○
久保(三)
委員 ところが、四十九年度
予算案、
国鉄の
予算案を見ますると、特に
国鉄の
新幹線網の問題にしぼりまして、その他の問題はございますけれ
ども、その
予算案についての、特に工事経費ですね。工事経費は御承知のように前年度並み、同じですね。六千八百億、うち五千五百億が在来線の増強、残り千二百三十億ですか、そういうものが
新幹線の整備に入っているわけですね。それで提案の
予算の
説明の中でも「東北
新幹線の建設及び整備
計画中の
新幹線の建設に着手する」こうなっておりますね。そうしますと、去年の十月にはなばなしく、あなたが
大臣に御就任になる前に、たしか整備
計画で新しい五線、北海道、東北、北陸、九州、長崎、こういうものは整備
計画として五十四年度目標ということで、実は
運輸大臣に建議があって、これを確定したということになって、この
予算の
説明からいくというと、
新幹線の建設に着手するということなんですね。そうなるというと、所信表明でお述べになったこととは何も関係なく既定方針どおりおやりになるということなんですね。
そこで、時間もありませんから、私が言いたいことは、その食い違いもさりながら、
新幹線の問題については、
大臣御承知のように、最近では公害の問題が
一つある。それから、さっき御
質問申し上げたように、安全の問題もある。二つあるわけですね。しかも、国民の
生活権というか人格権というか、そういうものとのかかわり合いで、やはり交通公害、交通安全の問題があるわけですね。特に、そうなりますというと、これから、いい悪いは別にして、七千キロも
新幹線を引こうというお
考えのようでありますが、所信表明ではこれに対してブレーキをかけたとわれわれは
考えております。しかしブレーキをかけないのでありますが、いま一番大事なのは、公害をなくするということだと思うのです。あるいは安全を確保するということ。ところが、公害や安全については、言うならばいまだしの感があるのですね。まだ完全ではないということです。特に公害の問題は、レールの上に車輪が走るという方式の最高は
新幹線ですね。これ以上のものを
考えるとすれば、もはやレールの上に鉄の車輪が走るというようなことは、これはもう限界であるというふうに見ていいと思うのですね。だからむしろ当面の既設の線区における
新幹線の公害
対策には、もっと積極的になるべきだと思うのであります。
この間新聞発表によりますれば、八十五ホンでありますか、そういうところでやろうというのでありますが、とてもじゃないが、これでは残念ながら付近住民の要望にはこたえられないと思うのですね。もっと思い切った
対策を
考えなきゃいかぬ。その問題もございます。それと同時に、もう
一つは、新しい交通を開発するということを、公害のない、しかも安全である、そういうものを開発するということにもっと力を入れて、その開発を待ってから、必要があれば七千キロ引くなら引く、そういうことをいま
考えるべきだと思うのですね。時の勢いにまかせて
新幹線で七千キロ張りめぐらすのだというだけでは、残念ながら国民は合意を与えるわけにはいかないと思うのですね。だからこの際、この十カ年
計画の中でも七千キロ引くということになっていますが、これについてどういうふうに
考えるか。
新しい交通、たとえば最近というか、いままで試験的にやっておるようでありますが、リニアモーター方式、こういうものはおそらく騒音とか振動とはあまり関係のないものが開発されるであろうというふうにわれわれは期待しておるわけであります。ところが、こういうものの開発を待たずに、どんどん既設のいままでの方式の
新幹線を建設していくということに、われわれは疑問があると思うのですね。おやりになるならそういうことだと思うのですね。ですから、そういう
意味でも、所信表明をなされた
ときの御見解どおり、いまやそういう新しいシステムができるまでこれは一応ストップして、開発を待ってからやってもおそくはないのではないかというふうに
一つは思うのであります。
時間がありませんので、次の問題もあわせてお答えをいただきたいのであります。
これは
国鉄に聞いたほうがいいかもしれませんが、
国鉄の貨物というか、こういうのは御承知のように、全体の国内における貨物輸送というのはふえてきているわけですね。ところが、
国鉄の貨物輸送は減ってきている。いろいろな
原因はありますが、輸送の面からだけ焦点をしぼって
考えますれば、いま
国鉄がやりつつあるところの貨物輸送は、フレートライナーによるところの都市間輸送ですね。都市間輸送、これはいなかは関係ありませんから。フレートライナー、都市間輸送、それから物資別適合輸送、これも大体言うなら工場から工場まででありますから、幹線を通ってくる輸送であります。そういうものを
考えると、幹線というものが、言うならば特に大部市近辺における近距離、あるいは中近距離と言ったほうがいいかもしれませんが、最近通勤の距離は延びてまいりましたから、そういう
意味で中近距離と言ったほうがいいかもしれませんが、そういう圏内におけるところの輸送力というものはあまり増強されていない。姑息的な線増をやっている。ところが、もはや別線でなければ、これは線増ではどうもうまくいかない。というのは、都市内におけるところの輸送がふん詰まりでありますから、別線と別経路を通ってのみこれは解決されるものですね。ところが、それをやらないでいその上にフレートライナーが走り、あるいは物資別適合輸送の貨物を輸送する、あるいは先ほど
お話を申し上げたように、
優等列車を増発していく、ということになりますと、通勤輸送が延びてきた、そういう契機と一緒になりまして、だんごになりまして、結局総合的に
国鉄の輸送力は大事なところで輸送力がないということですね。極端に言えば、輸送力がないということです。この輸送力を増強することが
国鉄再建のかぎだということを、私はこれまでも何べんも言っているわけですね。
ところが、もはや
世間というか、
世間受けするところの
新幹線を引けば起死回生がはかられるということで、今日まで
政府並びに
国鉄はやってきたのでありますが、私は思いをここにいたすことがこの際必要だと思うのですね。これは単に
国鉄の再建ばかりじゃなくて、総合交通体系、特に最近のような資源並びにエネルギーの省力、そういう立場から言っても、そういう既設線区のいわゆる増強をもっと早く確実にやるべきだと思いますが、この点は
国鉄当局はどう思っているか、あるいは
政府はどう思うか。
それから、
企画庁からもし時間があれば聞きたいが、大体新全総そのものも問い直されなければならない、あるいは経済社会基本
計画もこれを大きく見直し、そういう土台の上に立った総合交通体系並びに
国鉄再建
計画というのは見直すべき
ときに来ていると思うのですね。特に、
企画庁が中心になってまとめられた総合交通体系というのは、もう一ぺん新しい観点から見直す。というのは、言うまでもありませんが、総合交通体系に流れる思想というものは、自由競争のいわゆるマーケットを中心にして
一つは
考えた、あるいは乗るものを利用する者の選考にまかせるというそういう立場から
考えている、この二つが主流になって策定された総合交通体系は、いまや大きく見直すべきだと思うが、これはどうですかというふうに思うのであります。
それからもう
一つ、これは
運輸大臣に参考のためお伺いします。いずれ総理
大臣がこの席に出てきてお答えをいただくことでありますが、順序は逆になりました。
先般参議院の
予算委員会の中で、総理は、
国鉄の民営について検討をするという
お話がありましたが、民営についてやるというならば、
国鉄の再建
計画も何もみんな白紙に戻してこれはやらなければいかぬ問題だと私は思うのですがね。この民営論というのは、与党・自民党の中ではどうなっていらっしゃるのか。自民党の
総裁としておっしゃったのかどうかわかりませんけれ
ども、少なくとも総理でありますから、総理がそうおっしゃるからには、
国鉄の性格づけもこれはあらためてやらなければならぬ時代でありまして、そういうものについて担当の
大臣である
運輸大臣は、どういうふうに思っていらっしゃるか。
それから
国鉄総裁は、自分が運営している
国鉄でありますから、田中総理の言う民営論についてあなたはどういうふうにお
考えになっておられるのか、御見解をお示しいただきたい。
大体その辺で時間でありましょうから、それだけお答えをいただきたい、こういうふうに思うのです。