籍船の問題は、これは便宜置籍船と申しまして二つにまず分けられると思うのですが、一つはリベリアその他の五カ国に置籍をしている船をどういうふうに取り扱っていくかというような国際会議の場での相談でございますので、わが国がひとり、もうあすからリベリアのタンカーは一隻もチャーターしないというわけにはまいりません。これは国際的な会議の場で便宜置籍船の功罪を論じて、世界じゅうがやめようじゃないかということになったら、当然それはやめるべきであるということを考えております。  それから国内的な便宜置籍船の問題としては、何かワクというお話がございましたが、これは私は先生お話、ちょっと理解ができなかったのですが、海運造船合理化審議会で何かかってなワクを設けてどうこうしようというようなことは全然ございません。わが国の便宜置籍と申しますのは、輸出仕組み船などが、わが国の資本の支配力を持っておって、その子会社がさらにリベリアに籍を置くという場合がございますので、そういった面での功罪が論じられていくべきであって、これは十分また海運造船合理化審議会の場でも御審議をいただこうと思っております。
  353. 久保三郎

    久保(三)委員 時間でありますから、もう一言だけ申し上げておきたいのですが、私から申し上げたのは、大半運輸大臣は御了解いただいたと思っておりますが、もう一言つけ加えて言うなら、いままでの海運政策というのは、先ほども申し上げたように、海運自由の原則、自由か不自由かは別にして、そういう表現でとられている航路同盟を中心にしたもの、そういうものですね。いわゆる国際カルテルが許されるような立場で片方はやってきた。片方はまた別な形で自由にやれる、いろんなものが入っていますが、しかし、そういう時代じゃなくて、発展途上国から意見があるからどうこうじゃなくて、これからは国際協調ということになりますれば、どうしても政府の政策介入というか、そういうものがなければうまくいかない時代のように私は思うのであります。そういう点からいって、発展途上国の主張もやはり時代であるなという感じが私はするのであります。そういう意味で、われわれは、今後日本の海運政策というか、国際場裏におけるところの主張としてそういうものを基本に考えていってもらいたい、こういうふうに一つは思います。  それからもう一つは、仕組み船なり売船のことでありますが、そういうワクについてお話し合いがしていなければけっこうでありますが、私は、少なくとも中核六社は、日本の船員に雇用の安定を欠くような形でのやり方で、それが国際競争にうちかつためだということでは、残念ながらいままでの中核六社を中心にした助成の問題にもかかわり合いが出てくると思うのですね。そういう意味からいっても、日本の船員が雇用の不安定を来たすような売船は十分にチェックする、あるいはそれと同時に新造船についても、はっきりいってこれは押える。それぐらいの気がまえがなければ、安定をなし遂げることは不可能であろうというふうに思うので、十分ひとつ考えてほしい。  それからもう一つ申し上げたいのは、船腹拡充もそういう意味考えなければならぬのであって、国際競争力をどういうふうにつけるか、特に、いまも話がありましたように、リベリアその他に便宜置籍する、あるいは海外に商社を持つ、いわゆるペーパーカンパニーか何かわかりませんけれども、そういう会社を中核六社は四十何社持っているわけですね。それがいい悪いは別にして、最近多国籍企業の問題の功罪というか、それの罪のほうがあげつらわれている世の中であります。そういうものも含めて、やはり海運政策として抑制するものは抑制する、正しく発展させるものは発展させるというふうに仕分けをしなければならぬ時期だと私は思うのです。ただ単に海運は違うのだといって、便宜置籍船というのは昔からあったのだ、最近の商社のようなやり方とは違うのだ——同じですよ、先べんをつけたのはね。船会社のやり方をほかの商社なり何かが見習ったのじゃなかろうかというふうにさえ私は最近疑っているのであります。だから、そういう意味で、もはやこれは時代が過ぎたものだからやめていくというかっこうだと思うのですね。そのためにも国際協調をもっと緊密にやっていきたい、こういうふうに私は思う。  時間でありますから、以上申し上げて、私の要望を兼ねての質問を終わります。
  354. 三池信

  355. 紺野与次郎

    ○紺野委員 きょうは大臣質問いたします。この間は十分局長さんその他に質問いたしましたから、わが国海運造船の基本的な問題に関して、大臣質問いたします。  第一点は、特に、一九六〇年代から大企業の高度成長政策が政府の基本政策として一貫して追求されてきたわけですが、現在その矛盾が爆発して、狂乱物価、公害の激発となって、国民の命と暮らしを破局的な状態におとしいれている。ここで特にわれわれが指摘しなければならぬのは、日本の海運造船においても政府の高度成長政策が基本的に貫かれてきているということであります。しかし、私のこの間の質問の中でも指摘したとおり、二十数年来続けられてきた計画造船というものが、幾つかの段階を経て変身してきているということですね。事の本質は貫いているけれども、変身してきている。より狂暴になったというか、非常識になったというか、ときには反社会的なものをやるように変わってきているということです。  昭和三十六年、一九六一年以来、重化学工業の高度成長に不可欠な大量の燃料、原料等を安価に安定的に輸送する目的で、タンカーをはじめとする大型船の膨大な船腹の建造に政府の利子補給、国民の税金一千億以上、また、一兆円以上の膨大な財政投融資等々が注ぎ込まれましたが、昭和三十九年からは、今度は中核六社に対してこれが集中して集約的に投入された。その結果として、世界的な大企業となった海運中核六社、それから七つの大造船企業が出現をしてきたということです。ところが、こういうふうになって自分の足でいわば大きく立ち上がり、どこでも濶歩するようになった海運造船が、昭和四十五年、依然として、このときの海造審以来引き続いて、大企業のための計画造船をねだる、継続する、と同時に、今度は海外進出ということをもって、仕組み船、便宜置籍船、海外売船とチャーターバック等で、非常にばく大な用船を使うという方針をとり始めました。  そこで、大臣にお聞きしたいことは、海外投資で国籍だけほかに移しているところのこれらの便宜置籍船や仕組み船、売船によるチャーターバック、こういうものは、非常に巧みに行なわれた脱税行為ではないかということなんです。国の税金あるいは資金、いわばこれをばく大に投資したわけですけれども、今度は大きくなった。ところが、現在国に対する税金は免れるという巧みな方法として、仕組み船とか便宜置籍船とか売船、こういうことをやっているということは、国民に対して許しがたい行為ではないかと思うのです。国民感情として納得いきません。この点、大臣に御質問したいわけです。  第二点として、このような大企業の計画造船というものについて、いま国民は批判をしつつある。そして、ときあたかも大企業の資源浪費型の産業構造というか、そういうものに無条件に奉仕してきたところのいままでの海運、造船政策というものそのものを改める、反省する、そうしていままで日の当たらなかったところの内航を中心とする中小海運に対する助成を大幅に増加すべきではないかというふうに考えるのですが、まずこの二点について大臣考え方をお聞きしたいと思います。
  356. 徳永正利

    徳永国務大臣 第一点の海運会社が海外投資によって利益を海外に逃避させているのじゃないか、それが仕組み船あるいはチャーターバックあるいは売船等によって現実にその姿が出てきているのじゃないかという御指摘のようでございますが、まあ私は、日本船に日本船員が乗るというのが一番いいことだと思います。その次にはやはりこの仕組み船というようなものは、外国の資本を持ってきてやるわけでございますから、そして借りて運航するというのでございますから、次にはそのくらいのところがいいところじゃないかと思うのでございますが、いろいろな段階はあろうと思います。しかしながら、いま御指摘のような仕組み船は、御承知のように日本の利子補給とかなんとかいうようなことはやっておりませんから、あるいはチャーターバック船等におきましても、そういうような問題はないんじゃないかというふうに考えるわけでございます。海運会社によって現在海外投資は、国際的な情報収集の活動、用船・集荷活動の強化や長期に安定して使用できる外国用船を確保するための海外船主との合弁事業等を目的としたものでございますから、これによって海運会社が利益を海外に逃避させるかどうかについては、もう税務当局も常に厳重にチェックしているところでございますので、これまでに逃避させているということはないんじゃなかろうかというふうに思うわけでございます。  それから第二点でございますが、中核六社を育てるためにいろいろな計画を進めておるじゃないかということでございますが、決してそればかりではないわけでございます。中核会社に片寄った助成が行なわれたというような事実は私ども考えないわけでございます。中小船主が単独で造船する場合もございますし、最近の船型の大型化あるいは船価の上昇のために、単独建造の能力がないときには、中核会社との共有方式によって建造しているという事実はございますけれども、決して片寄ったてこ入れというものはやってないつもりでございます。
  357. 紺野与次郎

    ○紺野委員 中小海運会社を六社が系列化して、そうしてこれを売船する、つぶしてしまうのですねそして外国の船籍にしてチャーターバックをする。そういうような点から見ても、中小海運はやはりつぶされていっているのです。どんどんつぶされていっている。現に三十九年から以降の造船計画は六社に対して集中するということをやってきたわけであって、そういう点からいってもいままでのやり方は、中小海運業者を泣かせて略奪するみたいなやり方で、つぶしてまででも売り飛ばしてしまうというふうなことでいろいろ犠牲をこうむっているのであって、この日の当たらない中小海運、こういうところにもっともっと、いままでも少しはしたでしょう。しかし、もっと多くの国からの資金の援助をやるとか何かをやってそこに力を注ぐことが大切じゃないのか。大きいところはもう大きなものになっていますよ。まだこれに続けるということよりも、しかも彼らはいままでの資源浪費型ですよ、何十万トンのタンカーをたくさんつくって、そうして大きければ大きいほどいいというふうなやり方の海運だったと思いますけれども、そういう点でも反省が必要であるし、そういう点で重ねて中小海運に対してもっともっと多への援助を与えるべきではないかということですね。  それから、やはり便宜置籍船その他においてもそれを日本で用船するのですね。しかも形は紙の上のペーパー会社だといわれております。多くのペーパー会社があって、そして実際は税金を免れるという大きな効果をせしめているのですね。そういうものを厳重に調べて、そうしてそれに対する規制をするということが私は必要だと思う。もう一度お願いします。
  358. 徳永正利

    徳永国務大臣 ペーパーカンパニーと申しますか、そういうようなことにおいてもしも利益を逃避させ、またくらますというようなことがあるとするならば、これはまことにけしからぬ話でございまして、私どもも十分注意してまいらなければならぬことでございますし、また税務当局等においても連絡をとって、そういうことのないような努力をしてまいらなければならぬと思います。  それから中小業者に対してもう少し手厚くやるべきじゃないかというお説でございますが、いままで決して手薄にしたということではございませんけれども、中小業者に対する手厚い援助と申しますか、助成と申しますか、そういうことについては私も賛成でございます。
  359. 紺野与次郎

    ○紺野委員 大きな第二問として、いまの問題と関連いたしましてやはり海員問題ですね。発展途上国の低賃金労働者をどんどん利用してコストの高い日本船員はこれを置きかえていくという方針をとっておりますから、そういう点で雇用問題が第一。やはり日本の海員の雇用問題は死活の問題でありますから、これをチェックするということ。それからもう一つは、雇用問題だけじゃなくて、日本経済の自主的な国民的な発展という見地から見ても、日本の健全な海員をわれわれが大量に保存しておくということは非常に大切な点ではないかというふうに私思います。そういう点で、最近非常に海難が多い。それを調べると、日本の近海で実情を知らない東南アジアその他の船員さんが運航してそういうことが起きているという事情も指摘されております。こういうこともあって、やはり海運界としては、以上の点で優秀な日本船員を切り捨てるという政策をとりつつありますから、それに対してしかるべき措置をとるべきではないかということです。
  360. 徳永正利

    徳永国務大臣 船員の養成なりあるいは訓練なり、そういう点につきましては、今後も十分な配慮と努力を続けてまいらなければならぬと思います。  なおまた、売船等によって雇用関係が乱れるということのないように、売船にあたりましては、その雇用の問題を十分話し合いの上で先に始末をして、話をつけた上でまいらなければならないということはもうお説のとおりでございまして、今後もそういう点につきましては十分配慮してまいるつもりでございます。
  361. 三池信

    ○三池委員長 松本忠助君。
  362. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 大臣にお尋ねをいたします。  去る十九日に、臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案審議をいたしました途中におきまして、大臣は当日欠席でございましたけれども、政務次官と船舶局長答弁に食い違いが見られました。そのことはすでに大臣も報告を受けていらっしゃると思うわけでございますが、御承知のように、本法は昭和二十八年に第十六国会において全会一致で可決された法案でございます。その後第一次から第五次まで改正がございまして、現行法では昭和四十七年十一月の第七十国会において有効期間を五十年三月三十一日まで延長したのでございます。  そこで、すなわち臨時立法であったわけです。これが今回の改正案によりますと、従来のような確定した日を切るのではなくて、半ば無期限ともいえるものになるわけであります。趣旨説明によりますと、その有効期限をいわゆる「国際海運に従事し得る船舶の建造の需給の動向等に照らして、船舶の建造についての調整を行なわなくともわが国の国際海運の健全な発展に支障を生じないと認められる状態になるまで延長する」こういうふうに日限が切られてない状態になったわけでございます。  また、さらにこの法律を廃止する時期はいつかといいますと、「この法律は、船舶の建造調整を行わなくとも我が国の国際海運の健全な発展に支障を生じなくなったときに廃止するものとする」こういうふうに期間も、それからまた廃止の時期もまことに不確定になったわけでございます。いままで法の改正のたびごとに日限が切られていたものが、今回は日限が切られないという重大な問題がございます。  そこで、その問題について私が質問いたしましたのは、そのことを認めるのは一体だれなのかということであります。そうなると、時限立法として成立した本法が、本来の趣旨を離れて半ば永久的なものになってしまう、そのことを認めるのは一体だれなのか、こういう質問をしたわけでございます。そのときの政務次官と船舶局長の答えに食い違いがございましたので、ひとつ大臣からあらためてきちっとした御答弁をいただいておきたいと思うのでございます。
  363. 徳永正利

    徳永国務大臣 この臨時法につきましては、時限立法でいろいろな経過をたどってきたのは、それぞれにそれぞれの意味をもって延長してまいりました。そのことはいま御指摘のとおりでございます。  ところで、これは恒久化するじゃないか、恒久化というわけでもございませんが、一応廃止の時期等についてだれが一体やるのかというお尋ねでございます。これはやはり政府が、この廃止の時期につきましては法案を提出いたしまして、国会の御意思によってこれを決定していただく、こういうことになるわけでございます。したがいまして、すべての法律もそうでございますけれども法律の廃止等につきましては、いままでもいろいろな例もございますし、私どももその前例にならうことになると思いますが、元来この造船というのはこれは競争させて——こういう法律かないのが一つやり方だと思います。しかしながら、いろいろ多様化、あるいはいろいろな問題を含んでおりますから、当分の間ひとつ計画造船でいこうという他意ないことでありまして、これの廃止につきましては、あらためて法律を提出いたしまして、国会の御意思によってその去就をきめてまいりたい、かように考える次第でございます。
  364. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そのときも問題になったのは、要するに政府のほうから提案してくる、しかしわれわれのほうとしても、その状態がわからなければ困るので、各種のそういった検討の資料というものを逐次出してもらいたいということをお願いしたわけでございます。それについても提出するというような御意向が示されたわけでありますが、この点も確認をしておいてよろしいわけですね。
  365. 徳永正利

    徳永国務大臣 御指摘によりまして、いつでも提出もいたしますし、また国会においてこういう点について御報告もいたしたいと思います。議員立法においてこの法律を停止させていただくということももちろんあるわけでございまして、私どももそういう点もよく御相談いたしまして万全を期してまいりたいと思います。
  366. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それでは、最後でございますが、大臣も御承知のように、わが国の造船工業というものはいわゆる世界のトップレベルであります。非常にすばらしい技術を持っているわけでございますし、また優秀な技能者を数多くかかえております。そしてまた、さらに豊富な労働力を提供できるというような、日本の恵まれた造船工業の状態でございます。こういう点から考えまして、将来のわが国の造船工業の見通しと申しますか、将来どういう方向に持っていくべきであろうかという大臣考えをお示しを願いたいと思います。
  367. 徳永正利

    徳永国務大臣 お話しがございましたように、日本の造船技術あるいは設備あるいは労働力というものは、非常に高度なものでございまして、諸外国からのいろいろなそういう面における注目と申しますか、あるいは受注等におきましても世界に冠たるものであることは御指摘のとおりでございます。  したがいまして、今後の造船政策というものは、やはり何と申しましても国際協調の上に立って、この日本の力、企業力というものを保持しつつ、さらにまた伸展させていかなければならない、かように考える次第でございます。
  368. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 以上で終わります。
  369. 三池信

    ○三池委員長 河村勝君。
  370. 河村勝

    ○河村委員 たいへん時間もおそくなりましたので、ごく簡潔に大臣の所見を最終的に確認をしたいと思います。  この法案は、計画造船を中心とした海運政策と表裏をなす法案であります。したがって、海運政策が変われば当然これはなくなるなり変更されるべきものだと思います。  そこで、今度の法案ですが、一見何か恒久化とまではいかなくとも、だいぶ先まで延ばすような感じを受ける改正案であります。しかし、先ほどからいろいろな角度から言われておりますように、日本の海運政策が一つの転換期に来ていることだけは間違いないのですね。ですから事によったら、わが国の国際海運の健全な発展を考えても、もうなくてもいい時期に来ているのではないかと思われる時期です。ですからこれを当面、計画造船も来年まで続いているわけですから、さしあたり延ばすことはこれはやむを得ないでしょうけれども、少なくとも今明年ぐらいの間に、ほんとうに新しい情勢に即した海運政策をつくって、それによってこの法律を改廃すべきものであるというふうに考えておりますが、大臣の所見を伺いたい。
  371. 徳永正利

    徳永国務大臣 来年、二、三年で廃止したらどうかというお話でございますが、これはやはり海運政策ともからんだ問題でございまして、船種・船型等多様化してまいっておりますし、LNG船等も、もう現在十四隻も世界の中を回っておりますし、いま計画中でも世界には四十隻あるというのに、まだ日本は一隻も持たないというような現状でございます。したがいまして、そういう面等の問題もまだまだ私は計画造船によって、ひとつ世界の海運におくれないような立場をとっていかなきゃならぬのじゃないかというふうにも考えるわけでございますが、本来造船の企業活動というものは自由であるべきだと思います。その点については、私も規制は最小限度にとどめるべきだというふうに考えるわけでございます。したがいまして、その根本的な考え方におきましては、河村先生と私は何ら変わることはないと思っておりますけれども、ここ一、二年ですぐこれの廃止につながるかどうかという点につきましては、なおいまからの実績を見た上でひとつ御相談させていただきたい、かように考える次第です。
  372. 河村勝

    ○河村委員 私は廃止だけを言ったのではなしに、改廃と言ったのです。それはいまあなたがおっしゃったように、計画造船にしても、LNG船あるいは高度の自動化船、そうした特殊なものだけに限定をしてそれでそれを助成をする、それの必要な限度においてこの法律も変えていく、そういう考え方ならばよろしいのですけれども、ただこれをそのまま持続するのはおかしい、こういう意味で言ったのです。  それで大臣、私は二つの点でもう計画造船そのものが変わらなきゃならぬと思っているのです。  一つは、ずっと問題になっております仕組み船とか、あるいはチャーターバックとかいう問題も、それ自体決して悪いことではないんですね。これはむしろ経済合理性の追求なんですよ。長いこと海運会社を過保護扱いにしている間に、海運会社はもうひとり歩きをして国際企業になろうとしつつあるのですね。だから、理由はそれは円平価の問題もあるだろうし、雇用上の問題もあるでしょう。いろいろあるけれども、とにかくそうしなきゃならなくなったからこういうことを始めたのですね。だから、それが国内の雇用問題に急激な変化を与えないでやれるなら、私はそれはかなりの程度にやるほうがむしろ合理的だと思っているのです。ただ一方で、計画造船という制度をちゃんと残しておいて、片一方で国でめんどうを見てもらいながら、片一方である船を売ったり、わざわざ、つくれるものを外国船籍にして、それをチャーターして使っておるからおかしいのですよ。だから そこまで来たらもうめんどうを見てもらわない、国からめんどうは見てもらいません、だけれども、仕組み船もチャーターバックもやりますよというのなら、それはそれでよろしいわけですよ、急激な雇用の変化がない限りは。だから、もうそこまで来ているわけです。だから、経済合理性の点からいって、いつまでもそう過保護であるべきものじゃないというのが一つなんです。  それからもう一つは、いま計画造船を積取比率の向上ということを目標にしてやっていましょう。だけれども、これはいま輸出船について五〇%、輸入については五四・三%というような目標をつけておりますけれども、実績が証明しておりますように、さらには、これから海運ナショナリズム、こういうものを考えていけば、積取比率は幾ら船をふやしても決してあがりません。そういう時期に来ているのです。それから船をふやそうと思っても、だんだん人が足りなくなります。日本じゅう人が足りなくなるので、いわんや船の仕事はたいへんです。だから、そんなにふやそうといったってなかなかふやせなくなるのですね。ですから、一生懸命計画造船をやって船をふやそうというのはそもそも無理だし、ふやしても積取比率はふえない、そういう情勢になってきているのですね。だから、そうした情勢に対応しなければならない、それにはいまの海運政策というのは転換しなければならない、私の考えというのはそういうことなんです。だから、非常に大ざっぱに言いましたけれども大臣の所見をお伺いしたい。
  373. 徳永正利

    徳永国務大臣 御指摘の点は私はよく理解できるわけでございます。片方で計画造船をやりながら、片方でどんどん売船をやって、まるで反対のことをやっているじゃないかという御指摘もよくわかります。理解できます。しかし、売船というのは過保護のためにできたというよりも、経済が成り立たぬ場合のやむを得ざる一つの策で、決して経済的に見込みのある新しい船をどうこうするというわけではございませんから、それにはそれなりの理屈はあろうと思いますけれども、しかしながら、その中核になるものは、日本船において日本の船員が乗ってこれをやるというのが基本にならなければならないと思います。したがいまして、そういう点につきましても今後十分な、いろいろなむずかしい面はあると思います。特に、船のことにつきましては、いろいろなむずかしい面がございますけれども、それを基本に強力に進めていく、この点に力を集中してまいりたいと思いますし、またそうなくてはならないと思います。  それから、幾ら船をつくっても積取比率は変わらないというお説でございますが、これはお説のように大きく五〇%あるいは五四・何%というような比率に持っていくまでには事実なかなかたいへんだと思います。とは思いますけれども、しかしながら、これから先の海運というのは、先ほど久保先生の御指摘もございましたように、やはり国際協調というものを基本においてやっていかなければならない時期に来ていると思います。これが政策転換であるかどうかということは別問題といたしまして、国際協調の段階にもう来ている。しかしながら、日本の国益というものは、貿易立国に立っております立場から、国益は十分配慮しつつ国際協調の線に移行していかざるを得ないのじゃないか、こういうふうに考えておる次第でございます。したがいまして河村先生指摘の点につきましては、十分今後とも配慮し、また注意し、また努力してまいるつもりでございます。
  374. 河村勝

    ○河村委員 終わりますけれども大臣、私の言ったことを誤解しておられる。私は、過保護だから仕組み船やチャーターバックができたなんと言ってないのです。過保護を与えているうちにいつの間にか成長して、もうゴジラかモスラくらいになってしまって、それでひとり歩きして、それで経済合理性を追求するようになった。その段階になったらもう過保護は不必要だ、あることが矛盾だ、こう言っているのです。ですから誤解のないようにお願いします。終わります。
  375. 三池信

    ○三池委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  376. 三池信

    ○三池委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。江藤隆美君。
  377. 江藤隆美

    ○江藤委員 私は、自由民主党を代表して、本案に対し賛成の討論を行ないます。  本案は、現在昭和五十年三月三十一日までとなっております本法の有効期間を、国際海運に従事し得る船舶の建造の需給の動向等に照らして、船舶の建造調整を行なわなくともわが国の国際海運の健全な発展に支障を生じないと認められる状態になるまで延長しようとするものであり、私は、本案に対し賛成の意見を表明しようとするものであります。  賛成の理由は、わが国の海運及び造船の現状を見るとき、本法の船舶建造調整の必要性がここしばらくの間、いまだ存続するものと判断されるからであります。  申すまでもなく、本法は、臨時法として昭和二十八年制定されましたが、その後、わが国の経済と国際海運の切実なる要請により、数回にわたり有効期限の延長の改正が行なわれて今日に至っておりますが、その間、本法により、わが国の外航商船隊の再建整備のため、激増する輸出船と計画造船を中心とする国内船との船台の調整と建造船舶の船質の確保がはかられ、戦後全く壊滅したわが国の海運は、今日では保有外航船腹量一千百八十二隻、三千六十四万一千総トンとなり、国民経済に多大の寄与をしているのであります。  しかしながら、世界有数のわが国海運をもってしても、その邦船積取比率の現状は、輸出で約二八%、輸入で約四一%程度であり、しかも逐年悪化の傾向すらうかがわれ、海造審が去る昭和四十五年当時目標値とした輸出五〇%、輸入五四%に及んでいないのでありまして、わが国経済を維持発展させていくためには、今後とも原材料を中心とする膨大な量の海上貨物の安定輸送をはかることができるよう、引き続き我が国商船隊を整備していく必要があるのであります。  一方、最近のわが国造船業に対する外航船舶の建造需要は非常に旺盛であり、特に外国船主の発注が国内船主の発注より先行しており、国内船の建造船台を適切に確保するには、現行の許可制の延長なくしては困難になる状況にあります。  さらに、建造船舶の船種・船型の多様化の傾向はますます増大している等、以上の諸状況を勘案いたしましたとき、私は、本法による外航船舶の建造調整の機能の発動を、わが国の国際海運の健全な発展に支障を生じないと認められる状態になるまで存続させる必要があるものと判断するものでありまして、本改正案に対し、賛意を表する次第であります。  なお、今回の改正が本法廃止の条件を明定しておりますことは、臨時法としての性格からして、適切な措置と考えるものであります。  以上をもって私の賛成討論を終わります。(拍手)
  378. 三池信

  379. 紺野与次郎

    ○紺野委員 私は、日本共産党・革新共同を代表し、臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案に対し、反対する立場から討論を行ないます。  私がまず第一に指摘しなければならないことは、政府はだれの利益のために日本の海運、造船業の育成強化をはかってきたかということであります。  政府は、計画造船によって、いままでに開銀融資一兆一千億円、利子補給金一千億円をこえるような資金を投入し、大資本本位の高度成長を保障するため、その原燃料輸送に必要な船舶の建造を一貫して行なってきたのであります。また、中核六社の海運独占企業を国がみずから育成し、それに対し海運助成を集中的に与え、その独占的支配を強めさせてきたのであります。しかも重大なことは、海運独占企業は、このような国民の血税と財政投融資を十二分に活用して、一方ではその資本力をバックに便宜置籍船、仕組み船の建造を行ない、さらに海外売船によるチャーターバック船方式によって海外進出を積極的に行なってきているのであります。海運独占企業のこのような新たな動向は、日本船員をいわゆる高いコストということを理由に船から追い出し、中小海運業者を取りつぶす反労働者的な、反国民的な行為を行なっていることは許すことのできないものであります。  第二に、政府の大企業本位の政策は、造船業界に対しても全く同様であって、輸出船建造に対する輸銀を通じる長期で低利の国家資金の投入は、この十年間でも一兆五千億にものぼっております。また、国内船建造には、計画造船による確実な市場を確保して、政府はその育成強化をはかってきたのであります。全世界建造量の約五〇%を占めている日本の造船産業をささえてきたものは、低賃金、労働強化、労働災害、下請労働の悪用など、劣悪な条件のもとで働いている造船労働者によることは明らかであります。  政府は、本法の実施によって大企業にはばく大な利潤を保証しながら、他方、労働者には非人間的な状態をつくり出して、平気でこれを見のがしてきている。このような政府の態度は全く許すことはできません。  以上のように、本法が、計画造船への融資利子補給法と相まって、これら独占企業奉仕の海運造船政策の根拠となってきたことは明らかであります。本改正案によると、これを事実上無期限に延期するものであって、これは独占企業奉仕の政策を無期限に持続させるというもの、それ以外の何ものでもありません。  以上の立場から、日本共産党・革新共同は、本法案に断固反対するものであります。(拍手)
  380. 三池信

    ○三池委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決いたします。  臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  381. 三池信

    ○三池委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  おはかりいたします。  ただいま議決いたしました本案の委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  382. 三池信

    ○三池委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  383. 三池信

    ○三池委員長 この際、運輸大臣から発言を求められておりますので、これを許します。徳永運輸大臣
  384. 徳永正利

    徳永国務大臣 ただいまは、臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案について、慎重御審議の結果、御可決いただきましてまことにありがとうございました。(拍手)
  385. 三池信

    ○三池委員長 次回は、来たる二十七日午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。     午後九時四十八分散会